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特表2024-541766水耕的に発芽させた種子の内因性酵素を用いて材料の栄養素消化率を増大させるためのプロセスおよび組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-12
(54)【発明の名称】水耕的に発芽させた種子の内因性酵素を用いて材料の栄養素消化率を増大させるためのプロセスおよび組成物
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/06 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
A01G7/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024530518
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 US2021060592
(87)【国際公開番号】W WO2023096633
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521362379
【氏名又は名称】ハイドログリーン,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス,ショーン
(57)【要約】
植物中の栄養素消化率を増大させるためのシステム、方法、および装置が開示される。植物および作物を栽培するための栽培機システムは、植物または作物周囲の環境ストレスを減少させる複数の環境因子を制御することにより、好気環境を提供する。環境ストレスの減少は、加水分解酵素活性を増大させ、かつ追加の加水分解酵素を放出させる。加水分解酵素は、植物または作物の複数の複合貯蔵分子を単純貯蔵分子へと分解し、植物の栄養素消化率を増大させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物中の栄養素消化率を増大させるための栽培機システムであって、
フレーム構造によって動作可能に支持され、かつ第2の側部に対向する第1の側部および第2の末端部に対向する第1の末端部を有する該フレーム構造の長さおよび幅にわたって配置される苗床であって、複数の種子を収納するように構成される、苗床;
該フレーム構造に動作可能に接続され、かつ液体を収納するように構成される液体源:
種子ベルト上に収納される該複数の種子に対して該液体源から該液体を放出するための、栽培表面に隣接して該フレーム構造に動作可能に固定された1つ以上の液体散布器であって、該液体を放出するように構成される、1つ以上の液体散布器;および
該フレーム構造に動作可能に接続され、かつ該複数の種子に対して光を供給するように構成される少なくとも1つの照明要素
を含み、
該液体および該照明要素が、該種子ベルト上の該複数の種子のジベレリン酸活性の増大を促進し;かつ
該ジベレリン酸活性の増大が、少なくとも2種の加水分解酵素の活性を増大させる、
上記栽培機システム。
【請求項2】
前記種子ベルトが、該種子ベルトの前記第1の側部から液体が排出されて好気植物環境を提供することを可能にするように構成される少なくとも1つの種子出口を含み、該好気環境は栄養素消化率を増大させる、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項3】
前記少なくとも2種の加水分解酵素が多糖を加水分解する、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項4】
前記複数の種子の環境ストレスを減少させるように構成され、該環境ストレスの減少が、アブシジン酸の活性を低下させる、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項5】
前記少なくとも2種の加水分解酵素が、アミラーゼ、セルラーゼ、フィターゼ、プロテアーゼ、リグニン分解酵素、またはリパーゼを含む、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項6】
前記少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種が、前記複数の種子中の水溶性炭水化物のパーセンテージを増加させる、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項7】
前記少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種が、前記複数の種子中の中性デタージェント繊維のパーセンテージを増加させる、請求項1に記載の栽培機システム。
【請求項8】
植物中の栄養素消化率を増大させるための方法であって、
複数の環境因子を制御するように構成される栽培機システムを利用して好気環境を提供するステップ;
該好気環境を利用して、該栽培機システムの苗床上の複数の種子のジベレリン酸の量を増加させるステップ
該複数の種子のうちの少なくとも1個の種子内の少なくとも2つのタイプの加水分解酵素を放出させるステップであって、該少なくとも2つのタイプの加水分解酵素がジベレリン酸の量の増加により放出されるステップ;
該少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種の加水分解酵素により、該少なくとも1個の種子内の複数の複合貯蔵分子を複数の単純分子へと分解するステップ;
該少なくとも1個の種子が光合成に依存するまで、該少なくとも1個の種子を成長させるステップであって、該少なくとも1個の種子の栄養素消化率が該複数の複合貯蔵分子の分解により増大するステップ
を含む、上記方法。
【請求項9】
前記少なくとも2種の加水分解酵素の活性が最大化される際に、前記少なくとも1個の種子を収穫するステップ
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記環境因子が、水利用可能性、酸素利用可能性、温度、および湿度を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つのタイプの加水分解酵素のうちの少なくとも1つのタイプの加水分解酵素がアミラーゼを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の種子に対して植物栄養素を提供するステップであって、該植物栄養素がマグネシウムまたはカルシウムのうちの少なくとも一方を含むステップ
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種が、前記複数の種子中の水溶性炭水化物のパーセンテージを増加させる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種が、前記複数の種子中の中性デタージェント繊維のパーセンテージを増加させる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
植物中の栄養素消化率を増大させるための方法であって、
栽培システムの苗床上に複数の種子を置くステップ;
栽培機システムにより該苗床の複数の環境因子を制御するステップであって、複数の環境ストレスが低減されるステップ;
該苗床上の該複数の種子のうちの少なくとも1個のジベレリン酸活性を増大させるステップであって、ジベレリン酸活性が該複数の環境因子のうちの少なくとも1つにより増大するステップ;
該ジベレリン酸活性により該少なくとも1個の種子内の複数の酵素を放出させるステップ;
該複数の酵素により複数の複合貯蔵分子を加水分解するステップであって、加水分解が複数の貯蔵分子を単純貯蔵分子へと分解するステップ;
該少なくとも1個の種子の栄養素消化率を増大させるステップであって、栄養素消化率が該複数の複合貯蔵分子の分解により増大するステップ
を含む、上記方法。
【請求項16】
前記複合貯蔵分子がセルロースを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1個の種子の成長段階を決定するステップ;
該少なくとも1個の種子の成長段階に基づいて前記複数の環境因子を調整するステップであって、該環境因子が温度および湿度を含むステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の種子に灌水するステップ;
前記苗床周囲の好気環境を提供するステップであって、該苗床から水が排水されるステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の種子に対して少なくとも1種の植物栄養素を導入するステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記環境ストレスの減少が、アブシジン酸の活性を低下させる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養素消化率に関し、より詳細には、しかし排他的でなく、本発明は、水耕的に発芽させた種子の内因性酵素を用いて材料の栄養素消化率を増大させるためのプロセスおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の形質を増大させる目的で作物中の酵素発現を増加させるために、遺伝子改変型細菌または真菌供給源が用いられてきた。これらの形質としては、健康上の利益を提供する、特定の有害生物、疾患、環境条件に対する抵抗性、または化学的処理に対する抵抗性が挙げられる。しかしながら、遺伝子改変型細菌または真菌供給源により酵素を導入することは、組み換えを介してなど、作物の遺伝物質を改変する可能性がある。したがって、発芽プロセス中の内因性酵素の発現の増大が遺伝子改変型細菌または真菌供給源の助けを用いずに行なわれる、飼料の栄養素消化率を増大させるために水耕栽培植物の内因性酵素を活用するシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様では、植物中の栄養素消化率を増大させるための栽培機システムが開示される。システムは、フレーム構造によって動作可能に支持され、かつ第2の側部に対向する第1の側部および第2の末端部に対向する第1の末端部を有するフレーム構造の長さおよび幅にわたって配置される苗床を含むことができ、苗床は、複数の種子を収納するように構成される。栽培機システムはまた、フレーム構造に動作可能に接続され、かつ液体を収納するための液体源も含むことができる。栽培機システムは、種子ベルト上に収納される複数の種子に対して液体源から液体を放出するための、栽培表面に隣接してフレーム構造に動作可能に固定された1つ以上の液体散布器(applicators)を含むことができる。1つ以上の液体散布器は、液体を放出する。栽培機システムはまた、フレーム構造に動作可能に接続され、かつ複数の種子に対して光を供給するように構成される少なくとも1つの照明要素も含むことができる。栽培機システムは、フレーム構造に動作可能に接続され、かつ苗床中の空気の温度を上昇または低下させるように構成される少なくとも1つの温度要素を含むことができ、温度要素は、空気の湿度を制御する。液体、照明要素および温度要素は、種子ベルト上の複数の種子のジベレリン酸活性の増大を促進する。ジベレリン酸活性の増大は、少なくとも2種の加水分解酵素の活性を増大させる。
【0004】
本発明の別の態様では、栄養素消化率を増大させるための方法が開示される。方法は、複数の環境因子を制御するように構成される栽培機システムを利用して好気環境を提供するステップを含む。方法はまた、好気環境を利用して、栽培機システムの苗床上の複数の種子のジベレリン酸の量を増加させるステップも含む。方法は、複数の種子のうちの少なくとも1個の種子内の少なくとも2つのタイプの加水分解酵素を放出させるステップをさらに含み、少なくとも2つのタイプの加水分解酵素は、ジベレリン酸の量の増加により放出される。方法は、少なくとも2種の加水分解酵素のうちの少なくとも1種の加水分解酵素により、少なくとも1個の種子内の複数の複合貯蔵分子を複数の単純分子へと分解するステップを含むことができる。最後に、方法は、少なくとも1個の種子が光合成に依存するまで、少なくとも1個の種子を成長させるステップを含み、少なくとも1個の種子の栄養素消化率が、複数の複合貯蔵分子の分解により増大する。
【0005】
本開示の別の態様では、栄養素消化率を増大させるための別の方法が開示される。方法は、栽培システムの苗床上に複数の種子を置くステップを含むことができる。方法は、栽培機システムにより苗床の複数の環境因子を制御するステップを含むことができ、複数の環境ストレスが低減される。方法は、苗床上の複数の種子のうちの少なくとも1個のジベレリン酸活性を増大させるステップをさらに含むことができる。ジベレリン酸活性は、複数の環境因子のうちの少なくとも1つにより増大される。方法は、ジベレリン酸活性により少なくとも1個の種子内の複数の酵素を放出させるステップを含むことができる。方法はまた、複数の酵素により複数の複合貯蔵分子を加水分解するステップも含むことができる。加水分解は、複数の貯蔵分子を単純貯蔵分子へと分解する。方法は、少なくとも1個の種子の栄養素消化率を増大させるステップを含むことができ、栄養素消化率は、複数の複合貯蔵分子の分解により増大される。
【0006】
したがって、本発明の主な目的、特徴、または利点は、最先端の技術を上回って改善することである。
本発明のさらなる目的、特徴、または利点は、複合貯蔵分子を分解する内因性酵素の活性を増大させることである。
【0007】
本発明のまたさらなる目的、特徴、または利点は、複数の環境因子を制御することにより、ジベレリン酸の活性を増大させることである。
別の目的、特徴、または利点は、栽培中の植物の環境ストレスを減少させるための栽培機システムを提供することである。
【0008】
また別の目的、特徴、または利点は、植物周囲の環境を制御することにより、複合貯蔵分子を加水分解するための複数の加水分解酵素を放出させて植物の栄養素消化率を増大させることである。
【0009】
本開示のこれらおよび/または他の目的、特徴、または利点のうちの1種以上が、後続の本明細書および特許請求の範囲から明らかになるであろう。単一の態様がそれぞれおよび全部の目的、特徴、または利点を提供する必要はない。異なる態様は、異なる目的、特徴、または利点を有し得る。したがって、本開示は、本明細書中で述べられるいずれかの目的、特徴、または利点に対してまたはそれにより限定されるべきではない。
本開示の図示の態様について、参照により本明細書に組み込まれている添付の図面を参照して、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の例示的な態様による植物ホルモンと乾物との間の相互作用の図示である。
図2A】低酸素条件下で栽培される動物飼料の図である。
図2B】好気条件下で栽培される動物飼料の図である。
図3】異なる環境条件下でのアデノシン三リン酸(ATP)生成を示す図である。
図4】本開示の例示的な態様による植物ホルモン間の相互作用の図示である。
図5】セルロースおよびキシランの加水分解反応の図示である。
図6】3回の混合物収集時点における、パーセンテージとして表わされる可消化中性デタージェント繊維画分の図である。
図7】3回の混合物収集時点における、パーセンテージとして表わされるデンプン消化を示す図である。
図8】4回の混合物収集時点に対する、推定上の総可消化栄養素パーセンテージを示す図である。
図9】4回の混合物収集時点に対する、パーセンテージとして表わされる可消化中性デタージェント繊維画分を示す図である。
図10】本開示の例示的な態様による栽培機システムの図示である。
図11】本開示の例示的な態様による栽培システムの苗床の一部分の側面斜視図である。
図12】その苗床を図示する栽培機システムの一部分の別の側面斜視図である。
図13】その別の苗床を図示する栽培機システムの一部分の側面斜視図である。
図14図13に示される苗床をさらに図示する栽培機システムの一部分の端面斜視図である。
図15】その別の苗床を図示する栽培機システムの一部分の側面斜視図である。
図16】栽培機システムの別の観点を図示するブロック図である。
図17】栄養素消化率を増大させるための方法を図示するフローチャートである。
図18】栄養素消化率を増大させるための方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、飼料濃縮物、牧草、およびミネラル補給剤をはじめとする動物飼料の栄養素消化能を強化するための、種子の制御水耕発芽中に生成される内因性酵素の使用に関する。発芽および実生発達中の高等植物に共通する代謝プロセスを活用して、栽培機システムは、デンプンおよびセルロースをはじめとする複合多糖、複合タンパク質、ならびにトリグリセリドの、それらの還元単糖、アミノ酸、および脂肪酸前駆体へのそれぞれの変換を可能にする。植物内の酵素の量を増加させることによるなど、酵素が高デンプン食に取り込まれ、かつ動物消化前に作用時間が与えられる場合、栄養素消化率に対する全体的な影響が見られる。6日間の期間中に、出発デンプン濃度のうちの約75%および出発タンパク質濃度のうちの90%が、発達中の穀物内でより単純な前駆体へと加水分解され得る。
【0012】
植物または種子とは、植物界または顕花植物、穀物、マメ科穀類、イネ科植物、根菜作物および塊茎作物、野菜作物、果実植物、菽穀類、薬用作物、香料作物、飲料植物、糖およびデンプン、香辛料、油脂植物、繊維作物、ラテックス作物、食用作物、飼料作物、プランテーション作物もしくは牧草作物をはじめとする被子植物由来のいずれかの植物を意味し得る。
【0013】
穀物としては、イネ(Oryza sativa)、コムギ(コムギ属(Triticum))、トウモロコシ(Zea mays)、ライムギ(Secale cereale)、エンバク(Avena sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、モロコシ(Sorghum bicolor)、トウジンビエ(Pennisetum glacucum)、シコクビエ(Eleusine coracana)、ヒエ(Echinochloa frumentacea)、アワ(Setaria italica)、スズメノコビエ(Paspalum scrobiculatum)、キビ(Panicum millaceum)が挙げられる。
【0014】
菽穀類としては、ケツルアズキ(black gram、kalai、またはurd)(ビグナ・ムンゴ変種ラジアツス(Vigna mungo var, radiatus))、ガラスマメ(Lathyrus sativus)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、ササゲ(Vigna sinensis)、リョクトウ(Vigna radiatus)、ホースグラム(Macrotyloma uniflorum)、レンズマメ(Lens esculenta)、モスビーン(Phaseolus aconitifolia)、エンドウマメ(Pisum sativum)、キマメ(Cajanas cajan、Cajanus indicus)、フィリペサラ(philipesara)(ファセオルス・トリロブス(Phaseolus trilobus))、ダイズ(Glycine max)が挙げられる。
【0015】
油糧種子としては、クロガラシ(Brassica nigra)、トウゴマ(Ricinus communis)、ココナツ(Cocus nucifera)、ラッカセイ(Arachis hypgaea)、カラシナ(Brassica juncea)、トリア(toria)(ナプス(Napus))、ニガー(Guizotia abyssinica)、アマニ(Linum usitatissumun)、ベニバナ(Carthamus tinctorious)、ゴマ(Seasmum indicum)、ヒマワリ(Helianthus annus)、シロガラシ(Brassica alba)、アブラヤシ(Elaeis guniensis)が挙げられる。繊維作物としては、クロタラリア(Crotalaria juncea)、コウマ(ツナソ属(Corchorus))、ワタ(ワタ属(Gossypium))、メスタ(mesta)(フヨウ属(Hibiscus))、またはタバコ(タバコ属(Nicotiana))が挙げられる。
【0016】
糖およびデンプン作物としては、バレイショ(Solanum tberosum)、サツマイモ(Ipomea batatus)、キャッサバ(Manihunt esculenta)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ビート(Beta vulgaris)が挙げられる。香辛料としては、コショウ(Piper nigrum)、キンマ(Piper betle)、ショウズク(Elettaria cardamomum)、ニンニク(Allium sativum)、ショウガ(Zingiber officinale)、タマネギ(Allium cepa)、トウガラシもしくはチリ(Capsicum annum)、またはウコン(Curcuma longa)が挙げられる。牧草としては、ブッフェルグラスもしくはアニャン(anjan)(センチルス・シリアリス(Cenchrus ciliaris))、シマスズメノヒエ(Paspalum dilatatum)、ディナナスグラス(dinanath grass)(チカラシバ属(Pennisetum))、ギニアグラス(guniea grass)(Panicum maximum)、マーベルグラス(ヒメオニササガヤ(Dicanthium annulatum))、ネピアグラスもしくはエレファントグラス(Pennisetum purpureum)、パンゴラグラス(Digitaria decumbens)、パラグラス(Brachiaria mutica)、スーダングラス(Sorghum sudanense)、テオシント(Echlaena mexicana)、またはブルーパニックグラス(Panicum antidotale)が挙げられる。牧草マメ科作物としては、ベルシームまたはエジプトクローバー(Trifolium alexandrinum)、セントロセマ(セントロセマ・プベセンス(Centrosema pubescens))、グアーマメまたはクラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)、アルファルファまたはルーサン(Medicago sativa)、サイラトロ(sirato)(Macroptlium atropurpureum)、ベルベットビーン(velvet bean)(ムクナ・コチンチネンシス(Mucuna cochinchinensis))が挙げられる。
【0017】
プランテーション作物としては、バナナ(Musa paradisiaca)、アレカヤシ(Areca catechu)、クズウコン(Maranta arundinacea)、カカオ(Theobroma cacao)、ココヤシ(cocos nucifera)、コーヒー(Coffea arabica)、チャ(Camellia theasinesis)が挙げられる。野菜作物としては、トウガン(Beniacasa cerifera)、ニガウリ(Momordica charantia)、ユウガオ(Lagenaria leucantha)、ナス(Solanum melongena)、ソラマメ(Vicia faba)、キャベツ(アブラナ属(Brassica))、ニンジン(Daucus carota)、カリフラワー(アブラナ属)、サトイモ(Colocasia esulenta)、キュウリ(Cucumis sativus)、ライマメ(Phaseolus lunatus)、タロイモもしくは食用アルム(コロカシア・アンチクオルム(Colocasia antiquorum))、ゾウコンニャクもしくはヤムイモ(Amorphophallus campanulatus)、サヤマメ(インゲンマメ(Phaseolus vlugaris))、コールラビ(アブラナ属)、ヤムイモ(ヤマノイモ属(Dioscorea))、レタス(Lactuca sativa)、マスクメロン(must melon)(メロン(Cucumis melo))、食用カラスウリ(pointed gourd)もしくはパルワル(Trichosanthes diora)、カボチャ(カボチャ属(Cucrbita))、ダイコン(Raphanus sativus)、オクラ(bhendi)(Abelmoschus esculentus)、トカドヘチマ(Luffa acutangular)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)、ヘビウリ(Trichosanthes anguina)、トマト(Lycoperscium esculentus)、カブ(アブラナ属)、またはスイカ(Citrullus vulgaris)が挙げられる。
【0018】
薬用作物としては、アロエ(Aloe vera)、アシュワガンダ(ashwagnatha)(Withania somnifera)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、ビショップボウフウ(アンミ・ビスナガ(Ammi visnaga))、ブリンガラージ(アメリカタカサブロウ(Eclipta alba))、キナ(キナノキ属種(Cinchona sp.))、コレウス(coleus)(コレウス・フォルスコリ(Coleus forskholli))、ヤマノイモ(ヤマノイモ属)、グロリオサ(Gloriosa superba)、トコン(ipecae)(Cephaelis ipecauanha)、ヒハツ(Poper longum)、サクラソウ(オエノテラ・ラマレキアナ(Oenothera lamarekiana))、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)、サルパガンダ(Rauvalfia serpentine)、センナ(Cassia angustifolia)、ショウブ(Acorus calamus)、またはバレリアン(valeriana)(バレリアナ・ワリチイ(Valeriana wallaichii))が挙げられる。
【0019】
香料作物としては、アンブレット(ambrette)(リュウキュウトロロアオイ(Abelmoschus moschatus))、セロリ(Apium graveolens)、シトロネラ(Cymbopogon winterianus)、ゼラニウム(Pelargonium graveolens)、ジャスミン(Jasminum grantiflorum)、ベチバー(khus)(Vetiveria zizanoids)、ラベンダー(ラベンダー属種(Lavendula sp.))、レモングラス(Cymbopogon flexuosus)、ミント、パルマローザ(cymbopogon martini)、パチョリ(Pogostemon cablin)、サンダルウッド(Santalum album)、ホーリーバジル(Ocimum sanctum)、またはチューベローズ(Polianthus tuberosa)が挙げられる。食用作物はヒト消費のために収穫され、飼料作物は家畜消費のために収穫される。牧草作物としては、動物が直接的に給餌されるかまたは裁断して家畜に給餌されることができる作物が挙げられる。
【0020】
栄養素消化率は、個体または動物により吸収される栄養素の量であり、一般的に、糞便中に残った栄養素の量を差し引いた、摂取された栄養素の量として算出される。乳製品および牛肉食糧中への酵素の取り込みは、入り混じった結果を生じており、畜牛体内のアミラーゼに主に焦点を当てられてきた。乳製品および牛肉食糧中へのアミラーゼの取り込みは、15,000KNUがデンプンに富む飼料中に供給された場合に、12パーセントまで牛乳-飼料変換を増加させることが示されてきた。肉牛では、12,000KNUの外因性(exogenouse)アミラーゼの添加は、8パーセントまで1日増加率を改善した。牛乳収量および成分のアミラーゼの直接的な影響は、わずかな著者により報告された牛乳および牛乳成分の増加と合わせられる。試験同士の間で一貫して、アミラーゼの添加は、栄養素消化率および飼料利用効率を改善させることが報告されてきた。穀物の発芽プロセス中に生成される酵素の使用は、麦芽生成産業に対する応用で長く用いられており、最適化された種子の水耕発芽中に生成される酵素を活用するプロセスは、飼料の消化を改善するために飼料産業で未だ実行されていない。最適化された種子の水耕発芽中に天然に生成される酵素を活用するプロセスが必要とされる。
【0021】
植物成長および酵素の産生は、環境により強く影響される。栄養素消化率の低下などの大部分の植物の課題は、環境条件に起因する環境ストレスにより引き起こされる。水、湿度、栄養、光、温度、存在する酸素のレベルなどの環境因子が、図1~3に示される通り、植物の成長および発達に影響を及ぼし得る。
【0022】
酸素は、呼吸および土壌から根への栄養素移動を含む多数の植物プロセスでの必須成分である。酸素の量は、呼吸の効率に影響し得る。酸素は、拡散を通じて植物中へと受動的に移動した。酸素の取り込みまたは消失が、光合成によるその生成または周囲環境からの物理的輸送による拡散よりも大きい嫌気条件で成長した植物。嫌気条件は、栄養素欠乏もしくは植物内での毒性、根もしくは植物死、または植物の成長の低減を引き起こし得る。嫌気条件は、空気または酸素循環を有しない室内で植物または種子を成長させるなどの、空気中の酸素の量の低下により引き起こされる場合がある。しかしながら、硝酸塩(NO3)、亜硝酸塩(NO2)、および亜硫酸塩(SO3)などの化合物中の結合型酸素は、それでも、環境中に存在し得る。空気とのガス交換を阻害する、植物の根域中または土壌中に過剰の水がある湛水もまた、嫌気条件を引き起こし得る。低酸素条件は、植物の環境中に不十分な酸素がある場合に起こり、植物は、それに従ってその成長および代謝を順応させなければならない。過剰な散水または湛水した土壌は、低酸素条件を引き起こし得る。嫌気または低酸素条件が持続する場合、微生物、真菌および植物の活動が、いかなる残余の酸素をも迅速に使い尽くす。植物は、根による栄養素取り込みの欠如に起因してストレスを受け、植物の気孔は閉じ始め、光合成は低減される。長期間の酸素欠乏は、図2Aに示される通り、収量低減、根枯れ、植物死、または疾患および有害生物に対するより高い感受性をもたらし得る。図2Bに示される通り、好気条件下では、植物成長は強くなり得る。好気条件とは、図3に示される通り、栄養素循環をはじめとする酸化反応を行なうために十分な酸素分子または化合物およびエネルギーが存在する場合である。
【0023】
光は、植物成長ならびに栄養素消化率を増大させる酵素、糖およびデンプンの生成の増加に対して必須の成分である。植物が受ける光が多い程、光合成を介して食物およびエネルギーを生成するその能力はより大きい。エネルギーは、栄養素消化率を増大させる酵素を産生させるかまたはその発現を増加させるために用いることができる。温度は、光合成、蒸散、呼吸、発芽、および花成をはじめとする大部分の植物プロセスに影響を及ぼす。温度が特定の点まで上昇するにつれ、光合成、蒸散、および呼吸は増加する。温度が低すぎるかまたは最大点を超過する場合、光合成、蒸散、および呼吸は減少する。日照時間と組み合わせた場合、温度はまた、栄養成長から生殖成長への変化にも影響を及ぼす。発芽のための温度は、植物種により変わり得る。一般的に、寒候期作物(例えば、ホウレンソウ、ダイコン、およびレタス)は55°~65°Fで発芽し、暖候期作物(例えば、トマト、ペチュニア、およびロベリア)は65°~75°Fで発芽する。低い温度はエネルギー利用を低減させ、単糖貯蔵を増加させるが、しかしながら、有害な温度は、成長不全および低品質の植物を生じる。
【0024】
水および湿度は、栄養素消化率の増大で重要な役割を果たす。大部分の成長中の植物は、90パーセントの水を含有する。水は、光合成および呼吸の主な成分である。水はまた、細胞形状を維持しかつ細胞成長を確実にするために必要とされる膨圧の原因でもある。水は、植物を通して移動するミネラルおよび炭水化物に対する溶媒として機能し、一部の植物生化学反応に対する媒体として機能し、酵素産生および発現を増加させ、かつ蒸散中に蒸発する際に植物を冷却する。水は、気孔の開閉を調節し、それにより蒸散および光合成を制御することができ、かつ土壌などの成長媒体を通した根の移動のための圧力源である。湿度とは、現在の温度および圧力で空気が保持することができる水の量に対する空気中の水蒸気の比率である。暖かい空気は、冷たい空気よりも多くの水蒸気を保持することができる。水蒸気は、高湿度の領域から低湿度の領域へと移動する。水蒸気は、高湿度の領域と低湿度の領域との間の差異がより大きい場合に、より早く移動する。植物の気孔が開いている場合、水蒸気は、植物の外側へと周囲の空気中に迅速に移動する。高湿度の領域が気孔の周囲で形成され、植物内部の空隙と植物に隣接する空気との間の湿度の差異を低減させ、蒸散を減速させる。空気が植物周囲の高湿度の領域を吹き飛ばす場合、蒸散は増加する。
【0025】
植物栄養は、栄養素消化率の増大で重要な役割を果たす。植物栄養は、基本的化学元素に対する植物の要求およびその使用である。植物は、正常な成長のために少なくとも17種類の化学元素を必要とする。炭素、水素、および酸素は、大気または水中に見出すことができる。多量要素である窒素、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、および硫黄は、植物により比較的多量に用いられる。窒素は、エネルギー代謝、タンパク質合成で基礎的な役割を果たし、植物成長に直接的に関連付けられる。窒素は光合成活性および葉緑素形成に対して不可欠である。窒素は、細胞増殖を促進する。窒素欠乏は、生命力および色の喪失をもたらす。成長は遅くなり、葉は植物の下部から落ち始める。カルシウムは、植物組織の壁に結合し、細胞壁を安定化し、細胞壁形成に好都合である。カルシウムは、細胞成長、細胞発達を助け、かつ根の形成およびその成長を活性化することにより植物の生命力を改善する。カルシウムは、数種類の異なるプロセスを安定化および調節する。マグネシウムは、光合成に必須であり、かつリンの吸収および輸送を促進する。マグネシウムは、植物内での糖の貯蔵に寄与する。マグネシウムは、酵素活性化因子の機能を果たす。硫黄は、光合成を行なうために必要であり、かつタンパク質合成および組織形成を仲介する。
【0026】
植物微量要素または微量元素である鉄、亜鉛、モリブデン、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、および塩素は、比較的少量で植物により用いられる。多量要素および微量要素は、水により溶解され、続いて植物根により吸収されることができる。これらのうちのいずれかの不足は欠乏症を引き起こし、どの栄養素が失われるかおよびどの程度であるかに応じて、植物の全体的な状態に対する様々な有害作用を伴う。施肥は、栄養素消化率に影響を及ぼし得る。施肥とは、栄養素が植物周囲の環境に添加される場合である。肥料は、水または土壌などの植物栽培表面に添加することができる。追加の微量要素および多量要素を、栽培機システム10により植物に添加することができる。
【0027】
植物成長は、4つの成長段階へと分けることができる:吸水、安定、発芽、および実生。吸水は、乾燥種子による水の取り込みである。種子が水を取り込むと、種子は膨張し、酵素および食料供給物には水分が与えられる。酵素は活性になり、種子はその代謝活性を増加させる。吸水中には、相対湿度は高く、90%~98%相対湿度の範囲であり得る。温度は、76°F~82°Fまたは22℃~28℃の範囲であり得る。空気の移動は最小限である。吸水は、18~24時間続く場合がある。安定段階とは、水の取り込みが非常にわずかしか増加しない場合である。安定段階は、アブシジン酸およびジベレリン酸(GA)合成または不活性化などのホルモン代謝と関連付けられる。安定段階中には、湿度および温度は吸水段階よりも低いことができる。相対湿度は70%~90%の範囲であり得、温度は72°F~77°Fまたは22℃~26℃の範囲であり得る。空気の移動は、未だ最小限であり得る。安定段階は、18~24時間続く場合がある。発芽は、種子、胞子、または他の生殖体の芽生えである。水の吸収、温度、酸素利用可能性および光曝露が、プロセスの開始に影響し得る。発芽中には、相対湿度は吸水および安定段階よりも低い場合がある。相対湿度は、60%~70%の範囲であり得る。温度は安定段階と同じであり得、72°F~77°Fまたは22℃~26℃の範囲であり得る。空気の移動は穏やかであり得る。発芽は、24~48時間続く場合がある。最終相は、実生または植物発達期であり、ここで植物の根が発達して広がり、栄養素が吸収されて、植物の迅速な成長を加速させる。実生段階は、植物が成熟するまで続く場合がある。実生段階はまた、追加の相へと分けることもできる:実生、発蕾、花成、および熟成。相対湿度はこの段階で最も低いことができ、40%~60%であり得る。温度もまたこの段階で最も低いことができ、68°F~72°Fまたは20℃~22℃の範囲であり得る。空気の移動は高度である。実生期は、72時間からであるか、または植物が成熟に達するまでの範囲であり得る。温度の特異的な制御は、発達全体を通して最大の酵素加水分解を促しながら、光合成の開始付近での細胞分裂を妨げる可能性がある。種子の基本的範囲付近の温度は、概ね最初の120時間を通じて最大の酵素加水分解を支持すると考えられる。120時間で基本値未満に温度を低減させることは、環境に容易に曝露される組織中の代謝活性を低減させながら、セルロース性材料層内の種子に対する影響を低減させると考えられる。
【0028】
アブシジン酸(ABA)、GAおよびエチレン(ET)などの植物ホルモンは、種子休眠および種子発芽を調節し、ならびに酵素産生の平衡を保つかまたは決定付ける。ABAとGAとの比率は、種子休眠を調節する。ABAのレベルが高い場合、気孔閉鎖、ストレスシグナル伝達、および細胞分裂の遅延が引き起こされ、代謝および酵素活性はダウンレギュレーションされる。高いABA/GA比は休眠に好都合である一方で、低いABA/GA比は種子発芽をもたらす。GAの増加は種子発芽が起こるために必要であり、図4に示される通り、GA発現が増加するにつれ、ABA発現が減少する。GAは、細胞分裂、茎伸長、および根発達を引き起こす。酵素発現は、発芽中の代謝要求と密接に関連する。吸水直後に植物が代謝的に活発になると、GAが種子胚から放出され、種子の多糖およびタンパク質に富む内胚乳周囲のアリューロン層からをはじめとする、種子内からの広いプロフィールの酵素の放出のシグナルを伝える。発芽中、GAはアリューロン層へと移行しかつこれと相互作用し、それにより、α-アミラーゼを含む加水分解酵素を放出または合成する。用語「アミラーゼ」とは、以下のクラスの酵素をはじめとする、オリゴ糖および多糖中の1,4-α-グルコシド結合を加水分解する酵素を意味する:α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、およびα-グルコシダーゼ。
【0029】
加水分解酵素は、最もエネルギー効率のよい酵素のうちの一部である。1,3;1,4-β-グルカナーゼ(β-グルカナーゼ)、α-アミラーゼおよびβ-アミラーゼなどの加水分解酵素が放出される。用語「β-グルコシダーゼ」とは、β-D-グルコースの放出を伴って末端非還元性β-D-グルコース残基の加水分解を触媒するβ-D-グルコシドグルコヒドロラーゼを意味する。加水分解酵素が放出されると、それらは、細胞壁多糖、プロテアーセ、貯蔵タンパク質、および発芽に対して必須であり、根成長を駆動する糖を提供するデンプン質エネルギー貯蔵をはじめとする複合貯蔵分子の、それらのより単純な単量体サブユニットへの加水分解を促進する。貯蔵分子の加水分解は、植物の主なエネルギー源のうちの1つである。図5に示される通り、加水分解酵素は、化学結合を水分解することにより、ポリマーを二量体または可溶性オリゴマーへと、かつ続いて単量体へと分解する。
【0030】
β-グルカナーゼは、優勢な細胞壁多糖である1,3;1,4-β-グルカンを加水分解することができる。α-アミラーゼは、内部アミロースおよびアミロペクチン残基を切断する。β-アミラーゼエキソヒドロラーゼは、デンプン分子からマルトースおよびグルコースを遊離させる。これらの還元型栄養素形態は、通常、続いて胚へと輸送されて戻り、ここで解糖および細胞呼吸経路がグルコースを使用して、エネルギーを多量に消費する細胞分裂および生合成反応に対して必要なATPを生じる。幼植物の代謝要求が増加するにつれ、種子胚からのGAの放出およびアリューロン層からの酵素の放出が同様に増加する。幼植物内での酵素活性は、効率的な光合成の開始時にピークになる。この点で、植物の総代謝要求は、光合成によっては満たすことができず、多量の貯蔵分子が、解糖およびATP生成のためにグルコースへと加水分解されなければならない。
【0031】
大多数の哺乳動物は、セルロースをはじめとする食物繊維を消化するのに苦労する。セルロース多糖は、一次細胞壁の突出したバイオマスであり、ヘミセルロースおよびペクチンがこれに続く。セルロース性材料は、セルロースを含有するいずれかの材料である。細胞が成長を止めた後に生成される二次細胞壁もまた多糖を含有し、ヘミセルロースに共有的に架橋されたポリマー性リグニンにより強化される。セルロースは、無水セロビオースのホモポリマーであり、直鎖β-(1-4)-D-グルカンである。ヘミセルロースは、あるスペクトルの置換基を含む複雑な分岐構造中にキシラン、キシログルカン、アラビノキシラン、およびマンナンなどの様々な化合物を含むことができる。セルロースは、多形性であるが、平行なグルカン鎖の不溶性結晶性マトリックスとして主に見出される。ヘミセルロースは、通常、セルロースならびに他のヘミセルロースに水素結合し、細胞壁マトリックスを安定化する。セルロース分解性酵素またはセルラーゼとは、セルロース(celluloise)材料を加水分解する1種以上の酵素(enxyme)を意味する。酵素は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β-グルコシダーゼ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。酵素は、セルロース性材料をセロデキストリンへと、または完全にグルコースへと分解する。ヘミセルロース分解(hemmicellulolytic)酵素またはヘミセルラーゼ(hemicullase)は、ヘミセルロース性材料を加水分解してフルフラールまたはアラビノースおよびキシロースを形成させる1種以上の酵素である。
【0032】
β-キシロシダーゼ、またはβ-D-キシロシドキシロヒドロラーゼは、短いβ(1→4)-キシロオリゴ糖のエキソ型加水分解を触媒し、非還元性末端から連続的d-キシロース残基を除去し、かつキシロビオースを加水分解することができる。β-キシロシダーゼは、ヘミセルロースの最終的分解に従事する。用語「キシラナーゼ」とは、キシラン中の1,4-β-D-キシロシド結合のエンド型加水分解を触媒する、1,4-β-D-キシラン-キシロヒドロラーゼを意味する。用語「エンドグルカナーゼ」とは、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなど)、リケニン中の1,4-β-D-グリコシド結合、穀物β-D-グルカンまたはキシログルカンなどの混合型β-1,3-グルカン、およびセルロース性成分を含有する他の植物材料中のβ-1,4-結合のエンド型加水分解を触媒するエンド-1,4-(1,3:1,4)-β-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼを意味する。
【0033】
リグニンは、細胞壁の別の主な成分である。リグニンは、大部分の植物で、一次細胞壁などの支持組織中の主要な構造的材料を形成する複合ポリマーのクラスである。架橋してリグニンを形成するリグノールは、すべてフェニルプロパンから誘導される、3種類の主なタイプのものである:コニフェリルアルコール(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルプロパン)、シナピルアルコール(3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシフェニルプロパン)、およびパラクマリルアルコール(4-ヒドロキシフェニルプロパン)。リグニンは、セルロース、ヘミセルロース、およびペクチン成分間の細胞壁中の空間を埋める。リグニンはヘミセルロースへと共有的に架橋して、細胞壁を機械的に強化することができる。リグニン分解酵素は、リグニンポリマーを加水分解する酵素である。リグニン分解酵素としては、リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼおよびフェルロイルエステラーゼ、ならびにリグニンポリマーを解重合するかまたはそれ以外の様式で分解することが公知である当技術分野で記載された他の酵素が挙げられる。ヘミセルロース性糖(特にアラビノース)とリグニンとの間で形成される結合を加水分解することが可能な酵素もまた含められる。
【0034】
脂質は、水喪失および病原体感染を制限するための構造成分として用いられる。これらの脂質としては、脂肪酸から誘導されるワックス、ならびにクチンおよびスベリンが挙げられる。リパーゼは、脂質、脂肪酸、およびホスホグリセリドをはじめとするアシルグリセリド、リポタンパク質、ジアシルグリセロール等を加水分解する酵素である。リパーゼとしては、以下のクラスの酵素が挙げられる:トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼ、アシルグリセロールリパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼA1、ジヒドロクマリンリパーゼ、2-アセチル-1-アルキルグリセロホスホコリンエステラーゼ、ホスファチジルイノシトールデアシラーゼ、クチナーゼ、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD、1-ホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ(1-hosphatidylinositol phosphodiesterase)、およびアルキルグリセロホスホエタノールアミンホスホジエステラーゼ(alkylglycerophospho ethanolamine phosphdiesterase)。リパーゼは、脂質を糖、二糖、および単量体へと可消化性に分解することにより、脂質の消化性を増大させる。
【0035】
フィチン酸は、植物中でのリンの主要な貯蔵形態である。しかしながら、多くの動物が、フィチン酸を分解する酵素を欠損しているために、酵素を消化することに問題を抱えているかまたは消化することができない。リンは必須元素であるので、無機リンが動物飼料に通常添加される。フィターゼは、フィチン酸に対して特異的に作用する加水分解酵素であり、フィチン酸を分解して、有機リンを放出する。用語「フィターゼ」とは、ミオ-イノシトール-ヘキサキスリン酸またはフィチン内のエステル結合を加水分解する酵素を意味する。4-フィターゼ、3-フィターゼ、および5-フィターゼ(5-phyates)が挙げられる。加水分解酵素の活性を増大させることにより、有機リンが放出され、無機リンは動物飼料に添加する必要がない。
【0036】
プロテアーゼは、ペプチド結合を加水分解することにより、タンパク質および糖などの他の部分を、より小さなポリペプチドおよび単一アミノ酸へと分解する。タンパク質のうちの多くは、貯蔵タンパク質として機能する。プロテアーゼの一部の特定のタイプとしては、ペプシンをはじめとするシステインプロテアーゼ、パパイン、およびキモトリプシンをはじめとするセリンプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼおよびメタロエンドペプチダーゼ(metalloen dopeptidase)が挙げられる。プロテアーゼは、種子中に蓄積したタンパク質の加水分解および可動化を通して、発芽で重要な役割を果たす。プロテアーゼはまた、プログラム細胞死、老化、落葉、果実の熟成、植物成長、およびNホメオスタシスでも機能する。非生物的および生物的ストレスに応答して、プロテアーゼは、葉および根タンパク質分解の栄養素再可動化に関与して、収量を改善する。
【0037】
環境ストレスを減少させ、かつ代謝活性を増大させることにより、植物を、植物の生活環内での酵素活性の最高点に密接に一致する期間中に収穫することができ、増加した発達がもたらされる。収穫された産物は、酵素が豊富である。穀物の麦芽製造特性を調べる場合に報告される酵素値に基づいて、オオムギは、乾物1kg当たり約12,000キロノボ(novo)単位(KNO)のアミラーゼ活性、タンパク質1ミリグラム当たり400単位のプロテアーゼおよびタンパク質1ミリグラム当たり200単位のリパーゼを有すると推定される。コムギは、それぞれ同等および100%多くのリパーゼおよびプロテアーゼ値を伴って、平均でオオムギの量の約50%~75%のアミラーゼレベルを有すると予期される。繊維異化に関連するペルオキシダーゼおよびヘミセルロースなどの酵素もまた、環境ストレスの減少に起因して、非常に活性である可能性が高い。
【0038】
例えば、酵素活性の最高点で収穫されたオオムギでは、粗タンパク質の量は増加する。粗タンパク質は、真のタンパク質および非タンパク質窒素(尿素およびアンモニア)を含む、総窒素を表わす、動物飼料またはその植物の含有物である。粗タンパク質は、牧草作物のタンパク質含有量の重要な指示因子である。一例では、オオムギ中の粗タンパク質は、酵素活性が最大化された時点の6日目に収穫した場合に、117%および125%の代わりに143%まで増加させることができる。別の例では、コムギを、6日目などの最高酵素点で収穫する場合、粗タンパク質の量は、129%まで増加させることができる。作物、植物、または飼料サンプル含有物の中性デタージェント繊維(NDF)は、作物の総繊維構成成分の緊密な推定値である。NDFは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、シリカ、タンニン、およびクチンなどの植物細胞壁成分を含み、一部のペクチンを含まない。構造炭水化物であるヘミセルロース、セルロース、およびリグニンは、作物の繊維性のかさを表わす。リグニンは不消化性であるが、ヘミセルロースおよびセルロースは、それらの消化管の一部分として、ウシ、ヤギもしくはヒツジなどの第一胃発酵、またはウマ、ウサギ、モルモットなどの後腸発酵のいずれかを有する動物体内で微生物により(様々な程度で)消化されることができる。NDFのパーセンテージは動物が比較的少ない作物を消費する場合に増加するので、NDFは乾物摂取と負に相関すると考えられる。一例では、オオムギでのNDFは、酵素活性が最大化される6日目に収穫した場合に、132%および155%の代わりに178%まで増加させることができる。別の例では、コムギを6日目などの最高酵素点で収穫する場合、NDFの量は173%まで増加させることができる。水溶性炭水化物(WSC)は、水中に可溶化および抽出することができる炭水化物である。WSCとしては、単糖、二糖、および主要な貯蔵炭水化物であるフルクタンなどの数種類の短鎖多糖が挙げられる。一例では、オオムギ中のWSCは、酵素活性が最大化された6日目に収穫した場合に、182%および191%の代わりに442%まで増加した。別の例では、コムギを6日目などの最高酵素点で収穫する場合、WSCの量は553%まで増加させることができる。パーセンテージでの増加は、植物中の酵素活性を増加させることにより、複合貯蔵分子がより単純な単量体貯蔵分子へと分解されており、栄養素消化率を増大させるという証拠である。デンプンは、容易に利用可能なエネルギー源として、植物の穀粒、種子、または根部分中に主に見出される細胞内炭水化物である。GA活性が増大した作物中では、飼料中に存在するデンプンの量は低減される。これは、飼料の栄養素消化率を増大させる酵素による、グルコースおよびマルトースなどのより単純な糖へのデンプンの分解に起因し得る。酵素活性が最大化される場合、オオムギ中のデンプンの量は17%まで、およびコムギでは26%まで増加させることができる。乾物とは、水を除外するすべての植物材料を意味する。動物飼料または植物組織中の栄養素またはミネラル含有量は、乾物基準または材料中の総乾物の割合に対して表わすことができる。酵素活性が最大化される場合、乾物比率は、92%または95%の代わりに、オオムギでは118%およびコムギでは115%までなど、増加させることができる。
【0039】
栄養素の可消化単量体サブユニットへの貯蔵分子の分解は、水耕環境中でGAを活用することにより増大させることができる。GA活性が作物中で増大される場合、粗タンパク質含有量は、ライムギでの15.9%から20.4%へとなど、増加させることができる。ABA活性が増大される場合、粗タンパク質含有量は、例えば、15.9%から13.7%へと減少する。作物、植物、または飼料サンプル中の粗タンパク質含有量は、タンパク質および非タンパク質窒素を含む、食餌中の窒素の総量を表わす。作物、植物または飼料サンプル含有物中の繊維性成分は、最も消化性が低い繊維部分を表わす。最も消化性が低い部分としては、リグニン、セルロース、シリカ、および不溶性形態の窒素が挙げられる。ヘミセルロースは、最も消化性が低い部分には含められない。より高い酸性デタージェント繊維(ADF)を有する作物は、より低い可消化エネルギーを有する。ADFレベルが上昇するにつれ、可消化エネルギーレベルは低下する。GA活性が増大する場合、ADFパーセンテージは、ライムギでの9.2%から12.8%へとなど、増加する。ABA活性が増大する場合、ADFパーセンテージは、9.2%から4.2%へとなど、減少する。GA活性が増大する作物中では、NDFのパーセンテージは、ライムギでの21.6%から27.1%へとなど、増加する。ABA活性が増大する作物中では、NDFパーセンテージは、ライムギでの21.6%から15.2%へとなど、減少する。植物のエタノール可溶性炭水化物(ESC)としては、グルコースおよびフルクトースなどの単糖、ならびに二糖が挙げられる。GA活性が増大する場合、植物または作物を成長させるためにエネルギーが必要とされるので、ESCパーセンテージは若干減少する。ライムギでは、ESCパーセンテージは、35.3%から31.7%へと減少し得る。ライムギでは、デンプンパーセンテージは、19.1%から9.6%へと減少した。しかしながら、環境ストレス因子に起因してABA活性が増大する場合、ライムギ中のデンプンの量は、19.1%から42.2%へと増加した。粗脂肪は、作物または飼料サンプルの総脂肪含有量の推定値である。粗脂肪は、真の脂肪(トリグリセリド)、アルコール、ワックス、テルペン、ステロイド、色素、エステル、アルデヒド、および他の脂質を含む。GA活性が環境ストレスの低減に起因して増大した飼料サンプル中では、粗脂肪の量は増加する。ライムギ作物中では、粗脂肪は、1.39%から2.78%へと増加し得る。粗脂肪はまた、ABA活性が増加する場合にも増加する。ライムギ作物中では、粗脂肪パーセンテージは、1.39から1.44%へと増加し得る。
【0040】
図6は、3回の混合物収集時点に対するパーセンテージとして表わされるin vitro 48時間可消化NDFまたはNDFD画分を図示する。95%信頼区間を伴う、固定効果線形モデル推定として表わされる値は、周囲の推定値を図示した。乾物基準で25%の水耕栽培されたコムギを75%のトウモロコシ乾燥蒸留粕と混合した後の、下部に示される時点で収集されたサンプル。NDFのパーセンテージは、サンプルがより遅く収集される場合に増加し、このことは、植物の天然に産生された酵素がNDFの消化率を増加させることを可能にする。図7は、3回の混合物収集時点に対するパーセンテージとして表わされるin vitro 7時間デンプン消化を図示する。95%信頼区間を伴う、固定効果線形モデル推定として表わされる値は、周囲の推定値を図示した。乾物基準で25%の水耕栽培されたコムギを75%のトウモロコシ乾燥蒸留粕と混合した後の、下部に示される時点で収集されたサンプル。デンプン消化は、栄養素消化率を増加させるために酵素が活用される場合に増加する。図8は、4回の混合物収集時点に対する、推定上の総可消化栄養素パーセンテージを図示する。95%信頼区間を伴う、固定効果線形モデル推定として表わされる値は、周囲の推定値を図示した。示される時点で収集されたサンプルは、乾物基準で25%の水耕栽培されたオオムギが75%のひき割りトウモロコシと混合された後である。図9は、3回の混合物収集時点に対するパーセンテージとして表わされるin vitro 48時間可消化NDFまたはNDFD画分を図示する。95%信頼区間を伴う、固定効果線形モデル推定として表わされる値は、周囲の推定値を図示した。示される時点で収集されたサンプルは、乾物基準で25%の水耕栽培されたコムギが75%のトウモロコシサイレージと混合された後である。
【0041】
栽培機システム10は、植物が酵素活性を増大させ、したがって複合貯蔵分子を分解しかつ栄養素消化率を増大させることを可能にする好気条件を提供することができる。図10~16に示される栽培機システム10は、複数の垂直部材12および複数の水平部材14を含み、これらの部材は、1つ以上の苗床18を有する直立型種子栽培台16を形成するように、取り外し可能に相互接続される。本開示の一部の態様では、栽培機システム10は、1つ以上の苗床18を有することができる。各垂直部材12は、高さ調整可能な脚部20において下部で終端するように構成することができる。各脚部20は、種子栽培台16の1つの垂直部材12の別の垂直部材(number)12に対する相対垂直位置または高さを変化させるように調整することができる。水平部材14は、1つ以上の長手方向部材24に取り外し可能に相互接続された1つ以上の横方向部材を含むように構成することができる。1対の垂直部材12が、横方向部材22によって横方向に分離され、それによって種子栽培台16の幅または奥行を画定する。長手方向部材24は、1つ以上のコネクタ26によって、横方向部材22に取り外し可能に相互接続される。
【0042】
各苗床18は、種子栽培台16によって動作可能に支持された種子フィルムなどの種子ベルト28を含む。種子ベルト28は、種子栽培台16の幅/奥行に従って構成することができる。例として、種子ベルト28の幅/奥行は、種子栽培台16の幅/奥行の変化に従って変更することができる。種子ベルト28の材料は、液体に対して疎水性、半疎水性、または透過性であり得る。少なくとも1つの態様では、種子ベルト28の上で液体を維持するために、疎水性の材料を用いることができる。別の態様では、液体が種子ベルト28を通過することを可能にするために、透過性または半透過性の材料を用いることができる。両者の利点および欠点は、本明細書中に論じる。従来の受け皿は、苗床の一部分として疎水性材料を用いる。これにより、長期間にわたって苗床内に水が留まる場合に水ストレスを増加させ、低酸素条件をつくり出しかつABAの濃度を増加させる場合がある。種子は利用可能な酸素を使い尽くす。一態様では、種子ベルト28は不連続であり、離れたかまたは分離された末端部を有する。種子ベルト28は、少なくとも苗床18の長さの長さと、概ね苗床18の幅とを有し、種子を保持する苗床を提供するように構成される。種子ベルト28は、苗床18にわたって動くように構成される。種子ベルト28は、水平部材14の上に載っており、水平部材14の上を摺動する。種子ベルト28と水平部材14との間には、種子ベルト28が束縛されるかまたは動かなくなることなく水平部材14の上を摺動することが可能になるように、1つ以上のスキッドまたはスキッド板(図示せず)を配置することができる。
【0043】
膨張のための空間を提供するために、種子ベルト28または苗床18は、第1の側部70および反対側の第2の側部72などの、苗床18の1つ以上の側部上に種子出口68を有することができる。種子出口68は、種子74が成長する際に膨張のための空間を配分し、種子74の成長圧縮を軽減する。苗床18が第1の側部70または第2の側部72上に壁を有する場合、壁は、種子74が膨張することを妨げ、それにより種子の一部または全部を圧縮する場合がある。圧縮された種子は、酸素をほとんどからまったく受け取らず、低酸素または嫌気条件をもたらす場合がある。
【0044】
各苗床18は、各苗床18の上に配置された種子に灌水するように各苗床18の上に動作可能に構成された液体散布器46A、46B、および/または46Cを含むことができる。種子に、水によって灌水することができる。苗床18の寸法は、必要な所望の植物生産量を収納するか、または酵素活性の最大化のために構成することができる。液体散布器46Aは、苗床18の少なくとも1つの縦方向の縁に隣接して構成することができる。液体散布器46Aはまた、苗床18の少なくとも1つの横方向の縁に隣接して動作可能に構成することもできる。好ましくは、液体散布器46Aは、苗床18の縦方向の縁に隣接して構成され、それによって苗床18および苗床18の上に配置された種子74にドリップフラッド灌水を提供することができる。液体散布器46Aは、液体ガイド48と、液体出口52を有する液体分配器50A、50B、50Cとを含むことができ、液体出口52は、概して山(より高い)および谷(より低い)部分を提供する鋸歯状または波状の外形などの概して起伏のある外形を有している。液体散布器46Aは、液体収集器58または配管された液体源56などの液体源56からの液体62を運ぶように構成された液体管路54を含むことができる。液体62は、1つ以上の開口を通って液体管路54を出ることができ、液体管路54を出るときに液体ガイド48および液体分配器50Aによって捕捉することができる。液体管路54内の1つ以上の開口は、設定された時間枠にわたって既知のまたは定量化可能な量の液体62を液体ガイド48内へ断続的に滴らせる液体ドリッパとして構成することができる。1つ以上の開口は、液体管路54の長さに沿って断続的に構成することができるか、または液体管路54の長さに沿ってグループごとに分散させることができる。液体管路54内の1つ以上の開口は、液体62を苗床18へ等しく分散させて液体を苗床18へとゆっくりと滴らせるように動作可能に構成することができる。栽培表面のドリップまたはフラッド灌水は、種子を浸すための液体62の層を提供し、制御された均一な分配による流れで、苗床18上の種子74に液体62を提供することができる。液体分配器50Aは、液体62が液体管路54を出るときに液体62を収集するように適合された液体ガイド48を有して構成することができる。収集された液体は、液体分配器50Aによって均一に分散され、液体出口52を介して液体分配器50Aを出て苗床18上に落ちることができる。
【0045】
少なくとも1つの態様によれば、液体分配器50Aから出た液体62は、種子ベルト28の上で、種子ベルト28の上の種子塊74の下および/またはその間を進むことができる。液体散布器46の他の構成も本明細書中で企図される。例えば、一態様では、液体62は、液体管路54を通って液体散布器46に入り、複数の開口を通って液体管路54から出ることができる。液体管路54からの液体62は、まとまって小さい液溜りを形成し、液体分配器50Aの長さにわたって液体62の均衡な分配をもたらすことができる。この小さい液溜りが満杯になったとき、液体62は、液体出口52の歯同士の間など、液体出口52から溢れ出ることができる。このようにして、液体62は、苗床18の全長にわたってかつ全幅にわたって等しく分散することができる。液体出口52から出た液体62は、種子ベルト28上へ滴り落ちることができ、種子ベルト28上の種子の塊の下を流れて種子74を浸すかまたは種子74と接触することができる。種子ベルト28上の種子74の根系は、毛細管作用と共に、種子を通って液体62を持ち上げて、すべての種子および/または植物に水を与えることができる。
【0046】
液体散布器46Bを、各苗床18の上に配置することができる。液体散布器46Bは、液体源56に動作可能に配管された液体管路54内に動作可能に構成された複数の液体分配器50Bを含むことができる。液体分配器50Bは、各苗床18の上に配置された種子に噴霧灌水するための単一または2重帯の噴霧ヘッド/先端部などの噴霧ヘッドを含むことができる。一態様では、複数の液体管路54を、各苗床18の上に隔置された配列で配置することができる。各液体管路54は、保持容器の長さを横断することができ、液体源56に接続するように配管することができる。他の液体管路54は、苗床18の幅を横断するように構成することができる。液体62は、各苗床18の上の種子に噴霧灌水するように、各液体分配器50Bから放出することができる。別の態様では、各液体管路54は、各苗床18の上の種子の表面積全体に及ぶように、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、またはそれ以上の移動半径にわたって、前後に振動させることができる。2重角度の噴霧ヘッドを液体分配器50Bに使用する場合、各液体管路54の振動行程を低減させることができ、それによって液体散布器46Bの摩擦および摩耗および引き裂けを低減させることができる。種子または植物に液体を散布するプロセスは、コントローラ76、グラフィカルユーザインターフェース、および/または遠隔制御装置によって自動化することができる。駆動機構66は、各管路を移動半径にわたって振動または回転させるように、各液体管路54に動作可能に接続することができる。液体散布器46は、制御システムによって動作させられる1つ以上のコントローラ76sを使用して、手動または自動で動作させることができる。
【0047】
液体散布器46は、苗床18から破片、汚染物質、かび、真菌、細菌、および他の異物/不要物質を取り除くように構成することができる。液体散布器46はまた、種子が種子分注器から苗床18上へ解放されるとき、消毒剤、栄養素、または活性酸素種によって種子74に灌水するために使用することもできる。時間遅延を使用して、新鮮な水の散布または灌水を施す前に活性酸素種または栄養素が所望の時間にわたって種子上に留まることを可能にすることができる。液体散布器46Dを使用して苗床18に洗浄、スケール除去、および消毒を施すプロセスは、コントローラ76、グラフィカルユーザインターフェース、および/または遠隔制御装置によって自動化することができる。
【0048】
液体散布器46は、苗床18への種まきの直後に、種子を液体で濡らすように動作させることができる。成長の初期、中期、および後期の段階の種子74に、液体散布器46を使用して液体62によって灌水することができる。液体散布器46A~Dは、同時に、断続的に、交互に、また互いに独立して動作させることができる。種子成長の初期段階中には、芽生えおよび発芽を促すために、種子を最もよく濡らすように、両方の液体散布器46A~Bが動作させられる。成長の後期段階中には、液体散布器46Aを使用して、液体散布器46Bより多く灌水することができる。別法として、種子栽培物の浸潤の度合いに応じて、液体散布器46Bを使用して、液体散布器46Aより多く灌水することができる。液体散布器46Cは、苗床18への種まきおよび第2の方向への苗床18の移動中に、苗床18の上に分注された種子に噴霧して種子を液体で濡らすように動作させることができる。液体散布器46A~Dに提供される液体は、消毒剤、活性酸素種、肥料および/または栄養素などの添加物を含むことができる。液体散布器46A~Dから分注される液体には、健康な植物の成長を促し、かつ/または収穫された種子における所望の栄養素の存在を増大させるために、カルシウムおよびマグネシウムなどの一般に知られている植物栄養素などの栄養素を加えることができる。液体散布器46C~Dはまた、種子ベルト、苗床18、または種子ベルトの上部68の巻取りまたは繰出しの前および/または後に、苗床18を衛生化するためにも使用することができる。
【0049】
各液体分配器50A~Dによって使用される活性酸素種などの1つ以上の消毒剤を含むことによって、液体分配器46A~Dおよびその様々な構成要素を、栽培機システム10の他の構成要素と共に衛生化することができる。例えば、液体ガイド48、液体管路54、液体出口52、排水溝60、液体収集器58、苗床18、液体分配器50A~C、および栽培システムの他の構成要素。別の態様では、種まきおよび収穫の前、途中、または後に、液体散布器46A~Dを使用して、苗床18を洗浄および衛生化することができる。灌水および裁断のための液体を運ぶか、または1つ以上の保持容器からの灌水もしくは裁断流出水を受け取る栽培システムのいずれかの構成要素を消毒または衛生化するように、別個の液体分配器またはマニホルドを構成することができる。
【0050】
液体62は一定に散布することができるか、または散布器が設定された時間枠もしくは定量化可能な量で液体62を散布することができる。例えば、液体散布器46A~Dは、1分間などの第1の時間にわたって液体62を散布することができ、続いて、液体散布器は、4分間などの第2の時間にわたって液体62の散布を停止することができるか、または5分間毎に1分間の液体散布である。サイクルを、発達期または芽生え期が終了するまで継続することができる。別の例では、液体62は、2時間毎に10分間にわたって散布することができる。液体散布器46は、制御された均一な分配による流れを提供することができ、液体62が種子の最大数に達することを可能にする。過剰な液体62は、栽培機システム10によって捕捉、再循環、および再使用されることができる。苗床18が出口または斜面を有する場合、斜面は、苗床18を通って出るときの、液体の均一な分配を補助し得る。一部の態様では、液体散布器46は、さらなる散布を必要とする苗床18、種子74の一部分、または植物74の一部分内の領域への液体の分配を導くことができる。液体散布器46はまた、振動して、苗床18のより大きな面積または苗床18もしくは種子ベルト28の長さおよび幅全体に及ぶこともできる。
【0051】
各苗床18は、種子ベルト28の上の種子または種子塊の水耕栽培を容易にするために、種子ベルト28の上の種子に照明する光源を収納する1つ以上の照明要素38を含む。照明要素38は、各苗床18の上に直接的/間接的に動作可能に配置される。照明要素38は、コントローラ76を使用して、高さ位置ごとにオフおよびオンにすることができる。照明要素38は、電気化学源もしくは電力貯蔵デバイス、電源差込み口、および/または太陽光発電によって動力供給することができる。一態様では、照明要素38は、直流電力によって動力供給される。企図される照明要素38としては、例えば、ハロゲン化物、ナトリウム、蛍光性、およびLEDのストリップ/パネル/ロープが挙げられるが、本明細書中に明示的に提供するものに限定されるものではない。1つ以上の反射器(図示せず)を用いて、各苗床18の上に配置されていない遠隔源からの光の向きを変えることができる。照明要素38は、コントローラ76、タイマ、ユーザインターフェースによって、または遠隔で動作可能に制御することができる。照明要素38の動作は、栽培機10の1つ以上の動作によって引き起こすことができる。例えば、種子ベルト28の動作は、照明要素38の動作を引き起こすことができる。苗床18に照明するプロセスは、コントローラ76、グラフィカルユーザインターフェース、および/または遠隔制御装置によって自動化することができる。一態様では、照明要素38は、低熱放射で全紫外(UV)スペクトルの発光ダイオードであり、コントローラ76によって周期的にオフおよびオンにされ、好ましくは24時間周期で18時間はオン、6時間はオフにされる。
【0052】
栽培機システム10または各苗床18、苗床周囲の空気の移動を制御するためのファンまたはHVACシステムなどの少なくとも1つの気流要素78。気流要素78は、コントローラ76に動作可能に接続される。栽培機システム10が保管される部屋または環境もまた、空気の移動を制御するために用いられる1つ以上のファンを有することができる。空気の移動または流れは、苗床上の種子の発達段階に応じて変化させることができる。HVACユニットなどの温度要素80は、苗床18の環境の温度を制御するために、栽培機システム10、コントローラ76、または苗床18に動作可能に接続される。温度要素80は、65~85°Fまたは18~30℃の範囲の温度を維持することができる。湿度要素82は、苗床18の環境の湿度を制御するために、コントローラ76、栽培システム10、または苗床18に動作可能に接続することができる。湿度ユニット82は、相対湿度レベルを50%~90%に維持することができる。温度要素80、気流要素78、および湿度要素82はすべて、同じHVACユニットを含むことができる。温度および大気湿度は、苗床上の種子の発達段階に応じて変化させることができる。苗床18の空気の移動、温度、および湿度を制御するプロセスは、コントローラ76、グラフィカルユーザインターフェース、および/または遠隔制御装置によって自動化することができる。照明、温度、気流、および液体散布のすべてが、苗床18の湿度に影響を与え得る。
【0053】
植物酵素を利用して植物中の栄養素消化率を増大させるための方法が開示され、図17に示される。最初に、栽培機システムを利用して好気環境が提供される(ステップ200)。栽培機システムは、温度、空気の移動、湿度、照明、灌水、および酸素利用可能性をはじめとする複数の環境因子を制御するように構成することができる。次に、栽培機システム上の複数の種子中のGAの量を増加させる(ステップ202)。種子は、好気環境を利用する栽培機システムの苗床上に収納されて、発芽しかつ成熟に達することができる。次に、植物栄養素が種子に対して提供される(ステップ204)。植物栄養素は、カルシウムおよびマグネシウムを含むことができる。栄養素は、いずれかの成長段階で添加することができる。次に、複数の種子のうちの少なくとも1個の種子内の複数の加水分解酵素が放出される(ステップ206)。加水分解酵素は、ジベレリン酸の量の増加により放出される。次に、複数の複合貯蔵分子が、加水分解酵素により複数の単糖分子へと分解される(ステップ208)。次に、種子が、成熟までまたは少なくとも1個の種子が光合成に依存するまで成長し、種子または植物の栄養素消化率は、複数の複合貯蔵分子の分解により増大する(ステップ2010)。最後に、加水分解酵素活性が最大化され、それにより栄養素消化率が増大する時に、種子が収穫される(ステップ212)。
【0054】
酵素活性を増大させることにより植物中の栄養素消化率を増大させるための別の方法が開示され、図18に示される。最初に、複数の種子が栽培システムの苗床上に置かれる(ステップ300)。次に、種子に灌水する(ステップ302)。次に、苗床周囲の好気環境が提供され、このとき、灌水からの水が苗床から排水される(ステップ304)。排水は、苗床が湛水することの防止を助ける。次に、苗床の複数の環境因子が制御され、制御は、複数の環境ストレスを低減させた(ステップ306)。次に、種子の成長段階が決定される(ステップ308)。次に、複数の環境因子が、種子の成長段階に基づいて調整される(ステップ310)。次に、種子のジベレリン酸活性が、環境因子のうちの少なくとも1種により増大する(ステップ312)。次に、複数の種子に対して植物栄養素が導入される(ステップ314)。次に、種子内の複数の酵素が、ジベレリン酸活性により放出される(ステップ316)。次に、複数の複合貯蔵分子が、複数の酵素により加水分解される(ステップ318)。加水分解は、複数の貯蔵分子を単純貯蔵分子へと分解する。最後に、種子の栄養素消化率が、複数の複合貯蔵分子の分解に起因して増大する(ステップ320)。
【0055】
本開示は、本明細書中に記載される特定の態様に限定されるものではない。特に、本開示では、栽培システムを用いて植物酵素活性を増大させることによる栄養素消化率の増大について、多数の変形例が企図される。上記の説明は、例示および説明を目的として提示されている。網羅的な一覧であること、または開示される厳密な形態に本開示のうちのいずれかを限定することを意図したものではない。他の代替形態または例示的な態様が、本開示に包含されると見なされることが企図される。本説明は、本開示の態様、プロセスまたは方法の単なる例である。任意の他の修正、置換え、および/または追加を加えることができ、これらは本開示の意図した精神および範囲内であることが理解される。
【符号の説明】
【0056】
10 栽培機システム
12 垂直部材
14 水平部材
16 種子栽培台
18 苗床
20 脚部
22 横方向部材
24 長手方向部材
26 コネクタ
28 種子ベルト
38 照明要素
46A~D 液体散布器
50A~C 液体分配器
52 液体出口
54 液体管路
56 液体源
58 液体収集器
60 排水溝
62 液体
66 駆動機構
68 種子出口
70 第1の側部
72 第2の側部
74 種子
76 コントローラ
78 気流要素
80 温度要素
82 湿度要素
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】