(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-12
(54)【発明の名称】高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20241105BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C21B5/00 321
F27D17/00 104G
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024532204
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2022086288
(87)【国際公開番号】W WO2023097942
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111468019.5
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524053362
【氏名又は名称】昌黎県興国精密机件有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516214168
【氏名又は名称】上海大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.99 Shangda Road, Baoshan District, Shanghai 200444, China
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】周 国成
(72)【発明者】
【氏名】祝 凱
(72)【発明者】
【氏名】劉 権利
(72)【発明者】
【氏名】張 玉文
(72)【発明者】
【氏名】魯 雄剛
(72)【発明者】
【氏名】楊 玉文
【テーマコード(参考)】
4K012
4K056
【Fターム(参考)】
4K012BF02
4K012BF07
4K056AA01
4K056CA02
4K056DB00
(57)【要約】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法であって、酸素富化空気又は純酸素を導入して羽口レースウエイ(4)を形成するための高炉羽口(2)を含み、高炉の周方向に沿って均一に複数の温調吹込み口(1)が設置され、各前記温調吹込み口(1)はいずれも前記高炉に炭化水素成分含有の吹込み物(6)を吹き込み、前記温調吹込み口(1)は、軟化融着滴下帯の高さ範囲内において、前記高炉羽口(2)よりも低くない位置に軸方向に配置され、前記羽口レースウエイ(4)近傍の温度を利用して前記炭化水素成分含有の吹込み物(6)を熱分解反応させ、炭化水素の熱分解の熱吸収領域(3)を形成し、炭化水素成分含有の吹込み物(6)の熱分解反応に発生したガス生成物により高炉ガス量が増加すると共に、下部の高温領域から余分な熱量を高炉の上部に運び、酸素富化高炉又は酸素高炉における「炉底高温、炉頂低温」という問題を柔軟に解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置であって、酸素富化空気又は純酸素を導入して羽口レースウエイを形成するための高炉羽口を含み、高炉の周方向に沿って均一に複数の温調吹込み口が設置され、各前記温調吹込み口はいずれも前記高炉に炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込み、前記温調吹込み口は、軟化融着滴下帯の高さ範囲内において、前記高炉羽口よりも低くない位置に軸方向に配置され、前記羽口レースウエイ近傍の温度を利用して前記炭化水素成分含有の吹込み物を熱分解反応させ、炭化水素の熱分解の熱吸収領域を形成する、ことを特徴とする高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項2】
前記炭化水素成分含有の吹込み物はメタンを含み、天然ガス、コークス炉ガス、液化石油ガスのうちの一つ又は複数を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項3】
前記温調吹込み口は、隣接する高炉羽口の中間位置の真上に設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項4】
炉頂CO
2分離システムを更に含み、前記炉頂CO
2分離システムは、高炉の炉頂ガス中のCO
2を分離し、COとH
2を大量に含む炉頂ガスを取得するために用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項5】
前記COとH
2を大量に含む炉頂ガスは高炉羽口により、改めて高炉に吹き込まれる、ことを特徴とする請求項4に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項6】
前記高炉の中間位置には、前記COとH
2を大量に含む炉頂ガスを、改めて高炉に吹き込むための、いくつかの炉体吹込み口が設けられる、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項7】
前記COとH
2を大量に含む炉頂ガスを昇温させるための予熱システムを更に含む、ことを特徴とする請求項6に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項8】
前記熱分解反応の生成物は炭素と水素ガスである、ことを特徴とする請求項1に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項9】
前記炉体吹込み口は、軟化融着滴下帯よりも低い高さ範囲内において、前記温調吹込み口よりも高い位置に高炉の周方向に沿って均一に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置。
【請求項10】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置を用いて高炉低炭素製錬のための吹込み制御を行い、温調吹込み口を介して炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込んで熱分解反応させ、羽口レースウエイ及び高炉の炉筒近傍の温度を低減させ、熱分解反応のガス生成物により高炉ガス量が増加し、羽口レースウエイの余分な熱量を高炉の上部に運ぶ、ことを特徴とする高炉低炭素製錬のための吹込み制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉冶金技術分野に関し、具体的には酸素高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉による生産を実行する時に炉頂から鉄鉱石、コークス、造滓用溶融物(石灰石)を装入し、炉の下部において、炉の周辺に沿って位置する羽口から予熱された空気を吹き込む。高温下でコークス(場合によっては、高炉に微粉炭、重油、天然ガスなどの補助燃料も吹き込む)における炭素は、同時に吹き込まれる空気中の酸素と燃焼して一酸化炭素と水素ガスを生成させて、炉内における上昇過程において鉄鉱石中の酸素を除去し、還元によって鉄を取得する。製錬された溶銑は出銑口から放出される。鉄鉱石に含まれる還元されていない不純物が石灰石などの溶融物と結合してスラグを生成し、出滓口から排出される。発生したガスは炉頂から排出され、集塵を経た後、温風炉、加熱炉、コークス炉、ボイラーなどの燃料として使用される。高炉製錬の主産物は銑鉄であるが、副産物は高炉スラグと高炉ガスである。
【0003】
高炉は、現在の主な製鉄プロセスとして、数百年の発展に渡って、その炭素消費量は既に当該プロセスの理論的最小値に近づき、更に大きな進展を遂げるのは難しい。新興の酸素富化高炉又は酸素高炉による製鉄プロセスでは、高濃度の酸素又は純酸素で従来の温風を代替することによって、微粉炭の燃焼を促進し、微粉炭の吹込み量を大幅に向上させることができるのみならず、また炉頂ガスにおいて窒素の含有量が低くなり、CO2が分離しやすく、炉頂ガスの循環を実現し、CO2の排出を最大限に低減させる。1980年代から、国内外の冶金学者たちは、純酸素製錬プロセス技術を探求や研究し始めたが、結局のところ、いずれも酸素高炉の技術的ボトルネックを解決することはできず、このプロセスの工業化の応用を実現することができなかった。酸素高炉では、早急に解決すべき重要な技術難点の一つは、酸素富化度が高い(完全酸素)ことで理論燃焼温度が高すぎ、高炉内の温度差が変化し、炉底が高温で炉頂が低温になることである。高炉の熱量の全ては、ほぼ羽口レースウエイにおける燃料の燃焼熱と温風によって運ばれる物理的な熱に由来する。炉筒の熱状態は、鉄鋼スラグの温度(すなわち、炉筒温度)に影響するだけでなく、軟化融着帯の形状、ガス流の分布と鉄の酸化物などの還元反応にも影響し、その主な指標は羽口レースウエイの理論燃焼温度である。
【0004】
研究によれば、送風の酸素富化率は1%増加すれば、理論燃焼温度は43℃増加する。現在では、酸素高炉の熱状態を調節する方法は、加湿と炉頂ガスを循環に吹き込むことである。加湿の場合は、全体的にガスの利用率が低下し、燃料比が大幅に上昇し、調節の効果が限られている。羽口でCO2が分離された炉頂ガスを循環に吹き込む場合は、循環ガスは熱媒体として、下部の余分な熱量を上部に運ぶことで、一定の程度で酸素高炉の「炉底高温、炉頂低温」を緩和することができる一方、羽口で炉頂ガスを循環に吹き込み、羽口領域で燃焼し、これは「炉底高温」という問題を悪化させるだろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法を提供し、前記高炉に炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込む温調吹込み口を設置することで、炭化水素成分含有の吹込み物の熱分解反応はガス生成物を生成することにより高炉ガス量が増加すると共に、下部の高温領域から余分な熱量を高炉の上部に運び、酸素富化高炉又は酸素高炉における「炉底高温、炉頂低温」という問題を柔軟に解決する。
【0006】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである。
【0007】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置であって、酸素富化空気又は純酸素を導入して羽口レースウエイを形成するための高炉羽口を含み、高炉の周方向に沿って均一に複数の温調吹込み口が設置され、各前記温調吹込み口はいずれも前記高炉に炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込み、前記温調吹込み口は、軟化融着滴下帯の高さ範囲内において、前記高炉羽口よりも低くない位置に軸方向に配置され、前記羽口レースウエイ近傍の温度を利用して前記炭化水素成分含有の吹込み物を熱分解反応させ、炭化水素の熱分解の熱吸収領域を形成する。
【0008】
好ましくは、前記炭化水素成分含有の吹込み物はメタンを含み、天然ガス、コークス炉ガス、液化石油ガスのうちの一つ又は複数を更に含む。
【0009】
好ましくは、前記温調吹込み口は、隣接する高炉羽口の中間位置の真上に設けられる。
【0010】
好ましくは、前記高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置は炉頂CO2分離システムを更に含み、前記炉頂CO2分離システムは、高炉の炉頂ガス中のCO2を分離し、COとH2を大量に含む炉頂ガスを取得するために用いられる。
【0011】
好ましくは、前記COとH2を大量に含む炉頂ガスは高炉羽口により、改めて高炉に吹き込まれる。
【0012】
好ましくは、前記高炉の中間位置には、前記COとH2を大量に含む炉頂ガスを改めて高炉に吹き込むための、いくつかの炉体吹込み口が設けられる。
【0013】
好ましくは、前記高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置は、前記COとH2を大量に含む炉頂ガスを昇温させるための予熱システムを更に含む。
【0014】
好ましくは、前記熱分解反応の生成物は炭素と水素ガスである。
【0015】
好ましくは、前記炉体吹込み口は、軟化融着滴下帯よりも低い高さ範囲内において、前記温調吹込み口よりも高い位置に高炉の周方向に沿って均一に設置される。
【0016】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御方法であって、上記高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置を用いて高炉低炭素製錬のための吹込み制御を行い、温調吹込み口を介して炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込んで熱分解反応させ、羽口レースウエイ及び高炉の炉筒近傍の温度を低減させ、熱分解反応のガス生成物により高炉ガス量が増加し、羽口レースウエイの余分な熱量を高炉の上部に運ぶ。
【0017】
本発明は、従来技術に対して以下の優位性がある。
【0018】
1.本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法によれば、温調吹込み口を介して炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込み、温調吹込み口近傍で発生するのは熱分解(強い吸熱)反応であり、従来の高炉羽口吹込みによる酸化燃焼の発熱反応ではない。熱分解(強い吸熱)反応の発生は、羽口レースウエイ及び高炉の炉筒近傍の温度を効果的に低減させる。
【0019】
2.本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法によれば、炭化水素成分含有の吹込み物及び熱分解反応のガス生成物により高炉ガス量が増加し、下部の高温領域から余分な熱量を高炉の上部に運ぶことができ、酸素富化高炉又は酸素高炉における「炉底高温、炉頂低温」という問題を柔軟に解決し、炭化水素成分含有の吹込み物は軟化融着滴下帯よりも低い位置で熱分解して大量の水素ガスが生成し、ガスの上昇に伴い、高温領域において水素ガスの鉄鉱石を還元する能力を十分に発揮させ、炭素の直接還元(強い吸熱反応)を低減させ、コークス比を低減させる。
【0020】
3.本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法によれば、熱分解反応により生成された水素ガスは鉄鉱石の還元に直接的に関与することができ、炭素の直接還元を低減させ、二酸化炭素の排出を更に低減させる。
【0021】
4.本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置及び方法によれば、高炉羽口で酸素富化空気又は純酸素を導入し、すなわち、酸素富化高炉を用い、炉頂ガスにおいて窒素の含有量が非常に低くなり、炉頂CO2分離システムを使用してCO2が分離しやすく、炉頂ガスのリサイクルを完全に実現する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置の実施例1の正面構成図である。
【
図2】
図1に示す高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置の平面構造の斜視図である。
【
図3】本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置の実施例2の正面構成図である。
【
図4】本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置の実施例3の正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を容易に理解するために、以下、図面と具体的な実施例に合わせて、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明に記載の高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置の正面構造と平面構造は、
図1~2に示すとおりであり、温調吹込み口1は、隣接する2つの高炉羽口2の中間よりも高い位置に位置する。新型酸素富化高炉又は純酸素高炉において、それぞれの高炉羽口2で、酸素富化空気又は純酸素を導入する時に、1つの羽口レースウエイ4を形成し、同時に温調吹込み口1に炭化水素成分含有の吹込み物6を吹き込む。炭化水素成分含有の吹込み物6は羽口レースウエイ4を通過しないため、燃焼反応に関与しない。高温において、これらの炭化水素成分含有の吹込み物6は熱分解反応し、1つの炭化水素の熱分解の熱吸収領域3を形成する。炭化水素成分含有の吹込み物6はメタンを含み、天然ガス、コークス炉ガス、液化石油ガスのうちの一つ又は複数を更に含む。発生する熱分解反応式は以下のとおりである。
メタン:CH
4→C+2H
2
エタン:C
2H
6→2C+3H
2
プロパン:C
3H
8→3C+4H
2
ブタン:C
4H
10→4C+5H
2
プロピレン:C
3H
6→3C+3H
2
ブテン:C
4H
8→4C+4H
2
【0025】
前記熱分解熱吸収領域3の形成は、羽口レースウエイ4及び羽口レースウエイ4近傍の炉筒温度を効果的に低減させる。同時に、炭化水素成分含有の吹込み物6及び熱分解反応のガス生成物H2により高炉ガス量が増加し、下部の高温領域から余分な熱量を高炉の上部に運ぶ。また、ガス生成物H2は、高炉の上部で鉄鉱石の還元に直接的に関与し、炭素の直接還元反応(強い吸熱反応)を低減させる。炭化水素成分含有の吹込み物6はC元素とH元素を主に含み、その他の不純物ガスを導入することがなく、炉頂ガスCO2の分離に役立つ。
【0026】
炉頂ガスをCO
2分離システム8によりCO
2を分離した後、炉頂ガスは主にCOとH
2を大量に含み、リサイクルを行うことができる。一つのアプローチは、
図3に示すように、COとH
2を大量に含む炉頂ガスは、高炉羽口2を介して、酸素富化空気/純酸素と共に送風装置7により高炉に吹き込まれて燃焼反応に関与する。第2のアプローチは、
図4に示すようにであり、COとH
2を大量に含む炉頂ガスは予熱システム9により昇温した後、炉体に設置される炉体吹込み口10から高炉に運ばれて還元反応に関与する。
【0027】
高炉低炭素製錬のための吹込み制御方法であって、上記高炉低炭素製錬のための吹込み制御装置を用いて高炉低炭素製錬のための吹込み制御を行い、温調吹込み口1を介して炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込んで熱分解反応させ、羽口レースウエイ4及び高炉の炉筒近傍の温度を低減させ、熱分解反応のガス生成物により高炉ガス量が増加し、羽口レースウエイの4余分な熱量を高炉の上部に運ぶ。酸素富化高炉又は酸素高炉における「炉底高温、炉頂低温」という問題を解決し、炭化水素成分含有の吹込み物は軟化融着滴下帯よりも低い位置で熱分解して大量の水素ガスが生成し、ガスの上昇に伴い、高温領域において水素ガスの鉄鉱石を還元する能力を十分に発揮させ、炭素の直接還元(強い吸熱反応)を低減させ、コークス比を低減させる。
【0028】
上記の内容は、本発明の好ましい実施形態に過ぎないが、本発明の特許請求の範囲はこれに限定されず、本発明により開示される技術範囲内において、当業者により容易に想到できる変化又は変更などは、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。そのため、本発明の請求範囲は特許請求の範囲に準ずるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1 温調吹込み口
2 高炉羽口
3 炭化水素の熱分解の熱吸収領域
4 羽口レースウエイ
5 高炉炉壁
6 炭化水素成分含有の吹込み物
7 送風装置
8 炉頂CO2分離システム
9 ガス予熱システム
10 炉体吹込み口
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉による低炭素製錬の吹込み制御方法であって、
高炉羽口から酸素富化空気又は純酸素を導入して炉内において羽口レースウエイを形成するステップ、を含み、
高炉の周方向に沿って、隣接する高炉羽口の中間位置の真上に設けられ、軟化融着滴下帯の高さ範囲内において、前記高炉羽口よりも低くない位置に軸方向に配置される複数の温調吹込み口が均一に設置され、
各前記温調吹込み口は、いずれも前記高炉に炭化水素成分含有の吹込み物を吹き込み、吹き込まれる前記炭化水素成分含有の吹込み物は、羽口レースウエイを通過せずに燃焼反応に関与しておらず、前記羽口レースウエイ近傍の温度を利用して熱分解反応を行なわせ、炭化水素の熱分解の熱吸収領域を形成することによって、羽口レースウエイ及び高炉の炉筒近傍の温度を低減させ、
前記炭化水素成分含有の吹込み物は、メタンを含み、天然ガス、コークス炉ガス、液化石油ガスのうちの一つ又は複数を更に含み、従って、前記熱分解反応のガス生成物は炭素と水素ガスであり、
前記熱分解反応のガス生成物により高炉ガス量が増加し、羽口レースウエイの余分な熱量を高炉の上部に運び、
前記高炉の中間位置には、炉頂CO
2
分離システムにより分離された、COとH
2
を大量に含む炉頂ガスを、予熱してから改めて高炉に吹き込むために用いられるいくつかの炉体吹込み口が設けられる、ことを特徴とする高炉による低炭素製錬の吹込み制御方法。
【国際調査報告】