(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】船舶のガスパージシステム
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20241106BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20241106BHJP
F02B 69/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B63H21/38 B
F02M21/02 Z
F02B69/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575655
(86)(22)【出願日】2023-08-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2023012772
(87)【国際公開番号】W WO2024058463
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0117061
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ミン ス
(57)【要約】
本発明は、燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶において、エンジンに燃料ガスを供給する燃料供給ライン;燃料供給ライン上で設置されて燃料ガスの圧力を制御するガスバルブユニット(Gas Valve Unit);エンジンの内部および燃料供給ラインの内部をパージする目的でエンジンに窒素ガスを供給するパージラインを備え、パージラインから供給される窒素ガスは、エンジンに直接供給されてエンジンの内部および燃料供給ラインをパージした後、ガスバルブユニットを介して外気へ排出されることを特徴とする、船舶のガスパージシステムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶において、
前記エンジンに燃料ガスを供給する燃料供給ライン;
前記燃料供給ラインに設置されて前記燃料ガスの圧力を制御するガスバルブユニット(Gas Valve Unit);
前記エンジンの内部および前記燃料供給ラインの内部をパージする目的で前記エンジンに窒素ガスを供給するパージライン;を備え、
前記パージラインから供給される窒素ガスは、前記エンジンに直接供給され前記エンジンの内部及び前記燃料供給ラインをパージさせた後、前記ガスバルブユニットを介して外気へ排出されることを特徴とする、
船舶のガスパージシステム。
【請求項2】
前記パージラインに供給される窒素ガスを貯蔵するバッファタンクをさらに備え、
前記ガスバルブユニットは、ガス危険区域(Gas Hazardous Zone)に分類される区域内で配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項3】
前記ガス危険区域は、周期的に換気(Ventilation)が行われる区域であり、ガスバルブユニットルーム(GVU room)またはカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)であり、
前記ガスバルブユニットには、前記窒素ガスにより押されて前記エンジンから排出された残留ガスを外気へ排出するための排気ラインが接続され、
前記排気ラインには、ラインを開閉するパージバルブが設けられることを特徴とする、
請求項3に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項4】
前記パージラインには、前記エンジンから燃料ガスが逆流することを防止する逆流防止バルブセットが設けられ、
前記逆流防止バルブセットは前記ガス危険区域内に配置され、
前記逆流防止バルブセットは、
前記パージラインの上流側から順次設けられた第1遮断バルブ、第2遮断バルブ、チェックバルブ;前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記パージラインから分岐し漏洩ガスを外気へ排出する漏洩排出ラインに設けられたブリードバルブ;を備え、
前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは開閉機能を有するバルブであって、前記パージラインの内部流路を二重に開放または遮断し、
前記チェックバルブは前記パージライン内の流体の流れを一方向にのみ流し、前記エンジンから前記パージライン側に燃料ガスが逆流することを防止し、
前記ブリードバルブは、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブの遮断時に前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の残留圧力を除去する機能を有することを特徴とする、
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブは、開閉状態が常に同一であるように動作し、
前記ブリードバルブは、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブと開閉状態が常に逆であるように動作することを特徴とする、
請求項2に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項5】
前記逆流防止バルブセットは、
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、およびブリードバルブを開閉するためのアクチュエータ;
前記アクチュエータを作動させるための作動流体を供給するチューブライン;と、
前記チューブライン上で設置されるソレノイドバルブをグループ化したソレノイドバルブユニット(Solenoid Valve Unit)をさらに備え、
前記逆流防止バルブセットは前記ガスバルブユニットルーム内に配置され、
前記ソレノイドバルブユニットは、前記ガスバルブユニットルームを区画する壁に近接するように前記エンジンルーム(Engine Room)内に配置され、
前記チューブラインを前記エンジンルームから前記ガスバルブユニットルームへ貫通延長するように構成することを特徴とする。
請求項4に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項6】
前記エンジンは、
10bar以上に圧縮された燃料ガスを供給されて駆動する高圧ガス噴射エンジン;
10bar未満に圧縮された燃料ガスを供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジン;を含み、
前記ガスバルブユニットは、
前記高圧ガス噴射エンジンに燃料ガスを供給する高圧ガスバルブユニット;
前記低圧ガス噴射エンジンに燃料ガスを供給する低圧ガスバルブユニット;を備え、
前記パージラインは、前記バッファタンクから前記高圧ガス噴射エンジンに接続するラインと、前記バッファタンクから前記低圧ガス噴射エンジンに接続するラインがそれぞれ備えられ、
前記逆流防止バルブセットは、前記高圧ガス噴射エンジンに接続するパージラインと、前記低圧ガス噴射エンジンに接続するパージラインにそれぞれ設けられ、
前記高圧ガスバルブユニットはカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)内に配置され、
前記低圧ガスバルブユニットと前記逆流防止バルブセットとは、ガスバルブユニットルーム(GVU room)内に配置されることを特徴とする、
請求項4に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項7】
燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶のガスパージシステムにおいて、
前記エンジンの燃料として使用される燃料ガスを液化状態で貯蔵する貯蔵タンク;
前記貯蔵タンクから前記エンジンに燃料ガスを供給する燃料供給ライン;
前記燃料供給ラインに設けられて燃料ガスの圧力を制御するガスバルブユニット(Gas Valve Unt);
前記エンジンをパージする目的で供給される不活性ガスを貯蔵するバッファタンク;
前記バッファタンクから前記エンジンに接続したパージライン;を備え、
前記燃料ガスを用いて前記エンジンの駆動時には、前記貯蔵タンクで貯蔵した液化ガスを前記燃料供給ラインを介してエンジンに供給し、
前記エンジンのパージ時には、前記バッファタンクで貯蔵した不活性ガスを前記エンジンに供給して前記エンジンの内部で残留するガスを押し出し、前記不活性ガスによって前記エンジンから押し出される残留ガスは前記燃料供給ライン側へ排出され、前記燃料供給ライン上で設置された前記ガスバルブユニットを介して安全区域へ放出され、
前記貯蔵タンクから前記エンジンに前記燃料ガスが供給される方向と、前記エンジンのパージ時に前記残留ガスが排出される方向が逆であることを特徴とする、
船舶のガスパージシステム。
【請求項8】
ガス配管をパージする目的で不活性ガスを供給するパージライン上で設けられたガスパージシステムの逆流防止バルブセットにおいて、
一体型本体;
前記一体型本体の内部で形成され、前記不活性ガスの流入および排出の通路を提供する第1流路;
前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路;
前記第1流路の上流側から順次設けられ、前記第1流路を二重に開放または遮断する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;
前記第1流路にて前記第2遮断バルブの下流側に設けられ、前記第1流路内の前記不活性ガスの流れを一方向にのみ流すチェックバルブ;
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の第1流路から分岐した前記第2流路に設けられ、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブの遮断時に前記第1遮断バルブと第2遮断バルブの間の残留圧力を除去するブリードバルブ;を備え、
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、前記チェックバルブ及び前記ブリードバルブは、前記一体型本体で1つのバルブセットに一体化構成されることを特徴とする、
ガスパージシステムの逆流防止バルブセット。
【請求項9】
前記一体型本体には、前記不活性ガスを前記第1流路に流入させる不活性ガス流入口と、前記第1流路に供給された前記不活性ガスを排出させる不活性ガス排出口と、前記第2流路から排出される漏洩ガスを排出させる漏洩ガス排出口が設けられ、
前記逆流防止バルブセットは、
前記第1流路上で最も上流側に設置され、前記不活性ガスに含まれた異物をろ過するフィルタ;
前記フィルタと第1遮断バルブとの間の第1流路上で設置され、該当ポイントで前記不活性ガスの圧力を測定する圧力センサ;をさらに備え、
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ及び前記ブリードバルブは開閉機能を有するバルブであり、
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブは、開閉状態が常に同一であるように動作し、
前記ブリードバルブは、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブと開閉状態が常に逆であるように動作することを特徴とする、
請求項8に記載のガスパージシステムの逆流防止バルブセット。
【請求項10】
前記チェックバルブは、メンテナンス時に遮断できるクロージャブルタイプ(Closable Type)であり、
前記逆流防止バルブセットは、
前記第1遮断バルブと前記第2流路が分岐するポイントとの間で前記第1流路上に設けられ、前記第1流路内の前記不活性ガスの流れを一方向にのみ流すサブチェックバルブ;をさらに備え、
前記サブチェックバルブは、メンテナンス時に遮断できるクロージャブルタイプ(Closable Type)であることを特徴とする、
請求項9に記載のガスパージシステムの逆流防止バルブセット。
【請求項11】
燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶のガスパージシステムにおいて、
前記エンジンの内部をパージする目的で前記エンジンに不活性ガスを供給するパージライン;
前記パージライン上で設置され、前記エンジンから燃料ガスが逆流することを防止する逆流防止バルブセット;を備え、
前記逆流防止バルブセットは、
前記パージラインの上流側から順次設けられ、前記パージラインの内部流路を二重に開放または遮断する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;
前記パージライン上で前記第2遮断バルブの下流側に設けられるチェックバルブ;
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間のパージラインから分岐し、前記第2遮断バルブから漏洩したガスを排出する漏洩排出ライン上で設けられるブリードバルブ;を含み、1つのバルブセットで構成され、
前記パージラインにて前記逆流防止バルブセットの下流側に設けられたオリフィス(Orifice);
前記オリフィスの前後の圧力差を測定する差圧計(Differential Pressure Transmitter);をさらに備え、
前記オリフィスによる差圧を測定して所定値以上である場合、前記エンジンから前記パージライン側に逆流が発生したことと判断してアラームを発生させ、前記エンジンをトリップさせるか、前記エンジンの燃料を燃料ガスから燃料油に取り替えることを特徴とする、
船舶のガスパージシステム。
【請求項12】
液化ガスを燃料で供給されて駆動する高圧ガス噴射エンジン;
前記高圧ガス噴射エンジンに比べて低圧の液化ガスを燃料で供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジン;
液化ガス貯蔵タンクで貯蔵した液化ガスを圧縮および気化させて前記高圧ガス噴射エンジンに供給する第1燃料供給ライン;
前記液化ガス貯蔵タンクで貯蔵した液化ガスを圧縮および気化させて前記低圧ガス噴射エンジンに供給する第2燃料供給ライン;
前記高圧ガス噴射エンジンの内部および前記第1燃料供給ラインをパージする目的で前記高圧ガス噴射エンジンに不活性ガスを供給する第1パージライン;と、
前記低圧ガス噴射エンジンの内部および前記第2燃料供給ラインをパージする目的で前記低圧ガス噴射エンジンに不活性ガスを供給する第2パージライン;を備え、
前記第1パージラインおよび前記第2パージラインに供給された不活性ガスは、前記高圧ガス噴射エンジンと前記低圧ガス噴射エンジンにそれぞれ直接供給され、
前記高圧ガス噴射エンジンのパージは、前記高圧ガス噴射エンジンの内部から前記第1燃料供給ライン側の方向に行われ、
前記低圧ガス噴射エンジンのパージは、前記低圧ガス噴射エンジンの内部から前記第1燃料供給ライン側の方向に行われることを特徴とする、
船舶のガスパージシステム。
【請求項13】
前記第1パージラインを介して前記高圧ガス噴射エンジンに供給された不活性ガスによって押し出される前記高圧ガス噴射エンジン内部の残留ガスは、前記第1燃料供給ライン上で設けられた高圧ガスバルブユニットを介して外気へ放出され、
前記第2パージラインを介して前記低圧ガス噴射エンジンに供給された不活性ガスによって押し出される前記低圧ガス噴射エンジン内部の残留ガスは、前記第2燃料供給ライン上で設けられた低圧ガスバルブユニットを介して外気へ放出され、
前記高圧ガスバルブユニットは、前記高圧ガス噴射エンジンに供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御する装置で、ガス危険区域に分類されるカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)またはガスバルブユニットルーム(GVU Room)内に配置され、
前記低圧ガスバルブユニットは、前記低圧ガス噴射エンジンに供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御する装置で、前記ガスバルブユニットルーム内に配置され、
前記第1燃料供給ラインで前記高圧ガスバルブユニットが配置されるカーゴコンプレッサールームまたはガスバルブユニットルームから前記高圧ガス噴射エンジンまでのラインは二重管で形成され、
前記第2燃料供給ラインで前記低圧ガスバルブユニットが配置されるガスバルブユニットルームから前記低圧ガス噴射エンジンまでのラインは二重管で形成されることを特徴とする、
請求項12に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項14】
前記第1パージラインで設けられ、前記高圧ガス噴射エンジンから燃料ガスが逆流することを防止する第1逆流防止バルブセット;
前記第2パージラインで設けられ、前記低圧ガス噴射エンジンから燃料ガスが逆流することを防止する第2逆流防止バルブセット;をさらに備え、
前記第1逆流防止バルブセットの後端の前記第1パージラインから分岐して前記第2燃料供給ラインに接続する第3パージラインをさらに備え、
前記第3パージラインを介して供給される不活性ガスは、前記第2燃料供給ライン上に設けられて前記低圧ガス噴射エンジン側への燃料ガスの供給を制御するマスターバルブの後端から、前記低圧ガスバルブユニットが設置されるポイントまでの前記第2燃料供給ラインの内部をパージし、
前記第1逆流防止バルブセットは、
内部で不活性ガスの流れ通路を形成する第1流路;
前記第1流路上で順次設けられて前記第1流路を開閉する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;
前記第1流路上で前記第2遮断バルブの後端に設けられるチェックバルブ;
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路;、
前記第2流路上で設けられるブリードバルブ;を備え、
前記高圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは遮断され、前記ブリードバルブは開放され、
前記高圧ガス噴射エンジンのパージ時には、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは開放され、前記ブリードバルブは遮断されることを特徴とする、
請求項13に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項15】
前記第2パージライン上で前記第2逆流防止バルブセットと前記低圧ガス噴射エンジンとの間に順次設けられる窒素供給バルブとチェックバルブをさらに備え、
前記低圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第2逆流防止バルブセットは前記第2パージラインが開放状態になるように制御し、前記窒素供給バルブが設置されたポイントまでの前記第2パージラインは不活性ガスの供給圧力を受け、
前記窒素供給バルブの前端に設けられる第1圧力センサをさらに備え、
前記第1圧力センサで測定した不活性ガスの供給圧力が所定値以下に低下した場合、前記低圧ガス噴射エンジンのガスモード運転を停止することを特徴とする、
請求項14に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項16】
前記窒素供給バルブと前記チェックバルブとの間に設けられる第2圧力センサをさらに備え、
前記第2圧力センサは、前記低圧ガス噴射エンジンから逆流が発生時に圧力増加を検知し、前記低圧ガス噴射エンジンのガスモード運転を停止し、
前記第2逆流防止バルブセットは、
内部で不活性ガスの流れ通路を形成する第1流路;
前記第1流路上で順次設けられて前記第1流路を開閉する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;
前記第1流路上で前記第2遮断バルブの後端に設けられるチェックバルブ;
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路;
前記第2流路上で設けられたブリードバルブ;を備え、
前記低圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは開放され、前記窒素供給バルブ及び前記ブリードバルブは遮断され、
前記低圧ガス噴射エンジンのガスモード運転を停止するときには、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは遮断され、前記ブリードバルブは開放され、
前記低圧ガス噴射エンジンのパージ時には、前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ及び前記窒素供給バルブは開放され、前記ブリードバルブは遮断されることを特徴とする、
請求項15に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項17】
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、および前記ブリードバルブの開閉を制御する1つ以上のアクチュエータ;
前記アクチュエータを作動させるために作動流体を供給するソレノイドバルブグループ;
前記ソレノイドバルブグループから前記アクチュエータに作動流体を供給するチューブライン;
前記チューブラインに設置されて前記作動流体の圧力を制御するソレノイドバルブ;をさらに備え、
前記チューブラインはアクチュエータの数に対応して設けられて、単一のソレノイドバルブは前記チューブラインが一体化したラインに設けられ、
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、前記チェックバルブ、前記ブリードバルブ及び前記ソレノイドバルブは、一つの本体に一体化構成されて一体型セットで製作されることを特徴とする、
請求項14または16に記載の船舶のガスパージシステム。
【請求項18】
燃料ガスを用いて駆動し、船舶の推進用エンジンとして設けられたエンジン部;
前記エンジン部の条件に応じて前記燃料ガスを供給する燃料供給システム;
前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力および流量を制御する低圧ガスバルブユニット部;
前記エンジン部の内部をパージするために窒素を供給する窒素供給部;
前記窒素供給に応じて前記エンジン部の内の残留ガスを安全区域に排出する外気排出部;を備えることを特徴とする、二重燃料エンジンの窒素供給システム。
【請求項19】
前記燃料供給システム及び前記エンジン部はメイン燃料供給ラインに接続し、
前記メイン燃料供給ラインは、ガスバルブユニットルーム内で第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインに分岐する、
前記メイン燃料供給ライン上で低圧ガスバルブユニット部が配置され、
前記低圧ガスバルブユニット部は、第1低圧ガスバルブユニット部と第2低圧ガスバルブユニット部とを備え、
前記第1低圧ガスバルブユニット部及び第2低圧ガスバルブユニット部は、ガスバルブユニットルーム(GVU room:Gas Valve Unit Room)内で配置され、
前記第1低圧ガスバルブユニット部は前記第1燃料供給ライン上で配置され、前記第2低圧ガスバルブユニット部は前記第2燃料供給ライン上で配置され、
前記低圧ガスバルブユニット部は、第1配管パージバルブ、第2配管パージバルブ、エンジンパージバルブ、圧力調整バルブ、第1遮断バルブと第2遮断バルブを備え、
前記第1配管パージバルブは前記圧力調整バルブと前記第1遮断バルブとの間に配置され、
前記第2配管パージバルブは第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間に配置され、
前記エンジンパージバルブは前記第2遮断バルブの後端に配置され、
前記窒素供給部は、前記エンジン部への窒素供給を調整する窒素供給調整部;をさらに備え、
前記窒素供給調整部は前記窒素供給部と第1窒素供給ラインに接続し、
前記窒素供給調整部はガスバルブユニットルーム(GVU Room:Gas Valve Unit Room)内で配置され、
前記エンジン部は前記窒素供給調整部と第2窒素供給ラインに接続し、
前記窒素供給調整部は、
前記第2窒素供給ラインの漏洩が検出されたら窒素供給を遮断する第1窒素遮断バルブおよび第2窒素遮断バルブ;
前記エンジン部への窒素の供給を調整する第1窒素供給バルブ;
前記燃料ガスを外部に排出し、窒素供給ラインへの逆流を防止する第1逆流防止バルブ;を備えることを特徴とする、
請求項18に記載の二重燃料エンジンの窒素供給システム。
【請求項20】
前記エンジン部は
前記第2窒素供給ラインに配置され、エンジンの部内への窒素供給が必要な場合に信号を受けて開放される第2窒素供給バルブ;
前記第2窒素供給バルブの前端に配置される第1圧力センサ;
前記第2窒素供給ラインへの前記燃料ガスの逆流を防止する第2逆流防止バルブ;
前記第2窒素供給バルブと第2逆流防止バルブとの間に配置された第2圧力センサ;を備えることを特徴とする、
請求項19に記載の二重燃料エンジンの窒素供給システム。
【請求項21】
二重燃料エンジンの窒素供給システムの窒素供給制御方法において、
前記システムは、燃料供給システムからエンジン部への燃料ガスの供給を制御するステップ;
前記燃料ガスの供給に応じて窒素供給調整部の開閉を制御するステップ;を備え、
前記窒素供給調整部の開閉を制御するステップは、
前記窒素供給調整部を開放するステップと閉鎖するステップとを含むことを特徴とする、
二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法。
【請求項22】
前記開放するステップは、
燃料ガスおよび窒素ガスを供給することであり、
前記窒素供給調整部の第1窒素遮断バルブ、第2窒素遮断バルブ及び第1窒素供給バルブを開放し、
第1逆流防止バルブ及び第2窒素供給バルブは閉鎖し、
前記開放するステップは、圧力を測定するステップ;をさらに備え、
第2圧力センサの圧力が上昇したら燃料ガスが逆流すると判断して前記燃料ガス供給を中止し、
第1窒素遮断バルブ及び第2窒素遮断バルブを閉鎖し、第1逆流防止バルブ、第2窒素供給バルブを開放して安全区域へ燃料ガスを排出することを特徴とする、
請求項21に記載の二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法。
【請求項23】
前記開放するステップは、燃料ガスの供給を中止し窒素によってパージする窒素パージステップ;をさらに備え、
前記窒素パージステップは、
第2窒素供給バルブ、第2遮断バルブ及びエンジンパージバルブを開放し、第1遮断バルブを閉鎖して、エンジン部、第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインをパージし、
前記窒素パージステップは、
第2窒素供給バルブ、第2遮断バルブ、第1配管パージバルブ及び第2配管パージバルブを開放し、第1遮断バルブ及びエンジンパージバルブを閉鎖して、エンジン部、第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインをパージすることを特徴とする、
請求項21に記載の二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法。
【請求項24】
前記閉鎖するステップは、
第2圧力測定センサの圧力が第1圧力測定洗濯機の圧力よりも高いか、または窒素供給部の圧力が5Bar以下であれば、前記窒素供給調整部を閉鎖して窒素供給を中止することを特徴とする、
請求項21に記載の二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶のガスパージシステムに関する。具体的には、LNGなどの液化ガスを燃料で使用するエンジンシステムの内部に残っている残留ガスをパージする過程において、残留ガスが排出される配管をエンジンルーム内部で最小限に配置した変更設計を適用することで、爆発の危険から安全性を最大化した、船舶のガスパージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、各種の船舶で設置されるエンジンなどの燃焼装置は、MDO(Marine Diesel Oil)、HFO(Heavy Fuel Oil、重質燃料油)などのオイルを燃料として使用する。ところが、このような燃料油は燃焼時に発生する温室効果ガスや様々な有害物質により環境汚染を招く主犯となってきた。また、化石燃料の枯渇や国際情勢不安などの理由で油価が上昇する場合には燃料費が急騰するなど、船舶運用上の問題も発生する。
【0003】
近年、大気汚染に対する規制が段々に強化し、燃料油を代替するエネルギー源として、硫黄酸化物(Sox)と窒素酸化物(NOx)の含有量が低い液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下「LNG」)などのクリーン燃料が注目され、LNGを大量に輸送するLNGC(LNG Carrier)では、すでに貯蔵タンク内で貯蔵したLNGをエンジンの燃料として使用する技術が適用されている。
【0004】
また、最近ではLNG燃料の使用をLNGC以外の船舶にもだんだん拡大適用している傾向であり、特に超大型原油運搬船(VLCC:Very Large Crude-Oil Carrier)やコンテナ船(Container Ship)への適用が検討されており、LNGを直接貨物で積載しながら燃料として使用するLNGCとは異なり、一般の船舶ではLNGを燃料として使用するために追加のLNG燃料タンクを設ける必要が生じ、別のLNG燃料タンクを設けたLFS(LNG Fueled Ship)船舶を運営することもある。
【0005】
また、近年の技術開発に伴い、燃料油と燃料ガスの両方を燃料で使用するDFエンジン(Dual Fuel Engine)が開発と利用されている。DFエンジンは燃料消費量、炭素排出量、運航経費を画期的に減らすことができる環境にやさしいエンジンであって、重油(HFO)と天然ガス(Natural Gas)を混燒(mixed fuel burning)し燃料として使用する、一種のハイブリッド概念のエンジンである。
【0006】
一例として、ME-GIエンジンは重油と天然ガスの両方を燃料で使用する2-Stroke高圧ガス噴射エンジンであり、同級出力のディーゼルエンジンに比べて汚染物質排出量を、二酸化炭素は23%、窒素化合物は80%、硫黄化合物は95%以上まで減らすことができる次世代の環境にやさしいエンジンとして注目を浴びている。
【0007】
一方、このような燃料ガスを燃料として使用するエンジンの場合、エンジンシステムを長時間運転しない場合やシステムの内部を整備しようとする場合、またはエンジンの使用燃料を燃料ガスから燃料油に切り替えようとする場合において、燃料ガスを除去しないとシステムに残留して爆発の危険があり、システムの安全のためエンジンに燃料ガス供給する配管系統を含め、エンジンシステムの内部で残留する燃料ガスを除去する必要がある。
【0008】
従来の混燒エンジンシステムのパージは、エンジンが燃料ガスを供給されて運転中には供給バルブが開放状態で、パージバルブと排気バルブは閉鎖状態であり、エンジンの負荷に応じて圧力調整バルブの開度が調整されながら、エンジンに適切な圧力の燃料ガスが供給される。
【0009】
したがって、燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶では、エンジンシステム内に残留する燃料ガスを排出するためにガスパージシステム(Gas purging system)を必ず設置しなければならない。
【0010】
一般に、ガスパージシステムは、窒素(N2)などの不活性ガスを用いてエンジンシステム内で残っている燃料ガスを押し出して排出するように構成される。
【0011】
図1は、従来の船舶のガスパージシステムを概略的に示す図である。
【0012】
図1を参照すると、従来の船舶で燃料ガスを使用するエンジン1には、燃料貯蔵タンク(図示せず)から燃料ガスが供給される燃料供給ライン2と、エンジン1から排ガスが排出される排気ライン3がそれぞれ接続される。燃料供給ライン2には、エンジン1に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御するためにガスバルブユニット4(GVU:Gas Valve Unit)が設けられる。
【0013】
また、エンジンシステムの内部をパージするために、窒素バッファタンク5から供給される窒素ガスを燃料供給ライン2に注入するパージライン6が接続される。
【0014】
従来の船舶のガスパージシステムは、窒素バッファタンク5から供給される窒素ガスを用いて燃料供給ライン2およびエンジン1の内部をパージするように構成する。
【0015】
具体的に、エンジンシステムのパージ作業が開始されると、燃料供給ライン2に設けられた燃料供給バルブ2-1が遮断され、パージライン6に設けられたパージバルブ6-1が開放され、窒素バッファタンク5に貯蔵した窒素がガス状態で燃料供給ライン2に注入される。
【0016】
燃料供給ライン2上に注入された窒素ガスはガスバルブユニット4を経てエンジン1に供給され、エンジンシステムの内部に残留した燃料ガスは窒素ガスに押され、排気ライン3を通じて安全区域(Safe Area)(例えば、外気)に排出される。
【0017】
このように、従来の船舶のガスパージシステムでは、窒素ガスによるパージが、ガスバルブユニット4→エンジン1→安全区域(Safe Area)の順で行われることがわかる。
【0018】
しかしながら、前記のような従来のガスパージシステムでは、エンジンシステムから残留ガスがパージされていく排気ライン3がエンジンルーム(Engine Room)内に配置される危険があり、ガス安全区域(Gas Safe Zone)に分類されるエンジンルーム内でベントパイプ(Vent Pipe)を設けるために二重管またはダクト処理が必要となるので、YARD量が多くなるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の技術的課題は、LNGなどの液化ガスを燃料とするエンジンシステムのパージ過程で残留ガスが排出される配管をエンジンルームの内部に最小限に配置した変更設計を適用し、爆発の危険から安定性を確保できる、船舶のガスパージシステムを提供することである。
【0020】
また、ガスパージシステムでLNGガスの逆流を防止するために設けられたバルブを1つのバルブセットに統合することで、逆流防止を制御するロジック(Logic)を簡素化し、これにより船内空間の活用度と費用削減の効果の向上を図る。
【0021】
また、ガスパージシステムにおいて、エンジンからLNGガスが逆流することをより確実に防止できるガスパージシステムの逆流防止バルブセットを提供する。
【0022】
また、LNGガスの逆流を防止するために設置されたバルブを1つのバルブセットに統合することで、逆流防止を制御するロジック(Logic)を簡素化し、これにより船内空間の活用度と原価削減の効果の向上を図る。
【0023】
また、二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法を提供することで、迅速なパージが可能な二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0024】
また、ガスの逆流を防止する二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法の提供を目的とする。
【0025】
本発明の技術的課題は、前述した技術的課題に限定されず、記載のない他の技術的課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記目的を達成するため本発明の一態様では、燃料ガスを使用するエンジンを備える船舶において、前記エンジンに燃料ガスを供給する燃料供給ライン;前記燃料供給ラインに設置されて前記燃料ガスの圧力を制御するガスバルブユニット(Gas Valve Unit);前記エンジンの内部および前記燃料供給ラインの内部をパージする目的で前記エンジンに窒素ガスを供給するパージライン;を備え、前記パージラインから供給される窒素ガスは、前記エンジンに直接供給されて前記エンジンの内部および燃料供給ラインをパージした後、前記ガスバルブユニットを介して外気へ排出されることを特徴とする、船舶のガスパージシステムを提供する。
【0027】
前記パージラインに供給する窒素ガスを貯蔵するバッファタンクをさらに備え得る。
【0028】
前記ガスバルブユニットは、ガス危険区域(Gas Hazardous Zone)に分類される区域内で配置され得る。
【0029】
前記ガス危険区域は、周期的に換気(Ventilation)が行われる区域であり、ガスバルブユニットルーム(GVU Room)またはカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)であり得る。
【0030】
前記ガスバルブユニットには、前記窒素ガスにより押されて前記エンジンから排出された残留ガスを外気へ排出するための排気ラインが接続し、前記排気ライン上にはラインを開閉するパージバルブが設けられ得る。
【0031】
前記パージライン上には、前記エンジンから燃料ガスが逆流するのを防止するために逆流防止バルブセットが設けられ、前記逆流防止バルブセットは前記ガス危険区域内に配置され得る。
【0032】
前記逆流防止バルブセットは、前記パージライン上の上流側から順次設けられる第1遮断バルブ、第2遮断バルブ、チェックバルブ;と、前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記パージラインから分岐して漏洩ガスを外気へ排出する漏洩排出ラインに設けられるブリードバルブ;を備え、前記第1遮断バルブおよび前記第2遮断バルブは開閉機能を有し、前記パージラインの内部流路を二重に開閉または遮断し、前記チェックバルブは前記パージラインの内部の流れを一方向にのみ流して前記エンジンから前記パージライン側に燃料ガスが逆流することを防止し、前記ブリードバルブは前記第1遮断バルブおよび前記第2遮断バルブが遮断した時に前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の残留圧力を除去する機能を行う。
【0033】
前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブは開閉状態が常に同一であるように動作し、前記ブリードバルブは前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブと開閉状態が常に逆になるように動作する。
【0034】
前記逆流防止バルブセットは、前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、および前記ブリードバルブを開閉するためのアクチュエータ;前記アクチュエータを駆動させるための作動流体を供給するチューブライン;と、前記チューブラインに設けられるソレノイドバルブをグループ化したソレノイドバルブユニット(Solenoid Valve Unit)をさらに備え、前記逆流防止バルブセットは前記ガスバルブユニットルーム内に配置され、前記ソレノイドバルブユニットは前記ガスバルブユニットルームを区画する壁に近接するように前記エンジンルーム(Engine Room)内で配置され、前記チューブラインは前記エンジンルームから前記ガスバルブユニットルームへ貫通延長するように構成され得る。
【0035】
前記エンジンは、10バール以上で圧縮された燃料ガスを供給されて駆動する高圧ガス噴射エンジンと、10バール未満で圧縮された燃料ガスを供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジンとを備え、前記ガスバルブユニットは、前記高圧ガス噴射エンジンに燃料ガスを供給する高圧ガスバルブユニットと、前記低圧ガス噴射エンジンに燃料ガスを供給する低圧ガスバルブユニットを備え、前記パージラインは、前記バッファタンクから前記高圧ガス噴射エンジンに接続したラインと、前記バッファタンクから前記低圧ガス噴射エンジンに接続したラインがそれぞれ設けられ得る。
【0036】
前記逆流防止バルブセットは、前記高圧ガス噴射エンジンに接続したパージラインと前記低圧ガス噴射エンジンに接続したパージラインにそれぞれ設けられ得る。
【0037】
前記高圧ガスバルブユニットはカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)内で配置され、前記低圧ガスバルブユニットと前記逆流防止バルブセットはガスバルブユニットルーム(GVU Room)内で配置され得る。
【0038】
前記目的を達成するため本発明の一態様は、燃料ガスを用いて駆動し、船舶の推進用エンジンとして備えられたエンジン部、前記エンジン部の条件に応じて前記燃料ガスを供給する燃料供給システム、前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御する低圧ガスバルブユニット部、前記エンジン部の内部をパージするために窒素を供給する窒素供給部と、前記窒素供給に応じてエンジン部の内部の残留ガスを安全区域へ排出する外気排出部を備えた、二重燃料エンジンの窒素供給システムを提供する。
【0039】
前記燃料供給システム及び前記エンジン部はメイン燃料供給ラインに接続し、前記メイン燃料供給ラインはガスバルブユニットルーム内で第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインに分岐し得る。
【0040】
前記メイン燃料供給ラインに低圧ガスバルブユニット部が配置され、前記低圧ガスバルブユニット部は第1低圧ガスバルブユニット部と第2低圧ガスバルブユニット部とを備え、前記第1低圧ガスバルブユニット部と第2低圧ガスバルブユニット部はガスバルブユニットルーム(GVU room:Gas Valve Unit Room)内に配置され、前記第1低圧ガスバルブユニット部は前記第1燃料供給ラインに配置され、前記第2低圧ガスバルブユニット部は前記第2燃料供給ラインに配置され得る。
【0041】
前記低圧ガスバルブユニット部は、第1配管パージバルブ、第2配管パージバルブ、エンジンパージバルブ、圧力調整バルブ、第1遮断バルブと、第2遮断バルブを備え、前記第1配管パージバルブは前記圧力調整バルブと第1遮断バルブとの間に配置され、前記第2配管パージバルブは前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間に配置され、前記エンジンパージバルブは前記第2遮断バルブの後端に配置され得る。
【0042】
前記窒素供給部は、前記エンジン部への窒素供給を調整する窒素供給調整部をさらに備え、前記窒素供給調整部は前記窒素供給部と第1窒素供給ラインに接続し、前記窒素供給調整部はガスバルブユニットルーム(GVU Room:Gas Valve Unit Room)内で配置され、前記エンジン部は前記窒素供給調整部と第2窒素供給ラインに接続し得る。
【0043】
前記窒素供給調整部は、前記第2窒素供給ラインの漏洩を検知したら窒素供給を遮断する第1窒素遮断バルブ及び第2窒素遮断バルブ、前記エンジン部への窒素の供給を調整する第1窒素供給バルブ及び前記燃料ガスを外部へ排出し窒素供給ラインへの逆流を防止する第1逆流防止バルブを備え得る。
【0044】
前記エンジン部は、前記第2窒素供給ラインの上で配置され、エンジン部内への窒素供給が必要な場合に信号を受けて開放される第2窒素供給バルブ、前記第2窒素供給バルブの前端に配置される第1圧力センサ、前記第2窒素供給ラインに前記燃料ガスが逆流するのを防止する第2逆流防止バルブと、前記第2窒素供給バルブと第2逆流防止バルブとの間に配置される第2圧力センサとを備え得る。
【0045】
前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶において、前記エンジンの燃料として使用される燃料ガスを液化状態で貯蔵する貯蔵タンク;前記貯蔵タンクから前記エンジンに燃料ガスを供給する燃料供給ライン;前記燃料供給ラインに設置されて燃料ガスの圧力を制御するガスバルブユニット(Gas Valve Unt);前記エンジンをパージする目的で供給される不活性ガスを貯蔵するバッファタンク;と、前記バッファタンクから前記エンジンに接続したパージラインを備え、前記燃料ガスを用いて前記エンジンの駆動時には前記貯蔵タンクに貯蔵した液化ガスを前記燃料供給ラインを介してエンジンに供給し、前記エンジンのパージ時には、前記バッファタンクで貯蔵した不活性ガスを前記エンジンに供給して前記エンジンの内部に残留するガスを押し出し、前記不活性ガスによって前記エンジンから押し出された残留ガスは前記燃料供給ライン側に排出され、前記燃料供給ライン上で設けられた前記ガスバルブユニットを介して安全な区域へ放出されることを特徴とする、船舶のガスパージシステムを提供する。
【0046】
前記貯蔵タンクから前記エンジンに前記燃料ガスが供給される方向と、前記エンジンがパージ時に前記残留ガスが排出される方向は逆である。
【0047】
前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、ガス配管をパージする目的で不活性ガスを供給するパージラインに設置されるガスパージシステムの逆流防止バルブセットにおいて、一体型本体、前記一体型本体の内部で形成され、前記不活性ガスの流入および排出の通路を提供する第1流路、前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路、前記第1流路の上流側から順次設けられて前記第1流路を二重に開放または遮断する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ、前記第1流路にて前記第2遮断バルブの下流側に設けられて前記第1流路内の前記不活性ガスの流れを一方向にのみ流すチェックバルブと、前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記第1流路から分岐する前記第2流路上で設けられ、前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブの遮断時に前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の残留圧力を除去するブリードバルブを備え、前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、前記チェックバルブ及び前記ブリードバルブは、前記一体型本体で1つのバルブセットに一体化構成されることを特徴とする、ガスパージシステムの逆流防止バルブセットを提供する。
【0048】
前記一体型本体では、前記不活性ガスを前記第1流路に流入させる不活性ガス流入口と、前記第1流路に供給された前記不活性ガスを排出させる不活性ガス排出口と、前記第2流路から排出された漏洩ガスを排出する漏洩ガス排出口が設けられ得る。
【0049】
前記逆流防止バルブセットは、前記第1流路の最上流側で設けられ、前記不活性ガスに含まれた異物をろ過するフィルタと、前記フィルタと前記第1遮断バルブとの間の前記第1流路に設けられて該当ポイントで前記不活性ガスの圧力を測定する圧力センサをさらに備え得る。
【0050】
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ及び前記ブリードバルブは開閉機能を有するバルブであり、前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブは開閉状態が常に同一であるように動作し、前記ブリードバルブは前記第1遮断バルブおよび前記第2遮断バルブと開閉状態が常に逆であるように動作する。
【0051】
前記チェックバルブは、メンテナンス時に遮断できるクロージャブルタイプ(Closable Type)であり得る。
【0052】
前記逆流防止バルブセットは、前記第1遮断バルブと前記第2流路が分岐したポイントとの間の前記第1流路に設けられ、前記第1流路内の前記不活性ガスの流れを一方向にのみ流すサブチェックバルブをさらに備え得る。
【0053】
前記サブチェックバルブは、メンテナンス時に遮断できるクロージャブルタイプ(Closable Type)であり得る。
【0054】
また、前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、燃料ガスを使用するエンジンを備えた船舶において、前記エンジンの内部をパージする目的で前記エンジンに不活性ガスを供給するパージライン;と、前記パージラインに設けられて前記エンジンから燃料ガスが逆流することを防止する逆流防止バルブセットを備え、前記逆流防止バルブセットが、前記パージラインの上流側から順次設けられる、前記パージラインの内部流路を二重に開放または遮断する第1遮断バルブ及び第2遮断バルブ、前記パージラインにて前記第2遮断バルブの下流側に設けられるチェックバルブと、前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間で前記パージラインから分岐し前記第2遮断バルブから漏洩したガスを排出する漏洩排出ライン上で設けられるブリードバルブを含めて1つのバルブセットで構成されることを特徴とする、船舶のガスパージシステムを提供する。
【0055】
前記パージラインにて前記逆流防止バルブセットの下流側に設けられるオリフィス(Orifice)及び前記オリフィスの前後圧力差を測定する差圧計(Differential Pressure Transmitter)をさらに備え、前記オリフィスを介した差圧が所定値以上で測定された場合、前記エンジンから前記パージライン側に逆流が発生したことと判断し、アラームを発生させ前記エンジンをトリップさせるか、前記エンジンの燃料を燃料ガスから燃料油に切り替える。
【0056】
前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、液化ガスを燃料で供給されて駆動する高圧ガス噴射エンジン、前記高圧ガス噴射エンジンに比べて低圧の液化ガスを燃料で供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジン;液化ガス貯蔵タンクに貯蔵した液化ガスを圧縮及び気化させて前記高圧ガス噴射エンジンに供給する第1燃料供給ライン、前記液化ガス貯蔵タンクで貯蔵した液化ガスを圧縮及び気化させて前記低圧ガス噴射エンジンに供給する第2燃料供給ライン、前記高圧ガス噴射エンジンの内部及び前記第1燃料供給ラインをパージする目的で前記高圧ガス噴射エンジンに不活性ガスを供給する第1パージライン及び前記低圧ガス噴射エンジンの内部及び前記第2燃料供給ラインをパージする目的で前記低圧ガス噴射エンジンに不活性ガスを供給する第2パージラインを備え、前記第1パージラインおよび前記第2パージラインに供給される不活性ガスは前記高圧ガス噴射エンジンと前記低圧ガス噴射エンジンにそれぞれ直接供給され、前記高圧ガス噴射エンジンのパージは前記高圧ガス噴射エンジンの内部から前記第1燃料供給ライン側への方向に行われ、前記低圧ガス噴射エンジンのパージは前記低圧ガス噴射エンジンの内部から第1燃料供給ライン側への方向に行われることを特徴とする、船舶のガスパージシステムを提供する。
【0057】
前記第1パージラインを介して前記高圧ガス噴射エンジンに供給された不活性ガスにより押されて排出される前記高圧ガス噴射エンジン内部の残留ガスは、前記第1燃料供給ラインに設けられた高圧ガスバルブユニットを介して外気へ放出され、前記第2パージラインを介して前記低圧ガス噴射エンジンに供給される不活性ガスにより押されて排出される前記低圧ガス噴射エンジン内部の残留ガスは、前記第2燃料供給ラインに設けられた低圧ガスバルブユニットを介して外気へ放出される。
【0058】
前記高圧ガスバルブユニットは、前記高圧ガス噴射エンジンに供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御する装置であり、ガス危険区域に分類されるカーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)またはガスバルブユニットルーム(GVU Room)内で配置され、前記低圧ガスバルブユニットは前記低圧ガス噴射エンジンに供給される燃料ガスの圧力および流量を制御する装置として前記ガスバルブユニットルーム内に配置され得る。
【0059】
前記第1燃料供給ラインで前記高圧ガスバルブユニットが配置されたカーゴコンプレッサールームまたはガスバルブユニットルームから前記高圧ガス噴射エンジンまでのラインは二重管で設けられ、前記第2燃料供給ラインで前記低圧ガスバルブユニットが配置されたガスバルブユニットルームから前記低圧ガス噴射エンジンまでのラインは二重管で設けられ得る。
【0060】
前記第1パージラインで設置されて前記高圧ガス噴射エンジンから燃料ガスが逆流するのを防止する第1逆流防止バルブセットと、前記第2パージラインに設けられて前記低圧ガス噴射エンジンから燃料ガスが逆流するのを防止する第2逆流防止バルブセットをさらに備え得る。
【0061】
前記第1逆流防止バルブセットの後端の前記第1パージラインから分岐して前記第2燃料供給ラインに接続する第3パージラインをさらに備え、前記第3パージラインを介して供給される不活性ガスは、前記第2燃料供給ラインに設置されて前記低圧ガス噴射エンジン側への燃料ガスの供給を制御するマスターバルブの後端から前記低圧ガスバルブユニットが設置されたポイントまでの前記第2燃料供給ラインの内部をパージする。
【0062】
前記第1逆流防止バルブセットは、内部に不活性ガスの流れ通路を形成する第1流路;前記第1流路上で順次設けられて前記第1流路を開閉する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;前記第1流路にて前記第2遮断バルブの後端に設けられるチェックバルブ;前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路;と、前記第2流路上で設置されるブリードバルブを備え得る。
【0063】
前記高圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第1逆流防止バルブセットで前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは遮断され、前記ブリードバルブは開放され、前記高圧ガス噴射エンジンのパージ時には、前記第1逆流防止バルブセットで前記第1遮断バルブおよび前記第2遮断バルブが開放され、前記ブリードバルブは遮断される。
【0064】
前記第2パージライン上で前記第2逆流防止バルブセットと前記低圧ガス噴射エンジンとの間で順次設けられる窒素供給バルブ及びチェックバルブをさらに備え得る。
【0065】
前記低圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第2逆流防止バルブセットは前記第2パージラインが開放状態になるように制御され、前記窒素供給バルブが設置されるポイントまでの前記第2パージラインは不活性ガスの供給圧力を受けることになる。
【0066】
前記窒素供給バルブの前端で設けられる第1圧力センサをさらに備え、前記第1圧力センサで測定した不活性ガスの供給圧力が所定値以下に低下した場合、前記低圧ガス噴射エンジンのガスモード運転を停止することができる。
【0067】
前記窒素供給バルブと前記チェックバルブとの間に設けられる第2圧力センサをさらに備え、前記第2圧力センサは、前記低圧ガス噴射エンジンから逆流が発生した時に圧力増加を検知して、前記低圧ガス噴射エンジンのガスモード運転を停止することができる。
【0068】
前記第2逆流防止バルブセットは、内部に不活性ガスの流れ通路を形成する第1流路;前記第1流路上で順次設けられて前記第1流路を開閉する第1遮断バルブおよび第2遮断バルブ;前記第1流路上で前記第2遮断バルブの後端に設けられるチェックバルブ;前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間の前記第1流路から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路;と、前記第2流路上で設置されるブリードバルブを備え得る。
【0069】
前記低圧ガス噴射エンジンがガスモードで運転するとき、前記第2逆流防止バルブセットで前記第1遮断バルブ及び前記第2遮断バルブは開放され、前記窒素供給バルブ及び前記ブリードバルブは遮断され、前記低圧ガス噴射エンジンがガスモード運転を停止するとき、前記第2逆流防止バルブセットで前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブは遮断され、前記ブリードバルブは開放され得る。
【0070】
前記低圧ガス噴射エンジンのパージ時には、前記第2逆流防止バルブセットで前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ及び前記窒素供給バルブは開放され、前記ブリードバルブは遮断され得る。
【0071】
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、および前記ブリードバルブの開閉を制御する1つ以上のアクチュエータ;前記アクチュエータを作動させるために作動流体を供給するソレノイドバルブグループ;前記ソレノイドバルブグループから前記アクチュエータに作動流体を供給するチューブライン;と、前記チューブラインに設置されて前記作動流体の圧力を制御するソレノイドバルブをさらに備え得る。
【0072】
前記チューブラインは前記アクチュエータの数に対応して設けられ、単一の前記ソレノイドバルブを前記チューブラインが一体化したライン上で設けられ得る。
【0073】
前記第1遮断バルブ、前記第2遮断バルブ、前記チェックバルブ、前記ブリードバルブと、前記ソレノイドバルブは、一つの本体に一体化構成され一体型セットで製作され得る。
【0074】
前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、燃料ガスを用いて駆動し、船舶の推進用エンジンとして設けられるエンジン部、前記エンジン部の条件に応じて前記燃料ガスを供給する燃料供給部、前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力および流量を制御する低圧ガスバルブユニット部、前記エンジン部の内部をパージするために窒素を供給する窒素供給部と、前記窒素供給に応じてエンジン部の内部の残留ガスを安全区域へ排出する外気排出部を備えた、二重燃料エンジンの窒素供給システムを提供する。
【0075】
前記燃料供給部及び前記エンジン部はメイン燃料供給ラインに接続し、前記メイン燃料供給ラインはガスバルブユニットルーム内で第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインに分岐し得る。
【0076】
前記メイン燃料供給ライン上で低圧ガスバルブユニット部が配置され、前記低圧ガスバルブユニット部は第1低圧ガスバルブユニット部および第2低圧ガスバルブユニット部を備え、前記第1低圧ガスバルブユニット部および第2低圧ガスバルブユニット部はガスバルブユニットルーム(GVU room: Gas Valve Unit Room)内で配置され、前記第1低圧ガスバルブユニット部は前記第1燃料供給ラインに配置され、前記第2低圧ガスバルブユニット部は前記第2燃料供給ラインに配置され得る。
【0077】
前記低圧ガスバルブユニット部は、第1配管パージバルブ、第2配管パージバルブ、エンジンパージバルブ、圧力調整バルブ、第1遮断バルブ、及び第2遮断バルブを備え、前記第1遮断バルブは前記圧力調整バルブと第1遮断バルブとの間に配置され、前記第2配管パージバルブは前記第1遮断バルブと前記第2遮断バルブとの間に配置され、前記エンジンパージバルブは前記第2遮断バルブの後端に配置され得る。
【0078】
前記窒素供給部は前記エンジン部への窒素供給を調整する窒素供給調整部をさらに備え、前記窒素供給調整部は前記窒素供給部と第1窒素供給ラインに接続し、前記窒素供給調整部はガスバルブユニットルーム(GVU Rom:Gas Valve Unit Room)内で配置され、前記エンジン部は前記窒素供給調整部と第2窒素供給ラインに接続する。
【0079】
前記窒素供給調整部は、前記第2窒素供給ラインの漏洩を検知したら、窒素供給を遮断する第1窒素遮断バルブ及び第2窒素遮断バルブ、前記エンジン部への窒素の供給を調整する第1窒素供給バルブと、前記燃料ガスを外部へ排出し窒素供給ラインへの逆流を防止する第1逆流防止バルブを備え得る。
【0080】
前記エンジン部は、前記第2窒素供給ラインに配置され、エンジン部内への窒素供給が必要な場合に信号を受けて開放される第2窒素供給バルブ、前記第2窒素供給バルブの前端に配置される第1圧力センサ、前記第2窒素供給ラインに前記燃料ガスが逆流するのを防止する第2逆流防止バルブと、前記第2窒素供給バルブと第2逆流防止バルブとの間に配置される第2圧力センサとを備え得る。
【0081】
前記目的を達成するため本発明の他の一態様は、前記システムは燃料供給部からエンジン部への燃料ガスの供給を制御するステップと、前記燃料ガスの供給に応じて窒素供給調整部の開閉を制御するステップを備え、前記窒素供給調整部の開閉を制御するステップは、前記窒素供給調整部を開放するステップと閉鎖するステップとを備える、二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法を提供する。
【0082】
前記開放するステップは燃料ガス及び窒素ガスを供給し、前記窒素供給調整部の第1窒素遮断バルブ、第2窒素遮断バルブと第1窒素供給バルブを開放し、第1逆流防止バルブと第2窒素供給バルブは閉鎖することであり得る。
【0083】
前記開放するステップは、圧力を測定するステップをさらに備え、第2圧力センサの圧力が上昇したら燃料ガスが逆流すると判断して前記燃料ガス供給を中止し、第1窒素遮断バルブ及び第2窒素遮断バルブを閉鎖し、第1逆流防止バルブ、第2窒素供給バルブを開放して安全区域へ燃料ガスを排出することであり得る。
【0084】
前記開放するステップは、燃料ガスの供給を中止し窒素でパージするパージステップをさらに備え、前記窒素パージステップは、第2窒素供給バルブ、第2遮断バルブ及びエンジンパージバルブを開放し、第1遮断バルブを閉鎖してエンジン部、第1燃料供給ライン及び第2燃料供給ラインをパージすることであり得る。
【0085】
前記窒素パージステップは、第2窒素供給バルブ、第2遮断バルブ、第1配管パージバルブ及び第2配管パージバルブを開放し、第1遮断バルブ及びエンジンパージバルブを閉鎖して、エンジン部、第1燃料供給ラインおよび第2燃料供給ラインをパージすることであり得る。
【0086】
前記閉鎖するステップは、第2圧力測定センサの圧力が第1圧力測定センサの圧力よりも高いか、または窒素供給部の圧力が5Bar以下であれば、前記窒素供給調整部を閉鎖して窒素供給を中止することであり得る。
【発明の効果】
【0087】
以上のように構成される本発明は、LNGなどの液化ガスを燃料で使用するエンジンシステムのパージ過程で残留ガスが排出される配管をエンジンルーム内部で最小限に配置したガスパージシステムの変更設計を適用する。したがって、爆発の危険から安定性を最大化することと、YARD量を減らすことができ、船舶建造において生産性が大きく向上する効果がある。
【0088】
また、ガスパージシステム内におけるLNGガスの逆流防止のために設置するバルブを1つのバルブセットに一体化することで、逆流防止制御のロジックが単純になり、したがって船内空間の活用率と費用削減の面で有利な効果がある。
【0089】
また、本発明は、LNGガスの逆流を防止するためのシステム上にオリフィス及び差圧計を設けることで、エンジンシステム及びガスパージシステムの運用においてさらなる安定性が確保される。
【0090】
また、LNGなどの液化ガスを燃料で使用するエンジンシステムの内部に残っている残留ガスのパージ順序を変更することにより、エンジンルーム内部で配置されるガス配管が減少して安定性が最大化する効果がある。
【0091】
また、二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法を提供する効果がある。
【0092】
また、窒素ガスがエンジン部を加圧している状態で非常に迅速にパージすることができる、二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法を提供する効果がある。
【0093】
また、ガスの逆流を防止する二重燃料エンジンの窒素供給システム及びその制御方法を提供する効果がある。
【0094】
また、複数のエンジンに1つの窒素供給調整部を適用することで、船舶で占める体積を減らせる効果がある。
【0095】
また、窒素ガスがエンジン部に直接供給されることで、エンジン部の内部の残留ガスが低圧ガスバルブユニット部を介して排出されるため、エンジンルームの内部に別のベルトパイプを設ける必要がなく、従来に比べてYARD量を減らせる効果がある。
【0096】
また、エンジン部から残留ガスがパージされて排出される配管はガスバルブユニットルーム(GVU room)内に配置されるので、エンジンルーム内部に配置されるガス配管を大幅に減らすことができ、安定性を最大化する効果がある。
【0097】
本発明の技術的課題は前述した技術的課題に限定されなく、他に言及されていない技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】従来の船舶のガスパージシステムを概略的に示す図である。
【
図2】本発明に係る船舶のガスパージシステムを概略的に示す図である。
【
図3】本発明に係る船舶のガスパージシステムにおいて、逆流防止バルブセットが設置される部分の配管図である。
【
図4】本発明に係る逆流防止バルブセットの第1実施形態を示す図である。
【
図5】本発明に係る逆流防止バルブセットの第2実施形態を示す図である。
【
図6】本発明に係る逆流防止バルブセットの内部配管図をより具体的に示す図である。
【
図7】本発明に係る逆流防止バルブセットの外見を示す図である。
【
図8】
図7に示した逆流防止バルブセットを下方向から見た図である。
【
図9】本発明に係る逆流防止バルブセットを概略的に図式化した図である。
【
図10】本発明に係る逆流防止バルブセットを示す正面図である。
【
図11】本発明に係る逆流防止バルブセットを示す側面図である。
【
図12】本発明に係る逆流防止バルブセットを示す底面図である。
【
図13】本発明の一実施形態による二重燃料エンジンの窒素供給システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明の目的、技術的構成、及びその作用と効果に関する詳細は、本発明の明細書の添付図面に基づいた詳細な説明によってもっと明確に理解できる。
【0100】
本明細書の用語は、単に特定の実施例を説明するために使用され、本発明を限定する意図ではない。例えば、本明細書においてある構成要素を「含む」、「備える」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得る又は備え得ることを意味する。さらに、ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」するという記載がある場合は、他の構成要素と直接に連結または接続することも可能であるが、他の構成要素が中間に存在し得ると理解しなければならない。
【0101】
本明細書で説明する「液化ガス」は、LNG、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、LEG(Liquefied Ethane Gas)、液化エチレンガス(Liquefied Ethylene Gas)、液化プロピレンガス(Liquefied Propylene Gas)などのように、低温で液化して貯蔵および輸送することができ、気化状態でエンジンの燃料として供給することができる全ての液化ガスを含むことができる。ただし、以下の本明細書では説明のために代表的な液化ガスであるLNGを例に説明する。
【0102】
また、本明細書において「船舶」は、推進用エンジンの燃料として液化ガスを使用する全種類の船舶を含む概念として解釈される。代表的に、LNGを燃料で使用して推進するLFS(LNG Fueled Ship)やLNGを輸送する船舶で貯蔵タンク内に貯蔵したLNGまたは貯蔵タンクで発生する蒸発ガスをエンジンの燃料として使用するLNGC(LNG Carrier)などの自己推進能力を備えた船舶をはじめ、LNG FPSO(Floating Production Storage Offloading)、LNG FSRU(Floating Storage Regasification Unit)のような海上浮遊式の海上構造物がある。
【0103】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。以下で説明する実施形態は、本発明の技術思想を当業者が容易に理解できるように提供されるものであり、これによって本発明が限定されると解釈されるべきではなく、本発明の実施形態が該当分野における通常の技術者において様々な応用ができるのは当然である。
【0104】
図2は、本発明の実施形態の船舶のガスパージシステムを概略的に示す図である。
図3は、本実施形態の船舶のガスパージシステムにおいて逆流防止バルブセットが設けられた部分の配管図である。
【0105】
図2を参照すると、本実施形態の船舶のガスパージシステムは、LNGなどの液化ガスを燃料として使用するエンジン100、エンジン100に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御するガスバルブユニット(GVU:Gas Valve Unit)210、220、エンジン100と、エンジン100に燃料ガスが供給されるライン内部をパージするために不活性ガスを供給するバッファタンク300を備える。
【0106】
本実施形態のエンジン100は、LNGを燃料として駆動できるエンジンであり、重油と天然ガスの両方を燃料として使用できるDFエンジン(Dual Foul Engent)も含まれる。
【0107】
また、本実施形態のエンジン100は、高圧で圧縮したLNGガスを供給されて駆動する高圧ガス噴射エンジン110と、低圧で圧縮したLNGガスを供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジン120を備え得る。
【0108】
高圧ガス噴射エンジン110は、10バール以上に圧縮および気化したLNGガスが供給されて駆動することができ、例えばME―GIエンジンなどの推進エンジンであり得る。
【0109】
低圧ガス噴射エンジン120は、10バール未満で圧縮及び気化したLNGガスが供給されて駆動することができ、例えばDFDG(Dual Fuel Diesel Generator)などの一般的なDF発電機エンジンやX-DF(eXtreme Dual Fuel)などの推進エンジンであり得る。
【0110】
高圧ガス噴射エンジン110および低圧ガス噴射エンジン120は、船舶の船尾側に区画されるエンジンルーム(Engine Room)内で配置される。
【0111】
また、本実施形態の船舶には、エンジン100に供給されるLNGガス(天然ガス)を液化状態で貯蔵するLNG貯蔵タンク(図示せず)を備えることができ、LNG貯蔵タンクで貯蔵したLNGは燃料供給システム(FGSS:Fuel Gas Supply System)400で圧縮および気化してエンジン100の燃料として供給され得る。
【0112】
燃料供給システム400は、LNGを強制気化させる気化器(Vaporizer)と、LNGガスをエンジンに要求される圧力で圧縮する圧縮機(Compressor)などを含むことができ、通常、カーゴコンプレッサールーム(Cargo Compressor Room)内に配置される。
【0113】
燃料供給システム400で圧縮および気化したLNGガスは、燃料供給ラインL1、L2に沿ってエンジン100に供給され、高圧ガス噴射エンジン110と低圧ガス噴射エンジン120はそれぞれ要求される圧力及び温度が異なるため、高圧ガス噴射エンジン110に接続する第1燃料供給ラインL1と低圧ガス噴射エンジン120に接続する第2燃料供給ラインL2とが、それぞれ別々のラインで設けられる。
【0114】
具体的には、燃料供給システム400で高圧に圧縮及び気化したLNGガスは第1燃料供給ラインL1に沿って高圧ガス噴射エンジン110に供給され、低圧に圧縮及び気化したLNGガスは第2燃料供給ラインL2に沿って低圧ガス噴射エンジン120に供給される。
【0115】
このようにLNGを燃料とする船舶では、LNG貯蔵タンクから接続する配管を介してLNGガスがエンジン110、120に供給され、LNGガスがエンジン110、120に供給されるラインL1、L2にはガスバルブユニット210、220が設けられる。
【0116】
ガスバルブユニット210、220は、エンジン100に供給されるLNGガスの圧力及び流量を制御するバルブをグループ化した装置であり、エンジン100とLNG貯蔵タンクとの間に設けられてLNGガスをエンジン100の負荷に対応する圧力で供給し、ろ過フィルタ、ガス供給バルブ、ガス流量計などが含まれる。
【0117】
本実施形態では、ガスバルブユニット210、220が、高圧ガス噴射エンジン110に供給されるLNGガスを制御する高圧ガスバルブユニット210と、低圧ガス噴射エンジン120に供給されるLNGガスを制御する低圧ガスバルブユニット220を備え得る。
【0118】
高圧ガスバルブユニット210は第1燃料供給ラインL1に設置され、通常は、図示するようにカーゴコンプレッサールーム内で配置されるが、後述するガスバルブユニットルーム(GVU room)内で低圧ガスバルブユニット220と共に配置されることもできる。
【0119】
低圧ガスバルブユニット220は、第2燃料供給ラインL2上で設置され、ガスバルブユニットルーム内に配置され得る。ガスバルブユニットルームはエンジンルームと離れて別々に設けられた区域に位置し、図示するようにエンジンルームの船尾側の後方に配置することができる。低圧ガスバルブユニット220を高圧ガスバルブユニット210と共にカーゴコンプレッサールーム内で配置することももちろん可能である。
【0120】
前述したカーゴコンプレッサールームとガスバルブユニットルームはガス危険区域(Gas Hazardous Zone)に分類される空間であり、気化したLNGガスを扱う空間であるため、安全のために周期的な換気(Ventilation)が必要であり、通常では、乾燥空気を1時間あたり30回交換できるようにしてガス漏れに備える必要がある。したがって、カーゴコンプレッサールームとガスバルブユニットルームには、常に換気ができるように排気ファンf(Ventilation Fan)を設けてもよい。
【0121】
一方、第1燃料供給ラインL1において、少なくともカーゴコンプレッサールームから(高圧ガスバルブユニット210がガスバルブユニットルームに設けられる場合にはガスバルブユニットルームから)高圧ガス噴射エンジン110までのラインは二重管(Double Pipe)で構成することが好ましく、二重管の内部は時間当たり30回の空気を交換するように構成する。
【0122】
同様に、第2燃料供給ラインL2において、少なくともガスバルブユニットルームから低圧ガス噴射エンジン120までのラインは二重管で構成することが好ましく、二重管の内部は時間当たり30回の空気を交換するように構成する。
【0123】
バッファタンク300には、エンジン100と、エンジン100にLNGガスが供給される燃料供給ラインL1、L2の内部をパージするために供給される不活性ガスが貯蔵される。不活性ガスには一般的に窒素(N2)を利用し、以下では窒素を例に説明を続ける。
【0124】
本実施形態の船舶には、パージガスとして窒素を利用するために窒素発生器(図示せず)を別途設けることができ、窒素発生器で生成した窒素はバッファタンク300で一時的に貯蔵された後 、エンジンシステムをパージする時に供給される。
【0125】
バッファタンク300はエンジンルーム内部に配置することができる。エンジンルームはガス安全区域(Gas Safe Zone)に分類され、ガス危険区域からの安全の確保が必要な区域である。例えば、ガス危険区域からガス安全区域への直接的な出入りは禁止され(必要に応じてAir Lockを設置)、ガス安全区域を通過する燃料供給管は二重管またはダクトによって完全に閉囲する必要がある。
【0126】
バッファタンク300からエンジン100側へ窒素ガスを供給するためにパージラインPLを接続することができる。パージラインPLは、バッファタンク300から高圧ガス噴射エンジン110に接続するラインと、低圧ガス噴射エンジン120に接続するラインとをそれぞれ備え得る。
【0127】
そして、パージラインPL上には、エンジン100内部のLNGガスがバッファタンク300側へ逆流するのを防止するために逆流防止バルブセット500が設けられ得る。
【0128】
逆流防止バルブセット500は、エンジン当たり1つのセットで構成して設置してもよいし、船舶の推進のために設けられるメインエンジン(Main Engine)と船内で必要な電力を生産するために設けられる発電機エンジン(Generator Engine)に分けて2つだけ設置することもできる。
【0129】
逆流防止バルブセット500は、ガスバルブユニットルームと共に1時間当たり30回の空気が交換されるガス危険区域に配置される。しかし、本発明はこれに限定されず、逆流防止バルブセット500をカーゴコンプレッサールームまたは他のガス危険区域に配置することも可能である。ただし、逆流防止バルブセット500は、物量を低減するためにエンジン100及びバッファタンク300にできるだけ近いところに配置することがよい。したがって、本発明では、図示するように、逆流防止バルブセット500をガスバルブユニットルームで配置することが最も好ましいと考えられる。
【0130】
逆流防止バルブセット500の具体的な構成については、後でさらに詳しく説明する。
【0131】
エンジンシステムをパージするためにバッファタンク300から供給される窒素ガスはエンジン100内の残留ガスを押し出し、エンジン100から押し出される残留ガスと窒素ガスはガスバルブユニット210、220を介して安全区域(Safe Area)(例えば、外気)へ放出される。
【0132】
ガスバルブユニット210、220には、エンジン100から排出される残留ガス及び窒素ガスを安全な区域に排出するためのベントラインVLが接続し、ベントラインVL上にはラインを開閉するパージバルブPVがそれぞれ設置され得る。
【0133】
高圧ガス噴射エンジン110と低圧ガス噴射エンジン120側のパージ動作をそれぞれ分けて、以下で説明する。
【0134】
高圧ガス噴射エンジン110側をパージする時には、まず燃料供給システム400から高圧ガス噴射エンジン110側へのLNGガスの供給を中止する。そして、バッファタンク300から高圧ガス噴射エンジン110の内部に窒素ガスを供給するとともに、高圧ガスバルブユニット210に接続したベントラインVLのパージバルブPVを開放する。バッファタンク300から供給される窒素ガスによって高圧ガス噴射エンジン110から押し出される残留ガスは、窒素ガスとともに第1燃料供給ラインL1の一部を経て高圧ガスバルブユニット210を介して安全区域に放出される。
【0135】
低圧ガス噴射エンジン120側のパージも同様に行われる。低圧ガス噴射エンジン120をパージする時には、まず燃料供給システム400から低圧ガス噴射エンジン120側へのLNGガスの供給を中止する。そして、バッファタンク300から低圧ガス噴射エンジン120の内部に窒素ガスを供給するとともに、低圧ガスバルブユニット220に接続したベントラインVLのパージバルブPVを開放する。バッファタンク300から供給される窒素ガスによって低圧ガス噴射エンジン120から押し出される残留ガスは、窒素ガスと共に第2燃料供給ラインL2の一部を経て低圧ガスバルブユニット220を介して安全区域に放出される。
【0136】
以上によれば、従来エンジンシステムの内部をパージするため窒素ガスを燃料供給ラインに注入することと異なり、窒素ガスをエンジン100側に直接供給し、エンジンシステムの内部の残留ガスがエンジン100からガスバルブユニット210、220側にパージされる。
【0137】
すなわち、従来(
図1参照)では、エンジンシステムのパージが、ガスバルブユニット4→エンジン1→安全区域(Safe Area)の順で行われる反面、本発明ではエンジンシステムのパージが、エンジン100→ガスバルブユニット210、220→安全区域(Safe Area)の順で行われる。
【0138】
また、本発明では、エンジン100の燃料としてLNGガスが供給される方向がエンジンシステムの内部をパージさせる方向と反対である。
【0139】
これによると、バッファタンク300から窒素ガスがエンジン100に直接注入され、エンジン100内の残留ガスはガスバルブユニット210、220を介して排出されるため、エンジンルームの内部に別途のベントパイプ(Vent Pipe)を設ける必要がなく、従来に比べてYARD量を低減できる効果がある。
【0140】
また、エンジン100から残留ガスがパージされて排出される配管がほとんどガスバルブユニットルームまたはカーゴコンプレッサールーム内で配置されるため、エンジンルーム内部で配置されるガス配管を大幅に低減することができ、安定性が最大化する効果がある。エンジンルームには電気機器やオイル類を扱う装置、点火装置などが多いため、ガス配管をできるだけエンジンルーム内に配置しない方は良い。また、ガスバルブユニットルーム(ガス危険区域)はガス漏洩の可能性を仮定して設計するため、時間当たり30回の空気交換が常に実施されているので、当該区域を利用してエンジンシステムの残留ガスを排出することが換気に非常に有利である。さらに、エンジン100からガスバルブユニット210、220側にパージを実施すると、残留ガスが既に二重管で構成されている燃料供給ラインL1、L2を介して排出されるため、既存設備の活用率が高くなり、残留ガスを排出するために別途の二重管を追設する必要がなく、費用面でも好ましい。
【0141】
一方、LNGCやLFSなどの船舶では、エンジンシステムのパージのための配管が直接に接続した場合、エンジンシステムの内部の燃料ガスが窒素供給部へ逆流することを防止するためにチェックバルブ(Check Valve)を設置し、それに加えて、ダブルブロックバルブ(Double Block Valve)とブリードバルブ(Bleed Valve)を設置し、リモート制御が可能な構成を船級で要求している。
【0142】
これらの要求はすでにIGF‐CODEではその適用が必須となり、今後LFS船舶の増加が予想されてため、該当項目の適用が必須である。
【0143】
しかしながら、前記のようなバルブは必ずガス危険区域で配置する必要があり、爆発を防止するために防爆の適用が必要となるため、相当費用がかかる。したがって、当該ポイント(パージ配管が直接に接続した部分)が発生するポイントごとに高価のバルブを3個ずつ設置することは、船舶の建造価格に大きな影響を及ぼすことと予想される。
【0144】
したがって、本発明では、二重ブロックバルブ、ブリードバルブとチェックバルブとを1つのバルブセット(Valve Set)で構成するコンセプトを開発した。以下に、前記コンセプトを適用し一つのバルブセットで構成された逆流防止バルブセット500の具体的な構造を説明する。
【0145】
図3を参照すると、本発明の実施形態の逆流防止バルブセット500は、バッファタンク300からエンジン100側に窒素ガスを供給するパージラインPL上で順次設けられる第1遮断バルブ510、第2遮断バルブ520およびチェックバルブ530を含む。
【0146】
そして、本実施形態の逆流防止バルブセット500は、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間のパージラインPLから分岐する漏洩排出ラインLLと、漏洩排出ラインLL上で設けられるブリードバルブ540をさらに備え得る。
【0147】
第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520は、パージラインPLの内部流路を開放または遮断するバルブであり、例えばボールバルブなどの開閉機能を有するバルブであり得る。
【0148】
第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520は、パージラインPLの上流側と下流側にそれぞれ順次設けられ、常に開放と閉鎖が同時に行われることで、窒素ガスの流れを二重に遮断または開放する。
【0149】
第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520は、バッファタンク300からエンジン100側へ窒素ガスの供給が行われる場合にのみ開放され、平常時には閉鎖状態を維持する。
【0150】
チェックバルブ530は、パージラインPLで最も下流側に設けられ、エンジン100側からLNGガスが逆流するのを防止する。
【0151】
チェックバルブ530は常時開放状態であるが、流体の流れを一方向にのみ流す機能をするため、エンジン100側からLNGガスが逆流することを最初的に防止する。
【0152】
本実施形態では、チェックバルブ530はメンテナンスができるように、遮断が可能なクロージャブル・チェックバルブ(Closable Check Valve)であり得る。
【0153】
ブリードバルブ540は、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間に設けられ、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520の遮断時に、その内部の残留圧力を除去する役割をする。
【0154】
ブリードバルブ540は通常は常時開放され、第2遮断バルブ520で漏洩が発生した時に第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間に漏洩した漏洩ガスを安全な区域に排出する。このとき、第1遮断バルブ510が漏洩ガスを再び塞ぐため、エンジン100側からの逆流を二重に防止する効果がある。
【0155】
ブリードバルブ540は、第1遮断バルブ510および第2遮断バルブ520が開かれるときに遮断される。すなわち、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540は、開閉動作が常に逆である。
【0156】
一方、逆流防止バルブセット500は、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540を開閉させるアクチュエータをさらに備えることができ、前記アクチュエータの駆動のために圧縮空気(または作動油)を供給するチューブラインTLが接続し、チューブラインTLにはソレノイドバルブSVが設けられ得る。
【0157】
チューブラインTLが複数である場合には、各チューブラインTLごとに対応するソレノイドバルブSVも複数設けられ、複数のソレノイドバルブSVを合わせてソレノイドバルブユニット600(Solenoid Valve Unit)と名付けられる。
【0158】
このとき、ソレノイドバルブユニット600はガスを扱うラインではないのであえて防爆設計する必要はないが、ガスバルブユニットルームの内部に配置する場合には電装品であるという理由で高価の防爆装置を適用する必要が生じ、費用面で好ましくない。
【0159】
したがって、本実施形態では、
図2に示すように、ソレノイドバルブユニット600をガスバルブユニットルームを区画する壁側に最も近接した位置でエンジンルーム内部のガス安全区域(Gas Safe Zone)に配置し、チューブラインTLのみがガスバルブユニットルームへ貫通延長ように構成する。このような構成は、高価の防爆装置を有しない一般のソレノイドバルブを適用することができ、費用面で有利である。
【0160】
また、逆流防止バルブセット500は、パージラインPLにてチェックバルブ530の下流側に設けられるオリフィス710(Orifice)と、オリフィス710の前後の圧力差を測定する差圧計(DTP:Differential Pressure Transmitter)720をさらに備えることができ、エンジン100側からLNGガスが逆流しオリフィス710を介して差圧が発生した場合、エンジン100をトリップ(Trip)させることで、さらなる安定性を図ることができる。
【0161】
前述したように、逆流防止バルブセット500は、3つのバルブ510、520、530の開閉が互いに連動して動作し、このような特性を利用して前記バルブ510、520、530が1つのアクチュエータで該当機能が動作するように構成する。
【0162】
すなわち、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540の動作は常に逆で行われるため、第1及び第2遮断バルブ510、520及びブリードバルブ540を1つのアクチュエータに方向のみを逆にして接続することで、一度に動作する構成ができる。
【0163】
以下では、第1および第2遮断バルブ510、520およびブリードバルブ540の開閉動作が1つのアクチュエータによって行われる構成の具体的な内容を実施例ごとに説明する。
【0164】
図4は本発明に係る逆流防止バルブセットの第1実施形態を示す図である。
図5は本発明に係る逆流防止バルブセットの第2実施形態を示す図である。
図4および
図5に示すLNGガスパイプ(LNG Gas Pipe)は、
図2のエンジン100の内部で設けられた配管である。
【0165】
図4を参照すると、第1実施形態の逆流防止バルブセット500は、第1遮断バルブ510、第2遮断バルブ520及びブリードバルブ540の開閉を制御する往復動式アクチュエータ580をさらに備え得る。
【0166】
往復動式アクチュエータ580は、油圧式または空気圧式で駆動し、第1遮断バルブ510および第2遮断バルブ520に接続した第1動力伝達部551と、ブリードバルブ540に接続した第2動力伝達部552を備え得る。
【0167】
第1動力伝達部551と第2動力伝達部552は、往復動式アクチュエータ580のシリンダ内部で往復運動するピストンの動力を伝達され、バルブ510、520、540を開閉させる。
【0168】
このとき、第1動力伝達部551に接続する第1及び第2遮断バルブ510、520と第2動力伝達部552に接続するブリードバルブ540とは逆方向で設けられることができ、第1動力伝達部551による第1及び第2遮断バルブ510、520の開閉方向と第2動力伝達部552によるブリードバルブ540の開閉方向とがお互い反対に動作する。
【0169】
一例として、往復動式アクチュエータ580の下部から作動流体が供給されると、シリンダ内部のピストンが上方に押し上げられ、第1動力伝達部551はピストンの運動が伝達されて第1及び第2遮断バルブ510、520を開放し、第2動力伝達部552はピストンの運動が伝達されてブリードバルブ540を遮断するように動作する。
【0170】
逆に、往復動式アクチュエータ580の上部から作動流体が供給されると、シリンダ内部のピストンが下降し、第1動力伝達部551はピストンの運動が伝達されて第1及び第2遮断弁510、520を遮断し、第2動力伝達部552はピストンの運動が伝達されてブリードバルブ540開放するように動作する。
【0171】
すなわち、本第1実施形態では、往復動式アクチュエータ580は、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540が常に反対状態で動作するように構成される。
【0172】
本第1実施形態の往復動式アクチュエータ580は、油圧式だけでなく空気圧式で構成することができ、またバルブの開閉を制御する他の装置を利用することも可能である。さらに、第1動力伝達部551及び第2動力伝達部552は他の機械式方法を適用することも可能である。
【0173】
次に、
図5を参照すると、第2実施形態の逆流防止バルブセット500は、第1実施形態と同一構成を含むが、往復動式アクチュエータ580が回転式アクチュエータ560に替えて構成されることだけ差がある。したがって、第1実施形態と重なる構成および内容については説明を省略する。
【0174】
回転式アクチュエータ560は、モータ(Motor)又は他の回転式駆動部により時計方向又は反時計方向に回転運動する主軸ギア564と、主軸ギア564の回転動力が伝達されて第1遮断バルブ510を開閉する第1動力伝達部561と、主軸ギア564の回転動力が伝達されて第2遮断バルブ520を開閉する第2動力伝達部562と、主軸ギア564の回転動力が伝達されてブリードバルブ540を開閉する第3動力伝達部563を備え得る。
【0175】
第1ないし第3動力伝達部561、562、563は、主軸ギア564の回転運動を伝達され、回転力を利用してバルブ510、520、540を開閉する。
【0176】
このとき、第1動力伝達部561と第2動力伝達部562とは、主軸ギア564と反対方向に回転するように構成され、これによって第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520の開閉状態が同じように動作することができる。
【0177】
一方、第3動力伝達部563は、主軸ギア564と同じ方向で回転するように構成され、これによってブリードバルブ540は開閉状態が第1及び第2遮断バルブ510、520と逆になるように動作することができる。
【0178】
主軸ギア564は、外周面に歯が形成した円筒状のギアであってもよく、例えば歯の列が軸と平行に形成された平ギアであってもよい。
【0179】
第1動力伝達部561は、主軸ギア564の歯と噛み合って設けられ、主軸ギア564の反対方向に回転する第1伝達ギア561―1と、第1伝達ギア561―1と第1遮断バルブ510との間に接続して第1伝達ギア561―1の回転方向に応じて第1遮断バルブ510を開閉する第1接続部561―2を備え得る。
【0180】
第2動力伝達部562は、主軸ギア564の歯と噛み合って設けられ、主軸ギア564の反対方向に回転する第2伝達ギア562―1と、第2伝達ギア562―1と第2遮断バルブ520との間に接続して第2伝達ギア562―1の回転方向に応じて第2遮断バルブ520を開閉する第2接続部562―2を備え得る。
【0181】
第3動力伝達部563は、主軸ギア564の回転運動がそのまま伝達されて同じ方向に回転する第3伝達ギア563―1と、第3伝達ギア563―1と上下に噛み合って設けられて同一方向に回転する第4伝達ギア563―2と、第4伝達ギア563―2とブリードバルブ540との間に接続して第4伝達ギア563―2の回転方向に応じてブリードバルブ540を開閉する第3接続部563―3を備え得る。もし、第3接続部563―3が主軸ギア564に直接接続する場合には、第3伝達ギア563―1及び第4伝達ギア563―2の構成は省略してもよい。
【0182】
したがって、本実施形態の回転式アクチュエータ560は、第1および第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540とを常に反対状態で動作するように構成される。
【0183】
本実施形態で、回転式アクチュエータ560を構成するギア561―1、562―1、563―1、563―2、564に代えて他の回転式手段を用いることも可能である。
【0184】
前記実施形態で説明したように、第1及び第2遮断バルブ510、520、チェックバルブ530及びブリードバルブ540を1つのバルブセットで構成し、開閉動作が必要なバルブ510、520、540を1つのアクチュエータ580/560によって一度に動作するシステムを構成すれば、制御ロジック(Control Logic)が簡単になってケーブル(Cable)及び作動油の供給ラインが減少し、これにより、コンパクトな構成が可能で、船舶の狭い空間にも設置が容易になる効果がある。また、バルブを作動させるためのアクチュエータ580/560の数が減り、複数のバルブを1つのセットで製作することで費用低減の効果が期待される。
【0185】
図6は本発明に係る逆流防止バルブセットの内部配管図をより具体的に示す図である。
図7は本発明に係る逆流防止バルブセットの外見を示す図である。
図8は
図7に示す逆流防止バルブセットを下方から見た図である。
【0186】
図6には、本発明に係る逆流防止バルブセットの内部配管図をより具体的に示す。ここでは必須構成のみを含むように示された
図3で既に説明した内容は、詳しい説明を省略する。
【0187】
図6を参照すると、一実施形態の逆流防止バルブセット500は、窒素ガスの流入および排出の通路を提供する第1流路501と、第1流路501から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路502を備え得る。
【0188】
他の実施形態の逆流防止バルブセット500では、
図7に示すように、一つの本体Bに一体型で構成されるので、本体B内に窒素ガス及び漏洩ガスが流れる流路が形成される。
【0189】
したがって、この図の第1流路501は前述のパージラインPLの一部を構成すると理解され、第2流路502は前述の漏洩排出ラインLLと同じラインである。
図3と
図6において部材番号が異なるのは混同しないように注意されたい。
【0190】
本発明に係る逆流防止バルブセット500は、窒素ガスが流れる第1流路501上で最も上流側に設けられるフィルタ504と、フィルタ504と第1遮断バルブ510との間で順次設けられるマニュアルバルブ505及び圧力センサ506と、第1遮断バルブ510の下流側で第2流路502が分岐する前の第1流路501上に設けられるサブチェックバルブ531をさらに備え得る。
【0191】
フィルタ504は、第1流路501に流入する窒素ガスで含まれた異物をろ過することにより、後方に設けられたバルブに異物が挟まることを防止する役割をする。
【0192】
マニュアルバルブ505は、第1流路501を物理的に遮断する機能をする。マニュアルバルブ505は手動で開閉が可能なバルブであり、平常時には常に開放状態を維持し、メンテナンス時には遮断することができる。
【0193】
圧力センサ506は、第1流路501に供給される窒素ガスの圧力を測定するセンサであり、エンジンシステムのパージ時において窒素ガスの供給が良好であるかを把握する役割をする。
【0194】
サブチェックバルブ531は、エンジン側から逆流したLNGガスが窒素供給部側に漏れ出るのを再び塞ぐ役割をする。本発明において、サブチェックバルブ531は前述したチェックバルブ530を補う構成であって、必須構成ではない。サブチェックバルブ531は、チェックバルブ530と同様に、メンテナンス時に遮断可能なクロージャブルタイプ(Closable Type)であり得る。
【0195】
一方、第1流路501の出口の端にはガスブロック(Gas Block)507が接続し得る。ガスブロック507は、第1流路501をパージが必要な配管に接続するコネクション(Connection)の機能をするものであり、窒素ガスとエンジンから逆流したガスが実際に接する区域である。
【0196】
図6に示す「アウターパイプ(Outer Pipe)」は、第2流路502から排出される漏洩ガスを外部の安全区域へ排出するための配管を意味する。
【0197】
図7および
図8を参照すると、本発明に係る逆流防止バルブセット500は、前述のバルブ505、510、520、530、531、540と他の構成504、506が一つの本体Bで一体化されている。すなわち、本発明に係る逆流防止バルブセット500は1つのセットで製作される。
【0198】
一体型の本体Bの内部には、
図6で示すような配管が設けられ、本体Bの内部に設けられた配管を開閉するバルブ505、510、520、540が外側から設けられ、本体Bの内部配管を流れる流体を一方向にのみ流すバルブ530、531が外側から設けられ得る。
【0199】
また、本体Bには、内部の第1流路501(
図6参照)に窒素ガスが流入させる窒素ガス流入口503と、第1流路501(
図6参照)の内部に流入した窒素ガスを排出させる窒素ガス排出口508と、内部の第2流路502を介して漏洩ガスが排出される漏洩ガス排出口509が備えられ得る。
【0200】
窒素ガス流入口503には、バッファタンク300(
図2参照)から延長したパージラインPLが接続することができ、窒素ガス出口508には前述のガスブロック507が接続することができる。また、漏洩ガス排出口509には、
図6に示すアウターパイプ(Outer Pipe)が接続することができる。
【0201】
前述したように、第1および第2遮断バルブ510、520、チェックバルブ530とブリードバルブ540が一体化して構成される本発明の逆流防止バルブセット500は、逆流防止のための制御ロジック(Control Logic)が簡単になり、バルブセットのコンパクトな構成が可能であり、これにより費用低減の期待効果があるだけでなく、狭い空間にも設置が容易になって船内空間の活用度を高める効果がある。
【0202】
また、開閉動作が必要なバルブ510、520、540を3個未満のアクチュエータで連動して動作するようにシステムを構成すれば、ケーブル(Cable)及び作動油の供給ラインが減少し、前記の効果がさらに最大化する。
【0203】
図9は、本発明に係る逆流防止バルブセットを概略的に図式化した図である。
図10は本発明に係る逆流防止バルブセットを示す正面図である。
図11は本発明に係る逆流防止バルブセットを示す側面図である。
図12は本発明に係る逆流防止バルブセットを示す底面図である。
【0204】
図9を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による逆流防止バルブセット500は、窒素ガスの流れ通路を形成するように内側で設けられた第1流路501;第1流路501に順次設けられるエアフィルタレギュレータ570、第1遮断バルブ510、第2遮断バルブ520、およびチェックバルブ530;第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間の第1流路501から分岐して漏洩ガスを排出する第2流路502;第2流路502に設けられるブリードバルブ540;と、第1流路501の出口の端に設けられるガスブロック504を備え得る。
【0205】
本発明に係る逆流防止バルブセット500は、
図10乃至
図12で示すように一つの本体Bに一体型で構成されるため、本体B内に窒素ガス及び漏洩ガスが流れる流路501、502が形成される。
【0206】
エアフィルタレギュレータ570は、第1流路501上で最も上流側に設けられて流入する窒素ガスに含まれた異物をろ過し、窒素ガスの圧力、速度、流量などを調整する機能をする。
【0207】
ガスブロック504は、第1流路501をエンジン100側につながるパージラインPL1、PL2と接続させるコネクタの役割をするものであり、窒素ガスとエンジンから逆流したガスが実際に接する区域である。
【0208】
図において「アウターパイプ(Outer Pipe)」は、第2流路502から排出される漏洩ガスを外部の安全な区域に排出するための配管を意味する。
【0209】
第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520は、第1流路501を開放または遮断するバルブであり、例えばボールバルブなどの開閉機能を有するバルブであり得る。
【0210】
第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520は、第1流路501の上流側と下流側でそれぞれ順次設けられ、常に同時に開放または遮断することで、第1流路501へ供給される窒素ガスの流れを二重に遮断または開放する。
【0211】
チェックバルブ530は、第1流路501の最下流側で設けられ、エンジン100側からLNGガスが逆流するのを防止する。チェックバルブ530は、常時開放状態であるが流体の流れを一方向にのみ流す機能をするため、エンジン100側からLNGガスが逆流するのを一次的に防止する役割をする。
【0212】
本発明において、チェックバルブ530は、メンテナンス時に遮断ができるようにクロージャブルチェックバルブ(Closable Check Valve)であってもよく、手動開閉が可能であってもよい。
【0213】
ブリードバルブ540は、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間に設けられ、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520が遮断した時、その内部の残留圧力を除去する役割をする。
【0214】
第2遮断バルブ520で漏洩が発生した時、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520との間に浸透した漏洩ガスは、ブリードバルブ540の開放により第2流路502を介して安全区域へ排出される。このとき、第1遮断バルブ510が漏洩ガスを再び塞ぐため、エンジン100側からの逆流を二重に防止する効果がある。
【0215】
ブリードバルブ540は、第1遮断バルブ510および第2遮断バルブ520の開放時に遮断される。すなわち、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540とは、開閉動作が常に逆である。
【0216】
一方、本発明に係る逆流防止バルブセット500は、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540を開閉するためのアクチュエータ511、521、541をさらに備え得る。前記アクチュエータ511、521、541を駆動させるために圧縮空気(または作動油)を供給するチューブラインTLが接続し、チューブラインTL上には供給流体の圧力を制御するソレノイドバルブ550が設置され得る。
【0217】
図には、開閉動作が必要な第1遮断バルブ510、第2遮断バルブ520及びブリードバルブ540のそれぞれに対応して3つのアクチュエータ511、521、541が設けられているが、本発明におけるアクチュエータは3個未満で設けられ得る。
【0218】
前述したように、本発明の逆流防止バルブセット500で開閉動作が必要な第1遮断バルブ510、第2遮断バルブ520及びブリードバルブ540は、開閉動作が一定の特性を有する。すなわち、第1遮断バルブ510と第2遮断バルブ520は常に同一方向に開閉され、ブリードバルブ540は逆方向に開閉される。これらのバルブ510、520、540の動作特性を利用して、2個ないし3個のバルブを1つのアクチュエータによって一度に動作させることができ、したがってアクチュエータを3つ未満で設けることが可能になる。
【0219】
具体的には、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540の動作は常に逆であるため、第1及び第2遮断バルブ510、520とブリードバルブ540を1つのアクチュエータで方向のみを逆にして接続することにより、一度に動作できる構成が可能であり、これによって1つのアクチュエータで動作する本発明の逆流防止バルブセット500を実施することができる。
【0220】
また、同じ方向に開閉される第1遮断バルブ510および第2遮断バルブ520を一方のアクチュエータに接続し、反対方向に開閉されるブリードバルブ540を他方のアクチュエータに接続するか、第1遮断バルブバルブ510と第2遮断バルブ520のいずれかとブリードバルブ540を一方のアクチュエータに接続し、機械的リンクを用いて動作が逆になるように連動させ、残りのバルブ(510または520)を他方のアクチュエータに接続することで、2つのアクチュエータで動作する本発明の逆流防止バルブベット500を実施することができる。
【0221】
このとき、アクチュエータは、電気信号や圧縮空気のフェイル(fail)が発生した緊急時にはスプリングなどの力で第1および第2遮断バルブ510、520を遮断し、ブリードバルブ540は開放されるように、シングルアクティング・アクチュエータ(Single Acting Actuator、「スプリングリターン・アクチュエータ」ともいう)が設けられ、フェイルセイフ(Fail Safe)機能を実行するように構成することができる。
【0222】
図で示すように、アクチュエータ511、521、541が1つ以上設けられている場合には、アクチュエータ511、521、541に接続するチューブラインTLも1つ以上設けられ得る。ただし、本発明においてチューブラインTLが1つ以上であっても、ソレノイドバルブ550は一体化されたライン上で1つだけ設けられることが好ましい。ソレノイドバルブ550はガスを扱う構成ではないが、ガスバルブユニットルームに配置されたら電装品であるという理由で高価の防爆装置を適用する必要が生じので、個数を減らした方が費用面で有利である。
【0223】
ソレノイドバルブ550は、逆流防止バルブセット500と共にガスバルブユニットルーム内で配置することができ、本発明は前述したように少なくとも3個未満(最も好ましくは1個)のソレノイドバルブ550が設けられることで、高価の防爆機器の設計にかかる費用を低減することができる。
【0224】
また、
図2で示すように、ソレノイドバルブ550が備えられたソレノイドバルブグループ600をガスバルブユニットルームとエンジンルームを区画する壁側に最近接した位置でエンジンルーム(ガス安全区域)の内部に位置させ、ソレノイドバルブグループ600からアクチュエータ511、521、541に接続したチューブラインTLのみをガスバルブユニットルームへ貫通延長させて一般ソレノイドバルブの適用ができるように構成され得る。
【0225】
前記のような本発明の構成によれば、高価の防爆装置が適用されるソレノイドバルブ550の数を1個に最小化するか、またはソレノイドバルブグループ600をガス安全区域であるエンジンルーム内部に配置するで、高価な防爆装置の適用が不要になり、費用面で非常に有利な設計が可能になる。なお、後述するが、本発明において、ソレノイドバルブ550は、逆流防止バルブセット500に一体の構成で含まれるように設計され、船内で容易に設置することができる。
【0226】
図10乃至
図12には、本発明に係る逆流防止バルブセット500の外見構造がより具体的に示されている。
図10乃至
図12を参照すると、本発明に係る逆流防止バルブセット500は、前述のバルブ510、520、530、540およびその他の構成570、504が1つの本体Bで一体化されていることがわかる。すなわち、本発明に係る逆流防止バルブセット500は、1つのセットで構成および製作することができる。
【0227】
図示していないが、逆流防止バルブセット500の本体を構成する本体Bには、
図9で示すような流路501、502が内側に貫通形成されてもよく、内部で形成された流路501、502を開閉するためのバルブ510、520、540と、流体を一方向にのみ流すチェックバルブ530とが本体Bの外側で制御可能に設けられ得る。具体的に、第1及び第2遮断バルブ510、520とチェックバルブ530は本体Bの側部で、また、ブリードバルブ540は本体Bの上端部で、それぞれ本体Bの外側から貫入して本体Bの内側で形成された流路501、502を開閉できるように設置することができる。
【0228】
また、本体Bの外側部には、内部で形成された第1流路501に窒素ガスを流入させる窒素ガス流入口503と、流入した窒素ガスを排出させる窒素ガス排出口508と、内部で形成された第2流路502を介して漏洩ガスが排出される漏洩ガス排出口509を形成することができる。窒素ガス流入口503と窒素ガス出口508を形成するスプールピース(spool piece)は、アイボルト(eye bolt)によって本体Bの外側に固定され得る。窒素ガス流入口503には、バッファタンク300(
図2参照)から延長するパージラインPLが接続し、窒素ガス排出口508には前述のガスブロック507がコネクタ形式で設けられてエンジンで接続したファジングラインPL1、PL2を接続することができる。そして、漏洩ガス排出口509には、
図9に示すアウターパイプ(Outer Pipe)を接続することができる。
【0229】
本体Bの底面部には、前記エアフィルタレギュレータ570とソレノイドバルブ550を設置するためのブラケット590が設けられ得る。ブラケット590は、本体Bの側面下端部で固定された後、本体Bの底面と水平になるように折り曲げられた形態を有し得る。エアフィルタレギュレータ570は、本体Bの外側から第1流路501上に貫入し得る。前述したように、本発明のソレノイドバルブ550は1つのみで構成することができる。
【0230】
また、本体Bは、圧力センサなどの他のセンサなどを追加装着ができるように構成され得る。
【0231】
このように、各種のバルブ510、520、540、550とその他の構成570、504、503、508、509、508が一体Bで一体型に構成された本発明の逆流防止バルブセット500は、構成がコンパクトでガスバルブユニットルームなどの狭い空間にも配置が容易になるため、船内空間の活用度を高める効果がある。
【0232】
また、本発明に係る逆流防止バルブセット500は、高価な防爆装置を適用する構成が最小化し、開閉動作が必要なバルブ510、520、540を3個未満のアクチュエータを介して連動させるなどの最適設計によって、物量低減の効果と逆流防止の制御ロジックが単純になる効果を図る。
【0233】
一方、本発明で提案する逆流防止バルブセット500は、
図2で示した本発明のガスパージシステムにのみ適用が制限されるのではなく、エンジンの燃料として供給される液化ガスが流れる配管にパージラインが直接接続する全てのシステムでその適用が可能であり、従来のように窒素ガスを燃料供給ライン上に注入する場合でも適用できることはもちろんである。また、本発明の逆流防止バルブセット500は、ガスパージシステムだけでなく、流体の逆流発生の恐れがある他のガス処理システムにも適用が可能である。
【0234】
以上で説明した本発明に係る逆流防止バルブセット500は、高圧ガス噴射エンジン110側と低圧ガス噴射エンジン120側に対して、それぞれ以下のように2つのコンセプトで運用することができる。ここで、高圧ガス噴射エンジン110側に接続した第1パージラインPL1に設けられる第1逆流防止バルブセット500Aと、低圧ガス噴射エンジン120側に接続した第2パージラインPL2で設けられる第2逆流防止バルブセット500Bの動作が互いに異なることがあるので、それぞれの場合について説明する。
【0235】
1)第1逆流防止バルブセット500Aの動作特性
高圧ガス噴射エンジン110がノーマルガス運転(Nomal Gas Operation)する時、第1逆流防止バルブセット500Aで第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520は遮断(Normal Colse)状態を維持し、ブリードバルブ540は開放(Normal Open)されて、燃料ガスが漏洩した時に漏洩ガスが第2流路502を介して安全な区域へ排出される。ここで、「ノーマルガス運転」とは、エンジンがLNGガスを燃料で用使用して駆動する「ガスモード(Gas mode)」の運転状態を意味する。
【0236】
高圧ガス噴射エンジン110のパージ時には、第1逆流防止バルブセット500Aの第1及び第2遮断バルブ510、520を開放し、バッファタンク300から高圧ガス噴射エンジン110に窒素ガスを供給してパージが行われる。
【0237】
一方、本発明に係る船舶のガスパージシステムは、第1パージラインPL1で第1逆流防止バルブセット500Aの後端から分岐して第2燃料供給ラインL2に接続する第3パージラインPL3を備え得る。第3パージラインPL3上には開閉可能なパージバルブPV3が設けられ得る。
【0238】
第3パージラインPL3を介して供給される窒素ガスは、第2燃料供給ラインL2上で設けられて低圧ガス噴射エンジン120への燃料(LNGガス)の供給を担当するマスターバルブMVの後端から低圧ガスバルブユニット220までの第2燃料供給ラインL2をパージした後、低圧ガスバルブユニット220に接続したベントラインVL2を介して排出される。
【0239】
このように、第3パージラインPL3を介して行われるパージをオートパージ(Auto Purging)と区別するためマニュアルパージ(Manual Purging)という。オートパージは、エンジン110、120のガストリップ(gas trip)と連携してエンジンのトリップ時に自動的にパージすることであり、ガスバルブユニット210、220とエンジン110、120との間のパージを意味する。本発明における第3パージラインPL3を介したマニュアルパージは、低圧ガス噴射エンジン120のメンテナンス時、またはガスモードを長期間使用しないときに操作ボタンを押して実施することができる。
【0240】
このように、本発明において高圧ガス噴射エンジン110側に設けられる第1逆流防止バルブセット500Aは、マニュアルパージシステムと連携して構成することができ、これにより物量低減の効果が期待される。
【0241】
2)第2逆流防止バルブセット500Bの動作特性
低圧ガス噴射エンジン120側に設けられる第2逆流防止バルブセット500Bの動作特性を説明する前に、本発明において第2逆流防止バルブセット500Bと低圧ガス噴射エンジン120との間の第2パージラインPL2上には、窒素供給バルブNVおよびチェックバルブCVが設けられ得る。
【0242】
窒素供給バルブNVは、低圧ガス噴射エンジン120のパージ時に開放されるバルブであり、平常時は閉鎖状態を維持する。そして、チェックバルブCVは、パージラインPLと低圧ガス噴射エンジン120との接続部位での逆流を防止するバルブである。
【0243】
すなわち、低圧ガス噴射エンジン120側では、第2逆流防止バルブセット500Bと低圧ガス噴射エンジン120との間に設けられる窒素供給バルブNV及びチェックバルブCVによって、低圧ガス噴射エンジン120から燃料ガスの逆流を先制的に防止する。
【0244】
窒素供給バルブNVの前端には第1圧力センサPT1が設けられ得る。第1圧力センサPT1は、第2パージラインPL2を介して供給される窒素ガスの圧力が正常であるか否かを検知し、窒素ガスの圧力が所定圧力(例えば、約7バール)以下に低下したときには、低圧ガス噴射エンジン120がそれ以上ガスモードで運転されないように制御する。
【0245】
また、窒素供給バルブNVとチェックバルブCVとの間には第2圧力センサPT2が設けられ得る。第2圧力センサPT2は、低圧ガス噴射エンジン120から燃料ガスが逆流したときに圧力が上昇することを検知して低圧ガス噴射エンジン120のガスモード運転の停止を命令することができる。
【0246】
以下、第2逆流防止バルブセット500Bの動作特性を見ると、低圧ガス噴射エンジン120がノーマルガス運転する時、第2逆流防止バルブセット500Bの第1遮断バルブ510及び第2遮断バルブ520が開放(Normal Open)されてパージラインPL2を介した窒素ガスの圧力を十分に提供する。このとき、ブリードバルブ540は遮断(Normal Close)される。このように、窒素ガスが低圧ガス噴射エンジン120の前端まで加圧されている状態のシステムを構成すれば、応答速度が速くなる利点がある。
【0247】
このとき、窒素供給バルブNVの前端に設けられた第1圧力センサPT1で検知する窒素ガスの圧力が所定圧力(例えば、約7バール)以下に低下すると、第2逆流防止バルブセット500Bの第1及び第2遮断バルブ510、520を遮断し、ブリードバルブ540は開放するように制御する。窒素ガスの圧力が低くなると、燃料ガスの圧力が窒素ガスの圧力より高くなって逆流の可能性が高いと判断されるため、第2逆流防止バルブセット500B側でも逆流防止機能が実行できるように制御するのである。ここで、第1及び第2遮断バルブ510、520が遮断されても、窒素供給バルブNVは遮断状態を維持することができる。窒素供給バルブNVは、低圧ガス噴射エンジン120のガストリップ信号でパージが行われるか否かによって制御される。
【0248】
また、窒素供給バルブNVとチェックバルブCVとの間に設けられた第2圧力センサPT2で低圧ガス噴射エンジン120からの逆流が検知されるときにも、同様に第2逆流防止バルブセット500Bの第1及び第2遮断バルブ510、520を遮断し、ブリードバルブ540は開放するように制御する。このとき、低圧ガス噴射エンジン120からの逆流が検知されたら、低圧ガス噴射エンジン120のガスモード運転を停止しなければならないが、第2逆流防止バルブセット500Bによって逆流を防止することで短期間の間に低圧ガス噴射エンジン120のガスモード運転を維持することができる。
【0249】
低圧ガス噴射エンジン120のパージ時には、前記窒素供給バルブNVと第2逆流防止バルブセット500Bの第1及び2遮断バルブ510、520をすべて開放してバッファタンク300から低圧ガス噴射エンジン120側に窒素ガスを供給する。
【0250】
一方、本発明において低圧ガス噴射エンジン120側に設けられる第2逆流防止バルブセット500Bは、第1及び第2遮断バルブ510、520がノーマルオープン(Normal Open)状態であるため、マニュアルパージシステムと連携して構成しない。
【0251】
図13は本発明の一実施形態による二重燃料エンジンの窒素供給システムの構成図である。
【0252】
図13を参照すると、本発明に係る二重燃料エンジンの窒素供給システムは、燃料ガスを用いて駆動可能であり、船舶の推進用エンジンで設けられるエンジン部1000、前記エンジン部1000の条件に応じて前記燃料ガスを供給する燃料供給システム4000、前記エンジン部1000に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御する低圧ガスバルブユニット部2200、前記エンジン部1000の内部をパージするために窒素を供給する窒素供給部と、前記窒素供給に応じてエンジン部1000内部の残留ガスを安全区域に排出する外気排出部を備える。
【0253】
前記エンジン部1000は、LNG(Liquefied Natural Gas)を燃料で利用して駆動可能なエンジンを含むものであり、具体的にDFエンジン(Duel Fuel engine)であり得る。前記DFエンジンは二重燃料を使用するエンジンであり、天然ガスと重油(ディーゼルなど)を同時に使用できる一種のハイブリッド概念のエンジンである。例えば、前記DFエンジンの場合、エンジンをかける時などの高負荷が必要な場合は、船舶用のディーゼル燃料を用いてエンジン出力を高め、運航時にはガス燃料を使用するなどの運転ができる。
【0254】
また、前記エンジン部1000は、低圧で圧縮したLNGガスを供給されて駆動する低圧ガス噴射エンジンを含むものであり、10Bar未満で圧縮および気化したLNGガスを供給されて駆動する。例えば、DFDG(Dual Fuel Diesel Generator)などの一般的な発電機エンジン(DFGE:Duel Fuel Generator Engine)またはX-DF(eXtreme Dual Fuel)などの推進エンジンを適用することができる。
【0255】
また、前記エンジン部1000は、1つ以上のエンジンを備えたものであり、第1エンジン1100及び第2エンジン1200を含み、前記第1エンジン1100及び第2エンジン1200はエンジンルーム(Engine Room、E/R)に配置することが好ましい。
【0256】
前記エンジンルームはガス安全区域(Gas Safe Zone)に分類され、ガス危険区域(Gas Hazardous Zone)からの安全が必要な区域である。例えば、ガス危険区域からガス安全区域への直接的な出入りは禁止され(必要に応じてAir Lock設置)、ガス安全区域を通過する燃料供給ライン(燃料供給管)は二重管またはダクトによって完全に閉囲しなければならない。
【0257】
前記燃料供給システム4000はカーゴコンプレッサールーム内で設けられ、前記第1エンジン1100及び第2エンジン1200に供給する燃料ガス(LNG)を貯蔵する燃料貯蔵タンク(図示せず)が備えられ、前記燃料貯蔵タンクに貯蔵した燃料ガスは、燃料供給システム(Gas supply system)で圧縮および気化され第1エンジン1100および第2エンジン1200の燃料として供給される。
【0258】
具体的には、前記燃料供給システム4000に接続したメイン燃料供給ラインを介して第1エンジン1100および第2エンジン1200に供給され、前記メイン燃料供給ラインには前記燃料ガスの供給を調整するマスターガスバルブが設けられ得る。
【0259】
また、前記メイン燃料供給ラインは、ガスバルブユニットルーム(GVU room:Gas Valve Unit Room)内から第1燃料供給ラインL1及び第2燃料供給ラインL2に分岐し、前記第1燃料供給ラインは第1エンジン1100に接続し、第2燃料供給ラインL2は第2エンジン1200に接続する。
【0260】
このとき、前記ガスバルブユニットルームから第1エンジン1100に接続する第1燃料供給ラインL1と、第2エンジン1200に接続する第2燃料供給ラインL2は二重管で形成することが好ましい。
【0261】
前記ガスバルブユニットルームは、ガス危険区域に分類される空間であり、エンジンルーム(E/R)とは別に隔離された区域で配置しなければならない。さらに、安全のために周期的な換気(Ventilation)が必要であり、通常乾燥空気を1時間あたり30回交換できるようにしてガス漏れに備える必要がある。したがって、ガスバルブユニットルームは、ガスを外部へ排出する外気排出部を備える。
【0262】
具体的には、換気のために排気ファンが設けられ、前記排気ファンの前端でガス漏洩の発生を検知するガス検知センサを備え得る。
【0263】
前記低圧ガスバルブユニット部2200は、前記エンジン部(第1エンジン1100、第2エンジン1200)に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御するバルブをグループ化した装置であって、前記エンジン部1000と燃料供給システム4000との間に設けられ得る。
【0264】
具体的には、前記低圧ガスバルブユニット部2200は前記メイン燃料供給ライン上で配置され、前記低圧ガスバルブユニット部2200はガスバルブユニットルーム内で配置することが好ましい。
【0265】
また、前記低圧ガスバルブユニット部2200は、第1低圧ガスユニット部2210と第2低圧ガスユニット部2220とを含むものであり、前記第1低圧ガスユニット部2210を前記第1燃料供給ラインL1に配置し、前記第2低圧ガスユニット部2220を第2燃料供給ラインL2に配置することが好ましい。
【0266】
前記第1低圧ガスユニット部2210及び第2低圧ガスユニット部2220は、第1配管パージバルブ2214、2224、第2配管パージバルブ2215、2225、エンジンパージバルブ2216、2226、圧力調整バルブ2211、2221、第1遮断バルブ2212、2222、第2遮断バルブ2213、2223を備える。
【0267】
具体的には、前記第1配管パージバルブは、前記圧力調整バルブ2211、2221と第1遮断バルブ2212、2222との間に配置し、前記第2配管パージバルブ2215、2225は前記第1遮断バルブ2212、2222と前記第2遮断バルブ2213、2223との間に配置し、前記エンジンパージバルブ2216、2226は前記第2遮断バルブ2213、2223の後端に配置する。
【0268】
すなわち、前記第1遮断バルブ2212、2222及び前記第2遮断バルブ2213、2223は、燃料が供給される燃料供給ライン(第1燃料供給ラインL1及び第2燃料供給ラインL2)に一定間隔で配置され、一定の区間ごとにパージすることができる。
【0269】
このとき、パージ(purging)とは、エンジンを長時間運転しない場合やエンジンシステムの内部を整備しようとするとき、エンジン内に燃料を供給するラインとエンジンシステム内で残留した燃料ガスを除去することをいう。
【0270】
前記窒素供給部は、パージガスとして窒素を利用するために窒素を貯蔵する窒素バッファタンク3000、前記窒素バッファタンク3000の圧力を測定する窒素バッファタンク圧力センサ3100と、前記エンジン部1000への窒素供給を調整する窒素供給調整部330(N2 DBB:N2 Double block & bleed valve + Closable Valve)をさらに備え得る。
【0271】
前記逆流防止バルブセット5000は、前記エンジン部1000がガスモードで運転する時には常時開放の状態であり、ディーゼルモードの時には閉鎖状態であるのが好ましい。
【0272】
具体的には、前記窒素バッファタンク3000はエンジンルーム内部で設けられ、前記逆流防止バルブセット5000はガスバルブユニットルーム内に設けられ、前記窒素バッファタンク3000および前記逆流防止バルブセット5000は第1窒素供給ラインに接続し、前記逆流防止バルブセット5000およびエンジン部1000は第2窒素供給ラインに接続する。
【0273】
このとき、前記第2窒素供給ラインはエンジンルーム内で分岐して第1エンジン1100と第2エンジン1200にそれぞれ接続することを特徴とする。すなわち、複数のエンジンに1つの逆流防止バルブセット5000が適用され得る。
【0274】
一方、前記逆流防止バルブセット5000は、窒素パージのために窒素ガスを供給する役割をするとともに、エンジン部1000から燃料ガスが逆流することを防止する役割を行い、第1窒素遮断バルブ5100、第2窒素遮断バルブ5200、第1窒素供給バルブ5300、及び第1逆流防止バルブ5500を含むバルブグループで構成される。
【0275】
前記第1窒素遮断バルブ5100および第2窒素遮断バルブ5200は、漏洩を検知したら窒素供給を遮断するものであり、ボールバルブ(Ball valve)などの開閉機能を有するバルブであり得る。
【0276】
このとき、前記第1窒素遮断バルブ5100及び第2窒素遮断バルブ5200は順次設けられ、常に同時に開放または遮断して、第2窒素供給ラインに供給される窒素ガスの流れを二重に遮断または開放することができる。
【0277】
前記第1窒素供給バルブ5300は、前記エンジン部1000への窒素供給を調整するものであり、流体の流れを一方向のみに流す機能を有するチェックバルブを配置することができる。前記第1窒素供給バルブ5300をチェックバルブで配置することにより、前記エンジン部1000からの燃料ガスの逆流を防止することができる。
【0278】
また、前記第1窒素供給バルブ5300は、メンテナンス時に遮断ができるようにクロージャブルチェックバルブ(Closable check Valve)であってもよく、手動開閉が可能であってもよい。
【0279】
前記第1逆流防止バルブ5500は、ブリードバルブ(Bleed Valve)を配置することで、第1窒素遮断バルブ5100と第2窒素遮断バルブ5200との間に設けられる。
【0280】
前記第1逆流防止バルブ5500は、前記燃料ガスを外部へ排出すること、窒素供給ラインへの逆流を防止ことと、第1窒素遮断バルブ5100及び第2窒素遮断バルブ5200の閉鎖(遮断)時にその内部の残留圧力を除去する役割をする。
【0281】
前記第2窒素遮断バルブ5200で漏洩が発生した時、第1窒素遮断バルブ5100と第2遮断バルブ332との間に漏れた漏洩ガスは第1逆流防止バルブ5500を開放して安全な区域に排出される。このとき、前記第1窒素遮断バルブ5100が漏洩ガスを再び塞ぐため、エンジン部1000からの逆流を二重に防止する効果がある。
【0282】
すなわち、前記第1逆流防止バルブ5500は、第1窒素遮断バルブ5100及び第2窒素遮断バルブ5200が開放するときには閉鎖(遮断)し、前記第1逆流防止バルブ5500は前記第1窒素遮断バルブ5100および第2窒素遮断バルブ5200と開閉動作が逆で行われる。
【0283】
一方、前記逆流防止バルブセット5000は、前記第1窒素遮断バルブ5100、第2窒素遮断バルブ5200及び第1逆流防止バルブ5500を開閉するためにアクチュエータ(図示せず)をさらに備え得る。
【0284】
前記アクチュエータは、電気信号や圧縮空気のフェイル(fail)が発生した緊急時に、スプリングなどの力で第1窒素遮断バルブ5100及び第2窒素遮断バルブ5200を閉鎖し、前記第1逆流防止バルブ5500を開放するように、シングルアクティング・アクチュエータ(Single Acting Actuator、「スプリングリターン・アクチュエータ」ともいう)が設けられて、フェイルセイフ(Fail Safe)機能を実行するように構成することができる。
【0285】
前記エンジン部1000は、前記第2窒素供給ライン上で設けられた第2窒素供給バルブ5610、5620、第1圧力センサ5810、5820、第2逆流防止バルブ5710、5720、第2圧力センサ5910、5920を含む。
【0286】
前記第2窒素供給バルブ5610、5620は、前記エンジン部内部への窒素供給が必要な場合に信号を受けて開放され、平常時は閉鎖状態(閉状態)を維持し、パージを実施するときに開放される。
【0287】
前記第2逆流防止バルブ5710、5720は、第2窒素供給ラインとエンジン部1000との接続部位での燃料ガスの逆流を防止するものであり、チェックバルブを配置することができる。
【0288】
すなわち、前記エンジン部1000では、前記第2窒素供給バルブ5610、5620および第2逆流防止バルブ5710、5720によってエンジン部1000からの燃料ガスの逆流を先制的に防止する。
【0289】
前記第1圧力センサ5810、5820は前記第2窒素供給バルブ5610、5620の前端に設けられ、第1圧力センサ5810、5820は第2窒素供給ラインを介して供給される窒素ガスが正常であるか否かを検知する。
【0290】
また、前記第2圧力センサ5910、5920は、前記第2窒素供給バルブ5610、5620と前記第2逆流防止バルブ5710、5720との間に設けられ、エンジン部1000から燃料ガスが逆流するときに圧力の上昇を検知する。
【0291】
一方、本発明に係る二重燃料エンジンの窒素供給システムは、制御部7000をさらに備える。前記制御部7000は測定した圧力に基づいてシステム内のバルブの開閉を制御し、システムの運転およびパージを制御する。
【0292】
以下、前述した本発明の一実施形態による二重燃料エンジンの窒素供給システムを参照して、本発明の一実施形態による二重燃料エンジンの窒素供給システムの制御方法を説明する。
【0293】
前記二重燃料エンジンの窒素供給システムの窒素供給制御方法において、燃料供給システム4000からエンジン部1000への燃料ガスの供給を制御するステップと前記燃料ガスの供給に応じて窒素供給調整部の開閉を制御するステップとを備える。
【0294】
前記燃料ガスの供給を制御するステップは、前記エンジン部1000がノーマルガス運転(Nomal gas operation)時に、前記燃料供給システム4000から前記エンジン部1000に燃料ガスを供給し、ノーマルガス運転の停止時に燃料ガスの供給を中止するように制御する。
【0295】
具体的には、ノーマガス運転時に前記燃料供給システム4000に接続した前記メイン燃料ガスラインを介して前記低圧ガスバルブユニット部2200へ燃料ガスを供給し、前記低圧ガスバルブユニット部2200から第1燃料供給ラインL1を介して第1エンジン1100へ燃料を供給し、第2燃料供給ラインL2を介して第2エンジン1200に燃料を供給し、ノーマルガス運転の停止時に燃料ガスの供給を中止する。
【0296】
ここで、ノーマルガス運転とは、エンジン部1000に含まれる第1エンジン1100及び第2エンジン1200がLNGガスを燃料で使用して駆動するガスモード(Gas mode)の運転状態を意味する。
【0297】
前記逆流防止バルブセット5000の開閉を制御するステップは、前記逆流防止バルブセット5000を開放するステップと閉鎖するステップを備える
【0298】
前記開放するステップは、前記燃料ガスの供給中に前記逆流防止バルブセット5000を開放して窒素ガスを供給することであり、前記逆流防止バルブセット5000の第1窒素遮断バルブ5100、第2窒素遮断バルブ5200と第1窒素供給バルブ5300を開放し、第2窒素供給バルブ5610、5620及び第2逆流防止バルブ5710、5720を閉鎖するように制御する。
【0299】
すなわち、前記エンジン部1000は燃料ガスを供給されてガスモードで運転し、前記窒素ガスは前記エンジン部1000の前端まで加圧状態を維持する。
【0300】
このようなシステムを構成することで、応答速度が速くなって迅速なパージを実施することができ、燃料ガスの逆流が発生した時に迅速なベントができるように動作する。
【0301】
前記開放するステップは圧力を測定することをさらに備え、第1圧力センサ5810、5820および第2圧力センサ5910、5920で圧力を測定する。
【0302】
前記第1圧力センサ5810、5820の圧力が所定圧力の以下に低くなったら、前記エンジン部1000の燃料ガスの逆流が可能な状態であり、燃料ガスの供給を中止してエンジン部1000のガスモードを停止し、緊急にエンジン掃気空気でパージを実施する。
【0303】
また、前記第2圧力センサ5910、5920の圧力が上昇したら、エンジン部1000から燃料ガスが逆流したと判断し、燃料ガスの供給を中止してエンジン部1000のガスモードを停止し、緊急にエンジンの掃気空気でパージを実施する。
【0304】
具体的には、前記逆流防止バルブセット5000の第1窒素遮断バルブ5100、第2窒素遮断バルブ5200を閉鎖し、第1逆流防止バルブ5500及び第2窒素供給バルブ5610、5620を開放して燃料ガスを外気排出部の安全区域に排出する。
【0305】
さらに、前記開放するステップは、燃料ガスの供給を中止し窒素でパージするパージステップをさらに備える。
【0306】
これは正常的にエンジン部1000のガスモードを中止して窒素でパージを実施することであり、既に加圧された状態の窒素ガスを用いて迅速にパージを実施することができる。
【0307】
具体的には、パージステップは3つの方法で実施可能であり、パージが行われる区間に応じて選択と実施することが好ましい。
【0308】
第1に、前記パージステップは、第2窒素供給バルブ5610、5620およびエンジンパージバルブ2216、2226を開放し、第1遮断バルブ2212、2222および第2遮断バルブ2213、2223を閉鎖して、前記エンジン部1000側に供給された窒素でエンジン部1000、第1燃料供給ラインL1及び第2燃料供給ラインL2内の燃料ガスが安全区域へ排出されるようにパージする。
【0309】
第2に、前記パージステップは、第2窒素供給バルブ5610、5620、エンジンパージバルブ2216、2226、及び第2遮断バルブ2213、2223を開放し、第1遮断バルブ2212、2222を閉鎖してパージを実施する。このとき、前記第2遮断バルブ2213、2223を開放してパージを実施する場合には前記第2配管パージバルブ315、325を同時に開放してパージを実施する必要がある。
【0310】
すなわち、パージステップは、前記第1遮断バルブ312、322を常に閉鎖状態で実施する必要があり、パージ区間に応じて第2遮断バルブ2213、2223、第2配管パージバルブ315、325、エンジンパージバルブ2216、2226の開閉を制御することが好ましい。
【0311】
第3に、パージステップはマニュアルパージ(manual purging)を実施することができる。前記マニュアルパージは、エンジン部1000でガス運転を長時間しなかったか、メンテナンスが必要な場合に実施することが好ましい。
【0312】
具体的には、マスターガスバルブの後端に窒素供給ライン(図示せず)をさらに設けて、前記窒素供給ライン(図示せず)が第1低圧ガスユニット部2210及び第2低圧ガスユニット部2220にそれぞれ接続する。
【0313】
このとき、マニュアルパージを実施すると、窒素供給ライン(図示せず)に窒素が供給され、燃料ガスは第1配管パージバルブ2214、2224を介して外部安全区域へ排出される。
【0314】
前記閉鎖するステップは、第2圧力センサ5910、5920の圧力が第1圧力センサ5810、5820より高いか、または前記窒素バッファタンク3000の圧力が5Bar以下である場合、前記逆流防止バルブセット5000を閉鎖して窒素供給を中止する。
【0315】
このとき、前記閉鎖するステップは、以下の条件を同時に満たす場合に行われる。
【0316】
第1に、前記エンジン部1000がガスモードの運転中の時にに行われる。
【0317】
第2に、前記低圧ガスバルブユニット部2200の第1遮断バルブ2212、2222および第2遮断バルブ2213、2223がすべて開放されたときに行われる。
【0318】
例えば、エンジン部1000がガスモードで運転中であっても漏れ試験(leakage test)や運転初期のパージを実施することができるが、前記の場合、第1遮断バルブ2212、2222と第2遮断バルブ2213、2223が同時に開放されることはない。
【0319】
したがって、前記第1遮断バルブ2212、2222と第2遮断バルブ2213、2223が同時に開放される場合にのみ、エンジン部1000への燃料ガスの供給が正常であると判断し、この場合にのみ燃料ガスの逆流が発生する可能性があるため、前記逆流防止バルブセット5000を閉鎖するステップを実行する。
【0320】
第3に、逆流防止バルブセット5000が開放されてから所定時間は燃料ガスの準備時間とみなし、逆流防止バルブセット5000を閉鎖するステップを実行する。
【0321】
前記のように構成することで、複数のエンジンに1つの逆流防止バルブセット5000だけを適用することが可能となり、いずれか一つのエンジンに燃料ガスの逆流が発生した場合、逆流防止バルブセット5000を閉鎖してエンジン部1000のガスモード運転を中止し、マスターガスバルブを閉鎖することになる。
【0322】
このとき、前記第2圧力センサ5910、5920で漏洩が発見されない場合や、前記第2圧力センサ5910、5920の圧力が第1圧力センサ5810、5820より低い場合、前記エンジン部1000は一時的にガスモードで運転することができる。
【0323】
以上のように本発明は、従来においてエンジンシステム内部をパージするために窒素ガスを燃料供給ライン上に注入するのと異なり、窒素ガスをエンジン部1000側に直接供給してエンジンシステム内部の残留ガスがエンジン部1000から低圧ガスバルブユニット部2200側にパージされる。
【0324】
また、窒素バッファタンク3000から窒素ガスがエンジン部1000に直接供給され、エンジン部100、110内部の残留ガスは低圧ガスバルブユニット部2200を介して排出されるため、エンジンルーム内部にベルトパイプを追設する必要がなく、従来に比べてYARD量を減らせる効果がある。
【0325】
また、本発明は、エンジン部1000から残留ガスがパージされて排出される配管がガスバルブユニットルーム(GVU room)内で配置されるため、エンジンルーム内部で配置されるガス配管を大幅に減らすことができ、安定性を極大化する効果がある。
【0326】
また、エンジンルーム内に電気機器やオイル類を扱う装置、点火装置などが多いため、本発明のようにガス配管をエンジンルーム内部で最小限に配置することで安定性を極大化する。
【0327】
また、ガスバルブユニットルーム(GVU room)は、ガス漏洩の可能性があるという仮定で設計するので時間当たり30回の空気交換が常時実施され、当該区域を利用してエンジンシステムの残留ガスを排出するのが換気のために非常に有利である。
【0328】
また、エンジン部100、110から低圧ガスバルブユニット部2200側にパージを実施すると、残留ガスが二重管で構成された第1燃料供給ラインL1及び第2燃料供給ラインL2に排出されるので、既存設備の利用率が高くなり、残留ガスの排出のための二重管を追設する必要がなく、費用面でも好ましい。
【0329】
また、常に窒素ガスがエンジン部を加圧中の状態で非常に迅速にパージを実施することができ、燃料ガスの逆流を防止する。
【0330】
また、逆流が発生しても迅速に窒素供給調整部を遮断して窒素バッファタンクへの燃料ガスの逆流を防止し、第1逆流防止バルブ5500によって迅速に安全区域へ燃料ガスを排出する。
【0331】
また、複数のエンジンに1つの逆流防止バルブセット5000を適用ため、船舶で占める体積を減らすことができる。
【0332】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正、変更、および置換が可能ある。したがって、本発明に開示された実施例および添付図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されることではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものであると解釈しなければならない。
【国際調査報告】