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特表2024-541786連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル
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  • 特表-連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル 図1
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  • 特表-連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル 図5C
  • 特表-連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル 図6
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  • 特表-連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル 図9
  • 特表-連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】連続グルコース監視データに基づく低血糖及び高血糖アラートの生成のための予測ファネル
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20241106BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579318
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022079085
(87)【国際公開番号】W WO2023081659
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/263,433
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】516195454
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ パドヴァ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・ファッチョーリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ファッキネッティ
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・デル・ファヴェロ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・プレンディン
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・スパラチーノ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、糖尿病を有する患者のためのグルコース管理に関する意思決定支援を提供するための方法及びシステムに関する。血中グルコース、食事摂取情報、及び注入されたインスリンの量を含む時間の経過とともに変化する入力が、機械学習モデルを使用して処理され、複数の予測範囲についての予測グルコースレベル及び予測についての不確実性を得る。信頼区間が各予測について生成され、信頼区間が低血糖閾値及び高血糖閾値と比較される。信頼区間が低血糖閾値及び高血糖閾値をそれぞれ完全に下回るか又は完全に上回る場合、意思決定支援出力が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの血中グルコースレベルを管理するための方法であって、前記方法が、
コンピューティングデバイスによって、センサから前記ユーザのグルコース測定値を受信することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記ユーザの前記血中グルコースレベルに関連する1つ以上の追加の入力のための1つ以上の値を受信することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記グルコース測定値と、前記1つ以上の追加の入力のための1つ以上の値を処理して、複数の予測グルコース値を得ることであって、前記複数の予測グルコース値の各予測グルコース値が、異なる予測範囲に対応し、対応する不確実性を有する、処理することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記各予測グルコース値及び前記対応する不確実性に基づいて、前記複数の予測グルコース値の各予測グルコース値についての信頼区間を生成することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記信頼区間が閾値条件を満たすと決定したことに応答して、意思決定支援出力を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の追加の入力が、食事摂取情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の追加の入力が、前記ユーザに注入された外因性インスリンの量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の追加の入力が、食事摂取情報と、前記ユーザに投与された外因性インスリンの量と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記グルコース測定値及び1つ以上の値が、1つ以上の機械学習モデルを使用して処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の機械学習モデルが、予測フィルタを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予測フィルタが、Kalmanフィルタである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記Kalmanフィルタが、グルコース特異的平均二乗誤差(gMSE)損失関数を使用するように訓練された予測機械学習モデルに基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記予測機械学習モデルが、外因性入力を用いる自己回帰和分移動平均(ARIMAX)機械学習モデルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記閾値条件が、前記信頼区間の最小数が(a)高血糖閾値を完全に上回るか、又は(b)低血糖閾値を完全に下回るかのいずれかであることである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各予測グルコース値について、前記各予測グルコース値と、前記各予測グルコース値の前記対応する不確実性とに基づいて前記信頼区間を生成することが、前記不確実性をスケーリングすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記意思決定支援出力が、ヒトが知覚可能なアラートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記意思決定支援出力が、インスリン送達デバイスに送信されて、前記インスリン送達デバイスに前記ユーザに注入されるインスリンの量を変更させるためのシグナルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記意思決定支援出力が、炭水化物を消費するためのヒトが知覚可能な命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ユーザの血中グルコースレベルを管理するためのグルコース監視システムであって、前記グルコース監視システムが、
前記ユーザについての1つ以上のグルコース測定値を生成するように構成されたグルコースセンサシステムと、
1つ以上の処理デバイスと、
前記1つ以上の処理デバイスに連結された1つ以上のメモリデバイスと、を備え、前記1つ以上のメモリデバイスが、前記1つ以上の処理デバイスによって実行されると、前記1つ以上の処理デバイスに、
時間t(k)にわたって、前記グルコースセンサシステムから前記1つ以上の測定値のグルコース測定値g(k)を受信することと、
前記ユーザについての食事摂取情報CHO(k)及び注入されたインスリンの量I(k)を受信することと、
g(k)、CHO(k)、及びI(k)を処理して、複数の予測グルコース値
【数19】
から
【数20】
(ここで、PHmaxが、1より大きな整数である)及び複数の不確実性σ(k+1|k)からσ(k+PHmax|k)を得ることと、
複数の信頼区間
【数21】
(i=1からPHmaxであり、mが予め決定されたパラメータである)を計算することによって、予測ファネルを生成することと、
前記信頼区間が閾値条件を満たすと決定したことに応答して、意思決定支援出力を生成することと、を含む方法を実行させる、実行可能コードを格納する、グルコース監視システム。
【請求項16】
前記グルコースセンサシステムが、連続グルコースモニタである、請求項15に記載のグルコース監視システム。
【請求項17】
前記g(k)、CHO(k)、及びI(k)が、Kalmanフィルタを含む1つ以上の機械学習モデルを使用して処理される、請求項15に記載のグルコース監視システム。
【請求項18】
前記Kalmanフィルタが、グルコース特異的平均二乗誤差(gMSE)損失関数を使用して訓練された予測機械学習モデルに基づいて構成される、請求項17に記載のグルコース監視システム。
【請求項19】
前記閾値条件が、前記信頼区間の最小数が(a)高血糖閾値を完全に上回るか、又は(b)低血糖閾値を完全に下回るかのいずれかであることである、請求項15に記載のグルコース監視システム。
【請求項20】
前記意思決定支援出力が、
ヒトが知覚可能なアラート、
前記ユーザに注入されるインスリンの量を変更するための命令、又は
炭水化物を消費するためのヒトが知覚可能な命令のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のグルコース監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/263,433号に対する優先権及び利益を主張し、この仮特許出願は、本明細書の譲受人に譲渡され、以下に完全に記載されているかのように、かつ全ての適用可能な目的のために、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
連続グルコース監視(continuous glucose monitoring、CGM)デバイス[1]及び連続皮下インスリン注入(continuous subcutaneous insulin infusion、CSII)のためのポータブルポンプ[2]によって提供される技術の進歩は、1型糖尿病(type 1 diabetes、T1D)を有する対象の生活の質を大幅に改善した。糖尿病管理のための人工知能(artificial intelligence、AI)アプリケーションに関する最近の報告[3]において指摘されているように、CGMデバイス、インスリンポンプ、及び専用モバイルアプリケーションの併用[4]は、異なる種類の情報、例えば、CGMデータ、インスリン、食事、身体活動、及び自己報告されたライフイベントを記録する可能性をもたらした。この情報は、意思決定プロセスにおいて患者を支援するために複数のソフトウェアモジュールを実装する複合ツールである、高度なAI対応意思決定支援システム(decision support system、DSS)の開発を可能にする。
【0003】
高度なDSSに埋め込むことができる重要な要素の1つは、予測モジュールである。実際に、血中グルコース(blood glucose、BG)が潜在的に有害な値に近づいているかどうかを事前に知ることにより、患者は、低血糖症(すなわち、70mg/dL未満のBG)のような重大なエピソードを軽減又は回避するために、予防的な行動をとることができ、T1D管理を大幅に改善する[5]~[10]。いくつかの研究努力が、BG予測を調査し[11]、多くの文献研究が低血糖エピソードを予測する課題に焦点を当ててきた[12]。これらの努力及び研究において、低血糖予測は、分類に基づく手法又は回帰に基づく手法のいずれかによって対処された。分類ベースの手法は、バイナリ分類器[13]、すなわち、「切迫する低血糖」又は「低血糖が予測されない」という2つの種類の可能な出力のみを生成するアルゴリズムを開発することからなる。代わりに、回帰ベースの手法は、第1のステップとして、回帰を介して将来のグルコース濃度を予測し、次いで、予測値が好適な閾値(通常、70mg/dLであるが、必ずしもそうではない)を下回る場合、アラームを発する、2ステップの手順である。これらの努力及び研究において、回帰ベースの手法の第1のステップにおいて使用される予測グルコース濃度は、線形予測因子[14]~[16]又は非線形手法[17]~[23]のいずれかを使用することによって得られた。興味深いことに、ある手法が他の手法よりも優れていることはまだ実証されていない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
上記に列挙された本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約された、より具体的な説明が、態様を参照することによって行われ得、その態様のうちのいくつかが、図面に例示される。しかしながら、添付された図面は、本開示の特定の典型的な態様を単に例示するのみであり、したがって、その説明が他の同等に有効な態様について認めることができるため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
図1】本開示の実施形態を実装することに関連して使用され得る例示的な意思決定支援システムの態様を示す。
図2】本開示の特定の態様による、センサ電子機器を有する例示的な連続分析物センサを備える例示的な連続分析物監視システムを概念的に例示する図である。
図3】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、図1の意思決定支援システムの予測モジュールによって使用される例示的な入力を示す。
図4】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、将来のグルコース値を予測するための機械学習モデルを訓練するための例示的ワークフローである。
図5A】本明細書で開示されるいくつかの実施形態による、Clarke誤差グリッドを示す。
図5B】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、Clarke誤差グリッドに基づく例示的なペナルティ関数を示す。
図5C】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、グルコース特異的平均二乗誤差を使用して訓練される機械学習モデルのための例示的なグルコース予測を示す。
図6】本開示の特定の実施形態による、予測ファネルの使用を示す例示的なワークフローである。
図7】本開示の特定の実施形態による、図6の予測ファネルを使用してアラートを生成するための方法を示す例示的なフロー図である。
図8】本開示の特定の実施形態による、予測ファネルの操作を示す例示的なプロットである。
図9】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、自動インスリン送達(automatic insulin delivery、AID)システムを制御するための予測ファネルの使用を示す例示的なワークフローである。
図10】本明細書に開示される特定の実施形態による、図6、7、及び/又は8の動作を実行するように構成されたコンピューティングデバイスを示すブロック図である。
【0005】
理解を容易にするために、可能な場合には、各図に共通である同一の要素を指定するために、同一の参照数字を使用が使用されている。1つの態様において開示される要素は、具体的な記載なしに、他の態様において、有益に利用され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、個別化グルコース予測モデルなどのグルコース予測モデルを使用して生成されたグルコース予測に基づいて低血糖及び/又は高血糖イベントを予測するための機械学習ベースの手法を詳述する。個別化された予測モデルを使用することは、グルコース予測における主要な課題の1つである、対象間及び対象内の大きな変動性の処理を可能にする。グルコース予測モデルは、高度な個別化を可能にする線形予測モデルであってもよい。線形予測モデルは、強力な収束結果を提供し、統計的特性分析を可能にする[24]。更に、線形予測モデルは、Kalman予測因子[25]などの計算的に便利なアルゴリズムとともに使用され得る。最後に、代謝生理学は非線形であるが[26]、線形戦略は、本質的な動態を捉えることができることが証明されており[14]~[16]、[27]、[28]、非線形手法に対して課題の多い競争者のままである[29]、[30]。
【0007】
以下の詳細な説明は、(a)低血糖及び高血糖を予測するために予測モデルを訓練すること、並びに(b)予測モデルの出力を入力として受け取るアラーム発生戦略(例えば、ルールベースモデル)の両方のための改善された手法を提供する。予測モデルは、予測エラーの臨床的影響を考慮に入れることができ、したがって将来の低血糖エピソードを予測するためのより効果的なモデルの識別を可能にする、[31]において以前に導入された費用関数を使用して訓練され得る。アラーム発生戦略は、単一の予測範囲に焦点を合わせるのではなく、むしろ複数の予測範囲を同時に考慮し、それによって、予測範囲が増加するにつれて、予測モデルからの予測の精度の予想される低下を説明する。
【0008】
予測モジュールを含む例示的な意思決定支援システム
図1は、特定の実施形態による、改善された予測モデル訓練手法及び改善された警報発生戦略を実装するための例示的な意思決定支援システム100を示す。意思決定支援システム100は、少なくとも連続グルコースセンサを含む連続分析物監視システム104によって提供されるセンサデータを使用して、ユーザ102(本明細書では個別にユーザ(user)と呼ばれ、本明細書では集合的にユーザ(users)と呼ばれる)に意思決定支援を提供するように構成される。ユーザは、特定の実施形態では、患者であってもよく、又は場合によっては、患者の介護者であってもよい。特定の実施形態では、意思決定支援システム100は、連続分析物監視システム104と、アプリケーション106を実行する表示デバイス107と、意思決定支援エンジン114と、ユーザデータベース110と、履歴記録データベース112と、訓練サーバシステム140と、意思決定支援エンジン114と、を備え、それらの各々は、以下により詳細に説明される。訓練サーバシステム140は、予測モデルを訓練するための改善された手法を実装することができ、一方で、意思決定支援エンジン114内の予測モジュール116は、予測モデルを使用して改善された警報発生戦略を実装する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、分析することが可能である生物学的流体(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、又は尿)内の物質又は化学成分を指すことを含むが、これらに限定されない、その通常の意味で使用される広義の用語である。以下に説明する例では、分析物は、ユーザの血流中のグルコースである。しかしながら、測定され得る任意の分析物の濃度又は任意の時間の経過とともに変化する値は、本明細書に説明される手法を使用して予測され得る。例えば、分析物には、天然に存在する物質、人工物質、代謝物、及び/又は反応生成物が含まれ得る。本デバイス及び方法によって測定される分析物には、以下に限定され得ないが、カリウム、グルコース、アカルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;α-フェトプロテイン;アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドロステンジオン;アンチピリン;アラビニトールエナンチオマー;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビオチニダーゼ;ビオプテリン;c-反応性タンパク質;カルニチン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;ケノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;コンジュゲートされた1-βヒドロキシ-コール酸;コルチゾール;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMイソ酵素;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;脱エチルクロロキン;硫酸デヒドロエピアンドロステロン;DNA(アセチル化多型、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ1-アンチトリプシン、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、β-サラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジンレダクターゼ;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(free thyroxine、FT4);遊離トリヨードサイロニン(free tri-iodothyronine、FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/gal-1-リン酸塩;ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタミシン;グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリココール酸;グリコシル化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球カルボニックアンヒドラーゼI;17-α-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;ラクテート;鉛;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルマイシン;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;キニーネ;リバーストリヨードサイロニン(reverse tri-iodothyronine、rT3);セレン;血清膵臓リパーゼ;シソマイシン;ソマトメジンC;以下の含まれ得るものの任意の1つ以上を認識する特異的抗体(アデノウイルス、抗核抗体、反ゼータ抗体、アルボウイルス、仮性狂犬病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、単包条虫、赤痢アメーバ、エンテロウイルス、ジアルジア症、ヘリコバクターピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、ドノバンリーシュマニア、レプトスピラ菌、はしか/流行性耳下腺炎/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(恙虫病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、クルーズトリパノソーマ/ランジェリ、水疱性口内炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス);特異性抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;チロトロピン(TSH);チロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ;ビタミンA;白血球;及び亜鉛プロトポルフィリンが挙げられる。血液又は間質液中に天然に存在する塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、及びホルモンもまた、特定の実施態様において分析物を構成することができる。イオンは、以下を含み得る荷電原子又は化合物である(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、窒素、又は重炭酸塩)。分析物は、生物学的流体、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体、イオンなどの中に天然に存在し得る。あるいは、分析物は、体内に導入され得るか、又は外因性であってもよく、例えば、画像化のためのコントラスト剤、放射性同位体、化学薬剤、フッ化炭素系の合成血液、チャレンジ剤分析物(例えば、導入されたチャレンジ剤分析物に応答してチャレンジ剤分析物又は他の検体の濃度の変化率の増加及び/又は減少を測定する目的で導入される)、又は外因性インスリン;グルカゴン、エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);刺激薬(アンフェタミン、メタンフェタミン、リタリン、シルルト、プレルジン、ディドレックス、プレステート、ボラニル、サンドレックス、プレギン);抗うつ剤(バルビツール剤、メタカロン、ヴァリウム、リブリウム、ミルタウン、セラックス、エクワニル、トランキシーンなどの精神安定剤);幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、プシロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、パーコセット、ペルコダン、タシオネックス、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモティル);合成麻薬(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンシクリジンの類似体、例えば、エクスタシー);アナボリックステロイド;及びニコチンを含むが、これらに限定されない薬物又は医薬組成物であってもよい。薬物及び医薬組成物の代謝産物も、企図された分析物である。例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3-methoxytyramine、3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(3,4-Dihydroxyphenylacetic acid、DOPAC)、ホモバニリン酸(Homovanillic acid、HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-Hydroxytryptamine、5HT)、及び5-ヒドロキシインドール酢酸(5-Hydroxyindoleacetic acid、FHIAA)、並びにクエン酸回路の中間体などの、神経化学物質及び体内で生成される他の化学物質などの分析物もまた、分析することができる。
【0010】
特定の実施形態では、連続分析物監視システム104は、1つ以上の分析物を連続的に測定し、分析物測定値を電子医療記録(electric medical records、EMR)システム(図1には図示せず)に送信するように構成される。EMRシステムは、デジタル医療データの電子入力、記憶、及び保守を可能にするソフトウェアプラットフォームである。EMRシステムは、一般に、患者に関する臨床情報を長期間にわたって文書化するために、病院及び/又は他の介護施設全体で使用される。EMRシステムは、例えば、健康状態を解釈し、進行中のケア、スケジューリング、請求、及びフォローアップを提供することで臨床医を支援する方法で、データを整理し、提示する。EMRシステムに含まれるデータを使用して、患者の臨床ケア及び/又は疾患管理のためのレポートを作成することもできる。特定の実施形態では、EMRは、本明細書に記載の技術を実行するために、意思決定支援エンジン114と(例えば、ネットワークを介して)通信していてもよい。通信は、ウェブAPIプロトコル、HL7、FHIR、EDI、XML、CDAなどを含むがこれらに限定されない様々なネットワーク接続データ構成を介して行われ得る。
【0011】
これらのデータ通信構成は、EMRに直接的に送信されてもよく、又はインターフェースエンジンを含むがこれに限定されない1つ以上の中間システムを介して送信され、その後にEMRシステムに入り、次いで表示されてもよい。これらの他の手段のいずれかを介してEMRに通信された患者データは、確率的マッチング、手動の人間によるマッチング、又はEMPI若しくはMPI(マスタ患者インデックス、電子マスタ患者インデックス)を介して患者記録にマッチングされ、1つのシステムへのデータ入力が、別のシステム内の患者情報にマッチングすることを確実にすることができる。分析物デバイスからのデータはまた、EMRに入力される前に代替デバイス若しくはシステムからのデータとマッチングされてもよく、又はデータは、本願発明者らの履歴記録データベース112、ユーザデータベース110、及び/又は意思決定支援エンジンへと逆方向に送信されてもよい。
【0012】
これらのデータ転送により、システムは、本明細書で説明する手段を介して最適化された意思決定支援を実行することができる。特に、本明細書で説明されるように、意思決定支援エンジン114は、ユーザに関連付けられたデータを取得し、取得されたデータを、1つ以上の訓練されたモデルへの入力として使用し、予測を出力し得る。場合によっては、EMRは、1つ以上のモデルへの入力として使用されるデータを意思決定支援エンジン114に提供し得る。更に、場合によっては、意思決定支援エンジン114は、予測を行った後、その予測をEMRに提供し得る。
【0013】
特定の実施形態では、連続分析物監視システム104は、1つ以上の分析物を連続的に測定し、アプリケーション106による使用のために、分析物測定値を表示デバイス107に送信するように構成される。いくつかの実施形態では、連続分析物監視システム104は、無線接続(例えば、Bluetooth接続)を介して分析物測定値を表示デバイス107に送信する。特定の実施形態では、表示デバイス107は、スマートフォンである。しかしながら、特定の他の実施形態では、表示デバイス107は、その代わりに、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチ、タブレット、又はアプリケーション106を実行することが可能な任意の他のコンピューティングデバイスなど、任意の他の種類のコンピューティングデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、連続分析物監視システム104及び/又は分析物センサアプリケーション106は、分析物測定値を、患者の健康に関心を有する1人以上の他の個人(例えば、患者のリアルタイム治療及びケアのための家族又は医師)に送信する。連続分析物監視システム104は、図2に関してより詳細に説明され得る。
【0014】
アプリケーション106は、分析物監視システム104から分析物測定値を受信して分析するように構成されたモバイル健康アプリケーションである。特に、アプリケーション106は、処理及び分析のために、並びにユーザに意思決定支援出力(例えば、アラート、推奨、ガイダンス、インスリンポンプ/ペンを制御するためのシグナルなど)を提供するための意思決定支援エンジン114による使用のために、ユーザに関連付けられたユーザプロファイル118内に、ユーザの分析物測定値を含む、ユーザに関する情報を記憶する。
【0015】
意思決定支援エンジン114は、予測モジュール116を含む1つ以上のソフトウェアモジュールを有するソフトウェア命令のセットを指す。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、プライベート又はパブリッククラウド内の1つ以上のコンピューティングデバイス上で完全に実行される。そのような実施形態では、アプリケーション106は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して意思決定支援エンジン114と通信する。いくつかの他の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、表示デバイス107などの1つ以上のローカルデバイス上で部分的に実行され、プライベート又はパブリッククラウド内の1つ以上のコンピューティングデバイス上で部分的に実行される。いくつかの他の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、表示デバイス107などの1つ以上のローカルデバイス上で完全に実行される。本明細書でより詳細に説明するように、意思決定支援エンジン114は、アプリケーション106を介してユーザに意思決定支援出力を提供し得る。意思決定支援エンジン114は、ユーザプロファイル118に含まれる情報に基づいて意思決定支援出力を提供する。
【0016】
ユーザプロファイル118は、アプリケーション106からユーザについて収集された情報を含み得る。例えば、アプリケーション106は、ユーザプロファイル118内に記憶された、連続分析物監視システム104から受信された分析物測定値を含む入力128のセットを提供する。特定の実施形態では、アプリケーション106によって提供される入力128は、連続分析物監視システム104から受信された分析物測定値に加えて、その他のデータを含む。例えば、アプリケーション106は、手動のユーザ入力、1つ以上の他の非分析物センサ又はデバイス、表示デバイス107上で実行される他のアプリケーションなどを介して、追加の入力128を取得し得る。非分析物センサ又はデバイスとしては、限定されないが、インスリンポンプ、心電図(electrocardiogram、ECG)センサ若しくは心拍数モニタ、血圧センサ、汗センサ、呼吸センサ、温度計、表示デバイス107によって提供されるセンサ若しくはデバイス(例えば、加速度計、カメラ、グローバル・ポジショニング・システム(global positioning system、GPS)、心拍数モニタなど)、又は他のユーザアクセサリ(例えば、スマートウォッチ)、あるいはユーザに関する関連情報を提供する任意の他のセンサ若しくはデバイスのうちの1つ以上が挙げられる。アプリケーション106によって提供されるユーザプロファイル118の入力128は、図3に関して以下で更に詳細に説明される。
【0017】
意思決定支援エンジン114の予測モジュール116は、入力128のセットを処理して、将来の分析物レベル、有害イベント(例えば、低血糖及び高血糖)のリスクを予測し、かつ/又は入力128に基づいて、意思決定支援出力、及びそのような出力の内容を提供するか否かを決定するように構成される。以下で説明するように、アラート、意思決定支援推奨、医薬送達デバイス(例えば、インスリンポンプ又はペン)の操作を制御するための制御シグナルなどの様々な種類の意思決定支援出力を提供することができる。
【0018】
ユーザプロファイル118はまた、人口統計情報120、疾患進行情報122、及び医薬情報124を含んでもよい。特定の実施形態では、そのような情報は、ユーザ入力を介して提供されてもよく、又は特定のデータ記憶装置(例えば、電子医療記録(EMR)など)から取得されてもよい。特定の実施形態では、人口統計情報120は、ユーザの年齢、体格指数(body mass index、BMI)、民族性、性別などのうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、疾患進行情報122は、糖尿病などのユーザの疾患、又はユーザが高カリウム血症、低カリウム血症、高血糖、低血糖などの病歴を有するか否かに関する情報を含み得る。特定の実施形態では、ユーザの疾患に関する情報はまた、診断からの時間の長さ、疾患の段階、疾患制御のレベル、疾患管理療法の遵守のレベル、他の種類の診断(例えば、心疾患、肥満)、又は健康の尺度(例えば、心拍数、運動、ストレス、睡眠など)などを含み得る。特定の実施形態では、疾患進行情報122は、例えば、連続分析物監視システム104を介して生成された分析物センサデータに基づく1つ以上の予測アルゴリズム及び/又は訓練されたモデルの出力として提供され得る。
【0019】
特定の実施形態では、医薬情報124は、ユーザによって服用される医薬の量、頻度、及び種類に関する情報を含み得る。特定の実施形態では、ユーザによって服用される医薬の量、頻度、及び種類は、タイムスタンプが付与され、ユーザの分析物レベルと相関付けられ、それによって、その医薬の量、頻度、及び種類が、ユーザの分析物レベルに対して及ぼした影響を示している。特定の実施形態では、医薬情報124は、グルコース恒常性を制御及び/又は改善することが知られている1つ以上の薬物の摂取に関する情報を含み得る。グルコース恒常性を制御及び/又は改善することが知られている1つ以上の薬物としては、速効型及び長時間作用型インスリンを含むインスリンなどの血中グリコースレベルを低下させるための医薬、メトホルミンなどの他のグルコースを低下させる医薬などが挙げられ得る。以下でより詳細に説明するように、意思決定支援システム100は、医薬情報124を使用して、異なるユーザに処方されるべき最適なインスリン投与を決定するように構成され得る。特に、意思決定支援システム100は、患者の健康、患者の現在の状態、及び/又はインスリン投与の有効性に基づいて、1つ以上の最適なインスリン投与を識別するように構成され得る。
【0020】
特定の実施形態では、ユーザプロファイル118に記憶される情報の少なくとも一部が時間とともに修正されてもよく、かつ/又は新しい情報が意思決定支援エンジン114及び/又はアプリケーション106によってユーザプロファイル118に追加され得るため、ユーザプロファイル118は、動的である。したがって、ユーザデータベース110内に保存されたユーザプロファイル118中の情報は、ユーザに関連する情報の最新のレポジトリを提供する。
【0021】
ユーザデータベース110は、いくつかの実施形態では、パブリック又はプライベートクラウドで操作するストレージサーバを指す。ユーザデータベース110は、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、キーバリュー型データストア、階層ファイルシステムを含むファイルシステムなどの任意の種類のデータストアとして実装されてもよい。いくつかの例示的な実装形態では、ユーザデータベース110は、分散される。例えば、ユーザデータベース110は、分散された複数の永続ストレージデバイスを含んでもよい。更に、ユーザデータベース110は、ストレージデバイスが地理的に分散されるように複製されてもよい。
【0022】
ユーザデータベース110は、他のユーザの表示デバイス107上で実行されるアプリケーション106と同様に相互作用する複数のユーザに関連付けられたユーザプロファイル118を含む。ユーザデータベース110内に保存されたユーザプロファイルは、アプリケーション106だけでなく、意思決定支援エンジン114にもアクセス可能である。ユーザデータベース110内のユーザプロファイルは、1つ以上のネットワーク(図示せず)を介して、アプリケーション106及び意思決定支援エンジン114にアクセス可能であり得る。上述したように、意思決定支援エンジン114、より具体的には意思決定支援エンジン114の予測モジュール116は、ユーザデータベース110から入力128をフェッチし、意思決定支援出力を生成することができ、次いで、ユーザプロファイル118内にアプリケーションデータ126として記憶され得る。
【0023】
特定の実施形態では、ユーザデータベース110内に記憶されたユーザプロファイル118は、履歴記録データベース112にも記憶され得る。履歴記録データベース112内に保存されたユーザプロファイル118は、アプリケーション106の各ユーザについての最新の情報及び履歴情報のレポジトリを提供し得る。したがって、履歴記録データベース112は、アプリケーション106の各ユーザに関連する全てのデータを本質的に提供し、データは、関連付けられたタイムスタンプに従って記憶される。履歴記録データベース112内に記憶された情報に関連付けられたタイムスタンプは、例えば、ユーザに関連する情報がいつ取得及び/又は更新されたかを識別することができる。
【0024】
更に、履歴記録データベース112は、連続分析物監視システム104及びアプリケーション106を使用するユーザについてのものを含む、ある期間にわたってユーザについて収集された時系列データを維持することができる。例えば、ユーザの健康を管理するために5年間にわたって連続分析物監視システム104及びアプリケーション106を使用したユーザについての分析物データは、5年間にわたって維持されたユーザに関連付けられた時系列分析物データを有してもよい。
【0025】
更に、特定の実施形態では、履歴記録データベース112は、連続分析物監視システム104及び/又はアプリケーション106のユーザではない1人以上の患者についてのデータを含み得る。例えば、履歴記録データベース112は、例えば健康管理医師(又は他の既知の方法)によって分析された、以前に糖尿病と診断されていない1人以上の患者に関する情報(例えば、ユーザプロファイル)、並びに例えば健康管理医師(又は他の既知の方法)によって分析された、以前に(様々な種類及び段階の)糖尿病を有すると診断された1人以上の患者に関する情報(例えば、ユーザプロファイル)を含み得る。履歴記録データベース112に記憶されたデータは、本明細書では母集団データと呼ばれることがある。
【0026】
履歴記録データベース112に記憶された各患者に関連するデータは、患者の疾患寿命にわたって収集された時系列データを提供してもよく、疾患は糖尿病であってもよい。例えば、データは、糖尿病を有すると診断される前の患者に関する情報、及び糖尿病に関連して併存する疾患に関連する情報を含む、疾患の生涯の間の患者に関連付けられた情報を含み得る。そのような情報は、患者の症状、患者の生理学的状態、患者のグルコースレベル、患者のインスリンレベル、患者の1つ以上の器官の状況/状態、患者の習慣(例えば、活動レベル、食物消費など)、処方された医薬などを示し得る。
【0027】
別の例では、データは、糖尿病、高血糖、又は低血糖と診断される前の患者に関する情報、及び患者において進行及び/又は退行した糖尿病に関連する情報、並びに高血糖、低血糖、腎疾患、高血圧、心臓の状態及び疾患、又は糖尿病に関連して併存する同様の疾患などの他の疾患に関連する情報を含む、疾患の生涯の間の患者に関連付けられた情報を含み得る。そのような情報は、病気の生涯を通じて、患者の症状、患者の生理学的状態、患者のグルコースレベル、患者のカリウムレベル、患者の乳酸塩レベル、患者のインスリンレベル、患者の1つ以上の器官の状況/状態、患者の習慣(例えば、活動レベル、食物消費など)、処方された医薬、服薬遵守などを示し得る。
【0028】
概念を明確にするために別個のデータベースとして示されているが、いくつかの実施形態では、ユーザデータベース110及び履歴記録データベース112は、単一のデータベースとして動作してもよい。すなわち、連続分析物監視システム104及びアプリケーション106のユーザに関連する履歴及び現在のデータ、並びに連続分析物監視システム104及びアプリケーション106の以前のユーザではなかった患者に関連する履歴データは、単一のデータベースに記憶され得る。単一のデータベースは、パブリック又はプライベートクラウドで動作するストレージサーバであってもよい。
【0029】
前述のように、意思決定支援システム100は、少なくとも連続グルコースセンサを含む連続分析物監視システム104を使用して、ユーザの糖尿病のリスクを診断し、病期分類し、治療し、評価するように構成される。例えば、意思決定支援エンジン114は、ユーザデータベース110に記憶されたユーザプロファイル118内のユーザに関連付けられた情報を収集し、それに対して分析を実行して、(1)将来の分析物レベル(例えば、グルコースレベル)を予測し、(2)低血糖及び高血糖などの有害イベントのリスクを予測し、(3)有害イベントの予測されたリスクに基づいてアラームを生成し、及び/又は(4)治療推奨を提供するように構成されてもよい。特定の実施形態は、ユーザのグルコース測定基準は、グルコースレベル、グルコースレベル変化率、グルコース傾向、平均グルコース、グルコース管理インジケータ(glucose management indicator、GMI)、血糖変動性、範囲内時間(time in range、TIR)、グルコースクリアランス率などを含み得る。
【0030】
ユーザプロファイル118は、そのような分析を実行するために、1つ以上のネットワーク(図示せず)を介して意思決定支援エンジン114にアクセス可能であり得る。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、糖尿病に関するリアルタイム及び/又は非リアルタイムの意思決定支援を、ヘルスケア提供者(healthcare provider、HCP)、ユーザの家族、ユーザの介護者、研究者、並びに/あるいはケア又はデータからの学習をサポートする他の個人、システム、及び/又はグループを含むがこれらに限定されないユーザ及び/又は他者に提供するように構成される。
【0031】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、(1)将来の分析物レベル(例えば、グルコースレベル)を予測し、(2)低血糖及び高血糖などの有害イベントのリスクを予測し、かつ/又は(3)予測された将来の分析物レベル及び/若しくは有害イベントの予測されたリスクに基づいて意思決定支援出力を生成するための1つ以上の訓練された機械学習モデルを含む予測モジュール116を利用し得る。図1の図示された実施形態では、予測モジュール116は、訓練サーバシステム140によって提供される訓練された機械学習モデルを利用し得る。概念を明確にするために別個のサーバとして示されているが、いくつかの実施形態では、訓練サーバシステム140及び意思決定支援エンジン114は、単一のサーバとして動作してもよい。すなわち、モデルは、単一のサーバによって訓練及び使用されてもよく、又は1つ以上のサーバによって訓練され、1つ以上の他のサーバ上で使用するために展開されてもよい。特定の実施形態では、モデルは、リレーショナル及び/又は非リレーショナルデータベースフォーマットの1つ又は多くの物理サーバ上で少なくとも部分的に実行される1つ又は多くの仮想マシン(virtual machine、VM)上で訓練されてもよい。
【0032】
訓練サーバシステム140は、訓練データを使用して機械学習モデルを訓練するように構成され、訓練データは、(1)糖尿病ではない、又は(2)糖尿病の様々な段階であると以前に診断された1人以上の患者(例えば、連続分析物監視システム104及び/又はアプリケーション106のユーザ又は非ユーザ)に関連付けられたデータ(例えば、ユーザプロファイルからの)を含み得る。訓練データは、履歴記録データベース112に記憶されてもよく、機械学習モデルを訓練するために1つ以上のネットワーク(図示せず)を介して訓練サーバシステム140にアクセス可能であってもよい。訓練データはまた、場合によっては、経時的なユーザのためのユーザ固有データを含み得る。
【0033】
訓練データは、例えば、特徴化され、ラベル付けされたデータセットを指す。特定の実施形態では、データセットは、複数の履歴データ記録を含む、母集団ベースのデータセットであってもよい。データセット内の各履歴データ記録は、ユーザデータベース110内に記憶された異なるユーザプロファイルに対応する情報を含み得る。更に、各履歴データ記録は、特徴付けられ、ラベル付けされてもよい。機械学習及びパターン認識において、特徴は、個々の測定可能な特性又は特徴である。一般に、データ内のパターンを最もよく特徴付ける特徴が、予測機械学習モデルを作成するために選択される。データラベル付けは、1つ以上の意味のある有益なラベルを追加して、機械学習モデルによる学習のためにデータにコンテキストを提供するプロセスである。
【0034】
例示的な例として、対応する履歴データ記録に反映されるユーザの各々の関連する特性は、機械学習モデルを訓練する際に使用される特徴であり得る。そのような特徴は、ユーザの人口統計情報(例えば、年齢、性別など)、タイムスタンプ付き分析物測定値(例えば、タイムスタンプ付きグルコース測定値)、タイムスタンプ付き食事摂取情報、タイムスタンプ付きインスリン投与情報(例えば、投与されたインスリン投薬量)に関連付けられた特徴を含んでもよい。各履歴データ記録は、対応するモデルが予測するように訓練されているものに応じてラベル付けされてもよい。
【0035】
次いで、モデルは、特徴付けられ、ラベル付けされた訓練データを使用して、訓練サーバシステム140によって訓練される。特定の実施形態では、各履歴データ記録の特徴は、機械学習モデルへの入力として使用されてもよく、生成された出力は、対応する履歴データ記録に関連付けられたラベルと比較されてもよい。モデルは、生成された出力と提供されたラベルとの間の差に基づいて、損失を計算することができる。次いで、この損失を使用して、モデルの内部パラメータ又は重みを修正する。各病歴患者に対応する各病歴データ記録を反復的に処理することによって、特定の実施形態では、モデルは、正確な予測を生成するために反復的に精緻化され得る。
【0036】
図1に示されるように、訓練サーバシステム140は、ランタイム中に使用するために、これらの訓練されたモデルを意思決定支援エンジン114に展開する。例えば、意思決定支援エンジン114は、ユーザに関連付けられたユーザプロファイル118を取得し、ユーザプロファイル118内の情報を訓練されたモデルへの入力として使用し、将来の分析物レベル(例えば、グルコースレベル)及び/又は低血糖及び/又は高血糖のリスクの予測を出力し得る。次いで、意思決定支援エンジン114は、予測を使用して、意思決定支援出力を生成することができる。例えば、予測が低血糖又は高血糖イベントを示す場合、意思決定支援出力は、以下に説明されるようなアラート発生モデルを使用して生成されるアラート(すなわち、アラーム)を含んでもよい。アラートを生成することは、表示デバイス(例えば、表示デバイス107)に、例えば、予測されたイベント及び/又は患者のグルコースレベルを示し得る、可視メッセージ、可聴アラート、又は触知可能アラート(例えば、触覚デバイスを用いて)などの人間が知覚可能なアラートを出力させることを含んでもよい。
【0037】
特定の実施形態では、アラートとともに、又はアラートの代わりに、意思決定支援出力はまた、運動を行うこと、炭水化物を消費すること、インスリンを投与すること(例えば、注入速度を変更すること)などの患者に対する意思決定支援推奨を含んでもよい。特定の実施形態では、アラートとともに、又はアラートの代わりに、意思決定支援出力は、ユーザに投与されている、又は投与される予定のインスリンの量を変更するためのインスリンポンプへのシグナルを更に含んでもよい。
【0038】
意思決定支援出力は、ユーザに(例えば、アプリケーション106を通して)、ユーザの世話人(例えば、親、親族、保護者、教師、看護師など)に、ユーザの医師に、又は場合によっては推奨される治療を達成することなどによってユーザの健康を改善する目的でユーザの健康に関心を有する任意の他の個人に提供されてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、ユーザ自身のデータを使用して、母集団データに基づいて最初に訓練され得る1つ以上のモデルを個人向けにする。例えば、モデル(例えば、母集団データを使用して訓練されたもの)は、ユーザの将来の分析物レベルを予測するために、意思決定支援エンジン114による使用のために展開されてもよい。モデルを使用して予測を行った後、意思決定支援エンジン114は、ユーザの実際の分析物値を取得し、予測と実際のグルコース値との間の損失を計算するように構成されてもよく、この損失は、モデルを再訓練するために使用され得る。したがって、モデルは、予測と実際のグルコース値との間の計算された損失をモデルへの入力として使用して継続して再訓練され、個人向きにされ、ユーザのためにモデルを個人向きにすることができる。本明細書の1つ以上のモデルを訓練することに関する追加の詳細は、以下で更に詳細に説明される。
【0040】
図2は、本開示の特定の態様による、例示的な連続分析物センサシステム104、非分析物センサ206、医療用デバイス208、並びに複数の表示デバイス210、220、230、及び240を含む分析物監視システム200を示す。分析物監視システム200の構成要素は、本開示の特定の態様に従って、ユーザの1つ以上の分析物を連続的に監視するように動作するように構成される。
【0041】
図示される実施形態における連続分析物監視システム104は、センサ電子機器モジュール204と、センサ電子機器モジュール204に関連付けられた1つ以上の連続分析物センサ202(本明細書では個別に連続分析物センサ(continuous analyte sensor)202と称され、本明細書では集合的に連続分析物センサ(continuous analyte sensors)202と称される)と、を備える。センサ電子機器モジュール204は、表示デバイス210、220、230、及び240のうちの1つ以上と(例えば、直接的又は間接的に)無線通信してもよい。特定の実施形態では、センサ電子機器モジュール204はまた、医療用デバイス208(本明細書では個別に医療用デバイス(medical device)208と称され、本明細書では集合的に医療用デバイス(medical devices)208と称される)などの1つ以上の医療用デバイス、及び/又は1つ以上の他の非分析物センサ206(本明細書では個別に非分析物センサ(non-analyte sensor)206と称され、本明細書では集合的に非分析物センサ(non-analyte sensor)206と称される)と無線通信してもよい(例えば、直接的又は間接的に)。
【0042】
特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、分析物を検出及び/又は測定するためのセンサを含み得る。連続分析物センサ202は、2つ以上の分析物を連続的に測定するように構成された多分析物センサ、又は非侵襲的デバイス、皮下デバイス、経皮デバイス、経真皮デバイス、及び/又は血管内デバイスとして単一分析物を連続的に測定するように構成された単一分析物センサであってもよい。特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、酵素、化学、物理、電気化学、分光光度、旋光、熱量、イオン泳動、放射分析、免疫化学などの1つ以上の測定技術を使用して、ユーザの分析物レベルを連続的に測定するように構成されてもよい。特定の態様では、連続分析物センサ202は、ユーザ内の1つ以上の分析物の濃度を示すデータストリームを提供する。データストリームは、生データシグナルを含んでもよく、生データシグナルは、次いで、推定分析物値をユーザに提供するために使用される較正及び/又はフィルタリングされたデータストリームに変換される。
【0043】
特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、ユーザの身体内の複数の分析物を連続的に測定するように構成される、多分析物センサであってもよい。例えば、特定の実施形態では、連続多分析物センサ202は、ユーザの身体内のグルコース、インスリン、乳酸塩、ケトン、ピルビン酸塩、及びカリウムのうちの2つ以上を測定するように構成される、単一多分析物センサであってもよい。
【0044】
特定の実施形態では、1つ以上の多分析物センサが、1つ以上の単一分析物センサと組み合わせて使用されてもよい。例示的な例として、多分析物センサは、カリウム及びグルコースを連続的に測定するように構成されてもよく、場合によっては、乳酸塩レベルのみを測定するように構成された分析物センサと組み合わせて使用されてもよい。多分析物センサ及び単一分析物センサのそれぞれからの情報を組み合わせて、本明細書に記載の方法を使用して糖尿病意思決定支援を提供することができる。
【0045】
連続分析物センサ202は、連続グルコースモニタ(continuous glucose monitor、CGM)として実装されてもよい。連続グルコースモニタのいくつかの例には、グルコース監視センサが含まれる。いくつかの実施形態では、グルコース監視センサは、米国特許第6,001,067号及び米国特許公開第2011-0027127-A1号を参照して説明されるような埋め込み型センサである。いくつかの実施形態では、グルコース監視センサは、米国特許出願公開第2006-0020187-A1号を参照して説明されるような経皮センサである。いくつかの実施形態では、グルコース監視センサは、米国特許公開第2009-0137887-A1号を参照して説明されるような二重電極分析物センサである。更に他の実施形態では、グルコース監視センサは、米国特許公開第2007-0027385-A1号に記載されているセンサのように、宿主血管又は体外に埋め込まれるように構成される。これらの特許及び出版物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「連続」という用語は、完全連続、半連続、周期的などを意味し得る。分析物のそのような連続監視は、連続測定が、連続的な期間にわたる分析物変化の傾向及び速度に関する情報だけでなく、最新の測定を連続的に提供することを考慮すると、疾患の診断及び病期分類において有利である。そのような情報は、グルコース恒常性の評価及び糖尿病の治療において、より多くの情報に基づいた決定を行うために使用され得る。
【0047】
特定の実施形態では、センサ電子機器モジュール204は、センサデータの処理及び較正と関連付けられた予期アルゴリズムを含む、連続表示デバイスセンサデータの測定及び処理と関連付けられた電子回路を含む。センサ電子機器モジュール204は、連続分析物センサ202に物理的に接続することができ、連続分析物センサ202と一体化される(解放不可能に取り付けられる)か、又は解放可能に取り付けられ得る。センサ電子機器モジュール204は、連続分析物センサ202を介して表示デバイスのレベルの測定を可能にするハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含み得る。例えば、センサ電子機器モジュール204は、ポテンショスタット、センサに電力を提供するための電源、シグナル処理及びデータ記憶に有用な他の構成要素、及びセンサ電子機器モジュールから1つ以上の表示デバイスにデータを送信するためのテレメトリモジュールを備えていてもよい。電子機器は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)などに固定することができ、様々な形態をとることができる。例えば、電子機器は、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)などの集積回路(integrated circuit、IC)、マイクロコントローラ、及び/又はプロセッサの形態をとることができる。
【0048】
表示デバイス210、220、230、及び/又は240は、センサ電子機器モジュール204によって送信され得る、分析物データを含む、表示可能センサデータを表示するように構成される。表示デバイス210、220、230、又は240の各々は、センサデータをユーザに表示するため、及び/又はユーザからの入力を受け入れるためのタッチスクリーンディスプレイ212、222、232、/又は242などのディスプレイを含むことができる。例えば、このような目的のために、ユーザにグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を提示してもよい。いくつかの実施形態では、表示デバイスは、センサデータを表示デバイスのユーザに通信するため、かつ/又はユーザ入力を受け入れるために、タッチスクリーンディスプレイの代わりに又はこれに加えて、音声ユーザインターフェースなどの他の種類のユーザインターフェースを含み得る。表示デバイス210、220、230、及び240は、図1のユーザにセンサデータを表示し、及び/又はユーザからの入力を受信するために使用される、図1に示される表示デバイス107の例であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、表示デバイスのうちの1つ、いくつか、若しくは全ては、センサデータの較正及びリアルタイム表示のために要求されるいかなる付加的な予想される処理を伴わずに、センサデータがセンサ電子機器モジュールから通信されたときに(例えば、それぞれの表示デバイスに送信されるデータパッケージにおいて)、そのセンサデータを表示又はそうでなければ通信するように構成されている。
【0050】
複数の表示デバイスは、センサ電子機器モジュールから受信した分析物データと関連付けられた特定の種類の表示可能センサデータを表示するために特別に設計されたカスタム表示デバイスを含んでもよい。特定の実施形態では、複数の表示デバイスは、表示可能センサデータに基づいてアラート/アラームを提供するように構成されてもよい。表示デバイス210は、このようなカスタムデバイスの一例である。いくつかの実施形態では、複数の表示デバイスのうちの1つは、スマートフォン、例えば、市販のオペレーティングシステム(operating system、OS)を使用して、連続センサデータ(例えば、現在データ及び履歴データを含む)のグラフィカル表現を表示するように構成された、携帯電話を表す表示デバイス220である。他の表示デバイスは、タブレットを表す表示デバイス230、スマートウォッチを表す表示デバイス240、医療用デバイス208(例えば、インスリン送達デバイス若しくは血中グルコース計)、及び/又はデスクトップ若しくはラップトップコンピュータ(図示せず)を含むことができる。
【0051】
表示デバイスによってユーザインターフェースが異なるため、データパッケージの内容(例えば、表示されるデータの量、フォーマット、及び/又は種類、アラームなど)を、特定の表示デバイス毎にカスタマイズすることができる(例えば、製造業者及び/又はエンドユーザによって異なるようにプログラムすることができる)。したがって、特定の実装形態では、複数の異なる表示デバイスは、センサセッション中にセンサ電子機器モジュール(例えば、連続分析物センサ202に物理的に接続された皮膚上センサ電子機器モジュール204など)と直接無線通信して、表示可能センサデータと関連付けられた複数の異なる種類及び/又はレベルの表示及び/又は機能を可能にすることができる。
【0052】
特定の実施形態では、表示デバイスのうちの1つ以上は、UI特徴を提示するための液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、バイブレータ、オーディオトランスデューサ(例えば、スピーカ)、バックライト(図示せず)などの種々のインターフェースを含み得る、ユーザインターフェースを有してもよい。そのようなユーザインターフェースを備える構成要素は、ユーザ(例えば、ホスト)と相互接続するための制御を提供することができる。1つ以上のUI特徴は、例えば、トグル、メニュー選択、オプション選択、ステータス選択、オンスクリーン質問に対するはい/いいえ応答、「オフ」機能(例えば、アラームのための)、「肯定応答」機能(例えば、アラームのための)、リセットなどを可能にしてもよい。UI特徴は、ユーザに、例えば視覚データ出力を提供することもできる。オーディオトランスデューサ(例えば、スピーカ)は、現在及び/又は予測された状態などの特定のアラートのトリガに応答して、可聴シグナルを提供してもよい。いくつかの例示的な実装形態では、可聴シグナルは、トーン、音量、デューティサイクル、パターン、持続時間などによって区別され得る。いくつかの例示的な実装形態では、可聴シグナルは、1つ以上のボタンを押すことによって消音される(例えば、肯定応答又はオフにされる)ように構成され得る。
【0053】
上述のように、センサ電子機器モジュール204は、医療用デバイス208と通信してもよい。医療用デバイス208は、本開示のいくつかの例示的な実施形態では、受動デバイスであってもよい。例えば、医療用デバイス208は、インスリンをユーザに投与するためのインスリンポンプであってもよい。様々な理由で、そのようなインスリンポンプが、連続分析物監視システム104から送信されるグルコース、カリウム、乳酸塩、インスリン、ケトン、及び/又はピルビン酸塩の値を受信及び追跡することが望ましい場合があり、連続分析物センサ202は、グルコース、インスリン、カリウム、乳酸塩、ケトン、及び/又はピルビン酸塩を測定するように構成される。
【0054】
更に、上述したように、センサ電子機器モジュール204は、他の非分析物センサ206とも通信することができる。非分析物センサ206は、高度計センサ、加速度計センサ、温度センサ、呼吸数センサ、汗センサなどを含んでもよいが、これらに限定されない。非分析物センサ206はまた、心拍数モニタ、ECGモニタ、血圧モニタ、パルス酸素濃度計、カロリー摂取量、及び医薬送達デバイスなどのモニタを含んでもよい。これらの非分析物センサ206のうちの1つ以上は、以下で更に説明される意思決定支援エンジン114にデータを提供し得る。いくつかの態様では、ユーザは、図1の訓練サーバシステム140及び/又は意思決定支援エンジン114による処理のためにデータの一部を手動で提供することができる。
【0055】
特定の実施形態では、非分析物センサ206は、例えば、1つ以上の連続分析物センサ202と組み合わせられるなど、任意の他の構成で組み合わせられてもよい。例示的な例として、非分析物センサ、例えば心拍数センサは、グルコースを測定するように構成された連続分析物センサ202と組み合わされて、共通の通信回路を使用してセンサ電子機器モジュール204にセンサデータを送信するために使用されるグルコース/心拍数センサを形成してもよい。別の例示的な例として、非分析物センサ、例えば、心拍数センサ及び/又はECGセンサは、グルコース及びカリウムを測定するように構成された多分析物センサ202と組み合わされて、共通の通信回路を使用してセンサデータをセンサ電子機器モジュール204に送信するために使用されるグルコース/カリウム/心拍数センサを形成してもよい。
【0056】
特定の実施形態では、無線アクセスポイント(wireless access point、WAP)が、連続分析物監視システム104、複数の表示デバイス、医療用デバイス208、及び/又は非分析物センサ206のうちの1つ以上を互いに連結するために使用されてもよい。例えば、WAP138は、これらのデバイスの中でWi-Fi及び/又はセルラー接続を提供してもよい。近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)及び/又はBluetoothもまた、図2のダイアグラム200に示されるデバイス間で使用され得る。
【0057】
図3は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、図1の意思決定支援システムによって使用される例示的な入力を示す。特に、図3は、図1において導入された例示的な入力のより詳細な図を提供する。図3は、左側に例示的な入力128を示し、中央にアプリケーション106及び予測モジュール116を含む意思決定支援エンジン114を示し、右側にアラート130を示す。特定の実施形態では、アラート130は、予測モジュール116を使用して予測されたイベントに対応し、そのイベントを記述することができる。
【0058】
アプリケーション106は、1つ以上のチャネル(例えば、手動のユーザ入力、センサ/モニタ、表示デバイス107上で実行される他のアプリケーション、EMRなど)を介して入力128を取得する。前述したように、特定の実施形態では、入力128は、予測モジュール116及び/又は意思決定支援エンジン114によって処理されて、意思決定支援出力(例えば、アラート130)を出力することができる。上述したように、アラート130は、ユーザに提供され得る意思決定支援出力の種類の一例にすぎない。例えば、特定の実施形態では、入力128は、意思決定支援推奨、インスリン送達デバイス(例えば、インスリンポンプ又はペン)へのシグナルなどの付加的又は代替的意思決定支援出力をユーザに提供するために、意思決定支援エンジン114によって使用されてもよい。
【0059】
入力128は、所与の時間t(k)におけるグルコース測定値(g(k))、所与の時間t(k)における食事摂取情報(CHO(k))、及び所与の時間t(k)に投与された外因性インスリン情報の量(I(k))を含み得る。グルコースが測定される時間、食事が消費される時間、及び外因性インスリンが投与される時間は異なっていてもよいことに留意されたい。
【0060】
グルコース測定値g(k)は、連続分析物監視システム104の一部である少なくとも連続グルコースセンサ(又は少なくともグルコースを測定するように構成された多表示デバイスセンサ)によって測定され、そこから受信され得る。食事摂取情報CHO(k)は、サイズ、内容(カリウム、グルコース、乳酸塩、炭水化物、脂肪、タンパク質などのミリグラム(mg)数)、消費の順序、及び消費の時間のうちの1つ以上など、食事、軽食、及び/又は飲料のうちの1つ以上についての情報を含んでもよい。特定の実施形態では、食事摂取情報CHO(k)は、手動入力によって、食物の種類及び量(例えば、食物のカリウム及びグルコース/炭水化物含有量)を認識するように構成されるアプリケーションを介して写真を提供することによって、並びに/又はバーコード若しくはメニューをスキャンすることによって、ユーザに提供されてもよい。様々な例では、食事サイズは、カロリー、量(例えば、「3つのクッキー」)、メニュー項目(例えば、「ロワイヤルウィズチーズ(Royale with Cheese)」)、及び/又は食品交換(1つの果物、1つの乳製品)のうちの1つ以上として手動で入力されてもよい。いくつかの例では、食事摂取情報CHO(k)は、アプリケーション106によって提供される便利なユーザインターフェースを介して受信されてもよい。
【0061】
特定の実施形態では、ユーザによって入力される食事摂取情報CHO(k)は、ユーザによって消費されるグルコースに関連し得る。消費のためのグルコースは、グルコース、デキストロース又は炭水化物(例えば、ブドウ糖タブレット、バナナ、又はパンなど)を含有する任意の天然又は人工の食物又は飲料を含み得る。
【0062】
外因性インスリン情報I(k)は、ユーザのインスリン送達に関する情報を含み得る。特に、ユーザのインスリン送達に関連する入力を、スマートペン上の無線接続を介して、ユーザ入力を介して、及び/又は、インスリンポンプから受信してもよい。インスリン送達情報は、インスリンの容積、送達時間などのうちの1つ以上を含んでもよい。インスリン作用時間、インスリン活性速度、又はインスリン作用の持続時間などの他のパラメータもまた、入力として受信されてもよい。
【0063】
特定の実施形態では、時間は、例えば、時刻、又はリアルタイムクロックからの時刻などの入力として提供されてもよい。例えば、特定の実施形態では、グルコース測定値g(k)、食事摂取情報(CHO(k))、及び外因性インスリン情報I(k)は、情報がユーザのために受信された日付及び時間を示すようにタイムスタンプが付与されてもよい。
【0064】
上述の入力128のいずれかのユーザ入力は、図1の表示デバイス107のユーザインターフェースを介して行われてもよい。上述したように、特定の実施形態では、予測モジュール116は、入力128に基づいて、意思決定支援出力を提供するか否か及びそのような出力の内容(例えば、アラート130を生成するか否か及びアラート130の内容)を決定する。
【0065】
予測モジュールを使用して予測意思決定支援出力を提供するための例示的な方法及びシステム
図4は、入力128に基づいて将来のグルコース測定値を予測するように構成された機械学習モデル402を訓練するための例示的なワークフロー400を示す。機械学習モデル402は、個々のユーザ又はユーザの集団のための入力128を使用して訓練され得る。機械学習モデル402は、意思決定支援出力(例えば、アラート130)を生成するか否か、並びにそのような出力の内容(例えば、以下でより詳細に説明されるように、アラート130を生成するか否か、及びアラート130の内容)を決定するために、予測された将来のグルコース測定値を取得するために、予測モジュール116によって使用され得る。機械学習モデル402の訓練は、訓練サーバシステム140によって、又は予測モジュール116自体内のソフトウェアモジュールによって実行され得る。ワークフロー400は、機械学習モデル402を経時的に更新するために、連続的に又は周期的に実行され得る。
【0066】
所与の時間t(k)について、その時間t(k)又は時間t(k)に先行するウィンドウについての入力128を、機械学習モデル402を使用して処理して、後続の時間t(k+1)についての予測グルコース測定値
【0067】
【数1】
を取得する。本明細書で使用される場合、nが任意の整数である「t(k)」又は「t(k+n)」は、5分毎、15分毎、又は他の間隔など、ワークフロー400が実行される時間値の規則的又は不規則に間隔を空けられた一連の時間値における時間値を識別する。上述のように、入力128は、所与の時間t(k)に対して、入力128の値(g(k)、CHO(k)、又はI(k))が、入力128に対して利用可能な値がない時間t(k)における入力128の値を推測するための補間、外挿、曲線フィッティング、又は他の手法によって取得され得るように、同時に受信されなくてもよい。
【0068】
次いで、時間t(k+1)についての予測グルコース測定値
【0069】
【数2】
及び実際に測定されたグルコース値g(k+1)は、損失関数404に従って処理される。損失関数は、平均二乗誤差(mean squared error、MSE)など、当技術分野で知られている任意の損失関数であってよい。損失関数はまた、[32]に記載され、以下に要約されるグルコース特異的平均二乗誤差(glucose-specific mean squared error、gMSE)であってもよい。値g(k+1)は、g(k+1)に対応する時間以外の時間に得られたグルコース測定値に基づいて、内挿、外挿、曲線フィッティング、又は他の手法によって得ることができる。次に、損失関数404の出力は、訓練アルゴリズム406に入力される。次いで、訓練アルゴリズム406は、機械学習モデル402が入力128の過去の値に基づいてグルコース測定値を予測するように訓練されるように、損失関数404の出力に従って機械学習モデル400の1つ以上のパラメータを更新する。
【0070】
機械学習モデル402は、線形回帰ベースのモデル、又は非線形機械学習モデルなどの他の種類の機械学習モデルであり得る。機械学習モデル402は、複数入力単一出力(multi-input, single output、MISO)モデルである。MISOモデルは、機械学習モデル402を実装するために選択することができる多数の自由度を示す。例えば、モデルクラス(外因性入力を用いる自己回帰(autoregressive with exogenous input、ARX);外因性入力を用いる自己回帰移動平均(autoregressive moving average with exogenous input、ARMAX);外因性入力を伴う自己回帰積分移動平均(autoregressive integrated moving average with exogenous input、ARIMAX);出力エラー(output-error、OE);Box-Jenkins(BJ))及びモデル複雑性(推定されるパラメータの数)。以下に要約される試験結果は、モデル次数を選択するための方法として使用されるベイズ情報量基準(Bayesian information criterion、BIC)を伴うARIMAXモデルを使用して得られた([24]、[29]、[30]を参照されたい)。
【0071】
機械学習モデル402のモデルパラメータを推定するために、予測エラー法(prediction error method、PEM)が、1ステップ先の予測エラーを最小化するために使用され得る。特に、モデルパラメータをθとして指定し、損失関数404をMSE費用関数として実装する。したがって、推定モデルパラメータ
【0072】
【数3】
は、以下の式(1)に従って計算され得る。ここで、kは、一連の時間値における所与の時間値についての入力128に対応する指数であり、
【0073】
【数4】
は、一連の時間値における次の時間値に対する予測グルコース測定値であり、MSEは、以下の式(2)に従って定義され、式中、Nは、利用可能なデータサンプルの数である。
【0074】
【数5】
【0075】
図5A、5B、及び5Cを参照すると、改善された手法では、推定モデルパラメータ
【0076】
【数6】
は、[32]に記載のgMSEを使用して式(3)に従って計算され得る。
【0077】
【数7】
【0078】
gMSE測定基準は、図5Aに示されるClarke誤差グリッド(Clarke error grid、CEG)[36]によって示唆され、予測エラーの臨床的影響を説明する。gMSE測定基準は、低血糖の過大評価及び高血糖の過小評価の場合にペナルティ関数に従ってMSE値を増加させることによって取得される。例えば、gMSE値は、低血糖中のグルコース過剰推定の場合に250%まで、高血糖中のグルコース過小推定の場合に200%まで、MSE値を増加させることによって取得され得る。そうすることによって、低血糖症における過大評価は、同じ領域における過小評価よりもペナルティを課される。なぜなら、前者は臨床的により危険であるからであり、低血糖症における過大評価は、エピソードの検出を妨げるか、又はその重症度の最適化評価を誘導し、不適切な治療につながる可能性があるからである。対称推論は、高血糖の場合に当てはまるが、低血糖は高血糖よりも危険であると考えられるので、第1の場合には、MSEを、第2の場合(例えば、200%までのみ)よりも増加させる(例えば、250%まで)。
【0079】
MSEの増加は、gMSEが元の測定基準の2つの基本的な数学的特性である平滑性及び凸性を保持するように行われる。なぜなら、これらの特性は、パラメータ推定に関与する最適化を単純化するからである。特に、ペナルティ関数は、図5Bに示すように、滑らかな表面を達成するために、[32]に記載されているようにg(k+1)及び
【0080】
【数8】
のシグモイド関数を含み得る。例えば、図5AのClarke誤差グリッド内のゾーンE及びDは、グルコースレベルを正確に検出するのに危険な失敗を示す。したがって、図5Bに示されるように、ペナルティ関数は、ゾーンE及びDの境界において有限の傾きで急に増加し得る。
【0081】
図5Cを参照すると、gMSEを損失関数404として使用して訓練された機械学習モデル402は、MSEのみを使用して訓練されたモデルと比較して、高血糖閾値(例えば、180mg/dl)の近傍及びそれを上回る領域においてより正確である可能性が高い予測値を出力することになるが、これは、この領域におけるエラーが、訓練中により多くペナルティを課されたためである。過大評価エラーは、臨床的に影響のある損傷を引き起こす可能性が低いので、この領域(高血糖閾値の近傍及びそれを上回る領域)では、過小評価エラーと比較して過大評価エラーが好まれる。同様に、gMSEを損失関数n404として使用して訓練された機械学習モデル402は、MSEに関して低血糖閾値(例えば、70mg/dl)の近傍においてより正確である可能性が高い予測値を出力する。なぜなら、この領域におけるエラーは、訓練中により多くペナルティを課されたためである。過小評価エラーは、臨床的に影響力のある損傷を引き起こす可能性が低いため、この領域(低血糖閾値の近傍)における過大評価エラーと比較して好まれる。
【0082】
図6は、機械学習モデル402を使用して予測されたグルコース値に基づいて、アラート130などの意思決定支援出力を生成することの妥当性を決定するための予測ファネル評価器602を含むワークフロー600を示す。ワークフロー600は、gMSEを使用して訓練された機械学習モデル402を参照して示され、説明されるが、MSE又は他の損失関数を使用して訓練された他の機械学習モデルが、予測ファネル評価器602の利益の少なくとも一部を依然として達成しながら、機械学習モデル402の代わりに使用され得る。
【0083】
文献で提案されている予測グルコース値を使用してアラートを生成するためのいくつかの従来の手法は、単一の予測に焦点を当てており、低血糖閾値の交差を検出する際の予測精度を考慮することはほとんどない[14]、[15]。対照的に、ワークフロー600によって実装される予測ファネルは、予測の不確実性も考慮しながら、異なる予測範囲における複数の予測を同時に考慮する。
【0084】
特に、機械学習モデル402は、[26]に記載されている標準的な手順を使用してKalman予測因子などの予測フィルタ604を構築するために使用される。予測フィルタ604は、時間値t(k)に対する入力128を受信し、機械学習モデル402から予測グルコース測定値
【0085】
【数9】
から
【0086】
【数10】
を出力し、ここで、PHmaxは、最大予測範囲である。PHmaxの値は、構成可能な値であり、1より大きい任意の値を有し得る。例えば、5分間隔の時間値を仮定すると、1時間の最大予測範囲は、PHmax=12で達成され得る。予測フィルタ604は、各予測について、分散σ(k+1│k)からσ(k+PHmax│k)などの対応する不確実性を更に出力する。
【0087】
次いで、予測
【0088】
【数11】
から
【0089】
【数12】
及び対応する不確実性、例えば、分散σ(k+1│k)からσ(k+PHmax│k)は、予測ファネル評価器602に入力され、決定606を出力する。決定606は、低血糖アラート、高血糖アラート、又はアラートを生成しない決定のいずれかであってもよい。決定606は、その代わりに、又は加えて、他の種類の意思決定支援出力を含むこともできる。一例では、低血糖アラートが適切である場合、グルコースを消費するという意思決定支援推奨も提供され得る。
【0090】
図7は、予測ファネル評価器602によって実装される例示的な方法700を示す。方法700は、時間値t(k)について、予測
【0091】
【数13】
から
【0092】
【数14】
及び対応する不確実性、例えば、分散σ(k+1│k)からσ(k+PH_max│k)に関して、各時間値t(k)について実行され得る。
【0093】
方法700は、ステップ702において、予測フィルタ604から受信された不確実性から信頼区間を導出することを含み得る。例えば、所与の予測
【0094】
【数15】
及び対応する分散σ(k+i│k)について、信頼区間は、
【0095】
【数16】
として計算され得る。mの値は、信頼区間が高血糖閾値を完全に上回るか、又は低血糖閾値を完全に下回る確率α(m)を調整するために使用される構成可能なパラメータである。mが増加するほどα(m)が減少し、一方、mが減少するほどα(m)が増加する。信頼区間のセット
【0096】
【数17】
(i=1~PHmax)は、本明細書で「予測ファネル」と呼ばれる。
【0097】
方法700は、ステップ704において、高血糖閾値(例えば、180mg/dl)を完全に上回る信頼区間の数が最小数Npred以上であるかどうかを評価することを含む。Npredは、1からPHmaxまでの任意の数であり得る調整可能な値である。低血糖アラームに関して、本願発明者らによって行われた実験は、Npredについて1の値を使用することが適切な結果を提供するが、予測ファネル評価器602の利益は、他の値でも同様に達成され得ることを見出した。ステップ704の条件が満たされる場合、方法700は、高血糖イベントを予測すること、及び/又はステップ706において、高血糖アラート130の生成を呼び出すことを含む。
【0098】
方法700は、ステップ708において、低血糖閾値(例えば、70mg/dl)を完全に下回る信頼区間の数がNpred以上であるかどうかを評価することを含み得る。Npredの値は、ステップ704及び708の評価に対して同じであってもよいし、又は異なっていてもよい。ステップ708の条件が満たされる場合、方法700は、低血糖イベントを予測すること、及び/又はステップ710において、低血糖アラート130の生成を呼び出すことを含む。ステップ704及び708の条件のいずれも満たされない場合、本方法は、低血糖又は高血糖イベントを予測し、アラート130の生成を呼び出すことなく、ステップ712で終了する。
【0099】
意思決定支援エンジン114は、表示デバイス107に、可視メッセージ、可聴アラート、又は触知可能アラート(例えば、触覚デバイスを用いて)などの人間が知覚可能なアラートを提供させることによって、低血糖又は高血糖のアラート130を生成してもよい。意思決定支援エンジン114は、代わりに、又は加えて、フィットネストラッカー、スマートウォッチ、又は他のウェアラブルコンピューティングデバイスなどの、可視、可聴、又は触知可能なアラートを生成するための別のデバイスへの命令を生成し得る。
【0100】
低血糖又は高血糖イベントが予測される場合、特定の実施形態では、追加又は代替の意思決定支援出力が患者に提供され得る。例えば、意思決定支援出力は、運動を行うこと、炭水化物を消費すること、インスリンを投与することなどの患者に対する意思決定支援推奨を含んでもよい。特定の実施形態では、意思決定支援出力は、図9に関して以下に記載されるように、ユーザに投与されている、又は投与される予定のインスリンの量を変更するためのインスリンポンプへのシグナルを更に含んでもよい。
【0101】
図8は、予測ファネルを視覚化するプロットである。図8から明らかなように、ファネルは、現在のグルコース測定値、すなわちg(k)からの時間的距離とともに高さが増加する。この高さの増加は、g(k)からの時間的距離を有する予測グルコース測定値の信頼区間のサイズの増加に対応する。したがって、信頼区間が高血糖閾値を完全に上回るか、又は低血糖閾値を完全に下回る確率は、所与の予測g(k+i|k)に対応する将来の時間t(k+i)までの時間的距離とともに減少する。したがって、予測ファネルは、複数の予測範囲を評価すると同時に、不確実性が増大し、予測範囲が増大することを考慮するという利点を有する。
【0102】
予測ファネル評価器602に対する様々な修正が、上記で説明された利益のうちの少なくともいくつかを依然として達成しつつ行われ得る。
【0103】
まず、上述した機械学習モデル402に代えて、様々な種類及び数の機械学習モデルが用いられてもよい。例えば、ARIMAX機械学習モデルの代わりに、非線形生理学的モデルが使用されてもよい。いくつかの代替的な機械学習モデル型では、予測フィルタ604を使用して、1つより多い時間ステップ先の予測を取得することが実現可能でない場合がある。代わりに、複数の機械学習モデルが訓練されてもよく、各々は、異なる予測範囲を有し、信頼区間を得るために使用され得る対応する信頼区間又は不確実性の測定基準を提供する。
【0104】
いくつかの種類の代替的な機械学習モデルは、信頼区間、又は信頼区間を導出するために使用され得る不確実性を本質的に提供しない。したがって、信頼区間は、各予測範囲における訓練セットについて予測エラー分散を推定し、各予測範囲について推定された予測エラー分散を使用して各予測範囲における信頼区間を得ることによって、1つ以上の機械学習モデルとは独立して計算され得る。
【0105】
予測フィルタ604としてKalmanフィルタを有するARIMAX機械学習モデル402の使用に対するいくつかの代替例は、少なくとも、(a)グルコース-インスリン動態の非線形生理学的モデル又は他の非線形ブラックボックスモデル(例えば、ディープニューラルネットワーク(deep neural network、DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(convolution neural network、CNN)など)を、(b)拡張Kalmanフィルタ、アンセンテッドKalmanフィルタ、又は粒子フィルタのいずれかと組み合わせたものを含む。
【0106】
別の代替例では、上述の種類のいずれかの複数のモデルが訓練セットにフィッティングされ、訓練セットについての予測エラーの分布が複数のモデルの各々について計算される、アンサンブル手法が使用される。次いで、各モデルの予測エラーの分布を使用して、各モデルの予測を重み付けし、例えば線形結合を介して、各モデルの新しい推定値を計算することができる。次いで、モデルの新しい推定値を組み合わせて、最も低い予測エラーを有する新しい推定値を選択すること、新しい推定値を平均すること、又は別の手法によって、アンサンブル予測を得ることができる。アンサンブル予測の誤差分散は、訓練データセットから取得され得るか、又は各モデルについての予測エラーの分布から導出され得る。次いで、異なる予測範囲における予測及びアンサンブルの誤差分散を使用して、上述のように予測ファネルを構築することができる。
【0107】
図9を参照すると、図示されたワークフロー900は、アラート130に応答してヒトが知覚可能な出力を生成する代わりに、又はそれに加えて、インスリンの送達及び/又は他の改善アクションの実行を制御するために使用され得る。
【0108】
ワークフロー900において、インスリンポンプ902によって送達される外因性インスリンI(k)は、入力906に基づいて自動インスリン送達(AID)アルゴリズム904によって計算され、この入力は、グルコース測定値g(k)、食事摂取情報CHO(k)、及び場合によっては、ユーザから、又は本明細書で上述した非分析物センサ206のいずれかなどのセンサのいずれかから受信されるその他の値908を含み得る。AIDアルゴリズム904は、当該技術分野で知られている任意のAIDアルゴリズムであり得る。
【0109】
インスリン送達の特定の速度を提供するようにインスリンポンプ902に指示するAIDアルゴリズム904からの制御シグナルは、オーバーライドモジュール910によって受信され得る。オーバーライドモジュール910は、意思決定支援エンジン114の一部として提供され得るソフトウェア命令のセットを指す。オーバーライドモジュール910は、AIDアルゴリズム904からの制御シグナルをインスリンポンプ902に渡すか、制御シグナルを完全に抑制するか、又は制御シグナルを修正して、AIDアルゴリズム904によって指示されたインスリン送達速度に対してインスリン送達速度を変更することができる。オーバーライドモジュール910は、予測ファネル評価器602によって出力された決定606を入力として解釈し得る。決定606は、上述のように、低血糖及び高血糖イベントが予測されたかどうかを示すことができる。
【0110】
第1の実装形態では、予測された低血糖イベントの場合、オーバーライドモジュール910は、決定606がもはや低血糖イベントを示さなくなるまで、インスリンポンプ902によるインスリンの注入を完全に抑制する。
【0111】
第2の実装形態では、オーバーライドモジュール910は、予測フィルタ604から予測ファネル、すなわち各グルコース予測の信頼区間を受信し、予測ファネルに従ってAIDアルゴリズム904によって命令されたインスリン注入の量を調整する。例えば、オーバーライドモジュール910は、予測ファネルが100mg/dl未満である場合にインスリン注入を50%低減し、ファネルが80mg/dl未満である場合にインスリン注入を75%低減し、予測ファネルが70mg/dl未満である場合にインスリン注入を100%低減してもよい。
【0112】
第3の実装形態では、インスリンポンプ902による注入を制御するために使用されるI(k)の値は、ワークフロー600を使用して選択される。例えば、I(k)をAIDアルゴリズム904によって選択されたインスリン注入量とする。オーバーライドモジュール910は、インスリン量のセットI(k)+δ(j=1~P、ここで、Pは、インスリン量の数であり、δの値は、I(k)を含むインスリン注入の範囲を提供するように選択される)を生成することによって、新しいインスリン注入量I(k)を選択してもよい。複数の予測ファネルが、ワークフロー600に従って取得されてもよく、各予測ファネルは、g(k)及びCHO(k)、並びに値I(k1)+δの1つを使用して計算される。インスリンポンプ902によるインスリン注入を制御するためにオーバーライドモジュール910によって選択されるI(k)の値は、対応する予測ファネルが70mg/dlを完全に上回った値I(k)+δのうちの1つであってもよい。予測ファネルのいずれもが70mg/dlを完全に上回らない場合、オーバーライドモジュール910は、所定量の炭水化物、例えば、10、15、又は20グラムを消費するように、表示デバイス107上に命令を出力し得る。
【0113】
第2又は第3の実装形態は、表示デバイス107による出力のための意思決定支援推奨を提供することと置き換えられてもよく、又はそれとともに使用されてもよい。例えば、予測された低血糖イベントの場合、オーバーライドモジュール910は、所定量の炭水化物、例えば15グラムを消費するための意思決定支援推奨を出力するように表示デバイス107に命令する。炭水化物の処方量は、固定であってもよく、又は予測ファネルに基づいて決定されてもよく、例えば、予測ファネルが部分的に70mg/dlを下回るが、全てが50mg/dlを上回る場合、10グラムであり、ファネルが70mg/dlを全体的に下回り、部分的に50mg/dlを下回る場合、15グラムであり、ファネルが50mg/dlを全体的に下回る場合、20グラムである。
【0114】
炭水化物の処方量はまた、ワークフロー600を使用して決定されてもよい。例えば、複数の予測ファネルがワークフロー600に従って取得されてもよく、各予測ファネルは、g(k)及びI(k)と、CHO(k)の現在の値を含む代替値の範囲など、CHO(k)の複数の代替値の1つとを使用して計算される。オーバーライドモジュール910によって選択された炭水化物の処方量は、対応する予測ファネルが全体的に70mg/dlを上回ったときの量であってもよい。
【0115】
試験結果
試験結果は、図4図5Cに関して説明した予測モデル及び図6図8に関して説明したアラーム発生モデルの改善された訓練を使用して得られた。試験は、多施設臨床試験(NCT02137512)で収集されたデータを使用して行われ、University of Virginiaで開発されたハイブリッド閉ループインスリン送達システム(人工膵臓)の長期使用を評価することを目的としていた[32]。この試験及び全ての実験手順は、地元のIRB/倫理委員会によって承認された。14人の(1型糖尿病)T1D個人が、人工膵臓システムの24/7の使用を試験する5ヶ月のメインフェーズに参加した。グルコースデータは、DexCom G4(登録商標)センサ(DexCom,Inc.、San Diego,CA,USA)を使用して5分のサンプル時間で記録し、インスリンは、Roche Accu-Check Spirit Combo(登録商標)インスリンポンプ(Roche Diabetes Care,Inc.、Indianapolis,IN,USA)で注入した。これらの2つの既製の医療用デバイスは、Bluetoothを使用して、主要システム構成要素であるDiabetes Assistant(DiAs)[33](データフローを管理し、フレンドリなユーザインターフェースを提供し、制御アルゴリズムをホストすることを担当するAndroidスマートフォンに基づくプラットフォーム)と通信した。個人は、全ての炭水化物摂取量をシステムに挿入することによって、全ての食事について適切な量のインスリンを手動で送達するように命令された。実験の更なる詳細は[32]に記載されている。
【0116】
試験データは、異なる性質(CGM(連続グルコースモニタ)、インスリン情報、及び炭水化物摂取)の実験データを取り扱うために前処理され、このことは、デバイス同期、記憶されたデータの完全性、及び患者が提供した情報の信頼性に関連するいくつかの技術的問題を提起するものである。まず、同期問題を解決するために、全てのシグナルを、T=5分で等しくサンプリングされた同じ時間グリッドに整列させた。第2に、この試験の目的に適した、30分未満しか続かない不完全なデータ部分のみを含む14連続日のデータの一部を選択し、次いで、訓練セット(最初の7日間)及び試験セット(最後の7日間)に分割した。最後に、欠落情報に関して、30分未満しか続かない不完全なデータ部分は、以下に記載されるように、ギャップが訓練において生じたか、又は試験データにおいて生じたかどうかに依存して、異なる状態で埋められた。このデータ前処理ステップによれば、3人の対象は、十分な許容可能なデータを欠いているため、分析から除外された。最後に、欠落データに関して、訓練セットにおいて、三次スプライン補間を使用して、時系列に含まれる残りの欠落サンプルを埋めた。実際に、訓練セットは、モデル訓練中に全体的に利用可能であり、非因果的技術を使用することができる。代わりに、試験セットに対して、グルコース予測は、リアルタイムでのみ実行されるべきである。この理由のために、過去のサンプルのみを使用して、リアルタイムで適用可能な0次ホールドを使用して、ギャップを閉じた。
【0117】
異なる性質(CGM、インスリン情報、及び炭水化物摂取)の実験データを取り扱うことは、デバイス同期、記憶されたデータの完全性、及び患者が提供した情報の信頼性に関連するいくつかの技術的問題を提起するものである。まず、同期問題を解決するために、全てのシグナルを、TS=5分で等しくサンプリングされた同じ時間グリッドに整列させた。第2に、この実験の目的に適した、30分未満しか続かない不完全なデータ部分のみを含む14連続日のデータの一部を選択し、次いで、訓練セット(最初の7日間)及び試験セット(最後の7日間)に分割した。最後に、欠落情報に関して、30分未満しか続かない不完全なデータ部分は、以下に記載されるように、ギャップが訓練において生じたか、又は試験データにおいて生じたかどうかに依存して、異なる状態で埋められた。このデータ前処理ステップによれば、3人の対象は、十分な許容可能なデータを見出すことができなかったため、分析から除外された。最後に、欠落データに関して、訓練セットにおいて、三次スプライン補間を使用して、時系列に含まれる残りの欠落サンプルを埋めた。実際に、訓練セットは、モデル訓練中に全体的に利用可能であり、非因果的技術を使用することができる。代わりに、試験セットに対して、グルコース予測は、リアルタイムでのみ実行され得る。この理由のために、過去のサンプルのみを使用して、リアルタイムで適用可能な0次ホールドを使用して、ギャップを閉じた。
【0118】
当該分野の専門家のグループによるコンセンサス論文[39]において提案された定義に従って、低血糖エピソード(hypoglycemic episode、HE)は、BGが少なくとも15分間にわたって70mg/dLを下回る場合、時間t(k)において生じている。そのエピソードは、BGがこの閾値より上に少なくとも15分間留まるまで継続する。真陽性(true positive、TP)は、HEが時間t(k)で発生し、アラームがイベントの前に、正確にはt(k)の60分前から5分前までのウィンドウ内に生成される場合に発生する。この定義によれば、HEに比較的近いアラームのみが正しいと考えられ、過去に離れすぎたアラームはTPとしてカウントされない。偽陽性(false positive、FP)は、アラームが時刻t(k)で発せられたが、その後の60分間に低血糖が生じなかった場合に発生する。偽陰性は、HEが時間t(k)で発生したが、その前の60分間にアラームが生成されなかった場合に発生する。遅いアラームは、時間t(k)又は15分後までのアラームとして定義される。これらは適時ではないので、TPとしてカウントされない。逆に、遅いアラームは、FNのカウントを増加させる。それにもかかわらず、遅いアラームは、誤りと見なすことができないので、遅いアラームは、FPカウントを増加させない。
【0119】
イベントがTP、FP、及びFNとラベル付けされると、以下の測定基準を使用して、最先端技術及び提案された手法を評価した。
【0120】
【数18】
【0121】
精度は、発生したアラームの総数に対する正しいアラームの割合である。再現率は、感度としても知られ、イベントの総数に対する正確に検出された低血糖イベントの割合である。F1スコアは、2つの前述の測定基準の調和平均である。データセットは非常に不均衡であるので、アルゴリズムによって1日に生成されたFPの平均数(FP/日)も評価した。最後に、結果は、アラームがアルゴリズムによって発せられたときとHEの開始との間の時間としての低血糖アラームのタイムゲイン(time gain、TG)を含む。TPの定義によれば、達成可能な最大TGは60分であり、最低は5分である。低血糖イベントの数が限られているため、低血糖予測測定基準の値は、異なる対象の全ての低血糖イベントを、それらが固有の時系列に属するものとして考慮することによって得られた。次いで、結果は、全ての検出のタイムゲインの平均及び標準偏差(standard deviation、SD)として表される、TGを除く全ての考慮されたメトリックについての単一の値として表される。
【0122】
表1は、いくつかの予測アルゴリズムの低血糖予測性能を示す。表の最初の行は、個別化されたモデル、識別された最小化MSEを使用して、1つの予測範囲(PH=30分)のみを考慮して、最新技術のアルゴリズム(単一PH、MSE)によって達成されたベースライン性能を報告する。表の最後の行は、本明細書で提案される予測モデルによって達成される性能を報告しており、様々な態様のモデル(例えば、モデル識別のためのgMSEの使用及び予測ファネルベースの戦略)を含む。
【0123】
【表1】
【0124】
予測モデルの各態様の最終性能への寄与を明らかにするために、表1は、時間における1つの修正(gMSE+単一PH及びMSE+予測ファネル)を含めて達成された性能も報告する。更に、高パラメータの異なる値が調査される。最初に単一PH戦略に焦点を当て、3つの可能なPHであるPH=30、45、及び60分を評価することによって、最先端の手法の予測性能に対するPHの影響を調査した。最良の結果はPH=30分で達成され、これは実際に文献で一般的に採用されている。特に、PHが大きいほど、TGは高くなるが、P、R、及びFP/日が悪化する。例えば、PH=30分及びPH=60分での最先端の手法を比較すると、TGは、15分から20分にかけて増加する(平均値)が、Pは43%から36%に、Rは95%から76%に低下し、FP/日は0.77から0.82に増加することが分かる。MSEの代わりにgMSEの使用を導入することにより、最先端の手法に対して精度と再現率の両方が改善される。この改善は、PHの全ての考慮された値に当てはまる。例えばPH=30分を考慮すると、gMSEの使用により、Pは43%から44%に、Rは95%から100%に増加するが、FP/日及びTGはほとんど同じである。
【0125】
改善されたアラーム戦略(単一PHを使用する代わりに予測ファネルベースである)の影響も調査した。特に、パラメータmの調整に対する2つの異なる手法が考慮された。両方の場合において、mの患者特有の値が考慮されたが、第1の手法では、mは、最先端の技術(MSE+単一PH、PH=30分)によって達成されるものと同様の再現率を得るために設定された。第2の代替手法として、mを各患者において選択して、その患者の訓練セットにおいてF1を最大化した。第1の手法は、チューニング1として表1に示され、第2の手法はチューニング2として示される。
【0126】
予測ファネルによって達成される改善は、チューニング1で明確に見ることができ、これは、最先端の技術に対して、より高い精度、より高いF1及びより少ないFP/日を提供する。Pは43%から51%へと増加し、F1は59%から65%へと増加し、FP/日は0.77から0.59へと減少する。この改善は、同様の再現率を保持しながら達成される(Rは95%から91%へ)。チューニング2の性能は、精度と再現率との間の異なるトレードオフを選択するので、解釈するのがより困難である。具体的には、より良好な精度及びより少ないFP/日を優先して再現率をある程度放棄し、F1スコアの全体的な改善をもたらす。
【0127】
最後に、gMSEと予測ファネルの使用を組み合わせることは、最先端の技術よりも性能が優れている。ここで再び、このことは、チューニング1を用いて明確に見ることができ、これは、最先端の技術と同様の再現率及びTGを達成するが(95%を超える)、より高い精度、F1スコア、及びより少ない偽陽性を伴う。Pは43%から51%、F1は59%から69%になり、1日当たりの偽陽性は0.77から0.59に減少した。チューニング2で提案されたわずかにより保守的な手法を採用することによって、再現率の低下(R=88%)を犠牲にして、精度及び偽陽性を更に改善することができる(P=65%、FP/日=0.29、すなわち、3日毎に約1回)。この新しいトレードオフは、75%に達するより良好なF1スコアを提供する。
【0128】
前述の説明は、予測エラーの臨床的影響を考慮するように設計されたアドホック費用関数を使用することによって識別される個別化された線形ブラックボックスモデルと、予測ファネル全体を考慮する改善されたアラーム戦略とに基づく、低血糖イベントを予測するための新しい手法を提供する。結果は、gMSE最小化を介して識別されたモデルが、MSEに基づくモデルよりも良好な低血糖予測性能を提供することを示す。更に、結果は、予測ファネルに基づく新しいアラーム発生モデルが、複数のPHを利用する可能性のおかげで、低血糖検出が改善されることを示す。両方の提案された改善の採用は、最良の性能を与える。
【0129】
予測性能を評価するために使用される低血糖エピソード(HE)の定義は、コンセンサス論文[39]において国際的な専門家の一団によって公式化されたことに留意することが重要である。BGが少なくとも15分間にわたって70mg/dLを下回る場合、HEが発生する。同じエピソードは、BGがこの閾値より上に少なくとも15分間留まるまで継続する。この定義によれば、BGが1つ又は2つの時間サンプルについてのみ低血糖閾値を下回る場合、低血糖エピソードは存在しない。これらの場合にアラームが発せられた場合には以下、「疑似低血糖エピソード」(quasi-hypoglycemic episode、qHE)、アラームはFPとしてカウントされる。
【0130】
qHEによって引き起こされるFPエラーは、他のFPよりも臨床的に関連性が低いと考えられ得るため、どの程度多くの偽陽性がこの種の偽陽性であるかを調査することは興味深い。最先端の技術の方法(MSE+単一PH手法、PH=30分)では、記録されたFPの26%がqHEに関連付けられたが、この割合は、新たに提案されたアルゴリズム(gMSE+予測ファネル)では34%まで上昇し、提案されたアルゴリズムの優位性を更に裏付ける。文献で頻繁に行われているように、FPカウントからこれらのイベントを破棄することで、最先端の手法では、FP/日を0.77から0.62に減少させ、精度を43%から54%に増加させるが、提案された手法では、FP/日を0.29から0.21に減少させ、Pを65%から73%に増加させる。
【0131】
採用されたHEの定義の別の結果は、単にBGトレースが70mg/dL閾値と交差することに基づく非予測的低血糖検出器であっても、偽陽性アラーム(FP/日=0.2)を発し得ることである。TPの本願発明者らの定義によれば、BGは遅いアラームのみを生成する(イベントは、TG=0分で開始したときはいつでも正確に検出される)。結果として、TPカウントは0に拘束され、再現率及び精度の両方は必然的に0である(すなわち、P=R=0)。
【0132】
試験結果は、個別化された低血糖予測を実行するときにアラートを生成することの適切性を決定するために、gMSEを使用するモデル訓練と予測ファネルの使用との両方を含むことの利点を示す。試験結果は、この分野における以前の寄与に対する改善を示す[10]、[14]、[16]、[17]、[19]、[20]、[22]~[24]。これらの以前の寄与は、注意と解釈されるべきである。イベントの異なる定義は、qHEに関して上述したように、最終的な測定基準(FP/日、P、R、F1、TG)に著しく影響を及ぼす可能性があり、HEの定義における一見したところ軽微な修正が、FP/日及び精度に対して無視できない影響を有する。更に、異なる検証データセットは、更なる交絡因子を導入する非常に異なる条件(高度に制御された臨床試験対実生活)において収集され得る。
【0133】
この注意点を考慮すると、得られた結果は、他の(線形回帰及び非線形回帰の両方に基づく)文献研究のほとんどと同等である。[10]、[19]、[20]の著者らは、それぞれ約93%、93%、及び86%の再現率に達し、これは、より低い精度(約24%、38%、及び62%)を犠牲にして、R=88%である本明細書に記載の手法の再現率に匹敵するか又はわずかに優れており、一方、本明細書に記載の手法は、P=65%を達成した。同様に、[14]、[24]は、R=100%の顕著な再現率を達成したが、非常に多数のFPを犠牲にしたものであった(1日当たり1より多いFP)。[16]、[17]、[23]の著者らは、より良好な精度(78%、90%、及び77%)で、本明細書に記載の手法を使用して得られた再現率と同様の再現率(89%、94%、及び94%)を示した。しかしながら、著者らは、より許容的なHE定義を採用した。例えば、TPとして考慮される[23]はまた、BGが低血糖閾値を通過した後に発せられるアラームであり、一方、本発明者らは、それらをFNとして考慮する。[16]では、管理された入院患者データを使用して性能を評価した。[22]の著者らは、わずかに劣った再現率(86%)を示し、誤アラームに関連するいかなる測定基準も報告しなかった。
【0134】
図10は、本明細書に開示される特定の実施形態による、低血糖及び高血糖イベントを予測するように構成されたコンピューティングデバイス1000を示すブロック図である。単一の物理デバイスとして示されているが、複数の実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、仮想デバイスを使用して、及び/又はクラウド環境などのいくつかのデバイスにわたって実装されてもよい。図示されるように、コンピューティングデバイス1000は、プロセッサ1005と、メモリ1010と、ストレージ1015と、ネットワークインターフェース1025と、1つ以上のI/Oインターフェース1020と、を備える。示される実施形態では、プロセッサ1005は、メモリ1010に保存されたプログラミング命令を取り出して実行するとともに、ストレージ1015に存在するデータを保存し、取り出す。プロセッサ1005は、一般に、単一のCPU及び/又はGPU、複数のCPU及び/又はGPU、複数の処理コアを有する単一のCPU及び/又はGPUなどを表す。メモリ1010は、一般に、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を表すために含まれる。ストレージ1015は、ディスクドライブ、フラッシュベースのストレージデバイスなどの任意の組み合わせでもよく、固定ディスクドライブ、リムーバブルメモリカード、キャッシュ、光ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(network attached storage、NAS)、又はストレージエリアネットワーク(storage area network、SAN)などの固定及び/若しくはリムーバブルストレージデバイスを含むことができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、入出力(input and output、I/O)デバイス1035(キーボード、モニタなど)は、I/Oインターフェース1020を介して接続することができる。更に、ネットワークインターフェース1025を介して、コンピューティングデバイス1000は、ユーザデータベース110及び/又は履歴記録データベース112などの1つ以上の他のデバイス及び構成要素と通信可能に連結することができる。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、インターネット、ローカルネットワークなどを含み得るネットワークを介して他のデバイスと通信可能に連結される。ネットワークは、有線接続、無線接続、又は有線接続と無線接続の組み合わせを含んでもよい。図示のように、プロセッサ1005、メモリ1010、ストレージ1015、ネットワークインターフェース1025、及びI/Oインターフェース1020は、1つ以上の相互接続1030によって通信可能に連結される。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、ユーザに関連付けられた表示デバイス107を表す。特定の実施形態では、上述したように、表示デバイス107は、ユーザのラップトップ、コンピュータ、スマートフォンなどを含むことができる。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、クラウド環境において実行されるサーバである。
【0136】
図示された実施形態では、ストレージ1015は、ユーザプロファイル118を含む。メモリ1010は、それ自体が予測モジュール116を含む意思決定支援エンジン114を含む。意思決定支援エンジン114は、コンピューティングデバイス1000によって実行されて、図4のワークフロー400の動作、図6のワークフロー600の動作、図7の方法700、及び/又は図9のワークフロー900の動作を実行する。
【0137】
追加の考慮事項
本明細書に開示された本方法は、本方法を達成するための1つ以上のステップ又は動作を含む。これらの方法ステップ及び/又は動作は、特許請求の範囲を逸脱することなく、互いに交換することができる。言い替えると、ステップ又は動作の特定の順番が特段指定されない限り、特定のステップ及び/又は動作の順番及び/又は使用は、特許請求の範囲を逸脱することなく、修正することができる。
【0138】
本明細書で使用される場合、項目リスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単独の部材を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」とは、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、acc、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの任意の他の順序)を網羅することを意図している。
【0139】
先の説明が提供されて、当業者が、本明細書に記載される様々な態様を実施することが可能になる。これらの態様に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に定義される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された態様に限定されることを意図されておらず、特許請求の範囲の言語と矛盾しない全範囲が対象とされるべきであり、そこでは、単数形の要素への言及は、特段記載されていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図されず、逆に「1つ以上」を意味することを意図されている。特段具体的に記述されていない限り、「いくつか」という用語は、1つ以上を指す。当業者にとって現在知られており、又は将来知られることになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的な等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲の中に包含されることが意図されている。更に、本明細書に開示されているいずれのものも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることを意図されていない。請求項の要素は、その要素が「のための手段」という語句を使用して明示的に列挙されていないか、又は方法の請求項の場合には、要素が「のためのステップ」という語句を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。
【0140】
本発明の様々な例が上で説明されているが、それらの例は、単なる例として提示され、限定を目的として提示されていないことを理解されたい。同様に、様々な図は、本開示のための例示的なアーキテクチャ構成又は他の構成を描くことができ、その構成は、本開示に含まれ得る特徴及び機能を理解することに役立つように実行される。本開示は、例示された例示的なアーキテクチャ又は構成に限定されないが、様々な代替のアーキテクチャ及び構成を使用して実施することができる。更に、本開示は、様々な例示的な例及び態様に関して上で説明されているが、個々の例のうちの1つ以上に記載された様々な特徴及び機能は、それらの適用可能性において、それらが説明されている特定の例に限定されないことを理解されたい。逆に、それらの特徴及び機能は、そのような例が説明されているか否かにかかわらず、またそのような特徴が説明された例の一部として提示されているか否かにかかわらず、本開示の他の例のうちの1つ以上に、単独で又は何らかの組み合わせで適用することができる。したがって、本開示の間口及び範囲は、上述の例示的な例のいずれによっても限定されるべきではない。
【0141】
本明細書に引用された全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた刊行物及び特許又は特許出願が、本明細書に含まれる本開示と矛盾する範囲では、本明細書は、かかるいかなる矛盾する材料に取って代わり、かつ/又はそれに優先することが意図されている。
【0142】
特段定義されない限り、全ての用語(技術的用語及び科学的用語を含む)は、それらが当業者にとって通例的及び慣例的な意味与えられるべきものであり得、本明細書においてそのように明示的に定義されない限り、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。
【0143】
本出願で使用される用語及び語句、並びにそれらの変形は、特に添付された特許請求の範囲において、他に明示的に記載されていない限り、限定することとは対照的に、オープンエンドとして解釈されるべきものである。前述の例としては、「含む」という用語は、「限定することなく含む」、「含むが、限定されない」など、を意味するように読み取られるべきである。本明細書で使用される場合の「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、説明中の項目の例示的な事例を提供するために使用され、その事例の網羅的又は限定的な列挙ではない。「既知」、「通常」、「標準」などの形容詞、及び同様の意味の用語は、説明される項目を所与の期間に対して、又は所与の時点で利用可能な項目に対して限定するものとして解釈されるべきではなく、逆に、現在又は将来の任意の時点で利用可能であるか又は既知である可能性がある既知の、通常の、又は標準の技術を包含するように読み取られるべきであり、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、若しくは「望ましい」、及び同様の意味の言葉は、特定の特徴が発明の構造又は機能にとって重要であり、必須であり、更には重要であることを暗示するものではなく、逆に、発明の特定の例において利用されてもされなくてもよい代替的又は追加的な特徴を強調することを単に意図されているものと理解されるべきである。同様に、接続詞「及び」を用いて連結される項目のグループは、これらの項目のうちのいずれも全てがグループに存在することを要求するものとして読み取られるべきではなく、むしろ、特段明示的に記述されない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「又は」を用いて連結される項目のグループは、当該グループ中で相互的な排他性を要求するものとして読み取られるべきではなく、逆に、特段明示的に記述されない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。
【0144】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的であるか、又はオープンエンドであり、追加又は非列挙の要素又は方法ステップを排除しない。
【0145】
本明細書で使用される原材料の量、反応条件、及びその他同様のものを表す全ての数値は、「約」と言う用語によって、全ての事例において修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、本明細書に記載された数値パラメータは、取得することが求められていた所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。最低限でも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め手法を考慮して解釈されるべきである。
【0146】
更に、上記は、明確さ及び理解の目的のため、例示及び実施例を使ってある程度詳細に説明されているが、特定の変更及び修正が実施され得ることは、当業者にとって明らかである。したがって、説明及び実施例は、本発明の範囲を、特定の実施例、及び本明細書に記載される実施例に限定するものとして解釈されるべきではなく、逆に、本発明の真の範囲及び趣旨とともにもたらされる全ての修正例及び代替例もカバーするものとして解釈されるべきである。
【0147】
参考文献
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【符号の説明】
【0148】
100 意思決定支援システム
102 ユーザ
104 連続分析物監視システム
104 分析物監視システム
104 連続分析物センサシステム
106 アプリケーション
106 分析物センサアプリケーション
107 表示デバイス
110 ユーザデータベース
112 履歴記録データベース
114 意思決定支援エンジン
116 予測モジュール
118 ユーザプロファイル
120 人口統計情報
122 疾患進行情報
124 医薬情報
126 アプリケーションデータ
128 入力
130 アラート
130 高血糖アラート
130 低血糖アラート
140 訓練サーバシステム
図1
図2
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図5A
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図10
【国際調査報告】