(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】充填機流量調整バルブの仮想圧力ベース制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 3/26 20060101AFI20241106BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20241106BHJP
B65B 57/14 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65B3/26
B65B9/20
B65B57/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501548
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022079771
(87)【国際公開番号】W WO2023072926
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ガルーティ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッラーニ、フェデリカ
(72)【発明者】
【氏名】バシッシ、ファビオ
【テーマコード(参考)】
3E050
3E118
【Fターム(参考)】
3E050AA08
3E050AB02
3E050BA01
3E050BA02
3E050BA11
3E050CA01
3E050CB03
3E050DA01
3E050DC01
3E050DF01
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB05
3E050HA01
3E050HA02
3E118AA07
3E118AB14
3E118BA03
3E118BA10
3E118BB04
3E118CA07
3E118DA06
3E118DA20
3E118EA01
3E118FA03
(57)【要約】
多層複合包装材料から複合パッケージ(2)を形成し、複合パッケージに注ぎ込み可能な製品を充填する充填機(1)の流量調整バルブ(6)を制御する方法であって、調整バルブの位置がパッケージを充填する製品の流れを制御する方法において、流量フィードバック制御を実施し、流量設定点(FSP)及び入口流量測定値(FIN)を受け取り、入口流量測定値(FIN)及び流量設定点(FSP)との差に基づいてフィードバック制御寄与度(CFB)を生成し、流量フィードバック制御モジュールの出力において生成されたフィードバック制御寄与(CFB)に基づいて、仮想圧力(PV)を生成し、流量フィードフォワード制御が、仮想圧力(PV)を受け取り、流体力学マップを使用して、流量設定点(FSP)及び仮想圧力(PV)に基づいて、フィードフォワード制御寄与(CFF)をその出力において生成し、フィードフォワード制御寄与度(CFF)は、流量調整バルブ(6)の作動位置を調整するための制御信号(Sc)を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合包装材料から複合パッケージ(2)を形成し、前記複合パッケージ(2)に注ぎ込み可能な製品を充填する充填機(1)の流量調整バルブ(6)を制御し、前記流量調整バルブ(6)が、前記複合パッケージ(2)に充填される注ぎ込み可能な食品の流れを制御する方法であって、
流量フィードバック制御を実施し、流量計(16)から流量設定点(F
SP)及び前記注ぎ込み可能な製品の入口流量測定値(F
IN)を受け取り、前記入口流量測定値(F
IN)及び前記流量設定点(F
SP)との差に基づいてフィードバック制御寄与度(C
FB)を生成し、
流量フィードフォワード制御を実施し、前記流量設定点(F
SP)を受け取り、前記注ぎ込み可能な製品の流量予備圧力に対する流量調整バルブ(6)の出力位置をマッピングした流体力学マップを使用して、フィードフォワード制御寄与度(C
FF)を生成し、
前記流量フィードバック制御モジュール(22)の出力において、前記フィードバック制御寄与度(C
FB)に基づいて仮想圧力(P
V)を生成し、
流量フィードフォワード制御において、前記仮想圧力(P
V)を受信し、前記流体力学マップを使用して、前記流量設定点(F
SP)及び前記仮想圧力(P
V)に基づいてフィードフォワード制御寄与度(C
FF)を出力として生成し、
前記流量調整バルブ(6)の作動位置を制御するための制御信号(S
c)をフィードフォワード制御寄与度(C
FF)から生成する、
方法。
【請求項2】
前記仮想圧力(P
V)が前記注ぎ込み可能な製品の圧力の推定表示である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流量フィードバック制御モジュール(22)の出力における前記フィードバック制御寄与度(C
FB)及び基準圧力値(P
ref)の関数として前記仮想圧力(P
V)を決定する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想圧力(P
V)を、前記基準圧力値(P
ref)と前記フィードバック制御寄与度(C
FB)との差として決定する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準圧力値(P
ref)が、前記充填機(1)の運転中に前記注ぎ込み可能な製品が到達し得る最大圧力値に対応する、
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体力学マップが、前記仮想圧力(P
V)及び前記流量設定点(F
SP)の値から、前記流量調整バルブ(6)の操作位置を提供する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記流量設定点(F
SP)が、前記流量調整バルブ(6)を通る製品の目標流量を示すものであり、開始流量パーセンテージ、公称流量パーセンテージ、機械速度流量パーセンテージ、レベル設定点及びレベル検出器(18)によって測定された製品レベルの1つ以上の関数として決定される、
記請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流量フィードバック制御が、比例-積分-微分(PID)モジュール(22)によって実施される、
記請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レベル検出器(18)から製品レベル測定値(L
M)を受け取り、
前記製品レベル測定値(L
M)と前記レベル設定点(L
SP)との間の差に基づき、比例-積分-微分制御による更なる制御寄与度(C
SP)を決定し、
前記流量設定点(F
SP)は、前記制御寄与度(C
SP)の関数である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填機(1)が、前記多層複合包装材料のウェブからチューブ(4)を形成するように構成され、前記チューブ(4)に前記注ぎ込み可能な製品を充填するための充填パイプ(5)を備え、前記流量調整バルブ(6)が、前記充填パイプ(5)を製品処理ライン(7)に接続するように構成されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
多層複合包装材料から複合パッケージ(2)を形成し、複合パッケージ(2)に注ぎ込み可能な製品を充填するように構成された充填機(1)の流量調整バルブ(6)を制御する制御システムであって、前記調整バルブ(6)は、前記複合パッケージ(2)に充填される製品の流量を調整するように構成されており、当該制御システムは、
前記流量調整バルブ(6)の作動位置を制御するための制御信号(S
C)を決定するように構成された制御ユニット(10)を備え、
前記制御ユニット(10)は、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、
制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載の制御システムを含む充填機(1)。
【請求項13】
多層複合包装材料のウェブからチューブ(4)を形成するように構成され、前記チューブ(4)に充填物を充填するための充填パイプ(5)を備え、
前記流量調整バルブ(6)は、前記充填パイプ(5)を製品処理ライン(7)に接続合するように構成される、
請求項12に記載の充填機。
【請求項14】
流量計(16)が、前記処理ライン(7)から前記充填チューブ(5)への前記注ぎ込み可能な製品の流れ方向に関して、前記流量調整バルブ(6)の上流側に配置されている、
請求項13に記載の充填機。
【請求項15】
制御ユニット(10)が、前記制御信号(S
c)を決定するための制御パラメータとして製品圧力測定値を受け取らない、
請求項12~14のいずれか一項に記載の充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合パッケージに注ぎ込み可能な食品を充填するための充填機の流量調整バルブを制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、果汁、UHT(超高温処理)牛乳、ワイン、トマトソースなど、多くの液体又は注ぎ込み可能な食品は、多層複合包装材料で作られた複合パッケージで流通・販売されている。
【0003】
典型的な例として、Tetra Brik AsePtiC(登録商標)として知られる注ぎ込み可能な食品用の立方体形状のパッケージが挙げられ、ラミネートされたストリップ状の包装材料をシールして折り畳むことによって作られている。この包装材料は、カートン及び/又は紙のベース層を含む多層構造を有し、両側をヒートシールプラスチック材料、例えばポリエチレンの層で覆われている。長期保存可能な製品用の無菌パッケージの場合、包装材料は酸素バリア材料、例えばアルミニウム箔の層を含み、この層はヒートシールプラスチック材料の層と重なり、さらに別のヒートシールプラスチック材料の層で覆われて、最終的に食品に接触する包装の内面を形成する。
【0004】
この種の複合パッケージは、通常、全自動充填(又は包装とも表記される)工場内で製造され、この工場は、少なくとも、(リールから巻かれた)多層複合包装材料のウェブから出発して複合パッケージを形成し、複合パッケージに注ぎ込み可能な食品を充填する。
【0005】
典型的な包装工場は、多層複合包装材料から複合パッケージを形成し、複合パッケージに注ぎ込み可能な食品を充填する充填機を少なくとも備える。さらに、包装工場は、充填機から複合パッケージを受け取り、複合パッケージに追加の処理を実行する、下流処理装置も備えることができる。下流処理装置は、例えば、複合パッケージを一時的に緩衝するための緩衝ユニット;複合パッケージに例えばストローを塗布するための塗布ユニット;複数の複合パッケージを保管ユニット(パレット等)で一緒にグループ化するためのグループ化ユニット、例えばパレタイザーユニットのうちの1つ以上を備え得る。
【0006】
公知の充填機、特に多層複合パッケージへ液体又は注ぎ込み可能な食品の充填に使用されるロール供給式充填機では、液体食品は、パイプ5を介してチューブ4に供給され、調整バルブ6は、パイプ5を通ってチューブ4に到達し、パッケージ2に充填される液体食品の流れを調整するために使用される。
【0007】
この充填機は、制御ユニットを備えており、この制御ユニットは、調整バルブに動作可能に連結されており、同じ調整バルブに制御信号を供給して、その開閉を調節し、それによって、パイプ5を通ってチューブ4内への液体の流れを調節するように構成される。
【0008】
公知の解決策によれば、制御ユニットは、流量設定点及び流量計センサから受信した入口製品流量測定値を入力として受信する、流量比例-積分-微分(PID)モジュールを実装するように構成される。流量PIDモジュールの出力は、流量計によって測定された実流量と、流量設定点によって表される所望の流量との間の差に基づく第1の制御修正動作を表す。
【0009】
制御ユニットはさらに、流量設定点を入力として受け取る流量フィードフォワード(FF)モジュールを実装するように構成されている。流量フィードフォワードモジュールは、その出力において、流量設定点及び設計により固定された値を有する公称入口圧力の関数として、流量設定点及び圧力値に関してバルブ位置をマッピングする流体力学マップを使用して、第2の制御修正動作を生成する。
【0010】
流量比例-積分-微分(PID)モジュールと流量フィードフォワードモジュールの出力(両方とも調節バルブの制御位置を示す)は、制御ユニットで組み合わされ、調節バルブの制御信号を生成し、その結果、組み合わされた制御作用の関数として調節される。
【0011】
本出願人名義で2021年6月18日に出願された欧州特許出願第21180243号は、調整バルブを制御するための有利かつ効果的な解決策を開示している。
【0012】
この解決手段によれば、充填機は、処理ラインからパイプに向かって供給される液体食品の入口圧力測定値を決定するための圧力センサをさらに備え、圧力センサは、パイプに向かう液体食品の流れ方向に関して、調整バルブの上流側に配置される。
【0013】
入口圧力測定値は、さらなる制御パラメータとして、特に流量フィードフォワードモジュールの入力として、制御ユニットに提供される。
【0014】
上述の欧州特許出願第21180243号に開示されているように、流量フィードフォワード制御モジュールの入力として入口圧力測定値を使用することにより、加工ラインからのリアルタイムの圧力測定値にも基づいて調整バルブを調整できるので、同じ加工ラインにおける圧力変化や変動に調整バルブが迅速に適応することができ、特に有利である。例えば、製品ラインの外乱により処理ラインの圧力が低下した場合、調整バルブを調整してこの圧力低下を補正し得る。
【0015】
これに関して、
図1は、流量調整弁の制御された位置へのそれぞれの寄与を決定するために、流量フィードフォワード制御モジュールに実装された流体力学的マップに関連する例示的なプロットを示している。グラフは、流量(y軸)対バルブ位置(x軸)をプロットしており、各グラフは異なる圧力値(例では、P
1~P
11)に言及している。
【0016】
特に、流量設定値が与えられた場合、
図1は、流量調整バルブの位置を決定するために、公称入口圧力値(設計値)の代わりに、圧力センサによって提供される入口圧力測定値を使用する利点を示している。
【0017】
本出願人は、有利ではあるが、ある場面では別の解決策が好ましいことに気づいた。
【0018】
特に、処理ラインに沿って圧力センサを設置することは、例えば、顧客の制約、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの制限、またはその他の理由により、充填機によっては不可能な場合があり、そのため、上述の欧州特許出願第21180243号に開示された制御ソリューションを実施することができず、関連する利点に到達することができない。例えば、機械に物理的な制約が存在し、圧力センサの導入が物理的に現実的でない場合がある。また、経済的な理由、例えば、部品が壊れた場合に保守及び/又は交換が必要なため、特定の顧客が圧力センサの導入を避けたいと考える場合もある。
【0019】
したがって、充填機の現在のレイアウトを維持しながら(すなわち、処理ラインに沿って圧力センサを設置することなく)、製品ラインの外乱に対する反応を改善することができる流量調整弁を制御するためのソリューションが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本解決の目的は、流量調整バルブを制御するための改良されたシステム及び方法を提供することであり、これにより、上述の必要性を少なくとも部分的に満たすことができる。
【0021】
本解決によれば、添付の特許請求の範囲に定義されるように、制御方法及びシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】流量調整弁を制御するための既知の解決策による、充填機の制御ユニットの動作に関連する量のプロットを示す。
【
図2】対応する制御ユニットを備えた充填機の概略図である。
【
図3】可能な実施形態による充填機の制御装置の概略ブロック図である。
【
図4】
図3の制御装置の動作に関連する量のプロットを示す。
【
図5】1つまたは複数の実施形態による充填機の制御ユニットの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2は、本制御ソリューションを実施することができる充填機1(包装機とも呼ばれることがある)を例として示している。この例では、充填機1は、多層複合パッケージ2に液体又は注ぎ込み可能な食品を充填するために使用されるロール供給式充填機である。
【0025】
多層複合包装材料は、例えば紙又は板紙層等の繊維質材料の少なくとも1つの層と、繊維質材料の層を互いの間に介在させる、例えばポリエチレン等のヒートシールプラスチック材料の少なくとも2つの層とを備え得る。これら2層のヒートシールプラスチック材料のうちの1層は、最終的に同じ複合パッケージ2内に包装された注ぎ込み可能な食品に接触する複合パッケージ2の内側面を画定する。
【0026】
多層複合包装材はまた、特にヒートシールプラスチック材料の層の1つと繊維質材料の層との間に配置される、ガスバリア性及び光バリア性材料の層、例えばアルミニウム箔又はエチレンビニルアルコール(EVOH)フィルムを含んでもよい。好ましくは、多層複合包装材は、ガスバリア性及び光バリア性材料の層と繊維質材料の層との間に介在されるヒートシールプラスチック材料のさらなる層を含んでもよい。
【0027】
特に、多層複合包装材料はウェブの形で提供され、特に包装材料リール3に巻き取られ、そこからウェブ供給方向Aに充填機1を通って供給される。
【0028】
液体食品は、パイプ5を介してチューブ4に供給され、調整バルブ6は、パイプ5を通ってチューブ4に到達し、パッケージ2に充填される液体食品の流れを調整するために使用される。特に、調整バルブ6は、パイプ5を処理ライン7に連結し、この処理ライン7は、包装前の液体食品を(公知の方法で)処理するように構成されている(処理ライン7は、タンク又は同様の貯蔵要素7’にも連結されている)。
【0029】
チューブ4の下端8は折り畳み装置9に供給され、そこで横方向のシールが行われ、チューブ4は弱化線とも呼ばれる折り畳み線に従って折り畳まれ、その後、液体食品が充填された複合パッケージ2が形成されるように切断される。
【0030】
図2に示すように、充填機1は、チューブ4の形成前に、ウェブを不要な微生物から確実に除去するための滅菌装置S、例えば過酸化水素浴又はLVEB(低電圧電子ビーム)ステーションをさらに備える。
【0031】
充填機1は、制御ユニット10をさらに備えており、この制御ユニット10は、(ここでは図示されていないが、充填機1の動作を管理するための他の機能に加えて)調整バルブ6に動作可能に連結されており、同じ調整バルブ6に制御信号SCを供給して、その位置を調節し、それによって、パイプ5を通ってチューブ4内への液体の流れを調節するように構成される。
【0032】
制御ユニット10は、例えば、(プログラマブルロジックコントローラ)又は任意の適切な処理及び演算ユニットを含み、調整バルブ6に対して上記の制御信号SCを生成するように設計されたコンピュータプログラムを実行するように構成されている。
【0033】
充填機1はさらに、流量計16とレベル検出器18を備える。
【0034】
流量計16は、処理ライン7から充填機1に供給される液体食品の入口製品流量測定値FINを決定し、レベル検出器18は、パッケージ2に充填するためにパイプ5からチューブ4に供給される液体食品の製品レベル測定値LMを決定する。
【0035】
決定された製品流量およびレベル測定値FIN、LMは、制御パラメータとして、有線または無線で制御ユニット10に提供される。
【0036】
特に、流量計16は、充填機1内への液体食品の流れ方向に関して、調整バルブ6の上流側に配置され、レベル検出器18は、チューブ4内の流体のレベルを検出するように(例えば、電磁式測定を介した非接触式で)、任意の適切な方法で(例えば、チューブ4に近接して)配置される。
【0037】
提案された解決策では、充填機1は、加工ライン7からパイプ5に向かって供給される液体食品の入口圧力測定値を決定するための圧力センサを必要としない。換言すれば、圧力測定値は、調整バルブ6の位置を調整するために制御ユニット10によって使用される制御パラメータではない。
【0038】
図3は、本解決手段の1つまたは複数の実施形態による制御ユニット10の概略ブロック図であり、流量計16から入口製品流量測定値F
IN、および流量設定値F
SPを受け取るように構成されている。
【0039】
制御ユニット10は、流量フィードフォワード(FF)制御モジュール20と流量フィードバック(FB)制御モジュール22とを備え、両モジュールともそれぞれの入力として流量設定点FSPを受信する。
【0040】
流量設定点FSPは、調整バルブ16を通ってパイプ5からチューブ4へ向かう製品の目標流量を示す。流量設定点FSPは、開始流量パーセンテージ、公称流量パーセンテージ、機械速度流量パーセンテージ、レベル設定点及び/又は製品レベル(レベル検出器18によって測定される)の1つ又は複数の関数として決定され得る。
【0041】
流量フィードバック制御モジュール22は、さらに流量計16からの入口製品流量測定値FINを入力として受け取る。
【0042】
一実施形態において、流量フィードバック制御モジュール22は、比例-積分-微分(PID)モジュールによって実施され、このモジュールは、流量設定点FSP(所望の流量を表す)と流量計16によって測定された入口製品流量測定値FIN(実流量を表す)との間の差に基づいて、比例制御作用、積分制御作用及び微分制御作用(ここでは詳細には説明しない任意の既知の方法で)に基づいて、その出力においてフィードバック制御寄与度CFBを生成する。換言すれば、上記の差は、流量設定点FSPによって表される期待流量と、流量計16によって測定された製品の実流量との間の差を示す。
【0043】
図3に示すように、流量設定値F
SPと入口製品流量測定値F
INとの間の差は、第1の加算ブロック23で実行され、その出力は流量フィードバック制御モジュール22に入力される。
【0044】
本解決策の特定の態様によれば、流量フィードフォワード制御モジュール20は、その入力として、流量フィードバック制御モジュール22の出力で生成されたフィードバック制御寄与CFBに基づく仮想圧力PVを受け取る。
【0045】
流量フィードフォワード制御モジュール20は、流量設定点FSP及び仮想圧力PVの値に基づいて調整バルブ6の制御位置値を提供する流体力学マップを用いて、その出力において、流量設定点FSP及び上記仮想圧力PVに基づき、出力としてフィードフォワード制御寄与度CFFを生成する。
【0046】
特に、本解決手段の一態様によれば、流量フィードフォワード制御モジュール20によって生成されるフィードフォワード制御寄与CFFは、充填機1の流量調整バルブ6の制御信号Scを(排他的かつ独立した方法で)直接定義し、その開閉(閉位置から全開位置までの範囲のバルブの位置)を調整し、それによって、充填されたパッケージ12を形成するために、そこを通過する液体食品の流れをパイプ5内へ、次いでチューブ4内へ調整する。
【0047】
この点に関して、
図4は、フィードフォワード制御寄与度C
FF(すなわち、調整バルブ6の位置)を決定するために、流量フィードフォワード制御モジュール20に実装された流体力学マップの例示的なグラフを示す。特に、グラフは、制御されたバルブ位置(y軸)対圧力降下(x軸)をプロットしており、各グラフは、異なる流量設定点(本実施例では、F
1~F
14)に言及している。
【0048】
特に、流量設定点 FSPの値が与えられると、仮想圧力PVの値によって、関連するグラフ上の調整バルブ6の実際の作動点と、同じ流量調整バルブ6の対応する制御位置を決定できる(制御信号Scを決定する)。
【0049】
特に、仮想圧力PVは、流量フィードバック制御モジュール22の出力で生成されるフィードバック制御寄与度CFBと、基準圧力値Prefの関数として決定される。
【0050】
より詳細には、仮想圧力PVの値は、基準圧力値Prefとフィードバック制御寄与度CFBとの差として決定され、第2の加算ブロック24で実行される。例えば、フィードバック制御寄与度CFBの単位は、基準圧力値Prefと同じであってもよい。
【0051】
一実施形態によれば、基準圧力値Prefは、充填機1の運転中に加工ライン7からパイプ5に向かって供給される際に、液体食品が到達し得る最大圧力値に対応する。最大圧力値は、用途に固有であってもよく、及び/又は用途に応じて変化してもよい。
【0052】
したがって、制御ユニット10の操作は、流量フィードバック制御ループの関数として製品圧力の推定値(仮想圧力PV)を計算することによって、充填流体製品の流量と圧力変動の間の直接的な比例関係を利用する。
【0053】
フィードバック制御寄与度CFBは、測定流量(入口製品流量測定値FIN)を流量設定点FSPに到達させるためにPID制御ループによって決定される補正を示す。(直接比例関係による)この同じ補正を基準圧力Prefに適用して、例えば調整バルブ6における充填製品圧力の推定表示を示す仮想圧力PVを決定できる(それにより、製品圧力を実際に測定するための専用圧力センサの使用を回避する)。
【0054】
【0055】
この実施形態では、制御ユニット10は、それぞれの比例-積分-微分(PID)制御モジュールによって実装されるレベルフィードバック制御モジュール32をさらに備えてもよく、この制御モジュール32は、比例制御、積分制御及び微分制御の動作(ここでは詳細には説明しない任意の既知の方法)に従って、レベル検出器18から受信された製品レベル測定値LM(実際の製品レベルを表す)と、レベル設定点LSP(所望の製品レベルを表す)との間の差に基づいて、出力として、流量設定点FSPを示すさらなる制御寄与度CSPを生成する。
【0056】
図5に示すとおり、製品レベル測定値L
Mとレベル設定値L
SPとの間の上記差は、第3の加算ブロック33において実行され、その出力として、レベルフィードバック制御モジュール32の入力を表す。
【0057】
この場合、制御ユニット10は、圧力値及びレベル測定値に基づいて、二重PID制御ループを実装し、(充填機1のさらに安定した動作を達成するため)製品レベルに基づいて追加の制御動作で調整バルブ6を通る流量を調整する。
【0058】
上記の更なる制御寄与度CSPは、流量フィードバック制御モジュール22の入力で提供される実際の流量設定点FSPを表してもよい。
【0059】
図5に示す実施形態では、更なる制御寄与度C
SPは、第1のスイッチ33aを介して、出力で流量設定点F
SPを生成し、さらに入力で機械流量寄与度C
Mを受け取る加算ブロック34に選択的に供給される。
【0060】
特に、この機械流量寄与度CMは、乗算器ブロック36によって生成される。乗算器ブロック36は、入力として、機械速度パーセンテージ、及び選択的に、公称流量パーセンテージ(第2のスイッチ33bを介して)、又は開始流量パーセンテージ(ランプ発生器35及び第3のスイッチ33cを介して)のいずれかを受け取る。
【0061】
既知の方法において、機械流量寄与度CMは、充填機1の開始時の流量設定点FSPへの寄与を表し得る。
【0062】
議論されている解決策の利点は、前述の説明から明らかである。
【0063】
いずれにせよ、制御ユニット10によって実行される改善された制御動作によって、瞬間的な流量(及び圧力)変動と外乱を補償し、調整バルブ6のより正確な応答を提供することを可能にすることが強調される。
【0064】
したがって、充填機1のより安定した運転が達成され、充填されたパッケージ内の製品のレベル及び流れがより安定し、製品ラインの乱れがある場合に製品及びパッケージの無駄が減少する。
【0065】
有利なことに、上記の改善は、製品処理ラインに沿って追加部品を必要とすることなく達成される。特に、流量フィードバック制御ループの出力に基づく仮想圧力PVの推定によって同じ製品圧力の表示が達成されるため、入口製品圧力の測定を提供するための圧力センサは必要ない。
【0066】
しかしながら、添付の特許請求の範囲に定義された保護範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された内容に変更を加えてもよい。
【0067】
特に、説明した解決策は、どのような包装機や充填機にも、またどのような種類の注ぎ込み可能な食品にも適用できる。
【国際調査報告】