(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】エネルギー計量のための線周波数及び位相ロックループを有するサンプリングレート変換器
(51)【国際特許分類】
G01R 23/16 20060101AFI20241106BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20241106BHJP
G01R 19/25 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01R23/16 B
G01R23/16 D
G01R19/00 A
G01R19/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518333
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022048893
(87)【国際公開番号】W WO2023086268
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】ボビック,デイビッド エイ
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AB08
2G035AC03
2G035AD28
2G035AD52
2G035AD55
2G035AD65
(57)【要約】
電力信号を処理する方法は、交流を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信することと、アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換することと、アナログ多相信号の基本周波数を検出することと、基本周波数に基いて基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定することと、デジタル多相信号を第2のサンプリングレートで再サンプリングすることと、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて再サンプリングされたデジタル多相デジタル信号を周波数領域信号に変換することと、基準電圧成分の位相角を計算することと、計算された位相角を補償して再サンプリングされたデジタル多相信号を調整することと、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号をFFTを用いて更新された周波数領域信号に変換することと、更新された周波数領域信号に基づいて1つ以上の測定値を計算することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力信号を処理する方法であって、
交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信することであって、前記アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する、受信することと、
アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用して、前記アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換することと、
前記デジタル多相信号に基づいて前記アナログ多相信号の基本周波数を検出することと、
前記基本周波数に基づいて前記基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定することと、
前記デジタル多相信号を前記第2のサンプリングレートで再サンプリングすることと、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、
前記再サンプリングされたデジタル多相デジタル信号を、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換することと、
前記周波数領域信号に基づいて前記基準電圧成分の位相角を計算することと、
前記計算された位相角を補償することによって、前記再サンプリングされたデジタル多相信号を調整することと、
前記調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換することと、
前記更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記アナログ多相信号は三相電力信号であり、前記基準電圧成分はA相線電圧である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基本周波数を検出することは、
通過帯域を有するバンドパスフィルタに前記多相デジタル信号を印加することと、
2つの隣接するゼロ交差を検出することと、
前記2つの隣接するゼロ交差に基づいて前記基本周波数を計算することと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記通過帯域は50Hz~60Hzである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタは、8次楕円双2次バンドパスフィルタである、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記8次楕円双2次バンドパスフィルタは、カスケードされた4つの双2次フィルタを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のサンプリングレートを決定することは、前記第2のサンプリングレートを前記基本周波数の整数倍として設定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のサンプリングレートを決定することは、F
Sが前記第2のサンプリングレートであり、F
Lが前記基本周波数であり、N
LCが所定の期間におけるサイクルの最大整数である、
【数1】
に従って前記第2のサンプリングレートを設定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のサンプリングレートで前記デジタル多相信号を再サンプリングすることは、
前記デジタル多相信号をL倍にアップサンプリングすることであって、Lは整数である、アップサンプリングすることと、
前記アップサンプリングされたデジタル多相信号をM倍にダウンサンプリングすることであって、ここで、M=LF
ADC/F
Sであり、F
Sは前記第2のサンプリングレートであり、F
ADCは前記第1のサンプリングレートである、ダウンサンプリングすることと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アップサンプリングすること及び前記ダウンサンプリングすることは、多相フィルタバンクを含む多相リサンプラを使用することによるものである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
配電ネットワークに接続されるデバイスであって、
前記配電ネットワークを介して交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信するように構成された感知回路であって、前記アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する、感知回路と、
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
前記コンピュータ可読命令を記憶するように構成されたメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用して、前記アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換することと、
前記デジタル多相信号に基づいて前記アナログ多相信号の基本周波数を検出することと、
前記基本周波数に基づいて前記基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定することと、
前記デジタル多相信号を前記第2のサンプリングレートで再サンプリングすることと、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号を、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換することと、
前記周波数領域信号に基づいて前記基準電圧成分の位相角を計算することと、
前記計算された位相角を補償することによって、前記再サンプリングされたデジタル多相信号を調整することと、
前記調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換することと、
前記更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算することと、
を含む動作を実行させるメモリと、
を備える、デバイス。
【請求項12】
前記アナログ多相信号は三相電力信号であり、前記基準電圧成分はA相線電圧である、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記基本周波数を検出することは、
通過帯域を有するバンドパスフィルタに前記デジタル多相信号を印加することと、
2つの隣接するゼロ交差を検出することと、
前記2つの隣接するゼロ交差に基づいて前記基本周波数を計算することと、
を含む、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記バンドパスフィルタは、8次楕円双2次バンドパスフィルタである、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記8次楕円双2次バンドパスフィルタは、カスケードされた4つの双2次フィルタを含む、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2のサンプリングレートを決定することは、前記第2のサンプリングレートを前記基本周波数の整数倍として設定することを含む、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2のサンプリングレートで前記デジタル多相信号を再サンプリングすることは、
前記デジタル多相信号をL倍にアップサンプリングすることであって、Lは整数である、アップサンプリングすることと、
前記アップサンプリングされたデジタル多相信号をM倍にダウンサンプリングすることであって、ここで
【数2】
であり、F
Sは前記第2のサンプリングレートであり、F
ADCは前記第1のサンプリングレートである、ダウンサンプリングすることと、
を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記アップサンプリングすることと及び前記ダウンサンプリングすることとは、多相フィルタバンクを含む多相リサンプラを使用することによるものである、
請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
電子エネルギーメータであって、
配電ネットワークを介して交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信するように構成されたセンサであって、前記アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する、センサと、
前記アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)と、
前記ADCに接続された電力信号処理ユニットであって、
前記デジタル多相信号に基づいて前記アナログ多相信号の基本周波数を検出し、
前記基本周波数に基づいて前記基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定し、
前記デジタル多相信号を前記第2のサンプリングレートで再サンプリングし、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号を高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換し、
前記周波数領域信号に基づいて前記基準電圧成分の位相角を計算し、
前記再サンプリングされたデジタル多相信号を、前記計算された位相角を補償することによって調整し、
前記調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換し、
前記更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算するように構成された電力信号処理ユニットと、を備える、電子エネルギーメータ。
【請求項20】
前記第2のサンプリングレートを決定することは、前記第2のサンプリングレートを前記基本周波数の整数倍として設定することを含む、
請求項19に記載の電子エネルギーメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電力信号処理に関し、より具体的には、エネルギー計量(メータリング)のためのサンプリングレート変換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サービスプロバイダは、分散ネットワークを利用して、広い地理的領域にわたって顧客にサービスを提供する。例えば、電力会社は、配電線を使用して、1つ又は複数の発電所から住宅及び商用の顧客サイトに電力を運ぶ。発電所は、配電線を介して長距離にわたって電力を伝送するために交流(AC)を使用する。比較的高い電圧を使用して長距離伝送を達成することができる。顧客サイトの近くに配置された変電所は、(例えば、変圧器を使用する)高電圧から低電圧への降圧を提供する。配電線は、この低電圧ACを変電所からエンドポイントデバイスの顧客サイトに運ぶ。
【0003】
典型的には、電子エネルギーメータは、顧客によるエネルギー消費を監視するために顧客サイトに設置される。電子エネルギーメータは、典型的にはキロワット時(「kWh」)で測定される、顧客によって消費されたエネルギー量を追跡する。サービスプロバイダは、エネルギー消費情報を課金や資源配分予測などの他の目的に使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アナログ-デジタル変換器(ADC)は、通常、配電線から来るアナログ信号をさらに処理されるデジタル信号に変換するために使用される。ADCのサンプリングレートが配電線の線周波数(配電線周波数)の整数倍でない場合、小数部分の補償が必要であるため、エネルギー測定値の計算が複雑になる。
【0005】
さらに、ADCのサンプリングレートが線周波数の整数倍になるように設計されていても、線周波数はその公称値から逸脱することができる。線周波数は、典型的には60Hz又は50HZであるが、線周波数が公称線周波数から逸脱することは珍しくない。例えば、60Hzの許容範囲は、±0.5%、すなわち59.7Hz~60.3Hzである。線周波数ジッタは、線周波数の整数倍であるADCのサンプリングレートを有することをさらに困難にする。
【0006】
したがって、単純化され、正確で、効率的なエネルギー測定を容易にすることができ、ADCサンプリングレートに依存せず、線周波数ジッタの影響を受けない再サンプリング技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の態様及び特徴は、電力信号のサンプリングレートを変換するためのシステム及び方法を含む。
【0008】
本開示の一態様によれば、電力信号を処理する方法が提供される。本方法は、以下の動作、すなわち、交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信する動作であって、アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する、受信する動作と、アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用して、アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換する動作と、デジタル多相信号に基づいてアナログ多相信号の基本周波数を検出する動作と、基本周波数に基づいて基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定する動作と、デジタル多相信号を第2のサンプリングレートで再サンプリングする動作と、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、再サンプリングされたデジタル多相デジタル信号を、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換する動作と、周波数領域信号に基づいて基準電圧成分の位相角を計算する動作と、計算された位相角を補償することによって、再サンプリングされたデジタル多相信号を調整する動作と、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換する動作と、更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算する動作と、を含む。
【0009】
本開示の別の態様によれば、配電ネットワークに接続されたデバイスが提供される。本デバイスは、配電ネットワークを介して交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信するように構成された感知回路(センシング回路)であって、アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する感知回路と、コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶するように構成されたメモリであって、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用して、アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換する動作と、デジタル多相信号に基づいてアナログ多相信号の基本周波数を検出する動作と、基本周波数に基づいて基本周波数を追跡するための、第2のサンプリングレートを決定する動作と、デジタル多相信号を第2のサンプリングレートで再サンプリングする動作と、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、再サンプリングされたデジタル多相信号を、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換する動作と、周波数領域信号に基づいて基準電圧成分の位相角を計算する動作と、計算された位相角を補償することによって、再サンプリングされたデジタル多相信号を調整する動作と、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換する動作と、更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算する動作と、を実行させるメモリと、を備える。
【0010】
本開示のさらに別の態様によれば、電子エネルギーメータが提供される。電子エネルギーメータは、配電ネットワークを介して交流(AC)を使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信するように構成されたセンサであって、アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分と、基準電圧成分を含む少なくとも1つの電圧成分とを有する、センサと、アナログ多相信号を第1のサンプリングレートでサンプリングされたデジタル多相信号に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)と、ADCに接続された電力信号処理ユニットと、を含む。電力信号処理ユニットは、デジタル多相信号に基づいてアナログ多相信号の基本周波数を検出し、基本周波数に基づいて基本周波数を追跡する、第2のサンプリングレートを決定し、デジタル多相信号を第2のサンプリングレートで再サンプリングし、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、再サンプリングされたデジタル多相信号を、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域信号に変換し、周波数領域信号に基づいて基準電圧成分の位相角を計算し、計算された位相角を補償することによって、再サンプリングされたデジタル多相信号を調整し、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号を、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換し、更新された周波数領域信号に基づいて1つ又は複数の測定値を計算するように構成される。
【0011】
これらの例示的な例は、本開示を限定又は定義するためではなく、その理解を助けるための例を提供するために言及される。さらなる例及びさらなる説明は、詳細な説明に提供される。
【0012】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な電力信号処理ユニットが動作する例示的な環境を示す図である。
【
図2】電力信号を処理する例示的な方法を示すフローチャート図である。
【
図3】
図2に示すステップ206の一例を示すフローチャート図である。
【
図4】
図1に示す基本周波数検出器106の例示的な実施態様を示す図である。
【
図5A】8次楕円双2次バンドパスフィルタの一例を示す図である。
【
図5B】
図5Aに示す例示的な8次楕円双2次バンドパスフィルタ500に使用される1つの双2次フィルタを示す図である。
【
図6】
図5Aに示す8次楕円双2次バンドパスフィルタ500の周波数応答を示す図である。
【
図7】
図4に示すゼロ交差検出器408を使用した補間動作の一例を示す図である。
【
図8】
図1に示すサンプリングレート変換器108の一例を示す図である。
【
図9】コンピューティングシステム900の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の態様は、エネルギー計量のためのサンプリングレート変換技術に関する。本開示のいくつかの態様によれば、アナログ多相信号がADCによって受け取られ、アナログ多相信号は、例えば、3つの電圧成分(例えば、A相線電圧、B相線電圧、及びC相線電圧)及び3つの電流成分(例えば、A相線電流、B相線電流、及びC相線電流)を有する。電圧成分及び電流成分のうち、A相線電圧は、一実施態様では基準(「基準チャネル」と呼ばれることもある)として使用される。
【0015】
基本周波数検出器は、サンプリングされたデジタル多相信号に基づいて、アナログ多相信号の基本周波数(すなわち、線周波数)を検出する。次いで、サンプリングレート変換器(「リサンプラ」ともいう)の出力サンプリングレートが基本周波数に基づいて決定される。出力サンプリングレートは、出力サンプリングレートがADCサンプリングレートから独立し、線周波数ジッタの影響を受けないように、基本周波数を追跡する。次いで、サンプリングレート変換器は、デジタル多相信号を再サンプリングする。一実施態様では、再サンプリング動作は、2つの信号処理動作、すなわち補間動作及び間引き動作に基づく。補間動作中、サンプリングレートはより高いサンプリングレートにアップコンバートされ、間引き動作中、より高いサンプリングレートは、上述したように、基本周波数を追跡する出力サンプリングレートにダウンコンバートされる。一例では、サンプリングレート変換器は、多相フィルタバンクを含む多相リサンプラを使用して実施される。次いで、高速フーリエ変換(FFT)バンクは、再サンプリングされた多相デジタル信号を周波数領域信号に変換する。計量測定計算機は、基準電圧成分(例えば、A相線電圧)の位相角を計算する。計算された位相角は、フィードバックとしてサンプリングレート変換器に送られ、再サンプリングされたデジタル多相信号は、計算された位相角に基づいて調整される。一実施態様では、基準電圧成分のゼロ交差は、再サンプリングされたデジタル信号の各サイクルについて第1のサンプルにロックされる。このように、位相ロックループが存在し、再サンプリングされたデジタル多相信号は位相ロックされる。再サンプリングされたデジタル多相信号が位相ロックされた後、計量測定計算機は、周波数領域信号に基づいて様々な測定値を計算することができる。上記態様の詳細については、
図1~
図9を用いて後述する。以下に説明するように、サンプリングレート変換技術は、単純化され、正確で、効率的なエネルギー測定を容易にすることができ、ADCサンプリングレートに依存せず、線周波数ジッタの影響を受けない。
【0016】
図1は、電力信号処理ユニット100が動作する例示的な環境を示す図である。電力信号処理ユニット100は、ADC102に直接的又は間接的に接続され、ADC102は、配電線から直接的又は間接的に入力信号を受信する。一実施態様では、入力信号はアナログ多相信号であり、ADC102はアナログ多相信号をデジタル多相信号に変換する。一例では、入力信号はアナログ三相信号である。別の例では、入力信号はアナログ二相信号である。本開示を通してアナログ三相信号が例として使用されているが、これに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、補償及び調整ユニット104がADC102と電力信号処理ユニット100との間に結合される。補償及び調整ユニット104は、ADC102によってサンプリングされたデジタル信号の較正及び温度調整のためのものである。電力信号処理ユニット100は、ADC102から受信したデジタル多相信号を処理し、電圧、電流、及び/又はエネルギー測定値などの様々な計量測定値を出力するように構成される。
図1に示す例では、電力信号処理ユニット100は、とりわけ、基本周波数検出器106、サンプリングレート変換器108、高速フーリエ変換(FFT)バンク110、及び計量測定計算機112を含む。電力信号処理ユニット100はまた、他の実施態様において他の構成要素を含むことができることに留意されたい。
【0017】
上述したように、ADC102は、アナログ多相信号を受信してデジタル多相信号に変換し、デジタル多相信号は、第1のサンプリングレート(「ADCサンプリングレート」ともいう)FADCでサンプリングされる。一実施態様では、ADC102は、アナログ多相信号kを受信するように構成された感知回路に接続される。一実施態様では、ADC102は、ACを使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号を受信するように構成されたセンサに接続される。上述したように、アナログ多相信号は、少なくとも1つの電流成分及び少なくとも1つの電圧成分を有し、そのうちの1つは基準電圧成分(例えば、A相線電圧)である。一例では、ADCサンプリングレートFADCは14648Hzである。他の例では、他のADCサンプリングレートを使用することができる。
【0018】
デジタル多相信号は、基本周波数検出器106にさらに供給され、基本周波数検出器は、変換されたデジタル多相信号に基づいて、アナログ多相信号の基本周波数(すなわち、線周波数)F
Lを検出する。一実施態様では、基本周波数検出器106は、バンドパスフィルタ及びゼロ交差検出器を含み、その詳細は
図3~
図7を参照して後述する。
【0019】
基本周波数F
Lが検出された後、基本周波数F
Lがサンプリングレート変換器108に供給され、第2のサンプリングレート(「出力サンプリングレート」ともいう)F
Sが決定される。出力サンプリングレートF
Sは、基本周波数F
Lに基づいて基本周波数F
Lを追跡する。基本周波数F
Lがその公称値から逸脱すると、出力サンプリングレートF
Sは比例して調整される。これにより、出力サンプリングレートF
Sは、基本周波数F
Lに周波数ロックされる。すなわち、電力信号処理ユニット100は、
図1に示すような周波数ロックループ122を含む。一実施態様では、出力サンプリングレートF
Sは、基本周波数F
Lの整数倍である。出力サンプリングレートF
Sの詳細については後述する。
【0020】
サンプリングレート変換器108はまた、(いくつかの実施態様では補償及び調整ユニット104によって処理された後に)ADC102によって出力されたデジタル多相信号を受信する。次いで、サンプリングレート変換器108は、出力サンプリングレートF
Sでデジタル多相信号を再サンプリングする。したがって、デジタル多相信号は、ADCサンプリングレートF
ADCから出力サンプリングレートF
Sに変換される。再サンプリング比Rは、F
S/F
ADCである。一実施態様では、サンプリングレート変換器108によって実行される再サンプリングプロセスは、他の動作の中でも、上述したように、補間(「アップサンプリング」ともいう)動作及び間引き(「ダウンサンプリング」ともいう)動作を含む。一実施態様では、サンプリングレート変換器108によって実行される再サンプリングプロセスは、多相フィルタバンクを有する多相リサンプラを使用することによるものである。補間動作、間引き動作、及び、多相リサンプラの詳細については、
図8を用いて後述する。
【0021】
FFTバンク110は、(バッファリングされた後の)再サンプリングされたデジタル多相信号を受信し、FFTを使用して周波数領域信号に変換する。一実施態様では、FFTは、6つのチャネル(すなわち、3つの電圧成分に対応する3つの電圧チャネル及び3つの電流成分に対応する3つの電流チャネル)で同時に実行される。一実施態様では、FFTは、N点離散フーリエ変換(DFT)を含む。FFTバンク及び変換動作の詳細については後述する。
【0022】
計量測定計算機112は、周波数領域信号を受信し、DC電圧測定値、DC電流測定値、基本RMS二乗測定値、基本位相測定値、基本ワット測定値などの電圧、電流、及び/又はエネルギー測定値を計算することができる。とりわけ、基準電圧成分(例えば、A相線電圧)の位相角を計算することができる。次いで、再サンプリングされたデジタル信号は、計算された位相角を補償することによって調整される。一実施態様では、計算された位相角はデルタサンプルに変換される。計算された位相角を使用した調整後、基準電圧成分(例えば、A相線電圧)のゼロ交差は、出力サンプリングストリーム内の固定位置に位相ロックされ、他のすべての電圧成分(例えば、B相線電圧及びC相線電圧)及び電流成分(例えば、A相線電流、B相線電流、及びC相線電流)は、すべてのチャネルが一緒に位相ロックされるように基準チャネルと共に位相調整される。このように、電力信号処理ユニット100は、
図1に示すような位相ロックループ124を有する。一実施態様では、位相角が計算され、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて再サンプリングされたデジタル多相信号を調整するために使用される。
【0023】
その後、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号は、位相ロックされた後、FFTバンク110によって更新された周波数領域信号に変換される。次に、計量測定計算機112は、更新された周波数領域信号に基づいて、1つ又は複数の測定値を計算することができる。位相ロックループ124の詳細については後述する。
【0024】
図2は、電力信号を処理する例示的な方法200を示すフローチャート図である。例示的な方法200は、例えば、
図1に示す電力信号処理ユニット100に基づいて実施することができる。いくつかの実施態様では、
図2に記載されたステップのうちの1つ又は複数は、異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。さらに、いくつかの実施態様では、方法は、
図2に記載されているよりも多い又は少ないステップを含むことができる。
【0025】
ステップ202において、ACを使用して供給される電力に関連するアナログ多相信号が受信される。いくつかの実施態様では、アナログ多相信号は、複数の電流成分及び複数の電圧成分を有し、そのうちの1つは基準電圧成分である。ステップ204において、アナログ多相信号は、ADC102を使用してADCサンプルレートFADCでサンプリングされたデジタル多相信号に変換される。
【0026】
ステップ206において、アナログ多相信号の基本周波数F
Lがデジタル多相信号に基づいて検出される。基本周波数F
Lの検出の詳細は、
図3~
図7を用いて後述する。ステップ208において、出力サンプリングレートF
Sが決定される。出力サンプリングレートFSは、基本周波数F
Lに基づいて基本周波数F
Lを追跡する。
【0027】
ステップ210において、デジタル多相信号が出力サンプリングレートFSで再サンプリングされる。上述したように、再サンプリング動作は、いくつかの実施態様では、補間動作及び間引き動作を含むことができる。一実施態様では、再サンプリングプロセスは、多相フィルタバンクを有する多相リサンプラを使用することによって実施される。補間動作、間引き動作、及び、多相リサンプラの詳細については、
図8を用いて後述する。
【0028】
再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルについて、再サンプリングされたデジタル多相信号は、ステップ212においてFFTを使用して周波数領域信号に変換される。一実施態様では、FFTは、N点離散フーリエ変換(DFT)を含む。FFTバンク及び変換動作の詳細については後述する。ステップ214において、基準電圧成分(例えば、A相線電圧)の位相角が周波数領域信号に基づいて計算される。次いで、ステップ216において、再サンプリングされたデジタル多相信号は、計算された位相角を補償することによって調整される。一実施態様では、計算された位相角はデルタサンプルに変換される。計算された位相角を使用した調整の後、基準電圧成分(例えば、A相線電圧)のゼロ交差は、出力サンプリングストリーム内の固定位置に位相ロックされる。ステップ218において、調整され再サンプリングされたデジタル多相信号は、位相ロックされた後、更新された周波数領域信号に変換される。ステップ212、214、216、及び218の詳細については後述する。
【0029】
ステップ220において、更新された周波数領域信号に基づいて、1つ又は複数の測定値が計算される。ステップ220の詳細については後述する。
【0030】
図3は、
図2に示すステップ206の一例を示すフローチャート図である。
図4は、
図1に示す基本周波数検出器106の例示的な実施態様400を示す図である。
図4に示す例では、基本周波数検出器106は、とりわけ、入力電圧ピーク検出器402、スイッチ404、バンドパスフィルタ406、及びゼロ交差検出器408を含む。入力電圧ピーク検出器402は、ADC102から基準電圧成分V
ref(例えば、A相線電圧)を受け取る。入力電圧ピーク検出器402は、基準電圧成分V
refのピークを検出する。ピークが最小ピーク電圧しきい値未満(品質が悪いことを示す)場合、入力電圧ピーク検出器402によって生成されたスイッチオフ信号に基づいてスイッチ404がオフにされ、検出が停止される。このように、基準電圧成分が良好な品質を有していない場合、基本周波数の検出は無効化される。そうでない場合には、スイッチ404がオンにされ、基準電圧成分V
refがバンドパスフィルタ406に供給される。
【0031】
ゼロ交差検出は、ノイズ及び波形歪みに非常に敏感である。したがって、ゼロ交差検出前に基準電圧成分V
refをバンドパスフィルタに印加することは有益である。
図3に示す例では、基準電圧成分V
ref信号をバンドパスフィルタ406に印加して、バンドパスフィルタ406の通過帯域外の周波数成分を除去している(
図3に示すステップ302)。一実施態様では、バンドパスフィルタ406は、8次楕円双2次バンドパスフィルタである。
図5Aは、8次楕円双2次バンドパスフィルタ500の一例を示す図である。
図5Bは、
図5Aに示す例示的な8次楕円双2次バンドパスフィルタ500に使用される1つの双2次フィルタを示す図である。8次楕円双2次バンドパスフィルタ500は、カスケードされた4つの双2次フィルタ502、504、506、508を含む。すなわち、第1の段の双2次フィルタ502の出力が第2の段の双2次フィルタ504への入力となり、第2の段の双2次フィルタ504の出力が第3の段の双2次フィルタ506への入力となり、以下同様である。4つの双2次フィルタ502、504、506、508の各々について、差分方程式は以下の形式を有する。
【0032】
【0033】
ここで、a1及びa2は、極の位置を決定する係数であり、b0、b1、及びb2は、ゼロを決定する係数である。一例では、各段の係数を以下の表に示す。
【0034】
【0035】
図6は、
図5Aに示す8次楕円双2次バンドパスフィルタ500の周波数応答602を示す図である。
図6に示すように、8次楕円双2次バンドパスフィルタ500の中心は約55Hzであり、3dB帯域幅は14Hzである。8次楕円双2次バンドパスフィルタ500は、50Hzより下又は60Hzより上の25Hz及び30Hzの整数倍をすべて除去する。このように、8次楕円双2次バンドパスフィルタ500は、雑音帯域幅を低減し、すべての高調波成分及び高調波間成分を除去し、それによって純粋な正弦波基準電圧成分V
ref信号を生成し、これはゼロ交差検出器408に供給される。
【0036】
図7は、
図4に示すゼロ交差検出器408を使用した補間動作700の一例を示す図である。
図7に示すように、基準電圧成分V
ref信号のゼロ交差における線形補間が、サイクル期間の非常に正確な尺度を導出するために使用される。2つの隣接するゼロ交差が検出される(
図3に示すステップ304)。
図7に示す例では、サンプル0とサンプル1との間にゼロ交差702があり、サンプルm-1とサンプルmとの間にゼロ交差704がある。サンプルカウンタはΔn
1に初期化され、ゼロ交差702が検出された場合1だけ増分されない。次のゼロ交差704では、サンプルカウンタはm-1サンプルカウントだけ増加している。Δn
m-1とΔn
1をサンプルカウンタ(すなわち、m-1)に加算してサイクル期間706を計算する。したがって、サンプルの非整数倍におけるサイクル期間706は、以下の形式である。
【0037】
【0038】
これにより、隣接する2つのゼロ交差に基づいて基本周波数F
Lを計算することができる(
図3に示すステップ306)。基本周波数F
Lは以下のように計算される。
【0039】
【0040】
基本周波数F
Lが検出されると、出力サンプリングレートF
Sが決定される(
図2に示すステップ208)。上述したように、出力サンプリングレートF
Sは、基本周波数F
Lに周波数ロックされる。一実施態様では、基本周波数F
Lは、瞬間測定間隔(例えば、100ミリ秒)にわたる平均値
【数4】
である。基本周波数F
Lは、基本周波数検出器106によって動的に検出され、瞬間測定間隔にわたる平均値
【数5】
を使用してランダムな変動を打ち消すことができる。
【0041】
一実施態様では、出力サンプリングレートFSは、基本周波数FLの整数倍である。出力サンプリングレートFSは、以下の式に従って決定される。
【0042】
【0043】
ここで、Nは1より大きい整数である。いくつかの実施態様では、Nは2の累乗である(すなわち、2
m)。一例では、m=7であり、出力サンプリング周波数は、
【数7】
である。
【0044】
単一のラインサイクル(配電線の周期)はサンプルの整数倍ではないことが多いが、いくつかのラインサイクルは整数倍とすることができる。したがって、別の実施態様では、整数個のサンプルが特定の数のラインサイクルにわたって指定される。一例では、この条件は、200ミリ秒の時間スパンで満たされる。これは、200ミリ秒周期内のラインサイクル数:
【数8】
を最初に見つけることによって達成される。N
LCは、所定の期間(例えば、200ミリ秒)におけるラインサイクルの最大整数である。実際のデルタ時間は、
【数9】
であり、これは、線周波数が45Hzと65Hzとの間の間隔によって境界付けられると仮定すると、0.1895ミリ秒と0.2105ミリ秒との間の間隔に存在する。一実施態様では、出力サンプリングレートF
Sは、
【数10】
に従って設定することができる。一例では、mは10であり、出力サンプリングレートF
Sは
【数11】
である。別の例では、mは11であり、出力サンプリングレートF
Sは、
【数12】
である。
【0045】
次いで、デジタル多相信号は、出力サンプリングレートF
Sで再サンプリングされる(
図2に示すステップ210)。
図1に示すように、サンプリングレート変換器108は、出力サンプリングレートF
Sでデジタル多相信号を再サンプリングし、再サンプリング比Rは、F
S/F
ADCである。サンプリングレート変換器108は、デジタル多相信号に含まれる情報を可能な限り厳密に保存しながら、デジタル信号のサンプリングレートを変更する。
【0046】
上述したように、再サンプリングプロセスは、2つの動作、すなわち補間動作及び間引き動作に基づくことができる。デジタル多相信号は、最初にL倍にアップサンプリングされる。Lは1より大きい整数である。アップサンプリングされたデジタル多相信号は、次に、M倍にダウンサンプリングされる。Mは、次式に従って選択される。
【0047】
M=LFADC/FS
【0048】
したがって、補間動作及び間引き動作の後、デジタル多相信号のサンプリングレートは出力サンプリングレートFSとなる。
【0049】
一実施態様では、補間動作は、デジタル多相信号内の2つの隣接するサンプル間にLー1個のゼロを挿入し、画像除去フィルタを使用してADCサンプリングレートFADCの整数倍で信号スペクトルの画像を除去することによるアップサンプリングを含む。画像は、ADC102によって実行されるサンプリングプロセスから生じる。一実施態様では、間引き動作は、エイリアシングを防止するためにアンチエイリアシングフィルタをサンプルストリームに適用し、続いてM番目ごとのサンプルを選択することを含む。画像除去フィルタ及びアンチエイリアシングフィルタの両方は、ローパスフィルタであり、有限インパルス応答(FIR)フィルタとして実装することができる。それらの各々は、アップサンプリング周波数LFADCで設計することができる。一実施態様では、それらは、2つのインパルス応答を一緒に畳み込むことによって組み合わせることができる。一例では、サンプリングレート変換器108は、補間動作及び間引き動作のための1次256タップFIRフィルタを有する。一例では、使用されるFIRフィルタは、その通過帯域に0.02dBのリップルを有し、デジタル多相信号のスペクトルにわたって実質的に歪みに寄与しない。さらに、(対称カーネルを有する)FIRフィルタはスペクトルにわたる線形位相フィルタであるため、デジタル多相信号の位相に歪みを与えない。
【0050】
上記で説明したように、アップサンプリングされたデジタル多相信号は、次に、M倍にダウンサンプリングされる。Mは、M=LFADC/FSに従って選択される。一般に、Mは浮動小数点数である。デシメータからのサンプルは、ADCクロックの固定サイクル数では必ずしも出てこないため、非整数による間引きは困難である。
【0051】
上述のプロセスでは、画像除去フィルタとアップサンプリングされたデジタル多相信号との畳み込みが必要である。しかしながら、畳み込みのごく一部のみが非ゼロサンプルに対して実行される。補間動作の性質上、L個のサンプルごとに1サンプルのみが実際にフィルタ係数と乗算される。例えば、256タップの画像除去フィルタの場合、248個のフィルタ係数にゼロが乗算され、8個のフィルタ係数のみが非ゼロ値と乗算される。主にゼロに対して畳み込みを実行することは、効率を高めるために改善され得る。また、乗算結果の和は、アンチエイリアスフィルタとさらに畳み込まれ、結果はさらに間引かれる。言い換えれば、多くのサンプルは畳み込みされるが、その後の間引き動作において最終的に破棄される。
【0052】
したがって、別の実施態様では、多相フィルタバンクを有する多相リサンプラが、非整数による間引きの上述の課題に対処するために使用され、さらなる効率改善を提供する。
図8は、
図1に示すサンプリングレート変換器108の一例を示す図である。サンプリングレート変換器108は、とりわけ、遅延線804、多相フィルタバンク814、及び多相フィルタバンクデマルチプレクサ816を含む。サンプリングレート変換器108は、ADC102からデジタル多相信号を受信する。
【0053】
上述の画像除去フィルタとアンチエイリアスフィルタは、カスケードされているため、1つのフィルタにまとめられる。元のFIRフィルタからL個のサブフィルタのバンクが作成される。256タップFIRフィルタの例では、Lが32であるとき、32個のサブフィルタが作成され、各サブフィルタは8個のタップを有する。
図8に示す例では、32個のサブフィルタのバンクを多相フィルタバンク814としている。補間フィルタリングは、アップサンプリングされたサンプルストリームにおいて単一のサンプルを生成するために、畳み込みにおいて32番目ごとのフィルタ係数を使用する。すなわち、任意のサンプルインスタンスに必要なタップは8つだけである。したがって、多相フィルタバンク814は、以下の形態となる。
【0054】
【0055】
元のFIRフィルタは、補間レートLFADCにおけるユニティゲインであることに留意されたい。元のFIRフィルタがユニティゲインである条件は、次式で定義される。
【0056】
【0057】
サブフィルタが適用される場合、出力サンプルを適切にスケーリングするために、すなわち出力信号の振幅をユニティゲイン(1の利得)に保つために、やはりこの条件を維持する必要がある。したがって、各サブフィルタhiは、その係数の和の逆数によって、次式のように正規化される必要がある。
【0058】
【0059】
多相フィルタバンク814内の各サブフィルタh
iは、
【数16】
によって補間レートLF
ADCに対して時間的にオフセットされる。ADCサンプルあたりL個(この例では32個)の補間サンプルがある。各h
iは、補間された波形の特定の時間(特定の位相でもある)に対する補間関数を表す。
【0060】
遅延線804は、7個の遅延線シフトレジスタ806を含む。サンプルx
nは、ADC102から遅延線804にクロックされる。新しいサンプルは遅延線804上に移され、最も古いサンプルは外される。
図8に示す例では、遅延線804は8個のタップに対応する8の拘束長を有するが、他の例では他の拘束長を使用することもできる。したがって、8個のサンプルx
n、x
n-1、x
n-2、x
n-3、x
n-4、x
n-5、及びx
n-6は、それぞれ8つの乗算器808に供給される。
【0061】
遅延線804はADCサンプリングレートF
ADCでクロックされ、出力整流子824は出力サンプリングレート
【数17】
でクロックされる。サンプリングレート変換器108のいかなる部分も、補間レートLF
ADCでクロックされない。なお、
図8に示す例では、出力サンプリングレートF
Sは、ADCサンプリングレートF
ADCよりも低い。
【0062】
また、間引き位相pnも、各ADCサンプル(すなわち、ADCサンプリングレートFADC)でクロックされる。ADCクロックサイクルごとに、加算器818及びモジュロ演算器820を使用してpnが1モジュロM/L(すなわち、再サンプリング係数)だけ増分され、pn+1が生成される。上記で説明したように、M/Lは浮動小数点数であることが多い。一例では、M/L=FADC/(128*FL)のとき、FL=50.1Hz、FADC=14648Hzとすると、M/L=2.436533となる。したがって、pn+1は、pn+1=ModM/L(pn+1)=Mod2.436533(pn+1)と計算できる。
【0063】
その後、pn及びpn+1は比較器822に入力される。pn+1<pnの場合、間引き位相が終了し、サンプルを出力する時間が経過した(すなわち、スイッチ824は閉じている。)。スイッチ824は、FADC/(M/L)のレートで切り替わる。この場合の間引き位相は1より小さい。間引き位相pn+1は、多相フィルタバンク814からどのサブフィルタhiを選択すべきかに関する情報を明示的に含む。乗算器826及びフロア演算器828をそれぞれ使用して、pn+1にLを乗算してフロアをとることにより、サブフィルタインデックスhindexが決定される。
【0064】
サブフィルタインデックスh
indexは、サブフィルタ係数を係数レジスタ830にシフトする多相フィルタバンクデマルチプレクサ816への入力である。
図8に示す例では、多相フィルタデマルチプレクサ816は、正規化器N
0と共に、h
0=(B
0、B
32、B
64、B
96、B
128、B
160、B
192、B
224)を8タップの係数レジスタ830にそれぞれシフトさせている。
【0065】
また、比較器822は、スイッチ824を閉じることにより、遅延線804及び係数レジスタ830に対して積和を行う。8タップの結果は、出力をユニティゲインに保つために、正規化器N0によって乗算される前に加算器812によって加算される。現在のADCクロックの立ち下がりエッジは、乗算器826、フロア演算器828、及び多相フィルタバンク814のスイッチ824を開く。
【0066】
再サンプリングされたデジタル多相信号は、FFTを使用して周波数領域信号に変換される(
図2に示すステップ212)。FFTバンク110は、再サンプリングされたデジタル多相信号を受信し、FFTを使用して周波数領域信号に変換する。FFTは、計算複雑度O(N
DlogN
D)でN点DFTを計算するためのアルゴリズムであり、N
Dはデータサイズである。一実施態様では、FFTは、6つのチャネル(すなわち、3つの電圧成分に対応する3つの電圧チャネル及び3つの電流成分に対応する3つの電流チャネル)で同時に実行される。一実施態様では、FFTは、N点離散フーリエ変換(DFT)を含む。一例では、N点DFTは128点DFTである。
【0067】
一実施態様では、実FFTアルゴリズムを使用することができ、長さ2m(いくつかの例では、m=7、10、又は11)の実時間領域信号{x0、x1、x2、...、xnー1}が、時間領域シーケンス{x}と同じ長さを有する周波数領域{X-k/2、X-k/2+1、X-k/2+2、...、X0、X1、...、Xk/2-1}に変換される。{X}の各要素の値は複素数である。言い換えれば、実データが実FFTアルゴリズムに入り、複素データが実FFTアルゴリズムから出る。信号x(n)はADCサンプリングレートFADCでサンプリングされ、x(n)内の各インデックスnが表す時間はn/FADCである。一方、シーケンス{X}のインデックスnは、周波数の集合kFADC/2mを表す。周波数領域シーケンス{X}には負のインデックスがあることに留意されたい。これらは、正の周波数軸の複素イメージである。実FFTアルゴリズムでは、データの半分のみが一意である。したがって、データの半分のみが使用される。
【0068】
一例では、出力サンプリングレートFSは128*FLである。この出力サンプリングレートFSで時間領域シーケンスに対して128ポイントの実FFTが実行される場合、実FFTのすべての周波数成分は基本周波数FLの高調波である。
【0069】
実FFTアルゴリズムは経時的に積分するが、この積分中のx(n)を特定の周波数と以下のように相関させる。
【0070】
【0071】
従来、FFTの出力は1/Nでスケーリングされるが、実FFTの結果は2つの画像に分割され、各画像は合計の大きさの半分を有する。実FFTの出力はN/2個の成分を含むため、効率の悪い冗長画像を生成しない。したがって、欠けている半分を説明するために、2/Nでスケーリングする必要がある。また、各周波数ビンの大きさはピークの大きさである。各成分の大きさをRMSに変換するために、
【数19】
によってスケーリングされる。したがって、使用される実FFTスケーリングは、次式で表される。
【0072】
【0073】
以下のように(6つのチャネルに対応する)6次元ベクトルに順序付けられたADC102からの時間領域データは以下のとおりである。
【0074】
【0075】
ここで、uk≡(A相電圧、B相電圧、C相電圧)、及び、ik≡(A相電流、B相電流、C相電流)である。ejの長さ2mのバッファのフーリエ変換は以下のとおりである。
【0076】
【0077】
これは、以下の表に示すことができる。
【0078】
【0079】
一実施態様では、表2に示すこれらの6つのフーリエ変換は、RX71Mなどの高性能リアルタイムエンジン32ビットマイクロコントローラ内で実行される。これは限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0080】
周波数領域信号が取られると、基準電圧成分と他の成分との間の位相角が周波数領域信号に基づいて計算される。電子エネルギーメータによって行われる様々な瞬間測定値は、以下の演算によって導出することができる。
これは、E
iとその複素共役との複素外積を表す。この外積は、各々が2
m-1個の周波数成分を有する要素を有する6×6の行列をもたらす。これは対称行列であるため、構成要素の半分は冗長である。電子エネルギーメータによって行われる(基本)位相角を含む様々な測定値は、この行列から導出することができる。基準電圧成分(例えば、A相線電圧)と他の成分との間の位相角は、以下のように計算することができる。
【0081】
【0082】
したがって、基準電圧成分の位相角は、周波数領域信号に基づいて計算される(
図2に示すステップ214)。次いで、再サンプリングされたデジタル多相信号は、計算された位相角を補償することによって調整される(
図2に示すステップ216)。サンプリングレート変換器108からの波形データストリームは、
図1に示すように、各チャネルに対して128個のサンプルを含むデータ構造114にバッファリングされる。
図1に示す例では、3つの電圧成分及び3つの電流成分に対応する6つのチャネルがある。サンプル-0は時間的に最も古いサンプルであり、サンプル-127は最も新しいサンプルである。この波形データストリーム内で、基準電圧成分(この例ではA相線電圧)のゼロ交差をサンプル-0にロックすることが望ましい。
【0083】
位相ロックループ124は、サンプル-127が波形データストリームに入った後に実施される。一実施態様では、計算された位相角は、位相角に128/2を掛けることによってデルタサンプルnに変換される。この時点で、補間サンプル位相Pnは、以下に従ってこのデルタサンプルによって調整される。
【0084】
【0085】
デルタサンプルnがー1から1の範囲である場合、補間サンプル位相Pnは、計算されたデルタサンプルnによって調整される。そうでない場合、補間サンプル位相Pnは、計算されたデルタサンプルnの代わりに1サンプルだけ調整される。したがって、Pnへの調整は、波形の大きなジャンプを回避するために、いずれの場合も正又は負の方向に1サンプル以下だけ行われる。
【0086】
調整され再サンプリングされたデジタル多相信号は、FFTを使用して更新された周波数領域信号に変換される(
図2に示すステップ218)。計算された位相角を使用した調整の後、基準電圧成分のゼロ交差は、出力サンプリングストリーム内の固定位置に位相ロックされ、他のすべての成分は、すべての成分が一緒に位相ロックされるように基準電圧成分と共に位相調整される。一実施態様では、位相角は、再サンプリングされたデジタル多相信号の各サイクルに対して調整される。
【0087】
計量測定計算機112は、更新された周波数領域信号に基づいて、1つ又は複数の測定値を計算する(
図2に示すステップ220)。上記で説明したように、電子エネルギーメータによって行われる様々な測定値は、行列M
ijから導出することができる。電子エネルギーメータによって行われるいくつかの例示的な測定値を以下に示す。行列M
ijを使用した他の測定値の計算は、本開示の範囲内であることに留意されたい。
【0088】
DC測定値は、FFTセットEj(0)のビン0である。A相、B相、及びC相のDC電圧及び電流は以下の通りである。
【0089】
【0090】
基本測定値はすべて、FFT測定値行列
【数26】
のビン1内に含まれる。A相、B相、及びC相の電圧及び電流の各々は、以下の形式の実数成分及び虚数成分を有することに留意されたい。
【0091】
【0092】
例えば、電圧及び電流の基本成分のRMS二乗値は、以下に従って計算される。
【0093】
【0094】
一例として、基本ワット測定値は、以下に従って計算される。
【0095】
【0096】
別の例では、基本無効電力は、以下に従って計算される。
【0097】
【0098】
いくつかの実施態様におけるコンピューティングシステムの例
【0099】
本明細書に記載の動作を実行するために、任意の適切なコンピューティングシステム又はコンピューティングシステムのグループを使用することができる。例えば、
図9は、コンピューティングシステム900の一例を示す図である。
【0100】
図示のコンピューティングシステム900の例は、1つ又は複数のメモリデバイス904に通信可能に結合されたプロセッサ902を含む。プロセッサ902は、メモリデバイス904に記憶されたコンピュータ実行可能プログラムコードを実行するか、メモリデバイス904に記憶された情報にアクセスするか、又はその両方である。プロセッサ902の例は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、又は任意の他の適切な処理デバイスを含む。プロセッサ902は、単一の処理デバイスを含む任意の数の処理デバイスを含むことができる。
【0101】
メモリデバイス904は、プログラムコード914(例えば、サンプリングレート変換器108の様々な動作に使用されるコード)、プログラムデータ916(例えば、計量測定計算機112によって計算されるように選択された測定のタイプ)、又はその両方を記憶するための任意の適切な非一時的コンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、プロセッサにコンピュータ可読命令又は他のプログラムコードを提供することができる任意の電子、光学、磁気、又は他の記憶デバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体の非限定的な例は、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、光記憶装置、磁気テープもしくは他の磁気記憶装置、又は処理デバイスが命令を読み取ることができる任意の他の媒体を含む。命令は、例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java、Python、Perl、JavaScript、及びActionScriptを含む任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含むことができる。
【0102】
コンピューティングシステム900は、本明細書に記載の動作のうちの1つ又は複数を実行するようにプロセッサ902を構成するプログラムコード914を実行する。プログラムコードは、メモリデバイス904又は任意の適切なコンピュータ可読媒体に常駐することができ、プロセッサ902又は任意の他の適切なプロセッサによって実行することができる。
【0103】
いくつかの実施態様では、1つ又は複数のメモリデバイス904は、本明細書に記載の1つ又は複数のデータセットを含むプログラムデータ916を記憶する。いくつかの実施態様では、データセット、モデル、及び関数のうちの1つ又は複数は、同じメモリデバイス(例えば、メモリデバイス904のうちの1つ)に記憶される。追加又は代替の実施態様では、本明細書に記載のプログラム、データセット、モデル、及び関数のうちの1つ又は複数は、データネットワークを介してアクセス可能な異なるメモリデバイス904に記憶される。1つ又は複数のバス906もコンピューティングシステム900に含まれる。バス906は、コンピューティングシステム900のそれぞれの構成要素のうちの1つ又は複数の構成要素を通信可能に結合する。
【0104】
いくつかの実施態様では、コンピューティングシステム900はまた、ネットワークインターフェースデバイス910を含む。ネットワークインターフェースデバイス910は、1つ又は複数のデータネットワークへの有線又は無線データ接続を確立するのに適した任意のデバイス又はデバイスのグループを含む。ネットワークインターフェースデバイス910の非限定的な例は、イーサネットネットワークアダプタ、モデムなどを含む。コンピューティングシステム900は、ネットワークインターフェースデバイス910を使用して、データネットワークを介して1つ又は複数の他のコンピューティングデバイスと通信することができる。
【0105】
コンピューティングシステム900はまた、入力デバイス920、プレゼンテーション(提示)デバイス918、又は他の入力もしくは出力デバイスなどのいくつかの外部又は内部デバイスを含むことができる。例えば、コンピューティングシステム900は、1つ又は複数の入力/出力(「I/O」)インターフェース908と共に示されている。I/Oインターフェース908は、入力デバイスから入力を受け取るか、又は出力デバイスに出力を提供することができる。入力デバイス920は、プロセッサ902の動作を制御又はこれに影響する視覚、聴覚、又は他の適切な入力を受け取るのに適した任意のデバイス又はデバイスのグループを含むことができる。入力デバイス920の非限定的な例は、タッチスクリーン、マウス、キーボード、マイクロフォン、別個のモバイルコンピューティングデバイスなどを含む。プレゼンテーションデバイス918は、視覚、聴覚、又は他の適切な感覚出力を提供するのに適した任意のデバイス又はデバイスのグループを含むことができる。プレゼンテーションデバイス918の非限定的な例は、タッチスクリーン、モニタ、スピーカ、別個のモバイルコンピューティングデバイスなどを含む。
【0106】
図9は、入力デバイス920及びプレゼンテーションデバイス918をコンピューティングデバイスに対してローカルであるものとして示しているが、他の実施態様も可能である。例えば、いくつかの実施態様では、入力デバイス920及びプレゼンテーションデバイス918のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のデータネットワークを使用してネットワークインターフェースデバイス610を介してコンピューティングシステム900と通信するリモートクライアントコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0107】
一般的な考慮事項
【0108】
特許請求される主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が本明細書に記載されている。しかしながら、当業者は、特許請求される主題がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、当業者に知られている方法、装置、又はシステムは、特許請求される主題を不明瞭にしないように詳細には説明されていない。
【0109】
本明細書で説明される特徴は、いかなる特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成にも限定されない。コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の入力を条件とする結果を提供する構成要素の任意の適切な配置を含むことができる。適切なコンピューティングデバイスは、汎用コンピューティング装置から本主題の1つ又は複数の態様を実装する専用コンピューティング装置へとコンピューティングシステムをプログラム又は構成する記憶されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリに記憶されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムを含む。任意の適切なプログラミング、スクリプト、又は他の種類の言語又は言語の組み合わせを使用して、コンピューティングデバイスのプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアに本明細書に含まれる教示を実装することができる。
【0110】
本明細書に開示される方法の態様は、そのようなコンピューティングデバイスの動作において実行することができる。上記の例でプレゼンテーションされたブロックの順序は変更することができる。例えば、ブロックを並べ替え、結合し、及び/又はサブブロックに分割することができる。特定のブロック又はプロセスを並行して実行することができる。
【0111】
本明細書における「適合された」又は「構成された」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適合又は構成されたデバイスを除外しないオープンで包括的な言語を意味する。さらに、「に基づいて」の使用は、1つ又は複数の列挙された条件又は値「に基づいて」プロセス、ステップ、計算、又は他のアクションが、実際には列挙されたものを超える追加の条件又は値に基づくことができるという点で、オープンで包括的であることを意味する。本明細書に含まれる見出し、リスト、及び番号付けは、単に説明を容易にするためのものであり、限定することを意味するものではない。本主題をその特定の態様に関して詳細に説明してきたが、当業者は、上記の理解を達成すると、そのような態様の変更、変形、及び均等物を容易に生成することができることが理解されよう。したがって、本開示は、限定ではなく例示の目的でプレゼンテーションされており、当業者には容易に明らかになるような本主題へのそのような修正、変形、及び/又は追加の包含を排除するものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】