(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】金属酸化物ウェットエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20241106BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241106BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20241106BHJP
C30B 29/32 20060101ALI20241106BHJP
C30B 33/10 20060101ALI20241106BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20241106BHJP
G02F 1/31 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
H01L21/308 E
H01L21/302 105A
H01L21/302 201B
C30B29/32 C
C30B33/10
B81C1/00
G02F1/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519982
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022045513
(87)【国際公開番号】W WO2023056082
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522387685
【氏名又は名称】サイクアンタム コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェンリッチ,コリーン シャン
(72)【発明者】
【氏名】コヴァル,ジョージ
【テーマコード(参考)】
2K102
3C081
4G077
5F004
5F043
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA08
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA28
2K102DA04
2K102DB04
2K102EA02
2K102EA16
3C081AA17
3C081BA21
3C081BA22
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA15
3C081DA03
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3C081DA43
3C081EA09
4G077AA03
4G077BC42
4G077FG06
4G077HA01
4G077HA05
5F004BA09
5F004BA11
5F004BA20
5F004BB13
5F004DA00
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5F004EA03
5F004EA06
5F043AA37
5F043BB25
5F043CC00
5F043EE01
(57)【要約】
エッチング方法は、チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、パターニングされたマスキング層を金属酸化物層上に形成することと、フッ化水素酸と、フッ化水素酸の酸解離定数よりも大きな酸解離定数を有する1つ以上の追加の酸と、希釈剤とを含むウェットエッチング媒体を使用して金属酸化物層をエッチングすることとを含む。
【選択図】
図12B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、
パターニングされたマスキング層を前記金属酸化物層上に形成することと、
フッ化水素酸と、該フッ化水素酸の酸解離定数よりも大きな酸解離定数を有する1つ以上の追加の酸と、希釈剤とを含むウェットエッチング媒体を使用して前記金属酸化物層をエッチングすることと、
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記ウェットエッチング媒体は、酸化剤、界面活性剤、又は溶剤のうちの1つ以上を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェットエッチング媒体は、過酸化水素を含む酸化剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェットエッチング媒体は、エタノールを含む溶剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の追加の酸は、ヨウ化水素酸、過塩素酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、又は酢酸のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェットエッチング媒体は、約1:100~約100:1の範囲にあるHF比率の追加の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物層をエッチングする前記ステップは、前記パターニングされたマスキング層の部分の下の前記金属酸化物層において、アンダーカットされたエッチング領域を形成する等方性ウェットエッチングプロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェットエッチング媒体は、バリウム含有エッチング残渣又はストロンチウム含有エッチング残渣を溶解する水溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記パターニングされたマスキング層はフォトレジストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属酸化物層をエッチングする前記ステップは、テーパー状の側壁を有するリッジ部分と、前記基板上の前記リッジ部分の各側に位置する水平層部分とを含むパターニングされた金属酸化物層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パターニングされた金属酸化物層は、マッハツェンダー干渉計の導波路層を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属酸化物層は前記チタン酸バリウム層を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記水平層部分上に第1の電極及び第2の電極を形成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物層は前記チタン酸ストロンチウム層を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記金属酸化物層を形成する前記ステップは、前記チタン酸ストロンチウム層を前記基板上に形成し、前記チタン酸バリウム層を前記チタン酸ストロンチウム層上に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記パターニングされた金属酸化物層は、前記チタン酸ストロンチウム層上に位置するテーパー状の側壁を有するチタン酸バリウムリッジ部分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記チタン酸バリウムリッジ部分は、マッハツェンダー干渉計の導波路層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属酸化物層をエッチングする前記ステップは、前記金属酸化物層及び前記パターニングされたマスキング層を含む前記基板を、前記ウェットエッチング媒体を含む槽内に入れることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記金属酸化物層をエッチングする前記ステップは、前記金属酸化物層の露出部分上及び前記パターニングされたマスキング層上に前記ウェットエッチング媒体を噴霧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記金属酸化物層をエッチングする前記ステップは、前記ウェットエッチング媒体からの蒸気を前記金属酸化物層の露出部分上及び前記パターニングされたマスキング層上に与えることを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における実施形態は、包括的には、例えば金属酸化物層をエッチングして、移相器及びスイッチ等の電気光学デバイスのコンポーネントを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学(EO:electro-optic)変調器及び光スイッチは、光信号の制御及び操作に有用なコンポーネントである。いくつかのEO変調器は、自由キャリア電界屈折、自由キャリア電界吸収、ポッケルス効果、又はDCカー効果を利用して、動作中に光学特性を変更し、例えば、EO変調器又はスイッチを通って伝播する光の位相を変化させる。光位相変調器は、集積光学システム、導波路構造体、集積オプトエレクトロニクス等において使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
EO変調器及びスイッチの分野において行われている進歩にかかわらず、EO変調器、スイッチ、及び関連デバイスにおいて使用されるウェハースタックをパターニング及びエッチングすることに関連した方法及びシステムの改良が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態のエッチング方法は、チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、パターニングされたマスキング層を金属酸化物層上に形成することと、フッ化水素酸と、該フッ化水素酸の酸解離定数よりも大きな酸解離定数を有する1つ以上の追加の酸と、希釈剤とを含むウェットエッチング媒体を使用して金属酸化物層をエッチングすることと、を含む。
【0005】
本明細書に援用されて本明細書の一部をなす添付図面は、本開示の例示の実施形態を示し、上記に示した一般的な説明及び下記に示す詳細な説明とともに、本開示の特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、様々な実施形態による、光スイッチを示す簡略化した概略図である。
【
図2】
図2は、様々な実施形態による、スタック層を含む事前に製作されたウェハーの概略図である。
【
図3A】
図3Aは、様々な実施形態による、誘導電界の方向を示す導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。
【
図3B】
図3Bは、様々な実施形態による、導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。
【
図4】
図4は、様々な実施形態による、導波路構造体の上面図を示す簡略化した概略図である。
【
図5】
図5は、様々な実施形態による、ウェハーエッチング装置の概略図である。
【
図6】
図6は、イオンミリングエッチング手順の概略説明図である。
【
図7】
図7は、様々な実施形態による、イオン化した部分ガス混合物を使用して電気光学層をエッチングする概略説明図である。
【
図8】
図8は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる薄いSiO
2ハードマスクの概略説明図である。
【
図9】
図9は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる薄いSi
3N
4ハードマスクの概略説明図である。
【
図10】
図10は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる厚いSiO
2ハードマスクの概略説明図である。
【
図11】
図11は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる厚いSi
3N
4ハードマスクの概略説明図である。
【
図12A】
図12Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成において使用することができる中間構造体の縦断面図である。
【
図12B】
図12Bは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成において使用することができる更なる中間構造体の縦断面図である。
【
図13A】
図13Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの縦断面図である。
【
図13B】
図13Bは、様々な実施形態による、更なる光学コンポーネントの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な実施形態が添付図面を参照して詳細に説明される。図面は、必ずしも一律の縮尺ではなく、本開示の様々な特徴を示すことを目的としている。図面の全体を通して同じ又は同様の部分を参照するには、可能な限り同じ参照符号が使用される。特定の例及び実施態様に行われる参照は、例示を目的としたものであり、本開示の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものでない。
【0008】
「第1」、「第2」等の用語が、いくつかの場合において、様々な要素を説明するために本明細書において使用されるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことも理解されるであろう。これらの用語は、或る要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、説明される様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の電極層を第2の電極層と呼ぶことができるし、同様に、第2の電極層を第1の電極層と呼ぶこともできる。第1の電極層及び第2の電極層はともに電極層であるが、同じ電極層ではない。
【0009】
開示される実施形態は、光学システムのコンポーネントを構築するエッチング方法及びパターニング方法に関する。例示の実施形態は、アクティブ光学デバイスを含む集積光学システムに関するものが提供されるが、本開示は、そのような例に限定されるものではなく、様々な光学システム及び光電子システムへの広い適用性を有する。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、本明細書において説明されるアクティブフォトニックデバイスは、半導体における自由キャリア誘導屈折率変化、ポッケルス効果、及び/又はDCカー効果等の電気光学効果を利用して、光信号の変調及び/又はスイッチングを実施する。したがって、実施形態は、透過光がON又はOFFのいずれかに変調されるか、又は光が透過率の部分的変化によって変調される双方の変調器、並びに、透過光が第1の出力(例えば、導波路)若しくは第2の出力(例えば、導波路)上に出力される光スイッチ又は3つ以上の出力及び2つ以上の入力を有する光スイッチに適用可能である。したがって、本開示の実施形態は、本明細書において論述される方法、デバイス、及び技法を利用するM(入力)×N(出力)システムを含む様々なシステム構成に適用可能である。いくつかの実施形態は、スイッチ又は変調器内で使用することができる本明細書において位相調整セクションとも呼ばれる電気光学移相器デバイスにも関する。
【0011】
図1は、様々な実施形態による、光スイッチを示す簡略化した概略図である。
図1を参照すると、スイッチ100は、入力1及び入力2の2つの入力と、出力1及び出力2の2つの出力とを含む。一例として、スイッチ100の入力及び出力は、シングルモード光ビーム又はマルチモード光ビームをサポートするように構成された光導波路として実施することができる。一例として、スイッチ100は、50/50ビームスプリッター105及び107のセットとそれぞれ結合されたマッハツェンダー干渉計として実施することができる。
図1に示すように、入力1及び入力2は、方向性結合器とも呼ばれる第1の50/50ビームスプリッター105に光学的に結合される。第1の50/50ビームスプリッター105は、入力1又は入力2からの光を受光し、当該50/50ビームスプリッター内のエバネッセント結合を通じて、入力1からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力1からの入力光の50%を導波路112に誘導する。同時に、第1の50/50ビームスプリッター105は、入力2からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力2からの入力光の50%を導波路112に誘導する。入力1からの入力光のみを考えた場合に、この入力光は、導波路110と導波路112との間で均等に分割される。
【0012】
マッハツェンダー干渉計120は、位相調整セクション122を含む。位相調整セクション122内の導波路が制御可能に変更される屈折率を位相調整セクション122において有することができるように、この導波路の両端に電圧V
0を印加することができる。導波路110及び112内の光は、第1の50/50ビームスプリッター105を通過伝播した後も、明確に定義された位相関係(例えば、同相である場合、180度異相である場合等)を引き続き有することがあるので、位相調整セクション122における位相調整によって、導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間に所定の位相差を導入することができる。導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間の位相関係によって、出力光は出力1に存在する場合もあるし(例えば、光ビームが同相である場合)、出力2に存在する場合もあり(例えば、光ビームが異相である場合)、それによって、光が位相調整セクション122に印加される電圧V
0の関数として出力1又は出力2に誘導されるようなスイッチ機能が提供される。
図1には単一のアクティブアームが示されているが、他の実施形態では、マッハツェンダー干渉計の双方のアームが位相調整セクションを含むことができる。
【0013】
図1に示すように、全光学式スイッチ技術と比較して、電気光学スイッチ技術は、スイッチのアクティブ領域の両端に印加される電気バイアス(例えば、
図1におけるV
0)を使用して光学的変化を生み出す。この電圧バイアスの印加によって誘導される電界及び/又は電流は、屈折率又は吸光度等のアクティブ領域の1つ以上の光学特性の変化を引き起こす。マッハツェンダー干渉計を実装したものが
図1に示されているが、本開示は、この特定のスイッチアーキテクチャに限定されるものではなく、リング共振器設計、マッハツェンダー変調器、一般化されたマッハツェンダー変調器等を含む他の位相調整デバイスも、本開示の範囲内に含まれる。
【0014】
図1に示す光スイッチは、ウェハーからパターニングされた導波路構造体を含むことができる。
図2は、ウェハー製造業者から受け取ることができ、本明細書に説明される実施形態に従ってエッチングされて導波路構造体を製造することができる一例示のウェハーを示している。
図2は、様々な実施形態による、本明細書に説明される様々なデバイスの製作プロセスの一部として受け取ることができる層スタックを含む第1のウェハーの断面を示している。図示するように、第1の絶縁基板層202はシード層204の下に(任意選択で)配置することができ、シード層204は電気光学層206の下に配置され、電気光学層206は電極層208の下に(任意選択で)配置され、電極層208は第2の絶縁基板層210の下に(任意選択で)配置される。或いは、電極層208は、電気光学層206と第1の絶縁基板層202との間に配置されてもよい。
図2は、5つの層202~210のそれぞれが存在することを示しているが、これらの層のうちの任意の1つ以上は、様々な実施形態では存在しなくてもよい。換言すれば、第1のウェハーは、使用される特定の製作方法に応じて様々なタイプのものとすることができ、シード層、電極層、及び第2の基板層は、所望に応じて任意選択で存在する場合もあるし、存在しない場合もある。
図2に示す層のうちの1つ以上は、本明細書に説明される実施形態に従って、化学的にエッチングされて電気光学コンポーネントを製造することができる。
【0015】
ウェハーの層のそれぞれは、様々なタイプの材料のうちの任意のものとすることができる。例えば、電極層208は、金属等の導電性材料を含むこともできるし、代替的に、半導体材料から構成することもできる。様々な実施形態において、電極層は、ガリウムヒ素(GaAs)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)/GaAsヘテロ構造体、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)/GaAsヘテロ構造体、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化インジウム(InO)、ドープシリコン、チタン酸ストロンチウム(STO)、ドープSTO、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、それらのドープ変異体若しくは固溶体、又は2次元電子ガスのうちの1つを含むことができる。電極層がドープSTOを含むことができる実施形態の場合に、STOは、様々な実施形態に従って、ニオブドープされたもの若しくはランタンドープされたもの、又は、空格子点を含むもののいずれかとすることができる。
【0016】
様々な実施形態では、電気光学層206は、STO、BTO、BST、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、PZT、PLZT、SBN、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、又はそれらのドープ変異体若しくは固溶体のうちの1つ以上を含むことができる。電気光学層は、いくつかの実施形態では、第1の絶縁基板層及び第2の絶縁基板層の屈折率よりも大きな屈折率を有する透明な材料から構成することができる。
【0017】
図3Aは、いくつかの実施形態による、一例示の完成した導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。
図3Aにおいて、誘導電界の方向が矢印を用いて示されている。
図3Aに示す導波路構造体は、本明細書において説明される実施形態のエッチング技法を実行することによって
図2に示すウェハーから製作することができる。
図3Aは、2つの電気接点を示しており、各電気接点は、電極(340及び342)に接続されたリード(330及び332)を含む。本明細書において使用される場合、用語「電極」は、(例えば、導波路構造体の両端の電圧降下を変更し、フォトニックスイッチを作動させるために)導波路構造体に直接結合するデバイスコンポーネントを指すことに留意されたい。さらに、用語「リード」は、電極をデバイスの他のコンポーネントに結合するバックエンド構造体を指すことができる(例えば、リードは、電極を制御可能電圧源に結合することができる)が、波路構造体から隔離され、波路構造体に直接結合していない。いくつかの実施形態では、リードは、金属(例えば、銅、金等)、又は代替的に半導体材料から構成することができる。
【0018】
図示するように、
図3Aは、導波路の両側に第1のクラッド層310及び第2のクラッド層312を含むフォトニックデバイスを示している。用語「第1」及び「第2」は、2つのクラッド層を単に区別することを意図したものであり、例えば、用語「第1のクラッド層」は、導波路のいずれかの側のクラッド層を指すことができることに留意されたい。
【0019】
図3Aは、第1の電気接点の第1の電極と第2の電気接点の第2の電極とに結合された第1の材料を含むスラブ層320を更に示している。いくつかの実施形態では、導波路構造体は、第1の材料(又は異なる材料)から構成されるとともにスラブ層に結合されたリッジ部分351を更に含み、このリッジ部分は、第1の電気接点と第2の電気接点との間に配置されている。
【0020】
図3Aに示すように、小さな矢印は、一般にデバイスの電極を通る正のx方向に沿った向きを示す誘導電界方向を示している。電界は、図示するように、電極の上方及び下方の双方において凸状に湾曲している。さらに、正のx方向に向いている大きな矢印350は、スラブ層及び導波路を通って進むことができる光学モードの偏光の方向を示している。
【0021】
図3Bは、導波路構造体351のリッジ部分がスラブ層の上部側に配置されるとともに第1のクラッド層312内に延在し、第1の電極及び第2の電極が上部側の反対側のスラブ層の底部側においてスラブ層に結合されているアーキテクチャを示している。図示するように、リッジ部分及びスラブ層を組み合わせたものは、スラブ層320単独の第2の厚さ360よりも厚い第1の厚さ362を有し、第2の厚さに対する第1の厚さの超過分は、スラブ層320の上部側において第1のクラッド層312内に延在する。
図3Bに示すように、第1の電極340及び第2の電極342は、上部側の反対側のスラブ層の底部側においてスラブ層320に結合することができる。さらに、第1の電気接点330は、スラブ層の上部側からスラブ層の底部側にスラブ層320を貫通することによって第1の電極340に結合することができ、第2の電気接点332は、スラブ層の上部側からスラブ層の底部側にスラブ層320を貫通することによって第2の電極342に結合することができる。
【0022】
図4は、本明細書において説明される実施形態に従ってパターニングすることができる
図3A及び
図3Bのフォトニック移相器アーキテクチャの上下図である。図示するように、この移相器は、第1のリード430及び第2のリード432と、第1の電極440及び第2の電極442と、スラブ(例えば、導波路)層420と、導波路構造体のリッジ部分451とを含むことができる。
【0023】
図5は、いくつかの実施形態による、ウェハーエッチング装置600を示す概略図である。図示するウェハーエッチング装置は、ウェハーエッチング装置の1つの例である。他の実施形態では、様々な他のタイプの装置を使用して、本明細書において説明されるエッチングプロセスを実行することができる。図示するように、エッチングプロセスチャンバー602の上部を通してプロセスガス(特に、例えばHBr及びCl
2の組み合わせ)を挿入することができ、シャワーヘッド604を使用してチャンバーの上部領域にわたって分散させることができる。図示するように、チャンバー602の周りに巻回されたインダクターコイル606が、高速振動磁界をチャンバー602内に導入するように構成された高周波(HF:high frequency)無線周波数(RF:radio frequency)ジェネレーター(例えば、60MHzRFジェネレーター)608に接続されている。
【0024】
誘導された振動磁界は、プロセスガスと相互作用して、このガスをイオン化することができる。チャンバー602の底部では、低周波(LF:low frequency)RFジェネレーター(例えば、通常は13.5MHzジェネレーター、又は別の周波数)610を台座612に容量結合して、振動容量性電荷を台座の上面に導入することができる。このLF振動電荷は、イオン化したガス粒子を下方に加速し、台座612上に位置決めされたウェハー(例えば、エッチング対象の1つ以上の層を含む基板)614と衝突させて、ウェハーを化学的にエッチングする。最後に、化学エッチング反応のガス状化学副生成物を、チャンバー602の底部にある低強度ポンプ616を通じて抜くことができる。
【0025】
上述した電気光学システムのコンポーネントの構築は、ウェハーを導波路構造体等の電気光学コンポーネントに変更するエッチングプロセスを伴うことができる。ウェハーエッチングの従来の方法は限界を呈し、本明細書における実施形態は、ウェハーエッチングの改良された方法を提示する。
【0026】
図6は、BTO(すなわち、BaTiO
3)をエッチングするイオンミリング方法を示している。BTOは、プラズマエッチングにおいて一般に使用されるハロゲン化合物であるフッ素又は塩素を有する揮発性の副生成物を形成しないので、BTOは、反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etch)を使用してパターニングするには難しい材料である。従来のフッ素及び塩素を使用してBTOをエッチングする化学副生成物は、約1500℃未満では不揮発性である。したがって、これらの副生成物は、RIEチャンバー内で利用可能な温度及び圧力においてウェハーから脱着しない場合がある。結果として、
図6に示すように、BTO層20をパターニングするいくつかのこれまでの実施態様は、緩慢であり且つマスク(例えば、酸化ケイ素ハードマスク)22に対する選択性をほとんど有していないプロセスであるアルゴンを使用するイオンビームエッチングに集中していた。イオンミリング中、アルゴンイオンは、BTO表面に向けて加速され、バリウム原子及びチタン原子を物理的に取り除く。これらの原子は、その後、排出管を通ってポンプ排出される。しかしながら、エッチングされた原子は、多くの場合に、ウェハーの表面上の他の箇所に再付着して、望ましくない欠陥を引き起こす場合がある。加えて、イオンミリングは、ハードマスクを効果的に利用するためには、ハードマスク22が所望のパターニングの深さよりも厚いことが必要とされることがあり、その結果、材料コスト及びエッチング時間が増加し得ることから非選択的である。
【0027】
これらの懸念事項及び他の懸念事項に対処するために、本明細書における実施形態は、BTO層20が臭化水素(HBr)及び塩素(Cl
2)の混合物を使用してエッチングされて、それぞれ揮発性副生成物BaBr
2及びTiCl
4を形成する方法を提供する。
図7に示すように、HBr及びCl
2の部分ガス混合物がイオン化し、このイオン化したガスが、BTOをエッチングするのに使用される。BaBr
2は、従来のRIEチャンバーの十分実現可能な範囲内にある1気圧における120℃において揮発性になる。様々な実施形態では、ウェハーをパターニングするために、SiO
2ハードマスク22又はSi
3N
4ハードマスク24とのいくつかの統合方式を使用することができる。その理由は、双方の材料が、HBr/Cl
2含有化学反応に適合しているからである。
【0028】
いくつかの実施形態では、酸素イオン、水素イオン、及び/又はアルゴンイオンがプラズマに存在することによって、BaBr2の形成を援助することができる。酸素イオン、水素イオン、及び/又はアルゴンイオンは、イオンミリングに使用されるエネルギーと比較してより低いエネルギーで表面に向けて加速することができる。Brラジカル及びClラジカルは、電気的に中性であり、ウェハー表面に拡散することができる。双方の副生成物は、ウェハー表面から容易に脱着し、ウェハー上に再付着することなくチャンバー外にポンプ排出することができる。
【0029】
付加的な利点は、HBr/Cl
2混合物がSiO
2ハードマスク又はSi
3N
4ハードマスクに対して選択的であることである。BTOのエッチング速度も、化学的支援エッチングを使用すると、物理的なイオンミリングプロセスと比較してより高速であり、化学的支援エッチングは、ラインエッジラフネスをもたらすストリエーションのリスクがより低い。
図8~
図11は、様々な実施形態による、電気光学層をパターニングするときにハードマスクを利用する種々の方法を示している。
【0030】
図8は、BTO層20をパターニングするためのSiO
2のハードマスク22の利用を示している。1つの実施形態では、BTO層20は、
図3Bのデバイスにおけるスラブ/リッジ電気光学層320として使用することができる。SiO
2ハードマスク22は、この材料がHBrベースのプラズマ内でSiO
2に対して高い選択性を示すことから選択される。ハードマスク22は、事前のステップにおいてパターニングしておくことができる。任意選択で、STO層40をBTO層20の下に配置することができる。STO層40は、
図3Bの誘電体電極340、342を形成するのに使用することができる。STO層40は、イオンミリング等の任意の適した方法によってBTO層20を形成する前にパターニングすることができる。任意選択のSTO層40及びBTO層20は、
図2に関して上述した二酸化ケイ素層又は窒化ケイ素層等の絶縁基板層202上にわたって形成することができる。
【0031】
絶縁基板層202は、その後除去される一時的な層である場合もあるし、最終的な電気光学デバイスにクラッド層として保持される場合もある。さらに、シード層204も、上述したようにBTO層20の下方に任意選択で形成することができる。シード層204は、その後除去される場合もあるし、最終的な電気光学デバイスに保持される場合もある。図示するように、BTO層20は、HBr/Cl2化学反応を使用してエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、O2が、SiO2ハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。
【0032】
図9は、BTO層20をパターニングするための窒化ケイ素(Si
3N
4)のハードマスク24の利用を示している。窒化ケイ素は、SiO
2ハードマスク22の使用と同様の高い選択性をもたらすHBrを用いてエッチングすることが困難である点で二酸化ケイ素と類似しており、BTO層20は、HBr/Cl
2化学反応を使用してエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、O
2がプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、SiO
2ハードマスクを使用した例と全く同様にイオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。
【0033】
図10は、いくつかの実施形態においてBTO層20をパターニングするのに使用することができる
図8に示すものと同様のSiO
2のハードマスク22を示している。ハードマスク22は、エッチングの深さが増加していることに起因して
図8よりも厚くなっている。BTO層20及びSTO層40は、HBr/Cl
2化学反応を使用してともにエッチングされるか、又は、任意選択で、BTO層20がHBr/Cl
2化学反応を使用してエッチングされた後にイオンミリングを使用してSTO層40をエッチングすることによってエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、O
2が、SiO
2ハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。この実施形態では、全BTOスタックがエッチングされ、プロセスは、下に位置するSiO
2絶縁基板層202上で停止する。
【0034】
図11は、BTO層20をパターニングするのに使用することができる
図9に示すものと同様のSi
3N
4のハードマスク24を示している。ハードマスク24は、エッチングの深さの増加に対応するために
図9に示すものよりも厚くなっている。BTO層20及びSTO層40は、HBr/Cl
2化学反応を使用してともにエッチングされるか、又は、任意選択で、BTO層20がHBr/Cl
2化学反応を使用してエッチングされた後にイオンミリングを使用してSTO層40をエッチングすることによってエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、O
2が、窒化ケイ素ハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。この実施形態では、全BTOスタックがエッチングされ、プロセスは、下に位置するSiO
2絶縁基板層202上で停止する。
【0035】
BTO層20のエッチングについて本明細書において説明される実施形態は、フッ素と混合されたアルゴンイオンを使用するイオンミリング等の既存の方法を上回る利点をもたらす。本明細書における実施形態によって生成される副生成物は、表面から容易に脱着するので、製造されるウェハー(すなわち、エッチングされたBTO層20を支持する絶縁基板層202)は、イオンミリングプロセスを用いて製造されたウェハーと比較して欠陥がより少ない状態で
図5に示すプロセスチャンバー602から出ることができる。加えて、化学的支援エッチングは、より高速なエッチング速度を有し、その結果、処理時間はより短くなる。さらに、いくつかの実施形態に従って説明されるエッチング方法は、プロセスの改良された制御を可能にする圧力、電力及びガス組成等のより多くの調整可能パラメーターを有することができる。本明細書における実施形態は、ハードマスクに対する改良された選択性を提供し、プロセス統合を簡単化する。本明細書において説明される化学エッチング方法は、イオンミリングよりも物理的でなく、ラインエッジラフネスを更に引き起こすストリエーション及びエッジチャネリング(edge channeling)のリスクを低減する。
【0036】
いくつかの実施形態では、HBrは、空気からの湿気と反応してウェハー上に再付着する場合がある。この再付着は、時間依存性ヘイズと呼ばれ、ウェハークリーニング中に溶解することができる。いくつかの実施形態では、未処理のウェハーを処理済みのウェハーから物理的に分離することができる。これによって、ヘイズが未処理のウェハーの表面に付着してマイクロマスキングを引き起こすのを防止することができる。
【0037】
上述したように、プラズマドライエッチングを使用するBTO薄膜パターニング及びSTO薄膜パターニングは、エッチング速度が遅く、Ba含有残渣及び/又はSr含有残渣は、効果的に除去されない場合がある。その理由は、Ba及びSrに基づくエッチング生成物の揮発化には高い温度が必要とされることに起因して、これらの物質は容易に揮発性にならないからである。例えば、BaF2は、2260℃を越える温度でしか揮発性になることができず、BaCl2は、1560℃を越える温度でしか揮発性になることができず、SrF2は、2460℃を越える温度でしか揮発性になることができず、SrCl2は、1250℃を越える温度でしか揮発性になることができない。その結果、Ba含有残渣及び/又はSr含有残渣は、スパッタリングによって、エッチングされた表面から除去することが必要となり得る。しかしながら、そのようなスパッタリング条件下では、マスク材料もスパッタリングされる可能性が最も高い。したがって、このエッチングプロセスは、マスク材料に対するエッチング選択性が低い。
【0038】
ハロゲン化されたBa化合物及び/又はSr化合物の高い揮発性温度がもたらすもう1つの結果は、エッチングプロセスが、BTO又はSTOからTiを優先的にエッチングする傾向があり、その結果、材料の1:1 Ba:Ti(Sr:Ti)化学量論組成からの逸脱が生じることである。材料の化学量論組成のそのような逸脱は、材料特性及びデバイス性能に影響を与える場合がある。イオンビームエッチング又はイオンミリング(マイクロマシニング)は、プラズマドライエッチングの代わりとなるものであるが、エッチング速度が非常に遅く、マスク材料に対する選択性が乏しく、300mmウェハーの製作とともに使用するのに利用できない場合がある。無触媒ウェットエッチング化学反応を使用するBTOパターニング及びSTOパターニングも、エッチング速度が遅いという難点を有し得る。
【0039】
開示される実施形態は、エッチャント(すなわち、エッチング媒体)化学反応が、プラズマドライエッチング又は無触媒ウェットエッチングでは達成することができない高速のエッチング速度を達成するように特に調節される、BTO薄膜及び/又はSTO薄膜をエッチングする触媒ウェットエッチング方法を提供する。実施形態の方法は、水溶液に溶解することができるBa含有残渣及び/又はSr含有残渣(例えば、化学反応の結果のエッチング生成物)を生成する。したがって、実施形態の触媒ウェットエッチング方法は、フォトレジストマスク材料に対する高い選択性を有するBTO薄膜及びSTO薄膜をエッチングし、Ba含有残渣及び/又はSr含有残渣を効果的に除去する。
【0040】
BTO及び/又はSTO薄膜(すなわち、層)パターニングは、マスキング層を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、フォトレジストをマスキング層として使用することができる一方、他の実施形態では、他の適したマスキング材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属、炭素等のハードマスク)を使用してもよい。マスキング層によって覆われていないBTO膜又はSTO膜の部分は、化学反応を受けて、BTO膜を除去することができる。1つの実施形態では、BTO膜又はSTO膜のマスキングされていない部分を、膜又はプロセスのかなりの残渣副生成物を残すことなく所望の材料を除去する化学反応に依拠する触媒ウェットエッチングプロセスを使用して完全に又は部分的にエッチングすることができる。
【0041】
触媒ウェットエッチング化学反応の一実施形態は、希釈剤と、フッ化水素酸(HF)等のフッ素の水性源と、ウェットエッチングに触媒作用を及ぼす、HFの酸解離定数よりも大きな酸解離定数(例えば、第1の解離定数Ka1)を有する少なくとも1つの追加の酸とを含有するエッチング媒体を含む。エッチング媒体は、任意選択の緩衝剤、任意選択の酸化剤、及び/又は1つ以上の任意選択の添加剤(例えば、界面活性剤、エタノール等の溶剤等)も任意選択で含むことができる。配合の際に使用される希釈剤の量によって溶液成分間の比を変更することができ、溶液成分の濃度を制御することができる。開示されるウェット化学エッチングプロセスは、室温条件において実行することができる。ただし、他の実施形態では、他の条件下でウェット化学エッチングプロセスを実行することができる。
【0042】
図12Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成に使用することができる中間構造体1200aの縦断面図である。中間構造体1200aは、基板202上に形成される電気光学層20Lを含むことができる。電気光学層20Lは、ブランケット(すなわち、パターニングされていない)層として堆積させることができ、上述したように、BTO又はSTO等の電気光学材料を含むことができる。中間構造体1200aは、フォトレジストマスキング層26等のパターニングされたマスキング層を更に含むことができる。或いは、上述したSiO
2ハードマスク22又はSi
3N
4ハードマスク24が、マスキング層として使用されてもよい。パターニングされたフォトレジスト26は、フォトレジスト材料のブランケット層(図示せず)を堆積させ、フォロリソグラフィ技法を使用してフォトレジスト材料をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト26を形成することによって形成することができる。パターニングされたフォトレジスト26は、その後、マスク層として使用され、電気光学層20Lを選択的にエッチングすることができる。
【0043】
エッチングプロセスは、液体状態のウェットエッチャント媒体を導入することを含むことができる。このウェットエッチャント媒体は、電気光学層20Lと相互作用し、それによって、電気光学層20Lをエッチングし、電気光学層20Lの表面から除去することができる様々なエッチング生成物を生成することができる。上述したように、また、以下で更に詳細に説明するように、エッチャント媒体は、ウェットエッチング溶液の形で提供することができる。
【0044】
図12Bは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成に使用することができる中間構造体1200bの縦断面図である。ウェットエッチングは、矢印によって概略的に示すように、水溶液に溶解することができ、それによって、ウェットエッチング溶液が構造体1200bから除去されるときに除去することができるBa含有残渣及び/又はSr含有残渣(例えば化学反応の結果として生成されるエッチング生成物)1208を生成する。
【0045】
図12Bに示すように、ウェットエッチングプロセスは、電気光学層20のマスキングされていない部分の厚さ全体を貫通してエッチングする前及び基板202の表面に達する前に停止される場合がある。上述したように、ウェットエッチングは、異方性エッチングであるドライエッチングと対照的に等方性エッチングである。したがって、
図12Bに示すように、ウェットエッチングは、パターニングされたフォトレジスト26の下のエッチングされた電気光学層20の部分を除去することができ、それによって、テーパー状の側壁20Sを有するアンダーカットされた領域を生成する。
【0046】
図13Aは、一実施形態による、光学コンポーネント1300aの縦断面図である。光学コンポーネント1300aは、
図12A及び
図12Bを参照して上述したプロセスを使用して形成することができる。この点に関して、ウェットエッチングプロセスを中間構造体1200aに対して実行して、パターニングされたフォトレジスト26の下にあるエッチングされた電気光学層20の部分を等方的にエッチングすることができる。
図13Aのエッチングされた電気光学層20は、テーパー状の側壁20Sを有するリッジ部分20Rと、基板202上のリッジ部分20Rの各側に位置する水平層部分20Hとを含むことができる。少なくともリッジ部分20Rは、光学コンポーネント1300aにおける導波路として機能することができる。電気光学コンポーネント1300aは、その後、パターニングされたフォトレジスト26を(例えば、化学溶剤を用いて又は灰化によって)除去するとともに、エッチングされた電気光学層20の水平部分20H上に第1の電極340及び第2の電極342を形成することによって形成することができる。
【0047】
図13Bは、代替の実施形態による、更なる光学コンポーネント1300bの縦断面図である。この実施形態では、電気光学層20はBTO層を含み、追加のSTO層40が基板202とBTO層との間に形成される。この実施形態では、ウェットエッチングが、電気光学層20(例えば、BTO層)のマスキングされていない部分の厚さ全体を貫通してエッチングすることができ、下にあるSTO層40の表面に達することができる。エッチングされた電気光学層20は、下にあるSTO層40上に位置するテーパー状の側壁20Sを有するリッジ部分20Rのみを含む。STO層40の部分が、誘電体電極として機能することもできるし、
図13Bに示すように、追加の電極340、342をSTO層40上に形成することもできる。
【0048】
実施形態のウェットエッチングプロセスは、HFの濃度及び希釈を変更したものを含むことができ、緩衝フッ化水素酸等の緩衝HF溶液を含むことができる。HF以外のF化学種の水性源もHFに代えて又はHFに加えて使用することができる。HFの酸解離定数よりも大きなKa1を有する様々な他の酸を、HF溶液(例えば、水性HF溶液)とともに使用することができる。そのような他の酸は、塩酸、硫酸、リン酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、臭化水素酸、硝酸、又はクエン酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸を含むことができる。これらの高Ka1酸は、HFエッチングに触媒作用を及ぼす。過酸化水素(H2O2)等の酸化剤を任意選択で追加することができる。
【0049】
ウェットエッチング媒体は、有機溶剤若しくは水性溶剤及び/又は有機希釈剤若しくは水性希釈剤を含むことができる。例えば、水を溶液の溶剤及び/又は希釈剤として使用することができる。或いは、エタノール等の有機溶剤を水性HF溶液と組み合わせることができる。上述したウェット化学エッチング媒体をブレンド溶液として適用することができる。或いは、様々な化学成分を順次適用することができる(例えば、HF溶液を溶剤及び/又は希釈剤内に最初に供給し、続いて、高Ka1酸を溶液内に供給することができる)。
【0050】
ウェットエッチング媒体は、様々な方法で中間構造体1200aに適用することができる。例えば、HF/酸溶液をエッチング槽として提供することができ、中間構造体1200aは、その後、エッチング槽内に浸漬される。この実施形態では、金属酸化物層をエッチングするステップは、金属酸化物層20とパターニングされたマスキング層26とを含む基板202を、ウェットエッチング媒体を含む槽内に入れることを含む。
【0051】
或いは、ウェットエッチング媒体を、スプレーツールを使用して中間構造体1200aに適用し、化学溶液のミストを適用することができる。この実施形態では、金属酸化物層をエッチングするステップは、金属酸化物層20の露出部分上及びパターニングされたマスキング層26上にウェットエッチング媒体を噴霧することを含む。
【0052】
更なる実施形態では、蒸気HFシステムを使用して、又は、エッチング対象の中間構造体1200aをウェットエッチング槽の上方に下向きにして配置し、槽からの蒸気が構造体1200aと相互作用し、それによって、エッチャントとして作用することを可能にすることによって、ウェットエッチング媒体を蒸気として適用することができる。この実施形態では、金属酸化物層をエッチングするステップは、ウェットエッチング媒体からの蒸気を金属酸化物層20の露出部分上及びパターニングされたマスキング層26上に供給することを含む。
【0053】
実施形態のウェット化学エッチングプロセスは、通常のプラズマドライエッチング又は無触媒ウェットエッチングよりも高速のエッチング速度を有する。例えば、純粋な水性HFエッチングでは、BTOとエッチャントとの間の反応は、第1のエッチング反応速度を有する以下の反応によって統制される。
【数1】
【0054】
様々な実施形態に従って、高K
a1酸がエッチング媒体に追加されると、この酸は、反応(II)に従って溶液内のフッ素イオンからHF分子の形成の増加を引き起こすヒドロニウムイオンを生成する。
【数2】
【0055】
ルシャトリエの原理によれば、HF分子形成の増加は、反応(I)の平衡状態を移動させ、それに対応して、第2のエッチング反応速度が増加する。例えば硝酸等の高K
a1酸を水溶液内に追加すると、その解離が反応(III)に従って引き起こされる。
【数3】
【0056】
この反応(III)において生成される陽子(H
+)は、反応(IV)に従って水分子と結合し、ヒドロニウムイオン(H
3O
+)を形成する。
【数4】
【0057】
ヒドロニウムイオン(H
3O
+)は、その後、上記の反応(II)に示したようにF
-イオンと相互作用し、追加のHFを生成し、この追加のHFが、反応(I)に触媒作用を及ぼして反応を促進し、エッチング速度を増加させる。同様の反応は、以下の反応に従って他の高K
a1酸を用いて行うことができる。
【数5】
【0058】
リン酸等の上記で考慮した多塩基酸の場合に、例えば以下の反応に従って、複数の解離が発生し得る。
【数6】
【0059】
上述した高Ka1酸は、或る濃度範囲に含まれるものとすることができる。例えば、高Ka1酸は、HF比率が約1:100~約100:1の範囲、例えば、1:20~20:1を含む1:50~50:1等、1:10~10:1等の範囲に存在することができるものである。
【0060】
Ba及びSrを含む様々なエッチング副生成物が溶液内に形成される場合があるが、これらは、水性媒体によって取り除くことができる。さらに、溶液のpHを適切に変更することによってエッチング生成物(Ba塩又はSr塩等)の溶解性を調節する(例えば、高める)ことができる。一例として、BTOのフッ化バリウムエッチング副生成物は、以下のような反応(V)に従ってエッチング槽内で部分的に解離することができる。
【数7】
【0061】
高Ka1酸がエッチング媒体に追加されると、この酸は、反応(V)において生成されたフッ素イオンと反応(II)に従って反応するヒドロニウムイオンを生成する。反応(V)におけるフッ素イオンが消費されると、この反応の平衡状態が、ルシャトリエの原理に従って移動される。換言すれば、BaF2(例示的なエッチング生成物残渣)の溶解性を高めることができ、エッチングされたBTOの表面からBaF2をより容易に除去することができる。
【0062】
1つの実施形態では、ウェットエッチング方法は、従来のウェットエッチング方法が適していない場合がある単結晶又は高エピタキシャルのBTO及び/又はSTOをエッチングするのに使用される。この点に関して、多結晶又はナノ結晶のBTO又はSTOをエッチングするのに使用される従来のウェットエッチング方法は、実用的なエッチング速度を達成するために、多結晶材料又はナノ結晶材料に特有の欠陥の存在、粒界の存在、及びより高い多効率のマイクロ構造に依拠する。高品質の単結晶材料又は高エピタキシャル材料には、そのような欠陥、粒界等は存在しないか、又は、存在する量は非常に少ない。したがって、触媒エッチング反応を含む開示されるウェットエッチング方法は、単結晶材料又は高エピタキシャル材料をエッチングするのに使用することができる。
【0063】
開示される実施形態は、シリコン基板上に形成された金属酸化物材料(例えば、BTO又はSTO)をエッチングすることにも有用であり得る。この点に関して、上述したウェットエッチング媒体は、希釈溶液に使用されるとき、薄膜BTO材料及び薄膜STO材料を高速にエッチングするが、見て取ることができるように、シリコンをエッチングせず、これによって、シリコン基板上に形成されたエッチング対象の金属酸化物材料を含む用途において開示されるエッチング方法を使用することが可能になる。
【0064】
上述したエッチング方法は、多くの用途において使用することができ、多くの用途には、フォトニクス(例えば、電気光学材料、酸化物ペロブスカイト材料を有するデバイス、光スイッチ、干渉計等);微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)(例えば、開示される実施形態を熱検出器において使用して、焦点面アレイ(FPA:focal plane array)及びボロメーターにおけるピクセルをエッチングすることができる);通信システム(例えば、開示される実施形態を使用して、リフレクトアレイアンテナをパターニングすることができる);メモリデバイス(例えば、開示される実施形態を使用して、薄膜キャパシター及び薄膜バラクターをパターニングすることができる)等が含まれる。
【0065】
前述の説明は、単に説明のための例として提供されているにすぎず、様々な実施形態のステップを提示された順序で実行しなければならないことを必要とすること又は意味することを意図するものではない。当業者であれば理解することができるように、前述の実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実行することができる。「それ以降」、「その後」、「次に」等の用語は、必ずしもステップの順序を限定することを意図するものではなく、これらの用語は、方法の説明を通して読み手を案内するのに使用することができる。さらに、例えば、「a」、「an」、又は「the」の冠詞を用いて、請求項の要素を単数にて参照する場合、それらの要素は単数に限定されるものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される任意の実施形態の任意のステップ又は構成要素を他の任意の実施形態において使用することができる。
【0066】
開示される態様のこれまでの説明は、当業者が開示される実施形態を実施及び/又は使用することを可能にするために提供されている。これらの態様に対する様々な変更は、当業者に直ちに明らかになるものであり、本明細書に定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本開示の実施形態は、本明細書に示された態様に限定されるように意図されておらず、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられることになる。
【国際調査報告】