IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポスコ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図1
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図2
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図3
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図4
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図5
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図6
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図7a
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図7b
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図7c
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図8
  • 特表-可変金型及びプレス装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】可変金型及びプレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 7/04 20060101AFI20241106BHJP
   B30B 15/02 20060101ALI20241106BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20241106BHJP
   B21D 1/10 20060101ALI20241106BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B30B7/04
B30B15/02 L
B21D5/01 M
B21D1/10
B21D22/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520754
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2022016023
(87)【国際公開番号】W WO2023068837
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140445
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジェ-ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 テ-ヒョ
【テーマコード(参考)】
4E003
4E063
4E090
4E137
【Fターム(参考)】
4E003EA10
4E063AA01
4E063BA01
4E063CA05
4E063CA06
4E063JA01
4E063MA18
4E090AA01
4E090AB02
4E090AB08
4E090CD01
4E137AA05
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA25
4E137EA06
4E137GA03
4E137GA15
4E137GB01
(57)【要約】
本発明は、素材のスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができる可変金型を提供するものであって、一実施形態において、上型部と下型部;を含み、上記上型部は上型カムを含み、上記下型部は上記下型本体;上記下型本体に連結され、被成形物が載置される載置部;及び上記下型本体に連結され、上記載置部の一側に配置され、上記上型カムに対応する下型カムを含んで上記上型カムと上記下型カムによって上記載置部に向かう第1方向に直線運動する成形部;を含み、上記成形部は、上記下型カム;上記下型カムが連結され、上記第1方向に移動可能に構成されたベースプレート;上記ベースプレート上に一部分が固定されるアクチュエータ;及び上記アクチュエータと連結されるカムブロック;を含み、上記カムブロックには、上記第1方向とは異なる第2方向に離隔した複数のアクチュエータが連結され、上記アクチュエータは上記第1方向に伸縮可能な構造を含む、可変金型を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変金型であって、
上型部と下型部を含み、
前記上型部は上型カムを含み、
前記下型部は、
前記下型本体と、
前記下型本体に連結され、被成形物が載置される載置部と、
前記下型本体に連結され、前記載置部の一側に配置され、前記上型カムに対応する下型カムを含んで前記上型カムと前記下型カムによって前記載置部に向かう第1方向に直線運動する成形部と
を含み、
前記成形部は、
前記下型カムと、
前記下型カムが連結され、前記第1方向に移動可能に構成されたベースプレートと、
前記ベースプレート上に一部分が固定されるアクチュエータと、
前記アクチュエータと連結されるカムブロックと
を含み、
前記カムブロックには、前記第1方向とは異なる第2方向に離隔した複数のアクチュエータが連結され、
前記アクチュエータは、前記第1方向に伸縮可能な構造を含む、可変金型。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記ベースプレートに固定された駆動部、前記駆動部に連結された伸縮部、及び前記伸縮部と前記カムブロックとを連結する連結部を含み、
前記駆動部によって前記伸縮部の第1方向への距離が調節されることを特徴とする、請求項1に記載の可変金型。
【請求項3】
前記ベースプレートに連結され、前記伸縮部または連結部の位置を測定する距離センサをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の可変金型。
【請求項4】
前記アクチュエータは、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータから前記第2方向に離隔して配置される第2アクチュエータとを含み、
前記第2方向は、前記第1方向を含む水平面において前記第1方向に直交する方向であり、
前記第1アクチュエータは、前記カムブロックに形成された第1連結孔とピンで連結され、
前記第2アクチュエータは、前記カムブロックに形成された第2連結孔とピンで連結され、
前記第1連結孔と前記第2連結孔のうち少なくとも一つは、前記ピンの直径よりも大きい長さを有することを特徴とする、請求項1に記載の可変金型。
【請求項5】
前記第1連結孔は、前記ピンの直径に対応する内径を有し、
前記第2連結孔は、前記第2方向に前記ピンの直径よりも大きい長さを有することを特徴とする、請求項4に記載の可変金型。
【請求項6】
前記ベースプレートと前記下型本体とは、前記第1方向への動きのみを許容する第1LMガイドを介して連結されることを特徴とする、請求項1に記載の可変金型。
【請求項7】
前記ベースプレートと前記連結部とは、前記第1方向への動きのみを許容する第2LMガイドを介して連結されることを特徴とする、請求項2に記載の可変金型。
【請求項8】
前記アクチュエータは、
モータと、
前記モータによって回転するスクリューと、
前記スクリューに対応するねじ山が内側に形成された移動ブロックと、
前記移動ブロックと前記カムブロックとを連結する連結部材と
を含み、
前記移動ブロックは、前記ベースプレートと前記第1方向に延びる第2LMガイドを介して連結されることを特徴とする、請求項1に記載の可変金型。
【請求項9】
前記成形部は、前記載置部を中心に両側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の可変金型。
【請求項10】
前記アクチュエータは制御部に連結され、
前記制御部は、成形後に被成形物の成形結果を考慮して前記アクチュエータの第1方向距離を調節することを特徴とする、請求項9に記載の可変金型。
【請求項11】
プレス装置であって、
プレス本体と、
前記プレス本体に設置され、素材を成形する複数の金型と、
前記複数の金型において前記素材を移動させる移動ユニットと
を含み、
前記複数の金型は、素材の一部をベンディングさせる第1金型と、前記第1金型で成形された素材のベンディングされた部分を再度成形する第2金型とを含み、
前記第2金型は、請求項1に記載の可変金型であることを特徴とする、プレス装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータから前記第2方向に離隔して配置される第2アクチュエータとを含み、
前記第2方向は、前記第1方向を含む水平面において前記第1方向に直交する方向であり、
前記第1アクチュエータは、前記カムブロックに形成された第1連結孔とピンで連結され、
前記第2アクチュエータは、前記カムブロックに形成された第2連結孔とピンで連結され、
前記第1連結孔と前記第2連結孔のうち少なくとも一つは、前記ピンの直径よりも大きい長さを有することを特徴とする、請求項11に記載のプレス装置。
【請求項13】
前記第1連結孔は、前記ピンの直径に対応する内径を有し、
前記第2連結孔は、前記第2方向に前記ピンの直径よりも大きい長さを有することを特徴とする、請求項12に記載のプレス装置。
【請求項14】
前記アクチュエータは
モータと、
前記モータによって回転するスクリューと、
前記スクリューに対応するねじ山が内側に形成された移動ブロックと、
前記移動ブロックと前記カムブロックとを連結する連結部材と
を含み、
前記移動ブロックは、前記ベースプレートと前記第1方向に延びる第2LMガイドを介して連結されることを特徴とする、請求項12に記載のプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変金型及びプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、素材の高強度化の傾向に伴い、曲げ工法を適用する場合が増加している。素材の曲げ加工において必然的なスプリングバック(spring back)は、素材の弾性係数及び厚さ方向への応力分布などの複合的な原因によって発生する現象であり、これを正確に予測して補正することは容易ではない。
【0003】
曲げ加工分野では、スプリングバックを予測して製品成形の精度を向上させるための試みが行われている。一例として、特定素材の物性に基づいてスプリングバックを補正するための成形金型を生産工程に追加する方法が使用されている。
【0004】
しかし、このような方法は、素材の物性に応じて別途の成形金型を作製しなければならないため、効率的ではないという問題がある。また、このような方法による場合でも、目標とするスプリングバック補正の効果が達成できないという問題がある。
【0005】
すなわち、上記成形金型を作製するために使用されたサンプルと実際に加工される素材の物性が同一であっても、加工環境が変わると、目標とするスプリングバック補正の効果が現れないという問題がある。
【0006】
一例として、高強度のコイル鋼板のような素材は、巻き取られている位置や巻き取られた張力の差等によって、成形前の内部応力がサンプルとは異なる場合があり、これによって物性が同一であっても目標とするスプリングバック補正の効果が達成できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2010-0002958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、素材のスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができる可変金型及びプレス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような目的を達成するために、以下のような可変金型及びプレス装置を提供する。
【0010】
本発明は、一実施形態において、上型部と下型部;を含み、上記上型部は上型カムを含み、上記下型部は上記下型本体;上記下型本体に連結され、被成形物が載置される載置部;及び上記下型本体に連結され、上記載置部の一側に配置され、上記上型カムに対応する下型カムを含んで上記上型カムと上記下型カムによって上記載置部に向かう第1方向に直線運動する成形部;を含み、上記成形部は、上記下型カム;上記下型カムが連結され、上記第1方向に移動可能に構成されたベースプレート;上記ベースプレート上に一部分が固定されるアクチュエータ;及び上記アクチュエータと連結されるカムブロック;を含み、上記カムブロックには、上記第1方向とは異なる第2方向に離隔した複数のアクチュエータが連結され、上記アクチュエータは上記第1方向に伸縮可能な構造を含む、可変金型を提供する。
【0011】
本発明は、一実施形態において、プレス本体;及び上記プレス本体に設置され、素材を成形する複数の金型;及び上記複数の金型において上記素材を移動させる移動ユニット;を含み、上記複数の金型は、素材の一部をベンディングさせる第1金型と上記第1金型で成形された素材のベンディングされた部分を再度成形する第2金型を含み、上記第2金型は上記可変金型であるプレス装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記のような構成によりスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができる可変金型及びプレス装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、成形形状に応じて、単一部品内でスプリングバックの程度が異なる場合にも正確に成形できる可変金型及びプレス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のプレス装置で使用される金型の概略図である。
図2】成形製品の概略図である。
図3図2の成形製品のA~Dにおいて成形形状を測定したグラフである。
図4】本発明の一実施形態による可変金型の概念図である。
図5】本発明の一実施形態による可変金型の概略正面図である。
図6図5の実施形態の可変金型の概略平面図である。
図7a】各状態による図6のカムブロック部の拡大図である。
図7b】各状態による図6のカムブロック部の拡大図である。
図7c】各状態による図6のカムブロック部の拡大図である。
図8図5の実施形態による可変金型が被成形品を成形する様子の概略図である。
図9】本発明の可変金型で成形した成形製品の成形形状を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように、好ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するに当たり、関連する公知の機能または構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、類似の機能及び作用をする部分については、図面全体にわたって同じ符号を使用する。なお、本明細書において、「上」、「上部」、「上面」、「下」、「下部」、「下面」、「側面」等の用語は図面を基準としたものであり、実際には素子や構成要素が配置される方向に応じて異なり得る。
【0016】
さらに、明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されていると言う場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0017】
図1には、従来のプレス装置で使用される金型の概略図が示されている。
【0018】
図1に示すように、プレス装置で使用される金型1は、上型部10と下型部20とを含む。上型部10は、プレス装置に備えられるプレス本体の上下に移動する可動部に連結され、可動部の移動に応じて共に上下に移動し、下型部20はプレス本体の固定部に連結される。図示されてはいないが、プレス装置は、上型部10と下型部20との間に被成形物Pを位置させ、被成形物Pが金型1によって成形された成形製品を引き出す移動ユニットを含むか、または作業者が被成形物Pあるいは成形製品を移動させることができる。
【0019】
プレス装置は、複数の金型が装着されて同時に複数の成形を行うことができ、図1に示すようなカムを含んで成形する場合に、カムブロック28が第1方向、すなわち、水平方向に移動して被成形物Pを成形するため、図1の金型で成形する前に、他の金型を介して予備成形して被成形物Pの一部分をベンディングさせた後、図1の金型で正確に成形することができる。
【0020】
本発明の明細書において、図1のX方向は、被成形物Pの幅方向、左右方向またはカムブロック26の移動方向または第1方向と呼ぶことができ、Y方向は、被成形物Pの長さ方向、移動方向、または第2方向と呼ぶことができ、Z方向は、被成形物Pの高さ方向、上下方向または第3方向と呼ぶことができる。
【0021】
図1の金型1は、上型部10と下型部20とを含み、上型部10は上部カム11、成形時に被成形物Pを位置固定するための加圧板15及び上記加圧板15を弾性支持するスプリング16を含む。上部カム11は、プレス本体の可動部の上下方向の動きを、被成形物Pに向かう第1方向(図1においてX方向)の動きに変換するように傾斜面が形成される。下型部20は、上記被成形物Pが載置される載置部21、上記上部カム11に対応するように傾斜面が形成された下部カム25、下部カム25の第1方向の動きを許容可能にするスライド構造24及び下部カム25に連結されて被成形物Pを成形するカムブロック28を含む。
【0022】
このような金型1の場合に、被成形物Pを一つの形状に成形することになるが、最近、使用される高強度鋼材、特に、ギガレベル以上の引張強度を有する鋼材の場合に、材料の物性が製造特性上のばらつきを有するが、一つの形状を有する金型1を介して成形する場合に、材質のばらつきに応じてスプリングバックの程度が異なり、成形後の形状にばらつきが生じて製品の不良につながる。したがって、本発明は、各鋼材の物性に基づいて成形形状を変形させることができる可変金型を提供する。
【0023】
一方、図2には、成形製品の概略図が示されており、図3には、図2の成形製品の位置A~Dで成形形状を測定したグラフである。図2に示すように、成形製品の形状において製品の長さ方向、すなわち、製品がコ字状に見える正面に向かう製品移動方向(図1のY方向)に沿って成形製品の曲率半径r1、r2が変化する場合に、同じ材質であってもスプリングバックの程度が異なることがある。図2のA、B、C、D点は、成形製品において同一の高さで左右(X方向)、前後(Y方向)に異なる位置の4地点であり、当該位置において基準位置からの距離が図3に示されている。回次は、生産された製品の順序を意味し、一つの回次に一つの製品が成形された。回次に応じて成形形状が変化することはない。
【0024】
図3に示すように、一度に成形した製品において、位置に応じて基準位置からの距離が異なることを確認することができ、回次が変化してもその傾向性が維持されるということが確認できる。すなわち、スプリングバックがさらに発生する位置では、継続してスプリングバックがさらに発生することが分かり、その位置では、成形製品の曲率半径が異なる場合にスプリングバックが異なって発生すること、すなわち、成形製品に歪みが発生することを確認することができた。したがって、異なるスプリングバックにも正確な形状に成形するためには、製品の移動方向(Y方向)で成形を調節する必要があり、本発明は、このように製品の移動方向で成形を調節、すなわち、歪みを調節することができる可変金型を提供する。
【0025】
図4には、本発明の一実施形態による可変金型の概念図が示されている。
【0026】
図4において、可変金型1は上型部10と下型部20とを含み、上型部10は上部カム11、成形時に被成形物Pを位置固定するための加圧板15及び上記加圧板15を弾性支持するスプリング16を含む。上部カム11は、プレス本体の可動部の上下方向の動きを、被成形物Pに向かう第1方向(X方向)の動きに変換するように傾斜面が形成される。
【0027】
下型部20は、上記被成形物Pが載置される載置部21、上記上部カム11に対応するように傾斜面が形成された下部カム25、下部カム25の第1方向の動きを許容可能にするスライド構造24及び下部カム25に連結され、被成形物Pを成形するカムブロック28を含む。図4の実施形態において、カムブロック28のY方向において、互いに異なる位置でX方向の長さを調節するアクチュエータA1、A2が配置される。すなわち、カムブロック28は、アクチュエータA1、A2の長さ調整によって上下方向(Z方向)を中心に回転するような調節が可能であり、これは、被成形物Pの材質ばらつき、あるいは成形形成に応じて一つの被成形物Pで異なって発生するスプリングバックに対応してカムブロック28を調整可能にする。
【0028】
この実施形態において、カムブロック28は、2つの軸によって位置が調整され、このような位置調整は、全体的なカムブロック28の位置(X方向における位置)を調整することができるだけでなく、カムブロック28の回転(Z軸を中心に回転)も調整することができ、成形製品において発生し得る歪みも調整することができる。
【0029】
図5図6には、本発明の他の実施形態による可変金型が開示されている。図5には、本発明の一実施形態による可変金型1の概略正面図が、図6には、本発明の一実施形態による可変金型1の概略平面図が示されている。
【0030】
図5及び図6に示すように、可変金型1は上型部10と下型部20とを含み、上型部10は上部カム11、成形時に被成形物Pを位置固定するための加圧板15及び上記加圧板15を弾性支持するスプリング16を含む。上部カム11は、プレス本体の可動部の上下方向の動きを、被成形物Pに向かう第1方向(X方向)の動きに変換するように傾斜面が形成される。
【0031】
下型部20は、プレス本体に結合される下型本体22;上記下型本体22に連結され、被成形物Pが載置される載置部21;及び上記下型本体22に連結され、上記載置部21の両側に配置され、上記上型カム11に対応する下型カム25を含んで上記上型カム11と上記下型カム25によって上記載置部21に向かう第1方向に直線運動する成形部;を含む。
【0032】
成形部は、上記下型カム25;上記下型カム25が連結され、上記第1方向に移動可能に構成されたベースプレート23;上記ベースプレート23上に一部分が固定されるアクチュエータ26、27;及び上記アクチュエータ26、27と連結されるカムブロック28;を含み、上記カムブロック28には、上記第1方向とは異なる第2方向に離隔した第1アクチュエータ26及び第2アクチュエータが連結され、上記アクチュエータ26、27は上記第1方向に伸縮可能な構造を含む。
【0033】
下型カム25は、カム構造25aと上記カム構造25aの下部に連結され、上記アクチュエータ26、27が配置される空間が形成されるように中空構造を有し、上記ベースプレート23に連結される連結部25bを含む。ベースプレート23は、上記下型本体22と第1LMガイドG1を介して連結され、上型カム11によって下型カム25が第1方向に移動できるように、上記第1LMガイドG1は、第1方向に延びるレールと上記レールに移動するガイド部23aとを含む。上記ベースプレート23は、上記ベースプレート23に連結された構成を全体的に、上記第1方向に沿って移動させる。
【0034】
上記ベースプレート23には、上記第1及び第2アクチュエータ26、27が連結される。第1及び第2アクチュエータ26、27の外側部分は上記ベースプレート23に固定される。ここで、外側部分とは、アクチュエータ26、27によって上記カムブロック28がX方向に沿って移動できるように、上記被成形物Pから相対的に離れた位置に位置する部分を意味する。上記第1及び第2アクチュエータ26、27は、上記連結部25bの中空部分に位置する。
【0035】
第1アクチュエータ26は、上記ベースプレート23に固定されるモータ26a、上記モータ26aの回転軸に連結され、上記モータ部26aが回転させることができるスクリュー26b、上記スクリュー26bに対応するねじ山が内側に形成された移動ブロック26c、上記移動ブロック26cを通過したスクリュー26bの端部を回転可能に支持する支持部26d、上記移動ブロック26cと上記カムブロック28とを連結する連結部材26e、上記連結部材26aにおいてカムブロック28の連結孔28bに連結されるピン26f及び上記移動ブロック26cから突出形成された突出部26gを含む。上記第1アクチュエータにおいて、上記モータ26aは動力を提供することから、駆動部と呼ぶことができ、スクリュー26b、移動ブロック26cは、第1方向で移動するため伸縮部と呼ぶことができ、上記連結部材26eは、カムブロック28と連結されることから、連結部と呼ぶことができる。
【0036】
上記移動ブロック26cは、上記ベースプレート23に第1方向に移動可能に連結される。すなわち、上記移動ブロック26cは、上記ベースプレート23に第2LMガイドG2を介して連結され、上記突出部26gが上記第2LMガイドG2に連結されることができる。
【0037】
第2アクチュエータ27は、上記第1アクチュエータ26と同様に、上記ベースプレート23に固定されるモータ27a、上記モータ27aの回転軸に連結され、上記モータ27aが回転させることができるスクリュー27b、上記スクリュー27bに対応するねじ山が内側に形成された移動ブロック27c、上記移動ブロック27cを通過したスクリュー27bの端部を回転可能に支持する支持部27d、上記移動ブロック27cと上記カムブロック28とを連結する連結部材27e、上記連結部材27aにおいてカムブロック28の連結孔28aに連結されるピン27f及び上記移動ブロック27cから突出形成された突出部27gを含む。
【0038】
第1及び第2アクチュエータ26、27は、外部動力源が上記モータ26a、27aに連結され、図示しない制御部がモータ26a、27aに連結され、モータ26a、27aを駆動させることにより、上記移動ブロック26c、27cを上記第1方向に沿って前進または後進させることができる。移動ブロック26c、27cが前進する場合に、上記第1及び第2アクチュエータ26、27に連結されたカムブロック28が前進する。第1及び第2アクチュエータ26、27は独自に動くことができ、第1及び第2アクチュエータ26、27がそれぞれ動くことによって、カムブロック28が前進/後進/回転することができる。
【0039】
一方、上記第1及び第2アクチュエータ26、27の側面には、上記アクチュエータ26、27の移動距離を計測するための距離測定センサ29が配置されることができる。上記距離測定センサ29は、上記突出部26g、27bに向かってレーザを照射した後に反射されるレーザを感知するレーザセンサ29aを含むことができ、レーザセンサ29aはベースプレート23に固定されて上記移動ブロック26c、27cから突出した突出部26g、27gの距離を測定することにより、上記第1及び第2アクチュエータ26、27によって上記カムブロック28が移動する距離を計測することができる。このような距離測定センサ29は、上述した制御部に連結され、モータ26a、27aの制御が正確に行われたか否かを確認可能にする。
【0040】
カムブロック28と第1及び第2アクチュエータ26、27とが連結される構成については、図7aを参照して説明する。図7a~図7cは、各状態による図6のカムブロック部分の拡大図であり、図8は、図5の実施形態による可変金型が被成形品を成形する様子の概略図を示している。
【0041】
図7aに示すように、第1及び第2アクチュエータ26、27は、連結部材26e、27eの端部に連結されたピン26f、27fを含み、上記ピン26f、27fが上記カムブロック28の第1及び第2連結孔28a、28bに挿入されて、上記第1及び第2アクチュエータ26、27が上記カムブロック28に連結される。上記カムブロック28がZ方向を中心に回転できるように、上記第1連結孔28a及び上記第2連結孔28bのうち一つは第2方向、正確にはカムブロック28の加圧面28cに平行な方向に上記ピン26f、27fの直径よりも長く形成される。
【0042】
第1及び第2アクチュエータ26、27のピン26f、27fは、上記カムブロック28が回転できるように円形断面を有して形成される。第1及び第2連結孔28a、28bのうち一つ(この実施形態では、第1連結孔)は、上記ピン27fに対応する内径を有する円形の孔で形成されるため、この実施形態において、第1連結孔28aと上記第2アクチュエータ27のピン27fは回転のみが可能であるように連結される。一方、第1及び第2連結孔28a、28bのうち残りの一つ(この実施形態では、第2連結孔)は、上記ピン26fに対応する内径を有する一対の半円部と、上記半円部の間の直線部とを含む。第2連結孔28bの上記直線部が上記第2方向、すなわち、加圧面28cに平行な方向に延び、これによって、第2連結孔28bの第2方向の長さLは、上記第1方向の長さDよりも長く形成される。このような第2連結孔28bの形状は、円形ピン26fが上記第2連結孔28bから移動することができ、第1及び第2アクチュエータ26、27のピン26f、27fの位置が可変することによって、上記カムブロック28を回転させる。
【0043】
図7aは、第1及び第2アクチュエータ26、27が基本位置に位置したときの様子であり、図7bは、第1アクチュエータ26のみが載置部21側へ前進、すなわち、第1方向に前進したときの上記カムブロック28が回転する様子である。図7cは、第1及び第2アクチュエータ26、27が共に前進し、かつ上記第2アクチュエータ27が上記第1アクチュエータよりもさらに前進したときの様子である。第1及び第2アクチュエータ26、27が共に前進し、カムブロック28が基本位置よりも全体的に前進しており、第2アクチュエータ27がさらに前進して、カムブロック28が上記図7bとは反対方向に回転している。
【0044】
図8に示すように、成形部が上記被成形物Pの両側に配置された様子が示されている。第1及び第2アクチュエータ26、27が上記被成形物Pの両側にそれぞれ配置され、被成形物Pの両側で被成形物Pを成形するカムブロック28を調節する。両側に配置されるカムブロック28における第1及び第2連結孔28a、28bの位置は、被成形物Pを中心に線対称に配置されてもよいが、図8に示すように、回転のみが可能な連結孔28aが互いに対角線上に位置するように配置されてもよい。
【0045】
図9には、本発明の可変金型1で成形した成形製品の成形形状を測定したグラフが示されている。最初は、図3のグラフと同様に位置別にスプリングバックの程度が異なっていたが、上記可変金型1を介してカムブロック28を移動及び回転させて再成形し、再び位置別にスプリングバックを測定した後、カムブロック28を移動及び回転させて成形することにより、成形しようとする形状に迅速に到達することができ、各位置におけるスプリングバックの発生量の差にもかかわらず、成形しようとする形状に正確に成形することが可能である。
【0046】
以上のように、本発明の実施形態を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々に変形して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1:可変金型
10:上型部
11:上部カム
20:下型部
21:載置部
22:下型本体
23:ベースプレート
24:スライド構造
25:下部カム
26:第1アクチュエータ
27:第2アクチュエータ
26a、27a:モータ
26b、27b:スクリュー
26c、27c:移動ブロック
26d、27d:支持部
26e、27e:連結部材
26f、27f:ピン
28:カムブロック
28a、28b:第1及び第2連結孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
【国際調査報告】