(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ビタミンAの生成のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 67/297 20060101AFI20241106BHJP
C07C 69/145 20060101ALI20241106BHJP
C07C 69/24 20060101ALI20241106BHJP
C07D 333/48 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C07C67/297 CSP
C07C69/145
C07C69/24
C07D333/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521312
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022082915
(87)【国際公開番号】W WO2023094422
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】メドロック, ジョナサン, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー, マーク‐アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ステットラー, マーセル
(72)【発明者】
【氏名】ウェステンベルグ, ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB10
4H006AC13
4H006BB11
4H006BB25
4H006BC10
4H006KA30
(57)【要約】
本発明は、ビタミンA及び/又はその誘導体の生成のための新規なプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、RはH、又は
【化2】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物の生成のためのプロセスであって、
第1の工程(工程(i))において、式(II)
【化3】
の化合物は、式(III)
【化4】
(式中、R(及びR
1も)は、式(I)の前記化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物と反応し、
次いで、第2の工程(工程(ii))において、式(IV)
【化5】
(式中、R(及びR
1も)は、式(I)の前記化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物である、工程(i)の反応生成物は、反応混合物を加熱することにより、式(I)の前記化合物に変換されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
工程(i)の前記反応は、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの不活性溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの不活性溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンからなる群から選択される、請求項2又は3に記載のプロセス。
【請求項5】
工程(i)の前記反応は、少なくとも1つの強塩基の存在下で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
強塩基(又は塩基の混合物)のpK
B値は、2未満である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの強塩基は、式(III)の化合物に対して0.8~2.5モル当量の量で使用される、請求項5又は6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(i)の前記反応は、-90℃~25℃の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(ii)、式(IV)
【化6】
(式中、Rは、式(I)の化合物について定義したのと同じ意味を有する)の前記化合物である、工程(i)の前記反応生成物は、少なくとも1つの不活性溶媒中で溶解される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの不活性溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの不活性溶媒は、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンからなる群から選択される、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
工程(ii)の前記反応は、高温で行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(ii)の前記反応は、40℃~120℃の温度で行われる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
式(IV)
【化7】
(式中、RはH、又は
【化8】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物。
【請求項15】
式(Vb)
【化9】
(式中、RはH、又は
【化10】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビタミンA及び/又はその誘導体の生成のための新規なプロセスに関する。
【0002】
ビタミンA又はその誘導体(ビタミンA酢酸塩、ビタミンAプロピオン酸塩又はビタミンAパルミチン酸塩など)
【化1】
は、多くの用途に重要な成分である。ビタミンAは、例えば視覚プロセス、遺伝子転写、免疫機能、骨代謝、造血、皮膚及び細胞の健康、並びに抗酸化機能など、身体全体の様々な機能において役割を果たしている。
【0003】
ビタミンA(及びその誘導体)の重要性とその合成の複雑さのため、製造プロセスの改善が常に必要とされている。
【0004】
本発明の目的は、ビタミンA又はその誘導体の新規な合成法を発見することであった。この目的は、本発明の合成経路によって達成された。
【0005】
ビタミンA及び/又はその誘導体を得るための新規な合成は、以下のスキームから見ることができる:
以下のスキームは、式(I)の化合物であるビタミンA(又はその誘導体)がどのように得られることができるかを示している:
【化2】
(式中、RはH、又は
【化3】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)。
【0006】
本特許出願の文脈では、特許出願に示される化合物の炭素-炭素二重結合は、任意のE-Z配置を有することができる。E-Z配置は、本発明の本質的な特徴ではない。
【0007】
新規なプロセスは、2つの工程(工程(i)と工程(ii))からなる。
【0008】
式(II)の化合物は、従来技術から知られている任意のプロセスに従って製造することができる。
【0009】
式(III)の化合物である他の出発材料は、式(VI)
【化4】
(式中、R及びR
1は、不活性溶媒中でSO
2を用いて式(III)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物を反応させることによって生成することができる。
【0010】
式(VI)の化合物を得る方法は、従来技術から公知である(例えばZ.Wu et al,J.Am.Chem.Soc.,2005,17433より)。
【0011】
従って、本発明は、式(I)
【化5】
(式中、RはH、又は
【化6】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物の生成のためのプロセス(P)であって、
第1の工程(工程(i))において、式(II)
【化7】
の化合物は、式(III)
【化8】
(式中、R(及びR
1も)は、式(I)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物と反応し、
次いで、第2の工程(工程(ii))において、式(IV)
【化9】
(式中、R(及びR
1も)は、式(I)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物である、工程(i)の反応生成物は、反応混合物を加熱することにより、式(I)の化合物に変換されることを特徴とする、プロセス(P)に関する。
【0012】
好ましくは、式(I)の化合物において
RはH、又は
【化10】
であり、式中、R
1は、-CH
3、-CH
2CH
3又は-(CH
2)
14CH
3である。
【0013】
【0014】
【0015】
従って、本発明は、プロセス(P1)に関し、これは、プロセス(P)であり、この場合、RはH又は、
【化13】
であり、式中、R
1は、-CH
3、-CH
2CH
3又は-(CH
2)
14CH
3である。
【0016】
従って、本発明は、プロセス(P1’)に関し、これは、プロセス(P)であり、この場合、Rは、
【化14】
である。
【0017】
従って、本発明は、プロセス(P1’’)に関し、これは、プロセス(P)であり、この場合、Rは、
【化15】
である。
【0018】
以下では、2つの工程についてより詳細に説明する。
【0019】
[工程(i)]
本発明による第1の工程では、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキス-1-エン-1-イル)ブタ-2-エナール(ボロナールとしても知られる)である式(II)の化合物は、式(III)(式中、RはH又は
【化16】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物と反応し、式(IV)(式中、R
1は、式(III)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物を形成する:
【化17】
【0020】
工程(i)のプロセスは、通常、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる。
【0021】
溶媒は、通常、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である。適切な溶媒は、例えば、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンである。
【0022】
従って、本発明は、プロセス(P2)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)又は(P1’’)であり、この場合、工程(i)の反応は、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる。
【0023】
従って、本発明は、プロセス(P2’)に関し、これは、プロセス(P2)であり、この場合、少なくとも1つの不活性溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である。
【0024】
従って、本発明は、プロセス(P2’’)に関し、これは、プロセス(P2)であり、この場合、少なくとも1つの不活性溶媒は、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンからなる群から選択される。
【0025】
更に、工程(i)の反応は、少なくとも1つの強塩基の存在下で行われる。強塩基のpKB値は、2未満である。
【0026】
適切な塩基は、例えば、NaH、n-BuLi、tert-BuLi、sec-BuLi、LiHMDS、NaHMDS、LDA、NaDA、NaNH2、KNH2、LiNH2、有機アミン塩基、NaNH2、LiNH2、及びこれらの塩基の類似のカリウム塩である。
【0027】
工程(i)における強塩基は、式(III)の化合物に対して、通常0.8~2.5モル当量の量で使用される。
【0028】
従って、本発明は、プロセス(P3)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)又は(P2’’)であり、この場合、工程(i)の反応は、少なくとも1つの強塩基の存在下で行われる。
【0029】
従って、本発明は、プロセス(P3’)に関し、これは、プロセス(P3)であり、この場合、強塩基(又は塩基の混合物)のpKB値は、2未満である。
【0030】
従って、本発明は、プロセス(P3’’)に関し、これは、プロセス(P2)であり、この場合、少なくとも1つの強塩基は、NaH、n-BuLi、tert-BuLi、sec-BuLi、LiHMDS、NaHMDS、LDA、NaDA、NNaNH2、KNH2、LiNH2、有機アミン塩基、NaNH2、LiNH2及びこれらの塩基の類似のカリウム塩からなる群から選択される。
【0031】
従って、本発明は、プロセス(P3’’’)に関し、これは、プロセス(P3)、(P3’)又は(P3’’)であり、この場合、少なくとも1つの強塩基は、式(III)の化合物に対して0.8~2.5モル当量の量で使用される。
【0032】
更に、工程(i)の反応は、低温で行われる。
【0033】
好ましくは、工程(i)の反応は、-90℃~25℃の温度で行われる。
【0034】
より好ましくは、工程(i)の反応は、-80℃~5℃の温度で行われる。
【0035】
従って、本発明は、プロセス(P4)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)又は(P3’’’)であり、この場合、工程(i)の反応は、低温で行われる。
【0036】
従って、本発明は、プロセス(P4’)に関し、これは、プロセス(P4)であり、この場合、工程(i)の反応は、-90℃~25℃の温度で行われる。
【0037】
従って、本発明は、プロセス(P4’’)に関し、これは、プロセス(P4)であり、この場合、工程(i)の反応は、-80℃~5℃の温度で行われる。
【0038】
更に、通常、式(II)の化合物及び式(III)の化合物は、工程(i)の反応で0.8:1~1:0.8のモル比で使用される。
【0039】
従って、本発明は、プロセス(P5)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P4)、(P4’)又は(P4’’)であり、この場合、式(II)の化合物及び式(III)の化合物は、工程(i)の反応で0.8:1~1:0.8のモル比で使用される。
【0040】
通常、数分から数時間の期間で行われる工程(i)の反応の終わりに、式(IV)の反応生成物が、単離(及び任意に精製)され、次いで工程(ii)で使用されることができる。
【0041】
しかし、工程(i)の反応混合物をそのまま工程(ii)で使用することも可能である。
【0042】
[工程(ii)]
本発明による第2の工程では、式(IV)
【化18】
(式中、R(及びR
1も)は、式(III)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)の化合物は、少なくとも1つの不活性溶媒中で溶解される。
【0043】
通常且つ好ましくは、不活性溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である。
【0044】
工程(i)の反応混合物をそのまま工程(ii)で使用する場合、溶媒を添加する必要はない(しかしながら、この場合には溶媒を添加することも可能である)。
【0045】
適切な溶媒は、例えば、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンである。
【0046】
従って、本発明は、プロセス(P6)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)又は(P5)であり、この場合、工程(ii)、式(IV)
【化19】
(式中、R(及びR
1も)は、式(III)の化合物について定義したのと同じ意味を有する)の化合物である、工程(i)の反応生成物は、少なくとも1つの不活性溶媒中で溶解される。
【0047】
従って、本発明は、プロセス(P6’)に関し、これは、プロセス(P6)であり、この場合、少なくとも1つの不活性溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒である。
【0048】
従って、本発明は、プロセス(P6’’)に関し、これは、プロセス(P6)又は(P5’)であり、この場合、少なくとも1つの不活性溶媒は、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、MeTHF、トルエン、ヘプタン及びn-ヘキサンからなる群から選択される。
【0049】
工程(ii)の反応は、高温で行われる。
【0050】
通常且つ好ましくは、工程(ii)の反応は、40℃~120℃の温度で行われる。
【0051】
従って、本発明は、プロセス(P7)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P6)、(P6’)又は(P6’’)であり、この場合、工程(ii)の反応は、高温で行われる。
【0052】
従って、本発明は、プロセス(P7’)に関し、これは、プロセス(P7)であり、この場合、工程(ii)の反応は、40℃~120℃の温度で行われる。
【0053】
工程(ii)は、少なくとも1つの窒素含有塩基の存在下又は非存在下で実施することができる。
【0054】
従って、本発明は、プロセス(P8)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)又は(P7’)であり、この場合、工程(ii)の反応は、窒素含有塩基の存在下で行われる。
【0055】
従って、本発明は、プロセス(P9)に関し、これは、プロセス(P)、(P1’)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)又は(P7’)であり、この場合、工程(ii)の反応は、窒素含有塩基の非存在下で行われる。
【0056】
工程(ii)の反応は、通常、数時間行われる。
【0057】
工程(ii)の反応の終わりに、式(I)の化合物である工程(ii)の反応生成物は、一般的に知られ使用される方法によって単離及び精製されることができる。
【0058】
しかし、工程(ii)の反応混合物をそのまま使用することも可能である。
【0059】
本発明の更なる実施形態は、式(IV)
【化20】
(式中、RはH、又は
【化21】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物である新規化合物に関する。
【0060】
従って、本発明は、式(IV)
【化22】
(式中、RはH、又は
【化23】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物に関する。
【0061】
好ましいのは、以下の式(IVa)、(IVb)、(IVc)及び(IVd)
【化24】
の化合物である。
【0062】
従って、本発明は、式(IVa)、(IVb)、(IVc)及び(IVd)
【化25】
の化合物に関する。
【0063】
更に、工程(ii)のプロセスの後に、分析法(例えば、NMR)を実行して、反応の進行を確認することができる。
【0064】
工程(ii)では、2つの中間体が検出できることが認められた:
【化26】
【0065】
従って、本発明は、式(Vb)
【化27】
(式中、RはH、又は
【化28】
であり、R
1は、直鎖又は分岐のC
1~C
18アルキル部位である)の化合物に関する。
【0066】
従って、本発明は、式(V’b)、(V’’b)、(V’’’b)及び(V’’’’b)
【化29】
の化合物に関する。
【0067】
以下の実施例は、本発明を例示する役割を有する。温度は℃で示されており、全てのパーセント割合は重量に関する。
【0068】
[実施例]
[実施例1:式(IVa)の化合物による酢酸レチニル]
二口丸底フラスコに、C
14-アルデヒド((II)、(E)-2-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル))ブト-2-エナール)(260mg)及び(3-メチル-1,1-ジオキシド-2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル)メチルアセテート(268mg)を、無水THF(3.75ml)中で溶解した。不活性ガス雰囲気下で、反応混合物を-75℃に冷却した。THF/n-ヘキサン中のLDAの2M溶液(1.25ml、2.08当量)を滴下し、撹拌を-75℃で更に10分間続けた。冷却浴を取り外し、半飽和NH
4Cl溶液(12.5ml)を加えた。二相混合物を分液漏斗に移し、ジエチルエーテル(2×25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を続いて水(2×12.5ml)及びブライン(12.5ml)で洗浄し、濾過し、減圧下(40℃、5ミリバール)で濃縮した。粗生成物(521mg)を黄色の油として得た。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、シクロヘキサン/酢酸エチル8:2)による精製後、163.3mgの式(IVa)
【化30】
の化合物を得た。
【0069】
この油を乾燥した二口丸底フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でトルエン(5mL)中で溶解した。反応混合物を4時間加熱還流した。全ての揮発性物質を減圧下(40℃、5ミリバール)で蒸発させて、酢酸レチニルを得た。
【0070】
[実施例2:式(IVb)の化合物]
二口丸底フラスコにて、C
14-アルデヒド((II)、(E)-2-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキシ-1-エン-1-イル)ブト-2-エナール)(260mg)及び(3-メチル-1,1-ジオキシド-2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル)メチルプロピオネート(281mg)を、無水THF(3.75ml)中で溶解した。不活性下、アセトン/ドライアイス冷却浴で-75℃まで。THF/n-ヘキサン中のLDAの2M溶液(1.25ml、2.08当量)を滴下し、撹拌を-75℃で更に10分間続けた。冷却浴を取り外し、半飽和NH
4Cl溶液(12.5ml)を加えた。二相混合物を分液漏斗に移し、ジエチルエーテル(2×25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を、続いて水(2×12.5ml)及びブライン(12.5ml)で洗浄し、濾過し、減圧下(40℃、5ミリバール)で濃縮した。粗生成物を黄色の油として得た。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、シクロヘキサン/酢酸エチル8:2)による精製後、115mgの式(IVb)
【化31】
の化合物を得た。
【国際調査報告】