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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】微生物を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/22 20060101AFI20241106BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20241106BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C12Q1/22
C12N1/14 A
C12N1/16
C12N1/20 A
C12M1/34 B
G01N21/27 A
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522534
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022078875
(87)【国際公開番号】W WO2023062246
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21306445.4
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521367824
【氏名又は名称】ダイアミデックス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サム・デュカン
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・デュモン
(72)【発明者】
【氏名】エディット・グラース
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ミュレール
【テーマコード(参考)】
2G045
2G059
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA28
2G045CB21
2G045FA19
2G045JA07
2G059CC16
2G059EE02
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059KK04
4B029AA07
4B029AA21
4B029BB02
4B029BB06
4B029BB07
4B029CC02
4B029DG10
4B029FA01
4B063QA01
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QR75
4B063QR76
4B063QS40
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AC09
4B065BA30
4B065BD50
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、支持体、例えばメンブレン等、又は固体増殖培地上の微生物学的対象物を観察し、該当する場合にはそれを検出し、任意選択的に計数するための方法及び関連するデバイスに関する。特に、前記方法は、a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源を用いて支持体のエリアを照明する工程と、b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、c)支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上の微生物学的対象物を検出するための方法であって、
a)前記支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源のセットを用いて前記支持体のエリアを照明する工程であって、前記角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立して選択される工程と、
b)前記支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源のセットにより照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
c)前記支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する工程と
を含む方法。
【請求項2】
検出対象とされる前記微生物学的対象物が、糸状菌、並びに細菌、古細菌、及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出対象とされる前記微生物学的対象物が、糸状菌、並びに細菌及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出対象とされる前記微生物学的対象物が、糸状菌、並びに細菌及び/又は酵母菌のコロニー/マイクロコロニーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検出対象とされる前記微生物学的対象物が、個別化可能な又は個別化された微生物学的対象物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
検出対象とされる前記微生物学的対象物が、フォトンシグナルを生成する化合物又は部分を用いて標識されない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記支持体がメンブレンフィルターである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記メンブレンフィルターが、セルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエステルスルホン(PES)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、又はナイロン、又はその組合せからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記メンブレンフィルターが、セルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、又はナイロンからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記メンブレンフィルターが、セルロース混合エステル(MCE)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記支持体が固体増殖培地である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記支持体が、容器内にあり、任意選択的に半透明のフタにより被覆される請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程b)及び工程c)が、前記支持体のいくつかのエリアを画像化するため、好ましくは前記支持体全体を画像化するために複数回実施される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エリアの取得画像を組み合わせて、組み合わされた画像を形成する工程d)を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程b)の後、且つ工程c)の前に、毎回、前記支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源の異なるセットを用いながら、工程a)及び工程b)を1回又は複数回繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの前記取得画像を組み合わせて前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程b')であって、前記角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立して選択される、工程b')を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程c)において、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在が、前記支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより検出される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程a)及び工程b)、又は工程a)、工程b)、及び工程b')が、前記支持体のいくつかのエリアを画像化するため、好ましくは前記支持体全体を画像化するために、複数回実施される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程b)又は工程b')の後に、前記エリアの取得画像を組み合わせて、前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程b'')を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程c)において、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在が、前記支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより検出される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程a)及び工程b)が、少なくとも2個の入射コリメート化光源の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回繰り返される、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程a)及び工程b)が、少なくとも2個の入射コリメート化光源の1、2、3、4、5、6、7、又は8個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、又は8回繰り返される、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
2個のセットの前記入射コリメート化光源が、その数、その光の種類、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値において異なる、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
2個のセットの前記入射コリメート化光源が、その数、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値においてにおいて異なる、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
セットが少なくとも3個の入射コリメート化光源を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
セットが3~24個の入射コリメート化光源を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
セットが3~12個の入射コリメート化光源を含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
セットが3~6個の入射コリメート化光源を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
セットが3個の入射コリメート化光源を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
セットの前記入射コリメート化光源が、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に均等に分布している、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
各入射コリメート化光源が、前記支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは前記支持体の法線に対して25°~65°の間、より好ましくは前記支持体の法線に対して30°~60°の間で独立に選択される角度(α)を形成する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
セットが少なくとも3個の入射コリメート化光源を含み、及び角度αの数値がセットの全ての光源について同一である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記入射コリメート化光源が、コリメート化発光ダイオード(LED)、及びレーザーダイオード、及びその組合せから選択される、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記入射コリメート化光源がコリメート化白色LEDである、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記受光素子が、ピクセルセンサー、好ましくはCCD(電荷結合デバイス)イメージセンサー、又はアクティブピクセルセンサー、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサー等のアレイを含むカメラである、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
取得画像又は組み合わされた画像から、前記支持体上の微生物学的対象物を計数及び/又は同定する工程を更に含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
工程a)の前に、
テストされるサンプルを提供する工程と、
前記サンプルを前記支持体と接触させる工程と、
微生物がもし存在すればその増殖を可能にするために、前記支持体をインキュベートする工程と
を更に含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
サンプル中の微生物を検出するか又はサンプルの滅菌性をテストするのに使用される、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記サンプルが、液体、固体、又は気体から取得される、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプルが、生物学的サンプル、環境サンプル、医療用デバイス又は任意のその一部、ヒト又は動物が消費するための食品又は飲料、医薬品又は化粧品、及びそのような食品、飲料、医薬品又は化粧品の成分からなる群から選択される、請求項36から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
支持体、好ましくはメンブレンフィルター又は固体増殖培地上の微生物学的対象物を検出するためのデバイスであって、
前記支持体を照明するための少なくとも2個の入射コリメート化光源であって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源が前記支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成し、前記角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、少なくとも2個の入射コリメート化光源と、
前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体のエリアの画像を取得するための受光素子であって、前記支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子と、
前記支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する手段と、
任意選択的に、前記支持体を保持し、任意選択的に移動するための手段と
を備えるデバイス。
【請求項41】
少なくとも3個、好ましくは3~50個、より好ましくは3~24個、及びいっそうより好ましくは3~12個の入射コリメート化光源を備える、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
少なくとも13個の入射コリメート化光源、好ましくは15~50個、より好ましくは15~30個、及びいっそうより好ましくは24個の入射コリメート化光源を備える、請求項40に記載のデバイス。
【請求項43】
各入射コリメート化光源が、前記支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは25°~65°の間、より好ましくは30°~60の間で独立に選択される角度(α)を形成する、請求項40から42のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項44】
前記角度αの数値が、前記光学的取得軸に関して対称的である入射コリメート化光源について同一である、請求項40から43のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項45】
45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の入射コリメート化光源を備える、請求項40から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項46】
30°~40°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、及び45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源を備える、請求項40から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
25°~35°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、40°~50°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、及び60°~70°の角度(α)の数値を有する少なくとも6個、好ましくは7、8、9、10、11、又は12個の入射コリメート化光源を備える、請求項40から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項48】
28°~32°の角度(α)の数値を有する、少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、33°~37°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、38°~42°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、48°~52°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、53°~57°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、及び60°~64°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9個の入射コリメート化光源を備える、請求項40から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
少なくとも3個の入射コリメート化光源、より好ましくは4~12個の入射コリメート化光源であって、前記入射光源が前記光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布しており、及び各入射光源が、前記支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは前記支持体の法線に対して30°~60°の間で独立に選択される角度(α)を形成する、入射コリメート化光源を備える、請求項40に記載のデバイス。
【請求項50】
支持体上の微生物学的対象物を、好ましくは請求項1から39のいずれか一項に記載の方法に基づき検出し、任意選択的に計数及び/又は同定するための請求項40から49のいずれか一項に記載のデバイスの使用。
【請求項51】
好ましくは請求項1から39のいずれか一項に記載の方法を使用しながら、サンプル中の微生物を検出するか又はサンプルの滅菌性をテストするための請求項40から49のいずれか一項に記載のデバイスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物学の分野、より具体的には支持体、例えばメンブレン等、又は固体増殖培地上の微生物学的対象物を観察し、該当する場合にはそれを検出し、任意選択的に計数するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物は、環境(浴水又は飲料水)内、又はヒト及び動物が消費若しくは使用するように設計された原材料及び最終製品、例えば食品、飲料等、医療用デバイス、医薬品若しくは化粧品においてモニタリングされる必要がある。微生物の存在は、製品の劣化又は変質だけでなく、ヒト又は動物により消費されるか、又はそれに投与される場合には疾患を引き起こすおそれもある。このような製品の安全性を保証するために、微生物学的テストが、通常の使用条件下での汚染リスクを調べ、これにより中毒又は感染症の流行を予防するのに必要とされる。特に、医療用デバイス、医薬又は化粧品業界にとって、滅菌性に対する必要性は非常に重要であり、また製品の欠陥が製造のあらゆる段階において生じるおそれがあるので、製品及び原材料の微生物学的品質をテストすることがサプライチェーン全体にわたり重要である。
【0003】
もちろん、微生物はヒト又は動物にも感染する可能性があり、また感染症に関与する微生物を検出及び/又は定量することが臨床診断において必要とされる。例えば、尿路感染症(UTI)の診断は、定量的尿培養を通じて実施されうる。伝統的に、尿1ml当たり細菌1,000個以上の存在は、有意な細菌尿症を表すと考えられており、UTIを示唆する。
【0004】
これらの全ての業界において、臨床用途及び環境モニタリング、汚染閾値及び使用される方法は異なる可能性がある。しかしながら、可能なかぎり初期の段階で微生物の存在を明らかにすることが常に重要である。
【0005】
培養をペトリ皿上で行うルイ・パスツールの方法は、19世紀以降、微生物を同定及びカウントする最も有効な手法である。今日まで、この技術は、多くの業界において、微生物を検出及びカウントするための参照法としてなおも存続する。この方法は単純である:サンプルから微生物を抽出する工程、それを適する培地を含有する専用のペトリ皿上に配置する工程、及び目視可能となった時にコロニーをカウントする工程。信頼性があるが、この方法は冗長である(標的微生物により最長数日間)。
【0006】
アッセイの長さを短縮するために、インジケーター、例えばサイズがより小さいマイクロコロニーを検出するための発色基質、蛍光誘発性基質、又は蛍光若しくは放射標識された抗体等を使用することが提案された(例えば、国際特許出願国際公開第96/14431号、国際公開第2013/050598号、国際公開第2008/118400号)。しかしながら、これらの方法のほとんどにおいて、最適な結果を得るために増殖段階及びインジケーター段階は隔離されなければならない:増殖段階は細胞を高速増殖させるために増殖を遅延させる有害なインジケーターをその中に含まず、またインジケーター段階は、サイズがより小さいマイクロコロニーの検出を効率的に可能にする呈色及び同定に特化している。
【0007】
長年にわたり、特に、免疫学的方法、核酸増幅法、又はフローサイトメトリー法(蛍光抗体又は蛍光誘発性基質による標識化を使用する)に基づく、培養とは独立したアプローチを使用しながら、アッセイに必要とされる時間を短縮する多くのその他の試みがなされてきた。しかしながら、これらの方法は、なおも高コストであり、容易ではないワークフローを有し、高度に熟練した専門家及び/又は濃縮されたサンプルを必要とし、またとりわけ、生存微生物と死亡微生物とを区別するのが非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第96/14431号
【特許文献2】国際公開第2013/050598号
【特許文献3】国際公開第2008/118400号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ismailら., Int J Environ Res Public Health. 2013 Nov 14;10(11):6169-83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、サンプル中の微生物を検出及び/又は計数するための、迅速、高感度、ユーザーフレンドリーであり、且つコスト効果に優れた方法に対する必要性が存続する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、本明細書において、この必要性を実現させる方法を提供する。より詳細には、増殖のごく初期の段階において、すなわち微生物コロニーが肉眼で視認可能となるには小さすぎる直径であるときに、その観察及び該当する場合には検出を可能にする新規方法を提供する。この方法は、検出を円滑化する任意の追加試薬、例えば標識剤等の使用を必要としない。
【0012】
第1の態様では、本発明は、支持体上の微生物学的対象物を検出するための方法であって、
a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源を用いて支持体のエリアを照明する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立して選択される、工程と、
b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸(optical acquisition axis)を有する受光素子によって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
c)支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する工程と
を含む方法に関する。
【0013】
好ましくは、検出対象とされる微生物学的対象物は、糸状菌、並びに細菌、古細菌、及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択され、より好ましくは、糸状菌、並びに細菌及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択され、またいっそうより好ましくは、糸状菌、並びに細菌及び/又は酵母菌のコロニー/マイクロコロニーを含む。
【0014】
好ましくは、検出対象とされる微生物学的対象物は、個別化可能な又は個別化された微生物学的対象物である。
【0015】
好ましくは、検出対象とされる微生物学的対象物は、フォトンシグナル(photonic signal)を生成する化合物又は部分を用いて標識されない。
【0016】
好ましくは、工程b)及び工程c)は、前記支持体のいくつかのエリアを画像化するため、好ましくは支持体全体を画像化するために複数回実施される。
【0017】
方法は、前記エリアの取得画像を組み合わせて、組み合わされた画像を形成する工程d)を更に含みうる。
【0018】
支持体は、メンブレンフィルター、好ましくはセルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、又はナイロン、又はその組合せからなり、より好ましくは、セルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエステルスルホン(PES)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、又はナイロンからなり、いっそうより好ましくは、セルロース混合エステル(MCE)、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなるメンブレンフィルターでありうる。
【0019】
或いは、支持体は固体増殖培地でありうる。
【0020】
いくつかの実施形態では、支持体は容器内にあり、半透明のフタにより被覆される。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、工程b)の後、且つ工程c)の前に、毎回、支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源の異なるセットを用いながら、工程a)及び工程b)を1回又は複数回繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの前記取得画像を組み合わせて前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程b')であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立して選択される、工程b')を更に含む。
【0022】
好ましくは、本実施形態では、工程c)において、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在は、支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより検出される。
【0023】
いくつかの実施形態では、工程a)及び工程b)、又は工程a)、工程b)、及び工程b')は、前記支持体のいくつかのエリアを画像化するため、好ましくは支持体全体を画像化するために、複数回実施される。方法は、工程b)又は工程b')の後に、前記エリアの取得画像を組み合わせて、前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程b'')を更に含みうる。工程c)において、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在は、支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより検出されうる。
【0024】
好ましくは、工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回繰り返される。より好ましくは、工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源の1、2、3、4、5、6、7、又は8個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、又は8回繰り返される。
【0025】
好ましくは、2個のセットの入射コリメート化光源は、その数、その光の種類、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値において異なる。より好ましくは、2個のセットの入射コリメート化光源は、その数、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値においてにおいて異なる。
【0026】
好ましくは、受光素子は、ピクセルセンサー、好ましくはCCD(電荷結合デバイス)イメージセンサー、又はアクティブピクセルセンサー、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサー等のアレイを含むカメラである。
【0027】
好ましくは、工程a)(工程a)の初回又はその繰り返し)において、支持体は、少なくとも3個、好ましくは3~24個、より好ましくは3~12個、及びいっそうより好ましくは3~6個の入射コリメート化光源からなるセットを用いて照明される。特に、工程a)(工程a)の初回又はその繰り返し)において、支持体は、3個の入射コリメート化光源からなるセットを用いて照明されうる。
【0028】
好ましくは、前記入射コリメート化光源は、光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布している。特に、あるセットの前記入射コリメート化光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に均等に分布しうる。
【0029】
各入射コリメート化光源は、支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは支持体の法線に対して25°~65°の間、より好ましくは支持体の法線に対して30°~60°の間で独立に選択されうる角度(α)を形成する。
【0030】
好ましくは、セットは少なくとも3個の入射コリメート化光源を含み、及び角度αの数値はセットの全ての光源について同一である。
【0031】
好ましくは、前記入射コリメート化光源は、コリメート化発光ダイオード(LED)、及びレーザーダイオード、及びその組合せから選択される。より好ましくは、前記入射コリメート化光源はコリメート化白色LEDである。
【0032】
方法は、取得画像又は組み合わされた画像から、支持体上の微生物学的対象物を計数及び/又は同定する工程を更に含みうる。
【0033】
方法は、工程a)の前に、テストされるサンプルを提供する工程と、前記サンプルを支持体と接触させる工程と、微生物がもし存在すればその増殖を可能にするために、前記支持体をインキュベートする工程とを更に含みうる。
【0034】
本発明の方法は、サンプル中の微生物を検出するか又はサンプルの滅菌性をテストするのに使用されうる。
【0035】
特に、サンプルは、液体、固体、又は気体から取得されうる。好ましくは、サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、医療用デバイス又は任意のその一部、ヒト又は動物が消費するための食品又は飲料、医薬品又は化粧品、及びそのような食品、飲料、医薬品又は化粧品の成分からなる群から選択される。
【0036】
第2の態様では、本発明は、支持体、好ましくはメンブレンフィルター又は固体増殖培地上の微生物学的対象物を検出するためのデバイスであって、
支持体を照明するための少なくとも2個の入射コリメート化光源であって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源が支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成し、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、少なくとも2個の入射コリメート化光源と、
前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体のエリアの画像を取得するための受光素子であって、支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子と、
支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する手段と、
任意選択的に、支持体を保持し、任意選択的に移動するための手段と
を備えるデバイスに関する。
【0037】
好ましくは、デバイスは、少なくとも3個、好ましくは3~50個、より好ましくは3~24個、及びいっそうより好ましくは3~12個の入射コリメート化光源を備える。或いは、デバイスは、少なくとも13個の入射コリメート化光源、好ましくは15~50個、より好ましくは15~30個、及びいっそうより好ましくは24個の入射コリメート化光源を備えうる。
【0038】
好ましくは、各入射コリメート化光源は、支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは25°~65°の間、より好ましくは30°~60の間で独立に選択される角度(α)を形成する。
【0039】
好ましくは、角度αの数値は、光学的取得軸に関して対称的である入射コリメート化光源について同一である。
【0040】
特に、デバイスは、
(i) 45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の入射コリメート化光源、或いは
(ii) 30°~40°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、及び45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、或いは
(iii) 25°~35°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、40°~50°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の入射コリメート化光源、及び60°~70°の角度(α)の数値を有する少なくとも6個、好ましくは7、8、9、10、11、又は12個の入射コリメート化光源、或いは
(iv) 28°~32°の角度(α)の数値を有する、少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、33°~37°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、38°~42°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、48°~52°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、53°~57°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の入射コリメート化光源、及び60°~64°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9個の入射コリメート化光源
を備えうる。
【0041】
好ましくは、デバイスは、少なくとも3個の入射コリメート化光源、より好ましくは4~12個の入射コリメート化光源であって、前記入射光源が光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布しており、及び各入射光源が、支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは支持体の法線に対して30°~60°の間で独立に選択される角度(α)を形成する、入射コリメート化光源を備える。
【0042】
本発明は、支持体上の微生物学的対象物を、好ましくは本発明の方法に基づき検出し、並びに任意選択的に計数及び/又は同定するための本発明のデバイスの使用とも関連する。
【0043】
本発明は、好ましくは本発明の方法を使用しながら、サンプル中の微生物を検出するか又はサンプルの滅菌性をテストするための本発明のデバイスの使用とも関連する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明のデバイスの一実施形態におけるその概略図を示す図である。
図2】細菌、酵母菌、及び糸状菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。直径約200~500μm (緑膿菌(P. aeruginosa)、大腸菌(E. coli)、R.ピッケティ(R. piketti))、500~700μm(L.ニューモフィラ(L. pneumophila)、B.セパシア(B. cepacia))、又は1~2mm(B.サブチリス(B. subtilis))のサイズを有する細菌のマイクロコロニー。直径約500μmのサイズを有する酵母菌細胞(酵母菌C.アルビカンス(C. albicans))、又は≒5×5mmのウィンドウサイズに収まる糸状菌(A.ブラシリエンシス(A. brasiliensis))。各画像は約100μmを表す白線を用いて縮尺倍率を示す。微生物を、PDVFメンブレン、ブラックセルロース混合エステル(MCE)メンブレン、ホワイトMCEメンブレン、又はブラックポリエーテルスルホン(PES)メンブレン上で増殖させた。
図3】細菌、酵母菌、及び糸状菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。入射角αを37°、50°、又は60°に設定した。各画像は、約100μmを表す白線を用いて縮尺倍率を示す。微生物を、PDVFメンブレン、ブラックMCEメンブレン、又はホワイトMCEメンブレン上で増殖させた。
図4】細菌、酵母菌、及び糸状菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。メンブレンを、白色光、UV光、青色光、又は赤色光で照明した。可能性のある反射光のなかでも、照明と同一色を担持する反射光のみを収集した。微生物をPDVFメンブレン又はブラックPESメンブレン上で増殖させた。各画像は約100μmを表す白線を用いて縮尺倍率を示す。
図5】細菌、酵母菌、及び糸状菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。参照条件「フタ無し」では、メンブレンは被覆されず、入射光(incidence light)に直接曝露された。その他の条件では、フタをメンブレンの最上部(メンブレンと光照明/受光システムとの間)に付加した。フタとメンブレンとの間の距離を、1~3mmに設定した。このような条件では、入射光はサンプルに到達する前にフタを通過しなければならず、また反射光はセンサーに到達する前にフタを通過しなければならなかった。フタについて3種類の材料を調査した:フタ1 : Merck濾過ユニットに由来するプラスチック(Merck Millipore社、EZ-FIT濾過ユニット、Ref EFHVW10IS)、フタ2 :UVグレード溶融シリカ(Chroma corp.社、厚さ: 1mm)、フタ3 =ソーダライムガラス(Selba corp.社、厚さ: 1.8~2mm)。微生物をPDVFメンブレン又はホワイトMCEメンブレン上で増殖させた。各画像は約100μmを表す白線を用いて縮尺倍率を示す。
図6】細菌、酵母菌、及び糸状菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。微生物を、PDVF、ブラックMCE、ホワイトMCE、ブラックPES、又はナイロンメンブレン上で増殖させた。各画像は約100μmを表す白線を用いて縮尺倍率を示す。
図7-1】A.ブラシリエンシス又は大腸菌の検出に適用される、本発明の技術的結果の例証を示す図である。微生物を、固体増殖培地の表面上で直接、又は固体増殖培地の表面上に積層されたPVDF若しくはMCEメンブレン上のいずれかにおいて検出した。
図7-2】図7の続き。
図8】C.アルビカンスの検出に適用される、本発明の技術的結果を示す図である。微生物をホワイトMCEメンブレン(グリッド付き又は非グリッド付きのいずれか)上で増殖させ、固体増殖培地上で23、25、又は28時間増殖させた後に検出した。調査した時間毎に、標準条件0(3個のLED、入射角αを50°に設定)、条件1(6個のLED、入射角αを37°に設定)、又は条件2(12個のLED、そのうちの6個の入射角αを50°に設定、そのうちの6個についてα=37°)において、検出されたC.アルビカンスの数をカウントし、結果を、コロニーが肉眼により目視可能となるまで48時間再インキュベートした後に同一メンブレン上でカウントされた数に対するMICAによる検出の割合(%)として表す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の目的は、支持体上に存在する微生物学的対象物、例えば微生物又は微生物コロニーを、その増殖の非常に早い段階において検出し、任意選択的に計数するための方法及び対応するデバイスを提供することである。本発明者らは、本明細書において、この方法は、いくつかの種類の支持体上で、及び環境からの汚染を防止するための閉鎖式容器を含む様々な条件において、極めて多様な微生物を検出するための非常に柔軟な解決策を提供することを実証した。この方法は、検出を円滑化する任意の追加試薬、例えば標識剤又は色素等の使用を必要とせずに、但しその使用を許容しつつ、このような微生物学的対象物の早期検出を可能にするという利点を更に示す。
【0046】
従って、第1の態様では、本発明は、支持体上の微生物学的対象物を検出するための方法であって、
a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源を用いて支持体のエリアを照明する工程と、
b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
c)支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出する工程と
を含む方法に関する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「微生物学的対象物」とは、単離された形態の微生物(例えば、糸状菌)、又は微生物のクラスター、すなわち微生物のコロニー若しくはマイクロコロニーを指す。好ましくは、微生物学的対象物は、少なくとも10μmの寸法(例えば、直径、長さ、又は幅)を有する。より好ましくは、この微生物学的対象物は、少なくとも10μmの寸法(例えば、直径、長さ、又は幅)を有し、また肉眼では不可視又はほぼ不可視である。本発明の方法により検出対象とされる微生物学的対象物は、単離された形態の微生物、特に糸状菌、コロニー又はマイクロコロニー、及びその混合物、すなわち(i)単離された形態の微生物、(ii)コロニー又はマイクロコロニーの組合せを含むか又はそれから構成されうる。
【0048】
本発明の方法により検出対象とされる微生物学的対象物は、好ましくは個別化可能な又は個別化された微生物学的対象物である。特に、このような対象物は、好ましくは微生物ローンに含まれない。個別化可能な微生物学的対象物は、その輪郭がその他の微生物学的対象物の輪郭から視覚的に区別されうる対象物である。個別化可能な微生物学的対象物はその他の対象物から単離されている場合もあれば、またその他の対象物と部分的に重複し、例えば2個の重複したコロニーである場合もある。個別化された微生物学的対象物は、その他の対象物から単離された対象物、例えば単離されたコロニー若しくはマイクロコロニー、又は単離された糸状菌である。好ましい実施形態では、本発明の方法により検出対象とされる微生物学的対象物は、個別化可能な又は個別化された(i)糸状菌、並びに/或いは(ii)細菌、古細菌、及び/又は酵母菌のコロニー/マイクロコロニーである。特に、検出対象とされる微生物学的対象物は、糸状菌、並びに細菌、古細菌、及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択され、好ましくは、糸状菌、並びに細菌及び酵母菌のコロニー/マイクロコロニー、並びにその組合せからなる群より選択される。特に、検出対象とされる微生物学的対象物は、糸状菌、並びに細菌及び/又は酵母菌のコロニー/マイクロコロニーを含みうる。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態では、微生物学的対象物は、マイクロコロニーを含むか又はそれから構成される。本明細書で使用される場合、用語「マイクロコロニー」とは、微生物に応じて数時間又は数日間増殖したコロニーであって、肉眼では不可視であるか又はほぼ不可視であるコロニーを指す。一般的に、マイクロコロニーの直径は、500μm未満、好ましくは10μm~500μm、より好ましくは30μm~500μm、いっそうより好ましくは30μm~200μmである。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「微生物」とは、細菌、古細菌、又は微視的菌類を指す。好ましくは、この用語は、細菌、酵母菌(すなわち、単細胞微視的菌類)、又は糸状菌(すなわち、多細胞及び線維状微視的菌類)を指す。検出対象とされる微生物は、細菌、古細菌、及び微視的菌類、及びその組合せからなる群より選択されうる。好ましくは、検出対象とされる微生物は、細菌、及び微視的菌類、及びその組合せからなる群より選択される。検出対象とされる微生物は、病原性又は非病原性微生物でありうる。好ましくは、微生物は、病原性微生物、又は例えば、製品(例えば、食品、飲料、医療用デバイス、医薬品又は化粧品)、又は環境(例えば、スイミングプール、地下水)を劣化又は変性させるおそれのある非病原性微生物である。
【0051】
いくつかの実施形態では、検出対象とされる微生物は細菌を含む。このような細菌は、コロニー又はマイクロコロニーの形態、好ましくはマイクロコロニーの形態で検出可能である。このような細菌は、好気性菌、嫌気性菌、又は通性嫌気細菌、及びグラム陰性菌又はグラム陽性菌でありうる。特に、検出対象とされる微生物は、アエロモナス属(Aeromonas) (例えば、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila))、アルカリゲネス属(Alcaligenes) (例えば、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis))、アシネトバクター属(Acinetobacter) (例えば、アシネトバクター・アセチ(Acinetobacter aceti)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii))、アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)(例えば、アリシクロバチルス・アシディフィラス(Alicyclobacillus acidiphilus)、アリシクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)、アリシクロバチルス・アシドテレストリス(Alicyclobacillus acidoterrestris)、アリシクロバチルス・コンタミナンス(Alicyclobacillus contaminans)、アリシクロバチルス・シクロへプタニカス(Alicyclobacillus cycloheptanicus)、アリシクロバチルス・ハーバリウス(Alicyclobacillus herbarius)、アリシクロバチルス・ヘスペリダム(Alicyclobacillus hesperidum))、アサイア属(Asaia) (例えば、アサイア・シアメンシス(Asaia siamensis))、バチルス属(Bacillus) (例えば、枯草菌(Bacillus subtilis))、ブレブンディモナス属(Brevundimonas) (例えば、ブレブンディモナス・ディミヌタ(Brevundimonas diminuta))、バークホルデリア属(Burkholderia) (例えば、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia))、シトロバクター属(Citrobacter) (例えば、シトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii))、クロストリジウム属(Clostridium) (例えば、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes))、キューティバクテリウム属(Cutibacterium) (例えば、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes))、エドワジエラ属(Edwardsiella) (例えば、エドワジエラ・タルダ(Edwardsiella tarda))、エンテロバクター属(Enterobacter) (例えば、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes))、エンテロコッカス属(Enterococcus) (例えば、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis))、エシェリキア属(Escherichia) (例えば、大腸菌(Escherichia coli))、グルコノアセトバクター属(Gluconoacetobacter) (例えば、グルコノアセトバクター・リクエファシエンス(Gluconoacetobacter liquefaciens))、グルコノバクター属(Gluconobacter) (例えば、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans))、クレブシエラ属(Klebsiella) (例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae))、ラクトバチルス属(Lactobacillus) (例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ナゲリ(Lactobacillus nagelii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum))、レジオネラ属(Legionella) (例えば、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila))、メチロバクテリウム属(Methylobacterium) (例えば、メチロバクテリウム・エクストルクエンス(Methylobacterium extorquens))、ミクロコッカス属(Micrococcus) (例えば、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus))、モラクセラ属(Moraxella) (例えば、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis))、オクロバクトラム属(Ochrobactrum) (例えば、オクロバクトラム・アントロピ(Ochrobactrum anthropi))、パントエア属(Pantoea) (例えば、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans))、ペディオコッカス属(Pediococcus) (例えば、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus))、プロテウス属(Proteus) (例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))、シュードモナス属(Pseudomonas) (例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、ラルストニア属(Ralstonia) (例えば、ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii))、サルモネラ属(Salmonella) (例えば、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium))、セラシア属(Serratia) (例えば、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens))、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)(例えば、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia))、シゲラ属(Shigella) (例えば、シゲラ・ゾネイ(Shigella sonnei))、スフィンゴモナス属(Sphingomonas) (例えば、スフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphingomonas paucimobilis))、スタフィロコッカス属(Staphylococcus) (例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、ストレプトコッカス属(Streptococcus) (例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae))、ビブリオ属(Vibrio) (例えば、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus))、ワイセラ属(Weissella) (例えば、ワイセラ・コンフサ(Weissella confusa))、エルシニア属(Yersinia) (例えば、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica))に属する細菌、及びその組合せを含みうる。
【0052】
いくつかの実施形態では、検出対象とされる微生物は、酵母菌又は糸状菌を含む。酵母菌は、コロニー又はマイクロコロニーの形態、好ましくはマイクロコロニーの形態で検出可能である。糸状菌は、単離された形態で検出可能である(固有生物の検出)。特に、検出対象とされる微生物は、アスペルギルス属(Aspergillus) (例えば、アスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis))、カンジダ属(Candida) (例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans))、ゲオトリクム属(Geotrichum) (例えば、ゲオトリクム・カンジドゥム(Geotrichum candidum))、ペニシリウム属(Penicillium) (例えば、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・バリオッチ(Penicillium variotii))、サッカロミセス属(Saccharomyces) (例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、ザイゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces) (例えば、ザイゴサッカロミセス・バイリ(Zygosaccharomyces bailii))に属する酵母菌、又は糸状菌、及びその組合せを含みうる。
【0053】
検出対象とされる微生物学的対象物は分析されるサンプル中に含まれうる。このサンプルは、液体(例えば、水、フルーツジュース、ビール、ワイン、生体液、例えば、尿等)、固体(例えば、食品、医薬品又は化粧品、医療用デバイス、又は任意の固体表面)、又は気体(例えば、空気)から取得されうる。テストされる製品/環境の形態に応じて、サンプルは、支持体上で直接増殖可能でありうるか、又は支持体上で増殖可能となる前に予備的な工程に付される場合もある。
【0054】
特に、サンプルは液体試料又は液状化サンプルでありうる。本明細書で使用される場合、用語「液状化サンプル」とは、固体サンプルから取得された液体サンプルを指す。場合によっては、固体サンプルは、物理的及び/又は化学的処置を通じて液体培地中に溶解又は懸濁されうる。微生物は、特にバイオフィルムを除去するために、当業者にとって公知の任意の方法、例えばスワビング法、擦過法(例えば、ワイプを使用する)、印刷法(例えば、寒天接触法(agar contact method)による)、リンシング若しくは浸漬法、又は超音波処理法等を使用して、様々な表面又はデバイスからも抽出されうる(例えば、本明細書において参照により組み込まれているIsmailら., Int J Environ Res Public Health. 2013 Nov 14;10(11):6169-83を参照されたい)。
【0055】
液体サンプルは懸濁物を含有しうる。しかしながら、必要な場合には、適する方法を使用して、好ましくは微生物の喪失を最低限に抑える方法を使用して、例えば、低速遠心分離又は適するポアサイズを使用する濾過により、残留する懸濁物が液体培地から除去されうる。固体サンプルを懸濁させるのに使用される液体媒体は、任意の適する溶媒、例えば滅菌水、バッファー溶液、又は液体培養培地等でありうる。
【0056】
任意選択的に、液体又は液状化サンプルは、工程a)の前に、任意の適する方法、例えば遠心分離又は濾過等を使用しながら、希釈され(例えば、連続希釈)又は濃縮されうる。
【0057】
本発明の方法を用いて分析されるサンプルは、それが微生物で汚染されているかその判定を行おうとする任意のサンプルでありうる。
【0058】
サンプルの例として、生物学的サンプル(例えば、唾液、鼻咽頭サンプル、尿、糞便、血液、血漿、脳脊髄液、又は粘液サンプル)、環境サンプル(例えば、家庭用水、市販水、又は工業用水、廃水、冷却水、ボイラー水、地下水、レクリエーション水、プロセス水、水処理ユニットの流出水、土壌、又はその他の環境上の物質)、医療用デバイス又は任意のその一部、ヒト又は動物が消費するための食品又は飲料(例えば、乳製品、原材料、飲料水、フルーツジュース、ビール、ワイン、製品を構成する際に使用される水)、医薬品又は化粧品、並びにそのような食品、飲料、医薬品又は化粧品の成分が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0059】
本発明の方法を用いて観察される前に、微生物学的対象物は支持体上で増殖可能である。特に、サンプルは、微生物がもし存在すればその増殖を可能にするために、支持体と接触しうる。支持体は、メンブレンフィルター又は固体増殖培地でありうる。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「増殖培地」又は「培養培地」とは、本発明の文脈において、微生物を増殖させるのに使用される栄養培地を指す。増殖培地は、個々の化学物質から合成された定義された培地(従って、正確な分子組成が既知である)であるか、又は若干の複雑な成分、例えば多くの化学種の混合物から不明な割合で構成された酵母エキス若しくはカゼイン加水分解産物等を含む未定義の培地でありうる。本発明の方法で使用される増殖培地は、非選択的増殖培地又は選択的増殖培地でありうる。非選択的増殖培地は、細菌増殖、菌類増殖、又は細菌増殖及び菌類増殖の両方のための一般的な培地である。非選択的培地は、多種多様な微生物の増殖を支援するのに必要とされる栄養分を一般的に含有する。選択的増殖培地は、選択された微生物のみを増殖させるのに使用される培地である。実際、選択培地の組成物は、ある特定の特質、例えば抗生物質耐性等を有するか、又はある特定の代謝物、例えばアミノ酸を合成する能力を有する細胞の増殖を保証する。従って、この培地は、サンプル中に存在しうる非標的微生物よりも標的微生物の増殖に好ましい環境を提供する。
【0061】
表現「固体増殖培地」又は「固体培養培地」とは、本明細書で使用される場合、微生物がその表面上でマイクロコロニーを形成するのを可能にする増殖培地、例えば、ゲル様の外観を有するか又はゲルの形態である培地等を指し、その場合、ゲルは、相互接続した粒子の多孔性ネットワークが液体培地の容積全体に広がり、そして栄養分が培地を通じて拡散するのを可能にすることで微生物にとって利用可能となるコロイド系である。好ましくは、固体増殖培地は、本明細書で使用される場合、液体増殖培地に十分量のゲル化剤、例えば寒天、アガロース、アルギネート、カラゲナン、セルロース、ゼラチン、ペクチン、及びその組合せ等を添加することにより調製される。一般的に、固体増殖培地は、ゲル化剤、好ましくは寒天を、0.5%~3%、好ましくは1%~2.5%の濃度で含有する。好ましくは、本発明の方法で使用される固体増殖培地は寒天増殖培地である。固体増殖培地は容器に注入される。この封入物は、微生物培養に特化した任意の滅菌容器、特に従来型のペトリプレートである。
【0062】
支持体が固体増殖培地である複数の実施形態では、方法は、工程a)の前に、サンプルを、容器内で、目的とする微生物の増殖を支援する栄養分を含有する固体増殖培地と接触させる工程を更に含みうる。
【0063】
支持体がメンブレンフィルターである複数の実施形態では、方法は、工程a)の前に、サンプルの微生物をメンブレンフィルター上で濃縮する工程、次に前記メンブレンを、増殖培地、例えば固体増殖培地又は液体増殖培地に浸漬されたパッド、好ましくは固体増殖培地と接触させる工程を更に含みうる。インキュベーション期間中にフィルターを通じて栄養分を通過させることで、メンブレン上部表面上での微生物の増殖が可能になる。
【0064】
液体、液状化、又は気体サンプルは、サンプルに含まれる微生物を保持するのに適する滅菌メンブレンフィルター、一般的に標的微生物より小さいポアサイズを有するマイクロ濾過メンブレンフィルターを使用して濾過/濃縮されうる。サンプルは、フィルター漏斗及び真空系を使用してメンブレンを通過させることができる。好ましくは、メンブレンフィルターは、1.2μm以下の公称ポアサイズ、特に0.22μm~1.2μmのポアサイズ、又は0.22μm~0.8μmのポアサイズを有する。いくつかの好ましい実施形態では、メンブレンフィルターは、0.45μm以下の公称ポアサイズ、特に0.22μm~0.45μmのポアサイズを有する。フィルターの直径は、サンプルを濾過するのに使用されるデバイス、及び増殖培地を収納する容器のサイズに依存しうる。例えば、容器は、直径100mm、90mm、又は55mmのペトリ皿でありえ、及びメンブレンは、47mm、50mm又はそれ以下の直径を有しうる。
【0065】
メンブレンフィルターは、任意の適する材料、例えばセルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエステルスルホン(PES)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、若しくはナイロン等、又はその組合せからなりうる。好ましくは、メンブレンフィルターは、セルロース混合エステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ポリ四フッ化エチレン、ポリカーボネート、又はナイロンからなる。より好ましくは、メンブレンフィルターは、セルロース混合エステル(MCE)、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。メンブレンフィルターは白色若しくは有色、例えば黒色でありえ、及び/又はグリッドメンブレンでありうる。
【0066】
好ましい実施形態では、サンプル希釈及び/又は濾過サンプル量は、メンブレンフィルター又は固体増殖培地表面1cm2当たり最大1000個、好ましくは最大300個の微生物学的対象物となるように調節される。
【0067】
支持体がメンブレンフィルターである複数の実施形態では、照明及び画像取得する工程(工程a)及び工程b)、任意選択的に繰り返される)の期間中、前記メンブレンは増殖培地上に保持されうるか、又は工程a)の前に、前記増殖培地から取り出され、そしてサンプルホルダー上に配置されうる。任意選択的に、メンブレンは、容器、例えばペトリ皿内のサンプルホルダー上に配置されうる。前記容器は、開放型容器でありうるか、又は半透明のフタで閉鎖されうる。
【0068】
支持体が固体増殖培地である複数の実施形態では、前記支持体は、容器、例えばペトリ皿である。方法の工程a)の前に、前記容器は、培養期間中に使用されるフタを取り除くことにより開放されうるか、又は閉塞した状態に、すなわち半透明のフタを用いながら保持されうる。
【0069】
これらの実施形態では、半透明のフタは、微生物学的対象物と受光素子との間で、微生物学的対象物に対向して配置され、また前記対象物とは非接触状態にある。好ましくは、半透明のフタは、微生物学的対象物に対して1mm~10cm、より好ましくは1mm~5cm、いっそうより好ましくは1mm~1cmの距離を置いて配置される。
【0070】
本発明の方法の工程a)では、支持体のエリアが、支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個の入射コリメート化光源のセットを用いて照明される。
【0071】
入射光源は電気動力式光源である。光源は、任意のパターン、例えば点、線、円、又は四角形のパターン等で支持体を照明しうる。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「コリメート化光源」とは、平行光線を生成する光源を指す。従って、コリメート化光は、伝播する際に最低限度でしか拡散しない。用語「コリメート化光源」、「入射コリメート化光源」、「入射光源」、及び「光源」は、本文書において交換可能に使用される。コリメート化入射光源は、好ましくは、コリメート発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード、及びその組合せから選択される。より好ましくは、コリメート化入射光源はコリメート化LEDである。
【0073】
本発明で使用される光源は、単色光、多色光、又は白色光をも放射しうる。特に、光源は、可視光(すなわち、400~700nmの範囲の波長を有する)、赤外光(すなわち、700nmよりも長い波長を有する)、又は紫外光(すなわち、400nmよりも短い波長を有する)を放射しうる。好ましくは、光源は、320~750nmの範囲、より好ましくは400nm~700nmの範囲の波長を有する光を放射する。
【0074】
一実施形態では、セットの各光源は、白色光、UV光(好ましくは320~400nmの範囲の波長を有する)、緑色光(好ましくは530~600nmの範囲の波長を有する)、青色光(好ましくは430nm~530nmの範囲の波長を有する)、及び赤色光(好ましくは600nm~700nmの範囲の波長を有する)からなる群から独立に選択される光を放射する。
【0075】
好ましい実施形態では、セットの各光源は、白色光、UV光(好ましくは320~400nmの範囲の波長を有する)、青色光(好ましくは430nm~530nmの範囲の波長を有する)、及び赤色光(好ましくは600nm~700nmの範囲の波長を有する)からなる群から独立に選択される光を放射する。
【0076】
セットの光源は、同一種類の光又は異なる種類の光を放射しうる。例証として、セットの各光源は白色光を提供しうる。或いは、セットの少なくとも1つの光源は白色光を提供しうるが、またセットの少なくとも1つのその他の光源はUV光を提供しうる。好ましくは、セットの各光源は同一種類の光を放射し、好ましくは白色光を放射する。
【0077】
特別な実施形態では、セットの光源は、コリメート化白色LED及びUV光、青色光、又は赤色光、及びその組合せを放射するコリメート化LEDからなる群より選択される。好ましくは、セットの光源はコリメート化白色LEDである。
【0078】
好ましい実施形態では、セットの全ての光源は、コリメート化白色LED及びUV光、青色光、又は赤色光、及びその組合せを放射するコリメート化LEDからなる群より選択される。好ましくは、セットの全ての光源はコリメート化白色LEDである。
【0079】
好ましい実施形態では、セットの入射光は、微生物学的対象物又は支持体に到達する前に、励起フィルター、すなわち光源から励起波長の光を選択するために、蛍光顕微鏡及び分光学的用途で一般的に使用されるフィルターを通じてフィルター処理されない。
【0080】
上記したように、本発明の方法は、検出を円滑化させる任意の追加試薬、例えば標識剤又は色素等の使用を必要としない。しかしながら、いくつかの特別な実施形態では、微生物学的対象物は、そのような試薬、例えば蛍光色素を使用して標識されていてもよい。好ましくは、微生物学的対象物は未標識であり、すなわち標識剤、すなわちフォトンシグナルを生成する化合物又は部分、例えば有色色素又は蛍光色素等を用いて標識されない。好ましい実施形態では、本発明の方法は、微生物学的対象物を標識するための任意の試薬(例えば、基質、プローブ、抗体、色素等)の使用を包含しない。
【0081】
工程a)において、支持体は、少なくとも2個の光源のセットを用いて、好ましくは少なくとも3個の光源のセットを用いて照明される。特に、支持体は、3~50個の光源のセットを用いて、好ましくは3~24個の光源のセットを用いて、より好ましくは3~12個の光源のセットを用いて、及びいっそうより好ましくは3~6個の光源のセットを用いて照明されうる。
【0082】
好ましい実施形態では、支持体は3個の光源のセットを用いて照明される。
【0083】
好ましくは、セットの光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布し、好ましくは均等に(すなわち、互いに等距離で)分布している。いくつかの実施形態では、前記光源は、光学的取得軸を中心とする円上に分布し、好ましくは均等に分布している。いくつかのその他の実施形態では、前記光源は、光学的取得軸を中心とする、好ましくは異なる直径のいくつかの円上に、好ましくは2、3、4、5、又は6個の円上に分布し、好ましくは均等に分布している。好ましくは、円は、支持体の面に対して平行な面内にある。
【0084】
一実施形態では、支持体は、光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布している3個の光源のセットを用いて照明される。
【0085】
いくつかの特別な実施形態では、支持体は偶数の光源を用いて照明され、及び前記光源は光学的取得軸に関して対称的である。
【0086】
角度αの数値は、セットの光源毎に独立に選択される。従って、セットの2光源の角度αの数値は同一である場合もあれば、また異なる場合もある。好ましくは、セットの各入射コリメート化光源は、支持体の法線に対して15°~75°の間、好ましくは支持体の法線に対して25°~65°の間、より好ましくは支持体の法線に対して30°~60°の間で独立に選択される角度(α)を形成する。
【0087】
特別な実施形態では、角度αの数値は、光学的取得軸に関して対称的であるセットの光源について同一である。
【0088】
好ましい実施形態では、角度αの数値はセットの全ての光源について同一である。
【0089】
特に好ましい実施形態では、支持体は少なくとも3個の光源のセットを用いて照明され、及び角度αの数値は全ての光源について同一である。特に、本実施形態では、角度αの数値は支持体の法線に対して25°~65°でありうる。
【0090】
各光源により放射される光束及び全ての光源により放射される光束の合計は、当業者により容易に調節されうる。好ましくは、セットの全ての光源により放射される光束の合計は0.80~15ルーメン/mm2であり、及び各光源により放射される光束は0.10~5ルーメン/mm2である。
【0091】
コリメート化光源により照明される支持体のエリアは、支持体の一部又は支持体全体でありうる。好ましくは、コリメート化光源により照明される支持体のエリアは支持体の一部である。特に、前記エリアは、3~100mm2、好ましくは3~50mm2、より好ましくは25~50mm2でありうる。一般的に、支持体の全エリアは、100mm2~10,000mm2、好ましくは400mm2~8,000mm2、より好ましくは450~2000mm2からなる。
【0092】
支持体及び受光素子及び光源の間の距離は、当業者、オペレーターにより容易に、又は例えばコンピューター画像分析ソフトウェアを使用して自動的に調節されうる。特に、この距離は、三角測量法を使用して決定されうる。一般的に、支持体と受光素子との間の距離は、5mm~10cm、好ましくは5mm~5cm、及びより好ましくは5mm~3cmである。
【0093】
本発明の方法の工程b)において、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体の前記エリアの画像は、支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって取得される。
【0094】
受光素子は、ピクセルセンサー、好ましくはCCD(電荷結合デバイス)イメージセンサー、又はアクティブピクセルセンサー、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサーのアレイを含むカメラでありうる。好ましくは、受光素子はCMOSイメージセンサーである。
【0095】
本発明の長所の1つは、増殖の非常に早い段階において、拡大する必要もなく、微生物学的対象物を検出することである。従って、好ましくは、受光素子は非拡大システムである。しかしながら、そのようなシステムの使用は除外されず、そして画像は、例えば×0.5~×10拡大、好ましくは×2~×5拡大で取得されうる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、工程b)の後、且つ工程c)の前に、
b')毎回、光源の異なるセットを用いながら、工程a)及び工程b)を1回又は数回繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの前記取得画像を組み合わせて、前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程を更に含む。
【0097】
工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源からなる1~20個の異なるセットを用いながら、1~20回繰り返されうる。特に、工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源からなる1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回繰り返されうる。好ましくは、工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源からなる1、2、3、4、5、6、7、又は8個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4、5、6、7、又は8回繰り返される。より具体的には、工程a)及び工程b)は、少なくとも2個の入射コリメート化光源からなる1、2、3、又は4個の異なるセットをそれぞれ用いながら、1、2、3、4回繰り返される。
【0098】
光源の各セットは上記で定義した通りでありうる。工程a)において使用されるセットについて上記で開示した全ての実施形態は、繰り返し工程において使用される光源の各セットについても検討される。特に、各セットは、支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)(角度(α)の数値は光源毎に独立に選択される)を形成する、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の光源を含みうる。好ましくは、角度αの数値は、同一セットの光源毎に同一である。
【0099】
各セットは、3~24個、好ましくは3~12個、より好ましくは3~6個、及びいっそうより好ましくは3個の光源を含みうる。光源の数は、セット毎に同一であってもまた異なってもよい。特に、全てのセットは異なる数の光源を含みうるが、全てのセットが同一数の光源を含む場合もあれば、また一部のセットが同一数の光源を含む場合もある。
【0100】
好ましくは、各セットは少なくとも3個の光源を含み、及び角度αの数値はセットの全ての光源について同一である。好ましくは、角度αの数値は、支持体の法線に対して25°~65°である。
【0101】
光源の各セットは、光源の異なる組合せを含み、及び少なくとも1つの光源においてその他のセットと異なり、好ましくは全ての光源と異なる。
【0102】
2セットの光源は、その数、その光の種類、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値において異なる可能性がある。好ましくは、2セットの光源は、その数、その位置、及び/又は各光源の角度αの数値において異なる。より好ましくは、2セットの光源は、少なくともその位置及び/又は各光源の角度αの数値において異なる。
【0103】
好ましくは、全てのセットの光源は、同一種類の光、好ましくは白色光を放射する。より好ましくは、全てのセットの光源はコリメート化白色LEDである。
【0104】
エリアの画像は光源の各セットについて取得される。前記画像は、次に前記エリアの組み合わされた画像を取得するために組み合わされる。
【0105】
本発明の方法は、同一セットの光源を用いて、工程a)及び工程b)を1回又は数回繰り返す可能性を排除しないことに留意されたい。
【0106】
特に、本発明の方法は、
a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源のセットを用いて、支持体のエリアを照明する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立して選択される、工程と、
b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の前記セットにより照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
b')毎回、支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の異なるセットを用いながら、工程a)及び工程b)を1回又は数回繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの前記取得画像を組み合わせて、前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、工程と
を含みうる。
【0107】
特別な実施形態では、本発明の方法は、
a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の第1のセットを用いて、支持体のエリアを照明する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、工程と、
b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の前記第1のセットにより照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
b')支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の第2のセットを用いながら、工程a)及びb)を繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの取得画像を組み合わせて前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、工程と
を含みうる。
【0108】
好ましくは、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一である。より好ましくは、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、且つ25°~65°である。
【0109】
好ましくは、第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一である。より好ましくは、第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、且つ25°~65°である。
【0110】
第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値、及び第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一である場合もあれば、また異なる場合もある。特別な実施形態では、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値、及び第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、好ましくは25°~55°、より好ましくは30°~40°である。別の特別な実施形態では、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値、及び第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は異なり、好ましくは第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は30°~40°であり、且つ第2のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は45°~55°であり、又はその逆も成り立つ。
【0111】
特別な実施形態では、本発明の方法は、
a)支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の第1のセットを用いて支持体のエリアを照明する工程であって、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、工程と、
b)支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する受光素子によって、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源の前記第1のセットにより照明される前記支持体の前記エリアの画像を取得する工程と、
b')少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の入射コリメート化光源からなるN個のセットのそれぞれを用いながら、工程a)及び工程b)を1回又は数回繰り返し、これにより前記エリアの複数の取得画像を取得し、及び前記エリアの取得画像を組み合わせて前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程であって、各セットの各光源が支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成し、角度(α)の数値が入射コリメート化光源毎に独立に選択される、工程と
を含みうる。
【0112】
Nは整数であり、且つ2~20、好ましくは2~12、より好ましくは2~8であり、すなわち2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択される。
【0113】
好ましくは、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一である。より好ましくは、第1のセットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、且つ25°~65°である。
【0114】
N個のセットのそれぞれについて、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は、同一である場合もあれば、また異なる場合もある。好ましくは、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一である。より好ましくは、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、且つ25°~65°である。
【0115】
特別な実施形態では、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、好ましくは25°~65°であり、及び角度(α)の数値はN個のセットのそれぞれについて異なる。
【0116】
別の特別な実施形態では、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、好ましくは25°~65°であり、また2個以上のセットは同一の角度(α)の数値を有する。
【0117】
別の特別な実施形態では、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、4セットの光源が使用され、2セットが30°~40°の角度(α)の数値を有し、且つ2セットが45°~55°の角度(α)の数値を有する。好ましくは、各セットは、少なくとも3個の光源、好ましくは3~6個の光源を含み、より好ましくは3個の光源からなる。
【0118】
別の特別な実施形態では、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、少なくとも8セットの光源が使用され、2セットが25°~35°の角度(α)の数値を有し、2セットが40°~50°の角度(α)の数値を有し、及び4セットが60°~70°の角度(α)の数値を有する。好ましくは、各セットは少なくとも3個の光源、好ましくは3~6個の光源を含み、より好ましくは3個の光源からなる。
【0119】
別の特別な実施形態では、同一セットの各入射コリメート化光源の角度(α)の数値は同一であり、少なくとも8セットの光源が使用され、1セットは28°~32°の角度(α)の数値を有し、1セットは33°~37°の角度(α)の数値を有し、1セットは38°~42°の角度(α)の数値を有し、1セットは48~52°の角度(α)の数値を有し、1セットは53°~57°の角度(α)の数値を有し、及び3セットは60°~64°の角度(α)の数値を有する。好ましくは、各セットは少なくとも3個の光源を含み、好ましくは3個の光源からなる。好ましくは、各セットは、少なくとも3個の光源、好ましくは3~6個の光源を含み、より好ましくは3個の光源からなる。
【0120】
工程a)、工程b)、及び工程b')を含む複数の実施形態では、工程c)において、支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在が検出されうる。
【0121】
いくつかの好ましい実施形態では、工程a)及び工程b)(1セットの光源を用いる)、又は工程a)、工程b)、及び工程b')(複数の光源セットを用いて繰り返す)は、前記支持体のいくつかのエリアを画像化するために、好ましくは支持体全体を画像化するために複数回実施される。従って、方法は、工程b)又は工程b')の後に、前記エリアの取得画像を組み合わせて前記エリアの組み合わされた画像を形成する工程b'')を更に含みうる。工程c)では、次に支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記エリアの前記組み合わされた画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物の存在又は不存在が検出されうる。
【0122】
工程a)及び工程b)、又は工程a)~工程c)は、前記支持体のいくつか異なるエリアを画像化するために複数回実施されうる。好ましくは、工程a)及び工程b)、又は工程a)~工程c)は、支持体全体を画像化するために実施され、すなわち取得画像を組み合わせることにより支持体全体を画像化するために十分な回数実施される。
【0123】
特に、エリアを照明及び画像取得する工程(工程a)及び工程b))、及び任意選択的に、工程a)及び工程b)が1つの又はいくつか異なるセットの光源を用いて繰り返されるとき、前記エリアの取得画像を組み合わせる工程は、前記支持体のいくつか異なるエリアを画像化するために、好ましくは異なるエリアの取得画像を組み合わせることにより支持体全体を画像化するために、複数回実施されうる。
【0124】
ラウンド数は、各ラウンドにおいて画像化されるエリアのサイズ及び支持体のサイズに依存する。一般的に、工程a)及び工程b)、又は工程a)~工程c)は、10回~500回、好ましくは50回~400回実施されうる。
【0125】
特に、エリアを照明及び画像取得する工程(工程a)及び工程b))、及び任意選択的に、工程a)及び工程b)が1つの又はいくつか異なるセットの光源を用いて繰り返されるとき、前記エリアの取得画像を組み合わせる工程は、10回~500回、好ましくは50回~400回実施されうる。
【0126】
方法は、前記異なるエリアの取得画像を組み合わせて、支持体の組み合わされた画像を形成する工程を更に含みうる。照明されるエリア毎に画像が取得されうるが、前記エリア画像は次に支持体の組み合わされた画像を形成するために処理される。或いは、照明されるエリア毎に、いくつかの画像が取得及び組み合わされうるが、前記エリアの組み合わされた画像は次に支持体の組み合わされた画像を形成するために処理される。組み合わされた画像は、次に支持体全体又はその一部分において、支持体の表現を構成する。好ましい実施形態では、工程c)が、そのような支持体の組み合わされた画像上で、支持体全体又はその一部分において実施される。
【0127】
画像の操作、例えばあるエリアの組み合わされた画像を形成するために、同一エリアの取得画像を組み合わせること、又は支持体の組み合わされた画像を形成するために、異なるエリアの取得画像又は組み合わされた画像を組み合わせること等は、当業者によりルーチン的に使用される任意の方法により実施可能である。例えば、画像を組み合わせることは、ImageJソフトウェアを使用して実施可能である。
【0128】
支持体は、有利には、支持体の表面をスキャンし、及び前記支持体の部分画像又は全部画像を再構成することを可能にする移動式サンプルホルダー上に取り付けられる。入射エリアの幅(照明及び画像化されるエリア)は、好ましくは支持体の連続する2つの位置の間で、トランスレーション工程に等しいか又はそれより大きい。移動式サンプルホルダーのおかげで、受光素子に対してサンプルを直線運動及び/又は回転運動させることにより、支持体をスキャンすることができる。
【0129】
支持体から、及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、取得画像又は組み合わされた画像上で識別することにより、支持体上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在の検出が実施される。微生物学的対象物は、支持体の表面上にある程度の不規則性を付加し、これは、支持体上及び前記微生物学的対象物上で光の反射、散乱、及び/又は拡散が異なることから検出可能である。支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光は、標識剤により放射されたフォトンシグナル、特に蛍光色素により放射された蛍光シグナル、又は微生物学的対象物により放射された自己蛍光シグナルとは異なる。特に、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光は、入射光と同一の波長範囲を有する。特別な実施形態では、入射コリメート化光源は白色光を放射し、及び受光素子は、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された白色光を検出する。同じことがその他の種類の光に当てはまる(例えば、青色光、赤色光、緑色光、UV光)。
【0130】
この検出はオペレーターにより実施可能、そうでなければ受光素子に接続したコンピューター実行型画像処理ソフトウェアによって自動的に実施可能である。そのようなコンピューター実行型画像処理ソフトウェアは、当業者により容易に選択される任意の適するソフトウェアでありうる。
【0131】
特に、微生物学的対象物の検出は、微生物学的対象物によりもたらされた表面の不規則性に起因する反射スポットを検出することにより実施されうる。例えば、このスポット検出は、(i)ピクセルセンサーのピクセルのアレイからなる行又は列毎に、光強度ピーク周辺の閾値を上回るシグナルレベルを受け取るピクセルの数を使用することにより、(ii)ピクセルセンサーのピクセルのアレイからなる行又は列それぞれの最高シグナルレベルを使用することにより、或いは(iii)ピクセルセンサーのアレイのシグナルレベルを使用することにより実施されうる。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、工程a)の前に、テストされるサンプルを提供する工程と、前記サンプルを支持体と接触させる工程と、微生物がもし存在すれば微生物の増殖を可能にするために、前記支持体をインキュベートする工程を更に含む。サンプル、支持体、及びインキュベーション条件は上記で定義した通りでありうる。
【0133】
この検出には、微生物学的対象物をカウントする工程、また所与の基準、例えばその表面積又はその形態に基づきそれを分類/同定する工程が付随しうる。
【0134】
本発明の方法は、従って、取得画像又は組み合わされた画像から、支持体上の微生物学的対象物を計数及び/又は同定する工程を更に含みうる。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「同定」は、所与の微生物学的対象物の属及び種の決定を必ずしも必要としない。この用語は、分類群(任意のランクにおける)又は特定の群(例えば、好熱性好酸菌、酢酸菌、乳酸菌、酵母菌、又は糸状菌)における微生物の分類を意味しうる。この同定は、取得画像又は組み合わされた画像から取得された情報(サイズ、形態、特徴)を介して、及び/又は特に培養工程が選択的増殖培地上及び/又は選択的条件(例えば、好熱条件)下で実施された場合には、単に前記対象物の検出を介して可能となりうる。
【0136】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の方法は、サンプルの滅菌性をテストするか又はサンプル中の微生物を検出するのに使用される。特に、工程a)の前に、サンプルを支持体と接触させ、そしてこれまでに詳記したような微生物の増殖を可能にするためにインキュベートすることができる。微生物学的対象物の存在又はいくつかの微生物学的対象物の存在量が事前に決定された閾値よりも高ければ、サンプルは滅菌性ではないことを示唆する。微生物学的対象物の不存在又はいくつかの微生物学的対象物の存在量が事前に決定された閾値よりも低ければ、サンプルは滅菌性であることを示唆する。この閾値は、テストされる製品及び適用される規制標準に基づき変化しうる。
【0137】
本発明の方法は、検出対象とされる微生物学的対象物の性質に応じて、一般的に4日以下、好ましくは3、2、1日、又はそれ以下のインキュベーション時間後に、高い信頼性を有して微生物学的対象物の検出を可能にする。
【0138】
別の態様では、本発明は、本発明の方法を実施するための、特に支持体、好ましくはメンブレンフィルター又は固体増殖培地上の微生物学的対象物を検出するためのデバイスであって、
支持体を照明するための少なくとも2個の入射コリメート化光源であって、支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する前記少なくとも2個の入射コリメート化光源と、
前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体のエリアの画像を取得するための受光素子であって、支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する前記受光素子と、
支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出するための手段と、
任意選択的に、支持体を保持し、任意選択的に移動する手段と
を備えるデバイスに関する。
【0139】
入射光源は、上記で定義したような任意のコリメート化光源でありうる。特に、入射光源は電気動力式光源である。入射光源は、支持体を、任意のパターン、例えば点、線、円形、又は四角形であるパターン等で照明しうる。
【0140】
光源は、好ましくはコリメート化発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード、及びその組合せから選択される。より好ましくは、コリメート化入射光源はコリメート化LEDである。
【0141】
本発明で使用される光源は、単色光、多色光、又は白色光さえも放射しうる。特に、光源は、可視光(すなわち、400~700nmの範囲の波長を有する)、赤外光(すなわち、700nmよりも長い波長を有する)、又は紫外光(すなわち、400nmよりも短い波長を有する)を放射しうる。好ましくは、光源は、320~750nmの範囲、より好ましくは400nm~700nmの範囲の波長を有する光を放射する。
【0142】
一実施形態では、各光源は、白色光、UV光(好ましくは320~400nmの範囲の波長を有する)、緑色光(好ましくは530~600nmの範囲の波長を有する)、青色光(好ましくは430nm~530nmの範囲の波長を有する)、及び赤色光(好ましくは600nm~700nmの範囲の波長を有する)からなる群から独立に選択される光を放射する。
【0143】
好ましい実施形態では、各光源は、白色光、UV光(好ましくは320~400nmの範囲の波長を有する)、青色光(好ましくは430nm~530nmの範囲の波長を有する)、及び赤色光(好ましくは600nm~700nmの範囲の波長を有する)からなる群から独立に選択される光を放射する。
【0144】
光源は、同一種類の光、又は異なる種類の光を放射しうる。例証として、各光源は白色光を提供しうる。或いは少なくとも1つの光源は白色光を提供しうるが、また少なくとも1つのその他の光源はUV光を提供しうる。好ましくは、各光源は同一種類の光を放射し、好ましくは白色光を放射する。
【0145】
特別な実施形態では、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源は、コリメート化白色LED、及びUV光、青色光、又は赤色光、及びその組合せを放射するコリメート化LEDからなる群より選択される。好ましくは、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源はコリメート化白色LEDである。
【0146】
好ましい実施形態では、全ての光源は、コリメート化白色LED、並びにUV光、青色光、又は赤色光、及びその組合せを放射するコリメート化LEDからなる群より選択される。好ましくは、全ての光源はコリメート化白色LEDである。
【0147】
デバイスは、少なくとも3個の入射コリメート化光源、好ましくは3~50個、より好ましくは3~24個、及びいっそうより好ましくは3~12個の入射コリメート化光源を備えうる。好ましい実施形態では、デバイスは、少なくとも4個の入射コリメート化光源、好ましくは4~50個、より好ましくは4~24個、及びいっそうより好ましくは4~12個の入射コリメート化光源を備えうる。別の好ましい実施形態では、デバイスは、少なくとも13個の入射コリメート化光源、好ましくは15~50個、より好ましくは15~30個、及びいっそうより好ましくは24個の入射コリメート化光源を備える。
【0148】
好ましくは、前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布しており、好ましくは均等に分布している(すなわち、互いに等距離にある)。いくつかの実施形態では、前記光源は、光学的取得軸を中心とする円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。いくつかのその他の実施形態では、前記光源は、光学的取得軸を中心とする、好ましくは異なる直径のいくつかの円上、好ましくは2、3、4、5、又は6個の円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。各円は支持体の面に対して平行な面内にある。好ましくは、各円は、少なくとも3個の光源の位置、好ましくは3~12個の光源の位置、より好ましくは、3~9個の光源の位置を含む。好ましい実施形態では、同一円上に配置される各光源は、同一の角度αの数値を有する。
【0149】
いくつかの特別な実施形態では、デバイスは偶数の光源を備え、及び前記光源は光学的取得軸に関して対称である。
【0150】
角度αの数値は光源毎に独立に選択される。従って、デバイスの2個の光源の角度αの数値は、同一である場合もあれば、また異なる場合もある。好ましくは、各入射コリメート化光源は、支持体の法線に対して15°~75°の間、支持体の法線に対して好ましくは25°~65°の間、より好ましくは30°~60°の間で独立に選択される角度(α)を形成する。
【0151】
特別な実施形態では、角度αの数値は、光学的取得軸に関して対称的である光源について同一である。
【0152】
特別な実施形態では、角度αの数値は全ての光源について同一である。
【0153】
別の特別な実施形態では、デバイスは、45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の光源を備える。好ましくは、デバイスは、45°~55°の角度(α)の数値を有する12個の入射コリメート化光源を備える。前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布し、好ましくは均等に分布しうる。好ましくは、前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つの円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。
【0154】
別の特別な実施形態では、デバイスは、30°~40°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の光源、及び45°~55°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の光源を備える。好ましくは、デバイスは、30°~40°の角度(α)の数値を有する6個の光源、及び45°~55°の角度(α)の数値を有する6個の光源を備える。前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布し、好ましくは均等に分布しうる。好ましくは、前記光源は、光学的取得軸を中心とする2個の円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。特に、第1の円は、30°~40°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、及び第2の円は、45°~55°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みうる。
【0155】
別の特別な実施形態では、デバイスは、25°~35°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の光源、40°~50°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、又は6個の光源、及び60°~70°の角度(α)の数値を有する少なくとも6個、好ましくは7、8、9、10、11、又は12個の光源を備える。好ましくは、デバイスは、25°~35°の角度(α)の数値を有する6個の光源、40°~50°の角度(α)の数値を有する6個の光源、及び60°~70°の角度(α)の数値を有する12個の光源を備える。前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布し、好ましくは均等に分布しうる。好ましくは、前記光源は、光学的取得軸を中心とする3個の円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。特に、第1の円は、25°~35°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、第2の円は40°~50°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、及び第3の円は60°~70°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みうる。
【0156】
別の特別な実施形態では、デバイスは、28°~32°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の光源、33°~37°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の光源、38°~42°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の光源、48°~52°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の光源、53°~57°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3個の光源、及び60°~64°の角度(α)の数値を有する少なくとも3個、好ましくは3、4、5、6、7、8、9個の光源を備える。好ましくは、デバイスは、28°~32°の角度(α)の数値を有する3個の光源、33°~37°の角度(α)の数値を有する3個の光源、38°~42°の角度(α)の数値を有する3個の光源、48°~52°の角度(α)の数値を有する3個の光源、53°~57°の角度(α)の数値を有する3個の光源、及び60°~64°の角度(α)の数値を有する9個の光源を備える。前記光源は、光学的取得軸を中心とする1つ又はいくつかの円上に分布し、好ましくは均等に分布しうる。好ましくは、前記光源は、光学的取得軸を中心とする6つの円上に分布しており、好ましくは均等に分布している。特に、第1の円は28°~32°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、第2の円は33°~37°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、第3の円は38°~42°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、第4の円は48°~52°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、第5の円は53°~57°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みえ、及び第6の円は60°~64°の角度(α)の数値を有する光源の位置を含みうる。
【0157】
各光源により放射される光束及び全ての光源により放射される光束の合計は、当業者により容易に調節されうる。好ましくは、全ての光源により放射される光束の合計は0.80~15ルーメン/mm2であり、また各光源により放射される光束は0.10~5ルーメン/mm2である。
【0158】
好ましい実施形態では、デバイスは、何らかの励起フィルター、すなわち入射光源から励起波長の光を選択するためのフィルターを含まない。
【0159】
受光素子は上記で定義した通りである。特に、受光素子は、ピクセルセンサー、好ましくはCCD(電荷結合デバイス)イメージセンサー、又はアクティブピクセルセンサー、例えばCMOS (相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサー等のアレイを含むカメラでありうる。好ましくは、受光素子はCMOSイメージセンサーである。
【0160】
受光素子は拡大系又は非拡大系でありうる。倍率は、×0.5~×10、好ましくは×2~×5に含まれうる。好ましくは、受光素子は非拡大系である。
【0161】
光源及び受光素子は、相対的に定義及び固定された位置関係を有するように、支持構造上に共に取り付けられる。
【0162】
デバイスは、支持体上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出するための手段を備える。
【0163】
デバイスは、好ましくは、画像を組み合わせるため、特に同一エリアの取得画像を組み合わせるため、及びいくつかのエリアの取得画像又は組み合わされた画像を組み合わせるための手段を備える。支持体上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出することは、従って支持体のエリアの取得画像上、支持体のエリアの組み合わされた画像上(同一エリアのいくつかの取得画像の組合せ)、又は支持体のいくつかのエリアの組み合わされた画像上で実施されうる。
【0164】
受光素子は、受光素子から取得された画像情報を受け入れ、そしてこの情報を処理して任意の微生物学的対象物を検出する検出ユニット、すなわちそれ自体が公知であるコンピューター実行型画像処理ソフトウェアと接続しうる。
【0165】
従って、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を検出することにより、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を識別すること、従って前記支持体上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出することが可能である。微生物学的対象物は、支持体の表面上にある程度の不規則性を付加し、これは、支持体上及び前記微生物学的対象物上で光の反射、散乱、及び/又は拡散が異なることから検出可能である。実際、微生物学的対象物によりもたらされる不規則性は特定の構造を有し、特別な反射パターンをもたらす。
【0166】
支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光は、標識剤により放射されたとフォトンシグナル、特に蛍光色素により放射された蛍光シグナル、又は微生物学的対象物により放射された自己蛍光シグナルとは異なる。特に、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光は、入射光と同一の波長範囲を有する。特別な実施形態では、入射コリメート化光源は白色光を放射し、及び受光素子は、支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された白色光を検出する。同じことがその他の種類の光に当てはまる(例えば、青色光、赤色光、緑色光、UV光)。
【0167】
特に、微生物学的対象物の検出は、微生物学的対象物によりもたらされた表面の不規則性に起因する反射スポットを検出することにより実施されうる。例えば、このスポット検出は、(i)ピクセルセンサーのピクセルのアレイからなる行又は列毎に、光強度ピーク周辺の閾値を上回るシグナルレベルを受け取るピクセルの数を使用することにより、(ii)ピクセルセンサーのピクセルのアレイからなる行又は列それぞれの最高シグナルレベルを使用することにより、或いは(iii)ピクセルセンサーのアレイのシグナルレベルを使用することにより実施されうる。
【0168】
任意選択的に、デバイスは、支持体を保持し、任意選択的に移動する手段を更に含みうる。好ましくは、デバイスは、上記したように、支持体表面のスキャンを可能にする移動式サンプルホルダーを備える。移動式サンプルホルダーのおかげで、受光素子に対するサンプルの直線運動及び/又は回転運動により支持体がスキャンされうる。
【0169】
図1は、本発明のデバイスの一実施形態を示す。この例示的デバイスは、
支持体の法線に対して少なくとも10°の角度(α)を形成する、支持体(2)を照明するための2個の入射コリメート化光源(3)と、
支持体の法線に沿ってその光学的取得軸を有する、前記少なくとも2個の入射コリメート化光源により照明される前記支持体のエリアの画像を取得するための受光素子(4)と、
支持体から及び前記支持体上の微生物学的対象物から反射、散乱、及び/又は拡散された光を、前記取得画像上で識別することにより、前記支持体の前記エリア上の微生物学的対象物についてその存在又は不存在を検出するための手段(図示せず)と、
支持体を保持するためのサンプルホルダー(1)と、
を備え、
光源及び受光素子は、相対的に定義及び固定された位置関係を有するように、支持構造物(5)上に共に取り付けられる。
【0170】
更なる態様では、本発明は、支持体上の微生物学的対象物を、好ましくは本発明の方法に基づき検出し、任意選択的に計数及び/又は同定するための、本発明のデバイスの使用とも関する。
【0171】
特に、本発明は、好ましくは本発明の方法に基づき、サンプルの滅菌性をテストするか又はサンプル中の微生物を検出するための、本発明のデバイスの使用に関する。
【0172】
本発明の方法及びデバイスについて上記した全ての実施形態は、この態様においても検討される。
【0173】
本明細書で使用される場合、用語「X~Y」により定義される範囲は、この範囲の限界値を包含し、すなわち数値X及び数値Yを包含する。
【0174】
本説明で引用された全ての参考資料は、本出願において参照により組み込まれている。本発明のその他の特徴及び利点は、決して制限するものではなく、例証目的で提示される下記の実施例においてより明確となる。
【実施例
【0175】
(実施例1)
材料及び方法:
微生物の調製物
A.ブラシリエンシスの場合、正確な数の微生物を含有するBiomerieux社から入手したBioBall(登録商標)(BioBall(登録商標) Multishot 550 アスペルギルス・ブラシリエンシスSKU番号:56001)を0.9% NaCl中で希釈して、濾過メンブレンに充填された、1実験条件毎に定義された数の微生物を取得した(対象物≒100個/メンブレンの密度)。メンブレンを、SDA寒天プレート(5g/Lのカゼイン膵臓消化物、5g/Lの動物組織ペプシン消化物、40g/Lのデキストロース、15g/Lの寒天、pH5.6±0.2)上に積層し、そして微生物を32.5℃で17時間又は18時間増殖させた。或いは、メンブレンを、R2A寒天プレート(0.5g/Lのカゼイン酸加水分解産物、0.5g/Lのデキストロース、0.3g/Lのリン酸二カリウム、0.024g/Lの硫酸マグネシウム、0.5g/Lのプロテオースペプトン、0.3g/Lのピルビン酸ナトリウム、0.5g/Lの可溶性スターチ、0.5g/Lの酵母エキス、15g/Lの寒天、pH7.2±0.2)上に積層し、そして微生物を22.5℃で38時間又は44時間増殖させた。
【0176】
予め定量された凍結保存ストックに由来するカンジダ・アルビカンス(ATCC(登録商標) 10231(商標))、緑膿菌(ATCC(登録商標) 10145(商標))、大腸菌(ATCC(登録商標) 8739(商標))、枯草菌(ATCC(登録商標) 6633(商標))、バークホルデリア・セパシア(ATCC(登録商標) 25608(商標))、ラルストニア・ピッケティ(ATCC(登録商標) 27511(商標))、及びレジオネラ・ニューモフィラ(CIP 105349)を0.9% NaCl中で希釈して、1実験条件毎に定義された数の微生物を取得した。得られた懸濁物をメンブレン上で濾過し、そして微生物を、固体増殖培地上、すなわちSDA、R2A、TSA(15g/Lのトリプトン、5g/LのSojaパパインペプトン、5g/Lの塩化ナトリウム、15g/Lの寒天、pH7.3±0.2)、又はGVPC(Oxoid社から購入したグリシン・バンコマイシン・ポリミキシン・シクロヘキサミド、カタログ参照番号:PO5074A)寒天プレート上、温度Tにおいてt時間増殖させた。
【0177】
実施例で使用したメンブレンは以下の通り: PVDFメンブレン(Durapore HVWG04700、Merck Millipore社)、MCEブラックメンブレン(HABG047、Merck Millipore社)、MCE白色グリッド付きメンブレン(HAWG047、Merck Millipore社)、MCE白色非グリッド付きメンブレン(GE 10401670)、PESメンブレン(metricel 66585、Pall laboratory社)、及びナイロンメンブレン(nylaflo 66608、Pall laboratory社)であった。
【0178】
【表1】
【0179】
各サンプルについて、固体増殖培地からメンブレンを取り除くことにより増殖を停止させ、そして画像化するまでサンプルを4℃で保管した。
【0180】
サンプル調製
メンブレンを、ブラックアルマイトからなるサンプルホルダー(1)上に、3滴の滅菌水(約50~250μl)と共に(メンブレンを再水和し、そして加湿状態に保つため)積層した。次に、図1において例証されるように、カセットを画像化位置に配置した。
【0181】
画像化システム構成
図1において例証されるようなデバイス(メンブレン(2)が、サンプルホルダー(1)上に配置され、及び支持体の法線に対して角度(α)を形成する入射コリメート化LED(3)で照明された)を通じて、メンブレンを画像化した。メンブレンの入射エリアを、メンブレンの法線に沿ってその光学的取得軸を有するCMOSイメージセンサー(4)によって画像化した。メンブレン及び/又はメンブレン上の微生物学的対象物から反射/散乱され、及び/又は拡散された光を検出した。
【0182】
取得パラメーター(0.7~11ルーメン/LEDの光源強度及び10~300msのカメラ曝露時間)を、シグナル対ノイズ比を最大化するように調節した。マルチバンド発光フィルター(435±20nm、546±10nm、及び690±50nmバンドパス)をCMOSイメージセンサーとサンプルの間に配置した。実施例で使用されるCMOSセンサーは、Sony IMX178LLJ-C(IDS画像化カメラUI-3880CP-M-GL_R2又はUI-3880CP-C-GL_R2)であった。
【0183】
標準的な構成では、メンブレンは、白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く3個のコリメート化LEDにより照明された。入射角αを50°に設定した。
【0184】
以下に記載する実施例では、この構成のいくつかのパラメーター、すなわちLED数、角度αの数値、及び入射光の波長が異なった。更なるパラメーター、例えばメンブレンタイプ及びメンブレン上の半透明のフタの有り/無し等が調査された。
【0185】
結果
LED数の変化
白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置くコリメート化LEDにより、メンブレンを照明した。入射角αを50°に設定した。LEDの数は3、6、又は12個の間で異なり、また数種類のメンブレンをテストした(PVDFメンブレン、ホワイト及びブラックMCEメンブレン、PESメンブレン)。全体的な強度を一定に保つために、LED数が増加すると共に個々のLED強度を抑えた(メンブレンに到達する全体的な光を、3個のLEDを用いた条件と同一の桁数内に収めた)。このような条件のそれぞれについて、類似したメンブレンバックグラウンドを生成するように、取得パラメーター(カメラ曝露時間及び光強度)を手作業により調節した(条件によらず、同一桁数のグレーレベル)。
【0186】
各条件において取得された画像の例を図2に示す。これらの結果より、LED数によらず、反射スポットが微生物上で見出されることが明らかとなった。このスポットは、球形タイプ形状を有する微生物(例えば、C.アルビカンス又は緑膿菌等)として十分に定義される。不完全球形タイプ形状は、スポットの欠損を引き起こす可能性がある。しかしながら、複数の光源を使用することで情報量が増加し、従って各種類の微生物の効率的な検出が可能になる。
【0187】
角度αの数値の変化
白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く6個のコリメート化LEDにより、メンブレンを照明した。入射角αを37°、50°、又は60°に設定し、そして数種類のメンブレン(PVDFメンブレン、ホワイト及びブラックMCEメンブレン)をテストした。
【0188】
各条件において取得された画像の例を図3に示す。これらの結果より、入射角によらず、微生物上で反射スポットが見出されることが明らかとなった。入射角(37°)が小さければ、微生物の中心付近に位置する反射スポットがもたらされる。実際、平らな表面(おそらくマイクロコロニー中心部に見出される)では、入射角が小さい光がセンサーに向かってわずかにそれるに過ぎない:反射光の収集が可能。対照的に、硬い表面(おそらく微生物端部において見出される)では、光はセンサーから遠く離れてそれる:反射光の収集は不可能。
【0189】
一方、入射角が大きければ(例えば、60°)、微生物の端部付近に位置する反射スポットがもたらされる。実際、平らな表面(おそらくマイクロコロニー中心部に見出される)では、光はセンサーから遠く離れてそれる:反射光の収集は不可能。対照的に、硬い表面(おそらく微生物端部において見出される)では、入射角が小さい光はセンサーに向かってわずかにそれるに過ぎない:反射光の収集が可能。
【0190】
これらの結果は、3つの角度数値(37°、50°、及び60°)は、各種類の微生物の効率的な検出を可能にし、また場合によっては、検出対象とされる微生物の構造に基づき入射角度を調節することにより、又は異なる入射角度の組合せを使用することにより、検出を改善することが可能であることを示す。
【0191】
波長の変化
互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く3個のコリメート化LEDにより、メンブレンを照明した。入射角αを50°に設定し、そして2種類のメンブレンをテストした(PVDF及びPESメンブレン)。LEDは、白色光、UV光(365±10nm)、青色光(495±20nm)、又は赤色光(645±30nm)を放射した。「白色光」条件では、センサーは435±20nm、546±10nm、及び690±50nmバンドパス内で光を収集した。「UV光」条件では、センサーは365±10nmバンドパス内で光を収集した。「青色光」条件では、センサーは482±35nmバンドパス内で光を収集した。「赤色光」条件では、センサーは640±75nmバンドパス内で光を収集した。
【0192】
各条件において取得された画像の例を図4に示す。これらの結果は、光/波長によらず、各種類の微生物が有効に検出されうることを示す。
【0193】
半透明のフタの存在
半透明のフタにより被覆されたメンブレンを、白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く12個のコリメート化LEDにより照明した。入射角αを50°に設定し、及び2種類のメンブレンをテストした(PVDF及びホワイトMCEメンブレン)。フタについて3種類の材料を調査した:Merck濾過ユニットに由来するプラスチック、UVグレード溶融シリカ(Chroma corp.社、厚さ: 1mm)、ソーダライムガラス(Selba corp.社、厚さ: 1.8~2mm)。
【0194】
各条件において取得された画像の例を図5に示す。これらの結果は、たとえメンブレンが半透明のフタを用いて被覆されても、及び前記フタの材料によらず、各種類の微生物が有効に検出されうることを示す。
【0195】
メンブレンタイプ
本発明の方法を、異なる種類のメンブレン: PDVF、ブラックMCE、ホワイトMCE、ブラックPES、又はナイロンメンブレンについて調査した。条件毎に、白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く6個のコリメート化LEDにより、メンブレンを照明した。入射角αを37°に設定した。
【0196】
各条件において取得された画像の例を図6に示す。これらの結果は、各種類の微生物が、テストした全てのメンブレン上で有効に検出されうることを示す。
【0197】
固体増殖培地上での検出
大腸菌(ATCC(登録商標) 8739(商標))をグリセロールストックから希釈した。得られた懸濁物を、TSA寒天プレート(15g/Lのトリプトン、5g/LのSojaパパインペプトン、5g/Lの塩化ナトリウム、15g/Lの寒天、pH7.3±0.2)上に展開するか、或いはメンブレン(PVDF、又はホワイトMCE)上で濾過した。メンブレンをTSAプレート上に積層した。いずれのケースにおいても、細菌を37℃で8時間増殖させた。
【0198】
A.ブラシリエンシス(正確な数の微生物を含有する、Biomerieux社から入手したBioBall(登録商標) Multishot 550 アスペルギルス・ブラシリエンシス SKU番号: 56001)を0.9% NaCl中で希釈し、そしてR2Aプレート(5g/Lのカゼイン膵臓消化物、5g/Lの動物組織ペプシン消化物、40g/Lのデキストロース、15g/Lの寒天、pH5.6±0.2)上に展開するか、或いは対象物≒100個/メンブレンの密度でPVDF濾過メンブレンに充填し、そしてR2Aプレート上に積層した。いずれのケースにおいても、微生物を22.5℃で44時間増殖させた。
【0199】
A.ブラシリエンシス又は大腸菌微生物を、次に固体増殖培地の表面上で直接、又は固体増殖培地(直径90mmのペトリ皿)の表面上に積層されたメンブレン上で検出した。いずれのケースにおいても、サンプルをブラックプラスチックからなるサンプルホルダー(1)上に積層した。
【0200】
各条件において取得された画像の例を図7に示す。これらの結果は、微生物の検出は、固体増殖培地上で直接、又はメンブレン上で(たとえ前記メンブレンが増殖培地上に保持されたとしても)実施されうることを示す。
【0201】
微生物の検出に必要とされるインキュベーション時間を最低限に抑えるための異なる構成条件の使用
本発明の方法を、C.アルビカンスの検出について、時間を変化させながら調査した。微生物を、SDA固体増殖培地に接触しているホワイトMCEメンブレン(グリッド付き又は非グリッド付きのいずれか)上で増殖させ、そして増殖を異なる時間(23時間、25時間、又は28時間)において停止した。調査した時間毎に、異なる条件下:標準条件0(3個のLED、入射角αを37°に設定)、或いは条件1(6個のLED、入射角αを37°に設定)、或いは条件2(12個のLED:そのうちの6個をα=37°に設定、他方のセットの6個をα=50°に設定)でサンプルを画像化した。条件毎に、メンブレンを、白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置くコリメート化LEDにより照明した。
【0202】
条件毎に、画像化後にメンブレン上で検出された微生物の数を数値化し(オペレーターカウント、N)、そしてコロニーが肉眼により目視可能となるまで、メンブレンを48時間、再度増殖させた(CFUカウント)。検出率(%)をN/CFUカウントの比としてコンピューター計算した。
【0203】
各条件で得られたこの割合(%)を図8に示す。この結果は、一部の構成条件は微生物の早期検出を可能にすることを示す。
【0204】
(実施例2)
材料及び方法
製薬業界及び化粧品業界に由来する原材料又は最終製品の汚染に関わる微生物の検出
アスペルギルス・ブラシリエンシスATCC(登録商標) 16404(商標)、サッカロミセス・セレビシエATCC(登録商標) 9763(商標)、ザイゴサッカロミセス・バイリDSM 70492、ペニシリウム・クリソゲナムATCC(登録商標) 18502(商標)、カンジダ・アルビカンスATCC(登録商標) 10231(商標)、及びペニシリウム・バリオッチATCC(登録商標) 18502(商標)を、系統に応じてPVDF、ブラック又はホワイトMCE濾過メンブレンに充填した。メンブレンをSDA寒天プレート(5g/Lのカゼイン膵臓消化物、5g/Lの動物組織ペプシン消化物、40g/Lのデキストロース、15g/Lの寒天、pH5.6±0.2)上に積層した。プレートを、次に22.5℃で24時間~50時間(系統及びメンブレンの種類に応じて)インキュベートした。
【0205】
アシネトバクター・バウマニATCC(登録商標) 19606(商標)、アスペルギルス・ブラシリエンシスATCC(登録商標) 16404(商標)、枯草菌ATCC(登録商標) 6633(商標)、ブレブンディモナス・ディミヌタATCC(登録商標) 19146(商標)、バークホルデリア・セパシアATCC(登録商標) 25608(商標)、カンジダ・アルビカンスATCC(登録商標) 10231(商標)、クロストリジウム・スポロゲネスATCC(登録商標) 19404(商標)、キューティバクテリウム・アクネスATCC(登録商標) 6919(商標)、エンテロバクター・アエロゲネスATCC(登録商標)35028(商標)、エンテロコッカス・フェカーリスATCC(商標) 29212(商標)、大腸菌ATCC(登録商標) 8739(商標)、肺炎桿菌ATCC(登録商標) 13883(商標)、コクリア・リゾフィラ(Kocuria rhizophila) ATCC(登録商標) 9341(商標)、メチロバクテリウム・エクストルクエンスATCC(登録商標) 43645(商標)、プロテウス・ミラビリスATCC(登録商標) 29906(商標)、緑膿菌ATCC(登録商標) 9027(商標)、ラルストニア・ピッケティATCC(登録商標) 27511(商標)、セラチア・マルセセンスATCC(登録商標) 14756(商標)、シゲラ・ゾネイATCC(登録商標) 25931(商標)、黄色ブドウ球菌ATCC(登録商標) 6538(商標)、肺炎連鎖球菌ATCC(登録商標) 49619(商標)、ビブリオ・パラヘモリチカスATCC(登録商標) 17802(商標)、エルシニア・エンテロコリチカATCC(登録商標) 9610(商標)を、系統に応じてPVDF、ブラック又はホワイトMCE濾過メンブレンに充填した。メンブレンを、TSA寒天プレート(15g/Lのトリプトン、5g/LのSojaパパインペプトン、5g/Lの塩化ナトリウム、15g/Lの寒天、pH7.3±0.2)上に積層した。プレートを、次に32.5℃で6時間~72時間(系統及びメンブレンの種類に応じて)インキュベートした。
【0206】
非併発性及び併発性UTIに関わる細菌の検出
非併発性及び併発性UTIの89%を占める大腸菌ATCC(登録商標) 8739(商標)、肺炎桿菌ATCC(登録商標) 13883(商標)、P.ミラビリスATCC(登録商標) 29906(商標)、E.フェカーリスATCC(登録商標) 19433(商標)、及び黄色ブドウ球菌ATCC(登録商標) 6538(商標)を、PVDF及びブラックMCE濾過メンブレンに充填した。メンブレンを、全系統について、コロンビア血液寒天プレート(23g/lのペプトン、1g/lのスターチ、5g/lの塩化ナトリウム、50ml/lのヒツジ血液、14g/lの寒天、pH7.3±0.2)上に積層し、及び大腸菌群(大腸菌及び肺炎桿菌)について、Mac Conkey寒天プレート(20g/Lのペプトン、10g/Lのラクトース、1.5g/Lの胆汁酸塩、0.001g/Lのクリスタルバイオレット、0.05g/Lのニュートラルレッド、5.0g/Lの塩化ナトリウム、15.0g/Lの寒天、pH7.1±0.2)上に積層した。コロンビア寒天プレートを37℃で7時間30分~10時間45分(系統に応じて)インキュベートした。Mac Conkey寒天プレートを、32.5℃で10時間~11時間(系統及びメンブレンの種類に応じて)インキュベートした。
【0207】
主要水及び製薬用途の水(精製水及びWFI水)の汚染に関わる微生物の検出
この実施例で使用したグラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニATCC(登録商標) 19606(商標)、アエロモナス・ヒドロフィラATCC(登録商標)35654(商標)、ブレブンディモナス・ディミヌタATCC(登録商標) 19146(商標)、バークホルデリア・セパシアATCC(登録商標) 25608(商標)、シトロバクター・フロインデイATCC(登録商標) 8090(商標)、エドワジエラ・タルダATCC(登録商標) 15947(商標)、エンテロバクター・アエロゲネスATCC(登録商標)35028(商標)、オクロバクトラム・アントロピCIP 82.115、肺炎桿菌ATCC(登録商標) 13883(商標)、メチロバクテリウム・エクストルクエンスCIP 106787、モラクセラ・オスロエンシスATCC 19976(登録商標)、パントエア・アグロメランスATCC(登録商標) 27155(商標)、プロテウス・ミラビリスATCC(登録商標) 29906(商標)、緑膿菌ATCC(登録商標) 10145(商標)、ラルストニア・ピッケティATCC(登録商標) 27511(商標)、サルモネラ・チフィムリウムATCC(登録商標) 13311(商標)、セラチア・マルセセンスATCC(登録商標) 13880(商標)、シゲラ・ゾネイATCC(登録商標) 25931(商標)、スフィンゴモナス・パウシモビリスATCC(登録商標) 29837(商標)、ステノトロホモナス・マルトフィリアATCC(登録商標) 13637(商標)、ビブリオ・パラヘモリチカスATCC(登録商標) 17802(商標)、エルシニア・エンテロコリチカATCC(登録商標) 9610(商標)であった。グラム陽性菌は、枯草菌ATCC(登録商標) 6633(商標)、エンテロコッカス・フェカーリスATCC(登録商標) 19433(商標)、黄色ブドウ球菌ATCC(登録商標) 6538(商標)である。テストした酵母菌及び糸状菌は、アスペルギルス・ブラシリエンシスATCC(登録商標) 16404(商標)及びカンジダ・アルビカンスATCC(登録商標) 10231(商標)であった。この選択は、主要な給水系統の微生物汚染物質の少なくとも84%、精製水系汚染物及び製薬WFI系の最も広く認められる汚染物質の77%をカバーする。系統を、PVDF、及びブラック又はホワイトMCE濾過メンブレンに(系統に応じて)充填した。メンブレンを、Reasonerの2A寒天(R2A)プレート(0.5g/Lの酵母エキス、0.5g/Lのプロテオースペプトン、0.5g/Lのカゼイン加水分解産物、0.5g/Lのグルコース、0.5g/Lのスターチ、0.3g/Lのリン酸水素二カリウム、0.024g/Lの硫酸マグネシウム・無水、0.3g/Lのピルビン酸ナトリウム、15.0g/Lの寒天、最終的なpH7.2±0.2)上に積層した。R2Aプレートを32.5℃で24時間~48時間(系統に応じて)インキュベートした。
【0208】
食品産業(原材料及び最終製品)における変質又は汚染に関わる微生物の検出
一般
アシネトバクター・バウマニATCC(登録商標) 19606(商標)、枯草菌ATCC(登録商標) 6633(商標)、ブレブンディモナス・ディミヌタATCC(登録商標) 19146(商標)、エンテロバクター・アエロゲネスATCC(登録商標)35028(商標)、エンテロコッカス・フェカーリスATCC(商標) 29212(商標)、コクリア・リゾフィラATCC(登録商標) 9341(商標)、シゲラ・ゾネイATCC(登録商標) 25931(商標)、肺炎連鎖球菌ATCC(登録商標) 49619(商標)、ビブリオ・パラヘモリチカスATCC(登録商標) 17802(商標)、エルシニア・エンテロコリチカATCC(登録商標) 9610(商標)を、PVDF濾過メンブレンに充填した。メンブレンをPCA寒天プレート(5g/Lのトリプトン、2.5g/Lの酵母エキス、1g/Lのデキストロース、15g/Lの寒天、pH7.0±0.2)上に積層した。プレートを35℃で18時間~27時間(系統に応じて)インキュベートした。
【0209】
ソフトドリンク
この実施例で使用した糸状菌は、アスペルギルス・ブラシリエンシスATCC(登録商標) 16404(商標)及びペニシリウム・バリオッチATCC(登録商標) 18502(商標)である。使用した酢酸細菌は、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)ATCC(登録商標) 15973(商標)、グルコノアセトバクター・リクエファシエンスATCC(登録商標) 14835(商標)、アサイア・シアメンシスDSM 15972、及びグルコノバクター・オキシダンスATCC(登録商標) 19357(商標))であり、並びに使用した乳酸菌株は、ラクトバチルス・プランタルムATCC(登録商標) 8014(商標)、ワイセラ・コンフサATCC(登録商標) 10881(商標)、及びラクトバチルス・カゼイATCC(登録商標)393(商標)である。系統を、PVDF、ブラック又はホワイトMC濾過メンブレン(系統に応じて)に充填した。メンブレンを、アスペルギルス・ブラシリエンシス及びペニシリウム・バリオッチについて、OSA(10g/Lのカゼインペプトン、3g/Lのリン酸水素二カリウム、4g/LのD(+)-グルコース、5g/Lのオレンジエキス、3g/Lの酵母エキス、17g/Lの寒天、pH5.5±0.2)、PDA(4g/Lのポテトインフュージョン、20g/Lのデキストロース、17g/Lの寒天、pH5.6±0.2)、又はYM寒天プレート(10g/Lのグルコース、3g/Lの麦芽エキス、5g/Lのペプトン、3g/Lの酵母エキス、15g/Lの寒天、pH6.2±0、2)上に積層し、酢酸菌についてYM寒天プレート上に積層し、及び乳酸菌についてMRS寒天プレート(2g/Lのクエン酸二アンモニウム、2g/Lのリン酸水素二カリウム、20g/LのD(+)-グルコース、0.1g/Lの硫酸マグネシウム、0.05g/Lの硫酸第一マンガン、5g/Lの肉エキス、5g/Lの酢酸ナトリウム、10g/Lのユニバーサルペプトン、5g/Lの酵母エキス、12g/Lの寒天、pH5.7)上に積層した。OSAプレートを30℃で40時間インキュベートした。PDAプレートを25℃で40時間インキュベートした。YMAプレートを25℃又は30℃で15時間~72時間(系統及びメンブレンの種類に応じて)インキュベートした。MRS寒天プレートを30℃で24時間~26時間インキュベートした。
【0210】
フルーツジュース
アリシクロバチルス・アシドテレストリスATCC(登録商標) 49025(商標)、アリシクロバチルス・アシドカルダリウスATCC(登録商標) 27009(商標)、アリシクロバチルス・アシディフィラスDSM 14558、アリシクロバチルス・シクロへプタニカスATCC(登録商標) 49028(商標)、アリシクロバチルス・ヘスペリダムDSM 12766、アリシクロバチルス・ハーバリウスDSM 13609、及びアリシクロバチルス・コンタミナンスDSM 17975を含むアリシクロバチルス菌の系統を、PVDF、又はブラックMCE濾過メンブレン(系統に応じて)に充填した。メンブレンを、BAT寒天プレート(2g/lの酵母エキス、5g/lのD(+)グルコース、0.25066g/lの塩化カルシウム、0.5g/lの硫酸マグネシウム、0.2g/lの硫酸アンモニウム、3g/lのリン酸二水素カリウム、0.00018g/lの硫酸亜鉛、0.00016g/lの硫酸銅、0.00015g/lの硫酸マンガン、0.00030g/lのモリブデン酸ナトリウム・二水和物、18g/lの寒天-寒天、p3.8~4.2)上に積層した。BAT寒天プレートを45℃で24時間インキュベートした。
【0211】
ワイン
サッカロミセス・セレビシエ(環境系統)、ザイゴサッカロミセス・バイリ(環境系統)、ラクトバチルス・ナゲリ(環境系統)、及びペディオコッカス・ペントサセウスATCC(登録商標)33316(商標)を、PVDF濾過メンブレンに充填した。メンブレンを、トマトジュース寒天プレート(20g/Lのトマトジュース、10g/Lのペプトン、10g/Lのペプトナイズドミルク、12g/Lの寒天、pH6.1±0.2)上に積層した。トマトジュース寒天プレートを、25℃及び30℃で18時間~72時間(系統及び培養条件に応じて)インキュベートした。
【0212】
サンプル調製
メンブレンを、ブラックアルマイトからなるサンプルホルダー(1)上に、3滴の滅菌水(約50~250μl)と共に(メンブレンを再水和し、そして加湿状態に保つため)積層した。次に、図1において例証されるように、カセットを画像化位置に配置した。
【0213】
画像化システム構成
図1において例証されるようなデバイス(メンブレン(2)が、サンプルホルダー(1)上に配置され、並びに白色光を放射し、互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置き、並びに支持体の法線に対して50°の角度(α)を形成する3個のコリメート化LED(3)で照明された)を通じて、メンブレンを画像化した。メンブレンの入射エリアを、メンブレンの法線に沿ってその光学的取得軸を有するCMOSイメージセンサー(4)によって画像化した。メンブレンから、及び/又はメンブレン上の微生物学的対象物から反射/散乱され、及び/又は拡散された光を検出した。
【0214】
取得パラメーター(PVDF及びブラックMCEメンブレンに充填された微生物について、光源強度3~7ルーメン/LED及びカメラ曝露時間100ms、及びMCEホワイトメンブレンに充填された微生物について、光源強度1~5ルーメン/LED及びカメラ曝露時間40~50ms)を、シグナル対ノイズ比を最大化するように調節した。マルチバンド発光フィルター(435±20nm、546±10nm、及び690±50nmバンドパス)をCMOSイメージセンサーとサンプルの間に配置した。
【0215】
結果
【0216】
【表2A】
【0217】
【表2B】
【0218】
【表2C】
【0219】
【表2D】
【0220】
【表2E】
【0221】
【表2F】
【0222】
【表2G】
【0223】
(実施例3)
材料及び方法:
微生物の調製
A.ブラシリエンシスの場合、正確な数の微生物を含有するBiomerieux社から入手したBioBall(登録商標) (BioBall(登録商標) Multishot 550 アスペルギルス・ブラシリエンシスSKU番号:56001)を0.9% NaCl中で希釈して、濾過メンブレンに充填された、1実験条件毎に定義された数の微生物を取得した(対象物≒100個/メンブレンの密度)。メンブレンを、SDA寒天プレート(5g/Lのカゼイン膵臓消化物、5g/Lの動物組織ペプシン消化物、40g/Lのデキストロース、15g/Lの寒天、pH5.6±0.2)上に積層し、そして微生物を22.5℃で38時間増殖させた。
【0224】
予め定量された凍結保存ストックに由来するアスペルギルス・ブラシリエンシス(ATCC(登録商標) 16404(商標))、カンジダ・アルビカンス(ATCC(登録商標) 10231(商標))、大腸菌(ATCC(登録商標) 8739(商標))、緑膿菌(ATCC(登録商標) 9027(商標))、メチロバクテリウム・エクストルクエンス(NBRC 15911、ATCC(登録商標) BAA-2500(商標))、ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii)(ATCC(登録商標) 27511(商標))、ブレブンディモナス・ディミヌタ(ATCC(登録商標) 19146(商標))、バークホルデリア・セパシア(ATCC(登録商標) 25416(商標))、黄色ブドウ球菌(ATCC(登録商標) 6538(商標))、スタフィロコッカス・エピデルミデス(ATCC(登録商標) 12228(商標))、シュードモナス・フルオレッセンス(ATCC(登録商標) 17386 (商標))、及び枯草菌(ATCC(登録商標) 6633(商標))を0.9% NaCl中で希釈して、1実験条件毎に定義された数の微生物を取得した(対象物≒100個/メンブレンの密度)。得られた懸濁物をMCEグリッド付きホワイトメンブレン(HAWG047、Merck Millipore社)上で濾過し、そして微生物を、固体増殖培地上、すなわちSDA、R2A、又はTSA寒天プレート上、温度Tにおいてt時間増殖させた。濾過メンブレン上で微生物を増殖させるのに使用した条件をTable 3 (表3)に示す。各サンプルについて、固体増殖培地からメンブレンを取り除くことにより増殖を停止し、そして画像化するまでサンプルを4℃で保管した。
【0225】
サンプル調製
メンブレンを、ブラックアルマイトからなるサンプルホルダー(1)上に、3滴の滅菌水(約50~250μl)と共に(メンブレンを再水和し、そして加湿状態に保つため)積層した。次に、図1において例証されるように、カセットを画像化位置に配置した。
【0226】
画像化システム構成
図1において例証されるようなデバイス(メンブレン(2)が、サンプルホルダー(1)上に配置され、及び白色光を放射するいくつかの入射コリメート化LED(3)(各LEDは支持体の法線に対して角度(α)を形成する)を用いて照明された)を通じて、メンブレンを画像化した。メンブレンの入射エリアを、メンブレンの法線に沿ってその光学的取得軸を有するCMOSイメージセンサー(4)によって画像化した。メンブレンから、及び/又はメンブレン上の微生物学的対象物から反射/散乱され、及び/又は拡散された光を検出した。
【0227】
アスペルギルス・ブラシリエンシスの検出で使用したデバイスは、光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布する、37°の角度(α)の数値を有する6個の光源を備えた。
【0228】
カンジダ・アルビカンス及び細菌の検出で使用したデバイスは、光学的取得軸を中心とする円上に均等に分布する、37°の角度(α)の数値を有する6個の光源、及び光学的取得軸を中心とする別の円上に均等に分布する、50°の角度(α)の数値を有する6個の光源を備えた。
【0229】
取得パラメーター(0.7~11ルーメン/LEDの光源強度及び100~300msのカメラ曝露時間間)を、シグナル対ノイズ比を最大化するように調節した。マルチバンド発光フィルター(435±20nm、546±10nm、及び690±50nmバンドパス)をCMOSイメージセンサーとサンプルの間に配置した。本実施例で使用したCMOSセンサーは、Sony IMX178LLJ-C(IDS画像化カメラUI-3880CP-M-GL_R2又はUI-3880CP-C-GL_R2)であった。
【0230】
検出率(%)を、コントロール条件、すなわち寒天プレート上でコロニーが目視可能となるのに十分な時間が経過した後に取得されたコロニーの数と比較することにより評価した(メンブレンの有り/無し)。
【0231】
結果
アスペルギルス・ブラシリエンシスの検出
2つの実験構成についてテストした。
【0232】
第1の構成では、メンブレンは、互いに等距離にあり及び光学的取得軸上にその中心を置く6個のコリメート化LEDにより同時に照明された。入射角αを37°に設定した。この条件で取得された画像を、次に微生物の検出で使用した。この構成により、69%のアスペルギルス・ブラシリエンシス微生物が検出可能であることが明らかとなった。
【0233】
第2の構成では、メンブレンは、互いに等距離にあり及び光学的取得軸上にその中心を置く第1のセットの3個のコリメート化LED、並びに互いに等距離にあり、及び光学的取得軸上にその中心を置く、第1のセットとは異なる、第2のセットの3個のコリメート化LEDにより、連続して照明された。入射角αを37°に設定した。第1のセット及び第2のセットの各3個のLEDを用いて取得された画像を次に組み合わせ、そして微生物の検出で使用した。この構成により、100%のアスペルギルス・ブラシリエンシス微生物が検出可能であることが明らかとなった。
【0234】
カンジダ・アルビカンスの検出
2つの実験構成についてテストした。
【0235】
第1の構成では、メンブレンは、互いに等距離にあり、光学的取得軸上にその中心を置き、及び37°の角度αを有する6個のコリメート化LED、並びに互いに等距離にあり、光学的取得軸上にその中心を置き、及び50°の角度αを有する6個のコリメート化LEDにより同時に照明された。この条件で取得された画像を、次に微生物の検出で使用した。この構成により、64%のカンジダ・アルビカンス微生物が検出可能であることが明らかとなった。
【0236】
第2の構成では、メンブレンは、4セットのLED: 37°の角度αを有する3個のコリメート化LEDからなる第1のセット、37°の角度αを有する3個のその他のコリメート化LEDからなる第2のセット、50°の角度αを有する3個のコリメート化LEDからなる第3のセット、及び50°の角度αを有する3個のその他のコリメート化LEDからなる第4のセットにより連続して照明された。これら4セットのそれぞれを用いて取得された画像を次に組み合わせ、そして微生物の検出で使用した。この構成により、100%のカンジダ・アルビカンス微生物が検出可能であることが明らかとなった。
【0237】
細菌の検出
カンジダ・アルビカンスの検出について上記で詳記した第2の構成を、異なる細菌を検出するのに使用した。結果を下記のTable 3 (表3)に示す。
【0238】
【表3】
【符号の説明】
【0239】
1 サンプルホルダー
2 支持体/メンブレン
3 入射コリメート化光源/入射コリメート化LED
4 受光素子/CMOSイメージセンサー
5 支持構造物
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
【国際調査報告】