(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】作業車両用の生体認証
(51)【国際特許分類】
B60R 16/037 20060101AFI20241106BHJP
B60R 25/25 20130101ALI20241106BHJP
【FI】
B60R16/037
B60R25/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523410
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022045634
(87)【国際公開番号】W WO2023075999
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥウィガー、トーマス エル.
(72)【発明者】
【氏名】ガーリングス、スティーブン エー.
(57)【要約】
作業車両用の生体認証
作業車両をセキュリティ保護する方法。生体識別子は、生体認証装置を使用してオペレータから収集される。生体識別子は、認可オペレータのリストと照合される。オペレータが認可オペレータと一致する場合、作業車両へのアクセスが可能となり、認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルがアクティブ化される。作業車両の操作中、現在のセッションの現在の機械データは、オペレータプロファイルに対して記録され、目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてオペレータに提供される。オペレータが認可オペレータと一致しない場合、作業車両へのアクセスが防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両をセキュリティ保護する方法であって、前記方法は、
生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集することと、
前記生体識別子を認可オペレータのリストと照合することと、
前記オペレータが認可オペレータと一致する場合、
前記作業車両へのアクセスを可能にすることと、
前記認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルをアクティブ化することであって、前記作業車両の操作中に、
現在のセッションの現在の機械データは、前記オペレータプロファイルに対して記録され、
目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいて前記オペレータに提供される、ことと、
前記オペレータが認可オペレータと一致しない場合、前記作業車両へのアクセスが防止される、ことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記生体認証装置は、顔認識装置および指紋リーダのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目的の情報は、前記現在の機械データにさらに基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記作業車両は、電気作業車両を含み、前記現在の機械データは、バッテリの放電率を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記作業車両は、電気作業車両を含み、前記目的の情報は、予想バッテリ寿命を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記予想バッテリ寿命は、以前のセッションの前記オペレータプロファイルに対して記録されたバッテリ放電データを含む以前の機械データに基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記目的の情報は、前記作業車両の整備予想日を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記目的の情報は、前記オペレータのパフォーマンスを向上させるためのコーチングを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
セキュリティ装置は、前記オペレータプロファイルに関連付けられた好ましいオペレータ設定をロードするようにさらに構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生体認証装置は、
スマートフォン、
前記作業車両に搭載された車載装置、のうちの1つである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
作業車両用のセキュリティ装置であって、前記セキュリティ装置は、生体認証装置を備え、前記セキュリティ装置は、
前記生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集することと、
前記生体識別子を認可オペレータのリストと照合することと、
前記オペレータが前記認可オペレータのリストからの認可オペレータと一致する場合、
前記作業車両へのアクセスを可能にすることと、
前記認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルをアクティブ化することであって、前記作業車両の操作中に、
現在のセッションの現在の機械データは、前記オペレータプロファイルに対して記録され、
目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてユーザに提供される、ことと、
前記オペレータが認可オペレータと一致しない場合、前記作業車両へのアクセスを防止することと、を行うように構成された、セキュリティ装置。
【請求項12】
前記生体認証装置は、顔認識装置および指紋リーダのうちの1つを含む、請求項11に記載のセキュリティ装置。
【請求項13】
前記目的の情報は、前記現在の機械データにさらに基づく、請求項11または12に記載のセキュリティ装置。
【請求項14】
前記作業車両は、電気作業車両を含み、前記現在の機械データは、バッテリ放電率を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のセキュリティ装置。
【請求項15】
前記作業車両は、電動作業車両を含み、前記目的の情報は、予想バッテリ寿命を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のセキュリティ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ対策を使用して作業車両の操作を認可オペレータに制限することが公知である。通常は、PINコードもしくはパスコードが使用されるか、またはBluetoothキーが使用される。これらは、機械の使用を可能にする機械セキュリティ機能、またはオペレータに合わせて機械設定をカスタマイズするオペレータID機能を実行することができる。オペレータIDはまた、パフォーマンスを追跡するために使用することもできる。PINコードおよびBluetoothキーなどのセキュリティ対策は、オペレータ間で共有されるか、紛失するか、または思い出せないおそれがあるため、オペレータに固有であることが保証されない。
【0003】
電動オフハイウェイ機械の性能は、オペレータの操作特性に関係する可能性がある。特に、バッテリ寿命は、オペレータの熟練度に影響されるおそれがある。したがって、所与の作業車両の再充電および/またはバッテリ/電気モータの整備のタイミングは、その作業車両を使用していた1名のオペレータまたは複数名のオペレータ、ならびに使用していた時間の長さおよび実行された作業の種類などの他の要因に依存する。
【発明の概要】
【0004】
この背景技術に対して、作業車両をセキュリティ保護する方法が提供される。本方法は、生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集することを含む。本方法は、生体識別子を認可オペレータのリストと照合することをさらに含む。オペレータが認可オペレータと一致する場合、本方法は、作業車両へのアクセスを可能にすることと、認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルをアクティブ化することと、をさらに含む。作業車両の動作中、現在のセッションの現在の機械データは、オペレータプロファイルに対して記録され、目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてオペレータに提供される。オペレータが認可オペレータと一致しない場合、本方法は、作業車両へのアクセスを防止することをさらに含む。
【0005】
また、作業車両用のセキュリティ装置も提供され、セキュリティ装置は、生体認証装置を備える。セキュリティ装置は、生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集するように構成される。セキュリティ装置は、生体識別子を認可オペレータのリストと照合するようにさらに構成される。オペレータが認可オペレータのリストからの認可オペレータと一致する場合、セキュリティ装置は、作業車両へのアクセスを可能にし、認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルをアクティブ化するようにさらに構成される。作業車両の操作中、現在のセッションの現在の機械データは、オペレータプロファイルに対して記録され、目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてユーザに提供される。オペレータが認可オペレータと一致しない場合、セキュリティ装置は、作業車両へのアクセスを防止するようにさらに構成される。
【0006】
これにより、オペレータを識別することができ、作業車両の操作を認可オペレータのみに制限してもよい。さらに、オペレータプロファイルに対して記録されたデータを収集することができ、そのデータをオペレータのコーチングおよび作業車両の状態の監視に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ここで、本開示の具体的な実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【
図1】本開示の一実施形態による作業車両をセキュリティ保護する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施形態による作業車両をセキュリティ保護する方法を
図1に示す。本方法のステップ110において、生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集する。ステップ120において、生体識別子は、認可オペレータのリストと照合される。オペレータが認可オペレータと一致する場合、ステップ130において作業車両へのアクセスが可能になる。ステップ140において、認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルがアクティブ化される。作業車両の操作中、現在のセッションの現在の機械データは、オペレータプロファイルに対して記録され、目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてユーザに提供される。本方法は、ユーザが作業車両の使用を停止すると(例えば、ユーザがログアウトするか、車両から降りるか、または作業車両の電源をオフにする場合)、終了する。ステップ120において、オペレータが認可オペレータと一致しない場合、ステップ150において作業車両へのアクセスが防止され、本方法は、終了する。
【0009】
作業車両は、内燃機関、例えば、ディーゼルエンジンを備えてもよく、電動作業車両、水素駆動作業車両、または別の燃料により駆動される作業車両を含んでもよい。
【0010】
一実施形態では、生体識別子は、オペレータの顔の画像を含んでもよく、生体認証装置は、顔認識装置を含む。例えば、生体認証装置は、カメラを含む。カメラは、オペレータの疲労監視などの他の目的に利用されてもよい。別の実施形態では、生体識別子は、オペレータの指紋を含んでもよく、生体認証装置は、指紋リーダを備える。
【0011】
一実施形態では、生体認証装置は、作業車両上、例えば、作業車両の運転室へのドア、または運転室自体に組み込まれてもよい。別の実施形態では、生体認証装置は、作業車両と無線通信するように構成されたスマートフォンまたは他の装置であってもよい。この実施形態では、作業車両へのアクセスを可能にするステップ130およびオペレータプロファイルをアクティブ化するステップ140は、無線信号を作業車両に送信することを含んでもよい。アクセスを可能にするステップ130は、例えば、生体認証装置と作業車両との間の近接性に基づいてもよい。
【0012】
現在の機械データには、バッテリ放電率が含まれてもよい。現在の機械データは、車両速度、ツール操作に関連するデータ、または作業車両に関連する他のパフォーマンスメトリックを含んでもよい。現在の機械データには、パフォーマンスメトリックまたは統計などのオペレータに関する情報およびバッテリ使用量が含まれてもよい。例えば、所与のシフトで移動される土砂または他の材料の積載量である。
【0013】
現在の機械データは、オペレータのコーチングに使用されてもよい。作業車両またはそのバッテリがサブスクリプションベースでレンタルされている場合、現在の機械データをサブスクリプション料金の設定に使用してもよい。現在の機械データは、作業車両の効率化に使用されてもよい。
【0014】
オペレータに提供される目的の情報は、作業車両のモニタを介して表示されてもよい。
【0015】
オペレータに提供される目的の情報は、現在の機械データにさらに基づいてもよい。以前の機械データは、以前のセッションのオペレータプロファイルに対して記録された以前のデータを含んでもよい。例えば、同じ作業車両または異なる作業車両を使用した以前のセッションからの同じオペレータについての「現在の機械データ」である。以前の機械データは、同じオペレータまたは異なるオペレータによって使用された同じ作業車両に関して記録された以前のデータを含んでもよい。
【0016】
オペレータに提供される目的の情報は、作業車両がどの程度効率的に使用されているかに関する情報を含んでもよい。これは作業車両に関連してもよく、例えば、バッテリ放電率に関する情報である。これは、オペレータのパフォーマンスメトリクス、例えば、オペレータが実行した作業量または作業が完了する速度に関連してもよい。作業量は、例えば、移動された材料の積載量を含んでもよい。
【0017】
目的の情報は、予測情報を含んでもよい。予測情報は、以前の機械データおよび作業車両のバッテリの現在の充電状態に基づいて、予測残存バッテリ寿命(または次の充電が必要になるまでの予測時間)を含んでもよい。予測バッテリ寿命は、オペレータが作業車両をどのように使用しているか、例えば、実行される操作の種類または使用効率にさらに基づいてもよい。以前の機械データは、作業車両が現在置かれているのと同様の操作条件(例えば、機械操作の種類、オペレータの身元)中のバッテリ放電を記述するデータを含んでもよい。
【0018】
一実施形態では、オペレータプロファイルに対して収集された現在の機械データ、および/またはオペレータプロファイルに対して記録された以前の機械データは、予測バッテリ寿命またはバッテリ充電の予測使用を処理するために使用されてもよい。オペレータプロファイルは、オペレータの動作特性に基づいてバッテリ寿命またはバッテリ充電の使用をより正確に予測するために使用されてもよく、動作特性は、オペレータが同じ作業車両または異なる作業車両を使用するとき、オペレータプロファイルに対して記録された以前のセッションの以前の機械データから決定される。動作特性には、バッテリ充電の使用率が含まれてもよい。予測バッテリ寿命またはバッテリ充電の予測使用は、同じ作業車両に関する以前の機械データおよび/または同じオペレータに関する以前の機械データに基づいてもよい。
【0019】
予測情報は、作業車両の次回の整備の予測日を含んでもよい。
【0020】
目的の情報は、どのように作業車両をより効率的に、またはバッテリの状態に好ましい方法で操作するかというヒントなど、オペレータのパフォーマンスを向上させるためのコーチングメッセージを含んでもよい。コーチングは、同じオペレータまたは異なるオペレータの以前の機械データに基づいてもよい。例えば、コーチングメッセージは、バッテリの放電率が適切であるか、または高すぎるかをオペレータに通知するメッセージを含んでもよく、バッテリの放電率が高すぎる場合、コーチングメッセージは、オペレータがバッテリの放電率をどのように低減し得たかに関する情報を含んでもよい。
【0021】
オペレータのプロファイルに対して記録された現在の機械データは、作業車両の将来の使用時に目的の情報を生成するために使用されてもよい。オペレータのプロファイルに対して記録された現在の機械データは、雇用主または作業現場の管理者による使用に関するオペレータの使用パターンを追跡するために使用されてもよい。
【0022】
オペレータプロファイルは、オペレータプロファイルがアクティブ化されたときに設定がロードされるように、オペレータプロファイルに関連付けられた好ましいオペレータ設定を含んでもよい。設定は、運転室の好みの設定、ツール設定、または好ましい操作モードを含んでもよい。例えば、設定は、器具の油圧速度または作業車両のツールの他の特性に関連する設定を含んでもよい。設定は、作業車両の好ましいシフト速度または移動速度を含んでもよい。設定は、暖房・換気・空調(heating, ventilation, and air conditioning、HVAC)温度などの運転室の好みの設定を含んでもよい。
【0023】
電動作業車両へのアクセスは、物理的ロックおよびソフトウェアインターロックのうちの一方または両方によって可能になってもよいか、または防止されてもよい。物理的ロックは、作業車両の制御システムによって、または生体認証装置によって無線で、または別の方法で制御されてもよい。物理的ロックまたはソフトウェアインターロックにより、運転室ドアをロックすること、またはロック解除することが可能であってもよい。物理的ロックまたはソフトウェアインターロックにより、作業車両の電源をオンにすること、または作業車両の電源をオンにしないことが可能であってもよい。作業車両により、生体識別子を受信するために、物理的ロックまたはソフトウェアインターロックなしで、オペレータがいくつかの機能をオンにすることが可能になってもよい。しかしながら、アクセスを可能にする物理的ロックまたはソフトウェアインターロックなしでは、作業車両は、移動することができなくてもよく、ツールは、使用することができなくてもよい。
【0024】
認可オペレータのリストは、遠隔で、例えば、テレマティクスを介して制御されてもよい。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、作業車両用のセキュリティ装置が存在する。セキュリティ装置は、生体認証装置を備える。セキュリティ装置は、生体認証装置を使用してオペレータから生体識別子を収集するように構成される。生体識別子は、認可オペレータのリストと照合される。オペレータが認可オペレータのリストからの認可オペレータと一致した場合、作業車両へのアクセスが可能になり、認可オペレータにリンクされたオペレータプロファイルは、アクティブ化される。作業車両の操作中、現在のセッションの現在の機械データは、オペレータプロファイルに対して記録され、目的の情報は、以前のセッションの以前の機械データに基づいてユーザに提供される。オペレータが認可オペレータと一致しない場合、作業車両へのアクセスは、防止される。
【0026】
セキュリティ装置は、作業車両上にあってもよいか、作業車両とは別個でもよいか、または作業車両上と作業車両とは別個との組み合わせであってもよい。セキュリティ装置は、作業車両の制御システムを備えてもよい。セキュリティ装置は、スマートフォンまたは他の携帯装置を備えてもよい。
【0027】
セキュリティ装置は、上述の方法のいずれかを搭載するようにさらに構成されてもよい。
【国際調査報告】