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特表2024-541873屈折率測定を用いて流体サンプルの成分含有量を決定するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】屈折率測定を用いて流体サンプルの成分含有量を決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/41 20060101AFI20241106BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N21/41 Z
A61M1/02 120
G01N21/41 B
G01N21/01 B
G01N33/49 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523562
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022047139
(87)【国際公開番号】W WO2023069523
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/271,033
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/963,527
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィンカ、デニス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フェルト、トーマス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2G045
2G059
4C077
【Fターム(参考)】
2G045AA01
2G045CA25
2G045FA13
2G045GC09
2G045JA07
2G059AA01
2G059AA02
2G059BB04
2G059BB13
2G059CC16
2G059DD04
2G059DD12
2G059EE02
2G059EE04
2G059EE11
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ12
2G059KK04
2G059MM05
4C077AA12
4C077AA13
4C077BB04
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH17
4C077HH20
4C077NN03
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】血漿ドナーがアフェレーシス装置に接続されている状態で全血の血漿タンパク質レベルを測定する方法及びシステムが提供される。アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計は、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットの一部を受容することができる。使い捨てチューブセットの一体化されたキュベットは、光源及びセンサがプリズム及び一体化されたキュベットの感知面に対して正確に位置合わせされて配向されるように、アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計の受容空間に挿入される。屈折計の較正は、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットを通してポンプで送られる抗凝固剤を用いて行われる。この較正に関連付けられた光強度に基づいて、全血が測定されて、血漿タンパク質レベル及びドナー適格性が決定される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源及び光センサを含む屈折計を使用して血液サンプルの血漿タンパク質含有量を決定するための方法であって、該方法は、
既知の基準濃度を有する基準流体を含む容器の感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって、前記屈折計を較正するステップと、
前記血液サンプルが前記容器内に存在するときに、前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルの血液ピクセルパターンを特定するステップと、
前記較正ピクセルパターンから前記血液ピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定するステップと、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定するステップと、
を有する、
血漿タンパク質含有量を決定するための方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記容器は、前記感知面を有するプリズムを含む、
方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定する前記ステップは、さらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光センサによって生成される光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、行われる、
方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、
前記屈折計及び前記プリズムは、重力が前記血液サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記容器の上側に位置する、
方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
該方法は、前記血液ピクセルパターンを特定する前記ステップ中に、前記容器を通る前記血液サンプルの流れを一時停止し、重力が前記容器の前記感知面から前記血液サンプルの赤血球を引き離すことを可能にするステップをさらに有する、
方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記基準流体は、抗凝固剤及び生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記容器は、一体化されたプリズムを含むキュベットであり、前記感知面は、前記一体化されたプリズムにある、
方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記容器はアフェレーシス装置に接続され、
該方法は、決定された前記血漿タンパク質含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記血液サンプルから血漿を分離するステップをさらに有する、
方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
該方法は、アフェレーシス装置のコントローラによって実行される、
方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、
前記光源からの光は、275nm、375nm、420nm、370nm~470nm、又は550nm~600nmの波長を有する、
方法。
【請求項11】
血液サンプルの血漿タンパク質含有量を測定するためのシステムであって、該システムは、
光源と、
光センサと、
感知面を有するプリズムを含む容器と、
前記光源によって生成された光が前記感知面から前記光センサに反射するように、前記光源及び前記光センサに対して前記容器を保持するように構成された支持部材と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記支持部材によって支持された前記容器内に既知の基準濃度を有する基準流体が存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって前記システムを較正し、
前記血液サンプルが前記容器内に存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルの血液ピクセルパターンを特定し、
前記較正ピクセルパターンから前記血液ピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定し、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定する、
システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記コントローラはさらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光源によって生成された光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定する、
システム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記光源、前記光センサ、及び前記プリズムは、重力が前記血液サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記容器の上側に位置する、
システム。
【請求項14】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記基準流体は、抗凝固剤及び生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項15】
請求項11記載のシステムにおいて、
該システムは、アフェレーシス装置をさらに備え、
前記コントローラは、決定された前記血漿タンパク質含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記血液サンプルから血漿を分離する、
システム。
【請求項16】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記光源からの光は、370nm~470nmの範囲の波長を有する、
システム。
【請求項17】
アフェレーシスシステムであって、該アフェレーシスシステムは、
血液サンプルから血漿を分離するように構成されたアフェレーシス装置と、
前記血液サンプルの血漿タンパク質含有量を測定するように構成された屈折計と、
コントローラと、
を備え、
該屈折計は、
光源と、
光センサと、
感知面を有するプリズムを含むキュベットと、
前記光源によって生成された光が前記感知面から前記光センサに反射するように、前記光源及び前記光センサに対して前記キュベットを保持するように構成された支持部材と、
備え、
前記コントローラは、
前記支持部材によって支持された前記キュベット内に既知の基準濃度を有する基準流体が存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって前記屈折計を較正し、
前記血液サンプルが前記キュベット内に存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルの血液ピクセルパターンを特定し、
前記較正ピクセルパターンから前記血液ピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定し、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定し、
決定された前記血漿タンパク質含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記血液サンプルから血漿を分離する、
アフェレーシスシステム。
【請求項18】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記コントローラはさらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光センサによって生成された光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、前記血液サンプルの前記血漿タンパク質含有量を決定する、
アフェレーシスシステム。
【請求項19】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記光源、前記光センサ、及び前記プリズムは、重力が前記血液サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記キュベットの上側に位置する、
アフェレーシスシステム。
【請求項20】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記コントローラは、前記血液ピクセルパターンを特定するとき、前記キュベットを通る前記血液サンプルの流れを一時停止する、
アフェレーシスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/271,033号の利益を主張する、2022年10月11日に出願された米国特許出願第17/963,527号の優先権を主張する。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般には、屈折率測定に関し、特に、アフェレーシス中において全血の血漿タンパク質含有量を決定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
アフェレーシスは、ドナーが特殊な装置に接続された状態で該ドナーから全血を抽出する方法である。抽出された全血は、種々のチューブ路を介して、全血を1以上の成分又は構成要素に分離するための装置の分離器に送られる。これらの成分は、血漿、赤血球、白血球、及び血小板を含み得る。アフェレーシス中、血漿(及び/又はその他の所望の血液成分)は、全血における他の血液成分から分離され、次いで、バッグ又はボトルに収集される(例えば、治療用に後で使用するために、或いは、処置、輸血等のために)。次いで、他の血液成分は、アフェレーシスプロセス中にドナーに戻される。ドナーは、1又は複数の血液成分の分離及び収集の間、アフェレーシス装置に接続される。
【0004】
米国食品医薬品局(FDA)によれば、血漿ドナーは、血漿を供与するのに適格であるためには、6.0g/dL以上且つ9.0g/dL以下の血漿タンパク質濃度(レベル)を有することが必要とされる。例えば、21C.F.R.§630.15(b)(4)を参照のこと。これまで、血漿ドナー候補の血漿タンパク質レベルを測定する際は、血漿ドナー候補に対して痛みを伴う指穿刺を行うことによって血液サンプルを収集し、指穿刺から得られた血液を毛細管に注入し、毛細管及び血液を遠心分離し、毛細管からの血漿の液滴をハンドヘルド屈折計に配置する。この屈折計によって、サンプルを評価し、該サンプルの血漿タンパク質レベルを決定することができる。該サンプルの血漿タンパク質レベルが許容範囲(例えば、6.0g/dL~9.0g/dL)内である場合、該血漿ドナー候補は、血漿を供与することが許可される。しかしながら、該サンプルの血漿タンパク質レベルが許容範囲外にある(例えば、6.0g/dLより低い、又は9.0g/dLより高い)場合、該血漿ドナー候補は、血漿を供与することが許可されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血漿ドナー候補のうち、約1.5%未満の候補者が、不十分な血漿タンパク質レベル測定値によって、血漿を提供するのに不適格であると推定される。しかしながら、血漿提供に適格であるかを判定するために、全てのドナーに対して、血漿タンパク質レベルの検査をすることが要請されている。この結果、最終的には血漿ドナーとなる全ての人に対して、血漿を提供する前に、痛みを伴う指の穿刺を受けさせることになっている。とりわけ、指の穿刺は、(通常は1本以上の指の敏感な指球上にある)指穿刺の部位に、数時間、数日、又はそれ以上の間、残留痛を引き起こす。本開示は、有利には、指穿刺の必要性を排除する。さらに、この手動操作を行う従来のプロセス(例えば、サンプルを得ること、サンプルを遠心分離すること、サンプルをハンドヘルド屈折計に配置すること等)は、時間がかかり、複雑で、誤操作を起こしやすい。また、個人用保護具(PPE)の使用を必要とし、オペレータに潜在的なリスクをもたらす望ましくない開放血液事象(open blood event)である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提示される実施形態は、上記の問題及び他の問題に対処する。本開示は、ドナー又は患者がアフェレーシス装置又は他の体外血液処理装置に(例えば、針又はカニューレ及びチューブセット等を介して)接続されている状態で血漿タンパク質レベルを測定するための方法及びシステムを提供する。一例では、該システムは、アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計を含む。この屈折計は、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットの一部を受容することができる。使い捨てチューブセットの一体化されたキュベットは、光源(例えば、発光ダイオード(LED)、レーザ等)及びセンサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、撮像センサ等)がプリズム及び一体化されたキュベットの感知面に対して正確に位置合わせされて配向されるように、アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計の受容空間に挿入される。例えば、一体化されたキュベット及びプリズムは、屈折計の受容空間内に配置された嵌合(mating)運動学的特徴部と結びつき合う1又は複数の運動学的特徴部(例えば、溝、円錐形凹部、面取りスロット、ドーム状表面、ピン等)を含んでよい。とりわけ、この運動学的接続(例えば、ピン-イン-スロット(pin-in-slot)接続、ボール-イン-コーン(ball-in-cone)接続、ボール-ピン(ball-and-pin)接続、ボール-面取りスロット(ball-and-chamfered slot)接続等、及び/又はそれらの組み合わせ)は、一体化されたキュベットと屈折計の受容空間との間の確実且つ正確な相互接続を提供することができる。いくつかの例では、一体化されたキュベット及び/又は屈折計の受容空間は、屈折計の受容空間にキュベットを誤って装填することを防止することができる誤操作防止特徴部を含んでよい。
【0007】
本開示の方法及びシステムは、血漿ドナーの血液の血漿タンパク質レベルの測定が、アフェレーシス装置又は他の体外血液処理装置においてインラインで行われることを可能にする。例えば、使い捨てチューブセットは、血漿タンパク質レベルを測定するためにアフェレーシス装置に関連付けられた屈折計によって使用される一体化されたキュベット及びプリズムを含む。この方法は、使い捨てチューブセットがアフェレーシス装置と相互接続されたときに開始することができる。この時点で、一体化されたキュベット及びプリズムは、屈折計の受容空間に係合されている。係合されると、光源光をプリズム内に、そして感知面上に運ぶ光路が確立される。次いで、感知面は、光の一部(この部分は屈折光と呼ばれる)がキュベット内の全血へ通過していくことを許容する。感知面は、光の残りの部分を反射してプリズム内に戻し、該光の残りの部分を外部検知システム上に反射する。いくつかの例では、プリズムは、光源(例えば、LED)に隣接して配置される第1の部分と、光源から離間されたセンサ(例えば、CCD)に隣接して配置される第2の部分とを有してもよい。次に、屈折計は、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットに対して較正される。較正中、抗凝固剤(又は、例えば、生理食塩水等の他の好適な溶液)が、流体経路に沿って、使い捨てチューブセットのチューブを通して、感知面に隣接する一体化されたキュベットの感知空間に流動させられる。抗凝固剤が感知空間内に配置されている状態で、光源(例えば、LED)によって発射された光は、プリズムを通過し、感知空間内に抗凝固剤を含有する一体化されたキュベットの感知面上に進む。光が感知空間内の抗凝固剤と相互作用すると、光の一部は、プリズムを通してセンサ(例えば、CCD)上に反射される。この反射光は、後に行われる屈折計による他の血液成分の測定のためのベースライン、すなわち基準ピクセル強度パターンを確立するのに役立つセンサ基準信号を生成する。一例では、抗凝固剤は、クエン酸ナトリウム(2-ヒドロキシプロパン-1、2、3-トリカルボン酸三ナトリウム)及び水に対応する。次に、血漿ドナーが、例えば、針、カテーテル又はカニューレを介して、使い捨てチューブセットに接続される場合、全血は、流体経路に沿って、一体化されたキュベットの感知空間を流れる。屈折計の光源によって放射された光は、プリズムを通過し、全血を収容する一体化されたキュベットの感知面上に到達する。光源光が感知面で反射されると、CCDは(抗凝固剤の場合と比較して)変化したピクセル強度パターンを検知する。変化したパターンは、(後述するように)抗凝固剤ピクセルパターンと比較され、全血のタンパク質濃度が決定される。
【0008】
プリズムを含むものとして本明細書に記載されているが、一体化されたキュベットは、限定されないが、レンズ、レンズスタック、及び/又は少なくとも一部を通して光を透過させることができる他の光学素子を含んでもよい。いくつかの例では、プリズムは、レンズに対応してもよく、及び/又はプリズム光学素子及び少なくとも1つのレンズを含んでもよい。理解されるように、プリズムは、光の屈折/反射を引き起こす任意の光学形状によって置き換えられてもよい。
【0009】
いくつかの例では、光源(例えば、LED)によって放射される光は、全血中の1又は複数の成分によって引き起こされる干渉又はノイズを打ち消す波長に設定される。例えば、光源は、全血中の赤血球に遭遇する屈折光が(例えば、赤血球によって反射されるのではなく)赤血球によって吸収されることを可能にするように、約420nm±50nmの光を放出するように構成されてもよい。とりわけ、この選択された光の波長は、赤血球がバックグラウンドにある場合であっても、屈折計が血漿中のタンパク質を測定することを可能にし得る。420nmで光を放射する屈折計は、光を反射して信号ノイズを引き起こす可能性のある赤血球の寄与を除去することによって、(RBCによって反射され、CCDセンサに戻る可能性もある)第1の屈折光部分がない状態で、プリズム感知面からの反射光を検出して、全血中のタンパク質レベルを決定することができる。
【0010】
いずれにしても、タンパク質レベル測定値が許容可能なレベル(例えば、6.0g/dL~9.0g/dL)内に入るとき、本方法は、アフェレーシスを継続することによって進行し得る。また一方、タンパク質レベル測定値が許容レベルの外側にある(例えば、6.0g/dLより低い又は9.0g/dLより高い)場合、アラームが出力され(例えば、可聴、視覚等、及び/又はそれらの組み合わせ)、アフェレーシス処置が中止されるか、又は開始が中止される。この場合、血漿ドナー候補は血漿提供に不適格となり、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットは、不適格とされたドナーから血漿を収集する前に、処分されるか或いは他の方法で廃棄される。
【0011】
本明細書に記載される方法及びシステムは、アフェレーシス処置を行う前及び/又はアフェレーシス処置中に、屈折率測定を介してタンパク質レベル又は他の血液特性を決定し得る。一例では、屈折計は、血漿ドナーについての経時的な(例えば、アフェレーシス処置中の)タンパク質濃度の変化を決定することができる。この変化は、例えば、タンパク質濃度が許容可能閾値を下回ったとき、アフェレーシスを中止又は一時停止するアラームを引き起こし得る。この許容可能閾値は、全血中のタンパク質の許容可能下限(例えば、6.0g/dL)に対応してもよい。
【0012】
本開示の一態様は、一体化されたキュベット及びプリズムが、使い捨てチューブセットの一部であってもよく、実際には使い捨てであってもよい。屈折率測定は、純粋な光路、すなわち光学的感知面とそれを通して放出される光との間の密接な接触に依存するため、キュベットがプリズム又は感知面から離間していると、間隙がキュベットと光源及び/又はセンサとの間に生じる。プリズムと感知面との間の空気の小さな間隙(例えば、1ミクロン未満等)でさえ、血漿タンパク質の屈折率測定の信頼性を低下させる屈折干渉を引き起こす可能性がある。使い捨てチューブセットのキュベット内にプリズムを含むことの少なくとも1つの利点は、このような間隙を除去し、使い捨てチューブセット間で測定の一貫性を維持することが可能になるという点にある。
【0013】
本明細書に記載される屈折計及び使い捨ての一体化されたキュベットによって行われるインライン測定は、血液サンプルに対して従来行われている時間のかかる複雑なオフライン複数ステップ測定の必要性をなくす。理解され得るように、本明細書に開示される方法及びシステムの少なくとも1つの利点は、例えば、血漿ドナーがアフェレーシス装置に接続された場合(オフラインすることなく、又はアフェレーシス装置から離れることなく、或いはプロセスやステップから別途に行うことなく)タンパク質測定を行うことを可能にすることによって、血漿ドナーのより迅速な処理を行えることにある。タンパク質測定が屈折計によって行われ、許容可能範囲内にあると判定されるとすぐに、アフェレーシスプロセスは、同じ使い捨てチューブセットを使用して同じアフェレーシス装置上で開始される。この場合、血漿ドナーから抽出された全血は、少なくとも200mL/分までの流量で全血の流れを受け入れるように構成された一体化されたキュベットを通過し続けてもよい。流量は、200mL/分未満であってもよく、1.0mL/分~200mL/分の間(両端を含む)の流量値のいずれかを含んでもよい。
【0014】
さらに、本明細書に記載される方法及びシステムは、献血前に、全ての血漿ドナーに痛みを伴う指穿刺を受けさせる必要がないようにする。いずれにしても、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットは、使用後に廃棄される。この使用は、血漿タンパク質濃度が測定され、血漿ドナー許容可能範囲外(例えば、6.0g/dL未満又は9.0g/dL超)にあると判定された後に、使い捨てチューブセットを廃棄することに対応してもよい。追加的に又は代替的に、この使用は、血漿タンパク質濃度が測定され、血漿ドナーの許容可能範囲内(例えば、6.0g/dL以上及び9.0g/dL以下)であると決定され、アフェレーシスプロセスが使い捨てチューブセットを使用して完了された後に、その使い捨てチューブセットを廃棄することに対応してもよい。とりわけ、血漿ドナーについて血漿タンパク質レベルを測定し、設定を変更することなく、アフェレーシスを継続するか(血漿レベルが許容可能範囲内であると決定される場合)、又はその先の処理を終了するか(血漿レベルが許容可能範囲の外側であると決定される場合)のいずれかを行う能力は、単純且つ効率的な供血プロセスを提供する。
【0015】
本明細書に開示される方法及びシステムは、血漿供与又は血液成分分離に限定されず、治療的アフェレーシス、血液処理手順、及び/又は同様のものにおいて使用され得ることを理解されたい。さらに、本明細書に開示される方法及びシステムは、限定はされないが、例えば、血液透析、血液透析濾過(HDF)、体外式膜型人工肺(ECMO)、及び/又は同等物を含む、任意の体外血液処置によって使用されてもよい。従って、該方法及びシステムは、限定はされないが、例えば、アフェレーシス装置又はシステムを含む、任意の体外血液処理装置によって使用されてもよい。
【0016】
以上は、本開示のいくつかの態様の理解を与えるための開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示及びその種々の態様、実施形態、及び構成の外延的な概要でもなく包括的な概要でもない。それは、本開示の重要な又は重大な要素を特定しようとするものではなく、本開示の範囲を線引きしようとするものでもなく、以下に与えられるより詳細な説明への序文として本開示の選択された概念を簡略的形態で与えようとするものである。理解できるように、前述の又は以下で詳しく説明する特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて利用する本開示の他の態様、実施形態、及び構成が想定し得る。
【0017】
多数の追加の特徴及び利点が本明細書に記載されており、以下の詳細な説明を考慮し、また図面を考慮することで当業者にとっては明らかになるであろう。
【0018】
添付の図面は、本開示のいくつかの例を示すために、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。これらの図面は、詳細な説明と共に、本開示の原理を説明する。図面は、本開示がどのように作製及び使用され得るかということについての好ましい例及び他に取り得る例を単に示すものであり、本開示を図示及び説明された例のみに限定するものとして解釈されるべきではない。さらなる特徴及び利点は、以下で参照される図面によって示されるように、本開示の種々の態様、実施形態、及び構成の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示の実施形態に係る、アフェレーシスシステム及び一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットの動作環境の斜視図である。
図2A図2Aは、本開示の実施形態に係る、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセットの概略図である。
図2B図2Bは、本開示の実施例に係る、アフェレーシス装置と係合された図2Aの使い捨てチューブセットの機能概略図である。
図3A図3Aは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセットの一体化されたキュベット及びプリズム並びに別体の屈折計の詳細斜視図である。
図3B図3Bは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセットの一体化されたキュベット及びプリズムと共に動作する、屈折計の概略光学図である。
図4図4は、本開示の実施例に係る、一体化されたキュベット基板に形成されたプリズムの斜視図である。
図5図5は、本開示の実施例に係る、血漿サンプルを通って屈折する光、またプリズム感知面からプリズムの検出器側に反射する光の概略光学図である。
図6A図6Aは、本開示の実施例に係る、空気を含む一体化されたキュベットの感知面から該一体化されたキュベットのプリズムの検出器側に反射する光の概略光学図である。
図6B図6Bは、本開示の実施例に係る、第1の血漿タンパク質を有する全血を含む一体化されたキュベットの感知面から該一体化されたキュベットのプリズムの検出器側に反射する光の概略光学図である。
図6C図6Cは、本開示の実施例に係る、第2の血漿タンパク質を有する全血を含む一体化されたキュベットの感知面から該一体化されたキュベットのプリズムの検出器側に反射する光の概略光学図である。
図7図7は、本開示の実施例に係る、種々の流体の反射率を検出する屈折計のセンサによって測定された、光強度対ピクセル位置のグラフである。
図8図8は、本開示の実施例に係る、種々の波長での赤血球による光の吸収のグラフである。
図9図9は、本開示の実施形態に係る、アフェレーシス装置に接続された血漿ドナーから得られた全血のタンパク質レベルのインライン検査を自動的に行うための方法のフロー図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る、アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計を較正する方法のフロー図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係る、血漿ドナーがアフェレーシス装置に接続されている状態で血漿ドナーのタンパク質レベルを決定するための方法のフロー図である。
図12A図12Aは、本開示の実施例に係る、抗凝固剤較正ピクセルパターンを出現させる種々の濃度の較正用液体を用いたセンサ読み取り値のグラフである。
図12B図12Bは、本開示の実施形態に係る、ピクセルシフトを計算するための方法のフロー図である。
図12C図12Cは、本開示の実施形態に係る、比例定数Kを計算するための方法のフロー図である。
図12D図12Dは、比例定数Kを決定するために使用される例示的な第1のピクセルパターンのグラフである。
図12E図12Eは、比例定数Kを決定するために使用される例示的な第2のピクセルパターンのグラフである。
図12F図12Fは、比例定数Kを決定するために使用される例示的な第3のピクセルパターンのグラフである。
図12G図12Gは、比例定数Kを決定するために使用される例示的な第4のピクセルパターンのグラフである。
図13A図13Aは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセットの一体化されたキュベット及びプリズムの分解斜視図である。
図13B図13Bは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセットの一体化されたキュベット及びプリズムの斜視図である。
図14A図14Aは、本開示に係る、さらなる例示的な屈折計の斜視図である。
図14B図14Bは、図14Aの屈折計の14B-14B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか、又は図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」を使用すること、及びそれらを変形して使用することは、その後に列挙される項目及びそれらの等価物、並びに追加の項目を包含することを意味する。さらに、本開示は、1又は複数の態様を示すために例を使用し得る。特に明記されていない限り、(「例えば(for example)」、「例として」、「例えば(e.g.)」、「等」、又は同様の言い回しによって示され得る)1又は複数の例の使用又は列挙は、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、また、本開示の範囲を限定しない。
【0021】
以下の説明は、実施形態のみを提供するものであり、特許請求の範囲、適用可能性、又は構成を限定することを意図しない。むしろ、以下の説明は、説明される実施形態を実施するための有効な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に種々の変更を行うことができることを理解されたい。
【0022】
本開示の種々の態様は、理想化された構成の概略図である図面を参照して本明細書で説明される。
【0023】
ここで図1を参照すると、本開示の実施形態に係る、アフェレーシスシステム100(例えば、体外血液処理装置)と、一体化されたキュベット及びプリズムを含む使い捨てチューブセット120との動作環境の斜視図が示されている。動作環境は、アフェレーシスシステム100と、ドナー102と、ドナー102からアフェレーシスシステム100へ、及び/又はその逆に延在する1又は複数の接続部材(例えば、ドナー供給チューブ104、入口チューブ108、抗凝固剤チューブ110等)と、を含み得る。用語「ドナー」、「血漿ドナー」、及びそれら用語を変形した用語は、本明細書において交換可能に使用される。図1に示すように、ドナー供給チューブ104は、ドナー102の少なくとも1つの血管、例えば静脈と、静脈穿刺を介して、流体接続されてもよい。例えば、ドナー供給チューブ104の端部に接続されたカテーテル、カニューレ、又は針を、ドナー102の皮膚を通して標的部位すなわち静脈に挿入することができる。この接続は、血液(例えば、全血)がドナー102からアフェレーシスシステム100に流れるための、及び/又は血液成分がドナー102に戻るように流れるための、静脈経路を提供し得る。いくつかの実施形態では、流路及び接続部材が、アフェレーシスシステム100の使い捨てチューブセットの体外チューブ回路を形成し得る。
【0024】
ドナー102から供給される血液は、ドナー供給チューブ104に沿ってチューブコネクタ106を通り、入口チューブ108に沿って使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット内に流れ込むことができる。一体化されたキュベットは、アフェレーシスシステム100に関連付けられた屈折計の受容空間130と係合させることができる。いくつかの例では、受容空間130は、屈折計を収容する領域を覆う蓋又はドアを有してもよい。使い捨てチューブセットは、ドナー102への、及び/又はドナー102からの血液の流れを選択的に制御するための1又は複数の流体制御経路及びバルブを含むことができる。アフェレーシスシステム100は、抗凝固剤バッグ114に収容された抗凝固剤の供給を行うことができる。抗凝固剤は、少なくとも抗凝固剤チューブ110及びチューブコネクタ106を通してポンプで送られ、使い捨てチューブセット120及びアフェレーシスシステム100内の血液の凝固を防止することができる。バッグに収容されるものとして説明されているが、抗凝固剤は、ボトル、リザーバ、入れ物(well)、又はその他の容器に収納されてもよいことを理解されたい。
【0025】
抗凝固剤は、クエン酸塩及び/又は未分画ヘパリンのうちの1又は複数を含み得るが、化学成分がアフェレーシス手順ごとに変化しない限り、これらに限定されない。化学成分が変化しない場合、較正用抗凝固液は常に同じレベルの血漿タンパク質濃度をシミュレートする。例えば、本開示で引用される抗凝固剤は、化学成分が変化しない限り、常に2.4gm/dLの血漿タンパク質含有量をシミュレートする。本明細書に記載される抗凝固剤バッグ及び他のバッグ又はボトルは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC、ポリエチレン、酢酸ビニルを含むエチレン(EVA)、ゴム、シリコーン、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー、ポリマー、共重合体、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から作製され得るが、これらに限定されない。抗凝固剤バッグ114内の抗凝固剤の体積は、ドナー102の質量、ドナー102からの血液の体積流量等を含む種々の要因に基づいて変化し得る。一例では、抗凝固剤バッグ114内の容積は250~500mLであってもよいが、抗凝固剤バッグ114内の容積はこの容積よりも大きくても小さくてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、アフェレーシスシステム100は、血漿収集ボトル122又は容器と、生理食塩水バッグ118に収容された生理食塩水と、生理食塩水バッグ118及び血漿収集ボトル122をアフェレーシスシステム100の使い捨てチューブセット120と接続する1又は複数のライン又はチューブ116、120(例えば、流体搬送チューブ等)と、を含むことができる。生理食塩水バッグ118内に提供される生理食塩水の量は、500~800mLであってよいが、生理食塩水バッグ118内の容積は、この量よりも多くても少なくてもよい。血液成分、例えば血漿の供与量の例としては、880mLであり得る。従って、血漿収集ボトル122は、少なくともこの量の血漿を入れることができる。いくつかの実施形態では、血漿収集ボトル122は、(例えば、血漿収集ボトル122が血漿収集クレードルに設置されるとき)血漿収集ボトル122の略最底部分に、或いは最低部分に隣接して、或いは最低部分に物理的に近接して、配置される接続点を含んでもよい。接続点は、血漿を受け入れる及び/又は搬送するために血漿チューブと相互接続するように構成された1又は複数のコネクタを含むことができる。血漿収集ボトル122の底部に接続点を配置することにより、気泡等を捕捉することなく、本明細書に記載されるように、血漿収集ボトル122に収容された血漿を血漿チューブからラインを通して戻すことができる。いくつかの実施形態では、血漿収集ボトル122は、可撓性バッグ、剛性容器、及び/又は他の容器として構成されてもよく、従って、血漿収集ボトル122は、ボトル又はボトル状容器に限定されない。
【0027】
アフェレーシスシステム100のような本開示の実施形態と共に使用されてもよいアフェレーシスシステム、プラズマフェレーシスシステム、及び、他の分離システムの例としては、RIKA血漿採取システム、SPECTRA OPTIA(登録商標)アフェレーシスシステム、COBE(登録商標)スペクトルアフェレーシスシステム、及び、TRIMA ACCEL(登録商標)自動血液収集システムが挙げられるが(これらのシステムはコロラド州のレークウッドにあるTerumo BCTによって製造される)、これらに限定されない。
【0028】
図2Aは、本開示の実施形態に係る、一体化されたキュベット及びプリズム124を含む使い捨てチューブセット120の概略図を示す。使い捨てチューブセット120は、チューブ(例えば、ドナー供給チューブ104、入口チューブ108、抗凝固剤チューブ110、ループ出口チューブ112、生理食塩水チューブ116、血漿チューブ120等のうちの1つ以上)、コネクタ(例えば、チューブコネクタ106、生理食塩水/血漿チューブy-コネクタ280、チューブ取付具204、チューブ取付具208、バッグスパイク取付具212等のうちの1つ以上)、ソフトカセット240、及び血液成分収集ループ220を含む。
【0029】
チューブは、流体を搬送するように構成される中心管腔を有する任意のチューブである。チューブは、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC、ポリエチレン、酢酸ビニルを伴うエチレン(EVA)、ゴム、ポリマー、共重合体、及び/又は、それらの組み合わせから形成することができる。コネクタは、チューブと(例えば、チューブの1つ以上の端部等で)流体的に相互接続するように構成される。コネクタは、チューブの中心管腔に挿入されてもよいし及び/又はチューブの外面に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、コネクタは、種々の取付具(例えば、ルアー取付具、ねじり接続、及び/又は、他の小孔カップリング等)を伴って構成されてもよい。これにより、コネクタは、1又は複数の他の取付具、コネクタ、チューブ、針、カテーテル、カニューレ及び/又は、医用付属品に対するユニバーサルな及び/又は信頼できる相互接続をもたらす。1つの実施形態において、バッグスパイク取付具212は、受け入れバッグ(例えば、生理食塩水バッグ118等)に挿入するように構成されてもよい。
【0030】
血液成分収集ループ220は、システム固定ループコネクタ228とフィラーループコネクタ232との間に配置される可撓性ループ224を備える。可撓性ループ224は、入口チューブ108及びループ出口チューブ112の少なくとも一部を受容し及び/又は収容するように構成される中空の可撓性チューブとして構成されてもよい。いくつかの実施形態において、可撓性ループ224は、可撓性ループ224の一端から他端へねじれを伝えることができる高い可撓性を有する熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。これらのタイプのエラストマーは、プラスチックの強度及びトルク特性を維持しつつゴムの可撓性をもたらすことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、コポリエステル、デュポン(商標)Hytrel(登録商標)熱可塑性エラストマー、Eastman Neostar(商標)エラストマー、Celanese Riteflex(登録商標)エラストマー、TOYOBO PELPRENE(登録商標)、及び/又は、高い可撓性及び強度特性を与える他の製造元のエラストマーを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態において、血液成分収集ループ220は、ブラダループ端部240Aとブラダ自由端部240Bとを有する血液成分収集ブラダ236を含む。血液成分収集ブラダ236は、フィラーループコネクタ232で可撓性ループ224に接続される第1の収集フローチャンバ244を含む。特に、流体は、可撓性ループ224及びコネクタ228、232を介して入口チューブ108と第1の収集フローチャンバ244との間で流れることができ及び/又は逆もまた同様に流れることができる。ブラダループ端部240Aから第1の収集フローチャンバ244に沿ってブラダ自由端部240Bへ向かう方向に流れる流体は、フローチャンバ移行部248に達して、第2の収集フローチャンバ252に入ることができる。1つの実施形態において、第2の収集フローチャンバ252は、フィラーループコネクタ232で可撓性ループ224に相互接続される。特に、流体は、可撓性ループ224及びコネクタ228、232を介してループ出口チューブ112と第2の収集フローチャンバ252との間で流れることができ及び/又は逆もまた同様に流れることができる。
【0032】
図2Bは、本開示の実施例に係る、アフェレーシスシステム100と係合された使い捨てチューブセット120の機能概略図である。ここでの説明は、アフェレーシス処置又はプロセス中にドナー102の全血から血漿又は他の血液成分を抽出するためのアフェレーシスシステム100と使い捨てチューブセット120との相互作用を説明するために、図1図2Aにおいて、機能図で既に説明した構成要素を示す。
【0033】
アフェレーシスシステム100は、抗凝固剤(AC)ポンプ216を含むことができる。ACポンプ216は、ACバッグ114から流体をACチューブ110内に送出する。ACポンプ216、ACチューブ110、及び/又は、ACバッグ114は上述したものでよい。また、ACチューブ110は、ACチューブ110内の空気又は流体を検出するためにAC空気検出センサ(ADS)を含んでもよい。AC ADSは、ACチューブ110内の流体又は空気の存在を検出し、その信号をアフェレーシスシステム100のコントローラ268に提供することができる任意の光、超音波、又は他のタイプのセンサであってもよい。AC ADSのタイプとしては、例えば、SONOTEC US Inc.により製造されるSONOCHECK ABD05、又は、他の同様のセンサを挙げることができる。ACチューブ110は、チューブコネクタ106でドナー供給チューブ104及び入口チューブ108と交わって流体的に関連付けられる。チューブコネクタ106は、既に説明したように、チューブ110、104及び/又はチューブ108間の任意のタイプの接続部であってもよい。
【0034】
ドナー供給チューブ104はドナー102から延在しており、この場合、ドナー102にはルーメン針、カニューレ、カテーテル又は他の装置が穿刺されてもよく、それにより、全血がドナー102からアフェレーシスシステム100内へと流れることができると共に、血液成分がドナー102へと流れ戻ることができる。チューブ108は、一体化されたキュベット及びプリズム124に延在する。一体化されたキュベット及びプリズム124は、使い捨てチューブセット120のうち、使い捨てチューブセット120のチューブ108に取り付けられた使い捨てプラスチック部分に対応することができる。使い捨てチューブセット120がアフェレーシスシステム100に装填されると、一体化されたキュベット及びプリズム124は、アフェレーシスシステム100の受容空間130と係合される。受容空間130は、受容空間130内に一体化されたキュベット及びプリズム124が正確に配置及び位置付けされることを可能にする運動学的取付け特徴部を備えてもよい。前記一体化されたキュベット及びプリズム124は、光学的に透明な表面及び前記光学的に透明な表面から形成されたプリズムを含む。いくつかの例では、プリズム及び光学的に透明な表面は、プラスチックの一体片から形成される。一体化されたキュベット及びプリズム124の光学的に透明な表面によって、一体化されたキュベット及びプリズム124の内側に含まれる流体に向かって光を発することが可能となり、さらに、反射光が屈折計260によって検出されることが可能となる。屈折計260は、一体化されたキュベット及びプリズム124内の流体に向かって(例えば、プリズムを通って、プリズムの第1の側すなわち照射側に)光を放射するように構成された光源262(例えば、LED等)を備えてもよい。放射光が一体化されたキュベット及びプリズム124内の流体と相互作用すると、反射光が、プリズムを通って、プリズムの第2の側すなわち検出器側に向かい、屈折計260のセンサ266(例えば、CCD等)に進む。反射光は、一体化されたキュベット及びプリズム124内の流体に応じて、異なる角度でセンサに向かって進む。屈折計260は、アフェレーシスシステム100のコントローラ268(例えば、プロセッサ等)へ向かう及び該コントローラから延びる通信/電力ケーブル264を含む。コントローラ268は、本明細書に記載されるように、屈折計260の動作を制御することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、コントローラ268、すなわちプロセッサは、1又は複数のコンピュータ処理デバイスに対応する。例えば、プロセッサは、シリコン、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、任意の他のタイプの集積回路(IC)チップ、ICチップの集合、及び/又は同様のもの、として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、メモリに記憶された命令セットを実行するように構成された中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、又は複数のマイクロプロセッサとして与えられてもよい。メモリに記憶された命令セットを実行すると、プロセッサは、種々の通信、光源の起動、センサからの光反射検出情報の受信、屈折計260の較正、血漿タンパク質レベルの決定、及び/又はアフェレーシスシステム100の相互作用機能を可能にし、特定の所定の条件が満たされたときに通信ネットワークを介して通信デバイス間の通信セッションを確立し、維持する能力を提供することができる。プロセッサは、1以上の物理プロセッサ上で実行される仮想プロセッサとして具現化されてもよい。仮想プロセッサの実行は、複数の物理プロセッサにわたって分散されてもよく、又は1つの物理プロセッサが1又は複数の仮想プロセッサを実行してもよい。仮想プロセッサは、物理プロセッサがプロセスを実行すると該プロセスに出現し、一方、特定の基礎となる物理プロセッサは、仮想プロセッサの実行前又は実行中に動的に割り当てられてもよく、プロセスの実行のために仮想プロセッサによって維持される命令スタック及びポインタ、レジスタ内容、及び/又は他の値は、他の物理プロセッサに転送される。利点として、物理プロセッサは、プロセスの仮想プロセッサ実行に影響を及ぼすことなく、追加、除去、又は再割り当てされることができる。例えば、プロセッサは、複数の物理プロセッサ(例えば、「クラウド」、「ファーム」、アレイ等)上で実行する複数の仮想プロセッサのうちの1つであってもよく、本明細書では専用プロセッサとしてプロセスに提示されてもよい。追加的に又は代替的に、物理プロセッサは、仮想プロセッサを実行して、仮想プロセッサの命令セットと比較して代替的な命令セットを提供してもよい(例えば、「エミュレータ」)。利点として、第1の命令セット(例えば、仮想アドレス拡張(VAX))を有するプロセッサを実行するようにコンパイルされたプロセスは、第1の命令セット(例えば、VAXエミュレータ)を有する仮想プロセッサを実行することによって、第2の命令セット(例えば、Intel(登録商標)9xxチップセットコード)を実行するプロセッサによって実行され得る。
【0036】
上述のように、コントローラ、すなわちプロセッサは、メモリに記憶された命令セットを実行し得る。メモリ、すなわち記憶メモリは、任意のタイプの非一過性コンピュータ可読媒体に対応し得る。いくつかの実施形態では、メモリは、揮発性又は不揮発性メモリと、そのためのコントローラとを備えてもよい。アフェレーシスシステム100及び/又は屈折計260において利用され得る記憶メモリの非限定的な例としては、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読取り専用メモリ(「ROM」)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、又はそれらの変形が挙げられる。これらのメモリタイプのいずれも、それによって記憶されるデータが1回以上変更され得る場合であっても、非一過性コンピュータメモリデバイスと見なされ得る。メモリは、通信、識別、条件付き要件、時間、コンプライアンス、較正設定、タンパク質レベル、履歴データ等についての情報を記憶するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、メモリは、プロセッサが種々のタイプのルーチン又は機能を実行するためのデータを一時的に記憶することに加えて、ルール及び/又は命令セットを記憶するように構成されてもよい。図示されていないが、メモリは、プロセッサがメモリ記憶装置にデータを記憶し、メモリ記憶装置から情報を取り出すことを可能にする命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ記憶デバイス又はその中に記憶されたデータは、アフェレーシスシステム100及び/又は屈折計260の内部に、又は別体のサーバに記憶されてもよい。
【0037】
ドナー空気検出センサは、チューブ108内の流体及び/又は空気の存在を検出するために、チューブ108上又はその中に配置されることができる。
【0038】
ソフトカセットは、「Y」コネクタ又は「Y」セクション又は分岐部として機能する、及び/又は、「Y」コネクタ又は「Y」セクション又は分岐部を含む、及び/又は、「Y」コネクタ又は「Y」セクション又は分岐部に近接する、第1のカセットポートを含むことができ、この第1のカセットポートは、チューブ108を第1のバイパス分岐部と第1のチューブセクションとに分離する。2つのチューブセクションは、第2のカセットポートで再接続される。この第2のカセットポートもまた、第2の「Y」コネクタ又は「Y」セクションとして機能する、及び/又は第2の「Y」コネクタ又は「Y」セクションを含む、及び/又は、第2の「Y」コネクタ又は「Y」セクションに近接する。チューブは流体センサによって2つに分けられ、流体センサは、チューブを第1のバイパス分岐部と第2のバイパス分岐部とに分離する。同様に、チューブはドリップチャンバによって2つに分けられ、ドリップチャンバは、チューブを第1のチューブセクションと第2のチューブセクションとに分離する。
【0039】
第1のチューブセクションは、第1の流体制御バルブを含む。第2のチューブセクションは、同様に、第2の流体制御バルブを含む。第1のバイパス分岐部も同様に引き込み流体制御バルブを含む。従って、アフェレーシスシステム100の構成に基づき及びアフェレーシスシステム100の動作に応じて、チューブの種々のセクションをバルブによって分離できる。
【0040】
ドリップチャンバは、第1のチューブセクションと第2のチューブセクションとの間に配置される。ドリップチャンバは、アフェレーシスシステム100の動作に応じて所定量の全血及び/又は高ヘマトクリット血液(赤血球の割合が高い血液)を収集できる。流体センサは、第1のバイパス分岐部と第2のバイパス分岐部との間に配置される。
【0041】
ループ入口チューブは、図2Aに関連して説明したように、第2のカセットポートに接続できると共に、ソフトカセットを可撓性ループ224に接続できる。ループ入口チューブは、可撓性ループ224のシステム固定ループコネクタ228との接続部の前のチューブ上又はチューブ内に配置される、或いは、チューブと共に配置される、センサを含んでもよい。圧力センサ(CPS)は、チューブ内の流体又は空気の圧力、有無、及び/又は、場合により流体の他の特性、のうちの1つ以上を検出してもよいが、これらに限定されない。さらに、引き込みポンプによってチューブを通じて流体をソフトカセットから離れるように或いはソフトカセットへポンピングすることができる。
【0042】
システム固定ループコネクタ228を介して2つ以上の異なるチューブを可撓性ループ224に接続することができ、また、2つ以上の異なるチューブは、流体を血液成分収集ブラダ236に供給する又は流体を血液成分収集ブラダ236から受けることができる。ループ出口チューブ112は可撓性ループ224からシステム固定ループコネクタ228を抜け出る。このループ出口チューブ112は、可撓性ループ224からくる流体における、流体、空気、細胞内濃度、色、及び/又は、色変化を検出するためにループ出口チューブ上又はループ出口チューブ内に配置される他のラインセンサを含むこともできる。該ラインセンサは、タイプ及び/又は機能が先に説明したセンサと同じ又は同様であってもよい。第2のCPSセンサ又は流体センサは、ライン112内又はライン112上に配置されてもよい。センサは、チューブ112内の流体の有無、圧力、及び/又は、チューブ112内の流体の他の特性のうちの1つ以上を検出してもよいが、これらに限定されない。同様に、センサは、タイプ及び/又は機能が先に説明したセンサと同じ又は同様であってもよい。
【0043】
ループ出口チューブ112は、その後、生理食塩水・血漿チューブy-コネクタ280において生理食塩水チューブ116と血漿チューブ120とに分離する前に血漿空気検出センサを通る。戻しポンプ212がループ出口チューブ112と相互作用してもよく、この戻しポンプにより、流体又は空気が、チューブ112を通じて可撓性ループ224から又は生理食塩水バッグ118及び/又は血漿収集ボトル122から流れることができる。
【0044】
生理食塩水バッグ118及びそれに関連するチューブは、既に説明したようになっていてもよく、システム200を通じて生理食塩水を元のドナー102に供給することができる。生理食塩水流量制御バルブ288は、生理食塩水バッグ118をシステム200の残りの部分から分離することができる。さらに、血漿収集ボトル122は、処理されたか又は全血から分離されたときに、血漿を、可撓性ループ224から受けることができる。血漿収集ボトル122は、血漿流量制御バルブによってシステムから選択的に分離され得る。
【0045】
図3Aは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム124並びに別体の屈折計260の詳細斜視図である。図3Aに示されるように、一体化されたキュベット及びプリズム124は、チューブ108に取り付けられ、使い捨てチューブセット120の一部を形成する。例えば、アフェレーシス処置が完了した後、一体化されたキュベット及びプリズム124を含む使い捨てチューブセット120全体が廃棄される。別の言い方をすれば、一体化されたキュベット及びプリズム124を含む使い捨てチューブセットは、1回のみの使用のために設計されてよい。
【0046】
一体化されたキュベット及びプリズム124は、該一体化されたキュベット及びプリズム124の表面から形成される一体化されたプリズムを含む。一例において、プリズムと、一体化されたキュベット及びプリズム124の部分とは、一体部品として射出成形されてもよい。全血がチューブ108の流体流路に沿って流れると、全血は、屈折計260に隣接して配置された一体化されたキュベット及びプリズム124の一部に入ることができる。屈折計260は、開示を分かりやすくするために、ハウジング及び係合機能部のない状態で図3Aに示されている。より詳細には、(一体化されたキュベット及びプリズム124の一体化されたプリズムを通して)全血に向かって光を発射する、屈折計260の光源(例えば、LED)262及び(一体化されたキュベット及びプリズム124の一体化されたプリズムを通して)全血からの反射光を受光するセンサ(例えば、CCD)が示されている。屈折計260は、全血が一体化されたキュベット及びプリズム124を通って流体流路に沿って流れている状態で全血中のタンパク質レベルを測定するように構成される。これらの測定は、最大200mL/分までの流量でも行うことができる。
【0047】
いくつかの例では、超音波分離器(例えば、超音波トランスデューサ、圧電トランスデューサ等)312(図3A)が、一体化されたキュベット及びプリズム124の少なくとも1つの側面に隣接して配置される。超音波分離器は、一体化されたキュベット及びプリズム124の感知面から赤血球310を離して沈降させるのを促進するために(例えば、コントローラ等によって)作動される。この促進された沈降は、この一体化された部品が、重力が細胞を感知面314(図3B)から引き離すような向きに配置されているときに生じる。一例において、一体化されたキュベット及びプリズム124は、一体化されたプリズムが、一体化されたキュベット及びプリズム124の面のうち、重力方向(例えば、重力ベクトル等)を向かない側の面に位置するように、配向される。例えば、一体化されたプリズム126を、一体化されたキュベット及びプリズム124の上面側に配置することができる。これにより、重力が、赤血球310を感知面から引き離して沈降させるのをアシストすることを可能にし、全血中の血漿からのより明確な屈折応答を可能にする。図示されるように、重力により、図3Bに示される赤血球310は、一体化されたキュベット及びプリズム124の感知面から離れるように移動する。また、分析される全血の流れを一時停止することによって、重力が赤血球を感知面から引き離すことを好適に可能にし、これにより、赤血球によって反射される光の量を減少させ、屈折計260のセンサの読み取りを改善する。
【0048】
図3Bは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム124と共に動作する、屈折計260の概略光学図を示す。全血が一体化されたキュベット及びプリズム124の感知面上を通過すると、屈折計260は、光源から光を、一体化されたプリズムの感知面の全血に向けて出射する。出射された光の一部は、全血内に入る屈折光272となり、出射された光の一部は、反射光274として感知面からセンサ266に向かって反射される。全血の血漿タンパク質レベルに応じて、(抗凝固剤の場合と比較して)変化したピクセル強度パターンが、光センサ266(例えば、CCD)によって検知される。次いで、変化した全血のピクセル強度パターンは、抗凝固剤溶液の基準パターンと比較され、血漿タンパク質濃度が、ピクセル強度パターンにおける差に基づいて、決定される(以下でさらに説明される)。
【0049】
いくつかの例では、光源262は、全血のタンパク質レベル測定のより正確な結果を得るために、特定の単一の波長又は特定の複数の波長で光を出射する。例えば、光源は、420nmの光を出射してもよく、この場合、赤血球は、光をセンサに向かって反射させるのではなく、屈折光を吸収することになる。このようにして、血漿タンパク質レベル測定に対する赤血球からの反射光干渉268を軽減することができ、或いは排除することさえできる。すなわち、光源が420nmの光を出射するように構成される場合、420nmの光が赤血球によって吸収されるため、図3Bに示されている赤血球からの反射光268は排除される。
【0050】
図4は、本開示の実施例に係る、一体化されたキュベット基板内に形成された一体化されたプリズム126の斜視図を示す。一体化されたキュベット及びプリズム124の一体化されたプリズム126は、任意の適切な材料で作製されることができる。例えば、プリズム126は、プラスチック材料(例えば、ポリエチレンテレフタレートグリコール又はポリカーボネート)から射出成形されてもよく、又はガラスで作られてもよい。プラスチック材料は、一体化されたプリズム126の外側から、全血が通る一体化されたキュベット及びプリズム124の内側空間へと向かう透明な光路を提供することができる。一体化されたプリズム126は、任意の好適な形状を有する。例えば、一体化されたプリズム126は、三角プリズム、M字形プリズム、少なくとも1つの三角プリズム部分及び少なくとも1つの湾曲面(例えば、凹面及び/又は凸面)を有するプリズム等、及び/又はそれらの組み合わせの形状で形成される。いずれにしても、一体化されたプリズムは、センサ側と光源側とを備える。図2Bに示されるように、例えば、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム124が、アフェレーシスシステム100の受容空間130と係合されるとき、光源側(LS)は、屈折計260の光源に隣接して配置され、センサ側すなわち検出器側(DS)は、屈折計260のセンサに隣接して配置される。いくつかの例では、光源は、屈折計260のセンサから離間しており、ある距離だけオフセットされている。
【0051】
図5の概略的な光学図に示されるように、M字形プリズム126は、一体化されたプリズムの光源側LSと検出器側DSとの間に、除去領域を含む。この除去領域は、一体化されたプリズムに必要な材料の量を減少させ、成形特性を向上させ、及び/又は屈折計260の一部と係合するためのすき間部分(clearnace)を提供することができる。図5は、光が光源側LSから放射され、次いで、一部が血漿サンプルに入射して屈折し、通過し、残りの部分がプリズムの感知面から検出器側DSへ反射されることを示す。
【0052】
図6A図6Cは、本開示の実施例に係る、一体化されたプリズムの光源側LSから(例えば、三角プリズム形状を有する)一体化されたプリズムの第1の部分を通るように発射され、一体化されたキュベット及びプリズム124の感知面から(例えば、半湾曲形状を有する)一体化されたプリズムの第2の部分を通って一体化されたキュベット及びプリズム124の検出器側DSへ反射する光の概略的な光学図を示す。
【0053】
図6Aの概略的な光学図では、チューブ108は空気を含み、光源からの光の全てが検出器側に反射され、光は屈折されない。図6Bでは、チューブ108は、6.0g/dLの血漿タンパク質レベルを有する全血を含み、該全血は一体化されたキュベット及びプリズム124に運ばれる。この例では、検出器側に反射された光は、センサ(破線で示す)上に反射されて、第1のピクセル位置領域P1内のピクセルを照射するピクセル強度パターンを生成する。図6Cでは、チューブ108は、9.0g/dLの血漿タンパク質レベルを有する全血を含み、該全血は一体化されたキュベット及びプリズム124に運ばれる。図6Cにおいて、検出器側に反射された光は、センサ(破線で示す)上に反射されて、第2のピクセル位置領域P2内のピクセルを照射するピクセル強度パターンを生成する。全血が屈折計260によって測定され、これらの2つの境界となる条件(例えば、P1及びP2)の間(それらを含む)に該当する反射光を生成するとき、ドナー102は、血漿供与に適格であり、アフェレーシスが自動的に開始される(例えば、さらなる設定、接続等を伴わずに)。しかしながら、全血が屈折計260によって測定され、これらの2つの境界となる条件(例えば、P1及びP2)の外側となる反射光を生成する場合、ドナー102は、血漿供与には不適格であると決定され、アフェレーシスプロセスは自動的に開始を中止される。いくつかの例では、ドナー102の不適格性を伝えるメッセージ及び/又は測定された血漿タンパク質レベルに関する情報と共に、アラームが発せられる。
【0054】
図7は、本開示の実施例による、種々の流体からの反射光を検出する屈折計260のセンサによって測定された光強度対ピクセル位置のグラフを示す。いくつかの例では、「サンプルなし」線は、(図6Aに示されるように)空気がプリズム感知面に接触しているときの光源光の全反射に関連付けられたベースライン又は基準値に対応する。抗凝固剤を使用して較正基準値を確立することによって、屈折計260は、抗凝固剤と全血検査サンプルとの間のピクセル位置のずれ(シフト)を決定することができる。選択された光強度値に対する抗凝固剤ピクセル位置が決定される。全血サンプルがキュベット内に配置されると、選択された光強度値に対するピクセル位置が決定される。これら2つのピクセル位置の間の差(本明細書では「ピクセルシフト」と呼ぶ)は、血漿タンパク質含有量に比例する。例えば、図7は、2つの全血サンプルからのピクセル強度を示し、1つのサンプルは5.9g/dLの血漿タンパク質レベルを含み、第2のサンプルは9.0g/dLの血漿タンパク質レベルを含む。5.9g/dLのサンプルでは、反射光は、約158の光強度でセンサのピクセル位置1800を照射する。血漿タンパク質レベルが9.0g/dLである全血サンプルでは、約158の光強度で照射されたピクセル位置は、位置1020にシフトしている。等しい強度のピクセル位置のシフト(ピクセルシフト=1800-1020)は、血漿タンパク質レベルの差に比例する。とりわけ、この比例関係及び方法によって、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム124を新しいものに換えてアフェレーシスシステム100に係合させるたびに、屈折計260を、例えば、2.4g/dLの血漿タンパク質含有量をシミュレートする抗凝固剤のような、既知の溶液を使用して較正することを可能にする。従って、製造上のバラツキ、又は一体化されたキュベット及びプリズム124の受容空間130内における着座位置のバラツキは、抗凝固剤から反射された光によって照射されるセンサピクセルと、検査対象である全血から反射された光によって照射されるセンサピクセルと、の間のピクセルシフトを比較することによって効果的に打ち消されるため、そのようなバラツキは、検査結果の精度に悪影響を及ぼさない。
【0055】
図8は、本開示の実施例に係る、種々の波長における赤血球による光の吸収のグラフを示す。図8のグラフに示されるように、赤血球における光の吸収は、420nmで最大である。屈折計260の光源、すなわちLED、を420nmの光を発するように設定することにより、全血の測定における干渉を低減することができる。例えば、420nmの光源から出て屈折された光は、赤血球によって、反射及び散乱されずに、吸収される。一方、光源からの420nmの光は、全血中における血漿の存在のために、プリズム感知面から反射される。いくつかの場合において、420nm光源の使用によって、屈折計のセンサによる測定から、赤血球からの光の反射及び散乱を軽減させるか或いは排除させることもできる。赤血球によって吸収され得る、屈折計によって放出される光の他の好適な波長は、約275nm、約375nm、及び約550nm~約600nmの範囲内を含むが、それらに限定されない。
【0056】
図9は、本開示の実施形態に係る、アフェレーシスシステム100に接続されたドナー102から得られた全血のタンパク質レベルのインライン検査を自動的に行うための方法900のフロー図である。方法900のステップの一般的な順序を図9に示す。一般に、方法900は、ステップ904で開始し、ステップ932で終了する。方法900は、これよりも多い又は少ないステップを含むことができ、或いは、図9に示される順序とは異なってステップの順序を設定できる。方法900は、コンピュータシステム、コントローラ、プロセッサ、遠心分離機マイクロコントローラ、及び/又は、他の装置によって実行され、エンコードされる又はコンピュータ可読媒体に記憶されるコンピュータ実行可能命令のセットとして少なくとも部分的に実行され得る。他の構成において、方法900は、例えばシステムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなハードウェア装置において構成される一連の構成要素、回路、ゲート等、によって少なくとも部分的に実行されてもよい。以下では、図1図8と関連して説明したシステム、装置、バルブ、ポンプ、センサ、構成要素、回路、モジュール、ソフトウェア、データ構造、信号伝達プロセス、モデル、環境、アフェレーシスシステム等を参照して、方法900を説明するものとする。
【0057】
方法900は、使い捨てチューブセット120をアフェレーシス装置又はシステム100に取り付けることによって開始される(ステップ904)。このステップでは、使い捨てチューブセット120のチューブは、アフェレーシスシステム100の受容領域に挿入され、ポンプ、バルブ、バッグ、収集容器等と関係付けられる。
【0058】
次に、一体化されたキュベット及びプリズム124は、アフェレーシスシステム100の屈折計受容空間130と係合される(ステップ908)。いくつかの例では、一体化されたキュベット及びプリズム124を係合させることは、アフェレーシスシステム100の凹部領域に一体化されたキュベット及びプリズム124の本体をクランプさせることを含む。受容空間130は、アフェレーシスシステム100の屈折計260に対して、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム124を正確に位置合わせするための1又は複数の運動学的特徴を備えてもよい。一例において、一体化されたキュベット及びプリズム124は、受容空間130内のアフェレーシスシステム100のブラケット又はホルダ内に配置されてもよく、蓋又はドアによって、受容空間130内に一体化されたキュベット及びプリズム124を封じ込めてもよい。ドアによって、一体化されたキュベット及びプリズム124に圧力が加えられ、一体化されたキュベット及びプリズム124の少なくとも1つの面を受容空間130内の支持面に対して押し付けることができる。いくつかの例では、ドアは、ノブ、クランプ、磁石、及び/又はラッチで閉じた状態に保持される。
【0059】
方法900は、ドナー102を使い捨てチューブセット120に接続し(ステップ912)、次に進む。いくつかの例では、この接続は、針、カテーテル、又はカニューレをドナー102の静脈(例えば、ドナー102の腕)に挿入すること、及び血液がドナー102からドナー供給チューブ104に沿って確実に流れるようにすることを含む。ドナー102は、アフェレーシスシステム100が動作している間、使い捨てチューブセット120に接続されたままである。
【0060】
アフェレーシスプロセスを開始する前に、方法900は、アフェレーシスシステム100に関連付けられた屈折計260を較正し(ステップ916)、次に進む。較正によって、一体化されたキュベット及びプリズム124を有する異なる使い捨てチューブセット120を、アフェレーシスシステム100に係合させることが可能となり、また使い捨てチューブセット120に対して固有の一体化されたキュベット及びプリズム124のためにベースライン、すなわち較正基準値を確立することを可能にする。較正に関するさらなる詳細は、図10と併せて説明される。
【0061】
一旦較正されると、方法900は、ドナー102からの全血を一体化されたキュベット及びプリズム124にポンプで送り(ステップ920)、次に進む。例えば、図2Bに示される流体経路に従って、引き込みポンプは、全血を、ドナー102から、ドナー供給チューブ104に沿って引き込み、さらに、チューブコネクタ106を通って、入口チューブ108に沿って、一体化されたキュベット及びプリズム124内に引き込み、そこを通過させる(ステップ920)。いくつかの例では、一体化されたキュベット及びプリズム124は、チューブコネクタの下流で、且つソフトカセットの上流で入口チューブに取り付けられてもよい。アフェレーシスシステム100に接続されるとき、一体化されたキュベット及びプリズム124は他のポンプの上流に配置される。一体化されたキュベット及びプリズム124は、光源及びセンサを含む屈折計260に隣接して位置付けられる。
【0062】
次に、方法900は、一体化されたキュベット及びプリズム124内に全血が存在する状態で、屈折計260を作動させ(ステップ924)、次に進む。いくつかの例では、屈折計260は、全血が、一体化されたキュベット及びプリズム124の一端から他端まで一体化されたキュベット及びプリズム124を通過する状態で作動される。いくつかの例では、流れは、全血が一体化されたキュベット及びプリズム124のチャンバを満たすときに停止されてもよい。屈折計を作動させることは、光源に、一体化されたキュベット及びプリズム124に向かう方向に、より具体的には、一体化されたプリズムを通って、その中に収容された全血に、420nmの光を放射させることを含む。光が放射されると、センサは、1又は複数のピクセル、ピクセル領域、及び/又はピクセル位置上の反射光を検出する。
【0063】
続いて、反射光及び較正基準値に基づいて、方法900は、全血中の血漿タンパク質レベルを決定する(ステップ928)。例えば、全血によって引き起こされる反射光は、抗凝固剤較正基準パターンと比較して、変化したピクセル強度パターンをセンサ上に投影する。較正用溶液と全血との間のピクセルパターンのシフトを用いて、全血の血漿タンパク質含有量を決定することができる。この決定に関するさらなる詳細は、図11及び図12A図12Gを参照して説明される。
【0064】
血漿タンパク質レベルが、例えば、6.0g/dL~9.0g/dLの所定の「許容可能」範囲内にあると決定される場合、ドナー102は、血漿を供与するのに適格であると判定され、アフェレーシスプロセスは、アフェレーシスシステムによって自動的に開始される(ステップ932)。このアフェレーシスプロセスは、ドナー102、アフェレーシスシステム100のさらなる装置設定又は処理を行うことなく、及び/又はドナー102への接続変更なしに、自動的に開始される。しかしながら、血漿タンパク質レベルが所定の許容可能範囲外(例えば、6.0g/dL未満又は9.0g/dL超)にあると判定された場合、ドナー102は、血漿を供与するには不適格であると判断され、アフェレーシスプロセスの開始が中止される。後者の場合、使い捨てチューブセット120は、アフェレーシスシステム100から取り外され、廃棄される(例えば、処分される)。本明細書に記載される方法及びシステムは、測定及びアフェレーシスを一回の設定(例えば、インライン)で行うことを可能にするので、無駄が少なく(例えば、血漿タンパク質含有量を得るための労力、使用する必要がある指刺し針、毛細管等が不要)、実施されるステップが少なくてすむ(例えば、ドナー102をアフェレーシスシステム100に接続する前に、サンプルを別途取得すること、該サンプルを遠心分離すること、ハンドヘルド屈折計を使用して該サンプルを検査すること等が不要)。理解され得るように、本開示は、アフェレーシスを通して行うドナー102の処理が効率的になり且つ費用効果を高くすることが可能になる。
【0065】
図10は、本開示の実施形態に係る、アフェレーシスシステム100に関連付けられた屈折計260を自動的に較正するための方法1000のフロー図である。方法1000は、図9に関連して説明されたステップ916に対応し得る。方法1000のステップの一般的な順序を図10に示す。一般に、方法1000は、ステップ1004で開始し、ステップ1020で終了する。方法1000は、これよりも多い又は少ないステップを含むことができ、或いは、図10に示される順序とは異なってステップの順序を設定できる。方法1000は、コンピュータシステム、コントローラ、プロセッサ、遠心分離機マイクロコントローラ、及び/又は、他の装置によって実行されまたエンコードされる又はコンピュータ可読媒体に記憶されるコンピュータ実行可能命令のセットとして少なくとも部分的に実行され得る。他の構成において、方法1000は、例えば、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなハードウェア装置において構成される一連の構成要素、回路、ゲート等、によって少なくとも部分的に実行されてもよい。以下では、図1図9と関連して説明したシステム、装置、バルブ、ポンプ、センサ、構成要素、回路、モジュール、ソフトウェア、データ構造、信号送信プロセス、モデル、環境、アフェレーシスシステム、方法等を参照して方法1000を説明するものとする。
【0066】
方法1000は、抗凝固剤をACバッグ114からACチューブ110を通して一体化されたキュベット及びプリズム124に流すことによって開始される(ステップ1004)。例えば、図2Bの概略図を参照すると、ACポンプによって、抗凝固剤をACバッグ114からACチューブ110に流し、次いでチューブコネクタ106を通過させて、入口チューブ108に沿って一体化されたキュベット及びプリズム124内に流し、さらにそこを通過させる。いくつかの例では、一体化されたキュベット及びプリズム124は、チューブコネクタの下流で、且つソフトカセットの上流で入口チューブに取り付けられてもよい。アフェレーシスシステム100に接続されるとき、一体化されたキュベット及びプリズム124は他のポンプの上流に配置される。一体化されたキュベット及びプリズム124は、光源及びセンサを含む屈折計260に隣接して位置付けられる。
【0067】
次に、方法1000は、一体化されたキュベット及びプリズム124のチャンバ内に抗凝固剤が存在する状態で屈折計260を作動させる(ステップ1008)。いくつかの例では、屈折計260は、抗凝固剤が、一体化されたキュベット及びプリズム124の一端から他端まで一体化されたキュベット及びプリズム124を通過している状態で作動される。いくつかの例では、流れは、抗凝固剤が一体化されたキュベット及びプリズム124の内部チャンバを満たすときに停止されてもよい。屈折計260を作動させることは、一体化されたキュベット及びプリズム124に向かう方向に、より具体的には、一体化されたプリズムを通って、その中に収容された抗凝固剤に、光源から420nmの光を放射させることを含む。
【0068】
続いて、方法1000は、放射された光がプリズム感知面から反射され、その反射光が屈折計260のセンサで受光される(ステップ1012)。センサは、ピクセルアレイ又は感光領域を有する、CCD又は他の撮像センサに対応する。光が光源により放射されると、センサは、1又は複数のピクセル、ピクセル領域、及び/又はピクセル位置上の反射光を検出する。
【0069】
センサのピクセルアレイ内のピクセルの範囲によって検出された反射光に基づいて、コントローラは、センサのピクセルアレイに対して関連付けられた光強度パターンを決定する(ステップ1016)。この光強度は、本明細書に記載されるように、全血から血漿タンパク質レベルを決定するために使用される較正基準値に対応する。続いて、方法1000は、1又は複数のピクセル位置に対応する光強度を、将来の測定において使用される較正基準値として選択する(ステップ1020)。
【0070】
図11は、本開示の実施形態に係る、ドナー102がアフェレーシスシステム100に接続されている状態でドナー102から得られた全血のタンパク質レベルを決定するための方法1100のフロー図である。方法1100は、図9に関連して説明されたステップ928に対応し得る。図11は、方法1100のステップの一般的な順序を示す。一般に、方法1100は、ステップ1104で開始し、ステップ1124で終了する。方法1100は、これよりも多い又は少ないステップを含むことができ、或いは、図11に示される順序とは異なってステップの順序を設定できる。方法1100は、コンピュータシステム、コントローラ、プロセッサ、遠心分離機マイクロコントローラ、及び/又は、他の装置によって実行されまたエンコードされる又はコンピュータ可読媒体に記憶されるコンピュータ実行可能命令のセットとして少なくとも部分的に実行され得る。他の構成において、方法1100は、例えばシステムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなハードウェア装置に構成される一連の構成要素、回路、ゲート等、によって少なくとも部分的に実行されてもよい。以下では、図1図10と関連して説明したシステム、装置、バルブ、ポンプ、センサ、構成要素、回路、モジュール、ソフトウェア、データ構造、信号送信プロセス、モデル、環境、アフェレーシスシステム、方法等を参照して方法1100を説明するものとする。
【0071】
方法1100は、一体化されたキュベット及びプリズム124内に全血が存在する状態で(例えば、光源からの)放出光がプリズム感知面から反射され、その反射光が屈折計260のセンサで受光され(ステップ1104)、開始する。光が光源により(例えば、420nmで)放射されると、センサは、1又は複数のピクセル、ピクセル領域、及び/又はピクセル位置上の反射光を検出する。
【0072】
続いて、センサのピクセルアレイによって検出される(例えば、一体化されたキュベット及びプリズム内に全血が存在する状態におけるプリズム感知面からの)反射光に基づいて、方法1100は、センサのピクセルアレイにわたって関連付けられた光強度パターンを決定する(ステップ1108)。光強度パターンは、ピクセルアレイ内のピクセルの各行及び/又は各列における光の測定された強度に対応する。いくつかの例では、光強度は、センサの領域に関連付けられる。
【0073】
続いて、抗凝固剤に関連付けられた較正基準値又は光強度を使用して、方法1100は、抗凝固剤較正基準ピクセルパターンから選択された所定の光強度で光が(センサによって)検出されるセンサのピクセル位置を決定する(ステップ1112)。このピクセル位置は、本明細書では、シフトしたピクセル位置と呼ばれることがある。方法1100は、較正用溶液に対する全血の場合のピクセル位置シフトの大きさを使用して、血漿のタンパク質含有量を決定する。
【0074】
続いて、方法1100は、較正ピクセル位置に対するシフトしたピクセル位置が、血漿供与適格性の所定の範囲(例えば、下限ピクセルシフト及び上限ピクセルシフト)内にあるピクセルシフトに対応するかどうかを決定する(ステップ1116)。いくつかの例では、ピクセルシフトの下限は、6.0g/dLのタンパク質レベルを有する血漿に関連付けられる。上限は、上側ピクセルシフトに関連付けられる。この上限は、9.0g/dLの血漿タンパク質レベルに対応する。ピクセルシフトがこれらの所定の下限と上限との間にある(及び/又はこれらの下限及び上限を含む)と決定されるとき、全血の血漿タンパク質レベルは、血漿供与に十分な条件である。
【0075】
続いて、ピクセルシフトが所定の範囲内にあるとき、方法1100は、アフェレーシス処置を開始する「アフェレーシス開始」命令をアフェレーシスシステム100の1又は複数の構成要素に送信する(ステップ1120)。一例において、該命令によって、アフェレーシスシステム100は、ドナー102から全血を引き込み、収集のために全血から血漿を分離する。このプロセスは、ドナー102とアフェレーシスシステム100との間のさらなるセットアップを必要としない。
【0076】
続いて、ピクセルシフトが所定の範囲の外側にある場合、方法1100は、アフェレーシス処置が開始するのを中止する「アラーム」をアフェレーシスシステム100の1又は複数の構成要素に送信する(ステップ1124)。アラーム命令によって、スピーカから警報音を発したり、アフェレーシスシステム100に関連付けられたディスプレイ装置に視覚メッセージを表示したり、及び/又はそれらの組み合わせを行う。ピクセルシフトが所定の範囲の外側にある場合、ドナー102は、使い捨てチューブセット120から接続を外され、一体化されたキュベット及びプリズム124を含む使い捨てチューブセット120全体が、廃棄されるか又は処分される。
【0077】
このように、本開示は、屈折光を測定する代わりに反射光を測定することによって、全血の血漿タンパク質含有量を決定する。反射光を測定することは、屈折光を測定することよりも優れて多くの利点を有する。例えば、屈折光が全血に入射すると、屈折光は、RBC光散乱及びRBC光吸収の両方によって急速に減衰する。従って、屈折光は測定するのが非常に困難である。反射光の測定では、RBC光散乱或いはRBC光吸収のいずれによっても減衰されない。
【0078】
図12Aは、(種々の血漿タンパク質含有量(6.3g/dL~9.1g/dL)を有する全血をシミュレートする)種々の濃度の液体を用いた場合のセンサ(例えば、CCD)の読み取り値からのピクセルパターンを示す。また、本開示の例に係る、抗凝固剤較正ピクセルパターン(2.4g/dLでのAC較正ピクセルパターン)も示されている。抗凝固剤(AC)ピクセルパターンは、2.4g/dLのタンパク質含有量を有する血漿のピクセルパターンをシミュレートする。特定の血漿採取手順に対してAC較正ピクセルパターンが確立されると、1つ(又は複数)のピクセル行(Pc)が選択され、そのピクセル行のピクセル強度(Ic)が記録される。一例として、図12Bでは、選択される値は、検出される最大強度の90%である。次いで、全血(この例では、6.3g/dLの血漿タンパク質含有量を有する)が、一体化されたプリズム及びキュベットに導入される。Icに等しい強度を示すピクセル位置(Pwb)が特定される。ピクセルシフトが計算される(Pc-Pwb)。この値は、図12Aの水平線270によって表される。次いで、全血サンプルの血漿タンパク質含有量を、式 K(Pc-Pwb)+2.4を用いて計算する。ここで、Kは、一体化されたキュベット及びプリズムシステムの全体構成に固有の比例定数である。
【0079】
図12Bは、上記の図12Aの説明及び図11のステップ1112を詳細にしたステップ1204、1208、1212、1216のフロー図である。ステップ1112は、使い捨てセットがアフェレーシス装置内の屈折計に組み付けられた後、例えば、較正基準(例えば、較正ピクセルパターン)が、既知の血漿タンパク質含有量をシミュレートする溶液を使用して確立されることを要請する。例えば、抗凝固剤が較正用溶液として使用される場合、得られるピクセルパターンは、2.4g/dLの血漿タンパク質濃度を表すことが知られている。全血が使い捨てセット内の一体化されたキュベットに入った後、全血の血漿タンパク質含有量を表す第2のピクセルパターンが得られる。
【0080】
ステップ1204において、較正用溶液を使用して確立されたピクセルアレイパターン(ステップ1020)から、例えば、最大明るさの90%の明るさ(brightness)(例えば、光強度)値(Ic)を有するピクセル行(Pc)が、選択される。ステップ1208において、ステップ1108を用いて確立されたピクセルアレイパターン(一体化されたキュベットに受容された全血サンプルからのピクセルパターン)から、ステップ1204からのIcに等しい明るさ(例えば、光強度)を表示するピクセル行(Pwb)が特定される。
【0081】
ステップ1212で、PcとPwbとの間のピクセルシフト(例えば、ピクセルシフト=Pc-Pwb)が決定される。ステップ1216では、式 K(Pc-Pwb)+Cを用いて全血の血漿のタンパク質濃度が計算される。Kは、ソフトウェアに組み込まれた実験的に決定された比例定数であり、単位はg/dL/ピクセルである。Kは、光学形状、プリズム材料、光源の波長、及び光センサ(例えば、CCD)の分解能に固有である。Pc-Pwbは、ピクセル単位のピクセルシフト値である。Cは、g/dLを単位とする、較正用溶液がシミュレートする血漿タンパク質濃度値である。抗凝固剤を較正用溶液とした場合、C=2.4g/dLである。ステップ1204では、90%の明るさ(例えば、光強度)の値(Ic)、すなわち、1つの値を選択するとして説明してたが、複数のIcの値が選択されてもよく、ステップ1212及び1216で説明されるピクセルシフト分析が、選択された複数の強度値のそれぞれに対して行われてもよいことに留意されたい。次いで、得られた値の平均値(ステップ1216)を使用して、血漿タンパク質濃度を決定することができる。比例定数Kを決定する方法は、本開示において後に説明される。
【0082】
図12Aは、(種々の血漿タンパク質含有量(6.3g/dL~9.1g/dL)を有する全血をシミュレートする)種々の濃度の液体を用いた場合のセンサ(例えば、CCD)の読み取り値のグラフを示す。また、本開示の例に係る、抗凝固剤較正ピクセルパターン(2.4g/dLでのAC較正ピクセルパターン)も示されている。抗凝固剤(AC)ピクセルパターンは、2.4g/dLのタンパク質含有量を有する血漿のピクセルパターンをシミュレートする。特定の血漿採取手順に対してAC較正ピクセルパターンが確立されると、1つ(又は複数)のピクセル行(Pc)が選択され、そのピクセル行のピクセル強度(Ic)が記録される。一例として、図12Aでは、選択される値は、検出される最大強度の90%である。80%強度、85%強度等のような、90%以外の任意の他の適当な強度値が使用されてもよい。また、複数の強度値を測定し、平均してもよい。次いで、全血(この例では、6.3g/dLの血漿タンパク質含有量を有する)を、一体化されたプリズム及びキュベットに流し入れる。Icに等しい強度を示すピクセル位置(Pwb)が特定される。ピクセルシフトが計算される(Pc-Pwb)。この値は、図12Aの水平線によって表される。次いで、全血サンプルの血漿タンパク質含有量を、式 K(Pc-Pwb)+2.4を用いて計算する。ここで、Kは、一体化されたキュベット及びプリズムシステムの全体構成に固有の比例定数である。
【0083】
図12Cは、線形比例定数Kを決定することに関係するステップを説明するフローチャートである。図12Cのステップ1262は、90%の強度値を呼び出すが、他の値、例えば、80%、60%等が選択されてもよい。また、90%と80%の平均のように、2つ以上の強度値の平均値を使用することもできる。
【0084】
図12D図12Gは、図12Cのステップ1254、1258、1262、1266、1270、1274、及び1278に従って比例定数Kを決定するために使用される一連のピクセルパターンを示す。
【0085】
ステップ1254では、既知の血漿タンパク質濃度(Cc)をシミュレートする較正用溶液を得る。屈折計に組み付けられた一体化されたキュベット及びプリズムを用いて、較正用溶液をキュベットに入れる。次に、較正用溶液に対する基準ピクセルパターンが生成される。ステップ1258では、既知のタンパク質濃度(Cs)の血漿をシミュレートする第2の溶液を使用して、較正用溶液をキュベットから洗い流し、キュベット内に第2の溶液を残しておく。第2の溶液に対するピクセルパターンを生成する。
【0086】
ステップ1262において、基準ピクセルパターンを使用して、例えば、基準ピクセルパターンにおける最大明るさ(例えば、強度)の90%を示すピクセル行を特定する。その行番号(Ps)及びその明るさ(lc)が記録される。ステップ1266では、第2の溶液のピクセルパターンにおいて、lcに等しい明るさを示す行番号(Ps)が特定される。ステップ1270では、K値が以下の式で、計算される:K=(Cc-Cs)/(Pc-Ps)、単位はg/dL/ピクセル。ステップ1274では、それぞれ既知であるが異なる濃度の血漿をシミュレートする複数の溶液に対して、ステップ1254~1270が、繰り返される。ステップ1278では、複数の溶液から得られたK値が平均され、この平均値を使用して、未知の値の血漿タンパク質濃度が決定される。
【0087】
示された例において、2.4g/dLの血漿タンパク質濃度をシミュレートする抗凝固剤溶液を使用して、基準較正ピクセルパターンを生成した。既知の血漿タンパク質含有量をシミュレートする他の溶液が使用されてもよく、例えば、通常の生理食塩水が使用されてもよい。較正ピクセルパターンに加えて、図12Dは、6.3g/dLの血漿タンパク質含有量をシミュレートする溶液の第2のピクセルパターンを示す。明るさ50に関連付けられたピクセルシフトが選択され、そのピクセルシフトは2つのパターンを繋ぐ水平線矢印によって示される。第2のピクセルパターンに関連付けられた(較正ピクセルパターンに対する)ピクセルシフトは、1200ピクセル(3000-1800=1200)に等しいことに留意されたい。図12Dに含まれる情報から、比例定数Kは、(6.3-2.4)/1200=0.00325g/dL/ピクセル、として計算することができる。図12E図12Gは、それぞれ異なる血漿タンパク質濃度をシミュレートする溶液を使用して比例定数Kの計算を繰り返し行っていることを示している。
【0088】
図13Aは、本開示の実施形態に係る、使い捨てチューブセット120の一体化されたキュベット及びプリズム基板(124及び図4)の斜視図である。図13Bは、図13Aに示されるキュベット124に組み付けられたプリズム基板の図を示す。プリズムは、任意の好適な接着剤を用いる等、任意の好適な方法でキュベット124に固定される。プリズム及びキュベット124は、プリズムがキュベット124と機械的に連結するように構成されてもよい。
【0089】
図14A及び図14Bは、本開示に係る、例示的な屈折計1410を示し、使い捨てキュベット及びプリズム124との接触箇所を示す。屈折計1410は、光源1412とカメラ1414とを含む。上述した屈折計260の光源及びカメラの説明は、光源1412及びカメラ1414にも当てはまる。
【0090】
(関連付けられたチューブを伴った)キュベットは、トレイ1420に装填され、次いで、屈折計の下の所定位置に上昇される。プリズムは流路の上方に配置され、これにより、重力が細胞を感知面から引き離すことが可能になり、従って、細胞を事前に除去することなく純粋な血漿層を測定することができる。常置してある90度プリズム1430は、反射光路をCCD/カメラ1414に向ける。該プリズムは光源1412に対して略平行に配置される。これは、より人間工学的なレイアウトを可能にし、そのため、光学部品は、操作者の動きを妨げない。位置決め機構1440は、装置内のキュベット及びプリズムの正確で一貫した位置決めを容易にする。
【0091】
本開示のピクセルシフトの方法は、血漿タンパク質含有量の測定精度を有利に改善する。例えば、本ピクセルシフトの方法を使用することによって、屈折計内にキュベットを装填する際に起こり得るであろう装填バラツキは問題とならなくなる。さらに、本ピクセルシフトの方法は種々の異なる使い捨てキュベット間に存在し得る寸法の差異を対処するので、本開示によって、使い捨てキュベットが使用可能となる。
【0092】
従って、本開示は、使い捨てキュベットによって血漿タンパク質含有量を測定する方法を提供する。使い捨て品へのプリズム及びキュベットの一体化は、開放血液事象(open blood event)及びそれに伴う感染又は汚染のリスクなしに、タンパク質測定が行われることを可能にする。また、このアプローチは、所望であれば、アフェレーシス手順の全体を通して繰り返し測定することを可能にする。
【0093】
使い捨てキュベット及びプリズムの欠点は、ガラスプリズム等の高価な光学部品を製造し易い設計及び安価な設計に変換する必要があるため、プラスチック部品が使用される可能性が高いことである。また、その使い捨て品は、異なる個々のキュベット間の読み取り及び装填作業に対応できるように通常であれば正確な位置合わせを必要とするであろう、装置の光路の一部となる。
【0094】
本発明は、較正用流体(抗凝固剤)及びピクセルシフトの手法を使用することによって、これらの欠点に対処する。使い捨てキュベットがセンサに装填されて、AC流体を存在させると、反射光によってCCD上にピクセルパターンが現れる。しかしながら、そのパターンは、キュベットの装填位置の小さな偏差又は異なるプリズム間の光学的透明度の小さな差のために、ラン毎にわずかな位置誤差を有することになる。これらの差は、通常、測定誤差をもたらす。
【0095】
本ピクセルシフトの方法では、較正用流体ピクセルパターンと測定を必要とする血液のピクセルパターンとの間の(絶対位置ではなく)パターンのシフト(ずれ)のみを使用することによって、これらの誤差に対してロバストとなる。ピクセルシフトの量のみを測定することによって、装置は、ピクセルパターンの特定の位置に対してロバストである。
【0096】
本開示は、一般に、抗凝固剤較正用溶液及び全血のサンプルによって生成される屈折計ピクセルパターンの横方向ピクセルシフトとタンパク質濃度との間の線形相関に基づいて、血漿タンパク質含有量を測定する。さらに、本明細書の教示は、光スペクトル(420nm)の使用に関する。これは、屈折光が赤血球によって屈折計の光センサ上に反射されることに関連する誤差を低減する。
【0097】
本明細書で説明されるステップ、機能、及び動作のいずれも、連続的且つ自動的に実行され得る。
【0098】
事象の特定のシーケンスに関してフローチャートを論じて例示してきたが、開示された実施形態、構成、及び、態様の動作に実質的に影響を及ぼすことなくこのシーケンスに対する変更、追加、及び、省略を行なうことができることが理解されるべきである。
【0099】
本開示の例示的なシステム及び方法を、アフェレーシスシステムにおける屈折率測定に関連して説明してきた。しかしながら、本開示を不必要に曖昧にするのを避けるため、先の説明は、多くの既知の構造及び装置を省略している。この省略は、特許請求の範囲に記載される開示内容の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。特定の詳細な記述は、本開示の理解を与えるために記載される。しかしながら、本開示が本明細書中に記載される特定の詳細な記述以外の種々の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0100】
本開示の複数の変形形態及び変更形態を使用できる。本開示のいくつかの特徴を他の特徴を与えることなく設けることができる。
【0101】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」、「いくつかの実施形態」等への言及は、説明される実施形態が特定の特徴、特定の構造、又は特定の特性を含み得るが、全ての実施形態が、その特定の特徴、その特定の構造、又はその特定の特性を必ずしも含むとは限らないことを意味する。さらに、そのような表現は、必ずしも同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、特定の構造、又は特定の特性が一実施形態と併せて説明される場合、そのような特徴、構造、又は特性の説明は、特に記載のない限り、及び/又は詳細な説明から当業者に容易に明白となるであろう場合を除き、任意の他の実施形態に適用され得ることに留意されたい。種々の実施形態、構成及び態様における本開示は、種々の実施形態、サブコンビネーション、及び/又は、そのサブセットを含めて、実質的に図示されて本明細書中に記載される構成要素、方法、プロセス、システム、及び/又は、機器を含む。当業者は、本開示を理解した後に、本明細書に開示されるシステム及び方法をどのように作製及び使用するかを理解するであろう。種々の実施形態、構成及び/又は態様において、本開示は、例えば、性能を向上させる、容易さを得る、及び/又は、実施コストを低減するために、以前の装置又はプロセスで使用され得たような項目の非存在の状況を含めて、図示されていない及び/又は本明細書中に記載されていない項目の非存在の状況下で或いはその種々の実施形態、構成及び/又は態様において、装置及びプロセスを提供することを含む。
【0102】
本開示の以上の説明は、例示及び説明の目的で与えられてきた。以上の説明は、本明細書中に開示される1つ又は複数の形態に開示内容を限定しようとするものではない。例えば前述の詳細な説明では、開示を簡素化する目的で、本開示の種々の特徴が1つ以上の実施形態、構成及び/又は態様がまとめられた。本開示の実施形態、構成、又は態様の特徴は、上記で説明したもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様において組み合わせられてもよい。この開示方法は、特許請求される開示が、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の上記の開示された実施形態、構成、又は態様の全ての特徴よりも少ない特徴にある。従って、それにより、以下の特許請求項はこの詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、本開示の別個の好ましい実施形態としてそれ自体存在する。
【0103】
さらに、本開示の説明は、1又は複数の実施形態、構成、又は態様、並びにある特定の変形形態及び変更形態の説明を含んでいるが、他の変形形態、組合せ、及び変更形態は、本開示の範囲内にあり、例えば、本開示を理解した後に、当業者の技術及び知識の範囲内にあり得る。それは、特許請求の範囲に記載されるものに代わって置き換え可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲又はステップが本明細書中に開示されているか否かにかかわらず、及び、任意の特許可能な主題を公に提供することを意図することなく、それら置き換え可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲又はステップを含む他の実施形態、構成及び/又は、態様を含む権利を、許される範囲で、得ようとするものである。
【0104】
例示的な態様は、一体化されたキュベットを含む使い捨てチューブセットをアフェレーシス装置に取り付けることと、前記使い捨てチューブセットのチューブと連通する針で血漿ドナーの静脈を穿刺することによって前記血漿ドナーを前記使い捨てチューブセットに接続し、全血を前記血漿ドナーから前記使い捨てチューブセットの前記チューブに流入させることと、抗凝固剤を含む抗凝固剤バッグを前記使い捨てチューブセットの前記チューブに接続することと、前記抗凝固剤バッグから前記チューブに沿って、一体化されたキュベット内の空間に前記抗凝固剤をポンプで送り込むことと、前記アフェレーシス装置に関連付けられた屈折計の光源から前記一体化されたキュベットの一部を通って前記一体化されたキュベット内の前記抗凝固剤に放射される第1の光と、前記屈折計のセンサに反射される前記第1の光の量とに基づいて、前記屈折計の較正基準値を決定することと、前記血漿ドナーから前記チューブに沿って前記一体化されたキュベット内の前記空間に全血をポンプで送り込むことと、前記アフェレーシス装置に関連付けられた前記屈折計を動作させて、第2の光を、前記屈折計の前記光源から、前記一体化されたキュベットの一部を通過させて前記一体化されたキュベット内の前記全血に放射し、前記第2の光の量を屈折計のセンサに反射させることと、前記較正基準値と前記屈折計の前記センサに反射した前記第2の光の量とに基づいて、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた血漿タンパク質レベルを決定することと、を有する方法に関する。
【0105】
上記態様のうちの1又は複数において、該方法は、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた前記血漿タンパク質レベルが所定の範囲内であるときに、プロセッサを介して、前記アフェレーシス装置のアフェレーシス動作を開始することを含み、前記アフェレーシス動作は、前記全血から血漿を分離することである。上記態様のうちの1又は複数において、前記所定の範囲は6.0g/dL以上且つ9.0g/dL以下である。上記態様のうちの1又は複数において、前記一体化されたキュベットは、前記一体化されたキュベットの少なくとも1つの表面上に形成された一体化されたプリズムを備え、前記第1の光及び前記第2の光は、放出及び反射されるときに前記一体化されたプリズムを通過する。上記態様のうちの1又は複数において、前記較正基準値を決定することは、前記屈折計の前記センサに反射される、放射された前記第1の光の光強度パターンを決定することと、前記センサによって測定された前記光強度パターンを較正基準ピクセルパターンとして設定することと、を含む。上記態様のうちの1又は複数において、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた前記血漿タンパク質レベルを決定することは、前記プロセッサを介して、前記較正基準ピクセルパターンと比較される全血光強度ピクセルパターンを決定することと、前記プロセッサを介して、全血ピクセルパターンと前記較正基準ピクセルパターンとの間のピクセル位置シフトを決定することであって、前記ピクセル位置シフトは同じ強度のピクセル間で測定される、ピクセル位置シフトを決定することと、前記プロセッサを介して、前記ピクセル位置シフトが下限ピクセルシフトと上限ピクセルシフトとの範囲内にあるかどうかを決定することと、を含む。上記態様のうちの1又は複数において、前記下限ピクセルシフトと前記上限ピクセルシフトとの間の前記ピクセル位置シフトのそれぞれは、既知の血漿タンパク質レベルに対応する。上記態様のうちの1又は複数において、前記第1の光及び前記第2の光の少なくとも1つは420nmで放射される。上記態様のうちの1又は複数において、全血の流れは、赤血球が、重力によって、プリズム測定面から離れて沈降することが可能となるように一時停止される。上記態様のうちの1又は複数において、前記光源は発光ダイオードである。上記態様のうちの1又は複数において、前記センサは電荷結合素子である。上記態様のうちの1又は複数において、該方法は、前記ピクセル位置シフトが前記下限ピクセルシフトと前記上限ピクセルシフトとの範囲内にあると判定されたとき、前記プロセッサを介して、アフェレーシス開始命令を、前記アフェレーシス装置に送信して、前記アフェレーシス装置に、前記血漿ドナーから前記使い捨てチューブセットを介して前記一体化されたキュベットを通して全血を引き込むことを実行させ、引き込まれた全血から血漿を分離させること、をさらに含む。上記態様のうちの1又は複数において、該方法は、前記ピクセル位置シフトが前記下限ピクセルシフトと前記上限ピクセルシフトとの範囲の外であると判定されたとき、前記プロセッサを介して、前記アフェレーシス装置の少なくとも1つのスピーカ及びディスプレイ装置にアラームメッセージを送信することと、前記プロセッサを介して、前記アフェレーシス装置にアフェレーシス処置を開始するのを中止させることと、をさらに含む。
【0106】
例示的な態様は、使い捨てチューブセットに関する。該使い捨てチューブセットは、チューブコネクタと、前記チューブコネクタに接続される第1の端部を有するドナー供給チューブと、前記チューブコネクタに接続される第1の端部を有する抗凝固剤チューブと、前記チューブコネクタに接続され、前記チューブコネクタからある長さだけ延在し、前記チューブコネクタを介して前記ドナー供給チューブ及び前記抗凝固剤チューブと流体連通する入口チューブと、前記入口チューブに取り付けられた、一体化されたキュベットと、を有し、前記一体化されたキュベットは、本体と、前記キュベットの内側且つ前記本体内に配置され、前記入口チューブと流体連通するチャンバと、前記本体から形成され、前記本体から離れる方向に突出する一体化されたプリズムと、を備え、前記一体化されたプリズム及び前記一体化されたキュベットの外側から前記チャンバまで、光路が延びる。
【0107】
上記態様のうちの1又は複数において、該使い捨てチューブセットは、前記ドナー供給チューブの第2の端部においてドナーと相互接続するように構成され、該使い捨てチューブセットは、前記抗凝固剤チューブの第2の端部において抗凝固剤バッグと相互接続するように構成される。
【0108】
例示的な態様は、一体化されたキュベットを含む使い捨てチューブセットを体外血液処理装置に取り付けることと、ドナーの全血を前記使い捨てチューブセットに流体接続することと、抗凝固剤を含む抗凝固剤容器を前記使い捨てチューブセットのチューブに接続することと、前記抗凝固剤容器から前記チューブに沿って前記一体化されたキュベット内の空間に抗凝固剤をポンプで送り込むことと、前記体外血液処理装置に関連付けられた屈折計の光源から前記一体化されたキュベットの一部を通って前記一体化されたキュベット内の抗凝固剤に放射される第1の光と、前記屈折計のセンサに反射される前記第1の光の第1のピクセルパターンと、に基づいて、前記屈折計の較正基準値を決定することと、前記ドナーから前記チューブに沿って前記一体化されたキュベット内の前記空間に全血をポンプで送り込むことと、前記体外血液処理装置に関連付けられた前記屈折計を動作させて、第2の光を、前記屈折計の前記光源から、前記一体化されたキュベットの一部を通過させて前記一体化されたキュベット内の前記全血に放射し、前記第2の光の一部を前記屈折計の前記センサに第2のピクセルパターンで反射させることと、前記較正基準値及び前記第2のピクセルパターンに基づいて、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた血漿タンパク質レベルを決定することと、を含む方法に関する。
【0109】
上記態様のうちの1又は複数において、前記較正基準値は、抗凝固剤較正ピクセルパターンに対応する。上記態様のうちの1又は複数において、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた前記血漿タンパク質レベルを決定することは、前記抗凝固剤較正ピクセルパターンと既知のタンパク質レベルの流体のピクセルパターンとの間のピクセルシフトを決定することを含む。
【0110】
例示的な態様は、一体化されたキュベットを含む使い捨てチューブセットを体外血液処理装置に取り付けることと、ドナーの全血を前記使い捨てチューブセットに流体接続することと、抗凝固剤を含む抗凝固剤容器を前記使い捨てチューブセットのチューブに接続することと、前記抗凝固剤容器から前記チューブに沿って前記一体化されたキュベット内の空間に抗凝固剤をポンプで送り込むことと、前記体外血液処理装置に関連付けられた屈折計を動作させて、前記屈折計の光源から前記一体化されたキュベットの一部を通して前記一体化されたキュベット内の抗凝固剤に第1の光を放射することと、抗凝固剤からの前記第1の光の反射に対応する抗凝固剤の抗凝固剤較正ピクセルパターンを決定することと、前記ドナーから前記チューブに沿って前記一体化されたキュベット内の前記空間に全血を送ることと、前記体外血液処理装置に関連付けられた前記屈折計を動作させて、前記屈折計の前記光源から前記一体化されたキュベットの一部を通して前記一体化されたキュベット内の前記全血に第2の光を放射することと、前記全血からの前記第2の光の反射に対応する全血のための血漿タンパク質ピクセルパターンを決定することと、前記抗凝固剤較正ピクセルパターン及び前記血漿タンパク質ピクセルパターンに基づいて、前記一体化されたキュベット内の前記全血に関連付けられた血漿タンパク質レベルを決定することと、を含む方法に関する。
【0111】
上記態様のうちの1又は複数において、前記抗凝固剤較正ピクセルパターンは、前記屈折計のセンサのピクセル行番号にわたるピクセルの明るさのピクセルパターンに対応する。上記態様のうちの1又は複数において、前記センサは、前記抗凝固剤からの前記第1の光の反射及び前記全血からの前記第2の光の反射を受けることを含む。
【0112】
本明細書中に実質的に開示される上記態様/実施形態のうちのいずれか1つ以上。
【0113】
本明細書に実質的に開示される前記態様/実施形態のうちの任意の1つ以上は、任意選択で、本明細書に実質的に開示される他の態様/実施形態のうちの任意の1つ以上と組み合わされる。
【0114】
本明細書中に実質的に開示される上記態様/実施形態のうちのいずれか1つ以上を実行するように構成された1つ以上の手段。
【0115】
本明細書に開示される前記特徴のうちの任意の1つ以上。
【0116】
本明細書に実質的に開示される前記特徴のうちの任意の1つ以上。
【0117】
本明細書に実質的に開示される前記特徴のうちの任意の1つ以上は、本明細書に実質的に開示される他の特徴のうちの任意の1つ以上と組み合わされる。
【0118】
前記態様/特徴/実施形態のうちの任意の1つと、他の態様/特徴/実施形態のうちの任意の1つ以上との組み合わせ。
【0119】
本明細書に開示される前記態様又は特徴のうちの任意の1つ以上の使用。
【0120】
本明細書に記載される任意の特徴は、特徴が同じ記載の実施形態に由来するかどうかにかかわらず、本明細書に記載される任意の他の特徴(複数可)と組み合わせて特許請求され得ることが理解されるべきである。
【0121】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されよう。「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1又は複数の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0122】
「1つ(a)」又は「1つ(an)」+存在物という語は、1又は複数の該存在物を指す。従って、「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1つ以上(1又は複数)(1つ又は複数)」、及び、「少なくとも1つ」という用語は、本明細書中では置き換え可能に使用され得る。また、用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び、「有する(having)」は置き換え可能に使用できることにも留意すべきである。
【0123】
「少なくとも1つの」、「1つ以上(1又は複数)(1つ又は複数)」、及び、「及び/又は」という語句は、作用において接続的及び選言的のいずれでもある非制約的な表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ以上」、「A、B又はCのうちの1つ以上」、及び、「A、B、及び/又は、C」という表現のそれぞれは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又は、A、B及びCの全て、を意味する。上記の表現におけるA、B、及びCのそれぞれが、X、Y、及びZ等の1つの要素、又はX1~Xn、Y1~Ym、及びZ1~Zo等の複数の要素からなる1つのクラスを指す場合、その表現は、X、Y、及びZから選択される1つの要素、又は同じクラスから選択される複数の要素の組合せ(例えば、X1及びX2)、並びに2つ以上のクラスから選択される要素の組合せ(例えば、Y1及びZo)を指すことが意図される。
【0124】
本明細書で使用される「自動的」という用語及びその変形は、プロセス又は動作が実行されるときに、人による重要な(material)入力を伴うことなく行われる(通常は連続的又は半連続的な)任意のプロセス又は動作を指す。しかしながら、プロセス又は動作は、プロセス又は動作の実行が人の重要な又は重要でない入力を使用する場合であっても、その入力がプロセス又は動作の実行の前に受けられれば、自動的となり得る。人間の入力は、そのような入力がプロセス又は動作がどのように実行されるかに影響を及ぼす場合、重要であるとみなされる。プロセス又は動作の実行の承諾を意味する人間の入力は、「重要」であるとはみなされない。
【0125】
本明細書中で使用される「決定する」、「計算する」、及び、「演算する」という用語、並びに、その変形は、置き換え可能に使用されると共に、任意のタイプの方法論、プロセス、数学的演算、又は、技術を含む。
【0126】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(科学技術用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであることが理解されるであろう。
【0127】
本開示全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、あたかも、それよりも低い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、そのような低い数値限定を、代わるものとして、全て含むとみなされることを理解されたい。本開示全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、あたかも、それよりも大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、そのような大きい数値限定を、代わるものとして、全て含むものとみなされる。本開示全体を通して与えられる全ての数値範囲は、それよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように、そのような広い方の数値範囲内に入る、そのような狭い数値範囲を、全て含むとみなされる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13A
図13B
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
本開示は、一般には、屈折率測定に関し、特に、アフェレーシス中において流体サンプル成分含有量を決定するための方法及びシステムに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源及び光センサを含む屈折計を使用して流体サンプルの成分含有量を決定するための方法であって、該方法は、
既知の基準濃度を有する基準流体を含む容器の感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって、前記屈折計を較正するステップと、
前記流体サンプルが前記容器内に存在するときに、前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルのサンプルピクセルパターンを特定するステップと、
前記較正ピクセルパターンから前記サンプルピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定するステップと、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記流体サンプルの前記成分含有量を決定するステップと、
を有する、
成分含有量を決定するための方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記容器は、前記感知面を有するプリズムを含む、
方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記流体サンプルの前記成分含有量を決定する前記ステップは、さらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光センサによって生成される光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、行われる、
方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、
前記屈折計及び前記プリズムは、重力が前記流体サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記容器の上側に位置する、
方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
該方法は、前記サンプルピクセルパターンを特定する前記ステップ中に、前記容器を通る前記流体サンプルの流れを一時停止し、重力が前記容器の前記感知面から前記流体サンプルの赤血球を引き離すことを可能にするステップをさらに有する、
方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記基準流体は、抗凝固剤及び生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記容器は、一体化されたプリズムを含むキュベットであり、前記感知面は、前記一体化されたプリズムにある、
方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記容器はアフェレーシス装置に接続され、
該方法は、決定された前記成分含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記流体サンプルから流体成分を分離するステップをさらに有する、
方法。
【請求項9】
請求項記載の方法において、
前記流体サンプルは、血液サンプルである
方法。
【請求項10】
請求項記載の方法において、
前記成分含有量は、血漿タンパク質含有量、抗凝固剤含有量、生理食塩水含有量、又は液体含有量である
方法。
【請求項11】
流体サンプルの成分含有量を測定するためのシステムであって、該システムは、
光源と、
光センサと、
感知面を有するプリズムを含む容器と、
前記光源によって生成された光が前記感知面から前記光センサに反射するように、前記光源及び前記光センサに対して前記容器を保持するように構成された支持部材と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記支持部材によって支持された前記容器内に既知の基準濃度を有する基準流体が存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって前記システムを較正し、
前記流体サンプルが前記容器内に存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルのサンプルピクセルパターンを特定し、
前記較正ピクセルパターンから前記サンプルピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定し、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記流体サンプルの前記成分含有量を決定する、
システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記コントローラはさらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光源によって生成された光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、前記流体サンプルの前記成分含有量を決定する、
システム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記光源、前記光センサ、及び前記プリズムは、重力が前記流体サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記容器の上側に位置する、
システム。
【請求項14】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記基準流体は、抗凝固剤及び生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項15】
請求項11記載のシステムにおいて、
該システムは、アフェレーシス装置をさらに備え、
前記コントローラは、決定された前記成分含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記流体サンプルから流体成分を分離する、
システム。
【請求項16】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記光源からの光は、370nm~470nmの範囲の波長を有する、
システム。
【請求項17】
アフェレーシスシステムであって、該アフェレーシスシステムは、
流体サンプルから流体成分を分離するように構成されたアフェレーシス装置と、
前記流体サンプルの成分含有量を測定するように構成された屈折計と、
コントローラと、
を備え、
該屈折計は、
光源と、
光センサと、
感知面を有するプリズムを含むキュベットと、
前記光源によって生成された光が前記感知面から前記光センサに反射するように、前記光源及び前記光センサに対して前記キュベットを保持するように構成された支持部材と、
備え、
前記コントローラは、
前記支持部材によって支持された前記キュベット内に既知の基準濃度を有する基準流体が存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第1のピクセルの較正ピクセルパターンを特定することによって前記屈折計を較正し、
前記流体サンプルが前記キュベット内に存在するときに前記感知面から反射した前記光源からの光によって照射された前記光センサの第2のピクセルのサンプルピクセルパターンを特定し、
前記較正ピクセルパターンから前記サンプルピクセルパターンまでの前記光センサに沿ったピクセルシフト距離を特定し、
前記ピクセルシフト距離に基づいて前記流体サンプルの前記成分含有量を決定し、
決定された前記成分含有量が所定の範囲内にあるとき、前記アフェレーシス装置を動作させて、前記流体サンプルから前記流体成分を分離する、
アフェレーシスシステム。
【請求項18】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記コントローラはさらに、前記基準流体の前記既知の基準濃度、前記光センサによって生成された光の波長、前記光センサの分解能、及び前記プリズムの光学特性に基づいて、前記流体サンプルの前記成分含有量を決定する、
アフェレーシスシステム。
【請求項19】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記光源、前記光センサ、及び前記プリズムは、重力が前記流体サンプルの赤血球を前記感知面から引き離すように、前記キュベットの上側に位置する、
アフェレーシスシステム。
【請求項20】
請求項17記載のアフェレーシスシステムにおいて、
前記コントローラは、前記サンプルピクセルパターンを特定するとき、前記キュベットを通る前記流体サンプルの流れを一時停止する、
アフェレーシスシステム。
【国際調査報告】