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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】他励式同期機
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/12 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H02K19/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523702
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022079273
(87)【国際公開番号】W WO2023072736
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212148.9
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレル トルステン
(72)【発明者】
【氏名】コズロウスキー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】トパロフ ペンヨ
(72)【発明者】
【氏名】ズィマーシート フィリップ
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619BB10
5H619BB13
5H619PP13
5H619PP36
(57)【要約】
本発明は、誘導エネルギー伝送のための回転変圧器(1)を持つシステム(0)に関し、変圧器1次コイル(3)を持つ回転変圧器固定子(2)と、変圧器2次コイル(5)を持つ回転変圧器回転子(4)とを備える。変圧器1次コイル(3)と変圧器2次コイル(5)とは、変圧器2次コイル(5)に変圧器電圧を誘導するために、動作中に相互作用する。システム(0)の改善された動作は、動作信号を誘導的に伝送するための信号伝送装置(20)によって達成され、信号伝送装置(20)は回転子信号コイル(21)を有し、回転子信号コイルは、回転変圧器回転子(4)に回転方向に固定され、変圧器1次コイル(3)から電気的に絶縁され、固定子信号コイル(22)は、回転変圧器固定子(2)に対して静止しており、変圧器1次コイル(3)から電気的に絶縁されている。回転子信号コイル(21)と固定子信号コイル(22)とは、動作信号を伝送するために、プロセスにおいて相互作用する。本発明は、このようなシステム(0)を備える他励式同期機(100)、このような他励式同期機(100)を備える自動車(200)、及び走行用モーター(120)としてこのような他励式同期機(100)を使用する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記他励式同期機は、誘導エネルギー伝送のための回転変圧器(1)を有するシステム(0)であって、
前記回転変圧器(1)は、変圧器1次コイル(3)を備えた回転変圧器固定子(2)を有し、
前記回転変圧器(1)は、動作中に、軸方向に延びている回転軸(90)の周りを、前記回転変圧器固定子(2)に対して回転し、変圧器2次コイル(5)を備えた回転変圧器回転子(4)を有し、
前記変圧器2次コイル(5)及び前記変圧器1次コイル(3)は、前記変圧器2次コイル(5)において変圧器電圧を発生するために、動作中に、誘導的に相互作用し、
前記システム(0)は、動作信号を、前記回転変圧器回転子(4)へ伝送するための信号伝送装置(20)を有し、
前記信号伝送装置(20)は、前記回転変圧器回転子(4)に対して回転方向に固定された回転子信号コイル(21)を有し、前記信号伝送装置は、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している固定子信号コイル(22)を有し、前記回転子信号コイル及び前記固定子信号コイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用し、
前記固定子信号コイル(22)は、前記変圧器1次コイル(3)から電気的に絶縁されており、前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器2次コイル(5)から電気的に絶縁されている、
システム(0)。
【請求項2】
動作中に、前記信号伝送装置(20)は、前記回転変圧器(1)より低い周波数で動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転変圧器回転子(4)は、前記変圧器2次コイル(5)が設けられた回路基板(8)を有する、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記変圧器2次コイル(5)は、少なくとも1つの、前記回路基板(8)の変圧器導体路(9)を有する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記回転子信号コイル(21)は、少なくとも1つの、前記回路基板(8)の信号導体路(23)を有する、
請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器2次コイル(5)に対して、半径方向に間隔を空けて配置されている、
請求項1-5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記信号伝送装置(20)は、前記回転子信号コイル(21)によって受信された動作信号を処理するための、前記回転変圧器回転子(4)に対して回転方向に固定された回転子信号ユニット(24a)を有し、前記回転子信号ユニットは、前記回転子信号コイル(21)の下流にあり、
前記回転子信号コイル(21)と前記回転子信号ユニット(24a)との間には、前記回転子信号コイル(21)によって受信された前記動作信号をフィルタリングするための電気フィルター(25a)が接続されている、
請求項1-6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記信号伝送装置(20)は、前記固定子信号コイル(22)によって受信された動作信号を処理するための、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している固定子信号ユニット(24b)を有し、前記固定子信号ユニットは、前記固定子信号コイル(22)の下流にあり、
前記固定子信号コイル(22)と前記固定子信号ユニット(24b)との間には、前記固定子信号コイル(22)によって受信された前記動作信号をフィルタリングするための電気フィルター(25b)が接続されている、
請求項1-7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記変圧器2次コイル(5)及び前記変圧器1次コイル(3)は、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している変圧器磁心(12)に配置されている、
請求項1-8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記固定子信号コイル(22)及び前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器磁心(12)に配置されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記固定子信号コイル(22)及び前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器磁心(12)に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心(26)に配置されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記回転変圧器回転子(4)は、前記変圧器2次コイル(5)の下流に、整流回路(6)を有する、
請求項1-11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
他励式同期機(100)であって、
前記他励式同期機は、回転子シャフト(102)を有した回転子(101)と、前記回転子シャフト(102)に回転方向に固定されて設けられた回転子コイル(103)とを備え、前記回転子コイルは、動作中に回転子磁界を発生し、
前記他励式同期機は、固定子(104)に対して静止している固定子コイル(105)を有する前記固定子(104)を備え、前記固定子コイルは、動作中に固定子磁界を発生し、前記固定子磁界は、動作中に、前記回転子(101)が軸方向の回転軸(90)の周りを回転するように、前記回転子磁界と相互作用し、
前記他励式同期機は、請求項1-12のいずれか1項に記載のシステム(0)を備え、
前記回転変圧器固定子(2)は、前記固定子(104)に対して静止しており、
前記回転変圧器回転子(4)は、回転方向に固定されて前記回転子(101)に配置され、
前記回転子磁界を発生するための直流電圧が前記回転子コイル(103)に供給されるように、前記回転子コイル(103)は、前記変圧器2次コイル(5)に接続される、
他励式同期機(100)。
【請求項14】
請求項13に記載の他励式同期機(100)と電気エネルギー源(201)とを備えた自動車(200)であって、
前記電気エネルギー源(201)は、インバーター回路(7)を介して、前記変圧器1次コイル(3)に接続されている、
自動車(200)。
【請求項15】
走行用モーター(120)としての、請求項13に記載の他励式同期機(100)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導エネルギー伝送のための回転変圧器、特に他励式同期機を持つシステムに関する。加えて、本発明は、このようなシステムを持つ他励式同期機に関する。加えて、本発明は、このような同期機を持つ自動車に関する。本発明は、さらに、走行用モーターとしての、そのような他励式同期機の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転変圧器は、誘導エネルギー伝送のために用いられる。この目的のため、回転変圧器は、1次コイルと2次コイルとを有する。1次コイルは、通常は静止しているのに対して、2次コイルは、1次コイルに対して移動可能、特に回転可能である。この目的のため、このような回転変圧器は、静止している固定子と、回転軸の周りを、固定子に対して回転可能な回転子とを、通常は備える。回転変圧器の固定子は、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれ、1次コイルを通常は有し、1次コイルは、以下で、変圧器1次コイルとも呼ばれる。回転変圧器の回転子は、以下で回転変圧器回転子とも呼ばれ、通常は2次コイルを有し、2次コイルは、以下で、変圧器2次コイルとも呼ばれる。
【0003】
このような回転変圧器は、特に他励式同期機に用いられる。この他励式同期機は、固定子と、動作中に、回転軸の周りを、固定子に対して回転する回転子とを有し、これらは、以下で、回転変圧器固定子及び回転変圧器回転子とも呼ばれる。そうすることで、回転子の回転子磁界と固定子の固定子磁界とは相互作用する。他励式同期機において、回転子の必要とされる回転子磁界は外部から励起される。この目的のため、一般に回転子は回転子コイルを有し、この回転子コイルには、磁界を発生する直流が供給される。回転子コイルの供給は、回転変圧器によって行われ得る。
【0004】
回転変圧器を持つこのような同期電動機は、例えばFP 2 869 316 B1から知られている。動作中、変圧器1次コイルは、電圧を変圧器2次コイルに誘導する。
【0005】
通常は、所望の電圧が変圧器2次コイルに誘導されるように、回転変圧器固定子と回転変圧器回転子とは互いに調整されている。よって、この調整の変化は、誘導された電圧の偏りを引き起こす。さらに、誘導された電圧の、特に回転子コイルを流れる電流の所望の、又は必要な変化は、よって、実現され得ないか、又は容易には実現されない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、導入部において言及された型の回転変圧器を持つシステムについて、このような回転変圧器を持つ他励式同期機について、及びこのような同期機を持つ自動車について、先行技術から知られている解決策の欠点を解消する、改善された又は少なくとも異なる実施形態を示すという課題に関する。特に、本発明は、システムについて、他励式同期機について、及び自動車について、向上した動作中の安定性によって特徴づけられた実施形態を示すという課題に関する。
【0007】
この問題は、独立請求項の主題によって、本発明に従って解決される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、他励式同期機における、回転変圧器を持つシステムと、回転変圧器での誘導信号伝送とを提供することの一般的な思想にこのように基づき、このシステムによって、回転変圧器の回転子を用いて、回転変圧器及び/又は他励式同期機の動作信号は伝送され、特にやり取りされ得る。その結果、回転変圧器において、特に回転変圧器の回転子において、動作信号を、例えば動作状態を提供することが、又はこれらを回転子からそれぞれに伝送することが、容易な、かつ効果的な方法で可能である。特に、動作中に固定子に対して回転する回転子の間の有線信号伝送は、このように省略され得る。その結果、回転変圧器及び関連する応用例の動作は、前記動作状態に応じて、単純な方法で適応させられ得て、動作中の外乱は簡略化された方法で検出され得る。この結果、回転変圧器及び/又は関連する応用例の動作中の安定性が改善される。この誘導信号伝送は、回転変圧器において、誘導エネルギー伝送のために、ここで追加的に用いられる。
【0009】
本発明の思想に従って、システムは回転変圧器を備える。誘導エネルギー伝送のために、回転変圧器は、1次コイルと2次コイルとを有し、これらは、以下で、変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルとも呼ばれる。加えて、回転変圧器は、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれる静止している固定子と、以下で、回転変圧器回転子とも呼ばれる回転子とを有する。
【0010】
回転変圧器固定子は変圧器1次コイルを有する。回転変圧器回転子は変圧器2次コイルを有する。回転変圧器回転子は、軸方向に延びている回転軸の周りを、回転変圧器固定子に対して回転可能である。動作中に、回転変圧器回転子は、よって、この回転軸の周りを、回転変圧器固定子に対して回転する。誘導エネルギー伝送のために、よって動作中に、変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルは、変圧器2次コイルにおいて電圧を発生するために、誘導的に相互作用し、この電圧は、以下で、変圧器電圧とも呼ばれる。さらに、システムは、動作信号を、回転変圧器回転子へ誘導伝送するための信号伝送装置を有する。この信号伝送装置は、回転変圧器回転子に対して回転方向に固定されたコイルを有し、このコイルは、以下で、回転子信号コイルとも呼ばれる。信号伝送装置は、加えて、回転変圧器固定子に対して静止しているコイルを有し、このコイルは、以下で、固定子信号コイルとも呼ばれる。固定子信号コイル及び回転子信号コイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用する。ここで、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから電気的に絶縁されている。加えて、回転子信号コイルは、変圧器2次コイルから電気的に絶縁されている。
【0011】
ここで示される方向は、軸方向に延びている回転軸に関する。したがって、「軸方向」とは、回転軸に対して平行であり、特に同軸である。さらに、「半径方向」とは、回転軸に対して横方向である。
【0012】
変圧器2次コイル及び変圧器1次コイルは、好適には、軸方向に対向して配置される。変圧器2次コイル及び変圧器1次コイルを、半径方向に隣接するように、特に対向して配置することも考えられる。
【0013】
好適には、固定子信号コイル及び回転子信号コイルは、軸方向に対向して配置される。固定子信号コイル及び回転子信号コイルを、半径方向に隣接するように、特に対向して配置することも考えられる。
【0014】
好適には、回転子信号コイルは、変圧器2次コイルから間隔が空けられている。回転子信号コイルは、好ましくは、回転子2次コイルから半径方向に、好適には半径方向内側に間隔が空けられている。好適には、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから間隔が空けられている。好ましくは、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから半径方向に、好適には半径方向内側に間隔が空けられている。変圧器コイル、すなわち変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルと、信号コイルとの間の結合は、このように防がれるか、又は少なくとも低減される。
【0015】
好適には、変圧器2次コイルは、回転軸を取り囲むように、特に螺旋状のように延びる。特に、変圧器2次コイルは、平面巻線として構成される。
【0016】
好適には、回転子信号コイルは、回転軸を取り囲むように、特に円形又は螺旋状のように延びる。
【0017】
好適には、変圧器1次コイルは回転軸を取り囲むように延びる。特に、変圧器1次コイルは、フラットコイルとして構成される。
【0018】
好適には、一方では、変圧器1次コイルの変圧器2次コイルとの誘導的な相互作用は、他方では、固定子信号コイルの回転子信号コイルとの誘導的な相互作用は、それぞれ異なる周波数で実現される。よって、特に誘導的な相互作用の相互の影響は、防がれるか、又は少なくとも低減される。
【0019】
信号伝送は、好ましくは、変圧器電圧を誘導するための誘導エネルギー伝送よりも高い周波数で実施される。誘導エネルギー伝送は、よって低い周波数及び高い出力で動作され得て、信号伝送は、高い周波数及び低い出力で動作され得る。その結果、このシステムは、高い出力で効果的に動作し、同時に、信頼性のある効率的な信号伝送が達成される。
【0020】
固定子信号コイルは、好ましくは、回転変圧器固定子に固定して配置される。よって、動作中に、動作信号は、信号伝送装置によって、回転変圧器回転子と回転変圧器固定子との間で伝送される。
【0021】
変圧器2次コイルが、回転軸を取り囲み、軸方向に平坦なように構成されている実施形態が好ましい。
【0022】
回転変圧器回転子が、変圧器2次コイルが設けられた回路基板を有する実施形態が有利である。よって、回転変圧器回転子の簡単な構成と、変圧器2次コイルの簡単、かつ正確な取り付け及び配置とがもたらされる。
【0023】
変圧器2次コイルをキャストコイルとして具体化することも考えられる。
【0024】
変圧器2次コイルが、少なくとも1つの、回路基板の導体路を有する実施形態が好ましく、それは以下で、変圧器導体路とも呼ばれる。このことは、回転変圧器の、簡略化された構成及び生産につながる。さらに、変圧器2次コイルは、簡略化されたこのような方法で構成され、及び/又は力学的に安定させられる。
【0025】
もし変圧器2次コイルが、少なくとも1つの、回路基板の変圧器導体路によって形成され、したがって、少なくとも1つの、回路基板の変圧器導体路から構成されるなら、ここでは特に好ましい。
【0026】
この回路基板は、好適には、軸方向に平坦なように構成される。回路基板は、このように省スペース化され、重量が減少させられる。
【0027】
特に好ましくは、回路基板は、軸方向の上面視において、例えば円板、又はリングとして構成される。
【0028】
回転子信号コイルが少なくとも1つの、回路基板の導体路を有する実施形態が有利であると考えられ、これは、少なくとも1つの変圧器導体路と区別するために、以下で、信号導体路とも呼ばれる。このことは、回転子信号コイルが、少なくとも1つの、回路基板の導体路も有し、変圧器2次コイルから電気的に絶縁されていることを意味する。このことは、回転変圧器の簡略化された生産と、回転子信号コイルの正確な配置とにつながる。
【0029】
回転子信号コイルは、好ましくは、少なくとも1つの、回路基板の信号導体路によって形成される。したがって、回転子信号コイルは、少なくとも1つの信号導体路から構成される。回転子信号コイルは、簡略化された方法でこのように構成され、正確に配置可能な、及び/又は力学的な方法で安定化される。
【0030】
少なくとも1つの、変圧器導体路及び/又は信号導体路のそれぞれは、回路基板に配置され得る、その結果、外部から視覚的に認識され得るか、又は回路基板に取り囲まれ得る、その結果、外部から視覚的に認識されない。当然、少なくとも1つの導体路が回路基板に配置される、及び少なくとも1つの導体路が回路基板内に配置されるどちらの実施形態も可能である。したがって、回路基板は、特に「多層回路基板」として当業者に知られた回路基板として構成され得る。
【0031】
変圧器2次コイルは、互いに軸方向に間隔を空けた、少なくとも2つの変圧器導体路を有し得る。好ましくは、ここで、変圧器導体路は、互いに平行に延びる。
【0032】
少なくとも1つの変圧器導体路が回路基板に配置され、少なくとも1つの変圧器導体路が回路基板内に配置される実施形態が考えられる。
【0033】
信号伝送装置は、好適には、回転子信号コイルによって受信された動作信号を処理するための、回転変圧器回転子に回転方向に固定されたユニットを有し、それは以下で、回転子信号ユニットとも呼ばれる。この回転子信号ユニットは、回転子信号コイルの受信方向における下流にある。
【0034】
回転子信号コイルと回転子信号ユニットとの間に、回転子信号コイルによって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルターが接続される実施形態が有利である。よって、特に、生じる可能性のある動作信号の外乱は、例えば、変圧器コイルによって引き起こされ得るが、除去される。その結果、信号伝送の品質の向上、及び/又は回転変圧器の動作安定性の改善がもたらされる。
【0035】
回転子信号ユニット及び/又はフィルターは、好ましくは、回路基板に設けられる。
【0036】
信号伝送装置は、好適には、固定子信号コイルによって受信された動作信号を処理するためのユニットを有し、それは以下で固定子信号ユニットとも呼ばれる。固定子信号ユニットは、回転変圧器固定子に対して固定され、よって静止している。固定子信号ユニットは、受信方向において固定子信号コイルの下流にある。
【0037】
好適には、固定子信号コイルと固定子信号ユニットとの間に、固定子信号コイルによって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルターが接続される。よって、特に、生じる可能性のある、動作信号の外乱は、例えば、変圧器コイルによって引き起こされ得るが、除去される。その結果、信号伝送の品質の向上、及び/又は回転変圧器の動作安定性の改善がもたらされる。
【0038】
好適には、少なくとも1つの信号ユニット、好ましくはそれぞれの信号ユニットは、動作信号及び/又は少なくとも1つの動作状態を含む信号を生成するためにも構成される。このことは、好適には、少なくとも1つの信号ユニット、好ましくはそれぞれの信号ユニットが、関連付けられた信号コイルによって動作信号を送信するために構成されることも意味する。
【0039】
変圧器コイルが、回転変圧器固定子に対して静止している磁心に配置される実施形態が好ましい。よって、互いの変圧器コイルの誘導的な相互作用の改善がもたらされる。この磁心は、以下で、変圧器磁心とも呼ばれ、基本的に、任意の所望の方法で構成され得る。特に、磁心はフェライト体に関係する。
【0040】
好適には、変圧器磁心は、変圧器1次コイルのための、軸方向に開口した凹部を有する。
【0041】
好適には、変圧器磁心は半径方向に開口しており、その結果、変圧器2次コイル、特に回路基板は、変圧器磁心の中に貫通し、変圧器磁心の中で回転可能である。
【0042】
固定子信号コイル及び/又は回転子信号コイルを、変圧器磁心の中に配置することも考えられる。ここで、回転子信号コイルは、変圧器磁心の中に、回転可能に適切に配置される。よって、回転変圧器の簡単な構成がもたらされる。
【0043】
固定子信号コイル及び回転子信号コイルを、変圧器磁心に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心に配置することが考えられる。よって、信号コイルの変圧器コイルとの電磁結合は、防がれるか、又は少なくとも低減される。このようにして、動作信号の伝送の改善と、動作信号の外乱の低減とがもたらされる。
【0044】
好適には、信号磁心は静止しており、すなわち、回転変圧器固定子に対して静止している。
【0045】
信号磁心は、任意の所望の磁心にも関係し得る。特に、信号磁心はフェライト体である。
【0046】
好適には、信号磁心は、変圧器磁心に対して半径方向内側に間隔を空けて配置される。好ましくは、ここで信号磁心は、半径方向のダクトを有し、回路基板は、ダクトを通して半径方向に向けられる。
【0047】
システムは、整流回路を、変圧器2次コイルの下流に有し得る。よって、変圧器2次コイルに交流電圧として誘導された変圧器電圧は、直流電圧に変換され、関連付けられた応用例に使用可能にされ得る。
【0048】
システムは、インバーター回路を、変圧器1次コイルの上流に有し得る。よって、動作中に必要とされる、変圧器1次コイルのための交流電圧は、直流電圧を提供する電気エネルギー源から生じる。
【0049】
システムは、基本的に、誘導エネルギー伝送のための、任意の所望の応用例に用いられ得る。
【0050】
誘導エネルギー伝送のためのシステムの回転変圧器は、好ましくは、他励式同期機に、特に他励式電気同期電動機に用いられる。
【0051】
同期機は、回転子シャフトを持つ回転子を有し、この回転子は、以下で、回転変圧器回転子とも呼ばれる。回転変圧器回転子は、回転子シャフトに回転方向に固定して設けられた、少なくとも1つのコイルを有し、これは、以下で、回転子コイルとも呼ばれる。動作中、直流電圧を、具体的には直流を供給している時に、少なくとも1つの回転子コイルは、以下で、回転子磁界とも呼ばれる磁界を発生する。同期機は、さらに、静止している固定子を有し、それは、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれる。回転変圧器固定子は、以下で、固定子コイルとも呼ばれる、少なくとも1つのコイルを有する。動作中、少なくとも1つの固定子コイルは、以下で、固定子磁界とも呼ばれる磁界を発生する。同期機の動作中、回転変圧器回転子が軸方向の回転軸の周りを回転するように、固定子磁界は回転子磁界と相互作用する。ここで、回転変圧器固定子は、固定子に対して静止している。加えて、回転変圧器回転子は、回転子に回転方向に固定して設けられる。特に、回転変圧器回転子は、回転方向に固定して、回転子シャフトに接続される。回転子磁界を発生するために、動作中、少なくとも1つの回転子コイルは、直流電圧を、つまりそれぞれに直流を供給されるように、少なくとも1つの回転子コイルは、変圧器2次コイルに接続される。この目的のため、好適には、整流回路が、変圧器2次コイルと少なくとも1つの回転子コイルとの間に接続される。上述のその整流回路は、システムの構成部分であり得る。
【0052】
好ましくは、回転変圧器、特に回転変圧器回転子は、回転子の軸方向正面に配置される。特に好ましくは、回転変圧器は、回転子コイル及び/又は固定子コイルに対して間隔を空けて配置される。よって、回転変圧器と、回転子磁界及び/又は固定子磁界との間の、望ましくない相互作用が、防がれること、又は少なくとも低減されることがもたらされる。
【0053】
動作信号は、回転変圧器及び/又は関連付けられた応用例の動作状態に関する、特に同期機に関する情報を適宜に含む。それぞれの動作状態は、例えば、少なくとも1つの回転子コイルに印加される電圧、及び/又は少なくとも1つの回転子コイルを流れる電流に関係し得る。動作信号は、同様に、回転変圧器回転子及び/又は回転子における、保護回路のためのトリガー回路であり得る。同様に、動作信号は、例えば、少なくとも1つの回転子コイルの少なくとも1つの温度であり得る。当然、2つ以上の動作状態を、動作信号で伝送することもあり得る。
【0054】
変圧器1次コイルに必要とされる交流電圧は、任意の所望の電気エネルギー源から生じ得る。
【0055】
特に、電力エネルギー源が直流電圧を提供することが考えられる。特に、この電気エネルギー源は、バッテリーに関係し得る。ここで、適切に、インバーター回路がエネルギー源と変圧器1次コイルとの間に設けられ、このインバーター回路は、直流電圧を、必要とされる交流電圧に変換する。上述のこのインバーター回路は、ここで、回転変圧器の構成部分であり得る。
【0056】
同期機は、基本的に、任意の所望の応用例で用いられ得る。
【0057】
特に、同期機は走行用モーターとして用いられ得る。
【0058】
同期機は、特に、エネルギー源としてバッテリーを備え得る自動車で使用される。ここで、同期機は、特に、自動車の駆動のために機能し、したがって自動車の走行用モーターである。好ましくは、本発明に係る走行用モーターは、100kW-240kW、具体的には140kWの出力又はそれぞれに駆動力を有する。
【0059】
走行用モーターは、好適には、100kW-240kW、具体的には140kWの性能を発揮する。
【0060】
回転変圧器に加えて、他励式同期機及び自動車のそれぞれも、本発明の範囲に属することは理解されたい。
【0061】
さらに、本発明の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面の助けにより、関連付けられた図面の説明から明らかになるだろう。
【0062】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述された特徴及び以下でさらに説明される特徴が、それぞれに表された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ、又は単独で用いられ得ることは理解されたい。
【0063】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の記述においてより詳細に説明され、同一の参照番号は、同一の、類似の、又は機能的に同一の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
それぞれに、概略図が示される。
図1図1は、自動車において、回転変圧器を備えるシステムを持つ他励式同期機の、非常に簡略化された回路図である。
図2図2は、回転変圧器の断面図である。
図3図3は、別の例示的な実施形態における、回転変圧器の断面図である。
図4図4は、回転変圧器を持つ他励式同期機の回転子の、部分断面図の等角図である。
図5図5は、他励式同期機の非常に簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
例えば図1図4に示されるように、システム0は、誘導エネルギー伝送器としての回転変圧器1を有する。システム0は、図1-5に示されるように、他励式同期機100において使用され得る。図1において非常に簡略化して示されているように、システム及び/又は同期機100は、自動車200で使用され得る。他励式同期機100は、特に自動車200を駆動するための、同期電動機110として使用され得る。他励式同期機100は、したがって、特に走行用モーター120として使用され得る。このため、走行用モーター120は、例えば、100kW-240kW、具体的には140kWの性能を発揮し得る。
【0066】
図1図4から分かるように、回転変圧器1は、固定子2及び回転子4を有する。固定子2は、以下で、回転変圧器固定子2と呼ばれる。回転子4は、以下で、回転変圧器回転子4と呼ばれる。回転変圧器回転子4は、軸方向に延びている回転軸90の周りを、回転変圧器固定子2に対して回転可能である。動作中、回転変圧器回転子4は、したがって、回転軸90の周りを、回転変圧器固定子2に対して回転する。誘導エネルギー伝送のために、回転変圧器固定子2は1次コイル3を有し、回転変圧器回転子4は2次コイル5を有する。1次コイル3及び2次コイル5は、図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態において、軸方向に対向して配置される。動作中、以下で変圧器1次コイル3とも呼ばれる1次コイル3は、以下で変圧器2次コイル5と呼ばれる2次コイル5に、交流電圧を誘導し、それは、以下で変圧器電圧とも呼ばれる。
【0067】
ここで示される方向は、回転軸90を指す。したがって、「軸方向」とは、回転軸に対して平行である。さらに、「半径方向」とは、回転軸90に対して横方向である。
【0068】
以下で同期機100とも略される他励式同期機100は、特に図4図5から分かるように、回転子101を有する。回転子101は、以下で、回転変圧器回転子101とも呼ばれる。回転変圧器回転子101は、回転子シャフト102と、回転子シャフト102に回転方向に固定して設けられた、少なくとも1つのコイル103とを有する(図1を参照)。コイル103は、以下で、回転子コイル103とも呼ばれる。回転子コイル103は、図1では、インダクタンス及びオーム抵抗として表される。回転変圧器回転子101は、2つ以上の回転子コイル103も有し得るが、以下では簡単のために、1つの回転子コイル103が想定される。動作中、回転子コイル103は磁界を発生し、それは以下で、回転子磁界とも呼ばれる。同期機100は、図5で簡略化して示されるように、さらに、固定子104を有し、それは以下で回転変圧器固定子104とも呼ばれる。加えて、同期機100は、固定子104に対して静止している、少なくとも1つのコイル105を有し(図5を参照)、それは以下で、固定子コイル105とも呼ばれる。動作中、少なくとも1つの固定子コイル105は磁界を発生し、それは以下で固定子磁界とも呼ばれる。ここで、動作中に、回転子101が回転軸90の周りを回転するように、固定子磁界と回転子磁界とは相互作用する。回転子磁界を発生するために、回転子101、具体的には回転子コイル103は、直流電圧を必要とする。示される例示的な実施形態では、この直流電圧は、変圧器2次コイル5によって、例えば、回転変圧器1によって、回転子コイル103に供給される。この目的のために、図1から分かるように、整流回路6は、変圧器2次コイル5と回転子コイル103との間で接続され、この整流回路は、変圧器電圧を直流電圧に変換する。加えて、この目的のために、図2図4から分かるように、回転変圧器回転子4は、回転子シャフト102に、例えば、回転子101に回転方向に固定されて配置される。回転変圧器回転子4は、よって、動作中、回転軸90の周りを回転子シャフト102とともに回転し、その結果、回転子101とともに回転する。加えて、回転変圧器固定子2は、固定子104に対して固定されているので、それは静止している。整流回路6は、システム0の構成部分であり得て、回転変圧器回転子4に回転方向に固定され得る。
【0069】
さらに図4から特に分かるように、示される例示的な実施形態では、回転変圧器1は、回転子101の軸方向正面に配置され、回転子コイル103及び固定子コイル105に対して間隔を空けて配置される。
【0070】
変圧器電圧を変圧器2次コイル5に誘導するために、変圧器1次コイル3は、交流電圧を必要とする。図1から分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3は、直流電圧を提供する電気エネルギー源201によって提供される。示されている例示的な実施形態におけるエネルギー源201は、自動車200のバッテリー202に関する。変圧器1次コイル3に交流電圧を供給するために、インバーター回路7が、エネルギー源201と変圧器1次コイル3との間に設けられる。インバーター回路7は、エネルギー源201の直流電圧を、変圧器1次コイル3のために交流電圧に変換する。ここで、インバーター回路7はインバーターを備えることが考えられる。
【0071】
図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態における回転変圧器回転子4は、変圧器2次コイル5が設けられた回路基板8を有する。回路基板8は円板形状のように構成されており、円形の形状を有するので、円板又はそれぞれリングのように構成される。示されている例示的な実施形態では、変圧器2次コイル5は、少なくとも1つの、回路基板8の導体路9を有し、それは以下で、変圧器導体路9とも呼ばれる。示されている例示的な実施形態では、変圧器2次コイル5は、少なくとも1つの変圧器導体路9からなり、平面巻線10として構成される。ここで、図2及び図3から分かるように、示されている例示的な実施形態における回路基板8は、互いに軸方向に間隔が空けられた、2つの変圧器導体路9を有し、それは、螺旋状のように回転軸90を取り囲む。加えて、示されている例示的な実施形態では、少なくとも1つの変圧器導体路9は、完全に回路基板8内に配置される。
【0072】
示される例示的な実施形態における、回転子シャフト102の、回転変圧器回転子4への回転方向に固定された接続は、図2図4から分かるように、回路基板8における中央開口部14を介して実現され、この中央開口部を通って、回転子シャフト102が係合する。
【0073】
図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3は、フラットコイル11として構成される。図2図4からさらに分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3及び変圧器2次コイル5は、回転変圧器固定子2に対して静止している、磁心12、特にフェライトコア13に配置される。磁心12は、以下で、変圧器磁心12とも呼ばれる。変圧器磁心12は半径方向内側に開口しており、その結果、変圧器2次コイル5を備えた回路基板9は、変圧器磁心12内に貫通し、そこで回転可能に配置される。加えて、変圧器磁心12は、軸方向に開口した凹部15を有し、この凹部に、変圧器1次コイル3が配置される。
【0074】
図1に示されている例示的な実施形態では、整流回路6は、単に一例として、4つのダイオードDa-dを備えたブリッジ整流器16として構成される。加えて、インバーター回路7は、単に一例として、フルブリッジインバーター17として構成され、それは、4つのトランジスタTa-dと、トランジスタTa-dのための2つの駆動回路Sa,Sbとを有する。
【0075】
図1から分かるように、システム0は、動作信号を回転変圧器回転子4へ伝送するための信号伝送装置20を有する。この目的のために、信号伝送装置20は、回転変圧器回転子4に回転方向に固定されているコイル21と、回転変圧器固定子2に対して静止しているコイル22とを有し、これらのコイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用する。コイル21は、以下で、回転子信号コイル21とも呼ばれる。コイル22は、以下で、固定子信号コイル22とも呼ばれる。ここで、変圧器1次コイル3は、固定子信号コイル22から電気的に絶縁されており、回転子信号コイル21は、変圧器2次コイル5から電気的に絶縁されている。示されている例示的な実施形態では、回転子信号コイル21及び固定子信号コイル22は、軸方向に対向して配置される。
【0076】
示されている例示的な実施形態では、信号伝送装置20は、回転変圧器回転子4と回転変圧器固定子3との間の、動作信号の伝送のために機能する。回転子信号コイル21に、具体的には、回転変圧器回転子4に動作信号を伝送するために、固定子信号コイル22は、よって、回転子信号コイル21に交流電圧を誘導する。固定子信号コイル22に、具体的には、回転変圧器固定子3、つまり固定子3に動作信号を伝送するために、回転子信号コイル21は、固定子信号コイル22に交流電圧を誘導する。それぞれ誘導された交流電圧は、以下で、信号電圧とも呼ばれる。信号電圧は、したがって、それぞれ動作信号を含み、特に動作信号に対応する。もちろん、いくつかの動作信号は、一緒に、又は連続して伝送もされ得る。
【0077】
動作信号によって、特に、回転変圧器1を同期機100の必要条件に適合させることが可能である。特に、回転子磁界は、よって、より正確に変更され得て、及び/又はより正確に適合され得る。同様に、動作信号によって、同期機100及び/又は回転変圧器1の診断値が伝送され得るので、同期機100及び/又は回転変圧器1の動作が向上され得る。それぞれの動作信号は、特に、回転子コイル105に印加される電圧及び/又は回転子コイル105を流れる電流に関係し得る。動作信号は、同様に、回転変圧器回転子4及び/又は回転子101における、保護回路(不図示)のためのトリガー回路であり得て、及び/又は、例えば回転子コイル103の温度であり得る。
【0078】
図2及び図3から分かるように、回転子信号コイル21は、少なくとも1つの、回路基板8の導体路23を有し得て、それは以下で、信号導体路23とも呼ばれる。少なくとも1つの信号導体路23は、少なくとも1つの変圧器導体路9から、電気的に絶縁されている。信号導体路23は、特に、回転軸90を取り囲む円形又は螺旋状のように延びてもよい。特に、回転子信号コイル21は、少なくとも1つの、回路基板8の信号導体路23によって形成される。ここで、図2及び図3の例示的な実施形態における回転子信号コイル21は、例として、単一の、そのような信号導体路23を有する。図2及び図3に示される例示的な実施形態では、信号導体路23は、完全に回路基板8内に配置される。
【0079】
特に図2及び図3から分かるように、示されている例示的な実施形態における回転子信号コイル21は、回転子2次コイル5に対して、半径方向に間隔が空けられている。示されている例示的な実施形態では、回転子信号コイル21は、回転子2次コイル5に対して、半径方向内側にずらして配置される。したがって、固定子信号コイル22も、示されている例示的な実施形態では、変圧器1次コイル3に対して、半径方向に間隔が空けられ、半径方向内側にずらして配置される。
【0080】
図1から分かるように、信号伝送装置20は、回転子側と固定子側との両方に、それぞれ受信された動作信号を処理するためのユニット24を有し、それは以下で、信号ユニット24とも呼ばれる。それぞれの信号ユニット24は、関連付けられた信号コイル21の下流にある。加えて、示されている例示的な実施形態における信号伝送装置20は、それぞれの信号ユニット24と、関連付けられた信号コイル21,22との間に、関連付けられた信号コイル21,22によって受信された動作信号をフィルタリングするための電気フィルター25を有する。これは、信号伝送装置20は、回転子信号コイル21によって受信された動作信号を処理するための、回転変圧器回転子4に回転方向に固定された回転子信号ユニット24aを有し、それは、回転子信号コイル21の下流にあることを意味する。回転子信号コイル21と回転子信号ユニット24aとの間に、回転子信号コイル21によって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルター25aが接続される。さらに、信号伝送装置20は、固定子信号コイル22によって受信された動作信号をフィルタリングするために、回転変圧器固定子2に対して静止している固定子信号ユニット24bを有し、それは、固定子信号コイル22の下流にある。固定子信号コイル22と固定子信号ユニット24bとの間に、固定子信号コイル22によって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルター25bが接続される。特に、それぞれ受信された動作信号における、具体的にはそれぞれの信号電圧における外乱は、例えば、変圧器1次コイル3及び/又は変圧器2次コイル5との電磁結合によって生じる可能性があるが、フィルターで、よって除去され得る。
【0081】
示されている例示的な実施形態では、それぞれのユニット24は、関連付けられた信号コイル21,22によって他の信号コイル21,22に伝送される動作信号を生成するために構成されてもよい。
【0082】
図1に示されるように、例えば、回転子コイル103に印加される電圧及び/又は回転子コイル103を流れる電流を求めて、それを動作信号として伝送するために、回転子信号ユニット24aは、整流回路6と回転子コイル103との間の、電圧及び/又は電流を検出し得る。同様に、回転子信号ユニット24aは、このようにして電気的に供給され得る。
【0083】
図2の例示的な実施形態では、固定子信号コイル22及び回転子信号コイル21も、変圧器磁心12に配置される。
【0084】
図3の例示的な実施形態は、このことから、固定子信号コイル22及び回転子信号コイル21は、変圧器磁心12に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心26に配置されるという点で異なる。信号伝送装置20と、変圧器1次コイル3及び/又は変圧器2次コイル5との間の起こり得る電磁結合は、よって少なくとも低減される。ここで、信号磁心26は、好適には静止しており、したがって、回転変圧器固定子2に対して静止している。示されている例示的な実施形態では、信号磁心26は、変圧器磁心12に対して、半径方向内側にずらして配置される。ここで、回路基板8は、信号磁心26によって、半径方向に向けられる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導エネルギー伝送のための回転変圧器を持つシステムを備える他励式同期機に関する。加えて、本発明は、このような同期機を持つ自動車に関する。本発明は、さらに、走行用モーターとしての、そのような他励式同期機の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転変圧器は、誘導エネルギー伝送のために用いられる。この目的のため、回転変圧器は、1次コイルと2次コイルとを有する。1次コイルは、通常は静止しているのに対して、2次コイルは、1次コイルに対して移動可能、特に回転可能である。この目的のため、このような回転変圧器は、静止している固定子と、回転軸の周りを、固定子に対して回転可能な回転子とを、通常は備える。回転変圧器の固定子は、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれ、1次コイルを通常は有し、1次コイルは、以下で、変圧器1次コイルとも呼ばれる。回転変圧器の回転子は、以下で回転変圧器回転子とも呼ばれ、通常は2次コイルを有し、2次コイルは、以下で、変圧器2次コイルとも呼ばれる。
【0003】
このような回転変圧器は、他励式同期機に用いられる。この他励式同期機は、固定子と、動作中に、回転軸の周りを、固定子に対して回転する回転子とを有し、これらは、以下で、回転変圧器固定子及び回転変圧器回転子とも呼ばれる。そうすることで、回転子の回転子磁界と固定子の固定子磁界とは相互作用する。他励式同期機において、回転子の必要とされる回転子磁界は外部から励起される。この目的のため、一般に回転子は回転子コイルを有し、この回転子コイルには、磁界を発生する直流が供給される。回転子コイルの供給は、回転変圧器によって行われ得る。
【0004】
回転変圧器を持つこのような同期電動機は、例えばFP 2 869 316 B1から知られている。動作中、変圧器1次コイルは、電圧を変圧器2次コイルに誘導する。
【0005】
さらなる他励式同期機が、DE 10 2017 214 766 A1、DE 10 2013 209 216 A1、及びWO 02/067276 A1から知られている。
【0006】
通常は、所望の電圧が変圧器2次コイルに誘導されるように、回転変圧器固定子と回転変圧器回転子とは互いに調整されている。よって、この調整の変化は、誘導された電圧の偏りを引き起こす。さらに、誘導された電圧の、特に回転子コイルを流れる電流の所望の、又は必要な変化は、よって、実現され得ないか、又は容易には実現されない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、導入部において言及された型の他励式同期機について、及びこのような同期機を持つ自動車について、先行技術から知られている解決策の欠点を解消する、改善された又は少なくとも異なる実施形態を示すという課題に関する。特に、本発明は、他励式同期機について、及び自動車について、向上した動作中の安定性によって特徴づけられた実施形態を示すという課題に関する。
【0008】
この問題は、独立請求項の主題によって、本発明に従って解決される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明は、他励式同期機における、回転変圧器を持つシステムと、回転変圧器での誘導信号伝送とを提供することの一般的な思想にこのように基づき、このシステムによって、回転変圧器の回転子を用いて、回転変圧器及び/又は他励式同期機の動作信号は伝送され、特にやり取りされ得る。その結果、回転変圧器において、特に回転変圧器の回転子において、動作信号を、例えば動作状態を提供することが、又はこれらを回転子からそれぞれに伝送することが、容易な、かつ効果的な方法で可能である。特に、動作中に固定子に対して回転する回転子の間の有線信号伝送は、このように省略され得る。その結果、回転変圧器及び関連する応用例の動作は、前記動作状態に応じて、単純な方法で適応させられ得て、動作中の外乱は簡略化された方法で検出され得る。この結果、回転変圧器及び/又は関連する応用例の動作中の安定性が改善される。この誘導信号伝送は、回転変圧器において、誘導エネルギー伝送のために、ここで追加的に用いられる。
【0010】
本発明の思想に従って、他励式同期機は、回転変圧器を備えるシステムを備える。誘導エネルギー伝送のために、回転変圧器は、1次コイルと2次コイルとを有し、これらは、以下で、変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルとも呼ばれる。加えて、回転変圧器は、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれる静止している固定子と、以下で、回転変圧器回転子とも呼ばれる回転子とを有する。
【0011】
回転変圧器固定子は変圧器1次コイルを有する。回転変圧器回転子は変圧器2次コイルを有する。回転変圧器回転子は、軸方向に延びている回転軸の周りを、回転変圧器固定子に対して回転可能である。動作中に、回転変圧器回転子は、よって、この回転軸の周りを、回転変圧器固定子に対して回転する。誘導エネルギー伝送のために、よって動作中に、変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルは、変圧器2次コイルにおいて電圧を発生するために、誘導的に相互作用し、この電圧は、以下で、変圧器電圧とも呼ばれる。さらに、システムは、動作信号を、回転変圧器回転子へ誘導伝送するための信号伝送装置を有する。この信号伝送装置は、回転変圧器回転子に対して回転方向に固定されたコイルを有し、このコイルは、以下で、回転子信号コイルとも呼ばれる。信号伝送装置は、加えて、回転変圧器固定子に対して静止しているコイルを有し、このコイルは、以下で、固定子信号コイルとも呼ばれる。固定子信号コイル及び回転子信号コイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用する。ここで、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから電気的に絶縁されている。加えて、回転子信号コイルは、変圧器2次コイルから電気的に絶縁されている。
【0012】
ここで示される方向は、軸方向に延びている回転軸に関する。したがって、「軸方向」とは、回転軸に対して平行であり、特に同軸である。さらに、「半径方向」とは、回転軸に対して横方向である。
【0013】
変圧器2次コイル及び変圧器1次コイルは、好適には、軸方向に対向して配置される。変圧器2次コイル及び変圧器1次コイルを、半径方向に隣接するように、特に対向して配置することも考えられる。
【0014】
好適には、固定子信号コイル及び回転子信号コイルは、軸方向に対向して配置される。固定子信号コイル及び回転子信号コイルを、半径方向に隣接するように、特に対向して配置することも考えられる。
【0015】
好適には、回転子信号コイルは、変圧器2次コイルから間隔が空けられている。回転子信号コイルは、好ましくは、回転子2次コイルから半径方向に、好適には半径方向内側に間隔が空けられている。好適には、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから間隔が空けられている。好ましくは、固定子信号コイルは、変圧器1次コイルから半径方向に、好適には半径方向内側に間隔が空けられている。変圧器コイル、すなわち変圧器1次コイル及び変圧器2次コイルと、信号コイルとの間の結合は、このように防がれるか、又は少なくとも低減される。
【0016】
好適には、変圧器2次コイルは、回転軸を取り囲むように、特に螺旋状のように延びる。特に、変圧器2次コイルは、平面巻線として構成される。
【0017】
好適には、回転子信号コイルは、回転軸を取り囲むように、特に円形又は螺旋状のように延びる。
【0018】
好適には、変圧器1次コイルは回転軸を取り囲むように延びる。特に、変圧器1次コイルは、フラットコイルとして構成される。
【0019】
好適には、一方では、変圧器1次コイルの変圧器2次コイルとの誘導的な相互作用は、他方では、固定子信号コイルの回転子信号コイルとの誘導的な相互作用は、それぞれ異なる周波数で実現される。よって、特に誘導的な相互作用の相互の影響は、防がれるか、又は少なくとも低減される。
【0020】
信号伝送は、好ましくは、変圧器電圧を誘導するための誘導エネルギー伝送よりも高い周波数で実施される。誘導エネルギー伝送は、よって低い周波数及び高い出力で動作され得て、信号伝送は、高い周波数及び低い出力で動作され得る。その結果、このシステムは、高い出力で効果的に動作し、同時に、信頼性のある効率的な信号伝送が達成される。
【0021】
固定子信号コイルは、好ましくは、回転変圧器固定子に固定して配置される。よって、動作中に、動作信号は、信号伝送装置によって、回転変圧器回転子と回転変圧器固定子との間で伝送される。
【0022】
変圧器2次コイルが、回転軸を取り囲み、軸方向に平坦なように構成されている実施形態が好ましい。
【0023】
回転変圧器回転子が、変圧器2次コイルが設けられた回路基板を有する実施形態が有利である。よって、回転変圧器回転子の簡単な構成と、変圧器2次コイルの簡単、かつ正確な取り付け及び配置とがもたらされる。
【0024】
変圧器2次コイルをキャストコイルとして具体化することも考えられる。
【0025】
変圧器2次コイルが、少なくとも1つの、回路基板の導体路を有する実施形態が好ましく、それは以下で、変圧器導体路とも呼ばれる。このことは、回転変圧器の、簡略化された構成及び生産につながる。さらに、変圧器2次コイルは、簡略化されたこのような方法で構成され、及び/又は力学的に安定させられる。
【0026】
もし変圧器2次コイルが、少なくとも1つの、回路基板の変圧器導体路によって形成され、したがって、少なくとも1つの、回路基板の変圧器導体路から構成されるなら、ここでは特に好ましい。
【0027】
この回路基板は、好適には、軸方向に平坦なように構成される。回路基板は、このように省スペース化され、重量が減少させられる。
【0028】
特に好ましくは、回路基板は、軸方向の上面視において、例えば円板、又はリングとして構成される。
【0029】
回転子信号コイルが少なくとも1つの、回路基板の導体路を有する実施形態が有利であると考えられ、これは、少なくとも1つの変圧器導体路と区別するために、以下で、信号導体路とも呼ばれる。このことは、回転子信号コイルが、少なくとも1つの、回路基板の導体路も有し、変圧器2次コイルから電気的に絶縁されていることを意味する。このことは、回転変圧器の簡略化された生産と、回転子信号コイルの正確な配置とにつながる。
【0030】
回転子信号コイルは、好ましくは、少なくとも1つの、回路基板の信号導体路によって形成される。したがって、回転子信号コイルは、少なくとも1つの信号導体路から構成される。回転子信号コイルは、簡略化された方法でこのように構成され、正確に配置可能な、及び/又は力学的な方法で安定化される。
【0031】
少なくとも1つの、変圧器導体路及び/又は信号導体路のそれぞれは、回路基板に配置され得る、その結果、外部から視覚的に認識され得るか、又は回路基板に取り囲まれ得る、その結果、外部から視覚的に認識されない。当然、少なくとも1つの導体路が回路基板に配置される、及び少なくとも1つの導体路が回路基板内に配置されるどちらの実施形態も可能である。したがって、回路基板は、特に「多層回路基板」として当業者に知られた回路基板として構成され得る。
【0032】
変圧器2次コイルは、互いに軸方向に間隔を空けた、少なくとも2つの変圧器導体路を有し得る。好ましくは、ここで、変圧器導体路は、互いに平行に延びる。
【0033】
少なくとも1つの変圧器導体路が回路基板に配置され、少なくとも1つの変圧器導体路が回路基板内に配置される実施形態が考えられる。
【0034】
信号伝送装置は、好適には、回転子信号コイルによって受信された動作信号を処理するための、回転変圧器回転子に回転方向に固定されたユニットを有し、それは以下で、回転子信号ユニットとも呼ばれる。この回転子信号ユニットは、回転子信号コイルの受信方向における下流にある。
【0035】
回転子信号コイルと回転子信号ユニットとの間に、回転子信号コイルによって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルターが接続される実施形態が有利である。よって、特に、生じる可能性のある動作信号の外乱は、例えば、変圧器コイルによって引き起こされ得るが、除去される。その結果、信号伝送の品質の向上、及び/又は回転変圧器の動作安定性の改善がもたらされる。
【0036】
回転子信号ユニット及び/又はフィルターは、好ましくは、回路基板に設けられる。
【0037】
信号伝送装置は、好適には、固定子信号コイルによって受信された動作信号を処理するためのユニットを有し、それは以下で固定子信号ユニットとも呼ばれる。固定子信号ユニットは、回転変圧器固定子に対して固定され、よって静止している。固定子信号ユニットは、受信方向において固定子信号コイルの下流にある。
【0038】
好適には、固定子信号コイルと固定子信号ユニットとの間に、固定子信号コイルによって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルターが接続される。よって、特に、生じる可能性のある、動作信号の外乱は、例えば、変圧器コイルによって引き起こされ得るが、除去される。その結果、信号伝送の品質の向上、及び/又は回転変圧器の動作安定性の改善がもたらされる。
【0039】
好適には、少なくとも1つの信号ユニット、好ましくはそれぞれの信号ユニットは、動作信号及び/又は少なくとも1つの動作状態を含む信号を生成するためにも構成される。このことは、好適には、少なくとも1つの信号ユニット、好ましくはそれぞれの信号ユニットが、関連付けられた信号コイルによって動作信号を送信するために構成されることも意味する。
【0040】
変圧器コイルが、回転変圧器固定子に対して静止している磁心に配置される実施形態が好ましい。よって、互いの変圧器コイルの誘導的な相互作用の改善がもたらされる。この磁心は、以下で、変圧器磁心とも呼ばれ、基本的に、任意の所望の方法で構成され得る。特に、磁心はフェライト体に関係する。
【0041】
好適には、変圧器磁心は、変圧器1次コイルのための、軸方向に開口した凹部を有する。
【0042】
好適には、変圧器磁心は半径方向に開口しており、その結果、変圧器2次コイル、特に回路基板は、変圧器磁心の中に貫通し、変圧器磁心の中で回転可能である。
【0043】
固定子信号コイル及び/又は回転子信号コイルを、変圧器磁心の中に配置することも考えられる。ここで、回転子信号コイルは、変圧器磁心の中に、回転可能に適切に配置される。よって、回転変圧器の簡単な構成がもたらされる。
【0044】
固定子信号コイル及び回転子信号コイルを、変圧器磁心に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心に配置することが考えられる。よって、信号コイルの変圧器コイルとの電磁結合は、防がれるか、又は少なくとも低減される。このようにして、動作信号の伝送の改善と、動作信号の外乱の低減とがもたらされる。
【0045】
好適には、信号磁心は静止しており、すなわち、回転変圧器固定子に対して静止している。
【0046】
信号磁心は、任意の所望の磁心にも関係し得る。特に、信号磁心はフェライト体である。
【0047】
好適には、信号磁心は、変圧器磁心に対して半径方向内側に間隔を空けて配置される。好ましくは、ここで信号磁心は、半径方向のダクトを有し、回路基板は、ダクトを通して半径方向に向けられる。
【0048】
システムは、整流回路を、変圧器2次コイルの下流に有し得る。よって、変圧器2次コイルに交流電圧として誘導された変圧器電圧は、直流電圧に変換され、関連付けられた応用例に使用可能にされ得る。
【0049】
システムは、インバーター回路を、変圧器1次コイルの上流に有し得る。よって、動作中に必要とされる、変圧器1次コイルのための交流電圧は、直流電圧を提供する電気エネルギー源から生じる。
【0050】
システムは、基本的に、誘導エネルギー伝送のための、任意の所望の応用例に用いられ得る。
【0051】
同期機は、回転子シャフトを持つ回転子を有し、この回転子は、以下で、回転変圧器回転子とも呼ばれる。回転変圧器回転子は、回転子シャフトに回転方向に固定して設けられた、少なくとも1つのコイルを有し、これは、以下で、回転子コイルとも呼ばれる。動作中、直流電圧を、具体的には直流を供給している時に、少なくとも1つの回転子コイルは、以下で、回転子磁界とも呼ばれる磁界を発生する。同期機は、さらに、静止している固定子を有し、それは、以下で、回転変圧器固定子とも呼ばれる。回転変圧器固定子は、以下で、固定子コイルとも呼ばれる、少なくとも1つのコイルを有する。動作中、少なくとも1つの固定子コイルは、以下で、固定子磁界とも呼ばれる磁界を発生する。同期機の動作中、回転変圧器回転子が軸方向の回転軸の周りを回転するように、固定子磁界は回転子磁界と相互作用する。ここで、回転変圧器固定子は、固定子に対して静止している。加えて、回転変圧器回転子は、回転子に回転方向に固定して設けられる。特に、回転変圧器回転子は、回転方向に固定して、回転子シャフトに接続される。回転子磁界を発生するために、動作中、少なくとも1つの回転子コイルは、直流電圧を、つまりそれぞれに直流を供給されるように、少なくとも1つの回転子コイルは、変圧器2次コイルに接続される。この目的のため、好適には、整流回路が、変圧器2次コイルと少なくとも1つの回転子コイルとの間に接続される。上述のその整流回路は、システムの構成部分であり得る。
【0052】
好ましくは、回転変圧器、特に回転変圧器回転子は、回転子の軸方向正面に配置される。特に好ましくは、回転変圧器は、回転子コイル及び/又は固定子コイルに対して間隔を空けて配置される。よって、回転変圧器と、回転子磁界及び/又は固定子磁界との間の、望ましくない相互作用が、防がれること、又は少なくとも低減されることがもたらされる。
【0053】
動作信号は、回転変圧器及び/又は関連付けられた応用例の動作状態に関する、特に同期機に関する情報を適宜に含む。それぞれの動作状態は、例えば、少なくとも1つの回転子コイルに印加される電圧、及び/又は少なくとも1つの回転子コイルを流れる電流に関係し得る。動作信号は、同様に、回転変圧器回転子及び/又は回転子における、保護回路のためのトリガー回路であり得る。同様に、動作信号は、例えば、少なくとも1つの回転子コイルの少なくとも1つの温度であり得る。当然、2つ以上の動作状態を、動作信号で伝送することもあり得る。
【0054】
変圧器1次コイルに必要とされる交流電圧は、任意の所望の電気エネルギー源から生じ得る。
【0055】
特に、電力エネルギー源が直流電圧を提供することが考えられる。特に、この電気エネルギー源は、バッテリーに関係し得る。ここで、適切に、インバーター回路がエネルギー源と変圧器1次コイルとの間に設けられ、このインバーター回路は、直流電圧を、必要とされる交流電圧に変換する。上述のこのインバーター回路は、ここで、回転変圧器の構成部分であり得る。
【0056】
同期機は、基本的に、任意の所望の応用例で用いられ得る。
【0057】
特に、同期機は走行用モーターとして用いられ得る。
【0058】
同期機は、特に、エネルギー源としてバッテリーを備え得る自動車で使用される。ここで、同期機は、特に、自動車の駆動のために機能し、したがって自動車の走行用モーターである。好ましくは、本発明に係る走行用モーターは、100kW-240kW、具体的には140kWの出力又はそれぞれに駆動力を有する。
【0059】
走行用モーターは、好適には、100kW-240kW、具体的には140kWの性能を発揮する。
【0060】
回転変圧器に加えて、他励式同期機及び自動車のそれぞれも、本発明の範囲に属することは理解されたい。
【0061】
さらに、本発明の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面の助けにより、関連付けられた図面の説明から明らかになるだろう。
【0062】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述された特徴及び以下でさらに説明される特徴が、それぞれに表された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ、又は単独で用いられ得ることは理解されたい。
【0063】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の記述においてより詳細に説明され、同一の参照番号は、同一の、類似の、又は機能的に同一の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
それぞれに、概略図が示される。
図1図1は、自動車において、回転変圧器を備えるシステムを持つ他励式同期機の、非常に簡略化された回路図である。
図2図2は、回転変圧器の断面図である。
図3図3は、別の例示的な実施形態における、回転変圧器の断面図である。
図4図4は、回転変圧器を持つ他励式同期機の回転子の、部分断面図の等角図である。
図5図5は、他励式同期機の非常に簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
例えば図1図4に示されるように、システム0は、誘導エネルギー伝送器としての回転変圧器1を有する。システム0は、図1-5に示されるように、他励式同期機100において使用される図1において非常に簡略化して示されているように、同期機100は、自動車200で使用され得る。他励式同期機100は、特に自動車200を駆動するための、同期電動機110として使用され得る。他励式同期機100は、したがって、特に走行用モーター120として使用され得る。このため、走行用モーター120は、例えば、100kW-240kW、具体的には140kWの性能を発揮し得る。
【0066】
図1図4から分かるように、回転変圧器1は、固定子2及び回転子4を有する。固定子2は、以下で、回転変圧器固定子2と呼ばれる。回転子4は、以下で、回転変圧器回転子4と呼ばれる。回転変圧器回転子4は、軸方向に延びている回転軸90の周りを、回転変圧器固定子2に対して回転可能である。動作中、回転変圧器回転子4は、したがって、回転軸90の周りを、回転変圧器固定子2に対して回転する。誘導エネルギー伝送のために、回転変圧器固定子2は1次コイル3を有し、回転変圧器回転子4は2次コイル5を有する。1次コイル3及び2次コイル5は、図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態において、軸方向に対向して配置される。動作中、以下で変圧器1次コイル3とも呼ばれる1次コイル3は、以下で変圧器2次コイル5と呼ばれる2次コイル5に、交流電圧を誘導し、それは、以下で変圧器電圧とも呼ばれる。
【0067】
ここで示される方向は、回転軸90を指す。したがって、「軸方向」とは、回転軸に対して平行である。さらに、「半径方向」とは、回転軸90に対して横方向である。
【0068】
以下で同期機100とも略される他励式同期機100は、特に図4図5から分かるように、回転子101を有する。回転子101は、以下で、回転変圧器回転子101とも呼ばれる。回転変圧器回転子101は、回転子シャフト102と、回転子シャフト102に回転方向に固定して設けられた、少なくとも1つのコイル103とを有する(図1を参照)。コイル103は、以下で、回転子コイル103とも呼ばれる。回転子コイル103は、図1では、インダクタンス及びオーム抵抗として表される。回転変圧器回転子101は、2つ以上の回転子コイル103も有し得るが、以下では簡単のために、1つの回転子コイル103が想定される。動作中、回転子コイル103は磁界を発生し、それは以下で、回転子磁界とも呼ばれる。同期機100は、図5で簡略化して示されるように、さらに、固定子104を有し、それは以下で回転変圧器固定子104とも呼ばれる。加えて、同期機100は、固定子104に対して静止している、少なくとも1つのコイル105を有し(図5を参照)、それは以下で、固定子コイル105とも呼ばれる。動作中、少なくとも1つの固定子コイル105は磁界を発生し、それは以下で固定子磁界とも呼ばれる。ここで、動作中に、回転子101が回転軸90の周りを回転するように、固定子磁界と回転子磁界とは相互作用する。回転子磁界を発生するために、回転子101、具体的には回転子コイル103は、直流電圧を必要とする。示される例示的な実施形態では、この直流電圧は、変圧器2次コイル5によって、例えば、回転変圧器1によって、回転子コイル103に供給される。この目的のために、図1から分かるように、整流回路6は、変圧器2次コイル5と回転子コイル103との間で接続され、この整流回路は、変圧器電圧を直流電圧に変換する。加えて、この目的のために、図2図4から分かるように、回転変圧器回転子4は、回転子シャフト102に、例えば、回転子101に回転方向に固定されて配置される。回転変圧器回転子4は、よって、動作中、回転軸90の周りを回転子シャフト102とともに回転し、その結果、回転子101とともに回転する。加えて、回転変圧器固定子2は、固定子104に対して固定されているので、それは静止している。整流回路6は、システム0の構成部分であり得て、回転変圧器回転子4に回転方向に固定され得る。
【0069】
さらに図4から特に分かるように、示される例示的な実施形態では、回転変圧器1は、回転子101の軸方向正面に配置され、回転子コイル103及び固定子コイル105に対して間隔を空けて配置される。
【0070】
変圧器電圧を変圧器2次コイル5に誘導するために、変圧器1次コイル3は、交流電圧を必要とする。図1から分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3は、直流電圧を提供する電気エネルギー源201によって提供される。示されている例示的な実施形態におけるエネルギー源201は、自動車200のバッテリー202に関する。変圧器1次コイル3に交流電圧を供給するために、インバーター回路7が、エネルギー源201と変圧器1次コイル3との間に設けられる。インバーター回路7は、エネルギー源201の直流電圧を、変圧器1次コイル3のために交流電圧に変換する。ここで、インバーター回路7はインバーターを備えることが考えられる。
【0071】
図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態における回転変圧器回転子4は、変圧器2次コイル5が設けられた回路基板8を有する。回路基板8は円板形状のように構成されており、円形の形状を有するので、円板又はそれぞれリングのように構成される。示されている例示的な実施形態では、変圧器2次コイル5は、少なくとも1つの、回路基板8の導体路9を有し、それは以下で、変圧器導体路9とも呼ばれる。示されている例示的な実施形態では、変圧器2次コイル5は、少なくとも1つの変圧器導体路9からなり、平面巻線10として構成される。ここで、図2及び図3から分かるように、示されている例示的な実施形態における回路基板8は、互いに軸方向に間隔が空けられた、2つの変圧器導体路9を有し、それは、螺旋状のように回転軸90を取り囲む。加えて、示されている例示的な実施形態では、少なくとも1つの変圧器導体路9は、完全に回路基板8内に配置される。
【0072】
示される例示的な実施形態における、回転子シャフト102の、回転変圧器回転子4への回転方向に固定された接続は、図2図4から分かるように、回路基板8における中央開口部14を介して実現され、この中央開口部を通って、回転子シャフト102が係合する。
【0073】
図2図4から分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3は、フラットコイル11として構成される。図2図4からさらに分かるように、示されている例示的な実施形態における変圧器1次コイル3及び変圧器2次コイル5は、回転変圧器固定子2に対して静止している、磁心12、特にフェライトコア13に配置される。磁心12は、以下で、変圧器磁心12とも呼ばれる。変圧器磁心12は半径方向内側に開口しており、その結果、変圧器2次コイル5を備えた回路基板9は、変圧器磁心12内に貫通し、そこで回転可能に配置される。加えて、変圧器磁心12は、軸方向に開口した凹部15を有し、この凹部に、変圧器1次コイル3が配置される。
【0074】
図1に示されている例示的な実施形態では、整流回路6は、単に一例として、4つのダイオードDa-dを備えたブリッジ整流器16として構成される。加えて、インバーター回路7は、単に一例として、フルブリッジインバーター17として構成され、それは、4つのトランジスタTa-dと、トランジスタTa-dのための2つの駆動回路Sa,Sbとを有する。
【0075】
図1から分かるように、システム0は、動作信号を回転変圧器回転子4へ伝送するための信号伝送装置20を有する。この目的のために、信号伝送装置20は、回転変圧器回転子4に回転方向に固定されているコイル21と、回転変圧器固定子2に対して静止しているコイル22とを有し、これらのコイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用する。コイル21は、以下で、回転子信号コイル21とも呼ばれる。コイル22は、以下で、固定子信号コイル22とも呼ばれる。ここで、変圧器1次コイル3は、固定子信号コイル22から電気的に絶縁されており、回転子信号コイル21は、変圧器2次コイル5から電気的に絶縁されている。示されている例示的な実施形態では、回転子信号コイル21及び固定子信号コイル22は、軸方向に対向して配置される。
【0076】
示されている例示的な実施形態では、信号伝送装置20は、回転変圧器回転子4と回転変圧器固定子3との間の、動作信号の伝送のために機能する。回転子信号コイル21に、具体的には、回転変圧器回転子4に動作信号を伝送するために、固定子信号コイル22は、よって、回転子信号コイル21に交流電圧を誘導する。固定子信号コイル22に、具体的には、回転変圧器固定子3、つまり固定子3に動作信号を伝送するために、回転子信号コイル21は、固定子信号コイル22に交流電圧を誘導する。それぞれ誘導された交流電圧は、以下で、信号電圧とも呼ばれる。信号電圧は、したがって、それぞれ動作信号を含み、特に動作信号に対応する。もちろん、いくつかの動作信号は、一緒に、又は連続して伝送もされ得る。
【0077】
動作信号によって、特に、回転変圧器1を同期機100の必要条件に適合させることが可能である。特に、回転子磁界は、よって、より正確に変更され得て、及び/又はより正確に適合され得る。同様に、動作信号によって、同期機100及び/又は回転変圧器1の診断値が伝送され得るので、同期機100及び/又は回転変圧器1の動作が向上され得る。それぞれの動作信号は、特に、回転子コイル105に印加される電圧及び/又は回転子コイル105を流れる電流に関係し得る。動作信号は、同様に、回転変圧器回転子4及び/又は回転子101における、保護回路(不図示)のためのトリガー回路であり得て、及び/又は、例えば回転子コイル103の温度であり得る。
【0078】
図2及び図3から分かるように、回転子信号コイル21は、少なくとも1つの、回路基板8の導体路23を有し得て、それは以下で、信号導体路23とも呼ばれる。少なくとも1つの信号導体路23は、少なくとも1つの変圧器導体路9から、電気的に絶縁されている。信号導体路23は、特に、回転軸90を取り囲む円形又は螺旋状のように延びてもよい。特に、回転子信号コイル21は、少なくとも1つの、回路基板8の信号導体路23によって形成される。ここで、図2及び図3の例示的な実施形態における回転子信号コイル21は、例として、単一の、そのような信号導体路23を有する。図2及び図3に示される例示的な実施形態では、信号導体路23は、完全に回路基板8内に配置される。
【0079】
特に図2及び図3から分かるように、示されている例示的な実施形態における回転子信号コイル21は、回転子2次コイル5に対して、半径方向に間隔が空けられている。示されている例示的な実施形態では、回転子信号コイル21は、回転子2次コイル5に対して、半径方向内側にずらして配置される。したがって、固定子信号コイル22も、示されている例示的な実施形態では、変圧器1次コイル3に対して、半径方向に間隔が空けられ、半径方向内側にずらして配置される。
【0080】
図1から分かるように、信号伝送装置20は、回転子側と固定子側との両方に、それぞれ受信された動作信号を処理するためのユニット24を有し、それは以下で、信号ユニット24とも呼ばれる。それぞれの信号ユニット24は、関連付けられた信号コイル21の下流にある。加えて、示されている例示的な実施形態における信号伝送装置20は、それぞれの信号ユニット24と、関連付けられた信号コイル21,22との間に、関連付けられた信号コイル21,22によって受信された動作信号をフィルタリングするための電気フィルター25を有する。これは、信号伝送装置20は、回転子信号コイル21によって受信された動作信号を処理するための、回転変圧器回転子4に回転方向に固定された回転子信号ユニット24aを有し、それは、回転子信号コイル21の下流にあることを意味する。回転子信号コイル21と回転子信号ユニット24aとの間に、回転子信号コイル21によって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルター25aが接続される。さらに、信号伝送装置20は、固定子信号コイル22によって受信された動作信号をフィルタリングするために、回転変圧器固定子2に対して静止している固定子信号ユニット24bを有し、それは、固定子信号コイル22の下流にある。固定子信号コイル22と固定子信号ユニット24bとの間に、固定子信号コイル22によって受信された動作信号をフィルタリングするために、電気フィルター25bが接続される。特に、それぞれ受信された動作信号における、具体的にはそれぞれの信号電圧における外乱は、例えば、変圧器1次コイル3及び/又は変圧器2次コイル5との電磁結合によって生じる可能性があるが、フィルターで、よって除去され得る。
【0081】
示されている例示的な実施形態では、それぞれのユニット24は、関連付けられた信号コイル21,22によって他の信号コイル21,22に伝送される動作信号を生成するために構成されてもよい。
【0082】
図1に示されるように、例えば、回転子コイル103に印加される電圧及び/又は回転子コイル103を流れる電流を求めて、それを動作信号として伝送するために、回転子信号ユニット24aは、整流回路6と回転子コイル103との間の、電圧及び/又は電流を検出し得る。同様に、回転子信号ユニット24aは、このようにして電気的に供給され得る。
【0083】
図2の例示的な実施形態では、固定子信号コイル22及び回転子信号コイル21も、変圧器磁心12に配置される。
【0084】
図3の例示的な実施形態は、このことから、固定子信号コイル22及び回転子信号コイル21は、変圧器磁心12に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心26に配置されるという点で異なる。信号伝送装置20と、変圧器1次コイル3及び/又は変圧器2次コイル5との間の起こり得る電磁結合は、よって少なくとも低減される。ここで、信号磁心26は、好適には静止しており、したがって、回転変圧器固定子2に対して静止している。示されている例示的な実施形態では、信号磁心26は、変圧器磁心12に対して、半径方向内側にずらして配置される。ここで、回路基板8は、信号磁心26によって、半径方向に向けられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他励式同期機(100)であって、
前記他励式同期機は、回転子シャフト(102)を有した回転子(101)と、前記回転子シャフト(102)に回転方向に固定されて設けられた回転子コイル(103)とを備え、前記回転子コイルは、動作中に回転子磁界を発生し、
前記他励式同期機は、固定子(104)に対して静止している固定子コイル(105)を有する前記固定子(104)を備え、前記固定子コイルは、動作中に固定子磁界を発生し、前記固定子磁界は、動作中に、前記回転子(101)が軸方向の回転軸(90)の周りを回転するように、前記回転子磁界と相互作用し、
前記他励式同期機は、誘導エネルギー伝送のための回転変圧器(1)を有するシステム(0)を備え
前記回転変圧器(1)は、変圧器1次コイル(3)を備えた回転変圧器固定子(2)を有し、
前記回転変圧器(1)は、動作中に、軸方向に延びている回転軸(90)の周りを、前記回転変圧器固定子(2)に対して回転し、変圧器2次コイル(5)を備えた回転変圧器回転子(4)を有し、
前記変圧器2次コイル(5)及び前記変圧器1次コイル(3)は、前記変圧器2次コイル(5)において変圧器電圧を発生するために、動作中に、誘導的に相互作用し、
前記回転変圧器固定子(2)は、前記固定子(104)に対して静止しており、
前記回転変圧器回転子(4)は、回転方向に固定されて前記回転子(101)に配置され、
前記回転子磁界を発生するための直流電圧が前記回転子コイル(103)に供給されるように、前記回転子コイル(103)は、前記変圧器2次コイル(5)に接続され、
前記システム(0)は、動作信号を、前記回転変圧器回転子(4)へ伝送するための信号伝送装置(20)を有し、
前記信号伝送装置(20)は、前記回転変圧器回転子(4)に対して回転方向に固定された回転子信号コイル(21)を有し、前記信号伝送装置は、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している固定子信号コイル(22)を有し、前記回転子信号コイル及び前記固定子信号コイルは、信号伝送のために、動作中に誘導的に相互作用し、
前記固定子信号コイル(22)は、前記変圧器1次コイル(3)から電気的に絶縁されており、前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器2次コイル(5)から電気的に絶縁されている、
他励式同期機(100)
【請求項2】
動作中に、前記信号伝送装置(20)は、前記回転変圧器(1)より低い周波数で動作する、
請求項1に記載の他励式同期機
【請求項3】
前記回転変圧器回転子(4)は、前記変圧器2次コイル(5)が設けられた回路基板(8)を有する、
請求項1又は2に記載の他励式同期機
【請求項4】
前記変圧器2次コイル(5)は、少なくとも1つの、前記回路基板(8)の変圧器導体路(9)を有する、
請求項3に記載の他励式同期機
【請求項5】
前記回転子信号コイル(21)は、少なくとも1つの、前記回路基板(8)の信号導体路(23)を有する、
請求項3又は4に記載の他励式同期機
【請求項6】
前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器2次コイル(5)に対して、半径方向に間隔を空けて配置されている、
請求項1-5のいずれか1項に記載の他励式同期機
【請求項7】
前記信号伝送装置(20)は、前記回転子信号コイル(21)によって受信された動作信号を処理するための、前記回転変圧器回転子(4)に対して回転方向に固定された回転子信号ユニット(24a)を有し、前記回転子信号ユニットは、前記回転子信号コイル(21)の下流にあり、
前記回転子信号コイル(21)と前記回転子信号ユニット(24a)との間には、前記回転子信号コイル(21)によって受信された前記動作信号をフィルタリングするための電気フィルター(25a)が接続されている、
請求項1-6のいずれか1項に記載の他励式同期機
【請求項8】
前記信号伝送装置(20)は、前記固定子信号コイル(22)によって受信された動作信号を処理するための、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している固定子信号ユニット(24b)を有し、前記固定子信号ユニットは、前記固定子信号コイル(22)の下流にあり、
前記固定子信号コイル(22)と前記固定子信号ユニット(24b)との間には、前記固定子信号コイル(22)によって受信された前記動作信号をフィルタリングするための電気フィルター(25b)が接続されている、
請求項1-7のいずれか1項に記載の他励式同期機
【請求項9】
前記変圧器2次コイル(5)及び前記変圧器1次コイル(3)は、前記回転変圧器固定子(2)に対して静止している変圧器磁心(12)に配置されている、
請求項1-8のいずれか1項に記載の他励式同期機
【請求項10】
前記固定子信号コイル(22)及び前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器磁心(12)に配置されている、
請求項9に記載の他励式同期機
【請求項11】
前記固定子信号コイル(22)及び前記回転子信号コイル(21)は、前記変圧器磁心(12)に対して半径方向に間隔が空けられた信号磁心(26)に配置されている、
請求項10に記載の他励式同期機
【請求項12】
前記回転変圧器回転子(4)は、前記変圧器2次コイル(5)の下流に、整流回路(6)を有する、
請求項1-11のいずれか1項に記載の他励式同期機
【請求項13】
請求項1-12のいずれか1項に記載の他励式同期機(100)と電気エネルギー源(201)とを備えた自動車(200)であって、
前記電気エネルギー源(201)は、インバーター回路(7)を介して、前記変圧器1次コイル(3)に接続されている、
自動車(200)。
【請求項14】
走行用モーター(120)としての、請求項1-12のいずれか1項に記載の他励式同期機(100)の使用方法。
【国際調査報告】