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特表2024-541900がんの治療のためのエンドキシフェン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】がんの治療のためのエンドキシフェン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/138 20060101AFI20241106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K31/138
A61P35/00
A61P1/00
A61P17/00
A61P35/04
A61K9/06
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/107
A61K9/08
A61K9/70 401
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P43/00 105
A61K31/343
A61K31/381
A61K31/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524402
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2022048061
(87)【国際公開番号】W WO2023076496
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,869
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519108822
【氏名又は名称】アトッサ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キー, スティーブン シー.
(72)【発明者】
【氏名】グランドリ, カーラ
(72)【発明者】
【氏名】カペリ, カタニヤ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA14
4C076AA17
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB29
4C076BB31
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC27
4C076FF31
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4C084MA17
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4C084MA52
4C084MA66
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4C084ZC01
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4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
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4C086MA17
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4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC01
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4C206AA01
4C206AA02
4C206FA17
4C206FA29
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA42
4C206MA48
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA66
4C206ZA89
4C206ZB26
4C206ZC01
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書には、エンドキシフェン組成物、及び様々ながんを治療するための、エンドキシフェン組成物を使用する方法が記載されている。エンドキシフェン組成物は、皮膚癌、消化器癌、神経芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌などのがんを治療するために使用され得る。様々ながんを治療する方法は、皮膚癌、消化器癌、神経芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌を有する対象にエンドキシフェンを投与することを含み得る。様々な態様において、本開示は、消化器癌を治療する必要のある対象において、消化器癌を治療する方法を提供し、この方法は、対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって消化器癌を治療することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器癌を治療する必要のある対象において、消化器癌を治療する方法であって、前記対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって前記消化器癌を治療することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記消化器癌が、大腸癌、胃癌、膵癌、食道癌、直腸癌、胆道癌、胆管癌、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記消化器癌が、癌腫である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記消化器癌が、腺癌である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記消化器癌が、大腸癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記消化器癌が、結腸癌である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記結腸癌が、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記大腸癌が、結腸癌、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌である、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記消化器癌が、胃癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記消化器癌が、膵癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記膵癌が、膵管腺癌、転移性膵管腺癌、またはステージIIIの転移性膵管腺癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記消化器癌が、食道癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記食道癌が、食道腺癌または転移性食道癌である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記消化器癌が、直腸癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記直腸癌が、直腸腺癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記消化器癌が、胆管癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記胆管癌が、転移性胆管癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記消化器癌が、転移性である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記消化器癌が、再発性である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
皮膚癌を治療する必要のある対象において、皮膚癌を治療する方法であって、前記対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって前記皮膚癌を治療することを含む、前記方法。
【請求項21】
前記皮膚癌が、黒色腫である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記黒色腫が、末端黒色腫、再発性末端黒色腫、または肛門直腸黒色腫である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記皮膚癌が、転移性である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記皮膚癌が、再発性である、請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
神経芽細胞腫を治療する必要のある対象において、神経芽細胞腫を治療する方法であって、前記対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって前記神経芽細胞腫を治療することを含む、前記方法。
【請求項26】
前記神経芽細胞腫が、転移性である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記神経芽細胞腫が、再発性である、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エンドキシフェンが、(Z)-エンドキシフェンである、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記(Z)-エンドキシフェンが、少なくとも90%の異性体純度を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記エンドキシフェンが、経口、局所、直腸、静脈内、動脈内、非経口、経皮、または吸入によって投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記エンドキシフェンが、経口投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記エンドキシフェンが、徐放性組成物または遅延放出性組成物として製剤化される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記エンドキシフェンが、カプセルまたは錠剤として製剤化される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記エンドキシフェンが、局所的または経皮的に投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記エンドキシフェンが、クリーム、ゲル、クリーム、エマルジョン、ローション、軟膏、溶液、ペースト、パッチ、またはオイルとして製剤化される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記エンドキシフェンを前記対象に毎日投与することを含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記エンドキシフェンを1日あたり1mg以上160mg以下の用量で、前記対象に投与することを含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記エンドキシフェンを1日あたり1mg以上40mg以下の用量で、前記対象に投与することを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記エンドキシフェンを1日あたり1mg以上10mg以下の用量で、前記対象に投与することを含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記エンドキシフェンを1日あたり2mg以上5mg以下の用量で、前記対象に投与することを含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記エンドキシフェンを1日あたり1回、2回、3回、または4回投与することを含む、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記エンドキシフェンを、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも28日間投与することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記投与することにより、前記対象において約0.01~約50μMの全身エンドキシフェンCmaxが達成される、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記投与することにより、前記対象において約1~約10μMの全身エンドキシフェンCmaxが達成される、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記投与することにより、前記対象において少なくとも1週間、少なくとも1μMの全身エンドキシフェン濃度が維持される、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記追加の治療剤が、抗がん剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗がん剤が、ビカルタミド、エンザルタミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、アルペリシブ、オラパリブ、タラゾパリブ、リボシクリブ、ネラチニブ、抗腫瘍剤、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、イクサベピロン、免疫チェックポイント阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、及びATPカセット結合タンパク質阻害剤からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記追加の治療剤が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前期選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、またはビラゾドンを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
外科的腫瘍除去をさらに含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記治療有効量のエンドキシフェンを投与することが、前記外科的腫瘍除去と同時に、その後に、またはそれと同時かつその後に行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
放射線療法をさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記治療有効量のエンドキシフェンを投与することが、前記放射線療法と同時に、その後に、またはそれと同時かつその後に行われる、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年10月28日に出願された「ENDOXIFEN FOR TREATMENT OF CANCERS」と題する米国仮出願第63/272,869号の利益を主張し、あらゆる目的において、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
がんの生存率は、過去数十年にわたって上昇しているが、がんは、依然として米国における死亡原因の第2位となっている。治療及び予防に関する広範な研究にもかかわらず、薬物耐性及び再発は、依然としてがんの治療法の開発における制限要因となっている。これら及び他の要因の阻止に努めるために、薬物耐性を克服し、再発を防止できるがん治療法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な態様において、本開示は、消化器癌を治療する必要のある対象において、消化器癌を治療する方法を提供し、この方法は、対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって消化器癌を治療することを含む。
【0004】
いくつかの態様では、消化器癌は、大腸癌、胃癌、膵癌、食道癌、直腸癌、胆道癌、胆管癌、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、消化器癌は、癌腫である。いくつかの態様では、消化器癌は、腺癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、大腸癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、結腸癌である。いくつかの態様では、結腸癌は、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌である。いくつかの態様では、大腸癌は、結腸癌、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌である。
【0005】
いくつかの態様では、消化器癌は、胃癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、膵癌である。いくつかの態様では、膵癌は、膵管腺癌、転移性膵管腺癌、またはステージIIIの転移性膵管腺癌である。
【0006】
いくつかの態様では、消化器癌は、食道癌である。いくつかの態様では、食道癌は、食道腺癌または転移性食道癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、直腸癌である。いくつかの態様では、直腸癌は、直腸腺癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、胆管癌である。いくつかの態様では、胆管癌は、転移性胆管癌である。いくつかの態様では、消化器癌は、転移性である。いくつかの態様では、消化器癌は、再発性である。
【0007】
様々な態様において、本開示は、皮膚癌を治療する必要のある対象において、皮膚癌を治療する方法を提供し、この方法は、対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって皮膚癌を治療することを含む。
【0008】
いくつかの態様では、皮膚癌は、黒色腫である。いくつかの態様では、黒色腫は、末端黒色腫、再発性末端黒色腫、または肛門直腸黒色腫である。いくつかの態様では、皮膚癌は、転移性である。いくつかの態様では、皮膚癌は、再発性である。
【0009】
様々な態様において、本開示は、神経芽細胞腫を治療する必要のある対象において、神経芽細胞腫を治療する方法を提供し、この方法は、対象に治療有効量のエンドキシフェンを投与し、それによって神経芽細胞腫を治療することを含む。
【0010】
いくつかの態様では、神経芽細胞腫は、転移性である。いくつかの態様では、神経芽細胞腫は、再発性である。
【0011】
いくつかの態様では、エンドキシフェンは、(Z)-エンドキシフェンである。いくつかの態様では、(Z)-エンドキシフェンは、少なくとも90%の異性体純度を有する。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、経口、局所、直腸、静脈内、動脈内、非経口、経皮、または吸入によって投与される。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、経口投与される。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、徐放性組成物または遅延放出性組成物として製剤化される。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、カプセルまたは錠剤として製剤される。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、局所的または経皮的に投与される。いくつかの態様では、エンドキシフェンは、クリーム、ゲル、クリーム、エマルジョン、ローション、軟膏、溶液、ペースト、パッチ、またはオイルとして製剤化される。
【0012】
いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを対象に毎日投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを1日あたり1mg以上160mg以下の用量で、対象に投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを1日あたり1mg以上40mg以下の用量で、対象に投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを1日あたり1mg以上10mg以下の用量で、対象に投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを1日あたり2mg以上5mg以下の用量で、対象に投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを1日あたり1回、2回、3回、または4回投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、エンドキシフェンを、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも28日間投与することを含む。
【0013】
いくつかの態様では、投与することにより、対象において約0.01μM~約50μMの全身エンドキシフェンCmaxが達成される。いくつかの態様では、投与することにより、対象において約1μM~約10μMの全身エンドキシフェンCmaxが達成される。いくつかの態様では、投与することにより、対象において少なくとも1週間、少なくとも1μMの全身エンドキシフェン濃度が維持される。
【0014】
いくつかの態様では、この方法は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様では、追加の治療剤は、抗がん剤を含む。いくつかの態様では、抗がん剤は、ビカルタミド、エンザルタミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、アルペリシブ、オラパリブ、タラゾパリブ、リボシクリブ、ネラチニブ、抗腫瘍剤、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、イクサベピロン、免疫チェックポイント阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、及びATPカセット結合タンパク質阻害剤からなる群から選択される。いくつかの態様では、追加の治療剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む。いくつかの態様では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、またはビラゾドンを含む。
【0015】
いくつかの態様では、方法はさらに、外科的腫瘍除去を含む。いくつかの態様では、治療有効量のエンドキシフェンを投与することは、外科的腫瘍除去と同時に、その後に、またはそれと同時かつその後に行われる。いくつかの態様では、方法は、放射線療法をさらに含む。いくつかの態様では、治療有効量のエンドキシフェンを投与することは、放射線療法と同時に、その後に、またはそれと同時かつその後に行われる。
【0016】
参照による組み込み
この本明細書に記述されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、明確かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を(複数可)含む本特許または特許出願公開の複写は、要請かつ必要な料金の支払により特許庁より提供される。本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点のより深い理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明及び添付図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】乳癌(BRST)、子宮頸癌(CC)、胆管癌(CHOL)、大腸癌(CRC)、食道腺癌(EAC)、子宮内膜癌(EC)、胃癌(GASC)、平滑筋肉腫(LYMSC)、粘液線維肉腫(MFSC)、黒色腫(MLNM)、神経芽細胞腫(NBL)、卵巣癌(OVA)、膵管腺癌(PDAC)、原発性腹膜癌(PPC)、直腸癌(RC)、肉腫(SC)、及び甲状腺癌(THYRD)など、様々ながん種と診断された患者に由来するサンプルの数を示すヒストグラムを示し、これらは、個別化されたがん治療スクリーニングアッセイを使用して、エンドキシフェン応答についてスクリーニングした。ヒストグラムバーの網掛け部は、個別化されたがん治療スクリーニングアッセイによって決定された、エンドキシフェンに対する個々の患者サンプルの応答カテゴリーを表す。
図2】A、B、C及びDは、乳癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図3】A、B、C及びDは、乳癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図4】A、B、C及びDは、乳癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図5】A、B、及びCは、乳癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図6】子宮頸癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図7】A、B、及びCは、胆管癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図8】A、B及びCは、大腸癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図9】A、B、C及びDは、大腸癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図10】A、B、C及びDは、大腸癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図11】A、B、C及びDは、大腸癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図12】食道癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図13】子宮内膜癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図14】A及びBは、胃癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図15】A、B、C及びDは、胃癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図16】A、B、及びCは、平滑筋肉腫と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図17】粘液線維肉腫と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図18】A、B、C及びDは、黒色腫と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図19】A、B、及びCは、神経芽細胞腫と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図20】A、B、及びCは、卵巣癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図21】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図22】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図23】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図24】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図25】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図26】A、B、C、及びDは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図27】A及びBは、卵巣癌と診断された個々の患者のさらなるエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図28】A、B、及びCは、膵癌と診断された個々の患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、個々の患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図29】原発性腹膜癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図30】直腸癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図31】肉腫と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図32】甲状腺癌と診断された患者のエンドキシフェン用量反応曲線を示す。エンドキシフェンの用量反応は、患者に由来する患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用して測定した。SEngine Precision Medicine(SPM)スコア、IC50、曲線下面積(AUC)、及び反応曲線の適合度(GOF)などの応答パラメータを挿入部に示す。
図33】乳癌(BRST)、子宮頸癌(CC)、胆管癌(CHOL)、大腸癌(CRC)、食道腺癌(EAC)、子宮内膜癌(EC)、胃癌(GASC)、平滑筋肉腫(LYMSC)、粘液線維肉腫(MFSC)、黒色腫(MLNM)、神経芽細胞腫(NBL)、卵巣癌(OVA)、膵管腺癌(PDAC)、原発性腹膜癌(PPC)、直腸癌(RC)、肉腫(SC)、及び甲状腺癌(THYRD)などのがん種の分布を示すヒストグラムを示し、これらは、個別化されたがん治療スクリーニングアッセイを使用して、エンドキシフェン応答についてスクリーニングした。
図34A】エンドキシフェンの形態Iのサンプルから得られたXRPDパターンである。
図34B】エンドキシフェンの形態IIのサンプルから得られたXRPDパターンである。
図34C】エンドキシフェンの形態IIIのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
がん治療法の有効性は、がん種に大きく依存し、これにより、あるがん種では非常に有効である薬物であっても、他のがんでは、制限された効果を有し得るようになる。多くの場合、これは、あるがん種では、破壊されるかまたは上方制御されるが、他のがんでは、破壊または上方制御されない特定の経路を標的とする薬物によって引き起こされる。本開示は、エンドキシフェンを使用して様々ながんを治療するための組成物及び方法を提供する。エンドキシフェンは、タモキシフェンの活性代謝産物である。肝臓では、活性化合物または代謝産物に分解される。活性タモキシフェン代謝産物のうちの1つは、エンドキシフェンであり、4-ヒドロキシ-N-デスメチルタモキシフェンとも呼ばれる。エンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェンなど)は、組織特異的様式で、エストロゲン受容体の競合的部分アゴニストとして機能する選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)である。Z-エンドキシフェンは、タモキシフェン療法及びアロマターゼ阻害剤療法と比較して、強力な抗腫瘍活性及び抗エストロゲン活性を有する。エンドキシフェンは、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、フルベストラントなどの他のホルモン療法に抵抗性のある患者のがんの治療に有益であり得、この理由の一部としては、エンドキシフェンがCYP2D6などの代謝酵素とは独立して機能するためである。
【0020】
本明細書に記載されるのは、様々ながん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌または卵巣癌)を治療するために使用され得るエンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェン)を含む組成物である。また、本明細書に記載されるのは、エンドキシフェン組成物を使用して、様々ながん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌または卵巣癌)を治療する方法である。様々ながんを治療する方法は、エンドキシフェン組成物を対象に投与することを含み得る。エンドキシフェン組成物は、Z-エンドキシフェン、ならびにその多形体及び塩を含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌または卵巣癌を治療する方法において使用され得る。例えば、エンドキシフェン組成物は、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、または胆管癌を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、トリプルネガティブ乳癌(例えば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、及びHER2を欠損しているかまたは低レベルに有する乳癌)を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドキシフェン組成物は、大腸癌、胃癌、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌などの消化器癌を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドキシフェン組成物は、黒色腫などの皮膚癌を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンドキシフェン組成物は、神経芽細胞腫を治療するために使用され得る。
【0021】
本明細書に記載の組成物及び方法は、がんまたは関連症状(例えば、痛み、うつ病、不安、吐き気、疲労、または食欲不振)を治療するための他の療法(例えば、化学療法、薬物療法、放射線療法、または手術)と組み合わせて使用され得る。例えば、エンドキシフェン組成物は、抗うつ薬(例えば、セロトニン再取り込み阻害剤)と組み合わせて投与され得る。別の例では、エンドキシフェン組成物は、がんまたはがん性組織を除去する手術の前、手術の後、または手術と同時に投与され得る。別の例では、エンドキシフェン組成物は、追加の抗がん剤と組み合わせて投与され得る。抗がん剤は、医薬組成物中でエンドキシフェンと共に製剤化されてもよく、または別々に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、がんを治療するためにエンドキシフェンと組み合わせて使用するための抗がん剤は、薬物スクリーニングを使用して同定され得る。例えば、がん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)の治療に有効なエンドキシフェンを含む薬物組み合わせは、患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)スクリーニングを使用して同定され得る。
【0022】
がんを治療する方法
様々ながんを治療する方法は、エンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェン)を含む治療法を対象に施すことを含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンは、経口投与される。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンは、局所投与される。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンは、経口、局所、経皮、直腸、静脈内、動脈内、卵巣内、膣内、非経口、または吸入によって投与される。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンは、徐放性組成物として製剤化される。エンドキシフェンを含む組成物は、1日あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回投与され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、1日あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回投与され得る。治療は、少なくとも7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、35日間、42日間、49日間、56日間、または60日間投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は、がんが治療されるまで(例えば、腫瘍を消失させるまたはサイズの減少によって)、投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は、許容できない毒性が対象において観察されるまで投与され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェン)は、がんを治療するために、1日あたり約1mg~約160mg、約1mg~約40mg、約1mg~約10mg、または約2mg~約5mgの用量で投与され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、追加の治療剤と組み合わせてエンドキシフェンを投与することを含み得る。例えば、がんを治療する方法は、エンドキシフェン及び追加の抗がん剤を投与することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、ビカルタミド、エンザルタミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、アルペリシブ、オラパリブ、タラゾパリブ、リボシクリブ、ネラチニブ、抗腫瘍剤、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、イクサベピロン、免疫チェックポイント阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、またはATPカセット結合タンパク質阻害剤であり得る。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、エンドキシフェン及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、またはビラゾドン)を投与することを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、特定のがん種を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、目的のがん種について、in vitroで測定されたエンドキシフェンのIC50に基づいて選択され得る。IC50は、in vitroにおいて、そのがん種の腫瘍細胞の50%を阻害するエンドキシフェンの濃度として決定され得る。例えば、エンドキシフェンの投与量は、あるがん種を治療するために、in vivo濃度(例えば、最大血清濃度(Cmax))(すなわち、IC50の10分の1、IC50の少なくとも5分の1、IC50の少なくとも3分の1、少なくともIC50の半分、または少なくともIC50である)が対象内で達成されるように、選択され得る。特定のがん種(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)に対するエンドキシフェンのIC50は、患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)を使用した用量反応曲線を作成することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、IC50は、患者固有、がん種固有、またはその両方であり得る。いくつかの実施形態では、対象を治療するための投与量は、対象に由来する腫瘍オルガノイドにおいて測定されたIC50に基づいて調整され得る。
【0025】
(i)消化器癌を治療する方法
本明細書に開示される驚くべき発見は、エンドキシフェンが、消化器癌の治療に有効であり得るということであり、本明細書において、消化器癌は、消化器(GI)管または消化付属器官に由来するがんを指し得る、消化器癌には、咽頭、食道、胃、胆道系、膵臓、小腸、大腸、直腸、肛門、脾臓、肝臓、胆嚢、腹膜のがん、及びそれらに関連する特定の細胞及び組織のがんなど、広範囲の細胞悪性腫瘍が含まれる。エンドキシフェンでは、一部の胃腸組織、例えばエストロゲン受容体βアゴニズムが、見かけの腫瘍抑制に影響を与える組織(Y.Niv.Eur J Gastroenterol Hepatol,2015;27(12):1438-42)または低エストロゲン受容体及びエストロゲン受容体複合体タンパク質の分布を有する組織などの悪性腫瘍を治療することは期待されていないが、オルガノイド試験(例えば、実施例5~8及び17~19で概説したもの)により、エンドキシフェンが胃腸組織からの顕著であるがん細胞の全身的除去を呈し得ることが確認された。さらに、本明細書に開示されるオルガノイド試験では、エンドキシフェンが、免疫媒介アポトーシス及びクリアランスの非存在下において、消化器癌を効果的に治療することを示しており、これは、エンドキシフェンが、複数の難治性及び転移性消化器癌、例えば免疫抑制性、アノイキス耐性であるか、または高い循環腫瘍細胞(CTC)形成発生率を有するがんの治療に理想的であり得ることが示唆されている。
【0026】
これらの観察を活用して、本開示の態様は、消化器癌の治療を必要とする対象に、治療有効量のエンドキシフェンを投与することを含む、消化器癌を治療する方法を提供する。場合によっては、消化器癌は、食道癌、胃癌、小腸癌、虫垂癌、大腸癌、肛門癌、肝癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、膵癌、腹膜癌、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、消化器癌は、大腸癌、胃癌、膵癌、食道癌、直腸癌、胆道癌、胆管癌、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、消化器癌は、転移性である。場合によっては、消化器癌は、再発性である。
【0027】
場合によっては、消化器癌は、癌腫である。場合によっては、消化器癌は、腺癌である。場合によっては、腺癌は、結腸の腺癌、膵管腺癌、直腸腺癌、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、癌腫は、転移性(例えば、転移性腺癌)である。場合によっては、癌腫は、再発性である。
【0028】
場合によっては、消化器癌は、大腸癌である。場合によっては、大腸癌は、盲腸の癌、上行結腸の癌、横行結腸の癌、下行結腸の癌、S状結腸の癌、または直腸の癌、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、大腸癌は、結腸癌である。場合によっては、結腸癌は、S状結腸癌、結腸の腺癌、下行結腸癌、またはそれらのがんの組み合わせである。場合によっては、大腸癌は、転移性である。場合によっては、大腸癌は、再発性である。
【0029】
場合によっては、消化器癌は、胃癌である。いくつかの場合には、胃癌(gastric cancer)は、胃癌(gastric carcinoma)、胃腺癌、消化管間質癌、印環細胞癌、胃リンパ腫、形成性胃炎、遺伝性びまん性胃癌、粘膜関連リンパ組織、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、消化器癌は、腺癌である。場合によっては、胃癌は、転移性である。場合によっては、胃癌は、再発性である。
【0030】
場合によっては、消化器癌は、膵癌である。いくつかの場合では、膵癌は、膵外分泌癌、嚢胞性新生物、漿液性小嚢胞性腺腫、膵芽腫、膵管内乳頭粘液性新生物、偽乳頭状新生物、粘液性嚢胞性新生物、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、膵癌は、膵外分泌癌である。場合によっては、膵癌は、膵腺癌である。場合によっては、腺癌は、膵管腺癌である。場合によっては、腺癌は、転移性膵管腺癌である。場合によっては、膵癌は、転移性である。場合によっては、膵癌は、再発性である。
【0031】
(ii)皮膚癌を治療する方法
本開示の態様は、皮膚癌の治療を必要とする対象に、治療有効量のエンドキシフェンを投与することを含む、皮膚癌を治療する方法を提供する。皮膚癌は、エストロゲン受容体アルファの発現を低下させる可能性があるため、皮膚癌は、エンドキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節因子に対して応答性が不良であり得る。それにもかかわらず、本明細書では、エンドキシフェンがいくつかの形態の皮膚癌に対して活性を呈し得る仮説を立てた。この仮説は、複数の皮膚癌について、10μM未満のエンドキシフェンIC50値を同定した皮膚癌オルガノイドアッセイ(例えば、実施例20に概説)によって確認した。オルガノイドには免疫細胞が実質的に含まれていなかったため、これらのアッセイは、皮膚癌に対するエンドキシフェン活性が、免疫阻害及びがん細胞除去とは無関係であり得ることをさらに実証した。
【0032】
場合によっては、皮膚癌は、癌腫、黒色腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚線維肉腫、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、皮膚癌は、癌腫である。場合によっては、癌腫は、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、脂腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。場合によっては、皮膚癌は、皮膚T細胞リンパ腫である。場合によっては、皮膚癌は、皮膚線維肉腫である。場合によっては、皮膚癌は、転移性である。場合によっては、皮膚癌は、再発性である。
【0033】
場合によっては、皮膚癌は、黒色腫である。場合によっては、黒色腫は、表在性拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、粘膜黒色腫、線形成性黒色腫、ブドウ膜黒色腫、膣黒色腫、ポリープ状黒色腫、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、黒色腫は、末端黒色腫、再発性末端黒色腫、肛門直腸黒色腫、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、黒色腫は、末端黒色腫である。場合によっては、末端黒色腫は、再発性末端黒色腫である。場合によっては、黒色腫は、肛門直腸黒色腫である。場合によっては、黒色腫は、再発性黒色腫である。場合によっては、黒色腫は、転移性である。
【0034】
(iii)神経芽細胞腫を治療する方法
本開示の態様は、神経芽細胞腫の治療を必要とする対象に、治療有効量のエンドキシフェンを投与することを含む、神経芽細胞腫を治療する方法を提供する。神経芽細胞腫は、典型的には、交感神経組織内の神経芽細胞から発生するため、首、胸、及び脊柱など、様々な場所に発生し得る。神経芽細胞腫は、多くの場合、高度な細胞不均質を呈するため、進行段階にある場合及び播種後に治療することは、困難になり得る。本明細書(例えば実施例10)に開示されるとおり、エンドキシフェンは、一部の神経芽細胞腫に対して低いIC50を呈し、したがって神経芽細胞腫の治療及び寛解維持のための有効な手段を提供することができる。本明細書に開示される神経芽細胞腫を治療するいくつかの方法では、神経芽細胞腫は、転移性である。本明細書に開示される神経芽細胞腫を治療するいくつかの方法では、神経芽細胞腫は、再発性である。
【0035】
(iv)がん治療の投与
いくつかの実施形態では、黒色腫(例えば、末端黒色腫、再発性末端黒色腫、または肛門直腸黒色腫)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmax(例えば、全身性Cmax)を達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、黒色腫(例えば、末端黒色腫、再発性末端黒色腫、または肛門直腸黒色腫)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、大腸癌を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約10μMのCmaxを達成するように選択される。場合によっては、大腸癌は、結腸癌、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌である。エンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、大腸癌(例えば、結腸癌、S状結腸癌、結腸の腺癌、ステージIIIの大腸癌、ステージIVの大腸癌、または下行結腸癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、大腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、大腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、大腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、大腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0037】
いくつかの実施形態では、胃癌を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、胃癌を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、胃癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胃癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胃癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胃癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0038】
いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、神経芽細胞腫を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0039】
いくつかの実施形態では、膵癌(例えば、膵管腺癌、転移性膵管腺癌、またはステージIIIの転移性膵管腺癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、膵癌(例えば、膵管腺癌、転移性膵管腺癌、またはステージIIIの転移性膵管腺癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、膵癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、膵癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、膵癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、膵癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0040】
いくつかの実施形態では、食道癌(例えば、食道腺癌または転移性食道癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、食道癌(例えば、食道腺癌または転移性食道癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、食道癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、食道癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、食道癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、食道癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0041】
いくつかの実施形態では、直腸癌(例えば、直腸腺癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、直腸癌(例えば、直腸腺癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、直腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、直腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、直腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、直腸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0042】
いくつかの実施形態では、胆管癌(例えば、転移性胆管癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、胆管癌(例えば、転移性胆管癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、胆管癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胆管癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胆管癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、胆管癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0043】
いくつかの実施形態では、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、転移性乳癌、またはHER2+乳癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、転移性乳癌、またはHER2+乳癌)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、乳癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、乳癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、乳癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、乳癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0044】
いくつかの実施形態では、子宮頸癌(例えば、子宮頸癌腫)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、子宮頸癌(例えば、子宮頸癌腫)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、子宮頸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、子宮頸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、子宮頸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、子宮頸癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0045】
いくつかの実施形態では、卵巣癌(例えば、悪性類内膜様卵巣癌、ステージIIICの低分化漿液性腺癌、卵管癌、ステージIVの卵巣癌、卵巣顆粒膜細胞腫瘍、高悪性度ミュラー管/卵巣癌原発、プラチナ耐性再発卵巣癌、高悪性度漿液性癌、卵巣粘液腺癌、転移性卵巣癌、低悪性度漿液性卵巣癌、再発性卵巣癌、または腹膜癌腫症)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、少なくとも約0.01μM、少なくとも約0.05μM、少なくとも約0.1μM、少なくとも約0.2μM、少なくとも約0.3μM、少なくとも約0.4μM、少なくとも約0.5μM、少なくとも約0.6μM、少なくとも約0.7μM、少なくとも約0.8μM、少なくとも約0.9μM、少なくとも約1μM、少なくとも約1.5μM、少なくとも約2μM、少なくとも約2.5μM、少なくとも約3μM、少なくとも約3.5μM、少なくとも約4μM、少なくとも約4.5μM、少なくとも約5μM、少なくとも約6μM、少なくとも約7μM、少なくとも約8μM、少なくとも約9μM、または少なくとも約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、卵巣癌(例えば、悪性類内膜様卵巣癌、ステージIIICの低分化漿液性腺癌、卵管癌、ステージIVの卵巣癌、卵巣顆粒膜細胞腫瘍、高悪性度ミュラー管/卵巣癌原発、プラチナ耐性再発卵巣癌、高悪性度漿液性癌、卵巣粘液腺癌、転移性卵巣癌、低悪性度漿液性卵巣癌、再発性卵巣癌、または腹膜癌腫症)を治療するためのエンドキシフェンの投与量は、対象において、約0.01μM~約50μM、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約0.5μM、約0.1μM~約1μM、約0.1μM~約2μM、約0.5μM~約1μM、約0.5μM~約2μM、約1μM~約2μM、約1μM~約5μM、または約1μM~約10μMのCmaxを達成するように選択され得る。いくつかの実施形態では、卵巣癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、卵巣癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約0.5μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、卵巣癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約1μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。いくつかの実施形態では、卵巣癌を治療するための方法は、少なくとも1週間、約2μMを超える全身エンドキシフェンの濃度を維持する。
【0046】
いくつかの実施形態では、がん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)を治療する方法は、エンドキシフェン組成物を対象の血漿エンドキシフェンに30nMを超える定常状態レベル、例えば、30nM~80nMの範囲のレベル、または30nM~300nMの範囲のレベルで(例えば、経口、局所、または吸入を介して)投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、血漿定常状態エンドキシフェンレベルは、40nMより高く維持される。このような血漿エンドキシフェンを、30nMを超える定常状態レベルで維持することは、30nM未満の血漿エンドキシフェンレベルでのホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖管障害の再発(再燃)の可能性が低下されるという点で有利である。タモキシフェンの低代謝者(血漿エンドキシフェンレベルが16nM未満)、タモキシフェンの中間代謝者(血漿エンドキシフェンレベルが27nM未満)である対象に、本明細書に開示される組成物を投与することは特に有利である。また、シタロプラム(セレクサ)、エスシタロプラム(レクサプロ)、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル、ペクセバ)、セルトラリン(ゾロフト)、ビラゾドン(ビブライド)などのSSRI薬などの抗うつ薬で治療されている、または治療される対象、例えば、うつ病を患っている、またはうつ病を患う可能性のある対象にとっても有利である。
【0047】
いくつかの実施形態では、定常状態のエンドキシフェンレベル(例えば、定常状態の血漿エンドキシフェンレベル)は、目的のがん種(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)に対するIC50に対して、任意のレベルで維持され得る。例えば、エンドキシフェンの定常状態は、目的のがん種に対するエンドキシフェンのIC50の0.0001倍以上、0.0002倍以上、0.0003倍以上、0.0004倍以上、0.0005倍以上、0.0006倍以上、0.0007倍以上、0.0008倍以上、0.0009倍以上、0.001倍以上、0.002倍以上、0.003倍以上、0.004倍以上、0.005倍以上、0.006倍以上、0.007倍以上、0.008倍以上、0.009倍以上、または0.01倍以上に維持され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンの血漿レベルは、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも28日間維持され得、それによってがん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)が治療される。
【0048】
対象がタモキシフェン不応性であるか否かは、対象にタモキシフェンの初期用量を投与し、対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルを決定することによって判定され得る。タモキシフェンを投与された対象における血漿エンドキシフェン定常状態レベルは、タモキシフェン不応性対象のバイオマーカーとして機能する。血漿エンドキシフェンレベル(急性及び/または定常状態)は、対象にタモキシフェンを投与後、試験サンプル(対象から採取した血液サンプルであり得る)を対象から得ることによって決定され得る。血漿または血清は、バイオマーカーのエンドキシフェンレベルを検査するために、血液サンプルから得られ得る。初回用量は、タモキシフェンを少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、または6ヶ月にわたり毎日投与することを含んでもよい。対象はまた、タモキシフェンを含む第1の組成物を、少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、または10年にわたり毎日投与されてもよい。
【0049】
対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルは、試験サンプル中のエンドキシフェンを測定することによって決定され得る。対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルは、基準血漿エンドキシフェンレベルと比較される。本開示の目的では、基準血漿レベルは、30nMである。対象の血漿エンドキシフェンレベルが30nM未満であると決定された場合、対象は、タモキシフェン不応性であると定義される。ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖管障害を有する、またはそのリスクを有し得るタモキシフェン不応性の対象は、本明細書に開示される(Z)-エンドキシフェンもしくはその塩、または本明細書に開示されるエンドキシフェンの多形体形態を含む経口組成物を対象に投与することによって治療される。いくつかの実施形態では、そのような対象に投与される組成物は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む。他の実施形態では、このような対象に投与される組成物は、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるエンドキシフェングルコン酸塩を含む。他の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、エンドキシフェンHClまたはエンドキシフェンクエン酸塩である。本開示は、対象の血漿エンドキシフェンレベルが、定期的にまたは必要に応じて追跡または監視されることも企図する。必要に応じて、初回用量のタモキシフェンを投与された対象は、試験結果に基づいて、エンドキシフェンを含む組成物を継続的に投与することによって、血漿エンドキシフェン定常状態レベルが調整され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、対象のタモキシフェン不応性状態は、対照または正常対象に見られる基準タモキシフェン-代謝産物プロファイルと比較して、対象のタモキシフェン-代謝産物プロファイルを決定することによって決定され得る。基準タモキシフェン-代謝産物プロファイルと比較して、対象のタモキシフェン代謝産物プロファイルにおいて、低いレベルの血漿エンドキシフェンを有する対象には、エンドキシフェンまたはその塩を含む経口組成物が投与される。このような組成物は、合成により調製されたエンドキシフェンを含み得る。
【0051】
血漿エンドキシフェンは、当技術分野で知られている任意の方法によって測定され得る。試験サンプル中の血漿エンドキシフェンのレベルは、対象の遺伝子、DNA、RNA、タンパク質、タモキシフェン-代謝産物プロファイル、またはそれらの組み合わせに基づいて決定され得る。タモキシフェン-代謝産物プロファイルには、少なくともタモキシフェン、4-OHT、N-デスメチルタモキシフェン、及び/またはエンドキシフェンが含まれ得る。いくつかの実施形態では、試験サンプル中の血漿エンドキシフェンのレベル及び/またはタモキシフェン代謝産物プロファイルは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)などによって測定される。いくつかの実施形態では、タモキシフェン-代謝産物プロファイルは、対象の遺伝子組成に基づいて予測される。いくつかの実施形態では、対象のCYP遺伝子型には、これらに限定されないが、CYP2D6遺伝子、CYP3A4遺伝子、CYP2C9遺伝子の分析が含まれる。いくつかの実施形態では、対象のエストロゲン受容体レベルが分析され得る。他の実施形態では、血漿エンドキシフェンの測定は、第三者の検査機関によって行われてもよい。
【0052】
したがって、本明細書では、エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物を対象に投与することによって、必要とする対象において、血漿エンドキシフェンレベルを、30nMを超えるレベルに維持する方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルは、30nMを超える定常状態レベルに維持される。いくつかの実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルは、30nM~300nM(例えば、30nM~200nM、または30nM~80nM)の範囲の定常状態レベルに維持される。いくつかの実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルは、40nMを超える定常状態レベルに維持される。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンの血漿レベルは、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも28日間維持され得、それによってがん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌、または卵巣癌)が治療される。
【0053】
別の態様では、対象は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖管障害、またはその両方を示し得るまたは監視し得るバイオマーカープロファイルについて試験サンプルが試験されてもよい。このようなバイオマーカーは、当技術分野で知られており、非限定的な例として、CYP2D6、BRCA-1、BRCA-2、ER、PR、Her2、uPA、PAI、Tf、p53、Ki67、サイトケラチン、がん腫瘍抗原などのバイオマーカー、及びMammaprint、OncotypeDx、PAM50、EndoxPredict、MammoStrat、他の診断及び予測検査によって測定される他のバイオマーカーが挙げられる。対象が、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖管障害、またはその両方を有するか、または有するリスクがあることを示すバイオマーカープロファイルを有する対象に、本明細書に開示される組成物を投与することができる。一態様では、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖管障害、またはその両方を有する、または有するリスクを有する対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象のタモキシフェン不応性またはタモキシフェン耐性の状態を決定することと、本明細書に記載の組成物を対象に投与することとを含む。
【0054】
(v)転移性がん
本開示の態様は、転移性がんの治療を必要とする対象に、治療有効量のエンドキシフェンを投与することを含む、転移性がんを治療する方法を提供する。本明細書に開示される驚くべき発見は、エンドキシフェンが、一部の転移性皮膚癌、転移性消化器癌、及び転移性神経芽細胞腫をなどの特定の転移性がんの治療に有効であり得るということである。転移性がんは、多くの場合、腫瘍遺伝学的及び表現型の多様性、広範な組織分布、及び一次治療に対して、無応答を呈する。これらの特徴により、標的治療及び免疫調節治療の有効性が制限され得、そのため強力な抗がん剤の使用が必要になり得る。一部の転移性がん(例えば、実施例12で概説した転移性膵管腺癌)など、本明細書に開示されるがんの多くに対するエンドキシフェンについて、IC50値が低いことが確認され、これは、エンドキシフェンが、一部の転移性がんに対する有効な治療選択肢であり得ることを示唆している。
【0055】
(vi)手術中及び術後のエンドキシフェンコース
別の例では、エンドキシフェン組成物は、外科的治療または放射線治療と組み合わせて投与され得る。本明細書に開示される方法の多くでは、エンドキシフェンは、外科的腫瘍もしくは臓器の切除(例えば、胆嚢摘出術)または放射線療法の前、同時、またはその後に投与される。このような治療後のがんの再発は、多くの場合、残存している小さい転移、がん組織の不完全な除去、またはがん組織もしくは前がん組織の残存部分に起因する。エンドキシフェンは、多くのがんにおいて、IC50が低いため、外科的治療または放射線治療後に残存するがん細胞を除去するための効果的な手段となる。
【0056】
エンドキシフェンは、他の治療法では残存するがん部分を除去できないがんの場合、残存するがん細胞を除去するための効果的な術後治療となり得る。多くの場合、免疫媒介がん細胞除去に依存する治療法、例えば、PD-L1及びCD155陽性がんに対するいくつかの免疫活性化療法及び特定の化学療法は、前がん細胞及び免疫細胞密度の低い小さい転移に対して、低い効果を有する。本明細書で特定されるように、エンドキシフェンは、付随する活性化または免疫細胞の関与なく、がん細胞の死滅及び除去に直接影響を与えることができる。これらのがんの場合、エンドキシフェン投与は、手術及び/または放射線療法後の残存がん細胞を除去する、またはさらなる転移を抑制するための好ましい方法となり得る。
【0057】
本明細書に開示される方法は、治療有効量のエンドキシフェン及び追加の治療法を対象に投与することを含むことができる。場合によっては、追加の治療法は、外科的腫瘍除去、放射線療法、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、治療有効量のエンドキシフェンを投与することは、外科的腫瘍除去及び/または放射線療法の前、外科的腫瘍除去及び/または放射線療法と同時、外科的腫瘍除去及び/または放射線療法の後、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、治療有効量のエンドキシフェンを投与することは、外科的腫瘍除去及び/または放射線療法の後に行われる。
【0058】
外科的腫瘍除去は、対象における腫瘍及び/またはがん性組織の完全(例えば、「全切除」)または部分的(例えば、「摘除」)を含み得る。場合によっては、外科的腫瘍除去には凍結手術が含まれ、これは以下、冷却によってがん性組織を死滅させるかまたは弱める方法を指し得る。場合によっては、外科的腫瘍除去には、高エネルギーのコヒーレント光を使用して、がん組織を損傷させる、死滅される、または切除するレーザー除去が含まれる。場合によっては、外科的腫瘍除去は、腹腔鏡手術である。
【0059】
本明細書に開示される放射線療法としては、これらに限定されないが、外部ビーム放射線療法、小線源療法(例えば、インプラントベースの放射線療法)、全身放射線療法、定位放射線手術、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。場合によっては、放射線療法では、X線またはガンマ線が使用される。いくつかの実施形態では、放射線療法は、粒子(電子、陽子、中性子、炭素イオン、アルファ粒子、及び/またはベータ粒子)を利用する。場合によっては、放射線療法は、約1~約100グレイ(「Gy」、10rem(roentgen equivalent man)に相当)の累積外部放射線量を提供する。本明細書で使用される場合、累積外部放射線量は、治療の全コースにおいて、対象または治療領域に提供される放射線の総量を指し得る。場合によっては、放射線療法は、約1~約20Gy、約1~約40Gy、約5~約30Gy、約10~約40Gy、約10~約50Gy、約20~約60Gy、または約5~約25Gyの累積外部放射線量を提供する。場合によっては、放射線療法は、1回の投与で行われる。場合によっては、放射線療法は、1~5回の投与、1~10回の投与、3~10回の投与、4~15回の投与、6~20回の投与、4~12回の投与、または6~15回の投与(例えば、等線量)で行われる。これらの線量は、1時間ごと、毎日、1~10日ごとに1回、1~14日ごとに1回、3~14日ごとに1回、7~31日ごとに1回、または14~31日ごとに1回投与することができる。
【0060】
エンドキシフェン製剤
がんを治療する方法は、エンドキシフェンを含む組成物を対象に投与することを含んでもよい。エンドキシフェンは、4-ヒドロキシ-N-デスメチル-タモキシフェンとも呼ばれ、エンドキシフェンの多形、塩、遊離塩基、共結晶、または溶媒和物形態を含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンは、エンドキシフェンの形態I、形態II、または形態IIIなどの1つ以上の多形体形態を含み得る。多形体形態は、粉末X線回折パターンによって区別され得る。いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、主に多形体形態Iとしてエンドキシフェンを含む医薬組成物を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、主に多形体形態IIとしてエンドキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、主に多形体形態IIIとしてエンドキシフェンを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、多形体形態Iは、16.8±0.3°、17.1±0.3°、及び21.8±0.3°2シータに主要ピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、実質的に図34Aに示されるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多形体形態IIは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°及び18.4±0.3°2シータに主要ピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、実質的に図34Bに示されるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多形体形態IIIは、11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°及び17.7±0.3°2シータに主要ピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態IIIは、実質的に図34Cに示されるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物は、エンドキシフェンを、組成物中の総エンドキシフェンの少なくとも0.1wt/wt%、少なくとも0.2wt/wt%、少なくとも0.3wt/wt%、少なくとも0.4wt/wt%、少なくとも0.5wt/wt%、少なくとも1wt/wt%、少なくとも5wt/wt%、少なくとも10wt/wt%、少なくとも20wt/wt%、少なくとも25wt/wt%、少なくとも30wt/wt%、少なくとも40wt/wt%、少なくとも50wt/wt%、少なくとも60wt/wt%、少なくとも70wt/wt%、少なくとも80wt/wt%、少なくとも90wt/wt%、少なくとも91wt/wt%、少なくとも92wt/wt%、少なくとも93wt/wt%、少なくとも94wt/wt%、少なくとも95wt/wt%、少なくとも96wt/wt%、少なくとも97wt/wt%、少なくとも98wt/wt%、少なくとも99wt/wt%、少なくとも99.5wt/wt%、少なくとも99.99wt/wt%、または100wt/wt%のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIとして含む。いくつかの実施形態では、様々ながんを治療するための組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの90wt/wt%以上の単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。別の実施形態では、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの95wt/wt%以上のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。エンドキシフェンの特定の重量パーセントが単一の多形体形態である場合、組成物中の残りのエンドキシフェンは、非晶質エンドキシフェン及び/または単一の多形体形態を除くエンドキシフェンの1つ以上の多形体形態の何らかの組み合わせであり得る。多形体エンドキシフェンが、エンドキシフェンの1つの特定の形態として定義される場合、残りは、非晶質エンドキシフェン及び/または指定された特定の形態以外の1つ以上の多形体形態で構成され得る。単一の多形体の例としては、エンドキシフェンの形態I、II及びIII、ならびに本明細書に記載の1つ以上の特性を特徴とする単一の多形体の説明が挙げられる。
【0063】
他の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%~20%、0.05%~15%、または0.1%~10%(wt/wtまたはw/v)のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。少なくとも一実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%~20%(wt/wtまたはw/v)のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。様々な他の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0、09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、または20%のエンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む。一態様では、エンドキシフェンの単一の多形体形態、例えば形態I、形態II、または形態IIIを含む組成物は、エンドキシフェンの第2の多形体形態をさらに含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、総エンドキシフェンに対して、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0、09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、または20%(wt/wt)を超えないE-エンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、総エンドキシフェンに対して、99.9%、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、または70%以上(wt/wt)のZ-エンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、Z-エンドキシフェンに対して、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0、09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、または20%(wt/wt)を超えない不純物を含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、総組成物に対して、99.9%、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、または70%以上(wt/wt)のZ-エンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、総エンドキシフェンに対して、99.9%、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、または70%以上(wt/wt)のZ-エンドキシフェン(例えば、(Z)-エンドキシフェンの場合は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%の異性体純度を含む)。
【0065】
医薬組成物
様々ながんを治療するための組成物は、医薬組成物として製剤化され得る。例えば、エンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェン)を含む組成物は、医薬組成物として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、様々ながん(例えば、黒色腫、大腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、膵癌、食道癌、直腸癌、胆管癌、乳癌、子宮頸癌または卵巣癌)を治療するための組成物は、エンドキシフェン(例えば、Z-エンドキシフェン)を含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、追加の治療剤をさらに含み得る。例えば、医薬組成物は、抗がん剤を含み得る。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、ビカルタミド、エンザルタミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、アルペリシブ、オラパリブ、タラゾパリブ、リボシクリブ、ネラチニブ、抗腫瘍剤、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、イクサベピロン、免疫チェックポイント阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、またはATPカセット結合タンパク質阻害剤であり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、またはビラゾドン)を含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、エンドキシフェンを含む医薬組成物)は、経口、局所、直腸、静脈内、動脈内、非経口もしくは経皮投与用、または吸入による投与用に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、徐放性組成物または遅延放出性組成物として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、カプセルまたは錠剤として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、エンドキシフェン組成物は、クリーム、ゲル、クリーム、エマルジョン、ローション、軟膏、溶液、ペースト、パッチ、またはオイルとして製剤化され得る。
【0067】
様々な実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、約1重量%~約99.99重量%、約5重量%~約95重量%、約5重量%~約90重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約70重量%、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、または約70重量%~約80重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約99.99重量%、約95重量%、約90重量%、約85重量%、約80重量%、約75重量%、約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、または約50重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約99.99重量%、約99重量%、約98重量%、約97重量%、約96重量%、約95重量%、約94重量%、約93重量%、約92重量%、約91重量%、約90重量%、約89重量%、約88重量%、約87重量%、約86重量%、または約85重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約85重量%、約84重量%、約83重量%、約82重量%、約80重量%、約79重量%、約78重量%、約77重量%、約76重量%、約75重量%、約74重量%、約73重量%、約72重量%、約71重量%、約70重量%、約69重量%、約68重量%、約67重量%、約66重量%、または約65重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約55重量%、約54重量%、約53重量%、約52重量%、約51重量%、約50重量%、約49重量%、約48重量%、約47重量%、約46重量%、または約45重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約30重量%、約29重量%、約28重量%、約27重量%、約26重量%、約25重量%、約24重量%、約23重量%、約22重量%、約21重量%、または約20重量%の1つ以上の賦形剤を含む。
【0068】
経口投与用に製剤化された組成物に使用できる賦形剤の例が本明細書に提供されており、これらに限定されないが、増量剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、放出制御剤、腸溶性コーティング、フィルム形成剤、可塑剤、着色剤、甘味料、風味剤など、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0069】
本明細書で提供される医薬組成物で使用するのに好適な結合剤の非限定的な例としては、これらに限定されないが、スクロース、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、またはデンプン、例えば、デンプンペースト、アルファ化デンプン、デンプン1500、PEG6000、methocel、walocel HM、Luvitec、Luvicaparolactam、Avicel、SMCC、UNIPURE、ゼラチン、天然及び合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、No.2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。微結晶性セルロースの好適な形態としては、これらに限定されないが、AVICEL PH 101、AVICEL PH 103 AVICEL RC 581、AVICEL PH 105(販売元FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales,Marcus Hook,Pa.)として販売されている材料及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、結合剤は、微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。好適な無水または低水分の賦形剤または添加剤としては、AVICEL PH 103及びStarch 1500 LMが挙げられる。
【0070】
本明細書で提供される医薬組成物中での使用に好適である充填剤の例としては、これらに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、糖、例えば、デキストロース、スクロース、ラクトース、塩、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、粉末セルロース、セルロース塩基、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースデキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0071】
組成物中の1つ以上の結合剤または充填剤は、典型的には、組成物または剤形の約10%~約99%(wt/wt)で存在する。いくつかの実施形態では、組成物中の結合剤及び/または充填剤は、組成物の約15%~99%、約20%~60%、約25%~55%、約30%~50%、約35%~60%、約50%~99%(wt/wt)を構成する。
【0072】
崩壊剤は、水性環境に曝露したときに崩壊する錠剤を提供するために、組成物中で使用され得る。崩壊剤の含有量が多すぎる錠剤は、保存中に崩壊する可能性があり、一方、含有量が少なすぎる錠剤は、所望の速度または所望の条件下において崩壊しない可能性がある。したがって、活性成分の放出を不利に変えることがない、多すぎないまたは少なすぎない十分な量の崩壊剤が、固体の経口剤形を形成するために使用されるものとする。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、崩壊を遅らせるために経口固体剤形の深部に存在する。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類をベースにして変化し、当業者には容易に認識できる。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.5%~15%(wt/wt)の崩壊剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中に1%~5%(wt/wt)の崩壊剤を含む。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の1%~25%、2%~20%、5%~15%、8%~12%、または約10%(wt/wt)である。
【0074】
本明細書で提供される医薬組成物中に使用され得る崩壊剤としては、これらに限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
本明細書で提供される医薬組成物で使用され得る滑沢剤としては、これらに限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル、ライトミネラルオイル、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カリウム、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が挙げられる。追加の滑沢剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル(syloid silica gel)(AEROSIL 200,製造元W.R.Grace Co.of Baltimore,Md.)、合成シリカの凝固エアロゾル(販売元Degussa Co.of Plano,Tex.)、CAB O SIL(熱分解法二酸化ケイ素製品、販売元Cabot Co.of Boston,Mass.)、Q7-9120(Dow Corning)、及びそれらの混合物が挙げられる。滑沢剤を使用する場合、典型的には、滑沢剤は、それらが組み込まれる組成物または剤形の1%(wt/wt)未満の量で使用される。さらに別の実施形態では、滑沢剤は、組成物の0.1%~3%、例えば0.5%~1%(wt/wt)である。
【0076】
可塑剤は、カプセル、カプレット、または錠剤のシェルなど、経口剤形の柔らかさまたは柔軟性を制御するために添加され得、したがって、経口剤形のコーティングのpH感受性材料の機械的特性が改善され得る。好適な可塑剤としては、限定されないが、石油(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、及び芳香族プロセスオイル)、スクアレン、スクアラン、植物油(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、ピーナッツ油)、シリコン油、二塩基酸エステル(例えば、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジオクチル)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルISM)、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びセバシン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フタル酸エステル、ソルビトール、サリチル酸グリコール、クロタミントン、及びグリセリン、またはそれらの混合物が挙げられる。可塑剤の量は、医薬調製物の化学組成に応じて変化し得る。一実施形態では、少なくとも1つの可塑剤は、ソルビトール、ジメチルイソソルビド、またはグリセロールである。別の実施形態では、可塑剤は、組成物の1%~10%、例えば3%~5%(wt/wt)である。
【0077】
流動促進剤の例としては、これらに限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、リン酸カルシウム、二塩基性または三塩基性などが挙げられる。
【0078】
甘味料または甘味剤の例としては、スクロース、サッカリン、デキストロース、マルトース、砂糖代替品、アスパルテーム、キシリトール、マンニトール、シクラメート、スクラロース、マルチトール、ソルビトール、アセスルファムKなどが挙げられる。
【0079】
風味剤の例としては、ペパーミント、サリチル酸メチル、ペパーミント、スペアミント、サリチル酸メチル、ラズベリー、レッドベリー、イチゴ、パイナップル、オレンジ、チェリーなどが挙げられる。
【0080】
本明細書に開示される経口送達用に製剤化された組成物、例えば、錠剤、カプレット、及びカプセルは、胃腸管におけるエンドキシフェンまたはその塩を含む組成物の崩壊及び吸収を制御するかまたは遅延させて、それにより長期にわたって、持続的な作用が得られるように、1つ以上の腸溶性コーティング剤、放出制御剤またはフィルム形成剤でコーティングされてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、錠剤は、腸溶性錠剤であってもよく、カプレットは、腸溶性カプレットであってもよく、またはカプセルは、腸溶性カプセルであってもよい。本開示の腸溶性錠剤、腸溶性カプレット、または腸溶性カプセルは、当技術分野で知られている技術によって調製され得る。
【0081】
本明細書に開示される医薬調製物は、放出制御剤を含んでもよい。使用に好適である放出制御剤の例としては、これらに限定されないが、pH依存性ポリマー、酸不溶性ポリマー、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、シェラック、トリメリト酸酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ワックス、例えば、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、蜜蝋ワックス;ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、硬化油、グリセリルモノベネート、グリセリルジベネート、グリセリルトリベネート、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、長鎖アルコール、例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びポリエチレングリコール;及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用してもよい。他の実施形態では、放出制御試薬は、硬パラフィンワックスなどの消化可能なワックス状物質である。
【0082】
いくつかの実施形態では、エンドキシフェン(例えば、(Z)-エンドキシフェン)を含む医薬組成物は、徐放性組成物として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤(例えば、アルペリシブ)を含む医薬組成物は、徐放性組成物として製剤化され得る。本開示の徐放性組成物中に存在する徐放剤は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形もしくは塩などの疎水性薬物の放出を遅らせるための当技術分野で知られている任意の徐放剤であり得る。
【0083】
徐放剤の例としては、セルロースエーテル、ガムのほか、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びそれらの組み合わせのポリマー及びコポリマーなどのアクリル樹脂、ポリビニルピロリジン、及びタンパク質由来化合物が挙げられる。セルロース系エーテルの例としては、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース、例えばNo.2208、2906、2910)、カルボキシアルキルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、pH5.0を超えるとさらに可溶性及び透過性になるが、pH5.0未満では不透過性のままである酸不溶性ポリマーなどのpH徐放剤である。このような放出制御ポリマーは、小腸上部及び/または結腸を標的とする。酸不溶性ポリマーの非限定的な例としては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウム、シェラック、ペクチン、アクリル酸-メチルアクリル酸コポリマー、EvonikまたはRohmより入手可能なもの((Eudragit(登録商標)徐放性ポリマーEudragit(登録商標)RL(高透過性)、Eudragit(登録商標)RS(低透過性)及びEudragit(登録商標)NM30D(低透過性)が挙げられ、これらは、単独で、またはそれらの任意の組み合わせで、徐放のための望ましい透過性を達成するようにする。徐放剤の粘度は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形もしくは塩の徐放に好適である任意の粘度であり得る。特定の実施形態では、少なくとも徐放剤の粘度は、約1000mPa.s~約150,000mPa.sの範囲である。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは、約1000mPa.s~約10,000mPa.s、約10,000mPa.s~約70,000mPa.s、約70,000mPa.s~約150,000mPa.s.またはそれらの組み合わせの範囲の粘度を有する1つ以上のSR/放出速度制御剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示は、徐放性送達システムが2つ以上の徐放剤を含むものとする。各徐放剤は、同じ粘度または異なる粘度を有してもよく、例えば、ある徐放剤は、約1000mPa.s~約10,000mPa.sの範囲の粘度を有してもよく、他の徐放剤は、約10,000mPa.s~約70,000mPa.sまたは約70,000mPa.s~約150,000mPa.s.の粘度を有してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、徐放剤は、HPMC/ヒプロメロース(例えば、No.2208、2906、2910)である。本開示で使用されるヒプロメロースは、約20,000~500,000の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヒプロメロースは、一般に20,000~250,000の平均分子量を有する。ヒプロメロースは、商品名Methocell(商標)、例えば、Methocell(商標)K100(平均分子量26,000、2%粘度;75,000~140,000mPa.s);Methocell(商標)K15M(平均分子量120,000、2%粘度;15,000cP、13275~24,780mPa.s);Methocell(商標)K4M(平均分子量86,000、2%粘度;4,000cP、75,000~140,000mPa.s)であり、Dow Chemicalsより入手可能である。あるグレードのヒプロメロースを単独で使用しても、別のグレードと組み合わせて使用してもよい。
【0085】
少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、及び少なくとも72時間、持続的に(Z)-エンドキシフェンまたはその多形または塩の放出を示す徐放性組成物が得られる場合、いくつかの実施形態では、ヒプロメロースなどの徐放剤は、一般に15,000~140,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。少なくとも一実施形態では、平均分子量は、約15,000ダルトンである。
【0086】
組成物中の徐放剤の量は、治療剤を投与後約2時間、治療剤(Z)-エンドキシフェン、またはその多形もしくは塩の放出を遅らせて、治療剤を胃の酸性環境から保護し、これにより、治療剤が胃を通過して、腸に入ることが可能になり、そのような放出を約2時間から約72時間延長させるのに有効な任意の量であり得る。組成物中の徐放剤の量は、参照製品と比較して、治療剤(Z)-エンドキシフェン、またはその多形もしくは塩のより遅い放出速度をもたらすのに有効な任意の量であり得る。いくつかの実施形態では、組成物中の徐放剤の量は、参照製品と比較して、治療剤(Z)-エンドキシフェン、またはその多形もしくは塩の放出を、投与後少なくとも約1時間、少なくとも約1.1時間、少なくとも約1.2時間、少なくとも約1.3時間、少なくとも約1.4時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約1.6時間、少なくとも約1.7時間、少なくとも約1.8時間、少なくとも約1.9時間、少なくとも約2時間、少なくとも約2.1時間、少なくとも約2.2時間、少なくとも約2.3時間、少なくとも約2.4時間、または少なくとも約2.5時間遅らせるのに有効な任意の量であり得る。
【0087】
75RPM USPパドル法による溶解試験において、試験媒体として、模擬胃液中、pH1.2、37℃で2時間、模擬腸液中、pH6.8、37℃で24時間使用して、徐放性組成物が、3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、24時間で約65%~85%の範囲の溶解率を示す場合、少なくとも1つの徐放剤、例えば、ヒプロメロース(HPMC)は、本開示の徐放性組成物中、一般に、徐放性組成物の約0.1%~約99%、約0.1%~約90%、約5%~約90%、約5%~約80%、約5%~約70%、及び約5%~約60%w/wの量で存在し得る。いくつかの実施形態では、徐放剤(例えば、ガム、アクリル樹脂、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリジン、タンパク質由来化合物、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース)は、約10%~約40%、約10%~約50%、約10%~約60%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約60%の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、徐放剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%の量で存在し得る。本明細書に開示の本開示の徐放性組成物は、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、及び少なくとも72時間、持続的に(Z)-エンドキシフェンまたはその多形もしくは塩を放出する。
【0088】
いくつかの実施形態では、組成物は、酸不溶性ポリマーなどのpH依存性ポリマーのうちの1つ以上を含み得る。pH依存性ポリマーは、pH5.0を超えるとさらに透過性になり、pH5.0未満では不透過性になるが、酸不溶性ポリマーは、中性から弱アルカリ性条件において可溶になる。このような放出制御ポリマーは、小腸上部及び結腸を標的とする。酸不溶性ポリマーの非限定的な例としては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アルゲン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウム、シェラック、ペクチン、アクリル酸-メチルアクリル酸コポリマー(商品名EUDRAGIT(登録商標)L及びEUDRAGIT(登録商標)S(Rohm America Inc.,Piscataway,NJ)であり、粉末または30%水性分散液として市販されている;または商品名EASTACRYL(登録商標)(Eastman Chemical Co.,Kingsport,TN)、30%分散液として市販されている)が挙げられる。追加の例としては、EUDRAGIT(登録商標)L100-55、EUDRAGIT(登録商標)L30D-55、EUDRAGIT(登録商標)L100、EUDRAGIT(登録商標)L100 12,5、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)S12,5、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、EUDRAGIT(登録商標)E100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、及びEUDRAGIT(登録商標)POが挙げられる。少なくとも一実施形態では、組成物は、EUDRAGIT(登録商標)L100-55を含む。EUDRAGIT(登録商標)RS及びRL、ならびにEUDRAGIT(登録商標)NE及びNMも、本開示の目的にとって有用なポリマーである。いくつかの実施形態では、組成物は、EUDRAGIT(登録商標)L30D 55を含む。別の実施形態では、調製物は、EUDRAGIT(登録商標)FS 30Dを含む。当業者は、本明細書に列挙される少なくとも一部の酸不溶性ポリマーも生分解性であることを認識するであろう。
【0089】
経口剤形の時間遅延または遅延放出医薬調製物の場合、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、及び酸不溶性ポリマー、例えばポリメタクリレート、pH感受性ポリマーベースのコーティングを(例えば、腸溶性コーティング剤、カプセル、カプレット、及び錠剤の腸溶コーティング用などのコーティング材料として)使用することができる。遅延放出経口剤形の市販品が入手可能であり、例えば、ヒプロメロース(HPMC)で作られたDRCaps(Capsugel,USA)が挙げられる。このような遅延放出経口剤形は、酸耐性であり、少なくとも30分間、例えば少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、または少なくとも2時間、胃内で見られる酸性度に耐性があり得る。このような遅延放出経口剤形は、腸(小腸、大腸/結腸など)中において、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%のエンドキシフェンまたはその塩を放出し得る。
【0090】
本開示の一態様では、腸溶性錠剤、腸溶性カプレット、及び腸溶性カプセルは、コーティングされていなくてもよい。本質的に腸溶性カプセル技術(例えば、Capsugelから入手可能なEnTrinsic Drug Delivery)を使用した腸溶性能力を有する非コーティングハードカプセルは、本開示の目的にとって好適である。
【0091】
様々な実施形態では、腸溶性錠剤は、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩の自由流動性粉末で作製された硬質錠剤である。様々な実施形態では、腸溶性カプセルは、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩の自由流動粉末で作製されたカプセルである。様々な実施形態では、腸溶性錠剤は、エンドキシフェンまたはその多形の自由流動性粉末で作製された硬質錠剤である。様々な実施形態では、腸溶性カプセルは、エンドキシフェンまたはその多形の自由流動性粉末で作製されたカプセルである。
【0092】
いくつかの実施形態では、腸溶性カプセルは、例えば、ヒプロメロースカプセル(例えば、市販の自己ゲル化Vcaps、VCaps Plus、VCaps腸溶性カプセル、Xcellodose、ENCODE結腸送達技術、及びEnTrinsic(商標)薬物送達技術(Capsugel)を使用して作られた他の腸溶性カプセル)の非動物性カプセルである。経口固形剤形の腸溶性形態を製剤化するために、当技術分野で公知であり、市販されている他の技術(例えば、Qualicaps,USA、Nutrascience,USAなど)も利用可能である。少なくとも一実施形態では、カプセルは、API-in-カプセルであり、これは、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩が、カプセル内にそのまま充填されていることを意味する。このようなAPI-in-カプセル経口剤形では、活性成分、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩は、自由流動性粉末または微粉化粉末であり得る。剤形がカプセルである場合、少なくとも1つの実施形態において、カプセルは、シームレスカプセルまたはバンドシールカプセル(banded capsule)であり得る。
【0093】
経口剤形は、球形(0.05~5mL)、楕円形(0.05~7mL)、楕円形、洋ナシ形(0.3~5mL)、円筒形、立方体、規則的及び/または不規則形状など、経口投与に好適である任意の形状であり得る。経口剤形は、経口投与に好適である任意のサイズ、例えば、サイズ0、サイズ2などであり得る。
【0094】
本開示のエンドキシフェン組成物は、局所送達または経皮送達のための医薬組成物として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所送達または経皮送達のためのエンドキシフェン組成物は、クリーム、ゲル、クリーム、エマルジョン、ローション、軟膏、溶液、ペースト、パッチ、またはオイルとして製剤化され得る。局所送達または経皮送達のためのエンドキシフェン組成物は、がん(例えば、黒色腫、食道癌、または乳癌)を治療するために、対象の皮膚に塗布され得る。局所組成物または経皮組成物は、がんの位置またはその近くの皮膚領域に塗布され得る。例えば、局所エンドキシフェン組成物は、黒色腫を有する対象におけるがん性皮膚成長部位に塗布され、それによって黒色腫が治療され得る。別の例では、局所エンドキシフェン組成物を食道癌を有する対象の喉の周囲の皮膚に塗布し、それによって食道癌が治療され得る。いくつかの実施形態では、局所投与または経皮投与のための医薬組成物は、(Z)-エンドキシフェン、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(例えば、トランスクトール)、イソプロパノール、完全飽和皮膚軟化剤トリエステル(例えば、クロダモルGTCC)、及びミネラルオイルを含み得る。
【0095】
当業者はさらに、本明細書に開示される組成物が、当技術分野で知られ、本明細書に開示される賦形剤のうちの1つ以上を、所望の製剤または調製物にとって適切である任意の組み合わせで含み得ることを認識するであろう。さらなる賦形剤は一般に、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、Meade Publishing Co.、米国薬局方に記載されている。当業者であれば、当業者の技術及び知識、ならびに本明細書で行われる開示に基づいて、製剤の調製に必要な好適である賦形剤及び投与経路に適合する適切な剤形を選択することができるであろう。すべての場合において、最終剤形は、製造及び保管条件下において、滅菌かつ安定であるものとする。
【0096】
本明細書に開示される固体投与組成物の製剤については、水分活性(Aw)が0.75未満であるため、総好気性菌数(TAC)及びUSP指標体(USP indicator organism)の試験は、典型的には不要である。刊行物「Microbial Bioburden on Oral Solid Dosage Form」(Jose E.Martinez,Pharmaceutical Technology,February 2002,pages 58-70)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
0.75未満の水分活性を有する液体または流体製剤などの他の製剤の場合は、USPガイドライン第62章に準拠して、特定の微生物(S.aureus、Ps.aeruginosa、Salmonella、C.albicans、Clostridia、E.coli及び胆汁耐性グラム陰性菌)の検査を行う必要がない場合がある。
【0098】
がんの検出方法
がんを治療するための方法には、対象におけるがんまたは前がん組織の検出、診断、及び病期分類が含まれ得る。がんの検出では、がんの種類、分布、段階、及び重症度を特定することができ、最適な治療コースを必要とする対象にとってその最適な治療コースを決定するために使用可能である。がんの検出は、治療中及び治療後にがんを能動的に監視するためにも使用され得る。場合によっては、がんの検出は、寛解中の対象を監視するために使用される。
【0099】
場合によっては、がん検出方法(例えば、治療方法の一部としてのがん検出方法)は、腫瘍画像化を含む。場合によっては、腫瘍画像化としては、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴画像法、陽電子放出断層撮影法、超音波、X線画像化、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
場合によっては、がんの検出方法としては、遺伝子検査が挙げられる。既知のがん性またはがん性であり得る組織を、遺伝的素因(例えば、遺伝的変異)またはがんに起因する突然変異またはがん発症のリスクの上昇についてスクリーニングすることができる。場合によっては、大腸癌を監視または検出する方法は、APC、DCC、TP53、セリン/スレオニンプロテインキナーゼB-Raf(BRAF)、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、腫瘍タンパク質P53(P53)、キスペプチンタンパク質(KISS1)、Rhoファミリーアルファセリン/スレオニンプロテインキナーゼ(AKT1)、SMAD4、KRAS、HRAS、及びカテニンベータ1(CTNNB1)のうちの1つ以上における変異を検出することを含む。場合によっては、黒色腫を監視または検出する方法は、KRAS、HRAS、NRAS、BRAF、CDK4、またはそれらの組み合わせにおける変異を検出することを含む。場合によっては、神経芽細胞腫を監視または検出する方法は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、PHOX2B、FLJ22536、BARD1、NBPF23、またはそれらの組み合わせにおける変異を検出することを含む。
【0101】
場合によっては、がんの検出方法には、発現プロファイリングを含む。場合によっては、大腸癌を監視または検出する方法は、HER2、FOXQ1、CDCP1、NEDD4、ヒト白血球抗原Eタンパク質(HLA-E)、HOXC10、HsAIRK1、HsAIRK3、PLAGL2、及びCK2αのうちの1つ以上の過剰発現を同定することを含む。場合によっては、黒色腫を監視または検出する方法は、KRAS、HRAS、NRAS、サイクリンD1、HDM2、NF1、またはそれらの組み合わせの過剰発現を同定することを含む。場合によっては、神経芽細胞腫を監視または検出する方法は、ALK、MYCN、またはTFAP4の過剰発現、NF1の発現減少、またはそれらの組み合わせを同定することを含む。
【0102】
本明細書で使用される場合、数値に関して「約」及び「およそ」という用語は、本明細書では、いずれかの方向(より大きいまたはより小さい)において、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、その数値の10%、5%、または1%の範囲内に入る数値を含むために使用される(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0103】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されていない限り、用語「a」、「an」及び「the」には、複数の言及物が含まれる。
【0104】
本明細書で引用される任意の数値には、下限値から上限値までのすべての値が含まれる、すなわち、列挙された最低値と最高値との間のあらゆる可能な数値の組み合わせが、本出願に明示的に記載されているとみなされ、すべての範囲のエンドポイントは、この範囲内に含まれ、独立して組み合わせ可能であることが特に理解される。例えば、濃度範囲または有益な範囲が1%~50%と記載されている場合、本明細書において、2%~40%、10%~30%、または1%~3%などの値が明示的に列挙されることが意図されている。濃度または用量が1mgまたは10mgなどの特定の値として記載されている場合、それは10%の変動を含むことを意図していることも理解されるものとする。別の例として、濃度20%と記載されている場合は、±10%の値を含むことを意図している。さらに別の例として、1:10~10:1の比率が記載されている場合、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、1:1~2:1または2:5~3:5などが特に意図されていることが意図される。具体的に意図されるものについては、いくつかの例のみ存在する。他に指定しない限り、組成物の構成物または構成成分の値は、その成分中の各成分の重量パーセントで表される。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「医薬活性成分」、「活性成分」、「API」、「薬物」、「活性物質」、「活性物質(複数可)」、または「治療剤」は、医薬組成物中の薬学的に活性な化合物(複数可)を指すために互換的に使用され得る。これは、実質的にまたは完全に薬学的に不活性である賦形剤などの組成物中の他の成分とは対照的である。本開示による好適なAPIは、特定の疾患、状態、または障害を治療するための患者のコンプライアンス問題が存在するか、または存在する可能性があるAPIである。本明細書で使用される治療剤としては、活性化合物及びその塩、プロドラッグ、及び代謝産物が挙げられる。本明細書で使用される「薬物」という用語は、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、治癒、緩和、治療及び/または予防で使用することを意図した化合物を意味する。
【0106】
本明細書で使用される場合、「補助的療法」とは、一次療法後に、再発のリスクがある対象に投与される療法を指す。乳癌または生殖器癌の場合、例えばタモキシフェンを用いた補助的全身療法は、再発を遅らせ、生存期間を延長し、または対象を治癒するために、通常、一次療法の直後に開始される。
【0107】
本明細書全体を通して、式(I)、式(II)、式(III)及び式(IV)の化合物などの「化合物」に言及する実施形態には、本明細書に開示される式及び/または化合物の多形体、塩、遊離塩基、共結晶、及び溶媒和物形態が含まれる。したがって、「化合物」、「式(I)の化合物」、「式(II)の化合物」、「式(III)の化合物」及び「式(IV)の化合物」という語句の出現には、本明細書に記載の式(IV)の化合物の形態I、式(III)の化合物の形態II~III、式(IV)の化合物の遊離塩基、式(III)の化合物の遊離塩基、及び/またはグルコン酸塩の塩が含まれる。
【0108】
「結晶形態」、「多形」及び「形態」という用語は、本明細書では互換的に使用することができ、特定の結晶または非晶質の形態が言及されていない限り、例えば、多形体、擬似多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、及び非晶質形態、ならびにそれらの混合物を含む、化合物のすべての結晶形態及び非晶質形態を含むことを意味する。本開示の化合物には、これらの化合物の結晶形態及び非晶質形態、例えば、化合物の多形体、擬似多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、及び非晶質形態、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0109】
本明細書に開示されるすべての化合物は、化合物中に存在する原子のすべての可能な同位体を含むことがさらに理解される。同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一例として、これに限定するものではないが、水素の同位体としては、三重水素及び重水素が挙げられ、炭素の同位体としては、11C、13C、及び14Cが挙げられる。
【0110】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」、「含有する」、及び「含む(including)」という用語は包括的であり、オープンエンド形式であり、記載していないさらなる要素、構成成分または方法ステップを排除するものではない。したがって、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、より限定的な用語「からなる」及び「本質的にからなる」を包含する。
【0111】
本明細書で使用する場合、「併用療法」という用語は、本明細書に記載の組成物を1つ以上の追加の治療と組み合わせて使用することを指す。併用療法における治療は、任意の予防剤、治療剤(化学療法など)、放射線療法、手術などの任意の治療であり得る。併用は、本明細書に開示される組成物と同じ組成物の中(例えば、同じカプセル、錠剤、軟膏などの中)または別個の組成物の中(例えば、2つの別個のカプセルの中)に治療剤または予防剤が含まれることを指し得る。別個の組成物は、異なる剤形であってもよい。「併用療法」及び「と併用して」という用語の使用は、本明細書に記載の組成物、予防剤及び/または治療剤及び/または治療が、それを必要とする対象に投与される順序を制限するものではない。本開示の組成物は、1つ以上の予防剤及び/または治療剤及び/または治療を対象に投与する前(例えば、1分(分)、5分、15分、30分、45分、1時間(時)、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週(週)、2週、3週、4週、5週、6週、8週、12週、6ヶ月(月)、9ヶ月、または1年前)に、同時に、またはその後(例えば、1分(分)、5分、15分、30分、45分、1時間(h)、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週(週)、2週、3週、4週、5週、6週、8週、12週、6ヶ月(月)、9ヶ月、または1年後)に、投与され得る。本明細書で使用される併用療法は、1つの疾患または複数の疾患、例えば男性の前立腺癌及び女性化乳房を有する対象の治療を指すこともできる。
【0112】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「担体」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料など、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味し、本開示の化合物のうちの1つ以上を、身体の1つの組織、器官、もしくは一部から、あるいは皮膚全体から担持するかまたは輸送することに関連するものである。
【0113】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象(例えば、哺乳動物、及び/またはin vivo、ex-vivo、in vitroの細胞、組織、または器官)において生理学的に許容される、(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)本開示の化合物の任意の塩を指す。本開示の化合物の「塩」は、無機または有機の酸及び塩基に由来してもよい。適切なアニオン塩としては、アレコリン、ベシル酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化ブチル、クエン酸塩、カンシル酸塩(camysylate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフタノエート(hydroxynapthanoate)、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムカート、ナプシレート、硝酸塩、パモ酸塩(Embonate)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、脂肪酸アニオン、及びトリエチオジドが挙げられる。
【0114】
好適なカチオンとしては、ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ピペラジン、プロカイン、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、及び亜鉛が挙げられる。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、活性剤(例えば、活性医薬化合物または成分、API)と不活性または活性の担体(例えば、リン脂質)との組み合わせを意味し、これらは、in vitro、in vivo、またはex vivoでの診断的または治療的使用のためにその組成物を特に好適なものにする。
【0116】
本明細書で使用される場合、「対象」、「患者」、「参加者」、及び「個体」という用語は、本明細書では互換的に使用され得、ヒトなどの哺乳動物を指す。哺乳動物としては、イヌ、ネコなどのペット動物、ラット、マウスなどの実験動物、ならびにウシ及びウマなどの家畜も含まれる。他に指定がない限り、哺乳動物は、任意のジェンダーまたは性別であり得る。
【0117】
本明細書に記載されているすべての方法は、別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、好適な順序で実施され得る。本明細書内に提供される任意及びすべての実施例、または例示的言語(例えば、「など(such as)」及び「など(the like)」)の使用は、単に本発明を明示することを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲に対して制限を課すものではない。本明細書のいかなる文言も、本明細書で使用されるような、請求されていない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0118】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、生物体内で異常な成長を呈する細胞の存在を指し得る。細胞は、多くの場合、認識可能な発現プロファイルと形態、さらには制御されていない成長及び増殖、転移能、ならびに不死性などの挙動を示す。がん細胞は、腫瘍内、非がん組織内、または他の細胞から離れて(例えば、循環中またはリンパ空間内に)存在し得る。
【実施例
【0119】
本発明はさらに以下の非限定的な実施例によって説明される。
【0120】
実施例1
患者由来腫瘍オルガノイドにおけるエンドキシフェンのスクリーニング
この実施例では、患者由来腫瘍オルガノイドにおけるエンドキシフェンのスクリーニングについて記載する。エンドキシフェンは、個別化がん治療スクリーニングアッセイ(PARIS(登録商標)Test,SEngine Precision Medicine)を使用して、様々ながん種と診断された患者由来の腫瘍オルガノイドに対して、単剤として試験した。このスクリーニングでは、患者由来腫瘍オルガノイド(PDTO)をハイスループット薬物スクリーニング及び機械学習に基づくデータ分析と共に利用して、様々ながん種と診断された個々の患者由来のサンプルに対するエンドキシフェンの有効性を定量化した。PDTOは、in vivo臓器の構造的、機能的、及びゲノム的態様を再現する自己組織化三次元オルガノイド構造である。PDTOは、患者の腫瘍生検サンプルから培養して成長させた。
【0121】
手術後に受領した患者の新鮮な生検サンプルは、洗浄し、精製した。エンドキシフェン試験用の純粋なPDTOを樹立するために、免疫細胞(例えば、リンパ球、血液細胞)、がん関連線維芽細胞、及び他の非腫瘍細胞を除去した。腫瘍オルガノイドは、臓器及び患者に特有の成長因子及び栄養素を供給することによって成長し、拡大した。PDTOは、約30nMから約10μMの範囲で増加する濃度のエンドキシフェンで処理し、発光読み取り値を使用して、薬物応答を測定した。発光が低いほど、薬物応答が強いことを示している。
【0122】
結果は、「SEngine Precision Medicine」(SPM)スコアリングシステムを使用して分析し、エンドキシフェンに対する各腫瘍オルガノイドの感受性及び個別化を評価した。SPMスコアは、臨床結果と相関しており、特定のPDTO-薬物の組み合わせのSPMスコアが高いほど、試験薬物による対応する患者の治療後の臨床結果がより良好であることが予測される。
【0123】
実施例2
17の異なるがん種に対するエンドキシフェンの有効性の試験
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)における17の異なるがん種に対するエンドキシフェンの有効性を試験する方法について説明する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。各PDTOサンプルについて、一定範囲のエンドキシフェン濃度における発光読み取り値を使用して、薬物応答を測定した。薬物応答は、適合した用量反応曲線下面積(AUC)及びSPMスコアリングシステムに基づいて評価した。AUC値は、各PDTOに対して正規化した。簡潔に言えば、最初に各薬物濃度のデータポイントを陰性対照に対して正規化し、次に正規化されたデータポイントに適合させた4パラメータロジスティックモデルを使用して、用量反応薬物曲線を近似させた。曲線下面積は、正規化された曲線から計算した。正規化により、患者サンプル間のAUC値の比較が可能になった。SPMスコアは、薬物が患者の細胞をどの程度死滅させるか(感受性メトリクス)、サンプルデータベース内の他のすべての患者に対する患者の相対的な薬物応答(個別化メトリクス)、及び個別化されたがんスクリーニングアッセイ(PARIS(登録商標)Test、SEngine Precision Medicine)で評価された患者の臨床結果の知識に関する値を組み込んだ機械学習モデルに基づいたものであった。
【0124】
SPMスコアリングシステムでは、PDTOがエンドキシフェンに応答しないか応答するか、及びエンドキシフェンに応答するPDTOの薬物応答の程度を評価した。SPMスコアリングシステムでは、臨床結果、全体的な薬物応答(応答カテゴリー)、薬物感受性(感受性カテゴリー)、及び薬物の個別化(個別化カテゴリー)を予測するSPMスコアというメトリクスを生成した。SPMスコアは、1~15の範囲で、次の薬物応答カテゴリーに対応する:無応答(SPM1~8)、低程度の応答(SPM9)、中程度の応答(SPM10~11)、良好な応答(SPM12~13)、優れた応答(SPM14~15)。優れた応答(SPM14~15)を呈する薬物は、多くの場合、その薬物が単独療法として臨床的関連性を有することを示す。中程度から良好な薬物応答(SPM10~13)は、その薬物が、おそらく他の薬物と組み合わせて、臨床的関連性を有することを示し得る。感受性カテゴリーは、感受性メトリクスから決定し、6つの濃度のエンドキシフェンに応答した患者の細胞の全体的な細胞死の尺度である。感受性カテゴリーの範囲は、高い、良好である、中程度である、低程度である、なしである。個別化カテゴリーは、個別化メトリクスから決定され、同じ個別化されたがんスクリーニングアッセイを使用して評価された他のPDTOと比較して、PDTOがエンドキシフェンにどの程度十分に反応したかを示す尺度である。個別化カテゴリーの範囲は、高い、良好である、中程度である、低程度である、なしである。
【0125】
図1及び表1に示すとおり、エンドキシフェンは、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、食道腺癌、胃癌、黒色腫、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵管腺癌、及び直腸癌を有する患者のサンプルにおいて薬物応答を誘発した。図1には、各がん種について試験されたサンプルの数と、各サンプルの薬物応答カテゴリーを示す。各サンプルのSPMスコア、感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表1に示す。各サンプルの表1には、in vitroにおいて、腫瘍細胞の50%を阻害するエンドキシフェンの濃度(IC50)、AUC、及び6つの実験データポイントに対する4つのパラメータのロジスティック曲線の適合度(GOF)も示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0126】
各がん種について試験された患者サンプルの数を図33にまとめる。個々のがん種に対する患者固有の結果については、実施例3~実施例13においてさらに詳細に説明する。子宮内膜癌(図13)、平滑筋肉腫(図16A図16B、及び図16C)、粘液線維肉腫(図17)、原発性腹膜癌(図29)、肉腫(図31)、または甲状腺癌(図32)の患者の試験サンプルでは、応答は観察されなかった。しかし、これらのがん種のサンプルサイズは、非常に小さいため、エンドキシフェンに対する薬物応答が観察される可能性がないとはいえない。
【0127】
実施例3
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する乳癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する乳癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。15名の異なる乳癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図2A図2B図2C図2D図3A図3B図3C図3D図4A図4B図4C図4D図5A図5B、及び図5Cに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各乳癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表2にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表2】
【0128】
1つの乳癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して優れた応答を有するものとして分類し、2つのサンプルは、良好な応答を有するものとして分類し、2つのサンプルは、中程度の応答を有するものとして分類し、3つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。特に、トリプルネガティブ乳癌と診断された患者(患者11、12、15、16、36、及び45)のサンプルのうち、1つは優れた応答を有するものとして分類し、1つは良好な応答を有するものとして分類し、1つは低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが、トリプルネガティブ乳癌などの様々な乳癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0129】
実施例4
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する子宮頸癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する子宮頸癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。子宮頸癌患者(患者10)に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。用量反応曲線を図6に示す。曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4つのパラメータのロジスティックモデルによって計算した。患者は、子宮頸癌腫と診断されていた。エンドキシフェン応答の感受性は低いと分類され、応答の個別化は良好と分類され、応答は中程度と分類された。患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。このデータは、エンドキシフェンが子宮頸癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0130】
実施例5
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する胆管癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する胆管癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。3名の異なる胆管癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図7A図7B、及び図7Cに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各胆管癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表3にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表3】
【0131】
1つの胆管癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して低い応答を有するものと分類された。このデータは、エンドキシフェンが胆管癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0132】
実施例6
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する大腸癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する大腸癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。15名の異なる大腸癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図8A図8B図8C図9A図9B図9C図9D図10A図10B図10C図10D図11A図11B図11C、及び図11Dに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各大腸癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表4にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表4】
【0133】
2つの大腸癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して中程度の応答を有するものとして分類され、2つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが大腸癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0134】
実施例7
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する食道癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する食道癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。食道腺癌患者(患者14)に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。用量反応曲線を図12に示す。曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4つのパラメータのロジスティックモデルによって計算した。患者は、転移性食道癌と診断されていた。エンドキシフェン応答の感受性は低いと分類され、応答の個別化は良好と分類され、応答は中程度と分類された。患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。このデータは、エンドキシフェンが食道腺癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0135】
実施例8
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する胃癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する胃癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。6名の異なる胃癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図14A図14B図15A図15B図15C、及び図15Dに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各胃癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表5にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表5】
【0136】
2つの胃癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して良好な応答を有するものとして分類し、2つのサンプルは、中程度の応答を有するものとして分類し、1つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが胃癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0137】
実施例9
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する黒色腫の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する黒色腫の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。4名の異なる黒色腫患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図18A図18B図18C、及び図18Dに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各黒色腫患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表6にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表6】
【0138】
1つの黒色腫患者サンプルは、エンドキシフェンに対して良好な応答を有するものとして分類し、2つのサンプルは、中程度の応答を有するものとして分類し、1つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが黒色腫の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0139】
実施例10
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する神経芽細胞腫の反応
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する神経芽細胞腫の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。3名の異なる神経芽細胞腫患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図19A図19B、及び図19Cに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各神経芽細胞腫患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表7にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表7】
【0140】
1つの神経芽細胞腫患者サンプルは、エンドキシフェンに対して中程度の応答を有するものとして分類し、1つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが神経芽細胞腫の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0141】
実施例11
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する卵巣癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する卵巣癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。29名の異なる卵巣癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図20A図20B図20C図21A図21B図21C図21D図22A図22B図22C図22D図23A図23B図23C図23D図24A図24B図24C図24D図25A図25B図25C図25D図26A図26B図26C図26D図27A、及び図27Bに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各卵巣癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表8にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表8】
【0142】
4つの卵巣癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して中程度の応答を有するものとして分類され、6つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが卵巣癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0143】
実施例12
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する膵癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する膵癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。3名の異なる膵癌患者に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。各患者の個々の用量反応曲線を図28A図28B、及び図28Cに示す。各用量反応曲線に対して、曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4パラメータロジスティックモデルによって計算できる場合に提供された。IC50が試験された薬物濃度の範囲内に含まれていない場合、IC50は外挿しなかった。各膵癌患者の診断と、PDTOエンドキシフェン応答の感受性カテゴリー、個別化カテゴリー、及び応答カテゴリーを表9にまとめる。各患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。
【表9】
【0144】
1つの膵癌患者サンプルは、エンドキシフェンに対して中程度の応答を有するものとして分類し、1つのサンプルは、低い応答を有するものとして分類した。これらのデータを総合すると、エンドキシフェンが膵癌の有効な治療であり得ることが示唆される。
【0145】
実施例13
患者由来サンプルにおけるエンドキシフェンに対する直腸癌の応答
この実施例では、患者由来の腫瘍オルガノイド(PDTO)において測定されたエンドキシフェンに対する直腸癌の応答について記載する。PDTOのスクリーニングは、実施例1に記載したとおりに実施した。直腸癌患者(患者19)に由来するPDTOを、エンドキシフェンに対する応答についてスクリーニングした。用量反応曲線を図30に示す。曲線下面積(AUC)及び適合度(GOF)などの曲線メトリクスが提供される。IC50(μM)は、4つのパラメータのロジスティックモデルによって計算した。患者は、直腸腺癌と診断されていた。エンドキシフェン応答の感受性は低いと分類され、応答の個別化は低いと分類され、応答は低いと分類された。患者サンプルのさらなる詳細を表1及び実施例2に示す。このデータは、エンドキシフェンが直腸癌の治療に有効であり得ることを示唆している。
【0146】
実施例14
エンドキシフェンを使用したトリプルネガティブ乳癌の治療
この実施例では、エンドキシフェンを使用したトリプルネガティブ乳癌の治療について説明する。トリプルネガティブ乳癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、トリプルネガティブ乳癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者においてトリプルネガティブ乳癌が治療される。
【0147】
実施例15
エンドキシフェンを使用した子宮頸癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した子宮頸癌の治療について説明する。子宮頸癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、子宮頸癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における子宮頸癌が治療される。
【0148】
実施例16
エンドキシフェンを使用した胆管癌の治療
この実施例では、エンドキシフェンを使用した胆管癌の治療について説明する。胆管癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、胆管癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における胆管癌が治療される。
【0149】
実施例17
エンドキシフェンを使用した大腸癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した大腸癌の治療について説明する。大腸癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、大腸癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における大腸癌が治療される。
【0150】
実施例18
エンドキシフェンを使用した食道癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した食道癌の治療について説明する。食道癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、食道癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における食道癌が治療される。
【0151】
実施例19
エンドキシフェンを使用した胃癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した胃癌の治療について説明する。胃癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、胃癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における胃癌が治療される。
【0152】
実施例20
エンドキシフェンを使用した黒色腫の治療
この実施例では、エンドキシフェンを使用した黒色腫の治療について説明する。黒色腫と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、局所送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回局所投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、黒色腫を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における黒色腫が治療される。
【0153】
実施例21
エンドキシフェンを使用した神経芽細胞腫の治療
この実施例では、エンドキシフェンを使用した神経芽細胞腫の治療について説明する。神経芽細胞腫と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、神経芽細胞腫を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における神経芽細胞腫が治療される。
【0154】
実施例22
エンドキシフェンを使用した卵巣癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した卵巣癌の治療について説明する。卵巣癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、卵巣癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における卵巣癌が治療される。
【0155】
実施例23
エンドキシフェンを使用した膵癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した膵癌の治療について説明する。膵癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、膵癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における膵癌が治療される。
【0156】
実施例24
エンドキシフェンを使用した直腸癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した直腸癌の治療について説明する。直腸癌と診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、直腸癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における直腸癌が治療される。
【0157】
実施例25
エンドキシフェンを使用した消化管腺癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した消化管腺癌の治療について説明する。消化管腺癌のがんと診断された患者には、Z-エンドキシフェンが投与される。Z-エンドキシフェンは、経口送達用に製剤化されている。Z-エンドキシフェンは、腫瘍が縮小するまで、転移が遅くなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、少なくとも28日間、1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、消化管腺癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、消化管腺癌が治療される。
【0158】
実施例26
エンドキシフェンを使用した転移性皮膚癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した転移性皮膚癌の治療について説明する。皮膚癌の発生は、転移性であることが確認される。皮膚癌を有する対象には、対象の無細胞DNA(cfDNA)及び循環腫瘍細胞数の減少によって測定した場合に、転移速度が遅くなるまで、少なくとも28日間、Z-エンドキシフェンが1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、転移性皮膚癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、対象の転移性皮膚癌が治療される。
【0159】
実施例27
エンドキシフェンを使用した転移性消化器癌の治療
この例では、エンドキシフェンを使用した転移性消化器癌の治療について説明する。消化器癌の発生は、転移性であることが確認される。消化器癌を有する対象には、尿検査による腫瘍マーカーレベルの低下によって測定された場合、転移が遅くなるまで、少なくとも28日間、1日1回Z-エンドキシフェンが経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、転移性消化器癌を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、対象の転移性消化器癌が治療される。
【0160】
実施例28
エンドキシフェン及び放射線療法による消化器癌の二重治療
この例では、エンドキシフェン及び放射線療法を使用した消化器癌の治療について説明する。対象は、消化器癌と診断されている。消化器癌の高発生部位には、月に複数回放射線が照射され、総累積放射線量は、1~100Gyとなる。対象には、放射線療法の継続中、及び任意により放射線療法の終了後に、1日1回、同時にZ-エンドキシフェンが経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、消化器癌を治療する。併用放射線療法、Z-エンドキシフェンコースは、対象の消化器癌を治療する。
【0161】
実施例29
外科的メラニン細胞腫瘍(Melanocytic Tumor)除去後のエンドキシフェン治療
この例では、外科的腫瘍除去後のエンドキシフェン治療について説明する。メラニン細胞腫瘍は、黒色腫患者から外科的に除去される。次に、残存がん細胞を確実に除去するために、患者にエンドキシフェンが投与される。対象には、黒色腫が検出されなくなるまで、または許容できない毒性が観察されるまで、Z-エンドキシフェンが1日1回経口投与される。任意により、追加の抗がん療法をエンドキシフェンと組み合わせて使用して、黒色腫を治療する。Z-エンドキシフェンの投与により、患者における黒色腫が治療される。
【0162】
本発明の好適な実施形態が本明細書に示され記載されたが、そのような実施形態は、ほんの一例として提供されることが当業者に明らかであろう。ここで、当業者は、多数の変化形、変更、及び置換を本発明から逸脱することなく想定するであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替手段が、本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造、ならびにそれらの等価物が、それにより包含されることが意図される。
図1
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【国際調査報告】