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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電力分配用冷却バスバー
(51)【国際特許分類】
   H02G 5/10 20060101AFI20241106BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241106BHJP
   H01B 7/42 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H02G5/10 341
H01B7/00 302
H01B7/42 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524616
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022047602
(87)【国際公開番号】W WO2023076181
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/263,322
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラサド,ニール
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
5G309
5G315
5G365
【Fターム(参考)】
5G309BA01
5G309BA04
5G315DA01
5G315DA02
5G315DB01
5G315DC05
5G365DA07
5G365DC02
5G365DC04
5G365DD01
(57)【要約】
電力分配用の、特に電気車両用の冷却バスバーが開示される。冷却バスバーは、1つまたは複数の導電層と、1つまたは複数の中空部分(228)と、を含む。液体冷却剤などの冷却媒体は、中空部分を通って流れることができる。冷却バスバーは、剛性導体(223)と、絶縁層(224)と、シールド層(225)と、を含む。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から負荷に電流を運ぶように構成された剛性導体と、冷却媒体が流れるように構成された中空部分と、絶縁層と、シールド層と、を備えるバスバー
を備える電力分配システム。
【請求項2】
前記剛性導体がアルミニウムまたは銅のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項3】
前記中空部分が前記剛性導体によって取り囲まれている、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項4】
前記バスバーが内側管層および電気絶縁層をさらに備え、前記電気絶縁層が前記剛性導体の内径と前記内側管層との間に配置されている、請求項3に記載の電力分配システム。
【請求項5】
前記中空部分が前記剛性導体の外径の外側にある、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項6】
前記剛性導体が第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部および前記第2の端部がそれぞれ電気接触領域を有する、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項7】
前記絶縁層が電気絶縁を提供する、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項8】
前記絶縁層が架橋ポリエチレン(XLPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、シリコーン、熱可塑性樹脂、または熱硬化性プラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の電力分配システム。
【請求項9】
前記シールド層が導電性である、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項10】
前記絶縁層が前記剛性導体と前記シールド層との間に配置されている、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項11】
前記バスバーが電気車両に組み込まれるように成形され、前記バスバーが車載パッケージングに適合するように成形され、車両バッテリへの充電ポート/入口から車両バッテリまでの間に延在する、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項12】
第2の剛性導体と、第2の中空部分と、第2の絶縁層と、第2のシールド層と、を備える第2のバスバーをさらに備える、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項13】
冷却剤源をさらに備え、前記冷却媒体が前記冷却剤源から前記バスバーへ、かつ前記第2のバスバーから前記冷却剤源へ流れる、請求項12に記載の電力分配システム。
【請求項14】
前記バスバーおよび前記第2のバスバーに接続されたUループアダプタをさらに備え、前記第2のバスバーが前記冷却媒体の戻り流を提供するように構成されている、請求項12に記載の電力分配システム。
【請求項15】
前記バスバーの前記中空部分に前記冷却媒体を供給するように共に構成されたリザーバおよびポンプをさらに備える、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項16】
前記バスバーを前記負荷に接続するように構成された負荷接続ユニットをさらに備える、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項17】
前記バスバーを前記電源に接続するように構成された充電ポート接続ユニットをさらに備える、請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項18】
バッテリと、
充電ポートと、
前記充電ポートから前記バッテリへの電気経路に電流を運ぶように構成された剛性導体、冷却媒体が流れるように構成された中空部分、絶縁層、およびシールド層を備えるバスバーと、
を備える、電気車両。
【請求項19】
電気パワートレインの構成要素間で電気エネルギーを運ぶように構成された導体と、
冷却媒体用の導管であって、前記導体および前記導管が両方とも単一のバスバーアセンブリの一部であり、前記バスバーが剛性バスバーである、導管と、
を備える、バスバー。
【請求項20】
第2の導管をさらに備える、請求項19に記載のバスバー。
【請求項21】
前記冷却媒体が液体冷却剤を含む、請求項19に記載のバスバー。
【請求項22】
第2の導体および絶縁層をさらに備え、前記絶縁層が前記導体と前記第2の導体との間に配置されている、請求項19に記載のバスバー。
【請求項23】
前記導体がアルミニウムまたは銅のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載のバスバー。
【請求項24】
前記導体を取り囲むシールド層をさらに備える、請求項19に記載のバスバー。
【請求項25】
前記導体と前記シールド層との間に配置された絶縁層をさらに備える、請求項24に記載のバスバー。
【請求項26】
前記導管が、前記導体と前記導管を通って流れる冷却剤を電気的に絶縁するように構成された電気絶縁層を備える、請求項19に記載のバスバー。
【請求項27】
前記電気絶縁層がポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、シリコーン熱可塑性樹脂、または熱硬化性プラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載のバスバー。
【請求項28】
電気エネルギーを貯蔵するように構成された第1の液冷式構成要素と、
電気エネルギーを利用するように構成された第2の液冷式構成要素と、
前記第1の液冷式構成要素と前記第2の液冷式構成要素との間の経路内のバスバーであって、前記電気エネルギーを運ぶように構成された剛性導体、および前記第1の液冷式構成要素と前記第2の液冷式構成要素との間で液体冷却剤を運ぶように構成された導管を備えるバスバーと、
を備える、電気車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/263,322号「COOLED BUSBAR FOR ELECTRIC VEHICLE POWER DISTRIBUTION」の非仮出願であり、その優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される技術は、電力分配に関する。より詳細には、開示される技術は、電気車両内の電力分配に関する。
【背景技術】
【0003】
1つまたは複数の電源から1つまたは複数の負荷への電力伝送を含む電気車両または任意の電気システムなどの電気システム用の充電システムは、電源から電力負荷に電気を伝導するために可撓性編組ケーブルを利用することができる。例えば、電力は、車両充電インレット(例えば、電源)から車両バッテリ(例えば、電力負荷)に伝送され得る。これらのケーブルシステムは、高い充電速度のための高電圧および高電流搬送容量を提供することができる。これらのケーブルは、典型的には可撓性であり、接触安全性および電磁適合性(EMC)シールドのために、単層または複数層の絶縁体および金属スリーブによって封入された編組金属を含む。電力充電速度(例えば、電気車両の充電速度)の必要性が増すにつれて、可撓性編組ケーブルの使用には、技術的課題が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
特許請求の範囲に記載された技術革新はそれぞれいくつかの態様を有し、そのうちの1つだけがその望ましい属性を単独で担うものではない。特許請求の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴をここで簡単に説明する。
【0005】
本開示の一態様は、電力分配システムである。電力分配システムは、バスバーを含む。バスバーは、電源から負荷に電流を運ぶように構成された剛性導体と、冷却媒体が流れるように構成された中空部分と、絶縁層と、シールド層と、を含む。
【0006】
剛性導体は、アルミニウムまたは銅のうちの少なくとも1つを含むことができる。中空部分は、剛性導体によって取り囲まれ得る。絶縁層は、電気絶縁を提供することができる。絶縁層は、架橋ポリエチレン(XLPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、シリコーン、熱可塑性樹脂、または熱硬化性プラスチックのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。シールド層は導電性とすることができる。絶縁層は、剛性導体とシールド層との間に配置することもできる。
【0007】
電力分配システムにおけるバスバーは、内側管層および電気絶縁層を含むことができる。電気絶縁層は、剛性導体の内径と内側管層との間に配置される。中空部分は、剛性導体の外径の外側を取り囲むことができる。
【0008】
剛性導体は、第1の端部および第2の端部をさらに含むことができ、第1の端部および第2の端部はそれぞれ電気接触領域を有する。
【0009】
電力分配システムは、冷却剤源をさらに含むことができ、冷却媒体は、冷却剤源からバスバーに流れ、第2のバスバーから冷却剤源に流れる。
【0010】
電力分配システムは、バスバーおよび第2のバスバーに接続されたUループアダプタをさらに含むことができ、第2のバスバーは、冷却媒体の戻り流を提供するように構成される。
【0011】
電力分配システムは、バスバーの中空部分に冷却媒体を供給するように共に構成されたリザーバおよびポンプをさらに含むことができる。
【0012】
電力分配システムは、バスバーを電源に接続するように構成された充電ポート接続ユニットをさらに含むことができる。
【0013】
本開示の別の態様は、バッテリと、充電ポートと、バスバーと、を含む電気車両である。バスバーは、充電ポートからバッテリまでの電気経路に電流を運ぶように構成された剛性導体と、冷却媒体が流れるように構成された中空部分と、絶縁層と、シールド層と、を含むことができる。
【0014】
本開示の別の態様は、電気パワートレインの構成要素と冷却媒体用の導管との間で電気エネルギーを運ぶように構成された導体を含むバスバーである。導体および導管は両方とも、単一のバスバーアセンブリの一部である。バスバーは、剛性バスバーである。
【0015】
冷却媒体は、液体冷却剤を含むことができる。
【0016】
バスバーは、第2の導管をさらに含むことができる。
【0017】
バスバーは、第2の導体および絶縁層をさらに含むことができ、絶縁層は、導体と第2の導体との間に配置される。
【0018】
バスバーの導体は、アルミニウムまたは銅のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
バスバーは、導体を取り囲むシールド層をさらに含むことができる。バスバーは、導体とシールド層との間に配置された絶縁層をさらに含むことができる。
【0020】
バスバーの導管は、導体と導管を通って流れる冷却剤とを電気的に絶縁するように構成された電気絶縁層を含むことができる。電気絶縁層は、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、シリコーン熱可塑性樹脂、または熱硬化性プラスチックのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
本開示の別の態様は、電気エネルギーを貯蔵するように構成された第1の液冷式構成要素と、電気エネルギーを利用するように構成された第2の液冷式構成要素と、第1の液冷式構成要素と第2の液冷式構成要素との間の経路内のバスバーであって、電気エネルギーを運ぶように構成された剛性導体、および第1の液冷式構成要素と第2の液冷式構成要素との間で液体冷却剤を運ぶように構成された導管を備えるバスバーと、を含む電気車両である。
【0022】
本開示を要約する目的で、技術革新の特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしもすべてのこのような利点が、任意の特定の実施形態に従って達成され得るとは限らないことを理解されたい。したがって、本技術革新は、本明細書で教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点群を達成または最適化するように具現化または実行され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して非限定的な例として説明する。
【0024】
図1】一対の冷却バスバーを含む充電システムの一実施形態を示す図である。
【0025】
図2A】一対の冷却バスバーを示す図である。
【0026】
図2B】一実施形態による内側管層、剛性導体、および第1の電気絶縁層を含む冷却バスバーの断面図である。
【0027】
図2C】一実施形態による内側管層、剛性導体、第1の絶縁層、および第2の絶縁層を含む冷却バスバーの断面図である。
【0028】
図2D】一実施形態による、内側管層、剛性導体、第1の絶縁層、第2の絶縁層、シールド層、および着色層を含む冷却バスバーの断面図である。
【0029】
図2E】一実施形態による、剛性導体の内径上の電気接触領域および絶縁層を有する冷却バスバーの斜視図である。
【0030】
図2F】剛性導体の内径上の電気接触領域および絶縁層、ならびに絶縁層の内径上の内側管層を有する冷却バスバーの側面断面図である。
【0031】
図3A】充電ポート接続ユニットおよび一対の冷却バスバーの端部の斜視図である。
【0032】
図3B】一実施形態による、冷却バスバーに接続されたUループアダプタの透過図である。
【0033】
図3C】一実施形態による、冷却バスバーに接続されたUループアダプタの別の透過図である。
【0034】
図4A】負荷接続ユニットおよび一対の冷却バスバーの端部の一実施形態の斜視図である。
【0035】
図4B図4Aの負荷接続ユニットに結合された一対の冷却バスバーの一実施形態の斜視図である。
【0036】
図4C図4Aの負荷接続ユニットに結合された一対の冷却バスバーを示す断面図である。
【0037】
図5A】負荷に接続された一対の冷却バスバーの斜視図である。
【0038】
図5B】一対の冷却バスバーの一実施形態の斜視図である。
【0039】
図6】一実施形態による、冷却バスバーを使用する電気車両の電力および冷却剤分配システムの図である。
【0040】
図7】2つの平坦な側面を含む、多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0041】
図8】導電性冷却剤管層を含む多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0042】
図9】複数の導電層を含む多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0043】
図10】複数の冷却剤流れが2つ以上の冷却剤流れ方向を有する多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0044】
図11】複数の導体および冷却剤流路を含む、円形断面を有する多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0045】
図12】複数の導体および単一の冷却剤流路を含む、多層冷却バスバーの例示的な実施形態の断面層状図である。
【0046】
図13A】内側剛性導体の周りに2つ以上の中空部分を有するバスバーの例示的な実施形態の断面図である。
【0047】
図13B】内側剛性導体の周りに1つまたは複数の中空部分を実装するバスバーの例示的な実施形態の斜視図である。
【0048】
図14】複数の内側剛性導体と、内側剛性導体を取り囲む複数の中空部分と、を有する矩形形状を有するバスバーの例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
特定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、本明細書に記載された技術革新は、例えば、特許請求の範囲によって定義および包含されるように、多数の異なる方法で具現化され得る。この説明は、参照番号が同一または機能的に同様の要素を示すことができる図面を参照する。図面に示されている要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。さらに、特定の実施形態は、図面に示されているよりも多くの要素および/または示されている要素のサブセットを含むことができることが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組合せを組み込むことができる。
【0050】
上述したように、電気車両などの電気システムまたは構成要素において電気を伝導するための可撓性撚り線は、充電速度(例えば、電気車両の充電速度)に対する需要が増加するにつれて技術的課題に直面する可能性がある。本明細書に開示されるバスバーは、電気車両または任意の他の適切な電力分配システムに実装され得る。本明細書に開示される実施形態は、例示目的のために電気車両を参照して説明することがあるが、本明細書に開示された任意の適切な原理および利点は、任意の適切な電力供給システムにおいて実装され得る。
【0051】
充電速度の速い電気車両に対する需要が増加するにつれて、断面積のより大きなケーブルが望ましい可能性がある。しかしながら、ケーブルの断面積を大きくすると、原材料、輸送および物流の制約、車両パッケージングの制約、熱損失、ならびに質量増加による車両航続距離の損失のうちの1つまたは複数においてコスト高を招く可能性がある。
【0052】
本開示の実施形態は、電気車両の電力分配システムなどの電力分配システム用の冷却バスバーに関する。冷却バスバーは、高電圧を運ぶことができる。冷却バスバーは、シールドされ得る。冷却バスバーは、電気車両内で電力および液体/冷却剤の両方を分配することができる。
【0053】
例えば、冷却バスバーは、電源(例えば、電力供給)などの点から電力負荷(例えば、モータ)などの別の点まで延びる1つまたは複数の導体および冷却剤を含むことができる。本例では、導体は、バッテリなどの電源からモータなどの電力負荷に電力を供給することができ、冷却剤も電源と負荷との間を流れることができる。さらに、本例では、冷却剤は冷却剤液体とすることができ、導体内の高い電力伝送により導体の温度が上昇したときに導体を冷却し得る。そのため、冷却バスバーは、電源から負荷に高電力を伝送することができる。電源は、いかなる特定の電源にも限定されず、電源は、電気車両などの電気システム内の1つまたは複数の電気部品に電力を供給する任意の適切なユニットを含むことができる。
【0054】
一実施形態では、一対の冷却バスバーは、電気車両の充電ポートからバッテリパックに電力を伝送する。冷却バスバー対は、充電ポートからバッテリパックまで延びることができる。いくつかの実施形態では、冷却バスバーは、バッテリパックから車両内の1つまたは複数の電気部品に電力を分配する。冷却バスバーは、特定の用途では、バッテリパックからの電力を電気車両の電力変換システム(PCS)および駆動ユニットに分配することができる。このような用途では、冷却バスバー対は、電池パックから前方および/または後方の駆動ユニットまで延びることができる。一実施形態では、バッテリパック、PCS、および駆動ユニットは、一対の冷却バスバーを介して接続される。本実施形態では、一対の冷却バスバーは、冷却剤リザーバからバッテリパック、PCS、および駆動ユニットに冷却剤を循環させながら、バッテリパックからPCSおよび駆動ユニットに電力を分配することができる。本明細書に開示される冷却バスバーは、電力分配を伴う任意の適切な電気システムで使用され得る。
【0055】
冷却バスバーは、ケーブルハーネスまたは中実コアバスバーと比較して、同じパッケージング容積でシステム能力の少なくとも1桁の増加を提供することができる。冷却バスバーは、400Vで350kWの充電または800Vで500kWの充電などの高い充電速度をサポートすることができる。バスバーの温度をバスバー材料の温度限界未満に維持することにより、このような高い充電速度の達成に寄与することができる。冷却バスバーを用いると、特定の他のバスバーよりも速い充電時間を達成することができ、より低い温度でより速い充電時間を達成することができる。冷却バスバーは、充電の高速化、充電ステーションでのスループットの向上、およびシステムコストの削減に寄与することができる。冷却バスバーは、その冷却媒体として液体を含むことができる。さらに、冷却バスバーは、電力および液体の両方を伝送することができる。そのため、充電ラインとは別にあった従来の電気車両のサーマルラインを一部排除することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、冷却バスバーは、剛性導体および内側管層を含む。電気絶縁層は、剛性導体を取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、剛性導体の材料は、アルミニウム、銅、青銅、真鍮、金、銀など、またはそれらの任意の適切な組合せもしくは合金などの任意の適切な導電性材料を含むことができる。剛性導体は、1つまたは複数の中空部分を含むことができる。剛性導体のこのような中空部分は、内側管層上に嵌合することができ、能動的および/または受動的冷却のための冷却媒体の通過を可能にする。一実施形態では、冷却媒体は、液体冷却剤とすることができる。一実施形態では、冷却媒体は、水和塩またはパラフィンワックスなどの相変化材料を使用した受動冷却とすることができる。一実施形態では、冷却媒体は、誘電材料で作られる。例えば、剛性導体の中空部分の内側に誘電材料を含めることができ、内側管を排除することができる。冷却媒体は、場合によっては空気とすることができる。任意の適切な材料を、特定の用途のための冷却バスバーの冷却媒体として利用することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、電力は剛性導体を介して分配され、液体は内側管層を介して分配される。これらの実施形態では、冷却バスバーは、電力と冷却剤の両方を分配するため、一部の他の電気車両からの電力ケーブルおよび熱ホースを単一の冷却バスバーに置き換えることができる。電力伝送中、液体は内側管層を通って流れることができ、剛性導体の温度をバスバー(例えば、冷却バスバー)の温度限界未満に維持する。そのため、剛性導体の断面積を増加させることなく、高い電力を伝送することができる。いくつかの実施形態では、液体は、冷却剤リザーバなどの車両の液体リザーバから供給されてもよい。このようなリザーバは、バスバー用の専用リザーバとすることができる。あるいは、バッテリまたは電気車両の別の構成要素を冷却するなど、別の目的のために液体リザーバを使用することもできる。このような共有リザーバは、冷却バスバーとインターフェースするための専用ポートを有することができる。代替的または追加的に、液体は、車両のラジエータから供給することができ、ラジエータは液体を冷却する。ポンプは、液体を液体源からバスバーの1つまたは複数の中空部分によって画定されたチャネルを通って流すことができる。液体の例には、水、油、および他の液体または溶液が含まれるが、これらに限定されない。液体は、その熱伝導率または熱容量に基づいて選択することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、電気絶縁層が、内側管層と剛性導体との間に裏打ちされてもよい。内側管層は、電気的に絶縁され、熱伝導性とすることができる。内側管層は、アルミニウムなどの任意の適切な熱伝導性材料で作ることができる。一実施形態では、内側管層は、熱可塑性または熱硬化性プラスチックなどの非導電性材料で作られる。一実施形態では、内側管層は、剛性導体の内径上の被覆層である。
【0059】
絶縁された剛性導体は、シールド層によって取り囲まれ得る。シールド層は、電磁干渉(EMI)に対するシールドおよび冷却バスバーの損傷からの保護を提供する。シールド層は、可撓性または剛性であってもよい。シールド層が剛性である場合、シールド層は、3D曲げプロセス中の外部条件および/または損傷から絶縁層を物理的に保護することができる。シールド層は、アルミニウム、導電性プラスチック、炭素繊維、ステンレス繊維などの任意の適切なEMIシールド材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、シールド層は、車両のホワイトボディ(BIW)に接地されてもよい。これにより、高電圧短絡が発生した場合に絶縁損失を検出することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、剛性導体の様々な断面形状は、液体の流れを強化および/または最適化し、電力伝送速度を増加および/または最大化することができる。一実施形態では、剛性導体は、円形断面および円形中空部分を有し、中空部分は内側管層に嵌合する。
【0061】
いくつかの実施形態では、電気絶縁層は、架橋ポリエチレン(XLPE)、PVC、シリコーン、またはプラスチックなどの任意の電気絶縁材料で作られてもよい。一実施形態では、電気絶縁層は、熱収縮または押出プロセスなどの組立方法によって施されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、比較的高い電力を伝送するために、2つ以上の冷却バスバーが別の冷却バスバーと一緒に(例えば、並列に)延びている。実施形態は、例示の目的で2つの冷却バスバーを用いて説明することがあるが、本明細書に開示される任意の適切な原理および利点は、3つ以上の冷却バスバーを有する用途および/または単一の冷却バスバーを有する用途に適用することができる。一実施形態では、並列冷却バスバーは、電気車両の充電入口からバッテリパック内の接続ユニットまで延びていてもよい。本実施形態では、接続ユニットは、液体供給ポートと、戻りポートと、を含む。例えば、接続ユニットのまたはその近くのポンプは、並列冷却バスバーの一方の内側管層に液体を供給することができる。次いで、液体は、別の冷却バスバーの内側管層に流入して、接続ユニットのまたはその近くの液体リザーバに戻る。
【0063】
本明細書に開示される技術は、様々な用途に適用することができる。例えば、冷却剤を使用して導体を冷却することに加えて、本明細書に開示されるバスバーは、電気車両の異なる部品および/または構成要素間で冷却剤を運ぶことができる。これにより、電力分配および冷却剤の並列ルーティングを排除することができる。別の例として、複数の導体および/または複数の流体導管を単一のバスバーに含めることができる。
【0064】
図1は、一対の冷却バスバー200を使用する高電力伝送の一実施形態の高電力伝送システム100を示す。冷却バスバー200は、車両、スポーツ用多目的車両、トラック、または任意の他の電気車両などの電気車両に実装することができる。一対の冷却バスバー200は、第1および第2の冷却バスバー201、202を含む。冷却バスバー201、202は、電気車両などの電子電力分配システムにおける配電のために電力が集中する導電体を含む。冷却バスバー201、202は剛性があり、その形状を保持する。剛性冷却バスバー201、202では、ルーティングブラケットおよびクリップは必要でない場合がある。工場での組立環境では、剛性冷却バスバー201、202を用いた組立は、可撓性ハーネスと比較して容易であり得る。冷却バスバー201、202は、直流(DC)電力、交流(AC)電力、またはACとDC電力を運ぶことができる。冷却バスバー201、202用の原材料は、車載パッケージングに適合するように曲がるように、高密度にパッケージングされ、供給業者から設置場所に直接出荷され得る。したがって、一部の以前のバスバーからのケーブルおよびコネクタの処理は必要ない。
【0065】
図1に示すように、一対の冷却バスバー200は、充電ポート接続ユニット300と接続ユニット400とを接続し、接続ユニット400は、バッテリパックなどの負荷に接続される。接続ユニット400は、バスバーと負荷とを接続する負荷接続ユニットの一例である。冷却バスバー201、202の長さおよび経路は、車両の車体下部の設計または曲率、ならびに車両内の電源および負荷の位置に基づいて決定されてもよい。
【0066】
図2Aは、一対の冷却バスバー200を示す。図示のように、一対のバスバー200は、電源端230および負荷端220を含む。図2Aでは、電源端230および負荷端220は、電源および負荷に向かってそれぞれ配置されている。負荷端220および電源端230の位置は、電力源および負荷の位置などの車両の物理的属性に基づいて選択することができる。例えば、負荷端220は、電気車両のバッテリなどの負荷に向かって一方向に配置することができる。電源端230は、電気車両充電ポートなどの電力源に向かって反対方向に配置することができる。
【0067】
図2B図2Dは、冷却バスバー201の様々な実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、例えば、図2Bに示すように、冷却バスバー201は、剛性導体223と内側管層221と、を備え、第1の電気絶縁層224が剛性導体223を取り囲む。剛性導体223は、1つまたは複数の中空部分228をさらに備える。図2Bでは、中空部分228は、内側管層221の表面の内側に嵌合され、能動的または受動的冷却のために冷却媒体が通過することを可能にする。中空部分228は、液体冷却剤が流れるための管として機能することができる。バスバー201の剛性の性質は、液体冷却剤流のための剛性チャネルを提供することができる。いくつかの実施形態では、内側管層221は、アルミニウムなどの熱伝導性材料で作られてもよい。剛性導体223は、アルミニウムまたは銅などの任意の適切な導電性材料で作られてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、例えば、図2Cに示すように、図2Bに記載の実施形態に加えて、内側管層221と剛性導体223との間に第2の絶縁層222を含めることができる。図2Cに示すように、第2の絶縁層222は、内側管層221と剛性導体223との間に電気的絶縁を提供することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、例えば、図2Dに示すように、剛性導体223はシールド層225によって取り囲まれている。シールド層225は、電磁干渉に対するシールドを提供することができる。このようなシールドは、剛性導体223を損傷から保護することができる。シールド層225は、可撓性または硬質であってもよい。シールド層225は、アルミニウムなどの任意の適切なEMIシールド材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、シールド層225は、3D曲げプロセスなどの製造プロセス中の外部条件および/または損傷から絶縁層を物理的に保護することができる。いくつかの実施形態では、シールド層225は、車両のホワイトボディ(BIW)に接地されてもよい。これにより、高電圧短絡が発生した場合に絶縁損失を検出することができる。シールド層225は、着色層226によって取り囲まれ得る。着色層226は、各冷却バスバーに特定の色を提供することができるため、各冷却バスバーは、着色層226の色に基づいて他の冷却バスバーと区別され得る。
【0070】
図示の実施形態では、図2B図2Dに示すように、内側管層221は、アルミニウムなどの任意の熱伝導性材料で作られてもよい。剛性導体223は、アルミニウムまたは銅などの任意の適切な導電性材料で作られてもよい。第1および第2の絶縁層224、222はそれぞれ、XLPE、PVC、ナイロン、シリコーン、またはプラスチックなどの任意の適切な電気絶縁材料で作られてもよい。一実施形態では、第1および第2の絶縁層224、222は、熱収縮、押出、またはコーティングプロセスなどの組立方法によって施されてもよい。シールド層225は可撓性または硬質であってもよく、アルミニウムまたはEMIプラスチックを含む任意の適切な導電性材料などの任意の適切なEMIシールド材料で作られてもよい。図2Dの着色層226は、任意の適切なカラーコーティングを有する任意の適切な電気絶縁材料で作られてもよい。バスバーの中空部分228には液体227が存在することができる。液体227は、その熱伝導率または熱容量に基づいて選択されてもよい。液体227の例には、水、油、ならびに冷却用の他の液体および/または溶液が含まれるが、これらに限定されない。液体227の代わりに、空気、固体、または水和塩もしくはパラフィンワックスなどの相変化材料などの任意の他の適切な冷却媒体を使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、剛性導体223の様々な断面形状を使用して、電力伝送速度を向上および/または最大化することができる。例えば、剛性導体223は、矩形の断面形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、剛性導体223は、液体227の流れを増加および/または最適化するために2つ以上の中空部分を有してもよい。本実施形態では、中空部分を使用して双方向の流れを達成することもできる。
【0072】
図2Eおよび図2Fは、バスバーの電気接触領域206を示す。図示の実施形態では、第1および第2の冷却バスバー201、202の端部はそれぞれ電気接触領域206を有する。これらの実施形態では、剛性導体223が露出しており、剛性導体223の露出面が電気接触領域206を形成する。冷却バスバー201、202の両端の電気接触領域206は、充電ポート接続ユニット300および接続ユニット400の適切な正端子および負端子と結合される。様々な用途において、充電ポート接続ユニット300の代わりに、電力を伝送するための任意の適切な端部接続ユニットを使用することができる。図2Eのバスバーは、剛性導体223の内径上に絶縁層222を含む。図2Fのバスバーは、剛性導体223の内径上の絶縁層22と、絶縁層222の内径上の内側管層221と、を含む。内側管層221は、腐食性流体媒体などから保護することができる。
【0073】
本明細書に開示される冷却バスバーは、電源に接続し、負荷に接続するために様々な接続ユニットに接続することができる。冷却バスバーは、特定の用途では他のバスバー用の接続ユニットと互換性があり得る。したがって、本明細書に開示される冷却バスバーは、様々な接続ユニットおよび充電ポートとの下位互換性を有することができる。
【0074】
図3Aは、充電ポート接続ユニット300と、電源端230などの冷却バスバーの端部と、を示す。図示のように、充電ポート接続ユニット300は、電力を受け取るように構成された充電ポート310に実装されたUループアダプタ320を有する。第1のバスバー端部203および第2のバスバー端部204はUループアダプタ320に接続され得る。例えば、図3Aに示すように、電源端230の電気接触領域206をUループアダプタ320に挿入することができる。Uループアダプタ320はUループ311を含み、一方、Uループ311は第1のUループアーム312および第2のUループアーム313を含む。Uループアダプタ320は、傾斜コイルばね314を含むことができ、傾斜コイルばね314のそれぞれは、第1および第2のUループアーム312、313と接続することができ、電気接触領域206のうちの1つを取り囲むように構成することができる。
【0075】
図3Bおよび図3Cは、Uループアダプタ320の図を示す。図示されているように、第1のバスバー端部203および第2のバスバー端部204は、Uループアダプタ320の内側に平行に成型されている。一実施形態では、第1のバスバー端部203は第1のUループアーム312に接続され、第2のバスバー端部204は第2のUループアーム313に接続される。第1および第2のバスバー端部203、204とUループ311との間の接続は、用途に基づいて変更することができる。図3Bに示すように、Uループアダプタ320は、第1の鍛造端子236を含むことができる。Uループアダプタ320はまた、第2の鍛造端子(図3Bには図示せず)を含むことができる。第1および第2の鍛造端子の一端は、Uループアダプタ320に成型することができる。鍛造端子の他端は、充電ポート端子に接続することができる。電気車両は、充電ポート端子を介して、充電ステーションなどの外部電源から電力を受け取ることができる。図3Aに示される第1および第2のバスバー端部203、204の電気接触領域206は、鍛造端子236に結合され、傾斜コイルばね314によって取り囲まれ得る。第1および第2のUループアーム312、313の直径は、第1および第2のバスバー端部203、204の内管直径よりも小さくてもよい。Uループアダプタ320のループは、一方のバスバーが冷却剤を供給するために使用され、他方のバスバーが冷却剤を戻すために使用されるときに流れを戻すことができる。U字流がない一部の他の実施形態では、冷却剤は、電源または負荷に移動した後に、どこか他の場所で継続することができる。
【0076】
図4Aは、負荷接続ユニットおよび一対の冷却バスバーの端部を示す。負荷接続ユニットは、図4Aにおいて接続ユニット400として示されている。図示の接続ユニット400は、ヘッダ403と、接続絶縁体406と、第1のプラグ401と、第2のプラグ402と、を有する。図4Aにおいて、第1のバスバーヘッド251および第2のバスバーヘッド252はそれぞれ電気接触領域206を有する。接続ユニット400と図3Aおよび図3BのUループアダプタ320は、冷却バスバーの対向する端部に接続することができる。
【0077】
図4Bは、第1および第2の冷却バスバー201、202が接続ユニット400に結合されている実施形態を示す。第1のバスバーヘッド251の電気接触領域206は第1のプラグ401に結合されている。第2のバスバーヘッド252の電気接触領域206は、第2のプラグ402に結合されている。第1および第2のバスバーヘッド251、252と第1および第2のプラグ401、402との接続は、用途に応じて変更することができる。
【0078】
図4Cは、冷却バスバー201、202に結合された接続ユニット400の断面を示す。図示の実施形態では、第1のバスバーヘッド251は第1の取り付け部材408に結合され、第2のバスバーヘッド252は第2の取り付け部材409に接続されている。本実施形態はまた、第1および第2のバスバーヘッド251、252の電気接触領域206が第1および第2のプラグ401、402と結合されていることを示す。一実施形態では、第1および第2のプラグ401、402の一端はバッテリパックのDC端子に差し込まれ、第1および第2のプラグ401、402の他端はバックキャップ407の内側に成型される。本実施形態では、第1および第2のバスバーヘッド251、252を第1および第2液体ヘッダ404、405に挿入することができ、その結果、第1および第2のバスバーヘッド251、252の電気接触領域206を第1および第2のプラグ401、402に接触させることができる。接続ユニット400は、冷却バスバー201、202のための通り道を提供することができる。接続ユニット400は、冷却バスバー201、202上の通電電気接触領域206からプラグ401、402に冷却媒体を分割することができる。
【0079】
図5Aおよび図5Bは、負荷に接続された一対の冷却バスバー201、202を示す。いくつかの実施形態では、例えば図5Aに示すように、液体リザーバなどの液体源から液体を受け取ることによって、冷却バスバー201、202内で液体を循環させることができる。例えば、一対の冷却バスバー201、202は、液体パイプライン501、502を介して液体リザーバと接続することができ、その結果、液体を一対の冷却バスバー201、202の一方に供給することができ、冷却バスバー201、202内で循環させることができる。図5Bは、液体循環の一実施形態を示す。一例では、液体は、図4Cに示す接続ユニット400の第1の取り付け部材408から供給され、第1の冷却バスバー201、図3A図3Cに示すUループ311、および第2の冷却バスバー202を通って循環し、図4Cに示す接続ユニット400の第2の取り付け部材409に戻されてもよい。他の実施形態において、液体は、第2の取り付け部材409から供給され、第1の取り付け部材408に戻されてもよい。液体227の循環方向は、電気車両の幾何学的形状に基づくことがある。
【0080】
図6は、一対の冷却バスバー200を使用する電力および冷却剤分配システム600の一例を示す。図示のように、一対の冷却バスバー200は、電力を分配し、構成要素間で液体を循環させることができる。例えば、電気車両では、一対の冷却バスバー200は、バッテリパック604から、前方駆動ユニット601、後方駆動ユニット602、および電気車両の電力変換システム(PCS)603まで延びることができる。冷却バスバー200は、電力を分配し、冷却剤を循環させる。電力および冷却剤分配システム600では、一対の冷却バスバー200の隣に別個の冷却剤ホースが含まれない。これにより、特定の以前の設計からの並列の冷却剤ラインの必要性を排除することができる。図6に示す図は、例示目的のために提供されているだけではなく、本開示は、電気車両電力分配システムに限定されず、図6の電力分配システムの任意の適切な原理および利点は、任意の他の適切な電力分配システムに適用することができる。
【0081】
本開示の実施形態は、電気車両の構成要素間の電気エネルギーおよび冷却剤の分配のためのバスバーに関する。多くの既存の電気車両では、電気エネルギーを利用および/または貯蔵する複数の液冷部品が車両全体に分散されている。このような構成要素の例には、バッテリパック、電力変換および/または配電ボックス、インバータ、モータなどが含まれるが、これらに限定されない。従来、これらの構成要素は、冷却剤および電気エネルギーに別々の入力および出力を利用していたため、パワートレインの各要素間で電力と冷却剤が並行して流れていた。
【0082】
電気エネルギーおよび冷却剤を分配するための導管を単一のアセンブリにまとめることによって、熱力学的バスバーは、より効率的で、より小さく、より安価なパワートレインを可能にする。冷却バスバーは、静的構成要素を接続することができ、および/または駆動ユニットなどの動的構成要素を接続することができる。
【0083】
冷却バスバーのコアは、絶縁された冷却剤導管とすることができる。絶縁された冷却剤導管は、均質な絶縁材料(例えば、ナイロン、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン(XPLE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーンなど)とすることができる。均質な絶縁材料は、押出、射出成型、ブロー成型などの任意の適切なプロセスによって形成することができる。いくつかの他の用途では、絶縁された冷却剤導体は、電気絶縁性(例えば、ナイロン、PE、XPLE、PVC、シリコーンなど)の外側コーティングを有する導電性材料(例えば、アルミニウム、銅など)を含むことができる。外側コーティングは、粉末コーティング、浸漬コーティング、スリーブの形成、熱収縮、共押出などの任意の適切なプロセスで形成することができる。
【0084】
冷却剤導管は、供給源と供給先との間で冷却剤を運び、バスバーの外側導電層内の電気エネルギーの流れによって発生した熱の一部を吸収するという二重の目的を果たすことができる。
【0085】
冷却剤導管は、単一または複数の密封された容積を含むことができ、冷却剤を一方向または両方向に運ぶことができる。冷却剤導管は、電源から負荷に電気エネルギーを運ぶ導電層(例えば、アルミニウム、銅)によって取り囲まれている。冷却剤導管は、液体冷却剤、空気、相変化材料(例えば、水和塩またはパラフィンワックス)などの任意の適切な冷却媒体を含むことができる。導電層は、本明細書に開示される剛性導体の任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。絶縁層(例えば、ナイロン、PE、シリコーン)は、導電層の周りにあり得る。絶縁層は、熱収縮、共押出、押出および接着、射出成型などの任意の適切な方法によって組み立てることができる。バスバーの端部間の所望の電気経路の数に応じて、冷却バスバーの内側導電層および絶縁層の周りに追加の導電層および絶縁層を含めることができる。外側導電層(例えば、アルミニウム、銅、導電性熱可塑性樹脂)は、電磁シールド層として機能するように、1つまたは複数の一次導電経路の外側に含めることができる。外側導電層は、物理的および環境的バリアとしても機能することができる。外側導電層は、本明細書に開示されるシールド層の任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。
【0086】
本明細書に開示される多層冷却バスバーは、電気経路および冷却剤経路を単一の層状アセンブリにまとめることによって、コスト、質量、または空間のうちの1つまたは複数に関して電動パワートレインの効率を高めることができる。
【0087】
多層冷却バスバーの例を、図7図12を参照して説明する。例示的には、これらの多層冷却バスバーは、電気エネルギーを貯蔵するように構成された電気システムの第1の液冷式構成要素と、電気エネルギーを使用するように構成された電気システムの第2の液冷式構成要素との間の経路に存在することができる。例えば、電気システムは電気車両内にあってもよい。代替的または追加的に、これらの多層冷却バスバーは、電気車両の充電ポートと電気車両のバッテリとの間の経路にあってもよい。これらの多層冷却バスバーの任意の適切な原理および利点は、互いにおよび/または本明細書に開示される任意の他のバスバーと共に実装することができる。本明細書で開示される電気システムの任意の適切な原理および利点は、任意の他の適切な電気システムに適用することができる。本開示は、例示の目的で、電気車両の例を用いて電気システムを説明する。
【0088】
図7は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。図7に示すこの冷却バスバーは、図1図2A図2F、および図6のうちの1つまたは複数を参照して上述した1つまたは複数の特徴などの、上述した1つまたは複数の特徴を実装することができる。さらに、図7に示す冷却バスバーは、図3A図3Cに示すUループアダプタ320および/または図4A図4Cに示す接続ユニット400に接続することができる。このような接続は、Uループアダプタ320および接続ユニット400の構造的修正を伴ってもよい。図7に示す冷却バスバーは、単一の導体冷却バスバーとすることができる。図示のバスバーは、2つの平坦な側面を有する。図7に示すように、冷却バスバーは、導体702と、冷却剤が流れるための導管705を有する管層704と、絶縁層706と、シールド層708と、を含む。本明細書に開示される絶縁層706および他の絶縁層は、電気絶縁層であり得る。これらの絶縁層はそれぞれ、絶縁層と呼ぶことができる。本明細書に開示される絶縁層706および/または他の絶縁層は、絶縁層224および/または222の任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。管層704は、電気絶縁層を含む。導体702は、電気車両における電力分配のために高電圧を運ぶことができる。冷却バスバーに含まれる導管705の数は、特定の用途に基づいて選択することができる。
【0089】
図8は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。この冷却バスバーは、導電性冷却剤管層を有する単一の伝熱バスバーである。図8に示すように、冷却バスバーは、冷却剤が流れるための導管705を有する導電性冷却剤管層802を含むことができる。導電性冷却剤管層802は、導電性冷却剤管層802を導体702から電気的に絶縁する絶縁層804によって取り囲まれ得る。絶縁層804は、導体702によって取り囲まれ得る。導体702は、絶縁層706によって取り囲まれ得る。絶縁層706は、シールド層708によってさらに取り囲まれ得る。
【0090】
図9は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。この冷却バスバーは、多層冷却バスバーであり、2つ以上の導電層を含むことができる。図9に示すように、冷却バスバーは、導体702に加えて第2の導体902を含むことができる。図9に示す冷却バスバーは、導体702と、冷却剤が流れるための導管705を有する管層704と、絶縁層706と、を含むことができる。絶縁層706は、第2の導体902によって取り囲まれ得る。第2の導体層902は、第2の絶縁層904によって取り囲まれ得る。第2の絶縁層904は、シールド層906によって取り囲まれ得る。導体702、902は、図9の冷却バスバーに別々の電力分配経路を提供することができる。例示を目的として2つの導体702および902が図9に示されているが、特定の用途では、互いに電気的に絶縁された3つ以上の導体を実装することができる。
【0091】
図10は、図9の冷却バスバーの一実施形態を示す図である。図10には、双方向の冷却剤の流れが示されている。図10に示すように、複数の流体経路(例えば、導管705)を有する冷却バスバーは、流体経路内で異なる方向に流体を流すことができる。特定の用途では、冷却剤は、冷却バスバーの異なるそれぞれの流体経路内で異なる方向に同時に流れることができる。例えば、冷却剤は、図10の冷却バスバーの異なる導管705内で異なる(例えば、反対)方向に同時に流れることができる。
【0092】
図11は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。図11に示すこの冷却バスバーは、図1図2A図2F、および図6図10のうちの1つまたは複数を参照して説明した1つまたは複数の特徴など、上述の1つまたは複数の特徴を実装することができる。さらに、図11に示す冷却バスバーは、図3A図3Cに示すUループアダプタ320および/または図4A図4Cに示す接続ユニット400に接続することができる。このような接続は、Uループアダプタ320および/または接続ユニット400の構造的修正を伴ってもよい。図11の冷却バスバーは、円形の断面形状、複数の導体、および双方向の冷却剤の流れを有する。
【0093】
図11に示すように、中心導管1102は、第1の管層1104によって取り囲まれ得る。第1の管層1104は、第2の導管1106によって取り囲まれ得る。第2の導管1106の導管の数は、特定の用途に基づいて選択することができる。第2の導管1106のうちの1つまたは複数は、中心導管1102とは異なる冷却剤の流れ方向を有することができる。異なる冷却剤の流れ方向は、反対の冷却剤の流れ方向とすることができる。場合によっては、第2の導管1106のうちの2つの導管は、異なるそれぞれの冷却剤の流れ方向を有することができる。第2の導管1106は、第2の管層1108によって取り囲まれ得る。第2の管層1108は、第1の導体1110によって取り囲まれ得る。第1の導体1110は、第1の絶縁層1112に取り囲まれ得る。絶縁層1112は、第2の導体層1114によって取り囲まれ得る。第2の導体1114は、第2の絶縁層1116に取り囲まれ得る。第2の絶縁層1116は、シールド層1118によって取り囲まれ得る。特定の用途のために、任意の適切な数の導体を実装することができる。
【0094】
図12は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。この冷却バスバーは、図12の冷却バスバーが単一の冷却剤経路を有することを除いて、図11に記載された冷却バスバーと同様である。図12に示すように、中心導管1102は、第1の管層1104によって取り囲まれ得る。第1の管層1104は、導管を介在させることなく第1の導電層1110によって取り囲まれ得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、バスバーは、1つまたは複数の中空部分と、内側剛性導体と、を有する。このようなバスバーは、1つまたは複数の中空部分と内側剛性導体との間に絶縁層を含むことができる。したがって、1つまたは複数の中空部分は、絶縁層の外側にあり得る。冷却媒体は、1つまたは複数の中空部分を通って流れることができる。
【0096】
図13Aは、一実施形態によるバスバーの断面図である。このバスバーは、内側剛性導体1302および外側導体1308を有する円形バスバーである。内側導体1302と外側導体1308との間にはそれぞれ絶縁層1304がある。外側導体1308は、絶縁層1304を取り囲むことができ、冷却チャネルを有する押し出し部を含むことができ、押し出し部は、流体(例えば、液体冷却剤)が流れるように構成された中空部分1306とすることができる。中空部分1306は、絶縁層1304の外径の周りに含めることができる。特定の用途のために、任意の適切な数の中空部分を実装することができる。内側剛性導体1302および外側導体1308の冷却は、絶縁層1304の外側にある中空部分1306の冷却チャネルを通って流れる冷却剤によって提供することができる。各中空部分1306における冷媒の流れ方向は、同じ方向であってもよいし、異なる方向であってもよい。
【0097】
図13Bは、中実の外側導体を有するバスバーと比較した、図13Aに対応するバスバーを示す。図13Aの冷却バスバーは、本明細書に記載の冷却バスバーの1つまたは複数の適切な特徴を用いて実装することができる。例えば、図13Aの冷却バスバーは、1つまたは複数の追加の絶縁層、1つまたは複数の導体、1つまたは複数のシールド層、あるいは着色層などの1つまたは複数の追加の層を含むことができる。さらに、図13Aの冷却バスバーは、図3A図3CのUループアダプタ320および/または図4A図4Cの接続ユニット400に接続することができる。このような接続は、Uループアダプタ320および/または接続ユニット400の構造修正を伴ってもよい。
【0098】
図14は、一実施形態による冷却バスバーを示す図である。図14に示す冷却バスバーは、図13Aおよび図13Bに示す冷却バスバーと同様の特徴を有することができる。図14に示す冷却バスバーは、複数の内側剛性導体1402を有する平坦な積層バスバーとすることができる。図14の冷却バスバーは、単一の剛性シールド層内に複数の内側剛性導体1402を含むことができる。内側剛性導体1402は、正の導体および負の導体の両方を含むことができる。したがって、単一の冷却バスバーは、正の導体および負の導体を含むことができ、各内側剛性導体1402は、絶縁層1404によって取り囲まれ得る。絶縁層1404は、外側導体1408によって取り囲まれ得る。場合によっては、外側導体1408はシールド層とすることができる。代替的または追加的に、外側導体1408の周りにシールド層を含めることができる。バスバーの中空部分は、内側剛性導体1402のそれぞれの絶縁層1404の外側に含まれている。冷却剤は、中空部分を通って流れて、内側剛性導体1402を冷却することができる。中空部分1406は、外側導体1408と絶縁層1404との間に位置することができる。中空部分1406は、特定の用途において双方向の流体の流れを実現することができる。特定の用途のために、任意の適切な数の中空部分を実装することができる。冷却剤は、中空部分1406によって画定された導管を通って流れて、内側剛性導体1402および出力導体1408を冷却することができる。図14の冷却バスバーは、本明細書に開示された冷却バスバーの1つまたは複数の適切な追加の特徴、例えば、1つまたは複数の追加の導体、1つまたは複数の追加の絶縁層、1つまたは複数のシールド層、あるいは着色層を実装することができる。さらに、図14に示す冷却バスバーは、図3A図3Cに示すUループアダプタ320および/または図4A図4Cに示す接続ユニット400に接続することができる。このような接続は、Uループアダプタ320および/または接続ユニット400の構造的修正を伴ってもよい。
【0099】
文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。本明細書で一般的に使用される「結合された」という用語は、直接接続されるか、または1つまたは複数の中間要素を介して接続され得る2つ以上の要素を指す。同様に、本明細書で一般的に使用される「接続された」という用語は、直接接続されるか、または1つまたは複数の中間要素を介して接続され得る2つ以上の要素を指す。文脈が許す場合、単数または複数の数字を使用する上記の発明を実施するための形態における単語は、複数または単数をそれぞれ含むこともできる。2つ以上の項目のリストに関連する「または」という単語は、その単語の以下の解釈のすべて、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、およびリスト内の項目の任意の組合せを網羅する。
【0100】
さらに、本明細書で使用される条件付き言語、とりわけ、「できる」、「可能性がある」、「してもよい」、「このような」、「など」などは、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/または状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/または状態が1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされることを暗示することを意図するものではない。
【0101】
前述の説明は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であること、または本発明を記載された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。これにより、当業者は、様々な用途に適した様々な修正を伴う技術および様々な実施形態を最良に利用することが可能になる。
【0102】
本開示および実施例を添付の図面を参照して説明したが、様々な変更および修正が当業者には明らかになるであろう。このような変更および修正は、本開示の範囲内に含まれると理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
【国際調査報告】