IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーストマン ケミカル カンパニーの特許一覧

特表2024-541916ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収するための方法
<>
  • 特表-ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収するための方法 図1
  • 特表-ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収するための方法 図2
  • 特表-ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収するための方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/03 20060101AFI20241106BHJP
   C08J 11/24 20060101ALI20241106BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20241106BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20241106BHJP
   B01J 23/04 20060101ALI20241106BHJP
   B01J 31/12 20060101ALI20241106BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20241106BHJP
   B01J 29/00 20060101ALI20241106BHJP
   B01J 23/16 20060101ALI20241106BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
C07C67/03
C08J11/24 ZAB
C07C69/82
C07C67/56
B01J23/04 Z
B01J31/12 Z
B01J31/02 102Z
B01J29/00 Z
B01J23/16 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524622
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022047644
(87)【国際公開番号】W WO2023076207
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/262,977
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,ピングァン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ハンナ・グレイス
(72)【発明者】
【氏名】ウィックス,マシュー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ケッチー,ウィリアム・クリストファー
【テーマコード(参考)】
4F401
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4F401AA02
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA15
4F401AA17
4F401AA22
4F401AA23
4F401AA24
4F401AB01
4F401AB05
4F401AB07
4F401BA06
4F401CA22
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401CA88
4F401CA90
4F401CB01
4F401CB10
4F401CB14
4F401EA07
4F401EA34
4F401EA59
4F401EA60
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA02Z
4F401FA05Z
4F401FA06Z
4F401FA07Z
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA10A
4G169BA21A
4G169BA27A
4G169BB05A
4G169BB16A
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC04A
4G169BC06A
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC22A
4G169BC35A
4G169BC50A
4G169BC51A
4G169BC62A
4G169BE01A
4G169BE06A
4G169BE08A
4G169BE11A
4G169CB35
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC48
4H006AC91
4H006AD17
4H006BA69
4H006BB14
4H006BC10
4H006BC11
4H006BJ50
4H006BN10
4H006KA03
4H006KC30
4H039CA66
4H039CL30
(57)【要約】
ジアルキルテレフタレートを回収するための方法。方法は、ポリエステル組成物を、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に解重合条件下で曝露し、それにより1種以上の解重合生成物を用意するステップを含んでもよい。1種以上の解重合生成物をアルコリシスプロセスに曝露してジアルキルテレフタレートを回収することができる。任意選択で、1種以上のグリコールおよび/またはメタノールは、アルコリシスプロセスの終了時に回収され、ジアルキルテレフタレートを回収するための後続のプロセスで再使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための方法であって、第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露して第1の混合物を用意するステップであり、第1の混合物が1種以上の第1の解重合生成物を含み、解重合条件が、150℃~260℃の温度および10atm~70atmの圧力を含むステップ;第1の混合物の少なくとも一部を150℃以下の温度に冷却するステップ;第1の混合物の少なくとも一部を、23℃~90℃の温度および1atm~2atmの圧力を含む条件下で、アルコール組成物およびアルコリシス触媒に0.5時間~5時間曝露して第2の混合物を用意するステップであり、第2の混合物が1種以上のジアルキルテレフタレートを含むステップ;ならびに1種以上のジアルキルテレフタレートの少なくとも一部を固液分離によって分離して、ジアルキルテレフタレート固体成分および濾液を用意するステップを含む、方法。
【請求項2】
メタノールの少なくとも一部が、先行ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収する先行プロセスから回収された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
濾液が1種以上のグリコールおよびメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2のポリエステル組成物を、解重合条件下で第1の反応容器中の濾液の少なくとも一部に曝露して1種以上の第2の解重合生成物を生成するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の反応容器中のメタノールの量に対する1種以上のグリコールの量の重量比が1:20~100:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の混合物の少なくとも一部を150℃以下の温度に冷却するステップが、第1の混合物の少なくとも一部を50℃~150℃の温度に冷却することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の混合物中の1種以上の第1の解重合生成物の少なくとも一部を第1の混合物中の不溶性成分から分離するステップであって、分離が50℃~150℃の温度で行われるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露する間に、1種以上のグリコールと第1のポリエステル組成物の重量比が約1:9~約9:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1種以上のグリコールが、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、プロパンジオール(PDO)、ブタンジオール(BDO)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アルコール組成物と第1のポリエステル組成物の重量比が約2:1~約10:1の範囲であり得る、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1のポリエステル組成物が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)変性PET、イソフタル酸(IPA)変性PET、ジエチレングリコール(DEG)変性PET、ネオペンチルグリコール(NPG)変性PET、プロパンジオール(PDO)変性PET、ブタンジオール(BDO)変性PET、ヘキサンジオール(HDO)変性PET、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)変性PET、イソソルビド変性PET、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)変性PET、ポリ(エチレングリコール)(PEG)変性PET、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)含有コポリエステル、イソソルビド含有コポリエステル、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1のポリエステル組成物が、0モル%~100モル%のCHDM、0モル%~100モル%のDEG、0モル%~100モル%のNPG、0モル%~100モル%のPDO、0モル%~100モル%のBDO、0モル%~100モル%のHDO、0モル%~100モル%のMPジオール、0モル%~100モル%のイソソルビド、0モル%~100モル%のPTMG、0モル%~100モル%のPEG、および0モル%~30モル%のイソフタル酸を含み、1種以上のポリエステル中のジオール等価物の合計が約100モル%であり、第1のポリエステル組成物中の二酸等価物の合計が約100モル%である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリエステル組成物が、ASTM D2857-70に従って決定して約0.1dL/g~約1.2dL/gの固有粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1のポリエステル組成物が1種以上の異物を含み、1種以上の異物が、ポリエステル組成物中の1種以上のポリエステルの重量に対して0.01wt.%~50wt.%の量でポリエステル組成物中に存在し、1種以上の異物が、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、綿、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、スパンデックス、天然繊維、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ナイロン、ポリ(乳酸)、ポリジメチルシロキサン、ポリシラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、無機充填剤、色素、顔料、カラートナー、着色剤、可塑剤、接着剤、難燃剤、金属、アルミニウム、および鉄からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ジアルキルテレフタレート固体成分がジメチルテレフタレート(DMT)を含み、DMTが少なくとも90%純粋である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露するステップが、第1のポリエステル組成物を1種以上のグリコリシス触媒に曝露することをさらに含み、1種以上のグリコリシス触媒が、LiCO、KCO、CaCO、NaCO、CsCO、ZrCO3、LiOH、NaOH、KOH、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、マグネシウムメトキシド(Mg(OMe)、カリウムt-ブトキシド、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、酢酸亜鉛(Zn(OAc))、酢酸マンガン(II)(Mn(OAc))、ハイドロタルサイト、ゼオライトおよび塩化リチウムからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
第1の混合物の少なくとも一部をアルコール組成物およびアルコリシス触媒に曝露する前に、第1の混合物中の不溶性成分を分離するステップであって、不溶性成分が1種以上の異物を含むステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
アルコール組成物がメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アルコリシス触媒が、第1のポリエステル組成物の重量に対して0.1wt.%~20wt.%の量で存在し、アルコリシス触媒が、KCO、NaCO、LiCO、CsCO;KOH、LiOH、NaOH;NaOMe、Mg(OMe)、KOMe、KOt-Bu、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
1種以上の解重合生成物が、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含み、オリゴマーが2~10の重合度を示す、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエステル組成物をリサイクルするための方法に関する。より詳細には、本開示は、ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の従来のシステムは、ポリエステルをリサイクルする試みにおいて、グリコリシスおよび/またはメタノリシスプロセスを利用する場合がある。しかし、特定の従来のグリコリシスおよび/またはメタノリシスプロセスは、後続の生産プロセス、例えば、リサイクルされたポリエステルまたは他の組成物を作製する生産プロセスで使用するために好適な生成物に到達するために、実質的な量の資源およびエネルギーを必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための方法が提供される。方法は、第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露して第1の混合物を用意するステップであって、第1の混合物が1種以上の第1の解重合生成物を含むステップを含む。解重合条件は、150℃~260℃の温度および10atm~70atmの圧力を含む。方法はまた、第1の混合物の少なくとも一部を150℃以下の温度に冷却するステップ;ならびに第1の混合物の少なくとも一部を、23℃~90℃の温度および1atm~2atmの圧力を含む条件下で、アルコール組成物およびアルコリシス触媒に0.5時間~5時間曝露して第2の混合物を用意するステップを含む。1種以上のジアルキルテレフタレートを含む第2の混合物。方法はまた、1種以上のジアルキルテレフタレートの少なくとも一部を固液分離によって分離して、ジアルキルテレフタレート固体成分および濾液を用意するステップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の態様によるポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための例示的なシステムである。
図2】実施例で提供されたデータに基づき、フィード中のメタノールおよびエチレングリコールの比に対してプロットされたメチルエステルとエチレングリコールの比のグラフである。
図3】実施例1のジメチルテレフタレート(DMT)生成物のガスクロマトグラフィーのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概要
本開示は、本開示の特定の態様および実施例の以下の詳細な説明を参照することによってさらに容易に理解され得る。本開示の目的に従い、本開示の特定の態様は、発明の概要に記載され、以下で本明細書にさらに記載される。また、本開示の他の態様も本明細書に記載される。
【0006】
本明細書における態様は、ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための方法に関する。本明細書に記載されるように、例示的な方法は、ポリエステル組成物を解重合条件下で1種以上のグリコールおよびメタノールに曝露して1種以上の解重合生成物を作製し、次いでこれをアルコリシスプロセスに曝露してジアルキルテレフタレートを回収するステップを含んでもよい。
【0007】
上記で考察したように、特定の従来のグリコリシスおよび/またはメタノリシスプロセスは、後続の生産プロセス、例えば、リサイクルされたポリエステルまたは他の組成物を作製するための生産プロセスで使用するのに好適な生成物に到達するために、実質的な量の資源およびエネルギーを必要とする場合がある。
【0008】
本明細書に開示される方法およびシステムは、上記の問題の1つ以上を軽減することができる。例えば、特定の態様では、本明細書に開示される方法は、ポリエステル組成物を1種以上のグリコールおよびメタノールによる解重合条件に曝露して、1種以上の解重合生成物を用意するステップを含んでもよい。種々の態様では、1種以上の解重合生成物は、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含んでもよい。態様では、1種以上の解重合生成物をアルコリシス条件に曝露して、高収率および高純度のジアルキルテレフタレート生成物を得ることができる。本明細書で考察されるように、アルコリシス条件は、特定の従来のシステムと比較して低下した温度を含み、これは、必要とされる全体的なエネルギーおよび資源を低減する。
【0009】
ポリエステル組成物
上記で考察されたように、本明細書に記載の方法は、ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収することに関する。用語「ポリエステル」は、1種以上の二官能性カルボン酸および/または多官能性カルボン酸と、1種以上の二官能性ヒドロキシル化合物および/または多官能性ヒドロキシル化合物との反応によって調製される合成ポリマーを指してもよい。二官能性カルボン酸はジカルボン酸であってもよく、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えばグリコールなどの二価アルコールであってもよい。さらに、本明細書で使用される場合、用語「二酸」または「ジカルボン酸」は、分岐剤などの多官能性酸を含む。本明細書で使用される場合、用語「グリコール」または「ジオール」は、ジオール、グリコール、および/または多官能性ヒドロキシル化合物を含むがこれらに限定されない。ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはそれらの混合物に由来してもよい。したがって、本明細書で使用される場合、用語ジカルボン酸は、ジカルボン酸、およびポリエステルを作成するためのジオールとの反応プロセスで有用な、その関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、またはそれらの混合物を含むジカルボン酸の任意の誘導体を含むことを意図する。本明細書で使用される場合、用語「ポリエステル」は、コポリエステルも指すことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「残基」は、ポリマー、オリゴマー、またはダイマー中のモノマー単位または繰り返し単位を指す。例えば、ポリマーは、以下のモノマー:テレフタル酸(「TPA」)とシクロヘキシル-1,4-ジメタノール(「CHDM」)の縮合から作成されてもよい。縮合反応により水分子が失われる。得られるポリマー中の残基は、テレフタル酸またはシクロヘキシル-1,4-ジメタノールのいずれかに由来する。以下の式(I)に、ポリエステルの非限定的な例を示す。
【0011】
【化1】
【0012】
態様では、ポリエステル組成物は、ASTM D2857-70に従って決定して約0.1dL/g~約1.2dL/g、ASTM D2857-70に従って決定して約0.2dL/g~約1.2dL/g、ASTM D2857-70に従って決定して約0.3dL/g~約1.2dL/g、またはASTM D2857-70に従って決定して約0.4dL/g~約1.2dL/gの固有粘度を示す。
【0013】
態様では、ポリエステル組成物は1種以上のポリエステルを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のポリエステルはテレフタレートポリエステルを含んでもよい。テレフタレートポリエステルは、テレフタル酸の残基、またはコポリエステルを作成するためのジオールとの反応プロセスで有用な、その関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、および/またはそれらの混合物またはそれらの残基を含むテレフタル酸の任意の誘導体の残基を含むポリエステルである。種々の態様では、ポリエステル組成物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。1つ以上の態様では、ポリエステル組成物は、グリコール変性PETを含んでもよい。特定の態様では、ポリエステル組成物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)変性PET、イソフタル酸(IPA)変性PET、ジエチレングリコール(DEG)変性PET、グリコール変性PET、ネオペンチルグリコール(NPG)変性PET、プロパンジオール(PDO)変性PET、ブタンジオール(BDO)変性PET、ヘキサンジオール(heaxanediol)(HDO)変性PET、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)変性PET、イソソルビド変性PET、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)含有コポリエステル、イソソルビド含有コポリエステル、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0014】
種々の態様では、ポリエステル組成物はCHDMを含んでもよい。一態様では、ポリエステル組成物は、約0モル%~約100モル%のCHDM、約1モル%~約100モル%のCHDM、約1モル%~約90モル%のCHDM、約1モル%~約80モル%のCHDM、約1モル%~約70%のCHDM、約1モル%~約60モル%のCHDM、約1モル%~約50モル%のCHDM、約1モル%~約40モル%のCHDM、約1モル%~約35モル%のCHDM、約1モル%~約30モル%のCHDM、約1モル%~約25モル%のCHDM、約1モル%~約20モル%のCHDM、約1モル%~約10モル%のCHDM、または約1モル%~約5モル%のCHDMを含んでもよい。態様では、CHDMのモル%は、ポリエステル組成物中のすべてのジオール等価物に対するCHDMのモル%を指す。種々の態様では、ポリエステル組成物はDEGを含んでもよい。態様では、ポリエステル組成物は、約0モル%~約100モル%のDEG、約1モル%~約100モル%のDEG、約1モル%~約90モル%のDEG、約1モル%~約80モル%のDEG、約1モル%~約70モル%のDEG、約1モル%~約60モル%のDEG、約1モル%~約50モル%のDEG、約1モル%~約40モル%のDEG、約1モル%~約35モル%のDEG、約1モル%~約30モル%のDEG、約1モル%~約20モル%のDEG、約1モル%~約10モル%のDEG、約1モル%~約5モル%のDEG、または約1モル%~約3モル%のDEGを含んでもよい。態様では、DEGのモル%は、ポリエステル組成物中のすべてのジオール等価物に対するDEGのモル%を指す。態様では、ポリエステル組成物はイソフタル酸を含んでもよい。態様では、ポリエステル組成物は、約0モル%~約30モル%のイソフタル酸、約1モル%~約30モル%のイソフタル酸、約1モル%~約25モル%のイソフタル酸、約1モル%~約20モル%のイソフタル酸、約1モル%~約15モル%のイソフタル酸、約1モル%~約10モル%のイソフタル酸、約1モル%~約7.5モル%のイソフタル酸、約1モル%~約5モル%のイソフタル酸、約1モル%~約3モル%のイソフタル酸、約10モル%以下のイソフタル酸、約7.5モル%以下のイソフタル酸、約5モル%以下のイソフタル酸、または約3モル%以下のイソフタル酸を含んでもよい。態様では、イソフタル酸のモル%は、ポリエステル組成物中の全二酸等価物に対するイソフタル酸のモル%を指す。特定の態様では、ポリエステル組成物は、約0モル%~約100モル%のCHDM、約0モル%~約100モル%のDEG、約0モル%~約30モル%のイソフタル酸、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、ポリエステル組成物は、約1モル%~約100モル%のCHDM、約1モル%~約100モル%のDEG、約1モル%~約30モル%のイソフタル酸、またはそれらの組合せを含んでもよい。種々の態様では、ポリエステル組成物は、他のグリコール、例えば上述したもの以外を含んでもよい。例えば、態様では、ポリエステル組成物は、これらに限定されないが、ネオペンチルグリコール(NPG)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ブタンジオール(BDO)、プロパンジオール(PDO)、ヘキサンジオール(HDO)、イソソルビド、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、ポリ(エチレン)グリコール(PEG)、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、NPG、MPジオール、BDO、PDO、HDO、イソソルビド、PTMGおよびPEGのそれぞれは、0モル%~約100モル%、約1モル%~約100モル%、約1モル%~約90モル%、約1モル%~約80モル%、約1モル%~約70モル%、約1モル%~約60モル%、約1モル%~約50モル%、約1モル%~約40モル%、約1モル%~約35モル%、約1モル%~約30モル%、約1モル%~約25モル%、約1モル%~約20モル%、約1モル%~約10モル%、または約1モル%~約5モル%の量でポリエステル組成物中に存在してもよい。態様では、NPG、MPジオール、BDO、PDO、HDO、イソソルビド、PTMG、およびPEGのそれぞれのモル%は、ポリエステル組成物中の全ジオール等価物に対するNPG、MPジオール、BDO、PDO、HDO、イソソルビド、PTMG、およびPEGのそれぞれのモル%をそれぞれ指す。種々の態様では、ポリエステル組成物は、CHDM、DEG、NPG、MPジオール、BDO、PDO、HDO、イソソルビド、PTMG、PEG、イソフタル酸、またはそれらの組合せを含んでもよく、各成分は、この段落に記載されるそのような成分についての量のいずれかで存在する。
【0015】
態様では、ポリエステル組成物またはポリエステル組成物中に存在する1種以上のポリエステルは、リサイクルされたポリエステルであってもよい。種々の態様では、リサイクルされたポリエステルは、製造スクラップ、産業廃棄物、消費財廃棄物、またはそれらの組合せとして回収された材料を含んでもよい。態様では、リサイクルされたポリエステルは、使用および/または廃棄された既使用製品であってもよい。態様では、ポリエステル組成物および/またはリサイクルされたポリエステルは、織物、カーペット、熱成形材料、ボトル、ペレット、およびフィルムを含むがこれらに限定されない種々の供給源から、および/または種々の形態で得られてもよい。1つ以上の態様では、ポリエステル組成物は、再生ポリエステル、例えば、本明細書に記載の方法などの先行するDMT回収方法から回収されたDMTから形成されたポリエステルを含んでもよい。
【0016】
種々の態様では、ポリエステル組成物は1種以上の異物を含んでもよい。態様では、1種以上の異物は、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、綿、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、スパンデックス、天然繊維、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ナイロン、ポリ(乳酸)、ポリジメチルシロキサン、ポリシラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、無機充填剤、色素、顔料、カラートナー、着色剤、可塑剤、接着剤、難燃剤、金属、アルミニウムおよび鉄、またはそれらの組合せを含んでもよい。種々の態様では、1種以上の異物は、ポリエステル組成物中の1種以上のポリエステルの重量に対して約0.01wt.%~約50wt.%、約0.01wt.%~約40wt.%、約0.01wt.%~約30wt.%、約0.01wt.%~約20wt.%、約0.01wt.%~約15wt.%、約0.01wt.%~約10wt.%、約0.01wt.%~約7.5wt.%、約0.01wt.%~約5wt.%、約0.01wt.%~約2.5wt.%、約0.01wt.%~約1.0wt.%の量でポリエステル組成物中に存在してもよい。
【0017】
態様では、ポリエステル組成物は、固体形態、液体形態、溶融形態、または溶液であってもよい。特定の態様では、溶液は、溶媒、例えばDMT、EG、DEG、TEG、またはそれらの組合せに予め溶解されたポリエステル組成物を含んでもよい。
【0018】
ポリエステル組成物の任意選択の前処理
特定の態様では、グリコリシスおよび/またはメタノリシスの前に、ポリエステル組成物の任意選択の処理が実施されてもよい。種々の態様では、任意選択の前処理は、ポリエステル組成物から任意の異物の一部を除去するのを助ける、および/または混合フィードストック、例えば、上記で考察した異物を含むフィードストックから1種以上のポリエステルを回収するのを助ける任意の種類の処理を含んでもよい。例えば、一態様では、任意選択の前処理は、ポリエステル組成物中のポリエステル(またはポリエステル組成物中の異物の少なくとも一部)を選択的に溶解して、異物の少なくとも一部とポリエステル組成物中の1種以上のポリエステルとの間の分離を可能にするために、ポリエステル組成物を1種以上の溶媒に曝露するステップを含んでもよい。一例の態様として、任意選択の前処理は、ポリエステル組成物を1種以上の溶媒、例えば、ポリエステル組成物中のポリエステルの溶解を引き起こすことができる1種以上の溶媒に曝露するステップを含んでもよい。例えば、1種以上の溶媒としては、4-メチルシクロヘキサンメタノール(MCHM)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、プロパンジオール(PDO)、ブタンジオール(BDO)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、ジブチルテレフタレート(DBT)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。同じまたは代替的な態様では、ポリエステル組成物は、1種以上の成分の溶解を実行するために、特定の温度で1種以上の溶媒に曝露されてもよい。種々の態様では、前処理プロセスは、所望のレベルの異物除去および/またはPETの純度レベルを達成するために、種々の溶媒および/または温度を使用する1つ以上の溶解および分離ステップを含んでもよい。例えば、1つの態様では、特定の温度で1種の溶媒を使用して溶解および分離を利用し、例えば、1種以上の異物を除去した後、特定の温度で別の溶媒を使用してポリエステル画分の後続の溶解および分離を行い、例えば、1種以上の他の異物を除去することができる。この任意選択の前処理ステップにおける溶解および/または分離は、所望の前処理ポリエステル組成物を達成するために、任意の好適なシステム、反応器、容器、および/または分離技術を利用することができる。
【0019】
ポリエステル組成物のグリコリシスおよび/または解重合
上記で考察したように、種々の態様では、本明細書に開示される方法は、ポリエステル組成物を解重合条件に曝露して、1種以上のポリエステルの少なくとも一部を1種以上の解重合生成物に解重合させるステップを含んでもよい。種々の態様では、1種以上の解重合生成物は、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、オリゴマーは、2~10、2~8、2~6、または2~4の重合度を示してもよい。態様では、1種以上のポリエステルは、モノマー、および2~10、2~8、2~6または2~4の重合度を有するテレフタレートオリゴマーを含み得る1種以上の解重合生成物に解重合されてもよい。態様では、オリゴマーの重合度を識別するために液体クロマトグラフィーがされてもよく、および/またはオリゴマーの分子量を識別するためにゲル浸透クロマトグラフィーが利用されてもよい。
【0020】
態様では、重合度(DP)という用語は、オリゴマー中の残基の数を指してもよい。本明細書で使用される場合、重合度(DP)は、オリゴマー中の二官能性カルボン酸残基および/または多官能性カルボン酸残基の数を指す。例えば、1つの例示的な態様では、1のDPは、1つのテレフタル酸残基または1つのイソフタル酸残基を含む残基を指す。このような例示的な態様では、1のDPはモノマーとも称されてもよい。1のDPの非限定的な例を以下の式(II)に示す。
【0021】
【化2】
【0022】
[0028]以下の式(III)~(V)は、態様においてそれぞれ2、3、およびnのDPを有するオリゴマーの非限定的な例を示す。
【0023】
【化3】
【0024】
態様では、この解重合はグリコリシスプロセスによって行われてもよい。一般に、態様では、本明細書に開示されるグリコリシスプロセスは、ポリエステル組成物を1種以上のグリコールおよびメタノールに曝露することを含んでもよく、グリコールおよび/またはメタノールは、任意選択でトランスエステル化触媒の存在下でポリエステルと反応し、使用されるグリコールに応じてビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)または他のテレフタレート残基(例えば、DEGが利用される場合、ビス(2-ヒドロキシジエチレンテレフタレート)(BHDET))と低分子量テレフタレートオリゴマーの混合物を形成する。グリコリシスプロセスのいくつかの代表的な例は、米国特許第3,257,335号;第3,907,868号;第6,706,843号;および第7,462,649号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
グリコリシスプロセスの一態様では、1種以上のポリエステル、例えば1種以上のリサイクルされたポリエステル、および1種以上のグリコールおよびメタノールをグリコリシス反応器にフィードすることができ、そこで1種以上のリサイクルされたポリエステルが解重合条件下で溶解および解重合される。
【0026】
態様では、グリコリシスプロセスでの使用に好適な1種以上のグリコールの任意の量を利用することができる。種々の態様では、ポリエステル組成物の量に対する1種以上のグリコールの重量比は、9:1~1:9、8:1~1:9、7:1~1:9、6:1~1:9、5:1~1:9、4:1~1:9、3:1~1:9、2:9~1:9、9:1~1:8、9:1~1:7、9:1~1:6、9:1~1:5、9:1~1:4、9:1~1:3、または9:1~1:2であってもよい。同じまたは代替的な態様では、解重合またはグリコリシスプロセスで使用するのに好適な任意の量のメタノールを利用することができる。特定の態様では、メタノールの量に対する1種以上のグリコールの量の重量比は、1:20~100:1、1:10~100:1、1:5~100:1、1:1~100:1、1:20~80:1、1:20~60:1、1:20~50:1、1:20~40:1、1:20~30:1、1:20~20:1、または1:20~10:1であってもよい。
【0027】
特定の態様では、1種以上のグリコールは、グリコリシスプロセスで使用するのに好適な任意のグリコールを含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「グリコール」は、脂肪族、脂環式およびアラルキルグリコールを指す。例示的なグリコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコールとしても公知)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、イソソルビド、p-キシリレンジオールなどが挙げられる。これらのグリコールは、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールの場合のように、エーテル結合を含むこともできる。グリコールの追加的な実施形態としては、ポリエチレングリコールとして公知の高分子量ホモログ、例えばCarbowax(商標)の商品名でDow Chemical Companyによって生産されているものが挙げられる。一実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、200より多く~約10,000ダルトン(M)の分子量を有する。これらのグリコールは、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどのより高次のアルキルアナログも含む。同様に、さらなるグリコールは、分子量が約200~約10,000ダルトン(M)(g/モルとも称する)の範囲であるポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのより高次のポリアルキレンエーテルジオールを含む。一態様では、グリコールは、脂肪族、脂環式およびアラルキルグリコールから選択することができる。種々の態様では、グリコールは、エチレングリコール;1,2-プロパンジオール;1,3-プロパンジオール;1,4-ブタンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール;1,2-シクロヘキサンジメタノール;1,3-シクロヘキサンジメタノール;1,4-シクロヘキサンジメタノール;2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール;イソソルビド;p-キシリレンジオール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;ポリエチレングリコール;ジプロピレングリコール;ジブチレングリコール;ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールから選択されるポリアルキレンエーテルジオールから選択することができる。
【0028】
特定の態様では、1種以上のグリコールは、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、プロパンジオール(PDO)、ブタンジオール(BDO)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、またはそれらの組合せ、および任意選択で、ii)エチレングリコール(EG)を含んでもよい。このような態様では、グループi)のグリコールとEGの重量比は、100:0~1:99であってもよい。特定の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して約0wt.%~約100wt.%のDEG、または約1wt.%~約100wt.%のDEGを含んでもよい。特定の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して約0wt.%~約100wt.%のTEG、または約1wt.%~約100wt.%のTEGを含んでもよい。態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して約0wt.%~約50wt.%のCHDM、または約1wt.%~約50wt.%のCHDMを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のPEG、または約1wt.%~約100wt.%のPEGを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のNPG、または約1wt.%~約100wt.%のNPGを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のPDO、または約1wt.%~約100wt.%のPDOを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のBDO、または約1wt.%~約100wt.%のBDOを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のMPジオール、または約1wt.%~約100wt.%のMPジオールを含んでもよい。種々の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のPTMG、または約1wt.%~約100wt.%のPTMGを含んでもよい。特定の態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して約0wt.%~約100wt.%のEG、または約1wt.%~約100wt.%のEGを含んでもよい。一態様では、1種以上のグリコールは、1種以上のグリコールの総重量に対して0wt.%~約100wt.%のEG、0wt.%~約100wt.%のDEG、0wt.%~約100wt.%のTEG、0wt.%~約100wt.%のPEG、0wt.%~約100wt.%のNPG、0wt.%~約100wt.%のPDO、0wt.%~約100wt.%のBDO、0wt.%~約100wt.%のMPジオール、0wt.%~約100wt.%のPTMG、および0wt.%~約50wt.%のCHDMを含んでもよい。特定の態様では、以下で詳細に考察されるように、1種以上のグリコールは、本明細書に開示されるように、1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための先行のグリコリシスおよび/またはメタノリシスプロセスから回収されたリサイクルグリコールであってもよい。
【0029】
種々の態様では、上記で考察されたように、グリコリシスプロセスは、1種以上の触媒、例えば、トランスエステル化触媒を含んでもよい。特定の態様では、触媒は、ポリエステル組成物の重量に対して0.1wt.%~10wt.%の量で存在してもよい。態様では、任意の好適な触媒を利用することができる。一態様では、触媒は、炭酸塩触媒、例えば、これらに限定されないが、LiCO、KCO、NaCO、CsCO、ZrCO、またはそれらの組合せを含んでもよい。一態様では、触媒は、水酸化物触媒、例えば、これらに限定されないが、LiOH、NaOH、KOH、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはそれらの組合せを含んでもよい。一態様では、触媒は、アルコキシド触媒、例えば、これらに限定されないが、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、マグネシウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、またはそれらの組合せを含んでもよい。一態様では、触媒は、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、酢酸亜鉛(Zn(OAc))、および酢酸マンガン(II)(Mn(OAc)))、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、触媒は、LiOH、NaOH、KOH、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、ZrCO、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、および亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、またはそれらの組合せを含んでもよい。一態様では、触媒は、LiOH、NaOH、KOH、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、およびリチウムメトキシド(LiOMe)を含んでもよい。特定の態様では、触媒は、LiCO、KCO、CaCO、NaCO、CsCO、ZrCO3、LiOH、NaOH、KOH、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、マグネシウムメトキシド(Mg(OMe)、カリウムt-ブトキシド、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、酢酸亜鉛(Zn(OAc))、酢酸マンガン(II)(Mn(OAc))、ハイドロタルサイト、ゼオライト、塩化リチウム、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0030】
解重合条件は、かき混ぜられた反応器中0.5時間~10時間にわたって120℃~260℃の温度および10気圧(atm)(147psig)~70atm(1029psig)の絶対圧を含んでもよい。態様では、圧力の増加は、解重合条件で利用される温度でメタノールが気化するのを防ぐのに役立ち得る。ポリエステルと1種以上のグリコールおよびメタノールとの反応には、1つまたは複数の反応器が使用されてもよい。例えば、反応混合物は、第一段から連続的に抜き出され、追加のグリコールおよび/またはメタノールとともに、前述の圧力範囲下に維持された第二段に導入されてもよく、解重合は所望の完了度まで継続する。種々の態様では、任意の種類の容器、反応器および/または反応器システムを、ポリエステル組成物の解重合またはグリコリシスに利用することができる。一態様では、連続撹拌槽型反応器または容器、固定床反応器、または溶融押出機を利用することができる。同じまたは代替的な態様では、ポリエステル組成物の解重合またはグリコリシスは、バッチまたは連続方法であってもよい。
【0031】
上記で詳述した解重合条件に曝露した後、得られた混合物を任意選択で約150℃以下、または約50℃~約150℃の温度まで冷却させることができる。態様では、得られた混合物はグリコリシス反応容器内で所望の温度まで冷却させるか、または温度を下げるために異なる容器に移すことができる。得られた混合物は、固体成分および液体成分を含んでもよい。態様では、液体成分は、1種以上の解重合生成物、例えば、モノマーおよび/または2~10の重合度を有するオリゴマーを1種以上のグリコールとともに含み、さらに、ポリエステル組成物、1種以上のグリコール、触媒、またはそれらの組合せからの任意の追加の可溶性成分を含んでもよい。種々の態様では、固体成分は、ポリエステル組成物の残留異物および任意の他の不溶性成分であってもよく、廃棄すべき廃棄物とみなされてもよい。
【0032】
以下でさらに考察するように、液体成分は、1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するために、少なくともメタノリシスおよび/またはアルコリシスプロセスにさらに供される。種々の態様では、メタノリシスプロセスの前に、液体成分を固体成分から分離することができる。態様では、液体成分は、任意のシステムを使用して固体成分から分離されてもよい。一態様では、液体成分は、得られる混合物が約50℃~約150℃の温度にある間に固体成分から分離することができる。このような態様では、約150℃以下の温度、例えば約50℃~約150℃で固体成分から液体成分を分離することにより、現在の従来の方法よりも効率的な方法および/または資源集約的でない方法を提供することができる。同じまたは代替的な態様では、約150℃以下の温度、例えば約50℃~約150℃で固体成分から液体成分を分離することは、いくつかの不純物がより高い温度、例えば150℃を超える温度で不安定になる場合があり、それにより本明細書に記載の方法、生成物収率、および/または生成物純度に悪影響を及ぼす可能性があるため、有益であり得る。
【0033】
種々の態様では、固体成分からの液体成分の分離は、濾過プロセスを含んでもよい。このような態様では、約50℃~約150℃の上昇した濾過温度に耐えることができる任意の好適な濾過プロセスを利用することができる。特定の態様では、固体成分は遠心分離によって除去することができる。特定の態様では、固体は沈降または沈殿により除去することができる。特定の態様では、固体成分は容器の底に沈降していてもよく、容器内に適切に位置決めされた容器導管またはバルブを通して液体成分を除去することができる。一態様では、このような導管および/またはバルブは、下流プロセスにおける固体成分の包含を最小化するための濾過デバイスを含んでもよい。
【0034】
1種以上の解重合生成物のアルコリシス
上記で考察したように、態様では、上述のグリコリシスプロセスで生成された1種以上の解重合生成物は、アルコリシスプロセスに供されてもよい。
【0035】
一般に、典型的なアルコリシスプロセスでは、ポリエステルをアルコール、例えばメタノールと反応させて、オリゴマー、テレフタレートモノマー、例えばジメチルテレフタレート(DMT)、および1種以上のグリコールを含む解重合混合物を生成する。他の実施形態では、ポリエステルの組成に応じて、例えば、CHDM、DEG、およびジメチルイソフタレート(DMI)などの他のモノマーも生成されてもよい。一実施形態では、アルコリシスプロセス中に、テレフタレートオリゴマーをメタノールと反応させて、ポリエステルオリゴマー、DMT、CHDM、および/またはEGを含む解重合ポリエステル混合物を生成する。
【0036】
PETのメタノリシスのいくつかの代表例は、米国特許第3,321,510号;第3,776,945号;第5,051,528号;第5,298,530号;第5,414,022号;第5,432,203号;第5,576,456号;第6,262,294号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
態様では、アルコリシスプロセスは、グリコリシスプロセスから得られる液体成分および/または1種以上の解重合生成物を、1種以上のジアルキルテレフタレートをもたらす条件下でアルコール組成物に曝露することを含んでもよい。上記で考察したように、態様では、1種以上の解重合生成物は、グリコリシスプロセスから得られる液体成分中に存在してもよい。種々の態様では、上記で考察したように、グリコリシスプロセスから得られる1種以上の解重合生成物および/または液体成分をアルコリシスプロセスに供する前に、液体成分を、グリコリシスプロセスの得られる混合物から、および/または得られる固体成分から分離することができる。特定の態様では、液体成分をグリコリシスプロセスの固体成分から分離した後、液体成分をこのアルコリシスプロセスで直接利用することができる。同じまたは代替的な態様では、液体成分をグリコリシスプロセスの固体成分から分離した後、液体成分は、このアルコリシスプロセスで利用される前に、さらなる加工、例えば、蒸留および/または他の分離プロセスに供されない。任意の特定の理論に束縛されることなく、グリコリシスプロセスは、特定の従来のプロセスと比較してより少ない量のグリコール(または3:1~1:9のポリエステル組成物の量に対するグリコールの重量比)を使用して実施されるため、例えば、得られる1種以上の解重合生成物を濃縮し、および/またはグリコールの一部を除去するためのさらなる加工を必要とすることなく、グリコリシスプロセスから得られる液体成分をアルコリシスプロセスで直接利用することができると考えられる。
【0038】
アルコール組成物は、特定のジアルキルテレフタレートを得るためのアルコリシスプロセスで使用するための、当技術分野で公知の任意の好適なアルコールを含んでもよい。一態様では、アルコール組成物はメタノールであってもよく、および/またはメタノールを含んでもよい。態様では、メタノールがアルコール組成物として利用される場合、DMTが得られるメタノリシス生成物であってもよい。
【0039】
特定の態様では、アルコール組成物の量は、ポリエステル組成物の量または重量に対して重量基準で過剰である任意の量であってもよい。特定の態様では、ポリエステル組成物の量に対するアルコール組成物の量の重量比は、約2:1~約10:1であってもよい。種々の態様では、ポリエステル組成物の量に対するアルコール組成物の量の重量比は、約2:1~約9:1、約2:1~約8:1、約2:1~約7:1、約2:1~約6:1または約2:1~約5:1であってもよい。態様では、ポリエステル組成物の量は、上記のグリコリシスプロセスで利用されるポリエステル組成物の量または重量を指す。
【0040】
態様では、アルコリシス反応は、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約40℃以下、または約30℃以下の温度で行われてもよい。同じまたは代替的な態様では、アルコリシス反応は、約20℃~約90℃、約20℃~約80℃、約20℃~約70℃、約20℃~約60℃、約20℃~約50℃、約20℃~約40℃、または約20℃~約30℃の温度で行われてもよい。特定の態様では、アルコリシス反応は、約25℃~約90℃、約25℃~約80℃、約25℃~約70℃、約25℃~約60℃、約25℃~約50℃、約25℃~約40℃、または約25℃~約30℃の温度で行われてもよい。種々の態様では、任意の特定の理論に束縛されることなく、本明細書に開示される方法では、ポリエステル組成物中のポリエステルは、例えば、上記で考察したグリコリシスステップで少なくとも部分的な解重合プロセスを既に受けているため、メタノリシスプロセスは、特定の他の従来のプロセスと比較して比較的低減された上述の温度で実施することができると考えられる。さらにまたは代替的に、任意の特定の理論に束縛されることなく、グリコリシスプロセスで生成される1種以上の解重合生成物は、このアルコリシスプロセスの前に廃棄物または不溶性物質から分離されるため、アルコリシスプロセスを上述の低減された温度で行うことができると考えられる。
【0041】
態様では、アルコリシスプロセスは、任意の好適な反応器および/または容器中で行われてもよい。態様では、アルコリシス反応器は、上述のグリコリシスプロセスで利用される反応器と流体連通することができる。特定の態様では、アルコリシス反応器は、グリコリシスに使用される容器とは異なる反応器である。あるいは、種々の態様では、アルコリシスプロセスは、上述のグリコリシスプロセスおよび/または濾過プロセスと同じ容器中で行われてもよい。特定の態様では、アルコリシスプロセスは、周囲圧力、例えば約1atm、または約1atm~約5atm、または約1atm~約3atm、または約1atm~約2atmの圧力で行われてもよい。種々の態様では、アルコリシス反応は、アルコリシス反応温度が本明細書に開示されるプロセス条件に対して高い場合、例えば、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、または約90℃以上である場合、周囲圧力を超える圧力、例えば1atmより高い、または約5atm以下、約3atm以下、約2atm以下で行われてもよい。
【0042】
種々の態様では、アルコリシス触媒をアルコリシスプロセスで利用することができる。態様では、アルコリシス触媒は、ポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約20wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約10wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約5wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約2wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約1wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約0.5wt.%の量で存在してもよい。このような態様では、ポリエステル組成物の量は、上記のグリコリシスプロセスで利用されるポリエステル組成物の量または重量を指す。種々の態様では、この段落に開示されるアルコリシス触媒の量は、アルコリシス反応中に存在するアルコリシス触媒の量を指す。種々の態様では、この段落に開示されるアルコリシス触媒の量は、アルコリシス反応を促進するために1種以上の解重合生成物および1種以上のアルコールに添加されるアルコリシス触媒の量を指す。特定の態様では、アルコリシス反応を促進するために、低減されたまたはより少ない量のアルコリシス触媒を1種以上の解重合生成物および1種以上のアルコールに添加することができ、例えば、ポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約10wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約5wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約2wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約1wt.%、またはポリエステル組成物の重量に対して約0.1wt.%~約0.5wt.%の量である。態様では、少なくとも部分的に、アルコリシス触媒が1種以上の解重合生成物および/または1種以上のアルコール中に既に存在するため、このようなより少ない量のアルコリシス触媒を添加することができる。このような態様では、以下で考察するように、アルコールおよび/またはグリコールは、本明細書に開示される後続のグリコリシスおよびアルコリシスプロセスでリサイクルおよび再使用されてもよく、これは、先行のアルコリシスおよび/またはグリコリシスプロセスからのアルコリシス触媒の少なくとも一部を含んでもよい。
【0043】
種々の態様では、アルコリシス触媒は、炭酸塩触媒、例えば、これらに限定されないが、KCO、NaCO、LiCO、CsCO;水酸化物触媒、例えば、これらに限定されないが、KOH、LiOH、NaOH;アルコキシド触媒、例えば、これらに限定されないが、NaOMe、Mg(OMe)、KOMe、KOt-Bu、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、アルコリシス触媒は、KOH、NaOH、LiOH、またはそれらの組合せを含んでもよい。特定の態様では、アルコリシス触媒は、NaOMe、KOMe、Mg(OMe)、KOt-Bu、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、またはそれらの組合せを含んでもよい。種々の態様では、アルコリシス触媒は、固体形態、水、メタノール、もしくはエチレングリコール中の溶液形態、またはそれらの組合せであってもよい。特定の態様では、アルコリシス触媒は、アルコール組成物および1種以上の解重合生成物が上記に開示された所望の反応温度または温度範囲に達した時点で、1種以上の解重合生成物およびアルコール組成物に添加されてもよい。
【0044】
1種以上の解重合生成物は、得られるジアルキルテレフタレートの所望の収率を達成するための時間にわたって、上述の温度および圧力条件下でアルコール組成物および任意選択でアルコリシス触媒に曝露されてもよい。特定の態様では、1種以上の解重合生成物は、約5分~約5時間、または約5分~約2時間、または約5分~約1時間、または約5分~約30分、または約5分~約15分、または約5分~約10分の時間、上述の温度および圧力条件下でアルコール組成物および任意選択でアルコリシス触媒に曝露されてもよい。
【0045】
態様では、アルコリシスプロセスは、1種以上のジアルキルテレフタレートを含む混合物をもたらす。種々の態様では、アルコリシスプロセスは、ジアルキルテレフタレートが不溶性および/または固体成分である混合物をもたらす。態様では、この混合物の液体成分は、1種以上のグリコール、メタノール、アルコール組成物、またはそれらの組合せを含んでもよい。一態様では、グリコールおよび/またはメタノールの少なくとも一部は、グリコリシスプロセスで利用され、アルコリシスプロセスの開始時に1種以上の解重合生成物とともに存在したグリコールおよび/またはメタノールであってもよい。種々の態様では、ジアルキルテレフタレートは、任意の公知の分離技術、例えば、濾過、遠心分離、沈殿、沈降、または1つ以上の分離技術の組合せを使用して混合物から単離することができる。態様では、濾過は、追加のアルコール組成物または他の溶媒で固体成分を洗浄することを含んでもよい。得られる液体成分は、濾液および洗浄液を含んでもよい。得られる固体成分は、固体成分の重量に対して約90wt.%%以上のジアルキルテレフタレート、例えばDMT、約93wt.%以上のジアルキルテレフタレート、例えばDMT、または約95wt.%以上のジアルキルテレフタレート、例えばDMTを含んでもよい。同じまたは代替的な態様では、得られる固体成分中のジアルキルテレフタレート、例えばDMTは、約90%以上純粋、約93%以上純粋、または約95%以上純粋であってもよい。種々の態様では、固体成分はまた、ジメチルイソフタレート(DMI)を含んでもよい。そのような態様では、DMIは、約1000ppm以下、または約500ppm以下、または約1ppm~約1000ppm、または約1ppm~約500ppmの量で存在してもよい。1つ以上の態様では、固体成分はまた、ビスフェノールA(BPA)を含んでもよい。そのような態様では、BPAは、約1000ppm以下、または約500ppm以下、または約1ppm~約1000ppm、または約1ppm~約500ppmの量で存在してもよい。
【0046】
本明細書に記載のプロセス、例えば、グリコリシスおよび/またはアルコリシスプロセスは、特定の従来のプロセス、例えば、高温1ステップグリコリシスまたはメタノリシスプロセスと比較して実質的に穏やかである。例えば、特定の従来の1ステッププロセスは、ルイス酸触媒、例えばZn(OAc)またはKOAcの存在下で、240℃以上の温度でグリコリシスプロセスを利用する場合がある。このような過酷な条件では、EGが、種々の副反応で、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、アセトアルデヒド、1,1-ジメトキシエタン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、2-メトキシエタノール、1-メトキシエタノールおよびジメチルエーテルを含むがこれらに限定されない種々の不純物化合物に変換されるため、解重合からのEG収率が低下する可能性がある。態様では、本明細書に記載のプロセスは、そのような従来のプロセスよりも実質的に穏やかであり、さらに、例えば、EGを種々の不純物に変換する副反応が少ないことから、EGの収率損失が少なくなる。一態様では、本明細書に記載のプロセスは、約5%以下のEGの収率損失、約2%以下のEGの収率損失、または約1%以下のEGの収率損失、または約0.5%以下のEGの収率損失をもたらす。このような態様では、EGの収率損失は、ポリエステル組成物フィードからのEGとグリコリシスプロセスで添加されるEGを組み合わせた量に対する不純物、例えばDEGへと形成されるEGのパーセントである。同じまたは代替的な態様では、本明細書に記載されるプロセスは、最小限のグリコール不純物を生成する。例えば、一態様では、本明細書に記載のプロセスは、EGがグリコリシスプロセスで1種以上のグリコールとして使用される場合、約5wt.%以下のDEG、約2wt.%以下のDEG、または約1wt.%以下のDEG、または約0.5wt.%以下のDEG、または約0.01wt.%~約5wt.%のDEG、約0.01wt.%~約2wt.%のDEG、または約0.01wt.%~約1wt.%のDEG、または約0.01wt.%~約0.5wt.%のDEG、または約0.01wt.%~約0.2wt.%DEGの正味発生量をもたらすことができる。態様では、本明細書に記載のプロセスは、EGがグリコリシスプロセスで1種以上のグリコールとして使用される場合、約5wt.%以下のDEGおよび/もしくは他の不純物、約2wt.%以下のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約1wt.%以下のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約0.5wt.%以下のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約0.01wt.%~約5wt.%のDEGおよび/もしくは他の不純物、約0.01wt.%~約2wt.%のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約0.01wt.%~約1wt.%のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約0.01wt.%~約0.5wt.%のDEGおよび/もしくは他の不純物、または約0.01wt.%~約0.2wt.%のDEGおよび/もしくは他の不純物の正味発生量をもたらすことができる。態様では、DEG(または他の不純物)の正味発生量は、ポリエステル組成物フィード中に存在するDEGまたは他の不純物の量に対する、存在するDEGまたは他の不純物の量の重量パーセントである。一態様では、生成されるDEGは、本明細書に記載されるグリコリシスプロセスおよび/または本明細書に記載されるアルコリシスプロセスで生成されてもよい。特定の態様では、グリコリシスプロセスで1種以上のグリコールとしてEGを使用する場合、DEGなどのEGおよび/または任意のグリコール不純物は、このアルコリシスステップから得られる液体成分中に存在してもよい。特定の態様では、グリコリシスプロセスにおけるルイス塩基触媒、例えば、水酸化物系または炭酸塩系触媒の利用も、EGの分解の低減および/またはグリコール不純物の低減を促進するか、またはそれに寄与する場合がある。
【0047】
グリコール、メタノール、およびアルコール組成物のリサイクル
上記で考察したように、種々の態様では、グリコリシスプロセスで利用されるグリコールおよび/またはメタノールは、本明細書に開示される1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための後続の一連のプロセスで再使用することができる。態様において、高いレベルでは、アルコリシスプロセスから得られる液体成分は、再使用のために、例えば、1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための後続のポリエステル組成物の後続の一連のグリコリシスおよび/またはメタノリシスにおける再使用のために加工されてもよい。同じまたは代替的な態様では、メタノールは、アルコリシスプロセスから得られる液体成分から回収されてもよく、例えば、後続のアルコリシスプロセスで再使用されてもよいか、または上述のグリコリシスもしくは解重合プロセスで使用されてもよい。このような態様では、メタノールは、液体成分を蒸留条件に曝露することによって回収されてもよい。
【0048】
態様では、上記で考察したように、アルコリシスプロセスから得られる液体成分は、グリコリシスプロセスで使用されるグリコールおよび/またはメタノール、アルコール組成物、グリコリシスプロセスで発生するグリコール、例えば、EG、DEG、および/またはCHDMを含んでもよい。種々の態様では、この液体成分は、例えば、アルコール組成物の少なくとも一部、例えば、メタノール、またはメタノールとエチレングリコールとの混合物を除去または分離するために、分離プロセスに供されてもよい。特定の態様では、アルコール組成物の少なくとも一部を除去するために、液体成分を蒸留または短行程蒸留に曝露することができる。例示的な非限定的態様では、蒸留条件は、液体成分を約260℃以下、約220℃以下、約200℃以下、約180℃以下、約160℃以下、約150℃以下、約130℃以下、約60℃以上、約70℃以上、約60℃~約220℃、約70℃~約220℃、約60℃~約180℃、約60℃~約160℃の温度に曝露することを含んでもよい。同じまたは代替的な態様では、蒸留条件は、約1Torr(133.3Pa)~約800Torr(106,657Pa)、または約30Torr(3999Pa)~約500Torr(66,661Pa)の圧力を含んでもよい。態様では、液体成分は、アルコール組成物の全部または実質的な部分が液体成分から除去されるまで、例えば気化するまで、蒸留条件に曝露されてもよい。特定の態様では、アルコール組成物の少なくとも一部、例えばメタノールは、リサイクルグリコールとともに存在する場合、後続のグリコリシスプロセス中に利用されてもよい。特定の態様では、液体成分から回収されたアルコール、例えばメタノールは、後続のアルコリシスプロセスで使用するためにアルコリシス反応容器に戻されてもよく、および/または上述のグリコリシスプロセスで使用するためにグリコリシス反応容器に戻されてもよい。
【0049】
態様では、液体成分の蒸留は、本明細書に記載される方法およびシステムでの使用に好適な任意の容器または蒸留システムで行われてもよい。一態様では、蒸留容器は、アルコリシス反応容器、および/または例えば、ジアルキルテレフタレート固体または不溶性成分を単離するためにアルコリシスに引き続いて利用される濾過プロセスの任意の構成要素と流体連通することができる。同じまたは代替的な態様では、蒸留容器はグリコリシス容器と流体連通することができる。
【0050】
種々の態様では、液体成分の蒸留は、アルコール組成物を気化させ、ポット残渣を残すことができる。種々の態様では、ポット残渣は、グリコールおよび液体成分中に存在する任意の他の重質物、例えば非気化性化合物を含む。態様では、ポット残渣中のグリコールは、リサイクルグリコールと称されてもよく、および/または本明細書に記載される蒸留条件を使用する連続蒸留プロセスの非気化性部分からのグリコールは、リサイクルグリコールと称されてもよい。一態様では、リサイクルグリコールとしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、プロパンジオール(PDO)、ブタンジオール(BDO)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0051】
態様では、上記で考察したように、リサイクルグリコールは、ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するために、本明細書に記載の後続の一連のプロセスで利用されてもよい。さらに、態様では、リサイクルグリコールは、この後続の一連のジアルキルテレフタレート回収を経た後、本明細書に記載のプロセスを使用して再度リサイクルされてもよい。態様では、リサイクルグリコールは、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回回収して再使用されてもよい。特定の態様では、リサイクルグリコールが後続の一連のジアルキルテレフタレート回収に使用される場合、リサイクルグリコールが既使用触媒を含む可能性があるため、後続のグリコリシスステップにおける触媒の添加を省略することができる。
【0052】
態様では、リサイクルグリコールを回収および再使用した場合、得られる回収されたジアルキルテレフタレートは、回収および再使用されなかったグリコールを使用して回収されたジアルキルテレフタレートのものと同程度の純度を示すことが予想外に見出された。態様では、このジアルキルテレフタレートの同程度の純度は、リサイクルグリコールを少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回再使用した後に存在し、結果として少なくとも約90%、少なくとも約93%、または少なくとも約95%の純度を有するジアルキルテレフタレートが回収される。
【0053】
例示的なシステム
図1は、ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための1つの例示的なシステムおよび/または方法を概略的に示す。システム100は、ポリエステル組成物、例えば上述のポリエステル組成物の供給源110を含む。1つの例示的な態様では、ポリエステル組成物は、上記で詳細に考察したように、任意選択の前処理プロセスを経ることができる。このような態様では、この任意選択の前処理は、容器120中でポリエステル組成物を解重合条件に曝露する前に行われてもよい。容器120はグリコリシス容器を表し、ここでポリエステル組成物が受容され、上記で詳細に考察したように、解重合条件下で1種以上のグリコールおよびメタノールに曝露される。態様では、容器120は、供給源110と流体連通することができる。種々の態様では、上記で考察したように、ポリエステル組成物は、容器120中で解重合条件に曝露された後、1種以上の解重合生成物に変換される。種々の態様では、上記で考察したように、1種以上の解重合生成物は、モノマーおよび/または2~10、2~8、2~6もしくは2~4の重合度を有するオリゴマーを含んでもよい。態様では、1種以上の解重合生成物は、液体成分中の1種以上の解重合生成物とともに、液体成分および固体成分を含む混合物中に存在する。態様では、上記で考察したように、この混合物は、固液分離デバイス130、例えば、濾過システムに曝露され、ここで1種以上の解重合生成物を含む液体成分が固体成分から分離される。種々の態様では、本明細書で考察されるように、固液分離デバイス130は、容器120および/または容器140と流体連通することができる。図1に示される態様では、1種以上の解重合生成物および/または液体成分は、容器140中でアルコリシス条件に曝露されてもよい。態様では、1種以上の解重合生成物および/または液体成分は、このアルコリシスプロセスで直接利用されてもよい。このような態様では、1種以上の解重合生成物および/または液体成分は、このアルコリシスプロセスで利用される前に、任意のさらなる加工、例えば、蒸留および/または他の分離プロセスに供されなくてもよい。アルコリシス条件は、上記で詳細に考察されている。態様では、上記で考察したように、1種以上の解重合生成物および/または液体成分のアルコリシスは、ジアルキルテレフタレートを含む不溶性または固体成分、ならびにアルコール組成物、グリコール、メタノール、および潜在的に本明細書に記載される他の可溶性成分を含む液体成分を含む混合物をもたらしてもよい。上記で考察したように、得られるアルコリシス反応混合物は、回収されたジアルキルテレフタレート160を含む固体成分を分離するために、固液分離デバイス150、例えば、濾過システムに曝露されてもよい。態様では、固液分離デバイス150は、容器140と流体連通してもよい。様々な態様では、固液分離デバイス150における固液分離から得られる液体成分は、1種以上のアルコール、例えばメタノール、および/または1種以上のグリコールを含んでもよい。このような態様では、この液体成分は、システム170で1つ以上の蒸留または他の分離プロセスに曝露されてもよい。システム170において、1種以上のアルコール、例えばメタノールは、上記で考察したように液体成分から分離され、任意選択で後続のアルコリシスプロセスで使用するために容器140に戻され、および/または後続のグリコリシスプロセスで使用するために容器120に戻されてもよい。同じまたは代替的な態様では、システム170において、上記で考察したように1種以上のグリコールが回収され、後続の解重合プロセスのために単独で、または回収されたメタノールも一緒に容器120に戻されてもよい。さらに、種々の態様では、システム170は、貯蔵または容器120に戻す以外の目的のために、液体成分からEGを選択的に除去することができる。システム170は、液体成分から1種以上のアルコールおよび/または1種以上のグリコールを選択的に回収するのに好適な任意の種類の分離または蒸留システムであってもよい。特定の態様では、システム100に関連する本明細書に記載の方法は、連続方法、バッチ方法、または半連続方法として実施することができる。システム100は単なる一例のシステムであり、システム構成要素の他の構成が本明細書の開示によって企図されることが理解される。例えば、システム100の1種以上の構成要素は、システム100の1種以上の他の構成要素から物理的に分離されていなくてもよく、区別されていなくてもよい。システム100は、本明細書に開示される方法の態様を強調するために概略的に示されているに過ぎないことがさらに理解される。
【0054】
ポリエステルまたは他の生成物を形成するための回収されたジアルキルテレフタレートの使用
上記で考察したように、本明細書に開示される方法は、DMTなどの高純度のジアルキルテレフタレートをもたらすことができる。例えば、特定の態様では、回収されたDMTは、これらに限定されないがPETおよびTMCD含有ポリエステルを含む1種以上のポリエステルを形成するために利用されてもよい。特定の態様では、回収されたDMTを使用して形成されたポリエステルは、再生ポリエステルと称されてもよい。種々の態様では、回収されたDMTを使用して形成された生成物は、バージンDMTから形成された同様の生成物と区別できない場合がある。このような態様では、DMTが十分な純度のものであるため、PETおよびTMCD含有ポリエステルを形成するための任意の好適なプロセスが利用されてもよい。
【0055】
同じまたは代替的な態様では、回収されたDMTは、CHDMを形成するために利用されてもよい。種々の態様では、回収されたDMTを使用して形成されたCHDMは、回収されたDMTの高純度により、バージンDMTから形成されたCHDMと区別できない場合がある。このような態様では、CHDMは、任意の好適なプロセスを使用して回収されたDMTから形成されてもよい。
【0056】
種々の態様では、回収されたDMTは、1種以上の可塑剤を形成するために利用されてもよい。特定の態様では、回収されたDMTを使用して形成される可塑剤は、ジブチルテレフタレート(DBT)および/またはジオクチルテレフタレート(DOTP)を含んでもよい。種々の態様では、回収されたDMTを使用して形成されたDBTおよび/またはDOTPは、回収されたDMTの高純度により、バージンDMTから形成されたDBTおよび/またはDOTPそれぞれと区別できない場合がある。このような態様では、DBTおよび/またはDOTPは、任意の好適なプロセスを使用して回収されたDMTから形成されてもよい。
【実施例
【0057】
材料
FDST-5は、100モル%のTPA、93.0モル%のEG、4.1モル%のCHDM、および2.9モル%のDEGを含み、Eastmanから入手可能である。IV:0.751dL/g。
【0058】
エチレングリコール(EG)、メタノール、炭酸カリウム、50%水酸化ナトリウム水溶液は商業的供給業者から得た。すべての化学薬品および試薬は、別段言及されない限り、入手したまま使用した。
【0059】
分析手順
ガスクロマトグラフィー(GC)分析。GC分析は、7693Aオートサンプラーおよび2つのG4513Aタワーを備えたAgilentモデル7890Bガスクロマトグラフで実施した。ガスクロマトグラフ(GC)に、60m×0.32mm×1.0ミクロンのDB-1701(商標)(J&W123-0763)および60m×0.32×1ミクロンのDB-1(商標)(J&W123-1063)の2本のカラムを取り付け、試料を両方のカラムに同時に注入した。共通のオーブン温度プログラムを使用し、試料成分を水素炎イオン化検出(FID)によって検出した。目的の成分について5点較正を実施した。ガスクロマトグラフをEZChrom Elite Chromatography Data Systemに接続した。
【0060】
メタノリシス生成物試料は、既知の体積のピリジン系内部標準溶液を既知の質量の試料に添加し、次いでN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)で誘導体化することによって調製した。BHET(ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート)のGC wt.%、MHT(4-(メトキシカルボニル)安息香酸)のGC wt.%、MHET(メチル-2-ヒドロキシエチルテレフタレート)のGC wt.%は、GCプロセスソフトウェアからの読み出しとして提供される。
【0061】
DMT(ジメチルテレフタレート)の%収率は、以下のように計算した:(最終DMTの重量)/(理論DMT重量)100%。
DMT GC純度%は以下のように計算した:(GCによる最終生成物中のDMTの重量%)/(GCによる全wt.%)100%。GCで示される主な不純物には、MeOH、水、およびEGが含まれる。ほぼすべての例のDMT純度は、MeOH、水、およびEGを除くと99%より高い。
【0062】
固有粘度の測定。本明細書で有用な特定のポリマー材料の固有粘度(IV)は、重量で60/40のフェノール/テトラクロロエタン中約0.5重量%のポリマー濃度を使用して、1/2mLキャピラリーバルブを有するLabGlass社のワグナー粘度計で、ASTM D2857-70手順に従って決定する。手順は、ポリマー/溶媒系を120℃で15分間加熱し、溶液を25℃に冷却し、25℃での流動時間を測定することによって行う。IVは、以下の式から計算する:
【0063】
【数1】
【0064】
(式中、η:ポリマー濃度0.5g/溶媒100mLにおける25℃での固有粘度、tS:試料流動時間、t0:溶媒ブランク流動時間、C:溶媒100mLあたりのグラム単位のポリマー濃度)。本出願中の固有粘度の単位はデシリットル/グラムである。
【0065】
粘度は、テトラクロロエタン/フェノール(50/50、重量比)中30℃で測定し、以下の式によって計算することができる:
【0066】
【数2】
【0067】
(式中、ηspは比粘度であり、Cは濃度である)。
【0068】
実施例1:195℃で1:1のwt.比のEGおよびメタノールによるPET解重合、それに続くメタノリシス
本実施例1では、解重合のために、100mLのオートクレーブに機械式撹拌器、熱電対、ガス注入口およびベントを装備した。粉砕したFDST-5(15.18g)、エチレングリコール(15.57g)、メタノール(15.14g)、炭酸カリウム(0.1533g)を反応器に投入した。窒素を使用して容器を150psig(10.20atm)に加圧し、混合物を195℃に加熱した。内部温度が195℃に達したら、圧力を750psig(51.03atm)に調整した。この条件を3時間保持した。粗混合物を25℃に冷却し、圧力を解放した。GC分析は、粗混合物が5.2%のBHET、14.4%のMHET、および17.4%のDMTを含んでいたことを示した。
【0069】
メタノリシスのために、粗生成物をMeOH(45.0g)で希釈し、50℃に加熱した。NaOH(50wt%、93uL)を添加した。得られた混合物を50℃で30分間保持した後、周囲温度に至るまで冷却し、さらに2時間保持した。濾過およびMeOH洗浄後、生成物を白色固体として単離した(収率85.0%、純度99%)。
【0070】
実施例2:215℃での1:1のwt.比のEGおよびメタノールによるPET解重合
100mLオートクレーブに機械式撹拌器、熱電対、ガス注入口およびベントを装備した。粉砕したFDST-5(15.06g)、エチレングリコール(15.22g)、メタノール(15.07g)、炭酸カリウム(0.1554g)を反応器に投入した。窒素を使用して容器を150psig(10.20atm)に加圧し、混合物を215℃に加熱した。内部温度が215℃に達したら、圧力を750psig(51.03atm)に調整した。この条件を3時間保持した。粗混合物を25℃に冷却し、圧力を解放した。GC分析は、粗混合物が5.2%のBHET、14.9%のMHET、および15.1%のDMTを含んでいたことを示した。
【0071】
実施例3:195℃での4:1のwt.比のEGおよびメタノールによるPET解重合
100mLオートクレーブに、機械式撹拌器、熱電対、ガス注入口およびベントを装備した。粉砕したFDST-5(15.01g)、エチレングリコール(24.48g)、メタノール(6.07g)、炭酸カリウム(0.1504g)を反応器に投入した。窒素を使用して容器を150psig(10.20atm)に加圧し、混合物を195℃に加熱した。内部温度が195℃に達したら、圧力を750psig(51.03atm)に調整した。この条件を3時間保持した。粗混合物を25℃に冷却し、圧力を解放した。GC分析は、粗混合物が16.2%のBHET、15.7%のMHET、および3.8%のDMTを含んでいたことを示した。
【0072】
実施例4:195℃での1:0のwt.比のEGおよびメタノールによるPET解重合
500mLのRB(丸底)フラスコに、機械式撹拌器、熱電対、ガス注入口およびベントを装備した。粉砕したFDST-5(30g)、エチレングリコール(70g)および炭酸カリウム(1wt.%)を反応器に投入した。混合物を常圧で195℃に加熱した。この条件を3時間保持した。粗混合物を25℃に冷却した。GC分析は、粗混合物が33.1%のBHETを含み、DMTを含まないことを示した。
【0073】
実施例5:195℃での0:1のwt.比のEGおよびメタノールによるPET解重合
100mLオートクレーブに、機械式撹拌器、熱電対、ガス注入口およびベントを装備した。粉砕したFDST-5(15.01g)、メタノール(約30g)、炭酸カリウム(0.1504g)を反応器に投入した。窒素を使用して容器を150psig(10.20atm)に加圧し、混合物を195℃に加熱した。内部温度が195℃に達したら、圧力を750psig(51.03atm)に調整した。この条件を3時間保持した。粗混合物を25℃に冷却し、圧力を解放した。GC分析は、粗混合物が1.2wt.%0.1wt.%のBHET、3.7wt.%のMHETおよび39.9wt.%のDMTを含んでいたことを示した。
【0074】
以下の表1および表2は、上記の実施例の結果の概要である。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1に示すように、解重合生成物中のBHET%およびDMT%は、MeOH/EGの比と強い相関がある。さらに、MeOH/EGの異なる比を使用した場合、MHET%はおよそ15%に留まったが、純粋なEGまたはMeOHを使用した場合、MHETレベルは著しく低下した。表2および図2に示されるように、メチルエステル/EGエステルの比を、フィード中のMeOH/EGの比に対してプロットした。プロットは、1.02の傾きおよび0.99のRによって示されるように、メタノールがEGと同様の反応性を有することを示唆した。
【0078】
実施例6:DMT生成物のGCおよびNMR分析
さらに、実施例1の粗解重合生成物を50℃のメタノリシス条件に供した。DMT生成物を、2ステップで85%の収率で単離した。NMRとGCの両方から、生成物の純度は99%であることが示された。図3はGCデータのグラフを示す。
【0079】
本開示はまた、以下の番号付けされた項に従って説明されてもよい。
項1.ポリエステル組成物から1種以上のジアルキルテレフタレートを回収するための方法であって、第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露して第1の混合物を用意するステップであり、第1の混合物が1種以上の第1の解重合生成物を含み、解重合条件が、150℃~260℃の温度および10atm~70atmの圧力を含むステップ;第1の混合物の少なくとも一部を150℃以下の温度に冷却するステップ;第1の混合物の少なくとも一部を、23℃~90℃の温度および1atm~2atmの圧力を含む条件下で、アルコール組成物およびアルコリシス触媒に0.5時間~5時間曝露して第2の混合物を用意するステップであり、第2の混合物が1種以上のジアルキルテレフタレートを含むステップ;ならびに1種以上のジアルキルテレフタレートの少なくとも一部を固液分離によって分離して、ジアルキルテレフタレート固体成分および濾液を用意するステップを含む、方法。
【0080】
項2.メタノールの少なくとも一部が、先行ポリエステル組成物からジアルキルテレフタレートを回収する先行プロセスから回収された、項1に記載の方法。
項3.濾液が1種以上のグリコールおよびメタノールを含む、項1に記載の方法。
【0081】
項4.第2のポリエステル組成物を、解重合条件下で第1の反応容器中の濾液の少なくとも一部に曝露して1種以上の第2の解重合生成物を生成するステップをさらに含む、項3に記載の方法。
【0082】
項5.第1の反応容器中のメタノールの量に対する1種以上のグリコールの量の重量比が1:20~100:1である、項1~4に記載の方法。
項6.第1の混合物の少なくとも一部を150℃以下の温度に冷却するステップが、第1の混合物の少なくとも一部を50℃~150℃の温度に冷却することを含む、項1~5に記載の方法。
【0083】
項7.第1の混合物中の1種以上の第1の解重合生成物の少なくとも一部を第1の混合物中の不溶性成分から分離するステップであって、分離が50℃~150℃の温度で行われるステップをさらに含む、項1~6に記載の方法。
【0084】
項8.第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露する間に、1種以上のグリコールと第1のポリエステル組成物の重量比が約1:9~約9:1の範囲にある、項1~7に記載の方法。
【0085】
項9.1種以上のグリコールが、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、プロパンジオール(PDO)、ブタンジオール(BDO)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)、またはそれらの組合せを含む、項1~8に記載の方法。
【0086】
項10.アルコール組成物と第1のポリエステル組成物の重量比が約2:1~約10:1の範囲であり得る、項1~9に記載の方法。
項11.第1のポリエステル組成物が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)変性PET、イソフタル酸(IPA)変性PET、ジエチレングリコール(DEG)変性PET、ネオペンチルグリコール(NPG)変性PET、プロパンジオール(PDO)変性PET、ブタンジオール(BDO)変性PET、ヘキサンジオール(HDO)変性PET、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPジオール)変性PET、イソソルビド変性PET、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)変性PET、ポリ(エチレングリコール)(PEG)変性PET、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)含有コポリエステル、イソソルビド含有コポリエステル、またはこれらの組合せを含む、項1~10に記載の方法。
【0087】
項12.第1のポリエステル組成物が、0モル%~100モル%のCHDM、0モル%~100モル%のDEG、0モル%~100モル%のNPG、0モル%~100モル%のPDO、0モル%~100モル%のBDO、0モル%~100モル%のHDO、0モル%~100モル%のMPジオール、0モル%~100モル%のイソソルビド、0モル%~100モル%のPTMG、0モル%~100モル%のPEG、および0モル%~30モル%のイソフタル酸を含み、1種以上のポリエステル中のジオール等価物の合計が約100モル%であり、第1のポリエステル組成物中の二酸等価物の合計が約100モル%である、項1~11に記載の方法。
【0088】
項13.ポリエステル組成物が、ASTM D2857-70に従って決定して約0.1dL/g~約1.2dL/gの固有粘度を有する、項1~12に記載の方法。
項14.第1のポリエステル組成物中に存在する1種以上のポリエステルがリサイクルされたポリエステルである、項1~13に記載の方法。
【0089】
項15.第1のポリエステル組成物が1種以上の異物を含み、1種以上の異物が、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、綿、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、スパンデックス、天然繊維、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ナイロン、ポリ(乳酸)、ポリジメチルシロキサン、ポリシラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、無機充填剤、色素、顔料、カラートナー、着色剤、可塑剤、接着剤、難燃剤、金属、アルミニウム、および鉄からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、項1~14に記載の方法。
【0090】
項16.1種以上の異物が、ポリエステル組成物中の1種以上のポリエステルの重量に対して0.01wt.%~50wt.%の量でポリエステル組成物中に存在する、項15に記載の方法。
【0091】
項17.ジアルキルテレフタレート固体成分がジメチルテレフタレート(DMT)を含み、DMTが少なくとも90%の純度である、項1~16に記載の方法。
項18.ジアルキルテレフタレート固体成分が、1000ppm以下、もしくは500ppm以下の量のジメチルイソフタレート(DMI);1000ppm以下、もしくは500ppm以下の量のビスフェノールA(BPA);または両方をさらに含む、項1~17に記載の方法。
【0092】
項19.第1のポリエステル組成物を、第1の反応容器中で解重合条件下で、1種以上のグリコールおよびメタノールを含む第1の組成物に曝露するステップが、第1のポリエステル組成物を1種以上のグリコリシス触媒に曝露することをさらに含み、1種以上のグリコリシス触媒が、LiCO、KCO、CaCO、NaCO、CsCO、ZrCO3、LiOH、NaOH、KOH、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、マグネシウムメトキシド(Mg(OMe)、カリウムt-ブトキシド、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、酢酸亜鉛(Zn(OAc))、酢酸マンガン(II)(Mn(OAc))、ハイドロタルサイト、ゼオライトおよび塩化リチウムからなる群から選択されるメンバーを含む、項1~18に記載の方法。
【0093】
項20.1種以上のグリコリシス触媒が、LiOH、NaOH、KOH、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート(FASCAT 4102)、ZrCO、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、リチウムメトキシド(LiOMe)、亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(acac))、CsCO、エチレングリコールナトリウム塩、および酢酸マンガン(II)(Mn(OAc))からなる群から選択されるメンバーを含む、項19に記載の方法。
【0094】
項21.1種以上のグリコリシス触媒が、LiOH、NaOH、KOH、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、CsCO、エチレングリコールナトリウム塩およびリチウムメトキシド(LiOMe)からなる群から選択されるメンバーを含む、項19に記載の方法。
【0095】
項22.第1の混合物の少なくとも一部をアルコール組成物およびアルコリシス触媒に曝露する前に、第1の混合物中の不溶性成分を分離するステップであって、不溶性成分が1種以上の異物を含むステップをさらに含む、項15~21に記載の方法。
【0096】
項23.分離が、濾過、遠心分離、沈降、沈殿、またはそれらの組合せを含む、項22に記載の方法。
項24.アルコール組成物がメタノールを含む、項1~23に記載の方法。
【0097】
項25.アルコリシス触媒が、第1のポリエステル組成物の重量に対して0.1wt.%~20wt.%の量で存在する、項1~24に記載の方法。
項26.アルコリシス触媒が、KCO、NaCO、LiCO、CsCO;KOH、LiOH、NaOH;NaOMe、Mg(OMe)、KOMe、KOt-Bu、エチレングリコール一ナトリウム塩、エチレングリコール二ナトリウム塩、またはそれらの組合せを含む、項1~25に記載の方法。
【0098】
項27.アルコリシス触媒が、KOH、NaOH、NaOMeまたはそれらの組合せを含む、項26に記載の方法。
項28.バッチ方法、半連続方法、または連続方法として実行される、項1~27に記載の方法。
【0099】
項29.1種以上の解重合生成物が、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含む、項1~28に記載の方法。
項30.1種以上のオリゴマーが2~10の重合度を示す、項29に記載の方法。
【0100】
本開示は、特にその特定の態様を参照して詳細に説明されたが、本開示の精神および範囲内で変形および修正がなされてもよいことが理解される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】