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特表2024-541917サンプル分析のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】サンプル分析のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20241106BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N33/543 541A
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N1/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024524627
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022048856
(87)【国際公開番号】W WO2023081300
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,359
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 徹
(72)【発明者】
【氏名】新井 由之
(72)【発明者】
【氏名】小森 智貴
(72)【発明者】
【氏名】千葉 陵太郎
(72)【発明者】
【氏名】ハフ,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052ED05
2G052FB07
2G052GA30
2G058CC08
2G058FA02
2G058FA07
2G058GA01
(57)【要約】
アッセイサーフェス、アッセイ処理ユニット(APU)、アッセイ処理システム(APS)及び検査室システムを使用するサンプル分析システム及び方法が開示される。アッセイサーフェスが、少なくとも1つの洗浄領域と磁力下で領域を通って移動可能である複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数の領域を含むサンプル処理コンポーネントと、固体支持体を受け入れるように構成された検出コンポーネントとを含む。APUが、アッセイサーフェス受入れコンポーネント、移動可能磁界を発生するように構成された磁気要素及び磁界を移動させるように構成された1つ以上のプロセッサを含む。APSが1つ以上のアッセイサーフェスとAPUを含む。検査室システムが、1つ以上のAPSと、並列処理のためのコントローラとを含む。削減されたサンプル量及び/又は短縮された処理時間及び/又は高い感度を有するサンプル処理及び検出方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の目的分析物の分析のためのアッセイサーフェス(AS)であって、
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記複数の固体支持体を前記磁力によって受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントとを含む、アッセイサーフェス(AS)。
【請求項2】
前記複数の固体支持体が、磁性又は常磁性の微粒子又はビーズを含む、請求項1に記載のAS。
【請求項3】
前記複数の固体支持体のうちの少なくとも1つが、前記目的分析物又は少なくとも1つの試薬若しくはコンジュゲートと特異的に結合する、請求項1に記載のAS。
【請求項4】
前記サンプル処理コポーネントが、前記少なくとも1つの貯蔵領域において前記複数の固体支持体を更に含む、請求項1に記載のAS。
【請求項5】
前記サンプル処理コンポーネントが、前記複数の固体支持体と前記目的分析物と少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートとを混合するように構成された少なくとも1つの混合領域を更に含む、請求項1に記載のAS。
【請求項6】
前記サンプル処理コンポーネントが、前記少なくとも1つの混合領域において前記少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートを更に含む、請求項5に記載のAS。
【請求項7】
前記少なくとも1つの混合領域が、約25μL以下の容積容量を有する、請求項5に記載のAS。
【請求項8】
少なくとも1つの試薬が、検出可能標識、結合メンバー、色素、界面活性剤、希釈剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載のAS。
【請求項9】
前記結合メンバーが、受容体又は抗体を含む、請求項8に記載のAS。
【請求項10】
前記少なくとも1つの洗浄領域が、いずれの固体支持体とも結合しないいかなる分子も洗い流すように構成されている、請求項5に記載のAS。
【請求項11】
前記少なくとも1つの洗浄領域が、約10μL以下の容積容量を有する、請求項10に記載のAS。
【請求項12】
前記アッセイサーフェスが、複数のチャネルを含み、前記複数のチャネルの各々が第1のサンプル調製領域と第2のサンプル調製領域の間にある、請求項1に記載のAS。
【請求項13】
前記アッセイサーフェスが、複数の停止要素を含み、前記複数の停止要素のうちの少なくとも1つが前記第1のサンプル調製領域と前記第2のサンプル調製領域の間にある、請求項12に記載のAS。
【請求項14】
前記少なくとも1つの停止要素が除去されると、前記第1の領域内の液体塊が前記第2の領域内の液体塊と流体接続される、請求項13に記載のAS。
【請求項15】
前記複数の固体支持体が、前記少なくとも1つの洗浄領域を通過した後、前記磁力下で前記検出コンポーネント内に移動される、請求項10に記載のAS。
【請求項16】
前記検出コンポーネントが、光学的検出、アナログ検出又はデジタル検出のために構成されている、請求項1に記載のAS。
【請求項17】
前記検出コンポーネントが、要素のアレイを含み、前記要素のアレイの各要素が、前記複数の固体支持体のうちの単一の固体支持体を保持する寸法とされている、請求項1に記載のAS。
【請求項18】
前記要素のアレイが、ナノウエルのアレイを含む、請求項17に記載のAS。
【請求項19】
前記検出コンポーネントが、基質流体を受け入れるように更に構成され、前記基質流体が、前記複数の固体支持体から検出可能信号をもたらすように構成され、前記検出コンポーネントが、不活性液体を受け入れるように更に構成され、前記不活性液体が、前記基質流体の一部と前記複数の固体支持体のうちの単一の固体支持体とを収容する前記要素のアレイのうちの各要素を封止するように構成されている、請求項1に記載のAS。
【請求項20】
前記不活性液体が油を含む、請求項19に記載のAS。
【請求項21】
前記複数の固体支持体が前記検出コンポーネント内に移動された後、前記検出コンポーネントが、前記要素のアレイの画像を取得するように構成されている、請求項1に記載のAS。
【請求項22】
前記検出コンポーネントが、単一分子カウントのために構成されている、請求項1に記載のAS。
【請求項23】
前記アッセイサーフェスが疎水性材料を含む、請求項1に記載のAS。
【請求項24】
前記アッセイサーフェスが、前記複数のサンプル調製領域において複数の液体塊、複数の固体支持体及び少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートを更に含む、請求項1に記載のAS。
【請求項25】
サンプル処理コンポーネントと検出コンポーネントとを含むアッセイサーフェス上でサンプル処理及び分析物検出を行うためのアッセイ処理ユニット(APU)であって、
アッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイサーフェス受入れコンポーネントと、
磁界を発生するように構成された磁気要素であって、前記磁界が、前記アッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると前記アッセイサーフェスに沿って移動可能である、磁気要素と、
前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、前記磁界を使用して、前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通り、前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記磁界を移動するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含むアッセイ処理ユニット(APU)。
【請求項26】
前記磁気要素が磁石を含む、請求項25に記載のAPU。
【請求項27】
前記アッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると、前記アッセイサーフェスの上面によって画定される面に対して水平方向に沿って前記磁気要素を前記1つ以上のプロセッサの制御下で移動するように構成された摺動要素を更に含む、請求項26に記載のAPU。
【請求項28】
前記摺動要素がモーターを含む、請求項27に記載のAPU。
【請求項29】
前記アッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると、前記アッセイサーフェスの上面によって画定される面に対して垂直方向に前記磁気要素を前記1つ以上のプロセッサの制御下で移動するように構成された駆動要素を更に含む、請求項26に記載のAPU。
【請求項30】
前記駆動要素がモーター又はストリングを含む、請求項29に記載のAPU。
【請求項31】
前記磁気要素が、移動可能磁界を発生するように構成された電磁石を含む、請求項25に記載のAPU。
【請求項32】
前記アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け入れられると、前記アッセイサーフェスの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を所定の周波数下で混合させるように構成された、前記1つ以上のプロセッサによって制御される混合動力学要素を更に含む、請求項25に記載のAPU。
【請求項33】
前記混合動力学要素が振動モーター又は電磁石を含む、請求項32に記載のAPU。
【請求項34】
前記アッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると、前記1つ以上のプロセッサが、前記検出コンポーネントの画像を取得するように前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントを制御する、請求項25に記載のAPU。
【請求項35】
サンプル中の目的分析物の分析のためのアッセイ処理システム(APS)であって、1つ以上のアッセイサーフェス及びアッセイ処理ユニット(APU)を含み、
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスが、
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記磁力によって前記複数の固体支持体を受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントとを含み、
前記APUが、
前記1つ以上のアッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイサーフェス受入れコンポーネントと、
磁界を発生するように構成された磁気要素であって、前記磁界が、少なくとも1つのアッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると前記少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能である、磁気要素と、
前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、前記磁界を使用して、前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通り、前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記磁界を移動するように構成された1つ以上のプロセッサとを含む、
アッセイ処理システム(APS)。
【請求項36】
請求項1~24のいずれかに記載の少なくとも1つのアッセイサーフェスを含む、請求項35に記載のAPS。
【請求項37】
請求項25~34のいずれかに記載の少なくとも1つのAPUを含む、請求項35に記載のAPS。
【請求項38】
複数のサンプル中の1つ以上の目的分析物の分析のための検査室システムであって、
1つ以上のアッセイ処理システム(APS)を含み、前記少なくとも1つのAPSが、1つ以上のアッセイサーフェス及びアッセイ処理ユニット(APU)を含み、
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスが、
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記複数の固体支持体を前記磁力によって受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントとを含み、
前記APUが、
前記1つ以上のアッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイ受入れコンポーネントと、
磁界を発生するように構成された磁気要素であって、前記磁界が、少なくとも1つのアッセイサーフェスが前記受入れコンポーネントによって受け入れられると前記少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能である、磁気要素と、
前記少なくとも1つのアッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、前記磁界を使用して、前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通り、前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記磁界を移動するように構成された1つ以上のプロセッサと、
対応するサンプルを処理するために、及び少なくとも1つの対応する分析物の存在を検出する又は実質的に並列して少なくとも1つの対応する分析物のレベル若しくは濃度を判定するために、前記1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを制御するように構成されたコントローラとを含む、
検査室システム。
【請求項39】
請求項1~24のいずれかに記載のアッセイサーフェスを含む少なくとも1つのアッセイサーフェスを含む、請求項33に記載の検査室システム。
【請求項40】
請求項25~34のいずれかに記載のAPUを含む少なくとも1つのAPUを含む、請求項33に記載の検査室システム。
【請求項41】
前記検査室システムが、HIV p24アッセイ、HBsAgアッセイ、トロポニンIアッセイ、TSHアッセイ、ミオグロビンアッセイ、PSAアッセイ、BNPアッセイ、PIVKA-IIアッセイ、HIV Abアッセイ、エストラジオールアッセイ及びCOVID-Agアッセイのうちの1つ以上を行うように構成されている、請求項38に記載の検査室システム。
【請求項42】
前記検査室システムが、1時間当たり少なくとも360サンプルのスループットを有する、請求項38に記載の検査室システム。
【請求項43】
前記検査室システムが、前記検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプルのスループットを有する、請求項38に記載の検査室システム。
【請求項44】
サンプル中の目的分析物の分析のための方法であって、
以下:
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記複数の固体支持体を前記磁力によって受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントと
を含むアッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に、少なくとも1つの液体塊を装填すること、
前記検出コンポーネントに少なくとも1つの液体塊を装填すること、
前記分析物を含む液体塊を前記サンプル処理コンポーネントに装填すること、及び
前記検出コンポーネントにおいて前記目的分析物を検出することを含む、方法。
【請求項45】
前記サンプル処理コンポーネントが複数の固体支持体を含み、前記方法が、前記検出コンポーネントにおける前記目的分析物の検出の前に、前記磁力下で前記複数の固体支持体を前記複数のサンプル調製領域を通って前記検出コンポーネント内に移動することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
複数の固体支持体を前記サンプル処理コンポーネントに装填することと、
前記検出コンポーネントにおける前記目的分析物の検出の前に、前記磁力下で前記複数の固体支持体を前記複数のサンプル調製領域を通って前記検出コンポーネント内に移動することと、を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記アッセイサーフェスが、請求項1~24のいずれかに記載のアッセイサーフェスを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
アッセイ処理ユニット(APU)を使用して、サンプル処理コンポーネントと検出コンポーネントとを含むアッセイサーフェス上でサンプル処理及び分析物検出を行う方法であって、
アッセイサーフェスを前記APUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内に受け入れることと、
前記APUの磁気要素によって、前記アッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生することと、
前記APUの1つ以上のプロセッサによって制御される前記検出コンポーネントにおいて前記目的分析物を検出することと、を含む方法。
【請求項49】
前記アッセイサーフェスが複数の固体支持体を含み、前記方法が、前記検出コンポーネントにおける前記目的分析物の検出の前に、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記磁界を使用して前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記サンプル処理コンポーネント上に複数の固体支持体を装填することと、
前記検出コンポーネントにおける前記目的分析物の検出の前に、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記磁界を使用して前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することと、を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記アッセイサーフェスが、請求項1~24のいずれかに記載のアッセイサーフェスを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記APUが、請求項23~34のいずれかに記載のAPUを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
1つ以上のアッセイサーフェスとアッセイ処理ユニット(APU)とを含むアッセイ処理システム(APS)を使用するサンプル中の目的分析物の分析の方法であって、
以下:
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記複数の固体支持体を前記磁力によって受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントと
を含む、少なくとも1つのアッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に少なくとも1つの液体塊を装填すること、
前記検出コンポーネント内に少なくとも1つの液体塊を装填すること、
前記分析物を含む液体塊を前記サンプル処理コンポーネント内に装填すること、
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスを前記APUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内に受け入れること、
前記APUの磁気要素によって、前記アッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生すること、及び
前記APUの1つ以上のプロセッサによって制御される前記検出コンポーネントにおいて前記目的分析物を検出すること、を含む、方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスが複数の固体支持体を含み、前記方法が、前記分析物の検出の前に、前記磁界を使用して、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの前記1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
複数の固体支持体を前記アッセイサーフェス上に装填することと、
前記分析物の検出の前に、前記磁界を使用して、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの前記1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することと、を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記アッセイサーフェスが、請求項1~24のいずれかに記載のアッセイサーフェスを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記APUが、請求項25~34のいずれかに記載のAPUを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
複数のサンプル中の1つ以上の目的分析物の分析のための検査室システムを使用する方法であって、前記検査室システムが1つ以上のアッセイ処理システム(APS)とコントローラとを含み、少なくとも1つのAPSが1つ以上のアッセイサーフェスとアッセイサーフェス処理ユニット(APU)とを含み、前記方法が、
以下:
検出のために前記サンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、前記複数の固体支持体が磁力下で前記複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、
前記複数の固体支持体を前記磁力によって受け入れ、前記分析物の存在を検出する又は前記分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントと
を含む、少なくとも1つのアッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に、少なくとも1つの液体塊を装填すること、
少なくとも1つの液体塊を前記検出コンポーネント内に装填すること、
前記分析物を含む液体塊を前記サンプル処理コンポーネント内に装填すること、
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスを対応するAPUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内に受け入れること、
前記APUの磁気要素によって、前記少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生すること、及び
前記対応するAPUの1つ以上のプロセッサによって制御される前記検出コンポーネントにおいて前記目的分析物を検出すること、を含み、
前記コントローラが、対応するサンプルについて対応するステップを行うために、及び少なくとも1つの対応する分析物の存在を検出する又は実質的に並列して少なくとも1つの対応する分析物のレベル若しくは濃度を判定するために、前記1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを制御するように構成されている、方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つのアッセイサーフェスが複数の固体支持体を含み、前記方法が、前記分析物の検出の前に、前記磁界を使用して、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの前記1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することを更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
複数の固体支持体を前記少なくとも1つのアッセイサーフェス上に装填することと、
前記分析物の検出の前に、前記磁界を使用して、前記アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を前記サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通って前記アッセイサーフェスの前記検出コンポーネントまで付勢するために、前記APUの前記1つ以上のプロセッサによって制御される前記磁界を移動することとを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つのアッセイサーフェスが、請求項1~24のいずれかに記載のアッセイサーフェスを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つのAPUが、請求項25~34のいずれかに記載のAPUを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記検査室システムが、HIV p24アッセイ、HBsAgアッセイ、トロポニンIアッセイ、TSHアッセイ、ミオグロビンアッセイ、PSAアッセイ、BNPアッセイ、PIVKA-IIアッセイ、HIV Abアッセイ、エストラジオールアッセイ及びCOVID-Agアッセイのうちの1つ以上を行うように構成されている、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記検査室システムが、1時間当たり少なくとも360サンプルのスループットを有する、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記検査室システムが、前記検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプルのスループットを有する、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析のための検査室システムであって、
検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得るように構成された、サンプル処理コンポーネントと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出するように構成された検出コンポーネントと、を含み、
前記検査室システムが、6分未満の結果までの時間、又は3~5分の範囲内の結果までの時間、又は3~7分の範囲内の結果までの時間を有する、検査室システム。
【請求項67】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析のための検査室システムであって、
検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得るように構成された、サンプル処理コンポーネントと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出するように構成された検出コンポーネントと、を含み、
前記検査室システムが、1時間当たり少なくとも360サンプルのスループットを有する、検査室システム。
【請求項68】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析のための検査室システムであって、
検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得るように構成された、サンプル処理コンポーネントと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出するように構成された検出コンポーネントと、を含み、
前記検査室システムが、前記検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプル、又は前記検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり375~600サンプルの範囲内のスループットを有する、検査室システム。
【請求項69】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析のための方法であって、
検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得ることを含む、検出のためにサンプルを処理することと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出することと、を含み、
前記サンプルの処理及び前記サンプル中の前記分析物の存在の検出が、前記サンプルについて6分未満又は3~5分の範囲内又は3~7分の範囲内で完了する、方法。
【請求項70】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析の方法であって、
検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得ることを含む、検出のためにサンプルを処理することと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出することと、を含み、
前記サンプルの処理及び前記サンプル中の前記分析物の存在の検出が、1時間当たり少なくとも360サンプルで完了する、方法。
【請求項71】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析の方法であって、
検出に適した、前記サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又は前記サンプル中の前記分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を得ることを含む、検出のためにサンプルを処理することと、
前記サンプル中の前記分析物の存在を検出することと、を含み、
前記サンプルの処理及び前記サンプル中の前記分析物の存在の検出が、前記検査室システムの1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプル又は前記検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり375~600サンプルの範囲内で完了する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月3日に出願された米国仮特許出願第63/275,359号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張し、その全体をあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示の主題は、向上させた感度と短縮された処理時間による、サンプル中の目的分析物の調製、検出及び分析のためのデバイス、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サンプル中の1つ以上の目的分析物を正確に分析することが可能な方法及びデバイスは、診断、予後予測、環境アセスメント、食品安全性、化学剤又は生物剤の検出を伴う用途などにとって有益であり得る。そのような方法及びデバイスは、正確さ、精密さ及び/又は感度のためだけでなく、分析対象の個別サンプルをより短時間で、縮小された計測器具設置面積で分析可能にするように構成することができる。
【0004】
サンプル分析のためのシステムにおけるサンプル調製の技術には、サンプルを調製すること、例えばこれには限らないが、反応容器中でサンプルを試薬及び/又は酵素と混ぜ合わせることが含まれ得る。サンプル分析のための知られている市販の検査室システムでは、検出と分析のためにサンプルを調製するためのサンプル処理時間は最大20分以上かかることがある。このサンプル調製時間の持続時間は、少なくとも一部は、様々な異なるアッセイを行うために異なるサンプルを調製する適切な自動化システムがないことに起因する場合がある。検出に適した信号を得るために使用されるサンプルの量及び/又は試薬の量も、サンプル調製時間に影響し得る。更に、従来の検出システム及び方法の感度及び検出範囲内で、分析物の適切な濃度を実現するのに、インキュベーション時間又は増幅時間の増大が伴うことがあり、それによって目的分析物を検出するための時間が更に増大する。
【0005】
サンプル分析用のシステムにおけるサンプル検出のための技術には、アナログ検出システム及び方法を使用すること又は組み込むことが含まれ得る。そのようなアナログシステム及び方法の感度及び検出範囲は、サンプル検出装置の感度及び検出範囲内で分析物の適切な濃度を実現するために使用されるサンプルサイズ及び/又は処理時間を決定する要因となり得る。したがって、処理時間を短縮し、検出感度を向上させるサンプル検出のための方法及びデバイスに対する関心がある。
【0006】
また、サンプル検出のための方法及びデバイスが、より少量で及び/又は短縮されたサンプル処理時間で調製することができれば有益となり得る。また、サンプル検出のための方法及びデバイスが、サンプル処理及び検出プロセスを自動化し、例えばこれには限らないが臨床検査室又はポイントオブケア検査室環境などの検査室環境において使用される、サンプル中の目的分析物の高感度検出を提供すれば有益となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、サンプル処理及び検出システムのサンプル調製時間短縮及び/又は感度向上に少なくとも一部は起因するスループット向上を実現することができる、サンプル検出のための方法及びデバイスの可能性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本明細書では、サンプル中の目的分析物の分析のためのシステム、デバイス及び方法が開示される。本開示の一態様によると、本明細書では、サンプル中の目的分析物の分析のためのアッセイサーフェス(assay surface(AS))及び目的分析物の分析のためにそのASを使用する方法が開示される。本開示の別の態様によると、本明細書では、アッセイサーフェス上でのサンプル処理及び分析物検出を行うためのアッセイ処理ユニット(assay processing unit(APU))及び目的分析物の分析のためにそのAPUを使用する方法が開示される。本開示の別の態様によると、本明細書では、サンプル中の目的分析物の分析のためのアッセイ処理システム(assay processing system(APS))及び目的分析物を分析するためにそのAPSを使用する方法が開示される。本開示の別の態様によると、本明細書では、複数のサンプル中の1つ以上の目的分析物の分析のための検査室システム及びそのような検査室システムを使用する方法が開示される。本開示の別の態様によると、より短い処理時間及び/又はより高いスループットを有する検査室システム及びその検査室システムを使用する方法が開示される。
【0009】
本開示の一態様によると、アッセイサーフェス(AS)が、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と、複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、磁力によって複数の固体支持体を受け入れるように、及び、分析物の存在を検出する又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するために構成された、検出コンポーネントとを含むことができる。
【0010】
上記に加えて又は上記に代えて、複数の固体支持体は磁性又は常磁性微粒子又はビーズとすることができ、目的分析物又は少なくとも1つの試薬若しくはコンジュゲートと特異的に結合することができる。上記に加えて又は上記に代えて、サンプル処理コンポーネントは、少なくとも1つの貯蔵領域において複数の固体支持体を更に含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、サンプル処理コンポーネントは、複数の固体支持体と目的分析物と少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートとを混合するように構成された、少なくとも1つの混合領域を更に含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、サンプル処理コンポーネントは、少なくとも1つの混合領域における少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートを更に含むことができる。また、少なくとも1つの混合領域は、約25μL以下の容積容量を有することができる。
【0011】
上記に加えて又は上記に代えて、少なくとも1つの試薬は、検出可能標識、結合メンバー、色素、界面活性剤、希釈剤、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。また、結合メンバーは、受容体又は抗体を含み得る。
【0012】
上記に加えて又は上記に代えて、少なくとも1つの洗浄領域は、いかなる固体支持体にも結合しないいかなる分子も洗い流すように構成可能である。また、少なくとも1つの洗浄領域は、約10μL以下の容積容量を有する。
【0013】
上記に加えて又は上記に代えて、アッセイサーフェスは複数のチャネルを含むことができ、複数のチャネルの各々が第1のサンプル調製領域と第2のサンプル調製領域の間にある。上記に加えて又は上記に代えて、アッセイサーフェスは複数の停止要素を含むことができ、アッセイサーフェスは複数の停止要素を含むことができ、複数の停止要素のうちの少なくとも1つが第1のサンプル調製領域と第2のサンプル調製領域の間にある。上記に加えて又は上記に代えて、少なくとも1つの停止領域が除去されると、第1の領域内の液体塊が第2の領域内の液体塊と流体接続される。また、少なくとも1つの洗浄領域を通過した後、複数の固体支持体は磁力下で検出コンポーネント内に移動される。
【0014】
上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネントは、光学的検出、アナログ検出又はデジタル検出用に構成可能である。また、検出コンポーネントは、要素のアレイを含むことができ、要素のアレイの各々が複数の固体支持体のうちの単一の固体支持体を保持する寸法とされる。上記に加えて又は上記に代えて、要素のアレイは、ナノウエルのアレイを含み得る。上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネントは、基質流体を受け入れるように更に構成可能であり、基質流体は複数の固体支持体から検出可能信号を提供するように構成され、検出コンポーネントは、不活性液体を受け入れるように更に構成可能であり、不活性液体は基質流体の一部と複数の固体支持体のうちの単一の固体支持体とを含む要素のアレイの各要素を封止するように構成される。また、複数の固体支持体が検出コンポーネント内に移動させられた後、検出コンポーネントは要素のアレイの画像を取得するように構成可能である。上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネントは単一分子カウント用に構成可能である。
【0015】
上記に加えて又は上記に代えて、アッセイサーフェスは疎水性材料を含む。上記に加えて又は上記に代えて、アッセイサーフェスは、複数のサンプル調製領域に、複数の液体塊と、複数の固体支持体と、少なくとも1つの試薬又はコンジュゲートとを更に含むことができる。
【0016】
本開示の態様によると、アッセイサーフェスを使用するサンプル中の目的分析物の分析の方法が、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントと検出コンポーネントとを含む、アッセイサーフェスであって、サンプル処理コンポーネントは、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能であり、検出コンポーネントは、磁力によって複数の固体支持体を受け入れるように、及び、分析物の存在を検出する又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成されている、アッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に、少なくとも1つの液体塊を装填すること、少なくとも1つの液体塊を検出力域に装填すること、分析物を含む液体塊をサンプル処理コンポーネントに装填すること、及び検出コンポーネントにおいて目的分析物を検出することを、含むことができる。使用されるアッセイサーフェスは、本明細書で開示されているいずれかのアッセイサーフェスを含むことができる。
【0017】
上記に加えて又は上記に代えて、サンプル処理コンポーネントが複数の固体支持体を含む場合、方法は、検出コンポーネントにおける目的分析物を検出の前に、磁力下で複数の固体支持体を複数のサンプル調製領域を通って検出コンポーネント内に移動させることを更に含み得る。
【0018】
上記に加えて又は上記に代えて、方法は、複数の固体支持体をサンプル処理コンポーネント上に装填することと、検出コンポーネントにおいて目的分析物を検出する前に、磁力下で複数の固体支持体を複数のサンプル調製領域を通って検出コンポーネント内に移動させることとを更に含む。
【0019】
本開示の別の態様によると、本明細書では、サンプル処理コンポーネント及び検出コンポーネントを含むアッセイサーフェス上でのサンプル処理及び分析物検出を行うためのアッセイ処理ユニット(APU)が開示される。APUは、アッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイサーフェス受入れコンポーネントと、磁界を発生するように構成された磁気要素であって、磁界が、アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け取られるとアッセイサーフェスに沿って移動可能である磁気要素と、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、磁界を移動させるように構成された1つ以上のプロセッサとを含むことができる。
【0020】
上記に加えて又は上記に代えて、磁気要素は磁石とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、APUは、アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け取られるとアッセイサーフェスの上面によって画定された面の水平方向に沿って磁気要素を1つ以上のプロセッサの制御下で移動させるように構成された、摺動要素、例えばモーターを含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、APUは、駆動要素、例えば、アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け取られるとプロセッサの制御下で磁気要素をアッセイサーフェスの上面によって画定された面に対して垂直方向に移動させるように構成された、モーター又はストリングを含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、磁気要素は、可動磁界を発生するように構成された電磁石を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、APUは、混合動力学要素、例えば、アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け取られるとアッセイサーフェスの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を所定の周波数下で混合させるように構成された1つ以上のプロセッサによって制御される、振動モーター又は電磁石を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、1つ以上のプロセッサは、アッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け取られるとアッセイサーフェスの検出コンポーネントに検出コンポーネントの画像を取得させることができる。
【0021】
本開示の態様によると、APUを使用してサンプル処理コンポーネントと検出コンポーネントとを含むアッセイサーフェス上でサンプル処理及び分析物検出を行う方法が、APUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内にアッセイサーフェスを受け入れることと、APUの磁気要素によって、アッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生することと、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される検出コンポーネントにおいて目的分析物を検出することとを含むことができる。
【0022】
上記に加えて又は上記に代えて、アッセイサーフェスが複数の固体支持体を含む場合、方法は、検出コンポーネントにおける目的分析物の検出の前に、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することを更に含むことができる。
【0023】
上記に加えて又は上記に代えて、方法は、複数の固体支持体をサンプル処理コンポーネントに装填することと、検出コンポーネントにおける目的分析物の検出の前に、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つ液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することとを更に含むことができる。この方法は、本明細書で開示されているいずれかのアッセイサーフェス又はAPUと共に使用することができる。
【0024】
本開示の別の態様によると、サンプル中の目的分析物を分析するためのアッセイ処理システム(APS)が開示される。APSは、1つ以上のアッセイサーフェスを含むことができ、少なくとも1つのアッセイサーフェスが、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、磁力によって複数の固体支持体を受け入れ、分析物の存在を検出する又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントとを含み、APSは更にアッセイ処理ユニット(APU)を含むことができ、APUは、1つ以上のアッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイサーフェス受入れコンポーネントと、磁界を発生するように構成された磁気要素であって、磁界が、少なくとも1つのアッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け入れられると少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能である、磁気要素と、少なくとも1つのアッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体をサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで磁界を使用して、付勢するために、磁界を移動するように構成された1つ以上のプロセッサとを含む。
【0025】
上記に加えて又は上記に代えて、APSは、本開示の主題によるいずれかの適切なアッセイサーフェスを含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、APSは、本開示の主題によるいずれかの適切なAPUを含むことができる。
【0026】
本開示の態様によると、アッセイサーフェスとアッセイ処理ユニット(APU)とを含むアッセイ処理システム(APS)を使用するサンプル中の目的分析物の分析の方法が、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネント及び検出コンポーネントを含む、アッセイサーフェスであって、サンプル処理コンポーネントは、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能であり、検出コンポーネントは、磁力によって複数の固体支持体を受け入れ、分析物の存在を検出するため又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成されている、アッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に、少なくとも1つの液体塊を装填すること、少なくとも1つの液体塊を検出コンポーネント内に装填すること、分析物を含む液体塊をサンプル処理コンポーネント内に装填すること、APUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内にアッセイサーフェスを受け入れること、APUの磁気要素によって、アッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生すること、及びAPUの1つ以上のプロセッサによって制御される検出コンポーネントにおいて目的分析物を検出することを、含む。上記に加えて又は上記に代えて、この方法において使用される1つ以上のアッセイサーフェスは、本開示の主題によるアッセイサーフェスを含み得る。上記に加えて又は上記に代えて、本開示の方法において使用されるAPUは、本開示の主題によるAPUを含み得る。
【0027】
上記に加えて又は上記に代えて、少なくとも1つのアッセイサーフェスが複数の固体支持体を含む場合、方法は、分析物の検出の前に、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域における少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することを更に含む。
【0028】
上記に加えて又は上記に代えて、方法は、複数の固体支持体をアッセイサーフェスに装填することと、分析物の検出の前に、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することとを更に含むことができる。
【0029】
本開示の別の態様によると、複数のサンプル中の1つ以上の目的分析物の分析のための検査室システムが開示される。検査室システムは、1つ以上のアッセイ処理システム(APS)を含むことができ、少なくとも1つのAPSが、1つ以上のアッセイサーフェスを含み、少なくとも1つのアッセイサーフェスが、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が、磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能である、サンプル処理コンポーネントと、磁力によって複数の固体支持体を受け入れるように、及び、分析物の存在を検出する又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成された検出コンポーネントとを含み、検査室システムは更にアッセイ処理ユニット(APU)を含み、APUは、1つ以上のアッセイサーフェスを受け入れ、保持するように構成されたアッセイサーフェス受入れコンポーネントと、磁界を発生するように構成された磁気要素であって、磁界が、少なくとも1つのアッセイサーフェスが受入れコンポーネントによって受け入れられると少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能である、磁気要素と、少なくとも1つのアッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、磁界を使用してサンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通り、アッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、磁界を移動するように構成された1つ以上のプロセッサと、対応するサンプルを処理するために、及び少なくとも1つの対応する対応する分析物の存在を検出する又は実質的に並列して少なくとも1つの対応する分析物のレベル若しくは濃度を判定するために、1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを制御するように構成されたコントローラとを含む。
【0030】
上記に加えて又は上記に代えて、1つ以上のAPSは本開示の主題によるAPSを含み得る。1つ以上のアッセイサーフェスは、本明細書で開示されているようないずれかのアッセイサーフェスを含み得る。上記に加えて又は上記に代えて、APUは本明細書で開示されているようないずれかのAPUを含み得る。
【0031】
上記に加えて又は上記に代えて、検査室システムは、HIV p24アッセイ、HBsAgアッセイ、トロポニンIアッセイ、TSHアッセイ、ミオグロビンアッセイ、PSAアッセイ、BNPアッセイ、PIVKA-IIアッセイ、HIV Abアッセイ、エストラジオールアッセイ及びCOVID-Agアッセイのうちの1つ以上を行うように構成される。上記に加えて又は上記に代えて、検査室システムは、1時間当たり少なくとも360サンプルのスループットを有する。上記に加えて又は上記に加えて、検査室システムは、検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプルのスループットを有する。
【0032】
本開示の態様によると、検査室システムを使用する方法が、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネント及び検出コンポーネントを含むアッセイサーフェスであって、サンプル処理コンポーネントは、液体塊を保持するように構成された少なくとも1つの洗浄領域と複数の固体支持体を保持するように構成された少なくとも1つの貯蔵領域とを含む複数のサンプル調製領域を含み、複数の固体支持体が磁力下で複数のサンプル調製領域を通って移動可能であり、検出コンポーネントは、磁力によって複数の固体支持体を受け入れ、分析物の存在を検出する又は分析物のレベル若しくは濃度を判定するように構成されている、アッセイサーフェスの、少なくとも1つの洗浄領域内に、少なくとも1つ液体塊を装填すること、少なくとも1つの液体塊を検出コンポーネントに装填すること、分析物を含む液体塊をサンプル処理コンポーネント内に装填すること、APUのアッセイサーフェス受入れコンポーネント内にアッセイサーフェスを受け入れること、APUの磁気要素によって、少なくとも1つのアッセイサーフェスに沿って移動可能な磁界を発生すること、及び対応するAPUの1つ以上のプロセッサによって制御される検出コンポーネントにおいて目的分析物を検出することを含むことができ、コントローラは、1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを、対応するサンプルのための対応するステップを行い、少なくとも1つの対応する分析物の存在の検出又は少なくとも1つの対応する分析物のレベル若しくは濃度の判定を並列して行うように制御するように構成される。
【0033】
上記に加えて又は上記に代えて、少なくとも1つのアッセイサーフェスが複数の固体支持体を含む場合、方法は、分析物の検出の前に、アッセイサーフェスに配置された少なくとも1つの固体支持体を、磁界を使用して、サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通ってアッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することを更に含むことができる。
【0034】
上記に加えて又は上記に代えて、方法は、少なくとも1つのアッセイサーフェス上に複数の固体支持体を装填することと、分析物の検出の前に、アッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの固体支持体を、磁界を使用して、サンプル処理コンポーネントの少なくとも1つの領域内の少なくとも1つの液体塊を通り、アッセイサーフェスの検出コンポーネントまで付勢するために、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される磁界を移動することとを更に含むことができる。
【0035】
上記に加えて又は上記に代えて、方法は、本開示の主題によるアッセイサーフェス又はAPUを使用することができる。上記に加えて又は上記に代えて、方法は、HIV p24アッセイ、HBsAgアッセイ、トロポニンIアッセイ、TSHアッセイ、ミオグロビンアッセイ、PSAアッセイ、BNPアッセイ、PIVKA-IIアッセイ、HIV Abアッセイ、エストラジオールアッセイ及びCOVID-Agアッセイのうちの1つ以上を行うことができる。上記に加えて又は上記に代えて、方法は、1時間当たり少なくも360サンプルのスループットを有する検査室システム上で使用することができる。上記に加えて又は上記に代えて、方法は、検査室システムの1平方メートルの設置面積につき1時間当たり少なくとも375サンプルのスループットを有する検査室システム上で使用することができる。
【0036】
本開示の別の態様によると、サンプル中の目的分析物の高スループット分析のための検査室システムが、検出のためにサンプルを処理するように構成されたサンプル処理コンポーネントであって、検出に適する、サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度、又はサンプル中の分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を取得するように構成されたサンプル処理コンポーネントと、サンプル中の分析物の存在を検出するように構成された検出コンポーネントとを含む。検査室システムは、6分未満の結果までの時間、又は3分~5分の範囲内の結果までの時間、又は3分~7分の範囲内の結果までの時間を有することができる。上記に加えて又は上記に代えて、検査室システムは、1時間当たり少なくとも約360サンプルのスループットを有することができる。更に、又は更なる代替として、検査室システムは、検査室システムの1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも375サンプル、又は検査室システムの1平方メートルの設置面積につき1時間当たり375~600サンプルの範囲内のスループットを有することができる。
【0037】
サンプル中の目的分析物の高スループット分析の方法も提供される。そのような方法は、検出に適した、サンプル中の分析物のレベル若しくは濃度又はサンプル中の分析物を示すコンジュゲートのレベル若しくは濃度を取得することを含む、検出のためにサンプルを処理することと、サンプル中の分析物の存在を検出することとを含む。サンプルを処理することとサンプル中の分析物の存在を検出することは、そのサンプルについて、6分未満又は3分~5分の範囲内、又は3分~7分の範囲内で完了する。上記に加えて又は上記に代えて、サンプルを処理することとサンプル中の分析物の存在を検出することは、1時間当たり少なくとも約360サンプルで完了する。更に、又は更なる代替として、サンプルを処理することとサンプル中の分析物の存在を検出することは、検査室システムの1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも約375サンプル、又は検査室システムの設置面積1平方メートルにつき1時間当たり375~600サンプルの範囲内で完了する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本開示の主題による、サンプル処理コンポーネントと検出コンポーネントとを含むサンプル分析のための例示のアッセイサーフェスを示す図である。
図2】本開示の主題による、検出コンポーネントの例示の実施形態を示す図である。
図3】本開示の主題との比較及び本開示の主題の確認を目的とした、アナログ検出システムとデジタル検出システムの例示のノイズレベルパフォーマンスを示すチャートである。
図4】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度特性を示すチャートである。
図5A】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度特性を示すチャートである。
図5B】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度特性を示すチャートである。
図5C】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度特性を示すチャートである。
図5D】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度特性を示すチャートである。
図6-1】アナログ検出を使用するシステムと比較した、HIV p24アッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスを使用した例示の感度パフォーマンスに関する追加のデータを示すチャートである。
図6-2】アナログ検出を使用するシステムと比較した、HIV p24アッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスを使用した例示の感度パフォーマンスに関する追加のデータを示すチャートである。
図6-3】アナログ検出を使用するシステムと比較した、HIV p24アッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスを使用した例示の感度パフォーマンスに関する追加のデータを示すチャートである。
図7A】アナログ検出を使用するシステムと比較した、エストラジオールアッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度及びダイナミックレンジ特性を示すチャートである。
図7B】アナログ検出を使用するシステムと比較した、エストラジオールアッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度及びダイナミックレンジ特性を示すチャートである。
図7C】アナログ検出を使用するシステムと比較した、エストラジオールアッセイを行うために本開示の主題によるサンプル分析のためのデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度及びダイナミックレンジ特性を示すチャートである。
図8-1】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度及び処理時間特性を示すチャートである。
図8-2】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出コンポーネントを有する例示のアッセイサーフェスの例示の感度及び処理時間特性を示すチャートである。
図9】本開示の主題によるサンプル分析のための例示のアッセイサーフェスを使用した酵素反応時の強度特性を示すチャートである。
図10】本開示の主題によるサンプル分析のためのアッセイサーフェスの例示の検出技術を示す図である。
図11A】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出を使用したサンプル分析のための例示のアッセイサーフェスの例示のダイナミックレンジ特性を示すチャートである。
図11B】アナログ検出を使用するシステムと比較した、本開示の主題によるデジタル検出を使用したサンプル分析のための例示のアッセイサーフェスの例示のダイナミックレンジ特性を示すチャートである。
図12】本開示の主題によるサンプル分析のためのアッセイ処理ユニット(APU)と共に使用する例示のアッセイサーフェスを上面図で示す図である。
図13】本開示の主題による、例示のアッセイサーフェスにおける移動磁界を使用した液体塊を通る微粒子又はビーズの移動を示す図である。
図14】本開示の主題による、サンプル分析のためのアッセイ処理ユニット(APU)、アッセイ処理システム(APS)又は検査室システムと共に使用するアッセイサーフェスの別の実施形態を示す画像である。
図15】本開示の主題による、サンプル分析のためのAPU、APS又は検査室システムと共に使用するアッセイサーフェスの別の実施形態を示す図である。
図16A】従来のサンプル調製コンポーネントを使用するシステムとの比較を目的とする、アッセイサーフェスにおける例示の洗浄プロセスの詳細を示すチャートである。
図16B】従来のサンプル調製コンポーネントを使用するシステムとの比較を目的とする、アッセイサーフェスにおける例示の洗浄プロセスの詳細を示すチャートである。
図17】サンプル分析のための従来のシステムと比較した、本開示の主題によるサンプル分析のための例示のアッセイサーフェスの特性を示すチャートである。
図18】サンプル分析のための従来のシステムと比較した、本開示の主題によるサンプル分析のための1つ以上のアッセイサーフェスを使用する例示の検査室システムの詳細を示すチャートである。
図19】本開示の主題によるサンプル分析のための例示の検査室システムの例示のAPUの追加の詳細を示す図である。
図20】本開示の主題によるサンプル分析のためのアッセイサーフェスの別の実施形態を示す図である。
図21】サンプル調製及び検出のための、APU及び例示のアッセイサーフェスを有する例示のアッセイ処理システム(APS)の分解図を示す図である。
図22図21のサンプル調製及び検出のための例示のAPSの側面図を示す図である。
図23A図21の例示のAPSを使用する例示のアッセイサーフェスの洗浄領域における例示の洗浄技術を示す図である。
図23B図21の例示のAPSを使用する例示のアッセイサーフェスの洗浄領域における例示の洗浄技術を示す図である。
図24A】複数の停止要素を含むアッセイサーフェスの別の実施形態の組み立てを示す図である。
図24B】複数の停止要素を含むアッセイサーフェスの別の実施形態の組み立てを示す図である。
図24C】複数の停止要素を含むアッセイサーフェスの別の実施形態の組み立てを示す図である。
図24D】複数の停止要素を含むアッセイサーフェスの別の実施形態の組み立てを示す図である。
図25】複数の停止要素を含むアッセイサーフェスの別の実施形態を示す図である。
図26】キング-フィッシャー洗浄技術と比較した、本開示の主題による図21の例示のAPSにおいて例示の洗浄技術を使用したHIV Ag p24アッセイの洗浄効率を示すチャートである。
図27A】本開示の主題による、アッセイサーフェスの例示の検出領域内にビーズ又は微粒子を装填する例示のビーズ装填技術を示す図である。
図27B】本開示の主題による、アッセイサーフェスの例示の検出領域内にビーズ又は微粒子を装填する例示のビーズ装填技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、例示の実施形態が添付図面に示されている本開示の主題の様々な例示の実施形態を詳細に参照する。本開示の主題の構造及び対応する動作方法について、システムの詳細な説明と共に説明する。
【0040】
本明細書で示すシステム及び方法は、検査室環境における分析のためのサンプルを含むがこれには限定されない、サンプル中の目的分析物の検出のために使用可能である。例示としてこれには限定されないが、サンプルは、体液サンプル、例えば一実施形態では、血液、血漿、血清、唾液、汗、尿のサンプル又は本明細書に記載のシステム及び技術を使用する分析に適した任意のその他のサンプルを含むことができる。一実施形態では、本明細書に記載のサンプル分析のためのシステム及び技術は、単一のサンプルを約5分以内で分析することができる。上記に加えて又は上記に代えて、一実施形態では、本明細書に記載のサンプル分析のためのシステム及び技術は、1時間当たり少なくとも約360サンプル、より好ましくは1平方メートルにつき1時間当たり少なくとも約375サンプル、又は1平方メートルにつき1時間当たり約375~600サンプルの範囲内で分析するスループットを有することができる。
【0041】
本開示の主題の態様によると、サンプル分析の例示の方法と共に例示のサンプル分析システムが提供される。例示のサンプル分析システム及び方法はサンプル処理及び検出のために、例示のアッセイサーフェス、アッセイ処理ユニット(APU)、アッセイ処理システム(APS)及び検査室システムを使用することができる。例えば、一実施形態では、例示のサンプル分析システム及び方法は、酵素による検出(例えば酵素イムノアッセイ(enzyme immunoassay(EIA))又は酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)))、競合的阻害イムノアッセイ(例えばフォワード及びリバース)、酵素多重イムノアッセイ技術(enzyme multiplied immunoassay technique(EMIT))、競合的結合アッセイ、生物発光共鳴エネルギー移動(bioluminescence resonance energy transfer(BRET))、一段階抗体検出アッセイ、同種アッセイ、異種アッセイ、キャプチャオンザフライアッセイ又は任意のその他のイムノアッセイを含むがこれらには限定されない、サンドイッチイムノアッセイ(例えばモノクローナル-ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)などの任意の種類のアッセイを行うために使用可能である。
【0042】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、1つ以上の蛍光標識又はタグなどの検出可能標識を検出のために分析物に付着させることができる。上記に加えて又は上記に代えて、例えば化学的に又は光切断によって切断可能なクリーバブルリンカーによって付着された1つ以上の標識又はタグを、検出用抗体に付着させることができる。
【0043】
例示としてこれには限定されないが、本明細書では「ビーズ」、「粒子」及び「微粒子」が交換可能に使用され、ほぼ球状の固体支持体を指す。「磁性ビーズ」及び「常磁性ビーズ」は、磁力下で促進可能なほぼ球状の固体支持体を指す。例示としてこれには限定されないが、本明細書では「チップ」、「反応チップ」及び「サンプルチップ」が交換可能に使用され、本開示の主題によるサンプル中の目的分析物の分析のためのアッセイサーフェスを指す。
【0044】
図1に、本開示の主題による例示のサンプルアッセイサーフェス(100)を示す。本明細書で開示されるように、サンプル分析のための例示のシステムは、大まかに、サンプル処理コンポーネント(110)と検出コンポーネント(120)の2つのコンポーネントを含む。サンプル処理コンポーネント(110)は、例えばこれには限定されないが、目的サンプルを純化すること、サンプル中の目的分析物を分離すること及び/又はサンプルをコンジュゲート、酵素、試薬、希釈剤、微粒子又は目的の分析及び/又は検出を行うために使用されるその他の要素などの反応性要素と混ぜ合わせることを含み得る、分析及び/又は検出のためにサンプルを調製するように構成可能である。例示としてこれには限定されないが、サンプル処理コンポーネント(110)は、アッセイサーフェス(100)による検出に適したレベル又は濃度を有する、サンプル中の目的分析物、又はコンジュゲートなどのサンプルの検出可能成分を処理するように構成可能である。検出コンポーネント(120)は、サンプル中の目的分析物を検出又は分析するように構成可能である。例示のサンプル分析システムについて本明細書では光学ベースの検出コンポーネントを使用して説明されているが、任意の適切な検出コンポーネント、例えばこれには限定されないが、電気的検出、電気化学的検出、粘弾性検出又は任意のその他の適切な検出技術を使用することができる。光学的検出が使用される場合、そのような光学的検出は、例示としてこれには限定されないが、デジタル検出技術、アナログ検出技術又はデジタルとアナログの検出技術の組合せを使用することができる。
【0045】
一実施形態では、サンプル処理コンポーネント(110)は、任意の適切なサンプル調製技術を使用してサンプルを調製するように構成可能である。例示としてこれには限定されないが、サンプル調製コンポーネントは、サンプル中の目的分析物を分離及び/又は純化するように構成可能である。例えばこれには限定されないが、サンプル調製コンポーネントは、サンプルを反応場所まで移動し、1つ以上の反応性要素をサンプルと混ぜ合わせ、及び/又はサンプルを洗浄するために、1つ以上のピペットを使用することを含むがこれには限定されない、手動ピペット操作を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、サンプル調製コンポーネントによるいずれか又はすべてのサンプル調製を行うために、自動ピペットシステムを使用することができる。これに加えて、又は更なる代替として、一実施形態では、サンプル調製コンポーネントは、例示としてこれには限定されないが、粒子又はビーズが液体の面を通り及び/又は空気-水境界若しくは油-水境界を通って通過させられるサンプル調製プロセスステップを行うように構成可能である。
【0046】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、異種形式を使用することができる。例えば、被験者から検査サンプルが取得された後、第1の混合物を調製することができる。一実施形態では、混合物は目的分析物及び第1の特異的結合パートナーについて評価される検査サンプルを含むことができる。第1の特異的結合パートナーと検査サンプル中のいずれかの目的分析物は、第1の特異的結合パートナー-目的分析物複合体を形成するように混ぜ合わせることができる。一実施形態では、第1の特異的結合パートナーは、抗目的分析物抗体又はそのフラグメントとすることができる。混合物を形成するために検査サンプルと第1の特異的結合パートナーとが添加される順序は、逆にすることができる。一実施形態では、第1の特異的結合パートナーは、固体相上で固定化され得る。(例えば第1の特異的結合パートナー及び任意選択的に第2の特異的結合パートナーの)イムノアッセイで使用される固体相は、これらには限定されないが、磁性粒子、ビーズ、ナノビーズ、マイクロビーズ、ナノ粒子、微粒子、膜、足場分子、フィルム、濾紙、ディスク又はチップ(例えばマイクロ流体チップ)などの、任意の固体相とすることができる。
【0047】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、サンプル処理は、例えば混合後に、結合メンバーと分析物との結合相互作用が発生することを可能にするのに適した期間、サンプルと第1の結合メンバーとをインキュベートすることを含み得る。一実施形態では、インキュベートは特異的結合相互作用を促進する結合バッファ中で行うことができる。例えばこれには限定されないが、結合バッファを変化させることによって、第1の結合部材及び/又は第2の結合部材の結合親和性及び/又は特異性をアッセイにおいて操作又は変更することができる。例えば、一実施形態では、結合親和性及び/又は特異性は、結合バッファを変化させることによって増減可能である。
【0048】
インキュベーション(行われる場合)の前又は後を含む、第1の特異的結合パートナー-目的分析物複合体を含む混合物が形成された後、非結合目的分析物があればそれを任意の適切な技術を使用して複合体から除去することができる。例えばこれには限定されないが、非結合目的分析物は洗浄によって除去することができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、本開示のシステム及び方法は、一段階又は二段階アッセイ調製を行うことができる。一実施形態では、第1の特異的結合パートナーは、検査サンプル中に存在するすべての目的分析物が第1の特異的結合パートナーによって結合可能なように、検査サンプル中に存在するいずれの目的分析物よりも超過して存在し得る。
【0049】
非結合目的分析物が除去された後、例示を目的として、一実施形態では、第1の特異的結合パートナー-目的分析物-第2の特異的結合パートナー複合体を形成するために、混合物に第2の特異的結合パートナーを添加することができる。第2の特異的結合パートナーは、第1の特異的結合パートナーによって結合される目的分析物上のエピトープとは異なる目的分析物上のエピトープと結合する、抗目的分析物(抗体など)とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、第2の特異的結合パートナーは、検出可能標識(例えば蛍光標識、クリーバブルリンカーによって付着されるタグ、又は任意のその他の適切な標識)で標識化することができ、又は含有することができる。
【0050】
上記に代えて又は上記に代えて、一実施形態では、イムノアッセイに固定化抗体又はそのフラグメントを組み込むことができる。抗体は、磁気又はクロマトグラフマトリックス粒子、ラテックス粒子若しくは改質表面ラテックス粒子、ポリマー若しくはポリマーフィルム、プラスチック若しくはプラスチックフィルム、平面基質、マイクロ流体面又は固体基質材料の小片などであるがこれらには限定されない、任意の適切な支持体上に固定化することができる。
【0051】
サンプル処理は、検出に適した、分析物又はコンジュゲート例えば増幅成分のレベル又は濃度を得るための追加又は代替のステップを含むことができる。例えば、これには限定されないがアッセイが分子過程を含む場合などに、増幅又は分解を行うことができる。例示としてこれには限定されないが、増幅は、等温増幅及びポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction(PCR))増幅を含む、任意の適切な増幅技術を使用して行うことができる。例示に過ぎずこれらには限定されないが、増幅は転写媒介増幅法(transcription mediated amplification(TMA))、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(recombinase polymerase amplification(RPA))又は任意の適切な等温増幅技術を使用して行うことができる。
【0052】
更に、又は更なる代替として、一実施形態では、検出コンポーネント(120)は、これには限定されないが、分析物の有無を検出すること及び/又はサンプル中の分析物の濃度を判定することを含む、サンプル中の目的分析物の検出又は分析を行うように構成可能である。例示としてこれには限定されないが、検出コンポーネントは、アナログ検出、デジタル検出、照明検出、蛍光検出又はこれらの技術の任意の組合せを含み得る光学的検出を使用して行うことができる。上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネントは、単一分子カウントを行うように構成可能である。
【0053】
検出コンポーネントの感度は、本明細書で更に説明するように、システムの全体的パフォーマンスに影響するサンプル分析システムの他の特性に影響を与える可能性がある。本明細書で使用される検出コンポーネントの「感度」とは、検出コンポーネント(120)によって検出可能なサンプル中の目的分析物(又は使用される場合はコンジュゲート)のレベル又は濃度を指し、この場合、検出可能なレベル又は濃度が低いほど高い感度を示す。例えばこれには限定されないが、検出コンポーネント(120)の感度を高くするとサンプル中のより低い濃度の分析物の検出を可能にすることができ、それによって、従来のシステムと比較して検出に適した分析物(又は使用される場合はコンジュゲート)の濃度を得るための目的分析物の処理に関わる時間を短縮することができる。
【0054】
上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネントの感度を高くすると、従来のシステムと比較して同様又はより高速な時間で検出に適した分析物濃度を得るように、より少ないサンプル量、より少ない試薬又はコンジュゲート材料、より少ない粒子又はビーズ、又はこれらの任意の組合せを使用して検出を行うことを可能にすることができる。例示としてこれには限定されないが、試薬は、検出可能標識、結合メンバー、色素、界面活性剤、希釈剤及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。結合メンバーが使用される場合、結合メンバーは受容体又は抗体とすることができる。このようにして、検出に適した分析物濃度を得るための、より少ない関与サンプル操作及び/又はより少ないサンプル量、より少ない試薬若しくはコンジュゲート材料及び/又はより少ない粒子若しくはビーズを使用して実現可能な反応速度の向上に少なくとも部分的に起因して、サンプル調製時間を改善することができる。したがって、向上した感度を有する検出コンポーネントを使用して、アッセイを行う時間、アッセイに使用される材料のコスト、及び/又はアッセイを行うために採取されるサンプル材料(例えば体液又は有機物)の量を削減することができる。
【0055】
例示のみを目的とし、これには限定されないが、例示のサンプル処理及び検出コンポーネントを含む、本開示の主題によるサンプル分析のためのシステム及び方法の更なる詳細については、米国特許出願公開第2018/0095067号、第2018/0104694号及び第2018/0188230号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
図2に、本開示の主題による例示の検出コンポーネント120を示す。図2を参照すると、例示としてこれには限定されないが、例示のデジタル検出コンポーネント(200)が示されている。一実施形態では、デジタル検出コンポーネント(200)に入る前に、(201)において、検出に適した分析物(又は使用される場合はコンジュゲート)の濃度を得るためにサンプル処理が行われる。サンプル処理は、本明細書に記載のステップの任意の組合せを含むことができる。例えば、これには限定されないが微粒子、ビーズ又はその他の標識を含む、支持媒質をサンプルと混合することができる。一実施形態では、抗体を含む試薬と被覆微粒子を混ぜ合わせることができる。例えば余剰な試薬及び/又は非結合微粒子を除去するために溶液を洗浄することができる。1回、2回、3回又はそれ以上の洗浄を含む任意の適切な数の洗浄を各洗浄ステップについて行うことができ、各洗浄は単一のチャンバ若しくは場所又は異なるチャンバ若しくは場所において行うことができる。例えばこれには限定されないが、一実施形態では、3回の洗浄を行うことができる。サンプル中の目的分析物と結合するようにコンジュゲートを添加することができる。例えばこれには限定されないが、コンジュゲートには、目的分析物と反応して検出コンポーネントによる検出のための信号を生じさせるように選択又は構成された、1つ以上の試薬又は酵素が含まれ得る。コンジュゲートが添加された溶液は、例えば目的分析物と結合しなかった余剰なコンジュゲートを除去するために洗浄可能である。1回、2回、3回又はそれ以上を含む任意の適切な数の洗浄を各洗浄ステップについて行うことができ、各洗浄は単一のチャンバ若しくは場所又は異なるチャンバ若しくは場所において行うことができる。例えばこれには限定されないが、一実施形態では、3回の洗浄を行うことができる。分析物及びコンジュゲートと結合した微粒子を検出のために基質に添加することができる。例示としてこれには限定されないが、基質は検出領域を含むことができる。微粒子は、ピペット操作、磁力又は誘電泳動を含むがこれらには限定されない任意の適切な技術を使用して基質に添加することができる。一実施形態では、検出領域は1つ以上のナノウエルを含み得る。
【0057】
(200)において、デジタル検出が行われる。例えば一実施形態では、(202)において、検出領域、例えば一実施形態では、ナノウエルのアレイに、微粒子を移動させることができる。微粒子は、ピペット操作、磁力又は誘電泳動を含むがこれらには限定されない任意の適切な技術を使用してナノウエルに移動させることができる。(203)において、特にナノウエル中のビーズの泳動又は水性流体の蒸発を防止するためにナノウエルを封止するように、疎水性液体、例えば油を添加することができる。例示に過ぎないが、添加される油は鉱物油又はその他の種類の適切な油とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、ナノウエルを封止するために他の適切な疎水性液体を添加することができる。上記に加えて又は上記に代えて、ナノウエル内の目的分析物の検出のために、コントラストを高める又はその他により光学条件を向上させるために、色素又はコントラスト剤を添加することができる。信号生成デジタルアッセイにおいて色素を使用する方法が、例えばこれには限定されないが、国際特許出願公開第2018/143478号において開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。(204)において、サンプル中の目的分析物の有無及び/又は目的分析物の濃度を判定するために、微粒子の1つ以上の像が撮像され、解析される。
【0058】
デジタル検出コンポーネント及び方法は、アナログ検出を使用するシステムと比較して、サンプル分析のためのシステムにおける検出感度を大幅に上昇させることができる。したがって、より低濃度の分析物を使用して検出を行うことができ、それによって検出のためにサンプルを処理する時間の短縮を可能にすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、より少量のサンプル量、より少量の試薬材料、より少量のコンジュゲート材料、より少量の微粒子又はこれらの任意の組合せを使用して検出を行うことができ、それによって各アッセイを行うコストを削減することができる。したがって、本明細書に記載のように、検出に適した分析物濃度を得るためのより少ない関与サンプル操作(例えばより高速な洗浄時間)及び/又はより少量のサンプル量、より少量の試薬又はコンジュゲート材料材及び/又はより少量の粒子若しくはビーズを使用して実現可能な反応速度の向上に少なくとも一部は起因して、サンプル調製時間を改善することができる。本明細書で更に説明するように、アッセイを行うための検査室システムの設置面積を縮小することができるより小型の機器を使用して、より少ないサンプル量及び/又は試薬材料を使用したアッセイを行うことができる。更に、又は更なる代替として、向上した検出感度は、多重化と共に使用された場合に更なる利点を提供することができる。例えばこれには限定されないが、複数の分析物及び対応する信号が単一の多重化アッセイに組み合わされる場合、各分析物信号の検出に伴うノイズレベルが倍加して多重化システムの総ノイズレベルとなる可能性がある。検出される各信号の検出感度を高くすることによって、多重化システムの総ノイズレベルを更に低減するように、向上した感度を倍加させることができる。
【0059】
デジタル検出は、例えば測定される信号に対して相対的な検出時のノイズの低減に少なくとも一部は起因して感度向上をもたらすことができ、それによってより高い信号対雑音比を実現することができる。図3は、本開示の主題の例示及び確認を目的として、アナログ検出を使用するサンプル分析システム(例えばAbbott ARCHITECT(商標)系列システム)と比較した、本開示の主題の例示のデジタル検出システムの検出ノイズレベルを示すチャートである。例示に過ぎず、これには限定されないが、図3に示すアッセイは以下のように行われた。ARCHITECT(商標)上でのARCHITECT(商標)HIV Ag/Ab Comboアッセイ(p24アッセイ)のために、100μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が第1の18分間免疫反応及び第2の4分間免疫反応に適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。例えば一実施形態では、第1の免疫反応は微粒子を使用する分子の分析に使用可能であり、第2の免疫反応は第2の抗体による抗原の検出に使用可能である。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルHIV p24のために、合計18分の免疫時間アッセイに100μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が適用された。デジタル信号をカウントすることによってコンジュゲート分子の数が計算された。
【0060】
ARCHITECT(商標)HBsAgアッセイのために、75μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計22分間(18分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。化学発光の相対発光量(RLU)値からコンジュゲート分子の数が計算された。デジタルHBsAgアッセイのために、75μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計18分間の免疫反応時間アッセイに適用された。デジタル信号をカウントすることによってコンジュゲート分子の数が計算された。
【0061】
ARCHITECT(商標)トロポニンアッセイのために、150μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計8分間(4分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルトロポニンIアッセイのために、100μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計8分間の免疫反応時間アッセイに適用された。コンジュゲート分子の数がデジタル信号をカウントすることによって計算された。
【0062】
ARCHITECT(商標)TSHアッセイのために、150μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計22分間(18分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルTSHアッセイのために、110μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計18分間の免疫反応時間アッセイに適用された。コンジュゲート分子の数がデジタル信号をカウントすることによって計算された。
【0063】
ARCHITECT(商標)ミオグロビンアッセイのために、20μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計8分間(4分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルミオグロビンアッセイのために、20μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計8分間の免疫反応時間アッセイに適用された。コンジュゲート分子の数がデジタル信号をカウントすることによって計算された。
【0064】
ARCHITECT(商標)PSAアッセイのために、50μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計22分間(18分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルPSAアッセイのために、50μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計18分間の免疫反応時間アッセイに適用された。コンジュゲート分子の数がデジタル信号をカウントすることによって計算された。
【0065】
ARCHITECT(商標)PIVKA-IIアッセイのために、30μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプル)が合計22分(18分間の免疫反応と4分間の酵素反応)の免疫反応時間アッセイに適用された。例示としてこれには限定されないが、洗浄プロセスに追加の時間を要し得る。コンジュゲート分子の数が化学発光の相対発光量(RLU)値から計算された。デジタルPIVKA-IIアッセイのために、30μLの陰性サンプル(「0」濃度サンプルとして)が合計26分間の免疫反応時間アッセイに適用された。例えば、一実施形態では、26分の免疫反応時間中、アッセイプロセスにおける変動を低減するために、18分が第1の反応に関与し、8分が第2の反応に関与し得る。コンジュゲート分子の数がデジタル信号をカウントすることによって計算された。
【0066】
図3を更に参照すると、検出のノイズレベルはコンジュゲート分子の数と相関する。チャートの左側において、HIV p24、HBsAg、トロポニンI、TSH、ミオグロビン、PSA、BNP及びPIVKA-IIを含む、アナログ検出を使用するサンプル分析システムよって行われたアッセイでは、ノイズレベルは約79,000ノイズコンジュゲート分子を超え、約7,900~560,000ノイズコンジュゲート分子である。チャートの右側において、デジタル検出を使用するサンプル分析システムによって行われたアッセイでは、ノイズレベルは、約1800ノイズコンジュゲート分子未満であり、約300~1800ノイズコンジュゲート分子である。したがって、デジタル検出を使用するサンプル分析システムは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して99%を超えるノイズリダクションを有し得る。
【0067】
図4は、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用するサンプル分析システムの感度向上を示す図である。例示としてこれには限定されないが、HBsAg、HIV p24、ミオグロビン、PSA及びHIV Abのアッセイでは、デジタル検出を使用するサンプル分析システムは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して100倍を超える感度向上を有する。トロポニンI及びTSHのアッセイでは、デジタル検出を使用するサンプル分析システムは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、10倍を超える感度向上を有する。PIVKA-IIのアッセイでは、デジタル検出を使用するサンプル分析システムは、アナログ検出を使用するサップル分析システムと比較して約5倍の感度向上を有する。
【0068】
上記のデータは、デジタル検出の特徴を検査処理全体を向上させるために利用することができることを明らかにしている。本明細書に記載のように、デジタル検出はアナログ検出と比較してより低濃度の分析物を使用して行うことができ、それによって検出に適した信号レベル又は濃度を得るためにサンプルを処理する時間の短縮を可能にすることができる。一実施形態では、サンプル処理は短縮された合計インキュベーション時間を要し、例示としてこれには限定されないが一段階で行うことができ、又は代替として、免疫反応時間と酵素反応時間とを含む二段階を要して合計インキュベーション時間となり得る。図5Aは、HBsAgアッセイを行うためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用する例示のアッセイサーフェスによる、様々な信号対ノイズ比(S/N)を達成するためのインキュベーション時間を示す図である。例示に過ぎず、これには限定されないが、インキュベーションは以下のように行われた。デジタルHBsAgアッセイに約10μLのサンプルが適用された。X軸は、免疫反応時間及び酵素反応時間を示す。感度(S/N)は、陽性サンプルからの信号を陰性サンプルからの信号で割った値から計算された。HBsAgアッセイの同等のアナログ検出のサンプル量は、75μLであった。図5Aに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、3分間のインキュベーション時間による一段階インキュベーションを使用するHBsAgアッセイを行って、3.2のS/N比を達成することができる。これと比較して、アナログ検出を使用するサンプル分析システムは、18分の免疫反応時間と4分の酵素反応時間で合計22分間のインキュベーション時間による二段階インキュベーションを使用してHBsAgアッセイを行って、1.8のS/N比を達成することができる。したがって、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、HBsAgアッセイのためのインキュベーションのために約8分の1(1/8)の時間で約75%の感度向上を実現することができる。
【0069】
図5Bは、HIV p24アッセイを行うためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用する例示のアッセイサーフェスによる、様々なS/N比を達成するためのインキュベーション時間を示す図である。例示に過ぎずこれには限定されないが、インキュベーションは以下のように行われた。デジタルHIV p24アッセイに約10μLのサンプルが適用された。X軸は、免疫反応時間及び酵素反応時間を示す。感度(S/N)は、陽性サンプルからの信号を陰性サンプルからの信号で割った値から計算された。HIV Ag/Abコンボアッセイの同等のアナログ検出のサンプル量は、100μLであった。図5Bに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、3分間のインキュベーション時間による一段階インキュベーションを使用するHIV p24アッセイを行って、3.7のS/N比を達成することができる。これと比較して、アナログ検出を使用するサンプル分析システムは、18分の免疫反応時間と4分の酵素反応時間で合計22分間のインキュベーション時間による二段階インキュベーションを使用してHIV p24アッセイを行って、1.6のS/N比を達成することができる。したがって、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、HIV p24アッセイのためのインキュベーションのために約8分の1(1/8)の時間で約130%の感度向上を達成することができる。
【0070】
図5Cは、PSAアッセイを行うためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスによる、様々なS/N比を達成するためのインキュベーション時間を示す図である。例示に過ぎずこれには限定されないが、インキュベーションは以下のように行われた。デジタル総PSAアッセイに約10μLのサンプルが適用された。X軸は、免疫反応時間及び酵素反応時間を示す。感度(S/N)は、陽性サンプルからの信号を陰性サンプルからの信号で割った値から計算された。総PSAアッセイの同等のアナログ検出のサンプル量は、50μLであった。図5Cに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、5分間のインキュベーション時間による一段階インキュベーションを使用するPSAアッセイを行って、2.5のS/N比を達成することができる。これと比較して、アナログ検出を使用するサンプル分析システムは、18分の免疫反応時間と4分の酵素反応時間で合計22分のインキュベーション時間による二段階インキュベーションを使用してPSAアッセイを行って、1.5のS/N比を達成することができる。したがって、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、PSAアッセイのためのインキュベーションのために約4分の1(1/4)の時間で約67%の感度向上を達成することができる。
【0071】
図5Dは、HIV Abアッセイを行うためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスによる、様々なS/N比を達成するためのインキュベーション時間を示す図である。例示に過ぎずこれには限定されないが、インキュベーションは以下のように行われた。デジタルHIV Abアッセイに約10μLのサンプルが適用された。X軸は、免疫反応時間及び酵素反応時間を示す。感度(S/N)は、陽性サンプルからの信号を陰性サンプルからの信号で割った値から計算された。HIV Ag/Abコンボアッセイの同等のアナログ検出のサンプル量は、100μLであった。図5Dに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、5分間のインキュベーション時間による一段階インキュベーションを使用するHIV Abアッセイを行って、10.4のS/N比を達成することができる。これと比較して、アナログ検出を使用するサンプル分析システムは、18分の免疫反応時間と4分の酵素反応時間の合計22分間のインキュベーション時間による二段階インキュベーションを使用してHIV Abアッセイを行って、2.1のS/N比を達成することができる。したがって、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、HIV Abアッセイのためのインキュベーションのために約4分の1(1/4)の時間で約500%の感度向上を達成することができる。
【0072】
図6は、アナログ検出を使用するサンプル分析システム(例えば、Abbott m2000HIV、Roche HIV RNA CAP/CTM v.1.0及びAbbott HIV Ag/Ab ARCHITECT(商標)システム)と比較した、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスによる、HIV p24アッセイの抗体陽転パネル評価から得られた追加データに基づく感度向上を示すチャートである。図6に示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して向上した感度を有する。
【0073】
デジタル検出は、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、向上した感度に加えて又はそれに代わるものとして、拡大された検出ダイナミックレンジを提供するように構成可能である。図7A~7Bは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、高感度のために構成されたデジタル検出を使用する例示のアッセイサーフェスと、高ダイナミックレンジのために構成されたデジタル検出を使用するアッセイサーフェスとによる、エストラジオールアッセイの例示のキャリブレーション曲線を示す図である。図7Aに示すように、「高感度」とラベル付けされた曲線は、エストラジオールのデジタル検出のための検出器によって測定された反応強度の100単位の閾値を有する高感度のために構成された画像解析を示す。図7A~7Bに示すように、「高ダイナミックレンジ」とラベル付けされた曲線は、エストラジオールのデジタル検出のための検出器によって測定された反応強度の25単位の閾値を有する高ダイナミックレンジのために構成された画像解析を示す。これと比較して、図7A~7Bにおいて、「ARCHITECT(商標)」とラベル付けされた曲線は、アナログ検出を使用するサンプル分析システム(例えばAbbott ARCHITECT(商標))による画像解析を示す。図7Aに示すように、ARCHITECT(商標)と比較して、高感度デジタル構成は、より低濃度のエストラジオールにおいてより大きい反応を有する。図7A~7Bに示すように、ARCHITECT(商標)と比較して、高ダイナミックレンジのデジタル構成は、より高濃度のエストラジオールにおいてより大きい反応を有する。したがって、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、より高いダイナミックレンジを有する類似の感度、又は類似のダイナミックレンジを有するより高い感度、又はより高い感度とより高いダイナミックレンジとの組合せを有するように構成可能である。
【0074】
図7Cは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較した、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスによる、エストラジオールの競合アッセイの例示のキャリブレーション曲線を示す図である。縦軸は、エストラジオールアッセイについての感度を示すノイズ当たりのCal C信号(C/A比)を示し、ここでより低いC/A比はより高い感度を示す。図7Cに示すように、2分間のインキュベーション時間後、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは0.45のC/A比を有し、これは0.67のC/A比を有する、アナログ検出を使用するサンプル分析システムよりも低い。
【0075】
図8に、本開示の主題の例示及び確認を目的とした、アナログ検出を使用するサンプル分析システム(例えばAbbott ARCHITECT(商標))と比較した、デジタル検出を使用する例示のアッセイサーフェスによって行われた様々なアッセイのデータを示す。例えばこれには限定されないが、TSHアッセイが行われた。図8に示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスのS/N比は、TSHアッセイのためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムの28倍である。デジタル検出を使用するサンプル分析システムの検出限界(LOD)は、TSHアッセイのためにアナログ検出を使用するサンプル分析システムの少なくとも22.9分の1である。
【0076】
同様のS/N比によって同様の検出限界(LOD)を得るために、22分間のインキュベーション時間を使用したアナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは4分間のインキュベーション時間を使用した。したがって、本明細書に記載のデジタル検出システムは、アナログ検出のための適切な結果を達成するのに必要な時間よりも有意に短いサンプル処理時間を可能にする。図8に示すように、アナログ検出と比較して、他の同等のアッセイについて、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、アナログ検出を使用するサンプル分析システムと比較して同等又はより高い感度とより短い処理時間を有する。例えば、図8に示す検査及び測定されたアッセイの場合、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは11~189倍のS/N比に基づいて検出感度を向上させた。
【0077】
本開示の主題の他の態様によると、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスを、アナログ検出のみを使用するサンプル分析システムと比較してより高い感度に加えて又はその代わりとして、より広い検出ダイナミックレンジを有するように構成可能である。サンプル中の目的分析物の濃度が閾値を超えると、検出コンポーネントは、更に濃度を高くしても検出コンポーネントによって検出可能な信号の測定可能な変化を生じさせない飽和状態になる。
【0078】
デジタル検出を使用するアッセイサーフェスによってダイナミックレンジを広げる構成の結果として、コストと時間の改善を含むアッセイにおける様々な改善を得ることができる。例えば、アッセイの様々な条件を、ダイナミックレンジ向上を利用するように変更することができる。例示としてこれには限定されないが、アッセイ条件に加えられる変更には、サンプルの量を減らすこと、サンプル中の基質濃度を高くすること、サンプル中の微粒子濃度又はコンジュゲート濃度を低くすること、又はこのような変更若しくは類似の変更の任意の組合せが含まれ得る。
【0079】
上記に加えて又は上記に代えて、ダイナミックレンジ向上を利用するようにサンプル分析システムの構成を変更することができる。例示としてこれには限定されないが、サンプル分析システムは、検出の前の酵素反応時間を短縮する、若しくは酵素反応信号のより精密な制御のためのレートを使用する、又はこのような変更若しくは類似の変更の組合せを使用するように、変更することができる。
【0080】
図9は、例示のアッセイのための酵素反応時間にわたる蛍光強度の変化を示す図である。図9に示すように、ある高濃度アッセイ中に、酵素反応が増大すると、検出信号にわずかな変化しかない又はまったく変化がない場合があり、それは飽和に起因する可能性がある。したがって、存続時間がアッセイの種類及び条件に応じて変化し得る一定量のインキュベーション後にサンプルの検出が発生する場合、蛍光信号は濃度が上昇するときに強度の測定可能な差を示さず、その時点で検出システムは飽和したとみなすことができる。したがって、サンプル分析システムにおける観測時間を短縮することで、拡張されたダイナミックレンジにおけるより広い濃度範囲について強度の差が測定されることができるようにすることができ、サンプル中の目的分析物の濃度に対応する1つ以上の強度を得るために酵素反応時間中の任意の1つ以上の時点において画像を撮像することができる。
【0081】
図10に、観測時間を短縮するために、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスに加えられる例示の変更を示す。例示としてこれには限定されないが、図10を参照すると例示の検出方法(1000)が示されている。(1001)において、検出のためのナノチャンバを形成するために、分析物溶液に油が添加される。(1002)において、光学的検出のために背景を暗くし、コントラストを増すために、分析物溶液に黒色色素が添加される。(1003)において、光学的検出デバイス(例えばCCDカメラ)が分析物溶液の画像を解像するように合焦され、(1004)において光学的検出デバイスが検出のために分析物溶液の画像を取得する。油添加(1001)から画像キャプチャ(1004)までの検出方法(1000)を行う時間は約107秒である。
【0082】
図10を更に参照すると、例示としてこれには限定されないが、本開示の主題による例示の検出方法(1010)が示されている。(1011)において、光学的検出デバイス(例えばCCDカメラ)が分析物溶液の画像を解像するように合焦される。(1012)において、油と黒色溶液の両方が一度に分析溶液に添加される。(1013)において、光学的検出デバイスが、検出のために分析溶液の画像を取得する。検出方法(1010)を行う時間は約17秒であり、これは検出方法(1000)の約6分の1である。本明細書に記載のように、観測時間窓を短くすることによってダイナミックレンジを広げることができる。
【0083】
図11Aに、HIV p24アッセイのために本開示の主題によるデジタル検出を使用するアッセイサーフェスの拡大されたダイナミックレンジの更なる詳細を示す。図11Aに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、例えば、約266,667倍(例えば2000pg/mLを7.5fg/mLで割った値)のダイナミックレンジについて約7.5fg/mL~最大2000pg/mLまで示すように、HIV p24アッセイにおける分析物の低濃度と高濃度の両方に反応する。本開示の主題との比較のために、これには限定されないが、ARCHITECT(商標)HIV p24アッセイのアッセイ範囲は約5,000~10,000倍のダイナミックレンジである。従来のシステムでは、ダイナミックレンジは例えばこれには限定されないが、より高濃度における第1の画像を撮像し、サンプルを希釈し、より低濃度における第2の画像を撮像することによって、ダイナミックレンジを拡大することができる。しかし、そのような希釈プロセスは、ダイナミックレンジを拡大するために追加の処理時間及びステップを伴い得る。
【0084】
図11Bに、TSHアッセイのために本開示の主題によるデジタル検出を使用するアッセイサーフェスの拡大されたダイナミックレンジの更なる詳細を示す。図11Bに示すように、デジタル検出を使用するアッセイサーフェスは、例えば、約0.000305μIU/mL~最大50μIU/mLまで示すように、約163,934倍(例えば50μIU/mLを0.000305μIU/mLで割った値)のダイナミックレンジについて、TSHアッセイにおける分析物の低濃度と高濃度の両方に反応する。例示のためと本開示の主題との比較のために、これには限定されないが、ARCHITECT(商標)TSHアッセイのアッセイ範囲は0.01μIU/mL~100μIU/mL(例えば約10,000倍のダイナミックレンジ)であり、これは、例えばこれには限定されないが希釈プロセスによって、約500μIU/mLまで拡大することができる。
【0085】
本開示の主題の他の態様によると、例示のアッセイ処理ユニット(APU)、アッセイ処理システム(APS)及び検査室システムと共に使用する例示のアッセイサーフェスが提供される。サンプル分析のためのシステム及び方法は、サンプル処理及び検出のために任意の適切なコンポーネント及び技術を使用することができる。例えばこれには限定されないが、サンプル処理及び検出の全部又は一部について、分析物溶液の形成、分離、純化又はその他による操作を行うための、洗浄、混合又は任意のその他のステップを行うため、分析物溶液のインキュベート又は反応成分との混合のため、及び/又は分析物溶液を検出場所まで移動するために、ピペット又はピペットのシステムを使用することができる。
【0086】
上記に加えて又は上記に代えて、サンプル処理及び/又は検出の全部又は一部は、分析物溶液を操作するために吸引又は真空力を使用する自動ピペットシステム、又は分析物溶液を操作するために磁力若しくは誘電泳動などのその他の力を使用するその他の自動システムを含む、様々な反応槽及び自動化処理を使用して行うことができる。
【0087】
例示としてこれには限定されないが、次に図12を参照すると、一実施形態では、サンプル処理及び/又は加えられた磁界内の検出のための領域への分析物の移動の全部又は一部を行うために、本開示の主題によるサンプル分析システムにおいて例示のアッセイサーフェス(1200)を使用することができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、本明細書に記載の磁力を使用するアッセイサーフェス(1200)は、疎水性材料製の反応チップを含み得る。又は、本開示の主題によるアッセイサーフェスは、サンプル調製及び検出のための他の適切なサーフェスとすることができる。アッセイサーフェス(1200)は、本明細書に記載のような様々な動作を行うために、微粒子に対して平行な移動磁界、例えば移動磁石又は電磁石の平行移動によって、微粒子をそこを通って移動させることができる一連の領域として構成可能である。各領域は、空気-液体界面、(例えば油領域を別の液体領域から分離する)液体-非混和液界面、弁、複数の停止要素又は任意のその他の適切な分離機構とすることができる、障壁又はその他の分離機構によって分離可能である。
【0088】
例えばこれには限定されないが、アッセイサーフェス(1200)は、1つ以上の微粒子(又はビーズ)を保持するように構成された微粒子(mP又はμP)貯蔵領域(1210)を含む。一実施形態では、微粒子(又はビーズ)はすでに貯蔵領域(1210)内に貯蔵されていてもよい。又は、微粒子(又はビーズ)は、微粒子のより大きい貯蔵槽から手動で又は自動ピペット操作システムによって、アッセイサーフェスに加えることができる。本明細書に記載のように、微粒子(又はビーズ)は、サンプル分析を行うために磁力の使用を容易にするように、磁性又は常磁性とすることができる。微粒子貯蔵領域(1210)は、平面として構成可能であり、又はサンプル分析を行うために適切な数の微粒子を保持する大きさとされた容積を有することができる。
【0089】
アッセイサーフェス(1200)は、微粒子貯蔵領域(1210)から延びるサンプル/コンジュゲート混合領域(1220)を含むことができる。一実施形態では、サンプル/コンジュゲート混合領域(1210)は、事前装填された試薬又はコンジュゲートを含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、試薬又はコンジュゲートは、より大きい貯蔵槽から手動により又は自動ピペット操作システムによってアッセイサーフェスに添加可能である。サンプル/コンジュゲート混合領域(1220)は、サンプル/コンジュゲート混合領域(1220)内に移動された1つ以上の微粒子に結合する1つ以上の目的分析物を含むように、又は受け入れるように構成することができる。例えばこれには限定されないが、サンプルはアッセイサーフェス上に貯蔵することができ、又は手動若しくは自動ピペット操作又は任意のその他の適切な技術によって、サンプル/コンジュゲート混合領域に移動させることができる。サンプル/コンジュゲート混合領域(1220)は、平面として構成可能であり、又はサンプル中の目的分析物を検出するためにアッセイサーフェスによって使用される適切な数のサンプル、コンジュゲート、酵素又はその他の試薬を保持する大きさとされた容積を有することができる。
【0090】
アッセイサーフェス(1200)は、1つ以上の液体塊を含むことができる。例えばこれには限定されないが、アッセイサーフェス(1200)は、サンプル/コンジュゲート混合領域(1220)から延びる不活性流体領域(1230)を含むことができる。一実施形態では、不活性流体領域(1230)は、サンプル液滴の形成を促進し、サンプル液滴の形状の安定性を増すことができ、更にサンプル液滴と微粒子を互いから空間的に分離した状態に維持するのに有用であり得る、例えば鉱物油、又はその他のサンプルと混合しない不活性流体を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、一実施形態では、不活性流体領域(1230)は、例えばこれには限定されないが、鉱物油を通過させると微粒子から余剰な水溶液を除去する洗浄機能を実施するように構成可能である。上記に加えて又は上記に代えて、洗浄ステップは、本明細書に記載のように他の汚染物質を除去するために行うことができる。一実施形態では、不活性流体領域(1230)内の鉱物油は適切な任意の鉱物油(例えばナカライテスクコード23306-84)とすることができる。鉱物油は、液体炭化水素の混合物を含むことができ、蒸溜及び精製によって原油から導出可能である。不活性流体領域(1230)において使用するための他の適切な油には、フッ素油(例えばFC-40)及び有機油(例えばグレープシード油、ココナッツ油又はカカオ油脂)が含まれ得る。
【0091】
アッセイサーフェス(1200)は、例えばこれには限らないが不活性流体領域(1230)から延びる又は不活性流体領域(1230)の代わりに、1つ以上の追加の洗浄領域(1240、1250)も含むことができる。洗浄領域(1240、1250)は各々、その各端に空気-水界面を有する液体塊を画定することができる。洗浄領域は、望ましくない汚染物質又は、目的分析物又は任意の微粒子若しくはビーズと結合しない余剰試薬若しくはコンジュゲートなどの余剰材料を除去するために、緩衝液又は任意の適切な溶液などの溶液を含むことができる。微粒子が望ましくない汚染物質又は余剰材料を除去するために洗浄領域(1240、1250)の空気-水界面を通って移動するときに、微粒子に表面張力が加えられ得る。
【0092】
アッセイサーフェス(1200)は、洗浄領域(1240、1250)から延びる検出領域(1260)を含むことができる。例えばこれには限定されないが、一実施形態では、検出領域(1260)は、各々が微粒子又はビーズのうちの少なくとも単一の微粒子又はビーズを保持するような寸法とされた要素のアレイを含むことができる。例えばこれには限定されないが、要素のアレイはナノウエルのアレイを含み得る。各ナノウエルは、単一分子検出のために単一微粒子を受け入れる大きさとすることができる。又は、検出領域(1260)は平面として構成することができる。
【0093】
アッセイサーフェス(1200)は、検出領域(1260)から延びる1つ以上の追加の領域を含むことができる。例えば、一実施形態では、端部領域(1270)が、検出領域(1260)をカプセル化するために使用されるカプセル化不活性液体、例えば油を貯蔵するためのカプセル化不活性液体領域を含むことができる。端部領域(1270)は、検出のために背景を暗くし、コントラストを増すための色素を貯蔵する色素領域も含むことができ、一実施形態では油と事前混合可能である。端部領域(1270)は、微粒子又は任意のその他の使用済み成分を廃棄のためにアッセイサーフェス(1200)から移動するための廃棄領域を更に含むことができる。
【0094】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、アッセイサーフェス(1200)は、約50mmの長さと約10mmの幅を有することができる。各領域は、例えば一実施形態では、最大約6mmの幅を有することができる。例示のアッセイサーフェス(1200)は、本開示の主題による検査室システムにおいて、アッセイ処理ユニット(APU)と共にアッセイ処理システム(APS)の一部として使用することができる。
【0095】
図13に、領域に対応する液体塊を通るアッセイサーフェス(1200)に沿った微粒子の例示の移動を示す。当業者には、本明細書で開示されている方法及びシステムに様々な修正及び変形を加えることができることが明らかである。本明細書に記載のように、微粒子(1305)を、異なる領域における液体塊を通り、アッセイサーフェスの検出コンポーネント内までアッセイサーフェスに沿って付勢するために、少なくとも1つの移動磁界(1301)を設けることができる。移動磁界(1301)は、アッセイサーフェスに対して相対的な任意の適切な位置に配置された磁気要素によって発生することができる。例示として、磁気要素はアッセイサーフェスの上方、アッセイサーフェスの下、アッセイサーフェスの横、又はその他の適切な場所に配置可能である。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、少なくとも1つの移動磁界(1301)は移動磁石とすることができる。又は、移動磁界(1301)は例えば電磁石によって発生可能である。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、移動磁界(1301)はアッセイサーフェスの下に配置される。又は、移動磁界(1301)は、他の適切な位置に配置可能である。一実施形態では、アッセイサーフェス(1200)の表面の一部又は全部が、領域間の液体の望ましくない移動を防止又は抑止することができる疎水性材料からなることができる。例えばこれには限定されないが、微粒子がサンプル処理から検出まで様々な領域の空気-液体界面又は空気-油界面を通って移動するときに表面張力が加えられ得る。
【0096】
図14~15に、本開示の主題による異なる構成を有するアッセイサーフェスの別の実施形態を示す。図15を参照すると、アッセイサーフェス(1500)は5つの領域を含むことができる。微粒子又はビーズが磁力によってアッセイサーフェス(1500)の各領域を通って検出領域(1550)内までアッセイサーフェス(1500)の長さに沿って移動させられる。例示のみを目的として、図15では磁気軸がアッセイサーフェス(1500)の下にあるものとして図示されている。他の方法として、磁力は、他の適切な場所、例えばアッセイサーフェス(1500)の上方又はアッセイサーフェス(1500)の横における磁気要素によって発生可能である。
【0097】
図15に示すように、一実施形態では、アッセイサーフェス(1500)はサンプル領域(1510)を含むことができる。サンプル領域(1510)は、例えばピペット操作又は任意のその他の適切な技術によって、目的分析物(抗原)を有するサンプルと混ぜ合わされる微粒子を含む。又は、サンプル領域(1510)に微粒子を事前装填することができる。サンプル領域(1510)において、例えば微粒子を第1の結合パートナーとしてサンプル中の単一の抗原と結合させることができる。
【0098】
アッセイサーフェス(1500)は、サンプル領域(1510)から延びる洗浄領域(1520)を含むことができる。本明細書に記載のように、単一の洗浄領域(1520)が実装されるが、追加の洗浄領域も含めることができる。洗浄領域(1520)は、本明細書に記載のように微粒子から望ましくない汚染物質及び/又は非結合分析物を除去するように構成可能である。
【0099】
アッセイサーフェス(1500)は、洗浄領域(1520)から延びるコンジュゲート/酵素領域(1530)を含むことができる。例示として、領域(1530)は試薬若しくはコンジュゲートを含むことができ、又は試薬若しくはコンジュゲートを手動で又は自動で例えばピペッタを使用して領域に加えることができる。コンジュゲート/酵素領域(1530)において、微粒子と結合した分析物(抗原)が、検出のための信号を生じさせるように標識化された第2の結合パートナーとして別の分析物特異的結合パートナーと結合することができる。
【0100】
アッセイサーフェス(1500)は、コンジュゲート/酵素領域(1530)から延びる洗浄領域(1540)を含むことができる。本明細書に記載のように、単一の洗浄領域(1540)が実装されるが、追加の洗浄領域も含めることができる。洗浄領域(1540)は、本明細書に記載のように非結合コンジュゲート/試薬を除去するように構成可能である。
【0101】
アッセイサーフェス(1500)は、洗浄領域(1540)から延びる検出領域(1550)を含むことができる。一実施形態では、検出領域(1550)は、デジタル検出領域として構成することができる。又は、検出領域(1550)は、他の適切な検出、例えばアナログ検出を行うように構成することができる。検出領域(1550)は、検出のために構成された1つ以上のナノウエルを含むことができる。又は、デジタル検出領域を平面として構成することができる。上記に加えて又は上記に代えて、例示としてこれには限定されないが、検出領域(1550)は、アッセイにおける分析物の検出のための、ナノウエル、ナノ細孔、蛍光検出区画又は任意のその他の適切な領域の使用を含む、微粒子が検出及び/又は撮像されるその他の区画を含むことができる。本明細書に記載の例示のアッセイサーフェスは、任意の適切な材料、例えばこれに限定されないがPTFEシート又は任意のその他の適切な材料(例えば環状オレフィンポリマー(COP)、PMMA又はその他の疎水性材料)から形成可能である。
【0102】
本明細書に記載の例示のアッセイサーフェスは、例えばこれには限定されないが、本明細書に記載の任意のサンプル処理ステップを含む、サンプル処理を行うために使用することができる。図16Aに、本開示の主題によるアッセイサーフェスを使用して行われるHBsAgアッセイの例示の洗浄効率を示す。例えばこれには限定されないが、75μLの陰性サンプル(カルシウム再沈着血漿)とHBsAgアッセイビーズが18分間インキュベートされた。インキュベーション後、ビーズが移動磁界によって疎水性表面上で引きつけられ、移動された。収集されたビーズを、磁界を使用して10μLの緩衝液滴を通過させることによって洗浄プロセスが行われた。アッセイ中に最大4回の洗浄が行われた。図16Aに示すように、第1の洗浄後、0.08の信号パーセンテージが得られた。第2の洗浄後、本明細書に記載のデジタル検出に適し得る0.03の信号パーセンテージが得られた。信号パーセンテージは、収集されたビーズの総数からカウントされる明るい液滴を有するビーズの割合とみなすことができ、例えばこれには限定されないが以下の式によって求めることができる。すなわち、NbD/NtB×100%であり、ここでNbD及びNtBは、それぞれ、明るい液滴を有するビーズの数及び収集されたビーズの総数を指す。追加の洗浄が、得られる信号パーセンテージのより小さい変化を生じさせた。したがって、本開示の主題によるアッセイサーフェスを使用するアッセイを行うのに2回の洗浄が適する可能性があり、合計洗浄時間は約30秒とすることができる。
【0103】
図16Bに、本開示の主題によるアッセイサーフェスを使用した例示の収集効率を示す。図16Bに示すように、本開示の主題によるアッセイサーフェスは、本明細書で開示されているアッセイサーフェスを使用した微粒子の適切な収集を示す90%を超える収集効率比(例えばアッセイ後に残る微粒子の数)を有することができる。図16Bを参照すると、「-/-/-/-」とラベル付けされた列は、最初は未処理のビーズ(例えば100%収集比)を示す。「10fM/+/-/-」とラベル付けされた列は、本開示の主題による75μLサンプルのアッセイサーフェスによるビーズの収集比(例えば90%を超える収集比)を示す。「10fM/-/+/-」とラベル付けされた列は、本開示の主題によるアッセイサーフェスがなく、コンジュゲートがない75μLサンプルによるビーズの収集比(例えば約90%の収集比)を示す。「10fM/+/+/+」とラベル付けされた列は、本開示の主題による、アッセイサーフェスを使用し、インキュベーション及びコンジュゲートが付加された75μLサンプルを使用したHBsAgアッセイによるビーズの収集比(例えば約90%の収集比)を示す。したがって、微粒子がアッセイサーフェスの様々な領域に沿って移動されるとき、本開示の主題によるアッセイサーフェスによって高い割合の微粒子が保持される。
【0104】
本明細書で説明しているように、本開示の主題による検出は、より少量のサンプル量、より少量の試薬材料及び量、より少量のコンジュゲート材料、より少量のナノ粒子又はこれらの任意の組合せを使用して行うことができ、これによって各アッセイを行うコストを削減することができる。したがって、少なくとも一部はより少ない関与サンプル操作に起因して、サンプル調製時間を改善することができる。より少量のサンプル量は、そのようなサンプル量を使用して行われるインキュベーション若しくは増幅反応又はその他の反応時のサンプル処理速度を改善するように、一定の反応速度向上ももたらすことができる。一実施形態では、本開示の主題による例示のアッセイサーフェスを使用するサンプル分析システムは、より少量のサンプル、コンジュゲート及び/又は微粒子の処理時間を改善するように構成可能である。
【0105】
本明細書に記載のサンプル処理システム及び技術は、少量のサンプル量、例えばこれには限定されないが約10μL以下のサンプル処理を行うために使用することができる。又は、例示のアッセイサーフェスのためのサンプル量は約10μL~約50μLとすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのためのサンプル量は50μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのためのサンプル量は75μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのためのサンプル量は100μL未満とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、本開示の主題による例示のアッセイサーフェスは、少量のサンプル量と共に使用された場合を含み、より高速の洗浄時間を実現することができる。これと比較して、一部の従来のサンプル分析システムは、100μL未満のサンプル量と共に使用するのに適さない場合がある。
【0106】
上記に加えて又は上記に代えて、本明細書に記載のサンプル処理システム及び技術は、少ない洗浄緩衝液量、例えばこれには限定されないが約10μL以下の量を使用してサンプル処理を行うために使用可能である。又は、例示のアッセイサーフェスのための緩衝液量は約10μL~約50μLとすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための洗浄緩衝液量は50μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための洗浄緩衝液量は75μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための洗浄緩衝液量は100μL未満とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、本開示の主題による例示のアッセイサーフェスは、少量のサンプル量と共に使用される場合を含む、より高速の洗浄時間を実現することができる。これと比較して、一部の従来のサンプル分析システムは、100μL未満の洗浄緩衝液量での使用には適さない場合がある。
【0107】
上記に加えて又は上記に代えて、本明細書に記載のサンプル処理システム及び技術は、少量の試薬量、例えばこれには限定されないが約10μL以下の量を使用してサンプル処理を行うために使用可能である。又は、例示のアッセイサーフェスのための試薬量は約10μL~約50μLとすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための試薬量は50μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための試薬量は75μL未満とすることができる。又は、例示のアッセイサーフェスのための試薬量は100μL未満とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、本開示の主題による例示のアッセイサーフェスは、少量のサンプル量と共に使用される場合を含む、より高速の洗浄時間を実現することができる。これと比較して、一部の従来のサンプル分析システムは、100μL未満の試薬量で使用するには適さない場合がある。
【0108】
例示としてこれには限定されないが、図17に、本開示の主題の例示及び確認を目的として、(使用説明書による)100μLのサンプル量による従来のサンプル分析システム(例えばAbbott ARCHITECT(商標))によって行われたアッセイと比較した、10μLのサンプル量で本開示の主題による例示のアッセイサーフェスを使用するサンプル分析システムによって行われるアッセイの例示の結果を示す。又は、例示のアッセイサーフェスは100μL未満のサンプル量を有することができる。例えばこれには限定されないが、100μLのサンプル量による従来のHIV p24アッセイが、25μLの9.6ug/mLコンジュゲートと25μLの800kアッセイビーズにより18分の免疫反応時間内に行われた。本開示の主題の例示としてこれには限定されないが、本開示の主題によるアッセイサーフェスを使用して10μLのサンプル量によるHIV p24アッセイが、3.125μLの75ug/mLコンジュゲートと3.125μLの200kアッセイビーズにより4分の免疫反応時間内に行われた。
【0109】
従来のシステムと共に使用されるサンプル量を100μLから10μL(例えば約10分の1)に減らすと、約10分の1の対応する(例えば33のS/Nから4未満のS/Nへの)感度低下が生じると予測されるはずである。しかし、図17に示すように、本開示の主題によるアッセイサーフェスによる10μLのサンプル量を使用する構成は、約15のS/N比を達成しており、これは100μLのサンプルを使用する従来のシステムの場合の約33のS/N比に匹敵し、本明細書に記載のアナログ又はデジタル検出技術を含むがこれには限定されない光学的検出に適し得る。本開示の主題によるアッセイサーフェスによる10μLのサンプル量を使用して達成されたこのS/N比は、より少量のサンプル量において発生する免疫反応中に得られる反応速度的向上に少なくとも一部は起因する可能性がある。より少量の試薬量を使用してデジタル検出に適した濃度に調製された削減されたサンプル量を提供することにより、本開示の主題によるサンプル分析のためのシステムを使用して行われる各アッセイのコスト節減を可能にすることができる。
【0110】
本開示の主題の別の態様によると、例示の検査室システム、アッセイ処理ユニット(APU)又はアッセイ処理システム(APS)を構築することができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、例示のサンプル分析システム及び方法は、サンプル当たりの時間、経時的サンプル数、及びシステムの面積(設置面積)当たりの経時的サンプル数を含むがこれらには限定されない高スループットを実現するために、本明細書に記載の例示のアッセイサーフェスを使用することができる。
【0111】
図18に、本開示の主題の例示及び確認を目的として、従来のサンプル検出システム(例えばAbbott Alinity i及びAbbott ARCHITECT(商標)i2000SR)と比較した、本明細書で開示されている複数のAPSを含む例示の検査室システムの更なる詳細を示す。図18に示すように、例示としてこれには限定されないが、例示の検査室システムは、コアサンプル調製及び検出コンポーネントのための0.96平方メートルというはるかに小さい設置面積で、1平方メートルにつき1時間当たり約560検査の面積当たりスループットを達成することができる。例示としてこれには限定されないが、例示の検査室システムは、1つ以上の例示のAPSと、対応するサンプルを処理するために、及び実質的に並列して少なくとも1つの対応する分析物の存在を検出する又は少なくとも1つの分析物のレベル若しくは濃度を判定するために、1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを制御するように構成されたコントローラとを含むことができる。例示の検査室システムは、コンパクトな設置面積において複数のアッセイサーフェスを処理することができる。これと比較して、Abbott Alimity(商標)iシステム及びAbbott ARCHITECT(商標)i2000SRシステムは、それぞれ、設置面積1平方メートルにつき1時間当たり約140検査、及び設置面積1平方メートルにつき1時間当たり約100検査の面積当たりスループットを有する。
【0112】
図19に、本明細書に記載のアッセイサーフェスを使用する、図18に示すような及び本開示の主題による、設置面積1平方メートルにつき1時間当たり約560検査の面積当たりスループットを有するサンプル分析のための例示の検査室システム及び方法に使用される、例示のAPSの一実施形態の更なる詳細を示す。例示としてこれには限定されないが、例示の検査室システムは、1つ以上の例示のAPSと、対応するサンプルを処理するために1つ以上のAPSのうちの複数のAPSを制御し、少なくとも1つの対応する分析物の存在を検出又は実質的に並列して少なくとも1つの対応する分析物のレベル若しくは濃度の判定を行うように構成された、コントローラとを含むことができる。例示の検査室システムは、コンパクトな設置面積において複数のアッセイサーフェスを処理することができる。例示としてこれには限定されないが、例えば図19に示すように一実施形態では、例示のAPSは、1つ以上の例示のアッセイサーフェスと例示のアッセイ処理ユニット(APU)とを含むことができる。例示としてこれには限定されないが、例示のAPUは、動作を制御するように構成された1つ以上のプロセッサを含む制御基板、LEDライト、光学ユニット、検出のためのCMOS画像センサー、アッセイサーフェス受入れコンポーネント及び磁界を発生する磁気要素を含むことができる。例示としてこれには限定されないが、本明細書に記載の例示のプロセッサは、ハードウェアロジック、ファームウェア又はソフトウェア命令を使用して動作を行うように構成することができる。例示としてこれには限定されないが、磁気要素は移動磁界を発生する電磁石又は摺動要素に動作可能に接続された磁石とすることができる。例示としてこれには限定されないが、摺動要素はモーターとすることができる。上記に加えて又は上記に加えて、磁気要素は、受け入れられたアッセイサーフェスに対して相対的な任意の適切な位置に配置可能である。一実施形態では、図19における例示のAPSは比較的コンパクトであるが、短期間で、例えばこれには限定されないが約5.5分間で所望の感度により検査を行う。一実施形態では、約0.005平方メートルの設置面積を有する図19のAPSを複数、例えばこれには限定されないが約52個まとめて1つの計器内にパッケージ化することにより、一実施形態では、約0.26平方メートルという手頃な設置面積における例示の検査室システムとして高スループット計器が実現可能になる。
【0113】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、例示のアッセイ処理システム(APS)は、サンプルの結果までの合計時間を6分未満に短縮するようにアッセイサーフェスを処理するために、1つ以上のアッセイサーフェスを受け入れるプロセス経路としての受入れコンポーネントを含むことができ、及び別の選択肢として、結果までの時間は一段階アッセイの場合に3~5分とすることができ、又は二段階アッセイの場合に3~7分とすることができる。又は、結果までの時間は2~5分とすることができる。又は、結果までの時間は5~10分とすることができる。又は、結果までの時間は5分未満とすることができる。又は、結果までの時間は10分未満とすることができる。一実施形態では、例示のアッセイサーフェスは、APSの一段階アッセイ受入れコンポーネントに入ることができる。例示としてこれには限定されないが、異なるアッセイプロトコルに対応するために異なる受入れコンポーネント(プロセス経路)が存在可能である。例えばこれには限定されないが、例示のアッセイサーフェス(1200)又は(1500)は、例示のAPSの格納ユニットから装填することができる。サンプルは、例えば自動若しくは手動ピペット操作又は任意のその他の適切な技術によって約10秒間、アッセイサーフェスに加えることができる。例示としてこれには限定されないが、サンプル、微粒子又は試薬/コンジュゲートは、使用のためにアッセイサーフェスに貯蔵することができるか、又は例えばピペット操作又はその他の適切な技術を使用して貯蔵槽から手動で又は自動的に加えることができる。アッセイサーフェス上で分析物を含む液体塊を調製することができ、様々なサンプル処理ステップを行うことができ、例えばこれらには限定されないがサンプル-微粒子複合の洗浄、サンプルへのコンジュゲートの添加、及びサンプルへの基質の添加を含む、混合、洗浄及び/又はインキュベーションステップが行われる。1つのステーションにおいてサンプルに油を添加することができ、APUのプロセッサの制御下で第1の画像をキャプチャすることができ、この画像はより高濃度での検出のダイナミックレンジを拡大するために使用することができる。これらのプロセスのための合計サンプル処理時間は約3.5分とすることができる。第1の画像の後、撮像されたサンプルに酵素を加えることができ、デジタル検出に適した濃度を得るためにサンプルを酵素反応時間にわたりインキュベートすることができる。プロセッサの制御下で、インキュベートされたサンプルの複数の画像を取得することができ、それらの画像はより低濃度で分析物の存在、非存在又は濃度を判定するために使用することができる。サンプル中の分析物の存在の判定を通した合計サンプル処理時間は6分未満であり、実施形態によっては、結果までの時間は3~5分とすることができる。例示としてこれには限定されないが、以下の表に、約5.5分の検査時間となる一段階アッセイプロセスの一例をまとめる。並列処理のために検査室システム用の単一の計器内に関連するサンプル、試薬及び使い捨てハンドリングシステムと共に52個の複数単位でパッケージ化された図19の構成において、一段階アッセイプロセスの場合の1時間当たりの総スループットは、一実施形態では、約1平方メートルの設置面積を有する単一の計器で1時間当たり約572検査である。1時間当たり400、500又は600検査を含む、1時間当たりのより多くの検査を達成するために、同じ単一の計器設置面積内に追加のユニットをパッケージ化することができ、又は1時間当たり375~600検査の範囲のスループットを達成するように構成可能である。
【0114】
【表1】
【0115】
限定ではなく例示として、上記に代えて又は上記に加えて、プロセス経路上で二段階アッセイを行うことができる。結果までの時間は3~7分とすることができる。又は、結果までの時間は5分未満とすることができる。又は、結果までの時間は10分未満とすることができる。以下の表に、約7分の検査時間となる二段階アッセイプロセスの一例をまとめる。限定ではなく例示として、サンプル、微粒子又は試薬/コンジュゲートは、使用のためにアッセイサーフェス上に貯蔵可能であり、又は例えばピペット操作又はその他の適切な技術を使用して貯蔵槽から手動で又は自動的に添加することができる。例示の検査室システムにおける単一の計器内に関連するサンプル、試薬及び使い捨てハンドリングシステムと共に67個の複数単位でパッケージ化された図19の構成の例示のAPSにおいて、二段階アッセイプロセスの場合の1時間当たりの総スループットは、一実施形態では、約1平方メートルの設置面積を有する単一の計器で1時間当たり約570検査である。1時間当たり400、500又は600検査を含む、1時間当たりのより多くの検査を達成するために、検査室システムにおける同じ設置面積内に追加のユニットをパッケージ化することができ、又は1時間当たり375~600検査の範囲のスループットを達成するように構成可能である。
【0116】
【表2】
【0117】
例示としてこれには限定されないが、例示の検査室システムは、HIV p24アッセイ、HBsAgアッセイ、トロポニンIアッセイ、TSHアッセイ、ミオグロビンアッセイ、PSAアッセイ、BNPアッセイ、PIVKA-IIアッセイ、HIV Abアッセイ、エストラジオールアッセイ、COVID-Agアッセイ及びその他のアッセイのうちの1つ以上を行うように構成可能である。
【0118】
図20に、サンプル中の目的分析物の調製及び検出のための本開示のシステム及び方法の例示のアッセイサーフェス(2000)を示す。図のように、例示のアッセイサーフェス(2000)は、上部(2010)と下部(2020)とを含むことができる。上部(2010)は、目的分析物を調製し検出するときに、下部(2020)を被い、密封することができる。例示としてこれには限定されないが、例示のアッセイサーフェスは、下部(2020)において複数の領域と複数のチャネルを含むことができ、その各々がサンプル調製及び検出区画(2040)を画定するように一続きに配置可能である。一実施形態では、例示のアッセイサーフェス(2000)は、微粒子貯蔵領域(2022)、サンプル貯蔵領域(2024)、サンプル/コンジュゲート混合領域(2026)、1つ以上の洗浄領域(2028)及び検出領域(2032)を有するサンプル調製及び検出区画(2040)を含むことができる。一実施形態では、例示のアッセイサーフェス(2000)は、3つの洗浄領域(2028)を有する。一実施形態では、下部(2020)の表面は、疎水性材料、例えばCOP製とすることができる。
【0119】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、微粒子貯蔵領域(2022)は複数の微粒子を含むことができる。又は、微粒子は例えばピペッタを使用して微粒子貯蔵槽から手動で又は自動的にその領域に装填することができる。本明細書に記載のように、サンプル分析及び検出を行うための磁力の使用を容易にするために、微粒子は磁性又は常磁性とすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、磁性又は常磁性ビーズ又は粒子は、目的分析物又は試薬/コンジュゲートに特異的に結合することができる。微粒子は、磁力下で例示のアッセイサーフェスの領域を通って移動することができる。例示として、磁力は本明細書において開示されているアッセイ処理ユニット(APU)により発生する磁界とすることができる。
【0120】
上記に加えて又は上記に代えて、サンプル貯蔵領域(2024)は適切な溶液中での調製及び検出のための目的分析物を含むことができる。一実施形態では、目的分析物は、例えば、HIV Ab p24アッセイ、HIV1-Abアッセイ、HBsAgアッセイ又はCOVID-Agアッセイとすることができる。又は、目的分析物は他の分析物を含み得る。
【0121】
例示としてこれには限定されないが、サンプル/コンジュゲート混合領域(2026)は、目的分析物を微粒子及び/又は試薬/コンジュゲートと混合するように構成可能である。一実施形態では、試薬又はコンジュゲートは混合領域(2026)に貯蔵することができる。又は、試薬又はコンジュゲートは、例えばピペッタを使用してより大きい貯蔵槽から手動で又は自動的にその領域に装填することができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、HIV Ab p24アッセイの目的分析物を常磁性ビーズ(800kビーズ)及び酵素nCIAP-抗p24コンジュゲートと混合することができる。
【0122】
また、設けられる場合には1つ以上の洗浄領域(2028)を、非結合目的分析物を除去するための1つ以上の洗浄緩衝液を収容する大きさとすることができる。一実施形態では、洗浄領域はいずれの粒子とも結合しない分子を除去するために使用することができる。例示のアッセイサーフェス(2000)は、一実施形態では、3つの洗浄領域を含み得る任意の数の洗浄領域を含むことができる。本明細書に記載の例示のアッセイにおいて、各洗浄領域の洗浄期間は約90秒とすることができる。
【0123】
例示としてこれには限定されないが、検出領域(2032)は目的分析物を検出するために構成可能である。検出領域(2032)は、本明細書に記載のいずれかの分析物検出技術を使用する分析物検出のために構成可能である。例示としてこれには限定されないが、例示の分析物検出技術には、光学的検出、アナログ信号検出、デジタル信号検出、照明検出、蛍光検出又はこれらの技術の任意の組合せのうちの1つ以上が含まれ得る。上記に加えて又は上記に代えて、検出領域(2032)は、単一分子カウントを行うように構成可能である。また、例示としてこれには限定されないが、検出領域は、各々が少なくとも単一のビーズ又は粒子を保持するような寸法とされた複数の要素を含むことができる。一実施形態では、要素のアレイは、目的分析物と結合した微粒子を複数のナノウエルに分離することによる検出のために構成されたナノウエルのアレイを含むことができる。例示として、一実施形態では、微粒子又はビーズは磁力を使用して複数のナノウエル内に装填することができる。微粒子を複数のナノウエル内に装填するための磁力の使用は、装填の効率及び正確度を向上させることができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、ナノウエルのアレイのほとんどに少なくとも1つの微粒子を装填することができ、それによって単一分子検出の効率を向上させることも可能である。
【0124】
図21に、本開示の主題によるアッセイ処理システム(APS)において例示のアッセイサーフェスを使用してサンプル中の目的分析物を調製及び検出するための、例示のアッセイ処理ユニット(APU)(2100)の正面斜視図を示す。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、例示のAPU(2100)は、プロセッサ(2110)、磁気要素(2115)、検出領域(2120)、アッセイサーフェス受入れコンポーネント(2150)及び検出コンポーネント(2125)を含むことができる。例示のAPSは1つ以上の例示のアッセイサーフェス及び例示のAPUを含むことができる。
【0125】
図21を更に参照すると、プロセッサ(2110)は、アッセイサーフェス、検出コンポーネント(2125)上で動作が行われるように、及び例示のAPU(2100)の他のコンポーネントの動きを制御するように構成された制御基板を含むことができる。例示としてこれには限定されないが、プロセッサ(2210)はArduino Microコンピュータシステムを含み得る。一実施形態では、検出コンポーネント(2125)はカメラと、目的分析物の光学的検出を行うために配置されたLEDなどの光源を含むことができる。又は、検出コンポーネントは、他の種類の検出のための他の適切な計器を含むことができる。一実施形態では、アッセイサーフェス受入れコンポーネント(2150)内に受け入れられるアッセイサーフェス(2130)は、上記で開示されているような例示のアッセイサーフェス(2000)とすることができる。又は、受け入れられるアッセイサーフェス(2130)は、他のアッセイサーフェスとすることができる。
【0126】
例示としてこれには限定されないが、例示のAPUの磁気要素(2115)は、移動磁界を発生する電磁石を含み得る。又は、一実施形態では、磁気要素(2115)は、摺動機構(2140)に動作可能に接続された磁石を含むことができる。摺動機構(2140)は、プロセッサ(2110)によって制御可能であり、例えばモーターによって磁石を水平方向に移動させることができる。上記に加えて又は上記に代えて、磁気要素(2115)は、受け入れられたアッセイサーフェス(2130)に対して相対的な任意の適切な場所に配置可能である。例えば、磁気要素(2115)は、アッセイサーフェス(2130)の下若しくは上方又はアッセイサーフェス(2130)の横にあってもよい。例示に過ぎないが、図21はアッセイサーフェス(2130)の下にある磁気要素(2115)を示している。
【0127】
図22に、図21の例示のAPU(2100)の側面図を示す。一実施形態では、APU(2100)は、検出コンポーネント(2125)、駆動要素(2210)及び摺動機構(2140)用のステッピングモーター(2220)を含むことができる。例示としてこれには限定されないが、磁気要素(2115)は受け入れられたアッセイサーフェスの上面によって画定された水平又は垂直方向の移動磁界を発生する電磁石とすることができる。又は、一実施形態では、磁気要素(2115)は磁石とすることができる。受け入れられたアッセイサーフェスの上面によって画定された垂直方向に磁石を移動させるために、磁石に駆動要素(2210)を動作可能に接続することができる。例示として、駆動要素(2115)はモーター又はストリングとすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、APUは、電磁石、超音波混合要素、ピペッタを有する弾道混合要素、又は混合周波数を向上させるその他の適切な要素を含み得る、混合動力学コンポーネントも含むことができる。混合動力学コンポーネントは、APU及びAPSに受け入れられたアッセイサーフェス上に配置された少なくとも1つの液体塊を、所定の周波数下で混合させることができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、混合動力学要素は振動モーターとすることができる。
【0128】
例示としてこれには限定されないが、検出コンポーネント(2125)は、光学的検出を使用する目的分析物の検出のために構成可能であり、例えばカメラと、LEDなどの光源とを含むことができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、磁気要素(2115)が磁石である場合、ナット-ボルト接続によって磁石に駆動要素(2210)を接続することができ、受け入れられたアッセイサーフェスの上面を画定する面に対して垂直な垂直方向にアッセイサーフェスに向かう方向と離れる方向に磁石を移動させることができる。又は、磁気要素(2115)は垂直方向に移動磁界を発生する電磁石とすることができる。一実施形態では、磁石の移動方向は受け入れられたアッセイサーフェス(2130)の上面によって画定される面に対して垂直である。
【0129】
図23A及び図23Bに、磁気要素の磁力下での例示のアッセイサーフェスの洗浄領域における液滴中の複数の微粒子の移動を示し、例示のみを目的として、本明細書に記載のアッセイサーフェスの他の領域及び特徴はこの概略図では省略されている。一実施形態では、例示のアッセイサーフェス(2301)は3つの洗浄領域(2310)を含むことができる。磁気要素(2315)は、アッセイサーフェス(2301)の上面によって画定された面から垂直方向に移動磁界を発生することができる。上記に加えて又は上記に代えて、磁気要素(2315)は任意の適切な場所、例えばアッセイサーフェス(2301)の上方若しくは下に又はアッセイサーフェス(2301)の横に配置可能である。一実施形態では、例示として、磁気要素(2315)はアッセイサーフェス(2301)の下に配置された磁石とすることができる。磁石は、駆動要素(図示せず)、例えばモーターに接続可能である。駆動要素は、磁石をアッセイサーフェスに向かう方向とアッセイサーフェスから離れる方向に垂直方向に移動させることができる。又は、磁気要素(2315)は垂直方向に移動磁界を発生する1つ以上の電磁石とすることができる。また、一実施形態では、洗浄領域の1つの中に微粒子(2305)を有する液滴がある。液滴は、磁気要素(2315)の磁力下で移動させられる微粒子を含むことができる。
【0130】
図23Bに示すように、一実施形態では、磁石がアッセイサーフェス(2301)に近づけられると、微粒子を有する液滴(2305)が磁石に向かって引きつけられ、相対的に磁石のより近くに蓄積することができる。磁石がアッセイサーフェス(2301)から遠ざけられると、微粒子を有する液滴(2305)は磁石からのより小さい力の下で互いから離れる方向に相対的に広がることができる。例示としてこれには限定されないが、磁石はアッセイサーフェス(2301)の下面から約5mm離れる方向に移動させることができる。又は、電磁石の位置を変えずに電磁石によって移動磁界を発生することができる。例示として、一実施形態では、磁石がアッセイサーフェス(2301)に最も近くにあるとき、アッセイサーフェス(2301)と磁石Z1との間の距離は約0mmとすることができる。例示として、一実施形態では、磁石がアッセイサーフェス(2301)から最も遠くにあるとき、アッセイサーフェス(2301)と磁石Z2との間の距離は約5mmとすることができる。また、一実施形態では、洗浄領域ごとに、洗浄効率を向上させるために磁石を上方及び下方に約4回移動させることができる。又は、磁気要素(2315)による移動磁界は、APUの1つ以上のプロセッサによって制御される電磁石によって発生することができる。
【0131】
図24A~24Dに、複数の停止要素を有する別の例示のアッセイサーフェスを示す。一実施形態では、例示のアッセイサーフェスは、上部(2401)と下部(2410)と複数の停止要素(2405)とを含むことができる。図24Aに示すように、一実施形態では、例示としてこれには限定されないが、本主題により開示されるように、下部(2410)は複数の領域と、サンプル分離及び検出区画(2440)を画定する複数のチャネルとを含むことができる。例えば、チャネル(2420)は、第1の領域(2422)と第2の領域(2424)の間にある。例示としてこれには限定されないが、第1の領域は微粒子を貯蔵するために構成可能であり、第2の領域は適切な溶液中の目的分析物を貯蔵するために構成可能である。又は、微粒子又は分析物を貯蔵槽から手動で又は自動的に装填することができる。一実施形態では、下部(2410)の表面が、本明細書に記載のような疎水性材料、例えばCOPを含むことができる。
【0132】
図24Bに示すように、例示としてこれには限定されないが、複数の停止要素(2405)は下部(2410)における複数のチャネル内に挿入可能である。図24Cに示すように、一実施形態では、下部(2410)の複数の領域は、目的分析物の調製及び検出のための溶液と液滴を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、領域(2415)が、目的分析物と結合する複数の微粒子を含むことができる。図24Dに示すように、上部(2401)は、反応区画を画定するように下部(2410)と複数の停止要素(2405)とを被うことができ、反応区画を密閉し、反応区画への又は反応区画からの物質の望ましくない進入又は放出から反応区画を保護するように接合することができる。
【0133】
例示としてこれには限定されないが、複数の停止要素(2405)は疎水性材料、例えばゴムからなることができる。アッセイサーフェスの複数の領域には異なる組成物又は溶液を貯蔵することができ、複数のチャネルに複数の停止要素が配置される場合、複数の停止要素は、例えばこれには限らないが、アッセイサーフィスの発送、保管及び取り扱い中に領域の内容物の異なる領域への望ましくない移動を防止又は抑止することができる。
【0134】
次に図20~22を参照しながら、例示のサンプル調製及び検出システム(アッセイ処理システム(APS))及び方法について、例示のアッセイサーフェス(2000)及び例示のAPU(2100)を参照し、使用しながら開示する。又は、APSは別のアッセイサーフェス及び別のAPUを含むことができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、目的分析物はHIV Ag p24アッセイとすることができる。まず、適切な溶液がアッセイサーフェス(2000)の下部(2020)に装填される。一実施形態では、例示としてこれには限定されないが、適切な溶液は血清検体とすることができる。
【0135】
一実施形態では、微粒子貯蔵領域(2022)が、HIV Agアッセイと結合可能な常磁性ビーズ、例えばMS300ビーズを含むことができる。又は、微粒子は貯蔵槽から手動で又は自動的に装填することができる。サンプル貯蔵領域(2024)が、適切な溶液中のHIV Ag p24のアッセイを含むことができる。サンプル/コンジュゲート混合領域(2026)が、免疫反応及び/又は酵素反応のための適切なコンジュゲート及び試薬、例えば酵素nCIAP抗p24コンジュゲート(1 AP/コンジュゲート)を含むことができる。又は、試薬/コンジュゲートは、より大きい貯蔵槽から手動で又は自動的に装填することができる。微粒子貯蔵領域(2022)とサンプル貯蔵領域(2024)とサンプル/コンジュゲート混合領域(2026)の総溶液量は約15μLとすることができる。微粒子貯蔵領域(2022)とサンプル貯蔵領域(2024)とサンプル/コンジュゲート混合領域(2026)の総容積容量は、約25μL以下とすることができる。複数の洗浄領域(2028)が各々約10μLの洗浄緩衝液を含むことができる。検出領域(2032)は、各々が微粒子のうちの少なくとも単一の微粒子を保持するような寸法とされた複数の要素を含むことができる。一実施形態では、検出領域(2032)は、分析物検出のために構成されたナノウエルのアレイを含むことができる。検出領域(2032)は、50μLのAPの基質緩衝液を含むことができる。アッセイサーフェス(2000)が装填された後、複数のチャネル(2036)に複数の停止要素を挿入することができ、上部(2010)が複数の停止要素と共に下部を被うことができる。
【0136】
アッセイサーフェス(2000)は、例示のAPU(2100)におけるアッセイサーフェス受入れコンポーネントに配置可能である。磁気要素(2115)が移動磁界を発生することができる。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、磁気要素(2115)は磁石を含むことができ、摺動機構(2140)が磁石を水平方向に移動させることができる。
【0137】
複数の停止要素のうちの2つを、微粒子貯蔵領域(2022)とサンプル貯蔵領域(2024)の間のチャネル及びサンプル貯蔵領域(2024)とサンプル/コンジュゲート混合領域(2026)の間のチャネルから取り除くことができる。APUに混合動力学要素、例えば振動モーターが含まれる場合、混合動力学要素が微粒子貯蔵領域(2022)、サンプル貯蔵領域(2024)及びサンプル/コンジュゲート混合領域(2026)内の溶液及び液滴を所定の周波数で振動させることができ、それによって常磁性ビーズが目的分析物であるHIV Ag p24と結合するのを促進することができる。一実施形態では、振動モーターはこれらの領域内の溶液を、免疫反応を十分に行うように約110秒間、振動させることができる。又は、混合動力学要素は、磁界下での混合を促進するために電磁石を含むことができる。例示としてこれには限定されないが、目的分析物であるHIV Ag p24の場合に、混合及び酵素反応後に、例示のアッセイサーフェスの検出領域において受け取られた陽性信号と陰性信号が手動アッセイに基づいて受け取られた信号と比較可能である。
【0138】
一実施形態では、ステッピングモーター(2220)が、磁石をサンプル/コンジュゲート混合領域(2026)から第1の洗浄領域(2028)まで移動させることができる。又は、磁気要素(2115)は、アッセイサーフェスの長さに沿った移動磁界を発生する1つ以上の電磁石とすることができる。複数の停止要素(図示せず)のうちの1つを、サンプル/コンジュゲート混合領域(2026)と複数の洗浄領域(2028)のうちの第1の領域との間のチャネルから取り除くことができる。一実施形態では、磁石に接続された駆動要素(2210)が、磁石を第1の洗浄領域に近づく方向と離れる方向に移動させることができる。一実施形態では、磁石は上方及び下方に4回移動することができる。又は、これは垂直方向に移動磁界を発生する1つ以上の電磁石によって実現可能である。検出用のサンプルを調製するために、例えば第2及び第3及び任意の追加の洗浄領域について、本明細書に記載のような同様の技術を実施することができる。洗浄後、HIV Ag p24と結合した常磁性ビーズを検出領域(2032)内に移動することができる。一実施形態では、検出領域(2032)は、ナノウエルのアレイを含むことができる。例示として、微粒子又はビーズのナノウエル内への装填は磁力下とすることができる。磁力は、例示のAPUの磁気要素(2115)によって発生可能である。磁気要素は磁石又は電磁石とすることができる。例示として、磁力下のビーズ又は微粒子の装填は、効率と正確度を向上させることができる。更に、検出領域(2032)にわたる微粒子の複数回の通過又は移動は、複数のナノウエルにおける装填割合を高めることができる。上記に加えて又は上記に代えて、検出のために複数のナノウエルを封止するために、不活性液体、例えば油を分注することができる。一実施形態では、複数のナノウエルは、油貯蔵部(図示せず)、例えばシリンジオイルポンプから分注される約150μLの油によって封止することができる。
【0139】
図20~22を更に参照すると、一実施形態では、アッセイサーフェス(2000)の検出領域(2032)は、APUの検出コンポーネント(2125)によってAPUの検出領域(2120)において撮像可能である。例示としてこれには限定されないが、検出コンポーネント(2125)は、目的分析物と微粒子が内部にある複数のナノウエルからの光信号を記録又は測定するように構成されたカメラを含み得る。例示としてこれには限定されないが、例示のAPUの1つ以上のプロセッサが、検出コンポーネント(2125)に例示のアッセイサーフェスの検出領域(2032)の一連の画像を取得させることができる。一実施形態では、検出コンポーネント(2125)は、30秒ごとに単一分子カウントを行うために、複数のナノウエルの各々又は複数のナノウエルの各々内のビーズの表面からの個別の信号をカウントすることができる。上記に加えて又は上記に代えて、検出コンポーネント(2125)はナノウエル内の分析物の存在又は濃度を表す光信号の強度を測定することができる。
【0140】
例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、HIV Ag P24アッセイ(600fg/ml)の場合に、37℃での2分間の免疫反応と1.5分間の酵素反応の後、上記で開示されているような例示のシステムは、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して、同等の検出感度を達成することができる。例示としてこれには限定されないが、HIV AG p24アッセイの場合の合計アッセイ調製時間は約5.5分とすることができる。HIV1-Abアッセイ(0.02dil.)の場合、37℃での2分間の免疫反応と3分間の酵素反応の後、上記で開示されているような例示のシステムは、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して、同等の検出感度を達成することができる。例示としてこれには限定されないが、HIV1-Abアッセイの場合の合計アッセイ調製時間は約7分とすることができる。HBsAgアッセイ(1fM)の場合、37℃での2分間の免疫反応と2分間の酵素反応の後、上記で開示されているような例示のシステムは、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して、同等の検出感度を達成することができる。COVID-Agアッセイ(10,000cp/ml)の場合、37℃での2分間の免疫反応と1.5分間の酵素反応の後、上記で開示されているような例示のシステムは、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して、同等の検出感度を達成することができる。例示としてこれには限定されないが、COVID-Agアッセイの場合の合計アッセイ調製時間は約5.5分とすることができる。一実施形態では、例示としてこれには限定されないが、例示のシステムのサンプル量は10μLとすることができ、例示のシステムの試薬アッセイ量は15μLとすることができる。又は、例示のシステムのためのサンプル量は約10μL~約50μLとすることができる。又は、例示のシステムのサンプル量は50μL未満とすることができる。又は、例示のシステムのサンプル量は75μL未満とすることができる。又は、例示のシステムのサンプル量は100μ未満とすることができる。
【0141】
又は、一実施形態では、HIV Ag p24アッセイ(600fg/ml)の場合、例示のシステムは、2分間の免疫反応時間と1.5分間の酵素反応とを含む合計5.5分間のアッセイ調製時間により、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して同等の検出感度を達成することができる。一実施形態では、COVID-Agアッセイ(10,000cp/ml)の場合、例示のシステムは、2分間の免疫反応と1.5分間の酵素反応とを含む合計5.5分間のアッセイ調製時間で、従来のサンプル調製及び検出デバイス、例えばAbbott ARCHITECT(商標)システムと比較して同等の検出感度を達成することができる。
【0142】
図25に、本開示の主題による例示のアッセイサーフェス(2500)を示す。一実施形態では、アッセイサーフェス(2500)の上部(2560)が、アッセイサーフェス(2500)の複数の停止要素(2505)と下部(2570)とを被う。一実施形態では、下部(2570)は、複数の領域と、サンプル調製及び検出区画(2580)を画定する複数のチャネルとを含むことができる。例えば、複数の停止要素(2505)は1つのチャネル(2515)内に配置される。
【0143】
一実施形態では、下部(2570)の微粒子貯蔵領域(2523)は複数の微粒子を貯蔵するように構成可能である。又は、微粒子は領域(2523)に装填することができる。下部(2570)のサンプル貯蔵領域(2525)は、適切な溶液中の目的分析物を貯蔵するように構成可能である。下部(2570)のサンプル/コンジュゲート混合領域(2527)は、サンプルを微粒子及び試薬及び/又はコンジュゲートと混合するように構成可能である。又は、試薬/コンジュゲートを領域(2527)に添加することができる。一実施形態では、下部(2570)は1つ以上の洗浄領域(2530)を含むことができる。例示としてこれには限定されないが、下部(2570)は3つの洗浄領域を含む。一実施形態では、下部は目的分析物の検出のために構成された検出領域(2535)を含むことができる。上記に加えて又は上記に代えて、検出領域は、光学的検出領域、分析物デジタル検出のために構成された複数のナノウエル、又は任意のその他の適切な検出コンポーネントを含むことができる。例示としてこれには限定されないが、サンプル分析を行うとき、微粒子を磁力下でこれらの領域を通り検出領域(2535)内まで移動させることができる。
【0144】
一実施形態では、アッセイサーフェスは不活性液体貯蔵領域(2540)を更に含むことができる。不活性液体貯蔵領域は、複数の領域のうちの少なくとも1つを封止するために、不活性液体、例えば油を分散させるように構成可能である。上記に加えて又は上記に代えて、不活性液体貯蔵領域(2540)は、液体を分注するための液体注入口(2545)を含むことができる。
【0145】
図26は、本開示の主題の確認とキング-フィッシャー洗浄技術との比較を目的として、本明細書に記載のような移動磁界による洗浄技術を使用する洗浄効率を示すチャートである。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、HIV Ab p24アッセイの目的分析物が分析される。サンプル液滴を常磁性ビーズ、例えばMS300ビーズと混合することができる。洗浄効率の各評価は、チャート中の2つのバーを含み得る。例えば、バー1及びバー2は、検出中に受け取られた陰性信号及び陽性信号を表す。例示としてこれには限定されないが、奇数番号(1、3、5及び7)が付いたバーは各評価時に受け取られた陰性信号を表す。受け取られた陰性信号がより低い場合に洗浄効率がより高い。例示として、評価2601は磁界の移動なしに受け取られた信号を表し、評価2602は、垂直方向の磁界移動後に受け取られた信号を表す。例示として、信号のパーセンテージは、デジタル検出が行われる場合の測定の単位であり、陽性ナノウエル数を検出区画内の微粒子数で割ることにより計算することができる。評価2601は0.14%の信号を受け取り、評価2602は0.08%の信号を受け取った。例示として、評価2603及び2604は、キング-フィッシャー法を使用したそれぞれ、1回及び3回の洗浄の評価である。これらの各々が0.08%信号を受け取った。例示としてこれには限定されないが、垂直方向の磁界の移動を使用する混合サンプル液滴の洗浄は、洗浄効率をキング-フィッシャー洗浄法と同等レベルに向上させる。
【0146】
図27A~27Bは、本明細書に記載の移動磁界を使用する例示のビーズ装填技術を示す図である。一実施形態では、例示の技術は、本明細書に記載のように分析物及び酵素サンドイッチとコンジュゲートした単一のビーズ又は微粒子を、化学溶液(本明細書では基質とも呼ばれる)が満たされた単一のウエル内に播種し、封止することを含み得る。
【0147】
図27Aに示すように、例示のビーズ装填技術2700は、基質充填2710と微粒子播種2720と不活性液体封止2730とを含むことができる。2710において、基質溶液2701が調製され、基質溶液2701はリン酸塩ベースの材料と洗浄緩衝液とを含み得る。基質2701は、本明細書で更に説明するように、検出のための目的分析物を含有する微粒子2704からの蛍光信号を活性化するように構成可能である。図27Aを参照すると、例示としてこれには限定されないが、微粒子2704の播種の前に、マイクロウエルアレイ2702に近接する領域に基質溶液2701が導入される。一実施形態では、マイクロウエルアレイ2702の上方の区画が基質溶液2701であふれさせられ、基質溶液2701はマイクロウエルアレイ2702のマイクロウエルのうちの1つ以上を満たす。マイクロウエルアレイ2702の表面は、マイクロウエルアレイ2702に導入されると各マイクロウエル2703が基質2701で満たされるように、基質溶液2701に対して親水性とすることができる。基質液体によるマイクロウエルアレイ2702の表面の濡れは、本明細書で更に説明するようにマイクロウエルアレイ表面2702を横断する微粒子2704の移動を促すことができる。
【0148】
図27Aを更に参照すると、2720において、微粒子2704がマイクロウエルアレイに播種される。磁石(図示せず)が、マイクロウエル内に収まる大きさを有するコンジュゲートした微粒子2704を補助微粒子2705(使用される場合)と共にマイクロウエルアレイチャンバ2706内に移動させる。補助微粒子2705は、微粒子搬送を支援するように提供可能である。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、補助微粒子2705は10μmの大きさを有することができ、これはこの実施例では2.8μmの機能微粒子2704及び4.5μmのマイクロウエル7203より大きく、したがって補助微粒子2705がマイクロウエル2703内に播種されることになるのを防止する。磁界は、微粒子2704の大部分又は全部をマイクロウエル2703内に導入及び/又は残りの微粒子2704及び補助微粒子2705(使用される場合)をアレイ表面2702から除去するように構成することができる。微粒子2704がマイクロウエル2703内に播種された後、一部の余剰微粒子2704及び/又は補助微粒子2705(使用される場合)がアレイの上面2702に残り得る。
【0149】
図27Aを続けて参照すると、2730において、ある量の基質流体と単一のマイクロビーズ2704とを含む封止されたマイクロウエルのアレイを形成するように、油などの不活性液体がマイクロウエルチャンバ内に導入される、不活性液体封止が行われる。例えばこれには限定されないが、一実施形態では、不活性液体又は油2731は3MのFluorinert(商標)FC-40を含み得る。一実施形態では、油2731は、油がそこから導入されるチャンバの反対側に配置された陰圧源からの陰圧によりマイクロウエルチャンバ内に引き込むことができる。油2731は更に、本明細書に記載のようなインキュベーション(行われる場合)及び微粒子2703の撮像を含む、検出を行う前に、マイクロウエルアレイの最上部から余剰微粒子2704及び補助微粒子2705(使用される場合)を除去することができ、個々のマイクロウエル2703を封止することができる。油封止2730に影響を与える可能性があるパラメータには、播種2720時に印加される磁界、マイクロウエルアレイ2702の表面特性、基質2701及び油2731の液体特性、機能微粒子2704及び補助微粒子2705(使用される場合)の量、播種効率、及び油封止流量が含まれる。
【0150】
次に図27Bを参照すると、本明細書に記載のような播種及びウエルの封止を含む、例示のビーズ装填技術の利点を更に示すために、封止ウエルと非封止ウエルとを有するマイクロウエルアレイの一例が示されている。左側において、基質2701で満たされた封止ウエルが、単一の活性微粒子2704を含む様子が示されている。基質2701は、検出のための目的分析物を含有する活性微粒子2704からの蛍光信号を活性化するように構成可能であり、封止ウエルは、目的分析物の単一分子を含む単一微粒子2704をカウントすることができるようにするために、微粒子2704を他の微粒子から分離することができる。
【0151】
図27Bを更に参照すると、封止ウエルの右側に、一方が単一の活性微粒子2704を含む第1の1対の非封止ウエルが、マイクロアレイ表面2702の上方及び1対の非封止ウエルの間に溜まった基質2701と共に示されている。したがって、活性微粒子2704からの蛍光信号が基質2701によって活性化されると、蛍光信号は、アレイ表面2702の上方で隣接ウエルに向かって基質2701の溜まり内に漏れることができ、それによって不良蛍光信号を検出させる。不良蛍光信号は、例えば粒子を含むマイクロウエルからマイクロアレイ2702の表面上及び/又は隣接ウエルに蛍光信号が漏れることによって生じるノイズ又は干渉に起因して、目的分析物の単一分子がカウントされるのを妨げ得る。例えばこれには限定されないが、基質の溜まりは、結果として得られるアレイの画像のかすみ又は曇りを生じさせる可能性があり、これは個別の微粒子2704が活性であるか否かの判定を阻止又は抑止し得る。
【0152】
図27Bを続けて参照すると、第1の1対の非封止ウエルの右側に、第2の1対の非封止ウエルが、マイクロアレイ表面2702の上方及び第2の1対の非封止ウエルの間に溜まった基質2701と共に示されており、第2の1対の非封止ウエルの一方が単一の不活性粒子2704を含んでいる。第2の1対の非封止ウエルの間の基質の溜まりは、更に、隣接ウエルからの他の蛍光信号を遮断することによってもたらされるノイズ又は干渉を生じさせ得る。例えばこれには限定されないが、基質の溜まりは、隣接ウエルから及び/又は基質中の非結合物質からの蛍光干渉に少なくとも部分的に起因し得る、結果として得られるアレイの画像のかすみ又は曇りを生じさせる可能性があり、これは微粒子2704が不活性であるか否かの判定を阻止又は抑止し得る。例示としてこれには限定されないが、一実施形態では、封止ウエルを有するマイクロアレイ2702は、アレイにおける活性及び不活性微粒子2704の検出画像におけるノイズを低減することができ、それによって検出システムの信号対ノイズ比を向上させる。
【0153】
本明細書では本開示の主題について、特定の好ましい実施形態に関して説明したが、当業者は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく本開示の主題に様々な修正及び改良を加えることができることがわかる。また、本開示の主題の一実施形態の個々の特徴について本明細書において説明され、又は1つの実施形態の図面に示され、他の実施形態には示されていない場合があるが、1つの実施形態の個々の特徴を別の実施形態の1つ以上の特徴又は複数の実施形態からの特徴と組み合わせることができることは明らかである。
【0154】
以下で特許請求されている具体的な実施形態に加えて、本開示の主題は、以下で特許請求されている従属特徴及び上記で開示されている特徴の任意のその他の可能な組合せを有する他の実施形態も対象とする。したがって、従属請求項に示されており上記で開示されている特定の特徴を、本開示の主題の範囲内で他の方式で互いに組み合わせることができ、そのため、本開示の主題は任意の他の可能な組合せを有する他の実施形態も明確に対象とするものとみなされるべきである。したがって、本開示の主題の具体的な実施形態の上記の説明は、例示と説明を目的として示されている。網羅的であること又は本開示の主題を開示されている実施形態に限定することは意図されていない
当業者には、本開示の主題の思想又は範囲から逸脱することなく本開示の主題の方法及びシステムに様々な修正及び変形を加えることができることは明らかである。したがって、本開示の主題は、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7A
図7B
図7C
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図25
図26
図27A
図27B
【国際調査報告】