(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】エマルション、エマルション用組成物、それを作製するための方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20241106BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241106BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241106BHJP
A23D 7/01 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/37
A61K8/19
A23L2/52
A23D7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524686
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022080246
(87)【国際公開番号】W WO2023073195
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】322003189
【氏名又は名称】アディポス エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ストランスキー-ハイルクロン,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】バビチ,アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4B026
4B117
4C083
【Fターム(参考)】
4B026DC06
4B026DG01
4B026DK01
4B026DK04
4B026DK10
4B026DP01
4B117LK06
4B117LL06
4C083AA112
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC441
4C083AC442
4C083BB04
4C083CC01
4C083DD31
4C083DD35
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、エステル構成成分、非イオン性界面活性剤構成成分および水構成成分によって特徴付けられ、手で振盪することなどの低または超低エネルギーの方法を使用する乳化により、小さい粒子サイズを有する保存安定性のあるエマルションを得ることが可能である、エマルションならびにそれを作製するための組成物および方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の実施形態(Ae)、(Be)、(Ce1)、(Ce2)、(Ce3)および(Ce4)、
(Ae)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化1】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、1種または複数の非イオン性界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満であり、
低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法を用いた乳化によって得られる、エマルション;
(Be)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化2】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、および臭素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
エステル構成成分が、R
1基の一部としてヨウ素原子を一切含有せず、
界面活性剤が、1種または複数の非イオン性界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、エマルション;
(Ce1)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化3】
(式中、R
1は、直鎖状C
14~C
20アルキル基または直鎖状C
14~C
20アルケニル基であり、これらの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択される1個、2個または3個のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよく、
R
2は、直鎖状もしくは分岐状のC
1~C
6アルキル基または直鎖状もしくは分岐状のC
1~C
6アルケニル基、好ましくは直鎖状もしくは分岐状のC
1~C
4アルキル基または直鎖状もしくは分岐状のC
1~C
4アルケニル基から選択され、これらの各々は、非置換であるかまたはF、Cl、Br、I、OHもしくは-OCH
3から独立して選択される1個、2個もしくは3個の置換基を保有してもよい)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、1種または複数の非イオン性界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、エマルション;
(Ce2)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化4】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、1種または複数の非イオン性界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、精製水以外の水系飲料であり、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、エマルション;
(Ce3)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化5】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大20個もしくはさらに最大200個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または最大20個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、例えばポロキサマー124および脂肪酸のモノグリセリド、例えばモノステアリン酸グリセリルから各々選択される1種または複数の界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、例えば精製水以外の水系飲料であり、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、エマルション;ならびに
(Ce4)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなるエマルションであって、
エステル構成成分が、一般式I:
【化6】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大20個もしくはさらに最大200個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または最大20個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから各々選択される1種または複数の界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、例えば精製水以外の水系飲料であり、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、エマルション
から選択される、エマルション。
【請求項2】
以下の実施形態(Ape)、(Bpe)および(Cpe)、
(Ape)組成物を含有する容器と、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用製品であって、組成物が、エマルションの形態でなく、エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、
エステル構成成分が、一般式I:
【化7】
(式中、R
1は、30個以下の炭素原子を含有し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から各々独立して選択される1~6個の置換基によって任意選択により置換されている炭化水素基を表し、
R
2は、直鎖C
1~12アルキル基、分岐鎖C
3~12アルキル基、環状C
3~12アルキル基、直鎖C
2~12アルケニル基、分岐鎖C
3~12アルケニル基、環状C
5~12アルケニル基、直鎖C
2~12アルキニル基、分岐鎖C
4~12アルキニル基、C
5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される任意選択により置換された基を表す)によって各々特徴付けられる1種または複数の化合物であり、
界面活性剤が、1種または複数の非イオン性界面活性剤化合物であり、
水構成成分が、水からなるかまたは水を含み、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、乳化用製品;
(Bpe)組成物を含有する容器と、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用製品であって、組成物が、エマルションの形態でなく、エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分が、請求項1、実施形態(Be)に規定された通りであり、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、乳化用製品;
(Cpe)組成物を含有する容器と、任意選択により、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用製品であって、組成物が、エマルションの形態でなく、エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分が、請求項1、実施形態(Ce1)、(Ce2)、(Ce3)、または(Ce4)に規定された通りであり、
エステル構成成分の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~60重量%であり、
界面活性剤の相対量が、エステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対して0重量%超~40重量%未満である、乳化用製品
から選択される、乳化用製品。
【請求項3】
以下の実施形態(App)、(Bpp)および(Cpp)、
(App)プレミックス組成物を含有する容器と、水構成成分を添加し、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用のプレミックス製品であって、プレミックス組成物が、請求項1、実施形態(Ae)に規定された通りであるエステル構成成分、界面活性剤および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、プレミックス組成物が、水構成成分を含まず、エステル構成成分と界面活性剤の重量比が、50:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、2~60%である、またはエステル構成成分と界面活性剤の重量比が、10:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、10~60%である、プレミックス製品;
(Bpp)プレミックス組成物を含有する容器と、水構成成分を添加し、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用のプレミックス製品であって、プレミックス組成物が、請求項1、実施形態(Be)に規定された通りであるエステル構成成分、界面活性剤および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、プレミックス組成物が、水構成成分を含まず、エステル構成成分と界面活性剤の重量比が、50:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、2~60%である、またはエステル構成成分と界面活性剤の重量比が、10:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、10~60%である、プレミックス製品;
(Cpp)プレミックス組成物を含有する容器と、水構成成分を添加し、容器の手動振盪などの低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法によって乳化するための説明書とを含む乳化用のプレミックス製品であって、プレミックス組成物が、請求項1、実施形態(Ce1)、(Ce2)、(Ce3)、または(Ce4)に規定された通りであるエステル構成成分、界面活性剤および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなり、プレミックス組成物が、水構成成分を含まず、エステル構成成分と界面活性剤の重量比が、50:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、2~60%である、またはエステル構成成分と界面活性剤の重量比が、10:1~2:3の範囲内であり、および/もしくはエステル構成成分および界面活性剤の総重量に対する界面活性剤の重量が、10~60%である、プレミックス製品
から選択される、プレミックス製品。
【請求項4】
エマルションを製造するための方法であって、以下の実施形態(Am)、(Bm)および(Cm)、
(Am)エマルションを製造するための方法であり、以下の工程:
(a)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物を用意する工程と、
(b)低または超低エネルギーの乳化方法を使用して、工程(a)の組成物を乳化する工程と
を含み、工程(a)のエステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物が、請求項2、実施形態(Ape)に規定された通りである、方法;
(Bm)請求項1、実施形態(Be)に記載のエマルションを製造するための方法であり、以下の工程:
(a)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物を用意する工程と、
(b)低または超低エネルギーの乳化方法を使用して、工程(a)の組成物を乳化する工程と
を含み、工程(a)のエステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物が、請求項2、実施形態(Bpe)に規定された通りである、方法;
(Cm)請求項1、実施形態(Ce1)、(Ce2)、(Ce3)または(Ce4)に記載のエマルションを製造するための方法であり、以下の工程:
(a)エステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物を用意する工程と、
(b)低または超低エネルギーの乳化方法を使用して、工程(a)の組成物を乳化する工程と
を含み、工程(a)のエステル構成成分、界面活性剤、水構成成分および1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分からなる組成物が、請求項2、実施形態(Cpe)に規定された通りである、方法
から選択される、方法。
【請求項5】
R
1が、15~17個の炭素原子を有し、非置換であるかまたはフッ素、塩素、および臭素から独立して選択される1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個の置換基によって置換されている、請求項1の実施形態のいずれかに記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかに記載のエマルション用製品、請求項3の実施形態のいずれかに記載のプレミックス、または請求項4の実施形態のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
R
1が、15~17個の炭素原子を有し、非置換であるかまたはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素から独立して選択される1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個の置換基によって置換されている、請求項1、実施形態(Ae)、(Be)、(Ce1)、(Ce2)、(Ce3)もしくは(Ce4)に記載のエマルション、請求項2、実施形態(Ape)もしくは(Cpe)に記載のエマルション用製品、請求項3、実施形態(App)もしくは(Cpp)に記載のプレミックス、または請求項4、実施形態(Am)もしくは(Cm)に記載の方法。
【請求項7】
R
2が、直鎖状C
1~4アルキル基、分岐状C
3~4アルキル基、直鎖状C
2~4アルケニル基、分岐状C
3~4アルケニル基、直鎖状C
2~4アルキニル基および分岐状C
4アルキニル基、好ましくはC
1~4-アルキル基から選択される非置換の基である、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5もしくは6に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5もしくは6に記載のエマルション用製品、請求項3の実施形態のいずれかまたは請求項5もしくは6に記載のプレミックス、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5もしくは6に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤が、単一の界面活性剤である、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6もしくは7に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6もしくは7に記載のエマルション用製品、請求項3の実施形態のいずれかまたは請求項5、6もしくは7に記載のプレミックス、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6もしくは7に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤が、3~60個、好ましくは4~40個のエチレンオキシ単位を有するポリオキシエチレン基、単糖、二糖、糖アルコールから独立して選択される少なくとも1個の親水性基、ならびに飽和または不飽和炭化水素基、好ましくはアルキル基から独立して選択され、前記炭化水素基が8~20個、好ましくは12~18個の炭素原子を有する少なくとも1個の疎水性基を含有する化合物から選択される、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7もしくは8に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7もしくは8に記載のエマルション用製品、請求項3の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7もしくは8に記載のプレミックス、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7もしくは8に記載の方法。
【請求項10】
水構成成分が、水道水、鉱水、炭酸水、ソフトドリンク、好ましくはコーラ、レモネードもしくはジンジャーエール、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、牛乳または医薬品グレードの水溶液、例えば薬学的に許容される緩衝液、好ましくはクエン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸、酢酸、生理食塩水、グルコース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール溶液から選択される、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8もしくは9に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8もしくは9に記載のエマルション用製品、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8もしくは9に記載の方法。
【請求項11】
本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対するエステル構成成分の総重量が、5~50%の間、好ましくは10~40%の間であり、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する界面活性剤の重量が、2%超かつ30%以下、好ましくは4~26%の間である、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9もしくは10に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9もしくは10に記載のエマルション用製品、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9もしくは10に記載の方法。
【請求項12】
エステル構成成分対界面活性剤の比が、40:1~40:60(w/w)の間、特に90:10~40:60(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比が、1000:1~55:45(w/w)の間であり、水対エステル構成成分の比が、1000:1~4:6(w/w)の間である、好ましくは、エステル構成成分対界面活性剤の比が、20:1~45:55(w/w)の間、特に85:15~45:55(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比が、400:1~65:35の間であり、水対エステル構成成分の比が、400:1~45:55(w/w)の間である、より好ましくは、エステル構成成分対界面活性剤の比が、10:1~70:30(w/w)の間、特に50:50~70:30(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比が、100:1~80:20(w/w)の間であり、水対エステル構成成分の比が、100:1~1:1(w/w)の間である、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10もしくは11に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10もしくは11に記載のエマルション用製品、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10もしくは11に記載の方法。
【請求項13】
界面活性剤が、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して2~60%、好ましくは4~55%、より好ましくは9~50%の重量で存在する、または界面活性剤が、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して10~60%、好ましくは15~55%、より好ましくは30~50%の重量で存在する、請求項3の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、もしくは9に記載のプレミックス。
【請求項14】
工程(b)の乳化が、超低エネルギーの方法を使用して、好ましくは手で振盪することによって実施され、および/または工程(b)の乳化の持続時間が、1.5秒~120秒、好ましくは1.5~60秒、より好ましくは2秒~30秒である、請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10、11もしくは12に記載の方法。
【請求項15】
水構成成分に可溶性である少なくとも1種の任意選択によるさらなる構成成分が存在し、および/または液体であり、エステル構成成分と混和性である少なくとも1種の任意選択によるさらなる構成成分が存在する、請求項1の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10、11もしくは12に記載のエマルション、請求項2の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10、11もしくは12に記載のエマルション用製品、請求項3の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9もしくは13に記載のプレミックス、または請求項4の実施形態のいずれかまたは請求項5、6、7、8、9、10、11、12もしくは14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤を用い、溶媒または共溶媒を用いず、手で振盪することなどの超低エネルギーの調製方法を用いて得ることができるエマルション、とりわけ安定なナノエマルション、その使用、本発明のエマルションを調製するための水を含有する組成物および水を含まないプレミックス、ならびにその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
エマルションは、液滴が分散相を形成するのに対し、それを取り囲む液体が連続相を形成する、2種の非混和性液体の分散液と定義される1。エマルションを形成するために一般的に使用される液体は、精製水および油である。水性相に分散した油滴は、水中油(o/w)型エマルションとして知られている。これらのエマルション系は、疎水性活性物質の送達に使用することができる。油に分散した水滴は、油中水(w/o)型エマルションと呼ばれ、親水性化合物の送達に使用される。
【0003】
エマルションは、その液滴サイズおよび安定性に基づいて、粗エマルション、マイクロエマルションおよびナノエマルションとして類別される。粗エマルションは、従来のエマルションまたはマクロエマルションとしても知られている。それらは、直径>200nmの範囲の粒子サイズを有し、熱力学的に準安定である。それらは、様々な不安定化要因に起因して経時的に崩壊する。従来のエマルションは、光学的に混濁しており、その理由は、液滴サイズが光の波長のサイズと同様であり、よって、液滴が入射光を散乱させ、エマルションが不透明に見えるからである。マイクロエマルション中の液滴は、サイズが<100nmである。マイクロエマルションは、熱力学的に安定である。しかしながら、その安定性は、組成、温度およびpHなどの環境条件のわずかな変動からでさえ影響を受ける場合がある。マイクロエマルションは、自発的に形成する。粒子サイズが光の波長よりも小さいことから、それらは、光学的に透明または半透明である。ナノエマルションは、マイクロエマルションと同様の液滴寸法を有し、典型的には<300nm、いくつかの場合には<200nmまたはさらに<100nm以下である。従来のエマルションと同様に、ナノエマルションは、経時的に相分離が起こることから、熱力学的に準安定である。しかしながら、ナノエマルションは、小さいサイズの液滴間の引力の低減に起因して重力分離および液滴凝結がないことから、動力学的安定性を付与される。ナノエマルションは、熱力学的に安定なマイクロエマルションとは異なり、典型的には、温度およびpHを含めた物理的および化学的変動から影響を受けない。
【0004】
ナノエマルションの配合は、2種の非混和性液体および1種または複数の乳化剤の使用を必要とする。油相は、典型的には、非極性構成成分、例えば植物、鉱物もしくは動物性油または脂肪、または他の非極性溶媒から作製される。非極性精油、脂質代用品、樹脂、ワックス、増量剤、油溶性ビタミン、および様々な親油性構成成分もまた、油相の構成成分として使用することができる。ナノエマルションの水性相は、通常、極性溶媒および少なくとも1種の共溶媒から作製される。最も一般的に使用される極性溶媒は、精製水であり、任意選択により塩を添加して、緩衝水溶液(緩衝液)を得る。炭水化物、タンパク質、アルコール、およびポリオールは、共溶媒として使用される。エマルションは、オストワルド熟成(経時的な平均液滴サイズの増加)、軟凝集、合一、および重力分離に起因して崩壊し得る。これは、安定化剤を添加することによって防止することができる。安定剤は、粒子上に分布し、単層、多層、または固体微粒子ナノエマルションのいずれかを形成することができる。技術水準のナノエマルションにおいて使用される安定剤の一部は、界面活性剤、増量剤、熟成遅延剤(ripening retarder)、および質感改変剤である。
【0005】
界面活性剤は、表面活性分子である。それらは、界面張力を低減し、小さく安定なナノエマルションの形成をもたらす。界面活性剤はまた、液滴間の衝突および合一を防止し、(ナノ)エマルションの動力学的安定性を上昇させる。それらは、性質がカチオン性、アニオン性、非イオン性、または双性イオン性であり得る。乳化剤のいくつかの例は、小分子界面活性剤、リン脂質、タンパク質、および多糖である。2種以上の界面活性剤をその相乗効果のために(ナノ)エマルションの配合において一緒に使用することができる。
【0006】
ナノエマルションは、これらの系の界面表面積を増加させる多数の液滴を有する。そのような大きい界面表面積を作り出すために、大量のエネルギーが必要とされる。したがって、ナノエマルションの形成は、自発的でなく、エネルギー投入を必要とする。ナノエマルションは、高または低エネルギーの方法のいずれかによって調製することができる。高エネルギーの方法は、油相を破壊して、水相と相互作用させ、より小さい油滴を形成する、高圧バルブホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよび超音波処理機などの機械的装置の使用を伴う。
【0007】
低エネルギーの方法によるナノエマルションの形成は、温度、組成、および溶解度などの物理化学的特性に依拠する2。転相温度法は、油、水および界面活性剤を室温で混合し、次いで、混合物の温度を徐々に上昇させること(エネルギーの付加)に本質がある。いわゆる転相温度を上回ると、界面活性剤の溶解度が水性相から油相へと変化し、油中水型エマルションをもたらす。次いで、混合物を急速に冷却して、水中油型ナノエマルションを得る。
【0008】
2つの液相を室温で混合すると、自発的乳化が起こり得る3。相の一方は、純粋に水性であり、他方の相は、油、界面活性剤および水混和性共溶媒の混合物である。溶媒は、油性から水性相へと移動して、それにより、水/油界面で大きな乱流を誘導する。単独では熱力学的に安定である2種の液体は、混合されると、非平衡状態に達する。したがって、親水性材料の油から水相への迅速な移行は、界面面積の劇的な増加をもたらし、準安定なエマルション状態を生じさせる。この自発的乳化方法を用いてナノメートルスケールの液滴を得るために、文献で一般的に報告されている実験条件は、非常に高い溶媒/油比(例えば、混合前の有機相中の油の非常に低い百分率)を伴う。よって、溶媒拡散がさらに急速であり、それにより発生した乱流が、ナノスケールの液滴を形成させる。
【0009】
低い水溶解度を有する分子を投与するための自己乳化薬物送達系(SEDDS)もまた開発された4。それらは、錠剤またはソフトもしくはハードシェルカプセル剤として製剤化された油、界面活性剤ならびに共界面活性剤および/または共溶媒から作製される。経口投与に続いて、胃腸管内でエマルションが形成され、溶解度の向上、酵素分解からの保護および腸管吸収の改善につながる。これらの系は、投与後に形成される脂質粒子が100nmまたは200nmを下回る場合、それぞれ自己マイクロ乳化または自己ナノ乳化薬物送達系(SMEDDSまたはSNEMDDS)とも称される。油相は、通常、中鎖または長鎖トリグリセリドから作製される。SEDDSの製剤には、界面活性剤に加えて、共界面活性剤または共溶媒が添加される。最も一般的なものは、プロピレングリコール、エタノール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。
【0010】
市販の自己マイクロ乳化薬物送達系の例は、Sandimmune Neoralである。これは、ソフトカプセルに充填された、シクロスポリン(医薬品有効成分)、エタノール(溶媒)、モノリノール酸グリセロール(共界面活性剤)、プロピレングリコール(共溶媒)、およびポリオキシル40水添ヒマシ油(界面活性剤)を含有する。
【0011】
技術水準のエマルションの共通の一般特徴は、複数の構成成分を含むやや複雑な組成によって特徴付けられることおよび/または高エネルギーの製造方法を必要とすることおよび/または長期間にわたって安定でないことである。したがって、低エネルギーの方法を用いて調製することができ、長期間にわたって安定である単純なエマルションの提供が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、技術水準の課題および欠点を克服するという目的を有する。詳細には、本発明の目的は、手で振盪することなどの低エネルギーの製造プロセスによって調製することができる安定なエマルションを提供することである。さらなる目的は、複数の安定剤、複数の界面活性剤および共界面活性剤、溶媒、共溶媒などを含む複雑な組成を必要としないエマルションを提供することである。別の目的は、狭い粒子サイズ分布、すなわち、低い多分散指数によって特徴付けられるエマルションを提供することである。本発明のさらなる目的は、化粧品および/または食料品の分野における活性剤のための担体として好適であるエマルションを提供することである。当然ながら、上述の目的の2つ以上を達成するエマルションを提供することもまた目的である。本発明のまた別の目的は、本発明のエマルションを調製するための手段および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、特定のエステル構成成分を含有する組成物を使用すると、室温で手で振盪するという非常に低エネルギーのプロセスによって、高い油相含有率を有する、典型的には高度に均質な、低多分散性エマルションである有利なエマルションを得ることができる。そのようなエマルションは、典型的には、20~400nmの間の粒子サイズおよび0.40以下の多分散指数を呈する。驚くべきことに、室温で数週間または数カ月間(外観および粒子サイズが)安定なままであるエマルションを、界面活性剤を用いて得ることができる。
【0014】
本発明は、これらの知見に基づく。したがって、これは、本明細書の下記および添付の特許請求の範囲に規定された技術的教示によって上記の目的を達成する。詳細には、本発明は、添付の請求項1に定義されたエマルションを提供する。本発明はさらに、添付の請求項2に規定された乳化用製品を提供する。本発明はさらに、本発明のエマルションを調製するためのプレミックスを提供する。このプレミックスは、添付の請求項3に規定されている。また別の態様では、本発明は、本発明のエマルションを作製するための方法を提供する。そのような方法は、添付の請求項4に規定されている。本発明の異なる実施形態の好ましい態様は、従属請求項5~15に規定されている。さらなる好ましい態様および発明の実施方式は、下記の詳細な説明で提供される。
発明の詳細な説明
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例3のエマルションについての三成分図を示す。「w」という略語は、水構成成分の含有率を表し、図の頂部の0重量%~右下隅の100重量%の範囲である。「s」という略語は、界面活性剤構成成分の含有率を表し、図の左下隅の0重量%~頂部の100重量%の範囲である。「o」という略語は、エステル構成成分の含有率を表し、図の右下隅の0重量%~左下隅の100重量%の範囲である。図内の灰色領域は、安定なエマルションの形成が観察された組成比を特徴付ける。これらの図について、安定なエマルションは、少なくとも24時間安定と定義された。
【
図2】実施例4のエマルションについての三成分図を示す。「w」という略語は、水構成成分の含有率を表し、図の頂部の0重量%~右下隅の100重量%の範囲である。「s」という略語は、界面活性剤構成成分の含有率を表し、図の左下隅の0重量%~頂部の100重量%の範囲である。「o」という略語は、エステル構成成分の含有率を表し、図の右下隅の0重量%~左下隅の100重量%の範囲である。図内の灰色領域は、安定なエマルションの形成が観察された組成比を特徴付ける。これらの図について、安定なエマルションは、少なくとも24時間安定と定義された。
【
図3】実施例5のエマルションについての三成分図を示す。「w」という略語は、水構成成分の含有率を表し、図の頂部の0重量%~右下隅の100重量%の範囲である。「s」という略語は、界面活性剤構成成分の含有率を表し、図の左下隅の0重量%~頂部の100重量%の範囲である。「o」という略語は、エステル構成成分の含有率を表し、図の右下隅の0重量%~左下隅の100重量%の範囲である。図内の灰色領域は、安定なエマルションの形成が観察された組成比を特徴付ける。これらの図について、安定なエマルションは、少なくとも24時間安定と定義された。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書に記載されたものと同様のまたは均等な方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。本明細書に記述されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で論じられる刊行物および出願は、本出願の出願日前のその開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなる内容も、先行発明により本発明がそのような刊行物に先行する権利を有さないことの承認とは解釈されない。加えて、材料、方法、および例は、実例にすぎず、限定することを意図したものではない。
【0017】
矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が優先する。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本明細書における主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の定義が本発明の理解を容易にするために提供される。
【0019】
「含む(comprise)」という用語は、一般に、含める(include)という意味で使用され、換言すれば、1つもしくは複数の特徴または1種もしくは複数の構成成分の存在が許される。具体的な一実施形態によれば、「含む」という用語は、「からなる」というより限定的な意味を有することを意図している。
【0020】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形には、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の言及対象が含まれる。
【0021】
本明細書における化合物の記載は、例として、IUPAC「Gold Book」(2021年10月26日の状態)および関連刊行物に反映されるような化学名または構造式に対する一般に認められている専門用語を使用して理解されるべきである。別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、本明細書に記載された化合物は、すべての原子の原子価が近隣原子との共有結合によって飽和されている電荷を有さない概して安定な化合物である。化学における標準的な慣行に従って、構造式は、炭素原子に結合している水素原子を省略することによって描くことができる。したがって、炭素原子の自由原子価は、水素原子によって飽和されていると理解されるべきである。
【0022】
別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、本明細書に記載されたすべての方法工程は、関係する構成成分が好適な粘度を示す任意の温度で行うことができる。これには、特に、15~35℃、より好ましくは18~30℃、最も好ましくは20~25℃の温度範囲が含まれる。本発明に関連して、「室温」は、22℃の温度を意味する。
【0023】
別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、すべての相対量表示は、重量対重量ベースで表示される。別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、相対量表示のベースは、相対量表示が示される組成物の総重量である。
【0024】
エマルションに関して本明細書で使用される「油」という用語は、式(I)、(A)、(B)、(C)、(D)または(E)に関して本明細書の下記に規定されたエステル構成成分に加えて、エステル構成成分によって形成される相に溶解する任意のさらなる構成成分を指す。
【0025】
本明細書で使用される「ジェミナル」という用語は、同じ原子に付着している2個の原子または官能基間の関係を指す。
【0026】
「ビシナル」という関連用語は、隣接する原子に付着している2個の原子または官能基間の関係を指す。
【0027】
本明細書で使用される「複数のヨウ素原子が存在する場合、ヨウ素原子は、ジェミナルでもビシナルでもないことが必要とされる」という記述は、上記に定義されたジェミナルまたはビシナルであるヨウ素原子の対が一切存在してはならないことを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語には、任意の直鎖または分岐状の脂肪族飽和炭化水素基が含まれる。別段の規定がない限り、アルキル基は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、最も好ましくは1~4個の炭素原子のいずれかを有することができる。好ましいアルキル基は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含有する任意の直鎖または分岐状の脂肪族炭化水素基を特徴付ける。各炭素-炭素二重結合は、独立して、EまたはZ立体配置であり得る。別段の規定がない限り、アルケニル基は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、最も好ましくは2~4個の炭素原子のいずれかを有することができる。
【0030】
本明細書に記載された化合物の一部は、異なる位置異性体および/または立体異性体を形成し得る。明示的な規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、異なる異性体を形成する化合物への各言及は、純粋な形態の可能な異性体の各々への言及、さらには可能な異性体の混合物への言及と理解されるべきである。例えば、化合物が1つのキラル中心を含有する場合、化合物は、単一の異性体(RもしくはS)としてまたは異性体の混合物、例えばラセミ混合物として提供することができる。化合物が2つ以上のキラル中心を含有する場合、化合物は、鏡像異性的に純粋なジアステレオ異性体としてまたは2種以上の異なる鏡像異性体および/もしくはジアステレオ異性体の混合物として提供することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含有する任意の直鎖または分岐状の脂肪族炭化水素基を特徴付ける。別段の規定がない限り、アルキニル基は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、最も好ましくは2~4個の炭素原子のいずれかを有することができる。
【0032】
「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルを表す。アルコキシの例は、C1~C6アルコキシであり、これは、酸素原子に付着した1~6個の炭素原子を有する直線または分岐状のアルキル鎖を表す。例示的なC1~C6アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。C1~C6アルコキシには、具体的な実施形態としてC1~C4アルコキシ基がその定義内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される「芳香族基」という用語は、炭素環式または複素環式の、芳香族の、5~14員の単環式または多環式環を指す。したがって、これには、C5~14アリール基および5~14員ヘテロアリール基が含まれる。ヘテロアリール基は、N、OおよびSから独立して選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含有し得る。例示的なアリールには、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルが含まれる。例示的なヘテロアリールには、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキシアリニル、キンゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、beta-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルが含まれる。本明細書で使用される場合、「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、非局在化電子を有する芳香族系に関与しない1個または複数の原子を含有する芳香族基もまた包含することを意図している。典型的な例は、フルオレニル基または9,10-ジヒドロフェナントレニル基である。
【0034】
有機化学において、「飽和」化合物は、単結合によって互いに連結された炭素原子の鎖を有する化合物である。アルカンは、飽和炭化水素である。「不飽和」化合物は、炭素-炭素二重結合または三重結合、例えばそれぞれアルケンまたはアルキンに見られるものを含有する化合物である。飽和および不飽和化合物は、炭素原子鎖のみからなる必要はない。それらは、直鎖、分岐鎖、または環配置を形成することができる。それらはまた、官能基を有することができる。この意味で、脂肪酸は、飽和または不飽和として分類される。脂肪酸の不飽和の量は、そのヨウ素数を調べることによって決定することができる。
【0035】
不飽和化合物は、付加反応を得ることができるものである。炭素の鎖、例えば脂肪酸において、二重または三重結合は、鎖のよじれを引き起こす。これらのよじれは、マクロ構造的意義を有する。不飽和脂肪は、室温で固体ではなく液体である傾向があり、その理由は、鎖のよじれにより、分子が互いに密に詰まって、固体を形成することが防止されるからである。
【0036】
本発明に関連して、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指すために使用される。
【0037】
本発明に関連して、「~に由来する部分」という文言は、これが由来する化合物の1個または複数の水素原子が、隣接する単数あるいは複数の部分に結合するための1つまたは複数の共有結合によって置き換えられていることのみを除き、前記化合物と同一である部分を特徴付けることを意図している。
【0038】
本発明に関連して、「高エネルギーの方法」という用語は、典型的には、油相を破壊して、水相と相互作用させ、より小さい油滴を形成する、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよび超音波処理機などの装置の使用を必要とする方法を指す。「低エネルギーの方法」という用語は、典型的には、温度、組成、および溶解度などの物理化学的特性に依拠する方法2、例えば転相温度および自己乳化を指す。
【0039】
特に、「高エネルギーの方法」という用語は、107Pa(またはJ/m3)超のエネルギー密度を有する任意の方法を指す。5「低エネルギーの方法」という用語は、106Pa(またはJ/m3)未満のエネルギー密度を有する任意の方法を指す。「超低エネルギーの方法」という用語は、105Pa(またはJ/m3)未満という特に低い量のエネルギー密度を必要とする方法;例えば手で振盪することまたは同じもしくは同様の投入エネルギー密度を有する方法を特徴付ける。加えて、超低エネルギーの方法を使用して調製されるエマルションは、典型的には、120秒以下、好ましくは60秒以下、より好ましくは30秒以下で得られる。乳化方法を行うために装置が使用される場合、エネルギー密度は、装置の消費電力をエネルギー密度に変換することによって決定することができる。D.M.Lloydら、Journal of Food Engineering 166(2015)316~324の第2.5節で提供される情報を、消費電力の決定に使用することができる。手で振盪することは、常に、超低エネルギーの方法とみなされるべきである。
【0040】
文脈上別段の指示がない限り、「サイズ」、「液滴サイズ」または「粒子サイズ」という用語は、エマルション中の分散相の液滴/粒子のZ平均直径を指す。これは、Zetasizer Nano ZS(Malvern Panalytical Ltd、英国)を使用して動的光散乱(ISO22412:2017)によって測定される粒子のアンサンブル集団の強度加重平均流体力学的サイズとして実験的に決定される。分析は、4mW He-Neレーザー(633nm)を使用して173°の散乱角で25℃で実施される。サイズ分布および平均直径は、ZetaSizerソフトウェアv8を使用してデータから計算される。動的光散乱の測定方法のより詳細な説明は、実施例の節に示される。
【0041】
「多分散指数」という用語は、サイズ分布の幅を特徴付ける。本発明に関連して、これは、液滴サイズの標準偏差と平均値との比の2乗、すなわち、PDI=s2/D2と定義され、sは、標準偏差であり、Dは、平均粒子サイズである。これは、以下の実験手順および設備を使用して動的光散乱(ISO22412:2017)によって実験的に決定される:
【0042】
PDIは、ISO22412:2017に準拠したZetasizer Nano ZS(Malvern Panalytical Ltd、英国)で動的光散乱を使用して測定される。分析は、4mW He-Neレーザー(633nm)を使用して173°の散乱角で25℃で実施される。サイズ分布および平均直径は、ZetaSizerソフトウェアv8を使用してデータから計算される。
【0043】
本発明に関連して、容器は、液体または半固体製品を保存することができ、中に含有されるそのような製品の輸送を可能にする硬質または半硬質の入れ物であり、典型的にはガラス、プラスチックもしくは金属または他の好適な材料から作製される。これは、狭口、クロージャー装置、例えば栓、キャップもしくは蓋、スプレーノズル、またはドロッパーなどの追加の特徴を提示することができる。これはまた、2つまたは複数の区画および/またはチャンバを特徴とすることができる。
【0044】
「ポリヒドロキシ」または「多価」という用語は、1分子当たり2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物または化学部分を指す。
【0045】
「エマルション」は、相分離のために非混和性である2種以上の液体の混合物であって、一方の相が小さい構成体(例えば、液滴)として他方の相に分散しているものである。2種の非混和性液体は、一般に、「水相」および「油相」と称される。油および水のエマルションは、水中油型または油中水型エマルションのいずれかをもたらし得る。2種の非混和性液体に加えて、エマルションは、通常、1種または複数の安定化剤、例えば界面活性剤および共溶媒の添加を必要とする。
【0046】
「~の間」という用語は、数値範囲に関連して使用される場合、規定された限界値もまた包含することを意図している。例として、5重量%~60重量%の間という含有率表示は、本発明の実施形態として5重量%の含有率および60重量%の含有率もまた包含することを意図している。
【0047】
商業的に入手可能な界面活性剤は、多くの場合、例としてポリオキシエチレン基などの親水性基の鎖長により互いに異なる個々の界面活性剤化合物の混合物からなる。「単一の界面活性剤」に言及する場合、および文脈上別段の指示がない限り、本出願は、単一の界面活性剤化合物、または上記に表示された個々の界面活性剤化合物の混合物からなり得る単一の界面活性剤商業製品のいずれかを指すことを意図している。
【0048】
別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、「振盪」という用語は、少なくとも1つの加速運動期間および1つの減速運動期間を含む任意の運動を指すことを意図している。振盪運動の「振動数」への言及は、時間単位当たりの振盪運動の完全なサイクルの数と理解されるべきである。例えば、単純な「上下」の振盪運動の場合には、振動数表示は、振盪手順の対象、例えば液体を充填した容器を、開始位置から離れて第1の最端位置(例えば、上側の折り返し点)に動かし、第2の最端位置(例えば、下側の折り返し点)にさらに動かし、次いで、その初期位置に戻す、時間単位当たりの個々の運動の数を特徴付ける。より複雑な振盪軌道についても類似の考慮が適用される。
【0049】
別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、「水」という用語は、任意のグレードまたは純度の水を指すことを意図している。当然ながら、用いられる水のグレードまたは純度は、エマルションの形成に適合し、エマルションの想定される使用に好適でなければならない。例として、エマルションをヒトへの投与に使用することを意図している場合、用いられる水は、ヒトの消費に好適なグレード、すなわち、食品グレードまたは医薬品グレードのものでなければならない。
【0050】
別段の規定がない限りまたは文脈上別段の指示がない限り、「精製水」という用語は、100μS/cm未満、好ましくは0.03~50μS/cm、より好ましくは0.05~10μS/cmの導電率を有する水を指す。対照的に、精製されていない水は、典型的には、100μS/cm超かつ2000μS/cm以下、例えば200μS/cm~1000μS/cm、より特定すると300μS/cm~800μS/cmの導電率を有する。導電率は、米国薬局方26(2003)2141~2(645)に記載された通り決定することができる。
【0051】
概観
第1の実施形態では、本発明は、低エネルギーの乳化工程、好ましくは超低エネルギーの乳化工程、例えば振盪すること、典型的には手で振盪することによって、高品質のエマルションを得ることができるという驚くべき発見に基づく。
【0052】
よって、一態様では、本発明は、前記低エネルギーの乳化に依拠する、エマルションを製造するための方法を提供する。方法は、出発材料の好適な組成物の使用を必要とする。これは、3種の必須構成要素:水、界面活性剤およびエステル構成成分を含む。追加の任意選択による構成成分は、必要とされず、除外もされない。
【0053】
本発明の方法によって得られるエマルションは、様々な有益な特色、例えば以下の1つまたは複数によって特徴付けられる:小さい粒子サイズを示すこと、狭い粒子サイズ分布を示すこと、および/または良好な安定性を示すこと。さらに、低および超低エネルギーの乳化は、とりわけ患者および未端消費者による場合を含め、事実上どこでも実施することができるように、高価または特殊な設備を必要としない限り有利である。方法および組成物に関連するさらなる利益は、多数の構成成分の必要がないことである。
【0054】
本発明のこの実施形態の方法によって得られるエマルションは、例として、CTもしくはPET-CT造影剤として、化粧品としてまたは栄養補助食品として、を含め、様々な用途において使用することができる。当然ながら、意図した使用に応じて、適切な活性剤がエマルション中に存在しなければならない。
【0055】
本発明のこの実施形態の別の態様は、本発明の第1の実施形態のエマルションを形成するための組成物および関連する乳化準備完了製品(ready-for-emulsification product)に関する。前記製品は、最終エマルションのすべての構成成分を含むが、まだ乳化状態でない前記組成物を含有する。製品は、前記組成物を密閉容器中に含有し、これは、容器を手で振盪して、それにより、エマルションを形成するための説明書とともに提供される。
【0056】
本発明のこの実施形態のまた別の態様は、本発明の方法における出発材料として使用するためのプレミックスを提供する。前記プレミックスは、組成物であり、これは、少なくとも界面活性剤およびエステル構成成分、ならびに任意選択によりさらなる構成成分を含有するが、水構成成分を含有しない。前記プレミックスは、容器に入れて提供することができ、これは、水構成成分を添加することに続いて、手で振盪するための説明書を含有し得る。本発明のエマルションは、プレミックスを水またはジュースなどの代替的な水を含有する液体と合わせることに続いて、振盪すること、とりわけ手で振盪することなどの上述の低エネルギーの乳化工程によって、好都合な様式で調製することができる。水を含まないプレミックスは、いくつかの利点を提示する。油および界面活性剤は、エマルション投与の場所にかかわらず、事前に混合することができる。エマルションの最終使用者は、典型的には安定であり、小さい粒子サイズおよび低い~非常に低い多分散性を有する、本発明による均質なエマルションを得るために、水相を添加し、製品を短時間振盪するだけでよい。最終使用者に提供される製品、すなわち、プレミックス中に水が存在しないことから、微生物の成長を防止する保存料を使用することなく製品の貯蔵寿命が大幅に延長される。加えて、水が存在しないことに起因して製品の体積および重量が小さくなるおかげで、製品の保存および出荷が容易になる。
【0057】
本発明の第2の実施形態は、先行技術のエマルションにおいて活性剤として用いられる構成成分が、エマルションの構造および安定性に対して有益な効果を有し、したがって、改変された形態で使用される場合でも、エマルション形成剤としての使用に好適であるという驚くべき発見に基づく。より具体的には、WO2019/030024A1およびWO2020/165349A1から公知のヨウ素を含有するCT造影剤は、先行技術の上述のCT造影剤の必須要素を形成するヨウ素原子を含めない場合でも、他の活性剤を担持するためのエマルション中の構造構成成分として使用することができる。
【0058】
結果として、本発明の第2の実施形態の第1の態様では、引用先行技術のCT造影剤のようなヨウ素を含有する化合物以外の活性剤(例えば、化粧料)を含有するエマルションが提供される。
【0059】
第2の実施形態のさらなる態様によれば、前記エマルションを製造するための方法が提供される。前記方法は、第1の実施形態について記載された低エネルギーの乳化工程を伴ってもよい。しかしながら、より高いエネルギー投入を伴う代替的な乳化方式もまた包含される。
【0060】
第2の実施形態のさらなる態様は、第1の実施形態のものと同様の乳化準備完了製品およびプレミックスを提供する。さらに、第2の実施形態は、前記製品の様々な使用を提供する。
【0061】
本発明の第3の実施形態は、他の構成成分が好適に選択された出発材料の組成物を使用すると、特に有利なエマルションを得ることができるという驚くべき認識に基づく。これは、例として、特に好適な界面活性剤を使用すること、さらなる界面活性剤を含めないことおよび/または水構成成分として飲料を使用することを伴う。
【0062】
この実施形態の異なる態様では、エマルション、その製造のための方法、乳化準備完了製品およびプレミックスならびにその様々な使用が提供される。
【0063】
発明の詳細な説明
構成成分の説明
エステル構成成分
実施形態および好ましさの程度に応じて、異なるエステル構成成分を用いることができる。これらを以下で説明する。
【0064】
定義E1:エステル構成成分は、一般式I:
【0065】
【0066】
一般式I中、R1は、30個以下の炭素原子、好ましくは5~23個の炭素原子、より好ましくは13~19個の炭素原子、特に好ましくは15~17個の炭素原子を含有する炭化水素基を表す。R1は、典型的には、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、分岐鎖アルケニル基、直鎖アルキニル基、分岐鎖アルキニル基からなる群から選択される。これらの基の各々は、1個のシクロプロピル基またはシクロブチル基を含有し得る。この小環状基は、任意の位置に組み込むことができ、その結果、以下の配置のいずれかが可能である:C1-Q1、Q1-C1およびQ1-C1-Q1(式中、C1は、シクロプロピルまたはシクロブチル基を表し、各Q1は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、分岐鎖アルケニル基、直鎖アルキニル基または分岐鎖アルキニル基から独立して選択される基を表し、炭素原子数に関する上記の表示は、環状ならびに直鎖状および/または分岐状部分を含めた基全体に適用される)。R1は、好ましくは、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、分岐鎖アルケニル基からなる群から選択される。アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、1~6個の置換基、好ましくは1~4個の置換基、最も好ましくは1~3個の置換基によって任意選択により置換されている。好適な置換基は、C1~4-アルコキシ、C1~4-チオエーテル、CN、N3、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素から、好ましくはフッ素、塩素およびヨウ素から選択され、最も好ましくはヨウ素である。よって、式Iの好ましいエステル化合物は、非置換であるかまたは置換基としての1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のヨウ素および/もしくはフッ素、塩素、臭素原子によって置換されているR1基を含有する。複数のヨウ素原子が存在する場合、ヨウ素原子は、互いに対してジェミナル位にもビシナル位にもあるべきではない。
【0067】
R2は、直鎖C1~12アルキル基、分岐鎖C3~12アルキル基、環状C3~12アルキル基、直鎖C2~12アルケニル基、分岐鎖C3~12アルケニル基、環状C5~12アルケニル基、直鎖C2~12アルキニル基、分岐鎖C4~12アルキニル基、C5~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和または部分不飽和の非芳香族複素環からなる群から選択される基を表す。R2は、好ましくは、直鎖C1~12アルキル基および分岐鎖C3~12アルキル基からなる群から選択され、より好ましくは直鎖C1~12アルキル基である。より好ましくは、R2は、直鎖状C1~4アルキル基、分岐状C3~4アルキル基、直鎖状C2~4アルケニル基、分岐状C3~4アルケニル基、直鎖状C2~4アルキニル基または分岐状C4アルキニル基である。特に好ましい実施形態によれば、R2は、1~4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基または3~4個の炭素原子を有する分岐鎖アルキル基である。これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは非芳香族複素環式基のいずれも、任意選択により置換されていてもよく、すなわち、これは、下記に規定された1~4個の置換基を任意選択により含んでもよい。好ましくは、R2基は、置換されていない。最も好ましくは、R2は、直鎖状C1~4アルキル基、分岐状C3~4アルキル基、直鎖状C2~4アルケニル基、分岐状C3~4アルケニル基、直鎖状C2~4アルキニル基および分岐状C4アルキニル基から選択される非置換の基である。
【0068】
上述のR2基のいずれかの好適な置換基は、ハロゲン、直鎖状C1~6アルキル、分岐状C3~6アルキル、環状C3~6アルキル、直鎖状C2~6アルケニル、分岐状C3~6アルケニル、環状C5~6アルケニル、直鎖状C2~6アルキニル、分岐状C4~6アルキニル、C5~14アリール、5~14員ヘテロアリール、シアノ、チオール、チオエーテル、ニトロ、アジド、およびヒドロキシルからなる群から選択することができるが、ただし、置換基および置換された基の各々が飽和または不飽和脂肪族基(飽和または不飽和環状基が含まれ得るが、環状芳香族基は含まれない)である場合、個々の炭素原子の制限の代わりに、置換された基の炭素原子の総数が、置換基および置換された基についての許される炭素原子数を加えることにより得られた炭素原子の範囲に従わなければならないことを条件とする。例えば、アルキル基がアルキル置換基を保有する場合、炭素の総数は、(1+1)~(12+6)個の範囲内であってもよく、すなわち、2~18個の炭素が許される。同じことが、アルキルおよびアルケニル基、アルキルおよびアルキニル基、アルケニルおよびアルキニル基などの組合せにも適用される。各原子について、それが置換基または置換された基のいずれに属するかが明らかである置換基(substituent group)および置換基(substituent)の他の組合せについては、上記の炭素原子の制限は、それぞれの基に個々に適用される。例として、アルキル基がアリール基によって置換されている場合、アルキル基は、1~12個の炭素原子(好ましくは1~4個の炭素原子)を有さなければならないのに対し、アリール基は、5~14個の炭素原子を有さなければならない。
【0069】
さらなる好適な置換基は、式-M-L-R4、-L-M-R4、-L-M-L-R4および-M-L-M-R4の1つによって表される。一態様では、R4は、直鎖状C1~12アルキル、分岐状C3~12アルキル、環状C3~12アルキル、直鎖状C2~12アルケニル、分岐状C3~12アルケニル、環状C5~12アルケニル、直鎖状C2~12アルキニル、分岐状C4~12アルキニル、C5~14アリール、5~14員ヘテロアリール、水素、ならびにN、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員の飽和もしくは部分不飽和の非芳香族複素環、または組み合わせた基の炭素原子の総数(非芳香族基の炭素原子のみを考慮する一方、芳香族基の炭素原子を無視する場合)が12個を超えないことを条件としてそれらの組合せからなる群から選択され、R4について規定された上述の基の各々は、ハロゲン、メチル、ヒドロキシおよびメトキシから独立して選択される1~3個の置換基によって任意選択によりさらに置換されていてもよく、各Mは、C1~4アルキレン、C2~4アルケニレン、C2~4アルキニレンおよび共有結合からなる群から独立して選択される二価基であり、各Lは、-(CO)-、-O-、-COO-、-OCO-、および共有結合からなる群から独立して選択される二価基であるが、ただし、隣接するMおよびL基は、両方が同時に共有結合であることはできないことを条件とする。好ましくは、R4は、直鎖状C1~6アルキル、分岐状C3~6アルキル、環状C3~6アルキル、および直鎖状C2~6アルケニルからなる群から選択される。好ましい態様では、式-M-L-R4、-L-M-R4、-L-M-L-R4および-M-L-M-R4の1つによって表される置換基は、1~12個、より好ましくは1~7個の範囲の炭素原子の総数を有する。
【0070】
また別の態様では、R2は、以下に定義される具体的な態様(i)、(ii)および(iii)のいずれか1つに従って選択される一方、R1は、上記に規定された通りである。
【0071】
態様(i)によれば、R2は、C1~4-アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから選択される。
【0072】
態様(ii)によれば、R2は、C5またはC6アルキル基、例えばペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびイソヘキシル、C2~4-アルケニル基、例えば2-プロペニル、アリル、クロチル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテン-1-イル、ブタジエニル、環状C3~10-アルキル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルおよび1-シクロヘキシルプロピル、ならびにC1~3-アルキル-C6~14-アリール、例えばベンジルから選択される。
【0073】
態様(iii)によれば、R2は、
C7またはC8アルキル基、例えばヘプチル、イソヘプチル、オクチル、およびイソオクチル、
C2~4-アルキニル基、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニルおよびプロパギル(propagyl)、
C6~14-アリール基、例えばフェニル、ナフチル、アニシル、トルイル、およびキシレニル、
C6~14-アリール-C1~6-アルキル、
各々単環式または多環式であり、5~14個の環員ならびにN、SおよびOから選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリールおよび非芳香族複素環式基、例えばピリミジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、テトラヒドロピラニル、およびチオフェン、
各々がフッ素、塩素から独立して選択される1~4個の置換基を保有するC1~8-アルキル基、C2~4-アルケニル基、およびC6~14-アリール基、それ自体がハロゲンおよびC1~2-アルコキシから選択される1個または2個の置換基を任意選択により保有するC6~14-アリール、直鎖状、分岐状または環状のC1~6-アルキル、C1~4-アルコキシ、C1~4-アルコキシ-C1~2-アルキレンオキシ、ヒドロキシ-C1~4-アルコキシ、ヒドロキシ-C1~4-アルコキシ-C1~2-アルキレンオキシ、C1~6-アルキル-CO-O-、C6~10-アリール-C1~2-アルキル-CO-O-、各々単環式または多環式であり、5~14個の環員ならびにN、SおよびOから選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリールおよび非芳香族複素環式基、ならびにそれ自体がハロゲンおよびC1~2-アルコキシから選択される1個または2個の置換基を任意選択により保有するC6~14-アリール-カルボニルから選択される置換された基、例えば1-シクロヘキシルプロピル、フルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチル、クロロジメチル、クロロメチル、2-クロロエチル、2,4-ジクロロフェニル、1,1,2,2-テトラクロロエチル、1-クロロブチル、および4-クロロベンジル、9-フルオレニルメチル、メトキシエトキシメチル、ピバリルオキシメチル、フェニルアセトキシメチル、フェナシルおよび置換フェナシル、例えばp-ブロモフェナシル、p-メトキシフェナシル、さらには3-メチル-3-ペンチル、シンナミル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、および2-C1~4アルキル-1,3-オキサゾリン-4-イル、トリフェニルメチル、p-メトキシベンジル、4-ピコリル、ジフェニルメチル、フェニルエチル、置換フェニルエチルだけでなく、アルコキシアルキル、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、ブトキシエチル、イソブトキシエチル、ヒドロキシアルコキシアルキル、例えばヒドロキシメトキシメチル、2-ヒドロキシエトキシメチル、3-ヒドロキシプロポキシメチル、4-ヒドロキシブトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシメトキシペンチル、ヒドロキシメトキシヘキシル、ポリヒドロキシアルキル、およびヒドロキシポリアルキレンオキシアルキル、さらにはカルボニルオキシルアルキル(carbonyloxylalkyl)、例えばアセトイルオキシメチル、プロパノイルオキシメチル、ブタノイルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、およびピバロイルオキシメチル
から選択される。
【0074】
R2は、好ましくは、態様(i)および(ii)の基として上記に列挙された基から選択され、より好ましくは、態様(i)の基から選択される。
【0075】
R2は、好ましくは、ハロゲン原子、-OHおよびC1~4アルコキシ基から選択される1個または複数の置換基を含む。R2は、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルを含む。R2は、特に好ましくは、メチルおよびエチルから選択される。
【0076】
式Iによって表される化合物における炭素原子の総数は、好ましくは、7~69個である。好ましい一態様では、式Iによって表される化合物における炭素原子の総数は、7~30個、より好ましくは15~23個である。
【0077】
好ましい態様では、一般式Iによって表される化合物は、式A、B、C、DおよびEによって表される化合物から選択される。
【0078】
【0079】
上記の式A~Eの各々において、nは、0~6の整数であり、x=0~15、好ましくは1~7であり、y=0~15、好ましくは1~7であり、z=1~15、好ましくは1~7であるが、ただし、式A、B、C、DおよびEの各々における炭素原子の総数(カルボニル基の一部である炭素原子を含めるが、R2に含有される炭素原子を除外する)は、16個以上かつ22個以下、好ましくは16~18個であることを条件とし、各R3は、HまたはIから独立して選択されるが、ただし、R3によって表されるヨウ素原子の総数は、0~6個であり、ヨウ素原子は、ジェミナルでもビシナルでもないことを条件とし、R2は、式Iに関して上記に規定されたのと同じ意味を有する。
【0080】
一態様では、好適なR2基の例には、非置換アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチルおよび同様のものだけでなく、置換アルキル基、例えば9-フルオレニルメチル、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ピバロイルオキシメチル、フェニルアセトキシメチル、フェナシルおよび置換フェナシル、例えばp-ブロモフェナシル、p-メトキシフェナシル、さらにはt-ブチル、3-メチル-3-ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、3-ブテン-1-イル、シンナミル、オキサゾール、および2-アルキル-1,3-オキサゾリンが含まれるがこれらに限定されない。これには、アルキルアリール、例えばベンジル、置換ベンジル、例えばトリフェニルメチル、p-メトキシベンジル、4-ピコリル、ジフェニルメチル フェニルエチル、置換フェニルエチルだけでなく、アルコキシアルキル、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、ブトキシエチル、イソブトキシエチル、ヒドロキシアルコキシアルキル、例えばヒドロキシメトキシメチル、2-ヒドロキシエトキシメチル、3-ヒドロキシプロポキシメチル、4-ヒドロキシブトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシメトキシペンチル、ヒドロキシメトキシヘキシル、ポリヒドロキシアルキル、ヒドロキシポリアルキレンオキシアルキル、さらにはカルボニルオキシルアルキル、例えばアセトイルオキシメチル、プロパノイルオキシメチル、ブタノイルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、ピバロイルオキシメチルもまた含まれる。R2は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびイソブチル、より好ましくはメチルまたはエチルから選択される。
【0081】
本発明によれば、本明細書に定義されたエステル構成成分は、1個または複数のエチレンオキシ基および単糖または二糖基、例えばスクロース基、および糖アルコール基のいずれも含有しない。
【0082】
別の態様によれば、本明細書の上記に定義された2種以上のエステル化合物の混合物を使用することが可能である。
【0083】
定義E2:エステル構成成分は、定義E1に従って上記に定義された通りであるが、ただし、R1基は、ヨウ素原子を一切保有しないことを条件とする。すなわち、ヨウ素は、式IのR1について可能な置換基から除外される。さらに、式A、BおよびC中、R3は、ヨウ素であることはできない。いくつかの具体的な態様では、定義E2のエステル構成成分は、ヨウ素原子をいかなる位置にも一切保有せず、すなわち、R1およびR2はいずれも、ヨウ素原子を一切含有しない。
【0084】
定義E3:エステル構成成分は、定義E1の一部として上記に示された式Iによって表される。R1基は、直鎖状C13~C19アルキル基または直鎖状C13~C19アルケニル基であり、これらの各々は、I、F、ClおよびBrから選択される1個、2個または3個のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。好ましくは、R1基は、直鎖状C15~C17アルキル基または直鎖状C15~C17アルケニル基であり、これらの各々は、F、ClおよびBrから選択される1個、2個または3個のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。すなわち、この好ましい実施形態について、ヨウ素は、式IのR1について可能な置換基から除外される。これは、R1は、式A、B、C、DおよびEにおいて定義された通りであり得るが、ただし、x、y、zおよびnは、式A、B、C、DおよびEの各々における炭素原子の総数(カルボニル基の一部である炭素原子を含めるが、R2に含有される炭素原子を除外する)が14~20個、好ましくは16~18個となるように選択され、R3は、ヨウ素であることはできないことを条件とすることを意味する。R2基は、直鎖状もしくは分岐状のC1~C6アルキル基または直鎖状もしくは分岐状のC1~C6アルケニル基、好ましくは直鎖状もしくは分岐状のC1~C4アルキル基または直鎖状もしくは分岐状のC1~C4アルケニル基から選択され、これらの各々は、非置換であるかまたはF、Cl、Br、I、OHおよび-OCH3から独立して選択される、好ましくはF、Cl、および-OCH3から独立して選択される1個もしくは2個の置換基を保有してもよい。この定義E3に従う2種以上のエステル化合物の混合物もまた使用することができる。
【0085】
定義E4:エステル構成成分は、定義E3に従って上記に定義された通りであるが、ただし、R1基は、ヨウ素原子を一切保有しないことを条件とする。すなわち、ヨウ素は、式IのR1について可能な置換基から除外される。さらに、式A、BおよびC中、R3は、ヨウ素であることはできない。いくつかの具体的な態様では、定義E4のエステル構成成分は、ヨウ素原子をいかなる位置にも一切保有せず、すなわち、R1およびR2はいずれも、ヨウ素原子を一切含有しない。
【0086】
水構成成分
定義W1:水性相は、必須構成要素としての水からなるかまたは水を含有する。すべての異なるグレードおよび純度の水を使用することができる。当然ながら、エマルションがヒトへの投与を意図したものである場合、ヒトの消費に好適である水を使用しなければならない。例えば、水道水、鉱水および精製水(蒸留水、再蒸留水、逆浸透水、milliQ水)を使用することができる。
【0087】
追加の構成成分が任意選択により存在してもよい。水性相を形成する水構成成分は、水に加えて、1種もしくは複数の水溶性物質および/または1種もしくは複数の水に分散させることができる固形物質、例えば無濾過フルーツジュースの固形構成成分を含有し得る。水性液体を使用することも可能である。例えば、エマルションがヒトへの経口投与を意図したものである場合、水系飲料、例えば炭酸水、ソフトドリンク(炭酸、風味付けおよび典型的には甘味付け飲料、例えばコーラ、レモネードもしくはジンジャーエール)、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、牛乳または植物系牛乳代替物を使用することが可能である。あるいは、医薬品グレードの水溶液、例えば薬学的に許容される緩衝液(クエン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸、酢酸)、生理食塩水、グルコース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール溶液を使用することができる。
【0088】
好ましい水構成成分は、飲用水、例えば水道水、鉱水、湧水、または炭酸水、コーヒー、紅茶、牛乳、フルーツジュース、およびソフトドリンクである。より好ましい水構成成分は、水道水、湧水、鉱水、コーヒー、および紅茶である。
【0089】
しかしながら、純水以外の水構成成分が使用される場合、水構成成分の一部として導入される追加の構成成分、例えば、香味化合物、甘味料等の重量は、水構成成分の重量(本明細書の下記ではw%という)に寄与する重量として扱われるべきではなく、その結果、水それ自体の重量のみが水構成成分の重量(本明細書の下記ではw%という)として考慮されるべきである。例えば、90重量%の水および10重量%のさらなる構成成分(例えば、果肉および/または糖)を含むフルーツジュースが使用される場合、90重量%の水のみが水構成成分の重量を決定する際に考慮されるのに対し、さらなるフルーツジュース構成成分の重量は無視される。
【0090】
水構成成分として使用される飲料の不可欠な部分である構成成分(例えば、ミネラル、甘味料、糖、ビタミン、ポリフェノール、カフェイン、フラボノイド、香味料、アミノ酸、着色剤、タンパク質、乳脂肪、果肉またはソフトドリンク、フルーツジュース、紅茶、コーヒー、牛乳もしくは他の任意の飲料を起源とする他の任意の構成成分など)もまた、任意選択による構成成分の重量を決定する際に考慮されるべきではない。
【0091】
本発明の特徴付けの代替的な態様では、そのような飲料構成成分の重量は、下記の定義O1またはO2に規定された任意選択によるさらなる構成成分の相対含有率を決定する際に考慮される。しかしながら、本発明の特徴付けのこの代替的な態様を適用する場合、任意選択によるさらなる構成成分の合計および個々の相対量は、下記に規定されているよりも最大10重量%高くてもよい。例えば、定義O1における最も広い範囲についての上限は、5重量%の代わりに15重量%となり、定義O2についての上限は、0重量%の代わりに10重量%となる(一方、下限は、同じままとなる)。当然ながら、プレミックスについての量表示は、同じままであり、その理由は、プレミックスが水構成成分を含有しないからである。
【0092】
定義W2:水性相は、精製水そのもの以外の水系飲料、例えば水道水、鉱水、炭酸水、ソフトドリンク(炭酸、風味付けおよび典型的には甘味付け飲料、例えばコーラ、レモネードもしくはジンジャーエール)、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、牛乳または医薬品グレードの水溶液、例えば薬学的に許容される緩衝液(例えば、クエン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸、酢酸)、生理食塩水、スクロース、グルコース、マンニトールもしくはソルビトール溶液によって形成される。
【0093】
好ましい水構成成分は、飲用水、例えば水道水、鉱水、湧水、または炭酸水、コーヒー、紅茶、牛乳、フルーツジュース、およびソフトドリンクである。より好ましい水構成成分は、水道水、湧水、鉱水、コーヒー、および紅茶である。
【0094】
飲料の追加の構成成分の重量の扱いは、定義W1について上記に記載されたのと同じである。
【0095】
界面活性剤
定義S1:本発明において使用される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である限り、特に限定されない。これは、当然ながら、本発明において使用される唯一の界面活性剤が1種または複数の非イオン性界面活性剤であることを意味する。界面活性剤は、好ましくは、単一の界面活性剤である。これには、3~60個、好ましくは4~40個のエチレンオキシ単位を有するポリオキシエチレン基、単糖、例えばスクロース、二糖、糖アルコールおよびそれらの組合せから好ましくは選択される少なくとも1個の親水性基、ならびに飽和または不飽和炭化水素基、好ましくはアルキル基を含有し、前記炭化水素基が8~20個、好ましくは12~18個の炭素原子を有する少なくとも1個の疎水性基を含有する化合物が含まれ得る。好ましくは、界面活性剤は、以下の一般式(S)、(S1)、(S2)、(S3)、(S4)または(S5):
(HPI)nL(HPO)m (S)
(HPI-HPO)n1L(HPO)m1 (S1)
(HPI-HPO-HPI)n2L(HPO)m2 (S2)
(HPI-HPO)n3L(HPI)m3 (S3)
(HPI-HPO-HPI)n4L(HPI)m4 (S4)
(HPI)-(HPA)-(HPI) (S5)
(式中、
HPIは、3~60個、好ましくは4~40個のエチレンオキシ単位を有するポリオキシエチレン基、単糖もしくは二糖、5~6個の炭素原子を有する糖アルコールまたはそれらの組合せから選択される基を表し、2個以上、好ましくは2~5個のこれらの基の組合せの場合には、それらの基は、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基を介して互いに結合しており、
Lは、グリセロールに由来する部分を表すかまたは存在せず、
HPOは、任意選択によりヒドロキシル置換基を保有する、8~20個、好ましくは12~18個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは、8~20個、好ましくは12~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を表し、
HPIは、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基、好ましくはエステル基を介してLおよび/またはHPOに結合しており、Lは、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基、好ましくはエステル基を介してHPOに結合しており、単糖、二糖および糖アルコール基は、遊離形態のヒドロキシル基を形成する酸素原子のいずれかを介して隣接基に結合していてもよく、ポリオキシエチレン、単糖、二糖および糖アルコール基の各々は、任意の配向性で存在し得るが、ただし、ペルオキシ基またはペルエステル基のような不安定な基を有する化合物は、包含されることを意図していないことを条件とし、
nは、0、1または2であり、mは、1または2であるが、ただし、Lがグリセロールである場合、n+m≦3であり、Lが存在しない場合、n+m=2であることを条件とし、
n1は、1、2または3であり、m1は、0、1または2であるが、ただし、Lはグリセロールであり、n1+m1≦3であることを条件とし、
n2は、1、2または3であり、m2は、0、1または2であるが、ただし、Lがグリセロールである場合、n1+m1≦3であり、Lが存在しない場合、n2+m2=2であることを条件とし、
n3は、1、2または3であり、m3は、0、1または2であるが、ただし、Lがグリセロールである場合、n3+m3≦3であり、Lが存在しない場合、n3+m3=2であることを条件とし、
n4は、1、2または3であり、m4は、0、1または2であるが、ただし、Lはグリセロールであり、n4+m4≦3であることを条件とし、
式(S5)中、HPIは、2~130個、好ましくは3~60個、より好ましくは4~40個のエチレンオキシ単位を有するポリオキシエチレン基を表し、HPAは、15~67個、好ましくは20~60個、より好ましくは25~40個のプロピレンオキシ単位を有するポリオキシプロピレン基を表す)によって表される。式(S5)の化合物はまた、以下の一般式HO-(CH2CH2-O-)a-(CH(CH3)-CH2-O-)b-(CH2CH2-O-)a-Hによって表すことができ、aは、2~167の範囲であり、bは、15~67の範囲である。これらの化合物は、本明細書ではポロキサマーともいう。
【0096】
Lがグリセロールである場合、HPIおよびHPOの各々は、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基を介してLに結合している。
【0097】
Lが存在しない場合、HPIおよびHPOは、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基を介して互いに結合している。式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、および(S5)中、(HPI-HPO)および(HPI-HPO-HPI)部分において、HPIおよびHPOは、エステル基、カルボネート基、およびエーテル基から独立して選択される官能基を介して互いに結合している。
【0098】
より好ましくは、界面活性剤は、(S11)オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大60個もしくはさらに最大200個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、(S12)オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または最大20個のより大きい任意の数であり、脂肪酸が、好ましくは、飽和でも不飽和でもよい12個(例えば、ラウリン酸)~18個(例えば、ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(S13)ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15(すなわち、15molのエチレンオキシドを1molの12-ヒドロキシステアリン酸と反応させることによって得られる生成物)、(S14)オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大25個のより大きい任意の数であり、アルキルエーテルのアルキル基が好ましくは12~18個の炭素原子を有する、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(S15)スクロース部分が典型的には1個、2個または3個の脂肪酸エステル基を保有してもよく、これらの各々が、好ましくは、12~20個の炭素原子、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する脂肪酸に由来する、スクロース脂肪酸エステル、(S16)カプリロカプロイルマクロゴールグリセリドとしても知られているカプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、(S17)式(S5)のポロキサマー、ならびに(S18)脂肪酸が、好ましくは、飽和でも不飽和でもよい12個(例えば、ラウリン酸)~18個(例えば、ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、脂肪酸のモノグリセリド、例えばモノステアリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリルおよびモノオレイン酸グリセリルからなる群から選択される。
【0099】
ポリエチレンヒマシ油は、以下の一般式:
【0100】
【化3】
(式中、a、b、c、d、e、fの各々は、0~35の範囲から独立して選択される)によって表すことができる。一態様では、ポリエチレンヒマシ油は、エトキシル化グリセロールのトリリシノレイン酸エステルと少量のリシノレイン酸ポリエチレングリコールおよび対応する遊離グリコールとの混合物であり、典型的には30~50個のエチレンオキシド単位を有する。別の態様では、ポリエチレンヒマシ油は、エトキシル化グリセロールのトリヒドロキシステアリン酸エステルと少量のトリヒドロキシステアリン酸マクロゴールおよび対応する遊離グリコールとの混合物であり、典型的には40~60個のエチレンオキシド単位を有する。
【0101】
より好ましくは、界面活性剤は、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4もしくは5個または最大60個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、およびオキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または20個であり、脂肪酸が、好ましくは、飽和でも不飽和でもよい12個(ラウリン酸)~18個(ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される。
【0102】
(S11a)ポリオキシエチレンヒマシ油は、ポリオキシル5ヒマシ油(Acconon CA-5;ヒマシ油POE-5;Etocas 5;Hetoxide C-5;Jeechem CA-5;PEG-5ヒマシ油;ポリオキシエチレン5ヒマシ油)、ポリオキシル9ヒマシ油(Acconon CA-9;ヒマシ油POE-9;Jeechem CA-9;PEG-9ヒマシ油;ポリオキシエチレン9ヒマシ油;Protachem CA-9)、ポリオキシル15ヒマシ油(Acconon CA-15;ヒマシ油POE-15;Jeechem CA-15;PEG-15ヒマシ油;ポリオキシエチレン15ヒマシ油;Protachem CA-15)、ポリオキシル35ヒマシ油(ヒマシ油POE-35;Cremophor EL;Cremophor ELP;Etocas 35;リシノレイン酸ポリエチレングリコールグリセロール;Kolliphor EL;Kolliphor ELP;PEG-35ヒマシ油;ポリエトキシル化ヒマシ油;ポリオキシエチレン35ヒマシ油)、ポリオキシル40ヒマシ油(ヒマシ油POE-40;Cirrasol G-1284;Croduret 40;Etocas 40;Eumulgin RO;Hetoxide C40;Jeechem CA-40;Kolliphor RH40;Marlowet R40;Nikkol CO 40TX;Nonionic GR-40;PEG-40ヒマシ油;ポリオキシエチレン40ヒマシ油;Protachem CA-40)、ポリオキシル40水添ヒマシ油(Cremophor RH 40;Croduret 40;Eumulgin HRE 40PH;オキシステアリン酸ポリエチレングリコールグリセロール;Hetoxide HC40;水添ヒマシ油POE-40;Jeechem CAH-40;PEG-40水添ヒマシ油;ポリエトキシル化水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油;Lipocol HCO-40;Lipocol LAV HCO 40;Nikkol HCO 40 Pharma;Nonionic GRH-40;Protachem CAH-40)、ポリオキシル60ヒマシ油(ヒマシ油POE-60;Jeechem CA-60;Nikkol CO60TX;PEG-60ヒマシ油;ポリオキシエチレン60ヒマシ油)、ポリオキシル60水添ヒマシ油(Cremophor RH 60;Croduret 60;Eumulgin HRE 60PH;Hetoxide HC60;水添ヒマシ油POE-60;Jeechem CAH-60;PEG-60水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン60水添ヒマシ油;Lipocol HCO-60;Nikkol HCO 60 Pharma;Protachem CAH-60)、ポリオキシル100ヒマシ油(水添ヒマシ油POE-100;Jeechem CA-100;PEG-100水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン100水添ヒマシ油)、ポリオキシル100水添ヒマシ油(Cirrasol G-1300;Jeechem CA-100;Nikkol HCO 100;ポリオキシエチレン100水添ヒマシ油)、ポリオキシル200ヒマシ油(Hetoxide C200;Jeechem CA-200;ポリオキシエチレン200ヒマシ油;PEG-200ヒマシ油;ヒマシ油POE-200)、ポリオキシル200水添ヒマシ油(水添ヒマシ油POE-200;Jeechem CAH-200;PEG-200水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン200水添ヒマシ油)から選択することができるがこれらに限定されない。
【0103】
(S12a)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、モノラウリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート20)(Alkest TW 20;Armotan PML 20;Capmul POE-L;Campul POE-L Low PV;Crillet 1;Drewmulse;E432;Durfax 20;E432;Eumulgin SML;Glycosperse L-20;Hodag PSML-20;Kolliphor PS 20;Lamesorb SML-20;Liposorb L-20;Liposorb L-20K;Montanox 20;Nissan Nonion LT-221;Norfox Sorbo T-20;POESML;ポリソルバタム(polysorbatum)20;Ritabate 20;Sorbax PML-20;モノドデカン酸ソルビタン;Sorgen TW-20;T-Maz 20;T-Maz 20K;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体;ラウリン酸ポリオキシエチレン20;Protasorb L-20;Tego SML 20;Tween 20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(ポリソルベート21)(Crillet 11;Hodag PSML-4;Protasorb L-5;Tween 21)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート40)(Crillet 2;E434;Eumulgin SMP;Glycosperse S-20;Hodag PSMP-20;Lamesorb SMP-20;Liposorb P-20;Lonzest SMP-20;Montanox 40;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体;ポリソルバタム40;Protasorb P-20;Ritabate 40;モノヘキサデカン酸ソルビタン;Sorbax PMP-20;Tween 40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート60)(Alkest TW 60;Atlas 70K;Atlas Armotan PMS 20;Capmul POE-S;Cremophor PS 60;Crillet 3;Drewpone 60K;Durfax 60;Durfax 60K;E435;Emrite 6125;Eumulgin SMS;Glycosperse S-20;Glycosperse S-20FG;Glycosperse S-20FKG;Hodag PSMS-20;Hodag SVS-18;Kolliphor PS 60;Lamsorb SMS-20;Liposorb S-20;Liposorb S-20K;Lonzest SMS-20;Montanox 60;Nikkol TS-10;Norfox SorboT-60;Polycon T 60 K;ステアリン酸ポリオキシエチレン20;ポリソルバタム60;Protasorb S-20;Ritabate 60;Sorbax PMS-20;モノオクタデカン酸ソルビタンポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体;T-Maz 60;T-Max 60KHS;Tween 60;Tween 60K;Tween 60 VS)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート65)(Alkamuls PSTS-20;Crillet 35;E436;Glycosperse TS-20;Glycosperse TS-20 FG;Glycosperse TS-20 KFG;Hodag PSTS-20;Lamesorb STS-20;Lanzet STS-20;Liposorb TS-20;Liposorb TS-20A;Liposorb TS-20K;Montanox 65;Protasorb STS-20;Sorbax PTS-20;トリオクタデカン酸ソルビタンポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体;T-Maz 65K;Tween 65;Tween 65K;Tween 65V)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート80)(Alkest TW 80;Atlas E;Armotan PMO 20;Capmul POE-O;Cremophor PS 80;Crillet 4;Crillet 50;Drewmulse POE-SMO;Drewpone 80K;Durfax 80;Durfax 80K;E433;Emrite 6120;Eumulgin SMO;Glycosperse O-20;Hodag PSMO-20;Kolliphor PS 80;Liposorb O-20;Liposorb O-20K;Montanox 80;オレイン酸ポリオキシエチレン20;ポリソルバタム80;Protasorb O-20;Ritabate 80;(Z)-モノ-9-オクタデセン酸ソルビタンポリ(オキシ1,2-エタンジイル)誘導体;Tego SMO 80;Tego SMO 80V;Tween 80)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン(ポリソルベート81)(Crillet 41;Hetsorb O-5;Hodag PSMO-5;Protasorb O-5;Sorbax PMO-5;モノ-9-オクタデセン酸ソルビタンポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体;T-Maz 81;Tego SMO 81;Tween 81)、トリオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート85)(Alkamuls PSTO-20;Crillet 45;Glycosperse TO-20;Hodag PSTO-20;Liposorb TO-20;Lonzest STO-20;Montanox 85;Protasorb TO-20;Sorbax PTO-20;トリ-9-オクタデセン酸ソルビタンポリ(オキシ1,2-エタンジイル)誘導体;Tego STO 85;Tween 85)、およびモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート120)(Crillet 6)から選択することができるがこれらに限定されない。
【0104】
(S13a)ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15は、ヒドロキシステアリン酸ポリオキシル15、Kolliphor HS 15、およびSolutol HS 15から選択することができるがこれらに限定されない。
【0105】
(S14a)ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、セトマクロゴール1000(ポリエチレングリコール1000マクロセチル(macrocetyl)エーテル;ポリオキシエチレングリコール1000モノセチルエーテル;Cresmer 1000)、ポリオキシル6セトステアリルエーテル(セテアレス6;Cremophor A6;Volpo CS6)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル(Atlas G-3713;セテアレス20;Cremophor A 20ポリエーテル;Volpo CS20)、ポリオキシル25セトステアリルエーテル(セテアレス25;Cremophor A25;Volpo CS25)、ポリオキシル2セチルエーテル(BC-2;Brij 52;セテス-2;Lipocol C-2;Procol CA-2)、ポリオキシル10セチルエーテル(BC-10TX;Brij 56;セテス-10;Lipocol C-10;Procol CA-10)、ポリオキシル20セチルエーテル(BC-20TX;Brij 58;セテス-20;Lipocol C-20;Volpo C20)、ポリオキシル4ラウリルエーテル(BL-4.2;Brij 30;ラウレス-4;Lipocol L-4;Procol LA-4;Tego Alkanol L4;Volpo L4)、ポリオキシル9ラウリルエーテル(BL-9EX;ラウレス-9;ラウロマクロゴール400;ポリドカノール;Volpo L9)、ポリオキシル23ラウリルエーテル(Brij 35;ラウレス-23;Lipocol L-23;Procol LA-23;Ritox 35;Tego Alkanol L23 P)、ポリオキシル2オレイルエーテル(BO-2V;Brij 92;Brij 93;オレス-2;Lipocol O-2;Procol 0A-2;Ritoleth 2;Volpo N2)、ポリオキシル10オレイルエーテル(BO-10V;Brij 96;Brij 97;オレス-10;ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル;Lipocol O-10;Procol OA-10;Ritoleth 10;Volpo N10)、ポリオキシル20オレイルエーテル(BO-20V;Brij 98;Brij 99;Lipocol O-20;オレス-20;Procol OA-20;Ritoleth 20;Volpo N20)、ポリオキシル2ステアリルエーテル(BS-2;Brij 72;Lipocol S-2;Procol SA-2;ステアレス-2;Tego Alkanol S2;Volpo S-2)、ポリオキシル10ステアリルエーテル(Brij 76;Lipocol S-10;Procol SA-10;ステアレス-10;Tego Alkanol S10;Volpo S-10)、ポリオキシル21ステアリルエーテル(Brij 721;Ritox 721;ステアレス-21)、およびポリオキシル100ステアリルエーテル(Brij 700;ステアレス-100)から選択することができるがこれらに限定されない。
【0106】
(S15a)スクロースエステル(スクロース脂肪酸エステル)は、ラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロースおよびステアリン酸スクロースから選択することができるがこれらに限定されない。
【0107】
(S16a)カプリロカプロイルポリオキシルグリセリドは、DUBCARE GPE 810、Labrasol、Labrasol ALF、マクロゴールグリセリドラムカプリロカプレート(macrogolglyceridorum caprylocaprates)、PEG 400カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択することができるがこれらに限定されない。
【0108】
(S17a)ポロキサマーは、ポロキサマー407(Pluronic F-127、Kolliphor P 407)、ポロキサマー188(Pluronic F-68、Kolliphor P 188)またはポロキサマー124(Pluronic L44、Kollisolv P 124)から選択することができるがこれらに限定されない。ポロキサマー124が最も好ましい。
【0109】
(S18a)脂肪酸のモノグリセリドは、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、アラキン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリルおよびモノオレイン酸グリセリルから選択することができ、最も好ましくはモノステアリン酸グリセリルである。モノステアリン酸グリセリルは、純粋な異性体であるモノステアリン酸1-グリセリル、純粋な異性体であるモノステアリン酸2-グリセリル、または両方の混合物であり得る。同じことが、他の脂肪酸のグリセロールモノエステルにも適用される:脂肪酸は、C1またはC2のヒドロキシル基に結合していても両方の混合物であってもよい。
【0110】
界面活性剤の各々が定義S1に該当する、2種以上の界面活性剤の組合せを使用することも可能である。さらにより好ましくは、定義S1に従う界面活性剤は、単一の界面活性剤として、すなわち、唯一の界面活性剤として使用され、この場合、定義S1の界面活性剤に加えて、定義S1に該当する第2の界面活性剤も他のいかなる界面活性剤も存在しない。
【0111】
定義S2:界面活性剤は、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大60個もしくはさらに最大200個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または最大20個のより大きい任意の数であり、脂肪酸が、好ましくは、飽和でも不飽和でもよい12個(例えば、ラウリン酸)~18個(例えば、ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマーおよび脂肪酸のモノグリセリドから選択される。ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、上記の対応する群(S11a)および(S12a)に列挙された具体的な界面活性剤から選択される。ポロキサマーおよび脂肪酸のモノグリセリドは、好ましくは、上記の対応する群(S17a)および(S18a)に列挙された具体的な界面活性剤から選択される。
【0112】
界面活性剤の少なくとも1種が定義S2に該当し、好ましくは、界面活性剤の各々が定義S2に該当する、2種以上の界面活性剤の組合せを使用することも可能である。さらにより好ましくは、定義S2に従う界面活性剤は、単一の界面活性剤として、すなわち、唯一の界面活性剤として使用され、この場合、定義S2の界面活性剤に加えて、定義S2に該当する第2の界面活性剤も他のいかなる界面活性剤も存在しない。
【0113】
定義S3:界面活性剤は、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個もしくは5個または最大60個もしくはさらに最大200個のより大きい任意の数である、ポリオキシエチレンヒマシ油、オキシエチレン単位の総数が好ましくは4個、5個または最大20個のより大きい任意の数であり、脂肪酸が、好ましくは、飽和でも不飽和でもよい12個(例えば、ラウリン酸)~18個(例えば、ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選択される。ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、上記の対応する群(S11a)および(S12a)に列挙された具体的な界面活性剤から選択される。
【0114】
界面活性剤の少なくとも1種が定義S3に該当し、好ましくは、界面活性剤の各々が定義S3に該当する、2種以上の界面活性剤の組合せを使用することも可能である。さらにより好ましくは、定義S3に従う界面活性剤は、単一の界面活性剤として、すなわち、唯一の界面活性剤として使用され、この場合、定義S3の界面活性剤に加えて、定義S3に該当する第2の界面活性剤も他のいかなる界面活性剤も存在しない。
【0115】
任意選択によるさらなる構成成分
定義O1:1種または複数のさらなる構成成分が任意選択により存在してもよい。任意選択によるさらなる構成成分は、例として、香味剤、着色剤、安定化剤から選択することができ、またはこれは、本発明のエマルションに所望の機能性または特性を付与する他の任意の構成成分であり得る。一態様では、C14~20脂肪酸に由来する1種または複数のトリグリセリドが任意選択によるさらなる構成成分として存在する。
【0116】
そのようなさらなる任意選択による構成成分は、最終エマルションの特性に有意な影響を及ぼさない限り、タイプおよび量の点で特に制限されない。これは、目的の任意選択によるさらなる構成成分の有無に関してのみ互いに異なる、下記の実施例10に類似した2種のエマルションを調製することによって試験することができる。任意選択による構成成分を含むサンプルの粒子サイズが、調製直後に任意選択による構成成分を含まないサンプルの粒子サイズと10%未満の差であり、両方のサンプルを5℃で1カ月間保存した後に任意選択による構成成分を含まないサンプルの粒子サイズと15%未満の差である場合、有意な影響を及ぼさない。
【0117】
本明細書に記載された他の任意の実施形態と組み合わせることができる好ましい実施形態では、エタノールは、本発明のエマルション、エマルション用組成物およびプレミックス中に存在しない。
【0118】
別の好ましい実施形態では、親水性共溶媒は存在しない。これは、25℃で液体であるすべての親水性有機化合物が除外されることを意味する。本明細書で使用される場合、親水性有機化合物は、25℃で33g/L以上の水への溶解度を有すると理解されるべきである。溶解度は、欧州薬局方第10版、第5.11章の手順を使用して決定することができる。親水性有機化合物の例には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)、グリセロール、アセトン、プロパノール、イソプロパノール、ジメチルアセチルアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルバイド、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレンまたはベンジルアルコールが含まれるがこれらに限定されない。
【0119】
好ましい実施形態では、水構成成分に可溶性である少なくとも1種の任意選択によるさらなる構成成分が存在する。これに関連して、「水構成成分に可溶性」という用語は、水構成成分への溶解度が、任意選択によるさらなる構成成分の全量が水構成成分に完全に溶解することができるほど十分に高くなければならないことを意味する。これは、任意選択によるさらなる構成成分および純粋な水構成成分を、本発明のエマルションにおいて使用される同じ量で混合することによって決定することができる。
【0120】
別の好ましい実施形態では、液体であり、エステル構成成分と混和性である少なくとも1種の任意選択によるさらなる構成成分が存在する。これに関連して、「液体であり、エステル構成成分と混和性である」という用語は、任意選択によるさらなる構成成分が室温(例えば、22℃)で液体であることおよびその全量がエステル構成成分と単一の均質相が形成されるように混合できることを意味する。これは、任意選択によるさらなる構成成分および純粋なエステル構成成分を、本発明のエマルションにおいて使用される同じ量で混合することによって決定することができる。
【0121】
定義O2:別の態様によれば、本発明の組成物は、任意選択によるさらなる構成成分を一切含有せず、すなわち、必須構成成分として本明細書の上記および下記に規定されたものに加えていかなる構成成分も含有しない。
【0122】
第1の実施形態
使用される構成成分
第1の実施形態において使用される構成成分に関しては特に制限はない。すなわち、エステル構成成分は、定義E1、E2、E3またはE4のいずれか1つに従うエステル構成成分から選択することができる。同様に、定義W1およびW2のいずれか1つに従う水構成成分を使用することができる。定義S1、S2およびS3のいずれか1つに従う界面活性剤を使用することができる。上記で提供された好ましさの表示は、第1の実施形態において使用される構成成分に適用される。
【0123】
上述の必須構成成分に加えて、定義O1に従って1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分を使用すること、または定義O2に従ってそのような任意選択によるさらなる構成成分を含めないことが可能である。
【0124】
構成成分の相対量
本発明の一実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対するエステル構成成分の重量は、0%超、例えば0.01%以上、かつ60%以下、より特定すると1~55%の間である。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対するエステル構成成分の重量は、5~50%の間である。
【0126】
より好ましい実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対するエステル構成成分の重量は、10~40%の間である。
【0127】
上記の条件は、本発明のエマルションを形成するための組成物に等しく適用される。
【0128】
本発明の一実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する界面活性剤の重量は、0%超かつ40%以下である。
【0129】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する界面活性剤の重量は、0%超かつ30%以下、好ましくは0.01%~28%の間である。
【0130】
より好ましい実施形態では、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する界面活性剤の重量は、4~26%の間である。
【0131】
水の含有率は、式w%=100%-e%-s%(式中、w%は、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する水の重量の百分率であり、e%は、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対するエステル構成成分の重量の百分率であり、s%は、本発明のエマルション中のエステル構成成分、界面活性剤および水の総重量に対する界面活性剤の重量の百分率である)に基づいて、エステル構成成分および界面活性剤の相対量から直接の結果として得られる。上記の表示は、任意選択によるさらなる構成成分の有無にかかわらず有効である。
【0132】
上記の条件は、本発明のエマルションを形成するための組成物に等しく適用される。
【0133】
本発明の別の態様では、エステル構成成分対界面活性剤の比は、90:10~40:60(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比は、1000:1~55:45(w/w)の間であり、水対エステル構成成分の比は、1000:1~4:6(w/w)の間である。
【0134】
本発明の好ましい態様では、エステル構成成分対界面活性剤の比は、85:15~45:55(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比は、400:1~65:35の間であり、水対エステル構成成分の比は、400:1~45:55(w/w)の間である。
【0135】
本発明のさらにより好ましい態様では、エステル構成成分対界面活性剤の比は、50:50~70:30(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比は、100:1~80:20(w/w)の間であり、水対エステル構成成分の比は、100:1~1:1(w/w)の間である。
【0136】
本発明の別の態様では、エステル構成成分対界面活性剤の比は、10:1~2:1(w/w)の間であり、水対界面活性剤の比は、98:2~50:50の間、好ましくは95:5~55:45の間、さらにより好ましくは90:10~70:35の間であり、水対エステル構成成分の比は、10:1~1:1の間である。
【0137】
さらなる好ましい態様は、以下の表に示す比の組合せによって特徴付けられる。
【0138】
【0139】
これらの範囲(および本文書の他の場所における対応する範囲)は、累積的に満たされるべき境界条件と理解されるべきである。すなわち、規定された範囲の枠内で、1つの範囲についての個々の値は、3つすべての境界条件が同時に満たされるように、他の2つの範囲内の好適な値がある場合に限り使用することができる。よって、3つすべての重量%または比の境界条件を同時に満たす比の組合せのみが、本発明によるものと開示されることを意図している。
【0140】
これらの条件は、本発明のエマルションおよび本発明のエマルションを形成するための組成物に適用されるが、プレミックスには適用されない。プレミックスの場合には、使用前にプレミックスに添加される水構成成分の量が、上記に規定された境界条件に従わなければならない。
【0141】
プレミックスに関する限り、いくつかの態様では、界面活性剤は、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して2~60%の重量で存在する。好ましい態様では、界面活性剤は、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して4~55%の重量で存在する。さらにより好ましい態様では、界面活性剤は、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して9~50%の重量で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、エステル構成成分および界面活性剤の総重量に対して10~60%、好ましくは15~55%、より好ましくは30~50%の重量で存在する。
【0142】
上記の表示はすべて、すべての界面活性剤構成成分の総量、すなわち、必須の界面活性剤の量および任意の任意選択による追加の界面活性剤の量を考慮に入れて計算されるべきである。
【0143】
本発明のエマルション中の任意選択による構成成分の総含有率は、エマルションの総重量をベースとして好ましくは0~5重量%、より好ましくは0~2.5重量%、さらにより好ましくは0~1重量%である。追加の要件として、各個々の任意選択による構成成分の含有率は、エマルションの総重量をベースとして0~1重量%、好ましくは0~0.5重量%である。プレミックスに関する限り、プレミックス中に存在する任意選択による構成成分の総含有率は、プレミックスの総重量をベースとして好ましくは0~10重量%、好ましくは0~5%、さらにより好ましくは0~2%である。加えて、各個々の任意選択による構成成分の含有率は、プレミックスの総重量をベースとして0~2重量%、好ましくは0~1重量%である。
【0144】
上記の条件は、本発明のエマルションを形成するための組成物に等しく適用される。
【0145】
図1~3は、すべての組成比が等しく好適であるとは限らない場合があることを示す。目的の特定の組成比が振盪または別の低エネルギーの製造方法により所望のエマルションを生じない場合、エステル構成成分、界面活性剤および水の相対量を、30重量%のエステル構成成分、55重量%の水および15重量%の界面活性剤から構成される組成物の方向に段階的に変化させることに続いて、本発明のエマルションを形成するための組成物の適合性を試験することによって、好適な組成比を系統的な様式で決定することが可能である。例として、これらの構成成分の最初の1種の相対量を2重量%、3重量%または5重量%刻みで好適に増加または減少させることができ、この変化を、他の2種の構成成分の一方の量を対応する量だけ減少または増加させることによって、またはあるいは、総変化が最初の構成成分の減少または増加に相当するように、他の構成成分の両方をより少量だけ減少または増加させることによって補うことができる。
【0146】
好ましい態様によれば、当業者は、式Iによるエステル化合物ならびにポリオキシエチレンヒマシ油誘導体および/またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選択される1種または複数の界面活性剤を選択し、式Iのエステル化合物に選択された1種または複数の界面活性剤を2:1のエステル化合物:界面活性剤比で添加し、混合することができる。次いで、当業者は、水(または水性飲料)を2:1の水:エステル化合物(w/w)比で添加し、30秒間振盪することができる。
【0147】
エマルション
本発明の第1の実施形態のエマルションは、上記に規定された構成成分の存在によって特徴付けられる。これらの構成成分は、第1の実施形態について本明細書の上記に規定された相対量で存在する。
【0148】
第1の実施形態のエマルションは、水中油型エマルションである。粒子サイズ(Z平均として表される)は、典型的には、20nm~400nm、好ましくは50nm~300nm、最も好ましくは80nm~200nmの範囲内である。多分散指数(PDI)は、典型的には、0.05~0.40、好ましくは0.08~0.30、最も好ましくは0.10~0.20の範囲内である。
【0149】
第1の実施形態のエマルションは、優れた保存安定性が典型的には観察されることから、有利である。例として、第1の実施形態のある特定の態様では、エマルションは、遮光したガラス容器に入れて5℃で3カ月間保存した場合、Z平均粒子サイズの15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満の変動を示す。第1の実施形態の関連する態様では、エマルションは、遮光したガラス容器に入れて22℃で3カ月間保存した場合、Z平均粒子サイズの15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満の変動を示す。さらなる具体的な態様では、エマルションは、遮光したガラス容器に入れて5℃で3カ月間保存した場合、多分散指数の30%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは20%未満の変動を示す。また別の具体的な態様では、エマルションは、遮光したガラス容器に入れて22℃で3カ月間保存した場合、多分散指数の30%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは20%未満の変動を示す。これらすべての態様では、変動は、以下の式を使用して計算される:
変動[%]=100%×|初期値-3カ月時の値|/初期値。
【0150】
しかしながら、短期の安定性、例として、上記の基準に従うが、わずか1週間、または1日または4時間またはさらにわずか2時間、1時間またはさらに30分間の安定性しか示さない、第1の実施形態のエマルションのいくつかのあまり好ましくない態様がある。エマルションの想定される使用に応じて、そのような短期間の安定性でも十分な場合がある。本発明のこれらの態様のエマルションは、依然として、低エネルギーの方法、またはより好ましくは、手で振盪すること(手動振盪ともいう)などの超低エネルギーの方法による乳化に好適であるという利点から利益を得る。
【0151】
本発明のエマルションを形成するための組成物
本発明の第1の実施形態のエマルションを形成するための組成物は、本発明の第1の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ構成成分によって特徴付けられる。これらは、本発明の第1の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ相対量で存在する。
【0152】
しかしながら、本発明の第1の実施形態のエマルションとは逆に、本発明のエマルションを形成するための組成物は、エマルションの形態でない。
【0153】
好ましい態様によれば、本発明のエマルションを形成するための組成物は、手で振盪することによる本発明の第1の実施形態のエマルションを形成するのに好適である密閉容器に入れて提供される。本発明のエマルションを形成するための組成物を、手で振盪するという手段によってエマルションを調製するための説明書とともに、密閉容器に入れて提供することがさらに好ましい。そのような説明書は、好ましくは、振盪を少なくとも1秒、より好ましくは1.5秒~120秒、さらにより好ましくは1.5~60秒、最も好ましくは2秒~30秒の期間行うべきであることを表示する。
【0154】
プレミックス
本発明の第1の実施形態のプレミックスは、水構成成分が存在しないことを除き、本発明の第1の実施形態のエマルションについて上記に規定された構成成分の存在によって特徴付けられる。しかしながら、相対量の表示は、水構成成分が存在しないことを考慮に入れるように調整しなければならず、この場合、調整は、水性構成成分で単に希釈することにより上記に規定された相対量表示に合致する組成物が生じるように、エステル構成成分と界面活性剤の比およびエステル構成成分プラス界面活性剤と任意選択によるさらなる構成成分の比が上記に規定されたままであるべきであることを意味する。
【0155】
例えば、目的の所与のエマルションについて、エステル構成成分、界面活性剤および水構成成分の相対量は、それぞれe%、s%およびw%であってもよく、e%+s%+w%=100%である。対応するプレミックスは、それぞれe1%およびs1%の相対量を有するエステル構成成分および界面活性剤のみによって形成され、e1%+s1%=プレミックスの100%である。エマルションの100%-w%は、プレミックスの100%に相当する。これは、個々の百分率をf=[100%/(100%-w%)]倍で計測しなければならないことを意味する。よって、e1%およびs1%は、それぞれ既知の相対量e%、s%およびw%に基づいて、それぞれ以下の数式e1%=f×e%およびs1%=f×s%を使用して計算することができる。
【0156】
追加的に任意選択による構成成分が目的のエマルション中にo%の相対量で存在する場合、上記の手法は、改変された数式e%+s%+w%+o%=エマルションの100%;e1%+s1%+o1%=プレミックスの100%;f=[100%/(100%-w%)];e1%=f×e%;s1%=f×s%;およびo1%=f×o%に依拠することによって、類似の様式で適用することができる。
【0157】
調製方法
本発明の第1の実施形態のエマルションは、任意の低エネルギーの方法または超低エネルギーの方法を用いて調製することができ、この場合、エネルギー投入は、これらの方法について上記に定義された通りである。
【0158】
例として、好適な低エネルギーの方法には、機械的撹拌、自動振盪、低エネルギーの音波処理が含まれる。
【0159】
好ましくは、超低エネルギーの方法が使用される。好適な超低エネルギーの方法には、手で振盪すること、手動撹拌、注入、回転、濾過、およびブレンドが含まれる。本発明の第1の実施形態によれば、手で振盪することによって乳化を実施することが特に好ましい。
【0160】
手動振盪は、好ましくは、少なくとも1秒、より好ましくは1.5秒~120秒、さらにより好ましくは1.5~60秒、最も好ましくは2秒~30秒の期間行われる。振盪の振動数は、好ましくは1~6Hz、より好ましくは2~4Hzである。好ましい手動振盪には、4~20回以上の振盪、より好ましくは10~120回の振盪が含まれる。
【0161】
第1の実施形態のエマルションの使用
第1の実施形態のエマルションの可能な使用に対しては特に制限はない。このエマルションは、同等の粒子サイズのエマルションが使用される、任意の実用的用途に好適である。これには、特に、CTまたはPET-CTイメージング、例えば、それぞれWO2019/030024およびWO2020/165349に詳細に記載されている、肝臓状態もしくは褐色および/もしくはベージュ脂肪組織の可視化または悪液質もしくは前悪液質の検出のための造影剤の投与が含まれる。
【0162】
第1の実施形態のエマルションの別の用途領域は、化粧品の分野である。やはり、所望の相対量の活性剤は、第1の実施形態のエマルションの形成(定義O1に関連して上記に規定された試験に基づいて判断されるべきである)を妨げないことが要件である。
【0163】
第1の実施形態のエマルションのさらなる想到可能な使用には、食品産業用途、個人衛生製品、乳化燃料、ポリマー化学合成(接着剤、塗料および合成ラテックス)が含まれる。
【0164】
第2の実施形態
使用される構成成分
エステル構成成分は、上記の定義E2またはE4に従うエステル構成成分から選択することができる。第2の実施形態に関連して、残りの構成成分については、特に制限はない。定義W1またはW2に従う水構成成分を使用することができる。定義S1、S2またはS3に従う界面活性剤を使用することができる。上記で提供された好ましさの表示は、第2の実施形態において使用される構成成分に適用される。
【0165】
上述の必須構成成分に加えて、定義O1に従って1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分を使用すること、または定義O2に従ってそのような任意選択によるさらなる構成成分を含めないことが可能である。第2の実施形態の好ましい態様では、少なくとも1種のそのようなさらなる構成成分が存在する。
【0166】
構成成分の相対量
第2の実施形態のエマルション、組成物およびプレミックスの構成成分は、第1の実施形態について上記に規定されたのと同じ相対量で存在してもよい。
【0167】
調製方法
第2の実施形態のエマルションは、第2の実施形態の組成物から任意の乳化方法を使用して調製することができる。これには、高せん断ミキサー、マイクロフルイダイザー、高圧ホモジナイザー、ジェット分散機または超音波処理装置などの装置を使用する高エネルギーの乳化方法;および上記の第1の実施形態について記載された低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法が含まれる。さらに、WO2019/030024AおよびWO2020/165349Aに記載された乳化方法が参照される。
【0168】
上記の第1の実施形態について記載された低エネルギーまたは超低エネルギーの乳化方法が好ましくは使用される。上記の第1の実施形態について記載された超低エネルギーの乳化方法が特に好ましい。
【0169】
エマルション
第2の実施形態のエマルションは、水中油型エマルションであり、これは、第1の実施形態のエマルションについて上記に規定されたのと同じ特性によって、とりわけ、同じ粒子サイズおよび/または多分散指数および/または保存安定性によって特徴付けられる。
【0170】
本発明のエマルションを形成するための組成物
第1の実施形態のエマルションを形成するための組成物についての上記の表示は、第2の実施形態のエマルションを形成するための組成物にも適用される。すなわち、本発明の第2の実施形態のエマルションを形成するための組成物は、本発明の第2の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ構成成分によって特徴付けられ、これは、第1の実施形態とは逆に、エステル構成成分中のヨウ素を含有する脂肪酸由来の部分が存在しないことを意味する。第2の実施形態の構成成分は、本発明の第2の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ相対量で存在する。
【0171】
しかしながら、本発明の第2の実施形態のエマルションとは逆に、本発明のエマルションを形成するための組成物は、エマルションの形態でない。
【0172】
好ましい態様によれば、本発明の第2の実施形態のエマルションを形成するための組成物は、例として手で振盪することによる、本発明の第2の実施形態のエマルションを形成するのに好適である密閉容器に入れて提供される。本発明のエマルションを形成するための組成物を、手で振盪するという手段によってエマルションを調製するための説明書とともに、密閉容器に入れて提供することがさらに好ましい。そのような説明書は、好ましくは、振盪を少なくとも1秒、より好ましくは1.5秒~120秒、さらにより好ましくは1.5秒~60秒、さらにより好ましくは2秒~30秒の期間行うべきであることを表示する。加えて、またはあるいは、説明書はまた、第2の実施形態について上記に規定された他の乳化方法、例えば音波処理に言及してもよい。
【0173】
プレミックス
本発明の第2の実施形態のプレミックスは、ヨウ素を含有するエステル構成成分が存在しないことを除き、第1の実施形態のプレミックスに本質的に相当する。詳細には、本発明の第2の実施形態のプレミックスは、水構成成分が存在しないことを除き、本発明の第2の実施形態のエマルションについて上記に規定された構成成分の存在によって特徴付けられる。相対量の表示は、水構成成分が存在しないことを考慮に入れるように調整しなければならず、この場合、調整は、水性構成成分で単に希釈することにより上記に規定された相対量表示に合致する組成物が生じるように、エステル構成成分と界面活性剤の比およびエステル構成成分プラス界面活性剤と任意選択によるさらなる構成成分の比が上記に規定されたままであるべきであることを意味する。
【0174】
第1の実施形態に関して上記に記載されたプレミックス中の構成成分の相対量を計算するための手法は、第2の実施形態のプレミックスについても適用可能である。
【0175】
第2の実施形態のエマルションの使用
第2の実施形態のエマルションは、第1の実施形態に関して上記に記載されたのと同じ目的および用途で使用することができる。しかしながら、定義E1のヨウ素を含有するエステル構成成分に基づくCTまたはPET-CTイメージング用途は、一般に不可能であり、その理由は、第2の実施形態では、R1基がヨウ素置換基を含有しない定義E2またはE4に従うエステル構成成分のみが使用されるからである。よって、CTまたはPET-CTイメージング用途は、R2基が1個または複数のヨウ素置換基、好ましくは1分子当たり少なくとも3個のヨウ素置換基を保有するエステル構成成分が使用される場合に限り可能である。
【0176】
第3の実施形態
エステル構成成分
本発明の第3の実施形態では、上記の定義E1に従うエステル構成成分を使用することが可能である。好ましくは、エステル構成成分は、定義E2に従い、より好ましくは、これは、定義E3または定義E4に従う。
【0177】
水性相
第3の実施形態では、上記の定義W1またはW2に従う水構成成分を使用することが可能である。好ましくは、水構成成分は、定義W2に従う。
【0178】
界面活性剤
第3の実施形態では、上記の定義S1、S2またはS3に従う界面活性剤を使用することが可能である。好ましくは、界面活性剤構成成分は、定義S3に従う。
【0179】
さらなる任意選択による構成成分
第3の実施形態のエマルション、組成物およびプレミックスはまた、上記の定義O1に従って1種または複数の任意選択によるさらなる構成成分を含有してもよい。しかしながら、第3の実施形態のいくつかの態様では、上記の定義O2に従って任意選択によるさらなる構成成分が存在しなくてもよい。
【0180】
構成成分の組合せ
本発明の第3の実施形態の一態様では、エステル構成成分は、上記の定義E3に従うように選択される一方、他の構成成分に関しては特に制限はない。すなわち、水構成成分は、定義W1、または好ましくは定義W2から選択することができ、界面活性剤は、定義S1、好ましくは定義S2、またはさらにより好ましくは定義S3から選択することができる。定義O1、またはO2に従って任意選択によるさらなる構成成分が存在してもしなくてもよい。
【0181】
本発明の第3の実施形態の別の態様では、水構成成分は、定義W2から選択される一方、他の構成成分に関しては特に制限はない。すなわち、エステル構成成分は、上記の定義E1、好ましくはE2、またはより好ましくはE3もしくはE4のいずれかに従うように選択され、界面活性剤は、定義S1、または好ましくは定義S2、またはより好ましくは定義S3から選択することができる。定義O1、またはO2に従って任意選択によるさらなる構成成分が存在してもしなくてもよい。
【0182】
本発明の第3の実施形態のまた別の態様では、界面活性剤構成成分は、定義S3から選択される一方、他の構成成分に関しては特に制限はない。すなわち、エステル構成成分は、上記の定義E1、好ましくはE2、またはより好ましくはE3もしくはE4のいずれかに従うように選択され、水構成成分は、定義W1、または好ましくは定義W2から選択することができる。定義O1、またはO2に従って任意選択によるさらなる構成成分が存在してもしなくてもよい。
【0183】
構成成分の相対量
第3の実施形態の構成成分は、第1の実施形態について上記に規定されたのと同じ相対量で第3の実施形態のエマルション中に存在してもよい。
【0184】
調製方法
第3の実施形態では、エマルションの調製に使用することができる方法に関しては特に制限はない。第2の実施形態について列挙された方法のいずれかを使用することができる。しかしながら、第1の実施形態について上記に記載された低エネルギーまたは超低エネルギーの方法を用いることが好ましく、手で振盪することを用いることが特に好ましい。
【0185】
エマルション
第3の実施形態のエマルションは、第3の実施形態について上記に規定された構成成分が上記に規定された相対量で存在することによって特徴付けられる。
【0186】
それは別として、第3の実施形態のエマルションは、第1の実施形態について上記に記載されたのと同じ特性によって特徴付けられる。これは、水中油型エマルションであり、これは、典型的には、第1の実施形態について上記に規定されたZ平均粒子サイズおよび/または多分散指数および/または保存安定性を示す。
【0187】
本発明のエマルションを形成するための組成物
本発明の第3の実施形態のエマルションを形成するための組成物は、本発明の第3の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ構成成分によって特徴付けられる。これらは、本発明の第3の実施形態のエマルションについて本明細書の上記に規定されたのと同じ相対量で存在する。
【0188】
しかしながら、本発明の第3の実施形態のエマルションとは逆に、本発明のエマルションを形成するための組成物は、エマルションの形態でない。
【0189】
好ましい態様によれば、本発明の第3の実施形態のエマルションを形成するための組成物は、手で振盪することによる本発明の第3の実施形態のエマルションを形成するのに好適である密閉容器に入れて提供される。本発明のエマルションを形成するための組成物を、手で振盪するという手段によってエマルションを調製するための説明書とともに、密閉容器に入れて提供することがさらに好ましい。そのような説明書は、好ましくは、振盪を少なくとも1秒、より好ましくは1.5秒~120秒、さらにより好ましくは1.5秒~60秒、さらにより好ましくは2秒~30秒の期間行うべきであることを表示する。加えてまたはあるいは、説明書はまた、第2の実施形態について上記に規定された他の乳化方法、例えば音波処理に言及してもよい。
【0190】
プレミックス
本発明の第3の実施形態のプレミックスは、第3の実施形態について上記に記載された水構成成分と合わせて、それにより、本発明の第3の実施形態のエマルションを形成するための上記の組成物を形成することができる。
【0191】
第3の実施形態のプレミックスは、第1および第2の実施形態のプレミックスに本質的に相当するが、ただし、エステル構成成分、界面活性剤および任意の任意選択によるさらなる構成成分は、(水構成成分が存在しないことを除き)第3の実施形態のエマルションの構成成分の上記の説明に従わなければならないことを条件とする。
【0192】
相対量の表示は、水構成成分が存在しないことを考慮に入れるように調整しなければならず、この場合、調整は、水性構成成分で単に希釈することにより上記に規定された相対量表示に合致する組成物が生じるように、エステル構成成分と界面活性剤の比およびエステル構成成分プラス界面活性剤と任意選択によるさらなる構成成分の比が上記に規定されたままであるべきであることを意味する。
【0193】
第1の実施形態に関して上記に記載されたプレミックス中の構成成分の相対量を計算するための手法は、第3の実施形態のプレミックスについても適用可能である。
【0194】
第3の実施形態のエマルションの使用
第3の実施形態のエマルションは、第1および第2の実施形態に関して上記に記載されたのと同じ目的および用途で使用することができる。
【0195】
好ましい実施形態
先に表示された通り、本発明は、3つの主要な実施形態に関する。これらの実施形態の各々について、複数の異なる態様および実施方式が説明される。これらの説明には、好ましさの表示もまた含まれる。2つ以上の特徴についてのそのような好ましい態様を組み合わせることによって本発明を実施することがさらにより好ましいが、ただし、そのような組合せまたは好ましい特徴が、実現不可能または科学的もしくは実用的観点から無意味である場合を除く。例えば、好ましいエステル構成成分と、好ましい界面活性剤構成成分および/または好ましい水構成成分との組合せを使用することが好ましい。これらの構成成分を、好ましいと表示されている相対量で使用することがさらにより好ましい。しかしながら、2種のそのような好ましい構成成分が、例として分解の問題または不溶性複合体の形成に起因して、相互に不適合である場合、好ましい特徴のそのような組合せは、避けられるべきであり、結果的に好ましくない。
【0196】
好ましい実施形態1-1:特に、上記の説明および下記の特許請求の範囲に規定された第1の実施形態のそのような好ましい一態様は、第1の実施形態について本明細書の上記および下記に記載されたエマルション、乳化用製品、プレミックス製品およびエマルションを製造するための方法に関するが、以下の好ましい特徴の組合せに基づく:
式Iのエステル構成成分(式中、
R1は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、分岐鎖アルケニル基、直鎖アルキニル基、分岐鎖アルキニル基からなる群から選択され、これらの各々は、1個のシクロプロピル基またはシクロブチル基を任意選択により含有し、これらの基の各々は、合計13~19個の炭素原子および1~4個の置換基を有し、置換基は、C1~4-アルコキシ、C1~4-チオエーテル、CN、N3、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択され、
R2は、直鎖状C1~4アルキル基、分岐状C3~4アルキル基、直鎖状C2~4アルケニル基、分岐状C3~4アルケニル基、直鎖状C2~4アルキニル基および分岐状C4アルキニル基から選択され、これらの基の各々は、非置換であるかまたはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、直鎖状C1~6アルキル、分岐状C3~6アルキル、環状C3~6アルキル、直鎖状C2~6アルケニル、分岐状C3~6アルケニル、環状C5~6アルケニル、直鎖状C2~6アルキニル、分岐状C4~6アルキニル、C5~14アリール、5~14員ヘテロアリール、シアノ、チオール、チオエーテル、ニトロ、アジド、およびヒドロキシルから選択される1~4個の置換基を含有するが、ただし、置換基および置換された基の各々が飽和または不飽和脂肪族基(飽和または不飽和環状基が含まれ得るが、環状芳香族基は含まれない)である場合、個々の炭素原子の制限の代わりに、置換された基の炭素原子の総数が、置換基および置換された基についての許される炭素原子数を加えることにより得られた炭素原子の範囲に従わなければならないことを条件とする)、
界面活性剤は、4~200個、好ましくは5~60個のオキシエチレン単位の総数を有するポリオキシエチレンヒマシ油、およびオキシエチレン単位の総数が4~20個であり、脂肪酸が飽和でも不飽和でもよい12個(例えば、ラウリン酸)~18個(例えば、ステアリン酸またはオレイン酸)の炭素原子を有する脂肪酸である、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選択され、ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、より好ましくは、上記の対応する群(S11a)および(S12a)に列挙された具体的な界面活性剤から選択され、
水構成成分は、特に制限されず、さらなる任意選択による構成成分が任意選択により存在し、
エステル構成成分対界面活性剤の比は、75:25~40:60(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比は、400:1~65:35の間であり、水対エステル構成成分の比は、400:1~45:55(w/w)の間であり、
乳化は、手で振盪することなどの超低エネルギーの方法によって行われるべきである。
【0197】
好ましい実施形態1-2:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態1-1と同じ特徴によって特徴付けられ、R1基は、直鎖状C16~C18アルキル基または直鎖状C16~C18アルケニル基であり、これらの各々は、F、ClおよびBrから選択される1個、2個または3個のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。
【0198】
好ましい実施形態1-3:さらにより好ましい実施形態は、R2が、C1~4-アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから選択されることを除き、上記の好ましい実施形態1-1または1-2と同じ特徴によって特徴付けられる。
【0199】
好ましい実施形態1-4:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態1-1、1-2または1-3と同じ特徴によって特徴付けられ、エステル構成成分対界面活性剤の比は、10:1~70:30(w/w)の間、好ましくは50:50~70:30(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比は、100:1~80:20(w/w)の間であり、水対エステル構成成分の比は、100:1~1:1(w/w)の間である。
【0200】
好ましい実施形態1-5:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態1-1、1-2、1-3または1-4と同じ特徴によって特徴付けられ、1種または複数のさらなる構成成分が、エマルション(または乳化用製品)の総重量をベースとして0~5重量%の相対量で存在する。当然ながら、プレミックスの場合には、さらなる構成成分は、(水が存在しないことに起因して)より大きな相対量、例えば0重量%超~10重量%で存在する。複数のさらなる構成成分の場合には、各個々の任意選択による構成成分は、場合に応じて、エマルション(または乳化用製品)の総重量をベースとして0超~1重量%、より好ましくは0超~0.5重量%、プレミックスの総重量をベースとして0超~2重量%、より好ましくは0超~1重量%の量で存在する。
【0201】
好ましい実施形態1-6:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態1-1、1-2、1-3、1-4または1-5と同じ特徴によって特徴付けられ、水構成成分は、飲用水、例えば水道水、鉱水、湧水、または炭酸水、コーヒー、紅茶、牛乳、フルーツジュース、およびソフトドリンクから選択され、より好ましくは、これは、水道水、湧水、鉱水、コーヒー、および紅茶から選択される。
【0202】
好ましい実施形態1-7:さらなる好ましい実施形態は、エステル構成成分対界面活性剤の比が、20:1~45:55(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比が、400:1~65:35の間であり、水対エステル構成成分の比が、400:1~45:55(w/w)の間であることを除き、好ましい実施形態1-1~1-6のいずれか1つと同じ特徴によって特徴付けられる。
【0203】
好ましい実施形態1-8:さらなる好ましい実施形態は、エステル構成成分対界面活性剤の比が、20:1~45:55(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比が、400:1~65:35の間であり、水対エステル構成成分の比が、400:1~50:50(w/w)の間であることを除き、好ましい実施形態1-1~1-7のいずれか1つと同じ特徴によって特徴付けられる。
【0204】
好ましい実施形態1-9:さらなる好ましい実施形態は、界面活性剤がポロキサマーから選択されることを除き、好ましい実施形態1-1~1-3のいずれか1つと同じ特徴によって特徴付けられる。この実施形態について、エステル構成成分対界面活性剤の比は、10:1~45:55(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比は、95:5~50:50の間、好ましくは90:10~70:35の間であり、水対エステル構成成分の比は、80:20~50:50(w/w)の間である。
【0205】
好ましい実施形態1-10:さらなる好ましい実施形態は、界面活性剤が脂肪酸のモノグリセリドから選択されることを除き、好ましい実施形態1-1~1-3のいずれか1つと同じ特徴によって特徴付けられる。この実施形態について、エステル構成成分対界面活性剤の比は、10:1~70:35(w/w)の間であり、プレミックス以外の態様では、水対界面活性剤の比は、98:2~70:35の間であり、水対エステル構成成分の比は、25:1~50:50(w/w)の間である。
【0206】
好ましい実施形態2-1:上記の説明および下記の特許請求の範囲に規定された第2の実施形態の好ましい態様は、第2の実施形態について本明細書の上記および下記に記載されたエマルション、乳化用製品、プレミックス製品およびエマルションを製造するための方法に関するが、エステル構成成分のR1基がヨウ素置換基を一切保有しないことのみを除き、上記の好ましい実施形態1-1~1-10のいずれか1つについて規定された好ましい特徴の組合せに基づく。
【0207】
好ましい実施形態2-2:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態2-1と同じ特徴によって特徴付けられる通りであるが、ただし、エステル構成成分のR1およびR2はいずれも、ヨウ素置換基を一切保有しないことを追加の条件とする。
【0208】
好ましい実施形態3-1:上記の説明および下記の特許請求の範囲に規定された第3の実施形態の好ましい態様は、第3の実施形態について本明細書の上記および下記に記載されたエマルション、乳化用製品、プレミックス製品およびエマルションを製造するための方法に関するが、好ましい実施形態1-1~1-10のいずれか1つについて規定された好ましい特徴の組合せに基づき、および/またはエステル構成成分は、上記の定義E3または定義E4に従い、水構成成分は、定義W2に従い、界面活性剤は、定義S1、S2またはS3に従う。
【0209】
好ましい実施形態3-2:さらにより好ましい実施形態は、上記の好ましい実施形態3-1と同じ特徴によって特徴付けられる通りであるが、界面活性剤構成成分は、定義S3に従う。
【実施例】
【0210】
Brand(Wertheim、ドイツ)製のポリスチレンマイクロキュベット中で4mW He-Neレーザー(633nm)を使用してZetasizer Nano ZS(Malvern Panalytical Ltd、英国)で173°の角度を使用する動的光散乱を使用して、粒子サイズを測定した。サンプルをmilliQ水中で4~6の間の減衰器指数に達するまで1:100に希釈した。各サンプルについて25℃で3回の測定を実施した。Z平均および多分散指数は、3回の測定の平均±標準偏差として記録した。サイズ分布および平均直径は、ZetaSizerソフトウェアv8を使用してデータから計算した。
【0211】
別段の記述がない限り、構成成分の量比、例えば水対油の比および油対界面活性剤の比は、重量比を指す。
【0212】
実施例1
オレイン酸エチルナノエマルション
オレイン酸エチルおよび単一のポリソルベート(Tween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80)を2:1の比で混合した。水を添加し(水対油の比1.8:1)、混合物を手で20秒間振盪した。200nmを下回る粒子サイズおよび0.2を下回るPDIを有するナノエマルションが得られた(表1)。
【0213】
【0214】
実施例2
ケシ種子油エチルエステルナノエマルション
ケシ種子油エチルエステルおよび単一の界面活性剤(Tween 80、またはEtocas 35、またはKolliphor RH40)を2:1の比で混合した。水を添加し(水対油の比1.8:1)、混合物を20秒間振盪した。200nmを下回る粒子サイズおよびPDI0.2以下を有するナノエマルションが得られた。
【0215】
【0216】
実施例3
オレイン酸エチルおよびTween 60ナノエマルション
オレイン酸エチルおよびTween 60を様々な割合で混合した。水を添加し、混合物を10秒間振盪した。最終体積は、1mL以下であった。擬似三成分図を作成した。安定なナノエマルションドメインは、4:1~1:2の間(エステル構成成分対界面活性剤の比)、9:1~45:55の間(水対エステル構成成分の比)、および98:2~4:3の間(水対界面活性剤の比)であることが見出された。ナノエマルションを生じるエステル構成成分の割合は、5~45%の間である(
図1)。
【0217】
実施例4
ケシ種子油エチルエステルおよびTween 80ナノエマルション
ケシ種子油エチルエステルおよびTween 80を様々な割合で混合した。水を添加し、混合物を10秒間振盪した。最終体積は、1mL以下であった。擬似三成分図を作成した。ナノエマルションドメインは、9:1~1:1の間(エステル構成成分対界面活性剤の比)、85:15~45:55の間(水対エステル構成成分の比)および95:5~3:2の間(水対界面活性剤の比)であることが見出され、ナノエマルションを生じるエステル構成成分の割合は、12~45%の間である(
図2)。
【0218】
実施例5
ジヨードステアリン酸エチルおよびKolliphor RH40から作製されるナノエマルション
ジヨードステアリン酸エチルおよびKolliphor RH40を様々な割合で混合した。水を添加し、混合物を5秒間振盪した。最終体積は、1mL以下であった。擬似三成分図を作成した。ナノエマルションドメインは、9:1~35:65の間(エステル構成成分対界面活性剤の比)、9:1~1:1の間(水対エステル構成成分の比)および95:5~3:2の間(水対界面活性剤の比)であることが見出され、ナノエマルションを生じる最終製品中のエステル構成成分の割合は、8~45%の間である(
図3)。
【0219】
実施例6
調製方法のスケールアップ
オレイン酸エチルおよびTween 60を室温で2:1の比で混合した。水(280mL)を添加して、0.5kgの最終質量を得た。混合物を手で60秒間振盪した。ナノエマルションは、均質な外観を呈した。粒子サイズおよびPDIは、それぞれ143.1±1.4nmおよび0.153±0.028であった。これは、より小さい体積およびより小さいスケールを用いて得られた結果と一致する。振盪法は、マルチキログラムスケールに容易に拡張可能である。
【0220】
実施例7
ミリスチン酸イソプロピルナノエマルション
ミリスチン酸イソプロピルおよび単一の界面活性剤(Tween 80またはKolliphor RH40)を2:1の比で混合した。水を添加し、混合物を20秒間振盪した。300nmを下回る粒子サイズ(Z平均)および0.3を下回るPDIを有するナノエマルションが得られた(表3)。
【0221】
【0222】
実施例8
異なる乳化プロセス間の比較
異なる乳化方法を使用して、ヨードステアリン酸エチル(30w/w%)、Kolliphor RH 40(12w/w%)および水(1gまで)から作製される異なる配合物を調製した:
-ナノ沈殿:油および界面活性剤をアセトン1mLに溶解した。この混合物を水に磁気撹拌しながらゆっくり(1滴/秒)添加した。完全に添加した後、アセトンを減圧下40℃で除去した。
-音波処理:油および界面活性剤を水と混合した。この混合物を超音波浴中で15分間音波処理した。
-転相-段階的添加:油および界面活性剤を、磁気撹拌機を使用して混合した。混合物を60℃で加熱した。水を60℃で加熱した。水を油相に撹拌しながら滴下(1滴/秒)添加した。混合物が室温に戻るまで撹拌を続けた。
-転相-直接添加:油および界面活性剤を、磁気撹拌機を使用して混合した。混合物を60℃で加熱した。水を60℃で加熱した。水を油-界面活性剤混合物に撹拌しながら添加した。混合物が室温に戻るまで撹拌を続けた。
-古典的乳化-段階的添加:油および界面活性剤を、磁気撹拌機を使用して混合した。混合物を60℃で加熱した。水を60℃で加熱した。油相を水に撹拌しながら滴下(1滴/秒)添加した。混合物が室温に戻るまで撹拌を続けた。
-古典的乳化-直接添加:油および界面活性剤を、磁気撹拌機を使用して混合した。混合物を60℃で加熱した。水を60℃で加熱した。油相を水に撹拌しながら添加した。混合物が室温に戻るまで撹拌を続けた。
【0223】
外観、粒子サイズ、(秤量、設備の準備、加熱および冷却時間(ある場合)等を含めた)総調製時間および必要な設備を表4に記録した。ナノ沈殿法は、ナノエマルションを生じなかった。他の方法は、160~273nmの範囲の粒子サイズおよび0.09~0.292の範囲のPDIを有するナノエマルションの形成をもたらした。この点に関して、最も大きい粒子および分布を有するナノエマルションは、水を段階的に添加する転相であった。他のすべての方法は、同様の粒子サイズおよびPDIを有するナノエマルションをもたらした。調製時間は、20分(音波処理および「振盪」法)~40分の範囲であった。ナノ沈殿は、最も時間のかかる方法(1時間)であったが、ナノエマルションをもたらさなかった。振盪法は、最少の設備を必要とし、非常に効率的である。
【0224】
【0225】
実施例9
水相の改変
ケシ種子油エチルエステルおよびTween 80を4:1の比で混合した。異なる水相(精製水、発泡水(San Pellegrino)、ミルク入りの冷たいコーヒー(l’Or Espresso Splendid)、フルーツジュース(マルチフルーツ、保存料なし)、ぬるい紅茶(Twiningsアールグレイ))を、最終配合物が1.4gに達するまで添加した(水対油の比4:1)。配合物を手で5秒間振盪した。外観および粒子サイズを評価した。すべての配合物が、均質かつ乳状であり、色は、使用した水相次第であった(精製および発泡水については白色、紅茶およびコーヒーについては薄褐色、フルーツジュースについては薄橙色)。すべての配合物が、同様の粒子サイズ(Z平均:142.5~153.4nmの間;PDI:0.102~0.149の間)を呈した(表5)。
【0226】
【0227】
実施例10
安定性研究
ジヨードステアリン酸エチルおよびEtocas 35を1.75:1の比で混合した。水を添加し(水対油の比1.3:1)、混合物を手で10秒間振盪した。得られたエマルションを室温(RT)および2~8℃で保持した。粒子サイズおよび外観を、1日、2週間、1、2および3カ月後に評価した。配合物の外観は、安定性研究の間変化しないままであった。粒子サイズは、表6に提示された通り、有意に変化しなかった。
【0228】
【0229】
実施例11
振盪時間の影響
ジヨードステアリン酸エチルおよびKolliphor RH40を2.5:1の比で混合した。水を350mgに達するまで添加した(水対油の比2:1)。振盪の持続時間をサンプル間で変動させた。次いで、粒子サイズをDLSによって分析した。200nmを下回る粒子サイズおよび0.2を下回るPDIを有するナノエマルションを得るために、1秒超の振盪または3回以上の振盪が必要とされる(表7)。
【0230】
【0231】
実施例12
ステアリン酸ブチルナノエマルション
30℃(融点を上回る)で加熱したステアリン酸ブチルおよび界面活性剤(Tween 40、Tween 80またはKolliphor RH40)を2:1の比で混合した。水を添加し、混合物を20秒間振盪した。200nmを下回る粒子サイズ(Z平均)および0.4を下回るPDIを有するナノエマルションが得られた(表8)。
【0232】
【0233】
実施例13
リノール酸メチルナノエマルション
リノール酸メチルおよび界面活性剤(Tween 40、Tween 80またはKolliphor RH40)を2:1の比で混合した。水を添加し、混合物を20秒間振盪した。300nmを下回る粒子サイズ(Z平均)および0.4を下回るPDIを有するナノエマルションが得られた(表9)。
【0234】
【0235】
参考文献
1. Aswathanarayan, J. B. & Vittal, R. R. Nanoemulsions and Their Potential Applications in Food Industry. Front. Sustain. Food Syst. 3, (2019).
2. Anton, N. & Vandamme, T. F. Nano-emulsions and micro-emulsions: clarifications of the critical differences. Pharm. Res. 28, 978-985 (2011).
3. Anton, N. & Vandamme, T. F. The universality of low-energy nano-emulsification. Int. J. Pharm. 377, 142-147 (2009).
4. Buya, A. B., Beloqui, A., Memvanga, P. B. & Preat, V. Self-Nano-Emulsifying Drug-Delivery Systems: From the Development to the Current Applications and Challenges in Oral Drug Delivery. Pharmaceutics 12, (2020).
5. Miyagawa, Y., Shima, M., Matsuno, R. & Adachi, S. Energy Efficiency of Different Emulsification Methods: A Comparative Evaluation. Jpn. J. Food Eng. 16, 71-74 (2015).
【国際調査報告】