(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】積層化電子デバイス用の電力分配
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241106BHJP
H10B 80/00 20230101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H10B80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524726
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022078515
(87)【国際公開番号】W WO2023076842
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518065991
【氏名又は名称】アデイア セミコンダクター ボンディング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ギリアン
(72)【発明者】
【氏名】ファウンテン ガイウス ギルマン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ハーバ ベルガセム
(57)【要約】
積層化電子デバイスが開示される。積層化電子デバイスは、2つ以上の相互接続ダイ、例えば下側ダイ、上側ダイ、及び下側ダイと上側ダイの間の中間ダイを含むダイスタックを有する。複数の基板貫通ビア(TSV)がスタックのダイへの信号伝達を提供することができる。電力供給線路が電力を下側ダイに通すことなく中間ダイに提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、外部線路がスタックの上側ダイの上面を通る電力を供給することができ、その間、信号が下面を通って供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
少なくとも3つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、前記ダイは、下側ダイ、上側ダイ、及び前記下側ダイと前記上側ダイとの間の中間ダイを含み、
前記ダイスタックのうちのダイへの信号伝達を可能にする複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、
電力を前記下側ダイに通すことなく前記中間ダイに提供するよう構成された電力供給線路を有する、装置。
【請求項2】
前記下側ダイは、そのアクティブ面が下に向いた状態で取り付けられ、前記中間ダイは、そのアクティブ面が下に向いて前記下側ダイを覆った状態で取り付けられ、前記下側ダイのうら面が電力を前記電力供給線路から前記中間ダイに分配するよう構成された電力分配ネットワークを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記下側ダイの前記うら面は、グラウンド配線ネットワークをさらに有する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記電力分配ネットワーク及び前記グラウンド配線ネットワークと前記中間ダイとの間に設けられたキャパシタをさらに有する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
電力を前記ダイスタックの外側から前記ダイスタックのうちの上に位置するダイに提供する第2の電力供給線路をさらに有し、前記中間ダイのうら面が電力を前記第2の電力供給線路から前記上に位置するダイに提供する第2の電力分配ネットワークを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記ダイスタックの外側から前記中間ダイに至るグラウンド接続線路をさらに有する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記電力供給線路は、前記TSVの平均断面積の2倍以上である断面積を有する、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記電力供給線路は、前記TSVの平均断面積の4倍以上である断面積を有する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記電力供給線路は、ワイヤボンドからなる、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記中間ダイのためのグラウンド接続を可能にするグラウンドワイヤボンドをさらに有する、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記ダイスタックは、ワイヤボンド接続のための段部を提供する階段状プロフィールを有する、請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記ダイスタックは、サイズが異なるダイを含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記ダイスタックは、サイズが同じダイを含む、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記ダイスタックのうちの前記ダイのエッジは、前記段部を提供するよう互いに対して横方向にずらされている、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記電力供給線路は、前記ダイスタックの側壁に沿ってエッジトレースを有する、請求項2記載の装置。
【請求項16】
前記エッジトレースは、硬化済み導電ペーストを含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記エッジトレースは、めっき金属を含む、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記めっき金属は、銅である、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記ダイスタックのうちの互いに異なるダイのために互いに異なる電圧が提供される、請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記下側ダイを通過していない多数の電力供給線路によって前記ダイスタックのうちの一ダイのために多数の互いに異なる電圧が提供される、請求項1記載の装置。
【請求項21】
前記電力供給線路は、電力を前記中間ダイのうら面経由で前記中間ダイに送り出す、請求項1記載の装置。
【請求項22】
前記電力供給線路は、電力を前記中間ダイのおもて面経由で前記中間ダイに送り出す、請求項1記載の装置。
【請求項23】
電力TSVを通る追加の内部電力供給線路をさらに有する、請求項1記載の装置。
【請求項24】
前記ダイスタックは、前記上側ダイと前記下側ダイとの間に多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が前記中間ダイの各々のために設けられている、請求項1記載の装置。
【請求項25】
前記ダイスタックは、多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が前記下側ダイを通過しないで前記中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設けられ、内部電力供給線路が前記中間ダイのうちの他の中間ダイのために設けられている、請求項1記載の装置。
【請求項26】
前記別々の電力供給線路は、前記下側ダイを通ることなく互いに異なる電力を前記中間ダイのうちの互いに異なる中間ダイに供給する、請求項24記載の装置。
【請求項27】
前記別々の電力供給線路は、前記下側ダイを通ることなく互いに異なる電圧を前記ダイスタックのうちの一ダイに供給する、請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記ダイスタックのうちの少なくとも2つのダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている、請求項1記載の装置。
【請求項29】
前記ダイスタックのうちの前記ダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている、請求項1記載の装置。
【請求項30】
前記電力供給線路は、電力を前記下側ダイの下方に位置するダイ又はボードから前記中間ダイに提供するとともに、前記下側ダイをバイパスする、請求項1記載の装置。
【請求項31】
前記電力供給線路は、電力を前記上側ダイの上方に位置する電力供給源から前記中間ダイに提供するとともに、前記上側ダイをバイパスする、請求項1記載の装置。
【請求項32】
装置であって、
信号基板貫通ビア(TSV)を含む複数の積層ダイからなるスタックと、
電力を前記スタック中の最も下のダイの上方に位置する1つ以上のダイに提供するボンドワイヤ又はエッジトレースとを有する、装置。
【請求項33】
前記複数の積層ダイは、下側ダイ、上側ダイ、及び前記下側ダイと前記上側ダイとの間の中間ダイを含み、前記ボンドワイヤ又はエッジトレースは、電力を前記下側ダイのうら面に設けられた電力分配ネットワーク経由で前記中間ダイに提供する、請求項32記載の装置。
【請求項34】
電子モジュールを製造する方法であって、
スタック内の少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に結合するステップを含み、前記結合ステップは、基板貫通ビア(TSV)経由で前記ダイ相互間の信号接続を可能にするステップを含み、
TSVを通して前記電力を伝えないで電力接続線路を前記スタックのうちの中間ダイに提供するステップを含む、方法。
【請求項35】
電力分配ネットワークを前記中間ダイとその下に位置するダイとの間に電力分配ネットワークを提供し、そして前記電力接続線路を前記電力分配ネットワークに接続するステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記電力分配ネットワークと前記中間ダイとの間に設けられたキャパシタを形成するステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
別々の電力供給線路は複数の中間ダイの各々に提供するステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
別々の電圧を前記スタックのうちの別々のダイにかけるステップをさらに含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
別々の電力分配ネットワークをそれ自体別個の電力供給線路を有する各中間ダイの下方に提供し、そして前記電力供給線路を前記電力分配ネットワークに接続するステップをさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記電力供給線路を提供する前記ステップは、ワイヤボンディングを含む、請求項34記載の方法。
【請求項41】
前記中間ダイのためのグラウンド接続部をワイヤボンディングするステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記スタックのうちの前記少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に接続する前記ステップは、ワイヤボンド接続のための段部を提供するよう前記ダイを位置決めするステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項43】
前記電力供給線路を提供する前記ステップは、エッジトレースを前記スタックの側壁に沿って形成するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項44】
前記エッジトレースを形成する前記ステップは、金属めっきを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記エッジトレースを形成する前記ステップは、銅めっきを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
電力TSVを通る追加の内部電力供給線路を提供するステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項47】
前記スタックは、多数の中間ダイを含み、前記方法は、別々の電力供給線路を前記中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設け、そして前記中間ダイのうちの他の中間ダイのためにTSVを通る内部電力供給線路を設けるステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項48】
前記スタックのうちの前記少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に接続する前記ステップは、前記ダイを互いにダイレクトハイブリッドボンディングするステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項49】
装置であって、
少なくとも2つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、前記ダイは、上側ダイ及びアクティブおもて面とうら面を備えた下側ダイを含み、前記上側ダイは、前記下側ダイの前記うら面に被着され、
前記下側ダイを通る複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、前記TSVは、前記ダイスタックのうちの前記上側ダイへの信号送信を可能にし、
電力を前記下側ダイの前記うら面に提供するよう構成された電力供給線路を有し、前記下側ダイは、前記下側ダイの全てのメタライゼーションレベルを通らないで電力を前記うら面から前記下側ダイのデバイスに伝える電力ビアを含む、装置。
【請求項50】
前記上側ダイと前記下側ダイとの間に設けられた配線構造体をさらに有し、前記配線構造体は、電力を前記電力供給線路から前記下側ダイに分配するよう構成されている、請求項49記載の装置。
【請求項51】
前記配線構造体は、グラウンド配線ネットワークをさらに有する、請求項50記載の装置。
【請求項52】
電力分配ネットワーク及び前記配線構造体の前記グラウンド配線ネットワークと前記中間ダイとの間に設けられたキャパシタをさらに有する、請求項51記載の装置。
【請求項53】
前記ダイスタックの外側から前記下側ダイに至るグラウンド接続線路をさらに有する、請求項49記載の装置。
【請求項54】
前記電力供給線路は、前記TSVの平均断面積の2倍以上である断面積を有する、請求項49記載の装置。
【請求項55】
前記電力供給線路は、前記TSVの平均断面積の4倍以上である断面積を有する、請求項49記載の装置。
【請求項56】
前記電力供給線路は、ワイヤボンドからなる、請求項49記載の装置。
【請求項57】
前記中間ダイのためのグラウンド接続を可能にするグラウンドワイヤボンドをさらに有する、請求項56記載の装置。
【請求項58】
前記ダイスタックは、ワイヤボンド接続のための段部を提供する階段状プロフィールを有する、請求項56記載の装置。
【請求項59】
前記ダイスタックは、サイズが異なるダイを含む、請求項58記載の装置。
【請求項60】
前記ダイスタックは、サイズが同じダイを含む、請求項58記載の装置。
【請求項61】
前記ダイスタックのうちの前記ダイのエッジは、前記段部を提供するよう互いに対して横方向にずらされている、請求項59記載の装置。
【請求項62】
前記電力供給線路は、前記ダイスタックの側壁に沿ってエッジトレースを有する、請求項50記載の装置。
【請求項63】
前記エッジトレースは、硬化済み導電ペーストを含む、請求項62記載の装置。
【請求項64】
前記エッジトレースは、めっき金属を含む、請求項62記載の装置。
【請求項65】
前記めっき金属は、銅である、請求項64記載の装置。
【請求項66】
前記ダイスタックのうちの互いに異なるダイのために互いに異なる電圧で互いに異なる電力供給量が提供される、請求項49記載の装置。
【請求項67】
前記電力供給線路は、電力を前記上側ダイのうら面経由で前記上側ダイに送り出す、請求項49記載の装置。
【請求項68】
電力TSVを通る追加の内部電力供給線路をさらに有する、請求項49記載の装置。
【請求項69】
前記ダイスタックは、前記上側ダイと前記下側ダイとの間に多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が前記中間ダイの各々のために設けられている、請求項49記載の装置。
【請求項70】
前記ダイスタックは、多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が前記中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設けられ、内部電力供給線路が前記中間ダイのうちの他の中間ダイのために設けられている、請求項49記載の装置。
【請求項71】
前記別々の電力供給線路は、互いに異なる電力を前記中間ダイのうちの互いに異なる中間ダイに供給する、請求項69記載の装置。
【請求項72】
前記ダイスタックのうちの前記少なくとも2つのダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている、請求項49記載の装置。
【請求項73】
前記ダイスタックのうちの前記ダイは、被着された配線構造体を介して互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている、請求項49記載の装置。
【請求項74】
ダイスタックであって、
複数の積層ダイを含み、前記積層ダイのうちの少なくとも底部ダイがダイ下面からダイ上面まで延びる基板貫通ビア(TSV)を有し、
電力を前記底部ダイに通さないで前記ダイスタックのうちの少なくとも1つのダイに提供する外部電力供給線路を含む、ダイスタック。
【請求項75】
前記外部電力供給線路は、電力を前記底部ダイの上面経由で前記底部ダイに提供する、請求項74記載のダイスタック。
【請求項76】
前記底部ダイとその上に位置するダイとの間に配線構造体をさらに含み、前記外部電力供給線路は、前記配線構造体に物理的にかつ電気的に結合している、請求項74記載のダイスタック。
【請求項77】
前記外部電力供給線路は、電力を前記底部ダイの上面経由で前記底部ダイに提供する、請求項76記載のダイスタック。
【請求項78】
前記外部電力供給線路は、電力を前記配線構造体経由で前記上に位置するダイに提供する、請求項76記載のダイスタック。
【請求項79】
前記外部電力供給線路は、ボンドワイヤからなる、請求項76記載のダイスタック。
【請求項80】
前記外部電力供給線路は、エッジトレースからなる、請求項76記載のダイスタック。
【請求項81】
前記積層ダイは、ダイレクトハイブリッドボンディングによって互いに接続されている、請求項74記載のダイスタック。
【請求項82】
前記底部ダイの下面はさらに、キャリヤに取り付けられている、請求項81記載のダイスタック。
【請求項83】
前記ダイスタックのうちのダイ相互間のダイレクトボンディングは、電力分配ネックワークを含む配線構造体を介して実施される、請求項81記載のダイスタック。
【請求項84】
集積回路ダイであって、
集積デバイスの少なくとも幾つかの部分を含むおもて面とうら面を備えた半導体基板部分を有し、
前記半導体基板部分に被着状態で形成されたバックエンドオブライン(back-end-of-line:BEOL)部分を有し、前記BEOL部分は、金属インターコネクトを含み、
前記BEOL部分及び前記半導体基板部分を貫通して延びる複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、
前記BEOL部分全体を貫通して延びることなく、前記半導体基板部分の前記うら面から前記集積デバイスまで延びる電力供給ビアを有する、集積回路ダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、積層化電子デバイス、特に積層化電子デバイスのための電力分配に関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年10月25日に出願された米国特許仮出願第63/263004号(発明の名称:POWER DISTRIBUTION FOR STACKED ELECTRONIC DEVICES)の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、全ての目的についてその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
多数の半導体素子(例えば、集積デバイスダイ)が種々の用途、例えば垂直集積方式を利用するプロセッサ、高バンド幅メモリ(high bandwidth memory:HBM)デバイス、又は他のデバイスにおいて互いに上下に積層される場合がある。積層素子は、互いに電気通信することができる。信号及び電力は、基板貫通ビア(through substrate via:TSV)経由でダイを通って伝送できる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一観点によれば、装置であって、
少なくとも3つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、ダイは、下側ダイ、上側ダイ、及び下側ダイと上側ダイとの間の中間ダイを含み、
ダイスタックのうちのダイへの信号伝達を可能にする複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、
電力を下側ダイに通すことなく中間ダイに提供するよう構成された電力供給線路を有することを特徴とする装置が提供される。
【0005】
本発明の別の観点によれば、装置であって、
信号基板貫通ビア(TSV)を含む複数の積層ダイからなるスタックと、
電力をスタック中の最も下のダイの上方に位置する1つ以上のダイに提供するボンドワイヤ又はエッジトレースとを有することを特徴とする装置が提供される。
【0006】
本発明のさらに別の観点によれば、電子モジュールを製造する方法であって、
スタック内の少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に結合するステップを含み、結合ステップは、基板貫通ビア(TSV)経由でダイ相互間の信号接続を可能にするステップを含み、
電力をTSVに通して伝えないで電力接続線路をスタックのうちの中間ダイに提供するステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0007】
本発明のさらに別の観点によれば、装置であって、
少なくとも2つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、ダイは、上側ダイ及びアクティブおもて面とうら面を備えた下側ダイを含み、上側ダイは、下側ダイのうら面に被着され、
下側ダイを通る複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、TSVは、ダイスタックのうちの上側ダイへの信号送信を可能にし、
電力を下側ダイのうら面に提供するよう構成された電力供給線路を有し、下側ダイは、下側ダイの全てのメタライゼーションレベルを通らないで電力をうら面から下側ダイのデバイスに伝える電力ビアを含む、ことを特徴とする装置が提供される。
【0008】
本発明のさらに別の観点によれば、ダイスタックであって、
複数の積層ダイを含み、積層ダイのうちの少なくとも底部ダイが上側ダイ表面から下側ダイ表面まで延びる基板貫通ビア(TSV)を有し、
電力を底部ダイに通さないでダイスタックのうちの少なくとも1つのダイに提供する外部電力供給線路を含むことを特徴とするダイスタックが提供される。
【0009】
本発明のさらに別の観点によれば、集積回路ダイであって、
集積デバイスの少なくとも幾つかの部分を含むおもて面とうら面を備えた半導体基板部分を有し、
半導体基板部分に被着状態で形成されたバックエンドオブライン(back-end-of-line:BEOL)部分を有し、BEOL部分は、金属インターコネクトを含み、
BEOL部分及び半導体基板部分を貫通して延びる複数の基板貫通ビア(TSV)を有し、
BEOL部分全体を貫通して延びることなく、半導体基板部分のうら面から集積デバイスまで延びる電力供給ビアを有することを特徴とする集積回路ダイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】多数の集積デバイスダイのスタック、キャリヤ、及び電力供給(パワーデリバリ)及び信号伝達を可能にするよう構成された基板貫通ビア(TSV)の概略断面図である。
【
図2】一実施形態に従って、階段状構造に配置された多くの集積デバイスダイのスタック、キャリヤ、信号伝達を可能にするよう構成されたTSV、第1の組をなす配線層、第2の組をなす配線層、第1の電力供給線路、及び第2の電力供給線路の概略断面を示す図である。
【
図3】別の実施形態に従って、多くの集積ダイのスタック、キャリヤ、信号伝達を可能するよう構成されたTSV、第1及び第2の組をなす配線層、及びスタックの側壁に設けられたエッジトレースの概略断面を示す図である。
【
図4】別の実施形態に従って、2つの集積デバイスダイのスタック、キャリヤ、信号伝達及び送電を可能にするよう構成されたTSV、第1の組をなす配線層、及び第1の電力供給線路の概略断面を示す図である。
【
図5】別の実施形態に従って、電力分配ネットワーク(PDN)を含む第1の組をなす配線層の概略断面を示す図である。
【
図6】別の実施形態に従って、多数の集積デバイスダイのスタック、キャリヤ、信号送信を可能にするよう構成されたTSV、第1及び第2の組をなす配線層、スタックの側壁上に設けられたエッジトレース、及びダイスタックの上に位置するヒートシンクの概略断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同一の参照符号が詳細な説明及び図面全体にわたって同一の特徴を指すために用いられている。
【0012】
ダイスタック中の多数のダイへの電力分配は、難題であり、これは、スタックの背丈が高くなると、よりいっそう難題となる。現在、ダイスタックを配線するための技術動向は、基板貫通ビア(TSV)を介してである。有利には、ダイスタックを通るダイレクト線路は、特にダイスタックがダイレクトハイブリッドボンディングによって接続される場合、効率的にはTSV経由で提供されるのがよい。しかしながら、電力分配に関し、TSVは、比較的抵抗性を示すので電力を消費して熱を発生させ、しかもダイ内の相当広いスペースを占める。かくして、電力をダイスタックの頂部(最上部)に送ることは、スタック中のダイの数が増えるにつれてより困難になる。本明細書において開示する種々の実施形態は、TSVを用いて信号をダイスタック中に送るが、電力を下側のダイに通さないでスタックの中間部に供給する。例えば、電力分配ネットワーク(power distribution network:PDN)は、第1のダイの上面と第1のダイの上方に位置する第2のダイの下面との間に設けられるのがよい。種々の実施形態では、周辺接続部(例えば、エッジトレース内のワイヤ又はタブボンド、導電ペースト、めっき銅)は、電力を最初に下側ダイに通さないでPDNに送り出し、TSVをダイ経由による電力分配の犠牲なく信号伝達のために使用することができる。かくして、電力を下側ダイ中のTSVに通さないでダイスタックのうちの複数のダイに送り出すことができる。幾つかの実施形態では、電力を通常のキャリヤ接続部(はんだボール、ダイレクトボンディング、ワイヤボンディング)経由で供給し、かくして、マザーボードへの別々の接続部なしにパッケージ中に供給する。他の実施形態では、電力をマザーボードから別々の接続部(例えば、ワイヤボンド)経由でマザーボードに送り出すことができる。かかる形態は、はんだバンプを許容できない種々の用途、例えば自動車用アンダーザフード(under-the-hood)用途において有用性がある。例えば、幾つかの実施形態では、ダイスタック中の少なくとも1つのダイ(例えば、底部(最下部)ダイ)は、その上面(例えば、うら面又はうら面)から電力を受け取ることができる一方で、その下面(例えば、おもて(表)面)から信号を受け取ることができ、それにより、キャリヤと底部ダイのバックエンドオブライン(back-end-of-line:BEOL)層のインターフェースのところのスペースが自由になる。他の実施例では、信号が下側ダイ中のTSVを通ってスタックの中間ダイ及び上側ダイに提供され、他方電力が最初に下側ダイを通らないでスタックの中間ダイ及び上側ダイに提供される。
【0013】
信号がTSVを利用している状態で下側ダイをバイパスする電力分配は、種々の電子用途において種々のダイスタック製作の恩恵を受ける。かかる構成は、有利には、最小限のロスで信号送出を容易にする一方で、さらに最小限のロスでかつ最小限の発熱で電力分配を容易にし、そしてかかる電力分配は、多数の電力/電圧ドメインで行える。TSVを通る信号送出に対する制約とは関係のない電力分配は、多種多様な用途で有益であると言える。
【0014】
例えば、高周波(RF)通信システム、例えばセルラーシステム(例えば、4G、LTE、5Gなど)、Bluetooth、Wi-Fi、サテライトなどでは、信号チェーンは、デジタルをRF信号に変換し、この場合、信号チェーンの各ポイントのところの電力供給要件は、互いに異なっている。多くの用途では、この信号チェーンには少なくとも3つのダイ(又はチップ)が存在し、すなわち、これら3つのチップは、デジタルベースバンド(baseband)プロセッサ、デジタル信号をベースバンドプロセッサからRF送信信号に変換するとともに、RF受信信号をRFフロントエンドからベースバンドプロセッサのためのデジタル信号に変換するトランシーバ、及び信号調整(例えば、増幅、スイッチング、デュプレキシング、ダイプレキシング(diplexing)、及び/又はフィルタリング)を実行するRFフロントエンドである。本明細書において説明するような多層ダイスタック用の電力分配ネットワークは、これらチップの種々の組み合わせの製作を可能にする。1つの実施形態では、ダイスタックは、信号チェーンにおいて説明した3つのチップ(すなわち、ベースバンドプロセッサ、トランシーバ、及びRFフロントエンド)を含むのがよい。もう1つの実施形態では、ダイスタックは、2つのダイを含むのがよく、この場合、第1のダイは、ベースバンドプロセッサとトランシーバの組み合わせをさらに含み、第2のダイは、フロントエンドダイを含む。もう1つの実施形態では、ダイスタックは、2つのダイを含むのがよく、この場合、第1のダイは、ベースバンドプロセッサとトランシーバの組み合わせをさらに含み、第2のダイは、RFフロントエンドダイを含む。もう1つの実施形態では、ダイスタックは、2つのダイを含むのがよく、この場合、第1のダイは、ベースバンドプロセッサを含み、第2のダイは、トランシーバ及びRFフロントエンドを含む。
【0015】
本明細書において説明する多層ダイスタック用の電力分配はまた、コントローラ/電圧調整器チップセット、プロセッサ・メモリ用途、アナログフロントエンドと組み合わせたデジタル処理、及びそれ以外において利用できる。コントローラ/電圧調整器チップセットに関し、大抵のエレクトロニクスは、ある形式の電圧調整器によって電力供給される。この電圧調整器は、DC‐DC変換器(例えば、バッテリ電圧で動作する)又はAC‐DC変換器であるのがよい。電圧調整器の例としては、降圧コンバータ、ブーストコンバータ、スイッチングレギュレータ、及び電力管理集積回路(PMIC)が挙げられる。これら形式の電圧調整器の各々は、コントローラチップ(多くの場合、パルス幅変調(PWM)コントローラ)によって制御される。電圧調整器及びコントローラチップは、互いに異なる技術のもとで動作し、電圧調整器は、多くの場合、これとは異なる処理技術(例えば、GaNデバイス)である。
【0016】
プロセッサ・メモリ用途では、独立電力分配線路を用いたTSVを通る信号送出から恩恵を受ける可能性のあるダイスタックとしては、1つのダイがCPUを含み、もう1つのダイがメモリダイを含む2つのダイのスタック、1つのダイがGPUを含み、もう1つのダイがメモリダイを含む2つのダイのスタック、そして、1つのダイがCPUを含み、第2のダイがGPUを含み、第3のダイがメモリダイを含む3つのダイのスタックが挙げられる。これらの例の全てに関し、種々のプロセスにより多数のメモリダイを積層することによって利点が得られ、この場合、スタックは、少なくとも2つのメモリダイを含み、メモリダイスタックは、本明細書において説明するような独立信号送出・電力分配をさらに含む。
【0017】
アナログフロントエンド用途でのデジタル処理に関し、デジタル処理チップ(例えば、CPU、マイクロコントローラ、又はデジタル信号処理(DSP))は、多くの場合、アナログ信号の基本的な増幅ならびにアナログからデジタルへ、そしてデジタルからアナログへの変換を提供することができるアナログフロントエンドと組み合わされる。次に、デジタル信号チップは、このデータを処理するためのアルゴリズムを提供する。デジタル処理チップ及びアナログフロントエンドは、幾つかの場合、センサチップと組み合わされる。アナログ及びデジタルチップは、多数の互いに異なる電圧ドメインに関して互いに異なる電力供給要件を備える場合があり、センサチップは、さらに異なる電力要件を備える場合がある。したがって、ダイの互いに異なるスタックは、本明細書において説明する多数のダイスタック、すなわち、1つのダイがアナログフロントを含み、第2のダイがデジタル処理チップを含む2つのダイのスタック、1つのダイがアナログフロントエンドを含み、第2のダイがセンサを含む2つのダイのスタック、及び1つのダイがデジタル処理チップを含み、第2のダイがアナログフロントエンドを含み、そして第3のダイがセンサを含む3つのダイのスタックのために複数の電力分配ネットワークを用いて形成できる。
【0018】
本明細書において説明する電力分配システム及び信号送出システムの恩恵を受ける場合のある技術の追加の例としては、レーダチップセット、LiDARチップセット(又は、より一般的にはオプティカル/フォトニックチップセット)、高速データ伝送のためのシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)チップセット、MEMS用途、自動車用チップセット、クロック及びタイミング分配が挙げられる。高性能クロック発生チップをワイヤレスインフラストラクチャ、計器類、又は自動検査機器(ATE用途)、及びバス用途(例えば、バスコントローラ及びバストランシーバ)のための1つ以上の他のチップと積層されるのがよい。
【0019】
図1は、多数の集積デバイスダイのスタック1を示しており、これら集積デバイスダイは、キャリヤ2、例えばもう1つの大きなダイ、インターポーザ、ベースデバイス又はパッケージ基板(例えば、プリント回路板、セラミック基板など)に取り付けられている。メタライゼーション層3(例えば、バックエンドオブライン(back-end-of-line)、すなわちBEOL層)が各ダイのおもて面4を有する半導体層17に被着されるのがよい。第1のダイ1aが表を下に向けてキャリヤ2に取り付けられるのがよい、第2の中間ダイ1bが表を下に向けて第1のダイ1aに取り付けられるのがよく、第3の上側ダイ1cが表を下に向けて第2のダイ1bに取り付けられるのがよい。誘電体内張り層5a及び導電材料5bを含む基板貫通ビア5(TSV)が第1のダイ1a、第2のダイ1b、及び第3のダイ1cのうちの1つ以上に電気的に結合するよう第1のダイ1a及び第2のダイ1bを貫通して延びるのがよい。例えば、図示のように、TSV5のうちの1つ以上が第1のダイ1a、第2のダイ1b、及び/又は第3のダイ1cに電気的に結合するのがよい。
図1の積層化構造体では、TSV5は、電力供給、信号伝達、及びグラウンド(グランドと称される場合もある)のためにキャリヤ2への電気通信をもたらすことができる。しかしながら、TSVは、比較的高い抵抗をもち、かかる抵抗によってTSVに沿って送り出される電力が消費される。したがって、特にダイレクトハイブリッドボンディングと関連して、信号を伝送するためにTSVを使用した場合の利点を維持しながら電力分配のためにTSVを使用することと関連した電力消費量を減少させることが有利であると言える。
【0020】
図2は、1つの実施形態としての積層化電子デバイス15を示している。積層化電子デバイス15は、ダイスタック1を有し、ダイスタック1は、キャリヤ2、例えば別の大きなダイ、インターポーザ、ベースデバイス、パッケージ基板(例えば、プリント回路板、セラミック基板など)、他のベースデバイス又はシステムボードに取り付けられている。幾つかの実施形態では、ダイスタック1は、システムボード上に取り付けられるべきICパッケージを形成する。幾つかの実施形態では、キャリヤ2を含む積層化電子デバイス15は、システムボード上に取り付けられるべきICパッケージを形成する。ダイスタック1は、少なくとも3つの互いに接続されたダイを含むのがよい。ダイは、第1の下側ダイ1a、1つ以上の第2の中間ダイ1b(1つ示してある)、及び第3の上側ダイ1cを含むのがよい。第2の中間ダイ1bは、第1の下側ダイ1aと第3の上側ダイ1cとの間に設けられるのがよい。第1のダイ1a、第2のダイ1b、及び第3のダイ1cは、同一タイプのダイからなっていてもよく、あるいは、ダイのうちの1つ以上が互いに異なっていてもよい。種々の実施形態では、例えば、ダイのうちの1つ以上は、RF通信チップセット、電圧調整器チップセット、グラフィックス又は中央プロセッサに被着されるメモリスタック、アナログフロントエンド付きのデジタル処理チップセット、レーダチップセット、LiDARチップセット(又はより一般的にはオプティカル/フォトニクチップセット)、高速データ伝送のためのシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)チップ、MEMS用途、自動車用チップセット、クロック・タイミング分配のためのチップセットなどのために上述したようなプロセッサダイ、メモリダイなどを含むのがよい。各ダイは、アクティブおもて面4及びうら面6を有するのがよい。アクティブ回路部品(例えば、少なくとも1つのトランジスタ)がアクティブおもて面4のところ又はその近くに設けられるのがよい。幾つかの実施形態では、うら面6にはアクティブ回路部品がないのがよい。
【0021】
1つの基板貫通ビア(TSV)13又は各々が誘電体層13a及び誘電材料13bを含む複数の基板貫通ビア(TSV)13がスタック1のダイへの信号伝達を可能にするよう少なくとも第1の下側ダイ1a及び第2の中間ダイ1bを貫通して設けられるのがよい。半導体層17は、集積回路ダイのためのバルク又はエピタキシャル単結晶半導体材料からなっていてもよく、あるいは他形式のデバイス、例えばインターポーザのための他の基板材料、例えば石英又はセラミックからなっていてもよい。
図2に示すように、TSV13は、信号伝達のみを提供することができるが、第2のダイ1b及び第3のダイ1cに電力を分配することはできない。これとは異なり、
図2に示すように、第1の外部電力供給線路7(例えば、第1のワイヤボンド又はタブボンド)がスタック中の第2の中間ダイ1b及び/又は他のダイに電力を提供するよう構成されているのがよい。第2の外部電力供給線路8(例えば、第2のワイヤボンド又はタブボンド)が第3の上側ダイ1cに電力を提供するよう構成されているのがよい。外部電力供給線路7,8は、下側ダイ1aの下に位置するダイ又はボードから(例えば、図示のキャリヤ2から)中間ダイ1b及び/又は上側ダイ1cに電力を提供することができ、その結果、電力供給線路7,8は、下側ダイ1aをバイパスするようになっている。幾つかの実施形態では、下側ダイ1aの電力供給は、下側ダイ1aの下面(図示の向きではおもて面4)から供給されるのがよい。他の実施形態では、下側ダイへの電力供給は、下側ダイの一面26から供給されるのがよい。他の実施形態では、外部電力供給線路は、上側ダイの上方に位置する電力源から電力を中間ダイ及び/又は下側ダイに提供するとともに上側ダイをバイパスする。さらに他の実施形態では、中間ダイ及び/又は上側ダイのための電力供給源のうちの幾つかは、下側ダイ中のTSVを貫通して設けられ、他方、中間ダイ及び/又は上側ダイのための他の電力供給源は、下側ダイを通過することなく、外部電力供給線路、例えば図示のワイヤボンドを貫通して設けられる。
【0022】
図2では、下側ダイ1aは、表を下にして(例えば、アクティブおもて面4を下にして)キャリヤ2上に設けられ、中間ダイ1bは、表を下にして(例えば、アクティブおもて面4を下にして)下側ダイ1a上に設けられ、第3のダイ1cは、表を下にして(例えば、アクティブおもて面4を下にして)中間ダイ1b上に設けられている。幾つかの実施形態では、うら面6にはアクティブ回路部が存在しないのがよい。かくして、図示の実施形態では、ダイ1a,1b,1cのアクティブ面、すなわちおもて面4が下に向いた状態では、スタック中のダイの下面は、ダイのおもて面4であり、ダイの上面は、うら面6である。当業者であれば、他の実施形態では、これに代えて、ダイの幾つか又は全てが表を上にして積層されてもよく、その結果、これらの上面は、これらのおもて面であるようになっていることは認識するであろう。図示のように、下側ダイ1aの上面(図示の実施形態では、うら面6)は、電力を第1の外部電力供給線路7(下側ワイヤボンド)から中間ダイ1bに分配するよう構成された第1の電力分配ネットワーク(PDN)を有する第1の配線構造体9を有する。中間ダイ1bの上面(図示の実施形態では、うら面6)は、電力を第1の外部電力供給線路7(上側ワイヤボンド)から上側ダイ1cに分配するよう構成されたPDNを有する第2の配線構造体10を有する。さらに、下側ダイ1a及び/又は中間ダイ1bの上面上の配線構造体9,10は、グラウンド配線ネットワークをさらに有するのがよい。グラウンド接続線路もまた、スタック1の外側から(例えば、追加のワイヤボンド又はタブ経由で)中間ダイ1b及び/又は上側ダイ1cまで延びるのがよい。幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2の電力供給線路は、TSVの平均断面積の2倍以上、TSVの平均断面積の4倍以上、TSVの平均断面積の10倍以上、又はTSVの平均断面積の20倍以上の断面積を有するのがよい。
【0023】
配線構造体9,10は、これらの下に位置するダイと一体である多層構造体として図示されており、かかる多層構造体は、再配線層(RDL)と類似していて、蒸着された誘電体層によって隔てられかつビアによって連結されている多数の蒸着されかつパターニングされた金属層を含む。例えば上述したような無機誘電体層は、有利には、ハイブリッドダイレクトボンディングを容易にすることができる。当業者であれば理解するように、図示の配線構造体は、これらの下に位置するダイと一体をなす蒸着されるとともにパターニングされた層であるが、他の実施形態では、電力を外部電力供給線路からダイに分配する配線構造体は、このように形成される必要はない。例えば、幾つかの実施形態では、配線構造体は、上方に位置するダイの下面(中間ダイ1b及び上側ダイ1cのおもて面4)と一体に形成されてもよい。さらに他の実施形態では、外部から供給される電力の分配は、ダイ自体のメタライゼーション層3(例えば、BEOL)内で達成できる。しかしながら、スタックのダイ相互間の図示の別々の配線構造体9,10が上に位置するダイと横方向に同一の広がりを持っているにせよ、あるいは下に位置するダイと横方向に同一の広がりを持っているにせよ、いずれにせよ、有利には、大抵のBEOLラインと比較して電力供給のためのより導電性の高い線路を提供することができる。当業者であれば、配線構造体9,10は、グラウンドと電力/電圧ドメイン相互間、及び/又は電圧ドメイン相互間に絶縁特徴部をさらに有するのがよいことは理解されよう。例えば、キャパシタ及び/又はインダクタ構造体が電力供給層相互間又は別々の電力供給のための横方向に別々の電圧ドメイン相互間で配線構造体内に設けられるのがよい。
【0024】
図2に示すように、スタックは、ワイヤボンド接続のためのレッジ(棚)を提供する階段状プロフィール(輪郭)14を有するのがよい。したがって、ダイスタックは、サイズの異なるダイからなる。例えば、大きなダイ、例えばプロセッサダイは、スタックの底部上に位置するのがよく、これに対し、小さなダイは、中間及び/又は上側ダイのために設けられる。ダイスタック中のダイのエッジは、レッジを提供するよう互いに対して横方向にずらされているのがよい。他の実施形態では、スタックは、同一サイズのダイからなっていてもよく、ダイは、レッジを提供するよう横方向にずらされるのがよい。幾つかの実施形態では、互いに異なる電圧がダイスタックに属する互いに異なるダイのために提供される。さらに、1本のボンドワイヤ7,8だけが中間/上側ダイについて各ダイレベルのところで
図2の概略断面図に示されているが、当業者であれば理解するように、2つ以上の電力源が同一レベルのところでの多数の外部電力供給線路(例えば、各配線構造体9,10のところの多数のワイヤボンド)を通って各ダイに提供できる。かくして、多数の電力/電圧ドメインを各レベルで供給することができる。幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、中間ダイのうら面を通って電力を中間ダイに送り出す。例えば、上側ワイヤボンド(第2の供給線路)は、中間ダイのうら面を通って電力を中間ダイに提供するために第2の配線構造体に結合するのがよい。他の実施形態では、外部電力供給線路は、中間ダイのおもて面を通って電力を中間ダイに送り出す。例えば、下側ワイヤボンド(第1の供給線路)は、電力を中間ダイのおもて面に提供するよう中間ダイのおもて面に隣接したところで第1のPDNに結合するのがよい。上述したように、幾つかの実施形態では、ダイスタックの一部分を通って電力を送り出すTSVが存在しないのがよい。他の実施形態では、第1及び/第2のダイを貫通して延びる電力TSVを通る追加の内部電力供給線路が設けられるのがよい。
【0025】
図2のダイスタック1は、3つのダイを含むが、他の実施形態では、ダイスタックは、上側ダイと下側ダイとの間に多数の中間ダイを有することができ、その結果、ダイスタックは、全部で4つ以上のダイを有するようになっている。幾つかの実施形態では、別々の外部電力供給線路が中間ダイの各々のために設けられるのがよい。他の実施形態では、別々の電力供給線路が中間ダイのうちの幾つかに設けられ、他方、内部電力供給線路(例えば、電力TSV)が中間ダイの他のもののために提供される。
【0026】
下側ダイ1aは、任意適当な仕方でキャリヤ2に取り付けられるのがよい。図示の実施形態では、下側ダイ1aは、キャリヤにダイレクトハイブリッドボンディングされ、それによりダイからキャリヤまでの信頼性のある機械的連結を提供するとともに、信号、グラウンド及び任意の内部電力源のための信頼性のある低抵抗接続を可能にしている。しかしながら、他の実施形態では、下側ダイは、別のボンディング技術、例えば熱圧着(TCB)、はんだボンディングなどでキャリヤにボンディングされるのがよい。中間ダイ1bは、任意適当な仕方で下側ダイ1aにボンディングでき、上側ダイ1cは、任意適当な仕方で中間ダイ1bにボンディングできる。幾つかの実施形態では、中間ダイ1bが下側ダイ1aに、上側ダイ1cが中間ダイ1bに、それぞれ介在する配線構造体9,10経由でダイレクトハイブリッドボンディングされる。かくして、ダイ及び/又は配線構造体9,10の関連の表面は、以下に説明するように、ダイレクトボンディングのために前処理された無機誘電体を含むのがよく、かかる前処理としては、高度の研磨及びアクチべーション/末端基化が挙げられる。他の実施形態では、ダイのうちの1つ以上は、別のボンディング技術、例えばTCB、はんだボンディングなどでボンディングされるのがよい。
【0027】
図3は、もう1つの実施形態としての積層化電子デバイス15を示している。別段の注記がなければ、
図3のコンポーネントは、
図2のコンポーネントと同じ又はほぼ同じであり、
図2を参照して上述した変形例は、
図3の実施形態に同様に利用できる。外部電力供給線路がボンド又はタブボンドからなる
図2の場合とは異なり、
図3の実施形態では、外部電力供給線路は、ダイスタック1の側壁16に沿って1つ以上のエッジトレース12(かかるエッジトレースを側壁トレースとも言う場合がある)からなる。幾つかの実施形態では、エッジトレース12は、硬化済み導電ペーストからなる。幾つかの実施形態では、エッジトレース12は、めっきされた金属、例えば銅からなる。
図2を参照して上述した配線構造体9,10の場合と同様、エッジトレース12は、誘電体層によって隔てられかつビアによって接続された多数のパターニング済み金属層からなるのがよく、しかもグラウンドと電力トレース又はレベル相互間、及び/又は互いに異なる電圧ドメインを表すトレース又はレベル相互間に絶縁体を含むのがよい。種々の実施形態では、エッジトレース12は、米国特許第8,461,673号明細書に記載されたエッジトレースとほぼ同じであるのがよく、この米国特許を参照により引用し、全ての目的に関してその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0028】
図4は、もう1つの実施形態としての積層化電子デバイス27を示している。別段の注記がなければ、
図4のコンポーネントは、
図2のコンポーネントと同じ又はほぼ同じであり、
図2を参照して上述した変形例は、
図3の実施形態に同様に利用できる。加うるに、
図4の外部電力供給線路は、
図2のワイヤボンドと類似したワイヤボンド7として示されているが、
図4の電力供給線路は、これに代えて、
図3のエッジトレースとほぼ同じエッジトレースの形態を取ることができる。
【0029】
図4では、積層化電子デバイス27は、ダイスタック19を有し、ダイスタック19は、キャリヤ2、例えば別の大きなダイ、インターポーザ、ベースデバイス、パッケージ基板(例えば、プリント回路板、セラミック基板など)、他のベースデバイス、又はシステムボードに取り付けられている。ダイスタックは、少なくとも2つの互いに接続されたダイを含むのがよい。ダイは、第1の下側ダイ19a、及び第2の上側ダイ19bを含むのがよい。1つの基板貫通ビア(TSV)13又は各々が誘電体層13a及び誘電材料13bを含む複数の基板貫通ビア(TSV)13がスタック19のダイへの信号伝達を可能にするよう少なくとも第1の下側ダイ19aを貫通して設けられるのがよい。
図2及び
図3の実施形態について説明したように、TSV13は、信号伝達だけを提供することができ、あるいは、さらに、グラウンド又は基準電圧を提供することができ、幾つかの実施形態では、TSV13はまた、電力源のサブセットを提供することができる。
図4に示すように、第1の外部電力供給線路7(第1のワイヤボンド又はタブボンドとして示されている)が電力を少なくとも第1のダイ19aのうちのデバイスに提供するよう構成されているのがよい。外部電力供給線路7は、下側ダイ19aの下に位置するボード(例えば、図示のキャリヤ2)から電力を下側ダイ19aに提供することができ、その結果、供給線路7は、下側ダイ19aをバイパスするようになっている。
【0030】
図4では、下側ダイ19aは、表を下に向けて(例えば、アクティブおもて面4が下面である)キャリヤに被着されており、上側ダイ19bは、表を下にして(例えば、アクティブおもて面4は、下面である)下側ダイ19aに被着されている。幾つかの実施形態では、うら面6にはアクティブ回路部が存在しないのがよい。図示のように、下側ダイ19aのうら面6は、電力を第1の外部電力供給線路7(図示の実施形態ではワイヤボンド)から下側ダイ19aに分配するよう構成された第1のPDNを有する第1の配線構造体9を含む。さらに、下側ダイ19aのうら面6は、グラウンド配線ネットワークをさらに有するのがよい。グラウンド接続線路がまた、スタック19の外側から下側ダイ19a及び/又は上側ダイ19bまで(例えば、追加のワイヤボンド又はタブボンド経由で)延びるのがよく、このことは、追加の外部電力供給線路が配線構造体9に結合するのがよいのと同じである。誘電体ライナ層18a及び導電材料18bを含む複数のTSV18が上面(配線構造体9から下側ダイ19aのデバイスへの電力供給を可能にするよう少なくとも下側ダイ19aの基板を貫通して延びるのがよい。これらTSV18は、下側ダイ19aの基板部分だけを貫通して延び、メタライゼーション層3(メタライゼーション層3の全て)を貫通して延びてはいないので、TSV18は、「ナノTSV」と見なされる場合がある。有利には、電力は、少なくとも外部電力線路7を貫通して提供される電力供給について下側ダイ19aのぎっしりと詰まったメタライゼーション層3(例えばBEOL)を通って配線される必要はない。幾つかの実施形態では、上側ダイ19bはまた、第1のPDNを有する第1の配線構造体9からの電力供給量を受け取ることができ、追加の中間又は上側ダイは、図示のダイスタック19に被着して設けられるのがよい。ダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされるのがよく、下側ダイ19aもまた、キャリヤ2にダイレクトハイブリッドボンディングされるのがよい。
【0031】
図5は、1つの実施形態において多数の別々の金属層からなる配線層9の拡大図である。例えば、
図5に示すように、多数の別々の金属層は、グラウンド層21及び電力層22をさらに含むのがよい。複数のビア20が配線層9中の別々の層を互いにかつ/あるいはダイスタック中の上に位置しかつ/あるいは下に位置するダイに接続するよう構成されている。電力パッド25が電力層22に接続されたビア20からダイまでの接続を可能にし、グラウンドパッド24がグラウンド層21からダイへの接続を可能にする。配線層9は、各々がダイから配線層9(図示せず)を通って信号を他の導電線路中に送出するよう構成されたTSVまでの接続を可能にする複数の信号パッド23をさらに有する。幾つかの実施形態では、複数の電力層が設けられるのがよく、各電力層は、単一の電圧ドメインについて単一の電力源から電力を提供するとともに、別々の電力パッド25を通ってダイスタック中の上に位置し又は下に位置するダイに結合している。1つの実施形態では、第1の電圧を提供する第1の電力層及び第2の電圧を提供する第2の電力層が設けられるのがよく、この場合、第1の電圧と第2の電圧は、同一であってもよく、異なっていてもよい。他の実施形態では、単一の電力層が複数の電圧ドメインについて多数の電力供給量を送るようパターニングされるのがよく、この場合、各電圧ドメインは、独立した電圧を提供するよう構成されている。1つの実施形態では、第1の電圧を提供する第1の電圧ドメイン及び第2の電圧を提供する第2の電圧ドメインを有する第1の電力層が設けられるのがよく、この場合、第1の電圧ドメインの第1の電圧は、第2の電圧ドメインの第2の電圧と同一であってもよく、これとは異なっていてもよい。上述したように、絶縁構造体、例えばキャパシタ及び/インダクタもまた、グラウンドと電力トレース又はレベル相互間、及び/又は互いに異なる電圧ドメインについて電圧トレース相互間に設けられるのがよい。
【0032】
図6は、ダイの頂部上に設けられていて、電力供給とは関連しない上に位置する素子を有するダイスタック15を示すもう1つの実施形態を示している。図示の実施形態では、上に位置する素子は、ヒートシンク28であるのがよく、ヒートシンク28は、最上部のダイ1cの頂面(例えば、うら面)又は介在する配線構造体(図示せず)にダイレクトボンディングされるのがよい。かかるヒートシンクは、電力が図示のようにスタック15のうら面からではなく、最上部の面から送り出されなければならない場合には除かれる可能性がある。図示の実施形態では、エッジトレース12は、電力を中間ダイ1bに提供し、これらエッジトレースはまた、電力を最下部のダイ1a及び最上部ダイ1cに提供することができる。加うるに、エッジトレース12中の電力、グラウンド及び/又は他のトレースは、下側及び中間ダイ1a,1bからヒートシンク28までの熱線路を提供することができる。介在する配線構造体9,10はまた、ダイから熱を取り出すとともに熱を図示のエッジトレース12からヒートシンク28に配線するのを助けることができる。追加的に又は代替的に、ダイスタック15からの熱線路は、誘電体層29a及び導電層29bを含むTSV29によって提供されてもよく、TSV29は、TSV13と同様、各ダイについての積層TSVであってもよく、あるいは配線構造体9,10を含むダイスタック15を通るビアラストTSVであってもよい。かかるTSVは、ヒートシンク28の熱の取り出しを助けることができる。図示のTSV29は、さらに、これらが電気的な接続なしに(例えば、電気的に絶縁されているが、熱伝導する介在層を通って)ヒートシンク28と熱的に結合している場合には電力、グラウンド又は信号を伝えるのに役立つことが可能である。幾つかの実施形態では、ヒートシンク28はまた、接地されているのがよく、このヒートシンクは、ダイスタック15のグラウンド面に電気的に接続されている。電力がダイスタック15の外側に位置する側部線路からダイのうら面に送られるので、ヒートシンク28は、うら面の電力供給を妨害しない。
【0033】
ダイレクトボンディング法及びダイレクトボンデッド(directly bonded )構造体の例
本明細書において開示する種々の実施形態は、2つ以上の素子を介在する接着剤なしでダイレクトボンディングすることができるダイレクトボンデッド構造体に関する。2つ以上の素子が介在する接着剤なしでボンドインターフェースのところで互いにダイレクトボンディングされるのがよい。2つ以上のマイクロ電子素子(例えば、集積デバイスダイ、ウエハ、パッシブデバイス、個々のアクティブデバイス、例えばパワースイッチなどを含む半導体素子)がボンデッド構造体を構成するよう互いに積層され又はボンディングされるのがよい。1つの素子の導電特徴部(例えば、接触パッド、ビア(例えば、TSV)の露出端部、又は基板貫通電極)が別の1つの素子の対応の導電特徴部に電気的に接続されるのがよい。任意適当な数の素子をボンデッド構造体内に積層することができる。例えば、第3の素子を第2の素子上に積層することができ、第4の素子を第3の素子上に積層することができ、その他同様である。追加的に又は代替的に、1つ以上の追加の素子を第1の素子に沿って互いに横方向に隣接して積層することができる。幾つの実施形態では、横方向に積層される追加の素子は、第2の素子よりも小さいのがよい。幾つかの実施形態では、横方向に積層される追加の素子は、第2の素子の1/2倍であるのがよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、素子は、接着剤なしで互いにダイレクトボンディングされている。種々の実施形態では、非導電又は誘電材料を含む非導電フィールド領域は、第1の素子の第1のボンディング層としての役目を果たすのがよく、第1のボンディング層は、接着剤なしで第2の素子の第2のボンディング層としての役目を果たす非導電又は誘電材料を含む対応の非導電フィールド領域にダイレクトボンディングされるのがよい。非導電ボンディング層は、デバイス部分、例えば素子の半導体(例えば、シリコン)部分のそれぞれのおもて面上に設けられるのがよい。アクティブデバイス及び/又は回路をデバイス部分内又は上にパターニングするとともに/あるいは違ったやり方で設けるのがよい。アクティブデバイス及び/又は回路は、デバイス部分のおもて面のところ又はその近くに、かつ/あるいはデバイス部分の反対のうら面のところに又はその近くに設けられてもよい。ボンディング層が素子のおもて面及び/又はうら面上に設けられるのがよい。非導電材料を第1の素子の非導電ボンディング領域又はボンディング層という場合がある。幾つかの実施形態では、第1の素子の非導電ボンディング層は、誘電体間ボンディング技術を用いて第2の素子の対応の非導電ボンディング層にダイレクトボンディングされるのがよい。例えば、誘電体間ボンドは、少なくとも米国特許第9,564,414号明細書、同第9,391,143明細書、及び同第10,434,749号明細書に開示されているダイレクトボンディング技術を用いて接着剤なしで形成でき、これら米国特許を参照により引用し、あらゆる目的に関しこれらの各々の記載内容全体を本明細書の一部とする。理解されるべきこととして、種々の実施形態では、ボンディング層は、非導電材料、例えば誘電体、例えば酸化シリコン、又はアンドープ半導体材料、例えばアンドープシリコンからなるのがよい。ダイレクトボンディングのための適当な誘電体ボンディング表面又は材料は、無機誘電体、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコンを含むが、これには限定されず、あるいは、炭素、例えば炭化シリコン、オキシ炭窒化シリコン、低K(low-k )誘電体、SiCOH誘電体、炭窒化シリコンもしくはダイヤモンド状炭素又はダイヤモンド表面を含む材料を含んでもよい。かかる炭素含有セラミック材料は、炭素が含まれているにもかかわらず、無機と見なされる場合がある。幾つかの実施形態では、誘電体は、ポリマー材料、例えばエポキシ、樹脂又は成形材料を含んでいない。
【0035】
幾つかの実施形態では、デバイス部分は、ヘテロジニアス構造を定める著しく異なる熱膨張率(CTE)を有するのがよい。デバイス部分相互間、特にバルク半導体、代表的にはデバイス部分の単結晶部分相互間のCTEの差は、5ppmを超え、又は10ppmを超えるのがよい。例えば、デバイス部分相互間のCTEの差は、5ppmから100ppmまでの範囲、5ppmから40ppmまで範囲、10ppmから100ppmまでの範囲、又は10ppmから40ppmまでの範囲にあるのがよい。幾つかの実施形態では、デバイス部分のうちの1つは、光圧電又は焦電用途に有用な光電子単結晶材料(ペロブスカイト材料を含む)からなるのがよく、デバイス部分のうちの他方は、より従来の基板材料からなる。例えば、デバイス部分は、リチウムタンタレート(LiTaO3)又はニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなり、デバイス部分のうちのもう1つは、シリコン(Si)、石英、溶融石英ガラス、サファイア、又はガラスからなる。他の実施形態では、デバイス部分のうちの1つは、III~V属単一半導体材料、例えばガリウムヒ素(GaAs)又はガリウムナイトライド(GaN)からなり、デバイス部分のうちの他の1つは、非III~V属半導体材料、例えばシリコン(Si)からなるのがよく、又は類似のCTEを持つ他の材料、例えば石英、溶融石英ガラス、サファイア、又はガラスからなるのがよい。
【0036】
種々の実施形態では、ダイレクトハイブリッドボンドは、介在する接着剤なしで形成できる。例えば、非導電ボンディング表面を高い平滑度に研磨することができる。例えば、化学的機械的研磨(CMP)を用いて非導電ボンディング表面を研磨するのがよい。研磨済みボンディング表面の粗さは、30Årms未満であるのがよい。例えば、ボンディング表面の粗さは、約0.1Årmsから15Årmsまでの範囲、0.5Årmsから10Årmsまでの範囲、又は1Årmsから5Årmsまでの範囲にあるのがよい。ボンディング表面を清浄化してプラズマ及び/又はエッチング剤に当てると、表面を活性化することができる。幾つかの実施形態では、これら表面は、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)、化学種で末端基化することができる。理論に束縛されるものではないが、幾つかの実施形態では、活性化プロセスは、ボンディング表面のところの化学結合を壊すために実施されるのがよく、末端基化プロセスは、ダイレクトボンディング中におけるボンディングエネルギーを向上させる1種類以上の追加の化学種をボンディング表面のところに提供することができる。幾つかの実施形態では、活性化及び末端基化は、同一のステップで提供され、例えば、プラズマを用いて表面を活性化して末端基化することができる。他の実施形態では、ボンディング表面を別個の処理で末端基化を行ってダイレクトボンディングのための追加の化学種を提供することができる。種々の実施形態では、末端基化化学種は、窒素を含むのがよい。例えば、幾つかの実施形態では、ボンディング表面を窒素含有プラズマに当てるのがよい。さらに、幾つかの実施形態では、ボンディング表面をフッ素にさらすのがよい。例えば、第1の素子と第2の素子との間のボンドインターフェースのところ又はその近くに1つ又は多数のフッ素ピークが生じるのがよい。かくして、ダイレクトボンデッド構造体では、2つの非導電材料(例えば、ボンディング層)相互間のボンドインターフェースは、ボンドインターフェースのところに高い窒素含有量及び/又はフッ素ピークを有する極めて滑らかなインターフェースを構成することができる。活性化及び/又は末端基化処理の追加の実施例が米国特許第9,564,414号明細書、同第9,391,143号明細書、及び同第10,434,749号明細書を通して見受けられ、これら米国特許の各々を参照により引用し、全ての目的に関してその記載内容全体を本明細書の一部とする。研磨済みボンディング表面の粗さは、アクチべーションプロセス後、僅かに粗くてもよい(例えば、約1Årms~30Årms、3Årms~20Årms、又は場合によってはこれよりも粗い)。
【0037】
種々の実施形態では、第1の素子の導電特徴部もまた、第2の素子の対応の導電特徴部にダイレクトボンディングされるのがよい。例えば、ダイレクトハイブリッドボンディング技術を用いると、上述したように前処理された共有直接結合状態の非導電体(例えば、誘電体‐誘電体)間表面を含むボンドインターフェースに沿って導体間ダイレクトボンドを提供することができる。種々の実施形態では、導体(例えば、導電特徴部‐導電特徴部)間ダイレクトボンド及び誘電体間ハイブリッドボンドは、少なくとも米国特許第9,716,033号明細書及び同第9,852,988号明細書に開示されたダイレクトボンディング技術を用いて形成でき、これら米国特許の各々を参照により引用し、全ての目的についてその記載内容全体を本明細書の一部とする。本明細書において説明したダイレクトハイブリッドボンディング実施形態では、導電特徴部が非導電ボンディング層内に設けられ、導電特徴部と非導電特徴部の両方が例えば上述した平坦化は、アクチベーション及び/又は末端基化処理によりダイレクトボンディング可能に前処理する。かくして、ダイレクトボンディング可能に前処理されたボンディング表面は、導電特徴部と非導電特徴部の両方を有する。
【0038】
例えば、非導電(誘電)ボンディング表面(例えば、無機誘電表面を含む)を前処理して、上述のように介在接着剤なしで互いにダイレクトボンディングすることができる。導電接触特徴部(例えば、導電特徴部)(これは、ボンディング層内の非導電性の誘電フィールド領域によって少なくとも部分的に包囲されるのがよい)もまた、介在接着剤なしで互いにダイレクトボンディングすることができる。種々の実施形態では、導電特徴部は、非導電フィールド領域内に少なくとも部分的に埋め込まれた別々のパッド又はトレースを含むのがよい。幾つかの実施形態では、導電接触特徴部は、基板貫通ビア(TSV)、例えば、シリコン貫通ビアTSVの露出接触面を有するのがよい。幾つかの実施形態では、導電特徴部をそれぞれ、誘電フィールド領域又は非導電ボンディング層の外面(例えば、上面)の下に.凹ませるのがよく、例えば30nm未満、20nm未満、15nm未満、又は10nm未満だけ凹ませるのがよく、例えば、2nmから20nmまでの範囲又は4nm~10nmの範囲で凹ませるのがよい。種々の実施形態では、ダイレクトボンディングに先立って、対向した素子の凹部は、対向した接触パッド相互間の全ギャップが15nm未満、又は10nm未満であるように寸法決めされるのがよい。非導電ボンディング層を室温で接着剤なしで互いにダイレクトボンディングするのがよく、その後、ボンデッド構造体をアニールするのがよい。アニーリング時、導電特徴部は、膨張して互いに接触し、それにより金属間ダイレクトボンドを形成することができる。有益には、カリフォルニア州サンノゼ所在のアデイア(Adeia)社から商業的に入手できるダイレクトボンドインターコネクト(Direct Bond Interconnect)、すなわち、DBI(登録商標)技術の使用により、ダイレクトボンドインターフェースを横切って高密度の導電特徴部を接続することができる(例えば、規則的なアレイについては小さな又は細かいピッチで)。幾つかの実施形態では、導電特徴部、例えばボンデッド素子のうちの一方のボンディング表面内に埋め込まれた導電トレースのピッチは、100ミクロン未満、10ミクロン未満であるのがよく、それどころか2ミクロン未満であってもよい。幾つかの用途に関し、導電特徴部のピッチとボンディングパッドの寸法のうちの1つ(例えば、直径)の比は、20未満、10未満、5未満、3未満、場合によっては望ましくは2未満である。他の用途では、ボンデッド素子のうちの一方のボンディング表面内に埋め込まれた導電トレースの幅は、0.3ミクロンから20ミクロンまでの範囲(例えば、0.3ミクロンから3ミクロンまでの範囲)にあるのがよい。種々の実施形態では、導電特徴部は、銅又は銅合金からなるのがよいが、他の金属が適している場合がある。例えば、本明細書において開示した導電特徴部は、微細粒金属(例えば、微細粒銅)からなるのがよい。
【0039】
かくして、ダイレクトボンディングプロセスでは、第1の素子を介在接着剤なしで第2の素子にダイレクトボンディングすることができる。幾つかの構成例では、第1の素子は、単体化された素子、例えば単体化集積化デバイスダイからなるのがよい。他の構成例では、第1の素子は、単体化されたときに複数の集積化デバイスダイを形成する複数の(例えば、数十個、数百個、又はそれ以上)のデバイス領域を含むキャリヤ又は基板(例えば、ウエハ)からなるのがよい。同様に、第2の素子は、単体化素子、例えば単体化集積化デバイスダイからなるのがよい。他の構成例では、第2の素子は、キャリヤ又は基板(例えば、ウエハ)からなるのがよい。したがって、本明細書において開示する実施形態は、ウエハ‐ウエハ(W2W)ボンディングプロセス、ダイ‐ダイ(D2D)ボンディングプロセス、又はダイ‐ウエハ(D2W)ボンディングプロセスに適用できる。ウエハ‐ウエハ(W2W)プロセスでは、2枚以上のウエハを互いにダイレクトボンディング(例えば、ダイレクトハイブリッドボンディング)し、そして適当な単体化プロセスを用いて単体化するのがよい。単体化後、単体化構造体の側縁(例えば、2つのボンデッド素子の側縁)は、互いに実質的に同一平面上に位置するのがよく、そしてかかる側縁は、ボンデッド構造体向きのありふれた単体化プロセスを表す目印(例えば、のこぎりによる単体化プロセスが用いられた場合、のこぎりマーク)を含むのがよい。
【0040】
本明細書において説明するように、第1の素子と第2の素子を接着剤なしで互いにダイレクトボンディングすることができ、これは、蒸着プロセスとは異なっており、その結果、蒸着と比較して構造的に異なるインターフェースが得られる。1つの用途では、ボンデッド構造体中の第1の素子の幅は、第2の素子の幅とほぼ同じである。幾つかの他の実施形態では、ボンデッド構造体中の第1の素子の幅は、第2の素子の幅とは異なる。同様に、ボンデッド構造体中の大きい方の素子の幅又は面積は、小さい方の素子の幅又は面積よりも少なくとも10%大きいのがよい。したがって、第1及び第2の素子は、非成膜素子からなってもよい。さらに、ダイレクトボンデッド構造体は、成膜層とは異なり、、ボンドインターフェースに沿って、ナノスケールのボイド(ナノボイド)が存在する欠陥領域を含む場合がある。ナノボイドは、ボンディング表面の活性化(例えば、プラズマへの曝露)に起因して形成される場合がある。上述したように、ボンドインターフェースは、活性化及び/又は最後の化学処理プロセスから生じる物質の濃縮を含む場合がある。例えば、活性化のために窒素プラズマを利用する実施形態では、窒素ピークがボンドインターフェースのところに形成される場合がある。窒素ピークは、二次イオン質量分析計を用いて検出可能である。種々の実施形態では、例えば、窒素末端基化処理(例えば、結合層を窒素含有プラズマに当てる)により、加水分解(OH末端基化)表面に代えてNH2分子を用いることができ、それにより窒素末端基化表面が生じる。活性化のために酸素プラズマを利用する実施形態では、酸素ピークがボンドインターフェースのところに形成される場合がある。幾つかの実施形態では、ボンドインターフェースは、オキシ窒化シリコン、オキシ炭窒化シリコン、又は炭窒化シリコン4らなるのがよい。本明細書において説明したように、ダイレクトボンドは、共有結合を含み、この共有結合は、ファンデルワールス結合よりも強固である。ボンディング層は、高い平滑度まで平坦化された研磨表面をさらに有するのがよい。
【0041】
種々の実施形態では、導電特徴部相互間の金属間ボンドは、金属結晶粒がボンドインターフェースを横切って互いの中に成長するよう接合されるのがよい。幾つかの実施形態では、金属は、銅であり又は銅を含み、これは、ボンドインターフェースを横切る銅の拡散を向上させるために、(111)結晶面に沿って配向した結晶粒を有するのがよい。幾つかの実施形態では、導電特徴部は、ナノ双晶銅結晶構造を含むのがよく、これは、アニール中における導電特徴部の合体を助けることができる。ボンドインターフェースは、ボンデッド導電特徴部の少なくとも一部分まで実質的に完全に延びるのがよく、その結果、ボンデッド導電特徴部のところ又はその近くに非導電ボンディング層相互間に実質的にギャップが生じないようになっている。幾つかの実施形態では、バリヤ層を、導電特徴部(例えば、銅を含むのがよい)の下に又はこれらを横方向に包囲した状態で設けるのがよい。しかしながら、他の実施形態では、例えば、米国特許第11,195,748号明細書に記載されているように、導電特徴部106a,106bの下にバリヤ層がなくてもよく、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を全ての目的に関して本明細書の一部とする。
【0042】
有益には、本明細書において説明するハイブリッドボンディング技術の使用により、隣り合う導電特徴部の極めて微細なピッチ、及び/又は小さなパッドサイズの実現が可能になる。例えば、種々の実施形態では、隣り合う導電特徴部相互間のピッチp(すなわち、縁から縁まで、又は中心から中心までの距離)は、0.5ミクロンから50ミクロンまでの範囲、0.75ミクロンから25ミクロンまでの範囲、1ミクロンから25ミクロンまでの範囲、1ミクロンから10ミクロンまでの範囲、又は1ミクロンから5ミクロンまでの範囲にあるのがよい。さらに、主要な横方向寸法(例えば、パッド直径)もまた、小さいのがよく、例えば0.25ミクロンから30ミクロン、0.25ミクロンから5ミクロンまでの範囲、又は0.5ミクロンから5ミクロンまでの範囲にある。
【0043】
上述したように、非導電ボンディング層は、接着剤なしで互いにダイレクトボンディングされるのがよく、その後、ボンデッド構造体をアニールするのがよい。アニール時、導電特徴部は、膨張して互いに接触し、それにより金属間ダイレクトボンドを形成することができる。幾つかの実施形態では、導電特徴部の材料は、アニールプロセス中、相互拡散することができる。
【0044】
積層化電子デバイスのための電力分配の例示の実施形態
1つの観点では、装置が少なくとも3つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、ダイは、下側ダイ、上側ダイ、及び下側ダイと上側ダイとの間の中間ダイを含み、この装置は、ダイスタックのうちのダイへの信号伝達を可能にする複数の基板貫通ビア(TSV)と、電力を下側ダイに通すことなく中間ダイに提供するよう構成された電力供給線路とをさらに有する。
【0045】
幾つかの実施形態では、下側ダイは、そのアクティブ面が下に向いた状態で取り付けられ、中間ダイは、そのアクティブ面が下に向いて下側ダイを覆った状態で取り付けられ、下側ダイのうら面が電力を電力供給線路から中間ダイに分配するよう構成された電力分配ネットワークを含む。幾つかの実施形態では、下側ダイのうら面は、グラウンド配線ネットワークをさらに有する。幾つかの実施形態では、本装置は、電力分配ネットワーク及びグラウンド配線ネットワークと中間ダイとの間に設けられたキャパシタをさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、本装置は、電力をダイスタックの外側からダイスタックのうちの上に位置するダイに提供する第2の電力供給線路をさらに有するのがよく、中間ダイのうら面が電力を第2の電力供給線路から上に位置するダイに提供する第2の電力分配ネットワークを含む。幾つかの実施形態では、本装置は、ダイスタックの外側から中間ダイに至るグラウンド接続線路をさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、TSVの平均断面積の2倍以上である断面積を有する。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、TSVの平均断面積の4倍以上である断面積を有する。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、ワイヤボンドからなる。幾つかの実施形態では、本装置は、中間ダイのためのグラウンド接続を可能にするグラウンドワイヤボンドをさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、ワイヤボンド接続のための段部を提供する階段状プロフィールを有する。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、サイズが異なるダイを含む。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、サイズが同じダイを含む。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちのダイのエッジは、段部を提供するよう互いに対して横方向にずらされている。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、ダイスタックの側壁に沿ってエッジトレースを有する。幾つかの実施形態では、エッジトレースは、硬化済み導電ペーストを含む。幾つかの実施形態では、エッジトレースは、めっき金属を含む。幾つかの実施形態では、めっき金属は、銅である。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちの互いに異なるダイのために互いに異なる電圧が提供される。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、電力を中間ダイのうら面経由で中間ダイに送り出す。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、電力を中間ダイのおもて面経由で中間ダイに送り出す。幾つかの実施形態では、本装置は、電力TSVを通る追加の内部電力供給線路をさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、上側ダイと下側ダイとの間に多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が中間ダイの各々のために設けられている。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が下側ダイを通過しないで中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設けられ、内部電力供給線路が中間ダイのうちの他の中間ダイのために設けられている。幾つかの実施形態では、別々の電力供給線路は、互いに異なる電力を中間ダイのうちの互いに異なる中間ダイに供給する。幾つかの実施形態ではダイスタックのうちの少なくとも2つのダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちのダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、電力を下側ダイの下方に位置するダイ又はボードから中間ダイに提供するとともに、下側ダイをバイパスする。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、電力を上側ダイの上方に位置する電力供給源から中間ダイに提供するとともに、上側ダイをバイパスする。
【0046】
もう1つの観点では、装置が信号基板貫通ビア(TSV)を含む複数の積層ダイからなるスタックと、電力をスタック中の最も下のダイの上方に位置する1つ以上のダイに提供するボンドワイヤ又はエッジトレースとを有するのがよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、複数の積層ダイは、下側ダイ、上側ダイ、及び下側ダイと上側ダイとの間の中間ダイを含み、ボンドワイヤ又はエッジトレースは、電力を下側ダイのうら面に設けられた電力分配ネットワーク経由で中間ダイに提供する。
【0048】
もう1つの観点では、電子モジュールを製造する方法がスタック内の少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に結合するステップを含むのがよく、結合ステップは、基板貫通ビア(TSV)経由でダイ相互間の信号接続を可能にするステップを含み、この方法は、電力をTSVに通して伝えないで電力接続線路をスタックのうちの中間ダイに提供するステップをさらに含むのがよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、本方法は、電力分配ネットワークを中間ダイとその下に位置するダイとの間に電力分配ネットワークを提供し、そして電力接続線路を電力分配ネットワークに接続するステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、本方法は、電力分配ネットワークと中間ダイとの間に設けられたキャパシタを形成するステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、本方法は、別々の電力供給線路は複数の中間ダイの各々に提供するステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、本方法は、別々の電圧をスタックのうちの別々のダイにかけるステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、本方法は、別々の電力分配ネットワークをそれ自体別個の電力供給線路を有する各中間ダイの下方に提供し、そして電力供給線路を電力分配ネットワークに接続するステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、電力供給線路を提供するステップは、ワイヤボンディングを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、中間ダイのためのグラウンド接続部をワイヤボンディングするステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、スタックのうちの少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に接続するステップは、ワイヤボンド接続のための段部を提供するようダイを位置決めするステップを含む。幾つかの実施形態では、電力供給線路を提供するステップは、エッジトレースをスタックの側壁に沿って形成するステップを含む。幾つかの実施形態では、エッジトレースを形成するステップは、金属めっきを含む。幾つかの実施形態では、エッジトレースを形成するステップは、銅めっきを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、電力TSVを通る追加の内部電力供給線路を提供するステップをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、スタックは、多数の中間ダイを含み、本方法は、別々の電力供給線路を中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設け、そして中間ダイのうちの他の中間ダイのためにTSVを通る内部電力供給線路を設けるステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、スタックのうちの少なくとも3つのダイを機械的にかつ電気的に接続するステップは、ダイを互いにダイレクトハイブリッドボンディングするステップを含む。
【0050】
もう1つの観点では、装置が少なくとも2つの互いに接続されたダイを含むダイスタックを有し、ダイは、上側ダイ及びアクティブおもて面とうら面を備えた下側ダイを含み、上側ダイは、下側ダイのうら面に被着され、この装置は、下側ダイを通る複数の基板貫通ビア(TSV)をさらに有し、TSVは、ダイスタックのうちの上側ダイへの信号送信を可能にし、この装置はさらに、電力を下側ダイのうら面に提供するよう構成された電力供給線路を有し、下側ダイは、下側ダイの全てのメタライゼーションレベルを通らないで電力をうら面から下側ダイのデバイスに伝える電力ビアを含む。
【0051】
幾つかの実施形態では、本装置は、上側ダイと下側ダイとの間に設けられた配線構造体をさらに有するのがよく、配線構造体は、電力を電力供給線路から下側ダイに分配するよう構成されている。幾つかの実施形態では、配線構造体は、グラウンド配線ネットワークをさらに有する。幾つかの実施形態では、本装置は、ダイスタックの外側から下側ダイに至るグラウンド接続線路をさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、TSVの平均断面積の2倍以上である断面積を有する。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、TSVの平均断面積の4倍以上である断面積を有する。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、ワイヤボンドからなる。幾つかの実施形態では、本装置は、中間ダイのためのグラウンド接続を可能にするグラウンドワイヤボンドをさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、ワイヤボンド接続のための段部を提供する階段状プロフィールを有する。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、サイズが異なるダイを含む。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、サイズが同じダイを含む。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちのダイのエッジは、段部を提供するよう互いに対して横方向にずらされている。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、ダイスタックの側壁に沿ってエッジトレースを有する。エッジトレースは、硬化済み導電ペーストを含む。幾つかの実施形態では、エッジトレースは、めっき金属を含む。幾つかの実施形態では、めっき金属は、銅である。幾つかの実施形態では、下側ダイを通過していない多数の電力供給線路によってダイスタックのうちの一ダイのために多数の互いに異なる電圧が提供される。幾つかの実施形態では、電力供給線路は、電力を上側ダイのうら面経由で上側ダイに送り出す。幾つかの実施形態では、本装置は、電力TSVを通る追加の内部電力供給線路をさらに有するのがよい。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、上側ダイと下側ダイとの間に多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が中間ダイの各々のために設けられている。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、多数の中間ダイを含み、別々の電力供給線路が中間ダイのうちの幾つかの中間ダイのために設けられ、内部電力供給線路が中間ダイのうちの他の中間ダイのために設けられている。幾つかの実施形態では、別々の電力供給線路は、互いに異なる電力を中間ダイのうちの互いに異なる中間ダイに供給する。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちの少なくとも2つのダイは、互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちのダイは、被着された配線構造体を介して互いにダイレクトハイブリッドボンディングされている。
【0052】
もう1つの観点では、ダイスタックが複数の積層ダイを含み、積層ダイのうちの少なくとも底部ダイがダイ下面からダイ上面まで延びる基板貫通ビア(TSV)を有し、ダイスタックは、電力を底部ダイに通さないでダイスタックのうちの少なくとも1つのダイに提供する外部電力供給線路をさらに含む。
【0053】
幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、電力を底部ダイの上面経由で底部ダイに提供する。幾つかの実施形態では、ダイスタックは、底部ダイとその上に位置するダイとの間に配線構造体をさらに含むのがよく、外部電力供給線路は、配線構造体に物理的にかつ電気的に結合している。幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、電力を底部ダイの上面経由で底部ダイに提供する。幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、電力を配線構造体経由で上に位置するダイに提供する。幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、ボンドワイヤからなる。幾つかの実施形態では、外部電力供給線路は、エッジトレースからなる。幾つかの実施形態では、積層ダイは、ダイレクトハイブリッドボンディングによって互いに接続されている。幾つかの実施形態では、底部ダイの下面はさらに、キャリヤに取り付けられている。幾つかの実施形態では、ダイスタックのうちのダイ相互間のダイレクトボンディングは、電力分配ネックワークを含む配線構造体を介して実施される。
【0054】
もう1つの観点では、集積回路ダイが集積デバイスの少なくとも幾つかの部分を含むおもて面とうら面を備えた半導体基板部分と、半導体基板部分に被着状態で形成されたバックエンドオブライン(back-end-of-line:BEOL)部分とを有し、BEOL部分は、金属インターコネクトを含み、集積回路ダイは、BEOL部分及び半導体基板部分を貫通して延びる複数の基板貫通ビア(TSV)と、BEOL部分全体を貫通して延びることなく、半導体基板部分のうら面から集積デバイスまで延びる電力供給ビアとをさらに有する。
【0055】
文脈上別段の明示の必要がなければ、原文明細書及び原文特許請求の範囲全体を通じて、“comprise”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)、“comprising”、“include”(「~を含む」)、“including”などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは異なり、包括的な意味に、すなわち“including, but not limited to”(「~を含むが、これには限定されない」)の意味に解されるべきである。本明細書に一般的に用いられている「結合され」という用語は、互いに直接的に( ダイレクトに) 連結されるか、1つ以上の中間要素により互いに連結される2つ以上の要素を意味している。同様に、本明細書において一般的に用いられている「連結され」という用語は、互いに直接的に連結されるか、1つ以上の中間要素により互いに連結される2つ以上の要素を意味している。加うるに、原語出願において用いられている“herein”(訳文では「本明細書において」としている場合が多い)、“above”(「上述の」の意)、“below ”(「後述の」の意)、及び同様な趣旨の用語は、本願を全体として意味しており、本願の何らかの特定の部分を意味しているわけではない。さらに、本明細書で用いられているように、第1の素子が第2の素子の「上(on)」又は「覆って(over)」位置すると説明されている場合、第1の素子は、第1の素子と第2の素子は、互いに直接的に接触するよう、第2の素子上に又はこれを覆って直接位置する場合があり、あるいは第1の素子は、1つ以上の素子が第1の素子と第2の素子の間に介在するよう、第2の素子上又はこれを覆って間接的に位置する場合がある。文脈上許容される場合には、単数形又は複数形を用いた上記の詳細な説明中の用語は、それぞれ複数又は単数を含む場合がある。2つ以上のアイテムのリストに関して「又は」という用語は、この用語についての以下の解釈、すなわち、リスト中のアイテムのうちの任意のもの、リスト中のアイテムの全て、及びリスト中のアイテムの任意の組み合わせの全てを含む。
【0056】
さらに、原文明細書で用いられている条件語、とりわけ“can”(「~のがよい」、「~でもよい」又は「~することができる」)、“could”、“might”、“may”、“e.g.”、“for example”、“such as”などは、別段の明示の指定がなければ、又は用いられている文脈内で違ったやり方で理解されない場合、一般に、ある特定の実施形態がある特定の特徴、要素、及び/又は状態を含み、他の実施形態がある特定の特徴、要素、及び/又は状態を含まないということを意味するようになっている。かくして、かかる条件語は、一般的には、特徴、要素、及び/又は状態が、1つ以上の実施形態について必要な何らかの仕方で存在することを意味するようにはなってはいない。
【0057】
ある特定の実施形態を説明したが、これら実施形態は、例示としてのみ提供されており、本発明の範囲を限定するものではない。確かに、本明細書において説明した新規な装置、方法、及びシステムは、種々の他の形態で具体化でき、さらに、本明細書において説明した方法及びシステムの形態における種々の省略、置換、及び変更は、本発明の範囲から逸脱することなく実施できる。例えば、ブロックが所与の配置で示されているが、変形実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジでほぼ同じ機能を実行することができ、幾つかのブロックを削除し、動かし、追加し、分割し、組み合わせ、かつ/あるいは改造することができる。これらブロックの各々は、多種多様な仕方で具体化できる。上述の種々の実施形態の要素及び作用の任意適当な組み合わせは、別の実施形態を提供するよう組み合わせ可能である。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲は、本発明の範囲及び精神に含まれるかかる形態又は改造を含むものである。
【国際調査報告】