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特表2024-541937積層素子作成のためのマルチレベル選択的パターニング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】積層素子作成のためのマルチレベル選択的パターニング
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20241106BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G03F7/40 511
H01L21/30 502D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525011
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022047704
(87)【国際公開番号】W WO2023076251
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,877
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196BA09
2H196CA05
2H196FA01
2H196HA34
5F146AA28
(57)【要約】
微細加工方法は、第1の層内に形成された既存のパターンのフィーチャを有する基板を提供することと、選択的結合剤を基板上に堆積することであって、選択的結合剤がフィーチャに結合し、溶解性変更剤を含む、ことと、第1のレジストを基板上に堆積することと、フィーチャ上の第1のレジストの一部が第1の現像剤に可溶になるように溶解性変更剤を活性化することと、既存の層のフィーチャを露出する開口を有するレリーフパターンが形成されるように第1の現像剤を使用して第1のレジストを現像することと、フィーチャ上及びレリーフパターンの開口内で選択的成長材料を成長させて、自己整合選択的成長フィーチャを提供することと、第1のレジストを除去することと、充填層を基板上に堆積することと、所定の回数で工程を繰り返して、所定の数のレベルを含む積層素子を提供することとを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細加工方法であって、
(a)既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、第1の層が覆われていないように、第1の層内に形成されたフィーチャを上記既存のパターンが有する、ことと、
(b)選択的結合剤を上記基板上に堆積することであって、上記選択的結合剤が上記フィーチャに結合し、溶解性変更剤を含む、ことと、
(c)第1のレジストを上記基板上に堆積することと、
(d)上記フィーチャ上の上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に可溶となるか、又は上記フィーチャ間の上記第1の層上の上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、
(e)開口を含むレリーフパターンが形成されるように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することであって、上記開口が上記既存の層の上記フィーチャを露出する、ことと、
(f)上記フィーチャ上及び上記レリーフパターンの上記開口内で選択的成長材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的成長フィーチャを提供することと、
(g)上記第1のレジストを除去することと、
(h)充填層を上記基板上に堆積して、充填された基板を提供することと、
(i)所定の回数で工程(b)~(h)を繰り返して、所定の数のレベルを含む積層素子を提供することと
を含む方法。
【請求項2】
上記第1の層内に形成された上記フィーチャが、アレイを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記充填層を上記基板上に堆積した後、上記基板を平坦化することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記第1のフォトレジストを除去した後、上記選択的成長フィーチャをコーティングすることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
上記選択的結合剤が自己組織化単分子層を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
上記選択的結合剤が、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン、スルホン酸、スルフィン酸、カルボン酸、トリアゾール、チオール又はこれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
上記酸がフッ素を含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記第1のレジストを上記基板上に堆積する前に、上記基板を前処理することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
上記フィーチャが導電性材料を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
上記フィーチャが、シリコン、ポリシリコン、銅、コバルト、タングステン及びこれらの組合せからなる群から選択される金属又は半金属を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
上記ベース層が誘電体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
上記積層素子が記憶素子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
上記記憶素子がMRAM素子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記記憶素子が3D NAND素子である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
上記記憶素子がDRAM素子である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
微細加工方法であって、
覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、第1の層が覆われていないように、第1の層内に形成されたフィーチャを有する基板を受け入れることと、
第1の溶解性変更剤を上記基板上に堆積することであって、上記第1の溶解性変更剤が上記第1の層の覆われていない表面に接着することなく上記フィーチャの覆われていない表面に接着するように上記第1の溶解性変更剤が選択される、ことと、
第2の溶解性変更剤を上記基板上に堆積することであって、上記第2の溶解性変更剤が上記フィーチャの覆われていない表面に接着することなく上記第1の層の覆われていない表面に接着するように上記第2の溶解性変更剤が選択される、ことと、
第1のフォトレジストを上記基板上に堆積することと、
上記フィーチャの上の上記第1のフォトレジストの領域を特定の現像剤に可溶となるようにするのに十分に上記第1の溶解性変更剤を活性化することと、
上記第2の溶解性変更剤が上記第1の層の上の上記第1のフォトレジストの不溶性を増大させるように上記第2の溶解性変更剤を活性化することと、
上記第1のフォトレジストを現像して、その結果、上記フィーチャを露出する開口を画定するレリーフパターンを得ることと、
上記フィーチャ上及び上記レリーフパターンの上記画定された開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、その結果、自己整合選択的堆積フィーチャを得ることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、フォトレジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。第1のエッチング後、次いで加工は、材料の堆積、エッチング、アニーリング、フォトリソグラフィなどの追加工程を継続することができ、トランジスタ又は集積回路が製造されるまで様々な工程が繰り返される。
【0002】
重要なフィーチャが下層に正確にアライメントされなければならない半導体加工には、複数の工程が存在する。従来、各種のプロセスは、各種のマスク層をアライメントし、それらの位置決めを補正し、次いで各層を適所にエッチングすることによってアライメントされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、微細加工方法であって、(a)既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、第1の層が覆われていないように、第1の層内に形成されたフィーチャを既存のパターンが有する、ことと、(b)選択的結合剤を基板上に堆積することであって、選択的結合剤がフィーチャに結合し、溶解性変更剤を含む、ことと、(c)第1のレジストを基板上に堆積することとを含む方法に関する。次いで、該方法は、(d)フィーチャ上の第1のレジストの一部が第1の現像剤に可溶となるか、又はフィーチャ間の第1の層上の第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように溶解性変更剤を活性化することと、(e)開口を含むレリーフパターンが形成されるように第1の現像剤を使用して第1のレジストを現像することであって、開口が既存の層のフィーチャを露出する、ことと、(f)フィーチャ上及びレリーフパターンの開口内で選択的成長材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的成長フィーチャを提供することと、(g)第1のレジストを除去することと、(h)充填層を基板上に堆積して、充填された基板を提供することと、(i)所定の回数で工程(b)~(h)を繰り返して、所定の数のレベル(階層)を含む積層素子を提供することとを含む。
【0005】
別の態様では、本開示の実施形態は、微細加工方法であって、覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、第1の層が覆われていないように、第1の層内に形成されたフィーチャを有する基板を受け入れることと、第1の溶解性変更剤を基板上に堆積することであって、第1の溶解性変更剤が第1の層の覆われていない表面に接着することなくフィーチャの覆われていない表面に接着するように第1の溶解性変更剤が選択される、ことと、第2の溶解性変更剤を基板上に堆積することであって、第2の溶解性変更剤がフィーチャの覆われていない表面に接着することなく第1の層の覆われていない表面に接着するように第2の溶解性変更剤が選択される、こととを含む方法に関する。次いで、該方法は、第1のフォトレジストを基板上に堆積することと、フィーチャの上の第1のフォトレジストの領域を特定の現像剤に可溶となるようにするのに十分に第1の溶解性変更剤を活性化することと、第2の溶解性変更剤が第1の層の上の第1のフォトレジストの不溶性を増大させるように第2の溶解性変更剤を活性化することと、第1のフォトレジストを現像して、その結果、フィーチャを露出する開口を画定するレリーフパターンを得ることと、フィーチャ上及びレリーフパターンの画定された開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、その結果、自己整合選択的堆積フィーチャを得ることとを含む。
【0006】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0008】
図2A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2F】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2G】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2H】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2I】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【0009】
図3A】本開示の1つ以上の実施形態に係るデバイス向けの基板の概略図である。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態に係るデバイス向けの基板の概略図である。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態に係るデバイス向けの基板の概略図である。
【0010】
図4A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でMRAMを構築するためのコーティングされた基板の概略図である。
図4B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でMRAMを構築するためのコーティングされた基板の概略図である。
図4C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でMRAMを構築するためのコーティングされた基板の概略図である。
図4D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でMRAMを構築するためのコーティングされた基板の概略図である。
【0011】
図5A】本開示の1つ以上の実施形態に係る不完全なCMOS素子、DRAM素子及び3DNAND素子の概略図である。
図5B】本開示の1つ以上の実施形態に係る不完全なCMOS素子、DRAM素子及び3DNAND素子の概略図である。
図5C】本開示の1つ以上の実施形態に係る不完全なCMOS素子、DRAM素子及び3DNAND素子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多くの高度な半導体デバイスは、基板上の様々な3次元(3D)構造から構成されている。例えば、3D NANDメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及び磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、大きな3Dアレイ状の垂直なフィーチャで構築されているが、これらはディープエッチングの能力によって制限されることから、スケーリングが困難であり、かつ従来のエッチングに基づくプロセスで製造するには高額である。
【0013】
本開示は一般的に、半導体基板上での自己整合選択的成長の複数の繰り返しを伴う多層加工方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。1つ以上の実施形態では、上記方法は、多層加工と選択的成長と自己整合とを組み合わせて多層素子を提供する。かかる方法は、積層体が単一のリソグラフィ/パターニング工程で提供され得るため、従来のエッチングに基づくプロセスよりも実施が簡便である。したがって、本明細書に開示された方法によって、現在の技術では達成することができない寸法をスケーリングし、これに到達することができる。
【0014】
1つ以上の実施形態の方法は、化学プロセスと拡散特性との両方に依拠して、入力した化学反応自体に制御機能を加えるユニークな能力及びかかる化学反応を測定するプロセスを提供する。
【0015】
デバイス及びノードの微細加工では、いくつかのフィーチャが選択的加工を用いて完全にアライメントされることが望ましい。選択的堆積プロセスでは、規定の場所で規定の方向にて欠陥のない状態で予め選択された材料を成長させることが望ましい。ただし、選択的原子層堆積法などの現在の方向性成長技術は、大きな欠陥を抱えている。更には、かかる技術は、スペーサの側壁まで延在する選択された成長エリアなど、より複雑な場合での使用には不十分であることが多い。現在の自己整合成長は多くの場合、高い欠陥率を有しており、少量の意図しない堆積であっても、半導体デバイスに問題を生じさせる可能性がある。
【0016】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示された方法は、例えば自己整合ユニバーサル、完全自己整合、選択自己整合及びフィーチャ自己整合などの様々な自己整合フィーチャを提供するために使用され得る。そのため、本明細書に記載の特定の実施形態は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。1つ以上の特定の実施形態では、ユニバーサル自己整合ビアのための方法が提供される。
【0017】
本開示に係る多層選択的パターニングのための方法100を図1に示し、図1を参照して考察する。最初に、ブロック102では、ベース層内にフィーチャを含む既存のパターンが基板上に提供される。ブロック104では、基板又はその一部が、選択的結合剤でコーティングされる。選択的結合剤は溶解性変更剤を含み得る。次いで、ブロック106では、基板が第1のレジストでコーティングされる。ブロック108では、溶解性変更剤が活性化されて、第1の現像剤に可溶である第1のレジストの領域を提供し得る。次いで、第1のレジストは、ブロック110で現像されて第1のレジスト中にギャップを提供して、基板の既存のパターンのフィーチャを露出する。ブロック112では、フィーチャ上の選択的成長が実行される。次いで、ブロック116では、選択的成長フィーチャのみが残るように第1のレジストが除去される。選択的成長フィーチャは次いで、ブロック118でコーティングされる。いくつかの実施形態では、コーティング前に、選択的成長フィーチャは凍結処理などによって処理され得る。いくつかの実施形態では、選択的成長フィーチャをコーティングした後に、基板をエッチングして過剰なレジストなどの残留コーティングを除去する。最後に、基板が充填される(120)ように充填層が基板上に堆積され、ブロック104~120に表される工程が繰り返されてマルチレベルパターニングされた基板を提供する。
【0018】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を図2A図2Iに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。図2Aは、既存のパターンを含む基板を示す。図2Bは、選択的結合剤を含むオーバーコートを含む基板を示す。図2Cは、第1のレジストで積層された選択的結合剤オーバーコートを含む基板を示す。図2Dは、第1のレジストが現像され、その結果、基板のフィーチャが露出された後のコーティングされた基板を示す。図2Eは、基板のフィーチャの上面に第1のレジスト及び選択的成長層を含む基板を示す。図2Fでは、選択的成長層のみが残るように第1のレジストが除去されている。図2Gは、処理されてコーティングされた時点の選択的成長フィーチャを示す。図2Hは、選択的成長フィーチャ、コーティング、及び基板上に堆積された充填層を含む基板を示す。最後に、図2Iは、ブロック104~120に表される方法の工程を3回繰り返すことで提供されるマルチレベル積層素子を示す。図1の方法及び図2A図2Iに示されるコーティングされた基板は、以下に詳細に考察される。
【0019】
図1において、ブロック102では、既存のパターンが基板上に提供されるが、これは一緒に集積回路を含み得る。既存のパターンは、六角形又は直線アレイの大きなアレイであり得る。例えば、既存のパターンは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)素子、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)素子、3D NAND素子又は当技術分野で公知の他の3D素子のコアに対応し得る。DRAM素子は、ビットを記憶するためのキャパシタと、ビットを読み出し書き込むためのトランジスタとを含むメモリセルにあるビットのデータを記憶し得る。MRAM素子は、磁気トンネル結合を形成する2つの強磁性板を含むメモリセルにあるビットのデータを記憶し得る。3D NAND素子は、NOT-AND論理ゲートを使用してあるビットのメモリを記憶し得る。このデバイスの一覧は、限定を意味するものではなく、実際には既存のパターンは、任意の種類の集積回路に対応し得る。図3A図3Cは、それぞれDRAM素子、MRAM素子及び3D NAND素子に好適な既存のパターンの上面図を示す。例えば、DRAM素子が構築される実施形態では、基板は、図3Aに示されるように、アレイ状のDRAMセル301を含む既存のパターンを有し得るが、アレイ状のDRAMセル301は、列内の2つの隣接するDRAMセルが単一のベルトライン302接触を共有してそれぞれのエリアを減らすように設計されている。一方、MRAM素子が構築される実施形態では、基板303は、図3Bに示されるように、アレイ状のMRAMセル304を含む既存のパターンを有し得る。特に、MRAM素子製造に使用される基板は、DRAM素子製造に使用される基板よりも小さいものであり得る。代替的には、3D NAND素子が構築される実施形態では、テラビットセルアレイトランジスタ(TCAT)305が、図3Cに示されるように、基板として使用され得る。図3A図3Cに示される基板は例示であり、3D素子を構築するための適当な基板を選択することは当業者の技術の範囲内であることが理解されよう。
【0020】
図2Aは、MRAM素子のコア領域に対応する既存のパターンを含む基板200の断面図を示す。図2Aにおいて、既存のパターンは、ベース層201に形成された既存のフィーチャ202を含む。既存のフィーチャ202は、MRAMの複数の層を相互接続するビアを含み得る。既存のフィーチャ202はまたN型領域を含み得るが、基板200はP型基板を含み得て、既存のパターンは1つ以上のN型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイスを含み得る。既存のフィーチャ202はまたP型領域を含み得るが、基板200はN型基板を含み得て、既存のパターンは1つ以上のP型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスを含み得る。既存のフィーチャ202はまた、NMOS素子とPMOS素子の両方を含み得るが、これは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスとして公知である。既存のフィーチャ202の既存のパターンは、本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、ビア、NMOS素子、PMOS素子及びCMOS素子の好適な代替的組合せを含み得ることが理解されよう。NMOS素子、PMOS素子、CMOS素子及びビアを有する1つ以上の実施形態は、以下の図5A図5Cに関連して更に詳細に考察される。ベース層は、当技術分野で公知である好適な基板であり得る。1つ以上の実施形態では、ベース層に形成されたフィーチャは、大きなアレイ状である。例えば、正方形のベース層上では、フィーチャは、4×4アレイ状、5×5アレイ状、6×6アレイ状などに等間隔で配置され得る。アレイの形状及びサイズは、特に限定されておらず、フォトリソグラフィトラック上での使用に好適な任意の形状及びサイズであり得る。
【0021】
フィーチャは、当技術分野で一般に使用される任意の材料から作製され得る。1つ以上の実施形態では、フィーチャは、金属、半金属又は他の導電性構造を含む。本明細書で使用される場合、金属という用語は、合金、積層体、及び他の複数の金属の組合せを含む。例えば、金属相互接続ラインは、バリア層、各種の金属又は合金の積層体などを含み得る。フィーチャを構成し得る好適な金属及び半金属としては、シリコン、ポリシリコン、銅、コバルト及びタングステンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、ベース層は層間誘電体である。好適な層間誘電体は、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO))、ドープされたシリコンの酸化物、フッ素化されたシリコンの酸化物、炭素ドープされたシリコンの酸化物、当技術分野で知られている様々な低k誘電体材料及びこれらの組合せを含み得る。既存のパターンは、パターニングプロセスにおける最終フィーチャ又は中間フィーチャであり得る。基板は、ベース層内の既存のパターンのフィーチャが露出され、アクセス可能となるように平坦化され得る。1つ以上の実施形態では、基板は、金属ラインの上のエッチング停止層、又はグラフェンコーティングを含む。
【0022】
次いで、ブロック104では、選択的結合剤が基板又はその一部上にコーティングされる。図2Bは、選択的結合剤203でコーティングされた既存のフィーチャ202を備えたベース層201を有する既存のパターンを含む基板200を示す。選択的結合剤は、当技術分野で公知の任意のコーティング方法によって基板上にコーティングされ得る。好適なコーティング方法としては、気相成長法、液相堆積、気相堆積、スピンオンコーティング及びラングミュアブロジェット単層コーティングが挙げられるが、これらに限定されない。選択的結合剤は、堆積プロセス中に物理的又は化学的な力によって規則的に表面に結合する1分子(自己組織化単分子層として知られている)に対応する層厚さを形成し得る。
【0023】
選択的結合剤は、既存のパターンの1つの材料に優先的に接着し得る。1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、基板の既存のパターンのフィーチャに接着する。かかる実施形態では、選択的結合剤は、フィーチャと第1の層との比が1:1を超えるパターンのフィーチャに接着し得る。限定ではなく例として、選択的結合剤は、フィーチャと第1の層との比が約2:1~約10:1以上の範囲であるパターンのフィーチャに接着し得る。
【0024】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、更に官能化され得る化学官能基である。例示的な選択的結合剤としては、アルコール、シラノール、アミン、ホスフィン、ホスホン酸及びカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。既存のパターン上にコーティングされた特定の選択的結合剤は、方法100の他の構成要素で使用される特定の化学反応に依存し得る。例えば、様々なホスホン酸及びエステルは、未処理の又は酸化された金属表面と選択的又は少なくとも優先的に反応して、誘電体材料(例えば、シリコンの酸化物)の表面上に優先的又は更には選択的に強結合した金属ホスホネートを形成することが可能であり、それにより、ベース層よりもむしろフィーチャに対する選択的結合剤として使用され得る。好適なホスホン酸の具体例はオクタデシルホスホン酸(ODPA)である。かかる表面コーティングは一般的には、多くの有機溶媒中で安定である傾向があるが、弱酸性及び弱塩基性水溶液を使用して除去され得る。ホスフィン(例えば有機ホスフィン)も、任意選択的には使用され得る。スルホン酸、スルフィン酸及びカルボン酸などの他の一般的な酸も、任意選択的には使用され得る。
【0025】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の別の例は、例えば相互接続構造を保護するために化学的機械研磨中に使用されるものなど、様々な金属腐食防止剤である。具体例としては、ベンゾトリアゾール、他のトリアゾール官能基、他の好適な複素環基(例えば、複素環系腐食防止剤)及び当技術分野で公知の他の金属腐食防止剤が挙げられる。トリアゾール基に加えて、他の官能基が、金属に対する所望の引力又は反応性を提供するために使用され得る。様々な金属キレート剤もまた、潜在的に好適である。様々なアミン(例えば有機アミン)もまた、潜在的に好適である。
【0026】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の更に別の例は、様々なチオールである。別の例として、1,2,4-トリアゾール又は同様の芳香族複素環化合物は、誘電体及び特定の他の材料と比較して金属と選択的に反応させるために使用され得る。選択的結合剤はまた、ポリマーを表面に結合させるためにポリマーの官能基と反応可能な官能基を含み得る。当技術分野で公知の様々な他の金属被毒化合物もまた、潜在的に使用され得る。これらは、いくつかの例示的な例に過ぎず、更に他の例が、本開示の利益を有する当業者にとっては明らかであることを理解されたい。選択的結合剤はまた、選択的結合が可能な上述の官能基のいずれかを含むポリマーを含み得るが、このポリマーは、主鎖に沿って又は末端基として官能基を有し、ターゲット材料に結合したポリマー鎖の層を形成する。
【0027】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は溶解性変更剤を含み得る。溶解性変更剤の組成は、選択的結合剤に依存し得る。当業者によって理解されるように、両材料が互いに反応しない限り、任意の好適な溶解性変更剤が選択的結合剤に含まれ得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱を用いて活性化する任意の化学物質であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は酸又は酸発生剤を含む。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱を用いて、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマーの酸分解性基の結合を切断させて、適用される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるのに十分であるべきである。酸又はTAGは典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0028】
好ましい酸としては、非芳香族酸及び芳香族酸を含む有機酸が挙げられ、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0029】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0030】
【化1】
【0031】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0032】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0033】
【化2】
【0034】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して、0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して、0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0035】
溶解性変更剤に含まれ得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0036】
【化3】
【0037】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して、0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0038】
【化4】
【0039】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して、0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0040】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0041】
【化5】
【0042】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して、0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して、0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0043】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0044】
【化6】
【0045】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0046】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。好適なフッ素置換を有する遊離酸は芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0047】
好適なTAGとしては、上述したように非高分子酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルp-トルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、スルホン酸塩、例えば炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0048】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【化16】
式中、RSO はTAGアニオンであり、XはTAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
(BH) (I)
これは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えば、ピリジン又は置換ピリジン(例えば3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、窒素含有複素環基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基などで任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0049】
塩基Bは典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」という用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)の解離定数の(底を10とする)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃又は90℃未満の沸点を有する。
【0050】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)としては、NH 、CFHNH 、CFCHNH 、(CHNH、(CNH、(CH(C)NH及び以下のものが挙げられる。
【化17】
【0051】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0052】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸;トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤;又はこれらの組合せであり得る。
【0053】
代替的には、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンは、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドを含み得るか、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えばカルボキシレート)のC1-30第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン;ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(DBU)若しくはジアザビシクロノネン(DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド;又は水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、1~約8個の炭素原子、好ましくは1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0054】
好適な塩基発生剤は熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せなどの官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0055】
代替的には、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は架橋剤を含む。溶解性変更剤として使用され得る好適な架橋剤としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのビスエポキシドを硬化するために使用される架橋剤、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)-メチル]-フラン、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-ベンゼン、メラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル及びテトラブトキシメチルグリコールウリルなどのグリクウリル、ベンゾグアナミン、ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、メチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、エチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミンなどのベンゾグアナミン系材料、並びに尿素系材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は溶媒を含む。溶媒は典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0057】
選択的結合剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C-C一価アルコールなどのアルコール;2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC-Cフッ素化ジオール;イソペンチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;4~10の総炭素数を有するアルキルエステル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテル;並びにこれらの溶媒のうち1つ以上を含む混合物が挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、選択的結合剤で基板をコーティングした後、基板が前処理される。基板は、フィーチャの表面に選択的結合剤を確実に結合するように前処理され得る。前処理は、50~150℃の範囲の温度で約30~90秒間実施されるソフトベークであり得る。
【0059】
選択的結合材料がフィーチャに結合された後、余分な材料が除去され得る。このように、1つ以上の実施形態では、基板に選択的結合剤を塗布し、任意選択的に前処理した後、基板はリンスされて未使用材料が除去される。
【0060】
次いで、方法100のブロック106では、第1のレジストが基板上に堆積される。図2Cは、選択的結合剤203及び第1のレジスト204でコーティングされたベース層201及び既存のフィーチャ202を含む基板200を示す。一般的に、レジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、レジスト材料に典型的に使用される任意の標準的なポリマーであり得るが、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態でポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変化させ得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0061】
分解時にポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(Rの第三級エステル基、又は式-C(O)OC(RORのアセタール基であり、式中、Rは、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、いずれの2つのR基もともに、任意選択的には環を形成し、Rは、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R基はともに、任意選択的には環を形成し、Rは、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、Rは任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのRはRとともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは典型的には、芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0062】
ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができる。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(ROR-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは典型的には、芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマー中に存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1のレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストと類似した組成を有する。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む1つ以上のモノマーが保護されているポリマーを含み得る。このように、PTD様の第1のレジストは、有機可溶であり得る。
【0064】
溶解性変更剤が架橋剤である他の実施形態では、第1のレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含むいずれのモノマーも保護されていないポリマーを含み得る。好適な反応性官能基としては、アルコール、カルボン酸、アミン及びエポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤への暴露によってポリマーの架橋が生じ、ポリマーが現像剤に対して不溶となる。次いで、未架橋エリアは、適当な現像剤を使用して除去することができる。
【0065】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む1つ以上のモノマーが保護されているポリマーを含み得る。このように、NTDの第1のレジストは有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤で溶解性が変更された領域を現像するのではなく、溶解性が変更された領域は残り、保護された官能基を含有する領域が、有機溶媒を含む第1のレジスト現像剤を使用して除去される。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、PTD対ネガ型対NTD)は、最終パターン配置に影響を及ぼし得る。
【0066】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、約300Å~約3000Åの厚さを有するように基板上に積層される。
【0067】
方法100のブロック108では、溶解性変更剤が活性化される。溶解性変更剤が酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、溶解性変更剤を第1のレジストへと拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することを含む。第1のレジストの溶解性が変更された領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する選択的結合剤は、フィーチャの上にある第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、フィーチャ上にコーティングされた選択的結合剤の表面から第1のレジストの表面へと垂直に延在する。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域は、傾斜方向に延在する。溶解性が変更された領域が傾斜方向に延在する場合、各フィーチャが一緒に結合するのを防ぐことが望ましいことがある。これを達成するために、フィーチャの厚さは、十分に薄いものであるように制御され得る。
【0068】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの個性及び第2のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、約50℃~約160℃の範囲の温度及び約30秒~約90秒の範囲の時間を含み得る。
【0069】
溶解性変更剤が架橋剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、第1のレジストへの架橋剤の重合を開始することを含む。架橋剤の活性化によって、第1のレジストの架橋領域が提供され得る。第1のレジストの架橋領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、選択的パターニング自己整合のように、選択的結合剤が既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する場合、第1のレジストの架橋領域はフィーチャの上にあり得る。
【0070】
次いで、方法100のブロック110では、第1のレジストが、特定の現像剤を使用して現像される。特定の現像剤は、当技術分野で一般に使用される任意の現像剤であり得る。特定の現像剤の組成は、第1のレジストのトーン及び溶解特性に依存し得る。例えば、第1のレジストがポジトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、第1のレジストがネガトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの非極性有機溶媒であり得る。
【0071】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、既存のフィーチャ202よりもむしろベース層201に優先的に接着し、溶解性が変更された領域又は架橋領域は、第1の現像剤に不溶である。かかる実施形態では、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域又は架橋領域は、基板上に残り得る。代替的には、1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、ベース層201よりもむしろ既存のフィーチャ202に優先的に接着し、溶解性が変更された領域は、第1の現像剤に可溶となる。かかる実施形態では、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域は基板から除去される。かかるパターンは、レジストの領域が、選択的結合剤でコーティングされていなかったベース層の上に残ることから、反選択的パターンと称され得る。
【0072】
図2A図2Iは、溶解性変更剤が第1の現像剤に可溶であり、既存のフィーチャ202に選択的に結合して既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板を例示するが、溶解性変更剤が第1の現像剤に不溶であり、既存のフィーチャ202間のベース層201に選択的に接着する実施形態が企図されることが理解されよう。したがって、図2Dにて溶解性変更剤が第1の現像剤に可溶である場合について例示されるように、溶解性変更剤が第1の現像剤に可溶であるか、又は溶解性変更剤が第1の現像剤に不溶であるかのいずれかの場合を用いて、露出された既存のフィーチャを有するコーティングされた基板を作成し得ることが理解されよう。
【0073】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、既存のフィーチャ202に優先的に接着し、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、第1の現像剤に可溶である。かかる実施形態では、第1のレジストの現像によって、既存のパターンのフィーチャを露出するギャップを含む第1のレジストのパターンが生じる。このように、選択的結合剤は、更なるコーティングのために露出され、アクセス可能となる。図2Dは、第1のレジスト204中のギャップ205が、基板200の既存のパターンのベース層201内の既存のフィーチャ202を露出するコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、リンス手順によって、金属被覆前に残存する選択的結合剤をはぎ取る。
【0074】
次いで、方法100のブロック112では、既存のパターンのフィーチャ上での選択的成長が実行される。当技術分野で公知である任意の好適な選択的成長技術が、既存のパターンのフィーチャ上に直接、選択的成長フィーチャを提供するために使用され得る。図2Eでは、ベース層201内の既存のフィーチャ202、既存のフィーチャ202からオフセットされた第1のレジスト204、及び既存のフィーチャ202の上面の選択的成長フィーチャ206を含む基板200が示されている。
【0075】
1つ以上の実施形態では、選択的成長フィーチャは選択的成長材料を含む。当技術分野で公知である多くの異なる種類の選択的成長堆積材料が、本明細書で開示される様々な実施形態に好適である。いくつかの実施形態では、選択的金属対金属反応堆積が、無電解金属堆積法及び/又は電気化学原子層堆積法などの技術を使用して溶液中で達成され得る。かかる金属対金属反応堆積に好適な金属の例としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)及びこれらの様々な合金、積層体又は他の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。無電解金属堆積法及び/又は電気化学原子層堆積法を使用する選択的反応によって堆積され得る他の金属もまた、一般的に好適であるはずである。
【0076】
いくつかの実施形態では、選択的金属対金属反応堆積は、ホモレプティック金属ジアザブタジエン錯体[M{N(R)C(H)C(H)N(R’)}]を用いて実施され得る。この式では、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)又はクロム(Cr)から選択される金属原子を表し得る。有機官能基R及びR’は、様々な置換又は非置換のアルキル又はアリール官能基のうちのいずれかを表し得る。R及びR’の例としては、置換又は非置換の2~8個の炭素のアルキル基、フェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。各種の錯体(例えば、各種の金属原子を有するもの)の組合せもまた、任意選択的には使用され得る。金属(例えば、純粋な金属、又は複数の金属の合金若しくは積層体)が、共反応物質(例えば、水素(H)、アンモニア(NH)、ヒドラジンなど)を使用するか又は使用しないで化学気相成長法(CVD)を用いて出発材料の金属上、及び/又はこれらの錯体から堆積された金属上に堆積され得る。原子層堆積法(ALD)が、代替的に使用され得る。かかる堆積法は、誘電体材料、半導体材料及び有機高分子材料と比較すると一般的には選択的となる。
【0077】
いくつかの実施形態では、印加された電圧及び/又は光電効果を用いて、別の材料(例えば誘電体)と比較して、金属堆積を促進し、かつ/又は金属上の金属堆積の選択性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、電圧バイアスが、ウェハチャックとウェハチャック上のウェハの上のコイルとの間など、ウェハ又は他の基板と金属堆積装置の導電性ハードウェアとの間に印加され得る。この電圧バイアスは、直流(DC)又は交流(AC)(例えば高周波AC)のいずれかであり得る。印加された電圧バイアスは、例えば部分的には光電効果に起因して、別の材料(例えば誘電体)よりも金属(例えば、相互接続ライン、又は相互接続ライン上に形成された金属材料)から比較的多く電子(例えば二次電子)を放出するか又はそれ以外の方法で提供するのに必要とされるエネルギーを発生させ、低減する傾向があり得る。いくつかの実施形態では、順方向電圧バイアスが、金属から離れた方向に電子を加速させるのを促進させるために印加され得る。DC電圧バイアスが使用される場合、電子の放出は、金属への導電パスが存在しない限り、いくらかの電子が金属から放出されて正味の正電荷を有し始めた後に遅延し得る可能性がある。しかしながら、AC電圧バイアスの印加は、サイクル間で電子を金属に充填してバックアップすることによって、一般的にこれを回避するのに役立ち得る。電子を用いて、別の材料(例えば誘電体)と比較して、金属堆積を促進し、かつ/又は金属上の金属堆積の選択性を増加させ得る。電子は、例えば金属のALD若しくはCVD堆積、又は発生したかかる電子によって促進され得る他の金属堆積プロセスなどの選択的金属堆積反応を駆動又は促進させるエネルギーを提供するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、金属近くで光電子を更に発生させる一助とするために、電圧バイアスとともに紫外線光源が使用され得る。これは、金属堆積及び金属堆積選択性を促進させるのに更に役立ち得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、選択的誘電体対誘電体反応堆積は、ゾルゲルプロセスなどの液相技術によって達成され得る。選択的誘電体対誘電体反応堆積はまた、CVD、ALD、MLD又は他の気相技術によって達成され得る。かかる誘電体対誘電体反応堆積に好適な材料の例としては、例示的な例をほんの数例挙げると、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO))、炭素ドープされたシリコンの酸化物、シリコンの窒化物(例えば、窒化ケイ素(SiN))、シリコンの炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、シリコンの炭窒化物(例えばSiCN)、アルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al))、チタンの酸化物(例えば、酸化チタン(TiO))、ジルコニウムの酸化物(例えば、酸化ジルコニウム(ZrO))、ハフニウムの酸化物(例えば、酸化ハフニウム(HfO))及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野で公知である他の誘電体及び低k誘電体材料もまた、潜在的に好適である。カルボシロキサン材料もまた、任意選択的には使用され得る。ゾルゲル、ALD、CVD及びMLDなどの技術を使用して金属と比較して選択的に又は少なくとも優先的にかかる材料を堆積する反応の様々な例が当技術分野で公知である。
【0079】
いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブ、グラフェン及びグラファイトのうちの1つ以上が、金属表面材料上に成長又は形成され得る。金属表面材料は、カーボンナノチューブ、グラフェム又はグラファイトの成長に対して触媒作用がある触媒金属表面材料を表し得る。触媒金属表面材料は、当技術分野で公知の技術を使用して加熱され、好適な炭化水素及び任意の他の共反応物質に曝露され得る。好適な触媒表面及び一連の反応物質の一例は、一酸化炭素及び水素に曝露されるコバルト表面である。上述した電圧バイアスアプローチはまた、かかる反応を促進させる一助とするために潜在的に使用され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、不動態化材料又は層が、任意選択的には、各種の表面材料のうちの1つの上に塗布又は形成されて、別の表面材料に対する反応の選択性又は優先性を増加させる一助となり得る。かかる不動態化材料の使用は一般的には、層を形成するのに利用できる可能な選択的/優先的反応の数を増やすのに役立つ。それにもかかわらず、表面材料のうちの1つに対してそれ以外のものよりも必ずしも選択的/優先的ではない反応は、不動態化材料と比較して表面材料のうちの1つに対して選択的であり得る。例として、不動態化材料は、不動態化材料と比較して第2の表面材料に対する所与の堆積反応の選択性/優先性を増加させるために、第2の表面材料ではなく第1の表面材料に塗布され得る。材料のうちの1つの上に選択的に形成されるように操作可能であり、かつ反応の選択性/優先性を増加させるように操作可能である不動態化材料の大部分は、一般的に好適であるはずである。かかる不動態化剤は、気相又は液相で塗布され得る。かかる不動態化剤は、選択的堆積プロセス中に1回又は複数回塗布され得る。選択的/優先的反応を通して層が形成された後、不動態化材料が除去され得る。例えば、不動態化材料は、熱処理、光分解処理、化学処理又は電気化学処理によって除去され得る。いくつかの実施形態では、別の不動態化材料が、任意選択的には他の表面材料に塗布され得るが、これは必要ではない。重ねて、かかる不動態化材料の使用は、任意ではあるが、本明細書で言及された様々な層を形成するのに使用され得る可能な選択的又は少なくとも優先的化学反応の数を増やすのに役立ち得る。
【0081】
選択的成長が実行された後、方法100のブロック114では、第1のレジストが除去される。第1のレジストは、かかる方法が選択的成長フィーチャに影響を及ぼさない限り、当技術分野で公知の任意の方法に従って除去され得る。そのため、1つ以上の実施形態では、第1のレジストの除去後に、選択的成長フィーチャのみが残る。図2Fは、基板200がベース層201内の既存のフィーチャ202上に選択的成長フィーチャ206を含むように第1のレジストが除去されているコーティングされた基板を示す。
【0082】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、リンスによって除去される。特に、第1のレジストは、有機溶媒でリンスすることで基板から除去され得る。有機溶媒は、例えばn-ブチルアセテート(NBA)及びヘプタノンなどの第1のレジスト現像剤として使用される溶媒であり得るか、又は上記の選択的結合剤を塗布するために使用される溶媒であり得る。
【0083】
任意選択的には、第1のレジストが除去されると、選択的成長フィーチャがコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、コーティング前に、選択的成長フィーチャは、選択的成長フィーチャの表面の平滑化などによって処理され得る。選択的成長フィーチャは、コーティング層を塗布するために均一な表面を提供するように平滑化され得る。1つ以上の実施形態では、選択的成長フィーチャは、コーティング前に安定化される。凍結プロセスとしても知られている様々なレジスト安定化技術が提案されており、例えば、イオン注入、UV硬化、加熱硬化、熱硬化及び化学硬化が挙げられる。例えば米国特許出願公開第2008/0063985号、米国特許出願公開第2008/0199814号及び米国特許出願公開第2010/0330503号に技術が記載されている。いずれかのかかる処理後に、選択的成長フィーチャは、1つ以上のコーティング層でコーティングされ得る。1つ以上のコーティング層は、選択的成長フィーチャが完全にコーティングされるように選択的成長フィーチャに塗布され得る。例えば、1つ以上のコーティング層は、選択的成長フィーチャの上面及び両側にコーティングされ得る。ベース層201と、既存のフィーチャ202と、コーティング層207によってコーティングされた選択的成長フィーチャ206とを含む基板200が図2Gに示される。
【0084】
いくつかの実施形態では、選択的成長フィーチャをコーティングした後、基板をエッチングして、例えば過剰なレジスト又は選択的結合材料などの残留コーティングをベース層の表面から除去する。次いで、基板が充填される(118)ように充填層を基板上へと堆積する。ブロック118に係るコーティングされた基板を図2Hに示す。図2Hに示されるように、基板200は、ベース層201と、既存のフィーチャ202と、充填層208によって分離されたコーティング層207でコーティングされた選択的成長フィーチャ206とを含む。図2Hは選択的成長フィーチャ上のコーティング層を示すが、かかるコーティング層は、本開示のすべての実施形態に存在しなくてもよい。充填層に好適な材料の例としては、例示的な例をほんの数例挙げると、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO))、炭素ドープされたシリコンの酸化物、シリコンの窒化物(例えば、窒化ケイ素(SiN))、シリコンの炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、シリコンの炭窒化物(例えばSiCN)、アルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al))、チタンの酸化物(例えば酸化チタン(TiO))、ジルコニウムの酸化物(例えば、酸化ジルコニウム(ZrO))、ハフニウムの酸化物(例えば、酸化ハフニウム(HfO))及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。その後、化学的機械研磨プロセスが、表面を平坦化するために用いられ得る。例えば、二酸化ケイ素が堆積され、かかる堆積によってオーバーバーデンが提供される場合、オーバーバーデンは、化学的機械研磨によって除去され得る。
【0085】
最後に、方法100において、ブロック104~118が繰り返されて、マルチレベルパターニングされた基板を提供する。ブロック104~118に表される工程は、任意の回数繰り返されて、好適な数の選択的にパターニングされたレベル(階層)を有する積層素子を提供し得る。例えば、ブロック104~120は、1回、2回、3回又は更には4回繰り返されて、5レベルのマルチレベル積層素子を提供し得る。4つの別個の選択的成長層を含む例示的なマルチレベル積層素子を図2Iに示す。
【0086】
繰り返しブロック104~118において、例えば堆積、コーティングなどの加工工程と、例えば第1のレジスト、選択的結合剤、溶解性変更剤、選択的成長材料などの材料のそれぞれは、上述した通りである。ただし、いくつかの実施形態では、各ブロックで組み込まれた材料は、各繰り返しについて同じ又は異なり得る。特に、選択的成長材料は、マルチレベル積層体の各層について異なり得る。例えば、選択的成長材料は、3レベル積層素子の第1の層中のシラン含有単層、第2の層中のホスホン酸エステル、及び第3の層中のトリアゾールであり得る。したがって、方法100は、周囲の第1のレジストにより課される制約のため略垂直な成長パターンを有する各層を備えた複合マルチレベル積層素子を提供し得る。
【0087】
1つ以上の実施形態では、方法はフォトリソグラフィ工程を含む。フォトリソグラフィ工程を用いて、特定のフィーチャ、フィーチャの一部又は他の領域を選択することができる。例えば、選択的配置及び成長は、上述した方法100のように方向性成長プロセスを用いて達成され得る。次いで、第1のレジストが暴露されて、パターニングされたアレイを形成し得るが、これが、ターゲットエリアを露出し、そのエリアで溶解性変更剤を活性化する。次いで、熱処理によって、溶解性変更剤をレジスト層を通して拡散させ、溶解性変更反応を促進する。溶解性変更剤(例えば酸)によってレジストが可溶となり、その部分が除去される。次いで、金属/基板上の選択的成長が実行され得る。選択的成長の前に、エッチング工程を行って、覆われていないフィーチャの上面から選択的結合剤及び/又は溶解性変更剤の残留コーティングを除去し得る。
【0088】
本開示に係る方法は、高密度フィーチャを有するユニークなパターンを提供し得る。1つ以上の実施形態では、中央での堆積は、局所的な高密度の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の形成のための代替的な工程を使用する。コア領域についての例示的な方法が以下に提供される。コーティングされた基板が、図4A図4Dの方法のそれぞれの時点で示されている。すべての堆積は、好ましくは平行に近い状態である。酸化物が、制御のために、好ましくは原子層堆積法で形成される。
【0089】
この方法は、方法100と同じ工程で開始され得る。例えば、既存のフィーチャ402を有する基板401が提供され得るが、選択的結合剤が堆積され得て、第1のレジスト403が基板上に積層され、次いで現像されて、ギャップが基板の既存のフィーチャ及び選択的結合剤上に存在するレリーフパターンが提供され得る。次いで、図4Aに示されるように、例えば導電体/金属などの選択的成長材料404が堆積される。図4Bにおいて、選択的成長材料は、所定の深さで(配置前又は配置後のいずれかで)エッチバックされる。図4Bに示されるように、基板401は、既存のフィーチャ402と、既存のフィーチャ402からオフセットされた第1のレジスト403と、第1のレジスト403よりも短い選択的成長材料404とを含む。1つ以上の実施形態では、選択的成長材料は、堆積される磁気層の深さだけエッチバックされる。選択的成長材料は、バリエーション用の追加の空間を含むようにエッチバックされ得る。次いで、図4Cに示されるように、磁気層405が堆積される。図4Cに示されるように、基板401は、既存のフィーチャ402と、磁気層405でコーティングされた第1のレジスト403及び選択的成長材料404とを含む。磁気層の堆積は、選択的成長材料及び第1のレジストの上面に磁気層を提供し得る。磁気層は、例えば分極層、絶縁体、自由層、トンネル結合及び合成反強磁性体などの磁気抵抗記憶素子又はキャップであり得る。次いで、図4Dに示されるように、第1のレジスト403の上面にある磁気層405の一部が除去される。その結果、磁気層405が、基板401のフィーチャ402上の選択的成長材料404上にのみ残る。任意選択的には、最終エッチング又は化学洗浄工程が、大きな損傷なしにフィーチャの縁部を「洗浄」又は除去するために実行される。
【0090】
得られた構造は、磁気材料のエッチングフリー実装である。これによって、密度の向上と劇的なコスト削減が可能となる。図4A図4Dの形状は円柱として示されているが、これは限定するものではないことに留意されたい。他の形状が使用され得る。選択的成長技術はターゲットとは無関係であることから、形状は丸みのあるフィーチャである必要はない。
【0091】
図5Aは、1つ以上の実施形態に係る不完全なCMOS素子500を示す。選択的成長手順が不完全なCMOS素子500に対してまだ実施されていないことから、不完全なCMOS素子500は部分的トランジスタに過ぎず、図1のブロック102に記載されるように、既存のパターンを有する基板であると考えられ得る。不完全なCMOS素子500は、相補型金属酸化膜半導体であると考えられるが、この理由は、この素子がNMOS部分501とPMOS部分502との両方を含むからである。不完全なCMOS素子500は、基板503と、いくつかの既存のフィーチャ504~508とを有する。基板503及び既存のフィーチャ504~508はそれぞれ、ドープされて導電性P型又はN型材料へと変わった結晶シリコンから構成される。
【0092】
元素シリコンは、その最外殻に4つの電子を有する半導体である。任意の半導体材料の電子の外殻は、電子の価電子帯として知られているが、これは、電流によって励起されると、電子が伝導帯に容易にジャンプすることができるからである。結晶シリコン中のケイ素原子はそれぞれ、4つの隣接するケイ素原子と完全な共有結合を形成することから、これらは格子を作成し、絶縁体として作用し、ほぼ電気を伝導しない。したがって、結晶シリコンは、導電性となるためには不純物をドープしなければならない。
【0093】
P型材料は、その外殻に3つの電子を有する原子でドープされたシリコンベースである。ホウ素及び/又はガリウム原子が、こうした目的のために使用され得るが、これは限定することを意図したものではない。結晶シリコンが3つの外殻電子のみを有するP型原子でドープされると、これは、隣接するケイ素原子の価電子帯に正電荷キャリアを作成する。言い換えると、P型ドーパントは、それぞれの隣接するケイ素原子と完全な共有結合を形成するのに必要とされるであろう4番目の電子を欠いていることから、シリコン格子中の各P型原子については、正孔として知られる単一の正味の正電荷が存在する。P型ドーパントは結晶格子中に固定されることから、これらの正孔のみが移動することができる。こうした理由から、3つの価電子のみを有する原子でドープされたシリコン結晶は、ポジ型材料、すなわちP型材料として知られている。
【0094】
P型材料とは対照的なのは、N型材料である。N型材料は、その外殻に5つの電子を有する原子でドープされたシリコンベースである。ヒ素及び/又はリン原子が、こうした目的のために使用され得るが、これは限定することを意図したものではない。結晶シリコンが5つの外殻電子を有するN型原子でドープされると、これは、隣接するケイ素原子の価電子帯に負電荷キャリアを作成する。言い換えると、N型ドーパントは、それぞれの隣接するケイ素原子と完全な共有結合を形成する4つの電子と、余分の5番目の電子とを有することから、シリコン格子中の各N型原子については、負電荷を有する電子である単一の正味の負電荷が存在する。この余分な負電荷を有する電子は結合するものがないことから、電気を伝導し、格子全体に自由に移動する。こうした理由から、5つの価電子を有する原子でドープされたシリコン結晶は、ネガ型材料、すなわちN型材料として知られている。
【0095】
図5Aにおいて、基板503及び端子507~508に対応する薄く影がついた部分はP型材料であり、そのため、ホウ素、ガリウム又は3個の価電子を有する別の元素でドープされている。端子504~505及びウェル506に対応する内部パターニング部分はN型材料であり、そのため、ヒ素、リン又は5つの価電子を有する別の元素でドープされている。不完全なCMOS素子500の各部分は、その対応する端子のドーピングによって画定される。そのため、N型端子504~505を有するCMOS素子500の左側は、NMOS部分501として知られている。同様に、P型端子507~508を有する不完全なCMOS素子500の右側は、PMOS部分502として知られている。NMOS部分501とPMOS部分502との両方を組み合わせた不完全なCMOS素子500の構築は、単一のNMOS部分のみ、又は単一のPMOS部分のみを使用したものと比較して好ましい場合があるが、これは、組み合わせた不完全なCMOS素子500は、単一の素子と比較すると、使用する電力が少なく、ノイズ干渉の影響を受けにくいからである。上述するように、選択的成長手順が不完全なCMOS素子500に対してまだ実施されていないことから、不完全なCMOS素子500は部分的トランジスタに過ぎず、図1のブロック102に記載されるように、既存のパターンを有する基板であると考えられ得る。
【0096】
図5Bは、1つ以上の実施形態に係るDRAM素子600を示す。DRAM素子600は、既存のフィーチャ503~508に関することから、不完全なCMOS素子500と類似している。しかしながら、DRAM素子600には、完全な素子となるために多層選択的パターニングのための方法100の1回以上の繰り返しが施されていてもよい。例えば、DRAM素子600は、絶縁層509並びに追加のフィーチャ510~512及び520~522を成長させるために多層選択的パターニングのための方法100の1回以上の繰り返しが施されていてもよい。DRAM素子600は、以下に更に詳細に考察されるように、揮発性ランダムアクセスメモリとして機能し得る。
【0097】
追加のフィーチャ510~512及び520~522は、NMOS端子504と505との間の電流を調節するNMOSコントロールゲート510、PMOS端子507と508との間の電流を調節するPMOSコントロールゲート520、並びにそれぞれ端子504~505及び507~508に電気的インタフェースを提供するビア511~512及び521~522を含み得る。例えば、ビア511は端子504に電気的接続を提供し得て、ビア512は端子505に電気的接続を提供し得て、ビア521は端子507に電気的接続を提供し得て、ビア522は端子508に電気的接続を提供し得る。追加のフィーチャ510~512及び520~522は、既存のフィーチャ504~508とインタフェースで接続するためにアルミニウム又は銅などの純粋に導電性の材料から作製され得ることを示すために影がついていない状態で描かれている。絶縁層509は、既存のフィーチャ504~508とインタフェースで接続している追加のフィーチャ510~512及び520~522間に電気的絶縁を提供するために、基板503及び既存のフィーチャ504~508の表面に直接配置されている。絶縁層509は、方法100又は任意の他の好適な方法を使用して基板503上で成長した二酸化ケイ素の層であり得る。DRAM素子600の内部構築が完了したら、電子デバイスの集積回路(IC)へと組み込まれるようにパッケージング・ワイヤボンディングプロセスを受け得る。例えば、DRAM素子600はパッケージングされ、双方向テレビ、携帯電話又はデスクトップコンピュータに接続され得る。DRAM素子600は、本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、任意の数の電子デバイスへと組み込まれ得ることが理解されよう。
【0098】
DRAM素子600は、追加のフィーチャ510~512及び520~522と既存のフィーチャ504~508との相互作用を用いてデータを記憶することで、揮発性ランダムアクセスメモリとして機能し得る。例えば、NMOS部分501及びPMOS部分502はそれぞれ、電気容量の特性を用いて単一ビットを記憶する能力を有するトランジスタを表し得る。励起電圧を使用して充電されると、電気キャパシタはある期間にわたってその電荷を蓄えることができる。キャパシタにおける電荷の有無は、1ビットのデータを表す。キャパシタが充電されれば、ビットの値は1となり、キャパシタが放電されれば、ビットの値は0となる。NMOS部分501及びPMOS部分502は、以下に更に詳細に考察されるように、直流(DC)電気特性を用いてそれぞれの端子504~505及び507~508間の電荷を蓄え得る。
【0099】
DRAM素子600に対してあるビットのデータを書き込むプロセスを、NMOS部分501に関して説明するが、同じプロセスが、PMOS部分502内であるビットのデータを書き込むために使用され得ることが理解されよう。最初に、NMOS部分501は、電界効果トランジスタ(FET)として機能する。NMOSコントロールゲート510がオフであるか、又はここに電圧が一切印加されていない場合、電流は端子504及び505を通過することができない。そのため、NMOSコントロールゲート510がオフである場合、端子504と505との間の電荷の値は変化し得ない。端子504と505との間に1の電荷又は値を蓄えるために、充電回路を使用して端子504と505との間に電圧が印加され、NMOSコントロールゲート510が迅速にオンに切り替えられ、次いでオフに切り替えられる。このプロセスによって、静電容量が生成され、端子504と505との間に1の電荷値が蓄えられる。端子504と505との間に電荷の不在、すなわち0の値を蓄えるために、充電回路を使用して端子504と505との間に負電圧が印加され、NMOSコントロールゲート510が迅速にオンに切り替えられ、次いでオフに切り替えられる。このプロセスによって、任意の静電容量が排除され、端子504と505との間に0の電荷値が蓄えられる。
【0100】
次に、DRAM素子600からあるビットのデータを読み出すプロセスを、NMOS部分501に関して説明するが、同じプロセスが、PMOS部分502内であるビットのデータを読み出すために使用され得ることが理解されよう。端子504と505との間の電荷を読み出すために、充電回路が端子504と505との間にゼロ又は浮遊電圧を印加し、次いで、センシング回路が端子504及び505に適用される。次に、NMOSコントロールゲート510が迅速にオンに切り替えられ、次いでオフに切り替えられる。充電回路が端子504と505との間にゼロ電圧を印加しているため、NMOSコントロールゲート510がオン及びオフに切り替えられる場合、端子504と505との間に蓄えられた電荷の値が、0又は1ビットが端子504と505との間に蓄えられているかどうかに基づき、センシング回路をハイ又はローに駆動する。端子504と505との間に蓄えられた電圧が存在すれば、センシング回路は1のビット値を検出する。端子504と505との間に蓄えられた電圧が存在しなければ、センシング回路は0のビット値を検出する。
【0101】
より多くのデータを記憶するために、多くの数のDRAM素子600が並列に接続され得ることが理解されよう。更に、DRAM素子600は、揮発性ランダムアクセスメモリとして動作するのに特に適している。例えば、DRAM素子600は部品がほとんどなく、公差も小さいため、DRAM素子600は電力をほとんど使用することなくデータを迅速に送信することができる。一方、追加のフィーチャ510~512及び520~522は充電回路及びセンシング回路に常にDC接続を有するため、端子504と505との間の電荷状態によって遅い寄生ドレインをこうむる。したがって、端子504と505との間の電荷状態は、定期的にリフレッシュされなければならない。更には、DRAM素子600をオフにすれば、その蓄えられたデータビットのすべてが失われる。
【0102】
図5Cは、1つ以上の実施形態に係る3D NAND素子700を示す。3D NAND素子700は、既存のフィーチャ503~508、絶縁層509及び追加のフィーチャ510~512及び520~522に関することから、DRAM素子600と類似している。しかしながら、3D NAND素子700もまた、浮遊NMOSゲート513及び浮遊PMOSゲート523を含み得る。以下に更に詳細に考察されるように、浮遊NMOSゲート513及び浮遊PMOSゲート523によって、3D NAND素子700はより長期間にわたって、又は3D NAND素子700がオフにされた場合であっても、電荷状態を蓄えることができる。
【0103】
3D NAND素子700にあるビットのデータを書き込むプロセスを、NMOS部分501に関して説明するが、同じプロセスが、PMOS部分502内であるビットのデータを書き込むために使用され得ることが理解されよう。DRAM素子600と同様に、NMOS部分501は、電界効果トランジスタ(FET)として機能する。しかしながら、DRAM素子600とは対照的に、3D NAND素子700は、NMOS部分501内に配置された浮遊NMOSゲート513を有する。浮遊NMOSゲート513が絶縁層509によって完全に囲まれていることから、NMOS部分501への直流(DC)の電気的接続がない。これによって、浮遊NMOSゲート513が、ドレインする傾向がない完全なキャパシタとして働くことができ、これは、DRAM素子600のゲート504及び505の一時的に蓄えられた静電容量からの改善点である。しかしながら、浮遊NMOSゲート513を充電及び放電することは、DRAM素子600で提供されるものとは異なるプロセスを必要とする。
【0104】
浮遊NMOSゲート513内で1の電荷又は値を蓄えるために、充電回路を使用して端子504と505との間に電圧が印加され、NMOSコントロールゲート510がオンにされる。NMOS部分501と浮遊NMOSゲート513との間にDC接続がないため、浮遊NMOSゲート513は、トンネリング又はホットキャリア注入を介して充電されなければならない。トンネリング及びホットキャリア注入とは、電子及び孔が、ジャンプして絶縁バリアを通過するのに十分な運動エネルギーを取得するプロセスを指す。例えば、絶縁層509が二酸化ケイ素から構成される場合、電子は、浮遊NMOSゲート513に入るのにおよそ3.2電子ボルト(eV)の運動エネルギーを必要とするであろう。NMOS部分501が浮遊NMOSゲート513を充電するためにこの適切な運動エネルギーを達成するためには、充電回路は、NMOSコントロールゲート510を、バリアの組成及びサイズに依存する特定の時間にわたって特定の正電圧に保持しなければならない。電圧及び時間の値は典型的には、DRAM素子600を充電するのに必要とされる値よりも大きく、該値は、3D NAND素子700の設計特性に従って事前に計算される。
【0105】
次に、浮遊NMOSゲート513内に0の電荷又は値を蓄えるために、充電回路を使用して端子504と505との間に負電圧が印加され、NMOSコントロールゲート510がオンにされる。浮遊NMOSゲート513の充電手順と同様に、浮遊NMOSゲート513はまた、トンネリング又はホットキャリア注入を介して放電されなければならない。絶縁層509が二酸化ケイ素から構成される場合、孔は、浮遊NMOSゲート513に入るのにおよそ4.6eVを必要とするであろう。NMOS部分501が浮遊NMOSゲート513を放電するためにこの適切な運動エネルギーを達成するためには、充電回路はまた、NMOSコントロールゲート510を、バリアの組成及びサイズに依存する特定の時間にわたって特定の負電圧に保持しなければならない。電圧及び時間の値は典型的には、DRAM素子600を放電するのに必要とされる値よりも大きく、該値は、3D NAND素子700の設計特性に従って事前に計算される。
【0106】
次に、3D NAND素子700からあるビットのデータを読み出すプロセスを、NMOS部分501に関して説明するが、同じプロセスが、PMOS部分502内であるビットのデータを読み出すために使用され得ることが理解されよう。3D NAND素子700からあるビットのデータを読み出すことは、DRAM素子600からあるビットのデータを読み出すことと類似しているが、これは、トンネリング及びホットキャリア注入が、浮遊NMOSゲート513において電圧を感知する必要がないからである。浮遊NMOSゲート513から電荷を読み出すために、充電回路は、端子504と505との間にゼロ又は浮遊電圧を印加し、次いで、センシング回路が端子504及び505に適用される。次に、NMOSコントロールゲート510が迅速にオンに切り替えられ、次いでオフに切り替えられる。充電回路が端子504と505との間にゼロ電圧を印加しているため、NMOSコントロールゲート510がオン及びオフに切り替えられる場合、端子504及び505に容量結合する浮遊NMOSゲート513に蓄えられた電荷の値は、0又は1ビットが浮遊NMOSゲート513に蓄えられているかどうかに基づき、センシング回路をハイ又はローに駆動する。浮遊NMOSゲート513に蓄えられた電圧が存在すれば、センシング回路は、端子504及び505で1のビット値を検出する。浮遊NMOSゲート513に蓄えられた電圧が存在しなければ、センシング回路は、端子504及び505で0のビット値を検出する。
【0107】
より多くのデータを記憶するために、多くの数の3D NAND素子700が並列に接続され得ることが理解されよう。3D NAND素子700の内部構築が完了すれば、電子デバイスの集積回路(IC)へと組み込まれるようにパッケージング・ワイヤボンディングプロセスを受け得る。例えば、3D NAND素子700はパッケージングされ、双方向テレビ、携帯電話又はデスクトップコンピュータに接続され得る。3D NAND素子700は、本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、任意の数の電子デバイスへと組み込まれ得ることが理解されよう。
【0108】
3D NAND素子700は、長期不揮発性メモリとして動作するのに特に適している。例えば、浮遊NMOSゲート513及び浮遊PMOSゲート523は完全なDC電気的絶縁を有するため、3D NAND素子700は、長期間にわたって、3D NAND素子700がオフにされた場合であっても、データを記憶することができる。更に、3D NAND素子700は、DRAM素子600よりも書き込み動作を実行するのに長い時間を要するものの、DRAM素子600と同じ程度の速度で読み出し動作を実行する。したがって、いくつかの実施形態は、高速の書き込み動作と長期間のデータ記憶との両方から利益を得るために、DRAM素子600と3D NAND素子700との両方を電子デバイスへと実装し得ることが理解されよう。例えば、デスクトップコンピュータにおいて、DRAM素子600は、コンピュータがオンである間にアプリケーションデータを記憶するために使用され得て、3D NAND素子700は、コンピュータがオフにされているときに長期間のデータ記憶のために使用され得る。
【0109】
本発明の実施形態は、少なくとも以下の利点を提供する。本明細書に開示される方法によって、最大で1つの重要なリソグラフィ工程ではるかにファインピッチのフィーチャが可能となる。従来のエッチング/充填方法と比較すると、本発明の方法は、はるかに高い効率を有し、はるかに安価である。これは、部分的には、エッチングツール間の切り替えの代わりに、コータ/デベロッパツール(トラックツール)に対して直接多くの工程を実行できる本発明の方法の能力によるものであり得る。かかるプロセスは、いくつかのクラスの記憶素子にとって有利であり得る。更には、いくつかの特定の材料はビア堆積へと良好に集積化されず、高アスペクト比又はファインピッチのデバイスが不可能となるため、トラックツールに対して直接工程を実行できる能力によって、ユニークな材料堆積が可能となり得る。しかしながら、本技術を使用することで、高密度デバイスを迅速かつ安価に製造することができる。一例として、本明細書に記載の方法を使用して形成された記憶素子は、論理チップへと集積化されるか、又は別個に使用され得る。これは、繰り返し適用及び集積化オプションの追加のため、シングルポイント機構とは異なる。
【0110】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態にて多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】