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特表2024-541940治療剤またはワクチン送達のための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】治療剤またはワクチン送達のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20241106BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20241106BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/002 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20241106BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241106BHJP
   C12N 15/50 20060101ALN20241106BHJP
   C12N 15/44 20060101ALN20241106BHJP
   C12N 15/30 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N7/01
C12N5/10
A61K35/76
A61P37/04
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61P35/00
A61P31/14
A61K39/12
A61K39/02
A61K39/00 K
A61K39/002
A61K39/00 Z
A61K39/215
A61K39/39
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K45/00
C12N15/54
C12N15/12
C12N15/50
C12N15/44
C12N15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525024
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022047599
(87)【国際公開番号】W WO2023076180
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,675
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/413,188
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505389271
【氏名又は名称】ジェンビーボ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENVIVO, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー-ローヒード,ジャクライン
(72)【発明者】
【氏名】スティール,ブラッドフォード・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ロー,セシリア
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ロバート・ジー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZB37
4C084ZC75
4C085AA03
4C085BA02
4C085BA07
4C085BA49
4C085BA51
4C085BA71
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZB37
4C087ZC75
(57)【要約】
治療剤またはワクチンを送達するための組成物が本明細書に記載される。治療剤またはワクチンを送達するために本明細書に記載される組成物を使用するための方法も本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突然変異インテグラーゼをコードする第1の核酸配列および少なくとも1つのペイロードをコードする第2の核酸配列を含む組換えレトロウイルスベクターであって、前記突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較した場合、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに少なくとも1つの突然変異を含み;前記少なくとも1つのペイロードは、抗原を含む、組換えレトロウイルスベクター。
【請求項2】
突然変異インテグラーゼが、レトロウイルスの組み込み活性を欠損している、請求項1に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項3】
抗原が、病原体ポリペプチドもしくはその断片またはがんポリペプチドもしくはその断片を含む、請求項1に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項4】
がんポリペプチドまたはその断片が、がん細胞または腫瘍微小環境に関連する、請求項1に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項5】
病原体ポリペプチドまたはその断片が、ウイルスポリペプチドまたはその断片を含む、請求項3に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項6】
病原体ポリペプチドまたはその断片が、細菌ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項3に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項7】
病原体ポリペプチドまたはその断片が、真菌ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項3に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項8】
病原体ポリペプチドまたはその断片が、原生生物ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項3に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項9】
病原体ポリペプチドまたはその断片が、原生動物ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項3に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項10】
ウイルスポリペプチドまたはその断片が、コロナウイルスポリペプチドまたはその断片を含む、請求項5に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項11】
コロナウイルスポリペプチドまたはその断片が、重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)ポリペプチドもしくはその断片、SARS-CoV-2ポリペプチドもしくはその断片、または中東呼吸器症候群(MERS-CoV)ポリペプチドもしくはその断片を含む、請求項10に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項12】
コロナウイルスポリペプチドまたはその断片が、SARS-CoV-2ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項11に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項13】
SARS-Cov-2ポリペプチドまたはその断片が、スパイクタンパク質またはその断片を含む、請求項12に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項14】
スパイクタンパク質またはその断片が、全長スパイクタンパク質である、請求項13に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項15】
スパイクタンパク質またはその断片が、短縮化されたスパイクタンパク質である、請求項13に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項16】
短縮化されたスパイクタンパク質が、スパイクタンパク質のN末端ドメインまたはスパイクタンパク質のS2ドメインを含む、請求項15に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項17】
短縮化されたスパイクタンパク質が、スパイクタンパク質のN末端ドメインおよびスパイクタンパク質のS2ドメインを含む、請求項16に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項18】
スパイクタンパク質またはその断片が、組換えスパイクタンパク質である、請求項17に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項19】
スパイクタンパク質またはその断片が、少なくとも1つの改変を含む、請求項13から18のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項20】
少なくとも1つの改変が、コドン最適化を含む、請求項19に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項21】
コドン最適化が、ヒト細胞において少なくとも1つのペイロードの発現を最適化するかまたは増加させる、請求項20に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項22】
少なくとも1つの改変が、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、請求項19に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項23】
少なくとも1つのアミノ酸突然変異が、スパイクタンパク質中の切断部位を排除する、請求項21に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項24】
切断部位が、フューリン切断部位である、請求項23に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項25】
フューリン切断部位が、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基682~685、アミノ酸残基679~682、またはアミノ酸残基811を含む、請求項24に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項26】
切断部位が、セリンプロテアーゼ切断部位である、請求項25に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項27】
セリンプロテアーゼ切断部位が、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基986および987;または983および984を含む、請求項26に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項28】
少なくとも1つのアミノ酸突然変異が、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基814、889、896、939、682~685、679~682、811、986、987、983、984、またはそれらの組合せにアミノ酸置換を含む、請求項24に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項29】
少なくとも1つのアミノ酸突然変異が、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基814、889、896、および939にアミノ酸置換を含む、請求項28に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項30】
スパイクタンパク質またはその断片が、シグナルペプチドを含む、請求項13から29のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項31】
シグナルペプチドが、分泌ペプチドである、請求項30に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項32】
シグナルペプチドが、配列番号13:MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSASQEIHARFRRのアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項33】
分泌ペプチドが、IgE Fc受容体アルファに少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項34】
ウイルスポリペプチドまたはその断片が、インフルエンザポリペプチドまたはその断片を含む、請求項5に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項35】
インフルエンザポリペプチドまたはその断片が、インフルエンザAポリペプチドもしくはその断片、インフルエンザBポリペプチドもしくはその断片、インフルエンザCポリペプチドもしくはその断片、またはインフルエンザDポリペプチドもしくはその断片を含む、請求項34に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項36】
インフルエンザポリペプチドまたはその断片が、インフルエンザAポリペプチドまたはその断片である、請求項35に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項37】
インフルエンザAポリペプチドまたはその断片が、ノイラミニダーゼ(NA)もしくはその断片またはヘマグルチニン(HA)もしくはその断片を含む、請求項36に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項38】
インフルエンザAポリペプチドまたはその断片が、ヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む、請求項37に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項39】
ヘマグルチニン(HA)またはその断片が、全長ヘマグルチニン(HA)である、請求項37に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項40】
ヘマグルチニン(HA)またはその断片が、短縮化されたヘマグルチニン(HA)である、請求項37に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項41】
短縮化されたヘマグルチニン(HA)が、Stalkドメインを含む、請求項40に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項42】
ヘマグルチニン(HA)またはその断片が、組換えヘマグルチニン(HA)である、請求項37に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項43】
ヘマグルチニン(HA)またはその断片が、少なくとも1つの改変を含む、請求項38から42のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項44】
少なくとも1つの改変が、コドン最適化を含む、請求項43に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項45】
コドン最適化が、ヒト細胞において少なくとも1つのペイロードの発現を最適化するかまたは増加させる、請求項44に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項46】
少なくとも1つの改変が、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、請求項43に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項47】
少なくとも1つの改変が、インフルエンザAのM2タンパク質(M2e)の細胞外ドメインのアミノ酸配列:配列番号14:MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDを含むヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む、請求項43に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項48】
少なくとも1つのエンベロープタンパク質をコードする、請求項1から47のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項49】
少なくとも1つのエンベロープタンパク質が、少なくとも1つのアルファウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項48に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項50】
少なくとも1つのアルファウイルスエンベロープタンパク質が、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項49に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項51】
少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質が、E3タンパク質、E2タンパク質、6Kタンパク質、E1タンパク質、またはそれらの組合せを含む、請求項50に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項52】
少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質が、少なくとも1つの突然変異を含む、請求項51に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項53】
少なくとも1つの突然変異が、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質とヒト細胞との間の結合親和性を増加させる、請求項52に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項54】
ヒト細胞が、樹状細胞である、請求項53に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項55】
少なくとも1つの突然変異が、E2タンパク質のE160Gである、請求項53または54に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項56】
触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける少なくとも1つの突然変異が、D125A、D184A、またはそれらの組合せを含む、請求項1から55のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項57】
少なくとも1つの改変された非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項58】
少なくとも1つの改変されたUTRが、5’-UTRを含む、請求項57に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項59】
少なくとも1つの改変されたUTRが、3’-UTRを含む、請求項57に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項60】
少なくとも1つの改変されたUTRが、5’-UTRおよび3’-UTRを含む、請求項57に記載の組換えレトロウイルスベクター。
【請求項61】
請求項1から60のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクターを含む組換えウイルス。
【請求項62】
組換えシンドビスウイルスである、請求項61に記載の組換えウイルス。
【請求項63】
組換えシンドビスウイルスが、E2タンパク質のE160G突然変異を含む、請求項62に記載の組換えウイルス。
【請求項64】
請求項1から60のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクターまたは請求項61から63のいずれか一項に記載の組換えウイルスを含む細胞。
【請求項65】
少なくとも1つのペイロードを発現する、請求項64に記載の細胞。
【請求項66】
少なくとも1つのペイロードを分泌する、請求項64に記載の細胞。
【請求項67】
少なくとも1つのペイロードを発現し、それを分泌する、請求項64に記載の細胞。
【請求項68】
少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現する、請求項64に記載の細胞。
【請求項69】
少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌する、請求項64に記載の細胞。
【請求項70】
少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現し、それを分泌する、請求項64に記載の細胞。
【請求項71】
請求項1から60のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター、請求項61から63のいずれか一項に記載の組換えウイルス、または請求項64から70のいずれか一項に記載の細胞を含む医薬組成物。
【請求項72】
少なくとも1種の追加の活性成分を含む、請求項71に記載の医薬組成物。
【請求項73】
少なくとも1種の追加の活性成分が、アジュバントを含む、請求項72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項71に記載の医薬組成物。
【請求項75】
対象における疾患または状態を処置または防止する方法であって、請求項1から60のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター、請求項61から63のいずれか一項に記載の組換えウイルス、請求項64から70のいずれか一項に記載の細胞、または請求項71から74のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、抗原を含む少なくとも1つのペイロードは、対象において免疫応答を誘導し、それによって対象における疾患または状態を処置または防止する、方法。
【請求項76】
免疫応答が、抗原を標的化する中和抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
免疫応答が、抗原を標的化する免疫グロブリン抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
免疫グロブリン抗体が、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、またはそれらの組合せを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
免疫グロブリン抗体が、IgG抗体を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1つのペイロードが、対象において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現される、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1つのペイロードが、対象において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌される、請求項75に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間が、1日未満、3日未満、5日未満、または9日未満で発現される匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間が、1日未満、3日未満、5日未満、または9日未満で発現される匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
免疫応答が、対象において、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、またはそれより長く持続する、請求項75から83のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[001]本出願は、2021年10月25日に出願された米国仮出願第63/271,675号、および2022年10月4日に出願された米国仮出願第63/413,188号の利益を主張し、これらの全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
参照により組み入れ
[002]本明細書で述べられた全ての公報、特許、および特許出願は、それぞれ個々の公報、特許、または特許出願が具体的および個々に参照により組み入れられることが示されたのと同じ程度に参照により本明細書に組み入れられる。参照により組み入れられる公報および特許または特許出願が本明細書に含有される開示と矛盾する範囲で、本明細書は、このような矛盾する材料のいずれかにとって代わる、および/またはそれに優先するように意図されている。
【背景技術】
【0003】
[003]治療剤を送達するためのウイルスベクターなどの遺伝物質の使用は、現代医学の基礎の1つとして出現した。しかしながら、このような遺伝物質は、望ましくない分裂促進作用を引き起こす可能性がある。例えば、レトロウイルスベクターは、細胞のゲノムに統合することができ、したがってこのような細胞をがん細胞に形質転換する。このような問題の1つの解決策は、遺伝物質を送達するためのRNAベースのビヒクルを使用することである。
【発明の概要】
【0004】
[004]RNAベースのビヒクルの使用は、複雑であり面倒な場合がある。加えて、RNAベースのビヒクルは分解しやすく、短い半減期を示す可能性がある。治療剤を送達するための他のDNAベースのビヒクル(例えば、非ウイルスDNA)は、ビヒクルを標的細胞に輸送および標的化する効率や、対象における免疫応答または毒性の誘導などの問題に直面する。したがって、治療剤を送達するためのビヒクルの必要が未だある。
【0005】
[005]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードする第1の核酸配列および少なくとも1つのペイロードをコードする第2の核酸配列を含む組換えレトロウイルスベクターであって、前記突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較した場合、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに少なくとも1つの突然変異を含み;前記少なくとも1つのペイロードは、抗原を含む、組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、レトロウイルスの組み込み活性を欠損している。一部の実施形態において、抗原は、病原体ポリペプチドもしくはその断片またはがんポリペプチドもしくはその断片を含む。一部の実施形態において、がんポリペプチドまたはその断片は、がん細胞または腫瘍微小環境に関連する。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、ウイルスポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、細菌ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、真菌ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、原生生物ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、原生動物ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドまたはその断片は、コロナウイルスポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、コロナウイルスポリペプチドまたはその断片は、重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)ポリペプチドまたはその断片、SARS-CoV-2ポリペプチドまたはその断片、または中東呼吸器症候群(MERS-CoV)ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、コロナウイルスポリペプチドまたはその断片は、SARS-CoV-2ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、SARS-Cov-2ポリペプチドまたはその断片は、スパイクタンパク質またはその断片を含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、全長スパイクタンパク質である。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、短縮化されたスパイクタンパク質である。一部の実施形態において、短縮化されたスパイクタンパク質は、スパイクタンパク質のN末端ドメインまたはスパイクタンパク質のS2ドメインを含む。一部の実施形態において、短縮化されたスパイクタンパク質は、スパイクタンパク質のN末端ドメインおよびスパイクタンパク質のS2ドメインを含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、組換えスパイクタンパク質である。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、少なくとも1つの改変を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、コドン最適化を含む。一部の実施形態において、コドン最適化は、ヒト細胞において少なくとも1つのペイロードの発現を最適化するかまたは増加させる。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、スパイクタンパク質中の切断部位を排除する。一部の実施形態において、切断部位は、フューリン切断部位である。一部の実施形態において、フューリン切断部位は、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基682~685、アミノ酸残基679~682、またはアミノ酸残基811を含む。一部の実施形態において、切断部位は、セリンプロテアーゼ切断部位である。一部の実施形態において、セリンプロテアーゼ切断部位は、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基986および987;または983および984を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基814、889、896、939、682~685、679~682、811、986、987、983、984、またはそれらの組合せにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、配列番号21または配列番号22におけるアミノ酸残基814、889、896、および939にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、シグナルペプチドを含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、分泌ペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号13:MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSASQEIHARFRRのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、分泌ペプチドは、IgE Fc受容体アルファに少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドまたはその断片は、インフルエンザポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、インフルエンザポリペプチドまたはその断片は、インフルエンザAポリペプチドまたはその断片、インフルエンザBポリペプチドまたはその断片、インフルエンザCポリペプチドまたはその断片、またはインフルエンザDポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、インフルエンザポリペプチドまたはその断片は、インフルエンザAポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態において、インフルエンザAポリペプチドまたはその断片は、ノイラミニダーゼ(NA)もしくはその断片またはヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。一部の実施形態において、インフルエンザAポリペプチドまたはその断片は、ヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、全長ヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、短縮化されたヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、短縮化されたヘマグルチニン(HA)は、Stalkドメインを含む。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、組換えヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、少なくとも1つの改変を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、コドン最適化を含む。一部の実施形態において、コドン最適化は、ヒト細胞において少なくとも1つのペイロードの発現を最適化するかまたは増加させる。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、インフルエンザAのM2タンパク質(M2e)の細胞外ドメインのアミノ酸配列:配列番号14:MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDを含むヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、少なくとも1つのエンベロープタンパク質をコードする。一部の実施形態において、少なくとも1つのエンベロープタンパク質は、少なくとも1つのアルファウイルスエンベロープタンパク質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアルファウイルスエンベロープタンパク質は、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質は、E3タンパク質、E2タンパク質、6Kタンパク質、E1タンパク質、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質は、少なくとも1つの突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの突然変異は、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質とヒト細胞との間の結合親和性を増加させる。一部の実施形態において、ヒト細胞は、樹状細胞である。一部の実施形態において、少なくとも1つの突然変異は、E2タンパク質のE160Gである。一部の実施形態において、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける少なくとも1つの突然変異は、D125A、D184A、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、少なくとも1つの改変された非翻訳領域(UTR)を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変されたUTRは、5’-UTRを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変されたUTRは、3’-UTRを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変されたUTRは、5’-UTRおよび3’-UTRを含む。
【0006】
[006]一部の態様において、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターを含む組換えウイルスが本明細書に記載される。一部の実施形態において、組換えウイルスは、組換えシンドビスウイルスである。一部の実施形態において、組換えシンドビスウイルスは、E2タンパク質のE160G突然変異を含む。
【0007】
[007]一部の態様において、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターまたは本明細書に記載される組換えウイルスを含む細胞が本明細書に記載される。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを発現する。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを分泌する。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを発現し、それを分泌する。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現する。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌する。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも1つのペイロードを、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現し、それを分泌する。
【0008】
[008]一部の態様において、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター、本明細書に記載される組換えウイルス、または本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターもしくは本明細書に記載される組換えウイルスを含む細胞を含む医薬組成物が本明細書に記載される。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の追加の活性成分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1種の追加の活性成分は、アジュバントを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0009】
[009]一部の態様において、対象における疾患または状態を処置または防止する方法であって、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター、本明細書に記載される組換えウイルス、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターもしくは本明細書に記載される組換えウイルスを含む細胞、または本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含み、抗原を含む少なくとも1つのペイロードは、対象において免疫応答を誘導し、それによって対象における疾患または状態を処置または防止する、方法が本明細書に記載される。一部の実施形態において、免疫応答は、抗原を標的化する中和抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる。一部の実施形態において、免疫応答は、抗原を標的化する免疫グロブリン抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる。一部の実施形態において、免疫グロブリン抗体は、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン抗体は、IgG抗体を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのペイロードは、対象において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現される。一部の実施形態において、少なくとも1つのペイロードは、対象において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌される。一部の実施形態において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間発現された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、1日未満、3日未満、5日未満、または9日未満で発現される匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも1日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、または少なくとも9日間分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、1日未満、3日未満、5日未満、または9日未満で発現される匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、免疫応答は、対象において、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、またはより長く持続する。
【0010】
[0010]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターであって、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較して、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第1の突然変異を含む、組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、第1の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、アミノ酸は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択される。一部の実施形態において、アミノ酸は、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、アミノ酸は、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、アミノ酸は、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、アミノ酸は、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、D125A突然変異を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、D184A突然変異を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、E220A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第2の突然変異をさらに含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、第2の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、D125A突然変異を含み、第2の突然変異は、D184A突然変異を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、D184A突然変異を含み、第2の突然変異は、E220A突然変異を含む。一部の実施形態において、第1の突然変異は、D125A突然変異を含み、第2の突然変異は、E220A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第3の突然変異をさらに含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、第3の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、第1および第2の突然変異はそれぞれ、アスパラギン酸(D)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含み、第3の突然変異は、グルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)であり、第1の突然変異は、D125A、D184A、およびE220Aからなる群から選択される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第2の突然変異をさらに含み、第2の突然変異は、D125A、D184A、およびE220Aからなる群から選択される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第3の突然変異をさらに含み、第1の突然変異は、D125Aを含み、第2の突然変異は、E220Aを含み、第3の突然変異は、D184Aを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに第3の突然変異をさらに含み、第1の突然変異は、D125Aを含み、第2の突然変異は、D184Aを含む。
【0011】
[0011]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターであって、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較して、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける単一の突然変異からなる、組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、単一の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることからなる。一部の実施形態において、単一の突然変異は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号1に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、D125A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号2に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、D184A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号3に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、単一の突然変異は、E220A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号4に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。
【0012】
[0012]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターであって、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較して、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける2つの突然変異からなる、組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることからなる。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号1に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異のうちの少なくとも1つは、D125A突然変異、D184A突然変異、またはE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異は、D125A突然変異およびD184A突然変異で構成される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号5に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異は、D125A突然変異およびE220A突然変異で構成される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号6に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、2つの突然変異は、D184A突然変異およびE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号7に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。
【0013】
[0013]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターであって、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較して、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける3つの突然変異からなる、組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることからなる。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、フェニルアラニン(F)を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アラニン(A)を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、ヒスチジン(H)を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、セリン(S)を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号1に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異のうちの少なくとも1つは、D125A突然変異、D184A突然変異、またはE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異は、D125A突然変異、D184A突然変異、またはE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異は、D125A突然変異、D184A突然変異、およびE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号8に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なペプチド配列を含む。一部の実施形態において、核酸コンストラクトは、ペイロードをさらにコードする。一部の実施形態において、ペイロードは、サイトカインを含む。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン-7を含む。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン-12を含む。一部の実施形態において、サイトカインは、インターフェロンを含む。一部の実施形態において、インターフェロンは、IFN-αを含む。一部の実施形態において、ペイロードは、チミジンキナーゼを含む。一部の実施形態において、チミジンキナーゼは、突然変異チミジンキナーゼを含む。一部の実施形態において、ペイロードは、抗原を含む。一部の実施形態において、抗原は、ウイルスタンパク質を含む。一部の実施形態において、ウイルスタンパク質は、SARS-CoV-2タンパク質を含む。一部の実施形態において、ウイルスタンパク質は、インフルエンザタンパク質を含む。一部の実施形態において、抗原は、病原体タンパク質を含む。
【0014】
[0014]一部の態様において、対象における疾患または状態を処置する方法であって、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターを含む医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0015】
[0015]一部の態様において、対象にワクチン接種する方法であって、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクターを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0016】
[0016]この特許出願は、カラーで作製された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を含むこの特許または特許出願のコピーは、要請と必要料金の支払いに応じて特許庁により提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]図1は、触媒コアドメインにおけるMg2+結合モチーフを形成するD125、D184、およびE220の三つ組みを強調するMLVインテグラーゼの概略図を例示する。HH-CCモチーフは、亜鉛結合ドメインを含む。HH-CCモチーフは、ジンクフィンガータンパク質に見出される特定のタイプのZn2+イオンキレート化部位である。
図2】[0018]図2は、D184A突然変異体のシーケンシング結果を例示する。
図3】[0019]図3は、D125A/E220A突然変異体のシーケンシング結果を例示する。
図4】[0020]図4は、7種の異なる突然変異体を用いて生成したベクターの物理的なタイターを例示する。
図5】[0021]図5は、7種の異なる突然変異体を有するvTK/GCV細胞の致死活性を例示する。
図6】[0022]図6Aは、ウェスタンブロッティングによって検出された初期のvTK発現を例示する。[0023]図6Bは、D184A突然変異体に関する2日目から14日目の例示的なウェスタンブロット発現分析を例示する。
図7】[0024]図7は、2、4、および7日目における7種の異なる突然変異体を用いた相対的な組み込みのqPCRを例示する。
図8】[0025]図8は、10、14、および21日目における7種の異なる突然変異体を用いた相対的な組み込みのqPCRを例示する。
図9】[0026]図9は、インテグラーゼ欠損gagpol細胞株から生産されたレトロウイルスベクターのvTK/GCV細胞の致死活性を例示する。
図10】[0027]図10は、インテグラーゼ欠損ベクター細胞株のvTK/GCV細胞の致死活性を例示する。
図11】[0028]図11は、インテグラーゼ欠損BC6ベクタークローンのウイルスベクターのタイターおよびvTK/GCV細胞の致死を例示する。
図12】[0029]図12A~Cは、wtGP(図12A)と、インテグラーゼ欠損突然変異体(図12B)との間の様々ながん細胞株のvTK/GCV細胞の致死活性を例示する。図12Cは、wtGPとインテグラーゼ欠損突然変異体との間のqPCRによるベクターの相対的な組み込みを例示する。
図13】[0030]図13は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその断片をコードする核酸配列を含む組換えレトロウイルスベクターの例示的な概略図を例示する。上:SARS-CoV-2全長スパイクタンパク質をコードするレトロウイルスベクター(改変を有する武漢配列)の図表。中央:N末端ドメイン(NTD)およびS2ドメインのSARS-CoV-2スパイクタンパク質断片をコードするレトロウイルスベクター(改変を有する武漢配列)の図表。下:SARS-CoV-2全長スパイクタンパク質をコードするレトロウイルスベクター(改変を有するオミクロンBA.2配列)の図表。
図14A】[0031]図14Aは、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターまたはレンチベクターのペイロードとしての全長スパイク導入遺伝子の存在を例示する。
図14B】[0032]図14Bは、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターまたはレンチベクターのペイロードとしてのNTDおよびS2導入遺伝子の存在を例示する。
図14C】[0033]図14Cは、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターまたはレンチベクターのペイロードとしてのオミクロンBA.2導入遺伝子(全長スパイク)の存在を例示する。
図15】[0034]図15は、シンドビスウイルスエンベロープ中のE160G突然変異の存在を例示する。
図16A】[0035]図16Aは、レトロウイルスベクターが形質導入されたA375細胞から分泌されたスパイクタンパク質のウェスタンブロッティングを例示する。「IDRV1」は、突然変異インテグラーゼ(D184A突然変異を有するインテグラーゼ)をコードするレトロウイルスベクターを意味する。各日の蓄積したタンパク質を提示する。
図16B】[0036]図16Bは、レトロウイルスベクターが形質導入されたA375細胞から分泌されたS2タンパク質のウェスタンブロッティングを例示する。「IDRV1」は、突然変異インテグラーゼ(D184A突然変異を有するインテグラーゼ)をコードするレトロウイルスベクターを意味する。各日の蓄積したタンパク質を提示する。
図16C】[0037]図16Cは、レトロウイルスベクターが形質導入されたA375細胞から分泌された全長スパイクタンパク質およびS2タンパク質のウェスタンブロッティングを例示する。レトロウイルスベクターはまた本明細書に記載される突然変異インテグラーゼ(IDRV2:D125A突然変異およびD184A突然変異)も発現した。各日の蓄積したタンパク質を提示する。
図17A】[0038]図17Aは、改変を有するオミクロンバリアント配列および野生型インテグラーゼまたはIDRV2(IDRV2:D125A突然変異およびD184A突然変異)を発現するレトロウイルスベクターで形質導入されたA375細胞からの細胞内全長スパイクタンパク質のウェスタンブロッティングを例示する。
図17B】[0039]図17Bは、クローン製造用細胞株から生産されたレトロウイルスベクターで形質導入されたA375細胞からの細胞内および分泌された全長スパイクタンパク質のウェスタンブロッティングを例示する。
図18A】[0040]図18Aは、試験細胞を本明細書に記載されるレトロウイルスベクターで形質導入した後に、ウェスタンブロッティングによって検出されたオミクロンスパイクタンパク質の発現を例示する。
図18B】[0041]図18Bは、免疫細胞化学(ICC)染色によって検出されたオミクロンスパイクタンパク質の発現を例示する。明るいスポットは核染色を示し、灰色はオミクロンスパイクタンパク質の特異的な核周囲および原形質膜染色を示した。
図18C】[0042]図18Cは、血漿膜画分における抗S2抗体によって検出された還元および非還元のスパイクタンパク質の両方のウェスタンブロッティングを例示する。原形質膜マーカーであるカドヘリンにプローブ付けされた同じサンプルのウェスタンブロットも示される。
図19】[0043]図19は、ユニバーサルインフルエンザワクチンとしてのM2eおよびHA4900をコードする核酸を含むレトロウイルスベクター(改変を有するHA Stalk)の図表を例示する。
図20】[0044]図20は、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターまたはレンチベクターのペイロードとしてのM2eおよびHA4900(インフルエンザ)導入遺伝子の存在を例示する。
図21A】[0045]図21Aは、試験細胞を本明細書に記載されるレトロウイルスベクターで形質導入した後にウェスタンブロッティングによって検出されたHAタンパク質の発現を例示する。
図21B】[0046]図21Bは、免疫細胞化学(ICC)染色によって検出されたHAタンパク質の発現を例示する。明るいスポットは核染色を示し、灰色はHAタンパク質の特異的な染色を示した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0047]添付の特許請求の範囲において本開示の新規の特徴を詳細に述べる。本発明の開示の特徴および利点のよりよい理解は、例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明を参照することにより得られるであろう。
【0019】
[0048]一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含むベクターが本明細書に記載される。一部の態様において、ベクターは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む組換えレトロウイルスベクター(またはレトロベクター)であって、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、組換えレトロウイルスベクターによってコードされたインテグラーゼ中であり、したがって突然変異インテグラーゼが作り出される。一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、機能不全であり、もはや宿主細胞のゲノムに組換えレトロウイルスベクターを組み込むことができない。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異逆転写酵素をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む。一部の態様において、突然変異逆転写酵素は、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、突然変異逆転写酵素は、もはやベクターを、宿主細胞のゲノムに挿入するためのDNAに変換できなくなる。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異インテグラーゼと突然変異逆転写酵素の両方をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む。
【0020】
[0049]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターであって、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較して、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、組換えレトロウイルスベクター。図1は、インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフにおける少なくとも1つの突然変異の配置を示す例示的なベクターの図表を例示する。実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのアミノ酸突然変異を含む。一部の態様において、突然変異インテグラーゼを含むベクターは、ペイロードをコードしていてもよい。一部の実施形態において、ペイロードは、治療剤を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクターは、抗原をコードするペイロードを含む組換えレトロウイルスベクターを含み、抗原は、自然免疫を刺激することができる(例えば、ワクチンとして)。一部の実施形態において、抗原は、病原体ポリペプチドもしくはその断片またはがんポリペプチドもしくはその断片を含む。一部の実施形態において、がんポリペプチドまたはその断片は、がん細胞または腫瘍微小環境に関連する。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、ウイルスポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドまたはその断片は、コロナウイルスポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドまたはその断片は、インフルエンザポリペプチドまたはその断片を含む。
【0021】
[0050]一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、細菌ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、真菌ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、原生生物ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドまたはその断片は、原生動物ポリペプチドまたはその断片を含む。
【0022】
[0051]一部の実施形態において、ペイロードは、抗原を含み、抗原は、免疫応答を惹起することができ、したがって、ベクターが投与された対象にワクチン接種をすることができる。一部の態様において、ベクター(例えば、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター)を対象に投与することによって対象における疾患または状態を処置する方法であって、ベクターは、ベクターのペイロードとして治療剤を送達する、方法が本明細書に記載される。一部の態様において、ベクター(例えば、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター)を対象に投与することによって対象にワクチン接種する方法であって、ベクターは、ペイロードとして抗原を送達する、方法が本明細書に記載される。次いで抗原は、抗原に対する自然免疫応答を開始させることができ、したがって対象にワクチン接種することができる。
【0023】
ベクター
[0052]一部の態様において、突然変異インテグラーゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む組換えレトロウイルスベクターなどのベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異逆転写酵素をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異インテグラーゼと突然変異逆転写酵素の両方をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む。
【0024】
[0053]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号1のポリペプチド配列を含む野生型インテグラーゼと比較して、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、配列番号1に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一であるポリペプチド配列を含む。図2および図3は、野生型インテグラーゼポリペプチド配列に対する本明細書に記載される例示的な突然変異インテグラーゼのポリペプチド配列のアライメントを例示する。図4は、本明細書に記載される突然変異インテグラーゼが、宿主ゲノムにベクターを組み込むことに関しては機能不全であるが、ウイルスタイターを変更しなかったことを例示する。図5および図9~12は、突然変異インテグラーゼを含むベクターが、プロドラッグ(GCV)の存在下で細胞を致死させるためのペイロード(本明細書に記載されるチミジンキナーゼ)を送達できることを例示する。図6は、ペイロード(チミジンキナーゼ、vTK)の発現が突然変異インテグラーゼによって変更されなかったことを例示する。図7および図8は、宿主細胞がベクターと接触した後少なくとも21日間、突然変異インテグラーゼを含むベクターが宿主ゲノムに組み込まれなかったことを例示する。
【0025】
[0054]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれより多くのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、2つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、3つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれより多くのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、2つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、3つのアミノ酸突然変異を含む。
【0026】
[0055]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、疎水性側鎖を有するアミノ酸は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、フェニルアラニン(F)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、アラニン(A)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含み、正電荷側鎖は、ヒスチジン(H)である。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含み、正電荷側鎖は、セリン(S)である。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。
【0027】
[0056]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、疎水性側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、疎水性側鎖を有するアミノ酸は、バリン(V)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびフェニルアラニン(F)からなる群から選択される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、フェニルアラニン(F)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、アラニン(A)に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、正電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含み、正電荷側鎖は、ヒスチジン(H)である。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、極性電荷側鎖を有するアミノ酸に変化させることを含み、正電荷側鎖は、セリン(S)である。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、突然変異インテグラーゼの触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、野生型インテグラーゼのアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を、システイン(C)に変化させることを含む。
【0028】
[0057]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの125位に単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの125位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD125A突然変異を含む単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号2に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号2であるポリペプチド配列を含む。
【0029】
[0058]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの184位に単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの184位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD184A突然変異を含む単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、D184A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号3に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、D184A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号3であるポリペプチド配列を含む。
【0030】
[0059]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの220位に単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼの220位におけるグルタミン酸(E)のアラニン(A)への置換、すなわちE220A突然変異を含む単一の突然変異を含む。一部の実施形態において、E220A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号4に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、E220A突然変異の置換を含む単一の突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号4であるポリペプチド配列を含む。
【0031】
[0060]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、2つの突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、2つの突然変異を含み、第1の突然変異は、野生型インテグラーゼの125位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD125A突然変異を含み;第2の突然変異は、野生型インテグラーゼの184位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD184A突然変異を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換およびD184A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号5に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換およびD184A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号5であるポリペプチド配列を含む。
【0032】
[0061]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、2つの突然変異を含み、第1の突然変異は、野生型インテグラーゼの125位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD125A突然変異を含み;第2の突然変異は、野生型インテグラーゼの220位におけるグルタミン酸(E)のアラニン(A)への置換、すなわちE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換およびE220A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号6に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、D125A突然変異の置換およびE220A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号6であるポリペプチド配列を含む。
【0033】
[0062]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、2つの突然変異を含み、第1の突然変異は、野生型インテグラーゼの184位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD184A突然変異を含み;第2の突然変異は、野生型インテグラーゼの220位におけるグルタミン酸(E)のアラニン(A)への置換、すなわちE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、D184A突然変異の置換およびE220A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号7に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、D184A突然変異の置換およびE220A突然変異の置換を含む2つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号7であるポリペプチド配列を含む。
【0034】
[0063]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、3つの突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、3つの突然変異を含み、第1の突然変異は、野生型インテグラーゼの125位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD125A突然変異を含み;第2の突然変異は、野生型インテグラーゼの184位におけるアスパラギン酸(D)のアラニン(A)への置換、すなわちD184A突然変異を含み;第3の突然変異は、野生型インテグラーゼの220位におけるグルタミン酸(E)のアラニン(A)への置換、すなわちE220A突然変異を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号8に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれより高度に同一なポリペプチド配列を含む。一部の実施形態において、3つの突然変異を含む突然変異インテグラーゼは、配列番号8であるポリペプチド配列を含む。
【0035】
[0064]一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含むベクターは、インテグラーゼを機能不全にする。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼはもはや、ベクター(例えば、組換えレトロウイルスベクター)を、ベクターを含む宿主細胞のゲノムに導入することができなくなる。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼを含むベクターは、少なくとも1つの治療剤または少なくとも1つの抗原をコードする。一部の実施形態において、少なくとも1つの治療剤は、サイトカインを含む。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキンまたはインターフェロンを含む。一部の実施形態において、ベクターは、少なくとも1つのインターロイキンサブユニットをコードする。一部の実施形態において、ベクターは、少なくとも2つのインターロイキンサブユニットをコードし、少なくとも2つのインターロイキンサブユニットは、同一であるかまたは異なっている。一部の実施形態において、ベクターは、1つのインターロイキンサブユニットをコードする。一部の実施形態において、ベクターは、2つのインターロイキンサブユニットをコードする。一部の実施形態において、ベクターは、2つの異なるインターロイキンサブユニットをコードする。一部の実施形態において、ベクターは、2つまたはそれより多くの異なるインターロイキンサブユニットをコードする。一部の実施形態において、ベクターは、インターロイキン、インターロイキンのサブユニット、またはそれらの組合せを発現させるための少なくとも1つの開始コドンを含む。一部の実施形態において、ベクターは、2つのインターロイキン、インターロイキンの2つのサブユニット、またはそれらの組合せを発現させるための少なくとも2つの開始コドンを含む。一部の実施形態において、ベクターは、それぞれインターロイキンサブユニットを発現させるための2つのコドンを含む。インターロイキンの非限定的な例としては、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36、IL-37、IL-38、IL-39、IL-40、またはIL-41を挙げることができる。一部の実施形態において、インターロイキンは、IL-7を含む。一部の実施形態において、インターロイキンは、IL-12を含む。
【0036】
[0065]一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼを含むベクターは、インターフェロンを含む治療剤をコードする。一部の実施形態において、インターフェロンは、IFNα、IFNβ、IFNγ、またはそれらの組合せを含む。
【0037】
[0066]一部の実施形態において、ベクターは、少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるための少なくとも1つのプロモーターを含む。例えば、ベクターは、本明細書に記載されるインターロイキン(例えば、P40サブユニットおよびP35サブユニット)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるためのCMVプロモーターを含む。一部の態様において、プロモーターは、筋肉特異的なプロモーター、例えばHSA(ヒト骨格α-アクチンプロモーター)、筋クレアチンキナーゼ(MCK)遺伝子ベースのプロモーター、例えばCK6またはMHCK7プロモーター;デスミン遺伝子プロモーター(DES);構成的ヒトプロモーターEF-1α(伸長因子1α)を含む。プロモーターの他の例としては、レトロウイルスのLTR;SV40プロモーター;ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター;ヒストンプロモーター;polIIIプロモーター、β-アクチンプロモーター;誘導性プロモーター、例えばMMTVプロモーター、メタロチオネインプロモーター;熱ショックプロモーター;アデノウイルスプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;B19パルボウイルスプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター、例えば単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼプロモーター;レトロウイルスのLTR;ヒト成長ホルモンプロモーター、およびMxIFN誘導性プロモーターを挙げることができる。一部の実施形態において、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。一部の実施形態において、組織特異的プロモーターは、チロシナーゼ関連プロモーター(TRP-1およびTRP-2)、DF3エンハンサー(乳房細胞に関する)、SLPIプロモーター(分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤、多くのタイプの癌腫で発現される)、TRS(組織特異的な調節配列)、α-フェトプロテインプロモーター(正常な肝細胞および形質転換した肝細胞それぞれに特異的)、癌胎児性抗原プロモーター(消化管、肺、乳房および他の組織の形質転換した細胞における使用に関する)、チロシンヒドロキシラーゼプロモーター(メラニン細胞に関する)、神経芽細胞腫における使用に関するコリンアセチルトランスフェラーゼまたはニューロン特異的なエノラーゼプロモーター、グリア線維芽細胞腫の調節配列、チロシンヒドロキシラーゼプロモーター、c-erb B-2プロモーター、PGKプロモーター、PEPCKプロモーター、乳清酸性プロモーター(whey acidic promoter)(乳房組織)、ならびにカゼインプロモーター(乳房組織)および脂肪細胞P2プロモーターを含む群から選択される。一部の実施形態において、プロモーターは、ウイルス特異的なプロモーター(例えば、レトロウイルスのプロモーター、加えてHIVプロモーターなど他のプロモーター)、肝炎、ヘルペス(例えば、EBV)である。一部の実施形態において、プロモーターは、天然のHSV-TKプロモーターである。一部の実施形態において、プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌または寄生体に感染している特異的な細胞または組織を標的化するために利用される、細菌、真菌または寄生虫(例えば、マラリア)特異的なプロモーターである。一部の態様において、ベクターは、精製、画像化、または発現制御目的のためのHisタグまたはFlagタグなどのタグをコードする核酸配列を含む。
【0038】
[0067]一部の実施形態において、ベクター(例えば、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター)は、少なくとも1つの改変された非翻訳領域(UTR)を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのUTRは、ペイロードの核酸配列の5’末端に配置された5’-UTRである。一部の実施形態において、少なくとも1つのUTRは、ペイロードの核酸配列の3’末端に配置された3’-UTRである。一部の実施形態において、少なくとも1つのUTRは、ペイロードの核酸配列の5’末端と3’末端の両方に配置された5’-UTRおよび3’-UTRの両方を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変されたUTRは、ペイロードが野生型UTRと隣接する場合と比較して、aペイロードの発現を増加させる。
【0039】
[0068]一部の態様において、ベクターは、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターである。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳類細胞、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用される方法になりつつある。一部の実施形態において、他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純疱疹ウイルスI、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはシンドビスウイルスから誘導される。ウイルスベクターの非限定的な例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)、ポックスベクター、パルボウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、または単純疱疹ウイルスベクター(HSV)を挙げることができる。一部の場合において、組換えレトロウイルスベクターとしては、ガンマレトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV、MMLV、MuLV、またはMLV)またはマウス幹細胞ウイルス(MSCV)ゲノム由来のベクターが挙げられる。一部の場合において、組換えレトロウイルスベクターとしてはまた、レンチウイルスベクター、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノム由来のレンチウイルスベクターも挙げられる。一部の場合において、AAVベクターとしては、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9血清型が挙げられる。一部の場合において、ウイルスベクターは、2つまたはそれより多くのウイルスからのウイルス部分を含むキメラウイルスベクターである。追加の例において、ウイルスベクターは、組換えウイルスベクターである。
【0040】
[0069]一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、少なくとも1つの改変を含み、組換えレトロウイルスベクターは、ウイルスの細胞型への標的化効率を増加させるために、少なくとも1つのアミノ酸突然変異をコードしていてもよい。例えば、組換えシンドビスレトロウイルスベクターは、シンドビスウイルスのE2タンパク質においてE160G突然変異をコードしていてもよく、この場合、E160G突然変異は、シンドビスウイルスの樹状細胞への標的化を増加させる。このような場合、樹枝細胞の標的化は、樹状細胞を組換えレトロウイルスベクターによってコードされた抗原と接触させることによって、ワクチン接種の免疫応答および効能を増加させることができる。
【0041】
[0070]一部の態様において、本明細書に記載される突然変異インテグラーゼをコードする第1の核酸配列および少なくとも1つのペイロードをコードする第2の核酸配列を含む組換えレトロウイルスベクターが本明細書に記載される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、野生型インテグラーゼと比較した場合、触媒コアドメインのMg2+結合モチーフに少なくとも1つの突然変異を含む。例えば、少なくとも1つの突然変異は、D125A突然変異、D184A突然変異、またはD125とD184A突然変異の両方の組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのペイロードは、抗原を含む。一部の実施形態において、抗原は、細胞において免疫応答を誘導する。一部の実施形態において、抗原は、病原体ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、病原体ポリペプチドとしては、病原菌、アルベオラータ病原体、アメーバ病原体、真菌病原体、原生動物病原体、線形動物病原体、扁形動物病原体、ウイルス病原体、またはそれらの組合せ由来のポリペプチドが挙げられる。表1は、上述したようなこのような病原体に関する非限定的な例のリストを提供し、これは、形質導入のためにレトロウイルスベクターに取り込み、その結果として形質導入された細胞によって抗原ペイロードとして発現させるための、病原体由来のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の設計の基礎として役立つ可能性がある。
【0042】
【表1-1】
【0043】
【表1-2】
【0044】
【表1-3】
【0045】
【表1-4】
【0046】
【表1-5】
【0047】
【表1-6】
【0048】
【表1-7】
【0049】
【表1-8】
【0050】
【表1-9】
【0051】
【表1-10】
【0052】
[0071]一部の実施形態において、抗原は、ウイルスポリペプチドを含む。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドは、本明細書に記載されるコロナウイルスポリペプチドを含む。一部の実施形態において、コロナウイルスポリペプチドは、SARS-CoV-2ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、SARS-Cov-2ポリペプチドは、スパイクタンパク質またはその断片を含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、全長スパイクタンパク質である。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、短縮化されたスパイクタンパク質である。一部の実施形態において、短縮化されたスパイクタンパク質は、スパイクタンパク質のN末端ドメインまたはスパイクタンパク質のS2ドメインを含む。一部の実施形態において、短縮化されたスパイクタンパク質は、スパイクタンパク質のN末端ドメインおよびスパイクタンパク質のS2ドメインを含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、組換えスパイクタンパク質である。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、少なくとも1つの改変を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、切断部位、例えばスパイクタンパク質中のフューリン切断またはセリンプロテアーゼ切断部位などを排除する。一部の実施形態において、フューリン切断部位は、配列番号21(全長スパイクタンパク質)または配列番号22(オミクロン突然変異スパイクタンパク質)における、アミノ酸残基682~685、アミノ酸残基679~682、またはアミノ酸残基811を含む。
【0053】
[0072]一部の実施形態において、セリンプロテアーゼ切断部位は、配列番号21(全長スパイクタンパク質)または配列番号22(オミクロン突然変異スパイクタンパク質)における、アミノ酸残基986および987;または983および984を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、配列番号21(全長スパイクタンパク質)または配列番号22(オミクロン突然変異スパイクタンパク質)における、アミノ酸残基814、889、896、939、682~685、679~682、811、986、987、983、984、またはそれらの組合せにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸突然変異は、配列番号21(全長スパイクタンパク質)または配列番号22(オミクロン突然変異スパイクタンパク質)における、アミノ酸残基814、889、896、および939にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、スパイクタンパク質またはその断片は、シグナルペプチドを含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号13:MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSASQEIHARFRRのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、IgE Fc受容体アルファに少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含む分泌ペプチドである。一部の実施形態において、分泌ペプチドは、IgE Fc受容体アルファである。
【0054】
[0073]一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドは、インフルエンザポリペプチドを含む。一部の実施形態において、インフルエンザポリペプチドは、インフルエンザAポリペプチド、インフルエンザBポリペプチド、インフルエンザCポリペプチド、またはインフルエンザDポリペプチドを含む。一部の実施形態において、インフルエンザポリペプチドは、インフルエンザAポリペプチドである。一部の実施形態において、インフルエンザAポリペプチドは、ノイラミニダーゼ(NA)もしくはその断片またはヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。一部の実施形態において、インフルエンザAポリペプチドは、ヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、全長ヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、短縮化されたヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、短縮化されたヘマグルチニン(HA)は、Stalkドメインを含む。一部の実施形態において、ヘマグルチニン(HA)またはその断片は、少なくとも1つの改変を含む組換えヘマグルチニン(HA)である。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの改変は、インフルエンザAのM2タンパク質(M2e)の細胞外ドメインのアミノ酸配列:配列番号14:MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDを含むヘマグルチニン(HA)またはその断片を含む。
【0055】
[0074]一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、少なくとも1つのエンベロープタンパク質をコードする。一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターによってコードされたエンベロープは、両指向性エンベロープ(amphotropic envelope)である。一部の実施形態において、組換えレトロウイルスベクターは、両指向性エンベロープを作製するための少なくとも1つのエンベロープタンパク質をコードする。一部の実施形態において、少なくとも1つのエンベロープタンパク質は、少なくとも1つのアルファウイルスエンベロープタンパク質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質は、E3タンパク質、E2タンパク質、6Kタンパク質、E1タンパク質、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質は、少なくとも1つの突然変異を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの突然変異は、少なくとも1つのシンドビスウイルスエンベロープタンパク質と、ヒト細胞、例えば樹状細胞との間の結合親和性を増加させる。一部の実施形態において、少なくとも1つの突然変異は、E2タンパク質のE160Gである。
【0056】
[0075]一部の実施形態において、ベクターは、細胞表面マーカー(例えば、疾患または状態に関連する細胞の細胞表面上で発現される抗原)を標的化するための抗体などの標的部分をコードする。一部の実施形態において、細胞表面マーカーは、腫瘍関連抗原、例えばHer2である。一部の実施形態において、標的部分は、抗体、ナノボディ(例えば、単鎖可変断片またはscFv)、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、標的部分は、ウイルスエンベロープの表面上で発現され、そこで本明細書に記載されるベクターが、ウイルスエンベロープ中に封入される。一部の実施形態において、標的部分は、がんまたは病変などの疾患または状態に関連する細胞または微環境へのベクターの標的化または送達を増加させる。
【0057】
[0076]一部の実施形態において、ベクターは、インターロイキンではない酵素をコードする。一部の態様において、ベクターは、ヌクレオシド剤を、本明細書に記載される疾患または状態に関連する細胞を致死させるための細胞傷害性薬剤に変換できる酵素をコードする。一部の実施形態において、酵素は、基質として核酸ヌクレオチドを有するキナーゼを含む。一部の実施形態において、キナーゼは、チミジンキナーゼであり、この場合、チミジンキナーゼは、天然ヌクレオシド基質に加えてヌクレオシドアナログもリン酸化するサルベージ経路酵素である。一般的に、ウイルスチミジンキナーゼは、ウイルスチミジンキナーゼを発現すること細胞へのガンシクロビルまたはアシクロビルなどのヌクレオシドアナログの投与によって治療的に活用でき、この場合、ウイルスチミジンキナーゼは、ヌクレオシドアナログをリン酸化し、細胞を致死させることが可能な毒性生成物を作り出す。本発明の開示のウイルスチミジンキナーゼは、多種多様のウイルスチミジンキナーゼから調製することができる。一部の実施形態において、ウイルスチミジンキナーゼ突然変異体は、例えば、霊長類ヘルペスウイルスと鳥ヘルペスウイルスなどの非霊長類ヘルペスウイルスの両方を含むヘルペスウイルス科のチミジンキナーゼから誘導される。好適なヘルペスウイルスの代表的な例としては、例えば、単純疱疹ウイルス(HSV)1型、単純疱疹ウイルス2型、水痘帯状疱疹ウイルス、マーモセットヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス1型、仮性狂犬病ウイルス、ウマヘルペスウイルス1型、ウシヘルペスウイルス1型、シチメンチョウヘルペスウイルス、マレック病ウイルス、ヘルペスウイルスサイミリ、またはエプスタインバーウイルスが挙げられる。
【0058】
[0077]一部の態様において、本明細書に記載されるチミジンキナーゼは、突然変異チミジンキナーゼであってもよく、この場合、突然変異チミジンキナーゼは、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の態様において、突然変異チミジンキナーゼは、HSV1-TKの野生型アミノ酸配列:MASYPGHQHASAFDQAARSRGHSNRRTALRPRRQQEATEVRPEQKMPTLLRVYIDGPHGMGKTTTTQLLVALGSRDDIVYVPEPMTYWRVLGASETIANIYTTQHRLDQGEISAGDAAVVMTSAQITMGMPYAVTDAVLAPHIGGEAGSSHAPPPALTLIFDRHPIAALLCYPAARYLMGSMTPQAVLAFVALIPPTLPGTNIVLGALPEDRHIDRLAKRQRPGERLDLAMLAAIRRVYGLLANTVRYLQCGGSWREDWGQLSGTAVPPQGAEPQSNAGPRPHIGDTLFTLFRAPELLAPNGDLYNVFAWALDVLAKRLR(配列番号11)と比較して、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む突然変異単純疱疹ウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV1-TK)である。一部の態様において、突然変異体HSV1-TKは、HSV1-TKアミノ酸配列(例えば、配列番号11)に、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高度な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、突然変異体HSV-1-TKは、核輸出配列(NES)を含む。一部の態様において、NESは、LQKKLEELELDG(配列番号12)のアミノ酸配列を含む。
【0059】
[0078]ヘルペスウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」、Rockville、Md.)などの商業的な供給源から容易に得ることができる。ヘルペスウイルスはまた、天然に存在する経過(例えば、感染した動物)から単離することもできる。
【0060】
[0079]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、HSV1-TKの野生型アミノ酸配列(配列番号11)と比較して、アミノ酸残基25、26、32、33、167、168、またはそれらの組合せに、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態において、突然変異は、野生型アミノ酸を、極性、非極性、塩基性または酸性アミノ酸で置換することを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基167、168、または両方において突然変異している。一例において、配列は、アミノ酸残基167において突然変異している。別の例において、配列は、アミノ酸残基168において突然変異している。別の例において、配列は、アミノ酸残基167および168において突然変異している。アミノ酸残基167は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、およびフェニルアラニンに突然変異していてもよい。アミノ酸残基168は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンに突然変異していてもよい。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および/または26において突然変異している。アミノ酸残基25および/または26は、グリシン、セリン、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異していてもよい。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基32および/または33において突然変異している。アミノ酸残基32および/または33は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異していてもよい。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32、および/または33において突然変異している。アミノ酸残基25、26、32、および/または33は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異していてもよい。
【0061】
[0080]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および/または26;ならびに167において突然変異しており、アミノ酸残基25および/または26における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および/または26;ならびに168において突然変異しており、アミノ酸残基25および/または26における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および/または26;ならびに167および/または168において突然変異しており、アミノ酸残基25および/または26における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167および/または168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。
【0062】
[0081]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基32および/または33;ならびに167において突然変異しており、アミノ酸残基32および/または33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基32および/または33;ならびに168において突然変異しており、アミノ酸残基32および/または33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基32および/または33;ならびに167および/または168において突然変異しており、アミノ酸残基32および/または33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167および/または168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。
【0063】
[0082]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32、および33;ならびに167において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32、および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32、および33;ならびに168において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32、および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32、および33;ならびに167および/または168において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32、および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167および/または168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。
【0064】
[0083]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および26または32および33;ならびに167において突然変異しており、アミノ酸残基25および26または32および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および26または32および33;ならびに168において突然変異しており、アミノ酸残基25および26または32および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25および26または32および33;ならびに167および/または168において突然変異しており、アミノ酸残基25および26または32および33における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167および/または168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。
【0065】
[0084]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32および/または33;ならびに167のうちのいずれか1つまたは複数において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32および/または33のうちのいずれか1つまたは複数における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32および/または33;ならびに168のうちのいずれか1つまたは複数において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32および/または33のうちのいずれか1つまたは複数における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、アミノ酸残基25、26、32および/または33;ならびに167および/または168のうちのいずれか1つまたは複数において突然変異しており、アミノ酸残基25、26、32および/または33のうちのいずれか1つまたは複数における突然変異は、グリシン、セリン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸を含み;アミノ酸残基167および/または168における突然変異は、ヒスチジン、リジン、システイン、セリン、またはフェニルアラニンを含む。
【0066】
[0085]一部の実施形態において、ベクターは、突然変異HSV1-TKをコードすることに加えて、PiT-2、PiT-1、mCat-1(マウスカチオン性受容体-1;エコトロピックモロニーMLVの標的)、またはガンマレトロウイルスによって使用される他の受容体をコードしていてもよい。
【0067】
[0086]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、野生型HSV1-TKと比較して、ヌクレオシド剤を細胞傷害性薬剤に変換する酵素活性の増加を含む。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、ヌクレオシド剤を細胞傷害性薬剤に変換する酵素活性を、同じヌクレオシド剤(例えば、プロドラッグ)を細胞傷害性薬剤に変換する野生型HSV1-TKの酵素活性と比較して、少なくとも0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれより多く増加させる。
【0068】
[0087]一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、疾患または状態に関連する細胞を致死させるためのバイスタンダー現象が可能な細胞のバイスタンダー効果を増加させる。「バイスタンダー効果」は、本明細書で使用される場合、HSV1-TK陽性細胞でHSV1-TK発現が誘導された後に、HSV1-TK陽性細胞(例えば、本明細書に記載されるベクターと接触した細胞)が隣接するHSV1-TK陰性細胞で致死作用を発揮する現象を指す。一部の実施形態において、突然変異HSV1-TKは、野生型HSV1-TK陽性細胞により誘導されたバイスタンダー効果と比較して、少なくとも0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれより高度にバイスタンダー効果を増加させる。
【0069】
ワクチン接種
[0088]一部の実施形態において、本明細書に記載される突然変異インテグラーゼを含むベクター(例えば、組換えウイルスベクター)が本明細書に記載される。一部の実施形態において、突然変異インテグラーゼは、ベクターを含む宿主細胞のゲノムへのベクターの挿入を防止する。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異逆転写酵素を含み、突然変異逆転写酵素は、細胞のゲノムへの挿入のためのベクターのDNAへの変換を防止する。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異インテグラーゼと突然変異逆転写酵素の両方を含む。このような突然変異インテグラーゼおよび/または突然変異逆転写酵素を含むベクターは、それを必要とする対象のワクチン接種にとって特に有用な場合があり、その場合、ベクターによってコードされた抗原は、長期間にわたり対象において発現させることができる。抗原の長期にわたる発現は、抗原に対して十分な免疫応答を誘導することができ、したがって対象に疾患または状態に対するワクチン接種することができる。一部の実施形態において、抗原の発現は誘導性であってもよく、その場合、抗原は、必要なときだけ発現される(それによって対象はワクチン接種される)。例えば、抗原の発現は、抗原に対する免疫性が減退している場合に誘導されてもよく、ブースターワクチン接種をもたらすことができる。
【0070】
[0089]一部のケースにおいて、抗原は、ウイルスタンパク質のポリペプチド配列を含んでいてもよい。一部の実施形態において、抗原は、コロナウイルスのウイルスタンパク質であってもよい。一部の実施形態において、コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群関連ウイルス(SARS-CoV)であり得る。一部の実施形態において、SARS-CoVは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態において、エピトープは、ORF1a、ORF1ab、スパイクタンパク質(Sタンパク質)、3a、3b、エンベロープタンパク質(Eタンパク質)、マトリックスタンパク質(Mタンパク質)、p6、7a、7b、8b、9b、ヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)、ORF14、Nsp1(リーダータンパク質)、Nsp2、Nsp3、Nsp4、Nsp5(3C様プロテイナーゼ)、Nsp6、Nsp7、Nsp8、Nsp9、Nsp10(増殖因子様タンパク質)、Nsp12(RNA依存性RNAポリメラーゼ、またはRdRp)、Nsp13(RNA5’-トリホスファターゼ)、Nsp14(3’→5’エキソヌクレアーゼ)、Nsp15(エンドRNアーゼ(endoRNAse))、およびNsp16(2’-O-リボースメチルトランスフェラーゼ)から選択されるウイルスタンパク質、それらの部分、またはそれらの組合せであってもよい。
【0071】
[0090]一部の実施形態において、抗原は、インフルエンザウイルスのウイルスタンパク質のポリペプチド配列を含んでいてもよい。一部の実施形態において、インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスCおよびインフルエンザウイルスDからなる属から選択される。さらなる実施形態において、インフルエンザAウイルスは、サブタイプH1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、H10N7、H7N9、またはH6N1を有する。さらなる実施形態において、インフルエンザウイルスは、B/山形/16/88様系統またはB/Victoria/2/87様系統のインフルエンザBウイルスを含む。さらなる実施形態において、インフルエンザウイルスは、A/カリフォルニア/04/2009様系統またはA/ブリスベン/59/2007様系統のインフルエンザAウイルスを含む。一部の実施形態において、インフルエンザは、インフルエンザウイルスのあらゆる株またはインフルエンザウイルスの株内のあらゆる血清型であってもよい。一部のケースにおいて、インフルエンザウイルスは、ウイルス表面の糖タンパク質の血球凝集素(HまたはHA)およびノイラミニダーゼ(NまたはNA)のあらゆる組合せを含む。一部の実施形態において、抗原は、ヘマグルチニン(HA)Stalk(保存された領域)ドメインを含む改変されたインフルエンザタンパク質を含む。一部の実施形態において、HA Stalkは、少なくとも1つの改変を含む。HA Stalk改変の非限定的な例としては、ヘッドの除去;グリシンリンカーループ;Cys内の架橋;膜貫通の除去;ループ融合ペプチド;GCN4の位置;またはCys内の架橋を挙げることができる。一部の実施形態において、抗原は、MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号14)のアミノ酸配列を有する、インフルエンザAのM2タンパク質(M2e)の細胞外ドメインを含む。
【0072】
[0091]一部の実施形態において、抗原は、他のウイルスタンパク質、細菌タンパク質、寄生体タンパク質、真菌タンパク質、またはそれらの組合せなどの病原体タンパク質のポリペプチド配列を含んでいてもよい。一部の実施形態において、抗原は、Her2などの腫瘍抗原を含んでいてもよく、この場合、対象はその後、がんに対して免疫化される。
【0073】
処置の方法
[0092]一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクターを使用する方法が本明細書で開示される。一部の実施形態において、方法は、本明細書に記載されるベクターまたはベクターを含む医薬組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象における疾患または状態を処置することを含む。一部の実施形態において、方法は、細胞をベクターと接触させること、それに続いて、細胞を対象に投与することを含む。一部の実施形態において、ベクターと接触させた細胞は、自己細胞である。例えば、細胞はまず、対象から単離されてもよく、任意選択で、ベクターと接触させる前に培養または拡大増殖される。一部の実施形態において、ベクターによってコードされたインターロイキン(例えば、IL-12、IL-7、またはインターフェロンのP40またはP35)またはHSV1-TKの発現は、対象に細胞を投与する前に、細胞中で検証することができる。
【0074】
[0093]一部の実施形態において、方法は、2つまたはそれより多くのベクターを対象に投与することを含み、この場合、2つまたはそれより多くのベクターのうち第1のベクターは、本明細書に記載されるインターロイキン(例えば、IL-12、IL-7、またはインターフェロンのP40またはP35)をコードし、2つまたはそれより多くのベクターのうち第2のベクターは、本明細書に記載されるチミジンキナーゼ(例えば、突然変異したHSV1-TK)をコードする。一部の実施形態において、方法は、まず細胞を2つまたはそれより多くのベクターと接触させること、それに続いて細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、インターロイキン(例えば、IL-12、IL-7、またはインターフェロンのP40またはP35)およびチミジンキナーゼ(例えば、突然変異したHSV1-TK)は、同じベクターによってコードされる。一部の実施形態において、投与は、あらゆる好適な投与様式全身投与(例えば、静脈内、吸入など)によってなされる。一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、疾患または状態は、がんまたは病変である。一部の実施形態において、疾患または状態は、代謝性疾患である。
【0075】
[0094]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、疾患または状態に関連する細胞または微環境にインターロイキンを送達する。一部の実施形態において、インターロイキンを送達するベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、対象へのインターロイキンの直接投与と比較して、対象における毒性を減少させる(例えば、疾患または状態に関連しない細胞の細胞死の減少またはホットな腫瘍遺伝子の発現の減少によって決定される場合)。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物によってインターロイキンを送達することの毒性は、対象にインターロイキンを直接投与することにより誘導された毒性と比較して、少なくとも0.1分の1、0.2分の1、0.5分の1、1.0分の1、2.0分の1、5.0分の1、10.0分の1、50.0分の1、またはそれより高度に減少する。
【0076】
[0095]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、疾患または状態に関連する細胞または微環境にIL-12を送達する。一部の実施形態において、IL-12(P40サブユニットおよびP35サブユニットまたは組換えIL-12のいずれかとして)を送達するベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、対象へのIL-12の直接投与と比較して、対象における毒性を減少させる(例えば、疾患または状態に関連しない細胞の細胞死の減少またはホットな腫瘍遺伝子の発現の減少によって決定される場合)。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物によってIL-12を送達することの毒性は、対象にIL-12を直接投与することにより誘導された毒性と比較して、少なくとも0.1分の1、0.2分の1、0.5分の1、1.0分の1、2.0分の1、5.0分の1、10.0分の1、50.0分の1、またはそれより高度に減少する。
【0077】
[0096]一部の実施形態において、ベクターによってコードされたIL-12は、細胞によって発現または分泌される。一部の実施形態において、細胞によって発現または分泌されるIL-12は、対象において自然免疫のシグナル伝達または応答を刺激することができる。一部の実施形態において、方法は、疾患または状態を処置するために、発現または分泌されたインターロイキン(例えば、IL-12のP40またはP35)で内因性サイトカイン(例えば、IFN-γ)の生産を刺激することを含む。ホットな腫瘍遺伝子発現は、内因性免疫応答を開始させる本明細書に記載されるサイトカインなどの遺伝子産物の発現を指すことができる。したがって、ホットな腫瘍遺伝子の発現は、内因性免疫応答によって疾患または状態に関連する細胞(例えば、がんまたは腫瘍細胞)の致死を引き起こすことができる。
【0078】
[0097]一部の実施形態において、インターロイキンを送達するベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、対象へのインターロイキンの直接投与と比較して、対象における疾患または状態を処置することに関する効能を増加させる(例えば、腫瘍細胞の細胞死の増加またはホットな腫瘍遺伝子の発現の増加によって決定される場合)。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物によってインターロイキンを送達することによって疾患または状態を処置することに関する効能は、対象にインターロイキンを直接投与することによって疾患または状態を処置する場合の効能と比較して、少なくとも0.1分の1、0.2分の1、0.5分の1、1.0分の1、2.0分の1、5.0分の1、10.0分の1、50.0分の1、またはそれより高度に減少する。
【0079】
[0098]一部の実施形態において、IL-12を送達するベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物(P40サブユニットおよびP35サブユニットまたは組換えIL-12のいずれかとして)は、対象へのIL-12の直接投与と比較して、対象における疾患または状態を処置することに関する効能を増加させる(例えば、腫瘍細胞の細胞死の増加またはホットな腫瘍遺伝子の発現の増加によって決定される場合)。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物によってIL-12を送達することによって疾患または状態を処置することに関する効能は、対象にIL-12を直接投与することによって疾患または状態を処置する場合の効能と比較して、少なくとも0.1分の1、0.2分の1、0.5分の1、1.0分の1、2.0分の1、5.0分の1、10.0分の1、50.0分の1、またはそれより高度に減少する。
【0080】
[0099]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、期間中に少なくとも1回(例えば、2日毎、週2回、週1回、毎週、1ヶ月当たり3回、1ヶ月当たり2回、1ヶ月当たり1回、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎、6ヶ月毎、7ヶ月毎、8ヶ月毎、9ヶ月毎、10ヶ月毎、11ヶ月毎、年1回)投与される。一部の実施形態において、組成物は、期間中に2回またはそれより多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60,70、80、90、100回)投与される。
【0081】
[00100]一部の態様において、対象にワクチン接種することによって対象における疾患または状態を処置または防止する方法であって、本明細書に記載される組換えレトロウイルスベクター、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターによってコードされた組換えウイルス、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターによって形質導入された細胞、または本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書に記載される。一部の実施形態において、レトロウイルスベクターによってコードされた少なくとも1つのペイロードは、対象において免疫応答を誘導する抗原を含み、それによって、対象にワクチン接種することにより対象における疾患または状態を処置または防止する。一部の実施形態において、免疫応答は、抗原を標的化する中和抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる。一部の実施形態において、免疫応答は、抗原を標的化する免疫グロブリン抗体の誘導を含み、それによって対象において抗原に対する免疫性を生じさせる。一部の実施形態において、免疫グロブリン抗体は、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン抗体は、IgG抗体を含む。
【0082】
[00101]一部の実施形態において、少なくとも1つのペイロードは、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、またはそれより長い持続時間にわたり、対象において発現され分泌される。一部の実施形態において、少なくとも1つのペイロードは、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、またはより長い持続時間にわたり、対象において発現または分泌される。一部の実施形態において、少なくとも12時間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、12時間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも1日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、1日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも2日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、2日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも3日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、3日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも4日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、4日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも5日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、5日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも5日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、6日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも7日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、7日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、6日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも8日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、8日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、少なくとも8日間発現または分泌された少なくとも1つのペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間は、9日間より短い期間発現または分泌された匹敵するペイロードにより誘導された免疫応答の持続時間と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれより多く増加する。一部の実施形態において、免疫応答は、対象において、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年間、少なくとも3年間またはそれより長く持続する。
【0083】
[00102]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、例えば経口または局所投与などの様々な形態および経路によって、治療有効量で投与される。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、気管支洗浄、舌下、腫瘍内、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹膜内、大脳内、クモ膜下、眼球内、胸骨内、眼内、内皮、局所、鼻腔内、肺内、直腸内、動脈内、髄腔内、吸入、病巣内、皮内、硬膜外、嚢内、被膜下、心臓内、経気管、表皮下、または脊髄内投与によって、例えば、注射または輸注によって投与されてもよい。一部の実施形態において、組成物は、上皮または粘膜皮膚の内層を介した吸収(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜投与)によって投与されてもよい。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、複数の投与経路を介して送達される。
【0084】
[00103]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、静脈内注入によって投与される。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、またはベクターを含む医薬組成物は、長い期間にわたる、例えば24時間より長い期間にわたる遅い連続的な注入によって投与される。一部の態様において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、局所的な方式で、例えば臓器への直接的な薬剤の注射を介して、投与してもよいし、任意選択でデポー製剤または持続放出製剤またはインプラントで投与してもよい。
【0085】
[00104]一部の実施形態において、方法は、対象が処置された後に、対象におけるIL-12などのインターロイキンの発現をモニターすることを含む。一部の態様において、方法は、IL-12の発現レベルをモニターすることを含み、対象においてIL-12発現が予め決定された閾値に達した場合、インターロイキン阻害剤を対象に投与することができる。
【0086】
[00105]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または本明細書で提供される医薬組成物は、少なくとも1種の追加の治療剤、例えば、抗ウイルス療法剤、化学療法剤、抗生物質、細胞療法剤、サイトカイン療法剤、または抗炎症剤と共に投与してもよい。一部の実施形態において、少なくとも1種の追加の治療剤は、ヌクレオシド剤(例えば、プロドラッグ)を含む。プロドラッグの非限定的な例としては、チミジンキナーゼの場合、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-ベータ-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-ベータ-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン(methylpryrimidine)-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル(valacivlovir)、ペンシクロビル、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有する放射標識したピリミジン(HHG-5-FEP)、または2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル、ガンシクロビルおよびペンシクロビル様側鎖が結合している5-(2-)ヒドロキシエチル)-および5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体;オキシドレダクターゼに関して、イホスファミド;VZV-TKに関して、6-メトキシプリンアラビノシド;シトシンデアミナーゼに関して、5-フルオロシトシン;ベータ-グルクロニダーゼに関して、ドキソルビシン;ニトロレダクターゼに関して、CB1954;およびカルボキシペプチダーゼAに関して、N-(シアノアセチル)-L-フェニルアラニン、またはN-(3-クロロプロピオニル)-L-フェニルアラニンを挙げることができる。一部の実施形態において、ヌクレオシド剤は、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、またはペンシクロビルを含む。
【0087】
[00106]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または本明細書で提供される医薬組成物は、疾患または状態の出現の前に、その間に、またはその後に投与することができる。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、予防として使用することができ、対象に連続的に投与することができる。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、疾患または状態に関連する症状の発症の前に対象に投与することができる。
【0088】
[00107]本開示の薬剤(例えば、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物)の実際の投薬量レベルは、対象(例えば、免疫化のための対象または処置のための対象)に対する毒性を生じさせずに、特定の対象、組成物、および投与様式に対して所望の治療応答を達成する薬剤の量が得られるように変更ことができる。選択された投薬量レベルは、採用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与の時間、排泄の頻度、処置の持続時間、採用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および以前の病歴、ならびに医療分野において周知の同様の要因などの様々な薬物動態学的な要因に依存する可能性がある。
【0089】
[00108]投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療および/または予防応答)を提供するように調整することができる。例えば、単回のボーラスが投与されてもよいし、数回に分けた用量が長期にわたり投与されてもよいし、または治療状況の緊急性によって示される場合、用量は、比例的に低減または増加させてもよい。投与しやすさや投薬量の均一性のために、投薬量単位形態の非経口用組成物を配合することが特に有利である。投薬量単位形態は、本明細書で使用される場合、対象(例えば、免疫化のための対象または処置のための対象)にとって一体化された投薬として適した物理的に別々の単位を指す;各単位は、必要な医薬用担体に応じて所望の治療作用を生じるように計算された予め決定された量の活性薬剤を含有する。本開示の投薬量単位形態に関する詳細は、(a)活性薬剤の固有な特徴および達成しようとする特定の治療作用、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにこのような活性薬剤を調合することにおける当業界において固有の制限によって決定することができ、それに直接的に依存する。用量は、環状ポリリボヌクレオチドもしくは抗体またはそれらの抗原結合断片の血漿濃度または局所濃度を参照することによって決定することができる。用量は、直鎖ポリリボヌクレオチドもしくは抗体またはそれらの抗原結合断片の血漿濃度または局所濃度を参照することによって決定することができる。
【0090】
[00109]一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、正確な投薬量の単回投与に好適な形態単位投薬形態であってもよい。単位剤形において、製剤は、適切な量の組成物を含有する単位用量に分割してもよい。単位剤形において、製剤は、適切な量の1つまたは複数の直鎖ポリリボヌクレオチド、抗体もしくはそれらの抗原結合断片、および/または治療剤を含有する単位用量に分割してもよい。単位投薬形態は、別々の量の製剤を含有するパッケージの形態であってもよい。非限定的な例は、パッケージ化された注射可能物質、バイアル、およびアンプルである。本明細書で開示される水性懸濁剤組成物は、単回用量の再び閉じることができない容器中にパッケージ化されていてもよい。複数回用量用の再び閉じることができる容器が、例えば保存剤と組み合わせて、または保存剤なしで使用できる。本明細書で開示される注射のための製剤は、単位剤形で、例えば保存剤を含むアンプルまたは複数回用量用の容器中に存在していてもよい。
【0091】
[00110]ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の投薬量は、好ましくは、毒性がないかまたはほとんどないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、採用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変更することができる。治療有効用量は、最初は細胞培養アッセイから推測することができる。用量は、細胞培養において決定される場合、IC50(すなわち、最大感染の半分または最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する動物モデルにおいてもたらすことができる。このような情報は、ヒトにおいてより正確に有用な用量を決定するのに使用することができる。血漿中のレベルは、例えばRT-qPCRまたはddPCR方法によって測定することができる。
【0092】
[00111]処置が必要な対象に投与しようとする本明細書で開示されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の有効量または治療有効量は、様々な方法で決定することができる。一例として、量は、動物モデルにおけるウイルスのタイターまたは効能に基づいていてもよい。代替として、臨床治験で使用される用量レジメンは、一般的なガイドラインとして使用することもできる。
【0093】
[00112]一部の実施形態において、1日用量は、単回用量で投与してもよいし、または1日の様々な時間に数回に分けて投与してもよい。一部の実施形態において、より多くの投薬量が必要な場合があり、最適な最初の応答が得られたら経時的に低減してもよい。一部の実施形態において、処置は、連続的して数日、数週間、または数年であってもよいし、または休息期間を介在させて間隔をあけてもよい。一部の実施形態において、投薬量は、個体が受けている可能性がある他の処置に従って改変される。しかしながら、処置の方法は、決してレトロウイルス粒子の特定の濃度または範囲に限定されることはなく、処置されているそれぞれの個体と使用される各誘導体につき変更することができる。所定の個体にとって最大の作用を達成するのに、投薬量の個別化が必要な場合がある。一部の実施形態において、処置されている個体に投与される投薬量は、個体の年齢、疾患の重症度または段階、および処置経過への応答に応じて様々である。一部の実施形態において、投薬量を決定するための臨床パラメーターとしては、これらに限定されないが、腫瘍のサイズ、特定の悪性腫瘍の臨床試験に使用される腫瘍マーカーのレベルの変化が挙げられる。一部の実施形態において、処置を行う医師は、所定の個体に使用されることになる治療有効量を決定する。一部の実施形態において、本明細書で開示される療法は、必要に応じた頻度で、処置を行う医師によって必要と判断された期間にわたり投与される。
【0094】
[00113]一部の実施形態において、複数の治療剤のコース(例えば、第1および第2の治療剤のコース)が、処置が必要な対象に投与される。一部の実施形態において、第1および/または第2の治療剤のコースは、静脈内投与される。他の実施形態において、第1および/または第2の治療剤のコースは、動脈内注入、これらに限定されないが、肝動脈、大脳動脈、冠状動脈、肺動脈、腸骨動脈、腹腔動脈、胃動脈、脾動脈、腎動脈、生殖腺動脈、鎖骨下動脈、椎骨動脈、腋窩動脈、上腕動脈、橈骨動脈、尺骨動脈、頸動脈、大腿動脈、下腸間膜動脈および/または上腸間膜動脈を介した注入などを介して投与される。動脈内注入は、血管内処置、経皮処置または切開を伴う外科的アプローチを使用して達成してもよい。一部の実施形態において、第1および第2の治療剤のコースは、逐次的に投与されてもよい。さらに他の実施形態において、第1および第2の治療剤のコースは、同時に投与してもよい。さらに他の実施形態において、任意選択の第3の治療剤のコースは、第1および第2の治療剤のコースと逐次的に、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0095】
[00114]一部の実施形態において、本明細書で開示されるベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、蓄積に基づいて高い用量の逐次的な、または同時に投与される治療剤のコースと共に投与されてもよい。例えば、一部の実施形態において、蓄積に基づいて治療剤のコースが、それを必要とする患者に全身投与されてもよく、例えば静脈内投与されてもよい。第1の治療剤のコースが全身投与されてもよい。代替として、第1の治療剤のコースが局所的な方式で投与され、例えば動脈内投与され、例えばそれを必要とする患者に、蓄積に基づいて動脈内注入を介して投与されてもよい。
【0096】
[00115]さらに他の実施形態において、それを必要とする対象は、高い用量のベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の、全身性および動脈内注入の投与の組合せを、逐次的または同時のいずれかで受けてもよい。例えば、それを必要とする患者に、最初に、蓄積に基づいてベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物が全身投与されてもよく、それに続いて、動脈内注入、例えば肝動脈注入の追加の治療剤のコースが、蓄積に基づいた送達として投与されてもよい。
【0097】
[00116]処置が必要な対象はまた、全身または局所的のいずれかで(例えば動脈内注入、例えば肝動脈注入)、所定期間にわたりベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物を送達する治療剤のコースを投与することもできる。一部の実施形態において、期間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、または少なくとも5年間であり得る。投与はまた、長期的な方式で、すなわち不確定の期間または無期限にわたり行ってもよい。
【0098】
[00117]ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の投与はまた、定期的な方式で行ってもよく、例えば、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、少なくとも1日4回、少なくとも1日5回行ってもよい。ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の送達の定期的な投与は、送達の時間に加えて投与様式に依存する場合がある。例えば、非経口投与は、長期間にわたり1日1回のみで行うことができ、それに対して ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の送達の経口投与は、1日1回より多く行うことができ、その場合、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物の送達の投与は、より短い期間にわたり行われる。
【0099】
[00118]一実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に1~2日間の休止が許容される。一部の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に2~4日間の休止が許容される。他の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも2日間の休止が許容される。さらに他の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも4日間の休止が許容される。さらに他の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも6日間の休止が許容される。一部の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも1週間の休止が許容される。さらに他の実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも2週間の休止が許容される。一実施形態において、対象は、第1の治療剤のコースと第2の治療剤のコースとの間に少なくとも1ヶ月の休止が許容される。一部の実施形態において、対象は、第2の治療剤のコースと任意選択の第3の治療剤のコースとの間に少なくとも1~7日間の休止が許容される。さらに他の実施形態において、対象は、第2の治療剤のコースと任意選択の第3の治療剤のコースとの間に少なくとも1~2週間の休止が許容される。
【0100】
[00119]一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、本明細書に記載される疾患または状態に関連する細胞または微環境(例えば、がんまたは病変)におけるインターロイキン(例えば、IL-12のP40またはP35)およびチミジンキナーゼ(例えば、突然変異したHSV1-TK)の局所濃度を増加させるために投与される。一部の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、動脈内注入を介して投与され、それにより、特異的な臓器系に対する治療用ベクターの局所濃度が増加する。さらに他の実施形態において、ベクター、ベクターを含む細胞、ベクターによってコードされた組換えウイルス、または医薬組成物は、腫瘍内に投与される。一部の実施形態において、標的病変の場所に依存して、肝動脈のカテーテル法に続いて、肝臓病変を局所的に標的化するために、それぞれ膵十二指腸動脈、右肝動脈、および中肝動脈への注入が行われる。一部の実施形態において、ポリペプチドまたは送達ベクターの、肺、胃腸、脳、生殖器、脾臓または他の規定された臓器系などの他の臓器系への局所的な分布は、カテーテル法または他の局所送達系を介して達成される。一部の実施形態において、動脈内注入は、他のあらゆる利用可能な動脈源を介して達成され、そのような動脈源の例としては、これらに限定されないが、肝動脈、大脳動脈、冠状動脈、肺動脈、腸骨動脈、腹腔動脈、胃動脈、脾動脈、腎動脈、生殖腺動脈、鎖骨下動脈、椎骨動脈、腋窩動脈、上腕動脈、橈骨動脈、尺骨動脈、頸動脈、大腿動脈、下腸間膜動脈および/または上腸間膜動脈を介した注入が挙げられる。一部の実施形態において、動脈内注入は、血管内処置、経皮処置または切開を伴う外科的アプローチを使用して達成される。
【0101】
医薬組成物
[00120]対象にワクチン接種するための、治療剤(例えば、本明細書に記載されるベクターまたはベクターを含む細胞)または抗原を含む医薬組成物が本明細書に記載される。一部の態様において、本明細書に記載されるベクターと接触させた細胞は、インビボまたはインビトロにおいて、インターロイキン(例えば、IL-12のP40またはP35)、チミジンキナーゼ(例えば、突然変異したHSV1-TK)、または本明細書に記載される抗原を発現する。一部の態様において、細胞は、対象から得られ;インビトロの環境において拡大増殖され;対象における疾患または状態を処置するかまたは対象にワクチン接種するために、対象に投与し戻される。一部の実施形態において、本明細書に記載される少なくとも1つのベクターまたは少なくとも1つのベクターと接触させた細胞は、ワクチンに製剤化することができる。一部の実施形態において、本明細書に記載される少なくとも1つのベクターは、RNAワクチンに製剤化される。一部の実施形態において、記載される少なくとも1つのベクターは、mRNAワクチンに製剤化され、この場合、抗原は、ベクターのペイロードとしてmRNAによってコードされる。一部の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されるベクターによってコードされた組換えウイルスを含む。例えば、医薬組成物は、樹状細胞を標的化するための改変されたシンドビスウイルスを含んでいてもよい。一部の実施形態において、ワクチンは、本明細書に記載される少なくとも2つのベクターを含み、少なくとも2つのベクターは、異なるペイロードをコードしていてもよい。一部の実施形態において、ベクターは、本明細書に記載される突然変異インテグラーゼを含み、ベクターはもはや細胞のゲノムに挿入できなくなる。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異逆転写酵素を含み、ベクターの核酸(例えば、RNA)はもはや、DNAに変換されてその後細胞のゲノムに挿入することができなくなる。一部の実施形態において、ベクターは、突然変異インテグラーゼと突然変異逆転写酵素の両方を含む。一部の態様において、細胞は、対象由来ではない源から得られる。一部の態様において、細胞は、細胞株から得られる。一部の実施形態において、細胞は、医薬組成物に製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されるヌクレオシド剤を含む。
【0102】
[00121]一部の態様において、医薬組成物は、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む。一部の態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書に記載される細胞以外の少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む。一部の態様において、少なくとも1つの追加の活性薬剤は、化学療法剤、細胞傷害性物質、サイトカイン、増殖阻害薬剤、抗ホルモン剤、抗血管形成剤、またはチェックポイント阻害剤である。
【0103】
[00122]一部の態様において、医薬組成物は、それを必要とする対象にワクチン接種するための、免疫応答を増大するためのアジュバントを含む。一部の実施形態において、アジュバントは、鎮痛薬アジュバントを含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、アラム、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、または水酸化燐灰石などの無機化合物を含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、鉱油またはパラフィン油を含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、不活性化されたBordetella pertussis、Mycobacterium bovis、トールオキソイド(tor oxoids)などの細菌産物を含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、スクアレンのような非細菌性の有機物質を含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、洗浄剤(Quil A)などの送達系の使用を含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、植物サポニン、例えばキラヤ、ダイズ、またはセネガ(Polygala senega)由来のサポニンを含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、フロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントを含んでいてもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、落花生油のような食物ベースの油を含んでいてもよい。
【0104】
[00123]本明細書で提供される処置または使用の方法を実施することにおいて、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物が、処置しようとする疾患または状態、例えばがんまたは病変を有する哺乳動物に投与される。一部の態様において、哺乳動物は、ヒトである。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される治療剤の効力および他の要因に応じて広範に変更することができる。本明細書に記載される治療剤、一部のケースでは組成物は、単独で使用してもよいし、または混合物の成分としての1種または複数の治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0105】
[00124]本明細書に記載される医薬組成物は、適切な投与経路によって対象に投与することができ、このような経路の例としては、これらに限定されないが、気管支洗浄液、舌下、静脈内、動脈内、経口、非経口、口腔、局所、経皮、直腸、筋肉内、皮下、骨内、経粘膜、吸入法、または腹膜内投与経路が挙げられる。本明細書に記載される組成物としては、これらに限定されないが、水性液状分散剤、自己乳化型分散剤、固溶体、リポソーム分散剤、エアロゾル、固体剤形、粉末、即時放出製剤、放出制御製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、徐放性製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ならびに混合即時放出製剤および放出制御製剤が挙げられる。
【0106】
[00125]治療剤を含む医薬組成物は、従来の方式で製造することができ、例えば、単なる一例として、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠の形成、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスによって製造することができる。
【0107】
[00126]医薬組成物は、少なくとも外因性の治療剤を、遊離酸もしくは遊離塩基の形態で、または医薬的に許容される塩の形態での活性成分として含んでいてもよい。加えて、本明細書に記載される方法および組成物は、N-酸化物(場合により)、結晶形態、非晶質相、加えて、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物の使用を含む。一部の態様において、治療剤は、非溶媒和の形態で、または例えば水、エタノールなどの医薬的に許容される溶媒との溶媒和の形態で存在する。治療剤の溶媒和の形態も、本明細書で開示されているものとみなされる。
【0108】
[00127]特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、微生物活性を阻害するための1種または複数の保存剤を含む。好適な保存剤としては、水銀を含有する物質、例えばホウ酸フェニル水銀およびチオメルサール;安定化された二酸化塩素;ならびに第四アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
【0109】
[00128]一部の態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオールを含有する化合物および他の一般的な安定化剤から利益を得る。このような安定化剤の例としては、これらに限定されないが、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、I 約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)多硫酸ペントサンおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの2価カチオン;または(n)それらの組合せが挙げられる。
【0110】
[00129]本明細書に記載される医薬組成物は、あらゆる好適な剤形に製剤化することができ、そのような剤形としては、これらに限定されないが、水性経口分散剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤、固体経口用剤形、エアロゾル形、放出制御製剤、速溶製剤、発泡性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、徐放性製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ならびに混合即時放出剤および放出制御製剤が挙げられる。一態様において、本明細書で論じられる治療剤、例えば治療剤は、筋肉内、皮下、または静脈注射に好適な医薬組成物に製剤化される。一態様において、筋肉内、皮下、または静脈注射に好適な製剤は、滅菌注射用溶液または分散剤に再水和するための、生理学的に許容される滅菌水性または非水性溶液、分散剤、懸濁剤または乳剤、および滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン-グリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤のケースでは必要な粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。一部の態様において、皮下注射に好適な製剤はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤などの添加剤も含有する。微生物の増殖の防止は、様々な抗菌剤や抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。一部のケースにおいて、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい。注射可能な医薬の形態の持効性吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅延させる物質の使用によって生じさせることができる。
【0111】
[00130]静脈注射または点滴または注入の場合、本明細書に記載される医薬組成物は、水溶液の形態で、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤、例えばハンクス溶液、リンゲル液、または生理的緩衝食塩水の形態で製剤化される。経粘膜投与の場合、透過させようとするバリアに適切な浸透剤が製剤で使用される。他の非経口の注射剤の場合、適切な製剤は、水性または非水性溶液を、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤または賦形剤と共にを含む。
【0112】
[00131]非経口の注射剤は、ボーラス注射または連続注入を含む場合もある。注射のための医薬組成物は、単位剤形で、例えば添加された保存剤を含むアンプルまたは複数回用量用の容器の形態で存在していてもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の滅菌懸濁剤、溶剤または乳剤として、非経口の注射剤に好適な形態であってもよいし、懸濁化、安定化および/または分散剤などの成形剤を含有していてもよい。一態様において、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態である。
【0113】
[00132]吸入による投与の場合、治療剤は、エアロゾル剤、ミスト剤または散剤として使用するために製剤化される。本明細書に記載される医薬組成物は、都合のよい形態としては、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用した、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー供給の形態で送達される。加圧したエアロゾルのケースにおいて、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器または注入器における使用のための、本明細書に記載される治療剤と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末ベースとの粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジ、例えば、単なる一例として、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが製剤化されてもよい。組成物を含む製剤は、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、フルオロカーボン、および/または当業界において公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を採用する生理食塩水中の溶液として調製される。好ましくは、これらの組成物および製剤は、好適な非毒性の医薬的に許容される成分を用いて調製される。好適な担体の選択は、所望の経鼻剤形、例えば、溶液剤、懸濁剤、軟膏剤、またはゲル剤の正確な性質に依存する。経鼻剤形は、一般的に、活性成分に加えて大量の水を含有する。少量の他の成分、例えばpH調節剤、乳化剤もしくは分散剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤、または緩衝化剤および他の安定化剤および可溶化剤が任意選択で存在する。好ましくは、経鼻剤形は、鼻の分泌物と等張であるべきである。
【0114】
[00133]別の態様において、剤形としては、マイクロカプセル化された製剤が挙げられる。一部の態様において、1種または複数の他の適合性の材料が、マイクロカプセル化材料中に存在する。材料の非限定的な例としては、pH調節剤、浸食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、および担体材料、例えばバインダー、懸濁化剤、崩壊剤、増量剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤が挙げられる。
【0115】
[00134]経口投与のための液体製剤剤形は、任意選択で、これらに限定されないが、医薬的に許容される水性経口分散剤、乳剤、溶液剤、エリキシル剤、ゲル剤、およびシロップ剤からなる群から選択される水性懸濁剤である。治療剤に加えて、液体剤形は、任意選択で、添加剤、例えば(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)少なくとも1つの保存剤、(e)粘度増強薬剤、(f)少なくとも1種の甘味剤、および(g)少なくとも1種の矯味矯臭剤を含む。一部の態様において、水性分散剤は、結晶形成阻害剤をさらに含む。
【0116】
[00135]一部の態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、自己乳化型薬物送達系(SEDDS)であってもよい。乳剤は、一方の不混和性相が他方に通常は液滴の形態で分散したものである。一般的に、乳剤は、力強い機械的分散によって作製される。SEDDSは、乳剤またはマイクロエマルジョンとは対照的に、過量の水に添加されると、いかなる外部の機械的分散またはかき混ぜがなくとも自発的に乳剤を形成する。SEDDSの利点は、溶液全体に液滴を分散させるのに穏やかな混合のみを必要とすることである。加えて、水または水性相は、任意選択で投与の直前に添加され、それにより不安定な、または疎水性の活性成分の安定性を確保する。したがって、SEDDSは、疎水性活性成分の経口および非経口送達のための有効な送達系を提供する。一部の態様において、SEDDSは、疎水性活性成分の生物学的利用率における改善を提供する。
【0117】
[00136]口腔製剤は、当業界において公知の様々な製剤を使用して投与される。加えて、本明細書に記載される口腔剤形は、剤形を口腔粘膜に接着させるのにも役立つ生体内分解性(加水分解性)のポリマー担体をさらに含んでいてもよい。口腔または舌下投与の場合、組成物は、従来の方式で製剤化される錠剤、ロゼンジ剤、またはゲル剤の形態をとっていてもよい。
【0118】
[00137]静脈注射の場合、医薬組成物は、任意選択で、水溶液の形態で、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤、例えばハンクス溶液、リンゲル液、または生理的緩衝食塩水中の水溶液の形態で製剤化される。経粘膜投与の場合、透過させようとするバリアに適切な浸透剤が製剤で使用される。他の非経口の注射剤の場合、適切な製剤は、水性または非水性溶液を、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤または賦形剤と共に含む。
【0119】
[00138]非経口の注射剤は、任意選択でボーラス注射または連続注入を含む。注射のための製剤は、任意選択で、単位剤形で、例えば添加された保存剤を含むアンプルまたは複数回用量用の容器で存在する。一部の態様において、本明細書に記載される組成物は、油性または水性ビヒクル中の滅菌懸濁剤、溶液剤または乳剤として非経口の注射剤に好適な形態であり、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの成形剤を含有する。非経口投与のための組成物は、水溶性形態で頸動脈小体の活性をモジュレートする薬剤の水溶液を含む。加えて、頸動脈小体の活性をモジュレートする薬剤の懸濁剤、例えば油性懸濁注射液は、任意選択で、必要に応じて調製される。
【0120】
[00139]従来の製剤技術としては、例えば、以下の方法:(1)乾式混合、(2)直接圧縮、(3)磨砕、(4)乾式もしくは非水性顆粒化、(5)湿式造粒、または(6)融合の1つまたは組合せが挙げられる。他の方法としては、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、顆粒化、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ワースターコーティング)、タンジェンシャルコーティング(tangential coating)、トップスプレー(top spraying)、錠剤形成、押出し成形などが挙げられる。
【0121】
[00140]一部の態様において、治療剤の粒子と、対象への経口投与のための少なくとも1種の分散剤または懸濁化剤とを含む医薬組成物が提供され得る。この製剤は、懸濁のための粉末および/または顆粒であってもよく、水と混合すると、実質的に一様の懸濁剤が得られる。
【0122】
[00141]一部の態様において、医薬組成物は、インビボまたはエクスビボの適用のいずれかのために、ベクターの細胞との結合および/または細胞への侵入を容易にする薬剤を含んでいてもよい。患者、対象、または患者もしくは対象から得られた細胞に投与する前に、本明細書に記載されるベクターとの共投与またはそのようなベクターとの事前の製剤のいずれかのために、特定の医薬組成物は、ポリカチオン性物質を含んでいてもよい。このようなポリカチオン性物質としては、これらに限定されないが、ポリブレン、硫酸プロタミン、または組換えヒトフィブロネクチンが挙げられる。
【0123】
[00142]さらに、医薬組成物は、任意選択で1種または複数のpH調節剤または緩衝剤を含み、その例としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝剤が挙げられる。このような酸、塩基および緩衝剤は、組成物のpHを許容できる範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0124】
[00143]加えて、医薬組成物は、任意選択で、1種または複数の塩を、医薬組成物の浸透圧重量モル濃度を許容できる範囲にするのに必要な量で含む。このような塩としては、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンと、塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸水素、硫酸、チオ硫酸または重亜硫酸アニオンとを有するものが挙げられ、好適な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、および硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0125】
[00144]一実施形態において、本明細書に記載される水性懸濁剤および分散剤は、少なくとも4時間、均質な状態のままである。一実施形態において、水性懸濁剤は、1分間未満継続する物理的なかき混ぜによって、均質な懸濁剤に再懸濁される。さらに別の実施形態において、均一な水性分散液を維持するのにかき混ぜは必要ではない。
【0126】
[00145]経鼻投与のためのエアロゾル製剤は、一般的に、液滴またはスプレーの形態で鼻道に投与されるように設計された水溶液である。鼻用溶液は、それらが全体的に等張であり、約5.5~約6.5のpHを維持するようにわずかに緩衝化されているという点で鼻の分泌物と類似していてもよいが、この範囲外のpH値も加えて使用できる。抗微生物剤または保存剤も製剤に含まれていてもよい。
【0127】
[00146]吸入および吸入剤のためのエアロゾル製剤は、経鼻または経口呼吸器経路によって投与される場合、薬剤または薬剤の組合せが対象の呼吸樹に運搬されるように設計することができる。吸入溶液は、例えばネブライザーによって投与されてもよい。微粉末化されたかまたは液体の薬物を含む吸入または通気は、例えば分配に役立つように、噴射剤中の薬剤または薬剤の組合せの溶液または懸濁剤の医薬エアロゾルとして、呼吸器系に送達されてもよい。噴射剤は、液化ガスであってもよく、その例としては、ハロカーボン、例えば、フッ素化塩素化炭化水素、ハイドロクロロフルオロカーボン、およびハイドロクロロカーボンなどのフルオロカーボン、加えて、炭化水素および炭化水素エーテルが挙げられる。エアロゾル製剤はまた、他の成分を含んでいてもよく、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、加えて、界面活性剤または油および洗浄剤などの他の成分を含んでいてもよい。これらの成分は、製剤を安定化させたり、および/またはバルブ成分を潤滑化したりするのに役立つ可能性がある。
【0128】
キット
[00147]一部の態様において、本明細書に記載されるベクターを使用するためのキットが本明細書に記載される。一部の実施形態において、キットは、対象における疾患または状態を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、キットは、対象にワクチン接種するために使用することができる。一部の態様において、キットは、ベクターまたはベクターを含む細胞から離れて、材料または成分の群を含む。一部の態様において、キットは、合成された、および/または本明細書に記載される細胞によって放出されるかもしくは発現された生体分子(例えば、ベクター、細胞、IL-12、突然変異HSV1-TK、スパイクタンパク質もしくはHAタンパク質などの抗原、またはそれらの組合せを含む治療剤)単位数をアッセイするための成分を含む。一部の態様において、キットは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、単一分子アレイ(Simoa)、PCR、およびqPCRなどのアッセイを実行するための成分を含む。キット中の構成される成分の正確な性質は、その意図する目的に依存する。例えば、キットは、対象における本明細書で開示される疾患または状態(例えば、がんまたは病変)を処置する目的のために設計されていてもよい。一部の態様において、キットは、特定には、哺乳類対象を処置する目的のために設計される。一部の態様において、キットは、特定には、ヒト対象を処置する目的のために設計される。一部の態様において、キットは、特定には、哺乳類対象にワクチン接種する目的のために設計される。一部の態様において、キットは、特定には、ヒト対象にワクチン接種する目的のために設計される。
【0129】
[00148]使用説明書がキットに含まれていてもよい。一部の態様において、キットは、本明細書に記載されるベクター、細胞、または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することに関する説明書を含む。一部の態様において、キットは、生体分子(例えば、IL-12、突然変異HSV1-TK、または抗原を含む治療剤)を発現するようにベクターまたは細胞をさらに操作することに関する説明書を含む。一部の態様において、キットは、貯蔵または輸送中に保存されていた可能性がある細胞を融解させること、またはそれ以外の方法で細胞の生物学的活性を回復させる説明書を含む。一部の態様において、キットは、その意図する目的(例えば、対象を処置するために使用される場合、治療効能)に関する効能を確認するために、保存された細胞の生存率を測定することに関する説明書を含む。
【0130】
[00149]任意選択で、キットはまた、他の有用な成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、医薬的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペッティングもしくは測定ツール、包帯材料または他の有用な装備も含有する。操作性および有用性を保存するいずれかの便利で好適な方法で貯蔵された、キットに組み立てられた材料または成分が、医師に提供されてもよい。例えば、成分は、溶解した、脱水した、または凍結乾燥した形態であってもよく、それらは、室温、冷蔵温度または冷凍温度で提供されてもよい。成分は、典型的には好適なパッケージング材料に含有される。
【0131】
[00150]独立した、または連続的な用語の使用、例えば、「であろう」、「ではないであろう」、「であるものとする」、「ではないものとする」、「でなければならない」、「である必要はない」、「最初に」、「初期に」、「次に」、「続いて」、「~の前に」、「~の後に」、「最後に」、および「最終的に」の使用は、本明細書で開示される本発明の実施形態の範囲を限定することを意味せず、例示的であることを意味する。
【0132】
[00151]単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本明細書で使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、同様に複数形の形態を含むことが意図される。さらに、用語「包含する」、「包含すること」、「有する」、「有すること」、「と共に」、またはそれらの派生語は、このような用語が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度に用語「含む」と類似した方式で包括的であることが意図される。
【0133】
[00152]語句「少なくとも1つの」、「1つまたは複数の」、および「および/または」は、本明細書で使用される場合、接続的および離接的の両方が有効なオープンエンドの表現である。例えば、表現「A、BおよびCの少なくとも1つ」、「A、B、またはCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCの1つまたは複数」、「A、B、またはCの1つまたは複数」および「A、B、および/またはC」のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、AとBが一緒、AとCが一緒、BとCが一緒、またはA、BおよびCが一緒を意味する。
【0134】
[00153]「または」は、本明細書で使用される場合、「および」、「または」、または「および/または」を指す場合もあり、独占的と包括的の両方で使用することができる。例えば、用語「AまたはB」は、「AまたはB」、「BではなくA」、「AではなくB」、および「AおよびB」を指す場合もある。一部のケースにおいて、文脈によって特定の意味を有する場合もある。
【0135】
[00154]本明細書に記載されるいずれのシステム、方法、ソフトウェア、およびプラットフォームも、モジュールである。したがって、「第1」および「第2」などの用語は、必ずしも優先度、重要性の順番、または実行の順番を示すわけではない。
【0136】
[00155]用語「約」は、数または数値範囲に対して言及される場合、言及された数または数値範囲が、実験上のばらつきの範囲内(または統計上の実験誤差の範囲内)の近似値であることを意味し、数または数値範囲は、例えば述べられた数または数値範囲の1%から15%まで変動し得る。実施例において、用語「約」は、述べられた数または値の±10%を指す。
【0137】
[00156]用語「増加した」、「増加させること」、または「増加させる」は、本明細書において、一般的に、統計学的に(statically)有意な量での増加を意味するのに使用される。一部の態様において、用語「増加した」、または「増加する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増加を意味し、例えば、参照レベル、標準、または対照と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加、または100%を含む最大100%の増加、または10から100%の間のあらゆる増加を意味する。「増加」の他の例としては、参照レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれより多くの増加が挙げられる。
【0138】
[00157]用語「減少した」、「減少すること」、または「減少する」は、本明細書において、一般的に、統計学的に有意な量での減少を意味するものとして使用される。一部の態様において、「減少した」または「減少する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の低減を意味し、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の減少、または100%を含む最大100%の減少(例えば、参照レベルと比較して、非存在レベルまたは検出不可能なレベル)、または10から100%の間のあらゆる減少を意味する。マーカーまたは症状の文脈において、これらの用語は、このようなレベルの統計学的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%またはそれより多くの減少であってもよく、好ましくは、所与の疾患がない個体の場合の正常の範囲内として容認されるレベルへの低下である。
【0139】
[00158]「核酸」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つの共有結合で連結されたヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログサブユニットを含有するポリヌクレオチドを指す。核酸は、一般的に、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはDNAもしくはRNAのアナログである。核酸は、一般的に、一本鎖、二本鎖、またはそれらの混合物である。本明細書における目的によって、別段の規定がない限り、核酸は二本鎖であるか、または文脈から明白である。
【0140】
[00159]「DNA」は、本明細書で使用される場合、全てのタイプおよびサイズのDNA分子を含み、例えば、cDNA、プラスミド、ならびに改変されたヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含むDNAなどを含むことを意味する。
【0141】
[00160]「ヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、ヌクレオシド一、二、および三リン酸を含む。またヌクレオチドとしては、改変されたヌクレオチド、例えば、これらに限定されないが、ホスホロチオエートヌクレオチドおよびデアザプリンヌクレオチド、ならびに他のヌクレオチドアナログも挙げられる。
【0142】
[00161]用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態を意味し、その例としては、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。このような用語はまた、一本鎖および二本鎖DNA、加えて、一本鎖および二本鎖RNAも含む。この用語はまた、改変されたポリヌクレオチド、例えばメチル化された、またはキャップされたポリヌクレオチドも含む。
【0143】
[00162]用語「対象」は、本明細書で使用される場合、大きいDNA分子が導入される動物、植物、昆虫、および鳥を指す。哺乳動物および鳥などの高等生物も含まれ、例えば、例えばヒト、霊長類、げっ歯類、ウシ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、ウマ、ニワトリなどである。対象は、疾患または状態を有していてもよいし、または有していてなくてもよい。
【0144】
[00163]「対象に投与すること」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の送達薬剤および/または大きい核酸分子が、一緒にまたは別々に、対象に存在する標的細胞が最終的に薬剤および/または大きい核酸分子と接触するように対象に導入されるかまたは対象上に適用される手順である。
【0145】
[00164]「送達ベクター」または「送達ビヒクル」または「治療用ベクター」または「治療システム」は、本明細書で使用される場合、外因性の核酸分子を内包し標的細胞または組織にそれを輸送するウイルスおよび非ウイルス粒子の両方を指す。ウイルスビヒクルとしては、これらに限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが挙げられる。非ウイルスビヒクルとしては、これらに限定されないが、マイクロパーティクル、ナノ粒子、ビロソームおよびリポソームが挙げられる。「標的化」は、本明細書で使用される場合、送達媒体と会合し、ビヒクルを細胞または組織に標的化するリガンドの使用を指す。リガンドとしては、これらに限定されないが、抗体、受容体およびコラーゲン結合ドメインが挙げられる。
【0146】
[00165]「送達」は、「形質導入」と同義的に使用され、本明細書で使用される場合、外因性の核酸分子が細胞の内部に配置されるように、それが細胞に移行されるプロセスを指す。核酸の送達は、核酸の発現とは別個のプロセスである。
【0147】
[00166]「発現」は、本明細書で使用される場合、核酸がポリペプチドに翻訳されるか、または例えばポリペプチドもしくはタンパク質に翻訳することができるRNAに転写されるプロセスを指す。核酸がゲノムDNAから誘導される場合、発現は、適切な真核宿主細胞または生物が選択される場合、mRNAのスプライシングを含む。宿主細胞において異種核酸を発現させる場合、最初に異種核酸は細胞に送達され、次いで、細胞中に入ったら、最終的に核に存在するようにする必要がある。一部の態様において、発現は、遺伝子組み込みから独立して起こる。
【0148】
[00167]「治療剤のコース」は、本明細書で使用される場合、所定期間内における本明細書で開示されるベクターの定期的な、または時間を定められた投与を指す。このような期間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも6ヶ月である。投与はまた、長期的な方式で、すなわち不確定の期間にわたり行ってもよい。定期的な、または時間を定められた投与としては、1日1回、1日2回、1日3回または他の設定された時間を定められた投与が挙げられる。
【0149】
[00168]用語「共投与」、「~と組み合わせて投与される」およびそれらの文法的に等しいものなどは、本明細書で使用される場合、単一の患者への選択された治療剤の投与を包含することを意味し、同一もしくは異なる投与経路によって、または同一もしくは異なる時間に薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図される。一部の実施形態において、本出願で開示され治療剤は、他の薬剤と共投与されると予想される。これらの用語は、両方の薬剤および/またはそれらの代謝産物が動物中に同時に存在するように、2種またはそれより多くの薬剤を動物に投与することを包含する。その例としては、別々の組成物での同時投与、別々の組成物での異なる時間での投与、および/または両方の薬剤が存在する組成物での投与が挙げられる。したがって、一部の実施形態において、治療剤および他の薬剤は、単一の組成物の形態で投与される。一部の実施形態において、治療剤および他の薬剤は、組成物中で混和されている。さらなる実施形態において、治療剤および他の薬剤は、別々の時間に別々の用量で投与される。
【0150】
[00169]用語「突然変異チミジンキナーゼ」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される具体的なタンパク質(加えてこれらのタンパク質をコードする核酸配列)だけでなく、生物学的活性を保持する一次タンパク質の様々な構造的な形態を含み得るその誘導体も指す。
【0151】
[00170]用語「突然変異した」または「別のヌクレオチドで置き換えられた」は、本明細書で使用される場合、特定の位置におけるヌクレオチドが、その位置で、突然変異していないかまたはそれまでに突然変異した配列に存在するもの以外のヌクレオチドによって置き換えられていることを意味する。すなわち、一部の場合において、特定の改変が、異なるヌクレオチドでなされていてもよい。一部の実施形態において、置き換えは、関連するスプライスドナーおよび/またはアクセプター部位がもはや遺伝子中に存在しなくなるようになされる。
【0152】
[00171]「極性アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸残基Asn(N)、Cys(C)、Gln(Q)、Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)またはTyr(Y)を指す。
【0153】
[00172]「非極性アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸残基Ala(A)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Pro(P)、Trp(W)、またはVal(V)を指す。
【0154】
[00173]「塩基性アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸残基Arg(R)、His(H)、またはLys(K)を指す。
[00174]「酸性アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸残基Asp(D)またはGlu(E)を指す。
【0155】
[00175]「アジュバント」は、本明細書に記載される場合、抗原と組み合わせて、抗原に対する適応免疫応答を促進する物質を指す。「免疫刺激性化合物」は、自然免疫系と特異的に相互作用して、最終的に免疫応答の適応性成分(例えば、B細胞、T細胞)の発生を引き起こす「危険シグナル」を開始させる物質を指す。免疫刺激性化合物としては、天然に存在するかまたは合成のいずれかの、病原体関連分子パターン(PAMP)、例えばdsRNA、リポ多糖、およびCpG DNAが挙げられる。免疫刺激性化合物は、Toll様受容体(TLR)、NOD様受容体、RIG-1またはMDA-5受容体、C型レクチン受容体、またはSTING経路などの様々な自然免疫受容体のアゴニストである。
【0156】
[00176]本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し説明したが、このような実施形態は単なる一例として提供されることが当業者にとって明白であろう。明細書内に提供される具体的な実施例によって本発明が限定されることは意図されない。前述の明細書を参照しながら本発明を説明したが、本明細書における実施形態の説明および例証は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。ここで当業者であれば多数のバリエーション、変更、および置換が本発明から逸脱することなく想起されるであろう。さらに、本発明の全ての態様は、本明細書に記載される具体的な描写、配置または相対的比率に限定されず、これらは様々な条件および変数に依存することが理解されるものとする。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施において採用できることが理解されるものとする。したがって、本発明は、このようなあらゆる代替案、改変、バリエーションまたは均等物も網羅するものとすることが予期される。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義すること、さらに、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物は、それによって網羅されることが意図される。
【実施例
【0157】
[00177]以下の説明に役立つ例は、本明細書に記載される刺激、システム、および方法の実施形態の代表例であり、限定することはまったく意味しない。
実施例1.インテグラーゼ欠損ベクターの生成
[00178]レトロウイルスのウイルスサイクルの簡易化バージョン:逆転写酵素(RT)である酵素が、レトロウイルスのRNAゲノムのcDNAを生成した後、即座にウイルス酵素であるインテグラーゼに結合する二本鎖DNAを生産する。インテグラーゼは、ウイルスDNAを運搬し、その宿主ゲノムへの組み込みを触媒する主要な酵素である。インテグラーゼはgagpol遺伝子の一部であり、これは、ポリタンパク質配列に翻訳され、これがウイルスプロテアーゼによってプロセシングされて、7種のタンパク質をもたらす。インテグラーゼ(INT)は、Gag-PolのC末端における408aaのタンパク質である(表2)。
【0158】
【表2】
【0159】
[00179]インテグラーゼ欠損レトロウイルスベクターでの比較研究は、それらのインテグラーゼおよび異なるドメインの構造を決定した。図1は、インテグラーゼ機能にとって重要なMg2+結合モチーフを形成するD、D、およびEアミノ酸三つ組みを例示する。
【0160】
[00180]加えて、逆転写酵素(RT)で突然変異して逆転写酵素欠損レトロウイルスベクターを生成する可能性があるアミノ酸残基を決定するために、比較研究を利用した。以下の2つのアプローチを採用した:RT酵素の活性部位における3つのアミノ酸突然変異;および本明細書に記載されるペイロードベクター上のRT結合領域における塩基突然変異(人工プライマー結合部位(aPBS)。
7種の突然変異インテグラーゼ配列の生成
[00181]塩基置換を導入して、MLVのgagpol遺伝子のインテグラーゼ触媒コアドメイン配列におけるアミノ酸を変更した。野生型gagpol(wtGP)配列、ベクターpGP340-VKSに単一の塩基突然変異を導入するように設計されたプライマーを用いた部位特異的変異誘発(Q5部位特異的変異誘発キット、NEBを使用して)によって、触媒コアドメインに単一の塩基突然変異を導入した。生成した第1の突然変異体はD184Aであった(図2)。一つの塩基のコドンがGACからGCCに変化した。(gagpol遺伝子の塩基4541における点突然変異)。同じ手順を使用して、単一の突然変異体D125A(GACからGcGへ)およびE220A(GAGからGcGへ)(プライマー設計;図3)を生成した。二重突然変異体の生成に進む前に、単一の突然変異をシーケンシング(Laragen,Inc.、CA)によって確認した。事前に得られシーケンシングされた単一の突然変異体に対して選択されたプライマーを用いて行われた部位変異誘発の第2のラウンドを介して、二重突然変異体を生成した。二重突然変異体D184A/E220Aに対する第3のラウンドの部位特異的変異誘発によって、三重突然変異体を生成した。全てのベクターを制限酵素消化によって分析し、突然変異をシーケンシングによって確認した(Laragen,Inc.、CA)。表3は、本明細書に記載される7種の例示的な突然変異gagpol配列を例示する。表4は、野生型インテグラーゼ(配列番号1)および7種の突然変異インテグラーゼ(配列番号2~8)のアミノ酸位置106~アミノ酸位置287にわたるインテグラーゼ断片のポリペプチド配列を例示する。コドンの最後の2つの塩基をGATからGCCに変更した(gagpol遺伝子の塩基4541およびそれに近い所の点突然変異)。単一点突然変異を突然変異D184AおよびE220Aで使用し、それぞれGACをGCCに、GAGをGCGに変換した。
【0161】
【表3】
【0162】
【表4-1】
【0163】
【表4-2】
【0164】
野生型Gag-polにより生産した粒子との比較
[00182]各インテグラーゼ欠損ベクターを用いてウイルス上清を生産し(エンベローププラスミドおよびペイロード/レポータープラスミドでの293T細胞の三重のトランスフェクションを使用して)、wtGPベクターで作製された粒子と特性を比較した。類似のタイターを得たことから(図4)、インテグラーゼ突然変異は、ウイルス粒子を生成するのに必要なGag-polの他の機能に干渉しないことが実証される。
経時的な感染力およびペイロード発現
[00183]慣例的な標的細胞株A375(ヒト黒色腫)を、ウイルスベクター上清で形質導入した。ペイロードの発現を、視覚的に(GFPペイロード)、FACS(vTKの場合)、またはペイロード活性(ペイロード中のルシフェラーゼレポーター遺伝子)またはvTK活性(GCVによって誘導された細胞の致死アッセイ)によって分析した。結果は、突然変異がウイルスエンベロープ生産に干渉しなかったことを実証した。ペイロードタンパク質発現のレベルは、インテグラーゼ突然変異がペイロード発現のレベルに干渉しなかったことを実証した(ペイロードvTKの発現および活性を反映する細胞の致死によって;加えて、vTKタンパク質のウェスタンブロッティングによって検査した;図5および図6)。ペイロードタンパク質発現のタイミングは、インテグラーゼを機能不全にする突然変異によって、ペイロード遺伝子を宿主ゲノムに組み込むことができず、結果としてペイロードタンパク質発現のレベルが経時的に減少したことを実証した(細胞の致死アッセイにおけるGCV感受性の喪失、図5;ウェスタンブロッティングにおけるvTKタンパク質バンド強度の減衰、図6)。vTK遺伝子組み込みの欠如は、相対的な組み込みのqPCRによって経時的に実証されたことから、突然変異がインテグラーゼを無効化したことが確認された(図7および図8)。生成した各突然変異インテグラーゼ配列に関して記録された特徴の慎重な評価の後に、単一の突然変異体(D184A)および二重突然変異体(D125A-D184A)を選択した。
製造用ベクターインテグラーゼ欠損細胞株の生成
[00184]各インテグラーゼ欠損ベクターを有するパッケージング細胞株の生成を容易にするために、選択されたインテグラーゼ突然変異を有するgagpol配列を、gagpolベクターコンストラクトにクローニングし、シーケンシングした。エンベロープを発現する293Tパッケージング細胞株をインテグラーゼ欠損gagpolレトロウイルスベクターで形質転換し、試験した。
パッケージング細胞株の試験
[00185]3つ全てのパッケージング細胞株を本明細書に記載されるベクターでトランスフェクトすることによって、インテグラーゼ欠損パッケージング株をwtGPと比較した。得られたタイターは類似の範囲内であった(表5)。vTKを発現させて、インテグラーゼ欠損粒子から非組み込みを観察するために、ウイルスベクター上清を使用して、慣例的な標的細胞株A375を2e7ベクターゲノム/mLで形質導入した。vTKの発現は、形質導入後の所与の時間に細胞がGCVに曝露された細胞の致死アッセイによって反映される。形質導入後の3日目に、細胞の致死パーセンテージは、wtGP、mutGP-D184AおよびmutGP-D125A/D184Aに対してそれぞれ79%、59%および69%であった。7日目に、インテグラーゼ欠損粒子で形質導入された細胞において、細胞の致死活性がおよそ80%少なくなり、23日目にほぼゼロに至った。
【0165】
【表5】
【0166】
インテグラーゼ欠損ベクター製造用細胞株の生成
[00186]エンベロープおよびインテグラーゼ欠損gagpolを発現する293Tパッケージング細胞株を、本明細書に記載されるペイロードベクターで形質転換して、インテグラーゼ欠損ベクター製造用細胞株を生成し、それに続いてペイロード配列が薬物選択マーカーを有さない場合、単一細胞クローニングを行った。
【0167】
[00187]またD184Aベクターを有する同じインテグラーゼ欠損パッケージング細胞株は、マウスGMCSFを発現するレトロウイルスベクターを導入し、続いて細胞クローニングを行うことによって、前臨床研究にも使用された。
インテグラーゼ欠損D184Aベクター株
[00188]クローニングの第1のラウンドは、4種の陽性クローン(BC6、BF6、H6、C8)の選択をもたらした。これらの製造用細胞株によって生成したウイルス上清を、形質導入後の異なる時間で細胞をGCVに曝露する細胞の致死アッセイによって、形質導入されたA375細胞における経時的なタイターおよびvTK発現に関して比較した(表6;図10)。
【0168】
【表6】
【0169】
タイター、vTK発現プロファイル、細胞成長および形態に基づいて、クローニングの第2のラウンドのためにクローンBC6を選択した。18種の試験されたものなかから、形質導入されたA375細胞のタイターおよび細胞の致死レベルに基づいて、第2のクローンBC6-C3およびBC6-E12を選択した(図11)。クローンBC6-C3を拡大増殖し、懸濁物に適合させた。
マウスGMCSFを有するインテグラーゼ欠損D184Aベクター株
[00189]クローニングの第1のラウンドは、4種の感染性クローンの選択をもたらした(表7)。全てのなかでも、1.25E+09ベクターゲノム/mLのタイターを有し、20psiの配列コピーが組み込まれたクローンG7が最良であるとして選ばれた。
【0170】
【表7】
【0171】
試験された様々ながん細胞株においてインテグラーゼ欠損ベクターはペイロードの発現を惹起する
[00190]様々ながん細胞株を、インテグラーゼ欠損ベクターを用いて試験した。細胞がインテグラーゼ欠損レトロウイルスベクターでうまく形質導入された場合、WB、GCV-細胞の致死アッセイ、および相対的な組み込みのqPCRによって実証された通り、試験されたほとんどの株について、D7~D14の間でペイロードの発現が消失した。図12A~Cは、wtGPベクター(図12A)およびインテグラーゼ欠損突然変異ベクター(図12B)からの、様々ながん細胞株のvTK/GCV細胞の致死活性を例示する。図12Cは、wtGPベクターおよびインテグラーゼ欠損突然変異ベクターで処置した細胞における、qPCRによるベクターペイロードの相対的な組み込みを例示する。
【0172】
実施例2.SARS-CoV-2抗原の発現
[00191]インテグラーゼ欠損レトロウイルスベクター(IDRV)は、インテグラーゼ欠損Gagpolおよびあらゆる目的のペイロード遺伝子を用いて生成することができる。このようなIDRV系の一時的なタンパク質発現は、可能性のあるワクチンの使用を提供する。3つのSARS-CoV-2ワクチンペイロードを設計し、生成した。3つのプラスミド:ワクチンペイロード、IDRV1(D184A)、またはIDRV2(D125A/D184A)Gagpol、および抗原を提示する樹状細胞に標的化された両指向性エンベロープまたは改変されたシンドビスエンベロープの一過性トランスフェクションを用いて、試験を実行した。図13は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその断片をコードする核酸配列を含む組換えレトロウイルスベクターの例示的な概略図を例示する。上:SARS-CoV-2全長スパイクタンパク質をコードするレトロウイルスベクターの図表(改変を有する武漢配列)。中央:N末端ドメイン(NTD)およびS2ドメインのSARS-CoV-2スパイクタンパク質断片(改変を有する武漢配列)をコードするレトロウイルスベクターの図表。下:SARS-CoV-2全長スパイクタンパク質をコードするレトロウイルスベクターの図表(改変を有するオミクロンBA.2配列)。
【0173】
[00192]第1のワクチンは、改変を有する武漢株に基づく全長スパイクタンパク質をコードする核酸配列を含むレトロウイルスベクターであった。核酸配列を、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化した。分泌リーダー配列(IgEpsylon Fc受容体アルファ)をN末端に付加した。残基682~685におけるフューリン切断部位をRRARからSRAGに改変することにより、スパイクタンパク質を安定化することができた。セリンプロテアーゼ切断部位を、残基986および987においてプロリンに改変して、スパイク構造の融合前の形状を安定化した。
【0174】
[00193]第2のワクチンは、改変を有するSARS-CoV-2武漢株に基づくN末端ドメインおよびS2タンパク質をコードする核酸配列を含むレトロウイルスベクターであった。核酸配列を、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化した。分泌リーダー配列(IgEpsylon Fc受容体アルファ)を、S2のN末端に付加した。残基682~685におけるフューリン切断部位をRRARからSRAGに改変して、スパイクペプチドを安定化させた。セリンプロテアーゼ切断部位を、残基K986およびV987においてプロリンに改変して、構造の融合前の形状を安定化させた。
【0175】
[00194]第3のワクチンは、改変を有するオミクロンBA.2株のスパイクタンパク質をコードする核酸配列を含むレトロウイルスベクターであった。核酸配列を、ヒトのためにコドン最適化した。残基679~682におけるフューリン切断部位をRRARからSRAGに改変して、スパイクペプチドを安定化させた。K811Aにおいて追加のフューリン切断部位を除去した。セリンプロテアーゼ切断部位を、残基K983およびV984においてプロリンに改変して、スパイク構造の融合前の形状を安定化させた。追加のさらなる4つの残基を、残基F814、A889、A896、およびA939においてプロリンに改変した。シグナルペプチドをN末端に付加し、シグナルペプチドは組織プラスミノゲン活性化因子のプロペプチドであった(配列番号13:MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSASQEIHARFRR)。
【0176】
[00195]一部の態様において、ワクチン組成物は、シンドビスウイルスによってパッケージングされ、発現させることができる。一部のケースにおいて、シンドビスウイルスは、改変されたシンドビスウイルスであってもよい。シンドビスエンベロープ。アルファウイルス種のうちの1つであるシンドビスウイルス(SB)において、エンベロープ遺伝子は、4つの成分E3、E2、6K、およびE1をコードする(N末端からC末端へ)。それらはタンパク質分解によって分離し、ホモ三量体を形成する。SBエンベロープの固有な特徴は、これらの4つのサブユニットがそれら自体の機能を有することである。E3は、E2ドメインが成熟すると解離し;E2ドメインは、結合分子として役立ち;融合は、E1によって調節され、それに対して6Kの機能は不明である。ウイルス粒子の結合および融合は、E1の構造および機能に影響を及ぼすことなくE2の改変を可能にする2つの別々の動きにおいてなされる。ここでE2における残基160が突然変異して、本明細書に記載されるペイロードを含むレトロウイルスベクターをシュードタイピングすることによってヒト樹状細胞を標的化する。E160G突然変異を含む改変されたシンドビスエンベロープは、Laragen(Culver City、CA)でサンガーシーケンシングによって確認された。E160G突然変異は、注射部位で、組換えレトロウイルスベクターを抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)に標的化すると予想された(図15)。
【0177】
[00196]全ての導入遺伝子を上述したように設計し、Genscript(Piscataway、NJ)で合成した。配列を、Genscriptでサンガーシーケンシングによって確認した。導入遺伝子を発現するプラスミドを適切な制限酵素で消化し、本明細書に記載されるペイロードレトロウイルスベクターおよびレンチベクターに挿入した(例えば、図14A~14C)。全ての最終的なプラスミドを、Primordium Labs(Arcadia、CA)でシーケンシングした。
【0178】
[00197]レトロウイルスベクターを、両指向性エンベロープおよび全長スパイクペイロードまたはNTD-S2ペイロードを有する野生型gagpolまたはIDRV1(D184A)gagpolでのカルシウム/リン酸一過性トランスフェクション方法によって生成した。A375細胞を、レトロウイルスベクターで、1E+08ベクターゲノム/mLで形質導入し、その培養上清をウェスタンブロッティングによって検査した。結果(図16Aおよび図16B)から、発現のレベルは野生型gagpolでの場合より低いが、IDRV1で分泌されたスパイクタンパク質の安定な発現が実証された。NTD-S2ペイロードでも類似の結果が示された。IDRV2(D125AD184A gagpol)ベクターを用いて実験を繰り返し、図16Cで示されるように類似の結果が得られた。両方のペイロードが上清における安定な発現を示した。またレトロウイルスベクターを、スパイクタンパク質のオミクロン突然変異体、および野生型gagpolまたはIDRV2 gagpolでの一過性トランスフェクション方法によっても生成した。レトロウイルスベクターが形質導入されたA375細胞からの細胞内スパイクタンパク質を、ウェスタンブロッティングによって検査し、結果は、図17Aで示されるように高いレベルの全長スパイクタンパク質発現を実証した。
【0179】
[00198]全長スパイクペイロードレンチベクターを使用して、十分コドン最適化された両指向性エンベロープおよび野生型gagpolを有する製造用細胞株を生成し、細胞株をクローニングした。表8は、細胞株クローンの物理的なタイターを示す。これは、RT-qPCR(逆転写酵素定量PCR)によって抽出されたベクターRNAにおけるPsi配列に関して測定された。結果は、9.6E+07ベクターゲノム/mLで製造用細胞株の許容できるタイターを実証した。
【0180】
【表8】
【0181】
[00199]細胞株クローンから生産された組換えレトロウイルスベクターを、A375黒色腫細胞で試験した。形質導入の後、細胞および上清を、ウェスタンブロッティングによって、スパイクタンパク質、S2領域の発現に関して検査した。結果は、図17Bで示されるように、形質導入された細胞において全長スパイクタンパク質が生成し、細胞から分泌されたことを証明した。
【0182】
[00200]オミクロン突然変異スパイクタンパク質をコードするペイロードを有する組換えレトロウイルスベクターを、wtGPおよび両指向性エンベロープで293Tを一時的にコトランスフェクトすることによって得た。タイターは、RT-qPCRによって決定した場合、4.81E+07ベクターゲノム/mLであった。IDRV2および両指向性エンベロープを発現する製造用細胞株を生成して、オミクロン突然変異ペイロードレトロウイルスベクター粒子を生産した。RT-qPCRによって測定された2つの例示的なクローンからのタイターは、それぞれ1.63E+08ベクターゲノム/mLおよび4.67E+07ベクターゲノム/mLであった。試験細胞をオミクロン突然変異体スパイクレトロウイルスベクターで形質導入したところ、ウェスタンブロッティングによって、細胞溶解物と馴化培地(細胞培養上清)の両方でスパイクタンパク質が検出された(図18A)。オミクロン突然変異スパイクタンパク質の免疫細胞化学染色は、スパイクタンパク質の発現および試験細胞の核周囲および原形質膜領域における存在を実証した(図18B)。オミクロンレトロウイルスベクターが形質導入されたA375細胞を簡単な遠心分離方法によって分画し、血漿膜画分および非膜可溶性タンパク質をウェスタンブロッティングに供した(図18C)。スパイクタンパク質が、血漿膜画分において原形質膜マーカーであるカドヘリンと共に示差的に存在した。
【0183】
[00201]最良の一過性トランスフェクション条件を決定するために、様々な量の様々なペイロード、野生型およびIDRV gagpol、ならびにエンベロープを一過性トランスフェクション方法によって検査することができる。シンドビスE160Gを発現するレトロウイルスベクターは、樹状突起細胞を用いて検査することができる(図15)。目的のワクチンのペイロードは、ラージスケールで、例えばCS10フラスコでレトロウイルスベクターとして生成することができ、次いでカラムで精製することができる。2つのタイプの動物実験を行ってもよい。精製したレトロウイルスベクターは、標準的なBALB/cおよびC57BL/6Jマウスで、4つの異なる経路(筋肉内、舌下、鼻腔内、および皮内)によって抗体生成に関して検査することができる。IgMおよびIgG生成の両方を試験することができる。第1の動物実験からの結果の後、精製したレトロウイルスベクターは、本物のウイルスで攻撃された動物で検査することができる。例えば、ACE受容体を正常に発現するハムスターは、COVIDウイルスで攻撃し、オミクロン突然変異レトロウイルスベクターで処置することができる。
【0184】
実験的方法
[00202]全ての導入遺伝子を上述したように設計し、Genscriptで合成した。配列を、Genscriptでサンガーシーケンシングによって確認した。導入遺伝子を発現するプラスミドを適切な制限酵素で消化し、本明細書に記載されるペイロードレトロウイルスベクターに挿入した(例えば、図14A~14C)。全ての最終的なプラスミドを、Primordium Labs(Arcadia、CA)でシーケンシングした。ペイロード、野生型gagpolまたはIDRV、およびエンベロープを、293T細胞に一時的にトランスフェクトした。改変を有する全長両指向性エンベロープを発現し、完全にクローニングされ(クローンG8)、野生型gagpolを安定して発現するパッケージング293T細胞株プラットフォームを使用して、全長スパイク製造用細胞株を生成した。細胞株をさらに個別にクローニングした。ウェスタンブロッティングのために、A375細胞を、8μg/mLのポリブレンでの適切な希釈率で、レトロウイルスベクターで3日間形質導入した。サンプルを、4~20%TGX(Bio-Rad)ゲルで、135Vで75分間泳動した。PVDF膜(Thermo)に移し、1×TBST(トリス緩衝生理食塩水、0.1%Tween 20、Santa Cruz)中の3%BSA(ウシ血清アルブミン、Sigma)で、室温で1時間ブロックした後、ブロットを、0.5mg/mLでのR&D Systemsからの抗S2抗体(MAB1080100)と共に、4℃で一晩インキュベートした。次の日、1×TBSTで3回洗浄した後、ブロットを、1:2000の希釈率でアルカリホスファターゼコンジュゲート抗ウサギ抗体と共に室温で1時間インキュベートし、別の一連の洗浄の後にNBT/BCIP基質(Millipore)で発色させた。
【0185】
実施例3.インフルエンザ抗原の発現
[00203]図19は、改変を有するヘマグルチニン(HA)Stalk(保存された領域)ドメインを有するM2eをコードするためのペイロードを含む本明細書に記載されるレトロウイルスベクターを例示する。核酸配列を、ヒトのためにコドン最適化した。インフルエンザAのM2タンパク質(M2e)の細胞外ドメインは、MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号14)のアミノ酸配列を有する。改変を有する追加のHA Stalkは、ヘッド除去;グリシンリンカーループ;Cys内架橋;膜貫通除去;ループ融合ペプチド;GCN4位;およびCys間架橋を含んでいた。図20は、本明細書に記載されるレトロウイルスベクターまたはレンチベクターのペイロードとしてのM2eおよびHA4900(インフルエンザ)導入遺伝子の存在を例示する。
【0186】
[00204]M2eおよびHA4900をコードするペイロードを有する組換えレトロウイルスベクターを、wtGPおよび両指向性エンベロープで一時的にコトランスフェクトされた293Tによって生産し、ベクタータイターをRT-qPCRによって測定した。インフルエンザ抗原をコードするレトロウイルスベクターは、1.56E+08ベクターゲノム/mLを示した。RT-qPCRによって測定された、製造用クローン細胞株から生産されたインフルエンザ抗原ベクター粒子のタイターを、2つの例示的なクローンで測定したところ、1.94E+08ベクターゲノム/mLおよび1.74E+07ベクターゲノム/mLであった。製造用細胞株は、IDRV2および両指向性エンベロープを発現した。試験細胞をこのようなレトロウイルスベクターで形質導入したところ、ウェスタンブロッティングによって細胞溶解物中にHAタンパク質(ヘマグルチニン)が検出された(図21A)。HAタンパク質の免疫細胞化学染色は、HAタンパク質の発現および試験細胞の核周囲領域における局在化を実証した(図21B)。
【0187】
[00205]前述の開示は、わかりやすさと理解のために多少詳細に記載されるが、本開示の真の範囲から逸脱することなく形態および詳細における様々な変化をなすことができることは、この開示を読むことで当業者には明らかであろう。例えば、上述した全ての技術および装置は、様々な組合せで使用することができる。本出願で引用された全ての公報、特許、特許出願、および/または他の文書は、それぞれ個々の公報、特許、特許出願、および/または他の文書が、あらゆる目的のために個々に、別々に参照により組み入れられることが示されたのと同じ程度に、あらゆる目的のために参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0188】
【表9-1】
【0189】
【表9-2】
【0190】
【表9-3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21A
図21B
【配列表】
2024541940000001.xml
【国際調査報告】