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特表2024-541947ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/00 20060101AFI20241106BHJP
   C01B 6/04 20060101ALI20241106BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20241106BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20241106BHJP
【FI】
C01B3/00 B
C01B6/04
B82Y30/00
B82Y40/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525077
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2022126919
(87)【国際公開番号】W WO2023071963
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111239299.2
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JIAO TONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】800 Dongchuan Rd.,Minhang District,Shanghai,200240,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄒建新
(72)【発明者】
【氏名】朱文
(72)【発明者】
【氏名】任莉
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140AA22
4G140AA33
4G140AA34
4G140AA46
(57)【要約】
本発明は、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法を開示し、二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、再び積み重ねさせることを回避し、次に洗浄して乾燥させるステップと、乾燥後の生成物を、密封容器に入れ、且つそれを真空まで排気した後、高温まで上昇させ、一定時間温度保持した後、前記密封容器に、高圧水素ガスを注入して一定時間温度保持するステップと、最後に熱処理後の生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して混合物を得て、超音波分散を行い、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄、乾燥を行うステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)における前記二次元遷移金属炭化物はTi、TiCT、VCT、Mo、NbCT、Nb、TaCT及びVのうちの任意の1種であることを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記陽イオン性界面活性剤は窒素含有有機アミン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記窒素含有有機アミン誘導体は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項3に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(1)において、前記陽イオン性界面活性剤をまず脱イオン水に溶解し、次に撹拌条件下で、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液に添加することを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)中の昇温速度は5~10℃/minであることを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(3)における前記有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン及びヘプタンのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項8】
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に酸性化されたメラミンを添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄して、乾燥するステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法で製造されたナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料であって、前記ナノ水素化マグネシウムは、二次元遷移金属炭化物の表面に担持され、前記二次元遷移金属炭化物のナノシートに、折り畳みがあることを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
【請求項10】
前記複合材料における前記水素化マグネシウムの質量分率は20~75%であることを特徴とする請求項9に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
【請求項11】
水素貯蔵における請求項9又は10に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体水素貯蔵材料分野に関し、特に、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム系固体水素貯蔵材料は、高い水素貯蔵密度、強力なサイクル可逆性、および豊富な地球埋蔵量等の利点があり、最も利用可能性がある固体水素貯蔵材料と考えられている。ただし、マグネシウム系水素貯蔵材料の水素吸収および水素放出熱力学的特性は安定しすぎ(水素吸収および放出反応の標準生成エンタルピは±75kJ/mol)、通常の状況では、純水素化マグネシウムは水素放出を達成するために、350℃以上にする必要があり、さらに、その水素吸収及び水素放出の動的特性も同様に低いため、マグネシウム系水素貯蔵材料の実際の応用が大幅に制限されている。現在では、サイズのナノ化は、マグネシウム系水素貯蔵材料の水素貯蔵性能を改善するための最も効果的な戦略の1つと考えられている。マグネシウム系水素貯蔵材料は、サイズのナノ化を実現すると、より大きな比表面積、より高い表面エネルギー、およびより大きな粒界密度を直接取得し、これにより、マグネシウム系水素貯蔵材料における水素原子の拡散のために、より短い固相拡散距離、より低い拡散エネルギー障壁、およびより多くの拡散チャネルが提供され、その水素吸収及び水素放出の動的特性が大幅に向上する。大量の実験と理論的研究により、サイズのナノ化は同時に、マグネシウム系水素貯蔵材料の熱力学的安定性も低下させることが示されている。しかしながら、その高い表面エネルギーのため、ナノスケール粒子は自然に凝集して成長する傾向があり、マグネシウム系水素貯蔵材料のナノ構造形態の急速な損失と水素貯蔵安定性の連続的な劣化につながる。ナノスケールの水素化マグネシウム/マグネシウムを、多孔材料に閉じ込めると、ナノ粒子の移動、凝集、および成長等を効果的に阻害し、それにより安定した水素貯蔵熱的と動的特性を得ることができる。一般的には、高い比表面積、強い化学的安定性、軽量の炭素系多孔質材料(多孔質活性炭、カーボンゲル、グラフェン、カーボンナノチューブなど)は常に、ナノ閉じ込め支持材料として、広く研究されている。ただし、炭素からマグネシウム系材料の水素吸収及び水素放出プロセスへの固有触媒効果が少ないため、その水素吸収及び水素放出動的特性がより高いレベルに達しにくくなり、通常、より高い水素吸収及び水素放出動的特性を得るには、追加の触媒が必要である。さらに、炭素材料-水素化マグネシウム複合材料における水素化マグネシウム(マグネシウム)の積載率は通常低い。したがって、適切な水素化マグネシウム/マグネシウム積載の効率を確保できることを保証し、良好な触媒効果をもたらすことができる支持材料の開発は、マグネシウム系水素貯蔵材料の発展にとって非常に重要である。
【0003】
新しい二次元材料としての二次元遷移金属炭化物(MXenes)は、エネルギー貯蔵、触媒化、センサー等の分野で広範な研究を取得し、その化学一般式は、Mn+1で表現でき、ここでMは、遷移金属(例えばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Sc等)を指し、XはC、nは一般的には、1、2又は3であり、Tとは、表面化学基(例えばO2-、OH、F、NH、NH 等)を指す。二次元遷移金属炭化物は、大きな比表面積、化学的安定性、および物理的安定性の利点があり、さらに、それはマグネシウム系水素貯蔵材料の水素吸収及び水素放出プロセスに優れた触媒効果があるため、二次元遷移金属炭化物は、高積載率と触媒効果を兼ね備える潜在的な支持材料と見なされる。ただし、二次元遷移金属炭化物(MXenes)ナノシート層間のファンデルワールス力の役割により、重度の層間の積み重ね現象が発生しやすく、ナノ水素化マグネシウムを固定するためのフリー表面の大量の損失を引き起こす。また、MXenesの表面に大量の酸素含有官能基により、水素化マグネシウム/マグネシウムは、高温の水素吸収及び水素放出過程で重度の酸化現象を引き起こし、水素貯蔵能力と水素吸収及び水素放出の動的特性が劣化する。上記の理由により、現在では、二次元遷移金属炭化物をマグネシウム系水素貯蔵材料の支持材料として利用して研究することに関する報告はまだない。
【0004】
したがって、当業者は、高い水素化マグネシウム積載容量及び優れた水素吸収及び水素放出の動的特性を兼ね備える、二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を開発することに努力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の上記の欠点を考慮して、本発明によって解決されるべき技術的問題は、高い水素貯蔵能力、速い水素吸収及び水素放出の動的特性、および強いサイクル安定性という優れた特性がある、二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法を提供し、
二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませて凝集させ、次に洗浄して、乾燥するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの高圧水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0007】
好ましくは、前記ステップ(1)における水素ガス圧力は3~4.5MPaである。
【0008】
さらに、前記ステップ(1)における前記二次元遷移金属炭化物はTi、TiCT、VCT、Mo、NbCT、Nb、TaCT、Vのうちのいずれか一種であり、Tは表面化学基、例えばO2-、OH、F、NH、NH 等である。
【0009】
さらに、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液は、単層分散液又は少層分散液である。
【0010】
さらに、前記ステップ(1)における陽イオン性界面活性剤は窒素含有有機アミン誘導体である。
【0011】
好ましくは、前記陽イオン性界面活性剤は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)である。
【0012】
さらに、前記ステップ(1)において、前記陽イオン性界面活性剤をまず脱イオン水に溶解し、次に撹拌条件下で、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液に添加する。陽イオン性界面活性剤を添加する目的は、水中に分散した二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、ナノシートを再び積み重ねさせることを回避し、それにより乾燥プロセスに層間の積み重ねが発生するリスクを減らす。
【0013】
好ましくは、前記ステップ(2)における前記密封容器はステンレス鋼密封容器である。
【0014】
さらに、前記ステップ(2)中の昇温速度は5~10℃/minである。ステップ(2)において、高温下でまず熱処理を行う目的は、二次元遷移金属炭化物に残留している界面活性剤及び酸素含有基を除去することである。
【0015】
さらに、前記ステップ(3)における前記有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン及びヘプタンのうちの1種又は複数種を含む。
【0016】
さらに、前記ステップ(3)における前記超音波分散の超音波電力は200W、前記超音波分散の時間は2hである。
【0017】
さらに、前記ジブチルマグネシウムと前記二次元遷移金属炭化物の質量比を調整することにより、前記複合材料における前記水素化マグネシウムの質量分率を、20~75%に制御する。
【0018】
さらにナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法を提供し、
二次元遷移金属炭化物の水分散液に酸性化されたメラミンを添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませて凝集させ、次に洗浄、乾燥するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの高圧水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0019】
本発明はまた、上記方法で製造されたナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を提供し、前記ナノ水素化マグネシウムは、二次元遷移金属炭化物の表面に担持され、前記二次元遷移金属炭化物のナノシートに、折り畳みがある。
【0020】
さらに、前記複合材料における前記水素化マグネシウムの質量分率は20~75%である。
【0021】
本発明はまた、水素貯蔵におけるナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の応用を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以下の技術的効果を有する:
1、ファンデルワールス力と水素結合の役割により、二次元遷移金属炭化物ナノシートは自発的な積み重ね傾向を持っているため、その比表面積が大幅に減少するが、本発明では、陽イオン性界面活性剤を添加することにより、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませて凝集させ、二次元遷移金属炭化物ナノシートの層間の積み重ね現象が効果的に抑制され、ナノ水素化マグネシウムを固定するためのより多くのフリー表面を有するため、複合材料の水素化マグネシウム積載率が高くなる。
2、ナノスケールの水素化マグネシウム/マグネシウムは、良好な水素吸収及び水素放出の動的特性を持っているが、連続的な水素吸収及び水素放出プロセス中にナノ粒子は凝集して成長する傾向があり、その結果、サイクル安定性が継続的に劣化するが、本発明は、二次元遷移金属炭化物をナノ閉じ込めキャリア材料として使用することにより、ナノスケールの水素化マグネシウムは二次元遷移金属炭化物の表面に均一に分布し、水素注入及び水素放出プロセス中に、水素化マグネシウム/マグネシウム粒子の凝集成長傾向が効果的に抑制され、ナノ化という利点が保持される。
3、二次元遷移金属炭化物ナノシートの化学及び物理安定性が高いため、高温での水素吸収及び水素放出プロセス中に、複合材料が良好な構造安定性及び性能安定性を有することを保証する。
4、複合材料において、二次元遷移金属炭化物ナノシートとナノ水素化マグネシウムが界面部位のイプソ位でナノ触媒相(例えばTiH2)を生成し、それは複合材料の水素吸収及び水素放出速度を加速することができる。
【0023】
したがって、本発明は、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、且つ二次元遷移金属炭化物からナノ水素化マグネシウム/マグネシウムへの閉じ込め効果及び水素化マグネシウム/マグネシウムの水素吸収及び水素放出プロセスへのイプソ位触媒作用を利用することにより、このような二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料は、高い水素貯蔵密度、迅速な水素吸収及び水素放出の動的特性及び優れたサイクル安定性等の利点を有する。
【0024】
以下では、本発明の目的、特徴および効果を完全に理解するために、本発明の構想、具体的な構造および技術的効果を図面と併せてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料のXRDグラフである。
図2】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料の透過型電子顕微鏡図である。
図3】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料の走査型電子顕微鏡図である。
図4】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料におけるナノ水素化マグネシウムの粒径分布図である。
図5】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料のプログラム温度制御脱水素曲線である。
図6】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料の水素サイクル放出曲線である。
図7】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料の透過型電子顕微鏡図である。
図8】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料におけるナノ水素化マグネシウムの粒径分布図。
図9】本発明の1つの好ましい実施例による二次元遷移金属炭化物により水素化マグネシウムを担持する複合材料の透過型電子顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、その技術的内容をより明確で理解しやすくするために、明細書の図面を参照して本発明の複数の好ましい実施例を説明する。本発明は、多くの異なる形式の実施例により体現することができ、本発明の保護範囲は、明細書に記載の実施例のみに限定されない。
【0027】
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、
二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませて凝集させ、次に洗浄、乾燥するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に密封容器に、1~10MPaの高圧水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0028】
いくつの実施例において、ステップ(1)に記載の二次元遷移金属炭化物はTi、TiCT、VCT、Mo、NbCT、Nb、TaCT及びV(Tは表面化学基であり、例えばO2-、OH、F、NH、NH 等)のうちのいずれか一種であってもよい。
【0029】
いくつかの実施例において、ステップ(1)における陽イオン性界面活性剤は窒素含有有機アミン誘導体、好ましくは臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)である。
【0030】
いくつかの実施例において、最も好ましくは、ステップ(1)における陽イオン性界面活性剤をまず、脱イオン水に溶解し、次に撹拌条件下で、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液に添加する。
【0031】
いくつかの実施例において、ステップ(2)に記載の密封容器はステンレス鋼密封容器である。
【0032】
いくつかの実施例において、ステップ(2)中の昇温速度は5~10℃/minであり、昇温後の温度は600℃、700℃、800℃、900℃又は1000℃であってもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、ステップ(3)における有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン又はヘプタン、又はそれらの任意の混合物であってもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、ステップ(3)における超音波分散の電力は200W、時間は2hである。
【0035】
いくつかの実施例において、ジブチルマグネシウムと二次元遷移金属炭化物の質量比を調整することにより、複合材料における水素化マグネシウムの質量分率を、20~75%に制御することができる。
【0036】
実施例1
二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX1の製造:
(1)臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)5gを、100ml脱イオン水に溶解した。
(2)ステップ(1)で製造されたCTAB溶液を、撹拌条件下で濃度2mg/mlのTi水分散液500mlに一滴ずつ添加し、反応生成物を3回遠心分離して洗浄し、遠心分離生成物を72時間凍結乾燥させた。
(3)ステップ(2)で得られた生成物を、密封されたステンレス鋼容器に入れ、密封されたステンレス鋼容器を連続真空排気した後、5℃/minの昇温速度で800℃まで加熱し、2h温度保持した後、3MPaの水素ガスを注入し、2h温度保持し、最後に室温まで炉中冷却し、生成物をTi-MX1として記した。
(4)30mgのTi-MX1、濃度0.5Mのジブチルマグネシウムヘプタン溶液3.5ml、及びシクロヘキサン40mlをポリテトラフルオロエチレン内釜のステンレス鋼高圧反応釜に添加し、次に探査式超音波分散を2h行い、超音波電力は200Wであった。
(5)ステンレス鋼高圧反応釜に水素を4.5MPaまで注入し、200℃まで加熱し、撹拌条件下で12h反応させ、最後に遠心分離して乾燥させ、水素化マグネシウム積載率が60wt%の、二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX1を得た。
【0037】
本実施例で製造された二次元遷移金属炭化物により、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MXのXRDグラフは図1に示すとおりであり、図1から、複合材料の物相は主に水素化マグネシウム及びTi-MXで構成されることが分かる。
【0038】
透過型電子顕微鏡図は、図2に示すとおりであり、走査型電子顕微鏡図は、図3に示すとおりであり、粒径分布は図4に示すとおりである。図2~4から、二次元遷移金属炭化物ナノシートに、折り畳みがあり、且つナノ水素化マグネシウムは二次元遷移金属炭化物の表面に均一に分布し、明らかな凝集現象がなく、水素化マグネシウムの平均粒径は15nmであることが分かった。
【0039】
本実施例で製造された二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX1の水素貯蔵性能測定:
図5はそのプログラム温度制御脱着曲線(TPD)であり、図5から、60MgH@Ti-MX1複合材料の初期水素放出温度は140℃、水素貯蔵容量は4.2wt%Hであることが分かった。
図6は、60MgH@Ti-MX1が200℃での水素サイクル放出曲線であり、図6から、60MgH@Ti-MX1複合材料は、優れた水素サイクル吸収及び水素サイクル放出の安定性を有することが分かった。
【0040】
実施例2
二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料35MgH@Ti-MX2の製造:
(1)臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)5gを、100ml脱イオン水に溶解した。
(2)ステップ(1)で製造されたCTAB溶液を、撹拌条件下で濃度2mg/mlのTi水分散液500mlに一滴ずつ添加し、反応生成物を3回遠心分離して洗浄し、遠心分離生成物を72時間凍結乾燥させた。
(3)ステップ(2)で得られた生成物を、密封されたステンレス鋼容器に入れ、密封されたステンレス鋼容器を連続真空排気した後、5℃/minの昇温速度で600℃まで加熱し、5h温度保持し、次に3MPa水素ガスを注入し、5h温度保持し、最後に室温まで炉中冷却し、生成物をTi-MX2として記した。
(4)30mgのTi-MX2、濃度0.5Mのジブチルマグネシウムヘプタン溶液1.3ml、及びシクロヘキサン40mlをポリテトラフルオロエチレン内釜のステンレス鋼高圧反応釜に添加し、次に探査式超音波分散を2h行い、超音波電力は200Wであった。
(5)ステンレス鋼高圧反応釜に水素を3MPaまで注入し、180℃まで加熱し、撹拌条件下で24h反応させ、最後に遠心分離して乾燥させ、水素化マグネシウム積載率が35wt%の、二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料35MgH@Ti-MX2を得た。
【0041】
本実施例で製造された二次元遷移金属炭化物により、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料35MgH@Ti-MX2の透過型電子顕微鏡図は図7に示すとおりであり、粒径分布は図8に示すとおりであり、図7~8から、二次元遷移金属炭化物ナノシートに、折り畳みがあり、35MgH@Ti-MX2におけるナノ水素化マグネシウムは二次元遷移金属炭化物の表面に均一に分布し、平均粒径が約8nmであることが分かった。
【0042】
実施例3
二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX3の製造:
(1)酸性化されたメラミン1.5gを、脱イオン水200mlに溶解した。
(2)ステップ(1)で製造されたメラミン溶液を、撹拌条件下で濃度2mg/mlのTi水分散液500mlに一滴ずつ添加し、反応生成物を3回遠心分離して洗浄し、遠心分離生成物を72時間凍結乾燥させた。
(3)ステップ(2)で得られた生成物を、密封されたステンレス鋼容器に入れ、密封されたステンレス鋼容器を連続真空排気した後、10℃/minの昇温速度で1000℃まで加熱し、3h温度保持し、次に水素ガス4.5MPaを注入し、2h温度保持し、最後に室温まで炉中冷却し、生成物をTi-MX3として記した。
(4)30mgのTi-MX3、濃度0.5Mのジブチルマグネシウムヘプタン溶液3.5ml、及びシクロヘキサン40mlをポリテトラフルオロエチレン内釜のステンレス鋼高圧反応釜に添加し、探査式超音波分散を2h行い、超音波電力は200Wであった。
(5)ステンレス鋼高圧反応釜に水素を6MPaまで注入し、220℃まで加熱し、撹拌条件下で、12h反応させ、最後に遠心分離して乾燥させ、水素化マグネシウム積載率が60wt%の、二次元遷移金属炭化物によりナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX3を得た。
【0043】
本実施例で製造された二次元遷移金属炭化物により、ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料60MgH@Ti-MX3の透過型電子顕微鏡図は図9に示すとおりであり、図9から、二次元遷移金属炭化物ナノシートに、折り畳みがあり、60MgH@Ti-MX3におけるナノ水素化マグネシウムは二次元遷移金属炭化物の表面に均一に分布し、平均粒径が約17nmであることが分かった。
【0044】
以上は、本発明の好ましい具体的な実施例を詳しく説明した。当業者は、創造的な作業なしに、本発明の構想に従って多くの修正および変更を行うことができることを理解されたい。したがって、当業者が本発明の構想に従って、従来技術に基づいた論理分析、推論、または限られた実験を通じて得られた技術手段はすべて、特許請求の範囲によって決定された保護範囲内にあるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄、乾燥を行うステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)における前記二次元遷移金属炭化物はTi、TiCT、VCT、Mo、NbCT、Nb、TaCT及びVのうちの任意の1種であることを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記陽イオン性界面活性剤は窒素含有有機アミン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記窒素含有有機アミン誘導体は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項3に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(1)において、前記陽イオン性界面活性剤をまず脱イオン水に溶解し、次に撹拌条件下で、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液に添加することを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)中の昇温速度は5~10℃/minであり、又は、
前記ステップ(3)における前記有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン及びヘプタンのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項7】
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に酸性化されたメラミンを添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄して、乾燥するステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法で製造されたナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料であって、前記ナノ水素化マグネシウムは、二次元遷移金属炭化物の表面に担持され、前記二次元遷移金属炭化物のナノシートに、折り畳みがあることを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
【請求項9】
前記複合材料における前記水素化マグネシウムの質量分率は20~75%であることを特徴とする請求項に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
【請求項10】
水素貯蔵における請求項に記載のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の応用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
以上は、本発明の好ましい具体的な実施例を詳しく説明した。当業者は、創造的な作業なしに、本発明の構想に従って多くの修正および変更を行うことができることを理解されたい。したがって、当業者が本発明の構想に従って、従来技術に基づいた論理分析、推論、または限られた実験を通じて得られた技術手段はすべて、特許請求の範囲によって決定された保護範囲内にあるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に陽イオン性界面活性剤を添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄、乾燥を行うステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[2]
前記ステップ(1)における前記二次元遷移金属炭化物はTi 、Ti CT 、V CT 、Mo 、Nb CT 、Nb 、Ta CT 及びV のうちの任意の1種であることを特徴とする[1]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[3]
前記陽イオン性界面活性剤は窒素含有有機アミン誘導体であることを特徴とする[1]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[4]
前記窒素含有有機アミン誘導体は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムであることを特徴とする[3]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[5]
前記ステップ(1)において、前記陽イオン性界面活性剤をまず脱イオン水に溶解し、次に撹拌条件下で、前記二次元遷移金属炭化物の水分散液に添加することを特徴とする[1]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[6]
前記ステップ(2)中の昇温速度は5~10℃/minであることを特徴とする[1]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[7]
前記ステップ(3)における前記有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン及びヘプタンのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする[1]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[8]
ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法であって、二次元遷移金属炭化物の水分散液に酸性化されたメラミンを添加して、二次元遷移金属炭化物ナノシートを折り畳ませ、次に洗浄して、乾燥するステップ(1)と、ステップ(1)で得られた生成物を、密封容器に入れ、前記密封容器を、真空まで排気した後、600~1000℃まで昇温し、2~5h温度保持し、次に前記密封容器に、1~10MPaの水素ガスを注入して、2~5h温度保持するステップ(2)と、ステップ(2)で得られた生成物及びジブチルマグネシウムを、有機溶媒に添加して、混合物を得て、前記混合物を超音波分散し、次に水素圧力3~6MPa、温度180~220℃の条件下で、12~48h撹拌して加熱し、遠心分離して乾燥させた後、前記ナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料を得るステップ(3)と、を含むことを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の製造方法。
[9]
[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法で製造されたナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料であって、前記ナノ水素化マグネシウムは、二次元遷移金属炭化物の表面に担持され、前記二次元遷移金属炭化物のナノシートに、折り畳みがあることを特徴とするナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
[10]
前記複合材料における前記水素化マグネシウムの質量分率は20~75%であることを特徴とする[9]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料。
[11]
水素貯蔵における[9]又は[10]のナノ水素化マグネシウムを担持する複合材料の応用。

【国際調査報告】