(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】改善された音響特性を有するモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20241106BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/18 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525088
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 FR2022052010
(87)【国際公開番号】W WO2023073312
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】プレオ,ヴァランタン
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA27
5H601CC01
5H601CC13
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE19
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB32
5H601GB42
5H601GB43
5H601GB44
5H601GB46
5H601GB48
5H601GD02
5H601GD07
5H601GD19
(57)【要約】
本発明は、ステータ軸を有し、複数の歯によって接続された2つのステータ部品からなるステータを備えるスロット付き半径方向磁束電気機械に関し、歯の一部又は全部がコイルによって取り囲まれ、ステータ部品は、ステータ軸に垂直な平面内に第1及び第2のパターンをそれぞれ有し、コイルによって取り囲まれた歯の各々は、パターンの一方の延長部であり、平面内に制約された点接触を形成するためにパターンの他方の受容領域と係合する前端を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ軸(2)を有し、複数の歯(11~16)によって接続された2つのステータ部品(10、20)からなるステータ(1)を備え、
前記歯の一部又は全部は、コイル(31~36)によって囲まれ、
前記ステータ部品(10、20)は、前記ステータ軸(2)に垂直な平面(4)内に第1及び第2のパターン(100、200)をそれぞれ有し、
前記コイル(31~36)によって囲まれた前記歯(11~16)の各々は、前記パターン(100、200)の一方の延長部であり、前記平面(4)内に制約された一意の点接触(301~306)を形成するために、前記パターン(100、200)の他方の受容領域(211~216)と係合する前端部(101~106)を有することを特徴とする、スロット付き半径方向磁束電気機械。
【請求項2】
ステータ軸(2)を有し、複数の歯(11~16)によって接続された2つのステータ部品(10、20)からなるステータ(1)を備え、
前記歯(11~16)の一部又は全部は、コイル(31~36)によって囲まれ、
前記ステータ部品(10、20)は、前記ステータ軸(2)に垂直な平面内に第1及び第2のパターン(100、200)をそれぞれ有し、
コイル(31~36)によって囲まれた前記歯(11~16)の各々は、前記パターン(100、200)の一方の延長部であり、前記パターン(100、200)の他方の受容領域(211~216)と係合する前端(101~106)を有し、
前記第1及び第2のパターン(100、200)は、前記端部(101~106)と前記受容領域(211~216)との間の係合点に少なくとも1つの重複領域(300)を有し、
前記重複領域(300)は、前記端部(101~106)の移動に関連付けられた前記ステータ部品(10、20)の少なくとも一方又は他方の製造公差よりも大きい弾性変形によって吸収されることができることを特徴とする、スロット付き半径方向磁束電気機械。
【請求項3】
前記歯(11~16)と、対応する前記受容領域(211~216)との間の接触面に垂直であり、前記点接触(306における301)を通過する線(311~313)は、前記ステータ軸(2)上の単一の点において一致しないことを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
前記ステータ(1)は、コイル(31~36)によって囲まれ、制約された点接触(301~306)を生成する少なくとも3つの歯(11~16)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項5】
前記制約された点接触(301~306)の領域の範囲は、前記歯の前記端部(101~106)の周囲の5%未満であることを特徴とする、請求項1又は3に記載の電気機械。
【請求項6】
すべての前記歯(11~16)は、前記2つのステータ部品(10、20)の一方のみの延長部からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項7】
前記歯(11~16)は、部分的に前記ステータ部品(10、20)の一方の延長部からなり、部分的に前記ステータ部品(10、20)の他方の延長部からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項8】
少なくとも1つの前記歯(11~16)の前記前端部(101~106)が凸状であり、
前記対応する受容領域(211~216)は、より大きな曲率半径を有する凹状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項9】
少なくとも1つの前記歯(11~16)の前記前端部(101~106)は凹状であり、
対応する前記受容領域(211~216)は、より小さい曲率半径を有する凸状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項10】
少なくとも1つの前記歯(11~16)の前記前端部(101~106)は凸状であり、
前期対応する受容領域(211~216)は平坦であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項11】
少なくとも1つの前記歯(11~16)の前記前端部(101~106)及び前記前端の対応する受容領域(211~216)は、凸状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項12】
前記2つのステータ部品(10、20)は、積層された積層体からなり、
前記積層された積層体は、積層体の同じスタックから切断することができ、
前記第1又は第2のパターン(100、200)の一方は、前記第1又は第2のパターン(100、200)の他方に嵌合すると共に、工業的切断方法に適合する遊びを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項13】
前記ロータが前記ステータ(1)の外部にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項14】
前記ロータが前記ステータ(1)の内部にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項15】
前記ステータは、幅広の歯(11~16)と幅狭の歯(41~46)との間で交互に位置し、3つの歯(11、12、13)のみがコイルを受容するように意図され、180°未満の角度範囲の角度セクタα内に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項16】
前記第1のステータ部品(10)は、巻き付けられた前記歯(11)の各々にコイル本体(51)を形成するプラスチック本体(50)と共にオーバーモールドされ、
前記コイル本体(51)は、フレア溝(52)によって前記歯(11)の前記端部(101)を軸方向に延在させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項17】
前記プラスチック本体(50)の前記フレア溝(52)は、前記第1及び第2のステータ部品(10、20)の軸方向挿入による組み立て中に加えられる前記第1又は第2のステータ部品(10、20)の弾性変形応力に耐えるのに十分な剛性を有することを特徴とする、請求項16に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、回転電気機械のための巻線型ステータ及び対応する回転電気機械に関する。
【0002】
ロータ及びステータを備える半径方向電気機械は、先行技術において知られている。磁束は、ステータとロータとの間を半径方向に循環し、ロータは、内部又は外部にあり得る。ステータは、コイルを取り付けるための歯が設けられた積層体によって典型的に形成されたステータ本体を備える。ステータ本体は、内側又は外側に向かって開いたスロットを備え、各スロットは、2つの連続する歯によって画定される。これらの歯は、平行な縁部を有し、ロータの対向する側に位置する管状ヨークから実質的に半径方向に延在することが好ましい。
【0003】
機械的強度の理由から、スロットは、ステータの磁気性能を低下させないように十分に薄い第2のリングギアによって接続することができる。このリングギアは、歯先がモータの磁気性能を向上させるように見えるようにすることができる。空隙側に位置するこのリングギアはまた、モータをオーバーモールドし、導体上の磁石の磁気外乱を低減することを容易にする。
【0004】
ステータの巻線を簡単にするために、ステータの本体は一般的に2つの部分から作られる。歯を備えるリングギアが巻き付けられ、次いで、磁気構造が第2のリングギアによって閉じられる。多くの場合、2つのリングギア間の接合部における残留空隙を最小化するように選択される。時には、2つのリングギアの間に堅固な埋め込みが選択されるが、製造中に接合部が正確に位置合わせされることを確実にすることは困難であり、特定の構成では、これらの電気機械は音及び振動の外乱を生成する。
【0005】
〔先行技術〕
実用新案DE202016104686U1には、始動信頼性を改善するように設計されたモータが記載されている。それは、外側ヨークによって形成されたコアと、外側ヨークから内側に延在する複数の歯とを有するステータを備える。この文献の段落[0040]には、各歯33が外側ヨーク31に堅固に溶接されるか、又は機械的接続の様々な他の手段によって(例えばダブテール継手によって)接続されて堅固に接続され得ることが明記されている。代替実施形態では、歯33、ヨーク31、及び内側リング領域はすべて別々に形成され、歯33は、ステータ巻線39が作られた後にヨーク31及び内側リング領域に固定される。
【0006】
特許出願DE10242404には、環状構成を有し、環状セグメントによって相互接続され、外側に突出する極歯を備える積層体によって形成されるステータが記載されている。これらの極歯は、外側リングギアのリブに埋め込まれている。その目的は、電気機械のトルクリップル及び電力をより良く制御することである。
【0007】
米国特許出願公開第2009195108号明細書には、熱性能及び効率を安価に改善することを意図したステータ構造が記載されている。このステータは、巻線と強磁性コアとを備え、強磁性コアは、コイルの巻線を挿入するように意図されたスロットを閉じる歯を介して第2のコア要素と接触する第1のコア要素を備える。
【0008】
欧州特許出願公開第3154171号明細書には、電気機械の効率及び連続性能を改善し、冷却性を改善することを目的としたステータの別の例が記載されている。このステータは、単独で又はステータ本体とともに、少なくとも1つの冷却剤入口及び少なくとも1つの冷却剤出口を除いて冷却剤が流れることができる冷却容積を完全に取り囲むケーシングを備える。冷却容積は、少なくともコイルを取り囲み、ステータケーシングは、その全体又はいくつかの磁界誘導領域において常磁性及び/又は強磁性である。
【0009】
米国特許出願公開第2011309711号明細書には、巻線型ステータの製造を容易にするための解決策が提案されており、この解決策は、
・複数の積層体をともに接合して、歯、隣接する歯の間のスロット、及び歯をともに接続するヨーク部分を画定する積層体の第1のスタックを生成することと、
・コイル要素の一部が隣接する歯の間のスロットの少なくともいくつかに配置されるように、歯にコイル要素を取り付けることと、
・積層体の第2のスタックを積層体の第1のスタックの内径に嵌合させ、第2のスタックを歯先として機能するように定位置に固定することとからなる。
【0010】
英国特許GB842157号には、ステータ構造が提案されており、その目的は、ワイヤの絶縁に対する損傷のリスクを低減することである。磁気コアは、相補的な形状の4つの部分を有し、これらの部分を同一平面内に配置することによって、ロック要素を挿入することによってこれらの部分を互いに堅固にロックすることができるように構成されている。
【0011】
米国特許第2251674号には、電気的特性を改善し、低コストで製造でき、容易かつ安価に組み立てることができる少数の部品によって機械的構造を簡単にすることを目的とした電気機械が記載されている。ステータは、一体的な外側磁気リングと、ロータを囲む一体的な内側磁気リングと、外側リング及び内側リングを接続する実質的に半径方向の磁極とを集合的に形成する、実質的に同一の協働的に関連付けられたセグメントから構成される。磁極は、各々、外側磁気リングに一体的に接続され、その一部を形成する主極部分IIと、主極部分の一方の側に配置され、内側磁気リングに一体的に接続され、その一部を形成する小極部分とからなる。
【0012】
〔先行技術の欠点〕
先行技術文献のいずれも、ノイズ低減の問題を論じていないが、代わりに、機械的構造並びに電気的、熱的、及び機械的制御を一般的に論じている。想定される解決策は、機械部品の磁気相互作用及び機械的共振の変動によって引き起こされるノイズを生成する構造を提供する。
【0013】
これらのノイズは、ヨーク及び歯を含む単一部品によって、又は歯の各々とステータヨークとの間に遊び又は相対運動の可能性を有さない、合同凹部によるヨークに当接する歯によって、堅固な機械的接続から生じ、これは、磁石が歯の前を通過するたびに振動周波数を伝達し、「磁石積層」引力並びに静的及び動的不均衡による周波数の周期的変動を生み出し、異なるモータ励起モードを励起する。
【0014】
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、組み立てられる2つのステータ要素間に、製造公差よりも大きな機械的干渉を意図的に課すことからなる、この技術的問題に対する解決策を提案する。この機械的干渉は、歯の弾性曲げによって、又は弾性運動の組合せによって吸収することができるという利点を有する。このような応力下では、2つのステータ要素は容易に組み立てることができ、次いで、変形した1つ又は複数の歯によって加えられる力によってともに保持される。これにより、トルクを伝達することができるとともに、リングギアによって各歯を引っ張ることができる。
【0015】
より詳細には、本発明は、請求項1に記載の特徴を有するスロット付き半径方向磁束電気機械に関する。
【0016】
機械は、ステータ軸を有し、複数の歯によって接続された2つのステータ部品からなるステータを備え、歯の一部又は全部はコイルによって囲まれ、ステータ部品は、ステータ軸に垂直な平面内に第1及び第2のパターンをそれぞれ有し、コイルによって囲まれた歯の各々は、パターンの一方の延長部であり、平面内に制約された点接触を形成するためにパターンの他方の受容領域と係合する前端を有することを特徴とする。
【0017】
特に、点接触を通過する接触面に垂直な直線は、ステータ軸上の単一の点において一致しない。
【0018】
本発明の代替の構成は、ステータ軸を有し、複数の歯によって接続された2つのステータ部品からなるステータを備えるスロット付き半径方向磁束電気機械を規定し、歯の一部又は全部はコイルによって囲まれ、ステータ部品は、ステータ軸に垂直な平面内に第1及び第2のパターンをそれぞれ有し、コイルによって囲まれた歯の各々は、パターンの一方の延長部であり、パターンの他方の受容領域と係合する前端を有し、第1及び第2のパターンは、端部と受容領域との間の係合点に少なくとも1つの重複領域を有し、重複領域は、端部の移動に関連するステータ部品の少なくとも一方又は他方の製造公差より大きい弾性変形によって吸収されることができることを特徴とする。
【0019】
非限定的に、ステータは、コイルによって囲まれ、制約された点接触を形成する少なくとも3つの歯を有する。
【0020】
更に、制約された点接触の面積の範囲は、歯端部の周囲の5%未満である。
【0021】
特定の場合には、すべての歯は、2つのステータ部品のうちの1つのみの延長部からなる。
【0022】
或いは、歯は、部分的にステータ部品の一方の延長部からなり、部分的にステータ部品の他方の延長部からなる。
【0023】
特定の実施形態によれば、歯のうちの少なくとも1つの前端は凸状であり、対応する受容領域は凹状であり、より大きな曲率半径を有する。
【0024】
同様に、歯の少なくとも1つの前端は凹状であり得、対応する受容領域は、より小さい曲率半径を有する凸状であり得る。
【0025】
別の選択肢は、歯の少なくとも1つの前端が凸状であり、対応する受容領域は平坦であってもよい。
【0026】
追加の模倣なしに、歯の少なくとも1つの前端及びその対応する受容領域は、両方とも凸状であり得る。
【0027】
工業化のための有利な実施形態では、2つのステータ部品は、積層された積層体からなり、積層された積層体は、積層体の同じスタックから切断することができ、第1又は第2のパターンの一方は、第1又は第2のパターンの他方に嵌合し、工業的切断方法に適合する遊びを有する。
【0028】
特定の実施形態では、ロータはステータの外部にある。
【0029】
代替実施形態は、ロータがステータの内部にあることである。
【0030】
したがって、非限定的に、ステータは、幅広の歯と幅狭の歯とが交互に位置してよく、3つの歯のみがコイルを受容するように意図され、180°未満の角度範囲の角度セクタα内に位置する。
【0031】
特定の実施形態では、第1のステータ部品は、巻き付けられた歯の各々にコイル本体を形成するプラスチック本体と共にオーバーモールドされ、コイル本体は、フレア溝によって歯の端部を軸方向に延在させる。
【0032】
特に、プラスチック本体のフレア溝は、第1及び第2のステータ部品の軸方向挿入による組み立て中に加えられる第1又は第2のステータ部品の弾性変形応力に耐えるのに十分な剛性を有する。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の本発明の非限定的な実施形態の説明を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明による第1の実施形態によるステータの斜視図を示す。
【
図2】
図2及び
図3は、
図1の実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれ、ステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図3】
図2及び
図3は、
図1の実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれ、ステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図4】
図4及び
図5は、代替実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図5】
図4及び
図5は、代替実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図10】
図10は、代替実施形態によるステータの斜視図を示す。
【
図11】
図11は、
図10の実施形態によるステータパターンを図であって、スータ部品を組み立てた後の図を示す。
【
図13】
図13は、ステータ部品の組み立て後の代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図14】
図14は、
図13の実施形態による、コイルが設けられた第2のステータ部品の斜視図を示す。
【
図15】
図15及び
図16は、それぞれ切断配向及び組み立て配向に応じた、代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図16】
図15及び
図16は、それぞれ切断配向及び組み立て配向に応じた、代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図17】
図17及び
図18は、それぞれ切断配向及び組み立て配向に応じた、代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図18】
図17及び
図18は、それぞれ切断配向及び組み立て配向に応じた、代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図20】
図20は、ステータ部品の組み立て後の非対称の代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図21】
図21は、ステータ部品の組み立て後の第2の非対称の代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図22】
図22及び
図23は、第3の非対称の代替実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図23】
図22及び
図23は、第3の非対称の代替実施形態によるステータパターンの図であって、それぞれステータ部品の組み立て前及び組み立て後の図を示す。
【
図24】
図24は、ステータ部品の組み立て後の非半径方向歯を有する代替実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図25】
図25は、ステータ部品の組み立て後の、フレア端部を有する歯を備えた変形実施形態によるステータパターンの図を示す。
【
図26】
図26は、プラスチックオーバーモールドを有する代替実施形態による、第1のステータ部品の斜視図を示す。
【0035】
〔一般原理〕
本発明の一般原理は、
図1、
図2、
図3、
図4及び
図5に関して評価することができる。本発明は、ステータアセンブリ(1)が、半径方向に延在する歯(11~13)によって接続された2つのステータ部品(10、20)からなり、歯が、コイル(31~33)によって既知の方法で取り囲まれている、単相又は多相の低ノイズ電気モータに関する。すべての歯がコイルで囲まれている必要はなく、1相あたり1つの歯がコイルで囲まれていれば十分である。
図1は、ステータアセンブリ(1)の斜視図を示す。
【0036】
本発明は、巻線を収容することができるスロットによって分離された歯を有する強磁性シリンダからなる、いわゆる「スロット付きモータ」電気機械に関する。このシリンダは、一般に、渦電流を制限するために積層されたシートプレートのスタックからなる。これは、「スロットレスモータ」として知られているスロットのない滑らかなロータモータとは異なる。
【0037】
2つのステータ部品(10、20)は、それぞれ第1及び第2のパターン(100、200)に従って切断された、典型的には軟鉄の強磁性積層体(150、250)のスタックによって形成される。これらのパターン(100、200)は、ステータ軸(2)に直交する横断面(4)、すなわち、積層体の主平面とも呼ばれる平面(x、y)内に画定される。もちろん、一方又は他方のステータ部品のスタックのすべての積層体が単一の切断パターンから生じる必要はなく、スタックの特定の積層体は、場合によっては、第1又は第2のパターン(100、200)のサブ部分を構成するパターンから生じる。同様に、積層体は、第1又は第2のパターン(100、200)に由来するのではなく、これらのパターンのサブ部分のみに由来することが可能であり、それにもかかわらず、積層体の組み立ては、スタックをモータの回転軸の方向に見たときに第1及び第2のパターン(100、200)を得ることを生じさせる。
【0038】
歯(11~13)の各々は、第1又は第2のパターン(100、200)の一方の半径方向延長部を構成し、その端部(103)は、第1又は第2のパターン(100、200)の他方の受容領域(213)と係合して、制約された点接触を形成する。
【0039】
「点接触」とは、一方のステータ部品(10、20)の歯(103)の一端と他方のステータ部品(10、20)の受容領域(213)との間の接触部分が、積層体の主横断面(4)で見て、可能な限り狭く、もちろん工業的実現可能性の範囲内であることを意味する。本特許の意味において、「点接触」という用語は、「サイズ又は寸法を伴わない接触」という厳密な数学的定義に限定されるものではなく、ステータ部品(10、20)が物理的に製造され組み立てられたときに、接触面が機械加工及び製造公差よりもわずかに大きく、典型的には歯端部の周囲又は対応する受容領域の周囲の5%未満であることを意味する。結果として、2つのステータ部品(10、20)は、労力なしに一方を他方に係合させることができないが、一方のステータ部品を他方に係合させるために弾性変形を強いる必要があり、2つは、この弾性変形から生じるくさび留めによって組み立てられたままである。
【0040】
モータが組み立てられるとき、2つのステータ部品(10、20)は、これらの制約された点接触によって堅固に保持される。それらを分離するためには、ステータ部品(10、20)の累積重量の5倍を超えるかなりの軸方向力が必要であり、一方を他方から引き抜く。
【0041】
一旦引き抜かれると、2つのステータ部品(10、20)は、一方の部分を他方の部分に対して弾性変形させることによって、著しい労力(2つのステータ部品(10、20)の合計重量の少なくとも5倍)なしに一方を他方の中に単に摺動させることによって再組み立てすることができない。
【0042】
これらのパターンは単一の点接触を有するので、2つのステータ部品(10、20)間の接触は、静止位置に対して一方の方向又は他方の方向に角度自由度を有する枢動接続を形成し、各歯(11~16)は、対応する受容領域(211~216)上でスリップすることなく回転する。
【0043】
要約すると、各々の歯(11~16)および、相補的なステータ部品を有する対向する歯の表面は、
・静止位置に対して一方向又は他方向に角度自由度を有する非スリップ回転枢動接続を形成する単一の接触線と、
・非合同である、接触線のいずれかの側の対向する表面の残りとを有する。
【0044】
パターン(100、200)におけるこの単一の点接触により、2つの部分(10、20)は、積層体のスタックにおいて形成された一連の線分によって形成された単一の線において接触する。
【0045】
したがって、第1及び第2のパターン(100、200)は、組み立てられた位置に対応する構成において、端部(101~106)と受容領域(211~216)との間の係合点に少なくとも1つの重複領域(300)を有し、重複領域(300)は、端部(101~106)の移動に関連するステータ部品(10、20)の少なくとも一方又は他方の製造公差より大きい弾性変形によって吸収される。
【0046】
一般に、各歯の中間軸に平行であり、点接触(301~306)を通過する直線は、ステータ軸(2)上の単一の点において一致しない。
【0047】
図2及び
図3は、それぞれ2つのステータ部品(10、20)の組み立て前及び組み立て後のステータアセンブリ(1)の軸方向入射図(z)を示し、
図1に見えるコイル(31、32、33)は、読み取りを簡単にするために示されていない。「軸方向入射図(z)」は、軸(z)に直交する平面(4)におけるステータアセンブリの投影によって得られる画像を意味し、この画像は、投影された物体の輪郭のみを示し、したがって断面図とは異なる。第1及び第2の切断パターン(100、200)は、環状の形状を有し、歯(11、12、13)のすべてを担持する第1のパターン(100)は、第2のパターン(200)の内側に位置する。この特定の例では、第1のパターン(100)は3つの歯(11~13)を有し、各歯は長手方向対称面(121~123)を有し、その端部(101~103)は、3つの点接触(301~303)、すなわち歯ごとに1つの点接触を形成するように、第2のパターン(200)の受容領域(211~213)と係合するように意図されている。この実施形態では、2つの歯(12、13)は、それらのそれぞれの受容領域(212、213)と角度的に位置合わせされ、円形端部歯(112、113)と、楕円形形状またはより大きい半径を伴う円形形状を有するそれらの受容領域(212、213)との間の点接触を示す。第3の歯(11)は、その一部として、その平面受容領域(211)から角度的にオフセットされた円形端部(101)を有し、その結果、
図2の挿入
図Aによって最も明確に示されるように、2つのパターン(100、200)の部分的な重複(300)が存在する。
図3に示すように、2つのパターン(100、200)間の部分的な重複(300)は、点接触(301)を有するように歯端部(11)の移動を伴うことによって吸収することができる。
【0048】
これは、本発明に厳密に必要な重要な要素、すなわち、すべての歯端部(101、102、103)をそれらの受容領域(211、212、213)と同時に位置合わせすることが不可能であることを意味する。換言すれば、2つのパターン(100、200)の間、より正確には歯端部(101、102、103)とその受容領域(211、212、213)との間には常に部分的な重複(300)が存在し、この重複は歯端部(101、102、103)の移動によって吸収することができる。この結果、ステータを組み立てることができるようにするために、第1又は第2のステータ部品(10、20)の少なくとも1つを弾性変形させる必要が生じる。一旦組み立てられると、この変形は、歯(101、102、103)のうちの1つだけがパターンの部分的な重複(300)を有していたとしても、点接触(301、302、303)のすべてにおいて力を生成することを可能にする。このようにして、前述の制約された点接触が得られる。
【0049】
重複領域(300)の厚さは、設計中の製造公差よりも厳密に大きい、すなわち、例えば、外径が10mm~50mmの範囲のモータに対して20μmを超える重複であることに留意されたい。歯端部の移動は、受容領域の形状に基づいて10μmから0.5mmまで変化し得る。より大きな直径のモータ(50mm~150mm)では、モータの磁気性能を劣化させることなく、歯の長さをより長くすることができ、歯端部の移動をより大きくすることができる(最大1mm)。それにもかかわらず、移動は、ステータ部品(10、20)の弾性変形範囲内に留まるように寸法決めされる。設計段階で生成される重複領域が製造公差に非常に近い限り、製造される部品が、製造ばらつきのために公差未満である重複領域を有することが可能である。実際、例えば20mmの外径を有するモータについて、設計段階中に計画された重複領域が25μmであり、ステータ部品のそれぞれの製造公差が10μmである場合、最も好ましくない場合には、重複領域はステータ部品の各々に10μm、すなわち合計20μmが割り当てられ、実際に製造される部品間の重複は5μmしか残らない。したがって、重複領域は公差未満であるが、弾性変形は、2つのステータ部品を組み立てるために依然として必要である。したがって、本発明は、ステータ部品が製造され、製造公差によって影響を受けると、弾性変形が依然として必要であることを確実にするように、製造公差よりも大きい重複領域の設計に関する。最後に、製造公差は、本発明に関して限定するものではない使用される製造方法に本質的に依存するため、ここでは限定されないことに留意されたい。それにもかかわらず、当業者は、ステータ部品の弾性変形を得るために、当該方法に従って設計をどのように適合させるかを知っているであろう。
【0050】
歯端部(101、102、103)及び受容領域(211、212、213)の形状は、それぞれ単一の点接触(301、302、303)のみを有するように設計され、理想的なパターンからの実際の偏差がどのようなものであっても、これらの偏差は製造公差内に留まる。したがって、製造変動に応じて、歯端部とその受容領域との間の点接触の位置は、実際の形状に応じて変動し得るが、この点接触の一意性は、保証される。
【0051】
この単一の点接触は、2つのステータ部品(10、20)が組み立てられたときに軸方向の線接触となる。このタイプの接触は、有利なことに、点接触を中心とする平面(4)における回転の自由度を残す。完全に得られるとすぐに、そのような自由度は、2つのステータ部品(10、20)の間で伝達される振動応力を低減するのに有益であり、これは、動作中に機械によって放出されるノイズのレベルに有益な影響を及ぼす。2つのステータ部品(10、20)の弾性変形に関連し、各歯端部(101、102、103)とそれに関連する受容領域(211、212、213)との間の摩擦に関連付けられた力によって、転がり接触及び非摺動接触が得られ、これによって、制御されない摩擦による接触に関連付けられた問題が克服される。実際、乾燥摩擦は、接触している要素がそれらの接着状態から離れるときに、応力の突然の緩和を伴い、この突然の緩和は、非常に知覚可能な音響外乱の発生源である非常に広帯域のスペクトル励起をもたらす。転がり接触に対する代替的な解決策は、摺動接触を作り出すために、接触している領域間に潤滑剤を加えることである。これは、追加の製造コスト及びアクチュエータの経年劣化の不十分な制御を構成し、潤滑剤は、時間とともに劣化するか、又は単に有用な領域を離れる可能性がある。したがって、転がり接触の形成は、2つのステータ部品(10、20)間で伝達される振動応力を低減するための既知の解決策と比較して、コスト及び信頼性の点で利点を有する。この転がり接触が考慮される文脈では、点接触の範囲は、対応する受容領域上での歯端部の回転中に進展し得ることが想定され、この進展は、使用される形状に応じて起こり得る。
【0052】
図2及び
図3は、2つのパターン(100、200)の部分的な重複(300)を吸収するために、歯の少なくとも1つの接線方向運動を伴う移動を生成することが必要である好ましい構成を示す。「歯の少なくとも1つの接線方向運動を伴う移動」は、潜在的に組み合わされた運動を意味すると理解されるが、これは、モータの回転軸(2)に対する歯端部の少なくとも1つの接線方向移動を必要とする。それにもかかわらず、この運動がパターンの平面(4)内の並進も必要とすることは除外されない。
【0053】
当然ながら、部分的パターン重複(300)を有する歯端部(101、102、103)及び受容領域(111、112、113)の数は、
図2の例のように1つに限定されず、1とNとの間の値を想定することができ、Nは、ステータ内の歯の数である。値Nは、歯端部(101、102、103)の並進運動を伴わずに、歯及び受容領域の任意の位置が部分的な重複(300)を吸収することが不可能であることを意味することに留意されたい。
【0054】
図2に示される例では、2つのパターン間の部分的な重複表面(300)が意図的に誇張されている。実際には、第1及び第2のステータ部品(10、20)の組み立てに必要な変形は、小さい振幅のままである。とりわけ、
図3に示されるように、歯(11、12、13)の各々とその受容領域(211、212、213)との間の有効な点接触(301、302、303)を保証するために、これらの変形が製造公差よりも大きいことを確実にする必要がある。原則として、第1及び第2のステータ部品(10、20)の組み立てに必要な応力は、それらの構成材料の弾性変形の範囲内に留まるが、製造公差よりも大きい。
【0055】
図3に見られる、製造ばらつきを考慮することによって制約された点接触(301、302、303)を確実にすることを可能にする特性は、各点接触(301、302、303)における接触面に垂直な線(311、312、313)が、ステータ軸(2)上に位置する点においてすべて一致しないことである。「ステータ軸」という用語は、通常、モータの回転軸と同一線上にある軸を意味する。この場合、ステータ軸(2)は、ステータ部品(10、20)の周囲を構成する様々な環状ヨーク(17、27)の中心を構成し、
図2に示すように、ステータ部品の組み立て前に、歯の長手方向対称面(121、122、123)の交点に位置する。それにもかかわらず、歯(11、12、13)が完全な半径方向延長部を有さない、第1及び/又は第2のステータ部品(10、20)の非対称形状を想像することが可能である。したがって、
図2の例では、回避されるべき係合の場所は、ステータ軸(2)上だけではなく、歯の長手方向対称面(121、122、123)の交点(O)に位置する。
【0056】
これらの制約された点接触の代替実施形態が
図4及び
図5に示されている。
図4は、2つのステータ部品(10、20)を組み立てる前のパターン(100、200)であって、各歯端部(101、102、103)とその受容領域(211、212、213)との間にそれぞれ部分的な重複(300)を有するパターン(100、200)を示す。
図5に示すように、この部分的な重複(300)は、制約された点接触(301、302、303)を生じさせるために、第1のステータ部品(10)の内側のヨーク(17)の機械的弾性によって許容される歯の半径方向の並進によって吸収することができる。この実施形態は、各点接触(301、302、303)における接触面に垂直な線(311、312、313)が、ステータ軸(2)上に位置する点において一致する限定的な場合である。
【0057】
各歯とその受容領域との間の制約された点接触の利点は複数ある。まず第1に、2つのステータ部品(10、20)の構造は、歯(11、12、13)上のコイル(31、32、33)の組み立てを自動化することによって工業化を容易にすることを可能にする。実際に、複数のコイル(31、32、33)は、例えば、プラスチック本体上に並列に作製され、次いで、2つのステータ部品(10、20)の組み立て前に、自由端によって歯(11、12、13)上に挿入され得る。これにより、コイル(31、32、33)の製造速度を改善することを可能にするが、より良好な巻線規則性、したがって品質も提供する。
【0058】
制約された接触はまた、歯(11、12、13)とその受容領域(211、212、213)との間に残留遊び又は空隙がないことを確実にすることを可能にする。このような空隙は、厳しい仕様に必要とされる音響性能を達成することができない。実際、ステータ積層体のスタックがロータ及び巻線の磁気励起を受けると、磁束は、歯端部(101、102、103)とそれらの受容領域(211、212、213)との間の2つの積層体のスタックの間をそれぞれ循環する。これらの位置における遊びの存在は、透磁率の不連続性をもたらし、脈動する引力が2つのステータ部品(10、20)間に局所的に現れる。この脈動する引力は、2つのステータ部品(10、20)の間に周期的な衝突を引き起こすのに十分な大きさの変形を引き起こす可能性がある。これらの衝突は、振動及びノイズの発生源であり、機械の音響性能を大幅に低下させる。
【0059】
これに関連して、巻き付けられた各歯(11、12、13)に対する単一の制約された点接触(300)の生成は重要である。実際に、複数の点接触を有する相補パターン(100、200)を切断することは、工業生産の観点から実行可能ではない。なぜなら、製造公差によって、様々な所望の点における有効な同時接触を保証することができないからである。次に、ステータ積層体の2つのスタック間に有害な衝突を引き起こしやすい残留空隙が現れる可能性がある。
【0060】
本発明によるパターン(100、200)を使用することは、賢明な代替実施形態である。製造ばらつきは、点接触(301、302、303)の正確な位置を可能にしないが、選択された切断形状は、それらの一意性を保証する。有効な接触は、2つのステータ部品(10、20)のうちの少なくとも1つを弾性的に変形させて他方のステータ部品に組み付ける必要性によって保証される。
【0061】
最後に、制約された点接触の数は、モータが備える相の数によっても、その歯の数によっても定義されないことに留意されたい。一方の歯と他方のステータ部品との間に製造公差よりも大きい空隙を残すように選択してもよい。これは、モータの磁気性能を低減する空隙をもたらすが、製造及び組み立てを簡単にすることができる。2つのステータ部品間の磁気空隙を最小化することが望まれるすべての接合部において、制約された点接触を有することが必須である。2つのステータ部品を正確に組み立てることを可能にする点接触の最小数は2であることに留意されたい。
【0062】
これらの特性をすべて反映した結果をまとめると、次のようになり得る。
【0063】
巻き付けられた歯(11、12、13)の各々が、第1又は第2のパターン(100、200)の一方の半径方向延長部を構成し、その端部(101、102、103)は、第1又は第2のパターン(200、100)の他方の受容領域(211、212、213)と係合して、制約された点接触(301、302、303)を形成する。
【0064】
〔点接触の形成例〕
図6、
図7、
図8及び
図9は、歯(11)について、本発明による点接触(301)の一意性を保証することを可能にする相補的な切り欠きの異なる形状を示すが、このリストは限定的なものではない。例えば、
図6及び
図9は、部分的又は全体的に凹状であり、その相補的な受容領域(211)の凸状と係合する歯端部(101)を示す。
図7は、歯端部(101)及びその受容領域(211)の両方が凸状を有する代替実施形態を示す。最後に、
図8は、平坦な受容領域(211)と係合する点の形態の歯端部(101)を示す。
【0065】
〔第1の実施形態の詳細な説明〕
図10、
図11及び
図12は、6つの巻き付けられた歯(11~16)を有する機械のステータの実施形態を、それぞれ斜視図及びステータの軸方向に沿った投影図とともに示す。
【0066】
この実施形態では、第1のステータ部品(10)は、磁極片(131~136)によって形成され、磁極片は、約50°にわたって延在し、各々が歯(11~16)によってそれらの中心で延在し、約10°にわたって延在する小さい幅の峡部(141~146)と交互になって、ロータが収容される管状チャネル(3)を画定する。凹状を有する各歯(11~16)の端部は、制約された点接触(301~306)を形成することによって第2の部分(20)と係合する。
【0067】
したがって、第2のステータ部品(20)は、6つの歯(11~16)にそれぞれ対向して配置された6つの半径方向突出部(231~236)を有し、これらの突出部(231~236)の各々が、スポーク(241~246)によって中央で交差され、歯(11~16)の端部を受容することができる凸状支持面の形態の受容領域(211~216)を形成する。凸面の曲率半径は、本発明による制約された点接触(301~306)を確実にするために、凹面の曲率半径よりもわずかに小さい。
【0068】
この実施形態では、歯(11)について
図12により具体的に示すように、制約された点接触(301)は、突出部(231)の中央を通過するスポーク(241)に対する、突出部(231)の凸状部分の切断パターンのわずかな接線方向オフセット(321)によって得られる。オフセットは、可能な接触の場所がもはやスポーク(241)上に位置しないが、スポーク(241)に対する突出部(231)の凸状部分の切断パターンの接線方向オフセット(321)と同じ側にあることを意味する。したがって、オフセットは、2つのステータ部品(10、20)を組み立てるために関連付けられる歯(11)の端部の接線方向移動(341)を必要とし、接触の一意性を保証するために求められる制約を生じさせる。オフセット(321)の方向は、各突出部(231~236)に対して変化し得る。各突出部(231~236)に対するオフセット方向(321)の交互は、同じ基準を維持しながら、第1及び第2のステータ部品(10、20)が組み立てられると、制約された点接触(301~306)における力を均衡させることを可能にすることに留意されたい。
【0069】
図12に示される歯端部(101)及び受容領域(211)の曲率半径がわずかに異なる場合であっても、同一の曲率半径を使用することは除外されないことに留意されたい。実際、2つの異なる曲率半径を使用することは、単一の点接触が得られることを確実にし、それにもかかわらず、本発明において教示されるように、2つの同一の形態の曲率は、それらが非同心的に接触した瞬間から、限られた範囲にわたって依然として接触することができる。したがって、2つの曲率の一方又は他方の全体にわたって接触を生じさせる、同一及び同心の曲率の係合は、本発明から除外される。
【0070】
〔第2の実施形態の詳細な説明〕
図13及び
図14は、本発明による第2の実施形態を示しており、それぞれ、組み立てられているが(単に明瞭さを改善するために)コイルを欠いている2つのステータ部品(10、20)の軸方向に沿った投影図と、コイル(31、33、35)を担持する第2のステータ部品(20)の斜視図とを示している。この実施形態は、第1のステータ部品(10)が第2のステータ部品(20)の外側に位置して外側ロータ形状を形成し、ロータ(図示せず)が環状ヨーク(17)よりも直径が大きいという点で、先の実施形態とは異なる。この実施形態はまた、第1のステータ部品(10)が、歯(11、13、15)によってステータの中心に向かって半径方向に延在する磁極片(131、133、135)を交互に有し、その端部(101、103、105)の形状が凸状であり、代替的に、第1のステータ構造(10)内に位置する、第2のステータ部品(20)を半径方向外側に延在する別の組の歯(12、14、16)の端部(202、204、206)を受容することができる凹状受容領域(112、114、116)を交互に有する点で異なる。第2のステータ部品(20)はまた、第1のステータ部品(10)の歯の凹状端部(101、103、105)を受容することができる凸状受容領域(211、213、215)を有する。
【0071】
この実施形態はまた、
図14に見ることができる3つのコイル(31、33、35)のみを備え、各々が第2のステータ構造(20)の歯(11、13、15)によって担持されるという点で異なる。
図14に示されるように、3つのコイル(31、33、35)を有するこの構成は、6歯構造の磁気的及び機械的特性を保持しながら、コイルの銅部分を増加させることを可能にする。
【0072】
この実施形態はまた、受容領域(111~116)が半径方向突出部の端部に位置せず、第2のステータ構造(20)の内側環状形状部(27)に直接位置するか、又は第1のステータ構造(10)の歯を欠いている磁極片(132、134、136)に位置するという点で、先の実施形態と異なる。
【0073】
〔第3の実施形態の詳細な説明〕
図15及び
図16は、本発明による第3の実施形態を示しており、大量生産に適合するようにステータ積層体の切断を最適化する可能性を強調している。この実施形態は、すべての歯(11~16)が第2のステータ構造(20)によって担持され、第1のステータ構造(10)が歯端部(201~206)のすべての受容領域(111~116)を有する点で、先の実施形態とは異なる。
【0074】
図15は、切断のために配向されたパターン(100、200)を示す。この配向は、有利には、パターン(100、200)が
図16に示されるようにそれらの組み立て方向に配向されるときに有効な接触を確実にしながら、同じ積層体においてそれらを切断することができるように、2つのパターン(100、200)間に最小距離(330)を常に有することを可能にする。実際に、切断は、材料のせん断によるものであろうとアブレーションによるものであろうと、常に材料の損失又は材料の収縮を生じさせる局所的な変形を伴うので、1つの同じ積層体におけるそれらの組み立て配向の切断では、得られた積層体を遊びなしに組み立てることができない。
【0075】
もちろん、この配向技術はこの実施形態を限定するものではなく、大量生産で使用される切断技術に適合する最小距離(330)で配向を有するすべての相補パターン(100、200)に適用することができる。
【0076】
〔第5の実施形態の詳細な説明〕
図17、
図18及び
図19は、12個の歯(11)を有する内部ロータの代替実施形態を示す。
図10及び
図11に示される実施形態と比較して、この実施形態は、歯(11)が非常に短く、コイル(31~36、61~66)に割り当てられる半径方向空間が最大化されなければならない場合に特に興味深い。実際、
図10及び
図11に示される実施形態では、受容領域は、半径方向突出部(231~236)の端部に位置し、これは、歯(11~16)が、第1及び第2のパターン(100、200)の環状ヨーク(17、27)の間の空間全体にわたって延在しないことを意味する。コイル(31)は、ステータ部品(10、20)の一方を他方に軸方向に駆動する前に歯に挿入されるので、コイルの半径方向の延長部は、突出部と干渉してはならない。したがって、突出部をなくすことにより、コイル(31)の半径方向の延長部を最大化することが可能になる。この実施形態を積層体のための工業的切断技術と適合させるために、
図15及び
図16に示される異なる配向の原理もここで使用される。したがって、パターンは、
図17に示されるように切断され、第2のパターンの環状ヨーク(27)は、歯端部(101)に対して間隙を有し、受容領域(211)と直角に位置する。一旦切断されると、パターン(100、200)は、歯端部(101)をそれらのそれぞれの受容領域(211)と整合させ、制約された点接触(301)を得るように、
図18に示される方向に配向される。
【0077】
図19は、その軸方向延長部を評価することを可能にするこのステータの斜視図である。ステータ積層体の第1のスタックの管状チャネル(3)は、矩形開口部(4)を有する。開口部は、第1のステータ部品(10)の積層体のスタックを製造するために2つの異なる切断プロファイルを使用することによって得られ、一方は
図17に示されるものに対応し、他方は単に別個の歯からなる。積層体のスタックの組み立て中、1つの積層体(150)が第1のパターン(100)から来て、6つの積層体(151)が第2のパターン(図示せず)から来る。同様の実施形態が
図10で使用され、より低い比率で、1つおきの積層体がパターンの一方又は他方から生じる。この多数の切断パターンは、追加の工業的複雑性であるが、機械の性能に関して得られる重要な利益に関して妥当な追加コストである。実際に、ロータに対向して位置し、歯(11)に接合する磁極部分(161)は、磁束の短絡を構成し、ステータによって生成される磁束とロータによって生成される磁束との間の良好な結合を妨げる。したがって、
図19は、第2の切断プロファイルからの積層体を主に使用し、それを欠いていることによって、磁極部分(161)の影響を低減することを提案する。したがって、第1のパターン(100)からの、すなわち磁極部分(161)を有する積層体の割合は、短絡磁束の許容可能な割合と、構造の良好な挙動及び半径方向平面におけるその剛性などの、これらの磁極部分(161)に基づく機械的性能との間の妥協点である。磁気短絡を制限するための峡部(144)を示す
図10は、興味深い代替実施形態を構成する。しかしながら、十分な機械的剛性を保証するために、これらの峡部(144)を有するより多くの積層体を組み込む必要がある。
【0078】
〔第6の実施形態の詳細な説明〕
図20は、非対称ステータ構造を有する本発明による代替実施形態を示す。この実施形態では、ステータは、交互の広い歯(11、12、13、14、15、16)及び狭い歯(41、42、43、45、45、46)を有し、そのうちの3つの歯(11、12、13)のみがコイルを受容するように意図され、180°未満の角度範囲の角度セクタα内に位置する。これらの3つの巻き付けられた歯(11、12、13)は、第1のステータ部品(10)に属する唯一の歯であり、環状ヨーク(17)から半径方向に延在する。第2のステータ部品(20)は、他の歯(14、15、16、41、42、43、44、45、46)によって環状ヨーク(17)の方向に半径方向に延在された周辺ヨーク(240)からなる。第1のセクタαに対して相補的な第2のセクタβに位置するすべての歯はコイルを担持していないので、それらの半径方向延長部は、漏れのない磁束の正しい循環に必要な最小限まで低減され得ることに留意されたい。したがって、周辺ヨークは、角度セクタβの大部分にわたって、低減された半径方向延長部を有し、モータのサイズを制限することを可能にする。この実施形態は、モータが運動減速機と関連付けられている場合に特に有利である。
【0079】
〔第7の実施形態の詳細な説明〕
図21は、
図20に示される実施形態と同様の変形実施形態を示す。先の実施形態と比較して、これは、
図20の周辺ヨーク(230)が2つの部分(140、240)に分割され、第2の角度セクタβ内に位置する歯(51、52、53、54、55、56、57)のすべて、並びに今回それらを支持する周辺ヨーク140の部分が、第1のパターン100の一体部分であるという点で異なる。実際、これらの歯はすべてコイルを欠いているので、より大きな剛性を有するように短くすることができ、歯を周辺ヨーク(140)から機械的に分離する必要性を克服することができる。第1及び第2のステータ部品(10、20)は、周辺ヨーク(140、240)の2つの部分の各々に位置する相補的な形状(19、29)(ここではダブテール)を有し、軸方向の駆動によってそれらを固定することを可能にする。この実施形態は、積層体を切断するときに材料を節約する手段であり、先の実施形態は、
図15及び
図16に記載されているように、積層体のスタックの切断と組み立てとの間のパターン(100、200)の異なる角度配向に適合しない。
【0080】
〔第8の実施形態の説明〕
図22及び
図23は、
図20に示す実施形態と同様の変形実施形態を示しており、
図22は、積層体の切断配向における2つのパターン(100、200)を示しており、
図23は、組み立て配向における2つのパターン(100、200)を示している。この実施形態は、すべての歯(11、12、13、14、15、16、41、42、43、44、45、46)が、第1のステータ部品(10)の環状ヨーク(17)を半径方向に延在する点で、
図20に示す実施形態とは異なる。
【0081】
〔第9の実施形態の説明〕
図24は、特定の歯(11~16、21~26)が半径方向ではない変形実施形態を示す。この実施形態では、各半径方向歯(12、15、22、25)は、2つの歯(11及び13、14及び16、21及び23、24及び26)の間に位置し、これらの歯は平行である。この実施形態は、多数のコイルを備えるモータの歯へのコイルの挿入を簡単にするのに有利である。平行な連続した歯によって支持されたコイルは、自動組み立てラインによって単一の動作で挿入することができ、これは、大幅な節約を表す著しい時間節約である。この図が示すように、非半径方向歯(11、13、14、16、21、23、24、26)は、受容領域(211、213、214、215、251、253、254、256)と係合して、制約された点接触を形成することができる。半径方向歯(12、15、22、25)が取り外された場合、原理は同一であり、したがって、本発明は、半径方向歯の存在を条件としないことに留意されたい。
【0082】
〔第10の実施形態の説明〕
図25は、巻き付けられた歯(11、12、13、14、15、16、21、22、23)が、第1のステータ部品(10)の環状ヨーク(17)の半径方向に延在し、フレア端部(101、102、103、104、105、106、107、108、109)及びフレア歯の基部(171、172、173、174、175、176、177、178、179)を有する第10の変形実施形態を示す。この実施形態は、例えばワイヤが銅であった場合、直径が1mmより大きい剛性ワイヤを歯に直接取り付けるときに特に有利である。積層体のスタックに直接形成されたフレアは、巻線動作中に変形せず、2つのステータ部品(10、20)の組み立てを容易にする、ワイヤの十分な剛性を有する半径方向停止部を提供する。歯の基部(171、172、173、174、175、176、177、178、179)を広くすると、ロータによって生成される磁束の収集が促進されることにも留意されたい。もちろん、環状ヨーク(17)は、磁気漏れを最小化するように、各フレアの間に容易に磁気飽和可能な狭窄部を有する。この実施形態はまた、同じスタック内の第1及び第2のステータ部品(10、20)の積層体を切断することができるように、積層体を切断するためのパターンの配向が組み立て配向とは異なることを可能にする。
【0083】
〔第11の実施形態の説明〕
図26は、第1のステータ部品(10)がプラスチック本体(50)上にモールド成形される第11の実施形態を示す。このプラスチック本体(50)は、
図26では1つのみが示されており、各歯(11)にコイル本体(51)を形成し、巻き付けを容易にする。各々のコイル本体(51)はまた、第1のステータ部品(10)を構成する積層体のスタックの上面からプラスチック本体の軸方向端部まで延在し、接線方向に断熱的に広がるフレア溝(52)を半径方向端部に有する。これらのフレア溝(52)は、有利には、歯端部(101)を第1及び第2のステータ部品(10、20)のそれらの受容領域(図示せず)と位置合わせすることを可能にする。十分な剛性を有するプラスチック本体を構成するプラスチックは、一方を他方に軸方向挿入する間に、第1及び第2のステータ部品(10、20)を構成する積層体のスタックの一方又は他方を支持し、十分な弾性変形を生じさせることができるように選択することができる。これは、ステータ部品の挿入を可能にするためにステータ部品の変形を誘導することを可能にし、組み立てラインに実質的な利点を与える。断熱的な接線方向の広がりは、ステータ部品(10、20)を接線方向に位置合わせされる又は変形させる必要性に対応する一例に過ぎず、当業者であれば、この教示を他の必要性に役立つように外挿する方法を知っていることに留意されたい。例えば、フレア溝(52)は、半径方向にフレアして、この方向における誘導及び変形支持を提供することができる。フレアはまた、断熱的でなくてもよいが、挿入の開始時に大きな勾配を有し、その後、挿入の間に必要とされる力を変化させるためにより緩やかな勾配を有してもよい。
【0084】
また、この実施形態は、ステータ部品(10、20)の一方又は他方のプラスチックオーバーモールドに限定されないこと、フレア溝(52)は、歯上に組み立てられたコイル本体に形成されてもよいことに留意されたい。
【国際調査報告】