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  • 特表-生分解性ポリマー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】生分解性ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241106BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20241106BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20241106BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20241106BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241106BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/053 ZBP
C08L67/00
B33Y70/00
B33Y80/00
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525113
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-22
(86)【国際出願番号】 US2022048563
(87)【国際公開番号】W WO2023076723
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,067
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519130410
【氏名又は名称】インターフェイシャル・コンサルタンツ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】サーノホウス, ジェフリー, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オクウイグ, ナザン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002CF001
4J002CF181
4J002EC056
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD040
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD110
4J002FD130
4J002FD180
4J002FD206
4J002FD320
4J002FD340
4J002GC00
4J002GG00
4J002GM00
4J002GQ00
4J200AA04
4J200AA06
4J200AA07
4J200BA09
4J200BA12
4J200BA14
4J200DA17
4J200DA24
4J200DA28
4J200EA11
4J200EA21
(57)【要約】
生分解性ポリマーと熱安定性の糖とを含む生分解性ポリマー組成物。生分解性ポリマー組成物は、生分解性ポリマー自体と比較すると、機械的特性、熱的特性及び生分解特性が著しく改善されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマー;及び
熱安定性の糖
を含む生分解性ポリマー組成物であって、前記生分解性ポリマー及び前記熱安定性の糖をそれぞれの溶融加工温度より高い温度で溶融加工して形成される、生分解性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記生分解性ポリマーが生分解性ポリエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生分解性ポリマーがポリ乳酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記生分解性ポリマーがポリヒドロキシアルカノエートポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱安定性の糖が150℃より高い温度で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱安定性の糖が170℃より高い温度で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記熱安定性の糖が190℃より高い温度で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記熱安定性の糖がトレハロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記熱安定性の糖がイノシトールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
一つ以上の追加の添加剤又はポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記熱安定性の糖が少なくとも186℃の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記生分解性ポリマー組成物が原料を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の生分解性ポリマー組成物の原料から製造された、三次元印刷された物品。
【請求項14】
射出成形、押出、ブロー成形、インフレーションフィルム、キャストフィルム、真空成形又は熱成形溶融加工技術を使用した請求項1に記載の組成物の溶融加工から製造される物品。
【請求項15】
包装、消費財、自動車部品、電子部品、建築及び構造部品並びにプロトタイプとして使用される請求項14に記載の物品。
【請求項16】
生分解性ポリマー及び熱安定性の糖を溶融加工することを含む方法であって、前記生分解性ポリマー及び前記熱安定性の糖をそれぞれの溶融加工温度より高い温度で加工して、生分解性ポリマー組成物を形成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる、2021年11月1日に出願された米国特許仮出願番号63/274,067の優先権を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本開示は、生分解性ポリマー組成物を製造及び使用するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生分解性ポリマーは、包装や積層造形/3D印刷市場のような、材料に耐久性があることが必要とされないいくつかの商業市場で応用されている。理想的には、このような用途での材料は、短期間の使用では機能するが、その後、廃棄されると急速に分解することが望ましい。ポリマーの生分解は、使い捨てプラスチック製品の環境問題に対する取り組みの一助となる。しかしながら、生分解性ポリマーは商業的利用での機能に必要とされる特定の物理的及び化学的特性を満たしていないので、その応用はこれまでのところ限られていた。例えば、生分解性ポリマーが食器に成形される場合、水の沸点である100℃もの高温にまでなり得る熱い食べ物や飲み物の温度に耐えるのが理想的である。残念なことに、ポリ乳酸(PLA)やポリヒドロキシアルカノエート(PHA)をはじめとする、市場で一般的に使用されているバイオプラスチックは、これよりもはるかに低い温度(50~70℃)で変形し、その結果、これらの材料は、炭化水素系熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレン)に比べて商業的用途が限られている。市販の生分解性ポリマーのもう一つの欠点は、結晶化速度が非常に遅い可能性があることである。これは、押出、射出成形、熱成形のような従来の溶融加工技術を使用したそのような材料の溶融加工及び成形に悪影響を及ぼす。PLAは特に結晶化が遅い。PLAの溶融加工及び成形のサイクル時間は、従来の熱可塑性材料よりも2~3倍を超えて長くなる可能性がある。最後に、ある種の生分解性ポリマーは、幅広い状況下で容易に生分解され得るわけではなく、むしろ特定の環境条件を必要とする可能性がある。例えば、PLAは、工業的な堆肥化技術によって提供される特定の条件下でのみ容易に生分解され得る。そのような材料の生分解を改善することが望ましい。本開示の生分解性組成物は、市販の生分解性ポリマーに関連するこれらの重要な問題の全てに対処する。一実施形態で、本発明者らは、熱安定性の糖での生分解性ポリマーの溶融加工により、熱的特性、機械的特性、及び生分解特性が改善された組成物が得られることを見出した。本開示の組成物は、包装、消費財、3D印刷された物品やプロトタイプをはじめとする多くの用途で有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生分解性ポリマー(例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA))と熱安定性の糖(例えば、トレハロース)とを含む生分解性ポリマー組成物は、市販の生分解性ポリマーの問題の多くに対処することが判明した。具体的には、本開示の生分解性組成物は、耐熱性が著しく改善され、結晶化速度が速く、生分解性が改善されていることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の生分解性ポリマー組成物は溶融加工可能であり、生分解性ポリマーと熱安定性の糖とを含む。この組成物の糖成分は、従来の溶融加工技術(例えば、押出、射出成形、及び熱成形)を用いて生分解性ポリマーを溶融加工するために必要な温度で熱安定性である。
【0006】
いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、使用温度での耐熱性又は弾性率が改善されている。この特性は、ASTM D648-エッジワイズ位置における曲げ荷重下でのプラスチックのたわみ温度に関する標準試験方法などの方法にしたがって高温での熱変形又はたわみを測定することによって求めることができる。一実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、80℃超の熱たわみ温度を有し、他の実施形態では100℃超の熱たわみ温度を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる結晶化速度が改善されている。この特性は、ASTM D3418-示差走査熱量測定によるポリマーの転移温度並びに融解及び結晶化のエンタルピーに関する標準試験方法により、融解エンタルピー、及び関連する熱遷移現象を測定することによって求めることができる。一実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの結晶化エンタルピーの2倍以上の結晶化エンタルピーを有する。別の実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの結晶化エンタルピーの3倍以上の結晶化エンタルピーを有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、実験室での制御された生分解実験において生分解性ポリマー組成物の物品を細菌に曝露することによって求められるような、例えば、成形品のバルク生分解によって求められるような生分解速度が改善されている。一実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの生分解速度よりも少なくとも2倍速い生分解速度を有する。別の実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの生分解速度よりも少なくとも3倍速い生分解速度を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー組成物は、生分解性ポリマー及び熱安定性の糖を溶融加工することによって作製される。本開示の組成物は、押出を含む様々な溶融加工技術を使用して製造できる。生分解性ポリマー組成物を作製するための溶融加工技術の一つは、二軸押出である。生分解性ポリマー組成物は、射出成形、熱成形、異形押出、及び3D印刷のようなさらなる溶融加工技術を使用して様々な物品にさらに成形できる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の生分解性ポリマー組成物を三次元印刷原料に溶融加工する。例えば、生分解性ポリマー組成物を押し出して、熱溶解積層法(FDM)又は熱溶解フィラメント造形(FFF)方式の三次元プリンターで使用できるフィラメントにすることができる。生分解性ポリマー組成物の三次元印刷された物品は、その後にこの原料を使用して形成できる。三次元印刷プロセスは、通常、ビルドチャンバー中の実質的に水平なビルドプレート上に分配された三次元印刷された物体を含む。
【0011】
上記概要は、各々の開示された実施形態又は全ての実施を説明することを意図するものではない。以下の詳細な説明は、例示的実施形態をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、成形品のバルク生分解性試験に7日間曝露した後の比較例3の倍率600倍での走査型電子顕微鏡画像である。
図2図2は、成形品のバルク生分解性試験に7日間曝露した後の実施例9の表面の倍率600倍での走査型電子顕微鏡画像である。
図3図3は、成形品のバルク生分解性試験に7日間曝露した後の比較例11の倍率600倍での走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
文脈上別段の指示がない限り、以下の用語は以下の意味を有し、単数形及び複数形に適用される。
【0014】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも一つ」、及び「一つ以上」という用語は交換可能に使用される。したがって、例えば、「一つの」生分解性ポリマーを含む生分解性ポリマー組成物は、当該生分解性ポリマー組成物が「一つ以上の」生分解性ポリマーを含み得ることを意味する。
【0015】
「積層造形」、「三次元印刷」、「3D印刷」、又は「3D印刷された」という用語は、材料の連続層がコンピュータ制御下で形成される、三次元物体を創出するために使用される任意のプロセス(例えば、電子ビーム溶解(EBM)、熱溶解積層法(FDM)、インクジェット、薄膜積層法(LOM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、及びステレオリソグラフィ(SLA))を指す。
【0016】
「生分解性ポリマー」という用語は、生物相(細菌、真菌、及び放線菌)によって分解及び/又は消費されてより低分子量のサブユニットとすることができるポリマーを意味する。
【0017】
「生分解性ポリマー組成物」という用語は、生分解性ポリマーと熱安定性の糖とを含む組成物を指す。
【0018】
「ビルドチャンバー」という用語は、積層造形装置内または積層造形装置によって利用され、その中で所望の物体を印刷できる空間であって、多くの場合は閉じられた空間を指す。ビルドチャンバーの非限定的例としては、ARBURG(商標)フリーフォーマー(Freeformer)(独国ロスブルクのアルバーグ ジーエムビーエイチ(Arburg GmbH)から商業的に入手可能)を挙げることができる。
【0019】
「ビルドチャンバー温度」という用語は、積層造形中にビルドチャンバー内で提供される温度を指す。
【0020】
「造形材料」という用語は、積層造形プロセスを使用して三次元で印刷して、所望の物体を製造する材料であって、多くの場合、可溶性支持体の除去後に残る材料を指す。
【0021】
「ビルドプレート」という用語は、造形材料又は可溶性支持体をその上に印刷できる基体であって、多くの場合、除去可能なフィルム又はシートである基体を指す。
【0022】
「組成物」という用語は、多成分材料を指す。
【0023】
「コポリマー」という用語は、実際に(例えば、共重合により)又は概念的に、複数のモノマー種から誘導されるポリマーを指す。例えば、二つのモノマー種から得られるコポリマーはバイポリマーと呼ばれる場合があり、三つのモノマーから得られるコポリマーはターポリマーと呼ばれる場合があり、四つのモノマーから得られるコポリマーはクォーターポリマーと呼ばれる場合がある。コポリマーは、例えば、線状コポリマー及び分枝コポリマーとしてなど、構造中の分枝の配置に基づいて特徴づけることができる。コポリマーはまた、例えば、交互コポリマー、周期的コポリマー、統計的コポリマー、グラフトコポリマー、及びブロックコポリマーとしてなど、モノマー単位がどのように配置されているかに基づいて特徴づけることもできる。
【0024】
「バイオポリマー」という用語は、実際的又は概念的に、生物学的に産生されたモノマーから誘導されるポリマーである。
【0025】
「共重合」という用語は、コポリマーが形成される重合を指す。
【0026】
「結晶化エンタルピー」という用語は、ASTM規格D3418-示差走査熱量測定による転移温度並びにポリマーの融解及び結晶化エンタルピーの標準試験方法に準拠した示差走査熱量測定(DSC)によって測定された値を指す。
【0027】
「二糖(disaccharide)」、「二糖(double sugar)」、又は「二炭糖」という用語は、実際的又は概念的に、二つの単糖又は単糖残基間のグリコシド結合によって形成された糖化合物を指す。
【0028】
「原料」という用語は、積層造形プロセス(例えば、造形材料又は可溶性支持体として)で利用できる材料の形態を指す。非限定的原料例としては、ペレット、粉末、フィラメント、ビレット、液体、シート、成形プロファイル(shaped profile)などが挙げられる。
【0029】
「溶融加工技術」という用語は、配合、押出、射出成形、ブロー成形、回転成形、又はバッチ混合など、ポリマー又は組成物を再形成、ブレンド、混合、又は他の方法で修正するために熱及び機械エネルギーを適用するための技術を意味する。熱可塑性及びエラストマー溶融加工可能な材料の印刷において有用な3D印刷プロセスが、溶融加工技術の一例である。
【0030】
「混合」という用語は、単一物質、塊、相、又はより均一な状態を形成するために結合又はあわせることを意味する。これには、限定されるものではないが、あらゆる物理的ブレンド法、押出技術、又は溶液法が含まれ得る。
【0031】
「モノマー」という用語は、重合してポリマーの基本構造に構造単位を提供できる分子を指す。
【0032】
「単糖」という用語は、単純な糖であり、加水分解してより単純な糖を形成することができない分子を指す。この用語には、アルドース、ケトース、及び糖アルコールなどの様々な誘導体が含まれる。そのような誘導体は、実際的又は概念的に、酸化、脱酸素化、他の置換基の導入、ヒドロキシ基のアルキル化及びアシル化、並びに鎖の分枝によって形成できる。単糖の非限定的例としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、グリセルアルデヒド、及びジヒドロキシアセトンが挙げられる。
【0033】
「オリゴ糖」という用語は、少数(例えば、2~6又は2~4)の単糖残基が共有結合したものを意味する。
【0034】
「ポリマー」及び「ポリマーの」という用語は、相対分子量が高い分子を指し、その構造は、実際的又は概念的に、相対分子量の低い分子から誘導される単位の複数の繰り返しを含む。「ポリマー」という用語は、「コポリマー」又は「バイオポリマー」を指す場合がある。
【0035】
「重合」という用語は、モノマーをポリマーに変換するプロセスを指す。
【0036】
「多糖」という用語は、グリコシド結合した多数の単糖単位、二糖単位、オリゴ糖単位、またはそれらの残基からなる化合物(例えば、デンプン、プルラン、キチン、アミロース、ペクチンなど)を指す。
【0037】
「糖」という用語は、アルドース又はケトースなど、限定されるものではないが、Cn(H2O)nの化学量論式を有し得る、炭素、水素、及び酸素を含む化合物を指す。この用語は、任意の単糖、二糖、オリゴ糖、又は多糖、並びに、実際的若しくは概念的に、カルボニル基(アルジトール)を還元することによるか、一つ以上の末端基をカルボン酸に酸化することによるか、又は一つ以上のヒドロキシ基を水素原子、アミノ基、チオール基、硫酸基、リン酸基、若しくは類似の基で置換することによって、それらから誘導される化合物を指す場合がある。この用語は、実際的なものであっても、概念的なものであっても、そのような化合物からの誘導体を指す場合もある。
【0038】
「熱安定性」という用語は、ASTM E2550-熱重量測定による熱安定性の標準試験方法に準拠した熱重量分析(TGA)によって判定される劣化をほとんど示さない組成物を指す。
【0039】
終点を使用した数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、3、3.95、4.2、5などが含まれる)。
【0040】
本開示の生分解性及び/又はバイオベースのポリマー組成物は、生分解性ポリマーを熱安定性の糖で溶融加工することによって製造される。様々な生分解性及び/又はバイオベースのポリマーを生分解性ポリマー組成物で採用できる。生分解性ポリマーの非限定的例としては、ペプチド、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリアミド、ポリアルキレングリコール及びコポリマー、並びにそれらの組み合わせ又はブレンドが挙げられる。一実施形態において、生分解性ポリマーはポリエステルである。線状ポリエステルの非限定的例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、並びにL-乳酸及びD-乳酸のランダムコポリマー(PLDA)及びその誘導体が挙げられる。ポリエステルの他の非限定的例としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリリンゴ酸(PMLA)、ポリグリコール酸(PGA)、及びポリジオキサノンが挙げられる。本開示において有用な特定のポリエステルの非限定的例としては、インゲオ(Ingeo)ポリ乳酸(ネイチャーワークス,インク.(Natureworks,Inc)から商業的に提供)及びノダックス(Nodax)ポリヒドロキシアルカノエート(ダニマー サイエンティフィック(Danimer Scientific,Inc)から商業的に提供)が挙げられる。
【0041】
生分解性ポリマーの選択に応じて、これが熱安定性の糖の選択に影響を及ぼすことは当業者には認識されるであろう。一実施形態では、本開示の糖は150℃まで熱安定性であり、別の実施形態では、本開示の糖は170℃まで熱安定性であり、さらに別の実施形態では、本開示の糖は200℃まで熱安定性である。本開示の糖は吸湿性であり得ることに留意すべきである。100℃を超える高温での水の喪失(脱水)による質量の喪失は、糖が熱安定性ではないことを示すものではない。水の沸点よりも高い温度、具体的には約120℃での糖の分解焼失、分解は、糖分子の熱分解を示すものである。本開示の熱安定性の糖の非限定的例としては、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、又はその誘導体を含む糖が挙げられる。非限定的な市販の糖の例は、長瀬産業株式会社(日本国東京都)からTREHA(商標)糖として販売されているトレハロースである。他の例示的な糖としては、限定されるものではないが、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、セロビオース、キトビオースオクタアセテート、コージビオース、ニゲロースオクタアセテート、イソマルトース、イソマルツロース、β,β-トレハロース、α,β-トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルクチノース、ルクチヌロース、メレジトース、キシロビオース、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ペルセイトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、又はマルトテトライトールが挙げられる。
【0042】
生分解性ポリマー組成物において、少なくともある特定の融点を有する糖を採用することが望ましい場合がある。例えば、少なくとも85℃、少なくとも100℃、少なくとも125℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも175℃、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも186℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも196℃、少なくとも200℃、少なくとも203℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも250℃、少なくとも253℃、少なくとも300℃、又は少なくとも304℃の融点を有する糖を採用することが望ましい場合がある。いくつかの例示的な糖と、それぞれの融点を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
生分解性ポリマー組成物では様々な追加の添加剤を任意選択的に採用することができる。適切な添加剤の非限定的例としては、抗酸化剤、光安定剤、繊維、発泡剤、発泡添加剤、ブロッキング防止剤、熱線反射材料、熱安定剤、衝撃改質剤、殺生物剤、抗菌添加剤、相溶化剤、可塑剤、粘着付与剤、加工助剤、潤滑剤、カップリング剤、熱導体、導電体、触媒、難燃剤、脱酸素剤、蛍光タグ、不活性充填剤、鉱物、及び着色剤が挙げられる。添加剤は、粉末、液体、ペレット、顆粒として、又は任意の他の押出可能な形態で生分解性ポリマー組成物に組み入れることができる。生分解性ポリマー組成物中の従来の添加剤の量及び種類は、ポリマーマトリックス及び最終組成物の所望の特性に応じて変化する可能性がある。本開示を考慮して、当業者は完成した材料又は物品において所望の特性を達成するために添加剤およびその量を選択できることがわかるであろう。典型的な添加剤の装填レベルは、例えば、組成物配合物の約0.01~5重量%であり得る。
【0045】
生分解性ポリマー組成物において様々な追加のポリマーを任意選択的に採用することができる。そのようなポリマーには、未使用又はリサイクルされた熱可塑性プラスチック、エラストマー、及び熱硬化性樹脂が含まれ得る。そのようなポリマーの非限定的例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィンコポリマー(例えば、エチレン-ブテン、エチレン-オクテン、エチレン-酢酸ビニル、エチレン-ビニルアルコール)、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー(例えば、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、シリコーン、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート、エポキシ、アルキド、メラミン、フェノール、ビニルエステル又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
生分解性ポリマー組成物は、特定の試験方法で細菌に曝露されると、溶解及び/若しくは崩壊、又はそれらの組み合わせとなる。生分解性ポリマー組成物の生分解速度を求める際に有用な非限定的な方法としては、ASTM D5338-好熱温度を組み入れた、制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D5538-制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的生分解を求めるための標準方法;ASTM D5511-高固体嫌気性消化条件下におけるプラスチック材料の嫌気性生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D5526-加速された埋立地条件下でのプラスチック材料の嫌気性生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D5988-プラスチック材料または堆肥化後の残留プラスチック材料の土壌中の嫌気性生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D6002(2011年に廃止)-環境的に分解可能なプラスチックの堆肥化可能性評価のための標準的指針(及びそれに含まれる試験方法);ASTM D6691-定義された微生物コンソーシアム又は天然海水接種物による海洋環境におけるプラスチック材料の好気性生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D7081(2014年に廃止)-海洋環境における非浮遊生分解性プラスチックの標準仕様(及びそれに含まれる方法);ASTM D7991-制御された実験条件下における砂質海洋堆積物中に埋設されたプラスチックの好気性生分解を求めるための標準試験方法;ASTM D6400-公共又は工業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックをラベリングするための標準仕様(及びそれに含まれる方法);又はASTM規格に相当する欧州規格(ISO 19679;ISO 18830;ISO 14851;ISO 14855;ISO 17088)が挙げられる。一実施形態では、生分解性ポリマー組成物はベースの生分解性ポリマーよりも少なくとも2倍速く分解し、別の実施形態では、少なくとも3倍速く分解する。
【0047】
様々な異なる装填量の生分解性ポリマー及び熱安定性の糖を生分解性ポリマー組成物で採用できる。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、例えば、少なくとも約1重量%の熱安定性の糖、又は少なくとも約10重量%の熱安定性の糖、又は少なくとも約20重量%の熱安定性の糖、又は少なくとも約40重量%の熱安定性の糖、そして最大約50重量%の熱安定性の糖、又は最大約70重量%の熱安定性の糖を含み得る。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、少なくとも30%の生分解性ポリマー、そして最大約50重量%の生分解性ポリマー、又は最大約75重量%の生分解性ポリマー、又は最大約90重量%の生分解性ポリマー、又は最大約95重量%の生分解性ポリマー、又は最大約99重量%の生分解性ポリマーを含み得る。別の実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、30~99重量%の生分解性ポリマーを含む。さらに別の実施形態において、生分解性ポリマー組成物は40~90重量%の生分解性ポリマーを含む。
【0048】
生分解性ポリマー組成物は、加熱、固体混合、溶液混合、溶融加工、又はそれらの組み合わせにより調製することができる。選択されたポリマーマトリックスに応じて、本開示を考慮して当業者に公知の様々な混合プロセスを使用してこれを実施できる。生分解性ポリマー、熱安定性の糖、及び任意の追加の添加剤又はポリマーを組み合わせることができる(例えば、コンパウンディングミル、バンバリーミキサー、又は混合押出機による)。別の実施形態では、ベント付二軸押出機を利用する。材料は、例えば、粉末、ペレット、又は顆粒製品の形態で使用してもよい。混合操作は、生分解性ポリマー、熱安定性の糖、又は両者の溶融加工温度以上の温度で実施するのが最も好都合である。結果として得られる溶融加工された生分解性ポリマー組成物を、最終製品の形状に直接押し出すことができるか、又は後に使用するために、ペレット化できるか、若しくは溶融加工装置から組成物をペレット化する二次操作へと供給できる(例えば、ペレットミル又は圧縮装置(densifier)を使用)。別の実施形態において、生分解性ポリマー組成物及び任意の添加剤又はポリマーを3D印刷できる。
【0049】
生分解性ポリマー組成物は多くの利点をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、使用温度で改善された耐熱性、又は弾性率を有する。この特性は、ASTM D648-エッジワイズ位置における曲げ荷重下でのプラスチックのたわみ温度に関する標準試験方法などの方法に準拠して高温で熱変形又はたわみを測定することによって求めることができる。一実施形態では、本開示の生分解性ポリマー組成物は80℃より高い熱たわみ温度を有し、他の実施形態では100℃より高い熱たわみ温度を有する。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる結晶化速度が改善されている。一実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの結晶化エンタルピーの2倍以上の結晶化エンタルピーを有する。別の実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーの結晶化エンタルピーの3倍以上の結晶化エンタルピーを有する。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマー組成物は、生分解性ポリマー組成物の物品を制御された生分解実験において細菌に曝露することによって求められるような、例えば、成形品のバルク生分解性試験によって求められるような、改善された生分解速度を有する。一実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーよりも少なくとも2倍速い生分解速度を有する。別の実施形態において、本開示の生分解性ポリマー組成物は、組成物の生分解性ポリマーよりも少なくとも3倍速い生分解速度を有する。
【0050】
生分解性ポリマー組成物は、所望の最終用途のためにさらなる加工を受けることができる。生分解性ポリマー組成物は熱溶解積層法(FDM)において原料として使用できる。いくつかの実施形態において、原料はフィラメントであってもよいが、他の原料(例えば、フィルム、シート、成形プロファイル、粉末、ペレットなど)も使用できる。FDM原料の場合、剛性と靭性とのバランスが適切であることが望ましい。これについての必要性は二つあり、一つ目は、フィラメント製造に関する検討事項であり、二つ目は、FDMベースの3Dプリンターを使用して加工する場合に材料が適切に機能しなければならないということである。材料が柔らかすぎると、駆動システムがフィラメントをフィラメント押出機のヘッド又は液化機に押し込んだり引っ張り出したりしようとする場合に曲がったり、よじれたり、又は伸びたりする傾向がある。フィラメントが充分に頑丈でない場合は、巻き戻される際、及び/又はフィラメント押出機のヘッド若しくは液化機への経路を通過する際に破損する傾向がある。FDM型プリンターで機能するためには、剛性と靭性とのバランスが適切となるようにFDMフィラメント組成物を設計すべきであることは、当業者には認識されるであろう。
【0051】
生分解性ポリマー組成物はまた、配合、押出、成形、及び鋳造などの従来の溶融加工技術、又は積層造形プロセスを使用して、物品に変換することもできる。積層造形プロセスで使用する場合、様々な積層造形デバイスは、例えば、支持体又は造形材料として、水溶性ポリマー組成物を採用できる。そのような積層造形デバイスの非限定的例としては、限定されるものではないが、ドレメル デジラボ 3D45 3Dプリンター(Dremel DigiLab 3D45 3D Printer)、ルルズボット ミニ 3D プリンター(LulzBot Mini 3D Printer)、メーカーボット レプリケイタープラス(MakerBot Replicator+)、XYZプリンティング ダ ビンチ ミニ(XYZprinting da Vinci Mini)、ウルチメーカー 3(Ultimaker 3)、フラッシュフォージ ファインダー 3D プリンター(Flashforge Finder 3D Printer)、ロボ 3D R1+プラス(Robo 3D R1+Plus)、ウルチメーカー 2+(Ultimaker 2+)、ウルチメーカー 5エス(Ultimaker 5s)、及びアオン M2(AON M2)が挙げられる。水溶性ポリマー組成物は、構築又は支持材料のいずれかとして(例えば、溶解によるか若しくは機械的に)手動で、自動的に(例えば、コンピュータ制御の溶解)、又はそれらのある組み合わせによって、選択的に除去できる。すでに開示したものなどの様々なポリマー及び添加剤を生分解性ポリマー組成物に添加して、物品を形成することができる。
【0052】
生分解性ポリマー組成物及びそのような組成物を含む物品は、限定されるものではないが、包装、消費財、及び積層造形を含む多くの産業において幅広い有用性を有する。これらの組成物及び物品は、プラスチックコンパウンダーやコンバーターに大きな価値を提供できる。開示された組成物及び物品は、疎水性ポリマーに対する接着力の増強、調整可能なレオロジー特性、剛性の増大、結晶化速度の改善、耐熱性の改善及び生分解プロファイルの増強を提供する。
【0053】
以下の実施例において、特に断りのない限り、全ての部及びパーセンテージは重量基準である。
【実施例
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
サンプル調製物:配合物CE1~3、1~18
【0057】
配合物1~18のそれぞれを表3の重量比にしたがって調製した。配合物1~18を27mm二軸押出機(40:1 L:D、独国のレイストリッツ エクストラジッションテクニック ジーエムビーエイチ(Leistritz Extrusiontechnik GmbH)から市販)に供給した。生分解性ポリマーをゾーン1でスロートに供給し、糖をゾーン6でサイド供給(side feed)した。配合物1~18の配合は、ゾーン1~10において以下の温度プロファイル:180℃、及びダイ温度170℃を使用して実施した。押出機のスクリュー速度は約250rpmであり、出力速度は約25kg/hrであった。次いで、混合物を空冷ベルトコンベヤー上に押し出し、約2.5mm×2.5mmの円筒形ペレットにペレット化し、プラスチック袋に集めた。続いて、サンプルCE1~3及び1~18を、40トンのアーバーグ オール-ラウンダー(Arburg All-Rounder)射出成型機を使用して、ASTM引張試験片及び曲げ試験片を有する型中に射出成形した。バレル温度は180℃であり、注入圧は1平方インチあたり18,000ポンド、金型温度は50℃であった。
曲げ、衝撃及び熱たわみ特性:配合物CE1~3、1~18
【0058】
配合物CE1~3及び1~18は、ASTM D790-非強化及び強化プラスチック並びに電気絶縁材料の曲げ特性についての標準試験方法にしたがって曲げ特性について、ASTM D256-プラスチックのアイゾッド振り子耐衝撃性を求めるための標準試験方法及びASTM D4812-プラスチックのノッチ無カンチレバービーム耐衝撃性に関する標準試験方法にしたがって衝撃特性について、そしてASTM D648-エッジワイズ位置における曲げ荷重下でのたわみ温度に関する標準試験方法にしたがって熱たわみ温度について特性決定した。この試験結果を表4に提示する。
【0059】
【表4】
【0060】
DSC/TGA特性決定
【0061】
示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析研究を配合物CE1~3及び1~18に関して実施した。ガラス温度及び分解温度を求めるために、全てのサンプルを、窒素キャリアガスを含む空気雰囲気下で10℃/分の上昇率にて室温から300℃まで加熱した。結晶化エンタルピーを測定するために、全てのサンプルを、10℃/分の上昇率にて200℃まで加熱し、続いて10℃/分の冷却サイクルを行った。表5に、この特性決定の結果、具体的には重要なDSCガラス転移温度及び融解転移温度(Tg及びTm)、並びに分解温度を示す。
【0062】
【表5】
【0063】
生分解特性決定
【0064】
成形品をリバーフォールス(River Falls)市の廃水処理施設からの2リットルの二次処理水に浸漬することによって、配合物CE3、9、及び11に関して生分解試験を実施し、連続して曝気した。サンプルを室温で市の二次処理水中に浸し、連続して曝気し、二週間にわたってモニタリングした。サンプルを秤量した後、水中に入れ、一週間で取り出し、サンプルの第二のセットを同様にセットアップし、二週間後に取り出した。バルク生分解性試験後、サンプルを50℃のオーブン中で24時間乾燥させて、余分な水分を除去し、秤量した。質量損失の形の生分解は、初期サンプル重量から最終重量を引き、初期質量で割ることによって決定した。SEM顕微鏡法を使用してサンプルを画像化して、生分解前後の形態を決定した。図1~3に、サンプル配合物CE3、9、及び11についての一週間の生分解試験後のSEM画像を示す。表6に、この特性決定の結果、具体的には生分解後の質量損失を示す。
【0065】
【表6】
【0066】
このように特定の実施形態を説明してきたが、本明細書に記載の教示を添付の特許請求の範囲内のさらに他の実施形態に適用できることは当業者であれば容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】