(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】衛星動作および衛星状態データの処理
(51)【国際特許分類】
B64G 1/24 20060101AFI20241106BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B64G1/24 200
B64G1/10 335
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525163
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022078733
(87)【国際公開番号】W WO2023072639
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523132594
【氏名又は名称】アイサイ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】バーバー アラスター
(72)【発明者】
【氏名】コウコウ メリーナ
(57)【要約】
衛星(100)を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための1つまたは複数の計画操縦のためのパラメータを受信するステップを含む衛星の操縦のスケジューリング方法が提供され、前記パラメータは、前記1つまたは複数の計画操縦のそれぞれの時間および持続時間を含む。衛星の将来の軌道中に地球による日食の時間を受信する。そして、決定されたパラメータおよび日食の時間に従って実行される操縦をスケジューリングする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星の操縦のスケジューリング方法であって、
前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための1つまたは複数の計画操縦のためのパラメータを受信するステップであって、前記パラメータは、前記1つまたは複数の計画操縦の時間および持続時間を含む、前記ステップと、
前記衛星の将来の軌道中に地球による日食の時間を受信するステップと、
決定された前記パラメータおよび日食の時間に従って発生するように前記操縦をスケジューリングするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、前記衛星の太陽への露出が最大になる軌道の割合を回避するように、前記操縦の項目をスケジューリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
回避すべき前記軌道の割合は、前記軌道の4分の1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計画操縦の少なくとも1つの持続時間は、前記衛星の地球周りの少なくとも2つの軌道を含む持続時間である、前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記計画操縦の少なくとも1つは、前記衛星を所定の軌道に戻すための操縦である、前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記計画操縦の少なくとも1つは、衝突を回避するための操縦である、前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、
前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための前記計画操縦のうちの1つまたは複数の候補パラメータを決定するステップであって、前記パラメータは、前記計画操縦のそれぞれの候補時間および候補持続時間を含む、前記ステップと、
前記候補パラメータを衝突回避システムに供給するステップと、
前記候補パラメータの各セットに基づいて、前記衝突回避システムからそれぞれの衝突確率を受信するステップと、
前記それぞれの衝突確率が所定の閾値を超える場合には、前記1つまたは複数の計画操縦に対する新しい候補パラメータを決定するステップと、
前記それぞれの衝突確率の少なくとも1つが前記所定の閾値を下回るまで、前記1つまたは複数の計画操縦のそれぞれについて候補パラメータを決定する動作を繰り返すステップと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、
推進スケジューリング要件を受信するステップと、
前記推進スケジューリング要件に従って発生する操縦をスケジューリングするステップと、をさらに含む、前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記受信したパラメータは、衛星状態データを含み、
前記方法は、前記衛星状態データを処理するステップをさらに有し前記衛星状態データを処理するステップは、
1つまたは複数の地上局を介して前記衛星状態データを複数の別々のファイルの形で受信するステップと、
受信した前記衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップと、を含む、前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記衛星状態データは、生データを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記衛星状態データを処理する前記ステップは、
軌道決定プロセスにおいて、前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップをさらに含み、
フィルタリングされた衛星状態データの各項目は、生の衛星状態データの項目に対応する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記衛星状態データを処理する前記ステップは、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信し、受信した操縦データを、アプリケーションプログラミングインターフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能なデータセットにコンパイルするステップをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記操縦データは、受信した生の衛星データのフィルタリングに用いられる、請求項11に従属する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受信したパラメータは、生の衛星状態データと、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データとを含み、
前記方法は、前記衛星状態データを処理するステップをさらに含み、前記衛星状態データを処理する前記ステップは、
前記生の衛星状態データを受信するステップと、
前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信するステップと、
前記軌道決定プロセスにおいて、受信した前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップと、を含み、
前記操縦データは、受信した前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項15】
前記衛星状態データを処理する前記ステップは、前記受信した生の衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップをさらに含み、前記生の衛星状態データは、1つまたは複数の地上状態を介して複数の別々のファイルの形で受信される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
フィルタリングされた前記衛星状態データを前記単一のデータセットに挿入するステップをさらに含む、請求項11~13または15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
フィルタリングされた前記衛星状態データは、衛星状態履歴データを含み、前記衛星状態履歴データは、任意選択で、衛星の1つまたは複数の履歴状態ベクトルに関連付けられた実際のデータである、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
フィルタリングされた前記衛星状態データは、将来の衛星状態データを含み、前記将来の衛星状態データは、任意選択で、衛星の将来の状態ベクトルを予測するように構成された動的モデルに基づく投影データである、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記衛星に関するメタデータを前記衛星状態データにマッピングするステップをさらに含む、請求項9~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記メタデータは、
衛星の物理的寸法に関連するデータ、
衛星姿勢データ、および/または
衛星の履歴および将来の計画操縦に関連する情報を含む衛星推力データのうちの1つまたは複数を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる前記メタデータを供給するステップをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記受信した操縦データは、前記1つまたは複数のスケジュール操縦のそれぞれについて、
操縦時間、
推力の持続時間、
推力の大きさ、
推力方向、および/または
推力比衝撃のうちの1つまたは複数を含む、
請求項12~21のいずれか1項に記載の方法
【請求項23】
前記1つまたは複数のスケジュール操縦は、前記衛星の1つまたは複数の将来のスケジュール操縦を含む、請求項12~22に記載の方法。
【請求項24】
前記衛星の移動の動的モデルを維持し、前記1つまたは複数の将来のスケジュール操縦に関するデータを用いて前記動的モデルを更新するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記動的モデルから得られた衛星状態の推定値は、受信した生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記生の衛星状態データをフィルタリングする前記ステップは、前記衛星状態の異なる推定値に基づいて行われ、前記異なる推定値は、前記生状態データと、将来のスケジュール操縦に基づく衛星状態の推定値とを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記衛星状態の推定値は、前記衛星位置の推定値を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記1つまたは複数のスケジュール操縦は、1つまたは複数の履歴操縦を含む、請求項12~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記衛星の1つまたは複数の履歴操縦に関する操縦データは、衛星の1つまたは複数の履歴な操縦のそれぞれについて、
操縦時間、推力の持続時間、
推力の大きさ、
推力方向、および/または
推力比衝撃、
のうちの1つまたは複数の測定値を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
スケジュール操縦が実行されるようにスケジューリングされた後、前記測定データを用いて、前記スケジュール操縦が実行されたか否かを決定する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前回の間隔以降に受信した前記衛星状態データを作業ディレクトリにコピーするステップをさらに含む、請求項9~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記データセットは、リレーショナルデータベースに記憶される、請求項9またはそれに従属する前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記衛星状態データは、前記衛星のパスごとにファイルとして受信され、前記データセット内のデータは、複数のパスを含む期間に亘って検索可能である、請求項9またはそれに従属する前述請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
衛星の動作方法であって、前述請求項のいずれか1項に記載の方法に従って衛星の操縦がスケジューリングされる、方法。
【請求項35】
衛星推進システムの動作方法であって、
1つまたは複数の将来のスケジュール操縦のうちの1つに関する操縦データに基づいて、また、コマンドされた操縦に関する操縦データと衛星の軌道変化との間の想定関係に基づいて、前記衛星の操縦をコマンドするステップと、
前記コマンドに従って前記コマンド操縦を実行した後、前記衛星の軌道に関連する衛星状態データを受信するステップと、
前記受信した衛星状態データに基づいて、前記想定関係を確認または更新するステップと、を含み、
前記衛星の軌道は、請求項11、14またはそれらに従属する前述請求項のいずれか1項に記載の軌道決定プロセスにおいて決定される、方法。
【請求項36】
SAR画像データの処理方法であって、
タイムスパン中に取得された画像データを受信するステップと、
請求項9、14またはそれらに従属する前述請求項のいずれか1項に記載の方法に従って処理された衛星状態データを受信するステップであって、前記受信した衛星状態データは、前記受信した画像データに関連するタイムスパンに対応する、前記ステップと、
前記受信した衛星状態データを用いて、前記衛星位置推定に関連する地理的位置誤差を推定または決定するステップと、
前記地理的位置誤差が所定の閾値よりも大きい場合には、よりも長いタイムスパンの衛星状態データを要求し、前記地理的位置誤差の推定を繰り返すステップと、
前記地理的位置誤差が所定の閾値を下回る場合にのみ、前記画像データをスタックに渡してさらなる処理を行うステップと、を含む、方法。
【請求項37】
前述請求項のいずれか1項に記載の方法を実行するプロセッサを備える、データ処理装置。
【請求項38】
前述請求項1~36のいずれか1項に記載の方法を実行する、分散型コンピューティングシステム。
【請求項39】
コンピュータによって実行されると、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるロジックを含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項40】
コンピュータによって実行されると、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛星動作の分野である。
【背景技術】
【0002】
特に小型衛星を使用する合成開口レーダー(SAR)イメージングの分野では、画像の正確な計画、取得、処理に不可欠なプロセスは、問題の衛星の軌道決定(OD)である。
【0003】
ODのプロセスは、衛星位置と速度の正確な履歴値、および将来の予測値をもたらす可能性がある。ODは衛星動作の分野ではよく知られており、一般に、観測と軌道動的方程式を統合して衛星位置と速度を推定するフィルタリング方法として説明されまる。つまり、観測された測定データや「生」データと衛星の移動の動的モデルを形成する軌道動的方程式に基づいて、衛星状態変数(位置と速度)を推定する。ODプロセスツールは一般的にフィルターと呼ばれ、出力はフィルタリングされたデータと呼ばれる。
【0004】
ODを達成するために、衛星はオンボードの全地球航法衛星システム(GNSS)受信機を使用して、位置、速度、時間(暦の状態ベクトル)を定期的に測定でき、これらは、地上局のアンテナを「パス」している間にダウンリンクできる。このシステムの性質上、これらの測定値には異常が含まれる可能性があり、通常はODツールを使用して、いわゆるフィルタリングプロセスで所望の精度を達成するために処理される。このような異常は、例えば、テレメトリデータの損失、無効なGPS表示(または他の位置指標)、またはGNSS受信機への一時的な損傷によるものである可能性がある。この損傷は、例えば太陽放射によって引き起こされる可能性がある。フィルタリングされた履歴および予測された将来の軌道エフェメライドの両方を生成するためにさまざまなアルゴリズムを実行するODツールが存在する。
【0005】
さらに、測定された生の状態ベクトルデータの一部を衛星で搭載フィルタリングしてもよい。例えば、衛星の搭載処理システムは、生の位置データをフィルタリングすることができる。この位置データは、GPS測定等により収集されてもよい。このプリフィルタリングされたデータは、地上局アンテナにダウンリンクされたテレメトリデータの一部になる。これにより、地上局アンテナによる状態ベクトルの推定に不確実性が生じる可能性がある。
【0006】
SARの用途によっては、特定の時期に衛星の配置または位置決めの精度を向上させることが望ましい。解像度は衛星位置の精度に依存するため、これは画像の形成にとって特に重要である。一部の衛星監視アプリケーションでは、1メートル未満の動きを検出する能力が要求されている。
【0007】
衛星を特定の軌道に維持することも多くのアプリケーションにとって重要であり、したがって、衛星位置および/または状態は、それがドリフトした場合に備えて知られる必要がある。軌道を維持するためには、定期的な間隔で操縦が必要になる場合がある。また、他の衛星や破片などとの衝突を避けるために衛星を操縦する必要がある場合もある。これには、衛星を軌道から一時的に操縦するか、衝突を回避するために操縦をスケジューリングすることが含まれる場合がある。
【0008】
衛星の操縦、例えば特定の位置を維持するため、および/または衝突を回避するため、天体力学と呼ばれることがある。
【0009】
以下に説明する本発明の実施形態は、これらの問題点の一部を対象とする。しかしながら、本発明はこれらの課題の解決に限定されるものではなく、本発明の実施形態によっては、他の課題を解決するものがある。
【発明の概要】
【0010】
本要約は、以下の詳細な説明でさらに説明する概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。本要約は、主張対象の主要特徴または本質的特徴を特定することを目的としたものではなく、主張対象の範囲を決定するために使用することを目的としたものではない。
【0011】
第1態様において、衛星状態データの処理方法であって、1つまたは複数の地上局を介して複数の別々のファイルの形で衛星状態データを受信するステップと、受信した衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップと、を含む処理方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態において、衛星状態データは、生データを含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記方法は、軌道決定プロセスにおいて、前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップをさらに含んでもよく、前記フィルタリングは、受信した衛星状態データのコンパイルと並行して行われ、フィルタリングされた衛星状態データの各項目は、生の衛星状態データの項目に対応していてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信し、受信した操縦データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能なデータセットにコンパイルするステップを含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、操縦データは、受信した生の衛星状態データのフィルタリングに用いられてもよい。
【0016】
別の態様において、衛星状態データの処理方法であって、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信するステップと、軌道決定プロセスにおいて前記受信した前記衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップと、を含み、前記操縦データは、前記受信した衛星状態データのフィルタリングに用いられてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記生の衛星状態データを受信するステップは、1つまたは複数の地上局を介して複数の別々のファイルの形で前記生の衛星状態データを受信するステップを含んでもよく、前記方法は、前記受信した生の衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップをさらに含んでもよい。
【0018】
別の態様において、衛星の操縦のスケジューリング方法であって、衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための1つまたは複数の計画操縦のためのパラメータを受信するステップであって、前記パラメータは、前記1つまたは複数の計画操縦のそれぞれの時間および持続時間とを含む、前記ステップと、衛星の将来の軌道中に地球による日食の時間を受信するステップと、決定されたパラメータおよび日食の時間に従って発生する操縦をスケジューリングするステップと、を含んでもよい。
【0019】
本明細書に記載された態様を組み合わせてもよいし、いずれかの態様に関連する特徴を他の態様の1つまたは複数に実装してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記フィルタリングされた衛星状態データを前記単一のデータセットに挿入するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、フィルタリングされた衛星状態データを単一のデータセットに挿入するステップは、データセット内の生の衛星状態データを、対応するフィルタリングされた衛星状態データで上書きするステップを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、フィルタリングされた衛星状態データは、履歴衛星状態データを含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記衛星履歴状態データは、前記衛星の1つまたは複数の履歴状態ベクトルに関連付けられた実データであってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、フィルタリングされた衛星状態データは、将来の衛星状態データを含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、将来の衛星状態データは、衛星の将来の状態ベクトルを予測する動的モデルに基づく投影データであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記方法は、衛星に関するメタデータを衛星状態データにマッピングするステップをさらに含んでいてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、メタデータは、衛星の物理的寸法に関連するデータ、衛星姿勢データ、衛星の履歴および将来の計画操縦に関連する情報を含む衛星推力データのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる前記メタデータを供給するステップをさらに含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記受信した操縦データは、前記1つまたは複数のスケジュール操縦のそれぞれについて、操縦時間、推力の持続時間、推力の大きさ、推力方向、および/または推力比衝撃のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のスケジュール操縦は、衛星の1つまたは複数の将来のスケジュール操縦を含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記衛星の移動の動的モデルを維持し、前記1つまたは複数の将来のスケジュール操縦に関するデータを用いて前記動的モデルを更新するステップをさらに含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記動的モデルから得られた衛星状態の推定値は、受信した生の衛星状態データのフィルタリングに用いられてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、衛星状態の推定値は、衛星位置の推定値を含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、衛星の推定値は、衛星の速度の推定値を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記衛星が、前記1つまたは複数の将来のスケジュール操縦のうちの1つを実行するようにコマンドすることを確認するステップをさらに含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のスケジュール操縦は、1つまたは複数の履歴操縦を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、衛星の1つまたは複数の履歴操縦に関する操縦データは、衛星の1つまたは複数の履歴操縦のそれぞれの操縦時間、推力の持続時間、推力の大きさ、推力方向、および/または推力特定衝撃の1つまたは複数の測定データを含んでもよい。
【0038】
スケジュール操縦が実行されるようにスケジューリングされた後、前記測定データを用いて、前記スケジュール操縦が実行されたか否かを決定してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記フィルタリングされた衛星状態データから、実行されていないと決定された操縦に関するデータを除去するステップをさらに含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、操縦データは、一定期間にわたる操縦に関連していてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、操縦データの受信は、定期的に操縦データの受信を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、受信した操縦データは、連続タイムスパンに関していてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、衛星状態データは、衛星位置データを含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、衛星状態データは、衛星速度データを含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、衛星状態データは、エフェメリド状態ベクトルデータを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、衛星状態データはキューで受信されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前回の間隔以降に受信した前記衛星状態データを作業ディレクトリにコピーするステップを含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、データセットは、リレーショナルデータベースに記憶されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記衛星状態データは、前記衛星のパスごとにファイルとして受信され、前記データセット内のデータは、複数のパスを含む期間に亘って検索可能であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、前記衛星の太陽への露出が最大になる軌道の割合を回避するように、前記操縦の項目をスケジューリングするステップをさらに含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、回避すべき前記軌道の割合は、前記軌道の4分の1であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記計画操縦の少なくとも1つの持続時間は、前記衛星の地球周りの少なくとも2つの軌道を含む持続時間であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、スケジュール操縦は、少なくとも2つのサブ操縦を含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、サブ操縦のそれぞれは、衛星の異なる軌道中に実行されるようにスケジューリングされていてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記計画操縦の少なくとも1つは、前記衛星を所定の軌道に戻すための操縦であってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記計画操縦の少なくとも1つは、衝突を回避するための操縦であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための前記計画操縦のうちの1つまたは複数の候補パラメータを決定するステップであって、前記パラメータは、前記計画操縦のそれぞれの候補時間および候補持続時間を含む、前記ステップと、前記候補パラメータを衝突回避システムに供給するステップと、前記候補パラメータの各セットに基づいて、前記衝突回避システムからそれぞれの衝突確率を受信するステップと、前記それぞれの衝突確率が所定の閾値を超える場合、前記1つまたは複数の計画操縦に対する新しい候補パラメータを決定するステップと、前記それぞれの衝突確率の少なくとも1つが前記所定の閾値を下回るまで、前記1つまたは複数の計画操縦のそれぞれについて候補パラメータを決定する動作を繰り返すステップと、をさらに含んでもよい、
【0058】
いくつかの実施形態において、前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、推進スケジューリング要件を受信するステップと、前記推進スケジューリング要件に従って発生する操縦をスケジューリングするステップと、をさらに含んでもよい。
【0059】
別の態様において、本明細書に記載された方法にしたがって衛星の操縦がスケジューリングされた衛星の操縦方法が提供される。
【0060】
別の態様において、1つまたは複数の将来のスケジュール操縦のうちの1つに関する操縦データに基づいて、また、コマンドされた操縦に関する操縦データと衛星の軌道変化との間の想定関係に基づいて、前記衛星の操縦をコマンドするステップと、前記コマンドに従って前記コマンド操縦を実行した後、前記衛星の軌道に関連する衛星状態データを受信するステップと、前記受信した衛星状態データに基づいて、前記想定関係を確認または更新するステップと、を含み、前記衛星の軌道は、本発明の方法に従属する軌道決定プロセスで決定される、衛星推進システムの動作方法が提供される。
【0061】
別の態様において、SAR画像データの処理方法であって、タイムスパン中に取得された画像データを受信するステップと、前述態様のいずれか1項に記載の方法に従って処理された衛星状態データを受信するステップであって、前記受信した衛星状態データは、前記受信した画像データに関連するタイムスパンに対応する、前記ステップと、前記受信した衛星状態データを用いて、前記衛星の位置推定に関連する地理的位置誤差を推定または決定するステップと、前記地理的位置誤差が所定の閾値よりも大きい場合には、よりも長いタイムスパンの衛星状態データを要求し、前記地理的位置誤差の推定を繰り返すステップと、前記地理的位置誤差が所定の閾値を下回る場合にのみ、前記画像データをスタックに渡してさらなる処理を行うステップと、を含む、方法が提供される。
【0062】
他の態様において、本明細書に記載の方法を実行するデータ処理装置が提供される。
【0063】
別の態様において、本明細書に記載の方法を実行するように構成された分散コンピューティングシステムが提供される。
【0064】
別の態様において、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本明細書に記載の方法を実行させるロジックを含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0065】
別の態様において、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本明細書に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、それぞれが少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを備える1つまたは複数のコンピューティングシステムを備えるシステムが提供され、このシステムは、本明細書に記載される方法またはプロセスのいずれかを実装するように構成される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態において、衛星オペレーティングシステムの一部を構成するコンピューティングシステムに実装された場合、システムがここで説明する方法またはプロセスのいずれかを実行させるようなアルゴリズムの形態の命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0068】
本発明の様々な態様および実施形態の特徴は、熟練者に明らかなように適宜組み合わせてもよく、また、本発明のいずれかの態様と組み合わせてもよい。
【0069】
本発明の実施形態について、実施例としてのみ、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による衛星の動作を制御するシステムの概略図である。
【
図2】
図1のODサーバーとODプロセスツールとの間で交換されるデータをより詳細に示す概略図である。
【
図3】
図1のシステムに組み込むことができる品質管理プロセスのブロック図である。
【
図4】
図1のシステムにおいて実装され得る衝突回避プロセスを示すブロック図である。
【
図5】
図1のシステム内の軌道シミュレータによって実行され得る動作を示すブロック図である。
【
図8】
図1のシステム内の画像スケジューラによって実行され得る動作を示すブロック図である。
【
図9】
図1のシステム内の推進システム校正器によって実行され得る動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図面全体を通して共通の符号を用いて、類似の特徴を表す。
以下、本発明の実施形態を一例として説明する。これらの例は、出願人に現在知られている発明を実践するための最良の方法を表しているが、これを達成できる唯一の方法ではない。
【0072】
システムアーキテクチャ
図1は、衛星100の動作を制御するためのシステム10を示す。同じシステムを使用して、たとえばフリートとも呼ばれる衛星群内の複数の衛星の動作を制御することができる。
図1について、一般的に1つの衛星を参照して説明する。
【0073】
図1のシステムは、衛星位置データの処理方法および後述する衛星推進制御システムの動作方法を1つまたは複数実現するように構成されてもよい。システム10の構成要素は、例えば、複数の場所に分散されてもよいが、必ずしも異なる地上の場所ではない。
【0074】
システム10は、生データを受信するように構成されている。生データは、例えば衛星ADCS(姿勢決定および制御システム)ユニットから送信される、典型的にはバイナリ形のエフェメリド状態ベクトルで構成されてもよい。状態ベクトルは、衛星位置データ、この例ではGPSキュー102に保持されているGPSデータを含んでもよい。これは、自動的に実行され、フリート内のすべての衛星100について実行される。衛星100から発信されたGPSデータは、例えば、衛星と通信している地上局ネットワーク101内の1つまたは複数の地上局から、システム10との間で、様々な方法でシステムにルーティングされてもよい。状態ベクトルは、衛星100の進行速度および方向を示す衛星速度データをさらに含んでもよい。生データは複数の別々のファイルで受信される。システムの動作の具体例では、バイナリデータをテキストベースの形に解析してODプロセスツール103で使用し、テキストベースのデータを含むファイルを天体暦アーカイブ110またはGPSキュー102に配置する。
【0075】
ここでは、軌道は6つの軌道パラメータによって定義されることを背景として注意する必要がある。1.日食の長半径(これは高度を表す)、2。傾き、3.日食の偏心、4.近地点引数(地球に最も近い点が軌道円弧上に位置する位置)、5.昇交点の経度、6.真の異常。衛星の加速度を推定することで、軌道の状態とエネルギーに関する情報を導き出すことができることを考えると、軌道は状態ベクトル(位置、速度、時間)によっても記述することができる。
【0076】
以下の説明において、衛星位置データをGPSデータとする。しかし、GPSデータに加えて、または、代替的に、他の形態のデータを使用することができ、ここで説明するシステム、方法およびプロセスは、GPSデータに限定されない。そこで、位置データの一例として、生エフェメライド状態ベクトルを採用する。
【0077】
GPSデータは、GPSキュー102からアプリケーションプログラミングインタフェース「OD API」を備えた軌道決定サーバー105に送信される。ここでは、衛星から受信したGPSデータ、通常は個々のファイルで、時には異なる地上局から受信されたGPSデータは、APIを介してアクセス可能なデータセットにコンパイルされ、時間範囲で検索できる。この目的のために、データは時間順に整理されてもよい。その後、データは、例えばhttpインターフェースを介して検索可能であってもよいので、より容易にアクセスでき、例えばシステム10の外部またはシステム10内の他の目的のために提供することができる。APIを介した要求に応じて、データの受信者または要求者が、GPSデータまたは衛星コンスタレーションデータを使用できるように知識を必要としないような形でデータを提供してもよい。このデータのコンパイルは、様々な方法で行われてもよく、さらにデータに対して動作を行ってもよい。例えば、ODセーバー105は、テキストベースのファイルを受信し、さらに解析し、例えば時間範囲や衛星等で検索可能なリレーショナルデータベース等のデータセットにデータを記憶してもよい。受信したデータファイルをデータセットにコンパイルする他の方法は、当業者によく知られており、ここで説明されているシステムは、リレーショナルデータベースの使用に限定されない。
【0078】
図1のシステムにおいて、ODサーバー105は、ODプロセスを制御するように構成されている。このため、ODプロセスツール103が設けられる。これは、ODサーバー105に組み込まれてもよいし、スタンドアロンであってもよい。また、ODプロセスツール103には、生のGPS位置データが供給される。ODプロセスツール103は、後述する1つまたは複数のフィルタリング段階でデータをフィルタリングするフィルタモジュール(一般にODフィルターと呼ばれる)を備える。従って、生の衛星状態データのフィルタリングは、データのデータセットへのコンパイルと並行して行われてもよい。このプロセスのために、ODプロセスツール103は、衛星の移動の動的モデルを維持してもよい。このモデルは、将来の任意の時点で衛星位置および/または状態を予測するために使用され得る、定期的に更新されるという意味で動的である。いくつかの例では、ODプロセスツール103のフィルタモジュールによって、1つまたは複数の新しい状態ベクトルがフィルタリングされるたびに、モデルを更新してもよい。追加的に、または代替的に、モデルは、システム100のユーザによって手動で更新されてもよいし、モデルを更新してもよい。
【0079】
動作モードの例では、ODサーバー105は、前の間隔から到着したキュー102からの測定値を作業ディレクトリに定期的にコピーする。また、衛星に関する必要な追加のメタデータをこれらの測定値にマッピングする。これらの測定値は、複数の別々の天体暦ファイルの形である可能性がある。ODサーバー105は、ODプロセスツール103を実行して、これらの測定値およびメタデータを供給することにより、ODプロセスツール103が所望のフィルタリングおよび予測された天体暦測定値を生成するために、ODプロセスツール103を実行してもよい。
【0080】
衛星の測定値にマッピングされたメタデータには、衛星の質量、衛星の重心、衛星のバス上のGPSアンテナの位置、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)追跡ID、弾道係数の初期推定、抗力係数とSRP(日射圧力)、有効抗力面積とSRP、および当業者によく知られているその他のデータのいずれか1つまたは複数が含まれてもよい。
【0081】
衛星データのフィルタリングは、原則として、例えばフィルタリングされた履歴および将来予測軌道エフェマイド状態ベクトルを提供するために、GPSキュー102でGPSデータを受信する前に行われてもよいし、ODサーバー105で行われてもよいし、他の場所で行われてもよい。ここで他にも述べたように、このフィルタリングを行うための独自のツールが利用可能であり、ODサーバー105で実行されてもよいし、別途実行されてもよい。
【0082】
いずれの場合でも、フィルタリングが、組織および必要に応じてODサーバー105におけるGPSデータの構成とは別個のプロセスとして、またはそれと並行して実行されることが特に有用である。すなわち、OD APIを介して容易にアクセスできるようにするために、データをデータセットにコンパイルすることは、フィルタリングされたデータまたはフィルタリングされていないデータ、例えば生データに対して実行されてもよい。例えば、フィルタリングされたデータとフィルタリングされていないデータとは、OD APIが両方のフィルタリングされたデータとフィルタリングされていないデータとを利用できるように、データベースに記憶されてもよい。いくつかの例では、フィルタリングされたデータとフィルタリングされていないデータは、上記のリレーショナルデータベースに記憶されていてもよい。場合によっては、リレーショナルデータベースの別々のテーブルに記憶されている。追加的に、または、代替的に、フィルタリングされたデータをデータセットに挿入してもよい。これを実装する1つの方法は、OD API105内のフィルタリングされたデータに、フィルタリングされていないデータを置き換えるか、または上書きすることである。他の方法は、当業者によく知られている。
【0083】
データセットのコンパイルからフィルタリングを分離することには、多くの利点がある。たとえば、フィルタリングプロセスによって引き起こされる可能性のあるデータにアクセスできる遅延を回避するのに役立つ。フィルタリングプロセスは、通常、フィルタリングを開始する前に、または必要な量の信頼性をフィルタリングされたデータに帰属させる前に、最小量の生データを必要とする。このため、例えば、衛星の初回打ち上げ時に、最小の生データ量が取得されるまでに時間遅れが生じる可能性がある。この最小データ量の取得にかかる時間は、APIを介してフィルタリングされたデータのアクセシビリティに著しい遅延を引き起こす可能性があり、その間、フィルタリングされていないデータがAPIを介してアクセスできることが有用である可能性がある。例えば、最小データ取得前の衛星の初回打ち上げ後の時間遅れは、6時間以上、12時間以上、18時間以上、24時間以上、36時間以上、48時間以上、72時間以上、100時間以上であってもよい。
【0084】
フィルタリングプロセスをコンパイルから分離し、任意にODサーバーで行われるその他の操作を分離すると、API経由でデータをより早く利用できるようになる。APIを介した生データの利用可能性は、衛星上で、特に最初打ち上げ時に実行される操縦を容易にする可能性がある。そのような操縦の1つは、初回打ち上げ時の衛星位置および/または状態の手動計算である可能性があり、例えば異常が認められた場合に望ましい場合がある。また、衛星の健康状態についてのいくつかの決定が打ち上げ直後に行われる可能性があるため、フィルタリングされていないデータが早期に利用できることは有用である。例えば、フィルタリングされていないデータの早期利用可能性を確保することにより、GPSデータがGPSキュー102で安全に受信されていること、および/または関連するサブシステムがデータおよび関連する測定を受信していることを確認することが可能である。いくつかの例では、連続的に受信された状態ベクトル間の時間ギャップが、1つまたは複数の状態ベクトルがGPSキュー102で正常かつ安全に受信されていないこと、すなわち、GPSキュー102から「欠落」されている状態ベクトルがないことを示すほど大きくないことを確保することによってこれを行うことができる。
【0085】
さらに、フィルタリングされていないデータの早期利用が、衛星100の軌道状態の早期決定を容易にすることができる。フィルタリングされていないGPSデータへのアクセスにより、ODサーバーは、例えば、2つのライン要素(TLE)生成によって衛星100の軌道状態を決定することができる。TLEは、衛星100の軌道状態を定義するために使用されてもよく、外部のデバイスおよび/またはサーバー、例えば、地上局または内部パスプランナなどの衛星上の内部コンピュータに配布されてもよい。TLEは、衛星の各軌道パスに関連するデータが、デバイスおよび/またはサーバー間で同期され、および/または衛星が地上局の1つまたは複数のアンテナによって追跡されるように、そのようなデバイスおよび/またはサーバーに配布されてもよい。
【0086】
図1に示すように、ODサーバー105は、実際の位置、速度、および時間(エフェメリドの状態ベクトル)の測定値の容易に検索可能であり、理想的には、必ずしもフィルタリングされていないソースを提供し、さらに、
図2を参照してより詳細に説明する容易に検索可能な予測された将来の位置、速度および時間のソースを提供してもよい。
【0087】
ODサーバー105およびODプロセスツール103は、例えばクラウドコンピュータプロバイダを用いて、任意の地上局および通信システムと独立してホストおよび実行されてもよい。
【0088】
既に述べたように、
図1に示すように、ODプロセスツール103は、受信した生データに基づいてフィルタリングされたエフェメライドだけでなく、画像取得計画などのシステムの他の部分で使用される可能性のある将来のエフェメライドを出力することができる。将来の操縦が行われる場合、予測された将来のエフェメライドは変化する可能性がある。
【0089】
図1のシステム10は、受信した衛星位置データのフィルタリングに使用するために、衛星の1つまたは複数の将来のスケジュール操縦に関するデータをODプロセスツールに供給することが可能である。さらに、ODプロセスツールは、フィルタリングプロセスで使用するために衛星の履歴のスケジュール操縦に関するデータを受信することができる。
【0090】
ここでは、一般的に、衛星の軌道を変更するものと、そうでないものの2つの種類があることに注意してください。例えば特定の軌道を維持するため、あるいは衝突を回避するために、軌道を変更または修正するための操縦は、衛星の推進システム、例えば推進ユニットのスラスタと実行される。また、姿勢操縦はADCSユニットからコマンド・実行されてもよい。これらの操縦は軌道を変えない場合がある。これらは、ダウンリンク/イメージング/などに使用されてもよい。姿勢操縦は、衛星の構成要素を回転させることによって実行されてもよい。角運動量の保存原理によれば、衛星は回転構成要素の回転とは逆の意味で回転してもよい。衛星の回転構成要素は、例えば、ADCSユニットのアクチュエータであってもよい。アクチュエータは、反応輪、トルクロッド、運動輪またはその他の回転構成要素のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。
【0091】
図1のシステムでは、生のGPSエフェデータが天体暦アーカイブ110に記憶される。
【0092】
ODサーバー105からのフィルタリング予測出力は、コンピュータディスクに記憶されてもよいファイルの形であってもよい。これが生成された場合、ODサーバー105は、このファイルを、予め定義されたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を用いてコンピュータネットワークを介してアーカイブ112に転送し、生成されたデータをカタログ化して保存してもよい。アーカイブ112は、連続したタイムスパンに亘って軌道の履歴記録全体を検索し、このデータを標準応答形で供給する機能を提供してもよい。このアーカイブ112は、天体暦アーカイブ110と組み合わされてもよい。いくつかの例では、ODサーバー105は、システム110のユーザにアーカイブ112および/または天体暦アーカイブ110を検索する機能を提供するように構成されてもよい。この意味で、ODサーバー105は、GPSキュー102および/またはODサーバー105の出力がカタログ化および/または記憶されたデータベースとして、別々にまたは一緒に動作可能なアーカイブ112および/または天体暦アーカイブ110をクエリするデータベースインタフェースとして動作可能であってもよい。データベースに記憶されたデータは、連続したデータストリームとして検索可能であり、アクセス可能であってもよい。
【0093】
ODサーバー105およびシステム10の他のコンポーネントと同様に、アーカイブは、システムの他の部分とは別にホストされ、高可用性またはパフォーマンスの理由から地理的に、または複数のネットワーク間で複製されてもよい。
【0094】
予測のための新しい値は、通常、タイムスパンが重複するため、ODサーバー105は、アーカイブ112から古い値を削除し、最新の生成された値のみを提供することができる。保存の確認を受信すると、アーカイブは、再処理されないように、GPSキュー102からダウンリンクされたファイルを永久に削除することができる。誤差が発生した場合、次の実行時に自動的に再処理される可能性がある。
【0095】
さらにビジネスプロセスは、離散ファイルからの入力を取得するのではなく、ODサーバー105を用いて、所要時間の軌道データを取得してもよい。これらのプロセスは、衝突回避の目的のために、予測された軌道のプログラム的な提出を含むことができ、計画操縦が実行するのが安全である可能性があるかどうかを自動的に決定する。
【0096】
図1のシステムでは、フィルタリングされた天体暦データが軌道シミュレータ115およびプロセッサ120に供給されることが示されている。予測データは、画像スケジューラ125に供給されることが示される。
【0097】
ODサーバー105において、従来公知のように、各種のプロセスを行うことができる。処理は、例えばクラウドベースのサービスを使用することを含む、任意の適切な場所で任意の適切な方法で実行され得る。サーバーを介してデータを提供する能力は、処理サービスへのデータの提供に特に有用である。取得後の画像処理は、特定の時間(例えば、スケジューリングされたイメージング時間)における衛星状態ベクトル(位置/速度成分)の知識の確実性に従属する。フィルタリングされた天体暦(軌道決定後)は、このように画像処理品質を改善する低不確実性状態ベクトルを提供することができ、
図8を参照してさらに説明したように。
【0098】
予測データは、画像スケジューラ125における画像スケジューリングに使用され得る。画像のスケジューリングは、将来の位置と衛星のパス時間の正確な予測に依存しており、たとえば、その位置上を衛星がパスするたびに使用して、特定の位置の可能な限り最良の画像が形成されるようにする。画像計画(場所と時間)とレーダモードのセットアップは両方とも、予測される天体暦の精度に依存する。これに関連して、「レーダモード設定」は、実行されると衛星によって実行されるイメージング手順に関連するパラメータを設定または決定する計算スクリプト(すなわち、ロジックを含むコンピュータ読み取り可能な媒体)であってもよい。たとえば、レーダモードのセットアップにより、イメージング手順が開始される時間が設定される場合がある。追加的に、または、代替的に、レーダモード設定は、衛星がイメージング信号を発する繰り返し周波数を設定または決定してもよいし、衛星の処理基板上にパルス繰り返し周波数を設定または決定してもよい。
図1に示すシステムでは、これは設計されたOD APIによって提供されており、新しい天体暦データのダウンリンクでパスするたびに精度が向上する。
【0099】
画像スケジューラ125は、ODサーバー105からデータを要求してもよい。データは、JSONまたはAPIと互換性のある他の適切な形であってもよい。重要なことに、予測はもはや天体暦ファイルの形ではない。ODサーバー105におけるデータの構成により、画像スケジューラは、特定のタイムスパンに関するデータを要求することができ、少量のデータしか取得できない。
図8を参照して、画像スケジューラ125が実行してもよい動作についてさらに説明する。
【0100】
例えば、繰り返し軌道上にあることを確認するために、つまり、毎日同じ時間に同じ場所にあることを確認するために、または他の要件を遵守するために、または軌道を変更するために、衛星を時々操縦する必要がある。これは、異なる衛星が異なる時間に異なる場所を監視する異なる衛星の大規模な星座で特に重要である可能性がある。したがって、周期的に、例えば毎週のような一定の時間間隔で、軌道維持を計画してもよい。
【0101】
図1のシステムでは、軌道維持のために、例えばサーバー105APIを介して取得された衛星位置および/または状態データを軌道シミュレータ115に取り込んでもよい。
【0102】
軌道シミュレータ115は、衛星を所望の軌道に戻すための操縦のパラメータを決定したり、以下で説明する時間や推力(推進力)の持続時間などの新しい軌道を達成するために、衛星の移動をシミュレートしてもよい。シミュレーション後、決定された操縦のパラメータは、衝突回避API 130として示される衝突回避サービスに供給されてもよい。
【0103】
図1に示すシステムでは、ブロック127に示す軌道決定モジュールに操縦パラメータが供給される。軌道決定モジュール127は、操縦が行われた場合、例えば、ODプロセスツール103で用いられていると同様の衛星の移動の動的モデルを用いて、衛星の新しい軌道を決定してもよい。すなわち、上述したように、ODプロセスツール103のフィルタモジュールにより、1つまたは複数の新しい状態ベクトルがフィルタリングされるたびに、モデルを更新してもよい。追加的に、または、代替的に、モデルは、システム100のユーザによって手動で更新されてもよいし、モデルを更新してもよい。このようにして、新しい軌道の決定は、衛星状態ベクトルの最新の(つまり最新の)測定/決定に基づいていてもよい。
【0104】
衝突回避サービスは、当業界で知られており、衛星間または衛星と宇宙破片との衝突を回避するために提供されている。計画操縦の詳細は、他の衛星オペレータ、および宇宙内の他の衛星および他のオブジェクトの既存の軌道から同様の詳細を提供する衝突回避API 130に供給されてもよい。衝突回避サービスは、応答して衝突確率を提供する。
図1の意思決定ブロック135では、衝突確率CPが操縦を行うことができるほど低いか否かの意思決定が行われる。「はい」であれば、動作コントローラ140には、衛星100を操縦するための操縦を行うコマンドが与えられる。
【0105】
衝突サービスは、宇宙での他の衛星や物体の動きを継続的に監視して、衝突の可能性を検出する。したがって、衛星は衝突回避サービスに加入し、計画操縦がない場合に衝突リスクを警告するように、その状態のCA APIに定期的に通知することができる。したがって、
図1を参照して説明した衝突回避動作は、
図1に示されない衛星エフェメライドや予測の衝突回避APIに定期的に通知することに加えてもよい。
【0106】
以下、
図4を参照して、操縦を計画する衝突回避プロセスの一例をより詳細に説明する。
【0107】
図1の上部の点線は、ODサーバー105に供給されるスケジュール操縦に関する操縦パラメータを示す。
【0108】
ここで説明するいずれの方法およびシステムにおいても、衝突確率を受け取ることに応じて、操縦の計画は自動的に、すなわち人間の介入を伴わずに実行されてもよい。一般的に、
図1のシステムは、衝突確率に従って操縦をスケジューリングする方法を実行している。例えば、衝突確率が閾値よりも大きい場合には、計画時間から操縦を延期してもよい。単に決定した時間とは異なる時間に操縦を行うのではなく、衝突確率が閾値以下の時間が見つかるまで、異なる時間で衝突確率決定を再度実行する必要があってもおい。これについて、
図4および
図5を参照してさらに説明する。
【0109】
ここで説明するシステムは、衛星が最小限の衝突確率で正しい軌道にあることを確認するために使用されてもよい。また、特定のタスクが実行された後にのみ操縦を実行するように構成されてもよい。
【0110】
位置データフィルタリングにおける操縦データの使用
図2は、
図1のシステムのODサーバー105およびODプロセスツール103が実行しうる動作をより詳細に示す模式図である。特に
図2は、生衛星位置データのフィルタリングに操縦データをどのように使用するかを示している。
【0111】
図2は、地上局ネットワーク101から供給されるGPSデータなどの生の位置データが、天体暦アーカイブ110、ODプロセスツール103、ODサーバー105に供給されることを示す。また、ODサーバー105には、ブロック210で示すように、例えば操縦パラメータを含む操縦プロセスからの操縦データが供給される。このデータは、スケジューリングされている将来の操縦および/または実施された操縦に関する場合がある。例えば、履歴操縦に関する受信データは、スケジュール操縦が行われたこと、または衛星がスケジュール操縦を実行するようコマンドされたことを確認してもよい。追加的に、または、代替的に、履歴操縦に関する受信データは、履歴操縦を実行するために印加される任意の力の方向、大きさおよび/または方向に関連する情報を含んでもよい。従って、ODプロセスツール103において、ODフィルターへの入力として、GPSデータに加えて、スケジュール操縦に関するデータ、例えば、履歴操縦および将来の操縦のいずれかまたは両方を、生エフェメライドのフィルタリングに使用するように構成してもよい。フィルターへのこの追加入力データは、フィルタリングされたデータの誤差の余裕を減らすのに役立つ。
【0112】
ODサーバー105におけるOD APIは、衛星の動作に関わるサービスを含む他のサービスが利用するためのデータを要求して取得するために使用されてもよい。このようなサービスには、特定の衛星が特定の地上局との動作通信範囲内にいつ入るかを決定する、いわゆるパススケジューリングが含まれてもよい。これは、地上局から特定の衛星にソフトウェア更新を配信できる時間ウィンドウを決定するのに役立つ場合がある。メッセージ流れの例を
図2に示す。
【0113】
OD APIは、特定のタイムスパンに位置および/または状態データなどのデータの要求211を受信してもよい。タイムスパンは履歴または未来にある場合があり、履歴および未来にまたがる場合がある。時には、過去に12時間以上、過去に24時間以上、過去に48時間以上、過去に72時間以上、過去に可能な限り戻っていくことがある。例えば、タイムスパンは、将来に6時間以上、将来に12時間以上、将来に18時間以上、将来に24時間以上、将来に36時間以上、将来に48時間以上、将来に72時間以上、または将来に120時間以上延長されてもよい。ODプロセスツール103は、例えばODサーバー105の制御下で、OD APIを介してODサーバーに要求212を送信して、特定の時間範囲にわたる操縦データを提供してもよい。要求212の送信は、要求211の受信に応答してもよく、要求211で指定された特定の時間範囲に関してもよい。追加的に、または、代替的に、
図2のシステムは、要求211に応じて提供されるAPIを介して既に利用可能になるように、クエリ212が定期的にODプロセスツール103に送信されるように動作してもよい。定期的な要求は、送信された瞬間と比較して同じ時間、例えば、前および将来の24時間、または前および将来の48時間に関してもよい。すなわち、ODサーバー105またはODプロセスツール103は、連続したタイムスパンに関するように、定期的に、または連続したタイムスパンにて、操縦データを受信してもよい。次に、ODプロセスは、フィルタリングプロセスで使用するための操縦データの容易にアクセス可能な供給を有する。
【0114】
OD APIは、要求212で指定された特定の期間中の計画的および/または履歴的な操縦の詳細を含む応答213をODプロセスツール103に送信する。履歴操縦の詳細には、操縦の持続時間、操縦の開始時間、操縦の停止時間、操縦に関連するスラスト/バーンズの大きさ、および/または操縦に関連するスラスト/バーンズの姿勢が含まれてもよい。計画操縦の詳細には、操縦の持続時間、操縦に関連するスラスト/バーンズの大きさ、および/または操縦に関連するスラスト/バーンズの姿勢が含まれてもよい。計画操縦の詳細は、さらに、操縦の予測/計画された開始および/または停止時間を含んでもよい。ODプロセスツール103は、そのタイムスパンの一部または全部が履歴の場合、生のGPSエフェデータのフィルタリングにおいて、履歴操縦データを用いてフィルタリングされたエフェメライド214を出力する。例えば、ODプロセスツール103は、衛星軌道の統計モデル(例えば拡張カルマンフィルターによって生成された)を更新するための入力として、履歴操縦データを用いて、より正確な履歴力モデルを形成することができる。生のGPSエフェデータにおける予想外の操縦によって生じた異常なデータ点を操縦として識別し、フィルタリングされたエフェメライド214を提供するために平滑化することができるようになった。追加的に、または、代替的に、クエリ212または要求211のタイムスパンの一部または全部が将来である場合、ODプロセスツールはこれを用いて、ODプロセスツール213からODサーバー105に送信される将来予測エフェメライド215を生成する。ODプロセスツール103からODサーバー105に出力されたエフェメライドは、ODサーバー105によって要求サービスに供給されてもよい。この要求サービスは、衛星の内部または外部のプロセスにサービスを提供している場合がある。
【0115】
ODフィルタリングプロセスの動作の具体例では、ODプロセスツール103におけるODフィルターに、各操縦の持続時間および時間を含み得る操縦データが供給され、各操縦は、履歴または将来的に計画されている操縦である。操縦を実行するために送信されたコマンドは、計画操縦が行われるようにコマンドされたことを確認することにより、ODフィルターに通知されてもよい。確認が失敗した場合、すなわち、操縦が行われない、または操縦が行われなかったと決定された場合、操縦に関連するデータを削除してもよい。いくつかの例では、特定の操縦を実行するためのコマンドが衛星に正常に送信されたかどうか、そして、最後に、操縦が正常に実行されたかどうかを記録する別のプロセス、例えばタスクサービスがあり得る。ODフィルターは、受信した操縦データをインポートすることにより、例えば操縦をモデル化するなど、操縦を(再)作成し、これを履歴または将来の任意の時間に衛星位置および/または状態の決定に使用することができる。他にも述べたように、ODフィルターは、OD決定において知られているように、フィルタリングプロセスにおける衛星の移動の動的モデルを用いてもよい。操縦は、ODプロセスにインポートされると、特定の操縦の特定の期間の衛星の動的モデルを再定義するために使用される。したがって、それらは、目的のODソリューション(フィルタリングされたデータ)または予測(実際の測定ではなく理論ダイナミクスモデルに基づいて作成された天体暦)を生成するためにのみ使用される。
【0116】
衛星の動的モデルに適合するために、宇宙船の望ましい/予測された姿勢もODプロセスで記述されている。この姿勢データは衛星のすべてのパスで収集される可能性がある。姿勢データは、例えば、衛星のパス毎に付加される姿勢ファイルに記憶されてもよい。姿勢データを状態ベクトルデータに含めることで、衛星の正確な動きをモデル化することができる。この正確な位置モデルは、状態ベクトル測定(例えばGPS測定)、および/または衛星の寸法と組み合わせることができ、動的モデルの信頼性と精度を向上させることにより、ODフィルターによるデータのより正確なフィルタリングを実現することができる。これにより、動的モデルに基づいて行われる予測の精度が向上し、軌道操縦の計画が向上し、軌道情報の後処理の精度が向上する。
【0117】
より具体的には、ODフィルターは、位置の異なる推定値に基づいてフィルタリングされた位置データを出力してもよく、前記異なる推定値は、前記生の位置データと、スケジュール操縦に基づく位置の推定値とを含む。追加的に、または代替的に、ODフィルターは、状態ベクトル(すなわち、位置データと速度データの両方を含むデータセット)を出力してもよい。これらの状態ベクトルは、衛星の将来の状態の予測状態ベクトルであり、作成された動力モデルを考慮して、軌道データの時間の前方伝搬から導出されてもよい。これはまた、衛星のスケジュール操縦を考慮に入れることができる。エフェメリド状態ベクトルを予測する場合、生の状態ベクトルデータ、例えば生のGPSエフェデータの形での生の位置データは、衛星の将来の軌道方向を決定する処理の初期の起点にすぎない。衛星の初期状態ベクトルが明確かつ正確である例では、予測された軌道/軌道の信頼性(すなわち信頼さ)を向上させることができる。
【0118】
ODプロセスの操作の一例では、ODフィルターでは、次のステップを含むプロセスで2種類のフィルター(統計プロセス)が適用される。
【0119】
1) BWLS(ベイズ加重最小二乗)-これは基本的に曲線フィッティングプロセスである。動的モデルを使用せず、次のフィルタリングステップに移動するために、より良い初期推測を与えるために使用される。ここでは、すべてのデータが一度に処理される。
【0120】
2) 次のステップはOSF(順序付け統計フィルタリング)であり、これはカルマンフィルターであり、ここではデータが順番に処理される。ここでは、最も正確な更新を行うために動的モデルを用いている。最適状態は、状態推定の不確実性を最小限に抑える。モデルの不確実性は、この不確実性の大きさと変動性(プロセスノイズ)から決定される。ここでは、古いデータから新しいデータに移行する。
【0121】
3) 第2 OSFは、また、スムーザーと呼ばれる。(2)と同じであるが、時間が反転する。カルマンフィルターは、一般的に、前の状態の収束(不確実性レベル)の知識を持って状態の不確実性を最小限に抑えようとしており、最良の推測を作成するために動的モデルを用いている。
【0122】
ステージ2と3の両方で、動的モデルは衛星の将来のスケジュール操縦に基づいていてもよい。動的モデルは、衛星の履歴な操縦に関連するデータにさらに基づいていてもよい。衛星の履歴な操縦に関連するデータを使用すると、動的モデルの精度が向上する可能性がある。つまり、動的モデルに関連する不確実性値が低下する可能性がある。
【0123】
なお、ODプロセスは、地球上の衛星のパスまたはその他の操縦を知らない可能性がある。軌道データのAPIをクエリするシステムは、将来または履歴のいずれかの操縦を認識しておらず、タスクを実行するためにそれらを考慮する必要はない。操縦は、APIによって提供される予測された軌道データとフィルタリングされた軌道データの両方で十分に表現されている。ODプロセスは、例えば定期的に、または新しい生データを受信した場合に、自動的にODサーバー105から新しいデータを要求するように構成されてもよい。ODプロセスは、予測されたエフェメライドや位置データを、例えば、常に24時間先に「考え」するように、将来所定の時間の間、別の形態で継続的に提供するように構成されてもよい。このプロセスは、ラップトップデバイスなどの適切なコンピューティングデバイス上でどこでも実行でき、理論的には衛星上のコンピューティングシステムで実行できる。
【0124】
ODプロセスツール103は、計画操縦が行われたことを確認する自動化された方法を提供することができる。一例では、衛星からの推進テレメトリは、例えばプログラム的に監視されてもよい。操縦が行われる場合、特定の推力モジュールからの特定の推力の大きさが期待される。この予想される大きさが検出されない場合、操縦が失敗した、すなわち実行されなかったと仮定し、その操縦に関するデータをODプロセスから自動的に除去してもよいし、例えば、ODプロセスツール103に以前に供給された計画操縦に関するデータを除去したり、廃棄したりしてもよい。検出される推力の大きさに関連するデータは、スラスタから直接測定し、および/または推力が加えられた後の衛星位置データから推定してもよい。すなわち、推力の大きさは、推力が加えられた後の衛星位置および/または速度を示すテレメトリデータに基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、衛星の理論的軌道挙動には違いがある可能性がある(推力モジュールからの推力の予測された大きさに基づいて)。ODプロセスツール103は、履歴の実際の軌道挙動と理論的軌道挙動との違いに基づいて、推力モジュールによって加えられる推力の大きさおよび/または方向を調整する推力補正を決定し、将来の実際の軌道挙動と理論的軌道挙動との違いを最小限に抑えることができる。また、例えば、その推力補正に起因するシナリオの再初期化を特定の時間(例えばT-6Hrs)にコマンドしてもよい。シナリオを再初期化するには、以前に行われたすべての測定から構築されるのではなく、最近の測定値(前の6時間の測定値など)の短い期間しか計算されないように、衛星の動的モデルをリセットすることが含まれる場合がある。これにより、ODプロセスツール103のメモリ要件を低減することができる。衛星からの画像取得のコンテキストでは、この手順は、T+24hrsにスケジューリングされた画像のすべてのパスに対して実行される。操縦失敗による処理やタスクミスを回避することができる。軌道維持や衝突回避などの目的では、まだ操縦失敗を行う必要があるため、例えば、ODサーバー105からの出力を介して、軌道シミュレータ115には操縦失敗を警告する必要がある。保守プロセスは再び実行され、例えば、推進システムに追加の燃焼(つまり推力)を生成するように命令し、通常は衝突回避API 130を介して衝突確率を事前に確認した後に実行される。衝突回避操縦の場合、同様に、推進システムに追加または補正燃焼または推力を発生させるようにコマンドされてもよい。
【0125】
図1および
図2を参照して説明したシステムにおいて、ODサーバー105は、生のGPSエフェメライド、フィルタリングされた履歴エフェメライド、将来予測されたエフェメライド、および操縦データのいずれかを含むがこれらに限定されない、受信したデータのカタログ化を担当する。これらのデータのいずれかは、個々のファイルなどの個別のアイテムとしてサーバー105に供給されてもよい。例えば、エフェメライドは通常、衛星のパスごとにファイルに供給され、操縦データは、操縦ごとに離散的な項目として供給されてもよい。サーバーまたは他の適切なコンピューティングシステムによるこのデータのカタログ化により、データを、例えば、時間毎、または特定の座標系で、様々な方法で検索することができる。また、このカタログ化は、同一のサーバーやコンピューティングシステムにより、同一の星座内の複数の衛星に対して行うことができる。そして、例えば、一定期間の衛星位置、一定期間の衛星の操縦、その他当業者によく知られる情報を、一つまたは一群の衛星について取得することができる。
【0126】
ODプロセスの品質管理
図3は、正確な予測がODサーバー105のAPIに送信されることを確実にするために使用される品質管理「QC」システムを示すブロック図である。ここでのQCは、独自のツールを用いて、ODサーバー105に実装された独自の意思決定および再試行ロジックとともに統計を作成することで構成されてもよい。
【0127】
図3のQCプロセスは、特定の品質のデータのみがODサーバー105に供給されるように、
図1のシステムに組み込まれてもよい。このプロセスは、ODプロセスツール103の一部として、またはODプロセスツール103の出力とODサーバー105への入力との間に別の品質管理モジュールで実現されてもよい。いずれにしても、
図3に示すプロセスの動作は、手動介入を必要とせずに、ODサーバー105から自動的に動作するように制御されてもよい。
【0128】
図3において、ODプロセスツール103において品質管理プロセスが行われ、入力データとして生のGPSエフェデータを受信する。さらに、計画的および履歴な操縦の詳細をプロセスに使用することができる。次に、ODシナリオが301に示すように作成され、その結果がフィルタリングされたエフェメライドの形で統計テスト303の対象となる。統計テストは、シナリオデータの信頼性を、例えば所定の閾値を超える信頼値など、任意の適切な方法で検査してもよい。独自の第三者統計ソフトウェアツールを用いて統計テストを実行することができる。フィルタリングされたエフェメライドが意思決定305で信頼閾値を満たした場合、フィルタリングされたエフェメライドは、
図2の214と同様の流れによって307でODサーバー105に送信される。そうでなければ、流れは301に戻り、今回は追加の入力データを用いて、例えば時間の早いまたは長い期間にまたがる。そして、動作301、303、305を再実行するために、GPSキュー102からの追加情報を要求してもよい。
図3の例では、前の6時間からの追加の測定が要求されるが、最初の反復では、前の1時間からのデータのみが使用された可能性がある。
【0129】
衝突回避
図1のシステムにおいて実装され得る衝突回避プロセスをより詳細に示すブロック図である。軌道シミュレータ115、軌道決定モジュール127、衝突回避API 130、意思決定ブロック135は、
図1を参照して既に説明したと同様に動作してもよい。
【0130】
一般に、軌道シミュレータ115から軌道決定モジュール127へ出力される操縦データは、操縦の日付以上の正確な時間、推力の持続時間、推力の大きさおよび指向方向、推力の特定衝撃、衛星の姿勢を含んでもよい。簡単にするために、
図4には日付と推力持続時間のみが示されている。
【0131】
意思決定ブロック135において衝突確率が低いと決定された場合、例えば所定の閾値を下回ると、動作コントローラ140から衛星100を操縦するコマンドが動作コントローラ140に送られる。また、計画操縦の詳細、例えば日付や持続時間などがODサーバー105に送信される。これは、
図2のブロック210においてODサーバー105に渡された操縦データの全部または一部であってもよく、ODプロセスツール105の動作を制御するODサーバーによって、軌道シミュレータ115にフィードバックされるフィルタリングされたOD天体暦データを生成するために使用されてもよい。
【0132】
意思決定ブロック135において衝突確率が低くないと決定された場合、軌道シミュレータに衝突可能性が最も近づいた時間を通知し、新しい操縦パラメータを決定するために軌道シミュレータにフィードバックする。
【0133】
軌道シミュレータ115によって実行され得る動作を示すブロック図である。
【0134】
図4に示すように、軌道シミュレータ115は、ODサーバー105のAPIを介してフィルタリングされたエフェマイドを受信する。
図5では、操縦データを決定する2つのプロセスが並列に行われることを示している。特定の軌道で衛星を維持するために、例えば2週間ごとに定期的な間隔で行われる。もう一方は、衝突回避のために、衛星が現在の軌道に継続しているか、または計画操縦によるかのいずれかの衝突警告、例えば衝突確率が所定の閾値を超えることを通知することによってトリガされる。衝突回避操縦計画は、衝突確率と最も近接の時間のいずれかまたは両方に基づいていてもよい。新しい操縦データが衝突を引き起こす可能性が低い操縦を定義することを確認する。この新しい操縦データは、衝突回避API 130に供給され、再度決定される衝突確率の決定を行う。操縦パラメータの決定、衝突警報の受信、および新しい衝突パラメータの決定のステップは、新しい衝突パラメータが衝突警報を生じないまで繰り返してもよい。
【0135】
衛星機能の操縦計画
軌道維持および衝突回避のために計画されている操縦に加えて、操縦の計画には、衛星の現在の状態、例えばその推進システムも考慮されてもよい。追加的に、または、代替的に、衛星が太陽に完全に露出し過熱の危険性があるときに推進システムが動作するのを回避するために、太陽に対する衛星位置を考慮してもよい。操縦計画の可能なプロセスを
図6に模式的に示し、
図1のシステムで実装してもよい。
【0136】
図6に示すプロセスでは、最初に操縦601で軌道シミュレーションが行われ、時間、持続時間、大きさ、指向方向などの操縦パラメータを決定する。次に、上述したように、CAブロック603で表される衝突回避プロセスを行う。次に、CAプロセスに起因する操縦パラメータは、衝突確率が低い要件を満たしていると仮定してもよい。このように、ブロック600内の流れは、衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための計画操縦のためのパラメータを受信することから始まり、パラメータは、操縦時間および持続時間を含む。前記パラメータは、前記操縦がいつ行われるかについて、太陽への露出と衛星推進システムの電流能力のいずれかまたは両方を含む、1つまたは複数の他の制限に従って、操縦が行われるようにスケジューリングされてもよい操縦の実行のための時間窓を指定してもよい。
【0137】
次に、動作605では、操縦を行うための推進スケジューリング要件を決定し、動作607で、その要件を満たすことができるか否かを決定する。推進スケジューリング要件を決定する際に考慮される要因には、利用可能なバッテリ、推進温度、推進状態などのいずれかの電力状態または複数の状態が含まれ得る。例えば、発火するためにスラスタを特定の温度に加熱する必要がある場合がある。この温度を推進温度と呼ぶことができる。推進温度は、125℃以上、150℃以上、175℃以上、200℃以上であってもよい。例えば、推進温度は173℃であってもよい。推進状態は、衛星の各種構成要素の状態または性能を示すデータを含んでもよい。例えば、推進状態は、衛星のモジュールのいずれが破損しているか、または故障しているかを示すことができる(例えば、障害検出、分離、および回復(FDIR)リセットなど)。
【0138】
推進スケジューリング要件が時間窓内に満たされない場合、衛星が実行できる操縦パラメータが決定されるまで、軌道シミュレーション601およびCAプロセス603の反復が実行される。
【0139】
動作では、日食の時間の推定値609が得られる。これらは、太陽が地球によって日食され、衛星が地球の影にあるときを示している。また、衛星が操縦時に過熱しないようにするために、太陽が地球に覆われたときに操縦を行うことが好ましい。太陽からの熱と衛星推進システムによって発生する熱の合併により、衛星が過熱して損傷する可能性がある。際には、推進ユニットが太陽に面している間は運転を避けるだけで十分であることがわかった。これは、衛星の太陽への露出が最大である軌道の割合、例えば、露出が最大である軌道の4分の1を避けるために、操縦時間をスケジューリングすることによって達成できる。次に、スラスタの動作は、地球の周りの各完全な軌道の4分の3以下、または太陽への最大露出の4分の1の軌道を回避してパスする。
【0140】
図7は、ここで説明したシステムおよびプロセスを用いて動作し得る衛星100の例を示す。衛星は、一般的に直方体の本体を備え、当業者においては「バス」と呼ばれる。本体の矩形面に太陽光パネル702を取り付け、これに支柱を介して追加の太陽光パネルを取り付ける。衛星は、アンテナアレイ704および他の構成要素を支持することができる2つの「翼」を提供するために、本体から2つの対向する方向に延びる概略平面構造を備える。衛星が軌道にあるとき、体とは反対側の「翼」の表面は一般的に地球の表面に向かっている。衛星は、生成された推力で衛星を操縦する推進システム706を備える。推進システムは、太陽光パネルとは反対側の表面のボディに取り付けられている。推進システムは、必要に応じて衛星を操縦するための推力を生成する複数のスラスタ706を備える。
図7衛星のスラスタは、ボディの片側の角に位置し、等間隔で離れていてもよい。
【0141】
推進システムは、衛星100を操縦して衛星軌道または高度を変更するために使用される。ここの他の場所で述べたように、これは、たとえば、高度がわずかに変化した場合に衛星を特定の軌道に維持するため、または宇宙内の別の物体との衝突を回避するためである可能性がある。衛星の追加の操縦は、例えば、特定のイメージングモードのために、衛星の姿勢を変更するために可能である。したがって、大型衛星イメージング装置は特定の画像取得手順のために衛星に対して操縦することができるのに対し、
図7に示すような衛星100は、小型で機敏性が高いマイクロ衛星であってもよいが、全体的に操縦して姿勢を変えることができる。このような操縦は、衛星ADCSユニットを用いて行ってもよい。
【0142】
衛星は、質量に応じて分類されてもよい。たとえば、約1kgから約10kgまでの質量を持つ衛星は立方体衛星として分類され、約50kgから約250kgの間の質量を持つ衛星は、超小型衛星として分類され、約500kgの質量を持つ衛星は小型衛星として分類され、約800kgと約1200kgとの間の質量を持つ衛星は、通常の衛星として分類され得る。
【0143】
衛星100は、一例では、質量100kgのマイクロ衛星であってもよい。質量約1000kgの通常の衛星は、一般的にマイクロ衛星よりも高価で機敏性が低い。ここで説明する操縦計画、衝突回避、軌道変更、その他の方法の実施形態は、質量が50kg~250kgの1つまたは複数のマイクロ衛星に適用することができる。
【0144】
上記より、衛星100の進行の大部分では、推進システム706は衛星本体によって太陽から遮蔽されているが、
図7の4分の4として示された軌道四半期には、推進システム706が太陽にさらされているため、この期間中に推進システム706を動作させることは避けることが望ましい。したがって、日食の時間に関する情報を用いて、衛星軌道のこの部分を回避するための操縦を計画することができる。
【0145】
例えば、
図7の第1四半期として示される軌道四半期の開始時に、衛星100は地球による日食に入る可能性がある。したがって、軌道の第1四半期で(推進システム706を用いた)操縦が開始される。衛星100は、
図7に示すように、第2四半期の終わりに日食を終了する可能性がある。しかし、軌道の第3四半期中、衛星100の本体は、太陽からの放射線への曝露から推進システム706を遮蔽する。衛星が軌道の第4四半期の開始を示す黄道線を越えてから、推進システム706が太陽放射にさらされる。したがって、(推進システム706を用いた)操縦は、軌道の第3四半期で、または、その終了時に終了する。
【0146】
低地球軌道にある衛星の場合、日食は通常34.5分、軌道は95.6分続きく。
【0147】
動作611において、上記で説明したように、衛星が地球の影にある、または少なくともその推進システムが太陽に完全にさらされていない時間または時間に操縦が行われるスケジューリングである。
【0148】
動作611の結果、
図1に示すように、衛星100、または動作コントローラ140に操縦パラメータが出力される。これらは、
図2のブロック210に示すようにODサーバー105にも出力される。
【0149】
なお、
図6のプロセスでは、衛星能力や太陽露出回避よりも衝突回避が優先される。一般に、衝突回避、衛星能力、太陽被曝回避の基準、および操縦パラメータの決定に適用される他の基準を満たすように操縦パラメータを決定するプロセスは、任意の順序で行われ、現在の条件によって異なる場合がある。
【0150】
前述のことから、CAプロセスまたはどちらのプロセスが優先しても結果として得られる操縦パラメータは、操縦の実行の時間枠を指定することができ、その中で操縦が1つまたは複数の他の基準を満たすようにより正確にタイミングを合わせることができることが理解される。
【0151】
操縦のタイミングに関する各種基準を満たすために、CAプロセス等の第1プロセスから出力されるパラメータによって定義される1つの操縦を、一連のサブ操縦として行うようにしてもよい。例えば、CAプロセスから出力されるタイムスパンまたはウィンドウは、地球を囲む衛星の少なくとも2つの軌道を含んでもよい。そして、操縦の総期間を、衛星の異なるパスで発生する短い持続時間に分割することができる。したがって、動作611から得られる出力パラメータは、大きさ、例えば、推力(または燃焼)の力の大きさに加えて、(サブ)動作の日付/時間および持続時間を含むことができる。
【0152】
画像スケジューリング
図8は、
図1の画像スケジューラ125によって実行され得る動作を示す。画像スケジューラは、衛星上の画像取得装置で得られた画像データを、SARイメージング分野で公知のように合成画像を作成するように動作する。このプロセスは、
図8に示すように、画像スタック処理と呼ばれることがある。新たに取得したデータは、画像スタックに継続的に追加される。データの編集においては、データ取得時の衛星位置を正確に知ることが重要である。
図8に示すプロセスでは、位置推定が十分に正確である場合にのみ、画像データをスタックに追加する。
【0153】
図8の流れは、特定のタイムスパンに取得されたSAR画像データを受信したと仮定する。
【0154】
図8に示すように、画像スケジューラ125は、特定のタイムスパンについて、ODサーバー105からフィルタリングされたエフェマイドを要求してもよい。フィルタリングされたエフェメライドは、特定の画像データに関連する地理的位置誤差を推定または決定するために使用される。要求は、新しい画像データを受信した場合に送信されてもよい。代替的に、画像データのバッチごとに要求を送信してもよい。代替的に、この情報は、必ずしも要求に応じてはなく、定期的にODサーバーから画像スケジューラに供給されてもよい。
【0155】
図8に示すように、フィルタリングされたエフェメライドを用いて、特定の時点で衛星の地理的位置誤差を推定することができる。地理的位置誤差は、ODプロセスの各反復の終了時に決定されてもよい。そして、誤差が高いか否か、例えば所定の閾値を超えるか否かを決定すると、その時間の画像データを画像処理スタックにインポートしないことが好ましい。代わりに、画像スケジューラ125から、新たにフィルタリングされたエフェメライドの要求がODサーバー105に送信され、その後、再度地理的位置誤差が推定される。推定がよりも大きなデータセットに基づいているという事実により、結果として得られる誤差は低くなるはずである。誤差推定の繰り返しと、追加のフィルタリングエフェメライドを要求することは、関連する画像データを画像スタック処理に追加するために誤差が十分に低くなるまで実行されてもよい。
【0156】
画像スケジューリングが常に実行されているため、これらは常にOD APIから提供される最新の軌道決定に表されるため、衛星によって実行される操縦、軌道の変更、または衝突回避に注意する必要はないことに注意することが重要である。
【0157】
推進システムの校正
ここで説明する方法およびシステムのいくつかは、衛星の推進システムの動作をより正確に制御する機会を提供する可能性がある。例えば、推進システムの校正に使用することができる。これは、地上で簡単に試験できない推進システムに特に有用である。たとえば、一部のイオン低推力エンジンでは地上試験は推奨されない。このような場合、推進システムの性能を推定することは、例えば、推進システムに与えられたコマンドに基づいて位置を推定するために行われてもよい。このような校正は、地上試験を使用しない場合の初期動作だけでなく、使用によって推進システムの性能が変化するため、動作中にも有用である。
【0158】
図9は
図1のシステム内の推進システム校正器によって実行され得る動作を示すブロック図である。
【0159】
ODプロセス901において、操縦データから得られる位置の確実性を、例えば、大きさとポインティングの1つまたは両方のパラメータで強調表示することができる。このようにして、OD結果から、特定の操縦におけるエンジンやスラスタなどの推進システムの性能に関する情報を得ることができる。補正推定レポートとグラフを生成して保存することができ、システムエンジニアリングチームはパフォーマンスについて結論を出し、より正確な操縦/予測とフィルタリングされたソリューションをもたらす校正アクションを進めることができる。ODプロセス901内には、推力の大きさやポインティングの不確実性などを考慮した操縦入力の不確実性モデルが存在してもよい。
【0160】
校正プロセスの例では、動作コントローラ140から操縦がコマンドされる。コマンドは推力の大きさ、持続時間、方向を含み、これらのパラメータと衛星の軌道、または状態ベクトルの予想される変化との間の想定関係に基づいている。コマンドは、衛星の軌道を所定の量だけ変更することを意図する。コマンドが実装され、衛星軌道が変更される。得られたフィルタリングされたエフェメライドから軌道の変化量を決定することができる。これを用いて、想定関係を確認または更新できる。フィルタリングされたエフェメライドを決定するためのフィルタリングプロセスは、衛星の軌道の予想される変化を考慮に入れる。
【0161】
ODプロセス901は、最新のコマンド操縦に基づいて、生のGPSエフェデータと最新(記憶)操縦データを受信してもよい。この入力から、ODプロセス901は、更新された軌道モデルを生成する。この更新軌道モデルは、衛星の操縦の推力の大きさとポイントの不確実性を捉えた不確実性モデルを含み、統計的一貫性試験903を行う。更新された軌道モデルが統計的一貫性テスト903に不合格の場合、ODプロセス901は、軌道モデルおよび関連する不確実性モデルが一貫性テスト903に合格するまで、軌道モデルを改良し、不確実性を調整する。軌道モデルが一貫性テスト903に合格すると、最終的に更新された軌道モデルがさらなるモジュールに渡されて、補正モデルが生成される。この補正モデルは、エクスポートされた補正グラフの形であってもよい。エクスポートされた補正グラフ905は、将来の操縦計画シミュレーションにおける推力の大きさやポインティングなどの操縦パラメータの不確実性を補償するために使用されてもよい。
【0162】
ここで説明するシステムのいずれかの構成要素は、コンピューティングシステムから構成されていてもよいし、コンピューティングシステムに組み込まれていてもよい。
【0163】
本明細書に記載の演算システムは、複数の機能を有する単一の演算システムに組み合わされてもよい。同様に、本明細書で説明するいずれかの計算システムの機能は、複数の計算システムに分散されてもよい。
【0164】
本明細書に記載された方法の一部の動作は、例えば、機械読み取り可能な形態、例えばコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムの形態でソフトウェアによって実行されてもよい。したがって、本発明のいくつかの態様は、コンピューティングシステムに実装された場合、本発明のいずれかの方法の動作の一部または全部をシステムに実行させるコンピューティングシステムに読み取り可能な媒体を提供する。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ディスク、サムドライブ、メモリカードなどの記憶媒体など、一時的または有形(または非一時的)の形態であってもよい。ソフトウェアは、並列プロセッサまたはシリアルプロセッサでの実行に適して、メソッドステップが任意の適切な順序で実行され得る、または同時に実行され得る。
【0165】
本発明の実施形態においては、本発明において、本発明において他に記載されているように、システムは、いずれの形態のコンピューティングおよび/または電子システムとしても実装され得る。ここのようなデバイスは、ルーティング情報を収集および記録するためにデバイスの動作を制御するためのコンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の適切なタイプのプロセッサであり得る1つまたは複数のプロセッサを備えていてもよい。いくつかの例では、例えばシステムオンチップアーキテクチャを使用する場合、プロセッサは、(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)ハードウェアで方法の一部を実装する1つまたは複数の固定機能ブロック(アクセラレータとも呼ばれる)を含んでもよい。オペレーティングシステムまたは他の適切なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアをコンピューティングベースのデバイスに提供して、アプリケーションソフトウェアをデバイス上で実行できるようにしてもよい。
【0166】
ここで、「計算システム」とは、命令を実行できる処理能力を有する任意のデバイスを指すために用いられる。当業者であれば、このような処理能力は多くの異なるデバイスに組み込むことができ、したがって「コンピューティングシステム」という用語にはPC、サーバー、スマート携帯電話、携帯情報端末、および他の多くのデバイスが含まれることが理解される。
【0167】
上記の利点および利点は、1つの実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されるべきである。複数の実施形態は、言及された問題のいずれかまたは全てを解決するもの、または言及された利点と長所を有するものに限定されるものではない。
【0168】
「アイテム」または「ピース」へのいずれかの言及は、特に記載されていない限り、これらのアイテムの1つまたは複数を指す。「含む」という用語は、本明細書では、特定された方法ステップまたは要素を含むことを意味するが、そのようなステップまたは要素は排他的なリストを構成せず、方法または装置は追加のステップまたは要素を含み得ることを意味するために使用される。
【0169】
添付の図は、例示的な方法を示す。方法は、特定の順序で実行される一連の演算として示され、説明されているが、方法は順序によって制限されないことを理解し、理解されるべきである。例えば、いくつかの演算は、本明細書に記載されたものとは異なる順序で発生することができる。また、ある行動は、別の行動と同時に発生することができる。さらに、場合によっては、本明細書に記載された方法を実装するためにすべての演算が必要とされないこともある。
【0170】
本明細書に記載の方法のステップの順序は例示的であるが、これらのステップは任意の適切な順序で実行されてもよいし、適切な場合には同時に実行されてもよい。さらに、ステップは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、任意の方法に追加または置換されてもよく、または単一のステップは任意の方法から削除されてもよい。上記のいずれかの実施例の態様と、上記の他の実施例のいずれかの態様とを組み合わせて、さらに実施例を形成してもよい。
【0171】
上記の好ましい実施形態の説明は、例としてのみ示されており、当業者が様々な修正を加えることができることを理解されたい。上記した内容は、1つまたは複数の実施形態の一例を含む。もちろん、前述の態様を説明する目的で、上記のデバイスまたは方法の考えられるすべての修正および変更を説明することは不可能であるが、当業者であれば、さまざまな態様の多くのさらなる修正および置換が可能であることを認識できるしたがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのそのような変更、修正、および変更を含むことが意図されている。
【0172】
本開示の実施例および実施形態は、以下の各項を参照して理解することができる。
1.衛星状態データの処理方法であって、
1つまたは複数の地上局を介して複数の別々のファイルの形で衛星状態データを受信するステップと、
受信した前記衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルする、方法。
2.前記衛星状態データは、生データを含む、第1項に記載の方法。
3.軌道決定プロセスにおいて前記生の衛星状態データをフィルタリングして、
フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップをさらに含み、
前記フィルタリングは、受信した前記衛星状態データのコンパイルと並行して行われ、
フィルタリングされた前記衛星状態データの各項目は、前記生の衛星状態データの項目に対応する、第2項に記載の方法、
4.前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信し、受信した前記操縦データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能なデータセットにコンパイルするステップをさらに含む、前述項のいずれか1項に記載の方法。
5.前記操縦データは、受信した前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、第3項に従属する第4項に記載の方法。
6.衛星状態データの処理方法であって、
生の衛星状態データを受信するステップと、
前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信するステップと、
軌道決定プロセスにおいて、受信した前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた前記衛星状態データを提供するステップと、を含み、
前記操縦データは、受信した前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、方法。
7.前記生の衛星状態データを受信する前記ステップは、
1つまたは複数の地上局を介して前記生の衛星状態データを複数の別々のファイルの形で受信するステップを含み、
前記方法は、
受信した前記生の衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップをさらに含む、第6項に記載の方法。
8.受信した前記操縦データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能なデータセットにコンパイルするステップをさらに含む、第7項に記載の方法。
9.衛星の操縦をスケジューリングするステップをさらに含み、衛星の操縦をスケジューリングするステップは、
前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための1つまたは複数のスケジュール操縦のための受信したパラメータを受信するステップであって、前記パラメータは、1つまたは複数の前記スケジュール操縦時間および持続時間を含む、前記ステップと、
衛星の将来の軌道中に地球による日食の時間を受信するステップと、
前記決定されたパラメータおよび日食の時間に従って前記操縦をスケジューリングするステップと、を含む、前述項のいずれか1項に記載の方法。
10.衛星の操縦のスケジューリング方法であって、
前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための1つまたは複数の計画操縦のための受信したパラメータであって、前記1つまたは複数の計画操縦時間および持続時間を含むパラメータと、
衛星の将来の軌道中に地球による日食の時間を受信するステップと、
決定されたパラメータおよび日食の時間に従って発生する操縦をスケジューリングするステップと、を含む、方法。
11.前記受信したパラメータは、衛星状態データを含み、
前記方法は、前記衛星状態データを処理するステップをさらに有し前記衛星状態データを処理するステップは、
1つまたは複数の地上局を介して前記衛星状態データを複数の別々のファイルの形で受信するステップと、
受信した前記衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップと、を含む、第10項に記載の方法。
12.前記衛星状態データは、生データを含む、第11項に記載の方法。
13.前記衛星状態データを処理する前記ステップは、
軌道決定プロセスにおいて、前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップをさらに含み、
フィルタリングされた衛星状態データの各項目は、生の衛星状態データの項目に対応する、第12項に記載の方法。
14.前記衛星状態データを処理する前記ステップは、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信し、受信した操縦データを、アプリケーションプログラミングインターフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能なデータセットにコンパイルするステップをさらに含む、第12項または第13項に記載の方法。
15.前記操縦データは、受信した生の衛星データのフィルタリングに用いられる、第13項に従属する第14項に記載の方法。
16.前記受信したパラメータは、生の衛星状態データと、前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データとを含み、
前記方法は、前記衛星状態データを処理するステップをさらに含み、前記衛星状態データを処理する前記ステップは、
前記生の衛星状態データを受信するステップと、
前記衛星の1つまたは複数のスケジュール操縦に関する操縦データを受信するステップと、
前記軌道決定プロセスにおいて、受信した前記生の衛星状態データをフィルタリングして、フィルタリングされた衛星状態データを提供するステップと、を含み、
前記操縦データは、受信した前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、第10項に記載の方法。
17.前記衛星状態データを処理する前記ステップは、前記受信した生の衛星状態データを、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアクセス可能でかつ時間範囲で検索可能な単一のデータセットにコンパイルするステップをさらに含み、前記生の衛星状態データは、1つまたは複数の地上状態を介して複数の別々のファイルの形で受信される、第16項に記載の方法。
18.フィルタリングされた前記衛星状態データを前記単一のデータセットに挿入するステップをさらに含む、第3項、第7項、第13項、第17項のいずれかまたはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
19.フィルタリングされた前記衛星状態データは、衛星状態履歴データを含み、前記衛星状態履歴データは、任意選択で、衛星の1つまたは複数の履歴状態ベクトルに関連付けられた実際のデータである、第3、第6、第13、第16のいずれかまたはそれらに従属す項のいずれか1項に記載の方法。
20.フィルタリングされた前記衛星状態データは、将来の衛星状態データを含み、前記将来の衛星状態データは、任意選択で、衛星の将来の状態ベクトルを予測するように構成された動的モデルに基づく投影データである、第3項、第6項、第13項、第16項またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
21.前記衛星に関するメタデータを前記衛星状態データにマッピングするステップをさらに含む、第1~9項または第11~20項のいずれか1項に記載の方法。
22.前記メタデータは、
衛星の物理的寸法に関連するデータ、
衛星姿勢データ、および/または
衛星の履歴および将来の計画操縦に関連する情報を含む衛星推力データのうちの1つまたは複数を含む、第21項に記載の方法。
23.前記生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる前記メタデータを供給するステップをさらに含む、第3項、第6項、第13項、第16項のいずれかまたはそれらに従属する第21項または第22項に記載の方法。
24.前記受信した操縦データは、前記1つまたは複数のスケジュール操縦のそれぞれについて、
操縦時間、
推力の持続時間、
推力の大きさ、
推力方向、および/または
推力比衝撃のうちの1つまたは複数を含む、
第4項、第6項、第14項、第16項のいずれか、またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
25.前記1つまたは複数のスケジュール操縦は、前記衛星の1つまたは複数の将来のスケジュール操縦を含む、第4項、第6項、第14項、第16項またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
26.前記衛星の移動の動的モデルを維持し、前記1つまたは複数の将来のスケジュール操縦に関するデータを用いて前記動的モデルを更新するステップをさらに含む、第25項に記載の方法。
27.前記動的モデルから得られた衛星状態の推定値は、受信した生の衛星状態データのフィルタリングに用いられる、第3項、第6項、第13項、第16項またはそれらに従属する項のいずれかに従属する第26項に記載の方法。
28.前記生の衛星状態データをフィルタリングする前記ステップは、前記衛星状態の異なる推定値に基づいて行われ、前記異なる推定値は、前記生状態データと、将来のスケジュール操縦に基づく衛星状態の推定値とを含む、第27項に記載の方法。
29.前記衛星状態の推定値は、前記衛星位置の推定値を含む、前記第27項または第28項に記載の方法。
30.前記1つまたは複数のスケジュール操縦は、1つまたは複数の履歴操縦を含む、第4項、第6項、第14項、第16項、またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
31.前記衛星の1つまたは複数の履歴操縦に関する操縦データは、衛星の1つまたは複数の履歴な操縦のそれぞれについて、
操縦時間、
推力の持続時間、
推力の大きさ、
推力方向、および/または
推力比衝撃のうちの1つまたは複数の測定値を含む、
第30項に記載の方法。
32.スケジュール操縦が実行されるようにスケジューリングされた後、前記測定データを用いて、前記スケジュール操縦が実行されたか否かを決定する、第31項に記載の方法。
33.前回の間隔以降に受信した前記衛星状態データを作業ディレクトリにコピーするステップをさらに含む、第1~9項または第11~32項のいずれか1項に記載の方法。
34.前記データセットは、リレーショナルデータベースに記憶される、第1項、第7項、第11項またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
35.前記衛星状態データは、前記衛星のパスごとにファイルとして受信され、前記データセット内のデータは、複数のパスを含む期間に亘って検索可能である、第1項、第7項、第11項のいずれかまたはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
36.前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、前記衛星の太陽への露出が最大になる軌道の割合を回避するように、前記操縦の項目をスケジューリングするステップをさらに含む、第9項若しくは第10項またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
37.回避すべき前記軌道の割合は、前記軌道の4分の1である、第36項に記載の方法。
38.前記計画操縦の少なくとも1つの持続時間は、前記衛星の地球周りの少なくとも2つの軌道を含む持続時間である、第9項若しくは第10項、またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
39.前記計画操縦の少なくとも1つは、前記衛星を所定の軌道に戻すための操縦である、第9項若しくは第10項、またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
40.前記計画操縦の少なくとも1つは、衝突を回避するための操縦である、第9項若しくは第10項、またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法。
41.前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、
前記衛星を現在の軌道から新しい軌道へ移動させるための前記計画操縦のうちの1つまたは複数の候補パラメータを決定するステップであって、前記パラメータは、前記計画操縦のそれぞれの候補時間および候補持続時間を含む、前記ステップと、
前記候補パラメータを衝突回避システムに供給するステップと、
前記候補パラメータの各セットに基づいて、前記衝突回避システムからそれぞれの衝突確率を受信するステップと、
前記それぞれの衝突確率が所定の閾値を超える場合には、前記1つまたは複数の計画操縦に対する新しい候補パラメータを決定するステップと、前記それぞれの衝突確率の少なくとも1つが前記所定の閾値を下回るまで、前記1つまたは複数の計画操縦のそれぞれについて候補パラメータを決定する動作を繰り返すステップと、をさらに含む、第40項に記載の方法。
42.前記衛星の操縦をスケジューリングする前記ステップは、
推進スケジューリング要件を受信するステップと、
前記推進スケジューリング要件に従って発生する操縦をスケジューリングするステップと、をさらに含む、第9項もしくは第10項、またはそれらに従属する項に記載の方法。
43.第9項若しくは第10項、またはそれらに従属する項のいずれか1項に従って発生する衛星の操縦をスケジューリングする、衛星の動作方法。
44.衛星推進システムの動作方法であって、
1つまたは複数の将来のスケジュール操縦のうちの1つに関する操縦データに基づいて、また、コマンドされた操縦に関する操縦データと衛星の軌道変化との間の想定関係に基づいて、前記衛星の操縦をコマンドするステップと、
前記コマンドに従って前記コマンド操縦を実行した後、前記衛星の軌道に関連する衛星状態データを受信するステップと、
前記受信した衛星状態データに基づいて、前記想定関係を確認または更新するステップと、を含み、
前記衛星の軌道は、第3項、第6項、第13項、第16項のいずれかまたはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の軌道決定プロセスにおいて決定される、方法。
45.SAR画像データの処理方法であって
タイムスパン中に取得された画像データを受信するステップと、
第1項、第6項、第11項、第16項のいずれかの方法またはそれらに従属する項のいずれか1項に記載の方法に従って処理された衛星状態データを受信するステップであって、前記受信した衛星状態データは、前記受信した画像データに関連するタイムスパンに対応する、前記ステップと、
前記受信した衛星状態データを用いて、前記衛星位置推定に関連する地理的位置誤差を推定または決定するステップと、
前記地理的位置誤差が所定の閾値よりも大きい場合には、よりも長いタイムスパンの衛星状態データを要求し、前記地理的位置誤差の推定を繰り返すステップと、
前記地理的位置誤差が所定の閾値を下回る場合にのみ、前記画像データをスタックに渡してさらなる処理を行うステップと、を含む、方法。
46.前項の方法を実行するプロセッサを備えるデータ処理装置。
47.第1項~第45項のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された分散コンピューティングシステム。
48.コンピュータによって実行されると、第1項~第45項のいずれかの方法をコンピュータに実行させる論理を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
49.コンピュータが実行すると、第1項~第45項のいずれかの方法をコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】