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特表2024-541978進行期パーキンソン病のためのホスレボドパ/ホスカルビドパ皮下投与治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】進行期パーキンソン病のためのホスレボドパ/ホスカルビドパ皮下投与治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/661 20060101AFI20241106BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K31/661
A61P25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525319
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022048056
(87)【国際公開番号】W WO2023049534
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/272,574
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/291,207
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/297,513
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/318,567
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/327,441
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】3156401
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファケリス,マウリツィオ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロビーソン,ワイニング・ゼット
(72)【発明者】
【氏名】フォス,メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】スピーゲル,エイミー・エム
(72)【発明者】
【氏名】フィッセハ,ナホーム・テゼラ
(72)【発明者】
【氏名】ベネシュ,ジャネット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リオシス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】バーダー,クマール
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA10
4C086ZA02
(57)【要約】
本開示は、進行期パーキンソン病のための安全かつ有効な皮下投与治療に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により、対象において進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間の増加を達成する、方法。
【請求項2】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により、進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オフ」時間の減少を達成する、方法。
【請求項3】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により、進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、パーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアにより評価される、睡眠症状の減少を達成する、方法。
【請求項4】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、パーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数により評価される、PDに関連する生活の質の増加を達成する、方法。
【請求項5】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、EQ-5D-5L要約指数により評価されるベースラインから最終来診までの健康に関連した生活の質の増加を達成する、方法。
【請求項6】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により、進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、ウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価されるPD症状のベースラインから最終来診までの減少を達成する、方法。
【請求項7】
組成物が、パーキンソン様症状をベースラインから少なくとも46%減少させるために有効な量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
組成物が、ベースラインMDS-UPDRS総スコアを少なくとも9単位減少させるために有効な量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物が、ベースラインPDQ-39スコアを少なくとも6.9単位減少させるために有効な量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、ベースラインPDSS-2総スコアを少なくとも2単位減少させるために有効な量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
治療期間が、皮膚結節の発症がなく、少なくとも10日間である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象におけるパーキンソン様症状の「オフ」時間の発生率を減少させる方法。
【請求項13】
日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間を増加させながら、対象におけるパーキンソン様症状の「オフ」時間の発生率を減少させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPD日誌により評価される1日平均正規化「オフ」時間を改善する方法。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、MDS-UPDRS パート IIスコアによって評価される日常生活で経験する運動症状を改善する、方法。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において朝の無動状態を軽減する、方法。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてEQ-5D-5L要約指数によって評価される健康に関連する生活の質を改善する、方法。
【請求項18】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価される動作緩慢スコア中央値(BK50)を改善する、方法。
【請求項19】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、ウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価される動作緩慢スコアの四分位範囲(BK75~BK25)を改善する、方法。
【請求項20】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPKGウェアラブルデバイスによって評価されるジスキネジアスコア中央値(DK50)を改善する、方法。
【請求項21】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PKGウェアラブルデバイスによって評価される振戦及び日中の傾眠を改善する、方法。
【請求項22】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、MDS-UPDRSパートIスコア、パートIIIスコア、パートIVスコア、及びパートI~IIIの総スコアを改善する、方法。
【請求項23】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される、日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法。
【請求項24】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される、1日平均正規化「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法。
【請求項25】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において正規化されないPD日誌により評価される、1日平均絶対「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間及び「熟睡」時間を改善する方法。
【請求項26】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPDSS-2ドメインスコアを改善する、方法。
【請求項27】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPDQ-39ドメインスコアを改善する、方法。
【請求項28】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象におけるEQ-5D-5L視覚的アナログスケール(VAS)スコアを改善する、方法。
【請求項29】
ホスレボドパ対ホスカルビドパの重量比が、約20:1である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
組成物が、ホスレボドパ約240mg/mL及びホスカルビドパ約12mg/mLを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
組成物が、pHが約6.6~約8.1の間である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される、日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間及び日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オフ」時間を改善する方法であって、平均「オン」時間が2.5~4.5時間の間であり、平均「オフ」時間が2.5~4.5時間の間である、方法。
【請求項33】
平均「オン」時間が3.6時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
平均「オフ」時間が約3.4時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
組成物が、重量モル浸透圧濃度が約2700mOsmol/kgまでである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
組成物が、重量モル浸透圧濃度が約2200~約2500mOsmol/kgの間である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法であって、「オン」時間に達するまでの平均時間が、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象に対して、10~60分の間である、方法。
【請求項38】
「オン」時間に達するまでの平均時間が、約15分~約50分である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
「オン」時間に達するまでの時間が約28.9分である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法であって、「オン」時間の頻度が、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象に対して、頻度が約2倍である、方法。
【請求項41】
パーキンソン病の治療を必要とする患者への請求項1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を来さないジスキネジアを伴う「オフ」時間を改善する方法であって、起床後30分以内の「オフ」時間の頻度が、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、約1/4少ない頻度である、方法。
【請求項42】
「オフ」時間の頻度が少なくとも24時間持続する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月27日出願の米国仮出願第63/272,574号;2021年12月17日出願の米国仮出願第63/291,207号;2022年1月7日出願の米国仮出願第63/297,513号;2022年3月10日出願の米国仮出願第63/318,567号;2022年4月5日出願の米国仮出願第63/327,441号;及び2022年4月25日出願のカナダ出願第3,156,401号の優先権の利益を主張する。これらの出願のそれぞれのその全体の内容を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、進行期パーキンソン病のための、安全な、耐容性の及び有効な皮下投与治療に関する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病は、神経伝達物質ドパミン(すなわち、3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン)の脳内のレベルの低下を特徴とする、慢性及び進行性の神経変性状態である。レボドパ(すなわち、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)の投与は、現在、パーキンソン病患者を治療するために最も有効な療法である。カルビドパをレボドパと同時投与することによって、レボドパのドパミンへの末梢の代謝が阻害され、治療上有効な臨床応答に要するレボドパの用量が有意に減少し、関連する副作用が軽減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在までのところ、進行期パーキンソン病の治療のために、安全な、耐容性の、及び有効な皮下投与による治療が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本開示は、進行期パーキンソン病の治療のための、安全な、耐容性の及び有効な皮下投与による療法に関する。
【0006】
本開示における使用に適した、レボドパリン酸プロドラッグ「ホスレボドパ」及びカルビドパリン酸プロドラッグ「ホスカルビドパ」の組合せを含む安定な液体配合物は、国際公開第2020/102628号に記載されており、その全体を参照により本明細書に明示的に組み込む。
【0007】
本明細書に開示される通り、本開示は、次の実施形態に関する。
【0008】
実施形態1.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により、対象において進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、日常生活に支障を来すジスキネジア(troublesome dyskinesia)を伴わない「オン」時間の増加を達成する、方法。
【0009】
実施形態2.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与による進行期パーキンソン病の治療方法であって、組成物が、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オフ」時間の減少を達成する、方法。
【0010】
実施形態3.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、パーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアにより評価される睡眠症状の減少を達成する、方法。
【0011】
実施形態4.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、パーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数により評価されるPDに関連する生活の質の増加を達成する、方法。
【0012】
実施形態5.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、EQ-5D-5L要約指数により評価される健康に関連した生活の質のベースラインから最終来診までの増加を達成する、方法。
【0013】
実施形態6.ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む組成物の皮下投与により進行期パーキンソン病を治療する方法であって、組成物が、ウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価されるPD症状のベースラインから最終来診までの減少を達成する、方法。
【0014】
実施形態7.組成物が、パーキンソン様症状をベースラインから少なくとも46%減少させるために有効な量で投与される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0015】
実施形態8.組成物が、ベースラインのMDS-UPDRS総スコアを少なくとも9単位減少させるために有効な量で投与される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0016】
実施形態9.組成物が、ベースラインPDQ-39スコアを少なくとも6.9単位減少させるために有効な量で投与される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
実施形態10.組成物が、ベースラインPDSS-2総スコアを少なくとも2単位減少させるために有効な量で投与される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
実施形態11.治療期間が、皮膚結節の発症がなく、少なくとも10日間である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態12.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象におけるパーキンソン様症状の「オフ」時間の発生率を減少させる方法。
【0020】
実施形態13.日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間を増加させながら、対象におけるパーキンソン様症状の「オフ」時間の発生率を減少させる、実施形態12に記載の方法。
【0021】
実施形態14.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPD日誌により評価される1日平均正規化「オフ」時間を改善する方法。
【0022】
実施形態15.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、MDS-UPDRSパートIIスコアによって評価される日常生活で経験する運動症状(Motor Aspects of Experiences of Daily Living)を改善する、方法。
【0023】
実施形態16.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において朝の無動を軽減する、方法。
【0024】
実施形態17.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてEQ-5D-5L要約指数によって評価される健康に関連する生活の質を改善する、方法。
【0025】
実施形態18.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価される動作緩慢スコア中央値(BK50)を改善する、方法。
【0026】
実施形態19.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、ウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価される動作緩慢スコアの四分位範囲(BK75~BK25)を改善する、方法。
【0027】
実施形態20.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPKGウェアラブルデバイスによって評価されるジスキネジアスコア中央値(DK50)を改善する、方法。
【0028】
実施形態21.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、ウェアラブルモーションセンサーデバイスによって評価される振戦及び日中の傾眠を改善する、方法。
【0029】
実施形態22.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、MDS-UPDRSパートIスコア、パートIIIスコア、パートIVスコア及びパートI~IIIの総スコアを改善する、方法。
【0030】
実施形態23.パーキンソン病の治療を必要とする患者への実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法。
【0031】
実施形態24.パーキンソン病の治療を必要とする患者への実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される1日平均正規化「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法。
【0032】
実施形態25.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において正規化されないPD日誌により評価される1日平均絶対「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間及び「熟睡」時間を改善する方法。
【0033】
実施形態26.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPDSS-2ドメインスコアを改善する、方法。
【0034】
実施形態27.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPDQ-39ドメインスコアを改善する、方法。
【0035】
実施形態28.実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてEQ-5D-5L視覚的アナログスケール(VAS)スコアを改善する、方法。
【0036】
実施形態29.ホスレボドパ対ホスカルビドパの重量比が、約20:1である、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
実施形態30.組成物が、ホスレボドパ約240mg/mL及びホスカルビドパ約12mg/mLを含む、実施形態1~29のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
実施形態31.組成物が、pHが約6.6~約8.1の間である、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態32.組成物が、重量モル浸透圧濃度が約2700mOsmol/kgまでである、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
実施形態33.組成物が、重量モル浸透圧濃度が約2200~約2500mOsmol/kgの間である、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
実施形態34.パーキンソン病の治療を必要とする患者への実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間を改善する方法であって、「オン」時間に達するまでの平均時間が10~60分の間である、方法。
【0042】
実施形態35.「オン」時間に達するまでの平均時間が、約15分~約50分である、実施形態34に記載の方法。
【0043】
実施形態35A.「オン」時間に達するまでの平均時間が、約20分~約40分である、又は約30分である、実施形態35に記載の方法。
【0044】
実施形態35B.「オン」時間に達するまでの時間が28.9分である、実施形態35Aに記載の方法。
【0045】
実施形態36.パーキンソン病の治療を必要とする患者への実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象において、PD日誌によって評価される日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間を改善する方法であって、「オン」時間の頻度が、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象に対して、約2倍である、方法。
【0046】
実施形態37.パーキンソン病の治療を必要とする患者への実施形態1~6のいずれか一項に記載のレボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてPD日誌によって評価される日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オフ」時間を改善する方法であって、起床後30分以内の「オフ」時間の頻度が、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、約1/4少ない頻度である、方法。
【0047】
実施形態38.「オフ」時間の頻度が少なくとも24時間持続する、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
本開示のさらなる利点は、本特許出願を読むことから当業者には明らかであろう。次の段落に記載される開示の実施形態は、本発明を例示することを目的としたものであり、本発明の範囲を狭くするものとみなすべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、試験デザインの概要図である。
図2図2は、経口CD/LD群についての最頻1日量(Modal Daily Dose)の分布を示すグラフ表示である。
図3図3は、ホスレボドパ群及びホスカルビドパ群についての最頻1日量の分布を示すグラフ表示である。
図4図4は、DB治療期間にわたる治療群(最大解析対象集団)による日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間におけるベースラインからのLS平均変化量(±SE)を示すグラフ表示である。
図5図5は、DB治療期間にわたる治療群(最大解析対象集団)による1日平均正規化「オフ」時間におけるベースラインからのS平均変化(±SE)を示すグラフ表示である。
図6図6は、DB治療期間にわたる治療群(最大解析対象集団)によるMDS-UPDRSパートIIスコアにおけるベースラインからのLS平均変化量(±SE)を示すグラフ表示である。
図7図7は、経時的な1日平均正規化「オフ」時間及び「オン」時間の分布(最大解析対象集団)を示すグラフ表示である。
図8図8は、経時的な早朝不眠(Non-Sleep)症状の分布(最大解析対象集団)を示すグラフ表示である。
図9図9は、試験盲検化評価:安全性解析集団の結果を示す。
図10図10は、正規化された「オフ」及び「オン」の時間:時間の数及び起床のパーセントとして示すグラフ表示である。
図11図11は、模範的なパーキンソン病日誌である。
図12図12は、注入部位評価数値的スケール(Infusion Site Evaluation Numeric Scale)における、医薬組成物(20:1の比でのレボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩)及びプラセボについて、10日間のいずれかに受けた最高グレードまでの対象のパーセンテージのグラフ表示である。
図13図13は、注入部位評価文字グレードスケールにおいて、20:1の比でのレボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩の医薬組成物並びにプラセボについて、10日間のいずれかに受けた最高グレードまでの対象のパーセンテージのグラフ表示である。
図14A図14Aは、患者における20:1の比でのレボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩の医薬組成物の12週間の連続皮下注入の安全性、有効性及び耐容性を評価するための臨床試験Aの試験デザインのグラフ表示である。
図14B図14Bは、患者における数値的スケールを用いた注入部位の類別の臨床試験Aについての結果を示すグラフである。
図14C図14Cは、患者における文字スケールを用いた注入部位の類別の臨床試験Aについての結果を示すグラフである。
図14D図14Dは、患者における臨床試験AについてのMDS-UPDRS総スコアにおけるベースラインからの平均(SD)変化を示すグラフである。
図14E図14Eは、患者における臨床試験Aについての定期的に予定されている来診時の「オフ」時間におけるベースラインからの平均(SD)変化を示すグラフである。
図15図15は、20:1の比でのレボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩の医薬組成物のボーラス用量の皮下投与後、その後、医薬組成物の24時間連続皮下投与後の、健常なヒトボランティアにおけるレボドパ血漿濃度(±標準偏差)の血漿時間-濃度プロファイルである(臨床試験B)。
図16図16は、Sinemet(登録商標)を経口投与する患者(臨床試験B)と比較した、医薬組成物を受けた1日中、「オフ」時間を経験している患者のパーセンテージを示す。
図17A図17Aは、24時間ホスレボドパ及びホスカルビドパ注入後並びに16時間Duopa注入後、続いて、18時間及び21時間での経口LD/CD投与後の平均レボドパ曝露(±SD)を示す。
図17B図17Bは、24時間ホスレボドパ及びホスカルビドパ注入及び24時間Duopa注入後の平均レボドパ曝露(±SD)を示す。
図18図18は、試験デザインの概要図である。D=日;V=来診;W=週。
図19図19は、パーキンソン病(PD)の進行としてのレボドパの治療域(Therapeutic Window)の狭小化の例証を示す。
図20図20は、試験デザインの概要図を示す。
図21図21は、1日平均正規化「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間における経時的な平均の観察を示す。
図22図22は、PD日誌から得られた1日平均正規化時間、平均時間及び起床のパーセンテージとして示す。
図23図23は、最頻総1日量(分子量別mg LD)を示す。
図24図24は、ベースラインから6カ月後までの有効性の結果の変化を示す。P<0.05;**P<0.01.MDS-UPDRS II、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価スケールパートII;PD、パーキンソン病;PDQ-39、39項目のパーキンソン病質問票。
図25図25は、12週目におけるホスレボドパ及びホスカルビドパ対レボドパ及びカルビドパ即時放出経口錠(LCIR)間の、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない(ONwoTD)「オフ」時間及び「オン」時間のための応答者(≧1時間)及び頑健な応答者(≧3時間)の調整されたパーセンテージを示す。
図26図26は、13週目及び52週目におけるホスレボドパ及びホスカルビドパについての日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない(ONwoTD)「オフ」時間及び「オン」時間のための応答者(≧1時間)及び頑健な応答者(≧3時間)の調整されたパーセンテージを示す。
図27図27は、ホスレボドパ及びホスカルビドパ対レボドパ及びカルビドパ即時放出経口錠(LCIR)についてのベースラインから12週目までの、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間(「良好なオン」)の変化を示す。
図28図28は、ホスレボドパ及びホスカルビドパ対レボドパ及びカルビドパ即時放出経口錠(LCIR)についてのベースラインから12週目までの、「オフ」時間の変化を示す。
図29図29は、(a)レボドパ及びカルビドパ即時放出経口錠(LCIR)並びに(b)ホスレボドパ及びホスカルビドパ患者についての、ベースライン時及び12週目の来診についての運動状態の移行カテゴリーのサンキーダイアグラムを示す。
図30図30は、患者及び数又は実施例14において投与されたパーキンソン病医薬品の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示は、現在の医学療法で適切に制御されない進行期パーキンソン病患者に対して、医薬組成物であるホスカルビドパ/ホスレボドパの、皮下注入用溶液1ml当たり12mg/240mgでの皮下投与が、安全で、耐容性があり、運動症状の日内変動の治療のために有効であるという予想外の発見を記載する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「レボドパリン酸プロドラッグ」、「レボドパ-4’-一リン酸塩」及び「ホスレボドパ」は、化合物を指すために同義的に用いられる:
【0052】
【化1】
これは、CAS登録番号97321-87-4を割り当てられている。
本明細書で使用される場合、用語「カルビドパリン酸プロドラッグ」、「カルビドパ-4’-一リン酸塩」、及び「ホスカルビドパ」は、化合物を指すために同義的に用いられる:
【0053】
【化2】
【0054】
これは、CAS登録番号28860-95-9を割り当てられている。本明細書で使用される場合、用語「皮下注入用ホスカルビドパ/ホスレボドパ」、「ホスカルビドパ/ホスレボドパ」、及び「本開示の生成物」は、同義的に用いることができる。
【0055】
本明細書において数値範囲が列挙される場合、その範囲内の介在する各数値は、同程度の精度で明確に考えられる。例えば、6~9の範囲の場合、6及び9に加えて7と8が考えられ、6.0~7.0の範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0が明確に考えられる。
【0056】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、別段文脈で明確に指示しない限り、複数形を含む。
【0057】
本明細書中で、「A及び/又はB」などの語句の形態で用いられる用語「及び/又は」は、「A及びB」、「A又はB」、「A」及び「B」を意味することが意図される。
【0058】
用語「約」は、一般に、当業者が、列挙した値に等しいと考える(すなわち、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、有効数字まで四捨五入される数字を含むことができる。ある実施態様では、用語「約」は、列挙した値の±20%以内、例えば、列挙した値の±15%以内、±10%以内、±7.5%以内、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、又は±1%以内の値を示すために用いることができる。
【0059】
用語「ベースライン」とは、試験される療法の施行直前に、標的とする変数の第1の測定を意味する。
【0060】
用語「容器」とは、任意の適当な材料を用いて作製された、任意のコーティングされた又は非コーティングの適当な容器を意味し、それだけに限らないが、バイアル、カートリッジ、シリンジ、ボトル、並びにガラス、プラスチックなどの材料、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0061】
別段文脈で必要とされない限り、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、それらが、1つ以上の他のかかる特徴を排除することなく、列挙された特徴を含むことを示すように、排他的ではなく包括的に解釈されることを基本的かつ明確に理解した上で用いられる。
【0062】
用語「患者」、「対象」、「個人」などは、ヒトを指す。
【0063】
医薬用賦形剤に関連して用いられる用語「担体」とは、薬剤投与と適合性がある、任意の及びすべての溶媒、分散媒体剤、保存剤、コーティング剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「「オフ」時間」とは、医薬品が十分に作用せず、パーキンソン様症状(例えば、振戦、硬直、動作緩慢、並びに非運動症状、例えば、抑うつ、疼痛、不安などを含む)の再出現又は悪化を引き起こす日の期間を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「「オン」時間」とは、症状の適切な制御の期間を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「ジスキネジア」とは、自然及び薬物誘発の神経学的症候群を指し、自発的な及びほとんど制御不能な運動、又は運動の不足からなる。対象は、自身のジスキネジアを評価する場合、それが「日常生活に支障を来す」(例えば、不随意運動)か、又は「日常生活に支障を及ぼさない」かを決定する。
【0067】
本明細書に記載される通り、医薬組成物は、pH値が5~11の間で0.1ずつ増加することを含めて、最終pHは約5~11であり得る。詳細な実施形態では、pH値が6.5~9.2の間で0.1ずつ増加することを含めて、pHは、6.5~pH9.2の間であってもよい。一実施形態では、医薬組成物は、最終pH(例えば、水による再構成後)が、約6.8~約7.8の間である。したがって、医薬組成物は、最終pHが、約6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7又は7.8から選択されてもよい。一実施形態では、医薬組成物は、最終pHが約7.0~約7.5の間である。したがって、医薬組成物は、最終pHが、約7.0、7.1、7.2、7.3、7.4又は7.5から選択されてもよい。
【0068】
本開示はまた、本医薬組成物が用いられる治療方法に関する。一態様では、本開示は、対象において進行期パーキンソン病を治療する方法であって、本明細書に開示される医薬組成物を、それを必要とする患者に皮下投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの態様及び実施形態では、本開示は、進行期パーキンソン病の特定の尺度が改善される方法を提供する。したがって、本開示は、対象におけるパーキンソン様症状の「オフ」時間を改善する方法を提供し、本方法は、進行期パーキンソン病の治療を必要とする患者に、パーキンソン様症状をベースラインから少なくとも46%減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む。
【0069】
本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインの運動障害学会統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)総スコアを有するパーキンソン病についての治療を必要とする対象に、ベースラインのMDS-UPDRS総スコアを約5単位~約15単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインの運動障害学会統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)総スコアを有するパーキンソン病の治療を必要とする対象に、ベースラインのMDS-UPDRS総スコアを少なくとも9単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインのパーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数スコアを有するパーキンソン病の治療を必要とする対象に、ベースラインのPDQ-39スコアを約2単位~約10単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインのパーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数スコアを有するパーキンソン病の治療を必要とする対象に、ベースラインのPDQ-39スコアを少なくとも6.9単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。
【0070】
本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインのパーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアを有するパーキンソン病の治療を必要とする対象に、ベースラインのPDSS-2総スコアを約1単位~約10単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。本開示はまた、対象においてパーキンソン病を治療する方法であって、ベースラインのパーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアを有するパーキンソン病の治療を必要とする対象に、ベースラインのPDSS-2総スコアを少なくとも2単位減少させるために有効な量で、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。詳細な実施形態では、本明細書に開示される治療は、対象が皮膚結節を発症することなく、少なくとも10日間継続することができる。本開示はまた、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤の経口投与を受ける対象と比較して、対象においてパーキンソン様症状の「オフ」時間の発生率を減少させる方法であって、進行期パーキンソン病の治療を必要とする患者に、本明細書に開示される医薬組成物を皮下投与するステップを含む方法を提供する。
【実施例
【0071】
[実施例1] 進行期パーキンソン病(aPD)患者における皮下注入についてのホスカルビドパ/ホスレボドパの有効性、安全性及び耐容性を、経口CD/LD経口投与と比較する、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照試験(第3相試験)
【0072】
臨床試験A
試験デザイン及び目的
臨床仮説:皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの24時間/日CSCIは、運動症状の日内変動が、現在のパーキンソン病PD医薬品によりが適切に制御されないaPDを伴う患者において、CD/LD即時放出(IR)錠と比較して、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間(ジスキネジアを伴わない「オン」時間+日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間)を増加させ、「オフ」時間を短縮し、日常生活で経験する運動症状を改善する。
【0073】
本試験は、第3相、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、12週間、並行群間、実薬対照、多施設共同試験であり、運動症状の日内変動が現在の医薬品により適切に制御されないaPDを伴う患者の治療において、皮下注入についてのホスカルビドパ/ホスレボドパの24時間/日連続皮下注入(CSCI)の有効性、安全性及び耐容性を評価した。
【0074】
主目標:進行期パーキンソン病(aPD)を伴う対象における運動症状の日内変動の治療の場合、カルビドパ/レボドパ(CD/LD)即時放出(IR)経口錠と比べてホスカルビドパ/ホスレボドパの連続皮下注入(CSCI)が優れていることを、12週間の治療後に実証する。
【0075】
第2の目標:1日24時間12週間CSCIとして送達した皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの局所及び全身の安全性及び耐容性を評価する。
【0076】
試験計画:
本試験の概要図は、図1に示し、CD/LD=カルビドパ/レボドパ;CSCI=連続皮下注入;D=日;IR=即時放出;PD=パーキンソン病;V=来診である。
【0077】
a. V3は、V1の結果が総説のために及び適切な注入送達系の訓練及び習熟のために十分に利用可能にするために、V1の少なくとも6日後に行うことができる。
【0078】
b. スクリーニング期間の活動を、少なくとも6日続き;PD日誌は、V3前のスクリーニング期間中少なくとも連続3日間収集され;PD日誌の収集は、経口CD/LD安定化期間の開始前のV3までの間に、さらに連続3日間、1回のみ繰り返すことができる。
【0079】
c.経口CD/LD安定化期間の活動は、スケジュール、予定外の追加の来診、及び許可された場合、再度の評価の繰り返しを調整するために14~21日かかることが予想される。PD日誌は、1日目の前に少なくとも連続3日間収集される。
【0080】
d.対象が試験の参加を早期に中止する場合、又は試験を完了し、オープンラベル延長試験M20-098に参加しない場合、対象の意志があれば、本開示の生成物(皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ)の最終使用日の30日後に、すべての治療下で発現したAE/SAEが消失していることを保証するために、フォローアップ来診又はフォローアップの電話を完了する。
【0081】
主要目標は、12週間の治療後、aPDを伴う対象における運動症状の日内変動の治療のためのCD/LD IR経口錠と比べて、皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパのCSCIが優れていることを実証することであった。
【0082】
第2の目標は、1日24時間12週間CSCIとして送達した本開示の生成物(皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ)の局所及び全身の安全性及び耐容性を評価することであった。
【0083】
スクリーニング期間
この6~60日の期間は、2回のスクリーニング来診(V1及びV2)からなる。
【0084】
経口CD/LD安定化期間
この14~21日間の期間は、3回の来診(V3、V4、V5)からなる。V4は、任意選択の来診である。V5は、大部分の評価査定のためのベースライン来診である。
【0085】
二重盲検治療期間
この12週間の期間は、盲検化された皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ及び盲検化された経口カプセルの開始により開始され、2部、すなわち、4週間のCSCI最適化相及び8週間の維持相からなる。
【0086】
治療後期間の活動
試験の参加を早期に中止する対象を除き、治療後の活動はない。
【0087】
治療割り付け及び盲検化
経口CD/LD安定化期間の終了後、適格対象を、12週間の二重盲検治療期間2つの治療アームのうち1つに1:1の比で無作為化した。
- 本開示の生成物(皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ)の24時間/日CSCI+CD/LD IRのための経口プラセボカプセル(治験群又は皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ群とも称する)
又は
- 本開示の生成物のためのプラセボ溶液の24時間/日CSCI+経口カプセル化CD/LD IR錠(実薬対照群又は経口CD/LD群とも称する)
【0088】
無作為化を、試験施設毎にブロックサイズは2で層別化した。
【0089】
皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの盲検の投与の初日を1日目として定義する。
【0090】
盲検の維持の評価に役立てるために、対象が早期に試験を中止した場合又は対象が試験を完了した場合に、終了のインタビュー(exit interview)を行った。終了のインタビュー中に収集したデータを要約した。
【0091】
サンプルサイズの決定
日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間のベースラインから12週目までの変化の差が、治験群及び実薬対照群の間で1.86時間、共通の標準偏差が2.9時間であると仮定して、アーム当たり対象52名のサンプルサイズは、(nQueryバージョン8.4.0.0を用いて)両側有意水準0.05で2つの治療アーム間の統計学的有意差を検出する90%の力を有する。対象のおよそ20%が二重盲検治療期間中に皮下注入のための盲検ホスカルビドパ/ホスレボドパを早期に中止すると仮定し、対象およそ130名を無作為化する。このサンプルサイズはまた、主要な副次エンドポイントである1日平均正規化「オフ」時間のベースラインからの変化、運動障害疾患学会-統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)パートIIスコア、及び12週目の朝の無動の存在(覚醒状態後の第1の朝の症状としての「オフ」状態)についてもおよそ90%の力を有する。
【0092】
適切な人数の対象を、経口CD/LD安定化期間において登録して、本試験の無作為化目標を満たす。
【0093】
エンドポイント:
主要エンドポイント
有効性の主要エンドポイントは、PD日誌により評価される日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間(時間)のベースラインから二重盲検治療期間の12週目までの変化である。
【0094】
副次エンドポイント
二重盲検治療期間の次の最重要な副次エンドポイント及び他の副次エンドポイントは、本試験全体について、両側有意水準0.05でのファミリー単位の過誤率(FWER:familywise error rate)を制御するために、第一種の過誤の多重性調整に含まれる。これらの変数を、ゲートキーピング手法として、次の定型的な順序で検定する。
【0095】
・ 最重要な副次エンドポイント:
・ PD日誌により評価した、1日平均正規化「オフ」時間のベースラインから12週目までの変化。
・ MDS-UPDRSパートIIスコアにより評価した、日常生活で経験する運動症状のベースラインから12週目までの変化。
・ PD日誌により評価した、(覚醒状態後の第1の朝の症状としての「オフ」状態を報告したものとして定義した)12週目の朝の無動の存在。
・ ファミリー単位の過誤率(FWER)の制御に含まれる他の副次エンドポイント:
・ PD日誌により評価した、ジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間の時間のベースラインから12週目までの変化。
・ パーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアにより評価した、睡眠症状のベースラインから最終来診までの変化
・ パーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数により評価した、PDに関連する生活の質のベースラインから最終来診までの変化
・ EQ-5D-5L要約指数により評価した、健康に関連する生活の質のベースラインから最終来診までの変化。
・ Parkinson’s KinetiGraph(商標)/Personal KinetiGraph(商標)(PKG)ウェアラブルデバイスにより評価された、動作緩慢スコア(BK50)中央値のベースラインから12週目までの変化
・ PKGウェアラブルデバイスにより評価された、動作緩慢スコア(BK75-BK25)の四分位数間範囲のベースラインから12週目までの変化
・ PKGウェアラブルデバイスにより評価された、ジスキネジアスコア中央値(DK50)のベースラインから12週目までの変化
・ PKGウェアラブルデバイスにより評価した、ジスキネジアスコア(DK75-DK25)の四分位数間範囲のベースラインから12週目までの変化
【0096】
他の有効性エンドポイント
FWERの多重性調整に含まれる主要有効性エンドポイント及び副次有効性エンドポイントを上記に示す。二重盲検治療期間中の追加の有効性エンドポイントは、以下の通りである:
・ PKGウェアラブルデバイスにより評価した、振戦及び日中傾眠の時間のベースラインから12週目までの変化パーセント。
・ MDS-UPDRSパートIスコア、パートIIIスコア、パートIVスコア及びパートI~IIIの総スコアのベースラインから12週目までの変化
・ PD日誌により評価した、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う1日平均正規化「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間のベースラインから12週目までの変化
・ PD日誌により評価された、1日平均正規化「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間のベースラインから12週目までの変化パーセント
・ 正規化しないPD日誌により評価した、1日平均絶対的「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間、及び「熟睡」時間のベースラインから12週目までの変化。
・ PDSS-2ドメインスコアのベースラインから最終来診までの変化
・ PDQ-39ドメインスコアのベースラインから最終来診までの変化
・ EQ-5D-5L視覚的アナログスケール(VAS)スコアのベースラインから最終来診までの変化
【0097】
安全性エンドポイント
安全性エンドポイントは、以下の通りである:
・ 有害事象(AE)、重篤なAE(SAE)及び特に注目すべき有害事象(AESI)
・ 注入部位評価スケールにより測定した局所耐容性
・ 臨床検査値
・ バイタルサイン
・ 心電図(ECG)
・ コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)
・ パーキンソン病評価スケールにおける衝動性-強迫性障害についての質問票(QUIP-RS)
・ 経口CD/LD安定化期間中のエンドポイント、経口CD/LD安定化期間についての次の変数をまとめて示す:
・ PD日誌により評価された、1日平均正規化「オフ」時間、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間、ジスキネジアを伴わない「オン」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間のスクリーニング値から試験ベースライン(無作為化前)までの変化
・ PKGウェアラブルデバイスにより評価された、PD症状(振戦、動作緩慢、ジスキネジア、及び日中傾眠を含む)のスクリーニング値から試験ベースライン(無作為化前)までの変化
【0098】
分析母集団
次の分析セットは、分析用に用いる。
【0099】
経口CD/LD分析セットには、経口CD/LD安定化期間中にオープンラベルのCD/LD IR錠を少なくとも1回の用量を投与されたすべての対象が含まれる。経口CD/LD分析セットを用いて、早期中止及び経口CD/LD安定化期間中の有害事象をまとめて示す。
【0100】
最大解析対象集団(FAS)には、二重盲検治療期間中に本開示の生成物のいずれかの用量を投与され、少なくとも1つの有効性評価についてベースラインと少なくとも1回のベースライン後の観察があるすべての無作為化対象が含まれる。別段の記載がない限り、FASは、すべての有効性解析について用いられる。対象は、無作為化された治療群による解析に含まれる。
【0101】
安全性解析集団は、二重盲検治療期間中に皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの任意の用量を投与したすべての対象からなる。安全性解析集団は、別段の記載がない限り、すべての人口統計学的解析、ベースライン解析、安全性解析のために用いられる。対象は、無作為化に関係なく、実際に投与されたホスレボドパ及びホスカルビドパによる解析に含まれる。対象が両方の積極的な治療(皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ及び経口CD/LD)を受けた場合、対象は、二重盲検治療期間中の皮下注入曝露時間のためのそれらのホスカルビドパ/ホスレボドパの大部分(累積>50%)の間受けた治療群に含まれる。対象が両方の積極的な治療を等しい時間受けた場合又は対象が両方の形態のプラセボ治療(プラセボ溶液CSCI及び経口プラセボカプセル)をいずれかの時間受けた場合、対象を無作為化された治療群に含めた。
【0102】
人口統計学的なベースライン特徴、対象の内訳
本試験における人口統計学的なベースライン特徴及び安全性データの大部分を、皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ及び経口CD/LDの無作為化群内の用量カテゴリー(LD低用量<1800mg/日又はLD高用量≧1800mg/日)毎に示す。各対象のLD用量を、それらの個別の必要性に基づいた。各対象の低用量群又は高用量群へのカテゴリー化は、対象の投薬日誌に記録された、二重盲検治療期間中に受けた実際の最頻の(最も頻回の)LDの総1日量に基づく。皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの用量を、分子量に基づいて、ホスレボドパをLDに換算することにより、LD当量として提示する(ホスレボドパ100mgはLD71mgに等しい)。
【0103】
対象の内訳
スクリーニングされ、経口CD/LD安定化期間に入り、無作為化され、皮下注入のための盲検化されたホスカルビドパ/ホスレボドパを受けた対象の総数をまとめて示した。スクリーニングの失敗を含めた、除外理由をまとめて示した。
【0104】
対象の説明責任の要約を提供し、次のカテゴリーのうちそれぞれにおいて対象の数を、各治療群内の用量サブグループ(低用量又は高用量)毎にまとめて示した:
・ 経口CD/LD安定化期間に登録された対象
・ 経口CD/LD安定化期間中に早期に中止した対象(すべての理由及び主な理由)
・ 無作為化された対象
・ 皮下注入のための盲検化されたホスカルビドパ/ホスレボドパのいずれかの用量を投与した対象
・ 二重盲検治療期間を終了した対象
・ 皮下注入のための盲検化されたホスカルビドパ/ホスレボドパを二重盲検治療期間中に早期に中止した対象(すべての理由及び主な理由)
・ 二重盲検治療期間中に試験の参加を早期に中止した対象(すべての理由及び主な理由)
・ 各分析セットにおける対象
各対象を、治療期間にわたって最頻総1日量に基づいて、用量サブグループにカテゴリー化した。最頻総1日量の算出を、「レボドパ1日量の解析」と題したセクション中で定義する。
【0105】
COVID-19に関連する試験の中断により影響を受けたすべての対象の対象番号毎及び施設ID毎のリスト、並びに対象の参加がCOVID-19のためにどのように変更されたかの説明:
・ 皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパを早期に中止した対象
・ 試験を早期に中止した対象
【0106】
皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパの中断
・ 来診を休んだ対象
・ バーチャル来診を行った対象
【0107】
本試験を、米国及びオーストラリアの63カ所の施設で実施した。合計270名の対象は、スクリーニングされ、対象174名が経口CD/LD安定化期間に登録され、対象145名が二重盲検治療に無作為化され、対象141名に皮下注入のための盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパが投与され、安全性解析集団に含まれ、対象110名が試験を完了した。
【0108】
期間及びコンプライアンス
安全性解析集団の場合、治療の期間を、各治療群内及び合わせた両治療群の用量サブグループ(低用量又は高用量)毎にまとめて示した。二重盲検治療の期間(日数)を、対象毎に最終投与日から初回投与日を引いて1を加えたものとして定義した。治療の期間を、治療した対象の数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、最大値を用いてまとめて示した。さらに、各治療期間の間隔(1~7日、8~14日、15~28日、29~56日、及び>56日)における対象の数及びパーセンテージをまとめて示した。
【0109】
対象毎に、皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ並びにホスレボドパ及びホスカルビドパカプセルについての治療コンプライアンスパーセントを算出し、以下のように定義する:
・ ホスレボドパ及びホスカルビドパ溶液(ホスレボドパ及びホスカルビドパCSCI又はプラセボ溶液CSCI):24時間/日の目標に対してポンプが注入される時間数として算出し、妥当な投薬日誌の日数に対して平均する。
【0110】
・ エボドパ及びカルビドパカプセル(プラセボカプセル又はカプセル化CD/LD25/100mg IR錠):処方された数に対して服用した実際のレボドパカプセル及びカルビドパカプセルとして算出し、妥当な投薬日誌の日数に対して平均した
妥当な投薬日誌の日数を、ポンプが全24時間の≧80%(すなわち、≧19.2時間)(ホスレボドパ、ホスカルビドパ又はプラセボ溶液)を注入する日として定義した。
【0111】
治療コンプライアンスパーセントを、治療群毎に二重盲検治療期間全体について、及び安全性解析集団について合わせた両群について、観察が非欠測の対象数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値を用いてまとめて示した。
【0112】
レスキュー医薬品を、オープンラベルCD/LD IR錠の使用として定義し、対象は、二重盲検治療期間中、皮下注入のための盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパにおいてであった。皮下注入のための盲検化されたホスカルビドパ/ホスレボドパからの1日平均レボドパ量、レスキュー医薬品からの1日平均レボドパ量、並びに皮下注入のための盲検化されたホスカルビドパ/ホスレボドパ及びレスキュー医薬品の合計を、投与日誌が収集される来診毎に算出した。また、すべてのPD医薬品(皮下注入のための盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパ、負荷投与量、レスキュー医薬品、及び併用PD医薬品)からの1日平均レボドパ換算量(LED)を、投薬日誌が収集される来診毎に各PD医薬品の換算係数(Tomlinsonら2010年)を用いて算出した。1日平均レボドパ量及び1日平均LEDを、投与日誌が欠落していない対象数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値を用いて、治療群毎、及び安全性解析集団について合わせた両群についてまとめて示した。
【0113】
人口統計学的及びベースラインの臨床的特徴、病歴、事前の/併用の医薬品及び投与量
人口統計学的及びベースラインの臨床的特徴、病歴並びに事前の及び併用の医薬品を、各治療群内の用量サブグループ(低用量又は高用量)及び安全性解析集団全体毎にまとめて示した。各対象を、治療期間にわたって最頻総1日量に基づいて、用量サブグループにカテゴリー化した。最頻総1日量の算出を、「レボドパ1日量の解析」と題したセクション中で定義する。
【0114】
カテゴリー変数を、対象の数及びパーセンテージでまとめて示した;パーセンテージを、非欠測の観察の数に基づいて算出される。連続変数を、記述統計学(非欠測の観察の数、平均値及び標準偏差、中央値、最小値、及び最大値)でまとめて示した。
【0115】
対象の大部分は、男性(70.2%)であり、対象の大部分は、白人(92.9%)であった。全体の平均年齢は66.4歳、中央値は68歳であった。人口統計学的及び臨床的特徴は、治療群間で一般にバランスが保たれた。
【0116】
人口統計学的及びベースラインの臨床的特徴
人口統計学的及び臨床的連続変数は、年齢、体重、身長、肥満度指数(BMI)、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、ベースラインのレボドパ用量、及びベースラインのLEDである。分類上の人口統計学的及び臨床的変数は、性別、民族、人種、年齢区分(<50、50~<65、65~<75又は≧75歳)、BMI(<18.5、18.5~<25.0、25.0~<30.0、≧30.0)、国、タバコ使用者(現在、以前、一度もない、不明)、アルコール使用者(現在、以前、一度もない、不明)、及びすべての簡易神経学的検査変数である。
【0117】
病歴
病歴データを、医薬品規制用語集(MedDRA)を用いてコード化する。用いたMedDRAの実際のバージョンを、統計表及び臨床試験報告書に明記した。各病歴カテゴリー(MedDRA器官別大分類[SOC]及び基本語[PT]毎)における対象の数及びパーセンテージを、全体及び治療群毎にまとめて示した。SOCは、アルファベット順に提示され、PTは各SOC内でアルファベット順に提示された。2つ以上の状態/診断を報告した対象は、各列(SOC又はPT)で1回のみカウントした。
【0118】
パーキンソン病の病歴を、次の変数でまとめて示した:
・ 連続変数:PD発症時の年齢(歳)、症状発現からのPDの期間(年)、PD診断時年齢(歳)、診断からのPDの期間(年)、運動症状の日内変動の発症時の年齢(歳)、運動症状の日内変動の発症からの期間(年)。
【0119】
・ カテゴリー変数:診断からのPDの期間(<10年、≧10年)、レボドパによって誘発されるジスキネジアの既往(あり、なし)、5年以上のレボドパ応答(あり、なし)、及びホーン及びヤール病期。
【0120】
事前及び併用の医薬品
事前及び併用のPD医薬品、非PD医薬品を別個にまとめて示した。事前の医薬品は、経口CD/LD安定化期間開始前に投与された任意の医薬品として定義される。二重盲検治療期間中の併用医薬品は、盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の初回投与日以前に開始し、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の初回投与後に投与を継続した任意の医薬品、又はホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の初回投与日時又は初回投与後であるが、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の最終投与日以降でないときに投与を開始した任意の医薬品として定義される。医薬品を服薬する対象の数及びパーセンテージを、事前及び併用のPD医薬品の両方についてATCレベル3、ATCレベル4毎に、及び世界保健機関(WHO)のDrug Dictionaryに基づくジェネリック医薬品名毎にまとめて示した。医薬品を服薬する対象の数及びパーセンテージを、非PD医薬品について、ATCレベル3毎及びWHO Drug Dictionaryに基づくジェネリック医薬品名毎にまとめて示した。
【0121】
スクリーニング時(経口CD/LD安定化期間のオープンラベルホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入開始前日)に及びベースライン時(投与2日目)に用いたPD医薬品を、全対象に及び治療群別に投与したPD医薬品のクラス数毎にまとめて示した。
【0122】
投薬の分析
分子量に基づいて、ホスレボドパ100mgは、レボドパ71mgと等しい。別段の記載がない限り、すべてのホスレボドパ及びホスカルビドパの用量を、LD当量として示した。
【0123】
別段の記載がない限り、投薬日誌データの全解析を、妥当な投薬日誌の日に行った。
【0124】
1日の処方量の分析
要約統計量(平均値、SD、中央値、最小値及び最大値)は、調査群についての負荷投与量及び連続注入速度、及び実薬対照群についての経口レボドパ用量(カプセル化CD/LD IRから)を含めた、処方量情報を提供した。
【0125】
利用可能な場合、要約統計量は、初回処方時に、最適化相後の第1の維持処方時、8週間の維持相における最終処方時及び試験における最終処方時に提供される。初回から第1の維持、初回から最終の維持、初回から最終、維持の第1から最終までの変化をやはりまとめて示す。
【0126】
初回の最適化の分析
ポンプ注入速度の初回最適化の期間を、1日目からポンプの注入速度設定に少なくとも7日間変更がない最初の日までの日数として定義する。
【0127】
初回最適化の期間は、次の間隔(日)毎にまとめて示す:1、2、3、4、5、6、7、8~14、15~21、22~28及び>28。適用可能な場合、要約統計量には平均値、SD、中央値、最小値及び最大値が含まれる。
【0128】
レボドパ1日量の分析
レボドパの1日量を、プロトコールで定義された各来診時の盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及びオープンラベルCD/LD IR経口錠について、まとめて示した。要約統計量は、平均値、SD、中央値、最小値及び最大値である。
【0129】
試験中の最頻総1日レボドパ量は、第1に、対象の総1日レボドパ量を100mgずつの狭い用量範囲(例えば、1000~<1100mg、1100~<1200mg)に割り当て、次いで、対象にとって最も頻回の狭い用量範囲を選択することにより、対象毎に決定した。2つ以上の用量範囲は、同じ最高頻度である場合、最も高い用量範囲が選択された。
【0130】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入治療群についての最頻連続ポンプ注入速度を、対象毎に同様に定義した。
【0131】
最頻総1日量を、安全性解析集団についてまとめて示した。最頻ポンプ注入速度を、安全性解析集団におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入治療群をまとめて示した。
【0132】
他の投薬分析
対象がレスキュー医薬品を投与する頻度を、0回、1回、2回、≧3回のカテゴリー毎に及び次の試験日の間隔毎にまとめて示す:1~7、8~14、15~21、22~28、29~42、≧43。さらに、少なくとも1回の出現による対象の数及び出現の総数を、平均値、SD、中央値、最小値及び最大値毎にまとめて示した。
【0133】
最頻(最も頻回の)用量
図2及び図3は、2つの治療群についてのレボドパの最頻総1日量の分布を示す。総1日量の中央値は、経口CD/LD群の場合1000~1100mg、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群の場合1500~1600mgであった(表1)。
【0134】
【表1】
【0135】
他の投薬分析
対象がレスキュー医薬品を投与する頻度を、0回、1回、2回、≧3回のカテゴリー毎に及び次の試験日の間隔毎にまとめて示した:1~7、8~14、15~21、22~28、29~42、≧43。さらに、少なくとも1回の出現による対象の数及び出現の総数を、平均値、SD、中央値、最小値及び最大値毎にまとめて示した。
【0136】
有効性
一般的な考察
すべての有効性解析を、FASにおいて行った。すべての検定は、アルファ値0.05で両側検定であった。
【0137】
主要解析を、すべての対象が二重盲検治療期間を完了し、データベースがロックされた後に行った。
【0138】
別段規定がない限り、連続変数を、混合効果反復測定モデル(MMRM:Mixed-Effect Model Repeat Measurement)法を用いて分析した。
【0139】
PD日誌の変数のベースラインは、1日目の前に完成された3つの妥当な日誌の平均値であった。PD日誌以外のすべての有効性の評価のベースラインを、二重盲検ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の開始日以前である、最後の非欠測の観察として定義した。
【0140】
二重盲検ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を最後に投与してから1日以上経過した後に収集された、AE及び注入部位評価以外の、ベースライン後の有効性及び安全性の評価を、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を中止した後のデータが、対象が試験治療を中止した後に受けている可能性のある様々なPD治療により混同するおそれがあるため、有効性及び安全性の解析のために用いなかった。
【0141】
PD日誌から導かれた変数
主要な変数、最重要な副次変数のうち2つ、及びいくつかの他の副次有効性変数をPD日誌から得た。PD日誌の記録日に、対象に、熟睡から覚醒した後、及び毎日12:00am~11:30pmまでの全24時間、通常の起床時間中30分毎に記入するように指示した(48回、各エントリーは0.5時間を表す)。各エントリーは、5つのカテゴリーのいずれかであり得る:熟睡時、「オフ」、ジスキネジアを伴わない「オン」、日常生活に支障を及さないジスキネジアを伴う「オン」、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」。日誌の日数毎に、各カテゴリーに費やした絶対時間を合計した。1日の覚醒時間は、4つの非熟睡カテゴリーに費やした絶対時間の合計である。1日の「オフ」及び「オン」時間を、典型的な起床日(16時間)に正規化して全対象で異なる睡眠パターンを考慮し、例えば、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない正規化「オン」時間=(日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない絶対「オン」時間/起床時間)×16)である。
【0142】
1日の正規化された「オフ」及び「オン」の時間を、来診毎に妥当なPD日誌の日数にわたって平均して、1日平均正規化「オフ」及び「オン」時間を得る。妥当なPD日誌の日数を、「有効性インスツルメントにおける欠落項目の取り扱い」と題された項において定義する。
【0143】
覚醒後の朝の最初の状態は、PD日誌の最終の妥当なPD日誌の日数において0:00am~12:00pmの間のPDエントリーを調べることによって決定される。覚醒後の朝の最初の状態を、少なくとも4回連続の「熟睡」(すなわち、少なくとも2時間の連続睡眠)とエントリーされた後、PD日誌における最初の非睡眠及び非欠測のエントリーとして定義する。
【0144】
欠測データの取り扱い:
PD日誌
妥当なPD日誌の日数を、臨床来診前7日以内であるが、来診当日又は来診日以降でなく、24時間の日誌全体について2時間以上の欠測データ(30分の欠測エントリーが4件以下)がないものとして定義する。
【0145】
ベースラインについて、対象は無作為化来診(V6)の少なくとも12時間前からいかなるPD医薬品も投与しないことを求められるため、妥当なPD日誌の日数は、やはりV6の前日とすることはできない。
【0146】
妥当なPD日誌の日数を、そのPD日誌に関連する来診についての1日平均正規化時間若しくは絶対「オフ」時間又は「オン」時間の算出において用いない。
【0147】
3日以上の妥当なPD日誌が、ベースライン又はベースライン後の来診を利用可能であった場合、臨床来診に最も近い3日を用いた。受診前に利用可能な妥当なPD日誌の日数が、2日のみであった場合、その2日から得られたデータを用いて、1日平均正規化「オフ」又は「オン」時間を算出した。利用可能な妥当なPD日誌が1日のみであった場合、その1日の妥当なPD日誌から得られた値を来診値とした。来診のために利用可能な妥当なPD日誌がない場合、1日平均正規化「オフ」又は「オン」時間を、その来診の場合欠測とした。
【0148】
MDS-UPDRS
回答の15%以上が、その評価について欠測する限り、MDS-UPDRSの総スコア及び各パートのスコアを算出した。欠測項目を、同じMDS-UPDRS評価からの非欠測項目の平均値として穴埋めした。パートI、パートII、パートIII又はパートIVスコアの穴埋めでは、ある特定のパート内の欠落項目を用いたが、パートI~IIIの合計スコアの穴埋めでは、3つのパートにわたる全59項目から得られた非欠測項目を用いた。
【0149】
PDSS-2
PDSS-2の場合の欠測応答の穴埋めがなかった。任意の項目スコアが欠測した場合、総スコア及び対応するドメインスコアを算出しなかった。
【0150】
PDQ-39
PDQ-39要約指数を、回答の15%(すなわち、5)以上がその評価について欠測する限り、算出した。これを、同じPDQ-39評価から得られた非欠測項目の平均値として穴埋めした。ドメインスコアを、すべての質問に回答した場合のみ算出した。
【0151】
EQ-5D-5L
EQ-5D-5L要約指数を、5つの個別の質問すべてに回答を示した場合のみ算出した。EQ-5D-5L VASは、単一値を収集し、VAS値が欠測する場合、穴埋めがない。
【0152】
有効性エンドポイントにおける併発する事象及び欠測来診値の取り扱い
併発する事象及び欠測データを、有効性解析についての次の方法を用いて取り扱う:
・全有効性エンドポイントの欠測データを取り扱う主要なアプローチは、混合効果反復測定モデル(MMRM)を用いた。1日目から二重盲検ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の最終投与の1日後までの期間中(この期間中のレスキュー医薬品の使用に関係なく)の全観察が含まれた。レスキュー医薬品を、「ホスレボドパ及びホスカルビドパの投与期間とコンプライアンス」と題したセクションにおいて定義する。反復測定分析を、すべての来診時に、観察された測定を含めた、混合モデルを用いて行った。混合モデルには、治療、国及び来診の分類別の固定された効果、治療対来診及び治療対ベースラインの交互作用、ベースライン測定の連続固定共変量が含まれた。非構造化分散共分散行列を用いた。MMRMは、二重盲検治療期間における連続変数の分析における主要なアプローチであった。
【0153】
主要有効性エンドポイント分析
主要解析は、MMRMを用い、PD日誌から得られた日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間における、二重盲検治療期間のベースラインから各ベースライン後の来診時までの変化に関するデータを含む。混合モデルには、治療、国及び来診の分類別の固定された効果、治療対来診及び治療対ベースラインの交互作用、ベースライン測定の連続固定共変量が含まれる。無作為化が試験施設毎に層別化されるが、MMRMモデルは、本試験において無作為化される対象数と比較して、計画される施設数が多いことにより、「施設」効果を含まない。少なくとも1名の対象で無作為化した最終の施設数が30以下である場合、「施設」効果を、モデルに加えてもよい。併発する事象及び欠測データを取り扱うための主要なアプローチは、「有効性エンドポイントにおける併発する事象及び欠測来診値の取り扱い」と題するセクションに明記されているMMRM法に基づく。
【0154】
非構造化分散共分散行列を用いる。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の半減期が短い(およそ1.5時間)ため、モデルが非構造化行列で収束しない場合は、複合対称分散共分散行列を用いる。パラメータ推定はREML法に基づく。主要比較は、12週目における治験薬群及び実薬対照群の間のベースラインからの変化に関する対比である。
【0155】
MMRMにおいて行われた、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間におけるベースラインからの変化を、治験群及び実薬対照群毎に図に示す。
【0156】
12週目における、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間の応答者の基準を満たした対象の割合を、0%~100%までの閾値で10%ずつ増加し、治験薬投与群及び実薬対照群毎にまとめて示す。2群間の分布の差の検定についてのP値は、モンテカルロ正確コルモゴロフ・スミルノフ検定を実施することにより生成される。エンドポイント時に、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない、1日平均正常化「オン」時間において少なくとも丁度1%減少させた対象のパーセンテージを、治験群及び実薬対照群毎に図に示す。同じ分析を、1日平均正規化「オフ」時間についても行う。
【0157】
主要有効性エンドポイントの追加解析
2つの感度分析を、主要有効性エンドポイントに関して行って、欠測データを説明する。
【0158】
感度分析#1:二重盲検治療期間中に盲検化したホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を早期に中止する対象による欠測データを説明するための「参照群の分布へのジャンプ(jump-to-reference)」解析アプローチを、「有効性エンドポイントにおける併発する事象及び欠測来診値の取り扱い」と題するセクションに記載されている通り実施する。
【0159】
・ 感度分析#2:日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間におけるベースラインから利用可能な最終値までの変化を、治療及び国の分類別の固定された効果、並びにベースラインスコアを共変量として有するANCOVAモデルを用いて解析する。少なくとも1名の対象で無作為化した最終の施設数が30以下である場合、「施設」効果を、モデルに加えてもよい。12週目の欠測データを、「有効性エンドポイントにおける併発する事象及び欠測来診値の取り扱い」と題するセクションに明記されている、入手可能な最後の値のアプローチを用いて取り扱う。
【0160】
主要有効性エンドポイントの主要な感度分析及び第2の感度分析の要約を表2に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
副次有効性解析
最重要な副次及び他の副次有効性解析
最重要な副次有効性エンドポイント及びFWER対照に含まれる他の副次エンドポイントは、「副次エンドポイント」と題するセクションに記載されている。
【0163】
1日平均正規化「オフ」時間、MDS-UPDRSパートIIスコア、ジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間、及びPKG変数のベースラインから12週目までの変化を、主要有効性解析と同じMMRMモデルを用いて解析する。
【0164】
PDSS-2総スコア、PDQ-39要約指数、及びEQ-5D-5L要約指数のベースラインから最終来診までの変化を、治療及び国の分類別の固定された効果、及びベースラインスコアを共変量として有するANCOVAモデルを用いて解析する。少なくとも1名の対象で無作為化した最終の施設数が30以下である場合、「施設」効果を、モデルに加えてもよい。
【0165】
覚醒後の朝の最初の状態(「オフ」、ジスキネジアを伴わない「オン」、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」)の各カテゴリーの対象のパーセントを、来診及び治療群毎に示す。
【0166】
各ベースライン後の来診における妥当なPD日誌の最終日数での覚醒後の朝の最初の状態(「オフ」又は「オフ」でない)を、ロジットリンク関数による一般化線形混合モデル(GLMM)を用いて解析して、治療群間で朝の無動を有する確率を比較する。本モデルには、治療、国、来診、治療対来診の交互作用、及びベースラインの覚醒後の朝の最初の状態の固定された分類別効果が含まれる。非構造化分散共分散行列を用いる。モデルが非構造化行列で収束しない場合は、複合対称分散共分散行列を用いる。12週目の治療比較についてのオッズ比及びそれらに関連する95%CIを、GLMMから推定する。
【0167】
他の有効性解析
他の補助的有効性変数を、「他の有効性エンドポイント」と題するセクションに記載する。PD日誌、MDS-UPDRS及びPKGウェアラブルデバイスから導かれた変数を、主要有効性解析と同じMMRMモデルを用いて解析する。PDSS-2、PDQ-39及びEQ-5D-5Lから導かれた変数を、「最重要な副次及び他の副次有効性解析」と題されたセクションに記載されたのと同じANCOVAモデルを用いて解析する。
【0168】
PD日誌データに基づく異なる運動症状に費やした時間の分布を、ベースライン来診及び12週目の来診の円グラフで示す。
【0169】
経口CD/LD安定化期間中の有効性解析
経口CD/LD安定化期間の追加の有効性変数を、安全性エンドポイントと題するセクションに記載する。これらの変数を、治験群、実薬対照群毎、及びFASにおける全対象についてまとめて示す。統計検定は行わない。
【0170】
有効性サブグループ解析
1日平均正規化「オン」時間及び「オフ」時間の二重盲検治療期間のベースラインから最終来診までの変化のサブグループ解析を、次のサブグループについて実施する:
・ 年齢区分(<65歳又は≧65歳)
・ 性別(男性又は女性)
・ 人種(白人又は他)
・ 国(米国又はオーストラリア)
・ PDの期間(診断から無作為化までの期間)(<10年又は≧10年)
・ ドパミンアゴニストの併用(あり、なし)
・ 投与区分(レボドパ低用量又は高用量)。各対象を、治療期間にわたって最頻総1日量に基づいて、用量サブグループにカテゴリー化する。最頻総1日量の算出を、「レボドパ1日量の解析」のセクション中で定義する。
【0171】
サブグループ解析を、「副次エンドポイント」と題したセクションに記載された最重要な副次エンドポイント及び他の副次エンドポイントについては、PD日誌から得られた変数を除き、用量サブグループにおいて実施し、これを上記段落に記載されるすべてのサブグループ毎に解析した。
【0172】
サブグループ解析は、サブグループ変数の1つの層がFAS分析セットの<20%を占める場合、実施しなくてもよい。
【0173】
サブグループ解析を、治療、サブグループ変数、治療対サブグループ変数の交互作用、及びベースラインを共変量とするANCOVAモデルを用いてFASについて行った。各サブグループ層内での治験薬群及び実薬対照群の統計学的比較を、治療対サブグループの交互作用タームの統計学的有意性が0.100レベルに達した場合に行った。
【0174】
結果
主要有効性エンドポイント及びランク付けされた副次エンドポイントに関して、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群を経口CD/LD投与群を比較する解析にわたって、α=0.05(両側)で第一種の過誤率を強力に制御するために多重検定手順を用いた。詳細には、検定を、主要エンドポイントについての仮説検定、続いて、ランク付けされた副次エンドポイントの仮説検定の順序で利用した。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入で治療すると、主要有効性エンドポイント及び第1の最重要な副次エンドポイントにおいて、経口CD/LDと比較した、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善をもたらした。
【0175】
【表3】
【0176】
図4~5は、主要エンドポイント及び第1の最重要な副次エンドポイントの縦断的治療プロファイルを示す。改善(名目上のp値≦0.05)は、ベースライン後のPD日誌が収集された最初の時点である第1週(8日目)に早くも観察され、任意選択の来診でありサンプル数が少なかった第3週(22日目)を除いて、12週目の二重盲検治療期間終了まで持続した。
【0177】
図6は、MDS-UPDRSパートIIスコアの縦断的治療プロファイルを示す。
【0178】
図7では、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が、次において経口CD/LDより優れていたことを示した:
・ 減少:
○ 「オフ」時間
○ 日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間
○ 日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間のさらに比較的良好な状態
・ ジスキネジアを伴わない、最も望ましい「オン」時間の相補的な増加
図8では、ホスカルビドパ/ホスレボドパ(試験薬)皮下注入群では、朝の無動(「オフ」状態での覚醒)を報告する対象のパーセンテージが、ベースライン時の80%から12週目の治療期間終了時の30%まで劇的に減少し、70%の対象が、試験終了時にジスキネジアを伴わない「オン」状態における覚醒を報告していることが実証された。
【0179】
12週目の「オン」時間の増加は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の場合2.72時間対経口レボドパ/カルビドパ(LD/CD)の場合0.97時間であった(p=0.0083)。「オン」時間における改善対ベースラインが、最初の週に早くも観察され、試験の12週間を通じて持続した。
【0180】
1日平均正規化「オフ」時間の時間のベースラインからの改善が、プラセボに対して、減少を伴う類似のパターンに続いて第1の週以降に観察され、第12週まで持続したことがやはり観察された。12週目以降の「オフ」時間の減少は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の場合、2.75時間対経口LD/CDの場合、0.96時間であった(p=0.0054)。
【0181】
安全性
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、一般に安全かつ良好な耐容性があった。
・ ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の全身安全性プロファイルは、CD/LD薬の十分に確立された安全性プロファイルと概ね一致した。
・ 報告されたAEの大部分(>90%)は重篤でなく、重症度は軽度/中等度であった。
・ SAEの発生率は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及び経口CD/LD薬の間で同等であった。
・ 注入部位事象の発生率は、経口CD/LD群よりも、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群において高かった。
・ 早期の中止及び中止に至ったTEAEの比率は、経口CD/LD群よりも、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群において高かった。
・ ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注で観察された注入部位事象は、ほとんどが重篤でなく、重症度は軽度又は中等度であり、治療の有無にかかわらず消失した。
・ 幻覚/精神病の発生率は、経口CD/LD群よりもホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群において高かった。
・ 転倒及び関連した外傷の発生率は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群より経口CD/LD群が高かった。
・ 他のAESI(体重減少、傾眠及び多発ニューロパチー)の発生率は低く、2つの治療群間で同等であった。
【0182】
【表4】
【0183】
検査項目、バイタルサイン、ECG及びC-SSRS所見
ベースラインからの臨床的に意味のある変化又は傾向は、いずれの治療群についても、臨床検査結果、バイタルサイン及びECGの総説に基づいて観察されず、安全性に関する問題は同定されなかった。C-SSRSデータの総説に基づいたいずれの治療群についても、自殺傾向の増加の証拠はなかった。
【0184】
主要エンドポイント及び最重要副次エンドポイント:最大解析対象集団
【0185】
【表5】
【0186】
【表6】
【0187】
多重性制御最大解析対象集団に含まれる他の副次エンドポイント
【0188】
【表7】
【0189】
多重性制御最大解析対象集団に含まれるPKGウェアラブルデバイスエンドポイント
【0190】
【表8】
【0191】
主要エンドポイント及び第1の最重要な副次エンドポイント最大解析対象集団についての感度分析
・ 実薬対照経口CD/LD群の欠測を、ランダムな欠測(MAR)であると想定する。
・ ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入群における欠測データを、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入中止後、参照群の分布へのジャンプ(J2R)と想定する。
・ 分析的アプローチを用いて、標準誤差を推定する。
・ J2R感度分析から得られた結果は、主要MMRM分析から得られた結果を裏付ける。
【0192】
【表9】
【0193】
検査項目、バイタルサイン、ECG及びC-SSRS所見:安全性解析集団
・ベースラインからの臨床的に意味のある変化又は傾向は、いずれかの治療群についても、臨床検査結果、バイタルサイン及びECGの総説に基づいて観察されず、安全性に関する問題は同定されなかった。
・C-SSRSデータの総説に基づいたいずれの治療群についても、自殺傾向の増加の証拠はなかった。
【0194】
盲検法の評価
【0195】
【表10】
【0196】
結論
・有効性:ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入で治療すると、次において、経口CD/LDと比較した、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善をもたらした。
【0197】
○ 主要有効性エンドポイント:日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間
○ 第1の最重要な副次エンドポイント:「オフ」時間
【0198】
[実施例2] 健常な対象における安全性、耐容性及び薬物動態
本例では、20:1の比におけるホスレボドパ及びホスカルビドパが安全であることを実証し、その薬物動態をも評価する。
【0199】
方法論
16時間にわたって単回連続皮下注入(CSCI)として送達したホスレボドパ及びホスカルビドパの安全性、耐容性、及び薬物動態を評価するために、健常な高齢のヒト対象(45~75歳)合計8名が単盲検プラセボ対照3期クロスオーバーデザイン臨床試験に参加した。ホスレボドパ及びホスカルビドパ又はプラセボの各用量を、携帯式ポンプに接続された注入セットを介して、16時間にわたって一定の速度で腹部へ送達される単回CSCIとして単盲検方式で投与した。レジメンA、B、C及びDは、それぞれレボドパ4’-一リン酸塩/カルビドパ4’-一リン酸塩640/160mg、レボドパ4’-一リン酸塩/カルビドパ4’-一リン酸塩CSCI640/64mg、レボドパ4’-一リン酸塩/カルビドパ4’-一リン酸塩CSCI640/32mg、又はプラセボCSCIからなり、16時間にわたって一定の速度で腹部に送達された。血液サンプルを、カテーテルのプライミング前、注入前(0時間)、及び注入開始の0.5、1、2、4、8、12、16、20、24、26及び28時間後に、健常な高齢のヒト対象(45~75歳)8名それぞれから、薬物動態分析のために採取した。
【0200】
母集団
資格のある対象は、年齢が45~75歳の間で含まれる、健常な男性及び女性のボランティアであった。女性の場合、対象は、少なくとも1年間閉経、又は外科的に不妊でなければならない。除外基準には、重大な皮膚状態又は皮膚障害(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎など)の病歴又は最近の日焼け、ざ瘡、瘢痕組織、刺青、開放創、焼印又は着色が含まれた。
【0201】
安全性の結果
パターンは、プラセボを投与した対象と比較した、レボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩組成物のCSCI注入又はボーラス注射後の治療下で発現した有害事象の性質又は頻度に関して明白でなかった。試験されたすべてのレジメンは、これらの対象により良好な耐容性があった。有害事象又は臨床検査所見の懸念するパターンは報告されなかった。血圧又は脈拍数についての個別の測定値でもECGから得られた定量的な測定値からも、注目すべき観察はなかった。
【0202】
[実施例3] 健常なボランティアにおけるレボドパ及びカルビドパプロドラッグの24時間連続皮下注入:1年の曝露をシミュレートした10日にわたる安全性及び耐容性
本試験は、ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む水性医薬組成物の24時間連続皮下注入の安全性及び局所耐容性を評価するために計画された。本試験は、健常なボランティアの腹部の限定された部位において医薬品組成物を連続10日間投与することにより、1年間の曝露をシミュレートした。
【0203】
方法論
本試験は、腹部の反対側に同時に10日間24時間連続皮下注入によってレボドパ600mg及び等体積の生理食塩水を提供するのに十分な医薬組成物を受ける健常なボランティアの第1相無作為化プラセボ対照試験であった。本試験は、表11に示す通り、3期からなった。
【0204】
【表11】
【0205】
表11に示す通り、スクリーニング期間は、28日間続き、患者が適格性及び基準を満たすことを保証し、病歴及びベースライン臨床評価を収集するためにも行われた。次の期間は、拘束期間であり、この間、患者を、13日間(1日目~12日目)試験施設に拘束した。拘束期間中、注入を1日目に開始し、各患者に、医薬組成物及び等体積のプラセボ(生理食塩水)を同時に投与した。この注入を、腹部の反対側の直径5cmの領域2カ所に施行した。対象及び注入部位の評価者は、腹部の各側にどちらの治療が施行されたのかについて盲検化された。注入セットは、毎日変更され、各注入セットのカテーテルを、前日に用いた部位の直径5cmの領域の範囲内に留置した。注入は、10日間にわたって24時間/日継続し、対象に、レボドパ換算量約600~約700mg/日を投与した。次に、28日間のフォローアップを行って、任意の有害事象の臨時の報告を可能にした。注入セットを毎日変更し、同じ皮膚表面に毎日再適用した。
【0206】
注入部位のローテーション
感染又は刺激性、脂肪組織の蓄積(肥厚)、瘢痕形成(線維症)のリスクを軽減するために、優良臨床試験基準及び逸話的データでは、注射部位を定期的にローテーションし、少なくとも2.5cm離すことが推奨された。本試験のために選択された注入セット(Smith Cleo 90)は、セットを無菌に保つために、3日毎にセットを変更することが推奨された。診療において、患者は、ローテーションを可能にする時計などのローテーションスキームを採用し、11カ所の代替部位が用いられた後、同じ注入部位を用いることが可能であるということが予想される。個人毎に、臍(中心)の周囲の注入部位のためのローテーションスケジュールを採用する。12時の位置でローテーションを開始し時計回りに進む場合、各注入部位を3日間用いることを仮定すると、患者は、およそ36日 - (12*3=)36日間後に12時の位置の注入部位に戻り、注入の同じ部位を平均10回/年用いる。本試験は、患者が1年にわたって用いるはずの反復注入部位の数について、健常なヒトボランティアにおける局所耐容性の評価のための長期使用の加速シミュレーションを提供した。
【0207】
母集団
本試験についての最重要な組入れ基準は、次の通りであった:
・ 45~75歳の成人男性又は成人女性の健常なヒトボランティア;
・ 肥満度指数(BMI)18.0kg/m2~32.0kg/m2組入れ;
・ 病歴、身体検査及び臨床的に有意でない臨床検査値、心電図(ECG)又はバイタルパラメータに基づいた、全般的に良好な健康状態。
・ 治験責任医師が、試験の評価を妨げるおそれがあると判断する著しい皮膚状態又は障害の病歴なし。
【0208】
評価及び分析
全身及び局所の安全性及び耐容性を毎日評価した。注目すべき皮膚反応を、注入セットの使用から予測可能な反応と通常関連しない事象(注入部位評価スケールにおけるグレードが≧D又は≧6)として事前に定義した。対象も評価者も、レボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩を含む水性医薬組成物、及びプラセボが注入された、腹部の両側を盲検化された。詳細には、10日間の投薬期間を完了した健常なヒトボランティア33名における、医薬組成物の腹部への10日間の24時間連続皮下注入の皮膚局所耐容性を評価した。局所皮膚耐容性を、注入部位評価2-部スケールを用いて盲検化された評価者により評価した(表12)。本評価には、数値評価(0~7)及び文字評価(A~G)スケールが含まれる。注目すべき皮膚反応を、注入セットの使用から予測可能な反応及び通常関連しない事象(グレード≧D又は≧6)として事前に定義した。主要エンドポイントは、10日間の注入のうち>2日に医薬組成物の注入部位で注目すべき皮膚反応を有した健常なヒトボランティアの数であった。10日間の注入のうち>2日に注目すべき皮膚反応を有する母集団の割合の95%信頼上限をクロッパー・ピアソン法により得た。注入部位評価スケール毎に、片側符号検定を行って、医薬組成物の方が、グレードが高い可能性がより大きいという対立仮説に対して、最終評価において医薬組成物とプラセボとの間に差がないという仮説を検定した。
【0209】
【表12】
【0210】
安全性評価には、注入部位の評価に加え、次のものが含まれた:治療下で発現したAE及び重篤な有害事象(SAE)を有する対象のパーセンテージ;臨床検査値、バイタルサイン測定値、心電図(ECG)及び身体検査所見の、ベースラインから試験終了までの変化。
【0211】
結果
安全性データセットには、表13に示す通り、対象34名が含まれた。
【0212】
【表13】
【0213】
耐容性
試験の1日目から10日目までの健常なヒトボランティア対象(医薬組成物部位対プラセボ部位)毎に報告された最高グレードを、それぞれの注入部位評価スケールについて図12及び図13中でグラフを用いてまとめて示す。10日間の投薬を完了した対象のうち、注目すべき皮膚反応を報告した対象のパーセントは、医薬組成物注入部位で0%(0/33)、及びプラセボ注入部位で3.0%(1/33)であった。注入の10日目の皮膚科学的評価に関する医薬組成物及びプラセボとの間の差は、数値評価(P=0.828)又は文字評価(P=0.363)スケールにおいて統計学的に有意でなかった。本試験で投与された医薬組成物の10日間の注入のうち2日以上で注目すべき皮膚反応を有するはずである母集団の割合についての95%信頼上限は、0.087(母集団の8.7%)である。本試験で投与された10日間のプラセボ注入のうち2日以上で注目すべき皮膚反応を有するはずである母集団の割合についての95%信頼上限もまた、0.087(集団の8.7%)である。
【0214】
安全性
臨床的に重要な臨床検査値、バイタルサイン又はECG所見はなかった。全体として、対象の97%は、少なくとも1つの有害事象(AE)を報告した。1件の重篤なAEが試験完了4日後に報告され、これは、ホスレボドパ及びホスカルビドパに関連する可能性はないと考えられた。AEによる中止はなかった(表14)。最も頻回に報告された有害事象は、注入部位紅斑(91%)、注入部位反応(44%)、及び注入部位疼痛(32%)であった(表15)。すべての注入部位AEは、重症度が軽度又は中等度であり、速やかに消失した。
【0215】
【表14】
【0216】
【表15】
【0217】
ホスレボドパ及びホスカルビドパを含む本明細書に記載された医薬組成物は、運動症状を適切に制御するために及びパーキンソン病患者のための代替の治療の選択肢であるために要される広範のレボドパ曝露を提供する。本試験では、医薬組成物は、一般的に良好な耐容性があり、低用量ではあるが臨床的に関連がある用量で連続10日間腹部の限定された部位に連続的に皮下投与したが、注目すべき皮膚反応を引き起こさないことが実証された。
【0218】
[実施例4] パーキンソン病患者におけるレボドパ及びカルビドパプロドラッグの4週間連続皮下注入の安全性及び耐容性を評価する第1b相試験についてのデザイン。
【0219】
本試験は、ホスレボドパ及びホスカルビドパの20:1の比(w/w)での水性医薬配合物の4週間連続皮下注入の安全性及び耐容性を評価するためにデザインした。さらに、医薬組成物の連続皮下注入によって達成された定常状態の血漿レボドパレベルを評価し、探索的有効性を表21Aに示したエンドポイントにおけるベースラインからの変化により評価した。
【0220】
方法
28日間の24時間連続皮下注入によって本医薬組成物の個別化した治療量で治療された、パーキンソン病を伴う患者の単一群オープンラベル第1b相試験がデザインされた。患者を、米国内の施設から補充した。本試験は、4期間で構成され、図14Aにグラフ上で示した。スクリーニング期間には、適格性を確立し、患者の現在のパーキンソン病療法が30日間安定していることを確認するためにモニタリング期間を含む2回の来診が含まれた。スクリーニング期間には、来診2回目の直後7日間のモニタリング期間も含まれた。患者は、対象の投薬日誌を用いてパーキンソン病医薬品を記録し、異常な動作を検出するように構成されたウェアラブルモーションセンサーデバイスを用いて運動症状をモニターした。
【0221】
滴定期間は、登録期間の一部であり、続いて、スクリーニング期間であった。滴定期間の1日目に、患者に、医薬組成物のボーラス投与し、続いて、一定の速度で連続注入し、その後、患者の臨床応答に基づいた治験責任医師の判断で用量を調節した。治療量を、日常生活に支障を来すジスキネジアを最小限に抑えながら、「オフ」エピソードの数を最小限にし、機能上の「オン」時間を最大にすることにより、運動症状の適切な制御を導き出すことが可能な用量として定義する。患者に、28日目までの滴定期間 - 治療期間中に確立された医薬組成物の治療量の投与を継続した。本試験についての最重要な組入れ基準を表16にまとめて示す。
【0222】
【表16】
【0223】
全身的な安全性及び耐容性を、有害事象モニタリング、臨床検査値、バイタルサイン、心電図及びコロンビア自殺評価スケールを含めた、安全性スケールによって評価した。注入部位グレードスケール(表17A)及び探索的有効性評価(表17B)を用いて試験の結果を評価した。
【0224】
対象は、パーキンソン病日誌中の質問票に基づいてパーキンソン様症状を記録した。各対象は、「オン」、「オフ」、又は「熟睡」のいずれであったか、及び自身のジスキネジアの重症度(日常生活に支障を来す、又は日常生活に支障を及ぼさない)を記録した。ベースラインからの変化についての統計学的有意性は、正規化された「オフ」時間、ジスキネジアを伴わない正規化された「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない正規化された「オン」時間について、各来診時に示された。統計学的有意性は、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う正規化された「オン」時間及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う正規化された「オン」時間について、いかなる来診でもにおいても示されなかった。
【0225】
対象のMDS-UPDRSの評価は、次のセクションで構成された:
・ パート1:日常生活で経験する非運動的側面(nM-EDL)
・ パート2:日常生活で経験する運動的側面(M-EDL)
・ パート3:運動器検査(ホーン・ヤール期を含む)
・ パート4:運動合併症
【0226】
MDS-UPDRS総スコアは、0~176の範囲であり、176は、最悪の(全)能力障害を表し、0は、能力障害なしを表す。平均総ベースラインスコアは、全来診の場合およそ45~47の範囲であり、全来診の場合の平均来診総スコアは、全来診の場合およそ34~45の範囲であった。ベースラインからの統計学的に有意な変化は、総スコア、パート1スコア、及びパート2スコアの場合、7日目、28日目及び最終来診に示され、パート4スコアの場合、28日目及び最終来診に示された。パート3の「オン」スコアの場合、任意の来診時に統計的に有意な変化はなかった。
【0227】
PDQ-39は、パーキンソン病を伴う対象に関連する健康の側面を測定した。各項目を、次の5点スケールで点数化した:0=全くない、1=時折ある、2=時々ある、3=頻繁にある、4=常にある(適用可能な場合、全くできない)。スコアが高いほど、本疾患のより重症の症状、例えば、振戦及びこわばりなどを常に伴う。対象の大多数は、「全くない」又は「時折ある」と答え、対象7名は、「常にある」又は「全くできない」と答えた。これらの結果を、要約指数として示す。PDQ-39要約指数は、0~100の範囲であり、スコアが低いほど健康状態が良好であると考えられることが示された。評価のために用いたドメイン及び指標は、次の通りである:
要約指数
移動度ドメインスコア
日常生活動作ドメイン
精神的安定ドメインスコア
スチグマドメインスコア
社会支援ドメインスコア
認知ドメインスコア
コミュニケーションドメインスコア
身体的不快ドメインスコア
【0228】
ベースラインからの統計学的に有意な変化を、要約指数スコアのためのすべての来診の場合に示した。
【0229】
PDSS-2尺度は、パーキンソン病を伴う患者における夜間の睡眠障害の様々な側面を特徴付ける。PDSS-2は、15の質問で構成され、夜間及び起床時の運動症状及び非運動症状を評価した、並びに睡眠阻害を、3つのドメイン、すなわち、夜間の運動症状、夜間のPD症状及び睡眠阻害にグループ化した。スコアを、ドメイン毎に算出し、総スコアも算出した。睡眠問題についての頻度を、0(全くない)~4(非常によくある)までの5点リッカートスケールに基づいて評価した。対象の大多数は、「全くない」又は「時折ある」と答え、対象7名は、「常にある」又は「全くできない」と答えた。
【0230】
KPPSは、パーキンソン病を伴う患者の間の痛みを評価した。本スケールは、筋骨格系、慢性、変動関連、夜間、口腔顔面、局所四肢痛/浮腫/腫脹及び神経根痛の7つのドメインの痛みの頻度及び重症度を測定した。総スコアも評価した。ベースラインからの統計学的に有意な変化を、28日目及び最終来診における総スコアの場合、並びに28日目における変動関連痛スコア場合に示す。
【0231】
PASは、パーキンソン病を伴う患者の不安の重症度を測定した。持続性の不安、エピソード性不安、及び回避行動についてのスコア並びに総スコアを評価した。ベースラインからの統計学的に有意な変化を、総スコア及び回避行動について28日目及び最終来診の場合に示した。
【0232】
全対象がキネジア360デバイスを装着し、振戦、ジスキネジア、及び移動度の評価のためのデータを連続的に記録した。振戦、ジスキネジア及び緩慢さについていかなる来診時においてもベースラインから統計学的に有意な変化はなかった。
【0233】
注入部位の評価グレードスケール及び探索的有効性評価を実施し、以下の表17A及び表17Bに示した。
【0234】
【表17】
【0235】
【表18】
【0236】
探索的分析を行って、「オフ」時間並びに運動症状及び非運動症状を減少させることにおいて、パーキンソン病症状に対する医薬組成物の有効性を評価した。
【0237】
結果
患者21名が登録された。試験母集団は、主に男性(61.9%)及び白人(100%)であり;1名(4.8%)はヒスパニック又はラテン系であった。平均(SD)年齢は、61.6(10.3)歳であった。診断からの平均(SD)パーキンソン病持続期間は、9.0(4.0)年であり、運動症状の日内変動の平均(SD)期間は6.0(4.1)年であった。ベースライン時の平均「オフ」時間/日は、6.54時間であり、3.77時間~9.46時間の範囲であった。対象7名(33%)は、早期に中止した。対象2名は、有害事象により中止した。
【0238】
対象のベースライン人口統計及び疾患特徴を表18に示す。
【0239】
【表19】
【0240】
注入部位の評価基準の結果を、以下の図14B及び図14C及び表19に示す。
【0241】
【表20】
【0242】
パーキンソン病において、「オフ」-時間とは、医薬品が十分に作用せず、パーキンソン様症状(振戦、硬直、動作緩慢、並びに非運動症状、例えば、抑うつ、疼痛、不安など)の再出現又は悪化を引き起こす日の期間を指す。対照的に、用語「「オン」-時間」とは、症状の適切な制御の期間を指す。「オフ」-時間は、予測可能で徐々に起こることもある(「ウェアリング・オフ」)、又は突然に予想外に出現し得る(「突然のオフ」、「ヨーヨー・エピソード」)。ウェアリング・オフ期間の頻度及びタイミング、並びに「オフ」時間におけるの時間数は、パーキンソン病患者の生活の質の悪化と有意に相関する。
【0243】
パーキンソン病における生活の質は、ツールや質問票、例えば、パーキンソン病が機能及び幸福の特定の次元に及ぼす影響を評価する自己報告式の質問票であるパーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)、並びにパーキンソン病における夜間睡眠障害の様々な側面を特徴付け、定量化するために設計された、パーキンソン病睡眠尺度の改訂版であるPDSS-2などのを用いて評価することができる。疾患の重症度は、統一パーキンソン病評価スケール(UPDRS)又は運動障害学会改訂版(MDS-UPDRS)によって代わりに評価され、UPDRSは、評価者ベースのインタビュー及び臨床評価で構成されるツールによって、疾患の縦断的評価及びフォローアップのための定量化可能なスコアを提供するように設計された。
【0244】
ベースラインの正規化した「オフ」時間からの患者の変化を、表20に示す通り及び図14Eに示す通り測定した。事前に規定した有効性エンドポイントの要約を、表21Aに提供し、有効性評価を表21Bに示す。
【0245】
【表21】
【0246】
【表22】
【0247】
【表23】
【0248】
有効性データの解析によって、患者20名のうち17名が「オフ」時間の改善があったことが示された。ベースラインから試験終了までの「オフ」時間の平均(SD)の減少は、対象全体で3.24(3.65)時間であった(46.2%の改善)。対象4名は、試験終了時に、1日の「オフ」時間が>90%以上減少したことを報告した。正規化「オフ」時間、日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間、及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間の平均の減少があり、これによって、ジスキネジアを伴わない正規化「オン」時間の平均(SD)の改善は、3.99(5.37)時間になった。図14Dに示す通り、ベースラインからの平均(SD)の減少は、運動障害学会-統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)総スコアの場合9.0(11.87)であり、パーキンソン病質問票-39項目(PDQ-39)要約指数の場合6.9(8.39)であり、パーキンソン病睡眠尺度-2(PDSS-2)総スコアの場合2.0(11.48)であった。医薬組成物の連続皮下注入後、ベースラインからの統計的に有意な変化は、ジスキネジアについてのパーキンソン病の「オン」及び「オフ」時間、MDS-UPDRS総合スコア、日常生活で経験する非運動症状、日常生活で経験する運動症状、及び運動合併症、及びPDQ-39要約指数、並びに日常生活の活動、精神的安定、認知、コミュニケーション、モビリティ、スチグマ及び身体的不快感のドメインについて観察された。
【0249】
図16及び表21Cは、Sinemet(登録商標)を経口投与されている患者と比較して、本医薬組成物を投与し、「オフ」時間を経験している患者のパーセントを示す。図16に示す通り、Sinemet(登録商標)を経口投与されている患者は、CSCI医薬組成物を投与されている患者と比較して、朝及び食事時間前後の「オフ」時間に望ましくないスパイクを示す。表21Cでは、起床後の第1の朝の症状の時間の約86.7%が、Sinemet(登録商標)を経口投与されている患者についてベースライン時に「オフ」であったことが示される。一方、第1の朝の症状の時間の約84.2%は、CSCI医薬組成物を投与されている患者について、28日間の試験終了時に、ジスキネジアを伴わない「オン」であった。
【0250】
【表24】
【0251】
[実施例5] 開始用量を決定する
実施例4に記載された試験のための最も適切な開始用量を医師が決定するのを容易にするために、経口レボドパをカルビドパ4’-一リン酸塩及びレボドパ4’-一リン酸塩医薬組成物に換算するアルゴリズムを創出した。本アルゴリズムでは、連続的に皮下に送達する場合レボドパ曝露の低い変動性及び変動、24時間曝露、本組成物を用いた以前の試験から得られたレボドパの薬物動態プロファイル、及び他の臨床的考察を考慮する。
【0252】
投薬を完了した患者から得られたデータを用量の評価に用いた。試験を完了したすべての患者(N=14)は、医薬組成物を開始した後3週間以内に所望の用量範囲を達成し;患者3名は、経口から医薬組成物への換算後同日に所望の用量範囲を達成し、対象7名は1週間を要し、対象1名は2週間を要し、残り3名の患者は3週間を要した。各回における調整は、-0.04mL/h~+0.08mL/h(レボドパ-136mg/日~レボドパ273mg/日に相当)の範囲であり、1日目~28日目までの注入速度の差(すべての調整を考慮した)は、-0.06mL/h~+0.08mL/h(レボドパ-204mg/日~レボドパ+273mg/日に相当)の範囲であった。登録時、全対象が、最良の経口医薬品によって適切に制御することができなかった運動症状の日内変動を報告するよう求められていたことを考慮すると、これらのデータによって、連続注入速度の変化の大きさが小さく(1人を除く全対象で20%以内)、望ましい用量範囲が3週間以内に達成されたと考えられたことから、換算アルゴリズムが医薬組成物の開始用量を導くのに有効であることが示唆される。
【0253】
試験開始時及び終了時の対象毎のレボドパ用量レベルを表22に示す。24時間の治療期間に送達された医薬組成物の用量は、カルビドパ4’-一リン酸塩/レボドパ4’-一リン酸塩1日当たりおよそ28.8/576mg~約240/4800mgの範囲であった(分子量に基づき、それぞれレボドパおよそ400mg~3400mgに相当する)。試験終了時の平均用量は、およそ117.5/2350mg、用量中央値は、およそ96/1920mgであった(分子量に基づき、それぞれレボドパ1670mg及び1360mgに相当する)。
【0254】
【表25】
【0255】
記載される通り、患者が、試験登録前にレボドパ換算量が2000mgである場合、ホスレボドパ及びホスカルビドパ(レボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩)w/w比20:1の医薬組成物の推奨開始用量は、24時間にわたって送達されるレボドパ4’-一リン酸塩4032mgである。患者毎のレボドパ用量が個別化された患者の用量滴定により決定されるため、これらの試験における患者は、レボドパ4’-一リン酸塩プロドラッグ及びカルビドパ4’-一リン酸塩の医薬組成物の用量で開始し、これらを、最適な臨床応答を達成するためにさらに用量を調整するオプションと共に、以前のレジメンに近い曝露をもたらすことが予想される。この方式において、個別化された用量滴定可能な投薬は、用量範囲にわたって達成されて、治療上の必要性に対処することができる。
【0256】
[実施例6] 完全処方情報
1.医薬品
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入用のホスレボドパ及びホスカルビドパ240mg/ml+12mg/ml溶液(本明細書に記載される生成物)。
【0257】
2.定性及び定量的組成物
1mlは、ホスレボドパ240mg及びホスカルビドパ12mgを含有する。
【0258】
10mlは、ホスレボドパ2400mg及びホスカルビドパ120mgを含有する。
ホスレボドパ及びホスカルビドパは、1ml当たりレボドパおよそ170mg及びカルビドパ9mgに相当するプロドラッグである。
【0259】
pHは、およそ7.4である。
【0260】
重量モル浸透圧濃度は、およそ2200~2500mOsmol/kgであるが、2700mOsmol/kgまでの範囲になり得る。
【0261】
効果が公知である賦形剤
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、1ml当たりおよそ1.84mmol(42.4mg)のナトリウムを含有する。
【0262】
3.医薬形態
注入用溶液(注入)。
【0263】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、ガラス製バイアル中の無菌の保存剤の入っていない透明~わずかに乳白色の溶液である。溶液は微粒子を含むべきでない。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、無色から黄色、褐色まで変わり得、紫色又は赤色を帯びることもある。色の差異が予想され、生成物の品質には影響しない。バイアルの栓に穴を開けた後、又はシリンジの中に入っている間に、溶液は、色が濃くなり得る。
【0264】
4. 臨床的事項
4.1 適応症
パーキンソン病医薬品の入手可能な組み合わせが満足な結果が得られない場合の重度の運動症状の日内変動及び多動又はジスキネジアを伴う進行性レボドパ応答性パーキンソン病の治療。
【0265】
適応症及び用法
本明細書に記載された生成物(皮下注入用のホスカルビドパ/ホスレボドパ)は、成人において進行期パーキンソン病を伴う患者における運動症状の日内変動の治療のために指示された、ホスカルビドパ(芳香族アミノ酸脱炭酸阻害剤)及びホスレボドパ(芳香族アミノ酸)の組合せである。
【0266】
4.2 用法用量及び投与の方法
用法用量
ホスカルビドパ/ホスレボドパの皮下注入を、1日当たり24時間連続皮下注入として投与する。
【0267】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の推奨される開始1日量を、1日レボドパ摂取量をレボドパ当量(LE)に換算し、次いで、24時間投与を考慮して増量することにより決定する。用量は、機能上の「オン」時間を最大化し、「オフ」エピソード及び日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」エピソードの数及び持続期間を最小化する臨床的応答に到達するように調整することができる。
【0268】
投与設定(DOSAGE)及び投与
皮下投与のみの場合。静脈内又は筋肉内に投与しないこと。
【0269】
非経口用製剤は、溶液及び容器が許可される場合には、投与前に粒子状物質及び変色について目視で検査するべきである。色の差異が予想される。本溶液は、無色から黄色、褐色まで変わり得、紫色又は赤色を帯びることもある。
【0270】
本明細書に記載される生成物ホスカルビドパ/ホスレボドパの1日最大推奨用量は、24時間かけて投与されるホスレボドパ約4000mg(レボドパ当量2850mg)である。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の推奨される開始1日量を、1日レボドパ摂取量をレボドパ当量(LE)に換算し、次いで、24時間投与を考慮して調整することにより決定する。患者の臨床応答に基づいて1日量を用量滴定する。注入セット及び皮下注入ポンプを用いて、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を皮下領域、好ましくは腹部領域に投与する。
【0271】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、レボドパ含有医薬品及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬に置き換える。必要な場合、パーキンソン病の他の医薬品を同時に投与することができる。
【0272】
禁忌
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、非選択的モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与している患者には禁忌である。
【0273】
治療の開始
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入による治療のために選択された患者は、自分自身で、又は介護者からの協力により、送達系を理解し、使用することが可能であるべきである。
【0274】
患者は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入による治療を開始する前に、必要に応じて、その後もホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の適切な使用方法及び送達系(投与の方法を参照のこと)に関して訓練するべきである。
【0275】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入による治療を開始するために3つのステップを要する。
・ステップ1:患者の覚醒時間の間に用いられたレボドパ含有医薬品及びCOMT阻害薬に基づいてLEを算出する。
・ステップ2:ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の1時間毎の注入速度を決定する。
・ステップ3:負荷投与量の体積を決定する。
【0276】
ステップ1:患者の覚醒時間の間に用いられたレボドパ含有医薬品に基づいてLEを算出する。
【0277】
当日の起床時間の間に用いられたすべてのレボドパ含有配合物から得られたレボドパ量は、表23からの適切な用量倍率を用いてLEに換算し、次いで、合計するべきである。本算出の場合、レボドパ及びCOMT阻害薬を考慮するにすぎない。いずれの医薬品の夜間投薬も含まず、本算出に、レスキューレボドパ又はいずれの他の抗パーキンソン病医薬品又は療法をも含まない。COMT阻害剤の用量にかかわらず、任意のCOMT阻害剤を24時間以内に投与した場合、補正係数は、表23に示す通りLEの合計に適用するべきである。
【0278】
【表26】
【0279】
ステップ2:ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の1時間毎の注入速度を決定する。
【0280】
ステップ1で算出したLEに基づく示唆される推奨ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入開始注入速度については表24を参照する。
【0281】
表24中のホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入についての1時間毎の注入速度は、典型的な16時間の覚醒時間(LE16)中の患者のLE摂取量に基づいている。
【0282】
ステップ1で決定されたLEが16時間より長い又は短い覚醒時間に基づいた場合、LEは、16時間に調整されるべきである。16時間に調整するために、ステップ1でLEを算出し、患者が通常起きている時間の数で除し、次いで、16を乗ずる。次いで、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の示唆された開始注入速度について表24を参照する。
【0283】
本ステップにおいて決定された1時間毎の注入速度は、ポンプをプログラムする場合、基底注入速度として入力するべきである(詳細については、ポンプの使用説明書を参照する)。
【0284】
【表27】
【0285】
ステップ3:負荷投与量の体積を決定する。
【0286】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入療法を「オフ」状態で開始する場合(又はポンプが3時間以上オフ状態であった場合)、症状コントロールを速やかに達成するために、1時間毎の注入を開始する直前に負荷投与量を投与することができる。
【0287】
表25は、同時投与するDOPA脱炭酸酵素の末梢阻害剤(例、カルビドパ、ベンセラジド)に関係なく、ポンプにプログラムされるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の推奨負荷投与量体積(ml)(詳細についてポンプの使用説明書を参照する)及び即時放出レボドパの対応する量(ミリグラム)を提供する。
【0288】
【表28】
【0289】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入による治療は、患者が「オフ」の状態でも「オン」の状態でも開始することができる。「オン」の状態でホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入療法を開始する患者は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の負荷投与量を必要とせずに注入を開始することができる。負荷投与量は、ポンプを介して又は経口レボドパ錠を用いて投与することができる。
【0290】
最適化及びメンテナンス
医療従事者は、出発1時間毎の注入速度を調整して、患者のために最適な臨床応答を達成させることができる。1時間毎の注入速度は、1日24時間の注入時間にわたって連続的に送達するべきである。所望であれば、医療従事者は、2つの代替の注入速度(低/高)をプログラムし、可能にすることができる。すべての注入速度は、0.01ml/hr(レボドパおよそ1.7mg/時間に相当する)ずつ調整することができ、1.04ml/hr(又はレボドパおよそ4260mg/日[ホスレボドパ約6000mg/日])を超えるべきでない。注入ポンプは、患者が事前にプログラムされた流量又は追加用量機能を変更しないように、投与構成への安全なアクセスを内蔵している。
【0291】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、単独で、又は必要に応じて、医療専門家の判断に基づき、パーキンソン病の他の併用医薬品と共に投与することができる。パーキンソン病の他の併用医薬品の減量、続いて、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入投与量の調整は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入中に考慮することができる。他のレボドパ含有医薬品又はシナプスドパミンレベルを有意に調節する医薬品(例えば、COMT阻害薬など)とのホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の併用は試験されていない。
【0292】
代替の流量
注入ポンプはまた、患者の使用のために2種類の代替の注入速度オプションをプログラムすることが可能である。代替の注入速度は、医療従事者によって有効化され、予めプログラムされていなければならず、機能的要求の変化、例えば、夜間に用量を下げること又は強さを持続させるために用量を増加することを考慮して患者により選択することができる。
【0293】
追加用量
医療専門家により可能な場合、患者は、連続注入中に経験する急性の「オフ」症状を管理するために、追加用量を自己投与することができる。
【0294】
投与の方法
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を、臍から半径5cmの領域を避けて、好ましくは腹部に皮下投与する。注入セット(カニューレ)は、医薬品を連続的に注入する場合、最長3日までそのままにしておくことができる。注入部位は、ローテーションされ、新たな注入セットは、少なくとも3日毎に用いた。新たな注入部位は、過去12日以内に用いた部位から少なくとも2.5cmであることが推奨された。
【0295】
薬物動態クロスオーバー試験において、ホスカルビドパ/ホスレボドパを腕及び大腿部を介して皮下注入投与すると、腹部への曝露量はほぼ同等になった(セクション5.2吸収を参照のこと)。腕及び大腿部への投与の長期の安全性及び有効性は評価されなかった。
【0296】
本医薬品は、「取り扱い及び保管」と称されるセクションに記載される通り保管し、取り扱うべきである。医薬品バイアルは、単回投与用である。バイアルの内容物がシリンジに移された後、シリンジの内容物は24時間以内に投与されるべきである。使用済みの薬剤バイアル及びシリンジは、各国の規制に従って廃棄するべきである。シリンジは、残留生成物が残る場合でも、医療従事者により指示される通り、廃棄しなければならない。
【0297】
特別な母集団
性別又は人種
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入投与後、日本人の対象及び漢民族の対象におけるカルビドパ及びレボドパの曝露は、コーカサス人の対象に匹敵した。
【0298】
5. 薬理学的特性
5.1 薬力学的特性
薬物療法群:抗パーキンソン病薬、ホスレボドパ、及び脱炭酸酵素阻害薬
【0299】
作用機序
本明細書に記載された生成物(ホスレボドパ/ホスカルビドパ)1ml当たり240mg/12mgの注入用溶液は、現在の医学療法では適切に制御されない進行期パーキンソン病患者における、24時間/日連続皮下注入のための溶液中のレボドパ一リン酸塩及びカルビドパ一リン酸塩のプロドラッグの組合せ(比20:1)である。ホスレボドパ及びホスカルビドパを、レボドパ及びカルビドパにインビボで換算する。レボドパは、脳内でドパミンに脱炭酸後、パーキンソン病の症状を軽減する。血液脳関門を通過しないカルビドパは、レボドパのドパミンへの脳外脱炭酸を阻害し、これは、より大量のレボドパが脳への輸送及びドパミンへの変換に利用可能になるという意味である。
【0300】
薬力学的効果
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入皮下投与及びDuodopa腸管投与は、レボドパのCmax、AUC、及び変動の程度が同等であることが示され、これによって、同等の有効性プロファイルを裏付けられる。Duodopaと同じ濃度のレボドパを達成することにより、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、進行期パーキンソン病を伴うレボドパ反応性患者において運動症状の日内変動を減少させ、「オン」時間を増加させる。レボドパの血漿中濃度が個々の治療域内で安定したレベルで保たれているため、運動症状の日内変動及び多動又はジスキネジアは減少する。運動症状に対する治療効果(「オン」状態)は、第1の治療日に達成される。
【0301】
臨床的有効性及び安全性
Duodopa腸管ゲル配合物を用いた試験
Duodopa腸管ゲルの有効性は、レボドパ/カルビドパ100/25mg錠剤に対するDuodopa腸管ゲルシステムの有効性、安全性、及び耐容性を評価するために、2つの同一デザインの第3相、12週間、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、並行群間、多施設共同試験で確認された。本試験は、レボドパ反応性があり、経口レボドパ/カルビドパ及び他の利用可能な抗パーキンソン病医薬品による最適な治療にもかかわらず運動症状の日内変動が持続した進行期パーキンソン病を伴う患者で実施され、合計71名の患者が登録された。この2つの試験の結果を組み合わせて、単一の分析を行った。
【0302】
主要な有効性エンドポイントである、最終観察日の繰り上げを用いてパーキンソン病日誌(PD日誌)データに基づいた正規化「オフ」時間(ベースラインからエンドポイントまで)の変化によって、Duodopa治療群に有利な統計学的に有意な最小二乗平均(LS)差が実証された(表26)。
【0303】
主要エンドポイントの結果は、ベースラインから各ベースライン後の来診までの変化を検査した混合モデル反復測定(MMRM)分析によって裏付けられた。「オフ」時間の分析によって、4週目に実薬対照群と比較してDuodopa投与群の統計学的に有意に改善したことが実証され、その改善は、8週目、10週目、及び12週目で統計学的に有意であることが示された。
【0304】
「オフ」時間のこの変化は、PD日誌のデータに基づき、Duodopa腸管ゲル治療群と実薬対照群との間で、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない1日平均正規化「オン」時間におけるベースラインからの統計学的に有意なLS平均差と関連した。ベースライン値を、無作為化の3日前及び経口療法標準化の28日後に収集した。
【0305】
【表29】
【0306】
他の副次エンドポイントの解析では、階層的な試験手順の順に、レボドパ/カルビドパ経口剤と比較して、Duodopa腸管ゲルは、パーキンソン病質問票(PDQ-39)要約指数(パーキンソン病に関連した生活の質の指標)、臨床全般印象度-改善(CGI-I:Clinical Global Impression-Improvement)スコア、及び統一パーキンソン病評価スケール(UPDRS)パートIIスコア(日常生活動作)について統計学的に有意な結果が実証された。PDQ-39要約指数は、Duodopa腸管ゲル群の場合、12週目にベースラインから10.9ポイントの減少を示した。他の副次エンドポイントであるUPDRSパートIIIスコア、EuroQol 5-次元質問表(EQ-5D)要約指数、Zarit負担尺度(ZBI:Zarit Burden Interview)総スコアは、階層的試験手順に基づく統計学的有意性を満たさなかった。
【0307】
第3相非オープンラベル単一群多施設試験を実施して、患者354名における12カ月にわたるDuodopaの長期安全性及び耐容性を評価した。標的母集団は、利用可能なパーキンソン病医薬品による最適な治療にもかかわらず、進行したパーキンソン病及び運動症状の日内変動を伴うレボドパ反応性の患者であった。1日平均正規化「オフ」時間は、ベースラインからエンドポイントまで4.44時間(ベースライン時は6.77時間及びエンドポイント時2.32時間)変化し、これに対応して、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間において4.8時間増加した。
【0308】
第3相オープンラベル無作為化多施設間試験を実施して、患者61名における12週間にわたる、ジスキネジアに対するDuodopa腸管ゲルの効果を、最適化された薬物療法(OMT)と比較して評価した。標的母集団は、進行期PD及びOMTで適切に制御されない運動症状の日内変動を伴う、並びにベースラインの統一ジスキネジア評価スケール(UDysRS)総合スコアが≧30であるレボドパ反応性の患者であった。UDysRS総スコア(主要有効性エンドポイント)のベースラインから12週目までの変化によって、OMT群と比較して、Duodopa治療群に有利な、統計学的に有意なLS平均差(-15.05;P<0.0001)が実証された。定型的な順序の試験手順による副次有効性エンドポイントの解析では、PD日誌により測定された日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間のための、パーキンソン病質問票-8(PDQ-8)要約指数、臨床全般印象変化(CGI-C)スコア、UPDRSパートIIスコアのための、及びPD日誌により測定された「オフ」時間のための、OMTと比較してDuodopaに有利な、統計学的に有意な結果が実証された。UPDRSパートIIIスコアは、統計学的有意性を満たさなかった。
【0309】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を用いた試験
ホスレボドパ及びホスカルビドパは、24時間/日の連続皮下注入を意図される溶液中のレボドパ一リン酸塩及びカルビドパ一リン酸塩のプロドラッグの組合せ(20:1の比)である。皮下ホスカルビドパ/ホスレボドパ注入投与及びDuodopa腸管投与は、レボドパのCmax及びAUCパラメータが同等であることが示され、これによって、同等の有効性プロファイルが裏付けられる。本試験では、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及びDuodopaの変動値はそれぞれ0.262及び0.404で、安定したレボドパ曝露が示された(セクション5.2薬物動態学的特性を参照のこと)。
【0310】
第3相オープンラベル単一群試験を行って、患者223名における52週間にわたるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の連続皮下注入の1日24時間曝露の安全性及び耐容性を評価した。標的母集団は、運動症状が現在の治療で適切に制御されず、パーキンソン病(PD)日誌により評価した通り1日当たり最低2.5時間の「オフ」時間を経験した、パーキンソン病を伴うレボドパ反応性患者であった。経口医薬品からホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入への用量換算を、1回の外来診察で達成した。
【0311】
1日平均正規化「オフ」時間(PD日誌)は、ベースライン時の5.79時間から第26週目の2.85時間に減少し、平均2.94時間改善した。「オフ」時間のこの変化は、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間におけるベースラインからの平均3.24時間の増加と関連した。ジスキネジアを伴わない「オン」時間のベースラインからの平均増加は、4.00時間であった。PD日誌から導かれた覚醒後に報告された第1の症状として測定された、朝の無動を伴う患者のパーセンテージは、ベースライン時の77.8%から26週目の20.8%まで減少した。他の副次エンドポイント:日常生活で経験する運動症状(MDS-UPDRSパートIIスコア)、睡眠症状(パーキンソン病睡眠尺度-2[PDSS-2]総スコア)、生活の質(PDQ-39及びEQ-5D-5L要約指数)の意味のある改善があった。(表27)。
【0312】
【表30】
【0313】
5.2 薬物動態学的特性
吸収
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を、皮下腔に直接投与し、レボドパ及びカルビドパに換算する。健常なボランティアにおける第1相試験では、レボドパ及びカルビドパは、第1の薬物動態学的収集点で30分以内に血漿中で検出可能であった。ほとんどの対象において、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入投薬を、負荷用量として、その後、連続注入として送達された場合、定常状態に2時間以内に達した。
【0314】
異なる皮下部位におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の吸収を決定するために、健常ボランティアに、3方向クロスオーバーデザインを用いて腹部、腕及び大腿にホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を投与した。本試験から得られた薬物動態解析によって、3カ所の部位が、ほぼ同一のレボドパ及びカルビドパの曝露量であることが示され、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下の吸収が異なる皮下部位で類似することが示唆された。
【0315】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、腸管を迂回するため、食物はレボドパ/カルビドパの吸収又は全身曝露を変化させず、したがって、食物が、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入のバイオアベイラビリティ又は全身曝露に対していかなる影響も及ぼさないことが予想される。
【0316】
健常なボランティアにおけるホスレボドパ及びホスカルビドパの投与後、レボドパの定常状態は、およそ2時間で達成され、注入期間中維持される。本明細書に開示される生成物(皮下注入のためのホスカルビドパ/ホスレボドパ)と、夜間の経口医薬品と一緒に用いるDuopa(経腸懸濁液のためのカルビドパ/レボドパ)との間のPK同等性試験について、レボドパの定常状態は、健常なボランティアにおいて、本開示の生成物の投与後の注入期間中に速やかに達成され、維持された。試験から得られた結果から、レボドパのPKは、両レジメンで同等であることが示される。図17Aは、本生成物の24時間投与後及び16時間Duopa投与後、続いて、夜間のレボドパ/カルビドパ経口投与後のレボドパ曝露を示す。進行期PDを伴う患者におけるフォローアップPK同等性試験を完了して、Duopaと本生成物との間のレボドパPK同等性を評価し、両剤を24時間注入した。本試験から得られた結果から、レボドパPKは、AUCに基づいた両レジメンについて同等であるということが示される(図17B)。
【0317】
分布
赤血球と血漿間のレボドパについての分配比は、およそ1である。レボドパは、血漿タンパク質への結合は、無視できる(10%未満)。レボドパは、大型の中性アミノ酸のための輸送機構によって脳に運搬される。
【0318】
カルビドパは、およそ36%が血漿タンパク質に結合される。カルビドパは、血液脳関門を通過しない。
【0319】
ホスレボドパ及びホスカルビドパはいずれも血漿タンパク質への結合率は低い(24%~26%)。
【0320】
代謝及び排泄/生体内分解及び排出
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入プロドラッグは、ホスファターゼによって速やかにカルビドパ及びレボドパに換算され、したがって、プロドラッグは、循環から急速に除去される。レボドパは、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AAAD)及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)酵素による代謝を介して主に除去される。代謝の他の経路は、トランスアミノ化及び酸化である。酵素阻害剤を同時投与しない場合、AAADによるレボドパのドパミンへの脱炭酸は、主要な酵素経路である。COMTによるレボドパのO-メチル化は、3-O-メチルドパを形成する。カルビドパと共に投与した場合、レボドパの排出半減期は、およそ1.5時間である。カルビドパは、2つの主要な代謝物(α-メチル-3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸及びα-メチル-3,4-ジヒドロキシフェニルプロピオン酸)に代謝される。これら2つの代謝物は、主に未変化又はグルクロン酸抱合体として尿中に排出される。未変化のカルビドパは、総尿中排泄の30%を占める。カルビドパの排出半減期は、およそ2時間である。
【0321】
食物の影響
レボドパは、小腸中で及び血液脳関門で活性の飽和可能アミノ酸トランスポーター系によって輸送される。ホスレボドパ及びホスカルビドパの吸収は、胃腸管経由ではなく皮下で起こる。食物は、ホスレボドパ及びホスカルビドパのバイオアベイラビリティ又は全身曝露に対していかなる影響も与えないことが予想される。
【0322】
[実施例7] ホスレボドパ及びホスカルビドパは、空腸に送達されたレボドパ-カルビドパ腸管ゲルへの等価のレボドパ曝露を維持する
序文
第1相試験は、健常なボランティアにおける、24時間のホスレボドパ/ホスカルビドパCSCI及び夜間の経口LD/CD投薬と共に16時間のLCIG空腸注入後のLD PKプロファイルを特徴とする。夜間症状を経験し、LCIGで治療しているPD患者がどのように本生成物を用い得るかの一例として、LCIG及び経口LD/CDレジメンを選択した。
【0323】
供給の方法
本開示の生成物は、溶液およそ10mLを充填した単回投与用ガラスバイアルで供給される。各バイアルは、無色から黄色、褐色(紫色又は赤色を帯びることがある)、及び透明からわずかに乳白色までの溶液を含有する。各ガラスバイアルは、灰色のゴム栓、アルミニウム製クリンプキャップ、碧青色のプラスチック製フリップオフキャップが取り付けられる。バイアルのゴム栓は、天然ゴムラテックスを含有しない。
【0324】
本生成物の投与について、使用に適しており別々に提供される無菌の単一患者使用用注入コンポーネント(シリンジ、注入セット、及びバイアルアダプター)を用いた、本明細書に開示されたポンプのみを用いるべきである(詳細についてはポンプの使用説明書を参照する)。
【0325】
保管及び取り扱い
バイアル/カートンラベルの使用期限を過ぎて使用しない。バイアルが割れないように保護するために、医薬品バイアルを外箱で保管する。生成物を36°F~46°F(2℃~8℃)で冷蔵保存する。本生成物は、室温で最大86°F(30℃)まで、28日間までの単一期間保存することができる。一度本生成物を室温で保管した後、冷蔵庫に戻さない。室温28日以内に使用しない場合、本生成物を廃棄する。本生成物を初めて冷蔵庫から取り出す場合、カートンの所定の欄に日付を記録する。凍結させない。凍結している溶液を使用しない。振り混ぜない。希釈しない。本生成物を他の生成物と混合しない。本生成物を調製する及び投与する場合無菌的な手技を使用する。医薬品バイアルは、単回投与用である。本生成物のバイアルの全量を、投与用にシリンジに移すべきである。バイアルの内容物の一部のみを取り除かない。本生成物をシリンジに移した後、バイアルを廃棄する。シリンジ内の生成物が24時間経過した後、シリンジ及びシリンジ内の未使用生成物を廃棄する。各国の要件に従って各注入直後に使用済みの全投与用品及び任意の未使用の生成物を廃棄する。
【0326】
方法:
試験デザイン及び適格性
これは、本試験は、健常なボランティア(45~75歳)において実施された第1相オープンラベル無作為化2期クロスオーバー試験であった。病歴、身体検査、バイタルサイン、臨床検査プロフィール、及び心電図(ECG)の結果に基づいて一般的に良好な健康状態にあった対象合計25名(N=25)が、本試験に参加し、図20に示す通り、レジメンA又はBの2つの配列のうち1つに同数ずつ無作為に割り付けられた。レジメンAの場合、ホスレボドパ/ホスカルビドパを携帯型注入ポンプによって腹部に皮下送達した。投薬は、負荷投与量(ホスレボドパ/ホスカルビドパ80/4mg)に続き、総注入のための一定速度での24時間連続注入(ホスレボドパ/ホスカルビドパ700/35mg)で構成された。レジメンBの場合、LCIGは、携帯型注入ポンプを介して経鼻空腸(NJ)チューブを通して送達され、負荷投与(LD/CD50/12.5mg)、その後、総注入のための一定の速度での16時間連続投与(LD/CD350/87.5mg)、その後、2回の経口即時放出LD/CD投与(LD/CD100/25mg)で構成され、1回は18時間で投与し、もう1回は注入開始の21時間後投与した。
【0327】
試験プロトコール及びインフォーム・ド・コンセントフォームは、任意のスクリーニング又は試験特有の処置の開始前に、各参加施設の臨床試験審査委員会により承認された。書面によるインフォームド・コンセントを試験に参加する各個人から得た。本試験を、ヘルシンキ宣言及び日米EU医薬品規制調和国際会議により定義された1975年の優良臨床試験基準ガイドラインに従って実施した。
【0328】
試験手順
各期間において、レジメン毎に、薬物投与は1日目の朝に開始した。2つの期間におけるホスレボドパ及びホスカルビドパの注入の開始は、少なくとも72時間置いた。対象を、8日間拘束し、ホスレボドパ及びホスカルビドパを投与する少なくとも4時間前及び投与開始1時間後まで絶食させた。レジメンB(LCIGプラス経口LD/CD)の場合、各期間の1日目に、NJチューブを内視鏡的又はインターベンショナルラジオロジーを用いて、トライツ靭帯を越えてすぐの空腸の位置に挿入した。適切な配置を放射線学的に確認した。NJチューブを、LCIG注入完了のおよそ30分後に抜去した。NJチューブの留置が不成功であった場合又は投薬精度が損なわれたと考えられる場合(NJチューブのねじれ、ポンプ高圧アラーム、注入セットの漏れ、経口投薬後の嘔吐など)、対象の試験を中止した。同様に、レジメンA(ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメン)についても、投薬精度が損なわれていると考えられる場合(例えば、チューブのねじれ、ポンプ高圧アラーム、注入部位での薬物漏れ、ベントカニューレなど)は、対象の試験を中止した。中止した対象を、新たな対象と入れ替え、それぞれのレジメンに割り付けた。
【0329】
安全性及び耐容性の評価を、試験の期間全体を通して行って、有害事象(AE)モニタリング、身体検査、バイタルサイン測定、心電図(ECG)変数、コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)、局所皮膚反応の評価、及び臨床検査(血液学的検査、化学、及び尿検査)を含めた。注入部位評価スケール、2部の数値評価(0~7)及び文字評価(A~G)スケール(7及びGは、最悪の結果を示した)を用いた皮膚耐容性を評価した。2つのパート(数値評価及び文字評価)の場合、2回の評価の予定時間(ホスレボドパ及びホスカルビドパの注入開始前及びホスレボドパ及びホスカルビドパの注入終了時)について、度数分布表が提供された。
【0330】
薬物動態学的サンプリング及び評価
LD、CD、LDP、CDP及び3-O-メチルドパ(3-OMD)の連続血液サンプルを、プライミング前から各期間1日目のホスレボドパ及びホスカルビドパ注入の開始36時間後まで収集した。レジメンAの場合のサンプリングを、プライミング前、注入前、並びに注入の開始の0.5、1、2、4、8、12、16、20、24、24.5、25、26、28、30及び36時間後に収集した。レジメンBサンプルを、プライミング前、注入前、並びに注入の開始の0.5、1、2、4、8、12、16、16.5、17、18、18.25、18.5、18.75、19、19.5、20、21、21.25、21.5、21.75、22、22.5、23、24、26、28、30及び36時間後に収集した。経口投与を注入開始の18時間後及び21時間後に行った。
【0331】
LD、CD、LDP、CDP及び3-OMDの血漿濃度を、タンデム質量分析検出を用いたバリデートされた液体クロマトグラフィー法を用いて決定した。LD、CD、LDP、CDP及び3-OMDについての定量下限(LLOQ)を、それぞれ、9.27ng/mL、9.99ng/mL、3.00ng/mL、8.97ng/mL及び400ng/mLで確立した。
【0332】
線形混合効果モデルを用いて、主要変数LD AUC0-16、AUC∞及びCmax0-16についての解析を行った。本モデルには、期間、レジメン、及び順序の固定された効果が含まれた。対象を、無作為のサンプルと考えた。ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンの中心値対参照LCIGレジメンの中心値の比の点推定値及び90%信頼区間を、対応する対数平均値の差についての点推定値及び90%信頼限界の冪乗により得た。90%信頼区間を用いて、有意水準0.050で2つの片側検定手順を行った。2つのレジメン間の等価のLD曝露を、Cmax及びAUC曝露パラメータの比([ホスレボドパ/ホスカルビドパ]:LCIG)の点推定値及び90%信頼区間が0.8~1.25の間と予め定義した。
【0333】
(Cmax-Cmin)/Caveとして定義される、LD Cmax及び2つの変動度(DFL)の変数の場合(2~16時間目及び2~24時間目の場合)、主要解析で記載した線形混合効果モデルを再度用いて解析を行った。対数変換を、Cmaxのために用いた。変換を、主に確率分布が、かなりの程度の非対称であると思われるかどうか、例えば、大きさが1.0より大きいと思われるかどうかに注意して、DFL変数毎に別々に考慮した。
【0334】
結果:
人口統計
男性16名及び女性9名を本試験に登録した。対象25名の平均年齢は57.2歳(46~70の範囲)であり、平均体重は78.2kg(61~94の範囲)であった。対象は、平均身長が171cm(151~187の範囲)であった。対象20名は、白人(80%)であり、対象3名が黒人(12%)であり、対象1名がアジア人(4%)であり、対象1名が複合人種(4%)であった。
【0335】
薬物動態
2つのレジメン間のLD曝露の差は、8%未満であり、定義された同等性の範囲内に十分に含まれた(表28)。これらのレジメンは、LD AUC0-16及びAUC∞に関してはほとんど差がなかった。2つのレジメンの中心値の間の差は、有意でなく、レジメン間の差のパーセンテージが大きかったのは、LD AUC0-16であった(ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンの中心値対参照レジメンの中心値の比の推定値は0.951であり、差は4.9%であった)。ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンのLD Cmax0-16の中心値は、参照レジメンのものより低かった。中心値の点推定値は、それぞれ、ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンの場合605.6ng/mLであり、参照レジメンの場合656.4ng/mLであり、比は0.923であった。全LD Cmaxの場合、点推定値は、ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンの場合658ng/mLであり、参照レジメンの場合1874ng/mLであった。
【0336】
分析を、LDについては、DFL2-16(LCIG及びホスレボドパ/ホスカルビドパ両方の注入が継続中の時間についてのDFL)及びDFL2-24(ホスレボドパ及びホスカルビドパの投与開始の2~24時間後のDFL)についても行った。ホスレボドパ/ホスカルビドパレジメンは、両方の注入が継続中の時間についてLCIG DFL2-16(0.453±0.251)と比較して、DFL2-16(0.344±0.319)が小さかった。ホスレボドパ/ホスカルビドパのDFL2-24(0.405±0.283)は、経口LD/CD投薬期間がDFL算出に含まれたため、LCIG+経口LD/CD DFL2-24(3.01±0.811)と比較して、かなり低かった。ホスレボドパ/ホスカルビドパのCSCIは、16時間の間隔でLCIG注入と等価のLDレベルを提供し、夜間を通してそのレベルを維持した(図17)。また、24時間にわたるLD曝露全体は、ホスレボドパ/ホスカルビドパのCSCIとLCIG+経口LD/CDの間で等価であることがやはり示された。
【0337】
安全性
対象のうち20名は、本試験の両期間を終了し、対象5名が試験を中止した。少なくとも1件の治療下で発現した有害事象を報告した対象の割合は、主に、注入部位反応により促進された、LCIG注入(20/4、20%)と比較して、ホスレボドパ/ホスカルビドパ注入(19/24、79%)後に高く、これらは、ホスレボドパ/ホスカルビドパを投与した対象24名のうち18名において報告された。これらの事象は、重症度が軽度で、2部構成の注入部位評価スケールでスコア化すると0又は1及びAであった。1名の対象が、発作の重篤有害事象により本試験を中止し、これは、治験責任医師によりホスレボドパ及びホスカルビドパに関連する妥当な可能性がないと考慮された。ホスレボドパ及びホスカルビドパに「関連する可能性がある」と考えられるすべての有害事象は、軽度であり、試験中止に至らなかった。
【0338】
考察:
現在の試験は、ホスレボドパ/ホスカルビドパの24時間CSCI及び夜間経口LD/CD投薬を含む16時間LCIG空腸注入のLD PKプロファイルを特徴付ける。ホスレボドパ/ホスカルビドパは、24時間連続注入について、PDの夜間の運動症状を管理する並びに朝の「オフ」症状を最小限にする助けとなることが意図される。LCIGは通常、各患者の起きている時間中に注入され、夜間の運動症状は、しばしば、追加の経口LD/CD投薬により管理される。本試験では、LD/CD 100/25mgの2錠を夜間に3時間間隔で経口投与して、夜間にLDに曝露させた。診療では、就寝前にLCIG投与を中断するPD患者は、個々の必要性に基づいて、経口LD/CDによる療法を別々に補うことを選ぶことができる。
【0339】
薬物動態
治療量のLCIGを投与されているPD患者は、有効な定常状態のLD濃度がおよそ1500~4000ng/mLの範囲[6]に達し、平均がおよそ2910ng/mL[7]になることが示されている。最近では、4つの異なる治療量のホスレボドパ/ホスカルビドパを4つの予め定義されたCSCI速度として送達した後のLD及びCD PKプロファイルがPD患者において特徴付けられ、有効なLD定常状態の曝露はおよそ750~4700ng/mLの範囲であることが示され;これらのデータによって、ホスレボドパ/ホスカルビドパが、大多数のPD患者を治療するのに必要である広範なLD曝露を送達する能力が裏付けられる。現在の試験では、ホスレボドパ/ホスカルビドパSC注入によって、夜間の経口LD/CD投薬の有無にかかわらず、LCIG注入と等価なLD曝露をもたらすことが示された。24時間にわたるホスレボドパ/ホスカルビドパ35/700mgの投与後のLD曝露は、16時間にわたるLCIG 350/87.5mg LD/CD、その後、注入開始の18時間後及び21時間後の2回のLD/CD 100/25mg経口投与に匹敵した。本試験のために選択された用量を、健常なボランティアにとって忍容可能な範囲であり、PDの初期段階である患者にとってさらに治療上関連性があるように選んだ。徐々に重症化するPD患者をLDの総摂取量に基づき、4つのカテゴリーに分類した、以前の試験では、LD曝露量は、投与されたホスレボドパ/ホスカルビドパの用量に正比例して増加すること(用量比例性)が実証され、曝露同等性が、同様により高いホスレボドパ/ホスカルビドパ用量で関連性があることが示された[8]。
【0340】
本試験では、LD変動度は、ホスレボドパ/ホスカルビドパ注入及びLCIG注入の場合、第1の16時間、常に低かった。これによって、ホスレボドパ/ホスカルビドパSC注入が、aPD患者を治療するために必要である狭い治療域内でLD曝露を維持することが可能であることが示される。参照として、Yehら[9]は、経口LD/CD即時放出後の健康な高齢ボランティアにおけるLD変動度が4.3±0.9であると以前に報告し、その後、Hauserら[10]は、PD患者におけるLD変動度は3.2±1.3であると報告した。aPDのための経口LD投与は、経口LD錠剤の予測不可能な吸収をもたらす可変のLD血漿濃度によりしばしば妨害される。この変動性は、胃内容排出が不規則であること[11]及びCDの存在下であってもLDの半減期が短いこと[12、13]に主に起因し得る。経口即時放出LD/CDと比較した連続LD注入の利点は、LCIGを用いたaPD患者において以前に実証されており[3]、本試験によって、ホスレボドパ/ホスカルビドパのCSCIが、皮下送達には胃腸系が関与しないため、手術の必要性又はLD吸収に対する食物の影響の懸念なしに、複数の投与レジメンにわたって治療上関連性がある安定したLD曝露を達成することが示される。さらに、ホスレボドパ/ホスカルビドパ送達系は、注入速度を小刻みに調整することを受け入れ、患者のニーズに個別に合わせることができ、用量に比例した方式で予測することができる[8]用量の送達を可能にし、最終的に、PD症状及び運動症状の日内変動の最適化した制御を提供する。
【0341】
安全性
皮下送達後、ホスレボドパ及びホスカルビドパは、LD及びCDの活性型への酵素的変換を経る。本試験におけるホスレボドパ/ホスカルビドパの用量を、健常のボランティアにより耐容性を示すために、治療域の下端であるよう選び、別の試験では、ホスレボドパ用量とLD血漿曝露量との間の用量比例性を示し、ホスレボドパの全身安全性プロファイルは、他のすべてのLD含有医薬品と一致することが予想される。この程度まで、臨床的に有意な臨床検査測定、バイタルサイン、自殺行動/自殺念慮又は他の全身的事象は、投与されたLDの低用量により予想されるものと一致して、本試験の経過中に観察されなかった。同時に、連続皮下注入として送達される他の医薬品により以前に報告されたものと一致して、軽度の注入部位反応がホスレボドパ/ホスカルビドパを投与された対象において報告された。CSCIとしてインスリンを投与されている糖尿病成人及び小児から得られたデータから、インスリンポンプに関連する有害事象は一般的であるが、それらの事象による永続的な中止の全体的な率は低いことが示されている。同様に、ドパミンアゴニストであるアポモルフィンのCSCIが、aPDにおける運動症状の日内変動の管理が承認されている国における臨床経験では、注入部位反応(結節を含む)が投与中止になることはまれであり、注入部位をローテーションし、無菌的技法を正しく用い、装置の再使用を避けることにより予防することができ得るということが判明した。新たな安全性の問題は、本試験から特定されず、無菌的技法及び注入セットの正当な適用における教育の重要性は、全体的なポジティブな患者の経験を保証し、皮膚反応を最小限にするために決定的である。
【0342】
【表31】
【0343】
ホスレボドパ/ホスカルビドパ注入及びLCIG注入の第1の16時間の場合、変動のLDの程度は、両レジメンとも常に低かった(表29)。これによって、ホスレボドパ/ホスカルビドパSC注入が、LD曝露を維持することが可能であるということが示される。
【0344】
【表32】
【0345】
変動の程度を、次の通り決定した:(最大LD血漿濃度-最小LD血漿濃度)/平均LD血漿濃度。
・ 比較のために、経口LD/CD即時放出後、Yehらが、健常な高齢ボランティアにおいて4.3±0.9、Hauserらが、PD患者において3.2±1.3と、はるかに高いLD変動度を以前に報告している。
・ホスレボドパ及びホスカルビドパに「関連する可能性がある」と考えられるすべての有害事象は、軽度であり、試験中止に至らなかった。
【0346】
【表33】
【0347】
[実施例8] パーキンソン病に関する試験のためのプロトコール:連続皮下注入によるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入への1日24時間曝露の安全性及び耐容性
臨床試験B
本試験の目的は、患者により報告された及び評価者により測定された有効性エンドポイントにより測定された通り、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の安全性、耐容性及び有効性を評価することであった。エンドポイントは、以下が含まれる:
・ 試験中に有害事象(AE)及び重篤な有害事象を有する対象のパーセンテージ、
・ 試験中に特別注目すべきAE(AESI)を有する対象のパーセンテージ、
・ 本試験中の任意の時点で、注入部位評価スケールにおいて、数値評価が5以上及び文字評価がD以上である対象のパーセンテージ、
・ ベースラインから試験終了までの臨床検査データの変化、
・ ベースラインから試験終了までのバイタルサイン測定の変化、
・ ベースラインから試験終了までの心電図の変化、
・ 副次エンドポイントは、次の場合のベースラインから試験終了までの変化である:
・ PD日誌により評価された通り1日平均正規化「オフ」時間及び「オン」時間、
・ 運動障害学会-統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)パート I~IV(又はMDS-UPDRSのバリデートされた翻訳版が利用可能でない国ではUPDRS I V)により評価されたPD症状、
・ PD睡眠スケール-2(PDSS-2)により評価された睡眠症状、
・ PD質問票-39項目(PDQ-39)により評価された生活の質、及び
・ EuroQol 5-次元質問票(EQ-5D-5L)により評価された健康に関連する生活の質。
・ 別のエンドポイントには、ベースラインから26週目の来診までのParkinson’s KinetiGraph(商標)/Personal KinetiGraph(商標)(PKG)ウェアラブルデバイス(各国の規制により許可される)により評価されたPD症状が含まれる。
【0348】
本試験は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の連続皮下注入の1日24時間曝露によるパーキンソン病を伴う患者において、52週間外来設定で実施された、長期第3相オープンラベル単一群試験であった。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を、CSCIを介して毎日24時間、52週間投与した。本試験には、運動症状が、経口医薬品により適切に制御されないパーキンソン病を伴う成人対象約130名が含まれた。本試験の概略図を図18に示す。
【0349】
結果
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入による治療によって、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない、「オフ」時間及び「オン」時間の臨床的に意味のある改善がもたらされた。治療利益が、早くて1週目から観察され、12カ月の治療期間を通じて維持された。52週目に、PD日誌当たり、ベースラインからの正規化「オフ」時間の観察された平均(SD)の減少は3.39(3.08)時間であり、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間の増加は、3.58(3.03)時間であった。表32Bに示す通り、頻回の有害事象は、注入部位の皮膚事象であり、その大部分は重篤でなく、重症度は軽度/中等度であった。このオープンラベル試験では、個別化された24時間/日のホスカルビドパ/ホスレボドパの皮下注入が、一般的に安全で、運動合併症及び朝の無動を改善し、進行期パーキンソン病に対する潜在的に有効かつ低侵襲な治療の代替を提供した。
【0350】
対象の内訳、人口統計及びベースライン特徴
合計244名の対象が登録され、そのうち7名は、第1相試験においてホスカルビドパ/ホスレボドパを以前に投与された。103名(42.2%)の対象がホスカルビドパ/ホスレボドパを早期に中止し、115名(47.1%)の対象が52週間の試験薬治療を完了し、26名(10.7%)の対象が試験薬治療により継続中であった。145名の対象は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ曝露が少なくとも180日であり、112名の対象は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ曝露が少なくとも360日であった。
【0351】
ほとんどの解析は、ホスカルビドパ/ホスレボドパの用量カテゴリーにより示される。各対象は、個別に用量滴定されて最適な有効性を得、したがって、用量範囲は連続して変化した。低用量カテゴリーは、ホスカルビドパ/ホスレボドパからの最頻総1日量が、ホスレボドパからLDへの分子量換算に基づいてレボドパ(LD)1800mg未満である対象を含み、高用量カテゴリーは、最頻総1日量がLD1800mg以上である対象を含む。
【0352】
【表34】
【0353】
【表35】
【0354】
試験期間
スクリーニング期間
10~42日間のスクリーニング期間は、2回のスクリーニング来診(V1及びV2)及び、対象がウェアラブルデバイス及びPD日誌に慣れる6日間のモニタリング期間で構成された。スクリーニング期間中、対象は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始する前に、少なくとも30日間、安定した経口PD医薬品レジメンを行っていることを実証することを要した。過去のデータ(医療記録など)は、安定した医薬品の使用についての許容される提出書類であった。
【0355】
対象は、初回ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入投与の5半減期前又は30日前に、任意の禁止されている医薬品を安全に中止することが可能であることを要し、レボドパを含有する医薬品及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬を除き、いずれかが長く、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の開始の少なくとも12時間前及び治療の期間中は中止することを要した。対象には、試験適格性を満たす目的で任意の禁止されている医薬品を中止する前に、試験に同意することを要した。
【0356】
対象は、かかるデバイスが承認されている国において、来診3回目の前の連続6日間(すなわち、6日間のモニタリング期間)ウェアラブルデバイスを装着することを要した。PD日誌は、6日間のモニタリング期間のうち、来診3回目(1日目)の前に、少なくとも連続2日間完成された。
【0357】
治療期間
治療期間を、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入薬の投与開始と共に開始し、2部構成、すなわち、4週間の最適化期間及び48週間の維持期間であった。
【0358】
最適化期間:最適化期間の4週間の間、治験責任医師は、個々の対象のために最適な臨床応答が得られるまで、対象のホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入薬の用量に必要な調整を行った。治験責任医師の意見において、最も満足のいくやり方で対象の症状を制御された治療アプローチを達成するために、処方情報に従って、かかる医薬品の漸減、さらには保留を含めて、対象の併用のPD医薬品(例えば、ドパミンアゴニスト、選択的モノアミン酸化酵素B[MAO-B]阻害薬、アマンタジン、サフィナミド)についてさらに調整した。
【0359】
維持期間:維持期間は、最適な治療量でのホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入のお1日24時間CSCIの48週間で構成された。この48週間の期間中、治験責任医師の意見において、医学的に変更が必要であると考えられた場合を除き、対象は、すべての併用医薬品の安定したレジメンを維持した。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、本試験を通じて調整され得る。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入又は(他のPD医薬品の追加又は保留を含めて)他の併用医薬品の用量調整が行われた場合、これらの調整を、電子症例報告書(eCRF)で文書化した。
【0360】
1日目の朝(V3)に、対象は、臨床的に定義された「オフ」状態であった(すなわち、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始する少なくとも12時間前にPD医薬品を投与しなかった)。適格性の確認及び簡単な臨床検査の後、対象は、LD+DDCIの経口負荷投与量を受け、その後、算出された開始用量でホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始した。
【0361】
対象毎に、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の連続注入速度についての開始量レベルを、Tomlinsonらからの提案された換算速度、Espayらからのガイダンス、及び第1相試験のデータに基づく換算アルゴリズム(セクション4.2を参照のこと)に基づき、経口レボドパのベースライン用量(又はレボドパ換算量[LED])に従って算出した。
【0362】
対象は、これらの併用医薬品が、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始する前に保留されることを要さなかったため、レボドパ又はCOMT阻害薬を含有しなかったPD医薬品(例えば、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、アマンタジン、サフィナミドなど)を再開することが可能になった。しかしながら、治験責任医師の判断によって及び処方情報に従って、対象は、最適化期間の4週間の間に併用PD医薬品の漸減を開始することが可能になった。
【0363】
対象を、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始した当日及び翌日に評価し、次いで、最適化期間中は毎週評価した。各来診中、治験責任医師は、問診及び神経学的検査により対象のPD症状を評価し、対象の臨床的応答に基づいて、以前の併用PD医薬品の漸減及び/又は保留を継続し、同時にホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入速度を増加する、減少する、又は維持することにより、対象の治療レジメンを調整することができる。すべての併用PD医薬品が漸減されている場合、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の用量は、治験責任医師により決定された通り、個別の対象のために最適な臨床応答が得られるまで、さらに調整することができる。最適な臨床応答を、日中の機能的「オン」時間を最大にし、「オフ」エピソード数を最小にすることにより定義した。この最適化により、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間も最小にした。
【0364】
最適化期間中、試験来診を、次の通り行った:
1日目(V3)
2日目(V4)
1週目(V5)
2週目(V6)
3週目(V7)
4週目(V8)
【0365】
治験責任医師は、4週間の最適化期間内に、任意の必要な調整を行うために予定外の来診を行うことができる。
【0366】
4週目(V8)後、全対象は、最適化期間後も投与されていた任意のPD医薬品を含めた、維持期間を開始し、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及び他の併用医薬品の安定した治療レジメンを維持するべきである。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を含めた、医薬品の用量の調節は、治験責任医師の意見において、医学的に必要と考えられた場合になされ得る。医薬品又はホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の用量の任意の変更を、eCRFに記録した。
【0367】
維持期間中、試験来診を、次の通り行った:
6週目(V9)
13週目(V10)
26週目(V11)
39週目(V12)
52週目(V13)又は早期中止の場合。
【0368】
スクリーニング来診(V1、V2)及びV3(1日目)は別として、すべての来診に、±3日のウインドウを設けた。
【0369】
必要な場合には、治験責任医師の判断により、予定外の来診を行ってもよい。
【0370】
【表36】
【0371】
【表37】
【0372】
治療アーム
対象に、1日目(V3)に経口負荷投与量を投与し、続いて、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を1日24時間皮下注入した。負荷投与量を、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始する前に、治験責任医師により対象の経口レジメンに従って確立した。連続注入開始用量(F1)を、LED及びホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の薬物動態学的特徴を考慮して、算出した。治験責任医師は、運動症状のコントロールを最適化するよう、来診中に処方された注入速度を調整することができる。対象は、予めプログラムされた3種の流量から、1日の連続注入用量を選ぶことができた。治験責任医師は、許容範囲内(0.17~1.04mL/hr)で主な1日流量(F1)を決定しプログラムし、処方された主な流量から±20%の範囲内で2種の追加の流量(F2及びF3)をプログラムすることができる。F2は、代替のより高い連続用量であり、F3は、代替のより低い連続用量であった。プログラムされる場合、代替の流量(F2及びF3)は、許容範囲内(0.17~1.04mL/hr)であった。代替流量(F2及びF3)が必要とされない場合、それらは、「オフ」にプログラムされた。対象はシステムユーザーマニュアルを受け取った。
【0373】
4.2 試験デザインの考察
測定項目の適切性
標準的な統計的、臨床的、実験的手順を本試験において用いた。すべての有効性測定は、PDを伴う患者の疾患活動性を評価するために適していた。
【0374】
対象母集団の適合性
対象母集団は、経口医薬品により適切に制御されない運動合併症を報告し、登録/1日目(V3)前に完成されたPD日誌により評価された通り1日当たり最小2.5時間の 「オフ」時間を経験するPDを伴う患者で構成された。対象に、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を開始する前に、少なくとも30日間、安定した経口PD医薬品レジメンを行った。
【0375】
治療量範囲の選択の根拠
CD/LDは、依然としてPDの標準治療である。しかしながら、PDの治療は、非常に個別化され;患者の徴候及び症状及び医薬品に対する応答に基づいて、投与する治療及びそれらの用量をカスタマイズされなければならないと認識されている。実際には、これによって、臨床試験内でも、患者の用量を幅広く分布させる。
【0376】
中心的なLCIG二重盲検ダブルダミーにおいて、16時間の1日注入の場合、レボドパの用量中央値は、1013mg/日であり、平均値は、1117mg/日であった。これらのデータは、本試験の盲検化を維持するために、投薬が制約された対象のごく一部を表す。したがって、対象の>90%は、16時間の治療期間にわたって2000mg未満用いた。
【0377】
>300名の対象が登録されたLCIGオープンラベル安全性試験では、投薬は、診療をより反映し、対象の有意な割合は、併用経口医薬品を中止し、起床時間中LCIGのみを維持することにより、それらの療法を簡略化することが可能であった。本試験におけるLD用量の分布(表)から、対象のおよそ50%は、16時間の治療期間にわたって、1日レボドパ用量1400mg/日以上を要した。
【0378】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、24時間/日療法である(すなわち、対象は、LCIG曝露と比較して、あと8時間 - 又は50%長く曝露される)。健常なボランティアにおいて、LCIGプラスLD/CD錠とホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入との間のLD血漿濃度を比較するPK試験の結果から、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入からのLDは、経腸吸収されるLDより8%生体利用可能であるということが実証された。分子量(MW)に基づいて、LD100mgは、LDP141mgと等価である。
【0379】
これらのデータを用いて、対象の約50%が、LDP>2800mgのホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の用量(16時間の治療期間にわたって現在のLCIGの最大推奨用量である、レボドパおよそ2000mgと等価である)を受けるべきであると予想された。この群を「高用量」と定義する。
【0380】
【表38】
【0381】
本試験からの対象のおよそ50%は、16時間の治療期間にわたって1,400mg/日以上の1日レボドパ用量を要し;さらなる8時間の治療及び、LCIGと比較して、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入のより高いバイオアベイラビリティを考慮して、対象の50%が、24時間の治療期間にわたって2,000mg/日以上の1日レボドパ用量を要すると予想される。分子量に基づいて、レボドパ2000mgは、LDPおよそ2800mgと等価である。
【0382】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の用量レベルの分布を、「高用量」群における対象のおよそ半数を登録することを目標に、試験期間を通じて継続的にモニターした。しかしながら、全対象が最適化期間の終了時に達成する場合実施した用量分布の評価に基づき、並びに本試験中のいくつかの他の時点において、「高用量」群についてのカットオフは、LD2000mg(LDP2800mg)より低く又は高く修正され得る。この評価によって、データの解析についてのガイダンスが提供されるべきであり、24時間にわたるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の適当な最大推奨用量が提案され得る。
【0383】
4.3 負荷投与量、連続注入速度、用量滴定及び追加用量
経口負荷投与量
経口負荷投与量の目的は、治療開始後に対象が速やかに症状のコントロールを達成するようにすることである。本試験の負荷投与量は、対象のLD+DDCIの習慣的な朝の最初の用量にできる限り近い量に対応した、LD+DDCIの経口用量であった。負荷投与量にCD/LD即時放出(IR)を利用する対象の場合、治験責任医師は3種の用量のうち1種を選ぶ:25/100mg(CD/LD IR 25/100mg1錠)、37.5/150mg(CD/LD IR1+1/2錠)又は50/200mg(CD/LD IR2錠)。あるいは、LD+DDCIは、負荷投与量に利用されてもよく;その場合、DDCIの量は、目的とする国に基づいて変わり得るが;投与したレボドパの量は100、150又は200mgであった。
【0384】
負荷投与量を、投薬が>8時間中止されない限り、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の治療の開始時に1回のみ投与した。1日の衛生のための又は空のシリンジを交換するための一時的な切断(<1時間)は、中止としてカウントせず、注入再開後の負荷投与量を要さない。
【0385】
連続注入速度
経口負荷投与量の投与後、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を、ポンプに接続された注入セットを介して連続的に(1日24時間)送達した。各対象の初回主要連続注入速度(F1)を、16時間の治療期間にわたる対象の経口LD療法及び、第1相試験から得られたPK及び臨床的考察の組み合わせに従って開発されたアルゴリズムに基づいて算出した。対象のIRLD+DDCIのベースライン用量は、用量選択のためのレボドパ換算量(LED)を確立するための出発点であった(注記:Stalevo(登録商標)[CD/LD/エンタカポン]中に含有されるレボドパは、IRとしてカウントする)。対象がLD+DDCIのIR配合物を投与していない場合、LEDを主要レボドパ含有医薬品から算出する。用量選択のための総LEDを算出するのに用いるための換算係数を、表34に示し、文献(Tomlinsonら、Mov Dis 2010年;Espayら、Neurol Clinical Practice 2017年)のデータに基づく。表34から得られた適用可能な算出及び対象のベースラインCD/LD IR用量は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入換算についての総出発LEDを提供するために一緒に加えるべきである。
【0386】
【表39】
【0387】
対象の1日のLEDが決定された後、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入についての出発注入速度は、表35から選択するべきである。以下の連続注入速度を、それらが言及するLED間隔の中間点について推定し、治療的レボドパ曝露をもたらすように設計される。注入速度は、携帯式ポンプに接続された注入セットを介して連続的に送達される。
【0388】
【表40】
【0389】
用量滴定
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の主な注入速度(F1)は、個々の対象にのために最適な治療応答を達成する及び維持するために、試験を通じて任意の時間で治験責任医師の判断で調整することができ、これは、「オフ」エピソード(動作緩慢)の回数及び期間を最小にすることにより日中の機能上の「オン」時間を最大にし、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴う「オン」時間を最小にすることを意味する。注入速度は、0.022 mL/hrずつ増減することができ、およそ3.75mg LD/hrに相当する(注、ポンプは小数点第2位を四捨五入した速度を表示する)。したがって、主な注入速度を0.02mL/hr増加させると、24時間にわたってLDが合計でおよそ90mg増加する。0.04mL/hr増加すると、24時間にわたってLDが合計でおよそ180mg増加する。0.07mL/hr減少すると、24時間にわたってLDが合計でおよそ270mg減少する、など。
【0390】
治験責任医師は、神経学的検査及び身体検査により、臨床的有効性(上記と同様に定義された最適な治療応答を達成する)及び安全性について対象を評価した後にのみ、注入速度を上げることを決定することができる。注入速度>0.70mL/hrをもたらす4000/200LDP/CDPより高い用量における、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の安全性プロファイルを、本試験を通じて、神経学的検査及び身体評価(末梢神経障害、体重減少、起立性低血圧、及び他のAESI、例えば、日中の傾眠及び幻覚/精神病に焦点を当てる)によって評価する。
【0391】
代替の連続注入速度(F2、F3)
個別化された用量滴定を要するPDについての他の治療アプローチと同様に、及び進行した患者が、PDの症状が治療によって十分にコントロールされているか否かを認識する広範な知識を考慮し、本試験では、治験責任医師により許可された場合、指定された範囲内で代替の注入速度から選択する能力を対象に提供する。
【0392】
さらに2種の注入速度(F2及びF3)を、治験責任医師がポンプに予めプログラムすることができる。
【0393】
F2は、代替のより高い連続用量であるべきであり、F3は、代替のより低い連続用量であるべきである。追加の注入速度は、所定の主な連続注入速度(F1)から±20%の制限内で選択しなければならない。
【0394】
0.17mL/hrより低い又は1.04mL/hrより高い注入速度は、許可されない。
【0395】
試験中、主な1日注入速度(F1)が0.17mL/hrでプログラムされている場合、代替の低注入速度(F3)は無効にしなければならない。試験中の任意の時点で、主な1日注入速度(F1)が1.04mL/hrでプログラムされている場合、代替の高注入速度(F2)及び追加用量オプション(下記参照)は無効にしなければならない。
【0396】
出発注入速度は、0.70mL/hrを超えてはならず;調整は、臨床評価(神経学的検査及び身体検査)の後にのみ行うことができる。
【0397】
代替の注入速度(F2及びF3)を要しない場合、治験責任医師又はその被指名者は、これらを「オフ」にプログラムすることにより無効にしなければならず、対象は、代替の注入速度を選ぶことができない。治験責任医師がこれらのオプションを有効にした場合、対象は、予めプログラムされた3つの選択(F1、F2又はF3)から注入速度を選択することができ、代替の注入速度を選択した日の時刻を投薬日誌に記録することを要する。注入速度の数値は、対象によって修正されることはない。
【0398】
追加用量
治験責任医師が許可する場合、対象は、24時間の間にホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の追加用量を自己投与してもよく;追加用量を自己投与する能力、追加用量体積及びロックアウト時間(追加用量間の間隔)は、治験責任医師又はその被指名者により決定され、プログラムされ、対象によって修正することができない。治験責任医師は、追加用量の体積を次のオプションから選ぶことができる:0.10、0.15、0.20、0.25又は0.30mL(それぞれ、レボドパおよそ17、およそ26、およそ34、およそ43、及びおよそ51mgと等価である)。ロックアウト時間は、1時間~24時間まで15分単位でプログラム可能であり、最小ロックアウト時間は、60分である。治験責任医師が追加用量の使用を許可しないことを決める場合、追加用量は、「オフ」に設定するべきである。
【0399】
追加用量機能が有効にされる場合、対象は、追加用量を自己投与した日の時刻を投薬日誌に記録することを要する。投薬日誌は、試験人員が毎回の試験来診時に審査する。
【0400】
追加用量が頻繁に必要である場合(1日当たり5回以上)、治験責任医師は、主な1日注入速度を増やし、ロックアウト時間を増やして、1日当たりの追加用量数を制限することを考慮するべきである。試験における任意の時間でF1又はF2が1.04mL/hで設定される場合、追加用量オプションは無効にすべきである。6000mg/24hr(LDの4260mg/hrと等価である)以上のLDPの用量は、試験中、いかなる状況下でも許可されない。
【0401】
治験責任医師は、代替の注入速度及び/又は体積及び追加用量の数をプログラムする場合、この上限を考慮するべきである。ガイダンスを、表36に示す。
【0402】
【表41】
【0403】
換算アルゴリズム
換算アルゴリズムを、LDPのバイオアベイラビリティ、24時間曝露、及びホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入第1相試験から得られた薬物動態データを考慮して創出した。
【0404】
進行期パーキンソン病患者における4週間の臨床試験(進行期パーキンソン病を伴う対象におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の4-週間単一群、オープンラベル試験)では、PKと臨床的考察の組み合わせに基づいて、経口LDをホスルホドパ及びホスカルビドパに換算するアルゴリズムを創出した。本試験から得られた用量調整のパターンの評価及び別の試験(健常な高齢ボランティアにおける3部オープンラベル無作為化2期間クロスオーバー試験)の結果では、PD患者における運動症状の適切な制御を達成されないかかるアルゴリズムの適切性が確認された。したがって、現在の試験では、経口LDをホスレボドパ及びホスカルビドパに換算するために、4週間試験と同様のアプローチを利用する。
【0405】
アルゴリズムを生成するために用いた仮定
ほとんどのPD患者は、起床時間中、経口PD医薬品で治療され;したがって、算出されたLEDは、平均16時間の治療時間中のドパミン作動性薬の必要量を反映する。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、24時間にわたって投与されるため、治療のさらに8時間を考慮するために薬物をもう50%加える。データによって、連続送達からの血漿LD曝露の低い変動性及び変動が、有効な1日レボドパ用量の平均的な減少に置き換えられることが示唆される(Othman AAら、J Parkinson’s Dis.2017年;7号(2巻):275~278ページ.)。さらに、LCIGとホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入との間のLD血漿濃度を比較するPK試験から、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が、経腸吸収型レボドパよりも生体利用可能であると思われる。最後に、経口レボドパからLDPへの換算係数を、分子量の差に基づいて1.41と決定した。
【0406】
本試験で用いたホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入製剤1mLは、LDP240mg、CDP12mgを含有する。1日当たりのLDPの総必要量を算出した後、それを240mgで除して1日当たりに必要なミリリットル数を決定し、次いで、24時間で除して流量を決定する。それぞれ示唆される注入速度を、表35に示されるLED範囲の中間点について算出する。
【0407】
代替の注入速度及び追加用量オプションを可能にするためのガイダンス
治験責任医師は、対象の認知能力、コンプライアンス及び人格の特色の臨床的判断に基づいて、代替の注入速度及び追加用量が可能か否かを検討し、それらの選択肢を患者に提供するべきである。
【0408】
代替のより高い注入速度(F2)を可能にすることにより、最適化期間中の主な連続注入速度の改良を容易にすることができる。ベースライン時に日常生活に支障を来すジスキネジア、すくみ足歩行又は夜間無動を報告する対象は、しばしばLDの最適以下の経口1日量で治療される(Cruse、2018 NPJ Parkinson’s Dis;Chang、2015 PRD)。こうした場合では、表35中で示唆される通りF1をプログラムすると、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の用量が最適以下になり得る。治験責任医師は、少量ずつ(例えば、5~10%)増やしながら開始してF2をプログラムし、過少量投与を感じる対象が、代替のより高い注入速度に切り替えることを可能にし得る。同様に、対象が長期の身体活動(例えば、スポーツ)を持続することが予想される場合又は1日のある特定の時間にレボドパのより高い用量を要する場合には、F2を一時的に選択して、より高いドパミン作動性の需要を担い得る。また、対象が日中に5回以上の追加用量を自己投与する必要がある場合、対象は、投薬日誌を審査した後、次回の来診時に治験責任医師による主な注入速度の調整を待ちながら、F2に切り替え、追加用量の回数を減らすよう指示され得る。対象が追加用量を自己投与する、又は注入速度を有効なオプションのいずれかに切り替える際はいつでも投薬日誌にログオンすることを思い出すことが重要である。
【0409】
治験責任医師は、このオプションを提供したくない場合又は対象が、提供されたオプションの中から選ぶのに適していないと考える場合、治験責任医師は、オプションを「オフ」にプログラムすることにより、代替のより高い注入速度を無効にすべきである。
【0410】
治験責任医師は、対象がベースライン時に夜間無動若しくは夜間症状の愁訴を報告しない場合又は対象に衝動制御障害若しくは夜間幻覚の公知の病歴を有する場合、就寝前に代替の低い注入速度(F3)に切り替えることを可能にするか否かを考慮することができた(Ricciardi、2016年;Nyholm、2012年;Cruse、2018年)。最適化期間中の来診間に、対象が持続的なジスキネジアを経験する場合、次の来診時に治験責任医師が主要パラメータを調整するまで、対象に代替の低い注入速度を選択し、投薬日誌に記録するよう指示することができた。代替の低い注入速度F2は、F1より最大で20%まで低くなるようにプログラムすることができる。
【0411】
夜間無動が存在する場合又は厄介な夜間症状が存在する場合、治験責任医師は、主な注入速度(F1)を24時間一貫して維持し、代替のより低い注入速度についてのオプションを無効にする(オプションを「オフ」にプログラムする)ことを考慮するべきである。同様に、治験責任医師は、このオプションを提供したくない場合又は対象が、提供されたオプションの中から選ぶのに適していないと考える場合、治験責任医師は、代替のより低い注入速度を「オフ」にプログラムすることにより無効にすべきである。
【0412】
5.試験活動
5.1 適格基準
全対象を、スクリーニング来診1回目及び2回目(V1及びV2)、並びに1日目の登録前(V3)に適格基準を満たすことを確認するため、評価した。
【0413】
人口統計学的評価及び臨床検査による評価
1.対象は、30歳以上の成人男性又は女性でなければならない。
2.対象が、本プロトコールで要する手順に従うことに意欲があり、それが可能である。
3.対象は、低ビタミンB12レベル(<200pg/mL)でない;又は低-正常ビタミンB12レベル(<300pg/mL)でなく、スクリーニング来診1回目(V1)でメチルマロン酸の上昇を伴う(MMA>0.41mmol/L)。
4.対象は、認知機能が正常である(ミニメンタルステート検査[MMSE]スコア24以上)。軽度の失認(MMSEスコア19~23を含む)を有する対象は、治験責任医師の意見では、すべての試験要件を順守することが可能である場合、登録することができる。中等度又は重度の機能障害(MMSEスコア18以下)を有する対象は登録することができない。
5.治験責任医師により、任意の理由で対象に試験薬を投与するのに不適当な候補であると考えられない対象。
疾患活動性
6.対象は、レボドパ応答性特発性PDと診断されなければならない。
7.対象は、次の疾患活動性基準を満たさなければならない:
・ 試験薬開始の少なくとも30日前に依然として変更されていない、PDのための経口医薬品のレジメンを取り入れなければならず;本レジメンには、レボドパ含有配合物、例えば、CD/LD IR(例えば:Sinemet、Madopar)、CD/LD-CR (例えば:Sinemet CR)、CD/LD徐放製剤(例えば:Rytary)、CD/LD/エンタカポン(例えば:Stalevo)などが含まれなければならない。
・ 治験責任医師の観察により確立され、スクリーニング期間中に実施されたコンコーダンス検査中で記録されたPD日誌により確認された、「オフ」及び「オン」の状態(運動症状の日内変動)が認識可能/同定可能でなくてはならない。
8.治験責任医師の意見では、現在の治療により適切に制御されないと判断され、1日目(V3)前にPD日誌により評価された1日当たり最低2.5時間の「オフ」時間を経験していなくてはならない。DBS療法を受けた対象は、本試験に適格である、ただし、安定していてレボドパ反応性があり、他の適格基準をすべて満たしていると考えられる場合である。
【0414】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及び試験デバイス
治験薬は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入(注入用溶液)及び試験デバイス、例えば、注入セットを有する注入ポンプ、例えば、Crono PAR Series 3などからなる。
【0415】
【表42】
【0416】
臨床試験チーム(Clinical study personnel)は、システムユーザーマニュアル及びシステムプログラミングガイドを受け取る。対象は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入システムユーザーマニュアル及び日常使用のためのプラセマットガイドを受け取る。
【0417】
対象の投薬は、試験活動スケジュールにおいて指定された通り、任意の試験来診前の連続2日間、対象の投薬日誌に記録される。対象に、すべての薬物容器(空であっても)、デバイス及び付属品の返却の仕方を指示する。臨床試験チームは、コンプライアンスを文書化する。
【0418】
施行した治療
対象に、1日目(V3)にCD/LDの経口負荷投与量を投与し、続いて、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の1日24時間CSCIを施行した。
【0419】
経口負荷投与量は、注入前の治療管理毎に治験責任医師が決定する。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の注入速度(したがって、投与されるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の総量)を、対象のレボドパ換算量(LED)及びホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入換算アルゴリズムに基づいて算出する。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の初回量及び対応する流量は、対象の面接及び/又は症状の重症度の他の評価を通じて、治験責任医師により評価される対象の運動症状を最も適切に制御する個別の治療量に到達するように、最適化期間中に調整することができる。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の基本注入速度は、治験責任医師の判断で試験を通じて調整することもできる。治験責任医師は、ポンプに3つの流量を予めプログラムすることができ、1つ目は、主な規定1日流量に対応し(F1、0.17~1.04mL/hrの間の範囲であり得る)、2つ目は、規定された主な流量から±20%の範囲内でプログラム可能であり、常に許容範囲内(0.17~1.04mL/hr)である追加流量(F2及びF3)であり;F2は、代替のより高い連続投与とすべきであり、F3は、代替のより低い連続投与とすべきである。代替流量(F2及びF3)が必要とされない場合、治験責任医師又はその被指名者は、これらを「オフ」にプログラムしなければならない。したがって、対象は、予めプログラムされた流量の中から自由に選ぶことも、治験責任医師の判断により、日中に追加用量のホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を自己投与することもできる。ポンプは、システムプログラミングガイドの指示によって、部位毎にプログラムされる。
【0420】
治療期間中、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、皮下送達のために指示された試験デバイス(すなわち、注入ポンプに接続された注入セット)を用いて対象により自己投与される。薬物送達系は、1日1バイアル(24時間毎)を要する対象の場合は毎日同じ時間に又は1日2バイアルを要する対象の場合は1日の同じ時間(12時間毎)に治験薬を充填することが必要である。薬物送達系を調製するために、システムユーザーマニュアルの指示を参照のこと:ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を、シリンジに充填し、次いで、ポンプに入れる。注入部位を調製する。注入セットを、シリンジに取り付け、刺激し、次いで、対象に取り付ける。1日量は、予めプログラムされたポンプを始動させることにより開始される。バイアル交換を行う場合、注入セットが既にどのくらいの使用されているかに応じて、対象は、以下のいずれかを行う必要がある:a)すべての新たなコンポーネントを入手する、又はb)新たな注入セットを除く、すべての新たなコンポーネントを入手する。後者の場合は、それらは、注入セットを一時的に対象から取り外し、古いシリンジから新たに準備したシリンジにもう一方の端を移し、事前準備を行い、次いで、対象に再び付着させることができる。
【0421】
注入セット及び注入部位(皮下カニューレを挿入させる皮膚の領域)は、薬物を連続的に注入する場合、最長3日間変更しないままにしておくことができる。これには、空のシリンジを交換するとき又は新たなバイアルを用いるとき(1日当たり2本のバイアルを要する人の場合)、同じ注入セットを維持することが含まれる。しかしながら、新たなバイアルを使用する場合には、必ず新たなバイアルアダプター及び新たなシリンジを要する。注入セットは、より頻回のローテーションスケジュールが医学的に指示されない限り、3日毎に変更し、注入部位をローテーションするべきである。薬物送達を1時間以上保留する際はいつでも、対象は、新たなバイアル、新たなシリンジ、新たなバイアルアダプター、及び新たな注入セット全体を用いた後、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入投与を再開するべきである。注入ポンプが切断され、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が1時間未満投与されない場合(例えば、空のシリンジを変更するときなど)は、なにも行う必要はない。治験責任医師は、提供されたものの中から注入セットカニューレの長さを選択する。注入ポンプが切断され、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が1時間又はそれ以上投与されない場合、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の投与を再開する前に、対象に次のことを行うよう指示するべきである:
【0422】
【表43】
【0423】
注入は、ECG電極を適用部位から少なくとも5センチメートル(又は2インチ)離し、臍から少なくとも5センチメートル(又は2インチ)離した部位に施行するべきである。注入は、瘢痕化した若しくは硬化した組織又は妊娠線の部位に、体が自然と大きく曲がる皮膚のひだ又はしわに、衣服が刺激する部位(例えば、胴回り付近)には施行するべきでない。
【0424】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の送達が一時的に妨げられる注入ポンプの故障又は他の事象が起こった場合、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が送達されなかった期間は、施設により電子データ収集システムに記録される。対象は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の再開を試みることができるように、臨床試験チームに連絡するべきである。注入が停止した時間及び/又は故障した時間を、わかっている場合、時間通りに記録する(そうでない場合、推定時間を記録する)。注入が再開される場合、再開時間は、時間通りに記録する。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入が再開することができない場合又は治験責任医師が、対象がホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の必要量をうまく完了することができない可能性があることを懸念する場合、対象は試験を中止することができ;中止された対象を交代させることは予定されない。
【0425】
対象毎の用量の選択及びタイミング
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入のCSCIは、ポンプに接続された注入セットを介して、毎日24時間にわたって最長52週間送達される。各対象の主な連続注入速度(F1)は、対象の1日LED及び、第1相試験の薬物動態データの解析後に開発されたアルゴリズムに基づいて最初に算出される。用量は、個々の対象についての臨床的応答に基づいて調整されるべきであり、これは、「オフ」エピソード(動作緩慢)の数及び期間を最小にする並びに身体障害性のジスキネジアを伴う「オン」時間を最小にすることによって、日中の機能的「オン」時間を最大にすることを意味する。
【0426】
ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の説明責任
対象は、使用済みの薬物バイアルは、バイアルアダプターを元のバイアルカートン内に付着させた状態で返却するよう指示され;対象は、未使用のバイアルも元のバイアルカートンに入れて返却するよう指示される。使用済みの注射器、注入セット(自動挿入装置及び注入セットチューブ)は、廃棄容器に回収する。未使用のシリンジ、注入セット(自動挿入装置及び注入セットチューブ)及びバイアルアダプターは、試験終了時に対象が施設に返却する。
【0427】
治験責任医師又はその代表者は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入用品が無傷で正確な量で受け取られることを検証する。これは、領収書又は類似の書類に署名し、日付を記入することにより文書化される。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の現在(稼働中)の及び正確な在庫は、IRTシステムにおいて維持される。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入及びホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入送達系及びその付属物を直接患者に発送することによる利益を享受することができる対象の場合、スポンサーにより契約された第三者ベンダーが上記のこれらのステップの責任を負うことができる。
【0428】
試験施設の医療従事者(Site personnel)は、返却されたホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入キット及び空のホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入包装を審査し、コンプライアンスを検証する。各施設は、その施設により調剤されたすべての非治験薬(例えば、CD/LD IRによるレスキュー療法)について、製品説明、製造業者、及びロット番号を含めた、薬剤管理の説明責任(drug accountability)の記録を維持する責任を負う。
【0429】
5.9 プロトコールからの逸脱
治験責任医師は、プロトコール逸脱に関するすべてのプロトコール要件、文書による指示及び適用法規に従う責任を負う。プロトコールの逸脱は、試験対象の緊急の危険を回避するために必要な場合を除き、禁止される。
【0430】
6.0 有効性:
52週目に、PD日誌当たり、ベースラインからの正規化「オフ」時間の観察された平均(SD)の減少は3.39(3.08)時間であり、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間の増加は、3.58(3.03)時間であった。日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間は、ジスキネジアを伴わない「オン」時間及び日常生活に支障を及ぼさないジスキネジアを伴う「オン」時間の合計である。これらの結果を図21に示す。
【0431】
[実施例9] パーキンソン病における皮下ホスカルビドパ/ホスレボドパ注入の6カ月後の睡眠及び有効性エンドポイントの相関
実施例8の、臨床試験Bに記載した第3相試験から得られた6カ月間の中間結果の事後解析では、睡眠、運動合併症、日常生活の運動経験及び生活の質(QoL)間の相関について評価した。
【0432】
スピアマンの順位相関係数は、睡眠(パーキンソン病睡眠尺度[PDSS-2])、運動合併症、日常生活の運動経験(MDS-UPDRSパートII)、QoL(PDQ-39)の評価を示した。
【0433】
結果:患者は、6カ月で評価された結果を改善した(表39)。ベースラインのPDSS-2スコアは、ベースラインの「オフ」時間と相関せず、ベースラインのMDS-UPDRSパートIIスコアと弱く正に相関(P<.001)し、ベースラインのPDQ-39スコアと中程度に正に相関(P<.001)した。ベースラインからのPDSS-2スコアの改善は、ベースラインからの「オフ」時間(P<.001)、MDS-UPDRSパートIIスコア(P<.05)、PDQ-39スコア(P<.001)、及びベースライン時にジスキネジアを伴わない「オン」時間で覚醒した患者の覚醒時の運動状態の変化と弱く正に相関し、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わない「オン」時間と弱く負に相関した(表39)。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、良好な耐容性があった。
【0434】
結論:PDを伴う患者におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の睡眠に対する有益な効果は、「オフ」時間、「オン」時間、日常生活の運動経験及びQoLの改善と相関する。
【0435】
【表44】
【0436】
【表45】
【0437】
[実施例10] 健常なヒトボランティアにおけるパーキンソン病のレボドパ及びカルビドパプロドラッグ24時間連続皮下注入治療の薬物動態
本試験は、腹部への連続皮下注入後のレボドパ4’-一リン酸塩及びカルビドパ4’-一リン酸塩の組み合わせを含む水性医薬組成物の薬物動態を特徴付けるために設計された。
【0438】
方法
医薬組成物プロドラッグを、オープンラベル試験において、健常なボランティア8名(45~75歳)に24時間皮下投与した。投薬は、レボドパリン酸塩100mg負荷投与量、その後、レボドパリン酸塩850mgの24時間にわたる連続定常注入で構成された。医薬組成物の注入はすべて、腹部において皮下腔に投与した。医薬組成物の注入中及び注入後に、連続血漿サンプルをレボドパ及びカルビドパについてアッセイするために採取した。以前のDuopa第1相試験(Nyholm, D.ら、AAPS Journal 2013年;15-2:316~329)から得られたレボドパ及びカルビドパ薬物動態データを用いて、本医薬組成物とDuopaとの間の薬物動態データを比較した。皮下注入部位に関連した局所有害事象(AE)を含む安全性及び耐容性を、本試験を通じて評価した。医薬組成物の投与後、最初の16時間にわたるレボドパの平均薬物動態プロファイルは、パーキンソン病患者における以前のデュオドパ第1相試験(Nyholm, D.ら、AAPS Journal 2013年;15-2:316~329)と同様である(図15及び16)。
【0439】
結果
調査後、これらの結果を分析した。対象5名が、少なくとも1つの有害事象を報告した。軽度の注入部位反応及び注入部位刺激が、数名の対象において観察された。すべての有害事象は、一過性であり、本試験の中止の原因にならず、注入部位において結節は形成されなかった。
【0440】
医薬組成物は、レボドパ濃度レベルの変動が非常に少なく、送達の皮下経路を介して24時間にわたって安定したレボドパ及びカルビドパ曝露を提供することが可能であった。医薬組成物は、安全性プロファイルが良好であった。
【0441】
[実施例11] パーキンソン病におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入:6カ月の第3相中間データセットから得られたサブグループ解析
序文:ホスレボドパ/ホスカルビドパは、連続皮下注入により送達されるレボドパ及びカルビドパのプロドラッグの可溶性配合物である。パーキンソン病(PD)におけるホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の第3相試験(実施例8、臨床試験)の6カ月の中間結果では、「オフ」時間、「オン」時間、日常生活の運動経験、生活の質(QoL)の有意な改善が実証された。年齢、PD期間、及びベースライン時の「オフ」時間によるこれらの中間データの分析を報告する。
【0442】
方法:これは、長期ホスレボドパ/ホスカルビドパ曝露の安全性及び耐容性を評価する継続中のオープンラベル単一群試験である(NCT03781167)。運動症状が現在の治療により適切に制御されなかったPDを伴う患者は、24時間/日最適化された用量のホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入を52週間施行している。
【0443】
結果:表40では、患者223名のベースライン人口統計及び特徴を報告する。患者の年齢及び罹患期間は、ベースラインから6カ月目までの「オフ」時間、「オン」時間、日常生活の運動経験(MDS-UPDRSパートII)、及びQoL(PDQ-39要約指数総スコア)の変化に対して有意な影響を与えなかった(図24)。対照的に、ベースライン時の「オフ」時間が長いほど、6カ月における「オフ」時間の絶対減少(P<.01)の有意に大きい改善及びPDQ-39要約指数スコア(P<.05)のより大きな改善と関連した(図24)。安全性は、群間で概ね整合した。年齢は、事象の頻度に対して最も影響を与えた(表41)。
【0444】
結論:この6カ月間の中間解析によって、PDにおけるホスレボドパ/ホスカルビドパの有益な効果は、年齢又は罹患期間に影響を与えないことが実証された。ベースライン時の運動症状の日内変動がより重度である患者は、「オフ」時間及びQoLの絶対的改善が最も大きいことが示された。
【0445】
【表46】
【0446】
【表47】
【0447】
[実施例12] 進行期パーキンソン病を伴う患者における、ホスレボドパ/ホスカルビドパ治療の最重要な臨床的及び人道的な結果(humanistic outcome)に対する影響:2つの第3相臨床試験の事後レスポンダー分析
目的:進行期パーキンソン病(aPD)を伴う患者の間で、RCTにおけるレボドパ及びカルビドパ即時放出経口錠(LCIR)に対する臨床的意義のある最小変化量(MCID)及び単一群試験におけるベースラインに対する患者内変化を用いた、ホスレボドパ及びホスカルビドパの臨床的及び人道的な結果に対する影響を評価すること。
【0448】
背景:第3相臨床試験から得られた結果から、ホスレボドパ及びホスカルビドパの有効性がより高く、患者の結果の持続的な改善が確立された。レスポンダー分析によって、臨床的に意味のある治療効果の解釈が容易になり得る。
【0449】
方法:ホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRの12週間(wk)のRCT試験、並びにホスレボドパ及びホスカルビドパの52wkの単一群試験から得られたデータの事後解析。レスポンダーは、≧1時間(頑健なレスポンダーの場合は≧3時間)の増加及び減少の閾値をそれぞれ用いて、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わないオン(ONwoTD)及びオフ時間について、ベースラインに対して同定した。確立されたMCIDを用いて、MDS-UPDRSパートI~IV、生活の質(QoL;PDQ-39及びEQ-5D-5L)、及び睡眠障害(PDSS-2)についてレスポンダーを評価した。調整一般線形モデルでは、wk12でホスレボドパ及びホスカルビドパ(n=46)対LCIR(n=60)の間のレスポンダー割合を比較し、wk13(n=148)及び52(n=75)でホスレボドパ及びホスカルビドパのレスポンダー割合をベースラインと比較した。
【0450】
結果:治療の12wk後、ホスレボドパ及びホスカルビドパ患者対LCIR患者の割合が有意に高く、オフが≧1時間(82.6%対50.0%)及び≧3時間(62.1%対25.7%)減少し、ONwoTDが≧1時間(82.9%対48.1%)及び≧3時間(63.6%対24.5%)増加した(すべてp<0.001)(図25)。オフ及びONwoTDのベースラインに対する患者内変化の場合、ホスレボドパ及びホスカルビドパでは、wk13において有意な即時型応答が実証され、それを、wk52まで維持した(図26)。応答率は、wk12において有意に高く、MDS-UPDRSパートII(47.0%対21.4%)及びIV(60.7%対39.5%)、及びPDSS-2(71.5%対42.6%)の場合のホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRが有意に高かった(すべてp<0.05)。類似の知見を、日常生活の動作(ADL)、運動合併症、QoL、及び睡眠障害に関して、実証された即効性の応答及び持続的な応答(52週目まで)においてホスレボドパ及びホスカルビドパについて観察された。(表42)。
【0451】
結論:オフ、ONwoTD、ADL及び睡眠障害の臨床的に意義のある改善を大きく達成したことが、ホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRの場合に観察された。これらの臨床的に意味のある改善は、迅速であり、52週目まで一貫して持続した。
【0452】
【表48】
【0453】
[実施例13] ホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRで治療したaPDを伴う患者における、一日を通した運動状態の安定性の改善及び良好なオン時間への速やかな開始
表題:Eホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRで治療したaPDを伴う患者における、一日を通した運動状態の安定性の改善及び良好なオン時間への速やかな開始
目的:ホスレボドパ及びホスカルビドパによる治療を受けた進行期パーキンソン病患者(aPD)並びにレボドパ及びカルビドパの即時放出経口錠(LCIR)により治療された進行期パーキンソン病患者(aPD)において、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴わないONまでの時間(「良好なON」)及び覚醒時を通しての運動状態の安定性のパターンを評価すること。
【0454】
背景:ホスレボドパ及びホスカルビドパの24時間皮下注入によって、連続的なドパミン作動性刺激及びより安定したレボドパ血漿レベルが可能になる。1日を通した運動症状の改善の時間的パターンは、ホスレボドパ及びホスカルビドパの場合に確立されていない。
【0455】
方法:ホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRの第3相試験から得られた患者PD日誌データの事後解析。日誌データは、ベースライン時及び12週目の3日間(16時間起床している日に正規化)にわたって、運動状態(オフ、良好なオン、日常生活に支障を来すジスキネジアを伴うオン、及び熟睡)を30分(min)間隔で記録した。調整分散の均一性-ロバスト線形回帰モデルにより、ベースラインから12週目までの変化、及び起床後良好なオンになるまでの時間、30分及び4hr間隔での1日を通した運動状態、並びに1日の運動状態の移行の平均数についての治療群間の変化を評価した。
【0456】
結果:ホスレボドパ及びホスカルビドパ患者46名、LCIR患者60名について、完全な日誌データが得られた。治療の12週間後、ホスレボドパ及びホスカルビドパ患者は、LCIRに対して、より速く良好なONに達し(平均:28.9分対82.9分;p=0.004)、起床後30分以内にほぼ2倍の頻度で良好なONに達した(84.7%対47.6%;p<0.001)。起床後30分以内にオフと報告されたホスレボドパ及びホスカルビドパ患者は、LCIRに対して、ほぼ4倍少なく(13.8%対57.8%;p<0.001)、その傾向は1日を通して持続した。4時間間隔の分析によって、12週目でホスレボドパ及びホスカルビドパ患者は、ベースラインと比較して、良好なオンが有意に増加し、オフが減少し、それは1日中持続したことが示された(図27及び図28)。ホスレボドパ及びホスカルビドパ患者では、1日の運動状態の移行が少なく(平均値:4.7対7.2、p<0.001)、ほぼ2倍多いホスレボドパ及びホスカルビドパ患者は、平均対LCIRにおける移行が≦6回であった(64.5%対38.6%、p=0.007)(図29)。
【0457】
結論:起床後により速く良好なオンに達したホスレボドパ及びホスカルビドパ患者は、LCIRの患者に比べて、日中起きている間、オフ及び良好なオンの安定性が高く、運動状態の変動が少なかった。一貫した運動症状の制御は、日常生活を行う患者の能力及び生活の質を向上させ得る。
【0458】
[実施例14] ホスレボドパ及びホスカルビドパ対LCIRで治療したaPDを伴う患者における、一日を通した運動状態の安定性の改善及び良好なオン時間への速やかな開始
表題:ホスレボドパ/ホスカルビドパ投与開始後の併用医薬品の使用及びレボドパ等価1日量の所要量
背景:ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、1日24時間連続皮下注入(CSCI)として送達されるレボドパ/カルビドパプロドラッグの可溶性配合物である。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入は、進行期PD(aPD)を伴う患者における運動合併症を制御するために、個別に調整可能な用量を提供する。
【0459】
方法:臨床試験B(実施例8)は、ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の1日24時間CSCIの局所及び全身の安全性、耐容性及び有効性を評価する世界的規模(米国、欧州、オーストラリア、日本)の52週間第3相オープンラベル、単一群、多施設試験であった。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入量を、患者毎に最適な臨床応答を達成するように個別化した。事前及び許容可能な併用医薬品クラス(アダマンタン誘導体、トロピン誘導体、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ[COMT]阻害薬、モノアミン酸化酵素-B[MAO-B]阻害薬、第三級アミン、他の抗パーキンソン病薬及び非エルゴリン性(non-ergolinic)ドパミンアゴニスト)の摂取量を、試験来診毎にまとめて示した。LDP/CDPのLEDDを、各試験来診で評価した。
【0460】
結果:解析には、aPDを伴う患者244名が含まれた。ベースライン時(BL)、PD医薬品を0クラス、1クラス、2クラス及び≧3クラス投与している患者の割合は、それぞれ0%、13.5%、28.3%、及び58.2%であった。52週目に、≧3種類のPD医薬品を投与している患者の数(10.3%)が減少し、これは、0クラス(LDP/CDP単独療法:23.0%)、1クラス(43.7%)及び2クラス(23.0%)のPD医薬品を投与している患者数におけるシフトと関連した(図30)。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入(CSCI及び追加投与)のLEDDは、経時的にかなり安定したままであった(範囲、1621.9~1847.0mg/日)。
【0461】
結論:観察された治療パターンにより実証される通り、ホスカルビドパ/ホスレボドパの皮下注入量及び併用医薬品の使用には柔軟性があった。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入治療を開始したaPDを伴う患者の場合、23%が52週目までにLDP/CDPによる単独療法を達成した。ホスカルビドパ/ホスレボドパ皮下注入の1日量は、経時的に安定したままであり、併用医薬品の使用は減少し、aPDを伴う患者における運動症状の日内変動を適切にコントロールするための併用医薬品の必要性が減少していることを示した。
【0462】
(参照文献)
【0463】
【表49】
【0464】
参照による組み込み
本明細書中に挙げられるすべての刊行物及び特許出願を、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が、詳細にかつ個別に参照により組み入れられていると示されているかの如く、その全体を参照により本明細書に組み込む。矛盾が生じた場合は、本明細書中の任意の定義を含めた、本出願は、制御する。
【0465】
均等物
当業者は、単なるルーチンの実験、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態への多くの均等物を用いて認識する、又は確認することが可能である。かかる相当物は、次の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
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【国際調査報告】