(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ウェアラブルXRグラス用音響再生導波管
(51)【国際特許分類】
H04R 1/32 20060101AFI20241106BHJP
G10K 11/22 20060101ALI20241106BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20241106BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20241106BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20241106BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04R1/32 310Z
G10K11/22 100
H04R1/02 101E
H04R1/00 318Z
H04R1/40 310
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525332
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022078727
(87)【国際公開番号】W WO2023076957
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョット, ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】オードフレイ, レミ サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ハー, リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード, マーク
【テーマコード(参考)】
5D017
5D018
5D220
【Fターム(参考)】
5D017AC16
5D017AD22
5D018AF16
5D018AF22
5D220AA16
5D220AB06
(57)【要約】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための音響導波管に関する。本開示の実施形態による装置は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材を含むことができる。装置は、少なくとも第1の音波を発するように構成された導波管の第1の端部に配置された音源をさらに含むことができる。装置は、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントをさらに含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信するように構成され、かつ、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するようにさらに構成され、それぞれの音波はそれぞれの点音源に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材と、
少なくとも第1の音波を発するように構成された前記導波管部材の前記第1の端部に配置された音源と、
前記導波管部材の本体に配置された複数の音響ベントと
を備え、
前記複数の音響ベントの各々は、前記第1の音波を受信するように構成されており、かつ、前記第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するようにさらに構成されており、各それぞれの音波は、それぞれの点音源に対応する、装置。
【請求項2】
前記導波管部材の前記第2の端部に配置された吸音器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の音響ベントの各々は、それぞれの点音源に対応する、請求項1から2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、第1の複数の音響ベントから発せられた第1のそれぞれの音波が所定の範囲内の音声周波数を含むように構成されており、かつ、前記所定の範囲未満の音声周波数をフィルタリングするようにさらに構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記所定の範囲は、50Hz~150Hz、50Hz~250Hz、200Hz~500Hz、および400Hz~1kHzのうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記導波管部材は、前記第1の音波を縦波として伝播するように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記導波管部材の前記本体は、複数の分岐を備え、前記複数の分岐の各分岐は、前記複数の音響ベントのうちの1つに対応する、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記複数の分岐の各分岐は、前記導波管部材の前記第1の端部と前記対応する音響ベントとの間に固有の経路を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の音響ベントのうちの1つ以上は、前記複数の音響ベントのうちの前記1つ以上の対応する開口部を横切って配置された音響メッシュを含む、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記音響メッシュは、綾畳織パターン、平畳織パターン、逆平畳織、および多重綾織から選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記音響メッシュは、モノフィラメント材料特性、ポリエステル特性、ポリイミド特性、ポリプロピレン特性、ポリアミド特性、ナイロン材料、およびメタアラミド特性のうちの少なくとも1つを有する材料を含む、請求項9から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記複数の音響ベントは、前記導波管部材のテンプル部および前記導波管部材の下面の少なくとも一方に位置する、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記複数の音響ベントは、音響波を伝播するように配置され、前記音響波は、前記それぞれの音波の各々を含み、前記音響波は、所定の伝播方向および所定の極指向性パターンのうちの少なくとも1つを有する、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記所定の極指向性パターンは、カージオイドパターン、高カージオイドパターン、および不規則パターンのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ヘッドウェアラブルデバイスであって、
フロントフレームと、
前記フロントフレームに結合されたディスプレイと、
前記フロントフレームに結合され、前記ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、
音響導波管であって、
第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材と、
前記導波管の前記第1の端部に配置された音源と、
前記導波管の本体に配置された複数の音響ベントと
を含み、前記複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信し、さらに、前記第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するように構成され、前記それぞれの音波は、それぞれの点音源に対応する、音響導波管と
を備える、ヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項16】
前記導波管部材は、前記アーム内に配置されている、請求項15に記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項17】
前記音源は、前記フロントフレーム内に配置されている、請求項15から16のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項18】
前記導波管部材の前記第2の端部に配置された吸音器をさらに備える、請求項15から17のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項19】
前記複数の音響ベントの各々は、それぞれの点音源に対応する、請求項15から18のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項20】
前記音響導波管は、前記第1の複数の音響ベントから発せられた第1のそれぞれの音波が所定の範囲内の音声周波数を含むように構成されており、かつ、前記所定の範囲未満の音声周波数をフィルタリングするようにさらに構成されている、請求項15から19のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項21】
前記所定の範囲は、50Hz~150Hz、50Hz~250Hz、200Hz~500Hz、および400Hz~1kHzのうちの1つ以上を含む、請求項20に記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項22】
前記導波管部材は、前記第1の音波を縦波として伝播するように構成されている、請求項15から21のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項23】
前記導波管部材の前記本体は、複数の分岐を含み、前記複数の分岐の各分岐は、前記複数の音響ベントのうちの1つに対応する、請求項15から22のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項24】
前記複数の分岐の各分岐は、前記導波管部材の前記第1の端部と前記対応する音響ベントとの間に固有の経路を備える、請求項23に記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項25】
前記複数の音響ベントのうちの1つ以上は、前記複数の音響ベントのうちの前記1つ以上の対応する開口部を横切って配置された音響メッシュを含む、請求項15から24のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項26】
前記音響メッシュは、綾畳織パターン、平畳織パターン、逆平畳織、および多重綾織から選択される少なくとも1つを含む、請求項25に記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項27】
前記音響メッシュは、モノフィラメント材料特性、ポリエステル特性、ポリイミド特性、ポリプロピレン特性、ポリアミド特性、ナイロン材料、およびメタアラミド特性のうちの少なくとも1つを有する材料を含む、請求項25から26のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項28】
前記複数の音響ベントは、前記導波管部材のテンプル部および前記導波管部材の下面の少なくとも一方に位置する、請求項15から27のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項29】
前記複数の音響ベントは、音響波を伝播するように配置され、前記音響波は、前記それぞれの音波の各々を含み、前記音響波は、所定の伝播方向および所定の極指向性パターンのうちの少なくとも1つを有する、請求項15から28のいずれかに記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項30】
前記所定の極指向性パターンは、カージオイドパターン、高カージオイドパターン、および不規則パターンのうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載のヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項31】
ヘッドウェアラブルデバイスであって、
フロントフレームと、
前記フロントフレームに結合されたディスプレイと、
前記フロントフレームに結合され、前記ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、
音響導波管であって、
音声源と、
前記音声源に結合され、音声信号を生成するように構成されたデコーダと、
前記デコーダから前記音声信号を受信し、ビームフォーム信号を生成するように構成されたデジタル信号プロセッサ(DSP)と、
前記音響導波管の下面に配置された複数の音響ベントと、
複数の音声トランスデューサであって、各音声トランスデューサは、前記複数の音響ベントのそれぞれの音響ベント内に配置され、各音声トランスデューサは、指向性音声波を生成するために位相を相関付けされた離散出力信号を受信するように構成されている、複数の音声トランスデューサと
を含む、音響導波管と
を備える、ヘッドウェアラブルデバイス。
【請求項32】
音声信号を提示するための方法であって、
音源を介して、音声信号の1つ以上の音響波を音響導波管の導波管部材に発することと、
第1の音響ベントにおいて前記1つ以上の音響波を受信することであって、前記第1の音響ベントは、前記導波管部材の下面に配置される、ことと、
前記1つ以上の音響波に基づいて前記第1の音響ベントにおいて第1の点音源を生成することと、
第2の音響ベントにおいて前記1つ以上の音響波を受信することであって、前記第2の音響ベントは、前記導波管部材の前記下面に配置される、ことと、
前記1つ以上の音響波に基づいて前記第2の音響ベントにおいて第2の点音源を生成することと、
前記第1の点音源に対応する第1の音声信号を提示することと、
前記第2の点音源に対応する第2の音声信号を提示することと
を含む、方法。
【請求項33】
吸音器を介して、前記音響導波管の第2の端部で前記1つ以上の音響波を吸収することを含み、前記第2の端部は、前記音響導波管の第1の端部の反対側にある、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の音声信号を提示することは、正面波面をユーザの耳に提示することを含み、前記第2の音声信号を提示することは、前記正面波面を前記ユーザの前記耳に提示することをさらに含む、請求項32から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記導波管部材の本体は、複数の分岐を含み、前記複数の分岐の各分岐は、前記複数の音響ベントのうちの1つに対応する、請求項32から34のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月27日に出願された米国仮特許出願第63/272,561号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、1つ以上の音声信号を提示するためのシステムに関し、特に、1つ以上の音声信号をユーザに提示するためのヘッドマウントデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
仮想環境は、コンピューティング環境においてユビキタスであり、ビデオゲーム(仮想環境がゲーム世界を表し得る);マップ(仮想環境がナビゲートされる地形を表し得る);シミュレーション(仮想環境が現実環境をシミュレートし得る);デジタルストーリーテリング(仮想キャラクタが仮想環境において互いに対話し得る);および多くの他の用途において使用されている。現代のコンピュータユーザは、一般に、仮想環境を快適に知覚し、仮想環境と対話する。しかしながら、仮想環境に関するユーザの体験は、仮想環境を提示するための技術によって制限される可能性がある。例えば、従来のディスプレイ(例えば、2D表示画面)および音声システム(例えば、固定スピーカ)は、魅力的で現実的で没入感のある体験を生み出す方法で仮想環境を実現することができないことがある。
【0004】
仮想現実(「VR」)、拡張現実(「AR」)、複合現実(「MR」)、および関連技術(まとめて「XR」)は、XRシステムのユーザに、コンピュータシステム内のデータによって表される仮想環境に対応する感覚情報を提示する能力を共有する。そのようなシステムは、仮想の視覚キューおよび音声キューを現実の風景および音と組み合わせることによって、独自に高められた没入感および臨場感を提供することができる。したがって、ユーザの現実の環境において音が発生している、すなわち自然に、かつ音に対するユーザの期待と一貫して発生しているように、XRシステムのユーザにデジタル音を提示することが望ましくなり得る。一般的に言えば、ユーザは、仮想音が、それが聞こえる現実の環境の音響特性をとることを期待する。例えば、大きなコンサートホールにいるXRシステムユーザは、XRシステムの仮想音が大きくかつ広々とした音波品質を有することを期待するし、逆に、小さなアパートにいるユーザは、音がより減衰し、近く、かつ即座なものであることを期待する。仮想音を現実および/または仮想の環境の音響特性と一致させることに加えて、仮想音を空間化することによって臨場感はさらに向上される。例えば、仮想オブジェクトは、視覚的に背後からユーザを通り過ぎて飛行することがあり、ユーザは、それに対応する仮想音が、ユーザに対する仮想オブジェクトの空間的な動きを同様に反映することを期待することがある。
【0005】
既存の技術は、ユーザの周囲を考慮していない、または仮想オブジェクトの空間的動きに対応していない仮想音声を提示することなどによって、多くの場合、これらの期待を満たしておらず、ユーザ体験を損ない得る違和感につながる。XRシステムのユーザの観察結果は、仮想コンテンツと現実環境との間において、ユーザが視覚的不一致(例えば、照明の不一致)を比較的許容することがある一方で、ユーザが聴覚不一致に対してより敏感なことがあることを示している。我々自身の聴覚経験は、生活を通して継続的に洗練され、聞いている音が物理的環境にどのように影響されるかを鋭敏に意識させ、そのような期待と一致しない音を過度に意識し得る。XRシステムにおいて、このような不一致は不快となる可能性があり、没入的で引き付ける体験を、ギミックのある模倣的な体験に変えてしまう可能性がある。極端な例では、内耳が、聴覚刺激をそれに対応する視覚キューと調和させることができないため、聴覚的不一致は、酔いおよび他の病的影響を引き起こす可能性がある。
【0006】
XRシステムによってユーザの視野内に仮想の音声オブジェクトをレンダリングすることは、特に、ユーザの外耳道の入り口の近くに取り付けられた従来のイヤホンおよび/またはスピーカを用いて音がユーザに送達される場合には、困難なことがある。現実の環境では、音は一般に、正面入射波面を介して個人の耳によって受け取られる。正面入射波面は、個人の耳介、すなわち肉体として目に見える耳の外側部分と相互作用し得るため、これが個人が聞く外部音に固有の音響シグネチャを与え得る。スピーカが耳の上または耳内部に取り付けられている場合、ユーザによって受け取られる音は、この固有の音響シグネチャを含まないことがあるため、ユーザの没入型XR体験を損ない得る。さらに、スピーカの音声トランスデューサをユーザの耳の近くに配置すると、ヘッドマウントディスプレイのアームに嵩と重量が加わり得るため、ユーザの耳がその重量を支持するときに不快になり得る。さらに、いくつかのスピーカシステムは音漏れを起こしやすく、スピーカによって生成された音が近傍の他の個人にも聞こえ得る。音漏れは、ユーザおよび他の個人にとって煩わしいだけでなく、ユーザのオーディオプライバシーを妨げることもある。したがって、最小限の音漏れでユーザの耳介の音響シグネチャを含む音響入射を提供することが可能なスピーカシステムを提供することが望ましくなり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための音響導波管および使用方法に関する。本開示の実施形態による音響導波管は、ユーザによって知覚される音がユーザの耳介の音響シグネチャを含み得るように正面音入射をユーザに提供することができる。本開示の実施形態はまた、音響導波管の音源指向性に起因する最小限の音漏れを提供することができる。本開示の実施形態による装置は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材を含むことができる。装置は、少なくとも第1の音波を発するように構成された導波管の第1の端部に配置された音源をさらに含むことができる。装置は、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントをさらに含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信するように構成され、かつ、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するようにさらに構成され、それぞれの音波はそれぞれの点音源に対応する。
【0008】
本開示の実施形態は、ヘッドウェアラブルデバイスを含むことができる。例えば、ヘッドウェアラブルデバイスは、フロントフレームと、フロントフレームに結合されたディスプレイと、フロントフレームに結合され、ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、音響導波管とを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材と、導波管の第1の端部に配置された音源と、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントとを含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信し、さらに、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するように構成され、それぞれの音波は、それぞれの点音源に対応する。
【0009】
本開示の実施形態は、ヘッドウェアラブルデバイスを含むことができる。例えば、ヘッドウェアラブルデバイスは、フロントフレームと、フロントフレームに結合されたディスプレイと、フロントフレームに結合され、ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、音響導波管とを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響導波管は、音声源と、音声源に結合され、音声信号を生成するように構成されたデコーダと、デコーダから音声信号を受信し、ビーム形成信号を生成するように構成されたデジタル信号プロセッサ(DSP)と、導波管の下面に配置された複数の音響ベントと、複数の音声トランスデューサとを含むことができる。いくつかの実施形態では、各音声トランスデューサは、複数の音響ベントのそれぞれの音響ベント内に配置され、各音声トランスデューサは、指向性音声波を生成するために位相を相関付けされた離散出力信号を受信する。
【0010】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための方法を含むことができる。1つ以上の実施形態によれば、方法は、音源を介して、音声信号の1つ以上の音響波を音響導波管の導波管部材に発することと、第1の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第1の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第1の音響ベントにおいて第1の点音源を生成することと、第2の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第2の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第2の音響ベントにおいて第2の点音源を生成することと、第1の点音源および第2の点音源を提示することとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実環境を示している。
【
図1B】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実環境を示している。
【
図1C】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実環境を示している。
【0012】
【
図2A】
図2A~
図2Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実環境を生成し、それと対話するために使用されることができる例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実環境を生成し、それと対話するために使用されることができる例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実環境を生成し、それと対話するために使用されることができる例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実環境を生成し、それと対話するために使用されることができる例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【0013】
【
図3A】
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実環境に入力を提供するために使用されることができる例示的な複合現実ハンドヘルドコントローラを示している。
【0014】
【
図3B】
図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムとともに使用されることができる例示的な補助ユニットを示している。
【0015】
【
図4】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムについての例示的な機能ブロック図を示している。
【0016】
【
図5A】
図5A~
図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音響導波管を示している。
【
図5B】
図5A~
図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音響導波管を示している。
【0017】
【
図6A】
図6A~
図6Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【
図6B】
図6A~
図6Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【
図6C】
図6A~
図6Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【
図6D】
図6A~
図6Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【0018】
【
図7A】
図7Aは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、スピーカシステムを動作させるためのプロセスの例示的なブロック図を示している。
【0019】
【
図7B】
図7B~
図7Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音声放射パターンを示している。
【
図7C】
図7B~
図7Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音声放射パターンを示している。
【
図7D】
図7B~
図7Dは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音声放射パターンを示している。
【0020】
【
図8】
図8は、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【0021】
【
図9】
図9は、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的な音響導波管を示している。
【0022】
【
図10A】
図10A~
図10Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的なスピーカシステムを示している。
【
図10B】
図10A~
図10Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、複合現実システム用の例示的なスピーカシステムを示している。
【0023】
【
図11】
図11は、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、スピーカシステムを動作させるためのプロセスの例示的なブロック図を示している。
【0024】
【
図12】
図12は、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
以下の例の説明では、本明細書の一部を形成し、実施されることができる特定の例を例示として示す添付の図面を参照する。開示された例の範囲から逸脱することなく、他の例が使用されることができ、構造的変更が行われることができることを理解されたい。
複合現実環境
【0026】
全ての人と同様に、複合現実システムのユーザは、現実環境、すなわち、ユーザによって知覚可能な「現実世界」の3次元部分およびそのコンテンツの全てに存在する。例えば、ユーザは、人間の通常の感覚(視覚、音、触覚、味覚、嗅覚)を使用して現実環境を知覚し、現実環境内で自分の身体を動かすことによって現実環境と対話する。現実環境における位置は、座標空間における座標として記述されることができる。例えば、座標は、海面に対する緯度、経度、および高度;基準点からの3つの直交寸法における距離;または他の適切な値を含むことができる。同様に、ベクトルは、座標空間内の方向および大きさを有する量を記述することができる。
【0027】
コンピューティングデバイスは、例えば、デバイスに関連付けられたメモリに、仮想環境の表現を維持することができる。本明細書で使用される場合、仮想環境は、3次元空間の計算表現である。仮想環境は、任意のオブジェクト、アクション、信号、パラメータ、座標、ベクトル、またはその空間に関連付けられた他の特性の表現を含むことができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイスの回路(例えば、プロセッサ)は、仮想環境の状態を維持および更新することができる。すなわち、プロセッサは、第1の時間t0において、仮想環境に関連付けられたデータおよび/またはユーザによって提供された入力に基づいて、第2の時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。例えば、仮想環境内のオブジェクトが時間t0において第1の座標に位置し、特定のプログラムされた物理的パラメータ(例えば、質量、摩擦係数)を有する場合、ユーザから受信した入力は、方向ベクトルにおいてオブジェクトに力が加えられるべきであることを指示する。プロセッサは、基本力学を使用して時間t1におけるオブジェクトの位置を決定するために運動学の法則を適用することができる。プロセッサは、仮想環境について知られている任意の適切な情報および/または任意の適切な入力を使用して、時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。仮想環境の状態を維持および更新する際に、プロセッサは、仮想環境における仮想オブジェクトの作成および削除に関連するソフトウェア;仮想環境における仮想オブジェクトまたはキャラクタの挙動を定義するためのソフトウェア(例えば、スクリプト);仮想環境における信号(例えば、音声信号)の挙動を定義するためのソフトウェア;仮想環境に関連付けられたパラメータを作成および更新するためのソフトウェア;仮想環境において音声信号を生成するためのソフトウェア;入出力を扱うソフトウェア;ネットワーク動作を実装するためのソフトウェア;アセットデータを適用するソフトウェア(例えば、仮想オブジェクトを経時的に移動させるためのアニメーションデータ);または他の多くの可能性を含む任意の適切なソフトウェアを実行することができる。
【0028】
ディスプレイまたはスピーカなどの出力デバイスは、仮想環境の任意のまたは全ての態様をユーザに提示することができる。例えば、仮想環境は、ユーザに提示されることができる仮想オブジェクト(これは、無生物;人々;動物;ライトなどのオブジェクトの表現を含み得る)を含み得る。プロセッサは、仮想環境のビューを決定することができ(例えば、原点座標、ビュー軸、および錐台を有する「カメラ」に対応する)、ディスプレイに、そのビューに対応する仮想環境の視聴可能なシーンをレンダリングすることができる。この目的のために、任意の適切なレンダリング技術が使用され得る。いくつかの例では、視聴可能なシーンは、仮想環境内のいくつかの仮想オブジェクトのみを含み、特定の他の仮想オブジェクトを除外し得る。同様に、仮想環境は、1つ以上の音声信号としてユーザに提示され得る音声態様を含み得る。例えば、仮想環境内の仮想オブジェクトは、オブジェクトの位置座標から生じる音を生成し得る(例えば、仮想キャラクタは、発話するか、または効果音を発生させ得る)。あるいは、仮想環境は、特定の位置に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい音楽キューまたは周囲音に関連付けられてもよい。プロセッサは、「聴取者」座標に対応する音声信号、例えば、仮想環境内の音の合成に対応し、聴取者座標において聴取者が聞く音声信号をシミュレートするために混合および処理された音声信号を決定し、1つ以上のスピーカを介して音声信号をユーザに提示することができる。
【0029】
仮想環境は、計算構造としてのみ存在するため、ユーザは、通常の感覚を使用して仮想環境を直接知覚することはできない。代わりに、ユーザは、例えばディスプレイ、スピーカ、触覚出力デバイスなどによってユーザに提示されるように、仮想環境を間接的にのみ知覚することができる。同様に、ユーザは、仮想環境に直接触れたり、仮想環境を操作したり、仮想環境と直接対話したりすることはできないが、仮想環境を更新するためにデバイスまたはセンサデータを使用することができるプロセッサに、入力デバイスまたはセンサを介して入力データを提供することができる。例えば、カメラセンサは、ユーザが仮想環境内でオブジェクトを移動させようとしていることを示す光学データを提供することができ、プロセッサは、そのデータを使用して、仮想環境内でオブジェクトにそれに応じて応答させることができる。
【0030】
複合現実システムは、例えば、透過型ディスプレイおよび/または1つ以上のスピーカ(これは、例えば、ウェアラブルヘッドデバイスに組み込まれてもよい)を使用して、現実環境と仮想環境との態様を組み合わせた複合現実環境(「MRE」)をユーザに提示することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のスピーカは、ヘッドマウントウェアラブルユニットの外部にあってもよい。本明細書で使用される場合、MREは、現実環境と対応する仮想環境との同時表現である。いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、単一の座標空間を共有する。いくつかの例では、実座標空間および対応する仮想座標空間は、変換行列(または他の適切な表現)によって互いに関連付けられる。したがって、単一の座標(いくつかの例では、変換行列とともに)は、現実環境内の第1の位置、および仮想環境内の第2の対応する位置を定義することができ、逆もまた同様である。
【0031】
MREでは、仮想オブジェクト(例えば、MREに関連付けられた仮想環境における)は、現実オブジェクト(例えば、MREに関連する現実環境における)に対応することができる。例えば、MREの現実環境が位置座標に現実のランプポスト(現実オブジェクト)を含む場合、MREの仮想環境は、対応する位置座標に仮想ランプポスト(仮想オブジェクト)を含み得る。本明細書で使用される場合、現実オブジェクトは、対応する仮想オブジェクトと組み合わせて、「複合現実オブジェクト」を構成する。仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトと完全に一致または位置合わせされる必要はない。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの単純化版とすることができる。例えば、現実環境が現実のランプポストを含む場合、対応する仮想オブジェクトは、現実のランプポストとほぼ同じ高さおよび半径の円筒を含み得る(ランプポストがほぼ円筒形の形状であり得ることを反映している)。このように仮想オブジェクトを単純化することは、計算効率を高めることができ、そのような仮想オブジェクトに対して実行される計算を単純化することができる。さらに、MREのいくつかの例では、現実環境内の全ての現実オブジェクトが対応する仮想オブジェクトに関連付けられるとは限らない。同様に、MREのいくつかの例では、仮想環境内の全ての仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトに関連付けられるとは限らない。すなわち、いくつかの仮想オブジェクトは、現実世界の対応物なしで、MREの仮想環境のみであってもよい。
【0032】
いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの特性とは時々大幅に異なる特性を有し得る。例えば、MRE内の現実環境は、緑色の2本腕のサボテン(とげのある無生物のオブジェクト)を含み得るが、MRE内の対応する仮想オブジェクトは、人間の顔の特徴および無表情を有する緑色の2本腕の仮想キャラクタの特性を有し得る。この例では、仮想オブジェクトは、特定の特性(色、腕の数)においてその対応する現実オブジェクトに似ているが、他の特性(顔の特徴、性格)は、現実オブジェクトとは異なる。このようにして、仮想オブジェクトは、創造的、抽象的、誇張的、または想像的な方法で現実オブジェクトを表す、または、そうでなければ無生物の現実オブジェクトに挙動(例えば、人間の性格)を与える可能性を有する。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、現実世界の対応物のない純粋に想像力のある作成物(例えば、場合によっては現実環境内の空きスペースに対応する位置にいる仮想環境内の仮想モンスター)であり得る。
【0033】
現実環境を不明瞭にしながらユーザに仮想環境を提示するVRシステムと比較して、MREを提示する複合現実システムは、仮想環境が提示されている間に現実環境が知覚可能なままであるという利点を提供する。したがって、複合現実システムのユーザは、現実環境に関連付けられた視覚的および音声的キューを使用して、対応する仮想環境を体験し、対話することができる。例として、上述したように、ユーザは、仮想環境を直接知覚または対話することができないため、VRシステムのユーザは、仮想環境に表示された仮想オブジェクトを知覚または対話するのに苦労することがあるが、MRシステムのユーザは、自分自身の現実環境内の対応する現実オブジェクトを見て、聞いて、触れることによって仮想オブジェクトと対話することが直感的かつ自然であると見出し得る。このレベルの対話性は、仮想環境との没入感、接続感、および関与感を高めることができる。同様に、現実環境と仮想環境とを同時に提示することによって、複合現実システムは、VRシステムに関連付けられた否定的な心理的感情(例えば、認知的不協和)および否定的な身体的感情(例えば、酔い)を低減することができる。複合現実システムは、現実世界の体験を増強または変更し得るアプリケーションの多くの可能性をさらに提供する。
【0034】
図1Aは、ユーザ110が複合現実システム112を使用する例示的な現実環境100を示している。複合現実システム112は、例えば以下に説明するように、ディスプレイ(例えば、透過型ディスプレイ)および1つ以上のスピーカ、ならびに1つ以上のセンサ(例えば、カメラ)を備え得る。図示の現実環境100は、ユーザ110が立っている長方形部屋104Aと、現実オブジェクト122A(ランプ)、現実オブジェクト124A(テーブル)、現実オブジェクト126A(ソファー)、および現実オブジェクト128A(絵画)とを含む。部屋104Aは、現実環境100の原点とみなし得る位置座標106をさらに含む。
図1Aに示すように、その原点106(世界座標)を有する環境/世界座標系108(x軸108X、y軸108Y、およびz軸108Zを含む)は、現実環境100の座標空間を定義することができる。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、複合現実システム112の電源がオンにされた場所に対応し得る。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、動作中にリセットされてもよい。いくつかの例では、ユーザ110は、現実環境100内の現実オブジェクトとみなし得る。同様に、ユーザ110の身体部分(例えば、手、足)は、現実環境100における現実オブジェクトとみなし得る。いくつかの例では、点115(例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標)を原点とするユーザ/聴取者/頭部座標系114(x軸114X、y軸114Y、およびz軸114Zを含む)は、複合現実システム112が配置されているユーザ/聴取者/頭部についての座標空間を定義することができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の1つ以上の構成要素に対して定義され得る。例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の初期較正中などに、複合現実システム112のディスプレイに対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、左耳座標116および右耳座標117は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115に対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、左耳座標116および右耳座標117とユーザ/聴取者/頭部座標系114空間との間の変換を特徴付けることができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114は、ユーザの頭部、または例えば環境/世界座標系108に対する頭部装着型デバイスに対する位置の表現を単純化することができる。同時位置推定およびマッピング(SLAM)、ビジュアルオドメトリ、または他の技術を使用して、ユーザ座標系114と環境座標系108との間の変換がリアルタイムで決定および更新されることができる。
【0035】
図1Bは、現実環境100に対応する例示的な仮想環境130を示している。図示の仮想環境130は、現実の長方形部屋104Aに対応する仮想の長方形部屋104Bと、現実オブジェクト122Aに対応する仮想オブジェクト122B;現実オブジェクト124Aに対応する仮想オブジェクト124B;現実オブジェクト126Aに対応する仮想オブジェクト126Bとを含む。仮想オブジェクト122B、124B、126Bに関連付けられたメタデータは、対応する現実オブジェクト122A、124A、および126Aから導出された情報を含むことができる。仮想環境130は、現実環境100内のいかなる現実オブジェクトにも対応しない仮想モンスター132をさらに備える。現実環境100における現実オブジェクト128Aは、仮想環境130におけるいずれの仮想オブジェクトにも対応しない。点134をその原点とする持続座標系133(x軸133X、y軸133Y、およびz軸133Zを含む)(持続座標)は、仮想コンテンツの座標空間を定義することができる。持続座標系133の原点134は、現実オブジェクト126Aなどの1つ以上の現実オブジェクトに対して/相対的に定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、持続座標系133空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、持続座標系133の原点134に対して独自の持続座標点を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の持続座標系が存在してもよく、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、1つ以上の持続座標系に対して独自の持続座標点を有してもよい。
【0036】
持続座標データは、物理的環境に対して持続的な座標データであり得る。持続座標データは、持続的仮想コンテンツを配置するためにMRシステム(例えば、MRシステム112、200)によって使用されてもよく、持続的仮想コンテンツは、仮想オブジェクトが表示されているディスプレイの動きに結び付けられなくてもよい。例えば、2次元スクリーンは、スクリーン上の位置に対する仮想オブジェクトのみを表示し得る。2次元スクリーンの移動に伴って、仮想コンテンツがスクリーンとともに移動してもよい。いくつかの実施形態では、持続的仮想コンテンツは、部屋の隅に表示され得る。MRユーザは、隅を見て、仮想コンテンツを見て、隅から外を見てもよく(ユーザの頭部の動きにより、仮想コンテンツがユーザの視野内からユーザの視野外の位置に移動した可能性があるため、仮想コンテンツはもはや見えなくなり得る)、後ろを見て隅内の仮想コンテンツを見てもよい(現実オブジェクトが挙動し得る方法と同様)。
【0037】
いくつかの実施形態では、持続座標データ(例えば、持続座標系および/または持続座標フレーム)は、原点および3つの軸を含むことができる。例えば、持続座標系は、MRシステムによって部屋の中心に割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、部屋の中を動き回ったり、部屋の外に出たり、部屋に再び入ったりしてもよく、持続座標系は、(例えば、物理的環境に対して持続することから)部屋の中心に留まってもよい。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトは、持続的仮想コンテンツの表示を可能にし得る持続座標データへの変換を使用して表示され得る。いくつかの実施形態では、MRシステムは、持続座標データを生成するために同時位置特定およびマッピングを使用し得る(例えば、MRシステムは、持続座標系を空間内の点に割り当て得る)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、一定の間隔で持続座標データを生成することによって環境をマッピングし得る(例えば、MRシステムは、グリッド内に持続座標系を割り当て得て、持続座標系は、別の持続座標系から少なくとも5フィート以内にあり得る)。
【0038】
いくつかの実施形態では、持続座標データは、MRシステムによって生成され、リモートサーバに送信され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、持続座標データを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、複数の観測インスタンスからの持続座標データを同期させるように構成され得る。例えば、複数のMRシステムは、同じ部屋を持続座標データによってマッピングし、そのデータをリモートサーバに送信し得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、この観測データを使用して、1つ以上の観測に基づき得る標準的な持続座標データを生成し得る。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、持続座標データの単一の観測よりも正確および/または信頼性が高くてもよい。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、1つ以上のMRシステムに送信され得る。例えば、MRシステムは、画像認識および/または位置データを使用して、対応する標準的な持続座標データを有する部屋に位置することを認識し得る(例えば、他のMRシステムが以前に部屋をマッピングしていることから)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、その位置に対応する標準的な持続座標データをリモートサーバから受信し得る。
【0039】
図1Aおよび
図1Bに関連して、環境/世界座標系108は、現実環境100および仮想環境130の両方についての共有座標空間を定義する。図示の例では、座標空間は、点106にその原点を有する。さらに、座標空間は、同じ3つの直交軸(108X、108Y、108Z)によって定義される。したがって、現実環境100内の第1の位置、および仮想環境130内の第2の対応する位置は、同じ座標空間に関して記述されることができる。これは、同じ座標が使用されて両方の位置を識別することができるため、現実環境および仮想環境における対応する位置の識別および表示を単純化する。しかしながら、いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、共有座標空間を使用する必要はない。例えば、いくつかの例(図示せず)では、行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、現実環境座標空間と仮想環境座標空間との間の変換を特徴付けることができる。
【0040】
図1Cは、現実環境100および仮想環境130の態様を、複合現実システム112を介してユーザ110に同時に提示する例示的なMRE150を示している。図示の例では、MRE150は、現実環境100からの現実オブジェクト122A、124A、126A、および128A(例えば、複合現実システム112のディスプレイの透過部分を介して)、および仮想環境130からの仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132(例えば、複合現実システム112のディスプレイのアクティブ表示部分を介して)をユーザ110に同時に提示する。上記のように、原点106は、MRE150に対応する座標空間の原点として機能し、座標系108は、座標空間のx軸、y軸、およびz軸を定義する。
【0041】
図示の例では、複合現実オブジェクトは、座標空間108内の対応する位置を占める現実オブジェクトと仮想オブジェクトの対応するペア(すなわち、122A/122B、124A/124B、126A/126B)を含む。いくつかの例では、現実オブジェクトと仮想オブジェクトの両方がユーザ110に同時に見えることがある。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトのビューを拡張するように設計された情報を提示する場合(仮想オブジェクトが古い損傷した彫刻の欠落したピースを提示する美術館アプリケーションなど)に望ましいことがある。いくつかの例では、対応する現実オブジェクト(122A、124A、および/または126A)を遮るように、仮想オブジェクト(122B、124B、および/または126B)が表示され得る(例えば、画素化遮蔽シャッタを使用するアクティブ画素化遮蔽を介して)。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトの視覚的置換として機能する場合(無生物の現実オブジェクトが「生きている」キャラクタになる対話型ストーリーテリングアプリケーションなど)に望ましいことがある。
【0042】
いくつかの例では、現実オブジェクト(例えば、122A、124A、126A)は、必ずしも仮想オブジェクトを構成しなくてもよい仮想コンテンツまたはヘルパーデータに関連付けられてもよい。仮想コンテンツまたはヘルパーデータは、複合現実環境における仮想オブジェクトの処理または取り扱いを容易にすることができる。例えば、そのような仮想コンテンツは、対応する現実オブジェクトの2次元表現;対応する現実オブジェクトに関連付けられたカスタムアセットタイプ;または対応する現実オブジェクトに関連付けられた統計データを含むことができる。この情報は、不必要な計算オーバーヘッドを招くことなく、現実オブジェクトを含む計算を可能または容易にすることができる。
【0043】
いくつかの例では、上述した提示はまた、音声態様を組み込んでもよい。例えば、MRE150では、仮想モンスター132は、モンスターがMRE150の周りを歩くときに生成される足音効果などの1つ以上の音声信号に関連付けられることができる。以下にさらに説明するように、複合現実システム112のプロセッサは、MRE150内の全てのそのような音の混合および処理された合成に対応する音声信号を計算し、複合現実システム112に含まれる1つ以上のスピーカおよび/または1つ以上の外部スピーカを介してユーザ110に音声信号を提示することができる。
例示的な複合現実システム
【0044】
例示的な複合現実システム112は、(ニアアイディスプレイであってもよい左右の透過型ディスプレイと、ディスプレイからの光をユーザの眼に結合するための関連構成要素とを備え得る)ディスプレイ;左右スピーカ(例えば、ユーザの左右の耳にそれぞれ隣接して配置される);(例えば、ヘッドデバイスのテンプルアームに取り付けられる)慣性測定ユニット(IMU);(例えば、左側のテンプル片に取り付けられる)直交コイル型電磁受信機;ユーザから離れる方向に向けられた左右のカメラ(例えば、深度(飛行時間)カメラ);および(例えば、ユーザの眼球運動を検出するための)ユーザに向けられた左右の眼のカメラを備えるウェアラブルヘッドデバイス(例えば、ウェアラブル拡張現実または複合現実ヘッドデバイス)を含むことができる。しかしながら、複合現実システム112は、任意の適切なディスプレイ技術、および任意の適切なセンサ(例えば、光学、赤外線、音響、LIDAR、EOG、GPS、磁気)を組み込むことができる。さらに、複合現実システム112は、他の複合現実システムを含む他のデバイスおよびシステムと通信するためのネットワーキング機能(例えば、Wi-Fi機能)を組み込み得る。複合現実システム112は、バッテリ(ユーザの腰の周りに装着されるように設計されたベルトパックなどの補助ユニットに装着され得る)、プロセッサ、およびメモリをさらに含み得る。複合現実システム112のウェアラブルヘッドデバイスは、ユーザの環境に対するウェアラブルヘッドデバイスの座標のセットを出力するように構成された、IMUまたは他の適切なセンサなどの追跡構成要素を含み得る。いくつかの例では、追跡構成要素は、同時位置特定およびマッピング(SLAM)および/またはビジュアルオドメトリアルゴリズムを実行するプロセッサに入力を提供し得る。いくつかの例では、複合現実システム112はまた、以下にさらに説明するように、ウェアラブルベルトパックであってもよいハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320を含んでもよい。
【0045】
図2A~
図2Dは、MRE(MRE150に対応し得る)または他の仮想環境をユーザに提示するために使用され得る例示的な複合現実システム200(複合現実システム112に対応し得る)の構成要素を示している。
図2Aは、例示的な複合現実システム200に含まれるウェアラブルヘッドデバイス2102の斜視図を示している。
図2Bは、ユーザの頭部2202に装着されたウェアラブルヘッドデバイス2102の平面図を示している。
図2Cは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の正面図を示している。
図2Dは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の例示的なアイピース2110の端面図を示している。
図2A~
図2Cに示すように、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102は、例示的な左アイピース(例えば、左透明導波管セットアイピース)2108および例示的な右アイピース(例えば、右透明導波管セットアイピース)2110を含む。各アイピース2108および2110は、現実環境が見られることができる透過要素、ならびに現実環境と重複するディスプレイ(例えば、イメージワイズ変調光を介して)を提示するためのディスプレイ要素を含むことができる。いくつかの例では、そのようなディスプレイ要素は、イメージワイズ変調光の流れを制御するための表面回折光学素子を含むことができる。例えば、左アイピース2108は、左内部結合格子セット2112、左直交瞳孔拡張(OPE)格子セット2120、および左射出(出力)瞳孔拡張(EPE)格子セット2122を含むことができる。本明細書で使用される場合、瞳は、格子セットまたは反射器などの光学素子からの光の出射を指し得る。同様に、右アイピース2110は、右内部結合格子セット2118、右OPE格子セット2114、および右EPE格子セット2116を含むことができる。イメージワイズ変調された光は、内部結合格子2112および2118、OPE2114および2120、ならびにEPE2116および2122を介してユーザの眼に伝達されることができる。各内部結合格子セット2112、2118は、光をその対応するOPE格子セット2120、2114に向けて偏向させるように構成されることができる。各OPE格子セット2120、2114は、光をその関連するEPE2122、2116に向かって徐々に下方に偏向させ、それによって形成される射出瞳を水平に延ばすように設計されることができる。各EPE2122、2116は、その対応するOPE格子セット2120、2114から受光した光の少なくとも一部を、アイピース2108、2110の背後に画定されたユーザのアイボックス位置(図示せず)に徐々に向け直すように構成されることができ、アイボックスに形成された射出瞳を垂直に延長する。あるいは、内部結合格子セット2112および2118、OPE格子セット2114および2120、ならびにEPE格子セット2116および2122の代わりに、アイピース2108および2110は、イメージワイズ変調された光のユーザの眼への結合を制御するための格子ならびに/または屈折および反射機構の他の配置を含むことができる。
【0046】
いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス2102は、左テンプルアーム2130および右テンプルアーム2132を含むことができ、左テンプルアーム2130は、左スピーカ2134を含み、右テンプルアーム2132は、右スピーカ2136を含む。直交コイル電磁受信機2138は、左テンプル片内、またはウェアラブルヘッドユニット2102内の別の適切な位置に配置されることができる。慣性測定ユニット(IMU)2140は、右テンプルアーム2132内に、またはウェアラブルヘッドデバイス2102内の別の適切な位置に配置されることができる。ウェアラブルヘッドデバイス2102はまた、左深度(例えば、飛行時間)カメラ2142および右深度カメラ2144を含むことができる。深度カメラ2142、2144は、より広い視野をともにカバーするように、異なる方向に適切に配向されることができる。
【0047】
図2A~
図2Dに示す例では、イメージワイズ変調光の左光源2124は、左の内部結合格子セット2112を介して左アイピース2108に光学的に結合されることができ、イメージワイズ変調光の右光源2126は、右内部結合格子セット2118を介して右アイピース2110に光学的に結合されることができる。イメージワイズ変調光の光源2124、2126は、例えば、光ファイバスキャナ;デジタル光処理(DLP)チップまたは液晶オンシリコン(LCoS)変調器などの電子光変調器を含むプロジェクタ;または、側面ごとに1つ以上のレンズを使用して内部結合格子セット2112、2118に結合されたマイクロ発光ダイオード(μLED)またはマイクロ有機発光ダイオード(μOLED)パネルなどの発光ディスプレイを含むことができる。入力結合格子セット2112、2118は、イメージワイズ変調光の光源2124、2126からの光を、アイピース2108、2110の全内部反射(TIR)の臨界角を超える角度に偏向させることができる。OPE格子セット2114、2120は、TIRによって伝播する光をEPE格子セット2116、2122に向かって徐々に下方に偏向させる。EPE格子セット2116、2122は、ユーザの眼の瞳孔を含むユーザの顔に向かって光を徐々に結合する。
【0048】
いくつかの例では、
図2Dに示すように、左アイピース2108および右アイピース2110の各々は、複数の導波管2402を含む。例えば、各アイピース2108、2110は、それぞれがそれぞれの色チャネル(例えば、赤色、青色および緑色)専用の複数の個々の導波管を含むことができる。いくつかの例では、各アイピース2108、2110は、そのような導波管の複数のセットを含むことができ、各セットは、発せられた光に異なる波面曲率を付与するように構成される。波面曲率は、例えば、ユーザの前方にある距離(例えば、波面曲率の逆数に対応する距離だけ)に配置された仮想オブジェクトを提示するために、ユーザの眼に対して凸状であってもよい。いくつかの例では、EPE格子セット2116、2122は、各EPEを横切る出射光のポインティングベクトルを変更することによって凸波面曲率を達成する湾曲格子溝を含むことができる。
【0049】
いくつかの例では、表示されたコンテンツが3次元であるという知覚を作り出すために、立体的に調整された左右の眼の画像が、イメージワイズ光変調器2124、2126およびアイピース2108、2110を通してユーザに提示されることができる。立体的な左右の画像によって示される距離に近い距離に仮想オブジェクトが表示されるように導波管を選択する(したがって、波面曲率に対応する)ことによって、3次元仮想オブジェクトの提示の知覚される臨場感が高められることができる。この技術はまた、立体視左右眼画像によって提供される深度知覚キューと人間の眼の自律神経調節(例えば、オブジェクト距離に依存する焦点)との間の差によって引き起こされ得る、一部のユーザが体験する酔いを低減し得る。
【0050】
図2Dは、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102の右アイピース2110の上からの端面図を示している。
図2Dに示すように、複数の導波管2402は、3つの導波管2404の第1のサブセットと、3つの導波管2406の第2のサブセットとを含むことができる。導波管2404、2406の2つのサブセットは、出射光に異なる波面曲率を付与するために異なる格子線曲率を特徴とする異なるEPE格子によって区別されることができる。導波管2404、2406の各サブセット内で、各導波管が使用されて、異なるスペクトルチャネル(例えば、赤色、緑色、および青色のスペクトルチャネルのうちの1つ)をユーザの右眼2206に結合することができる。(
図2Dには示されていないが、左アイピース2108の構造は、右アイピース2110の構造と類似している。)
【0051】
図3Aは、複合現実システム200の例示的なハンドヘルドコントローラ構成要素300を示している。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、グリップ部346と、上面348に沿って配置された1つ以上のボタン350とを含む。いくつかの例では、ボタン350は、カメラまたは他の光学センサ(これは、複合現実システム200のヘッドユニット(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス2102)に装着されることができる)とともに、例えば、ハンドヘルドコントローラ300の6自由度(6DOF)動きを追跡するための光学追跡ターゲットとして使用するように構成され得る。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、ウェアラブルヘッドデバイス2102に対する位置または向きなどの位置または向きを検出するための追跡構成要素(例えば、IMUまたは他の適切なセンサ)を含む。いくつかの例では、そのような追跡構成要素は、ハンドヘルドコントローラ300のハンドル内に配置されてもよく、および/またはハンドヘルドコントローラに機械的に結合されてもよい。ハンドヘルドコントローラ300は、ボタンの押下状態;またはハンドヘルドコントローラ300の位置、向き、および/または動き(例えば、IMUを介して)のうちの1つ以上に対応する1つ以上の出力信号を提供するように構成されることができる。そのような出力信号は、複合現実システム200のプロセッサへの入力として使用され得る。そのような入力は、ハンドヘルドコントローラの位置、向き、および/または動き(および、延長により、コントローラを保持するユーザの手の位置、向き、および/または動きに)に対応し得る。そのような入力は、ユーザがボタン350を押すことにも対応し得る。
【0052】
図3Bは、複合現実システム200の例示的な補助ユニット320を示している。補助ユニット320は、システム200を動作させるためのエネルギーを供給するためのバッテリを含むことができ、システム200を動作させるためのプログラムを実行するためのプロセッサを含むことができる。図示のように、例示的な補助ユニット320は、補助ユニット320をユーザのベルトに取り付けるなどのためのクリップ2128を含む。ユニットをユーザのベルトに取り付けることを伴わないフォームファクタを含む、他のフォームファクタが補助ユニット320に適しており、明らかであろう。いくつかの例では、補助ユニット320は、例えば、電線および光ファイバを含むことができる多導管ケーブルを介してウェアラブルヘッドデバイス2102に結合される。補助ユニット320とウェアラブルヘッドデバイス2102との間の無線接続も使用されることができる。
【0053】
いくつかの例では、複合現実システム200は、音を検出し、対応する信号を複合現実システムに提供するための1つ以上のマイクロフォンを含むことができる。いくつかの例では、マイクロフォンは、ウェアラブルヘッドデバイス2102に取り付けられるか、または一体化されてもよく、ユーザの音声を検出するように構成されてもよい。いくつかの例では、マイクロフォンは、ハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320に取り付けられるか、または一体化されてもよい。そのようなマイクロフォンは、環境音、周囲の雑音、ユーザもしくは第三者の音声、または他の音を検出するように構成されてもよい。
【0054】
図4は、上述した複合現実システム200(これは、
図1に関する複合現実システム112に対応し得る)などの例示的な複合現実システムに対応し得る例示的な機能ブロック図を示している。
図4に示すように、例示的なハンドヘルドコントローラ400B(ハンドヘルドコントローラ300(「トーテム」)に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6自由度(6DOF)トーテムサブシステム404Aを含み、例示的なウェアラブルヘッドデバイス400A(ウェアラブルヘッドデバイス2102に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6DOFサブシステム404Bを含む。この例では、6DOFトーテムサブシステム404Aおよび6DOFサブシステム404Bは、協働して、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対するハンドヘルドコントローラ400Bの6つの座標(例えば、3つの並進方向のオフセットおよび3つの軸に沿った回転)を決定する。6自由度は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aの座標系を基準として表され得る。3つの並進オフセットは、そのような座標系におけるX、Y、およびZオフセットとして、並進行列として、または他の何らかの表現として表され得る。回転自由度は、ヨー、ピッチ、およびロール回転のシーケンスとして、回転行列として、四元数として、または他の何らかの表現として表され得る。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400A;ウェアラブルヘッドデバイス400Aに含まれる1つ以上の深度カメラ444(および/または1つ以上の非深度カメラ);および/または1つ以上の光学ターゲット(例えば、上述したハンドヘルドコントローラ400Bのボタン350、またはハンドヘルドコントローラ400Bに含まれる専用の光学ターゲット)が6DOF追跡に使用されることができる。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ400Bは、上述したように、カメラを含むことができ、ウェアラブルヘッドデバイス400Aは、カメラと連動して光学追跡のための光学ターゲットを含むことができる。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400Aおよびハンドヘルドコントローラ400Bは、それぞれ、3つの識別可能な信号を無線で送受信するために使用される3つの直交して配向されたソレノイドのセットを含む。受信に使用されるコイルのそれぞれにおいて受信された3つの識別可能な信号の相対的な大きさを測定することにより、ハンドヘルドコントローラ400Bに対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの6DOFが決定され得る。さらに、6DOFトーテムサブシステム404Aは、ハンドヘルドコントローラ400Bの迅速な動きに関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供するのに有用な慣性測定ユニット(IMU)を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ウェアラブルシステム400は、ヘッドギアデバイス400A上に配置された1つ以上のマイクロフォンを含むことができるマイクロフォンアレイ407を含むことができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407は、4つのマイクロフォンを含むことができる。ヘッドギア400Aの前面に2つのマイクロフォンが配置されることができ、ヘッドヘッドギア400Aの背面に2つのマイクロフォンが配置されることができる(例えば、左後方に1つ、右後方に1つ)。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407によって受信された信号は、DSP408に送信されることができる。DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信された信号に対して信号処理を実行するように構成されることができる。例えば、DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信した信号に対してノイズ低減、音響エコー除去、および/またはビームフォーミングを実行するように構成されることができる。DSP408は、信号をプロセッサ416に送信するように構成されることができる。
【0056】
いくつかの例では、例えば、座標系108に対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの動きを補償するために、座標をローカル座標空間(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対して固定された座標空間)から慣性座標空間(例えば、現実環境に対して固定された座標空間)に変換することが必要になることがある。例えば、そのような変換は、現実環境に仮想オブジェクト(例えば、現実の椅子に座っており、ウェアラブルヘッドデバイスの位置および向きに関係なく、前方を向いている仮想人物)が存在するという錯覚を維持するために、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのディスプレイが、ディスプレイ上の固定された位置および向きではなく、現実環境に対して予想される位置(例えば、ディスプレイの右下隅の同じ位置)および向きで仮想オブジェクトを提示するために必要であり得る(そして、例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aが移動および回転するときに現実環境に不自然に配置されているようには見えない)。いくつかの例では、座標空間間の補償変換は、座標系108に対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの変換を決定するために、SLAMおよび/またはビジュアルオドメトリ手順を使用して深度カメラ444からの画像を処理することによって決定されることができる。
図4に示す例では、深度カメラ444は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406に結合され、画像をブロック406に提供することができる。SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406の実装は、この画像を処理し、ユーザの頭部の位置および向きを決定するように構成されたプロセッサを含むことができ、頭部座標空間と別の座標空間(例えば、慣性座標空間)との間の変換を識別するために使用されることができる。同様に、いくつかの例では、ユーザの頭部姿勢および位置に関する追加の情報源は、IMU409から取得される。IMU409からの情報は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406からの情報と統合されて、ユーザの頭部姿勢および位置の迅速な調整に関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供することができる。
【0057】
いくつかの例では、深度カメラ444は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのプロセッサに実装され得るハンドジェスチャトラッカ411に3D画像を供給することができる。ハンドジェスチャトラッカ411は、例えば、深度カメラ444から受信した3D画像をハンドジェスチャを表す記憶されたパターンと照合することによって、ユーザのハンドジェスチャを識別することができる。ユーザのハンドジェスチャを識別する他の適切な技術が明らかであろう。
【0058】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ416は、ウェアラブルヘッドデバイスの6DOFヘッドギアサブシステム404B、IMU409、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406、深度カメラ444、および/またはハンドジェスチャトラッカ411からデータを受信するように構成され得る。プロセッサ416はまた、6DOFトーテムシステム404Aから制御信号を送受信することもできる。プロセッサ416は、ハンドヘルドコントローラ400Bが接続されていない例のように、6DOFトーテムシステム404Aに無線で結合されてもよい。プロセッサ416は、さらに、視聴覚コンテンツメモリ418、グラフィカル処理ユニット(GPU)420、および/またはデジタル信号プロセッサ(DSP)音声空間化器422などの追加の構成要素と通信してもよい。DSP音声空間化器422は、頭部伝達関数(HRTF)メモリ425に結合されてもよい。GPU420は、イメージワイズ変調光の左光源424に結合された左チャネル出力と、イメージワイズ変調光の右光源426に結合された右チャネル出力とを含むことができる。GPU420は、例えば、
図2A~
図2Dを参照して上述したように、立体画像データをイメージワイズ変調光の光源424、426に出力することができる。DSP音声空間化器422は、左スピーカ412および/または右スピーカ414に音声を出力することができる。DSP音声空間化器422は、ユーザから仮想音源(これは、例えば、ハンドヘルドコントローラ320を介して、ユーザによって移動され得る)への方向ベクトルを示す入力をプロセッサ419から受信することができる。方向ベクトルに基づいて、DSP音声空間化器422は、(例えば、HRTFにアクセスすることによって、または複数のHRTFを補間することによって)対応するHRTFを決定することができる。次いで、DSP音声空間化器422は、決定されたHRTFを、仮想オブジェクトによって生成された仮想音に対応する音声信号などの音声信号に適用することができる。これは、複合現実環境における仮想音に対するユーザの相対的な位置および向きを組み込むことによって、すなわち、仮想音が現実環境の現実音である場合にその仮想音がどのように聞こえるかというユーザの期待に一致する仮想音を提示することによって、仮想音の真実味および臨場感を高めることができる。
【0059】
図4に示すようないくつかの例では、プロセッサ416、GPU420、DSP音声空間化器422、HRTFメモリ425、および視聴覚コンテンツメモリ418のうちの1つ以上は、補助ユニット400C(上述した補助ユニット320に対応し得る)に含まれ得る。補助ユニット400Cは、その構成要素に電力を供給するため、および/またはウェアラブルヘッドデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに電力を供給するためのバッテリ427を含み得る。ユーザの腰に装着されることができる補助ユニットにこのような構成要素を含めることは、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのサイズおよび重量を制限することができ、ひいてはユーザの頭と首の疲労を軽減することができる。
【0060】
図4は、例示的な複合現実システムの様々な構成要素に対応する要素を示しているが、これらの構成要素の様々な他の適切な配置が当業者には明らかになるであろう。例えば、補助ユニット400Cに関連付けられているものとして
図4に示されている要素は、代わりに、ウェアラブルヘッドデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに関連付けられることができる。さらにまた、いくつかの複合現実システムは、ハンドヘルドコントローラ400Bまたは補助ユニット400Cを完全に取り止めてもよい。そのような変形および変更は、開示された例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
音響導波管
【0061】
XRシステム(例えば、MRシステム112、200)は、現実のコンテンツを仮想コンテンツと混合するため、真の没入は、可能な限り多くのユーザの感覚に関与することに依存し得る。いくつかの例では、現実的な音を作成することは、音声信号処理で複製することが困難な微妙さを含むことができる。例えば、現実の環境では、音は一般に、正面入射波面を介して個人の耳によって受け取られる。正面入射波面は、個人の耳介、すなわち肉体として目に見える耳の外側部分と相互作用し得るため、これが個人が聞く外部音に固有の音響シグネチャを与え得る。XRヘッドセットにおいて典型的であるように、音源、例えばスピーカがユーザの外耳道の入り口付近に耳の上または耳内部の構成で取り付けられる場合、ユーザによって受け取られる音は、ユーザの耳介の固有の音響シグネチャを含まないことがあり、ユーザの没入型XR体験を損なう可能性がある。
【0062】
さらに、スピーカの音声トランスデューサをユーザの耳の近くに配置すると、ヘッドマウントディスプレイのアームに嵩と重量が加わり得るため、ユーザの耳がその重量を支持しているときに不快になり得る。さらに、いくつかのスピーカシステムは音漏れを起こしやすく、スピーカによって生成された音が近傍の他の個人にも聞こえ得る。音漏れは、ユーザおよび他の個人にとって煩わしいだけでなく、ユーザのオーディオプライバシーを妨げることもある。したがって、最小限の音漏れでユーザの耳介の音響シグネチャを含む音響入射を提供することができるサウンドシステムを提供することが望ましくなり得る。
【0063】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための音響導波管および使用方法に関する。本開示の実施形態による音響導波管は、ユーザによって知覚される音がユーザの耳介の音響シグネチャを含み得るように正面音入射をユーザに提供することができる。本開示の実施形態はまた、音響導波管の音源指向性に起因する最小限の音漏れを提供することができる。本開示の実施形態による装置は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材を含むことができる。装置は、少なくとも第1の音波を発するように構成された導波管の第1の端部に配置された音源をさらに含むことができる。装置は、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントをさらに含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信するように構成され、かつ、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するようにさらに構成され、それぞれの音波はそれぞれの点音源に対応する。
【0064】
本開示の実施形態は、ヘッドウェアラブルデバイスを含むことができる。例えば、ヘッドウェアラブルデバイスは、フロントフレームと、フロントフレームに結合されたディスプレイと、フロントフレームに結合され、ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、音響導波管とを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材と、導波管の第1の端部に配置された音源と、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントとを含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信し、さらに、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するように構成され、それぞれの音波は、それぞれの点音源に対応する。
【0065】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための方法を含むことができる。1つ以上の実施形態によれば、方法は、音源を介して、音声信号の1つ以上の音響波を音響導波管の導波管部材に発することと、第1の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第1の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第1の音響ベントにおいて第1の点音源を生成することと、第2の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第2の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第2の音響ベントにおいて第2の点音源を生成することと、第1の点音源および第2の点音源を提示することとを含むことができる。
【0066】
図5Aは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音響導波管500Aを示している。いくつかの実施形態では、音響導波管は、以下でより詳細に説明するように、ウェアラブルヘッドデバイスに一体化されることができる。本開示の実施形態による音響導波管500Aは、1つ以上の音源502と、導波管504と、吸音器506と、1つ以上の音響ベント508a~508dとを含むことができる。
【0067】
導波管504は、第1の端部512と第2の端部514とを有する中空体に対応することができる。いくつかの実施形態では、第1の端部512は、中空体の内部へのアクセスを提供する開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の端部512は閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、第2の端部514は閉じられてもよい。そのような実施形態では、第2の端部は、第2の端部514の開口部を覆う背面510を含んでもよい。導波管504は、上面領域516および下面領域518をさらに含むことができる。
【0068】
図に示すように、導波管504は、円形断面を有する円筒状、例えば管状中空体に対応することができる。しかしながら、導波管504の形状が本開示の範囲を限定することを意図していないことを当業者は理解するであろう。例えば、導波管504は、楕円形、三角形、長方形、ひし形、台形、および/または不規則な形状を有する断面を含むことができる。いくつかの実施形態では、導波管504の断面は導波管の長さに沿って変化することができ、例えば、第1の端部512の近くで取られた導波管の断面の面積が第1の断面形状および/または第1の面積に対応することができる一方で、第2の端部514の近くで取られた導波管の断面の面積が、第1の断面形状および/または第1の面積とは異なる第2の断面形状および/または第2の面積に対応することができるようになっている。
【0069】
いくつかの実施形態では、導波管504の直径および/または断面積は調整されることができ、特定の音声周波数、例えば、50Hz~150Hz、50Hz~250Hz、200Hz~500Hz、400Hz~1kHzなどのより高い周波数が管の長さに沿って長手方向に伝播され得ることを確実にする。例えば、1つ以上の実施形態では、より狭い直径、例えばより小さい断面積は、縦波としての1つ以上の音響波の伝播を容易にすることができる。これは、より高い音声周波数の伝播に役立ち得る。さらに、縦波としての1つ以上の音響波の伝播は、隣接するベント、例えば、第1の音響ベント508aおよび第2の音響ベント508bを出る1つ以上の音波間の時間遅延が、1つ以上の音響波が隣接するベント間を移動するのにかかる時間に対応することを保証し得る。1つ以上の例では、直径および/または断面積は、音響導波管の1つ以上のシミュレーションを実行することによって調整されることができる。例えば、第1の音響ベント508Aは、第2のベント508Bの断面容積の約200%、第3のベント508Cの断面容積の400%、および第4のベント508Dの断面容積の800%とすることができる。いくつかの例では、音響ベントの幾何学的形状を決定するために以下の式が使用されることができる。
【化1】
式中、L
vはベントの長さであり、D
vはベントの内径であり、V
bはエンクロージャの内部空気量であり、F
bはエンクロージャの同調周波数であり、Kは端部補正であり、N
vはベントの数である。
【0070】
いくつかの実施形態では、音源502は、導波管504の第1の端部512に位置することができる。図に示すように、音源502は導波管504の外側に配置され、音源502が導波管504の第1の端部512の開口部に音波を発するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、音源502は、導波管504の内部に配置されることができる。そのような実施形態では、導波管の第1の端部512は、開いていても閉じていてもよい。1つ以上の例では、音源502の直径は管の直径に対応することができる。音源502は、個人が聞くことができる音波を発するように構成されることができる。例えば、音源は、音声コンテンツに対応する1つ以上の信号を受信することができる。いくつかの例では、音源502は、音声信号を出力するために、音声空間化器、例えばDSP音声空間化器422と通信することができる。いくつかの実施形態では、音源502は、スピーカおよび/または音声トランスデューサとすることができる。
【0071】
吸音器506は、導波管504の第2の端部514に配置されることができる。吸音器506は、音源502によって発せられた導波管504内の音を吸収するように構成されることができる。このようにして、吸音器506は、導波管504内の音源502によって発せられた音波の共振を低減することができる。図に示すように、吸音器506は、第2の端部514で導波管504内に配置されることができる。いくつかの実施形態では、吸音器506は、導波管504の背面510が覆われるように、第2の端部514の領域を占めることができる。いくつかの実施形態では、吸音器506が導波管504の背面510を完全には覆わないように、吸音器106と導波管の内面との間に隙間があってもよい。1つ以上の実施形態では、吸音器506は吸音材料から形成され得る。1つ以上の実施形態では、吸音材料は、例えば、音響織物パネル、詰め綿、鉱物ウール、ガラス繊維、部分的に網状化されたプラスチック発泡体、より高い吸収係数を有する完全に網状化されたプラスチック発泡体、多層複合材料などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0072】
図に示すように、導波管504は、1つ以上の音響ベント508a~508dを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響ベント508a~508dは、導波管504の下面領域518に配置されることができる。音響ベント508a~508dは、音源502によって発せられた音をそれぞれ発するように構成されることができる。このようにして、音響ベント508a~508dは、単一の音源、例えば音源502の出力に基づいて別個の点音源として音を発するように構成されることができる。図は4つの音響ベントを示しているが、当業者は、本開示の実施形態による音響導波管500Aがより多くのまたはより少ない音響ベントを含むことができることを理解するであろう。
【0073】
[0062]
図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な音響導波管500Bを示している。図に示すように、音響導波管500Bは、音響導波管500Aと実質的に同様であり得る。例えば、音響導波管500Bは、1つ以上の音源502と、導波管504と、吸音器506と、1つ以上の音響ベント528a~528dとを含むことができる。図に示すように、1つ以上の音響ベント528a~528d。いくつかの実施形態では、1つ以上の音響ベントは、例えば音響ベントの開口部を横切ってその中に配置された音響メッシュを含むことができる。例えば、音響メッシュは、綾畳織パターンまたは平畳織パターンから選択される少なくとも1つを有するマイクロ音響メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、逆平畳織パターンまたは2~5本の結合された繊維またはワイヤを有する多重綾織を有することができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュの密度は変化し得る。いくつかの実施形態では、音響メッシュはモノフィラメント材料の特性を有することができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、ポリエステル特性、ポリイミド特性、ポリプロピレン特性、ポリアミド特性、ナイロン特性、および/またはメタアラミド特性から選択される少なくとも1つを有するマイクロ音響メッシュを含むことができる。
【0074】
1つ以上の例では、音源502と第1の音響ベント508aとの間の距離は、より低い周波数の音声波が音響ベント508aを介して最小エネルギーを放射するように調整されることができる。1つ以上の例では、音響ベント508a~508d間の距離および/または導波管504の直径は、音響ベント508a~508dの各々の間の遅延時間が、音源502によって発せられた音響波が導波管504内を移動するのにかかる時間に対応するように調整されることができる。例えば、導波管504は、縦波が導波管の本体内を伝播するように調整されることができる。いくつかの例では、音響ベント508a~508dから放射された1つ以上の音波は、音の改善された集束指向性を提供することができ、例えば、様々な織り形状、織りの直径および材料の音響メッシュを用いて波をビームフォーミングかつ/または波の速度を変更することによって、音漏れが低減されるようにする。
【0075】
図6A~
図6Cは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス(例えば、複合現実システム200のウェアラブルヘッドデバイス2102)内に配置された音響導波管、例えば音響導波管500A、500Bの例を示している。図に示すように、ウェアラブルヘッドデバイスは、テンプル部634Aに結合されたフロントフレーム632Aを備えるフレームを含むことができる。フロントフレーム632Aはユーザの鼻に載置するように構成されることができ、テンプル部634Aは、ユーザの耳に載置するように構成されることができるウェアラブルヘッドデバイスのアームに対応することができる。1つ以上の例では、図に示す音響導波管600A~600Cは、上述の音響導波管500Aに対応することができる。
【0076】
図6Aは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管600Aを示す。図に示すように、音響導波管600Aは、音源602Aと、導波管604Aと、吸音器606Aと、1つ以上の音響ベント608a~608dとを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管600Aは、上述の音響導波管500Aに対応することができる。いくつかの実施形態では、音源602Aは、ウェアラブルヘッドデバイスのフロントフレーム632Aに取り付けられかつ/または配置されることができる。このようにして、音源の重量が鼻梁に分散されることができ、ユーザにとってより快適な重量分布が可能となる。また、これにより、音源を支持するテンプル部、例えば右スピーカ2136を支持する右テンプルアーム2132よりも、テンプル部634Aを薄型化かつ軽量化することができる。図に示すように、導波管604Aは、ヘッドウェアラブルデバイスのテンプル部634、例えばアーム内に配置されることができる。いくつかの実施形態では、導波管604Aの中空体は、テンプル部634A内に配置されることができる。いくつかの実施形態では、導波管604Aの中空体は、導波管604Aの外面がテンプル部634Aの表面に対応するように、テンプル部634Aと一体的に形成されることができる。
【0077】
図6Bは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管600Bを示す。図に示すように、音響導波管600Aは、音源602Bと、導波管604Bと、吸音器606Bと、1つ以上の音響ベント608a~608dとを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管600Bは、上述の音響導波管500Aに対応することができる。いくつかの実施形態では、音源602Bは、ウェアラブルヘッドデバイスのフロントフレーム632Bに取り付けられかつ/または配置されることができる。このようにして、音源の重量が鼻梁に分散されることができ、ユーザにとってより快適な重量分布が可能となる。また、これにより、音源を支持するテンプル部、例えば右スピーカ2136を支持する右テンプルアーム2132よりも、テンプル部634Bを薄型化かつ軽量化することができる。図に示すように、導波管604Bは、ヘッドウェアラブルデバイスのテンプル部634B、例えばアーム内に配置されることができる。例えば、導波管604Bの中空体は、テンプル部634B内に配置されることができる。いくつかの実施形態では、導波管604Bの中空体は、導波管604Bの1つ以上の外面がテンプル部634Bの1つ以上の外面に対応するように、テンプル部634Bと一体的に形成されることができる。例えば、図に示されるように、導波管604Bの下面は、テンプル部834Bの下面に対応することができる。
【0078】
図6Cは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管600Cを示す。図に示すように、音響導波管600Cは、音源602Cと、導波管604Cと、吸音器606Cと、1つ以上の音響ベント608a~608dとを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管600Cは、上述の音響導波管500Aに対応することができる。いくつかの実施形態では、音源602Cは、ウェアラブルヘッドデバイスのフロントフレーム632Cに取り付けられかつ/または配置されることができる。このようにして、音源の重量が鼻梁に分散されることができ、ユーザにとってより快適な重量分布が可能となる。また、これにより、テンプル部634Cの薄型化および軽量化が可能となる。図に示すように、導波管604Cは、ヘッドウェアラブルデバイスのテンプル部634C、例えばアームの下面、例えば下面に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、導波管604Cの中空体は、導波管604Cの1つ以上の外面がテンプル部634Cの1つ以上の外面に対応するように、テンプル部634Cと一体的に形成されることができる。
【0079】
図6Dは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管600Dを示す。図に示すように、音響導波管600Dは、音源602Dと、導波管604Dと、吸音器606Dと、1つ以上の音響ベント648A~648Dとを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管6003は、一般に、上述の音響導波管500Dに対応することができる。
図6Dに示すように、ベント648A~648Dは、テンプル側に位置することができ、例えばデバイスを着用しているユーザの頭部に向かって内側方向に音波を提供するように配置されることができる。いくつかの実施形態では、ベントは、下方向に傾斜していてもよく、かつ/または耳に向かう方向に、例えば耳に向かって45°の角度で傾斜していてもよい(ただし、他の角度が使用されてもよい)。したがって、ベントの構成および/または角度は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。いくつかの例では、ベントの配列の角度は、音波の伝播方向に影響を与えることができる。例えば、音響ベント648A~648Dの構成は、線M-Nに対応する角度を有する二極を生成することができる。いくつかの実施形態では、メッシュインピーダンスは伝播方向にさらに影響を与えることができる。
【0080】
図7は、本開示の実施形態にかかる、音響導波管を動作させるプロセス700の例示的なフローチャートを示す。1つ以上の例では、プロセス700に示されるステップは、必要に応じて組み合わされ、変更され、かつ/または省略されることができる。プロセス700の一部は、音響導波管600Aの1つ以上の構成要素に関して説明され得るが、当業者は、プロセス700が本明細書に開示される音響導波管のうちの1つ以上に適用されることができることを理解するであろう。
【0081】
ステップ702において、音響導波管の音源、例えば音源602Aは、音響導波管600Aの第1の端部で、音声信号に対応する1つ以上の音響波、例えば音響波624を発することができる。1つ以上の例では、音声信号は、XR環境に関連する1つ以上の音に対応することができる。いくつかの実施形態では、ユーザがXRシステム(例えば、XRシステム200)を使用している間、音声信号を連続的に生成および/または出力することができる。いくつかの実施形態では、音声信号は、音声空間化器、例えばDSP音声空間化器422から受信することができる。いくつかの例では、1つ以上の音響波624は、導波管604Aの長さに沿って長手方向に伝播することができる。1つ以上の例では、導波管604Aの直径および/または断面は、可聴周波数が長手方向に伝播するように調整されることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の音響波は、50Hz~5000Hzの周波数の範囲であり得る。
【0082】
ステップ704において、音響導波管は、第1の音響ベントにおいて、1つ以上の音響波を受信することができる。例えば、音響導波管600Aは、第1の時間に1つ以上の音響波を第1の音響ベント608aで受信することができる。ステップ706において、音響導波管は第1の音源を生成することができ、第1の音源は第1の音響ベントから放射される。例えば、音響導波管600Aは、第1の音源626aを生成することができ、第1の音源626aは第1の音響ベント608aから放射される。1つ以上の例では、音源606Aと第1の音響ベント608aとの間の距離は、望ましくない周波数、例えばより低い周波数のエバネッセント波が第1の音源に含まれないように調整されることができる。
【0083】
ステップ708において、音響導波管は、第2の音響ベントにおいて、(例えば、1つ以上の音響波が第1の音響ベントで受信された後に、)1つ以上の音響波を受信することができる。例えば、音響導波管600Aは、第2の時間に1つ以上の音響波を第2の音響ベント608bで受信することができる。ステップ710において、音響導波管は第2の音源を生成することができ、第2の音源は第2の音響ベントから放射される。例えば、音響導波管600Aは、第2の音源626bを生成することができ、第2の音源626bは第2の音響ベント608bから放射される。1つ以上の例では、第1の音響ベント608aと第2の音響ベント608bとの間の距離および/または導波管604aの直径は調整されることができ、第1の時間と第2の時間との差が、1つ以上の音響波624が第1の音響ベント608aと第2の音響ベント608bとの間を移動するのにかかる時間に対応するようになっている。
【0084】
ステップ712において、音響導波管は、第1の音源および第2の音源を提示することができる。例えば、図に示すように、音響導波管600Aは、少なくとも第1の音源626aおよび第2の音源626bをユーザの耳630に提示することができる。例えば、ユーザは、音響導波管600Aを含むヘッドウェアラブルデバイスを装着していてもよい。1つ以上の例では、第1の音源626aおよび第2の音源626bは、ユーザの耳630で正面波面として受信され得る音響波面628を形成することができる。このようにして、第1の音源626aおよび第2の音源626bは、ユーザの耳介の音響シグネチャがユーザが聞く音に含まれるように、ユーザの耳への正面音入射を提供することができる。このようにして、本開示の実施形態は、様々な織り形状、織りの直径、および材料の音響メッシュで波の速度を変化させることができ、本発明は、ユーザの耳に放射される集束波面に位相を変更することを可能にする。この集束音響波はプロセスの効率を向上し、耳からのエネルギーの漏れを低減することができる。
【0085】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の音響波624は、導波管604Aの第2の端部に配置された吸音器606Aによって吸収されることができる。このようにして、導波管604A内の1つ以上の音響波624の共振が低減されることができる。
【0086】
図7Bは、本開示の実施形態にかかる、音響導波管からの音の伝播を示す例示的な音響放射パターンを示す図である。音響放射パターンは、音響導波管からの音が空間をどのように移動することができるかを示す。ベント向きの配列は、音響波の伝播角および/または極指向性を決定することができる。いくつかの実施形態では、メッシュインピーダンスは、音響波の伝播の位相合わせにも影響を与えることができる。図に示すように、音響導波管から放射された音は、双極指向性極性パターン728内を伝播することができる。図に示すように、音は、ユーザの耳730に向かう方向mと、その反対の方向nに向けられ、方向mに伝播する音は、方向nに伝播する音よりも大きい振幅を有し得る。図に示すように、方向mは、音響導波管の下面からユーザの頭部および/または耳に向かって下方に向けられてもよく、方向nは、ユーザの耳730から離れる上方に向けられてもよい。
【0087】
図7Cは、本開示の実施形態にかかる、音響導波管からの音の伝播を示す例示的な音響放射パターンを示す図である。音響放射パターンは、音響導波管からの音が空間をどのように移動することができるかを示す。図に示すように、音響導波管から放射された音は、双極指向性極性パターン728内を伝播することができる。図に示すように、音は、ユーザの耳730に向かう方向mおよびその反対の方向nに向けられる。
図7Bと同様に、方向mは、音響導波管の下面からユーザの頭部および/または耳に向かって下方に向けられてもよく、方向nは、ユーザの耳730から離れる上方に向けられてもよく、方向mに伝播する音は、方向nに伝播する音よりも大きい振幅を有し得る。いくつかの例では、指向性極パターンは、他の形状、例えば、限定はしないが、カージオイド、高カージオイド、および特定の用途のための不規則な形状に対応することができる。
【0088】
図7Dは、異なる方向の音の振幅を示す例示的な音声放射パターンを示している。例えば、
図7Dは、
図7Cの断面図に対応することができる。図に示すように、音響導波管によって伝播される音は、前方および後方方向に最大振幅を有し、0°は、例えば耳に向かう方向mに対応し、180°は、例えば耳から離れる方向mに対応する。振幅は、音響導波管からの横方向、例えば90°および270°で最小である。このようにして、本開示の実施形態による音響導波管は、ユーザの頭部から離れる横方向の音声漏れを低減することができる。
【0089】
例えば、
図12を手短に参照すると、スピーカ1204を有する例示的なウェアラブルヘッドデバイス1202が示されている。図に示すように、スピーカ1204は、ウェアラブルヘッドデバイスのアームに配置され、ユーザの頭部に向けられ得る。スピーカは、ユーザのテンプルに向かう方向Oに音響波を発することができる。音響波はユーザテンプルから反射することができ、反射された音響波1208の第1の部分がユーザの耳に向かって進む一方で、音響波1206の第2の部分は横方向に移動、例えばユーザの環境に伝播するようになっている。そのような音声漏れは、ユーザのプライバシーの懸念につながる可能性があり、かつ/またはユーザの環境内でスピーカ1204からの音を聞くことができる個人の煩わしさになる可能性がある。
【0090】
図8は、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管800を示す。図に示すように、音響導波管800は、音源802と、導波管マニホールド804と、1つ以上の音響ベント808a~808dとを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響ベント808a~808dは、音響ベント528a~528dに関して上述したような音響メッシュを含むことができる。図に示すように、音源802は、ウェアラブルヘッドデバイスのフロントフレーム832に配置されることができる。このようにして、音源の重量が鼻梁に分散されることができ、ユーザにとってより快適な重量分布が可能となる。また、これにより、音源を支持するテンプル部、例えば右スピーカ2136を支持する右テンプルアーム2132よりも、テンプル部834を薄型化かつ軽量化することができる。いくつかの例では、音源802はテンプル部834に配置されることができる。
【0091】
図に示すように、導波管マニホールド804は、ヘッドウェアラブルデバイスのテンプル部834、例えばアーム内に配置されることができる。図に示すように、導波管804は音響マニホールドに対応することができる。1つ以上の例では、導波管マニホールド804は、導波管マニホールド804の第1の端部にある入口812と、マニホールド本体844と、1つ以上の分岐848a~848dとを含むことができ、各分岐は音響ベント808a~808dに対応する。図に示すように、導波管マニホールド804は、音源802によって生成された1つ以上の音波824を受信することができる。1つ以上の音波824は、導波管マニホールド804の本体844内を長手方向に伝播することができる。1つ以上の音波824が1つ以上の分岐848a~848dに近づくと、1つ以上の音波は、対応する分岐848a~848dの各々の中を伝播し、それぞれの音響ベント808a~808dを介して導波管マニホールド804から出ることができる。1つ以上の例では、音響導波管800は、プロセス700に従って動作することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、入口812と各音響ベント808a~808dとの間の距離は、特定の音響ベントから放射される1つ以上の音波のタイミングを決定することができる。いくつかの例では、入口812と各音響ベント808a~808dとの間の距離は調整されることができ、隣接するベント、例えば第1の音響ベント808aと第2の音響ベント808bとの間から出る1つ以上の音波間の時間遅延が、1つ以上の音響波624が入口と隣接するベントの各々との間を移動するのにかかる時間、例えば、1つ以上の音響波が入口812と第1の音響ベント808aとの間を移動するのにかかる第1の時間と、1つ以上の音響波が入口812と第2の音響ベント808bとの間を移動するのにかかる第2の時間との間の時間差に対応するようになっている。
【0093】
図9は、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置された音響導波管900を示す。図に示すように、音響導波管900は、音源902と、導波管マニホールド904と、1つ以上の音響ベント908a~908dとを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響ベント808a~808dは、音響ベント528a~528dに関して上述したような音響メッシュを含むことができる。図に示すように、音源902は、ウェアラブルヘッドデバイスのフロントフレーム932に配置されることができる。このようにして、音源の重量が鼻梁に分散されることができ、ユーザにとってより快適な重量分布が可能となる。また、これにより、音源を支持するテンプル部、例えば右スピーカ2136を支持する右テンプルアーム2132よりも、テンプル部934を薄型化かつ軽量化することができる。いくつかの例では、音源902はテンプル部834に配置されることができる。1つ以上の例では、音響導波管900は、プロセス700に従って動作することができる。
【0094】
いくつかの例では、導波管マニホールド904は、ヘッドウェアラブルデバイスのテンプル部934、例えばアーム内に配置されることができる。図に示すように、導波管マニホールド904は音響マニホールドに対応することができる。1つ以上の例では、導波管マニホールド904は、入口912と、1つ以上のマニホールド分岐948a~948dとを含むことができ、各分岐は音響ベント908a~908dに対応する。図に示すように、導波管マニホールド904は、入口912を介して音源902aから1つ以上の音波926a~926dを受信することができる。図に示すように、各分岐948a~948dは、入口912をそれぞれの音響ベント908a~908dに接続することができる。そのような実施形態では、音源902によって生成された1つ以上の音波926a~926dは、別個の重なり合わない経路を有することができ、各経路は、それぞれの音響ベント908a~908dにつながるマニホールド分岐948a~948dのうちの1つに対応することができる。例えば、音波は、導波管マニホールド904の入口912を介して受信され、音波926aとして分岐948aを通って音響ベント908aまで移動することができる。同様に、音波926bは、入口912から分岐948bを通って音響ベント908bまで、分岐848a内の音波926aの経路と実質的に重複することなく移動することができる。そのような実施形態では、分岐、例えば分岐948a~948dの間の重複が最小限である場合、例えばそれぞれの分岐948a~948dを介して導波管マニホールド904を通って移動する1つ以上の音波926a~926dの各々について共有された音響経路がないため、音響伝播の制御がより良好になり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、入口912と各音響ベント908a~908dとの間の距離は、特定の音響ベントから放射される1つ以上の音波926a~926dのタイミングを決定することができる。いくつかの例では、入口912と各音響ベント908a~908dとの間の距離は調整されることができ、隣接するベント、例えば第1の音響ベント908aと第2の音響ベント908bとの間から出る1つ以上の音波間の時間遅延が、第1の音響波926aが入口から第1のベント908aまで移動するのにかかる第1の時間と、第2の音響波926bが入口912から第2のベント908bまで移動するのにかかる時間との間の差に対応するようになっている。
【0096】
図10Aは、本開示の実施形態にかかる、ウェアラブルヘッドデバイス内に配置されたサウンドシステム1000を示す。図に示すように、サウンドシステム1000は、複数のトランスデューサ1002a~1002dを含むトランスデューサアレイ1002を含むことができる。図には4つのトランスデューサが示されているが、当業者は、トランスデューサアレイが本開示の範囲から逸脱することなく任意の数のトランスデューサを含むことができることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、ウェアラブルヘッドデバイスのテンプル部1034の下面1018に配置されることができる。1つ以上の例では、下面1018は複数の開口部1008a~1008dを含むことができ、各トランスデューサ1002a~1002dがそれぞれの開口部内またはその近くに配置されるようになっている。例えば、第1のトランスデューサ1002aは第1の開口部1008a内に配置されることができ、第2のトランスデューサ1002bは第2の開口部1008b内に配置されることができるなどである。トランスデューサ1002a~1002dの各々は、音声信号を受信し、音声信号に基づいて1つ以上の音響波を生成するように構成されることができる。
【0097】
図10Bは、本開示の実施形態にかかるサウンドシステム1050を示す。図に示すように、サウンドシステム1050は、音声源と、デコーダ1054と、DSP1056と、位相遅延増幅器1058と、スピーカアレイ1060とを含むことができる。位相遅延増幅器は、位相遅延器1062A~1062Eおよび増幅器1064A~1064Eを含むことができ、各位相遅延器および対応する増幅器は、スピーカアレイ1060内のトランスデューサまたはスピーカに関連付けられる。いくつかの実施形態では、各トランスデューサは、デジタル信号処理システム(DSP)から離散増幅器への離散信号経路を有することができる。いくつかの実施形態では、各トランスデューサはDSPからのアルゴリズムに位相を相関付けされて、ビームフォーミング(集束)パターン1060を放射、例えば、ビームフォーミングパターンが着用者の耳に向けられるようにすることができる。
【0098】
図11は、本開示の実施形態にかかる、サウンドシステムを動作させるためのプロセス1100のブロック図を示している。1つ以上の例では、プロセス1100は、
図10に示すサウンドシステムに対応することができる。ステップ1102において、システムは、ヘッドウェアラブルデバイスの1つ以上の音源に対する第1の耳の位置を特定することができる。例えば、システムは、1つ以上の音源と第1の耳との間の距離を決定することができる。いくつかの例では、1つ以上の音源は、サウンドシステム1000のトランスデューサアレイ1002に対応することができる。いくつかの実施形態では、第1の耳の位置を識別することは、1つ以上の音源に対する耳の予想位置を特定することに対応することができる。ステップ1104において、システムは音声信号を取得することができる。1つ以上の例では、音声信号は、XR環境に関連する1つ以上の音に対応することができる。いくつかの実施形態では、ユーザがXRシステム(例えば、XRシステム200)を使用している間、音声信号を連続的に生成および/または出力することができる。
【0099】
ステップ1106において、各トランスデューサについて、システムは、トランスデューサと第1の耳との間の距離に基づいて信号修正パラメータを決定することができる。いくつかの例では、信号修正パラメータは時間遅延に対応することができる。ステップ1108において、各トランスデューサについて、信号修正は、対応するトランスデューサの音声信号に適用されることができる。例えば、第1のトランスデューサ1002aは、第1のトランスデューサ1002aに対応する第1の信号に導入される第1の時間遅延を有してもよく、第2のトランスデューサ1002bは、第2のトランスデューサ1002bに対応する第2の信号に導入される第2の時間遅延を有してもよく、第1の時間遅延と第2の時間遅延とは異なる。このようにして、別個のトランスデューサを提供することにより、音響システム、例えばサウンドシステム1000が、各トランスデューサに設定された音声信号に適用される遅延の微調整および他の信号処理に対してより多くの制御を有することを可能にすることができる。
【0100】
ステップ1110において、出力信号は、各トランスデューサ、例えばトランスデューサ1002a~1002dについて修正された音声信号に基づいて決定されることができる。ステップ1112において、出力信号がユーザの第1の耳1030に提示されることができる。例えば、ユーザの第1の耳1030に提示される出力音声信号1028は、トランスデューサ1002a~1002dの各々の個々の出力1026a~1026dに対応することができる。このようにして、出力信号が、ユーザの耳に対して正面波面を有する音声源として提示されることができる。したがって、ユーザが聞く音は、自然にユーザの音響耳介シグネチャを含む。
【0101】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための音響導波管および使用方法に関する。本開示の実施形態による装置は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材を含むことができる。装置は、少なくとも第1の音波を発するように構成された導波管部材の第1の端部に配置された音源をさらに含むことができる。装置は、導波管部材の本体の下面に配置された複数の音響ベントをさらに含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信するように構成され、かつ、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するようにさらに構成され、それぞれの音波はそれぞれの点音源に対応する。
【0102】
いくつかの実施形態では、装置は、導波管部材の第2の端部に配置された吸音器をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の音響ベントの各々は、それぞれの点音源に対応する。いくつかの実施形態では、装置は、第1の複数の音響ベントから発せられた第1のそれぞれの音波が所定の範囲内の音声周波数を含むように構成され、かつ、所定の範囲未満の音声周波数をフィルタリングするようにさらに構成される。所定の範囲は、50Hz~150Hz、50Hz~250Hz、200Hz~500Hz、および400Hz~1kHzのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、導波管部材は、第1の音波を縦波として伝播するように構成される。いくつかの実施形態では、導波管部材の本体は、複数の分岐を含むことができ、複数の分岐の各分岐は、複数の音響ベントのうちの1つに対応する。そのような実施形態では、複数の分岐の各分岐は、導波管部材の第1の端部と対応する音響ベントとの間に固有の経路を備えることができる。
【0103】
本開示の実施形態による装置は、複数の音響ベントのうちの1つ以上の対応する開口部を横切って配置された音響メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、綾畳織パターン、平畳織パターン、逆平畳織、および多重綾織から選択される少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、モノフィラメント材料特性、ポリエステル特性、ポリイミド特性、ポリプロピレン特性、ポリアミド特性、ナイロン材料、およびメタアラミド特性のうちの少なくとも1つを有する材料を含むことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、複数の音響ベントは、導波管部材のテンプル側または下面の少なくとも一方に位置することができる。いくつかの実施形態では、複数の音響ベントは、音響波を伝播するように配置され、音響波は、それぞれの音波の各々を含み、音響波は、所定の伝播方向および所定の極指向性パターンのうちの少なくとも1つを有する。そのような実施形態では、所定の極指向性パターンは、カージオイドパターン、高カージオイドパターン、および不規則パターンから選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0105】
本開示の実施形態は、ヘッドウェアラブルデバイスを含むことができる。例えば、ヘッドウェアラブルデバイスは、フロントフレームと、フロントフレームに結合されたディスプレイと、フロントフレームに結合され、ヘッドウェアラブルデバイスをユーザの頭部に取り付けるように構成されたアームと、音響導波管とを含むことができる。1つ以上の例では、音響導波管は、第1の端部と第2の端部とを有する中空体を備える導波管部材と、導波管の第1の端部に配置された音源と、導波管の本体の下面に配置された複数の音響ベントとを含むことができ、複数の音響ベントの各々は、第1の音波を受信し、さらに、第1の音波に基づいてそれぞれの音波を発するように構成され、それぞれの音波は、それぞれの点音源に対応する。
【0106】
いくつかの例では、導波管部材はアーム内に配置されることができる。いくつかの例では、音源はフロントフレーム内に配置されることができる。
【0107】
いくつかの例では、音響導波管は、導波管部材の第2の端部に配置された吸音器をさらに含むことができる。いくつかの例では、複数の音響ベントの各々は、それぞれの点音源に対応することができる。いくつかの例では、音響導波管は、第1の複数の音響ベントから発せられた第1のそれぞれの音波が所定の範囲内の音声周波数を含むように構成され、かつ、所定の範囲未満の音声周波数をフィルタリングするようにさらに構成される。所定の範囲は、50Hz~150Hz、50Hz~250Hz、200Hz~500Hz、および400Hz~1kHzのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの例では、導波管部材は、第1の音波を縦波として伝播するように構成される。いくつかの例では、導波管部材の本体は、複数の分岐を備え、複数の分岐の各分岐は、複数の音響ベントのうちの1つに対応する。そのような例では、複数の分岐の各分岐は、導波管部材の第1の端部と対応する音響ベントとの間に固有の経路を備える。
【0108】
本開示の実施形態によるヘッドウェアラブルデバイスは、複数の音響ベントのうちの1つ以上の対応する開口部を横切って配置された音響メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、綾畳織パターン、平畳織パターン、逆平畳織、および多重綾織から選択される少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響メッシュは、モノフィラメント材料特性、ポリエステル特性、ポリイミド特性、ポリプロピレン特性、ポリアミド特性、ナイロン材料、およびメタアラミド特性のうちの少なくとも1つを有する材料を含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、複数の音響ベントは、導波管部材のテンプル側または下面の少なくとも一方に位置することができる。いくつかの実施形態では、複数の音響ベントは、音響波を伝播するように配置され、音響波は、それぞれの音波の各々を含み、音響波は、所定の伝播方向および所定の極指向性パターンのうちの少なくとも1つを有する。そのような実施形態では、所定の極指向性パターンは、カージオイドパターン、高カージオイドパターン、および不規則パターンから選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0110】
本開示の実施形態は、音声信号を提示するための方法を含むことができる。1つ以上の実施形態によれば、方法は、音源を介して、音声信号の1つ以上の音響波を音響導波管の導波管部材に発することと、第1の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第1の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第1の音響ベントにおいて第1の点音源を生成することと、第2の音響ベントにおいて1つ以上の音響波を受信することであって、第2の音響ベントが導波管部材の下面に配置される、ことと、1つ以上の音響波に基づいて第2の音響ベントにおいて第2の点音源を生成することと、第1の点音源に対応する第1の音声信号を提示することと、第2の点音源に対応する第2の音声信号を提示することとを含むことができる。
【0111】
いくつかの例では、方法は、吸音器を介して、音響導波管の第2の端部で1つ以上の音響波を吸収することをさらに含むことができ、第2の端部は、音響導波管の第1の端部に配置された音源の反対側にある。いくつかの例では、第1の音源を提示することは、正面波面をユーザの耳に提示することを含み、第2の音源を提示することは、正面波をユーザの耳に提示することを含む。いくつかの例では、導波管部材の本体は、複数の分岐を含み、複数の分岐の各分岐は、複数の音響ベントのうちの1つに対応する。
【0112】
開示された例は、添付の図面を参照して十分に説明されているが、様々な変形および変更が当業者には明らかになることに留意されたい。例えば、図面に示される要素および/または構成要素は、縮尺通りでなくてもよく、および/または説明目的のために強調されてもよい。別の例として、1つ以上の実装の要素が組み合わせられ、削除され、変更され、または補足されて、さらなる実装を形成してもよい。他の組み合わせおよび変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示された例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【国際調査報告】