(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】通信システムの動作のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/247 20240101AFI20241106BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241106BHJP
【FI】
G05D1/247
G05D1/43
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525389
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022079162
(87)【国際公開番号】W WO2023072712
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212130.6
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】フォン ホイニンゲン-ヒューン,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】グロープ-リプスキ,ハイドルン
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF08
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301KK05
5H301KK08
(57)【要約】
本発明は、通信システム(10)の動作のための装置および方法(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの通信加入者(12、14、20)を含む通信システム(10)の動作のための方法(100)であって、以下のステップ、すなわち
・前記位置特定システム(10)の前記位置特定送信器(12、14)が位置特定信号を連続的に送信するステップ、
・少なくとも2つの位置特定送信器(12、14)の少なくとも1つの位置特定受信器(20)によって前記位置特定信号を受信するステップ、
・前記位置特定信号の正確な受信時刻を確定するステップ
を含む、方法(100)。
【請求項2】
位置特定精度についての追加的な情報が、前記位置特定受信器20に送信される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記受信された位置特定信号の時間的関係に基づいて、前記位置特定システム10の座標系内での前記位置特定受信器20のその時々の位置が、前記位置特定受信器20によって計算される、請求項に記載の方法(100)。
【請求項4】
不正確な位置特定の場合、位置特定されるオブジェクト(22)が、以下のオプション、すなわち
・前記位置特定されるオブジェクト(22)の移動速度の抑制、
・前記移動するオブジェクト(22)の周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用、
・警告メッセージの周期的な送信、
・前記オブジェクト(22)の進路の適合
によって調節および/または制御されるべきであり、ただし前記列挙は完全ではない、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
正確な位置特定の場合、前記位置特定されるオブジェクト(22)が、以下のオプション、すなわち
・前記位置特定されるオブジェクト(22)の移動速度の上昇、
・前記移動するオブジェクト(22)の周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用
によって調節および/または制御されるべきであり、ただし前記列挙は完全ではない、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項6】
並行して、その時々の局所的な位置特定精度が、前記位置特定受信器(20)により、前記位置特定システム(10)によって確定された位置を絶対的または相対的な基準点と比較することで確定される、請求項4または5に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記精度値が前記オブジェクト(22)の前記その時々の位置と一緒に中央計算ユニット(30)に送られる、請求項6に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記中央計算ユニット(30)において前記位置特定精度についての情報が評価される、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記位置特定精度の情報が前記位置特定信号と一緒に前記位置特定受信器に送信される、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
時間および位相に関する前記位置特定受信器の同期化のためのパラメータが、以下の特性、すなわち
・位相クロック基準、
・フレーム構造
・時間基準(フレームの始まり)
・フレームフォーマット
の1つまたは複数の指標を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムの動作のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の製造設備では、物品を搬送し、かつロボットと協働する自律搬送車両が用いられることが増えている。効率の良い進行には、生産設備内での正確な位置特定が必要である。これに関し位置特定の精度は、車両の速度および車両の互いに対する最小間隔への影響を有し得る。
【0003】
自律車両の確実な動作を保証するには、それぞれその時々の位置特定精度が考慮されるのが望ましい。場所的および時間的に分解された位置特定精度が分かっていない場合、全範囲でいつでも確約できるワーストケースの考察が適用されなければならない。ただしこれは、高精度の周囲の車両が、可能であるであろうより低い効率で移動することにもなる。
【0004】
DE102015215699A1からは既に、自動化された自動車の位置特定方法が知られており、この場合、達成された位置特定精度が確定される。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、少なくとも3つの通信加入者を含む通信システムの動作のための方法であって、少なくとも以下のステップ、すなわち
・位置特定システムの位置特定送信器が位置特定信号を連続的に送信するステップ、
・少なくとも2つの位置特定送信器の少なくとも1つの位置特定受信器によって位置特定信号を受信するステップ、
・位置特定信号の正確な受信時刻を確定するステップ
を含む、方法に関する。
【0006】
少なくとも1つの位置特定精度についての追加的な情報が、位置特定受信器に送信されることが有利である。
受信された位置特定信号の時間的関係に基づいて、位置特定システムの座標系内での位置特定受信器のその時々の位置が、位置特定受信器によって計算されることが提案される。
【0007】
不正確な位置特定の場合、位置特定されるオブジェクトが、以下のオプション、すなわち
・位置特定されるオブジェクトの移動速度の抑制、
・移動するオブジェクトの周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用、
・警告メッセージの周期的な送信、
・オブジェクトの進路の適合
によって調節および/または制御され得、ただしこの列挙は完全ではない。
【0008】
正確な位置特定の場合、位置特定されるオブジェクトが、以下のオプション、すなわち
・位置特定されるオブジェクトの移動速度の上昇、
・移動するオブジェクトの周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用
によって調節および/または制御され得、ただしこの列挙は完全ではない。
【0009】
並行して、その時々の局所的な位置特定精度が、位置特定受信器により、位置特定システムによって確定された位置を絶対的または相対的な基準点と比較することで確定されることが有利である。
【0010】
この精度値がオブジェクトのその時々の位置と一緒に中央計算ユニットに送られることが有利である。中央計算ユニットにおいて位置特定精度についての情報が評価され、再び位置特定信号と一緒に位置特定受信器に送信される。
【0011】
時間および位相に関する位置特定受信器の同期化のためのパラメータが、以下の特性、すなわち
・位相クロック基準
・フレーム構造
・時間基準(フレームの始まり)
・フレームフォーマット
の1つまたは複数の指標を含むことが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的な一実施形態による通信システムの概略図である。
【
図2】
図1からの通信システムの動作のための方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1では、通信システム10を概略的に示している。通信システムは例えば5Gシステムである。通信システムは、例示的実施形態では位置特定システムである。
例として、通信システム10は3つの通信加入者12、14、20を含む。2つの通信加入者12および14は、例示的実施形態では位置特定送信器である。第3の通信加入者20は位置特定受信器として形成されている。
【0014】
位置特定送信器12、14が周期的に信号を送信し、これらの信号が、位置特定されるオブジェクト22の位置特定受信器20によって受信される。しかし信号が、位置特定されるオブジェクト22の位置特定受信器20によって周期的に送信され、位置特定送信器12、14によって受信されてもよい。分かりやすさのため、以下では常に、位置特定送信器12、14が周期的に信号を送信し、これらの信号が、位置特定されるオブジェクト22の位置特定受信器20によって受信される最初に挙げた事例を述べるが、この全ての説明は、信号が、位置特定されるオブジェクト22の位置特定受信器20によって周期的に送信され、位置特定送信器12、14によって受信される事例にも、同様に適用される。
【0015】
位置特定されるオブジェクト22は、例示的に、製造設備内で例えば物品を搬送するためにならびに/またはロボットおよび自動化された設備と協働するために用いられる搬送車両である。しかしこれは、当業者に有意義と思われるあらゆるその他の車両であってよい。
【0016】
これに関し、通信加入者12、14、22の間の伝送は、ある時間窓内で行われなければならない。
情報が受信される時刻の相応の時間測定および位置特定信号内の時間情報により、位置特定送信器12、14から、位置特定されるオブジェクト22の位置特定受信器20への信号の飛行時間が分かる。しかしまたこれらの位置特定送信器12、14の信号の飛行時間の差も分かる。
【0017】
さらなる態様を
図2を参照しながら解説する。示したプロセスステップの順序は例である。これらのステップは、別の順序でもおよび/または一部は同時にも実行され得る。
一実施形態によれば、通信システム10の動作のための方法100は、
・位置特定システム10の位置特定送信器12、14が位置特定信号を連続的に送信するステップ110、
・少なくとも2つの位置特定送信器12、14の少なくとも1つの位置特定受信器20によって位置特定信号を受信するステップ120、
・正確な受信時刻を確定するステップ130
を含む。
【0018】
さらなるプロセスステップ140では、位置特定精度についての追加的な情報が、位置特定受信器20に送信される。追加的な情報は、例えば位置特定精度の品質を包含し得る。
【0019】
これらの情報は、本来の位置特定信号と一緒に送られる。その代わりにこれらの情報は、少なくとも1つのさらなる通信チャネルを介して中央計算ユニット30から問い合わせられる。
【0020】
こうして精度値は、ある幾何学的範囲に関連付けられ得る。
ある位置特定送信器のある時刻の品質が、信頼できる位置特定情報を送信するために十分には高くないことが起こり得る。この場合、例えば、この質的に価値の低い位置特定信号は比較的低い重み付けで考慮するべき、またはまったく考慮するべきでないという情報が送信され得る。
【0021】
プロセスステップ150では、受信された位置特定信号の時間的関係に基づいて、位置特定システム10の座標系内での位置特定受信器20のその時々の位置が、位置特定受信器20によって計算される。
【0022】
確定された位置およびこの場所での算出された位置特定精度に関連して、移動するオブジェクト、例えば搬送車両22は、その挙動を変化させる。
位置特定が不正確である場合、複数のオプション、すなわち
・車両22が予測位置の前/後ろまたは横にいても予期せぬ障害物にぶつからないための、移動速度の抑制
・周辺環境認識のためのさらなるセンサ、すなわち例えば画像認識付きガメラ、超音波センサ、および光学センサなどの利用
・周囲の他の車両に、その時々の低下した位置特定精度への注意を喚起して衝突の危険を回避するための、警告メッセージの周期的な送信
・位置特定が不正確な場所が回避および迂回されるような、車両22の進路の適合
を考慮でき、ただしこの列挙は完全ではない。
【0023】
位置特定が正確である場合、移動するオブジェクト22は、なかでも以下の措置、すなわち
・移動速度を上昇させ得る
・追加的なセンサが、移動するオブジェクト22の周辺環境のさらなる認識のために用いられ得る
によって反応することができる。
【0024】
プロセスステップ160では、並行して、その時々の局所的な位置特定精度が、位置特定受信器20によって確定される。この確定は、位置特定システム10によって確定された位置と、絶対的または相対的な基準点との比較によって行われる。
【0025】
こうして確定された量的または質的な精度値がその時々の位置と一緒に、ステップ170で中央計算ユニットに送られる。
中央計算ユニット30では、プロセスステップ180でこれらの情報が、位置特定精度について評価され、一種のデジタル地図にまとめられる。この場合、情報をもたらす位置特定受信器の位置の間にある範囲は補間される。
【0026】
ステップ190では、位置特定精度が再び位置特定受信器に提供される。このために、位置特定精度の情報が位置特定信号と一緒に位置特定受信器に送信される。
時間および位相に関する移動無線システム内の位置特定受信器の同期化のためのパラメータは、例えば、他にもあるが、以下の特性、すなわち
・位相クロック基準、
・フレーム構造
・時間基準(フレームの始まり)
・フレームフォーマット
の1つまたは複数の指標を含み得る。
【0027】
加えて、移動無線ネットワーク、例えば5Gを、既存の産業用コネクティビティ構造に組み込むことにより、ローカルな時間領域とのマッチングが行われ得る。
位置特定送信器と位置特定受信器との間隔は、正確な受信時刻により、伝播遅延、時間基準による情報、タイムスタンプ、または組み込まれた産業用コネクティビティ構造のローカルな時間情報を考慮した補正の際に決定される。
【0028】
位置特定精度の認識は、不動オブジェクトと可動オブジェクトとで区別され得る。
不動オブジェクトに関しては、第一義に位置特定は必要ない。ただし不動オブジェクトが位置特定受信器を装備している場合(これは、5Gシステムの場合には5G規格のモジュールを装備し得る)、位置特定受信器が、位置特定によって確定されたその時々の位置を、位置の既知の目標値と連続的に比較し得る。位置の目標値は、例えば最初に較正された値によって設定され得る。その代わりに位置の目標値として、位置特定値の長期的な平均値も利用され得る。
【0029】
その時々の位置特定値と目標値との比較により、位置特定値に不正確さが生じる場合には有向の誤差値が明らかとなる。
移動するオブジェクトも、動作中に、その時々の位置特定精度についての情報を確定し得る。規定された場所の範囲内では、可動の位置特定受信器がその時々の絶対位置について十分に確実であることにより、位置特定信号の精度が直接的に推定され得ることが可能であり得る。
【0030】
移動中は、確実と仮定される絶対的な基準点がしばしば存在していない。このとき、多くの場合には、搬送車両が相対的な基準量を有しており、つまり、既知の操舵角および車輪回転数に基づいて、車両が第1の時刻から第2の時刻までにXメートルの距離を進んだと仮定され得る。
【0031】
この第1の時刻と第2の時刻とに位置特定システムによって確定された位置が、違う間隔を有する場合にも、その時々の局所的な位置特定精度の帰納的推論が類推され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの通信加入者(12、14、20)を含む通信システム(10)の動作のための方法(100)であって、以下のステップ、すなわち
・前記位置特定システム(10)の前記位置特定送信器(12、14)が位置特定信号を連続的に送信するステップ、
・少なくとも2つの位置特定送信器(12、14)の少なくとも1つの位置特定受信器(20)によって前記位置特定信号を受信するステップ、
・前記位置特定信号の正確な受信時刻を確定するステップ
を含む、方法(100)。
【請求項2】
位置特定精度についての追加的な情報が、前記位置特定受信器20に送信される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記受信された位置特定信号の時間的関係に基づいて、前記位置特定システム10の座標系内での前記位置特定受信器20のその時々の位置が、前記位置特定受信器20によって計算される、請求項
1に記載の方法(100)。
【請求項4】
不正確な位置特定の場合、位置特定されるオブジェクト(22)が、以下のオプション、すなわち
・前記位置特定されるオブジェクト(22)の移動速度の抑制、
・前記移動するオブジェクト(22)の周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用、
・警告メッセージの周期的な送信、
・前記オブジェクト(22)の進路の適合
によって調節および/または制御されるべきであり、ただし前記列挙は完全ではない、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
正確な位置特定の場合、前記位置特定されるオブジェクト(22)が、以下のオプション、すなわち
・前記位置特定されるオブジェクト(22)の移動速度の上昇、
・前記移動するオブジェクト(22)の周辺環境を認識するためのさらなるセンサの利用
によって調節および/または制御されるべきであり、ただし前記列挙は完全ではない、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項6】
並行して、その時々の局所的な位置特定精度が、前記位置特定受信器(20)により、前記位置特定システム(10)によって確定された位置を絶対的または相対的な基準点と比較することで確定される、請求項
4に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記精度値が前記オブジェクト(22)の前記その時々の位置と一緒に中央計算ユニット(30)に送られる、請求項6に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記中央計算ユニット(30)において前記位置特定精度についての情報が評価される、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記位置特定精度の情報が前記位置特定信号と一緒に前記位置特定受信器に送信される、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
時間および位相に関する前記位置特定受信器の同期化のためのパラメータが、以下の特性、すなわち
・位相クロック基準、
・フレーム構造
・時間基準(フレームの始まり)
・フレームフォーマット
の1つまたは複数の指標を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【国際調査報告】