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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】安全性が向上したバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241106BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/202 401F
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/202 501P
H01M50/211
H01M50/251
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525490
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022021253
(87)【国際公開番号】W WO2023121417
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186625
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギ-ドン・パク
(72)【発明者】
【氏名】キ-ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-キュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-キュ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ウォン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-キ・イ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA03
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC10
5H040AA37
5H040AS01
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY05
(57)【要約】
本発明は、熱イベントが発生した場合にも安全性を確保可能に構成されたバッテリーパックを開示する。本発明の一面によるバッテリーパックは、一つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーモジュールと、バッテリーモジュールと接続され、バッテリーモジュールを管理するように構成された制御モジュールと、消火剤を保有し、且つ、バッテリーモジュール及び制御モジュールのうち少なくとも一つに結合した消火タンクであって、外側面の少なくとも一部が下方へ延びた遮断部材を備える消火タンクと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーモジュールと、
前記バッテリーモジュールと接続され、前記バッテリーモジュールを管理するように構成された制御モジュールと、
消火剤を保有し、且つ、前記バッテリーモジュール及び前記制御モジュールのうち少なくとも一つに結合した消火タンクであって、外側面の少なくとも一部が下方へ延びた遮断部材を備える前記消火タンクと、を含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項2】
前記消火タンクが、前記バッテリーモジュールと前記制御モジュールとの間に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記消火タンクが、前記制御モジュールの下部且つ前記バッテリーモジュールの上部に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記制御モジュールが、前記バッテリーモジュールの少なくとも一側から脱着可能とされるように構成されたことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記遮断部材が、前記消火タンクと前記バッテリーモジュールとの結合地点を遮蔽することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記消火タンクと前記バッテリーモジュールとが、地面に垂直な上下方向へ互いに部分的に離隔するように構成され、前記消火タンクと前記バッテリーモジュールとの間には離隔空間が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記遮断部材と前記バッテリーモジュールとが、水平方向へ互いに部分的に離隔するように構成され、前記遮断部材と前記バッテリーモジュールとの間には離隔空間が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記遮断部材が、前記消火タンクの一側面を下方へ延在させることによって形成された平面部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記遮断部材は、前記平面部の両側端の縁部から前記平面部に対して垂直に延びる側面部をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記バッテリーパックが複数のバッテリーモジュールを含み、
前記平面部及び前記側面部のうち少なくとも一つが、前記複数のバッテリーモジュールの積層方向へ延びることを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記バッテリーパックが複数のバッテリーモジュールを含み、
前記遮断部材が、前記複数のバッテリーモジュール間の地点を遮蔽することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記遮断部材が、前記バッテリーモジュールの下端まで延びることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記平面部には、前記側面部に平行な隔壁が少なくとも一つ備えられることを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記消火タンクには、前記バッテリーモジュールからベントガスが排出される場合に排出されたベントガスが移動するように、ベント経路が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含むことを特徴とする、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーに関し、より詳しくは、熱イベントが発生した場合にも安全性が確保可能に構成されたバッテリーパックなどに関する。
【0002】
本出願は、2021年12月23日出願の韓国特許出願第10-2021-0186625号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材を各々正極活物質と負極活物質に用いる。また、リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質が各々塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に封止して収納する外装材、即ち、電池ケースを備える。
【0005】
通常、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分けられる。
【0006】
このような二次電池は、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、電気自動車や電力貯蔵装置(Energy Storage System;ESS)のような中・大型装置にも広く用いられており、その利用程度が急増しつつある。さらに、最近は、住宅やビルなどの建物で使用されるための電力を貯蔵及び供給するために、住宅用エネルギー貯蔵システムが広く用いられている。そして、このような住宅用エネルギー貯蔵システムの核心構成は、バッテリーパックといえる。
【0007】
このような住宅用ESSなどに用いられるバッテリーパックを含めて多様なバッテリーパックには、容量及び/または出力の増大のために、複数のバッテリーセル(二次電池)が含まれる。特に、バッテリーパックのエネルギー密度を高めるために、複数のバッテリーセルは、非常に狭い空間に密集した状態で配置される場合が多い。
【0008】
このようなバッテリーパックの構成において、代表的に重要な問題の一つとして、安全性が挙げられる。特に、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーセルのうちいずれか一つのバッテリーセルで熱イベントが発生した場合、このような熱イベントは、他のバッテリーセルへの伝播(propagation)が抑制される必要がある。さらに、熱暴走(thermal runaway)などが発生したバッテリーセルではベントガスが噴出されることがあり、このようなベントガスは、他のバッテリーセルの熱暴走などを起こし、熱伝播(thermal propagation)を惹起し得る。
【0009】
また、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーセルは、二つ以上のバッテリーモジュールにグループ化した形態で存在し得る。この際、特定のバッテリーモジュールの内部で発生した熱暴走イベントは、他のバッテリーモジュールへの伝播が抑制される必要がある。
【0010】
バッテリーセルやバッテリーモジュール間の熱伝播が適切に抑制できていない場合には、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーセルや複数のバッテリーモジュール全体への熱イベントに拡がり、バッテリーパックの全体的な発火や爆発など、より大きい問題を起こし得る。さらに、バッテリーパックで発生した発火や爆発は、周辺の人命被害や財産上の大きい被害を与え得る。特に、住宅用バッテリーパックの場合、火事や爆発が発生するようになれば、住宅に居住する人の安全を害し、住宅の火事へ拡散して非常に大きい被害を発生させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、内部で発生した熱イベントを適切に制御できるように構造が改善されたバッテリーパックなどを提供することを目的とする。
【0012】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらなる他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するための本発明の一面によるバッテリーパックは、一つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーモジュールと、前記バッテリーモジュールと接続され、前記バッテリーモジュールを管理するように構成された制御モジュールと、消火タンクであって、消火剤を保有し、且つ、前記バッテリーモジュール及び前記制御モジュールのうち少なくとも一つに結合した消火タンクであって、外側面の少なくとも一部が下方へ延びた遮断部材を備える消火タンクと、を含む。
【0014】
望ましくは、前記消火タンクは、前記バッテリーモジュールと前記制御モジュールとの間に設けられ得る。
【0015】
より望ましくは、前記消火タンクは、前記制御モジュールの下部且つ前記バッテリーモジュールの上部に設けられ得る。
【0016】
本発明の一面において、前記制御モジュールは、前記バッテリーモジュールの少なくとも一側から脱着可能とされるように構成され得る。
【0017】
本発明の他面において、前記遮断部材は、前記消火タンクと前記バッテリーモジュールとの結合地点を遮蔽し得る。
【0018】
本発明のさらなる他面において、前記消火タンクと前記バッテリーモジュールは、地面に垂直な上下方向へ互いに部分的に離隔するように構成され、前記消火タンクと前記バッテリーモジュールとの間には離隔空間が形成され得る。
【0019】
本発明のさらなる他面において、前記遮断部材と前記バッテリーモジュールは、水平方向へ互いに部分的に離隔するように構成され、前記遮断部材と前記バッテリーモジュールとの間には離隔空間が形成され得る。
【0020】
本発明のさらなる他面において、前記遮断部材は、前記消火タンクの一側面を下方へ延在させることによって形成された平面部を含み得る。
【0021】
本発明のさらなる他面において、前記遮断部材は、前記平面部の両側端の縁部から前記平面部に対して垂直に延びる側面部をさらに含み得る。
【0022】
本発明のさらなる他面において、前記バッテリーパックは、複数のバッテリーモジュールを含み得る。
【0023】
望ましくは、前記平面部及び前記側面部のうち少なくとも一つは、前記複数のバッテリーモジュールの積層方向へ延び得る。
【0024】
本発明の他面において、前記遮断部材は、前記複数のバッテリーモジュール間の地点を遮蔽し得る。
【0025】
ここで、前記遮断部材は、前記バッテリーモジュールの下端まで延び得る。
【0026】
本発明のさらなる他面において、前記平面部には、前記側面部に平行な隔壁が少なくとも一つ備えられ得る。
【0027】
本発明のさらなる他面において、前記消火タンクには、前記バッテリーモジュールからベントガスが排出される場合に排出されたベントガスが移動するように、ベント経路が形成され得る。
【0028】
なお、上記の課題を達成するための本発明の他面によるエネルギー貯蔵システムは、本発明によるバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一面によれば、安全性が向上したバッテリーパックを提供することができる。
【0030】
特に、本発明の一実施形態によれば、バッテリーパックの内部で熱イベントが発生しても、このような熱イベントを迅速に制御することができる。
【0031】
本発明の一面によれば、バッテリーパックから排出されるベントガスの進行方向を転換することが可能である。これによって、ベントガスが周辺環境に直接噴射されることを防止することができる。
【0032】
したがって、バッテリーパックからベントガスが排出されるとしても、バッテリーパックに隣接する物体へのさらなる発火の危険性が減少する。
【0033】
さらに、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーセルのうち、一部のバッテリーセルにおいて熱暴走などによってベントガスなどが発生した場合、消火剤の注入によって当該バッテリーセルの温度を迅速に低めることができる。
【0034】
したがって、本発明のこのような面によれば、熱やベントガスによって他のバッテリーセルまたは他のバッテリーモジュールへ熱暴走状況などが伝播されるか、または火事が起こることを効果的に防止することができる。
【0035】
また、本発明の一面によれば、バッテリーパックの内部で火事が発生しても、消火剤、例えば、液体状態の消火剤が注入されることで火事を即刻に鎮圧することができる。
【0036】
そのため、このような面によれば、火事の拡散による人的、物的被害を予防または減少させることができる。
【0037】
また、本発明の一面によれば、気温や湿度などの多様な外部環境下で使用されるとしても、消火剤による火事抑制性能などが安定的に確保可能である。例えば、本発明の一実施構成によれば、零下の温度で長時間露出しても消火液が凍りにくいため、バッテリーパックの屋外設置及び利用が可能である。
【0038】
したがって、本発明のこのような面によれば、屋外で使用されるバッテリーパック、特に、住宅用バッテリーパックに、より有利に適用可能である。
【0039】
また、本発明の一実施構成によれば、複数のバッテリーモジュールが含まれたバッテリーパックにおいて、特定のバッテリーモジュールで熱イベントが発生した場合、当該バッテリーモジュールのみに消火剤が投入可能である。
【0040】
したがって、本発明のこのような面によれば、複数のバッテリーモジュールのうちイベントが発生したバッテリーモジュールに対して集中的かつ効果的な制御が可能である。また、本発明のこのような面によれば、イベントが発生していないバッテリーモジュールは継続的に使用可能であるので、一定の水準以上に持続的な電力の供給が可能である。
【0041】
その他にも本発明の多様な実施例によって、他の追加的な効果が達成され得る。このような本発明の多様な効果については、各実施例で詳細に説明か、または当業者が容易に理解可能な効果についてはその説明を省略する。
【0042】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーパックの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図2図1の構成に関わる結合斜視図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリーパックから消火タンクが除去された構成を概略的に示す斜視図である。
図4図3のバッテリーパックの構成に、消火タンクが組み立てられる構成を概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施例による制御モジュールの構成を概略的に示す下部斜視図である。
図6】本発明の一実施例による消火タンクに対して上部から見た形態を概略的に示す斜視図である。
図7】本発明の一実施例による消火タンクに対して下部から見た形態を概略的に示す斜視図である。
図8】本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成を概略的に示す断面図である。
図9】本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を正面から見た拡大図である。
図10】本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を上面から見た図である。
図11】本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を側面から見て概略的に示した図である。
図12図1のバッテリーパックにおいてベントガスが排出される位置を説明するための図である。
図13】本発明の他の実施例による消火タンクを説明するための図である。
図14】本発明のさらなる他の実施例による消火タンクを説明するための図である。
図15図14の消火タンクが適用されたバッテリーパックを説明するための図である。
図16】本発明のさらなる他の実施例による消火タンクを説明するための図である。
図17】本発明のさらなる他の実施例による消火タンクを説明するための図である。
図18図17の消火タンクが適用されたバッテリーパックを説明するための図である。
図19】本発明のさらなる他の実施例による消火タンクを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0045】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0046】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用され得るが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけであり、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0047】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの構成を概略的に示す分解斜視図であり、図2は、図1の構成に関わる結合斜視図である。
【0048】
図1及び図2を参照すると、本発明によるバッテリーパックは、バッテリーモジュール100、制御モジュール200及び消火タンク300を含む。
【0049】
前記バッテリーモジュール100は、一つ以上のバッテリーセルを備え得る。ここで、各々のバッテリーセルは、二次電池を意味し得る。二次電池は、電極組立体、電解質及び電池ケースを備え得る。さらに、バッテリーモジュール100に備えられたバッテリーセルは、パウチ型二次電池であり得る。但し、二次電池の他の形態、例えば、円筒形電池や角形電池も本発明のバッテリーモジュール100に採用され得る。
【0050】
また、前記バッテリーモジュール100は、バッテリーセルを収納するためのモジュールケースを備え得る。特に、モジュールケースは、内部に空間を備え、このような空間に複数のバッテリーセルが収容され得る。例えば、モジュールケースは、図1に示したように、ほぼ直方体の形態に形成され、地面に垂直である上下方向(Z軸方向)へ立てられるように構成され得る。
【0051】
前記制御モジュール200は、バッテリーパックの全般的な動作を制御し得る。特に、前記制御モジュール200は、バッテリーモジュール100と電気的に接続し得る。そして、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100を管理するように構成され得る。特に、前記制御モジュール200は、バッテリーモジュール100の充電動作または放電動作を制御するように構成され得る。また、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100やそれに含まれたバッテリーセル、またはその周辺環境に対して、各種電気的、物理的、化学的特性などを測定、演算、受信または制御するように構成され得る。例えば、制御モジュール200は、バッテリーセルやバッテリーモジュール100の電圧、電流、温度、SOC(State Of Charge)、SOH(State Of Health)、内部抵抗などを測定または演算するか、或いは制御し得る。
【0052】
前記制御モジュール200には、このようなバッテリーモジュール100の管理のために、バッテリーモジュール100から動作電源が供給され得る。また、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100または外部の他の装置と有線または無線通信網を通じて、各種データを交換し得る。
【0053】
前記制御モジュール200は、BMS(Battery Management System)、リレー、電流センサーなどの多様な電装品を備え得る。また、制御モジュール200は、このような電装品を収納するための制御ハウジングを備え得る。
【0054】
また、前記制御モジュール200は、パック端子を備え得る。このようなパック端子は、バッテリーパックと外部の充電装置または放電装置と接続するように構成され得る。例えば、パック端子は、常用電源または負荷と接続されるためのコンセントやプラグ、コネクターなどを備え得る。この場合、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100と充電電源及び放電電源を交わすための電源経路を備え得る。このような電源経路は、パック端子とバッテリーモジュール100との間で充放電電源を交わす経路として機能し得る。
【0055】
前記消火タンク300は、消火剤を保有し得る。ここで、消火剤としては、火事を抑制または鎮圧するか、或いは、温度を低め得る多様な物質が採用され得る。また、消火タンク300は、このような消火剤を内部空間に保有するためのタンクハウジングを備え得る。
【0056】
前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100及び制御モジュール200のうち少なくとも一つに結合し得る。例えば、前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100と結合し得る。また、消火タンク300は、制御モジュール200と結合し得る。
【0057】
特に、前記消火タンク300は、脱着可能に構成され得る。例えば、前記消火タンク300のタンクハウジングは、バッテリーモジュール100のモジュールケースに対して装着及び分離可能に構成され得る。また、前記消火タンク300のタンクハウジングは、制御モジュール200の制御ハウジングに対して装着及び分離可能に構成され得る。
【0058】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール100と制御モジュール200が含まれたバッテリーパックに消火タンク300が取り付けられることで、安全性が大幅に向上できる。特に、バッテリーパックに異常状況が発生した場合、例えば、バッテリーモジュール100の内部で熱暴走状況が発生するか、或いはバッテリーモジュール100または制御モジュール200で火事が発生した場合、消火剤によって火事発生を抑制するか、または発生した火事を鎮圧できる。また、バッテリーモジュール100や制御モジュール200の温度を低めて熱暴走状況や過熱状況を遮断できる。そのため、バッテリーパックの火事や過熱状況などの異常状況によって、バッテリーパックの外部における他の部分へ火事などの危険性が増大することを防止することができる。
【0059】
前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100と制御モジュール200との間に設けられ得る。特に、バッテリーモジュール100は、制御モジュール200の下部に位置し得る。この場合、消火タンク300は、バッテリーモジュール100の上部及び制御モジュール200の下部に位置し得る。
【0060】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール100と制御モジュール200が含まれたバッテリーパックにおいて、消火タンク300が、バッテリーモジュール100にも制御モジュール200にも隣接して配置され得る。そのため、バッテリーモジュール100と制御モジュール200で熱イベントが発生した場合、迅速かつ効果的に対応が可能である。
【0061】
ここで、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100の少なくとも一側から脱着可能とされるように構成され得る。これについては、図3図5を参照してより具体的に説明する。
【0062】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリーパックから消火タンク300が除去された構成を概略的に示す斜視図である。また、図4は、図3のバッテリーパックの構成に、消火タンク300が組み立てられる構成を概略的に示す図である。また、図5は、本発明の一実施例による制御モジュール200の構成を概略的に示す下部斜視図である。
【0063】
先ず、図3を参照すると、図1に示した構成と異なり、制御モジュール200とバッテリーモジュール100との間に消火タンク300が介在されなくてもよい。さらに、制御モジュール200は、消火タンク300が下部に位置していない状態で、バッテリーモジュール100の上部に直接設けられ得る。また、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100の上部に設けられた後、さらに分離可能に構成され得る。
【0064】
このために、バッテリーモジュール100と制御モジュール200は、互いに電気的かつ機械的に結合するための構成を備え得る。
【0065】
例えば、バッテリーモジュール100は、図4において、E1で示された部分のように、電気的接続のためのモジュールコネクターが上部に設けられ得る。そして、制御モジュール200は、図5において、E2で示された部分のように、制御コネクターが下部に設けられ得る。この際、制御コネクターE2は、モジュールコネクターE1と直接接続可能に構成され得る。特に、モジュールコネクターE1と制御コネクターE2は互いに電気的に接続し、充放電電源や電気的信号(データ)などが伝送され得る。特に、バッテリーモジュール100と制御モジュール200は、各々充放電電源を交わす電源用コネクターと電気的信号を交わす通信用コネクターを各々区分して備え得る。
【0066】
また、バッテリーモジュール100は、図4において、C1で示されたように、上部にモジュール締結部が形成され得る。そして、制御モジュール200は、図5においてC2で示されたように、下部に制御締結部が形成され得る。ここで、制御締結部C2とモジュール締結部C1は、互いに結合固定可能に構成され得る。例えば、モジュール締結部C1と制御締結部C2は、ボルト結合によって互いに締結するように構成され得る。そして、このようなモジュール締結部C1と制御締結部C2との締結や解除によって、制御締結部C2はモジュール締結部C1に直接取付けまたは分離され得る。
【0067】
このように、バッテリーモジュール100と制御モジュール200は、互いに機械的かつ電気的に直接結合可能に構成され得る。特に、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100に搭載されると共に電気的な接続が行われるプラグイン方式でバッテリーモジュール100に結合し得る。しかし、本発明の一面によるバッテリーパックの場合、図4において点線で示された部分のように、消火タンク300がバッテリーモジュール100と制御モジュール200との間の空間に介在され得る。
【0068】
特に、バッテリーパックが図3のような形態としても利用可能に製造された状態であるとしても、本発明の一面によるバッテリーパックは、バッテリーモジュール100と制御モジュール200との間に消火タンク300が挿入されて設けられるように具現され得る。
【0069】
本発明のこのような実施構成によれば、既存のバッテリーパック構造や生産ラインを最大限に活用しながらも、消火タンク300による安全性を確保することができる。特に、本発明の一実施例によれば、バッテリーモジュール100と制御モジュール200が直接装着されるバッテリーパック構成において、消火タンク300がバッテリーモジュール100と制御モジュール200との間に介在可能に構成され、熱イベントに対する安全性が確保されるようにし得る。
【0070】
前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100及び/または制御モジュール200と機械的に結合するように構成され得る。このために、消火タンク300は、タンク締結部を備え得る。これについては、図6図8を参照して具体的に説明する。
【0071】
図6及び図7は、本発明の一実施例による消火タンク300の上面視及び下面視による形態を概略的に示す斜視図である。また、図8は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成を概略的に示す断面図である。例えば、図8は、図1のA1-A1’による断面構成を示すといえる。
【0072】
先ず、図6を参照すると、前記消火タンク300は、C32で示された部分のように、上端に制御モジュール200と結合するための上端タンク締結部を備え得る。このような上端タンク締結部C32は、消火タンク300のタンクハウジングに設けられた締結部の構成であって、制御モジュール200と結合可能に構成され得る。例えば、図5に示したように、制御モジュール200の下端に制御締結部C2が備えられた場合、消火タンク300の上端に形成された上端タンク締結部C32は、制御締結部C2と結合可能に構成され得る。より具体的には、上端タンク締結部C32は、制御締結部C2とボルト結合可能に構成され得る。例えば、図8において、A2で示された部分のように、上端タンク締結部C32と制御締結部C2は、互いにボルト結合し得る。そして、このような制御締結部C2と上端タンク締結部C32とのボルト結合によって、制御モジュール200と消火タンク300は互いに固定され得る。
【0073】
特に、前述した実施例で説明されたように、制御モジュール200は、バッテリーモジュール100に直接搭載可能に設けられたものであり得る。この場合、制御締結部C2は、元々バッテリーモジュール100のモジュール締結部C1に結合するように設けられた構成であり得る。しかし、本発明によるバッテリーパックにおいて、消火タンク300に設けられた上端タンク締結部C32は、このような制御締結部C2が結合可能に構成され得る。このために、上端タンク締結部C32は、モジュール締結部C1と同じ形態及び水平方向の位置を有し得る。即ち、上端タンク締結部C32は、制御締結部C2に対し、モジュール締結部C1を代替する互換性を有するように構成され得る。
【0074】
また、前記消火タンク300は、下端にバッテリーモジュール100と結合するための下端タンク締結部を備え得る。例えば、図7を参照すると、下端タンク締結部は、C31で示された部分のように、消火タンク300の下端の縁部に設けられ、バッテリーモジュール100と結合するように構成され得る。例えば、図4に示したように、バッテリーモジュール100の上端にモジュール締結部C1が形成された場合、消火タンク300の下端タンク締結部C31は、このようなモジュール締結部C1と結合可能に構成され得る。
【0075】
より具体的には、下端タンク締結部C31は、モジュール締結部C1とボルト結合可能に構成され得る。例えば、図8において、A2’で示された部分のように、下端タンク締結部C31とモジュール締結部C1は、互いにボルト結合し得る。このようなモジュール締結部C1と下端タンク締結部C31とのボルト結合によって、バッテリーモジュール100と消火タンク300は互いに固定され得る。
【0076】
さらに、前記実施例で説明したように、バッテリーモジュール100は、制御モジュール200と直接結合可能に構成されたものであり得る。この場合、モジュール締結部C1は、元々制御モジュール200の制御締結部C2に結合するように設けられた構成であり得る。しかし、本発明によるバッテリーパックにおいて、消火タンク300に設けられたタンク締結部C31は、このようなモジュール締結部C1と結合できるように、制御締結部C2と同じ形態及び水平方向の位置を有し得る。即ち、下端タンク締結部C31は、モジュール締結部C1に対して、制御締結部C2を代替する互換性を有するように構成され得る。
【0077】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール100と制御モジュール200が直接結合する形態のバッテリーパックにおいて、その間の空間に消火タンク300を組み立てる構成を容易に具現可能である。特に、この場合、従来のバッテリーモジュール100や制御モジュール200の構成を変更することなく、消火タンク300の互換使用が可能である。
【0078】
また、本発明の一面によるバッテリーパックの場合、バッテリーモジュール100、消火タンク300及び制御モジュール200が上方へ順次に積層されるように構成され、前記実施構成によれば、このような積層状態が安定的に維持されることが可能である。
【0079】
一方、その他にも、安定的な結合性及び組立ての便宜性などのために、消火タンク300は、バッテリーモジュール100及び/または制御モジュール200と機械的に結合するための多様な形態の締結部を備え得る。例えば、消火タンク300は、フック結合、挿入結合、リベット結合などの多様な方式で、バッテリーモジュール100及び/または制御モジュール200と機械的に結合し得る。
【0080】
前記消火タンク300は、図8に示したように、接続部材330を備え得る。ここで、接続部材330は、バッテリーモジュール100と制御モジュール200とを電気的に接続する構成要素である。特に、接続部材330は、バッテリーモジュール100に設けられたモジュールコネクターE1と制御モジュール200に設けられた制御コネクターE2との間に介在され、これらの間を接続させるように構成され得る。さらに、接続部材330は、モジュールコネクターE1と制御コネクターE2に両端が結合し、充放電電源及び/または電気的信号などを伝達し得る。
【0081】
具体的な例として、接続部材330は、電源または電気的信号が移動できるように、一方向へ長く延びたケーブル形態で構成され得る。そして、接続部材330は、ケーブルの両端にタンクコネクターを備え得る。例えば、接続部材330は、図7及び図8において、E31で示されたように、下端にタンクコネクターを備え得る。そして、このような下端タンクコネクターE31は、バッテリーモジュール100のモジュールコネクターE1と接続し得る。また、接続部材330は、図6及び図8において、E32で示されたように、上端にタンクコネクターを備え得る。そして、このような上端タンクコネクターE32は、制御モジュール200の制御コネクターE2と接続し得る。
【0082】
前記消火タンク300は、図2図6及び図8などに示したように、内部タンク310及び外部タンク320を備え得る。ここで、内部タンク310は、内部に空間を備え、このような内部空間に消火剤を直接収容し得る。特に、内部タンク310は、消火剤を収容するために密閉された形態で構成され得る。例えば、内部タンク310は、定常状態では消火液などが漏れないように、IP等級55以上の気密性能を有するように構成され得る。そして、外部タンク320は、内部タンク310よりも大きく構成され、内部空間に内部タンク310を収容するように構成され得る。これによって、消火タンク300は、少なくとも部分的に二重で構成されるといえる。
【0083】
さらに、内部タンク310と外部タンク320とは、少なくとも部分的に離隔するように構成され得る。特に、図8の実施構成を参照すると、内部タンク310と外部タンク320は、少なくとも部分的に左右方向へ離隔するように構成され得る。例えば、内部タンク310の側壁と外部タンク320の側壁との間には、A5で示された部分のように、空間が形成されるように構成され得る。
【0084】
この場合、消火タンク300の内部の消火剤がより安全に保持され得る。特に、消火タンク300の側面などから衝撃などが印加されても、外部タンク320と内部タンク310の二重構成と、その間に形成された空間によって衝撃伝達が緩和されることが可能である。そのため、衝撃や振動などによって消火タンク300、特に、内部タンク310が破損しないようにすることで、消火剤の異常漏出を防止することができる。
【0085】
このような消火タンク300の実施構成において、接続部材330は、内部タンク310と外部タンク320との間の空間に位置し得る。例えば、図8の実施構成において、内部タンク310の右側壁と外部タンク320の右側壁との間には、空間が形成され得る。そして、このような離隔空間に接続部材330が位置し得る。また、内部タンク310の左側壁と外部タンク320の左側壁の間にも、これに類似な形態の空間が形成され、接続部材330が位置し得る。
【0086】
このような実施構成によれば、接続部材330が消火タンク300の内部の消火剤と直接的に接触しなくなる。そのため、消火剤による接続部材330の腐食または電流の漏洩などを予防することができる。
【0087】
前記消火タンク300は、図1及び図2に示したように、バッテリーモジュール100の上部に位置し得る。そして、消火タンク300から排出された消火剤は、バッテリーモジュール100側へ自由落下するように構成され得る。
【0088】
即ち、消火タンク300は、消火剤をバッテリーモジュール100側へ移動させるために別の動力源を要せず、迅速な消火剤の投入が可能である。例えば、図2の実施構成を参照すると、矢印A3で示されたように、消火剤がバッテリーモジュール100側へ投入され、このような投入過程は、自由落下方式で自然に行われ得る。したがって、本発明のこのような実施構成によれば、熱暴走などによって温度が上昇したバッテリーセルに対して効率的な熱的制御が可能になる。
【0089】
前記消火剤は、液体状態の物質を含み得る。即ち、前記消火タンク300は、液体状態の物質を消火剤として内部タンク310の内部空間に収容し得る。例えば、前記消火剤は、水、水と一つ以上の添加剤が混合された混合物、またはそれを含む液体であり得る。
【0090】
液体状態の消火剤は、下部に位置したバッテリーモジュール100へ自由落下方式によって容易に投入され得る。また、液体状態の消火剤は、バッテリーモジュール100の温度を低め、火事鎮圧に有利である。また、このような構成においては、消火液がバッテリーモジュール100の内部、特に、モジュールの下部にまで迅速かつ円滑に流入可能である。また、液体状態の消火剤によって、バッテリーモジュールの内部、特に、イベントが発生したバッテリーセルへの酸素の流入を抑制できる。
【0091】
さらに、前記消火剤は、不凍液、塩水及び絶縁油のうち少なくとも一つを含み得る。即ち、消火タンク300は、消火剤として不凍液、塩水及び/または絶縁油を保有するか、またはこのような液体物質と共に他の物質をさらに保有し得る。
【0092】
このような実施構成によれば、バッテリーパックの屋外設置にさらに有利であり得る。特に、住宅用ESSや産業用ESSなどに用いられるバッテリーパックの場合、室外に使用され得る。この際、前記実施構成のように、消火剤として不凍液、塩水または絶縁油などが用いられる場合、低い温度にも凍ることなく液体状態がそのまま維持される。そのため、消火剤がバッテリーモジュール100に投入されなければならない状況で、凍結によって投入されない問題を予防することができる。また、この場合、外部温度による体積変化を防止して、消火タンク300などの凍破問題を防止することができる。さらに、絶縁油の場合、バッテリーモジュール100に投入されるとしても、絶縁抵抗性能を有することができる。そのため、本発明のこのような実施構成の場合、住宅用バッテリーパックや住宅用エネルギー貯蔵システム(ESS)にさらに有利に適用可能である。
【0093】
前記消火タンク300は、破裂部材340を備え得る。ここで、破裂部材340は、所定の条件で破裂され得る。そして、破裂部材340は、破裂時、消火剤が流出可能に構成され得る。
【0094】
このために、破裂部材340は、消火タンク300の内部空間と連通するように構成され得る。特に、消火タンク300に内部タンク310及び外部タンク320が備えられる場合、破裂部材340は、内部タンク310の内部空間と連通するように構成され得る。例えば、内部タンク310は、大体に密閉された形態に形成されるが、投入ホールが形成され得る。そして、このような投入ホールに破裂部材340が挿入され、投入ホールが閉鎖され得る。そして、破裂部材340が破裂すれば、投入ホールが開放され、内部タンク310に収容された消火剤が外部へ流出されることが可能になる。
【0095】
前記破裂部材340は、消火タンク300の下部に位置し得る。この場合、破裂部材340が破裂すれば、バッテリーモジュール100側へ消火剤がより円滑に投入され得る。特に、消火剤は、自由落下方式で、バッテリーモジュール100に投入され得る。
【0096】
前記破裂部材340は、一つの消火タンク300に少なくとも一つ以上が備えられ得る。例えば、図7に示したように、破裂部材340は、一つの消火タンク300に四つが備えられ得る。
【0097】
また、前記破裂部材340は、温度や圧力などの条件によって破損するように構成され得る。例えば、破裂部材340は、一定温度以上及び/または一定圧力以上の条件で破裂するように構成され得る。
【0098】
特に、前記破裂部材340は、ベントガスによって破裂可能に構成され得る。即ち、バッテリーモジュール100で熱暴走などのイベントが発生すると、バッテリーモジュール100からベントガスが生成されて排出され得る。この際、破裂部材340は、このようなベントガスの熱や圧力によって破裂される材質や形態などから構成され得る。
【0099】
前記破裂部材340は、ガラスバルブとして具現され得る。例えば、消火タンク300に投入ホールが形成され、ガラスバルブは、このような投入ホールに挿入締結され得る。そして、ガラスバルブは、ベントガスと接触する場合に破損されることで、消火タンク300の内部の消火剤が外部側、特に、バッテリーモジュール100側へ噴出されるようにし得る。
【0100】
このような実施構成によれば、消火タンク300が簡単に構成されると共に、バッテリーモジュール100側へ消火剤を投入する構成がより円滑に行われる。また、このような実施構成によれば、バッテリーモジュール100から生成されたベントガスによって破裂部材340が破裂する構成がより容易に設けられる。
【0101】
その他にも、前記破裂部材340は、熱や圧力などの条件変化によって破裂可能な多様な材質または形態で具現され得る。例えば、前記破裂部材340は、ビニル材質や射出物の形態で具現され得る。
【0102】
前記バッテリーモジュール100は、内部空間と連通するように開口部が形成され得る。例えば、図2においてO1で示された部分のように、バッテリーモジュール100は、上端に開口部が形成され得る。そして、このような開口部O1は、バッテリーセルが位置するモジュールケースの内部空間に連通し得る。
【0103】
ここで、破裂部材340は、少なくとも一部がバッテリーモジュール100の開口部O1に挿入されるように構成され得る。例えば、図8においてA4及びA4’で示された部分のように、破裂部材340は、開口部O1からバッテリーモジュール100の内部空間に挿入され得る。
【0104】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール100の内部空間へ消火剤が流入可能である。そのため、バッテリーモジュール100の内部で発生した熱イベント、例えば、熱暴走やガス噴出、火事などの状況にさらに効果的に対応可能である。さらに、バッテリーモジュール100の内部空間には熱イベントの直接的な対象になるバッテリーセルが位置し得る。そのため、前記実施構成によれば、消火剤がバッテリーセルに直接噴射されることが可能である。そのため、火事などの抑制や予防にさらに有利になる。
【0105】
また、本発明のこのような実施構成によれば、ガラスバルブなどの破裂部材340がベントガスにさらに迅速に反応可能である。即ち、バッテリーモジュール100の内部空間でベントガスが発生した場合、ベントガスは、開口部O1からバッテリーモジュール100の外部へ排出され得る。言い換えれば、開口部O1は、バッテリーモジュール100においてベントガスの排出口の役割を果たし得る。さらに、開口部O1がバッテリーモジュール100の上部側に位置する場合、ベントガスは上部に位置する開口部O1側へ多量排出され得る。
【0106】
この際、ベントガスが排出される部分にガラスバルブが位置する場合、ベントガスの発生時にガラスバルブが迅速に破裂され得る。そのため、熱イベントの発生時、消火剤のより迅速な投入が可能になる。また、この場合、排出されるベントガスに消火剤が直接噴射されるため、ベントガスの温度を低め、ベントガスに含まれた火炎やスパークなどの外部発火源の排出を抑制できる。
【0107】
一方、バッテリーモジュール100に形成された開口部O1は、必ずしもベントガスなどを排出するための用途で設けられたものではなくてもよい。例えば、図2などに示したバッテリーモジュール100の上端に設けられた開口部O1は、バッテリーモジュール100の運搬のための用途として設けられたものであり得る。即ち、開口部O1は、バッテリーモジュール100の運搬時、作業者や運び装置が指または把持用器具を入れて把持可能な空間を提供するように構成されたものあり得る。または、開口部O1は、制御モジュール200または消火タンク300が挿入されるための構成として設けられたものであり得る。
【0108】
前記消火タンク300には、ベントガスが移動可能に構成されたベント経路が形成され得る。即ち、バッテリーモジュール100の開口部O1からベントガスが排出される場合、このようなベントガスは、特定部分へ排出されるように消火タンク300の内部及び/または外部にはベント経路が形成され得る。このようなベント経路は、消火タンク300単独で、または他の構成要素と共に形成され得る。これについては、図8と共に図9及び図10をさらに参照して説明する。
【0109】
図9は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を正面から見た拡大図である。例えば、図9は、図8のA4部分の拡大図であるといえる。また、図10は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を上面から見た図である。例えば、図10は、図1のA6-A6’による断面図である。
【0110】
先ず、図9を参照すると、消火タンク300がバッテリーモジュール100の上部に設けられた状態で、消火タンク300とバッテリーモジュール100は互いに部分的に離隔するように構成され得る。そして、このような離隔空間は、バッテリーモジュール100の開口部O1と連通してベント経路として機能し得る。即ち、前記消火タンク300と前記バッテリーモジュール100は、地面に垂直な上下方向へ互いに部分的に離隔して構成され、前記消火タンク300と前記バッテリーモジュール100との間には、離隔空間が形成され得る。例えば、図9において、A7で示された部分のように、バッテリーモジュール100の上端と消火タンク300の下端との間には、空間が形成され得る。そして、開口部O1から排出されたベントガスは、矢印A8で示されたように、バッテリーモジュール100と消火タンク300との離隔空間A7から外部へ排出され得る。即ち、このような実施構成においては、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の離隔空間A7がベント経路として提供され得る。また、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間に形成されたベント経路は、バッテリーパックの外部に連結され、バッテリーパック内部のベントガスが外部へ排出され得る。
【0111】
また、ベント経路は、消火タンク300の内部に形成され得る。特に、消火タンク300に内部タンク310及び外部タンク320が含まれた場合、内部タンク310と外部タンク320との間に空間が形成され得る。例えば、図8においてA5で示された部分のように、内部タンク310と外部タンク320との間が離隔することで当該空間がベント経路として機能し得る。
【0112】
そして、このような内部タンク310と外部タンク320との間の離隔空間A5は、バッテリーモジュール100の開口部O1と連通し得る。また、内部タンク310と外部タンク320との間に形成されたベント経路は、バッテリーパックの外部に連結され、バッテリーパック内部のベントガスが外部へ排出され得る。
【0113】
また、ベント経路は、図9においてA8で示された部分のように、消火タンク300とバッテリーモジュール100との間と、図8においてA5で示された部分のように、外部タンク320と内部タンク310との間に共に形成され得る。そして、このようなベント経路は互いに連通し、開口部O1及び外部空間に繋がり得る。
【0114】
このような実施構成においては、バッテリーモジュール100の内部から開口部O1に向かって排出されたベントガスは、開口部O1に位置した破裂部材340、例えば、ガラスバルブを破損させて消火剤がバッテリーモジュール100の内部へ流入するようにし得る。そして、このようなベントガスは、図10で矢印A9及びA9’で示されたように、消火タンク300とバッテリーモジュール100との間の空間及び外部タンク320と内部タンク310との間に形成されたベント経路を各々通してバッテリーモジュール100の外部へ排出され得る。より具体的には、図10の実施例を参照すると、ベントガスは、消火タンク300の内部空間で左右方向(X軸方向)へ移動し、さらに後方(+Y軸方向)へ移動して、バッテリーパックの外部へ排出され得る。この際、バッテリーパックにおいてベント経路の排出口は、バッテリーパックの後方に位置し得る。
【0115】
このような実施構成によれば、バッテリーモジュール100に設けられた消火タンク300によってベントガスの排出構成が提供されることで、バッテリーモジュール100の内部のベントガスが外部へ円滑に排出されるようにして、バッテリーモジュール100の内圧増加による爆発などを防止することができる。
【0116】
また、このような実施構成によれば、バッテリーモジュール100から排出されたベントガスの方向を消火タンク300によって効果的に制御可能である。特に、前記実施構成において、ベントガスは、破裂部材340側へ流れるように誘導できる。そのため、ベントガスの発生時、破裂部材340が迅速に破裂するようにすることが可能である。さらに、前記実施構成において、ベントガスは、図10に示したように、バッテリーパックの後側へ移動し得る。そのため、バッテリーパックの前側に位置する使用者や他の構成要素へのベントガスの直接的な露出を防止できる。
【0117】
前記バッテリーモジュール100は、バッテリーパックに二つ以上が含まれ得る。この際、消火タンク300は、二つ以上のバッテリーモジュール100の各々に対して消火剤が別に投入可能に構成され得る。これについては、図11をさらに参照してより具体的に説明する。
【0118】
図11は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの一部構成の断面を側面から見て概略的に示した図である。例えば、図11は、図1のA10-A10’線による断面図であるといえる。
【0119】
図11などを参照すると、バッテリーパックに二つ以上のバッテリーモジュール100が含まれ得る。そして、消火タンク300は、二つ以上のバッテリーモジュール100に対して共に組立て可能に構成され得る。この際、消火タンク300は、少なくとも二つの破裂部材340を備え、バッテリーモジュール100の積層方向へ離隔して配置されるようにし得る。そして、複数の破裂部材340は、相異なるバッテリーモジュール100の開口部O1に各々挿入され得る。例えば、図11の実施構成においては、第1ガラスバルブG1が第1モジュールM1の開口部O1に挿入され、第2ガラスバルブG2が第2モジュールM2の開口部O1に挿入され得る。
【0120】
そして、このような構成において、各々のガラスバルブG1、G2は、相異なるバッテリーモジュール100(M1、M2)に対して消火剤が投入されるようにし得る。例えば、第1モジュールM1からベントガスや火炎などが発生する場合、第1ガラスバルブG1が割れることで、矢印D1で示されたように、消火タンク300の消火剤が第1モジュールM1の内部へ投入され得る。他の例で、第2モジュールM2からベントガスや火炎などが発生する場合、第2ガラスバルブG2が割れることで、矢印D2で示されたように、消火タンク300の消火剤が第2モジュールM2の内部へ投入され得る。
【0121】
本発明のこのような実施構成によれば、複数のバッテリーモジュール100が含まれたバッテリーパックにおいて、各バッテリーモジュール100に対して直接的な消火剤の投入が可能である。特に、前記実施構成によれば、イベントが発生したバッテリーモジュール100のみに対して消火剤が投入されるようにし得る。そのため、消火剤が投入されなかった他のバッテリーモジュール100に対しては、動作し続けるようにし得る。例えば、第1モジュールM1で熱イベントが発生した場合、第1ガラスバルブG1が破損して第1モジュールM1の内部のみに消火剤が投入され得る。この際、第2ガラスバルブG2は破損していないため、第2モジュールM2の内部へは消火剤が投入されず、第2モジュールM2の継続的な使用が可能である。そのため、一部のバッテリーモジュール100で問題が発生しても、バッテリーパック全体が無駄になる問題を予防することができる。
【0122】
一方、図11においては、一つのバッテリーモジュール100に一つの破裂部材340が挿入されたように示されているが、一つのバッテリーモジュール100に二つ以上の破裂部材340が挿入され得る。例えば、図7などに示したように、消火タンク300は、前後方向及び左右方向に各々二つ以上の破裂部材340を備え得る。この場合、一つのバッテリーモジュール100に対して、左右方向に配置された二つの破裂部材340が共に挿入され得る。
【0123】
バッテリーパックに複数のバッテリーモジュール100が含まれた実施構成において、各バッテリーモジュール100の間には、ベント経路が分離されるように構成され得る。例えば、図11においてW1で示された部分のように、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間には中央突出部が形成され得る。このような突出部は、バッテリーモジュール100の上端から上方へ膨らむ形態で設けられ、消火タンク300の下端に接触し得る。
【0124】
この場合、突出部は、ベントガスなどが他のバッテリーモジュール100側へ流れることを防止し得る。例えば、第1モジュールM1でベントガスが開口部O1から噴出された場合、ベントガスは、第1モジュールM1の上部と消火タンク300の下部との間に形成されたベント経路に沿って、図10に示したように、左右方向(X軸方向)へ流れ得る。しかし、第1モジュールM1から排出されたベントガスは、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間に形成された中央突出部W1によって、第2モジュールM2側へ移動しなくなる。即ち、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間に形成された中央突出部W1は、これらの間でベントガスの移動を遮断する隔壁として機能し得る。特に、このような中央突出部W1は、シーリング性能を確保するために、ゴムやシリコーン、ウレタンのような弾性材質から構成され得る。
【0125】
このような中央突出部W1は、水平方向において、バッテリーモジュール100の積層方向に直交する方向(X軸方向)へ長く延びるように形成され得る。例えば、図10において、隔壁として、突出部は、W2で示された部分のように、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間に位置し、左右方向(X軸方向)へ長く延びて形成され得る。
【0126】
本発明のこのような実施構成によれば、ベントガスのベント方向の制御がより確実に行われることが可能である。さらに、この場合、一部のバッテリーモジュール100から排出されたベントガスが他のバッテリーモジュール100へ流入することを遮断して、モジュール間の熱暴走伝播などの問題を予防できる。また、前記実施構成によれば、他のバッテリーモジュール100から排出されたベントガスなどによって破裂部材340が破損して正常のバッテリーモジュール100の内部へ消火剤が投入される問題を防止することができる。
【0127】
また、複数のバッテリーモジュール100は、その外部側にも隔壁が形成され得る。例えば、図11においてW3で示された部分のように、前側に位置した第1モジュールM1の前側上端の縁部にも消火タンク300と接触してベント経路を密閉する隔壁構成として、突出部(前方突出部)が備えられ得る。また、図11においてW3’で示された部分のように、後側に位置した第2モジュールM2の後側上端の縁部にも消火タンク300と接触してベント経路を密閉する隔壁構成として、突出部(後方突出部)が備えられ得る。また、このような前方突出部W3及び後方突出部W3’は、シーリング性能を確保するために、ゴムやシリコーン、ウレタンのような弾性材質から構成され得る。
【0128】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間に形成されたベント経路の密閉力を確保して、ベントガスが意図された方向のみへ排出されるようにすることができる。例えば、このような隔壁構成によれば、ベントガスが、図10において矢印A9及びA9’で示された方向のみへ移動し、他方向、例えば、バッテリーパックの前側へ移動することを防止し得る。
【0129】
さらに、前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100及び/または制御モジュール200と結合する縁部にシーリング部材をさらに含み得る。例えば、前記消火タンク300は、リング形態で構成された上部シーリング部材及び下部シーリング部材を備え得る。そして、上部シーリング部材は消火タンク300の上部の縁部に備えられ、下部シーリング部材は消火タンク300の下部の縁部に備えられ得る。このようなシーリング部材は、ゴムやシリコーン、ウレタンのような弾性材質からなり得る。
【0130】
このような実施構成によれば、消火タンク300の上端及び/または下端において、他の構成要素(バッテリーモジュール、制御モジュール)との結合部分における密閉性能を確保することができる。そのため、当該部分からのベントガスの漏出、水や水分、埃のような異物の浸透を防止することができる。
【0131】
本発明によるバッテリーパックは、消火タンク300やバッテリーモジュール100、制御モジュール200などが住宅やビルのような建物の壁体などと結合固定可能に構成され得る。例えば、消火タンク300は、後面部に固定ホールが形成され、このような固定ホールから消火タンク300が壁体に固定されるように構成され得る。または、本発明によるバッテリーパックは、壁体などと結合するように構成された固定ユニットをさらに含み得る。このような固定ユニットは、消火タンク300やバッテリーモジュール100などの構成要素と締結され、バッテリーパックを壁体に固定し得る。
【0132】
図12は、図1のバッテリーパックにおいてベントガスが排出される位置を説明するための図である。
【0133】
図10から図12を参照すると、第1モジュールM1でベントガスが開口部O1から噴出された場合、ベントガスは、第1モジュールM1の上部と消火タンク300の下部との間に形成されたベント経路に沿って、図10に示したように、左右方向(X軸方向)へ流れ得る。この際、ベントガスが過度に発生する場合、バッテリーモジュール100の開口部O1が占める空間における圧力が高くなり得る。そのため、前記ベントガスは、図11においてW3で示された部分のように、ベント経路を密閉する突出部を越えて排出され得る。結局は、左右方向へ流れたベントガスは、図12に示されたように、バッテリーモジュール100と消火タンクとの間へ排出され得る。または、バッテリーモジュール100の開口部O1が占める空間における圧力が高くなると、前記ベントガスは、図11においてW1で示された部分のように、ベント経路を密閉する中央突出部を越えて排出され得る。結局、左右方向へ流れたベントガスは、図12に示したように、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間へ排出され得る。このように、ベントガスは、バッテリーモジュール100と消火タンク300との隙間またはバッテリーモジュール100とバッテリーモジュール100との隙間へ排出され得る。即ち、ベントガスが前記隙間へ排出されるため、ベントガスの排出方向は前記バッテリーパックの外側面に対して垂直方向になり得る。
【0134】
因みに、前記バッテリーパックは、屋内または屋外の壁などの近所に配設して使用する場合が通常である。この際、発生したベントガスがバッテリーパックの外側面に対して垂直方向へ排出されるため、前記バッテリーパックを壁などに隣接して配置する場合、高温のベントガスが壁面に向かって垂直に排出されて壁面の温度を急激に上昇させることがある。そこで、隣接する壁面は、高温のベントガスに直接的に接触され、さらなる発火の危険が存在し得る。
【0135】
したがって、本発明は、図7のように、消火剤を保有し、且つ、前記バッテリーモジュール100及び前記制御モジュール200のうち少なくとも一つに結合した消火タンク300であって、外側面の少なくとも一部が下方へ延びた遮断部材350を備える消火タンク300を含むことで、壁面のさらなる発火の危険を遮断することができる。これについては、図7及び図12図19を参照してより詳しく説明する。
【0136】
なお、参照までに、本明細書では、便宜上バッテリーパックに隣接する壁面の温度が高くなる場合を例に挙げて説明したが、壁面のみに限定されることではなく、バッテリーパックに隣接して配置され得る全ての構成要素に対しても同様に発明が適用可能である。
【0137】
図7をさらに参照すると、前記消火タンク300は、外側面の少なくとも一部が下方へ延びた遮断部材350を備え得る。例えば、前記消火タンク300は、ほぼ直方体の形態に形成され、地面に垂直である上下方向(Z軸方向)へ立てられて構成され得る。この際、前記消火タンク300は、四つの側面のうち少なくとも一側面が下方へ延びた遮断部材350を備え得る。例えば、図7の実施例の遮断部材350は、消火タンク300の四つの側面のうち一側面が下方へ延びた遮断部材350である。
【0138】
このような構造によれば、本発明のバッテリーパックを壁と隣接して配置する場合にも、前記遮断部材350を壁側に配置することで、ベントガスが壁と直接接触することを阻むことができる。これによって、バッテリーパックに隣接する壁などのさらなる発火危険を遮断できる。
【0139】
図7をさらに参照すると、前記消火タンク300は、バッテリーモジュール100と結合する縁部にバッテリーモジュール100側へ突出するように構成された遮断部材350をさらに含み得る。例えば、図7及び図11の実施図面を参照すると、A11で示された部分のように、消火タンク300の縁部における少なくとも一部の下端には、バッテリーモジュール100の上端よりも下方へ延びた遮断部材350が形成され得る。そして、このような遮断部材350は、消火タンク300がバッテリーモジュール100に設けられた場合、バッテリーモジュール100の外側を囲む形態で構成され得る。
【0140】
本発明のこのような実施構成によれば、消火タンク300とバッテリーモジュール100との結合性がさらに向上できる。また、このような実施構成によれば、消火タンク300から消火剤が噴射される場合、バッテリーモジュール100の内部への消火剤の投入を容易にする一方、バッテリーパックの外部への消火剤の漏出を抑制することができる。
【0141】
さらに図7を参照すると、前記遮断部材350は、前記バッテリーモジュール100の上端領域を遮蔽し得る。
【0142】
図11及び図12に示したように、ベントガスは、バッテリーモジュール100と消火タンク300との隙間へ排出され得る。消火タンク300は、前記バッテリーモジュール100の上部及び制御モジュール200の下部に位置しているため、バッテリーモジュール100と消火タンク300との隙間は、バッテリーモジュール100の上端領域付近であり得る。そのため、前記遮断部材350は、バッテリーモジュール100の上端領域を遮蔽することが望ましい。より望ましくは、前記遮断部材350は、前記消火タンク300と前記バッテリーモジュール100との結合地点を遮蔽し得る。このような構造によれば、壁にベントガスが直接接触することを阻むことができる。これによって、バッテリーパックに隣接する壁または他の品物におけるさらなる発火危険を遮断できる。
【0143】
図11及び図12を参照すると、前記消火タンク300と前記バッテリーモジュール100は、地面に垂直である上下方向へ互いに部分的に離隔して構成され、前記消火タンク300と前記バッテリーモジュール100との間には、離隔空間A7が形成され得る。このような実施構成においては、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の離隔空間A7が水平方向のベント経路として提供され得る。
【0144】
望ましくは、前記遮断部材350と前記バッテリーモジュール100は、水平方向へ互いに部分的に離隔して構成され、前記遮断部材350と前記バッテリーモジュール100との間には、離隔空間が形成され得る。このような実施構成においては、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の離隔空間が垂直方向のベント経路として提供され得る。特に、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の離隔空間は、下方のベント経路として提供され得る。また、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間に形成されたベント経路は、バッテリーパックの外部に繋がり、バッテリーパック内部のベントガスが外部へ排出され得る。
【0145】
図13は、本発明の他の実施例による消火タンク300を説明するための図である。
【0146】
本実施例による消火タンク300は、前述した実施例の消火タンク300と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0147】
図13を参照すると、前記遮断部材350は、図7の遮断部材350よりも上下方向の長さが長く構成され得る。このような構造によれば、ベントガスの排出経路がさらに長くなるため、ベントガスの冷却効果が増加できる。
【0148】
本発明の他面で、図13の遮断部材350の長さが図7の遮断部材350の長さよりも長いが、バッテリーモジュール100の下部まで完全に遮蔽できない長さであり得る。即ち、遮断部材350の末端ではベントガスが排出されるため、遮断部材350の末端付近領域に位置した壁などにベントガスの接触する可能性がある。しかし、このような場合でも、前記ベントガスが壁面に垂直に排出されず、壁面に平行な方向へ排出されるため、壁などのさらなる発火危険性は緩和する。即ち、前記ベントガスは、前記遮断部材350に沿って下方へ移動して結局は下方へ排出され得る。即ち、ベントガスは、前記遮断部材350によって進行方向が変わり得る。例えば、ベントガスは、図10に示したように、左右方向(X軸方向)へ進み、図12に示したように前記遮断部材350によって遮られて進行方向が遮断されることで下方(-Z方向)へ進行方向が転換され得る。したがって、本発明の遮断部材350によれば、ベントガスが壁などに垂直に噴射されることを阻むので、壁などのさらなる発火危険性が大幅に緩和されることが可能である。
【0149】
図14は、本発明のさらなる他の実施例による消火タンク300を説明するための図であり、図15は、図14の消火タンク300が適用されたバッテリーパックを説明するための図である。
【0150】
本実施例による消火タンク300は、前述した実施例の消火タンク300と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0151】
図14及び図15を参照すると、前記遮断部材350は、図13の遮断部材350よりも上下方向の長さが長く構成され得る。特に、前記遮断部材350は、前記バッテリーモジュール100の下端まで延び得る。このような構造によれば、ベントガスの排出経路がより長くなるため、ベントガスの冷却効果がさらに増加する。
【0152】
例えば、図7図13のように、遮断部材350がバッテリーモジュール100の一部の高さまでに遮蔽するように構成される場合、前記遮断部材350の末端から前記バッテリーパックが装着される底部との間の空間にベントガスが一定時間とどまる場合が発生し得る。前記ベントガスは、遮断部材350によって隣接する壁などに垂直に排出されないが、遮断部材350の末端から前記バッテリーパックが装着される底部との間の空間にベントガスが一定時間とどまるようになれば、壁などの温度を上昇させる可能性が増加し得る。これに対し、図14の遮断部材350によれば、前記遮断部材350がバッテリーモジュール100の下端まで延びるため、発生したベントガスは最終的にバッテリーパックが装着された底部辺りから排出され得る。そのため、バッテリーパックと壁などとの間の空間にベントガスのとどまる時間が減少する。したがって、本実施例によれば、壁などの温度上昇の可能性をさらに減少させることができる。
【0153】
図7及び図11図15をさらに参照すると、前記遮断部材350は、前記消火タンク300の一側面を下方へ延在させることによって形成された平面部351を含み得る。前記遮断部材350は、前記平面部351の両側端の縁部から前記平面部351に対して垂直に延びる側面部352をさらに含み得る。
【0154】
前記側面部352は、ベントガスの進行方向を転換させ得る。側面部352が備えられない場合、前記ベントガスは壁などと平行な方向へ排出され、結局は壁などと間接的でも接触可能性が発生する。一方、図15のように側面部352が前記平面部351の両側端の縁部から前記平面部351に対して垂直に延びるように構成された構造によれば、ベントガスの進行方向が前記側面部352によって転換され、ベントガスは前記壁などとは垂直に、かつ前記壁などから遠くなる方向へ排出されることが可能である。これによって、壁などのさらなる温度上昇の可能性をさらに減少させることができる。
【0155】
図16は、本発明のさらなる他の実施例による消火タンク300を説明するための図である。
【0156】
本実施例による消火タンク300は、前述した実施例の消火タンク300と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0157】
図16を参照すると、前記平面部351及び前記側面部352のうち少なくとも一つは、前記複数のバッテリーモジュール100の側端まで延び得る。図16では、前記平面部351と側面部352がいずれも前記バッテリーモジュール100の側端まで延びている。
【0158】
例えば、前記バッテリーパックは壁などに隣接して配置され得るが、壁と壁が接する角地点に配置され得る。この場合、バッテリーパックは、二つの壁と隣接して配置され得る。この場合、バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の隙間へ排出されるベントガスは、二つの壁に全て直接的に接触するように排出され得る。これに関わり、本発明の前記構造によれば、平面部351及び側面部352のうち少なくとも一つが、前記バッテリーモジュール100と消火タンク300との間の隙間を全て遮蔽可能であるため、バッテリーパックを壁の角地点に配置する場合にも壁などのさらなる発火危険性を遮断することができる。
【0159】
本発明の他面において、図16を参照すると、バッテリーパックは、複数のバッテリーモジュール100を含み得る。ここで、前記平面部351及び前記側面部352のうち少なくとも一つは、前記複数のバッテリーモジュール100の積層方向へ延び得る。望ましくは、前記遮断部材350は、前記複数のバッテリーモジュール100の間の地点を遮蔽するように構成され得る。
【0160】
図10図12をさらに参照すると、第1モジュールM1でベントガスが開口部O1から噴出された場合、ベントガスは、第1モジュールM1の上部と消火タンク300の下部との間に形成されたベント経路に沿って、図10に示したように、左右方向(X軸方向)へ流れ得る。この際、ベントガスが過度に多量発生すると、バッテリーモジュール100の開口部O1が占める空間における圧力が高くなり得る。バッテリーモジュール100の開口部O1が占める空間における圧力が高くなると、前記ベントガスは、図11においてW1で示された部分のように、ベント経路を密閉する中央突出部を越えて排出され得る。結局は、左右方向へ流れたベントガスは、図12に示したように、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間へ排出され得る。このように、ベントガスは、バッテリーモジュール100とバッテリーモジュール100との間の隙間へ排出され得る。即ち、ベントガスが前記隙間へ排出されるため、ベントガスの排出方向は、前記バッテリーパックの外側面に対して垂直方向になり得る。
【0161】
図16の実施例によれば、前記遮断部材350が前記複数のバッテリーモジュール100との間の地点を遮蔽するように構成されるため、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間から排出されたベントガスが壁などに噴射されることを効果的に遮断可能である。
【0162】
図17は、本発明のさらなる他の実施例による消火タンク300を説明するための図であり、図18は、図17の消火タンク300が適用されたバッテリーパックを説明するための図である。
【0163】
本実施例による消火タンク300は、前述した実施例の消火タンク300と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0164】
図17及び図18は、図16の実施例において遮断部材350がバッテリーモジュール100の下端まで延びた変形例である。このような構造によれば、ベントガスの排出経路がさらに長くなるため、ベントガスの冷却効果がさらに増加できる。また、このような構造によれば、前記遮断部材350がバッテリーモジュール100の下端まで延びるため、発生したベントガスは、バッテリーパックが装着された底部辺りから最終的に排出され得る。したがって、バッテリーパックと壁などとの間の空間にベントガスがとどまる時間が減少する。これによって、本実施例によれば、壁などの温度上昇の可能性をさらに減少させることができる。
【0165】
図19は、本発明のさらなる他の実施例による消火タンク300を説明するための図である。
【0166】
本実施例による消火タンク300は、前述した実施例の消火タンク300と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0167】
図19を参照すると、前記平面部351には、前記側面部352と平行な隔壁353が少なくとも一つ備えられ得る。前記隔壁353と隔壁353との間には排出空間が形成され得る。このように前記平面部351に、前記側面部352と平行な隔壁353が少なくとも一つ備えられる構造によれば、発生したベントガスの前記遮断部材350に沿う移動が容易になる。即ち、狭い排出空間の通路を通して前記ベントガスが効果的に排出されることが可能である。結果的には、ベントガスの排出が円滑になる。
【0168】
図示していないが、本発明のさらなる他の実施形態として、前記排出空間における一部の排出空間は密閉されるように構成され、密閉された前記排出空間内には冷却液がさらに含まれ得る。この場合、冷却液が含まれた密閉の排出空間と隣接する排出空間へ移動するベントガスは、移動過程で冷却され得る。したがって、ベントガスによる壁などの温度増加の危険性が低下する。
【0169】
本発明によるエネルギー貯蔵システムは、前述した本発明によるバッテリーパックを一つ以上含む。また、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、このようなバッテリーパックに加え、エネルギー貯蔵システムに含まれる通常の構成要素をさらに含み得る。特に、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、住宅やビルなどでエネルギーを貯蔵するために使用される、住宅用(建物用)エネルギー貯蔵システムであり得る。
【0170】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0171】
100 バッテリーモジュール
200 制御モジュール
300 消火タンク
310 内部タンク
320 外部タンク
330 接続部材
340 破裂部材
350 遮断部材
351 平面部
352 側面部
353 隔壁
C1 モジュール締結部
C2 制御締結部
C31、C32 タンク締結部
E1 モジュールコネクター
E2 制御コネクター
E31、E32 タンクコネクター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】