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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】X線源
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/16 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01J35/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525534
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022017188
(87)【国際公開番号】W WO2023080693
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150643
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512121680
【氏名又は名称】バテック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】516053154
【氏名又は名称】バテック イウ ホールディングス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ジョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム グンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヤンドゥ
(57)【要約】
本発明は、ターゲットが設けられたアノード電極と、絶縁材質からなり、前記アノード電極が一端に設置されるチューブ形状の第1ハウジングと、導電材質からなり、前記第1ハウジングに一端が連結されるチューブ状の第2ハウジングと、前記第2ハウジングの他端に設置され、前記ターゲットに対向するエミッタが設けられたカソード電極と、を含む、X線源を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極部と、
前記アノード電極部と電気的に接続されたターゲットと、
絶縁材質からなり、前記アノード電極部の少なくとも一部を収容する第1ハウジングと、
前記ターゲットに対向するエミッタと、
前記エミッタと電気的に接続されるカソード電極部と、
前記第1ハウジングと共にX線管をなし、導電材質からなる第2ハウジングと、を含む、X線源。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、前記アノード電極部から前記カソード電極部に向かう方向に内径が大きくなる、請求項1に記載のX線源。
【請求項3】
前記第2ハウジングの外面に設置されるフランジと、
前記フランジに形成されるウィンドウと、をさらに含む、請求項1に記載のX線源。
【請求項4】
前記第2ハウジングは、絶縁スペーサをさらに含み、
前記カソード電極部は、前記絶縁スペーサに固定される、請求項1に記載のX線源。
【請求項5】
前記カソード電極部は、前記第2ハウジングの内部または外部に配置される、請求項4に記載のX線源。
【請求項6】
前記アノード電極部に印加されるアノード電圧の大きさと前記第1ハウジングの長さとは比例する、請求項1に記載のX線源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出型X線源(Field Emission type X-ray Source)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線源は、医療診断用や非破壊検査用、化学分析用などの多様な検査装置または診断装置に応用されて幅広く使用されている。
電界放出型X線源は、セラミック等からなる絶縁材質の真空ハウジング内にカソード電極、ゲート電極及びアノード電極を備えている。カソード電極の一面には、CNT(Carbon Nano Tube)などのナノ構造物で形成されたエミッタが設けられ、これに対向するアノード電極の一面にはタングステン(W)などのターゲットが設けられ、エミッタとターゲットとの間にはゲート電極が設けられる。電界放出型X線源は、ゲート電極に印加されるゲート電圧によってエミッタから電子が放出され、放出された電子は、カソード電極とアノード電極にそれぞれ印加されるカソード電圧とアノード電圧との電圧差によりアノード電極側に加速されてターゲットに衝突することによりX線が発生する構成を有する。
【0003】
しかし、従来の電界放出型X線源のハウジングは、セラミックなどの絶縁材質であるため、残留電荷がトラップ(trap)されると、除去することが難しく、これによりアーク放電(arc discharge)が発生すると、ナノ構造物のエミッタが劣化することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0083040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するために案出されたもので、その目的は、電界放出型X線源のハウジングとして、セラミック材質からなるアノード電極側の第1ハウジングと金属材質からなるカソード電極側の第2ハウジングとを接合することにより、ハウジング内の残留電荷を金属材質の第2ハウジングに容易に誘導および解消することができる電界放出型X線源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のX線源は、アノード電極部と、前記アノード電極部と電気的に接続されたターゲットと、絶縁材質からなり、前記アノード電極部の少なくとも一部を収容する第1ハウジングと、前記ターゲットに対向するエミッタと、前記エミッタと電気的に接続されるカソード電極部と、前記第1ハウジングと共にX線管をなし、導電材質からなる第2ハウジングと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、前記第1ハウジングは、前記アノード電極部から前記カソード電極部に向かう方向に内径が大きくなることを特徴とする。
【0008】
また、前記第2ハウジングの外面に設置されるフランジと、前記フランジに形成されたウィンドウと、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記第2ハウジングは、絶縁スペーサをさらに含み、前記カソード電極部は、前記絶縁スペーサに固定されることを特徴とする。
【0010】
また、前記カソード電極部は、前記第2ハウジングの内部または外部に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記アノード電極部に印加されるアノード電圧の大きさと前記第1ハウジングの長さとは、比例することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のX線源によれば、次の効果がある。
【0013】
ハウジングを、セラミック材質からなるアノード電極側の第1ハウジングと、金属材質からなるカソード電極側の第2ハウジングとの接合構造で構成し、第1、第2ハウジングの特徴的な構造を介して第1ハウジングの電荷残留可能性を最小限に抑える一方、第2ハウジングを接地して残留電荷を迅速に除去することにより、放電アーク(arc)によるエミッタの劣化現象を防止することができる。
【0014】
また、X線照射位置に該当する第2ハウジングの一側にフランジ部を設置し、ここにウィンドウをインストールして他の装置との接続およびアライメントに利便性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態によるX線源の外観斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図2のA、B及びC部分を拡大して示す断面図である。
図4図2のA、B及びC部分を拡大して示す断面図である。
図5図2のA、B及びC部分を拡大して示す断面図である。
図6】本発明の第2実施形態によるX線源の外観斜視図である。
図7図6の縦断面図である。
図8図7のD部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示された実施形態を詳細に説明するが、図面、符号を問わず、同一又は類似する構成要素は、同一の参照符号を付し、これについての重複説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書作成の容易さのみが考慮されて付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明するにあたり、関連する公知の技術についての具体的な説明が、本明細書に開示された実施形態の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むと理解されるべきである。
【0017】
「第1」、「第2」等のように序数を含む用語は、多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0018】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いると言及された場合には、該他の構成要素に直接連結または接続されていることも意味するが、それらの間に別の構成要素が介在する場合も含むと理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いると言及された場合には、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。
【0019】
単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0020】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0021】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小されることがある。例えば、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のための任意に示したので、本発明は、必ずしも図示されたものに限定されない。
【0022】
ある実施形態が異に実現可能である場合に、特定の工程順序は、説明される順序とは異なる順で行われることもできる。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に行われてもよく、説明される順序とは逆の順で行われてもよい。
【0023】
一方、本発明は、具体的な構成および作用によって幾つかの実施形態に区分されるので、以下では、それぞれを区分して考察する。説明の便宜上、実施形態ごとに共通する内容は第1実施形態によって十分に説明し、その他の実施形態については相違点を中心に説明する。
【0024】
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態によるX線源10の外観斜視図であり、図2図1の縦断面図であり、図3図4及び図5図2のA、B及びC部分を拡大して示す断面図である。
【0025】
図1および図2を参照すると、X線源10は、外観をなすハウジング20を含むことができる。
【0026】
ハウジング20は、中空の管状であり、内部は真空が形成できる。
【0027】
ハウジング20は、アノード電極部30側の第1ハウジング21を含むことができる。
【0028】
第1ハウジング21は、中空形状であり得る。第1ハウジング21は絶縁材質で構成できる。例えば、第1ハウジング21はセラミック材質で構成できる。
【0029】
第1ハウジング21の内面21aはスカート状であり得る。スカート形状は、上から下に下がるほど、すなわち、後述するアノード電極部30からカソード電極部40に向かうほど内径が大きくなる形状であり得る。
【0030】
図2および図3を参照すると、第1ハウジング21はスリーブ(sleeve)22を含むことができる。スリーブ22は、カソード電極部40に向かう第1ハウジング21の下端から円筒管27の内部を介してカソード電極部40に向かって下方に延びて形成できる。これにより、スリーブ22は、第1ハウジング21の下端と円筒管27の上端との接合部位25を覆ってカバーすることができる。スリーブ22は、第1ハウジング21と一体型であり得る。スリーブ22の内面22aは、第1ハウジング21の内面21aから下方に延びるリブ形状であり得る。このようなリブ形状は、絶縁距離を最大限に確保することができる。スリーブ22の外面22bは円筒管27と離隔(s)することができる。スリーブ22の下端の外側は、傾斜面22cが形成できる。傾斜面22cは、第1ハウジング21に向かうほど円筒管27の内面と間隔が次第に狭くなる漏斗状または皿状であり得る。この漏斗状または皿状は、ハウジング20の内部空間に残留した電荷を、金属側である第2ハウジング26へ円滑に導くことができる。
【0031】
ハウジング20は、カソード電極部40側の第2ハウジング26を含むことができる。第2ハウジング26は金属材質で構成できる。第2ハウジング26は接地できる。
【0032】
第2ハウジング26は金属材質の円筒管27を含むことができる。円筒管27の上端は第1ハウジング21の下端と接合できる。接合は、例えばろう付け溶接であってもよい。
【0033】
第2ハウジング26は金属材質の底板28を含むことができる。底板28はドーナツ状の中空板であり得る。例えば、底板28の中心に貫通孔28aが形成できる。底板28の縁部は円筒管27の下端に接合できる。接合は、例えばろう付け溶接であってもよい。
【0034】
図2を参照すると、第1ハウジング21の平均厚さTは、第2ハウジング26の厚さtよりも非常に厚く形成できる。これは、アノード電極部30に印加される高電圧によって第1ハウジング21のセラミック材質が絶縁破壊されるのを防止するためである。
【0035】
図2及び図4を参照すると、X線源10は、第1ハウジング21の一端に設置されるアノード電極部30を含むことができる。
【0036】
アノード電極部30は、第1ハウジング21の内面中心に配置されるアノード電極棒31を含むことができる。アノード電極棒31は金属材質であり得る。
【0037】
アノード電極部30は、第1ハウジング21の上端の外部に配置される支持部33を含むことができる。支持部33は、金属材質であり得る。支持部33は、アノード電極棒31の上端に一体的に形成できる。支持部33の直径は、アノード電極棒31の直径より大きく、第1ハウジング21の最小内径より小さくてもよい。支持部33は金属材質の支持台35を含むことができる。支持台35は、支持部33の外周面に形成できる。支持台35は、コ字状のブリッジ構造であり得る。支持台35は、水平支持台35aを含むことができる。水平支持台35aは、支持部33の外周面から外側に水平突出することができる。支持台35は、垂直支持台35bを含むことができる。垂直支持台35bは、水平支持台35aから下方に突出することができる。垂直支持台35bの下端は、第1ハウジング21の上端に接合できる。垂直支持台35bと支持部33の外周面との間に空間36が形成できる。支持台35及び空間36は、金属材質のアノード電極部30とセラミック材質の第1ハウジング21との異種素材間の熱膨張率差にも拘らず、アノード電極部30を第1ハウジング21に安定して固定することができる。
【0038】
アノード電極部30は、金属材質のターゲット設置部37を含むことができる。ターゲット設置部37は、アノード電極棒31の下端に一体的に形成できる。ターゲット設置部37の下面37aは、ウィンドウ50側に向かうように斜めに傾斜している。ターゲット設置部37の下面37aにターゲット39が接合できる。ターゲット39は、加速された電子の打撃によってX線をウィンドウ50に放出することができる。ターゲット39は、タングステン(w)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銀(Ag)、タンタル(Ta)またはイットリウム(Y)などからなることができる。例えば、ターゲット39は、融点が高く、X線放出効率に優れたタングステン(w)が適用できる。
【0039】
図2および図5を参照すると、X線源10は、カソード電極部40を含むことができる。カソード電極部40は、第2ハウジング26の底板28の貫通孔28aに貫通孔28aと離隔して配置されることができる。これにより、カソード電極部40は、金属材質の第2ハウジング26と電気的に絶縁できる。
【0040】
カソード電極部40はカソード電極41を含むことができる。カソード電極41は、第2ハウジング26の底板28の外部に配置されることができる。
【0041】
カソード電極41は凸状の形状であり得る。カソード電極41は、金属材質のカソード本体41aを含むことができる。カソード本体41aの表面には、CNT(Carbon Nano Tube)、金属ナノチップなどのナノスケール(Scale)のエミッタ(図示せず)が配置できる。
【0042】
カソード電極41は、金属材質のカソードフランジ41bを含むことができる。カソードフランジ41bは、カソード本体41aの下側に一体に形成できる。
【0043】
カソード電極部40はゲート電極42を含むことができる。ゲート電極42は、カソード本体41aの上面に離隔して設けられることができる。これにより、ゲート電極42はカソード電極41と電気的に絶縁される。ゲート電極42はメッシュ(mesh)状であり得る。
【0044】
ゲート電極42はフォーカス部43を含むことができる。フォーカス部43はフォーカス管43aを含むことができる。フォーカス管43aの下端にはゲート電極42が接合できる。フォーカス管43aは、エミッタから放出されてゲート電極42を通過した電子が集束するようにガイドすることができる。フォーカス部43はフォーカスフランジ43bを含むことができる。フォーカスフランジ43bは、フォーカス管43aの下側に形成できる。フォーカスフランジ43bの上面には第1段差部43b’が形成できる。第1段差部43b’は、下方に凹むように形成できる。フォーカスフランジ43bの下面には第2段差部43b”が形成できる。第2段差部43b”は、上方に凹むように形成できる。
【0045】
カソード電極部40はフォーカス電極44を含むことができる。フォーカス電極44は、フォーカス部43でフォーカスされた電子を二次フォーカスすることができる。
【0046】
フォーカス電極44はフォーカス電極中空板44aを含むことができる。フォーカス電極中空板44aの内径は、フォーカス管43aと同じでもよく、それよりやや大きくてもよい。
【0047】
フォーカス電極44はフォーカス電極側壁44bを含むことができる。フォーカス電極側壁44bは、フォーカス電極中空板44aの縁部の下面から下方に延びることができる。フォーカス電極側壁44bの内径は、フォーカスフランジ43bの外径とほぼ同じであり得る。
【0048】
カソード電極部40は、チューブ状の第1絶縁スペーサ45を含むことができる。第1絶縁スペーサ45は、カソード電極41とフォーカス部43との間に設けられることができる。すなわち、第1絶縁スペーサ45は、カソードフランジ41bと第2段差部43b”との間に設けられることができる。第1絶縁スペーサ45は、カソード電極41とゲート電極42とを隔てて電気的に絶縁させることができる。
【0049】
カソード電極部40は、チューブ状の第2絶縁スペーサ46を含むことができる。第2絶縁スペーサ46は、フォーカス電極44と第2ハウジング26の底板28との間、及びフォーカス電極44とフォーカス部43との間にわたって設けられることができる。すなわち、第2絶縁スペーサ46の下面は、底板28の段差部28bと第1段差部43b’に置かれ、第2絶縁スペーサ46の上面は、フォーカス電極側壁44bを受けることができる。第2絶縁スペーサ46は、ゲート電極42のフォーカス部43とフォーカス電極44とを離間させるとともに、カソード電極部40を第2ハウジング26に固定させることができる。これにより、ゲート電極42とフォーカス電極44とは電気的に絶縁できる。
【0050】
カソード電極部40は、これらの構成が接合されてアセンブリを形成することができる。このアセンブリ構造のカソード電極部40は、第2絶縁スペーサ46が底板28の段差部28bにフィラー溶接されて第2ハウジング26に接合されることができる。
【0051】
X線源10はウィンドウ50を含むことができる。ウィンドウ50は、ターゲット39に対向する第2ハウジング26の円筒管27の一側に設置されたフランジ部51の内部に設けられることができる。
【0052】
フランジ部51は水平管53を含むことができる。水平管53は円筒管27の一側の外面に設置できる。
【0053】
フランジ部51はフランジ55を含むことができる。フランジ55は水平管53の末端に設けられることができる。
【0054】
ウィンドウ50は、水平管53とフランジ55との境界面に設けられることができる。
【0055】
このようなフランジ部51は、ウィンドウ50を設けるだけでなく、他の装置との接続及びアライメントに利便性を付与することができる。
【0056】
カソード電極41にはカソード電圧、アノード電極部30にはアノード電圧、ゲート電極42にはゲート電圧、フォーカス電極44にはフォーカス電圧がそれぞれ印加できる。ゲート電極42に印加されるゲート電圧によってエミッタから電子が放出されると、カソード電極41とアノード電極部30にそれぞれ印加されるカソード電圧とアノード電圧による高い電位差により、電子は、ゲート電極42のメッシュを通過してアノード電極部30に向かって加速され、ターゲット39に衝突してX線が発生する。発生したX線は、ウィンドウ50を透過して外部に照射される。この過程で、フォーカス電極44は、ゲート電極42のメッシュを通過してアノード電極部30に向かう電子をターゲット39に集束させる。
【0057】
一方、ターゲット39とカソード電極41との距離は、電界形成のために固定できる。
【0058】
本実施形態の第1変形例によるX線源10は、一例として、カソード電極に印加されるカソード電圧が接地電位であり、アノード電極部30に印加されるアノード電圧が正電位である、いわゆる単電源(Single Power Supply)方式であり得る。この場合、アノード電極部30に非常に高い電位の高電圧が印加される。アノード電圧は、一例として+120kV以上になることができる。よって、アノード電極棒31及び第1ハウジング21の長さを増やして第1ハウジング21の絶縁を強化し、第2絶縁スペーサ46の高さを調節してカソード電極41を第2ハウジング20の下端の外側に配置することにより、ターゲット39とカソード電極41との距離を維持することができる。
【0059】
第2変形例
図6は本発明の好適な実施形態の第2変形例によるX線源100の外観斜視図であり、図7図6の縦断面図、図8図7のD部分を拡大して示す断面図である。
【0060】
本実施形態の第2変形例によるX線源100は、アノード電圧とカソード電圧がそれぞれ正電位及び負電位を示す両電源(Dual Power Supply)方式であり得る。一例として、アノード電圧は+60kV、カソード電圧は-60kVであってもよい。
【0061】
図2図7を比較すると、第2変形例によるX線源100は、第1変形例によるX線源10とはその構造がほぼ同一であるが、アノード電圧が相対的に低いため、第1ハウジング21に要求される絶縁耐力が相対的に小さい。したがって、第1ハウジングの長さが相対的に短く、カソード電極41が第2ハウジング126の内部に配置されてターゲット39とカソード電極41との距離を維持する。このために、第2ハウジング126の内部にチューブ状の第3絶縁スペーサ147が追加できる。
【0062】
以下、第1変形例によるX線源10とはその構造及び機能が同じである場合には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
図6および図7を参照すると、X線源100は、外観をなすハウジング120を含むことができる。
【0064】
ハウジング120は、アノード電極部130側の第1ハウジング121と、カソード電極部140側の第2ハウジング126とを含むことができる。第1ハウジング121は絶縁材質、一例としてセラミック材質であり、第2ハウジング126は金属材質で構成できる。第1変形例と比較して、第1ハウジング121は相対的に長さ(高さ)が短くてもよい。
【0065】
第1ハウジング121の下端には、スリーブ(sleeve)122が第2ハウジング126の内部の下方に延びて形成できる。スリーブ122は、第1ハウジング121と一体の材質で構成できる。
【0066】
第1ハウジング121の内面121aとスリーブ122の内面122aとは、下方に下がるほど内径が大きくなるスカート状であり得る。
【0067】
スリーブ122の外面122bは、第2ハウジング126の円筒管127と離隔(s)することができる。スリーブ122の下端の外側は、傾斜面122cが形成できる。傾斜面122cは、第1ハウジング121に向かうほど円筒管127の内面と次第に狭くなる漏斗状または皿状であり得る。
【0068】
第2ハウジング126は、円筒管127と底板128を含むことができる。底板128の中心に貫通孔128aが設けられることができる。
【0069】
図7を参照すると、X線源100はアノード電極部130を含むことができる。
アノード電極部130は、第1ハウジング121とスリーブ122の内面中心に配設できる。
【0070】
アノード電極部130は、アノード電極棒131と、アノード電極棒131の上下端に形成される支持部33およびターゲット設置部37を含むことができる。
【0071】
アノード電極棒131は、第1ハウジング121とスリーブ122でカバーできる。
【0072】
両電源のアノード電極棒131は、単電源のアノード電極棒31の長さ(高さ)よりも相対的に短くてもよい。
【0073】
支持部33の外周面に支持台35を含むことができる。支持台35は、コ字状に水平支持台35aと垂直支持台35bを含むことができる。垂直支持台35bと支持部33の外周面との間には、熱膨張を許容する空間36が形成できる。
【0074】
ターゲット設置部37の下面37aは、ウィンドウ50側に向かって斜めに傾いている傾斜面であり、この傾斜面にターゲット39が接合できる。
【0075】
図7および図8を参照すると、X線源100はカソード電極部140を含むことができる。カソード電極部140は第2ハウジング126の内部に配置できる。
【0076】
カソード電極部140はカソード電極41を含むことができる。カソード電極41はハウジング20の内部に配置できる。
【0077】
カソード電極41は、凸字状を呈し、カソード本体41aとカソードフランジ41bとを含むことができる。カソード本体41aの上面にはエミッタ(図示せず)が配置できる。
【0078】
カソード電極部140は、カソード本体41aの上面に設けられるゲート電極42を含むことができる。ゲート電極42は、メッシュ状であってもよい。
【0079】
カソード電極部140はフォーカス部43を含むことができる。
【0080】
フォーカス部43は、フォーカス管43aとフォーカスフランジ43bとを含むことができる。ゲート電極42はフォーカス管43aの下端に接合できる。フォーカスフランジ43bの上面には、下方に凹んだ第1段差部43b’が形成できる。フォーカスフランジ43bの下面には、上方に凹んだ第2段差部43b”が形成できる。
【0081】
カソード電極部140はフォーカス電極144を含むことができる。
【0082】
フォーカス電極144はフォーカス電極中空板144aを含むことができる。フォーカス電極中空板144aの内径は、フォーカス管43aと同じでもよく、それよりやや大きくてもよい。
【0083】
フォーカス電極144はフォーカス電極側壁144bを含むことができる。フォーカス電極側壁144bは、フォーカス電極中空板144aの下面から下方に延びることができる。フォーカス電極側壁144bの内径は、フォーカス管43aの外径より大きくてもよい。フォーカス電極側壁144bは、フォーカス管43aの外周面に挿入できる。フォーカス電極側壁144bの下端の内側には、上方に凹んだ段差部144b’が形成できる。
【0084】
フォーカス電極144は支持フランジ144cを含むことができる。支持フランジ144cは、フォーカス電極中空板144aの外周面に外側に延びて突設されることができる。支持フランジ144cの端部には係止段144c’が設けられることができる。係止段144c’は、支持フランジ144cの端部から下方に延びて突設されることができる。
【0085】
カソード電極部140は第1絶縁スペーサ45を含むことができる。第1絶縁スペーサ45は、カソード電極41とフォーカス部43との間に設けられることができる。すなわち、第1絶縁スペーサ45は、カソードフランジ41bと第2段差部43b”との間に設けられることができる。第1絶縁スペーサ45は、カソード電極41とゲート電極42とを隔てて互いに電気的に絶縁させる。
【0086】
カソード電極部140は第2絶縁スペーサ146を含むことができる。第2絶縁スペーサ146は、フォーカス電極144とフォーカス部43との間に設けられることができる。すなわち、第2絶縁スペーサ146の下面は、第1段差部43b’と段差部144b’との間に設けられることができる。第2絶縁スペーサ146は、フォーカス部43とフォーカス電極144との間を隔てて互いに電気的に絶縁させる。
【0087】
X線源100は第3絶縁スペーサ147を含むことができる。第3絶縁スペーサ147は、フォーカス電極144と底板128との間に設けられることができる。すなわち、第3絶縁スペーサ147は、係止段144c’と底板128の段差部128bとの間に設けられることができる。第3絶縁スペーサ147は、カソード電極41を第2ハウジング126と絶縁させるとともに、カソード電極部140を第2ハウジング126に固定させることができる。第3絶縁スペーサ147は、上側から下側に下がるほど直径が大きくなるスカート状であり得る。したがって、第3絶縁スペーサ147は、ハウジング内の残留電荷を金属材質の第2ハウジング127に導くことができる。
【0088】
カソード電極部140は、これらの構成が接合されてアセンブリを形成することができる。このアセンブリ構造のカソード電極部140は、第3絶縁スペーサ147の下端が底板128の段差部128bに接合されることができる。
【0089】
X線源100は、ウィンドウ50を含むことができる。
【0090】
ウィンドウ50は、フランジ部51に設けられることができる。フランジ部51は、水平管53とフランジ55を含むことができる。ウィンドウ50は、水平管53とフランジ55との界面に設けることができる。
【0091】
一方、ターゲット39とカソード電極41との距離は、電界形成のために固定できる。
【0092】
カソード電極41とアノード電極部130にそれぞれ負電位と正電位が印加されるX線源100の場合、アノード電圧が相対的に低いので、第1ハウジング21に要求される絶縁耐力が相対的に小さい。よって、カソード電極41がハウジング120の内部に配置されることにより、アノード電極棒131および第1ハウジング121の長さを減らし、第3絶縁スペーサ147の長さ(または高さ)は増やしてターゲット39とカソード電極41との距離を一定に保つことができる。
【0093】
例えば、図2図7とを比較すると、図7のX線源100の第1ハウジング121とアノード電極棒131は、図2のX線源10の第1ハウジング21とアノード電極棒31よりもその長さが短い代わりに、図7のX線源100の第2ハウジング126は、図2のX線源10の第2ハウジング26よりもその長さが長く形成されることができる。
【0094】
上述した本発明の一実施形態または他の実施形態は、互いに排他的であるか或いは区別されるものではない。前述した本発明の一実施形態または他の実施形態は、それぞれの構成または機能が併用されるか或いは組み合わせられることができる。
【0095】
本発明の精神および必須的な特徴から逸脱することなく、本発明が他の特定の形態に具体化されることができるのは、当業者にとって自明である。上述した詳細な説明は、あらゆる面で限定的に解釈されてはならず、例示的なものと考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の請求の範囲の合理的解釈によって決定されるべきであり、本発明の等価的範囲内におけるすべての変更は、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10 X線源
20、120 ハウジング
21、121 ハウジング
22、122 スリーブ(sleeve)
25 接合部位
26、126 第2ハウジング
27、127 円筒管
28、128 底板
30、130 アノード電極部
31、131 アノード電極棒
33 支持部
35 支持台
37 ターゲット設置部
39 ターゲット
40 カソード電極部
41 カソード電極
42 ゲート電極
43 フォーカス部
44、144 フォーカス電極
45 第1絶縁スペーサ
46、146 第2絶縁スペーサ
50 ウィンドウ
51 フランジ部
53 水平管
55 フランジ
100 X線源
147 第3絶縁スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】