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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】マルチレベル電力変換器の保護
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525578
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022078717
(87)【国際公開番号】W WO2023076951
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,251
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/560,700
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】シュチェシンスキー,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB15
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD12
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730XX04
5H730XX41
(57)【要約】
【要約】
2つ以下の高電圧FETスイッチを使用する一方で、すべてのまたはほとんどの他の電力スイッチが低電圧FETスイッチであることを可能にする、マルチレベル電力変換器を保護するための回路および方法。いくつかの実施形態は、残りの低電力FETスイッチが飽和する前に飽和するように設計された保護用高電圧上部および下部FETを提供する。他の実施形態は、電力スイッチに低電力FETのみを使用するが、通常の電力変換動作中には常にオン(導通)状態にあり、過渡状態または故障状態の場合にはオフ(非導通)状態に迅速に切り替わるように構成された保護回路を提供することができる。任意選択で、保護回路のうちの1つまたは複数は、あるタイプの故障状態の間に電流フローを制限または阻止するために、および/または電力変換器の起動の間に突入電流を制限するために、制御された方法で使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器であって、
(a)第1の降伏特性および第1の飽和特性を有する第1のスイッチと、
(b)第2の降伏特性および第2の飽和特性を有する第2のスイッチと、
(c)直列に結合された1つまたは複数の中間スイッチのセットであって、前記セットが前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に直列に結合され、前記セット中の前記スイッチが、前記第1の飽和特性および前記第2の飽和特性よりも大きい飽和特性を有する、1つまたは複数の中間スイッチのセットと、を含む、電力変換器。
【請求項2】
前記スイッチのセットのうちの少なくとも1つのスイッチは、前記第1および第2の降伏特性よりも小さい降伏特性を有する、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記第1及び第2のスイッチは、トランジスタである、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記第1及び第2のスイッチは、FETである、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記電力変換器は、マルチレベル電力変換器である、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項6】
電力変換器であって、
(a)第1のスイッチであって、前記第1のスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する、第1のスイッチと、
(b)第2のスイッチであって、前記第1のスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する、第2のスイッチと、
(c)直列に結合された1つまたは複数のスイッチのセットであって、前記セットは、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に直列に結合される、1つまたは複数のスイッチのセットと、を含み、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記電力変換器の通常動作中に前記閉状態に設定され、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のイベントに応答して前記開状態に設定される、電力変換器。
【請求項7】
前記イベントは、過渡イベントまたは故障イベントである、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記電力変換器は、マルチレベル電力変換器である、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項9】
前記1つまたは複数のスイッチは、低電圧FETである、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項10】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのうちの少なくとも1つは、FETスイッチである、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項11】
前記第1のスイッチは、第1の降伏特性を有するFETスイッチであり、前記第2のスイッチは、第2の降伏特性を有するFETスイッチであり、前記1つまたは複数のスイッチは、前記第1の降伏特性および前記第2の降伏特性よりも小さい降伏特性を有する、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項12】
前記第1のスイッチの前記制御入力に結合された第1のスイッチコントローラと、前記第2のスイッチの前記制御入力に結合された第2のスイッチコントローラとをさらに含み、前記第1のスイッチコントローラおよび前記第2のスイッチコントローラのうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数のイベントに応答して、関連する結合されたスイッチを前記開状態に設定する、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項13】
前記イベントは、過渡イベントまたは故障イベントである、請求項12に記載の電力変換器。
【請求項14】
前記第1のスイッチの前記制御入力と前記1つまたは複数のスイッチの前記セット内の第1の隣接するスイッチのソースとの間に結合された第1の補助保護回路と、前記第2のスイッチの前記制御入力と1つまたは複数のFET電力スイッチのセット内の第2の隣接するスイッチのドレインとの間に結合された第2の補助保護回路とをさらに含む、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項15】
前記第1および第2の補助保護回路は、前記第1または第2の隣接する電力スイッチそれぞれへの損傷を防止するのに十分なツェナー電圧を有するツェナーダイオードを備える、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項16】
前記第1のスイッチはN型FETであり、前記第2のスイッチはP型FETである、請求項6に記載の電力変換器。
【請求項17】
電界効果トランジスタ(FET)に基づくマルチレベル電力変換器であって、
(a)N型FETスイッチであって、入力電圧源に結合されるように構成され、前記N型FETスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有し、第1の降伏特性と第1の飽和特性とを有する、N型FETスイッチと、
(b)P型FETスイッチであって、基準電圧に結合されるように構成され、前記P型FETスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有し、第2の降伏特性と第2の飽和特性とを有する、P型FETスイッチと、
(c)直列に結合された1つまたは複数のFET電力スイッチのセットであって、前記セットは、前記N型FETスイッチと前記P型FETスイッチとの間に直列に結合される、1つまたは複数のFET電力スイッチのセットと、を含み、
前記N型FETスイッチおよび前記P型FETスイッチは、前記マルチレベル電力変換器の通常動作中に前記閉状態に設定され、
前記N型FETスイッチおよび前記P型FETスイッチのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のイベントに応答して前記開状態に設定され、
前記セット内の前記FET電力スイッチは、前記第1の降伏特性および前記第2の降伏特性よりも小さい降伏特性を有し、前記第1の飽和特性および前記第2の飽和特性よりも大きい飽和特性を有する、マルチレベル電力変換器。
【請求項18】
前記N型FETスイッチの前記制御入力と、前記1つまたは複数のFET電力スイッチのセット内の隣接するFET電力スイッチのソースとの間に結合された電圧制限回路をさらに含む、請求項17に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項19】
前記P型FETスイッチの前記制御入力と、前記1つまたは複数のFET電力スイッチのセット内の隣接するFET電力スイッチのドレインとの間に結合された電圧制限回路をさらに含む、請求項17に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項20】
前記イベントは、過渡イベントまたは故障イベントである、請求項17に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項21】
前記N型FETスイッチの前記制御入力に結合された第1のスイッチコントローラと、前記P型FETスイッチの前記制御入力に結合された第2のスイッチコントローラとをさらに含み、前記第1のスイッチコントローラおよび前記第2のスイッチコントローラのうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数のイベントに応答して、関連する結合されたFETスイッチを前記開状態に設定する、請求項17に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項22】
前記イベントは、過渡イベントまたは故障イベントである、請求項21に記載のマルチレベル電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月1日に出願された「マルチレベル電力変換器の保護」に関する米国仮出願第63/274,251号、および2021年12月23日に出願された「マルチレベル電力変換器の保護」に関する米国特許出願第17/560,700号の優先権を主張し、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電子回路に関し、特に、DC-DC電力変換回路を含む電力変換回路に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの電子製品、特にモバイルコンピューティング及び/又は通信製品及びコンポーネント(例えば、ノートブックコンピュータ、ウルトラブックコンピュータ、タブレットデバイス、LCD及びLEDディスプレイ)は、複数の電圧レベルを必要とする。例えば、無線周波数(RF)送信機電力増幅器は、比較的高い電圧(例えば、12 V以上)を必要とし得るが、論理回路は、低い電圧レベル(例えば、1~3 V)を必要とし得る。さらに他の回路は、中間電圧レベル(例えば、5~10 V)を必要とすることがある。
【0004】
直流電力変換器は、バッテリ、太陽電池、整流されたAC電源などの共通の電源からより低い電圧またはより高い電圧を生成するためにしばしば使用される。より高い入力電圧電源からより低い出力電圧レベルを生成する電力変換器は、出力電圧VOUTが入力電圧VINよりも低く、したがって変換器が入力電圧を「バッキング」するため、一般にバック変換器として知られている。より低い入力電圧電源からより高い出力電圧レベルを生成する電力変換器は、VOUTがVINよりも大きいので、一般にブースト変換器として知られている。いくつかの電力変換器は、入力および出力のためにどの端子が使用されるかに応じて、バック変換器またはブースト変換器のいずれかであり得る。いくつかの電力変換器は、反転出力を提供し得る。
【0005】
様々なタイプの電力変換器は、コンバータ回路、制御回路、およびバイアス電圧発生器、クロック発生器、電圧レギュレータ、電圧制御回路などの補助回路を備える。例えば、図1は、従来技術の電力変換器100のブロック図である。入力端子T1/T1´および出力端子T2/T2´を有するコンバータ回路102は、入力端子T1/T1´が電圧源104(たとえば、バッテリ)に結合され、出力端子T2/T2´が出力コンデンサCOUTおよび負荷106(等価抵抗Rとしても表され得る)に結合されるように構成される。
【0006】
図示された例では、入力端子T1/T1´に印加される電圧はVINであり、出力端子T2/T2´に供給される変換された電圧はVOUTである。コントローラ108は、コンバータ回路102の内部構成要素(例えば、FET、特にMOSFETなどの内部スイッチ)を制御する制御信号112のセットを出力して、コンバータ回路102にVINをVOUTに昇圧または降圧させる。コントローラ108はまた、コンバータ回路102の動作状態を示す制御信号112の別個のセットを受信し得る。補助回路110は、電圧VDD、クロック信号CLK、回路バイアス電圧VBIAS、および1つまたは複数の制御信号CTRLなどの様々な電圧および/または信号をコントローラ108に(および任意選択で、コンバータ回路102に直接)供給することができる。図示された補助回路110への電力は、端子VINPUTにおいて供給され、図示された電圧源104から、または別の電源(完全に動作可能なときのコンバータ回路102を含む)からもたらされ得る。
【0007】
コンバータ回路102は、例えば、チャージポンプのようなスイッチドコンデンサネットワーク、またはインダクタベースのレギュレータであり得る。マルチレベルコンバータは、典型的には、チャージポンプ容量性電圧コンバータをインダクタベースの電力変換器と1つの構造に組み合わせ、より低い電圧の電力スイッチが使用されることを可能にする。多くの設計において、コンバータ回路102は、電力変換器100の入力から出力へ電荷を転送するために、エネルギー蓄積要素としてコンデンサを使用する。これらの電荷移動コンデンサは、一般に「フライコンデンサ」または「ポンプコンデンサ」として知られており、電力変換器100の集積回路の実施形態に結合された外部構成要素であってもよい。いくつかの設計では、コンバータ回路102はまた、エネルギー貯蔵要素としてインダクタを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多くのFETベースの電力変換器アーキテクチャに伴う一般的な問題は、電力変換器の起動中に過度の突入電流を回避する必要があることである。集積回路の実装において、寄生インダクタンスが存在する(例えば、ダイ上の導体ルーティングおよびプリント回路基板の導体ルーティングに起因する)。寄生インダクタンスは、回路内の全インピーダンスを増加させ、したがって、最大電流を低減するのに役立つが、寄生インダクタンスはまた、電流サージが存在する時間を延長し、コンデンサンスが存在する場合(そのような回路の場合)にリンギングをもたらし得るエネルギーを蓄積する。このようなリンギングは、VINよりも著しく高い電圧スパイクを引き起こし、チャージポンプ電力スイッチに電気的に過剰なストレスを与え、それらの信頼性に影響を及ぼし、潜在的に破壊する可能性がある。さらに、フライコンデンサ間の電荷が平衡を失ったとき、またはコンバータ回路の出力が短絡されたときなど、他の場合には、急速に変化する電流フローによるVINよりも高い電圧スパイクが発生することがある。
【0009】
電圧スパイクの問題に対する従来の解決策は、マルチレベル電力変換器内のFET電力スイッチのすべてが高電圧デバイス(たとえば、最大設計VIN以上の降伏電圧BVDSを有する)であることを必要とすることである。このような高電圧デバイスの欠点は、より多くのダイ領域を消費し(これは一般的にはより高いコストを意味する)、一般的にはより低い電圧ブレークダウンのFETよりも効率が低いことである。
【0010】
2つ以下の高電圧FETスイッチを使用し、一方で、すべてまたはほとんどの他のスイッチが低電圧FETスイッチであることを可能にするマルチレベル電力変換器を保護することが望ましい。本発明はこの必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、2つ以下の高電圧FETスイッチを使用し、一方で、他の電力スイッチのすべてまたはほとんどが低電圧FETスイッチであることを可能にする、マルチレベル電力変換器を保護するための回路および方法を包含する。いくつかの実施形態は、残りの低電力FETスイッチSwが飽和する前に飽和するように設計された保護高電圧上部および下部FETを提供する。他の実施形態は、電力スイッチSwに低電力FETのみを使用するが、通常の電力変換動作中に常時オン(導通)状態になり、過渡状態または故障状態の場合にオフ(非導通)状態に迅速に切り替わるように構成された保護回路を提供することができる。任意選択で、保護回路のうちの1つまたは複数は、あるタイプの故障状態の間に電流フローを制限または阻止するために、および/または電力変換器の起動の間に突入電流を制限するために、制御された方法で使用され得る。
【0012】
実施形態は、電界効果トランジスタ(FET)に基づくマルチレベル電力変換器を含み、入力電圧源に結合されるように構成され、第1の降伏電圧特性および第1の飽和電流特性を有する第1の保護FETスイッチと、基準電圧(たとえば、回路接地)に結合されるように構成され、第2の降伏電圧特性および第2の飽和電流特性を有する第2の保護FETスイッチと、第1の保護FETスイッチと第2の保護FETスイッチとの間に直列結合された1つまたは複数の中間直列結合FETスイッチのセットであって、セット内のFETスイッチのうちの1つまたは複数が、第1の降伏電圧特性および第2の降伏電圧特性よりも小さい降伏電圧特性を有し、第1の飽和電流特性および第2の飽和電流特性よりも大きい飽和電流特性を有する、1つまたは複数の中間直列結合FETスイッチのセットと、を含む。
【0013】
他の実施形態は、入力電圧源に結合されるように構成され、第1の保護スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する第1の保護スイッチと、基準電圧(たとえば、回路接地)に結合されるように構成され、第1の保護スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する第2の保護スイッチと、第1の保護スイッチと第2の保護スイッチとの間に直列結合された1つまたは複数の直列結合電界効果トランジスタ(FET)スイッチのセットとを含むマルチレベル電力変換器を含み、第1の保護スイッチおよび第2の保護スイッチは、マルチレベル電力変換器の通常動作中に閉状態に設定され、第1の保護スイッチおよび第2の保護スイッチのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の過渡事象または障害事象に応答して開状態に設定される。
【0014】
さらに他の実施形態は、電界効果トランジスタ(FET)に基づくマルチレベル電力変換器を含み、入力電圧源に結合されるように構成され、第1のFET保護スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する第1のFET保護スイッチと、基準電圧(たとえば、回路接地)に結合されるように構成され、第2のFET保護スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する第2のFET保護スイッチと、第1のFET保護スイッチと第2のFET保護スイッチとの間に直列結合された1つまたは複数の直列結合FET電力スイッチのセットとを含み、第1のFET保護スイッチおよび第2のFET保護スイッチは、マルチレベル電力変換器の通常動作中に閉状態に設定され、第1のFET保護スイッチおよび第2のFET保護スイッチのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の過渡事象または障害事象に応答して開状態に設定される。
【0015】
さらに他の実施形態は、電界効果トランジスタ(FET)に基づくマルチレベル電力変換器を含み、このマルチレベル電力変換器は、1つまたは複数の直列結合FET電力スイッチのセットを含み、このセットは、入力電圧源に結合されるように構成された第1のFET電力スイッチと、基準電圧(たとえば、回路接地)に結合されるように構成された最後のFET電力スイッチとを含み、第1のFET保護スイッチは、第1のFET保護スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有し、第1のFET保護スイッチは、第1のFET電力スイッチと、1つまたは複数の直列結合FET電力スイッチのセット内の次のFET電力スイッチとの間に結合され、第1のFET保護スイッチおよび第2のFET保護スイッチは、マルチレベル電力変換器の通常動作中に閉状態に設定され、第1のFET保護スイッチおよび第2のFET保護スイッチの少なくとも1つは、1つまたは複数の過渡事象または障害事象に応答して開状態に設定される。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
様々な図面における同様の参照番号および名称は、同様の要素を示す。
【0018】
図1】従来技術の電力変換器のブロック図である。
図2図1のコンバータ回路として使用され得る従来技術のマルチレベルコンバータ回路の1つのタイプの概略図である。
図3】本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第1の実施形態のブロック図である。
図4】本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第2の実施形態のブロック図である。
図5】本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第3の実施形態のブロック図である。
図6】本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第4の実施形態のブロック図である。
図7】インダクタLおよび出力コンデンサCOUTを備える出力ブロックに結合されたMレベル変換器セルのための制御回路の一実施形態のブロック図である。
図8】電力変換器を保護するための第1の方法を示すプロセスフローチャートである。
図9】電力変換器を保護するための第2の方法を示すプロセスフローチャートである。
図10】電力変換器を保護するための第3の方法を示すプロセスフローチャートである。
図11】電力変換器を保護するための第4の方法を示すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、2つ以下の高電圧FETスイッチを使用し、一方で、他の電力スイッチのすべてまたはほとんどが低電圧FETスイッチであることを可能にする、マルチレベル電力変換器を保護するための回路および方法を包含する。いくつかの実施形態は、残りの低電力FETスイッチSwが飽和する前に飽和するように設計された保護高電圧上部および下部FETを提供する。他の実施形態は、電力スイッチSwに低電力FETのみを使用するが、通常の電力変換動作中に常時オン(導通)状態になり、過渡状態または故障状態の場合にオフ(非導通)状態に迅速に切り替わるように構成された保護回路を提供することができる。任意選択で、保護回路のうちの1つまたは複数は、あるタイプの故障状態の間に電流フローを制限または阻止するために、および/または電力変換器の起動の間に突入電流を制限するために、制御された方法で使用され得る。
【0020】
一般的アプローチ
【0021】
図2は、図1のコンバータ回路として使用され得る従来技術のマルチレベルコンバータ回路200の一タイプの概略図である。4レベルマルチレベルDC-DCコンバータである図示された例において、コンバータ回路200は、複数の状態の間で切り替わり、その各々は、出力コンデンサCOUT及び負荷抵抗Rに結合されたインダクタLに提示されるいくつかの異なる電圧のうちの1つを規定する。図示されたマルチレベルDC-DCコンバータは、バックオンリーコンバータとして、ブーストオンリーコンバータとして、又はバックブーストコンバータとして構成されてもよく、反転型又は非反転型であってもよい。
【0022】
より詳細には、マルチレベルコンバータ200は、2つ以上の直列接続された電力スイッチ(一般にMOSFET)を能動的にスイッチングすることによって、入力電圧VINを出力電圧VOUTに変換する。電力スイッチの状態遷移パターンは、動作ゾーンおよび対応するVOUT範囲を決定する。図2の例では、マルチレベルコンバータ回路200は、2組の直列接続された電力スイッチSw1~Sw3およびSw4~Sw6(総称的にSw)によって囲まれたインダクタLを含む。第1および第2の組の直列結合された電力スイッチにおける電力スイッチの各対は、それぞれのノードによって分離される。一方の組の電力スイッチの各対の間のノードは、フライコンデンサCFXによって、他方の組の電力スイッチの各対の間の対応するノードに結合される。例えば、図2において、電力スイッチSw2とSw3との間のノードAは、フライコンデンサCF1によって、電力スイッチSw4とSw5との間のノードA´に結合され、同様に、電力スイッチSw1とSw2との間のノードBは、フライコンデンサCF2によって、電力スイッチSw5とSw6との間のノードB´に結合される。通常の変換動作中の電力スイッチの各セットのための制御クロック信号は、一般に、非重複で相補的であり、制御回路(たとえば、図1のコントローラ108)によって与えられる。
【0023】
現代の電力変換器(特にマルチレベル電力変換器)における電力スイッチ(図2の電力スイッチSw1~Sw6など)は、FET、特にMOSFETで実装されることが多い。一般に、可能な限り、集積回路ダイ面積の消費が少なく、一般に、より高い降伏FETよりも効率的であるように、低電圧FET(たとえば、VINよりも実質的に低い降伏電圧BVDSを有する)の使用を可能にすることが有利である。低電圧FETを使用することの欠点は、それらが、ストレス条件の間の損傷から、特に、そのようなFETの降伏電圧を超える電圧からの保護を必要とすることである。
【0024】
例えば、上述したように、多くのFETベースの電力変換器アーキテクチャに伴う一般的な問題は、電力変換器の起動中に過度の突入電流を回避する必要があることである。例えば、十分な保護回路がない場合、VIN図1に示されるタイプの電力変換器に最初に印加されるとき、フライコンデンサCFXのいずれも最初に充電されず、したがって、電流が回路に突入し得る。例えば、FET電力スイッチのRON値の総和が10ミリオーム(0.01オーム)であり、VINが10 Vである場合、オームの法則V=I×Rの結果として、突入電流は約1,000アンペアのスパイクとなる。集積回路の実装において、寄生インダクタンスが存在する(例えば、ダイ上の導体ルーティングおよびプリント回路基板の導体ルーティングに起因する)。寄生インダクタンスは、回路内の全インピーダンスを増加させ、したがって、最大電流を低減するのに役立つが、寄生インダクタンスはまた、電流サージが存在する時間を延長するエネルギーを蓄積し、コンデンサンスが存在する場合(そのような回路の場合)、リンギングをもたらす可能性がある。このようなリンギングは、VINよりも著しく高い電圧スパイクを引き起こし、チャージポンプ電力スイッチに電気的に過剰なストレスを与え、それらの信頼性に影響を及ぼし、潜在的に破壊する可能性がある。さらに、フライコンデンサCFX間の電荷が平衡していないとき、またはコンバータ回路の出力が短絡されるときなどの他の場合には、急速に変化する電流フローによるVINよりも高い電圧スパイクが発生することがある。
【0025】
図2に示される回路のようなマルチレベル電力変換器において、フライコンデンサCFXは、時にはVIN電源を基準とし、時には接地を基準とする。安定動作中、フライコンデンサCFXによって(すなわち、フライコンデンサCFXと並列に)囲まれたFETスイッチは、フライコンデンサCFXの電圧安定化効果により、それらの両端間の電圧がより小さくなる。しかしながら、ある過渡状態または故障状態の間、フライコンデンサCFXは、もはや、FETスイッチへの損傷を回避するのに十分なほど電圧をホールドオフしないことがある。例えば、大きな入力供給増加の間及び/又はその後(例えば、1つの電源からより高い又はより低い電圧を有する別の電源へ変化する場合)、フライコンデンサCFXは、それらの電圧を互いに対して及びCOUTに対して再バランスするための時間を必要とし、再バランスが生じるまで、低電圧FETがストレスを受ける。別の例として、出力短絡状態の間、結果として生じる高い電流スパイクは、フライコンデンサCFXの存在にもかかわらず、FETスイッチに過剰なストレスを与え得る。さらに、「上部」および「下部」FETスイッチSw1およびSw6(図2において点線で囲まれて示される)は、ブラケッティング保護フライコンデンサを有さない。
【0026】
全ての電力スイッチに対して高電圧FETを必要とする従来の解決策とは対照的に、特に通常のコンバータ動作中のフライコンデンサCFXの電圧安定化効果に鑑みて、突然の電圧変化によって誘起される電流サージを制御することができる場合には、マルチレベル電力変換器内の電力スイッチSwの大部分又は全てに対して低電圧FETを使用することができることが認識された。この洞察は、以下に記載されるいくつかの解決策をもたらした。
【0027】
第1実施形態
【0028】
図3は、本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第1の実施形態300のブロック図である。図示されたマルチレベルコンバータ回路は、図2のマルチレベルコンバータ回路200と多くの点で類似した4レベルマルチレベルDC-DCコンバータである。図示された例における中間FET電力スイッチSw2~Sw5は、(たとえば、1/3VIN程度の低い降伏電圧BVDSを有する)低電力FETであり得る。しかしながら、上部電力スイッチSw1および下部電力スイッチ(この例ではSw6)は、電力変換器が意図された用途において合理的にさらされ得る最悪の場合の電圧条件(たとえば、VIN以上の降伏電圧BVDSを有する)に耐えることが可能であるべきであり、任意選択で、残りの電力スイッチ(すなわち、示された例ではスイッチSw2~Sw5)のいずれかが飽和する前に飽和するように選択されるべきである。両方の保護スイッチSw1、Sw6は、降伏電圧および飽和電流特性に関して同一であってもよいが、いくつかの用途では同一である必要はない。保護スイッチSw1、Sw6は、図3ではFETとして示されているが、いくつかの実施形態では、保護スイッチSw1、Sw6は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などの他の技術で実装されてもよい。
【0029】
図示された実施形態において、上部および下部保護パワーFETスイッチのゲート(制御入力)は、それぞれのスイッチコントローラ302a、302bに結合されて示され、これらは、関連するFETを開くかまたは閉じるために必要とされ得るような適切な電圧レベルシフタおよびドライバを含み得る。図示されたスイッチコントローラ302a、302bは、別個の回路ブロックとして示されているが、単一の回路ブロックとして実装されてもよい。スイッチコントローラ302a、302bは、過渡状態または故障状態の場合にスイッチコントローラ302a、302bに上部および下部保護スイッチ(この例ではSw1およびSw6)の一方または両方を強制的に開かせ得る1つまたは複数の感知回路304a、304bに結合されて示されている。このような動作だけで、中間FET電力スイッチの保護が提供される。しかしながら、以下でより詳細に説明するように、ブラケット上部および下部保護スイッチに対して高電圧およびより低い飽和電流特性を選択することは、中間FET電力スイッチに対する保護を単独で提供することができ、したがって、スイッチコントローラ302a、302bおよび検知回路304a、304bは、いくつかの用途では省略され得る。
【0030】
通常のコンバータ動作では、上部および下部保護パワーFETスイッチのゲートは、中間パワースイッチとともに、従来のパワーコンバータのように関連するクロック信号CLKによって制御される。通常の変換動作中の電力スイッチの各セットの制御クロック信号CLKは、一般に、非重複であり、相補的である。図3に示される例では、上部および下部保護パワーFETスイッチSw1、Sw6のためのクロック信号CLK1、CLK6は、FETスイッチSw1、Sw6が開状態にされるべきときに、通常のクロッキングシーケンスが必要に応じて中断され得るように、それぞれのスイッチコントローラ302a、302bを通して結合され得る。いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ302a、302bは、それらの関連付けられた上部および下部FET電力スイッチのゲートに結合された単一のANDゲートと同じくらい単純であり得(必要に応じて、好適な電圧レベルシフタおよびドライバを通して)、対応するクロック信号が、第1のANDゲート入力に結合され、感知回路の出力が、第2のANDゲート入力に結合される。過渡状態または故障状態の場合、検知回路は、関連するFET電力スイッチをオフ状態または高RON状態に能動的に設定する。
【0031】
図3に示される実施形態は、1つ以上の感知回路304a、304bに応答して、中間FET電力スイッチのための能動的に制御される保護を提供する。このような検知回路は、長時間の過渡状態または故障状態の間に電力の流れを停止することによって、上部および下部FET電力スイッチにわたってどれだけの電力が降下するかを制限するのに役立ち、また、起動中にも有用である。しかしながら、ブラケット上部および下部保護スイッチに対して高電圧および低飽和電流特性を選択することによって、そのような能動制御回路なしに中間FET電力スイッチに対して高速自動(受動)保護を提供することができる。飽和は、ゲート-ソース電圧VGSの特定のレベルでFETに印加されるドレイン-ソース電圧を増加させることが、もはやドレイン-ソース電流を増加させることができないときに発生し、すなわち、電流は、VDS飽和点を上回って実質的に一定になる。したがって、中間FET電力スイッチに対して、ブラケット上部および下部保護スイッチのより低い飽和電流特性は、VINが電力変換器に接続されている(すなわち、Sw1が閉じられている)間の大きな過電流事象中に、上部高電圧FET電力スイッチSw1が、中間FET電力スイッチが飽和する前に飽和し、したがって、上部高電圧FET電力スイッチSw1が、すべての低電圧スイッチに対して電流を安全レベルに自動的に制限することができることを確実にする。上部FET電力スイッチSw1の設計された高電圧特性は、それがアプリケーションのための最大予想電圧を処理することができることを確実にする。
【0032】
同様に、下部FET電力スイッチ(この例ではSw6)は、中間電力スイッチが飽和する前に飽和するように選択され得る。これは、VINを基準とするフライコンデンサに接続されている間の大きな過電流事象の間(例えば、Sw6が閉じられているとき)、下部FET電力スイッチが、中間電力スイッチが飽和する前に飽和し、したがって、下部高電圧FET電力スイッチが、すべての低電圧スイッチに対して電流を安全なレベルに自動的に制限することができることを確実にする。特に、電力変換器は、短期間の過渡状態または故障状態の場合のように、上部および下部保護電力FETスイッチが必ずしもコントローラによって開状態にされる必要がないので、動作を継続することができる。
【0033】
従って、上部及び下部の高電圧低飽和パワーFETスイッチは、過渡事象に対して自動的に保護し、残りの中間パワースイッチに対して低電圧FETを使用することを可能にする。したがって、いくつかの用途では、スイッチコントローラ302a、302bおよび感知回路304a、304bは、省略されてもよい。
【0034】
図3に示される実施形態は、2つ以下の高電圧FETスイッチを必要とし、一方で他の電力スイッチの全てが低電圧FETスイッチであることを可能にするマルチレベル電力変換器を保護するための回路および対応する方法の一例である。保護は、ブラケット上部および下部高電圧FETスイッチが中間電力スイッチに対して低い飽和特性を有するときに高速かつ自動的であり、一方、過渡状態または故障状態が発生したときに保護FETスイッチを開くことによって制御可能でもある。
【0035】
第2実施形態
【0036】
図4は、本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第2の実施形態400のブロック図である。図示されたマルチレベルコンバータ回路は、図3のマルチレベルコンバータ回路と多くの点で類似した4レベルマルチレベルDC-DCコンバータである。しかしながら、「上部」および「下部」FETスイッチが高電圧FETであることを必要とする代わりに、第1の通常閉保護スイッチSPが、VINと上部低電圧FETスイッチ(Sw1)との間に直列に追加され、第2の通常閉保護スイッチSPが、下部低電圧FETスイッチ(Sw6)と基準電圧(例えば、回路接地)との間に直列に追加される。
【0037】
保護スイッチSPT、SPBは、それぞれのスイッチコントローラ402a、402bに結合されて示されており、スイッチコントローラ402a、402bに保護スイッチSP、SPの一方または両方を開かせる1つまたは複数のそれぞれの感知回路404a、404bに結合され得る。例えば、VINに結合された電圧検出器は、VINが設定された閾値電圧を超えるか、またはそれを下回るときに、「過電圧」トリガ信号をスイッチコントローラ402a、402bに提供し得る。いくつかの実施形態では、そのような電圧検出器は、単独で、スイッチコントローラ402a、402bの一方または両方であってもよい。いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ402a、402bは、電力変換器のサーマルシャットダウン、電力変換器を通る過電流検出、出力過電圧および/または不足電圧検出、および/またはコンデンサ故障(例えば、電荷不均衡、開放または短絡検出等)等の複数のタイプの過渡事象または故障事象に応答して、関連付けられた保護スイッチSP、SPを開放することが可能であるように、複数の感知または測定回路に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ402a、402bはまた、関連する保護スイッチSP、SPを開閉させることができる外部供給信号またはコマンドに応答してもよい。
【0038】
上述のように、保護スイッチSP、SPは、通常は閉じており、したがって、通常は常にオン(導通)である。すなわち、保護スイッチSP、SPは、電力スイッチSwの通常のトグル動作を受けない。常時オンデバイスとして、保護スイッチSP、SPは、実装するのがより容易であり得る。例えば、保護スイッチSP、SPは、潜在的に、(例えば、FET、バイポーラ、またはMEMSスイッチとして)いくつかのプロセスまたは技術のうちのいずれかを使用して製造されてもよく、同一である必要はない。保護スイッチSP、SPは、電力スイッチSwと同じ集積回路(IC)ダイ上に製作されてもよく、または異なるICダイ上に製作され、電力スイッチSwを担持するICダイと共にパッケージ化されてもよく、またはプリント回路基板(PCB)上など、電力スイッチSwXが製作されるICダイに結合されたオフチップディスクリートデバイスであってもよい。
【0039】
様々な実施形態において、保護スイッチSP、SPのトリガされた開放は、一般に、上部および下部FET電力スイッチ(図示された例におけるS1、S6)をVINの高い値から保護し、一方、中間FET電力スイッチ(図示された例におけるS2~S5)は、保護スイッチSP、SPによってだけでなく、それらの関連付けられたブラケッティングフライコンデンサCFX上の電圧によっても過剰電圧から保護されるので、図4のマルチレベル電力変換器における電力スイッチSwは、すべて低電圧FETスイッチとして実装され得る。
【0040】
図示されたスイッチコントローラ402a、402bは、別個の回路ブロックとして示されているが、それらは、単一の回路ブロックとして実装されてもよい。スイッチコントローラ402a、402bは、それらの関連する保護スイッチSPT、SPBと同じICダイ上に実装されてもよく、および/または電力変換器のための全体的なコントローラの一部(図1のコントローラ108のような電力変換器コントローラの一部など)であってもよい。
【0041】
保護スイッチSP、SPがMOSFETとして実装される場合、それらは通常は導電性であり、電力スイッチSwのスイッチングサイクルの一部ではないので、保護スイッチSP、SPのゲート電荷は、電力変換器の遷移損失に追加されない。これは、電力スイッチSwが高周波数でスイッチングしているときに、効率の利点となり得る。
【0042】
上部保護スイッチSPの存在は、電力変換器の起動中に追加の利点を提供することに留意されたい。起動突入電流の問題は、電力スイッチが通常の電荷移動を開始することを可能にするためにフライコンデンサCFXが十分に充電されるまで電力変換器への突入電流を制御する「ソフトスタート」動作モードを提供するために上部保護スイッチSPを使用することによって軽減され、場合によっては排除され得る。例えば、フライコンデンサが最初にソフトスタートされる間、上部保護スイッチSPは、上述した方法で高レベルのVINからパワーFETを保護する。加えて、FETベースの上部保護スイッチSPは、固定電流源または抵抗として機能するように(すなわち、上部保護スイッチSPをその線形領域ではなく飽和状態で動作させることによって)、スイッチコントローラ402aを通して能動的に制御されることができる。あるいは、上部保護スイッチSPと並列に追加された電流源または抵抗(図示せず)を「バイパス」電流経路として使用して、上部保護スイッチSPが過電圧保護を提供し続けている間にフライコンデンサの充電をゆっくりと制御することができる。
【0043】
第3実施形態
【0044】
図5は、本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第3の実施形態500のブロック図である。図示されたマルチレベルコンバータ回路は、図4のマルチレベルコンバータ回路の4レベルマルチレベルDC-DCコンバータ変形である。図示された実施形態では、図4の保護スイッチSP、SPは、それぞれFET保護スイッチ502、504として実装されて示されている。具体的には、保護スイッチSPは、高耐圧のN型MOSFETで構成され、保護スイッチSPは、高耐圧のP型MOSFETで構成される。代替実施形態では、保護スイッチSPは、高電圧スイッチNPNバイポーラ接合トランジスタとして実装されてもよく、保護スイッチSPは、高電圧スイッチPNPバイポーラ接合トランジスタとして実装されてもよい。
【0045】
スイッチコントローラ506a、506bは、それぞれのレベルシフタ510、514およびドライバ回路512、516を介して、FET保護スイッチ502、504の対応するゲートに適切な制御信号を供給する。レベルシフタ510、514およびドライバ回路512、516のための電力は、たとえば、VINと線形レギュレータ(図示せず)との間に結合された単純なチャージポンプ(図示せず)によって供給され得る。さらに、スイッチコントローラ506a、506bは、過渡状態または故障状態に応答してスイッチコントローラ506a、506bにFET保護スイッチ502、504の一方または両方を開かせる1つまたは複数のそれぞれの感知回路508a、508bに結合され得る。図示されたスイッチコントローラ506a、506bは、別個の回路ブロックとして示されているが、それらは、単一の回路ブロックとして実装されてもよい。
【0046】
図4の実施形態のように、上部FET保護スイッチ502は、VINに結合され、通常は閉じられており(導通しており)、したがって、そのノードは、いかなるスイッチング電圧も受けず、それによって損失を低減する。同様に、下部FET保護スイッチ504は、基準電圧(例えば、回路接地)に結合され、通常は閉じられており(導通しており)、したがって、そのノードは、いかなるスイッチング電圧も受けず、やはり損失を低減する。
【0047】
故障状態が発生すると、スイッチコントローラ506a、506bは、検知回路508a、508bによってトリガされ、FET保護スイッチ502、504を開くことができる。さらに、上部FET保護スイッチ502は、一般に、電力スイッチSwが飽和する前に飽和するように選択されるべきである。これは、VINが電力変換器に接続されている(すなわち、Sw1が閉じられている)間の大きな過電流事象の間、FET保護スイッチ502が、変換器スタック内の中間電力FET(この例ではSw1~Sw6)が飽和する前に飽和し、したがって、FET保護スイッチ502が(破壊点まで)任意の高電圧を吸収することを確実にする。FET保護スイッチ502が早期に飽和状態に入ることにより、本質的に、全ての低電圧スイッチが、それらの両端間の電圧降下が非常に小さい線形領域で動作し続けることによって、電流がそれらの低電圧スイッチの安全レベルを超えることが制限される。
【0048】
同様に、下部FET保護スイッチ504は、電力スイッチSwが飽和する前に飽和するように選択されるべきである。これは、フライコンデンサに接続されている(例えば、Sw6が閉じられている)間の大きな過電流事象の間、FET保護スイッチ504が、コンバータスタック内のパワーFETが飽和する前に飽和し、したがって、FET保護スイッチ504が、任意の高電圧を吸収することを確実にする。
【0049】
したがって、上部および下部FET保護スイッチ502、504は、通常は閉じているが、故障状態が発生したときにアクティブ論理制御下で、または過渡現象が発生してFET保護スイッチ502、504の一方または両方が飽和したときに自動的に、開いた保護状態に切り替えられ得る。いずれの場合も、FET保護スイッチ502、504の設計された高電圧特性は、それらがアプリケーションのための最大予想電圧を処理することができることを確実にする。
【0050】
低電圧中間電力FETの飽和点に対するFET保護スイッチ502、504の飽和点は、好ましくは、フライコンデンサCFXが、それらの関連する電力スイッチSwXの全てにおいてそれらのそれぞれの電圧を維持することができることを保証するように選択されるべきである。低電圧中間電力FETが飽和していない場合、フライコンデンサCFXは、それらのノード電圧を維持することができるはずである。したがって、フライコンデンサCFXが完全に充電されていない場合(例えば、起動時)、FET保護スイッチ502、504は、フライコンデンサが回路接地を基準とする(例えば、下部電力スイッチSw6が閉じられ、この場合、FET保護スイッチ502は中間電力FETを保護する)か、またはVINを基準とする(例えば、上部電力スイッチSw1が閉じられ、この場合、FET保護スイッチ504は中間電力FETを保護する)間に電圧の差を吸収する。
【0051】
上部FET保護スイッチ502が閉じられると、(それ以上ではないが)上部電力スイッチSw1は、開いているときに、高い値のVINまたは電流誘起電圧スパイクにさらされる可能性があることに留意されたい。しかし補助保護回路の動作中、オープントップ電力スイッチSw1の両端の電圧は、その降伏電圧よりも低い制御されたレベルにクランプされ得る。図示された例では、補助保護回路は、上部FET保護スイッチ502のゲートと電力スイッチSw1の下部端子(ソース)(すなわち、VINから最も遠い端子)との間にツェナーダイオードZ1を備える。Z1のツェナー電圧値は、好ましくは、電力スイッチSw1の降伏電圧(例えば、両方のデバイスに対して5 V)に近い。上部FET保護スイッチ502はソースフォロワであり、これは、ソースがゲート電圧よりも閾値電圧VTHだけ低いことを意味する。したがって、電力スイッチSw1が閉じられたときにゲート電圧がZ1の両端間の電圧に制限される場合、上部FET保護スイッチ502のソースもその電圧に制限され、それにより、電力スイッチSw1の両端間の電圧が、ツェナー電圧Z1から上部FET保護スイッチ502のVTHを引いたもの(すなわち、Z1-VTH)にクランプされ、上部FET保護スイッチ502は、そのレベルを超える電圧降下を吸収する。したがって、上部FET保護スイッチ502および補助保護回路は、上部電力スイッチSw1を過電圧から保護するほぼ瞬間的なクランプ回路として機能し、それによって、上部電力スイッチSw1が低電圧デバイス(たとえば、この例ではVIN/3ほど低くてもよいZ1電圧ほど低くてもよいBVDSを有するFET)として実装されることを可能にする。理解されるように、電圧制限を行うためにツェナーダイオードの代わりに他の回路を使用することができる。
【0052】
保護スイッチがP型MOSFET 504であり、ツェナーダイオードZ2が下部FET保護スイッチ504のゲートと電力スイッチSw5の上部端子(ドレイン)(すなわち、回路接地から最も遠い端子)との間に結合されることを除いて、下部電力スイッチ(この例ではSw6)の両端の電圧をクランプするために同様の手法が使用され得る。増強モードP型MOSFETのゲート駆動電圧要件は、回路接地よりも低い負の値を必要とすることがある。このような電圧が利用できない用途では、負の駆動電圧は一般に必要ではないので、P型MOSFET 504の代わりに空乏モードP型MOSFETを使用することができる。
【0053】
変形実施形態では、上部FET保護スイッチ502または上部電力スイッチSw1のいずれかが、(上部電力スイッチSw1の前に飽和するように上部FET保護スイッチ502を選択するのではなく)最初に飽和するように選択され得る。上部電力スイッチSw1が最初に飽和する場合、その両端の電圧は上昇し始めるが、電圧がZ1のツェナー電圧を超えると、上部FET保護スイッチ502は上部電力スイッチSw1を保護し始める。したがって、上部FET保護スイッチ502と組み合わされたツェナーダイオードZ1は、上部電力スイッチSw1が、損傷を与える電圧レベルを超えることなく飽和することを可能にする。同じ概念が、ツェナーダイオードZ2と組み合わされた下部FET保護スイッチ504にも当てはまり、これにより、下部電力スイッチ(この例ではSw6)は、損傷を与える電圧レベルを超えることなく飽和することができる。
【0054】
第4実施形態
【0055】
図6は、本発明による保護回路を有するマルチレベルコンバータ回路の第4の実施形態600のブロック図である。図示されたマルチレベルコンバータ回路は、図4のマルチレベルコンバータ回路の4レベルマルチレベルDC-DCコンバータ変形である。図示された実施形態では、図4の保護スイッチSP、SPは、それぞれFET保護スイッチ602、604によって実装されて示されている。より具体的には、保護スイッチSPは、高耐圧のP型MOSFETで構成され、保護スイッチSPは、高耐圧のN型MOSFETで構成される。
【0056】
P型上部FET保護スイッチ602は、図示された電力スイッチのスタックSwにおいて、上部電力スイッチ(Sw1)と次の電力スイッチ(Sw2)との間に配置されて示されている。同様に、N型底部FET保護スイッチ604は、図示された電力スイッチのスタックSwにおいて、底部電力スイッチ(Sw6)と先行する電力スイッチ(Sw5)との間に配置されて示されている。電圧源Vmax1は、VINと上部FET保護スイッチ602のゲートとの間に結合される。同様に、電圧源Vmax2は、基準電圧(例えば、回路接地)と下部FET保護スイッチ604のゲート(この例ではSw6)との間に結合される。
【0057】
任意のスイッチコントローラ606a、606bは、電圧源Vmax1およびVmax2の一方または両方に、ならびに、過渡状態または故障状態に応答してFET保護スイッチ602、604の一方または両方を開くためにスイッチコントローラ402a、402bにVmax1および/またはVmax2の電圧を変更させる1つまたは複数の感知回路608a、608bに結合され得る。代替実施形態では、任意選択のスイッチコントローラ606a、606bは、それぞれのFET保護スイッチ602、604の動作を直接制御するように結合されてもよい。いずれの場合も、FET保護スイッチ602、604のこのカスコード構成は、常に低電圧電力スイッチSwのすべてを保護し、したがって、過渡状態または故障状態の間、高電圧FET保護スイッチ602、604をオフにする(開く)代わりに、低電圧電力スイッチSwをオフにする(開く)ことができ、同じ効果を有する。これは、FET保護スイッチ602、604が、それぞれVmax1およびVmax2に永久的に接続され、決してオフにトグルされないことを意味し、その代わりに、上部電力スイッチSw1および下部電力スイッチ(この例ではSw6)がトグルを行うことができる。図示されたスイッチコントローラ606a、606bは、別個の回路ブロックとして示されているが、それらは、単一の回路ブロックとして実装されてもよい。
【0058】
図4の実施形態と同様に、いくつかの実施形態では、上部および下部FET保護スイッチ602、604は、電力スイッチSwが飽和する前にそれらが飽和するように選択され得る。これは、電力スイッチSwのうちの1つまたは複数が閉じられている間の大きな過電流事象の間、FET保護スイッチ602、604が、コンバータスタック内の電力FET SwXが飽和する前に飽和し、したがって、高電圧FET保護スイッチ602、604が、任意の過度に高い電圧を吸収することを確実にする。変形実施形態では、上部FET保護スイッチ602または上部電力スイッチSw1のいずれかが、(上部電力スイッチSw1の前に飽和するように上部FET保護スイッチ602を選択するのではなく)最初に飽和するように選択され得る。同様に、そのような変形実施形態では、下部FET保護スイッチ604または下部電力スイッチ(この例ではSw6)のいずれかが、(下部電力スイッチSw6の前に飽和するように下部FET保護スイッチ604を選択するのではなく)最初に飽和するように選択され得る。
【0059】
図4の実施形態のように、上部FET保護スイッチ602は、通常は閉じている(導通している)。同様に、下部FET保護スイッチ604は、通常は閉じている(導通している)。FET保護スイッチ602、604の位置は、上部および下部電力スイッチ(この例ではSw1およびSw6)の保護を提供しないように見えるかもしれない。しかしながら、電圧源Vmax1およびVmax2は、少なくとも、関連付けられた電力スイッチ(Sw1およびSw6)が取り扱うことができる最大電圧に設定されるべきであり(例えば、Sw1に対してVmax1≧BVDS、Sw6に対してVmax2≧BVDS)、上部および下部FET保護スイッチ602、604は、そのレベルを上回る任意の過剰電圧を取り扱うように構成されるべきである。例えば、VINの最大予想電圧が15 Vであり、上部電力スイッチSw1が5 Vの降伏電圧を有する場合、電圧源Vmax1は5 V(または5 VにスイッチSw1の閾値電圧VTHを加えたもの)に設定されるべきであり、上部FET保護スイッチ602は少なくとも10 Vに耐えるように設計されるべきである。VINの実際の値がVmax1を超える場合、上部FET保護スイッチ602は飽和し、したがって自動的に電流を制限し、それによって電力スイッチSw1が受ける電圧を制限する。
【0060】
FET保護スイッチ602、604の飽和点は、好ましくは、フライコンデンサCFXが、それらの関連する電力スイッチSwの全てにおいてそれらのそれぞれの電圧を維持することができることも保証するように選択されるべきである。低電圧中間電力FETが飽和していない場合、フライコンデンサCFXは、それらのノード電圧を維持することができる。したがって、フライコンデンサCFXが完全に充電されていない場合(例えば、起動時)、FET保護スイッチ602、604は、フライコンデンサが回路接地を基準とする(例えば、下部電力スイッチSw6が閉じられる)間に電圧の差を吸収する。
【0061】
Mレベル変換器セルのための例示的な制御回路
【0062】
図7は、インダクタLおよび出力コンデンサCOUTを備える出力ブロック704に結合されたMレベル変換器セル702のための制御回路700の一実施形態のブロック図である(概念的に、インダクタLはまた、Mレベル変換器セル401内に含まれると見なされ得る)。この例示的な制御回路700は、2021年11月8日に出願された米国特許出願第63276923号(発明の名称:Controlling Charge-Balance and Transients in a Multi-Level Power Converter)(代理人整理番号:PER-370-PROV)に記載された教示内容を適用したものであり、この出願は、本発明の譲受人に譲渡され、その内容は参照により組み込まれる。しかしながら、本発明は、Mレベル変換器セル702のための他のタイプの制御回路と組み合わせて使用されてもよい。
【0063】
制御回路700は、Mレベル変換器セル702の出力に結合され、Mレベル変換器セル702の制御入力を切り替える制御ループとして機能する。一般に、制御回路700は、Mレベル変換器セル702の出力(例えば、電圧および/または電流)を監視し、VINおよび出力負荷の変動を考慮して、出力電圧および/または電流を指定された値に安定化させることを試みる、Mレベル変換器セル702へのスイッチ制御入力のセットを動的に生成するように構成される。代替実施形態では、制御回路700は、Mレベル変換器セル702の入力(例えば、電圧および/または電流)および/またはMレベル変換器セル702の内部ノード(例えば、1つまたは複数のフライコンデンサの両端の電圧または1つまたは複数の電力スイッチを通る電流)を監視するように構成され得る。したがって、最も一般的には、制御回路700は、Mレベル変換器セル702のノード(例えば、入力端子、内部ノード、または出力端子)の電圧および/または電流を監視するように構成され得る。制御回路700は、Mレベル変換器セル702を具現化する電力変換器100のための全体コントローラ104に組み込まれてもよく、またはそれとは別個であってもよい。
【0064】
第1のブロックは、固定周波数電圧モードまたは電流モードコントローラ、一定オン時間コントローラ、ヒステリシスコントローラ、または任意の他の変形例等の従来のコントローラであり得る、フィードバックコントローラ706を備える。フィードバックコントローラ706は、Mレベル変換器セル702からのVOUTに結合されるものとして示されている。代替実施形態では、フィードバックコントローラ706は、Mレベル変換器セル702の入力および/またはMレベル変換器セル702の内部ノードを監視するように構成され得る。フィードバックコントローラ706は、VOUTの所望の値、すなわち充電、放電、またはトライステート(すなわち、電流が流れない開状態)を維持するためにMレベル変換器セル702においてなされる必要があることを一般的に決定するVOUTにおける電圧を直接的または間接的に示す信号を生成する。
【0065】
図示された例において、フィードバックコントローラ706は、フィードバック回路708、補償回路710、およびPWM発生器712を含む。フィードバック回路708は、例えば、VOUT(又はVOUTの減衰バージョン)を、所望のVOUTターゲット電圧(動的であってもよい)を表す基準電圧と比較し、VOUTがターゲット電圧よりも高いか低いかを示す制御信号を出力するフィードバックループ電圧検出器を含んでもよい。フィードバックループ電圧検出器は、演算増幅器(オペアンプ)または相互コンダクタンス増幅器(gm増幅器)などの比較デバイスを用いて実装され得る。
【0066】
補償回路710は、発振を引き起こし得る正のフィードバックの意図しない生成を回避することによって、およびフィードバックコントローラ706のステップ応答におけるオーバーシュートおよびリンギングを制御することによって、フィードバックコントローラ706の閉ループ応答を安定化させるように構成される。補償回路710は、既知の方法で実装されてもよく、LC回路及び/又はRC回路を含んでもよい。
【0067】
PWM発生器712は、Mレベル変換器セル702のスイッチのデューティサイクルを最終的に設定する実際のPWM制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、PWM発生器712は、例えば、VOUTと基準電圧との間の差の大きさ(したがって、Mレベル変換器セル702のいくつかのレベルが、より高いまたはより低いレベルになるようにバイパスされるべきであることを示す)、およびその差の方向(例えば、VOUTが基準電圧よりも大きいまたは小さい)を示す、付加的な随意の制御信号CTRLを伝え得る。他の実施形態では、任意選択の制御信号CTRLは、補償回路710の出力から、またはフィードバック回路708の出力から、またはたとえばVOUTに結合された別個の比較器(図示せず)から導出され得る。オプションの制御信号CTRLの1つの目的は、VOUTが目標出力電圧からどれだけ離れているかを知ることが有益であり得るときに、高度な制御アルゴリズムのためのものであり、したがって、VOUTが厳しく過小調整されている場合にインダクタLのより高速な充電を可能にする。
【0068】
第2のブロックは、Mレベルコントローラ714を備え、その主な機能は、過去にどのスイッチ状態が使用されたかにかかわらず、出力電圧レベルが選択されるたびに、Mレベルコンバータセル702内のフライコンデンサ上の電荷バランス状態を維持しながら、所望のVOUTを生成するスイッチ状態を選択することである。
【0069】
Mレベルコントローラ714は、PWM制御信号と、利用可能な場合には追加の制御信号CTRLとを受信する電圧レベルセレクタ716を含む。さらに、電圧レベルセレクタ716は、VOUTおよび/またはVINに結合され、いくつかの実施形態では、Mレベル変換器セル702内の対応するフライコンデンサCFxに結合された電圧検出器からのHIGH/LOWステータス信号CFx_H/Lに結合され得る。電圧レベルセレクタ716の機能は、受信した信号を目標出力電圧レベルに(例えば、サイクル毎に)変換することである。電圧レベルセレクタ716は、典型的には、少なくともVOUTおよびVINを考慮して、どのターゲットレベルが所望のレートでMレベル変換器セル702の出力を充電または放電すべきかを決定する。
【0070】
電圧レベルセレクタ716の出力は、Mレベルスイッチ状態セレクタ718に結合され、Mレベルスイッチ状態セレクタは、一般に、フライコンデンサCFxのためのコンデンサ電圧検出器からのステータス信号CFx_H/Lに結合される。電圧レベルセレクタ716によって生成されるターゲットレベルを考慮して、Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、所望の出力レベルのためのスイッチ状態がコンデンサ電荷平衡のために最良であるべきかを決定する。Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、例えば、ルックアップテーブル(LUT)として、または比較回路および組み合わせ論理回路、またはより一般化されたプロセッサ回路として実装されてもよい。Mレベルスイッチ状態セレクタ718の出力は、(特定の変換器セルに必要とされ得るように、適切なレベルシフタ回路およびドライバ回路を通して)Mレベル変換器セル702のスイッチに結合され、(選択されたターゲットレベルに対応するMレベル変換器セル702内のスイッチの構成を選択する)Mレベルスイッチ状態セレクタ718によって決定されたスイッチ状態設定を含む。
【0071】
一般に(常にではないが)、電圧レベルセレクタ716およびMレベルスイッチ状態セレクタ718は、PWM信号が変化するときにのみ、それらの状態を変化させる。例えば、PWM信号がハイになると、電圧レベルセレクタ716は、どのレベルがインダクタLの充電をもたらすかを選択し、Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、そのレベルを使用するためにどのバージョンを設定する。次いで、PWM信号がローになると、電圧レベルセレクタ716は、どのレベルがインダクタLを放電すべきかを選択し、Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、そのレベルのどのバージョンを使用すべきかを設定する。したがって、電圧レベルセレクタ716およびMレベルスイッチ状態セレクタ718は、概して、PWM信号が変化するときにのみ状態を変化させる(PWM信号は、事実上、それらのクロック信号である)。しかしながら、CTRL信号が電圧レベルセレクタ716の状態を変更することが望ましい状況または事象が存在し得る。さらに、深刻なサイクル中の不均衡が発生するときなど、Mレベル変換器セル702内のフライコンデンサCFxに結合された電圧検出器からのCFx_H/Lステータス信号が、Mレベルスイッチ状態セレクタ718に電力スイッチ設定の特定の構成を選択させることが望ましい状況または事象が存在し得る。いくつかの実施形態では、例えば、潜在的に電荷不均衡を引き起こす、非常に長い時間の間、1つのレベルで「スタック」されることを回避するために、Mレベルスイッチ状態セレクタ718に、周期的に状態の最適バージョンを再評価させるタイミング機能を含むことが有用であり得る。
【0072】
上記で参照した「Controlling Charge-Balance and Transients in a Multi-Level Power Converter」という名称の特許出願に記載された教示を利用する実施形態では、Mレベルコントローラ714は、過去にどのスイッチ状態が使用されたかにかかわらず、Lノードにおける電圧レベルが選択されるたびにフライコンデンサCFxを電荷平衡状態に向かって移動させる本質的に最適なスイッチ状態を選択するMレベルコンバータセル702のための制御方法を実装する。したがって、そのようなマルチレベルコンバータ回路は、任意の前のスイッチ状態またはスイッチ状態のシーケンスを追跡する必要なく、スイッチングサイクルごとに異なるスイッチ状態またはL電圧レベルを自由に選択する。
【0073】
図7に示される制御回路の1つの注目すべき利点は、従来のマルチレベルDC-DCコンバータ回路では達成できない出力電圧を表す電圧レベル間の境界ゾーンにおける電圧の生成を可能にすることである。
【0074】
代替の非調整型チャージポンプの実施形態では、フィードバックコントローラ706および電圧レベルセレクタ716は省略されてもよく、代わりに、クロック信号CLKがMレベルスイッチ状態セレクタ718に印加されてもよい。Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、(状態の所定のシーケンスを通して循環するのとは対照的に)過去にどのスイッチ状態が使用されたかにかかわらず、フライコンデンサCFxを周期的に電荷平衡させるスイッチ状態設定のパターンを生成する。これは、VINが変化するか又は異常な事象が発生した場合に、システムが一般的に常にフライコンデンサCFxの電荷平衡を求めることを保証する。
【0075】
いくつかの実施形態では、Mレベルスイッチ状態セレクタ718は、従来の様式で実装され得る、随意の電流測定入力720を介して、インダクタLを通って流動する電流Iを考慮に入れてもよい。
【0076】
図7は、本発明に従って修正されたMレベル変換器セルの制御回路の特定の実施形態を示すが、変換器セル内のスイッチに適切なスイッチング信号を提供するように他の制御回路を適合または考案することができることを理解されたい。
【0077】
方法
【0078】
本発明の別の態様は、電力変換器を保護するための様々な方法を含む。例えば、図8は、電力変換器を保護するための第1の方法を示すプロセスフローチャート800である。この方法は、1つまたは複数の中間電界効果トランジスタ(FET)スイッチのセットを直列に結合するステップであって、セット内のスイッチが飽和特性を有するステップ(ブロック802)と、1つまたは複数の中間FETスイッチのセットにスイッチを結合するステップであって、スイッチが、降伏特性と、1つまたは複数の中間FETスイッチのセットの飽和特性よりも小さい第1の飽和特性とを有するステップ(ブロック804)とを含む。
【0079】
別の例として、図9は、電力変換器を保護するための第2の方法を示すプロセスフローチャート900である。この方法は、1つまたは複数の中間電界効果トランジスタ(FET)スイッチのセットを直列に結合するステップ(ブロック902)と、スイッチを1つまたは複数の中間FETスイッチのセットに結合するステップであって、スイッチが、スイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する、ステップ(ブロック904)と、電力変換器の通常動作中にスイッチを閉状態に設定し、1つまたは複数のイベントに応答してスイッチを開状態に設定するステップ(ブロック906)とを含む。
【0080】
さらに別の例として、図10は、電力変換器を保護するための第3の方法を示すプロセスフローチャート1000である。この方法は、1つまたは複数の中間電界効果トランジスタ(FET)スイッチのセットを直列に結合するステップ(ブロック1002)と、FETスイッチを1つまたは複数の中間FETスイッチのセットに結合するステップであって、FETスイッチが、FETスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する、ステップ(ブロック1004)と、電力変換器の通常動作中にFETスイッチを閉状態に設定し、1つまたは複数のイベントに応答してFETスイッチを開状態に設定するステップ(ブロック1006)とを含む。
【0081】
さらに別の例として、図11は、電力変換器を保護するための第4の方法を示すプロセスフローチャート1100である。この方法は、入力電圧源に結合されるように構成された第1のFET電力スイッチを含む1つまたは複数の中間電界効果トランジスタ(FET)スイッチのセットを直列に結合するステップ(ブロック1102)と、第1のFET電力スイッチと1つまたは複数のFET電力スイッチのセット内の隣接するFET電力スイッチとの間にFETスイッチを結合するステップであって、FETスイッチが、FETスイッチを開状態または閉状態に設定するための制御入力を有する、ステップ(ブロック1104)と、電力変換器の通常動作中にFETスイッチを閉状態に設定し、1つまたは複数のイベントに応答してFETスイッチを開状態に設定するステップ(ブロック1106)とを含む。
【0082】
上記方法の追加の態様は、以下の1つまたは複数を含むことができる。前記スイッチのセット内の少なくとも1つのスイッチは、前記スイッチの前記降伏特性よりも小さい降伏特性を有し、および/または前記イベントは、過渡イベントもしくは障害イベントである。
【0083】
追加の制御および動作上の考慮事項
【0084】
本開示に従って設計されたマルチレベル変換器セルを利用する電力変換器の確実かつ効率的な動作を可能にする追加の制御および動作回路(または1つ以上のシャットダウン手順)を提供することが望ましい場合がある。例えば、降圧電力変換器では、コンバータセルの出力電圧は、コンバータセルの入力電圧よりも低い。出力負荷電流が非ゼロである間に、出力に接続された設計上のインダクタンスを有する変換器セルを(例えば、短絡などの故障事象のために)シャットダウンまたは無効にすることは、一般に、インダクタ電流を放電するための何らかの手段を必要とする。いくつかの実施形態では、バイパススイッチは、変換器セルの出力に接続された設計上組み込まれたインダクタンスと並列に接続され、通常動作中には開いており、変換器セルをシャットダウンするとき、または障害イベントが発生した場合には閉じるように制御され得る。理想的には、過渡リンギングを防止し、インダクタ電流の安全な放電を提供するために、バイパススイッチは、変換器セルスイッチングを無効にする前に閉じることができる。コンバータの主スイッチにMOSFETを使用する代替実施形態では、各MOSFETのボディ端子とドレイン端子との間に接続された固有のボディダイオードもインダクタ電流を放電することができる。これらの解決策の詳細は、代替のシャットダウン解決策と同様に、本発明の譲受人に譲渡された、2020年6月16日に発行された「Apparatus and Method for Efficient Shutdown of Adiabatic Charge Pumps」という名称の米国特許第10,686,367号に教示されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0085】
変換器セルを並列に組み合わせるときの別の考慮事項は、突入電流(例えば、電力変換器のソフトスタート期間中)を回避するために、及び/又は、起動中又は故障状態が発生したときなど、電力変換器の全てが完全に動作可能ではない場合にスイッチオーバーストレスを回避するために、複数の並列電力変換器を制御することである。条件付き制御は、電圧および/または電流を監視するために、並列接続された電力変換器内の選択されたノードに結合されたノードステータス検出器を使用することによって達成され得る。そのようなノード状態検出器は、いくつかの実施形態では、起動中に関連付けられた電力変換器の出力電圧を測定する出力状態検出器と並行して動作するように構成されてもよい。ノード状態検出器は、並列電力変換器の全電力定常状態動作を可能にする前に、電力変換器の変換器セル内の重要な構成要素(例えば、フライコンデンサおよび/またはスイッチ)の両端間の電圧が所望の範囲内にあることを確実にし、そうでなければ、全電力定常状態動作を防止する。ノード状態検出器は、1つ以上の共通制御信号を使用して並列電力変換器のうちの1つ以上を制御するマスタコントローラに結合されてもよい。マスタコントローラ構成を促進するために、並列電力変換器は、それぞれ、全電力定常状態動作のための始動段階を離れる準備ができているときに、電力良好信号(Pgood)を報告してもよい。マスタコントローラは、基本的に、全てのそのようなPgood信号を、場合によっては他の回路からの1つ以上のステータス信号と共に、一緒に「AND」し得、その結果、マスタコントローラは、並列電力変換器の全てがその状態の準備ができていない限り、任意の並列電力変換器の全電力定常状態動作を有効にしない。本質的に、各並列電力変換器からのPgood信号は、全て一緒に結合され、並列電力変換器は、全てのPgood信号が、それらが定常動作に遷移する準備ができていることを示すまで、始動段階から遷移しないようにし得る。さらに、Pgood信号が、並列電力変換器のうちの1つまたは複数における障害状態に起因して変化する場合、並列電力変換器は、定常状態動作から自動再始動またはシャットダウン動作に遷移することができる。これらの解決策の詳細は、代替のシャットダウン解決策と同様に、本発明の譲受人に譲渡された、2021年4月27日に発行された「Startup Detection for Parallel Power Converters」という名称の米国特許第10,992,226号に教示されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0086】
マルチレベル変換器セルを動作させる際の別の考慮事項は、不均衡なフライコンデンサは、高電圧にさらされることによりスイッチ(特にFETスイッチ)の破壊をもたらす可能性があるので、全てのスイッチが同様の電圧ストレスを受けるように、本質的に完全に比例的に均衡したフライコンデンサ電圧を達成(すなわち、プリチャージ)し、維持することである。マルチレベルDC-DCコンバータ回路におけるコンデンサ電圧のプリチャージおよびコンデンサ電圧の動作バランスの両方に対する1つの解決策は、並列「シャドー」回路を提供することであり、この回路は、フライコンデンサを電圧源または他の回路に条件付きで結合してそのコンデンサをプリチャージするか、または2つ以上のフライコンデンサを条件付きで一緒に結合してより高い電圧のコンデンサからより低い電圧のコンデンサに電荷を転送するか、またはフライコンデンサを電圧シンクに条件付きで結合してそのコンデンサを放電し、これらはすべてリアルタイムコンデンサ電圧測定の制御下にある。各並列「シャドー」回路は、マルチレベル変換器セルの一部である主スイッチと並列に結合されたスイッチ及び抵抗器を含むことができる(場合によっては、1つのスイッチ-抵抗器対が2つの直列接続スイッチにまたがることができる)。フライコンデンサ上の電荷をプリチャージ及び/又は平衡化するためのこの特定の解決策は、非常に高速であり、プリチャージ期間中にフライコンデンサの低速プリチャージを提供し、突入電流からスイッチを保護し、変換器セルスイッチに安定した電圧を提供する。この解決策の詳細、ならびに代替のプリチャージおよび電荷平衡解決策は、本発明の譲受人に譲渡された、2020年7月21日に発行された「Multi-Level DC-DC Converter with Lossy Voltage Balancing」という名称の米国特許第10,720,843号に教示されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0087】
マルチレベルDC-DCコンバータ回路におけるコンデンサ電圧を平衡化するための別の解決策は、マルチレベルDC-DCコンバータセルの順不同状態遷移が通常動作中に起こることが可能にされる無損失電圧平衡化解決策を提供することである。順不同状態遷移の正味の効果は、特定のフライコンデンサの両端の電圧を増加または減少させ、したがって、DC-DCコンバータの主スイッチに対する電圧オーバーストレスを防止することである。いくつかの実施形態では、遷移状態のトグルを低減または回避するために状態遷移の全体的なシーケンスに制限が課され、それによって、1つのコンデンサが別のコンデンサを電圧平衡させる前に電圧平衡されることを可能にするのではなく、各コンデンサが必要に応じてその電圧をステアリングさせる機会を可能にする。この解決策の詳細は、代替の電荷平衡解決策と同様に、本発明の譲受人に譲渡された、2020年9月8日に発行された「Multi-Level DC-DC Converter with Lossless Voltage Balancing」という名称の米国特許第10,770,974号に教示されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0088】
いくつかの実施形態の追加の考慮事項は、電圧レベル間の境界ゾーンにおいて電圧を生成することができるようなマルチレベル変換器セルの動作を可能にすることである。「境界ゾーン」は、従来のマルチレベルDC-DCコンバータ回路の達成不可能な出力電圧を表す。境界ゾーン内で出力電圧を生成するために、いくつかの実施形態は、境界ゾーン遷移パターンで変換器セルスイッチの状態を設定することによって、隣接する(またはさらには近くの)ゾーンの間で本質的に交互になる(トグルする)。例えば、3レベルDC-DCコンバータ回路は、選択された時間の間ゾーン1で動作し、選択された時間の間隣接するゾーン2で動作し得る。したがって、ゾーン1および2は、単一の「スーパーゾーン」として扱われる。より一般的には、場合によっては、非隣接ゾーンを使用して、または2つを上回るゾーン(隣接および/または非隣接)を使用して、スーパーゾーンを作成することが有用であり得る。この解決策の詳細は、本発明の譲受人に譲渡された、2020年7月21日に発行された「Multi-Level DC-DC Converter with Boundary Transition Control」という名称の米国特許第10,720,842号に教示されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0089】
いくつかの実施形態のさらに別の考慮事項は、電力変換器内の主電力スイッチおよび他の構成要素を、ストレス条件から、特にそのようなスイッチ(特にFETスイッチ)の降伏電圧を超える電圧から保護することである。マルチレベル電力変換器を保護するための1つの手段は、少なくとも1つの高電圧FETスイッチを使用し、一方、他の主電力スイッチのすべてまたはほとんどが低電圧FETスイッチであることを可能にする。
【0090】
電力変換器、特にマルチレベル電力変換器では、電力スイッチは、FET、特にMOSFETで実装され得る。各パワーFETに対して、ドライバ回路が一般に必要とされる。さらに、いくつかのパワーFETに対して、レベルシフタは、アナログまたはデジタルコントローラからの接地基準の低電圧論理オン/オフ信号を、同じ電圧スイングを有するが、パワーFETのゲートを充電または放電し、それによってパワーFETの導通または遮断状態を制御するために信号が駆動しているパワーFETのソース電圧を基準とする信号に変換することが必要とされ得る。また、用途によっては、レベルシフタとドライバ回路の機能を1つの回路に組み込んでもよい。
【0091】
明らかなように、本開示に記載されたマルチレベル電力変換器の実施形態は、このセクションに記載された追加の制御および演算回路および方法のうちの1つまたは複数の教示と相乗的に組み合わせることができる。
【0092】
マルチレベル電力変換器の一般的な利益および利点
【0093】
本発明の実施形態は、回路および回路モジュールまたはブロックを組み込むことの電力密度および/または電力効率を改善する。当業者が理解すべきであるように、システムアーキテクチャは、より低い電力および/またはより長いバッテリ寿命を含む重要な方法で、本発明の実施形態を利用して有利に影響を受ける。したがって、本発明は、大規模なシステム設計およびアプリケーションに含めることによって創造的に可能になるシステムレベルの実施形態を具体的に包含する。
【0094】
より具体的には、マルチレベル電力変換器は、以下を含む多数の利益および利点を提供または可能にする。
【0095】
-入力および/または出力電圧が広いダイナミックレンジを有することができる応用(例えば、変化するバッテリ入力電圧レベル、変化する出力電圧)への適合性。
【0096】
-携帯型電気エネルギー源(電池、発電機、または液体もしくは気体燃料を使用する燃料電池、太陽電池など)で動作する装置の実行時間の効率改善。
【0097】
-効率の改善、ここで効率は、特に他の構成要素(例えば、ディスプレイ、近くのIC)を過度の熱から保護するために、熱管理にとって重要である。
【0098】
-電力変換器の電力効率、電力密度、およびフォームファクタの設計最適化を可能にすること-例えば、より小さいサイズのマルチレベル電力変換器は、電力変換器を負荷に近接して配置することを可能にし、したがって、効率を増加させ、および/または材料の全体的な表を低下させることができる。
【0099】
-より小型の低電圧トランジスタの性能を利用する能力。
【0100】
-電源が幅広く変わることができる応用への適応性、例えば、バッテリ、他の電力変換器、液体または気体燃料を使用する発電機または燃料電池、太陽電池、ライン電圧(AC)およびDC電圧源(例えば、USB、USB-C、パワーオーバーイーサネット(登録商標)、等)。
【0101】
-一般的なIC(マイクロプロセッサおよびメモリICを含む)、電気モータおよびアクチュエータ、トランスデューサ、センサ、およびディスプレイ(例えば、すべてのタイプのLCDおよびLED)などの、負荷が広く変化し得る用途への適合性。
【0102】
-多くのIC技術(例えば、MOSFET、GaN、GaAs、およびバルクシリコン)およびパッケージング技術(例えば、フリップチップ、ボールグリッドアレイ、ウェハレベルスケールチップパッケージ、ワイドファンアウトパッケージング、および埋め込みパッケージング)で実装される能力。
【0103】
マルチレベル電力変換器の利点および利益は、幅広い用途での使用を可能にする。例えば、マルチレベル電力変換器の用途は、ポータブルおよびモバイルコンピューティングおよび/または通信製品およびコンポーネント(例えば、ノートブックコンピュータ、ウルトラブックコンピュータ、タブレットデバイス、および携帯電話)、ディスプレイ(例えば、LCD、LED)、無線ベースのデバイスおよびシステム(例えば、セルラシステム、WiFi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave、およびGPSベースのデバイス)、有線ネットワークデバイスおよびシステム、データセンタ(例えば、バッテリバックアップシステムおよび/または処理システムおよび/または電子/光ネットワーキングシステムのための電力変換用)、モノのインターネット(IOT)デバイス(例えば、スマートスイッチおよびライト、安全センサ、およびセキュリティカメラ)、家庭用電化製品および電子機器(例えば、セットトップボックス、バッテリ動作真空掃除機、洗濯機、乾燥機、および冷蔵庫などの内蔵無線送受信機を有する電化製品)、AC/DC電力変換器、すべてのタイプの電気自動車(例えば、ドライブトレイン、制御システム、および/またはインフォテインメントシステム用)、ならびにポータブル発電源を利用し、および/または電力変換を必要とする他のデバイスおよびシステムを含む。
【0104】
無線システムの使用は、様々なタイプの直交周波数分割多重(「OFDM」)、直交振幅変調(「QAM」)、符号分割多元接続(「CDMA」)、時分割多元接続(「TDMA」)、広帯域符号分割多元接続(「W-CDMA」)、グローバル移動体通信システム(「GSM」)、ロングタームエボリューション(「LTE」)、5G、およびWiFi(例えば、802.11a、b、g、ac、ax)、ならびに他の無線通信規格およびプロトコルを含む、様々な技術およびプロトコルを使用するワイヤレスRFシステム(基地局、中継局、およびハンドヘルドトランシーバを含む)を含む。
【0105】
製造技術およびオプション
【0106】
本発明の実施形態は、スイッチドコンデンサネットワークの文脈で説明されたが、本発明は、チャージポンプおよびインダクタベースのレギュレータにも適用可能である。
【0107】
図5および図6の上部FET保護スイッチおよび下部FET保護スイッチは、「混合および整合」され得ることに留意されたい。したがって、例えば、図5の下部FET保護スイッチ504と図6の上部FET保護スイッチ602との組み合わせを使用して、電力変換器内の電力スイッチSwを保護することができる。同様に、図5の上部FET保護スイッチ502と図6の下部FET保護スイッチ604との組み合わせを使用して、電力変換器内の電力スイッチSwを保護することができる。
【0108】
また、いくつかの用途では、上部スイッチが完全にオンになることを、そうすることが安全になるまで防止する起動アルゴリズムが使用される場合、下部保護スイッチは、高電圧スイッチである必要はないことに留意されたい。例えば、上部FET保護スイッチをオンにすることが安全になるまでフライコンデンサを充電する充電回路が含まれてもよい。
【0109】
4レベルマルチレベルコンバータ回路が上述の例に示されているが、本発明は、図3図4図5、および図6の回路と同様の積層スイッチおよび並列フライコンデンサ構造を有する任意のレベルのマルチレベルコンバータ回路(たとえば、3レベル、5レベルなど)とともに使用されてもよく、ある時点ではすべて高電圧(たとえば、VIN)を参照し、別の時点では低電圧(たとえば、回路接地などの基準電圧)を参照する積層スイッチを使用する電力変換器とともに使用するように適合されてもよい。
【0110】
マルチレベル電力変換器の様々な実施形態では、特定のタイプのコンデンサを、特にフライコンデンサに使用することが有益であり得る。例えば、そのようなコンデンサが、低い等価直列抵抗(ESR)、低いDCバイアス劣化、高い静電容量、および小さい体積を有することは、一般に有用である。低ESRは、電圧レベルの数を増加させるために追加のスイッチおよびフライコンデンサを組み込むマルチレベル電力変換器にとって特に重要である。特定のコンデンサの選択は、電力レベル、効率、サイズなどの仕様を考慮した後に行われるべきであり、セラミック(多層セラミックコンデンサを含む)、電解コンデンサ、フィルムコンデンサ(電力フィルムコンデンサを含む)、およびICベースのコンデンサを含む、様々なタイプのコンデンサ技術が使用され得る。コンデンサ誘電体は、特定の用途の必要に応じて変化してもよく、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化ハフニウム(HfO)、または酸化アルミニウムAlなどの常誘電体である誘電体を含んでもよい。加えて、マルチレベル電力変換器設計は、回路サイズを低減し、および/または回路性能を向上させるために、設計されたコンデンサとともに、またはその代わりに、(たとえば、電力FETに固有の)固有寄生コンデンサンスを有益に利用し得る。マルチレベル電力変換器のためのコンデンサの選択は、コンデンサ構成要素の変動、DCバイアスによる低減された有効静電容量、およびセラミックコンデンサ温度係数(最小および最大温度動作限界、ならびに温度による静電容量変動)等の要因も考慮に入れ得る。
【0111】
同様に、マルチレベル電力変換器の様々な実施形態では、特定のタイプのインダクタを使用することが有益であり得る。例えば、インダクタが低いDC等価抵抗、高いインダクタンス、および小さい体積を有することは、一般に有用である。
【0112】
マルチレベル電力変換器の起動および動作を制御するために使用されるコントローラは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、レジスタ転送レベル(RTL)回路、および/または組合せ論理として実装され得る。
【0113】
上述の実施形態は、2つ以下の高電圧FETを必要とするが、代替の実施形態では、低電圧FETとして上述した電力スイッチSwのうちの1つまたは複数は、代わりに、特定の用途で必要とされ得るように、高電圧FETとして実装されてもよい。
【0114】
本開示で使用される「MOSFET」という用語は、その電圧がトランジスタの導電性を決定する絶縁ゲートを有する任意の電界効果トランジスタ(FET)を含み、金属もしくは金属様の絶縁体、および/または半導体構造を有する絶縁ゲートを包含する。「金属」または「金属様」という用語は、少なくとも1つの導電性材料(アルミニウム、銅、または他の金属、または高濃度にドープされたポリシリコン、グラフェン、または他の導電体など)を含み、「絶縁体」は、少なくとも1つの絶縁材料(酸化ケイ素または他の誘電体材料など)を含み、「半導体」は、少なくとも1つの半導体材料を含む。
【0115】
本開示で使用されるように、用語「無線周波数」(RF)は、約3 kHz~約300 GHzの範囲内の振動の速度を指す。この用語は、無線通信システムで使用される周波数も含む。RF周波数は、電磁波の周波数、または回路内の交流電圧もしくは電流の周波数であってもよい。
【0116】
本開示で参照される図に関して、様々な要素の寸法は、一定の縮尺ではなく、いくつかの寸法は、明確にするために、または強調するために、垂直方向および/または水平方向に大きく誇張されている。配向および方向(例えば、「上部」、「底部」、「上方」、「下方」、「横方向」、「垂直」、「水平」など)への言及は、例示的な図面に対してであり、必ずしも絶対的な配向または方向ではない。
【0117】
本発明の様々な実施形態は、多種多様な仕様を満たすように実施することができる。特に断らない限り、適切な構成要素の値の選択は、設計上の選択の問題である。本発明の様々な実施形態は、任意の適切な集積回路(IC)技術(MOSFET構造を含むが、これに限定されない)、またはハイブリッドもしくはディスクリート回路形式で実装されてもよい。集積回路の実施形態は、標準的なバルクシリコン、高抵抗バルクCMOS、シリコンオンインシュレータ(SOI)、およびシリコンオンサファイア(SOS)を含むがこれらに限定されない任意の適切な基板およびプロセスを使用して製造され得る。特に断らない限り、本発明の実施形態は、バイポーラ、BiCMOS、LDMOS、BCD、GaAs HBT、GaN HEMT、GaAs pHEMT、およびMESFET技術などの他のトランジスタ技術で実施することができる。モノリシックICの実装は、寄生容量および寄生インダクタンスが一般に慎重な設計によって低く保たれ得る(または、最小限、すべてのユニットにわたって均一に保たれ、それらが補償されることを可能にする)ので、特に有用である。
【0118】
特定の仕様および/または実装技術(例えば、NMOS、PMOS、またはCMOS、および増強モードまたは空乏モードトランジスタデバイス)に応じて、電圧レベルが調整されてもよく、および/または電圧および/または論理信号極性が反転されてもよい。構成要素の電圧、電流、および電力処理能力は、例えば、デバイスサイズを調整すること、より高い電圧に耐えるように構成要素(特にFET)を直列に「積み重ねる」こと、および/またはより大きい電流を処理するために複数の構成要素を並列に使用することによって、必要に応じて適合され得る。開示された回路の機能を著しく変更することなく、開示された回路の能力を向上させるために、および/または追加の機能を提供するために、追加の回路構成要素が追加され得る。
【0119】
本発明による回路およびデバイスは、単独で、または他の構成要素、回路、およびデバイスと組み合わせて使用されてもよい。本発明の実施形態は、集積回路(IC)として製造されてもよく、これは、取り扱い、製造の容易さ、及び/又は性能の改善のために、ICパッケージ及び/又はモジュールに入れられてもよい。特に、本発明のICの実施形態は、1つ以上のそのようなICが他の回路ブロック(例えば、フィルタ、増幅器、受動素子、および場合によっては追加のIC)と組み合わされて1つのパッケージにされるモジュールにおいてしばしば使用される。IC及び/又はモジュールは、その後、典型的には、しばしばプリント回路基板上で他のコンポーネントと組み合わされて、携帯電話、ラップトップコンピュータ、又は電子タブレットなどの最終製品の一部を形成するか、又は車両、試験機器、医療機器などの多種多様な製品で使用され得るより高レベルのモジュールを形成する。モジュールおよびアセンブリの様々な構成を通じて、そのようなICは、典型的には、通信モード、しばしば無線通信を可能にする。
【0120】
結論
【0121】
本発明の多数の実施形態を説明してきた。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることを理解されたい。例えば、上述のステップのいくつかは、順序に依存しないことがあり、したがって、説明された順序とは異なる順序で実行され得る。さらに、上述のステップのいくつかは任意選択であってもよい。上記で識別された方法に関して説明された様々な活動は、反復的、直列、および/または並列の方式で実行され得る。
【0122】
上記の説明は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していないこと、および他の実施形態が特許請求の範囲内にあることを理解されたい。特に、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されたプロセス、機械、製造、または組成物のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての実現可能な組合せを含む。(請求項の要素の括弧内のラベルは、そのような要素を参照することを容易にするためのものであり、それ自体は、要素の特定の必要な順序付けまたは列挙を示すものではなく、さらに、そのようなラベルは、矛盾するラベル付けシーケンスを開始すると見なされることなく、追加の要素への参照として従属請求項において再使用され得ることに留意されたい。
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【国際調査報告】