(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】魚におけるテナキバクラム・マリティマム及びテナキバクラム・ソレアに起因する海洋性テナキバクラム症の予防のための免疫原性組成物、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/02 20060101AFI20241106BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20241106BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241106BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K39/02
A61K39/39
A61P37/04
A61P31/04 171
A61K9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525631
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 ES2022070654
(87)【国際公開番号】W WO2023073260
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521125464
【氏名又は名称】ウニベルシダーデ デ サンティアゴ デ コンポステーラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サントス ロドリゲス イサベル
(72)【発明者】
【氏名】トルレス コラル ジョランダ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076CC06
4C076CC32
4C076FF11
4C085AA03
4C085BA07
4C085CC07
4C085DD03
4C085DD08
4C085DD41
4C085FF00
4C085FF03
(57)【要約】
本発明は、テナキバクラム・マリティマムCECT30394株及びテナキバクラム・ソレアCECT30393株を含む、商業的価値の高い海産魚及び溯河魚に影響を及ぼす疾患である海洋性テナキバクラム症を予防するための免疫原性組成物を開示する。本発明は更に、その製造方法及び該疾患に対するその使用を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原性組成物であって、T.マリティマムCECT30394株及びT.ソレアCECT30393株の不活化細菌細胞と緩衝溶液との組み合わせを含むことを特徴とする、免疫原性組成物。
【請求項2】
T.マリティマムCECT30394及びT.ソレアCECT30393の前記細菌細胞が、いずれも5×10
9細胞/mL~5×10
10細胞/mLの濃度である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
CECT30394及びCECT30393の前記細菌細胞が、3×10
9細胞/mL~3×10
10細胞/mLの最終濃度である、請求項1及び2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記細菌細胞が、ホルムアルデヒド及び/又は熱で不活化される、請求項1~3に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記細菌細胞が、ホルムアルデヒドで不活化される、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
薬学的に許容可能なビヒクルを含む、請求項1~5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能なビヒクルが、アジュバントである、請求項6に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記アジュバントが、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、Eolane 130、Montanide ISA、Titermax、アルギン酸塩、アルミニウム塩及びカリウム塩(リン酸アルミニウム及びリン酸カリウム、並びに水酸化アルミニウム)、PLGAナノ粒子、リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニン、リン脂質、CpG ODNオリゴデオキシヌクレオチド、フラジェリン、細菌多糖類(LPS)、レバミソール、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・ブチリカム、マイコバクテリウム・ケローネ、マイコバクテリア細胞壁、ケモカイン、キトサン、セスキオレイン酸ソルビタン、ビタミンC、ビタミンE、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記アジュバントが、好ましくは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、Eolane 130、Montanide ISA、Titermax、又はそれらの任意の組み合わせを含む一覧から選択される、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
i.CECT30394株及びCECT30393株の細菌細胞を、それらの生育が可能な培養培地で培養する工程と、
ii.前記細菌細胞を不活化する工程と、
iii.前記細菌細胞を回収する工程と、
iv.前記細菌細胞を懸濁する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1~9に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項11】
前記培養培地が、合成海水で希釈したルリアベルターニ(LB)ブロス及びミューラーヒントン(MH)ブロス、マリンブロス(MB)、FMMブロス、0.05%重量/体積グルコース添加FMMブロス(FMM-G)、0.05%重量/体積スクロース添加FMMブロス(FMM-S)からなる群より選択される、請求項10に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項12】
前記培養培地が、0.05%重量/体積スクロース添加FMMブロス(FMM-S)である、請求項11に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項13】
前記細菌細胞の不活化が、ホルムアルデヒド及び/又は熱によって引き起こされる、請求項10~12に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項14】
前記細菌細胞の不活化が、ホルムアルデヒドによって引き起こされる、請求項13に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項15】
前記細菌細胞の不活化が、ホルムアルデヒドによって引き起こされる、請求項13に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項16】
前記ホルムアルデヒドの濃度が、0.15%体積/体積~0.35%体積/体積である、請求項14に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項17】
前記ホルムアルデヒドの濃度が、0.35%体積/体積である、請求項15に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項18】
前記不活化時間が、2時間~3時間である、請求項13~16に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項19】
前記不活化時間が、3時間である、請求項17に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項20】
前記不活化温度が、20℃~25℃である、請求項13~18に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項21】
前記不活化温度が、25℃である、請求項19に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項22】
前記熱不活化温度が、80℃及び100℃である、請求項13に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項23】
前記熱不活化温度が、100℃である、請求項21に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項24】
前記不活化時間が、45分~60分である、請求項21~22に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項25】
前記不活化時間が、60分である、請求項23に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項26】
前記細菌細胞の回収が、遠心分離及び限外濾過のいずれかの技術によって行われる、請求項10~24に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項27】
前記細菌細胞の回収が、遠心分離によって行われる、請求項25に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項28】
前記遠心分離が、10000rpm~12000rpmで行われる、請求項26に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項29】
前記遠心分離が、10000rpmで行われる、請求項27に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項30】
前記懸濁を、ホルムアルデヒドを含む生理食塩水溶液又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で行う、請求項10~28に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項31】
前記懸濁が、ホルムアルデヒドを含む緩衝生理食塩水溶液又はリン酸緩衝液中で行われる、請求項29に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項32】
前記ホルムアルデヒドが、0.15%体積/体積~0.35%体積/体積の濃度である、請求項30に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項33】
前記ホルムアルデヒドが、0.15%体積/体積の濃度である、請求項31に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項34】
懸濁後、620nmにおける光学密度が、0.5~0.8である、請求項29~32に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項35】
懸濁後、620nmにおける光学密度が、0.7である、請求項33に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項36】
薬学的に許容可能なビヒクルが含まれる、請求項10~36に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
【請求項37】
医薬組成物又は獣医用組成物の調製における、請求項1~9のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項38】
テナキバクラム症の予防、制御及び/又は治療のための医薬品の調製における、請求項1~9のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項39】
前記医薬品がワクチンである、請求項37に記載の使用。
【請求項40】
前記ワクチンが魚用である、請求項38に記載の使用。
【請求項41】
前記魚が、アトランティックサーモン(サルモ・サラール)、タイヘイヨウサケ(オンコリンクス・キスチ)、トラウト(オンコリンクス・ミキス)、イシビラメ(スコプタルムス・マクシムス)、シタビラメ(ソレア・ソレア及びソレア・セネガレンシス)、ヨーロッパシーバス(ディセントラルクス・ラブラクス)、ヨーロッパヘダイ(スパルス・アウラタ)、スペインダイ(パゲルス・ボガラヴェオ)、タラ(ガドゥス・モルフア)、ブリル(スコプタルムス・ロムバス)、及び/又はウェッジソール(ジコログロッサ・クネアタ)からなる群より選択される、請求項39に記載の使用。
【請求項42】
前記魚が、ヨーロッパヘダイ(スパルス・アウラタ)、シタビラメ(ソレア・セネガレンシス)、スズキ(ディセントラルクス・ラブラクス)及び/又はイシイビラメ(スコプタルムス・マクシムス)である、請求項40に記載の使用。
【請求項43】
請求項1~9に記載の免疫原性組成物と、任意に投与関連の説明書とを含む、魚における免疫応答の誘導における使用のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産養殖産業に関し、テナキバクラム・マリティマム(Tenacibaculum maritimum)及びテナキバクラム・ソレア(Tenacibaculum soleae)によって引き起こされる海洋性テナキバクラム症(tenacibaculosis)を予防するための二価の免疫原性組成物、その製造方法及びその使用からなる。
【背景技術】
【0002】
海洋性テナキバクラム症(すなわち、海洋性フレキシバクター症(marine flexibacteriosis))は、世界中の海産魚に根本的な影響を及ぼしている最も重大な細菌性疾患の一つである。この疾患は、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、及びオセアニアにおいて、アトランティックサーモン、イシビラメ、シタビラメ、ヨーロッパシーバス、及びヨーロッパヘダイ等の商業的価値の高い多種多様な海産魚及び溯河魚に影響を及ぼす(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。最近の研究(非特許文献5)により、テナキバクラム症はビブリオ症と共に、ヨーロッパにおける海産魚養殖に影響を及ぼす最も重要な疾患の一つであることが明確に実証された。この疾患は、イシビラメ、シタビラメ、スズキ、ヨーロッパヘダイ、スペインダイ、及びアトランティックサーモン等、商業的価値の高い海洋種の養殖において20%を超え得る死亡率を引き起こし、近年の世界生産量は1985165トン、商業的価値は108億7100万ユーロに達し(非特許文献6)、これは生産部門に大きな懸念を抱かせている。
【0003】
この疾患に特徴的な徴候は、魚の皮膚の潰瘍性病変、出血、及びヒレ組織の変質であり、最終的には魚の死又は外見の悪化を引き起こし、市場に出すことができなくなる(非特許文献2)。
【0004】
最近まで、テナキバクラム・マリティマムは、養殖魚の大半の種において、テナキバクラム症の主な原因物質と考えられてきた(非特許文献1、非特許文献7、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。しかしながら今日、T.マリティマム(T. maritimum)は臨床例で分離された株の50%しか占めていない(非特許文献8)。2008年以降、テナキバクラム・ソレア、テナキバクラム・ジスコロル(Tenacibaculum discolor)、テナキバクラム・ジセントラルキ(Tenacibaculum dicentrarchi)、及びテナキバクラム・ガライクム(Tenacibaculum gallaicum)等のテナキバクラム(Tenacibaculum)属由来の他の種が、ガリシアで養殖されるイシビラメ及びシタビラメにおける死亡原因物質として記載され(非特許文献9、非特許文献10及び非特許文献11、非特許文献12)、ノルウェーで養殖されるサケにおけるテナキバクラム症原因物質としてテナキバクラム・フィンマルケンサ(Tenacibaculum finnmarkense)が記載されている(非特許文献13)。それ以来T.ソレア(T. soleae)という種は、様々な地域でスズキ(非特許文献14)、アトランティックサーモン、ブリル、及びウェッジソール(wedge sole)(非特許文献15)等の他の魚種から分離され、イタリアではマガキ(Pacific oyster)から分離された(非特許文献16)。今日、T.マリティマム及びT.ソレアは、スペインの商業的関心のある魚(スズキ、ヨーロッパヘダイ、イシビラメ、及びシタビラメ)における主なテナキバクラム症の原因種である(非特許文献14、非特許文献2、非特許文献4)。
【0005】
テナキバクラム症は、抗微生物薬を食餌で投与する方法によって治療され、一般的には外部消毒剤と併用する(非特許文献17)。しかしながら、魚の疾患を制御するための抗微生物薬の使用は、水産養殖における抗生物質の使用制限が増え続けていること、及びこれらの細菌に観察される薬剤耐性の急速な獲得によって制限されている(非特許文献3、非特許文献18、非特許文献19)。抗微生物薬の使用に代わる最も有望な方法は、効果的なワクチンの使用による疾患の予防である。
【0006】
魚における海洋性テナキバクラム症の予防については、いくつかの一価抗T.マリティマムワクチンが実験レベルで評価されている(非特許文献20、非特許文献21、非特許文献19)。しかしながら、本研究グループによって開発されたワクチンIcthiovac(商標)(Laboratorios HIPRA)のみ(非特許文献3、非特許文献22、特許文献1)が、イシビラメにおける疾患を予防するために市販されている。イシビラメにおいて腹腔内注射により投与されるワクチンは、90%を超える相対生存率(RPS)で表されるT.マリティマムに対する防御レベルを付与する(非特許文献23)。このワクチンをイシビラメ養殖にて定期的に使用することで、T.マリティマム血清型O2によって引き起こされるテナキバクラム症の発生率が減少した(非特許文献24)。しかしながら、商業的に関心のある他の魚種(ヨーロッパヘダイ、スズキ、シタビラメ又はサケ)におけるT.マリティマムに起因するテナキバクラム症の予防におけるこのワクチンの有効性は評価されておらず、該ワクチンが他のT.マリティマム血清型又は魚に病原性を有するテナキバクラムの他の種に対して干渉効果(crossed protection)を付与するかどうかは不明である。さらに、以前の血清学的研究(非特許文献25)は、異なる血清型のT.マリティマム株間、並びにT.マリティマムとT.ソレア、T.ジスコロル(T. discolor)及びT.ガライクム(T. gallaicum)の種との間に抗原性の関係がないことを実証しており(非特許文献2、非特許文献9、非特許文献25)、抗T.マリティマムワクチン(ICTHIOVAC(商標))は上記細菌に対する防御をもたらさないことが示唆された。
【0007】
以上より、T.マリティマム及びT.ソレアに起因する海洋性テナキバクラム症を効果的に予防するための免疫原性組成物を開発する必要性を明確に示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Avendano-Herrera et al., 2006
【非特許文献2】Fernandez-Alvarez and Santos, 2018
【非特許文献3】Santos et al., 1999
【非特許文献4】Toranzo et al., 2005
【非特許文献5】LeBreton, 2019
【非特許文献6】FAO, 2020
【非特許文献7】Cepeda and Santos 2002
【非特許文献8】Arnaud et al., 2018
【非特許文献9】Pineiro-Vidal et al., 2007
【非特許文献10】Pineiro-Vidal et al., 2008 a
【非特許文献11】Pineiro-Vidal et al., 2008 b
【非特許文献12】Pineiro-Vidal et al., 2012
【非特許文献13】Smage et al., 2016
【非特許文献14】Castro et al., 2014
【非特許文献15】Lopez et al., 2010
【非特許文献16】Burioli et al., 2018
【非特許文献17】Avendano-Herrera et al., 2006b
【非特許文献18】Avendano-Herrera et al., 2008
【非特許文献19】Van Gelderen et al., 2009
【非特許文献20】Pazos, 1997
【非特許文献21】Romalde et al., 2005
【非特許文献22】Santos Y Pazos, 2000.
【非特許文献23】Santos Rodriguez and Pazos Alvarez, 2000
【非特許文献24】Garcia-Carballas, 2018
【非特許文献25】Pineiro-Vidal, 2008
【発明の概要】
【0010】
本発明は、水産養殖産業に関し、特に、魚における海洋性テナキバクラム症の制御及び予防のための、スペインタイプカルチャーコレクション(CECT)に寄託されたT.マリティマムCECT30394株及びT.ソレアCECT30393株を含む二価の免疫原性組成物、その製造方法及びその使用に関する。
【0011】
寄託された菌株は、グラム陰性、オキシダーゼ陽性及びカタラーゼ陽性、硝酸塩還元性の糸状性桿菌であり、硫化水素を産生することができない、テナキバクラムという種に典型的な特徴を示す。さらに、これらの菌株は、インドール試験及びフォーゲス-プロスカウエル(Voges-Proskauer)試験に対し陰性である。さらに、T.マリティマム種の株は、T.ソレア株にはないアミラーゼ、トリプシン、及びキモトリプシンの活性を示す。T.マリティマム種とT.ソレア種は表現型レベルでは同種であり、血清学的及び遺伝学的な変異性を示す(非特許文献2、Fernandez-Alvarez, 2019、非特許文献3)。
【0012】
海水で1:1000に希釈した組成物に魚を浸漬することにより(4週間の間隔をあけて2分間の水浴を2回)、又は注射により(0.1mL/尾の用量)投与すると、両病原種によって引き起こされる海洋性テナキバクラム症に対して高レベルの防御(RPS=70%~100%)を魚に与える。
【0013】
本発明で開発されたこの免疫原性組成物は、以下を可能にすることから、これまで記載されてきた実験的一価ワクチン又は市販のワクチンICTHIOVAC(商標)に対する利点を表す:
【0014】
1)世界的なテナキバクラム症の主要原因物質であるT.マリティマム種及びT.ソレア種の菌株を含めることにより、抗原網羅性を向上させる。
【0015】
2)商業的に関心が高い魚種において、T.マリティマム及びT.ソレアによって引き起こされるテナキバクラム症から防御する。
【0016】
第1の態様において、本発明は、CECTにそれぞれ登録番号30394及び30393で寄託されているT.マリティマム及びT.ソレアの株に関する。
【0017】
第2の態様において、本発明は、不活化株CECT30394及びCECT30393を含む免疫原性組成物に関する。「不活化株」とは、物理的処理又は化学的処理に供されて、複製不能な形態に変化した株を意味すると理解される。
【0018】
好ましい実施の形態において、免疫原性組成物は、最終組成物1mLあたり5×109細胞~5×1010細胞という不活化株の濃度を有する。好ましくは、免疫原性組成物は、3×1010細胞/mLの濃度の不活性株の細菌細胞を含む。
【0019】
本発明の第3の態様は、不活化株CECT30394及びCECT30393と、追加的に少なくとも1つの薬学的に許容可能なるビヒクル、好ましくは以下のいずれかから選択され得るアジュバントとを含む免疫原性組成物に関する:フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、Eolane 130、Montanide ISA、及びTitermax等の油性化合物、アルギン酸塩、アルミニウム塩、及びカリウム塩(リン酸アルミニウム及びリン酸カリウム、並びに水酸化アルミニウム)等の無機化合物、PLGAナノ粒子、リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニン、リン脂質等の免疫刺激複合体(ISCOM)、CpG ODNオリゴデオキシヌクレオチド、フラジェリン、細菌性多糖類(LPS)等の病原体関連分子パターン(PAMP)、並びにレバミソール、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)、マイコバクテリウム・ケローネ(Mycobacterium chenolae)、マイコバクテリア細胞壁、ケモカイン、キトサン、セスキオレイン酸ソルビタン、ビタミンC、ビタミンE等の他の免疫応答調節剤、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0020】
本明細書において、アジュバントとは、ワクチンに組み込まれた場合、免疫応答の大きさ、程度及び持続時間を増加させることにより免疫系を刺激する任意の作用物質を意味すると理解される。
【0021】
組成物は、臨床的に許容された任意の剤形及び治療有効量で提示され得る。好ましくは、投与は、浸漬又は注射によって行われる。注射によって投与される治療有効量は、1尾あたり0.05mL~0.2mLの範囲である。好ましくは、治療有効量は、1尾あたり0.1mLである。浸漬により投与される治療上有効な希釈度は、1:500~1:1000の範囲である。好ましくは、有効治療希釈度は1:1000である。
【0022】
本発明の第4の態様は、動物、特に魚、好ましくはアトランティックサーモン(サルモ・サラール(Salmo salar))、タイヘイヨウサケ(オンコリンクス・キスチ(Oncorhynchus kisutch))、トラウト(オンコリンクス・ミキス(Oncorhynchus mykiss))、イシビラメ(スコプタルムス・マクシムス(Scophthalmus maximus))、シタビラメ(ソレア・ソレア(Solea solea)及びソレア・セネガレンシス(Solea senegalensis))、ヨーロッパシーバス(ディセントラルクス・ラブラクス(Dicentrarchus labrax))、ヨーロッパヘダイ(スパルス・アウラタ(Sparus aurata))、スペインダイ(パゲルス・ボガラヴェオ(Pagellus bogaraveo))、タラ(ガドゥス・モルフア(Gadus morhua))、ブリル(スコプタルムス・ロムバス(Scophthalmus rhombus))、及び/又はウェッジソール(ジコログロッサ・クネアタ(Dicologlossa cuneata))におけるその使用のための本発明の免疫原性組成物に関する。
【0023】
本発明の第5の態様は、海洋性テナキバクラム症の予防及び制御におけるワクチンとして使用するための、本発明の医薬組成物中、又は本発明の獣医用組成物中のCECT30394株及びCECT30393株に関する。
【0024】
別の態様において、本発明は、海洋性テナキバクラム症の予防及び/又は制御のための医薬品の製造において使用するための、本発明の医薬組成物中、又は本発明の獣医用組成物中のCECT30394株及びCECT30393株に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、海洋性テナキバクラム症の予防及び/又は制御において使用するための、この免疫原性組成物で動物を免疫した後に得られる抗体に関する。好ましくは、免疫に使用される動物は、以下のいずれかから選択され得る魚である:アトランティックサーモン(サルモ・サラール)、タイヘイヨウサケ(オンコリンクス・キスチ)、トラウト(オンコリンクス・ミキス)、イシビラメ(スコプタルムス・マクシムス)、シタビラメ(ソレア・ソレア及びソレア・セネガレンシス)、ヨーロッパシーバス(ディセントラルクス・ラブラクス)、ヨーロッパヘダイ(スパルス・アウラタ)、スペインダイ(パゲルス・ボガラヴェオ)、タラ(ガドゥス・モルフア)、ブリル(スコプタルムス・ロムバス)、及び/又はウェッジソール(ジコログロッサ・クネアタ)。
【0026】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のT.マリティマム株及びT.ソレア株の細菌細胞を培養することと、細菌細胞を不活化することと、遠心分離又は濾過によって細菌細胞を回収することと、細菌細胞を懸濁することとを含む、免疫原性組成物の製造方法に関する。
【0027】
CECT30394及びCECT30393の細菌細胞の培養に使用される培養培地は、以下のいずれかから選択され得る:合成海水で希釈したルリアベルターニ(LB)ブロス及びミューラーヒントン(MH)ブロス、マリンブロス(MB)、FMMブロス、0.5%グルコース添加FMMブロス、0.5%スクロース添加FMMブロス(FMM-S)。好ましくは、使用される培地は、FMM-Sである。
【0028】
CECT30394及びCECT30393の細菌細胞の不活化は、菌株を複製不能な形態に変化させる任意の物理的処理又は化学的処理によって行われる。好ましくは、不活化は、ホルムアルデヒド及び/又は熱を使用することによって行われる。好ましくは、ホルムアルデヒド濃度は0.30%~0.35%である。より好ましくは、濃度は0.35%である。ホルムアルデヒドを使用して不活化を達成する時間は、120分~180分である。好ましくは、不活化を達成する時間は180分である。不活化を達成する温度は20℃~25℃である。好ましくは、不活化温度は25℃である。
【0029】
不活化のために熱を使用する場合、温度は好ましくは80℃~100℃である。好ましくは、不活化温度は100℃である。熱を使用することによる不活化を達成する時間は45分~60分である。好ましくは、不活化を達成する時間は60分である。
【0030】
CECT30394及びCECT30393の細菌細胞の回収は、遠心分離、精密濾過、又は限外濾過によって行うことができる。好ましくは、回収は遠心分離によって行われる。
【0031】
回収のための遠心分離速度は、10000rpm~12000rpmである。好ましくは、遠心分離速度は10000rpmである。
【0032】
濾過方法は、精密濾過及びタンジェンシャル濾過から選択され得る。好ましくは、濾過はタンジェンシャル濾過である。
【0033】
回収された細胞の懸濁は、保存が可能な任意の液体培地中で行われる。好ましくは、選択された培地はホルムアルデヒドを含む生理食塩水溶液(0.9%NaCl)及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。より好ましくは、選択された培地はホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝液である。620nmで測定した懸濁液の光学密度は、0.5~0.8である。好ましくは、A620における光学密度は、0.7である。
【0034】
本発明の別の態様は、上記の免疫原性組成物と、任意に投与関連の説明書とを含む、魚における免疫応答の誘導に使用するためのキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】テナキバクラム・マリティマムCECT30394及びテナキバクラム・ソレアCECT30393の、糖を補充しないFMM培地、並びに糖、すなわちグルコース(FMM-G)及びスクロース(FMM-S)を補充したFMM培地での生育を示す図であり、FMM-S培地において良好な生育を示す。結果は、分光光度計(A
620)を用いて測定した細胞量、及び全細胞/mLとして表される。
【
図2】イシビラメ、シタビラメ、ヨーロッパヘダイ、及びスズキにおいて浸漬により投与された2価ワクチンの有効性を、相対生存率(RPS)として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に示す実施例の目的は、それによって本発明の範囲を限定することなく本発明を説明することである。
【実施例】
【0037】
実施例1.テナキバクラム・マリティマム及びテナキバクラム・ソレアの培養条件の最適化
T.マリティマム及びT.ソレアの培養に最適な条件を選択するため、培地に糖(グルコース又はスクロース)を組み込むことが、CECT30394株及びCECT30393株の生育を改善するかどうかを評定した。そのため、1/100に希釈した接種菌液を用い、FMM培養培地及びグルコース(0.5g/L)(FMM-G)又はスクロース(0.5g/L)(FMM-S)を補充したFMM培地中でT.マリティマムCECT30394及びT.ソレアCECT30393の培養を開始した。全ての生育試験を3連で行った。研究開始時(t=0)及び一定期間ごとに、接種後48時間の間、培養試料(5mL)を採取した。これらの培養試料を用いてpHを評価し、分光光度計(A620)による細胞量の決定、プレート播種法による生存細胞数の決定、及びNeubauerチャンバー(Brand(商標)Buerker)による顕微鏡計数を用いた総細胞数の決定を行った。結果を、Excel及びSPSS V.22(IBM)統計プログラムを用いて分析した。
【0038】
このアッセイの結果は、T.マリティマムCECT30394株及びT.ソレアCECT30393株の至適培養条件は、0.5g/Lスクロース(Sigma Aldrich、スペイン国)を補充したFMM培地(Laboratorio Conda SA、スペイン国マドリッド)(FMM-S)中、25℃で48時間のインキュベーションであることを示した。これらの条件下で、T.マリティマムCECT30394培養物は、1ミリリットルあたり総細胞数8.5×10
10個の細胞密度(A
620:0.715)に達し(
図1)、T.ソレアCECT30393培養物は1ミリリットルあたり総細胞数5.6×10
10個の細胞密度(A
620:0.576)に達した(
図1)。両細菌で一致した結果は、記載される条件及び培養培地がワクチン開発に理想的であることを実証する。
【0039】
実施例2.以下の工程を含む、ワクチンを構成するT.マリティマム株及びT.ソレア株の細菌培養物の製造方法及び不活化方法:
【0040】
a)FMM-Sブロス中で培養することにより、T.マリティマムCECT30394株及びT.ソレアCECT30393株の対数増殖期の接種菌液を得る(100rpmでオービタル振盪をしながら25℃で24時間のインキュベーション)。
【0041】
b)3リットルのFMM-Sブロスの入った6リットルフラスコに、30mLのT.マリティマムCECT30394株及びT.ソレアCECT30393株の接種菌液を接種し、25℃で好気的条件下(0.25L/分)、オービタル振盪(100rpm)しながら48時間インキュベートする。
【0042】
c)最終濃度0.35%のホルムアルデヒドを添加し、25℃で180分間振盪しながらインキュベートすることにより、細菌培養物を不活化し、その後、培養物を4℃に移す。4℃で24時間後、培養物を遠心分離し(10000rpmで30分間)、上清を捨て、細胞ペレットを、最終濃度0.15%(体積/体積)のホルマリンを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS、塩化ナトリウム8g/L、塩化カリウム0.3g/L、リン酸ナトリウム0.73g/L、リン酸一カリウム0.2g/L、pH7.4)(PBS-0.15)に懸濁する。
【0043】
d)PBS-0.15中で等量のT.マリティマムCECT30394株とT.ソレアCECT30393株の懸濁液を混合し、二価抗T.マリティマム-T.ソレアワクチンを調製する。ワクチン混合物を、波長620nmでの光学密度(620nmでの吸光度、A620)0.7に調整する。得られたワクチン溶液は、約3×1010細胞/mLを含む。
【0044】
e)FMM-S寒天プレート、マリンアガー(MA)プレート、及び最終濃度1%のNaClを含むトリプトン大豆寒天(TSA)プレート(TSA-1)、並びにチオグリコール酸ブロスチューブ内にワクチン混合液を播種し、25℃及び37℃で72時間インキュベートすることによって、ワクチンの無菌性制御を行う。ワクチンを使用まで4℃で保存する。特異性制御を、CECT30394株及びCECT30393株に特異的なウサギ抗血清と、ワクチン製造に使用した不活化細菌細胞を抗原として用い、スライド凝集により行う。
【0045】
f)2倍用量のワクチンを腹腔内(i.p.)注射(0.2mL)又は浸漬(希釈度1:500)し、21日間その効果を評価することにより、魚におけるワクチンの安全性を評価する。
【0046】
実施例3.テナキバクラム・マリティマムCECT30394株及びテナキバクラム・ソレアCECT30393株を用いて作製した二価ワクチンの動物モデルにおける有効性の評価
ワクチンの有効性を、フラットフィッシュ(flatfish)(イシビラメ及びシタビラメ)及び紡錘形の魚(fusiform fish)(ヨーロッパヘダイ及びスズキ)をモデルとして用いた実験的アッセイにより評価した。ワクチン接種試験には、イシビラメ(平均重量3.06±0.78g)、シタビラメ(平均重量0.71±0.17g)、ヨーロッパヘダイ(平均重量7.58±2.26g)、及びスズキ(平均重量3.17±0.96g)を用いた。これらの研究には、欧州薬局方7.0(2010年)で推奨されている魚の数を使用した。
【0047】
魚に浸漬又は注射によりワクチンを接種させ、次いで、異種T.マリティマム株及びT.ソレア株を用いて実験的感染を行った。
【0048】
a)浸漬による投与。このため、強くエアレーションしながら魚を海水で1:1000に希釈したワクチンに2分間浸した後、養殖水槽に戻す。4週間後、同じ方法を用いてブースター用量を投与する。
【0049】
b)注射による投与。このため、魚を60mg/L濃度の麻酔薬トリカインメタンスルホン酸塩(MS-222、Sigma)で麻酔し、0.1mL/尾の用量の希釈していないワクチンを腹腔内に接種する。
【0050】
浴中投与ワクチンの有効性を、評価される細菌(T.マリティマム又はT.ソレア)の細菌懸濁液に魚(ワクチン接種魚又は対照魚)を1時間浸漬する浴中感染によって評価した。
【0051】
注射によって投与されたワクチンの有効性を、評価される細菌種(T.マリティマム又はT.ソレア)の懸濁液0.1mLを注射することにより評価した。このアッセイのため、魚をあらかじめトリカイン(MS-222 Sigma Aldrich)で麻酔した。
【0052】
感染チャレンジが終了した時点で、相対生存率を決定した(改訂、1981年;欧州薬局方7.0(2010年))。このため、ワクチン接種群と対照群の両方について、実験的感染からの経過時間の関数として比死亡率曲線をプロットした。これらの曲線を用いて、ワクチン接種群における比死亡率パーセントを対照群における比死亡率が60%に達する時間(M)に内挿し、以下の式(欧州薬局方7.0(2010年))を用いて相対生存率(RPS)を算出した:
RPS=(1-M/60)×100
【0053】
さらに、実験的感染に曝露されたワクチン接種群と対照群との間の生存における有意差の存在を、カイ二乗検定(χ2、p<0.05)によって検証した。
【0054】
浸漬(4週間の間隔をあけて2分間の水浴を2回)(
図2)又は注射(0.1mL用量)により投与されたワクチンは、両病原種によって引き起こされる海洋性テナキバクラム症に対して高レベルの防御(RPS=70%~100%)を魚に付与する。
【0055】
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