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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】多分岐糖脂質模倣物
(51)【国際特許分類】
   C07H 9/06 20060101AFI20241106BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20241106BHJP
   C07H 13/06 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C07H9/06 CSP
A61K31/7028
A61K31/7056
C07H13/06
A61P37/02
A61P1/16
A61P37/06
A61P9/10
A61P11/00
A61P11/06
A61P11/02
A61P25/00
A61P37/04
A61K39/00
A61K39/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525641
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022079553
(87)【国際公開番号】W WO2023072816
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21382980.7
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】511000083
【氏名又は名称】コンセホ スペリオール デ インベスティガシオネス シエンティフィカス(セエセイセ)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS(CSIC)
【住所又は居所原語表記】C/Serrano,117,E-28006 Madrid,Spain
(71)【出願人】
【識別番号】515028377
【氏名又は名称】ウニヴェルシダッド デ セビーリャ
(71)【出願人】
【識別番号】596118493
【氏名又は名称】アカデミア シニカ
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【住所又は居所原語表記】128 Sec 2,Academia Road,Nankang,Taipei 11529 TW
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア フェルナンデス,ホセ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】オルティス メレット,カルメン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス クエスタ,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】エレーラ ゴンザレス,イレネ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤ-ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ライ,アラン チュアン-イン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C057CC03
4C057CC05
4C057DD03
4C057FF03
4C057HH03
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA01
4C085FF14
4C085FF17
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA02
4C086EA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA34
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB09
(57)【要約】
本発明は、式I(式I中、X、Y、ZおよびRは、本明細書において定義される)の多分岐糖脂質模倣物またはその医薬組成物、ならびに医薬品としてのそれらの使用、特に、Th1/Th2不均衡によって引き起こされる免疫疾患の治療および/または予防のための、多分岐糖脂質模倣物に関する。さらに本発明は、式Iの化合物を含むワクチンに関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物であって:
【化1】

ここで、
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-C12アルキル、C-C12アルキルであり、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されており;
は、-OH、-N(R、-N、C-Cアルキルまたはハロゲンであり;
は、それぞれ、独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
XはO、S、NHまたはCHであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=O)-NHY’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’または式Iaで示される基であり:
【化2】

Y’は、1つもしくは複数の基Rで任意に置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、-OCHPh(-OBz)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり;
Cyは、飽和、部分不飽和または芳香族であり得る5員~14員環であり、任意に、N、O、S、またはPから選択される合計で1~4個の同一または異なるヘテロ原子を含み、Cyは、任意に、飽和、部分不飽和、または芳香族であり得る5員または6員の炭素環またはヘテロ環に縮合されているものであり得、Cyは、任意に、フェニル、ハロゲン、C-Cアルキル、ハロ-C-Cアルキル、-O-C-Cアルキル、-OCOO-C-Cアルキル、-CO-C-Cアルキル、S-C-CアルキルまたはN-C-Cアルキルから選択される1つまたは複数の基によって置換されており;
Zは、-CO-O-C-C25アルキル、-CO-NH-C-C25アルキルまたはC-C25アルキルであり、ここでZは、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OH、-OC(=O)Ph(-OBz)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyである。
【請求項2】
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されている、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
XはOまたはSである、請求項1または2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
Yは、基NH-C(=O)-Y’または基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’であり;
Y’は、任意に1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyである、請求項1から4のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
Yが式Iaの基であり;および
Y’は、任意に1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
Zが-CO-NH-C-C20直鎖アルキルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
ZはC-C25アルキルであり、Zは2つの基Rで置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である、
請求項1から4および6のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
以下から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【表1】




【請求項10】
少なくとも1つの請求項1から9のいずれか一項に記載の式Iの化合物またはそれらの混合物もしくは組合せを含む、医薬組成物。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1から9のいずれかに記載の式Iの化合物またはその医薬組成物。
【請求項12】
Th1/Th2不均衡によって引き起こされる免疫疾患の治療および/または予防に使用するための、請求項1から9のいずれかに記載の式Iの化合物またはその医薬組成物。
【請求項13】
メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、免疫介在性肝炎、自己免疫疾患、移植片拒絶病理、アテローム性動脈硬化症、気道過敏症、喘息、アレルギー性鼻炎および神経変性疾患から選択される疾患の治療および/または予防に使用するための、請求項12に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
請求項1から9のいずれかに記載の式Iの化合物の有効量と、ワクチン剤とを含むワクチン。
【請求項15】
ワクチン剤が、死滅微生物、生きた弱毒化微生物、トキソイドおよび不活化または弱毒微生物のフラグメント、合成ペプチドまたは糖ペプチド構築物、リボ核酸(RNA)ベースのワクチンまたはデオキシリボ核酸(DNA)ベースのワクチンから選択される、請求項14に記載のワクチン。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、式Iの多分岐糖脂質模倣物またはその医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用、特にTh1/Th2不均衡によって引き起こされる免疫疾患の治療および/または予防のための使用に関する。さらに本発明は、式Iの化合物を含むワクチンに関する。
〔背景技術〕
糖質は免疫系の機能と免疫応答の調節において重要な役割を果たしている。がん免疫療法またはワクチンアジュバントから、自己免疫疾患または感染症の治療に至るまで、さまざまな天然糖質ベースの免疫調節物質が、臨床的に評価されてきたことは意外ではない。しかしながら、自然から得られる免疫活性糖質は、通常、十分な量、純度および均質性を得ることが困難である。全合成および半合成戦略を含む有機合成化学は、高いレベルの化学的制御を有する、天然物に対応する構造的修飾を可能にし、炭水化物含有免疫刺激剤、糖質を含む免疫賦活剤または免疫抑制剤の、分子的に定義された改良版への、より魅力的なアプローチを提供する。下記の総論においては、免疫調節剤としての糖質誘導体、特に糖脂質の重要性が示されている:Molecules 2013, 18, 15662-15688; Clinical & Translational Immunology 2016, 5, e69; Chemistry A European Journal 2017, 23, 1728-1742; Nature Reviews Chemistry 2021, doi: doi.org/10.1038/s41570-020-00244-3。
合成糖質免疫調節物質の中でも、ヒト不変ナチュラルキラーT細胞(iNKT細胞)に対するアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有する糖脂質は、臨床開発が期待されている候補物質のファミリーの一つである。ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)は従来、ナイーブマウスにおいてNK関連レセプターを構成的に発現するT細胞として定義されていた。その後、これらの一般的な性質を持つサブセットの分類が進み、タイプ1または不変NKT細胞(iNKT細胞)として知られる主要な集団が定義された。この細胞は、多様性が限られたTCRβ鎖と対をなす、不変TCRα鎖(マウスではVα14Jα18、ヒトではVα24Jα18)を発現する。iNKT細胞は、保存された非多型MHCクラスI様分子であるCD1dによって提示される脂質や糖脂質を認識し、天然の自己または微生物の糖脂質だけでなく、様々な合成グリコシルセラミドを認識する。
【0002】
典型的な合成iNKT細胞抗体は、KRN7000として知られている合成αガラクトシルセラミド(αGalCer)である。αGalCerは、飽和C26N-アシル鎖で連結されたC18フィトスフィンゴシンを含む。αGalCerは、C18iNKT細胞のモデル抗原として、ヒトだけでなくマウス、ラットおよび霊長類を含む他の動物モデルで広く研究されてきた。iNKT細胞はKRN7000により刺激されると、サイトカインの広範囲かつ急速な分泌も手伝って、複数の免疫調節機能を発揮する。iNKT細胞は、Tヘルパー1(Th1)応答(例えば、IFNγ、TNFα)とTヘルパー2(Th2)応答(IL-4、IL-5、IL-13)の両方に古典的に関連するサイトカインを同時に産生する顕著な能力を有する。さらに、これらの活性化は樹状細胞(DC)の成熟誘導、NK細胞の転写促進、B細胞への補助につながる。KRN7000で刺激されたiNKT細胞は、腫瘍、微生物性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患などの疾患モデルに応じて、免疫応答を調節あるいは改善する能力を示している。
【0003】
αGalCerはiNKT細胞抗原の標準的なモデルであるが、その治療効果を妨げる限界がある。第一の大きな問題は、KRN7000がTh1とTh2の両方の関連サイトカインを高レベルで誘発する傾向があることである。これらのサイトカインは、効果的でなく、かつ予測していない免疫応答を引き起こす、直接的な相反する活性を有しうる。さらに、αGalCerはiNKT細胞を強力に刺激しすぎてサイトカインストームを引き起こす可能性がある。つまり、iNKT細胞は大量のサイトカインを放出し、iNKT細胞のアネルギーまたは不活性化を引き起こす。iNKT細胞の治療可能性とαGalCerの限界のため、限られた範囲のiNKT細胞機能を選択的に刺激する能力を持つ、構造類似体を同定するための努力が集中的に行われてきた。下記の選択された総論は、このトピックの全体像を示している:Cell Chemical Biology 2018, 25, 571-584; Organic & Biomolecular Chemistry 2011, 9, 3080-3104。下記特許文献は、免疫調節剤としてのαGalCerアナログの合成と応用に関する具体例を集めたものである:US5,936,076;US7928,077B2;WO2007/050668A1;US8,580,751B2;US2011/0028411A1;US8,883,746B2;WO2019/102054A1;US2008/0260774A1;US2015/0071960A1;US2010/0035843A1。
【0004】
上述した引用文献において報告された一連の研究から、設計されたαGalCerにヒントを得たiNKT細胞用糖脂質抗原の構造は、理論的には4つの部分、すなわち、脂質鎖、スフィンゴシン/セラミド頭部基、グリコシド結合、糖の性質に分割可能であることが推定できる。免疫調節糖脂質の候補を改良するために、この4つすべてが化学的に修飾されてきた。特に、純粋にTh1またはTh2サイトカイン優位に偏ったiNKT細胞応答を刺激する糖脂質を得ることに重点が置かれてきた。
【0005】
αGalCer変異体の複数のクラスは、iNKT細胞からのTh1応答を効果的に誘発する。これらの応答は、ワクチンのアジュバントおよびいくつかの形態の癌の治療に有効であることが証明されている。糖部分の初期の修飾により、ピラノース形状、特にα-アノマー構造がアジュバントの活性に必須であることが示された。例えばアミド、カルバメート、尿素による6’’-OH基(ガラクトピラノシル部分の第一級OH基)の置換または付加は、Th1バイアス-免疫応答を促進する。Th1バイアス-免疫応答は、長期的にIL4発現よりもIFNγ発現に有利な、in vivoでの安定性の向上に起因する。より安定なα-カルバ-GalCer変異体は、環内酸素が炭素に置換されており、強いTh1誘導性を有する免疫賦活糖脂質である。同様に、環外のグリコシド酸素をメチレン単位で置換すると、マウスにおいて顕著なTh1反応を示す、対応するC-グリコシドアナログ(α-C-GalCer)が得られた。しかしながら、ヒトiNKT細胞応答の細胞培養モデルを用いた研究では、α-C-GalCerは弱い刺激性しか示さないことが判明しており、ヒト治療薬としての開発には適さない可能性が示唆されている。チオグリコシドアナログのα-S-GalCerも合成されたが、マウスでは生理活性を示さず、ヒトではTh1プロファイルを誘導した。対照的に、セラミド部分の変異に加えて、ガラクトピラノース残基の環酸素を窒素原子に置換したKRN7000アナログは、サイトカイン放出を誘導する活性を示さないことが、文献Chinese Journal of Chemistry 2017, 35, 1001-1008において報告された。
【0006】
以前に同定された別の強力なTh1バイアスiNKT細胞アゴニストは、AH03-1と呼ばれるKRN7000のアミノジオール(スフィンガニン)のアナログである。AH03-1は、スフィンゴシン脂質鎖の4’位のOH基が欠損している。AH03-1および他の関連スフィンガニンアナログは、一般にマウスではin vivoで高い活性を示すことが分かっている。しかしながら、ヒトiNKT細胞応答の細胞培養モデルでは効率的な活性化剤ではなかった。脂質部分に多様な構造修飾を施した他の様々なαGalCerアナログも合成されており、構造活性相関(SAR)の研究をさらに進めることができる。以下の論文は、この技術の現状をさらに示している:PLoS ONE 2010, 5, e14374。
【0007】
Th2免疫調節反応を引き起こすα-GalCer関連抗原は、ほとんど発見されていない。この種類の抗原によるiNKT細胞の活性化は一般的に、炎症を減少させ、自己免疫疾患を改善する上で有用であると考える。このような化合物には、C20:2αGalCer(不飽和アシル鎖を持つ)とOCH(切断されたスフィンゴシン鎖を持つ)がある。糖鎖の6’’位を修飾したαGalCerアナログ、例えば6’’-トリアゾール置換誘導体および、長鎖エーテル結合脂肪鎖を持つ6-O-アルキル化誘導体もまた、適度なTh2プロファイルを誘発した。
【0008】
iNKT細胞はまた、腸および気道における粘膜恒常性の破壊と関連しており、Th2バイアスサイトカイン応答を通じて、オボアルブミン(OVA)およびイエダニ(HDM)抽出物を含む、様々なアレルゲンモデルにおけるアレルギー性気道炎症に寄与している。実際に、iNKT細胞は気道過敏性(AHR)の発症に必要であることがわかっている。CD1d拘束性のiNKT細胞応答を低減させる組成物は、喘息およびアレルギー性鼻炎などの、CD1d拘束性のiNKT細胞の活性化に関連するアレルゲン誘発性気道過敏症の治療に用いることができる。さらに、iNKT細胞は肝障害を誘発することによって急性免疫仲介性肝炎にも寄与する。先行技術は、糖脂質アンタゴニストを用いてiNKT細胞の活性化を阻害することによって、iNKT細胞により誘導される肝疾患の病態を低減できることを示している。iNKT細胞仲介性の疾患を治療する可能性を有するiNKTアンタゴニスト挙動を有するα-GalCerアナログの例としては、非特許文献Frontiers in Chemistry 2019, 7, 811において報告されている、α-マンノップラノシルセラミド(α-ManCer)およびα-ラクトシルセラミド(α-LacCer)が挙げられる。
【0009】
免疫調節活性を有するα-GalCerアナログとして報告されているものの中で、CCL-34と呼ばれる化合物が象徴例であるグリコシルセリン型多分岐糖脂質は、特異なクラスである。CCL-34は、ガラクトピラノシル部位がセリン基の疎水性の脂質部位にα結合したものであり、アミノ酸のカルボニル基に結合した直鎖状N結合C11脂質鎖を含み、アミド結合を形成しており、アミン基に直鎖状C12アシルの置換基が存在する。CCL-34は、a-GalCerそのものではなく、Toll様受容体4(TLR4)アゴニストであることが判明した。CCL-34糖脂質の免疫調節物質としての可能性は、下記レポートで示されている:Scientific Reports, 2020, 10, 8422。
Toll様受容体4(TLR4)は、グラム陰性菌の内毒素(リポ多糖、LPS、リポオリゴ糖、LOS)を認識する哺乳類の受容体である。TLR4は主に上皮細胞および自然免疫細胞の細胞表面に発現しており、グラム陰性菌が放出する微量のLPSを感知する。LPSの親油性部分とLBP3、CD14、MD-2共受容体間の一連の順番の相互作用により、活性化膜ヘテロ二量体複合体(LPS/MD-2/TLR4)の形成が可能になり、炎症性サイトカインとケモカインの産生を誘導する細胞内のシグナルが誘導される。TLR4を介したサイトカイン産生は、宿主の生体が感染に応答するために不可欠なメカニズムであるが、病原体関連分子パターン(PAMPs)によるTLR4の過剰な刺激は、急性敗血症および敗血症性ショックなどの生命を脅かす重篤な症候群につながる、制御不能なサイトカイン産生を引き起こす可能性がある。内因性因子(DAMPs)によるTLR4の活性化は、様々な臓器や身体機能に影響を及ぼすいくつかの炎症性疾患や自己免疫疾患に関連している。このような背景から、TLR4シグナル伝達を調節できるヒット化合物またはリード化合物の開発について、幅広い可能性のある治療環境に向けた関心が高まっていることが、下記のレポートから推測できる:Scientific Reports, 2019, 9, 919; Organic & Biomolecular Chemistry 2011, 9, 2492-2504; Biochemical Pharmacology 2007, 73, 1957-1970。
【0010】
上述した段落および引用した特許・非特許文献から推測されるように、Th1/Th2細胞のバランスを調節する免疫調節糖脂質にはいくつかの例がある。ほぼすべての糖脂質はグリコン部分(糖脂質の糖部分)として単糖、二糖またはオリゴ糖部分を含み、これらの合成にはグリコシルドナーと脂質の前駆体受容体との間のグリコシド結合の形成が、重要な段階として関与する。このことは一般に、αとβの両方の異性体が形成される可能性があることを意味し、手間のかかる分離が必要となる。さらに、グリコン糖とグリコシド結合は化学的にも代謝的にも不安定であり得る。最後に、Th1/Th2調節作用はしばしば最適化されていない。
【0011】
上述した観点から、iNKT細胞またはTLR4受容体のいずれかを作用させる、または拮抗させることにより、免疫応答を直接的かつ特異的に誘導または調節することができる、さらなる糖脂質様剤を特定することは有用であり得る。特に注目すべきことは、このような化合物を高い効率で利用できるようにする新しい戦略を、下記事項を保証しつつ:(a)グリコシド結合を生成する際の完全なα-立体選択性、(b)代謝安定性、および(c)分子多様性志向の戦略との適合性、したがって、免疫調節プロファイルを最適化するための構造の体系的な修飾を可能にしつつ、開発することである。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明の第一の態様は、式Iの化合物に関する:
【化1】

ここで
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-C12アルキル、C-C12アルキルであり、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されており;
は、-OH、-N(R、-N、C-C14アルキルまたはハロゲンであり;
は、それぞれ、独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
XはO、S、NHまたはCHであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=O)-NHY’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaで示される基であり:
【化2】

Y’は、1つまたは複数の基R、好ましくは1つまたは2つの基R、より好ましくは1つの基Rで任意に置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり;
Cyは、飽和、部分不飽和または芳香族であり得る5員~14員環であり、N、O、S、またはPから選択される合計で1~4個の同一または異なるヘテロ原子を任意選択で含み、Cyは、任意に、飽和、部分不飽和、または芳香族であり得る5員または6員の炭素環またはヘテロ環に縮合されているものであり得、Cyは、任意に、フェニル、ハロゲン、C-Cアルキル、ハロ-C-Cアルキル、-O-C-Cアルキル、-OCOO-C-Cアルキル、-CO-C-Cアルキル、S-C-CアルキルまたはN-C-Cアルキルから選択される1つまたは複数の基によって置換されており;
Zは、-CO-O-C-C25アルキル、-CO-NH-C-C25アルキルまたはC-C25アルキルであり、ここでZは、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されており;好ましくは、Zは-CO-O-C-C25直鎖アルキル、-CO-NH-C-C25直鎖アルキルまたはC-C25直鎖アルキルであり、ここでZは、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OH、-OCHPh(-OBn)、-OC(=O)Ph(-OBz)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、Rが、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択される、上記で定義される式Iの化合物に関し、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、任意に、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択される。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、Rが、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、Rがそれぞれ、独立して、任意で、1つまたは複数の基Rによって置換される、上記で定義した式Iの化合物に関する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここでRは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択される。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、XがOまたはSである、上記で定義した式Iの化合物に関する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで、Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基である。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
Yは、基NH-C(=O)-Y’または基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基R、好ましくは1つまたは2つの基R、より好ましくは1つの基Rによって置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、好ましくは、Rは、-OH、OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCy、より好ましくはRはCyであり、さらに好ましくはRはPhである。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
Yは式Iaの基であり;および
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されたC-C25アルキルであり、好ましくは、Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換されたC-C12アルキルである。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
Yは式Iaの基であり;
Y’はC-C25アルキルであり、好ましくは、Y’はC-C12アルキルである。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
Yは式Iaの基であり;および
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25直鎖アルキルであり、好ましくは、Y’はC-C25直鎖アルキルであり、より好ましくはY’はC-C12直鎖アルキルである。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで、Zは、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換された-CO-NH-C-C25アルキルであり;好ましくは、Zは、-CO-NH-C-C20アルキルであり、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、より好ましくは、Zは、-CO-NH-C14-C16アルキルであり、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、さらに好ましくは、Zは、-CO-NH-C-C25直鎖アルキルであり、さらに好ましくは、Zは、-CO-NH-C-C20直鎖アルキルである。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
ZはC-C25アルキルであり、ここで、Zは2つの基Rによって置換され;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し、ここで:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基であり;
Zは-CO-NH-C-C25直鎖アルキルであり;および好ましくはZは-CO-NH-C-C20直鎖アルキルである。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基であり;
ZはC-C25アルキルであり、ここで、Zは2つの基Rで置換され;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され;XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基であり;
Zは-CO-NH-C-C25アルキルであり、1つまたは複数の基Rによって置換され;好ましくはZは-CO-NH-C-C20アルキルであり、任意で、1つまたは複数の基Rによって置換される。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’、または式Iaの基であり;
ZはC-C25アルキルであり、ここでZは、2つの基Rで置換され;
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、または基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’であり;
Y’は任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、好ましくは、Rは、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCy、より好ましくはRはCyであり;さらに好ましくはRはPhであり;
Zは-CO-NH-C-C25アルキルであり、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;および好ましくはZは-CO-NH-C-C20アルキルであり、1つまたは複数の基Rによって任意に置換される。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-C14アルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’、基NH-C(=O)-NHY’、基NH-C(=S)-NHY’または基NH-SO-Y’であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、好ましくは、Rは、-OH、OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、より好ましくはRはCyであり;さらに好ましくはRはPhであり;
ZはC-C25アルキルであり、ここでZは2つの基Rで置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、XはOまたはSであり、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは、基NH-C(=O)-Y’または基NH-C(=S)-NHY’、基NH-SO-Y’であり;
Y’は、1つまたは複数の基Rで任意に置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、好ましくは、Rは、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCy、より好ましくはRはCyであり;さらに好ましくはRはPhであり;
Zは-CO-NH-C-C25直鎖アルキルであり;および好ましくはZは-CO-NH-C-C20直鎖アルキルである。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、XはOまたはSであり、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され;
Yは、基NH-C(=O)-Y’または式Iaの基であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり;
は、-OH、-OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、好ましくは、Rは、-OH、OCHPh(-OBn)、C-C12アルキル、-O-C-C12アルキル、-S-C-C12アルキル、-N(R、-N、ハロゲンまたはCyであり、より好ましくはRはCyであり;さらに好ましくはRはPhであり;
ZはC-C25アルキルであり、ここでZは2つの基Rで置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OC(=O)Ph(-OBz)である。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、1つまたは複数の基Rによって任意選択で置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは式Iaの基であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり、好ましくはY’はC-C25直鎖アルキルであり、より好ましくはY’はC-C12直鎖アルキルであり;
Zは-CO-NH-C-C25アルキルであり、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;および、好ましくはZは-CO-NH-C-C20アルキルであり、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換される。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-C-Cアルキル、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され;より好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-COPh、-CO-CH、C-Cアルキルから選択され;
XはOまたはSであり;
Yは式Iaの基であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり、好ましくは、Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり、より好ましくは、Y’は、C-C12直鎖アルキルであり;
ZはC-C25アルキルであり、ここでZは2つの基Rで置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OCHPh(-OBn)である。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物に関し:
は、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され、ここで、Rは、それぞれ、独立して、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換され、XはOまたはSであり、好ましくは、Rは、それぞれ、独立して、-H、-CHPh(Bn)、-CO-C-C12アルキルから選択され;
Yは式Iaの基であり;
Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり、好ましくは、Y’は、任意に、1つまたは複数の基Rで置換されたC-C25アルキルであり、より好ましくは、Y’は、C-C12直鎖アルキルであり;
ZはC-C25アルキルであり、ここでZは2つの基Rで置換されており;および
は、それぞれ、独立して、-OHまたは-OCHPh(-OBz)である。
【0035】
別の実施形態では、上記で定義した式Iの化合物は、以下から選択される:
【表1】





いくつかの実施形態において、多置換2-オキサ-3-オキソインドリジン-5-イルの任意の立体配置のパターン、YおよびZ置換基を有するCH基の任意の構造、および化合物1~31における置換基R、X、Yおよび/またはZのいずれかは、独立して組み合わせてもよい。すなわち、個々の置換基は、各特定の組み合わせが明示的に列挙されているかのように、複数の化合物から選択されてもよい。
【0036】
本明細書で使用される単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照語を含む。例えば、「化合物(a compound)」は、当業者に公知のそのような化合物の1つ以上を指す。
【0037】
本出願を通じて、用語「化合物(compound)」または「化合物(compounds)」は、本明細書で議論される化合物を指し、アシル保護誘導体を含む化合物の前駆体および誘導体、ならびに化合物、前駆体および誘導体の薬学的に許容される塩を含むことが意図される。
【0038】
別の態様において、本開示の化合物は、iNKT細胞のアゴニストまたはアンタゴニストとして、または免疫系細胞におけるTLR-4受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することが可能である。さらに別の態様において、本開示の化合物は、Th1型、Th2型、またはTh1型およびTh2型の応答を誘発することが可能である。別の実施態様において、本発明の化合物は、第三の薬剤によって惹起されるTh1型、Th2型、またはTh1型およびTh2型応答を相殺することが可能である。例示的な実施形態において、本発明の化合物は、in vitroにおいて、iNKT細胞のアゴニストもしくはアンタゴニストとして、または免疫系細胞におけるTLR-4受容体のアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用可能である。別の実施形態において、本発明の化合物は、in vitroにおいて、iNKT細胞のアゴニストもしくはアンタゴニストとして、または免疫系細胞におけるTLR-4受容体のアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用可能である。
【0039】
本発明には、前記化合物のプロドラッグ、前記化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物、および前記化合物のプロドラッグと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も含まれる。
【0040】
本発明の式Iの化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。分子上の様々な置換基の性質に応じて、さらなる不斉中心が存在し得る。このような不斉中心は、それぞれ独立して2つの光学異性体を生成し、混合物および純粋または部分的に精製された化合物としての可能な光学異性体およびジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれることが意図される。本明細書に記載された化合物の式、構造または名称のうち、特定の立体化学を特定しないものは、上記のようなあらゆる既存の異性体、および任意の割合のそれらの混合物を包含することを意図している。立体化学が特定される場合、本発明は、純粋な形態で、または任意の割合で他の異性体との混合物の一部として、その特定の異性体を包含することを意味する。
【0041】
したがって、本発明の式Iの化合物は、キラル中心または二重結合を含有していてもよい。キラル中心を含有する場合、それらは(R)または(S)配置を不明瞭に有していてもよい。二重結合を含む場合、それらは(Z)または(E)配置を不明瞭に有することができる。
【0042】
本明細書において、用語「多分岐脂質」は、2つ以上の炭化水素または置換炭化水素末端を含む親油性部分を指す。
【0043】
用語「C-Cアルキル」、「C-C12アルキル」、「C-C25アルキル」、「C-C20アルキル」、「C-C25アルキル」等は、基または基の一部として、それぞれ1~4個、1~12個、1~25個、8~20個または4~25個の炭素原子を含む、直鎖または分岐アルキル鎖を意味する。
【0044】
「C-C25直鎖アルキル」または「-CO-NH-C-C25直鎖アルキル」のような基の一部としての「直鎖アルキル」という用語は、上記で定義したような直鎖アルキルを意味する。
【0045】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0046】
用語Cyは、飽和、部分不飽和、または芳香族であり得る5員~14員環を指し、任意に、N、O、S、またはPから選択される合計で1~4個の同一または異なるヘテロ原子を含み、Cyは、任意に、飽和、部分不飽和、または芳香族であり得る5員または6員の炭素環または複素環に縮合することができ、Cyは、任意に、フェニル、ハロゲン、C-Cアルキル、ハロ-C-Cアルキル、-O-C-Cアルキル、-OCOO-C-Cアルキル、-CO-C-Cアルキル、S-C-Cアルキル、またはN-C-Cアルキルから選択される1つ以上の基によって置換されている。例えば、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、アゾリジン、オキソラン、チオラン、ホホラン、ピペリジン、ピペラジンテトラヒドロピラン、オキサン、1,4-ジオキサン、モルホリン、ホスフィナン、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4-ベンゾジオキサニル、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、1H-インダゾール、プリン、4Hキノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、およびプテリジンが含まれる。
【0047】
本明細書を通じて使用される環式基の定義において、例えばCyにおいてC原子を介して環が結合されるなどの制限が示されて、適用されない限り、前記環式基の対応する定義において、当該環式基が一般用語で環のラジカル、例えばピリジル、チエニル、またはインドリルなどを指す場合、利用可能な結合位置はすべて含まれる。
【0048】
例えば、「任意に置換される」とは、言及された基が置換されていても置換されていなくてもよく、置換基と無置換基の両方が記述に含まれ、置換が1回または複数回起こる可能性があることを意味する。
【0049】
「任意に1つまたはそれ以上で置換される」という文言は、1つまたはそれ以上、好ましくは1、2、3または4個の置換基で、より好ましくは1、2または3個の置換基で、さらに好ましくは1または2個の置換基で基が置換され得ることを意味する。置換基は同一でも異なっていてもよく、利用可能な任意の位置に配置できる。
【0050】
本発明の化合物は、C-5位に反応性基を有する適切な多置換2-オキサ-3-オキソインドリジジン誘導体と脂質部分の適当な前駆体とを反応させてグリコシド様結合を生成させる、公知の種々の方法によって製造することができる。この反応を結合ステップと称する。例えば、式Iの化合物は、以下のスキーム1またはそれに類似した方法に従って、多置換2-オキサ-3-オキソインドリジジンと脂質前駆体の結合により得ることができる。
【化3】

ここで、スキーム1において、Lは脱離基であり、グリコンならびに脂質部分AおよびBの構造パターンは、IおよびRについて上述したように定義され、YおよびZはIについて上述したように定義される。ただし、ステップ1を妨げ得る任意の官能基は、副反応を避けるために十分に保護される。例えば、これらに限定されないが、ヒドロキシル基はエステルまたはエーテル誘導体として保護することができ、アミノ基はアミドまたはカルバメート誘導体として保護することができ、チオール基はチオエステルまたはチオエーテル誘導体として保護することができる。エステルの例としては、アセチル誘導体およびベンゾイル誘導体である。エーテルの例としては、ベンジル誘導体またはp-メトキシベンジル誘導体がある。アミドの例は、トリフルオロアセトアミド誘導体がある。カルバメート類の例としては、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)またはフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体がある。チオエステル誘導体の例は、S-アセチル誘導体がある。チオエーテル誘導体の例は、S-p-メトキシベンジルまたはS-2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル誘導体がある。保護基は任意で、後の工程で全部または部分的に除去することができる。
【0051】
脱離基Lの例としては、ヒドロキシル、アシルオキシ(アセトキシ等)トリクロロアセトアミドイルオキシ、リン酸エステル[-OP(=O)(OPh)等]、ハロゲン(Br、F等)等が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、上述したような結合ステップの後に得られた糖脂質模倣物は、最終的に多分岐糖脂質模倣物を得るために、その次にさらなる変換に供される。例えば、一般式(II)で表される、XはOであり、YはNHC(=O)Y’であるα-D-グルコピラノシドに類似した構造プロファイルを有する、例えば化合物11、12、30または31のような式Iの化合物、および、一般式(III)で表される、XがOであり、YがNHC(=S)NHY’である、α-D-グルコピラノシドと類似の構造プロファイルを有する、例えば化合物13または14のような式Iの化合物は、以下のスキーム2またはそれに類似する方法に従って得ることができ;一般式(IV)で表される、XがSであり、YがNHC(=O)Y’である、α-D-グルコピラノシドと類似の構造プロファイルを有する、例えば、化合物15~24のような式Iの化合物、および、一般式(V)で表される、XがSでありYがNHSOY’である、α-D-グルコピラノシドの構造プロファイルに類似した構造プロファイルを有する、例えば化合物24または25のような式Iの化合物は、以下のスキーム3またはそれに類似する方法に従って得ることができ;XがOであり、YがNHC(=O)Y’である、α-D-ガラクトピラノシドと類似の構造プロファイルを有する、例えば、化合物26または27のような一般式(VI)で表される式Iの化合物は、以下のスキーム4またはそれに類似の方法に従って得ることができ;および、一般式一般式(VII)で表される、XがSであり、YがNHC(=O)Y’である、α-D-ガラクトピラノシドに類似した構造プロファイルを有する、例えば、化合物28または29のような式Iの化合物は、以下のスキーム5またはそれに類似した方法に従って得ることができる。
【化4】

ここで、Lは脱離基であり、脂質前駆体および糖脂質模倣中間体中のB’およびB’’脂質部分の構造パターンは、化合物(II)および(III)中のBの構造パターンと同一であり、RおよびY’は、Iについて上述したように定義され、Zは、-CO-NH-C-C25アルキルから選択され、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換される。ただし、ステップ1、2または3において反応を妨げ得る任意の官能基は、副反応を回避するために十分に保護される。例えば、これらに限定されないが、ヒドロキシル基はエステルまたはエーテル誘導体として保護することができ、アミノ基はアミドまたはカルバメート誘導体として保護することができ、チオール基はチオエステルまたはチオエーテル誘導体として保護することができる。エステルの例は、アセチル誘導体およびベンゾイル誘導体である。エーテルの例は、ベンジル誘導体またはp-メトキシベンジル誘導体である。アミドの例は、トリフルオロアセトアミド誘導体である。カルバメート類の例は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)またはフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体である。チオエステル誘導体の例は、S-アセチル誘導体である。チオエーテル誘導体の例は、S-p-メトキシベンジルまたはS-2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル誘導体である。保護基は任意で、後の工程で全部または部分的に除去することができる。
【0053】
脱離基Lの例としては、ヒドロキシル、アシルオキシ(アセトキシ等)トリクロロアセトアミドイルオキシ、リン酸エステル[-OP(=O)(OPh)等]、ハロゲン(Br、F等)等が挙げられる。
【化5】

ここで、Lは脱離基であり、脂質前駆体および糖脂質模倣中間体中のB’およびB’’脂質部分の構造パターンは、化合物(IV)および(V)中のBの構造パターンと同一であり、RおよびY’は、Iについて上述したように定義され、Zは、-CO-NH-C-C25アルキルから選択され、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換される。ただし、ステップ1、2または3において干渉し得る官能基は、副反応を避けるために十分に保護される。例えば、これらに限定されないが、ヒドロキシル基はエステルまたはエーテル誘導体として保護することができ、アミノ基はアミドまたはカルバメート誘導体として保護することができ、チオール基はチオエステルまたはチオエーテル誘導体として保護することができる。エステルの例は、アセチル誘導体およびベンゾイル誘導体である。エーテルの例は、ベンジル誘導体またはp-メトキシベンジル誘導体である。アミドの例は、トリフルオロアセトアミド誘導体である。カルバメート類の例は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)またはフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体である。チオエステル誘導体の例は、S-アセチル誘導体である。チオエーテル誘導体の例は、S-p-メトキシベンジルまたはS-2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル誘導体である。保護基は任意で、後の工程で全部または部分的に除去することができる。
【0054】
脱離基Lの例としては、ヒドロキシル、アシルオキシ(アセトキシ等)トリクロロアセトアミドイルオキシ、リン酸エステル[-OP(=O)(OPh)等]、ハロゲン(Br、F等)等が挙げられる。
【化6】

ここで、Lは脱離基であり、脂質前駆体および糖脂質模倣中間体中のB’およびB’’脂質部分の構造パターンは、化合物(VI)中のBの構造パターンと同一であり、RおよびY’は、Iについて上述したように定義され、Zは、-CO-NH-C-C25アルキルから選択され、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換される。ただし、ステップ1、2または3において反応を妨げ得る任意の官能基は、副反応を回避するために十分に保護される。例えば、これらに限定されないが、ヒドロキシル基はエステルまたはエーテル誘導体として保護することができ、アミノ基はアミドまたはカルバメート誘導体として保護することができ、チオール基はチオエステルまたはチオエーテル誘導体として保護することができる。エステルの例は、アセチル誘導体およびベンゾイル誘導体である。エーテルの例は、ベンジル誘導体またはp-メトキシベンジル誘導体である。アミドの例は、トリフルオロアセトアミド誘導体である。カルバメート類の例は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)またはフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体である。チオエステル誘導体の例は、S-アセチル誘導体である。チオエーテル誘導体の例は、S-p-メトキシベンジルまたはS-2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル誘導体である。保護基は任意で、後の工程で全部または部分的に除去することができる。
【0055】
脱離基Lの例としては、ヒドロキシル、アシルオキシ(アセトキシ等)トリクロロアセトアミドイルオキシ、リン酸エステル[-OP(=O)(OPh)等]、ハロゲン(Br、F等)等が挙げられる。
【化7】

ここで、Lは脱離基であり、脂質前駆体および糖脂質模倣中間体中のB’およびB’’脂質部分の構造パターンは、化合物(VII)中のBの構造パターンと同一であり、RおよびY’は、Iについて上述したように定義され、Zは、-CO-NH-C-C25アルキルから選択され、任意に、1つまたは複数の基Rによって置換される。ただし、ステップ1、2または3において反応を妨げ得る任意の官能基は、副反応を回避するために十分に保護される。例えば、これらに限定されないが、ヒドロキシル基はエステルまたはエーテル誘導体として保護することができ、アミノ基はアミドまたはカルバメート誘導体として保護することができ、チオール基はチオエステルまたはチオエーテル誘導体として保護することができる。エステルの例は、アセチル誘導体およびベンゾイル誘導体である。エーテルの例は、ベンジル誘導体またはp-メトキシベンジル誘導体である。アミドの例は、トリフルオロアセトアミド誘導体である。カルバメート類の例は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)またはフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体である。チオエステル誘導体の例は、S-アセチル誘導体である。チオエーテル誘導体の例は、S-p-メトキシベンジルまたはS-2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル誘導体である。保護基は任意で、後の工程で全部または部分的に除去することができる。
【0056】
脱離基Lの例としては、ヒドロキシル、アシルオキシ(アセトキシ等)トリクロロアセトアミドイルオキシ、リン酸エステル[-OP(=O)(OPh)等]、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)等が挙げられる。
【0057】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの式Iの化合物またはそれらの任意の混合物もしくは組合せを含む医薬組成物に関する。本発明の組成物は、任意に、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤および/または添加剤の少なくとも1つを含む。
【0058】
本発明の別の態様は、医薬品として使用するための、上記で定義した式Iの化合物またはその医薬組成物に関する。
【0059】
本発明の別の態様は、医薬の製造のための、上記で定義した式Iの化合物またはその医薬組成物の使用に関する。
【0060】
本発明の別の態様は、必要とする対象、特にヒトにおける疾患の治療または予防の方法に関する。この方法は、必要とする対象に、上記で定義した式Iの化合物またはその医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0061】
本発明の別の態様は、Th1/Th2不均衡によって引き起こされる免疫疾患の治療および/または予防に使用するための、上記で定義した式Iの化合物に関する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、免疫介在性肝炎、自己免疫疾患、移植片拒絶病理、アテローム性動脈硬化症、気道過活動、喘息、アレルギー性鼻炎および神経変性疾患から選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で定義した式Iの化合物に関する。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、前記自己免疫疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患および痛風から選択される、上記で定義した使用のための式Iの化合物に関する。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、前記神経変性障害がパーキンソン病またはアルツハイマー病から選択される、上記で定義された使用のための式Iの化合物に関する。
【0065】
本明細書を通じて、用語「治療」は、疾患の原因または影響を除去、軽減または改善することを意味する。本発明の目的上、治療には、これらに限定されないが、疾患の1つ以上の症状の緩和、改善または除去;疾患の程度の減少;疾患の状態の安定化(すなわち、悪化していない);疾患の進行の遅延または緩徐化;疾患の状態の改善または緩和;および疾患の寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)が含まれる。
【0066】
本明細書において、「予防」は、疾患の素因を有するか、または危険因子を有するが、まだ疾患の症状を示さない対象における疾患の発生を予防することを指す。また、予防には、以前に当該疾患に罹患した対象における疾患の再発を予防することも含まれる。
【0067】
本発明の別の態様は、有効量の式Iの化合物またはその医薬塩およびワクチン剤を含むワクチンに関する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、上記で定義したワクチンに関し、ここでワクチン剤は、死滅微生物、生きた弱毒微生物、トキソイドおよび不活化または弱毒微生物のフラグメント、合成ペプチドまたは糖ペプチド構築物、リボ核酸(RNA)ベースのワクチンまたはデオキシリボ核酸(DNA)ベースのワクチンから選択される。
【0069】
別の実施形態では、本発明は上記で定義されたワクチンに関し、ワクチン剤の微生物はウイルス、細菌または真菌である。
【0070】
別の実施形態では、本発明は上記で定義したワクチンに関し、ここでトキソイドは破傷風またはジフテリアトキソイドである。
【0071】
別の実施形態では、本発明は上記で定義したワクチンに関し、ここでRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)である。
【0072】
別の実施形態では、本発明は上記で定義したワクチンに関し、ここでDNAがプラスミドDNA(pDNA)である。
【0073】
別の実施形態では、RNAベースのワクチンまたはDNAベースのワクチンは、薬学的に許容される送達システムを含む。
【0074】
別の実施形態では、送達システムは非ウイルス性ベースまたはウイルス性ベースである。
【0075】
別の実施形態では、非ウイルスベースの送達システムは、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、分子ベースのシステム、およびナノ粒子ベースのシステムから選択される。
【0076】
別の実施形態では、ウイルスベースの送達系は、操作されたアデノウイルス系および操作されたレンチウイルス系から選択される。
【0077】
本発明の治療用組成物は、免疫学的アジュバントとして作用し、免疫系を刺激することによりワクチン剤により誘発される免疫応答を増強することができる。他の実施形態では、治療組成物は免疫除去剤として作用し、処置された対象においてワクチンに対する望ましくない免疫学的反応を予防または減少させることができる。
【0078】
以上を鑑みると、本発明は、代謝的に安定であり、免疫調節プロファイルを最適化するために選択的に修飾可能な新規な多分岐糖脂質を提供する。本発明はまた、完全なα-アノマー立体選択性により前記糖脂質模倣物を調製する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、新規な糖脂質模倣物を含有するワクチン製剤または抗炎症剤などの医薬品を提供する。
【0079】
従って、多分岐免疫調節糖脂質の一部である糖部分が、多置換2-オキサ-3-オキソインドリジン-5-イルラジカルに変換された化合物は、Th1またはTh2応答に関連するサイトカインの産生を選択的に誘導する。
【0080】
本発明の化合物は、完全なα-アノマー立体選択性で調製することができ、天然または合成糖脂質のグリコシド結合を加水分解するα-グリコシダーゼによって分解されないため、代謝安定性が高い。
【0081】
さらに、本発明の化合物は、炎症性サイトカイン産生細胞または抗炎症性サイトカイン産生細胞のいずれかに関して、Th1/Th2細胞バランスを調節するのに有用である。そして、それらは、例えば、誘発される免疫応答のタイプ(Th1またはTh2)に応じて、ワクチン製剤におけるアジュバントとして、または炎症関連疾患の治療および/もしくは予防において使用できる。
【0082】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の方法および材料が、本発明の実施において使用され得る。本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む」という語およびその変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、またはステップを除外することを意図するものではない。本発明の追加の目的、利点および特徴は、本明細書を検討することにより当業者に明らかになるか、または本発明の実施により知ることができる。以下の実施例および図面は、例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0083】
〔図面の簡単な説明〕
図1.LPS誘発炎症の抑制を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物とLPSで同時に処理し、LPS誘発炎症に対する化合物の抑制機能を評価したところ、いくつかの化合物が顕著な抑制機能を示した。
【0084】
図2.骨髄由来マクロファージ(in vitro BMDM)におけるLPS誘発炎症の抑制を示す。化合物12および27は、骨髄由来マクロファージ(BMDM)におけるLPS誘導性炎症を抑制する能力について評価され、両方がIL-6およびTNFαの有意な抑制を示した。
【0085】
図3.in vivoにおけるLPS誘発炎症の抑制を示す。化合物12の、B6マウスにおけるLPS誘導性炎症抑制におけるin vivo能力を、スキームに示されるように評価した。化合物12は、LPS処置後30分の時間に2回注射した場合、LPS誘導血清IL-6およびTNFαを有意に抑制することが示された。
【0086】
図4.MAPKファミリーのERKとp38、およびSTAT3が新規化合物によって抑制されることを示す。本発明の代表的化合物である化合物12について、マルチプレックスビーズアレイを用いて、新規化合物がどのように抑制効果を発揮するかをシグナル伝達の観点から検討した。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)であるERKとp38のリン酸化は、化合物12によって有意に減少したが、JNKのリン酸化は減少しなかった。STAT3のリン酸化の有意な減少も観察された。
【0087】
図5.αGalCer誘発炎症の抑制を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物とαGalCerで同時に処理し、αGalCer誘発炎症に対する化合物の抑制機能を評価したところ、いくつかの化合物が顕著な抑制機能を示した。
【0088】
図6.化合物の免疫刺激機能を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物単独で処理し、化合物の免疫刺激機能を評価した。化合物12、18、22、27および29は有意なIFNγ分泌を誘導し、化合物8は有意なIL-4分泌を誘導した。
【0089】
図7.in vivoにおけるオボアルブミン(OVA)誘発気道過敏性(AHR)の抑制を示す。選択された化合物8、12、18および27のin vivoでのTh2炎症抑制能を、OAV誘発AHRマウスモデルを用いて評価した。化合物8、12、18はAHRを抑制することが確認された。
【0090】
図8.in vivoにおけるOVA誘導気道炎症に対する抑制を示す(BALF)。OAV誘発AHR実験のマウスからの気管支肺胞洗浄液(BALF)を、IL-13およびIL-4レベルについて調べた。化合物12はIL-13とIL-4の両方のレベルを有意に抑制した。化合物27はIL-13に対してのみ有意な抑制を示し、化合物18はIL-4に対してのみ有意な抑制を示した。
【0091】
図9.in vivoにおけるOVA誘発気道炎症に対する抑制を示す(肺タンパク質)。OAV誘発AHR実験のマウスの肺について、IL-13およびIL-4タンパク質レベルを調べた。化合物12はIL-13とIL-4のレベルを有意に抑制した。化合物8、18、27はIL-13に対してのみ有意な抑制を示した。
【0092】
図10.in vivoにおけるOVA誘発気道炎症に対する抑制を示す(肺mRNA)。OAV誘発AHR実験のマウスの肺から、IL-13およびIL-4のmRNAレベルを調べた。化合物12はIL-13のmRNAレベルを有意に抑制した。
【0093】
図11.in vivoにおける化合物のアジュバント機能を示す。選択した化合物8、12、18、27、および29のin vivoにおけるアジュバント機能を、B6マウスに注射した後に誘導されるIFNγおよびIL-4の血清レベルを測定することにより評価した。化合物8、12、27および29は、注射2時間後にIFNγとIL-4の両方を誘導する有意な能力を示し、注射18時間後でも両サイトカインの有意な検出レベルを示した。化合物18は、いずれの時点でも有意な血清IFNγレベルを示したのみであった。
【0094】
図12.化合物12がin vivoにおける樹状細胞(DC)の成熟を促進することを示す。選択した化合物8、12、18、27、および29のin vivoにおけるDC成熟促進能を、本発明の化合物を注射したマウスの脾臓におけるDC成熟マーカーCD86のmRNAレベルによって評価した。化合物12は有意なCD86のmRNAの増加を誘導することが観察された。
【0095】
図13.化合物12がin vivoにおけるTh1免疫応答を促進することを示す。選択された化合物12および27のin vivoにおけるアジュバント能力は、スキームに記載されているように、OT-1養子移入マウスモデルの脾臓におけるCD8のT細胞の増殖を促進する能力によって評価された。化合物12は顕著なCD8のT細胞の増殖を誘導することが観察され、化合物12がTh1免疫応答を促進できることを示している。
【0096】
図14.化合物12のアジュバントが骨髄分化一次応答88(MyD88)依存性であり、Th1バイアスであることを示す(in vitroの脾臓細胞)。本発明の化合物の生物学的機能に対する機能的MyD88への依存性を、代表の化合物12を用いて、MyD88ノックアウトマウスから単離した免疫細胞を用いて調べた。その結果、MyD88ノックアウトマウスから単離した脾細胞において化合物12がIFNγを誘導する能力は完全に消失した。IL-4は化合物12の処理では検出されず、Th1に偏った性質を示した。
【0097】
図15.化合物12のアジュバント性がMyD88依存性であることを示す(骨髄由来樹状細胞-BMDCs-in vitro)。生物学的機能に対する機能的MyD88に対する本発明の化合物の依存性に関する検討を続けると、化合物12に応答してIL-12p40を産生するMyD88 KOマウス由来の骨髄由来樹状細胞(BMDCs)の能力が、野生型マウス由来のBMDCと比較して著しく抑制されることが見出された。この効果は用量依存的であり、濃度が高くなるほどその差は顕著になった。
【0098】
図16.化合物12によるBMDC成熟促進がMyD88依存性であることを示す。生物学的機能に対する機能的MyD88に対する本発明の化合物の依存性に関する検討を続けると、化合物12の処理によって誘導されるBMDCの成熟が、MyD88欠損マウスのBMDCにおいて阻害されることが見出された。
【0099】
〔実施例〕
(方法)
以下の実施例で開示した調製に使用した試薬および溶媒はすべて市販のものを購入し、特に指定がない限り、さらに精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Silica gel 60 F254 Merckでコーティングしたアルミニウムシート上で、UV光(λ254nm)による可視化し、10%エタノール性HSO、0.1%エタノール性ニンヒドリン、および100℃で加熱することにより炭化させることにより実施した。分取を目的として、カラムクロマトグラフィーはSilice60A.C.C.Chromagel(SDS 70-200、35-70μm)で行った。光回転は、Jasco P-2000偏光計を用い、20±2℃、1cmチューブ内で、ナトリウムランプ(λ589nm)を用いて測定した。元素分析はInstituto de Investigaciones Quimicas(セビリア、スペイン)により、元素分析装置Leco CHNS-932 o Leco TruSpec CHNを用いて行った。NMR実験は、Bruker 300 ADVANCEと500 DRXを用い、300(75.5),500(125.7,202)MHzで行った。1次元TOCSY、2次元COSY、HMQCおよびHSQC実験がNMR割り当ての補助に使用された。化学シフトの値は、溶媒としてテトラメチルシラン(CDCl)を内部標準として、ppm(part per million)で示した。カップリング定数(J)の値はHzで測定されている。シグナルの多重度を示す略号は、s(シングレット)、bs(ブロードシングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)である。マススペクトル(高分解能マススペクトル)は、Bruker Daltonics Esquire6000(商標)(LTQ-Orbitrap XL ETD)で実施した。サンプルは、30~280℃に加熱した固体プローブを介して導入した。イオン化源にはESI(エレクトロスプレーイオン化)を用い、溶媒としてメタノールを使用した。サンプルはコールパーマーシリンジを用い、2μl/minの流速で直接注入した。イオンは、ラジオ周波数(Ω=725kHz)の3分の1の多極共鳴での共鳴放出を使って、単位分解能で13000Da/sのスキャン速度で、300から3000Daの間でスキャンされた。
【0100】
(材料)
例示的な開示では、本発明の特定の化合物の合成に使用される以下の前駆体は、公知の方法で入手した:
(1R)-1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-5N,6O-オキソメチリデンノジリマイシン(32)は、V. M. Diaz Perez, M. I. Garcia Moreno, C. Ortiz Mellet, J. Fuentes, J. C. Diaz Arribas, F. J. Canada and J. M. Garcia Fernandez, J. Org. Chem., 2000, 65, 136-143に記載されている方法で調製した。
【化8】

(1R)-1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-5N,6O-オキソメチリデンガラクトノジリマイシン(33)は、P. Diaz Perez, M. I. Garcia-Moreno, C. Ortiz Mellet and J. M. Garcia Fernandez, Eur. J. Org. Chem., 2005, 14, 2903-2913)に記載されている方法で調製した。。
【化9】

二分岐脂質アクセプター34は、J. Bi, J. Wang, K. Zhou, Y. Wang, M. Fang and Y. Du, ACS Med. Chem. Lett., 2015, 6, 476-480に記載されている方法で調製した。
【化10】

スフィンゴシン前駆体35は、N. Veerapen, M. Brigl, S. Garg, V. Cerundolo, L. R. Cox, M. B. Brenner, G. S. Besra, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2009, 19 4288-4291に記載されている方法で調製した。
【化11】

L-セリンアクセプター36は、L. De Huang, H. J. Lin, P. H. Huang, W. C. Hsiao, L. V. Raghava Reddy, S. L. Fu and C. C. Lin, Org. Biomol. Chem., 2011, 9, 2492-2504に記載されている方法で調製した。
【化12】

5-アジド-3-O-ベンジル-5-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(42)は、M. Aguilar-Moncayo, C. Ortiz Mellet, J. M. Garcia Fernandez, and M. I. Garcia-Moreno. J. Org. Chem. 2009, 74, 3595-3598に記載されている方法で調製した。
【化13】

α-GalCer(αGC、KRN7000)はフナコシ(東京、日本)から購入した。RPMI1640、DMEM、新生仔牛血清(NBCS)および赤血球(RBC)溶解バッファーはGibco(ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)から購入した。ウシ胎児血清(FBS)はHyClone(ローガン、ユタ州、米国)から購入した。組換えマウスIL-2およびGM-CSFは、BioLegend(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)およびPeproTech(ロッキーヒル、ニュージャージー州、米国)から購入した。組換えヒトIL-2は、eBioscience社(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)から購入した。オボアルブミン(OVA)はWorthington Biochemicals(フリーホールド、ニュージャージー州、米国)から購入した。
【0101】
(マウス)
8~10週齢のC57BL/6およびBALB/c雌マウスをNational Laboratory Animal Center(台湾、台北)から購入した。すべての動物は病原体のない特定の条件下で飼育された。
【0102】
(マウス脾臓細胞およびヒト末梢血単核球(PBMC)のin vitro培養)
脾臓全体をマウスから外科的に摘出し、機械的に解離させて脾臓細胞の単細胞懸濁液とし、これを完全RPMI1640培地(cRPMI)で培養した。健康なボランティアのヒト末梢血単核球(PBMC)は、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いた勾配遠心分離により全血から採取した。
【0103】
(In vivo治療)
オボアルブミン(OVA)試験のために、2%アルヒドロゲルアジュバント(InvivoGen社製)を用いて、マウスを50μgのOVAで腹腔内(i.p.)感作させた。感作後7日目に50μgのOVAで3回、毎日または1日おきにマウスを感作した。最後のOVAチャレンジの翌日にマウスを犠牲にした。アジュバントOVA試験におけるCD8T細胞の増殖を調べるためのOT-1養子移入マウスモデルのスキームを図13に示す。
【0104】
(気道過敏症(AHR)の測定)
マウスは体重1kgあたり100mgのペントバルビタール(Sigma-Aldrich)で麻酔され、気管切開され、FinePointe RCシステム(Buxco Research Systems、ウィルミントン、ノースカロライナ州)を介して機械的に換気された。肺機能は、エアロゾル化メタコリン(1.25~40mg/mL、Sigma-Aldrich)の増量に反応する肺抵抗と動的コンプライアンスを測定することで評価した。
【0105】
(気管支肺胞洗浄液(BALF)の採取と分析)
気管を露出させた後、2%子牛胎児血清(FCS)を添加した1mLのPBSで肺を2回洗浄した。BALFをプールし、BAL細胞を遠心分離でペレット化し、サイトスピンスライドに固定した。スライドをDiff-Quik溶液(Polysciences Inc)で染色し、BAL鑑別細胞数を算出した。
【0106】
(フローサイトメトリー)
単一細胞懸濁液を、固定可能な生存率色素eFluor(登録商標)780(eBioscience社製)で4℃で30分間染色し、モノクローナル抗体で表面染色する前に、抗CD16/32(BioLegend社製)ブロッキング抗体でFcレセプターをブロックした。
【0107】
(統計)
データはGraphPad Prism(GraphPad Software、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)を用いて解析した。統計解析は、スチューデントのt検定および二元配置分散分析(ANOVA)を用いて行った。
【0108】
[例1.化合物1の合成]
【0109】
32(20mg,0.05mmol)および34(0.10mmol)の溶液に、Ar雰囲気下、0℃でBF-OEt(32μL,0.25mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4→1:3→1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製した。収量:48mg(66%)。R=0.44(1:2EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+42.2(c1.0inDCM)。H NMR(500MHz,CDCl):δ8.01-7.34(m,10H,CH-arom),6.84(d,1H,JNH,2’=9.3Hz,NH),5.70(dd,1H,J3’,4’=9.5Hz,J2’,3’=3.0Hz,H-3’),5.46(t,1H,J2,3=J3,4=10.0Hz,H-3),5.31(dt,1H,J4’,5’=9.3Hz,H-4’),5.19(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),4.94-4.87(m,2H,H-2,H-4),4.61(m,1H,H-2’),4.40(t,1H,J5,6a=J6a,6b=8.9Hz,H-6a),4.20(dd,1H,J5,6b=7.4Hz,H-6b),3.90(m,1H,H-5),3.71(dd,1H,J1a’,1b’=11.0Hz,J1a’,2’=2.8Hz,H-1a’),3.60(dd,1H,J1a’,2’=3.81Hz,H-1b’),2.36(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),2.09,2.07,1.97(3s,9H,CHCO),1.90-1.23(m,75H,CH,CHCH)。13CNMR(125.7MHz,CDCl):δ173.2,169.9,169.8(COエステル),155.0(COカルバメート),133.4-128.4(C-arom),79.9(C-1),74.1(C-4’),72.5(C-4),71.8(C-3’),70.0(C-4),69.3(C-3),68.1(C-1’),66.8(C-6),51.8(C-5),48.6(C-2’),36.7(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。ESIMS:m/z1239。80[M+Na]。HRMS(ESI)calcd for C7111214Na 1239.8006。Found 1239.8006。
【0110】
[例2.化合物2の合成]
【0111】
化合物2は、MeOH(2.6mL)中の1の溶液を、MeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理し、次いでAmberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過し、蒸発させ、凍結乾燥することにより得た。カラムクロマトグラフィー 100:10:1 DCM-MeOH-HO。収量:26mg(定量)。R=0.64(70:10:1DCM-MeOH-HO)。[α]+16.76(c 0.81 10:1 DCM-MeOH)。H NMR(700MHz,2:1 CDCl-CDOD):δ5.08(d,1H,J1,2=4.2Hz,H-1),4.50(t,1H,J5,6a=J6a,6b=8.6Hz,H-6a),4.23(dd,1H,J5,6b=6.1Hz,H-6b),4.20(m,1H,H-2’),3.80(dd,1H,J1a’,1b’=10.3Hz,J1a’,2’=4.3Hz,H-1a’),3.72(m,1H,H-5),3.66(dd,1H,J1b’,2’=4.5Hz,H-1b’),3.60(t,1H,J2,3=J3,4=9.3Hz,H-3),3.55(t,1H,J2’,3’=J3’,4’=6.0Hz.H-4’),3.50(m,1H,H-3’),3.42(dd,1H,J2,3=9.7Hz,H-2),3.29(t,1H,J4,5=9.3Hz,H-4),2.19(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),1.24(m,72H,CH),0.85(t,6H,H,H=6.9HzCH)。13C NMR(125.7MHz,2:1 CDCl-CDOD):δ173.4(COエステル),156.1(COカルバメート),81.7(C-1),73.9(C-3’),73.2(C-4),72.4(C-3),71.3(C-4’),70.6(C-2),67.7(C-1’),66.3(C-6),52.4(C-5),49.2(C-2’),35.6-13.0(CH,CHCH)。HRMS(ESI):m/z905.71[M+Na]。HRMS(ESI) calcd for C5198Na 905.7165。Found 905.7147。
【0112】
[例3.化合物3の合成]
【0113】
化合物3は、グリコシルドナー32と脂質アクセプター37の結合により得られた。アクセプター37は、以下のスキーム6に従って35から調製した。
【化14】

DMF-HO 4:1(5.8mL)中のアジド誘導体35(200mg,0.583mmol)の溶液に、1-デシン(157μL,0.874mmol)、CuSO(13mg,0.087mmol)およびアスコルビン酸(30mg,0.174mmol)を加え、溶液を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣を1:4 EtOAc-シクロヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製し、37を得た。収量:361mg(90%)。R=0.4(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.05-7.30(m,11H,CH-arom,CH-トリアゾール),5.86(dd,1H,J3,4=8.7Hz,J2,3=3.1Hz,H-3),5.22(s,1H,OH),4.96(m,2H,H-2,H-4),4.07(dd,1H,J1a,1b=12.5Hz,J1a,2=4.6Hz,H-1a),3.96(dd,1H,J1b,2=2.7Hz,H-1b),2.66(t,2H,H,H=7.4HzCH),1.68-0.80(m,49H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ171.2,166.1(CO),149.0(C-4トリアゾール),136.5-128.4(C-arom),121.1(C-5トリアゾール),73.3(C-3),72.1(C-4),61.6(C-1),61.3(C-2),31.9-14.0(CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for C4264 690.4840。Found 690.4838。
【0114】
その後の工程で、DCM(1.2mL)中の32(20mg,0.05mmol)および37(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.25mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物3を得た。収量:33mg(65%)。R=0.5(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+13.04(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.94-7.33(m,10H,CH-arom),7.60(s,1H,CH-トリアゾール),5.94(dd,1H,J3’,4’=8.5Hz,J2’,3’=3.5Hz,H-3’),5.31(t,1H,J2,3=J3,4=10.0Hz,H-3),5.20(m,1H,H-2’),5.17(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),4.95(dt,1H,J4’,5’=9.3Hz,H-4’),4.75(m,2H,H-2,H-4),4.31(t,1H,J5,6a=J6a,6b=8.9Hz,H-6a),4.11(dd,1H,J5,6b=7.5Hz,H-6b),3.93(m,2H,H-1a’,H-1b’),3.49(m,1H,H-5),2.69(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),1.95,1.94,1.89(3s,9H,CHCO),1.62-0.80(m,46H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ169.9,169.8,169.4,165.9,164.9(COエステル),155.4(COカルバメート),149.2(C-4トリアゾール),133.7-128.2(C-arom),120.8(C-5トリアゾール),79.5(C-1),72.9(C-4’),72.3(C-4),71.2(C-3’),69.8(C-2),68.8(C-3),66.9(C-1’),66.8(C-6),59.7(C-2’),51.5(C-2’),31.9(COCH),30.1-22.6(CHCO,CH,CHCH).HRMS(ESI) calcd for C557813Na 1025.5458。Found 1025.5450。
【0115】
[例4.化合物4の合成]
【0116】
化合物4は、MeOH(2.6mL)中の3の溶液を、MeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理し、次いでAmberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過し、蒸発させ、凍結乾燥することにより得た。カラムクロマトグラフィー100:10:1 DCM-MeOH-HO。収量:22mg(定量)。R=0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+15.8(c1.0 MeOH中)。H NMR(500CDOD):δ7.88(s,1H,CH-トリアゾール),5.12(q,1H,J1’,2’=J2’,3’=5.7Hz,H-2’),5.05(d,1H,J1,2=4.2Hz,H-1),4.51(t,1H,J5,6a=J6a,6b=8.6Hz,H-6a),4.22(dd,1H,J5,6b=6.1Hz,H-6b),4.18(d,1H,J3’,4’=5.8Hz,H-4’),3.86(dd,1H,J2,3=8.0Hz,J3,4=5.1Hz,H-3),3.50(m,3H,H-5,H1a’,H1b’),3.40(dd,1H,H-2),3.37(m,1H,H-3’),3.29(t,1H,J4,5=9.3Hz,H-4),2.71(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),1.69-0.91(m,46H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDOD):δ157.1(COカルバメート),147.7(C-4トリアゾール),121.7(C-5トリアゾール),82.9(C-1),74.5(C-3),74.1(C-4),73.0(C-1’),71.5(C-3’,C-2),67.4(C-4’),67.1(C-6),61.7(C-2’),53.4(C-5),32.4-13.0(CH,CHCH)。ESIMS:m/z669.37[M+H]。Anal.calcd.for C3564S:C62.85,H9.64,N8.38。Found C63.23,H9.69,N8.31。
【0117】
[実施例5.化合物5の合成]
【0118】
DCM(1.2mL)中の33(20mg,0.05mmol)および34(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.25mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4→1:3→1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製した。収量:44mg(77%)。R=0.47(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+41.41(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ8.01-7.47(m,10H,CH-arom),6.42(d,1H,JNH,2’=9.6Hz,NH),5.63(dd,1H,J3’,4’=9.1Hz,J2’,3’=2.9Hz,H-3’),5.40(t,1H,J3,4=J4,5=2.4Hz,H-4),5.24-5.21(m,2H,H-4’,H-1),5.25(dd,1H,J2,3=10.8Hz,H-3),5.13(dd,1H,J1,2=4.3Hz,H-2),4.64-4.58(m,1H,H-2’),4.36(t,1H,J5,6a=J6a,6b=9.0Hz,H-6a),4.19-4.15(m,1H,H-5),4.00(dd,1H,J5,6b=5.9Hz,H-6b),3.71(dd,1H,J1a’,1b’=11.0Hz,J1a’,2’=2.9Hz,H-1a’),3.62(dd,1H,J1a’,2’=3.9Hz,H-1b’),2.30(t,2H,H,H=7.7HzCOCH),2.14,1.99,1.95(3s,9H,CHCO),1.80-0.80(m,75H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ173.1(COアミド),170.2,169.9(COエステル),155.8(COカルバメート),133.5-128.4(C-arom),80.6(C-1),74.0(C-4’),72.3(C-3’),68.6(C-1’),68.0(C-4),67.9(C-3),66.9(C-2),63.1(C-6),50.7(C-5),48.7(C-2’),36.8-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HESIMS:m/z1239.80[M+Na]。HRMS(ESI)calcd for C7111214Na 1239.8006。Found 1239.7996。
【0119】
[実施例6.化合物6の合成]
【0120】
化合物6は、MeOH(2.6mL)中の5の溶液を、MeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理し、次いでAmberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過し、蒸発させ、凍結乾燥することにより得た。カラムクロマトグラフィー100:10:1 DCM-MeOH-HO。収量:18mg(定量)。R=0.65(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+7.9(c0.6 DCM-MeOH中)。H NMR(500MHz,6:1 CDCl-CDOD):δ5.09(d,1H,J1,2=4.1Hz,H-1),4.41(dd,1H,J5,6a=J6a,6b=8.9Hz,H-6a),4.31(t,1H,H-6b),4.17(q,1H,J1’,2’=J2’,3’=4.6Hz,H-2’),3.94(m,1H,H-5),3.82(dd,1H,J1a’,1b’=10.3Hz,H-1a’),3.81(t,1H,J3,4=J4,5=2.2Hz,H-4),3.75(dd,1H,J2,3=9.7Hz,J1,2=4.1Hz,H-2),3.69(dd,1H,H-3),3.64(m,1H,H-1b’),3.54-3.42(m,2H,H-4’,H-3’),2.14(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),1.63-0.82(m,75H,CH,CHCH)。13C NMR(150.9MHz,6:1 CDCl-CDOD):δ173.4(COアミド),156.1(COカルバメート),82.7(C-1),74.9(C-3’),72.2(C-4’),69.8(C-3),68.4(C-4),68.4(C-1’),67.9(C-2),63.5(C-6),52.5(C-5),50.2(C-2’),36.5(COCH),34.0-13.8(CH,CHCH).ESIMS:m/z905.71[M+H]。HRMS(ESI) calcd for C5198Na 905.7165。Found 905.7151。
【0121】
[例7.化合物7の合成]
【0122】
DCM(1.2mL)中の33(20mg,0.05mmol)および37(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.25mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製した。収量:35mg(70%)。R=0.47(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+14.10(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.94-7.36(m,10H,CH-arom),5.91(dd,1H,J3’,4’=7.8Hz,J2’,3’=4.1Hz,H-3’),5.28(bd,2H,H-1,H-4),5.16(m,1H,H-2’),5.10(dd,1H,,J2,3=10.8Hz,J1,2=4.3Hz,H-2),4.98(m,2H,H-3,H-4’),4.29(t,1H,J5,6a=J6a,6b=9.1Hz,H-6a),4.01(dd,1H,J5,6b=3.1Hz,H-6b),3.91(m,2H,H-1a’,H-1b’),3.79(m,1H,H-5),2.66(m,2H,CH),2.07,1.91,1.86(3s,9H,CHCO),1.54-0.80(m,46H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ170.1,170.0,169.6,166.0,164.9(COエステル),155.6(COカルバメート),149.2(C-4 トリアゾール),139.1-128.4(C-arom),120.3(C-5トリアゾール),80.1(C-1),72.9(C-4’),71.6(C-4),67.9(C-3’),67.8(C-2),66.9(C-3),66.7(C-1’),63.0(C-6),59.9(C-2’),50.4(C-5),31.9(COCH),30.0-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for C557813Na 1025.5458。Found 1025.5450。
【0123】
[例8.化合物8の合成]
【0124】
化合物8は、MeOH(2.6mL)中の7の溶液を、MeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理し、次いでAmberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過し、蒸発させ、凍結乾燥することにより得た。カラムクロマトグラフィー100:10:1 DCM-MeOH-HO。収量:23mg(定量)。R=0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+16.2(c1.0 MeOH中)。H NMR(500CDOD):δ7.89(s,1H,CH-トリアゾール),5.11(m,2H,H-1,H-2’),4.38(d,2H,H-4,H-6a),4.16(d,2H,J5,6b=5.7Hz,H-3,H-6b),3.87(d,1H,J3’,4’=5.1Hz,H-4’),3.79(m,3H,H-1a’,H-1b’,H-3’),3.66(dd,1H,H-2),3.38(m,1H,H-5),2.71(t,2H,H,H=7.4HzCOCH),1.69-0.91(m,46H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDOD):δ157.8(COカルバメート),147.7(C-4トリアゾール),121.7(C-5トリアゾール),83.1(C-1),74.4(C-3),71.5(C-4),69.9(C-1’),69.0(C-3’)67.6(C-2),67.2(C-4’),63.7(C-6),61.8(C-2’),52.9(C-5),32.3-13.0(CH,CHCH)。ESIMS:m/z 669.33[M+H]。Anal.calcd.for C3564S:C62.85,H9.64,N8.38。Found C63.30,H8.71,N8.33。
【0125】
[実施例9.化合物9の合成]
【0126】
化合物9は、グリコシルドナー33と脂質アクセプター38の結合により得られた。アクセプター38は、以下のスキーム7に従って35から調製した。
【化15】

DMF-HO 4:1(3.7mL)中のアジド誘導体35(150mg,0.272mmol)の溶液に、1-テトラデシン(133μL,0.544mmol)、CuSO(10mg,0.041mmol)およびアスコルビン酸(16mg,0.082mmol)を加え、溶液を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣を1:4 EtOAc-シクロヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製し、38を得た。収量:120mg(60%)。R=0.4(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=7.98-7.18(m,11H,CH-arom,CH-トリアゾール),5.86(dd,1H,J3,4=8.7Hz,J2,3=3.1Hz,H-3),4.96(m,2H,H-2,H-4),4.06(dd,1H,J1a,1b=12.5Hz,J1a,2=4.6Hz,H-1a),3.95(dd,1H,J1b,2=2.7Hz,H-1b),2.65(t,2H,H,H=7.4 HzCH),1.60-0.80(m,58H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ166.1,165.9(CO),133.9-128.4(C-arom),121.1(C-トリアゾール),73.3(C-3),72.1(C-4),61.6(C-1),61.3(C-2),31.9-14.0(CH,CHCH).HRMS(ESI) calcd for C4672 746.5466。Found 746.5461。
【0127】
その後の工程で、DCM(1.2mL)中の33(27mg,0.07mmol)および38(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.35mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物9を得た。収量:54mg(70%).R=0.50(1:2EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+17.15(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.94-7.36(m,11H,CH-arom,C-トリアゾール),5.90(dd,1H,J3’,4’=7.2Hz,J2’,3’=4.2Hz,H-3’),5.28(bd,2H,H-1,H-4),5.16(m,1H,H-2’),5.08(dd,1H,J2,3=10.8Hz,J1,2=4.3Hz,H-2),4.98(m,2H,H-3,H-4’),4.29(t,1H,J5,6a=J6a,6b=9.1Hz,H-6a),4.01(dd,1H,J5,6b=2.5Hz,H-6b),3.91(m,2H,H-1a’,H-1b’),3.79(m,1H,H-5),2.66(m,2H,CH),2.07,1.91,1.86(3s,9H,CHCO),1.58-0.80(m,55H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ170.1,170.0,169.6,166.0,164.9(CO),155.6(COカルバメート),149.2-128.5(C-arom),120.4(C-トリアゾール),80.1(C-1),72.8(C-4’),71.6(C-4),67.9(C-3’),67.8(C-2),66.9(C-3),66.7(C-1’),63.0(C-6),59.9(C-2’),50.4(C-5),31.9(COCH),29.7-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C5986NaO13 1081.6084; found 1081.6082。
【0128】
[例10.化合物10の合成]
【0129】
化合物10は、MeOH(2.6mL)中の9の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。100:10:1 DCM-MeOH-HOを用いたカラムクロマトグラフィー。収量:65mg(定量)。R=0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+10.2(c1.0 MeOH中)。H NMR(500CDOD):δ7.87(s,1H,CH-トリアゾール),5.08(m,2H,H-1,H-2’),4.36(d,2H,H-4,H-6a),4.14(d,2H,J5,6b=5.7Hz,H-3,H-6b),3.86(dd,1H,J3’,4’=5.4Hz,H-4’),3.78(m,3H,H-1a’,H-1b’,H-3’),3.65(dd,1H,J2,3=9.9Hz,J1,2=3.1Hz,H-2),3.36(m,1H,H-5),2.69(t,2H,H,H=7.4Hz,COCH),1.67-0.91(m,57H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDOD):δ161.7(COカルバメート),151.6,125.6(C-トリアゾール),87.0(C-1),78.3(C-3),75.4(C-4),73.8(C-1’),72.9(C-3’)71.5(C-2),71.5(C-4’),67.6(C-6),65.7(C-2’),56.9(C-5),35.6-16.9(CH,CHCH)。ESIMS:m/z725.65[M+H]
【0130】
[例11.化合物11の合成]
【0131】
化合物11の合成は、グリコシルドナー32とアクセプター36との間での第一の結合により、中間体39を得ることを含む。
【化16】

乾燥DCM(1.2mL)中の32(20mg,0.05mmol)の溶液に、Ar雰囲気下、0℃で、N-修飾-L-セリン36(0.10mmol)およびBF-OEt(32μL,0.25mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、39を得た。収量:106mg(63%)。R 0.60(2:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+37.46(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=7.77-7.20(m,12H,CH-arom),6.30(t,1H,JNH,CH2=5.6Hz,NHCH),5.78(d.1H,JNH,CH=8.0Hz,NHFmoc),5.48(m,2H,H-1,H-3),4.94(m,1H,H-4),4.92(dd,1H,J2,3=6.2Hz,J1,2=4.6Hz,H-2),4.44(m,4H,H-6a,OCHCH,CHFmoc),4.25(m,2H,H-5,CHFmoc),3.98(m,1H,H-6b),3.78(m,2H,OCHCH),3.27(m,2H,NHCH),2.09,2.05,2.04(3s,9H,CHCO),1.55-0.89(m,25H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=169.9,169.7,169.0(CO),155.7(COカルバメート),143.6-120.0(C-arom),79.5(C-1),72.4(OCHCH),70.2(C-4),69.1(C-2),68.9(C-3),67.3(C-6),67.0(CHFmoc),54.2(OCHCH),51.7(CHFmoc),47.0(C-5),39.9(NHCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH).ESIMS:m/z=830.38[M+Na]。HRMS(ESI) calcd for [C435712Na]830.3834。Found 830.3824。
【0132】
その後の工程で、DMF(1.5mL)中の39(100mg、0.131mmol)の撹拌されている溶液に、ピペリジン(131μL、1mL/mmol)を加えた。1時間後、混合物を蒸発させ、粗生成物をDMF(1.8mL)に溶解し、ドデカノイルクロリド(47μL,0.196mmol)およびEtN(37μL,0.262mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物11を得た。収量:75mg(65%,2段階)。R0.40(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+27.98(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.36(d,1H,JNH,CH=7.8Hz,NHCH),6.29(bt,1H,JNH,CH=5.6Hz,NHCH),5.46(d,1H,J1,2=4.7Hz,H-1),5.45(m,1H,H-3),4.94(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4),4.91(bdd,1H,J2,3=9.9Hz,H-2),4.60(m,1H,OCHCH),4.49(t,1H,J5,6a=J5,6b=8.5Hz,H-6a),4.27(bdd,1H,H-6b),3.99(m,1H,H-5),3.76(m,2H,OCHCH),3.28(m,2H,NHCH),2.24(m,2H,COCH),2.11,2.06,2.04(3s,9H,CHCO),1.64-0.89(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=173.3,169.9,169.6,169.2(CO),155.8(COカルバメート),79.6(C-1),72.5(C-4),70.2(C-2),68.9(C-3),68.8(OCHCH),67.1(C-6),52.3(OCHCH),51.8(C-5),39.8(NHCH),36.5(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。ESIMS:m/z=768.50[M+H]。HRMS(ESI) calcd for [C406911Na]790.4824。Found 790.4810。
【0133】
[例12.化合物12の合成]
【0134】
化合物12は、MeOH(2.6mL)中の11の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、ろ過、蒸発乾固して得た。収量:60mg(定量)。R0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+14.52(c1.0 DCM中:MeOH)。H NMR(500MHz,1:1 CDOD-CDCl):δ=5.00(d,1H,J1,2=4.0Hz,H-1),4.44(m,1H,H-6a),4.15(dd,1H,J5,6b=9.5Hz,J6a,6b=6.3Hz,H-6b),3.64(m,1H,H-5),3.59(m,3H,H-4,OCHCH),3.49(bt,1H,J2,3=10.7Hz,H-3),3.36(dd,1H,J2,3=9.9Hz,H-2),3.25(m,1H,OCHCH),3.11(m,2H,NHCH),2.15(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.53-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,1:1 CDOD-CDCl):δ=174.9,170.5(CO),157.4(COカルバメート),82.7(C-1),74.4(C-3),73.5(OCHCH),71.9(C-2),68.5(C-5),67.5(C-6),53.6(C-4),52.7(OCHCH),39.9(NHCH),36.3(COCH),31.9-14.1(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=664.45[M+Na]。HRMS(ESI)calcd for [C3463Na]664.4507。Found 664.4511。Anal.calcd.for C3463:C 63.62,H 9.89,N 6.55。Found C 63.41,H 9.74,N 6.29。
【0135】
[例13.化合物13の合成]
【0136】
DMF(1.5mL)中の38(100mg、0.131mmol)の撹拌されている溶液に、ピペリジン(131μL、1mL/mmol)を加えた。1時間後、混合物を蒸発させ、粗生成物をDMF(1.8mL)に溶解し、オクチルイソチオシアネート(38μL,0.196mmol)およびEtN(37μL,0.262mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、13を得た。収量:59mg(59%、2段階)。R0.50(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+18.24(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.63(bs,2H,NH),5.39(m,2H,H-1,NH),4.88(t,1H,J2,3=J3,4=9.7Hz,H-3),4.86(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4),4.40(t,1H,J5,6a=J5,6b=8.6Hz,H-6a),4.18(bdd,1H,H-6b),3.94(bdd,1H,H-5),3.85(m,1H,CH),3.73(dd,1H,J1,2=6.0Hz,H-2),3.18(m,2H,NHCH),2.04,1.98,1.95(3s,9H,CHCO),1.57-0.81(m,38H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=181.4(CS),169.9,169.7,169.6(COエステル),156.0(COカルバメート),79.8(C-1),72.4(C-4),70.2(C-2),69.7(C-3),68.7(CH),67.1(C-6),51.9(C-5),39.9(NHCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for[C376410SNa]779.4235。Found 779.4229。
【0137】
[例14.化合物14の合成]
【0138】
化合物14は、MeOH(2.6mL)中の13の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:49mg(定量)。R0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+18.25(c1.0 MeOH中)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=5.02(d,1H,J1,2=4.0Hz,H-1),4.44(m,1H,J5,6a=9.2Hz,J6a,6b=8.6Hz H-6a),4.15(dd,1H,J5,6b=6.1Hz,H-6b),3.72(m,2H,H-5,CH),3.61(m,2H,CH),3.51(t,1H,J3,4=10.4Hz,H-4),3.36(dd,1H,J2,3=9.6Hz,H-2),3.24(m,1H,H-3),3.14(m,2H,NHCH),1.47-0.82(m,38H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDOD):δ=170.9(CO),157.2(COカルバメート),82.4(C-1),74.1(C-3),73.0(C-4),71.6(C-2),68.2(C-5),67.1(C-6),53.4(CH),39.2(NHCH),31.6-13.0(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=631.25[M+H]。Anal.calcd.for C3158S:C 59.02,H 9.27,N 8.88,S 5.08.Found C 58.75,H 8.98,N 8.54,S 4.72。
【0139】
[例15.化合物15の合成]
【0140】
化合物15は、グリコシルドナー32とチオールアクセプター40の結合により得られた。アクセプター40は市販のN-Fmoc-S-トリチル-L-システインから以下に記載する手順で調製した。
【化17】

THF(130mL)中のN-Fmoc-S-トリチル-L-システイン(10g、17mmol)の撹拌されている溶液に、HOBt(2.3g、17mmol)、DCC(3.5g、17mmol)およびドデシルアミン(3.1g、17mmol)を常温で加えた。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。粗混合物をTHF(132mL)に溶解し、ピペリジン(20mL)を加えた。反応物を20分間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、MeOH(3×20mL)で共蒸発させて、ピペリジンの痕跡を除去した。遊離アミン(500mg,0.94mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EtN(200μL,1.41mmol)とオクタノイルクロリド(1.5eq)を加えた。混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を1:1 DCM-TFA(4mL)に溶解し、トリイソプロピルシラン(320μL)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させ、トルエン(3x20mL)と共蒸発させてTFA痕跡を除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、40を得た。収量:160mg(75%)。R0.40(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.47(m,2H,NH),4.50(m,1H,CH),3.17(m,2H,CHN),2.92,2.66(m,2H,SCH),2.17(t,2H,CHCO),1.61-0.78(m,36H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5 MHz,CDCl):δ=173.4,169.7(CO),54.1(CH),39.7(CHN),36.5(CHCO),31.9-14.0(CH,CHCH).HRMS(ESI)calcd for [C2346SNa]437.3172;found 437.3164。
【0141】
その後の工程で、DCM(1.2mL)中の32(20mg,0.05mmol)および40(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.25mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物15を得た。収量:35mg(65%).R0.50(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+3.51(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.38(bt,2H,NHCH),5.74(d,1H,J1,2=5.9Hz,H-1),5.28(t,1H,J2,3=J3,4=9.7Hz,H-3),4.87(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4),4.86(dd,1H,H-2),4.61(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.5Hz,H-6a),4.43(bt,1H,H-6b),4.27(m,1H,CH),4.15(bdd,1H,H-5),3.12(m,2H,NHCH),2.94(dd,1H,JH,H=13.0Hz,JH,H=3.3Hz,SCH),2.73(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=10.0Hz,SCH),2.18(m,2H,COCH),2.01,1.99,1.96(3s,9H,CHCO),1.61-0.81(m,36H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=173.8,170.0,169.7,169.6169.4(COエステル),156.8(COカルバメート),72.6(C-4),70.3(C-2),69.5(C-3),67.2(C-6),60.2(C-1),53.1(CH),51.2(C-5),39.7(NHCH),36.7(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C366110SNa]750.3970。Found 750.3964。
【0142】
[例16.化合物16の合成]
【0143】
化合物16は、MeOH(2.6mL)中の15の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:18mg(定量)。R0.5(100:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+16.91(c1.0 5:1 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=5.33(s,1H,NH),5.20(d,1H,J1,2=5.6Hz,H-1),4.51(t,1H,J6a,6b=9.5Hz,J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.39(dd,1H,J5,6b=6.2Hz,H-6b),4.18(dd,1H,J3,4=9.5Hz,J4,5=5.5Hz,H-4),3.79(m,1H,CH),3.58(m,1H,H-5),3.39(t,1H,J2,3=9.3Hz,H-3),3.24(m,1H,H-2),3.08(m,2H,NHCH),2.86,2.78(dd,2H,SCH),2.16(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.54-0.79(m,36H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=174.6,170.7(CO),157.1(COカルバメート),74.0(C-1),73.7(C-3),71.0(C-2),67.0(C-5),62.5(C-6),53.2(C-4),53.1(CH),39.2(NHCH),35.6(COCH),32.6-13.2(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=602.50[M+H]Anal.calcd.for C3055S:C 59.87,H 9.21,N 6.98,S 5.33。Found C 59.64,H 9.07,N 6.70,S 4.99。
【0144】
[例17.化合物17の合成]
【0145】
化合物17は、グリコシルドナー32とチオールアクセプター41の結合により得られた。アクセプター41は市販のN-Fmoc-S-トリチル-L-システインから以下に記載する手順で調製した。
【化18】

THF(130mL)中のN-Fmoc-S-トリチル-L-システイン(10g、17mmol)の撹拌されている溶液に、HOBt(2.3g、17mmol)、DCC(3.5g、17mmol)およびドデシルアミン(3.1g、17mmol)を常温で加えた。反応物を20分間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、MeOH(3×20mL)で共蒸発させてピペリジンの痕跡を除去した。遊離アミン(500mg,0.94mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EtN(200μL,1.41mmol)および塩化ドデシル(1.5eq)を加えた。混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を1:1 DCM-TFA(4mL)に溶解し、トリイソプロピルシラン(320μL)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させ、トルエン(3x20mL)と共蒸発させてTFA痕跡を除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、41を得た。収量:230mg(70%)。R0.40(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.45(m,2H,NH),4.50(m,1H,CH),3.17(m,2H,CHN),2.94,2.65(m,2H,SCH),2.16(t,2H,CHCO),1.61-0.81(m,44H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=173.4,169.6(CO),54.1(CH),39.7(CHN),36.5(CHCO),31.9-14.0(CH,CHCH).HRMS(ESI)calcd for[C2754SNa]493.3798;found 493.3793。
【0146】
その後の工程で、32(20mg,0.05mmol)と41(0.10mmol)の溶液に、BF-OEt(32μL,0.25mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物17を得た。収量:27mg(70%)。R0.50(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+16.24(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.39(d,1H,JNH,CH=9.0Hz,NHCH),6.38(bt,1H,JNH,CH=5.6Hz,NHCH),5.73(d,1H,J1,2=5.9Hz,H-1),5.28(t,1H,J2,3=J3,4=10.4Hz,H-3),4.86(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4),4.85(dd,1H,H-2),4.61(t,1H,J5,6a=J5,6b=8.6Hz,H-6a),4.42(m,1H,CH),4.30(bdd,1H,H-5),4.24(m,1H,H-6b),3.11(m,2H,NHCH),2.93(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=3.3Hz,SCH),2.72(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=9.9Hz,SCH),2.18(m,2H,COCH),2.01,1.99,1.96(3s,9H,CHCO),1.57-0.81(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=173.8,170.0,169.7,169.4(COエステル),156.8(COカルバメート),72.6(C-4),70.3(C-2),69.5(C-3),67.3(C-6),60.2(C-1),53.1(CH),51.2(C-5),39.7(NHCH),36.7(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C406910SNa]806.4596;found 806.4588。
【0147】
[例18.化合物18の合成]
【0148】
化合物18は、MeOH(2.6mL)中の17の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:20mg(定量)。R0.5(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+16.23(c1.0 5:1 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=5.20(d,1H,J1,2=5.7Hz,H-1),4.51(bt,1H,J5,6a=9.5Hz,J6a,6b=8.6Hz,H-6a),4.40(dd,1H,J5,6b=6.3Hz,H-6b),4.18(m,1H,H-5),3.79(m,1H,CH),3.58(dd,1H,J3,4=9.5Hz,J4,5=5.5Hz,H-4),3.40(t,1H,J2,3=9.3Hz,H-3),3.22(m,1H,H-2),3.09(m,2H,NHCH),2.86,2.78(dd,2H,SCH),2.16(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.53-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,4:1 CDOD-CDCl):δ=174.7,170.7(CO),157.1(COカルバメート),74.1(C-1),73.8(C-3),71.1(C-2),67.1(C-5),62.6(C-6),53.3(C-4),53.2(CH),39.3(NHCH),35.8(COCH),32.7-13.3(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=658.33[M+H]Anal.calcd.for C1316:C 43.82,H 4.53,N 15.73。C 43.89,H 4.60,N 15.57。
【0149】
[例19.化合物19の合成]
【0150】
化合物19は、グリコシルドナー46とチオールアクセプター40の結合により得られた。グリコシルドナー46は、5-アジド-3-O-ベンジル-5-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(42)から、以下のスキーム8に従って、4段階で調製した。
【化19】

ステップ1:ジオキサン/MeOH(5:1)(230mL)中の42(5.7g,17.0mmol)の撹拌されている溶液に、PhP(8.9g,34.0mmol)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。NHOH(32mL)を加え、混合物を一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc,45:5:1→45:5:3EtOAc-EtOH-HO)で精製し、5-アミノ-3-O-ベンジル-5-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(43)を得た。収量:7.1g(90%)。R0.41(45:5:3 EtOAc-EtOH-HO)。[α]-68.2(c0.8 DCM中)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.45-7.30(m,5H,CH-arom),5.94(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),4.76(d,1H,H,H=11.8Hz,OCHPh),4.64(d,1H,H-2),4.51(d,1H,OCHPh),4.03(d,1H,J3,4=3.0Hz,H-3),3.99(dd,1H,J4,5=8.4Hz,H-4),3.79(dd,1H,J6a,6b=10.8Hz,J5,6a=4.0Hz,H-6a),3.58(dd,1H,J5,6b=6.0Hz,H-6b),3.29(m,1H,H-5),2.00(bs,1H,OH),1.50,1.34(2s,6H,CMe)。13C NMR(100MHz,CDCl)δ137.2-128.0(C-arom),111.6(CMe),105.1(C-1),81.7(C-2),81.6(C-3,C-4),71.7(OCHPh),64.3(C-6),50.9(C-5),26.7,26.2(CMe)。ESIMS:m/z 310.1[M+H]。Anal.Calcd for C1623NO:C 62.12,H 7.49,N 4.53。C 61.88,H 7.49,N 4.53。Found:C 61.88,H 7.27,N 4.44.
【0151】
ステップ2:DCM(162mL)中のアミン43(7.3g、23mmol)の撹拌されている溶液に、DIPEA(39mL、236mmol)およびトリホスゲン(10.5g、35.4mmol)を0℃で加えた。30分後、溶媒を減圧下留去し、残渣を溶離液としてEtOAcを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、5-アミノ-5-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-3-O-ベンジル-α-D-グルコフラノース5,6-(環状カルバメート)(44)を得た。収量:5.4g(69%)。R0.84(EtOAc)。[α]-91.7(c0.96 CHCl中)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.50-7.30(m,5H,CH-arom),5.95(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),5.38(bs,1H,NH),4.74(d,1H,H,H=11.8Hz,OCHPh),4.68(d,1H,H-2),4.51(d,1H,OCHPh),4.51-4.46(m,1H,H-6a),4.43(dd,1H,J6b,6a=8.8Hz,J5,6b=4.8Hz,H-6b),4.20(dd,1H,J4,5=7.8Hz,J3,4=3.4Hz,H-4),4.12-4.05(m,1H,H-5),4.02(d,1H,H-3),1.52,1.35(2s,6H,CMe)。13C NMR(100MHz,CDCl)δ160.0(CO),137.1-128.0(C-arom),112.2(CMe),105.5(C-1),82.0(C-2),81.6(C-4),81.3(C-3),71.8(OCHPh),68.1(C-6),50.8(C-5),26.9,26.3(CMe)。ESIMS:m/z 358.1[M+Na]。Anal.Calcd for C1721NO:C 60.89,H 6.31,N 4.18。Found C 60.93,H 6.24,N 4.09。
【0152】
ステップ3:90%TFA-HO(9.8mL)中の44(2.1g,6.2mmol)の溶液を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、水で数回共蒸発させ、NaOH 0.1NでpH8まで処理し、濃縮した。得られた残渣を溶離液としてEtOAcを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を水溶液から凍結乾燥して3-O-ベンジル-5N,6O-オキソメチリデンノジリマイシン(45)を得た。収量:1.6g(90%)。R0.60(EtOAc)。[α]-2.7(c1.0 HO中)。H NMR(400MHz,DO)δ7.50-7.30(m,5H,CH-arom),5.33(d,1H,J1,2=4.0Hz,H-1),4.84(d,1H,H,H=10.8Hz,OCHPh),4.80(d,1H,OCHPh),4.57(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.8Hz,H-6a),4.25(dd,1H,J5,6b=6.8Hz,H-6b),3.98-3.90(m,1H,H-5),3.70(t,1H,J2,3=J3,4=9.4Hz,H-3),3.63(dd,1H,H-2),3.56(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4)。13C NMR(100MHz,DO)δ157.6(CO),137.6-128.4(C-arom),80.9(C-3),75.3(OCHPh),74.6(C-1),73.3(C-4),71.1(C-2),67.6(C-6),53.2(C-5).ESIMS:m/z 318.1[M+Na]。Anal.Calcd for C1417NO:C 56.94,H 5.80,N 4.74。C 56.75,H 5.80,N 4.74。Found:C 56.75,H 5.63,N 4.57。
【0153】
ステップ4:ピリジン(7mL)中の45(1.6g,5.4mmol)の撹拌されている溶液に、AcO(7mL,74mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を氷水(100mL)に滴下し、DCM(3x20mL)で抽出し、有機相をHCl 1M(3x20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣を1:1 EtOAc-シクロヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製し、(1R)-1,4-ジ-O-アセチル-3-O-ベンジル-5N,6O-オキソメチリデンノジリマイシン(46)を得た。収量:2g(87%)。R0.42(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+13.5(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl)δ7.30-7.16(m,5H,CH-arom),6.62(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),5.00(dd,1H,J2,3=10.0Hz,H-2),4.86(t,1H,J3,4=J4,5=9.4Hz),4.62(d,2H,H,H=10.8Hz,OCHPh),4.32(dd,1H,J6a,6b=J5,6a=8.2Hz,H-6a),4.21(dd,1H,J5,6b=6.8Hz,H-6b),3.89(m,2H,H-3,H-5),2.99,1.93,1.91(3s,3H,COOCH)。13C NMR(75.5 MHz,CDCl)δ170.0,169.2,168.5(COエステル),154.3(COカルバメート),137.7-127.4(C-arom),76.7(C-3),75.5(OCHPh),73.8(C-4),72.7(C-1),71.0(C-2),67.2(C-6),53.2(C-5)。HRMS(ESI) calcd for [C2023NONa]444.1276;found 444.1261。
【0154】
その後の工程で、46(150mg,0.35mmol)と40(0.53mmol)の溶液に、Ar雰囲気下、0°Cで、BF-OEt(215μL,1.78mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物19を得た。収量:200mg(68%)。R0.65(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+31.50(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.28-7.16(m,5H,CH-arom),6.64(d,1H,JNH,CH=8.5Hz,NHCH),6.54(bt,1H,JNH,CH=5.6Hz,NHCH),5.72(d,1H,J1,2=5.8Hz,H-1),4.85(t,1H,J2,3=J3,4=7.5Hz,H-3),4.83(t,1H,J4,5=9.5Hz,H-4),4.67(d,1H,H,H=11.5Hz,OCHPh),4.56(d,1H,H,H=11.8Hz,OCHPh),4.54(bdd,1H,H-2),4.46(m,1H,CH),4.28(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.19(m,1H,H-5),3.75(t,1H,H-6b),3.11(m,2H,NHCH),2.95(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=3.3Hz,SCH),2.73(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=9.9Hz,SCH),2.18(m,2H,COCH),1.99,1.91(2s,6H,CHCO),1.59-0.80(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=174.0,170.1,169.8,169.6(CO),157.0(COカルバメート),137.7-127.4(C-arom),77.4(CHPh),75.6(C-4),74.1(C-2),72.4(C-3),67.6(C-6),60.1(C-1),53.4(CH),51.8(C-5),39.7(NHCH),36.6(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C4574SNa]832.5140;found 832.5140。
【0155】
[例20.化合物20の合成]
【0156】
化合物20は、MeOH(3.6mL)中の19の溶液をMeOH(25μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、ろ過、蒸発乾固して得た。収量:54mg(定量)。R0.5(2:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+43.06(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=7.33-7.14(m,5H,CH-arom),5.20(d,1H,J1,2=5.7Hz,H-1),4.76(d,1H,H,H=11.2Hz,OCHPh),4.51(t,1H,J6a,6b=9.5Hz,J5,6a=8.5Hz,H-6a),4.40dd,1H,J5,6b=6.4Hz,H-6b),4.16(dd,1H,J3,4=9.1Hz,J4,5=5.9Hz,H-4),3.81(m,1H,H-5),3.74(m,1H,CH),3.37(m,2H,H-2,H-3),3.09(m,2H,NHCH),2.87,2.80(dd,2H,SCH),2.16(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.53-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,4:1 CDOD-CDCl):δ=174.7,170.7(CO),157.0(COカルバメート),138.6-127.3(C-arom),82.4(CHPh),75.3(C-4),73.9(C-2),71.3(C-3),67.1(C-6),62.8(C-1),53.5(CH),53.2(C-5),39.3(NHCH),35.7(COCH),32.6-13.3(CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C4169SNa]770.4748;found 770.4741。
【0157】
[例21.化合物21の合成]
【0158】
化合物21は、グリコシルドナー32とチオールアクセプター47との結合により得られた。アクセプター47は市販のN-Fmoc-S-トリチル-L-システインから、後述の手順で調製した。
【化20】

THF(130mL)中のN-Fmoc-S-トリチル-L-システイン(10g、17mmol)の撹拌されている溶液に、HOBt(2.3g、17mmol)、DCC(3.5g、17mmol)およびドデシルアミン(3.1g、17mmol)を室温で加えた。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。粗混合物をTHF(132mL)に溶解し、ピペリジン(20mL)を加えた。反応混合物を20分間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、MeOH(3×20mL)で共蒸発させて、ピペリジンの痕跡を除去した。遊離アミン(500mg、0.94mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EtN(200μL、1.41mmol)およびテトラデカノイルクロリド(1.5eq)を加えた。混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を1:1 DCM-TFA(4mL)に溶解し、トリイソプロピルシラン(320μL)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させ、トルエン(3x20mL)と共蒸発させてTFA痕跡を除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、47を得た。収量:250mg(53%,2段階)。R0.50(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]-18.96(c1.0 DCM中)。カラムクロマトグラフィー1:4 EtOAc-シクロヘキサン。収量:250mg(53%、2段階)。R0.50(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]-18.96(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.46(m,2H,NH),4.50(m,1H,CH),3.17(m,2H,CHN),2.94,2.65(m,2H,SCH),2.17(t,2H,CHCO),1.57-0.81(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=173.5,169.7(CO),54.1(CH),39.7(CHN),36.5(CHCO),31.9-14.0(CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C2859NS]521.4108;found 521.4107。
【0159】
その後の工程で、32(50mg,0.13mmol)と47(0.19mmol)の溶液に、BF-OEt(80μL,0.65mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物21を得た。収量:92mg(76%)。R0.60(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+15.40(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.42(bt,2H,NHCH),5.72(d,1H,J1,2=5.9Hz,H-1),5.27(t,1H,J2,3=J3,4=9.8Hz,H-3),4.86(t,1H,J4,5=9.3Hz,H-4),4.85(dd,1H,H-2),4.59(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.5Hz,H-6a),4.41(m,1H,CH),4.28(bdd,1H,H-5),4.23(bt,1H,H-6b),3.10(m,2H,NHCH),2.92(dd,1H,JH,H=13.0Hz,JH,H=3.3Hz,SCH),2.71(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=10.0Hz,SCH),2.17(m,2H,COCH),2.00,1.98,1.95(3s,9H,CHCO),1.58-0.79(m,46H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=173.8,170.1,169.7,169.6,169.4(COエステル),156.8(COカルバメート),72.6(C-4),70.2(C-2),69.5(C-3),67.2(C-6),60.0(C-1),53.1(CH),51.2(C-5),47.0(NHCH),39.7(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C366110SNa]750.3970;found 750.3964。
【0160】
[化合物22の合成]
【0161】
化合物22は、MeOH(2.6mL)中の21の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:80mg(定量)。R0.5(100:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+16.23(c1.0 1:1 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=d,1H,J1,2=5.7Hz,H-1),4.51(bt,1H,J6a,6b=9.5Hz,J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.40(dd,1H,J5,6b=6.3Hz,H-6b),4.18(m,1H,H-5),3.79(m,1H,CH),3.58(dd,1H,J3,4=9.5Hz,J4,5=5.5Hz,H-4).5Hz,H-4),3.40(t,1H,J2,3=9.3Hz,H-3),3.22(m,1H,H-2),3.09(m,2H,NHCH),2.86,2.78(dd,2H,SCH),2.16(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.53-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,4:1 CDOD-CDCl):δ=174.7,170.7(CO),157.1(COカルバメート),74.1(C-1),73.8(C-3),71.1(C-2),67.1(C-5),62.6(C-6),53.3(C-4),53.2(CH),39.3(NHCH),35.8(COCH),32.7-13.3(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=686.60[M+H]。Anal.calcd.for C3667S:C63.03,H 9.84,N 6.13,S 4.67。Found C,62.85,H 9.52,N 5.83,S 4.30。
【0162】
[例23.化合物23の合成]
【0163】
化合物23は、グリコシルドナー32とチオールアクセプター48の結合により得られた。アクセプター48は市販のN-Fmoc-S-トリチル-L-システインから以下に記載する手順で調製した。
【化21】

THF(130mL)中のN-Fmoc-S-トリチル-L-システイン(10g、17mmol)の撹拌されている溶液に、HOBt(2.3g、17mmol)、DCC(3.5g、17mmol)およびドデシルアミン(3.1g、17mmol)を室温で加えた。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。粗混合物をTHF(132mL)に溶解し、ピペリジン(20mL)を加えた。反応混合物を20分間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、MeOH(3×20mL)で共蒸発させて、ピペリジンの痕跡を除去した。遊離アミン(500mg、0.94mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EtN(200μL、1.41mmol)および塩化ヒドロシンナモイル(1.5eq)を加えた。混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を1:1 DCM-TFA(4mL)に溶解し、トリイソプロピルシラン(320μL)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させ、トルエン(3x20mL)と共蒸発させてTFA痕跡を除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、48を得た。収量:114mg(72%)。R0.40(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=7.24-7.11(m,5H,CH-arom),6.33.(m,2H,NH),4.46(m,1H,CH),3.12(m,2H,CHN),2.90,2.49(m,2H,SCH),2.17(m,2H,CHCO),1.47-0.78(m,25H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=172.2,169.4(CO),140.3-126.4(C-arom),54.1(CH),39.7(CHN),36.5(CHCO),31.9-14.0(CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C2440SNa]443.2703;found 443.2703。
【0164】
その後の工程で、32(50mg,0.13mmol)と48(0.19mmol)の溶液に、BF-OEt(80μL,0.65mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られたアセチル化化合物をMeOH(1.3mL)に溶解し、MeOH中1M NaOMe(20μL)で処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、ろ過、蒸発乾固した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(100:10:1 DCM-MeOH-HO)で精製し、目的化合物23を得た。収量:22mg(定量)。R0.5(100:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+28.98(c1.0 1:5 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=7.12(m,5H,CH-arom),5.17(d,1H,J1,2=5.6Hz,H-1),4.49(t,1H,J6a,6b=9.5Hz,J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.38(dd,1H,J5,6b=6.2Hz,H-6b),4.17(dd,1H,J3,4=9.5Hz,J4,5=5.5Hz,H-4),3.77(m,1H,CH),3.57(m,1H,H-5),3.39(t,1H,J2,3=9.3Hz,H-3),3.22(m,1H,H-2),3.05(m,2H,NHCH),2.83,2.82,2.74(dd,4H,SCH,CHPh),2.47(t,2H,JH,H=7.0Hz,COCH),1.40-0.79(m,23H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=173.6,170.6(CO),157.1(COカルバメート),140.6-125.9(C-arom),74.0(C-1),73.8(C-3),71.1(C-2),67.1(C-5),62.6(C-6),53.3(C-4),53.2(CH),39.3(NHCH),37.4(COCH),32.6-13.2(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=608.44[M+H]。Anal.calcd.for C3149S:C 61.26,H 8.13,N 6.91,S 5.27。Found C60.97,H 7.88,N 6.71,S 4.96。
【0165】
[例24.化合物24の合成]
【0166】
化合物24は、グリコシルドナー32とチオールアクセプター49との結合により得られた。アクセプター49は市販のN-Fmoc-S-トリチル-L-システインから以下に記載する手順で調製した。
【化22】

THF(130mL)中のN-Fmoc-S-トリチル-L-システイン(10g、17mmol)の撹拌されている溶液に、HOBt(2.3g、17mmol)、DCC(3.5g、17mmol)およびドデシルアミン(3.1g、17mmol)をrtで加えた。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。粗混合物をTHF(132mL)に溶解し、ピペリジン(20mL)を加えた。反応混合物を20分間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、MeOH(3×20mL)で共蒸発させて、ピペリジンの痕跡を除去した。遊離アミン(500mg、0.94mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EtN(200μL、1.41mmol)および1-オクタンスルホニルクロリド(1.5eq)を加えた。混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を1:1 DCM-TFA(4mL)に溶解し、トリイソプロピルシラン(320μL)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させ、トルエン(3x20mL)と共蒸発させてTFA痕跡を除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、49を得た。収量:155mg(80%)。R0.40(1:4 EtOAc-シクロヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.43(m,2H,NH),3.98(m,1H,CH),3.10(m,2H,CHS),3.21(m,2H,CHN),2.97,2.68(m,2H,SCH),1.91-0.81(m,38H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=168.8(CO),58.1(CH),53.7(CHS),40.0(CHN),31.9-14.0(CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C2349Na]465.3179;found 465.3174。
【0167】
その後の工程で、32(50mg,0.13mmol)と49(0.19mmol)の溶液に、BF-OEt(80μL,0.65mmol)をAr雰囲気下、0℃で加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物24を得た。収量:70mg(55%)。R0.50(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+14.94(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.55(bt,1H,JNH,CH=5.6Hz,NHCH),5.71(d,1H,J1,2=5.9Hz,H-1),5.27(t,1H,J2,3=J3,4=10.4Hz,H-3),4.89(t,1H,J4,5=9.4Hz,H-4),4.86(dd,1H,H-2),4.55(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.35(m,1H,H-6b),4.23(bdd,1H,H-5),3.71(m,1H,CH),3.15(m,2H,NHCH),2.93-2.73(m,4H,SCH),2.02,1.99,1.97(3s,9H,CHCO),1.72-0.81(m,38H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=170.1,169.8,169.2,169.1(COエステル),156.9(COカルバメート),72.5(C-4),70.2(C-2),69.4(C-3),67.4(C-6),61.0(C-1),57.3(CH),53.7(C-5),51.5(NHCH),40.0(COCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C366311Na]800.3796;found 800.3790。
【0168】
[例25.化合物25の合成]
【0169】
化合物25は、24のMeOH溶液(2.6mL)を1M NaOMeのMeOH溶液(42μL)で処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、ろ過、蒸発乾固して得た。収量:50mg(定量)。R0.5(100:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+34.60(c1.0 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=5.31(d,1H,J1,2=5.5Hz,H-1),4.59(bt,1H,J6a,6b=9.5Hz,J5,6a=8.6Hz,H-6a),4.26(dd,1H,J5,6b=5.9Hz,H-6b),3.96(m,1H,H-5),3.92(m,1H,CH),3.67(dd,1H,J3,4=9.8Hz,J4,5=5.6Hz,H-4),3.49(t,1H,J2,3=9.2Hz,H-3),3.30(m,1H,H-2),3.20(m,2H,NHCH),3.00,2.88(m,2H,SCH),1.75-0.88(m,38H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,5:1 CD33OD-CDCl):δ=170.7(CO),157.2(COカルバメート),74.0(C-1),73.7(C-3),71.0(C-2),67.1(C-5),62.6(C-6),56.6(C-4),53.3(CH),53.1(NHCH),39.4-13.3(CH,CHCH)。ESIMS:m/z=652.46[M+H]。Anal.calcd.for C3057:C 55.27,H 8.81,N 6.45,S 9.84。Found C 54.98,H 8.63,N 6.21,S 9.55。
【0170】
[例26.化合物26の合成]
【0171】
化合物26の合成は、グリコシルドナー33とアクセプター36との間での第一の結合により、中間体50を得ることを含む。
【化23】

乾燥DCM(1.2mL)中の33(20mg,0.05mmol)の溶液に、Ar雰囲気下、0℃でL-セリン誘導体36(0.10mmol)とBF-OEt(32μL,0.25mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:2 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、50を得た。収量:106mg(60%)。R0.60(2:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+33.71(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=7.95-7.28(m,12H,CH-arom),6.21(bt,1H,JNH,CH2=5.6Hz,NHCH),5.65(d.1H,JNH,CH=7.8Hz,NH Fmoc),5.51(d,1H,J1,2=4.0Hz,H-1),5.42(bt,1H,J3,4=2.6Hz,J4,5=2.2Hz,H-4),5.28(dd,1H,J2,3=10.9Hz,H-3),5.13(dd,1H,H-2),4.07(m,4H,H-6a,OCHCH,CH Fmoc),4.23(m,2H,H-5,CHFmoc),4.00(dd,1H,J5,6a=J5,6b=8.6Hz,J6a,6b=5.9Hz,H-6b),3.79(d,2H,OCHCH),3.25(m,2H,NHCH),2.19,2.10,2.01(3s,9H,CHCO),1.73-0.89(m,25H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=170.2,169.8(CO),155.9(COカルバメート),143.6-120.0(C-arom),80.1(C-1),69.2(OCHCH),67.8(C-4,C-3),67.2(C-2,CHFmoc),63.0(C-6),54.4(OCHCH),50.6(CH Fmoc),47.0(C-5),39.8(NHCH),31.9-14.1(CHCO,CH,CHCH).ESIMS:m/z=830.38[M+Na]。HRMS(ESI)calcdfor [C435712Na]830.3834;found 830.3825。
【0172】
その後の工程で、DMF(1.5mL)中の50(100mg,0.131mmol)の撹拌されている溶液に、ピペリジン(131μL,1mL/mmol)を加えた。1時間後、混合物を濃縮し、粗生成物をDMF(1.8mL)に溶解し、ドデカノイルクロリド(47μL,0.196mmol)およびEtN(37μL,0.262mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物26を得た。収量:65mg (85%)。R0.30(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+40.83(c1.0 DCM中)。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.39(d,1H,JNH,CH=8.2Hz,NHCH),6.34(bt,1H,JNH,CH=5.6Hz,NHCH),5.51(d,1H,J1,2=4.0Hz,H-1),5.42(bt,1H,J3,4=2.6Hz,J4,5=2.2Hz,H-4),5.28(dd,1H,J2,3=10.7Hz,H-3),5.13(dd,1H,H-2),4.61(m,1H,OCHCH),4.46(t,1H,J5,6a=J5,6b=8.8Hz,H-6a),4.29(m,1H,H-5),4.02(dd,1H,J5,6b=6.0Hz,H-6b),2.00(d,2H,H,H=6.6Hz,OCHCH),3.49(m,2H,COCH),3.25(m,2H,NHCH),2.19,2.12,2.01(3s,9H,CHCO),1.64-0.89(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(75.5MHz,CDCl):δ=173.4,170.2,169.8,169.1(CO),156.1(COカルバメート),80.1(C-1),68.8(C-4),67.8(C-3,OCHCH),67.2(C-2),63.1(C-6),52.3(OCHCH),50.6(C-5),49.1(COCH),39.8(NHCH),36.5-14.1(CHCO,CH,CHCH).ESIMS:m/z=790.48[M+Na]。HRMS(ESI) calcd for [C406911Na]790.4824;found 790.4816。
【0173】
[例27.化合物27の合成]
【0174】
化合物27は、26のMeOH溶液(2.6mL)をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:33mg(定量)。R0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+15.61(c1.0 DCM-MeOH中)。H NMR(500MHz,1:1 MeOD-CDCl):δ=5.13(d,1H,J1,2=4.2Hz,H-1),4.55(dd,1H,J4,5=7.5Hz,J4,5=5.9Hz,H-4),4.43(m,1H,OCHCH),3.97(m,2H,OCHCH),3.82(m,2H,H-2,H-6a),3.73(m,2H,H-3,H-6b),3.65(m,1H,H-5),3.19(m,2H,NHCH),2.24(m,2H,COCH),1.87-0.88(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,1:1 CDOD-CDCl):δ=174.6,170.3(COエステル),157.7(COカルバメート),82.5(C-1),70.0(C-2),68.7(C-3),67.8(C-6),67.7(C-5),63.7(OCHCH),52.8(C-4),52.6(OCHCH),39.5(NHCH),35.8(COCH),31.7-13.5(CH,CHCH).ESIMS:m/z=664.45[M+Na]。HRMS(ESI) calcd for [C3463Na]664.4507;found 664.4503。
【0175】
[例28.化合物28の合成]
【0176】
33(20mg,0.05mmol)と40(0.10mmol)の溶液に、Ar雰囲気下、0℃でBF-OEt(32μL,0.25mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(5mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で精製し、目的化合物28を得た。収量:27mg(70%)。R0.40(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+31.24(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=6.39(m,2H,NH),5.86(d,1H,J1,2=3.9Hz,H-1),5.35(bs,1H,H-4),5.08(bd,2H,H-2,H-3),4.60(dd,1H,J5,6a=J5,6b=8.6Hz,H-6a),4.57(m,1H,H-5),4.42(m,1H,CH),3.98(dd,1H,J5,6b=5.1Hz,H-6b),3.12(m,2H,NHCH),2.95(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=1.8Hz,SCH),2.68(dd,1H,JH,H=15.0Hz,JH,H=10.4Hz,SCH),2.18(m,2H,CHCO),2.10,2.02,1.93(3s,9H,CHCO),1.58-0.81(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=173.8,170.1,169.9,169.7(COエステル),157.0(COカルバメート),68.5(C-1),67.4(C-4),67.2(C-3),63.5(C-2),60.6(C-6),52.9(CH),50.3(C-5),39.7(NHCH),36.7-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C406910SNa]806.4596;found 806.4590。
【0177】
[例29.化合物29の合成]
【0178】
化合物29は、MeOH(2.6mL)中の28の溶液をMeOH(42μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。収量:22mg(定量)。R0.6(70:10:1 DCM-MeOH-HO)。[α]+20.12(c1.0 DCM:MeOH中)。H NMR(500MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=5.30(d,1H,J1,2=5.8Hz,H-1),4.39(m,3H,H-6a,H-4,H-2),4.08(m,1H,CH),3.98(m,1H,J6a,6b=9.6Hz,J5,6b=5.7Hz,H-6b),3.75(bt,1H,H-3),3.54(dd,1H,J5,6=10.0Hz,J4,5=2.6Hz H-5),3.09(m,2H,NHCH),2.84,2.75(dd,2H,SCH),2.16(t,2H,COCH),1.53-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,5:1 CDOD-CDCl):δ=174.7,170.7(CO),157.8(COカルバメート),70.7(C-1),68.4(C-2),67.1(C-3),63.6(C-5),62.8(C-6),53.2(CH),52.7(C-4),39.4(NHCH),35.9(COCH),31.7-13.5(CH,CHCH).ESIMS:m/z=658.34[M+H]。Anal.calcd.forC3463SO:C 62.07,H 9.65,N 6.39, S 4.87。Found C 61.88,H 9.61,N 6.19,S 4.65。
【0179】
[例30.化合物30の合成]
【0180】
化合物30の合成はグリコシルドナー46とアクセプター36との第一の結合により、中間体51を得ることを含む。
【化24】

46(200mg,0.47mmol)および36(0.71mmol)の溶液に、Ar 雰囲気下、0℃でBF-OEt(286μL,2.37mmol)を加えた。1時間後、混合物をDCM(10mL)で希釈し、飽和NaHCO(3x10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、1:2 EtOAc-シクロヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製した。収量:250mg(65%)。R0.60(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)で51を得た。[α]+30.53(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.60-7.13(m,12H,CH-arom),6.20(t,1H,JNH,CH2=5.6Hz,NHCH),5.73(d.1H,JNH,CH=5.8Hz,NHFmoc),4.80(m,2H,H-1,H-3),4.62(d,1H,H,H=11.5Hz,OCHPh),4.52(d,1H,H,H=11.8Hz,OCHPh),4.33(dd,3H,J6a,6b=J5,6a=8.2Hz,H-6a,OCH,CHFmoc),4.20(t,1H,J3,4=J4,5=8.6Hz,H-4),4.15bt,1H,H-2),3.85(m,2H,H-6b,CH),3.40(m,1H,H-5),3.16(m,2H,NHCH),1.97,1.85(2s,6H,CHCO),1.63-0.80(m,25H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=170.0,169.8,168.7(CO),156.9(COカルバメート),143.7-120.0(C-arom),79.9(C-1),76.8(OCHCH),75.5(C-4),74.1(C-2),72.4(C-3),69.8(C-6),67.4(CHFmoc),52.3(OCHCH),49.4(CHFmoc),47.1(C-5),839.8(NHCH),33.7-14.1(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI) calcd for [C486111Na]878.4198;found 878.4191。
【0181】
その後の工程で、THF(4.8mL)中の51(418mg,0.488mmol)の溶液に、ピペリジン(964μL,20%容量)を加え、反応を15分間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、MeOHと共蒸発させてピペリジンの痕跡を除去した。粗生成物をDCM(4.8mL)に溶解し、ドデカノイルクロリド(170μL,0.732mmol)とEtN(137μL,0.976mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー1:1 EtOAc-シクロヘキサンで精製し、目的化合物30を得た。収量:200mg(50%、2段階)。R0.50(1:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+22.40(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.27-7.15(m,5H,CH-arom),6.49(d,1H,JNH,CH=8.0Hz,NHCH),6.33(t,1H,JNH,CH=5.7Hz,NHCH),5.34(d,1H,J1,2=3.9Hz,H-1),4.82(t,1H,J4,5=9.5Hz,H-4),4.80(dd,1H,J2,3=10.0Hz,H-2),4.65(d,1H,H,H=11.6Hz,OCHPh),4.57(d,1H,H,H=11.7Hz,OCHPh)、4.53(m,1H,OCHCH)、4.37(t,1H,J5,6a=J6a,6b=8.9Hz,H-6a)、4.21(bdd,1H,H-6b)、3.86(m,1H,H-3)、3.71(m,1H,H-5)、3.41(m,2H,OCHCH),3.15(m,2H,NHCH),2.16(t,2H,COCH),2.00,1.90(2s,6H,CHCO),1.64-0.80(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=174.3,170.8,170.5,169.9(CO),157.2(COカルバメート),138.5-128.1(C-arom),80.5(C-1),76.2(C-4),74.9(C-2),73.2(C-3),69.9(OCHCH),68.2(C-6),53.5(OCHCH),53.0(C-5),40.4(NHCH),37.2(COCH),34.6-14.8(CHCO,CH,CHCH)。HRMS(ESI)calcd for [C457310Na] 838.5188;found 838.5181。
【0182】
[例31.化合物31の合成]
【0183】
化合物31は、MeOH(10mL)中の30の溶液をMeOH(155μL)中の1M NaOMeで処理した後、Amberlite(登録商標)IR120水素フォームで中和し、濾過、蒸発、凍結乾燥して得た。カラムクロマトグラフィー2:1 EtOAc-シクロヘキサン。収量:130mg(定量)。R0.40(2:1 EtOAc-シクロヘキサン)。[α]+21.90(c1.0 DCM中)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.34-7.16(m,5H,CH-arom),4.98d,1H,J1,2=3.7Hz,H-1),4.78(dd,1H,H,H=11.0Hz,OCHPh),4.48(dd,1H,J3,4=7.0Hz,J4,5=5.9Hz,H-4),4.45(t,1H,J6a,6b=J5,6a=8.8Hz,H-6aH-6a),4.13(dd,1H,J5,6b=6.1Hz,H-6b),3.66(m,1H,H-5),3.60(m,2H,OCHCH),3.51(dd,1H,J2,3=9.3Hz,H-2),3.47(bt,1H,H-3),3.35(m,1H,OCHCH),3.10(m,2H,NHCH),2.16(t,2H,COCH),1.78-0.79(m,48H,CH,CHCH)。13C NMR(125.7MHz,CDCl):δ=174.8,170.4,157.1(COカルバメート),138.6-127.3(C-arom),82.5(C-1),81.7(C-3),75.4(OCHCH),74.1(C-2),71.7(C-5),67.7(C-6),67.2(C-4),53.5(OCHCH),52.7(CHPh),39.4(NHCH),35.6(COCH),33.4-13.3(CHCO,CH,CHCH).HRMS(ESI)calcd for [C4169Na]754.4977;found 754.4970。
【0184】
[例32.グルコシダーゼの作用に対する本発明の糖脂質模倣物の安定性]
代表例として選んだ化合物2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、23、25、27および29について、ヒト線維芽細胞溶解液と4時間インキュベートしたときのグリコシド結合の安定性を調べた。この目的のために、細胞(10細胞mL-1)を掬い取り、氷冷HOに入れて、超音波処理により溶解させた。15,000rpm、5分間の遠心分離で不溶物を除去し、Protein Assay Rapid Kit(WAKO、東京、日本)を用いてタンパク質濃度を測定した。蒸留水中の0.1%Triton X-100に溶解した溶解液10μLを、0.1Mクエン酸緩衝液、pH4.5中の化合物溶液20μL(200μM)と共に37℃でインキュベートした。コントロールとして、蛍光基質を用いていくつかのリソソームグリコシダーゼの活性を確認した。基質は4-メチルウンベリフェロン(4-MU)-結合β-D-グルコピラノシド(GCase用)、α-D-グルコピラノシド(α-グルコシダーゼ用)、α-D-ガラクトピラノシド(α-ガラーゼ用)、β-D-ガラクトピラノシド(β-ガラクトシダーゼ用)であった。遊離した4-メチルウンベリフェロンは、Perkin Elmer Luminescence Spectrometer(励起波長:340nm、発光波長:460 nm)を用いてブラックウェルプレート中で測定した。糖脂質模倣物の加水分解によって生じ得る遊離の多置換2-オキサ-3-オキソインドリジンの痕跡は、トリメチルシリル化の際にガスクロマトグラフィーで検出されなかったため、グリコシダーゼの作用に対する化合物の安定性が確認された。
[実施例33.LPS誘発炎症の抑制(in vitro脾臓細胞)]
【0185】
脾臓細胞を本発明の化合物とLPSで同時に処理し、LPS誘発炎症に対する化合物の抑制機能を評価した。選択された結果を図1に示す。いくつかの化合物、特に表1の化合物8、10、12、14、18、20は顕著な炎症抑制機能を示した。
【0186】
[実施例34.LPS誘発炎症に対する抑制(BMDM in vitro)]
【0187】
マクロファージはLPS誘発炎症に対する主要なレスポンダーであるため、選択した化合物について、骨髄由来マクロファージ(BMDM)におけるLPS誘発炎症の抑制能力を評価した。図2に示すデータは、化合物12がLPS誘発炎症を特に効率的に抑制することを示している。
【0188】
[例35.インビボにおけるLPS誘発炎症の抑制]
【0189】
インビボでの抗炎症機能を調べるために、B6マウスにおいてLPS誘発炎症を抑制する化合物12の能力を評価した。図3において、血清中のIL-6およびTNFαのレベルは、LPS処理後、30分間に2回注射した場合に有意に抑制されることが示され、化合物12がLPS誘発炎症を効率的に抑制することが確認された。
【0190】
[例36.MAPKファミリーのERKおよびp38、ならびにSTAT3は、新規化合物によって抑制される]
【0191】
マルチプレックスビーズアレイを用いて、新規化合物がシグナル伝達の面でどのような抑制効果を発揮するかを調べた。代表的な例として、図4において、MAPKファミリーのERKとp38のリン酸化が、JNKではなく、化合物12によって、LPS単独処理と比較して有意に減少することが見出された。従って、新規化合物はERKとp38のリン酸化を抑制することで、抗炎症機能を発揮していると考えられる。また、STAT3のリン酸化も有意に減少した。
【0192】
[例37.αGalCer誘発炎症の抑制(in vitro脾臓細胞)]
【0193】
脾臓細胞を本発明の化合物とαGalCerで同時に処理し、αGalCer誘発炎症を抑制する能力を評価した。選択された結果を図5に示す。いくつかの化合物、特に表1の化合物2、6および12は、顕著な炎症抑制機能を示した。
【0194】
[例38.化合物の免疫刺激機能(in vitro脾臓細胞)]
【0195】
脾臓細胞を本発明の化合物のみで処理し、IFN-γおよびIL-4の分泌を促進する能力を測定することにより、化合物の免疫刺激機能を評価した。代表的な例として、図6中、化合物12、18、22、27、および29は、IFNγの産生を促進するのに有効であったが、IL-4の産生を促進しなかったことから、化合物12、18、22、27、および29がTh1バイアスであることが裏付けられた。逆に、別の代表例として、化合物8もIL-4分泌の誘導に優れていたが、IFNγは誘導しなかったことから、化合物8はTh2バイアスであることが支持された。
【0196】
[実施例39.in vivoにおけるOVA誘発気道過敏性(AHR)および炎症の抑制]
【0197】
Th2 OVA誘発AHRマウスモデルを用いて、選択した化合物8、12、18および27のTh2炎症抑制能を評価した。その結果、化合物8、12、18はAHRの発症を抑制できることがわかった(図7)。さらに、化合物12は、BALF(図8)と肺(図9のタンパク質と図10のmRNA)において、AHRの主要な誘因因子であるIL-13とIL-4の増加を有意に抑制できることが観察された。
【0198】
[例40.in vivoにおける化合物のアジュバント機能の評価]
【0199】
新規化合物の炎症を抑制する能力を評価するほかに、アジュバントとして作用する機能、すなわちワクチン開発において望ましい免疫学的傾向を促進する能力についても調べた。選択した化合物8、12、18、27、29について、B6マウスでIFNγとIL-4を誘導するin vivoアジュバント能力を測定した(図11)。化合物8、12、27、および29は、注射2時間後にIFNγとIL-4の両方を誘導する能力を有意に示し、注射18時間後でも両サイトカインの有意な検出可能レベルを有していた。化合物18は、両時点で有意な血清IFNγレベルを示したのみであった。この結果は、ワクチン製剤におけるアジュバントとしての本発明の化合物の使用を強く支持する。
【0200】
[例41.化合物12はin vivoでDCの成熟を促進する]
【0201】
インビボでのDC成熟促進における選択化合物8、12、18、27および29の能力を、本発明の化合物を注射したマウスの脾臓におけるDC成熟マーカーCD86のmRNAレベルによって評価した。化合物12をマウスに注射すると、マウスの脾臓においてCD86 mRNA発現の有意な増加が誘導されることが示された(図12)。この結果は、DCの成熟が強固な免疫応答の発現に必須であることから、ワクチン製剤における化合物12の使用を強く支持するものである。
【0202】
[例42.化合物12は、インビボでTh1免疫応答を促進する]
【0203】
化合物12および27をOT-1マウス(オボアルブミンOVAペプチドに特異的なTCRを発現するトランスジェニックマウス)に注射し、Th1バイアス免疫調節特性を検証した。図13において、化合物12は有意なCD8T細胞増殖を誘導することが観察され、化合物12がTh1免疫応答を促進できることを示している。
【0204】
[例43.化合物12のアジュバンシーはMyD88依存性であり、Th1バイアスである]
【0205】
代表化合物12のアジュバント機能がMyD88依存性であるか否かを決定するために、MyD88ノックアウト(KO)マウスから単離した免疫細胞を用いて実験を行った。その結果、MyD88ノックアウトマウスから単離した脾臓細胞において、化合物12がIFNγを誘導する能力は完全に消失していた(図14)。この結果は、IL-4誘導が観察されなかったことから、化合物12のTh1バイアス性質も確認された。次に、MyD88 KOマウスの骨髄由来樹状細胞(BMDC)が化合物12に応答してIL-12p40を産生する能力は、野生型マウスのBMDCと比較して著しく抑制されていることがわかった(図15)。データは用量依存的であり、その差は高濃度になるほど顕著になった。最後に、MyD88欠損マウスのBMDCでは、化合物12処理によって誘導されるBMDCの成熟が阻害されることがわかった(図16)。これらの結果を総合すると、化合物12のアジュバント機能がMyD88依存的であることが支持される。
【図面の簡単な説明】
【0206】
図1】LPS誘発炎症の抑制を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物とLPSで同時に処理し、LPS誘発炎症に対する化合物の抑制機能を評価したところ、いくつかの化合物が顕著な抑制機能を示した。
図2】骨髄由来マクロファージ(BMDM in vitro)におけるLPS誘発炎症の抑制を示す。化合物12および27は、骨髄由来マクロファージ(BMDM)におけるLPS誘導性炎症を抑制する能力について評価され、両方がIL-6およびTNFαの有意な抑制を示した。
図3】in vivoにおけるLPS誘発炎症の抑制を示す。化合物12の、B6マウスにおけるLPS誘導性炎症抑制におけるin vivo能力を、スキームに示されるように評価した。化合物12は、LPS処置後30分の時間に2回注射した場合、LPS誘導血清IL-6およびTNFαを有意に抑制することが示された。
図4】MAPKファミリーのERKとp38、およびSTAT3が新規化合物によって抑制されることを示す。本発明の代表的化合物である化合物12について、マルチプレックスビーズアレイを用いて、新規化合物がどのように抑制効果を発揮するかをシグナル伝達の観点から検討した。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)であるERKとp38のリン酸化は、化合物12によって有意に減少したが、JNKのリン酸化は減少しなかった。STAT3のリン酸化の有意な減少も観察された。
図5】αGalCer誘発炎症の抑制を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物とαGalCerで同時に処理し、αGalCer誘発炎症に対する化合物の抑制機能を評価したところ、いくつかの化合物が顕著な抑制機能を示した。
図6】化合物の免疫刺激機能を示す(in vitro脾臓細胞)。脾臓細胞を本発明の化合物単独で処理し、化合物の免疫刺激機能を評価した。化合物12、18、22、27および29は有意なIFNγ分泌を誘導し、化合物8は有意なIL-4分泌を誘導した。
図7】in vivoにおけるオボアルブミン(OVA)誘発気道過敏性(AHR)の抑制を示す。選択された化合物8、12、18および27のin vivoでのTh2炎症抑制能を、OAV誘発AHRマウスモデルを用いて評価した。化合物8、12、18はAHRを抑制することが確認された。
図8】in vivoにおけるOVA誘導気道炎症に対する抑制を示す(BALF)。OAV誘発AHR実験のマウスからの気管支肺胞洗浄液(BALF)を、IL-13およびIL-4レベルについて調べた。化合物12はIL-13とIL-4の両方のレベルを有意に抑制した。化合物27はIL-13に対してのみ有意な抑制を示し、化合物18はIL-4に対してのみ有意な抑制を示した。
図9】in vivoにおけるOVA誘発気道炎症に対する抑制を示す(肺タンパク質)。OAV誘発AHR実験のマウスの肺について、IL-13およびIL-4タンパク質レベルを調べた。化合物12はIL-13とIL-4のレベルを有意に抑制した。化合物8、18、27はIL-13に対してのみ有意な抑制を示した。
図10】in vivoにおけるOVA誘発気道炎症に対する抑制を示す(肺mRNA)。OAV誘発AHR実験のマウスの肺から、IL-13およびIL-4のmRNAレベルを調べた。化合物12はIL-13のmRNAレベルを有意に抑制した。
図11】in vivoにおける化合物のアジュバント機能を示す。選択した化合物8、12、18、27、および29のin vivoにおけるアジュバント機能を、B6マウスに注射した後に誘導されるIFNγおよびIL-4の血清レベルを測定することにより評価した。化合物8、12、27および29は、注射2時間後にIFNγとIL-4の両方を誘導する有意な能力を示し、注射18時間後でも両サイトカインの有意な検出レベルを示した。化合物18は、いずれの時点でも有意な血清IFNγレベルを示したのみであった。
図12】化合物12がin vivoにおける樹状細胞(DC)の成熟を促進することを示す。選択した化合物8、12、18、27、および29のin vivoにおけるDC成熟促進能を、本発明の化合物を注射したマウスの脾臓におけるDC成熟マーカーCD86のmRNAレベルによって評価した。化合物12は有意なCD86のmRNAの増加を誘導することが観察された。
図13】化合物12がin vivoにおけるTh1免疫応答を促進することを示す。選択された化合物12および27のin vivoにおけるアジュバント能力は、スキームに記載されているように、OT-1養子移入マウスモデルの脾臓におけるCD8のT細胞の増殖を促進する能力によって評価された。化合物12は顕著なCD8のT細胞の増殖を誘導することが観察され、化合物12がTh1免疫応答を促進できることを示している。
図14】化合物12のアジュバントが骨髄分化一次応答88(MyD88)依存性であり、Th1バイアスであることを示す(in vitroの脾臓細胞)。本発明の化合物の生物学的機能に対する機能的MyD88への依存性を、代表の化合物12を用いて、MyD88ノックアウトマウスから単離した免疫細胞を用いて調べた。その結果、MyD88ノックアウトマウスから単離した脾細胞において化合物12がIFNγを誘導する能力は完全に消失した。IL-4は化合物12の処理では検出されず、Th1に偏った性質を示した。
図15】化合物12のアジュバント性がMyD88依存性であることを示す(骨髄由来樹状細胞-BMDCs-in vitro)。生物学的機能に対する機能的MyD88に対する本発明の化合物の依存性に関する検討を続けると、化合物12に応答してIL-12p40を産生するMyD88 KOマウス由来の骨髄由来樹状細胞(BMDCs)の能力が、野生型マウス由来のBMDCと比較して著しく抑制されることが見出された。この効果は用量依存的であり、濃度が高くなるほどその差は顕著になった。
図16】化合物12によるBMDC成熟促進がMyD88依存性であることを示す。生物学的機能に対する機能的MyD88に対する本発明の化合物の依存性に関する検討を続けると、化合物12の処理によって誘導されるBMDCの成熟が、MyD88欠損マウスのBMDCにおいて阻害されることが見出された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】