(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】選択的にスプレーコーティングを適用した繊維系電子レンジ用ボウル
(51)【国際特許分類】
D21J 5/00 20060101AFI20241106BHJP
D21H 21/14 20060101ALI20241106BHJP
D21H 21/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
D21J5/00
D21H21/14 Z
D21H21/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525705
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021059605
(87)【国際公開番号】W WO2023075807
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519030833
【氏名又は名称】フットプリント インターナショナル, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】チュン ヨーク ドウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン イユン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス リック
(72)【発明者】
【氏名】ルセロ スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ミン
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AG40
4L055AH11
4L055AH16
4L055AH24
4L055AH50
4L055BF08
4L055BF09
4L055CH30
4L055CJ06
4L055EA24
4L055EA25
4L055EA32
4L055FA14
4L055FA19
4L055GA05
4L055GA48
(57)【要約】
繊維系の食品容器を真空成形し、その後局所コーティングを塗布するための方法および装置。スラリーは、埋め込まれた湿気バリア、蒸気バリア、および油バリアのうちの1つまたは複数を含み、局所コーティングは、蒸気バリア、湿気バリア、油バリア、および酸素バリアのうちの1つまたは複数を含む。深い側壁を有する食品容器の場合、スプレーコーティングシステムは、容器の底面に完全な円錐スプレーパターンを適用するための第1のノズルと、側壁の内面に中空円錐スプレーパターンを適用するための第2のノズルとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向側壁によって境界付けられる実質的にフラットで円形の底部領域で特徴付けられる電子レンジ用ボウルであって、
前記電子レンジ用ボウルは、
前記ボウルの所望の形状に実質的に同一であるワイヤメッシュ金型を提供する工程と、
硬材バージン繊維および軟材バージン繊維の少なくとも一方を含む水性繊維系スラリーを準備する工程と、
埋め込まれた湿気バリアを前記スラリーに添加する工程と、
前記金型を前記スラリーに浸漬させる工程と、
所望の厚さの繊維粒子が前記金型の表面に蓄積するまで、前記スラリー内で前記金型にわたって真空引きする工程と、
前記蓄積された粒子を前記金型から除去する工程と、
プレス機内で前記蓄積された粒子を乾燥および押圧し前記ボウルを形成する工程と、
前記ボウルを前記プレス機からコーティングステーションに移送する工程と、
前記コーティングステーションにおいて、前記ボウルの少なくとも一部に局所油バリア層を適用する工程と、
により得られることを特徴とする、電子レンジ用ボウル。
【請求項2】
前記局所油バリア層は、スプレーシステムおよびコンベヤによって適用され、
前記スプレーシステムおよび前記コンベヤは、前記スプレーシステムの下方における進行方向に沿って前記ボウルを移動するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項3】
前記スプレーシステムは、
前記ボウルの前記底部領域に完全円錐パターンを放出するように構成される第1ノズルと、
前記周方向側壁の内側表面に中空円錐パターンを放出するように構成される第2ノズルと、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項4】
前記埋め込まれた湿気バリアが、2%~5%の範囲内にあるアルキルケテンダイマー(AKD)を含む、請求項1に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項5】
前記スラリーに乾燥強度添加剤を添加することをさらに含む、請求項1に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項6】
前記乾燥強度添加剤が、0.5%~4.5%の範囲内にあるデンプンを含む、請求項5に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項7】
前記局所油バリア層が、水溶液中に約27.5%の固形物を含む、請求項1に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項8】
前記固形物が、粘着性成分および乳化剤を含む、請求項7に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項9】
前記局所油バリア層は、
i)前記第1ノズルが前記ボウルの上方に配置され、かつ、第1期間の時間にわたって前記ボウルに対して静止したままとなり、
ii)前記第2ノズルが前記ボウルの上方に配置され、かつ、第2期間の時間にわたって前記ボウルに対して静止したままとなるように、
前記スプレーシステムを前記進行方向に沿って移動することにより適用されることを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用ボウル。
【請求項10】
前記第1期間の時間は、前記第2期間の時間よりも長いことを特徴とする、請求項9に記載の電子レンジ用ボウル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年7月26日に出願された米国特許出願第15/220,371号の一部継続出願として2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/726,180号の分割出願であって、2021年10月27日に出願された米国特許17/512,171号に対する優先権を主張し、そのすべての内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、基本的に、真空形成された成形繊維食品容器と一緒に使用するためのスプレーコーティングに関し、より具体的に、所望の油、水、蒸気、および/または酸素バリアを実現するためのスラリーの化学配合および表面コーティングの選択的な組み合わせに関する。
【0003】
使い捨てプラスチック容器や包装材料による汚染が蔓延し、地球の景観に傷を与え、そして繊細な生態系およびそこに生息する生物を脅かしている。使い捨て容器は、発泡スチロールや拡張ポリスチレン(EPS)包装、持ち帰り用容器、ボトル、薄膜バッグ、光分解プラスチックペレットの形態で水路に沿って海洋へ渡る。
【0004】
このような海洋ゴミは、我々の海洋のそれぞれの環流に位置する高濃度のプラスチック島における巨大なパッチに蓄積される。太陽光および波により、浮遊するプラスチックはますます小さな粒子に分解されるが、これらは完全に消えたり生物分解されたりすることは絶対にない。さらに、プラスチック粒子は、農薬などの水系汚染物質に対して、スポンジのように機能する。魚、カメ、さらにはクジラもプラスチック製の物体を食べると、病気になったり死亡したりする可能性がある。小さな海洋動物が小さなプラスチック粒子を摂取し、そして我々が魚介類を食べることにより、これらを我々に移る。
【0005】
プラスチック汚染を削減するための持続可能なソリューションが勢いを増している。しかしながら、継続して採用するのに、これらのソリューションが環境に良いだけでなく、性能およびコストの両方の観点からプラスチックそのものと競争できる必要がある。本発明は、製品の性能を損なうことなく、プラスチックを成形繊維の革新的な技術に置き換えることを含み、環境に配慮した枠組みの中で競争力のあるコスト構造を提供する。
【0006】
簡単な背景として、成形紙パルプ(成形繊維)は、1930年代から容器、トレイ、その他のパッケージの製造に使用されてきたが、発泡プラスチックパッケージの導入後、1970年代に衰退を経験した。紙パルプは、古い新聞紙、段ボール箱、およびその他の植物繊維から製造できる。現在、成形紙パルプパッケージは、電子機器、家庭用品、自動車部品、医療製品に広く使用され、電子部品やその他の壊れやすい部品を輸送するためのエッジ/コーナープロテクターやパレットトレイとしても使用されている。金型は、形状が完成品のパッケージの鏡像に形成され、その表面にスクリーンを貼り付けている。スクリーンにわたって真空が引かれることにより、繊維粒子が完成製品の形状を築き上げる。
【0007】
成形パルプの最も一般的な二つのタイプは、タイプ1およびタイプ2である。タイプ1は、一般的に、3/16インチ(4.7mm)から1/2インチ(12.7mm)までの壁を有するサポートパッケージングアプリケーションに使用される。「乾式」製法としても知られるタイプ1の成形パルプ製法では、粉末にされる新聞印刷用紙、クラフト紙、またはその他の繊維を水に溶かして作った繊維スラリーを使用する。プラテン上に取り付けられた金型をスラリーに浸漬または沈めてから、ほぼ凸状の裏面に真空を作用させる。真空によって、スラリーが金型上に引き寄せられ、パッケージの形状が形成される。未だ真空下にある間に、金型をスラリータンクから取り出し、パルプから排水することを許容する。次に、ツールに空気を吹き込んで、成形された繊維片を射出する。このパーツは通常、乾燥オーブン内のコンベア上に置かれる。
【0008】
「湿式」製法としても知られるタイプ2の成形パルプ製造は、通常、0.02インチ(0.5mm)から0.06インチ(1.5mm)までの壁を有する容器を用いて、電子機器、携帯電話、および家庭用品をパッケージングするために使用される。タイプ2の成形パルプは、タイプ1同様の材料を使用し、真空によってスラリーが金型上に引き寄せられるところまでタイプ1同様の基本プロセスに沿って行う。このステップの後、繊維パッケージに嵌合する転写用金型は、形成された「湿性パーツ」をホットプレス装置に移し、繊維材料を圧縮して乾燥させて密度を高め、滑らかな外面仕上げを実現する。例えば、stratasys.com/solutions/additive-manufacturing/tooling/molded-fiberにおける記載、keiding.com/molded-fiber/manufacturing-process/における記載、グレニデアテクノロジーズ有限責任株式会社(Grenidea Technologies PTE Ltd.)に帰属し、2007年4月11日に公開されたタイトルが「改善された成形繊維の製造方法(Improved Molded Fiber Manufacturing)」の欧州特許第1492926号明細書、およびafpackaging.com/thermoformed-fiber-molded-pulp/における記載を参照できる。上記の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
繊維系のパッケージング製品は、プラスチックと異なり、生物分解可能であり、堆肥化可能であり、海の中に移動しない。しかし、現在知られている繊維に関する技術は、肉や家禽、加工食品、農産物、電子レンジ対応食品、またはホットコーヒーなどの飲料容器の蓋としての使用にはあまり適していない。特に、1つ以上の油、水、蒸気、および/または酸素バリアをスラリーに選択的に組み込むこと、および/または完成の包装製品の表面の全部または一部に1つ以上のバリア層を選択的に塗布することは、面倒で時間がかかり、高価である。
【0010】
したがって、先行技術の制限を克服できる方法、装置、スプレーシステム、および化学配合物が必要とされている。
【0011】
様々な特徴および特性も、添付図面および技術背景に関するこの部分と併せて、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、特に、i)構造剛性を高める新しい幾何学的特徴を具現化する、肉、農産物、園芸、および有用な容器、ii)埋め込みおよび/または局所的な湿気、油、酸素、および/または蒸気のバリアを有する、肉、農産物、および園芸のための容器、iii)埋め込みおよび/または局所的な湿気、油、酸素、および/または蒸気の透過バリア、および/または繊維マトリックス内の化学結合を改善するための歩留り向上を具現化する、電子レンジ対応可能、オーブン加熱式であって、冷凍食品、インスタント食品、ヨーグルト、サラダ、調理済み食品、マカロニとチーズ、およびその他のための容器、iv)長い保存期間にわたって構造剛性を維持する湿気/蒸気バリアを有する肉のための容器を含む、バリアコーティングを作製し、真空成形された繊維系のパッケージおよび容器製品の選択された表面に対して選択的に適用するための様々な方法、化学配合物、スプレーシステム、およびノズル構造に関する。
【0013】
本明細書に記載される様々な発明は、従来のスラリーベースの真空成形プロセスに関連して説明されるが、それに限定されるものではないことに留意されたい。当業者は、本明細書に記載される発明が、例えば3D印刷技術を含む、真空成形を伴ってもよいが伴わなくてもよい乾燥プロセスまたは毛羽立ちプロセスを含む、任意の繊維系の製造様式を企図し得ることを理解できる。
【0014】
他の様々な実施形態、態様、および特徴は、下記のようにより詳細に説明される。
【0015】
以下、例示的な実施形態を添付の図面と併せて説明するが、同様の符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】様々な実施形態による、繊維系のスラリーを用いた例示の真空成形プロセスを示す概略ブロック図である。
【
図2】様々な実施形態による、スラリーの化学配合物を制御するための、クローズドループスラリーシステムを示す概略ブロック図である。
【
図3】様々な実施形態による、肉用トレイの底側の斜視図である。
【
図4】様々な実施形態による、
図3の肉用トレイの側面図である。
【
図5】様々な実施形態による、
図3および
図4の肉用トレイの上方平面図である。
【
図6】様々な実施形態による、
図5の肉用トレイの端面図である。
【
図7】様々な実施形態による、肉用トレイのためのスプレーコーティングシステムの概略斜視図である。
【
図8】様々な実施形態による、電子レンジに使用され、冷凍食品、調理済み食品、およびその他の食品の容器のために構成され、深い側壁を有し、全円錐および中空円錐を採用したデュアルノズルシステムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の本発明の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明自身、あるいは本発明の応用および用途を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景または以下の詳細な説明で提示される理論に拘束される意図もない。
【0018】
本発明の様々な実施形態は、飲食業界内外に使用される、繊維系の製品あるいはパルプベースの製品に関する。非制限の例によれば、本開示は、例えば、油バリア、湿気バリア、水蒸気バリア、酸素バリア、強度添加物、および歩留り向上剤のような、食品業界において、存在しなければ、繊維系の製品が使い捨てプラスチック容器を有効的に置き換えることができる範囲を制限する従来の食品業界が直面する特有のチャレンジを対処するために採用される、スラリーおよび局所の膜またはコーティングの化学配合に関する。新規なスラリー化学配合物を用いる結合表面コーティング技術(例えば、スプレーコーティング、浸漬)によれば、広い応用範囲、例えば、冷凍食品、冷蔵食品、および非冷蔵食品と、医療、製薬、および生物学的応用と、電子レンジ対応およびオーブン対応な食品容器と、飲料のカップおよび蓋と、食用液体および非食用液体と、貯蔵中、輸送中、および準備中(例えば、調理中)に水、油、および/または水蒸気を放出する物質と、消耗品および造園/園芸用の植物、花、ハーブ、低木、樹木などの園芸用途と、化学品の保管および分配装置(例えば、塗料トレイ)と、農産物(果物や野菜などの人間用および動物用の食材を含む)と、サラダと、調理済み食品と、肉、家禽、魚のためのパッケージと、蓋と、カップと、ボトルと、上記を処理および表示するためのガイドおよびセパレーターと、電子機器、鏡、美術品、その他の壊れやすい構成部品を梱包、保管、発送するための縁部パーツおよび角部パーツと、バケツと、チューブと、ガスケット、スペーサー、シール、クッションなどの産業用、自動車用、船舶用、航空宇宙用、軍事用のパーツと、関連する金型、ワイヤーメッシュフォーム、レシピ、スプレーシステムおよびスプレーノズルの構成およびプロセス、化学配合物、工具、スラリーの分配、化学物質のモニタリング、化学物質の注入と、上記のパーツを製造するための関連するシステム、装置、方法、および技術において、繊維系の製品が対象となるプラスチックを置き換えることを可能にする。
【0019】
スプレーコーティング技術の様々な実施形態は、水および/または油がトレイ表面に浸透し、凍結後に肉と共にはがれる現象に対処するために、電子レンジ用ボウルおよび肉用トレイ用の油バリアおよび/または蒸気バリアに関する。さらに、スプレーコーティングは、例えば、望ましくない汚れ(例えば、口紅)を軽減するために、飲料の蓋に適用する可能性がある。
【0020】
いくつかの実施形態において、電子レンジ用ボウル、スチーマー、またはトレイは、内側表面のみにスプレーコーティングされるのに対し、他の実施形態において、内側表面および外側表面の両方にスプレーコーティングされる。スプレーの応用のために、コーティングされる表面(例えば、円形状、環状、矩形状など)に密に近似するスプレーパターンを適用するように構成される。
【0021】
様々なスプレー、浸漬、またはほかのコーティング様式は、最終製品における所望の性能を得られる化学物質を使用する。様々な化学配合は、ポリエステルエマルジョンと混合したアルギン酸塩(例えば、藻類由来の派生物など)を含み、それを容器のある表面に適用することで、加熱の条件(例えば、電子レンジまたは従来のオーブンを使用する)下において、水蒸気が容器の壁(例えば、底壁)を透過することを低減させる。様々な化学配合物は、繊維系の容器の表面へのコーティングの結合を促進する炭酸カルシウム成分をさらに含んでもよい。多くの応用においては、このようなコーティングは、油の透過に対しても有効である。
【0022】
これらのコーティング化学品は、本明細書の他のところに説明した通り、スラリーにTG8111ベースのフッ素化学物質を組み込むことの代わりに(あるいはそれに加えて)使用されることができる。いくつかの実施形態において、表面コーティングは、主要な蒸気バリアおよび/または水分バリアの属性に加えて、副次的な油バリアの属性を有し得るとしても、それにもかかわらず、油バリアの成分もスラリーに埋め込むことが望ましい場合がある。
【0023】
様々な表面コーティングの実施形態は、プロセスの態様(例えば、所望の被覆目標を得るために化学品が表面に適用される方法)だけでなく化学の態様も考慮されている。プロセスの態様に関する考慮事項は、スプレー液滴のサイズと、スプレーの構成および向きと、スプレーの形状と、内側表面に膜を得るために、容器(例えば、ヨーグルト)内にコーティング配合物が充填されてからすぐに空にする「フィルアンドゴー(fill and go)」技術とが含まれるが、これらに限定されることがない。
【0024】
この点について、蒸気バリア(例えば、冷凍中の冷凍食品の乾燥を防ぐため)および酸素バリア(冷蔵中に鮮度および賞味期限を保つため)は、一般的に保護表面の完全な被覆(例えば、100%)を求めるが、一方、湿気(例えば、水)バリアコーティング(例えば、1回以上の冷凍/解凍サイクル後に肉が肉用トレイにくっつくことを防ぐ、またはデンプン(starches)が電子レンジ用ボウルにくっつくことを防ぐため)は、表面を完全に覆うよりも実質的に少ない範囲で効果を発揮することに有効である。
【0025】
様々な実施形態において、容器を真空成形することに使用されるスラリーに組み込まれる一つ以上のバリア化学配合物に加えてまたは代わりに、スプレーおよび他のコーティングプロセスは、最終製品の容器の表面に蒸気バリア、酸素バリア、湿気バリア、および/または油バリアを適用するために使用されることができる。ある好ましい実施形態において、一つの湿気バリア成分がスラリーに混合され、そして、例えば、内側表面のみがコーティングされる場合(例えば、非粘着性バリアのため)、一つの油および/または蒸気バリアは、形成された容器に適用される。
【0026】
スプレーコーティングの用途としては、特に電子レンジ用ボウル、冷凍食品、および肉用トレイなどが考えられる。用途によっては、水分バリア、蒸気バリア、油バリア、および酸素バリアの一つ以上をスプレーコーティングすることが好ましい場合がある。電子レンジ用ボウルの場合、保存期間の問題を考慮する意味では、被覆が必ずしも100%である必要がない場合がある。スプレー技術は、水分バリアおよび/または蒸気バリアを適用する場合に使用されるだけでなく、肉(一つ以上の冷凍/解凍サイクルのあと)が冷凍条件下でトレイより除去される際、肉が紙繊維を引きちぎることがないように、「くっつく」ことを防止するために使用される。ヨーグルトおよび他の応用では、一般的に100%に近い被覆を要求しない水蒸気バリアおよび酸素バリアのためにスプレーコーティングを使用する。
【0027】
通常、スプレーコーティングを使用するケースは、以下の関連事項を有している:i)適用されるコートの化学配合、ii)熱物理学的、レオロジーおよび粘弾性の特性、iii)容器、パッケージ、およびその他のワークピースの一つ以上の表面(または表面の一部)にコーティングを適用するための装置、iv)乾燥時間および温度のようなプロセスパラメータ。
【0028】
スプレーコーティングを使用する典型的なケースは、冷凍後の肉が繊維トレイにくっつくことを防止することに役立つために、肉用トレイに湿気バリアをコーティングすることが挙げられる。冷凍後に肉がトレイにくっつく範囲を削減するように、トップ(表面)コーティング(スプレーまたはほかの技術)が適用可能である。このようなコーティングは、たとえば肉やジュースをトレイに置いて冷蔵庫で保管しているときなど、凍らなくてもトレイの強度および剛性を維持するのに役立つ。
【0029】
スプレーコーティングされる肉用トレイの製造方法の一例では、最大100%のOCC、またはOCCおよび二重裏地クラフト(DLK)紙の任意の組み合わせを含む水性繊維系のスラリーより開始することが可能である。(あるいは、本明細書に説明した様々なスラリーのベースは、リサイクル繊維およびバージン繊維の混合物を含んでもよく、または、スラリーのベースは、電子レンジ用ボウルに関連して以下に説明するように、100%のバージン繊維(例えば、硬材(hardwood)、軟材(softwood)、またはそれらの組み合わせ)を含んでもよい)。
【0030】
水分/湿気バリア(例えば、2%~5%、好ましくは約4%のAKD)、乾性強度添加剤(例えば、5%~4.5%、好ましくは約4%のデンプン状(starch)のHercobond(登録商標)6950または改質デンプン)、および湿性強度添加剤(例えば、Kymene(登録商標))は、スラリーに添加されてもよい。トレイが真空形成された後(例えば、約55秒間でホットプレスにより乾燥された後)、これらのトレイは、スタッカに転送され、そして、トレイのスタックは、スプレーコーティングステーションに転送され、そこでトレイのスタックが解除され、コンベア上の対応するポケット内に落下し、追加の水分コーティングが各トレイに連続または並行して適用される。
【0031】
様々な実施形態において、追加のコーティングは、複数のトレイの上方に配置される二つの固定ノズルを備えるシステムを用いて適用されることが可能であり、各ノズルは、トレイが下方に通過すると、壁またはカーテン(エアナイフにかなり似ている)の形式のスプレーパターンを出力する。これにより、各ノズル(あるいはノズルの組み合わせ)は、ワークピースの移動方向に適切に直交するラインで終結するスプレーパターンを生成する。一つの実施形態において、傾斜した側壁、構造リブ、その他の幾何学的特徴を確実に完全にコーティングするために、一方のノズルが前方(トレイの移動方向に向かって)に傾けられ、他方のノズルが後方に傾けられてもよい。
【0032】
あるいは、側壁の深さが限られた実質的にフラットなトレイの場合、または膜の均一性がそれほど重要ではない用途の場合は、単一のカーテン型スプレーの構成を使用してもよい。
【0033】
トレイが十分な被覆(例えば、十分にコーティングされている)を確保できたかどうかを評価する一つのメトリクスは、コーティング前後のトレイの重量を比較することで、トレイに適用されるコーティング材料の重量が所定の閾値(または範囲)を満たしているかどうかを判断する。あるいは、または付加的に、適用された膜の厚さを測ることにより、コーティングの厚さが所定の閾値(または範囲)を満たしているかどうかを判断する。
【0034】
いくつかの実施形態において、適用されるコーティングの均一性も測定され、将来のトレイに応用されるプロセスパラメータは、均一性を向上させるために必要に応じて調整されることが可能であり、この場合、均一性は、少なくとも下記の二つの考慮要素があり、すなわち、i)局所の点または領域において、膜の層が薄すぎるため、有効的なバリアが形成されていないかどうか、ii)局所の点または領域において、膜の層が厚すぎるため、完成されたトレイがこの点で十分に乾燥されないことで、傷や皮剥がれ(膜のトップ層が滑り落ちたり、膜から剥がれたりする現象)が発生するかどうか。
【0035】
コーティングされたトレイは、その後オーブンで70℃~180℃の範囲内、より好ましくは80℃~110℃の範囲内、最も好ましくは約95℃で約一分間乾燥されることで、湿気を除去するとともに適宜膜層を硬化させる。赤外(IR)センサは、肉用トレイの一点または複数の点において温度を探知し、適切な硬化温度に達したことを保証する。
【0036】
肉用トレイの場合、コーティング配合物は、25%のアクリルと75%の水とを含む場合があり、ここで、アクリルは、アクリル共重合体ラテックス、またはダウ・ケミカル株式会社(DOW Chemical Corporation)から入手可能なRhobarr(登録商標)110バインダーなどの類似材料を含んでもよい。この意味では、コーティングは、冷凍肉をトレイから取り出すときに肉用トレイのトップ層が剥がれるのを防ぐ膠着防止層として機能する。
【0037】
いくつかの実施形態において、トレイのいくつかあるいは全ての対向する側(底面および/または外部側壁を含む)も同様にコーティングされてもよい。これは、例えば、パッケージが横にして保管されると、トレイと外側のプラスチックラップとの間のシールの周りからジュースが漏れる場合、肉からの冷凍ジュース(例えば、血、油、水)がトレイの外部に付着する範囲を削減する。
【0038】
蒸気および/膠着防止バリアも油の透過を防止するのに有効であり、肉用トレイは、一般的に単独の油バリアを必要としない。
【0039】
アクリルの代替または追加として、エンドウ豆エマルジョンにアルギン酸塩を追加した配合物は、肉用トレイ、電子レンジ用ボウル、および/またはその他の包装部材にも使用できる。
【0040】
乾燥後、トレイは、積層され、箱詰めされて出荷される。
【0041】
「インスタント食品」(ready-to-eat,RTE)トレイという単語は、サラダ、フルーツ、調理済み食品、およびその他の食品トレイの周囲を密閉したがプラスチック膜を用いて包装し、冷蔵庫に保管する容器を意味する。RTEトレイは、鮮度および賞味期限を向上させるために、酸素バリアを提供するようにコーティングされてもよい。
【0042】
局所膜バリアを有さないRTEトレイは、30%~100%のOCC/DLKおよび0~70%のバージンパルプを有し、好ましくは約100%のOCC/DLKを有するOCC/DLKスラリーに、以下の成分添加することで作製されることが可能である:i)1%~5%のダイキン8111を有し、好ましくは約4%のダイキン8111を有する油バリア、ii)2%~5%のAKDを有し、好ましくは約3.5%のAKDを有する湿気/水分バリア、iii)Hercobond(登録商標)のような3%のデンプン状成分を有する補強成分。
【0043】
局所膜バリアを有するRTEトレイは、実質的に上記同様の方法で作製されることが可能であり(ただし、おそらくダイキン8111による油バリアを除去し、および/またはAKDを4%まで増加させる)、さらにアクリル水溶液(例えば、25%のRhobarr(登録商標)110および75%の水)を有する局所酸素バリアを添加する。RTEトレイおよび容器(例えば、ヨーグルトカップ)にとっては、より完全な(例えば、100%)の被覆率を確保するために、膜は、一般的に上記の肉用トレイの場合のものよりも厚い。
【0044】
コーティングされていない電子レンジ用ボウルは、最大100%のバージン繊維(軟材、硬材、またはそれらの組み合わせ)を有するスラリーを使用して作製されることが可能である。一つの実施形態において、スラリーのベースは、約45%の漂白硬材、約35%の漂白軟材、および約25%の非漂白軟材を含む。このスラリーは、さらに油バリア(例えば、2.5%のダイキン8111)、水分バリア(例えば、3%のAKD)、乾性強度添加剤(例えば、2.5%のデンプン物質)、歩留まり添加剤(例えば、0.15%のNalco(登録商標))、および混入された空気を除去するための消泡剤成分(例えば、1.5%のExpair)を含んでもよい。
【0045】
コーティングされた電子レンジ用ボウルは、上記のコーティングされていない電子レンジ用ボウルに関連する実質的なバージン繊維スラリーベースを使用して作製されることができ、さらに油バリア、歩留まり添加剤、および消泡剤を除外し、約3%の水分バリア(AKD)および約2.5%のデンプン物質を含んでもよい。コーティング配合物は、水溶液中に約27.5%の固形分を含むことができる。この27.5%の固形分は、下記の五つの成分の一部または全部の適宜の組み合わせ(DWP配合と呼ばれる場合がある)を含むことができる:i)25%のアクリレート、ii)1.8%のコメヌカワックス(rice bran wax、粘着性を減少させる)、iii)0.4%のペクチン(蒸気バリアの生成を容易にし、かつ、積層されたボウルを分けることを容易にするために粘着性を減少させる)、iv)0.3%のエンドウタンパク質(コメヌカワックスの乳化を促進することが可能である)、およびv)液体アンモニウムまたはその他の添加剤を使用してpH値を調整し、かつ、アクリレートの硬化を促進する。
【0046】
深い側壁を有するボウルおよび包装部材のために、一つのラインで終結するカーテンタイプのスプレーの出力が不十分である。この点を解決するために、本願の発明者は、中空円錐のスプレーパターンに結合する全円錐スプレーパターンを有するデュアルノズルスプレーパラダイムを発明し、ここで、二つのスプレーパターンは、併せて底面を過剰にスプレーすることなく、底面および側壁に対し、適切な被覆率を提供する。
【0047】
一つの好ましい実施形態において、コーティングは、スプレーコーティングステーションを通過するボウルを運ぶコンベア上に配置されたデュアルノズルシステムを使用して適用される。第1の「全円錐」ノズルは、各ボウルの中央(底部)をカバーするように構成され、第2の「中空円錐」ノズルは、各ボウルの内側側壁をカバーするように構成される。全円錐スプレーパターンおよび中空円錐スプレーパターンは、全円錐スプレーパターンが中空円錐スプレーパターンに重なる範囲における過剰の膜厚さを最小化しながら、完全な被覆率を確保するように、好適に構成されている。
【0048】
一つの好ましい実施形態において、ボウルおよびその他の包装部材がコンベアに沿って移動することにつれて、ノズルシステムは、所定の期間にわたって、同様の経路を移動することにより、スプレー中にノズルがボウルに対して並進運動しない。したがって、スループットを損なうことなく、ノズルは、各ボウルに対して「静止状態」を保つことが可能である。
【0049】
コーティングされたヨーグルトカップは、上記のコーティングされていない電子レンジ用ボウルに関連する実質的なバージン繊維スラリーベースを使用して作製されることができ、さらに4%の水分バリア(AKD)および3%のデンプン物質を有する。上記のスプレー方法の代わりに(あるいは加えて)、下記のいずれか一方を使用して局所酸素バリアを適用することができる:i)カップをコーティング溶液のプールに浸し、それによって内面および外面の両方をコーティングする完全浸漬ステップ、あるいはii)コーティング溶液をカップが満杯になるまで注ぎ、その後排出してカップの内面をコーティングする「フィルアンドダンプ(fill and dump)」技術。この意味では、前述のDWP配合と同じか、より希釈した(より低いアクリレート濃度)バージョンを使用することもできる。ちなみに、注がれた溶液は、廃棄物を減らすためにオープンループシステムまたはクローズドループシステムで再循環できる。
【0050】
コーティングされたカップは、その後約95℃のオーブン内で約1分間乾燥され、そして積層され、箱詰めされて出荷される。
【0051】
伝統的なマカロニアンドチーズ(マッケンチーズ)ボウルでは、パスタは乾燥していて、チーズは通常、プラスチックまたはホイルの封筒に個別に包装されている。このように、酸素バリア層は、必要な場合もあれば、必要でない場合もある。酸素バリア層が必要となる場合、例えば、それは、上述の完全浸漬またはフィルアンドダンプ技術のいずれか一方(または両方)を用いて適用することができる。酸素バリア層が必要でない場合、粘着防止コーティングを上記の通り適用することができる。
【0052】
DWP配合の代替バージョンでは、0.3%エンドウタンパク質(粉末)を除去し、0.05%のツイン80(Tween 80、乳化剤)を使用して、コメワックスを乳化するのと実質的に同じ機能を実行する。
【0053】
ちなみに、粉末状のペクチンを使用する代わりに、我々は、混合しやすい水性バージョンを使用する。
【0054】
局所コーティングの配合は、以下のものを含むことができる。
【表1】
【0055】
より一般的に、DWPスプレーコーティングは、15%~40%の範囲内、好ましくは25%~30%の範囲内、最も好ましくは約27.5%の合計重量の固形物を含有する水性の配合物として説明できる。この配合物の成分の1つは、硬化、架橋、および重合時に、所望の水分バリア層、油バリア層、および/または酸素バリア層の形成を促進するアクリルポリマーを含むことができる。この配合物には、非粘着性およびコーティングされた表面の非光沢表面仕上げを提供するために、コメヌカワックスも含まれている。ワックスは、安定した水性分散のために、エンドウタンパク質で乳化されている。この配合物には、スプレーコーティング中に疎水性繊維表面に最適に接着するための粘度調整剤としてペクチンも含まれている。この配合物のpH値は、アクリルポリマーの溶解性を維持するためにアンモニアが添加されているため、約9.0となる。
【0056】
コメヌカワックスを「RBW」で表記し、エンドウタンパク質を「PP」で表記し、ペクチンを「Pec」で表記し、ガロンを「G」で表記し、リットルを「L」で表記し、キログラムを「kg」で表記すると、局所コーティングとして適用される溶液の調製について、下記のような75ガロンのバッチの例を用いて説明する。
【0057】
35.6ガロンの水を少なくとも華氏185度まで加熱し、ワックスペレットが完全に溶けて溶液の温度が華氏185度に戻るまで5.1kgのRBWを約12分間で高速で混合する。0.85kgのPPを混合物に約1分間添加する。そして、塊が見えなくなるまでPPをさらに10分以上混合する。1.14kgのPecを0.5分間かけて添加し、塊が見えなくなるまでさらに15分間またはそれ以上の間内容物を混合する。低速で混合を継続し、バッチ温度を約華氏120度にする。混合と同時に、37.5ガロンのRhobarr(登録商標)110をバッチに添加し、10分間混合し続ける。ゆっくりと2.15Lの4%のアンモニアをバッチに注ぎ、さらに10分間混合し続ける。
【0058】
図1を参照すると、繊維系のスラリーを用いる例示の真空成形システムおよびプロセス100は、製造される製品の鏡像の形をなす金型(明確性のために図示せず)が金型の輪郭に一致するように薄いメッシュフォーム102で包まれている第1ステージ101を含む。繊維系スラリーの供給104は、圧力(P1)106(通常では周囲圧力)で入力される。金型内でより低い圧力(P2)108を維持することにより、スラリーは、メッシュフォームを通して引き出され、金型の形状に繊維粒子を捕捉しながら、余分なスラリー110を排出してシステムに再循環させる。
【0059】
続いて
図1を参照すると、第2ステージ103は、金型の形状に沿ったワイヤメッシュの周囲に繊維層130を蓄積することに関する。層130が所望の厚さに到達すると、金型は、湿式または乾式硬化のための第3段階105に入る。湿式硬化プロセスにおいて、成形されたパーツが加熱プレス(図示なし)に移行され、かつ、層130は、圧縮されて所望の厚さに乾燥されることにより、完成されたパーツのための滑らかな外側表面の仕上げが得られる。乾式硬化プロセスにおいて、加熱された空気が層130の上を直接通過してそこから水分を除去する結果、従来の卵パックによく似た、よりテクスチャ化された仕上げ(more textured finish)が得られる。
【0060】
様々な実施形態に沿って、真空成形プロセスは、クローズドループシステムのように操作され、未使用のスラリーは、製品が形成される槽内に再循環される。これにより、一部の化学添加物(以下で詳細に説明する)が個別の繊維内に吸収され、一部の化学添加物が水ベースの溶液内に残される。真空成形の過程において、(一部の添加物を吸収した)繊維のみがフォームに捕捉されるとともに、残りの添加物がタンク内に戻されて再循環される。その結果、成形されたパーツに捕捉された添加物のみが補充されなければならない一方、残りの添加物は、溶液内におけるスラリーとともに再循環される。下記で説明されるように、システムは、真空タンク内のスラリーを構成する構成成分の所定の体積比で定常状態の化学反応を維持している。
【0061】
図2を参照すると、スラリーの化学配合を制御するためのクローズドループスラリーシステム200が記載されている。図示の実施形態において、タンク202は、特定の所望の化学配合を有する繊維系スラリー204によって充填され、そして真空金型206がスラリー槽内に浸漬されて成形品を形成する。成形品が所望の厚さに形成されてから、金型206は、後続のプロセス208(例えば、成形、加熱、乾燥、トップコーティング等)のために除去される。
【0062】
典型的な湿式プレスプロセスにおいて、ホットプレス温度範囲は、約150℃~250℃の範囲内にあり、ホットプレス圧力範囲は、約140kg/cm2~170kg/cm2の範囲内にある。最終製品の密度は、約0.5g/cm3~1.5g/cm3の範囲内にあるべきが、おそらく約0.9g/cm3~1.1g/cm3の範囲内にある。最終製品の厚さは、約0.3mm~1.5mmの範囲内にあり、好ましくは約0.5mm~0.8mmの範囲内にある。
【0063】
続いて
図2を参照すると、パルプおよび水を含む繊維系のスラリーは、スラリー入力210におけるタンク202内に注入される。様々な実施形態において、グラインダーを使用してパルプ繊維を粉砕し、追加の結合部位を作成することもできる。1つ以上の付加部品または化学添加物は、対応する入力212~214で提供されることが可能である。スラリーは、需要に応じて追加のパルプおよび/または水を添加するためのクローズドループ導管218を用いて再循環されることができる。所望の化学添加物の定常状態のバランスを維持するために、サンプリングモジュール216は、スラリーの構成成分の測定またはモニタリングし、かつ、それぞれの入力212-214を制御することによって、それぞれの添加レベルを動的または周期的に調整するように構成される。典型的に、スラリーの濃度は、約0.1%~1%の範囲内にあり、最も理想的には約0.3%~0.5%の範囲内にあり、より好ましくは約0.4%~0.5%の範囲内にある。一つの実施形態において、様々な化学成分は、所望の所定の体積パーセンテージに維持され、あるいは、化学成分は、重量パーセンテージまたはその他の望ましい制御方式に基づいて維持されることもできる。
【0064】
タンク202に使用されるパルプ繊維は、繊維-繊維間の結合を改善し、繊維および化学物質の結合を改善するために、機械的に粉砕されてもよい。これにより、スラリーは、繊維材料のろ水度または排水率が変化するように精製プロセスを受ける。精製プロセスによれば、繊維を物理的に改質しフィブリル化して、より良好な結合が得られるようによりしなやかにする。また、精製プロセスは、最終製品の引張強度および破裂強度を向上させる。様々な実施形態において、フリーネスは、繊維の表面状態および膨潤に関連する。フリーネス(csf)は、本明細書に記載されるプロセスおよび製品の多くについて、好適に200~700の範囲内であり、好ましくは約350~550の範囲内である。
【0065】
様々な繊維系のパッケージおよび容器のための様々な化学配合(本明細書において、「ケミストリー」と参照される場合がある)と、スプレーコーティングおよび浸漬システムと、ノズル構成および製品構成と、併せて局所コーティングを適用するための様々な方法は、
図3-
図8を参照して下記で説明する。
【0066】
図3は、肉用トレイ300の斜視図であり、底面の下側302および側壁304の外側表面を示している。
【0067】
図4は、
図3における肉用トレイ402の側面図である。
【0068】
図5は、
図3および
図4における肉用トレイの平面図であり、トレイの底部領域の上面502と、それぞれの側壁504,506を示している。
【0069】
図6は、
図5における肉用トレイ602の端面図である。
【0070】
図7は、様々な実施形態に沿って、肉用トレイにスプレーコーティングするのに有用なスプレーコーティングシステム700の概略斜視図である。
【0071】
より具体的に、システム700は、矢印730で示される方向に沿って運搬されるトレイを保持するポケット710を有するコンベア708を備える。トレイは、構造的特徴(例えば、リブ)706を有する底部パネル704を含み、かつ、側壁702によって囲まれている。
【0072】
続いて
図7を参照すると、示されたスプレーシステムは、対応する第1スプレーノズル712および第2スプレーノズル718を含む。ノズル712は、方向730に実質的に垂直するライン716で終結し、側エッジ714に区画される実質的な平面スプレーパターン715を排出するように構成される。ノズル718は、方向722に実質的に垂直するライン716で終結し、側エッジ720に区画される実質的な平面スプレーパターン721を排出するように構成される。トレイがスプレーノズルの下方を通過するため、スプレーライン716,722は、底面704および/または側壁702の内面のすべてまたは選択された部分にコーティングを適用する。
【0073】
図8は、全円錐スプレーパターンを排出するように構成される全円錐ノズル810と、環状(または「ドーナツ」)の形状のスプレーパターンを排出するように構成された中空円錐ノズル814とを有するスプレーコーティングシステム800の概略斜視図である。特に、システム800は、ワークピース(ボウル)の内側底面802に全円錐スプレーパターン812を適用するように構成される。システム800は、さらにワークピースの側壁804の内面に中空円錐スプレーパターン816を適用するように構成される。
【0074】
続いて
図8を参照すると、コンベア806は、矢印830(
図8の右側へ)に定義される方向に沿ってトレイを運搬するように構成される。一つの実施形態において、コンベア806は、矢印830の方向に順次移動し、したがって静止プラテン820から吊り下げられた静止ノズル810,814の下方に連続するトレイを位置させるように構成されることができる。この位置において、左側のボウルについて、自身の底部がスプレーコーティングされると同時に、右側のボウルについて、自身の側壁がスプレーコーティングされる。次の位置までに移動すると、先にノズル810の下方に位置するボウルは、次にノズル814の下方に配置され、その続きも同様である。
【0075】
代替の実施形態において、ワークピースのトータルスループットは、コンベア806を連続方式(順次インデックス付けとは対照的に)で操作することにより増加できる。スプレーコーティングの間に、ノズルシステムおよび下方に位置するワークピースの間の位置登録関係を維持するために、プラテン820は、ノズル間の相対移動を一時的に中断するようにコンベア830とともに右側へ移動し、その後左側へ向けてシフトすることにより、コーティングされる予定の次のシリーズのワークピースにノズルを整列させるように構成されてもよい。
【0076】
図8は、二つのワークピースと、一つの全円錐ノズルおよび一つの中空円錐ノズルとが示されているが、当業者は、このシステムがプラテン820の各往復動作に対して任意の数のノズルおよびワークピースを収容できるように拡張できる点を理解できる。
【0077】
上記で簡単に述べたように、本発明に基づいて、容器を真空成形するために用いられる様々なスラリーは、繊維系のパルプおよび水の混合物を有し、さらに、各特定の応用製品に合わせて調整され、所望の性能特性を導入するような化学添加成分を有する。ベース繊維は、少なくとも以下の材料:軟材(SW)、バガス、竹、古い段ボール(OCC)、および新聞用紙(NP)の中から任意の一つまたは複数の組み合わせを有してもよい。あるいは、ベース繊維は、次の資料、すなわちhttps://books.google.com/books?id=jTL8CwAAQBAJ&pritsec-frontcover#v=onepage&q&f-falseで参照できる、モハメド・ナセル・ベルガセム氏(Mohamed Naceur Belgacem)およびアントニオ・ピッツィ氏(Antonio Pizzi)により編集された、「リグノセルロース繊維と木材ハンドブック:今日の環境のための再生可能材料(Lignocellulosic Fibers and Wood Handbook: Renewable Materials for Today’s Environment)」(Copyright 2016 by Scrivener Publishing, LLC)と、tappsa.co.za/archive/APPW2002/Title/Efficient_use_of_fluorescent_w/efficient_use_of_fluorescent_w.htmlで参照できる、リーサ・オールソン氏(Liisa Ohlsson)およびロバート・フェデール氏(Robert Federe)による、2002年10月8日にアフリカンパルプおよびペーパーウィーク(African Pulp and Paper Week)にて発表された「白紙および板紙の製造における蛍光増白剤と遮光着色剤の効率的な利用(Efficient Use of Fluorescent Whitening Agents and Shading Colorants in the Production of White Paper and Board)」と、books.google.com/books?id=xO2iAgAAQBAJ&printsec=frontcover#v=onepage&q&f=falseで参照できる、J・F・ケネディ氏(J F Kennedy)、G・O・フィリップス氏(G O Philips)、およびP・A・ウィリアムズ氏(P A Williams)により編集された、セルロース系パルプ、繊維および材料:セルコン98(Cellucon ’98)論文集(Copyright 2000 by Woodhead Publishing Ltd.)と、名称が「紙パルプのろ水度を向上させるための分解酵素および凝集剤の応用方法(Application of Enzymes and Flocculants for Enhancing the Freeness of Paper Making Pulp)」である米国特許第5169497号明細書とに基づいて選択され得る。
【0078】
繊維系のOCCあるいはOCC/DLKおよびNPは、湿式または乾式プレスのいずれか一方の場合において使用されることが可能であり、ここで、OCC/DLKの成分は、50%~100%の範囲内にあり、好ましくは、約70%のOCC/DLK、30%のNPあるいはVNP、そして1重量%~10重量%の範囲内にあり、好ましくは約1.5重量%~4重量%の範囲内にあり、最も好ましくは約4重量%の防湿/撥水剤が添加される。好ましい実施形態では、湿気/水分バリアは、fobchem.com/html_products/Alkyl-Ketene-Dimer%EF%BC%88AKD-WAX%EF%BC%89.html#.V0zozvkrKUkにおいて記載されるFOBCHEM、およびyztianchengchem.com/en/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=38&id=124&gclid=CPbn65aUg80CFRCOaQod0JUGRgにおけるエン州天成化工有限会社(Yanzhou Tiancheng Chemical Co.,Ltd.)から入手可能な、アルキルケテンダイマー(AKD)(例えば、Hercon(登録商標) 79、Hercon(登録商標) 80)および/または長鎖ジケテンを含み得る。
【0079】
成形パルプ製品のための特定の色を生じさせるために、カチオン性染料または繊維反応性染料が、パルプに添加され得る。Procion(登録商標)MXなどの繊維反応性染料は、繊維と分子レベルで結合し、化学的に生地の一部となる。また、塩、ソーダ灰を添加すること、および/またはパルプ温度を増加させることは、吸収された染料が生地内にさらに閉じ込められて、色のにじみを防止し、色の深さを向上させるのに役立つ。
【0080】
構造的剛性を向上させるために、デンプン成分が、例えば、Topcat(登録商標)L98カチオン性添加剤(またはソレニス合同会社(Solenis LLC)より入手可能なHercobond(登録商標)6950)、Hercobond(登録商標)、およびTopcat(登録商標)L95カチオン性添加剤(アイオワ州シーダーラピッズ(Cedar Rapids,Iowa)に所在のペンフォードプロダクツコーポレーション(Penford Products Co.)から入手可能)として市販されている液体デンプンが、スラリーに添加され得る。代替的に、液体デンプンはまた、Penbond(登録商標)カチオン性添加剤およびPAF 9137 BRカチオン性添加剤(アイオワ州シーダーラピッズ(Cedar Rapids,Iowa)に所在のペンフォードプロダクツコーポレーション(Penford Products Co.)から入手可能)として入手可能なものなどの、低電荷液体カチオン性デンプンと組み合わせることもできる。
【0081】
乾式プレスプロセスに関して、Topcat(登録商標)L95またはHercobond(登録商標)6950は、0.5重量%~10重量%、好ましくは約1重量%~7重量%の範囲内で、特に高湿度環境で強度を維持する必要がある製品については、最も好ましくは約6.5重量%、そうでなければ、最も好ましくは約1.5~2.0重量%の範囲内で添加され得る。湿式プレスプロセスに関して、繊維および微粒子と水素およびイオン結合の両方を形成する、修飾ポリアミンから作製される、Topcat(登録商標)L95またはHercobond(登録商標)6950などの、乾燥強度添加剤である。乾燥強度添加剤は、乾燥強度を増加させること、ならびに排水および歩留まりに役立ち、繊維製品にアニオン、疎水性物質およびサイズ調整剤を固定するのにも効果がある。これらの添加剤は、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~6重量%、最も好ましくは約3.5重量%で添加され得る。加えて、湿式および乾式プロセスの両方は、湿潤強度添加剤、例えば、Kymene(登録商標)920Aまたは1500などのポリアミド-エピクロロヒドリン(PAE)樹脂、またはashland.com/productsに記載された、アッシュランド特殊化学製品(Ashland Specialty Chemical Products)から入手可能な同様の成分で配合された溶液の添加からも利益を得られる。好ましい実施形態では、Kymene(登録商標)920Aまたは1500は、0.5体積%~10体積%の範囲、好ましくは約1体積%~4体積%、最も好ましくは約2体積%または乾燥強度添加剤の投与と等量で添加され得る。Kymene(登録商標)920Aまたは1500は、1分子当たり平均2つ以上のアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有するポリカチオン性材料のクラスのものである。このようなアミノ基は、カチオン性種を生成するために酸性溶液中でプロトン化する傾向がある。ポリカチオン性材料の他の例としては、ハーキュリーズ社(Hercules)製のHercosett 57およびチバガイギー社(Ciba-Geigy)製のCatalyst 3774として市販されている、縮合アジピン酸およびジメチレントリアミンから調製されたもののような、アミノ含有ポリアミドをエピクロロヒドリンで修飾したことに由来するポリマーが挙げられる。
【0082】
本願の発明者は、成形繊維容器は、スラリーにバリア化学物質を埋め込むか、完成した真空形成容器に局所コーティングを添加するか、またはその両方によって、電子レンジ、対流式オーブン、および従来のオーブンにおける使用に好適な使い捨て食品容器として好適である点を見出した。特に、スラリーおよび/または局所コーティング化学物質は、有利には、以下の3つの性能測定基準、i)湿気バリア、ii)油バリア、およびiii)水蒸気(縮合)バリアのうちの1つ以上に対応して、熱い容器を容器よりも低い温度を有する表面上に設置することによる凝縮を回避するべきである。
【0083】
この文脈では、水蒸気が容器に浸透する程度は、容器の多孔性に関連し、これは本発明によれば、低減させようとするものである。すなわち、容器が油および水に対して効果的に不透過性である場合でも、特に水蒸気が寒冷な表面上で凝縮し、湿気リングを残す場合、水蒸気が容器に浸透すると、使用者体験を損なう可能性がある。本願の発明者は、水蒸気は、典型的にはプラスチックバリアに浸透しないため、凝縮問題は、繊維系用途で特に顕著であるとさらに判断した。
【0084】
したがって、電子レンジ使用可能な容器に関して、本発明は、水分バリア、油バリア、および水蒸気バリア、ならびに任意選択の歩留まり向上剤を含む、繊維またはパルプ系スラリーを企図する。一実施形態では、約10%~90%の範囲内、好ましくは約7:3の比で軟材(SW)/バガスの繊維ベースが、使用され得る。湿気バリアとして、AKDは、約0.5%~10%の範囲、好ましくは約1.5%~4%、最も好ましくは約3.5%で使用され得る。油バリアとして、グリースおよび撥油添加剤は、多くの場合、ダイキンまたはworldofchemicals.com/chemicals/chemical-properties/unidyne-tg-8111.htmlで掲載されたように、World of Chemicalsから入手可能な、UNIDYNE TG 8111またはUNIDYNE TG-8731などのフッ素樹脂もしくは他のフッ素含有ポリマーの組成物を含有するフッ素の水系乳剤である。スラリー(または局所コーティング)の油バリア成分は、重量パーセンテージとして、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~4重量%、最も好ましくは約2.5重量%で含み得る。歩留まり向上剤として、イリノイ州ネイパービル(Naperville,Ill.)所在のナルコカンパニー(Nalco Company)から入手可能なNalco(登録商標)7527などの有機化合物は、0.1体積%~1体積%の範囲内、好ましくは約0.3体積%で用いられ得る。最後に、完成品を強化するために、無機塩などの乾燥強度添加剤(例えば、solenis.com/en/industries/tissue-towel/innovations/hercobond-dry-strength-additives/で入手可能なHercobond(登録商標)6950、またsfm.state.or.us/CR2K_SubDB/MSDS/HERCOBOND_6950.PDFを参照する)が、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1.5重量%~5重量%、最も好ましくは約4重量%で用いられ得る。
【0085】
挙げられるように、蒸気バリア性能は、繊維トレイの多孔性によって直接影響を受ける。繊維トレイの多孔性の低減、したがって、蒸気バリア性能の向上は、少なくとも二つのアプローチを使用して実現することができる。一つは、繊維を粉砕することによってトレイ材料のろ水度を改善することによる。第二の方法は、例えば、水系長鎖フッ素含有ポリマーである、Daikin S2066を使用した局所スプレーコーティングによる。スプレーコーティングは、約0.1重量%~3重量%の範囲内、好ましくは約0.2重量%~1.5重量%、最も好ましくは約1重量%で使用して実装され得る。
【0086】
食料品店で家禽、牛肉、豚肉、および魚介類の展示用に使用されるものなどの、現在知られている肉用トレイは、典型的に、主にそれらの優れた湿気バリア特性のために、ポリスチレンおよび発泡スチロールなどのプラスチック系材料から作製される。本発明者は、電子レンジ可能な容器用に使用される前述の化学物質の変形は、特に水分バリアに関して、肉用トレイにおける使用に適合され得ることを判定した(油および多孔性バリアは、典型的には、電子レンジ用容器ほどには肉用トレイにおいて重要ではない)。
【0087】
したがって、肉用容器に関して、本発明は、水分バリアおよび任意選択の油バリアを含む、繊維またはパルプ系スラリーを企図する。一実施形態では、約10%~90%の範囲内、好ましくは約7:3の比で軟材(SW)/バガスおよび/またはタケ/バガスの繊維ベースが、使用され得る。湿気/水分バリアとして、AKDは、約0.5%~10%の範囲内、好ましくは約1%~4%、最も好ましくは約4%で使用され得る。油バリアとして、水系乳剤、UNIDYNE TG 8111またはUNIDYNE TG-8731などが用いられ得る。スラリー(または局所コーティング)の油バリア成分は、重量パーセンテージとして、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~4重量%、最も好ましくは約1.5重量%で含み得る。最後に、完成品を強化するために、Hercobond(登録商標)6950などの乾燥強度添加剤は、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1.5重量%~4重量%、最も好ましくは約4重量%で用いられ得る。
【0088】
農産物容器に関連して上記で考察されたように、スラリー化学物質および/またはスプレーコーティング化学物質は、構造的特徴と組み合わせて、湿気/水分がトレイに浸透するのを防止することによって、長期にわたる剛性を経時的に提供し得る。
【0089】
それゆえ、肉用トレイを製造する方法が提供される。本方法は、肉用トレイの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供することと、古い段ボール箱(OCC)および二重裏地クラフト(DLK)紙のうちの少なくとも1つを含む水性繊維系スラリーを調製することと、埋め込まれた湿気バリアをスラリーに添加することと、成形型をスラリーに浸漬させることと、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きすることと、蓄積された粒子を成形型から取り外すことと、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、肉用トレイを形成することと、肉用トレイをプレス機からコーティングステーションに移送することと、コーティングステーションにおいて肉用トレイの表面に、補助湿気バリア層を適用することと、を含む。
【0090】
一実施形態では、埋め込まれた湿気バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む。
【0091】
一実施形態では、方法は、乾燥強度添加剤をスラリーに添加することをさらに含む。
【0092】
一実施形態では、乾燥強度添加剤は、0.5%~4.5%のデンプンを含む。
【0093】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、肉用トレイを進行方向に沿って移動させて、スプレーシステムと係合するように構成されたコンベヤと、を備える。
【0094】
一実施形態では、スプレーシステムは、第1の所定のスプレーパターンを肉用トレイ上に吐出するように構成された第1のノズルを備える。
【0095】
一実施形態では、第1の所定のスプレーパターンは、肉用トレイにおけるラインで終結する実質的に垂直なカーテンを含み、前記ラインが、所定の厚さを有し、進行方向に対して実質的に直交するように配向される。
【0096】
一実施形態では、スプレーシステムは、第2の所定のスプレーパターンを肉用トレイ上に吐出するように構成された第2のノズルをさらに含み、第1のスプレーパターンは、進行方向に向かって角度付けされ、第2のスプレーパターンは、進行方向から離れて角度付けされる。
【0097】
一実施形態では、補助湿気バリア層は、水溶液中にアクリルコポリマーラテックスを含む。
【0098】
一実施形態では、補助湿気バリア層は、約1:3のアクリルおよび水の溶液を含む。
【0099】
本方法はまた、円周側壁によって境界付けされた実質的に平坦な円形の底部領域によって特徴付けられるタイプの電子レンジ用ボウルを製造するために提供される。本方法は、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供することと、硬材バージン繊維および軟材バージン繊維のうちの少なくとも1つを含む、水性繊維系スラリーを調製することと、埋め込まれた湿気バリアをスラリーに添加することと、成形型をスラリーに浸漬させることと、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きすることと、蓄積された粒子を成形型から取り外すことと、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成することと、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送することと、コーティングステーションにおいてボウルの少なくとも一部分に局所油バリア層を適用することと、を含む。
【0100】
一実施形態では、埋め込まれた湿気バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(
AKD)を含む。
【0101】
一実施形態では、本方法は、乾燥強度添加剤をスラリーに添加することをさらに含み、乾燥強度添加剤は、0.5%~4.5%のデンプンを含む。
【0102】
一実施形態では、局所油バリア層は、水溶液中に約27.5%の固体を含む。
【0103】
一実施形態では、固体は、アクリレート、コメヌカワックス、ペクチン、およびエンドウタンパク質を含む。
【0104】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、スプレーシステムの下の進行方向に沿ってボウルを移動させるように構成されたコンベヤと、を含む。
【0105】
一実施形態では、スプレーシステムは、全円錐スプレーパターンをボウルの底部領域上に吐出するように構成された第1のノズルと、中空円錐スプレーパターンを円周側壁の内側表面上に吐出するように構成された第2のノズルと、を含む。
【0106】
一実施形態では、本方法は、スプレーシステムを、進行方向に沿って移動させる工程をさらに含み、そのため、i)第1のノズルが、ボウルの上方に配設され、ボウルに対して第1の所定の期間の間、静止したままであり、ii)第2のノズルが、ボウルの上方に配設され、ボウルに対して第2の所定の期間の間、静止したままである。
【0107】
一実施形態では、第1の期間は、i)第2の期間よりも大きい、ii)第2の期間と等しい、およびiii)第2の期間未満、のうちの1つである。
【0108】
一つの方法は、傾斜した円周側壁によって境界付けされた実質的に円形の底部分を含むタイプの繊維系電子レンジ用ボウルを製造するために提供される。前記方法は、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、最大100%バージン繊維を含む、水性繊維系スラリーを調製する工程と、埋め込まれた湿気バリアをスラリーに添加する工程と、成形型をスラリーに浸漬させる工程と、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きする工程と、蓄積された粒子を成形型から取り外す工程と、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成する工程と、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送する工程と、コーティングステーションにおいてボウルの表面にアクリル系油バリア層を適用する工程と、を含み得る。
【0109】
一実施形態では、埋め込まれた湿気バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む。
【0110】
一実施形態では、油バリア層は、ボウル表面への結合を促進するための炭酸カルシウム成分を含む。
【0111】
一実施形態では、油バリア層は、エンドウ乳剤を含む。
【0112】
一実施形態では、油バリア層は、アルギン酸塩を含む。
【0113】
一実施形態では、油バリア層は、約25%アクリレートを含む水溶液と、粘着性を低減するように構成された第1の補助成分と、を含む。
【0114】
一実施形態では、第1の補助成分は、約1.8%のコメヌカワックスを含む。
【0115】
一実施形態では、第1の補助成分は、約0.4%のペクチンを含む。
【0116】
一実施形態では、油バリア層は、第1の補助成分の乳化を促進するように構成された第2の補助成分を含む。
【0117】
一実施形態では、第2の補助成分は、約0.3%のエンドウタンパク質を含む。
【0118】
一実施形態では、油バリア層は、油バリアコーティングのpHレベルを調整して、それにより、アクリレート硬化を促進するように構成された第3の補助成分を含む。
【0119】
一実施形態では、第3の補助成分は、約0.2%の液体アンモニウムを含む。
【0120】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、ボウルを進行方向に沿って移動させて、スプレーシステムと係合するように構成されたコンベヤと、を備える。
【0121】
一実施形態では、スプレーシステムは、全円錐のスプレーパターンをボウルの底部上に吐出するように構成された第1のノズルを備える。
【0122】
一実施形態では、スプレーシステムは、中空円錐スプレーパターンを側壁の内側表面に吐出するように構成された第2のノズルを備える。
【0123】
一実施形態では、油バリア層は、約1:3のアクリルおよび水の溶液を含む。
【0124】
方法はまた、円周側壁によって境界付けされた実質的に平坦な円形の底部領域によって特徴付けられるタイプの電子レンジ用ボウルを製造するために提供され、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、硬材バージン繊維および軟材バージン繊維のうちの少なくとも1つを含む、水性繊維系スラリーを調製する工程と、埋め込まれた水分バリアをスラリーに添加する工程と、成形型をスラリーに浸漬させる工程と、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きする工程と、蓄積された粒子を成形型から取り外す工程と、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成する工程と、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送する工程と、コーティングステーションにおいてボウルの少なくとも一部分に局所油バリア層を適用する工程と、を含み、局所油バリア層は、水溶液中に約27.5%の固体を含む。
【0125】
1つの実施形態において、固形物は、アクリレート、コメヌカワックス、ペクチン、およびエンドウタンパク質を含む。
【0126】
電子レンジ用ボウルは、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して製造され得る。
【0127】
本発明を前述の実施形態に関連して説明したが、本発明がそれに限定されないことは理解されよう。例えば、様々なスプレーシステムおよびノズル構成、スラリーの化学的性質、およびスプレーコートの化学的性質は、本発明の教示に基づいて追加の用途に適応するように調整することができる。
【0128】
本明細書において使用される際、「例示的な」という用語は、「1つの例(example)、例(instance)、または例解(illustration)として機能する」ことを意味する。「例示的な(exemplary)」として本明細書に記載される任意の実施態様は、必ずしも、他の実施態様より好ましいか、または有利であると解釈される必要はなく、また、文字通り複製されなければならないモデルとして解釈されることを意図するものでもない。
【0129】
上記の詳細な説明は、当業者に本発明のさまざまな実施形態を実施するための便利なロードマップを提供するものであるが、上記の特定の実施形態は単なる例であり、範囲、適用性、適用範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。または何らかの方法で本発明の構成を変更することができる。逆に、本発明の範囲から逸脱することなく、説明した要素の機能および配置に様々な変更を加えることができる。
【国際調査報告】