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▶ カルデラ ヒート バッテリーズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】改良型蓄熱体
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
F28D20/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525766
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 GB2022000084
(87)【国際公開番号】W WO2023073334
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】2115529.6
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2205907.5
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524157796
【氏名又は名称】カルデラ ヒート バッテリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CALDERA HEAT BATTERIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マクノートン、ジェームズ ドネリー
(72)【発明者】
【氏名】チャナ、クリシャン
(72)【発明者】
【氏名】スリー、ウィリアム ラナルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィンスタンレイ、ガイ アレクサンダー ジェームズ
(57)【要約】
エネルギー貯蔵システム用の熱貯蔵体(10)であって、熱エネルギー貯蔵体(14)を収納する内側容器(40)と、内側容器(40)を囲む外側容器(50)であって、内側及び外側容器(40、50)は、それらの間に延在する真空領域(11)によって離間している、外側容器(50)と、を備える、熱貯蔵体(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システム用の熱貯蔵体であって、
熱エネルギー貯蔵体を収納する内側容器と、
前記内側容器を囲む外側容器であって、前記内側容器及び前記外側容器は、前記内側容器と前記外側容器との間に延在する真空領域によって離間している、外側容器と、を備える、熱貯蔵体。
【請求項2】
前記真空領域の真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである、請求項1に記載の熱貯蔵体。
【請求項3】
前記真空領域における前記真空圧を維持するように動作可能な真空ポンプを備える、請求項2に記載の熱貯蔵体。
【請求項4】
前記熱貯蔵体は、前記熱貯蔵体における1つ又は複数の位置においてパラメータを測定するように動作可能なセンサーを備え、前記真空ポンプは、前記センサーが、前記パラメータが予め決められた値に到達したことを示すときはいつでも、動作するように構成されている、請求項3に記載の熱貯蔵体。
【請求項5】
前記真空領域内に設けられている断熱材をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項6】
前記断熱材は、前記内側容器の外壁に巻き付けられたn層の多層断熱材を含み、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含み、n≧50である、請求項5に記載の熱貯蔵体。
【請求項7】
nは約200である、請求項6に記載の熱貯蔵体。
【請求項8】
前記熱エネルギー貯蔵体への熱入力として機能するように動作可能な1つ以上の電熱体と、
熱伝達流体を受け入れるように動作可能な1つ以上の熱交換器と、を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項9】
前記熱エネルギー貯蔵体は固体貯蔵体であり、前記1つ以上の電熱体及び1つ以上の熱交換器は各々、前記固体貯蔵体内に埋め込まれている、請求項8に記載の熱貯蔵体。
【請求項10】
前記熱エネルギー貯蔵体は、固体サーマルフィラー材料が埋め込まれた固体熱伝導性マトリックスを含む中実体を含み、前記固体熱伝導性マトリックスは、前記固体熱伝導性マトリックス内に分散した前記固体サーマルフィラー材料への熱伝導性通路を形成する、請求項9に記載の熱貯蔵体。
【請求項11】
300℃超の温度まで前記熱エネルギー貯蔵体を加熱する構成である、請求項1~10のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項12】
前記内側容器は、前記内側容器の上方セクションを前記外側容器の上方セクションへ接続するネックコネクタによって、前記外側容器内に吊るされ、前記ネックコネクタは、前記内側容器及び前記熱エネルギー貯蔵体の重量を支え、且つ前記熱エネルギー貯蔵体用の供給ラインを収納する中心室を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項13】
前記外側容器は、輸送装置と係合するためのインターフェースを有し、前記インターフェースは、前記外側容器に設けられた1つ以上のソケットを備え、前記1つ以上のソケットは、輸送装置に設けられた輸送用ボルトを受け入れるように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項14】
動作不能位置と展開位置との間で可動な1つ以上のスプレッダプレートをさらに備え、前記展開位置において、前記スプレッダプレートは、前記外側容器に対する前記内側容器の動きを抑制するように動作可能である、請求項13に記載の熱貯蔵体。
【請求項15】
前記真空領域内に設けられた内部ブレースをさらに備え、前記内部ブレースは、前記外側容器の内面に係合するように且つ前記外側容器の圧縮に抵抗するように構成されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項16】
前記外側容器の前記内面はほぼシリンダー状プロフィールを有し、及び前記内部ブレースは、前記内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する、請求項15に記載の熱貯蔵体。
【請求項17】
前記内部ブレースは、径方向に収縮した構成と径方向に拡大した構成との間で拡大可能な、径方向に拡大可能なブレースである、請求項15又は16に記載の熱貯蔵体。
【請求項18】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記拡大した構成において付勢される、請求項17に記載の熱貯蔵体。
【請求項19】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側容器の前記内面に張力を加えるように、前もって負荷が加えられる、請求項18に記載の熱貯蔵体。
【請求項20】
前記径方向に拡大した構成において、前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側容器の前記内面に対し内側にぴったり嵌る、請求項17又は18に記載の熱貯蔵体。
【請求項21】
前記径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されているねじりブレースである、請求項17~20のいずれか1項に記載の熱貯蔵体。
【請求項22】
前記ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む、請求項21に記載の熱貯蔵体。
【請求項23】
前記ねじりブレースはヘリカルコイル構造を含む、請求項22に記載の熱貯蔵体。
【請求項24】
真空断熱容器であって、
内側容器と、
前記内側容器を囲む外側容器であって、前記内側容器及び前記外側容器は、前記内側容器と前記外側容器との間に延在する真空領域によって離間している、外側容器と、
前記真空領域内に設けられた内部ブレースであって、前記外側容器の内面に係合するように且つ前記外側容器の圧縮に抵抗するように構成されている、内部ブレースと、を備える、真空断熱容器。
【請求項25】
前記外側容器の前記内面はほぼシリンダー状プロフィールを有し、前記内部ブレースは、前記内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する、請求項24に記載の真空断熱容器。
【請求項26】
前記内部ブレースは、径方向に収縮した構成と径方向に拡大した構成との間で拡大可能な、径方向に拡大可能なブレースである、請求項24又は25に記載の真空断熱容器。
【請求項27】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記拡大した構成において付勢される、請求項26に記載の真空断熱容器。
【請求項28】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側容器の前記内面に張力を加えるように、前もって負荷が加えられる、請求項27に記載の真空断熱容器。
【請求項29】
前記径方向に拡大した構成において、前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側容器の前記内面に対し内側にぴったり嵌る、請求項26又は27に記載の真空断熱容器。
【請求項30】
前記径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されているねじりブレースである、請求項26~29のいずれか1項に記載の真空断熱容器。
【請求項31】
前記ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む、請求項30に記載の真空断熱容器。
【請求項32】
前記ねじりブレースはヘリカルコイル構造を含む、請求項31に記載の真空断熱容器。
【請求項33】
前記真空領域の真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである、請求項24~32のいずれか1項に記載の真空断熱容器。
【請求項34】
前記真空領域における前記真空圧を維持するように動作可能な真空ポンプを備える、請求項33に記載の真空断熱容器。
【請求項35】
前記真空断熱容器は、前記真空断熱容器における1つ又は複数の位置においてパラメータを測定するように動作可能なセンサーを備え、前記真空ポンプは、前記センサーが、前記パラメータが予め決められた値に到達したことを示すときはいつでも、動作するように構成されている、請求項34に記載の真空断熱容器。
【請求項36】
前記真空領域内に設けられている断熱材をさらに備える、請求項24~35のいずれか1項に記載の真空断熱容器。
【請求項37】
前記断熱材は、前記内側容器の外壁に巻き付けられたn層の多層断熱材を含み、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含み、前記断熱材は、前記真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり10層以上の多層断熱材を含む、請求項36に記載の真空断熱容器。
【請求項38】
前記断熱材は、前記真空領域を横切る摂氏100度の温度差当たり20層以上の多層断熱材を含む、請求項37に記載の真空断熱容器。
【請求項39】
前記断熱材は、前記真空領域を横切る摂氏100度の温度差当たり40層以上の多層断熱材を含む、請求項38に記載の真空断熱容器。
【請求項40】
真空断熱パイプであって、
内側パイプセクションと、
前記内側パイプセクションを囲む外側パイプセクションであって、前記内側パイプセクション及び前記外側パイプセクションは、前記内側パイプセクションと前記外側パイプセクションとの間に延在する真空領域によって離間している、外側パイプセクションと、
前記真空領域内に設けられた内部ブレースであって、前記外側パイプセクションの内面に係合するように且つ前記外側パイプセクションの圧縮に抵抗するように構成されている内部ブレースと、を備える、真空断熱パイプ。
【請求項41】
前記外側パイプセクションの前記内面はほぼシリンダー状プロフィールを有し、前記内部ブレースは、前記内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する、請求項40に記載の真空断熱パイプ。
【請求項42】
前記内部ブレースは、径方向に収縮した構成と径方向に拡大した構成との間で拡大可能な、径方向に拡大可能なブレースである、請求項40又は41に記載の真空断熱パイプ。
【請求項43】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記拡大した構成に付勢される、請求項42に記載の真空断熱パイプ。
【請求項44】
前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側パイプセクションの前記内面に張力を加えるように、前もって負荷が加えられる、請求項43に記載の真空断熱パイプ。
【請求項45】
前記径方向に拡大した構成において、前記径方向に拡大可能なブレースは、前記外側パイプセクションの前記内面に対し内側にぴったり嵌る、請求項42又は43に記載の真空断熱パイプ。
【請求項46】
前記径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されているねじりブレースである、請求項42~45のいずれか1項に記載の真空断熱パイプ。
【請求項47】
前記ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む、請求項46に記載の真空断熱パイプ。
【請求項48】
前記ねじりブレースはヘリカルコイル構造を含む、請求項47に記載の真空断熱パイプ。
【請求項49】
前記真空領域の真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである、請求項40~48のいずれか1項に記載の真空断熱パイプ。
【請求項50】
前記真空領域における前記真空圧を維持するように動作可能な真空ポンプを備える、請求項49に記載の真空断熱パイプ。
【請求項51】
前記真空断熱パイプは、前記真空断熱パイプにおける1つまたは複数の位置においてパラメータを測定するように動作可能なセンサーを備え、前記真空ポンプは、前記センサーが、前記パラメータが予め決められた値に到達したことを示すときはいつでも、動作するように構成されている、請求項50に記載の真空断熱パイプ。
【請求項52】
前記真空領域内に設けられている断熱材をさらに備える、請求項40~51のいずれか1項に記載の真空断熱パイプ。
【請求項53】
前記断熱材は、前記内側パイプセクションの外壁に巻き付けられたn層の多層断熱材を含み、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含み、前記断熱材は、前記真空領域を横切る摂氏100度の温度差当たり10層以上の多層断熱材を含む、請求項52に記載の真空断熱パイプ。
【請求項54】
前記断熱材は、前記真空領域を横切る摂氏100度の温度差当たり20層以上の多層断熱材を含む、請求項53に記載の真空断熱パイプ。
【請求項55】
前記断熱材は、前記真空領域を横切る摂氏100度の温度差当たり40層以上の多層断熱材を含む、請求項54に記載の真空断熱パイプ。
【請求項56】
前記外側パイプセクションは1つ以上の膨張領域を備え、前記真空断熱パイプは、前記外側パイプセクションを支えるように動作可能な1つ以上の外部支持体をさらに備える、請求項40~55のいずれか1項に記載の真空断熱パイプ。
【請求項57】
前記1つ以上の外部支持体は、前記外側パイプセクションに摺動自在に係合するように構成されている、請求項56に記載の真空断熱パイプ。
【請求項58】
前記内側パイプセクションを支えるように動作可能な1つ以上の内部支持体をさらに備える、請求項40~57のいずれか1項に記載の真空断熱パイプ。
【請求項59】
前記1つ以上の内部支持体は、前記内側パイプセクションに摺動自在に係合するように構成されている、請求項58に記載の真空断熱パイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵システム用の熱貯蔵体、及び熱貯蔵体を含むエネルギー貯蔵システムに関する。本発明はまた、エネルギー貯蔵システムを含む、建物用の電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能発電の増加は、発電量と需要が良好に一致することを保証するために、より柔軟な電力需要を必要とする。多くの国において、熱に対する需要は、必要とされる最大のエネルギー量であるため、使用されるよりも前に電気的に加熱される蓄熱体は、需要の柔軟性を大幅に高め得る。
【0003】
実用的な蓄熱体は、固体又は液体のいずれかとし得る顕(すなわち非相変化)熱貯蔵体を必要とする。固体顕熱貯蔵体は、熱が加えられる(又は除去される)ときに固体のままである材料を使用するため、温度変化のみによって熱エネルギーが貯蔵される。液体顕熱貯蔵体の場合には、エネルギーは、温度変化によって液体材料内に貯蔵される。いずれの場合も、固体又は液体材料は相変化を受けない。貯湯体が、液体顕熱貯蔵体の最も人気のあるタイプのうちの1つであり、高温では、集中太陽熱発電所において、溶融塩が液体顕熱貯蔵体として使用される。
【0004】
水は、4.2J/kg Kで、単位重量当たり最高の熱容量のうちの1つを有するが、温度帯が狭く、高価な圧力容器を必要とする前に、経済的に使用され得る。固体材料は、より低い熱容量(例えば玄武岩は0.8J/kg K又は鋼はちょうど0.45J/kg K)を有するが、一般的に、より高温に、例えば200℃超、さらには場合によっては400℃に加熱され得る。
【0005】
ドライコアボイラー(dry core boiler)は、湿式加熱システムに温水を提供するために、又はシャワーや風呂など家庭用に温水を供給するために、家庭で使用されてきた蓄熱装置である。ドライコアボイラーは、電熱体にごく接近して保持される複数の高密度レンガを含む。電気は、オフピーク時に電熱体を通されて、650又は700℃ほどの高さとし得る高温にレンガを加熱するために使用される。レンガは高温断熱材によって囲まれて、熱損失を最小限にする。温水が必要なとき、ファンがレンガの上側にわたって空気を吹き込み、空気を高温に加熱する。その後、この加熱された空気が、高温空間の外部にある熱交換器を通過させられる。熱交換器は、高温の空気から水へ熱を伝える。その後、空気は、高温空間中へ戻るようにチャネルを通して送られ、そこで再度加熱される。熱貯蔵システムのこの設計は、作動流体として空気を使用する熱貯蔵材料から水回路を切り離す。
【0006】
ドライコアボイラーにはいくつかの不都合な特徴がある。第1の不都合な特徴は、これらの高温及び小型での熱損失が著しいことである。これは、マイクロポーラス断熱材などの高温断熱材が使用される場合でもである。第2の不都合な特徴は、高温断熱材が高価であり、断熱材を厚くすることによって損失を減少させる場合、断熱材のコストが相当になることである。第3の不都合な特徴は、大気圧の空気は低熱容量を有するため、高温に加熱されるとき、密度が3分の1だけ低下し、熱容量をさらに低下させることである。これは、高電力出力が必要とされる場合に、レンガ及び熱交換器を流れる大量の空気を必要とすることになる。ドライコアボイラーはまた、エンジニアによって現場で組み立てられる必要があり、分解して再組み立てせずには簡単に動かすことができない。
【0007】
最近、本発明人らは、特許文献1において、高熱伝導率及び高エネルギー密度を有する、金属(例えばアルミニウム合金)/岩複合材で作製される熱貯蔵材料を提案した。埋め込まれた電熱体を使用して加熱することは簡単であり、熱は、金属/岩材料に埋め込まれたスチールコイル熱交換器によって除去され得る。提案されている他の固体顕熱貯蔵材料は、鋳鉄又は耐火材料、例えば酸化第二鉄及びコンクリートを含む。
【0008】
ドライコアボイラーの改良例は、1960年代の終わり及び1970年代の初め頃に提案されており、これは、ホットコアから水/蒸気回路への直接熱交換を含んだ。この例は、特許文献2に開示されており、これは、水温及び水質を制御するシステム、並びに水/蒸気を使用して直接ホットコアから熱を取り出す方法を提供することに焦点を当てている。実用的観点から、詳述したような提案した発明は、安全に働かせるようにすることが難しく、認定することがほぼ不可能であった。特に、特許文献2には、蒸気の飽和圧力が供給容器内の水位を制御するシステムが提案されている。このシステムから熱が取り出されると、蒸気圧が下がり、供給容器内の水位が上昇して、ホットコア内に位置するパイプへ大気圧で給水できるようにする。次いで、この水は沸騰して蒸気に変わり、圧力を上昇させる一方で、供給容器内の水位を下げる。
【0009】
このシステムに関するいくつかの重要な問題は、流れが非常に不安定なことである。高温パイプに水を追加すると、水は沸騰して、非常に異なる伝熱速度で異なる沸騰レジームを進み得る。これは、蒸気体積の急増及び圧力の急激な変化を生じ得る。これらの圧力サージの影響は、ほぼ確実に、安定しないため管理できないシステムの原因となってきた。また、負荷の突然の変化にうまく反応せず、短期間で著しい熱伝達を生じる必要があるため、高電力出力を提供しそうにない。さらに、故障モードは、加熱回路内にシステムが過度の水を必要とし、且つシステムは、水柱の高さ併存しているために小さな圧力差に限定されているため、危険なことがある。小さな圧力差は、非現実的に、蒸気が流れるための大きなパイプ直径、及び熱交換を発生させるために大きな面積を必要とする。
【0010】
典型的な配電ネットワーク(グリッドを含む)の周りで離散した位置に、例えば家庭や商業施設、又は一棟のアパート用の熱ネットワークなど、蓄えた熱の需要が必要とされる位置に、蓄熱体を分配することはさらなる利点である。これは、熱よりも電気を輸送することが遥かに簡単で安価であるためである。しかしながら、小容量で高温の熱を蓄えることは、熱損失ゆえに、効率の点で不利益がある。高い温度差は、標準タイプの断熱材を通して高熱流量を送る。小型での損失の割合は、蓄えたエネルギーと比べて著しく、これらの熱損失は、一般に、24時間当たり70%もの高さになる。それゆえ、熱損失を例えば24時間当たり10%未満に制限するシステムを提供することが望ましい。
【0011】
真空断熱は、ほとんど空間を使用しないものの、容器の内側からの熱伝達を非常に低レベルにまで減らし得る。真空断熱は、液体(例えば液体窒素)を長時間、非常に低温で蓄える必要がある低温液体応用において数十年間にわたり使用されてきた。しかしながら、当業界で公知の真空断熱技術は、真空圧を達成してそれを維持することに頼っており、これは一般的に家庭用の装置では達成不能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2020/217045号
【特許文献2】英国特許出願公告第1323522号明細書
【発明の概要】
【0013】
本出願は、従来技術に関連付けられる問題を克服するか又は少なくとも緩和する改良型の熱貯蔵体(及び関連のシステム)に対するニーズを特定した。
本発明の第1の態様によれば、エネルギー貯蔵システム用の熱貯蔵体であって、熱エネルギー貯蔵体(例えば熱質量)を収納する内側容器と、内側容器を囲む外側容器であって、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している、外側容器と、を備える、熱貯蔵体が提供される。
【0014】
このようにして、真空断熱材によって囲まれる(例えば固体)蓄熱体を使用する高温熱貯蔵体が提供され得る。これは、熱貯蔵が中温から高温で生じても、低熱損失で低コストの蓄熱体の機会を提供する。
【0015】
一実施形態において、真空領域は真空圧(例えば真空分圧)を有する。
一実施形態において、真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである。
一実施形態において、熱貯蔵体は、真空領域において真空圧(例えば真空分圧)を維持するように動作可能な真空ポンプ(例えば統合真空ポンプ)を備える。
【0016】
一実施形態において、真空ポンプは、真空圧を0.05ミリバール~1ミリバールのレベルに維持する。
一実施形態において、熱貯蔵体は、熱貯蔵体内の1つ以上の位置においてパラメータ(例えば圧力及び/又は温度(例えば表面温度))を測定するように動作可能なセンサーを含み、及び真空ポンプは、センサーが、パラメータが予め決められた値に到達する(例えば圧力がそれ未満に降下する/温度がそれを上回って上昇する)ことを示すときはいつでも動作するように構成される。このようにして、熱貯蔵体は真空断熱材を備え、真空ポンプの間欠動作のみを必要とする。
【0017】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、真空ポンプを真空領域に接続するように動作可能な統合真空弁を含む。
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、真空領域内に断熱材が設けられている。このようにして、所望の断熱度を達成するために必要とされる真空レベルは、低下され得る。
【0018】
一実施形態において、断熱材は内側容器の外壁に巻き付けられる(例えば内側容器の外表面をほぼ覆う)。このようにして、断熱材は、内側容器の側面に対して垂直な方向においてのみ、マイクロポーラス断熱体として機能し得る。
【0019】
一実施形態において、断熱材は、n層の多層断熱材を含む。
一実施形態において、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含む。
一実施形態において、n≧50(例えばn≧100、例えばn≧150)である。
【0020】
一実施形態において、nは、およそ200(例えばnは、ほぼ200)である。
一実施形態において、断熱材は、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも10層の多層断熱材(すなわち、温度差が摂氏500度であるとき、n≧50)、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも20層の多層断熱材(すなわち、温度差が摂氏500度であるとき、n≧100)、又は真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも40層の多層断熱材(すなわち、温度差が摂氏500度であるとき、n≧200)を含む。すなわち、一実施形態において、ΔT/n≦10であり、別の実施形態において、ΔT/n≦5であり、別の実施形態において、ΔT/n≦2.5であり、ここで、ΔTは、摂氏温度単位の真空領域を横切る温度である(すなわち外側容器の内壁と内側容器の対向する外壁との温度差)。
【0021】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均(average、mean)間隔は、1mm未満(例えば0.5mm未満、例えば0.2mm未満)である。
【0022】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均間隔は、層間で変化する。
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の間隔は、1mm~0.01mmである。
【0023】
一実施形態において、反射層は、反射金属シート(例えばアルミニウムシート)である。
一実施形態において、スペーサ層は、薄いガラス繊維層又は薄いセラミック繊維(例えばセラミック繊維紙)層である。
【0024】
一実施形態において、熱貯蔵体は、熱エネルギー貯蔵体へ入力する熱源として機能するように動作可能な1つ以上の発熱体(例えば電熱体)を含む。
一実施形態において、電熱体は、電熱コイル手段(例えば電熱コイル)を含む。
【0025】
一実施形態において、熱貯蔵体は、熱伝達流体を受け入れるように動作可能な1つ以上の熱交換器(例えば直接熱交換器)を含む。
一実施形態において、熱伝達流体は水である。
【0026】
1つの一連の実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は固体貯蔵体である。
一実施形態において、1つ以上の発熱体(例えば電熱体(例えば電熱コイル手段))は、固体貯蔵体に埋め込まれている。
【0027】
一実施形態において、1つ以上の熱交換器は、固体貯蔵体に埋め込まれている。
一実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は、固体熱伝導性マトリックスを含む中実体であって、固体サーマルフィラー材料が埋め込まれている、中実体を含み、固体熱伝導性マトリックスは、固体熱伝導性マトリックス内に分散した固体サーマルフィラー材料への熱伝導性通路を形成する。
【0028】
一実施形態において、1つ以上の発熱体(例えば電熱体(例えば電熱コイル手段))は、固体熱伝導性マトリックスに埋め込まれている。
一実施形態において、1つ以上の熱交換器は、固体熱伝導性マトリックスに埋め込まれている。
【0029】
一実施形態において、熱貯蔵体は、熱エネルギー貯蔵体を、300℃超の温度まで加熱する(例えば、そして放出相までこの温度を維持する)形態である。
別の一連の実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は、熱貯蔵流体(例えば熱貯蔵液体)を受け入れるための室を含む流体(例えば液体)貯蔵体である。
【0030】
一実施形態において、1つ以上の発熱体(例えば電熱体(例えば電熱コイル手段))は、室中へ延在する。
一実施形態において、1つ以上の熱交換器は室中へ延在する。
【0031】
1つの一連の実施形態において、内側容器は外側容器内に吊るされる。
一実施形態において、内側容器は、内側容器の上方セクションを外側容器の上方セクションに接続する(例えば単一の)ネックコネクタ(例えば構造的に負荷がかけられたネックコネクタ)によって吊るされる。
【0032】
一実施形態において、内側容器のどの部分も外側容器に接触しない。
一実施形態において、ネックコネクタは、内側容器及び熱エネルギー貯蔵体の重量を支える。
【0033】
一実施形態において、ネックコネクタは、熱エネルギー貯蔵体用の供給ライン(例えば1つ以上の発熱体用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)及び1つ以上の熱交換器用の流体輸送パイプ(例えば流入パイプ及び流出パイプ))を収納する中心室を含む。
【0034】
一実施形態において、外側容器(例えば外側容器の上方セクション)は、ネックコネクタの端部(例えば上方端部)を受け入れるための(例えば第1の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0035】
一実施形態において、内側容器(例えば内側容器の上方セクション)は、ネックコネクタの端部(例えば下方端部)を受け入れるための(例えば第2の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0036】
一実施形態において、ネックコネクタは、さらに、内側容器に結合された内側(例えば下方)ネックプレートを含む。
一実施形態において、ネックコネクタは、さらに、外側容器に結合された外側(例えば上方)ネックプレートを含む。
【0037】
別の一連の実施形態において、内側容器は、内側容器の下方セクションを外側容器の下方セクションに接続する(例えば単一の)ネックコネクタ(例えば構造的に負荷がかけられたネックコネクタ)によって、支えられる。
【0038】
一実施形態において、内側容器のどの部分も外側容器に接触しない。
一実施形態において、ネックコネクタは、内側容器及び熱エネルギー貯蔵体の重量を支える。
【0039】
一実施形態において、ネックコネクタは、熱エネルギー貯蔵体用の供給ライン(例えば1つ以上の発熱体用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)及び1つ以上の熱交換器用の流体輸送パイプ(例えば流入パイプ及び流出パイプ))を収納する中心室を含む。
【0040】
一実施形態において、外側容器(例えば外側容器の下方セクション)は、ネックコネクタの端部(例えば下方端部)を受け入れるための(例えば第1の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0041】
一実施形態において、内側容器(例えば内側容器の下方セクション)は、ネックコネクタの端部(例えば上方端部)を受け入れるための(例えば第2の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0042】
一実施形態において、ネックコネクタは、さらに、内側容器に結合された内側(例えば上方)ネックプレートを含む。
一実施形態において、ネックコネクタは、さらに、外側容器に結合された外側(例えば下方)ネックプレートを含む。
【0043】
一実施形態において、外側容器は、輸送装置と係合するためのインターフェースを有する。
一実施形態において、インターフェースは、外側容器に設けられた1つ以上のソケットを含み、1つ以上のソケットは、輸送装置に設けられた輸送用ボルト(例えば輸送用ねじボルト)を受け入れるように構成される。
【0044】
一実施形態において、インターフェースは複数のソケットを含む(例えば3つ以上のソケット)。
一実施形態において、複数のソケットは、外側容器の周りに等間隔にある。
【0045】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、動作不能位置と展開位置との間で可動な1つ以上のスプレッダプレートを含み、ここでは、展開位置において、スプレッダプレートは、外側容器に対する内側容器の動きを抑制するように動作可能である。
【0046】
一実施形態において、スプレッダプレートは、輸送用ボルトによって係合され、且つ、輸送用ボルトが1つ以上のソケットに十分に挿入されると、動作不能位置から展開位置へ動く。
【0047】
真空領域に設けられた断熱材(例えば真空領域に設けられたn層の多層断熱材)を含む熱貯蔵体の場合、スプレッダプレートは、展開位置において、内側容器に対して断熱材を圧縮して(例えばn層の多層断熱材を圧縮する)、外側容器に対する内側容器の動きを抑制するように動作可能とし得る。
【0048】
一実施形態において、1つ以上のソケットは、外側容器の対向するラテラル側面に設けられた一対のソケットを含む。
一実施形態において、熱貯蔵体は、外側容器の対向するラテラル側面に設けられた一対のスプレッダプレートを含む。
【0049】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、非輸送モード時に1つ以上のソケットを封止するように動作可能な封止部材(例えば封止用ボルト)を含む。
一実施形態において、スプレッダプレートは、水平方向には自由に動けるが、垂直方向においては抑制されている(例えば外側容器に取り付けられる1つ以上のストラップによって)ため、スプレッダプレートは、ソケットにほぼずれないように合わせられたままである。
【0050】
一実施形態において、内側容器は、2部構造(例えば内側容器上部及び内側容器下部の構造)を含む。
一実施形態において、外側容器は、2部構造(例えば外側容器上部及び外側容器下部の構造)を含む。
【0051】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、真空領域内に設けられた内部ブレースを含み、内部ブレースは、外側容器の内面に係合し且つ外側容器の圧縮に抵抗するように構成される。
【0052】
このようにして、比較的薄い外側容器壁を備える真空断熱容器に、容器内の陰圧によって発生する圧縮力に耐える及び/又は外部圧力/外部影響に抵抗するための能力が提供され得る。
【0053】
一実施形態において、外側容器の内面は、ほぼシリンダー状プロフィールを有する。
一実施形態において、内部ブレースは、内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する。
【0054】
一実施形態において、内部ブレースのどの部分も内側容器と接触しない。
一実施形態において、内部ブレースは、真空領域に摺動自在に挿入可能であるように構成される(例えば製造中)。
【0055】
一実施形態において、内部ブレースは、単一部片(例えばワンピース部分)から製造される。
一実施形態において、内部ブレースは、径方向に(例えば周方向に)拡大可能なブレースである(例えば径方向に収縮した形態と径方向に拡大した形態との間で拡大可能である)。
【0056】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、拡大した形態に付勢される(例えば弾性的に付勢される)。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、外側容器の内面に張力を加える(前もって負荷が加えられる)ように構成される(すなわち外側容器の内面に連続的に張力が加えられている状態)。
【0057】
代替的な実施形態において、内部ブレース(例えば径方向に拡大した形態に径方向に拡大可能なブレース)は、外側容器の内面内にぴったり嵌り得る(例えば、外側容器の内面の圧縮変位に応えて、外側容器の内面にのみ張力が加えられている状態)。
【0058】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、径方向に拡大可能なケージ構造を含む。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されたねじりブレースである(例えばねじりが第1の方向に加えられると径方向に拡大するように促され、ねじりが第2の反対方向に加えられると径方向に収縮するように促される)。
【0059】
一実施形態において、ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む。
一実施形態において、ねじりブレースは、ヘリカルコイル構造を含む。
一実施形態において、ヘリカルコイル構造は、ほぼ連続的なヘリカルコイル構造、又は一連の接続されたヘリカルコイルセクションを含む構造である(例えばねじり伝達接続部(例えばコイル又は非コイルのねじり伝達接続部))によって連続して接続されるヘリカルコイルセクション)。
【0060】
一実施形態において、ねじりブレースは、外側容器の内面にねじりを加える(例えばねじられた形態において真空領域に挿入されるか、又は真空領域への挿入後にねじられる)。
【0061】
一実施形態において、真空断熱容器は、内側容器内に設けられたさらなる内部ブレースを含み、さらなる内部ブレースは、内側容器の内面に係合し且つ内側容器の圧縮に抵抗するように構成される(例えば製造中に、内側容器を試験する間中)。
【0062】
一実施形態において、さらなる内部ブレースは、上記で定義した第1の定義の内部ブレースいずれかの実施形態による(例えばヘリカルコイル構造を含むねじりブレース)。
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による(例えば本発明の第1の態様のいずれかの実施形態による)熱貯蔵体を含む、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0063】
本発明の第3の態様によれば、エネルギー貯蔵システムであって、熱エネルギー貯蔵体(例えば熱質量)と、第1の熱伝達流体を含む一次回路(例えば蒸気回路)と、熱エネルギー貯蔵体から熱エネルギーを受け入れ且つ液体形態の第1の熱伝達流体をガスストリームに蒸発させるように構成された蒸発器熱交換器ステージと、蒸発器熱交換器ステージから受け入れたガスストリームを凝縮させるように構成された凝縮器熱交換器ステージと、第2の熱伝達流体を含む二次回路(例えば非蒸気回路)であって、一次回路から凝縮器熱交換器ステージを経由して熱エネルギーを受け入れて、受け取った熱エネルギーを加熱システム(例えば温水/集中暖房システム)へ供給するように構成された二次回路とを含む、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0064】
一実施形態において、第1の熱伝達流体は水(例えば純水)である。
一実施形態において、第2の熱伝達流体は水(例えば水及び不凍剤)である。
一実施形態において、二次回路は、全てのステージの間中、第2の熱伝達流体を液体として維持するように構成される。
【0065】
一実施形態において、一次回路は、凝縮器熱交換器ステージから受け入れた流体を加圧し且つ流体を上昇圧力で蒸発器熱交換器ステージへ送給するように動作可能な圧力上昇装置(例えばインジェクターポンプ)を含む。このようにして、水/蒸気システムに、水を高圧で蒸発器熱交換器ステージに注入するポンプが提供され得、ここでは、蒸気は、凝縮器熱交換器ステージにおいて凝縮され、その後、水は、高圧で戻るようにポンプで送られる。
【0066】
一実施形態において、圧力上昇装置の圧力出力は、大気圧を上回る(例えば少なくとも0.5バール、例えば少なくとも1バール、例えば少なくとも2バール)。
一実施形態において、圧力上昇装置は容積型装置である。
【0067】
一実施形態において、圧力上昇装置は変流量装置である(例えば変流量ポンプ)。
一実施形態において、圧力上昇装置は可変速容積型ポンプである。このようにして、第1の熱伝達流体の質量流は、送給圧力にかかわらず、速度に比例する。
【0068】
一実施形態において、圧力上昇装置(例えば変流量ポンプ)の流量は、エネルギー貯蔵システム内に位置する目標温度を達成するために変えられる。
一実施形態において、位置は、二次回路内の位置である。
【0069】
一実施形態において、位置は、加熱システムと凝縮器熱交換器ステージとの間の位置である(例えば、凝縮器熱交換器ステージを出るときの第2の熱伝達流体の温度)。
一実施形態において、一次回路は、さらに、蒸発器熱交換器ステージから凝縮器熱交換ステージまで流れるガスを冷却する(例えば、そして部分的に凝縮させる)ように動作可能な過熱防止装置を含む。
【0070】
一実施形態において、過熱防止装置は、蒸発器熱交換器ステージから凝縮器熱交換器ステージへ流れるガスに流体(例えば第1の熱伝達流体)をスプレーするように動作可能な流出口を含む。
【0071】
一実施形態において、過熱防止装置は、圧力上昇装置から蒸発器熱交換器ステージへ流れる第1の熱伝達流体の一部分の流れを変えるように動作可能である。
一実施形態において、過熱防止装置は、圧力上昇装置と蒸発器熱交換器ステージとの間に位置決めされた過熱防止弁を含む、選択的に接続可能な流路と、第1の熱伝達流体のストリームを過熱防止弁から、蒸発器熱交換器ステージと凝縮器熱交換器状態との間の流出口へ運ぶパイプとを含む。
【0072】
一実施形態において、過熱防止装置は、圧力上昇装置と蒸発器熱交換器ステージとの間に位置決めされた細いパイプを含む、永久的に接続された流路を含む。
一実施形態において、一次回路は、さらに、貯蔵器を含む。
【0073】
一実施形態において、貯蔵器は、凝縮器熱交換器ステージと圧力上昇装置との間に位置決めされる。
一実施形態において、貯蔵器は、エネルギー貯蔵システムが全出力で稼動しているとき、一次回路内の過剰な第1の熱伝達流体が最小限になるようなサイズにされる。
【0074】
一実施形態において、凝縮器熱交換器ステージによって凝縮された第1の熱伝達流体は、重力下で貯蔵器中へ流れる。
一実施形態において、第1の熱伝達流体は、重力下で、貯蔵器から圧力上昇装置へ流れる。
【0075】
一実施形態において、一次回路は、圧力上昇装置と蒸発器熱交換器ステージとの間に延在する高圧パイプを含む。
一実施形態において、高圧パイプは、貯蔵器の高さを上回って延在するセクション(例えば、存在する場合には、過熱防止弁と蒸発器熱交換器ステージとの間に延在するセクション)を有する。このようにして、貯蔵器に入っている第1の熱伝達流体は、圧力上昇装置が動作可能である場合、蒸発器熱交換器ステージの方へ向かってのみ流れ得る。
【0076】
一実施形態において、一次回路は、貯蔵器から蒸発器熱交換器ステージへの流れを妨げる遮断弁を含む。
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、熱エネルギー貯蔵体を、100℃超の温度まで(例えば200℃超の温度まで、例えば300℃超の温度まで、例えば400℃超の温度まで、例えば500℃超の温度まで、例えば600℃超の温度まで)加熱するように構成される。
【0077】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、熱エネルギー貯蔵体を、100℃超(例えば200℃超の温度まで、例えば300℃超の温度まで、例えば400℃超の温度まで、例えば500℃超の温度まで、例えば600℃超の温度まで)及び700℃未満の温度まで加熱するように構成される。
【0078】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、熱エネルギー貯蔵体を、100~600℃の範囲(例えば200~500℃の範囲)の温度まで加熱するように構成される。
一実施形態において、蒸発器熱交換器ステージは、熱エネルギー貯蔵体を通って又はその周りに延在するパイプ回路を含み、ここでは、パイプ回路は、流入口(例えば水流入口)及び流出口(例えば蒸気流出口)を有する。固体貯蔵体に埋め込まれたパイプ回路の場合、流入口及び流出口は、パイプ回路が固体貯蔵体に入る箇所及びそこから出る箇所に対応する。
【0079】
一実施形態において、一次回路(例えば圧力上昇装置及び/又は蒸発器熱交換器ステージ)は、流出口において第1の熱伝達流体のガス流を発生させるように構成され、ガス流速は少なくとも100km/時(例えば少なくとも200km/時、例えば少なくとも300km/時)である。好都合にも、この高速ガス(例えば蒸気)出力は、細いパイプを備えるパイプ回路を使用できるようにして、大きな圧力降下及び高伝熱速度を発生させる一方で、さらに、パイプ回路内の流体の容積を最小限にし、それにより安全性を高める。さらに、パイプ回路の容積が2リットルを下回る場合、認定及び保守レジームは非常に簡単であり、これは、顧客にとって経済的に魅力がある。
【0080】
一実施形態において、一次回路(例えば圧力上昇装置)は、第1の熱伝達流体を、予め決められた最高注入速度Pで流入口に供給するように構成される。
一実施形態において、パイプ回路は有効内部断面積Aを有する。単一のパイプ回路では、有効内部断面積Aは単一のパイプの平均断面積である。複数の並列パイプを含むパイプ回路の場合、有効内部断面積Aは、複数のパイプの合計平均断面積である。
【0081】
一実施形態において、パイプ回路の有効内部断面積A対予め決められた最高注入速度P(すなわちA/P)の比は、20未満(例えば16未満、例えば12未満)である。それゆえ、注入される液体1g/s毎に、パイプ回路の有効内部断面積Aは、20mm未満(例えば16mm未満、例えば12mm未満)である、すなわち、10g/sの予め決められた最高注入速度Pでは、パイプ回路の有効内部断面積Aは200mm未満(例えば160mm未満、例えば120mm未満)である。
【0082】
一実施形態において、パイプ回路の有効長は5m超(例えば7m超、例えば10m超)である。
一実施形態において、パイプ回路の有効内部断面積は500mm未満(例えば250mm未満、例えば150mm2)である。
【0083】
一実施形態において、パイプ回路の内部体積は2リットル未満である。
一実施形態において、一次回路(例えば圧力上昇装置)は、熱エネルギー貯蔵体の温度に対して注入圧力を変えるように構成される(例えば、熱エネルギー貯蔵体の温度が、予め決められた最高温度未満に降下する場合、注入圧力を低下させる(例えば温度の低下に比例して))。このようにして、エネルギー貯蔵体の温度がピーク温度を下回るときの、蒸発器熱交換器ステージの望ましくない過剰充填が回避され得る。
【0084】
一実施形態において、凝縮熱交換器ステージはプレート熱交換器である。
一実施形態において、二次回路は、加熱システムから離れるように第2の熱伝達流体の流れを変えるように起動されるときに(例えば加熱システムを迂回するために)、動作可能なダイバータ弁を含む。
【0085】
一実施形態において、二次回路は循環ポンプを含む。
一実施形態において、循環ポンプは、凝縮器熱交換器ステージとダイバータ弁との間(例えば凝縮器熱交換器ステージと膨脹器との間)に設けられる。
【0086】
一実施形態において、二次回路は加圧される(例えば約1バールに)。
一実施形態において、二次回路は、二次回路内に予め決められたレベルの加圧を維持するように動作可能な膨脹器(例えば膨脹容器)を含む。
【0087】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、さらに、停電モードで動作可能である(例えばシステムへの電力供給が中断される場合)。
一実施形態において、二次回路は、さらに、一次回路内の第1の熱伝達流体の気相の全てが安全に凝縮されるまで、停電モードにおいて二次回路の循環ポンプの動作を維持するように構成されたバックアップ電源(例えばバッテリー)を含む。このようにして、運転停止時に蒸気を放出させる必要性が、好都合にも回避される。
【0088】
一実施形態において、二次回路はバッファー貯蔵体を含む。
一実施形態において、バッファー貯蔵体は、凝縮するときに、一次回路内の熱伝達流体からの熱を全て吸収するために、十分な質量の第2の熱伝達流体を保持するように動作可能である。
【0089】
一実施形態において、圧力上昇装置は、停電モードでは動作不能である。
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、熱エネルギー貯蔵体への熱入力として機能するために、エネルギー貯蔵システムの充電相中に動作可能な1つ以上の発熱体(例えば電熱体)を含む。
【0090】
一実施形態において、電熱体は、電熱コイル手段(例えば電熱コイル)を含む。
一実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は固体貯蔵体である。
一実施形態において、1つ以上の発熱体(例えば電熱体(例えば電熱コイル手段))は、固体貯蔵体に埋め込まれている。
【0091】
一実施形態において、蒸発器熱交換器ステージは直接熱交換器を含む。
一実施形態において、蒸発器熱交換器ステージ(例えば直接熱交換器)は、固体貯蔵体に埋め込まれている。
【0092】
一実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は、固体サーマルフィラー材料が埋め込まれている固体熱伝導性マトリックスを含む中実体を含み、固体熱伝導性マトリックスは、固体熱伝導性マトリックス内に分散した固体サーマルフィラー材料への熱伝導性通路を形成する。
【0093】
一実施形態において、1つ以上の発熱体(例えば電熱体(例えば電熱コイル手段))は、固体熱伝導性マトリックスに埋め込まれており、且つエネルギー貯蔵システムの充電相中に熱入力として機能するように動作可能である。
【0094】
一実施形態において、蒸発器熱交換器ステージ(例えば直接熱交換器)は、固体熱伝導性マトリックスに埋め込まれている。
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、熱が熱エネルギー貯蔵体へ伝えられる(例えば電流を電熱体に通すことによって)充電モード中に動作可能である。
【0095】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、放出モード中に、熱エネルギー貯蔵体からの熱を第1の熱伝達流体へ蒸発器熱交換器ステージを経由して伝え、且つ第1の伝達流体からの熱エネルギーを二次回路へ凝縮器熱交換器ステージを経由して伝えるように動作可能である。
【0096】
一実施形態において、熱エネルギー貯蔵体は、本発明の第1、第9、第11若しくは第13の態様による(例えば本発明の第1、第9、第11若しくは第13の態様のいずれかの実施形態による)熱貯蔵体の一部である及び/又は本発明の第6若しくは第15の態様による(例えば本発明の第6若しくは第15の態様のいずれかの実施形態による)真空断熱容器を含む。
【0097】
本発明の第4の態様によれば、エネルギー貯蔵システムの動作方法であって、熱エネルギー貯蔵体(例えば熱質量)、第1の熱伝達流体を含む一次回路(例えば蒸気回路)、熱エネルギー貯蔵体から熱エネルギーを受け入れ且つ液体形態の第1の熱伝達流体を蒸発させてガスストリームを形成するように構成された蒸発器熱交換器ステージ、蒸発器熱交換器ステージから受け入れたガスストリームを凝縮させるように構成された凝縮器熱交換器ステージ、及び第2の熱伝達流体を含む二次回路(例えば非蒸気回路)であって、一次回路から凝縮器熱交換器ステージを経由して熱エネルギーを受け入れて、受け取った熱エネルギーを加熱システム(例えば温水/集中暖房システム)へ供給するように構成された二次回路を含む、エネルギー貯蔵システムを提供することを含み、方法は、さらに、充電モードにおいて、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵体へ伝える(例えば電気を、熱エネルギー貯蔵体に埋め込まれた電熱体に通すことによって)ステップ、及び放出モードにおいて、蒸発器熱交換器ステージ内で第1の熱伝達流体の液相を蒸発させて第1の熱伝達流体のガス流を形成するステップ、第1の熱伝達流体のガス流を熱エネルギー貯蔵体から凝縮器熱交換器ステージへ通過させるステップ、及び凝縮器熱交換器ステージにおいて第1の熱伝達流体のガス流を凝縮させて、熱エネルギーを熱伝達流体から二次回路内の第2の熱伝達流体へ伝えるステップを含む、方法が提供される。
【0098】
一実施形態において、一次回路は、凝縮器熱交換器ステージから受け入れた流体を加圧し且つ流体を上昇圧力で蒸発器熱交換器ステージへ送給するように動作可能な圧力上昇装置(例えばインジェクターポンプ)を含む。
【0099】
一実施形態において、圧力上昇装置の圧力出力は、大気圧を上回る(例えば少なくとも0.5バール、例えば少なくとも1バール、例えば少なくとも2バール)。
一実施形態において、二次回路は、バックアップ電源(例えばバッテリー)に接続された循環ポンプを含み、並びに方法は、さらに、停電モードにおいて、一次回路内の圧力上昇装置の動作を中止するステップ、及び一次回路内の第1の熱伝達流体の気相の全てが安全に凝縮されるまで、バックアップ電源を使用して、二次回路の循環ポンプの動作を維持するステップを含む。
【0100】
一実施形態において、二次回路は、凝縮するときに一次回路内の熱伝達流体からの熱を全て吸収するために、十分な質量の第2の熱伝達流体を保持するように動作可能なバッファー貯蔵体を含む。
【0101】
一実施形態において、蒸発器熱交換器ステージは、熱エネルギー貯蔵体を通って又はその周りに延在するパイプ回路であって、流入口及び流出口を有するパイプ回路を含み、ここで、放出モードの蒸発ステップは、流出口において、少なくとも100km/時(例えば少なくとも200km/時、例えば少なくとも300km/時)の速度で第1の熱伝達流体のガス流を発生させることを含む。
【0102】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、本発明の第3の態様による(例えば本発明の第3の態様のいずれかの実施形態による)エネルギー貯蔵システムである。
本発明の第5の態様によれば、建物(例えば建物内の居住施設又はワークスペース)用の電気設備が提供され、電気設備は、最高定格電流引き込み量を有する建物への電力供給部(例えばネットワークグリッド供給部)、エネルギー貯蔵システムであって、熱エネルギー貯蔵体(例えば熱質量)、電力の供給部から電流を引き込んで熱エネルギー貯蔵体に熱エネルギーを供給するように動作可能な1つ以上の電熱装置、及び熱エネルギー貯蔵体からの熱エネルギーを熱伝達流体へ伝えるように動作可能な熱交換器(例えば建物の温水/集中暖房システムの(又はそれに熱的に結合される)熱伝達流体)を含む、エネルギー貯蔵システム、制御配置構成であって、コントローラ、供給部から引き込まれた電流を測定するように動作可能なセンサー、1つ以上の電熱装置へ送られる電流量を制御するように、コントローラによってそれぞれ動作可能な1つ以上の電流制御装置を含む、制御配置構成を含み、ここで、コントローラは、エネルギー貯蔵システムへ(例えば1つ以上の電熱装置へ)送られる全電流を最高定格電流引き込み量未満に制限するように、1つ以上の電流制御装置を動作させるように働く。
【0103】
一実施形態において、1つ以上の電流制御装置は、1つ以上の電熱装置へ送られる電流量を、供給部の電圧で電熱装置によって引き込まれる最大電流未満の値に低下させるように動作可能である。
【0104】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、それぞれの電熱装置をそれぞれ含む複数の加熱回路を含み、及びコントローラは、1つ以上の電流制御装置を、複数の電熱装置へ送られる全電流を最高定格電流引き込み量未満に制限するように動作させるように働く。
【0105】
一実施形態において、1つ以上の電流制御装置は、供給部から電熱装置を隔離する(例えば複数の加熱回路のうちの1つを隔離する)ように動作可能である。
一実施形態において、複数の加熱回路は、可変電力(例えば可変電流)加熱回路及び1つ以上の固定電力(例えば固定電流)加熱回路を含む。
【0106】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、さらに、供給部から電流を引き込むことができる1つ以上の追加的な電気装置を含む。
一実施形態において、1つ以上の追加的な電気装置は、コントローラによって、電力の供給部から電流を引き込んで、熱伝達流体に(例えばそれに直接)熱を供給する(例えば熱伝達流体がエネルギー貯蔵システムから建物の温水/集中暖房システムへ流れるとき)ように動作可能な流体加熱装置を含む。このようにして、エネルギー貯蔵システムは、温水/集中暖房システムの動作の起動時にブーストをもたらし得る(例えばエネルギー貯蔵の熱出力が、熱エネルギー貯蔵体の最大出力を上回る状態)又は閾値レベル未満に低下する(例えば熱エネルギー貯蔵の温度が理想的なレベル未満に低下した)ときにエネルギー貯蔵体の熱出力を補い得る。
【0107】
一実施形態において、1つ以上の追加的な電気装置は、複数の回路のうちの1つ以上に設けられる。
一実施形態において、複数の回路のうちの1つ以上は、熱エネルギー貯蔵体の充電から熱伝達流体の直接加熱へと切り替えることができる(例えば建物の温水/家庭用集中水回路に熱を直接供給する)。
【0108】
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、建物の外部に又は建物に関連したガレージ内/ガレージに隣接した位置にある。
一実施形態において、1つ以上の追加的な電気装置は、電気自動車用の充電機器を含む(例えば複数の加熱回路のうちの1つ以上に設けられる)。このようにして、エネルギー貯蔵システムは、家庭用水回路並びに1つ以上のEV充電器に熱をもたらすことができ、車両-グリッド又は車両-住宅の二方向の電力を提供できる。
【0109】
一実施形態において、供給部はネットワークヒューズを含む。
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、ネットワークヒューズと建物への供給口(例えばネットワーク供給口)との間に接続される。
【0110】
一実施形態において、センサーは、ネットワークヒューズの上流の点で、供給部から引き込まれる電流を測定するように動作可能である。
一実施形態において、センサーは、ネットワークヒューズとエネルギー貯蔵システムとの間の点で、供給部から引き込まれる電流を測定するように動作可能である。
【0111】
一実施形態において、予想される最大供給電圧での1つ以上の電熱装置の総(例えば合計)電流引き込容量は、供給部の最大電流引き込み量(例えばネットワークヒューズ定格)の少なくとも110%(例えば少なくとも120%、例えば少なくとも130%、例えば少なくとも140%)である。このようにして、1つ以上の加熱装置の性能に対する供給部の電圧降下の影響は、ほぼ最小限にされ得る。
【0112】
一実施形態において、コントローラは、1つ以上の電流制御装置を、エネルギー貯蔵システムへ送られる全電流を最高定格電流引き込み量の90%以下に制限する(例えばネットワークヒューズが飛ぶリスクを最小限にする)ように動作させるように働く。
【0113】
一実施形態において、供給部は単相供給部である。
一実施形態において、供給部は、多相(例えば3相)供給部である。
一実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、本発明の第2、第3、第7、第10、第12、第14又は第16の態様による(例えば本発明の第2、第3、第7、第10、第12、第14又は第16の態様のいずれかの実施形態による)エネルギー貯蔵システムである。
【0114】
本発明の第6の態様によれば、真空断熱容器であって、内側容器と、内側容器を囲む外側容器であって、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している、外側容器と、真空領域内に設けられた内部ブレースであって、外側容器の内面に係合し且つ外側容器の圧縮に抵抗するように構成される内部ブレースとを含む、真空断熱容器が提供される。
【0115】
このようにして、比較的薄い外側容器壁を備える真空断熱容器が、容器内の陰圧によって発生した圧縮力に耐える及び/又は外部圧力/外部影響に抵抗する能力を備え得る。
一実施形態において、外側容器の内面はほぼシリンダー状プロフィールを有する。
【0116】
一実施形態において、内部ブレースは、内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する。
一実施形態において、内部ブレースのどの部分も内側容器と接触しない。
【0117】
一実施形態において、内部ブレースは、真空領域に摺動自在に挿入可能であるように構成される(例えば製造中)。
一実施形態において、内部ブレースは、単一部片(例えばワンピース部分)から製造される。
【0118】
一実施形態において、内部ブレースは、径方向に(例えば周方向に)拡大可能なブレースである(例えば径方向に収縮した形態と径方向に拡大した形態との間で拡大可能である)。
【0119】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、拡大した形態に付勢される(例えば弾性的に付勢される)。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、外側容器の内面に張力を加えるように、前もって負荷が加えられる(すなわち外側容器の内面に連続的に張力が加えられている状態)。
【0120】
代替的な実施形態において、内部ブレース(例えば径方向に拡大した形態に径方向に拡大可能なブレース)は、外側容器の内面内にぴったり嵌り得る(例えば外側容器の内面の圧縮変位に応えて、外側容器の内面にのみ張力が加えられている状態)。
【0121】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、径方向に拡大可能なケージ構造を含む。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されたねじりブレースである(例えばねじりが第1の方向に加えられると径方向に拡大するように促され、ねじりが第2の反対方向に加えられると径方向に収縮するように促される)。
【0122】
一実施形態において、ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む。
一実施形態において、ねじりブレースはヘリカルコイル構造を含む。
一実施形態において、ヘリカルコイル構造は、ほぼ連続的なヘリカルコイル構造、又は一連の接続されたヘリカルコイルセクションを含む構造である(例えばねじり伝達接続部(例えばコイル又は非コイルのねじり伝達接続部)によって連続して接続されるヘリカルコイルセクション)。
【0123】
一実施形態において、ねじりブレースは、外側容器の内面にねじりを加える(例えばねじられた形態において真空領域に挿入されるか、又は真空領域への挿入後にねじられる)。
【0124】
一実施形態において、真空断熱容器は、内側容器内に設けられたさらなる内部ブレースを含み、さらなる内部ブレースは、内側容器の内面に係合し且つ内側容器の圧縮に抵抗するように構成される(例えば製造中に、内側容器を試験する間中)。
【0125】
一実施形態において、さらなる内部ブレースは、上記で定義した第1の定義の内部ブレースのいずれかの実施形態による。
一実施形態において、真空領域は真空圧(例えば真空分圧)を有する。
【0126】
一実施形態において、真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである。
一実施形態において、真空断熱容器は、真空領域において真空圧(例えば真空分圧)を維持するように動作可能な真空ポンプ(例えば統合真空ポンプ)を含む。
【0127】
一実施形態において、真空ポンプは、真空圧を0.05ミリバール~1ミリバールのレベルに維持する。
一実施形態において、真空断熱容器は、真空断熱容器の1つ以上の位置においてパラメータ(例えば圧力及び/又は温度(例えば表面温度))を測定するように動作可能なセンサーを含み、及び真空ポンプは、センサーが、パラメータが予め決められた値に到達する(例えば圧力がそれ未満に降下する/温度がそれを上回って上昇する)ことを示すときはいつでも動作するように構成される。このようにして、真空断熱容器は、真空ポンプの間欠動作のみを必要とする真空断熱材を備える。
【0128】
一実施形態において、真空断熱容器は、さらに、真空ポンプを真空領域に接続するように動作可能な統合真空弁を含む。
一実施形態において、真空断熱容器は、さらに、真空領域内に断熱材が設けられている。このようにして、所望の断熱度を達成するために必要とされる真空レベルは、低下され得る。
【0129】
一実施形態において、断熱材は内側容器の外壁に巻き付けられる(例えば内側容器の外表面をほぼ覆う)。このようにして、断熱材は、内側容器の側面に対して垂直な方向においてのみ、マイクロポーラス絶縁体として機能し得る。
【0130】
一実施形態において、断熱材はn層の多層断熱材を含む。
一実施形態において、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含む。
一実施形態において、n≧50(例えばn≧100、例えばn≧150)である。
【0131】
一実施形態において、nは、およそ200(例えばnは、ほぼ200)である。
一実施形態において、断熱材は、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも10層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧50)、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも20層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧100)、又は真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも40層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧200)を含む。すなわち、一実施形態において、ΔT/n≦10であり、別の実施形態において、ΔT/n≦5であり、別の実施形態において、ΔT/n≦2.5であり、ここで、ΔTは、摂氏温度単位の真空領域を横切る温度である(すなわち外側容器の内壁と内側容器の対向する外壁との温度差)。
【0132】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均間隔は、1mm未満(例えば0.5mm未満、例えば0.2mm未満)である。
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均間隔は、層間で変化する。
【0133】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の間隔は1mm~0.01mmである。
一実施形態において、反射層は、反射金属シート(例えばアルミニウムシート)である。
【0134】
一実施形態において、スペーサ層は、薄いガラス繊維層又は薄いセラミック繊維(例えばセラミック繊維紙)層である。
本発明の第7の態様によれば、本発明の第6の態様による(例えば本発明の第6の態様のいずれかの実施形態による)真空断熱容器を含む、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0135】
本発明の第8の態様によれば、真空断熱パイプであって、内側パイプセクションと、内側パイプセクションを囲む外側パイプセクションであって、内側パイプセクション及び外側パイプセクションは、それらの間に延在する真空領域によって離間している、外側パイプセクションと、真空領域内に設けられた内部ブレースであって、外側パイプセクションの内面に係合するように且つ外側パイプセクションの圧縮に抵抗するように構成される内部ブレースとを備える、真空断熱パイプが提供される。
【0136】
一実施形態において、外側パイプセクションの内面はほぼシリンダー状プロフィールを有する。
一実施形態において、内部ブレースは、内部ブレースの長手方向軸に沿って見ると、ほぼ環状プロフィールを有する。
【0137】
一実施形態において、内部ブレースのいずれの部分も内側パイプセクションに接触しない。
一実施形態において、内部ブレースは、真空領域に摺動自在に挿入可能であるように構成される(例えば製造中)。
【0138】
一実施形態において、内部ブレースは、単一部片(例えばワンピース部分)から製造される。
一実施形態において、内部ブレースは、径方向に(例えば周方向に)拡大可能なブレースである(例えば径方向に収縮した形態と径方向に拡大した形態との間で拡大可能である)。
【0139】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、拡大した形態に付勢される(例えば弾性的に付勢される)。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、外側パイプセクションの内面に張力を加えるように、前もって負荷が加えられる(すなわち外側パイプセクションの内面に連続的に張力が加えられている状態)。
【0140】
代替的な実施形態において、内部ブレース(例えば径方向に拡大した形態に径方向に拡大可能なブレース)は、外側パイプセクションの内面にぴったり嵌り得る(例えば、外側パイプセクションの内面の圧縮変位に応えて、外側パイプセクションの内面にのみ張力が加えられている状態)。
【0141】
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、径方向に拡大可能なケージ構造を含む。
一実施形態において、径方向に拡大可能なブレースは、張力下にあるときに、径方向に拡大するように促されるように構成されたねじりブレースである(例えばねじりが第1の方向に加えられると径方向に拡大するように促され、ねじりが第2の反対方向に加えられると径方向に収縮するように促される)。
【0142】
一実施形態において、ねじりブレースは、ケージ又はコイル構造を含む。
一実施形態において、ねじりブレースは、ヘリカルコイル構造を含む。
一実施形態において、ヘリカルコイル構造は、ほぼ連続的なヘリカルコイル構造、又は一連の接続されたヘリカルコイルセクションを含む構造である(例えばねじり伝達接続部(例えばコイル又は非コイルのねじり伝達接続部)によって連続して接続されるヘリカルコイルセクション)。
【0143】
一実施形態において、ねじりブレースは、外側パイプセクションの内面に張力を加える(例えばねじられた形態において真空領域に挿入されるか、又は真空領域への挿入後にねじられる)。
【0144】
一実施形態において、真空領域は真空圧(例えば真空分圧)を有する。
一実施形態において、真空圧は0.05ミリバール~1ミリバールである。
一実施形態において、真空断熱パイプは、真空領域において真空圧(例えば真空分圧)を維持するように動作可能な真空ポンプ(例えば統合真空ポンプ)を含む。
【0145】
一実施形態において、真空ポンプは、真空圧を0.05ミリバール~1ミリバールのレベルに維持する。
一実施形態において、真空断熱パイプは、真空断熱パイプ内の1つ以上の位置においてパラメータ(例えば圧力及び/又は温度(例えば表面温度))を測定するように動作可能なセンサーを含み、及び真空ポンプは、センサーが、パラメータが予め決められた値に到達する(例えば圧力がそれ未満に降下する/温度がそれを上回って上昇する)ことを示すときはいつでも動作するように構成される。このようにして、真空断熱パイプは、真空断熱材を備え、真空ポンプの間欠動作のみを必要とする。
【0146】
一実施形態において、真空断熱パイプは、さらに、真空ポンプを真空領域に接続するように動作可能な統合真空弁を含む。
一実施形態において、真空断熱パイプは、さらに、真空領域内に断熱材が設けられている。このようにして、所望の断熱度を達成するために必要とされる真空レベルは、低下され得る。
【0147】
一実施形態において、断熱材は、内側パイプセクションの外壁に巻き付けられる(例えば内側パイプセクションの外表面をほぼ覆う)。このようにして、断熱材は、内側パイプセクションの側面に対して垂直な方向にのみマイクロポーラス絶縁体として機能し得る。
【0148】
一実施形態において、断熱材はn層の多層断熱材を含む。
一実施形態において、多層断熱材の各層は、反射層及びスペーサ層を含む。
一実施形態において、n≧50(例えばn≧100、例えばn≧150)である。
【0149】
一実施形態において、nは、およそ200(例えばnはほぼ200)である。
一実施形態において、断熱材は、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも10層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧50)、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも20層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧100)、又は真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも40層の多層断熱材(すなわち温度差が摂氏500度であるとき、n≧200)を含む。すなわち、一実施形態において、ΔT/n≦10であり、別の実施形態において、ΔT/n≦5であり、別の実施形態において、ΔT/n≦2.5であり、ここで、ΔTは、摂氏温度単位の真空領域を横切る温度(すなわち外側容器の内壁と内側容器の対向する外壁との温度差)である。
【0150】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均間隔は、1mm未満(例えば0.5mm未満、例えば0.2mm未満)である。
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の平均間隔は、層間で変化する。
【0151】
一実施形態において、多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の間隔は1mm~0.01mmである。
一実施形態において、反射層は、反射金属シート(例えばアルミニウムシート)である。
【0152】
一実施形態において、スペーサ層は、薄いガラス繊維層又は薄いセラミック繊維(例えばセラミック繊維紙)層である。
一実施形態において、外側パイプセクションは1つ以上の膨張領域を含む。
【0153】
一実施形態において、真空断熱パイプは、さらに、外側パイプセクションを支えるように動作可能な1つ以上の外部支持体を含む(例えば1つ以上の膨張領域に隣接する箇所に設けられる)。
【0154】
一実施形態において、1つ以上の外部支持体は、外側パイプセクションに摺動自在に係合するように構成される(例えば外部回転(例えばローラ)軸受によって)。
一実施形態において、真空断熱パイプは、さらに、内側パイプセクションを支えるように動作可能な1つ以上の内部支持体を含む(例えば1つ以上の膨張領域に隣接する箇所に設けられる)。
【0155】
一実施形態において、1つ以上の内部支持体は、内側パイプセクションに摺動自在に係合するように構成される(例えば内部回転(例えばローラ)軸受によって)。
本発明の第9の態様によれば、熱貯蔵体(例えば貯湯タンク)であって、加熱水を貯蔵するための室を画成する容器(例えば断熱容器)と、放出モード中に、室の上方領域から水(例えば温水)を受け入れ且つ受け入れた水を容器から放出するように動作可能な一次水(例えば温水)流出ラインと、放出モード中に、水を室の下方領域へ導入する(例えば容器に水を補充する)ように動作可能な水流入ラインと、放出モード中、室の下方領域から水(例えば暖水)を受け入れ且つ受け入れた水を容器から放出するように動作可能な二次水(例えば暖水)流出ラインを含む自浄式モジュールと、二次流出ラインから受け入れた水(例えば暖水)を、一次水流出ラインから受け入れた水(例えば温水)と混合して、出力流れ(例えば予め決められた水温の出力流れ)をもたらすように動作可能な混合ステージ(混合弁)とを含む、熱貯蔵体(例えば貯湯タンク)が提供される。
【0156】
このようにして、熱貯蔵体が提供され、ここでは、デブリ(例えば鉱物デブリ、例えば石灰のかすの堆積物)が、放出モード中、室からフラッシングされて、容器からの出力流れに混入される。好都合なことに、これは、フィルター又は収集器を必要とせずに容器の洗浄が達成され得、それにより、定期的な保守の必要性を低下させることを意味する。
【0157】
一実施形態において、水流入ラインは、室の下方領域に冷水(例えば本管からの水)を導入するように動作可能である。
一実施形態において、二次水流出ラインは、室のベース部分に設けられた水流入口(例えば暖水流入口)を含む。
【0158】
一実施形態において、水流入口は、ほぼ室のベース部分の内面のレベルに設けられる。
一実施形態において、水流入口は、室のベース部分の最も低い領域に設けられる。
一実施形態において、水流入口は、室のベース部分内の中心(例えば中心の最も低い)位置に設けられる。
【0159】
一実施形態において、二次水流出ラインは、二次水流出パイプ手段(例えば二次水流出パイプ)を含む。
一実施形態において、二次水流出パイプ手段は、容器のベース中を通って延在する。
【0160】
一実施形態において、水流入ラインは、室の下方領域に設けられる水流出口(例えば冷水流出口)を含む。
一実施形態において、水流出口は、室内の水流入口よりも高い位置に位置決めされる。
【0161】
一実施形態において、水流出口は、水を分散させる(例えば水(例えば冷水)をラテラル向に(例えば複数のラテラル方向に)分散させる)ように動作可能な拡散器を含む。
一実施形態において、水流入ラインは、水流入パイプ手段(例えば水流入パイプ)を含む。
【0162】
一実施形態において、水流入パイプ手段は、容器のベース中を通って、室の下方部分中へ延在する。
一実施形態において、水流入ライン及び二次水流出ラインは、容器のベースに設けられた単一アパーチャ中を通って延在する。
【0163】
一実施形態において、水流入パイプ手段は、第1の長手方向軸を規定する第1の通路を含み、及び二次水パイプ手段は、第2の長手方向軸を規定する第2の通路を含む。
一実施形態において、第1及び第2の長手方向軸は、ほぼ位置合わせされる(例えば同軸上に)。
【0164】
一実施形態において、水流入パイプ手段は、二次水パイプ手段の第2の通路中を通って(例えばその中を通って長手方向に)延在する、又は逆も同様である。
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、水のさらなるストリームを出力流れに加える(例えば選択的に加える)ように構成される(例えば混合ステージの下流又は上流のいずれかの箇所で)。
【0165】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、冷水(例えば水流入ラインから注がれる冷水)を出力流れに(例えば混合ステージの下流又は上流のいずれかの箇所で)加える(例えば選択的に加える)ように構成される。
【0166】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、冷水(例えば水流入ラインから注がれる)を第1の定義の混合ステージからの出力流れと選択的に混合するように動作可能な第2の混合ステージ(例えば第2の混合弁)を含む。
【0167】
一実施形態において、容器は内側容器であり、熱貯蔵体は、さらに、内側容器を囲む外側容器を含み、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している。
【0168】
一実施形態において、水流入ライン及び二次水流出ラインの少なくとも一方(例えばそれぞれ)は、内側容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、水流入ライン及び二次水流出ラインの少なくとも一方(例えばそれぞれ)は、外側容器のベース中を通って延在する。
【0169】
一実施形態において、一次水流出ラインは、内側容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、一次水流出ラインは、外側容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、一次水流出ラインは、一次水流出パイプ手段(例えば一次水流出パイプ)を含む。
【0170】
一実施形態において、一次水流出ラインは、容器のベース内の単一アパーチャ(例えば水流入ライン及び二次水流出ラインと同じ単一アパーチャ)中を通って延在する。
一実施形態において、一次水流出ラインは第3の長手方向軸を規定する。
【0171】
一実施形態において、第3の長手方向軸と、第1及び第2の軸の1つ以上(例えばそれぞれ)は、ほぼ位置合わせされる(例えば同軸上に)。
一実施形態において、一次水流出ラインは温水ディスペンサーモジュールの一部を形成する。
【0172】
一実施形態において、温水ディスペンサーモジュールは、内側容器のベース及び外側容器のベース中を通って延在する外側スリーブであって、スリーブ室を画成する外側スリーブと、スリーブ室(例えば外側容器の外部の流出口)中を通って延在する一次水輪郭ラインとを含む。
【0173】
一実施形態において、スリーブ室は、その上方端部において封止され、スリーブ室への水の浸入を防止する。
一実施形態において、温水ディスペンサーモジュールは、容器のベース内の単一アパーチャ中を通って延在する(例えば水流入ライン及び二次水流出ラインと同じ単一アパーチャ)。
【0174】
一実施形態において、温水ディスペンサーモジュールは第4の長手方向軸を規定する。
一実施形態において、第4の長手方向軸と第1及び第2の軸の1つ以上(例えばそれぞれ)はほぼ位置合わせされる(例えば同軸上に)。
【0175】
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、容器の外部の位置で、入ってくる水を加熱するように動作可能な外部加熱ステージと、充電モード中に、加熱ステージによって加熱された水を容器中へ導入するように動作可能な加熱水流入ラインとを含む。
【0176】
一実施形態において、加熱水流入ラインは容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、加熱水流入ラインは、容器のベースの中心領域中を通って延在する。
【0177】
一実施形態において、熱貯蔵体は、水を加熱ステージ及び/又は加熱水流入ラインへ運ぶためのポンプを含む。
一実施形態において、加熱水流入ラインは、容器のベースに位置する加熱水流出口を含む。
【0178】
一実施形態において、加熱水流入ラインは、加熱水流入パイプ手段(例えば加熱水流入パイプ)を含む。
一実施形態において、加熱水流入パイプ手段は、容器のベース中を通って延在する。
【0179】
一実施形態において、一次水流出ラインの下方端部は、容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、加熱水流入ライン及び加熱水流出ラインは、容器のベースに設けられた単一アパーチャ中を通って(例えば水流入ライン/二次水流出ライン及び/又は一次水流出ラインと同じ単一アパーチャ中を通って)延在する。
【0180】
一実施形態において、加熱水流出ラインの下方端部は、充電モード中、加熱水流入口として機能する(それにより、加熱ステージによって加熱された水は、一次水出力ラインを上方に、容器の上方領域まで送られる)。
【0181】
一実施形態において、加熱水流入ラインは、加熱水流出ラインの下方端部と平行に設けられる。
一実施形態において、加熱水流入口は、受け入れた加熱水を室の下方セクションに導入するように位置決めされる。
【0182】
一実施形態において、加熱水流入パイプ手段は、第1の長手方向軸を規定する第1の通路を含み、及び一次水流出パイプ手段は、第2の長手方向軸を規定する第2の通路を含む。
【0183】
一実施形態において、第1及び第2の長手方向軸はほぼ位置合わせされる(例えば同軸上に)。
一実施形態において、一次水流出パイプ手段は、加熱水流入パイプ手段の第2の通路中を通って(例えばその中を通って長手方向に)延在する、又は逆も同様である。
【0184】
一実施形態において、加熱ステージは電熱体を含む。
一実施形態において、加熱ステージは熱交換器を含む。
一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、デスケーラステージ(例えば電子又は磁気デスケーラ)を含む。
【0185】
一実施形態において、デスケーラステージは、加熱ステージの上流(例えばポンプと加熱ステージとの間)に設けられる。
一実施形態において、加熱ステージは、予め決められた期間の経過後(例えばデスケーラステージへの曝露後少なくとも1~20秒)、デスケーラステージから受け入れた水を加熱するように動作可能である。
【0186】
一実施形態において、加熱ステージは、デスケーラステージへの水の曝露から1~600秒後(例えばデスケーラステージへの水の曝露から2~600秒後、例えばデスケーラステージへの水の曝露から10~600秒後、例えばデスケーラステージへの水の曝露から20~600秒後)に、デスケーラステージによって処理された水を受け入れるように動作可能である。
【0187】
一実施形態において、加熱ステージは、予め決められた期間が経過した後すぐに(例えば直後)に、デスケーラステージによって処理された水を受け入れるように動作可能である。
【0188】
一実施形態において、加熱ステージは、デスケーラステージへの曝露から1~600秒後以内に、デスケーラステージから受け入れた水を加熱するように動作可能である。
一実施形態において、予め決められた期間は、デスケーラステージと加熱ステージとの間でゆっくりとした流速によって、達成される。
【0189】
一実施形態において、加熱水流出ラインは温水ディスペンサーモジュールの一部を形成する。
一実施形態において、容器は、熱的に層化されるタンクである。
【0190】
一実施形態において、熱貯蔵体は、本発明の第1、第6、第11、第13又は第15の態様の特徴のいずれかを含み得る(例えば本発明の第1、第6、第11、第13又は第15の態様のいずれかの実施形態による)。
【0191】
本発明の第10の態様によれば、本発明の第9の態様による(例えば本発明の第9の態様のいずれかの実施形態による)熱貯蔵体を含む、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0192】
本発明の第11の態様によれば、熱貯蔵体(例えば貯湯タンク)であって、加熱液体(例えば加熱水又は油)を貯蔵するための室を画成する容器と、放出モード中に、容器の上方領域から加熱液体(例えば温水)を受け入れ且つ容器から加熱液体を放出するように動作可能な加熱液体(例えば温水)流出ラインと、容器の外部の位置において、入ってくる液体を加熱するように動作可能な外部加熱ステージと、充電モード中に、加熱ステージによって加熱された液体を容器に導入するように動作可能な加熱液体(例えば温水)流入ラインとを含む、熱貯蔵体(例えば貯湯タンク)が提供される。
【0193】
このようにして、加熱が容器の完全に外側で達成される熱貯蔵体が提供され、それにより、容器内に発熱体を設置し、その後それらを維持する必要性を取り除く。
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、容器のベース中を通って延在する。
【0194】
一実施形態において、熱貯蔵体は、放出モード中、液体(例えば冷えた液体)を容器に導入する(例えば容器を補充する)ように動作可能であり、且つ充電モード中、液体をタンク(例えばタンクの下方領域からの液体(例えば冷えた液体))から加熱ステージ(例えば加熱液体流入ラインを経由して容器に戻される前に加熱するために)へ伝えるように動作可能である。
【0195】
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、容器のベースの中心領域中を通って延在する。
一実施形態において、熱貯蔵体は、液体を加熱ステージ及び/又は加熱液体流入ラインへ運ぶためのポンプを含む。
【0196】
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、容器のベースに位置する加熱液体流入口を含む。
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、加熱液体流入パイプ手段(例えば加熱液体流入パイプ)を含む。
【0197】
一実施形態において、加熱液体流入パイプ手段は、容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、加熱液体流出ラインの下方端部は、容器のベース中を通って延在する。
【0198】
一実施形態において、加熱液体流入ライン及び加熱液体流出ラインは、容器のベースに設けられた単一アパーチャ中を通って延在する。
一実施形態において、加熱液体流出ラインの下方端部は、充電モード中、加熱液体流入口として機能する(それにより、加熱ステージによって加熱された液体は、加熱液体出力ラインを上方へ容器の上方領域まで送られる)。
【0199】
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、加熱液体流出ラインの下方端部に対して平行に設けられる。
一実施形態において、加熱液体流入口は、受け入れた加熱液体を室の下方セクション中へ導入するように位置決めされる。
【0200】
一実施形態において、加熱液体流出ラインは、加熱液体流出パイプ手段(例えば加熱液体流出パイプ)を含む。
一実施形態において、加熱液体流入パイプ手段は、第1の長手方向軸を規定する第1の通路を含み、加熱液体流出パイプ手段は、第2の長手方向軸を規定する第2の通路を含む。
【0201】
一実施形態において、第1及び第2の長手方向軸はほぼ位置合わせされる(例えば同軸上に)。
一実施形態において、加熱液体流出パイプ手段は、加熱液体流入パイプ手段の第2の通路中を通って(例えばその中を通って長手方向に)延在する、又は逆も同様である。
【0202】
一実施形態において、加熱ステージは電熱体を含む。
一実施形態において、加熱ステージは熱交換器を含む。
加熱液体が水である場合、一実施形態において、熱貯蔵体は、さらに、デスケーラステージ(例えば電子又は磁気デスケーラ)を含む。
【0203】
一実施形態において、デスケーラステージは、加熱ステージの上流に設けられる(例えばポンプと加熱ステージとの間)。
一実施形態において、加熱ステージは、予め決められた期間の経過後(例えばデスケーラステージへの曝露から少なくとも1~20秒後)、デスケーラステージから受け入れた水を加熱するように動作可能である。
【0204】
一実施形態において、加熱ステージは、予め決められた期間が経過した後すぐに(例えば直後)、デスケーラステージによって処理された水を受け入れるように動作可能である。
【0205】
一実施形態において、加熱ステージは、デスケーラステージへの水の曝露から1~600秒後(例えばデスケーラステージへの水の曝露から2~600秒後、例えばデスケーラステージへの水の曝露から10~600秒後、例えばデスケーラステージへの水の曝露から20~600秒後)に、デスケーラステージによって処理された水を受け入れるように動作可能である。
【0206】
一実施形態において、予め決められた期間は、デスケーラステージと加熱ステージとの間のゆっくりとした流速によって達成され得る。
一実施形態において、容器は内側容器であり、熱貯蔵体は、さらに、内側容器を囲む外側容器を含み、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している。
【0207】
一実施形態において、外部加熱ステージは、外側容器の外部の位置で、入ってくる液体を加熱するように動作可能である。
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、充電モード中、加熱ステージによって加熱された液体を内側容器中へ導入するように動作可能である。
【0208】
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、内側容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、加熱液体流入ラインは、外側容器のベース中を通って延在する。
一実施形態において、容器は、熱的に層化されるタンクである。
【0209】
一実施形態において、熱貯蔵体は、本発明の第1、第6、第9、第13又は第15の態様の(例えば本発明の第1、第6、第9、第13又は第15の態様のいずれかの実施形態による)特徴のいずれかを含み得る。
【0210】
本発明の第12の態様によれば、本発明の第11の態様による(例えば本発明の第11の態様のいずれかの実施形態による)熱貯蔵体を含むエネルギー貯蔵システムが提供される。
【0211】
本発明の第13の態様によれば、真空断熱熱貯蔵体(例えば真空断熱貯湯タンク)であって、加熱液体(例えば加熱水又は油)を貯蔵するための室を画成する内側容器と、内側容器を囲む外側容器であって、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している、外側容器と、加熱液体(例えば温水)ディスペンサーモジュールであって、内側容器のベース及び外側容器のベース中を通って延在する外側スリーブであって、スリーブ室を画成する外側スリーブ、及びスリーブ室中を通って(例えば外側容器の外部の流出口まで)延在する加熱液体(例えば温水)流出ラインを含む加熱液体(例えば温水)ディスペンサーモジュールとを含む、真空断熱熱貯蔵体(例えば真空断熱貯湯タンク)が提供される。
【0212】
好都合なことに、加熱液体ディスペンサーモジュールを提供することによって、モジュール内に装着される複数の部品は、容器にあるアパーチャを通して挿入されることができ、それにより、製造、及びその後の保守を簡単にする。
【0213】
一実施形態において、スリーブ室は、スリーブ室中への液体の浸入を防止するために、その上方端部において封止される。
一実施形態において、加熱液体流出ラインは、加熱液体流出パイプ手段(例えば加熱液体流出パイプ)を含む。
【0214】
一実施形態において、スリーブ室は、加熱液体流出ラインの周りに断熱材の層(例えば空隙)を提供するように構成される。
一実施形態において、スリーブ室は、その下方端部において大気に開口する。
【0215】
一実施形態において、外側スリーブは、内側容器内から外側容器のベースまで延在する単一のスリーブ要素を含む。別の実施形態において、外側スリーブは、複数の接続された要素を含み得る。
【0216】
一実施形態において、スリーブ室は、ほぼシリンダー状の内側プロフィールを有する。
一実施形態において、外側スリーブは、ほぼシリンダー状の外側プロフィールを有する。
【0217】
一実施形態において、加熱液体ディスペンサーモジュールは、内側容器内の加熱液体の温度を測定するように動作可能な、スリーブ室内に設けられた(例えば加熱液体流出ラインから離間された)1つ以上の温度センサーを含む。
【0218】
一実施形態において、加熱液体ディスペンサーモジュールは、内側容器内の異なる高さに、内側容器内の加熱液体の温度を測定するように動作可能な複数の温度センサー(例えばモジュールに沿って異なる高さに設けられた)を含む。
【0219】
一実施形態において、内側容器の重量は、外側スリーブによって少なくとも部分的に支えられる(例えばほぼ支えられる)。
一実施形態において、内側容器は、熱的に層化されるタンクである。
【0220】
一実施形態において、真空断熱熱貯蔵体は、本発明の第1、第6、第9、第11又は第15の態様の(例えば本発明の第1、第6、第9、第11又は第15の態様のいずれかの実施形態による)特徴のいずれかを含み得る。
【0221】
本発明の第14の態様によれば、本発明の第13の態様による(例えば本発明の第13の態様のいずれかの実施形態による)真空断熱熱貯蔵体を含む、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0222】
本発明の第15の態様によれば、真空断熱容器であって、熱エネルギー貯蔵体を収納する内側容器と、内側容器を囲む外側容器であって、内側容器及び外側容器は、それらの間に延在する真空領域によって離間している、外側容器とを含み、ここで、内側容器は、内部ネック部分を介して外側容器に接続され、内部ネック部分は、外側ネック部分、及び外側ネック部分を内側容器に接続するテーパ付き内側ネック部分を含む、真空断熱容器が提供される。
【0223】
このようにして、曲げ負荷を制御式に分布させるネック部分が提供され、これにより、ネック部分を形成するために、より薄い材料(例えばより薄い鋼)を使用できるようにする。
【0224】
一実施形態において、内部ネック部分は、熱エネルギー貯蔵体用の供給ライン(例えば1つ以上の発熱体用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)及び/又は流体輸送パイプ(例えば流入パイプ及び流出パイプ))を収納する中心室(例えば中心導管)を含む。
【0225】
一実施形態において、内側容器のどの部分も外側容器に接触しない。
1つの一連の実施形態において、内部ネック部分は、内側容器の上方端部(例えば内部上方ネック部分)に設けられる。この一連の実施形態において、外側ネック部分は上方ネック部分であり、テーパ付き内側ネック部分はテーパ付き下方ネック部分である。
【0226】
別の一連の実施形態において、内部ネック部分は、内側容器の下方端部(例えば内部下方ネック部分)に設けられる。この一連の実施形態において、外側ネック部分は下方ネック部分であり、テーパ付き内側ネック部分はテーパ付き上方ネック部分である。
【0227】
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器の外側セクションを外側容器の外側セクションに接続する(例えば接続プレートを介して)。
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器に設けられる(例えば内側容器に取り付けられるか又はそれと一体的に形成される)。
【0228】
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器の外側端部に接続される(例えば溶接される)。
一実施形態において、外側ネック部分はほぼシリンダー状である。
【0229】
一実施形態において、テーパ付き内側ネック部分は、テーパ付き内側ネック部分の最も内側のセクションの対応するテーパ角度よりも深いテーパ角度で傾斜した、最も外側のテーパ付きセクションを有する。
【0230】
一実施形態において、テーパ付き内側ネック部分は、凹曲面プロフィールを有する(例えば垂直に対する傾斜角度が、テーパ付きネック部分のベースから距離が増すにつれて、増加する)。
【0231】
本開示の目的では、テーパ角度は、垂直から測定された鋭角である(すなわち角度の値が小さいほど、テーパの傾斜が深くなる)。
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器のテーパ付き肩セクションで内側容器と接する。
【0232】
一実施形態において、テーパ付き肩セクションは凸曲面プロフィールを有する(例えば垂直に対する傾斜角度が、テーパ付きネック部分からの距離が増加するにつれて、増加する)。
【0233】
一実施形態において、内部ネック部分は、コネクタプレートを介して外側容器に接続される。
一実施形態において、外側容器は外部ネック部分を含む。
【0234】
一実施形態において、外部ネック部分はテーパ付きネック部分(例えばテーパ付き内側ネック部分)を含む。
一実施形態において、外部ネック部分は外側ネック部分を含む(例えばテーパ付き内側ネック部分に加えて)。
【0235】
一実施形態において、外部ネック部分の外側ネック部分はほぼシリンダー状である。
一実施形態において、外部ネック部分のテーパ付き内側ネック部分は、テーパ付き内側ネック部分の最も内側のセクションの対応するテーパ角度よりも深いテーパ角度で傾斜した最も外側のテーパ付きセクションを有する。
【0236】
一実施形態において、外部ネック部分のテーパ付きネック部分は凹曲面プロフィールを有する(例えば垂直に対する傾斜角度が、テーパ付きネック部分のベースからの距離が増加するにつれて、増加する)。
【0237】
一実施形態において、外部ネック部分は、外側容器のテーパ付き肩セクションにおいて、外側容器に接する。
一実施形態において、内側容器は、さらに、熱エネルギー貯蔵体を内部ネック部分から物理的に分離するように構成されたバリア(例えば膜)を含む(例えば、内部ネック部分を介した熱損失が、バリア中を通って内部ネック部分のほぼ全長に沿って延在する熱経路を含むように)。これは、ネック設計の熱効率を最大にするために内部ネック部分が内側容器の下方端部(例えば内部下方ネック部分)に設けられる場合に、特に有用とし得る。
【0238】
一実施形態において、バリアは、熱エネルギー貯蔵体に凸状バリア面を提示する(例えば熱エネルギー媒体と内部ネック部分との間の分離を最大にするために)。
1つの一連の実施形態において、内側容器は外側容器内に吊るされる。
【0239】
一実施形態において、内側容器は、内側容器の上方セクションを外側容器の上方セクションに接続する(例えば単一)内部ネック部分(例えば構造的に負荷がかけられた内部ネック部分)を介して吊るされる。
【0240】
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器及び熱エネルギー貯蔵体の重量を支える。
一実施形態において、外側容器(例えば外側容器の上方セクション)は、内部ネック部分の端部(例えば上方端部)を受け入れるための(例えば第1の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0241】
別の一連の実施形態において、内側容器は、内側容器の下方セクションを外側容器の下方セクションに接続する(例えば単一の)内部ネック部分(例えば構造的に負荷がかけられた内部ネック部分)を介して支えられる。
【0242】
一実施形態において、内部ネック部分は、内側容器及び熱エネルギー貯蔵体の重量を支える。
一実施形態において、外側容器(例えば外側容器の下方セクション)は、内部ネック部分の端部(例えば下方端部)を受け入れるための(例えば第1の)アパーチャ(例えば封止可能なアパーチャ)を含む。
【0243】
一実施形態において、真空断熱容器は、本発明の第1、第6、第9、第11又は第13の態様の(例えば本発明の第1、第6、第9、第11又は第13の態様のいずれかの実施形態による)特徴のいずれかを含み得る。
【0244】
本発明の第16の態様によれば、本発明の第15の態様による(例えば本発明の第15の態様のいずれかの実施形態による)真空断熱容器を含むエネルギー貯蔵システムが提供される。
【0245】
本発明の実施形態を、ここで、添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0246】
図1a】本発明の第1の実施形態による熱貯蔵体の概略図。
図1b図1aの熱貯蔵体において使用される断熱材の概略図。
図2】本発明の第2の実施形態による熱貯蔵体の概略図。
図3図1a及び図2の熱貯蔵体において使用される真空システムの動作の概略図。
図3c】2つの異なる動作モードの、図3a及び図3bの真空システムの動作を示す1組のフロー図。
図4図1a及び図2の熱貯蔵体において使用される輸送システムの拡大図。
図5i図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5ii図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5iii図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5iv図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5v図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5vi図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5vii図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図5viii図1aの熱貯蔵体の組み立て方法を示す図。
図6】従来のマイクロポーラス断熱材における細孔サイズ対熱伝導率のグラフ。
図7】本発明のさらなる実施形態による建物用の電気設備の概略図。
図8】本発明のさらなる実施形態による建物用の電気設備の概略図。
図9】本発明のさらなる実施形態による建物用の電気設備の概略図。
図10】本発明のさらなる実施形態による建物用の電気設備の概略図。
図11】本発明のさらなる実施形態によるエネルギー貯蔵システムの概略図。
図12図8又は図10の電気設備と一緒に使用するための、本発明のさらなる実施形態によるエネルギー貯蔵システムの概略図。
図13a図11又は図12のエネルギー貯蔵システムにおいて使用するための、第1の熱貯蔵体の概略図。
図13b図11又は図12のエネルギー貯蔵システムにおいて使用するための、第2の熱貯蔵体の概略図。
図14図13aの熱貯蔵体と組み合わせた、図12のエネルギー貯蔵システムの概略図。
図15a】従来技術による真空容器の概略的な断面図。
図15b】本発明の一実施形態による真空容器の概略的な断面図。
図15c】ヘリカルコイルの特性の概略図。
図15d図15bの真空容器の構造のステージの概略図。
図15e】本発明のさらなる実施形態による真空容器の概略的な断面図。
図16a】本発明のさらなる実施形態による真空被覆パイプの概略的な断面図。
図16b】本発明の別の実施形態による、修正された真空被覆パイプの概略的な断面図。
図17】本発明のさらなる実施形態による熱貯蔵体の概略的な断面図。
図18a】本発明の一実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図18b】本発明のさらなる実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図18c】本発明の別の実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図19a】本発明のさらに別の実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図19b】本発明の別の実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図20a】本発明のさらなる実施形態による温水貯蔵体の概略的な断面図。
図20b図20aの温水貯蔵体の動作を示す図。
図20c図20aの温水貯蔵体の動作を示す図。
図20d図20aの温水貯蔵体の動作を示す図。
図21】本発明の真空容器と一緒に使用するためのネック構造の例を示す図。
図22】本発明の真空容器と一緒に使用するためのネック構造の一実施形態の詳細な幾何学的形状を示す図。
図23】本発明のさらなる実施形態による真空容器の概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0247】
図1aは、内側容器40及び外側容器50を含む、真空断熱蓄熱体10を示し、内側容器40は固体顕熱貯蔵材料14を含んでおり、顕熱貯蔵材料14には電熱体6及び熱交換器13それぞれが埋め込まれている。電熱体6は、電線5を介してコントローラ(図示せず)に接続される。顕熱貯蔵材料14は、内側容器下部41及び内側容器上部42を含む内側容器40に入れられている。外側容器50は、外側容器下部51及び外側容器上部52を含む。ネックコネクタ60が、ネック管62に取り付けられる下方ネックプレート63要素を含み、それが次に上方ネックプレート61に取り付けられる。内側容器40は、ネックコネクタ60によって外側容器50に取り付けられる。内側容器40及び顕熱貯蔵材料14の重量は、ネックコネクタ60によって外側容器50から吊るされる。内側容器40、外側容器50及びネックコネクタ60は真空空間11を形成する。合計n(ここでn=50~200)層の多層断熱材(「MLI」)12が内側容器40に巻かれており、真空空間11を部分的に満たしている。
【0248】
真空は、外側容器50に接続される一体型真空システム20によってつくられる。外側容器50はまた、いくつかの取り付け部品が取り付けられており、それは輸送インターフェースシステム30を形成する。
【0249】
固体顕熱貯蔵材料14は、1つ以上の埋め込まれた電熱体6のいずれかによって200℃超の温度まで加熱され得る。熱は、作動流体を、パイプ7を経由して熱交換器13中へ及びパイプ8を経由して熱交換器13から出るように通過させることによって、固体顕熱貯蔵材料14から引き出され得、ここで、熱交換器13に入る作動流体は、顕熱貯蔵材料14よりも冷たい。
【0250】
ネック管62は、1つ以上の発熱体6のための供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)と、1つ以上の熱交換器13用の流体輸送パイプ7&8(例えば流入パイプ及び流出パイプ)とを収納する中心室45を規定する。
【0251】
固体顕熱貯蔵材料14及び多層断熱材12を除いた全ての主要な構成要素は、好ましくは、適切な金属又は合金から作製される。
提案の発明は、かなりの数のMLIの層を備える内側及び外側の同心容器を含む真空容器を作り出すことを含み、且つ取り囲まれた体積部が、従来のMLI断熱技術で機能するのに不十分な真空レベルである0.05ミリバール~1ミリバールの真空を保持することができる。
【0252】
現在まで、真空断熱は、高温応用のための非常に限られた方法においてのみ使用されてきており、これらは、主に、真空引きした空間内に低コストのマイクロポーラスのバラ詰め材料、例えばパーライトと組み合わせて真空を使用することを重視してきた。しかしながら、パーライト及び他のバラ詰め材料は、循環温度を用いるサーマル熱貯蔵体(thermal heat store)には不適切である。内側容器が加熱されると、内側容器は膨脹して、軟質パーライトバラ詰め材料を砕いてしまう。冷却時には、容器は収縮し、一部のパーライトが、次の加熱サイクルで再び砕かれる前に、加熱サイクルによって形成された間隙に落下してしまう。これにより、パーライトが、時間が経つにつれて真空空間の下部に詰め込まれることとなり、断熱材が適切に機能しなくなることを意味する。
【0253】
成形パネルとして供給され且つ真空引きされた体積部内の内側又は外側容器に取り付けられ得る、ある範囲のマイクロポーラス断熱材がある。バラ詰め及び落下問題は回避されるものの、成形パネルをシリンダー状容器に取り付けることは複雑で費用のかかるプロセスである。さらに、マイクロポーラス材料の輸送中に取り外れるリスクがある。
【0254】
固体顕熱貯蔵材料は、内側容器が組み立てられる間に、元の位置でキャスティングされる。材料は、特許文献1に説明されているように、金属・岩の複合材(例えば固体サーマルフィラー材料が埋め込まれているアルミニウムマトリックス)とし得る。内側容器はMLIで包まれる。反射層は、スペーサ層によって互いに分離される。反射層はアルミニウムとし得、及びスペーサ層は、薄いガラス繊維マット(glass fibre matt)又は紙とし得る。
【0255】
固体顕熱貯蔵材料は、200℃以上まで加熱され得る。
より高温の応用では、MLIは、複数の薄いアルミニウム箔シート(例えばおよそ0.007mm)から作製され得、薄いガラス繊維紙(例えばおよそ0.006~0.012mm)がそれらアルミニウム層を分離し、及び巻き付けることによって内側容器に簡単に取り付けられ得る。
【0256】
MLIは、層間の間隔(反射層からスペーサ層までの距離と定義される)が0.2mm未満の平均間隔距離を有するように十分にきつく巻きつけられる。反射層の数は50を上回り、200層もの多さとしてもよい。層間の間隔は、通常、1mm~0.01mmで変化し得る。
【0257】
黒体から単位時間当たり放出される放射エネルギーは、絶対温度の4乗に比例し、シュテファン-ボルツマンの法則を用いて、
q=σT
(式中
q=単位時間当たりの熱伝達(W)
σ=5.6703 10-8(W/m)-シュテファン-ボルツマン定数
T=絶対温度(ケルビン(K)単位)
A=放射体の面積(m
である)
と表され得る。
【0258】
項ゆえに、シュテファン-ボルツマン定数は小さい数であるが、2つの面間の温度差が大きいとき、放射熱伝達は著しいとし得る。面間に層を追加することによって2つの面間の温度差を小さくすることは、輻射熱伝達を小さくする。
【0259】
n個の等距離の黒体スペーサを置くことによって、輻射熱伝達を1-1/(n+1)だけ低下させる。n=9個のスペーサでは、輻射熱伝達は90%だけ低下する。
スペーサが反射性であり、理想的な黒体でない場合、熱伝達は、表面の放射率によってさらに低減され得る。単位時間当たり放出される輻射エネルギーは、ここで、以下の通りである。
【0260】
q=εσT
(式中、
ε=表面放射率(-)
である)
定義により、黒体は1の放射率を有するが、アルミニウム箔の放射率は0.05であろう。これは、黒体は入射放射線の100%を吸収する一方で、アルミニウム箔は、ちょうど5%吸収し、それを95%反射させることを意味する。MLIは、薄い非伝導性層によって分離された高反射性の層を利用する。放射率0.05の20層の反射箔は、輻射熱伝達を99.8%だけ低下させる。
【0261】
平均自由行程は、原子/分子が、別の原子/分子に衝突する前に、どの程度遠くに移動できるかの尺度である。空気圧が低下されるにつれて、単位体積当たりの原子/分子数、すなわち空気密度が低下するため、平均自由行程が増加する。ここで、原子/分子はさらに移動するため、原子/分子は、それらの数が少なくても、より簡単に熱を伝導できる。その結果、空気圧が非常に低くなるまで、気体熱伝導が広く一定となる。
【0262】
従来のMLI真空断熱低温容器の内壁と外壁との間の距離は、20mm程度にすぎない。平均自由行程が20mmを上回ると、気体伝導は急速に低下し始めるであろう。0.0001ミリバールでは、平均自由行程は1000mmまで大きくなっており、熱伝導率はほぼなくされる。圧力のさらなる低下は、熱伝導率に対して最小限の影響しかないため、ほとんど価値を提供しない。これは、MLIを備える真空断熱容器が、0.0001ミリバールの領域における真空で送達される理由である。20mmの間隙内で10mmの平均自由行程である0.01ミリバールでは、気体伝導は高くなることも理解され得る。
【0263】
マイクロポーラス断熱材は、低固体伝導を有し且つ非常に小さい細孔すなわち空隙でいっぱいである材料を使用することによって、機能する。これらの細孔は、平均自由行程よりも遥かに小さく、原子/分子が移動できる距離を人工的に制限している。
【0264】
一般的に、細孔サイズが小さいほど、使用され得る真空は弱くなる。例えば、ヒュームドシリカは、非常に小さい細孔サイズ(0.001~0.05mm)を有し、ちょうど1ミリバールの真空で働き、これは、MLI真空よりも10,000×高い。パーライトは、ヒュームドシリカよりも20×大きい細孔サイズ(0.02~0.1mm)を有するため、より良好な真空(20×低い)、通常0.05ミリバールを下回る真空を必要とする。
【0265】
上述した通り、追加的な間隔層(20を上回る)の使用は、輻射熱伝達の低下にほぼ利益をもたらさないことが明らかであるため、常識に反する。しかしながら、追加的な層が追加され(例えばn≧50)、小さい平均間隔できつく巻かれる場合、これは、容器に対して垂直な方向に空気分子が移動できる距離を抑制することによって、反射層及びスペーサ層がマイクロポーラス断熱体のようにふるまうことを可能にする。容器に対する接線方向において、分子は、2つの層「間」でより長い距離移動できる。これは、かなり均一な三次元の性質を有するマイクロポーラス断熱材とは異なる。気体伝導を抑止するための多数のMLI層の使用は、従来のMLIが通常機能しない真空レベルで、MLIが効果的な断熱体として機能することができることを意味する。
【0266】
MLIの使用はまた、輸送中に断熱材が取り外れるという限定的なリスクがあることを意味する。内側容器は、各熱サイクルによって膨脹及び収縮でき、MLIの取り外れ又は外側容器との接触による損傷の限定的なリスクを備える。
【0267】
遥かに多数の層nを使用することによって、真空が全損する場合の安全性を高める。より高品質の真空レベル(より低い圧力)で少数のMLI層が使用された場合、真空が損失する場合、外側ケーシングは、触るのが危険であるか又は取り付けられた道具を損傷させる温度に達し得る。より穏やかな真空及びより多くのMLI層を使用することによって、真空のない断熱性能はより良好になり、これにより、外側ケーシングが到達し得るピーク温度を下げる。
【0268】
中程度の真空(0.05ミリバール~1ミリバール)で効率よく動作することができるさらなる利益は、この真空レベルが低コストの真空ポンプのみを必要とすることである。これは、回転プランジャーポンプ、ピストンポンプ、スクロールポンプ、スクリューポンプ、回転ベーンポンプ、回転ピストンポンプ、ルーツポンプ及び吸着ポンプを含む。
【0269】
特に、油潤滑式回転ベーンポンプは、このレベルの真空を達成できる。これらのポンプは、熱ポンプ/空調ユニット/冷蔵庫から冷却剤を除去するためにHVAC(暖房、換気、及び空調(Heating Ventilation and Air Conditioning))工業で使用されるため、非常に高容量及び低コストで生産される。理想的には、真空ポンプは一段又は二段油潤滑式回転ベーンポンプである。
【0270】
提案の発明のバージョンは、真空引きした空間に自動弁22を介して永久的に接続される真空ポンプ27が提供される、真空断熱蓄熱体を有する。これは、真空が、設置時を含め、要求に応じて「再び引かれ」得ることを意味する。
【0271】
真空断熱容器に統合真空ポンプが提供されている状態で、どの段階においても真空を再び引くことが可能である。真空の質は、内側シェルと外側シェルとの温度差から推定され得る。予め設定されたレベルに達すると(すなわち外側シェルが本来よりも温かい)、真空ポンプは、このレベルを下回るまで係合され得る。これはまた、真空ポンプが機能する限り、数十年の期間にわたって、必要とされる真空レベルが維持され得ることを意味する。
【0272】
これは、いくつかの利点を有する。
I.必要とされる真空を引くことは、分子が表面から「ガスを抜い」て、真空空間から除去されるのに数日かかり得る。多数のMLI層は、ガスを抜かれる表面の量が通常の容器よりも遥かに多いことを意味する。統合真空ポンプを有することは、このプロセスが、必要とされる限りエンドユーザの敷地で実施され得ることを意味する。
【0273】
II.熱はこのプロセスを加速させるために使用され得るが、蓄熱体を用いて蓄熱体を加熱しその後冷却するためには、時間及びエネルギーを必要とする。統合真空ポンプを用いて、このプロセスは、真空断熱蓄熱体の使用中に、時間をかけて実施され得る。
【0274】
III.容器は、固体貯蔵媒体で予め満たされて輸送され得、本発明の一実施形態に示すように、安定化ボルトを使用することが好ましいかもしれない。安定化ボルトの使用は、現場で設置されるときに真空が再び引かれる必要があることを意味する。
【0275】
IV.製造中は、より低レベルの品質管理が使用される。ハード真空では、全ての表面が清浄であり、ガスが抜け得る油や他の物質がないことが重要である。多くの低炭素鋼は、製造後にその構造内の水素を含んでおり、それが、時間が経つにつれてガスが抜け得る。いずれのグレードの低炭素鋼でも使用する能力は、コスト及び品質管理の観点から好都合である。
【0276】
一段式回転ベーンポンプは、ポンプが閉塞孔(blanked-off hole)に対して引いていると、「理論上は」0.04ミリバールに達し、及び二段式は、0.004ミリバールに達し得る。空気の平均自由行程は、0.04ミリバールにおいて2.4mmであり、及び0.004ミリバールにおいて24mmである。この真空レベルは、本出願には十分すぎるが、真空引きした空間への接続は、このタイプのポンプによってこのレベルの真空が達成され得るかどうかに、大きな影響がある。
【0277】
分子流は、遥かに高い流れ抵抗を生じて真空ポンプの有効性を低下させる。真空ポンプまでの流入パイプの長さ対直径の比が、平均自由行程を下回る場合、流れは分子流レジームに落ちる。0.004ミリバールの真空では、パイプが24mm未満の内径である場合、分子流は重要因子になる。分子流が発生するときにはパイプの長さも影響する。分子流は、10倍又はさらには100倍で、達成可能な真空を低下させ得る。これは、一段式ポンプによって引かれ得る理論上の真空は0.04ミリバールになるが、長いパイプ接続によって、引かれ得る実際の真空は、少なくとも4ミリバールまで上昇することを意味する。
【0278】
真空ポンプ、及び真空引きした空間をポンプに接続する接続ホースの現在の設計には、いくつかの問題がある。それらには、ステンレス鋼フレキシブルホースがクランプされ得る流入ポートがある。ホースの他方の端部は、真空引きした空間に接続する弁にクランプされ得る。ポンプは、通常、スイッチがオンにされており、フレキシブルパイプ内に合理的な真空があると、弁が開放され得る。
【0279】
フレキシブル鋼パイプは、損傷の影響を受けやすく、また、大径では高価である。大径の真空弁のように。その結果として、真空を引くとき、フレキシブル接続パイプは、通常かなり小さい(<30mm)。小型真空ポンプへの流入ポートは、小径のフレキシブルパイプを収容するために、内径が小さい(8~20mm)。
【0280】
0.2ミリバールの圧力において、内径40mm長さ1mのパイプは、同等の内径12mmのパイプよりも100倍多く流れることができるようにする。実際には、固有の弁及び配管の周りでの流れを抑えるために、低コストの真空ポンプは所望の性能を達成できない。
【0281】
図3を参照して説明すると、一実施形態において、大径パイプ25、好ましくは固体(非フレキシブル)パイプを介して統合真空ポンプ27が真空空間11に接続可能であることは、本発明のさらなる特徴であり、ここで、ポンプ27及び真空空間11は、好ましくは自動的に操作され得る大径の弁22によって分離されている。真空ポンプ27は、真空ポンプ27への流入ポート28が大径パイプ25のものと同様の面積まで拡大されるように、さらに修正され得る。さらなる実施形態において、パイプ25、及び真空ポンプ27への取り付け部は、ポンプ27を十分に支えて、重量がパイプ25によって支えられるようにする。パイプの内径は、少なくとも40mm、好ましくは50mm超とし得る。パイプの長さは、真空ポンプの修正された流入口まで1.0m未満、好ましくは0.5m未満とし得る。
【0282】
固体パイプを使用することは、フレキシブルパイプよりも信頼性が高く、且つ製造中に容器に溶接できる。固体パイプには、真空ポンプにどのように接続するかにおいて許容範囲の積み重ね誤差のリスクがある。これらは、真空ポンプを固体パイプに取り付けることによってなくされるため、固体パイプによって十分に支えられる。真空ポンプへの流入ポートの修正は、性能を高め、且つ固体パイプへの構造上の取り付け点を提供するための追加のオプションを提供する。
【0283】
内側及び外側容器40、50はネックコネクタ60においてのみ接続される。固体蓄熱媒体を備える内側容器40が輸送中拘束されていない場合、ネックコネクタ60に高い応力をかけて、輸送中、損傷の影響を受けやすくする。通常の道路輸送中は3gほどの高さの力を受け得る。ネックコネクタ60がこれらの応力を受けるように設計されている場合、ネックコネクタは、これらの応力に抵抗するために、通常の動作に必要とされるものよりも多くの材料を必要とするであろう。ネックコネクタ60は、通常、鋼であり、厚みのあるセクションが使用される場合、この領域の熱伝導率は高くなり、より高い熱損失につながり、これは望ましくない。
【0284】
低温真空容器の通常の実施は、外側シェルに溶接された第2のシリンダー状部材内に位置する、ネックとは反対側の端部で、シリンダー状スタブを内側シェルに溶接させることである。そのため、容器が静止しているとき、スタブと第2のシリンダーとの間は直接接触しない。しかしながら、内側シェルと外側シェルとの間に相対的な動きがあるとき、内側スタブが第2のシリンダー状部材に接触して動きを制限し、それゆえネックに応力を加える。スタブの接近のマイナス面は、断熱材を迂回し得る熱放散路を作り出すことである。さらに、重心と位置合わせして容器を内側容器と組み立てる必要がある。固体蓄熱体は重心を支配するため、内側容器が正しい向きにされると(重心に起因して)、外側容器と幾何学的に位置合わせされないことを意味し得る。容器が幾何学的に位置合わせされない場合、スタブとシリンダーは通常組み立て前に溶接される必要があるため、スタブアプローチを使用することが非常に困難である。内側容器内の固体蓄熱塊との関連で使用されるときに、従来のアプローチがより高い熱損失を有し、設置することが実現不可能である結果となる。
【0285】
図4を参照して説明すると、一実施形態において、本発明は、外側容器50に2つ以上(例えば3つ以上)のソケット(例えばねじ込みソケット)31を追加することを含む。これらのソケット31によって、構造上の輸送用ボルト(例えばねじ付きボルト)35が挿入され、適所に固定され得、それにより内側容器40を確実に拘束する。個々の輸送用ボルト35の使用は、内側容器40と外側容器50との間のいずれの不整合も調整され得ることを意味する。
【0286】
この拘束は、ネックコネクタ60における高負荷が著しく低下されることを意味する。好ましい実施形態において、4つの等しく離間したソケット31/輸送用ボルト35を有するため、蓄熱体10は、輸送用ボルト35のうちの2つが輸送車両の向きと位置合わせされるような向きで輸送され得る。このようにして、例えば、大型トラックで輸送される場合、制動負荷及び加速負荷が複数対の固定部材のうちの1つの軸の直ぐ下になる。現場で設置されるとき、輸送用ボルトは取り除かれ、ソケット31は、ねじ付き封止ボルト34によって封止される。蓄熱体10は統合真空ポンプ27を有しているため、輸送中の真空の損失は問題ではない。
【0287】
スプレッダプレート又はパッド32が、外側容器50内に提供されて、内側容器に取り付けられたMLI層12を保護してもよい。これらのスプレッダプレート32は、負荷を分散させて、内側容器40に巻き付けられるMLI層12に対する損傷が発生しないようにすることを保証するために使用され得る。スプレッダプレート32はMLIに侵入しない又はそれを損傷させないため、追加的な熱橋はない。
【0288】
図1bは、外側容器50と内側容器40との間の真空空間11内に位置決めされたn層の多層断熱材(MLI)12の断面を示す。n層の多層断熱材12のそれぞれは、反射層12a及びスペーサ層12bを含み、ここで、層12は、内側容器40の外壁に巻き付けられる(例えば内側容器の外表面をほぼ覆う)。断熱材は、200層の多層断熱材を含み、多層断熱材の各層は反射層及びスペーサ層を含む。n=200層と外側容器50との間には、好ましくは間隙がある。巻き付け方法は、周方向でも、長手方向でも、又はこれらの任意の組み合わせ(例えばらせん形)でもよい。層12は、テープ又はシートの形をしていてもよい。層12は、前の層に重なり得るが、一般的に、層は、内側容器40の表面全体にわたって均一に作り上げられる必要がある。スペーサ層12bは、好ましくは、反射層12aよりもわずかに幅広である。複数の層12が同時に追加され得る。
【0289】
概して、断熱材は、真空領域を横切る温度差摂氏100度当たり少なくとも10層の多層断熱材を含む必要がある。多層断熱材の各層の反射層とスペーサ層との間の間隔は、1mm~0.01mmである。反射層12aは、反射金属シート(例えばアルミニウムシート)であるか、又は、より低温の応用では、金属化プラスチック若しくはマイラー(Mylar)(登録商標)のシートである。スペーサ層12bは、薄いガラス繊維層若しくは薄いセラミック繊維(例えばセラミック繊維紙)層、又はより低温の応用では、紙のシートとし得る。
【0290】
図2は、蓄熱体10に基づく代替的な真空断熱蓄熱体10’を示し(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)、ここで、電熱体6が、熱伝達パイプ17内に装着された放射発熱体18と置き換えられる。放射発熱体18は、金属合金又は高温セラミック、例えば石英から作製され得る熱伝達パイプ17によって-それと物理的に密接に接触はしないが-囲まれる。石英は、ほとんどの金属合金よりも高い温度(950Cまで)で操作されることができ、且つ赤外線を広範囲に通すため、石英を通して放射加熱エネルギーを顕熱貯蔵材料14’まで通過させることができるという利点を有する。放射発熱体18は、コントローラ(図示せず)に接続される電熱線5’によって電力を供給される。このアプローチの利点は、電熱体6が顕熱貯蔵材料14に埋め込まれている図1aの場合とは対照的に、放射発熱体18が熱伝達パイプ17から簡単に引き出されて交換され得ることである。
【0291】
図3a及び図3bは、弁棒24によって真空弁22に接続された弁アクチュエータ21を含む一体型真空システム20、20’を示す。図3aに示すような閉鎖時には、真空弁22が弁座23に載置される。パイプ25は、修正された流入ポート28を介して真空気密空間11を真空ポンプ27に接続する。パイプ25は、外側容器50にしっかりと接続され、また、真空ポンプ27を支える。図3bは、真空弁22がパイプ25を塞いでいない、真空弁22の開放を示す。
【0292】
図3cは、一体型真空システム20用の制御論理のいくつかの例を示す。
真空ポンプ27は、コアから環境への熱損失を最小限にするために、必要なときにのみ操作されて、間欠状態で運転している
真空ポンプ27の状態は、ON又はOFFのいずれかである
真空ポンプ27は、通常、真空弁22が弁アクチュエータ21によって開放される前、予め設定された期間、常に運転されている。このようにして、真空弁22の両側に真空が確立されているため、開放しているとき、空気が真空気密空間11に入らない。さらに、真空弁22にかかる力は非常に低く、弁アクチュエータ21の所要電力を低下させる。
【0293】
任意選択的に、真空ポンプ27は2つのモードで運転され得る(参照:主プログラム及び連続運転)
- 「主プログラム」での動作時、真空ポンプ27は、設定された時間間隔で、予め決定された持続時間、スイッチをオンにされる
- 真空ポンプ27は、入力変数が範囲外である場合、スイッチをオンにする。参照:これは、取得ループによって観察される
- 入力変数は、例えば、表面T又は真空レベルとし得る(例えば[T>30DegC又はp>1.0mBarGの場合]:スイッチをオンにする)
- ポンプがスイッチをオンにする持続時間が設定される(t1によって)。参照:これは、真空ループによって制御される
- プログラムへの1回の呼び出しのENDと次の(START)の始まりとの間の時間は、任意の値に設定され得る。
【0294】
・ 「連続運転」での動作時、真空ポンプ27は、ひとたび起動したら開始される
・ 入力変数は、1/t3によって決定された速度で絶えずサンプリングされる
・ 真空ポンプ27は、入力変数が範囲外である場合、スイッチをオンにされる
・ 真空ポンプ27は、入力変数が範囲内である場合のみ、スイッチをオフにする
・ ひとたび真空ポンプ27がスイッチをオンにされたら、入力変数サンプリング間にt2秒が経過する。簡単にするために、一般にt3=t2である。
【0295】
図4は、外側容器50にしっかりと取り付けられたソケット31を含む輸送インターフェースシステム30を示す。図4bにおいて、輸送用ボルト35は、ソケット31にねじ込まれてスプレッダプレート32を押圧し、多層断熱材12を内側容器40に対して圧迫して、内側容器40の動きを抑制する。図4aは、輸送用ボルト35が除去されて封止用ボルト34で置き換えられている、非輸送モードにあるシステムを示す。
【0296】
スプレッダプレート32はストラップ33に取り付けられ、これは次に外側容器50に取り付けられる。スプレッダプレート32は水平方向に自由に動けるが、ストラップ33によって抑制されているため、スプレッダプレート32は、ソケット31を覆うように適所に留まる。
【0297】
図5i~図5viiは、真空断熱蓄熱体10の組み立てプロセスを示し、及び図5viiiは、輸送用に構成された真空断熱蓄熱体10を示す。
図5iは、内側容器40の内側容器下部41を示す。
【0298】
図5iiは、固体顕熱貯蔵材料14、電熱体6及び電線5、並びに熱交換器13が設置された、同じ内側容器下部41を示す。
図5iiiは、下方ネックプレート63に取り付けられた内側容器上部42を示す。
【0299】
図5ivは、内側容器下部41が内側容器上部42に取り付けられ、及び内側容器上部42がネックコネクタ60の下方ネックプレート63に取り付けられた、組み立て済の内側容器40を示す。
【0300】
図5vは、n層の多層断熱材12に包まれた内側容器40を示す。内側容器40は、巻き付けプロセス中、ネックコネクタ60によって支えられ得る。
図5viは、外側容器下部51内に降ろされた、多層断熱材12及びネックコネクタ60を備える内側容器40を示す。
【0301】
図5viiは、外側容器下部51及び上方ネックプレート61に取り付けられた外側容器上部52を備える、完成品の容器を示す。
図5viiiは、同じ容器を示すが、輸送用ボルト35が適所にあり、輸送準備が整っている。
【0302】
図6は、10mm未満の細孔サイズと異なる真空圧での熱伝導率との間の関連性を示す。
図7は、家庭用電力供給部115を有する建物用の電気設備110を示し、電気設備110は、ネットワークヒューズ114に関連付けられた給電部111(例えばネットワークグリッド供給部)と、熱貯蔵システム112と、制御回路110aとを含む。ネットワークヒューズ114は、ネットワークによって所有される従来のヒューズであり、給電部111から引き込まれる電流量を制限する。
【0303】
制御回路110aは電流センサー116を含み、これは、センサー配線117を介して、コントローラ118全体、一対のオン/オフ電流コントローラ120及び可変電流コントローラ121に接続される。コントローラ118全体は、制御配線117を介して、可変電流コントローラ121並びにオン/オフ電流コントローラ120を制御し、ネットワークヒューズ114を通して引き込まれる電流が、確実に予め設定された限界値内に留まるようにする。
【0304】
図示の通り、給電部111は、制御回路110aを介して、電気抵抗器として動作可能な3つの電熱装置130に接続されて(それぞれ、別個の加熱回路129a~cに設けられる)、熱貯蔵システム112に熱をもたらし、それが次に、建物の温水/集中暖房システム(図示せず)に熱を供給する。電熱装置130のうちの2つ(加熱回路129a及び129bに設けられる)は、オン/オフ電流コントローラ120によってスイッチを入れられたり又は消されたりし、残りの電熱装置130(加熱回路129cに設けられる)は、可変電流コントローラ121によって制御される。
【0305】
熱貯蔵システム112は、温水加熱回路とし得る家庭用加熱回路に熱を提供する。熱貯蔵システムは、ガス又はオイルボイラーの場合のように、温水加熱回路に、予め設定された標的流れ温度、例えば65℃又は70℃を有し得る。
【0306】
可変電流コントローラ121及びオン/オフ電流コントローラ120を使用することの利点は、ネットワークヒューズ114を通して引き込まれる電流が、広い電流範囲にわたって最大にされ得ることである。例えば、オン/オフ電流コントローラ120は、32Aの増分で電流需要を段階的に上げる一方で、可変電流コントローラ121は、電流を0~32Aから変え得る。100Aの電力供給の住宅に対し、可変電流コントローラ121は、明らかに、充電能力を最大限にするための柔軟性をよりもたらす。
【0307】
複数の回路を用いて良好な精度(granularity)を得られる、すなわち8×16Aのオン/オフが16A又は2×8Aの段階を与え、7×16Aが8A段階で同じ結果を与えるため、可変コントローラは不可欠ではない。異なる定格電流及び段階の例は、以下に示されている。
【0308】
図7 1つの可変32A及び2つのオン/オフ32A回路-0~96Aを与える
図8 1つの可変16A、1つのオン/オフ16A回路、1つのオン/オフ32A-0~64Aを与える
図9 1つのオン/オフ16A及び2つのオン/オフ32A-16A段階において0~80Aを与える
図10 1つの可変32A及び2つのオン/オフ32A回路-0~96Aを与える
配電ネットワーク(グリッド)は、住宅をネットワークに接続する供給部に許容可能な電圧上限値及び下限値を指定する。ネットワークオペレータがそのライセンス条件内に留まるために、この供給部が指定範囲内に留まるようにし、この電圧は、一般に広いことを保証する必要がある。英国では、230Vの公称供給電圧で216V~253Vである必要がある。
【0309】
この広い電圧範囲は、電気抵抗ヒータによって加熱される蓄熱体に問題を生じる。オーム抵抗では、散逸された電力は、電熱装置の両端間の電圧と比例する。253Vにおける最大電力用にシステムが設計される場合、供給される電圧は216Vに降下し、システムは、設計された電力の73%のみを引き込む。同様に、216Vにおける最大電力用にシステムが設計される場合、253Vにおいて、設計された電力の137%を引き込む。
【0310】
本発明の1つの特徴は、固定オーム電熱装置130を備える電気設備110を設計することであり、ここでは、全体として、電熱装置130の全てが最大許容可能な電圧で使用される場合、ネットワークヒューズ114のために主ヒューズ定格を上回る。通常の使用において主給電ヒューズの安全保護及び限界値を上回り得る装置を設計することは通常ではない。システムは、要素への電流を許容可能な限界値内に保つためにアクティブに制御する。このアプローチの利点は、電圧が最小限限許容可能であるときでも、ユニットは、依然として、同じ量の電流、例えば、90Aを引き込むことができることである。
【0311】
一実施形態において、電熱装置130の合成電流引込能力は、全ての電熱装置がグリッド電圧上限値である、すなわち家庭で引き込むことができる最大電流を20%上回って動作されるとき、家庭用定格電源の少なくとも120%である。このようにして、1つ以上の加熱装置の性能への供給部の電圧降下の影響は、ほぼ最小限にされ得る。
【0312】
さらに、既存のインフラストラクチャーの利用を最大限にするために、家庭用ヒューズ定格の100%近く、好ましくは家庭用ヒューズ定格のおよそ90%でシステムを充電できることが望ましい。英国では、これは、家庭用ヒューズが100A定格であった場合、システムが90Aで充電することを意味する。それゆえ、システムが高い方の電圧(253V)用に設計される場合、電圧が低いと、充電がゆっくりになりすぎる。システムが低い方の電圧(216V)用に設計される場合、システムが引き込む電流は多すぎ、電圧が高いときに家庭用ヒューズが飛ぶ。
【0313】
さらに、ほとんどの家庭用電気回路は、いつでも使用され得る様々な他の装置が接続されている。上述した通り、熱貯蔵システム112を加熱するとき、いずれかの電気接続の利用を最大にすることが望ましい。これは、制御回路110aが、ネットワークヒューズを通る全電流(すなわち加熱回路129a~c及び家庭用電力供給部115によって引き込まれる全電流)がヒューズ限界値内に厳密に保たれることを保証するように動作可能である必要があることを意味する。
【0314】
電流センサーは電流クランプ116形を取り得、ここで、他の負荷がスイッチをオン又はオフにされる場合、それに従って、制御回路110aは、加熱回路129a~cによって引き込まれる合成電流を上下に変化させ得る。
【0315】
実際には、熱貯蔵システム112の熱出力は、温度によって変化し得る。蓄熱体が熱いほど、温度差は大きくなり、及び取り出され得る電力量は大きくなる。反対に、蓄熱媒体の温度が低下すると、必要な最小閾値を下回るまで、最大電力出力は低下する。可変熱出力を有する蓄熱システムを有することは、消費者には望ましくない。1つの解決法は、ユニットを、一定の最低温度を下回って動作しないように制限することである、すなわち、使用できる熱が貯蔵されているときでも、電力出力が一定の最小出力を下回るときに、蓄熱媒体を「空」であるとして扱うことである。寒い気候条件では、蓄えた熱が不十分である場合、これは、住宅の所有者が直接電気加熱へ切り替える必要があることを意味し得、これは、ユニットが、使用できる熱エネルギーを貯蔵してあるため、望ましくない。解決法は、蓄熱塊への充電回路のスイッチをオンにすること、及び動作し続けることとし得る。充電速度が放電速度と同じ場合、家庭の直接電気加熱とは異ならない。蓄熱塊は、温度を変化させず、電気入力は熱出力と等しい。しかしながら、充電速度が放電速度を下回る場合、これは蓄熱塊の温度に関連するため、蓄熱塊の温度は、ユニットからの電力出力と共に、ゆっくりと低下する。上述した通り、熱出力の低下は望ましくない。
【0316】
ほとんどの家庭暖房の特徴は、高電力出力(例えば30kW)が、家庭用加熱回路内の水を急速に加熱するために起動時にのみ必要とされることである。家の温度が上昇するにつれて、必要とされる電力出力は、一般に、より低いレベルまで降下する(例えば5~10kW)。これは、より低い温度の蓄熱塊から住宅に正しい電力出力を供給することが可能かもしれないことを意味する。住宅の所有者は、そうでなければ「空」として扱われるユニット内の追加的な蓄えたエネルギーを使用できる。しかしながら、この温度範囲内で動作するとき、高電力出力のための需要に適合できない。
【0317】
図8は、電気設備110(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく電気設備110’を示し、ここでは、3つの加熱回路129a~c’のそれぞれが、追加的な電熱装置131をさらに含み、及び3つ全ての加熱回路が、可変電流コントローラ121’によってそれぞれ制御される。
【0318】
図示の通り、可変電流コントローラ121’と各加熱回路の電熱装置130’との間にさらなるスイッチ123が追加される。さらなるスイッチ123は、電熱装置130’と追加的な電熱装置131との間で電力の流れを変え得る。3つの追加的な電熱装置131は、家庭用加熱回路113の一部とし、この回路内の水を直接加熱する抵抗器として動作し得る。
【0319】
コントローラ118’全体が、制御配線117’を介して可変電流コントローラ121’及びスイッチ123を制御して、ネットワークヒューズ114を通して引き込まれた電流が、予め設定された限界値内に確実に留まるようにする。コントローラ118’全体はまた、制御配線117’によって加熱回路113に接続され、及び追加的な電熱装置131への電力の供給を制御し、引き込まれた電流がネットワークヒューズ114’の限界値以下である限り、住宅に目標熱出力が確実にもたらされるようにする。
【0320】
一例として、制御ルーチンは、熱貯蔵システム112’の温度を測定するために実行され得る。熱貯蔵温度が臨界値を下回り、システムが家庭暖房システムに熱をもたらすとき、制御回路110a’はブーストモードに切り替える。ブーストモードにおいては、家庭用加熱回路への流れが監視され、及び流れの温度が目標出力温度未満に低下する場合、制御回路は、スイッチ123を使用して、追加的な電熱装置131(それらは、例えば、家庭用温水回路内に直接位置決めされる)へ電力を切り替える。110’中の全ての電熱装置が可変電力供給を有するため、コントローラは、家庭用加熱回路用の目標出力温度に到達するまで、又は家庭用システム全体が予め設定された電流限界値に達したことを電流センサー116’が登録するまで、追加的な電熱装置123によって散逸される電力を増加させ得る。例えば、ネットワークヒューズ114’が100A定格である場合、90Aの予め設定された限界値が設定され得る。居住者が住宅にある別の1つ又は複数の電気装置のスイッチをオンにするため、住宅で追加的に20Aを要求する場合、充電回路110’によって引き込まれ得る最大電流が70Aに制限され、電熱装置131によって引き込まれる電流は制限される。制御回路110a’は、直接電気加熱によって補われながら、熱貯蔵システム112’が建物の温水/集中暖房システムに加熱エネルギーをもたらし続けることができるようにする。
【0321】
代替的な実施形態において、制御回路110a’は、システムが熱を出力しているときはいつでも、及び家庭暖房システム(例えば建物の温水/集中暖房システム)への流れの温度が目標の流れの温度を下回る場合、追加的な電熱装置131によって補給電力をもたらすように設定され得る。この代替的な実施形態は、ユニットが起動時により高い熱出力をもたらすだけでなく、熱貯蔵温度が低下するときでも、電力出力を補い続けることができるようにすることを保証する。制御回路110a’はまた、例えば電気料金と関係した、予め設定された信号が受信された場合、補給電力を供給するためにのみ設定され得る、すなわち補給電力は、電気料金が指定レベルを下回った場合にのみ供給され得る。
【0322】
このようにして、熱貯蔵システムが提供され、ここでは、加熱回路のうちの1つ以上が、蓄熱システムの充電から、水加熱回路内の追加的な電気素子による水回路の直接加熱へ切り替えられ得る。好ましくは、直接的な電気出力は、システムの目標出力温度を達成するために、要求に応じ、水回路にのみ追加される。これは、蓄熱システムが住宅に十分な電力を提供できる場合、例えば家屋が目標温度になったときに、より低いレベルの電力が必要とされるとき、電気エネルギーを追加する必要がないことを意味する。しかしながら、この状況で全出力が必要とされる場合、蓄熱媒体から直接電力出力を補うことによっても、満たされ得る。
【0323】
これには、住宅の所有者が、ユニットに貯蔵された追加的なエネルギーにアクセスでき、同時に、最小量の直接電気加熱を追加する必要があるだけであるという利点がある。例えば、家庭暖房システムへの20kWの給電部及び30kWの熱出力の熱貯蔵ユニットは、蓄熱媒体からの直接熱出力が10kWにすぎなかったレベルまで下げて動作されるが、依然として、要求に応じ30kWの熱エネルギーをもたらす能力を有し得る。
【0324】
上述の通り、さらなる実施形態において、追加的な電気素子は、起動時に、水に直接必要以上の電力をもたらすために使用され得、回路内の水の温度を急速に上げるのを助けるため、住宅への熱の提供はより即時になる。さらに、住宅によって熱が必要とされていないときでも加熱回路の一部をある温度に保つためには条件があるかもしれず、この低レベルの熱をもたらすためには、この熱をもたらすために蓄熱塊を使用するのではなく、同じ追加的な発熱体を使用することが簡単かもしれない。
【0325】
住宅内では、最大エネルギー必要量は暖房であり、それに、温水及び電気自動車(EV)の充電が続く。住宅内のほとんどの他の個々の負荷は、比較するとエネルギー必要量が小さいが、それらは、短期間で大量の電力を引き込むことができる。例えば、オーブンと同時にスイッチをオンにされたケトルは、20kWの供給のうちの10kWを使用する。将来的には、住宅は2台以上の電気自動車(EV)を有するため、電気負荷の管理は重要である可能性があると思われる。EV充電器を設置するとき、EV充電器への正しい電力の接続をもたらすためにかなりの労力を引き受ける必要がある。住宅外に位置する熱貯蔵ユニットは、1つ以上のEV充電器に電力をもたらすために、全ての必要な配線及び制御部を有する。
【0326】
図9は、電気設備110(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づいた充電回路110”を示し、ここでは、可変電流コントローラ121が、さらなるオン/オフ電流コントローラ120’によって置き換えられ(それにより、加熱回路129c”への電流供給を制御するために切り替えのタイミングに頼る)、及びオートメーション化されたオン/オフ電流コントローラ120’のうちの2つと複数の電熱装置130”との間に、さらなる2つのスイッチ123’が第1及び第2の加熱回路129a”、129b”に追加される。さらなるスイッチ123’は、電熱装置130”と電気自動車用充電器140との間で電力の流れを変え得る。2つの電気自動車用充電器140は、それぞれ、個々の車を充電できる。
【0327】
コントローラ118”全体は、オン/オフ電流コントローラ120’及びスイッチ123’を制御して、ネットワークヒューズ114”を通して引き込まれた電流が、予め設定された限界値内に確実に留まるようにする。コントローラ118”全体は、電気自動車用充電器140へ、又は熱貯蔵体内の電熱装置130”へと電力を切り替え得る。
【0328】
一例として、充電が、予め設定された日周期、例えば0000~0600の間に発生するように設定された制御ルーチンが、実行され得る。コントローラ118”全体は、電気自動車用充電器140のそれぞれに接続された電気自動車があったこと、並びに各車の充電状態を登録する。コントローラ118”全体はまた、熱貯蔵システム112”内に貯蔵されたエネルギー量を登録し、且つ外部温度並びに他の条件に基づく過去のデータに基づいて、家庭暖房負荷を予測するために、方法を使用する可能性がある。コントローラ118”全体はまた、いくつかの制御戦略を実行し得る。家庭暖房よりも電気自動車の充電を優先させるように設定され得、いずれの残存容量も、電熱装置130”を介して熱貯蔵システム112”へ送られる状態で、任意の所与の期間の終わりまでに両システムがフル充電されることを保証する。コントローラ118”全体は電流センサー116”を監視して、ネットワークヒューズ114”を通して引き込まれた電流が確実に予め設定された限界値内に留まるようにする。コントローラ118”全体は、いくつもの理由によって、例えばオペレータによって望まれる場合、熱貯蔵システム112”よりも電気自動車の充電を優先させ得る。例えば、電気自動車用充電器140のうちの1つのみがネットワークヒューズ114”を通して予め設定された限界値内に留まるように動作し得る場合(住宅の追加的な電力需要ゆえに)、コントローラ118”全体は、1つの電気自動車の充電を優先させる。ひとたびこの電気自動車が必要とする充電が第2の電気自動車よりも少なくなったら、コントローラ118”全体は、2つの電気自動車を、それら双方がフル充電されるまで、なんらかの方法で交互に充電し得る。両電気自動車がフル充電されたときのみ、コントローラ118”全体は電熱装置130”の一方のスイッチをオンにする。
【0329】
交互充電戦略は、電気自動車用充電器140に接続されたらすぐに電気自動車を充電する一方で、予め設定された日周期、例えば0000~0600の間に蓄熱システム112”へ電力を供給するだけであることを含み得る。別の充電戦略において、電気料金と関連している予め設定された信号は、コントローラ118”全体によって受信され得る、すなわち、電力は、電気料金が指定レベルを下回った場合にのみ供給される。
【0330】
図10は、電気設備110”(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく充電回路110”’を示し、ここでは、第3の加熱回路129c”’と関連付けられるオン/オフ電流コントローラ120’は、可変電流コントローラ121”によって置き換えられ、且つ第1及び第2の加熱回路129a”’、129b”’は、スイッチ123”を介して、図8のシステムの追加的な電熱装置131と同じように動作可能な追加的な電熱装置131’に接続される。
【0331】
スイッチ123”は、電熱装置130”’と電気自動車用充電器140’又は追加的な電熱装置131’のいずれかとの間で電力の流れを変え得る。2つの電気自動車用充電器140’はそれぞれ、個々の電気自動車を充電し得る。2つの追加的な電熱装置131’は家庭用加熱回路113’の一部である。
【0332】
充電戦略は、車用充電器140’にプラグを差し込まれたらすぐに電気自動車を充電する一方で、設定された日周期、例えば0000~0600で蓄熱システム112”’へ電力を供給するだけであり、ここでは、追加的な電熱装置131’による家庭用温水回路の直接的な「ブースト」加熱が、電気自動車用充電器よりも優先されることを含み得る。この場合、家庭用温水回路が追加的な熱を必要とする場合、コントローラ118”’は、最低充電必要量の電気自動車から追加的な電熱装置131’へ充電を切り替える。住宅の温水の流れの温度が目標温度未満に留まる場合、コントローラ118”’全体は第2の電気自動車140’充電器の充電を停止して、追加的な電熱装置131’の双方に電力を供給する。
【0333】
このようにして、熱貯蔵システムは提供され、ここでは、加熱回路の1つ以上が蓄熱システムの充電からEVの充電へ切り替えられ得る。
一例として、熱貯蔵システムは、1つの可変16A充電供給部、1つのオン/オフ16A回路及び3つのオン/オフ32A回路を有する。同じユニットはまた、オン/オフ回路を使用して、3×32A車用充電器及び1×16A車用充電器に供給し得る。
【0334】
制御回路110aは、様々なEV充電器に電力をもたらし得る一方で、住宅供給定格以下であることを保証する、すなわち要求に応じ、電熱体のものと同じ論理を使用して、それらの電源を入れたり切ったりする。これには、住宅の所有者又はネットワークオペレータがいつユニットを充電させるか及び制御ユニットがそれらを切り替えるかを決定できるという追加的な利点がある。
【0335】
さらに、ユニットが、コントローラにプラグを差し込まれているEVと通信する場合、システムは、蓄熱体並びにEVの双方の必要量について充電を最適にし得る。
例えば、100kWhの蓄熱体を備え、2×50kWhのEVがプラグを差し込まれている住宅は、様々な装置の充電状態次第で、0~200kWhの間のどこかのエネルギーが必要である。複数の充電ポイントを有することによって、いくつかがフル充電されている場合でも、複数の車両が同時にプラグを差し込まれたままとなり得、車両-グリッド又は車両-住宅の二方向の電力を提供できるようにする。複数の充電ポイントのさらなる利益は、住宅の所有者のEVがプラグを差し込まれているときでも、訪問者に充電を提供することができることである。
【0336】
最後に、電熱体と電気自動車の充電ポートとの間で電力を切り替え得る複合コントローラも非常に望ましく、これは、単一の制御ユニットが、家屋内の2つの最大の潜在的電気負荷-暖房及び電気自動車の充電-の相互作用を安全に管理することができるためであることを意味する。
【0337】
図11は、第1の熱伝達流体(例えば純水)を含む一次回路(蒸気回路)201と、熱エネルギー貯蔵体202と、蒸発器熱交換器242と、凝縮器熱交換器241と、第2の熱伝達流体(例えば不凍剤を備える水)を含む二次回路(非蒸気回路)203と、加熱システム243(例えばラジエータを備える家庭用加熱回路)とを含むエネルギー貯蔵システム200を示す。
【0338】
熱エネルギー貯蔵体202は、蓄熱コアを形成する熱媒体210を含み、熱媒体は、断熱材211によって囲まれ、電気ケーブル205によって供給される1つ以上の電熱体206を含み、並びにブロック210と密接に又は直接的に接触し且つ高圧水パイプ207及び蒸気パイプ208に接続される蒸発器熱交換器242を取り囲む。システムはまた、凝縮器熱交換器241から供給される低圧水パイプ222と、貯蔵器231と、圧力上昇ポンプ230と、制御線290とを含む。圧力上昇ポンプ230は、可変速駆動装置263から電気ケーブル267を経由して電気を供給される。圧力上昇ポンプ230は、移送パイプ234に、並びに過熱防止弁232を経由して過熱防止パイプ233及び高圧水パイプ207の双方に接続される。
【0339】
熱媒体210は固体顕熱材料(例えば、固体サーマルフィラー材料が埋め込まれたアルミニウムマトリックス)とし得る。動作中、熱媒体210は、電気素子206によって200℃を上回る温度まで加熱される。熱媒体最高温度は、700℃を下回りそうである。
【0340】
動作中、圧力上昇ポンプ230は貯蔵器231から水が供給される。水圧はポンプ230によって上昇され、過熱防止弁232に至る移送パイプ234中へ注入される。過熱防止弁は、少量の流れが過熱防止パイプ233に入って、蒸気パイプ208と合流することができるようにし、そこでは、水流が、蒸気流に蒸発することによって、蒸気流を冷却する。流れの大部分は、過熱防止弁232から高圧水パイプ207に入り、その後、蒸発器熱交換器242に入り、そこでは、水は沸騰されて蒸気へ変換され、ブロック210から熱がもたらされる。蒸気は、蒸発器熱交換器242を出て蒸気パイプ208を経由して、凝縮器熱交換器241に入る前に過熱防止パイプ233からの水流によって冷却される。蒸気は、二次回路パイプ275及び277内の流れによってもたらされた冷却によって、凝縮器熱交換器241内で凝縮される。貯蔵器231は最適なサイズにされるため、システムが全出力で稼動しているとき、余分な水は最小限である。貯蔵器231にフロートスイッチ(図示せず)を追加して、圧力上昇ポンプ230が、圧力上昇ポンプ230に供給するための十分な水が貯蔵器231内にあるときにのみスイッチをオンにされることを保証することが好ましいかもしれない。
【0341】
凝縮器熱交換器241内の凝縮水は貯蔵器231中へ流れる。貯蔵器231は、好ましくは、圧力上昇ポンプ230に対して、貯蔵器からの水が重力下でポンプに供給される位置にある。高圧水パイプ207は、好ましくは、貯蔵器の高さを上回る位置を通過するループを有するため、圧力上昇ポンプ230がいずれのサイフォン作用も防止するように動作可能である場合にのみ、貯蔵器中に含まれる水は流れ得る。代替的なオプションとして、遮断弁(図示せず)が高圧水パイプ207に取り付けられて、システムが運転していないとき、パイプを閉鎖し、確実に水が蒸発器熱交換器242中へ流れることができないようにする。
【0342】
圧力上昇ポンプ230は、理想的には、可変速駆動装置を備える小型の容積型ポンプである。容積型ポンプの利点は、水の質量流が、送給圧力にかかわらず、速度に比例することである。圧力上昇ポンプの流量は、制御線290によって監視されるパイプ279内の目標温度を達成するために変化する。パイプ279内の水の温度が目標温度超に上昇する場合、圧力上昇ポンプ230の速度は低下し、及び低下する場合、逆も同様である。一例として、パイプ279内の目標動作温度は65℃とし得る。
【0343】
より高い圧力を注入し得るポンプによる水/蒸気システムの運転からさらなる恩恵を受ける。蒸発器熱交換器242の内部体積を低く保つことは、熱交換器内に貯蔵され得る水の量を減少させるため、重要である。体積が2リットル未満に保たれる場合、認定の観点から、ユニットは非常に低リスクであるとみなされる。
【0344】
蒸発器熱交換器242は、単一の流入口242A及び流出口242Bが設けられたパイプ回路を形成するようにコイル状に巻かれるパイプの単一セクションから作製され得る。好ましくは、単一のパイプが使用されるが、複数のパイプがオプションである。コイルは熱媒体210内で均一に分配されるため、熱が流れる必要がある距離(パイプに達するために)は、短く保たれる。より大きいブロックの応用では、より均一に分配されたパイプを有するためのサイズは、より長くすることを意味する。蒸気流速が高い場合、パイプには、好ましくは鋭角の屈曲部や方向の突然の変化はない。高圧で水を注入することは、水として著しい圧力降下が可能にされ得、そのため、蒸気がパイプを通過することを意味する。圧力降下を増加させることは、パイプから水への熱伝達を高めるが、高速の蒸気流を発生させ得る。蒸気用の通常のパイプ設計理念は、流出口242Bにおける蒸気速度を70km/hr未満に保つことであろう。この場合は、大きい圧力降下の利点は、いくつかの応用では、パイプ直径(一定の断面積を備える)が、全出力において、100km/hrよりも高い、200km/hr又はさらには300km/hrである、流出口242Bにおける蒸気速度を達成するために選択されることを意味し得る。
【0345】
流出口242Bにおける蒸気速度はインジェクター流量次第であるため、パイプ回路の有効内部断面積A対予め決められた最高注入速度Pの比(すなわちA/P)は、予め決められた値を下回るような設計とし得る。例えば、一実施形態において、A/Pは20未満(例えば16未満、例えば12未満)とし得る。このようにして、最高注入速度でのパイプ中への1g/s水の注入毎に、パイプ断面積は20mm未満、16mm未満又はさらには12mm未満である。例えば、10g/sにおいて、パイプの内部断面積は、200mm未満、160mm未満又はさらには120mm未満である。
【0346】
凝縮器熱交換器241はプレート熱交換器とし得る。
より高い注入圧力及び容積型ポンプの他の利点は、それらがパイプ内での圧力サージによって動作し得ることである。高温パイプに水を注入するとき、水は沸騰して、異なる沸騰レジームで動く。これは、蒸気体積の急激な増加及び圧力の急激な変化につながり得る。送給圧力に比較的反応しにくいポンプを用いて、熱出力に酷似した変化を生じる質量流の単純な変化で制御を維持することが簡単である。圧力サージの影響には、制御システムが管理する必要がある重要なフィードバックが全くない。高圧ポンプ230が、低圧で動作する遠心循環ポンプのようなものによって置き換えられた場合、圧力サージからのフィードバックは、質量流量に重要な影響を及ぼし、制御システムを管理するのを難しくする。ポンプはまた、ポンプを通る流れが逆である状態での圧力サージによって損傷され得る。
【0347】
最後に、下記で説明する過熱防止装置232はまた、信頼性高く稼働するために圧力降下を必要とし、より高い動作圧力を備える設計を簡単にする。
二次回路203は、パイプ270、271、272、273、274、275、276、278及び279を含む。循環ポンプ254は、電気ケーブル266を経由して、バッテリーシステム262から供給され、これは、電気ケーブル265を経由してコンセントの電気(mains electricity)が供給される。他の構成要素は、バッファー貯蔵体255、ダイバータ弁251、圧力逃し弁253、及び膨脹容器252を含む。加熱システム243及び凝縮器熱交換器241は、二次回路203を経由して接続される。加熱システム243は、水の流れを制限する流量制御弁を有し得る。回路に流量制御弁がある場合、回路内にダイバータ弁251が取り付けられることが必要である。加熱システム243は、空間加熱(例えば集中暖房システム)又は温水の提供又は双方のためである。凝縮器熱交換器241は、熱を熱エネルギー貯蔵体202から二次回路203へ伝える。
【0348】
動作中、二次回路203内の水は、水、又は水と不凍剤の混合物とし得るが、簡単にするために、この説明では水と呼ぶ。回路は、好ましくは、パイプ270を介して配管回路に接続された膨脹タンク252によって加圧されて、この圧力に維持される。加圧の利点は、水温が沸騰せずに100℃超まで上昇することである。加熱された水は、凝縮器熱交換器241からパイプ279を経由して循環ポンプ254まで流れる。
【0349】
循環ポンプ254は、水がパイプ278に入る前に水圧を上昇させる。水は、ダイバータ弁251に入り、パイプ271及び加熱システム243へ移る、又はパイプ273へ移って加熱システム243を迂回する、又は加熱システム243を通って流れる部分とパイプ273を通って迂回する部分との組み合わせとなる。ダイバータ弁251は、回路内の圧力が上昇する場合、流れがパイプ273中へ入ることを可能にする。これは、流量制御弁(図示せず)が加熱システム243を通る流れを制限する場合に、発生する。ダイバータ弁251は、循環ポンプ254が動作している場合には、常に凝縮器熱交換器241を通る流れがあることを保証する。
【0350】
パイプ272内の加熱システム243を出る水は、加熱負荷によって冷却される。パイプ273から合流するいずれの水も、目標動作温度又はその付近である。その結果、熱負荷が減少するとき、パイプ274内の戻り温度は、動作温度のより近くへと上昇する傾向がある。圧力逃し弁253は、膨脹容器252によって供給される通常の動作圧力超である圧力逃し設定で、パイプ274とパイプ276との間に取り付けられる。
【0351】
パイプ276内の戻り水は、バッファー貯蔵体255に入り、バッファー貯蔵体255を出てパイプ275中へ入る。バッファー貯蔵体255は、バッファー貯蔵体255の温度が上昇するとき、停止時は別として、システムの動作温度であるか又はそれを下回る傾向がある。パイプ275内の水は凝縮器熱交換器241に入って、目標動作温度の近くまで加熱される。上述した通り、圧力上昇ポンプ230の速度は変化して、熱エネルギー貯蔵体202から取り出された熱が確実に熱負荷に匹敵するようにする。
【0352】
2つのポンプ230、254間の流量は非常に異なる。必要とされる各kWの電力では、圧力上昇ポンプ230は、1秒当たりおよそ0.4gの水を処理する必要がある。30kWの電力では、これは、1秒当たり12.5gの水に等しい。圧力上昇ポンプ230を通る水の1秒当たり同じ12.5gの水に関し、循環ポンプ254は、二次回路内で1秒当たり700グラムの水を循環させる、すなわち50×倍の率でより多くの水が流れる。それゆえ、これら2つのポンプは、非常に異なる目的及び動作条件を有する。
【0353】
圧力上昇ポンプ230は、熱媒体210の温度と関連がある予め設定された最大流量を有し得る。熱媒体210の温度が下がるとき、蒸発器熱交換器242によって1秒当たりに蒸発され得る水の量が、正常な動作範囲未満に減少する。このシナリオで圧力上昇ポンプ230が最高速度で動作する場合、蒸発器熱交換器242がゆっくりと水浸しになるか、又は貯蔵器231が空になる。圧力上昇ポンプ230用のコントローラは、圧力上昇ポンプの水の注入速度を、蒸発器熱交換器242が水浸しにならないことを保証する予め設定されたレベルへ制限し得る。これらの予め設定された流量は、熱媒体210の温度と関連があり得る。
【0354】
本発明は、以下のような異なる状況下で、停止時に発生する複数の異なる状況に取り組む。
システムは、圧力上昇ポンプ230が12.5g/sの水を注入する状態で、30kWの全熱出力で動作する。二次回路内の水の動作温度は75℃である。熱媒体は350℃であり、凝縮器熱交換器241内の150gの水がいつ何時も蒸発する。熱負荷がスイッチをオフにされると、信号が制御線291を経由してバッテリーシステム262へ送信され、設定期間、循環ポンプ254へ電力を供給し続けるようにする。さらなる信号が制御線292を経由してVSDコントローラ263へ送信され、圧力上昇ポンプ230への電力を切る。このようにして、水は高圧水パイプにこれ以上注入されない。
【0355】
加熱負荷が停止されたとき、加熱システム243内の流量制御弁(取り付けられている場合)が閉鎖してもよく、ダイバータ弁251は開放して、流れが加熱システム243を迂回できるようにする。加熱システム243が迂回されるとき、熱負荷はない。それゆえ、依然として蒸発器熱交換器242内にある蒸気は蒸発するため、それが凝縮し、二次回路の水温を75℃の正常動作温度超へと著しく上昇させる。パイプ内の熱質量が不十分な場合、水は沸騰し始め、圧力逃し弁253が開放する。これは、加熱負荷のスイッチをオフにすることは普通の出来事であるため、明らかに望ましくない。これが発生するのを回避するために、バッファー貯蔵体255の形のシステムに十分な熱質量を追加することが必要であり、これは、蒸気の凝縮からの熱を全て吸収するのに十分な一定の質量の水を保持する。好ましくは、バッファー貯蔵体255のサイズは、蒸気回路内の純水の全質量からの凝縮蒸気からのエネルギーを貯蔵するのに十分である。蒸気が凝縮するとき、バッファー貯蔵体255内の水の温度が上昇するにつれて、パイプ279、278、273、274、276及び275内の温度は上昇する。この場合、75℃~95℃の正常動作温度から上昇する。二次回路203は、膨脹容器252によって1バールゲージへと加圧されるため、沸騰のリスクがない。
【0356】
システムが停止直後に再始動される場合、バッファー貯蔵体255から出るパイプ内の水温は全て95℃である。上述した通り、圧力上昇ポンプ230は、パイプ279内の水温が動作温度-この場合、75℃-未満に低下すると、水の注入を開始するように設定される。これは、熱負荷がシステムに加えられると、システムが効果的に「再設定」されるまで、圧力上昇ポンプ230は係合しない、すなわち、圧力上昇ポンプ230が水の注入を開始してホットコアから熱を取り出す前に、バッファー貯蔵体255並びにパイプ279、278、271、272、274、276及び275内の水が全て、正常動作温度未満に再度低下することを意味する。このようにして、システムは、全出力から安全に繰り返し停止され得る一方で、一次蒸気回路201からの蒸気を全く排出する必要なく、熱エネルギー貯蔵体202によって発生した蒸気の全ての安全に凝縮させるように設計される。
【0357】
あまり一般的でない出来事は停電とし得るため、循環ポンプ254には、水を循環させるための電力がない。このシナリオでは、一次蒸気回路201が、高圧を回避するために蒸気を排出させる必要があるというリスクがある。これを回避するために、システムには、バッテリーシステム262が取り付けられており、これは、電力不足がある場合でも、全ての蒸気が安全に凝縮されるまで、循環ポンプ254が動作し続けることができることを意味する。電力不足においては、圧力上昇ポンプ230への電力供給がないため、これは、凝縮からの熱が配管及びバッファー貯蔵体255で終わる点で、全出力からの通常の停止と違わないことに留意されたい。
【0358】
考慮すべき最後の故障モードは、循環ポンプ254の故障又は二次回路内の水の損失のいずれかである。この状況では、それが全出力で発生する場合、蒸気を十分に凝縮させるには、凝縮器熱交換器241内の熱質量が不十分な可能性がある。このシナリオでは、蒸気圧逃し弁227が開放して、逃しパイプ226を経由して安全な空間-例えば排水穴へ排出するまで、蒸気パイプ208及び蒸気パイプ225内の圧力は上昇する。このようにして、二次循環システムが完全に故障する場合でも、蒸気は安全に管理され得る。示唆された、すなわちポンプ又は二次配管の流体の漏れの故障モードは、サービスエンジニアによる作業(attendance)を必要とする。排出された貯蔵器231に純水を再充填することは、システムを修理するための必要な訪問の一部である。
【0359】
このようにして、蒸気を介して熱を取り出すが、全ての潜在的な故障モードを安全に管理できる熱エネルギー貯蔵体202を有するエネルギー貯蔵システム200が提案される。
【0360】
過熱防止弁232は、凝縮器熱交換器241の上流に、ある割合の高圧水を注入できるようにして、凝縮器熱交換器241に入る蒸気の温度を下げる。熱コア210が500℃である場合、コアから出る蒸気がこの温度又はその付近であることが可能である。安全性及び実用的観点から、この高温は望ましくない。低コストのろう付け熱交換器は、これらの温度を管理するようには設計されない。高温パイプは、燃焼の原因となり得る。過熱防止弁232及び過熱防止パイプ233は、小径パイプで置き換えられ得る。これは、全流れ条件下で、ある程度の水が蒸気パイプへ移るように、設計され得る。過度の水がある場合、これは、蒸気流からいずれの過熱も除去し、飽和した蒸気及び水が凝縮器熱交換器241に入るようにする。蒸気温度は、200℃未満、好ましくは150℃未満であるべきである。
【0361】
図12は、図8の充電回路110’からの追加的な電熱装置131が図11のエネルギー貯蔵システム200に加えられる実施形態を示す。
この例において、電熱装置131はバッファー貯蔵体255に加えられ、貯湯槽内で浸漬ヒータとして使用されるタイプの単純な電熱コイルの形を取り得る。
【0362】
図13aは、図11のエネルギー貯蔵システム200において使用するための蓄熱体10(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく真空断熱蓄熱体10”のさらなる実施形態を示す。
【0363】
図示の通り、蓄熱体10”は、固体顕熱貯蔵材料14”(例えば、固体サーマルフィラー材料が埋め込まれたアルミニウムマトリックス)を含み、顕熱貯蔵材料14”には熱交換器13”及び電熱体6”が埋め込まれている。電熱体6”は、コントローラ118(図示せず)に有線で接続される。顕熱貯蔵材料14”は内側容器40”に入れられ、ネックコネクタ60”によって外側容器50”に接続されて真空気密空間11”を形成する。図1aの蓄熱体10のように、50~200層の多層断熱材(図示せず)が内側容器40”に巻き付けられ、真空気密空間11”を部分的に満たす。
【0364】
真空が、外側容器60”に接続される一体型真空システム20”によってつくられる。外側容器60”はまた、いくつかの取り付け部品が取り付けられ、これらは輸送システム30”である。
【0365】
固体顕熱貯蔵材料14”間に、熱エネルギー貯蔵体202”中へ下方に延在するのは、熱交換器13”を形成し且つステンレス鋼などの好適な材料で作製されたコイルチューブである。管13”の2つ端部は、パイプ7”及び8”に接続される。熱交換器13”に関する図示の配置構成において、直線の戻り部が設けられた1つの下向きのらせん形のコイルパイプがある。管は固体顕熱貯蔵材料14”にボンディングされ、これは、貯蔵ブロック材料が金属である場合、特に応用できる。
【0366】
固体顕熱貯蔵材料14”は、1つ以上の埋め込まれた電熱体6”によって、200℃超の温度まで加熱され得る。熱は、作動流体を、パイプ7”を経由して熱交換器13”に通過させてパイプ8”を経由して熱交換器13”から出すことによって、固体顕熱貯蔵材料14”から引き出され得、ここでは、熱交換器13”に入る作動流体は、顕熱貯蔵材料14”よりも冷たい。作動流体は、例えば純水とし得る。
【0367】
動作中、作動流体、例えば水2は、貯蔵器231(図13aに示す水位のある断面で示すように)に貯蔵され、圧力上昇ポンプ230によって流入パイプ8”へ送り込まれる。水は、熱交換器13”内で沸騰して蒸気になり、出口パイプ7”を経由してそこから出る。蒸気は凝縮器熱交換器241に入り、そこでは、パイプ275から入る二次流によって蒸気が冷却される。二次流は、凝縮する蒸気によって加熱され、より高い温度で凝縮器熱交換器241からパイプ279を経由して出る。蒸気は、凝縮器熱交換器241内で凝縮して水になり、貯蔵器231へ戻った後、圧力上昇ポンプ230中へ流れて戻る。
【0368】
パイプ8”とパイプ7”との間には過熱防止パイプライン233があり、これは、パイプ7”に水を注入して蒸気温度を低下させる。可変オリフィス弁は、パイプ7”に注入される水の質量流量を制御し、次に過熱防止のレベルを制御するために使用され得るが、代替例は、単純なパイプ、すなわち、可動部品を全く必要としない過熱防止パイプライン233”である。所望レベルの過熱防止は、長さ及び内径のみに関して幾何学的形状を調整することによって、設定され得る。これは、必要な過熱防止(パイプ7”に注入される水の質量流量)を全動作範囲にわたって(機能耐性内に)合わせることを可能にする。過熱防止の速度は、パイプ内の損失水頭に合わせることによって、達成される。適切に設計される場合、全動作範囲にわたって、過熱防止パイプライン233を通る質量流は、アンダーシュート(過冷却(overcooling))もオーバーシュート(冷却不足(undercooling))もなく、パイプ7”への水注入を辿る。
【0369】
固体顕熱貯蔵材料14”及び多層断熱材12”は別として、全ての主要な構成要素は、好ましくは、適切な金属又は合金、例えば鋼から作製される。
図13bは、外側容器50”及び一体型真空システム20”のない、図11のエネルギー貯蔵システム200において使用するための蓄熱体10”(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく非真空断熱蓄熱体10”’の一実施形態を示す。内側容器40”’は、従来の断熱材によって囲まれ得る。
【0370】
図14は、どのように図11のエネルギー貯蔵システム200が図1aの真空断熱蓄熱体10と組み合わせられ得るかを示す。複数の電熱体6が示されている。高圧水パイプ207は、流入パイプ7に、次に熱交換器13に接続する。熱交換器13からの流出パイプ8は、蒸気パイプ208と接続する。
【0371】
図15aは、真空403の一領域を取り囲む外側容器450を含む、従来技術の真空容器410を示す。外側容器450は、容器の外側シェル(シリンダー状部分)に溶接された追加的な補強リブ402を有する。薄壁の真空容器は、一般に、平行の壁のあるシェルに沿って座屈することにより、故障する。故障は、シェルが直径に対して長い場合には、より低い座屈負荷で発生する。シェルは、補強リブ402をシェルの外側に溶接することによって、強化され得る。これらのリブはシェルの有効長を短くし、R個の等間隔のリブは、1/(R+1)だけ有効長を低下させる。座屈に対する抵抗は、Rの3乗に対応するため、少数のリブで臨界座屈負荷を著しく増加させる。
【0372】
図15bは、ネックピース460によって接続され且つ真空403の一領域を取り囲む、外側容器450及び内側容器440を含む真空容器400を示す。外側容器450は、上端及び下端ドーム状部450bと一緒にシリンダー状外側シェル450aを含む。図示の通り、外側シェル450aは、固定箇所405及び406で外側容器450に溶接される内部ヘリカルコイル404によって補強される。3つ以上の固定箇所が使用され得るため、コイルが外側容器450の内部に固定される複数の箇所がある。ヘリカルコイル404は、同じ厚さの容器への14か所の補強リブの溶接と同じ効果がある。コイル巻回数を増やすことによって、有効数のリブ、Rを増やす。コイルの断面は、丸、四角形、又は環状(パイプ)とし得る。この設計にはいくつかの利点がある。
【0373】
- 外側シェルの直径が大きいとき、外側シェルの壁の厚さは薄いとし得る。
- 複数のコイル巻回の使用によって、各コイル巻回に必要とされる厚さを薄くし、これは、断熱材(例えばMLI)を追加するための内側シェルと外側シェルとの間の利用可能な空間がより大きくなることを意味する。
【0374】
- コイルは、特に予め負荷がかけられている場合、外側シェルを円形に保持し、楕円率を低下させる。これは、端ドーム状部に溶接するときの固定のための条件を減らし得る。
【0375】
- 製作中、コイルは予め負荷がかけられて、内部で適所まで摺動し得る。これは、外側シェルの外壁がシリンダー状のままであることを意味する。
- コイルは予め負荷がかけられて、無負荷時に外側シリンダー状セクションに張力を導入し得る。これは、構造安定性の助けとなり得る。
【0376】
- コイル構造は、外側シェルによって安定にされ、それゆえ、これは、効率的な構造である。
- ヘリカルコイルは、外側容器がステンレス鋼などのより高価な材料で作製される場合でも、低コストの炭素鋼で作製され得る。
【0377】
- 必要な溶接労力は、外部リブの取り付けに比べて、最小限にされる。
- コイルは真空空間内にあるため、腐食しない。
図15c i~iii)は、ばねに関する従来技術を示す。らせんばねが、i)に示すように、軸負荷下にある場合、ばねの直径は一定のままである。らせんの方向にらせんばねにトルクが加えられる場合、ばねの直径は、ii)に示すように小さくなる。らせんの方向とは反対にトルクが加えられる場合、ばねの直径は、iii)に示すように大きくなる。
【0378】
図15d i)~iii)は、真空容器450の組み立て方法を示す。図15d i)は、コイルの外径を小さくするためにねじられた(らせんと同じ方向にトルクが加えられている)ヘリカルコイル404を備える外側容器451の一部を示す。コイルは、この小径状態に保持されている間に、シェル内に降ろされる。図15d ii)は、ヘリカルコイル404の端部が外側容器451の一部の内壁に接触する点までトルクが除去又は低減される、同じ容器450を示す。図15d iii)において、コイルの端部は、箇所405及び406で外側容器の一部内で溶接されて、トルクが除去される。ヘリカルコイルは、たるんだ状態で取り付けられ得るか、又は予めトルクが加えられた状態で取り付けられ得る。予めトルクが加えられると、ヘリカルコイルが圧縮されている間、外側シリンダー状セクションは、張力がかかった状態のままにされる。圧縮されている状態のままにされると、摩擦によってヘリカルコイルを適所に保持でき、ヘリカルコイルを容器450に取り付けるために、全く溶接する必要がないかもしれない。
【0379】
図15eは、ネックピース460’によって接続され且つ真空状態にされた領域403’を取り囲む外側容器450’及び内側容器440’を含む、真空容器400に基づく真空容器400’を示す。外側容器450’は、上端及び下端ドーム状部450b’と一緒にシリンダー状外側シェル450a’を含み、並びに内側容器440’は、上端及び下端ドーム状部440bと一緒にシリンダー状外側シェル440aを含む。外側シェル450a’は内部ヘリカルコイル404aによって補強され、内側シェル440aは内部ヘリカルコイル404bによって補強される。内側容器440’は、真空からの使用時、張力がかかっており、一般に外側容器と比べて薄壁である。しかしながら、製造中、内側容器上のその溶接部が、ヘリウムガスを使用して耐漏出性であることを検査することが必要である。この検査を実施する最も単純な方法は、内側容器440’に真空を引いて、それらにヘリウムを吹き付けることによって、漏れに関して溶接部を検査することである。漏出経路が提示されるとき、ヘリウムは内側容器440’へ、及びセンサー(図示せず)へ移る。内側容器は、真空を支えるための機械的強度を有していないかもしれないため、コイル404bの追加が、座屈を防止するために、外部圧力負荷下で内側容器を安定化させるように働く。そのため、コイル404bは、検査実施後、内側容器440’内に残る。多くの場合、このコイル404bの追加は、溶接完全性に関する検査/点検のための最も単純で最も低コストの解決法を提供する。
【0380】
図16aは、外側パイプ350、n層のMLI312に包まれた内側パイプ340を含む真空断熱パイプ300を示す。外側パイプ350と内側パイプ340との間の領域は空間303を形成し、ここは真空である。外側パイプ350はセクション310に入ってもよく、各セクション310は、組み立て前に挿入され得るヘリカルコイル304によって内部で支えられる。ヘリカルコイル304は、固定箇所305及び306において、外側パイプ350の内側に溶接される。ヘリカルコイルは前もって負荷が加えられてもよいため、外側パイプ350は径方向に張力がかかっている。2つ以上の固定箇所が使用され得るため、コイルが外側パイプ350の内部に固定される複数の箇所がある。
【0381】
温液又は冷液の輸送時、外側パイプ350は、周囲の近くに留まる可能性がある。その結果として、加熱又は冷却時に内側パイプ340の熱膨張又は収縮が限定されれば、好ましい。熱膨張又は収縮がある場合、これは、膨張領域(例えば伸縮継手又はベローズ)を使用することによって可能にされる必要がある。
【0382】
図16bは、外側パイプ350、MLI312に包まれた内側パイプ340を含む真空断熱パイプ300’を示す。外側パイプ350と内側パイプ340との間の領域は空間303を形成し、ここは真空である。外側パイプ350はセクション310に入ってもよく、各セクション310は、各端部にベローズ配置構成324、325の半分の形の膨張領域を有し得る。
【0383】
外側パイプ350は、外部支持体320及び外部ローラ321上に支持される。内側パイプ340及び流体の重量は、内部支持体322及び内部ローラ323を通るn層のMLIによって支えられる。パイプを組み立てるとき、各ベローズセクション324、325は、溶接、スエージ加工又は圧延されて、真空気密シールを形成する。ベローズセクションは、周囲条件が変化するときに、パイプの各外部セクションがわずかに膨脹又は収縮できるようにする。内部パイプ340は、ローラ323上で動くことによって膨脹及び収縮できる。外部パイプ350は膨脹又は収縮でき、ローラ321上で動く。
【0384】
本発明の利点は、大径で薄壁のパイプを作製することが可能であることである。これは、可撓性のあるベローズなどの特徴を形成し得ることを意味する。外側材料はステンレス鋼とし得、これは、内側パイプを腐食及び損傷の双方から保護する。
【0385】
本特許で説明したように、パイプはn層のMLIで包まれ得る。或いは、マイクロポーラス断熱材などの他の断熱材が使用され得る。本明細書で前述した通り、真空は、真空装置によって、MLIの真空レベルまで引かれ得る。或いは、断熱材に異なる材料が使用される場合、真空は、異なる真空レベルまで引かれ得る。
【0386】
図17は、内側容器540及び外側容器550を含む真空断熱蓄熱体500を示し、内側容器540は、液体顕熱貯蔵材料514(例えば水)を含む室515を画成し、電熱体506、流入パイプ510、拡散器571、流出パイプ570、複数の熱電対572を含む封止センサーチューブ513を備える。電熱体506及び複数の熱電対572は、電線505を介してコントローラ(図示せず)に接続される。下部ネックコネクタ560は、内側及び外側容器540、550のベース部分540a、550aをそれぞれ通って延在し、及びオプションの内側ネックプレート要素563を含み、これは、ネック管562に取り付けられ、これは次に、外側ネックプレート561に取り付けられる。内側容器540及び液体顕熱貯蔵材料514の重量は、ネックコネクタ560によって外側容器550から支えられる。内側容器540、外側容器550及びネックコネクタ560は、真空空間511を形成する。合計n個(ここで、nは、周囲温度とピーク動作温度との温度差摂氏100度当たり少なくとも10層)の層の多層断熱材(「MLI」)512が内側容器540の周りに巻き付けられて、真空空間511を部分的に満たす。外側容器550とMLI512との間に位置するコイル状支持構造504が外側容器550を支える。
【0387】
真空は一体型真空システム520によってつくられ、一体型真空システムは、外側容器550に接続され、図1図3を参照して上記で詳述した一体型真空システム20と同等の方法で機能する。外側容器550はまた、輸送インターフェースシステム530を含む。
【0388】
液体顕熱貯蔵材料514は、1つ以上の電熱体506によって加熱され得る。液体は、流出パイプ570を経由して内側容器540から引き出され得る。液体は、水が引き出されると、流入パイプ510を経由して自動的に追加される。層化を可能にして液体顕熱貯蔵材料514内での混合を減少させるために、拡散器571が使用され得る。温液を貯蔵するとき、拡散器571は、通常、内側容器540の下方セクション540cに位置し得、流出パイプ570は、内側容器540のより高いセクション540bから液体を引き込む。
【0389】
ネック管562は、1つ以上の発熱体506用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)、複数の熱電対572用の供給ライン(例えば複数の熱電対用の電気ケーブル)、熱電対管513並びに流入/流出パイプ510及び570を収納する中心室545を画成する。中心室545は、温液蓄熱体が熱的に層化され得るため、容器の底部に位置する。これは、接続部の全てが、最も冷たく、それゆえ周囲に最も近い領域に位置することを意味する。これにより熱損失を減少させる。冷液蓄熱体(例えば周囲温度未満の蓄熱体)に関し、中心室545は、容器の上部に位置してもよい。
【0390】
輸送システム530は、外側栓532及び内側栓531を含む。外側栓532は、外側容器550に溶接されるチューブである。内側栓531は、内側容器540に溶接されるチューブ又はロッドであり、これは、MLI512を通って延在して外側栓532によって部分的に囲まれる。外側栓532は、管軸に対して垂直な方向に内側栓531の動きを抑制するが、通常の使用においては、内側栓531に触れない。これは、輸送中、内側容器540に側面負荷が加えられるとき、接触によるどんな動きも抑制されるが、静止時には最小限の熱伝達が生じることを意味する。容器は最終位置にあるときに充填され得るため、液体に好適な容器を輸送する際の負荷は、通常、遥かに低い。現場打ちされる固体貯蔵媒体では、内側容器への負荷は、通常、遥かに高く、前述したような改良型の支持構造が必要とされ得る。
【0391】
輸送システム530のさらなる利点は、容器が水平の向きに保管される場合、輸送システムは、永久的な支持をもたらし得ることである。この状況では、2つの栓間の隙間が小さくなるかもしれず、表面の1つ以上に軸受材料が追加され得る。これにより、外側容器550に対して加熱及び冷却されるときに、内側容器540の膨張及び収縮を可能にする。
【0392】
動作中、電熱体506は、隣接する液体を加熱し、これは、浮力下で上昇する。貯蔵体が一定温度であるとき、この加熱方法は、貯蔵温度全体を均一に上昇させる傾向がある。冷たいままとなる唯一の領域は、電熱体506より下の液体の体積部である。
【0393】
図18a)は、自浄式モジュール680を含む、図17の真空断熱蓄熱体500に基づく自浄式真空断熱貯湯槽600を示す。
真空断熱貯湯槽600は、内側容器640及び外側容器650を含み、内側容器640は、熱的に層化される状態で温水614を貯蔵するための層化室615を画成する。成層を管理することによって、貯湯槽から入手可能な使用できる温水の体積を、所与の熱入力のために最大にすることができる。規定量の熱Hによる固定容積の水Vの加熱を考慮する。この熱は、Vの温度を15Cから30Cへ均一に上昇させることによって、定義される。それゆえ、同じ量の熱Hは、V/2を15Cから45Cへ上昇させ、残りのV/2は15Cのままである。使用できる水が、40C超の水であるとみなされるとき、成層の追加によって、使用できる温水の量を0からV/2へ増加させる。それゆえ、成層を管理することによって、温水タンクから入手可能な使用できる水の量は、最大にされ得ることが分かる。成層を壊す熱力学的混合は反対の効果を有し、入手可能な使用できる温水の容積を減少させる。それゆえ、ひとたび達成されたら、成層を維持することが重要である。
【0394】
図示の通り、真空断熱貯湯槽600は、電熱体606、冷水流入パイプ610、拡散器671、一次温水流出パイプ670、及び複数の熱電対672を含む封止センサーチューブ613を含む。電熱体606及び複数の熱電対672は、電線605を介してコントローラ(図示せず)に接続される。下部ネックコネクタ660は、内側及び外側容器640、650それぞれのベース部分640a、650aを通って延在し、オプションの内側ネックプレート要素663を含み、これはネック管662に取り付けられ、これは次に外側ネックプレート661に取り付けられる。内側容器640及び貯蔵された温水614の重量は、ネックコネクタ660によって外側容器650から支えられる。内側容器640、外側容器650及びネックコネクタ660は真空空間611を形成する。合計n個(ここで、nは、周囲温度とピーク動作温度との温度差摂氏100度当たり少なくとも10層であり、例えば、nは、合計少なくとも50層である)の層の多層断熱材(「MLI」)612が内側容器640に巻き付けられ、真空空間611を部分的に満たす。外側容器650とMLI612との間に位置するコイル状支持構造604が外側容器650を支える。
【0395】
真空は、外側容器650に接続され且つ上記で詳述した一体型真空システム20と同等の方法で機能する一体型真空システム620によって、つくられる。外側容器650はまた、輸送インターフェースシステム630を含む。
【0396】
水614は、1つ以上の電熱体606によって加熱され得、熱い流出パイプ670を経由して内側容器640から引き出され得る。水(例えば冷水)は、温水が引き出されると、流入パイプ610を経由して自動的に追加される。層化を可能にして内側容器640内の混合を減少させるために、拡散器671が使用されてもよい。拡散器671は、内側容器640の下方セクション640cに位置し、熱い流出パイプ670は、内側容器640の上方セクション640bから温水を引き込む。
【0397】
ネック管662は、1つ以上の発熱体606用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)、複数の熱電対672用の供給ライン(例えば複数の熱電対用の電気ケーブル)、熱電対管613、並びに流入/流出パイプ610及び670を収納する中心室645を画成する。中心室645は、温液蓄熱体が熱的に層化され得るため、容器の底部に位置する。これは、接続部の全てが、最も冷たく、それゆえ周囲に最も近い領域に位置することを意味する。これにより熱損失を減少させる。
【0398】
輸送システム630は、外側栓632及び内側栓631を含む。外側栓632は、外側容器650に溶接されたチューブである。内側栓631は、内側容器640に溶接されたチューブ又はロッドであり、これは、MLI612を通って延在して外側栓632によって部分的に囲まれる。外側栓632は、管軸に対して垂直な方向に内側栓631の動きを抑制するが、通常の使用では、内側栓631に触れない。
【0399】
自浄式モジュール680は、混合弁681に接続される二次流出ライン(暖かい水用パイプ682)を含む。図示の通り、暖かいパイプ682は、中心室645を通って接続され、貯湯槽に「自浄式」能力をもたらし、バラバラの石灰のかす及びデブリを貯湯槽から除去できるようにするに動作する。従来の貯湯槽において、温水流出口は混合弁に供給し、そこで、冷たい本管からの水と混合される。混合弁は、例えば1:5の固定比又はサーモスタットのいずれかで、温水と冷水をブレンドして、温度を予め設定されたレベルまで低下させる。英国では、混合弁からの流出口は、通常、およそ50℃に設定される。
【0400】
この実施形態において、混合弁681は、内側容器640のベース640aに位置する、暖かいパイプ流入口603を有する暖かいパイプ682から供給される。冷水は、暖かいパイプ流入口603の近くに位置する拡散器671を経由して貯湯槽640に加えられる。貯湯槽の上部から熱い流出パイプ670を経由して温水がくみ出されると、冷水が貯湯槽に入り、流入パイプ610及び拡散器671を経由してこれに置き換わる。同時に、熱い流出パイプ670を経由して混合弁681に入る水が、予め設定された温度を上回る場合、混合器681は、暖かいパイプ流入口603/暖かいパイプ682を経由して混合弁681に水を加える。暖かいパイプ682内のこの流れは、バラバラの鉱物粒子(例えば石灰のかす)を混入し、これらは、そうでなければ、タンクの底に沈殿する。一般的に、タンク温度が高いほど、それの均衡を取るために必要とされる682からの暖かい流れは大きくなり、自浄効果は良好になる。正しい流出口温度の温水は、流れにデブリが混入された状態で、パイプ687を経由して混合弁681から出る。
【0401】
この自浄能力は、真空断熱貯湯槽だけでなく、全ての貯湯槽に応用できる。好都合なことに、放出相中に自浄式アクションを提供することによって、石灰のかすなどのデブリを貯湯槽からフラッシングし、接続された家庭用温水流出口(例えばシャワー又は温水が出る蛇口/飲み口)を介して容易に出すことができる。これは、詰まる及び/又は定期的なサービスを必要とするフィルター/デブリ沈殿領域の必要性を回避する。
【0402】
図18bは、追加的な混合弁691’が混合弁681’と直列に追加された、貯湯槽600(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく自浄式真空断熱貯湯槽600’のさらなる実施形態を示す。過度に高い温水流出口温度を生じ得る暖かいパイプ682’から混合弁681’に供給することには潜在的な安全性の問題がある。タンク全体が高温である場合、混合弁681’を経由してタンクから最初にくみ出されるいずれの温水も、暖かいパイプ682’及び熱い流出パイプ670’の双方からの温水が供給される。これは、起動時に、混合弁からの出力が予め設定されたレベルを上回る一時的事象があり得ることを意味する。パイプが長く延びる場合、熱損失が初期の温水流を冷却するため、これは問題ではない。しかしながら、温水が出る蛇口が貯湯槽の近くに位置する場合、初期の水流が安全温度を上回り得るため、危険であるとし得る。これは、図示の通り2つの混合弁を連続して有することによって、解決され得る。第1の混合弁681’は、熱い流出パイプ670’及び暖かいパイプ682’から供給される。第1の混合弁681’からの流出パイプ687’は、第2の混合弁691’に供給して、コネクタパイプ692’を経由して冷たい流入パイプ610’からの冷たい本管からの水と混合される。第2の混合弁691’からの出力は、冷水を永久的に供給する状態で、パイプ694’を経由した温水出力が安全でない高い温度に決して達しないことを保証する。第1の混合弁681’からの出力が、予め設定された温度を下回る場合、第2の混合弁691’は機能せず、流れがパイプ694’を経由して出ることを可能にする。
【0403】
2つの混合弁681’及び691’を有することは、追加的なレベルの安全性をもたらし、正常な温度、例えば85℃よりも高い温度で貯湯槽を動作させることを可能にする。混合弁681’及び691’は、同じ予め設定された出力温度に設定されても、又は異なる温度に設定されてもよい。
【0404】
図18cは、冷たい流入パイプ610”が暖かいパイプ682”内に同心に設けられる、貯湯槽600’(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく自浄式真空断熱貯湯槽600”のさらなる実施形態を示す。このようにして、タンクに入ってそこから出る流れは対称的であり、これは、層化が望ましい場合、タンク内での混合を最小限にするため、有益とし得る。
【0405】
図19a)は、貯湯槽600’に基づく真空断熱貯湯槽700のさらなる実施形態を改良した。
真空断熱貯湯槽700は、内側容器740及び外側容器750を含み、内側容器740は、電熱体706によって熱的に層化される状態で温水714、「冷たい」流入パイプ710、拡散器771、熱い流出パイプ770、複数の熱電対772を含む封止センサーチューブ713を貯蔵するための層化室715を画成する。電熱体706及び複数の熱電対772は、電線705を介してコントローラ(図示せず)に接続される。下部ネックコネクタ760は、内側及び外側容器740、750のベース部分740a、750aのそれぞれを通って延在し、オプションの内側ネックプレート要素763を含み、これは、ネック管762に取り付けられ、これは次に、外側ネックプレート761に取り付けられる。内側容器740及び貯蔵された温水714の重量は、ネックコネクタ760によって外側容器750から支えられる。内側容器740、外側容器750及びネックコネクタ760は真空空間711を形成する。合計n個(ここで、nは、周囲温度とピーク動作温度との温度差摂氏100度当たり少なくとも10層であり、例えば、nは、合計少なくとも50層である)の層の多層断熱材(「MLI」)712は、内側容器740に巻き付けられて、真空空間711を部分的に満たす。外側容器750とMLI712との間に位置するコイル状支持構造704が、外側容器750を支える。
【0406】
真空は、外側容器750に接続され且つ上記で詳述した一体型真空システム20と同等の方法で機能する一体型真空システム720によって、つくられる。外側容器750はまた、輸送インターフェースシステム730を含む。
【0407】
先の実施形態のように、水714は、1つ以上の電熱体706によって加熱され得、内側容器740から熱い流出パイプ770を介して引き出され得る。水(例えば冷水)は、温水が引き出されると、流入パイプ710を介して自動的に加えられる。層化を可能にして内側容器740内の混合を減少させるために、拡散器771は、内側容器740の下方セクション740c内に位置し、及び熱い流出パイプ770は、内側容器740の上方セクション740bから温水を引き込む。
【0408】
輸送システム730は、外側栓732及び内側栓731を含む。外側栓732は、外側容器750に溶接されたチューブである。内側栓731は、内側容器740に溶接されたチューブ又はロッドであり、これは、MLI712を通って延在して外側栓732によって部分的に囲まれる。外側栓732は、管軸に対して垂直な方向に内側栓731の動きを抑制するが、通常の使用では、内側栓731に触れない。
【0409】
貯湯槽700は、自浄式モジュール780によって提供される図18a)~図18c)に説明するような自浄機能を有し、混合弁781に接続される二次流出ライン(暖かいパイプ782)を含む。正しい流出口温度の温水は、混合弁781からパイプ787を経由して出て、デブリがその流れに混入される。
【0410】
この自浄機能とは別に、貯湯槽内の成層を維持すること、及び熱損失を最小限にすることが望ましい。成層が維持される場合、タンクの上部から温水が除去されるいずれの場合にも、タンクの底部に冷水が加えられる。冷水の密度は、それ以外が等しい条件下では、温水よりも高いため、タンクは、自然に層化する傾向がある。
【0411】
貯湯槽の上部に、貯湯槽壁を通過する熱い出口パイプを有することによって、断熱材を通る熱損失経路を生み出す。ほとんどの貯湯槽は熱く又は部分的に熱く保たれるため、温水は、要求に応じて利用可能である。貯湯槽の上部からの熱い出口パイプは、永久的な熱放散路を生み出し、これは、重要であり、断熱材を通る貯湯槽全体からの熱損失の大きさと等しいとし得る。それゆえ、熱損失の観点から、これを回避する方が遥かに良い。1つのオプションは、図18a~図18c)に示すように、温水パイプが貯湯槽内を通過してベースを通って貯湯槽を出ることである。タンクの上部からチューブを通って温水がくみ出され、タンクの底部を出る問題は、そこから出る温水が、貯湯槽の下部にある冷水に熱を伝えることである。この熱伝達は、自然に、対流系を生み出し、貯湯槽内の成層を壊す。
【0412】
貯湯槽の底部からパイプを経由して温水を除去することは簡単であるが、同時に、貯湯槽内の成層を維持することは簡単ではないという結果になる。成層が維持される場合、最も低い温度が貯湯槽の底部にあり、パイプに沿ったいずれの熱の流れも冷たい水に吸収されるため、熱損失は、より低くなる。この冷水は、貯湯槽から温水がくみ出される度に補充される。
【0413】
さらに、どのように及びいつユーザがタンクから熱を入力/出力するかを決定するために、貯湯槽内の温度プロフィールを知ることが重要である。タンク内の異なる高さで温度を測定することは、タンクの外部にセンサーを配置することによって達成され得る。この形態では、センサーは温度を正確に測定するが、タンクが例えば固体ポリウレタンフォームで断熱されている場合には、簡単には取り替えられない。取り替えることができるが、依然として水温を正確に測定する感知方法を有することが明らかに好ましい。
【0414】
説明した2つの問題を解決する同時解決法は、図19a)に示されており、ここでは、温水流出パイプ770は、タンクの上方領域740bから水を引き込み、この温水流出パイプ770は、ベースにおいて大気に開口し且つ上部近くで温水流出パイプ770に封止されている外側スリーブ/センサーパイプ713aを含む温水ディスペンサーモジュール713内に取り付けられる。外側スリーブ713aはスリーブ室713bを画成し、これは、外側スリーブ713aの壁の温度、それゆえ貯湯槽の高さ毎の水温を測定するために熱電対772が挿入され得る十分な内部体積を有する。熱電対は温水流出パイプ770に接触していない。このようにして、温水流出パイプ770は、タンク内の水から断熱され(空気によって)、使用時に成層を壊さない。同時に、外側スリーブ713a内に、複数の熱電対を収容するための空間が設けられる。図18a~c)に示すものと同様の自浄式配置構成も取り付けられ、貯湯槽は、真空断熱されるが、従来の断熱された貯湯槽とちょうど同じように機能し得る。
【0415】
図示の通り、ネック管762は、温水ディスペンサーモジュール713を、流入/流出パイプ710及び782並びに1つ以上の発熱体706用の供給ライン(例えば1つ以上の電熱体用の電気ケーブル)と一緒に収容する中心室745を画成する。
【0416】
図19b)は、貯湯槽700(共通の特徴にはそれに応じて符号を付す)に基づく配置構成700’を示し、ここでは、パイプの全ては、4本のパイプの同心配置構成をつくるように組み合わされており、これは、自浄特徴を、断熱された熱い流出パイプ及び交換可能な熱電対と組み合わせる。この配置構成は、真空断熱貯湯槽又は従来の断熱貯湯槽のいずれかで使用され得る。真空引きした空間を通る必要がある孔の数が最小限にされるため、真空断熱タンクにとって、追加的な利益になることが留意されるべきである。真空断熱タンクの内部温度及び外部温度は、非常に異なり得、熱膨張を管理する必要がある。貫通接続部数を最小限にすることによって、容器の組み立てを簡単に、より安価にする。
【0417】
図示の通り、温水ディスペンサーモジュール713’は、温水流出パイプ770’、及び外側スリーブ713a’の内壁に接触して置かれて熱い流出パイプ770’の外壁には触れない交換可能な熱電対772’の双方を収納するように構成されたスリーブ室713b’を画成する外側スリーブ713a’を含む。温水ディスペンサーモジュール713’は、冷たい流入パイプ710’内のその長さの一部に位置し、温水ディスペンサーモジュール713’の外部には拡散器771’が取り付けられている。そのため、冷たい流入パイプ710’の一部は、暖かいパイプ782’内に位置する。
【0418】
図20a)は、図19b)からの4本の同心パイプの実施形態を使用する貯湯槽700’(共通の特徴はそれに応じて符号を付す)に基づくが、水の加熱が、間接熱源、例えば熱ポンプやボイラー、又は直接熱源、例えば電気浸漬ヒータのいずれかからの外部加熱モジュール795で生じる、貯湯槽700”の一実施形態を示す。さらに、この実施形態は、理想的には貯湯槽内の温度成層を維持しながら、貯湯槽内の水をタンクの底部から上へ向かって、すなわち、最初に最も冷たい水を、又は上部から下に向かって、又は双方同時に加熱できるようにする。
【0419】
貯湯槽700”は、接続パイプ759、789、764、769、水ポンプ784及び765、オプションの電子磁気デスケーラ(electronic magnetic descaler)785、766、電気ヒータ768、熱交換器786、767を含む。
【0420】
図20b)は、温水がタンクの上部に加えられ、それにより、タンクの上方部分を加熱する、充電相中の外部加熱モジュール795の動作を示す。動作中、タンクの底部からの冷たい水は、拡散器771”を経由してくみ出され、冷たい流入パイプ710”を通って逆方向に、接続パイプ764を経由して水ポンプ765まで流れる。水ポンプ765は、オプションの熱交換器767及び電気ヒータ768に入る前に、オプションの電子/磁気デスケーラ766を通して水を送り出す。オプションの熱交換器は、熱ポンプやボイラーなどの熱源に接続され得る。電気ヒータは、全ての熱を提供する又は予め設定された温度まで熱を補うために使用され得る。温水は、貯湯槽の上部へ接続パイプ769及び熱い流出パイプ770”を経由してポンプで送り込まれる。この動作モードにおいて、温水は、熱い流出パイプ770”内を、温水が貯湯槽からくみ出されるときの方向とは逆方向に、移動することに留意されたい。同様に、冷たい流入パイプ710”を通してくみ出された水は、温水が貯湯槽からくみ出されるときの方向とは逆方向に移動する。暖かいパイプ782”もポンプに供給し得るが、タンクの底部からくみ出されるとき、石灰のかすのデブリがポンプに入ったり、又はポンプ内のフィルターを遮断したりするリスクがある。それゆえ、冷たい流入パイプ710”が使用される。
【0421】
熱の供給は、温水が貯湯槽からくみ出されるのと同時にもたらされ得る。この際、温水の一部はヒータから、及び残りの需要は、熱い流出パイプ770”から供給される。
電気素子によって貯湯槽を加熱するとき、特に「硬水」の地域では、石灰のかすが形成されることが一般的である。堆積する石灰のかすの量は、温度と共に増加する。要素上で増す石灰のかすは、要素の動作をより熱くして、永久的に故障させる傾向があるため、構成要素寿命のために石灰のかすの形成を回避/最小限にすることが好ましい。電子デスケーラは、水を送るパイプに電磁場を印加して、形成される石灰のかすの量を減少させ得る。磁気デスケーラは、同様の影響を与え得る。
【0422】
これらのタイプのデスケーラは、一般に、不動産物件への冷水流入パイプに取り付けられる。この位置での取り付けには、いくつか不都合な点がある。デスケーラは、いつでも作動している。加熱される水だけでなく、不動産物件に入る全ての水に使用される。これらのデスケーラが石灰のかすの形成に及ぼす影響は、時間制限がある。冷水が温水タンクに入り、これがすぐには加熱されない場合、影響は限定される。これが、おそらくは、これらの装置の影響が様々な矛盾する結論と共に文献で報告されている理由である。研究後、オプションのデスケーラを電熱体768”のすぐ上流に位置付けることによって、処理の最大の影響を確実に発生させることが明らかである。処理は、水が加熱される最低1~20秒前、及び10分以下(例えば水が加熱される1~600秒前、例えば水が加熱される2~600秒前、例えば水が加熱される10~600秒前、例えば水が加熱される20~600秒前)に生じる必要がある。電子デスケーラは、ヒータが動作可能であるときに動作する必要があるだけであるため、所要熱量がないとき、所要電力はない。動作時間が限定されているため、より高電力の配置構成を使用することも可能である。このようにしてこれらの電子(又は磁気)デスケーラを取り付けて使用することは、石灰のかすの形成を著しく減少させて、表面にではなく、水中に沈殿物を生み出す傾向がある。これが、そのような水垢を落とす配置構成が「自浄式」貯湯槽と組み合わせて使用される理由であり、石灰のかすの大部分は、大きな粒子ではなく細かい「塵」であり、この細塵は、接続された家庭用温水流出口(例えばシャワー又は温水が出る蛇口/飲み口)を経由して簡単に出され得るためである。電子デスケーラ及び磁気デスケーラはあまり理解されておらず、多様な歴史がある。本発明人により、水へのデスケーラの影響は、いくつかの応用において、時間が制限されることが発見されている。これは、水がデスケーラを通過して、加熱前に、ある期間(数時間から数日)、そのまま残される場合、デスケーラの影響は最小限になることを意味する。同様に、水がデスケーラの通過直後に加熱される場合、影響はまた低下され、これは、処理と加熱との間の時間遅延が好ましいことが理由である。デスケーラは、溶液から微小気泡として溶解COを出す。水が加熱されて溶解度が低下されるとき、これらの微小気泡の周りに細粒として炭酸カルシウムが水中に形成される結果となり、未処理の水で起こる傾向がある加熱面上には形成されない。表面上での水垢形成はかなり減少され、大部分は細かい懸濁物として生じる。
【0423】
デスケーラの位置は、ほとんどの住宅所有者がこの装置を住宅への冷たい入ってくる水の供給部に取り付けるため、重要である。住宅の所有者がコンビボイラーを有する場合、これは効果的な戦略である。住宅の所有者が貯湯槽を有する場合、遥かに効果が弱くなる。冷水は貯湯槽中へくみ出され、そこに、加熱されるまで数時間の期間留まる。本発明のこの実施形態は、ちょうど加熱されるところの水に対する水垢落とし処理にのみ応用される。水が処理されるのと加熱されるのとの間に最適な最短時間があり、これは、デスケーラの強度及びパイプの直径に関連することが分かっている。これは、好ましくは少なくとも1~10秒、10分以下である(例えば水が加熱される1~600秒前、例えば水が加熱される2~600秒前、例えば水が加熱される10~600秒前、例えば水が加熱される20~600秒前)。この位置では、デスケーラには、発熱体上及びその周りでの石灰のかすの形成を減少させるのに最大の影響がある。さらに、このアプローチは、石灰のかすを細かい懸濁物として形成する傾向があるため、自浄概念との組み合わせは、タンクをきれいに保つのに特に効果的であることを意味する。通常の石灰のかすの形成は、表面上に大きく厚い片を生み出し、これは、この除去プロセスにあまり適しておらず、配管内のどこかで問題を引き起こす可能性がある。
【0424】
図20c)は、タンクの下方セクションにある水を加熱するための充電相中の外部加熱モジュール795の動作を示す。動作中、タンクの底部からの冷たい水が、拡散器771”を経由してくみ出され、冷たい流入パイプ710”を通って、接続パイプ759を経由して逆方向に水ポンプ784まで流れる。ポンプ784は、水を、熱交換器786に入る前に、オプションの電子/磁気デスケーラ785を通して送り出し、ここでは、天然ガス又は熱ポンプ又は他の何らかの同様の装置によって給電されるボイラーなどの一次熱源からの水によって、水が加熱される。暖かい水は、接続パイプ789及び暖かいパイプ782”を経由してポンプで貯湯槽の底部へ送り込まれる。この動作モードにおいて、暖かい水は、水がユニットから混合弁へくみ出されるときの方向とは逆方向に移動することに留意されたい。同様に、冷たいパイプ710”を通してくみ出される水は、温水がユニットからくみ出されて新鮮な冷水が入るときとは異なる逆方向に移動する。暖かいパイプ782”はまた、ポンプに供給するために使用され得るが、タンクの底部からくみ出されるとき、石灰のかすがポンプに入ったり、又はポンプ内のフィルターを遮断したりするリスクがある。それゆえ、冷たいパイプ710”が使用される。
【0425】
貯湯槽から温水がくみ出されるのと同時に、熱の供給がもたらされ得る。この形態は、熱ポンプが常に最初に最も冷たい水を加熱するため、高効率を有するモードで熱ポンプ又はボイラーが動作できるようにする。
【0426】
図20dは、放出相中に自浄モードにある外部加熱モジュール795を示す。温水が、貯湯槽から、混合弁791”からの流出パイプ794”を経由してくみ出される。混合弁791”は、接続パイプ792”を経由して流入パイプ710”から、及び混合弁781”から供給される流出パイプ787”から冷水を供給される。混合弁791”は、流出パイプ787”内の水が予め設定された温度超になった場合にのみ、冷水をくみ出す。混合弁781”は、暖かいパイプ782”及び熱い流出パイプ770”から供給される。冷水は、パイプ710”及び拡散器771”を経由して貯湯槽中へ流れる。温水の放出時、混合弁791”に供給するためにある程度の冷水がくみ出されている場合でも、常に、この方向に冷水の流れがある必要がある。
【0427】
図21i)は、図1aに示される真空断熱蓄熱体10のネックコネクタ60に基づく提案した「ネック領域」800を示す。ネック領域800は、真空空間811によって分離された内側容器上部842及び外側容器上部852、並びに、ネック管862に取り付けられる下方ネックプレート863要素を含み、これが次に上方ネックプレート861に取り付けられる、ネックコネクタ860を含む。内側容器部分842は、ネックコネクタ860によって外側容器部分852に取り付けられる。
【0428】
内側容器上部842及び外側容器上部852の双方共、通常、半楕円形のヘッドから作製される。これらは、押圧された構成要素であり、ここで、ドーム部の高さは、半径の半分に等しい。これらのタイプのドーム部は圧力容器において広く使用されており、高さを低くすることと厚さを薄くすることとの間で妥協される。
【0429】
この実施形態において、ネック管862は、2つの厚みのあるプレート861及び863に取り付けられ、これが次に、ドーム部842及び852に溶接される。プレートの厚さは相当とし得るため、大きな応力集中を回避するために大きな隅肉が必要とされるために、プレートを薄いドーム部及びチューブに接合するために、かなりの溶接を必要とし得る。その結果、横方向の負荷が内側容器に作用するときに、依然として、このネックコネクタ860における曲げ応力が高い剛構造となる。輸送中、かなりの負荷が生じ得る。
【0430】
上方内側容器842と上方外側容器852との間の真空は、圧縮されている上方外側容器852、及び張力がかかっている上方内側容器842に負荷を加える。上方内側容器842はまた、いずれの熱質量の重量も支える必要があり、この重量を、ネックを経由して外側容器852へ移動させるように働く。
【0431】
図21ii)は、改良型のネック形態800’を示す。上方内側容器は、下方凹状テーパ付きドーム状ネック部分843及び上方チューブ状ネック部分844を含む内部ネック部分840を含み、下方テーパ付きドーム状ネック部分843は、内側容器842’の凸状肩領域842aに接続される(部分843及び842aは一緒に、凸凹ドーム部845を形成する)。上方外側容器852’は、外側容器852’の凸状肩領域852aに接続する凹状テーパ付きドーム状ネック部分853を含む外部ネック部分850を含む(部分853及び852aは一緒に、凸凹ドーム部855を形成する)。2つの容器は、修正されたネックプレート861’で接合される。凸凹セクションは、スピニング又はプレス加工によって生産され得る。チューブ状ネック部分844は、一般に、凹状テーパ付きドーム状ネック部分843に溶接され得る別個の部片であり、両部分は同様の材料厚さを有する。チューブ状ネック部分は、同じ部片の一部とし得、例えば、スピニングによって作製され得るが、これは、チューブ状ネック部分の長さ次第で、より複雑なプロセスとなる。同様の材料厚さを有することによって、応力集中を最小限にして、溶接を支援する。凸凹ドーム部の設計は、部分内の応力分布を最適にすることを可能にし、これは、次に、厚さを著しく薄くすることを可能にする。
【0432】
必要とされる材料の点で、このアプローチを使用することは、図21i)において使用される従来のアプローチと比べて総質量を50%だけ低下させ得る。さらに、チューブ状ネック部分844は、熱が移動する経路をより長くし、それゆえ、熱損失を低下させる。薄い壁、それゆえ断面積の減少と組み合わせて、このアプローチは、総熱損失を4×倍以下だけ低下させる。
【0433】
図21iii)は、ネック形態800”のさらなる実施形態を示す。これは、800’と同様であるが、上方外側容器は上方チューブ状ネック部分870を含む。これにより、内部ネック部分840’のチューブ状ネック部分844’を長くする。2つの容器は、修正されたネックプレート861”で接合される。チューブ状セクション870によって設けられた延長部は、さらに長い伝導経路を生み出すため、800’によってもたらされたものを越えて熱損失を低下させる。
【0434】
図22は改良型のネック形態800’を示す。部分843及び842aによって形成された凸凹ドーム部845は、概して、複合曲線によって説明されるが、その最も単純な形において、凸セクション及び凹セクションで作製されるとみなされ得、これは、接線で交差する。部分843及び842aによって形成される凸凹ドーム部の鉛直高さは、A1である。幅はB1である。凸セクションと凹セクションとの間に生じる反転(inflection)の箇所は、I1が付され、位置(C1、D1)によって位置付けられる。このパラメータ化(A1、B1、C1&D1)は、高さ対直径、並びに重要なことに、形状/プロフィールに対応する軸圧縮(座屈)と一様曲げ(circular bending)との組み合わせの負荷の場合を説明するとき、適切に選択される。負荷が純粋に内部圧力である圧力容器の場合、高さ対直径は、単純な半楕円形のドーム部の場合のように唯一の重要な量であることに留意されたい。
【0435】
一実施形態において、凸セクションと凹セクションにほぼ等しいプロフィールを使用することが好都合とし得る。この場合、設計は、A1/B1によって制約され、箇所I1は、C1/B1=0.5及びD1/A1=0.5を選択することによって固定される。高さ及び重量の双方の制約が可能にするのと同じ大きさのA1/B1を有することが好ましい。設計は、理想的には、0.3<A1/B1<1.0を有するが、0.1<A1/B1<1.0に制約されてもよい。
【0436】
実際には、任意の数の複合曲線(例えば楕円形や円形)が、凸セクション及び凹セクションに使用され、且つ制御点としてI1を使用して全体的な形状を設定し得る。この場合、設計は、C1/B1及びD1/A1の値によって制約される。設計は、理想的には、0.25<C1/B1<0.75を有するべきであるが、端部のプロフィールの達成が難しい場合、0.35<C1/B1<0.65に緩和されてもよい。設計はまた、理想的には、0.25<D1/A1<0.75を有するべきであるが、端部のプロフィールの達成が難しい場合、0.35<D1/A1<0.65に緩和されてもよい。
【0437】
幾何学的形状の検討事項は、凸凹ドーム部855にも応用される。
等しいプロフィールの場合、設計は、A2/B2によって制約され、点I2は、C2/B2=0.5及びD2/A2=0.5を選択することによって、固定される。凸凹ドーム部855及び重量の双方の制約が可能にするのと同じ大きさのA2/B2を有することが好ましい。設計は、理想的には、0.3<A2/B2<1.0を有するべきであるが、0.1<A2/B2<1.0に制約されてもよい。
【0438】
ここでも、実際には、任意の数の複合曲線があり、ここでは、設計は、C2/B2及びD2/A2の値によって制約される。設計は、理想的には、0.25<C2/B2<0.75を有するべきであるが、0.35<C2/B2<0.65に緩和されてもよい。設計はまた、理想的には、0.25<D2/A2<0.75を有するべきであるが、0.35<D2/A2<0.65に緩和されてもよい。
【0439】
図23は、図22ii)のネック領域800’に基づくネック領域800”’を容器のベースに備える逆さの位置にある、図17の蓄熱体500に基づく、実施形態の真空断熱蓄熱体890を示す。内側容器は、凸状肩領域842a”に取り付けられた、上方凹状テーパ付きドーム状ネック部分843”及び下方チューブ状ネック部分844”を含む内部ネック部分840”を含む。下方外側容器は凸凹ドーム部855”を含む。2つの容器は、修正されたネックプレート861”’において接合される。水は、流入パイプ882を通って流入し、流出パイプ881を通って流出する。内膜880が物理的に追加されて、熱質量を貯蔵する室の部分からネック領域を分離し、それにより、ネック領域への伝導経路長を最大にする。パイプ881及び882はこの内膜に溶接される。内膜880及びチューブ状ネック部分844”は、熱が熱質量から移動しそれゆえ熱損失を低下させるための、より長い経路を作り出す。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図4a)】
図4b)】
図5i
図5ii
図5iii
図5iv
図5v
図5vi
図5vii
図5viii
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図16a
図16b
図17
図18a
図18b
図18c
図19a
図19b
図20a
図20b
図20c
図20d
図21
図22
図23
【国際調査報告】