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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】合成のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20241106BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C12N15/10 110Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525798
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022048456
(87)【国際公開番号】W WO2023076687
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,397
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】516040017
【氏名又は名称】ツイスト バイオサイエンス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッキー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ピッチ,ステファン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4B029GA08
4B029GB10
4B029HA10
(57)【要約】
【解決手段】DNAオリゴマー合成のための組成物、デバイス、システム、および方法が、本明細書に提供される。さらに、ポリヌクレオチド合成(脱保護、伸長、または切断など)を制御するアドレス指定可能な電極を備えるデバイスが、提供される。本明細書に記載される組成物、デバイス、システム、および方法は、生体分子ベースの情報の合成、ストレージ、密度、および取り出しの改善を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドを合成する方法であって、
(a)固体支持体に結合した少なくとも1つのヌクレオシドを、保護されたヌクレオシドと接触させることであって、前記保護されたヌクレオシドは、保護基を含み、前記保護基は、アルケンを含み、前記固体支持体は、アドレス指定可能なアレイを含む、ことと、
(b)ある量の試薬を、前記保護されたヌクレオシドと接触させることであって、前記接触させることは、前記保護されたヌクレオシドの末端ヌクレオシドの脱保護をもたらす、ことと、
(c)ステップ(a)および(b)を繰り返して、前記ポリヌクレオチドを合成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記試薬の量は、前記保護されたヌクレオシドの約15モル%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試薬の量は、前記保護されたヌクレオシドの約5モル%未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護されたヌクレオシドは、5’または3’保護基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記保護基は、アリル基を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記保護基は、O-アリル基を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試薬は、遷移金属触媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記遷移金属触媒は、酸化数ゼロである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記遷移金属触媒は、Pd(0)触媒を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記遷移金属触媒は、1つ以上のホスフィン配位子を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記遷移金属触媒は、Pd(Phを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記保護されたヌクレオシドを求核剤と接触させることをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記求核剤は、C求核剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記求核剤は、N,N-ジメチルバルビツレートである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬は、ヘテロ芳香族基を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記試薬は、テトラジンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記求核剤は、ホスフィンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記求核剤は、PPhである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記試薬を、前記保護されたヌクレオシドと接触させることは、約10分未満である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬を、前記保護されたヌクレオシドと接触させることは、約5分未満である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
キャッピングすることをさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
キャッピングは、塩化アセチルまたは無水酢酸での処理を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記保護されたヌクレオシドは、少なくとも2つのアルケニル基を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
脱保護は、1つ以上のアルケニル基の除去を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(c)の後に酸化ステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(b)の後に酸化ステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドは、50~300塩基の長さである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記保護されたポリヌクレオチドと流体連通する溶媒に電圧を印加することをさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記保護されたヌクレオシドは、式
【化1】
または
【化2】
を含み、式中、
は、直鎖または分岐鎖アルケニレンであり、
は、アルキレンまたはアルケニレンであり、それぞれは独立して非置換であるか、または置換され、
、R、R、R、R、R、またはRはそれぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、O-アルキル、N-アルキル、O-アルキル-O-アルキル、Nであるか、またはRおよびRは一緒になって環を形成し、
Bは、単環式または二環式C4-6複素環式環である、
請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
は、直鎖アルケニレンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
は、直鎖C2-6アルケニレンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
は、アリルである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
は、分岐鎖アルケニレンである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
は、分岐鎖C3-8アルケニレンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
は、置換アルキレンである、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
は、置換C2-4アルキレンである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
は、シアノエチルである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
は、非置換アルケニレンである、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
は、非置換C2-4アルキレンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
は、アリルである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
Bは、単環式C複素環式環である、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
Bは、二環式C複素環式環である、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
Bは、核酸塩基である、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも3つは、Hである、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
は、Hであり、Rは、OHである、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
およびRのうちの一方または両方は、Fである、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
およびRのうちの一方または両方は、-OCHまたは-OCHCHOCHである、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記保護されたヌクレオシドは、構造
【化3】
を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
前記保護されたヌクレオシドは、構造
【化4】
を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたデバイス。
【請求項51】
前記アドレス指定可能なアレイは、合成のための少なくとも1000個のアドレス指定可能な場所を含む、請求項50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記アドレス指定可能なアレイは、約10nm~約200nmのピッチ距離を含む、請求項50~51のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年11月1日に出願された米国仮特許出願第63/274,397号の利益を主張し、これは、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
生体分子(例えば、核酸)は、研究、医薬、情報ストレージにおける用途を有する。しかしながら、生体分子を生成するための、高密度、拡張可能、自動化された、高精度、かつ高効率のシステムが必要とされている。
参照による組み込み
【0003】
本明細書に言及されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポリヌクレオチドを合成する方法であって、(a)固体支持体に結合した少なくとも1つのヌクレオシドを、保護されたヌクレオシドと接触させることであって、保護されたヌクレオシドは、保護基を含み、保護基は、アルケンを含み、固体支持体は、アドレス指定可能なアレイを含む、ことと、(b)ある量の試薬を、保護されたヌクレオシドと接触させることであって、保護されたヌクレオシドの末端ヌクレオシドの脱保護をもたらす、ことと、(c)ステップ(a)および(b)を繰り返して、ポリヌクレオチドを合成することとを含む、方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬の量が保護されたヌクレオシドの約15モル%未満である方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬の量が保護されたヌクレオシドの約5モル%未満である方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドが5’または3’保護基を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、保護基がアリル基を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、保護基がO-アリル基を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬が遷移金属触媒である方法が、本明細書に提供される。さらに、遷移金属触媒が酸化数ゼロである方法が、本明細書に提供される。さらに、遷移金属触媒がPd(0)触媒を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、遷移金属触媒が1つ以上のホスフィン配位子を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、遷移金属触媒がPd(Phを含む方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドを求核剤と接触させることをさらに含む方法が、本明細書に提供される。さらに、求核剤がC求核剤である方法が、本明細書に提供される。さらに、求核剤がN,N-ジメチルバルビツレートである方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬がヘテロ芳香族基を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬がテトラジンである方法が、本明細書に提供される。さらに、求核剤がホスフィンを含む方法が、本明細書に提供される。さらに、求核剤がPPhである方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬を保護されたヌクレオシドと接触させることが約10分未満である方法が、本明細書に提供される。さらに、試薬を保護されたヌクレオシドと接触させることが約5分未満である方法が、本明細書に提供される。さらに、キャッピングすることをさらに含む方法が、本明細書に提供される。さらに、キャッピングが塩化アセチルまたは無水酢酸での処理を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドが少なくとも2つのアルケニル基を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、脱保護が1つ以上のアルケニル基の除去を含む方法が、本明細書に提供される。さらに、ステップ(c)の後に酸化ステップを含む方法が、本明細書に提供される。さらに、ステップ(b)の後に酸化ステップを含む方法が、本明細書に提供される。さらに、ポリヌクレオチドが50~300塩基の長さである方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたポリヌクレオチドと流体連通する溶媒に電圧を印加することをさらに含む方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドが式
【0005】
【化1】
または
【0006】
【化2】
を含み、式中、
は、直鎖または分岐鎖アルケニレンであり、
は、アルキレンまたはアルケニレンであり、それぞれは独立して非置換であるか、または置換され、
、R、R、R、R、R、またはRはそれぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、O-アルキル、N-アルキル、O-アルキル-O-アルキル、Nであるか、またはRおよびRは一緒になって環を形成し、
Bは、単環式または二環式C4-6複素環式環である、方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが直鎖アルケニレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが直鎖C2-6アルケニレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rがアリルである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが分岐鎖アルケニレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが分岐鎖C3-8アルケニレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが置換アルキレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが置換C2-4アルキレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rがシアノエチルである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが非置換アルケニレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rが非置換C2-4アルキレンである方法が、本明細書に提供される。さらに、Rがアリルである方法が、本明細書に提供される。さらに、Bが単環式C複素環式環である方法が、本明細書に提供される。さらに、Bが二環式C複素環式環である方法が、本明細書に提供される。さらに、Bが核酸塩基である方法が、本明細書に提供される。さらに、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも3つがHである方法が、本明細書に提供される。さらに、RがHであり、RがOHである方法が、本明細書に提供される。さらに、RおよびRのうちの一方または両方がFである方法が、本明細書に提供される。さらに、RおよびRのうちの一方または両方が-OCHまたは-OCHCHOCHである方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドが構造
【0007】
【化3】
を有する方法が、本明細書に提供される。さらに、保護されたヌクレオシドが構造
【0008】
【化4】
を有する方法が、本明細書に提供される。
【0009】
本明細書に記載される方法を実行するように構成されたデバイスが、本明細書に提供される。さらに、アドレス指定可能なアレイが合成のための少なくとも1000個のアドレス指定可能な場所(locus)を含むデバイスが、本明細書に提供される。さらに、アドレス指定可能なアレイが10~200nmのピッチ距離を含むデバイスが、本明細書に提供される。
【0010】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】いくつかの実施形態による、電気化学的に生成された酸でポリヌクレオチドをデブロックするように構成される、核酸ベースのデータストレージのための例示的なデバイスを図示する。
図2】いくつかの実施形態による、電極の上に多孔質成長層を有するシリコンベースの先行技術のデバイスを図示する。
図3A】いくつかの実施形態による、パターン形成された導電性アノードを含むシリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。
図3B】いくつかの実施形態による、パターン形成された導電性アノードおよび埋込み型シールド電極を含むシリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。
図4】いくつかの実施形態による、導電層の上に酸化物アイランドを含むシリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。酸化物アイランドは、例示的な配置のみとしてパターン形成されており、いくつかの事例では、ランダムに配置される。
図5A】いくつかの実施形態による、任意選択のp型またはn型シリコン層の上の、パターン形成された導電性アノードおよび熱酸化物層を含む、シリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。ポリヌクレオチドの成長は、アノード間の細孔において生じる。垂直相互接続アクセス(vertical interconnect access、VIA)は、明確さのために示されていない。
図5B】いくつかの実施形態による、導電性アノード層の上のパターン形成された酸化物アイランド、および任意選択のp型またはn型シリコン層の上の熱酸化物層を含む、シリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。ポリヌクレオチドの成長は、酸化物アイランド上で生じる。垂直相互接続アクセス(VIA)は、明確さのために示されていない。
図5C】いくつかの実施形態による、導電性アノード層の上のパターン形成された酸化物アイランド、および任意選択のp型またはn型シリコン層の上の熱酸化物層を含む、シリコンベースのポリヌクレオチド合成表面を図示する。導電層は、追加の結合層によって両側でサンドイッチ状態(sandwiched)にある。単一の結合層が、明確さのためだけに示されており、いくつかの事例において、表面は、複数の結合層を含む。ポリヌクレオチドの成長は、酸化物アイランド上で生じる。垂直相互接続アクセス(VIA)は、明確さのために示されていない。
図6A】いくつかの実施形態による、カソードの面の上方に「サンドイッチ状態の」アノードを含むデバイスを図示する。
図6B】いくつかの実施形態による、実質的にカソードと同じ面内に位置する(「インプレーン」)アノードを含むデバイスを図示する。
図7A】いくつかの実施形態による、ポリヌクレオチド合成のための高密度デバイスの断面図を図示する。2つの例示的なアドレス指定可能なデバイスアレイが、明確のためだけに示されている。
図7B】いくつかの実施形態による、ポリヌクレオチド合成のための高密度デバイスの上面図を図示する。9つの例示的なアドレス指定可能なデバイスアレイが、明確さのためだけに示されている。
図7C】ポリヌクレオチド合成のための高密度デバイスの上面図を図示する。4つの例示的なアドレス指定可能なデバイスアレイが、明確さのためだけに示されている。
図7D】いくつかの実施形態による、ポリヌクレオチド合成のための高密度デバイスの断面図を図示する。2つの例示的なデバイスアレイが、明確さのためだけに示されている。
図7E】いくつかの実施形態による、ポリヌクレオチド合成のための高密度デバイスの上面図を図示する。16個の例示的なアドレス指定可能なデバイスアレイが、明確さのためだけに示されている。
図8】いくつかの実施形態による、CMOS一体化デバイスアレイの概略図を示す。
図9】ラック型機器の例である。そのような機器は、いくつかの実施形態によると、数百または数千個の固体支持体アレイを含み得る。
図10A】いくつかの実施形態による、固体支持体アレイの例の前面図である。そのようなアレイは、いくつかの事例において、本明細書に記載される数千または数百万個のポリヌクレオチド合成デバイスを含み得る。
図10B】いくつかの実施形態による、固体支持体アレイの例の背面図である。
図11】いくつかの実施形態による、アクティブエリアおよび流体インターフェースを含む固体支持体の概略図である。
図12A】いくつかの実施形態による、可撓性構造の連続ループ配置を示す。
図12B】いくつかの実施形態による、可撓性構造のリールツーリール配置を示す。
図12C】いくつかの実施形態による、合成されたポリヌクレオチドの放出および抽出のスキームを示す。
図12D】いくつかの実施形態による、合成されたポリヌクレオチドの放出および抽出のスキームを示す。
図13】いくつかの実施形態による、5’-alloc DNAホスホラミダイトモノマーを使用したDNAの化学合成を図示する。ステップは、次のようにラベル付けされている:右上:ホスホラミダイトカップリング、下:酸化およびキャッピング、1)I/pyr/HO、2)AcO、左上:Pdに触媒されるAllocの脱保護、Pd(PPh、PPh、N,N’ジメチルバルビツール酸。
図14A】いくつかの実施形態による、5’-alloc DNAホスホラミダイトモノマーおよび後続の脱保護条件を使用して合成した15量体DNA分子のHPLCクロマトグラムを示す。ウインドウは、クロマトグラフ結果とラベル付けされている。上のプロットは、ESI TIC Scan Frag=200.0V 202201210 DSP_000DD 20201207.dからのサンプル、とラベル付けされており、y軸は、1×10の単位間隔で0から7×10までのカウントを表す。下のプロットは、DAD1-A:Sig260.0,4,0 Ref=360.0 0.100.0 20201210 DSP_000DD 20201207.dからのサンプル、とラベル付けされており、y軸は、0.1×10の単位間隔で-0.1×10から1×10までのカウントを表す。両方のプロットは、0.5の単位間隔で0から19までの応答対取得時間(分)とラベル付けされた共通のx軸を有する。
図14B】いくつかの実施形態による、5’-alloc DNAホスホラミダイトモノマーおよび後続の脱保護条件を使用して合成した15量体DNA分子のMS分析を示す。ウインドウは逆畳み込み結果と題されており、表示の選択項目としてデルタ質量、モノアイソトピック、一致許容度5ppm、およびピークツーピークプロファイルが使用されている。プロットは、ESIスキャン(rt:9.825-10.106分、18回のスキャン)、Frag=200.0V 20201210 DSP_000DD 20201207.dからのサンプル、逆畳み込み、とラベル付けされている。y軸は、0.2×10の間隔で0から2.4×10までのカウントを表す。x軸は、500の単位間隔で、0から1250までであり、カウント対質量電荷比(m/z)とラベル付けされている。ラベル付けされたピーク(左から右)は、357.98、1500.25(2番目に大きいピーク)、2146.31、2755.41、3363.49、3971.58、4500.73(最大ピーク)、6016.39、9000.45、10321.88、および11914.75である。
図15】いくつかの実施形態による、P-O-alloc保護基を使用したDNAの化学合成を示す。ステップは、次のようにラベル付けされている:右:ホスホラミダイトカップリング、左:1)Pdに触媒されるAlloc脱保護およびキャッピング、Pd(PPh、PPh、N,N’ジメチルバルビツール酸、2)AcO、左上::酸化および切断、1)I/pyr/HO、2)NHMe
図16】いくつかの実施形態による、Pd(0)によって触媒される、求核剤で5’-O-alloc保護されたDNAホスホラミダイト部分を脱保護する、電気化学プラットフォーム上でのDNAオリゴマー合成を図示する。
図17】いくつかの実施形態による、電気泳動アプリケーションのための電気化学プラットフォームの使用を図示する。荷電種は、反応部位に対して選択的に誘引、または遠ざけられ得る。
図18】いくつかの実施形態による、コンピュータシステムの例を図示する。
図19】いくつかの実施形態による、コンピュータシステムのアーキテクチャを図示するブロック図である。Pd(RP) 4-は、例示のためだけに示されている。
図20】いくつかの実施形態による、複数のコンピュータシステム、複数の携帯電話およびパーソナルデータアシスタント、ならびにネットワーク接続ストレージ(NAS)を組み込むように構成されるネットワークを示す図である。
図21】いくつかの実施形態による、共有の仮想アドレスメモリ空間を使用したマルチプロセッサコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
より高密度の合成システム、例えば、生体分子(例えば、核酸)の大規模で多様なライブラリーを合成することができるものが、必要とされている。いくつかの事例において、核酸ライブラリーは、遺伝子アセンブリ、抗体設計、次世代シーケンシング捕捉/濃縮、およびデータストレージに有用である。データストレージの場合には、生成され保存される情報の量が指数関数的に増加しているため、より大容量のストレージシステムが必要とされる。効率的かつ簡素化された脱保護および酸化化学反応を使用して生体分子合成のスループットを増加させる方法が、本明細書に提供される。
定義
【0013】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0014】
本開示全体を通じて、数値的特徴は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上および簡潔にするためであり、任意の実施形態の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、文脈により別途明示的に示されない限り、すべての可能性のある部分範囲、ならびに下限の単位の10分の1までのその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものとみなされるものとする。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびに範囲内の個々の値、例えば、1.1、2、2.3、5、および5.9を具体的に開示しているとみなされるものとする。これは範囲の広さに関係なく適用される。これらの介在範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれていてもよく、また、本発明に包含され、記載される範囲における任意の具体的に除外される制限を受ける。記載された範囲に限界値の一方または両方が含まれる場合、文脈により別途明示的に示されない限り、含まれる限界値のうちの一方または両方を除外した範囲もまた、本発明に含まれる。
【0015】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、いかなる実施形態も制限することを意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the」)は、文脈により別途明示的に示されない限り、複数形を含むことが意図される。さらに、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書において使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことが、理解されるであろう。本明細書において使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0016】
具体的に示されているかまたは文脈により明らかでない限り、本明細書において使用される場合、数値または数値の範囲に関する「約」という用語は、記載された数値、ならびにその±10%の数値、または範囲として記載された値については記載された下限値よりも10%低いおよび記載された上限値よりも10%高い数値を意味することが理解される。
【0017】
本明細書において使用される場合、「事前に選択された配列」、「事前に定義された配列」、または「所定の配列」という用語は、互換可能に使用される。これらの用語は、ポリマーの配列が判明しており、ポリマーの合成またはアセンブリの前に選択されることを意味する。具体的には、様々な態様が、主として核酸分子の調製に関して本明細書に記載されており、ポリヌクレオチドの配列は、核酸分子の合成またはアセンブリの前に判明しており、選択されている。
【0018】
本明細書において使用される場合、「シンボル」という用語は、一般的に、デジタル情報の単位の指標を指す。デジタル情報は、1つ以上のシンボルに分割または変換され得る。1つの例では、シンボルはビットであってもよく、このビットは、数値を有し得る。いくつかの例では、シンボルは、「0」または「1」の値を有し得る。いくつかの例では、デジタル情報は、シンボルの列またはシンボルのストリングとして表され得る。いくつかの例では、シンボルの列またはシンボルのストリングは、バイナリデータを構成し得る。
【0019】
合成(例えば、デノボ合成または化学的に合成された)ポリヌクレオチドの産生のための方法および組成物が、本明細書に提供される。ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはオリゴとも称され得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、別途示されない限り、DNAまたはRNAを含み得る。
【0020】
「アミノ」は、-NHラジカルを指す。
【0021】
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
【0022】
「ニトロ」は、-NOラジカルを指す。
【0023】
「オキサ」は、-O-ラジカルを指す。
【0024】
「オキソ」は、=Oラジカルを指す。
【0025】
「チオキソ」は、=Sラジカルを指す。
【0026】
「イミノ」は、=N-Hラジカルを指す。
【0027】
「オキシモ」は、=N-OHラジカルを指す。
【0028】
「ヒドラジノ」は、=N-NHラジカルを指す。
【0029】
「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1~15個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカルを指す(例えば、C-C15アルキル)。ある特定の実施形態において、アルキルは、1~13個の炭素原子を含む(例えば、C-C13アルキル)。ある特定の実施形態において、アルキルは、1~8個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~4個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~3個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~2個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1個の炭素原子を含む(例えば、Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、5~15個の炭素原子を含む(例えば、C-C15アルキル)。他の実施形態において、アルキルは、5~8個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、2~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、3~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソ-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合する。本明細書において別途具体的に記載されない限り、アルキル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)のうちの1つ以上で任意選択で置換され、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。
【0030】
「アルコキシ」は、式-O-アルキルの酸素原子を介して結合されるラジカルを指し、アルキルは、上記に定義されるアルキル鎖である。
【0031】
「アルケニル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカル基を指す。ある特定の実施形態において、アルケニルは、2~8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは、2~4個の炭素原子を含む。アルケニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合し、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロパ-1-エニル(すなわち、アリル)、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどである。本明細書において別途具体的に記載されない限り、アルケニル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)のうちの1つ以上で任意選択で置換され、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。
【0032】
「アルキニル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、2~12個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカル基を指す。ある特定の実施形態において、アルキニルは、2~8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキニルは、2~6個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキニルは、2~4個の炭素原子を含む。アルキニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどである。本明細書において別途具体的に記載されない限り、アルキニル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)のうちの1つ以上で任意選択で置換され、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。
【0033】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、炭素および水素のみからなり、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子を有する、分子の残りの部分をラジカル基に結合する直鎖または分岐鎖二価炭化水素鎖を指し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレンなどである。アルキレン鎖は、単結合を通じて分子の残りの部分に結合し、また単結合を通じてラジカル基に結合する。アルキレン鎖が分子の残りの部分およびラジカル基に結合する点は、アルキレン鎖内の1個の炭素、または鎖内の任意の2個の炭素を通じたものである。ある特定の実施形態において、アルキレンは、1~8個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、1~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、1~4個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、1~3個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、1~2個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、1個の炭素原子を含む(例えば、Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、5~8個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、2~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態において、アルキレンは、3~5個の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。本明細書において別途具体的に記載されない限り、アルキレン鎖は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)のうちの1つ以上で任意選択で置換され、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。
【0034】
「アリール」は、環炭素原子から1つの水素原子を除去することによって芳香族単環式または多環式炭化水素環系から誘導される、ラジカルを指す。芳香族単環式または多環式炭化水素環系は、水素および5個~18個の炭素原子のみを含み、ここで、環系内の環のうちの少なくとも1つは完全に不飽和である、すなわち、ヒュッケル理論に従って、環状の非局在化(4n+2)π電子系を含む。アリール基が誘導される環系としては、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン、およびナフタレンなどの基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別途具体的に示されない限り、「アリール」という用語または接頭辞「ar-」(例えば、「アラルキル」にあるもの)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)から独立して選択される1つ以上の置換基によって任意選択で置換されたアリールラジカルを含むことを意味し、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、それぞれのRは、独立して、直接結合であるか、または直鎖もしくは分岐鎖アルキレンもしくはアルケニレン鎖であり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、上記の置換基のそれぞれは、別途示されない限り、非置換である。
【0035】
「アラルキル」は、式-R-アリールのラジカルであり、式中、Rは、上記に定義されるアルキレン鎖、例えば、メチレン、エチレンなどである。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上述のように、任意選択で置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述のように、任意選択で置換される。
【0036】
「カルボシクリル」または「シクロアルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、縮合環系または架橋環系を含み、3~15個の炭素原子を有する、安定した非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを指す。ある特定の実施形態において、カルボシクリルは、3~10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、カルボシクリルは、5~7個の炭素原子を含む。カルボシクリルは、単結合によって分子の残りの部分に結合する。カルボシクリルは、飽和(すなわち、単一のC-C結合のみを含む)または不飽和(すなわち、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む)である。完全に飽和したカルボシクリルラジカルはまた、「シクロアルキル」と称される。単環式シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。不飽和カルボシクリルはまた、「シクロアルケニル」と称される。単環式シクロアルケニルの例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルが挙げられる。多環式カルボシクリルラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書において別途具体的に示されない限り、「カルボシクリル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換されたカルボシクリルラジカルを含むことを意味し、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、それぞれのRは、独立して、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖アルキレンもしくはアルケニレン鎖であり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、上記の置換基のそれぞれは、別途示されない限り、非置換である。
【0037】
「カルボシクリルアルキル」は、式-R-カルボシクリルのラジカルであり、式中、Rは、上記に定義されるアルキレン鎖である。アルキレン鎖およびカルボシクリルラジカルは、上記に定義されるように、任意選択で置換される。
【0038】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨード置換基を指す。
【0039】
「フルオロアルキル」は、上記に定義される1つ以上のフルオロラジカルによって置換された上記に定義されるアルキルラジカルを指し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどである。いくつかの実施形態において、フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上記に定義されるように、任意選択で置換される。
【0040】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」は、2~12個の炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、安定した3~18員の非芳香族環ラジカルを指す。本明細書において別途具体的に記載されない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、これには、任意選択で縮合環系または架橋環系が含まれる。ヘテロシクリルラジカルにおけるヘテロ原子は、任意選択で酸化されている。1つ以上の窒素原子が存在する場合、それらは任意選択で四級化されている。ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和している。ヘテロシクリルは、環の任意の原子を通じて分子の残りの部分に結合する。そのようなヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、および1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別途具体的に記載されない限り、「ヘテロシクリル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された上記に定義されるヘテロシクリルラジカルを含むこと意味し、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、それぞれのRは、独立して、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖アルキレンもしくはアルケニレン鎖であり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、上記の置換基のそれぞれは、別途示されない限り、非置換である。
【0041】
「N-ヘテロシクリル」または「N結合ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの窒素を含み、ヘテロシクリルラジカルの分子の残りの部分への結合点がヘテロシクリルラジカルにおける窒素原子を介する、上記に定義されるヘテロシクリルラジカルを指す。N-ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上述のように、任意選択で置換される。そのようなN-ヘテロシクリルラジカルの例としては、1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-ピペラジニル、1-ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、およびイミダゾリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「C-ヘテロシクリル」または「C結合ヘテロシクリル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ヘテロシクリルラジカルの分子の残りの部分への結合点がヘテロシクリルラジカルにおける炭素原子を介する、上記に定義されるヘテロシクリルラジカルを指す。C-ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上述のように、任意選択で置換される。そのようなC-ヘテロシクリルラジカルの例としては、2-モルホリニル、2-または3-または4-ピペリジニル、2-ピペラジニル、2-または3-ピロリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
「ヘテロアリール」は、2~17個の炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、3~18員の芳香族環ラジカルから誘導されるラジカルを指す。本明細書において使用される場合、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、ここで、環系内の環のうちの少なくとも1つは完全に不飽和である、それは、すなわち、ヒュッケル理論に従って、環式の非局在化(4n+2)π電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合環系または架橋環系を含む。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子は、任意選択で酸化されている。1つ以上の窒素原子が存在する場合、それらは任意選択で四級化されている。ヘテロアリールは、環の任意の原子を通じて分子の残りの部分に結合する。ヘテロアリールの例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノイル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別途具体的に記載されない限り、「ヘテロアリール」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された上記に定義されるヘテロアリールラジカルを含むこと意味し、ここで、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、それぞれのRは、独立して、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖アルキレンもしくはアルケニレン鎖であり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、上記の置換基のそれぞれは、別途示されない限り、非置換である。
【0044】
「N-ヘテロアリール」は、少なくとも1つの窒素を含み、ヘテロアリールラジカルの分子の残りの部分への結合点がヘテロアリールラジカルにおける窒素原子を介する、上記に定義されるヘテロアリールラジカルを指す。N-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述のように、任意選択で置換される。
【0045】
「C-ヘテロアリール」は、ヘテロアリールラジカルの分子の残りの部分への結合点がヘテロアリールラジカルにおける炭素原子を介する、上記に定義されるヘテロアリールラジカルを指す。C-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述のように、任意選択で置換される。
【0046】
本明細書に開示される化合物は、いくつかの実施形態において、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、絶対立体化学の観点で(R)-または(S)-として定義される、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体形態を生じる。別途示されない限り、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性体形態が本開示によって企図されることが、意図される。本明細書に記載される化合物がアルケン二重結合を含む場合、別途指定されない限り、本開示がEおよびZ幾何異性体(例えば、シスまたはトランス)の両方を含むことが意図される。同様に、すべての可能性のある異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態、ならびにすべての互変異性体形態もまた、含まれることが意図される。「幾何異性体」という用語は、アルケンの二重結合のEまたはZ幾何異性体(例えば、シスまたはトランス)を指す。「位置異性体」という用語は、中心環の周りの構造異性体、例えば、ベンゼン環の周りのオルト異性体、メタ異性体、パラ異性体を指す。
【0047】
合成(例えば、デノボ合成された、酵素的に合成された、化学的に合成された)生体分子の産生のための方法および組成物が、本明細書に提供される。いくつかの事例において、生体分子は、鋳型非依存的様式で合成される。いくつかの事例において、生体分子は、ポリヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはオリゴとも称され得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、別途示されない限り、DNAまたはRNAを含み得る。いくつかの事例において、生体分子は、2つ以上のモノマーを含むポリマーを含む。生体分子は、いくつかの事例において、ポリマー、例えば、核酸(例えば、DNA、RNA)、炭水化物(例えば、糖)、ペプチド/タンパク質、脂質、脂肪酸、テルペン、ペプトイド、またはこれらの混合物を指す。いくつかの事例において、生体分子は、当該技術分野において周知の方法(保護基の有無にかかわらない)を使用して、反復的な様式で合成され得る。いくつかの事例において、生体分子は、モノマー、ダイマー、トリマー、または他の適切な構成ブロックから、反復的な様式で合成され得る。
生体分子合成
【0048】
短時間かつ低いエラー率で基材上に高密度の生体分子(例えば、ポリヌクレオチド)を合成するためのシステムおよび方法が、本明細書に提供される。いくつかの事例において、方法は、電気化学的脱保護の使用を含む。いくつかの事例において、電気化学的脱保護は、遷移金属触媒の使用によって促進される。いくつかの事例において、部位特異的脱保護は、アドレス指定可能なアレイを使用して達成される。
【0049】
ポリヌクレオチドを合成する方法が、本明細書に提供される。ポリヌクレオチドは、固体支持体に結合した少なくとも1つのヌクレオシドを保護されたヌクレオシドと接触させることによって、合成され得る。いくつかの事例において、保護されたヌクレオシドは、保護基を含む。いくつかの事例において、保護基は、アルケンを含む。いくつかの事例において、固体支持体は、アドレス指定可能なアレイを含む。いくつかの事例において、本方法は、ある量の試薬を、保護されたヌクレオシドと接触させることを含み得る。いくつかの事例において、接触させることは、保護されたヌクレオシドの末端ヌクレオシドの脱保護をもたらす。いくつかの事例において、本明細書に提供される1つ以上のステップを繰り返して、ポリヌクレオチドを合成することができる。いくつかの事例において、本明細書に提供される方法は、(a)固体支持体に結合した少なくとも1つのヌクレオシドを保護されたヌクレオシドと接触させるステップ、(b)ある量の試薬を保護されたヌクレオシドと接触させるステップ、ならびに(c)ステップ(a)および(b)を繰り返してポリヌクレオチドを合成するステップのうちの1つ以上のステップを含む。いくつかの事例において、試薬は、ヌクレオチドの脱保護、リン酸骨格の酸化、キャッピング反応の実行、ヌクレオチドモノマーのカップリングの促進、または他の反応の実行に使用される。いくつかの事例において、試薬は、酵素を含む。いくつかの事例において、酵素は、ポリメラーゼを含む。
【0050】
ポリヌクレオチド合成に使用される化学反応が、電気化学を使用して制御される、方法、システム、デバイス、および組成物が、本明細書に記載される。電気化学反応は、いくつかの事例において、エネルギー源、例えば、光、熱、照射、電気、または任意の他のエネルギー源によって制御される。例えば、電極を使用して、表面上の個別の場所のすべてまたは一部分における1つ以上の化学反応を制御する。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成における1つ以上のステップ(例えば、化学的ステップ)を制御するために、電極に電位を印加することによって、電極は荷電される。いくつかの事例において、これらの電極は、アドレス指定可能である。本明細書に記載される任意の数のステップ、例えば、化学的ステップは、いくつかの事例において、1つ以上の電極によって制御される。化学的ステップにおける電気化学反応は、酸化、還元、酸/塩基化学反応、または電極によって制御される他の反応を含み得る。いくつかの事例において、電極は、反応における化学変換のための試薬として使用される、電子または陽子を生成する。電極は、いくつかの事例において、試薬、例えば、酸を直接的に生成する。いくつかの事例において、酸は、陽子である。電極は、いくつかの事例において、試薬、例えば、塩基を直接的に生成する。酸または塩基は、保護基を切断するか、または例えば反応溶液のpHを調節することによって様々なポリヌクレオチド合成反応の動態に影響を及ぼすために使用されることが多い。電気化学的に制御されるポリヌクレオチド合成反応は、いくつかの事例において、酸化還元活性金属または他の酸化還元活性有機材料を含む。いくつかの事例において、金属触媒または有機触媒が、これらの電気化学反応に用いられる。いくつかの事例において、例示的な方法は、図13または図15に示されている。いくつかの事例において、保護されたヌクレオシドは、5’または3’保護基を含む。いくつかの事例において、保護基は、アリル基を含む。いくつかの事例において、保護基は、O-アリルを含む。いくつかの事例において、合成は、5’から3’の方向に進行する。いくつかの事例において、合成は、3’から5’の方向に進行する。
【0051】
化学反応の制御は、試薬の電気化学的生成に限定されない場合がある。いくつかの事例において、化学反応性は、電極によって生成される電界(または勾配)を介した基材または試薬の生物物理学的変化を通じて間接的に影響を受ける。いくつかの事例において、基材は、核酸を含むがこれに限定されない。いくつかの事例において、特定の試薬または基材を電極または表面へ、またはそれから離れる方へ遠ざけるか、または誘引する電界が生成される。そのような電界は、いくつかの事例において、1つ以上の電極への電位の印加によって生成される。例えば、負に荷電した核酸は、負に荷電した電極表面から遠ざかる。局所電界によって引き起こされるポリヌクレオチドまたは他の試薬のそのような反発作用または誘引は、いくつかの事例において、合成デバイスまたは構造の領域内または領域外へのポリヌクレオチドまたは他の試薬の移動をもたらす。いくつかの事例において、電極は、ポリヌクレオチドを合成表面、構造、またはデバイスから離れる方へ遠ざける電界を生成する。いくつかの事例において、電極は、ポリヌクレオチドを合成表面、構造、またはデバイスに向かって誘引する電界を生成する。いくつかの事例において、陽子は、陽子と基材またはその1つ以上の部分との接触を制限するように、正に荷電した表面から遠ざけられる。いくつかの事例において、反発力または誘引力は、合成表面の特定のエリアへの試薬または基材の進入を許容または阻止するために使用される。いくつかの事例において、ヌクレオシドモノマーは、一方または両方の構成要素の近傍に電界を印加することによって、ポリヌクレオチド鎖との接触が防止される。そのような構成は、特定の試薬のゲーティングを可能にし、これにより、試薬および/または基材の濃度またはそれらの間の接触速度が制御される場合には、保護基の必要性が回避され得る。いくつかの事例において、保護されていないヌクレオシドモノマーが、ポリヌクレオチド合成に使用される。代替的には、一方または両方の構成要素の近傍に電界を印加することにより、ヌクレオシドモノマーとポリヌクレオチド鎖との接触が促進される。加えて、基材への電界の印加は、基材の反応性または構成を変化させ得る。例示的な適用において、電極によって生成される電界を使用して、隣接する場所にあるポリヌクレオチドが相互作用するのを防止する。いくつかの事例において、基材は、任意選択で表面に結合した、ポリヌクレオチドである。電界の印加は、いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの3次元構造を変化させる。そのような変化は、様々な構造、例えば、ヘリックス、ヘアピン、ループ、または他の3次元核酸構造の折り畳みまたは展開を含む。そのような変化は、ウェル、チャネル、または他の構造内の核酸を操作するのに有用である。いくつかの事例において、電界は、二次構造を防止するように核酸基材に適用される。いくつかの事例において、電界により、リンカーまたはポリヌクレオチド合成中の固体支持体への結合の必要性が回避される。
【0052】
本開示の基材上のポリヌクレオチド合成に好適な方法は、ホスホラミダイト構築ブロックと基材に結合したヌクレオシドとの間に亜リン酸トリエステル結合を形成するカップリングステップにおいて、成長中のポリヌクレオチド鎖にホスホラミダイト構築ブロック、例えば、ヌクレオシドホスホラミダイトを制御された形で付加することを含む、ホスホラミダイト法である。いくつかの事例において、ヌクレオシドホスホラミダイトは、活性化された基材に提供される。いくつかの事例において、ヌクレオシドホスホラミダイトは、活性化剤とともに基材に提供される。いくつかの事例において、ヌクレオシドホスホラミダイトは、基材に結合したヌクレオシドの1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100倍過剰量またはそれ以上で、基材に提供される。いくつかの事例において、ヌクレオシドホスホラミダイトの付加は、無水環境、例えば、無水アセトニトリル中で行われる。カップリングステップにおけるヌクレオシドホスホラミダイトの付加および連結の後に、基材は、任意選択で洗浄される。いくつかの事例において、カップリングステップは、任意選択で基材へのヌクレオシドホスホラミダイトの付加の間に洗浄ステップを伴って、さらに1回以上繰り返される。いくつかの事例において、本明細書に使用されるポリヌクレオチド合成方法は、1、2、3、またはそれ以上の連続したカップリングステップを含む。多くの事例において、カップリングの前に、基材に結合したヌクレオシドは、保護基を除去することによって脱保護され、ここで、保護基は重合を防止するように機能する。保護基は、ポリヌクレオチド鎖の伸長を防止する任意の化学基を含み得る。いくつかの事例において、保護基は、酸の存在下において切断(または除去)される。いくつかの事例において、保護基は、塩基の存在下において切断(または除去)される。いくつかの事例において、保護基は、電磁照射、例えば、光、熱、または他のエネルギー源などを用いて除去される。いくつかの事例において、保護基は、酸化反応または還元反応によって除去される。いくつかの事例において、保護基は、トリアリールメチル基を含む。いくつかの事例において、保護基は、アリールエーテルを含む。いくつかの事例において、保護は、ジスルフィドを含む。いくつかの事例において、保護基は、酸不安定性シランを含む。いくつかの事例において、保護基は、アセタールを含む。いくつかの事例において、保護基は、ケタールを含む。いくつかの事例において、保護基は、エノールエーテルを含む。いくつかの事例において、保護基は、メトキシベンジル基を含む。いくつかの事例において、保護基は、アジドを含む。いくつかの事例において、保護基は、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)である。いくつかの事例において、保護基は、tert-ブチルカーボネートである。いくつかの事例において、保護基は、tert-ブチルエステルである。いくつかの事例において、保護基は、塩基不安定性基を含む。
【0053】
カップリングの後に、ホスホラミダイトポリヌクレオチド合成方法は、任意選択で、キャッピングステップを含む。キャッピングステップにおいて、成長中のポリヌクレオチドは、キャッピング剤で処理される。キャッピングステップは、一般的に、カップリング後に未反応の基材に結合した5’-OH基をさらなる鎖伸長からブロックし、内部の塩基が欠失したポリヌクレオチドの形成を防止するように機能する。
【0054】
さらに、1H-テトラゾールで活性化されたホスホラミダイトは、グアノシンのO6位とわずかな程度で反応することが多い。理論によって束縛されるものではないが、I/水での酸化により、この副産物は、おそらくはO6-N7移動を介して、脱プリン化を受ける。脱プリン部位は、ポリヌクレオチドの最終的な脱保護の過程で切断されることになり得、したがって、全長産物の収率が低減され得る。O6改変は、I/水による酸化の前にキャッピング試薬での処理によって除去され得る。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成中にキャッピングステップを含めることにより、キャッピングを用いない合成と比較して、エラー率が減少する。いくつかの事例において、本明細書に開示される化合物および方法は、ポリヌクレオチド合成中の脱プリン化を低減させる。いくつかの事例において、本明細書に開示される化合物および方法は、ポリヌクレオチド合成中の脱プリン化を排除する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物および方法は、酸化剤、例えば、I/水による酸化を必要としない。例として、キャッピングステップは、基材に結合したポリヌクレオチドを無水酢酸および1-メチルイミダゾールの混合物で処理することを含む。キャッピングステップの後に、基材は、任意選択で洗浄される。
【0055】
ヌクレオシドホスホラミダイトの添加の後、ならびに任意選択でキャッピングおよび1回以上の洗浄ステップの後に、本明細書に記載される基材は、酸化され得る結合した成長中の核酸を含む。酸化ステップは、亜リン酸トリエステルを酸化させて、天然に存在するリン酸ジエステルヌクレオシド間結合の保護された前駆体である四配位リン酸トリエステルにすることを含む。いくつかの事例において、亜リン酸トリエステルは、電気化学的に酸化される。いくつかの事例において、成長中のポリヌクレオチドの酸化は、任意選択で弱塩基、例えば、ピリジン、ルチジン、またはコリジンの存在下において、ヨウ素および水の処理によって達成される。酸化は、tert-ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)-オキサジリジン(CSO)を使用して無水条件下において行われることがある。いくつかの方法において、キャッピングステップは、酸化の後に実行される。酸化により残り得る残留水がその後のカップリングを阻害し得るため、2回目のキャッピングステップは、基材の乾燥を可能にする。酸化の後に、基材および成長中のポリヌクレオチドは、任意選択で洗浄される。いくつかの事例において、酸化のステップは、ポリヌクレオチドホスホロチオエートを得るために硫化ステップに置き換えられ、その場合、任意のキャッピングステップは、硫化後に実行することができる。多くの試薬は、効率的な硫黄移動が可能であり、これには、3-(ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン、DDTT、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド(Beaucage試薬としても知られている)、およびN,N,N’N’-テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
後続のヌクレオシド組込みサイクルがカップリングによって生じるように、基材に結合した成長中のポリヌクレオチドの保護された5’末端(または合成が5’から3’の方向で行われる場合には3’末端)は、第一級ヒドロキシル基が次のヌクレオシドホスホラミダイトと反応することができるように、除去される。いくつかの実施形態において、保護基は、直鎖または分岐鎖アルケニレンを含む。いくつかの実施形態において、保護基は、アリル基を含む。いくつかの実施形態において、保護基は、直鎖または分岐鎖炭酸アルケニレンを含む。いくつかの実施形態において、ホスホラミダイトは、ジアルキルアミンを含む。いくつかの実施形態において、ホスホラミダイトは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルアミン、またはこれらの任意の組合せのジアルキルアミノバリアントを含む。いくつかの実施形態において、式:
【0057】
【化5】
または
【0058】
【化6】
の化合物であって、式中、Rは、直鎖または分岐鎖アルケニレンであり、Rは、アルキレンまたはアルケニレンであり、これらのそれぞれは、独立して、置換または非置換であり、Bは、単環式または二環式C4-6複素環式環である、化合物が、本明細書に開示される。いくつかの事例において、Bは、A、T、C、G、またはUヌクレオチドに対応する塩基を含む。いくつかの実施形態において、Rは、直鎖アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、直鎖C2-6アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、アリルである。いくつかの実施形態において、Rは、分岐鎖アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、分岐鎖C3-8アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、置換アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、置換C2-4アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、シアノエチルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換C2-4アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、アリルである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、R、R、またはRのそれぞれは、独立して、H、OH、ハロゲン、O-アルキル、N-アルキル、O-アルキル-O-アルキル、Nであるか、またはRおよびRは、一緒になって、環を形成し、Bは、複素環式環である。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも3つは、Hである。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも5つは、Hである。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRは、Hである。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、Fである。いくつかの事例においてRはHであり、RはOHである。いくつかの事例において、RおよびRのうちの一方または両方は、Fである。いくつかの事例において、RおよびRのうちの一方または両方は、-OCHまたは-OCHCHOCHである。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、-OCHである。いくつかの事例において、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、-OCHCHOCHである。いくつかの事例において、RおよびRは、一緒になって環を形成する。いくつかの事例において、RおよびRは、一緒になって環を形成し、ここで、環は、-CH-O-を含む。いくつかの実施形態において、式:
【0059】
【化7】
の化合物であって、式中、Rは、直鎖または分岐鎖アルケニレンであり、Rは、アルキレンまたはアルケニレンであり、これらのそれぞれは、独立して、置換または非置換であり、Bは、単環式または二環式C4-6複素環式環である、化合物が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、Rは、直鎖アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、直鎖C2-6アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、アリルである。いくつかの実施形態において、Rは、分岐鎖アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、分岐鎖C3-8アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、置換アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、置換C2-4アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、シアノエチルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換アルケニレンである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換C2-4アルキレンである。いくつかの実施形態において、Rは、アリルである。
【0060】
いくつかの実施形態において、Bは、単環式C複素環式環である。いくつかの実施形態において、Bは、二環式C複素環式環である。いくつかの実施形態において、Bは、核酸塩基である。いくつかの実施形態において、Bは、改変された核酸塩基である。いくつかの実施形態において、Bは、式:
【0061】
【化8】
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
、または
【0065】
【化12】
を有し、そのそれぞれは、独立して、置換または非置換である。いくつかの実施形態において、Bは、式:
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
、または
【0069】
【化16】
を有し、そのそれぞれは、独立して、置換または非置換である。
【0070】
いくつかの実施形態において、化合物は、
【0071】
【化17】
である。いくつかの実施形態において、化合物は、
【0072】
【化18】
である。
【0073】
本明細書に記載される方法および組成物は、望ましくない脱プリン化反応を制限する制御されたデブロッキング条件を提供する。いくつかの実施形態において、デブロッキングステップは、ある量の試薬を、保護されたヌクレオシドと接触させることを含み、この接触により、保護されたヌクレオシドの末端ヌクレオシドの脱保護がもたらされる。いくつかの実施形態において、試薬は、遷移金属触媒である。いくつかの実施形態において、試薬は、ゼロ価の遷移金属触媒である。いくつかの実施形態において、O-alloc保護基は、Pd(II)前駆体の部位選択的還元によって除去することができる(図16~17)。いくつかの実施形態において、O-alloc保護基は、酸の使用を伴うことなく除去することができる。いくつかの実施形態において、試薬は、Pd(0)触媒を含む。いくつかの実施形態において、Pd(0)触媒は、窒素ベースの配位子を有する。いくつかの実施形態において、Pd(0)触媒は、アリールホスフィン配位子を含む。いくつかの事例において、配位子は、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを含む。いくつかの実施形態において、Pd(0)触媒は、窒素ベースの配位子を有する。いくつかの実施形態において、Pd(0)触媒は、アルキルアミノ配位子を含む。いくつかの事例において、アルキルアミン配位子は、TMEDA、TPPTS、ジエチルアミン、DIPEAを含み、いくつかの事例において、アルキルアミン配位子は、C-C16アルキルアミンを含む。いくつかの実施形態において、Pd(0)触媒は、ヘテロアリールホスフィン配位子を含む。いくつかの事例において、ヘテロアリール基は、置換または非置換のピリジン、ピラゾール、ピラジン、フラン、チオフェン、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、ピリダジン、またはトリアジンを含む。いくつかの実施形態において、試薬は、Pd(Ph、PdCl(PhP)、Pd(dba)、またはPd(OAc)を含む。いくつかの事例において、触媒は、還元剤と組み合わせた酸化数2の金属(例えば、Pd2+またはNi2+)を含む。いくつかの事例において、配位子は、3,3’,3’’-ホスファントリイルトリス三ナトリウム塩(TPPTS)を含む。いくつかの実施形態において、試薬は、Ni触媒を含む。いくつかの事例において、Ni触媒は、CO配位子を含む。いくつかの事例において、Ni触媒は、アルキルアミン配位子を含む。いくつかの事例において、アルキルアミノ配位子は、TMEDAを含む。いくつかの実施形態において、試薬は、Ni、Pd、またはPt触媒を含む。いくつかの実施形態において、試薬は、Pt触媒を含む。いくつかの実施形態において、試薬は、テトラジンを含む。いくつかの実施形態において、試薬は、改変されたテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの約0.001モル%~約25モル%である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの約0.001モル%、0.005モル%、0.01モル%、0.05モル%、0.1モル%、0.5モル%、1モル%、3モル%、5モル%、8モル%、10モル%、12モル%、15モル%、20モル%、または25モル%である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの少なくとも約0.001モル%、0.005モル%、0.01モル%、0.05モル%、0.1モル%、0.5モル%、1モル%、3モル%、5モル%、8モル%、10モル%、12モル%、15モル%、20モル%、または25モル%である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの多くとも約0.001モル%、0.005モル%、0.01モル%、0.05モル%、0.1モル%、0.5モル%、1モル%、3モル%、5モル%、8モル%、10モル%、12モル%、15モル%、20モル%、または25モル%である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、0.001~30%、0.001~10%、0.001~5%、0.001~1%、0.001~0.1%、0.001~0.01%、0.01~10%、0.01~5%、0.01~1%、0.01~1%、0.1~50%、0.1~25%、0.1~15%、0.1~10%、0.1~5%、0.1~2%、0.1~1%、1~50%、1~75%、1~25%、または1~10%(モル%)である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの約15モル%未満である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの約5モル%未満である。いくつかの実施形態において、触媒の量は、保護されたヌクレオシドの25モル%未満、20モル%未満、15モル%未満、12モル%未満、10モル%未満、8モル%未満、5モル%未満、3モル%未満、1モル%未満、0.01モル%未満、または0.001モル%未満である。いくつかの実施形態において、デブロッキングステップは、保護されたヌクレオシドを求核剤、例えば、C求核剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、C求核剤は、N,N-ジメチルバルビツレートである。いくつかの実施形態において、求核剤は、アセチルアセトネートである。いくつかの実施形態において、求核剤は、ホスフィンを含む。いくつかの実施形態において、求核剤は、PPhである。いくつかの実施形態において、デブロッキングステップは、塩素化溶媒中で行われる。いくつかの実施形態において、デブロッキングステップは、ジクロロメタンまたはクロロホルム中で行われる。
【0074】
試薬は、保護されたヌクレオシドと約1分~約20分間接触させることができる。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、約1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、または20分間である。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、少なくとも約1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、または20分間である。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、約20分未満、約15分未満、約10分未満、約9分未満、約8分未満、約7分未満、約6分未満、約5分未満、約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満である。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、約10分未満である。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、約5分未満である。いくつかの実施形態において、試薬と保護されたヌクレオシドとの接触は、0.1~10、0.1~8、0.1~5、0.1~4、0.1~3、0.1~2、0.1~1、0.1~0.5、0.5~10、0.5~5、0.5~3、0.5~2、1~10、1~7、1~5、1~4、1~3、1~2、2~10、2~8、2~5、または5~10分間である。いくつかの事例において、基材に結合したポリヌクレオチドは、デブロッキング後に洗浄される。いくつかの場合において、デブロッキング後の効率的な洗浄は、低いエラー率を有するポリヌクレオチドの合成に寄与する。
【0075】
本明細書に記載される基材上でのポリヌクレオチドの合成のための方法は、表面、リンカー、または以前に脱保護されたモノマーのいずれかとの連結のための基材特徴の表面への保護されたモノマーの適用のステップ、適用されたモノマーが続いて適用される保護されたモノマーと反応することができるように、そのモノマーを脱保護するステップ、ならびに連結のための別の保護されたモノマーの適用のステップのうちの1つ以上の反復シーケンスを含み得る。1つ以上の中間ステップは、酸化および/または硫化を含む。いくつかの事例において、1つ以上の洗浄ステップが、1つまたはすべてのステップの前または後に行われる。
【0076】
本明細書に記載される基材上でのポリヌクレオチドの合成のための方法は、酸化ステップを含み得る。例えば、方法は、表面、リンカー、または以前に脱保護されたモノマーのいずれかとの連結のための基材特徴の表面への保護されたモノマーの適用のステップ、適用されたモノマーが続いて適用される保護されたモノマーと反応することができるように、そのモノマーを脱保護するステップ、連結のための別の保護されたモノマーの適用のステップ、ならびに酸化および/または硫化のステップのうちの1つ以上の反復シーケンスを含み得る。いくつかの事例において、1つ以上の洗浄ステップが、1つまたはすべてのステップの前または後に行われる。
【0077】
本明細書に記載される基材上でのポリヌクレオチドの合成のための方法は、表面、リンカー、または以前に脱保護されたモノマーのいずれかとの連結のための基材特徴の表面への保護されたモノマーの適用のステップ、適用されたモノマーが続いて適用される保護されたモノマーと反応することができるように、そのモノマーを脱保護するステップ、ならびに酸化および/または硫化のステップの反復シーケンスをさらに含み得る。いくつかの事例において、1つ以上の洗浄ステップが、1つまたはすべてのステップの前または後に行われる。いくつかの実施形態において、1回の酸化ステップが、合成の最後に行われる。
【0078】
本明細書に記載される基材上でのポリヌクレオチドの合成のための方法は、表面、リンカー、または以前に脱保護されたモノマーのいずれかとの連結のための基材特徴の表面への保護されたモノマーの適用のステップ、酸化および/または硫化のステップのうちの1つ以上の反復シーケンスをさらに含み得る。いくつかの事例において、1つ以上の洗浄ステップが、1つまたはすべてのステップの前または後に行われる。いくつかの実施形態において、1回の酸化ステップが、合成の最後に行われる。
【0079】
本明細書に記載される基材上でのポリヌクレオチドの合成のための方法は、表面、リンカー、または以前に脱保護されたモノマーのいずれかとの連結のための基材特徴の表面への保護されたモノマーの適用のステップ、適用されたモノマーが続いて適用される保護されたモノマーと反応することができるように、そのモノマーを脱保護するステップ、ならびに酸化および/または硫化のステップのうちの1つ以上の反復シーケンスをさらに含み得る。いくつかの事例において、1つ以上の洗浄ステップが、1つまたはすべてのステップの前または後に行われる。
【0080】
いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、光不安定性保護基を用いて合成され、その場合、表面上に生成されるヒドロキシル基は、光不安定性保護基によってブロッキングされる。表面が、例えば、フォトリソグラフィマスクを通してUV光に曝露されると、表面上に遊離ヒドロキシル基のパターンが生成され得る。これらのヒドロキシル基は、ホスホラミダイト化学によって、光保護されたヌクレオシドホスホラミダイトと反応し得る。第2のフォトリソグラフィマスクを適用することができ、表面をUV光に曝露して、ヒドロキシル基の第2のパターンを生成し、続いて、5’-光保護されたヌクレオシドホスホラミダイトとカップリングすることができる。同様に、パターンを生成することができ、オリゴマー鎖を伸長することができる。理論によって束縛されるものではないが、光切断性基の不安定性は、用いられる溶媒の波長および極性に依存し、光切断の速度は、曝露期間および光の強度によって影響を受け得る。この方法は、マスクのアライメントの精度、光保護基の除去効率、およびホスホラミダイトカップリングステップの収率といった、いくつかの因子を活用することができる。さらに、隣接する部位への意図しない光の漏出を、最小限に抑えることができる。スポット当たりの合成されるオリゴマーの密度は、合成表面上のリーダーヌクレオシドのローディングを調節することによってモニタリングすることができる。
【0081】
ポリヌクレオチド合成の支持を提供する本明細書に記載される基材の表面は、合成されたポリヌクレオチド鎖が表面から切断されるのを可能にするように、化学的に改変されていてもよい。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド鎖は、ポリヌクレオチドが脱保護されるのと同時に切断される。いくつかの場合において、ポリヌクレオチド鎖は、ポリヌクレオチドが脱保護された後に切断される。例示的なスキームにおいて、トリアルコキシシリルアミン、例えば、(CHCHO)Si-(CH-NHを、基材の表面SiOH基と反応させ、続いて、アミンと無水コハク酸とで反応させて、アミド連結および遊離OHを作成し、その上で核酸鎖成長が支持される。切断は、アンモニアまたはメチルアミンによるガス切断を含む。いくつかの事例において、切断は、電気的に生成される試薬、例えば、酸または塩基によるリンカーの切断を含む。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、表面から放出されると、(インビトロ、インビボ、またはインシリコのいずれかで)より大きな核酸へとアセンブルされ、それが、シーケンシングされ、デコーディングされて、保存された情報が抽出される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、1つ以上のインデックスを使用してアセンブルされる。
【0082】
本明細書に記載される表面は、ポリヌクレオチド合成の追加サイクルをサポートするために、ポリヌクレオチド切断後に再利用することができる。例えば、リンカーは、追加の処理/化学改変なしで再利用することができる。いくつかの事例において、リンカーは、基材表面またはポリヌクレオチドに非共有結合的に結合する。いくつかの実施形態において、リンカーは、表面から切断された後もポリヌクレオチドに結合したままである。リンカーは、いくつかの実施形態において、可逆的な共有結合、例えば、エステル、アミド、ケタール、ベータ置換ケトン、複素環、または可逆的に切断することができる他の基を含む。そのような可逆的な切断反応は、いくつかの事例において、試薬の添加もしくは除去によって、または電極により制御される電気化学的プロセスによって、制御される。任意選択で、化学的リンカーまたは表面結合化学基は、反応性を回復し、そのようなリンカーまたは表面結合化学基上の望ましくない副生成物形成を除去するために、いくつかのサイクルの後に再生される。
【0083】
いくつかの事例において、基材は、可撓性基材である。いくつかの事例において、約1010個、1011個、1012個、1013個、1014個、または1015個の塩基が、1日に合成される。いくつかの事例において、少なくとも約1010個、1011個、1012個、1013個、1014個、または1015個の塩基が、1日に合成される。いくつかの事例において、多くとも約1010個、1011個、1012個、1013個、1014個、または1015個の塩基が、1日に合成される。いくつかの事例において、約10×10個、10×10個、10×1010個、10×1011個、または10×1012個のポリヌクレオチドが、1日に合成される。いくつかの事例において、少なくとも約10×10個、10×10個、10×1010個、10×1011個、または10×1012個のポリヌクレオチドが、1日に合成される。いくつかの事例において、多くとも約10×10個、10×10個、10×1010個、10×1011個、または10×1012個のポリヌクレオチドが、1日に合成される。いくつかの場合において、合成されるそれぞれのポリヌクレオチドは、約20個、50個、100個、200個、300個、400個、または500個の核酸塩基を含む。いくつかの場合において、合成されるそれぞれのポリヌクレオチドは、少なくとも約20個、50個、100個、200個、300個、400個、または500個の核酸塩基を含む。いくつかの場合において、合成されるそれぞれのポリヌクレオチドは、多くとも約20個、50個、100個、200個、300個、400個、または500個の核酸塩基を含む。いくつかの場合において、これらの塩基は、100、200、300、400、500、1000、2000、5000、10000、15000、20000塩基に約1個の合計平均エラー率で合成される。いくつかの場合において、これらの塩基は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、12000、15000、18000、20000塩基に約1個未満の合計平均エラー率で合成される。いくつかの事例において、これらのエラー率は、合成されるポリヌクレオチドのうちの約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上についてのものである。いくつかの事例において、これらのエラー率は、合成されるポリヌクレオチドのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上についてのものである。いくつかの事例において、これらの合成されるポリヌクレオチドのうちの少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上は、それらがコードする所定の配列と異ならない。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して基材上に合成されるポリヌクレオチドのエラー率は、約200分の1未満である。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して基材上に合成されるポリヌクレオチドのエラー率は、約1,000分の1未満である。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して基材上に合成されるポリヌクレオチドのエラー率は、約2,000分の1未満である。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して基材上に合成されるポリヌクレオチドのエラー率は、約3,000分の1未満である。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して基材上に合成されるポリヌクレオチドのエラー率は、約5,000分の1未満である。エラー率の個々のタイプは、基材上に合成されたポリヌクレオチドのミスマッチ、欠失、挿入、および/または置換を含む。「エラー率」という用語は、合成されるポリヌクレオチドの収集量の、所定のポリヌクレオチド配列の集合体との比較を指す。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドのそれぞれは、複数の異なるヌクレオチド塩基(例えば、A、T、C、Gなど)を含む。
【0084】
いくつかの事例において、本明細書に開示される合成されるポリヌクレオチドは、12~25個の塩基のテザーを含む。いくつかの事例において、テザーは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上の塩基を含む。いくつかの事例において、本明細書に開示される合成されるポリヌクレオチドは、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、または約250個の塩基のテザーを含む。
【0085】
電気化学
【0086】
本明細書に記載されるデバイスに電圧を印加する方法が、本明細書に提供される。そのような電圧は、溶媒または溶質との電気化学反応など、任意の数の異なる作用をもたらし得る。いくつかの事例において、電圧の印加は、合成表面に結合した分子を改変し得る。いくつかの事例において、分子は、多糖、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または他のポリマーである。さらに、本明細書に記載されるデバイスに電圧を供給する方法が、本明細書に提供される。いくつかの事例において、電圧は、固体支持体または表面に結合したオリゴヌクレオチドを化学的に改変するために使用される。そのような改変は、ポリヌクレオチドの直接的な電気化学反応を通じて、または試薬の生成を通じて生じ得る。
【0087】
本明細書に記載される方法は、ある期間、デバイスに電圧を供給すること(電圧を印加すること)を含み得る。印加された電圧により、いくつかの事例において、カソードとアノードとの間に回路が形成され、デバイス、溶媒、および/または他の構成要素に電流が流れる。いくつかの事例において、デバイスの層は、アノードまたはカソードとして構成される。いくつかの事例において、デバイスは、カソード面の上方に位置付けられたアノードを含む(「サンドイッチ型」)。いくつかの事例において、デバイスは、アノード面の上方に位置付けられたカソードを含む(「対向型カソード(opposing cathode)」)。いくつかの事例において、導電層は、カソード層と電気的に接触している。いくつかの事例において、デバイスは、カソードと実質的に同じ面に位置付けられたアノードを含む。電圧の印加は、いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成のステップを実行するように構成される。いくつかの事例において、デバイスは、溶媒と流体連通にある導電層を含む。いくつかの事例において、溶媒は、試薬を含む。
【0088】
本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される1つ以上のデバイスに電圧を印加するステップを含み得る。いくつかの事例において、そのような電圧は、1つ以上のデバイスまたは領域において分子(ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖、または他のポリマー)の脱保護をもたらす。いくつかの事例において、1つ以上のデバイスおける電圧の印加は、1つ以上のデバイスまたは1つ以上のデバイス内の領域におけるポリヌクレオチドの脱保護をもたらす。いくつかの事例において、デバイスは、試薬がデバイスまたはデバイスの領域においてまたはその近傍で生成されない場合、「非アクティブ」であると説明される。いくつかの事例において、デバイスは、試薬がデバイスまたはデバイスの領域においてまたはその近傍で生成される場合、「アクティブ」であると説明される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの化学反応は、1つ以上のアクティブなデバイス、または1つ以上のアクティブなデバイスの領域においてまたはその付近で生じる。いくつかの事例において、アクティブなデバイスおよび非アクティブなデバイスの両方に、電圧が供給される。いくつかの事例において、電圧は、化学試薬を生成するには不十分であるレベルで、非アクティブなデバイスに印加される。いくつかの事例において、1つ以上の電圧(または電圧レベル)が、一定期間にわたって適用され得る。いくつかの事例において、単一の電圧レベルが使用される(図17A~17C)。いくつかの事例において、カソード電圧は、0Vで一定に保持され、一方でアノード電圧は、「パルス」中に0Vから2Vに増加される。いくつかの事例において、カソード電圧は、負電圧(例えば、-1Vまたは他の負電圧)で一定に保持され、一方でアノード電圧は、「パルス」中に0Vから2Vに増加される。いくつかの事例において、「パルス」中に、カソード電圧は、0Vから負電圧(-1Vなど)に減少され、アノード電圧は、0Vから1Vに増加される。いくつかの事例において、そのような電圧は、同期される。いくつかの事例において、カソードにおける電圧の減少およびアノードにおける電圧の増加は、ほぼ同時に生じる。いくつかの事例において、そのような電圧は、同期される。いくつかの事例において、カソードにおける電圧の減少およびアノードにおける電圧の上昇は、互いに1秒以内、0.5秒以内、0.1秒以内、0.05秒以内、0.01秒以内、0.005秒以内、0.001秒以内に生じるか、または0.0005秒以内に生じる。いくつかの事例において、2つの電圧レベルが、脱保護ステップ中に使用される。いくつかの事例において、2つの電圧レベル、例えば、正電圧および中性電圧が、使用される。いくつかの事例において、3つの電圧レベル、例えば、正電圧、中性電圧(またはゼロ/約ゼロ)、および負電圧が、使用される。使用される2つまたは3つの電圧レベルは、正電圧、中性電圧、負電圧、またはこれらの任意の組合せであり得る。
【0089】
電圧は、いくつかの事例において、同じ表面と流体連通する複数の電極に、例えば、反応電極とシールド電極との間に印加される。いくつかの事例において、反応電極とシールド電極との間の電圧は、同期される。いくつかの事例において、カソード電圧とアノード電圧との間の差が閾値を超えると、試薬が生成される。いくつかの事例において、正極のアノード電圧および負極のカソード電圧を同期させることにより、デバイスを駆動させるために必要な電圧の大きさが低減されるという利点が生じる。
【0090】
デバイスのアクティベーションに異なる電圧構成を使用してもよい。第1の構成では、デバイスに電圧が供給されている間、インプレーンカソード、対向型カソード、および他のデバイス(例えば、近位デバイスまたは遠位デバイス)は、接地されている。第2の構成では、デバイスに電圧が供給されている間、対向型カソードは接地され、インプレーンカソードおよび他のデバイスは接続されないままとなる。第3の構成では、デバイスに電圧が供給されている間、インプレーンカソードおよび他のデバイスは接地され、対向型カソードは接続されないままとなる。第4の構成では、第4の構成では、デバイスに電圧が供給されている間、インプレーンカソードは接地され、対向型カソードおよび他のデバイスは接続されないままとなる。いくつかの事例において、デバイスがアクティブ化されると、接地されているインプレーンカソードにより、脱保護中和生成物(deprotection-neutralizing product)が生成される。いくつかの事例において、接地された構成要素(例えば、カソード)は、負電位を有し、アクティブ化されたデバイス(例えば、アノード)は、正電位に接続されている。いくつかの事例において、この構成は、デバイスを駆動するために必要な有効電圧を低下させる。
【0091】
デバイスは、アノードとカソードと間の回路として説明され得る。いくつかの事例において、そのような回路は、「オン」、「オフ」、「代替抵抗(alternate resistance)」などのデバイス状態にあるとして記載される。いくつかの事例において、代替抵抗は、高抵抗状態、または「切断」状態である。いくつかの事例において、高抵抗状態は、オフ状態よりも高い抵抗状態である(例えば、オフ状態で電圧が低い/電圧がないが、依然として接地されている)。いくつかの事例において、高抵抗状態は、1つ以上の非アクティブなデバイスに流れる電流を低減させるのに有効な量の抵抗を提供する。理論によって束縛されるものではないが、切断状態は、いくつかの事例において、オンデバイスに隣接するエリアにおける望ましくない脱保護を低減させる。いくつかの事例において、高抵抗状態は、1つ以上の非アクティブなデバイスに流れる電流をほぼゼロまで低減させるのに有効な量の抵抗を提供する。いくつかの事例において、オフ状態は、非アクティブなデバイスと共通カソードとの間の電圧がゼロ(またはほぼゼロ)であることによって生成される。いくつかの事例において、オフ状態は、非アクティブなデバイスと共通カソードとの間に最小電圧が印加された場合でも存在し、その最小電圧は、脱保護に必要な量よりも低い。いくつかの事例において、高抵抗状態は、非アクティブなデバイスとカソードとの間の電圧がゼロであり、非アクティブなデバイスと共通カソードとの間の抵抗が高くなることで、生成される。いくつかの事例において、オフ状態は、アノードとアクティブなデバイス(カソード)との間の電圧がゼロまたは負であることを示す。いくつかの事例において、オン状態は、アノードとアクティブなデバイス(カソード)との間の電圧が正であり、脱保護に十分であることを示す。いくつかの事例において、非アクティブなデバイスは、オフまたは代替抵抗状態にある。いくつかの事例において、アクティブなデバイス(脱保護が所望される)は、ある期間にわたって、1つ以上のオン状態とオフ状態との間でのサイクリング(例えば、パルス)が行われる。いくつかの事例において、アクティブなデバイス(脱保護が所望される)は、ある期間にわたって、1つ以上のオン状態とオフ状態との間でのサイクリングが行われ、隣接する非アクティブなデバイスは、代替抵抗状態に維持される。
【0092】
いくつかの事例において、本明細書に記載される方法は、(a)表面であって、(i)表面に近接する1つ以上の電極、および(ii)表面に近接する1つ以上のインプレーンカソードを有するとともに、表面に結合した第1の複数の保護された生体分子を含む、表面を提供すること、(b)表面の第1の領域に近接する少なくとも1つの電極に通電して試薬を電気化学的に生成することであって、試薬が、第1の領域内の第1の複数の生体分子のうちの少なくともいくつかと反応する、こと、(c)少なくとも1つの保護された生体分子モノマーを、第1の領域内の少なくとも1つの脱保護された生体分子にカップリングさせること、ならびに(d)ステップ(a)~(c)を繰り返して、生体分子を合成すること、のうちの1つ以上を含む。いくつかの事例において、生体分子は、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの事例において、生体分子モノマーは、ヌクレオチドを含む。いくつかの事例において、負電圧がカソードに印加され、正電圧がアノードに印加される。いくつかの事例において、電圧の絶対差は、約2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、または0.2ボルトである。いくつかの事例において、電圧の絶対差は、少なくとも約2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、または0.2ボルトである。いくつかの事例において、電圧の絶対差は、約2ボルト以下、1.9ボルト以下、1.8ボルト以下、1.7ボルト以下、1.6ボルト以下、1.5ボルト以下、1.4ボルト以下、1.3ボルト以下、1.2ボルト以下、1.1ボルト以下、1ボルト以下、0.9ボルト以下、0.8ボルト以下、0.7ボルト以下、0.6ボルト以下、0.5ボルト以下、0.4ボルト以下、0.3ボルト以下、または0.2ボルト以下である。いくつかの事例において、電圧の絶対差は、約0.2~2ボルト以下、0.5~2ボルト以下、0.8~2ボルト以下、1~2ボルト以下、1.5~2ボルト以下、0.2~1ボルト以下、0.2~0.5ボルト以下、0.5~1ボルト以下、または0.5~1.5ボルト以下である。いくつかの事例において、電圧の絶対差は、0.2~2ボルト以下、0.5~2ボルト以下、0.8~2ボルト以下、1~2ボルト以下、1.5~2ボルト以下、0.2~1ボルト以下、0.2~0.5ボルト以下、0.5~1ボルト以下、または0.5~1.5ボルト以下である。
【0093】
電圧は、アノードに加えて、カソードに印加され得る。いくつかの事例において、カソードは、接地に対して負電圧でバイアスされる。いくつかの事例において、カソードの電圧にバイアスを与えること(バイアス電圧)により、電気化学反応に必要とされる最大アノード電圧が低減される(例えば、アノードとカソードとの間の電圧差は、アノード電圧にカソードの負のバイアス電圧の大きさを加えたものと等しくなる)。いくつかの事例において、デバイスは、カソード上の接触バイアス(contact bias)を含む。いくつかの事例において、カソードのバイアス電圧は、アノード電圧が切り替わるたびに(例えば、同期されるたびに)、切り替えられる。いくつかの事例において、カソードは、単一のデバイスの電気化学を制御する。いくつかの事例において、カソードは、複数のデバイスの電気化学を制御する(「共通」カソード)。いくつかの事例において、共通カソードの使用により、デバイス当たりの必要とされるトランジスタの数が少なくなる。いくつかの事例において、バイアス電圧は、-0.1ボルト以下、-0.2ボルト以下、-0.3ボルト以下、-0.5ボルト以下、-0.7ボルト以下、-0.9ボルト以下、-1.0ボルト以下、-1.1ボルト以下、-1.2ボルト以下、-1.5ボルト以下、-1.8ボルト以下、-2.0ボルト以下、-2.1ボルト以下、-2.2ボルト以下、または-2.5ボルト以下である。いくつかの事例において、バイアス電圧は、少なくとも-0.1、-0.2、-0.3、-0.5、-0.7、-0.9、-1.0、-1.1、-1.2、-1.5、-1.8、-2.0、-2.1、-2.2、または少なくとも-2.5ボルトである。いくつかの事例において、バイアス電圧は、約-0.1、-0.2、-0.3、-0.5、-0.7、-0.9、-1.0、-1.1、-1.2、-1.5、-1.8、-2.0、-2.1、-2.2、または約-2.5ボルトである。いくつかの事例において、バイアス電圧は、約-0.1~-2.5ボルト、-0.2~-2.5ボルト、-0.5~-2.5ボルト、-1.0~-2.5ボルト、-1.5~-2.5ボルト、-1.0~-2.0ボルト、-0.5~-1.0ボルト、-0.2~-1.5ボルト、または-2.0~-2.5ボルトである。
【0094】
デバイスまたは表面の2つの層の間の電圧は、変動し得る。いくつかの事例において、電圧は、アノードとカソードとの間にある。いくつかの事例において、電圧は、約0.5~3、1~3、1.5~2.5、1~2.5、または1.5~2ボルトである。いくつかの事例において、電圧は、少なくとも約0.5、0.75、1、1.2、1.5、1.7、1.9、2、2.2、2.4ボルト、または2.4ボルトを上回る。いくつかの事例において、電圧は、約0.5、0.75、1、1.2、1.5、1.7、1.9、2、2.2、2.4、または約2.4ボルトである。いくつかの事例において、電圧は、約-0.1~-2.5ボルト、-0.2~-2.5ボルト、-0.5~-2.5ボルト、-1.0~-2.5ボルト、-1.5~-2.5ボルト、-1.0~-2.0ボルト、-0.5~-1.0ボルト、-0.2~-1.5ボルト、または-2.0~-2.5ボルトである。いくつかの事例において、デバイスの導電層は、正電圧が荷電される。いくつかの事例において、デバイスの導電層は、負電圧が荷電される。いくつかの事例において、デバイスの第1の層に正電圧が荷電され、同時に、第2の層には負電圧が荷電される。
【0095】
電圧が印加される期間は、それぞれの合成サイクル(例えば、デブロッキング、カップリングなど)で変動し得る。いくつかの事例において、期間は、合成サイクル中に電圧が印加される期間の合計である。電圧は、いくつかの事例において、約0.1秒以下、0.2秒以下、0.5秒以下、0.8秒以下、1秒以下、2秒以下、5秒以下、または10秒以下の間、印加される。電圧は、いくつかの事例において、約0.1~10、0.5~10、0.5~5、0.1~5、2~5、2~10、3~10、または0.1~2秒間、印加される。電圧は、いくつかの事例において、約0.1、0.2、0.5、0.8、1、2、5、または約10秒間、印加される。電圧は、いくつかの事例において、約0.1ミリ秒(ms)以下、0.2ミリ秒以下、0.5ミリ秒以下、0.8ミリ秒以下、1ミリ秒以下、2ミリ秒以下、5ミリ秒以下、10ミリ秒以下、20ミリ秒以下、50ミリ秒以下、100ミリ秒以下、200ミリ秒以下、500ミリ秒以下、800ミリ秒以下、または1000ミリ秒以下の間、印加される。電圧は、いくつかの事例において、約0.1、0.2、0.5、0.8、1、2、5、10、20、50、100、200、500、800、または約1000ミリ秒間、印加される。電圧は、いくつかの事例において、約0.1~1000、0.5~500、0.5~50、0.1~5、2~50、2~100、3~200、0.1~10、1~100、1~50、または0.1~2ミリ秒間、印加される。
【0096】
電圧は、アクティブなデバイスに、単一の「オン」/「オフ」サイクルとして印加されてもよく、または一連の交互の「オン」および「オフ」サイクルとして印加されてもよい。いくつかの事例において、「オン」状態は、正電圧または負電圧である。「オン」状態で電圧を印加し、続いて「オフ」状態にすることは、いくつかの事例において、「パルス」と定義される。いくつかの事例において、電圧は、一連のパルス、例えば、1~1000、1~500、1~300、10~500、10~100、50~500、50~200、100~1000、2~10、2~8、20~200、または300~750回のパルスで適用される。パルスの回数は、約1、2、5、10、20、50、100、200、300、500、750、または1000回のパルスであってもよい。電圧印加時間を、パルス回数で除算して、パルス時間(またはパルス幅、またはパルス1回当たりの時間)を定義することができる。パルス時間は、いくつかの事例において、約0.1~1000、0.5~500、0.5~50、0.1~5、2~50、2~100、3~200、0.1~10、1~100、1~50、または0.1~2ミリ秒である。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面は、パルス間に溶媒で洗浄される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面は、パルス間に溶媒で洗浄されない。いくつかの事例において、一連のパルスを使用して、電圧を表面に送達し、その後に洗浄ステップを行い、これ続いて、いくつかの事例では別の一連のパルスが行われる。いくつかの事例において、パルスは、同じ電圧である。いくつかの事例において、パルスは、同じ電圧ではない。いくつかの事例において、第1のパルスは正であり、第2のパルスは負である。いくつかの事例において、正電圧と負電圧との間の時間は、実質的に瞬間的である。いくつかの事例において、第1のパルスは、約2ボルトであり、第2のパルスは、約-0.6ボルトである。いくつかの事例において、第1のパルスは、0.5~3ボルトであり、第2のパルスは、-0.1~-1.0ボルトである。
【0097】
パルス間の期間は、変動し得る。いくつかの事例において、パルス間の期間は、理論によって束縛されるものではないが、電気化学的に生成された試薬を消散させることを可能にするように、変動し得る。いくつかの事例において、パルス間の時間は、約0.1~10、0.5~10、0.5~5、0.1~5、2~5、2~10、3~10、または0.1~2秒である。いくつかの事例において、一連のパルスのオンとオフとの間の時間の比は、デューティサイクルと記載される。いくつかの事例において、デューティサイクルは、約1:100、1:50、1:20、1:10、1:5、1:2、1:1.5、1:1.05、1.05:1、1.5:1、2:1、または約3:1である。
【0098】
電気化学反応は、他のポリヌクレオチドが合成される隣接(または近接)するアドレス指定可能なデバイス(または固体支持体)への試薬の移動の減少をもたらし得る。いくつかの事例において、アドレス指定可能なデバイスに、2回以上のパルスを供給することができる。いくつかの事例において、アクティブなデバイスは、第1の複数の保護された生体分子を含む。いくつかの事例において、アクティブなデバイスは、隣接するデバイス(に近接する)第2の複数の保護された生体分子を含む。いくつかの事例において、隣接するデバイスへの試薬の移動の低減は、デバイス上の合成忠実度の向上をもたらす。例えば、アクティブなデバイスにおける第1の複数の保護された生体分子は、高い割合が化学的に改変され、一方で隣接するデバイスにおける第2の複数の保護された生体分子は、最小限の割合が化学的に改変される。いくつかの事例において、電気化学的脱保護は、保護されたヌクレオシドを化学的に改変する。いくつかの事例において、アドレス指定可能なデバイス上のポリヌクレオチドのうちの約90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.97%、99.99%、または99.995%が、化学的に改変される。いくつかの事例において、アドレス指定可能なデバイス上のポリヌクレオチドのうちの少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.97%、99.99%、または少なくとも99.995%が、化学的に改変される。いくつかの事例において、隣接するアドレス指定可能なデバイス上のポリヌクレオチドのうちの約10%、5%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、0.01%、0.005%、0.004%、0.001%、または0.0005%が、化学的に改変される。いくつかの事例において、隣接するアドレス指定可能なデバイス上のポリヌクレオチドのうちの10%以下、5%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.005%以下、0.004%以下、0.001%以下、または0.0005%以下が、化学的に改変される。いくつかの事例において、アドレス指定可能なデバイス上の保護されたポリヌクレオチドのうちの約90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.97%、99.99%、または99.995%が、化学的に改変され、アドレス指定可能なデバイス間のピッチ距離は、1ミクロン以下である。いくつかの事例において、アドレス指定可能なデバイス上の保護されたポリヌクレオチドのうちの少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.97%、99.99%、または少なくとも99.995%が、化学的に改変され、アドレス指定可能なデバイス間のピッチ距離は、1ミクロン以下である。いくつかの事例において、隣接するアドレス指定可能なデバイス上の保護されたポリヌクレオチドのうちの約10%、5%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、0.01%、0.005%、0.004%、0.001%、または0.0005%が、化学的に改変され、アドレス指定可能なデバイス間のピッチ距離は、1ミクロン以下である。いくつかの事例において、隣接するアドレス指定可能なデバイス上の保護されたポリヌクレオチドのうちの10%以下、5%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.005%以下、0.004%以下、0.001%以下、または0.0005%以下が、化学的に改変され、アドレス指定可能なデバイス間のピッチ距離は、1ミクロン以下である。
【0099】
本明細書に記載される方法は、生体分子の合成時間の低減をもたらし得る。いくつかの事例において、生体分子は、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、少なくとも10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、45、50、55、60、75、または少なくとも100nt/時の速度で合成される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、約10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、45、50、55、60、75、または少なくとも100nt/時の速度で合成される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、10~100、10~75、10~50、10~25、7、15~25、15~50、15~75、20~80、20~50、30~80、30~50、50~100、または75~125nt/時の速度で合成される。
【0100】
ポリヌクレオチド合成のためのデバイスおよび表面を製造する方法が、本明細書に提供される。固体支持体に一体化された層が、本明細書に記載される。いくつかの事例において、層は、電極を含むか、または電極として使用するように構成される。いくつかの事例において、電極は、カソードまたはアノードとして構成される。いくつかの事例において、アノードは、金属酸化物を含む。いくつかの事例において、核酸は、アノード上で合成される。いくつかの事例において、核酸は、金属酸化物層上で合成される。いくつかの事例において、核酸は、その下に連続した金属層を含む多孔質金属酸化物層上で合成される。電極は、いくつかの事例において、少なくとも1つの導体を含み、当該技術分野において周知の材料から製造される。いくつかの事例において、電極は、少なくとも1つの導体および1つ以上の絶縁体または半導体を含む。材料は、金属、非金属、混合金属酸化物、窒化物、炭化物、シリコンベースの材料、または他の材料を含み得る。いくつかの事例において、金属酸化物としては、TiO、Ta、IrO、RuO、RhO、Nb、Al、BaO、Y、HfO、SrO、または当該技術分野において公知の他の金属酸化物が挙げられる。いくつかの事例において、金属炭化物としては、TiC、WC、ThC、ThC、VC、WC、ZrC、HfC、NbC、TaC、TaC、または当該技術分野において公知の他の金属炭化物が挙げられる。いくつかの事例において、金属窒化物としては、GaN、InN、BN、Be、CrN、MoN、Si、TaN、Th、VN、ZrN、TiN、HfN、NbC、WN、TaN、または当該技術分野において公知の他の金属窒化物が挙げられる。いくつかの事例において、本明細書に開示されるデバイスは、本明細書に列挙される材料または当該技術分野において公知の任意の他の好適な材料の組合せを用いて製造される。
【0101】
層を含む固体支持体は、追加の材料、例えば、半導体または絶縁体でコーティングされていてもよい。いくつかの事例において、ある層が、電極として使用するように構成される。いくつかの事例において、電極は、生体分子の結合および合成のための材料でコーティングされる。いくつかの事例において、電極は、ポリヌクレオチドの結合および合成のための材料でコーティングされる。それぞれの電極は、合成のための1つ、または複数の異なる場所を制御することができる。いくつかの事例において、合成のためのそれぞれの場所は、あるポリヌクレオチド密度を有する。いくつかの事例において、密度は、10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1,000nm、2,000nm、5,000nm当たり少なくとも1個の生体分子、または10,000nm当たり少なくとも1個のオリゴである。いくつかの事例において、密度は、10nm当たり約1個の生体分子~5,000nm当たり約1個の生体分子、50nm当たり約1個の生体分子~500nm当たり約1個の生体分子、25nm当たり約1個の生体分子~75nm当たり約1個の生体分子である。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの密度は、25nm当たり約1個の生体分子~75nm当たり約1個の生体分子である。いくつかの事例において、密度は、10nm、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000当たり少なくとも1個の生体分子、または10,000nm当たり少なくとも1個のオリゴである。いくつかの事例において、密度は、10nm当たり約1個のオリゴ~5,000nm当たり約1個のオリゴ、50nm当たり約1個のオリゴ~500nm当たり約1個のオリゴ、または25nm当たり約1個のオリゴ~75nm当たり約1個のオリゴである。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの密度は、25nm当たり約1個のオリゴ~75nm当たり約1個のオリゴである。
【0102】
2つ以上の固体支持体がアセンブルされたデバイスが、本明細書に記載される。いくつかの事例において、固体支持体は、より大きなユニット上で互いにインターフェース接続される。インターフェース接続は、固体支持体間の流体、電気シグナル、または他の交換媒体の交換を含み得る。このユニットは、任意の数のサーバ、コンピュータ、またはネットワーク接続されたデバイスとのインターフェース接続が可能であり得る。例えば、複数の固体支持体が、ラックユニットに一体化されるかまたはラックユニットに取り付けられ、これを、簡便にサーバラックに挿入または取り外すことができる。ラックユニットは、任意の数の固体支持体を含み得る。いくつかの事例において、ラックユニットは、約1、2、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、100,000、または100,000個の固体支持体を含む。いくつかの事例において、ラックユニットは、少なくとも1、2、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、100,000、または100,000個の固体支持体を含む。いくつかの事例において、ラックユニットは、多くとも1、2、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、100,000、または100,000個の固体支持体を含む。いくつかの事例において、ラックユニットの固体支持体のすべてまたは一部分が、流体連通、電子通信、またはその両方にある。いくつかの事例において、サーバラックは、約10、20、50、80、100、200、500、800、または1000個のラックユニットを含む。いくつかの事例において、サーバラックは、少なくとも約10、20、50、80、100、200、500、800、または1000個のラックユニットを含む。いくつかの事例において、サーバラックは、多くとも約10、20、50、80、100、200、500、800、または1000個のラックユニットを含む。いくつかの事例において、ラックサーバのラックユニットのすべてまたは一部分が、流体連通、電子通信、またはその両方にある。いくつかの事例において、2つ以上の固体支持体は、互いにインターフェース接続されない。いくつかの事例において、固体支持体、例えば、本明細書に記載されるものを含む2つ以上のラックユニットが、縦に積み重ねられる。流体連通、電子通信、またはその両方は、非限定的な例として、1つ以上のチューブ(例えば、マイクロ流体チューブ)、バルブ、アクチュエータ、ロボットなどを使用して形成され得る。
【0103】
固体支持体上に存在する核酸(およびその中に保存されている情報)には、ラックユニットからアクセスすることができる。例えば、図9を参照されたい。いくつかの事例において、固体支持体は、固体支持体、例えば、チップ上に存在する(図10A~10Bおよび図11)。アクセスには、固体支持体からのポリヌクレオチドの除去、固体支持体上のポリヌクレオチドの直接的な分析、または核酸に保存されている情報を操作もしくは特定することを可能にする任意の他の方法が含まれる。情報は、いくつかの事例において、複数のラック、単一のラック、ラック内の単一の固体支持体、固体支持体の一部分、または固体支持体上の単一の場所からアクセスされる。様々な事例において、アクセスは、核酸を、追加のデバイス、例えば、質量分析計、HPLC、シーケンシング機器、PCRサーモサイクラー、または核酸を操作するための他のデバイスとインターフェース接続することを含む。核酸情報へのアクセスは、いくつかの事例において、固体支持体の全体または一部分からポリヌクレオチドを切断することによって達成される。
【0104】
いくつかの事例において、ラックユニットまたはラックサーバは、データセンターに位置付けられる。いくつかの事例において、データセンターは、従来的なコンピューティングリソースおよびデータストレージリソースをラックユニットに取り付けるために使用される機械構造、例えば、ディスクドライブ、プロセシングブレード、または他のコンピュータ機器を支持するように適合された開口部を利用する。いくつかの事例において、コンピュータシステム、例えば、本明細書に提供されるものを使用して、1つ以上のラックサーバ上の1つ以上のラックユニットからポリヌクレオチドを取り出す。いくつかの事例において、ユーザ(例えば、技術者、研究者、顧客など)、コンピュータシステム、またはその両方により、1つ以上のラックサーバ上の1つ以上のラックユニットの取り出しが指示される。いくつかの事例において、ラックユニットは、ロボットシステム、例えば、ロボットアームを使用して、ラックサーバから取り出すことができる。いくつかの事例において、ロボットシステムは、コンピュータシステムと通信する。ロボットシステムを使用して、データストレージシステムの任意の構成要素を、データストレージシステムの別の構成要素とインターフェース接続することができる。いくつかの事例において、インターフェース接続は、転送、保存、移動、処理、または取り出しを含む。いくつかの事例において、ロボットシステムは、データストレージシステムの構成要素(例えば、ユニットまたはチャンバ)間で、固体支持体を移動させる。構成要素は、非限定的な例として、合成ユニット、ストレージユニット、増幅ユニットなどを含み得る。
【0105】
切断は、いくつかの事例において、化学試薬(アンモニアまたは他の試薬)、電位、照射、熱、光、音響、または化学結合を操作することができる他の形態のエネルギーへの曝露を含む。いくつかの事例において、切断は、ポリヌクレオチドの近傍にある1つ以上の電極を荷電させることによって生じる。いくつかの事例において、UV光の形態での電磁放射線が、ポリヌクレオチドの切断に使用される。いくつかの事例において、ランプがポリヌクレオチドの切断に使用され、マスクにより、表面へのUV光の曝露位置が調整される。いくつかの事例において、レーザーが、ポリヌクレオチドの切断に使用され、シャッターの開閉状態により、表面へのUV光の曝露が制御される。いくつかの事例において、コンピュータシステム、例えば、本明細書に提供されるものにより、シャッターの開閉状態が指示される。いくつかの事例において、核酸情報へのアクセス(ラック、固体支持体、試薬、核酸、または他の構成要素の除去/追加を含む)は、完全に自動化される(例えば、本明細書に提供されるコンピュータシステムを使用して)。いくつかの事例において、チップは1つ以上の接点を有する。いくつかの事例において、チップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、100、または200個を上回る接点を含む。
【0106】
本明細書に記載される固体支持体は、アクティブエリアを含む。いくつかの事例において、アクティブエリアは、核酸合成のためのアドレス指定可能な固体支持体、領域、または場所を含む。いくつかの事例において、アクティブエリアは、核酸のストレージのためのアドレス指定可能な領域または場所を含む。いくつかの事例において、アクティブエリアは、溶媒または他の試薬と流体連通する。アクティブエリアは、様々な寸法を含む。例えば、アクティブエリアの寸法は、約1mmから約50mm×約1mmから約50mmである。いくつかの事例において、アクティブエリアは、少なくともまたは約0.5、1、1.5、2、2.5、3、5、5、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、または80mmを上回る幅を有する。いくつかの事例において、アクティブエリアは、少なくともまたは約0.5、1、1.5、2、2.5、3、5、5、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、または80mmを上回る高さを含む。固体支持体内の例示的なアクティブエリアは、図11に見出される。パッケージ2407は、固体支持体2403内のアクティブエリア2405を含む。パッケージ2407はまた、流体インターフェース2401も含む。
【0107】
固体支持体ベースの核酸合成およびストレージのためのデバイス、組成物、システム、および方法が、本明細書に記載される。いくつかの事例において、固体支持体は、合成またはストレージのためのいくつかの部位(例えば、スポット)または位置を有する。いくつかの事例において、固体支持体は、エリア内に最大でまたは約10,000×10,000個の位置を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、エリア内に約1000~20,000×約1000~20,000個の位置を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、エリア内に少なくともまたは約10、30、50、75、100、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、14,000、16,000、18,000、20,000×少なくともまたは約10、30、50、75、100、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、14,000、16,000、18,000、20,000個の位置を含む。いくつかの事例において、このエリアは、最大で0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、または2.0平方インチである。いくつかの事例において、固体支持体は、少なくともまたは約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10um、または10umを上回るピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約5umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約2umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約1umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.2umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.2μm~約10um、約0.2~約8um、約0.5~約10um、約1μm~約10um、約2μm~約8um、約3μm~約5um、約1μm~約3μm、または約0.5μm~約3umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.1μm~約3umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、少なくともまたは約0.01、0.02、0.025、0.03、0.04、0.05、0.1、0.15、.02、0.25、0.30、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1um、または1umを上回るピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.5umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.2umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.1umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.02umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.02μm~約1um、約0.02~約0.8um、約0.05~約0.1um、約0.1μm~約1um、約0.2μm~約0.8um、約0.3μm~約0.5um、約0.1μm~約0.3μm、または約0.05μm~約0.3umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、固体支持体は、約0.01μm~約0.3umのピッチを有するアドレス指定可能な場所を含む。例えば、図7B~7Cを参照されたい。
【0108】
本明細書に記載されるデバイスは、合成のための高密度なアドレス指定可能なアレイを含み得る。いくつかの事例において、デバイスアレイは、1mm当たり約1、10、100、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、1000,000、または200,000個のアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、デバイスアレイは、1mm当たり少なくとも約1、10、100、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、1000,000、または少なくとも200,000個のアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、デバイスアレイは、1mm当たり多くとも約1、10、100、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、1000,000、または少なくとも200,000個のアドレス指定可能な場所を含む。いくつかの事例において、デバイスアレイは、1mm当たり約1~50,000、1~10,000、10~100,000、50~100,000、100~100,000、100~50,000、100~5000、100~1000、500~50,000、500~10,000、500~25,000、1000~200,000、1000~100,000、1000~50,000、1000~25,000、1000~10,000、5000~100,000、5000~200,000、または5000~50,000個の場所を含む。
生体分子合成のための構造
【0109】
生体分子合成(例えば、ポリヌクレオチド合成)のための硬性または可撓性の構造が、本明細書に提供される。硬性構造の場合には、ポリヌクレオチドのライブラリーの生成のための構造を有するデバイスが、本明細書に提供される。いくつかの事例において、構造は、プレートを含む。
【0110】
可撓性構造の場合には、可撓性構造が1つ以上の固定された構造、例えば、一対のローラー2503の周りに巻きついた連続的なループ2501、または別個の固定された構造、例えば、一対のリール2505の周りに巻きついた非連続的な可撓性構造2507を含む、デバイスが、本明細書に提供される。図12A~12Bを参照されたい。いくつかの事例において、構造は、ポリヌクレオチド合成のための複数の領域を含む。例示的な構造を、図12Cに図示し、ここでは、プレートが、ポリヌクレオチド合成のための別個の領域2509を含む。別個の領域2509は、破断または切断によって分離されてもよい(2511)。別個の領域のそれぞれは、さらに、放出され得、シーケンシングされ得、復号化され得、読み取られ得る(2513)か、または保存され得る(2515)。代替的な構造を、図12Dに図示し、ここでは、テープが、ポリヌクレオチド合成のための別個の領域2517を含む。別個の領域2517は、破断または切断によって分離されてもよい(2519)。別個の領域のそれぞれは、さらに、放出され得、シーケンシングされ得、復号化され得、読み取られ得る(2521)か、または保存され得る(2523)。ポリヌクレオチド伸長のための複数の場所を有する表面を有する可撓性構造が、本明細書に提供される。いくつかの事例において、構造のそれぞれの場所は、幅が約10μmであり、それぞれの構造の中心間の距離が約21umである。いくつかの事例において、構造のそれぞれの場所は、幅が約1μmであり、それぞれの構造の中心間の距離が約2umである。いくつかの事例において、構造のそれぞれの場所は、幅が約0.1μmであり、それぞれの構造の中心間の距離が約0.2umである。場所は、限定することなく、円形、長方形、先細り、または丸い形状を含み得る。代替的には、または組み合わせて、構造は、硬性である。いくつかの事例において、硬性構造は、ポリヌクレオチド合成のための場所を含む。いくつかの事例において、硬性構造は、ポリヌクレオチド合成のための実質的に平面の領域、チャネル、またはウェルを含む。いくつかの事例において、構造は、デバイスの1つ以上の層にパターン形成される。
【0111】
本明細書に記載されるウェルは、任意のサイズまたは寸法を含み得る。いくつかの事例において、本明細書に記載されるウェルは、幅と深さ(または高さ)との比が、1~0.01であり、ここで、幅はウェルの最も狭いセグメントにおける幅の測定値である。いくつかの事例において、本明細書に記載されるウェルは、幅と深さ(または高さ)との比が、0.5~0.01であり、ここで、幅はウェルの最も狭いセグメントにおける幅の測定値である。いくつかの事例において、本明細書に記載されるウェルは、幅と深さ(または高さ)との比は、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、または1である。ポリヌクレオチド合成のための複数の別個の場所を含む、ポリヌクレオチド合成のための構造が、本明細書に提供される。場所の例示的な構造としては、限定することなく、実質的に平面の領域、チャネル、ウェル、または突起が挙げられる。本明細書に記載される構造は、複数のクラスターを含み得、それぞれのクラスターは、複数のウェル、場所、またはチャネルを含む。あるいは、本明細書に記載される構造は、ウェル、場所、またはチャネルの均一な配置を含み得る。本明細書に提供される構造は、約5μm~約500um、約5μm~約400um、約5μm~約300um、約5μm~約200um、約5μm~約100um、約5μm~約50um、または約10μm~約50umの高さまたは深さを有するウェルを含み得る。いくつかの事例において、ウェルの高さは、100um未満、80um未満、60um未満、40μm未満、または20um未満である。いくつかの事例において、ウェルの高さは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500μm、またはそれ以上である。いくつかの事例において、ウェルの高さまたは深さは、少なくとも10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000nmであるか、または1000nmを上回る。いくつかの事例において、ウェルの高さまたは深さは、約10nm~約1000nm、約25nm~約900nm、約50nm~約800nm、約75nm~約700nm、約100nm~約600nm、または約200nm~約500の範囲である。いくつかの事例において、ウェルの高さまたは深さは、約50nm~約1umの範囲である。いくつかの事例において、ウェルの高さは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、800、900、または約1000nmである。
【0112】
本明細書に提供されるポリヌクレオチド合成のための構造は、チャネルを含み得る。チャネルの幅と深さ(または高さ)との比率は、1~0.01であり得、ここで、幅はマイクロチャネルの最も狭いセグメントにおける幅の測定値である。いくつかの事例において本明細書に記載されるチャネルは、幅と深さ(または高さ)との比が、0.5~0.01であり、ここで、幅はマイクロチャネルの最も狭いセグメントにおける幅の測定値である。いくつかの事例において、本明細書に記載されるチャネルは、幅と深さ(または高さ)との比は、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5、または1である。
【0113】
複数の別個の場所を含む、ポリヌクレオチド合成のための構造が、本明細書に記載される。構造は、限定することなく、ポリヌクレオチド合成のための実質的に平面の領域、チャネル、突起、またはウェルを含む。いくつかの事例において、複数のチャネルを含む本明細書に記載される構造が提供され、ここで、チャネルの高さまたは深さは、約5μm~約500μm、約5μm~約400μm、約5μm~約300μm、約5μm~約200μm、約5μm~約100μm、約5μm~約50μm、または約10μm~約50μmである。いくつかの場合において、チャネルの高さは、100μm未満、80μm未満、60μm未満、40μm未満、または20μm未満である。いくつかの場合において、チャネルの高さは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500μm、またはそれ以上である。いくつかの事例において、チャネルの高さまたは深さは、少なくとも10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000nm、または1000nmを上回る。いくつかの事例において、チャネルの高さまたは深さは、約10nm~約1000nm、約25nm~約900nm、約50nm~約800nm、約75nm~約700nm、約100nm~約600nm、または約200nm~約500の範囲である。本明細書に記載されるチャネルは、クラスターで、または均一なフィールドとして、表面上に配置され得る。
【0114】
本明細書に記載されるポリヌクレオチド合成のための構造の表面上の場所の幅は、約0.1μm~約500μm、約0.5μm~約500μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100μm、約5μm~約100μm、または約0.1μm~約100μm、例えば、約90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、1μm、または0.5μmであり得る。いくつかの事例において、場所の幅は、約100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、または10μm未満である。いくつかの事例において、場所の幅は、少なくとも10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1000nmであるか、または1000nmを上回る。いくつかの事例において、場所の幅は、約10nm~約1000nm、約25nm~約900nm、約50nm~約800nm、約75nm~約700nm、約100nm~約600nm、または約200nm~約500の範囲である。いくつかの事例において、場所の幅は、約50nm~約1000nmの範囲である。いくつかの事例において、2つの隣接する場所の中心間の距離は、約0.1μm~約500μm、0.5μm~約500μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100μm、約5μm~約200μm、約5μm~約100μm、約5μm~約50μm、または約5μm~約30μm、例えば、約20μmである。いくつかの事例において、場所の全幅は、約5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、または100μmである。いくつかの事例において、場所の全幅は、約1μm~100μm、30μm~100μm、または50μm~70μmである。いくつかの事例において、2つの隣接する場所の中心間の距離は、約0.5μm~約2μm、0.5μm~約2μm、約0.75μm~約2μm、約1μm~約2μm、約0.2μm~約1μm、約0.5μm~約1.5μm、約0.5μm~約0.8μm、または約0.5μm~約1μm、例えば、約1μmである。いくつかの事例において、場所の全幅は、約50nm、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、または1.5μmである。いくつかの事例において、場所の全幅は、約0.5μm~2μm、0.75μm~1μm、または0.9μm~2μmである。いくつかの事例において、場所は、実質的に平面である。
【0115】
いくつかの事例において、それぞれの場所は、別の場所において成長したポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。少なくとも10、100、256、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000個、またはそれ以上のクラスターを含む表面が、本明細書に提供される。2,000個を上回る、5,000個を上回る、10,000個を上回る、20,000個を上回る、30,000個を上回る、50,000個を上回る、100,000個を上回る、200,000個を上回る、300,000個を上回る、400,000個を上回る、500,000個を上回る、600,000個を上回る、700,000個を上回る、800,000個を上回る、900,000個を上回る、1,000,000個を上回る、5,000,000個を上回る、もしくは10,000,000個を上回る、またはそれ以上の異なる場所を含む表面が、本明細書に提供される。いくつかの場合において、それぞれのクラスターは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150、200、500個、またはそれ以上の場所を含む。いくつかの場合において、それぞれのクラスターは、約50~500、50~200、50~150、または100~150個の場所を含む。いくつかの場合において、それぞれのクラスターは、100~150個の場所を含む。いくつかの事例において、それぞれのクラスターは、109、121、130、または137個の場所を含む。
【0116】
最長セグメントにおける幅が約5~100μmである場所が、本明細書に提供される。いくつかの場合において、場所は、最長セグメントにおける幅が約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmである。いくつかの場合において、場所は、複数のセグメントを有するチャネルであり、ここで、それぞれのセグメントの中心間の距離は、5~50μmである。いくつかの場合において、それぞれのセグメントの中心間の距離は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μmである。
【0117】
最長セグメントにおける幅が5~500nmである場所が、本明細書に提供される。いくつかの場合において、場所は、最長セグメントの幅が約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100nmである。いくつかの場合において、場所は、複数のセグメントを有するチャネルであり、ここで、それぞれのセグメントの中心間の距離は、5~50nmである。いくつかの場合において、それぞれのセグメントの中心間の距離は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、150、170、180、190、または200nmである。
【0118】
いくつかの事例において、本明細書に記載される構造の表面上で合成される別個のポリヌクレオチドの数は、基材において利用可能な別個の場所の数に依存する。いくつかの事例において、基材のクラスター内の場所の密度は、少なくともまたは約1mm当たり1個の場所、1mm当たり10個の場所、1mm当たり25個の場所、1mm当たり50個の場所、1mm当たり65個の場所、1mm当たり75個の場所、1mm当たり100個の場所、1mm当たり130個の場所、1mm当たり150個の場所、1mm当たり175個の場所、1mm当たり200個の場所、1mm当たり300個の場所、1mm当たり400個の場所、1mm当たり500個の場所、1mm当たり1,000個の場所、1mm当たり10個の場所、1mm当たり10個の場所、1mm当たり10個の場所、またはそれ以上である。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり約10個~1mm当たり約500個の場所、1mm当たり約25個~1mm当たり約400個の場所、1mm当たり約50個~1mm当たり約500個の場所、1mm当たり約100個~1mm当たり約500個の場所、1mm当たり約150個~1mm当たり約500個の場所、1mm当たり約10個~1mm当たり約250個の場所、1mm当たり約50個~1mm当たりの約250個の場所、1mm当たり約10個~1mm当たり約200個の場所、または1mm当たり約50個~1mm当たり約200個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり約10個~1mm当たり約10個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり約10個~1mm当たり約10個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり少なくとも10個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり少なくとも10個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり少なくとも10個の場所を含む。いくつかの場合において、基材は、1mm当たり約10個~1mm当たり約10個の場所を含む。いくつかの事例において、基材のクラスター内の場所の密度は、少なくともまたは約1um当たり1個の場所、1um当たり10個の場所、1um当たり25個の場所、1um当たり50個の場所、1um当たり65個の場所、1um当たり75個の場所、1um当たり100個の場所、1um当たり130個の場所、1um当たり150個の場所、1um当たり175個の場所、1um当たり200個の場所、1um当たり300個の場所、1um当たり400個の場所、1um当たり500個の場所、1um当たり1,000個の場所、またはそれ以上である。いくつかの場合において、基材は、1um当たり約10個~1um当たり約500個の場所、1um当たり約25個~1um当たり約400個の場所、1um当たり約50個~1um当たり約500個の場所、1um当たり約100個~1um当たり約500個の場所、1um当たり約150個~1um当たり約500個の場所、1um当たり約10個~1um当たり約250個の場所、1um当たり約50個~1um当たり約250個の場所、1um当たり約10個~1um当たり約200個の場所、または1um当たり約50個~1um当たり約200個の場所を含む。
【0119】
いくつかの事例において、クラスター内の2つの隣接する場所の中心間の距離は、約10μm~約500um、約10μm~約200um、または約10μm~約100umである。いくつかの場合において、隣接する場所の2つの中心間の距離は、約10umを上回る、20umを上回る、30umを上回る、40umを上回る、50umを上回る、60umを上回る、70umを上回る、80umを上回る、90μmを上回る、または100umを上回る。いくつかの場合において、隣接する2つの場所の中心間の距離は、約200um未満、150um未満、100um未満、80um未満、70um未満、60um未満、50um未満、40um未満、30um未満、20μm未満、または10um未満である。いくつかの場合において、隣接する2つの場所の中心間の距離は、約10000nm未満、8000nm未満、6000nm未満、4000nm未満、2000nm未満、1000nm未満、800nm未満、600nm未満、400nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、80um未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、または10nm未満である。いくつかの事例において、本明細書に記載される構造の1平方メートルごとに、少なくとも10個、10個、10個、1010個、1011個の場所が可能であり、それぞれの場所が、1つのポリヌクレオチドを支持する。いくつかの事例において、10個のポリヌクレオチドが、約6m未満、5m未満、4m未満、3m未満、2m未満、または1m未満の本明細書に記載される構造上に支持される。
【0120】
いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、2,000個を上回る、5,000個を上回る、10,000個を上回る、20,000個を上回る、30,000個を上回る、50,000個を上回る、100,000個を上回る、200,000個を上回る、300,000個を上回る、400,000個を上回る、500,000個を上回る、600,000個を上回る、700,000個を上回る、800,000個を上回る、900,000個を上回る、1,000,000個を上回る、1,200,000個を上回る、1,400,000個を上回る、1,600,000個を上回る、1,800,000個を上回る、2,000,000個を上回る、2,500,000個を上回る、3,000,000個を上回る、3,500,000個を上回る、4,000,000個を上回る、4,500,000個を上回る、5,000,000個を上回る、10,000,000個を上回る、またはそれ以上の同一ではないポリヌクレオチドの合成の支持を提供する。いくつかの場合において、構造は、2,000個を上回る、5,000個を上回る、10,000個を上回る、20,000個を上回る、50,000個を上回る、100,000個を上回る、200,000個を上回る、300,000個を上回る、400,000個を上回る、500,000個を上回る、600,000個を上回る、700,000個を上回る、800,000個を上回る、900,000個を上回る、1,000,000個を上回る、1,200,000個を上回る、1,400,000個を上回る、1,600,000個を上回る、1,800,000個を上回る、2,000,000個を上回る、2,500,000個を上回る、3,000,000個を上回る、3,500,000個を上回る、4,000,000個を上回る、4,500,000個を上回る、5,000,000個を上回る、10,000,000個を上回る、またはそれ以上の、別個の配列をコードするポリヌクレオチドの合成の支持を提供する。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの少なくとも一部分は、同一の配列を有するか、同一の配列を有して合成されるように構成される。いくつかの事例において、この構造は、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500個の塩基、またはそれ以上を有するポリヌクレオチドの成長のための表面環境を提供する。いくつかの配置において、本明細書に記載されるポリヌクレオチド合成のための構造は、ポリヌクレオチド合成のための部位を、均一な配置で含む。
【0121】
いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、構造の別個の場所で合成され、ここで、それぞれの場所は、ポリヌクレオチド集団の合成を支持する。いくつかの場合において、それぞれの場所は、別の場所において成長したポリヌクレオチド集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチド集団の合成を支持する。いくつかの事例において、構造の場所は、複数のクラスター内に位置付けられる。いくつかの事例において、構造は、少なくとも10、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000個、またはそれ以上のクラスターを含む。いくつかの事例において、構造は、2,000個を上回る、5,000個を上回る、10,000個を上回る、100,000個を上回る、200,000個を上回る、300,000個を上回る、400,000個を上回る、500,000個を上回る、600,000個を上回る、700,000個を上回る、800,000個を上回る、900,000個を上回る、1,000,000個を上回る、1,100,000個を上回る、1,200,000個を上回る、1,300,000個を上回る、1,400,000個を上回る、1,500,000個を上回る、1,600,000個を上回る、1,700,000個を上回る、1,800,000個を上回る、1,900,000個を上回る、2,000,000個を上回る、300,000個を上回る、400,000個を上回る、500,000個を上回る、600,000個を上回る、700,000個を上回る、800,000個を上回る、900,000個を上回る、1,000,000個を上回る、1,200,000個を上回る、1,400,000個を上回る、1,600,000個を上回る、1,800,000個を上回る、2,000,000個を上回る、2,500,000個を上回る、3,000,000個を上回る、3,500,000個を上回る、4,000,000個を上回る、4,500,000個を上回る、5,000,000個を上回る、もしくは10,000,000個を上回る、またはそれ以上の別個の場所を含む。いくつかの場合において、それぞれのクラスターは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150個、またはそれ以上の場所を含む。いくつかの事例において、それぞれのクラスターは、50~500個、100~150個、または100~200個の場所を含む。いくつかの事例において、それぞれのクラスターは、109、121、130、または137個の場所を含む。いくつかの事例において、それぞれのクラスターは、5、6、7、8、9、10、11、または12個の場所を含む。いくつかの事例において、1つのクラスター内の別個の場所に由来するポリヌクレオチドは、アセンブルされた場合に所定の配列の連続したより長いポリヌクレオチドをコードする配列を有する。
【0122】
構造のサイズ
【0123】
いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、およそ例えば、約40~120mm×約25~100mmのプレート(例えば、チップまたはウエハ)のサイズである。いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、約1000mm、500mm、450mm、400mm、300mm、250nm、200mm、150mm、100mm、または50mm以下の直径を有する。いくつかの事例において、基材の直径は、約25mm~1000mm、約25mm~約800mm、約25mm~600mm、約25mm~約500mm、約25mm~約400mm、約25mm~約300mm、または約25mm~約200である。基材サイズの非限定的な例としては、約300mm、200mm、150mm、130mm、100mm、84mm、76mm、54mm、51mm、および25mmが挙げられる。いくつかの事例において、基材は、少なくとも100mm、200mm、500mm、1,000mm、2,000mm、4,500mm、5,000mm、10,000mm、12,000mm、15,000mm、20,000mm、30,000mm、40,000mm、50,000mm、またはそれ以上の平面表面積を有する。いくつかの事例において、厚さは、約50mm~約2000mm、約50mm~約1000mm、約100mm~約1000mm、約200mm~約1000mm、または約250mm~約1000mmである。厚さの非限定的な例としては、275mm、375mm、525mm、625mm、675mm、725mm、775mm、および925mmが挙げられる。いくつかの事例において、厚さは、少なくともまたは約0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、または4.0mmを上回る。いくつかの場合において、厚さは直径により変動し、基材の組成に依存する。例えば、シリコン以外の材料を含む構造は、同じ直径のシリコン構造とは異なる厚さを有し得る。構造の厚さは、使用される材料の機械的強度によって決定され得、構造は、取り扱い中に割れることなく自重を支持するのに十分な厚さでなければならない。いくつかの事例において、構造は、任意の1つの寸法が約1フィートを上回る、2フィートを上回る、3フィートを上回る、4フィートを上回る、5フィートを上回る、10フィートを上回る、15フィートを上回る、30フィートを上回る、40フィートを上回る、50フィートを上回る。いくつかの事例において、構造は、ポリヌクレオチド合成デバイスのアレイを含む。いくつかの事例において、構造は、CMOSに組み込まれる。
【0124】
材料
【0125】
表面を備えるデバイスであって、表面が、所定の位置においてポリヌクレオチド合成を、結果として低いエラー率、低いドロップアウト率、高い収率、および高いオリゴ出現で、支持するように改変されている。いくつかの事例において、本明細書に提供されるポリヌクレオチド合成のためのデバイスの表面は、デノボポリヌクレオチド合成反応を支持するように改変が可能な様々な材料から製造される。いくつかの場合において、デバイスは、十分に導電性であり、例えば、デバイスの全体または一部分に均一な電界を形成することができる。いくつかの事例において、デバイスは、1つ以上の導電層を含む。本明細書に記載されるデバイスは、可撓性材料を含み得る。例示的な可撓性材料としては、限定することなく、改質ナイロン、非改質ナイロン、ニトロセルロース、およびポリプロピレンが挙げられる。本明細書に記載されるデバイスは、硬性材料を含んでもよい。例示的な硬性材料としては、限定することなく、ガラス、溶融シリカ、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびこれらのブレンド)、ならびに金属(例えば、金、プラチナ)が挙げられる。本明細書に開示されるデバイスは、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロースポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、またはこれらの任意の組合せを含む材料から製造され得る。いくつかの場合において、本明細書に開示されるデバイスは、本明細書に列挙される材料または当該技術分野において公知の任意の他の好適な材料の組合せを用いて製造される。
【0126】
本明細書に記載されるデバイスは、様々な引張強度を有する材料を含み得る。様々な引張強度を有する例示的な材料としては、ナイロン(70MPa)、ニトロセルロース(1.5MPa)、ポリプロピレン(40MPa)、シリコン(268MPa)、ポリスチレン(40MPa)、アガロース(1~10MPa)、ポリアクリルアミド(1~10MPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(3.9~10.8MPa)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される固体支持体は、1~300、1~40、1~10、1~5、または3~11MPaの引張強度を有し得る。本明細書に記載される固体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、270MPa、またはそれ以上の引張強度を有し得る。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイスは、テープまたは可撓性シートなど、連続的なループまたはリールで保存することができる可撓性材料の形態にある、ポリヌクレオチド合成のための固体支持体を含む。
【0127】
ヤング率は、荷重下における材料の弾性(回復可能な)変形に対する抵抗の尺度である。様々なヤング率の剛性を有する例示的な材料としては、ナイロン(3GPa)、ニトロセルロース(1.5GPa)、ポリプロピレン(2GPa)、シリコン(150GPa)、ポリスチレン(3GPa)、アガロース(1~10GPa)、ポリアクリルアミド(1~10GPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(1~10GPa)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される固体支持体は、1~500、1~40、1~10、1~5、または3~11GPaのヤング率を有し得る。本明細書に記載される固体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、400、500GPa、またはそれ以上のヤング率を有し得る。可撓性と剛性との間は、互いに反比例関係にあるため、可撓性材料は低いヤング率を有し、荷重がかかると形状が大きく変化する。いくつかの事例において、本明細書に記載される固体支持体は、少なくともナイロンの可撓性を有する表面を有する。
【0128】
いくつかの場合において、本明細書に開示されるデバイスは、二酸化ケイ素のベースおよび酸化ケイ素の表面層を含む。あるいは、デバイスは、酸化ケイ素のベースを有してもよい。本明細書に提供されるデバイスの表面は、テクスチャ加工されており、ポリヌクレオチド合成のための全体的な表面積の増加をもたらしていてもよい。本明細書に開示されるデバイスは、いくつかの事例において、少なくとも5%、10%、25%、50%、80%、90%、95%、または99%のシリコンを含む。本明細書に開示されるデバイスは、いくつかの事例において、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハから製造される。
【0129】
この構造は、本明細書に記載されるデバイスの方法および組成に好適な様々な材料から製造され得る。いくつかの事例において、デバイスの基材/固体支持体が製造される材料は、低レベルのポリヌクレオチド結合を示す。いくつかの状況において、可視光および/またはUV光を透過する材料が、用いられ得る。十分に導電性のある材料、例えば、本明細書に記載される基材/固体支持体の全体または一部分にわたって均一な電界を形成することができるものを、利用することができる。いくつかの事例において、そのような材料は、電気接地に接続されていてもよい。いくつかの場合において、基材または固体支持体は、熱伝導性または断熱性であり得る。これらの材料は、化学反応または生化学反応、例えば、一連のポリヌクレオチド合成反応を支持するために、化学物質耐性および耐熱性であり得る。可撓性材料については、目的の材料として、改質および非改質の両方のナイロン、ニトロセルロース、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0130】
硬性材料については、目的とされる具体的な材料として、ガラス、溶融シリカ、シリコン、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびそれらのブレンドなど)、金属(例えば、金、プラチナなど)が挙げられる。構造は、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロースポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびガラスからなる群から選択される材料から製造することができる。基材/固体支持体またはその微細構造、反応器は、本明細書に列挙される材料または当該技術分野において公知の任意の他の好適な材料の組合せを用いて製造され得る。
【0131】
いくつかの事例において、本明細書に開示される基材は、コンピュータ可読材料を含む。コンピュータ可読材料としては、限定することなく、磁気媒体、リールツーリールテープ、カートリッジテープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、紙媒体、フィルム、マイクロフィッシュ、連続テープ(例えば、ベルト)、および電子命令を保存するのに好適な任意の媒体が挙げられる。いくつかの場合において、基材は、磁気リールツーリールテープまたは磁気ベルトを含む。いくつかの事例において、基材は、フレキシブルプリント回路基板を含む。
【0132】
本明細書に記載される構造は、可視光および/またはUV光を透過し得る。いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、構造の全体または一部分にわたって均一な電界を形成するのに十分に導電性である。いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、熱伝導性または断熱性である。いくつかの事例において、構造は、化学反応、例えば、ポリヌクレオチド合成反応を支持するために、化学物質耐性および熱耐性である。いくつかの事例において、基材は、磁性体である。いくつかの事例において、構造は、金属または金属合金を含む。本明細書に記載される構造は、本明細書に記載されるラック、例えば、ラックサーバ内のラックユニットに一体化されていてもよい。
【0133】
ポリヌクレオチド合成のための構造は、任意の寸法が1、2、5、10、30、50フィート、またはそれ以上の長さになる場合がある。可撓性構造の場合には、可撓性構造は、任意選択で、例えばリールに巻きつけられた状態で保存される。例えば長さが1フィートを超える大型の硬性構造の場合には、硬性構造は、垂直または水平に保存することができる。
【0134】
表面調製
【0135】
基材上の生体分子の固定化をサポートするための方法が本明細書で提供され、ここで、本明細書に記載される構造の表面は、結合のための生体分子とのカップリング反応を促進する材料を含み、かつ/または、そのような材料でコーティングされている。生体分子の固定化のために構造を調製するために、基材表面または表面の選択された部位もしくは領域の1つ以上の化学的および/または物理的特性を変化させるための加法的または減法的プロセスによって基材表面を化学的および/または物理的に変更する表面改変が、利用され得る。例えば、表面改変は、(1)表面の濡れ性を変化させること、(2)表面を官能化すること、例えば、表面官能基を提供、改変、もしくは置換すること、(3)表面を脱官能化すること、例えば、表面官能基を除去すること、(4)他の方法、例えば、エッチングによって、表面の化学組成を変更すること、(5)表面の粗さを増加または減少させること、(6)表面にコーティング、例えば、表面の濡れ性とは異なる濡れ性を示すコーティングを提供すること、および/または(7)表面に微粒子を堆積させることのうちの1つ以上を含む。いくつかの事例において、構造の表面は、構造上に2つ以上の別個エリアをもたらすように選択的に官能化され、ここで、少なくとも1つのエリアは、同じ構造の別のエリアとは異なる表面特性または化学特性を有する。そのような特性としては、限定することなく、表面エネルギー、化学的停止、化学部分の表面濃度などが挙げられる。
【0136】
いくつかの事例において、本明細書に開示される構造の表面は、基材の表面および生体分子の両方に結合するように構成される1つ以上の能動的官能化(actively functionalized)表面を含むように改変され、それによって、表面へのカップリング反応が支持される。いくつかの事例において、表面はまた、生体分子に効率的に結合しない受動的な材料で官能化され、それによって、受動的官能化(passive functionalization)剤が結合した部位における生体分子の結合が防止される。いくつかの場合において、表面は、生体分子の支持のための別個の場所を画定するだけの能動的な層を含む。
【0137】
いくつかの事例において、表面を、任意の異なる比率の官能基の混合物と接触させる。いくつかの事例において、混合物は、少なくとも2、3、4、5つ、またはそれ以上の異なる種類の官能化剤を含む。いくつかの場合において、混合物中の少なくとも2種類の表面官能化剤の比は、約1:1、1:2、1:5、1:10、2:10、3:10、4:10、5:10、6:10、7:10、8:10、9:10、または2つの基の所望される表面出現を達成する任意の他の比である。いくつかの事例において、基材表面に好適な比の官能化剤を提供することによって、所望される表面張力、濡れ性、水接触角、および/または他の好適な溶媒の接触角が達成される。いくつかの場合において、混合物中の薬剤は、好適な反応性部分および不活性部分から選択され、したがって、反応性基の表面密度が下流の反応に所望されるレベルまで希釈される。いくつかの事例において、官能化試薬の混合物は、生体分子に結合する1つ以上の試薬、および生体分子に結合しない1つ以上の試薬を含む。したがって、試薬の調整により、別個の官能化エリアにおいて生じる生体分子の結合の量を制御することが可能となる。
【0138】
いくつかの事例において、基材の官能化のための方法は、基材の表面上へのシラン分子の堆積を含む。シラン分子は、基材の高エネルギー表面に堆積され得る。いくつかの事例において、高表面エネルギー領域は、受動的官能化試薬を含む。本明細書に記載される方法は、表面に結合するシラン基を提供し、分子の残りの部分は、表面からの距離および末端の遊離ヒドロキシル基を提供し、そこに生体分子が結合する。いくつかの事例において、シランは、有機官能性アルコキシシラン分子である。有機官能性アルコキシシラン分子の非限定的な例としては、ジメチルクロロ-オクトデシル-シラン、メチルジクロロ-オクトデシル-シラン、トリクロロ-オクトデシル-シラン、トリメチル-オクトデシル-シラン、トリエチル-オクトデシル-シランが挙げられる。いくつかの事例において、シランは、アミノシランである。アミノシランの例としては、限定することなく、11-アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピル/トリメトキシシラン、およびN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミドが挙げられる。いくつかの事例において、シランは、11-アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピル/トリメトキシシラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの事例において、能動的官能化(active functionalization)剤は、11-アセトキシウンデシルトリエトキシシランを含む。いくつかの事例において、能動的官能化剤は、n-デシルトリエトキシシランを含む。いくつかの場合において、能動的官能化剤は、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GOPS)を含む。いくつかの事例において、シランは、フルオロシランである。いくつかの事例において、シランは、炭化水素シランである。いくつかの場合において、シランは、3-ヨードプロピルトリメトキシシランである。いくつかの場合において、シランは、オクチルクロロシランである。
【0139】
いくつかの事例において、有機官能性アルコキシシラン分子との自己アセンブリを通じて、表面上でシラン化が実行される。有機官能性アルコキシシランは、その有機官能基に応じて分類される。シロキサン官能化試薬の非限定的な例としては、ヒドロキシアルキルシロキサン(表面をシリル化し、ジボランで官能化し、アルコールを過酸化水素で酸化する)、ジオール(ジヒドロキシアルキル)シロキサン(表面をシリル化し、ジオールに加水分解する)、アミノアルキルシロキサン(中間官能化ステップを必要としないアミン)、グリシドキシシラン(3-グリシドキシプロピル-ジメチル-エトキシシラン、グリシドキシ-トリメトキシシラン)、メルカプトシラン(3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン、3-4エポキシシクロヘキシル-エチルトリメトキシシラン、または3-メルカプトプロピル-メチル-ジメトキシシラン)、ビシクロヘプテニル-トリクロロシラン、ブチル-アルデヒド-トリメトキシシラン、または二量体第二級アミノアルキルシロキサンが挙げられる。例示的なヒドロキシアルキルシロキサンとしては、3-ヒドロキシプロピルに変化するアリルトリクロロクロロシラン、または8-ヒドロキシオクチルに変化する7-オクト-1-エニルトリクロロクロロシランが挙げられる。ジオール(ジヒドロキシアルキル)シロキサンとしては、グリシジルトリメトキシシラン由来の(2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ)プロピル(GOPS)が挙げられる。アミノアルキルシロキサンとしては、3-アミノプロピル(3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、3-アミノプロピル-ジエトキシ-メチルシラン、3-アミノプロピル-ジメチル-エトキシシラン、または3-アミノプロピル-トリメトキシシラン)に変化する3-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。いくつかの場合において、二量体第二級アミノアルキルシロキサンは、ビス(シリルオキシプロピル)アミンに変化するビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0140】
能動的官能化エリアは、1つ以上の異なる種のシラン、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれ以上のシランを含み得る。いくつかの場合において、1種以上のシランのうちの1つは、別のシランよりも多くの量で官能化組成物中に存在する。例えば、2種のシランを有する混合シラン溶液は、一方のシランと他のシランとの比が99:1、98:2、97:3、96:4、95:5、94:6、93:7、92:8、91:9、90:10、89:11、88:12、87:13、86:14、85:15、84:16、83:17、82:18、81:19、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45である。いくつかの事例において、能動的官能化剤は、11-アセトキシウンデシルトリエトキシシランおよびn-デシルトリエトキシシランを含む。いくつかの事例において、能動的官能化剤は、11-アセトキシウンデシルトリエトキシシランおよびn-デシルトリエトキシシランを、約20:80~約1:99、または約10:90~約2:98、または約5:95の比で含む。
【0141】
いくつかの事例において、官能化は、化学蒸着法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、プラズマ増強ALD(PEALD)、金属有機CVD(MOCVD)、ホットワイヤCVD(HWCVD)、開始CVD(initiated CVD、iCVD)、改変CVD(modified CVD、MCVD)、気相軸付け法(vapor axial deposition、VAD)、外部気層堆積法(outside vapor deposition、OVD)、物理蒸着法(例えば、スパッタ堆積、蒸発堆積(evaporative deposition))、および分子層堆積法(MLD)を含むがこれらに限定されない、任意の堆積技法によって構造に官能化剤を堆積させることを含む。
【0142】
以下の官能化プロセスにおける任意のステップまたは構成要素は、最終的な官能化基材に所望される特性に応じて、省略または変更される。いくつかの場合において、追加の構成要素および/またはプロセスステップが、本明細書において具現化されるプロセスワークフローに追加される。いくつかの事例において、基材は、まず、例えばピラニア溶液を使用して清浄される。清浄プロセスの例としては、基材をピラニア溶液(例えば、90%HSO、10%H)に高温(例えば、120℃)で浸漬させること、ならびに基材を洗浄(例えば、水)および乾燥(例えば、窒素ガス)させることを含む。このプロセスには、任意選択で、ピラニア処理された基材を塩基性溶液(例えば、NHOH)に浸漬させ、続いて水性洗浄(例えば、水)を行うことを含む、ピラニア後処理が含まれる。いくつかの事例において、構造の表面は、任意選択で、ピラニア浸漬および任意選択のピラニア後処理の後に、プラズマ清浄される。プラズマ清浄プロセスの例は、酸素プラズマエッチングを含む。いくつかの事例において、表面に、能動的官能化剤を堆積させ、続いて蒸発が行われる。いくつかの事例において、基材は、例えば、ピラニア処理および/またはプラズマ清浄による清浄の前に、能動的に官能化される。
【0143】
表面官能化のためのプロセスは、任意選択で、レジストコーティングおよびレジスト剥離を含む。いくつかの事例において、能動的表面官能化の後に、基材は、レジスト、例えば、SPR(商標)3612ポジティブフォトレジストでスピンコーティングされる。表面官能化のプロセスは、様々な事例において、パターン化された官能化を伴うリソグラフィを含む。いくつかの事例において、フォトリソグラフィは、レジストコーティングの後に行われる。いくつかの事例において、リソグラフィの後に、表面は、リソグラフィの欠損がないか目視で検査される。表面官能化のためのプロセスは、いくつかの事例において、清浄ステップを含み、それによって、基材の残留物が、例えば、プラズマ清浄またはエッチングによって除去される。いくつかの事例において、プラズマ清浄ステップは、リソグラフィステップの後のいずれかのステップで実行される。
【0144】
いくつかの事例において、レジストでコーティングされた表面は、例えば、官能化後および/またはリソグラフィ後に、レジストを除去するために処理される。いくつかの場合において、レジストは、溶媒、例えば、N-メチル-2-ピロリドンを含む剥離溶液で除去される。いくつかの場合において、レジスト剥離は、音波処理または超音波処理を含む。いくつかの事例において、レジストがコーティングおよび剥離され、続いて、曝露されたエリアの能動的官能化により、所望される差次的(differential)官能化パターンが作成される。
【0145】
いくつかの事例において、本明細書に記載される方法および組成物は、選択的なエリアにおける改変された表面特性の生成のためのフォトレジストの適用に関し、ここで、フォトレジストの適用は、フォトレジストの空間分布を定義する表面の流体特性に依存する。理論によって束縛されるものではないが、適用される流体に関連する表面張力作用により、フォトレジストの流動が定義され得る。例えば、表面張力および/または毛細管作用効果は、レジスト溶媒が蒸発する前に、制御された様式でフォトレジストを小さな構造に引き込むことを容易にし得る。いくつかの事例において、レジストの接点は、鋭いエッジによって固定され、それによって流体の前進が制御される。根底にある構造は、製造および官能化プロセス中にフォトレジストを適用するために使用される所望される流動パターンに基づいて設計され得る。溶媒が蒸発した後に残る固体有機層は、製造プロセスの後続のステップを続行するために使用され得る。構造は、隣接する流体経路へのウィッキング作用(wicking effect)を促進または抑制することによって、流体の流れを制御するように設計され得る。例えば、構造は、上端と下端との間の重なりを回避するように設計され、これにより、上部構造内に流体を保持することが容易となり、レジストの特定の配置が可能となる。代替的な例においては、上端および下端が重なり、適用された流体の底部構造へのウィッキングをもたらす。レジストの所望される用途に応じて、適切な設計が、適宜選択され得る。
【0146】
いくつかの事例において、本明細書に記載される構造は、ヌクレオシドに結合することができる反応基を含む、少なくともまたは少なくとも0.1nm、0.5nm、1nm、2nm、5nm、10nm、または25nmの厚さを有する材料を含む表面を有する。例しては、限定することなく、ガラスおよびシリコン、例えば、二酸化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。いくつかの場合において、例示的な表面としては、ナイロンおよびPMMAが挙げられる。
【0147】
いくつかの事例において、UV光の形態での電磁照射が、表面パターン形成に使用される。いくつかの事例において、ランプが、表面パターン形成に使用され、マスクにより、表面へのUV光の曝露位置が調整される。いくつかの事例において、レーザーが、表面パターン形成に使用され、シャッターの開閉状態により、表面へのUV光の曝露が制御される。レーザーの配置は、移動することができる可撓性構造と組み合わせて使用され得る。そのような配置において、レーザー曝露および可撓性構造の動きの連携を使用して、異なるヌクレオシドカップリング能力を有する1つ以上の薬剤のパターンが作成される。
【0148】
再利用可能なポリヌクレオチド合成のための表面が、本明細書に記載される。ポリヌクレオチドの合成および/または切断の後に、表面は、浸漬、洗浄、清浄、ベーキング、エッチング、または他の方法でその後のポリヌクレオチド合成に好適な状態に機能的に復元され得る。表面が再利用される回数、および再利用のために表面をリサイクル/調製する方法は、後続の用途に応じて変動する。再利用のために調製された表面は、いくつかの事例において、約1、2、3、5、10、20、50、100、1,000回、またはそれ以上の回数、再利用される。再利用のために調製された表面は、いくつかの事例において、少なくとも1、2、3、5、10、20、50、100、1,000回、またはそれ以上の回数、再利用される。いくつかの事例において、残りの「寿命」、すなわち表面が再利用に好適である回数が、測定または予測される。
【0149】
材料堆積システム
【0150】
いくつかの場合において、合成されたポリヌクレオチドは、基材、例えば、固体支持体上に保存される。核酸試薬は、非連続的すなわちドロップオンデマンド方法で、基材表面に堆積させることができる。そのような方法の例としては、電気機械的移送法、電気熱移送法、および静電引力法が挙げられる。電気機械移送法では、電気パルスによって変形した圧電素子によって液滴が吐出される。電気熱移送法では、デバイスのチャンバにおいて気泡が生成され、気泡の膨張力によって液滴が吐出される。静電引力法では、静電引力を使用して、液滴を基材に吐出する。いくつかの場合において、ドロップ周波数は、約5KHz~約500KHz、約5KHz~約100KHz、約10KHz~約500KHz、約10KHz~約100KHz、または約50KHz~約500KHzである。いくつかの場合において、周波数は、約500KHz未満、200KHz未満、100KHz未満、または50KHz未満である。
【0151】
分注される液滴のサイズは、デバイスのレゾリューションと相関する。いくつかの事例において、デバイスは、約0.01pl~約20pl、約0.01pl~約10pl、約0.01pl~約1pl、約0.01pl~約0.5pl、約0.01pl~約0.01pl、または約0.05pl~約1plのサイズで、試薬の液滴を堆積させる。いくつかの事例において、液滴サイズは、約1pl未満、0.5pl未満、0.2pl未満、0.1pl未満、または0.05pl未満である。
【0152】
いくつかの配置において、ポリヌクレオチド合成システムの構成は、リールツーリール型のプロセスで移動のために基材の可撓性を利用する連続的なポリヌクレオチド合成プロセスを可能にする。この合成プロセスは、1つ以上のリールを使用して基材の位置を回転させることで基材がポリヌクレオチド合成の様々な段階を通過する、連続産生ライン方式で動作する。例示的な事例において、ポリヌクレオチド合成反応は、基材を、溶媒浴を通るように、ホスホラミダイト堆積のための堆積デバイスの下へと、酸化剤浴を通るように、アセトニトリル洗浄浴を通るように、デブロック浴を通るように進めることを含む。任意選択で、テープは、キャッピング浴を通って移動する。リールツーリール型のプロセスは、合成されたポリヌクレオチドを含む基材の最終産物を巻き取りリールに容易に集めることが可能であり、そこで、さらなる処理またはストレージに送られ得る。
【0153】
いくつかの配置において、ポリヌクレオチド合成は、連続した可撓性テープがコンベヤベルトシステムに沿って運搬されるため、連続プロセスで進行する。リールツーリール型のプロセスと同様に、連続テープでのポリヌクレオチド合成は、基材が運搬中にポリヌクレオチド合成の様々な段階を通過する、産生ライン様式で動作する。しかしながら、コンベヤベルトプロセスでは、連続テープは、リールツーリールプロセスのようにテープの巻き取りおよび巻き出しを行うことなく、ポリヌクレオチド合成ステップに立ち戻る。いくつかの配置において、ポリヌクレオチド合成ステップは、ゾーンに分割され、連続テープは、1つのサイクルで1回以上、それぞれのゾーンを通って運搬される。例えば、ポリヌクレオチド合成反応は、(1)基材を、1つのサイクルにおいて、溶媒浴に通し、ホスホラミダイト堆積のための堆積デバイスの下へ運搬し、酸化剤浴に通し、アセトニトリル洗浄浴に通し、ブロック浴に通して運搬すること、ならびに次いで(2)このサイクルを繰り返して、所定の長さのポリヌクレオチドの合成を達成することを含み得る。ポリヌクレオチド合成の後、可撓性基材は、コンベヤベルトシステムから取り外され、任意選択で、ストレージのために巻き取られる。巻き取りは、ストレージのために、リールに巻いてもよい。いくつかの事例において、熱可塑性材料を含む可撓性基材が、ヌクレオシドカップリング試薬でコーティングされる。コーティングは、それぞれの場所が約10umの直径を有し、隣接する2つの場所の中心間距離が約21μmになるように、場所にパターン形成される。この事例において、場所のサイズは、ポリヌクレオチド合成堆積ステップ中に0.2plの固着液滴体積を収容するのに十分である。いくつかの場合において、場所の密度は、1m当たり約22億個の場所(1個の場所/441×10-12)である。いくつかの場合において、4.5mの基材は、それぞれ10μmの直径を有する約100億個の場所を含む。
【0154】
いくつかの配置において、ポリヌクレオチド合成は、例えば、本明細書に記載されるようなラックユニット上で進行する。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成のための試薬を含む1つ以上の流体は、1つ以上のチューブを通じて少なくとも1つのラックユニットに送達される。いくつかの事例において、少なくとも1つの固体支持体を含むラックユニットは、ポリヌクレオチド合成を達成するために試薬に連続的に曝露される。いくつかの事例において、UV分光計または他の好適なデバイスが、固体支持体上のポリヌクレオチドの濃度を測定するために使用される。いくつかの事例において、試薬は、真空を使用して気体として送達される(例えば、固体支持体上のポリヌクレオチドを切断するため)。ラックユニットは、さらに、1つ以上の電極を含み得る。1つ以上の電極は、ラックユニット内の固体支持体上の1つ以上の位置に電圧を送達するように、ラックサーバ内の電気システムに接続され得る。
【0155】
いくつかの配置において、合成反応中に1つ以上の試薬を基材に適用するためのデバイスは、ヌクレオシドホスホラミダイトベースの合成のための試薬および/またはヌクレオシドモノマーを堆積させるように構成される。ポリヌクレオチド合成のための試薬には、ポリヌクレオチド伸長のための試薬および洗浄緩衝液が含まれる。非限定的な例として、デバイスは、清浄試薬、カップリング試薬、キャッピング試薬、酸化剤、デブロッキング剤、アセトニトリル、窒素ガスなどのガス、およびこれらの任意の組合せを堆積させる。さらに、デバイスは、任意選択で、基材の完全性の調製および/または維持のための試薬を堆積させる。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成装置は、約200μm未満、100μm未満、または50μm未満の直径を有する液滴を、約1000pl未満、500pl未満、100pl未満、50pl未満、または20pl未満の体積で堆積させる。いくつかの場合において、ポリヌクレオチド合成装置は、1秒当たり約1~10000、1~5000、100~5000、または1000~5000個の液滴を堆積させる。
【0156】
ポリヌクレオチド合成のための試薬がリサイクルまたは再利用されるデバイス、方法、システム、および組成物が、本明細書に記載される。試薬のリサイクルは、未使用の試薬の収集、ストレージ、および使用、または使用済みの試薬の精製/変換を含み得る。例えば、試薬浴は、リサイクルされ、同じかまたは異なる表面でのポリヌクレオチド合成ステップに使用される。本明細書に記載されている試薬は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上リサイクルすることができる。代替的に、または組み合わせて、反応副産物を含む試薬溶液を濾過して副産物を除去し、その試薬溶液を追加のポリヌクレオチド合成反応に使用する。
【0157】
多くの一体化または非一体化要素が、ポリヌクレオチド合成システムで使用されることが多い。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成システムは、合成されたポリヌクレオチドの下流処理に有用な1つ以上の要素を含む。一例として、このシステムは、熱サイクルデバイスなどの温度制御要素を含む。いくつかの事例において、温度制御要素は、PCAなどの核酸アセンブリおよび/またはPCRなどの核酸増幅を実行するために複数の分解された反応器と共に使用される。いくつかの事例において、合成されたポリヌクレオチドは、増幅ユニット、ストレージユニット、シーケンシングユニット、またはこれらの任意の組合せに移される。いくつかの事例において、合成されたポリヌクレオチドは、ロボットシステム(例えば、ロボットアームまたはピッカー)を使用して移されてもよい。いくつかの事例において、合成されたポリヌクレオチドは、本明細書に記載される固体支持体上に移されてもよい。いくつかの事例において、合成されたポリヌクレオチドは、本明細書に記載される固体支持体上に移されなくてもよい。例えば、合成されたポリヌクレオチドは、カプセル、チューブ、または任意の他の好適な構造で移されてもよい。合成されたポリヌクレオチドは、液体、気体、または固体の状態で移されてもよい。
【0158】
高密度合成デバイス
【0159】
固体支持体における生体分子合成のためのデバイス、方法、組成物、およびシステムが、本明細書に提供される。いくつかの事例において、電気化学は、脱保護、カップリング、または切断などのステップを通じて生体分子の合成を制御するために使用される。さらに、固体支持体における核酸のストレージおよび合成のためのデバイス、方法、組成物、およびシステムが、本明細書に提供される。いくつかの事例において、固体支持体は、表面を含む。いくつかの事例において、表面は、1つ以上の特徴を含む。いくつかの事例において、特徴は、生体分子合成のための1つ以上の場所を含む。さらに、組み合わせてより大きなアレイまたはチップが形成される複数のデバイスが、本明細書に提供される。さらに、1つ以上のアドレス指定可能な固体支持体を備えるデバイスが、本明細書に提供される。さらに、生体分子(例えば、ポリヌクレオチド合成)中の電気化学的脱保護またはデブロッキングのために構成されるデバイスおよび方法が、本明細書に提供される。さらに、ポリヌクレオチド合成のための1つ以上のアドレス指定可能な固体支持体を備えるデバイスが、本明細書に提供される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成のための1つ以上のステップ、例えば、電気泳動アプリケーションを実行するために、デバイスには、電圧が印加される。そのようなデバイスは、いくつかの事例において、「アクティブ」または「非アクティブ」状態を含み、それぞれの状態は、1つ以上の電圧状態および/または1つ以上の抵抗状態(例えば、「オン」、「オフ」、または「切断」)を含む。デバイスの状態は、本明細書に提供されるコンピュータシステムを使用して制御され得る。コンピュータシステムは、本明細書に提供されるデータストレージシステムに一体化されていてもよい。デバイスまたはアドレス指定可能な支持体のアレイは、いくつかの事例において、高密度核酸合成および/またはストレージのアドレス指定可能な制御を提供する。さらに、試薬の近接または隣接するデバイスへの移動を低減させる(例えば、拡散制御)インプレーンカソードを含むデバイスが、本明細書に提供される。
【0160】
ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが、本明細書に提供される(例えば、図1)。そのようなデバイスは、いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成のための複数の特徴106を含む固体支持体100を備える。そのようなデバイスは、導電素子または電極102を備え得る。そのような電極は、アノードまたはカソードとして機能し得る。ポリヌクレオチド104は、少なくとも1回の合成サイクル中に末端塩基に結合した保護基またはブロッキング基105を含む。合成ステップ107中に電極102を通じて電圧を印加することにより、いくつかの事例において、ポリヌクレオチド104を処理するために使用することができる試薬が生成される。電圧が印加される時間の長さ、それが印加される回数、および他の変数は、所望される反応の程度および望ましくない副反応の低減に対して大きな影響を有する。デバイスの表面および電極の幾何形状もまた、化学反応の効率に影響を及ぼし得る。
【0161】
材料の層を備えるポリヌクレオチド合成のためのデバイスが、本明細書に提供される。そのようなデバイスは、導体、半導体、または絶縁材料を含む任意の数の材料の層を備え得る。従来的なデバイス200は、ベース層201、導電性材料202a/202b、205(電極として使用するように構成された1つ以上の導電層であり、導電性材料は、202aなど、ベース層に埋め込まれていてもよく、または202bなど、ベース層の上にあってもよい)、ならびに多孔質成長層表面203を備える(図2)。いくつかの事例において、導電層202aは、層202bと電気的に接触している。そのような層のそれぞれは、細孔、穴、ウェル、チャネル、または他の形状など、ポリヌクレオチド合成のための特徴を生成するように、個別にパターン形成されていてもよい(例えば、図7Bおよび図7C)。そのようなデバイスの様々な層が、いくつかの事例において、組み合わされて、アドレス指定可能な固体支持体が形成される。そのようなデバイスの層または表面は、ポリヌクレオチド合成中に使用される溶媒、溶質、または他の試薬と流体連通していてもよい。
【0162】
さらに、複数の表面を備えるデバイスが、本明細書に記載される。いくつかの事例において、表面は、導電性材料に近接して、ポリヌクレオチド合成のための特徴を含む。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイスは、デバイス1つ当たり1、2、5、10、50、100、またはさらには数千個の表面を備える。いくつかの事例において、電圧が、ポリヌクレオチドの合成を促進するために、本明細書に記載されるデバイスの1つ以上の層に印加される。いくつかの事例において、電圧が、ポリヌクレオチドの合成におけるステップ、例えば、デブロッキングを促進するために、本明細書に記載されるデバイスの1つ以上の層に印加される。異なるデバイスの異なる表面上の異なる層には、様々な時間または様々な電圧で、電圧が供給されることが多い。例えば、正電圧が、第1の層に印加され、負電圧が、同じかまたは異なるデバイスの第2の層に印加される。いくつかの事例において、異なるデバイス上の1つ以上の層に電圧が供給され、一方で他の層は、接地から切断される。いくつかの事例において、ベース層は、追加の回路、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスを含む。いくつかの事例において、1つ以上のデバイスの様々な層は、ルーティングを介して水平方向におよび/またはビアを用いて垂直方向で、接続される。いくつかの事例において、1つ以上のデバイスの様々な層は、ルーティングを介して水平方向におよび/またはビアを用いて垂直方向で、CMOS層に接続される。いくつかの事例において、1つ以上のデバイスの様々な層は、ワイヤボンド、ポゴピン接触、またはSiビアを通じて(TSV)、CMOSデバイスに接続される。いくつかの事例において、デバイスのアレイは、独立してアドレス指定可能である。いくつかの事例において、導電性材料を含むデバイスの層または構成要素は、電圧が印加されると、カソードまたはアノードとして機能する。
【0163】
本明細書に提供される第1のデバイス300Aは、ベース層301およびパターン形成されたトップ層305を備える(図3A)。いくつかの事例において、トップ層305および302bは、導電性材料を含む。いくつかの事例において、デバイスは、ベース層内に存在する導電層302aを備える。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面306が、ベース層301の溶媒曝露表面上に形成される。そのようなデバイスは、ポリヌクレオチド合成表面306とトップ層305との間に流体連通を提供する。いくつかの事例において、パターン形成されたトップ層は、ポリヌクレオチド合成表面306とトップ層305との間の流体連通を容易にする複数の空隙を含む。いくつかの事例において、空隙は、ウェル、チャネル、または他の形状を含むがこれらに限定されない、任意のサイズまたは形状を含む。
【0164】
本明細書に提供される第2のデバイス300Bは、ベース層301、埋込み型シールド電極308、およびパターン形成されたトップ層305を備える(図3B)。いくつかの事例において、トップ層305および302bは、導電性材料を含む。いくつかの事例において、デバイスは、ベース層内に存在する導電層302aを備える。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面306は、トップ層305における細孔によって形成される。そのようなデバイスは、ポリヌクレオチド合成表面306とトップ層との間に流体連通を提供する。いくつかの事例において、埋込み型シールド電極308は、合成表面306にもトップ層305にも接触しない。いくつかの事例において、電圧は、シールド電極308を通過して、合成表面306に接触する溶媒中のイオンの流れに影響を及ぼす。いくつかの事例において、トップ層305に印加される電圧と比較して異なる電圧が、シールド電極308に印加される。いくつかの事例において、シールド電極308に印加される電圧は、隣接または近接する導電層(例えば、302b)と同期される。いくつかの事例において、シールド電極と近位のアノードとの間で電圧が印加される時間は、0.1マイクロ秒以下、0.2マイクロ秒以下、0.5マイクロ秒以下、0.8マイクロ秒以下、1.0マイクロ秒以下、1.2マイクロ秒以下、1.5マイクロ秒以下、1.8マイクロ秒以下、2マイクロ秒以下、5マイクロ秒以下、8マイクロ秒以下、10マイクロ秒以下、12マイクロ秒以下、15マイクロ秒以下、20マイクロ秒以下、50マイクロ秒以下、80マイクロ秒以下、または100マイクロ秒以下である。いくつかの事例において、シールド電極と近位のアノードとの間で電圧が印加される時間は、約0.1マイクロ秒、0.2、0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、1.8、2、5、8、10、12、15、20、50、80、または約100マイクロ秒である。いくつかの事例において、シールド電極と近位のアノードとの間で電圧が印加される時間は、0.1~1、0.1~5、0.1~10、0.1~100、0.5~10、0.5~100、1~10、1~50、1~100、5~50、10~100、または50~100マイクロ秒である。
【0165】
本明細書に提供される第3のデバイス400は、ベース層401、および中間層405、およびトップ層406を備える(図4)。いくつかの事例において、中間層405および層402aは導電性材料を含む。いくつかの事例において、トップ層は、ポリヌクレオチド合成表面406を含む。そのようなデバイスは、ポリヌクレオチド合成表面406と中間層405との間に流体連通を提供する。ポリヌクレオチド合成表面406は、いくつかの事例において、円筒形、実質的に長方形の形状、チャネル、または他の形状としてパターン形成される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面406は、ランダムに分布している。いくつかの事例において、中間層405は、熱酸化物を含む。デバイスは、いくつかの事例において、合成表面406とボトム層401の間に1つ以上の追加の結合層を備える。いくつかの事例において、中間層は、厚さが1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、2~25、2~50、5~50、5~25、5~75、10~100、10~50、または50~100nmである。いくつかの事例において、中間層は、厚さが1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、50nm以下、75nm以下、100nm以下、または150nm以下である。いくつかの事例において、中間層は、厚さが約1、2、5、10、15、20、25、30、50、75、100、または約150nmである。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、2~25、2~50、5~50、5~25、5~75、10~100、10~50、または50~100nmである。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、50nm以下、75nm以下、100nm以下、または150nm以下である。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが約1、2、5、10、15、20、25、30、50、75、100、または約150nmである。
【0166】
本明細書に提供される第4のデバイス500Aは、ベース層501、第1の中間層511、トップ層505を備える(図5A)。いくつかの事例において、第1の中間層は、ポリヌクレオチド合成表面506を含む。いくつかの事例において、最小の特徴寸法は、512である。いくつかの事例において、デバイスは、a)シリコンを含むベース層、b)酸化物を含む中間層、およびc)導電性材料を含むトップ層のうちの1つ以上を含む。いくつかの事例において、トップ層は、電圧が供給されると電気化学的に生成された試薬を生じるように構成される。いくつかの事例において、中間層およびトップ層は、溶媒と流体連通する。いくつかの事例において、中間層は、ベース層とトップ層との間に位置付けられる。いくつかの事例において、中間層は、分子の結合のために構成される。いくつかの事例において、固体支持体は、複数の特徴を含む。いくつかの事例において、トップ層は、溶媒と中間層との流体連通を可能にするように構成される複数の空隙を含む。いくつかの事例において、空隙のうちの少なくともいくつかは、1つ以上の特徴の上方を中心とする。いくつかの事例において、空隙は、ウェルまたはチャネルを含む。いくつかの事例において、ウェルまたはチャネルは、深さが1~5、1~10、1~15、1~20、1~25、1~50、1~75、1~100、1~150、1~200、または1~500nmである。いくつかの事例において、ウェルまたはチャネルは、深さが、1nm以下、2nm以下、3nm以下、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、40nm以下、50nm以下、75nm以下、100nm以下、150nm以下、200nm以下、または500nm以下である。いくつかの事例において、複数の特徴が、中間層上に位置付けられる。いくつかの事例において、最小の特徴寸法は、導電層に近接して生成される試薬の拡散距離に比例する。いくつかの事例において、中間層は、厚さが1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、2~25、2~50、5~50、5~25、5~75、10~100、10~50、または50~100nmである。いくつかの事例において、中間層は、厚さが1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、50nm以下、75nm以下、100nm以下、または150nm以下である。いくつかの事例において、中間層は、厚さが約1、2、5、10、15、20、25、30、50、75、100、または約150nmである。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが1~100、1~50、1~25、1~10、1~5、2~25、2~50、5~50、5~25、5~75、10~100、10~50、または50~100nmである。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、50nm以下、75nm以下、100nm以下、または150nm以下である。いくつかの事例において、トップ層は、厚さが約1、2、5、10、15、20、25、30、50、75、100、または約150nmである。いくつかの事例において、デバイスは、カソードとして使用するように構成される1つ以上の導電層を備える。いくつかの事例において、デバイスは、1つ以上のインプレーンカソードを備える。
【0167】
本明細書に提供される第5のデバイス500Bは、ベース層501、第1の中間層511、第2の中間層505、トップ層506を備える(図5B)。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、トップ層506上で合成される。ポリヌクレオチド合成表面506は、いくつかの事例において、円筒形、実質的に長方形の形状、チャネル、または他の形状としてパターン形成される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチド合成表面506は、ランダムにパターン形成される。いくつかの事例において、最小の特徴寸法は、512である。いくつかの事例において、デバイスは、デバイス500Cに示されるように、追加の結合層515および516を備える(図5C)。いくつかの事例において、最小の特徴寸法は、導電層の近位で生成される試薬の拡散距離に比例する。
【0168】
いくつかの事例において、デバイス600Aは、アノードとして使用するように構成される1つ以上の導電層605/602b(下方導電層602aに取り付けられている)の面の上方にある、カソードとして使用するように構成される導電層611を含む(図6A)。いくつかの事例において、アノードは、ポリヌクレオチド合成606のための1つまたは複数の場所と流体連通する。別の構成では、図6Bのデバイス600Bにあるように、導電層611は、カソードとして使用するように構成され、アノードとして使用するように構成される1つ以上の導電層605/602b(下方導電層602aに取り付けられている)と同じ面に位置付けられる。いくつかの事例において、デバイスは、a)シリコンを含むベース層、b)導電性材料を含む中間層(中間層は、電圧が供給されると電気化学的に生成された試薬を生じるように構成されている)、およびc)酸化物を含むトップ層のうちの1つ以上を備える。いくつかの事例において、中間層およびトップ層は、溶媒と流体連通する。いくつかの事例において、中間層は、ベース層とトップ層との間に位置付けられる。いくつかの事例において、トップ層は、分子の結合のために構成される。いくつかの事例において、固体支持体は、複数の特徴を含む。いくつかの事例において、アクティブなアノード層に近接したインプレーンカソードにより、電気化学的に生成された試薬が隣接するデバイスに過剰に移動することが低減される。
【0169】
本明細書に記載される第6のデバイスは、図7A~7Eに示されるように、複数のデバイスアレイ(またはアドレス指定可能な固体支持体)を備える。図7Aは、明確さのために2つのそのようなデバイスアレイを示すが、そのようなデバイスは、任意の数のデバイスアレイを備えてもよい。9つのそのようなデバイスアレイが、図7Bに、デバイスアレイの個別または群でのアドレス指定可能な制御を可能にするルーティング接続とともに示されている。いくつかの事例において、デバイスアレイ1は、デバイスアレイ2および3から個別にアドレス指定可能である。図7Cでは4つのそのようなデバイスアレイが、明確さのためだけに示されているが、任意の数のデバイスが、この様式で配列され得る。4つのデバイスは、明確さのためだけに示されているように、群1、2、および4でアドレス指定可能であるが、いくつかの事例において、アドレス指定可能な群の数は、デバイスアレイの合計数以下となる。導電層802は、いくつかの事例において、生体分子、例えば、ポリヌクレオチドの電気化学的脱保護のための試薬(例えば、酸)を生成する。いくつかの事例において、802は、アノードとして使用するように構成される。いくつかの事例において、導電層は、図7Cに示されるように、カソードとして使用するようにも構成される。図7Cまたは8Eのデバイスの断面図が、図7Dに示されている。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、酸化物層805上で合成される。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、導電層802上で合成される。そのようなデバイスは、いくつかの事例において、第1のルーティング層801aおよび第2のルーティング層801bによってアドレス指定可能である。そのようなデバイスは、任意の数のルーティング層、例えば、1、2、3、4、5、10、20、50、100個、または100個を上回るルーティング層を備え得る。異なる水平面におけるルーティングは、いくつかの事例において、1つ以上の垂直相互接続アクセス(VIA)803および804によって接続される。そのようなデバイスは、任意の数、例えば、1平方ミクロン当たり1、2、3、4、5、10、20、50、100、1000個、または1000個を上回るビアを備え得る。ルーティングおよびビアの数およびサイズは、いくつかの事例において、デバイス上のアドレス指定可能な固体支持体の数に比例する。16個のデバイスアレイを備えるデバイス(図7Cと類似)が、図7Eに示されている。ルーティング801bは、デバイス内でルーティング801aに対して上層にある。図7Eの16個のデバイスアレイは、いくつかの事例において、7つの群としてアドレス指定可能であるが、他の構成もまた、本明細書に記載されるデバイスおよび方法と整合性がある。いくつかの事例において、デバイスは、追加の回路、例えば、CMOSと一体化される(図8)。いくつかの事例において、場所および周囲のアノードは、円形、長方形、正方形、または他の形状である。いくつかの事例において、デバイスは、以下のおおよその寸法を有して製造される:p=デバイスピッチ;d=デバイスサイズ=2/5p;s=酸化物成長特徴(oxide growth feature)=1/5p;n=カソードネック=1/5p;g=デバイスとカソードの間隙=1/5p;およびt=白金厚さ=1/50p。いくつかの事例において、デバイスピッチは、5nm以下、10nm以下、15nm以下、20nm以下、25nm以下、30nm以下、35nm以下、40nm以下、45nm以下、50nm以下、60nm以下、75nm以下、85nm以下、100nm以下、125nm以下、150nm以下、175nm以下、200nm以下、250nm以下、500nm以下、または1000nm以下である。いくつかの事例において、デバイスピッチは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、85、100、125、150、175、200、250、500、または約1000nmである。いくつかの事例において、デバイスピッチは、5~500、5~100、10~200、10~500、25~500、50~500、100~500、100~1000、250~1000、500~1000、または100~1000nmである。いくつかの事例において、カソードとアノードとの間の最短距離(g、デバイスとカソードとの間隙)は、ピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、カソードの最小幅(n)は、ピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、カソードの最小幅(n)は、ピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、アノードの最大寸法(d、直線距離または直径)は、ピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、アノードに最も近接するビアは、最大寸法(直線距離または直径)がピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、特徴サイズ(s、直線距離または直径)は、ピッチ距離の5~50%、5~25%、5~30%、10~30%、10~50%、10~20%、20~50%、または30~75%である。いくつかの事例において、アノードまたはカソードのうちの1つ以上の厚さは、ピッチ距離の0.55~5%以下、0.5~2.5%以下、0.5~3%以下、1~3%以下、1~5%以下、1~2%以下、2~5%以下、または3~7.5%以下である。
【0170】
デバイスは、任意の数のデバイスアレイを備え得る。いくつかの事例において、デバイスは、単一のデバイスに少なくとも10、50、100、1000、10,000、100,000個、または100,000個を上回るデバイスアレイを備える。いくつかの事例において、デバイスは、単一のデバイスに約10、50、100、1000、10,000、100,000個、または約100,000個のデバイスアレイを含む。いくつかの事例において、デバイスは、単一のデバイスに10~50、10~5000、10~10,000、100~1000、100~10,000、100~100,000、1000~10,000、または1000~100,000個のデバイスアレイを含む。
【0171】
いくつかの事例において、デバイスは、1つ以上のベース層を備える。いくつかの事例において、ベース層は、酸化物を含む第1の層、炭化物を含む第2の層、および窒化物を含む第3の層を含む。いくつかの事例において、デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、50個、または75個を上回るベース層を備える。いくつかの事例において、デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30個、または30個を上回るビアを備える。いくつかの事例において、デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30個、または30個を上回るルーティング要素を備える。いくつかの事例において、(ベース層の)第1の層は、酸化物、例えば、SiOを含む。いくつかの事例において、(ベース層の)第2の層は、炭化物、例えば、炭化ケイ素を含む。いくつかの事例において、(ベース層の)第3の層は、窒化物、例えば、窒化ケイ素を含む。追加の材料もまた、これらの層に使用されてもよい。いくつかの事例において、デバイスは、トップ層を備える。いくつかの事例において、トップ層は、1つ以上のデバイス層および1つ以上のインプレーンカソードを含む。いくつかの事例において、インプレーンカソードは、酸化物を含む第1の層、金属ドープ窒化物を含む第2の層、および金属を含む第3の層を含む。いくつかの事例において、(カソードの)第1の層は、酸化ケイ素を含む。いくつかの事例において、(カソードの)第2の層は、クロムをドープした窒化チタンを含む。いくつかの事例において、(カソードの)第3の層は、白金を含む。いくつかの事例において、デバイス層は、酸化物を含む第1の層、金属ドープ窒化物を含む第2の層、金属を含む第3の層、金属を含む第4の層、および酸化物を含む第5の層を含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第1の層は、酸化ケイ素を含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第2の層は、クロムをドープした窒化チタンを含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第3の層は、白金を含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第4の層は、ルテニウムを含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第5の層は、チタンを含む。いくつかの事例において、(デバイス層の)第6の層は、酸化ケイ素を含む。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドは、デバイス層の第5の層上で合成される。追加の材料もまた、これらの層に使用されてもよい。
【0172】
デバイスアレイは、任意のサイズまたは寸法にスケーリングされ得る。いくつかの事例において、デバイスアレイは、幅が約0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、0.8、1、2、5、8、または約10ミクロンである。いくつかの事例において、デバイスアレイは、幅が0.01ミクロン以下、0.02ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.8ミクロン以下、1ミクロン以下、2ミクロン以下、5ミクロン以下、8ミクロン以下、または10ミクロン以下である。いくつかの事例において、デバイスアレイは、幅が0.01~10、0.1~10、0.1~1、0.5~1、1~10、または5~30ミクロンである。いくつかの事例において、デバイスアレイは、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、0.8、1、2、5、8、または約10ミクロンで離間している。いくつかの事例において、デバイスアレイは、0.01ミクロン以下、0.02ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.8ミクロン以下、1ミクロン以下、2ミクロン以下、5ミクロン以下、8ミクロン以下、または10ミクロン以下で離間している。いくつかの事例において、デバイスアレイは、0.01~10、0.1~10、0.1~1、0.5~1、1~10、または5~30ミクロンで離間している。
【0173】
アドレス指定可能なデバイスアレイを有するデバイスは、様々なパターンまたは構成でアドレス指定され得る。いくつかの事例において、アレイ内のデバイスの特定の群(またはクラスター)のみが、同時にアクティブ化される。いくつかの事例において、デバイスアレイは、図13A~13Gに従ってアドレス指定される。任意の数のデバイスアレイを、同時にアクティブ化することができる。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイスにおけるデバイスアレイの約1%、2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、95%、または約100%が、同時にアクティブ化される。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイスにおけるデバイスアレイのうちの1%以下、2%以下、3%以下、5%以下、7%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、75%以下、95%以下、または99%以下が、同時にアクティブ化される。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイス内のデバイスアレイのうちの少なくとも1%、2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、95%、または少なくとも99%が、同時にアクティブ化される。いくつかの事例において、本明細書に記載されるデバイス内のデバイスアレイのうちの1~2%、1~5%、1~10%、1~20%、1~50%、2~10%、2~50%、5~50%、5~90%、10~25%、10~95%、または15~95%が同時にアクティブ化される。
【0174】
デバイスは、まとめて制御(アクティブ化、非アクティブ化、切断)することができる。いくつかの事例において、アレイ内のデバイスは、より小さなデバイスのクラスターを含む。いくつかの事例において、デバイスクラスターは、クラスター内に少なくとも25、50、60、70、80、90、100、125、150、200個、または500個を上回るデバイスを含む。いくつかの事例において、クラスター内のデバイスは、独立してアドレス指定可能である。いくつかの事例において、デバイスクラスターは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を上回るアドレス指定可能なデバイスを含む。いくつかの事例において、デバイスクラスターは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を上回るカソードを含む。
【0175】
本明細書に記載されるデバイスは、マスキング法などの多数の方法を使用して製造され得る。いくつかの事例において、リフトオフ製造法が、使用される。リフトオフ法は、いくつかの事例において、酸化物層でコーティングされたベース層への犠牲層(例えば、フォトレジストまたは「PR」)の追加、導電層の追加、および犠牲層の除去を含む。いくつかの事例において、ドライエッチング製法が、使用される。ドライエッチング法は、いくつかの事例において、ベース層への1つ以上の層、例えば、酸化物層、第1の中間層(例えば、TiNまたは他の材料)、導電層(例えば、白金)、第2の中間層(例えば、TiNまたは他の材料)、および犠牲層(例えば、フォトレジスト)の追加、導電層を露出させるための第2の中間層の部分的な除去、第1の中間層を露出させるための導電層の部分的な除去、第1の中間層を露出させるための第1の導電層の部分的な除去、ならびに酸化物層を露出させるための第1の中間層の部分的な除去を含む。
【0176】
デバイスは、複数の特徴の最小寸法が、電気化学的に生成される試薬の拡散距離以下となるように構成され得る。いくつかの事例において、拡散距離は、1000nm以下、750nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、250nm以下、225nm以下、200nm以下、150nm以下、125nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、25nm以下、10nm以下、または5nm以下である。
【0177】
デバイスは、1つ以上のビアまたはルーティング構成要素を有して構成され得る。いくつかの事例において、ビアおよびルーティングは、長さが10nm以下、20nm以下、50nm以下、100nm以下、150nm以下、200nm以下、250nm以下、300nm以下、350nm以下、または500nm以下である。いくつかの事例において、ビアおよびルーティングは、長さが約10、20、50、100、150、200、250、300、350、または約500nmである。いくつかの事例において、ビアおよびルーティングは、10~500、10~350、10~200、10~100、10~50、50~500、50~300、50~250、50~200、50~100、100~300、100~500、100~200、200~500、または300~500である。いくつかの事例において、ビアは、導電性材料を含む。いくつかの事例において、ビアは、本明細書に記載される金属を含む。いくつかの事例において、ビアは、銅を含む。いくつかの事例において、ビアは、実質的に銅を含む。
【0178】
アセンブリ
【0179】
ポリヌクレオチドは、情報をコードする所定の配列の大きな領域に集合的にまたがるように設計され得る。いくつかの事例において、ライゲーション反応によって、合成されたポリヌクレオチドを結合することで、より大きなポリヌクレオチドが生成される。ライゲーション反応の1つの例は、ポリメラーゼ連鎖アセンブリ(polymerase chain assembly、PCA)である。いくつかの事例において、ポリヌクレオチドの少なくとも一部分は、ユニバーサルプライマー結合の基材である付加領域を含むように設計される。PCA反応に関して、事前に合成されたポリヌクレオチドは、互いにオーバーラップする部分(例えば、オーバーラップする配列を有する4、20、40個、またはそれ以上の塩基)を含む。ポリメラーゼサイクルの間に、ポリヌクレオチドは、相補的な断片にアニーリングし、次いで、ポリメラーゼによって充填される。したがって、それぞれのサイクルでは、どのポリヌクレオチドが互いを見つけるかに応じて、様々な断片の長さがランダムに増加する。断片間の相補性により、完全な長い二本鎖DNAの形成が可能となる。いくつかの場合において、PCA反応が完了した後、ミスマッチ修復検出酵素を使用してエラー訂正ステップを実行して、配列内のミスマッチが除去される。標的配列のより大きな断片が生成されれば、それを増幅することができる。例えば、いくつかの場合において、5’および3’末端アダプター配列を含む標的配列は、アダプター配列にハイブリダイズする改変されたプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅される。いくつかの場合において、改変されたプライマーは、1つ以上のウラシル塩基を含む。改変されたプライマーの使用により、改変された塩基を標的とすることを中心とした酵素反応、および/または改変された塩基対を断片から切断する酵素が残したギャップにより、プライマーの除去が可能となる。これにより、アダプター配列の残骸がない二本鎖増幅産物が残る。この方法では、複数の増幅産物を、同じプライマーセットを用いて並行して生成して、二本鎖DNAの異なる断片を生成することができる。
【0180】
合成されたポリヌクレオチドおよび/またはアセンブルされた産物に対して、エラー訂正を行ってもよい。エラー訂正のための例示的な戦略は、エラーを訂正するためのオーバーラップ伸長PCRによる部位特異的突然変異生成を含み、これは、任意選択で、2回以上のクローニングおよびシーケンシングを組み合わせる。ある特定の事例において、ミスマッチ、バルジ、小さなループ、化学的に変更された塩基、および/または他のヘテロ二重鎖を有する二本鎖核酸は、正しく合成された核酸の集団から選択的に除去される。いくつかの事例において、エラー訂正は、二本鎖核酸内のミスマッチまたは不対塩基を認識してそこまたはその隣に結合して、一本鎖もしくは二本鎖切断を作成するか、または鎖転移転位事象を開始するタンパク質/酵素を使用して、実行される。エラー訂正のためのタンパク質/酵素の非限定的な例としては、エンドヌクレアーゼ(T7エンドヌクレアーゼI、大腸菌エンドヌクレアーゼV、T4エンドヌクレアーゼVII、緑豆ヌクレアーゼ、Cell、大腸菌エンドヌクレアーゼIV、UVDE)、制限酵素、グリコシラーゼ、リボヌクレアーゼ、ミスマッチ修復酵素、リゾルバーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、ミスマッチに特異的な抗体、およびこれらのバリアントが挙げられる。具体的なエラー訂正酵素の例としては、T4エンドヌクレアーゼ7、T7エンドヌクレアーゼ1、S1、緑豆エンドヌクレアーゼ、MutY、MutS、MutH、MutL、切断酵素(cleavase)、CELI、およびHINF1が挙げられる。いくつかの場合において、DNAミスマッチ結合タンパク質MutS(Thermus aquaticus)を使用して、合成された産物の集団から失敗した産物が除去される。いくつかの事例において、エラー訂正は、コレクターゼ酵素を使用して実行される。いくつかの場合において、エラー訂正は、ヘテロ二重鎖DNAの公知および未知の変異および多型をスキャンするミスマッチ特異的DNAエンドヌクレアーゼであるSURVEYORエンドヌクレアーゼ(Transgenomic)を使用して実行される。
【0181】
核酸ベースの情報ストレージ
【0182】
核酸ベースの情報(データ)ストレージのためのデバイス、組成物、システム、および方法が、本明細書に提供される。生体分子、例えば、DNA分子は、従来的なバイナリ情報コーディングとは対照的に、経時的なその安定性および増強された情報コーディング能力に起因して、情報ストレージに好適なホストを提供する。第1のステップでは、情報の項目をコードするデジタル配列(例えば、コンピュータによる処理のためのバイナリコードのデジタル情報)を受け取る。暗号化スキームを適用して、デジタル配列を、1つ以上のシンボル(例えば、バイナリコード)から核酸配列に変換する。核酸伸長のための表面材料、核酸伸長のための場所(例えば、配置スポット)の設計、および核酸合成のための試薬が、選択される。構造の表面は、核酸合成のために準備される。次いで、デノボポリヌクレオチド合成が実行される。合成されたポリヌクレオチドは、保存され、全体または一部が後続の放出のために利用可能である。放出されると、ポリヌクレオチドは、全体または一部がシーケンシングされ、復号化に供されて、核酸配列がデジタル配列に戻るように変換される。デジタル配列は、次いで、アセンブルされて、元の情報の項目をコードするアライメントが得られる。
【0183】
デジタル情報をコードする核酸は、エラー訂正構成要素を含み得る。いくつかの事例において、エラー訂正構成要素は、エラー訂正コード、例えば、リード・ソロモン(RS)コード、LDPCコード、極性コード、ターボコードを含む。いくつかの事例において、エラー訂正コードは、保存しようとするデジタルデータを、多数のポリヌクレオチドにわたって分散させる。いくつかの事例において、データを複数のポリヌクレオチドにわたって分散させることにより、冗長性を構築して、消失(例えば、オリゴの消失)を訂正する。いくつかの事例において、デジタル情報は、エラーの存在下において回復させることができる。いくつかの事例において、エラー訂正構成要素は、パリティベースを含む。いくつかの事例において、エラー訂正構成要素は、インデックス配列を含む。いくつかの事例において、インデックス配列は、核酸にコードされるデジタル情報の位置またはアドレスを定義する。いくつかの事例において、インデックス配列は、デジタル情報のソースを定義する。デジタル情報をコードする核酸は、いくつかの事例において、同じライブラリーまたはセット内の1つ以上の核酸とのオーバーラップを含む。いくつかの事例において、エラー訂正構成要素は、オーバーラップまたは冗長領域を含む。いくつかの事例において、アルゴリズムを、シーケンシングした核酸に適用して、エラーを低減させる。いくつかの事例において、エラー訂正アルゴリズムは、コンセンサスシーケンス、HEDGES(Hash Encoded,Decoded by Greedy Exhaustive Search)、または他の方法を含む。
【0184】
デジタル情報をコードする核酸は、異なる媒体に保存され得る。いくつかの事例において、核酸は、本質的に乾燥粉末または凍結乾燥粉末として保存される。いくつかの事例において、核酸は、緩衝液中に保存される。いくつかの事例において、核酸は、チップ、ウェハ、または他のシリコン固体支持体上に保存される。いくつかの事例において、核酸は、プラスミドまたはゲノムなど、生物(または生物の集団)の内部に保存される。
【0185】
本明細書に記載される核酸合成またはストレージのための固体支持体は、データのストレージのための大きな容量を備える。例えば、固体支持体の容量は、少なくともまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000ペタバイト、または1000ペタバイトを上回る。いくつかの事例において、固体支持体の容量は、約1ペタバイト~約10ペタバイト、または約1ペタバイト~約100ペタバイトである。いくつかの事例において、固体支持体の容量は、約100ペタバイトである。いくつかの事例において、データは、液滴としてアドレス指定可能なパケットアレイとして保存される。いくつかの事例において、データは、スポット上の液滴としてアドレス指定可能なパケットアレイとして保存される。いくつかの事例において、データは、乾燥ウェルとしてアドレス指定可能なパケットアレイとして保存される。いくつかの事例において、アドレス指定可能なアレイは、少なくともまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200テラバイト、または200テラバイトを上回るデータを含む。いくつかの事例において、アドレス指定可能なアレイは、少なくともまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200ギガバイト、または200ギガバイトを上回るデータを含む。いくつかの事例において、アドレス指定可能なアレイは、少なくともまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200テラバイト、または200テラバイトを上回るデータを含む。いくつかの事例において、情報の項目は、データのバックグラウンドに保存される。例えば、情報の項目は、約10~約100メガバイトのデータをコードし、1ペタバイトのバックグラウンドデータに保存される。いくつかの事例において、情報の項目は、少なくともまたは約1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500メガバイト、または500メガバイトを上回るデータをコードし、1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500ペタバイト、または500ペタバイトを上回るバックグラウンドデータに保存される。いくつかの事例において、ストレージ容量は、デバイスピッチ(図26)に基づき、デバイスピッチが小さいほど、より大きなストレージが可能である。
【0186】
情報の項目
【0187】
任意選択で、本明細書に開示されるデータストレージプロセスの初期ステップには、初期コードの形式で、情報の1つ以上の項目を取得または受け取ることが含まれる。情報の項目としては、限定することなく、テキスト、音声、および視覚情報が挙げられる。情報の項目の例示的なソースとしては、限定することなく、書籍、定期刊行物、電子データベース、医療記録、手紙、フォーム、音声録音、動物の録音、生物学的プロファイル、放送、映画、短い動画、電子メール、簿記の電話ログ、インターネット活動ログ、図面、絵画、印刷物、写真、ピクセル化されたグラフィック、およびソフトウェアコードが挙げられる。情報の項目の例示的な生物学的プロファイルのソースとしては、限定することなく、遺伝子ライブラリー、ゲノム、遺伝子発現データ、およびタンパク質活性データが挙げられる。情報の項目の例示的な形式としては、限定することなく、.txt、.PDF、.doc、.docx、.ppt、.pptx、.xls、.xlsx、.rtf、.jpg、.gif、.psd、.bmp、.tiff、.png、および.mpegが挙げられる。デジタル形式で情報の項目をコードする個々のファイルサイズ、または情報の項目をコードする複数のファイルの量としては、限定することなく、最大で1024バイト(1KBに相当)、1024KB(1MBに相当)、1024MB(1GBに相当)、1024GB(1TBに相当)、1024TB(1PBに相当)、1エクサバイト、1ゼタバイト、1ヨタバイト、1ゼノタバイト(xenottabyte)、またはそれ以上が挙げられる。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1ギガバイト(GB)である。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000ギガバイト、または1000ギガバイトを上回る。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1テラバイト(TB)である。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000テラバイト、または1000テラバイトを上回る。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1ペタバイト(PB)である。いくつかの事例において、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000ペタバイト、または1000ペタバイトを上回る。いくつかの事例において、デジタル情報は、生物から取得されたゲノムデータを含まない。情報の項目は、いくつかの事例において、エンコードされる。非限定的なコード方法の例としては、1ビット/ベース、2ビット/ベース、4ビット/ベース、または他のエンコード方法が挙げられる。
【0188】
シーケンシング
【0189】
構造の表面からポリヌクレオチドを抽出および/または増幅した後に、好適なシーケンシング技術を利用して、ポリヌクレオチドをシーケンシングしてもよい。いくつかの場合において、DNA配列は、基材上または構造の特徴内で読み取られる。いくつかの場合において、基材上に保存されたポリヌクレオチドは、抽出され、任意選択で、より長い核酸にアセンブルされ、次いで、シーケンシングされる。いくつかの場合において、基材上に保存されたポリヌクレオチドは、抽出され、より長い核酸にアセンブルされない。いくつかの事例において、配列のポリヌクレオチドの配列は、インシリコでアセンブルされ得る。
【0190】
本明細書に記載される構造上に合成され保存されたポリヌクレオチドは、合成されたポリヌクレオチドの配列を読み取り、その配列をコンピュータによって読み取り可能なシンボルのセット(例えば、バイナリコード)に変換することによって解読することができるデータをコードする。いくつかの場合において、配列はアセンブリを必要とし、アセンブリステップは、核酸配列段階またはデジタル配列段階にある必要があり得る。アセンブリは、配列の1つ以上のインデックスを使用して達成され得る。1つ以上のインデックスは、ポリヌクレオチドにコードされた情報を解読するために、1つ以上の配列をグループ化またはアライメントするために使用され得る。
【0191】
構造において直接的に、および/または主構造から除去した後のいずれかで、保存されたポリヌクレオチドをシーケンシングすることができるデバイスを含む検出システムが、本明細書に提供される。構造が可撓性材料のリールツーリールテープである場合には、検出システムは、構造を保持し、検出位置を通して前進させるためのデバイス、およびテープのセクションが検出位置にあるときにそのセクションから発生するシグナルを検出するための、検出位置に近接して配置される検出器を含む。いくつかの事例において、シグナルは、ポリヌクレオチドの存在を示す。いくつかの事例において、シグナルは、ポリヌクレオチドの配列(例えば、蛍光シグナル)を示す。いくつかの事例において、連続テープ上のポリヌクレオチド内にコードされた情報は、テープが、コンピュータに作動可能に接続された検出器を通して連続的に運搬されるときに、コンピュータによって読み取られる。いくつかの事例において、検出システムは、ポリヌクレオチドシーケンシングデバイス、ポリヌクレオチド配列に関連するデータのストレージおよび取り出しのためのデータベース、ポリヌクレオチド配列のDNAコードをバイナリコードに変換するためのソフトウェア、バイナリコードを読み取るためのコンピュータ、またはこれらの任意の組合せを含む、コンピュータシステムを含む。
【0192】
本明細書に記載されるデバイスに一体化することができるシーケンシングシステムが、本明細書に提供される。いくつかの事例において、シーケンシングシステムは並列シーケンシングシステムである。シーケンシングの様々な方法が、当該技術分野において周知であり、標的ポリヌクレオチドにおける塩基の同一性が特定される「塩基呼び出し」を含む。いくつかの事例において、本明細書に記載される方法、デバイス、組成物、およびシステムを使用して合成されるポリヌクレオチドは、合成表面から切断された後にシーケンシングされる。いくつかの事例において、シーケンシングは、ポリヌクレオチド合成の間に、またはそれと同時に行われ、塩基呼び出しは、成長中のポリヌクレオチド鎖へのヌクレオシドモノマーの伸長の直後または直前に行われる。塩基呼び出しの方法には、ポリメラーゼに触媒される塩基の鋳型鎖への付加によって生成される電流/電圧の測定が含まれる。いくつかの事例において、合成表面は、酵素、例えば、ポリメラーゼを含む。いくつかの事例において、そのような酵素は、電極または合成表面に結合している。いくつかの事例において、酵素は、末端デオキシヌクレオチド転移酵素またはそのバリアントを含む。
【0193】
コンピュータシステム
【0194】
様々な態様において、本明細書に記載されるシステムのいずれも、コンピュータに作動可能に連結されており、任意選択で、ローカルまたはリモートのいずれかでコンピュータを通じて自動化される。様々な事例において、本明細書に記載される方法およびシステムは、コンピュータシステム上のソフトウェアプログラムおよびその使用をさらに含む。したがって、材料堆積デバイスの移動、分注動作、および真空の作動の調整および同期といった、分注/真空/補充機能の同期のためのコンピュータによる制御は、本明細書に提供される開示の範囲内である。いくつかの事例において、コンピュータシステムは、ユーザが指定した塩基配列と材料堆積デバイスの位置との間をインターフェース接続して、正しい試薬を基材の指定された領域に送達するようにプログラムされる。例として、コンピュータシステム、例えば、図18または図19に示されるシステムは、シンボルのセットとして表されるデータを別のシンボルのセットにエンコードするために使用され得る。例えば、データは、数値シンボル、例えば、「0」および「1」というバイナリ値として表され得、コンピュータシステムは、エラー訂正コード(例えば、RSコード、LDPCコード、ターボコードなど)を含むプログラムを実行することができる。いくつかの事例において、コンピュータシステムは、データを複数の核酸配列に変換するプログラム、複数の核酸配列をデータに変換するプログラム、またはその両方を実行する。いくつかの例において、プログラムは、機械学習アルゴリズムであり得る。いくつかの例において、機械学習アルゴリズムは、シグナル(例えば、電気シグナル、例えば、電流または電圧)に基づいてヌクレオチド塩基を決定し得る。
【0195】
プログラムは、本明細書に提供されるコンピュータシステムで実行され得る。いくつかの事例において、プログラムは、統計アルゴリズムまたは機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの事例において、機械学習(ML)を含むアルゴリズムを使用して、シグナル(例えば、電流/電圧)を、ポリヌクレオチドに付加されたヌクレオシドモノマーに関連付ける。いくつかの場合において、MLを含むアルゴリズムは、シグナル(例えば、電流/電圧)をポリヌクレオチドに付加されたヌクレオシドモノマーに関連付けるために、訓練データを使用して訓練され得る。いくつかの場合において、アルゴリズムは、分類および/またはクラスタリングのための古典的MLアルゴリズム(例えば、K平均法クラスタリング、平均シフトクラスタリング、ノイズを有するアプリケーションの密度ベースの空間クラスタリング(density-based spatial clustering of applications with noise、DBSCAN)、期待値最大化(EM)クラスタリング、凝集型階層クラスタリング、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、K近傍法、ランダムフォレストもしくは決定木、勾配ブースティング、サポートベクターマシン(SVM)、またはこれらの組合せ)を含む。
【0196】
いくつかの場合において、アルゴリズムは、1つ以上のニューラルネットワークなど、層を含む学習アルゴリズムを含む。ニューラルネットワークは、ネットワーク内の接続されたノードを含み得、これにより、入力データの変換または翻訳などの機能を実行することができる。いくつかの例において、所与のノードからの出力は、別のノードへの入力として送られ得る。いくつかの実施形態において、ネットワーク内のノードは、入力ユニット、隠れユニット、出力ユニット、またはこれらの組合せを含み得る。いくつかの場合において、入力ノードは、1つ以上の隠れユニットに接続され得る。いくつかの場合において、1つ以上の隠れユニットは、出力ユニットに接続され得る。ノードは、入力を受け取り、活性化関数に基づいて出力を生成し得る。いくつかの実施形態において、入力または出力は、テンソル、行列、ベクトル、アレイ、またはスカラーであってもよい。いくつかの実施形態において、活性化関数は、正規化線形ユニット(ReLU)活性化関数、シグモイド活性化関数、または双曲正接活性化関数であり得る。いくつかの実施形態において、活性化関数は、ソフトマックス活性化関数であってもよい。ノード間の接続は、所与のノードへの入力データを調節するための重み(例えば、入力データをアクティブ化するか、または入力データを非アクティブ化するための重み)をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、重みは、ニューラルネットワークによって学習され得る。いくつかの実施形態において、ニューラルネットワークは、勾配ベースの最適化を使用して訓練され得る。いくつかの場合において、勾配ベースの最適化は、1つ以上の損失関数を含み得る。いくつかの例において、勾配ベースの最適化は、共役勾配降下法、確率的勾配降下法、またはそれらのバリエーション(例えば、適応モーメント推定(Adam))であり得る。さらなる例において、勾配ベースの最適化における勾配は、バックプロパゲーションを使用して計算され得る。いくつかの実施形態において、ノードは、グラフに編成されて、ネットワーク(例えば、グラフニューラルネットワーク)が生成され得る。いくつかの実施形態において、ノードは、1つ以上の層に編成されて、ネットワーク(例えば、フィードフォワードニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)など)を生成してもよい。いくつかの場合において、ニューラルネットワークは、1つよりも多くの層から構成されるディープニューラルネットワークであり得る。
【0197】
いくつかの場合において、ニューラルネットワークは、1つ以上の再帰層を含み得る。いくつかの例において、1つ以上の再帰層は、逐次的データ分類およびクラスタリングを実行することができる1つ以上の長・短期記憶(LSTM)層またはゲート付き回帰型ユニット(GRU)であり得る。いくつかの実施形態において、ニューラルネットワークは、1つ以上の畳み込み層を含み得る。入力および出力は、データセット内の変数または属性(例えば、特徴)を表すテンソルであり得、これは、特徴マップ(またはアクティベーションマップ)と称され得る。いくつかの場合において、畳み込みは、1次元(1D)畳み込み、2次元(2D)畳み込み、3次元(3D)畳み込み、またはこれらの任意の組合せであり得る。さらなる場合には、畳み込みは、1D転置畳み込み、2D転置畳み込み、3D転置畳み込み、またはこれらの任意の組合せであってもよい。いくつかの例において、1次元畳み込み層は並列畳み込みを通じて時系列を分類することができるため、時系列データに好適であり得る。いくつかの例において、畳み込み層は、ポリヌクレオチドに付加されたヌクレオシドモノマーへのシグナル(例えば、電流/電圧)を分析するために使用され得る。
【0198】
ニューラルネットワーク内の層は、畳み込み層の前または後に1つ以上のプーリング層をさらに含み得る。1つ以上のプーリング層は、行列の領域をまとめるフィルターを使用して、特徴マップの次元性を低減させることができる。これにより、出力の数をダウンサンプリングすることができ、したがって、ニューラルネットワークに必要とされるパラメーターおよび計算リソースが低減され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のプーリング層は、最大値プーリング、最小値プーリング、平均値プーリング、グローバルプーリング、ノルムプーリング、またはこれらの組合せであり得る。最大値プーリングは、行列の領域内の最大値のみを取得することでデータの次元性を低減させることができ、これは、重要な特徴を捕捉するのに役立つ。いくつかの実施形態において、1つ以上のプーリング層は、1次元(1D)、2次元(2D)、3次元(3D)、またはこれらの任意の組合せであり得る。ニューラルネットワークは、さらに、入力を平坦化(flatten)して次の層に送ることができる1つ以上の平坦化層を含み得る。いくつかの場合において、入力は、それを1次元アレイに削減することによって、平坦化され得る。平坦化された入力は、オブジェクトの分類(例えば、ポリヌクレオチドに付加されたヌクレオシドモノマーへのシグナル(例えば、電流/電圧)の分類など)を出力するために使用され得る。ニューラルネットワークは、さらに、1つ以上のドロップアウト層を含み得る。ドロップアウト層は、ニューラルネットワークの訓練中に使用され得る(例えば、バイナリまたはマルチクラスの分類を実行するために)。1つ以上のドロップアウト層は、ある特定の重みをランダムに0に設定し得、これにより、特徴マップ内の対応する要素が0に設定され得るため、ニューラルネットワークは過適合を回避することができる。ニューラルネットワークは、さらに、全結合型ネットワークを構成する1つ以上のデンス層を含み得る。デンス層において、情報は、全結合型ネットワークを通過し得、オブジェクトの予測分類が生成され、エラーが計算され得る。いくつかの実施形態において、エラーは、予測を改善するためにバックプロパゲーションされ得る。1つ以上のデンス層は、数値のベクトルを確率のベクトルに変換し得るソフトマックス活性化関数を含み得る。これらの確率は、続いて、分類、例えば、ポリヌクレオチドに付加されたヌクレオシドモノマーへのシグナル(例えば、電流および/または電圧)の分類に使用され得る。
【0199】
図18に図示されるコンピュータシステム3200は、媒体3211および/またはネットワークポート3205から命令を読み取ることができる論理装置として理解することができ、これは、任意選択で、固定された媒体3212を有するサーバ3209に接続され得る。システムは、CPU3201、ディスクドライブ3203、任意選択の入力デバイス、例えば、キーボード3215および/またはマウス3216、ならびに任意選択のモニター3207を含み得る。指定された通信媒体を通じて、ローカルまたはリモート位置にあるサーバへのデータ通信が、達成され得る。通信媒体は、データを送信および/または受信する任意の手段を含み得る。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、ワイヤレス接続、またはインターネット接続であり得る。そのような接続は、World Wide Webを介した通信を提供し得る。本開示に関連するデータは、パーティ3222による受信および/または確認のために、そのようなネットワークまたは接続を介して送信することができることが想定される。
【0200】
図19は、本開示の例示的な事例に関連して使用することができるコンピュータシステムの第1の例示的なアーキテクチャを図示するブロック図である。図18に示されるように、例示的なコンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサ3302を含み得る。プロセッサの非限定的な例としては、Intel Xeon(商標)プロセッサ、AMD Opteron(商標)プロセッサ、Samsung 32ビット RISC ARM 1176JZ(F)-S v1.0(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Samsung S5PC100(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Apple A4(商標)プロセッサ、Marvell PXA 930(商標)プロセッサ、または機能的に同等のプロセッサが挙げられる。複数の実行スレッドが、並列処理に使用され得る。いくつかの事例において、単一のコンピュータシステム内にあるか、クラスター内にあるか、または複数のコンピュータ、携帯電話、および/もしくはパーソナルデータアシスタントデバイスを含むネットワークを介したシステムにわたって分散された、複数のプロセッサ、または複数のコアを有するプロセッサを使用することもできる。
【0201】
図19に図示されるように、高速キャッシュ3304を、プロセッサ3302に接続するかまたは組み込んで、プロセッサ3302によって最近使用されたかまたは頻繁に使用される命令またはデータのための高速メモリを提供することができる。プロセッサ3302は、プロセッサバス3308によってノースブリッジ3306に接続される。ノースブリッジ3306は、メモリバス3312によってランダムアクセスメモリ(RAM)3310に接続され、プロセッサ3302によるRAM 3310へのアクセスを管理する。ノースブリッジ3306は、チップセットバス3316によってサウスブリッジ3314にも接続される。サウスブリッジ3314は、周辺バス3318に接続される。周辺バスは、例えば、PCI、PCI-X、PCI Express、または他の周辺バスであり得る。ノースブリッジおよびサウスブリッジは、プロセッサチップセットと称されることが多く、プロセッサ、RAM、および周辺バス3318上の周辺コンポーネント間のデータ転送を管理する。いくつかの代替アーキテクチャにおいて、ノースブリッジの機能性は、別個のノースブリッジチップを使用する代わりに、プロセッサに組み込むことができる。
【0202】
いくつかの事例において、システム3300は、周辺バス3318に取り付けられるアクセラレータカード3322を含み得る。アクセラレータは、ある特定の処理を加速させるためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のハードウェアを含み得る。例えば、アクセラレータは、適応型データ再構築、または拡張セット処理に使用される代数式の評価に使用され得る。
【0203】
ソフトウェアおよびデータは、外部ストレージ3324に保存され、プロセッサによる使用のために、RAM3310および/またはキャッシュ3304にロードされ得る。システム3300は、システムリソースを管理するためのオペレーティングシステムを含み、オペレーティングシステムの非限定的な例としては、Linux、Windows(商標)、MACOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、および他の機能的に同等のオペレーティングシステム、ならびに本開示の例示的な実施形態に従ってデータストレージおよび最適化を管理するためにオペレーティングシステム上で実行されるアプリケーションソフトウェアが挙げられる。
【0204】
この例では、システム3300はまた、ネットワーク接続ストレージ(NAS)および分散並列処理に使用することができる他のコンピュータシステムといった、外部ストレージへのネットワークインターフェースを提供するための周辺バスに接続されたネットワークインターフェースカード(NIC)3320および3321も含む。
【0205】
図20は、複数のコンピュータシステム3402aおよび3402b、複数の携帯電話およびパーソナルデータアシスタント3402c、ならびにネットワーク接続ストレージ(NAS)3404aおよび3404bを有するネットワーク3400を示す図である。例示的な実施形態において、システム3402a、3402b、および3402cは、データストレージを管理し、ネットワーク接続ストレージ(NAS)3404aおよび3404bに保存されたデータに関してデータアクセスを最適化することができる。数学モデルが、データに使用され、コンピュータシステム3402aおよび3402b、ならびに携帯電話およびパーソナルデータアシスタントシステム3402cにまたがる分散並列処理を使用して評価され得る。コンピュータシステム3402aおよび3402b、ならびに携帯電話およびパーソナルデータアシスタントシステム3402cは、ネットワーク接続ストレージ(NAS)3404aおよび3404bに保存されたデータの適応型データ再構築のための並列処理も提供し得る。図20は、一例を例示するに過ぎず、広範な他のコンピュータアーキテクチャおよびシステムが、本開示の様々な実施形態と併せて使用され得る。例えば、ブレードサーバを使用して、並列処理を提供することができる。プロセッサブレードは、並列処理を提供するためにバックプレーンを通じて接続され得る。ストレージもまた、バックプレーンに接続され得るか、または別個のネットワークインターフェースを通じてネットワーク接続ストレージ(NAS)として接続され得る。
【0206】
いくつかの例示的な実施形態において、プロセッサは、別個のメモリ空間を維持し、他のプロセッサによる並列処理のためにネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のコネクタを通じてデータを送信することができる。他の実施形態において、プロセッサの一部またはすべては、共有の仮想アドレスメモリ空間を使用し得る。
【0207】
図21は、例示的な実施形態による、共有の仮想アドレスメモリ空間を使用したマルチプロセッサコンピュータシステム3500のブロック図である。システムは、共有メモリサブシステム3504にアクセスすることができる複数のプロセッサ3502a~fを含む。システムは、メモリサブシステム3504内に複数のプログラマブルハードウェアメモリアルゴリズムプロセッサ(MAP)806a~fを組み込む。それぞれのMAP3506a~fは、メモリ3508a~fおよび1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)3510a~fを含み得る。MAPは、構成可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズム、またはアルゴリズムの一部分が、それぞれのプロセッサと緊密に連携した処理のために、FPGA3510a~fに提供され得る。例えば、MAPは、データモデルに関する代数式を評価するため、および例示的な実施形態では適応型データ再構築(adaptive data restructuring)を実行するために、使用することができる。この例において、それぞれのMAPは、これらの目的のためにプロセッサのすべてによってグローバルにアクセス可能である。1つの構成において、それぞれのMAPは、直接メモリアクセス(DMA)を使用して、関連付けられたメモリ3508a~fにアクセスし、それぞれのマイクロプロセッサ3502a~fから独立してかつ非同期的に、タスクを実行することができる。この構成では、MAPは、結果を、アルゴリズムのパイプライン化および並列実行のために、別のMAPに直接送ることができる。
【0208】
上記のコンピュータアーキテクチャおよびシステムは、例にすぎず、汎用プロセッサ、コプロセッサ、FPGA、および他のプログラマブル論理デバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ならびに他の処理および論理要素の任意の組合せを使用したシステムを含め、広範な他のコンピュータ、携帯電話、およびパーソナルデータアシスタントのアーキテクチャおよびシステムを、例示的な実施形態に関連して使用することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムのすべてまたは一部は、ソフトウェアまたはハードウェアで実装することができる。ランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ならびに他のローカルまたは分散型データストレージデバイスおよびシステムを含む、任意の広範なデータストレージ媒体を、例示的な実施形態に関連して使用することができる。
【0209】
例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、上記のうちのいずれか、または他のコンピュータアーキテクチャおよびシステム上で実行されるソフトウェアモジュールを使用して実装することができる。他の実施形態において、システムの機能は、ファームウェア、プログラマブル論理デバイス、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の処理および論理要素において、部分的または完全に実装することができる。例えば、セットプロセッサおよびオプティマイザーを、ハードウェアアクセラレータカードの使用を通じてハードウェアアクセラレーションで実装することができる。
【0210】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態の原理および実施を当業者に、より明確に例示するために記載されており、いずれの特許請求される実施形態の範囲も制限するものと解釈されるべきではない。別途記載されない限り、すべての部およびパーセンテージは、重量に基づく。
【実施例
【0211】
実施例1:5’-O-alloc DNAホスホラミダイトモノマーを使用したDNAの化学合成。
dT 15量体DNAオリゴマーを、図13に図示される合成サイクルを使用して合成した。5’-O-alloc脱保護条件は、以下の通りであった:THF中、800μM Pd(Ph、10mM PPh、N,N-ジメチルバルビツール酸、反応時間3分間。15量体DNAオリゴマーの完全性を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)による分析を使用して確認した。
【0212】
図13は、5’-alloc DNAホスホラミダイトモノマーを使用したDNAの化学合成を図示する。第1に、5’-O-alloc保護されたホスホラミダイトモノマーを使用して、ホスホラミダイトカップリングを達成した。第2に、カップリングしたホスホラミダイト部分を、酸化およびキャッピングに供した。第3に、カップリングしたホスホラミダイト部分を、Pdに触媒されるalloc脱保護に供した。
【0213】
図14Aは、5’-O-alloc脱保護を使用して合成した15量体DNAオリゴマーのHPLC分析を示す。図14Bは、5’-O-alloc脱保護を使用して合成した15量体DNAオリゴマーのMS分析を示す。
【0214】
実施例2:P-O-alloc DNAホスホラミダイトモノマーを使用したDNAの化学合成。
dT 15量体DNAオリゴマーを、P-O-シアノエチル基をP-O-alloc保護基と置き換えることによって合成した。安定したH-ホスホネートがそれぞれのサイクルで(脱保護と同時に)生成され、合成の最後に単一のステップとして酸化が起こる。
【0215】
図15は、P-O-alloc保護基を使用したDNAの化学合成を示す。第1に、5’-O-alloc保護およびP-O-alloc保護されたホスホラミダイトモノマーを使用して、ホスホラミダイトカップリングを達成する。第2に、カップリングしたホスホラミダイト部分を、Pdに触媒されるalloc脱保護およびキャッピングに供する。すべてのカップリングステップを繰り返した後、最終中間体を、酸化および切断に供して、所望されるオリゴマー分子を得る。
【0216】
実施例3:電気化学プラットフォーム上でのDNAオリゴマー合成
DNAオリゴマーの合成を、塩基対を固体支持体にコンジュゲートすることによって、電気化学プラットフォーム上で行う。5’-O-alloc保護されたDMTr DNAホスホラミダイトモノマーをカップリングし、Pd(0)によって触媒される求核剤での脱保護に供する。この種は、Pd(II)前駆体の部位選択的還元によって生じ得る。
【0217】
図16は、5’-O-alloc保護されたDNAホスホラミダイト部分を、Pd(0)によって触媒して求核剤で脱保護する、電気化学プラットフォーム上でのDNAオリゴマー合成を図示する。
【0218】
実施例4:電気泳動アプリケーション
図17は、荷電種が反応部位に対して選択的に誘引、または遠ざけられる、電気泳動アプリケーションでの電気化学プラットフォームの使用を図示する。一例において、負に荷電したアリールスルホネート含有ホスフィン配位子が反応部位に対して誘引されるか(脱保護を促進するため)、または反応部位から遠ざけられる(脱保護を防ぐため)。代替的には、正に荷電した配位子が使用される。
【0219】
実施例5:高密度アレイデバイス
実施例1または2の一般的な方法に従って、ポリヌクレオチド合成のためのアドレス指定可能な場所のアレイを含む固体支持体を利用して、150塩基の長さを有する少なくとも10,000個のポリヌクレオチドのライブラリーを合成する。場所は、10~200nmのピッチ距離を有し、アレイは、少なくとも1000個のアドレス指定可能な場所を含む。
【0220】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、そのような実施形態は、例としてのみ提供されていることが、当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変化形、変更、および代替形を想起するであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替形態が、本発明の実施に用いられ得ることを、理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物がそれによって網羅されることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】