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特表2024-542048沈み込みが低減された脊椎インプラント及び外科処置、並びに関連するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】沈み込みが低減された脊椎インプラント及び外科処置、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20241106BHJP
   A61B 34/10 20160101ALN20241106BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525875
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022048536
(87)【国際公開番号】W WO2023076717
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,135
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】ウィンストン ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ロエカ アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カルデロン エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン シドニー
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC20
4C097MM01
(57)【要約】
患者固有の外科処置及び/又は医療デバイスを設計及び実装するためのシステム及び方法が開示される。幾つかの実施形態において、方法は、患者の患者データセットを受け取るステップを含む。患者データセットは、複数の参照患者データセットと比較され、複数の参照患者データセットの各々は、対応する参照患者に関連付けられる。複数の参照患者データセットのサブセットは、患者データセット及び対応する参照患者の治療結果との類似性に少なくとも部分的に基づいて選択される。選択されたサブセットに基づいて、患者を治療するための少なくとも1つの外科処置又は医療デバイス設計が生成される。外科処置又は医療デバイス設計は、1又は2以上の術後状態のリスク低減に関連する1又は2以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて生成することができる。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データを受け取るステップであって、前記患者データは、前記患者の生来の解剖学的構成を示す前記患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む、ステップと、
前記患者の生来の解剖学的構成を示す前記脊椎領域の仮想モデルを作成するステップと、
前記患者の脊椎領域の矯正解剖学的構成を決定するステップと、
前記矯正解剖学的構成を示すように前記脊椎領域の仮想モデルを更新するステップと、
更新された前記仮想モデルに基づいて、1又は2以上の患者固有椎間インプラントを設計するステップと、
前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを製造する前に、前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップであって、前記予測は、前記患者の脊椎領域の1又は2以上の機械的特性及び/又は前記患者固有椎間インプラントの1又は2以上の特性に少なくとも部分的に基づく、ステップと、
前記沈み込みが発生する予測された確率及び/又は前記沈み込みの予測された大きさが所定の閾値を下回ることに応答して、前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを製造するための製造命令を生成するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記沈み込みの確率及び/又は前記沈み込みの大きさを予測するステップが、
前記患者の少なくとも1つの椎体の1又は2以上の機械的特性を決定するステップと、
患者固有整形外科インプラントに対する少なくとも1つの椎体の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記機械的特性が、前記少なくとも1つの椎体のエンドプレート剛性を含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記インプラントの特性が、患者固有整形外科インプラントの強度、剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記沈み込みの確率及び/又は前記沈み込みの大きさを予測するステップが、前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントと前記患者の少なくとも1つの椎体との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記患者固有整形外科インプラントと前記少なくとも1つの椎体との間の前記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は患者の脊椎の少なくとも一部の向きの変化を含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記沈み込みの確率及び/又は前記沈み込みの大きさを予測するステップが、前記患者データセット及び/又は前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを複数の参照患者データセットと比較して、前記複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップを更に含み、前記各類似患者データセットが、(a)前記患者と類似の脊椎病理データを有し、(b)それぞれの整形外科インプラントによる治療を受けて、(c)前記それぞれの整形外科インプラントに関連する沈み込みの結果を経験した参照患者に対応する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップが、沈み込みが発生する確率を予測するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
所定の閾値が約5%及び約30%の間である、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップが、前記予想される沈み込みの大きさを予測するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記所定の閾値が、約1mm及び約5mmの間である、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記沈み込みが起こる予測された確率及び/又は前記予想される沈み込みの大きさが前記所定の閾値を上回ることに応答して、前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの設計を修正するステップを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの設計を修正するステップが、(i)前記患者固有整形外科インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、(ii)前記患者固有整形外科インプラントの表面と前記患者の椎体のエンドプレートとの間の接触表面積比を調整するステップ、及び/又は(iii)前記椎体の少なくとも1つの他の領域に対して1又は2以上の増加した機械的特性を有する前記椎体の領域と前記患者固有整形外科インプラントの荷重担持部分とを位置合わせするステップを含む、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
患者固有整形外科インプラントを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データセットを受け取るステップであって、前記患者データセットが前記患者の脊椎病理データを含む、ステップと、
前記患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、前記複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップであって、前記各類似患者データセットが、(a)前記患者と類似の脊椎病理データを有し、(b)それぞれの整形外科インプラントによる治療を受け、(c)前記それぞれの整形外科インプラントに関連する沈み込み結果を経験した参照患者に対応する、ステップと、
前記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、前記選択されたサブセットの各類似患者データセットが、前記参照患者が受けた前記それぞれの整形外科インプラントによる前記治療が良好な沈み込み結果をもたらしたことを示すデータを含む、ステップと、
前記選択されたサブセットの少なくとも1つの類似患者データセットについて、前記それぞれの整形外科インプラントの設計データと、前記それぞれの整形外科インプラントを対応する前記参照患者において移植させる外科処置の外科処置データとを特定するステップと、
前記設計データ及び前記外科処置データに基づいて、前記患者固有整形外科インプラントの設計及び前記患者固有整形外科インプラントを前記患者において移植させる外科処置を生成するステップと、
前記患者固有整形外科インプラントの沈み込みの確率を予測するステップと、
前記予測された沈み込みの確率及び前記沈み込みの確率の減少に関連する1又は2以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記患者固有整形外科インプラントの設計及び/又は前記外科処置を修正するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記沈み込みの確率が、前記患者データ及び前記患者固有整形外科インプラントの設計に少なくとも部分的に基づく、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記沈み込みの確率を予測するステップが、
前記患者の少なくとも1つの椎体の1又は2以上の機械的特性を決定するステップと、
前記患者固有整形外科インプラントに対する少なくとも1つの椎体の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記機械的特性が、前記少なくとも1つの椎体のエンドプレート剛性を含む、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記沈み込みの確率を予測するステップが、前記患者固有整形外科インプラントと前記患者の少なくとも1つの椎体との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記患者固有整形外科インプラントと前記少なくとも1つの椎体との間の前記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は前記患者の脊椎の少なくとも一部の向きの変化を含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記1又は2以上の沈み込みパラメータが、前記患者固有整形外科インプラントの剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記設計及び/又は前記外科処置を修正するステップが、(i)前記患者固有整形外科インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、(ii)前記患者固有整形外科インプラントの表面と前記患者の椎体のエンドプレートとの間の接触表面積比を増加させるステップ、及び/又は(iii)前記患者固有整形外科インプラントの荷重担持部分を、荷重に対する増加した公差を有する前記椎体の領域と位置合わせするステップを含む、請求項20に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データを受け取るステップであって、前記患者データが、前記患者の生来の解剖学的構成を示す患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む、ステップと、
前記患者の脊椎領域の矯正された解剖学的構成を決定するステップと、
前記矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成するステップであって、前記手術計画が、前記矯正された解剖学的構成を達成するための外科処置に関与する1又は2以上の椎骨レベルの特定を含む、ステップと、
前記矯正された解剖学的構成を達成するために前記1又は2以上の椎骨レベルでの椎骨間に適合し且つ1又は2以上の沈み込み設計パラメータに少なくとも部分的に基づく1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップと、
を含み、
前記1又は2以上の沈み込み設計パラメータは、前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの各々の剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、
コンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、前記1又は2以上の患者固有椎間インプラントのうちの少なくとも1つについての沈み込みの確率を予測するステップを更に含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記沈み込みの確率が、前記患者データ及び前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの設計に少なくとも部分的に基づく、請求項23に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、
前記椎骨の1又は2以上の機械的特性を予測するステップと、
前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントに対する前記椎骨の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、請求項23に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記機械的特性が、前記椎骨のエンドプレート強度又は剛性を含む、請求項25に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントと前記対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記患者固有の仮想椎間インプラントと対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は前記患者の脊椎の一部の向きを含む、請求項27に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、
(i)前記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの各々について第1の設計を生成するステップと、(ii)前記第1の設計の少なくとも1つについて沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するステップと、(iii)沈み込みの減少した予測された確率及び/又は大きさを有する第2の設計を生成するよう、前記沈み込みの予測された確率及び/又は大きさと前記1又は2以上の沈み込みパラメータとに少なくとも部分的に基づいて前記第1の設計の1又は2以上を修正するステップと、
を含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
前記設計及び/又は前記外科処置を修正するステップが、(i)前記患者固有椎間インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、及び/又は(ii)前記患者固有椎間インプラントの表面と前記椎骨のエンドプレートとの間の接触表面積比を増加させるステップを含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項31】
前記手術計画を生成するステップが、(i)第1の手術計画を生成するステップと、(ii)前記第1の手術計画に対する沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するステップと、(iii)沈み込みの減少した予測された確率及び/又は大きさを有する第2の手術計画を生成するよう、前記沈み込みの予測された確率及び/又は大きさに少なくとも部分的に基づいて前記第1の手術計画を修正するステップと、
を含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項32】
前記手術計画を修正するステップが、前記患者固有の仮想椎間インプラントの少なくとも1つの荷重担持部分を、増大した剛性を有する前記対応する椎骨の領域と位置合わせするステップを含む、請求項31に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項33】
患者固有整形外科インプラントを生成するシステムであって、
1又は2以上のプロセッサと、
命令を格納するメモリと、
を備え、
前記命令が、前記1又は2以上のプロセッサにより実行されたときに、
患者の患者データセットを受け取るステップと、
前記患者データセットを複数の参照患者データセットと比較するステップであって、前記複数の参照患者データセットの各々が、対応する参照患者に関連付けられる、ステップと、
前記患者データセット及び前記対応する参照患者の沈み込み結果に対する類似性に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の参照患者データセットのサブセットを選択するステップと、
前記選択されたサブセットに基づいて、前記患者を治療するための少なくとも1つの患者固有整形外科インプラント設計を生成するステップと、
を含む動作を前記システムに実行させる、システム。
【請求項34】
前記設計を生成するステップが、前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの沈み込みの確率を予測するステップを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記沈み込みの確率が、前記患者データ及び前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの前記生成された設計に少なくとも部分的に基づく、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記設計を生成するステップが、
前記患者の少なくとも1つの椎骨の1又は2以上の機械的特性を予測するステップと、
前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントに対する前記少なくとも1つの椎骨の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記機械的特性が、前記少なくとも1つの椎骨のエンドプレート強度又は剛性を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記設計を生成するステップが、前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントと前記患者の少なくとも1つの対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントと前記患者の少なくとも1つの対応する椎骨との間の前記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は前記患者の脊椎の一部の向きを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記設計を生成するステップが、1又は2以上の沈み込み軽減設計パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記設計を生成するステップを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記1又は2以上の沈み込み軽減設計パラメータが、前記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの各々の強度、剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記設計を生成するステップが、前記患者の脊椎に沿った複数のレベルでの沈み込みをシミュレーションするステップを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項43】
前記患者データセットが、前記患者に類似した脊椎湾曲を有する参照患者データのサブセットを含み、
前記方法が、前記患者に類似した脊椎湾曲を有する前記参照患者データのサブセットに基づいて、前記患者の脊椎に沿って1又は2以上のレベルを選択するステップを更に含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項44】
患者固有の外科治療を提供するコンピュータ実装方法であって、
患者の提案された手術計画を受け取るステップであって、前記提案された手術計画が、前記患者に実行される少なくとも1つの外科処置と前記患者に移植される少なくとも1つのインプラントのパラメータとを含む、ステップと、
前記提案された手術計画を1又は2以上の患者の組織特性と比較して、前記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定するステップと、
前記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが所定の閾値以上であることに応答して、前記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するために、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
前記沈み込みの確率及び/又は予測される沈み込みの大きさが前記所定の閾値を下回ることに応答して、前記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項45】
前記所定の閾値が、沈み込みの閾値の大きさであり、
前記沈み込みの予測された大きさが、前記閾値の大きさ以上であることに応答して、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示し、
前記沈み込みの予測された大きさが、前記閾値を下回ることに応答して、前記提案された手術計画が許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示す、
請求項44に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項46】
前記閾値の大きさが、約1mm及び約5mmの間である、請求項45に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項47】
前記所定の閾値が、沈み込みの確率であり、
前記沈み込みの確率が、前記閾値の確率以上であることに応答して、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示し、
前記沈み込みの確率が、前記閾値の確率未満であることに応答して、前記提案された手術計画が許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示す、
請求項44に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項48】
前記閾値の確率が、約5%及び約30%の間である、請求項47に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項49】
患者固有の外科的ケアを提供するためのシステムであって、
1又は2以上のプロセッサと、
命令を格納するメモリと、
を備え、
前記命令が、前記1又は2以上のプロセッサにより実行されたときに、
患者の提案された手術計画を受け取るステップであって、前記提案された手術計画が、前記患者に実施される少なくとも1つの外科処置と前記患者に移植される少なくとも1つのインプラントのパラメータを含む、ステップと、
前記提案された手術計画を1又は2以上の患者の組織特性と比較して、前記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定するステップと、
前記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが所定の閾値以上であることに応答して、前記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するために、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
前記沈み込みの確率及び/又は予測される沈み込みの大きさが前記所定の閾値を下回ることに応答して、前記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む動作を前記システムに実行させる、システム。
【請求項50】
前記所定の閾値が、沈み込みの閾値の大きさであり、前記動作が、
前記沈み込みの予測された大きさが、前記閾値の大きさ以上であることに応答して、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
前記沈み込みの予測された大きさが、前記閾値を下回ることに応答して、前記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記閾値の大きさが、約1mm及び約5mmの間である、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記所定の閾値が、沈み込みの確率であり、前記動作が、
前記沈み込みの確率が前記閾値の確率以上であることに応答して、前記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
前記沈み込みの確率が閾値の確率未満であることに応答して、前記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
前記閾値の確率が、約5%及び約30%の間である、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
少なくとも、前記提案された手術計画を1又は2以上の患者組織特性と比較して、前記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定する前記動作が、訓練された機械学習及び/又は人工知能モデルを用いて実行される、請求項49に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年11月1日に出願された米国仮特許出願第63,274,135号の優先権を主張するものであり、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、医療ケアの設計及び実施に関し、より詳細には、沈み込みの確率が低減された外科処置及び/又は医療デバイスを設計及び実施するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
椎間インプラントは、後側腰椎椎体間固定術(PLIF)、前側腰椎椎体間固定術(ALIF)、後側腰椎椎体間固定術(PLIF)、前側腰椎椎体間固定術(ALIF)、横椎体間固定術(TLIF)、側方腰椎椎体間固定術(LLIF)、直接側方腰椎椎体間固定術(DLIF)、又は極側方腰椎椎体間固定術(XLIF)などの脊椎固定術、及び脊椎関節形成術などの非固定術を含む、多種多様な脊椎手術に使用されている。胴体間インプラントの既知の合併症は、術後の椎間板の高さの沈み込みである。これは、例えば、インプラントが上椎体エンドプレート又は下椎体エンドプレートに沈み込み、椎間板の高さ及びスペースの減少を引き起こすことによって生じる場合がある。幾つかの実施形態では、この術後の沈み込みは、手術の長期的な臨床結果、脊椎の機械的安定性、又は類似のものに悪影響を及ぼす可能性がある。従って、椎間インプラントの移植後のインプラントの沈み込みの尤度及び/又は大きさを低減するインプラント及び治療プロトコルを設計する必要性が存在する。
【0004】
添付図面は、本開示のシステム、方法、及び他の様々な態様の実施形態を示す。当業者であれば、図中の例示された要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)が境界の一例を表していることを理解するであろう。幾つかの例では、1つの要素が複数の要素として設計することができ、又は複数の要素が1つの要素として設計することができる。幾つかの例では、ある要素の内部構成要素として示された要素が、別の要素では外部構成要素として実装される場合があり、その逆も同様である。非限定的及び非網羅的な説明を、以下の図面を参照して説明する。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、原理の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するためのシステムを示すネットワーク接続図である。
【0006】
図2】一実施形態による、図1のシステムに関連して使用するのに適したコンピュータデバイスを示す図である。
【0007】
図3】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための方法を示すフロー図である。
【0008】
図4A】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる例示的なデータセットを示し、患者データセットを示す図である。
図4B】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる例示的なデータセットを示し、複数の参照患者データセットを示す図である。
図4C】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる例示的なデータセットを示し、図4Bの参照患者データセットについての類似性スコア及び結果スコアを示す図である。
【0009】
図5A】一実施形態による、患者固有の治療計画及び術後沈み込みの低減されたリスクを有する1又は2以上の患者固有の移植プラントを設計するための方法を示す流れ図である。
【0010】
図5B】一実施形態による、1又は2以上の患者固有インプラントの沈み込みの確率を予測する方法を示すフロー図である。
【0011】
図6】一実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための動作セットアップ及び関連するコンピュータシステムを示す部分概略図である。
【0012】
図7】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる患者の脊椎の一部の例示的な仮想モデルを示す図である。
【0013】
図8】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる患者の脊椎の一部の別の例示的な仮想モデルを示す図である。
【0014】
図9A】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる例示的な患者固有インプラントを示す図である。
図9B】一実施形態による、本明細書に記載の方法に関連して使用及び/又は生成することができる例示的な患者固有インプラントを示す図である。
【0015】
図10】一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成することができる複数の患者固有インプラントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.本技術の概要
本技術は、医療処置及び/又はデバイスを計画及び実施するためのシステム及び方法に向けられている。幾つかの実施形態において、医療デバイスは、整形外科用及び/又は椎間インプラントを含むことができ、医療処置は、患者の脊椎の標的部分又は領域に椎間インプラントを移植させるための処置を含むことができる。医療デバイス及び/又は処置は、コンピュータシステムによって少なくとも部分的に設計することができる。コンピュータシステムは、1又は2以上のデータセット(例えば、患者データセット、参照患者データセット等)及び/又は標的術後結果に関連する1又は2以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、医療デバイス及び/又は処置を設計することができる。具体例として、コンピュータシステムは、患者の脊椎のそれぞれの標的領域に患者固有インプラントの各々を移植させるための1又は2以上の患者固有椎間インプラント及び/又は1又は2以上の医療処置を設計することができる。以下に詳細に説明するように、患者固有の椎間板インプラントは、インプラントの移植後のインプラント及び/又は椎間板高さの沈み込みの確率及び/又は大きさを低減するように特に設計することができる。従って、本技術は、椎体間デバイスの移植後の椎間板高さの崩壊の可能性及び/又は大きさを減少させることにより、患者の治療結果を改善することが期待される。
【0017】
本明細書に開示される実施形態の多くにおいて、医療ケアを提供する方法は、治療される患者の患者データセットを複数の参照患者データセット(例えば、以前に治療された患者からのデータ)と比較することを含む。本方法は、例えば、参照患者データセットと患者データセットとの類似性に基づいて、及び/又は参照患者が、疼痛スコアの改善、沈み込みの無さ等の好ましい治療結果を有していたか否かに基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択することを含むことができる。選択されたサブセットは、特定の患者に対して良好な治療結果(例えば、疼痛スコアの改善、沈み込みなし等)をもたらす可能性が高い外科処置及び/又は医療デバイス設計を生成するために使用することができる。幾つかの実施形態では、選択されたサブセットは、患者の病理、外科処置、デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために解析され、これらの相関関係は、成功の尤度がより高い個別化された治療プロトコルを決定するために使用される。
【0018】
整形外科手術の関連では、改善されたコンピュータ能力(例えば、予測解析、機械学習、ニューラルネットワーク、人工知能(AI))を有するシステムは、大規模なデータセットを使用して、特定の患者に対する改善された又は最適な外科的介入及び/又は移植されるインプラント設計を定義することができる。患者の全データを特徴付け、及び先行患者群からの集約データ(例えば、パラメータ、メトリクス、病理、治療、結果)と比較することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、この集約されたデータを使用して、潜在的な治療解決策(例えば、脊椎及び整形外科処置の手術計画及び/又はインプラント設計)を策定し、関連する成功の尤度を解析する。これらのシステムは、更に、潜在的な治療解決策を比較して、インプラントの移植後のインプラントの沈み込み及び/又は椎間板高さの沈み込みの尤度の低減を含む、成功した結果の尤度を最大化することが期待される最適な患者固有の解決策を決定することができる。
【0019】
例えば、患者が脊椎前弯、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜など)、矢状パラメータ(例えば、骨盤入射、仙骨傾斜など)を含むデータで説明できる脊柱変形の病態を呈している場合、このような脊柱変形の病態に対応した解決策を提供することができる、骨盤入射角、仙骨傾斜角、胸椎前弯など)及び/又は骨盤パラメータを入力として、これらのデータ点を使用するアルゴリズムを使用して、対象の病態を矯正し、患者の結果を改善するための最適な手術計画及び/又はインプラント設計を記述することができる。更に、アルゴリズムは、1又は2以上の術後事象又は状態の発生を少なくとも部分的に低減又は最小化するように、最適な手術計画及び/又はインプラント設計を決定することができる。例えば、アルゴリズムは、インプラントの沈み込みの確率を少なくとも部分的に低減又は最小化するように、インプラント及び/又はインプラント処置を設計することができる。同様に、アルゴリズムは、あらゆるインプラントの沈み込みの大きさを少なくとも部分的に低減又は最小化するように、インプラント及び/又はインプラント処置を設計することができる。アルゴリズムは、1又は2以上の予測モデル及び/又はシミュレーション(例えば、機械的シミュレーション、骨内部成長シミュレーション、インプラント設計に基づく沈み込み予測、椎骨特性に基づく沈み込み予測等)に少なくとも部分的に基づいて、インプラントを設計すること及び/又はインプラントの設計を修正することができる。幾つかの実施形態では、アルゴリズムは、1又は2以上の沈み込み低減パラメータ(例えば、インプラントの長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置等)に少なくとも部分的に基づいて、インプラントを設計すること及び/又はインプラントの設計を修正することができる。更に、又は代替的に、アルゴリズムは、予測モデル及び/又はシミュレーションに少なくとも部分的に基づいて手術計画を調整することができる。病態(例えば、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨の質、骨の強度、骨の硬さ、骨の弾性係数、骨の成長、回転変位)を記述するために追加のデータ入力が使用されると、アルゴリズムは、これらの追加の入力を使用して、その特定の患者及びその病態に最適な手術計画及び/又はインプラントの設計を更に定義及び/又は修正することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、本技術は、1又は2以上の変形を患っている対象患者の矯正解剖学的構成を自動的に又は少なくとも半自動的に決定することができる。例えば、本明細書に記載のコンピュータシステムは、選択されたパラメータ(例えば、腰椎前弯、コブ角等)に対する数学的ルールを適用することができ、及び/又は参照患者データセットを解析することによって類似の患者を特定することができ、ルール及び/又は他の患者との比較に基づいて、対象患者が手術を受けた場合の最適な結果を表す推奨解剖学的構成を提供することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のコンピュータシステムは、決定された矯正解剖学的構成が、1又は2以上の術後状態(例えば、インプラントの沈み込み)の発生(例えば、確率又は尤度)を少なくとも部分的に低減又は最小化するように、閾値設計基準及び/又は閾値の確率を適用することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、矯正/推奨解剖学的構成の仮想モデルを(例えば、外科医がレビューするために)生成する。
【0021】
幾つかの実施形態では、本技術はまた、対象患者に対して以前に特定された矯正解剖学的構成を達成するための手術計画を自動的に又は少なくとも半自動的に生成することができる。例えば、矯正解剖学的構成の仮想モデルに基づいて、本明細書のシステム及び方法は、手術の種類(例えば、脊椎固定手術、非固定手術等)、手術アプローチ(例えば、前方、側方、後方等)、及び/又は矯正解剖学的構成の脊椎パラメータ(例えば、腰椎前弯、コブ天使、矢状縦軸、冠状変位等)を決定することができる。手術計画は、レビュー及び承認のために外科医に送ることができる。幾つかの実施形態では、本技術は、手術計画を介して矯正解剖学的構成を達成するための1又は2以上の患者固有インプラントを設計することもできる。幾つかの実施形態では、手術計画及び/又は患者固有インプラントは、1又は2以上の術後状態(例えば、インプラントの沈み込み)の発生及び/又は大きさを少なくとも部分的に低減又は最小化するように設計することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、本技術は、患者の複数の解剖学的モデルを生成するシステム及び方法を提供する。例えば、第1のモデルは、患者の生来の(例えば、術前の)解剖学的構成を示し、第2のモデルは、患者の矯正された(例えば、術後の)解剖学的構成のシミュレーションを提供することができる。第2の仮想モデルは、任意選択的に、患者の1又は2以上の標的領域に移植されたように示された1又は2以上の仮想インプラントを含むことができる。脊椎メトリックス(例えば、腰椎前弯、コブエンジェル、冠状パラメータ、矢状パラメータ、骨盤パラメータなど)も、術前の解剖学的構成及び予想される術後の解剖学的構成の両方について提供することができる。幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2の仮想モデルは、例えば、1又は2以上の術後状態(例えば、インプラントの沈み込み)の確率を決定するために、1又は2以上の試験又はシミュレーションを実行するために使用することができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、本技術は、患者内の複数の位置に対する患者固有の医療処置を生成、設計、及び/又は提供することを含む。例えば、本技術は、外科的介入のために患者内の少なくとも2つの標的領域又は部位(例えば、第1の椎骨レベル及び第2の椎骨レベル)を特定することを含むことができる。次に、本技術は、少なくとも2つの標的領域に移植される少なくとも2つの患者固有インプラントを設計することができる。少なくとも2つの患者固有インプラントはそれぞれ、それぞれの標的領域用に特別に設計され、異なる形状を有することができる。幾つかの実施形態では、患者の解剖学的構成の矯正は、少なくとも2つの患者固有インプラントのそれぞれを移植することによってのみ達成される。脊椎手術の関連では、例えば、本技術は、L2椎骨とL3椎骨との間に移植される第1の患者固有の椎体間デバイス、L3椎骨とL4椎骨との間に移植される第2の患者固有の椎体間デバイス、及びL4椎骨とL5椎骨との間に移植される第3の患者固有の椎体間デバイスを提供することができる。幾つかの実施形態において、本技術は、少なくとも2つの患者固有インプラントの1又は2以上の術後状態(例えば、沈み込み)の確率を予測すること、及び/又は1又は2以上の沈み込み低減パラメータに基づいて少なくとも2つの患者固有インプラントを設計することを含むことができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、本技術は、診断及び/又は治療計画を支援するために、特定の患者内の疾患の進行を予測し、モデル化し、及び/又はシミュレーションすることができる。シミュレーションは、(a)外科的介入が行われない場合、又は(b)様々な異なる外科的介入オプションについて、患者の将来の解剖学的構成及び/又は脊椎メトリクスをモデル化及び/又は推定するために行うことができる。従って、進行モデリングは、外科的介入の最適な時期を決定するため、及び/又は、どの外科的介入が最良の長期結果をもたらすかを選択するために使用することができる。幾つかの実施形態では、疾患進行モデリングは、複数の参照患者に基づいて訓練された1又は2以上の機械学習モデルを用いて実行される。幾つかの実施形態において、疾患進行モデリングは、1又は2以上の予測モデル及び/又はシミュレーションを使用して、1又は2以上の術後事象又は状態の確率を決定することを含むことができる。例えば、疾患進行モデリングは、1又は2以上の患者固有インプラントの沈み込みの尤度及び/又は大きさを予測することを含むことができる。予測された沈み込みの尤度及び/又は大きさは、例えば、沈み込みの尤度を少なくとも部分的に低減するために手術介入の1又は2以上の態様を決定及び/又は修正する治療計画を支援することができる。
【0025】
特定の非限定的な例では、本技術は、対象患者に患者固有の医療ケアを提供するための方法を含む。本方法は、患者の生来の解剖学的構成を示す患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む対象患者の患者データセットを受け取ることを含むことができる。本方法は、対象患者について、本来の解剖学的構成とは異なる矯正解剖学的構成を決定するステップと、矯正解剖学的構成の仮想モデルを作成するステップとを更に含むことができる。本方法は更に、対象患者において矯正解剖学的構成を達成するための手術計画を生成するステップと1又は2以上の患者固有インプラントを設計するステップとを含むことができる。幾つかの実施形態では、矯正された解剖学的構成及び/又は1又は2以上の患者固有インプラントは、1又は2以上の術後状態(例えば、1又は2以上の患者固有インプラントの沈み込み)の確率の低減と移植することができる。代表的な実施形態では、前述の方法は、実行時にシステムに方法のステップを実行させるコンピュータ実行可能な命令を格納するシステムによって実行することができる。
【0026】
特定の非限定的な例では、本技術は、対象患者のための患者固有整形外科インプラントを設計するための方法を含む。本方法は、対象患者の患者データセットを受け取ることを含むことができ、患者データセットは対象患者の脊椎病理データを含む。患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定することができ、各特定された類似患者データセットは、対象患者と類似の脊椎病理を有し、整形外科インプラントによる治療を受けた参照患者に対応する。本方法は、類似患者データセットが、参照患者がその整形外科インプラントの移植された後に良好な結果(例えば、良好な整形外科インプラントの沈み込み結果)を示したかどうかに基づいて、1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択することを更に含むことができる。本方法は、選択されたサブセットの少なくとも1つの類似の参照患者について、類似の参照患者において良好な結果をもたらしたそれぞれの整形外科インプラントの外科処置データ及び設計データを特定することを更に含むことができる。設計データ及び類似の参照患者において良好な結果をもたらした外科処置データに基づいて、対象患者のための患者固有整形外科インプラント及び患者固有整形外科インプラントを対象患者に移植させる外科処置を設計することができる。幾つかの実施形態において、本方法は、生成された設計に従って患者固有整形外科インプラントを製造システムに製造させるための製造命令を出力することを更に含むことができる。代表的な実施形態では、前述の方法は、実行されるとシステムに方法のステップを実行させるコンピュータ実行可能な命令を格納するシステムによって実行することができる。
【0027】
本開示の実施形態について、複数の図を通して類似の数字が類似の要素を表し、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、以下でより十分に説明する。しかしながら、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載された例は、非限定的な例であり、他の可能な実施例のうちの単なる例に過ぎない。
【0028】
「備える」、「有する」、「含む」、及び「含む」、並びにそれらの他の形態は、これらの単語の何れか1つに続く項目又は複数の項目が、このような項目又は複数の項目を網羅的に列挙することを意味するものではなく、又は列挙された項目又は複数の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点で、意味において同等であり、オープンエンドであることが意図される。
【0029】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の照応を含む。
【0030】
本明細書の開示は、主に整形外科手術の関連における治療計画のためのシステム及び方法について記載しているが、本技術は、他の分野(例えば、他のタイプの手術計画)における医療及びデバイスにも同様に適用することができる。更に、本明細書における多くの実施形態は、移植されるデバイスに関するシステム及び方法を記載しているが、本技術は、他のタイプの医療デバイス(例えば、非移植デバイス)にも同様に適用することができる。
【0031】
B.患者固有の治療計画及び患者固有の医療デバイスを設計するシステム及び方法
図1は、実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータシステム100を示すネットワーク接続図である。本明細書で更に詳細に説明するように、システム100は、患者の治療計画を生成するように構成される。幾つかの実施形態では、システム100は、外傷(例えば、骨折)、癌、変形、変性、痛み(例えば、背中の痛み、脚の痛み)、不規則な脊椎湾曲(例えば、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症)、不規則な脊柱変位(脊椎すべり症、側方変位、軸方向変位など)、変形性関節症、腰椎変性椎間板症、頚椎変性椎間板症、腰椎脊柱管狭窄症、頚椎脊柱管狭窄症、又はこれらの組み合わせなど、整形外科又は脊椎疾患に罹患している患者の治療計画を作成するように構成されている。医療治療計画は、手術情報、手術計画、技術推奨(例えば、デバイス及び/又は器具推奨)、及び/又は医療デバイス設計を含むことができる。例えば、医療処置計画は、少なくとも1つの治療処置(例えば、外科処置又は介入)及び/又は少なくとも1つの医療デバイス(例えば、移植される医療デバイス(本明細書では「インプラント」又は「移植デバイス」とも呼ぶ)又はインプラント送達器具)を含むことができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、システム100は、本明細書では「患者固有の」又は「個別化された」治療計画とも呼ばれる、特定の患者又は患者群に対してカスタマイズされた医療治療計画を生成する。患者固有の治療計画は、患者の特定の特性(例えば、状態、解剖学的構造、病理学的構造、状態、病歴)に対して設計及び/又は最適化された、少なくとも1つの患者固有の手術処置及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイスを含むことができる。例えば、患者固有の医療デバイスは、既製のデバイスではなく、特定の患者のために特別に設計及び製造することができる。具体例として、及び図5A~10を参照してより詳細に説明されるように、患者固有の医療デバイスは、1又は2以上の患者固有の沈み込みパラメータに少なくとも部分的に基づいて設計することができる。しかしながら、患者固有の治療計画は、特定の患者用にカスタマイズされていない態様も含み得ることが理解されよう。例えば、患者固有の又は個別化された外科処置は、患者固有のでない1又は2以上の命令、部分、ステップ等を含むことができる。同様に、患者固有の又は個別化された医療デバイスは、非患者固有の1又は2以上の構成要素を含むことができ、及び/又は非患者固有の器具又はツールと共に使用することができる。個別化インプラント設計は、医療デバイス、器具、及び/又は手術キットを含む患者固有の技術の製造又は選択に使用することができる。例えば、パーソナライズされた手術キットは、1又は2以上の患者固有のデバイス、患者固有の器具、非患者固有の技術(例えば、標準的な器具、デバイスなど)、使用命令、患者固有の治療計画情報、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
システム100は、クライアントコンピュータデバイス102を含み、これは、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当該技術分野において公知の他のこのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。本明細書で更に議論されるように、クライアントコンピュータデバイス102は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納するメモリを含むことができる。クライアントコンピュータデバイス102は、患者を治療している医療提供者に関連付けることができる。図1は、単一のクライアントコンピュータデバイス102を示しているが、代替の実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、代わりに、複数のコンピュータデバイスを包含するクライアントコンピュータシステムとして実装されて、クライアントコンピュータデバイス102に関して本明細書で説明される動作がコンピュータシステム及び/又は複数のコンピュータデバイスによって実行することができるようにすることができる。
【0034】
クライアントコンピュータデバイス102は、治療される患者に関連する患者データセット108を受け取るように構成される。患者データセット108は、患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する他の情報又はパラメータを表すデータを含むことができる。例えば、患者データセット108は、病歴、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、提供者情報(例えば、医師、病院、手術チーム)、患者情報(例えば、人口統計、性別、年齢、身長、体重、病態の種類、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、画像データ(例.カメラ画像、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像)、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成等)又は同様のものを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データセット108は、患者の識別番号(ID)、年齢、性別、肥満度指数(BMI)、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含む。
【0035】
クライアントコンピュータデバイス102は、通信ネットワーク104を介してサーバ106に動作可能に接続され、これにより、クライアントコンピュータデバイス102とサーバ106との間のデータ転送が可能になる。通信ネットワーク104は、有線及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク104は、無線である場合、可視光通信(VLC)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び/又は当該技術分野で知られている他の通信技術等の通信技術を使用して実装することができる。
【0036】
「治療支援ネットワーク」又は「処方解析ネットワーク」とも呼ばれ得るサーバ106は、1又は2以上のコンピュータデバイス及び/又はシステムを含むことができる。本明細書で更に議論されるように、サーバ106は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納するメモリを含むことができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、ハードウェア及び/又は仮想コンピュータリソースの任意の好適な組み合わせにわたる分散「クラウド」コンピュータシステム又は設備として実装される。
【0037】
クライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106は、患者固有の医療ケアを提供するために、本明細書に記載の様々な方法を個々に又は集合的に実行することができる。例えば、本明細書に記載の方法のステップの一部又は全部は、クライアントコンピュータデバイス102単独、サーバ106単独、又はクライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106の組み合わせによって実行することができる。従って、本明細書では、特定の動作がサーバ106に関して説明されているが、これらの動作は、クライアントコンピュータデバイス102によっても実行可能であり、逆もまた同様であることが理解されよう。
【0038】
サーバ106は、本明細書に記載の治療計画方法に有用な参照データを格納するように構成された少なくとも1つのデータベース110を含む。参照データは、同一又は他の患者からの履歴データ及び/又は臨床データ、同一又は他の医療提供者による患者の以前の手術及び/又は他の治療から収集されたデータ、医療デバイス設計に関連するデータ、研究グループ又は研究グループから収集されたデータ、診療データベースからのデータ、学術機関からのデータ、インプラント製造業者又は他の医療デバイス製造業者からのデータ、画像研究からのデータ、シミュレーションからのデータ、臨床試験、人口統計データ、治療データ、結果データ、死亡率等を含むことができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、データベース110は、複数の参照患者データセットを含み、各患者参照データセットは、対応する参照患者に関連付けられる。例えば、参照患者は、以前に治療を受けた患者又は現在治療を受けている患者とすることができる。各参照患者データセットは、対応する参照患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、疾患の進行、嗜好、及び/又は患者データセット108に関して本明細書に記載されるデータの何れか等の参照患者に関連する他の情報又はパラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセットは、術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。例えば、参照患者データセットは、患者ID、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は患者の脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含むことができる。別の例として、参照患者データセットは、外科処置又は介入(例えば、外科的アプローチ、骨切除、外科的操作、矯正操作、移植されるインプラント又は他のデバイスの配置)の説明など、参照患者に行われた少なくとも1つの処置に関する治療データを含むことができる。幾つかの実施形態では、治療データは、物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)など、参照患者の治療に使用される少なくとも1つの医療デバイスの医療デバイス設計データを含む。更に別の例では、参照患者データセットは、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、職場復帰、合併症(例えば、インプラントの沈み込み)、回復時間、有効性、死亡率、及び/又は追跡手術のような、参照患者の治療の結果を表す結果データを含むことができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、複数の医療提供者コンピュータシステム(例えば、システム112a~112c、集合的に112)から参照患者データセットの少なくとも一部を受け取る。サーバ106は、1又は2以上の通信ネットワーク(図示せず)を介して医療提供者コンピュータシステム112に接続することができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者(例えば、医師、外科医、診療所、病院、医療ネットワークなど)に関連付けることができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者によって治療された参照患者に関連付けられた少なくとも1つの参照患者データセット(例えば、参照患者データセット114a~114c、集合的に114)を含むことができる。参照患者データセット114は、例えば、電子医療記録、電子健康記録、生物医学データセットなどを含むことができる。参照患者データセット114は、医療提供者コンピュータシステム112からサーバ106によって受け取ることができ、データベース110に格納するために異なるフォーマットに再フォーマットすることができる。任意選択的に、参照患者データセット114は、表された患者パラメータが本明細書に記載される治療計画方法において有用である可能性が高いことを確実にするために処理(例えば、クリーニング)することができる。
【0041】
本明細書で更に詳細に説明するように、サーバ106は、参照データに基づいて患者固有の治療計画データ(例えば、治療処置、医療デバイス)を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有データは、患者データセット108と参照データとの間の相関関係に基づいて生成される。任意選択的に、サーバ106は、回復時間、臨床エンドポイントに基づく有効性、成功の尤度、インプラントが沈み込む予測確率、インプラントが沈み込む予測大きさ、予測死亡率、予測関連フォローアップ手術、又はこのようなものを含む結果を予測することができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、患者データ(患者滞在中に得られた患者データを含む)を連続的又は定期的に解析して、ほぼリアルタイム又はリアルタイムのリスクスコア、沈み込み予測、死亡率予測等を決定することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、本明細書に記載の患者固有の治療計画方法の1又は2以上のステップを実行するための1又は2以上のモジュールを含む。例えば、図示の実施形態では、サーバ106は、データ解析モジュール116及び治療計画モジュール118を含む。代替の実施形態では、これらのモジュールの1又は2以上を互いに組み合わせることができ、又は省略することができる。従って、本明細書では、特定の操作を特定のモジュール又はモジュールに関して説明するが、これは限定することを意図したものではなく、このような操作は、代替の実施形態では、異なるモジュール又はモジュールによって実行することができる。
【0043】
データ解析モジュール116は、データベース110から、患者固有の治療計画を策定する際に有用である可能性が高い参照データのサブセットを特定するための1又は2以上のアルゴリズムを備えて構成される。例えば、データ解析モジュール116は、患者固有データ(例えば、クライアントコンピュータデバイス102から受信された患者データセット108)をデータベース110からの参照データ(例えば、参照患者データセット)と比較して、類似データ(例えば、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセット)を特定することができる。比較は、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、骨盤入射率、治療レベル、骨量密度、椎骨内板強度、椎骨剛性及び/又は任意の他の適切なパラメータ等の1又は2以上のパラメータに基づくことができる。パラメータは、各参照患者の類似性スコアを算出するために使用することができる。類似性スコアは、患者データセット108及び参照患者データセット間の統計的相関を表すことができる。従って、類似性スコアが、指定された閾値を上回るか、下回るか、又は指定された閾値にあるかどうかに基づいて、類似患者を特定することができる。例えば、以下により詳細に説明するように、各パラメータに値を割り当て、対象患者及び各参照患者間の差の集計を決定することにより、比較を実行することができる。集計された差異が閾値を下回る参照患者は、類似患者とみなすことができる。
【0044】
データ解析モジュール116は、例えば、患者データセット108及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムで更に構成することができる。例えば、データ解析モジュール116は、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定し、及び類似患者データセットが好ましい又は所望の治療結果を示すデータを含むか否かに基づいて、類似患者データセットのサブセットを選択することができる。結果データは、矯正解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、作動レベル、合併症(例えば、インプラントの沈み込み)、回復時間、有効性、死亡率、又は追跡手術等の1又は2以上の結果パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、データ解析モジュール116は、各アウトカムパラメータに値を割り当てることによってアウトカムスコアを計算する。結果スコアが所定の閾値以上、以下又は閾値にある場合、患者は良好な結果を有すると考えられる。
【0045】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、(例えば、臨床医、外科医、医師、医療提供者からの)ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する。例えば、ユーザ入力は、類似の患者データセットを特定する際に使用することができる。幾つかの実施形態では、類似性及び/又は結果パラメータの重み付けは、臨床医の入力に基づいて類似性及び/又は結果スコアを調整するために、医療提供者又は医師によって選択することができる。更なる実施形態では、医療提供者又は医師は、類似性及び/又は結果スコアを生成するために使用される類似性及び/又は結果パラメータのセットをそれぞれ選択する(又は新たな類似性及び/又は結果パラメータを定義する)ことができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、患者パラメータ以外の基準に基づいて参照患者データセットのセット又はサブセットを選択するために使用される1又は2以上のアルゴリズムを含む。例えば、1又は2以上のアルゴリズムは、医療提供者パラメータ(例えば、病院/医師の専門性、実施された処置の数、病院ランキング等の医療提供者ランキング/スコアに基づいて)及び/又は医療リソースパラメータ(例えば、診断機器、設備、外科ロボット等の外科機器)、又は現在の医療提供者に対する処置の結果及びリスクプロファイルを予測するために使用することができる他の非患者関連情報に基づいて、サブセットを選択するために使用することができる。例えば、類似の診断装置から取り込まれた画像を有する参照患者データセットを集約して、診断装置間のばらつきによる不規則性を低減又は制限することができる。更に、類似の医療提供者(例えば、伝統的に類似の結果、医師の専門性、手術計画などを有する医療提供者)からのデータを用いて、特定の医療提供者について患者固有の治療計画を作成することができる。幾つかの実施形態では、参照医療提供者データセット、病院データセット、医師データセット、手術チームデータセット、治療後データセット及び他のデータセットを利用することができる。一例として、戦場手術を行うための患者固有の治療計画は、類似の戦場手術からの参照患者データ及び/又は戦場手術に関連するデータセットに基づくことができる。別の例では、患者固有の治療計画は、利用可能なロボット手術システムに基づいて生成することができる。参照患者データセットは、類似の条件下(例えば、手術チームの規模及び能力、病院リソースなど)で同等のロボット手術システムを用いて手術された患者に基づいて選択することができる。
【0047】
治療計画モジュール118は、データ解析モジュール116からの出力に基づいて少なくとも1つの治療計画(例えば、術前計画、手術計画、術後計画など)を生成するための1又は2以上のアルゴリズムで構成される。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、「処方モデル 」とも呼ばれる患者固有の治療計画を生成するための少なくとも1つの予測モデルを開発及び/又は実装するように構成される。予測モデルは、臨床知識、統計学、機械学習、AI、ニューラルネットワークなどを用いて開発することができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116からの出力は、データセット、患者パラメータ、医療提供者パラメータ、医療リソースパラメータ、治療手順、医療デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AIを使用して)解析される。これらの相関関係を用いて、治療計画が特定の患者にとって好ましい結果をもたらす尤度を予測する少なくとも1つの予測モデルを開発することができる。予測モデルは、例えば、モデルにデータを入力し、モデルの出力を予期される出力と比較することによって、検証することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、参照患者からの以前の治療データに基づいて治療計画を生成するように構成される。例えば、治療計画モジュール118は、データ解析モジュール116から参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセットを受信し、選択されたサブセットから治療データを決定又は特定することができる。治療データは、例えば、対応する患者にとって好ましい又は所望の治療結果(例えば、沈み込みの確率の低減、沈み込みの大きさの低減など)に関連する治療手順データ(例えば、外科処置又は介入データ)及び/又は医療デバイス設計データ(例えば、インプラント設計データ)を含むことができる。治療計画モジュール118は、治療手順データ及び/又は医療デバイス設計データを解析して、治療される患者に対する最適な治療プロトコルを決定することができる。例えば、治療手順及び/又は医療デバイス設計に値を割り当てて集計し、治療スコアを生成することができる。患者固有の治療計画は、スコア(例えば、より高い又は最も高いスコア;より低い又は最も低いスコア;指定された閾値を上回る、下回る、又は指定された閾値にあるスコア)に基づいて治療計画を選択することによって決定することができる。パーソナライズされた患者固有の治療計画は、患者固有の技術又は患者固有の選択された技術に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0049】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、データセット間の相関関係に基づいて治療計画を生成することができる。例えば、治療計画モジュール118は、(例えば、データ解析モジュール116によって特定されるような)良好な結果を有する類似の患者からの治療手順データ及び/又は医療デバイス設計データを相関させることができる。相関解析は、相関係数値を値又はスコアに変換することを含むことができる。値/スコアは、1又は2以上の統計的有意性を決定するために、集計、フィルタリング、又は他の方法で解析することができる。これらの相関は、治療される患者にとって最適であるか、又は好ましい結果をもたらす可能性が高い治療手順及び/又は医療デバイス設計を決定するために使用することができる。
【0050】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、1又は2以上のAI技術を使用して治療計画を生成することができる。AI技術は、人間の知能の態様、例えば、学習、推論、計画、問題解決、意思決定などをシミュレートすることができるコンピュータシステムを開発するために使用することができる。AI技術には、ケースベース推論、ルールベースシステム、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰解析、ベイジアンネットワーク(例えば、ナイーブベイズ分類器)、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、ファジー論理システム、マルチエージェントシステム、群知能、データマイニング、機械学習(例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習)、及びハイブリッドシステムが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、1又は2以上の訓練された機械学習モデルを使用して治療計画を生成する。様々な種類の機械学習モデル、アルゴリズム、及び技術が、本技術と共に使用するのに適している。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、モデルのパラメータ(例えば、人工ニューラルネットワークにおける「ニューロン」間の結合の重み)を適合させるために使用される例の集合である訓練データセットで最初に訓練される。例えば、訓練データセットは、複数の参照患者データセット又はその選択されたサブセット(例えば、複数の類似患者データセット)など、データベース110に格納された参照データの何れかを含むことができる。
【0052】
幾つかの実施形態において、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はナイーブベイズ分類器)は、教師あり学習法(例えば、勾配降下又は確率的勾配降下)を使用して訓練データセット上で訓練することができる。訓練データセットは、生成された「入力ベクトル」と、関連する対応する「回答ベクトル」(一般に標的と表記される)とのペアを含むことができる。現在のモデルは、訓練データセットで実行され、訓練データセットの各入力ベクトルについて、標的と比較される結果を生成する。比較結果と使用されている特定の学習アルゴリズムに基づいて、モデルのパラメータが調整される。モデルフィッティングは、変数選択とパラメータ推定の両方を含むことができる。フィッティングされたモデルは、検証データセットと呼ばれる第2のデータセットのオブザベーションの応答を予測するために使用できる。検証データセットは、モデルパラメータをチューニングしながら、トレーニングデータセットでのモデルフィットの不偏評価を提供できる。検証データセットは、早期の停止、例えば、検証データセット上の誤差が増加したときにトレーニングを停止することによって、正則化に使用することができる。幾つかの実施形態では、検証データセットの誤差は訓練中に変動する可能性があるため、オーバーフィッティングが本当に始まったタイミングを決定するためにアドホックルールを使用することができる。最後に、テストデータセットを使用して、トレーニングデータセットに対する最終的なモデルのフィットを偏りなく評価することができる。
【0053】
治療計画を生成するために、患者データセット108を訓練された機械学習モデルに入力することができる。参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセット、及び/又は選択されたサブセットからの治療データなどの追加データも、訓練された機械学習モデルに入力することができる。次いで、訓練された機械学習モデルは、様々な候補治療手順及び/又は医療デバイス設計が、患者にとって好ましい結果をもたらす可能性が高いかどうかを計算することができる。これらの計算に基づいて、訓練された機械学習モデルは、患者のための少なくとも1つの治療計画を選択することができる。複数の訓練された機械学習モデルが使用される実施形態では、モデルを順次又は同時に実行して結果を比較することができ、訓練データセットを使用して定期的に更新することができる。治療計画モジュール118は、モデルの予測精度スコアに基づいて機械学習モデルの1又は2以上を使用することができる。
【0054】
治療計画モジュール118によって生成される患者固有の治療計画は、少なくとも1つの患者固有の治療手順(例えば、外科処置又は介入)及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイス(例えば、インプラント又はインプラント送達器具)を含むことができる。患者固有の治療計画は、外科処置全体又はその一部を含むことができる。更に、1又は2以上の患者固有の医療デバイスは、対応する外科処置のために特別に選択又は設計することができ、従って、患者固有の技術の様々な構成要素を組み合わせて患者を治療するために使用することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、患者固有の治療手順は、脊椎手術、股関節手術、膝関節手術、顎関節手術、手関節手術、肩関節手術、肘関節手術、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、足関節手術などの整形外科処置を含む。脊椎手術は、後側腰椎椎体間固定術(PLIF)、前側腰椎椎体間固定術(ALIF)、横椎体間固定術又は経椎体間固定術(TLIF)、側方腰椎椎体間固定術(LLIF)、直接側方腰椎椎体間固定術(DLIF)、又は極側方腰椎椎体間固定術(XLIF)などの脊椎固定術を含むことができる。幾つかの実施形態において、患者固有の治療手順は、患者固有の手術手順の1又は2以上の態様を実行するための説明及び/又は命令を含む。例えば、患者固有の外科処置は、外科的アプローチ、矯正操作、骨切除、又はインプラント設置のうちの1又は2以上を含むことができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの設計は、整形外科インプラントの設計及び/又は整形外科インプラントを送達するための器具の設計を含む。このようなインプラントの例としては、ネジ(例えば、骨ネジ、脊椎ネジ、椎弓根スクリュー、ファセットスクリュー)、椎間インプラントデバイス(例えば、椎間インプラント)、ケージ、プレート、ディスク、融合デバイス、スペーサ、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、スキャフォールド、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナー、人工関節、股関節インプラント等が挙げられるが、これらに限定されない。器具の例としては、スクリューガイド、カニューレ、ポート、カテーテル、挿入器具等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
患者固有の医療デバイスの設計は、対応する医療デバイスの物理的特性(例えば、サイズ(例えば、長さ、幅、高さなど)、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科インプラントの設計には、インプラントの形状、サイズ、材料、強度及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置など)を含むことができる。有効剛性は、設計されたインプラントの剛性として説明することができる。一部の実施形態では、生成された患者固有の医療デバイス設計は、機器全体の設計である。或いは、生成された設計は、デバイス全体ではなく、デバイスの1又は2以上の構成要素に対するものとすることができる。一部の実施形態では、設計は、標準的な既製の構成要素と共に使用可能な1又は2以上の患者固有デバイス構成要素のためのものである。例えば、脊椎手術では、椎弓根スクリューキットは、標準的な構成部品と患者固有のカスタマイズされた構成部品の両方を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された設計は、標準的な既製の送達器具と共に使用できる患者固有の医療デバイスのためのものである。例えば、インプラント(スクリュー、スクリューホルダー、ロッドなど)は患者用に設計及び製造することができ、インプラントを送達する器具は標準的な器具を使用することができる。このアプローチにより、患者の解剖学的構造及び/又は外科医の好みに基づいて移植される構成要素を設計及び製造し、治療を強化することができる。本明細書に記載される患者固有のデバイスは、患者の体内への送達、治療部位への配置、及び/又は患者の解剖学的構造との相互作用を改善することが期待される。
【0058】
患者固有の治療計画が医療デバイスを移植する外科処置を含む実施形態では、治療計画モジュール118は、インプラントパラメータ(例えば、種類、寸法、接触領域の面積)、インプラントの利用可能性、術前計画の態様(例えば、初期インプラント構成、患者の解剖学的構造の検出及び測定など)、インプラントのFDA要件(例えば、FDA規制に適合するための特定のインプラントパラメータ及び/又は特性)など、様々な種類のインプラント手術情報も格納することができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、インプラント手術情報を機械学習ベースのモデル及びアルゴリズムに使用可能な形式に変換することができる。例えば、インプラント手術情報は、数式用の特定の識別子でタグ付けすることができるか、又は、訓練された機械学習モデルに供給するのに適した数値表現に変換することができる。治療計画モジュール118はまた、解剖学の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者の解剖学に関する情報、及び/又は解剖学の生物学、幾何学、及び/又は機械的特性に関する情報を格納することができる。解剖学的情報は、インプラントの設計及び/又は配置を知らせるために使用することができる。
【0059】
治療計画モジュール118によって生成された治療計画は、ユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力するために、通信ネットワーク104を介してクライアントコンピュータデバイス102に送ることができる。幾つかの実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、治療計画を出力するためのディスプレイ122を含むか、又はディスプレイ122に動作可能に結合される。ディスプレイ122は、治療計画の様々な態様を視覚的に描写するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含むことができる。例えば、ディスプレイ122は、外科的アプローチ、治療レベル、矯正操作、組織切除、及び/又は移植されるインプラントの配置など、患者に実施される外科処置の様々な態様を示すことができる。視覚化を容易にするために、外科処置の仮想モデルを表示することができる。別の例として、ディスプレイ122は、患者に移植される医療デバイスの設計、例えばデバイス設計の2次元又は3次元モデルを表示することができる。ディスプレイ122はまた、外科処置が行われる場所及び/又はデバイスが移植される場所である患者の解剖学的構造の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者情報を表示することができる。クライアントコンピュータデバイス102は、ユーザが表示された治療計画を修正、選択、承認、及び/又は拒否することを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を更に含むことができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118によって生成された医療デバイス設計は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106から、対応する医療デバイスを製造するための製造システム124に送ることができる。製造システム124は、オンサイト又はオフサイトに配置することができる。現場での製造は、患者とのセッションの回数及び/又は手術を実施できるようになるまでの時間を短縮することができ、一方、現場外での製造は、複雑なデバイスを製造するのに有用である。オフサイト製造施設は特殊な製造設備を有することができる。幾つかの実施形態では、より複雑なデバイス構成要素はオフサイトで製造することができ、より単純なデバイス構成要素はオンサイトで製造することができる。
【0061】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システム124は、3次元(3D)印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)などの付加製造用に構成することができる、選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。代替的に又は組み合わせて、製造システム124は、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザ切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は類似の技術、又はこれらの組み合わせのような、除去的(従来の)製造のために構成することができる。製造システム124は、製造命令又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載される様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。システム100の異なる構成要素は、製造システム124によって使用される製造データの少なくとも一部を生成することができる。製造データは、限定するものではないが、製造命令(例えば、付加製造装置、除去製造装置等によって実行可能なプログラム)、3Dデータ、CADデータ(例えば、CADファイル)、CAMデータ(例えば、CAMファイル)、パスデータ(例えば、プリントヘッドパス、ツールパス等)、材料データ、公差データ、表面仕上げデータ(例えば、表面粗さデータ)、規制データ(例えば、FDA要件、償還データ等)等を含むことができる。製造システム124は、受信した製造データに基づいて、インプラントの設計の製造可能性を解析することができる。インプラントの設計は、形状、表面等を移植され、その後、製造命令を生成することによって最終化することができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、製造システム124に送信される製造データの少なくとも一部を生成する。
【0062】
製造システム124は、CAMデータ、印刷データ(例えば、粉末床印刷データ、熱可塑性樹脂印刷データ、写真樹脂データ等)等を生成することができ、及び付加製造装置、除去的製造装置、熱処理装置等を含むことができる。付加製造装置は、3Dプリンタ、立体造形デバイス、デジタル光処理デバイス、溶融堆積造形デバイス、選択的レーザ焼結デバイス、選択的レーザ溶融デバイス、電子ビーム溶融デバイス、積層造形デバイス、パウダーベッドプリンタ、熱可塑性樹脂プリンタ、直接材料堆積デバイス、又はインクジェット写真樹脂プリンタ、又はこれらに類する技術とすることができる。除去的製造装置としては、CNCマシン、放電加工機、グラインダー、レーザカッター、ウォータージェットマシン、手動マシン(フライス盤、旋盤等)、又はこれらに類する技術とすることができる。複雑な形状、表面仕上げ、材料特性等を有する移植されるインプラントを製造するために、加法的技術及び除去的技術の両方が使用することができる。生成された製造命令は、製造システム124に、患者固有の設計と一致する又は治療上同一の患者固有整形外科インプラントを製造させるように構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者用の展開可能な患者固有の医療デバイスは、類似の内部展開機構を有するが、異なる展開構成を有することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの構成要素は、利用可能な前製造構成要素のセットから選択され、選択された前製造構成要素は、製造命令又はデータに基づいて変更することができる。
【0063】
本明細書に記載される治療計画は、外科医、手術ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができ、従って、治療の柔軟性を可能にする。幾つかの実施形態では、外科処置は、全て外科医によって、全て外科ロボットによって、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。例えば、外科処置の1つのステップを外科医が手動で行い、外科処置の別のステップを外科ロボットによって行うことができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、外科処置の一部又は全部を外科ロボット(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステム等)に行わせるように構成された制御命令を生成する。制御命令は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106によってロボット装置に送ることができる。
【0064】
治療計画に従って患者を治療した後、データ解析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118を更新するために、1又は2以上の期間にわたって治療経過を監視することができる。治療後データは、データベース110に格納された参照データに追加することができる。治療後データは、患者固有の治療計画、患者固有の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを開発するための機械学習モデルを訓練するために使用することができる。
【0065】
システム100の構成要素は、多くの異なる方法で構成できることが理解されよう。例えば、代替の実施形態では、データベース110、データ解析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118は、サーバ106ではなく、クライアントコンピュータデバイス102の構成要素とすることができる。別の例として、データベース110、データ解析モジュール116、及び/又は治療計画モジュール118は、単一のサーバ106又はクライアントコンピュータデバイス102ではなく、複数の異なるサーバ、コンピュータシステム、又は他のタイプのクラウドコンピュータリソースにわたって配置することができる。
【0066】
更に、幾つかの実施形態では、システム100は、多数の他のコンピュータシステム環境又は構成で動作可能である。本技術と共に使用するのに適したコンピュータシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブル電子デバイス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの何れかを含む分散コンピュータ環境等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
図2は、一実施形態による、図1のシステム100に関連して使用するのに適したコンピュータデバイス200を示す。コンピュータデバイス200は、クライアントコンピュータデバイス102又はサーバ106等、図1のシステム100の様々な構成要素に組み込むことができる。コンピュータデバイス200は、1又は2以上のプロセッサ210(例えば、CPU、GPU、HPUなど)を含む。プロセッサ210は、デバイス内の単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットとすることができ、又は複数のデバイスに分散させることができる。プロセッサ210は、例えば、PCIバス又はSCSIバス等のバスを使用して、他のハードウェアデバイスに結合することができる。プロセッサ210は、本明細書で説明する方法の何れかを実行するためのプログラム命令など、1又は2以上のコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成することができる。
【0068】
コンピュータデバイス200は、例えば、デバイス200のユーザからのアクションを通知するために、プロセッサ210に入力を提供する1又は2以上の入力デバイス220を含むことができる。アクションは、入力デバイスから受信された信号を解釈し、通信プロトコルを使用して情報をプロセッサ210に伝達するハードウェアコントローラによって媒介することができる。入力デバイス220は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、及び他のユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0069】
コンピュータデバイス200は、テキスト、モデル、仮想処置、手術計画、インプラント、グラフィック、及び/又は画像(例えば、ある位置における組織の密度を表す放射線密度単位又はハウンスフィールド単位を示すボクセルを有する画像)などの様々なタイプの出力を表示するために使用されるディスプレイ230を含むことができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、グラフィカル及びテキストによる視覚的フィードバックをユーザに提供する。プロセッサ210は、デバイス用のハードウェアコントローラを介してディスプレイ230と通信することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、入力デバイス220がタッチスクリーンを含む場合、又は視線方向監視システムを備える場合など、ディスプレイ230の一部として入力デバイス220を含む。代替の実施形態では、ディスプレイ230は入力デバイス220とは別個である。ディスプレイデバイスの例としては、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、突出部、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス)等が挙げられる。
【0070】
任意選択的に、他のI/Oデバイス240も、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス等のプロセッサ210に結合することができる。他のI/Oデバイス240は、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む画像化装置などの直接接続された医療デバイスからの情報のための入力ポートを含むこともできる。他のI/Oデバイス240は、ネットワークを介して又は例えばデータベースに格納された以前に取り込まれたデータ等の他のソースから、これらのタイプの機械からデータを受け取るための入力ポートを更に含むことができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス200はまた、ネットワークノードと無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイス(図示せず)を含む。通信デバイスは、例えばTCP/IPプロトコルを使用して、ネットワークを介して他のデバイス又はサーバと通信することができる。コンピュータデバイス200は、通信デバイスを利用して、画像化装置、製造装置等を含む複数のネットワークデバイスにわたって動作を分散させることができる。
【0072】
コンピュータデバイス200は、メモリ250を含むことができ、メモリ250は、単一のデバイス内にあることも、複数のデバイスに分散することもできる。メモリ250は、揮発性及び不揮発性記憶用の様々なハードウェアデバイスのうちの1又は2以上を含み、読み取り専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み出し専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファなどの書き込み可能な不揮発性メモリから構成することができる。メモリは、基礎となるハードウェアから切り離された伝搬信号ではなく、従って、メモリは非一時的である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、例えば、プログラム、ソフトウェア、データなどを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、オペレーティングシステム262、1又は2以上の治療支援モジュール264、及び他のアプリケーションプログラム266などのプログラム及びソフトウェアを格納するプログラムメモリ260を含むことができる。治療支援モジュール264は、本明細書で説明する様々な方法(例えば、図1に関して説明したデータ解析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118)を実行するように構成された1又は2以上のモジュールを含むことができる。メモリ250はまた、例えば、プログラムメモリ260又はコンピュータデバイス200の任意の他の要素に提供することができる参照データ、構成データ、設定、ユーザオプション又はプリファレンスなどを含み得るデータメモリ270を含むことができる。
【0073】
図3は、実施形態による、患者固有の医療を提供するための方法300を示す流れ図である。方法300は、データフェーズ310、モデリングフェーズ320、及び実行フェーズ330を含むことができる。データ段階310は、治療される患者のデータ(例えば、病理データ)を収集することと、患者データを参照データ(例えば、病理データ、手術データ、及び/又は結果データなどの先行患者データ)と比較することとを含むことができる。例えば、患者データセットが受け取ることができる(ブロック312)。患者データセットは、例えば、複数の参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定するために、複数の参照患者データセットと比較することができる(ブロック314)。複数の参照患者データセットの各々は、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨の質、回転変位、又は脊椎の治療レベルのうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。
【0074】
複数の参照患者データセットのサブセットは、例えば、患者データセット及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、選択することができる(ブロック316)。例えば、患者データセットと参照患者データセットとの比較に基づいて、各参照患者データセットについて類似性スコアを生成することができる。類似性スコアは、患者データと参照患者データセットとの間の統計的相関を表すことができる。類似性スコアに少なくとも部分的に基づいて、1又は2以上の類似患者データセットを特定することができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、選択されたサブセットの各患者データセットは、良好な治療結果(例えば、単一の標的結果、集約結果スコア、結果閾値に基づく良好な治療結果)を示すデータを含み、及び/又は関連付けられる。データは、例えば、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の存在、健康関連QOL、活動レベル、又は合併症(例えば、インプラントの沈み込み)のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、データは、単一の標的結果、集計結果、及び/又は結果閾値に基づいて計算することができる結果スコアであるか、又は結果スコアを含む。
【0076】
任意選択的に、データ解析段階310は、選択されたサブセットの少なくとも1つの患者データセットについて(例えば、少なくとも1つの類似の患者データセットについて)、好ましい治療結果に関連する手術手順データ及び/又は医療デバイス設計データを特定又は決定することを含むことができる。外科処置データは、外科的アプローチ、矯正操作、骨切除、又はインプラント配置のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。少なくとも1つの医療デバイス設計は、対応する医療デバイスの物理的特性、機械的特性、又は生物学的特性のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、インプラント又はインプラント送達器具の設計を含む。
【0077】
モデリング段階320では、外科処置及び/又は医療デバイス設計が生成される(ブロック322)。生成ステップは、患者データセット及び/又は参照患者データセットの選択されたサブセットに基づいて(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AIなどを使用して)少なくとも1つの予測モデルを開発するステップを含むことができる。予測モデルは、外科処置及び/又は医療デバイス設計を生成するように構成することができる。
【0078】
幾つかの実施形態において、予測モデルは、少なくとも部分的に、外科処置及び/又は医療デバイス設計を生成する1又は2以上の訓練された機械学習モデルを含む。例えば、訓練された機械学習モデルは、患者を治療するための複数の候補手術手順及び/又は医療デバイス設計を決定することができる。各外科処置は、対応する医療デバイス設計と関連付けることができる。幾つかの実施形態では、外科処置及び/又は医療デバイス設計は、データ解析段階310に関して先に説明したように、良好な結果に関連する外科処置データ及び/又は医療デバイス設計データに基づいて決定される。各外科処置及び/又は対応する医療デバイス設計について、訓練された機械学習モデルは、患者の標的結果(例えば、良好な結果又は所望の結果)を達成する確率を計算することができる。次いで、訓練された機械学習モデルは、少なくとも部分的に、計算された確率に基づいて、少なくとも1つの外科処置及び/又は対応する医療デバイス設計を選択することができる。
【0079】
実行段階330は、医療デバイス設計を製造するステップを含み得る(ブロック332)。幾つかの実施形態では、医療デバイス設計は、付加製造、3D印刷、立体リソグラフィ、デジタル光処理、溶融堆積モデリング、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融、積層体製造、粉末床印刷、熱可塑性プラスチック印刷、直接材料堆積、又はインクジェット写真樹脂印刷のうちの1又は2以上を実行するように構成された製造システムによって製造される。実行段階330は、任意選択的に、医療デバイス設計を有する医療デバイスを製造システムに製造させるように構成された製造命令を生成するステップを含むことができる。
【0080】
実行段階330は、外科処置を実行するステップを含むことができる(ブロック334)。外科処置は、医療デバイス設計を有する医療デバイスを患者に移植するステップを含むことができる。外科処置は、手動、外科用ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。外科処置が外科手術ロボットによって実行される実施形態では、実行段階330は、外科手術ロボットに患者固有の外科処置を少なくとも部分的に実行させるように構成された制御命令を生成するステップを含むことができる。
【0081】
方法300は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態において、方法300の1又は2以上のステップ(例えば、データ段階310及び/又はモデリング段階320)は、メモリに格納され、本明細書に記載されるコンピュータデバイス及びシステム(例えば、システム100)の何れか(例えば、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106)の1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実装することができる。或いは、方法300の1又は2以上のステップ(例えば、実行段階330)は、医療提供者(例えば、医師、外科医)、ロボット装置(例えば、手術ロボット)、製造システム(例えば、製造システム124)、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。幾つかの実施形態では、方法300の1又は2以上のステップが省略される(例えば、実行段階330)。
【0082】
図4A~4Cは、実施形態に従って、本明細書に記載される方法(例えば、図3に関して記載されるデータ解析段階310)に関連して使用及び/又は生成することができる例示的なデータセットを示す。図4Aは、治療される患者の患者データセット400を示す。患者データセット400は、患者ID及び複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、腰椎前弯(LL)、骨盤入射率(PI)、及び脊椎の治療レベル(level))を含むことができる。図4Bは、複数の参照患者データセット410を示す。図示の実施形態では、参照患者データセット410は、研究グループ(研究グループX)からの第1のサブセット412、診療データベース(診療Y)からの第2のサブセット414、及び学術グループ(大学Z)からの第3のサブセット416を含む。代替の実施形態では、参照患者データセット410は、本明細書で既に説明したように、他のソースからのデータを含むことができる。各参照患者データセットは、患者ID、複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、腰椎前弯(LL)、骨盤入射率(PI)、及び脊椎の治療レベル(level))、治療結果データ(Outcome)(例えば、癒合(fused)の有無、HRQL、合併症)、及び治療手順データ(Surg.Intervention)(例:インプラントのデザイン、インプラントの埋入位置、手術アプローチ)。
【0083】
図4Cは、患者データセット400と参照患者データセット410との比較を示す。前述のように、患者データセット400を参照患者データセット410と比較して、参照患者データセットから1又は2以上の類似の患者データセットを特定することができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセット410からの患者メトリクスを数値に変換し、患者データセット400からの患者メトリクスと比較して、各参照患者データセットについて類似度スコア420(「術前類似度」)を計算する。閾値未満の類似度スコアを有する参照患者データセットは、患者データセット400と類似していると考えることができる。例えば、図示の実施形態では、参照患者データセット410aは9の類似度スコアを有し、参照患者データセット410bは2の類似度スコアを有し、参照患者データセット410cは5の類似度スコアを有し、参照患者データセット410dは8の類似度スコアを有する。これらのスコアの各々が閾値10未満であるので、参照患者データセット410a~dは、類似患者データセットであると特定される。
【0084】
類似患者データセット410a~dの治療結果データは、成功の確率が最も高い外科手術及び/又はインプラント設計を決定するために解析することができる。例えば、各参照患者データセットの治療結果データは、良好な結果の尤度を表す数値結果スコア430(「結果指数」)に変換することができる。図示の実施形態では、参照患者データセット410aは結果スコア1を有し、参照患者データセット410bは結果スコア1を有し、参照患者データセット410cは結果スコア9を有し、参照患者データセット410dは結果スコア2を有する。結果スコアが低いほど良好な結果の尤度が高いことに相関する実施形態では、参照患者データセット410a、410b、及び410dが選択することができる。次いで、選択された参照患者データセット410a、410b、及び410dからの治療手順データは、治療される患者にとって好ましい結果をもたらす可能性が高い少なくとも1つの外科処置(例えば、インプラントの配置、外科的アプローチ)及び/又はインプラントの設計を決定するために使用することができる。
【0085】
幾つかの実施形態では、患者に医療を提供するための方法が提供される。本方法は、患者データセットと参照データとを比較することを含むことができる。患者データセット及び参照データは、本明細書に記載されるデータタイプの何れかを含むことができる。本方法は、本明細書に記載の技術の何れかを使用して、関連する参照データ(例えば、類似の患者のデータ及び/又は類似の治療手順のデータなど、患者の治療に関連するデータ)を特定及び/又は選択することを含むことができる。治療計画は、本明細書に記載される技術の何れかを使用して、選択されたデータに基づいて生成することができる。治療計画は、1又は2以上の治療手順(例えば、手術手順、手順の命令、手順のモデル又は他の仮想表現)、1又は2以上の医療デバイス(例えば、移植された機器、機器を送達するための器具、手術キット)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0086】
幾つかの実施形態では、医療処置計画を生成するためのシステムが提供される。本システムは、本明細書に記載される技術の何れかを使用して、患者データセットを複数の参照患者データセットと比較することができる。複数の参照患者データセットのサブセットは、例えば、類似性及び/又は治療結果に基づいて、又は本明細書に記載されるような任意の他の技術に基づいて、選択することができる。本明細書に記載される技術の何れかを使用して、選択されたサブセットに少なくとも部分的に基づいて、医療処置計画を生成することができる。医学的治療計画は、1又は2以上の治療手順、1又は2以上の医療デバイス、又は本明細書に記載される治療計画の他の態様の何れか、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0087】
更なる実施形態において、システムは、過去の患者データを使用するように構成される。システムは、過去の患者データを選択して、治療計画の策定又は選択、医療デバイスの設計などを行うことができる。過去のデータは、所望の結果を得るために設計された処方的治療計画を策定するために、現在の患者と以前の患者との間の1又は2以上の類似性に基づいて選択することができる。処方的治療計画は、所望の結果の尤度を高めるために、現在の患者に合わせて調整することができる。幾つかの実施形態では、システムは、過去のデータのサブセットを解析及び/又は選択して、1又は2以上の治療手順、1又は2以上の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを生成することができる。幾つかの実施形態では、システムは、例えば、治療計画、医療デバイス、又はそれらの組み合わせを設計、開発、又は選択するために使用される参照履歴データセットを生成するために、良好な結果を有する1又は2以上の先行患者群からのデータのサブセットを使用することができる。
【0088】
C.沈み込みが低減されたインプラントを設計するための選択されたシステム及び方法
図5Aは、本技術の実施形態による、患者固有の治療計画及び術後沈み込みのリスクが低減された1又は2以上の患者固有インプラントを設計するための方法500を示す流れ図である。方法500は、ステップ502において、医療を必要とする特定の患者の患者データセットを受け取ることによって開始することができる。患者データセットは、患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、症状、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する任意の他の情報もしくはパラメータを表すデータを含むことができる。例えば、患者データセットは、外科的介入データ、治療結果データ(例えば、脊椎病理学データ、沈み込み結果データなど)、経過データ(例えば、外科医のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を使用して取得したフィードバック)、臨床データ、患者情報(例えば、人口統計学、性別、年齢、身長、体重、病態の種類、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成など)などを含む。患者データセットは、カメラ画像、磁気共鳴画像法(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影法(CAT)画像、陽電子放出断層撮影法(PET)画像、X線画像などの画像データを含むこともできる。幾つかの実施形態では、患者データセットは、患者識別番号(ID)、年齢、性別、体格指数(BMI)、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルのうちの1又は2以上を表すデータを含む。患者データセットは、サーバ、コンピュータデバイス、又は他のコンピュータシステムで受け取ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、患者データセットは、図1に示すサーバ106又は図6に関して後述するコンピュータシステム606で受け取ることができる。幾つかの実施形態では、ステップ502で患者データセットを受け取るコンピュータシステムは、1又は2以上のソフトウェアモジュール(例えば、図1に示すデータ解析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118、又は方法500の様々な操作を実行するための追加のソフトウェアモジュール)も格納する。
【0089】
幾つかの実施形態では、受信された患者データセットは、腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜など)、矢状パラメータ(例えば、骨盤入射、仙骨傾斜、胸椎前弯など)及び/又は骨盤パラメータなどの疾患メトリクスを含むことができる。疾患メトリクスは、ミクロ測定値(例えば、患者の脊椎の特定のセグメント又は個々のセグメントに関連するメトリクス)及び/又はマクロ測定値(例えば、患者の脊椎の複数のセグメントに関連するメトリクス)を含むことができる。幾つかの実施形態では、疾患メトリクスは患者データセットに含まれず、方法500は、以下に説明するように、患者画像データに基づいて疾患メトリクスの1又は2以上を決定する(例えば、自動的に決定する)ステップを含む。
【0090】
ステップ502において患者データセットが受信されると、方法500は、ステップ503において、患者の生来の解剖学的構成(「術前解剖学的構成」とも呼ばれる)の仮想モデルを作成するステップに進むことができる。仮想モデルは、ステップ502で受信した患者データセットに含まれる画像データに基づくことができる。例えば、ステップ502で患者データセットを受信したのと同じコンピュータシステムは、患者データセット内の画像データを解析して、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルを生成することができる。仮想モデルは、患者の生来の解剖学的構成の2次元又は3次元の視覚的表現とすることができる。仮想モデルは、例えば、セグメンテーション、容積提示、及び/又は特徴抽出に基づいて、画像データを解剖学的構造を表す特徴(例えば、2Dデータ、ボクセルを含む容積データ、表面データなど)に変換することによって構築される2Dモデル、3Dモデル、及び/又はコンピュータ生成CADモデルとすることができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上のセグメンテーション処理を使用して、骨解剖学的構造などの異なる解剖学的要素を表すボクセルを他の解剖学的要素から分離することができる。例えば、個々の骨構造を分離することにより、ユーザは各骨構造を独立して操作することができる。個々の骨構造(例えば、椎骨)又は他のモデル化された特徴間の関係(距離、角度、拘束など)は、解析して調整することができる。幾つかの実施形態では、ボリューム表現は、表面ベースのボリュームレンダリング及びボクセル表現に基づいて生成することができる。仮想モデルを生成するための技法は、利用可能な患者データ、所望のモデル解析、及び/又は所望の仮想モデルの修正に基づいて選択することができる。更に、本明細書に記載されるモデリング技法は、特定の実施形態において、引用によりその全体が組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANTS」と題された、2019年9月12日に出願の米国出願第16/569,494号に開示されたモデリング技法又はステップの1又は2以上と関連して使用することができ、又はその1又は2以上を組み込むことができる。
【0091】
仮想モデルは、限定ではないが、モデリングデータ、材料特性(例えば、降伏強度、弾性率、破壊靭性など)、パラメトリックモデリングパラメータ(例えば、制約、特徴、寸法など)、ダイレクトモデリングパラメータ、メッシュパラメータ(例えば、ノードデータ、有限要素解析(FEA)メッシュ、境界条件など)、サーフェスモデリングパラメータ(例えば、サーフェスを生成するためのデータ、トポロジーなど)、抽出された特徴などを含むことができる。一部の実施形態では、パラメトリックモデリング技術を使用して仮想モデルを生成するためにCADソフトウェアが使用され、特徴又は構成要素間の制約を選択、修正、及び設定することができる。拘束条件は、前弯、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜など)、矢状パラメータ(例えば、骨盤入射、骨盤傾斜、仙骨傾斜、胸椎前弯など)、骨盤パラメータ、及び/又は本明細書に開示される他のパラメータを設定するように調整することができる。CADソフトウェアは、例えば、解剖学的特徴(例えば、モデル化された椎骨、モデル化されたインプラントなど)を個別に又は集合的に移動させる、解剖学的特徴を修正する、動きをシミュレートするなどのために使用することができる。
【0092】
仮想モデルは、1又は2以上の関心領域を含むことができ、関心領域内に患者の解剖学的特徴の一部又は全部を含むことができる(例えば、骨構造、軟骨、軟部組織、血管組織、神経組織などを含むがこれらに限定されない組織タイプの何れかの組み合わせ)。非限定的な例として、仮想モデルは、仙骨、腰部、胸部、及び/又は頸部の一部又は全部を含む、患者の脊髄領域の視覚的表現を含むことができる。一部の実施形態では、仮想モデルは、軟部組織、軟骨、その他の非骨構造を含む。他の実施形態では、仮想モデルは患者の骨構造のみを含む。幾つかの実施形態では、方法500は、任意選択的に、ステップ503における患者の生来の解剖学的構造の仮想モデルの作成を省略し、ステップ502からステップ504に直接進むことができる。
【0093】
幾つかの実施形態では、ステップ502において仮想モデルを生成したコンピュータシステムは、仮想モデルに基づいて患者の1又は2以上の疾患メトリクスを決定する(例えば、自動的に決定又は測定する)こともできる。例えば、コンピュータシステムは、仮想モデルを解析して、患者の術前の腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ(例えば、冠状バランス、グローバル冠状バランス、冠状骨盤傾斜など)、矢状パラメータ(例えば、骨盤入射、仙骨傾斜、胸椎前弯など)及び/又は骨盤パラメータを決定することができる。疾患メトリクスには、ミクロ測定値(例えば、患者の脊椎の特定のセグメント又は個々のセグメントに関連するメトリクス)及び/又はマクロ測定値(例えば、患者の脊椎の複数のセグメントに関連するメトリクス)を含むことができる。
【0094】
方法500は、ステップ504において、患者の矯正された解剖学的構成(これは、本明細書において「計画された構成」、「最適化された形状」、「術後の解剖学的構成」、又は「標的結果」とも呼ばれ得る)の仮想モデルを作成するステップに進むことができる。例えば、コンピュータシステムは、先に説明した解析手順を使用して、特定の患者に対する理想的な手術結果を表す、特定の患者に対する「矯正された」又は「最適化された」解剖学的構成を決定することができる。これは、例えば、図1~4Cに関して先に詳細に説明したように(例えば、参照患者データセットの患者データセットに対する類似性に基づいて、及び/又は参照患者が好ましい治療結果を有していたかどうかに基づいて)、複数の参照患者データセットを解析して、良好な術後結果を有していた類似患者の術後解剖学的構成を特定することによって行うことができる。これはまた、最適な解剖学的結果(例えば、解剖学的要素間の位置関係)及び/又は標的(例えば、許容可能な)術後メトリクス/設計基準(例えば、術後矢状縦軸が7mm未満、術後コブ角が10度未満などになるように解剖学的構造を調整する)を定義する1又は2以上の数学的規則を適用することを含むことができる。標的術後指標は、標的冠状パラメータ、標的矢状パラメータ、標的骨盤入射角、標的コブ角、標的肩傾斜角、標的腸腰椎角、標的冠状バランス、標的コブ角、標的前弯角、及び/又は標的椎間腔高を含み得るが、これらに限定されない。本来の解剖学的形状と矯正された解剖学的形状との間の差は、「患者固有の矯正」又は「標的矯正」と呼ばれることがある。
【0095】
矯正された解剖学的配置が決定されると、コンピュータシステムは、矯正された解剖学的配置を有する患者の解剖学の2次元又は3次元視覚表現を生成することができる。ステップ503で作成された仮想モデルと同様に、患者の矯正された解剖学的構成の仮想モデルは、1又は2以上の関心領域を含むことができ、関心領域内の患者の解剖学的構造の一部又は全部を含むことができる(例えば、骨構造、軟骨、軟部組織、血管組織、神経組織などを含むがこれらに限定されない組織タイプの何れかの組み合わせ)。非限定的な例として、仮想モデルは、仙骨、腰部、胸部、及び/又は頸部の一部又は全部を含む、矯正された解剖学的構成における患者の脊髄領域の視覚的表現を含むことができる。一部の実施形態では、仮想モデルは、軟組織、軟骨、及び他の非骨構造を含む。他の実施形態では、仮想モデルは患者の骨構造のみを含む。
【0096】
方法500は、ステップ506において、仮想モデルによって示される矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成する(例えば、自動的に生成する)ことによって継続することができる。手術計画は、術前計画、手術計画、術後計画、及び/又は最適な手術結果に関連する特定の脊椎メトリクスを含むことができる。例えば、手術計画は、矯正された解剖学的構成を達成するための特定の手術手順を含むことができる。脊椎手術の関連では、手術計画は、特定の範囲の椎骨レベル(例えば、L1~L4、L1~5、L3~T12など)にわたる特定の融合手術(例えば、PLIF、ALIF、TLIF、LLIF、DLIF、XLIFなど)を含むことができる。もちろん、非融合外科的アプローチや患者の他の部位に対する整形外科処置など、矯正された解剖学的構成を達成するための他の外科処置が特定されてもよい。手術計画はまた、予想される術後の患者の解剖学的形状に対応する1又は2以上の予想される脊椎メトリクス(例えば、腰椎前弯、コブ角、冠状パラメータ、矢状パラメータ、及び/又は骨盤パラメータ)を含むことができる。手術計画は、矯正された解剖学的構成の仮想モデルを作成したのと同じ又は異なるコンピュータシステムによって生成することができる。幾つかの実施形態では、手術計画はまた、図1~4Cに関して先に説明したように、1又は2以上の参照患者データセットに基づくことができる。幾つかの実施形態では、手術計画はまた、手術を行う特定の外科医に関連する外科医固有の嗜好及び/又は結果に少なくとも部分的に基づくことができる。幾つかの実施形態では、複数の手術計画がステップ506で生成され、外科医に複数の選択肢を提供する。
【0097】
方法500は、ステップ508において、矯正された解剖学的構成及び手術計画に基づいて患者固有インプラントを(例えば、ステップ502~506を実行したのと同じコンピュータシステムを介して)設計するステップに進むことができる。例えば、患者固有インプラントは、特定の患者に移植されたときに、患者の解剖学的構成が矯正された解剖学的構成を占めるように患者の解剖学的構成を誘導する(例えば、患者の解剖学的構成を本来の解剖学的構成から矯正された解剖学的構成に変換する)ように特別に設計することができる。患者固有インプラントは、移植されたときに、インプラントの予想耐用年数(例えば、5年以上、10年以上、20年以上、50年以上など)の間、患者の解剖学的形状が矯正された解剖学的形状を占めるように設計することができる。幾つかの実施形態では、患者固有インプラントは、矯正された解剖学的構成の仮想モデルのみに基づいて及び/又は術前の患者画像を参照することなく設計される。
【0098】
患者固有インプラントは、本明細書又は引用により本明細書に組み込まれた何れかの特許文献に記載されたインプラントの何れであってもよい。例えば、患者固有インプラントは、スクリュー(例えば、骨スクリュー、脊椎スクリュー、椎弓根スクリュー、ファセットスクリュー)、椎間インプラントデバイス(例えば、椎間インプラント)、ケージ、プレート、ロッド、椎間板、融合装置、スペーサ、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、足場、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナー、関節代替物(例えば、人工椎間板)、股関節インプラントなどを含むことができる。患者固有インプラントの設計は、インプラントの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科インプラントの設計は、インプラントの形状、サイズ、材料、及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置など)を含むことができる。
【0099】
幾つかの実施形態では、ステップ508におけるインプラントを設計するステップは、任意選択的に、インプラントを製造するための製造命令を生成するステップを含むことができる。例えば、コンピュータシステムは、製造システムによって実行されたときに、製造システムにインプラントを製造させるコンピュータ実行可能な製造命令を生成することができる。
【0100】
方法500は、ステップ510において、ステップ508で設計された患者固有インプラントの沈み込みの危険性、及び/又は沈み込みの予想される大きさを(例えば、ステップ502~508を実行したのと同じコンピュータシステムを介して)予測するステップに進むことができる。幾つかの実施形態では、ステップ510は、沈み込みのタイプ及び/又は沈み込み開始時間など、沈み込みの確率及び/又は大きさに関連する1又は2以上の追加の特性を予測するステップを含む。
【0101】
沈み込みの確率及び/又は大きさは、図1~4Cを参照して既に説明された予測モデルとほぼ類似しているか又は同じとすることができる1又は2以上の予測モデルを使用して予測することができる。例えば、予測モデルは、類似の外科的介入を受けた及び/又は類似の病理学的及び機械的特性を有する複数の患者についての参照患者データセットを解析することができる。予測モデルによって使用されるデータは、ステップ502の患者データセット、ステップ503のネイティブ仮想モデル、ステップ504の矯正仮想モデル、ステップ506の手術計画、ステップ508の患者固有インプラントの設計、1又は2以上の参照患者データセット(例えば、図1の参照患者データセット114、図4Bの参照患者データセット410など)、及び/又は任意の他の適切なデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、複数の予測モデルが、同じ患者データセットを解析するために生成及び/又は使用される。例えば、患者データセットを用いて脊椎矯正予測モデルを生成することができる。次に、沈み込み予測モデルを、沈み込み予測のための一致する特徴を有する患者データセットのサブセットを用いて生成することができる。幾つかの実施形態では、異なる患者データセットを解析するために、複数の予測モデルが生成及び/又は使用される。例えば、脊椎矯正予測モデルは、類似の矯正を行った先行患者の第1の患者データセットを用いて生成することができる。沈み込み予測モデルは、解剖学的機械的特性又は他の沈み込み関連特性が一致する先行患者の第2の患者データセットを使用して、脊椎矯正予測モデルに基づいて生成することができる。沈み込み予測モデルには、ディスク高さ又はインプラント沈み込みモデル、椎体沈み込みモデルなどを含むことができる。
【0102】
図5Bに関して以下により詳細に説明するように、予測モデルは、(i)患者の椎骨の少なくとも1つに関する1又は2以上の機械的特性(例えば、エンドプレート剛性、強度、硬度、弾性係数、その他)(ii)機械的特性の少なくとも1つに対する1又は2以上の予測される変化、(iii)患者固有インプラントと少なくとも1つの椎骨との間の予測される骨の成長、及び/又は(iv)患者固有インプラントの設計に少なくとも部分的に基づいて、患者固有インプラントの各々について沈み込みの確率及び/又は予想される大きさを少なくとも部分的に予測することができる。
【0103】
幾つかの実施形態では、予測モデルは、1又は2以上の期間にわたって及び/又は外科的介入後の1又は2以上の時点で、特定の患者の沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するように構成することができる。例えば、沈み込みは、患者固有インプラントが移植された後、3ヶ月以内に発生する可能性が最も高くなり得る。従って、幾つかの実施形態では、予測モデルは、外科的介入後1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、及び/又は任意の他の適切な期間までなど、外科的介入後約1日から約6ヶ月の間の沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するように構成することができる。幾つかの実施形態では、予測モデルは、外科的介入後少なくとも1年、2年、3年、4年、又は任意の他の適切な期間にわたって沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するように構成することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、予測モデルは、患者固有インプラントの予想寿命にわたる沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するように構成することができる。幾つかの実施形態では、ステップ510は、任意選択的に、例えば、術後計画(例えば、術後療法、患者の活動など)、骨の成長、補助処置(例えば、ロッドシステム融合などの融合処置)などに基づいて沈み込みの速度を予測するステップを含むことができる。1又は2以上の時間期間にわたる、及び/又は外科的介入後の1又は2以上の時点における沈み込みの速度、確率、及び/又は大きさを予測するステップは、時間経過に伴う疾患(例えば、脊椎疾患又は状態)の進行をモデル化することとほぼ類似又は同じとすることができる。疾患の進行モデリングは、「PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題する2021年1月4日出願のPCT出願No.PCT/US21/12065に詳細に記載されており、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0104】
幾つかの実施形態では、ステップ510は、1又は2以上の沈み込み結果の確率を予測するステップを含む。例えば、予測モデルは、患者の解剖学的構造及びインプラントの設計の機械的特性の解析に基づいて、(1)術後に沈み込みが生じない確率、及び(2)様々な大きさの沈み込みが生じる確率を決定することができる。特定の非限定的な例として、予測モデルは、所定の患者が沈み込みを有しない可能性が60%、0.1mm以上2mm以下の沈み込みを有する可能性が30%、2mmを超える沈み込みを有する可能性が10%であると決定することができる。
【0105】
方法500は、ステップ512において、患者固有インプラントの沈み込みの確率(例えば、ステップ510)(例えば、ステップ508)が許容可能であるか否かを決定するステップに進むことができる。これは、例えば、沈み込みの確率を所定の閾値又は規則と比較するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、沈み込みの確率は、患者が術後に沈み込みを経験する百分率尤度として測定され、所定の閾値は、5%、10%、15%、20%、30%など、沈み込みの許容可能な尤度の上限である。沈み込みの確率が所定の閾値を下回る場合(例えば、所定の閾値が10%であり、沈み込みの確率が5%である場合)、方法500は、以下に説明するようにステップ518に進むことができる。沈み込みの確率が所定の閾値を上回る場合(例えば、所定の閾値が10%であり、沈み込みの確率が15%である場合)、方法500は、以下に説明するステップ516に進むことができる。幾つかの実施形態では、所定の閾値は、インプラント沈み込みの一般的確率又は基準確率に少なくとも部分的に基づくことができる。インプラント沈み込みの一般的確率は、例えば、インプラント沈み込みを経験した参照患者(例えば、参照患者の全て又はサブセット)の百分率尤度とすることができる。このような実施形態では、所定の閾値は、少なくとも1%、5%、10%、20%、25%、50%など、インプラント沈み込みの一般的な確率よりも約0.1%~約90%低い、又は一般的な確率よりも任意の他の適切なパーセント低いものとすることができる。幾つかの実施形態では、予測された沈み込みの確率が許容可能であるかどうかを決定することは、予測された沈み込みの確率を所定の閾値と比較することに加えて、又はその代わりに、ユーザ(例えば、外科医)のフィードバックを受け取ることを含むことができる。
【0106】
沈み込みの確率が許容可能であるか否かを決定することに加えて又はその代わりに、方法500は、任意選択的に、ステップ513において、患者の予測された沈み込みの大きさ(例えば、ステップ510)が許容可能であるか否かを決定するステップに進むことができる。これは、例えば、沈み込みの予測された大きさを所定の閾値又は規則と比較するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、沈み込みの予測される大きさは、距離(例えば、mm)単位で測定され、所定の閾値又は規則は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなどの許容可能な沈み込み距離の上限である。沈み込みの予測された大きさが所定の閾値を下回る場合(例えば、所定の閾値が2mmであり、予測された沈み込みが1mmである場合)、方法500は、以下に説明するようにステップ518に進むことができる。沈み込みの予測された大きさが所定の閾値を上回る場合(例えば、所定の閾値が2mmであり、予測された沈み込みが3mmである場合)、方法500は、以下に説明するようにステップ516に進むことができる。幾つかの実施形態では、所定の閾値は、複数の参照患者データセットを解析し、特定の患者について、肯定的な手術結果を依然として維持しながら、どの程度の沈み込みが許容されるかを決定することによって決定される適応できる患者固有の閾値とすることができる。幾つかの実施形態において、沈み込みの予測された大きさが許容可能であるか否かを決定することは、沈み込みの予測された大きさを所定の閾値と比較することに加えて、又はその代わりに、ユーザ(例えば、外科医)フィードバックを受け取ることを含むことができる。
【0107】
少なくとも幾つかの実施形態では、方法500は、任意選択的に、ステップ514において、患者固有インプラントの設計(例えば、ステップ508)及び/又は手術計画(例えば、ステップ506)に対する外科医のフィードバック及び/又は提案された修正を受け取るステップに進むことができる。外科医は、患者固有インプラントの設計及び/又は手術計画、並びに関連する沈み込みの予測確率及び/又は大きさをレビューし、ステップ514において、患者固有インプラントの設計及び/又は手術計画を承認又は拒否することができる(又は、ステップ508において複数の手術計画が提供された場合、外科医は提供された手術計画のうちの1つを選択することができる)。外科医がインプラントの沈み込みの確率又は大きさを承認しない場合、及び/又はインプラントの沈み込みの確率又は大きさが所定の閾値を満たさない場合、外科医は、任意選択的に、手術計画(例えば、仮想モデルを調整するか、計画に関する1又は2以上の態様を変更することによって)及び/又は患者固有インプラント(例えば、設計の1又は2以上の態様を調整することによって)に対するフィードバック及び/又は提案された修正を提供することができる。従って、方法500は、外科医のフィードバック及び/又は提案された修正を(例えば、コンピュータシステムを介して)受け取るステップを含むことができる。外科医のフィードバック及び/又は提案された修正が、ステップ514において受け取られた場合、方法500は、ステップ516において、ステップ514において受け取られた外科医のフィードバック及び/又は修正提案に少なくとも部分的に基づいて、仮想モデル及び/又は手術計画を修正する(例えば、コンピュータシステムを介して自動的に修正する)ステップに進むことができる。加えて、又は代替的に、外科医は、仮想モデルを介して示された修正された解剖学的構成をレビュー、修正、承認、及び/又は拒否することができる。仮想モデルを修正するステップは、例えば、修正された解剖学的構成を生成するステップを含むことができる。
【0108】
ステップ512において、インプラント沈み込みの確率が許容できないと決定された場合、方法500は、ステップ516において、予測される沈み込みの確率及び/又は大きさを低減するために、患者固有インプラント設計及び/又は手術計画を修正するステップに進む。これは、例えば、(1)沈み込みの確率(又は予測される沈み込みの大きさ)の低減に関連する手術計画パラメータに基づいて手術計画を調整する(例えば、自動的に調整する)ステップ、及び/又は、(2)沈み込みの確率(又は予測される沈み込みの大きさ)の低減に関連するインプラント設計パラメータに基づいてインプラント設計を調整するステップを含むことができる。
【0109】
沈み込みの尤度の低減及び/又は予測される沈み込みの大きさの低減に関連する手術計画パラメータは、以下を含むことができる。
・椎体エンドプレートの除去を低減又は最小限に抑えることにより、関連する椎体及び/又は椎骨の骨強度の喪失を低減又は最小限に抑えること;
・椎体エンドプレートの除去が必要な場合(例えば、移植片への血管/骨の内方成長を促進するため)、椎体エンドプレートの中心部又は中央部からごく一部のみを除去すること;
・破壊応力に曝される表面積を少なくとも部分的に減少させるために、椎骨に形成される穴(移植片穴、ボア穴、アンカー穴など)の数を減らす及び/又は1又は2以上の穴を組み合わせること;
・患者固有インプラントに接触及び/又は支持するため、椎体エンドプレートの1又は2以上の概ね又は実質的に矩形及び/又は矩形状の区域又は領域を特定すること;
・仮想モデル及び/又は矯正された解剖学的構成において、分節的腰椎前弯矯正を改善すること;
・骨移植量を増やす(例えば、断面積及び/又は高さを増やす)こと;
・骨移植の椎体及び/又はエンドプレートへの適合性を向上させること;
・軟骨エンドプレートの一部又は全部を除去することを含む、標的部位の前処置を改善すること;
・補足的インプラント固定(両側椎弓根スクリュー、後方固定、腹側プレートなど)を用いること;
・患者固有インプラントと共に提供される充填材(骨セメントなど)の量を増やすこと;及び/又は
・インプラント送達経路の変更、1又は2以上の標的領域(例えば、インプラントの位置)の変更などを含む、他の何れか適切な手術計画パラメータ。
【0110】
患者の脊椎における所与の1又は2以上の標的領域について、沈み込みの尤度の低減及び/又は予測される沈み込みの大きさの低減に関連するインプラント設計パラメータは、以下を含むことができる。
・椎体の周辺部(例えば、皮質骨及び/又は骨端環)とのインプラントの接触(例えば、接触表面積)を増やす(例えば、最大化する)こと;
・インプラントの荷重担持部分(例えば、エッジ、突起/患者固有のトポロジーなど)と椎体の中心部又は中心領域(例えば、海綿骨)との位置合わせを低減する(例えば、最小化する)こと;
・インプラントの荷重担持部分と椎体の剛性が増加した部分との位置合わせを増加させる(例えば、最大化する)こと;
・椎体の後方部分(例えば、後側方位置など)とのインプラントの接触(例えば、接触表面積)を増加させる(例えば、最大にする)こと、及び/又は椎体の前方部分とのインプラントの接触を減少させる(例えば、最小にする)こと;
・エンドプレートの表面積に対するインプラントの接触表面積の比を、例えば、少なくとも65%に増やす(例えば、インプラントが椎体エンドプレートの少なくとも65%に接触する)こと;
・インプラントの強度及び/又は剛性を最適化(例えば、最大化、整列)すること;
・インプラントを少なくとも部分的にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造すること;
・患者固有インプラントの幅(例えば、椎体及び/又は脊柱に対して横方向に測定した幅)を大きくすること、及び/又は椎体の1又は2以上の側方部分との接触を増やすこと;
・椎体及び/又はエンドプレートのそれぞれの標的領域に対する患者固有インプラントの適合を改善すること;
・少なくとも部分的に骨端環に支持されていない患者固有インプラントの場合、患者固有インプラントの長さ(例えば、前後方向の測定値)を短くすること;
・例えば、患者固有インプラントのフィッティングの改善、インプラント表面トポグラフィーと対応する骨エンドプレートの形状とのマッチング、接触面積比の増加(前述)などにより、骨エンドプレートに対する患者固有インプラントの相対的な動きを減少させる(例えば、最小化する)こと;
・骨移植量を増やす(断面積や高さを増やすなど)こと;
・骨移植片の椎体及び/又はエンドプレートへの適合性を向上させること;及び/又は
・沈み込みの尤度の低減及び/又は予測される沈み込みの大きさの低減に関連する他の何れか適切な設計パラメータ。
【0111】
幾つかの実施形態では、患者固有インプラントの設計を修正するステップは、設計の1又は2以上の部分又は態様を修正するステップを含む。少なくとも幾つかの実施形態では、設計を修正するステップは、患者固有インプラントの1又は2以上の設計全体を修正するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、設計は、手術計画に対する1又は2以上の修正に応答して修正することができる。同様に、幾つかの実施形態では、手術計画は、患者固有インプラントの設計の1又は2以上の修正に少なくとも部分的に基づいて修正することができる。
【0112】
一部の実施形態では、1又は2以上の2次インプラントを使用することにより、手術計画のパラメータの調整及び/又はインプラントの設計特性の調整に加えて、又はその代わりに、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減することができる。例えば、脊椎支持システム(例えば、ロッド、プレートなど)を椎間インプラント(又は同じレベル又は異なるレベルの椎間インプラント)と組み合わせて移植することにより、椎間インプラントに更なる安定性及び沈み込み防止支持を提供することができる。手術計画で既に、椎間インプラントに加えて2次インプラント(ロッド、プレートなど)が必要とされている実施形態では、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するために、2次インプラントの数又は特性を変更することができる。例えば、予測される沈み込みが所定の閾値を超える場合、手術計画は、1又は2以上の余分な2次インプラントを含むように、及び/又は、沈み込み防止支持を提供するために1又は2以上の2次インプラントを硬くするように修正することができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、調整される手術計画パラメータ及び/又はインプラント設計パラメータは、ユーザ(例えば、外科医)によって提供及び/又は選択することができ、及び/又は予測モデル/計算システムによって自動的に選択することができる。幾つかの実施形態では、手術計画パラメータは、ステップ502の患者データ、参照患者データセット、及び/又はステップ510における沈み込みの予測された確率及び/又は大きさ(例えば、機械的特性の予測された変化、予測された骨の成長など)に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0114】
幾つかの実施形態では、ステップ516において患者固有インプラントの設計及び/又は手術計画を修正するステップは、沈み込みの増加した確率及び/又は予測された大きさに関連する1又は2以上の患者固有のパラメータ又は因子の存在に応答して設計を修正するステップを更に含むことができる。患者固有のパラメータは、ステップ502の患者データから、及び/又は少なくとも部分的に基づいて決定することができる。患者固有のパラメータには、以下を含むことができる。
・術後レジメンの非適合を含む患者の身体活動;
・患者の体重及び/又はBMI(例えば、患者の肥満度);
・シガレット及び/又は他のタバコ又は有害な製品又は物質の使用状況;
・非ステロイド性抗炎症薬の使用及び使用頻度;
・患者の年齢及び/又は骨密度、及び/又は
・沈み込みの確立及び/又は予測される大きさの増加に関連する他の何れか適切な患者固有のパラメータ。
【0115】
幾つかの実施形態では、1又は2以上のコンピュータシステム(例えば、ステップ502~512を実行したのと同じコンピュータシステム)は、任意選択的に、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを減少させるために、手術計画及び/又はインプラント設計に対する1又は2以上の推奨される変更/調整を提供することができる。例えば、コンピュータシステムは、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するように調整することができる1又は2以上のパラメータを特定するために、提案された手術計画及びインプラントを患者の組織特性と組み合わせて自動的に解析することができる1又は2以上の訓練された機械学習モデル又は人工知能アーキテクチャを含むことができる。幾つかの実施形態では、システムは、特定の手術計画、インプラント、及び患者について、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するように調整することができる、1、2、3、4、又はそれ以上の手術計画パラメータ及び/又は上記のインプラント設計パラメータを特定することができる。例えば、システムは、その解析に基づき、操作する適切なパラメータが、使用する骨セメントの量を増加させること、及びインプラントと椎体エンドプレートとの接触面積を増加させることを含むと決定することができる。別の実施形態では、システムは、その解析に基づいて、インプラントの位置を調整すべきであると決定することができる。更に別の例では、システムは、沈み込み防止支持を提供するために追加の2次インプラント(例えば、ロッド)を移植すべきであると決定することができる。上記は例示であり、当業者であれば、特定の患者及び手術計画に応じて、システムは、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさの所望の低減を達成するために、手術計画及び/又はインプラントに他の調整を推奨し得ることを理解するであろう。
【0116】
幾つかの実施形態では、システムは、1又は2以上の所定の閾値に適合するように、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさの特定の所望の低減を達成するために、手術計画及び/又はインプラントに行うことができる複数の変更(又は複数の変更の組み合わせ)を特定することができる。このような実施形態では、システムは、例えば、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさの減少の程度(例えば、第1の変更セットが第2の変更セットよりも沈み込みの確率をより大きく減少させる場合、第1のセットは第2のセットよりも高くランク付けされる)、変更の実行の容易さ、他の手術結果パラメータ(例えば、回復時間、患者の痛み、可動性、可動域など)に対する影響、又はこれらの組み合わせに基づいて、変更(又は変更の組み合わせ)をランク付けすることができる。次に、ユーザは、提案された変更(又は変更の組み合わせ)のランク付けされたリストをレビューし、どの変更(又は変更の組み合わせ)を実施するかを選択することができる。
【0117】
ステップ510、512、513、514、及び516のうちの1又は2以上は、沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが許容できるようになるまで(例えば、ステップ512及び513でそれぞれ決定されるように)、必要なだけ繰り返すことができる。例えば、手術計画パラメータ及び/又はインプラント設計パラメータを反復的に修正して、沈み込みの割合、及び沈み込みの割合又は沈み込みの大きさを許容レベル以下に維持するための出力を提供する追加のシミュレーションを実行することができ、この出力は、医師によって選択され、過去のデータに基づくシステムによって選択されるなどすることができる。方法500は、候補となる手術計画パラメータ及び/又はインプラント設計パラメータを生成するために、単一レベル又は複数レベルの解析を実行することを含むことができる(例えば、医師のレビューのために)。
【0118】
幾つかの実施形態では、ステップ510~516のうちの1又は2以上は、ステップ508における患者固有インプラントの設計の一部として実行することができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、患者固有インプラントを設計することは、患者固有インプラントの沈み込みの確率を予測すること(例えば、ステップ510)及び/又は沈み込みのリスクの低減に関連する1又は2以上のパラメータに基づいて患者固有インプラントの設計を修正すること(例えば、ステップ516)を含むことができる。
【0119】
インプラントの沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが、それぞれステップ512及び/又は513において許容可能であると決定された場合、方法500は、ステップ518において、患者固有インプラントを製造するステップに進むことができる。インプラントは、3D印刷、立体リソグラフィ、デジタル光処理、溶融堆積モデリング、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融、積層体製造、粉末床印刷、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積、又はインクジェット写真樹脂印刷などの付加製造技術、又は類似の技術、又はそれらの組み合わせを用いて製造することができる。代替的又は付加的に、インプラントは、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザ切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(フライス加工、旋盤/旋削加工など)、又は類似の技術などのサブトラクティブ製造技術、又はこれらの組み合わせを使用して製造することができる。インプラントは、何れか適切な製造システム(例えば、図1に示す製造システム124又は図6に関して後述する製造システム630)によって製造することができる。幾つかの実施形態では、インプラントは、ステップ508でコンピュータシステムによって生成されたコンピュータ読み取り可能な製作命令を実行する製造システムによって製造される。
【0120】
ステップ518においてインプラントが製造されると、方法500は、ステップ520において、患者固有インプラントを患者に移植するステップに進むことができる。外科処置は、手動、ロボット外科プラットフォーム(例えば、外科ロボット)、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。手術手順がロボット手術プラットフォームによって少なくとも部分的に実行される実施形態では、手術計画は、手術ロボットに患者固有の手術手順を少なくとも部分的に実行させるように構成されたコンピュータ読み取り可能な制御命令を含むことができる。ロボット手術プラットフォームに関する追加の詳細は、図6に関して後述する。
【0121】
方法500は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態において、ステップ502~516は、第1のエンティティに関連するコンピュータシステム(例えば、図6に関して後述するコンピュータシステム606)によって実行することができ、ステップ518は、第2のエンティティに関連する製造システムによって実行することができ、ステップ520は、第3のエンティティに関連する外科提供者、外科医、及び/又はロボット外科プラットフォームによって実行することができる。前述のステップの何れもまた、メモリに格納され、関連するコンピュータシステムの1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実施することができる。
【0122】
図5Bは、本技術の実施形態による、1又は2以上の患者固有インプラントの沈み込みの確率を予測するための方法530を示す流れ図である。方法530は、方法500のステップ510と概して類似しているか、又は同じとすることができる。従って、少なくとも幾つかの実施形態では、方法530の1又は2以上のステップは、図5Aの方法500のステップ510の一部とすることができる。更に、方法530の1又は2以上のステップは、本明細書で以前に説明したものを含むコンピュータシステム、プログラム、又はモデルによって実行することができる。
【0123】
方法530は、ステップ532において、1又は2以上の椎体の1又は2以上の機械的特性を決定するステップで開始することができる。椎体は、方法500のステップ506で設計された手術計画などの手術計画に従って移植される椎間インプラントによって接触される椎体を含むことができる。少なくとも幾つかの実施形態では、例えば、椎体は、患者の脊椎の標的領域(例えば、患者固有インプラントの標的移植領域)を共に規定する上椎体及び下椎体を含むことができる。機械的特性は、少なくとも部分的に、ステップ502の患者データセット(CTデータ、患者の人口統計データなど)、ステップ503のネイティブ仮想モデル、ステップ504の矯正仮想モデル、ステップ506の手術計画、ステップ508の患者固有インプラントの設計、1又は2以上の参照患者データセット(例えば、図1の参照患者データセット114、図4Bの参照患者データセット410など)、及び/又は任意の他の適切なデータ。例えば、幾つかの実施形態では、ステップ532は、外科的介入前、介入中、及び/又は介入後に、椎体の1又は2以上のエンドプレートの強度、剛性、硬度、及び/又は弾性率に基づいて決定することができる。幾つかの実施形態では、ステップ532は、当業者に公知の何れか適切な骨密度較正ツールなどの1又は2以上の骨密度較正ツールに少なくとも部分的に基づいて機械的特性を決定するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、ステップ532は、患者データに少なくとも部分的に基づいて、模擬椎体及び/又は模擬脊柱セグメントを使用して、1又は2以上の試験又はシミュレーション(例えば、移植後の脊柱の向き、1又は2以上の椎体間の模擬荷重分散、後方固定の有無による力又は荷重、患者の体重に基づくインプラント及び/又は椎体への力又は荷重、日常活動によるインプラント及び/又は1又は2以上の脊柱セグメントへの力又は荷重など)を実行するステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ532は、有限要素解析法、統計解析、及び/又は機械的特性を決定するための他の何れか適切なモデル、プロセス、又は技術を使用するステップを含む。
【0124】
方法530は、ステップ534において、患者固有インプラントと1又は2以上の椎体エンドプレートとの間の骨内部成長を予測するステップに進むことができる。エンドプレートは、患者固有インプラントが(例えば、標的領域に)移植されたときに、患者固有インプラントに少なくとも部分的に接触し、近接し、及び/又は隣接することができる。予測される骨内部成長は、患者固有インプラントの移植片窓サイズ、患者固有インプラントの空隙率、エンドプレートの空隙率、患者固有インプラントにかかる1又は2以上の力又は荷重、及び/又はエンドプレートにかかる1又は2以上の力又は荷重に少なくとも部分的に基づくことができる。幾つかの実施形態では、骨の内部成長を予測するステップは、予測された骨内部成長を概ね類似又は同一の多孔性を有する患者固有インプラントの既存の骨内部成長データ及び/又は参照骨内部成長データと比較するステップ、経時的な骨内部成長を評価するために実験データ及び/又は参照データ(例えば、1又は2以上の動物実験から)を使用するステップ、及び/又は患者固有インプラントの設計の1又は2以上の態様に基づいて予測された骨内部成長を修正及び/又は調整するために統計解析を使用するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、骨内部成長を予測するステップは、ステップ532の機械的特性の1又は2以上に対する変化(例えば、経時的な内板剛性の変化など)を予測するステップを含むことができる。
【0125】
方法530は、ステップ536において、インプラントの沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するステップに進むことができる。インプラント沈み込みの予測された確率及び/又は大きさは、ステップ532の1又は2以上の機械的特性、ステップ532を参照して先に説明した1又は2以上の試験又はシミュレーション、ステップ534の予測された骨の成長及び/又は1又は2以上の機械的特性の変化、及び/又は患者固有インプラントの設計の1又は2以上の態様(例えば、サイズ、インプラントの位置、移植片のサイズ、強度、剛性など)に少なくとも部分的に基づくことができる。幾つかの実施形態では、沈み込みの確率を予測することは、患者固有インプラントの設計を評価するために、患者固有インプラントと1又は2以上の椎体との間の相互作用をモデル化及び/又はシミュレートすることを含むことができる。例えば、1又は2以上のシミュレートされた力又は荷重(例えば、圧縮荷重、ねじり荷重、せん断力など)を患者固有インプラント及び/又は1又は2以上の椎体に加えることができ、その応答に基づいて、沈み込みのリスクの低減に関連する1又は2以上のパラメータに基づいて、患者固有インプラントの設計を調整又は修正することができる(例えば、患者固有インプラントの荷重担持部分を、剛性、強度などが増大した椎体の領域と位置合わせする)。幾つかの実施形態では、沈み込みの予測された確率及び/又は大きさは、図5Aのステップ512及び/又は513をそれぞれ参照して先に説明したように、沈み込みの予測された確率及び/又は大きさが許容可能であるかどうかを決定するために評価することができる。
【0126】
図6は、図5A及び図5Bそれぞれに関して説明した方法500及び/又は方法530の1又は2以上のステップを実行するためなど、患者固有の医療を提供するために使用することができる選択されたシステム及びデバイスを含む手術セットアップの概略図である。図示されるように、手術セットアップは、コンピュータデバイス602、コンピュータシステム606、クラウド608、製造システム630、及びロボット手術プラットフォーム650を含む。コンピュータデバイス602は、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当技術分野で公知の他のこのようなデバイスなどのユーザデバイスとすることができる。作動時には、ユーザ(例えば、外科医)は、コンピュータデバイス602を使用して、患者データセットを収集、検索、レビュー、修正、又は他の方法で相互作用することができる。コンピュータシステム606は、参照患者データセットの特定、患者固有の手術計画の決定、患者解剖の仮想モデルの生成、患者固有インプラントの設計などのための1又は2以上のソフトウェアモジュールを格納するように構成された何れか適切なコンピュータシステムを含むことができる。1又は2以上のソフトウェアモジュールは、選択された動作を実行するためのアルゴリズム、機械学習モデル、人工知能アーキテクチャなどを含むことができる。クラウド608は、何れか適切なネットワーク及び/又はストレージシステムとすることができ、ハードウェア及び/又は仮想コンピュータリソースの何れかの組み合わせを含むことができる。製造システム630は、患者固有インプラントを製造するための何れか適切な製造システムとすることができ、本明細書で先に説明したものの何れかを含む。ロボット外科プラットフォーム650(本明細書では「プラットフォーム650」と呼ぶ)は、外科処置の1又は2以上の態様を実行するか、又は他の方法で支援するように構成することができる。
【0127】
代表的な動作において、コンピュータデバイス602、コンピュータシステム606、クラウド608、製造システム630、及びプラットフォーム650は、図5A及び図5Bに関して既に説明された方法500、530の1又は2以上のステップを実行することなど、患者固有の医療を提供するために使用することができる。例えば、コンピュータシステム606は、コンピュータデバイス602から患者データセットを受け取ることができる(例えば、方法500のステップ502)。幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス602は、患者データセットをコンピュータシステム606に直接送ることができる。他の実施形態では、コンピュータデバイス602は、患者データセットをクラウド608にアップロードすることができ、コンピュータシステム606は、クラウドから患者データセットをダウンロードするか、又は他の方法でアクセスすることができる。コンピュータシステム606が患者データセットを受け取ると、コンピュータシステム606は、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルを作成し(例えば、方法500のステップ503)、修正された解剖学的構成の仮想モデルを作成し(例えば、方法500のステップ504)、及び/又は修正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成する(例えば、方法500のステップ506)ことができる。コンピュータシステムは、幾つかの実施形態では機械学習モデル又は他の人工知能アーキテクチャを含む1又は2以上のソフトウェアモジュールを介して前述の操作を実行することができる。仮想モデル及び手術計画が作成されると、コンピュータシステム606は、レビューのために仮想モデル及び手術計画を外科医に送ることができる(例えば、方法500のステップ508)。これは、例えば、仮想モデル及び手術計画を、外科医のレビューのためにコンピュータデバイス602に直接送ることを含むことができる。他の実施形態では、これは、仮想モデル及び手術計画をクラウド608にアップロードすることを含むことができる。次いで、外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、クラウド608から仮想モデル及び手術計画をダウンロードするか、又は他の方法でアクセスすることができる。
【0128】
外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、仮想モデルと手術計画をレビューすることができる。また、外科医は、コンピュータデバイス602を使用して、手術計画を承認又は拒否し、手術計画に関する任意のフィードバックを提供することができる。外科医の承認、拒否、及び/又は手術計画に関するフィードバックは、コンピュータシステム606に送信され、コンピュータシステム606によって受け取ることができる(例えば、方法500のステップ512及び514)。コンピュータシステム606は、その後、仮想モデル及び/又は手術計画を修正することができる(例えば、方法500のステップ516)。コンピュータシステム606は、修正された仮想モデル及び手術計画を、レビューのために外科医に送ることができる(例えば、クラウド608にアップロードすることによって、又はコンピュータデバイス602に直接送ることによって)。
【0129】
コンピュータシステム606はまた、1又は2以上のソフトウェアモジュールを使用して、矯正された解剖学的構成及び手術計画(例えば、方法500のステップ508)に基づいて患者固有インプラントを設計することができる。幾つかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1又は2以上のアルゴリズム、機械学習モデル、又は他の人工知能アーキテクチャに依存して、インプラントを設計する。
【0130】
コンピュータシステム606は、患者固有インプラントの沈み込みの確率及び/又は大きさを予測することもできる(例えば、方法500のステップ510、方法530のステップ532~536)。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム606は、沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するために1又は2以上のソフトウェアモジュールを適用する。1又は2以上のソフトウェアモジュールは、1又は2以上のアルゴリズム、機械学習モデル、又は他の人工知能アーキテクチャに依存し得る。コンピュータシステム606が沈み込みの確率及び/又は大きさを予測すると、コンピュータシステム606は、図5A及び図5Bを参照して先に説明したように、レビューのために予測された確率及び/又は大きさを外科医に送ることができる。
【0131】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステム606は、沈み込みの最大レベル、沈み込みの割合(例えば、単一レベル又は脊椎のセグメント又は脊椎全体に沿った沈み込み)、領域又は解剖学的特徴にわたる沈み込みの分布(例えば、不均一な沈み込み、均一な沈み込み)、沈み込みのレベル(例えば、最大予測された沈み込み)、沈み込みに関連する傾斜、許容沈み込み閾値、予測の信頼レベルなど、沈み込みの1又は2以上の特性を予測するために単一レベル又はマルチレベル解析を実行する。コンピュータシステム606は、予測された沈み込みを補償するためにインプラントの寸法(例えば、高さ、接触界面面積)を修正すること、補助的な処置(例えば、沈み込みを防止、制限、又は補償するための処置)などを推奨することができる。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム606は、沈み込みを補償するために術後に拡張されるように構成された拡張可能インプラントを設計することができ、これによって所望のディスク-高さを提供する。
【0132】
コンピュータシステム606が患者固有インプラントを設計すると、コンピュータシステム606は、設計及び/又は製造命令をクラウド608にアップロードすることができる。コンピュータシステム606は、患者固有インプラントを製造するための製造命令(例えば、コンピュータ読み取り可能な製造命令)を作成することもできる。このような実施形態では、コンピュータシステム606は、製作命令をクラウド608にアップロードすることができる。製造システム630は、クラウド608から患者固有インプラントの設計及び/又は製作命令をダウンロードするか、又は他の方法でアクセスすることができる。次いで、製造システムは、付加製造技術、除去製造技術、又は他の適切な製造技術を使用して、患者固有インプラントを製造することができる(例えば、方法500のステップ518)。
【0133】
ロボット外科プラットフォーム650は、外科処置(例えば、方法500のステップ520)の1又は2以上の態様を実行するか、又は他の方法で支援することができる。例えば、プラットフォーム650は、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、修正操作を行うこと、標的部位にインプラントを送達すること、標的部位でインプラントを展開すること、標的部位でインプラントを調整すること、インプラントが移植されるとインプラントを操作すること、標的部位でインプラントを固定すること、インプラントを抜去すること、組織を縫合することなどが可能である。従って、プラットフォーム650は、様々な手術ツール(例えば、把持具、クリップ、針、針ドライバ、灌注ツール、吸引ツール、ステープラ、スクリュードライバアセンブリなど)、撮像機器(例えば、カメラ、センサなど)、及び/又は医療デバイス(例えば、インプラント600)を保持するための1又は2以上のアーム655及びエンドエフェクタを含むことができ、プラットフォーム650が手術計画の1又は2以上の態様を実行することを可能にする。1つのアーム655を有するものとして示されているが、当業者であれば、プラットフォーム650が複数のアーム(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上)、及び任意の数の関節、連結、モータ、及び自由度を有し得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、プラットフォーム650は、1又は2以上の撮像器具を保持する専用の第1のアームを有し、残りのアームは様々な手術器具を保持することができる。幾つかの実施形態では、手術器具は、手術手順の前、途中、又は後に選択的に交換できるように、アームに解放可能に固定することができる。アームは、手術手順の様々な態様を実行するための適切な器用さを提供するために、様々な可動範囲(例えば、自由度)を通して移動可能とすることができる。
【0134】
プラットフォーム650は、アーム655の動作を制御するための制御モジュール660を含むことができる。幾つかの実施形態では、制御モジュール660は、アーム655の動作を制御するためのユーザ入力デバイス(図示せず)を含む。ユーザ入力デバイスは、ジョイスティック、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスとすることができる。ユーザ(例えば、外科医)は、アーム655の動きを制御するために、ユーザ入力デバイスと相互作用することができる。
【0135】
幾つかの実施形態において、制御モジュール660は、実行されると、外科処置の1又は2以上の態様を実行するためにアーム655の動作を自動的に制御する、機械可読動作命令を実行するための1又は2以上のプロセッサを含む。幾つかの実施形態において、制御モジュール660は、制御モジュール660によって実行されたときに、プラットフォーム650に外科処置の1又は2以上のステップを実行させる、外科処置の1又は2以上のステップを指定する機械可読動作命令を(例えば、クラウド608から)受信することができる。例えば、機械可読動作命令は、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、矯正操作を行うこと、インプラント600を標的部位又は領域に送達すること、標的部位にインプラント600を展開すること、標的部位でインプラント600の構成を調整すること、インプラント600が移植されたらそれを操作すること、標的部位でインプラント600を固定すること、インプラント600を抜去すること、組織を縫合すること等をプラットフォーム650に命令することができる。このため、動作命令は、アーム655を関節運動させて患者固有インプラントの送達を行うか、又は他の方法で補助するための特定の命令を含むことができる。
【0136】
幾つかの実施形態では、プラットフォーム650は、手術計画に基づいて(例えば、単に受け取るのとは対照的に)機械可読手術命令を生成することができる。例えば、手術計画は、送達経路、ツール、及び移植部位に関する情報を含むことができる。プラットフォーム650は、手術計画を解析し、ロボットシステムの能力(例えば、ロボットアームの構成及び数、エフェクタの機能性、誘導システム、視覚化システム等)に基づいて、患者固有の手順を実行するための実行可能な手術命令を開発することができる。これにより、図6に示す手術セットアップを、広範囲の異なるタイプのロボット手術システムに適合させることができる。
【0137】
プラットフォーム650は、手術計画及び/又は機械可読手術命令にアクセス及び/又はダウンロードするために、クラウド608及び/又はコンピュータデバイス602との接続を確立するための1又は2以上の通信デバイス(例えば、VLC、WiMAX、LTE、WLAN、IR通信、PSTN、電波、Bluetooth、及び/又はWi-Fi操作性を有する構成要素)を含むことができる。例えば、クラウド608は、プラットフォーム650から特定の手術計画に対する要求を受信し、その計画をプラットフォーム650に送ることができる。特定されると、クラウド608は、実行のために手術計画をプラットフォーム650に直接送ることができる。幾つかの実施形態では、クラウド608は、手術計画をプラットフォーム650に直接送るのではなく、1又は2以上の中間ネットワークデバイス(例えば、コンピュータデバイス602)に送ることができる。ユーザは、実行のために手術計画をプラットフォーム650に送る前に、コンピュータデバイス602を用いて手術計画をレビューすることができる。患者固有の手術計画を特定し、保存し、ダウンロードし、アクセスするための追加の詳細は、2020年8月11日に出願された米国出願第16/990,810号に記載されており、その開示は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
プラットフォーム650は、図6に明示的に示されていない追加の構成要素を含むことができる。例えば、様々な実施形態において、プラットフォーム650は、1又は2以上のディスプレイ(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、投影ディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス))、1又は2以上のI/Oデバイス(例えば、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス)、及び/又はメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み取り専用メモリ(ROM)、及び書き込み可能な不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファなど)を含むことができる。幾つかの実施形態では、前述の構成要素は、図2のコンピュータデバイス200に関して詳細に説明された類似の構成要素と概して類似することができる。
【0139】
理論に束縛されることなく、本明細書に記載される手術計画の様々な態様を実行するためにロボット手術プラットフォームを使用することは、従来の手術技術を上回る幾つかの利点を提供することが期待される。例えば、ロボット手術プラットフォームの使用は、例えば、切開サイズの減少、出血量の減少、手術手技の時間の短縮、手術(例えば、標的位置へのインプラントの配置)の正確性及び精度の向上などによって、手術結果を改善し、及び/又は回復時間を短縮し得る。プラットフォーム650は、例えば、器具(例えば、検索機能を有する器具)、ツール、患者固有インプラント600(例えば、インプラント600がアーム655によって把持された後)などから情報を取得するための1又は2以上のスキャナを含むことによって、ユーザの入力エラーを回避又は低減することもできる。プラットフォーム650は、外科処置の前及び最中に適切な器具の使用を確認することができる。プラットフォーム650が不適切な器具又は用具を特定した場合、別の器具又は用具を取り付けるべきであるという警告をユーザに送ることができる。ユーザは、新しい器具をスキャンして、その器具が手術計画に適切であることを確認することができる。幾つかの実施形態では、手術計画には、使用説明書、器具のリスト、器具の仕様、交換器具などが含まれる。プラットフォーム650は、スキャナからの情報に基づいて、手術前後の確認ルーチンを実行することができる。
【0140】
図7図10は、例えば、方法500に従って、患者固有の医療を提供する選択された態様を更に示す。例えば、図7は、患者の脊椎の一部の例示的な仮想モデル700を示す。図示の実施形態では、仮想モデル700は椎体702を含む。仮想モデルは、機械的シミュレーション、骨内部成長シミュレーション、インプラント設計に基づく沈み込み予測、椎骨特性に基づく沈み込み予測、及び/又は本明細書に記載される他の試験又はシミュレーションなどの1又は2以上のシミュレーションを実行するために使用することができる。幾つかの実施形態では、仮想モデル700は、1又は2以上の領域を含むことができる。図示の実施形態では、例えば、仮想モデル700は、グリッド710が椎体702の複数の領域714を画定するように、横方向(例えば、「X」)及び前後方向(例えば、「Y」)に複数のセグメント線712を有するグリッド710を含む。上述した各シミュレーションは、領域714の1又は2以上に対して実行することができる。領域714は、図7では正方形の形状を有するが、他の実施形態では、領域714は、円形、曲線、矩形、三角形、矩形、五角形、六角形、患者固有の形状、又は任意の他の適切な形状を有することができる。
【0141】
図8は、患者の脊椎の一部の別の例の仮想モデル800を示す。仮想モデル800は、概して、図7の仮想モデル700と類似するか、又は同じにすることができる。しかしながら、図示の実施形態では、仮想モデル800は椎体802の剛性データを含む。剛性データは、前述したように、1又は2以上のソフトウェアモジュールを使用して生成することができる。椎体802は、複数の点804によって表すことができ、各点804は、例えば、図8の勾配スケール810によって示されるように、予測剛性値と関連付けることができ、この場合、明るい色合い(例えば、白、薄い灰色など)は、増加した相対剛性を有する椎体802の領域に対応し、暗い色合い(例えば、黒、濃い灰色など)は、減少した相対剛性を有する椎体802の領域に対応する。前述のように、予測剛性データは、沈み込みの確率を予測するため、及び/又は1又は2以上の患者固有インプラントの設計を修正するために使用することができる。例えば、患者固有インプラントの荷重担持部分が、相対的に増加した剛性又は強度を有する椎体802の1又は2以上の部分と少なくとも部分的に整列するように(例えば、図8において薄い色又は濃い色で図示されているように)、患者固有インプラントを設計することができる(及び/又は、設計を修正することができる)。
【0142】
D.患者固有インプラントの選択された実施形態
図9Aは、(例えば、方法500のステップ508で設計され、ステップ518で製造されたような)患者固有インプラント900の一例を示し、図9Bは、患者に移植されたインプラント900を示す。インプラント900は、患者の身体が以前に特定された矯正された解剖学的構成(例えば、方法500のステップ504)に共形となるように誘導するために特別に設計された整形外科用又は他のインプラントとすることができる。図示の実施形態では、インプラント900は、上椎体の下側エンドプレート表面に係合するように構成された第1の(例えば、上側)表面902と、下椎体の上側エンドプレート表面に係合するように構成された第2の(例えば、下側)表面904とを有する椎体間デバイスである。第1の表面902は、その間に概ね隙間のい界面を形成するように、上椎体の下側エンドプレート表面のトポグラフィーと一致する(例えば、嵌合する)ように設計された患者固有のトポグラフィーを有することができる。同様に、第2の表面904は、その間に概ね隙間のい界面を形成するように、下方の椎体の上方エンドプレート表面のトポグラフィーと一致又は嵌合するように設計された患者固有のトポグラフィーを有することができる。インプラント900は、骨内部成長を促進するように構成された陥凹部906又は他の特徴も含むことができる。インプラント900は患者固有のものであり、患者に幾何学的変化を誘起するように設計されているため、インプラント900は必ずしも左右対称ではなく、非対称であることが多い。例えば、図示された実施形態では、インプラント900は、第1の表面902によって画定される平面がインプラント900の中心長手方向軸Aに平行でないような不均一な厚さを有する。もちろん、インプラント900を含む本明細書に記載されるインプラントは患者固有のものであるため、本技術は特定のインプラントの設計又は特徴に限定されるものではない。本技術に従って設計及び製造することができる患者固有インプラントの追加の特徴は、米国特許出願第16/987,113号及び第17/100,396号に記載されており、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0143】
図10は、可変の患者固有パラメータを有する複数のインプラント1000を示す。図示された実施形態では、例えば、インプラント1000の各々は、異なる形状(例えば、接触表面積、患者に適合/共形の表面トポグラフィー等)及び/又は材料特性(例えば、多孔性、剛性等)を有することができる。幾つかの実施形態では、形状及び/又は材料特性は、沈み込みの予測された確率及び/又は沈み込みの予測された大きさ(例えば、方法500のステップ510、512、及び/又は513)、及び/又は外科医からのフィードバック(例えば、方法500のステップ514)に基づいて変化させることができる。幾つかの実施形態では、幾何学形状及び/又は材料特性は、方法500のステップ516に関して前述した設計パラメータに基づいて自動的に変化させることができる。図10では、変化した幾何学形状及び/又は材料特性を有するものとして説明されているが、これら及び他の実施形態では、インプラント1000の1又は2以上の他の特性(例えば、長さ、幅、剛性、材料タイプ、形状、強度、可撓性等)を、例えば、本明細書に記載されたパラメータの1又は2以上及び/又は他の何れか適切なパラメータに基づいて変化させることができる。
【0144】
当業者であれば理解できるように、先に説明したソフトウェアモジュールの何れかを、本明細書で説明するオペレーションを実行するための単一のソフトウェアモジュールに組み合わせることができる。同様に、ソフトウェアモジュールは、本明細書で説明するコンピュータシステム及びデバイスの何れかの組み合わせにわたって分散させることができ、本明細書で説明する明示的な配置に限定されない。従って、本明細書で説明される操作の何れかは、明示的に別段の記載がない限り、本明細書で説明されるコンピュータデバイス又はシステムの何れかによって実行することができる。
【実施例
【0145】
本発明の技術は、例えば、以下に記載される様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例は、便宜上、番号付きの実施例(1、2、3等)として記載される。これらは例として提供されるものであり、本発明の技術を限定するものではない。従属の実施例の何れかは、何れかの適切な方法で組み合わせて、それぞれの独立の実施例にすることができることに留意されたい。他の実施例も類似の方法で提示することができる。
1.患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データを受け取るステップであって、上記患者データは、上記患者の生来の解剖学的構成を示す上記患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む、ステップと、
上記患者の生来の解剖学的構成を示す上記脊椎領域の仮想モデルを作成するステップと、
上記患者の脊椎領域の矯正解剖学的構成を決定するステップと、
上記矯正解剖学的構成を示すように上記脊椎領域の仮想モデルを更新するステップと、
更新された上記仮想モデルに基づいて、1又は2以上の患者固有椎間インプラントを設計するステップと、
上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを製造する前に、上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップであって、上記予測は、上記患者の脊椎領域の1又は2以上の機械的特性及び/又は上記患者固有椎間インプラントの1又は2以上の特性に少なくとも部分的に基づく、ステップと、
上記沈み込みが発生する予測された確率及び/又は上記沈み込みの予測された大きさが所定の閾値を下回ることに応答して、上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを製造するための製造命令を生成するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
2.上記沈み込みの確率及び/又は上記沈み込みの大きさを予測するステップが、
上記患者の少なくとも1つの椎体の1又は2以上の機械的特性を決定するステップと、
患者固有整形外科インプラントに対する少なくとも1つの椎体の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
3.上記機械的特性が、上記少なくとも1つの椎体のエンドプレート剛性を含む、実施例2に記載のコンピュータ実装方法。
4.上記インプラントの特性が、患者固有整形外科インプラントの強度、剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
5.上記沈み込みの確率及び/又は上記沈み込みの大きさを予測するステップが、上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントと上記患者の少なくとも1つの椎体との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、実施例1~4の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
6.上記患者固有整形外科インプラントと上記少なくとも1つの椎体との間の上記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は患者の脊椎の少なくとも一部の向きの変化を含む、実施例5に記載のコンピュータ実装方法。
7.上記沈み込みの確率及び/又は上記沈み込みの大きさを予測するステップが、上記患者データセット及び/又は上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントを複数の参照患者データセットと比較して、上記複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップを更に含み、上記各類似患者データセットが、(a)上記患者と類似の脊椎病理データを有し、(b)それぞれの整形外科インプラントによる治療を受けて、(c)上記それぞれの整形外科インプラントに関連する沈み込みの結果を経験した参照患者に対応する、実施例1~6の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
8.上記沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップが、沈み込みが発生する確率を予測するステップを含む、実施例1~7の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
9.所定の閾値が約5%及び約30%の間である、実施例8に記載のコンピュータ実装方法。
10.上記沈み込みが発生する確率及び/又は予想される沈み込みの大きさの少なくとも一方を予測するステップが、上記予想される沈み込みの大きさを予測するステップを含む、実施例1~9の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
11.上記所定の閾値が、約1mm及び約5mmの間である、実施例10に記載のコンピュータ実装方法。
12.上記沈み込みが起こる予測された確率及び/又は上記予想される沈み込みの大きさが上記所定の閾値を上回ることに応答して、上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの設計を修正するステップを更に含む、実施例1~11の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
13.上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントの設計を修正するステップが、(i)上記患者固有整形外科インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、(ii)上記患者固有整形外科インプラントの表面と上記患者の椎体のエンドプレートとの間の接触表面積比を調整するステップ、及び/又は(iii)上記椎体の少なくとも1つの他の領域に対して1又は2以上の増加した機械的特性を有する上記椎体の領域と上記患者固有整形外科インプラントの荷重担持部分とを位置合わせするステップを含む、実施例12に記載のコンピュータ実装方法。
14.患者固有整形外科インプラントを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データセットを受け取るステップであって、上記患者データセットが上記患者の脊椎病理データを含む、ステップと、
上記患者データセットを複数の参照患者データセットと比較して、上記複数の参照患者データセットにおける1又は2以上の類似患者データセットを特定するステップであって、上記各類似患者データセットが、(a)上記患者と類似の脊椎病理データを有し、(b)それぞれの整形外科インプラントによる治療を受け、(c)上記それぞれの整形外科インプラントに関連する沈み込み結果を経験した参照患者に対応する、ステップと、
上記1又は2以上の類似患者データセットのサブセットを選択するステップであって、上記選択されたサブセットの各類似患者データセットが、上記参照患者が受けた上記それぞれの整形外科インプラントによる上記治療が良好な沈み込み結果をもたらしたことを示すデータを含む、ステップと、
上記選択されたサブセットの少なくとも1つの類似患者データセットについて、上記それぞれの整形外科インプラントの設計データと、上記それぞれの整形外科インプラントを対応する上記参照患者において移植させる外科処置の外科処置データとを特定するステップと、
上記設計データ及び上記外科処置データに基づいて、上記患者固有整形外科インプラントの設計及び上記患者固有整形外科インプラントを上記患者において移植させる外科処置を生成するステップと、
上記患者固有整形外科インプラントの沈み込みの確率を予測するステップと、
上記予測された沈み込みの確率及び上記沈み込みの確率の減少に関連する1又は2以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、上記患者固有整形外科インプラントの設計及び/又は上記外科処置を修正するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
15.上記沈み込みの確率が、上記患者データ及び上記患者固有整形外科インプラントの設計に少なくとも部分的に基づく、実施例14に記載のコンピュータ実装方法。
16.上記沈み込みの確率を予測するステップが、
上記患者の少なくとも1つの椎体の1又は2以上の機械的特性を決定するステップと、
上記患者固有整形外科インプラントに対する少なくとも1つの椎体の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、実施例14又は15に記載のコンピュータ実装方法。
17.上記機械的特性が、上記少なくとも1つの椎体のエンドプレート剛性を含む、実施例16に記載のコンピュータ実装方法。
18.上記沈み込みの確率を予測するステップが、上記患者固有整形外科インプラントと上記患者の少なくとも1つの椎体との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、実施例14~17の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
19.上記患者固有整形外科インプラントと上記少なくとも1つの椎体との間の上記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は上記患者の脊椎の少なくとも一部の向きの変化を含む、実施例18に記載のコンピュータ実装方法。
20.上記1又は2以上の沈み込みパラメータが、上記患者固有整形外科インプラントの剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、実施例14~19の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
21.上記設計及び/又は上記外科処置を修正するステップが、(i)上記患者固有整形外科インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、(ii)上記患者固有整形外科インプラントの表面と上記患者の椎体のエンドプレートとの間の接触表面積比を増加させるステップ、及び/又は(iii)上記患者固有整形外科インプラントの荷重担持部分を、荷重に対する増加した公差を有する上記椎体の領域と位置合わせするステップを含む、実施例20に記載のコンピュータ実装方法。
22.患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データを受け取るステップであって、上記患者データが、上記患者の生来の解剖学的構成を示す患者の脊椎領域の1又は2以上の画像を含む、ステップと、
上記患者の脊椎領域の矯正された解剖学的構成を決定するステップと、
上記矯正された解剖学的構成を達成するための手術計画を生成するステップであって、上記手術計画が、上記矯正された解剖学的構成を達成するための外科処置に関与する1又は2以上の椎骨レベルの特定を含む、ステップと、
上記矯正された解剖学的構成を達成するために上記1又は2以上の椎骨レベルでの椎骨間に適合し且つ1又は2以上の沈み込み設計パラメータに少なくとも部分的に基づく1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップと、
を含み、
上記1又は2以上の沈み込み設計パラメータは、上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの各々の剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、
コンピュータ実装方法。
23.上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、上記1又は2以上の患者固有椎間インプラントのうちの少なくとも1つについての沈み込みの確率を予測するステップを更に含む、実施例22に記載のコンピュータ実装方法。
24.上記沈み込みの確率が、上記患者データ及び上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの設計に少なくとも部分的に基づく、実施例23に記載のコンピュータ実装方法。
25.上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、
上記椎骨の1又は2以上の機械的特性を予測するステップと、
上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントに対する上記椎骨の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、実施例23又は24に記載のコンピュータ実装方法。
26.上記機械的特性が、上記椎骨のエンドプレート強度又は剛性を含む、実施例25に記載のコンピュータ実装方法。
27.上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントと上記対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、実施例22~26の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
28.上記患者固有の仮想椎間インプラントと対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は上記患者の脊椎の一部の向きを含む、実施例27に記載のコンピュータ実装方法。
29.上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントを設計するステップが、
(i)上記1又は2以上の患者固有の仮想椎間インプラントの各々について第1の設計を生成するステップと、(ii)上記第1の設計の少なくとも1つについて沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するステップと、(iii)沈み込みの減少した予測された確率及び/又は大きさを有する第2の設計を生成するよう、上記沈み込みの予測された確率及び/又は大きさと上記1又は2以上の沈み込みパラメータとに少なくとも部分的に基づいて上記第1の設計の1又は2以上を修正するステップと、
を含む、実施例22~28の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
30.上記設計及び/又は上記外科処置を修正するステップが、(i)上記患者固有椎間インプラントの少なくとも一部の剛性を調整するステップ、及び/又は(ii)上記患者固有椎間インプラントの表面と上記椎骨のエンドプレートとの間の接触表面積比を増加させるステップを含む、実施例29に記載のコンピュータ実装方法。
31.上記手術計画を生成するステップが、(i)第1の手術計画を生成するステップと、(ii)上記第1の手術計画に対する沈み込みの確率及び/又は大きさを予測するステップと、(iii)沈み込みの減少した予測された確率及び/又は大きさを有する第2の手術計画を生成するよう、上記沈み込みの予測された確率及び/又は大きさに少なくとも部分的に基づいて上記第1の手術計画を修正するステップと、
を含む、実施例22~30の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
32.上記手術計画を修正するステップが、上記患者固有の仮想椎間インプラントの少なくとも1つの荷重担持部分を、増大した剛性を有する上記対応する椎骨の領域と位置合わせするステップを含む、実施例31に記載のコンピュータ実装方法。
33.患者固有整形外科インプラントを生成するシステムであって、
1又は2以上のプロセッサと、
命令を格納するメモリと、
を備え、
上記命令が、上記1又は2以上のプロセッサにより実行されたときに、
患者の患者データセットを受け取るステップと、
上記患者データセットを複数の参照患者データセットと比較するステップであって、上記複数の参照患者データセットの各々が、対応する参照患者に関連付けられる、ステップと、
上記患者データセット及び上記対応する参照患者の沈み込み結果に対する類似性に少なくとも部分的に基づいて、上記複数の参照患者データセットのサブセットを選択するステップと、
上記選択されたサブセットに基づいて、上記患者を治療するための少なくとも1つの患者固有整形外科インプラント設計を生成するステップと、
を含む動作を上記システムに実行させる、システム。
34.上記設計を生成するステップが、上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの沈み込みの確率を予測するステップを含む、実施例33に記載のシステム。
35.上記沈み込みの確率が、上記患者データ及び上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの上記生成された設計に少なくとも部分的に基づく、実施例34に記載のシステム。
36.上記設計を生成するステップが、
上記患者の少なくとも1つの椎骨の1又は2以上の機械的特性を予測するステップと、
上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントに対する上記少なくとも1つの椎骨の骨内部成長を予測するステップと、
を含む、実施例33~35の何れかに記載のシステム。
37.上記機械的特性が、上記少なくとも1つの椎骨のエンドプレート強度又は剛性を含む、実施例36に記載のシステム。
38.上記設計を生成するステップが、上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントと上記患者の少なくとも1つの対応する椎骨との間の1又は2以上の相互作用をモデル化するシミュレーションを実行するステップを含む、実施例33~37の何れかに記載のシステム。
39.上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントと上記患者の少なくとも1つの対応する椎骨との間の上記1又は2以上の相互作用が、力の伝達、荷重の分散、及び/又は上記患者の脊椎の一部の向きを含む、実施例38に記載のシステム。
40.上記設計を生成するステップが、1又は2以上の沈み込み軽減設計パラメータに少なくとも部分的に基づいて上記設計を生成するステップを含む、実施例33~39の何れかに記載のシステム。
41.上記1又は2以上の沈み込み軽減設計パラメータが、上記少なくとも1つの患者固有整形外科インプラントの各々の強度、剛性、長さ、幅、接触表面積、表面トポグラフィー、荷重担持表面位置、及び/又は標的位置を含む、実施例40に記載のシステム。
42.上記設計を生成するステップが、上記患者の脊椎に沿った複数のレベルでの沈み込みをシミュレーションするステップを含む、実施例33~41の何れかに記載のシステム。
43.上記患者データセットが、上記患者に類似した脊椎湾曲を有する参照患者データのサブセットを含み、
上記方法が、上記患者に類似した脊椎湾曲を有する上記参照患者データのサブセットに基づいて、上記患者の脊椎に沿って1又は2以上のレベルを選択するステップを更に含む、実施例33~42の何れかに記載のシステム。
44.患者固有の外科治療を提供するコンピュータ実装方法であって、
患者の提案された手術計画を受け取るステップであって、上記提案された手術計画が、上記患者に実行される少なくとも1つの外科処置と上記患者に移植される少なくとも1つのインプラントのパラメータとを含む、ステップと、
上記提案された手術計画を1又は2以上の患者の組織特性と比較して、上記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定するステップと、
上記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが所定の閾値以上であることに応答して、上記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するために、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
上記沈み込みの確率及び/又は予測される沈み込みの大きさが上記所定の閾値を下回ることに応答して、上記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
45.上記所定の閾値が、沈み込みの閾値の大きさであり、
上記沈み込みの予測された大きさが、上記閾値の大きさ以上であることに応答して、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示し、
上記沈み込みの予測された大きさが、上記閾値を下回ることに応答して、上記提案された手術計画が許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示す、
実施例44に記載のコンピュータ実装方法。
46.上記閾値の大きさが、約1mm及び約5mmの間である、実施例45に記載のコンピュータ実装方法。
47.上記所定の閾値が、沈み込みの確率であり、
上記沈み込みの確率が、上記閾値の確率以上であることに応答して、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示し、
上記沈み込みの確率が、上記閾値の確率未満であることに応答して、上記提案された手術計画が許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示す、
実施例44に記載のコンピュータ実装方法。
48.上記閾値の確率が、約5%及び約30%の間である、実施例47に記載のコンピュータ実装方法。
49.患者固有の外科的ケアを提供するためのシステムであって、
1又は2以上のプロセッサと、
命令を格納するメモリと、
を備え、
上記命令が、上記1又は2以上のプロセッサにより実行されたときに、
患者の提案された手術計画を受け取るステップであって、上記提案された手術計画が、上記患者に実施される少なくとも1つの外科処置と上記患者に移植される少なくとも1つのインプラントのパラメータを含む、ステップと、
上記提案された手術計画を1又は2以上の患者の組織特性と比較して、上記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定するステップと、
上記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさが所定の閾値以上であることに応答して、上記沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを低減するために、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
上記沈み込みの確率及び/又は予測される沈み込みの大きさが上記所定の閾値を下回ることに応答して、上記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む動作を上記システムに実行させる、システム。
50.上記所定の閾値が、沈み込みの閾値の大きさであり、上記動作が、
上記沈み込みの予測された大きさが、上記閾値の大きさ以上であることに応答して、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
上記沈み込みの予測された大きさが、上記閾値を下回ることに応答して、上記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、実施例49に記載のシステム。
51.上記閾値の大きさが、約1mm及び約5mmの間である、実施例50に記載のシステム。
52.上記所定の閾値が、沈み込みの確率であり、上記動作が、
上記沈み込みの確率が上記閾値の確率以上であることに応答して、上記提案された手術計画の1又は2以上の態様を修正する必要があることを示すステップと、
上記沈み込みの確率が閾値の確率未満であることに応答して、上記提案された手術計画が、許容可能な沈み込みパラメータに適合していることを示すステップと、
を含む、実施例49に記載のシステム。
53.上記閾値の確率が、約5%及び約30%の間である、実施例52に記載のシステム。
54.少なくとも、上記提案された手術計画を1又は2以上の患者組織特性と比較して、上記提案された手術計画の実行後の沈み込みの確率及び/又は予測される大きさを決定する上記動作が、訓練された機械学習及び/又は人工知能モデルを用いて実行される、実施例49~53の何れかに記載のシステム。
【0146】
結論
上述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介して、デバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を記載している。このようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1又は2以上の機能及び/又は動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に何れかの組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装できることが当業者には理解されるであろう。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積形式を介して実装することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される実施形態の幾つかの態様は、その全体又は一部が、集積回路において、1つ又は2又は3以上のコンピュータ上で実行される1つ又は2又は3以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2又は3以上のコンピュータシステム上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして)、1つ又は2又は3以上のプロセッサ上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして(例えば、1又は2以上のマイクロプロセッサ上で実行される1又は2以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又は実質的にこれらの何れかの組み合わせとして、回路を設計すること及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを書くことは、本開示に照らして当業者の技術の範囲内であろう。更に、当業者であれば、本明細書で説明する主題の機構は、様々な形態のプログラム製品として配布可能であり、及び本明細書で説明する主題の例示的な実施形態は、配布を実際に実施するために使用される特定のタイプの信号伝達媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号伝達媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録型媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の伝送型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
当業者であれば、デバイス及び/又はプロセスを本明細書に規定する方法で記述し、その後、工学的手法を使用して、このような記述されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合することができる。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザ界接、及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1又は2以上の相互作用デバイス、及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック;構成要素及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1又は2以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるような、何れかの適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0148】
本明細書で説明する主題は、場合によっては、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。このような描かれたアーキテクチャは単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が実現されるように、実質的に「関連」している。従って、本明細書において、特定の機能を実現するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に接続」又は「作動可能に結合」されていると見なすこともでき、及びそのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に結合可能」であると見なすこともできる。動作可能に結合可能の具体例としては、物理的に嵌合可能及び/又は物理的に相互作用可能な構成要素、並びに/又は無線で相互作用可能及び/又は無線で相互作用可能な構成要素、並びに/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、幾つかの実施形態において、以下に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術の何れか1又は2以上と同様とすることができる。
2018年7月27日に出願された、「外科処置を支援及び拡張するためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/048,167号;
2019年1月8日に出願された、「脊椎手術中に外科医のスクリュー配置を支援するシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/242,877号;
2018年12月1日に出願された「多断面整形外科位置合わせのためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/207,116号;
2019年3月13日に出願された、「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/352,699号;
2019年4月12日に出願された、「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/383,215号;
2019年9月12日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」と題する、米国特許出願第16/569,494号;
2019年11月29日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/699,447号;
2020年1月6日に出願された、「「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/735,222号;
2020年8月6日に出願された、「患者固有の人工椎間板及びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/987,113号;
2020年8月11日に出願された、「患者固有データとの患者固有医療デバイスのリンク付け、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/990,810号;
2020年10月30日に出願された、「組織特性に基づいて整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/085,564号;
2020年11月20日に出願された、「位置決め特徴部を有する患者固有の椎骨インプラント」と題する米国特許出願第17/100,396号;
2021年6月8日に出願された、「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/342,439号;
2021年8月31日に出願された、「ブロックチェーン管理医療インプラント」と題する米国特許出願第17/463,054号;
2021年11月19日に出願された、「個人化された手術のための患者固有の治具」と題する米国特許出願第17/531,417号;
2022年2月23日に出願された、「ヘルスケアデータを格納及びアクセスするための非代替性トークンシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/678,874号;
2022年6月8日に出願された、「患者固有の拡張可能な椎骨インプラント」と題する米国特許出願第17/835,777号;
2022年6月16日に出願された、「患者固有の前プレートインプラント」と題する米国特許出願第17/842,242号;
2022年6月28日に出願された、「脊椎インプラントの患者固有調整、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/851,487号;
2022年7月1日に出願された、「メッシュネットワークのための脊椎インプラント」と題する米国特許出願第17/856,625号;
2022年7月18日に出願された、「患者固有の仙腸骨インプラント、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/867,621号;
2022年7月19日に出願された、「術中の患者の移動性を予測するためのシステム、及び移動性に関連する手術ステップを特定するためのシステム」と題する米国特許出願第17/868,729号;
2021年11月1日に出願された、「改善された沈み込み結果を有する患者固有の医療処置及びデバイス、並びに関連するシステム及び方法」と題する米国特許出願第63/274,135号;
2021年11月1日に出願された、「患者固有の脊椎器具及び減圧システム」と題する米国特許出願第63/274,300号;
2022年2月24日に出願された、「デジタルファイリングキャビネットにおいてヘルスケアデータを格納及びアクセスするためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第63/313,602号;
2022年2月24日に出願された、「患者固有のヘルスケアデータを解析するためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第63/313,620号;
2022年2月24日に出願された、「ヘルスケア提供者による患者固有のヘルスケアデータを管理するためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第63/313,638号;
2022年8月26日に出願された、「複数の患者固有の手術計画を生成、設計及び/又はモデリングするためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第63/401,429号。
【0150】
上記の特定された特許及び出願は全て、引用によりその全体が組み込まれる。加えて、本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、特定の実施形態において、実施形態、特徴、システム、デバイス、又は他の事項の何れか1又は2以上に適用され、又はこれらと関連して使用することができる。
【0151】
本明細書に開示される範囲はまた、何れか及び全ての重複部分、部分的範囲、及びこれらの組み合わせを包含する。「最大で」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「~の間」又は類似のものどの表現は、記載された数を含む。本明細書で使用される「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語によって先行される数は、記載された数を含み(例えば、約10%=10%)、また、所望の機能を依然として果たす、又は所望の結果を達成する記載された量に近い量も表している。例えば、用語「およそ」、「約」、及び「実質的に」は、記載された量の10%未満内、5%未満内、1%未満内、0.1%未満内、及び0.01%未満内にある量を指すことができる。
【0152】
以上から、本開示の様々な実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されており、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく様々な修正を行うことができる点が理解されるであろう。従って、本明細書に開示された様々な実施形態は、限定を意図するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】