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特表2024-542049動物において健康上の効果をもたらすための方法及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】動物において健康上の効果をもたらすための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/147 20160101AFI20241106BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20241106BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20241106BHJP
【FI】
A23K20/147
A23K20/158
A23K50/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525877
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 IB2022061502
(87)【国際公開番号】W WO2023095096
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,751
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】パン, ユアンロン
(72)【発明者】
【氏名】バトナーガー, サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フイ
(72)【発明者】
【氏名】スピアーズ, ジュリー クリスティン
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA05
2B150AA06
2B150AB10
2B150CJ07
2B150CJ08
2B150DC13
(57)【要約】
本開示は、食品組成物を動物に投与するステップを含む、かかる動物に健康上の効果をもたらすための組成物及び方法を提供し、食品組成物は、約25%~約60%のタンパク質と、約15%~約45%の脂肪と、約5%~約25%の炭水化物と、を含み、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における健康上の効果の提供を増加させるための方法であって、食品組成物を前記動物に投与するステップを含み、前記食品組成物が、
約25%~約60%のタンパク質と、
約15%~約45%の脂肪と、
約5%~約25%の炭水化物と、を含み、
タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比が3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比が2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比が3:1~1:1の範囲である、
方法。
【請求項2】
前記タンパク質が、前記食品組成物の約40%~約60%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭水化物が、前記食品組成物の約15%~約25%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪が、前記食品組成物の約20%~約40%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記食品組成物が、定期的に前記動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比が3.25:1~2.75:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比が2.25:1~1.75:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比が3:1~1.6:1の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記食品組成物が、ペットフード組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動物が、コンパニオンアニマルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記健康上の効果が、体脂肪の低減、体重の低減、体重増加の低減、インスリン抵抗性の低下、糖尿病リスクの減少、前糖尿病リスクの減少、コレステロール値の低下、グルコース値の低下、トリグリセリド値の低下、インスリン値の低下、レプチン値の低下、インスリン感受性の改善、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、過体重又は肥満の予防、過体重又は肥満の発症の遅延、過体重又は肥満の治療、健康な代謝の増進、より良好な血糖管理の促進、慢性炎症及び炎症性サイトカインの低下、自発的活動の改善、日中活動の改善、満腹感の増大、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
約30%~約60%のタンパク質と、
約15%~約45%の脂肪と、
約5%~約25%の炭水化物と、を含み、
タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比が3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比が2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比が3:1~1:1の範囲である、ペットフード組成物。
【請求項11】
タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比が3.25:1~2.75:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比が2.25:1~1.75:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比が2:1~1.6:1の範囲である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記タンパク質が、前記ペットフード組成物の約40%~約60%を構成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記炭水化物が、前記ペットフード組成物の約15%~約25%を構成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記脂肪が、前記ペットフード組成物の約20%~約40%を構成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記ペットフード組成物が、ネコ科動物用に配合されている、請求項10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は2021年11月29日に出願された米国特許仮出願第63/283751号の権益及び優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]肥満動物及び過体重動物では、心臓疾患、糖尿病、高血圧、脳卒中、脂質異常症、特定の種類のがん、無呼吸症、及び変形性関節症を含む多くの慢性疾患のリスクが高まる。したがって、ヒト及びペットを含む過体重動物及び肥満動物では、健康及び生活の質を維持するために、過剰な体脂肪を減らすことが重要である。残念なことに、過剰な体脂肪を減らすこと又は減量後に健康な体重を維持することは難しく、各種解決策は、例えば、除脂肪体重の減少又は減量後の体重のリバウンドなどといった悪影響を招く可能性がある。
【0003】
[0003]肥満は、ヒト及びペットにおいて最も深刻な健康問題の1つであり、死因のなかでも予防可能なものであると考えられている。健康な体重を維持することは、最適な代謝、正常な身体活動、及び良好な健康のために重要である。したがって、動物の健康及びウェルネスを改善するために、満腹感を増大させ、体重減量を促進し、及び/又は健康な体重を維持するための方法及び組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態では、動物において健康上の効果をもたらす方法は、食品組成物を動物に投与するステップを含むことができ、食品組成物は、約25%~約60%のタンパク質と、約15%~約45%の脂肪と、約5%~約25%の炭水化物と、を含み、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比(caloric contribution ratio)は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。
【0005】
[0005]別の実施形態では、ペットフード組成物は、約25%~約60%のタンパク質と、約15%~約45%の脂肪と、約5%~約25%の炭水化物と、を含むことができ、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。
【0006】
[0006]本発明の他の及び更なる目的、特徴、及び利点は、当業者には容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[定義]
[0007]用語「動物」は、本明細書に記載の健康上の効果を受ける任意の動物を意味し、ヒト、鳥類(avian)、ウシ科(bovine)、イヌ科(canine)、ウマ科(equine)、ネコ科(feline)、ヤギ類(hircine)、オオカミ類(lupine)、ネズミ科(murine)、ヒツジ類(ovine)又はブタ類(porcine)の動物が挙げられる。一態様では、動物は哺乳類であり得る。
【0008】
[0008]用語「コンパニオンアニマル」は、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、及びブタなどの家畜を意味する。一態様では、コンパニオンアニマルは、イヌ科動物であり得る。別の態様では、コンパニオンアニマルは、ネコ科動物であり得る。
【0009】
[0009]「カロリー寄与率比」という用語は、それぞれの食品組成物からカロリー寄与のパーセンテージとして測定される主要栄養素の比を指す。例えば、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は、食品組成物由来のタンパク質のカロリー百分率を食品組成物由来の脂肪のカロリー百分率で割ったものとして測定される。
【0010】
[0010]用語「治療有効量」とは、本明細書に開示される化合物の量であって、(i)特定の疾患、状態、若しくは障害を治療若しくは予防する量、(ii)特定の疾患、状態、若しくは障害のうち1つ以上の症状を和らげる、改善する、若しくは取り除く量、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、若しくは障害のうち1つ以上の症状の発現を予防若しくは遅延させる量、を意味する。
【0011】
[0011]用語「治療すること」、「治療する」、及び「治療」は、予防的なもの、すなわち予防的治療及び緩和的治療の両方を包含する。
【0012】
[0012]用語「動物の健康及び/又はウェルネス」は、単に病気又は虚弱を有しないというだけでなく、動物が肉体的、精神的、及び社会的に十分に満たされた状態にあることを意味する。
【0013】
[0013]「併せて」という用語は、本明細書に開示される食品組成物、その構成要素、又は他の組成物が、(1)単一食品組成物として一緒に、又は(2)ほぼ同時に又は周期的に、同一の又は異なる投与経路を使用して同一の又は異なる頻度で別々に、動物に投与されることを意味する。「周期的」とは、食品組成物、その構成要素、又は他の組成物が、特定の化合物又は組成物に許容されるスケジュールで投与されることを意味する。「ほぼ同時に」とは、一般的に、食品組成物、その構成要素、又は他の組成物が、同時に投与される、又は互いに約72時間以内に投与されることを意味する。
【0014】
[0014]「食品」又は「食品製品」又は「食品組成物」という用語は、ヒトを含む動物による摂取を目的とし、かつ動物に栄養を提供する、製品又は組成物を意味する。
【0015】
[0015]用語「炭水化物」は、消化可能な炭水化物、例えば、糖及びデンプンを指し、繊維、例えばセルロース繊維又は発酵性繊維を含まない。
【0016】
[0016]用語「定期的に」とは、少なくとも月1回の投与を意味し、一態様では、少なくとも週1回の投与を意味する。特定の実施形態では、週2回又は3回など、より頻回な投与又は摂取を実施できる。一態様では、投与計画は、少なくとも1日1回の摂取を含み得る。
【0017】
[0017]用語「単一パッケージ」とは、キットの構成要素が、1つ以上の容器において又は1つ以上の容器と物理的に関連付けられており、製造、流通、販売、又は使用にあたって1つのユニットとしてみなされることを意味する。容器としては、袋、箱、カートン、ボトル、シュリンクラップパッケージなどのパッケージ、ステープル留めされた若しくは別の方法で取り付けられた構成要素、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。単一パッケージは、製造、流通、販売、又は使用のための1つのユニットとしてみなされるように物理的に関連付けられた、食品組成物又はその構成要素の容器であってもよい。
【0018】
[0018]用語「仮想パッケージ」とは、他の構成要素を得る方法をユーザーに対して指示する、1つ以上の物理的又は仮想的なキット構成要素に関する指示によって、キットの構成要素が関連付けられることを意味する(例えば、袋又は他の容器内に、1つの構成要素と、ユーザーに対して、ウェブサイトを見る、録音メッセージ若しくはFAX返信サービスにコンタクトする、視覚的メッセージを見る、又は介護者若しくはインストラクターに連絡をとり、キットの使用方法、又はキットの1つ以上の構成要素に関する安全情報若しくは技術的情報を取得するよう指示する説明書と、を含む)。
【0019】
[0019]用語「約」は、数値の±20%を意味し、一態様では±10%であり、別の態様では±5%であり、更に特定の一態様では±2%である。例えば、約が数値の±20%である一態様では、語句「約10%~約20%」は、8%~24%又は12%~16%の範囲を含むことができ、その任意の下位範囲を含む。
【0020】
[0020]本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という言葉又は他の非限定的な言葉を使用する実施形態、態様及び例は、「を本質的に含む(consisting essentially of)」及び「を含む(consisting of)」の実施形態に置き換えることができる。
【0021】
[0021]用語「完全かつバランスのとれた」は、食品組成物について言及する場合、動物栄養学の分野で認められた権威の推奨に基づき、既知の必要な栄養素の全てを、適切な量及び割合で含有しており、したがって、栄養補給源を追加せずとも、生命を維持し、又は生産(production)を促進するための食事摂取の唯一の供給源としての役割を果たすことができる食品組成物を意味する。例えば、米国飼料検査官協会(AAFCO)によって規定された基準に従って配合された完全かつバランスのとれた食品組成物などの、栄養バランスのとれたペットフード及び動物用食事組成物は、当該技術分野において広く知られており、広く使用されている。一実施形態では、「完全かつバランスのとれた」は、2021年1月1日にAAFCOによって公開された現行基準に従い得る。
【0022】
[0022]本明細書で表されている全ての百分率は、別段の記述がない限り、乾物ベースでの組成物の重量基準である。当業者であれば、「乾物ベース」という用語が、組成物中の全ての自由水分が除かれた後に組成物中の原材料の濃度又はパーセンテージが測定又は特定されること、を意味していることは理解されるであろう。
【0023】
[0023]本明細書で使用される場合、範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を列挙及び記載する必要を回避するための省略表現として、本明細書において使用する。かかる範囲内の任意の適切な値を、適宜、その範囲の上限値、下限値、又は境界値として選択できる。
【0024】
[0024]本明細書で使用される場合、文脈により明確に記載のない限り、単語の単数形には複数形が包含され、逆も同様である。したがって、「a」、「an]、及び「the」への言及は、概して、それぞれの用語の複数形を包含する。例えば、単数の「栄養補助食品(a supplement)」、「方法(a method)」、又は「食品(a food)」への言及は、それらの複数の「栄養補助食品(supplements)」、「方法(methods)」、又は「食品(foods)」を包含する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」の語は、排他的な語ではなく、他を包含し得る語であると解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。同様に、用語「例(examples)」は、特に、後に用語の掲載が続く場合、単に例示的かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであると判断すべきではない。
【0025】
[0025]本明細書に開示される方法及び組成物並びに他の発展は、本明細書に記載された特定の方法論、手順及び試薬に限定されないが、その理由は、当業者であれば理解されるように、それらは変更可能であるためである。更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とするものであり、開示又は請求の範囲を制限することを意図するものではなく、また制限するものでもない。
【0026】
[0026]別段の定めがない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語、専門用語、並びに頭字語は、本発明の分野(複数可)、又はその用語が使用される分野(複数可)の当業者により一般的に理解される意味を有する。本明細書に記載のものと類似する又は同等の任意の組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは材料を、本発明の実施に使用できるが、特定の組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは材料を本明細書において記載する。
【0027】
[0027]本明細書で引用又は参照される全ての特許、特許出願、刊行物、技術及び/又は学術論文、並びにその他の参照文献は、法律によって許される範囲でそれらの全体を本明細書に援用する。これらの参照文献についての論考は、その参照文献においてなされる主張を要約することを意図するにすぎない。そのような特許、特許出願、刊行物、若しくは参照文献の一切は、又は、それらのいずれの部分も、関連技術、必須技術、又は先行技術であると認めるものではない。そのような特許、特許出願、刊行物、及び他の参照文献が、関連技術、必須技術、又は先行技術であるというあらゆる主張に対し、正確性及び妥当性に異議を申し立てる権利を明確に留保するものである。
【0028】
[発明を実施するための形態]
[0028]本方法及び組成物は、特定の食品組成物が動物における満腹感を増大させることが確認されたという発見に基づいている。具体的には、本食品組成物は、低カロリー食品組成物、食事療法、又は高価な添加物若しくは栄養補助食品の使用などの既知の治療レジメンと比較して、満腹感を高めて健康効果をもたらすタンパク質対炭水化物の比を利用する。しかしながら、これらの従来の処置は、本方法及び組成物と併せて使用できる。
【0029】
[0029]一実施形態では、動物において健康上の効果をもたらす方法は、食品組成物を動物に投与するステップを含むことができ、食品組成物は、約25%~約60%のタンパク質と、約15%~約45%の脂肪と、約5%~約25%の炭水化物と、を含み、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。
【0030】
[0030]別の実施形態では、ペットフード組成物は、約25%~約60%のタンパク質と、約15%~約45%の脂肪と、約5%~約25%の炭水化物と、を含むことができ、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。
【0031】
[0031]本発明の食事は、概して高タンパク質かつ低炭水化物であるが、本発明の主要栄養素プロファイルは独特であり、予想外の満腹効果をもたらす特定の比を有する。注目すべきことに、本発明の食事は、ケトジェニック食(伝統的なもの又は改変されたもの)ではない。すなわち、高脂肪に依拠する食事又は食事の主成分として脂肪を有する食事ではない。また、本発明の食事は、以下の実施例に示すように、一般的な高タンパク食とは区別される。本発明の方法及び組成物は、単一の主要栄養素成分に依拠するのではなく、当該技術分野においてこれまで理解されていなかった、独特の主要栄養素比に依拠する。
【0032】
[0032]概して、本発明の組成物はタンパク質を含む。タンパク質は、粗タンパク質物質であってもよく、大豆ミール、大豆タンパク質濃縮物、トウモロコシグルテンミール、小麦グルテン、綿実、エンドウ豆タンパク質、キャノーラミール及びピーナッツミールなどの植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン、及び肉タンパク質などの動物性タンパク質を含み得る。本明細書で有用な肉タンパク質の例としては、牛肉、豚肉、子羊、ウマ、家禽、魚、及びこれらの混合物が挙げられる。組成物はまた、乾燥乳清及び他の乳製品副産物などの他の材料を任意に含み得る。一実施形態では、食品組成物は、約25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%又は更には55重量%から、約35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、又は更には60重量%までの量であって、これらの範囲内の様々な部分範囲を含む量で、タンパク質を含んでもよい。一態様では、タンパク質は、食品組成物の約40重量%~約60重量%であり得る。別の態様では、タンパク質は、食品組成物の約45重量%~約55重量%であり得る。
【0033】
[0033]概して、任意の種類の炭水化物を食品組成物に使用することができる。好適な炭水化物の例としては、米、トウモロコシ、キビ、ソルガム、アルファルファ、大麦、大豆、キャノーラ、オート麦、小麦、ライ麦、ライ小麦、及びこれらの混合物などの穀類又は禾穀類が挙げられる。一実施形態では、炭水化物は、食品組成物の約15重量%~約25重量%を構成する。別の実施形態では、炭水化物は、食品組成物の約10重量%~約20重量%を構成する。他の態様では、炭水化物は、約5重量%、10重量%、15重量%、又は更には20重量%から、約10重量%、15重量%、20重量%、又は更には25重量%の量で存在し得る。
【0034】
[0034]概して、食品組成物は脂肪を含む。好適な脂肪の例としては、動物性脂肪及び植物性脂肪が挙げられる。一態様では、脂肪源は、獣脂、ラード、又は家禽脂肪などの動物性脂肪源であり得る。コーン油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ブドウ種子油、大豆油、オリーブ油などの植物油、魚油、並びに一価不飽和脂肪酸並びにn-6及びn-3多価不飽和脂肪酸に富む他の油も使用され得る。一実施形態では、食品組成物は、約15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、又は更には40重量%から、約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は更には45重量%までの量であって、これらの範囲内の様々な部分範囲を含む量で、脂肪を含んでもよい。一態様では、脂肪は、食品組成物の約20重量%~約40重量%を構成する。一態様では、脂肪は、食品組成物の約25重量%~約35重量%を構成する。
【0035】
[0035]概して、タンパク質と、炭水化物と、脂肪とは、動物に健康上の効果をもたらす比となっている。典型的には、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は3.5:1~2.5:1の範囲であり、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は2.5:1~1.5:1の範囲であり、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は3:1~1:1の範囲である。いくつかの態様では、タンパク質対炭水化物のカロリー寄与率比は、3.25:1~2.75:1、又は更には3.15:1~3:1の範囲であり得る。他の態様では、脂肪対炭水化物のカロリー寄与率比は、2.25:1~1.75:1、又は更には2:1~1.75:1の範囲であり得る。更に他の態様では、タンパク質対脂肪のカロリー寄与率比は、2:1~1.6:1、又は更には1.9:1~1.65:1の範囲であり得る。
【0036】
[0036]投与は、必要に応じて、所望に応じて、定期的に、又は断続的に、行うことができる。一態様において、食品組成物は、動物に定期的に投与することができる。一態様では、少なくとも週1回の投与を行うことができる。特定の実施形態では、週2回又は3回など、より頻回な投与又は摂取を実施できる。一態様では、投与計画は、少なくとも1日1回の摂取を含み得る。
【0037】
[0037]本開示の方法により、投与は、食事療法の一環としての投与を含めて、動物の分娩から成体期に至るまでの期間にわたるものとすることができる。様々な実施形態において、動物は、ヒト又はイヌ若しくはネコなどのコンパニオンアニマルであり得る。特定の実施形態では、動物は、幼若期又は成長期の動物であり得る。他の実施形態において、投与は、例えば、動物が推定寿命又は予想寿命の約10%、20%、30%、40%、又は50%超に達したときに開始され、定期的に又は長期にわたって定期的(extended regular basis)に行われ得る。いくつかの実施形態では、動物は予測寿命の40%、45%、又は50%に達していてもよい。更に他の実施形態では、動物は、見込み寿命の60%、66%、70%、75%、又は80%に達した、より老齢であってもよい。寿命の算出は、保険統計表、計算、又は推定などに基づいたものであってよく、過去、現在、及び未来の、寿命に正又は負の影響を及ぼすことが知られている影響又は要因を考慮してもよい。種、性別、体格、遺伝的要因、環境要因及びストレッサー、現在及び過去の健康状態、過去及び現在の栄養状態、並びにストレッサーなどの留意事項も影響を及ぼすことがあり、寿命を算出する際に考慮してもよい。
【0038】
[0038]このような投与は、本明細書に記載される1つ以上の目的、例えば、動物における満腹感の増大、を達成するために必要な期間にわたって実施できる。他の投与量が適切である場合があり、動物の初期体重、並びに種、性別、品種、年齢、所望の健康上の効果などの他の可変要素に基づいて決定することができる。
【0039】
[0039]このような食品組成物の含水率は、食品組成物の性質に応じて様々である。食品組成物は、乾燥組成物(例えば、キブル)、半湿潤組成物、湿潤組成物、又はこれらの任意の混合物であってもよい。一実施形態では、組成物はペットフード組成物であってよく、一態様では、完全かつ栄養バランスのとれたペットフードであり得る。この実施形態において、ペットフードは、「ウェットフード」、「ドライフード」、又は「中間含水率」の食品であってもよい。「ウェットフード」は、典型的には、缶又はホイルバッグに入れられて販売され、含水率が典型的には約70%~約90%の範囲であるペットフードのことを述べている。「ドライフード」は、ウェットフードと同様の組成であるが、典型的には約5%~約15%又は20%の範囲の限定された含水率を有するペットフード(典型的には小さなビスケットのようなキブルの形態)のことを述べている。一実施形態では、組成物は、約5%~約20%の含水率を有することができる。ドライフード製品は、比較的常温保存可能であり、微生物又は真菌による劣化又は汚染に対して耐性を有するような様々な含水率の様々な食品を含む。また、一態様では、ドライフード組成物は、ヒト又はコンパニオンアニマルのいずれかのための押出食品製品であり得る。一態様では、ペットフード組成物はイヌ用に配合することができる。別の態様では、ペットフード組成物はネコ用に配合することができる。
【0040】
[0040]食品組成物はまた、1種類以上の繊維源を含んでもよい。このような繊維源としては、可溶性、不溶性、発酵性、及び非発酵性の繊維が挙げられる。このような繊維は、海洋植物などの植物由来であってもよいが、微生物繊維源も使用することができる。当業者に既知のように、様々な可溶性又は不溶性の繊維を使用することができる。繊維源は、ビートパルプ(サトウダイコン由来)、アラビアゴム、タルハゴム(gum talha)、サイリウム、米ぬか、トウモロコシふすま、小麦ふすま、オート麦ふすま、イナゴマメゴム、柑橘系パルプ、ペクチン、フラクトオリゴ糖、短鎖オリゴフルクトース、マンナンオリゴフルクトース、ダイズ繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、セルロース、又はこれらの混合物であり得る。
【0041】
[0041]あるいは、繊維源は発酵性繊維であってもよい。発酵性繊維は、コンパニオンアニマルの免疫系に有益であることが以前から報告されている。プレバイオティクスを提供し、腸内でのプロバイオティクスの増殖を増進する、発酵性繊維又は当業者に既知の他の組成物もまた、本明細書に記載の効果を増進するのに役立てるため、又は動物の免疫系に対する効果の増進に役立てるために、組成物に組み込まれてもよい。
【0042】
[0042]いくつかの実施形態では、食品組成物の灰分は、1%未満~約15%の範囲である。一態様では、灰分は、約5%~約10%であってもよい。
【0043】
[0043]概して、食品組成物は、ヒト並びにイヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルを含む動物による、食事、食事の構成要素、スナック、又はトリートとしての摂取に好適であり得る。このような組成物としては、動物に必要な食事所要量を供給することを目的とした完全食品が挙げられ得る。このような食品組成物の例としては、限定するものではないが、ドライフード、ウェットフード、飲み物、バー、調理済みの冷凍食品、調理済の保存食品、調理済みの冷蔵食品などが挙げられる。
【0044】
[0044]食品組成物は、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、塩、並びに食味増強剤(palatants)、着色剤、乳化剤、及び抗菌剤又は他の保存料などの機能性添加物などの1種類以上の物質を更に含んでもよい。このような組成物において有用となり得るミネラルとしては、例えば、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、及びセレンなどが挙げられる。本明細書で有用な追加のビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKなどの脂溶性ビタミン、並びにビタミンB、及びビタミンCを含む水溶性ビタミンが挙げられる。イヌリン、アミノ酸類、酵素類、補酵素類などは、様々な実施形態に含めると有用な場合がある。
【0045】
[0045]満腹感を増大するための本方法は、動物に健康上の効果をもたらすことができる。一実施形態では、健康上の効果としては、体脂肪の低減、体重の減少、体重増加の低減、インスリン抵抗性の低下、糖尿病リスクの低下、前糖尿病リスクの低下、低コレステロール、低グルコース、低トリグリセリド、低インスリン、インスリン感受性の改善、低レプチン、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、過体重又は肥満の予防、過体重又は肥満の発症の遅延、過体重又は肥満の治療、代謝健康の増進、より良好な血糖管理の促進、慢性炎症及び炎症性サイトカインの低下、自発的活動の改善、日中活動の改善、満腹感の増大、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0046】
[0046]様々な実施形態において、食品組成物は、(1)1種類以上のプロバイオティクス;(2)1種類以上の不活化させたプロバイオティクス;(3)プロバイオティクスと同様又は同一の健康上の効果を促進する、不活化させたプロバイオティクスの1種類以上の構成要素、例えば、タンパク質、脂質、糖タンパク質など;(4)1種類以上のプレバイオティクス;及び(5)これらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む。プロバイオティクス又はその構成要素は、食品組成物中に組み込む(例えば、組成物中に均一又は不均一に分布させる)ことができ、又は食品組成物に適用する(例えば、担体を使用して又は使用せずに局所的に適用する)ことができる。このような方法は当業者には既知であり、例えば米国特許第5968569号及び関連する特許に記載されている。
【0047】
[0047]典型的なプロバイオティクスとしては、ラクトバチルス属(Lactobacilli)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)、又はエンテロコッカス属(Enterococci)、例えば、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteii)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、及びビフィドバクテリウム属の種、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、及びエンテロコッカス属の種から選択されるプロバイオティクス株が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プロバイオティクス株は、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2581;CNCM I-2448)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2592;CNCM I-2450)、ラクトバチルス・ラムノーサス(NCC2583;CNCM I-2449)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2603;CNCM I-2451)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2613;CNCM I-2452)、ラクトバチルス・アシドフィルス(NCC2628;CNCM I-2453)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)(例えば、NCC2627)、ビフィドバクテリウム属の種NCC2657又はエンテロコッカス・フェシウムSF68(NCIMB 10415)からなる群から選択することができる。概して、食品組成物は、約10~約1012cfu/個体/日、一態様では、10~約1011cfu/個体/日、及び特定の一態様では、10~1010cfu/個体/日を供給するのに十分な量でプロバイオティクスを含有し得る。プロバイオティクスが殺菌又は不活化されている場合でも、前記量の、殺菌若しくは不活化されたプロバイオティクス又はその構成要素は、当該微生物の生菌と同様の有益な効果を生じるはずである。多くのこのようなプロバイオティクス及びそれらの効果は当業者に既知であり、例えば、欧州特許第1213970(B1)号、欧州特許第1143806(B1)号、米国特許第7189390号、欧州特許第1482811(B1)号、欧州特許第1296565(B1)号、及び米国特許第6929793号に既知である。一実施形態では、プロバイオティクスは、エンテロコッカス・フェシウムSF68(NCIMB 10415)であり得る。別の実施形態では、プロバイオティクスは、当業者にとって既知である方法及び材料を使用して担体内に封入することができる。
【0048】
[0048]上述のように、食品組成物は、1種類以上のプレバイオティクス、例えば、フラクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラクトスクロース、ラクツロース、及びイソマルツロースを含有してもよい。一実施形態では、プレバイオティクスは、チコリ根、チコリ根抽出物、イヌリン、又はこれらの組み合わせであり得る。概して、プレバイオティクスは、腸内の健康な細菌叢を積極的に刺激し、これらの「善玉」菌を増殖させるのに十分な量で投与することができる。典型的な量は、1サービング当たり約1g~約10g、又は動物に対する1日の推奨食物繊維量の約5%~約40%の範囲である。プロバイオティクス及びプレバイオティクスは、任意の好適な手段によって組成物の一部とすることができる。概して、これらの作用物質は、組成物と混合すること、又は組成物の表面に、例えば散布又は噴霧によって適用することができる。当該作用物質がキットの一部である場合、作用物質は他の材料と混合されていてよく、又は作用物質のためのパッケージ内にあってもよい。典型的には、食品組成物は、乾物ベースで約0.1%~約10%のプレバイオティクス、一態様では約0.3%~約7%、特定の一態様では約0.5%~5%のプレバイオティクスを含有する。プレバイオティクスは、当業者にとって既知の方法、例えば米国特許第5952033号を使用して、組成物に組み込むことができる。
【0049】
[0049]当業者であれば、特定の動物に投与される特定の組成物の製造に使用する、食品原材料、ビタミン類、ミネラル類、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗酸化物質、又は他の原材料の適量を決定することができる。当業者は、このような原材料を含む特定の組成物の最適な配合方法を決定する際、動物の種、年齢、体格、体重、健康状態などを考慮することができる。考慮され得るその他の因子としては、各成分に所望される用量、各種動物による特定の種類の組成物の平均摂取量(例えば、種、体重、活動/エネルギー要求量などに基づく)、及び組成物の製造要件が挙げられる。
【0050】
[0050]更なる態様では、本開示は、食品組成物を動物に投与するのに好適なキットを提供する。キットは、キットの構成要素に応じて、単一パッケージ内の別々の容器内に又は仮想パッケージ内の別々の容器内に、(1)動物による摂取に適した1種類以上の原材料;(2)本明細書に記載される健康上の効果をもたらすのに有用な組成物を製造するための、原材料と他のキット構成要素との組み合わせ方法に関する説明書;(3)そのような効果を得るための食品組成物の使用方法に関する説明書;(4)1種類以上のプロバイオティクス;(5)1種類以上の不活化させたプロバイオティクス;(6)プロバイオティクスと同様又は同一の健康上の効果を促進する、不活化させたプロバイオティクスの1種類以上の構成要素、例えば、タンパク質、脂質、糖タンパク質など;(7)1種類以上のプレバイオティクス;(8)キットの構成要素を調製又は組み合わせて、動物への投与に好適な組成物を製造するためのデバイス;及び(9)組み合わされた又は調製されたキット構成要素を動物に投与するためのデバイス、のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、キットは、動物による摂取に好適な1種類以上の原材料を含む。別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の健康上の効果を得るのに有用な組成物を製造するための、原材料の組み合わせ方法に関する説明書を含む。
【0051】
[0051]キットが仮想パッケージを含む場合、キットは、1つ以上の物理的なキット構成要素と組み合わせた仮想環境における説明書に限定される。キットは、本明細書に記載の健康上の効果を得るのに十分な量で構成要素を含有する。典型的には、キットの構成要素は、動物による摂取の直前に混合することができる。キットは、キットの構成要素を、様々な組み合わせ及び/又は混合物のいずれかとして含んでもよい。一実施形態では、キットは、動物による摂取のための食品容器を含む。キットは、原材料を混合するためのデバイス又は混合物を入れるためのデバイス(例えば、食品用ボウル)などといった、追加の物品を含んでもよい。別の実施形態では、食品組成物は、動物において良好な健康を促進するビタミン類及びミネラル類などの追加の栄養補助食品と混合することができる。構成要素は、単一のパッケージに含まれる別々の容器に入れて、又は異なるパッケージに含まれる様々な構成要素の混合物として、それぞれ提供することができる。いくつかの実施形態では、キットは、動物による摂取に好適な1種類以上の他の原材料を含む。一態様では、このようなキットは、動物による摂取のための食品組成物を形成するための、原材料の組み合わせ方法を記述した説明書を含むことができ、この方法は、概して、原材料を混合すること、又は任意選択の添加物を他の原材料に適用すること、例えば、栄養補助食品を食品組成物上に散布することによるものである。
【0052】
[0052]更なる態様では、(1)本明細書に記載される健康上の効果のうちの1つを得るための食品組成物の使用、(2)本明細書に記載される方法及び組成物に関して質問がある場合に消費者が使用するための連絡先情報、及び(3)食品組成物に関する栄養情報、のうちの1つ以上に関する情報又は指示を伝達するための手段が提供され得る。伝達手段は、本方法又は組成物を使用することによる効果を説明するため、及び食品組成物を動物に投与するための承認された方法を伝達するために有用となり得る。かかる手段は、かかる情報又は指示を含む、物理的若しくは電子的文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアルディスプレイ、又はビジュアルディスプレイのうちの1つ以上を含む。一態様では、手段は、表示されたウェブサイト、表示装置キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、ビラ、公示、録音テープ、ビデオテープ、DVD、CD-ROM、コンピュータにより読み取り可能なチップ、コンピュータにより読み取り可能なカード、コンピュータにより読み取り可能なディスク、USBデバイス、FireWireデバイス、コンピューターメモリ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択できる。
【0053】
[0053]別の態様では、動物による摂取に好適な1種類以上の別の原材料(例えば、タンパク質、脂肪、炭水化物、繊維、ビタミン類、ミネラル類、プロバイオティクス、プレバイオティクスなどのうちの1種類以上)を含む、食品組成物を製造するための方法は、動物による摂取に好適な1種類以上の原材料を混合する工程を含み得る。組成物は、当該技術分野において適切な任意の方法に従って製造することができる。
【0054】
[0054]別の態様では、本明細書に記載の組成物を収容するのに有用なパッケージは、食品組成物の収容に好適な少なくとも1つの器具と、パッケージの内容に食品組成物を含むことを示す単語(1語又は複数の語)、画像、意匠、頭字語、標語、フレーズ、若しくは他の図案、又はこれらの組み合わせを含む、パッケージに貼付されたラベルと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、パッケージに貼付されたラベルは、パッケージの内容物が、本明細書に記載される健康上の効果に関する有益な特性を有する食品組成物を含むことを示す単語(1語又は複数の語)、画像、意匠、頭字語、標語、フレーズ、若しくは他の図案、又はこれらの組み合わせを含む。一態様では、このようなデバイスは、パッケージ上に印刷された、「満腹感を増進する」という語、又は同等若しくは類似の表現を含み得る。組成物を収容するのに適した任意のパッケージ構成及びパッケージ材料、例えば紙、プラスチック、ホイル、及び金属などから製造された袋、箱、ボトル、缶、及びパウチなどを、本発明に使用できる。一実施形態では、パッケージは、ラベルに応じて適宜、ヒト、イヌ科動物又はネコ科動物などの特定の動物に合わせて調整した食品組成物を含み、一態様では、イヌ又はネコ用のコンパニオンアニマル食品組成物を含む。一実施形態では、パッケージは、本明細書に記載の食品組成物を含む、缶又はパウチとすることができる。様々な実施形態において、パッケージは、パッケージを開封せずともパッケージの内容物を見ることができる少なくとも1つの窓を更に含む。いくつかの実施形態では、窓は、パッケージ部材の透明な部分であり得る。他の実施形態では、窓は、パッケージ部材が存在しない部分であってもよい。
【実施例
【0055】
[0055]本発明は、以下の例により更に例示することができるものの、この例は、例示目的でのみ含まれるものであり、別途記載のない限り、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことは理解されたい。
【0056】
実施例1 ネコにおける試験I
[0056]ネコの満腹感及び自発的食物摂取に対する食餌の効果を評価するために、1パネル当たり20匹のネコを含む2パネルのネコを試験した。ネコには、対照食又は試験食のいずれかを2日間自由に摂取させ、2~5日間の中断の後、食餌を相互に切り替えて(switched to the opposite diets)、対応する食餌を更に2日間自由に摂取させた。食事の回数、食間の時間、各食事(mean)に費やした時間、及び総カロリー摂取量を記録した。使用した食餌の主要栄養素の内訳を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
[0057]表2~表5に示されるように、ネコに試験食を給餌した場合、ネコはより多くの試験食を食べ、喫食率(g食品/分)が増加したが、食間時間が増加し、1日当たりの食事数が少なくなり、自発的な1日カロリー摂取量の有意な低減がもたらされた。これらのデータは、試験食が満腹感を有意に高め、自発的な食物摂取を低減させたことを裏付ける。さらに、試験食の摂取率が増加したことは、摂取量における全体的な差(及び現在特許請求されている効果)が、試験食の嗜好性が劣っていることによるものではなかったことを証明する。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
[0058]表5に見られるように、試験食は、1日あたりの食事の回数を有意に低減させた。この低減は、ネコにおける自発的食物摂取の低減に関係する。さらに以下の表6に見られるように、試験食は食間時間の増加をもたらし、それによって試験食を給餌されたネコがより高いレベルの満腹感を有したことを実証する。
【0064】
【表6】
【0065】
[0059]これらのデータは、試験食が満腹感を有意に高めて、ネコにおける自発的食物摂取の低減をもたらしたことを裏付ける。ネコにおける自発的食物摂取の低減は、体重増加を有意に低減させ、ネコが健康な体重及び健康な代謝を維持するのを助ける。
【0066】
実施例2 ネコにおける試験II
[0060]45匹の成体ネコを、ネコのベースラインの維持エネルギー必要量(MER)、身体パーセンテージ(percentage of body)、BCS、及び体重に基づいて、1群当たり15匹のネコを含む3群に無作為に分けた。これらの群に、表7に示すように、タンパク質対脂肪対炭水化物(CHO)の比が異なる3通りの食餌を給餌した。
【0067】
【表7】
【0068】
[0061]ネコには、12ヶ月間、そのベースラインMERよりも25%多く給餌した。表8に示されるように、平均食物摂取量には群間で有意な差はなく、実際には、最も高タンパク質の食餌(群3)の摂取量が最も高かった。
【0069】
【表8】
【0070】
[0062]上に示したように、表7の食餌は満腹効果をもたらさなかった。高タンパク質食でさえ満腹効果をもたらさないことから、実施例1の試験食の満腹効果が全く予想外であったことが更に示された。
【0071】
実施例3 ネコにおける試験III
[0063]30匹の過体重ネコを、ネコのベースラインの維持エネルギー必要量(MER)、体重、体脂肪率、及びBSCに基づいて無作為に2つの群に分けた。対照群のネコには対照食を給餌し、試験群のネコには試験食を給餌した。両方の食餌の主要栄養素を表9に示す。対照群及び試験群のネコには、そのベースラインのMERの75%を4ヶ月間給餌し、そのベースラインのMERの60%をさらに2ヶ月間給餌した。減量試験の間、ベースライン、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月及び6ヶ月の時点で、定量的磁気共鳴画像法(QMR)を用いて身体組成を測定した。ネコが理想的なBCSスコアである5に達したとき、そのネコを体重減量試験から除外した。ネコのベースラインパラメータを表10にまとめる。
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】
【0074】
[0064]体脂肪減少率%の結果を表11にまとめる。試験食を給餌されたネコは、対照食を給餌されたネコと比較して、体脂肪の減少が有意に多かった。結果として、6ヶ月間の体重減量試験の終了時に、試験群のネコの86.7%が理想的な身体状態スコア(BCS)の5に達したが、対照群のネコは60%しかBCSが5に達しなかった。表12に示すように、試験群のネコは、対照群のネコと比較して除脂肪体重の減少が少なかった。
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
[0065]試験食の別の健康効果は、体重減量とは無関係に、グルコース管理が良好になることである。表13に示されるように、試験食を給餌されたネコは、体重減量試験の2日目から開始して9時間の間(2日目の午後6時から3日目の午前3時まで)に、対照ネコと比較してより低い間質グルコースを有した。
【0078】
【表13】
【0079】
[0066]本明細書において、本発明の特定の実施形態が開示されている。具体的な用語が使用されるが、これらは一般的に、かつ説明目的でのみ使用されるものであり、限定を意図するものではない。本発明の範囲は、「特許請求の範囲」において規定される。明らかなことではあるが、上記教示に照らして、本発明には多くの改変及び変形が可能である。したがって、具体的に記載のもの以外であっても、添付の特許請求の範囲内で、本発明が実施可能であると理解される。
【国際調査報告】