(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】静電塗装のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 5/025 20060101AFI20241106BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20241106BHJP
B05B 14/45 20180101ALI20241106BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20241106BHJP
B05D 1/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B05B5/025
B05B12/00 Z
B05B14/45
B05C9/14
B05D1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525903
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2022048272
(87)【国際公開番号】W WO2023076625
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524161014
【氏名又は名称】パウダーコイル テクノロジーズ エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】POWDERCOIL TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(72)【発明者】
【氏名】マックシェーン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】デュチャック,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】マリー,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】マリー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】カンタワラ,パラク
【テーマコード(参考)】
4D073
4D075
4F034
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB06
4D073DC02
4D073DC12
4D073DC22
4D075AA09
4D075AA71
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4D075EB39
4F034AA01
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4F034BB15
4F034BB25
4F035AA04
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4F035BB21
4F035BC02
4F042AA22
4F042AB03
4F042BA02
4F042BA04
4F042BA06
4F042BA11
4F042BA19
4F042DB02
4F042DH09
4F042ED03
(57)【要約】
本発明は、一般に、媒体に粒子の流れを噴霧するための静電塗装システムに関し、特に、粉体塗装懸濁装置を備えた1つ又は複数の装置からなるシステムに関する。また、所定の粉体と空気の混合物を装置に供給するように構成された粉体管理システムと、装置と粉体管理システムの両方の動作パラメータを調整するように構成されたコントローラの使用も企図されている。本開示は、複数のパラメータを連続的に制御することにより、塗料、デンプン、熱可塑性材料、又はその他の粉末材料を媒体にコーティングすることができるインライン工業用装置に関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電塗装システムであって、
1つ又は複数の静電塗装装置を含み、各静電塗装装置は、
フレームと、
複数のミニマニホールドであって、入口、初期チャンバ、ノズル、及びミニマニホールド出口を備え、前記入口が空気粒子又は粉体粒子の入口として機能し、前記ミニマニホールド出口が前記粒子の出口として機能する、ミニマニホールドと、
混合チャンバであって、前記ミニマニホールド出口から前記粒子を受け取り、前記粒子を混合して流動化させる混合チャンバと、
ボリュートであって、前記流動化した混合粒子を混合チャンバから静電真空チャンバに導き、排出口を通り、前記排出口は、前記流動化した混合粒子を媒体上に推進する静電場を発生させる複数の静電エミッタバーによって挟まれている、ボリュートと、
第1の静電塗装装置と第2の静電塗装装置の上方かつ間に配置されたオーブンであって、媒体を硬化させるために使用されるオーブンと、
前記第1及び第2の静電塗装装置の空気圧制御装置及び粉体供給装置を収容する筐体と、
前記静電塗装装置に動作可能に接続され、前記静電塗装装置に粉体と空気を供給するように構成された粉体管理システムと、
前記静電塗装装置及び前記粉体管理装置に動作可能に接続され、前記静電塗装装置の第1の変数及び前記粉体管理システムの第2の変数を制御するように構成された制御装置と、
を備える、静電塗装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、
オーバースプレー回収システムをさらに備え、
該オーバースプレー回収システムは、
媒体上に静電的に着座していない粒子のオーバースプレーを回収する回収ユニットであって、オーバースプレーがスプレー領域から漏れるのを防止するシュラウドと、オーバースプレーを取り込む真空モーターとを含む回収ユニットと、
真空モーターから粒子のオーバースプレーを受け取り、空気を粉体から分離するサイクロン分離器と、
前記空気を濾過して前記シュラウドの外部に排出する通気口と、
残った粉体を回収するための容器と、
を備える、静電塗装システム。
【請求項3】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、前記1つ又は複数の静電塗装装置は、オーバースプレー回集ユニットをさらに備え、該オーバースプレー回集ユニットは
粒子のオーバースプレーを回収する複数の再生ポートと、
各再生ポートを対応するバッグハウスに接続する複数の再生ダクトであって、該バッグハウスは、非導電性フィルターバッグと、該バッグハウスへのオーバースプレー粒子の流れを制御するナイフゲートとからなる、複数の再生ダクトと、
オーバースプレー粒子を前記複数の再生ポート及びバッグハウスに引き込むブロワと、
オーバースプレーが前記バッグハウスから前記再生ポートに戻るのを防止するブローバックダンパーと、
空気を濾過して大気中に排出する通気口と、
前記バッグハウスを脈動させて残った粉体粒子を収集器内に放出するための送風手段と、
を備える、静電塗装システム。
【請求項4】
請求項3に記載の静電塗装システムであって、
媒体に単色又は2色の塗料を塗布する2色塗布機能を有し、前記オーバースプ
レー回収システムは、2色のオーバースプレーを色を混合することなく個別に回収する、静電塗装システム。
【請求項5】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、
前記筐体は、さらに、
前記フレームに取り外し可能に接続された上面パネル、底面パネル、前面パネル、一対の側面パネル、背面パネル、及びヘッダーパネルからなり、前記1つ又は複数の静電塗装装置を周囲温度の変化や物理的衝撃から隠し、保護する外面と、
前記筐体の底に取り付けられた車輪と、
前記1つ又は複数の静電塗装装置へのアクセスを可能にするために、前記外面の少なくとも1つのパネルを引き込む手すりシステムと、
を備える、静電塗装システム。
【請求項6】
請求項5に記載の静電塗装システムであって、使用者が前記1つ又は複数の静電塗装装置を前記オーブンから遠ざけることを可能にするレールに沿ったスライドシステムをさらに備える、静電塗装システム。
【請求項7】
請求項5に記載の静電塗装システムであって、ストリップシュラウドが、該ストリップシュラウドを前記オーブンから後退させるための空気圧ピストンシステムを
さらに備える、静電塗装システム。
【請求項8】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、前記粉体管理システムは、
圧縮空気をウェットエアレシーバに供給するコンプレッサと、
湿り空気を受け取り乾燥空気に調整し、該乾燥空気をドライエアレシーバ内に通すドライヤと、
乾燥空気を前記ドライエアレシーバからバッグホイストタワーに導き、前記乾燥空気と粉体とを混合する空気ラインと、
空気と粉体との混合物を前記バッグホイストタワーから前記混合物の流量及び前記混合物の均一性を監視するホッパーアンドスケールタワーに送るエデュケータと、
前記混合物の流れを前記1つ又は複数の静電塗装装置に導く粉体ラインと、
スプリッタと、
を備える、静電塗装システム。
【請求項9】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、コントローラが、1つ又は複数のデータハブと、入力を受信して分析する制御ロジックとを備え、前記1つ又は複数のデータハブと制御ロジックとが、前記静電塗装システムのパラメータを調整する命令を生成する、静電塗装システム。
【請求項10】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、前記混合チャンバが、
複数のミニマニホールドから粉体粒子を受け取るための混合チャンバの背面に近接した第1の複数の開口部と、
空気粒子を受け取るための、混合チャンバの上部に近接した第2の複数の開口部であって、空気延長部によって複数のミニマニホールドに接続されている、第2の複数の開口部と、
をさらに備える、静電塗装システム
【請求項11】
粉体粒子が、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、及び/又はナイロンからなる、請求項1に記載の静電塗装システム。
【請求項12】
請求項1記載の静電塗装システムであって、前記1つ又は複数の静電塗装装置は、各装置とそれぞれのフレームとの間を通過する振動を低減するために金属からなる複数の取付けブラケットによってフレームに固定されている、静電塗装システム。
【請求項13】
請求項1記載の静電塗装システムであって、
前記混合チャンバ及び前記ボリュートの外面は、前記混合チャンバに構造的完全性を提供するための複数の隆起からなり、前記混合チャンバ及び前記ボリュートの内面は、流動化された混合物がチャンバ内を途切れることなく流れることを確実にするために滑らかである、静電塗装システム。
【請求項14】
請求項1に記載の静電塗装システムであって、該静電塗装システムは、一対の幅制御機構と一対の幅制御レールとをさらに備え、前記幅制御機構は、前記一対の幅制御レールに沿って摺動可能であり、前記排出口の少なくとも一部を塞ぎ、それによって前記排出口からの粒子流の幅を調整する、静電塗装システム。
【請求項15】
前記静電エミッタバーが、該静電エミッタバーの回転を可能にする一対の回転制御機構に接続されている、請求項1に記載の静電塗装システム。
【請求項16】
請求項1記載の静電塗装システムであって、前記媒体の上面を塗装する第1の静電塗装装置と、前記媒体の下面を塗装する第2の静電塗装装置とを備える、静電塗装システム。
【請求項17】
媒体を静電塗装する方法であって、
第1の静電塗装装置と第2の静電塗装装置との間に媒体を配置するステップと、
前記第1及び第2の静電塗装装置を用いて前記媒体に静電塗装を施すステップとを含み、前記第1及び第2の塗装装置の各々は、
粉体粒子と空気粒子を混ぜて流動化させる混合チャンバと、
流動化した混合粒子を媒体上に推進させる静電場を発生させる複数の静電エミッタバーとを備え、オーブンから熱を加えることによって前記媒体上の静電塗装を硬化させる、媒体を静電塗装する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の媒体を静電塗装する方法であって、
塗料のオーバースプレーがスプレー領域から出ないようにするシュラウドと、
前記媒体に静電着座していない塗料を取り込む真空モーターとを備える、
オーバースプレーコレクターで、オーバースプレーを回収するステップと、
塗料から空気と粉体を分離し、空気を大気中に排出し、残りの粉体を混合チャンバ内に再導入することにより、オーバースプレーを静電塗装システムに再利用するステップとを、さらに含む、媒体を静電塗装する方法。
【請求項19】
制御システムを用いて媒体への塗装の適用を自動的に調整するステップをさらに含む請求項17に記載の媒体を静電塗装する方法であって、
前記制御システムは、制御ロジックと、前記静電塗装システム内のセンサからの入力を受信して解釈し、前記静電塗装システムの動作条件を修正するための出力を生成する複数のデータハブとを備え、前記動作条件は、前記媒体上の塗装の膜厚、各静電エミッタバーにおける静電電圧、該各静電エミッタバーの回転角度、前記システムを通過する前記媒体の速度、前記オーブンの温度、及び前記空気粒子と粉末粒子の混合物の流量からなる、媒体を静電塗装する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[他の出願との相互参照]
本出願は、2021年10月28日に出願された米国仮出願第63/272,725号及び2022年4月25日に出願された米国仮出願第63/334,326号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、媒体に静電塗装を施すためのシステムに関し、特に、媒体の複数の表面に粒子の流れを噴霧するための1つ以上の装置に関し、装置は、媒体に連続層を塗装するためのデュアルチャンバ筐体又は複数の可変開口部を備える。
【0003】
工業用塗装工程では、さまざまな媒体がさまざまな表面材料で覆われる。例えば、紙は耐熱性を向上させるためにデンプン溶液で被覆され、金属シートは美的価値や酸化表面の防食のために塗料やラテックスで被覆されることがある。媒体への材料の塗装は業界で広く利用されており、改良された費用対効果の高い装置、方法、デバイスが絶えず求められている。液体の塗装は、揮発性溶媒を使用し、処理が必要なガス廃棄物を発生させる乾燥工程を必要とする場合がある。粉末状の塗装材を媒体に塗布する装置及び方法には、上記の欠点はない。粉体は、媒体に一時的に付着し、後処理作業中に隆起が生じたり問題が生じたりするのを防ぐために、均一に散布されなければならない。一旦媒体に塗布された粉体は、表面に恒久的に固定するためにベーキングなどの後処理作業を要する場合がある。
【0004】
不必要な薬剤や接着剤を添加することなく粉体を表面に付着させる既知の方法の1つは、気体中に懸濁させた粉体から作られた帯電した粒子の流れが、異なる電気エネルギーを持つ媒体や接地された媒体と当接した際の静電付着力を利用することによるものである。クーロンの法則は、同じ極性に帯電した2つの物体が感じる静電気力は反発力であり、反対の極性に帯電した2つの物体が感じる力は引力であると定めている。表面電子を除去又は付加することによって、流れの中の粉体粒子が帯電すると、粒子は電磁力によってクーロンの法則に比例して接地された媒体に引き寄せられる。粒子の流れの静電帯電のもう一つの利点は、粒子の流れの中の粒子の空間分布を助けるために、同等のエネルギーで配置された流れ内の隣接粒子間に斥力が生じることである。さらに、帯電した粒子は、他の粒子がまだ付着していない表面上で、より強い静電気力によって引き寄せられる。
【0005】
静電気は、接触帯電、摩擦帯電、又は衣服に風船を擦り付けたりカーペット上で靴をずらすなどの表面の物理的摩擦によって媒体に帯電させることができる。物品に電荷を発生させるもう一つの方法は、空気の絶縁破壊強度を超える強い電界(イオン化した粒子が形成されるような強度の電界)の中で物品を循環させることである。これらのイオンは、コロナ領域を通って粉体を移動させることにより、導体の周りのコロナ放電領域で物品の表面に集められる。これらの粒子は、イオン電荷で表面的に帯電したコロナから抜け出し、その後、質量が小さいため、それらの電荷によって生じる静電気力に対して脆弱になる。導電性材料と絶縁性材料の両方の粒子は、コロナ帯電に対して脆弱である。非導電性粒子は、表面的なイオン電荷の位置を変える可能性が低いため、新たに得た静電荷を維持する可能性が高い。
【0006】
塗装を施す既存の方法には、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンなどの材料でできた微粉末を噴霧することが含まれるが、これは接地された金属やその他の材料からなる媒体や基材に静電的に適用する。適用後、粉末を一般的にはオーブンで加熱して養生硬化させる。
【0007】
さらに知られているのは、粉体をイオン化するために粒子の流れの発生源に配置された高レベルのエネルギー導体の使用、又は媒体に近接して配置された高帯電で危険な導電性ネット構造の使用である。また、媒体及び導体が閉鎖環境で粒子と接触するように配置されるチャンバの使用や、イオン化粒子流が筐体外の媒体上に導かれる前に、小さな筐体内で導体に近接して配置された後でイオン化粒子が収集される筐体の使用も知られている。これらの既知の技術の欠点には、粉体粒子の発生源に近接して配置された低レベルの電荷要素を取り囲む導体間でコロナ放電が発生すること、粒子の流れの経路に導体を配置する必要があること、高レベルの電圧を管理する必要がある封入された装置を作成すること、空気中のイオンの最適な収集を提供するのに十分なほど粒子が空気中に浮遊していない分布システムが含まれる。これらの装置の多くは、意図された機能を職人的に実行することができるが、これらの欠点の組み合わせに適切に対処しているものはない。
【0008】
さらに、既存のシステム及び方法は、一般に、媒体の複数の表面に塗装を施すことができないか、又は所望の塗装を実現するために多数のパスを必要とする。必要とされているのは、粉体源から粒子を十分に流動化させ、粒子の流れの中に置くことができる改良された装置、導体が保護され粒子の流れからオフセットされた装置、媒体に粒子を均一に堆積させることができる装置、オーバースプレーを回避し、媒体に堆積しなかった粒子を回収することができる装置、媒体の複数の表面を(単独又は共同で)塗装することができる装置である。さらに、粒子の流れをリアルタイムで監視及び調整できる制御システムが、所定の塗装が適切に施されることを保証するために望ましい。本発明は、現在利用可能な静電塗装装置に関連するこれら及び他の多くの問題を解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般に、媒体に静電塗装を施すためのシステムに関し、特に、媒体に粒子の流れを噴霧するための1つ以上の静電コーティング装置を含むシステムに関する。実施形態において、1つ以上の装置は、1つ以上の静電エミッタによって分配される前に粒子の流れを混合及び拡散するためのボリュートに結合された多容積チャンバを含む。実施形態において、離散幅制御機構は、粒子スプレーのサイズを制限するために使用され、回転制御機構は、粒子ストリームに適用される静電場を微調整するために静電エミッタが回転することを可能にする。実施形態では、粉体再生システムは、オーバースプレー及び媒体に付着しないその他の粒子を再生するために作動し、粒子を回収、濾過し、その後の再利用のためにリサイクルすることを可能にする。粒子の流れは、静電エミッタを通過する媒体上に堆積される。実施形態では、シュラウドが媒体とエミッタを取り囲み、粒子流を確実に封じ込める(簡単に再生利用できるようにし、粒子がシステムから漏れないようにする)。
【0010】
本開示は、上述した新規な特徴を含む、様々な実施形態における、筐体内の内側開口部のサイズ、静電エミッタの回転又は角度、静電エミッタ間を移動する媒体の速度、粉体速度/流量、粉体ライン内の圧力、投入ガスの流れの変化、電圧又は導体の位置の変化、以前に媒体に塗布された膜厚の測定値、供給される粉体の重量、粉体ブロワの速度、オーブン温度、真空流量、過剰空気流量、装置の様々な構成要素の温度、周囲温度、装置内の様々な位置における圧力の測定値、及び再生された紛体の重量など(ただし、これらに限定されない)、複数のパラメータを連続的に制御することによって、塗料、デンプン、熱可塑性プラスチック、又は他の任意の粉体材料を媒体に塗布することができるインライン産業用装置に関する。
【0011】
本開示の特徴は新規であると考えられ、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示は、添付の図面と併せて用いられる以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。同様の参照符号を用いる図は、同様の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】筐体パネルを取り外した静電塗装システムの正面斜視図である。
【
図1b】
図1aの静電塗装システムの正面図であり、筐体パネルが第一の装置の定位置にあり、第二の装置から部分的に取り外されている。
【
図2a-2b】
図1aの静電塗装システムの他の構成要素から取り外した静電塗装装置(筐体パネルなし)の斜視図である。
【
図3】
図1aの静電塗装装置の一例の筐体パネルの分解図である。
【
図4】
図1のシステムの静電塗装装置の上面図である。
【
図5a】装置が引き込まれ、シュラウドが部分的に引き込まれた状態の、
図1aのシステムの斜視図である。
【
図5b】装置が収納され、シュラウドが所定の位置にある
図1aのシステムの斜視図である。
【
図5c】装置が所定の位置にあり、シュラウドが引き込まれた状態の
図1aのシステムの斜視図である。
【
図6b】
図6aのミニマニホールドの部分切断斜視図である。
【
図6c】
図6aのミニマニホールドの側断面図である。
【
図7】
図2aの静電塗装装置のマルチボリュームチャンバの斜視図である。
【
図8】
図7のマルチボリュームチャンバの側面図である。
【
図9】
図7のマルチボリュームチャンバの正面図である。
【
図10a】模擬電離場を生成する静電エミッタバーの斜視図である。
【
図10b】筐体内で
図10aの模擬電離場を生成する静電エミッタバーの斜視図である。
【
図11a】オーバースプレー回収システムを使用する1つの方法のプロセスフロー図である。
【
図11b】オーバースプレー回収システムを使用する第2の方法のプロセスフロー図である。
【
図14】
図13に示すバッグ・ホイスト・タワー及びホッパー・アンド・スケール・タワーの正面図である。
【
図15】
図12の粉体管理システム及び
図1aの静電塗装システムの代替配置の斜視図である。
【
図16a】制御システムのプロセスフロー図の第1の部分である。
【
図16b】制御システムのプロセスフロー図の第2の部分である。
【
図17b】
図1aのシステムを含むプラントのプロセスフロー図である。
【
図18a】制御システムの第2の実施形態のプロセスフロー図の第1の部分である。
【
図18b】制御システムの第2の実施形態のプロセスフロー図の第2の部分である。
【
図18c】制御システムの第2の実施形態のプロセスフロー図の第3の部分である。
【
図19】静電塗装システムとその全構成要素の側面図である。
【
図20】
図1a及び
図1bの静電塗装システム内のオーバースプレー回収システムの斜視図である。
【
図21】
図20のオーバースプレー回収システム内の再生ダクトの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、改良された静電塗装装置を中心とする本開示の可能な工業的実施形態を例示的に示す添付図面を参照する。この実施形態は、当業者が本開示を実施するのに十分に詳細に説明される。本開示の本実施形態に記載される各下位特徴又は要素は、独特ではあるが、必ずしも排他的ではなく、新規な特徴を示すため、異なる方法で、複数の他の可能な実施形態において組み合わせることができることがわかる。各々の開示された実施形態内の幾何学的パラメータなどの個々の要素の位置及び配置は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解される。加えて、この開示された実施形態は、非限定的な例では、生産ラインに沿った異なる場所で、又は粒子の流れの大気制御がリサイクルされる場合に限定された領域で複数のユニットが必要とされる大規模塗装プロセスなど、複数の産業上及び商業上の必要性に基づいて変更することができる。開示された装置は、これらの特定のタイプの操作内で本開示を実施するために、既知の設計パラメータに従って変更することができる。他の変形例も当業者には認識されるであろう。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるものではない。
【0014】
静電塗装システム
【0015】
本開示は、
図1a~21に示すような静電塗装システム100及びその構成部品に関する。静電塗装システム100は、媒体1502(明瞭化のために
図1a及び
図1bでは省略されている)の上面を塗装するための第1の静電装置102a(すなわち上面塗装装置)を含み、媒体1502の下面を塗装するための第2の静電装置102b(すなわち下面塗装装置)から垂直方向にオフセットされている。このオフセットにより、各装置によって発生する静電場間の干渉が防止される。当業者には明らかなように、他の配置も採用可能である。一実施形態(図示せず)では、上面コーティング装置102aと底面コーティング装置102bは整列している(より大幅な省スペースが望まれるか、静電干渉が問題にならない使用例では、この方が好ましいことがある)。
【0016】
図示された実施形態では、媒体1502は、上面と下面とを有する材料であることが企図されている。一実施形態では、媒体1502は金属シートである。他の材料の構成(これは追加の装置を必要とすることがある)もまた企図される。図示された実施形態では、媒体1502は上面塗装装置102aと下面塗装装置102bとの間に垂直に貫通される。塗装されていない材料は、上面塗装装置102aによってスプレーされる前に、まず下面塗装装置102bによってスプレーされる。その後、塗装された材料は硬化のためにオーブン106を通過させられる。
【0017】
オーブン106は、塗装された材料を約400度から550度の温度範囲に加熱して、塗装を処理し、耐薬品性を向上させ、過酷な環境条件に対する耐性を向上させ、色の安定性を維持する。
【0018】
図1a及び
図1bは、一対の静電塗装装置102a、102bの間を通過する、大地に接地された垂直配向媒体1502(
図15に示す)を想定しているが、静電塗装システム100は、任意の配向に配置することができ、その結果、媒体1502も任意の配向になる。当業者であれば、媒体1502は、線状の硬い帯状の材料であってもよく、又は、再びロール状に巻かれたり、折り畳まれたり、保管される前に、静電塗装システム100を通過する前に展開されるロール状の媒体1502であってもよいことを理解する。また、任意のタイプの導電性又は非導電性材料で作られ、さまざまな表面形状及びトポロジーを呈する任意のタイプの媒体1502が塗装され得ることも理解される。好ましい一実施形態(図示)では、媒体1502は従来の接地技術を用いて接地されるが、静電塗装システム100は、イオン電位差を生じさせることによって粉体粒子と媒体1502との間に生じる引力に基づいて機能するので、企図されるのは、静電塗装システム100によって放出される粒子の平均イオン電位とは十分に異なる任意のイオン電位の媒体1502を使用して、静電引力を誘発することである。
【0019】
図示された実施形態では、上部塗装装置102aは、下部塗装装置102bと実質的に同一の構造である。筐体104a、104bは、
図1a及び
図1bでは、開いたフレームとして描かれている。他の例では、筐体104a、104bは堅固な外装を有する。一実施形態では、筐体104a、104bは、装置のための空気圧制御装置及び粉体供給を収容するNEMA-4筐体である。
【0020】
各装置102a、102bの構成要素は、粒子の流動化としても知られる、粉体粒子を気体内に懸濁させる過程で生じる内部圧力を封じ込めるのに十分な強度の厚い壁で作られている。
図1a及び
図1bは、本発明の可能な工業的及び商業的実施形態の1つを示す。これらの図には、以下に詳述する表面強化剤を使用したステンレス鋼ケーシングが示されている。流動化プロセスは、各々がそれぞれの空気入口108を有する複数のミニマニホールド200を介して各装置102に加圧空気を供給するポンプ(図示せず)を使用することを含む。各装置102は、また、それぞれが複数の粉体供給ラインに接続された粉体入口110を有する複数のミニマニホールド200からなる。各装置102は、媒体1502上に塗装されるように制御された量の粉末状の粒子を排出する。
【0021】
図2a及び
図2bに示すように、電子塗装システム100の一実施形態において、筐体104a、104bは、内部の装置102を視界から隠し、物理的衝撃から保護する(金属シートのような)堅固な外面からなる。堅固な筐体104a、104bはそれぞれパネル107a~107fで構成され、さらに周囲温度の変化から装置102を隔離するのに役立つ。
図1bにも示されるような他の実施形態では、筐体104bは、ある程度の物理的保護を提供しつつ、内部の装置102bへのアクセスを可能にするために部分的に開口していてもよい。筐体104a、104bの他の構成もまた企図される。一実施形態では、筐体104a、104bの外面(すなわち、パネル107a~107f)は、t型ナットコネクタによって内部フレーム105に接合される80/20押出アルミニウムシートから形成される。各装置102a、102bは、振動を低減するためにネオプレンゴム製アイソレータによって筐体104a、104b内で支持されている。 他の実施形態では、当業者には理解されるように、振動減衰のための代替材料又は他の技術を用いることができる。
図1a及び
図1bに示されるような実施形態では、システム100の使用者及び装置を保護するために、手すり118が静電塗装システム100を取り囲むことができる。一実施形態において、使用者が筐体104a、104bを部分的に又は完全に開いて装置102a、102bの内部にアクセスできるように、筐体104a、104bのパネル107a~fは、取り外し可能である。
【0022】
図2a及び
図2bは、装置102a、102bの構成要素をより良く図解するために、それぞれ、固体パネル107a~107f及び筐体104a、104bを取り外した静電塗装システム100を描写している。図示されるように、各装置102a、102bは、装置102の上部に近接する複数の空気入口108及び粉体入口110を備える。図示されるように、装置102は、それぞれ複数の取付けブラケット112によってそれぞれのフレーム105に固定されている。これらの取付けブラケット112は、金属製であってもよく、上述したように、ネオプレンゴム製のアイソレータを含んでいてもよく、それにより、各装置102a、102bとそれぞれのフレーム105との間を通過する振動が低減される。
【0023】
図3は、底面パネル107a、前面パネル107b、一対の側面パネル107c、背面パネル107d、上面パネル107e、及びヘッダーパネル107fを含む筐体104a、104bの分解図を示す。
【0024】
装置の後退
【0025】
図示されるように、各装置102a、102b及びそれぞれの筐体104a、104bは、車輪114によって支持され、オーブン106から遠ざけることによって装置102a、102bへのアクセスを可能にするように、レール116に沿ってスライドするように構成されていてもよい。これにより、各装置102a、102b及びオーブン106をより容易に検査又は保守することができる。
図5aに示すように、各装置104a、104bは、オーブン106から離れるようにレール116に沿ってスライドさせることができる。オーブン106の底部に取り外し可能に接続されたストリップシュラウド120は、媒体1502及びスプレー領域を空気中の埃又は他の汚染から保護する。さらに、ストリップシュラウド120は、検査及びクリーニングのためにオーブン106又は媒体1502に容易にアクセスできるようにするために、オーブン106からスライドさせることができる。
図5bは、装置102a、102bをオーブン106から離してスライドさせながら、ストリップシュラウド120を所定の位置に残した静電塗装システム100を描いており、
図5cは、ストリップシュラウド120だけをオーブン106及び装置102a、102bから離して後退させた静電塗装システム100を描いている。一実施形態では、ストリップシュラウド120は恒久的な構造体であり、運転中の飛散粉を妨げるために装置と柔軟に連動することができる。この代替実施形態では、ストリップシュラウド120の後退は、空気圧ピストンシステムによって制御され、空気圧ピストンシステムは、オーブン106からストリップシュラウド120を後退させる手段を提供し、オーブン106及びストリップシュラウドの内部に使用者がアクセスできるようにするシリコン製ブーツからなる。
【0026】
ミニマニホールド
【0027】
図6aから6cは、ミニマニホールド200のさまざまな図を示している。各ミニマニホールド200は、ミニマニホールド200の構成に応じて、空気入口108又は粉体入口110のいずれかとして使用することができる入口202を備える。少なくとも1つの入口フランジ204は、入口202に近接するミニマニホールド200の外面218の周囲にリングを形成する。粒子(例えば、空気又は粉末)は、ノズル208によって集束される前に、ホース(図示せず)から入口202及び初期チャンバ206を通ってミニマニホールド200内に移る。その後、粒子は、混合チャンバ306(図示せず)に接続されている出口212を通って膨張する前に、直線セグメント210を通過する。各ミニマニホールド200は、ファスナーがミニマニホールド200を混合チャンバ306又は空気延長部320に固定することができる1つ又は複数の穴216を有する出口フランジ214を含む。
【0028】
ミニマニホールド200の寸法と形状は、混合チャンバ306に空気と粉体を均一かつ広範囲に流入させるために最適に設計されている。入口の完全性を維持するために、ミニマニホールド200は、流れが入口の長さ及び幅にわたって一貫していることを確実にする。一実施形態では、ミニマニホールド200は、混合チャンバ306内への空気及び粉体の均一かつ広範囲な流れを提供するのに役立つねじ部を含む。
【0029】
ミニマニホールド200は、
図2aに描かれているように、空気入口108が垂直方向に配置され、粉体入口110が水平方向に配置されるように配置されてもよい。ミニマニホールド200の他の配置も考えられる。
【0030】
チャンバ
【0031】
図7から
図10bはチャンバ300を描いている。チャンバ300は、第1の複数のミニマニホールド200の複数の空気入口108を通して空気を受け取り、第2の複数のミニマニホールド200の複数の粉体入口110を通して粉体を受け取る混合チャンバ306からなる。混合チャンバ306の上部に位置する空気開口部302は、空気延長部320から空気を受け取り、一方、混合チャンバ306の背面の粉体開口部304は、1つ又は複数のミニマニホールド200から粉体を受け取る。この配置は、混合チャンバ306及びボリュート308全体に粉体及び空気の均一な分布をもたらすことが実験的に実証されているので、いくつかの実施形態では好ましい。当業者には明らかなように、開口部の他の配置も考えられる。一実施形態では、空気ホースは、空気延長部320を使用することなく、1つ又は複数のミニマニホールド200によって混合チャンバ306に直接接続される。
【0032】
図7から
図10bに描かれている実施形態では、空気拡張部320は混合チャンバ306の上部に接続されている。空気延長部320は、空気入口108と混合チャンバ306との間に追加の分離を提供し、空気が混合されて複数のミニマニホールド200を通って混合チャンバ306に均一に流入することを可能にする。具体的には、空気延長部320は、混合チャンバ306への調整空気の流量を制御して、粉体粒子と空気粒子との混合物(「混合物」)の厚さを変化させる。空気流量が増加すると、混合物が薄くなる。あるいは、空気流量が減少すると、混合物の厚さが増大する。その結果、空気拡張部320における空気流の調節は、媒体1502の表面に施される塗装の仕上がりと厚さに影響を与える。
【0033】
空気と粉体は、混合チャンバ306の下端312の開口部(図示せず)から出る前に、混合チャンバ306内で混合され流動化される。流動化した空気と粉体の混合物は、ボリュート308を通って静電/真空チャンバ309に流れ、次に出口310を通る。静電/真空チャンバ309は、混合物を静電的に帯電させるイオン化ゾーンを形成する。静電チャージされた混合物が排出され、媒体1502に塗布されると、粉体は媒体1502の表面に流れて電荷を接地する。したがって、静電荷は混合物が媒体1502の表面に「固着する」のを助け、混合物の媒体1502への均一な塗布を提供する。イオン化された粉体(負の電荷を持つ)は鋼材の表面に引き付けられ、静電的に媒体1502の表面に付着する。
【0034】
混合チャンバ306及びボリュート308の外面316は、チャンバ300に構造的完全性を提供する複数の隆起318を含み、一方、内面は、流動粉体/空気混合物がチャンバ300内を途切れることなく流れることを確実にするために、滑らかで途切れることがない。余分な粉体(すなわちオーバースプレー)は、主再生ダクト504を通して静電/真空チャンバ309から排出される。一実施形態では、静電/真空チャンバ309は、少なくとも1つの再生ポート502と、オーバースプレーの流れを制御するためのダイバータとを備える。
【0035】
各排出口310は、流動粉体を媒体1502上に推進/排出する電磁場を発生させる複数の静電エミッタ(図示せず)をそれぞれ含む一対の静電エミッタバー314によって挟まれている。エミッタバー314内の電荷を維持し、エミッタバー314を周囲の要素から絶縁し、エミッタバー314をエミッタにかかる高電圧によって生じる偶発的なコロナ放電から保護し、装置102のオペレータを衝撃から保護できる位置にエミッタを配置しなければならないことは、当業者には理解できる。一対の幅制御機構322は、一対のレール324に沿って水平に移動することにより排出口310の幅を調整し、排出口310の一部を塞ぐ。各静電エミッタバー314は、エミッタバー314の回転を可能にする一対の回転制御機構326に接続されている。
【0036】
図10aは、模擬電離場330を有する単一の静電エミッタバー314を描いており、
図10bは、互いに連動する一対の静電エミッタバー314によって生成される模擬電離場330を描いている。エミッタバー314を個々に回転させることにより、生成されたイオン化場330の向きを調整することができ、一方、各エミッタバー314に(又は各バー内の個々のエミッタに)供給される電力を変化させることにより、イオン化場330の大きさ及び寸法を同様に制御することができる。
【0037】
イオン化場330は、媒体1502に塗布される混合物の体積に基づいて混合物の厚さを最適化するように調整可能である。イオン化のレベルを増減することにより、混合物は「完全に帯電」するか、イオン化が減少する。イオン化のレベルは、混合物の電荷を最適化する。媒体1502を1回のパスで塗装するためには、混合物は十分な電荷を持つ必要がある。静電場330は、媒体1502上の塗装が所望の仕上がり(すなわち「膜厚」)になるように最適化される。膜厚の調整は、媒体1502がスプレー領域を通過する際の速度、媒体1502表面に塗布される粉体の量、及びイオン化場330によって制御される。これらの要素は、媒体1502表面への的確な塗装を実現するためにバランスが取られている。
【0038】
図示された実施形態では、1つ又は複数のエッジコンディショナ328が排出口310を取り囲んでいる。エッジコンディショナ328は、排出された粒子スプレーのエッジを調整するために使用される脱イオン空気を出力する。所望のスプレー領域を脱イオン空気で囲むことにより、粒子スプレーはさらに制限され、オーバースプレーが防止される。
【0039】
オーバースプレーの回収
【0040】
図11a及び
図11bは、オーバースプレーされた粉体を回収してリサイクルするための方法400を示している。オーバースプレー回収システム(「再生システム」又は「回収ユニット」)500の要素は、
図20及び
図21にさらに図示されている。一実施形態では、再生システム500は、媒体1502の複数の表面を塗装する複数の装置102a、102bからオーバースプレーを回収するように機能する。当業者には明らかなように、代替的な配置もまた、本明細書において企図され、各装置102に対して別個の再生システム500を有することを含むが、これに限定されない。
【0041】
方法400は、粉体が媒体1502上にオーバースプレーされるか、静電的に着座しないとき、ステップ402で始まる。ステップ404で、回収ユニット500内の真空モーターが低圧領域を作り出し、オーバースプレーした粉体を取り込む。一実施形態では、1つ又は複数の装置102の周りのスプレー領域は、オーバースプレーがその領域から漏れるのを防ぐために、シュラウド120によって実質的に覆われている。真空モーターは、シュラウド120内にすべてのオーバースプレーを集めるような大きさになっている。真空モーターによって集められた空気と粉体の混合物は、ステップ406でサイクロン分離器に通され、そこで空気が粉体から分離される。ステップ408で、粉体は固体の状態で回収容器に濾過され、一方、空気はステップ410で濾過され、シュラウド120の外部に排出される。オプションとして、ステップ412でリサイクル又はバージン粉体供給への再導入のために粉体を沈降させ、搬送容器に投入してもよい。このようなリサイクルと再利用は、別の場所又は局所的に発生することがある。実施形態では、粉体は、個別の搬送容器を使用するのではなく、チューブ又は他の構造を介して移送される。
【0042】
図11bの実施形態では、1つ又は複数の装置102は、オーバースプレーが排出される少なくとも6つの再生ポート502を備える。方法1100は、粉体がオーバースプレーしたとき、又は媒体1502上に静電着座しなかったときに、ステップ1102として開始する。それぞれの再生ポート502には再生ダクト504が取り付けられている。各回収ダクト504は1つ又は複数のバッグハウス1108に接続する。
【0043】
ステップ1104において、オーバースプレー粉体は、VFDブロワモーター1110によって再生ダクト504に引き込まれる。オーバースプレー回収システム500は、バッグハウス1108が破壊された場合に、オーバースプレーが装置102に向かって後方に移動するのを防止するために、ブローバックダンパー1106を含んでいる。バッグハウス1108は非導電性のフィルターバッグで構成され、空気で脈動され、遊離した粉体はコレクター1114内に落下する。バッグハウス1108は、コレクター1114の交換を可能にするためにオーバースプレーをブロックすることができるナイフゲートを含む。VFDブロワモーター1110は、オーバースプレー1102をバッグハウス1108とそのフィルターに引き込み、通過させる負圧を発生させる。オーバースプレー粉体は大気1112に排出される。
【0044】
この実施形態では、静電塗装システム100は2色塗布機能を有し、装置102が単色又は2色の塗料を塗布することを可能にし、オーバースプレー回収システムは、装置102から個別に色を回収することを可能にする。装置102a、102bは互いに対向して適用される。一方の装置が混合物を媒体1502の上面に塗布し、反対側の装置が混合物を媒体1502の下面に塗布する。これらの装置102a,102bにより、混合物を媒体1502の各面に同時に塗布することができる。
【0045】
一実施形態では、静電塗装システム100は、全ての空気及び残留粉体がシュラウド内から完全に排出される洗浄モードを実施するように構成される。このようなモードは、例えば、オーブン106及び/又は装置102を検査するためにシュラウドを後退させる前に使用することができる。さらに、通常の運転中、静電塗装システム100は、(例えば、発生したオーバースプレーを回収するように)シュラウドから原動ガス及び余分な粉体材料のみを排気するように構成されてもよい。
【0046】
粉体管理システム
【0047】
図12及び
図15は、静電塗装システム100に接続された粉体管理システム1200を示している。具体的には、
図13及び
図14は、粉体管理システム1200の構成要素を示している。
【0048】
図12及び
図13に示すように、粉体管理システム1200は、ウェットエアレシーバ1204に圧縮空気を供給するコンプレッサ1202で構成される。次いで、圧縮空気は、そこで必要とされるまで貯蔵されるドライエアレシーバ及び/又は空気制御パネル1208に渡される前に、ドライヤ/コンディショナ1206(例えば、乾燥剤式エアドライヤ)に供給される。
【0049】
図示された実施形態では、前述の構成要素は、設備内のすべての装置102に共通している。図示されるように、各個別の装置102は、次いで、ドライエアレシーバ/空気制御パネル1208からバッグホイストタワー1212への空気ライン1210からなる別個の供給部によって供給され、この空気ライン1210は、それ自体、ホッパーアンドスケールタワー1214、粉体ライン1216、及びスプリッタ1218(実施形態では、抵抗スプリッタなど)に順に結合されている。さらに、各装置102は、空気供給ライン1213を介してドライエアレシーバ/空気制御パネル1208から乾燥空気を受け取り、別個の空気洗浄ワンド1222(例えば、静電塗装システム100の洗浄に使用することができる)への空気とともに、装置102の混合チャンバ306、静電/真空チャンバ309、及びエッジコンディショナ328に空気を供給する別個の付属空気マニホールド1220を備える。
【0050】
粉体管理システム1200は、所望の量の粉体塗料を装置102a、102bに供給する。ホッパーは一定量の粉体を貯蔵し、粉体を装置102a、102bに供給する前にスケールタワー1214に粉体を供給する。スプリッタ1218は、混合チャンバ306に粉体を均等に分配して一貫性を保ち、混合物を媒体1502に均等に分配できるようにする。具体的には、スプリッタ1218は、媒体1502の幅にわたって均一なフィルムが適用されるように、装置102a、102b全体に均一な体積の粉末を分配するために、入ってくる混合物を分割する。他の配置もまた考えられる。これらの構成要素については、以下、順に説明する。
【0051】
バッグホイストタワー及びホッパーアンドスケールタワー
【0052】
図14は、バッグホイストタワー1212及びホッパーアンドスケールタワー1214の実施形態を示す。各タワー1212、1214の要素は、トラスシステム1410によって支持されている。空気は、供給ライン1210を介してバッグホイストタワー1212で受け取られる。バッグホイストタワー1212で、空気は、動力トロリー1402でホイストから吊り下げられたバルクバッグ1404に当初含まれていた粉体と混合される。空気/粉体混合物は、エデュケータ1409によってホース1412を介してホッパーアンドスケールタワー1214に圧送される。ホイストタワー1212はさらに、1つ又は複数のシールプレート封鎖ボックス1406と、1つの封鎖ボックス延長部1408とを備える。
【0053】
空気/粉体混合物は、ホッパーアンドスケールタワー1214内のサージホッパー1414で受け取られる。プローブ1416は、サージホッパー1414の内容物を監視するために設けられている。混合物は、粉体供給ライン1216を経由して第2のエデュケータ1428によって装置102a、102bに送られる前に、第1のロータリーエアロック1418、集塵機構1420、減量フィーダ1422、及び第2のロータリーエアロック1426を通過する。主粉塵経路と並行して、ホッパーアンドスケールタワー1214は、粉塵の収集及び除去を補助するベントホッパー1424をさらに備える。第1及び第2のロータリーエアロック1418、1426は、粉体の充填を制御する(所望の流量の連続的な流れが装置102a、102bに供給されることを確実にする)。
【0054】
2つのタワーのアプローチは、バッグホイストタワー1212内の粉体バッグを交換するときでさえ、連続的な粉体の流れを可能にする。さらに、構成要素を複数のタワーに分離することにより、設備スペースがより効率的に使用され、構成要素へのアクセスがより容易になる(単一の、より高いタワーを必要とするのではなく)。タワーが組み合わされる他の配置もまた考えられる。
【0055】
一つの可能な空気混合構成が示されているが、粉体を浮遊粒子に流動化させるために気体を使用し、漏斗に入れ、導くことができるあらゆる構成が企図されていることが理解される。
【0056】
コントローラ
【0057】
図16は、粉体管理システム1200及び静電塗装システム100のためのコントローラシステム1600の一実施形態のプロセスフロー図を提供する。
【0058】
コントローラ装置システム1600は、1つ又は複数のコンピュータに含まれる1つ又は複数のプロセッサによる実行のために、非遷移性メモリ上に記憶された実行可能命令として構成されてもよい。あるいは、制御システム1600は、プログラマブルロジックゲート又は特殊なハードウェアデバイスで構成されてもよい。当業者には明らかなように、コントローラは、他のアーキテクチャを用いて実装することもでき、個々の構成要素は、ソフトウェアベース及び/又はハードウェアベースであってもよい。
【0059】
図示されるように、制御システム1600は、制御入力1620を受信し、それらの制御入力1620に基づいて、決定を洗練し、静電塗装システムの性能を最適化するためにさらなる制御入力1620と共に処理されるフィードバック1656につながる出力1650を生成する1つ又は複数のデータハブ1640から構成される。
【0060】
図示された実施形態では、制御入力1620は、複数のモニタ専用入力(排他的モニタ入力)1602からなり、これらは、図示された実施形態ではコントローラによって直接調整されない変数として作用する。当業者には明らかなように、モニタ専用入力1602の多くは、代替の実施形態において(例えば、追加の温度調節装置を追加することなどによって)ある程度まで制御することができる。モニタ専用入力1602は、粉体ライン1216内の測定温度1604(温度プローブを用いて測定してもよい)、各装置102a、102b内の温度1606、静電塗装システム100及び粉体管理システム1200の近傍の測定周囲温度1608、ボリュート308内の測定圧力1610、混合チャンバ306内の測定圧力1612、ミニマニホールド200の1つ又は複数内の測定圧力1614、媒体1502の測定温度1616、及び再生粉体の測定重量1618からなる。
【0061】
さらに、制御入力1620は、制御装置によって直接調整及び最適化される複数の変数からなり、媒体1502に適用される測定された膜厚1622、各装置102に供給される粉体の測定重量1624、粉体を供給する各粉体ブロワの速度1626、各静電エミッタバー314(又は、一実施形態では、各個々の静電エミッタ)における静電電圧1628、各静電エミッタバー314の回転角度1630、システム100を通過する媒体1502のライン速度1632、オーブン106の測定温度1634、測定真空流量1636、及び測定過剰空気流量1638を含む。
制御システム1600は、膜厚1622及び均一性ならびに他の所定の変数及びパラメータに基づいて動作条件を監視及び修正するように機能する。
【0062】
制御システム1600は入力1602を監視し、出力を調整して媒体1502への塗装の精度と分布を最適化する。例えば、静電エミッタバー314の回転又は角度1630の調整は、媒体に沿った塗装の分布に影響を与える。これは、コントローラによって指示される他の制御出力についても同様である。
【0063】
図示された実施形態では、様々な制御入力1620が、個々のデータハブ1640によって処理される。図示されるように、すべての制御入力1620は、1つ又は複数のモニタ1652(これは、物理的なディスプレイ及び/又はディスクリートデバイス上で利用可能なグラフィカルユーザインターフェースであってもよい)上に結果を表示し、その後の分析用にログファイル1654を生成するデータ取得システム(DAQ)1642によって処理される。
【0064】
コントローラ1644は、同様に、様々な出力1650を調整するのに用いるために、全ての制御入力1620を受信する。図示された実施形態では、コントローラ1644は、供給される粉体の重量1658(これは、供給される粉体の測定重量1624に直接影響する)、加熱及び/又は冷却システムによって制御されることがあり、測定温度1604に直接影響する粉体ライン1216内の温度1660、及び粉体ブロワ速度1626を含む粉体管理システム1200のパラメータを調整する。コントローラ1644は、同様に、各静電エミッタバー314(又は、一実施形態では、各個々の静電エミッタ)における静電電圧1628、及び静電エンクロージャ309内の各静電エミッタバー314の回転角度1630を調整する。コントローラ1644は、真空システム(図示せず)の真空流量1636、オーブン106の温度1634(これは様々なゾーン1672において独立して制御され得る)、及び空気ブロワ/コンプレッサ1202の過剰空気流量1674を変更するように構成される。次いで、これらの様々な入力は、さらなる調整を行うために使用されるフィードバック1656として受け取られる。
【0065】
図17a及び
図17bに示されるように、装置102a、102bは、コントローラ1644からの指示を受信し、ローカル変数を調整し、ローカル測定を行う役割を担うローカルコントローラ1646を備えることができる。図示されるように、プラントインターフェース1648は、ライン速度1632の機能を制御する。
【0066】
本明細書に開示された本発明は、記載された静電塗装装置の特定の詳細に限定されるものではなく、他の変更及び応用が考えられる。 本明細書に関係する本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、上述の方法及び装置にさらなる変更を加えることができる。したがって、上記の開示における主題は、限定的な意味ではなく、例示的なものとして解釈されるべきであることが意図される。
【0067】
図18a~18cは、コントローラシステム1800の第2の実施形態のプロセスフロー図である。
【0068】
図示されているように、制御システム1800は、1804を制御又は1802キーデータ1806~1882を監視する1つ又は複数のインターフェース1884~1894を備え、S7-1500 SIEMENS PLC 1896によって順番に1804は制御され、1802は監視される。
【0069】
図示されているように、プラントインターフェース1884は、チルロールバルクシステム後のストリップの温度1806、入側及び出側アキュムレータ1814、及び警報/障害報告機能1816を監視する。プラントインターフェース1884は、ライン速度1808、オーブン温度1810、及びクエンチユニット1812の機能を制御及び監視する。
【0070】
図示されているように、空気供給システム1886は、湿度/温度1818、フィルターデルタ圧力1820、ウェットタンク圧力1822、及び警報/障害報告1824の機能を監視する。
【0071】
図示されているように、S7-1500 SIEMENS PLC 1896は、CFM 1826と再生粉体重量又は充填プローブ1876の機能を直接監視する。
【0072】
図示されているように、NOL-TECH粉体管理システムインターフェース1888は、粉体搬送ラインCFM1830、粉体搬送ライン流量制御弁1832、粉体空気ライン流量制御弁1834、及び警報/障害報告1838を監視する。NOL-TECH粉体管理システムインターフェース1888は、パウダージェットエアCFM1828及び供給される粉体の重量1836を制御及び監視する。
【0073】
図示されているように、パウダージェット(Powderjet(登録商標))システムインタフェース1890は、ノズル圧力センサ1844、パウダージェット内の温度1846、混合チャンバ圧力センサ1852、モータ位置リミットスイッチ1854、ジェット位置リミットスイッチ1856、メザニン1キャビネット湿度/温度1858、粉体搬送ラインスプリッタバルブ1860、粉体空気ラインスプリッタバルブ1862、粉体空気/粉体ライン流量計1864、再生圧力センサ1866、及び警報/障害報告1868を監視する。図示されているように、パウダージェットシステムインターフェース1890は、付属空気用ソレノイド弁1840、静電電圧及び電流1842、及びサーボモータ制御(幅)1848、サーボモータ制御(角度)1850の機能を制御及び監視する。
【0074】
図示されているように、膜厚インジケータインターフェース1892は、膜厚1870、膜厚統計1872、及び警報/障害報告1874の機能を監視する。
【0075】
図示されているように、粉体再生システム1894は、真空流量1878、フィルター上の圧力1880、及び警報/障害報告1882の機能を監視する。
【国際調査報告】