(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ウェアラブルバイオセンサを使用した血中酸素飽和度及びバイタルサイン測定の方法、デバイス、及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20241106BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20241106BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/11 230
A61B5/00 102A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525954
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022049095
(87)【国際公開番号】W WO2023081443
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515058422
【氏名又は名称】ヴァイタル コネクト,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vital Connect,Inc.
【住所又は居所原語表記】2870 Zanker Road, Suite 100, San Jose, CA, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナザリ ネルシ
(72)【発明者】
【氏名】コリウー オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】チー ウェンカン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
4C038VA04
4C038VB12
4C038VC20
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB02
4C117XC11
4C117XD15
4C117XD17
4C117XE37
4C117XG05
4C117XG18
4C117XH02
(57)【要約】
目立たない歩行用ウェアラブルバイオセンサデバイス、システム、及び方法は、患者の自由生活状態での血中酸素飽和度を継続的にモニタする。1つの例示的な実施形態において、血中酸素飽和度(SpO2)を判定するシステムは、センサと、センサに結合された送信機とを含む指センサデバイス、ケーブルを介して指センサデバイスに通信するよう接続された手首モジュールデバイス、及び手首モジュールデバイスに通信するよう接続されたリレーデバイスを含み、指センサデバイスのセンサは、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化を信号データとして非侵襲的に測定し、信号データをケーブルを介して手首モジュールに送信し、手首モジュールは信号データを受信し、信号データをリレーデバイスに無線送信し、リレーデバイスは、信号データを用いて血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算して表示する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中酸素飽和度(SpO
2)を判定するシステムであって、
センサと、前記センサに結合された送信機とを含む指センサデバイス、
ケーブルを介して前記指センサデバイスに通信するよう接続された手首モジュールデバイス、及び、
前記手首モジュールデバイスに通信するよう接続されたリレーデバイスを含み、
前記指センサデバイスの前記センサは、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化を信号データとして非侵襲的に測定し、前記信号データを前記ケーブルを介して前記手首モジュールに送信し、
前記手首モジュールは前記信号データを受信し、前記信号データを前記リレーデバイスに無線送信し、
前記リレーデバイスは、前記信号データを用いて前記血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算し、
前記リレーデバイスは、前記血液中の前記計算されたヘモグロビン飽和度を表示する、前記システム。
【請求項2】
前記リレーデバイスは、赤色光吸収のIR光吸収に対する脈動成分と非脈動成分の2倍の比率を用いて較正アルゴリズムにより前記Sp02を計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リレーデバイスは、ブルートゥース(登録商標)(BLE)無線通信を介して前記手首モジュールデバイスに通信するように接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記指センサデバイスはリング型である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記指センサデバイスはパルスオキシメータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記パルスオキシメータは、多波長光源及び光検出器を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記手首モジュールは、前記手首モジュール及び指センサデバイスに電力を供給する電源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記手首モジュールはディスプレイ画面を含まない、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記指センサデバイスはディスプレイ画面を含まない、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記手首モジュールは、モーションアーティファクトを検出するための加速度計を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記加速度計は、単軸加速度計、二軸加速度計、三軸加速度計、またはジャイロスコープのうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記手首モジュールは送信機を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記加速度計は患者のアナログ加速度計(ACC)信号を測定し、前記ACC信号を前記送信機に送信し、
前記送信機は前記ACC信号を前記リレーデバイスに送信し、それがその後前記ACC信号を使用して前記モーションアーティファクトを判定する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記リレーデバイスは、タブレット、スマートフォン、またはコンピュータのうち少なくとも1つを含み、アルゴリズムを使用して、前記手首モジュールデバイスから受信したPPG信号データを使用して前記ヘモグロビン飽和度を計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記リレーデバイスは、前記計算されたヘモグロビン飽和度を前記タブレット、前記スマートフォン、または前記コンピュータの画面に表示して結果を報告する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
血中酸素飽和度(SpO
2)を判定する方法であって、
指センサデバイスによって、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化を信号データとして非侵襲的に測定すること、
前記指センサデバイスにより、前記信号データをケーブルを介して手首モジュールに送信すること、
前記手首モジュールデバイスによって、前記信号データをリレーデバイスに無線送信すること、
前記リレーデバイスによって、前記信号データを用いて前記血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算すること、及び
前記リレーデバイスのディスプレイに前記Sp02を表示すること、を含む、前記方法。
【請求項17】
前記Sp02を前記計算することは、前記リレーデバイスが、赤色光吸収のIR光吸収に対する脈動成分と非脈動成分の2倍の比率を用いて較正アルゴリズムにより前記Sp02を計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
血中酸素飽和度(SpO
2)を判定するバイオセンサデバイスであって、
送信機に接続された指センサ、及び
ケーブルを介して前記指センサに通信するよう接続された手首モジュール、を含み、
前記指センサは、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化をデータとして非侵襲的に測定し、前記データを前記ケーブルを介して前記手首モジュールに送信し、
前記手首モジュールは前記データを受信し、前記データをリレーデバイスに無線送信し、
前記リレーデバイスは、前記データを用いて血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算し、
前記リレーデバイスは、前記血液中の前記計算されたヘモグロビン飽和度を表示する、前記バイオセンサデバイス。
【請求項19】
前記手首モジュールは、前記手首モジュール及び前記指センサに電力を供給する電源を含む、請求項18に記載のバイオセンサデバイス。
【請求項20】
前記リレーデバイスは、赤色光吸収のIR光吸収に対する脈動成分と非脈動成分の2倍の比率を用いて較正アルゴリズムにより前記Sp02を計算する、請求項18に記載のバイオセンサデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ウェアラブルバイオセンサを使用した血中酸素飽和度及びバイタルサイン測定の方法、デバイス、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血中酸素飽和度などの多くのバイタルサインの測定には、センサ、プロセッサベースのシステム、測定値を表示する画面を含むウェアラブルバイオセンサが導入されている。この構成は、ユーザが快適に装着できるウェアラブルバイオセンサに必要な計算能力とディスプレイ画面によって制限されている。
【0003】
本出願は、ウェアラブルバイオセンサを使用して、患者の自由な生活環境下での継続的で目立たない歩行モニタリング用の従来のウェアラブル血中酸素飽和度モニタの限界を克服する。本開示は、より優れたソリューションを低コストで提供しながら、そのようなデバイスのコンピューティングプロセッサ及びディスプレイを削減または削除するソリューションを提供する。
【発明の概要】
【0004】
1つの例示的な実施形態において、血中酸素飽和度(SpO2)を判定するシステムは、センサと、センサに結合された送信機とを含む指センサデバイス、ケーブルを介して指センサデバイスに通信するよう接続された手首モジュールデバイス、及び手首モジュールデバイスに通信するよう接続されたリレーデバイスを含み、指センサデバイスのセンサは、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化を信号データとして非侵襲的に測定し、信号データをケーブルを介して手首モジュールに送信し、手首モジュールは信号データを受信し、信号データをリレーデバイスに無線送信し、リレーデバイスは、信号データを用いて血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算し、リレーデバイスは、血液中の計算されたヘモグロビン飽和度を表示する。
【0005】
別の例示的な実施形態では、血中酸素飽和度(SpO2)を判定する方法は、指センサデバイスによって、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化を信号データとして非侵襲的に測定すること、指センサデバイスにより、信号データをケーブルを介して手首モジュールに送信すること、手首モジュールデバイスによって、信号データをリレーデバイスに無線送信すること、リレーデバイスによって、信号データを用いて血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算すること、及びリレーデバイスのディスプレイにSp02を表示すること、を含む。
【0006】
さらに別の例示的な実施形態では、血中酸素飽和度(SpO2)を判定するバイオセンサデバイスが、送信機に接続された指センサ、及びケーブルを介して指センサに通信するよう接続された手首モジュール、を含み、指センサは、酸素化血液または脱酸素化血液中の光吸収の変化をデータとして非侵襲的に測定し、データをケーブルを介して手首モジュールに送信し、手首モジュールはデータを受信し、データをリレーデバイスに無線送信し、リレーデバイスは、データを用いて血液中のヘモグロビン飽和度(Sp02)を計算し、リレーデバイスは、血液中の計算されたヘモグロビン飽和度を表示する。
【0007】
上記の概要は単なる例示に過ぎず、いかなる形でも限定することを意図していない。上述の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0008】
下記の詳細な説明から当業者には様々な変更及び修正が明らかになるので、続く簡単な説明では、実施形態は例示としてのみ説明されている。異なる図の同じ参照番号の使用は、類似または同一の物を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】血中酸素飽和度を測定するシステムの実施形態を実装するための例示的な図を示す。
【
図1B】血中酸素飽和度を測定するシステムの別の実施形態を実装するための例示的な図を示す。
【
図2A】実施形態に従った無線手首センサデバイスの例示的な図を示す。
【
図2B】実施形態に従った無線指先センサデバイスの例示的な図を示す。
【
図2C】実施形態に従った無線リングセンサデバイスの例示的な図を示す。
【
図3A】実施形態に従った
図1A及び1Bの有線センサデバイスの例示的なコンポーネントブロック図を示す。
【
図3B】実施形態に従った
図1A及び1Bの有線手首モジュールデバイスの例示的なコンポーネントブロック図を示す。
【
図3C】実施形態に従った
図2A~2Cの無線センサデバイスの例示的なコンポーネントブロック図を示す。
【
図3D】実施形態に従った
図1A及び1Bのリレーデバイスの例示的なコンポーネントブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、説明の一部を形成する添付図面を参照する。図面中、同様の符号は、通常、文脈から別段の指示がない限りは、同様の構成要素を識別する。さらに、別段の記載がない限り、連続する各図面の説明は、先行する図面のうちの1つ以上の図面に由来する特徴を参照して、現在の例示的な実施形態のより明瞭な文脈及びより実質的な説明を提供することができる。引き続き、詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意図したものではない。本明細書に提示されている主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用すること、及び他の変更を行うことができる。本開示の態様は、本明細書に一般的に説明され、図面に例示されているように、多種多様な構成で配列、置換、結合、分離、及び設計を行うことができ、それらの全てが本明細書に明示的に企図されていることが容易に理解されるであろう。
【0011】
図1A及び1Bは、血中酸素飽和度を含むバイタルサインを測定するためのデバイス、システム、及び方法の1つ以上の実施形態を実装するための例示図を示しており、システムは、有線指センサデバイス1または有線指先センサデバイス2、有線手首モジュールデバイス10、及びリレーデバイス20を含む。
【0012】
図1Aに示すように、有線指センサデバイス1は、装着者の指に快適さを与えるためにリング型にすることができ、指を囲むか、指の周りを包み込み、器用な動きを妨げない。リング型指センサのこの構成は、指の血液中の酸素飽和度を測定する間接的かつ非侵襲的な方法である血中酸素飽和度(SpO
2)測定のための良質で安定した信号を提供する。しかしながら、当業者であれば、指センサデバイスはリング型に限定されないことを認識するであろう。指センサデバイス1には、光電式容積脈波(PPG)信号を測定してSpO
2を判定するために使用されるパルスオキシメータが含まれてもよい。測定されたPPG信号データは、次いで
図1Aに示すように、有線を介して有線手首モジュールデバイス10に送信され得、順次、受信した測定PPG信号データを使用してSpO
2を計算するリレーデバイス20に無線で送信される。
【0013】
図1Bに示すように、有線指先センサデバイス2は、装着者の指に快適さを与えるために円柱状にすることができ、指を囲むか、指の先端の周りを包み込み、器用な動きを妨げない。指先センサデバイス2のこの構成は、指の血液中の酸素飽和度を測定する間接的かつ非侵襲的な方法である血中酸素飽和度(SpO
2)測定のための良質で安定した信号を提供する。しかしながら、当業者であれば、指先センサデバイス2は円柱状に限定されないことを認識するであろう。指先センサデバイス2には、光電式容積脈波(PPG)信号を測定してSpO
2を判定するために使用されるパルスオキシメータが含まれてもよい。測定されたPPG信号データは、
図1Bに示すように、有線を介して有線手首モジュールデバイス10に送信され、順次、受信した測定PPG信号データを使用してSpO
2を計算するリレーデバイス20に無線で有線手首モジュールデバイス10に送信される。
【0014】
図2Aに示すように、無線手首センサデバイス40は、装着者の手首に快適さを与えるバンドを含んでおり、手首を囲むか包み込み、器用な動きを妨げない。無線手首センサデバイス40のこの構成は、手首での血中酸素飽和度(SpO
2)測定に良質で安定した信号を提供する。無線手首センサデバイス40には、光電式容積脈波(PPG)信号を測定してSpO
2を判定するために使用されるパルスオキシメータが含まれてもよい。測定されたPPG信号データは、次いで無線手首センサデバイス40によってリレーデバイス20に無線で送信され、受信された測定PPG信号データを使用してSpO
2が計算される。
【0015】
図2Bに示すように、無線指先センサデバイス41は、ユーザの指先を囲むか包み込むことで、装着者の指に快適さを与え、器用な動きを妨げない。無線指先センサデバイス41のこの構成は、指での血中酸素飽和度(SpO
2)測定に良質で安定した信号を提供する。無線指先センサデバイス41には、光電式容積脈波(PPG)信号を測定してSpO
2を判定するために使用されるパルスオキシメータが含まれてもよい。測定されたPPG信号データは、次いで無線指先センサデバイス41によってリレーデバイス20に無線で送信され、受信された測定PPG信号データを使用してSpO
2が計算される。
【0016】
図2Cに示すように、無線リングセンサデバイス42は、装着者の指に快適さを与え、器用な動きを妨げないようにリング型であってもよい。無線リングセンサデバイス42のこの構成は、指での血中酸素飽和度(SpO2)測定に良質で安定した信号を提供する。無線リングセンサデバイス42には、光電式容積脈波(PPG)信号を測定してSpO2を判定するために使用されるパルスオキシメータが含まれてもよい。測定されたPPG信号データは、次いで無線リングセンサデバイス42によってリレーデバイス20に無線で送信され、受信された測定PPG信号データを使用してSpO
2が計算される。
【0017】
図3Aに示すように、
図1A及び
図1Bの有線指センサデバイス1及び有線指先センサデバイス2のハードウェア及びソフトウェア構成要素のブロック図がそれぞれ説明されている。説明の便宜上、有線指センサデバイス1と有線指先センサデバイス2を総称して有線センサデバイス50と記載される。
【0018】
有線センサデバイス50には、センサ/フォトダイオード4と、赤外線光源、赤色光源、多波長光源、またはLED光源5、パルスオキシメータ3に接続された送信機6、及びメモリ8に接続されたプロセッサ7のうちの少なくとも1つを含むパルスオキシメータ3が含まれる場合がある。LED5には、1つ以上のLEDが含まれる場合がある。有線センサデバイス50は、送信機6を介して有線またはケーブルで有線手首モジュールデバイス10に通信するよう接続される場合がある。有線センサデバイス50及び/または有線手首モジュールデバイス10は、無線(BLE)通信を介してリレーデバイス20及び互いに通信するよう接続される場合もある。有線センサデバイス50は、ケーブル接続を介してリレーデバイス20から電力を供給される場合がある。有線センサデバイス50には、充電式または非充電式のバッテリなど、少なくとも7日間ポータブルの電源9がさらに含まれていてもよい。有線センサデバイス50のパルスオキシメータ3は、透過型パルスオキシメトリと反射型パルスオキシメトリを含む2つのSpO2技術の方法のいずれかを使用して、患者の血液の酸素飽和度を非侵襲的に測定することができる。
【0019】
例示的な実施形態では、透過型パルスオキシメトリには、測定対象となる人体の部分(例えば、指、手首)の反対側に配置されたフォトダイオード4及びLED(複数可)5が含まれる。透過型パルスオキシメトリ技術は、LED(複数可)5からの赤色光と赤外線を身体部位を通して光検出器(フォトダイオード)4に送信する。酸素化ヘモグロビン(O2Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(HHb)は、赤色光と赤外線を異なるように吸収する。体組織は光の一部を吸収し、フォトダイオード4は体を通過した残りの光を収集する。
【0020】
別の例示的な実施形態では、反射型パルスオキシメトリには、測定対象となる人体の部分(例えば、指または手首)の同じ側にあるフォトダイオード4とLED(複数可)5が含まれる。フォトダイオード4は、皮膚の下のさまざまな深さから反射された光を収集する。脈動する動脈血は、組織を通過する入射光を吸収して変調し、光電式容積脈波(PPG)信号を形成する。PPG信号のAC成分は、脈動する動脈血によって吸収された光を表す。このAC成分は、他の血液や組織成分(例えば、静脈血、毛細血管血、骨、水など)によって吸収された光の影響を捉えるDC信号に重ね合わされる。AC信号とDCレベルの比率は灌流指数(PI)と呼ばれる。受信したPPG信号のDC成分とAC成分は、異なるLED波長に対して異なる。これは、HbO2、RHb、及びその他の組織成分の吸収特性が異なる波長に対して異なるためである。例えば、SpO2を測定するには、異なる波長を持つ2つのLEDが使用される。さらに、これら2つの波長は、HbO2とRHbのモル吸光係数が十分に分離されるように選択できる。パルスオキシメトリでは、例えば660nmの赤色LEDと、例えば880nmの赤外線LEDが使用される。パルスオキシメータはPPG信号を測定し、そのデータは有線を介して有線手首モジュールデバイス10に送信され、順次有線手首モジュールデバイス10はPPG信号データをリレーデバイス20に送信してSpO2を計算する。または、パルスオキシメータ3はPPG信号を測定し、そのデータは無線送信機6を介して直接リレーデバイス20に送信され、SpO2を計算する。
【0021】
図3Bに示すように、
図1A及び
図1Bの有線手首モジュールデバイス10のハードウェア及びソフトウェアコンポーネントのブロック図が示されている。例示的な実施形態では、有線手首モジュールデバイス10は使い捨てであり得、センサ11、メモリ13に接続されたプロセッサ12、メモリ13に接続されたアプリケーション14、及びアプリケーションに接続された送信機15などの電子機器を含むことができる。有線手首モジュールデバイス10はまた、データワイヤまたはデータケーブルを介して有線センサデバイス50に通信するよう接続されることにより、SpO2測定のための連続的なPPG信号測定も提供できる。例えば、有線手首モジュールデバイス10は、有線指センサデバイス1または有線指先センサデバイス2からPPG信号及びデータを受信し、順次、有線手首モジュールデバイス10は、PPG信号をリレーデバイス20に送信する。有線手首モジュールデバイス10には、さらに手首モジュールデバイス10に電力を供給し、有線センサデバイス50にまた電力を供給できる、バッテリなどの少なくとも7日間ポータブルの電源16が含まれる場合がある。バッテリは充電可能な場合がある。さらに、有線手首モジュールデバイス10には画面またはディスプレイが含まれなくてよく、それによりコストとサイズを削減する。
【0022】
さらに、有線手首モジュールデバイス10には、モーションアーティファクトを検出するための加速度計17が含まれてもよい。加速度計は、一軸加速度計、二軸加速度計、三軸加速度計、ジャイロスコープなどを含み得るが、これらに限定されるものではなく、本発明の精神及び範囲内に含まれる。有線手首モジュールデバイス10の加速度計は、ユーザのアナログ加速度計(ACC)信号を測定し、その信号は送信機に送信され、順次リレーデバイス20に送信され、それはその後ACC信号を利用してモーションアーティファクトを判定する。送信機は、例えばBLE無線通信を利用する。当業者は、有線手首モジュールデバイス10は、マイクロプロセッサ、コントローラ、及びマイクロコントローラを含むがこれらに限定されない、プロセッサ用のさまざまなデバイスを利用することができること、及びそれが本出願の精神及び範囲内にあることを容易に認識する。さらに、当業者は、メモリ、アプリケーション、及び送信機にはさまざまなデバイスを利用できること、及びそれが本発明の精神及び範囲内であることを容易に認識する。
【0023】
図3Cに示すように、
図2A、
図2B、
図2Cの無線手首センサデバイス40、無線指先センサデバイス41、及び無線リングセンサデバイス42のハードウェア及びソフトウェア構成要素のブロック図が説明されている。説明の便宜上、無線手首センサデバイス40、無線指先センサデバイス41、及び無線リングセンサデバイス42を総称して無線センサデバイス60と記載する。無線センサデバイス60には、センサ/フォトダイオード44と、赤外線光源、赤色光源、多波長光源、またはLED光源45、パルスオキシメータ43に接続された送信機46、及びメモリ48に接続されたプロセッサ47のうちの少なくとも1つを含むパルスオキシメータ43が含まれる場合がある。LED光源45にはさらに1つ以上のLEDが含まれる場合がある。無線センサデバイス60は、BLE通信などの無線通信を介して、送信機46を介してリレーデバイス20に無線通信することができる。無線センサデバイス60は、充電式または非充電式バッテリなどの少なくとも7日間ポータブルの電源49によって電力を供給できる。無線センサデバイス60のパルスオキシメータ43は、透過型パルスオキシメトリと反射型パルスオキシメトリを含む2つのSpO2技術の方法のいずれかを使用して、患者の血液の酸素飽和度を非侵襲的に測定することができる。
【0024】
図3Dに示すように、
図1A及び
図1Bのリレーデバイス20のハードウェア及びソフトウェア構成要素のブロック図がさらに説明される。リレーデバイス20は、プロセッサ21、プロセッサ21に接続されたメモリ22、メモリ22に格納されたアプリケーション23、バッテリ電源を含む電源25、及びアプリケーション23に接続された送信機24を含むことができる。リレーデバイス20は、例えば、タブレット、スマートフォン、携帯電話、またはコンピュータであり得、アルゴリズムを使用して、手首モジュールデバイス10、及び有線指センサデバイス1、及び/または有線指先センサデバイス2からの血中酸素飽和度SpO2のPPG信号データを含む基礎となるバイタルサインを計算するタスクを実行する。リレーデバイス20は、動脈血流の脈動によって引き起こされる測定された光吸収の変化を使用して、動脈血中のヘモグロビン飽和度SpO
2を計算できる。
【0025】
例示的な実施形態では、リレーデバイス20は、有線手首モジュールデバイス10または無線センサデバイス60からPPG信号データを受信して、SpO
2を計算する。SpO
2測定は次の式で行われる。
【数1】
【0026】
式中、a、b、cは較正係数である。吸光度の振幅は赤色:IR変調比(R)を計算するために使用され、式中Rは次の式で判定される、
R=(A赤,AC/A赤,DC)/(AIR,AC/AIR,DC)、式中A=吸光度。
【0027】
PPG信号のAC成分は、脈動する動脈血によって吸収される光を表す。このAC成分は、他の血液や組織成分(静脈血、及び毛細血管血、骨、水など)によって吸収された光の影響を捉えるDC信号に重ね合わされ、AC信号とDCレベルの比率は灌流指数(PI)と呼ばれる。言い換えれば、Rは、赤色光吸収と赤外線吸収の脈動成分と非脈動成分の2倍の比率である。較正係数a、b、及びcに関しては、較正プロセスにより、ビール・ランバートの法則からの偏差とハードウェアの非理想性を補正して、測定精度を向上させる較正係数が取得される。これらの係数は、較正ラボで包括的なデータを収集し、回帰法を使用して、収集したデータに2次(または1次)曲線を当てはめることで、取得できる。適合された較正曲線は、必要な較正係数a、b、及びc、較正係数を出力するために使用される。
【0028】
Sp02を含む、計算された基礎的なバイタルサインは、次いでリレーデバイス20に表示され、結果を報告する。したがって、有線手首モジュールデバイス10、有線指センサデバイス1及び/または有線指先センサデバイス2、または無線センサデバイス60にディスプレイ画面を含めるのではなく、タブレット、スマートフォン、またはコンピュータを使用すると、コストとサイズが削減されると同時に、はるかに高いコンピューティングプロセッサパワーと、結果を報告するためのはるかに優れたディスプレイが提供される。さらに、リレーデバイス20は、測定をさらに強化し、介護者または関係者に通知し、測定またはアルゴリズムのスケジュール及びパラメータを制御できる中央モニタリングシステムに情報を送信するために使用されてもよい。有線手首モジュールデバイス10、有線指センサデバイス1及び/または有線指先センサデバイス2、または無線センサデバイス60に小型で安価なBluetooth(または類似の)モジュールを組み込むことにより、生の信号がリレーデバイス20に送信される。次に、リレーデバイス20は必要な計算をすべて実行し、データを画面に表示し、及び/またはデータを中央モニタリングステーションに送信する。
【0029】
図1~3に描かれ、それらに従って説明された構成要素及び演算に関しては、演算及び副次的演算のいずれもが、コンピュータ可読媒体に格納された非一時的なコンピュータ可読命令として実装され得る。コンピュータ可読命令は、例えば、本明細書で言及されるように、ネットワーク要素及び/またはこれに対応する他の任意のデバイスを有して、特に上記のアプリケーション及び/またはプログラムに適用可能なように、リレーデバイス20、手首モジュールデバイス10、有線指センサデバイス1及び/または有線指先センサデバイス2、または無線センサデバイス60の1つ以上のプロセッサによって実行され得る。
【0030】
前述のことから、本開示の様々な実施形態が、本明細書に例示の目的で記載されており、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。さらに、当業者であれば、様々な実施形態を組み合わせること、または分離することが可能であり、様々な実施形態を組み合わせることは、本発明者らの所有、検討、及び意図の範囲内であることを理解するはずである。したがって、本明細書に開示された種々の実施形態は、限定されることが意図されておらず、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0031】
当業者は、本明細書に開示される本プロセス及び方法ならびに他のプロセス及び方法については、プロセス及び方法で実施される機能が、異なる順序で実施されてもよいことを理解するであろう。さらに、概説したステップ及び演算は、単に例として提供されているに過ぎず、ステップ及び動作のいくつかは、開示された実施形態の本質を損なうことなく、任意選択であってもよく、より少ないステップ及び演算に組み合わされてもよく、または追加のステップ及び演算に拡張されてもよい。
【0032】
さらに、本開示は、本出願に記載されている特定の実施形態に関して限定されるべきものではなく、これらの特定の実施形態は様々な態様を例示するものとして意図されている。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正形態及び変形形態が行われることが可能である。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲内で機能的に等価な方法、及び装置さえもが、上記の説明から当業者に明らかであろう。そのような修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と併せて、そのような特許請求の範囲の条項によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されず、これらは、当然、変更可能であることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0033】
上述のシステムの態様のハードウェア実装とソフトウェア実装との間に、ほとんど区別はない。つまり、ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、一般に(常にではないが、特定の状況ではハードウェアとソフトウェアの選択が重要になる場合がある)、コスト対効率のトレードオフに相当する設計上の選択である。本明細書で説明されるプロセス及び/またはシステム及び/または他の技術、例えばハードウェア、ソフトウェア及び/またはファームウェアを実装できる様々な車両が存在し、しかもプロセス及び/またはシステム及び/または他の技術が配備される状況によって、好ましい車両が変化し得る。例えば、速度及び精度が最優先されることを実装者が決定した場合には、実装者は、主にハードウェア及び/またはファームウェアの車両を選択することができ、可撓性が最優先される場合には、実装者は、主にソフトウェア実装を選択することができ、またはさらに代替的に、実装者は、ハードウェア、ソフトウェア及び/またはファームウェアのいくつかの組み合わせを選択することができる。
【0034】
上記の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート及び/または実施例を使用して、血中酸素飽和度を求めるためのデバイス及び/またはプロセスの様々な実施形態を説明してきた。かかるブロック図、フローチャート及び/または実施例等が1つ以上の機能及び/または演算を含む限り、当業者であれば、かかるブロック図、フローチャートまたは実施例の各機能及び/または演算を、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの実質的に任意の組み合わせによって、個別に及び/または集合的に実装できることを理解するであろう。一実施形態では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または他の集積形式によって実装することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示する実施形態の一部の態様は、全体的にまたは部分的に、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラム)として、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラム(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラム)として、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組み合わせとして、集積回路内に等価に実装できることを認識するようになること、ならびに回路を設計すること、及び/またはソフトウェア及び/またはファームウェアのコードを書くことは、本開示を考慮すれば十分、当業者の技術の範囲内である。さらに当業者であれば、本明細書に記載されている主題のメカニズムが様々な形式のプログラム製品として頒布できること、及び本明細書に記載されている主題の例示的な実施形態は、実際に頒布を実行するために使用される信号担持媒体の特定のタイプに関係なく適用されること、を理解するであろう。信号担持媒体の例には、次のもの、すなわち、ハードディスクドライブ、コンピュータメモリ等の記録可能なタイプの媒体、及びデジタル及び/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の伝送タイプの媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
当業者であれば、本明細書に記載されたようにデバイス及び/またはプロセスを記述し、その後、エンジニアリング方式を使用して、本明細書に記述されたデバイス及び/またはプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載されているデバイス及び/またはプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を経てデータ処理システムに組み込むことができる。当業者は、典型的なデータ処理システムが、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性及び不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェース、及びアプリケーションプログラムなどの計算エンティティ、タッチパッドまたはスクリーンなどの1つ以上のインタラクションデバイス、及び/またはフィードバックループ及び制御モータを含む制御システム(例えば、位置及び/または速度を検出するためのフィードバック、構成要素及び/または量の移動及び/または調整を行うための制御モータ)、のうちの1つ以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信システム及び/またはネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られる構成要素等、任意の適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0036】
本明細書で説明される主題は、異なる他の構成要素内に含まれる、または異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示すことがある。かかる描写されたアーキテクチャは実施例にすぎず、実際に多くの他の同一の機能性を達成するアーキテクチャが実施されることが可能であることが理解される。概念的な意味では、その同一の機能性を達成する構成要素のいかなる配置も、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付け」られる。したがって、本明細書において特定の機能性を達成するように組み合わせられる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるように、互いに「関連付けられる」と見なされることが可能である。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素も所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されているということもでき、そのように関連付けることができる任意の2つの構成要素も、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に結合可能」であるということもできる。動作可能に結合可能な具体例には、物理的に嵌合可能な構成要素及び/または物理的に相互作用する構成要素、及び/または無線で相互作用可能な構成要素及び/または無線で相互作用する構成要素、及び/または論理的に相互作用する構成要素及び/または論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書における実質的に全ての複数形及び/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/または用途に応じて適切であるように、複数形から単数形へ、及び/または単数形から複数形へ変換することができる。様々な単数形/複数形の置換が、明確化のため本明細書に明示的に記載されている場合がある。
【0038】
概して、本明細書、及び特に特許請求の範囲(例えば、特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含んでいる」は、「含んでいるがこれに限定されない」、用語「有する」は、「少なくとも有する」、用語「含む」は「含むがこれに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。当業者であれば、導入された請求項の記載の特定の数が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないことが、さらに理解されるであろう。例えば、理解への補助として、以下の特許請求の範囲は、請求項の記述を導入する、導入句である「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記述の導入が、その同じ請求項が導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」及び「a」または「an」のような不定冠詞を含むときであっても(例えば、「a」及び/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)、かかる導入された請求項の記述を含む任意の特定の記述を1つのかかる記述のみを含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではなく、請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用に対しても同じことが当てはまる。加えて、導入される請求項の記述の特定の数が明示的に記述される場合、当業者は、かかる記述が少なくとも1つの記述された数(例えば、他の修飾語句なしの「2つの記述」の最低限の記述が、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を意味する)を意味すると解釈されるべきであることを理解するであろう。さらに、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用されている場合、一般に、そのような構成は、当業者であれば、この慣例を理解するという意味で意図されるものであり、例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で有するシステム、B単独で有するシステム、C単独で有するシステム、A及びB共に有するシステム、A及びC共に有するシステム、B及びC共に有するシステム、及び/またはA、B、及びC共に有するシステム等を含むが、これらに限定されない。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用されている場合、一般に、そのような構成は、当業者であれば、この慣例を理解するという意味で意図されるものであり、例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で有するシステム、B単独で有するシステム、C単独で有するシステム、A及びB共に有するシステム、A及びC共に有するシステム、B及びC共に有するシステム、及び/またはA、B、及びC共に有するシステム等を含むが、これらに限定されない。当業者には、さらに、明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の接続詞的な単語及び/または語句は、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を想定していると理解されるべきであることが理解されよう。例えば「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むものと解される。
【0039】
また、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループに関して記載される場合、当業者は、本開示が、それにより、そのマーカッシュグループの任意の個別の構成要因または構成要因のサブグループに関しても記載されていることを理解するであろう。
【0040】
前述のことから、本開示の様々な実施形態が、本明細書に例示の目的で記載されており、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、本明細書に開示された種々の実施形態は、限定されることが意図されておらず、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】