(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】非経口併用投与用薬学的キット
(51)【国際特許分類】
A61K 9/16 20060101AFI20241106BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241106BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20241106BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20241106BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/708 20060101ALI20241106BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241106BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20241106BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241106BHJP
A61P 5/12 20060101ALI20241106BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20241106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/34
A61K45/06
A61K31/573
A61K31/5415
A61K31/407
A61K31/445
A61K31/27
A61K31/58
A61K38/08
A61K38/26
A61K31/708
A61P29/00
A61P25/28
A61P5/28
A61P3/10
A61P5/12
A61P31/20
A61P43/00 121
A61K9/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526664
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 KR2022017384
(87)【国際公開番号】W WO2023080753
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0151652
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0110883
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519426014
【氏名又は名称】ジー2ジーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G2GBIO, INC.
【住所又は居所原語表記】21 UIRYODANJI-GIL, OSONG-EUP, HEUNGDEOK-GU, CHEONGJU-SI, CHUNGCHEONGBUK-DO, 28161 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジンウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヘジョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジェモク
(72)【発明者】
【氏名】ピョン,ジョンス
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュハン
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ウンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒヨン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA17
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(57)【要約】
本発明は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、第2製剤に含まれている薬物伝達体により投与対象で炎症反応の予防、軽減または治療用途で使用するか、前記第2製剤に含まれている非経口薬物伝達体の分解を調節するか、前記第2製剤に含まれている第2薬物の生体利用率(bioavailability)を増加させるための用途で使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、
前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、
前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、
前記第1製剤は、前記第2製剤の非経口薬物伝達体による対象の炎症反応を予防、軽減または治療するためのものである、
非経口併用投与薬学的キット。
【請求項2】
第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、
前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、
前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、
前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている非経口薬物伝達体の分解を調節するためのものである、
非経口併用投与薬学的キット。
【請求項3】
第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、
前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、
前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、
前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている第2薬物の生体利用率(bioavalibility)を増加させるためのものである、
非経口併用投与薬学的キット。
【請求項4】
前記第2非経口薬物伝達体は、生分解性高分子、および生分解性脂質(lipid)からなる群より選択され、対象で炎症を誘発するものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項5】
前記薬物伝達体は、微粒球、リポソーム、ミセル、デポ(depot)、またはヒドロゲルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項6】
前記第1製剤と第2製剤は、同時または異時に投与されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項7】
前記第1製剤と第2製剤は、混合製剤または個別製剤で提供されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項8】
前記第1薬物と第2薬物が第2非経口薬物伝達体に共に担持されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項9】
前記第1薬物と;前記第2非経口薬物伝達体と第2薬物を含む第2製剤と;の混合製剤で含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項10】
前記第1薬物と第2薬物が、同一または異なる材質の非経口薬物伝達体にそれぞれ個別に担持されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項11】
前記第1非経口薬物伝達体に担持された第1薬物を含む第1製剤と、前記第2非経口薬物伝達体に担持された第2薬物を含む第2製剤とを含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項12】
前記第1製剤と第2製剤は混合製剤で提供される場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記抗炎症性薬物は、0.001~5.0重量w/w%で含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項13】
前記第1製剤と第2製剤は混合製剤で提供され、前記第1製剤は第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含む場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記第1非経口薬物伝達体は、0.002~20重量w/w%で含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項14】
前記第2製剤の固形分含有量100重量部を基準として、第1製剤の固形分含有量は0.002~20重量部で含まれるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項15】
前記抗炎症性薬物は、抗炎症性薬物の最低有効濃度以上のAUCが、1日投与製剤のAUCの10%以下である、請求項1に記載の薬学的キット。
【請求項16】
前記非経口薬物伝達体は、関節腔内投与(intra-articular)、皮下投与(subcutaneous)、皮内投与(intradermal)、筋肉内投与(intramuscular)、腫瘍内投与(intratumoral)、眼内投与(intraocular)、硝子体内投与(intravitreal)または鼓室内投与(intratympanic)で提供させるものである、請求項1に記載の薬学的キット。
【請求項17】
前記薬物伝達体は、10~100マイクロメーターの平均粒径を有する微粒球である、 請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的キット。
【請求項18】
請求項1~3のいずれか一項に記載の非経口用抗炎キットは、局所麻酔剤成分をさらに含むものである、薬学的キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非経口併用投与薬学的キットに関するものであって、抗炎症性薬物を利用して、併用投与される薬物の生体利用率を改善するか、併用投与される非経口薬物伝達体による炎症反応を予防、軽減または治療するか、または併用投与される非経口薬物伝達体の分解を調節する用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
薬物の効能増加、副作用の減少、または投与の便宜性などの多様な理由で2種以上の薬物を多様な方法で投与する併用投与薬物が多数開発されている実情である。
【0003】
また、薬物の治療効果を極大化させ、人体の副作用を最小化するための目的で薬物伝達システム(Drug delivery system、DDS)が利用されている。薬物伝達体は、薬物と単純な配合から高度な機能性を有する剤形まで含み、経口、注射、経皮、粘膜、移植など人体の多様な経路を通じて患者に適用されている。特に、疾患の治療のために長期間服用しなければならない薬物に対して患者の服用便宜性の向上と治療効果の改善のために薬物が搭載されている多様な種類の非経口投与用薬物製剤の開発が活発に行われている。
【0004】
しかし、このような剤形の場合、生体内に存在しない物質を薬物伝達体として利用することで、目的薬物を搭載して体内で長期間治療剤の放出が行われる技術を適用しているため、前記薬物伝達体も生体外異物として投与対象で望ましくない反応、例えば免疫反応または炎症反応を誘発することがある。
【0005】
このような炎症反応は、目的薬物が搭載された非経口薬物伝達体が体内で完全に分解される時まで持続的に維持されており、急性炎症から慢性炎症に進行する可能性が高い。そこで、薬物伝達体による投与対象の炎症発生を予防、軽減または治療するための抗炎症性製剤またはキットが必要であるのが実情である。
【0006】
一方、長期持続性薬物製剤において薬物の過剰な放出または不適切な時期の放出が発生すると、目標とする薬物放出プロファイルを達成できず、副作用を招いたり期待した薬物の効能を確保できなかったりという問題が発生することがある。
【0007】
また、長期間持続的に薬物を放出しようとする場合、目標とした期間の間に十分な薬効を示すことができるほどの多量の薬物を薬物伝達システムに導入しなければならない。もし製剤に含まれている薬物の生体利用率が低い場合、長期間有効な薬理効果を示すためには過度に多量の薬物伝達体の投与が必要である。しかし、多量の薬物伝達体を生体内に投与する場合、皮下注射で適用できず、患者自身が直接投与(自己投与)するのが難しいか、または多くの部位に分けて注射しなければならないこともあり、投与部位の痛み、炎症反応も非常に高くなるという問題点を招くことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、非経口併用投与薬学的キットに関するものであって、抗炎症性薬物を利用して、併用投与される薬物の生体利用率を改善するか、併用投与される非経口薬物伝達体による炎症反応を予防、軽減または治療するか、または併用投与される非経口薬物伝達体の分解を調節する用途を提供する。
【0009】
本発明の一例は、抗炎症性薬物を利用して、併用投与される非経口薬物伝達体による炎症反応を予防、軽減または治療するための非経口併用投与薬学的キットまたはその用途を提供する。
【0010】
本発明の他の一例は、抗炎症性薬物を利用して、併用投与される非経口薬物伝達体の分解速度を調節するための非経口併用投与薬学的キットまたはその用途を提供する。
【0011】
本発明のまた他の例は、抗炎症性薬物を利用して、併用投与される薬物の生体利用率を増加させる非経口併用投与薬学的キットまたはその用途を提供する。
【0012】
本発明のまた他の例は、前記非経口併用投与薬学的キットに加えて、局所麻酔剤成分を追加的に含む非経口用製剤またはキットに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一例は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、
前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、前記第1製剤は、前記第2製剤の非経口薬物伝達体による対象の炎症反応を予防、軽減または治療するためのものである、非経口併用投与薬学的キットまたはその用途に関するものである。
【0014】
本発明の一例は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、
前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている非経口薬物伝達体の分解を調節するためのものである、非経口併用投与薬学的キットに関するものである。
【0015】
本発明の一例は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物、または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている第2薬物の生体利用率(bioavailability)を増加させるためのものである、非経口併用投与薬学的キットに関するものである。
【0016】
前記非経口併用投与薬学的キットに含まれている第1製剤と第2製剤は、同時または異時に投与されるものであってもよい。前記非経口併用投与薬学的キットは、第1製剤と第2製剤は、混合製剤または個別製剤の形態で含むことができる。
【0017】
本発明による非経口併用投与薬学的キットは、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含むことができる。
【0018】
前記第1製剤に含まれている第1薬物は、抗炎症性薬物であってもよく、前記第1薬物は、第2製剤に含まれている第2薬物とは異なる。また、第1薬物は、別途の薬物伝達体なしに提供されるか、第2製剤の薬物伝達体に共に担持されるか、または第1非経口薬物伝達体に個別担持されて提供されてもよい。
【0019】
例えば、前記薬学的キットに含まれている第1薬物が別途の薬物伝達体なしに提供される場合、前記第1薬物と共に、第2非経口薬物伝達体と第2薬物を含む第2製剤の混合製剤の形態で提供されるか、第2製剤と異時に第1薬物だけ別途に提供されてもよい。具体的に前記第2製剤がマイクロ粒子である場合、第1薬物は第2薬物と共に一つのマイクロ粒子に担持された形態で提供されてもよい。
【0020】
または、前記薬学的キットに含まれている第1薬物は、別途の第1薬物伝達体に担持された形態で提供されてもよく、前記第1薬物伝達体は、第2薬物伝達体と同一または異なっていてもよい。具体的に、第1製剤が第1非経口薬物伝達体に担持された第1薬物を含む場合、第2製剤と混合製剤の形態または個別製剤で提供されてもよく、同時または異時にこれを必要とする対象に投与することができる。
【0021】
本発明のまた他の例としては、前記抗炎症性第1製剤から放出される抗炎症性薬物の血中最小有効濃度以上のAUCが、当該薬物の一日分有効投与量の総AUCの1/2以下、1/3以下、1/5以下、または1/10以下であってもよく、または当該薬物の一日分有効投与量の総AUC100%を基準として、50%以下、33%以下、20%以下、または10%以下であってもよい。例えばデキサメタゾンを含む抗炎症性第1製剤を人体に投与して血中薬物濃度1ng/ml以上である時のAUCは、6mg/用量の経口剤投与時の総AUCと比較して、1/2以下、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/5以下、最も好ましくは1/10以下であってもよい。
【0022】
具体的な一例で、前記抗炎症性第1製剤から放出される抗炎症性薬物は、抗炎症性薬物の血漿濃度(plasma concentration)1.0ng/mL以下になるように放出されるものであってもよく、この場合、抗炎症性薬物の好ましい例は、デキサメタゾンまたはその誘導体またはそれらの薬剤学的塩であってもよい。
【0023】
本発明の一例によれば、第1製剤に含まれている第1薬物(抗炎症性薬物)は、徐放性製剤において血中濃度が過度に高い場合、時々副作用を誘発することがある。例えば抗炎症性薬物がグルココルチコイドである場合、時々高い血漿濃度(2-3週間1mg/kg/日を投与)は全身的な副作用を招くことがあり、局所投与部位での濃度に比べて低い血漿濃度を有することが好ましい。
【0024】
本発明のまた他の例としては、前記抗炎症性第1製剤から放出される抗炎症性薬物の投与後の時間経過による血中濃度曲線において、全身で副作用を誘発する最低血中濃度以上のAUCが最小化されなければならず、具体的に当該薬物の同一用量の単回投与時のAUCの1/10以下、1/20以下、1/30以下、または1/40以下であるか、または当該薬物の同一用量の単回投与時のAUC100%を基準として、10%以下、5%以下、3.3%以下、または2.5%以下であってもよい。
【0025】
例えばデキサメタゾンまたはデキサメタゾンアセテートを含む抗炎症性第1製剤をラットに皮下投与時、血中薬物濃度2ng/ml以上である時のAUCは、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンアセテートの同一用量を皮下投与時のAUCと比較して、1/10以下、好ましくは1/20以下、より好ましくは1/30以下、最も好ましくは1/40以下であってもよい。
【0026】
具体的な一例で、前記抗炎症性第1製剤から放出される抗炎症性薬物は、抗炎症性薬物の血漿濃度(plasma concentration)2.0ng/mL以下になるように放出されるものであってもよく、この場合、抗炎症性薬物の好ましい例は、デキサメタゾンまたはその誘導体またはそれらの薬剤学的塩であってもよい。
【0027】
本明細書で、「薬物伝達体」、「薬物伝達システム」、「薬物担体」または「薬物キャリア」は、互いに交換して使用することができ、生体内投与時にそれから薬剤学的活性成分が放出され得る伝達体を意味する。本発明に適用可能な薬物伝達体は、微粒球、リポソーム、ミセル、デポ(depot)、またはヒドロゲルなど薬物の非経口伝達体を全て含む意図である。前記ヒドロゲルは、注射可能なゲル(injectable gel)を含む。前記薬物伝達体は、生体に薬物を伝達する担体として使用できるものであって、生体適合性物質であれば可能であり、好ましくは、薬物放出のために生分解性物質であってもよい。例えば、前記薬物伝達体の材質は、生分解性高分子および生分解性脂質(lipid)を含むが、これに限られない。
【0028】
本発明に適用可能な薬物伝達体は、生体適合性物質を使用することができ、例えば生分解性高分子、生分解性脂質などを含むが、これに限られない。
【0029】
詳しくは、生分解性高分子の種類は特に制限されないが、好ましくは、ポリエステルを使用することができる。生分解性高分子の例としては、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、ポリグリコリド(Polyglycolide、PGA)、ラクチドとグリコリドの共重合体であるポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)、ポリジオキサノン(Polydioxanone)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone、PCL)、ポリラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン(Polylactide-co-glycolide-co-caprolactone、PLGC)、ポリラクチド-コ-ヒドロキシメチルグリコリド(Polylactide-co-hydroxymethyl glycolide、PLGMGA)、ポリアルキルカーボネート(Polyalkylcarbonate)、ポリトリメチレンカーボネート(Polytrimethylenecarbonate、PTMC)、ポリラクチド-コ-トリメチレンカーボネート(Polylactide-co-trimethylenecarbonate、PLTMC)、ポリヒドロキシ酪酸(Polyhydroxybutyric acid、PHB)、ポリヒドロキシブチレート-コ-ヒドロキシ吉草酸(Polyhydroxybutyrate-co-hydroxyvalerate、PHBV)、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンハイドライド(Polyanhydride)、ポリアンハイドライド-コ-イミド(Polyanhydride-co-imide)、ポリプロピレンフマレート (Polypropylene fumarate)、プセウドポリアミノ酸(Pseudo polyaminoacid)、ポリアルキルシアノアクリレート(Polyalkylcyanoacrylate)、ポリホスファゼン(Polyphosphazene)、ポリホスホエステル(Polyphosphoester)、ポリサッカライド(Polysaccharide)およびポリ(ブチレンスクシネートラクチド)(PBSLA)からなる群の中から選択された高分子、2種以上の単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(Polyethylenglycol、PEG)との共重合体、および前記高分子または共重合体と糖が結合された高分子-糖複合体からなる群の中から選択された1種以上の高分子、好ましくは2種以上の高分子を使用することが好ましい。具体的な一実施様態として、本発明による製造方法では生分解性高分子として、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)および/またはポリラクチド高分子を使用することができる。
【0030】
本明細書で、第1製剤が抗炎症性薬物と第1薬物伝達体を含む場合、前記第1製剤の薬物伝達体と第2製剤の薬物伝達体は、材質、大きさ、剤形などが同一または異なっていてもよく、例えば同一剤形であってもよい。例えば、前記第1薬物伝達体と第2薬物伝達体は、それぞれ多様な材質および/または大きさを有する微粒球であってもよい。
【0031】
前記第1製剤の薬物伝達体は、本明細書で第1非経口薬物伝達体と命名し、これは目的とする抗炎症性薬物放出特性を満足する限り特別な制限はなく、抗炎症性製剤に含まれている第1薬物伝達体は、炎症誘発特性が低いほど、および/または含有量が低いほど好ましい。
【0032】
前記第2製剤に含まれている薬物伝達体は、疾病の予防、改善または治療用で使用される薬物を伝達するために使用する薬物伝達体として、炎症誘発の原因であり得、例えば生分解性高分子、生分解性脂質(lipid)などを含むことができるが、これに限られない。
【0033】
微粒球は、マイクロ粒子またはナノ粒子などを含み、通常生分解性高分子を含んで製造する。一例で、前記第1薬物伝達体が微粒球である場合、例えば10~100マイクロメーターの平均粒径を有する微粒球であってもよい。前記第2薬物伝達体は微粒球であってもよく、具体的に10~100マイクロメーターの平均粒径を有する微粒球であってもよい。
【0034】
本発明の具体的な例は、抗炎症性薬物と第1非経口薬物伝達体を含む抗炎症性第1製剤と、非経口第2薬物伝達体を含む第2製剤とを含み、
前記第1非経口薬物伝達体と第2非経口薬物伝達体は、生分解性物質を含み、前記第2非経口薬物伝達体は、対象で炎症を誘発する炎症性伝達体である、前記抗炎症性第1製剤は、前記第2製剤の薬物伝達体による対象の炎症反応を予防、軽減または治療するための非経口用抗炎キットに関するものである。前記第2製剤は、追加的に第1製剤の抗炎症性薬物とは異なる、薬剤学的活性成分をさらに含むものであってもよい。
【0035】
また、前記抗炎症性第1製剤と第2製剤は、混合製剤または個別製剤で含むものであるか、異時または同時投与するものであってもよい。
【0036】
前記第1製剤と第2製剤は、前記第2製剤の固形分含有量100重量部を基準として、第1製剤の固形分含有量は0.002~20重量部で含まれてもよく、具体的に0.002~15重量部、0.002~10重量部などで含まれてもよく、前記第2製剤は薬物を含んでも含まなくてもよい。
【0037】
前記第1製剤と第2製剤は、混合製剤で提供される場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記抗炎症性薬物は、0.001~5.0重量w/w%で含まれてもよく、具体的に0.001~5.0重量w/w%、0.001~4.0重量w/w%、0.001~3.0重量w/w%、0.001~2.0重量w/w%または0.001~1.0重量w/w%で含まれてもよい。
【0038】
前記第1製剤と第2製剤は、混合製剤で提供される場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記第1薬物伝達体は、0.002~20重量w/w%で含まれてもよい。
【0039】
本発明の一例による非経口用併用投与用薬学的キットが前記第2製剤の非経口薬物伝達体による対象の炎症反応を予防、軽減または治療するためのものである場合、第1薬物として抗炎症性薬物、または抗炎症性薬物と第1非経口薬物伝達体を含む抗炎症性第1製剤と、第1製剤の抗炎症性薬物とは異なる第2薬物が第2非経口薬物伝達体に担持された第2製剤とを含むことができる。この場合、前記抗炎症性第1製剤に含まれている抗炎症性第1薬物は、第2製剤の投与間隔と同一期間の間、または前記第2製剤の投与間隔の一部分の間に放出されて抗炎症性効能を達成することもできる。
【0040】
また他の例としては、前記抗炎症性第1製剤に含まれている抗炎症性薬物は、放出期間の間に比較的に均一な濃度に放出されるか、または第2製剤で要求する特性により一定の時期、例えば第2製剤の全体投与間隔の50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下の初期期間の間または後期期間の間に比較的に高濃度に放出されてもよい。また他の一例で、前記抗炎症性第1製剤に含まれている抗炎症性薬物は、第2製剤に含まれている非経口用第2薬物伝達体の残量に比例する濃度に放出されてもよく、具体的に第2製剤に含まれている第2薬物伝達体の投与開始時点または投与前の含有量100重量%を基準として、投与部位に残っている第2薬物伝達体の相対的な含有量(重量%)に合わせて、第1製剤の薬物放出量が漸次に減少した含有量で放出されてもよい。
【0041】
また、第1製剤に含まれている抗炎症性薬物が血中濃度により対象の血糖量増加を誘発する場合、血糖量増加水準が許容可能な水準になり得る濃度が抗炎症薬物放出量の上限値となり、第2製剤に含まれている第2薬物伝達体による炎症反応を予防、改善または治療することに有効量を抗炎症薬物放出量の下限値と設定することができ、前記上限および下限値を組み合わせた範囲内で抗炎症薬物放出量の範囲を適切に設定することができる。
【0042】
本発明において、前記用語「個体」または「対象」は、哺乳動物、特にヒトを含み、投与計画、投与間隔、投与量などは前記で言及された要素により当業者が容易に設定、変更、または調節可能である。
【0043】
本発明は、抗炎症性薬物を含む抗炎症性第1製剤を、疾病に関する予防、軽減または治療に有効な薬物を含む第2製剤と共に使用することで、投与部位で第2製剤の薬物伝達体による炎症反応を投与初期の炎症発生段階から軽減して、慢性炎症への進行を抑制し、投与部位で発生する浮腫、紅斑および投与部位の組織硬化などの副作用を低下させることで、患者の拒否感や満足度が改善され、治療剤が搭載されている非経口製剤を治療に必要な期間の間に単回または反復投与することによって治療効果の向上を期待することができる。
【0044】
本発明は、薬物と共に投与して炎症が誘発される部位で局所的に抗炎症剤の効能を示すほどの低濃度に抗炎症薬物を含む第1製剤が、第2製剤に含まれている薬物伝達体が全て分解される時まで持続的に抗炎症薬物の放出を維持することで、抗炎症薬物の全身露出による副作用なしに非経口抗炎症性製剤を投与した部位でだけ炎症を抑制することができる剤形を提供する。
【0045】
本明細書で、抗炎症性第1製剤は、抗炎症性薬物だけを含むか、または抗炎症性薬物と第1薬物伝達体を含むことができる。抗炎症性第1製剤が抗炎症性薬物と第1薬物伝達体を含む場合、前記抗炎症性薬物は、第1製剤に含まれている第1薬物伝達体100重量%を基準として、約1重量%~約90重量%、約2重量%~約90重量%、約5重量%~約90重量%、10重量%~約90重量%、または約10重量%~約80重量%を構成することができる。
【0046】
本明細書で、前記第1薬物を第2薬物と共に一つの薬物伝達体、例えばマイクロ粒子に担持する場合、これに含まれている第1薬物は、全体薬物伝達体の約0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1重量%、5重量%であってもよい。
【0047】
本明細書で、「活性成分」、「活性薬物」、「有効成分」、「活性製剤」、「薬物」および「治療学的製剤」は、本明細書で相互交換が可能に使用され、目的疾患を予防、軽減または治療することに使用される任意の物質を称する。
【0048】
本発明で、抗炎症性第1製剤に含まれている抗炎症性薬物は、薬剤学的に有効な量で投与時、炎症を予防、軽減または治療するか、併用される第2製剤の薬物伝達体の分解を調節するか、または併用される第2薬物の生体利用率を増加させる、ステロイド製剤、化合物または薬物を含み、これに限定されない
【0049】
より詳しくは、前記抗炎症性薬物は、対象の疾病を予防、軽減または治療するための薬物を伝達するための非経口薬物伝達体を対象に投与することによって発生する、対象の炎症反応を予防、軽減または治療するための薬物を意味し、例えば、対象の疾病予防、軽減または治療のための活性成分の非経口伝達のための薬物伝達体により局所的に投与部位で発生する炎症反応を予防、軽減または治療するための薬物であってもよい。
【0050】
既に発生した炎症を管理するために炎症治療に一般に多く使用される非ステロイド性消炎鎮痛剤とステロイド性鎮痛剤の使用が可能であるが、治療用徐放性製剤と共に投与するため、抗炎症効果が強いステロイド性消炎剤が少量でも抗炎症効果を示すにはより好ましい。
【0051】
しかし、ステロイド性消炎剤の場合、高い薬物血漿レベルは、通常高血圧、高血糖、骨粗鬆症、白内障、緑内障、胃潰瘍のような全身的な副作用と、長期間使用時に耐性を起こして薬効が現れない。このような全身露出の副作用により治療剤が搭載された徐放性注射剤が体内で分解される時まで長期間既存のステロイド剤形の投与方法である経口や静脈注射などの方法で投与時、全身露出を誘発して長期間使用が不可能である。
【0052】
抗炎症剤は、例えば非ステロイド性抗炎症剤を含み、前記非ステロイド性抗炎症剤にはアスピリン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトロラク、ナプロキセンおよびスプロフェンが含まれるが、これに限られない。一例として、抗炎症剤は、2種類以上の非ステロイド性抗炎症剤の組み合わせを含む。
【0053】
より詳しくは、非ステロイド性抗炎症薬物は、アセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、アルミノプロフェン(alminoprofen)、アンフェナク(amfenac)、アパゾン(apazone)、アスピリン(aspirin)、ブロムフェナク(bromfenac)、ブフェキサマク(bufexamac)、セレコキシブ(celecoxib)、コリンサリチル酸(choline salicylate)、シノキシカム(cinnoxicam)、クロニキシン(clonixin)、デキシブプロフェン(dexibuprofen)、デキスケトプロフェン(dexketoprofen)、ジクロフェナク(diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、エモルファゾン(emorfazone)、エトドラク(etodolac)、エトリコキシブ(etoricoxib)、エテンザミド(ethenzamide)、フェルビナク(felbinac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルフェナム酸(flufenamic acid)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、イミダゾールサリチル酸(imidazole salicylate)、インドメタシン(indomethacin)、イソプロピルアンチピリン(isopropylantipyrine)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラク(ketorolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、メクロフェナメート(meclofenamate)、メロキシカム(meloxicam)、メフェナム酸(mefenamic acid)、モルニフルマート(morniflumate)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ネホパム(nefopam)、ニメスリド(nimesulide)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、ペルビプロフェン(pelubiprofen)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ピロキシカム(piroxicam)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プログルメタシン(proglumetacin)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、サルサレート(salsalate)、サリシレート(salicylate)、スリンダク(sulindac)、タルニフルマート(talniflumate)、テノキシカム(tenoxicam)、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、トルフェナム酸(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、それらの薬剤学的に許容可能な塩を含むが、これに限られない。
【0054】
抗炎症剤は、予防または治療的有効量で投与時、炎症を予防、軽減または治療する薬物を含み、具体的に「ステロイド性抗炎症剤」、「コルチコイド(corticoid)」または「コルチコステロイド(corticosteroid)」、および「グルココルチコイド」を含むことができ、抗炎症剤は2種類以上のステロイド性抗炎症剤の組み合わせを含むことができる。
【0055】
本発明に使用することができるステロイド性抗炎症剤には、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン(algestone)、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコート(deflazacort)、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンホスフェート、ジフロラゾン(diflorasone)、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコート(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチル、フルコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート(fluperolone acetate)、フルプレドニデンアセテート(fluprednidene acetate)、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド(flurandrenolide)、フルチカゾンプロピオネート(fluticasone propionate)、フォルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ハロプレドンアセテート、ヒドロコルタメート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾ(medrysone)、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノ-アセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、および任意のこれらの誘導体が含まれるが、これに限られない。
【0056】
前記コルチコステロイドは、ベクロメタゾンジプロピオネート(beclomethasone dipropionate)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデソニド(budesonide)、デフラザコート(deflazacort)、デキサメタゾン(dexamethasone)、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンホスフェート、ジフルプレドナート(difluprednate)、エピネプリン(epinephrine)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオコルチン(fluocortin)、フルオロメトロン(fluorometholone)、フルチカゾン(fluticasone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、それらの薬剤学的に許容可能な塩を含む。
【0057】
本明細書で第2製剤に含まれている活性成分である第2薬物は、例えば、対象の疾病または状態の予防、軽減または治療のための活性成分を非経口で伝達する薬物であってもよい。前記第2製剤に含まれ得る活性成分は、前記抗炎症性第1製剤の抗炎症性薬物とは異なり、対象の疾病または状態の予防、軽減または治療するための活性成分であってもよい。
【0058】
具体的に、第2の製剤に含まれ得る活性成分の種類は特に限定されないが、例えば、認知症治療剤;パーキンソン病治療薬;抗がん剤;抗不安薬、抗うつ薬、神経安定剤、精 向精神薬などのような抗精神病薬物;高脂血症治療薬、高血圧治療薬、低血圧治療薬、抗血栓薬、血管拡張薬および抗不整脈薬などの循環器薬;てんかん治療薬;抗潰瘍剤などのような胃腸治療剤;リウマチ薬;鎮痙剤;結核治療剤;筋弛緩剤;骨粗鬆症治療剤;勃起不全治療剤;止血剤;性ホルモン剤などのようなホルモン剤;糖尿病治療薬;抗生剤;抗真菌薬;抗ウイルス薬;解熱鎮痛消炎剤;自律神経調節薬;利尿薬;抗利尿薬;鎮痛剤;抗ヒスタミン薬;抗原虫薬;抗貧血剤;抗喘息剤;けいれん防止剤;解毒剤;抗片頭痛剤;制吐薬;抗パーキンソン病薬;抗てんかん薬;抗血小板薬;鎮咳去痰薬;気管支拡張薬;強心薬;免疫調節薬;タンパク質医薬品;遺伝子医薬品;それらの混合物から選択することができ、好ましくは、認知症治療剤、パーキンソン病治療薬、抗がん剤、抗精神病薬物、高脂血症治療薬、高血圧治療薬、てんかん治療薬、胃腸治療剤、リウマチ薬、鎮痙剤、結核治療剤、筋弛緩剤、抗不整脈薬、骨粗鬆症治療剤、勃起不全治療剤、止血剤、抗ウイルス薬、ホルモン剤、抗生剤、糖尿病治療薬、抗真菌薬、抗血栓薬、解熱鎮痛消炎剤およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0059】
また、前記第2製剤に含むことができる活性成分は、低分子化合物、蛋白質、抗体、合成化合物、核酸分子、またはペプチドであってもよい。前記核酸分子は、DNA、RNA、マイクロRNA(microRNA、miRNA)、小さなRNA(Small RNA、smRNA)、小さな干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)、パイRNA(Piwi-interacting RNA、piRNA)、核小体低分子RNA(small nucleolar RNA、snoRNA)、tRNA由来小さなRNA(tRNA-derived small RNA、tsRNA)、小さなrDNA由来RNA(small rDNA-derived RNA、srRNA)、小核RNA(small nuclear RNA、U-RNA)および長鎖非コードRNA(long noncoding RNA、lncRNA)からなる群より選択した1種以上であってもよい。
【0060】
前記で前述した薬物の種類のうち、特に制限されないが、好ましくは、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、エンテカビル、ラミブジン、ロチゴチン、ロピニロール、ブプレノルフィン、フェンタニル、ニモジピン、グラニセトロン、シタラビン、カルムスチン、タムソロイシン、ファルマコキシブ、テストステロン、エストラジオール、リスペリドン、パリペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ゴセレリン、リュープロリド、トリプトレリン、ブセレリン、ナパレリン、デスロレリン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バルプレチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド、5-α還元酵素阻害剤(例:フィナステリド、デュタステリドなど)、チルゼパチド(Tirzepatide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、インスリングラルギン(Insulin glargine)、インスリンデグルデク(Insulin degludec)、インスリンイコデク(Insulin icodec)、カグリリンチド(Cagrilintide)およびこれらの塩、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択することができる。
【0061】
本発明の一例による非経口用併用投与用薬学的キットは、抗炎症性第1製剤、および/または、第2製剤に加えて、局所麻酔剤成分をさらに含むことができる。前記局所麻酔剤成分は、薬物そのまま前記第1製剤、第2製剤または第1製剤と第2製剤の混合製剤と共に使用するか、適切な別途の薬物伝達体に担持して使用することができる。
【0062】
本発明の他の一例は、抗炎症性薬物とこれと併用される第2製剤の非経口薬物伝達体の分解を調節する非経口併用投与薬学的キットに関するものであって、具体的に、抗炎症性第1薬物、または抗炎症性第1薬物と第1非経口薬物伝達体を含む第1製剤と、非経口第2薬物伝達体を含む第2製剤とを含み、前記第1非経口薬物伝達体と第2非経口薬物伝達体は、生分解性高分子を含み、
前記第1製剤または第1製剤に含まれている薬物は、前記第2非経口薬物伝達体の分解速度を調節するものである、非経口併用投与薬学的キット、非経口用製剤またはキットに関するものである。
【0063】
前記第2製剤は、追加的に第1製剤の抗炎症性薬物とは異なる、薬剤学的活性成分をさらに含むものであってもよく、前記第2製剤に関する説明は前述したとおりである。
【0064】
前記第1製剤、または第1製剤に含まれている抗炎症性薬物は、前記第2非経口薬物伝達体の分解速度を調節して、第2製剤に含まれている薬物の放出速度を調節することができる。前記第2非経口薬物伝達体の分解速度を調節することは、好ましくは、第2非経口薬物伝達体の分解速度を下げて薬物の放出期間を延長することであってもよい。
【0065】
前記第1製剤に含まれている抗炎症性薬物は、前述したとおりであり、例えばデキサメタゾン遊離塩基、デキサメタゾンアセテート、またはデキサメタゾンホスフェートであってもよいが、これに限られない。
【0066】
また、前記第2非経口薬物伝達体の分解速度を調節する非経口併用投与薬学的キットで、前記第1製剤と第2製剤は、混合製剤または個別製剤で含むものであるか、異時または同時投与するものであってもよい。
【0067】
前記第1製剤と第2製剤は、前記第2製剤の固形分含有量100重量部を基準として、第1製剤の固形分含有量は0.002~20重量部で含まれるものであってもよく、前記第2製剤は薬物を含んでも含まなくてもよい。
【0068】
前記第1製剤と第2製剤は、混合製剤で提供される場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記抗炎症性薬物は、0.001~5.0重量w/w%で含むことができる。
【0069】
本明細書で、第1製剤が抗炎症性薬物と第1薬物伝達体を含み、第2製剤が抗炎症性薬物と第2薬物伝達体を含み、前記第1製剤と第2製剤が混合製剤で提供される場合、混合製剤の固形分含有量100重量%を基準として、前記第1薬物伝達体は、0.002~20重量w/w%で含むことができる。
【0070】
本発明の一例による非経口用薬学的キットは、第1薬物と第1非経口薬物伝達体を含む第1製剤と、第1製剤の第1薬物とは異なる、薬剤学的活性成分と非経口第2薬物伝達体を含む第2製剤とを含むことができる。この場合、前記第1製剤に含まれている第1薬物は、第2製剤の投与間隔と同一期間の間、または前記第2製剤の投与間隔の一部分の間に放出されて目的とする効能を達成することもできる。また他の例としては、前記第1製剤に含まれている第1薬物は、放出期間の間に一定の濃度に均一に放出されるか、または第2製剤で要求する特性により一定の時期、例えば第2製剤の全体投与間隔の50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下の初期期間の間または後期期間の間に比較的に高濃度または低濃度に放出され得るため、非均一な放出特性を有することができる。また他の一例で、前記第1製剤に含まれている第1薬物は、第2製剤に含まれている非経口用第2薬物伝達体の残量に比例する濃度に放出されてもよく、具体的に第2製剤に含まれている第2薬物伝達体の投与開始時点または投与前の含有量100重量%を基準として、投与部位に残っている第2薬物伝達体の相対的な含有量(重量%)に合わせて、第1製剤の薬物放出量が漸次に減少した含有量で放出されてもよい。
【0071】
また、第1製剤に含まれている抗炎症性薬物が血中濃度により対象の血糖量増加を誘発する場合、血糖量の増加水準が許容可能な水準になり得る濃度が抗炎症薬物放出量の上限値となり、第2製剤に含まれている第2薬物伝達体による炎症反応を予防、改善または治療することに有効量を抗炎症薬物放出量の下限値と設定することができ、前記上限および下限値を組み合わせた範囲内で抗炎症薬物放出量の範囲を適切に設定することができる。
【0072】
また、前記薬物伝達体の材質、剤形、または特性は前述したとおりであり、第2製剤に含むことができる活性成分なども前述したとおりである。
【0073】
本発明の一例は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、前記第1製剤の薬物とは異なる第2薬物とを含み、前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている第2薬物の生体利用率(bioavailability)を増加させるためのものである、非経口併用投与薬学的キット、または製剤に関するものである。
【0074】
本発明で、抗炎症性第1薬物または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含む第1製剤は、第2薬物の生体利用率の調節剤または増強剤である。
【0075】
本明細書で用語「生体利用率」は、全身循環に到達する非変化の薬物の投与量の部分を称し、薬物の主な薬動学的特性のうちの一つである。薬物が静脈内に投与される場合、その生体利用率は100%である。薬物が異なる経路(例:経口)で投与される場合、その生体利用率は一般に減少したり患者ごとに異なり得る。生体利用率は非静脈内投与経路のための用量を計算する場合に考慮される薬動学において重要な変数である。
【0076】
本発明の非経口併用投与薬学的キットは、第1薬物を含む第1製剤がない第2製剤の単独剤形に比べて、より小量の薬物用量が必要であり、第2薬物の薬動学的プロファイルおよび効能を改善することができる。
【0077】
本発明による生体利用率の改善により、筋肉注射などの用途で使用されていた薬物を皮下注射の剤形に変更可能であるか、薬物の含有量を下げて製剤化することができる。つまり、より少ない回数またはより少ない投与量で、毒性関連副作用が減少することができる。一般に、皮下療法の薬物動力学および/または薬力学が改善され、現在の筋肉注射を超える長所を有する。例えば、皮下注射は患者または家族による注射が可能であり、家庭またはどこでも遂行可能である。本発明による生体利用率の改善により、第2製剤の投与経路を変更したり、投与量の減少、および/または投与頻度の減少のような長所がある。また、生体利用率の改善により、薬物の有効量または単位製剤にローディングされた薬物の含有量を減少させ、筋肉注射を皮下注射のような投与経路に変更することができ、投与頻度を減らして患者の薬物順応性を向上させることができる。
【0078】
用語「有効量」は、投薬時に必要な期間の間に目的とする治療または予防結果の達成に効果的な治療化合物の量を称する。治療化合物の「治療学的有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、および個体で目的とする反応を誘導する薬物の能力のような要因により多様化することができる。
【0079】
具体的な一例で、本発明による第2薬物の生体利用率(bioavailability)の増加、向上、または改善用途は、Cmaxおよび/またはAUCの増加を含み、例えば第1製剤を含まない第2製剤の単独剤形に比べて、第1製剤と第2製剤を含む併用投与用薬学的キットは、第2薬物のCmaxおよび/またはAUCの増加を意味し、より詳しくは、第2製剤の単独剤形に比べて、単独剤形と同一な第2製剤と第1製剤を含む併用投与用薬学的キットは、Cmaxが1.1倍以上、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、2.0倍以上および/またはAUCが120%以上、130%以上、150%以上,200%以上、250%以上、300%以上であってもよい。
【0080】
前記薬物伝達体の材質、剤形、または特性は前述したとおりであり、第2製剤に含むことができる活性成分なども前述したとおりである。また、本発明による生体利用率の改善用途については、前記で記載された第2製剤に含まれている第2薬物の生体利用率を改善するものであり、第2薬物の具体的例は、ドネペジル、リバスチグミン、セマグルチド、リュープロリド、オクトレオチド、フィナステリドなどを含むことができるが、これに限られる意図ではない。
【0081】
本発明の具体的一例は、第1製剤の抗炎症性薬物を利用して、併用投与される薬物(第2製剤の薬物)の生体利用率を改善する非経口併用投与薬学的キットに関するものである。
【0082】
薬物を長期間溶出のために生分解性高分子と共に薬物を担持する非経口製剤、例えば微粒球製剤が知られているが、微粒球に封入された薬物は生体利用率が低くて長期間有効な薬理効果を示すためには多量の微粒球を投与しなければならない。しかし、多量の微粒球を生体内に投与する場合、皮下注射が難しくて患者自身が直接投与(自己投与)することも難しく、または投与部位の痛み、炎症反応も非常に高くなるという問題点がある。そこで、薬物の生体利用率を改善し、長期間安定した薬物放出の特性を示す薬物またはその薬学的に許容可能な塩と生分解性高分子を含む第2製剤と、前記第1製剤とを含む非経口併用投与薬学的キットに関するものである。
【0083】
詳しくは、本発明の一例は、第1薬物を含む第1製剤と、第2薬物として第2薬物またはその薬学的に許容される塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤とを含む、非経口併用投与薬学的キットであって、前記第1製剤は、抗炎症性第1薬物または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含み、前記第2製剤は、第2非経口薬物伝達体と、薬物またはその薬学的に許容される塩を第2製剤の薬物として含み、前記第1製剤は、前記第2製剤に含まれている薬物の生体利用率(bioavailability)を増加または改善するためのものである、非経口併用投与薬学的キットに関するものである。本発明において、抗炎症性第1薬物または第1非経口薬物伝達体に担持された抗炎症性第1薬物を含む第1製剤は、第2薬物の生体利用率の調節剤または増強剤である。
【0084】
前記薬学的キットに含まれている第1薬物が別途の薬物伝達体なしに提供される場合、前記第1薬物は、第2非経口薬物伝達体と第2薬物を含む第2製剤の混合製剤の形態で提供されるか、第2製剤と異時に第1薬物だけ別途に提供されてもよい。具体的に前記第2製剤がマイクロ粒子である場合、第1薬物は第2薬物と共に一つのマイクロ粒子に担持された形態で提供されてもよい。
【0085】
または、前記薬学的キットに含まれている第1薬物は、別途の第1薬物伝達体に担持された形態で提供されてもよく、前記第1薬物伝達体は第2薬物伝達体と同一または異なっていてもよい。具体的に、第1製剤が第1非経口薬物伝達体に担持された第1薬物を含む場合、第2製剤と混合製剤の形態または個別製剤で提供されてもよく、同時または異時にこれを必要とする対象に投与されてもよい。
【0086】
前記一例で、第1製剤、第1製剤に含まれている第1薬物、第1製剤に含まれ得る第1非経口薬物伝達体、および/または第2製剤に含まれる第2非経口薬物伝達体に関する記載は前述したとおりである。また、生体利用率、第2薬物の生体利用率の調節剤または増強剤などに関する記載は前述したとおりである。
【0087】
本発明による非経口併用投与薬学的キットは、非経口投与、例えば皮下注射を通じて投与されることもできる。前記第2製剤は、薬物部と、薬物を懸濁させるために使用される溶剤部とから構成されることもでき、一方のチャンバーに薬剤部、他方のチャンバーに溶剤部が入っている二重チャンバーシリンジまたは薬剤部が溶剤部に懸濁されているプレフィルドシリンジ形態であってもよい。このように薬剤部が溶剤部に懸濁されているプレフィルドシリンジ形態で構成される場合、使用される溶剤部は中鎖オイル、ミネラルオイルなどを含む注射可能なオイルであってもよい。
【0088】
前記キットで併用投与される薬物の一例は、前記で記載された第2製剤に含まれる活性成分であってもよく、具体的にセマグルチド、ドネペジル、リバスチグミン、フィナステリド、オクトレオチド、リュープロリド、デスロレリン、エンテカビル、これらの塩、誘導体およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択することができる。
【0089】
例えば、前記セマグルチドの薬学的に許容可能な塩は、セマグルチドのソジウム塩、硝酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエート、ナパジシレートまたはパモエートであってもよい。前記の薬剤学的に許容可能な塩がリュープロリドアセテート、前記トネペジルの塩は、ドネペジル塩酸塩、前記リバスチグミンの薬学的に許容可能な塩は、リバスチグミン酒石酸塩、リバスチグミンパモ酸塩、その他のオクトレオチドアセテート、デスロレリンアセテートなどがある。
【0090】
前記キットに含まれる第1製剤の抗炎症性薬物は、前記で記載された第1製剤に含まれる活性成分であってもよく、具体的にデキサメタゾン、メロキシカム、ケトロラク、これらの塩、誘導体およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択することができ、特にデキサメタゾンおよびその誘導体は、デキサメタゾン、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンホスフェートなどを含むが、これに限られない。
【0091】
本発明の具体的な例による第2薬物および/またはその薬学的に許容可能な塩を含む非経口併用投与薬学的キットは、粒子サイズに比べて高い含有量の第2薬物を含むことができ、体内に投与時、生体利用率が高くて長期持続効果を示しながらも単位投与量を減らすことができるため、投与時に発生し得る患者の痛みおよび炎症反応を最小化することができるという長所がある。
【0092】
前記第2薬物および/またはその薬学的に許容可能な塩を含む非経口併用投与薬学的キットは、微粒球の含有量に比べて高い薬物含有量を有しながらも、致命的な副作用を招き得る薬物の初期の過度な放出を抑制し、生体利用率が高くて望む期間の間に十分に薬効を示して疾患の改善、予防または治療をすることができる。
【0093】
また、本発明による第2薬物の生体利用率の改善は、単位投与期間の満了時点付近でも有効な薬物濃度を維持することができるため、薬物の投与間隔による薬物濃度維持の観点で非常に優れている。例えば、第2薬物がリュープロリドである場合、本発明の生体利用率の改善は、第2製剤の投与による炎症問題を解消し、第2薬物の生体利用率の改善で特に単位投与期間の満了時点、つまり、次回の投薬の開始時点前後に一定の期間の間に薬物濃度が減少して発生するテストステロン数値の急激な増加(surge)による副作用を改善することができる。
【0094】
具体的な一例で、本発明による第2薬物の生体利用率(bioavailability)の増加、向上、または改善用途は、Cmaxおよび/またはAUCの増加を含み、例えば第1製剤を含まない第2製剤の単独剤形に比べて、第1製剤と第2製剤を含む併用投与用薬学的キットは、第2薬物のCmaxおよび/またはAUCの増加を意味し、より詳しくは、第2製剤の単独剤形に比べて、単独剤形と同一の第2製剤と第1製剤を含む併用投与用薬学的キットは、Cmaxが1.1倍以上、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、2.0倍以上および/またはAUCが120%以上、130%以上、150%以上,200%以上、250%以上、300%以上であってもよい。
【0095】
より詳しくは、前記第2薬物がセマグルチドである場合、糖尿、具体的に2型糖尿、β細胞機能保存、高血圧、高脂血症、肥満、非アルコール性脂肪性肝炎またはアルツハイマー病およびパーキンソン病など退行性神経疾患の予防または治療に有用である。前記セマグルチドおよび/またはその薬学的に許容可能な塩を含む非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、5重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、9.5重量%以上、または10重量%以上であってもよく、例えば5~20重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記セマグルチドおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、10~800mgであってもよい。
【0096】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がセマグルチドまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるセマグルチド(フリーベース)の重量比は、0.0001:1~1:1範囲であってもよい。好ましくは0.004:1~0.2:1範囲であってもよい。より好ましくは0.001:1~0.05:1範囲であってもよい。
【0097】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がドネペジルまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で、第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるドネペジル(フリーベース)の重量比は、0.00003:1~0.02:1範囲であってもよい。好ましくは0.00006:1~0.001:1範囲であってもよい。より好ましくは0.0001:1~0.005:1範囲であってもよい。
【0098】
前記第2薬物がドネペジルである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、25~75重量%または27~75重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記ドネペジルおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、50~1,200mgであってもよい。
【0099】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がリバスチグミンまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で、第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるリバスチグミン(フリーベース)の重量比は、0.0005:1~0.2:1範囲であってもよい。好ましくは0.0001:1~0.1:1範囲であってもよい。より好ましくは0.00015:1~0.05:1範囲であってもよい。
【0100】
前記第2薬物がリバスチグミンである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、15~45重量%または20~40重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記リバスチグミンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、20~900mgであってもよい。
【0101】
前記第2薬物がフィナステリドである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、20~75重量%または30~70重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記フィナステリドおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、15~450mgまたは20~300mgであってもよい。
【0102】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がフィナステリドまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるフィナステリド(フリーベース)の重量比は、0.0003:1~0.3:1範囲であってもよい。好ましくは0.0006:1~0.15:1範囲であってもよい。より好ましくは0.0009:1~0.1:1範囲であってもよい。
【0103】
前記第2薬物がオクトレオチドである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、15~45重量%または20~40重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記オクトレオチドおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、20~300mgまたは20~600mgであってもよい。
【0104】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がオクトレオチドまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるオクトレオチド(フリーベース)の重量比は、0.0003:1~0.6:1範囲であってもよい。好ましくは0.0006:1~0.3:1範囲であってもよい。より好ましくは0.0009:1~0.15:1範囲であってもよい。
【0105】
前記第2薬物がリュープロリドである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、5~25重量%または10~20重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記リュープロリドおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、15~230mgまたは18~225mgであってもよい。
【0106】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がリュープロリドまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるリュープロリド(フリーベース)の重量比は、0.0001:1~0.6:1範囲であってもよい。好ましくは0.0002:1~0.3:1範囲であってもよい。より好ましくは0.0003:1~0.15:1範囲であってもよい。
【0107】
前記第2薬物がエンテカビルである場合、非経口併用投与薬学的キットで、前記第2薬物と第2非経口薬物伝達体を含む第2製剤全体100重量%を基準として、第2薬物の含有量は、15~35重量%または20~35重量%であってもよい。また、非経口併用投与薬学的キットで、前記エンテカビルおよび/またはその薬学的に許容可能な塩と非経口薬物伝達体を含む第2製剤(例:生体適合性高分子を含む微粒球)の単位投与量は、45~1,200mgであってもよい。
【0108】
本発明の一例として、第1製剤の抗炎症性薬物がデキサメタゾン、その誘導体またはその塩であり、第2製剤の薬物がエンテカビルまたはその塩である場合、第1製剤および第2製剤を全て含む非経口併用投与薬学的キット内で第1薬物であるデキサメタゾン(フリーベース)と第2薬物であるエンテカビル(フリーベース)の重量比は、0.00015:1~0.2:1範囲であってもよい。好ましくは0.0003:1~0.1:1範囲であってもよい。より好ましくは0.0006:1~0.05:1範囲であってもよい。
【0109】
本発明による一例で、抗炎症性第1製剤に含まれている第1薬物伝達体が微粒球、または第2製剤に含まれている第2薬物伝達体が微粒球である場合、当業界に公知となっているマイクロ粒子の製造方法、例えば溶媒抽出および蒸発法または噴霧乾燥法などを利用して製造することができるが、これに制限されるのではない。好ましくは本発明によるデキサメタゾン徐放性微粒球は例えば、O/W製法、W/O/W製法またはS/O/W製法を用いて製造することができる。
【0110】
本発明による第1製剤が抗炎症性薬物を含む微粒球である場合、その製造方法はS/O/W法で行うことができ、具体的に(a1)生体適合性高分子が溶解された溶液に抗炎症性薬物、例えばデキサメタゾン粒子を均質に分散させて分散相を製造する段階、(b1)前記段階(a1)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c1)前記段階(b1)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d1)前記段階(c1)の連続相から微粒球を回収してデキサメタゾンを含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0111】
本発明による第1製剤が抗炎症性薬物を含む微粒球である場合、W/O/W法で行うことができ、具体的に(a2)抗炎症性薬物、例えばデキサメタゾンを蒸溜水に溶解してW1相(W1 phase)を調製し、生体適合性高分子を水難溶性有機溶媒に溶解して油相(oil phase)を調製し、W1相(W1 phase)を油相(oil phase)に均質に分散させて1次エマルジョンである分散相を製造する段階、(b2)前記段階(a2)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c2)前記段階(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d2)前記段階(c2)の連続相から微粒球を回収してデキサメタゾンを含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0112】
本発明によるデキサメタゾン徐放性微粒球製造方法は、O/W法で行うことができ、具体的に(a3)生体適合性高分子および抗炎症性薬物、例えばデキサメタゾンを有機溶媒に溶解して分散相を製造する段階、(b3)前記段階(a3)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c)前記段階(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d3)前記段階(c3)の連続相から微粒球を回収してデキサメタゾンを含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0113】
本発明によるデキサメタゾン微粒球製造方法において、前記段階(a)で生体適合性高分子または生分解性高分子は、薬物の放出特性および製造工程などの因子を考慮して固有粘度0.16-1.9dL/g、または0.10~1.3dl/g、好ましくは0.16dl/g~0.75dL/gを有する生分解性高分子であってもよい。前記固有粘度はウベローデ(Ubbelohde)粘度計を利用して25℃でクロロホルム中で0.1%(w/v)濃度で測定されたものをいう。
【0114】
本発明による一例で、第2製剤に含まれている第2薬物伝達体が微粒球である場合、当業界に公知となっているマイクロ粒子の製造方法、例えば溶媒抽出および蒸発法または噴霧乾燥法などを利用して製造することができるが、これに制限されるのではない。好ましくは本発明による第2製剤の薬物微粒球は例えば、O/W製法、W/O/W製法またはS/O/W製法を用いて製造することができる。
【0115】
本発明による第2製剤の薬物微粒球製造方法は、S/O/W法で行うことができ、具体的に(a4)生体適合性高分子が溶解された溶液に薬物粒子を均質に分散させて分散相を製造する段階、(b4)前記段階(a4)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c4)前記段階(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d4)前記段階(c4)の連続相から微粒球を回収して、第2製剤の薬物を含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0116】
本発明による第2製剤の徐放性薬物微粒球製造方法は、W/O/W法で行うことができ、具体的に(a5)薬物を蒸溜水に溶解してW1相(W1 phase)を調製し、生体適合性高分子を水難溶性有機溶媒に溶解して油相(oil phase)を調製し、W1相(W1 phase)を油相(oil phase)に均質に分散させて1次エマルジョンである分散相を製造する段階、(b5)前記段階(a5)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c5)前記段階(b5)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d5)前記段階(c5)の連続相から微粒球を回収して、第2製剤の薬物を含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0117】
本発明による第2製剤の薬物微粒球製造方法は、O/W法で行うことができ、具体的に(a6)生体適合性高分子および薬物を有機溶媒に溶解して分散相を製造する段階、(b6)前記段階(a6)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階、(c6)前記段階(b6)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d6)前記段階(c6)の連続相から微粒球を回収して薬物を含む徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0118】
また、本発明による一例で、第1製剤の第1薬物と、第2製剤の第2薬物が一つの薬物伝達体、具体的に第2薬物伝達体に共に担持され、第2薬物伝達体が微粒球である場合、前記微粒球の製造方法も、第1製剤の微粒球または第2製剤の微粒球製造方法を適用することができる。
【0119】
本発明による一例で、抗炎症性第1薬物と共に第2非経口薬物伝達体と第2薬物を含む第2製剤の混合製剤が微粒球である場合、前記第2薬物伝達体と実質的に同様な方法で製造するが、分散相製造段階で第2薬物と共に抗炎症性第1薬物を分散相に含む。具体的な一実施例で、第2薬物であるリュープロリドアセテートと第1薬物であるデキサメタゾンアセテートをジクロロメタンおよびメチルアルコールに溶解したものを分散相とし、これを界面活性剤を含有する連続相に添加してリュープロリドおよびデキサメタゾンアセテートを含有する微粒球を製造して凍結乾燥した。
【0120】
詳しくは、本発明による微粒球製造方法は、段階(a)で製造された分散相を界面活性剤を含有する水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する段階を含む。
【0121】
本発明による薬物微粒球製造方法において、前記段階(a)で生体適合性高分子または生分解性高分子は、薬物の放出特性および製造工程などの因子を考慮して固有粘度0.16-1.9dL/g、または0.10~1.3dl/g、好ましくは0.16dl/g~0.75dL/gを有する生分解性高分子であってもよい。前記固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を利用して25℃でクロロホルム中で0.1%(w/v)濃度で測定されたものをいう。
【0122】
前記段階(b)で、界面活性剤を含有する連続相中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤を含む連続相の全体体積を基準として、0.01重量%~20重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%であってもよい。界面活性剤の含有量が0.01重量%未満である場合には、連続相内の液滴形態の分散相またはエマルジョンが形成されないことがあり、界面活性剤の含有量が20重量%を超える場合、過剰の界面活性剤により連続相内の微粒子が形成された後、界面活性剤を除去することに困難があり得る。
【0123】
前記段階(b)で薬物が分散された生分解性高分子溶液と界面活性剤を含有する連続相を均質に混合する方法は特に制限されないが、高速攪拌機、インラインミキサー、超音波分散器、スタティックミキサー(static mixer)、メンブレンエマルジョン法、マイクロフルイディクスエマルジョン法などを利用して行うことができる。高速攪拌機、インラインミキサー、超音波分散器、スタティックミキサー(static mixer)を利用してエマルジョンを形成する場合、均一なエマルジョンを得ることが難しいため、後述する段階(c)と段階(d)の間で追加的に粒度を選別する工程を行うことが好ましい。
【0124】
前記段階(b)で形成されたエマルジョン内の薬物の流失を防止するために界面活性剤を含有する連続相に塩化ナトリウムを添加することができる。
【0125】
本発明による薬物微粒球製造方法は、(c)前記段階(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる段階、および(d)前記段階(c)の連続相から微粒球を回収して、第1薬物および/または第2薬物を含有する徐放性微粒球を製造する段階を含む。
【0126】
前記段階(c)で、液滴形態の分散相および界面活性剤を含有する連続相を含むエマルジョンを有機溶媒の沸騰点未満の温度で一定時間、例えば、2時間~48時間維持または攪拌すれば、分散相である液滴形態の薬物が分散された生体適合性高分子溶液から連続相で有機溶媒が抽出され得る。連続相で抽出された有機溶媒の一部はエマルジョンの表面から蒸発され得る。液滴形態の薬物が分散された生体適合性高分子溶液から有機溶媒が抽出および蒸発されることで、前記液滴形態の分散相は固形化されて微粒球を形成することができる。
【0127】
前記段階(c)で有機溶媒を追加的に効率的に除去するために連続相の温度を一定時間加温することができる。
【0128】
前記段階(c)で有機溶媒を追加的に効率的に除去するために連続相内にエタノールを添加することができる。
【0129】
前記段階(c)で徐放性微粒球から薬物の初期放出を調節するために連続相の温度を追加的に調節して微粒球の表面を改質することができる。このような目的で連続相に熱を加えて温度を調節する場合、温度範囲の下限値は30℃または高分子のガラス転移温度であり、上限値は生体適合性高分子のガラス転移温度より30℃高い温度(高分子Tg+30℃)に設定することができ、前記下限と上限を組み合わせた数値範囲以内で調節することができる。
【0130】
前記段階(d)で、徐放性微粒球を回収する方法は、多様な公知技術を利用して行うことができ、例えばろ過または遠心分離などの方法を利用することができる。
【0131】
前記段階(c)および段階(d)の間に、ろ過および洗浄を通じて残留する界面活性剤を除去し、再びろ過させて微粒球を回収することができる。残存する界面活性剤を除去するための洗浄段階は通常水を利用して行うことができ、前記洗浄段階は数回にかけて繰り返すことができる。
【0132】
本発明による薬物を含む徐放性微粒球製造方法は、前記段階(d)以降または前記ろ過および洗浄段階以降、得られた微粒球を通常の乾燥方法を利用して乾燥させて最終的に乾燥された微粒球を得ることができる。
【0133】
前記第1製剤および/または第2製剤が微粒球剤形である場合、同一であるか異なる高分子を使用することができ、使用可能な前記生分解性高分子の重量平均分子量は特に制限されないが、その下限が5,000以上、好ましくは10,000以上であってもよく、その上限は500,000以下、好ましくは,200,000以下であってもよい。
【0134】
前記生分解性高分子の種類は特に制限されず、前述したとおりである。例えば、生分解性高分子は、ポリエチレングリコール-ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)ブロック-共重合体、ポリエチレングリコール-ポリラクチドブロック-共重合体、ポリエチレングリコール-ポリカプロラクトンブロック-共重合体、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)グリコース、ポリカプロラクトンおよびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上であってもよく、詳しくは、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)とポリカプロラクトンを使用することができる。前記生分解性高分子としてポリ(ラクチド-コ-グリコリド)を使用する場合、前記共重合体内の乳酸対グリコール酸のモル比は、99:1~50:50であってもよく、好ましくは50:50、75:25、または85:15であってもよい。
【0135】
前記生分解性高分子が2種以上含まれる場合、前記例示した高分子の種類が互いに異なる高分子の組み合わせまたはブレンドであってもよいが、同一な種類の高分子が互いに異なる固有粘度および/または単量体の比率を有する高分子の組み合わせ(例えば互いに異なる固有粘度を有するポリ(ラクチド-コ-グリコリド)二つ以上の組み合わせまたはブレンド)、または末端基が互いに異なる(例えば末端基がエステルであるか、末端基が酸である)同一種類の高分子であってもよい。
【0136】
本発明で使用することができる、市販中である生分解性高分子の例としては、エボニック社のResomer系であるRG 502H、RG 503H、RG 504H、RG 502、RG 503、RG 504、RG 653H、RG 752H、RG 752S、753H、753S、RG 755S、RG 756S、RG858S、R202H、R203H、R205H、R202S、R203S、R205S、コービオン社のPDL 02A、PDL 02、PDL 04、PDL 05、PDLG 7502A、PDLG 7502、PDLG 7504A、PDLG 7504、PDLG 7507、PDLG 5002A、PDLG 5002、PDLG 5004A、PDLG 5004、PDLG 5010、PL 10、PL 18、PL 24、PL 32、PL 38、PDL 20、PDL 45、PC 02、PC 04、PC 12、PC 17、PC 24などを単独でまたは組み合わせまたはブレンドしたものなどが挙げられるが、これに制限されるのではない。生分解性高分子の適した分子量やブレンディングする比率などは生分解性高分子の分解速度およびそれに伴う薬物放出速度などを考慮して当業者が適切に選択することができる。具体的な一実施例で、本発明によるマイクロ粒子を製造するために、Resomer R755S(i.v.=0.50-0.70dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)またはResomer R752H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)を使用することができる。または前記具体的高分子としてResomer R 205S(i.v.=0.55-0.75dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)またはPurasorb PDLG 7502A(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Purac、オランダ)を使用することができる。
【発明の効果】
【0137】
本発明は、生体内に非経口的に投与される医薬製品による炎症反応を予防、軽減または治療するための、非経口抗炎症性製剤を提供するか、または非経口第2薬物伝達体を含む製剤の放出速度を調節するか、第2薬物の生体利用率を増加させることができる薬物を含む非経口用製剤またはキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】実施例2の一例によりリュープロリドを含有する製剤の生体利用率の改善を示すグラフである。
【
図2】薬物を含まないプラセボ(Placebo)微粒球を実験動物の皮下に注射して、微粒球投与部位に炎症をHE(ヘマトキシリン・エオジン:hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図3a】薬物を含まないPlacebo微粒球とデキサメタゾン抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図3b】薬物を含まないPlacebo微粒球とデキサメタゾン抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図4a】第1製剤である抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に注射して、血中での時間による薬物放出様相を確認した薬動学グラフである。
【
図4b】第1製剤である抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に注射して、血中での時間による薬物放出様相を確認した薬動学グラフである。
【
図4c】第1製剤であるの抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に注射して、血中での時間による薬物放出様相を確認した薬動学グラフである。
【
図5a】薬物を含まないPlacebo微粒球と抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図5b】薬物を含まないPlacebo微粒球と抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図6】リュープロリド微粒球と抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した写真である。
【
図7】実験群G15~G20の組織病理スライド標本を製作して炎症細胞の浸潤を確認してその結果を示したものである。
【
図8】全身炎症反応に対する指標で、血中TGF-β2の濃度をELISA方法で確認した結果である。
【
図9】placebo微粒球単独またはplacebo微粒球と抗炎症性微粒球を共に実験動物に投与した後、投与部位で残余微粒球を確認した写真である。
【
図10】リュープロリド微粒球単独、またはリュープロリド微粒球とデキサメタゾン微粒球の混合物を実験動物に投与した後、投与部位で残余微粒球を確認した写真である。
【
図11】実験動物から血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中ドネペジル濃度を測定したグラフである。
【
図12】実験動物から血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中リバスチグミン濃度を測定したグラフである。
【
図13】血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中フィナステリド微粒球の濃度を測定したグラフである。
【
図14】実験動物から血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中セマグルチド濃度を測定したグラフである。
【
図15】実験動物から血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中オクトレオチド濃度を測定したグラフである。
【
図16】実験動物から血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中リュープロリド濃度を測定したグラフである。
【
図17】実施例11のセマグルチド微粒球の生体利用率の改善を確認するために併用投与された微粒球に封入していないデキサメタゾンベース(base)、デキサメタゾンアセテート(acetate)およびデキサメタゾンが封入された微粒球であるA-10の投与によるデキサメタゾンの血中濃度の変化を示すグラフである。
【
図18】デキサメタゾン微粒球およびデキサメタゾンアセテート微粒球を利用した薬物の副作用を誘発する最小血中濃度に関する実験結果である。
【
図19】デキサメタゾン微粒球およびデキサメタゾンアセテート微粒球を利用した薬物の副作用を誘発する最小血中濃度に関する実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者に自明であり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0140】
実施例1:抗炎症性微粒球の製造
【0141】
1-1:抗炎症性薬物を含む微粒球の製造
微粒球製造のための分散相は、生体適合性高分子であるResomer RG 502H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)1.2gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)6.00gと混合して透明になる時まで溶解させ、デキサメタゾン(D50=1.8μm;製造会社:Farmabios、イタリア)0.8gを前記溶液に投入して5分以上攪拌して十分に分散させた後に使用した。
【0142】
微粒球製造のための連続相は、0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液を用い、調製容器に連続相1,200mLを入れて高速攪拌機(L4RT、Silverson、イングランド)を2000rpmの速度で攪拌しながら分散相を1分当たり6.0mLの流速で主入してエマルジョンを形成させた。分散相の注入が終わるとこのエマルジョンを200rpmの速度で攪拌しながら温度を25℃で30分間維持した後、45℃に加温した後に3時間維持しながら有機溶媒を蒸発および除去して微粒球を作った。
【0143】
有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた後、ろ過および3次蒸溜水で3回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し、微粒球を得た。この段階で得られた微粒球を凍結乾燥して最終のデキサメタゾンを含む徐放型微粒球を回収した。本実施例で製造した抗炎症性微粒球をA-1微粒球と命名した。
【0144】
追加的に、抗炎症性微粒球A-2、A-3およびA-4を、抗炎症性微粒球A-1と実質的に同様な方法で製造するが、ただし、下記表1に記載された条件と、高速攪拌機を利用せずに膜乳化法で微粒球を製造する方法を異なるように行った。
【0145】
詳しくは、抗炎症性微粒球A-2の製造にはResomer R 203H(i.v.=0.25-0.35dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)3.5gを用い、抗炎症性微粒球A-3の製造にはPurasorb PDL 05(i.v.=0.4-0.6dL/g;製造会社:Purac、オランダ)3.5gを用い、抗炎症性微粒球A-4の製造にはResomer RG 752H(i.v.=0.14-0.22dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)0.78gとResomer RG 753H(i.v.=0.32-0.44dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)1.82gを用いて製造した。
【0146】
【0147】
1-2:抗炎症性薬物を含む微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるRG 752H(i.v 0.14-0.22dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)およびRG 753H(i.v 0.32-0.44dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)をそれぞれ0.39g、0.91g、そしてデキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.70gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)6.50g、ベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)4.37gと混合して製造した。
【0148】
分散相は30分以上攪拌して十分に溶解した後に使用した。連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液に2.5%(w/v)塩化ナトリウムを添加して用い、連続相1,500mLを直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球懸濁液を製造した。微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を45℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。
【0149】
デキサメタゾンアセテート含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として含有量31.76重量%であり、微粒球サイズ(D50)は36.70μmであった。本実施例で製造されたデキサメタゾンアセテートを含む微粒球をA-5と命名した。
【0150】
追加的に、抗炎症性微粒球A-6、A-7、A-8、A-9およびA-10を、抗炎症性微粒球A-5と実質的に同様な方法で製造するが、ただし、下記表2に記載された条件により分散相を製造して使用した。
【0151】
詳しくは、抗炎症性微粒球A-6の製造には、分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 5002A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)1.60gとデキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.40gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)4.00gおよびベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)2.50gと混合して製造した。抗炎症性微粒球A-7の製造には、分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)およびPurasorb PDL 04A(i.v 0.35-0.45dl/g;製造会社:Purac、オランダ)をそれぞれ0.32g、1.28g、そしてデキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.40gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)4.00gおよびベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)2.50gと混合して製造した。抗炎症性微粒球A-8の製造には、分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDL 02A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)およびRG 755S(i.v 0.50-0.70dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)をそれぞれ0.54g、1.26g、そしてデキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.20gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)4.50gおよびベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)1.25gと混合して製造した。
【0152】
抗炎症性微粒球A-9の製造には、分散相は生体適合性高分子であるR 203H(i.v 0.25-0.35dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)を1.40g、デキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.60gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)3.50gおよびベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)3.74gと混合して製造した。
【0153】
抗炎症性微粒球A-10の製造には、分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)、RG 752H(i.v 0.14-0.22dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)およびRG 753H(i.v 0.32-0.44dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)をそれぞれ0.88g、0.18g、0.41g、そしてデキサメタゾンアセテート(製造会社:Pfizer、米国)0.54gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)5.13g、ジメチルスルホキシド(製造会社:J.T.Baker、米国)0.73gおよびベンジルアルコール(製造会社:Junsei、日本)1.97gと混合して製造した。
【0154】
【0155】
【0156】
1-3:抗炎症性薬物を含む微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるRG 752H(i.v 0.14-0.22dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)およびRG 753H(i.v 0.32-0.44dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)をそれぞれ0.45g、0.45g、そしてメロキシカム(製造会社:Swati、インド)0.10gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)4.50gおよびジメチルスルホキシド(製造会社:J.T.Baker、米国)1.20gと混合して製造した。
【0157】
分散相は30分以上攪拌して十分に溶解した後に使用した。連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液に2.5%(w/v)塩化ナトリウムを添加して用い、連続相2,000mLを直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球懸濁液を製造した。微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を45℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。
【0158】
メロキシカム含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として含有量9.82重量%であり、微粒球サイズ(D50)は60.24μmであった。本実施例で製造されたメロキシカムを含む微粒球をA-11と命名した。
【0159】
1-4:抗炎症性薬物を含む微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるRG 752H(i.v 0.14-0.22dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)およびRG 753H(i.v 0.32-0.44dl/g;製造会社:Evonik、ドイツ)をそれぞれ0.40g、0.40g、そしてケトロラク(製造会社:Dr. Reddy’s laboratories、インド)0.10gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)4.00gおよびジメチルスルホキシド(製造会社:J.T.Baker、米国)0.60gと混合して製造した。連続相の製造および微粒球の製造は、前記1-3のメロキシカム含有微粒球の製造法と実質的に同様な方法で行って、ケトロラク含有微粒球を製造した。
【0160】
ケトロラク含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として含有量12.30重量%であり、微粒球サイズ(D50)は52.28μmであった。本実施例で製造されたケトロラクを含む微粒球をA-12と命名した。
【0161】
実施例2.炎症誘発微粒球の製造
【0162】
2-1:Placebo微粒球の製造
微粒球の製造のための分散相は、生体適合性高分子であるResomer RG502H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)10gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)90gと混合して透明になる時まで溶解した。
【0163】
0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液に2.5%(w/v)塩化ナトリウムを添加して連続相で用い、連続相9,000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わるとこれエマルジョンを200rpmの速度で攪拌しながら温度を25℃で30分間維持した後、45℃に加温した後に3時間維持しながら有機溶媒を蒸発および除去した。
【0164】
有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた後、ろ過および3次蒸溜水で3回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し、平均粒度20μmの微粒球を得た。
【0165】
微粒球の製造のための分散相は、生体適合性高分子であるResomer RG502H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)30gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)120gと混合して透明になる時まで溶解した。連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液を用い、連続相12,000mLを直径20μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球エマルジョンの製造と有機溶媒の蒸発および除去、洗浄は前記平均粒度20μmの微粒球と実質的に同様に製造して、平均粒度30μmの微粒球を得た。
【0166】
微粒球の製造のための分散相は、生体適合性高分子であるResomer RG502H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)10gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)18.57gと混合して透明になる時まで溶解した。連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液を用い、連続相2,786mLを直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球エマルジョンの製造と有機溶媒の蒸発および除去、洗浄は前記平均粒度20μmの微粒球と実質的に同様に製造して、平均粒度60μmの微粒球を得た。
【0167】
前記方法で平均粒径が20、30、または60μmである生分解性高分子マイクロ粒子を製造し、本実施例で製造された炎症誘発Placebo微粒球をB-1と命名した。
【0168】
前記マイクロ粒子の平均粒径分析は、レーザ回折粒度分析器を通じて分析した。前記組成物50mgを1mL超純水と混合して20秒間ボルテックスミキサーで混合した後、1分間超音波発生器に入れて分散させた。分散液を粒度分析装置(Microtrac Bluewave、日本)に入れて20秒間測定した。粒度分布曲線で体積%の50%に該当する粒度であり、平均粒径(Median Diameter)を意味するものであり、D50またはD(v、0.5)で表示する。粒度測定の結果、20μm、30μm、60μm微粒球のD50実測値は、それぞれ21.02μm、35.56μm、56.49μmであった。
【0169】
2-2:ドネペジル微粒球の製造
ドネペジル微粒球の製造に用いた分散相の製造は次のとおり実施した。分散相は生体適合性高分子であるPLA(Resomer R 203H i。v=0.25-0.35dl/g;製造会社Evonik、ドイツ/Resomer R 205S、i.v.=0.55-0.75dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)580.1gを含み、ドネペジルベース(製造会社:Neuland Laboratories、インド)396.1gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)3,156.2gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解した後に使用した。
【0170】
連続相は1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を用い、分散相のための連続相を直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を乳化装置に注入して微粒球懸濁液を製造した。微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を47.5℃で4時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を20℃に下げた。
【0171】
ドネペジル含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量31.3重量%であり、微粒球サイズ(D50)は74.47μmであった。本実施例で製造されたドネペジル微粒球をB-2と命名した。
【0172】
2-3:リバスチグミン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるResomer RG 653H(IV=0.32-0.44dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)2.00gとResomer R 203H(IV=0.25-0.35dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)4.00g、そしてリバスチグミン(製造会社:Hwail Pharmaceutical、韓国)2.70gとパモ酸(製造会社:Amitychem、中国)2.09gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)30.00gと混合して透明になる時まで十分に溶解した。前記生分解性高分子は653H:203H(1:2重量比)で用いた。
【0173】
連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を用い、連続相4,500mLを直径30μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を45℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0174】
前記リバスチグミン微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量21.24重量%であり、微粒球サイズ(D50)は49.02μmであった。本実施例で製造されたリバスチグミン微粒球をB-3と命名した。
【0175】
2-4:フィナステリド微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDL 02A(I.V.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Purac、オランダ)0.60gとフィナステリド(製造会社:Aurobindo pharma、インド)0.40gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)5.40gと混合して透明になる時まで十分に溶解した。
【0176】
連続相は0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を用い、連続相1,500mLを直径20μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を40℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0177】
前記フィナステリド微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量42.6重量%であり、薬物の封入率は106.5%であり、微粒球サイズ(D50)は40.43μmであった。本実施例で製造されたフィナステリド微粒球をB-4と命名した。
【0178】
2-5:セマグルチド微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子としてPurasorb PDLG 7504A(i.v 0.38-0.48dl/g、Purac、オランダ)0.9g、薬物としてセマグルチド(製造会社:Chengdu、中国)0.1gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)17.14gと氷酢酸(製造会社:Daejeong、韓国)3.42gに透明になる時まで十分に溶解した。
【0179】
連続相は0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用した。連続相2.0Lを直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて300rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を40℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0180】
セマグルチド含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量が9.10重量%であり、微粒球サイズ(D50)は41.77μmであった。本実施例で製造されたセマグルチド微粒球をB-5と命名した。
【0181】
2-6:セマグルチド微粒球の製造(GB-7001-717剤形(追加された剤形))
分散相は生体適合性高分子としてResomer RG 503H(IV=0.32-0.44dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)1.85gとResomer RG 653H(IV=0.32-0.44dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)3.70g、薬物としてセマグルチド(製造会社:Chengdu、中国)0.45gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)48.6gと氷酢酸(製造会社:Daejeong、韓国)25.2gに透明になる時まで十分に溶解した。
【0182】
連続相の製造および微粒球の製造は、前記2-5のセマグルチド含有微粒球の製造法と実質的に同様な方法で行って、セマグルチド含有微粒球を製造して凍結乾燥した。
【0183】
セマグルチド含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量が6.92重量%であり、微粒球サイズ(D50)は36.20μmであった。本実施例で製造されたセマグルチド微粒球をB-6と命名した。
【0184】
2-7:オクトレオチド微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7504A(i.v 0.38-0.48dl/g、Purac、オランダ)0.65gとオクトレオチドアセテート(製造会社:Zhejiang Peptites Biotech Co., Ltd、中国)0.30g、そしてパモ酸(製造会社:Amitychem、中国または Kyeongbo Pharmaceutical、韓国)0.05gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)5.80gおよびジメチルスルホキシド(製造会社:Samchun Chemical、韓国)1.90gと混合して肉眼上透明になる時まで溶解した。
【0185】
連続相溶液として0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液に2.5%(w/v)塩化ナトリウムを添加して用い、連続相2Lを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を40℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げた。微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0186】
オクトレオチド含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量21.75重量%であり、微粒球サイズ(D50)は30.59μmであった。本実施例で製造された微粒球をB-7と命名した。
【0187】
2-8.リュープロリド微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g、Purac、オランダ)3.6gとリュープロリドアセテート(製造会社:Polypeptide Laboratories Pvt, Ltd., インド)0.444gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)6.0gおよびメチルアルコール(製造会社:Tedia Company、米国)1.722gと混合して肉眼上透明になる時まで溶解した。
【0188】
連続相溶液として1.0%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液を用い、連続相2.5Lを直径20μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に連結すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造し、微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌した。メンブレン乳化装置および調製容器、微粒球懸濁液の温度は15℃を維持し、分散相の注入が終わると3時間攪拌後、0.5%(w/v)ポリビニルアルコールに10%エチルアルコール(製造会社:Samchun Chemical、韓国)を添加した5Lの連続相で2回交換を通じて有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0189】
リュープロリド含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量10.07重量%であり、微粒球サイズ(D50)は32.42μmであった。本実施例で製造された微粒球をB-8と命名した。
【0190】
2-9:リュープロリドおよびデキサメタゾンアセテートを含む微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g、Purac、オランダ)3.594gとリュープロリドアセテート(製造会社:Polypeptide Laboratories Pvt, Ltd., インド)0.448g、そしてデキサメタゾンアセテート0.0064gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)6.0gおよびメチルアルコール(製造会社:Tedia Company、米国)1.739gと混合して肉眼上透明になる時まで溶解した。
【0191】
連続相の製造および微粒球の製造は、前記2-8のリュープロリド含有微粒球の製造法と実質的に同様な方法で行って、リュープロリドとデキサメタゾンアセテートを含む微粒球を製造して凍結乾燥した。本実施例で製造した薬物微粒球をB-9と命名した。
【0192】
2-10:リュープロリドおよびデキサメタゾンベースを含む微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g、Purac、オランダ)3.587gとリュープロリドアセテート(製造会社:Polypeptide Laboratories Pvt, Ltd., インド)0.448g、そしてデキサメタゾンべース(base)0.0128gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)6.0gおよびメチルアルコール(製造会社:Tedia Company、米国)1.739gと混合して肉眼上透明になる時まで溶解した。
【0193】
連続相の製造および微粒球の製造は、前記2-8のリュープロリド含有微粒球の製造法と実質的に同様な方法で行って、リュープロリドとデキサメタゾン遊離塩基を含む微粒球を製造して凍結乾燥した。本実施例で製造した薬物微粒球をB-10と命名した。
【0194】
前記実施例2-8、2-9、および2-10で製造された微粒球の特性を表4に示した。
【0195】
【0196】
前記実施例2-8、2-9、および2-10で製造された微粒球の生体利用率の改善効果を表5および
図1に示した。
【0197】
【0198】
前記表5に示したように、デキサメタゾンが含有されたリュープロリド微粒球は、デキサメタゾンが含有されていないリュープロリド微粒球の生体利用率(AUC0-28)100を基準として、リュープロリドの生体利用率(AUC0-28)、デキサメタゾンアセテートを共に使用する場合は147%であり、デキサメタゾン遊離塩基を共に使用する場合は167%に向上したことを確認できる。
【0199】
2-11:デスロレリン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)およびPurasorb PDL 04A(i.v 0.35-0.45dl/g;製造会社Purac、オランダ)を21:79の重量比でそれぞれ8.57g、31.43g、そしてデスロレリンアセテート(製造会社:Chengdu、中国)10.00gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)150.20gおよびN-メチル-2-ピロリドン(製造会社:Ashland、インド)93.96gと混合して製造した。分散相は30分以上攪拌して十分に溶解した後に使用した。
【0200】
連続相は2.0%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を用い、高速攪拌機(Verso UHS、Silverson、イングランド)を1,700および1,400rpmで順次に作動させると同時に、準備された分散相および連続相を乳化装置に注入して微粒球懸濁液を製造した。微粒球懸濁液は調製容器に入れて200rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。分散相の注入が終わると微粒球懸濁液の温度を45℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると微粒球懸濁液の温度を25℃に下げ、微粒球懸濁液を超純水で数回反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球は凍結乾燥した。
【0201】
前記デスロレリン含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として含有量13.52重量%であり、微粒球サイズ(D50)は50.84μmであった。本実施例で製造されたデスロレリンを含む微粒球をB-11と命名した。
【0202】
2-12:デスロレリンおよびデキサメタゾンベースを含む微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PDLG 7502A(i.v 0.16-0.24dl/g;製造会社:Purac、オランダ)およびPurasorb PDL 04A(i.v 0.35-0.45dl/g;製造会社Purac、オランダ)を21:79の重量比でそれぞれ0.93g、3.41g、そしてデスロレリンアセテート(製造会社:Chengdu、中国)1.04gおよびデキサメタゾンベース(製造会社:Pfizer、米国)0.023gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)16.29gおよびN-メチル-2-ピロリドン(製造会社:Ashland、インド)10.19gと混合して製造した。
【0203】
連続相の製造および微粒球の製造は、前記2-11のデスロレリン含有微粒球の製造法と実質的に同様な方法で行って、デスロレリンおよびデキサメタゾンベースを含有する微粒球を製造して凍結乾燥した。
【0204】
デスロレリンおよびデキサメタゾンベース含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準としてデスロレリン含有量13.25重量%、デキサメタゾンベース含有量0.16重量%であり、微粒球サイズ(D50)は43.28μmであった。本実施例で製造されたデスロレリンおよびデキサメタゾンベースを含む微粒球をB-12と命名した。
【0205】
2-13:エンテカビル微粒球の製造
エンテカビル微粒球の製造のための分散相は、生体適合性高分子であるResomer RG858S(i.v.=1.3-1.7dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)および502H(i.v.=0.16-0.24dL/g;製造会社:Evonik、ドイツ)を70:30重量比でそれぞれ0.53g、0.23gとエンテカビル(製造会社:Kyeongbo Pharmaceutical、韓国)0.25gをジクロロメタン(製造会社:J.T.Baker、米国)3.60g、ジメチルスルホキシド5.39gにそれぞれ溶解した後、混合して肉眼上透明になる時まで十分に攪拌した後に使用した。
【0206】
微粒球の製造のための連続相は、0.5%(w/v)ポリビニルアルコール(粘度:4.8-5.8mPa・s)水溶液にNaClを2.5wt%添加して用い、調製容器に連続相800mLを入れて高速攪拌機(L4RT、Silverson、イングランド)を3000rpmの速度で攪拌しながら分散相を1分当たり10.0mLの流速で主入してエマルジョンを形成させた。分散相の注入が終わったエマルジョンを200rpmの速度で攪拌しながら温度を45℃に加温した後、2時間維持、有機溶媒を除去した。その後、微粒球懸濁液の温度を25℃に冷却した後、ろ過および3次蒸溜水で反復洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を得た。得られた微粒球を凍結乾燥してエンテカビルを含む徐放型微粒球を回収した。
【0207】
エンテカビル含有微粒球は、高分子と薬物の合計100重量%を基準として薬物含有量22.50重量%であり、微粒球サイズ(D50)は63.63μmであった。本実施例で製造した抗炎症性微粒球をB-13微粒球と命名した。
【0208】
実施例3:微粒球の炎症誘発特性の確認
微粒球の投与により動物で炎症を誘発する有無をラットを利用して実験した。実施例2-1で製造した平均粒径20μmと60μmの薬物が搭載されないplacebo微粒球を炎症誘発物質として使用した。
【0209】
動物実験は、動物実験倫理委員会の規定により行われ、具体的に雄5週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを購入して1週間純化した後、1群当たり4匹ずつ2つのグループに配分した。前記ラットの背中側皮下に、前記実施例2-1で製造した平均粒径20μmと60μmのplacebo微粒球をそれぞれ120mg/headの用量で皮下注射した。投与後3日目および8日目にそれぞれ群別に2匹ずつ犠牲死後、投与部位を摘出して急性炎症段階と慢性炎症段階での投与した微粒球サイズによる炎症誘発程度の差を確認した。
【0210】
炎症の誘発程度の観察のために摘出した投与部位を中性ホルマリンに固定および包埋過程を経た後、パラフィンブロックを製作して4~5μm厚さに薄切してHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認し、結果写真を
図2に示した。
【0211】
下記表6で炎症細胞浸潤の程度は、染色した組織病理スライドを光学顕微鏡を利用して400倍の倍率視野で任意に5ヶ所のフィールド(field)を選定して炎症細胞の浸潤を確認してその数字が≦5(以下)である場合は「grade 0」に、6~20である場合は「grade 1」に、21~50である場合は「grade 2」に、50を超えた場合は「grade 3」に判定し、表6は各群の平均値で記載した。また、線維結合組織の形成は、各群の総発生動物の個体数で表記した。
【0212】
【0213】
図2の写真に示したように、急性炎症誘発段階である投与後3日目の投与部位および慢性炎症段階である投与8日目の投与部位で、20μmと60μmサイズのplacebo微粒球の投与群の全てで血管新生は観察されなかった。
【0214】
急性炎症誘発段階である投与後3日目の投与部位で20μmと60μmサイズのplacebo微粒球の投与群の全てで炎症細胞の浸潤および20μmのplacebo微粒球の投与群で弱い線維組織形成が観察され、慢性炎症段階である投与8日目の20μmと60μmサイズのplacebo投与群の全ての動物で類似する炎症細胞の浸潤、線維組織形成が投与部位で観察された。以上の結果を考慮時、20μmサイズのplacebo微粒球と60μmサイズのplacebo微粒球を単回皮下投与時、微粒球の投入による炎症誘発を確認した。
【0215】
実施例4:抗炎症性微粒球の併用投与による効能試験
実施例1-1で製造された、デキサメタゾンがフリーベース(free base)として36.8重量%封入されているデキサメタゾン微粒球(A-1)を0.94mg(活性成分含有量基準0.35mg)または0.23mg(活性成分含有量基準0.087mg)の用量で、実施例2-1で製造された20μmサイズのplacebo微粒球と60μmサイズのplacebo微粒球120mgにそれぞれ混合して混合製剤を製造した。
【0216】
前記実施例3と実質的に同様な方法で、前記混合製剤をSDラット(SD rat)の背中側皮下に投与し、投与後3日目および8日目にそれぞれ実験群別に2匹ずつを犠牲死した。前記犠牲死させたラットの投与部位を摘出して組織病理標本スライドを製作して急性炎症段階と慢性炎症段階でのデキサメタゾン投与および投与用量による抗炎症効能を試験した。
【0217】
前記実験結果を
図3aおよび
図3bに示し、下記表7で投与部位で炎症細胞の浸潤の程度と線維組織形成を実施例2の評価と実質的に同様な方法で行った。
【0218】
【0219】
図3aおよび
図3bの写真に示したように、急性炎症誘発段階である投与後3日目および慢性炎症段階である投与8日目の各投与部位で、実施例2-1で製造された20μmと60μm平均粒径のplacebo微粒球と実施例1-1で製造されたデキサメタゾン抗炎症性微粒球を共に皮下注射した実験群の全てで血管新生は観察されなかった。
【0220】
前記実験結果、placebo微粒球とデキサメタゾン微粒球の混合製剤を投与した実験群G4-1~G4-4で、急性炎症誘発段階である投与後3日目に投与部位で炎症細胞浸潤はplacebo微粒球だけ投与したG3-1~G3-2に比べて、全て減少し、デキサメタゾン微粒球高用量(0.94mg/head、デキサメタゾンフリーベース(free base)として0.35mg/head)を含む混合製剤を投与したG4-1およびG4-2で、デキサメタゾン微粒球低用量(0.23mg/head、デキサメタゾンフリーベース(free base)として0.087mg/head)を含む混合製剤を投与したG4-3およびG4-4よりも細胞浸潤減少効果は高く現れた。急性炎症誘発段階である投与後3日目に全ての実験群で、線維組織形成は観察されなかった。
【0221】
前記実験結果、placebo微粒球とデキサメタゾン微粒球の混合製剤を投与した実験群G4-1~G4-4で、慢性炎症誘発段階である投与後8日目に投与部位で炎症細胞浸潤はG4-1では起こらず、G4-2~D4-4で発生したが、placebo微粒球だけ投与したG3-1およびG3-2よりは減少した。慢性炎症誘発段階である投与後8日目に線維組織形成はG4-4群でだけ平均grade0.5の線維組織形成が観察された。
【0222】
以上の結果を通じてデキサメタゾン微粒球を混合投与時、炎症誘発微粒球として使用されたplacebo微粒球だけ投与した時よりも炎症の発生程度が抑制されることを確認することができた。
【0223】
実施例5.抗炎症性微粒球の薬物放出プロファノイルの特性
実施例1の抗炎症性微粒球A-2、A-3、A-4に対して、9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを利用して薬物動態評価を実施した。ラットに実施例1の抗炎症性微粒球A-2、A-3、A-4注射製剤を0.06mg/headに合わせて計測し、0.3mL分散溶剤に懸濁させた後、SDラットに皮下注射した。予め計画された時間ごとに0.25~0.5mL血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中デキサメタゾン濃度を測定した。前記測定結果を
図4a~
図4cに示した。
【0224】
図4a~
図4cに示したようにA-2抗炎症微粒球は168日まで、A-3抗炎症微粒球は84日まで、A-4抗炎症微粒球は最大42日までデキサメタゾン放出が起こることを確認した。A-2抗炎症微粒球のCmaxは0.5ng/mL、A-3抗炎症微粒球のCmaxは0.9ng/mL、A-4抗炎症微粒球のCmaxは0.7ng/mLで、全て1ng/mL未満であることを確認し、特にA-2抗炎症微粒球とA-3抗炎症微粒球は緩やかな放出パターンのグラフを描くことを確認した。以上の結果から、A-2、A-3およびA-4微粒球の全てがデキサメタゾンを徐々に放出する製剤であることを確認した。
【0225】
実施例6.抗炎症性微粒球の効能試験
実施例2-1で製造した30μmのplacebo微粒球(B-1)を炎症誘発用微粒球として使用した。前記実施例3と実質的に同様な方法で、炎症誘発用微粒球単独(G6-1)またはデキサメタゾン微粒球の混合製剤で製造して(G6-2~G6-5)、SDラットの背中側皮下に炎症誘発用微粒球を120mg/headまたは240mg/headの用量で投与した。
【0226】
投与したplacebo微粒球がほとんど全て生分解される時期までデキサメタゾンによる抗炎症効果が維持されるのかを確認するために実施例3の炎症確認時点である投与後3日および8日以外に、placebo微粒球の投与後33日目を追加した。
【0227】
前記炎症誘発用微粒球と混合製剤で投与されるデキサメタゾン微粒球は0.22mg/head(活性成分含有量基準0.08mg/head)、0.82mg/head(活性成分含有量基準0.3mg/head)または1.63mg/head(活性成分含有量基準0.6mg/head)の用量で投与した。具体的実験群はG6-1~G6-5であり、下記表8に示した。各実験群に含まれている動物の個体数は1群当たり総13匹ずつであり、各グループで3日目実験5匹、8日目実験4匹、33日目実験4匹をそれぞれ割り当てた。
【0228】
下記表で、炎症誘発微粒球の投与用量は、微粒球基準mg/headであり、抗炎症性微粒球の投与用量は、活性成分であるデキサメタゾン含有量基準mg/headである。
【0229】
【0230】
各確認時点に実施例3と同様な方法を利用して組織病理スライド標本を製作して炎症細胞の浸潤、血管新生、線維組織形成を確認した。また、組織病理スライド標本をコラーゲン染色を通じて投与部位のコラーゲン沈着などを確認した。前記染色された標本の写真を
図5aおよび
図5bに示した。
【0231】
前記投与部位で炎症細胞の浸潤の程度と線維組織形成を実施例3の評価と実質的に同様な方法で行って、下記表9に記載した。
【0232】
【0233】
前記表9の分析結果に示したように、30μmのplacebo 120mg/headだけを投与したG6-1群の場合、急性炎症が発生する投与後3日目に炎症細胞の浸潤が平均grade3が観察され、慢性炎症が発生する8日目には平均grade3の炎症細胞の浸潤と新生血管および線維組織の形成が全ての動物で観察された。
【0234】
炎症誘発用微粒球である30μmのplacebo微粒球(B-1)と、デキサメタゾン微粒球の混合製剤を投与したG6-2~G6-5は、急性炎症が発生する投与後3日目に全ての実験群で炎症細胞浸潤がplacebo微粒球だけ投与したG6-1に比べて低く現れ、デキサメタゾン活性成分の投与量が増加するほど炎症細胞浸潤のGRADEは低く現れ、血管新生および線維結合組織の形成は観察されなかった。
【0235】
慢性炎症が発生する投与後8日目には、デキサメタゾン微粒球を投与していないG6-1で平均grade3の炎症細胞の浸潤と新生血管および線維組織の形成が全ての動物で観察されたが、混合製剤を投与したG6-2、G6-3、およびG6-5で低いgradeの炎症細胞浸潤が現れ、G6-4では炎症細胞浸潤が観察されなかった。
【0236】
30μmのplacebo微粒球240mg/headとデキサメタゾン微粒球1.63mg/head(活性成分含有量基準0.6mg/head)を投与したG6-5群の場合、急性炎症が発生する投与後3日目に平均grade0.8の炎症細胞浸潤が観察され、慢性炎症誘発段階である投与後8日目の投与部位で平均grade0.5の炎症細胞浸潤と1個体で血管新生が観察された。全ての投与群で観察された炎症関連症状は33日目に全て回復した。
【0237】
以上の結果を通じて、炎症誘発微粒球とデキサメタゾン微粒球を併用投与時、炎症誘発微粒球だけ投与した群よりも急性および慢性炎症段階で炎症細胞の浸潤や新生血管の形成が抑制されたことを確認し、特に慢性炎症段階でデキサメタゾン微粒球を併用投与した群よりは線維結合組織の形成が完璧に抑制されることを確認した。
【0238】
実施例7.薬物微粒球と抗炎症性微粒球の併用投与による抗炎試験
【0239】
7-1:リュープロリド微粒球と抗炎症性微粒球の併用
薬物を含まないplacebo微粒球の投与により誘発された炎症に対してデキサメタゾン微粒球の併用投与時、炎症が緩和することを確認後、実際薬物が含まれている微粒球により誘発された炎症に対してもデキサメタゾン微粒球が抗炎症効果を示すのか確認するために本試験を行った。
【0240】
リュープロリド(leuprolide)微粒球として、市販中である3ヶ月間薬効が維持されるリュープロリド微粒球であるリュープリン(Leuplin)を購入して微粒球B-14と命名して本実験に使用した。雄9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを9匹ずつ3つのグループに配分後、ラットの背中側にリュープリンを投与液量0.5mL/headにして皮下に1回注射した。本実験は下記表10でG7-1実験群で表示した。
【0241】
前記炎症誘発用リュープロリド微粒球2.7mg/head(リュープロリド遊離塩基の含有量基準)にデキサメタゾン微粒球0.23mg/head(活性成分含有量基準0.06mg/head)およびデキサメタゾン微粒球1.04mg/head(活性成分含有量基準0.27mg/head)を混合製剤で製造して(G7-2~G7-3)、0.5mL/headの投与液量でSDラットの背中側皮下に単回皮下注射した。
【0242】
本実験は、下記表10で実験群G7-1~G7-3であり、各実験群に含まれている動物の個体数は1群当たり9匹であり、1日目、4週、および12週にそれぞれ3匹ずつを各グループ群に割り当てた。
【0243】
試験物質の投与後1日、4週および12週目に各1群当たり3匹ずつを犠牲死後、投与部位の組織を摘出して残余微粒球を確認し、10%中性緩衝ホルマリン溶液に固定パラフィン包埋およびブロックを製作して4~5μm厚さに薄切してHE(hematoxylin・Eosin)染色を行って炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織の形成など炎症の程度を評価した。前記染色された標本の写真を
図6に示した。
【0244】
図6はリュープロリド微粒球と抗炎症性微粒球を実験動物の皮下に共に皮下注射して、投与部位に炎症をHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成の程度を確認した写真である。
【0245】
各実験群にリュープロリド微粒球と抗炎症性微粒球を投与した後1日目、投与部位で炎症細胞の浸潤の程度と線維組織の形成を実施例2の評価と実質的に同様な方法で行って、下記表10に記載した。下記表で、薬物微粒球の投与用量および抗炎症性微粒球の投与用量は活性成分含有量基準mg/headである。
【0246】
【0247】
リュープロリド微粒球2.7mg/head(活性成分含有量基準)単独投与したG7-1群の場合、急性炎症が誘発される投与後1日目に平均grade3.3の炎症細胞浸潤が観察され、血管新生や線維結合組織の形成は観察されなかった。
【0248】
リュープロリド微粒球2.7mg/head(活性成分含有量基準)とデキサメタゾン微粒球0.23mg/head(活性成分含有量基準0.06mg/head)を投与したG7-2群の場合、急性炎症が誘発される投与後1日目に平均grade2の炎症細胞浸潤が観察され、血管新生や線維結合組織の形成は観察されなかった。
【0249】
リュープロリド微粒球2.7mg/head(活性成分含有量基準)とデキサメタゾン微粒球1.04mg/head(活性成分含有量基準0.27mg/head)を投与したG7-3群の場合、急性炎症が誘発される投与後1日目に平均grade1.3の炎症細胞浸潤が観察され、血管新生や線維結合組織の形成は観察されなかった。
【0250】
7-2:placebo微粒球とデキサメタゾン微粒球の併用
実施例2-1で製造した30μmのplacebo微粒球を炎症誘発用微粒球として使用した。前記実施例3と実質的に同様な方法で、炎症誘発用微粒球単独(G7-4)またはデキサメタゾン微粒球(A-1)の混合製剤で製造した(G7-5、G7-6、G7-7)。
【0251】
前記で製造された実験用製剤をそれぞれSDラットの背中側皮下に炎症誘発用微粒球を120mg/head用量で投与した。前記炎症誘発用微粒球と混合製剤で投与されるデキサメタゾン微粒球(A-1)は、0.033mg/head(活性成分含有量基準0.012mg/head)、0.164mg/head(活性成分含有量基準0.06mg/head)、または0.82mg/head(活性成分含有量基準0.3mg/head)用量で投与した。
【0252】
投与したplacebo微粒球がデキサメタゾンによる抗炎症効果が維持されるのかを確認するために、実施例3の炎症確認時点である投与後3日および8日目を確認した。各確認時点に実施例3と同様な方法を利用してG7-4~G7-7の組織病理スライド標本を製作し、炎症細胞の浸潤を確認してその結果を
図7および表11に示した。具体的に、組織病理スライド標本をHE染色を通じて投与部位の炎症細胞浸潤を確認した。前記投与部位で炎症細胞の浸潤の程度を実施例3の評価と実質的に同様な方法で行った。
【0253】
7-3:placebo微粒球とデキサメタゾン薬物の併用
前記実施例7-2で炎症誘発用微粒球単独(G7-4)またはデキサメタゾン微粒球(A-1)の混合製剤を使用したのとは異なり、本実験では微粒球に封入していないデキサメタゾンベース(base)またはデキサメタゾンアセテート(acetate)を、炎症誘発用微粒球として実施例2-1で製造した30μmのplacebo微粒球を混合して試験製剤として製造した(G7-8、G7-9)。
【0254】
また、抗炎症性薬物として、微粒球に封入していないデキサメタゾンベース(base)とデキサメタゾンアセテート(acetate)は活性成分含有量基準0.06mg/head用量でそれぞれ投与した(G7-8、G7-9)。前記表11に具体的実験群(G7-8およびG7-9)に関する詳細な情報を記入した。下記実験で各実験群で3日目の動物数はG7-8およびG7-9にそれぞれ4匹ずつ割り当てた。
【0255】
投与したplacebo微粒球がデキサメタゾンによる抗炎症効果が維持されるのかを確認するために、実施例3の炎症確認時点である投与後3日および8日目を確認した。各確認時点に実施例3と同様な方法を利用してG7-8およびG7-9の組織病理スライド標本を製作して炎症細胞の浸潤を確認し、その結果を
図7と表11に示した。
【0256】
【0257】
前記表の分析結果に示したように、30μmのplacebo微粒球120mg/headだけを投与したG7-4群の場合、急性炎症が発生する投与後3日目に炎症細胞の浸潤が平均grade3が観察され、慢性炎症が発生する8日目にも平均grade3の炎症細胞の浸潤が全ての動物で観察された。
【0258】
30μmのplacebo微粒球120mg/headとデキサメタゾン微粒球0.03mg/head(活性成分含有量基準0.012mg/head)、0.16mg/head(活性成分含有量基準0.06mg/head)、0.82mg/head(活性成分含有量基準0.3mg/head)を混合投与したG7-5~G7-7群の場合、急性炎症が発生する投与後3日目に平均grade0.7~1.7の炎症細胞浸潤が観察され、慢性炎症が発生する8日目には平均grade0.8~1.3の炎症細胞浸潤が観察された。デキサメタゾンの量が増加するほど炎症細胞浸潤が減少する様相を確認することができた。
【0259】
また、投与部位の炎症反応に対する指標として、マクロファージ(大食細胞)マーカであるCD68染色を抗体染色を利用して投与部位で実施した。投与部位でマクロファージの浸潤程度を下記表12に記載した。下記表12で分布1の点数は顕微鏡写真でマクロファージの5~30%陽性を示し、2の点数は31~60%、3の点数は60%以上が陽性であることを示した。
【0260】
【0261】
急性炎症反応が現れる3日目にマクロファージの浸潤程度は、G7-4と比較して、デキサメタゾン併用投与群G7-5~G7-9で全て減少していることを確認した。8日目にマクロファージの浸潤様相は、G7-4と比較して、デキサメタゾン併用投与群G7-5~G7-9で全て減少していることを確認し、ただし、G7-8およびG7-9は、デキサメタゾン薬物(薬物伝達体がない)を投与した群で、マクロファージの浸潤様相が3日目よりも増加したことを確認できる。
【0262】
全身炎症反応に対する指標として、血中TGF-β2の濃度をELISA方法で確認し、血中TGF-β2の濃度を
図8に示した。
【0263】
前記試験結果、組織病理データと同様に、急性炎症が発生する3日目に、デキサメタゾンを投与した試験群G7-5~G7-9群の全てで血中TGF-βが減少したことを確認し、8日目にも30μmのplacebo微粒球を単独投与したG7-4よりも血中TGF-β2が減少していることを確認した。デキサメタゾンがTGF-β2の濃度を減少させる様相は、組織病理データの細胞浸潤程度を減少させるのと類似する様相を帯びる。8日目にデキサメタゾンの炎症抑制能は微粒球に封入されないデキサメタゾンに比べて、微粒球剤形のデキサメタゾンがより良いことが示された。
【0264】
実施例8:併用製剤の抗炎症効果の分析
【0265】
8-1:薬物微粒球と抗炎症性微粒球の併用製剤
薬物微粒球と抗炎症性微粒球の併用投与の有無によるラット動物の炎症誘発程度を確認した。薬物微粒球は、ドネペジル微粒球(B-2)、リバスチグミン微粒球(B-3)、フィナステリド微粒球(B-4)、セマグルチド微粒球(B-5)、リュープロリド微粒球(B-8、B-9)、オクトレオチド微粒球(B-7)、デスロレリン微粒球(B-11、B-12)を用い、デスロレリン微粒球とドネペジル微粒球は、それぞれA-2抗炎症性微粒球と併用投与し、リバスチグミン微粒球とフィナステリド微粒球は、それぞれA-4抗炎症性微粒球と、オクトレオチド微粒球はA-3抗炎症性微粒球と、セマグルチド微粒球とリュープロリド微粒球は、それぞれA-10抗炎症性微粒球と併用投与した。
【0266】
動物実験は、動物実験倫理委員会の規定により行われ、具体的に雄6週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを購入して1週間純化した後、7週齢ラットに試験薬を投与した。ドネペジル微粒球とリバスチグミン微粒球、リュープロリド微粒球はラットの右側後足の大腿筋肉に投与し、その他の薬物微粒球はラットの背中側皮下に投与した。投与用量と投与液量、動物群の構成は次のとおりである。表13で薬物投与用量で、前部に記載されたものは第2製剤の薬物投与用量であり、後部に記載されたものは第1製剤の抗炎症薬物の投与用量を意味する。また下記表13で第2微粒球は第2薬物を含む微粒球であり、第1微粒球は第1製剤である抗炎症性薬物を含む微粒球を意味する。
【0267】
【0268】
投与後3日目および8日目にそれぞれ群別に4匹ずつ犠牲死後、投与部位を摘出して急性炎症段階と慢性炎症段階での薬物微粒球に投与および抗炎症微粒球併用投与による炎症誘発程度の差を確認した。
【0269】
炎症の誘発程度の観察のために摘出した投与部位を中性ホルマリンに固定および包埋過程を経た後、パラフィンブロックを製作して4~5μm厚さに薄切してHE(hematoxylin・Eosin)染色後、光学顕微鏡を利用して炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した。
【0270】
下記表14で炎症細胞浸潤、線維組織形成、血管新生の程度を示した。染色した組織病理スライドを光学顕微鏡を利用して400倍の倍率視野で任意に3ヶ所のフィールド(field)を選定して炎症細胞の浸潤を確認してその数字が≦5(以下)である場合は「grade0」に、6~20である場合は「grade1」に、21~50である場合は「grade2」に、50を超える場合は「grade3」に判定し、表14は各群の平均値で記載した。また、線維組織形成と血管新生はない場合は「grade0」に、弱い場合は「grade1」に、中間である場合は「grade2」に、強い場合は「grade3」に、激しい場合は「grade4」に判定した。
【0271】
【0272】
薬物微粒球の投与3日目に、G8-1対照群に比べて試験物質を投与した群は皮下または筋肉の炎症細胞浸潤、血管新生および線維化が顕著に観察され、各試験物質により炎症反応の程度は差があった。炎症反応は、抗炎症微粒球の併用投与群で減少する傾向を示した。投与8日目の検査でも類似する傾向を示した。抗炎症剤であるデキサメタゾンが第2薬物伝達体に薬物と共に封入された場合も、デキサメタゾンが第1薬物伝達体に封入された後に第2薬物伝達体と併用微粒球に共に投与された場合と類似して炎症細胞浸潤、血管新生および線維化を減少させた。
【0273】
8-2:薬物微粒球と抗炎症薬物の併用製剤
セマグルチド微粒球とメロキシカム併用投与の有無によるラット動物の炎症誘発程度を確認した。具体的に雄8週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを購入して1週間純化した後、9週齢ラットに背中側皮下に試験物質を投与した。セマグルチド微粒球(B-6)は3.6mg/head、メロキシカムは1.5mg/headを0.5mLボリュームで投与した。
【0274】
投与後3日目に群別に1匹ずつ犠牲死後、投与部位を摘出して急性炎症段階の炎症誘発程度の差を確認した。実施例8-1のHE方法で組織を染色し、同じ基準で炎症細胞の浸潤、血管新生および線維組織形成程度を確認した。
【0275】
下記表15で炎症細胞浸潤、線維組織形成、血管新生の程度を示した。セマグルチド微粒球が起こした炎症をメロキシカム薬物自体が効果的に減少させる様相を確認した。
【0276】
【0277】
実施例9.薬物放出調節効能の評価
【0278】
9-1:デキサメタゾンの生分解性高分子の分解遅延
実施例2-1で製造した30μmのplacebo微粒球単独(G9-1実験群)またはplacebo微粒球と実施例1で製造したデキサメタゾン微粒球(A-1)の混合製剤(G7-5実験群)をSDラットの背中側皮下に投与した後、placebo微粒球の分解程度を比較した。Placebo微粒球またはplacebo微粒球とデキサメタゾン微粒球の混合製剤を投与した後16日目に、投与部位の組織を摘出して残余微粒球を確認した結果、placebo微粒球を単独処理した群よりもplacebo微粒球とデキサメタゾン微粒球(A-1)を併用投与した群で生分解性微粒球の分解が遅延することを確認した。前記実験結果で得たラットの写真を
図9に示した。
【0279】
9-2:デキサメタゾンの薬物微粒球の分解遅延
前記実施例9-1と同様な方法で、リュープロリドが含まれている微粒球単独またはリュープロリド微粒球とデキサメタゾン微粒球(A-1)の混合物を、SDラットの背中側皮下に単回注射した。本実験は、下記表17で実験群G9-3~G9-5であり、各実験群に含まれている動物の個体数は1群当たり3匹である。
【0280】
下記表17で残余微粒球の量は、imageJオープンソースソフトウェア(バージョン1.45s、NIH)を通じて面積を計算して分析した。実験群G9-3での面積を1(+で表示)にし、前記G9-3実験群の残量を基準として1~100%増加は++、101%~200%増加は+++で表示した。前記実験結果で得たラットの写真を
図10に示した。下記表16に使用された各実験群に含まれている動物は各3匹を使用した。
【0281】
【0282】
試験物質の投与後4週目にラットを犠牲死した後、投与部位の組織を摘出して残余微粒球を確認した結果、リュープロリド微粒球を単独投与した群(G9-3)よりもデキサメタゾン微粒球を混合して投与した群(G9-4、G9-5)で残余微粒球の量が多いことを確認し、これはデキサメタゾンの量が増加するほど残余微粒球の量が多いことを確認した。この結果を通じてデキサメタゾンが薬物微粒球の分解を遅延させ、このような特性を活用して薬物微粒球の放出特性を調節可能であることを確認した。
【0283】
実施例10.薬物微粒球と抗炎症性微粒球の併用投与による生体利用率(AUC)の向上
実施例1で製造した抗炎症性微粒球A-2、A-3、およびA-4に対して、9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを利用して、実施例2で製造したドネペジル微粒球(B-2)、リバスチグミン微粒球(B-3)、セマグルチド微粒球(B-5)、およびオクトレオチド(octreotide)1ヶ月持続型微粒球として、市販中であるサンドスタチンLar(Sandostatin Lar)を購入して微粒球B-15と命名して本実験に使用した。また、実施例7で記載したとおり、市販製品を購入したリュープロリド微粒球(B-14)と併用投与薬物動態評価試験を行った。
【0284】
ドネペジル微粒球の場合、26.04mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-2を0.3mg/head(API基準)を混合して筋肉投与した。
【0285】
リバスチグミン微粒球の場合、8.64mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-4を0.03mg/head(API基準)および0.01mg/head(API基準)をそれぞれ混合して筋肉投与した。
【0286】
フィナステリド微粒球(B-4)の場合、8.4mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-4を0.018mg/head(API基準)を混合して皮下投与した。
【0287】
セマグルチド微粒球(B-5)の場合、3.6mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-4を0.054mg/head(API基準)を混合して皮下投与した。
【0288】
セマグルチド微粒球(B-5)の場合、3.6mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-10を0.054mg/head(API基準)を混合して皮下投与した。
【0289】
オクトレオチド微粒球(B-15)の場合、3mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-4を0.03mg/head(API基準)を混合して筋肉投与した。
【0290】
リュープロリド微粒球(B-14)の場合、4.5mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-3を0.072mg/head(API基準)を混合して皮下投与した。
【0291】
デスロレリン微粒球(B-11)の場合、4.7mg/head(API基準)と抗炎症性微粒球A-2を0.06mg/head(API基準)を混合して皮下投与した。
【0292】
予め計画された時間ごとに0.25~0.5mL血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中薬物微粒球の濃度を測定して、
図11~
図16に表示されたグラフで示した。
【0293】
下記表17で薬物微粒球の投与用量と抗炎症性微粒球の投与用量は、当該微粒球投与により投与される活性成分の含有量(mg/head)を示す。
【0294】
【0295】
ドネペジル微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-2と併用投与した時(A-2&B-2)、単独投与群に比べてAUC向上が277%であり、薬物の放出機間が増加したことを確認した。リバスチグミン微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-4と併用投与した時(A-4&B-3)、単独投与群に比べてAUC向上が26%であることを確認した。
【0296】
フィナステリド微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-4と併用投与した時(A-4&B-4)、単独投与群に比べてAUC向上が461%であることを確認した。
【0297】
セマグルチド微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-4と併用投与した時(A-4&B-5)、単独投与群に比べてAUC向上が290%であることを確認した。
【0298】
オクトレオチド微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-4併用投与した時(A-4&B-15)、単独投与群に比べてAUC向上が287%であることを確認した。
【0299】
リュープロリド微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-3と併用投与した時(A-3&B-14)、単独投与群に比べてAUC向上が293%に向上するだけでなく、薬物の放出期間まで増加することを確認した。
【0300】
デスロレリン微粒球の場合、抗炎症性微粒球A-2併用投与した時(A-2&B-11)、単独投与群に比べてAUC向上が509%であることを確認した。
【0301】
以上の結果から、抗炎症性微粒球であるA-2、A-3、A-4微粒球を薬物微粒球と併用投与した時、ドネペジル、リバスチグミン、フィナステリド、リュープロリド、セマグルチド、オクトレオチドおよびデスロレリンの生体利用率(AUC)を向上させることを確認した。
【0302】
実施例11.セマグルチド微粒球と抗炎症性薬物の併用投与による生体利用率AUC)の向上
9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを利用して、実施例2-6で製造したセマグルチド微粒球(B-6)と実施例1で製造した抗炎症性微粒球と併用投与によるセマグルチドの生体利用率の改善特性を試験した(下記表18でG3~G6、G9に該当)。
【0303】
また、前記実験を実施例2-6で製造したセマグルチド微粒球(B-6)と、微粒球に封入しないデキサメタゾンベース(base)、デキサメタゾンアセテート(acetate)またはメロキシカム(Meloxicam)と混合製剤で製造して、併用投与によるセマグルチドの生体利用率の改善特性を試験した(下記表でG7、G8、G12に該当)。
【0304】
前記実施例9と実質的に同様な方法で、混合製剤をラットに投与して28日間予め計画された時間ごとに0.25~0.5mLの血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中セマグルチドの濃度を測定した。前記測定された薬物濃度に基づいて、CmaxおよびAUCを算出して下記表に示した。下記表でG11およびG12で用いたセマグルチド微粒球は実施例2で製造したB-5であり、G3~G8に用いられたセマグルチド微粒球は実施例2で製造したB-6である。
【0305】
【0306】
【0307】
前記表に示したように、抗炎症性微粒球または抗炎症性薬物と併用せず、セマグルチド微粒球単独投与した場合(G3)、AUCが402.0(ng*day/mL)/(mg/kg)であったが、セマグルチド微粒球とデキサメタゾンアセテートを含有する微粒球の併用製剤である場合(G4、G5、G6)、それぞれ1423.7、888.2、または1606.7(ng*day/mL)/(mg/kg)であり、セマグルチド微粒球単独投与したG3に比べて顕著に高い値を示し、優れた生体利用率を示すことを確認した。
【0308】
また、デキサメタゾンアセテートを含有する微粒球を含む微粒球併用製剤であっても、抗炎症性微粒球に含まれている活性成分の含有量が高いG6が、デキサメタゾンアセテートとして0.054mg/headで投与されるG4に比べて、より高い生体利用率を示すことを確認した。また、セマグルチド微粒球とデキサメタゾンアセテートを含有する微粒球の併用製剤であっても、1ヶ月剤形であるG4と7日剤形であるG5を比較する場合、デキサメタゾンアセテートとして0.054mg/headで同一投与量にもかかわらず、1ヶ月剤形であるG4がより高いAUCを示すことを確認した。
【0309】
また、セマグルチド微粒球(B-6)と微粒球に封入していないデキサメタゾンベース(base)、デキサメタゾンアセテート(acetate)を含む併用製剤は(G7、G8)、投与される抗炎症性薬物の投与量0.108mg/headで同一でもセマグルチド微粒球(B-6)とデキサメタゾンアセテートを含む微粒球(A-10)の併用製剤である実験群G6が、顕著に改善されたAUCを示して、セマグルチド微粒球と抗炎症性微粒球の併用投与がより好ましいことを確認した。
【0310】
下記グラフにG6、G7、G8群のデキサメタゾン放出様相を示した。G7とG8の放出は短期間に終わるのに対し、G6群であるA-10放出は3ng/head以下に28日以上維持されることを確認できる。G6群のセマグルチドAUCはG7、G8より約2倍以上増加した1606.7ng*day/mL/mg/kg濃度であり、これを通じてデキサメタゾンの放出様相を低くかつ長く作った抗炎症微粒球のセマグルチドAUC向上能に優れているを確認できる。
【0311】
実施例12.デスロレリン微粒球と抗炎症性薬物の併用投与による生体利用率AUC)の向上
9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットを利用して、実施例2で製造したデスロレリン微粒球B-11と実施例1で製造した抗炎症性微粒球と併用投与によるデスロレリンの生体利用率の改善特性を試験した。
【0312】
前記実施例9と実質的に同様な方法で、混合製剤をラットに投与して98日間予め計画された時間ごとに0.25~0.5mL血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中デスロレリンの濃度を測定した。前記測定された薬物濃度に基づいて、CmaxおよびAUCを算出して下記表に示した。デスロレリン微粒球単独投与群と比較して抗炎症性微粒球と併用投与したデスロレリンの生体利用率の向上が顕著であることを確認した。特に抗炎症性製剤の原料および微粒球の種類により多様なPK様相が現れ、これら全てがデスロレリン微粒球単独投与群よりも顕著に向上したAUCを示す。
【0313】
【0314】
実施例13.デキサメタゾンの毒性濃度の確認
下記表20の微粒球A-13~A-16に該当するデキサメタゾン微粒球および微粒球A-17~A-22に該当するデキサメタゾンアセテート微粒球は、それぞれ抗炎症性微粒球A-2(実施例1-1)およびA-5(実施例1-2)と実質的に同様な方法で製造するが、ただし、表20に記載された条件により分散相製造条件および連続相使用量を別にして製造した。
【0315】
【0316】
9週齢SD(Sprague-Dawly)ラットに、前記製造されたデキサメタゾンアセテート微粒球またはデキサメタゾン微粒球を投与してデキサメタゾンの毒性濃度を確認した。実験Aでは、デキサメタゾンアセテート微粒球を活性成分として0.3mg/headの用量でラットの皮下に投与し、実験Bでは、デキサメタゾン微粒球を活性成分として1mg/headで投与した。予め計画された時間ごとに0.25~0.5mL血液を採取し、LC-MS/MSを使用して血中デキサメタゾン濃度を測定した。また28日間一週間ごとにラットの体重を測定して、ラットの体重およびデキサメタゾン放出様相を
図18、
図19、表21と表22に示した。
【0317】
【0318】
【0319】
図18、
図19および前記表から確認できるように、実験AのA-17、A-18、A-19、A-20、およびA-21のようにデキサメタゾンの血中濃度が約4ng/mL以上で7日以上維持されるとラットの体重が減る様相を確認した。特に実験Bの高濃度試験でデキサメタゾンの血中濃度が10ng/mLの以上で7日以上維持されるとラットの体重が減少することを確認し、20ng/mL以上で7日以上維持されるとラットの体重が激しく減少したり死亡することを確認した。また実験BのA-16微粒球を確認した時、デキサメタゾン濃度が3ng/mLに維持されると体重の減少を起こさないが、正常的な体重増量が起こらないことを確認した。実験AのA-22微粒球試験群のようにデキサメタゾンの血中濃度は2ng/mL未満に維持された時、ラットの体重減少を起こさず、正常的な増量を示すと見られる。
【国際調査報告】