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特表2024-542118座席、安全ベルト装置、制御方法及び関連デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】座席、安全ベルト装置、制御方法及び関連デバイス
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20241106BHJP
   B60R 21/02 20060101ALI20241106BHJP
   B60R 22/18 20060101ALI20241106BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241106BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60N2/07
B60R21/02
B60R22/18
B60N2/90
B60N2/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526734
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2021129600
(87)【国際公開番号】W WO2023082053
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チンシュエ
(72)【発明者】
【氏名】グ、ジアチアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ユンジ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、イヨン
【テーマコード(参考)】
3B087
3D018
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA04
3B087CD05
3B087DE10
3D018BA12
3D018BA16
3D018CB05
3D018CC00
3D018CD01
(57)【要約】
本願はインテリジェントビークル技術の分野に関し、第1軌道、ここで、第1軌道は車両のコックピットの底部に配置されており、第1分割溝及び第2分割溝を有し、第1分割溝は車両の前後方向に沿って延伸し、第2分割溝は車両の左右方向に沿って延伸し且つ第1分割溝の後端に接続されている;座席本体、ここで、座席本体は第1軌道上に配置されている;及び、第1駆動機構、ここで、第1駆動機構は、第1軌道に沿って移動するように座席本体を駆動するように構成されている、を含む車両の座席を提供する。このようにして、車両の前部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、第1分割溝に沿って後方に移動するように座席本体を駆動し得る。車両の側方部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、衝突が発生する側方部から離れた方向における第2分割溝に沿って移動するように座席本体を駆動し得る。したがって、車両の側方部に衝突が発生したとき、座席本体及び乗客は、衝突位置から離れるように駆動され、これにより、乗客に対する衝突事故によって生じる負傷を低減して、車両における乗客の生命の安全を保証し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軌道、ここで、前記第1軌道は車両のコックピットの底部に配置されており、第1分割溝及び第2分割溝を有し、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている;
座席本体、ここで、前記座席本体は前記第1軌道上に配置されている;及び
第1駆動機構、ここで、前記第1駆動機構は、前記第1軌道に沿って移動するように前記座席本体を駆動するように構成されている
を備える車両の座席。
【請求項2】
前記第2分割溝の左端及び右端は、前記第1分割溝に別個に接続されている、請求項1に記載の車両の座席。
【請求項3】
2つの座席本体が存在する、請求項1又は2に記載の車両の座席。
【請求項4】
安全ベルト;
第2軌道、ここで、前記第2軌道は車両のコックピットの頂部に配置され、第3分割溝及び第4分割溝を有し、前記第3分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第4分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている;及び
第2駆動機構、ここで、前記第2駆動機構は、前記第2軌道に沿って移動するように前記安全ベルトの一端を駆動するように構成されている
を備える安全ベルト装置。
【請求項5】
前記第4分割溝の左端及び右端は、前記第3分割溝に別個に接続されている、請求項4に記載の安全ベルト装置。
【請求項6】
リトラクタ、ここで、前記リトラクタは、固定によって座席本体に配置されており、前記安全ベルトの他端は前記リトラクタに接続されている
をさらに備える、請求項4又は5に記載の安全ベルト装置。
【請求項7】
衝突情報を取得する段階、ここで、前記衝突情報は、車両に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、衝突が車両に発生したかどうかを示す指示情報を含む;及び
前記衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記衝突が前記車両に発生したことを前記指示情報が示すとき、第1制御命令を送信する段階、ここで、前記第1制御命令は、前記車両の座席本体が第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御するのに使用され、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている
を備える制御方法。
【請求項8】
前記衝突情報はさらに、前記車両に前記衝突が発生する予測される衝突位置を含み;
前記衝突位置が前記車両の側方部であるとき、前記第1制御命令は、前記側方部の対応する側における前記座席本体を、前記第1軌道に沿って前記側方部の反対側に移動するように制御するのに具体的に使用される
請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
2つの座席本体が存在し、前記制御方法はさらに:
前記座席本体の乗客着席情報を取得する段階
を備え、
前記第1制御命令は、前記乗客着席情報における乗客が着席した座席本体を、前記第1軌道に沿って移動するように制御するために具体的に使用される
請求項7又は8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記衝突情報はさらに、前記車両が前方の車両と衝突した後に予測される前記車両及び前記前方の車両の間の位置関係を含み;
前記位置関係が、前記車両は前記前方の車両の底部に位置していると示すとき、前記第1制御命令はさらに、高さを低減するように前記座席本体を制御するのに使用される
請求項7から9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記衝突確率が前記第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生したと前記指示情報が示すとき、第2制御命令を送信する段階、ここで、前記第2制御命令は、第2軌道の第3分割溝及び第4分割溝に沿って移動するように安全ベルトの一端を制御するのに使用され、前記第3分割溝は前記車両の前記前後方向に沿って延伸しており、前記第4分割溝は前記車両の前記左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている、をさらに備える
請求項7から10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
コントローラであって、
前記コントローラは、衝突情報を取得し、前記衝突情報は、車両に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、衝突が車両に発生したかどうかを示す指示情報を含む;及び
前記衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記衝突が前記車両に発生したことを前記指示情報が示すとき、前記コントローラは第1制御命令を送信する、ここで、前記第1制御命令は、前記車両の座席本体が第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御するのに使用され、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている
コントローラ。
【請求項13】
前記衝突情報はさらに、前記車両に前記衝突が発生する予測される衝突位置を含み;
前記衝突位置が前記車両の側方部であるとき、前記第1制御命令は、前記側方部の対応する側における前記座席本体を、前記第1軌道に沿って前記側方部の反対側に移動するように制御するのに具体的に使用される
請求項12に記載のコントローラ。
【請求項14】
2つの座席本体が存在し、前記コントローラはさらに、以下の動作、すなわち:
前記座席本体の乗客着席情報を取得する手順
を実行し、
前記第1制御命令は、前記乗客着席情報における乗客が着席した座席本体を、前記第1軌道に沿って移動するように制御するために具体的に使用される
請求項12又は13に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記衝突情報はさらに、前記車両が前方の車両と衝突した後に予測される前記車両及び前記前方の車両の間の位置関係を含み;
前記位置関係が、前記車両は前記前方の車両の底部に位置していると示すとき、前記第1制御命令はさらに、高さを低減するように前記座席本体を制御するのに使用される
請求項12から14のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記コントローラはさらに、以下の動作を実行する:
前記衝突確率が前記第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生したと前記指示情報が示すとき、前記コントローラは第2制御命令を送信する、ここで、前記第2制御命令は、第2軌道の第3分割溝及び第4分割溝に沿って移動するように安全ベルトの一端を制御するのに使用され、前記第3分割溝は前記車両の前記前後方向に沿って延伸しており、前記第4分割溝は前記車両の前記左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている、を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項17】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両の座席を備える、車両。
【請求項18】
請求項4から6のいずれか一項に記載の安全ベルト装置をさらに備える、請求項17に記載の車両。
【請求項19】
プロセッサ及びメモリを備え、ここで、前記メモリはプログラム命令を格納し、前記プログラム命令が前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサは、請求項7から11のいずれか一項に記載の制御方法を実行することが可能になる、コンピューティングデバイス。
【請求項20】
プログラム命令を格納し、ここで、前記プログラム命令がコンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータは、請求項7から11のいずれか一項に記載の制御方法を実行することが可能になる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
プログラム命令を備え、ここで、前記プログラム命令がコンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータは、請求項7から11のいずれか一項に記載の制御方法を実行することが可能になる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、インテリジェントビークル技術の分野、とりわけ、車両の座席、安全ベルト装置、制御方法、及び関連デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上につれて、車両は、便宜的な交通手段として、ますます人々の主要な移動選択肢になっている。したがって、道路を走る車両の数は徐々に増加し、これは、交通安全事故の件数の緩やかな増加を伴う。交通安全管理部の統計によると、交通安全事故の70%は車両衝突事故であり、これは車両内の乗客の生命の安全を著しく脅かす。
【0003】
車両衝突事故を減らすために、一般的なやり方は、車両に、ライダ、ミリ波レーダ及びカメラなどのセンサを設置することである。異なるタイプのセンサの利点を使用することによって、車両本体の周辺の車両又は歩行者などの障害物の距離及び相対的な速度を運転プロセス中にリアルタイムで正確に監視することで、衝突可能性を正確に決定し、衝突事故が発生する前にドライバに警告を送信し、これにより、車両衝突事故を回避するための相応の措置を取るようにドライバにリマインドする。加えて、車両はさらに、運転プロセス中にリアルタイムで前方の車両及び歩行者を監視し得る。緊急な危険が発生した、又は、車両及び前方の車両又は歩行者の間の距離が安全な距離より短いとき、車両は、モバイルデータセンター(Mobile Data Center、MDC)の制御下で能動的にブレーキをかけることで、追突などの衝突事故を回避又は低減し、これにより、車両の走行上の安全が向上する。
【0004】
前述の方法の目的は、衝突事故を低減することである。しかしながら、いくつかの環境において、ドライバが警告を受け取って相応の措置を取った後、又は、車両が能動的にブレーキをかけた後、過度に小さい安全距離又は別の理由によって、衝突事故は依然として車両に対して発生し得、結果的に、車両内の乗客の生命の安全は依然として保証できない。
【発明の概要】
【0005】
本願は、乗客の安全をさらに保証するために、車両の座席、安全ベルト装置、制御方法及び関連デバイスを提供する。
【0006】
本願の第1態様は、第1軌道、ここで、前記第1軌道は車両のコックピットの底部に配置されており、第1分割溝及び第2分割溝を有し、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている;座席本体、ここで、前記座席本体は前記第1軌道上に配置されている;及び、第1駆動機構、ここで、前記第1駆動機構は、前記第1軌道に沿って移動するように前記座席本体を駆動するように構成されている、を備える車両の座席を提供する。
【0007】
このようにして、車両の前部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、第1分割溝に沿って後方に移動するように座席本体を駆動し得る。車両の側方部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、衝突が発生する側方部から離れた方向における第2分割溝に沿って移動するように座席本体を駆動し得る。したがって、車両の前部又は側方部のいずれかに衝突が発生したとき、座席本体及び乗客は衝突位置から離れるように駆動され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0008】
第1態様の可能な実装において、前記第2分割溝の左端及び右端は、前記第1分割溝に別個に接続されている。
【0009】
第2分割溝の左端及び右端は第1分割溝に別個に接続されており、第1分割溝の後端に接続されているので、第2分割溝の一端における第1分割溝から第2分割溝の他端における第1分割溝に移動した後、前向きの座席本体は後ろ向きに変化する。このようにして、座席本体の背もたれ部分は前向きになり得、その結果、座席本体は、車両の前部に衝突が発生したときに乗客に対する保護を提供するのに使用され、これにより、前部衝突によってコックピットに入ってくる異物が乗客への負傷を生じさせることを防止する。
【0010】
第1態様の可能な実装において、2つの座席本体が存在する。このようにして、車両に衝突事故が発生したとき、2つの座席本体上の乗客に対して保護が提供され得る。
【0011】
本願の第2態様は、安全ベルト;第2軌道、ここで、前記第2軌道は車両のコックピットの頂部に配置され、第3分割溝及び第4分割溝を有し、前記第3分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第4分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている;及び、第2駆動機構、ここで、前記第2駆動機構は、前記第2軌道に沿って移動するように前記安全ベルトの一端を駆動するように構成されている、を備える安全ベルト装置を提供する。
【0012】
このようにして、座席本体が第1軌道に沿って移動するとき、第2駆動機構は、安全ベルトの一端が第2軌道に沿って移動するように駆動し得、その結果、安全ベルトは座席本体に乗客を拘束して、これにより、座席本体が移動したときの慣性によって乗客が座席本体から落ちる危険を回避し得る。
【0013】
第2態様の可能な実装において、前記第4分割溝の左端及び右端は、前記第3分割溝に別個に接続されている。
【0014】
このようにして、座席本体が第2分割溝の一端における第1分割溝から第2分割溝の他端における第1分割溝に移動するとき、第2駆動機構はそれに応じて、安全ベルトの一端が座席本体に沿って移動するように駆動し、乗客に対する保護を提供し得る。
【0015】
第2態様の可能な実装において、リトラクタがさらに含まれている。前記リトラクタは、固定によって座席本体に配置されており、前記安全ベルトの他端は前記リトラクタに接続されている。
【0016】
このようにして、座席本体が移動するときに、安全ベルトの他端は座席本体とともに移動し、これにより、乗客に対する安全ベルトの保護効果が向上し得る。
【0017】
第2態様の可能な実装において、第3分割溝は車両の上側の長手方向の梁に配置されており、第4分割溝は、車両の後部横梁に配置されている。このようにして、第2軌道はより堅固且つより安定になり、これにより、乗客に対する保護を提供するときの安全ベルトの信頼性を保証し得る。
【0018】
本願の第3態様は、衝突情報を取得する段階、ここで、前記衝突情報は、車両に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、衝突が車両に発生したかどうかを示す指示情報を含む;及び、前記衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記衝突が前記車両に発生したことを前記指示情報が示すとき、第1制御命令を送信する段階、ここで、前記第1制御命令は、前記車両の座席本体が第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御するのに使用され、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸し、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている、を備える制御方法を提供する。
【0019】
このようにして、衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいと予測されるとき、又は、衝突が車両に発生したと指示情報が示すとき、座席本体は、第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御され得る。したがって、衝突が発生しようとする又は車両の側方部に衝突が発生しているとき、座席本体は、衝突位置から離れるように制御され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0020】
第3態様の可能な実装において、衝突が車両に発生したことを指示情報が示すということは具体的に、車両に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きいと指示情報が示すことを意味する。
【0021】
このようにして、車両に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きく且つ衝突強度が乗客に負傷を生じさせ得ることが検出されたとき、座席本体はさらに、第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御されて、衝突位置から離れるように座席本体を制御し、これにより、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するとともに車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0022】
第3態様の可能な実装において、前記衝突情報はさらに、前記車両に前記衝突が発生する予測される衝突位置を含む。前記衝突位置が前記車両の前記側方部であるとき、前記第1制御命令は、前記衝突の対応する側における座席本体を、前記第1軌道に沿って前記衝突の反対側に移動するように制御するのに具体的に使用される。
【0023】
このようにして、衝突位置が車両の側方部であると予測されるとき、座席本体の移動方向は、予測される衝突位置に基づいて制御され得る。したがって、衝突が発生したとき、座席本体は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、衝突位置から離れるように制御され得る。
【0024】
第3態様の可能な実装において、2つの座席本体が存在し、前記方法はさらに、前記座席本体の乗客着席情報を取得する段階を備える。前記第1制御命令は、前記着席情報における乗客が着席した座席本体を、前記第1軌道に沿って移動するように制御するために具体的に使用される。
【0025】
このようにして、座席本体における乗客が存在するかどうかは着席情報に基づいて決定され得、その結果、乗客が着席した座席本体は移動するように制御され、これにより、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し、衝突中の乗客保護の効率を向上させ得る。
【0026】
第3態様の可能な実装において、衝突位置が車両の前部であり且つ着席情報における2つの座席本体のうち1つに乗客が着席しているとき、第1制御命令は、乗客が着席した座席本体を第1軌道に沿って移動するように制御するのに具体的に使用される。
【0027】
このようにして、車両の前部に衝突事故が発生したとき、乗客が着席した座席本体は、乗客が着席していない座席本体の後側に移動するように制御され得、その結果、乗客が着席していない座席本体は乗客を保護するために使用され得、これにより、衝突によってコックピットに衝突してくる前部の異物が乗客に負傷を生じさせることを防止する。
【0028】
第3態様の可能な実装において、前記衝突情報はさらに、前記車両が前方の車両と衝突した後に予測される前記車両及び前記前方の車両の間の位置関係を含む。前記位置関係が、前記車両は前記前方の車両の底部に位置していると示すとき、前記第1制御命令はさらに、高さを低減するように前記座席本体を制御するのに使用される。
【0029】
このようにして、上記車両が上記前方の車両の底部に位置すると予測されたとき、衝突の後、座席本体は、乗客の高さを低減するために高さを低減するように制御され、これにより、上記前方の車両の後端が上記車両のコックピットに衝突すること及び乗客の負傷を生じさせることを防止し得る。
【0030】
第3態様の可能な実装において、方法はさらに:前記衝突確率が前記第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生したと前記指示情報が示すとき、第2制御命令を送信する段階、ここで、前記第2制御命令は、第2軌道の第3分割溝及び第4分割溝に沿って移動するように安全ベルトの一端を制御するのに使用され、前記第3分割溝は前記車両の前記前後方向に沿って延伸しており、前記第4分割溝は前記車両の前記左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている、を備える。
【0031】
このようにして、座席本体が第1軌道上を移動するとき、安全ベルトの一端は、第2軌道に沿って移動するように制御され、その結果、安全ベルトは、座席本体の移動中に座席本体に乗客を拘束し得、これにより、座席本体が移動するときに慣性によって座席本体から乗客が落ちることを防止する。
【0032】
第3態様の可能な実装において、方法はさらに:衝突確率が第2閾値より大きいとき、第3制御命令を送信する段階、ここで、第3制御命令は、ブレーキをかけるように車両を制御するのに使用される、を含む。
【0033】
このようにして、車両の速度はブレーキをかけるように車両を制御することによって低減され、これにより、衝突事故を回避すること又は衝突事故の重大度を低減することで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0034】
本願の第4態様は、コントローラを提供する:前記コントローラは、衝突情報を取得し、ここで、前記衝突情報は、車両に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、車両に衝突が発生するかどうかを示す指示情報を含む。前記衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生すると前記指示情報が示すとき、前記コントローラは第1制御命令を送信し、ここで、前記第1制御命令は、第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように前記車両の座席本体を制御するのに使用され、前記第1分割溝は前記車両の前後方向に沿って延伸しており、前記第2分割溝は前記車両の左右方向に沿って延伸し且つ前記第1分割溝の後端に接続されている。
【0035】
このようにして、衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいと予測されるとき、又は、衝突が車両に発生したと指示情報が示すとき、座席本体は、第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御され得る。したがって、衝突が発生しようとする又は車両の側方部に衝突が発生しているとき、座席本体は、衝突位置から離れるように制御され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0036】
第4態様の可能な実装において、衝突が車両に発生したことを指示情報が示すということは具体的に、車両に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きいと指示情報が示すことを意味する。
【0037】
このようにして、車両に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きく且つ衝突強度が乗客に負傷を生じさせ得ることが検出されたとき、座席本体はさらに、第1軌道の第1分割溝及び第2分割溝に沿って移動するように制御されて、衝突位置から離れるように座席本体を制御し、これにより、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するとともに車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0038】
第4態様の可能な実装において、前記衝突情報はさらに、前記車両に前記衝突が発生する予測される衝突位置を含む。前記衝突位置が前記車両の側方部であるとき、前記第1制御命令は、前記側方部の対応する側における前記座席本体を、前記第1軌道に沿って前記側方部の反対側に移動するように制御するのに具体的に使用される。
【0039】
このようにして、座席本体の移動方向は、予測される衝突位置に基づいて制御され得る。したがって、衝突が発生したとき、座席本体は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、衝突位置から離れるように制御され得る。
【0040】
第4態様の可能な実装において、2つの座席本体が存在し、前記コントローラはさらに、以下の動作を実行する:前記座席本体の乗客着席情報を取得する。前記第1制御命令は、前記着席情報における乗客が着席した座席本体を、前記第1軌道に沿って移動するように制御するために具体的に使用される。
【0041】
このようにして、座席本体における乗客が存在するかどうかは着席情報に基づいて決定され得、その結果、乗客が着席した座席本体は移動するように制御されて、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し、衝突中の乗客保護の効率を向上させ得る。
【0042】
第4態様の可能な実装において、衝突位置が車両の前部であり且つ着席情報における2つの座席本体のうち1つに乗客が着席しているとき、第1制御命令は、乗客が着席した座席本体を第1軌道に沿って移動するように制御するのに具体的に使用される。
【0043】
このようにして、車両の前部に衝突事故が発生したとき、乗客が着席した座席本体は、乗客が着席していない座席本体の後側に移動するように制御され得、その結果、乗客が着席していない座席本体は乗客を保護するために使用され得、これにより、衝突によってコックピットに衝突してくる前部の異物が乗客に負傷を生じさせることを防止する。
【0044】
第4態様の可能な実装において、前記衝突情報はさらに、前記車両が前方の車両と衝突した後に予測される前記車両及び前記前方の車両の間の位置関係を含む。前記位置関係が、前記車両は前記前方の車両の底部に位置していると示すとき、前記第1制御命令はさらに、高さを低減するように前記座席本体を制御するのに使用される。
【0045】
このようにして、上記車両が上記前方の車両の底部に位置すると予測されたとき、衝突の後、座席本体は、乗客の高さを低減するために高さを低減するように制御され、これにより、上記前方の車両の後端が上記車両のコックピットに衝突すること及び乗客の負傷を生じさせることを防止し得る。
【0046】
第4態様の可能な実装において、前記コントローラはさらに、以下の動作を実行する:前記衝突確率が前記第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生したと前記指示情報が示すとき、前記コントローラは第2制御命令を送信する、ここで、前記第2制御命令は、第2軌道の第3分割溝及び第4分割溝に沿って移動するように安全ベルトの一端を制御するのに使用され、前記第3分割溝は前記車両の前記前後方向に沿って延伸しており、前記第4分割溝は前記車両の前記左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝の後端に接続されている、を備える。
【0047】
このようにして、座席本体が第1軌道上を移動するとき、安全ベルトの一端は、第2軌道に沿って移動するように制御され、その結果、安全ベルトは、座席本体の移動中に座席本体に乗客を拘束し得、これにより、座席本体が移動するときに慣性によって座席本体から乗客が落ちることを防止する。
【0048】
第4態様の可能な実装において、コントローラはさらに、以下を含む:衝突確率が第2閾値より大きいとき、コントローラは第3制御命令を送信する、ここで、第3制御命令は、ブレーキをかけるように車両を制御するのに使用される、を含む。
【0049】
このようにして、車両の速度はブレーキをかけるように車両を制御することによって低減され、これにより、衝突事故を回避すること又は衝突事故の重大度を低減することで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0050】
本願の第5態様は、第1態様における車両の座席の任意の可能な実装を含む車両を提供する。
【0051】
このようにして、車両の前部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、第1分割溝に沿って後方に移動するように座席本体を駆動し得る。車両の側方部で衝突が発生したとき、第1駆動機構は、衝突が発生する側方部から離れた方向における第2分割溝に沿って移動するように座席本体を駆動し得る。したがって、車両の前部又は側方部のいずれかに衝突が発生したとき、座席本体及び乗客は衝突位置から離れるように駆動され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0052】
第5態様の可能な実装において、第2態様における安全ベルト装置の任意の可能な実装がさらに含まれている。
【0053】
このようにして、座席本体が第1軌道に沿って移動するとき、第2駆動機構は、安全ベルトの一端が第2軌道に沿って移動するように駆動し得、その結果、安全ベルトは座席本体に乗客を拘束して、これにより、座席本体が移動したときの慣性によって乗客が座席本体から落ちる危険を回避し得る。
【0054】
本願の第6態様は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピューティングデバイスを提供する。前記メモリはプログラム命令を格納し、前記プログラム命令が前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサは、第3態様における制御方法の任意の可能な実装を実行することが可能になる。
【0055】
本願の第7態様は、プログラム命令を格納したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記プログラム命令がコンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータは、第3態様における制御方法の任意の可能な実装を実行することが可能になる。
【0056】
本願の第8態様は、プログラム命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。プログラム命令がコンピュータによって実行されたとき、コンピュータは、第3態様における制御方法の任意の可能な実装を実行することが可能になる。
【0057】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の(複数の)実施形態の説明においてより簡潔に且つより包括的である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
以下では、添付図面を参照して、本願の特徴、及び、特徴の間の関係をさらに説明する。添付図面は全て例であり、いくつかの特徴は、実際の比率で示されていない。加えて、いくつかの添付図面において、本願の分野における本願に必須でない共通の特徴は省略され得る。代替的に、本願に必須ではない追加の特徴が示されている。添付図面に示される特徴の組み合わせは、本願を限定することを意図するものではない。加えて、本明細書において、同じ参照符号によって参照される内容も同じである。具体的な添付図面は以下のように説明される。
【0059】
図1】本願の実施形態に係る車両の部品間の関係の概略図である。
【0060】
図2図1におけるセンサの分布の概略図である。
【0061】
図3】本願の実施形態に係る座席の構造の概略図である。
【0062】
図4図3における座席本体の移動方式の概略図である。
【0063】
図5図3における座席本体の別の移動方式の概略図である。
【0064】
図6】本願の実施形態に係る安全ベルト装置の部分構造の概略図である。
【0065】
図7】本願の実施形態に係る安全ベルト装置の別の部分構造の概略図である。
【0066】
図8】本願の実施形態に係る第1軌道及び第2軌道の間の位置関係の概略図である。
【0067】
図9】本願の実施形態に係る制御方法の概略フローチャートである。
【0068】
図10】本願の実施形態に係るコントローラの概略図である。
【0069】
図11】本願の実施形態に係る車両の前部に衝突が発生したシナリオの図である。
【0070】
図12】本願の実施形態に係る車両の側方部に衝突が発生したシナリオの図である。
【0071】
図13】本願の実施形態に係る車両の側方部に衝突が発生した別のシナリオの図である。
【0072】
図14a】本願の実施形態に係る車両によって実行される乗客保護方法の部分フローチャートである。
【0073】
図14b】本願の実施形態に係る車両によって実行される乗客保護方法の別の部分フローチャートである。
【0074】
図15】本願の実施形態に係るコンピューティングデバイスの構造の概略図である。
【0075】
[参照符号の説明]
10:車両;110:MDC;120:ACCシステム;130:座席制御システム;140:安全ベルト制御システム;150:空気袋制御システム;160:センサ;161:ライダ;162:ミリ波レーダ;163:カメラ;164:圧力センサ;165:衝突センサ;170:座席;171:第1軌道;171a:第1分割溝;171b:第2分割溝;172:座席本体;173:第1駆動機構;180:安全ベルト装置;181:第2軌道;181a:第3分割溝;181b:第4分割溝;182:安全ベルト;183:第2駆動機構;184:リトラクタ;185:バックル;186:ロックタング;190:コントローラ;20:別の車両;1500:コンピューティングデバイス;1510:プロセッサ;1520:メモリ;1530:通信インタフェース。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本明細書及び請求項において、「第1、第2、及び第3等」という用語は単に、同様の物体を区別するのに使用され、物体の具体的な順序を表すものではない。可能な場合は具体的な順序又はシーケンスは交換され得、その結果、本明細書に説明された本願の実施形態は、本明細書に示された又は説明された順序以外の順序で実装され得ることが理解されよう。
【0077】
以下の説明において、段階を示すS110及びS120などの関連する参照符号は、必ずしも上記段階が順序に基づいて実行されると示すものではなく、連続した段階は、可能な場合に転置され得る又は同時に実行され得る。
【0078】
本明細書及び請求項において使用された「含む(include)」という用語は、以下にリスト化された内容に限定されると解釈されるべきではなく、他の段階を排除するものではない。それは、言及された特徴、全体、段階又は一部の存在を指定するものと解釈されるべきであるが、1又は複数の他の特徴、全体、段階又は一部、及びそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「装置A及び装置Bを含むデバイス」という表現は、単にコンポーネントA及びBを含むデバイスに限定されるべきではない。
【0079】
本明細書において言及される「一実施形態」又は「実施形態」は、実施形態を参照して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書に現れる「一実施形態における」又は「実施形態における」という用語は、必ずしも同じ実施形態を示すものではなく、同じ実施形態を示し得る。さらに、本開示から当業者にとって明確であるように、1又は複数の実施形態において、特定の特徴、構造、又は特性が、任意の適切な方式で組み合わされ得る。
【0080】
車両に衝突が発生したときに車両内の乗客を保護するために、1つの方式は座席移動システムを設置することで、同時に、車両のフロントバンパー及び前部横梁上に1次衝突センサを、エンジンコンパートメント内に2次衝突センサを設置することである。車両がわずかに衝突して1次衝突センサだけをトリガーしたとき、座席移動システムは、座席が予め設定された距離だけ後方に移動するように制御し、ドライバが衝突プロセス全体にわたってステアリングホイールを操作することを可能にする。2次衝突センサがトリガーされたとき、座席移動システムは、座席が後方にフリップするように制御し、その結果、座席上の乗客の体勢は回外に調整され、これにより、乗客を保護し、衝突によって乗客に生じる負傷を低減する。
【0081】
別の方式は、車両の前部及び後部の両方に複数の衝突センサを均等に固定し、全ての座席の下に、反対向きの射出方向の2つのセットの座席射出装置を固定することである。車両の前部にある衝突センサが、車両の前部に衝突事故が発生したことを検出したとき、座席射出装置は、車両の後部に向かって移動するように座席を駆動する。車両の後部にある衝突センサが、車両の後部に衝突事故が発生したことを検出したとき、座席射出装置は、車両の前部に向かって移動するように座席を駆動する。このようにして、乗客は、車両の前側又は後側に衝突事故が発生してときに衝突側から離れた側に移動され、これにより、乗客を保護し、衝突によって乗客に生じる負傷を低減し得る。
【0082】
しかしながら、これらの方式は、車両に発生し得る横方向の衝突の場合は考慮しておらず、単に前部衝突又は後部衝突の場合に対処し得る。車両の側方部に衝突事故が発生したとき、前述の2つの方式のうちいずれも、乗客に対する有効な保護を提供することはできない。
【0083】
本願の実施形態は、さらに乗客を保護するために、車両の座席、安全ベルト装置、制御方法、及び関連デバイスを含む乗客保護解決手段を提供する。
【0084】
まず、乗客保護解決手段が適用された車両10の関連構造が説明される。
【0085】
図1は、本願の実施形態に係る車両10の部品間の関係の概略図である。図1に示されるように、本願の本実施形態において、エンジン又はモータ、車輪、ステアリングホイール、及び速度変換器などの共通コンポーネントに加えて、車両10はさらに、モバイルデータセンター(Mobile Data Center、MDC)110、アダプティブクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control、ACC)システム120、座席制御システム130、安全ベルト制御システム140、空気袋制御システム150、及び、光検出測距(Light Detection And Ranging、lidar)161、無線検出測距(Radio Detection And Ranging、radar)162、カメラ(camera)163、圧力センサ164、及び衝突センサ165などの異なるタイプのセンサ160を含み得る。MDC110は、車両10に展開されたインテリジェントドライビングコンピューティングプラットフォームであり、インテリジェントドライビングに対するコンピューティング能力サポートを提供するように構成されている。ACCシステム120は、インテリジェント自動制御システムである。アンチロックブレーキシステム及びエンジン制御システムとアクションを協調することによって、ACCシステム120は、車輪が適切にブレーキをかけることを可能にし、エンジンの出力動力を低減し、その結果、車両10は、前方の車両10から安全な距離を保つ。座席制御システム130は、座席170を制御するように構成されており、安全ベルト182の制御システム140は、安全ベルト装置180を制御するように構成されており、空気袋制御システム150は、空気袋を制御するように構成されている。
【0086】
図2は、図1におけるセンサ160の分布の概略図である。図2に示されるように、センサ160の分布形態は以下の通りであり得る。ライダ161は、車両10の前側における中間位置、及び、左端及び右端の各々に近い車両10の前側における位置の各々に配置されている。ライダ161は、車両10、及び、車両10の前方における又は車両10の左側又は右側の方向における静的な障害物の間の距離を検出し得る。
【0087】
ミリ波レーダ162は、車両10の前側における中間位置、及び、左端及び右端の各々に近い車両10の前側における位置の各々に配置されている。ミリ波レーダ162は、車両10、及び、車両10の前方における又は車両10の左側又は右側の方向における障害物の間の距離、及び、車両10に対する障害物の速度を検出し得る。
【0088】
3つの前向きカメラ163が、車両10の前部フロントガラスの頂部における位置に配置されている。3つのカメラ163は、中間部、左端及び右端において別個に配置されている。3つのカメラ163は、長距離カメラ、中距離カメラ、及び短距離カメラとして別個に配置され得、車両10の前方の異なる距離における環境を検出するように構成されている。
【0089】
カメラ163は、車両10のキャリッジの頂部の左側及び右側の各々の中間位置の各々に配置されており、車両10の左側及び右側の環境を検出するように構成されている。
【0090】
複数の衝突センサ165は、車両10のフロントバンパー、左及び右のフェンダー、及び左及び右の前部ドアに配置されており、車両10が衝突したかどうか、及び、車両10が衝突したときに生成された衝突強度を検出するように構成されている。
【0091】
圧力センサ164は、車両10の前列における運転席及び助手席の対応する位置における座席170に配置されており、座席170に乗客が着席しているかどうかを検出するように構成されている。座席170に乗客が着席しているかどうかを検出する別の解決手段として、例えば、車載カメラによって収集されたデータを使用することによって、検出が実行され得る。
【0092】
図2に示されたセンサ160の分布形態は、単に説明のための例として使用されており、本願の本実施形態を限定することを意図するものではないことに留意されたい。センサ160は、例えば、異なる数のミリ波レーダ162、カメラ163、及び/又は超音波レーダが車両10の左側及び右側及び後側の適切な位置に配置されている別の分布形態にさらに配置されて、車両10の周辺の環境を検出する能力を向上させ得る。
【0093】
図1に示されるように、車両10は、車両10の周辺の5つの方向(前、後、左、右及び上)において物体を、ライダ161、ミリ波レーダ162及びカメラ163を使用することによってリアルタイムで監視し、監視情報をMDC110に送信し得る。MDC110は、ライダ161、ミリ波レーダ162及びカメラ163などのセンサ160の監視情報に基づいて、衝突確率及び衝突位置を予測し得る。具体的な予測方式は、後続の説明において具体的に説明される。ここでは、詳細を再び説明しない。
【0094】
MDC110は、予測される衝突確率及び衝突位置に基づいてACCシステム120、座席制御システム130、安全ベルト制御システム140及び空気袋制御システム150に制御命令を送信し、車両10、座席170、安全ベルト装置180及び空気袋を制御して、コックピットにおける乗客を保護し得る。
【0095】
以下では、添付図面を参照して、本願の本実施形態における座席170の具体的な構造を詳細に説明する。
【0096】
図3は、本願の本実施形態に係る座席170の構造の概略図である。図3に示されるように、本願の本実施形態における座席170は、第1軌道171、座席本体172及び第1駆動機構173を含む。第1軌道171は車両10のコックピットの底位置(具体的には、フロア上)に配置されており、車両10の前後方向に沿って延伸する第1分割溝171a及び車両10の左右方向に沿って延伸する第2分割溝171bを有する。第2分割溝171bは、第1分割溝171aの後端において第1分割溝171aに接続されている。座席本体172は第1軌道171上に配置されており、第1駆動機構173は、第1軌道171に沿って移動するように座席本体172を駆動するように構成されている。
【0097】
このようにして、車両10の前部で衝突が発生したとき、第1駆動機構173は、第1分割溝171aに沿って後方に移動するように座席本体172を駆動し得る。車両10の側方部に衝突が発生したとき、第1駆動機構173は、第2分割溝171bに沿って左右方向に移動するように座席本体172を駆動して、衝突位置から離れるようにし得る。このようにして、衝突事故によって乗客に生じる負傷が低減し得、車両10内の乗客の生命の安全が保証され得る。
【0098】
図3に示されるように、第2分割溝171bの左端及び右端は1つの第1分割溝171aに別個に接続されており、2つの第1分割溝171a及び1つの第2分割溝171bは、U字形状に配置された第1軌道171を作る。2つの第1分割溝171aの前端はそれぞれ、車両10の運転席及び助手席の対応する位置に延伸しており、第2分割溝171bは、前列(運転席及び助手席)における座席本体172及び後列における座席の間に配置されている。2つの座席本体172が存在し得、これらはそれぞれ、運転席及び助手席の位置に配置されている。座席本体172は、摺動方式で第1軌道171に接続されており、第1軌道171に沿って移動し得る。
【0099】
図4は、図3における座席本体172の移動方式の概略図である。図4に示されるように、2つの座席本体172は、第1軌道171に沿って後方に移動し、その結果、車両10の前部に衝突が発生したとき、座席本体172の乗客は衝突位置から離れて、これにより、衝突によって乗客に生じる負傷を低減し得る。
【0100】
図5は、図3における座席本体172の別の移動方式の概略図である。図5に示されるように、2つの座席本体172において、1つの側における座席本体172は、第1軌道171に沿って、他方側における座席本体172の後側に移動し得る。加えて、第1軌道171はU字形状であるので、座席本体172の向きは、移動前の前向きから移動後の後ろ向きに変化する。このようにして、車両10の側面が衝突されたとき、当該側における座席本体172は他方側に移動され得、その結果、座席本体172における乗客は衝突位置から離れて、これにより、衝突によって乗客に生じる負傷を低減する。代替的に、車両10の前側に衝突が発生し、2つの座席本体172のうち1つにのみ乗客が着席しているとき、座席本体172における乗客は衝突位置から離れた状態を保ち、乗客の背中は衝突位置に向けられており、これにより、衝突によって乗客に生じる負傷をさらに低減する。
【0101】
いくつかの実施形態において、前後方向に沿って延伸する第3軌道(不図示)はさらに、第1分割溝171aの上部に配置され得、第1軌道171を有する二重層軌道構造を形成する。座席本体172は第3軌道上に配置されており、乗客は座席本体172の位置を第3軌道上に調整して、乗客が座席に着席した後に座席本体172の前方の空間のサイズを調整し得る。座席本体172の底位置においえ、座席本体172を駆動させて立ち上げる又は落とすためのリフトメカニズムがさらに配置され得、その結果、乗客は、必要に応じて座席本体172の高さを調整し得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、第1駆動機構173は、第1軌道171に沿って配置されたラック、座席本体172に配置されたモータ、及びモータの回転軸に配置されたギアを含み得る。ギアはラックに係合されており、モータは回転によって座席本体172を駆動させて、第1軌道171に沿って移動し得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、第1駆動機構173は、第1軌道171に沿って配置されたチェーン、及びチェーンに係合されたチェーンホイールを含み得る。チェーンは固定によって座席本体172に接続されており、モータはチェーンホイールを回転するように駆動して、チェーン及び座席本体172が第1軌道171に沿って移動するように駆動する。第1駆動機構173はさらに、第1軌道171に沿って移動するように座席本体172を駆動し得る別の装置によって形成され得る。これは、本明細書において限定されるものではない。
【0104】
以下では、添付図面を参照して、本願の本実施形態における安全ベルト装置180の具体的な構造を詳細に説明する。
【0105】
図6は、本願の本実施形態に係る安全ベルト装置180の部分構造の概略図であり、図7は、本願の本実施形態に係る安全ベルト装置180の別の部分構造の概略図である。図6及び図7に示されるように、本願の本実施形態における安全ベルト装置180は、安全ベルト182、第2軌道181、及び第2駆動機構183を含み得る。
【0106】
第2軌道181は、車両10のコックピットの頂部に配置されており、第3分割溝181a及び第4分割溝181bを有する。第3分割溝181aは車両10の前後方向に沿って延伸しており、第4分割溝181bは車両10の左右方向に沿って延伸し且つ第3分割溝181aの後端に接続されている。第2駆動機構183は、第2軌道181に沿って移動するように安全ベルト182の一端を駆動させるように構成されている。このようにして、座席本体172が第1軌道171に沿って移動するとき、第2駆動機構183は、安全ベルト182の一端が第2軌道181に沿って移動するように駆動し得、その結果、安全ベルト182は座席本体172に乗客を拘束して、これにより、座席本体172が移動したときの慣性によって乗客が座席本体172から落ちる危険を回避し得る。
【0107】
第4分割溝181bの左端及び右端は1つの第3分割溝181aに別個に接続されており、2つの第3分割溝181a及び1つの第4分割溝181bは、U字形状に配置された第2軌道181を作る。第2軌道181の2つの第3分割溝181aはそれぞれ、コックピットの頂部の左側及び右側における上側の長手方向の梁に配置され得、第4分割溝181bは、コックピットの頂部の後部横梁に配置され得、その結果、第2軌道181はよりしっかり、安定的に固定される。
【0108】
第2駆動機構183は、第2軌道181に配置され且つ第2軌道181に摺動方式で接続された移動座席を含み得、安全ベルト182の一端は、固定によって移動座席に配置されている。第2駆動機構183は、移動座席、及び、座席本体172とともに第2軌道181に沿って移動するように安全ベルト182の一端を駆動し得る。具体的な駆動方式についえは、第1駆動機構を参照されたい。これは、本明細書において限定されるものではない。
【0109】
図6に示されるように、安全ベルト装置180はさらに、リトラクタ184、バックル185、及びロックタング186を含み得る。リトラクタ184は座席本体172の側方に配置されており、安全ベルト182の他端はリトラクタ184内に配置されている。リトラクタ184は、安全ベルト182を、安全ベルト182の他端によって巻き取り及び解放し得る。バックル185には、貫通孔が設けられている。貫通孔は安全ベルト182を通過し、その結果、バックル185は、安全ベルト182上に設置され、安全ベルト182に移動可能に接続される。ロックタング186は、座席本体172の他方側に配置されている。バックル185は、ロックタング186内に挿入されるとともにロックタング186に着脱可能に接続され得、その結果、乗客は、座席本体172に拘束され得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、座席本体172が移動したとき、保護のために乗客を座席本体172に拘束するために、安全ベルト182は、安全ベルト182及び固定された乗客の間に接触部を保つ必要がある。
【0111】
図8は、本願の本実施形態に係る第1軌道171及び第2軌道181の間の位置関係の概略図であり、車両10の頂部方向の観点から、第1軌道171及び第2軌道181の間の可能な位置関係を示す。図8に示されるように、第2軌道181は第1軌道171に対して平行に配置されている。具体的には、第1分割溝171aは第3分割溝181aに対して平行であり、第2分割溝171bは第4分割溝181bに対して平行であり、第2軌道181は、第1軌道171よりも車両10の外側に近い。したがって、座席本体172が図4に示された位置に移動するとき、座席本体172の移動距離は、移動座席のそれと同じであり、座席本体172の平均速度は、移動座席のそれと同じく設定され得る。座席本体172が図5に示された位置に移動するとき、移動座席の移動距離は、座席本体172の移動距離より大きく、移動座席の平均速度は、座席本体172の移動速度より大きく設定され得る。
【0112】
要約すると、車両10は、センサ160を使用することによって車両10の周辺の環境を監視し、MDC110は、センサ160の監視データに基づいて衝突事故の確率及び位置を予測する。衝突事故の確率が第2閾値を超えるとき、MDC110は、ACCシステム120に第3制御命令を送信して、ACCシステム120を使用することによって、ブレーキをかけるように車両10を制御し、これにより、衝突によって乗客に生じる負傷を低減し得る。
【0113】
衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しい且つ第1閾値は第2閾値より大きいとき、MDC110は座席制御システム130に第1制御命令を送信し、座席制御システム130を使用することによって、衝突位置から離れた位置に向かって移動するように座席170の座席本体172を制御し、その結果、乗客は衝突位置から離れることができ、これにより、衝突によって乗客に生じる負傷を低減し得る。MDC110はさらに、安全ベルト制御システム140に第2制御命令を送信し、安全ベルト制御システム140を使用することによって、座席本体172に締め付けられてそれと同期して移動するように安全ベルト装置180の安全ベルト182を制御し得、その結果、安全ベルト182は、座席本体172が移動するときに、乗客に対する保護を依然として提供し得る。
【0114】
衝突が発生した後、衝突センサ165は、車両10に発生した衝突の衝突強度を検出し、当該衝突強度をMDC110に送信し得る。衝突強度が指定された強度閾値を超えるとき、MDC110は空気袋制御システム150に第4制御命令を送信し、空気袋制御システム150を使用することによって、空気袋が開放されるように制御して、乗客に対する保護を提供するとともに衝突によって乗客に生じる負傷を低減する。
【0115】
以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態において提供された制御方法100を説明する。
【0116】
図9は、本願の本実施形態に係る制御方法100の概略フローチャートである。制御方法100は、車両10、MDC110、車載電子装置、又は車載コンピュータ等によって実行され得、又は、車載電子装置又は車載コンピュータなどの装置のチップ又はプロセッサによって実行され得る。図9に示されるように、本願の本実施形態における制御方法100の手順は、以下の段階を含み得る。
【0117】
段階S110:衝突情報を取得する段階、ここで、衝突情報は、車両10に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、車両10に衝突が発生するかどうかを示す指示情報を含む。
【0118】
段階S120:衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しい又は衝突が車両10に発生したと指示情報が示すとき、第1制御命令を送信する段階、ここで、第1制御命令は、第1軌道171の第1分割溝171a及び第2分割溝171bに沿って移動するように車両10の座席本体172を制御するのに使用される。
【0119】
このようにして、衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいと予測されるとき、又は、衝突が車両10に発生したと指示情報が示すとき、座席本体172は、第1軌道171の第1分割溝171a及び第2分割溝171bに沿って移動するように制御され得る。第1分割溝171aは車両10の前後方向に沿って延伸し、第2分割溝171bは車両10の左右方向に沿って延伸するので、衝突が発生しようとしている又は車両10の側方部に衝突が発生しているとき、座席本体172は、衝突位置から離れるように制御され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0120】
具体的には、衝突が車両10の側方部に発生したとき、例えば、座席本体172は、第1分割溝171aに沿って第2分割溝171bに移動して、左右方向における座席本体172の位置を調整するように制御され、その結果、座席本体172は、衝突が発生する側の位置から離れるようになり得る。
【0121】
代替的に、第2分割溝171bの2つの端部の各々が1つの第1分割溝171aに接続されているとき、座席本体172は、第2分割溝171bを通じて第1分割溝171aに沿って、他方側における第1分割溝171aに移動するように制御される。このようにして、座席本体172は衝突位置から離れるように制御されている一方、座席本体172は移動前の前向きから後ろ向きに変化し得、その結果、乗客の脚部は後ろ向きになり、衝突位置から離れる。
【0122】
さらに代替的に、車両10の前部に衝突が発生したとき、座席本体172は、第2分割溝171bを通じて第1分割溝171aに沿って、他方側における第1分割溝171aに移動するように制御される。このようにして、座席本体172は衝突位置から離れるように制御される一方、座席本体172は移動前の前向きから後ろ向きに変化され得、その結果、座席本体は乗客に対する保護を提供するのに使用され得、これにより、前部衝突によって車両10のコックピットに入ってくる異物が乗客への負傷を生じさせることを防止する。
【0123】
いくつかの実施形態において、衝突が車両10に発生したことを指示情報が示すということは具体的に、車両に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きいと指示情報が示すことを意味する。
【0124】
このようにして、車両10に発生している衝突の衝突強度が第1強度閾値より大きく且つ衝突強度が乗客に負傷を生じさせ得ることが検出されたとき、座席本体172は、第1軌道171の第1分割溝171a及び第2分割溝171bに沿って移動するように制御されて、衝突位置から離れるように座席本体172を制御し、これにより、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するとともに車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、衝突情報はさらに、車両10に衝突が発生する予測される衝突位置を含む。前記衝突位置が前記車両10の前記側方部であるとき、前記第1制御命令は、前記衝突の対応する側における座席本体172を、前記第1軌道171に沿って前記衝突の反対側に移動するように制御するのに具体的に使用される。例えば、衝突位置が車両10の左側であるとき、左側(運転席)における座席本体172は、第1軌道171に沿って、右側(助手席)における座席本体172の後側に移動するように制御される。
【0126】
このようにして、衝突位置が車両10の側方部であると予測されるとき、座席本体172の移動方向は、予測される衝突位置に基づいて制御され得る。したがって、衝突が発生したとき、座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、衝突位置から離れるように制御され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、2つの座席本体172が存在するとき、制御方法100はさらに:座席本体172の乗客着席情報を取得する段階を含む。第1制御命令は、着席情報における乗客が着席した座席本体172を、第1軌道171に沿って移動するように制御するために具体的に使用される。
【0128】
このようにして、座席本体172における乗客が存在するかどうかは着席情報に基づいて決定され得、その結果、乗客が着席した座席本体172は移動するように制御されて、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し、衝突中の乗客保護の効率を向上させ得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、衝突位置が車両10の前部であり且つ着席情報における2つの座席本体172のうち1つに乗客が着席しているとき、第1制御命令は、乗客が着席した座席本体172を第1軌道171に沿って移動するように制御するのに具体的に使用される。
【0130】
このようにして、車両10の前部に衝突事故が発生したとき、乗客が着席した座席本体172は、乗客が着席していない座席本体172の後側に移動するように制御され得、その結果、乗客が着席していない座席本体172は乗客を保護するために使用され得、これにより、衝突によってコックピットに衝突してくる前部の異物が乗客に負傷を生じさせることを防止する。
【0131】
いくつかの実施形態において、車両10が前方の車両と衝突した後、衝突情報はさらに、上記車両10及び上記前方の車両の間の予測される位置関係を含む。前記位置関係が、前記車両10は前記前方の車両の底部に位置していると示すとき、前記第1制御命令はさらに、高さを低減するように前記座席本体172を制御するのに使用される。
【0132】
このようにして、上記車両10が上記前方の車両の底部に位置すると予測されたとき、衝突の後、座席本体172は、乗客の高さを低減するために高さを低減するように制御され、これにより、上記前方の車両の後端が上記車両10のコックピットに衝突すること及び乗客の負傷を生じさせることを防止し得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記衝突確率が前記第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、又は、前記車両に前記衝突が発生したと前記指示情報が示すとき、前記制御方法100はさらに:第2制御命令を送信する段階、ここで、前記第2制御命令は、第2軌道181の第3分割溝181a及び第4分割溝181bに沿って移動するように安全ベルト182の一端を制御するのに使用され、前記第3分割溝181aは前記車両10の前記前後方向に沿って延伸しており、前記第4分割溝181bは前記車両10の前記左右方向に沿って延伸し且つ前記第3分割溝181aの後端に接続されている、を含む。
【0134】
このようにして、座席本体172が第1軌道171上を移動するとき、安全ベルト182の一端は、第2軌道181に沿って移動するように制御され、その結果、安全ベルト182は、座席本体172の移動中に座席本体172に乗客を拘束し得、これにより、座席本体172が移動するときに慣性によって座席本体172から乗客が落ちることを防止する。
【0135】
いくつかの実施形態において、第2制御命令はさらに、安全ベルト182を、締め付けられるように制御するのに使用される。
【0136】
このようにして、安全ベルト182は、乗客を座席本体172に拘束するように締め付け得、これにより、乗客が座席から落ちることを防止して、危険を回避する。
【0137】
いくつかの実施形態において、制御方法100はさらに:衝突確率が第2閾値より大きいとき、第3制御命令を送信する段階、ここで、第3制御命令は、ブレーキをかけるように車両10を制御するのに使用される、を含む。
【0138】
このようにして、車両10の速度はブレーキをかけるように車両10を制御することによって低減され、これにより、衝突事故を回避すること又は衝突事故の重大度を低減することで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0139】
以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態におけるコントローラを詳細に説明する。
【0140】
図10は、本願の本実施形態に係るコントローラ190の概略図である。図10に示されるように、本願の本実施形態におけるコントローラ190は、以下を含む:コントローラ190は、衝突情報を取得し、ここで、衝突情報は、車両10に衝突が発生する予測される衝突確率、又は、車両10に衝突が発生するかどうかを示す指示情報を含む。衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しい又は衝突が車両10に発生したと指示情報が示すとき、コントローラ190は第1制御命令を送信し、ここで、第1制御命令は、第1軌道171の第1分割溝171a及び第2分割溝171bに沿って移動するように車両10の座席本体172を制御するのに使用される。
【0141】
このようにして、衝突確率が第1閾値より大きい又はそれに等しいと予測されるとき、又は、衝突が車両に発生したと指示情報が示すとき、座席本体172は、第1軌道171の第1分割溝171a及び第2分割溝171bに沿って移動するように制御され得る。したがって、衝突が発生しようとする又は車両10の側方部に衝突が発生しているとき、座席本体172は、衝突位置から離れるように制御され、これにより、衝突事故によって乗客に生じる負傷を低減して、車両内の乗客の生命の安全を保証し得る。
【0142】
コントローラ190の機能は、プログラム(ソフトウェア)を実行することによってプロセッサにより実装され得る。加えて、上記機能は、大規模集積回路(Large Scale Integrated Circuit、LSI)及び特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)などのハードウェアを使用することによって実装され得、又は、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせを使用することによって実装され得る。
【0143】
本実施形態においてコントローラ190を使用することによって、図8を参照して説明された実施形態のそれと同じ技術的効果が得られ得る。ここでは、詳細を再び説明しない。
【0144】
具体的なシナリオを参照して、以下では、本願の実施形態においてさらに提供された乗客保護方法を説明する。
【0145】
図11は、本願の本実施形態に係る車両10の前部に衝突が発生したシナリオの図であり、車両10の前部に衝突が発生した可能なシナリオを提供する。図11に示されるように、車両10は、別の車両20を追従して道路を走行している。歩行者に譲ることによって別の車両20が急ブレーキをかけたとき、車両10及び別の車両20の間の過度に近い距離によって、車両10の前部及び前方の別の車両20の間に衝突事故が発生し得る。
【0146】
図12は、本願の本実施形態に係る車両10の側方部に衝突が発生したシナリオの図であり、運転プロセスにおいて車両10の側方部に衝突が発生した可能なシナリオを提供する。図12に示されるように、車両10は、道路をまっすぐ走行する。交通信号なしで車両10が交差点を通過するとき、別の車両20は、交差点の左入口から交差点に走行し、車両10と同じ方向において走行するように、左折する。車両10も別の車両20もブレーキをかける又は曲がることによって互いに回避しない場合、別の車両20は車両10の側方部における位置と衝突し、これにより、衝突事故を生じさせ得る。
【0147】
図13は、本願の本実施形態に係る車両10の側方部に衝突が発生した別のシナリオの図であり、車両10が路側駐車スペースに駐車されたときに車両10の側方部に衝突が発生した可能なシナリオを提供する。図13に示されるように、車両10は、路側駐車スペースに駐車されている。この道路セクションを通過するとき、別の車両20は、前方に突然現れて道路を渡る歩行者に遭遇する。歩行者を回避するために、別の車両20は、レーンを変化するべく緊急に曲がる。しかしながら、別の車両20は、曲がるときに過度な荷重によって横転し、車両10の側方部における位置に衝突する又は横転し、これにより、衝突事故を生じさせ得る。
【0148】
図14aは、本願の本実施形態に係る車両10によって実行される乗客保護方法のn部分フローチャートであり、図14bは、本願の本実施形態に係る車両10におって実行される乗客保護方法の別の部分フローチャートである。図14a及び図14bに示されるように、車両10における乗客を保護し、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、本願の本実施形態における乗客保護方法の具体的な手順は、以下の段階を含む。
【0149】
段階S201:乗客着席情報を取得する。
【0150】
乗客が座席に着席するとき、座席170に位置した圧力センサ164は、座席170の圧力の変化に基づいて、乗客が座席に着席したかどうかを検出し得る。加えて、圧力センサ164はさらに、乗客着席情報をMDC110に送信し得る。
【0151】
段階S202:車両10の周辺の環境の監視情報を取得する。
【0152】
車両10は、車両10の異なる位置に配置されたライダ161、ミリ波レーダ162、及びカメラ163などのセンサ160を使用することによって車両10の周辺の環境を検出し、検出されたデータをMDC110に送信し得る。
【0153】
段階S203:衝突確率及び衝突位置を予測する。
【0154】
MDC110は、センサ160によって検出されたデータを処理して、車両10及び別の車両20の間の距離L、及び、車両10及び別の車両20の間の相対的速度Vを決定し得る。MDC110はさらに、道路表面の摩擦力及び車両10のブレーキ性能に基づいて、車両10の速度が100km/hのときの制動距離Sを決定し得る。このようにして、MDC110は、以下を導出し得る。安全な制動距離
【数1】
、及び車両10が別の車両20と衝突する確率
【数2】
【0155】
加えて、MDC110はさらに、車両10及び別の車両20の走行方向及び位置に基づいて、車両10が別の車両20と衝突するときの衝突位置を決定し得る。衝突位置は、車両10の前部又は左側部分又は右側部分であり得る。
【0156】
MDC110はさらに、別の車両20の形状及び他のデータに基づいて、車両10が別の車両20と衝突した後の車両10及び別の車両20の間の位置関係を決定し得る。例えば、車両10が前方の別の車両20に追突し、別の車両20がセメントタンカ又はトラックなどの比較的に高いシャーシを有する車両モデルであるとき、車両10は、衝突の後、別の車両20の下方に位置し得る。さらに代替的に、別の車両20が自転車であるとき、車両10は、別の車両20の上方に位置し得る。
【0157】
段階S204:衝突確率が第1閾値より大きいか又はそれに等しいかを決定する。
【0158】
車両10が別の車両20t衝突する確率Hが第1閾値より大きい又はそれに等しいとき、例えば、60%より大きい又はそれに等しいとき、MDC110は、衝突事故が乗客に負傷を生じさせ得ると決定し得、その結果、座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、移動するように制御される必要がある。
【0159】
車両10が別の車両20と衝突する確率Hが第2閾値より大きく(例えば、5%又は10%より大きい)且つ第1閾値より小さいとき、MDC110は、衝突事故が乗客に負傷を生じさせない可能性があり、その結果、座席本体172は移動する必要がないと決定し得る。
【0160】
段階S205:衝突位置が車両10の前部であるかどうかを決定する。
【0161】
衝突位置が車両10の前部であるとき、座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、後方に移動するように制御される必要がある。
【0162】
衝突位置が左/右側であるとき、座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、反対側に向かって移動するように制御される必要がある。
【0163】
段階S206:助手席の位置における座席本体172に乗客がいるかどうかを決定する。
【0164】
乗客着席情報において運転席及び助手席の両方の位置における座席本体172に乗客が着席しているとき、運転席及び助手席の両方の位置における座席本体172は同時に移動して、運転席及び助手席の位置において衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するように制御される必要がある。
【0165】
乗客着席情報において運転席の位置における座席本体172にのみ乗客が着席しているとき、運転席の位置において衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、運転席の位置において座席本体172のみが移動するように制御される必要がある。
【0166】
段階S207:運転席及び助手席の座席本体172を後方に移動するように制御する。
【0167】
乗客着席情報において運転席及び助手席の両方の位置における座席本体172に乗客が着席しているとき、MDC110は、座席制御システム130を使用することによって、運転席及び助手席の位置における座席本体172が第1軌道171の第1分割溝171aに沿って同時に後方に移動するように制御し得、その結果、運転席及び助手席の位置における乗客は衝突位置から離れ得、これにより、運転席及び助手席の位置における乗客に対する車両10の前部における衝突事故によって生じた負傷を低減する。
【0168】
段階S208:運転席の座席本体172を、助手席の座席本体172の後側に移動するように制御する。
【0169】
乗客着席情報において運転席の位置における座席本体172のみに乗客が着席しているとき、MDC110は、座席制御システム130を使用することによって、運転席の位置における座席本体172を、第1軌道171に沿って助手席の位置における座席本体172の後側に移動するように制御し得る。このようにして、運転席の位置において乗客は衝突位置から離れ得、助手席の位置における座席本体172は乗客に対する保護を提供するのに使用され、これにより、運転席の位置において乗客に対する車両10の前側における衝突事故によって生じる負傷を低減し得る。加えて、運転席の位置における座席本体172が第1軌道171に沿って助手席の位置における座席本体172の後側に移動した後、運転席の位置における座席本体172は、移動前の車両10の前部に面した状態から、助手席の位置における座席本体172の後側への移動後の車両10の後部に面した状態に変化する。このようにして、車両10の前側に衝突が発生したとき、運転席及び助手席の座席本体172は、乗客に対する保護を提供するのに使用され、これにより、運転席の位置において衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0170】
段階S209:衝突位置が車両10の左側であるか又は右側であるかを決定する。
【0171】
衝突位置が左側であるとき、運転席の位置における座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、車両10の右側に向かって移動するように制御される。衝突位置が車両10の右側であるとき、助手席の位置における座席本体172は、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減するために、車両10の右側に向かって移動するように制御される。
【0172】
段階S210:運転席の座席本体172は、助手席の座席本体172の後側に移動する。
【0173】
衝突位置が左側であるとき、運転席の位置における座席本体172は、助手席の座席本体172の後側に移動するように制御され、その結果、乗客は衝突位置から離れた状態を保ち、座席本体172における乗客の脚部は後ろ向きであることで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0174】
段階S211:助手席の座席本体172は、運転席の座席本体172の後側に移動する。
【0175】
衝突位置が左側であるとき、運転席の位置における座席本体172は、助手席の座席本体172の後側に移動するように制御され、その結果、乗客は衝突位置から離れた状態を保ち、座席本体172における乗客の脚部は後ろ向きであることで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0176】
段階S212:車両10を引き継ぐ。
【0177】
車両10及び別の車両20の間で衝突が発生する衝突確率が第2閾値(第2閾値は、第1閾値より小さく設定され得る)より大きいと予測されるとき、MDC110はさらに、車両10を引き継ぎ、ステアリングホイールをロックし、ACCシステム120を使用することによって車両10がブレーキをかけるように制御することで、衝突によって乗客に生じる負傷を低減し得る。
【0178】
MDC110はまた、ダブルフラッシュをオンにして、距離を保つように後方の車両にリマインドし得、クラクションを鳴らしハイビームを点滅させることで、前方の車両が加速すること又は後方の車両が注意を払うことを促し得る。
【0179】
段階S213:衝突強度情報を取得する。
【0180】
車両10が別の車両20と衝突した後、衝突センサ165はMDC110に衝突強度情報を送信し得、MDC110は、衝突強度情報に基づいて、空気袋を開放するかどうかを決定し得る。
【0181】
段階S214:衝突強度が第2強度閾値より大きいかどうかを決定する。
【0182】
衝突強度が第2強度閾値より大きいとき、衝突強度は比較的に高い。衝突事故は、乗客に対して負傷を生じさせ得、空気袋が開放される必要がある。
【0183】
衝突強度が第2強度閾値より小さい又はそれに等しいとき、衝突強度は比較的に小さい。衝突事故は、乗客に対して負傷を生じさせない可能性があり、空気袋は開放される必要がない。
【0184】
段階S215:空気袋を開放する。
【0185】
衝突強度が第3閾値より大きいとき、MDC110は、空気袋制御システム150を使用することによって、空気袋が開放されるように制御して、乗客に対する保護を提供することで、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0186】
段階S216:車両10が別の車両20の底部に位置しているかどうかを決定する。
【0187】
車両10は、位置関係において別の車両20の底部に位置する。例えば、別の車両20がトラック又はコンクリートタンクトラックであるとき、別の車両20の前側のシャーシが比較的に高いので、車両10は、別の車両20の後端と衝突した後、別の車両20の底部に衝突し得る。したがって、別の車両20の後端は、より高い位置においてコックピットに衝突し得る。これは、コックピットにおける乗客に負傷を生じさせ得る。
【0188】
段階S217:座席本体172の高さを低減する。
【0189】
衝突後に車両10が別の車両20の底部に位置すると予測されるとき、MDC110は、座席制御システム130を使用することによって、高さを低減するように座席本体172を制御して、別の車両20の後端が車両10のコックピットに衝突した後、乗客に対して生じる負傷を低減し得る。
【0190】
いくつかの実施形態において、環境の影響、又はデバイスの障害等によって、予測される衝突確率が第1閾値より小さい又はそれに等しいとき、MDC110は、座席本体172を移動するように制御しない。しかしながら、同時に、衝突センサ165は、衝突事故が車両10に発生したことを検出する。衝突強度が第1強度閾値より大きいとき、MDC110は、衝突位置から離れた位置に移動するように座席本体172を制御して、衝突事故によって乗客に対して生じる負傷を低減する。
【0191】
図15は、本願の実施形態に係るコンピューティングデバイス1500の構造の概略図である。コンピューティングデバイス1500は、プロセッサ1510、メモリ1520、及び通信インタフェース1530を含む。
【0192】
図15に示されたコンピューティングデバイス1500における通信インタフェース1530は、別のデバイスと通信するように構成され得ることを理解されたい。
【0193】
プロセッサ1510は、メモリ1520に接続され得る。メモリ1520は、プログラムコード及びデータを格納するように構成され得る。したがって、メモリ1520は、プロセッサ1510における記憶ユニット、プロセッサ1510から独立した外部ストレージユニット、又は、プロセッサ1510における記憶ユニット及びプロセッサ1510から独立した外部ストレージユニットを含むコンポーネントであり得る。
【0194】
本願の本実施形態において、プロセッサ1510は、中央演算処理装置(central processing unit、CPU)であり得ることを理解されたい。プロセッサは代替的に、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、又は別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、又はディスクリートハードウェアコンポーネントであり得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよく、又は、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ等であってよい。代替的に、プロセッサ1510は、関連プログラムを実行することで本願の実施形態において提供された技術的解決手段を実装するために、1又は複数の集積回路を使用する。
【0195】
メモリ1520は、リードオンリメモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサ1510に命令及びデータを提供し得る。プロセッサ1510の一部はさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリを含み得る。例えば、プロセッサ1510はさらに、デバイスタイプの情報を格納し得る。
【0196】
コンピューティングデバイス1500が実行されるとき、プロセッサ1510は、メモリ1520内のコンピュータ実行可能命令を実行して、前述の方法の動作の段階を実行する。
【0197】
本願の本実施形態に係るコンピューティングデバイス1500は、本願の実施形態に係る方法の対応する実行本体に対応し得ることを理解されたい。加えて、コンピューティングデバイス1500におけるモジュールの前述及び他の動作及び/又は機能はそれぞれ、実施形態における対応する手順の方法を実装することを意図する。簡潔にするために、ここでは、詳細を再び説明しない。
【0198】
当業者であれば、本明細書に開示された実施形態に説明された例と組み合わせて、ユニット及びアルゴリズムの段階が、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェア及び電子ハードウェアの組み合わせによって実装され得ることを認識し得る。これらの機能がハードウェア又はソフトウェアのどちらで実行されるかは、技術的解決手段の具体的な用途及び設計上の制約で決まる。当業者であれば、説明された機能を具体的な用途ごとに実装するのに異なる方法を用い得るが、当該実装が本願の範囲を超えるとみなされるべきではない。
【0199】
当業者は、便宜的かつ簡潔な説明の目的のために、前述のシステム、装置、及びユニットの詳細な動作プロセスについて、前述の方法の実施形態の対応するプロセスを参照し、詳細は本明細書では再度説明しないことを明確に理解し得る。
【0200】
本願において提供されたいくつかの実施形態において、開示されたシステム、装置、及び方法は、他の方式で実装されてよいことを理解されたい。例えば、説明される装置の実施形態は単に例である。例えば、複数のユニットへの分割は論理的な機能分割に過ぎず、実際の実装では他の分割であってよい。例えば、複数のユニット又はコンポーネントが、別のシステムへ組み合わされ、又は統合されてよく、又は、いくつかの特徴が、無視されてよく、又は実行されなくてよい。さらに、表示又は説明された相互連結又は直接的連結又は通信接続は、いくつかのインタフェースを通じて実装されてよい。装置間又はユニット間の間接的連結又は通信接続は、電子的、機械的又は他の形態で実装され得る。
【0201】
別個の部分として説明されたユニットは、物理的に別個であっても、そうでなくてもよい。又は、ユニットとして表示された部分は、物理的ユニットであっても、そうでなくてもよく、一か所に位置してよく、又は、複数のネットワークユニットにおいて分散されてよい。ユニットの全て又は一部は、実施形態の解決手段の目的を実現するために、実際の要件に基づいて選択され得る。
【0202】
加えて、本願の実施形態における機能ユニットが1つの処理ユニットに統合されてもよく、ユニットの各々が物理的に単独で存在してもよいし、又は、2つ又はそれより多くのユニットが1つのユニットに統合される。
【0203】
これらの機能がソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売又は使用されるとき、これらの機能は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。そのような理解に基づいて、本願の技術的解決手段は本質的に、又は従来技術に寄与する部分が、又はこれらの技術的解決手段のうちのいくつかが、ソフトウェア製品の形態で実装され得る。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納されており、本願の実施形態において説明された方法の段階の全て又はいくつかを実行するようコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスであってよい)に命令するためのいくつかの命令を含む。記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、リードオンリメモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又はコンパクトディスクなど、プログラムコードを格納し得るあらゆる媒体を含む。
【0204】
本願の実施形態はさらに、コンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。プロセッサによって実行されたとき、プログラムは、多様化された課題生成方法を実行するのに使用される。方法は、前述の実施形態において説明された解決手段のうち少なくとも1つを含む。
【0205】
本願の本実施形態に係るコンピュータ記憶媒体は、1又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせであり得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であってよい。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、限定されるものではないが、電気、磁気、光、電磁、赤外線又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、又は、それらの任意の組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)は、1又は複数のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、又は、それらの任意の適切な組み合わせを含む。本明細書において、コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムを含む又は格納する任意の有形媒体であり得、プログラムは、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はそれと組み合わせて使用され得る。
【0206】
コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンドにおいて又はキャリアの一部として伝播されるデータ信号を含み得、ここで、データ信号は、コンピュータ可読プログラムコードを保持する。伝播されたデータ信号は、限定されるものではないが、電磁信号、光信号、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含む複数の形態であり得る。コンピュータ可読信号媒体は代替的に、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はそれと組み合わせて使用されるプログラムを送信、伝播、又は伝送し得る。
【0207】
コンピュータ可読媒体に含まれたプログラムコードは、限定されるものではないが、Wi-Fi(登録商標)、ワイヤ、光ケーブル、及びRF等、又は、それらの任意の適切な組み合わせを含む任意の適切な媒体を使用することによって伝送され得る。
【0208】
本願における動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、1又は複数のプログラミング言語又はそれらの組み合わせで記述され得る。プログラミング言語は、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)及びC++などのオブジェクト指向プログラミング言語を含み、「C」言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語をも含む。プログラムコードは、ユーザコンピュータ上で完全に実行され得るか、又は、一部がユーザコンピュータ上で別個のソフトウェアパッケージとして実行され得るか、又は、一部がユーザコンピュータ上で実行され得る一方、一部がリモートコンピュータ上で実行されるか、又は、コードはリモートコンピュータ又はサーバ上で完全に実行され得る。リモートコンピュータが関連するとき、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザコンピュータに接続され得、又は、外部コンピュータに接続され得る(例えば、インターネットを通じてインターネットサービスプロバイダを使用することによって接続される)。
【0209】
前述の事項は単に本願の例示的な実施形態及び技術的原理であることに留意されたい。当業者であれば、本願は、ここで説明された具体的な実施形態に限定されるものではないことを理解し得、当業者は、本願の保護範囲から逸脱することなく様々な明白な変更、再調整、及び、置換を行い得る。したがって、本願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されるが、本願は前述の実施形態に限定されるものではない。本願の概念から逸脱することなく、より多くの他の同等の実施形態が含まれ得、全て本願の保護範囲に含まれる。
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【国際調査報告】