(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】カチオン性セルロースおよびシリコーン化合物を含む抗ふけ毛髪組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20241106BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q5/00
A61K8/89
A61K8/892
A61K8/891
A61K8/898
A61K8/46
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024526825
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022079820
(87)【国際公開番号】W WO2023083609
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/129512
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アオ,ミンキ
(72)【発明者】
【氏名】レ,インイ
(72)【発明者】
【氏名】ピ,インイン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB111
4C083AB332
4C083AC122
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC931
4C083AC932
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB05
4C083CC31
4C083CC38
4C083EE06
4C083EE23
(57)【要約】
i)アニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤と;ii)カチオン性セルロースと;iii)50~450nmの平均粒径を有するシリコーン化合物とを含む毛髪ケア組成物であって、前記シリコーン化合物の量とカチオン性セルロースの量の重量比が4.3:1~10:1である、毛髪ケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)アニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤と;
ii)カチオン性セルロースと;
iii)50~450nmの平均粒径を有するシリコーン化合物と
を含む毛髪ケア組成物であって、
前記シリコーン化合物の量と前記カチオン性セルロースの量の重量比が4.3:1~10:1である、毛髪ケア組成物。
【請求項2】
前記カチオン性セルロースがポリクオタニウム10である、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項3】
前記シリコーン化合物が、ジメチコノール、ジメチコン、アモジメチコン、これらの誘導体または混合物を含み、好ましくはジメチコノール、ジメチコン、これらの誘導体または混合物を含み、より好ましくはジメチコノールを含む、請求項1または2に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項4】
組成物の0.2~1重量%、好ましくは0.3~1重量%、より好ましくは0.3~0.6重量%の前記カチオン性セルロースを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項5】
組成物の0.5~5重量%、好ましくは1~3重量%、より好ましくは1.3~2.5重量%の前記シリコーンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項6】
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、アゾール系抗真菌剤、硫化セレンおよびこれらの混合物から選択される抗ふけ剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項7】
組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~2重量%、最も好ましくは0.2~1.5重量%の前記抗ふけ剤を含む、請求項6に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤が、3未満のエトキシ化度を有するエトキシ化アルキル硫酸塩、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、請求項1から7のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項9】
カチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項10】
カチオン性グアーポリマー、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含む、請求項9に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項11】
両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくはアルキルアミドプロピルベタインの1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項12】
シャンプーである、請求項1から11のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項13】
毛髪または頭皮を処置する方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を前記毛髪または頭皮に施用するステップを含む方法。
【請求項14】
油分制御感覚をもたらす方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の毛髪ケア組成物を個体の毛髪または頭皮表面に施用し、引き続いて前記表面を水ですすぐステップを含む方法。
【請求項15】
毛髪または頭皮上に油分制御感覚をもたらすのに使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪ケア組成物、より詳細には、カチオン性セルロースと、小型シリコーン化合物とを含む毛髪ケア組成物に関する。本発明はまた、毛髪または頭皮への局所施用中に油分制御感覚をもたらす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪ケア組成物は、洗浄もしくはコンディショニングの利益またはその2つの組み合わせなどの特定の目的のために配合される。好ましい毛髪ケア組成物は、単純な洗浄およびコンディショニングよりも多くの利益を提供する。このような組成物は、典型的には、毛髪および頭皮から望ましくない汚れ、粒子および脂肪物質を洗浄するのを一般的に補助する1種または複数の洗浄界面活性剤を含む。
【0003】
頭皮毛髪は、周囲環境との接触および毛包から分泌される皮脂によって汚れる。皮脂の蓄積および環境汚染は、毛髪に汚れたまたは脂っぽい感触、および魅力的でない外観を与える可能性がある。これらの効果を改善するためには、毛髪を定期的にシャンプーすることが必要である。皮脂は、頭皮に自然に存在するが、脂っぽい毛髪との関連、または脂漏性皮膚炎などのより重篤な状態との示唆される関連を通して、美容および健康の負の指標として見られることが多い。
【0004】
ふけ制御は、毛髪洗浄およびケアの重要な側面である。抗ふけ利益は、シャンプーおよびヘアコンディショナーを含む毛髪ケア組成物を通して提供されている。ふけは、世界中で多くの人々に影響を与える問題である。この状態は、頭皮からの死んだ皮膚細胞の凝集塊の脱落によって現れる。これらは色が白で、審美的に不快な外観を提供する。ふけに寄与する因子は、マラセチア属(Malassezia)酵母のある特定のメンバーである。これらに対抗するために、抗ふけ製品には、抗真菌活性を有する一定の抗ふけ剤が含まれている。これらの抗ふけ剤は、マラセチア属(Malassezia)を頭皮から除去し(または少なくともそのレベルを低下させ)、ふけ状態の適度に有効な処置を提供する。このような製品は、ふけの原因を軽減しながら、毛髪洗浄シャンプーまたは毛髪コンディショナーとして働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記課題に着目した。特に抗ふけ製品を使用するという感覚的体験のために、油分制御感覚を改善する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、特定の重量比を有するカチオン性セルロースと小型シリコーンの組み合わせを毛髪ケア組成物、好ましくは抗ふけシャンプー組成物に含めることにより、毛髪または頭皮上に油分制御である望ましい感覚をもたらし、好ましくはべたつきを低減することができることを見出した。
【0007】
第1の態様では、本発明は、
i)アニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤と;
ii)カチオン性セルロースと;
iii)50~450nmの平均粒径を有するシリコーンと
を含む毛髪ケア組成物であって、
前記シリコーン化合物の量と前記カチオン性セルロースの量の重量比が4.3:1~10:1である、毛髪ケア組成物に関する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、毛髪または頭皮を処置する方法であって、第1の態様の組成物を頭皮または毛髪に施用するステップを含む方法に関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、第1の態様の毛髪ケア組成物を個体の毛髪または頭皮表面に施用し、引き続いて表面を水ですすぐステップを含む方法に関する。
【0010】
第4の態様では、本発明は、毛髪または頭皮上のべたつきを低減するのに使用するための第1の態様の組成物に関する。
【0011】
本発明の他の全ての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮してより容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
毛髪ケア組成物
本明細書で使用される「毛髪ケア組成物」は、哺乳動物、特にヒトの毛髪および/または頭皮に局所施用するための組成物を含むことを意味する。このような組成物は、一般的に、洗い流さない(leave-on)または洗い流す(rinse off)として分類することができ、また外観の改善、洗浄、臭気制御または一般的美観のために人体に施用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲルまたはバーの形態であり得る。このような組成物の非限定的な例としては、洗い流さないヘアローション、クリームおよび洗い流すシャンプー、コンディショナー、シャワーゲルまたは固形石鹸が挙げられる。本発明の組成物は、好ましくは洗い流す組成物であり、特に好ましくはシャンプーまたはコンディショナー、最も好ましくはシャンプーである。
【0013】
その他
実施例を除いて、または明示的に指示しない限り、反応の材料または条件の量、材料および/または使用の物理特性を示す本明細書の全ての数字は、「約」という単語により修飾されるものと理解されてもよい。
【0014】
全ての量は、特に指定しない限り、最終毛髪ケア組成物の重量による。
【0015】
値の範囲を指定する際に、任意の特定の上限値を任意の特定の下限値と関連付けることができることに留意すべきである。
【0016】
疑義を避けるため、「含む(comprising)」という単語は、「含む(including)」を意味するが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「で構成される(composed of)」を意味するわけではないことを意図している。換言すれば、列挙したステップまたは選択肢が網羅的である必要はない。
【0017】
本明細書中に見出される本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の依存性または冗長性なしに見出され得るという事実とは無関係に、相互に多様に依存するように、特許請求の範囲に見出される全ての実施形態を網羅するとみなされるべきである。
【0018】
本発明の特定の態様(例えば本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、このような開示もまた、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)に適用するとみなすべきである。
【0019】
カチオン性セルロース
本発明の毛髪ケア組成物はカチオン性セルロースを含む。
【0020】
カチオン性セルロースは、例えば、Dow Chemical CompanyからそれらのUCARE JR(商標)およびLR(商標)シリーズのポリマーで、業界(CTFA)でポリクオタニウム10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として入手可能である。別のタイプのカチオン性セルロースとしては、業界(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、商品名Polymer LM-200でDow Chemical Companyから入手可能である。ポリクオタニウム10、特に50万~300万ダルトンの範囲の分子量(GPCによる重量平均)および0.5~3meq/gの範囲の電荷密度を有するポリクオタニウム10が最も好ましい。好ましいポリクオタニウム10は、例えば、Dow ChemicalからUCARE(商標)JR30Mとして入手可能である。
【0021】
好ましくは、組成物は、組成物の0.2~1重量%、より好ましくは0.3~0.8重量%、さらに好ましくは0.3~0.6重量%の量のカチオン性セルロースを含む。
【0022】
シリコーン化合物
本発明の毛髪ケア組成物は、50~450nmの平均粒径を有するシリコーン化合物を含む。
【0023】
本発明のシリコーン化合物は、50~450nm、好ましくは100~450nm、より好ましくは150~300nm、最も好ましくは150~250nmの平均液滴直径(D50)を有するシリコーン油の乳化液滴である。
【0024】
シリコーン油の平均液滴直径は、例えばMalvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定され得る。
【0025】
適切なシリコーン化合物には、ポリシロキサン、特にCTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンも、20本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)での使用に適している。使用され得る別のクラスのシリコーンは、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味するアミノ官能性シリコーンなどの官能化シリコーンである。適切なアミノ官能性シリコーン15の例としては、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムも本発明の組成物での使用に適している。好ましくは、シリコーン化合物は、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、これらの誘導体または混合物を含む。より好ましくは、シリコーン化合物は、ジメチコノール、ジメチコン、これらの誘導体または混合物を含み、より好ましくはジメチコノールを含む。
【0026】
本発明の組成物が、組成物の0.5~5重量%、好ましくは1~3重量%、より好ましくは1.3~2.5重量%の前記シリコーンを含むことが好ましい。
【0027】
洗浄界面活性剤
本発明による組成物は、アニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤を含む。
【0028】
適切なアニオン性界面活性剤の非限定的な例には、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸およびその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩がある。アルキルおよびアシル基は、一般的に8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸およびその塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含み得る。本発明の組成物に使用するための典型的なアニオン性界面活性剤には、それだけに限らないが、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウムまたはこれらの混合物が含まれる。
【0029】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩およびアルキルエーテル硫酸塩である。好ましいアルキル硫酸塩は、C8~18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12~18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンを有する塩の形態である。例には、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がある。アニオン性界面活性剤がアルキルエーテル硫酸塩であることが特に好ましい。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、式:RO(CH2CH2O)nSO¬3M(式中、Rは8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり;nは少なくとも0.5より大きな、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の平均値を有する数であり;Mはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである)を有するものである。一例にはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、0.5~3、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の平均エトキシ化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
【0030】
アニオン性界面活性剤が、3未満のエトキシ化度を有するエトキシ化アルキル硫酸塩、好ましくは2未満のエトキシ化度を有するエトキシ化アルキル硫酸塩、より好ましくはラウレス硫酸ナトリウム(1EO)であることが好ましい。
【0031】
アニオン性界面活性剤は、典型的には、本発明の毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の0.5~20重量%、より好ましくは2~16重量%、最も好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。
【0032】
適切な両性界面活性剤の例としては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられ、アルキル基は8~19個の炭素原子を有する。
【0033】
好ましくは、両性界面活性剤はベタイン界面活性剤である。ベタイン界面活性剤がアルキルアミドプロピルベタインの1つであることが好ましい。コカミドプロピルベタイン(CAPB)が特に好ましい。
【0034】
好ましい実施形態では、組成物が、組成物全体の0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%の両性界面活性剤を含む。
【0035】
アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の比が10:1未満、好ましくは2:1~10:1、より好ましくは3:1~9:1である、エトキシ化アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の比。
【0036】
本発明で使用するためのシャンプー組成物中の洗浄界面活性剤の総量は、一般的に、組成物全体の3~35重量%、好ましくは5~25重量%、最も好ましくは7~16重量%である。
【0037】
抗ふけ剤
本発明の毛髪ケア組成物が抗ふけ剤を含むことが好ましい。本発明で使用され得る適切な抗ふけ剤は、亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン(Octopirox(登録商標))、アゾール系抗真菌剤、硫化セレンおよびこれらの混合物から選択される。好ましいアゾール系抗真菌剤は、ケトコナゾール、クリンバゾールまたはこれらの混合物である。好ましくは、抗ふけ剤は、亜鉛ピリチオン、クリンバゾールおよびこれらの混合物から選択される。別の好ましい実施形態では、抗ふけ剤が、ピロクトンオラミン、クリンバゾール、およびこれらの混合物である。
【0038】
本発明の毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の0.01~10重量%、より好ましくは0.05~5重量%、さらにより好ましくは0.1~2重量%、最も好ましくは0.2~1.5重量%の量の抗ふけ剤を含み得る。
【0039】
毛髪ケア組成物
本発明による毛髪ケア組成物は、水性の化粧品として許容される担体を含む。
【0040】
好ましい実施形態では、毛髪ケア組成物がシャンプー、特に洗い流すシャンプーである。本発明で使用するためのシャンプー組成物は、一般的に水性である、すなわち、主成分として水または水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。適切には、シャンプー組成物は、組成物の総重量に基づいて50~98重量%、好ましくは60~92重量%の水を含む。このような組成物は、水性ベースを有すると称される。
【0041】
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーをさらに含み得る。
【0042】
組成物はまた、30万~250万ダルトンの分子量および0.05~0.4のカチオン置換度を有するカチオン変性グアーポリマーを含み得る。
【0043】
カチオン変性グアーポリマーが、100万~230万ダルトン、より好ましくは100万~150万ダルトンの分子量を有することが好ましい。
【0044】
カチオン性グアーポリマーが、0.1~0.3、より好ましくは0.16~0.2のカチオン置換度を有することが好ましい。
【0045】
カチオン変性グアーポリマーが、100万~150万ダルトンの分子量および0.16~0.20のカチオン置換度(DS)を有することが最も好ましい。このDS値は0.85~1.05の電荷密度に相当する。
【0046】
カチオン性グアーポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、主にガラクトマンナンポリマー鎖を含む。このポリマーは、どれほどのグアーが加水分解され、カチオン化されたかに応じて、種々の分子量およびカチオン置換度で入手可能である。
【0047】
一般的に、カチオン性多糖ポリマーについては、非変性モノマー性糖環単位の水酸基がカチオン置換のための部位である。置換度(DS)は、大部分の多糖のモノマー糖単位が置換に利用可能な平均3個の水酸基を有するという事実により、典型的には0~3の範囲にある。DSに加えて、ポリマー上のカチオン電荷をカチオン電荷密度として定量化することもできる。DSはこれまでに様々な方法で決定されている。例えば、ポリマーのカチオン電荷密度は、いくつかの場合、窒素測定のための化学的試験の下で米国薬局方に記載されているケルダール法を介して測定される窒素含量%に基づいて計算され、ミリ当量(meq)/グラムで表される。しかしながら、本発明のポリマーのカチオン電荷密度は、重水(D2O)および塩化重水素(DCl)混合物の溶媒中で1H NMRによって測定される置換度から計算される。
【0048】
多くの場合、1H NMR測定から得られるDSは、2つの方法が異なる因子によって影響されるという事実のために、ケルダール法から得られるDSと比較するには適していない場合がある。
【0049】
利用可能なグアーの広範囲の分子量において、本発明に使用するためのカチオン性グアーは、「中程度の」分子量とみなされる分子量を有する。広範囲の電荷密度において、本発明に使用するための上記範囲は、「中程度」の範囲と考えられる。カチオン変性グアー沈着ポリマーは、好ましくは組成物の0.001~2重量%、より好ましくは0.01~1重量%の量、0.04~0.5重量%、より好ましくは0.08~0.25重量%で存在する。
【0050】
本発明の組成物は、コポリマーアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含み得る。好ましくは、コポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドに加えてアクリルアミドも含む。特に好ましいコポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーである。
【0051】
本発明によるコポリマーは、好ましくは1.0~3.0meq/グラム(meq/g)、より好ましくは1.1~2.5meq/g、さらにより好ましくは1.2~2.5meq/g、最も好ましくは1.3~2.5meq/gの電荷密度を有する。コポリマーは、好ましくは100,000~3,000,000グラム/モル(g/mol)、より好ましくは500,000~2,800,000g/mol、さらにより好ましくは800,000~2,500,000g/mol、最も好ましくは1,000,000~2,500,000g/molの分子量を有する。適切なコポリマーの例は、商品名N-Hance SP-100(登録商標)でAshlandから市販されている。N-Hance SP-100(登録商標)は、1.8~2.2meq/gの電荷密度および1,800,000~2,200,000g/molの分子量を有する。
【0052】
本発明の毛髪ケア組成物は、典型的には、組成物の0.001~2重量%、より好ましくは0.01~1重量%、さらにより好ましくは0.01~0.8重量%、最も好ましくは0.05~0.5重量%の量のコポリマーを含み得る。
【0053】
水不溶性コンディショニング剤は、炭化水素油、脂肪エステルおよびこれらの混合物などの非シリコーン油性または脂肪性材料を含む非シリコーンコンディショニング剤を含み得る。
【0054】
好ましくは、本発明の組成物は懸濁化剤をさらに含む。適切な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびこれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用することができる。それらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの適切なコポリマーの例はCarbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料はGoodrichから入手可能である。
【0055】
アクリル酸とアクリル酸エステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムはキサンタンガムであり、例えばKelzan muとして入手可能である。
【0056】
上記懸濁化剤のいずれかの混合物を使用することができる。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体の架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0057】
懸濁化剤は、一般的に、本発明の毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.3~4重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)の量で存在する。
【0058】
保存剤を本発明の毛髪ケア組成物に組み込んで、潜在的に有害な微生物の増殖から保護することもできる。適切な伝統的な保存剤には、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および様々な第四級アンモニウム化合物が含まれる。本発明で使用され得る保存剤の種類の例示的で非限定的な例としては、例えば、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウム、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、カプリリルグリコール、EDTA二ナトリウムまたはこれらの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、保存剤が、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウムまたはこれらの混合物である。保存剤は、好ましくは毛髪ケア組成物の0.01~2重量%の範囲の量で使用される。
【0059】
本発明の毛髪ケア組成物は、物理的特性および性能を高めるために当技術分野で一般的な他の成分を含有してもよい。適切な成分には、それだけに限らないが、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤(pearlescer)または乳白剤、粘度調整剤、増粘剤、ならびに天然毛髪栄養素(植物、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸など)が含まれる。
【0060】
方法および使用
本発明は、毛髪または頭皮を処置する方法であって、第1の態様の組成物を毛髪または頭皮に施用するステップを含む方法を提供する。本方法は、本質的に非治療的である。本方法は、好ましくは化粧用である。
【0061】
本発明はまた、毛髪または頭皮上に油分制御感覚をもたらす、好ましくはべたつきを低減する方法であって、第1の態様の毛髪ケア組成物を個体の毛髪または頭皮表面に施用し、引き続いて表面を水ですすぐステップを含む方法を提供する。本方法は、本質的に非治療的である。本方法は、好ましくは化粧用である。
【0062】
本発明はまた、毛髪または頭皮上に油分制御感覚をもたらす、好ましくはべたつきを低減するのに使用するための第1の態様の組成物を提供する。
【0063】
好ましくは、本発明はまた、頭皮または毛髪上のふけの症状を予防または緩和しながら、油分制御感覚をもたらす、好ましくはべたつきを低減するのに使用するための第1の態様の組成物を提供する。
【0064】
[実施例]
実施例1
この実施例は、特定の比の範囲内のカチオン性セルロースと小型シリコーン化合物の組み合わせが、毛髪または頭皮に油分制御感覚をもたらすことができることを実証した。表1に詳述される配合による組成物を調製する。全ての成分は、配合物全体の重量パーセントによって、および有効成分のレベルとして表される。
【0065】
【0066】
表1の組成物(試料A対試料B、試料B対試料1)を30人の女性消費者(50%の通常毛髪および50%の脂性毛髪)によって使用させ、スコア化した。
【0067】
結果は、試料1が試料Bと比較して以下の属性において有意に(少なくとも95%信頼)高いことを示した:
清潔&さわやかな特性:
-毛髪のより清潔な感触
-べたつきをより有効に除去する
-べたつきが少ない
結果は、試料Bおよび試料Aが以下の属性において同等であることを示した:
清潔&さわやかな特性:
-毛髪のより清潔な感触
-べたつきをより有効に除去する
-べたつきが少ない
結果から、本発明の範囲内の特定の重量比を有するカチオン性セルロースと小型シリコーン化合物を含む試料1は、試料AおよびB(本発明の範囲外)と比較して、油分制御感覚体験を向上させ、特にべたつきを除去することができると結論付けることができる。これはまた、範囲内のカチオン性セルロースがないと、小型シリコーンの量の増加により、所望の感覚体験をもたらすことができないことも示している(試料Bを試料Aと比較)。
【0068】
実施例2
この実施例は、本発明の範囲外の重量比内のカチオン性セルロースと小型シリコーン化合物の組み合わせが、毛髪または頭皮に油分制御感覚をもたらすことができないことを実証した。表2に詳述される配合による組成物を調製する。全ての成分は、配合物全体の重量パーセントによって、および有効成分のレベルとして表される。
【0069】
【0070】
表2の組成物(試料C対試料D)を30人の女性消費者(50%の通常毛髪および50%の脂性毛髪)によって使用させ、スコア化した。
【0071】
結果は、試料Dと試料Cが以下の属性において同等であることを示した:
清潔&さわやかな特性:
-毛髪のより清潔な感触
-べたつきをより有効に除去する
-べたつきが少ない
上記の結果は、本発明の範囲外の特定の重量比を有するカチオン性セルロースと小型シリコーン化合物(試料D)を含めることにより、所望の感覚体験をもたらすことができないことを実証している。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)アニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤と;
ii)カチオン性セルロースと;
iii)150~450nmの平均粒径を有するシリコーン化合物と
を含む毛髪ケア組成物であって、
前記シリコーン化合物の量と前記カチオン性セルロースの量の重量比が4.3:1~10:1である、毛髪ケア組成物。
【請求項2】
前記カチオン性セルロースがポリクオタニウム10である、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項3】
前記シリコーン化合物が、ジメチコノール、ジメチコン、アモジメチコン、これらの誘導体または混合物を含み、好ましくはジメチコノール、ジメチコン、これらの誘導体または混合物を含み、より好ましくはジメチコノールを含む、請求項1または2に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項4】
組成物の0.2~1重量%、好ましくは0.3~1重量%、より好ましくは0.3~0.6重量%の前記カチオン性セルロースを含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項5】
組成物の0.5~5重量%、好ましくは1~3重量%、より好ましくは1.3~2.5重量%の前記シリコーンを含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項6】
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、アゾール系抗真菌剤、硫化セレンおよびこれらの混合物から選択される抗ふけ剤を含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項7】
組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~2重量%、最も好ましくは0.2~1.5重量%の前記抗ふけ剤を含む、請求項6に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤が、3未満のエトキシ化度を有するエトキシ化アルキル硫酸塩、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項9】
カチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項10】
カチオン性グアーポリマー、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含む、請求項9に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項11】
両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくはアルキルアミドプロピルベタインの1つを含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項12】
シャンプーである、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項13】
毛髪または頭皮を処置する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記毛髪または頭皮に施用するステップを含む方法。
【請求項14】
油分制御感覚をもたらす方法であって、請求項1に記載の毛髪ケア組成物を個体の毛髪または頭皮表面に施用し、引き続いて前記表面を水ですすぐステップを含む方法。
【請求項15】
毛髪または頭皮上に油分制御感覚をもたらすのに使用するための、請求項1に記載の組成物。
【国際調査報告】