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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】可変剛性カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/174 20210101AFI20241106BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20241106BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20241106BHJP
   A61M 60/419 20210101ALI20241106BHJP
   A61M 60/804 20210101ALI20241106BHJP
   A61M 60/81 20210101ALI20241106BHJP
   A61M 60/855 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/416
A61M60/419
A61M60/804
A61M60/81
A61M60/855
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526832
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022050216
(87)【国際公開番号】W WO2023091552
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,209
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャイアマン、ブライス リー
(72)【発明者】
【氏名】ビークマン、ダリン デール
(72)【発明者】
【氏名】ロス、レジー
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC03
4C077CC04
4C077DD08
4C077DD21
(57)【要約】
経皮循環補助デバイスは、ハウジングと、ハウジングに結合されたカニューレであって、第1の部分及び第2の部分を有するカニューレとを含み、カニューレは、カニューレの少なくとも第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含み、上記少なくとも1つのスロットは、カニューレの第1の部分が第1の剛性によって定義され、カニューレの第2の部分が第2の剛性によって定義されるように構成され、第1の剛性は第2の剛性とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮循環補助デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたカニューレと
を含み、前記カニューレは第1の部分と第2の部分とを有し、
前記カニューレは、前記カニューレの少なくとも前記第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含み、前記少なくとも1つのスロットは、前記カニューレの前記第1の部分が第1の剛性によって定義され、前記カニューレ本体の第2の部分が第2の剛性によって定義されるように構成されており、前記第1の剛性は前記第2の剛性とは異なる、経皮循環補助デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスロットがレーザ切断によって形成されたものである、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項3】
前記第1の部分が前記カニューレの遠位部として定義され、前記第2の部分が前記カニューレの近位部として定義され、前記第1の剛性が前記第2の剛性よりも小さい、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレを貫通する複数の円形開口部を含む、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に延びる複数のスロットを含む、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に及び前記カニューレに沿って延びる螺旋状のスロットを画定する、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項7】
前記カニューレが、前記カニューレの摩擦係数を低減し、かつ前記少なくとも1つのスロット上にシールを形成するように構成されたコーティングを含む、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項8】
前記カニューレが形状設定された湾曲部を含む、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項9】
前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端要素を含む、請求項1に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項10】
経皮循環補助デバイスであって、
インペラハウジング内に配置されたインペラであって、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流す前記インペラと、
前記インペラハウジング内で前記インペラを回転駆動するように構成されたモータと
前記インペラハウジングに結合されたカニューレであって、近位部、遠位部、及び中間部を有する前記カニューレと
を含み、前記カニューレは、前記カニューレを貫通し、前記カニューレの少なくとも第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含み、前記少なくとも1つのスロットはレーザ切断によって形成されたものであり、前記カニューレ本体の前記第1の部分は第1の剛性によって定義され、前記カニューレ本体の第2の部分は前記第1の剛性とは異なる第2の剛性によって定義される、経皮循環補助デバイス。
【請求項11】
前記カニューレが湾曲部を含み、前記少なくとも1つの湾曲部が第3の剛性を有する第3の部分を画定する、請求項10に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項12】
前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端に動作可能に結合されている、請求項10に記載の経皮循環補助デバイス。
【請求項13】
経皮循環デバイスとともに使用されるカニューレを形成する方法であって、前記経皮循環デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラを含み、前記インペラは、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流し、前記カニューレは、前記インペラ内に血流を提供するように構成されており、前記方法は、
金属材料で構成されたカニューレを提供することであって、前記カニューレは、遠位部、近位部、中間部、及びカニューレ内腔を有し、前記カニューレ内腔は、前記遠位部と前記近位部との間に延びる、前記提供することと、
前記カニューレが湾曲部を含むように前記カニューレの形状を設定することと、
前記カニューレをレーザ切断することで前記カニューレ内に少なくとも1つのスロットを形成することにより、前記近位部が前記カニューレの第1の部分で前記少なくとも1つのスロットの第1の密度を有し、前記カニューレの第2の部分で前記少なくとも1つのスロットの第2の密度を有し、前記第1の密度は前記第2の密度と異なるようにすることと
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に円周方向に延びる複数の開口部を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスロットが、前記カニューレに沿って延びる少なくとも1つの螺旋状の切り込みを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経皮循環補助デバイスに関する。より具体的には、本開示は、カニューレを有する経皮循環補助デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
循環補助デバイスは、心臓のポンプ作用をサポートする。これらのデバイスは、例えば大動脈弁などの弁開口部を通して配置することができる。循環補助デバイスを通る血流は、様々な種類の循環補助デバイスを区別する際に重要な要素となる。場合によっては、循環補助デバイスを通して血流を供給するためにカニューレが使用されることもある。カニューレの適切な位置決めと安定性は、適切な血流と循環補助デバイスの機能を維持するための重要な要素である。
【発明の概要】
【0003】
例1では、経皮循環補助デバイスは、ハウジングと、前記ハウジングに結合されたカニューレとを含み、前記カニューレは第1の部分と第2の部分とを有する。前記カニューレは、前記カニューレの少なくとも前記第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含み、前記少なくとも1つのスロットは、前記カニューレの前記第1の部分が第1の剛性によって定義され、前記カニューレの第2の部分が第2の剛性によって定義されるように構成されており、前記第1の剛性は前記第2の剛性とは異なる。
【0004】
例2では、例1の経皮循環補助デバイスは、前記少なくとも1つのスロットがレーザ切断によって形成されたものであることを含む。
例3では、例1の経皮循環補助デバイスは、前記第1の部分が前記カニューレの遠位部として定義され、前記第2の位置が前記カニューレの近位部として定義され、前記第1の剛性が前記第2の剛性よりも小さいことを含む。
【0005】
例4では、例1の経皮循環補助デバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレを貫通する複数の円形開口部を含むことを含む。
例5では、例1の経皮循環補助デバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に延びる複数のスロットを含むことを含む。
【0006】
例6では、例1の経皮循環補助デバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に及び前記カニューレに沿って延びる螺旋状のスロットを画定することを含む。
【0007】
例7では、例1の経皮循環補助デバイスはさらに、前記カニューレが、前記カニューレの摩擦係数を低減するように構成されたコーティングを含むことを含む。
例8では、例1の経皮循環補助デバイスはさらに、前記カニューレが形状設定された湾曲部を含むことを含む。
【0008】
例9では、例3の経皮循環デバイスはさらに、前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端要素を含むことを含む。
例10では、経皮循環補助デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラであって、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流す前記インペラと、前記インペラハウジング内で前記インペラを回転駆動するように構成されたモータとを含む。前記デバイスはさらに、前記インペラハウジングに結合されたカニューレを含み、前記カニューレは近位部、遠位部、及び中間部を有する。前記デバイスは、前記カニューレを貫通し、前記カニューレの少なくとも第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを有する前記カニューレをさらに含み、前記少なくとも1つのスロットはレーザ切断によって形成され、前記カニューレ本体の前記第1の部分は第1の剛性によって定義され、前記カニューレ本体の第2の部分は前記第1の剛性とは異なる第2の剛性によって定義される。
【0009】
例11では、例10の経皮循環補助デバイスはさらに、前記カニューレが湾曲部を含み、前記湾曲部が第3の剛性を有する第3の部分を画定することを含む。
例12では、例10の経皮循環補助デバイスはさらに、前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端に動作可能に結合されていることを含む。
【0010】
例13では、経皮循環デバイスのカニューレを形成する方法であって、前記経皮循環デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラを含み、前記インペラは、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記経皮循環補助デバイスを通して血液を流し、前記カニューレは、前記インペラハウジング内に血流を提供するように構成されており、前記方法は、金属材料で構成されたカニューレを提供することを含み、前記カニューレは、遠位部、近位部、中間部、及びカニューレ内腔を有し、前記カニューレ内腔は、前記遠位部と前記近位部との間に延びる。前記方法はさらに、前記カニューレチューブが湾曲部を含むように前記カニューレの形状を設定すること、及び、前記カニューレチューブをレーザ切断することで前記チューブ内に少なくとも1つのスロットを形成することにより、前記近位部が前記カニューレの第1の部分で前記少なくとも1つのスロットの第1の密度を有し、前記カニューレの第2の部分で前記少なくとも1つのスロットの第2の密度を有し、前記第1の密度は前記第2の密度と異なるようにすることを含む。
【0011】
例14では、例13の方法はさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に円周方向に延びる複数の開口部を含むことを含む。
例15では、例13の方法はさらに、前記少なくとも1つのスロットが、前記カニューレに沿って延びる少なくとも1つの螺旋状の切り込みを含むことを含む。
【0012】
例16では、経皮循環補助デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラであって、前記インペラは前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流す前記インペラと、前記インペラハウジングに結合されたカニューレであって、第1の部分及び第2の部分を有する前記カニューレとを含む。前記経皮循環補助デバイスはさらに、前記カニューレが、前記カニューレの少なくとも前記第1の部分に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含み、前記少なくとも1つのスロットは、前記カニューレ本体の前記第1の部分が第1の剛性によって定義され、前記カニューレの第2の部分が第2の剛性によって定義され、前記第1の剛性は前記第2の剛性とは異なるように構成されていることを含む。
【0013】
例17では、例16のデバイスはさらに、前記第1の部分が遠位部として定義され、前記第2の部分が近位部として定義され、前記第1の剛性が前記第2の剛性よりも小さいことを含む。
【0014】
例18では、例16のデバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが複数の開口部を含み、前記第1の部分は、前記第2の部分の前記複数の開口部の密度よりも低い前記複数の開口部の密度を有することを含む。
【0015】
例19では、例16のデバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレを貫通する複数の円形の開口部を含むことを含む。
例20では、例16のデバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲に延びる複数のスロットを含むことを含む。
【0016】
例21では、例16のデバイスはさらに、前記少なくとも1つのスロットが前記カニューレの周囲及び前記カニューレに沿って延びる螺旋状のスロットを画定することを含む。
例22では、例16のデバイスはさらに、前記カニューレ本体が形状設定された湾曲部を含むことを含む。
【0017】
例23では、例16のデバイスはさらに、前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端要素を含むことを含む。
例24では、例16のデバイスはさらに、前記カニューレが前記カニューレの摩擦係数を低減するように構成されたコーティングを含むことを含む。
【0018】
例25では、例16のデバイスはさらに、前記カニューレがニチノール、ステンレス鋼、インコネル、及びMP35Nのうちの1つから構成されていることを含む。
例26では、経皮循環補助デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラであって、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流す前記インペラと、前記インペラハウジング内で前記インペラを回転駆動するように構成されたモータとを含む。前記経皮補助デバイスは、前記インペラハウジングに結合されたカニューレをさらに含み、前記カニューレは近位部、遠位部、及び中間部を有し、前記カニューレは、前記カニューレの少なくとも前記遠位部に沿って配置された前記カニューレ本体を貫通する少なくとも1つのスロットを含み、前記少なくとも1つのスロットはレーザ切断によって形成され、前記カニューレの前記遠位部は第1の剛性によって定義され、前記カニューレの前記近位部は、前記第1の剛性とは異なる第2の剛性によって定義される。
【0019】
例27では、例26のデバイスはさらに、前記カニューレが前記中間部に湾曲部を含み、前記中間部が第3の剛性を有する第3の部分を定義することをさらに含む。
例28では、例26のデバイスはさらに、前記第3の剛性が前記第1の剛性及び前記第2の剛性と異なることを含む。
【0020】
例29では、例26のデバイスはさらに、前記カニューレの前記遠位部が非外傷性先端に動作可能に連結されていることを含む。
例30では、経皮循環デバイスのカニューレを形成する方法であって、前記経皮循環デバイスは、インペラハウジング内に配置されたインペラを含み、前記インペラは、前記インペラハウジングに対して回転可能であることで、前記インペラハウジングを通して血液を流し、前記カニューレは、前記インペラに血流を提供するように構成されており、前記方法は、金属材料で構成されたカニューレを提供することを含み、前記カニューレは、遠位部、近位部、及び前記近位部と前記遠位部との間に延びるカニューレ内腔を有する。この方法はさらに、カニューレチューブが湾曲部を含むように前記カニューレの形状を設定すること、及び、前記カニューレチューブをレーザ切断することで前記カニューレ内に少なくとも1つのスロットを形成することにより、前記近位部が前記カニューレの第1の部分で前記少なくとも1つのスロットの第1の密度を有し、前記カニューレの第2の部分で前記少なくとも1つのスロットの第2の密度を有し、前記第1の密度は前記第2の密度と異なるようにすることを含む。
【0021】
例31では、例31の方法はさらに、前記カニューレの前記遠位部に先端要素を取り付けることを含む。
例32では、例30の方法はさらに、前記金属材料が、ニチノール、ステンレスシェル、インコネル、及びMP35Nのうちの1つであることを含む。
【0022】
例33では、例30の方法はさらに、前記少なくとも1つのスロットがカニューレの周囲に円周方向に延びる複数の開口部を含むことを含む。
例34では、例30の方法はさらに、前記少なくとも1つのスロットが、前記カニューレに沿って延びる少なくとも1つの螺旋状の切り込みを含むことを含む。
【0023】
例35では、例30の方法はさらに、前記近位部と前記遠位部との間に延びる中間部をさらに含み、前記中間部は前記湾曲部を含む。
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示して説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、制限的なものではないとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、カニューレ及びコネクタを含む循環補助デバイスの概念図を示す。
図2】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、例示的な経皮循環補助デバイスのいくつかの構成要素の側面断面図である。
図3】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、図2の例示的な経皮循環補助デバイスのカニューレの側面図である。
図4】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、図1の例示的な経皮循環補助デバイスのカニューレの側面図である。
図5】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、図1の例示的な経皮循環補助デバイスのカニューレの側面図である。
図6】本明細書に開示された主題の実施形態に従う、カニューレの複数の開口部の様々な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して、様々な変更及び追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態や、記載された特徴の全てを含むわけではない実施形態も含まれる。
【0026】
本明細書に開示される実施形態には、従来の実施形態と比較して流量能力が向上した循環補助デバイスが含まれる。
図1は、本明細書に開示された主題の実施形態に従う、カニューレ104及びコネクタ108を含む循環補助デバイス102の概念図を示す。循環補助デバイス102が心臓110内に配置されている様子が示されている。いくつかの実施形態によれば、循環補助デバイス102(本明細書では互換的に「血液ポンプ」とも呼ばれる)は、コネクタ108によってカニューレ104に結合される。循環補助デバイス102は、対象の左心室112から対象の大動脈114に血液を送り出すように構成されている。いくつかの実施形態では、循環補助デバイス102は、心原性ショック及びその他の心不全の治療法の治療に使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、カニューレ104の遠位部116は左心室112内に配置される。カニューレ104の中間部118は、大動脈弁120を貫通して延びており、カニューレ104の近位部122は大動脈114内に延びている。いくつかの実施形態では、カニューレ104の近位部122はコネクタ108に結合され、コネクタ108は循環補助デバイス102に結合される。他の実施形態では、カニューレ104はコネクタを使用せずに循環補助デバイスに結合される。動作中、循環補助デバイス102は、循環補助デバイス102のカニューレ104を通して左心室112から血液を引き出し、大動脈114に放出する。これに加えて又はこれに代えて、循環補助デバイス102は、対象の血管系の他の部分から血管系の隣接部分に血液を送り出すことを容易にするために使用され得る。
【0028】
図1は、本開示の実施形態の使用範囲又は機能性に関していかなる制限も示唆するものではない。また、図1は、そこに示されている単一のコンポーネント又はコンポーネントの組み合わせに関連する依存関係又は要件があるものとして解釈されるべきではない。さらに、図1に示された様々なコンポーネントは、いくつかの実施形態では、そこに示されている他の様々なコンポーネント(及び/又は図示されていないコンポーネント)と一体化されてもよく、それらはすべて本開示の範囲内にあると見なされる。
【0029】
図2は、本明細書に開示された主題の実施形態に従った、図1に示される循環補助デバイス102及びカニューレ104の部分側面断面図を示す。図1を参照して前述したように、カニューレ104は、近位部122、中間部118、及び遠位部116を含み得る。近位部122はコネクタ108に結合されて配置され、コネクタ108は循環補助デバイス102の残りの部分に動作可能に結合される。循環補助デバイス102の残りの部分のコンポーネントについては、ここでさらに説明する。
【0030】
さらに、図示されているように、カニューレ104は、カニューレ104の遠位部116に取り付けられた先端要素154を含み得る。図示のように、先端要素154は、複数のワイヤ158を使用して遠位部116に結合された球状要素である。具体的には、複数のワイヤ158は、カニューレ104の遠位部116に結合され、先端要素154に直接結合される。先端要素154は、遠位部116を組織から離すことによって、カニューレ104への組織の吸引を防止することができる。先端要素154は球体として図示されているが、長方形や円筒形など、様々な形状にすることができる。これに加えて又はこれに代えて、先端要素154は、送達中又は送達後にカニューレ104の適切な位置を決定するのを助けるために、放射線不透過性であり得る。さらに、複数のワイヤ158間の空間は、血液がカニューレ104に入るための入口として機能することができる。他の実施形態では、入口は、カニューレ104の中間部118を先端要素154に結合するハウジングなどの他の特徴によって画定されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、先端要素154は、カニューレ104が心臓110に向かって、心臓110内に、又は心臓110を通過する際に周囲の血管や組織と接触する可能性のあるざらざらした縁又は表面を排除することにより、患者の血管又は心臓110の組織(弁組織を含む)を保護するように構成された非外傷性先端要素として機能する。例えば、先端要素154は、非外傷性先端要素として機能するはんだリング、バルーン、及び/又はシリコーンリングを含み得る。さらに、他の実施形態では、例えばガイドワイヤに類似した形状をとる細長い先端が先端要素154として使用される。いくつかの実施形態では、先端要素はカニューレ104にまったく組み込まれていない。
【0031】
図2を引き続き参照すると、循環補助デバイス102は、通常、インペラハウジング130とモータハウジング132とを含む。いくつかの実施形態では、インペラハウジング130及びモータハウジング132は一体型又はモノリシックに構成されてもよい。他の実施形態では、インペラハウジング130及びモータハウジング132は、取り外し可能又は永久的に結合されるように構成された別個のコンポーネントであり得る。
【0032】
インペラハウジング130には、インペラアセンブリ134が内蔵されている。インペラアセンブリ134は、ベアリング138などの少なくとも1つのベアリングによって回転可能に支持されるインペラシャフト136を含む。インペラアセンブリ134は、インペラハウジング130に対して回転して血液をデバイス102に流すインペラ140も含む。より具体的には、インペラ140は、血液がインペラハウジング130に形成された血液入口142から流れ、インペラハウジング130を通ってインペラハウジング130に形成された血液出口144から出るようにする。いくつかの実施形態では、図示されているように、インペラシャフト136及びインペラ140は別個のコンポーネントであってもよく、他の実施形態では、インペラシャフト136及びインペラ140は一体化されていてもよい。いくつかの実施形態では、図示されているように、入口142及び/又は出口144はそれぞれ複数の開口部を含み得る。他の実施形態では、入口142及び/又は出口144はそれぞれ単一の開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、図示されているように、入口142はインペラハウジング130の端部に形成され、出口144はインペラハウジング130の側部に形成され得る。他の実施形態では、入口142及び/又は出口144は、インペラハウジング130の他の部分に形成され得る。図示され、既に説明されたように、インペラハウジング130はカニューレ104に結合し、カニューレ104は血液を受け取って血液入口142に送る。
【0033】
図2を引き続き参照すると、モータハウジング132にはモータ146が搭載されており、モータ146はインペラハウジング130に対してインペラ140を回転駆動するように構成されている。図示の実施形態では、モータ146は駆動磁石150に結合された駆動シャフト148を回転させる。駆動磁石150が回転すると、従動磁石152も回転する。駆動磁石152は、インペラアセンブリ134に接続され、インペラアセンブリ134とともに回転する。より具体的には、インペラシャフト136を組み込んだ実施形態では、インペラシャフト136及びインペラ140は、駆動磁石152とともに回転するように構成される。他の実施形態では、モータ146は、他のコンポーネントを介してインペラアセンブリ134に結合することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラ(図示せず)がモータ146に動作可能に接続され、モータ146を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラはモータハウジング132内に配置され得る。他の実施形態では、コントローラは、モータハウジング132の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立したハウジングなど)に配置され得る。しかし、循環補助デバイス102の上記の実施形態は限定的であることを意味するのではなく、カニューレ104、及び図1~6を参照して本明細書で説明したカニューレのあらゆるバリエーションは、他の循環補助デバイスのバリエーションとともに使用されてもよい。さらに、本明細書で説明するカニューレ104は、他の様々な経皮デバイスとともに使用することもできる。カニューレ104及びその様々な実施形態が、本明細書でさらに説明される。
【0035】
図3は、図1の循環補助デバイスと組み合わせて使用できるカニューレ204の実施形態を示す。図1のカニューレ104と同様に、カニューレ204は、近位部222、中間部218、及び遠位部216を含む。さらに、カニューレ204は、中間部218内に湾曲部228を含む。いくつかの実施形態では、カニューレ204は、カニューレ204に沿った異なる位置に複数の湾曲部を含む。カニューレ204は、カニューレ本体224と、近位部222と遠位部216との間に延びる内腔226とを含む。内腔226は、血液がカニューレ204に流れ込み、デバイス102(図1)の血液入口142(図2)に流入するように構成されている。図示のように、カニューレ内腔226は概ね円筒形であるが、他の様々な形状及び構成を組み込むこともできる。カニューレ204は、様々な材料から形成され得る。例えば、カニューレ204は、ニチノール、ステンレス鋼、インコネル、及びMP35Nなどであるがこれらに限定されない材料で構成され得る。上記の材料、又は他の様々な適用可能な材料を使用すると、カニューレ204を所望の形状又は構成に成形できるだけでなく、カニューレ204をレーザ切断することや、その他の方法でスロットを有するように変更することもできる。例えば、カニューレ204は、本明細書でさらに説明するように、上記の材料のいずれかで形成されたハイポチューブに溝を切ることによって形成されてもよい。
【0036】
図3に示すように、カニューレ204は、カニューレ204の近位部222に隣接し、カニューレ204の中間部218内に配置された湾曲部228を含む。しかしながら、湾曲部228の位置は変化してもよく、例えば、カニューレ204の遠位部216に隣接してもよい。湾曲部228は、例えばヒートセットによってカニューレ204を形状設定することによって形成され得る。図3の湾曲部228の構成は限定的であることを意味するものではなく、図3に示す曲率半径よりも大きい、等しい、又は小さい曲率半径を有し得る。様々な実施形態において、湾曲部228は、デバイス102(図1)と共に使用する場合、心臓110(図1)の本来の解剖学的構造に対してカニューレ204の形状が最適化されるという利点を少なくとも提供し得る。例えば、カニューレ204が心臓110内に配置される場合、湾曲部228は大動脈114内にちょうど配置されるため、心臓110内での、例えば、大動脈弁及び心室壁に対するカニューレ204のより良好な位置決めが可能となる。他の実施形態では、湾曲部228は、大動脈114の真上又は真下に配置され得る。湾曲部228のさらなる利点は、湾曲部228が心臓110の心室の曲率と一致し得るため、カニューレ204を心臓110内に容易に送達できることである。
【0037】
カニューレ204の形状は、例えば医師が患者に挿入する前にカニューレ204の形状を調整することによって、手で操作することもできる。例えば、湾曲部228は、カニューレ204が患者の血管に挿入される前に医師によって形成され得る。
【0038】
前述のように、本明細書に開示されるカニューレ204のさらなる利点は、例えばカニューレ204をレーザ切断することによって、カニューレ204にスロットを切り込めることである。例えば、図3に示すように、カニューレ204は、カニューレ204に沿って配置された少なくとも1つのスロットを含む。図3の実施形態では、少なくとも1つのスロットは、カニューレ204の周囲に円周方向に延びる複数のスロット230を含む。図4~5を参照してさらに説明するように、複数のスロット230は、他の様々な形態又は形状をとることができる。図3を引き続き参照すると、複数のスロット230のそれぞれは、カニューレ204の外部からカニューレ内腔226まで延びる開口部を形成するように、カニューレ204を貫通して延びている。しかし、他の様々な実施形態では、複数のスロット230は、複数のスロット230がカニューレ204の厚さよりも小さい深さまで延びるように、カニューレ204の一部のみを貫通して延びてもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態では、スロット230はカニューレ204に開口部を形成せず、代わりにカニューレ204の厚さが減少する領域を形成してもよい。
【0039】
複数のスロット230の分布も変更可能である。例えば、図3の実施形態に示すように、複数のスロット230は、カニューレ204の湾曲部228及び中間部218における複数のスロット230の密度と比較して、近位部222及び遠位部216に向かうにつれて高くなる密度を有する。さらに、複数のスロット230の密度は、近位部222よりも遠位部216で高くなってもよい。上記密度は、カニューレ204の所与のセクションにおけるカニューレ材料、例えばニチノールの量に対する、カニューレ204の同じ所与のセクションにおける開いた表面積の量として定義され得る。
【0040】
複数のスロット230を組み込むこと、特にカニューレ204に沿って密度を変えることの利点の1つは、一定の壁厚を維持しながら、カニューレ204の全体にわたってカニューレ204の剛性及び/又は柔軟性を変化させられることである。例えば、カニューレ204の遠位部216の柔軟性を高めるために、遠位部216に、より多くのスロット230を形成することができる。このようにして、カニューレ204は、遠位部216において依然として柔軟性と可動範囲を維持できる。さらに、カニューレ204は、カニューレ204の湾曲部の剛性が高くなるように、湾曲部228に向かってより低い複数のスロット230の密度を有し得る。これにより、湾曲部228が大動脈114(図1)に配置されたときの湾曲部228の安定性が向上し、カニューレ204の追従性が向上するという利点が得られる。さらに、様々な実施形態では、複数のスロット230は、近位部222でより高い密度を有し、湾曲部228の柔軟性に比べて柔軟性を高めることができる。他の実施形態では、複数のスロット230は、近位部222に比べて湾曲部228の柔軟性を高めるために、近位部222において湾曲部228よりも低い密度を有してもよい。このように、組み込まれた複数のスロット230の量に基づいて、カニューレ204の様々な部分の剛性を簡単に変更することができる。追加の実施形態では、カニューレ204の複数のスロット230間の材料の弧長も、カニューレ204に沿った剛性値の変化に寄与し得る。いくつかの実施形態では、近位部222の剛性が、近位部222が組み立て時に取り付けられるコンポーネントの剛性と一致するように調整されることで、カニューレ204の剛性と隣接するコンポーネント、例えばコネクタ108(図1)の剛性との間にスムーズな移り変わりが生じる。上述の相対的な剛性は限定的であることを意味するものではなく、カニューレ204の少なくとも1つのスロットを変更して配置することで、カニューレ204の追従性及び柔軟性を最適にすることができる。例えば、カニューレ204全体の剛性の移り変わりを最適化するために、カニューレ204は、複数のスロット230の構成に基づいて連続的に変化する剛性プロファイルを有し得る。例えば、剛性の移り変わりを最適化するために、連続的に変化する剛性プロファイルは、線形、放物線、及び/又は多項式曲線によって定義され得る。
【0041】
さらに、カニューレ204の様々な剛性値を定義する各部分の間で、複数のスロット230は、剛性が徐々に増加(又は減少)するように構成され得る。変化する剛性値間の緩やかな移り変わりを組み込むと、剛性の急激な変化が存在する場合とは対照的に、カニューレ204の安定性が向上し得る。カニューレ204全体の剛性及び/又は柔軟性の量を変化させることにより、前述のように、血管系への挿入前又は挿入後に医師がカニューレ204を操作することも可能になる。例えば、スロット230のパターンは、カニューレ204の曲げ量又は方向を制御するように設計され得る。
【0042】
複数のスロット230を使用することによるさらなる利点は、血管系を通して心臓110(図1)へのカニューレ204の挿入を最適化できることである。特に、カニューレ204は、ガイドワイヤを使用せずに循環補助デバイスを送達することを可能にする。例えば、カニューレ204に沿った剛性は、カニューレ204が組織を損傷することなく誘導され、標的位置に移動できるほど柔軟でありながら、患者の血管系及び心臓110を通過し、心臓110内で適切に配置されて所定の位置に保持される程度に安定しているように最適化することができる。言い換えれば、カニューレ204は、血管系の湾曲部を通り抜けるのに十分な柔軟性を備えている必要があるが、血管系を通過して心臓に入る際に折れ曲がったり潰れたりしないだけの安定性も備えていなければならない。したがって、循環補助デバイス102を標的位置に送達するためにガイドワイヤ(図示せず)を組み込むことはできるが、複数のスロット230を組み込むことによってカニューレ204の剛性が最適化されるため、ガイドワイヤを使用せずにカニューレ204を心臓110を通して送達することができる。
【0043】
カニューレ204に組み込むことができるさらなる特徴は、カニューレ204全体の周囲に配置された表面コーティング240である。いくつかの実施形態では、表面コーティング240は、シリコーン、PET、又は他の生体適合性材料、及び/又はポリエーテルブロックアミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリウレタンなどの疎水性ポリマーである。いくつかの実施形態では、表面コーティング240は親水性であってもよい。表面コーティング240は、数ある方法の中でも特に、ディップコーティング、スプレーコーティング、成形、熱収縮、又はポリマーリフロープロセスなどの方法によって適用することができる。表面コーティング240は、カニューレ本体224に、つまりはカニューレ204に付着されてもよい。表面コーティング240は、追従性及び生体適合性に関してカニューレ204を最適化するために提供され得る。例えば、表面コーティング240は、カニューレ204の摩擦係数を低減し、カニューレ204を心臓110内に送達する際の容易さを向上させることができる。さらに、表面コーティング240を使用すると、カニューレ204の生体適合性が向上し、カニューレ204と血管組織との間の望ましくない反応が回避される。さらに、表面コーティング240は、カニューレ204の外面及び内面の全体を覆うように適用されてもよい。複数のスロット230がカニューレ204を完全に貫通する複数の開口部である実施形態では、表面コーティング240が複数のスロット230上にシールを形成することで、カニューレ204は密封されたチューブとなり、複数のスロット230を通って流体又は血液が流れることができなくなる。さらに、カニューレ204は、カニューレ204の内面に追加の表面コーティング242を備えていてもよい。図2を参照して説明した表面コーティング240と同様に、表面コーティング240は、シリコーン、PET、又はその他のポリマーコーティングであってもよい。表面コーティング240、242は、本願の図1~5のいずれの実施形態にも適用することができ、図3のカニューレ204での使用に限定されない。
【0044】
図4は、図1を参照して前述したデバイス102のカニューレの追加の実施形態を示す。具体的には、図4はカニューレ304の側面図である。カニューレ304は、図3を参照して説明したカニューレ204とほぼ同様である。例えば、カニューレ304は、遠位部316、中間部318における湾曲部328、及び近位部322を含む。カニューレ304は、さらに、遠位部316と近位部322との間に延びるカニューレ本体324を含む。ただし、カニューレ304は、少なくとも1つのスロット230(図3)とは異なる少なくとも1つのスロットを含む点でカニューレ204とは異なる。具体的には、上記少なくとも1つのスロットは、カニューレ304の周囲に延びる螺旋状の切り込み330を含む。したがって、カニューレ304は、遠位部316と近位部322との間に斜めに延びる螺旋状の切り込み330を含む。カニューレ304に沿った螺旋状カット330の密度は、螺旋状の切り込み330の円周方向セグメント間の距離に基づいて変化し得る。このようにして、カニューレ304の最適な送達及び固定を提供するために、カニューレ304の剛性値はカニューレ304に沿って変化することができる。
【0045】
図3及び図4を参照して説明した少なくとも1つのスロットは、概して、カニューレ204、304を貫通するスロット又は薄い切り込みとして図示されているが、カニューレの少なくとも1つの開口部の形状又は構成はさらに異なっていてもよい。例えば、図5は、カニューレ404の追加の実施形態を示す。本明細書で説明したものと同様に、カニューレ404は、遠位部416、中間部418における湾曲部428、及び近位部422を含む。カニューレ404は、遠位部416と近位部422との間に延びるカニューレ本体424を含む。さらに、カニューレ404は少なくとも1つのスロットを含む。この実施形態では、少なくとも1つのスロットは、カニューレ404を貫通し、カニューレ404に沿ったほぼ円形の穴として示される複数の開口部430を含む。しかしながら、複数の開口部430は、任意の所望の形状又はパターンをとることができる。例えば、複数の開口部430の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、又は任意の他の所望の形状にすることができる。例えば、開口部430は、上記の組み合わせの形状、例えば、両端が円で結合された円筒によって定義されるドッグボーン形状を有し得る。複数の開口部430を定義し得る形状及び/又はパターンの他の例が図6に含まれている。例えば、図6は、一般的なドッグボーン形状を有する複数の開口部430aを示す。さらに、図6は、カニューレ404(図5)に沿ってあるパターンで配置された、ほぼ長方形の開口部を有する複数の開口部430bを示している。さらに、図6は、複数の開口部の追加の構成を示しており、具体的には、カニューレ404に沿って互いに隣接して延びる、概ね長方形又は楕円形のスロットである複数の開口部430cを示している。さらに、複数の開口部430dは、円周方向に延びるスロットと縦方向に延びるスロットの両方のパターンを形成して、カニューレ404内に複数の開口部430dのパターンを形成する。しかしながら、図6に示す様々な形状及びパターンは限定的であることを意味するものではなく、複数の開口部430の様々な他の形状及び/又はパターンを組み込むことができる。複数の開口部430は、図3を参照して説明した少なくとも1つのスロット230及び図4を参照して説明した螺旋状の切り込み330と同様に機能し、カニューレ404に沿った開口部430の位置及び密度によって、カニューレ404に沿った剛性を変化させることができる。
【0046】
以下の説明は、図5に示すカニューレ404を参照して行われるが、以下の説明は、図1図4を参照して説明したカニューレ104、204、及び304にも適用される。複数の開口部430は、カニューレ404をレーザ切断するか、他の方法でカニューレ404を機械加工することによって形成され得る。さらに、カニューレ404がレーザ切断される実施形態では、カニューレ404に追加の表面特徴を組み込んでもよい。例えば、図5に示すように、カニューレ404は表面特徴440をさらに含む。具体的には、表面特徴440は、カニューレ404上に直接形成されたエコー源性表面特徴440であり得る。これは、カニューレ404及び循環補助デバイス102(図1)が心臓110(図1)に配置された後、医師が患者の心臓110の画像検査、例えば超音波検査を実施して、カニューレ404及び循環補助デバイス102の位置を明らかにすることができるという点で特に有利である。表面特徴440は少なくとも1つの表面特徴440を含み得るが、表面特徴又はマーキングのその他の様々な量も想定され得る。例えば、カニューレ404は、位置を示すための2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の表面特徴を含むことができる。例えば、カニューレ404は、カニューレ404の遠位部416に配置された第1の表面特徴440a及び/又はカニューレ404の近位部422に配置された第2の表面特徴440bを有し得る。これにより、カニューレ404が配置された後の物理的な境界を医師に示すことができる。さらに、表面特徴440は、カニューレ404の湾曲部428に配置された第3の表面特徴440cを含み得る。したがって、湾曲部428が心臓110(図1)の大動脈114(図1)に、又はほぼその辺りに湾曲部428が位置する実施形態では、湾曲部428が大動脈114(図1)に位置したときを医師に示すことができる。表面特徴440は、説明した表面特徴440の少なくとも1つ、すべて、又は任意の組み合わせを含むことができる。
【0047】
カニューレ104、204、及び404の記載された特徴は、それらの実施形態に限定されるわけではない。例えば、カニューレ204を参照して説明した様々な特徴は、カニューレ404又はカニューレ104と組み合わせて使用され得る。例えば、先端要素154は、カニューレ204及び/又はカニューレ304及び/又はカニューレ404にも組み込まれ得る。さらに、カニューレ204に関して説明した表面コーティング240は、図1~2及び4~5に関して説明したカニューレ104、304、及び/又は404と組み合わせて使用され得る。さらに、図5のカニューレ404に関して説明した表面特徴440は、図1~4に関して説明したカニューレ104、204、304と組み合わせて使用され得る。
【0048】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して、様々な変更及び追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態や、記載された特徴の全てを含むわけではない実施形態も含まれる。したがって、本発明の範囲は、それらすべての代替、修正、及び変更を特許請求の範囲内に包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】