(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ケトン前駆体及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20241106BHJP
C07C 67/03 20060101ALI20241106BHJP
C07C 67/08 20060101ALI20241106BHJP
C07C 69/003 20060101ALI20241106BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/225 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A23L33/10
C07C67/03
C07C67/08
C07C69/003 A
A61P3/02
A61K31/225
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526981
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2022079256
(87)【国際公開番号】W WO2023081786
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517071335
【氏名又は名称】ヴィディエフ・フューチャースーティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VDF FUTURECEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】2692 N. STATE ROUTE 1‐17, MOMENCE, ILLINOIS 60954, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリアナウ,グレブ
(72)【発明者】
【氏名】ピエトルツコフスキ,ズビグニエフ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD09
4B018ME14
4C206AA01
4C206DB29
4C206DB45
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA36
4C206MA54
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZC21
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB10
4H006AC48
4H006BB14
4H006BN10
4H006KA03
4H006KA06
4H006KC10
(57)【要約】
代謝的に関連するジカルボン酸と(R)-1,3-ブタンジオールのジエステルを含む栄養剤組成物が提示される。有利には、そのような組成物は、立体特異的様式で酵素的に加水分解されて(R)-1,3-ブタンジオールになり、これは、肝臓においてさらに代謝されて(R)-3-ヒドロキシブチレートになる。特に企図されるジカルボン酸は、さらに置換されていてもよいC
4及びC
5ジカルボン酸、例えばアルファ-ケトグルタレート、フマレート、マレエート又はスクシネートを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有するジエステル化合物と組み合わせた栄養学的に許容される担体
を含み、経口投与用に製剤化されている、栄養剤組成物。
【請求項2】
Xが(CH
2)
nであり、nが1から10の間の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のケト基で置換されている、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
Xが(CH
2)
nであり、nが3を超える整数である場合、直鎖状アルキル基が少なくとも1個のアミノ基で置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のメチル基で置換されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
直鎖状アルキル基が少なくとも1つの二重結合を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
キラル炭素原子の少なくとも1個が(R)-配置を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ジエステル化合物がリパーゼ又はエステラーゼの基質である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ジエステル化合物が、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に(R)-1,3-ブタンジオールを生成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ジエステル化合物が、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に代謝的に関連するジカルボン酸を生成する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体若しくは基質、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化2】
による構造を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
(R)-1,3-ブタンジオール、(R)-3-ヒドロキシブチレート及び/又はジカルボン酸をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
液体濃縮物、そのまま飲める飲料、又はゲルとして製剤化されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
固体として製剤化され、固体が原末、錠剤若しくはカプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム、又はスナックバーからなる群から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位に製剤化されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための液体投与量単位に製剤化されている、請求項1から18いずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
哺乳動物において(R)-3-ヒドロキシブチレートを増加させる方法であって、
哺乳動物に請求項1から19のいずれか一項に記載の栄養剤組成物を経口投与するステップ
を含み、
哺乳動物におけるジエステル化合物の酵素的変換により(R)-1,3-ブタンジオール及びジカルボン酸が生成され、哺乳動物における(R)-1,3-ブタンジオールの酵素的変換により(R)-3-ヒドロキシブチレートが生成される、方法。
【請求項21】
組成物が哺乳動物に20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組成物が哺乳動物に2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
栄養剤組成物を製造する方法であって、
ジエステル化合物を栄養学的に許容される担体と組み合わせて、それにより、栄養剤組成物を製造するステップであって、ジエステル化合物が式I
【化3】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有する、ステップと、
栄養剤組成物を経口投与用に製剤化するステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
ジエステル化合物が、代謝的に関連するジカルボン酸及び1,3-ブタンジオールの直接エステル化によって生成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体若しくは基質、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
1,3-ブタンジオールが(R)-1,3-ブタンジオールである、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
直接エステル化が酵素的エステル化を含む、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ジエステル化合物が、ジカルボン酸ジエステル中間体及び1,3-ブタンジオールのエステル交換によって生成される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
ジカルボン酸ジエステル中間体が、エタノール及び代謝的に関連するジカルボン酸のジエステルであり、代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1,3-ブタンジオールが(R)-1,3-ブタンジオールである、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
エステル交換が酵素的エステル交換を含む、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
Xが(CH
2)
nであり、nが1から10の間の整数である、請求項23から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化4】
による構造を有する、請求項23から32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年11月4日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国仮特許出願第63/275,858号の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、哺乳動物に(R)-3-ヒドロキシブチレートの前駆体を送達する組成物及び方法であって、とりわけ、代謝的に関連する(ジ)カルボン酸及び1,3-ブタンジオールから形成される前駆体として製剤化される化合物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景説明は本発明を理解する際に有用であり得る情報を含む。これは、本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であるか若しくは現在特許請求されている発明に関連すること又は具体的若しくは黙示的に参照されたいずれかの刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
本明細書におけるすべての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれると具体的且つ個々に表示された場合と同じ程度に参照により組み込まれる。組み込まれた参考文献における用語の定義又は使用が本明細書で提供されるその用語の定義と一致しないか又はそれに反する場合、本明細書で提供されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は適用されない。
【0005】
栄養学的又は治療的ケトーシスはケトジェニック食、カロリー制限、治療的断食及び/又はケトジェニック前駆体の補充から生じる血中ケトン体レベルが高まった(典型的には0.5mmol/Lを上回る)生理学的状態である。ケトン体は末梢組織及び中枢神経系の両方の代替エネルギー基質である。2つの最も豊富且つ生理学的に重要なケトン体はアセトアセテート及び(R)-3-ヒドロキシブチレート(ベータ-ヒドロキシブチレートとも称される)である一方、第3のケトン体であるアセトンは肺が吐き出す副生成物として生成される。身体は栄養学的又は治療的ケトーシス中にケトン体を生成し、ケトン体の代謝は抗痙攣作用、脳代謝の向上、神経保護、筋肉温存特性並びに認知的及び身体的能力の改善と関連する。ケトン補充により管理される細胞代謝効率の科学に基づく改善は身体的、認知的健康、心理的健康、兵士の回復力に対する有益な影響並びに一般的な回避できる疾患、例えば肥満、神経変性疾患、糖尿病及びがんに関する健康に対する長期的影響を与える可能性があり、疲労を軽減し、また、抗老化作用をもたらし、皮膚並びに他の組織及び器官の老化を低減し得、免疫及び炎症に対する調節作用を有し得る。
【0006】
炭水化物欠乏の期間中、身体は脂肪の代謝から得られたエネルギーを用いる。脂肪の代謝中、脂肪はケトン体として知られているアセトアセテート及び3-ヒドロキシ酪酸に変換され、大量のこれらの物質が血液中に蓄積する。この状態は、ケトーシスとして知られており、飢餓中に一般的に起こる。血中ケトン体濃度が長期の飢餓中に見られるレベルに高まったら、それらは脳の主要なエネルギー源を提供する。独特の高エネルギーの代謝基質であることに加えて、(R)-3-ヒドロキシブチレートは多様な潜在的治療用途を有する。例えば、心臓効率及び脳代謝効率を増加させ、神経変性障害、例えばアルツハイマー病及びパーキンソン病の影響を低減する。さらに、(R)-3-ヒドロキシブチレートは代替の生理学的エネルギー源としての役割を果たすことができる。
【0007】
(R)-3-ヒドロキシブチレートは直接投与され得るが、そのような直接投与は実用的でない。例えば、(R)-3-ヒドロキシブチレートは比較的高価であり、苦味があり、胃腸管からの急速な吸収に続く重大なアシドーシスに起因して望ましくない副作用につながり得る。さらに、ヒドロキシブチレートが塩として提供される場合、より高用量のヒドロキシブチレートが消費された場合にナトリウムレベルが許容されないものになりやすい。大量のナトリウム又は他のカチオンの摂取を回避しようと、最終的に代謝物としての(R)-3-ヒドロキシブチレートを送達するために様々な(R)-3-ヒドロキシブチレート誘導体が試験された。しかしながら、これらの誘導体のすべて又はほぼすべての合成が高価な前駆体を必要とし、及び/又は望ましくないS-異性体副生成物を有する。その他の例の中でも、公知の(R)-3-ヒドロキシブチレート誘導体は3-ヒドロキシブチル-(R)-3-ヒドロキシブチレート(US2019/0014798)及び混合(R)-3-ヒドロキシブチレートオリゴマー(US2018/0195096)を含む。なおさらなる例では、US2020/0113220で論じられたように、(R)-3-ヒドロキシブチレートと1,3-ブタンジオールとの間でモノエステルを形成することができる。しかしながら、そのようなモノエステルもやはり、立体化学的に純粋な試薬を必要とし、製品原価及びエナンチオマー純度に関する潜在的問題を増大させる。
【0008】
1,3-ブタンジオールを(R)-3-ヒドロキシブチレートへの代謝前駆体として利用するまた他の手法では、外因性ケトンジエステルであるビスヘキサノイル-(R)-1,3-ブタンジオール(BH-BD)がケトン前駆体送達のための食事源として使用されている。ジエステルは1分子の(R)-1,3-ブタンジオールと2分子のヘキサン酸から形成されて、BH-BDを生成する。BH-BDジエステルは摂取後に加水分解され、得られた(R)-1,3-ブタンジオールは肝臓において非古典的なステップで(R)-3-ヒドロキシブチレートに変換される一方、残りのヘキサン酸分子は肝臓において古典的な(ベータ酸化的)ステップで(R)-3-ヒドロキシブチレートに変換される。さらなる例示的なジエステル化合物はUS2019/0248730に記載されている。同様に、US2021/0186914は悪液質の処置に使用されたR,S-1,3-ブタンジオールアセト酢酸ジエステルを教示している。ジエステルは1分子の1,3-ブタンジオール及び2分子のアセト酢酸から形成される。
【0009】
そのような化合物及び組成物の少なくとも一部は製造費用がより安価である傾向があり、及び/又は著しい分量で摂取された場合に過剰量のナトリウム又は他のカチオンをもたらさないが、それでもなお様々な不利点が残っている。数ある中でも、嗜好性が不十分な場合があり、これらの化合物の少なくとも一部は水性媒体への望ましくないほど低い溶解度を有する。なおさらに、これらの化合物の多くは低い化学的安定性を有し、これらの化合物の非酵素的加水分解はラセミ3-ヒドロキシブチレートを生じ、そのうち1つの立体異性体形態はエネルギーに有意に代謝されない。
【発明の概要】
【0010】
このように、(R)-3-ヒドロキシブチレート又はその前駆体のための様々な組成物及び方法が当技術分野で公知であるが、それらのすべて又はほぼすべてがいくつかの欠点を抱えている。したがって、(R)-3-ヒドロキシブチレート及びその前駆体のための改善された化合物、組成物及び方法が依然として必要とされている。
【0011】
本発明の主題は、(R)-3-ヒドロキシブチレートがin vivoで産生される前駆体を送達するとともに代謝的に関連する第2の化合物をさらに産生する化合物により、哺乳動物に3-ヒドロキシブチレート、特に(R)-3-ヒドロキシブチレートを提供する様々な化合物、組成物及び方法を対象とする。
【0012】
好ましい態様では、企図される化合物の経口投与の後に、企図される化合物の酵素的加水分解により(R)-3-ヒドロキシブチレートのin vivoでの産生が進行して、(R)-1,3-ブタンジオールを形成し、これはさらに、酵素的に酸化されて(R)-3-ヒドロキシブチレートになる。酵素的加水分解はまた、ジカルボン酸を生じ、とりわけ好ましい態様では、これは代謝的に関連する化合物、例えばクエン酸回路のジカルボン酸である。有利には、企図される化合物は水性媒体への著しい溶解度を有し、望ましい嗜好性及び化学的安定性を有し、様々な立体選択的加水分解酵素(例えばリパーゼ、エステラーゼ)の基質としての役割を果たすことができる。
【0013】
本発明の主題の一態様では、本発明者らは、式I
【化1】
【0014】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、ヒドロキシル基、アミノ基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有するジエステル化合物と組み合わせた栄養学的に許容される担体を含み、経口投与用に製剤化されている、栄養剤組成物を企図する。
【0015】
一部の実施形態では、Xは(CH2)nであり、nは1から10の間の整数である。さらなる実施形態では、直鎖状アルキル基は少なくとも1個のケト基で置換されている。なおさらなる実施形態では、直鎖状アルキル基は少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されている。またさらなる実施形態では、直鎖状アルキル基は少なくとも1個のアミノ基で置換されている。さらなる実施形態では、直鎖状アルキル基は少なくとも1個のメチル基で置換されている。なおさらなる実施形態では、直鎖状アルキル基は少なくとも1つの二重結合を有する。
【0016】
キラル炭素原子の少なくとも1個は(R)-配置を有し、及び/又はジエステル化合物はリパーゼ又はエステラーゼの基質であることもまた企図される。したがって、ジエステル化合物は、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に、(R)-1,3-ブタンジオールを生成し、及び/又は代謝的に関連するジカルボン酸を生成することが企図される。例えば、代謝的に関連するジカルボン酸はトリカルボン酸(TCA)回路における中間体、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、及び/又は糖新生の中間体若しくは基質を含む。したがって、企図される代謝的に関連するジカルボン酸は、とりわけ、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸を含む。
【0017】
その結果、本発明者らは、ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化2】
による構造を有してもよいことを企図する。
【0018】
所望の場合、企図される組成物は(R)-1,3-ブタンジオール、(R)-3-ヒドロキシブチレート及び/又はジカルボン酸をさらに含んでもよい。理解されるように、企図される組成物は液体、例えば液体濃縮物、そのまま飲める(ready-to-drink)飲料又はゲルとして製剤化されてもよく、又は固体、例えば原末(bulk powder)、錠剤若しくはカプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム又はスナックバーとして製剤化されてもよい。
【0019】
一部の実施形態では、組成物は組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位に製剤化されてもよい。他の実施形態では、組成物は組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための液体投与量単位に製剤化されてもよい。
【0020】
したがって、本発明の主題のさらなる態様では、本発明者らはまた、哺乳動物において(R)-3-ヒドロキシブチレートを増加させる方法であって、哺乳動物に本明細書に提示される栄養剤組成物を経口投与するステップを含む、方法を企図する。最も典型的には、次いで、哺乳動物におけるジエステル化合物の酵素的変換により(R)-1,3-ブタンジオール及びジカルボン酸が生成され、次いで、哺乳動物における(R)-1,3-ブタンジオールのさらなる酵素的変換により(R)-3-ヒドロキシブチレートが生成される。
【0021】
例えば、組成物は哺乳動物に20mgから1,000mgの間又は100mgから2,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で、典型的には1つ以上の錠剤又はカプセル剤の形態で投与されてもよい。他方で、組成物は哺乳動物に2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための液体投与量単位で、典型的にはゲル又はそのまま飲める商品(例えばエナジードリンク若しくはフレーバー飲料)の形態で投与されてもよい。
【0022】
本発明の主題のなお別の態様では、本発明者らはまた、栄養剤組成物を製造する方法であって、ジエステル化合物を栄養学的に許容される担体と組み合わせて、それにより、栄養剤組成物を製造するステップを含む、方法を企図する。最も典型的には、ジエステル化合物は式I
【化3】
【0023】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、ヒドロキシル基、アミノ基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有し、さらなるステップでは、栄養剤組成物は経口投与用に製剤化される。
【0024】
一部の実施形態では、ジエステル化合物は代謝的に関連するジカルボン酸及び1,3-ブタンジオール(とりわけ(R)-1,3-ブタンジオール)の直接エステル化によって生成されてもよい。数ある選択肢の中でも、代謝的に関連するジカルボン酸はトリカルボン酸(TCA)回路における中間体、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質であってもよい。したがって、好適な代謝的に関連するジカルボン酸はコハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸を含む。好ましくは、直接エステル化は酵素的エステル化を含むが、必ずしもそうとは限らない。
【0025】
他の実施形態では、ジエステル化合物はジカルボン酸ジエステル中間体及び1,3-ブタンジオール(とりわけ(R)-1,3-ブタンジオール)のエステル交換によって生成されてもよい。例えば、好適なジカルボン酸ジエステル中間体はエタノール及び代謝的に関連するジカルボン酸のジエステルであってもよく、代謝的に関連するジカルボン酸はトリカルボン酸(TCA)回路における中間体、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質であってもよい。したがって、好適な代謝的に関連するジカルボン酸はコハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸を含む。好ましくは、エステル交換は酵素的エステル交換を含むが、必ずしもそうとは限らない。
【0026】
そのような方法のさらなる企図される実施形態では、Xは(CH
2)
nであり、nは1から10の間の整数である。したがって、好適なジエステル化合物は式II、III、IV又はV
【化4】
による構造を有してもよい。
【0027】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、添付の図面とともに、好ましい実施形態についての以下の詳細な説明からより明らかになり、図中、同種の数字は同種の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の主題による第1の例示化合物の酵素的分解の代謝経路を示す略図である。
【0029】
【
図2】本発明の主題による第2の例示化合物の酵素的分解の代謝経路を示す略図である。
【0030】
【
図3】本発明の主題による第3の例示化合物の酵素的分解の代謝経路を示す略図である。
【0031】
【
図4】本発明の主題による第4の例示化合物の酵素的分解の代謝経路を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明者らは個体に(R)-3-ヒドロキシブチレート及び代謝的に関連する化合物を提供する様々な化合物、組成物及び方法を発見した。最も好ましくは、企図される化合物は概念的に単純且つ効率的な様式で調製され、水性媒体への高い溶解度、望ましい嗜好性を有し、(R)-3-ヒドロキシブチレートのin vivoでの選択的生成を可能にする。さらなる有利な態様では、企図される化合物は1molの代謝的に関連する化合物につき2モルの(R)-1,3-ブタンジオールを送達し、次いで、これはさらに、酵素的に酸化されて(R)-3-ヒドロキシブチレートになることができることもまた理解されるべきである。
【0033】
この文脈において、数ある企図される代謝的に関連する化合物の中でも、とりわけ好ましい代謝的に関連する化合物はトリカルボン酸(TCA)回路における中間体若しくは基質、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である様々なジカルボン酸を含むことが理解されるべきである。したがって、例示的な好ましい代謝的に関連する化合物はコハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸を含む。しかしながら、様々な他の置換及び非置換のジカルボン酸及びトリカルボン酸もまた本明細書における使用に好適とみなされ、下記でより詳細に論じられる。加えて、(R)-1,3-ブタンジオールとのジエステルが一般に好ましいが、(S)-1,3-ブタンジオール及び(R)-1,3-ブタンジオールと形成された混合ジエステルもまた本明細書における使用に好適とみなされることに留意すべきである。
【0034】
したがって、異なる視点から見て、本発明者らは、式I:
【化5】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基、アミノ基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
の構造を有する化合物を含有する様々な組成物を一般に企図する。好ましくは、*は独立して(R)-配置を表すが、必ずしもそうとは限らない。
【0035】
最も典型的な例では、Xは(CH2)nであり、nは1から10の間の整数であり、下記の表1~3から分かるように、企図される化合物はケト基、メチル基、メチレン基及びアミノ基(とりわけ、Xが(CH2)nであり、nが3を超える整数である場合)及び/又はヒドロキシル基でさらに置換されていてもよい。より典型的でない例では、本発明の主題による化合物はまた、1つ以上の二重結合を有してもよい。
【0036】
容易に理解されるように、企図される化合物は、好ましくは、1分子の代謝的に関連する(ジ/トリ)カルボン酸及び2分子の(R)-1,3-ブタンジオールの正規の反応生成物である。したがって、異なる視点から見て、企図される化合物は1分子の代謝的に関連する(ジ/トリ)カルボン酸及び2分子の(R)-1,3-ブタンジオールに(好ましくは酵素的に)加水分解可能である。数ある好適な選択肢の中でも、企図されるジエステル又はトリエステル化合物は、典型的には、リパーゼ又はエステラーゼによって切断可能である。したがって、ほとんどの事例では、企図されるジエステル又はトリエステル化合物は反応生成物としての(R)-1,3-ブタンジオールを対応する代謝的に関連する(ジ/トリ)カルボン酸とともに産生する。
【0037】
例えば、好適な直鎖状飽和ジカルボン酸を表1に示す一方、例示的な置換ジカルボン酸を表2に示す。例示的な不飽和ジカルボン酸を表3に示し、企図されるトリカルボン酸を表4に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0038】
一部の実施形態では、代謝的に関連するカルボン酸はさらに、ジ又はトリカルボン酸が中間体又は基質である微生物又は真核生物の代謝(同化及び/又は異化)の一部であるジ又はトリカルボン酸として特徴付けることができる。したがって、企図される化合物は個体に(R)-1,3-ブタンジオール((R)-3-ヒドロキシブチレートをin vivoで産生するように)及び代謝的に関連するジカルボン酸又はトリカルボン酸の両方を補充するために使用することができる。
【0039】
したがって、式Iによる構造を有する化合物の範囲内の例示的な化合物は式II~V:
【化6】
による構造を有する化合物である。
【0040】
本発明の主題のさらなる態様では、企図される化合物の合成は概念的に単純且つ効果的であり、立体化学的に制御された条件下で高収率で実施することができることが認識されるべきである。一般に、代謝的に関連するジカルボン酸又はトリカルボン酸を1,3-ブタンジオール(好ましくは(R)-1,3-ブタンジオール)と反応させて、それにより、対応するジエステル又はトリエステル化合物を形成する。多数のエステル化様式が本明細書における使用に好適とみなされるが、特に好ましい方法は酵素により媒介される直接エステル化又は酵素により媒介されるエステル交換を含む。
【0041】
例えば、直接エステル化におけるジカルボン酸又はトリカルボン酸は過剰の(R)-1,3-ブタンジオールと触媒(典型的には適切な酵素又は有機若しくは無機の酸若しくは塩)の存在下で反応させることができる。技術的に、直接エステル化は均一又は不均一の両方の様式で(例えば固定化酵素又は酸性樹脂を適用して)バッチ方式又はフロー方式で行うことができる。エステル化反応から結果として生じる水の生成は、例えば吸湿性塩又は分子篩を使用する吸着/化学吸着によって、継続的に除去されてもよく、共沸混合物の構成成分として留去されてもよい。
【0042】
エステル交換は、典型的には、ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸のジエチルエステル及び過剰の(R)-1,3-ブタンジオール並びに好適な触媒、典型的には適切な酵素又は有機若しくは無機の酸若しくは塩を必要とする。エステル交換は均一又は不均一の両方の様式で(例えば固定化酵素又は酸性樹脂を適用して)バッチ方式又はフロー方式で実施することができる。直接エステル化とは対照的に、エステル交換はエタノールを生成し、これを(常に)除去する必要がある。エタノールは水よりも揮発性が高いことから、エタノールは共沸混合物の構成成分として又はそれ自体で減圧下で留去することができる。
【0043】
例えば、好適な酵素は市販のリパーゼ、例えばカンジダ・アンターティカ(Candida antartica)、カンジダ・シリンデラセア(Candida cylinderacea)、ムコール・メイヘイ(Mucor meihei)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)由来のものを含み、酵素的エステル化のための好適な方法はZaccone Fら、An Alternative Enzymatic Route to the Ergogenic Ketone Body Ester (R)-3-Hydroxybutyl (R)-3-Hydroxybutyrate. Catalysts. 2021; 11(1):140に見出すことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。典型的な例示的実施形態では、酵素/基質混合物は減圧下で約30℃の温度で所定の長さの時間維持されて所望の程度の酵素的エステル化を可能にする。直接エステル化及びエステル交換のためのさらなる例示的な反応は下記の「実施例」と題する節に提示される。次いで、当技術分野で周知の方法を使用して所望の反応生成物を単離することができ、好適な方法は蒸留、膜濾過、固相への吸着及び様々なクロマトグラフィー法を含む。
【0044】
化合物の形成中、1,3-ブタンジオールは過剰に存在してもよい。ある特定の実施形態では、1,3-ブタンジオールは1,3-ブタンジオールと代謝的に関連するカルボン酸とのモル比が2:1~20:1、任意選択で4:1~10:1又は任意選択で約5:1で過剰に存在する。方法は過剰の1,3-ブタンジオールを混合物から単離するステップをさらに含んでもよい。過剰の1,3-ブタンジオールを単離するステップは真空蒸留を含んでもよい。過剰の1,3-ブタンジオールは回収され(例えば80%の回収率)、他の反応に転用するか又は同じ反応に再利用されてもよい。あるいは、1,3-ブタンジオールは栄養学的に許容され、3-ヒドロキシブチレートの前駆体としての役割を果たし得ることから、過剰の又はさらに残留する1,3-ブタンジオールを反応から除去する必要はない。これら及び他の実施形態では、(R)-1,3-ブタンジオールは安価であり、食品に適し、且つ天然のものであることが認識されるべきである。より重要なことに、前駆体としての(R)-1,3-ブタンジオールの使用は、肝臓での酵素的酸化によって、3-ヒドロキシブチレートの代謝的に関連するエナンチオマーである(R)配置の3-ヒドロキシブチレートの形成につながる。同じように、企図される化合物はイオン交換又は他のタイプのクロマトグラフィーにより望まない不純物を除去して濃縮、単離又は精製することができる。例えば、遊離酸性部分を有するエステル化されていない又は部分的にエステル化されたジ/トリカルボン酸はイオン交換樹脂に固定化することができる一方、所望の化合物はそのような樹脂に結合しない。
【0045】
本明細書で企図されるジエステル又はトリエステルを合成し、任意選択で精製した後に、本発明の主題による化合物は(R)-3-ヒドロキシブチレート及び/又は代謝的に関連する化合物を提供又は補助又は補給する栄養剤として使用することができることが理解されるべきである。その結果、本発明の主題による化合物を含む組成物もまた提供される。最も好ましくは、そのような組成物は経口投与用である。しかしながら、他の投与ルート、特に注射又は注入による全身投与もまた好適とみなされる。好ましい組成物の非限定的な例は栄養補助食品及び医薬組成物を含む。栄養補助食品は企図される化合物を含む液体又は固体形態であってもよく、典型的には、栄養学的に許容される担体もまた含む。容易に理解されるように、栄養学的に許容される担体はまた、特定のテクスチャー又は物理的パラメーターを付与する機能を果たす場合があり、化合物が室温で液体である場合、化合物の固化(又は固相への吸着)を支援し得る。
【0046】
例えば、栄養補助食品が固体形態である場合、組成物はスナックバー、トローチ剤、原末、溶解フィルム、錠剤又はカプセル剤として製剤化されてもよく、又はシリアル製品にコーティングされるか若しくは焼成品に含まれてもよい。他方で、サプリメントが液体形態である場合、組成物はそのまま飲める飲料、水溶液との混和用の液体濃縮物、ゲル、炭酸入りドリンク、煎出飲料(例えばコーヒー若しくは紅茶として)、ジュース、エナジードリンク、スポーツドリンク又はフレーバー水として製剤化されてもよい。加えて、化合物を含む医薬組成物は、典型的には経口投与又は注入用の液体として製剤化されてもよい。
【0047】
好ましくは、企図される組成物はユーザーが組成物を所望の分量で消費するのを支援するために投与量単位での経口消費用に製剤化されるが、必ずしもそうとは限らない。例えば、組成物が固体投与量単位に製剤化される場合、そのような投与量単位は組成物の投与量単位を摂取する消費者に20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するように設計されてもよい。他方で、組成物はまた、組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たりより大きな分量、例えば2gから30gの間などのジエステル化合物を提供する液体投与量単位に製剤化されてもよい。
【0048】
ヒトへの使用のための栄養及び医薬組成物がとりわけ企図されるが、化合物及び製剤はまた、獣医学的使用(例えば家庭伴侶動物(「ペット」)用の動物飼料における又は家畜用の動物飼料における使用のために利用されてもよいことが理解されるべきである。さらなる企図される態様では、化合物はまた、栄養又は医薬製品の製造における使用のためのバルク製品として(例えば100g以上、1,000g以上又は10kg以上の分量で)提供されてもよい。
【0049】
特定の製剤に応じて、企図される化合物は、サービングサイズ(serving size)又は投与量単位に応じて、少なくとも5mg、より典型的には少なくとも50mg、最も典型的には少なくとも100mgの本明細書に提示される化合物を含んでもよい。したがって、別の視点から見て、最終製品の特定のタイプ(例えばエナジー若しくはフレーバードリンク又は栄養強化固形食品又はカプセル剤/錠剤)に応じて、企図される化合物は0.0001重量%~0.01重量%の間又は0.01重量%~0.1重量%の間又は0.1重量%~1.0重量%の間又は1.0重量%~10重量%の間又は10重量%~99重量%の間の濃度で組成物中に存在してもよい。企図される化合物に好適な投与量は、一般に、100mgから50gの間及びさらに多い量である。最も一般的には、投与量単位は一度に与えられる(例えば経口カプセル剤、飲料の消費等による)が、投与量単位はまた、2回以上の投与にわたって与えられてもよいことに留意する。
【0050】
したがって、別の視点から見て、企図される化合物は哺乳動物に代謝的に関連するジカルボン酸又はトリカルボン酸を(R)-3-ヒドロキシブチレートとともに送達して、哺乳動物におけるケトーシス状態を補助若しくは発生させ、及び/又は(R)-3-ヒドロキシブチレートの(例えば年齢に関連する)枯渇に対抗するために使用されてもよい。注目すべきことに、代謝的に関連するジカルボン酸又はトリカルボン酸の存在は(R)-3-ヒドロキシブチレートの生理学的作用を向上させ、一部の場合には相乗的に向上させ得る。本明細書で企図される化合物は様々な生理学的区画において連続的に代謝されることから、in vivoで産生される反応生成物の利用可能性及び活性は異なる生理学的区画における異なる作用(例えば微生物叢、腸組織、細胞代謝及び/又はエネルギー生成等に対する作用)を有し得ることもまた理解されるべきである。
【0051】
例示的なin vivoでの変換を選択化合物について
図1~4に図式的に示す。より具体的には、
図1中の例示化合物1は1つ以上の生理学的区画に見られるエステラーゼによってin vivoで加水分解されて、コハク酸及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成し得る。
図2中の例示化合物2は1つ以上の生理学的区画に見られるエステラーゼによってin vivoで加水分解されて、リンゴ酸及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成し得る一方、
図3中の例示化合物3は1つ以上の生理学的区画に見られるエステラーゼによってin vivoで加水分解されて、フマル酸及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成し得る。
図4中の例示化合物4は1つ以上の生理学的区画に見られるエステラーゼによってin vivoで加水分解されて、ケトグルタル酸及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成し得る。次いで、得られた(R)-1,3-ブタンジオールは肝臓において代謝されて、(R)-3-ヒドロキシブチレートを形成し得る。
【0052】
例えば、唾液及び腸液中のリパーゼ及び/又はエステラーゼは主としてジカルボン酸又はトリカルボン酸を放出し得る一方、(R)-1,3-ブタンジオールは肝臓において代謝されて、(R)-3-ヒドロキシブチレートを形成し得る。したがって、本明細書に提示される化合物を摂取する生物において、異なる時間及び異なる場所で異なる反応生成物が利用可能であり得る。注目すべきことに、ジエステル又はトリエステル化合物の加水分解は、異なる時点での各ジエステル又はトリエステル分子につき2又は3分子の(R)-1,3-ブタンジオールの形成につながり得る。したがって、(R)-1,3-ブタンジオールのこの初期及びそれに続く遅延性の放出は、(R)-3-ヒドロキシブチレートの初期及び遅延性の形成につながり得る。
【0053】
様々な実施形態では、組成物は炭水化物を実質的に含まない。炭水化物に関して本明細書で用いられる「実質的に含まない」という句は、炭水化物が組成物の総重量を基準として1重量%以下、任意選択で0.1重量%以下、任意選択で0.01重量%以下又は0.001重量%以下の量で存在してもよいことを意味する。本明細書で用いられる「炭水化物」という用語は、代謝されてグルコースになり得る糖、デンプン及び繊維を指す。
【0054】
組成物は化合物と組み合わせて使用される追加のケトン前駆体又はサプリメントを含んでもよいこともまた企図される。これらの追加のケトン前駆体又はサプリメントは中鎖脂肪酸、無機塩、アセトアセテート、他のケトンエステル及び血中ケトンレベルの上昇を引き起こし得る他の化合物を含み得る。
【0055】
中鎖脂肪酸又はそのエステルの非限定的な例及び供給源は中鎖トリグリセリドを含み、ココナッツ油、ココナッツミルク粉末、分画ココナッツ油、パーム油、パーム核油、カプリル酸、単離中鎖脂肪酸、例えば単離ヘキサン酸、単離オクタン酸、単離デカン酸、精製された又は天然形態の中鎖トリグリセリド、例えばココナッツ油及び中鎖脂肪酸エトキシル化トリグリセリドのエステル誘導体、エノントリグリセリド誘導体、アルデヒドトリグリセリド誘導体、モノグリセリド誘導体、ジグリセリド誘導体及びトリグリセリド誘導体並びに中鎖トリグリセリドの塩を含む。エステル誘導体は、任意選択で、アルキルエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等を含む。油を固体支持体、例えばマルトデキストリンに噴霧乾燥して、粉末形態での送達を容易にすることができる。少なくとも1種の中鎖トリグリセリドは、任意選択で、5グラムから50グラムの間、10グラムから40グラムの間又は15グラムから30グラムの間で投与される。非限定的な例として、中鎖トリグリセリドは5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、17グラム、19グラム、20グラム、22グラム、24グラム、26グラム、28グラム、30グラム、32グラム、34グラム、36グラム、38グラム40グラムで投与される。
【0056】
好適な無機塩の非限定的な例は適切な対イオン、例えば塩化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又は当技術分野で公知の他の栄養学的に許容される対イオンと会合したNa、Mg、V、K、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、As、Mo及び/又はSeカチオンを含む。
【0057】
なおさらなる実施形態では、企図される組成物は他の栄養基質、例えば遊離アミノ酸、アミノ酸代謝物、ビタミン、ミネラル、電解質及び代謝オプティマイザー(metabolic optimizer)、例えばNADH、可溶性ユビキノール、テトラヒドロビオプテリン、アルファ-ケトグルタル酸、カルニチン及び/若しくはアルファリポ酸、栄養補因子、ベータ-メチル-ベータ-ヒドロキシ酪酸カルシウム、アルファ-ケトグルタル酸アルギニン、R-アルファリポ酸ナトリウム、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、アセスルファムK、アスパルテーム、キサンタンガム又はそれらの組合せをさらに含んでもよい。栄養補因子の非限定的な例はR-アルファリポ酸、アセチル-1-カルニチン、ケトイソカプロエート、アルファ-ケトグルタレート、アルファ-ヒドロキシイソカプロエート、クレアチン、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)、ベータ-ヒドロキシ-ベータメチルブチレート(HMB)、ビタミンB群、ビタミンC、可溶性ユビキノール及びカルニチンを含む。
【0058】
ある特定の実施形態では、組成物はカプセル材料及びカプセル材料によって少なくとも部分的にカプセル化されている化合物を含む。カプセル材料はシクロデキストリン、ナノ繊維又はそれらの組合せを含んでもよい。好適なシクロデキストリンカプセル材料の非限定的な例はデンプンの酵素変換によって形成される任意の環状デキストリン分子を含む。特定の酵素、例えば様々な形態のシクログリコシルトランスフェラーゼ(cycloglycosyltransferase)(CGTアーゼ(CGTase))はデンプン中に存在するらせん構造を破壊して、例えば6、7又は8個のグルコース分子を含む、3次元のポリグルコース環を有する特定のシクロデキストリン分子を形成することができる。例えば、α-CGTアーゼはデンプンを6個のグルコース単位を有するα-シクロデキストリンに変換することができ、β-CGTアーゼはデンプンを7個のグルコース単位を有するβ-シクロデキストリンに変換することができ、γ-CGTアーゼはデンプンを8個のグルコース単位を有するγ-シクロデキストリンに変換することができる。シクロデキストリンはα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの組合せの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない。シクロデキストリンは誘導体化されていてもよい。好適な誘導体化シクロデキストリンはヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、2,3-ジヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン及びヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン並びにメチル化シクロデキストリン、例えばメチルβ-シクロデキストリンを含むがこれらに限定されない。好適なナノ繊維カプセル材料の非限定的な例は不織のランダムに配向又は配列したナノ繊維の集合体である任意のナノ繊維ウェブ又はマット、例えば様々な無機、有機又は生体ポリマーから形成されるものを含む。
【実施例】
【0059】
ステップ1 - 2-オキソグルタル酸とエタノールのエステル化。
【化7】
300mLの無水エタノール(>99%)中の2-オキソグルタル酸(30g、205.3mmol)の激しく撹拌した予冷(0℃に近い)溶液に、塩化アセチル(44mL、616mmol、3当量)を、所望の温度を維持するのに十分な速度で添加した(0~5℃、総添加時間は1時間であった)。反応物を0~5℃でさらに3.5時間撹拌した。その時間の後、少量の未反応基質のみが反応混合物中で観察された(TLCモニタリング:ヘキサン/AcOEt=7:3v/v)。次に、混合物を300mLのAcOEtで希釈し、飽和NaHCO
3(3×300mL)、飽和NaCl(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させて、3.2%のアセタール及び3.3%の未知の不純物を含有する純度93%の生成物38.6gを得た(GC-FID)。
1H NMRスペクトルは化学構造に対応していた。
【0060】
ステップ2 - 2-オキソグルタル酸ジエチルと(R)-1,3-ブタンジオールの酵素的エステル交換(バッチ方式)。
【化8】
2-オキソグルタル酸ジエチル(10.0g、49.5mmol、1当量、ステップ1からの粗中間体)、(R)-1,3-ブタンジオール(53.5g、593mmol、12当量)及び2.3gのNovozym 435の混合物を45℃及び10mbarで撹拌した。反応進行をTLC(CH
2Cl
2/MeOH=9/1v/v)及びGF-FIDでモニタリングした。反応が減速したら、追加分のNovozym 435を添加した。合計で、3.35gのNovozym 435を添加し、総反応時間は300時間であり、続いて、すべての不溶性物質を濾別した。過剰の(R)-1,3-ブタンジオールを濾液からバルブ・ツー・バルブで(bulb-to-bulb)留去した(80℃、0.05mbar、蒸留時間60分)。得られた10.9gの材料は78%の2-オキソグルタル酸と(R)-1,3-ブタンジオールの所望のジエステル、15%のR-1,3-ブタンジオール及びいくらかの未知の不純物を含有していた(GC-FID)。
1H NMRスペクトルは得られた純度の所望の化合物の化学構造に対応していた。
【0061】
ステップ2 - 2-オキソグルタル酸ジエチルと(R)-1,3-ブタンジオールの酵素的エステル交換(フロー方式)。
【化9】
【0062】
2-オキソグルタル酸ジエチル(10.0g、49.5mmol、1当量、ステップ1からの粗中間体)、(R)-1,3-ブタンジオール(53.5g、593mmol、12当量)の混合物を、Novozym 435(0.88g)を含有するTeflon管φ=3mmに20時間通した。生成物をフラスコに収集し、続いて、揮発物を減圧下で蒸発させた(45℃、10mbar)。この手順を、TLC(CH2Cl2/MeOH=9/1v/v)及びGC-FIDにより2-オキソグルタル酸ジエチルの完全な変換が観察されるまで3回繰り返した。生成物を収集し、すべての揮発物を減圧下で蒸発させ、続いて、バルブ・ツー・バルブで蒸留(80℃、0.05mbar、蒸留時間120分)して、7.45gの最終材料を得た。得られた7.45gの材料は87%の2-オキソグルタル酸と(R)-1,3-ブタンジオールの所望のジエステル、7%のR-1,3-ブタンジオール及びいくらかの未知の不純物を含有していた(GC-FID)。1H NMRスペクトルは得られた純度の所望の化合物の化学構造に対応していた。
【0063】
容易に理解されるように、上記の実施例に記載されたのと実質的に同じプロトコールに従って2-オキソ-グルタル酸の代わりに置換又は非置換のジカルボン酸を使用して多数の代替化合物を生成することができる。好適な例示的な代替のジカルボン酸は上記の表1~4に見出すことができる。さらに、ジカルボン酸がアミノ基を含有する置換ジカルボン酸である場合、従来の保護基(例えばt-ブチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル等)を使用することができる。
【0064】
一部の実施形態では、本発明のある特定の実施形態を説明し、特許請求するために使用される成分の分量、特性、例えば濃度、反応条件などを表す数は、一部の事例では、「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。よって、一部の実施形態では、本明細書及び添付の特許請求の範囲に規定された数値パラメーターは特定の実施形態によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。本明細書における値の範囲の列挙は、その範囲に該当する各別個の値に個々に言及する簡単な方法としての役割を果たすことを意図しているにすぎない。本明細書に別段の表示がない限り、各個々の値は、それが本明細書に個々に列挙された場合と同様に本明細書に組み込まれる。
【0065】
本明細書で使用される場合、医薬組成物又は薬物を「投与する」という用語は、医薬組成物又は薬物の直接及び間接の両方の投与を指し、医薬組成物又は薬物の直接投与は、典型的には、医療専門家(例えば医師、看護師等)によって実施され、間接投与は医薬組成物又は薬物を直接投与(例えば注射、注入、経口送達、局所送達等による)のために医療専門家に提供する又は利用可能にするステップを含む。状態、疾患の発症に対する感受性又は意図された処置に対する応答を「予想する」又は「予測する」という用語は、状態、感受性及び/又は応答(対象における状態の進行速度、改善及び/又は持続期間を含む)を予測する行為又はその予測(処置若しくは診断ではない)を包含することを意図していることにさらに留意すべきである。
【0066】
本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に別段の表示がない限りあるいは文脈と明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書におけるある特定の実施形態に関して提供されるあらゆる例又は例示的文言(例えば「のような(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを意図しているにすぎず、別途特許請求されている本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、いずれかの特許請求されていない要素が本発明の実施に不可欠であると示すと解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書の説明で使用される場合及び後続の特許請求の範囲の全体を通して、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」の意味は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。また、本明細書の説明で使用される場合、「中(in)」の意味は、文脈上明確に別段の指示がない限り、「中(in)」及び「上(on)」を含む。また本明細書で使用される場合、文脈上別段の指示がない限り、「に連結された」という用語は、直接連結(互いに連結される2つの要素が互いに接触する)及び間接連結(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間にある)の両方を含むことを意図している。したがって、「に連結された」及び「と連結された」という用語は同義的に使用される。
【0068】
本明細書における発明概念から逸脱することなく、既に記載されたもの以外により多くの改変が可能であることが当業者には明らかなはずである。したがって、本発明の主題は添付の特許請求の範囲の範囲内を除いて制限されるべきではない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈する際、すべての用語は文脈と一致する可能な最も広い様式で解釈されるべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、要素、構成成分又はステップに非排他的な様式で言及し、言及された要素、構成成分又はステップが明示的に言及されていない他の要素、構成成分又はステップとともに存在し、又は用いられ、又は組み合わされてもよいことを示すと解釈されるべきである。本明細書又は特許請求の範囲がA、B、C....及びNからなる群から選択される少なくとも1つの何かに言及する場合、そのテキストはAプラスN又はBプラスN等ではなく群からの1つの要素のみを必要とすると解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
本明細書における発明概念から逸脱することなく、既に記載されたもの以外により多くの改変が可能であることが当業者には明らかなはずである。したがって、本発明の主題は添付の特許請求の範囲の範囲内を除いて制限されるべきではない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈する際、すべての用語は文脈と一致する可能な最も広い様式で解釈されるべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、要素、構成成分又はステップに非排他的な様式で言及し、言及された要素、構成成分又はステップが明示的に言及されていない他の要素、構成成分又はステップとともに存在し、又は用いられ、又は組み合わされてもよいことを示すと解釈されるべきである。本明細書又は特許請求の範囲がA、B、C....及びNからなる群から選択される少なくとも1つの何かに言及する場合、そのテキストはAプラスN又はBプラスN等ではなく群からの1つの要素のみを必要とすると解釈されるべきである。
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
式I
【化10】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有するジエステル化合物と組み合わせた栄養学的に許容される担体
を含み、経口投与用に製剤化されている、栄養剤組成物。
[2]
Xが(CH
2
)
n
であり、nが1から10の間の整数である、態様1に記載の組成物。
[3]
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のケト基で置換されている、態様1又は2に記載の組成物。
[4]
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されている、態様1から3のいずれか一つに記載の組成物。
[5]
Xが(CH
2
)
n
であり、nが3を超える整数である場合、直鎖状アルキル基が少なくとも1個のアミノ基で置換されている、態様1から4のいずれか一つに記載の組成物。
[6]
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のメチル基で置換されている、態様1から5のいずれか一つに記載の組成物。
[7]
直鎖状アルキル基が少なくとも1つの二重結合を有する、態様1から6のいずれか一つに記載の組成物。
[8]
キラル炭素原子の少なくとも1個が(R)-配置を有する、態様1から7のいずれか一つに記載の組成物。
[9]
ジエステル化合物がリパーゼ又はエステラーゼの基質である、態様1から8のいずれか一つに記載の組成物。
[10]
ジエステル化合物が、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に(R)-1,3-ブタンジオールを生成する、態様9に記載の組成物。
[11]
ジエステル化合物が、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に代謝的に関連するジカルボン酸を生成する、態様9又は10に記載の組成物。
[12]
代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体若しくは基質、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、態様11に記載の組成物。
[13]
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、態様11に記載の組成物。
[14]
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化11】
による構造を有する、態様1から13のいずれか一つに記載の組成物。
[15]
(R)-1,3-ブタンジオール、(R)-3-ヒドロキシブチレート及び/又はジカルボン酸をさらに含む、態様1から14のいずれか一つに記載の組成物。
[16]
液体濃縮物、そのまま飲める飲料、又はゲルとして製剤化されている、態様1から15のいずれか一つに記載の組成物。
[17]
固体として製剤化され、固体が原末、錠剤若しくはカプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム、又はスナックバーからなる群から選択される、態様1から15のいずれか一つに記載の組成物。
[18]
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位に製剤化されている、態様1から17のいずれか一つに記載の組成物。
[19]
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための液体投与量単位に製剤化されている、態様1から18いずれか一つに記載の組成物。
[20]
哺乳動物において(R)-3-ヒドロキシブチレートを増加させる方法であって、
哺乳動物に態様1から19のいずれか一つに記載の栄養剤組成物を経口投与するステップ
を含み、
哺乳動物におけるジエステル化合物の酵素的変換により(R)-1,3-ブタンジオール及びジカルボン酸が生成され、哺乳動物における(R)-1,3-ブタンジオールの酵素的変換により(R)-3-ヒドロキシブチレートが生成される、方法。
[21]
組成物が哺乳動物に20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で投与される、態様20に記載の方法。
[22]
組成物が哺乳動物に2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で投与される、態様20に記載の方法。
[23]
栄養剤組成物を製造する方法であって、
ジエステル化合物を栄養学的に許容される担体と組み合わせて、それにより、栄養剤組成物を製造するステップであって、ジエステル化合物が式I
【化12】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有する、ステップと、
栄養剤組成物を経口投与用に製剤化するステップと、
を含む、方法。
[24]
ジエステル化合物が、代謝的に関連するジカルボン酸及び1,3-ブタンジオールの直接エステル化によって生成される、態様23に記載の方法。
[25]
代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体若しくは基質、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、態様24に記載の方法。
[26]
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、態様24に記載の方法。
[27]
1,3-ブタンジオールが(R)-1,3-ブタンジオールである、態様23から26のいずれか一つに記載の方法。
[28]
直接エステル化が酵素的エステル化を含む、態様23から27のいずれか一つに記載の方法。
[29]
ジエステル化合物が、ジカルボン酸ジエステル中間体及び1,3-ブタンジオールのエステル交換によって生成される、態様23に記載の方法。
[30]
ジカルボン酸ジエステル中間体が、エタノール及び代謝的に関連するジカルボン酸のジエステルであり、代謝的に関連するジカルボン酸が、トリカルボン酸(TCA)回路における中間体、ベータ酸化の中間体若しくは基質、解糖の中間体若しくは基質、又は糖新生の中間体若しくは基質である、態様29に記載の方法。
[31]
代謝的に関連するジカルボン酸が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、態様30に記載の方法。
[32]
1,3-ブタンジオールが(R)-1,3-ブタンジオールである、態様29から31のいずれか一つに記載の方法。
[33]
エステル交換が酵素的エステル交換を含む、態様29から32のいずれか一つに記載の方法。
[34]
Xが(CH
2
)
n
であり、nが1から10の間の整数である、態様23から32のいずれか一つに記載の方法。
[35]
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化13】
による構造を有する、態様23から32のいずれか一つに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養剤組成物であって、
式I
【化1】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有するジエステル化合物と組み合わせた栄養学的に許容される担体
を含み、
ジエステル化合物が、経口投与の後に、加水分解してトリカルボン酸回路における中間体及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成することが可能であり、
栄養剤組成物が、経口投与用に製剤化されている、栄養剤組成物。
【請求項2】
Xが(CH
2)
nであり、nが1から10の間の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
直鎖状アルキル基が少なくとも1個のケト基で置換されている、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
キラル炭素原子の少なくとも1個が(R)-配置を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ジエステル化合物がリパーゼ又はエステラーゼの基質である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
ジエステル化合物が、リパーゼ又はエステラーゼによる加水分解の後に(R)-1,3-ブタンジオールを生成する、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
中間体が、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及びアルファ-ケトグルタル酸からなる群から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化2】
による構造を有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
(R)-1,3-ブタンジオール、(R)-3-ヒドロキシブチレート及び/又はジカルボン酸をさらに含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
液体濃縮物、そのまま飲める飲料、又はゲルとして製剤化されている、請求項
1に記載の組成物。
【請求項11】
固体として製剤化され、固体が原末、錠剤若しくはカプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム、又はスナックバーからなる群から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位に製剤化されている、請求項
1に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の投与量単位を摂取する消費者に1投与量単位当たり2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための液体投与量単位に製剤化されている、請求項
1に記載の組成物。
【請求項14】
哺乳動物において(R)-3-ヒドロキシブチレートを増加させる方法
において使用するための栄養剤組成物であって、
組成物が、経口投与用に製剤化されているとともに請求項1のジエステル化合物を含み、
哺乳動物におけるジエステル化合物の酵素的変換により(R)-1,3-ブタンジオール及びジカルボン酸が生成され、哺乳動物における(R)-1,3-ブタンジオールの酵素的変換により(R)-3-ヒドロキシブチレートが生成される、
組成物。
【請求項15】
組成物が哺乳動物に20mgから1,000mgの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で
製剤化される、請求項
14に記載の
組成物。
【請求項16】
組成物が哺乳動物に2gから30gの間のジエステル化合物を提供するための固体投与量単位で
製剤化される、請求項
14に記載の
組成物。
【請求項17】
栄養剤組成物を製造する方法であって、
ジエステル化合物を栄養学的に許容される担体と組み合わせて、それにより、栄養剤組成物を製造するステップであって、ジエステル化合物が式I
【化3】
(式中、Xは、少なくとも1つの二重結合を任意選択で含有するとともにメチル基、メチレン基、ヒドロキシル基及びケト基からなる群から選択される置換基で任意選択で置換されている直鎖状アルキル基であり、*はキラル炭素原子を示す)
による構造を有
し、ジエステル化合物が、経口投与の後に、加水分解してトリカルボン酸回路における中間体及び(R)-1,3-ブタンジオールを形成することが可能である、ステップと、
栄養剤組成物を経口投与用に製剤化するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
ジエステル化合物が、代謝的に関連するジカルボン酸及び1,3-ブタンジオールの直接エステル化によって生成される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
1,3-ブタンジオールが(R)-1,3-ブタンジオールである、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
直接エステル化が酵素的エステル化を含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
ジエステル化合物が、ジカルボン酸ジエステル中間体及び1,3-ブタンジオールのエステル交換によって生成される、請求項
17に記載の方法。
【請求項22】
エステル交換が酵素的エステル交換を含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
ジエステル化合物が式II、III、IV又はV
【化4】
による構造を有する、請求項
17に記載の方法。
【国際調査報告】