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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】NK細胞の生成法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20241106BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241106BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
C12N15/85 Z
C12N15/13
C12N15/63 Z
A61K35/17
A61P35/00
A61P33/00
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526983
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022080831
(87)【国際公開番号】W WO2023079082
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21306548.5
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22306137.5
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516039480
【氏名又は名称】エーピーエイチピー(アシスタンス パブリック-オピトークス ド パリ)
(71)【出願人】
【識別番号】524167832
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュート ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】519293553
【氏名又は名称】フォンダシオン イマジン-アンスティチュ デ マラディー ジェネティーク
(71)【出願人】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,イザベラ
(72)【発明者】
【氏名】デビ モイランテム,ランジタ
(72)【発明者】
【氏名】ソヘイリ,テイエベ-シャビ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AA92Y
4B065AA93X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BA02
4B065BB19
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB63
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZB37
(57)【要約】
本発明は、NK細胞を取得するための新規方法に関する。本発明はさらに、NK細胞集団、及び癌を含む疾患の治療のためのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NK細胞を生成するためのインビトロの方法であって、
a)TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下でCD34+細胞を培養する、それにより細胞の第1の集団を取得する工程、及び
b)サイトカイン含有培地中で工程a)で得られた細胞の集団を培養する工程
を含む、インビトロの方法。
【請求項2】
工程a)で、前記細胞が、5日より長く9日未満の間、好ましくは約7日間TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される、請求項1に記載のインビトロの方法。
【請求項3】
前記ノッチリガンドが、デルタ様4リガンド又はその断片、好ましくはデルタ様4リガンドの可溶性ドメインである、請求項1又は請求項2に記載のインビトロの方法。
【請求項4】
工程a)で、前記細胞がまた、RGDS、連結セグメント1(CS-1)、及び/又はヘパリン結合ドメインを含むフィブロネクチン断片に曝露され、好ましくは前記フィブロネクチン断片が、CH-296である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインビトロの方法。
【請求項5】
前記CD34+細胞が、成人ドナーから又は臍帯血細胞から単離された、請求項1~4のいずれか一項に記載のインビトロの方法。
【請求項6】
工程(b)のサイトカイン含有培地が、インターロイキン-7(IL-7)、幹細胞因子(SCF)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-2(IL-2)、及びFlt3リガンド(FLT3L)からなる群から選択される少なくとも3種の、好ましくは5種のサイトカインを含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のインビトロの方法。
【請求項7】
工程b)で、前記細胞が、7日より長く21日未満の間サイトカイン含有培地中で培養される、請求項1~6のいずれか一項に記載のインビトロの方法。
【請求項8】
好ましくは工程(a)の最中又はその前に、ベクターで細胞を形質導入する追加の工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインビトロの方法。
【請求項9】
前記ベクターが、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする、請求項8に記載のインビトロの方法。
【請求項10】
前記細胞の60%超が、CD3-CD56+である、請求項1~9のいずれか一項に記載のインビトロの方法により得られる可能性が高いNK細胞集団。
【請求項11】
前記細胞が、CD3-CD56+細胞であり、KIR3DL1/DL2、KIR2DL2/DL3、及びKLRG1を含む群から選択される少なくとも1種の抑制性受容体を発現しない、請求項10に記載のNK細胞集団。
【請求項12】
前記細胞が、CD3-CD56+細胞であり、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを含む群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する、請求項10又は請求項11に記載のNK細胞集団。
【請求項13】
CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1、及びNKG2Dを発現し、KIR3DL1/DL2、KIR3DL2/DL3、KLRG1を発現しない、NK細胞集団。
【請求項14】
医薬としての使用のための、特にそれを必要とする対象におけるNK細胞の数を増加させるための、請求項10~13のいずれか一項に記載のNK細胞集団。
【請求項15】
癌、持続性ウイルス感染症、及び寄生虫性疾患を治療するための、請求項10~13のいずれか一項に記載のNK細胞集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特にそれを必要とする対象におけるNK細胞の数を増加させるための、並びに癌及び感染症を治療するためのCD3-CD56+NK細胞を生成するための方法、NK細胞集団、及び医薬としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
NK細胞は、細胞傷害性であり、腫瘍又は感染細胞を死滅させる役割を果たす、自然免疫細胞である。NK細胞は、造血幹細胞から骨髄で産生される。NK細胞の前駆体は、CD3-CD161+CD56-であり、CD3-CD161+CD56+を発現する未熟なNK細胞へと分化する。未熟なNK細胞の成熟は主に骨髄で起こるが、未熟なNK細胞はまた、骨髄を出て二次リンパ器官へと成熟し得る。成熟中に、NK細胞は、膜受容体発現の特異的プロファイルを獲得し、上記発現プロファイルは、機能的なNK細胞と関連付けられる。
【0003】
NK細胞は、それらの膜で発現される受容体(すなわち、活性化する受容体及び抑制性の受容体)を介して腫瘍細胞及び感染細胞を認識する。抑制性の受容体は、体の全ての細胞(すなわち自己細胞)により発現される主要組織適合遺伝子複合体(MHC)I分子を認識する。活性化する受容体は、自己又は非自己細胞(例えば、腫瘍細胞又は感染細胞)のいずれかにより発現される非自己分子を認識できる。抑制性受容体及び/又は活性化受容体を介して受けとられるシグナルに応じて、NK細胞は次いで、細胞内顆粒(例えば、パーフォリン及びグランザイムを含む)の成分を放出し、及び/又は標的細胞上の対応するそれらの受容体に結合するTNF受容体リガンドであるFasリガンド(FasL)、TNF及びTRAILを発現し、及び/又は炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α及びIFNγ)を産生し、次いで標的細胞(例えば癌細胞及び感染細胞を含む)を溶解する。
【0004】
キメラ抗原受容体を発現するTリンパ球は今日、腫瘍細胞を標的化する及び死滅させるための有望な治療手段である。しかし、大規模な二次的影響は、例えば、サイトカインストーム及び移植片対宿主病(GVHD)を含む、これらのT細胞ベースの免疫療法と関連付けられ得る。これらの欠点のため、新しい治療方針を調べる必要がある。サイトカインストーム及びGVHDを引き起こさないNK細胞は、興味深いT細胞の代替手段である。
【0005】
NK細胞を取得するためのインビトロ法は、当技術分野で説明されている。しかし、得られるNK細胞の収量及び純度は通常低く、そのため、インビボ注入に先立ち細胞の選別工程を必要とする。さらに、これらの方法は通常、NK細胞を生成するために約1ヶ月を要する。加えて、NK細胞は通常、活性化受容体をうまく発現せず、老化を示し、遺伝的に改変することが困難である。
【0006】
そのため、短期間で高品質のNK細胞を生成する新しい方法を開発する必要がある。本発明において、出願者らは、約2週間の短期間で活性化促進受容体を発現し、いくつかの抑制性受容体の発現を欠く機能的な細胞傷害性NK細胞を取得することを可能にする、CD3-CD56+NK細胞を生成するためのインビトロの方法を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
a)TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下でCD34+細胞を培養する、それにより細胞の第1の集団を取得する工程、及び
b)サイトカイン含有培地中で工程a)で得られた細胞の集団を培養する工程
を含む、NK細胞を生成するためのインビトロの方法に関する。
【0008】
一実施形態では、工程a)で、細胞は、5日より長く9日未満の間、好ましくは約7日間、TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される。
【0009】
一実施形態では、工程a)で、ノッチリガンドは、デルタ様4リガンド又はその断片、好ましくはデルタ様4リガンドの可溶性ドメインである。
【0010】
一実施形態では、工程a)で、細胞はまた、RGDS、連結セグメント1(CS-1)及び/又はヘパリン結合ドメインを含むフィブロネクチン断片に曝露され、好ましくはフィブロネクチン断片は、CH-296である。
【0011】
一実施形態では、上記CD34+細胞は、成人ドナーから又は臍帯血細胞から単離されている。
【0012】
一実施形態では、工程(b)のサイトカイン含有培地は、インターロイキン-7(IL-7)、幹細胞因子(SCF)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-2(IL-2)及びFlt3リガンド(FLT3L)からなる群から選択される少なくとも3種の、好ましくは5種のサイトカインを含有する。
【0013】
一実施形態では、工程b)で、細胞は、7日より長く21日未満の間サイトカイン含有培地中で培養される。
【0014】
一実施形態では、インビトロの方法は、好ましくは工程(a)の最中又はその前に、ベクターで細胞を形質導入する追加の工程を含む。
【0015】
一実施形態では、ベクターは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。
【0016】
本発明の別の目的は、本発明のインビトロの方法によって得られる可能性が高いNK細胞集団であり、ここで細胞の60%超が、CD3-CD56+である。
【0017】
一実施形態では、NK細胞集団の細胞は、CD3-CD56+細胞であり、KIR3DL1/DL2、KIR2DL2/DL3及びKLRG1を含む群から選択される少なくとも1種の抑制性受容体を発現しない。
【0018】
一実施形態では、NK細胞集団の細胞は、CD3-CD56+細胞であり、CD161、並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを含む群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。一実施形態では、NK細胞集団の細胞は、CD3-CD56+細胞であり、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを発現する。
【0019】
一実施形態では、NK細胞集団の細胞は、CD3-CD56+細胞であり、CD161、並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を高レベルで発現する。
【0020】
一実施形態では、NK細胞集団の細胞は、CD3-CD56+細胞であり、上記CD3-CD56+細胞の少なくとも85%が、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを含む群から選択される少なくとも1つの活性化受容体を発現する。
【0021】
本発明はさらに、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1及びNKG2Dを発現し、KIR3DL1/DL2、KIR3DL2/DL3、KLRG1を発現しないNK細胞集団に関する。
【0022】
本発明の別の目的は、医薬としての使用のための本明細書に記載のNK細胞集団である。本発明の別の目的は、それを必要とする対象におけるNK細胞の数を増加させるための、本明細書に記載のNK細胞集団である。
【0023】
本発明の別の目的は、癌、持続性ウイルス感染及び寄生虫性疾患を治療するための本明細書に記載のNK細胞集団である。
【0024】
一実施形態では、癌は、白血病(すなわち、急性骨髄性白血病)、リンパ腫(例えば、Bリンパ腫)、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、甲状腺癌、黒色腫、子宮癌、腎臓癌、肉腫、癌腫、非小細胞肺癌、口腔癌及び中咽頭癌、メチルコラントレン誘発肉腫及び結腸直腸癌を含む群から選択されるが、これらに限定されない。
【0025】
一実施形態では、癌は、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病)、リンパ腫(例えば、Bリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫)、非ホジキンリンパ腫、神経膠芽腫、神経芽腫、多発性骨髄腫、子宮頸癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、甲状腺癌、黒色腫、子宮癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肉腫、癌腫(例えば、腎細胞癌、乳癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、小児固形腫瘍、CD133+癌幹細胞、NKGDL+癌細胞、PD-L1+癌細胞、口腔癌及び中咽頭癌(例えば、舌癌、食道癌、喉頭癌(laryngeal cancer)、咽頭癌(pharyngeal cancer))、メチルコラントレン誘発肉腫及び結腸直腸癌を含む群から選択されるが、これらに限定されない。
【0026】
一実施形態では、ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス-1、サイトメガロウイルス(CMV))インフルエンザ、レトロウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エンテロウイルス(例えば、コクサッキーB3ウイルス)を含む群から選択されるが、これらに限定されない。
【0027】
一実施形態では、寄生虫性疾患は、トキソプラズマ症、トリパノソーマ症、リーシュマニア症及びマラリアを含む群から選択されるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0029】
量、時間的な期間などの測定可能な値に言及する場合の「約」という用語は、そのような変動が開示された方法を実施するために適切であるように、指定された値から±20%又は場合によっては±10%、又は場合によっては±5%、又は場合によっては±1%、又は場合によっては±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0030】
「NK細胞」又は「ナチュラルキラー細胞」という用語は、自然免疫において重要な役割を果たす細胞傷害性リンパ球を指す。NK細胞は常に、他の細胞と接触している。NK細胞は、それらの細胞表面で活性化受容体と抑制性受容体を発現する。このメカニズムは、NK細胞が、ある細胞が排除されるべき(例えば、腫瘍細胞又は感染細胞など)かどうかを認識することを可能にする。一実施形態では、NK細胞は、「未熟な」(未熟なNK細胞は一般に、CD16及びKIR受容体の発現の不在により定義される)、又は「成熟した」(成熟したNK細胞は一般に、CD16及びKIR受容体の発現により定義される)と定義され得る。成熟NK細胞は、メモリー様NK細胞を含む。
【0031】
用語「医薬的に許容される賦形剤」(「医薬的に許容される担体」とも称され得る)は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の不快な反応を生じない賦形剤を指す。それは、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬的に許容される担体又は賦形剤は、無毒の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は任意の種類の製剤補助剤を指す。ヒトへの投与の場合、調製物は、FDA又はEMAなどの規制当局が要求する無菌性、発熱性、一般的な安全性及び純度の基準を満たす必要がある。
【0032】
「発現する」、「陽性の」、又は「+」及び「発現しない」、「陰性の」、又は「-」という用語は、当技術分野で周知であり、目的の細胞マーカーの発現レベルを指し、「+」に対応する細胞マーカーの発現レベルは、高い又は中程度又は低い(すなわち、その細胞マーカーは、細胞表面で発現される又は存在する)であり、「-」に対応する細胞マーカーの発現レベルは無い(すなわち、その細胞マーカーは、細胞表面で発現されないか、又は存在しない)である。
【0033】
「対象」という用語は、その中で免疫応答が誘発され得る生物(例えば、哺乳動物、特にヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジなど)を含むことを意図する。一実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、「患者」、すなわち、医療処置を受けることを待っているか、又は医療を受けているか、又は医療処置の対象であった/である/その予定であるか、又は例えば、癌もしくは感染症(例えば、持続性ウイルス感染又は寄生虫性疾患)などの標的疾患又は状態の発症について監視される温血動物、好ましくはヒトであり得る。一実施形態では、対象は、成人(例えば、18歳を超えている対象)である。別の実施形態では、対象は、子供(例えば、18歳未満の対象)である。一実施形態では、対象は、男性である。別の実施形態では、対象は、女性である。一実施形態では、対象は、例えば、癌、感染症(例えば、持続性ウイルス感染もしくは寄生虫性疾患)などの標的疾患又は状態に罹患しており、好ましくはそれと診断される。一実施形態では、対象は、例えば、癌、感染症(例えば、持続性ウイルス感染又は寄生虫性疾患)などの標的疾患もしくは状態を発症するリスクがある。危険因子の例は、遺伝的素因、又は標的疾患又は状態の家族歴を含むが、これらに限定されない。
【0034】
用語「治療的有効量」は、特定の生物学的結果を達成するために有効な、本明細書に記載の細胞又は組成物の量を指す。そのため、「治療的有効量」という用語は、標的に重大な負の又は有害な副作用を引き起こすことなく、(1)標的疾患もしくは状態の発症を遅らせるか又は予防すること;(2)標的疾患もしくは状態の1以上の症状の進行、重症化、もしくは悪化を遅らせるか又は停止すること;(3)標的疾患もしくは状態の症状の改善をもたらすこと;(4)標的疾患もしくは状態の重症度又は発生率を低下させること;又は(5)標的疾患もしくは状態を治癒すること、を目的とする、組成物のレベルもしくは量又は細胞の数を意味する。治療的有効量は、予防的(prophylactic)又は予防的(preventive)作用のために、標的疾患もしくは状態の発症前に投与されてよい。或いは、又はそれに加えて、治療的有効量は、治療作用のために、標的疾患もしくは状態の開始後に投与されてよい。
【0035】
「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語は、それにより外因性核酸が宿主細胞中に移送又は導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換又は形質導入された細胞であり、初代対象細胞及びその子孫を含む。
【0036】
「治療」又は「治療する」という用語は、治療的処置と予防的(prophylactic)もしくは予防的(preventative)措置の両方を指し、目的は、標的疾患もしくは状態を予防するか又は減速させる(軽減する)ことである。治療が必要なものは、すでにこの状態にあるもの、及びその状態になりやすいもの、又は状態を予防されるものを含む。対象は、本明細書に記載の細胞又は組成物の治療量を受けた後に、対象が以下のこと:病原性細胞数の低下;病原性である全細胞の割合の低下;特定の状態と関連付けられる1以上の症状のある程度の緩和;罹患率と死亡率の低下、及び/又は生活の質の問題の改善、の1以上において観察可能な及び/又は測定可能な改善を示す場合、疾患もしくは状態についてうまく「治療され」る。良好な治療と状態における改善を評価するための上記のパラメータは、医師に馴染みのある日常的な手順により容易に測定可能である。
【0037】
詳細な説明
出願者らは以前に、TNF-α及びノッチリガンドの存在下でCD34+細胞を培養することが、培養の7日後にCD34-CD7+前駆細胞T細胞を生成することを可能にすることを観察した(WO2018/146297)。しかし、図8に示されるように、これらの細胞は、リンパ造血過程におけるT細胞が関与してから特異的にスイッチがオンになることが当技術分野で知られている転写因子、すなわち、GATA3及びBCL11Bを強く発現する。この発現パターンを考慮すると、これらの細胞のNK細胞発生は、先験的に予想されない可能性がある。しかし、本発明において、出願者らは驚くべきことに、第1の工程で、CD34+細胞がTNF-α及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される、NK細胞のインビトロ産生のための方法を提供した。
【0038】
本発明の第1の目的はそのため、
a)TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下でCD34+細胞を培養する、それにより細胞の第1の集団を取得する工程、並びに
b)サイトカイン含有培地中で細胞の第1の集団を培養する工程
を含む、NK細胞を生成するためのインビトロの方法である。
【0039】
一実施形態では、CD34+細胞は、臍帯血細胞から単離される。
【0040】
一実施形態では、CD34+は、成人ドナーから回収される。一実施形態では、CD34+細胞は、成人ドナーの末梢血の骨髄穿刺から取得される。CD34+細胞の数は成人末梢血中で少ない(すなわち、細胞の0.15%)ので、CD34+細胞を、骨髄から末梢(例えば、血液)に動員して、末梢血中のCD34+細胞の数を増加させてよい。一実施形態では、CD34+細胞を動員するために、成人ドナーは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)及び/又はプレリキサフォル、好ましくはG-CSFで処置され得る。動員剤の他の例は、CXCR2のアゴニスト(例えば、MGTA 145)、及びプレリキサフォルの類似体を含むが、これらに限定されない。
【0041】
一実施形態では、CD34+細胞は、動員された末梢血から単離される。
【0042】
CD34+細胞を単離するための方法は、当技術分野で周知であり、限定されないが、CD34を認識する抗体でコートされたビーズを用いる方法を含む。一実施形態では、CD34+細胞は、間接CD34マイクロビーズキット(Miltenyi)を用いて単離される。
【0043】
一実施形態では、本発明の方法で使用されるCD34+細胞集団は、少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%純粋である。一実施形態では、CD34+細胞は、成熟細胞のマーカーを発現せず、好ましくはCD34+細胞は、CD3、CD56、CD14/15、CD11bを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現せず、より好ましくはCD34+細胞は、これらのマーカーの全てを発現しない。
【0044】
一実施形態では、CD34+細胞は、iPSC(人工多能性幹細胞)に由来する。iPSC細胞からCD34+細胞を誘導するための方法の例は、当業者に知られており、例えば、2020年にJohn F.Tisdale(多能性幹細胞からの造血幹細胞:臨床の可能性、課題、及び将来の展望(Hematopoietic stem cells from pluripotent stem cells:Clinical potential,challenges, and future perspectives),Stem Cells Translational Medicine,9巻,12号,December 2020,ページ1549-1557)により及びRaoら(多能性幹細胞からの造血細胞:遺伝性血液疾患の治療に対する希望と見込み(Hematopoietic Cells from Pluripotent Stem Cells:Hope and Promise for the Treatment of Inherited Blood Disorders).Cells 2022,11,557)により説明されている。
【0045】
一実施形態では、CD34+細胞は、約10~10細胞/mL培地の範囲の濃度で播種される。
【0046】
一実施形態では、CD34+細胞は、約5,000~約30,000細胞/cm培地の範囲の濃度で、好ましくは約10,000~約30,000細胞/cmの範囲の濃度で播種される。
【0047】
一実施形態では、工程(a)の開始時に、CD34+細胞は、約10~10細胞/mL培地の範囲の濃度で播種される。
【0048】
一実施形態では、工程(a)の開始時に、CD34+細胞は、約5000~約30000細胞/cm培地の範囲の濃度で、好ましくは約10,000~約30,000細胞/cmの範囲の濃度で播種される。
【0049】
一実施形態では、培養容器は、6~96ウェルの培養プレート、ペトリ皿、フラスコ、攪拌機ボトル、マイクロタイタープレート、試験管、中空糸装置、細胞フォーム及びバッグを含む(これらに限定されない)従来の培養容器から選択される。播種される細胞の量は、使用する培養容器に応じて、当業者により適合され得る。
【0050】
一実施形態では、工程(a)及び工程(b)で使用される培地は、異なる。
【0051】
一実施形態では、本発明の方法の工程a)で使用される培地は、CD34+細胞の培養用に適合される。CD34+細胞の培養用に適合される培地の例は、α-MEM、DMEM、RPMI 1640、IMDM、BME、マッコイ5A、SFII(StemCell Technologies)培地、フィッシャー培地及びX-VIVOTM培地(Lonza、Basel、Switzerland)を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、CD34+細胞は、α-MEM培地(Thermo Fischer,MA,USA)中で培養される。
【0052】
一実施形態では、本発明で使用される培地(特に、工程(a)の培地及び/又は工程(b)の培地)は、フィーダー細胞を含まない。特に、本発明の一実施形態では、本発明で使用される培地(特に、工程(a)の培地及び/又は工程(b)の培地)は、OP-9フィーダー細胞を含まない。
【0053】
一実施形態では、本発明で使用される培地(特に、工程(a)の培地及び/又は工程(b)の培地)は、無血清である。一実施形態では、本発明で使用される培地(特に、工程(a)及び/又は工程(b)の培地)は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%v/vのウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)又はウシ胎児血清(fetal calf serum)(FCS)を補充される。
【0054】
一実施形態では、TNF-αは、例えば配列番号1(Uniprot受入番号:P01375)の配列を有する、ヒトTNF-αである。
【0055】
配列番号1
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL
【0056】
TNF-αは主に、安定なホモ二量体に配置されるII型膜貫通タンパク質として産生され、各モノマーは、ヒトでは233個のアミノ酸を含む。ヒトにおいて、ヒトTNF-αの可溶性部分は、配列番号1のアミノ酸77~233で構成される。
【0057】
一実施形態では、第1の培地(すなわち、工程(a)の培地)は、全長TNF-α又はその可溶性断片を含み、ここでその上記可溶性断片は、配列番号1のアミノ酸77~233を含むか、又はそれからなり得る。
【0058】
一実施形態では、TNF-α又はその断片は、培養の0日目に添加される。一実施形態では、TNF-α又はその断片は、0日目から、及び少なくとも約1、2、3、4、5、6又は7日間、培地中に存在する。一実施形態では、TNF-α又はその断片は、工程(a)の0日目から工程(a)の終了まで培地中に存在する。
【0059】
一実施形態では、TNF-α又はその断片は、例えば、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、100、200又は300ng/mLなどの、約1~約300ng/mLの範囲の濃度で使用される。一実施形態では、TNF-α又はその断片は、約10ng/mLの濃度で使用される。しかし、約5、10、20又は50ng/mLなどの他の濃度も適している。
【0060】
ノッチタンパク質は、多数の環境シグナルに対する細胞応答を調節する膜貫通受容体である。哺乳類では、4つのノッチ受容体(ノッチ1~4)と5つのリガンド(デルタ様1、デルタ様3、デルタ様4、Jagged-1及びJagged-2)が報告されている(Weinmaster Curr Opin Genet Dev 2000:10:363-369)。
【0061】
一実施形態では、培地は、デルタ様4、好ましくはヒトデルタ様4(DL-4としても知られる、Uniprot受入番号:Q9NR61、配列番号2)、又はその断片を含む。
【0062】
配列番号2
MAAASRSASGWALLLLVALWQQRAAGSGVFQLQLQEFINERGVLASGRPCEPGCRTFFRVCLKHFQAVVSPGPCTFGTVSTPVLGTNSFAVRDDSSGGGRNPLQLPFNFTWPGTFSLIIEAWHAPGDDLRPEALPPDALISKIAIQGSLAVGQNWLLDEQTSTLTRLRYSYRVICSDNYYGDNCSRLCKKRNDHFGHYVCQPDGNLSCLPGWTGEYCQQPICLSGCHEQNGYCSKPAECLCRPGWQGRLCNECIPHNGCRHGTCSTPWQCTCDEGWGGLFCDQDLNYCTHHSPCKNGATCSNSGQRSYTCTCRPGYTGVDCELELSECDSNPCRNGGSCKDQEDGYHCLCPPGYYGLHCEHSTLSCADSPCFNGGSCRERNQGANYACECPPNFTGSNCEKKVDRCTSNPCANGGQCLNRGPSRMCRCRPGFTGTYCELHVSDCARNPCAHGGTCHDLENGLMCTCPAGFSGRRCEVRTSIDACASSPCFNRATCYTDLSTDTFVCNCPYGFVGSRCEFPVGLPPSFPWVAVSLGVGLAVLLVLLGMVAVAVRQLRLRRPDDGSREAMNNLSDFQKDNLIPAAQLKNTNQKKELEVDCGLDKSNCGKQQNHTLDYNLAPGPLGRGTMPGKFPHSDKSLGEKAPLRLHSEKPECRISAICSPRDSMYQSVCLISEERNECVIATEV
【0063】
一実施形態では、本発明で使用される培地、好ましくは工程(a)で使用される培地は、少なくとも1つのノッチリガンドの可溶性ドメインを含む。一実施形態では、ノッチリガンドの可溶性ドメインは、上記リガンドの細胞外部分を表す。
【0064】
一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片(好ましくはノッチリガンドの可溶性ドメイン)をタンパク質に融合させ、ノッチリガンドが支持体上に固定化されることを可能にする。
【0065】
一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片(好ましくはノッチリガンドの可溶性ドメイン)は、ビオチンに融合される。
【0066】
一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片(好ましくはノッチリガンドの可溶性ドメイン)は、例えば、ヒトIgGタンパク質などの、IgGタンパク質のFc領域に融合される。一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片(好ましくはノッチリガンドの可溶性ドメイン)は、ヒトIgG2タンパク質などの、IgG2タンパク質のFc領域に融合される(NCBI受入番号:4HAF_A、配列番号3)。
【0067】
配列番号3
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0068】
一実施形態では、本発明で使用される培地、好ましくは工程(a)で使用される培地は、DL-4又はその断片、好ましくはDL-4の可溶性ドメインを含むか又はそれからなる断片を含む。
【0069】
一実施形態では、DL-4の可溶性ドメインは、配列番号2のアミノ酸1~526を含むか又はそれからなる。別の実施形態では、DL-4の可溶性ドメインは、配列番号2のアミノ酸1~525を含むか又はそれからなる。別の実施形態では、DL-4の可溶性ドメインは、配列番号2のアミノ酸1~524を含むか又はそれからなる。
【0070】
一実施形態では、DL-4又はその可溶性ドメインは、IgGタンパク質(例えば、ヒトIgGタンパク質など)、特にIgG2タンパク質、好ましくはヒトIgG2のFc受容体領域に融合される。ヒトIgG2タンパク質のFc受容体領域に融合されるDL-4の可溶性ドメインを含むタンパク質の一例は、配列番号4である。
【0071】
配列番号4
MAAASRSASGWALLLLVALWQQRAAGSGVFQLQLQEFINERGVLASGRPCEPGCRTFFRVCLKHFQAVVSPGPCTFGTVSTPVLGTNSFAVRDDSSGGGRNPLQLPFNFTWPGTFSLIIEAWHAPGDDLRPEALPPDALISKIAIQGSLAVGQNWLLDEQTSTLTRLRYSYRVICSDNYYGDNCSRLCKKRNDHFGHYVCQPDGNLSCLPGWTGEYCQQPICLSGCHEQNGYCSKPAECLCRPGWQGRLCNECIPHNGCRHGTCSTPWQCTCDEGWGGLFCDQDLNYCTHHSPCKNGATCSNSGQRSYTCTCRPGYTGVDCELELSECDSNPCRNGGSCKDQEDGYHCLCPPGYYGLHCEHSTLSCADSPCFNGGSCRERNQGANYACECPPNFTGSNCEKKVDRCTSNPCANGGQCLNRGPSRMCRCRPGFTGTYCELHVSDCARNPCAHGGTCHDLENGLMCTCPAGFSGRRCEVRTSIDACASSPCFNRATCYTDLSTDTFVCNCPYGFVGSRCEFPVGLPPSTMVRSVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGMEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0072】
IgG1タンパク質(例えば、ヒトIgG1タンパク質など)のFc受容体領域に融合されたDL-4の可溶性ドメインを含むタンパク質の例は、C末端でヒトIgG1のFc領域に融合されたヒトDLL4(全長DLL4受入番号NP_061947.1)の細胞外ドメイン(Met 1-Pro 524)を含む市販製品(Sino Biologicals)である。
【0073】
一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片は、培養に使用される培養容器に固定化される(すなわち、固体支持体に結合される)が、特定の要素が溶液中に見出され得る可能性がある。一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片は、培養容器の表面、好ましくは内面に固定化される。いかなる理論にも縛られることなく、出願者らは、ノッチリガンド又はその断片の固定化は、CD34+細胞との相互作用を促進し、ひいてはCD34+細胞のノッチ受容体の活性化を可能にするために、それを安定化させ得ることを示唆する。別の実施形態では、ノッチリガンド又はその断片は、培地中に存在する、ビーズ、好ましくはマイクロビーズ、又はポリマー又は磁気ビーズ(直径が一般に1~5μmで構成される)などの表面に固定化される。
【0074】
ノッチリガンド又はその断片の(例えば、ビーズへの又は培養容器の表面への)結合は、共有結合であってもよいし、そうでなくてもよい。ノッチリガンドの結合は、ノッチリガンド又はその断片が培養容器又はビーズの表面に吸着されることを可能にすることにより非共有結合的に行われ得る。タンパク質又はペプチドをビーズ又は培養容器に付着させるための方法は、当技術分野で公知であり、限定されないが、免疫グロブリン分子(例えば、ヒトIgGなど)の結晶化可能断片(Fc)領域;及びビオチン-ストレプトアビジン/ニュートラアビジン/アビジンコンジュゲーション法;及びクリックケミストリーコンジュゲーション法を含む。
【0075】
培養容器又はビーズをノッチリガンドでコートする方法は、WO2016/055396に開示されている。一実施形態では、WO2016/055396により、ノッチリガンド、特にDL-4の約75%は、5μg/mlを使用した場合、培養容器表面に又はビーズ表面に付着する。一実施形態では、ノッチリガンドで培養容器又はビーズをコートするために使用される組成物は、1.25μg/ml以上、及び好ましくは2.5及び5μg/mlの範囲のノッチリガンドの濃度を含む。
【0076】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、サイトカインをさらに含む。
【0077】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF(幹細胞因子)、Flt3-L(Flt3リガンド)、及びIL-7を含むか又はそれからなる群から選択される少なくとも1、2又は3種のサイトカインを含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、ヒトSCF、ヒトFlt3-L、及びヒトIL-7を含むか又はそれからなる群から選択される少なくとも1、2又は3種のサイトカインを含む。
【0078】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF(幹細胞因子)、Flt3-L(Flt3リガンド)、TPO(トロンボポエチン)及びIL-7(インターロイキン7)を含むか又はそれからなる群から選択される少なくとも1、2、3又は4種のサイトカインを含む。
【0079】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、hSCF(例えば、uniprot受入番号:P21583に対応する、幹細胞因子)、hFlt3-L(例えば、uniprot受入番号:P49771に対応する、Flt3リガンド)、hTPO(例えば、uniprot受入番号:P40225に対応する、トロンボポエチン)及びhIL-7(例えば、uniprot受入番号:P13232に対応する、ヒトインターロイキン7)を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3又は4種のサイトカインを含む。hSCF、hFlt3-L、hTPO及びhIL-7は、例えば、Peprotech社により提供される。
【0080】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF、(好ましくはhSCF)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、TPO(好ましくはhTPO)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、IL-7(好ましくはhIL-7)を含む。
【0081】
一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びFlt3-L(好ましくはhFlt3-L)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びTPO(好ましくはhTPO)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びTPO(好ましくはhTPO)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、工程(a)で使用される培地は、TPO(好ましくはhTPO)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。
【0082】
一実施形態では、培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びTPO(好ましくはhTPO)を含む。一実施形態では、培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、培地は、SCF(好ましくはhSCF)、TPO(好ましくはhTPO)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、TPO(好ましくはhTPO)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。
【0083】
一実施形態では、培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、TPO(好ましくはhTPO)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。
【0084】
一実施形態では、hSCFの濃度は、約2~約300ng/mL、好ましくは約40~約200ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0085】
一実施形態では、hFlt3-Lの濃度は、約2~約300ng/mL、好ましくは約40~約200ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0086】
一実施形態では、hTPOの濃度は、約2~約300ng/mL、好ましくは約40~約200ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0087】
一実施形態では、hIL-7の濃度は、約2~約300ng/mL、好ましくは約40~約200ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0088】
一実施形態では、工程(a)の培地は、IL-3を含まない。
【0089】
一実施形態では、培地は、フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片を含む(フィブロネクチンは、uniprot受入番号:P02751、配列番号5に対応する配列を有し得る)。一実施形態では、フィブロネクチン断片は、RGDSモチーフ、連結セグメント1(CS-1)モチーフ及び/又はヘパリン結合ドメインを含むか又はそれらからなり、好ましくは、フィブロネクチン断片は、RGDSモチーフ、CS-1モチーフ及びヘパリン結合ドメインを含むか又はそれらからなる。
【0090】
フィブロネクチンは、タンパク質であり、それは、その天然形態で長さ100nm及び460kDaのV字型の大きな二量体である。2つのモノマーは、それらのC末端で2つのジスルフィド架橋により連結される。「フィブロネクチン」又は「フィブロネクチン断片」という用語は、天然のフィブロネクチンタンパク質(すなわち、選択的スプライシングにより産生される任意のアイソフォーム)だけでなく、このタンパク質のモノマー、又はこのタンパク質の断片(特に指定される場合、RGDSモチーフ、CS-1モチーフ及びヘパリン結合部位を含有する)も意味すると理解される。
【0091】
本明細書に開示されるプロセスを実行するのに特に適しているフィブロネクチン断片の例は、レトロネクチン(RetroNectin)(登録商標)である。このタンパク質は、ヒトフィブロネクチンの断片(CH-296断片、Kimizukaら,J Biochem.,1991 Aug.110(2):284-91,Chonoら,J Biochem 2001 Sep 130(3):331-4)に相当し、細胞結合Cドメイン(RGDSモチーフ、ヘパリン結合ドメイン及びCS-1モチーフを含む)を含有する。このタンパク質は、特に会社Takara Bio社(Shiga, Japan)、Clinisciences(Nanterre,France、ノボネクチン(NovoNectin)(登録商標)とも呼ばれる)及びFisher scientific(Hampton,United-States)により販売されている。
【0092】
「RGDSモチーフ」という用語は、それがインテグリンVLA-5に結合できるように、RGDS(配列番号6)パターンを含有する任意のペプチド又はタンパク質を指すことを意図する。そのようなペプチド又はタンパク質は、当技術分野で公知であり報告されている方法により、VLA-5インテグリンを結合するその能力について試験できる。RGDSモチーフは、CD49e(アルファ5)とCD29(ベータ1)で構成される二量体であるインテグリンVLA-5(Very Late Antigen-5)に結合する。
【0093】
ヘパリン結合ドメインは、当技術分野で公知であり、ヘパリンに結合する多数のタンパク質中に存在する。それらの配列は一般に、XBBXBX又はXBBBXXBX(B=塩基性アミノ酸;X=ハイドロパシーアミノ酸;Cardin及びWeintraub,Arterioscler Thromb Vasc Biol.1989;9:21-32、配列番号7及び配列番号8)である。そのようなヘパリン結合ドメインの存在は、CD34+細胞が、それらを形質導入し、導入遺伝子を発現するT細胞前駆細胞を取得するために、ウイルス(特にレトロウイルス)ベクターに曝露される場合に特に好ましい。
【0094】
CS-1モチーフは、Waynerら,1989,J.Cell Biol.109:1321により記載されるような、25個のアミノ酸ペプチド(DELPQLVTLPHPNLHGPEILDVPST、配列番号9)である。CS-1モチーフは、VLA-4(Very Late Antigen-4)受容体に結合する。VLA-4は、CD49d(アルファ4)とCD29(ベータ1)で構成される、二量体インテグリンである。
【0095】
一実施形態では、フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片は、固定化される(すなわち、固体支持体に結合される)。フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片の結合(例えば、ビーズへの又は培養容器の表面への)は、共有結合であってもよいし、そうでなくてもよい。一実施形態では、フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片は、培養容器の内面に固定化される(しかし、特定の要素が溶液中に見出され得る可能性がある)。別の実施形態では、フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片は、ビーズ、好ましくはマイクロビーズ、又はポリマー又は磁気ビーズ(一般に1~5μmで構成される直径を有する)などの表面に固定化される。一実施形態では、ノッチリガンド又はその断片とフィブロネクチン又はその断片は、同じビーズ上に固定化される。別の実施形態では、ノッチリガンド又はその断片及びフィブロネクチン又はその断片は、別々のビーズ上に固定化される。
【0096】
一実施形態では、フィブロネクチン又はフィブロネクチン断片の固定化は、フィブロネクチン又はその断片が培養容器の内面上に又はビーズの表面に吸着されることを可能にすることにより、非共有結合的に行われる。ビーズに又は培養容器の表面にタンパク質又はペプチドを付着させるための方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に列挙されている。
【0097】
フィブロネクチン又はその断片で培養容器又はビーズをコートする方法は、WO2016/055396に開示されている。一実施形態では、フィブロネクチン又はその断片で培養容器又はビーズをコートするために使用される組成物は、10~100μg/mlの範囲で、好ましくは約25μg/mlのフィブロネクチン又はその断片の濃度を含む。
【0098】
一実施形態では、CD34+細胞は、少なくとも約4、5、6、7、8、9又は10日の間、好ましくは少なくとも約5又は6日の間、TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される。一実施形態では、CD34+細胞は、約4、5、6、7、8、9又は10日の間、好ましくは約7日の間TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される。一実施形態では、CD34+細胞は、最大で約10日の間TNF-αの又はその断片の、及びノッチリガンド又はその断片の存在下で培養される。
【0099】
一実施形態では、工程(a)で得られた細胞の集団は、成熟NK細胞を生成するためにヒト対象にインビボで注入されてよい。
【0100】
一実施形態では、本発明の方法の工程b)に使用されるサイトカイン含有培地は、NK細胞前駆細胞の培養用に適合される。一実施形態では、培地は、RPMI Glutamax培地(Thermo Fischer,MA,USA)、StemSpan無血清培地(Stem Cell Technologies,Vancouver,Canada)、無血清CellGro SCGM培地(Bioz,CA,USA)、CellGro DC培地(CellGenix,Freiburg,Germany)、Glycostem Basal成長培地(Clear Cell Technologies,Beernem,Belgium)及びアルファMEM(Thermo Fischer,MA,USA)、好ましくはRPMI Glutamax培地(Thermo Fischer,MA,USA)を含む群から選択される。
【0101】
一実施形態では、工程(b)で使用されるサイトカイン含有培地は、フィーダー細胞を含まない。
【0102】
一実施形態では、工程(b)で使用されるサイトカイン含有培地は、無血清である。一実施形態では、工程(b)で使用されるサイトカイン含有培地は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%の、好ましくは約10%のウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)又はウシ胎児血清(fetal calf serum)(FCS)を補充される。
【0103】
一実施形態では、工程(b)で、サイトカイン含有培地は、TNF-α又はその断片を含まない。一実施形態では、工程(b)で、サイトカイン含有培地は、ノッチリガンド又はその断片を含まない。一実施形態では、工程(b)で、サイトカイン含有培地は、TNF-α又はその断片も、ノッチリガンド又はその断片も含まない。
【0104】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15、好ましくはhIL-15を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF、好ましくはhSCFを含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、Flt3-L、好ましくはhFlt3-Lを含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-7、好ましくはhIL-7を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-2、好ましくはhIL-2を含む。
【0105】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15、SCF、Flt3-L、IL-7、及びIL-2を含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4又は5種のサイトカインを含む。
【0106】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、hIL-15(例えば、受託番号:P40933に対応し、Peprotech社により提供され得るヒトインターロイキン15)、hSCF(幹細胞因子)、hFlt3-L、hIL-7、及びhIL-2(例えば、受入番号:P60568に対応し、例えば、Novartis社により提供され得るヒトインターロイキン-2)を含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4又は5種のサイトカインを含む。
【0107】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)及びSCF(好ましくはhSCF)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)及びFlt3-L(好ましくはhFlt3-L)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15を含む(好ましくはhIL-15)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びFlt3-L(好ましくはhFlt3-L)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。
【0108】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)及びFlt3-L(好ましくはhFlt3-L)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びhIL-2を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。
【0109】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-7(好ましくはhIL-7)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)、SCF(好ましくはhSCF)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、IL-7(好ましくはhIL-7)及びIL-2(好ましくはhIL-2)を含む。
【0110】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-15、SCF(幹細胞因子)、Flt3-L、IL-7、及びIL-2を含む。
【0111】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、hIL-15、hSCF(幹細胞因子)、hFlt3-L、hIL-7、及びhIL-2を含む。
【0112】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはヒトIL-12)及び/又はIL-18(好ましくはヒトIL-18)を含まない。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはヒトIL-12)又はIL-18(好ましくはヒトIL-18)を含まない。
【0113】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-12、好ましくはヒトIL-12をさらに含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-18、好ましくはヒトIL-18をさらに含む。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはヒトIL-12)及びIL-18(好ましくはヒトIL-18)をさらに含む。
【0114】
一実施形態では、サイトカイン含有培地は、インターロイキン-7(好ましくはhIL-7)、幹細胞因子(好ましくはhSCF)、インターロイキン-15(好ましくはhIL-15)、インターロイキン-2(好ましくはhIL-2)、インターロイキン-18(好ましくはhIL-18)、インターロイキン-12(好ましくはhIL-12)及びFlt3リガンド(好ましくはhFLT3L)を含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4、5、6又は7種のサイトカインを含有する。一実施形態では、サイトカイン含有培地は、インターロイキン-7(好ましくはhIL-7)、幹細胞因子(好ましくはhSCF)、インターロイキン-15(好ましくはhIL-15)、インターロイキン-2(好ましくはhIL-2)、インターロイキン-18(好ましくはhIL-18)、インターロイキン-12(好ましくはhIL-12)及びFlt3リガンド(好ましくはhFLT3L)を含む。
【0115】
一実施形態では、サイトカインhSCFの濃度は、約10~約200ng/mL、好ましくは約20~約50ng/mLの範囲であり、より好ましくは約50ng/mLである。
【0116】
一実施形態では、サイトカインhFlt3-Lの濃度は、約10~約200ng/mL、好ましくは約20~約50ng/mLの範囲であり、より好ましくは約50ng/mLである。
【0117】
一実施形態では、サイトカインhIL-7の濃度は、約10~約200ng/mL、好ましくは約20~約50ng/mLの範囲であり、より好ましくは約20ng/mLである。
【0118】
一実施形態では、サイトカインhIL-15の濃度は、約10~約200ng/mL、好ましくは約20~約50ng/mLの範囲であり、より好ましくは約20ng/mLである。
【0119】
一実施形態では、サイトカインhIL-2の濃度は、約200IU/mL~約1000IU/mLの範囲であり、好ましくは約500IU/mLである。
【0120】
一実施形態では、サイトカインhIL-12の濃度は、約0.01ng/mL~約100ng/mLの範囲であり、好ましくは約0.1ng/mL~約50ng/mL又は約0.1ng/mL~約10ng/mLの範囲であり、より好ましくは約10ng/mLである。
【0121】
一実施形態では、サイトカインhIL-18の濃度は、約0.1ng/mL~約200ng/mLの範囲であり、好ましくは約0.5ng/mL~約100ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0122】
一実施形態では、工程(b)で、細胞は、少なくとも約、又は約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、好ましくは約7~約14日間の範囲の期間、より好ましくは約10、11、12、13、又は14日間培養され、それによりNK細胞を取得する。
【0123】
一実施形態では、工程(b)の開始時に、CD34+細胞は、約10~10細胞/1mLサイトカイン含有培地の範囲の濃度で播種される。
【0124】
一実施形態では、本発明の方法は、工程(b)の終わりに得られた細胞の洗浄工程をさらに含む。
【0125】
一実施形態では、工程(b)で得られたNK細胞は、当技術分野で公知の方法に従って凍結される。一実施形態では、NK細胞は、遠心分離され(例えば、1500rpmで5分間)、凍結培地(例えば、90%v/vのFBS及び10%v/vのDMSOを含む)中に再懸濁される。
【0126】
一実施形態では、工程(b)で得られたNK細胞は、使用前に、例えば水槽中で37℃にて、解凍される。
【0127】
一実施形態では、本発明の方法は、患者への注射用のパウチ中で工程(b)で得られたNK細胞を順化する工程も含み得る。一実施形態では、NK細胞は、アルブノルム(albunorm)(商標)5% 50g/L(Octopharma,Lingolsheim,France)などの5%HSAを含有する生理食塩水中で再順化される。
【0128】
一実施形態では、本発明の方法の工程(b)の間に又は後で、細胞は、NK細胞の成熟に適合された培地中でさらに培養され得る。そのため、一実施形態では、本発明の方法は、成熟培地中での工程(b)の間に又は後で細胞の培養の工程(b’)をさらに含む。
【0129】
一実施形態では、工程(b’)は、工程(b)の後に行われる。
【0130】
一実施形態では、工程(b’)は、工程(b)の間に行われ、工程(b)が、
-サイトカイン含有培地中での細胞の培養の工程(b
-成熟培地中での細胞の培養の工程(b’)、及び
-サイトカイン含有培地中での細胞の培養の工程(b
を含むことを意味する。
【0131】
一実施形態では、工程(b’)で、細胞は、成熟培地中で少なくとも約又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間、好ましくは約6~約12時間の範囲の期間中、より好ましくは約6時間培養され、それにより成熟NK細胞を取得する。
【0132】
一実施形態では、工程(b’)は、成熟培地中で少なくとも約又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間の間、好ましくは約12時間の間、予備活性化培養工程としての工程(b)の前に行われる。
【0133】
一実施形態では、工程(b)で、細胞は、サイトカイン含有培地中で少なくとも約又は約4、5、6、7、8日の間、好ましくは約4~約7日の範囲の期間中、より好ましくは約7日間培養される。
【0134】
一実施形態では、工程(b)で、細胞は、サイトカイン含有培地中で少なくとも約又は約4、5、6、7、8日の間、好ましくは約4~約7日の範囲の期間中、より好ましくは約7日間培養される。
【0135】
一実施形態では、成熟培地は、RPMI(Thermo Fischer,MA,USA)、StemSpan無血清培地(Stem Cell Technologies,Vancouver,Canada)、無血清CellGro SCGM培地(Bioz,CA,USA)、CellGro DC培地(CellGenix,Freiburg,Germany)、Glycostem Basal成長培地(Clear Cell Technologies,Beernem,Belgium)及びアルファMEM(Thermo Fischer,MA,USA)、好ましくはRPMI(Thermo Fischer,MA,USA)を含む群から選択される。
【0136】
一実施形態では、成熟培地は、フィーダー細胞を含まない。
【0137】
一実施形態では、成熟培地は、無血清である。一実施形態では、成熟培地は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%の、好ましくは約10%のウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)又はウシ胎児血清(fetal calf serum)(FCS)を補充される。
【0138】
一実施形態では、工程(b’)で、成熟培地は、TNF-α又はその断片を含まない。一実施形態では、工程(b’)で、成熟培地は、ノッチリガンド又はその断片を含まない。一実施形態では、工程(b’)で、成熟培地は、TNF-αもしくはその断片も、ノッチリガンドもしくはその断片も含まない。
【0139】
一実施形態では、成熟培地は、IL-12、IL-15及び/又はIL-18を含む。
【0140】
一実施形態では、成熟培地は、hIL-12(例えば、uniprot受入番号:P29459及びP29460に対応するp35及びp40タンパク質の二量体を含み得るヒトインターロイキン-12)、hIL-15及び/又はhIL-18(例えば、uniprot受入番号:Q14116に対応するヒトインターロイキン-18)を含む。hIL12は、例えばPeprotech又はMiltenyi Biotechにより提供され、hIL18は、例えば、MBL International Corporation又はR&D Biosystemsにより提供され得る。
【0141】
一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはhIL-12)を含む。一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)を含む。一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-18(好ましくはhIL-18)を含む。
【0142】
一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはhIL-12)及びIL-15(好ましくはhIL-15)を含む。一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはhIL-12)及びIL-18(好ましくはhIL-18)を含む。一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-15(好ましくはhIL-15)及びIL-18(好ましくはhIL-18)を含む。
【0143】
一実施形態では、成熟サイトカイン含有培地は、IL-12(好ましくはhIL-12)、IL-15(好ましくはhIL-15)及びIL-18(好ましくはhIL-18)を含む。
【0144】
一実施形態では、サイトカインhIL-12の濃度は、約5~200ng/mL、好ましくは約5~50ng/mLの範囲であり、より好ましくは約10ng/mLである。
【0145】
一実施形態では、サイトカインhIL-12の濃度は、約0.01ng/mL~約100ng/mLの範囲、好ましくは約0.1ng/mL~約50ng/mL又は約0.1ng/mL~約10ng/mLの範囲であり、より好ましくは約10ng/mLである。
【0146】
一実施形態では、サイトカインhIL-15の濃度は、約10~200ng/mL、好ましくは約20~100ng/mLの範囲であり、より好ましくは約50ng/mLである。
【0147】
一実施形態では、サイトカインhIL-18の濃度は、約10~200ng/mL、好ましくは約20~100ng/mLの範囲であり、より好ましくは約50ng/mLである。
【0148】
一実施形態では、サイトカインhIL-18の濃度は、約0.1ng/mL~200ng/mL、好ましくは約0.5ng/mL~100ng/mLの範囲であり、より好ましくは約100ng/mLである。
【0149】
一実施形態では、成熟培地は、インターロイキン-7(好ましくはhIL-7)、幹細胞因子(好ましくはhSCF)、インターロイキン-15(好ましくはhIL-15)、インターロイキン-2(好ましくはhIL-2)、Flt3リガンド(好ましくはhFLT3L)、インターロイキン-18(好ましくはhIL-18)及びインターロイキン-12(好ましくはhIL-12)を含む。一実施形態では、成熟培地のサイトカインの濃度は、サイトカイン含有培地中に存在するサイトカインの濃度と同等であり、上の本明細書で詳述されている。
【0150】
一実施形態では、本発明の方法は、工程(b’)又は(b)の終わりに得られた細胞の洗浄工程をさらに含む。
【0151】
一実施形態では、工程(b’)又は(b)で得られたNK細胞は、当技術分野で公知の方法に従い凍結される。一実施形態では、NK細胞は、遠心分離され(例えば、1500rpmで5分間)、凍結培地(例えば、90%v/vのFBS及び10%v/vのDMSO)中に再懸濁される。
【0152】
一実施形態では、工程(b’)又は(b)で得られたNK細胞は、例えば、水槽中で37℃にて、使用の前に解凍される。
【0153】
一実施形態では、本発明の方法は、工程(b’)又は(b)で得られたNK細胞(好ましくは成熟NK細胞)を患者への注射用のパウチ中で順化する工程も含み得る。一実施形態では、NK細胞は、アルブノルム(albunorm)(商標)5% 50g/L(Octopharma,Lingolsheim,France)などの5%HSAを含有する生理食塩水中で再順化される。
【0154】
一実施形態では、本発明の方法は、遺伝子改変工程をさらに含む。一実施形態では、本発明の方法は、1以上の遺伝子改変工程(複数可)をさらに含む。
【0155】
一実施形態では、遺伝子改変工程(複数可)は、遺伝子破壊工程、遺伝子修正工程又は遺伝子追加工程、好ましくは遺伝子追加工程に対応する。一実施形態では、遺伝子改変工程(複数可)は、トランスフェクション、形質導入又は遺伝子編集を含む群から選択されるが、これらに限定されない方法である/方法により行われる。
【0156】
本発明で使用され得る遺伝子編集の方法の例は、改変されたヌクレアーゼに基づく方法、組換えアデノ随伴ウイルス(すなわちAAV)に基づく方法、トランスポゾンに基づく方法(例えば、スリーピングビューティートランスポゾンシステム)、相同組換えに基づく方法、部位特異的リコンビナーゼ(例えば、Cre-LoxP及びFlp-FRTシステム)を用いるコンディショナルターゲティング、及びマルチプレックス自動ゲノム工学(MAGE)を含むが、これらに限定されない。本発明で使用され得る遺伝子編集の方法の他の例は、ニッカーゼに基づく方法を含むが、これに限定されない。
【0157】
改変されたヌクレアーゼの非限定的な例は、クラスター化され規則的に間隔をあけられた短い回文反復配列(CRISPR)転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ(mn、ホーミングエンドヌクレアーゼとしても知られる)、又はmegaTAL(TALエフェクターとmn切断ドメインを組み合わせた)を含むが、これに限定されない。改変されたヌクレアーゼの他の非限定的な例としては、塩基エディター又はプライムエディターが挙げられる。
【0158】
一実施形態では、目的の遺伝子を発現する外因性核酸配列が、好ましくは本方法の工程(a)の前に又は最中に、細胞中に導入される。
【0159】
一実施形態では、CD34+細胞の形質導入又はトランスフェクションは、本発明の方法の工程(a)の前に行われる。
【0160】
一実施形態では、本方法の工程(a)の前に、CD34+細胞は、形質導入される前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間、好ましくは一晩、事前活性化される。一実施形態では、本方法の工程(a)の前に、CD34+細胞は、形質導入される前に、少なくとも約1日間、事前活性化される。一実施形態では、事前活性化は、工程(a)の培地と同等であるがTNF-α又はその断片を欠く培地中での細胞培養を含むか又はそれからなる。別の実施形態では、事前活性化は、工程(a)の培地と同等の培地中での細胞培養を含むか又はそれからなる。この実施形態によれば、遺伝子改変工程と工程a)の組み合わせの期間は、少なくとも約4、5、6、7、8、9又は10日、好ましくは少なくとも約5又は6日である。一実施形態では、遺伝子改変工程と工程a)の組み合わせの期間は、約4、5、6、7、8、9又は10日、好ましくは約7日である。
【0161】
一実施形態では、CD34+細胞の形質導入又はトランスフェクションは、本発明の方法の工程(a)中に行われる。
【0162】
一実施形態では、形質導入は、DL-4及びフィブロネクチンの不在下で実施される。一実施形態では、形質導入は、DL-4及びフィブロネクチンの存在下で実施される。一実施形態では、形質導入は、TNF-α又はその断片の存在下で実施される。一実施形態では、形質導入は、TNF-α又はその断片の不在下で実施される。
【0163】
一実施形態では、形質導入は、工程(a)の培地中で実施される。一実施形態では、形質導入は、SCF(好ましくはhSCF)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、及びIL-7(好ましくはhIL-7)、hIL3を含むか又はそれらからなる群から選択されるサイトカインの少なくとも1種の存在下で、より好ましくは3種のサイトカインを伴い実施される。一実施形態では、形質導入は、SCF(好ましくはhSCF)、TPO(好ましくはhTPO)、Flt3-L(好ましくはhFlt3-L)、及びIL-7(好ましくはhIL-7)、hIL3を含むか又はそれらからなる群から選択されるサイトカインの少なくとも1種の存在下で、より好ましくは4種のサイトカインを伴い実施される。一実施形態では、形質導入は、hSCF、hTPO、hFlt3-L、hIL-7、hIL3を含む群から選択されるサイトカインの少なくとも1種の存在下で、より好ましくは5種のサイトカインを伴い実施される。一実施形態では、サイトカインは、少なくとも20ng/mL~300ng/mLの濃度で使用され、より好ましくは、サイトカインは、20ng/mL、100ng/mL又は300ng/mLの濃度で使用される。
【0164】
一実施形態では、形質導入は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10時間の間、好ましくは少なくとも6時間の間実施される。
【0165】
一実施形態では、形質導入工程のために、CD34+細胞は、約10~10細胞/mLの範囲の濃度で播種される。
【0166】
一実施形態では、形質導入後に、CD34+細胞は、洗浄され、次いで本発明の方法の工程(a)が、実施される。
【0167】
一実施形態では、細胞中に導入される外因性核酸配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。CARは、例えば、標的細胞により特異的に発現される細胞表面タンパク質(例えば、癌細胞又は感染細胞により発現される)などの、抗原を認識する細胞表面タンパク質である。
【0168】
一実施形態では、細胞中に導入される外因性核酸配列は、サイトカインもしくはサイトカイン受容体又はそれらの変異体(例えば、安定性を高めたサイトカイン又はサイトカイン受容体の変異体など)を含むか又はそれらからなる群から選択されるタンパク質をコードする。一実施形態では、外因性核酸配列は、キメラサイトカイン受容体又は直交サイトカイン-受容体対をコードする。
【0169】
一実施形態では、外因性核酸配列は、IL-15又はその変異体をコードする。
【0170】
一実施形態では、細胞中に導入される外因性核酸配列は、CD16又はその変異体(例えば、CD16の切断抵抗性変異体など)をコードする。
【0171】
一実施形態では、遺伝子改変工程(複数可)は、特異的遺伝子の発現を減少させる又は廃止することを目的とする、遺伝子破壊工程である。除去され得る遺伝子の例は、PD1、TIGIT、LAG-3、TIM-3、サイトカイン誘導性STAT阻害因子(CIS)及びシグナル調節タンパク質α(SIRPα)を含むか又はそれらからなる群からの遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【0172】
一実施形態では、遺伝子改変工程(複数可)は、特異的遺伝子の発現を減させる少又は廃止することを目的とする、遺伝子破壊工程である。除去され得る遺伝子の例は、PD1、TIGIT、LAG-3、TIM-3、TGFB2、サイトカイン誘導性STAT阻害因子(CIS)及びシグナル調節タンパク質α(SIRPα)を含むか又はそれらからなる群からの遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【0173】
本発明の別の目的は、本発明のインビトロの方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞集団である。
【0174】
一実施形態では、本発明のNK細胞は、CD3-CD56+NK細胞である。一実施形態では、本発明のNK細胞集団は、CD3-CD56+NK細胞を含む。
【0175】
一実施形態では、本発明の方法により生成されるCD3-CD56+NK細胞は、少なくとも約60、65、70、75、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95%の純度を有し、すなわち、工程b)の終わりに回収される細胞の60%超が、CD3-CD56+NK細胞である。
【0176】
NK細胞は、活性化受容体及び抑制性受容体を含む、それらの細胞表面膜で発現される受容体により腫瘍細胞及び感染細胞を認識する。
【0177】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、KIRDS1/S2、KIR2DS4、KIR2DL4、CD94/NKG2C、KIR3DL2、CD16、NKG2D、NCRs、DNAM-1、2B4、NTBA及びNKp80を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの活性化受容体を発現する。
【0178】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD3-CD56+細胞であるか又はそれを含み、ここで上記CD3-CD56+細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%(例えば、少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%)は、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。
【0179】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD3-CD56+細胞であるか又はそれを含み、ここで上記CD3-CD56+細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%(例えば、少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%)は、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。
【0180】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD161、CD62L、並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1、NKG2D及びCD62Lを発現する。
【0181】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%は、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%は、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。
【0182】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約50、55、60、65又は75%は、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約50、55、60、65又は75%は、CD161、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。
【0183】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CD62Lを発現する。一実施形態では、NK細胞の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25%は、CD62Lを発現する。
【0184】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、CCR5を発現する。一実施形態では、NK細胞の少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、85、90、95%は、CCR5を発現する。
【0185】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、KIR2DL1/2/3、KIR3DL1、KIR3DL2、CD94/NKG2A、LIR-1、KLRG-1、CEACAM1、TIGIT、Siglec-3、-7、-9、LAIR-1及びCD300Aを含むか又はそれらからなる群から選択される抑制性受容体の少なくとも1つを発現しない。
【0186】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、KIR2DL1/2/3、KIR3DL1、KIR3DL2、及びKLRG-1を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの抑制性受容体を発現しない。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、KIR2DL1/2/3、KIR3DL1、KIR3DL2、又はKLRG-1を発現しない。
【0187】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%未満は、KIR2DL1/2/3、KIR3DL1、KIR3DL2、及びKLRG-1を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの抑制性受容体を発現する。
【0188】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%未満は、CD16を発現する。
【0189】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55%未満は、CD16を発現する。
【0190】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約35、40又は45%は、CD94及び/又はNKG2Aを発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約15、20、25又は30%は、CD94及び/又はNKG2Aを発現する。一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞の少なくとも約50、55、60、65、70又は75%は、CD94及び/又はNKG2Aを発現する。
【0191】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、未熟なNK細胞である(又はそれらを含む)。未熟なNK細胞は、例えばKIR受容体及び/又はCD16の発現を欠く。
【0192】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、成熟したNK細胞である。成熟したNK細胞は、例えばCD16及び/又はKIR受容体を発現し得る。
【0193】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、例えば、メモリー様NK細胞などの成熟したNK細胞である(又はそれらを含む)。
【0194】
一実施形態では、本発明の方法により取得される可能性が高い又は取得されるNK細胞は、未熟なNK細胞及び成熟したNK細胞(例えば、メモリー様NK細胞)を含む。
【0195】
本発明はさらに、NK細胞集団に関し、NK細胞は、CD161、DNAM1、NKp30、NKp44、NKp46及びNKG2Dを発現し、KIR3DL1/DL2、KIR3DL2/DL3、KLRG1を発現しない。一実施形態では、上記NK細胞集団は、単離される。
【0196】
本発明はさらに、NK細胞集団に関し、ここでNK細胞は、CD3-CD56+細胞であるか又はそれを含み、ここで上記CD3-CD56+細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%(例えば、少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%)は、CD161並びにNKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを含むか又はそれらからなる群から選択される活性化受容体から選択される少なくとも1つの分子を発現する。
【0197】
一実施形態では、NK細胞は、CD62Lを発現する。
【0198】
本発明はさらに、CD161、DNAM1、NKp30、NKp44、NKp46及びNKG2Dを発現し、KIR3DL1/DL2、KIR3DL2/DL3、KLRG-1を発現しないNK細胞に関する。一実施形態では、上記NK細胞は、単離される。
【0199】
一実施形態では、本発明のNK細胞集団の細胞の少なくとも約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%は、CD161並びに活性化受容体NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞集団の細胞の少なくとも約50、55、60、65又は75%は、CD161並びに活性化受容体NKp30、NKp44、NKp46、DNAM1及びNKG2Dを発現する。
【0200】
一実施形態では、本発明のNK細胞は、CCR5を発現する。一実施形態では、集団のNK細胞の少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、85、90、95%は、CCR5を発現する。
【0201】
一実施形態では、集団のNK細胞の最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%、より好ましくは、最大約2%は、抑制性受容体KIR2DL1/2/3、KIR3DL1、KIR3DL2及びKLRG-1を発現する。
【0202】
一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%は、CD16を発現する。
【0203】
一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%未満は、CD16を発現する。
【0204】
一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40%未満は、CD16を発現する。
【0205】
一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の約41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55%未満は、CD16を発現する。
【0206】
一実施形態では、集団のNK細胞の少なくとも約35、40又は45%は、CD94を発現する。一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の少なくとも約15、20、25又は30%は、CD94を発現する。
【0207】
一実施形態では、集団のNK細胞の少なくとも約35、40又は45%は、NKG2Aを発現する。一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の少なくとも約15、20、25又は30%は、NKG2Aを発現する。一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の少なくとも約50、55、60、65、70及び75%は、NKG2Aを発現する。
【0208】
一実施形態では、本発明の集団のNK細胞の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15%未満は、NKG2Aを発現する。
【0209】
一実施形態では、集団のNK細胞の少なくとも約15、20、25、30、35、40又は45%は、NKG2A及びCD94を発現する。
【0210】
一実施形態では、本発明のNK細胞は、未熟なNK細胞である。一実施形態では、本発明のNK細胞集団は、未熟なNK細胞を含む。一実施形態では、本発明のNK細胞は、成熟したNK細胞(例えば、メモリー様NK細胞)である。一実施形態では、本発明のNK細胞集団は、成熟したNK細胞(例えば、メモリー様NK細胞)を含む。一実施形態では、本発明のNK細胞集団は、未熟なNK細胞及び成熟したNK細胞(例えば、メモリー様NK細胞)を含む。
【0211】
一実施形態では、本発明のNK細胞(例えば、本発明の方法により取得され得る)は、機能的である、すなわち、細胞傷害活性を有することができる。
【0212】
NK細胞の機能は、当技術分野で公知の従来の方法により検証され得る。そのような方法の例は、限定されないが、細胞傷害性アッセイ、IFNγ又はTNF-αの分泌の測定、並びにパーフォリン及びグランザイムの生成(及び脱顆粒の能力)の測定を含む。そのような方法の例は、実験の部分で提示される。
【0213】
一実施形態では、NK細胞は、試験Aの条件において、インビトロで細胞傷害性である。
【0214】
実際には、試験Aは、フローサイトメトリーベースの細胞傷害性アッセイであり、以下のように行われる:標的細胞(例えば、K562細胞又はTHP1細胞)を、標的細胞をエフェクターNK細胞と区別するために、37℃で10分間、1μMの色素とインキュベートすることにより、CellTrace Violet色素で標識する。標識した標的細胞を次いで、COインキュベーター内で37℃にて5時間、10%のFBS及び30IU/mlのhIL-2を補充したRPMI培地中で、異なるエフェクター対標的の比でNK細胞とインキュベートする。5時間のインキュベーション後に、細胞を7-AADで染色して、NK細胞により死滅された標的細胞を区別する。自発的な標的細胞の死の効果を、NK細胞なしに標的細胞のみをインキュベートする1つの条件を含めることにより、正規化する(エフェクター細胞の存在下での標的細胞死の割合(%)から、エフェクター細胞なしの自発的な標的細胞の死の割合(%)を減算することにより)。一実施形態では、試験Aにおいて、陽性対照条件は、標的細胞を、例えば、PBSで約0.2%に希釈したTween20などの界面活性剤に曝露し、それにより総標的細胞死を測定する、条件に相当する。
【0215】
一実施形態では、標的細胞中の死細胞の割合が少なくとも1つのエフェクター対標的細胞の比において少なくとも約10%であり、以下の基準:標的細胞の自然死の割合が約5%以下である、全標的細胞死の割合が約99%以上である;及び反復間の変動係数が約20%以下である、が満たされる場合、細胞は、試験Aの条件で細胞傷害性である。
【0216】
一実施形態では、1.25:1のエフェクター:標的の比率で、少なくとも約5、10又は15%の細胞傷害性の割合が、用量依存的応答と共に測定される場合、細胞は、試験Aの条件で細胞傷害性であり、エフェクター:標的細胞の比率が重大であるほど、NK細胞の細胞傷害性が高くなることを意味する。
【0217】
一実施形態では、1.25:1のエフェクター:標的の比率で、少なくとも約20%の細胞傷害性の割合が、用量依存的応答と共に測定される場合、細胞は、試験Aの条件において細胞傷害性であり、エフェクター:標的細胞の比率が重大であるほど、NK細胞の細胞傷害性が高くなることを意味する。
【0218】
一実施形態では、本発明のNK細胞は、CARを発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞は、サイトカインもしくはサイトカイン受容体又はそれらの変異体(例えば、安定性が増大したサイトカイン又はサイトカイン受容体の変異体など)を含むか又はそれらからなる群から選択されるタンパク質を発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞は、キメラサイトカイン受容体又は直交サイトカイン-受容体対を発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞は、IL-15又はその変異体を発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞は、CD16又はその変異体(例えば、CD16の切断抵抗性変異体など)を発現する。一実施形態では、本発明のNK細胞は、PD1、TIGIT、LAG-3、TIM-3、サイトカイン誘導STAT阻害因子(CIS)及びシグナル調節タンパク質α(SIRPα)を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を発現しない。一実施形態では、本発明のNK細胞は、PD1、TIGIT、LAG-3、TIM-3、TGFB2、サイトカイン誘導STAT阻害因子(CIS)及びシグナル調節タンパク質α(SIRPα)を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を発現しない。
【0219】
本発明はさらに、TNF-α又はその断片、ノッチリガンド又はその断片、及びインターロイキン-7(好ましくはhIL-7)、幹細胞因子(好ましくはhSCF)、インターロイキン-15(好ましくはhIL-15)、インターロイキン-2(好ましくはhIL-2)及びFlt3リガンド(好ましくはhFLT3L)を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも3種の(例えば、3、4又は5種、好ましくは5種の)サイトカインを含む本発明の方法を実施するためのキットに関する。一実施形態では、本発明の方法を実施するためのキットは、IL-7(好ましくはhIL-7)、SCF(好ましくは、hSCF)、IL-15(好ましくはhIL-15)及びFLT3-L(好ましくはhFLT3L)を含み得る。一実施形態では、キットは、フィブロネクチン又はその断片をさらに含む。一実施形態では、キットは、IL-12(好ましくはhIL-12)及び/又はIL-18(好ましくはhIL-18)をさらに含む。
【0220】
このようなキットは、本明細書に開示される方法を実施するために特に適合され及び設計される。
【0221】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象におけるNK細胞の数を増加させるための、又は増加させることにおける使用のための本明細書に記載のNK細胞集団である。
【0222】
本発明の別の目的は、例えば「既製」治療法などの、治療法における使用のための本明細書に記載のNK細胞集団である。
【0223】
本発明の別の目的は、医薬としての使用のための本明細書に記載のNK細胞集団である。
【0224】
本発明はさらに、対象におけるNK細胞の数を増加させるための医薬の製造用の、本明細書に記載のNK細胞集団の使用に関する。
【0225】
本発明はさらに、本明細書に記載のNK細胞集団(特に、本明細書に記載の治療的有効量のNK細胞)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるNK細胞の数を増加させるための方法に関する。
【0226】
本発明はさらに、本発明によるNK細胞集団を含む、それから本質的になる、又はそれからなる組成物に関する。
【0227】
一実施形態では、組成物は、医薬組成物であり、少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤をさらに含む。したがって、本発明はさらに、医薬組成物に関する。
【0228】
一実施形態では、医薬組成物は、本発明によるNK細胞集団及び少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0229】
本発明の医薬組成物で使用され得る医薬として許容される賦形剤は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンなど、緩衝物質、例えばリン酸塩など、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール及びウール油脂を含むが、これらに限定されない。
【0230】
一実施形態では、本発明の組成物は、医薬である、又は医薬としての使用のためのものである。したがって、本発明はさらに、医薬に関する。
【0231】
一実施形態では、医薬は、本発明によるNK細胞集団を含む、含む、それから本質的になる、又はそれからなる。
【0232】
本明細書で使用される、組成物、医薬組成物又は医薬に関して「から本質的になる」という用語は、本発明のNK細胞が、上記組成物、医薬組成物又は医薬中で生物学的活性を有する唯一の治療薬又は薬剤であることを意味する。
【0233】
一実施形態では、本発明のNK細胞集団、組成物、医薬組成物又は医薬は、癌又は感染症を治療するためのものである。
【0234】
本発明はそのため、癌又は感染症を治療するためのNK細胞、NK細胞集団、組成物、医薬組成物又は医薬に関する。
【0235】
本発明はさらに、癌又は感染症を治療するための医薬の製造のための、本明細書に開示されるNK細胞又はNK細胞集団の使用に関する。
【0236】
本発明はさらに、本明細書に記載のNK細胞集団(特に、本明細書に記載の治療的有効量のNK細胞)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における癌又は感染症を治療するための方法に関する。
【0237】
一実施形態では、対象は、ヒトである。
【0238】
一実施形態では、対象は、癌に罹患している、好ましくは癌と診断される。
【0239】
癌の例は、白血病(すなわち、急性骨髄性白血病)、リンパ腫(例えば、Bリンパ腫)、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、甲状腺癌、黒色腫、子宮癌、腎臓癌、肉腫、癌腫、非小細胞肺癌、口腔癌及び中咽頭癌、メチルコラントレン誘発肉腫及び結腸直腸癌を含むが、これらに限定されない。
【0240】
癌の例は、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病)、リンパ腫(例えば、Bリンパ腫、末梢T細胞リンパ腫)、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、多発性骨髄腫、子宮頸癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、甲状腺癌、黒色腫、子宮癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肉腫、癌腫(例えば、腎細胞癌、乳癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、小児固形腫瘍、CD133+癌幹細胞、NKGDL+癌細胞、PD-L1+癌細胞、口腔癌及び中咽頭癌(例えば、舌癌、食道癌、喉頭癌(laryngeal cancer)、咽頭癌(pharyngeal cancer))メチルコラントレン誘発肉腫及び結腸直腸癌を含むが、これらに限定されない。
【0241】
一実施形態では、対象は、感染症に罹患し、好ましくは感染症と診断される。
【0242】
一実施形態では、対象は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス-1、サイトメガロウイルス(CMV))インフルエンザ、レトロウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エンテロウイルス(例えば、コクサッキーB3ウイルス)を含むか又はそれらからなる群から選択されるウイルスにより引き起こされるウイルス持続感染に罹患し、好ましくはウイルス持続感染症と診断される。
【0243】
一実施形態では、対象は、寄生虫感染に罹患し、好ましくは寄生虫感染症と診断される。寄生虫感染症の例は、トキソプラズマ症、トリパノソーマ症、リーシュマニア症及びマラリアを含むが、これらに限定されない。
【0244】
本発明の一実施形態では、治療対象は、本明細書上記の組成物の治療的有効量を少なくとも1回投与される。
【0245】
一実施形態では、本発明のNK細胞の単回用量が、対象に投与される。別の実施形態では、本発明のNK細胞の複数回用量が、ある期間にわたり投与される。
【0246】
一実施形態では、治療的有効量のNK細胞が、治療対象に投与されるか、投与されるためのものか、又は投与される予定である。一実施形態では、治療的有効量は、約0.5×10~約3×10細胞/kg体重の範囲である。
【0247】
一実施形態では、対象に注入され得るNK細胞の数は、約0.5×10~約3×10細胞/kg体重の範囲である。
【0248】
一実施形態では、NK細胞、NK細胞集団、本発明の組成物、医薬組成物又は医薬は、膀胱内投与、膣内投与、骨内投与、腹腔内投与、子宮内投与、眼内投与、皮内投与、動脈内投与、脳内投与、鼻腔内投与、経腸投与、頬側投与、鼻腔内投与、経口投与、直腸投与、又は吸入により投与される(又は投与される予定である、又は投与するためのものである)。
【0249】
一実施形態では、NK細胞、NK細胞集団、本発明の組成物、医薬組成物又は医薬は、限定されないが、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内及び頭蓋内注射又は注入技術を含む注射により投与される(又は投与される予定である、又は投与するためのものである)。
【0250】
注射に適合された形態の例は、例えば、無菌水溶液などの溶液、ゲル、分散液、エマルジョン、懸濁液、例えば粉末などの、使用前の液体の添加時に溶液又は懸濁液を調製するために使用するのに適する固体形態、リポソーム形態などを含むが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0251】
図1図1は、DL-4/TNF-α培養系を用いるCB又はmPB CD34+HSPCからのCD3-CD56+NK細胞の生成を示すドットプロット及びヒストグラムの組み合わせである。(A)図1Aは、DL-4/TNF-α培地中で、その後、示された時点でDL-4/TNF-αのないNK細胞分化培地中で7日間培養した後に生成されたNK細胞の表現型を表すドットプロットの組み合わせである。(B、C)図1B及び図1Cは、14日目(薄い灰色)及び21日目(濃い灰色)におけるCD3-CD56+NK細胞の平均頻度(B)及びCD34+細胞あたりの数(C)(平均±SEM、n=5)を示すグラフの組み合わせである。
図2図2は、CB又はmPB HSPC(DL-4/TNF-α曝露)由来のNK細胞(CD3-CD56+)によるNK細胞受容体及び転写因子の発現を示すヒストグラム及びグラフの組み合わせである。(A、B)図2A及び図2Bは、培養21日後に生成されたCD3-CD56+NK細胞によるNK細胞受容体の発現率(平均±SEM、n=2又は3)(A)及び転写因子(Eomes、T-bet及びID-2)の発現率(B)をグラフで表したものである。発現レベルを、対照である一晩活性化した末梢血(PB)-NK細胞の(hIL-2及びIL15の存在下での)発現レベルと比較した。
図3図3は、CB NK細胞又はmPB NK細胞(CD3-CD56+)による細胞傷害性分子の発現、及びK562細胞による刺激後のそれらのサイトカイン発現を示すドットプロットの組み合わせである。(A)図3Aは、生成されたCD3-CD56+NK細胞による細胞傷害性顆粒(パーフォリン及びグランザイムB)の発現を示す代表的なドットプロットの組み合わせである。(B、C)図3B及び図3Cは、1:2のエフェクター(NK):標的(K562)の比でK562細胞により6時間刺激したときの、CD3-CD56+NK細胞による脱顆粒(細胞表面でのCD107aの発現)(B)、及びTNF-α及びIFNgの発現(C)を示す代表的なドットプロットの組み合わせである。
図4図4は、DL-4/TNF-α培養系を用いるCB又はmPB CD34+HSPCからの形質導入されたNK細胞の生成を示すドットプロット及びヒストグラムの組み合わせである。(A)図4Aは、形質導入された(GFP+CD3-CD56+)NK細胞の生成を示す代表的なドットプロットの組み合わせである。(B、C)図4B及び図4Cは、形質導入されたNK細胞の生成培養後14日目(薄い灰色)及び21日目(濃い灰色)に生成された形質導入されたGFP+CD3-CD56+NK細胞の平均頻度(B)及びCD34+細胞あたりの数(C)(平均±SEM、n=5)を示すヒストグラムである。
図5図5は、生成された形質導入されたGFP+CD3-CD56+NK細胞によるNK細胞受容体の発現(平均±SEM、n=2又は3)を示すヒストグラムである。
図6図6は、K562細胞による刺激後の形質導入されたCB又はmPB NK細胞の脱顆粒及びサイトカイン発現を示すドットプロットの組み合わせである。図6A及びBは、脱顆粒(細胞表面でのCD107aの発現)(A)、TNF-α及びIFNg発現の誘導(B)、並びに細胞傷害性顆粒(グランザイムB及びパーフォリン)の分泌を示す代表的なドットプロットの組み合わせである。
図7図7は、インビトロで生成された形質導入されたNK細胞の細胞傷害性を示すグラフの組み合わせである。(A)図7Aは、示されたエフェクター:標的細胞(E:T)比で5時間共インキュベーションした後の、形質導入されたCB又はmPB NK細胞(エフェクター細胞)によるK562細胞(標的細胞)の死滅をグラフで表したものである(1つの代表的な実験)。(B)図7Bは、示されたエフェクター:標的細胞(E:T)比で5時間共インキュベートした後の形質導入されたCB NK細胞(エフェクター細胞)によるTHP1細胞(標的細胞)の死滅をグラフで表したものである(1つ代表的な実験)。
図8図8は、本発明の方法の第1の工程に従ってTNFα及びノッチリガンドの存在下でCD34+細胞を培養した後に得られたCD7+細胞によるGATA3及びBCL11Bの発現を示すグラフである。
図9図9は、DL-4/TNFα培養系を用いるCB CD34+HSPCからの機能的に有望なCAR NK細胞の生成を示すグラフの組み合わせである。(A)図9Aは、7日間のDL-4/TNFα培養の第1の工程と、フィーダー細胞もDL-4/TNFαも含まない8日間のNK細胞分化の第2の工程の間の、CD19-CARをコードするレンチウイルスでの形質導入を含む、NK細胞生成培養後のCAR(CARCD56)NK細胞の生成を示す代表的なFACSプロットである。(B)図9Bは、示されたエフェクター:標的細胞(E:T)比で5時間共インキュベートした後のCD19-CAR NK細胞(エフェクター細胞)による標的細胞(NALM-6)の死滅をグラフで表したものである。
【0252】
実施例
本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。
【0253】
実施例1:機能性CD3-CD56+NK細胞の生成
材料と方法
CD34+細胞
臍帯血(CB)試料は、インフォームドコンセントの提供後にセントルイス病院(フランス、パリ)でドナーから倫理的に承認された手順により収集された。使用した動員末梢血(mPB)試料は、顆粒球コロニー刺激因子で動員され研究使用のためにインフォームドコンセントを提供した健康なドナーからの移植片の未使用画分であった。mPB試料は、フランス研究省が認可したコレクションの一部であった(参照:DC-2014-2272、2015年3月23日付)。臍帯血又はmPB CD34+造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は、製造業者の説明書に従い、Indirect CD34 MicroBeadキット、ヒト(Miltenyi Biotech,Bergisch Gladbach,Germany)を使用して、CB及びmPB試料から磁気により濃縮された。使用したCD34+細胞の単離画分の純度は、94%超であった。
【0254】
インビトロNK細胞分化アッセイ
NK細胞のインビトロ生成を、合計21日間で、2つの工程で実施した。
【0255】
第1の工程は、DL-4/TNF-α培養系におけるヒトCD34+細胞の7日間培養からなった。CB又はmPB CD34+HSPCを、TNF-α(10ng/ml)の存在下で、20%FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、100ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、100ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7を補充したα-MEM培地(Thermo Fischer,MA,USA)中でDL-4-Fc融合タンパク質(5μg/ml)及びレトロネクチン(登録商標)(25μg/ml)でコートしたウェルにて7日間培養した。
【0256】
第2の工程は、NK細胞を生成するために、ヒトサイトカインカクテルを含むがDL-4及びTNF-αを含まない、フィーダー細胞のない培養系での第1の工程から得られた前駆細胞(特定の細胞集団の選別を伴わない全集団)の14日間の培養からなった。第1の工程からの前駆細胞を、10% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのhFlt3-L、20ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-15(Peprotech)、500IU/mlのhIL-2(Novartis)を補充したRPMI Glutamax培地(Thermo Fischer,MA,USA)中で及びTNF-αの不在下で、14日間非コートウェル(DL-4なし)中で培養して、NK細胞生成物を取得した。
【0257】
フローサイトメトリー
ヒトCD56-APCVio770/PEVio770(クローンREA196)、CD161-PEVio770(クローン191B8)、NKG2C(CD159c)-APC(クローンREA205)、KLRG1-PE(クローンREA261)、CD158e/k(KIR3DL1/DL2)-PEVio770(クローンREA970)、CD158b(KIR2DL2/DL3)-APC(クローンDX27)、NKG2D(CD314)-APC(クローンREA797)、NKG2A(CD159a)-PEVio770(クローンREA110)、CD94-PE(クローンREA113)、NKp44(CD336)-PEVio770(クローンREA1163)、NKp30(CD337)-APC(クローンREA823)、CD16-Vioblue(クローンREA423)、DNAM-1(CD226)-PEVio770(クローンREA1040)、T-bet-APC(クローンREA102)、CD107a-PEVio770(クローンREA792)、TNF-α-PE(クローンREA656)、IFNg-APC(クローン45-15)、パーフォリン-PE(クローンREA1061)、グランザイムB-APC(クローンREA226)及び7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)に対する抗体を、Miltenyi Biotech(Bergisch Gladbach,Germany)から取得した。抗ヒトCD7-PE(クローンMT701)及びNKp46-PE(クローン9E2/NKp46(9-E2))を、BD Biosciences(San Jose,CA)から取得した。抗ヒトCD3-BV421(UCHT1)を、Sony Biotechnology(San Jose,CA)から購入した。ヒトCCR5(CD195)-APC(クローンJ418FI)に対する抗体を、Biolegend(San Diego,CA)から取得した。抗ヒトEomes-PE(クローンWD1928)及びID2-PECy7(クローンILCID2)を、eBioscience(San Diego,CA)から取得した。
【0258】
表面染色のために、細胞を、適切な抗体と氷中で15分間インキュベートし、洗浄し、次いでFACS緩衝液中に再懸濁した。
【0259】
細胞内染色のために、細胞を、表面マーカーについて前もって染色し、固定/透過処理溶液キット(BD Biosciences)又はFoxp3/転写因子染色緩衝液セット(eBioscience)のいずれかを使用して固定及び透過処理し、次いで、適切な抗体と室温で30分間インキュベートした。細胞を次いで、洗浄し、分析前にFACS緩衝液に再懸濁した。
【0260】
全てのフローサイトメトリーデータを、Galliosフローサイトメーター(Beckman Coulter,Krefeld,Germany)で取得し、データをFlowJoソフトウェア(バージョン10.2,Treestar,Ashland,OR)を使用して解析した。FACS解析中に、全てのゲーティングを、生細胞で行った(7-AAD色素の除外により測定される)。
【0261】
脱顆粒及びサイトカイン誘導アッセイ
得られたCB又はmPB CD34+HSPC由来のNK細胞(CB HSPC-NK又はmPB HSPC-NK)を、サイトカインなしにCOインキュベーター内で37℃にて、1:2のエフェクター(E)対標的(T)比で一緒にインキュベートすることにより、K562細胞(慢性骨髄性白血病細胞株)で刺激した。抗ヒトCD 107a抗体を、インキュベーション時に添加(20μl/ml)し、次いで、1時間インキュベートした。1時間後に、ブレフェルジン(GolgiStop)(4μl/ml)及びモネンシン(GolgiPlug)(1μl/ml)を添加し、5時間さらにインキュベートした。5時間のインキュベーション後に、細胞を、収集し、洗浄し、CD3及びCD56について表面染色した。それらをさらに、TNF-α及びIFNgについて細胞内染色した。染色された細胞を、Galliosフローサイトメーターで取得した。
【0262】
細胞傷害性アッセイ
フローサイトメトリーベースの細胞傷害性アッセイを、標的細胞としてK562細胞を用いることにより実施した。標的細胞(K562又はTHP1)を、37℃で10分間1μMの色素とそれらをインキュベートすることによりCellTrace Violet色素で標識して、標的細胞とエフェクターNK細胞を区別した。標識された標的細胞を次いで、COインキュベーター内で37℃にて5時間10% FBS及び30IU/mlのhIL-2を補充したRPMI培地中で、エフェクターと標的の異なる比率でエフェクターNK細胞とインキュベートした。5時間のインキュベーション後に、細胞を7-AADで染色して、エフェクターNK細胞により死滅された標的細胞を区別した。自発的な標的細胞の死の効果を、エフェクター細胞なしに標的細胞のみをインキュベートする1つの条件を含めることにより正規化した(エフェクター細胞の存在下での標的細胞死の割合(%)から、エフェクター細胞なしの自発的な標的細胞の死の割合(%)を減算することにより)。末梢血由来のNK細胞を、インビトロで生成されたNK細胞と並行して、陽性対照エフェクター細胞として使用した。
【0263】
全ての実験について、2つの対照を使用した。第2の工程の培地(CB CD34+、DL-4/TNF-αなし)及び末梢血由来のNKのみで処理したCB CD34+細胞を、IL-2及びIL-15(PB-NK)で一晩活性化した。
【0264】
結果
NK CD3-CD56+細胞の生成
CB又はmPB CD34+HSPCからのDL-4/TNF-α培養物を用いてNK細胞生成の能力を試験するために、CD34+細胞を、TNF-α(10ng/ml)の存在下又は不在下でDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルで7日間培養し、続いて、培養の最初の7日間の後に得られた細胞(CB CD34+(+DL-4/+TNF-α)又はmPB CD34+(+DL-4/+TNF-α))を、DL-4/TNF-αなしでNK細胞分化培養した。並行して、DL-4/TNF-αに曝露されていないCB CD34+HSPCもまた、DL-4/TNF-αのないNK細胞分化培地で培養した。培養物を、NK細胞へのそれらの分化(CD3-CD56+細胞として識別される)について全培養の14日及び21日後に分析した。NK細胞(CD3-CD56+細胞)の分化は、CB CD34+(DL-4なし/TNF-αなし)については非常に低い(最大3%)が、DL-4に曝露したHSPC、CB CD34+(+DL-4)又はmPB CD34+(+DL-4)は、14日及び21日の短期間内でTNF-α曝露条件と非曝露条件の両方について、T細胞混入なしにCD3-CD56+NK細胞へと効率的に分化できた。興味深いことに、NK細胞の割合は、TNF-αの存在下で14日目以降、最大90%に達した(図1のA及びB)。生成されたNK細胞の純度は、特に成人mPB細胞(mPB CD34+(+DL-4))についてTNF-α曝露条件でより均一であった(図1B)。重要なことに、総NK細胞収量の分析は、CB又はmPB CD34+HSPCの最初の7日間のDL-4曝露中のTNF-αの添加が、培養21日後にCB及びmPBについてそれぞれ8倍及び18倍、CD34+HSPCあたり得られるNK細胞の数を増加させることを示した(図1C)。しかし、DL-4/TNF-αに曝露しないCB CD34+細胞から得られたNK細胞の数は、図1Cに示すように、著しく少ないままであった。さらに、異なるCD34+HSPCドナー由来の+DL-4/+TNF-α培養を使用するNK細胞生成の解析は、単一のCB CD34+HSPCが、TNF-α曝露条件下で、14日目にCBについて平均2488±1832(平均±SEM)のNK細胞及びmPBについて平均879±805(平均±SEM)のNK細胞を生じさせ、21日目にCBについて平均6389±3723(平均±SEM)のNK細胞及びmPBについて平均1881±1458(平均±SEM)のNK細胞を生じさせることができたことを示した(図1C)。これらのデータは、+DL-4/+TNF-αの存在下での7日間の第1の培養工程とDL-4/TNF-αを含まない培地での第2の培養工程の組み合わせが、14~21日間の短い培養期間中に高い割合と数のNK細胞を生成できることを実証する。
【0265】
生成されたNK細胞の特性評価
生成されたCB又はmPB CD34+HSPC(+DL-4/+TNF-α曝露)由来のNK細胞の表現型特性評価は、NK細胞が、活性化受容体NKG2D、NKp46、NKp44、NKp30、DNAM1を発現し、CD161を発現するが、抑制性受容体KLRG-1、KIR2DL2/DL3及びKIR3DL1/DL2を発現しないことを示した(図2A及び表1)。重要なことに、それらはまた、活性化PB-NK細胞よりもさらに高いレベルでケモカイン受容体CCR5を発現した。しかし、これらの細胞のわずかな低い割合(約5~約8%の範囲)は、CD16発現を示し、それらの約50%が、NKG2A(約45%~約63%の範囲の割合を発現する)とCD94(約50%~約66%の範囲の割合を発現する)を発現する(図2A及び表1)。CD34+(DL-4/TNF-αに曝露していない)由来のNKは、CB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)のものと比較してより低い発現レベルの活性化受容体を発現した。活性化されたPB-NK細胞は、NK細胞の枯渇マーカーであるKLRG1の、ある程度のレベルの発現を示した。そのため、生成されたCB又はmPB NK細胞は、CB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)中で非常に低いレベルで発現されたか、又は発現されなかったCD16、KIR及びKLRG1の発現に関して、活性化PB-NK細胞とは表現型が異なっていた(図2A及び表1)。特に、NKp44は、活性化PB-NK細胞によりうまく発現されなかったが、CB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)は、NKp44を高発現した(図2A及び表1)。CD56の均一な発現(図1A)と組み合わせた、KIR及びKLRG1の発現の欠如、及びCD16の非常に低い発現(図2A及び表1)は、CB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)の未熟な表現型を示唆した。興味深いことに、活性化PB-NK細胞と同様に、CB又はmPB NK(+DL-4/+TNF-α)細胞もまた、NK細胞の分化と機能に必須であることが知られている転写因子Eomes、T-bet、及びID2(図2B)を発現する。
【0266】
表1:CB-NK細胞、mPB-NK細胞及びPB-NK表現型の比較(平均±SEM;n=2又はn=3)
【表1】
【0267】
生成されたNK細胞は機能的である
脱顆粒及びパーフォリンとグランザイムの発現
生成されたCB又はmPB NK細胞の機能性を決定するために、最初にそれらを、NK細胞により構成的に発現されることが知られており、標的細胞の殺傷を誘導するために重要である細胞傷害性分子のパーフォリン及びグランザイムBの発現について分析した。活性化されたPB-NK細胞と同様に、CB又はmPB NK細胞(TNF-αに曝露されない又はTNF-αに曝露された)は、パーフォリンとグランザイムBの両方を発現し(図3A)、それらの標的細胞に対し細胞傷害性であるそれらの能力を反映している。しかし、CB CD34+-NK(DL-4なし/TNF-αなし)細胞は、CB又はmPB NK(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)及びPB-NK細胞よりも低いレベルのパーフォリン及びグランザイムBを発現した(図3A)。
【0268】
次に、NK細胞を、それらの標的細胞での刺激時に脱顆粒(これは、標的細胞を殺すために細胞傷害性分子を分泌する重要なプロセスである)を受ける、及びインターフェロンガンマ(IFNg)及びTNF-α(アポトーシスを誘導することにより標的細胞の死滅を媒介できる)の発現を誘導する、それらの能力について評価した。骨髄性白血病細胞株K562細胞で刺激すると、CB又はmPB NK(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)細胞は、それらの細胞表面でのCD107の検出により示され活性化PB-NK細胞のものに匹敵した、脱顆粒を示した(図3B)。脱顆粒のレベルは、特にmPBについて、それらの非曝露条件と比較して、TNF-α曝露条件で高かった。低いパーフォリンとグランザイムBの発現(前述の通り)に加えて、脱顆粒レベルもまた、CB又はmPB NK細胞(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)と比較して、CB CD34+-NK細胞(DL-4なし/TNF-αなし)で低かった(図3B)。IFNg及びTNF-αは、CB CD34+-NK細胞(DL-4なし/TNF-αなし)を除く全ての条件下で、K562細胞による刺激時に誘導された(図3C)。しかし、重要なことに、TNF-α曝露条件に由来するCB又はmPB NK細胞は、それらのTNFαに曝露されない対応物よりも高いTNF-α誘導を示した。さらに、特にmPBについて、IFNg誘導は、TNFαに曝露しない条件で低かった(図3C)。まとめると、これらのデータは、本発明の方法により生成されたNK細胞が機能的であることを示唆する。
【0269】
細胞傷害性
CB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)の細胞傷害活性を、標的細胞として使用したK562細胞とNK細胞をインキュベートすることにより試験した。CB及びmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)NK細胞は、K562細胞を効率的に死滅させることができた(データ示さず)。これらのデータは、本発明の方法で生成されたNK細胞が細胞傷害性能を保有し、インビトロで標的細胞を死滅させることができることを示唆する。
【0270】
実施例2:CD34+細胞は、効率的に形質導入され、CD3-CD56+NK細胞へと分化できる
材料と方法
形質導入プロトコル
7日間の第1の培養工程の間、ヒト(h)サイトカイン-300ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、300ng/mlのhFlt3-L、100ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-3(Peprotech)の存在下及びTNF-α(R and D Systems)の不在下で、X-vivo 20培地(Lonza)中1×10細胞/mlの細胞濃度でCB又はmPB CD34+HSPCを、DL-4-Fc融合タンパク質(5μg/ml)及びレトロネクチン(登録商標)(25μg/ml)でコートしたウェルにて一晩、事前活性化した。事前活性化された細胞を次いで、100の感染多重度(MOI)で、GFPレポータータンパク質をコードするVSV-Gシュードタイプレンチウイルスで4μg/mlの硫酸プロタミンの存在下、同じ事前活性化培地中で6時間形質導入した。形質導入の6時間後に、形質導入された細胞を、α-MEM培地(Thermo Fischer,MA,USA)で洗浄し、形質導入培地を、TNF-α(10ng/ml)の存在下で、20%FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、100ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、100ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7を補充したα-MEM培地に置き換え、7日までDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルでさらに培養した。
【0271】
第2の工程は、NK細胞を生成するために、ヒトサイトカインカクテルを含むがDL-4及びTNF-αを含まない、フィーダー細胞のない培養系で第1の工程から得られた前駆細胞(特定の細胞集団のいかなる選別も伴わない全集団)の14日間の培養からなった。第1の工程の前駆細胞を、14日間10% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのhFlt3-L、20ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-15(Peprotech)、500IU/mlのhIL-2(Novartis)を補充したRPMI Glutamax培地(Thermo Fischer,MA,USA)中で、TNF-αの不在下で、14日間非コートウェル(DL-4なし)で培養して、NK細胞生成物を取得した。
【0272】
結果
形質導入されたNK CD3-CD56+細胞の生成
形質導入されたNK細胞が本方法を使用することにより生成できるかどうかを試験するために、CB又はmPB CD34+細胞を、形質導入サイトカインカクテル中でDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルにて一晩事前活性化し、次いで、GFP発現VSV-Gシュードタイプレンチウイルスで6時間形質導入した。形質導入後に、形質導入された細胞を、培養サイトカインカクテル中でDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルにてTNF-α(10ng/ml)の存在下で7日までさらに培養した。これに続いて、最初の7日間の培養後に得られた細胞のDL-4/TNF-αを含まないNK細胞分化培養を行った。培養物を、形質導入されたNK細胞(CD3-GFP+CD56+細胞として同定)へのそれらの分化について、培養の14日及び21日後に分析した。図4のA及びBに示すように、形質導入されたGFP+CD3-CD56+NK細胞が、14日及び21日の短い培養期間内に観察され、21日目の平均頻度はCBについて58±4.5(平均±SEM)、mPBについて33±7.5(平均±SEM)であった。形質導入されたGFP+CD3-CD56+NK細胞の総収量の分析は、単一のCB CD34+HSPCが、14日目ではCBについて平均1600±1442(平均±SEM)の形質導入されたNK細胞及びmPBについて318±365(平均±SEM)の形質導入されたNK細胞、並びに21日目ではCBについて平均3857±2537(平均±SEM)の形質導入されたNK細胞及びmPBについて770±664(平均±SEM)の形質導入されたNK細胞を生じることができたことを示した(図4C)。これらのデータは、本培養法が14~21日の短い培養期間内に多数の形質導入NK細胞を生成できることを実証する。
【0273】
生成されたNK細胞の特性評価
本発明の方法により生成された非形質導入NK細胞(図2A)と同様に、形質導入されたGFP+CD3-CD56+のCB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)は、活性化受容体NKG2D、NKp46、NKp44、NKp30、DNAM1を発現し、CD161を発現するが、抑制性受容体KLRG-1、KIR2DL2/DL3及びKIR3DL1/DL2を発現しない(図5)。重要なことに、それらはまた、ケモカイン受容体CCR5も発現する。それらは、非常に低いCD16を発現し、NKG2AとCD94は、細胞の50%しか発現されなかった(図5)。このデータは、形質導入条件が形質導入されたNK細胞のNK受容体の発現に影響を与えなかったことを示唆する。
【0274】
生成されたNK細胞は機能的である
脱顆粒及びパーフォリンとグランザイムの発現
生成された形質導入されたNK細胞の機能的能力を評価するために、脱顆粒及びサイトカイン誘導アッセイを、形質導入されたCB又はmPB NK細胞(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)をK562細胞で刺激することにより実施した。刺激時に、形質導入されたCB 又はmPB NK細胞(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)は、それらの細胞表面でのCD107の検出により示されるように脱顆粒を示した。(図6A)。脱顆粒のレベルは、特にmPBについて、それらの非曝露対応物と比較してTNF-α曝露条件で高かった(図6A)。IFNg及びTNF-αの発現もまた、K562細胞による刺激時に、形質導入されたCB又はmPB NK細胞(+DL-4/TNF-αを含む又は含まない)で誘導された(図6B)。興味深いことに、TNF-α曝露条件からの形質導入されたCB又はmPB NK細胞は、それらのTNF-αに曝露されない対応物よりも高いTNF-α誘導を示した。さらに、IFNg誘導は、特にmPBについて、TNFαに曝露しない条件で低かった(図6B)。最後に、グランザイムB及びパーフォリン発現は、K562細胞による刺激時に、形質導入されたCB又はmPB NK細胞(+DL-4/TNF-αを含む)でも誘導された(データ示さず)。これらのデータは、形質導入されたCB又はmPB NK細胞が依然としてそれらの機能的能力を保持することを示唆する。
【0275】
細胞傷害性
形質導入されたCB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)の細胞傷害活性を、標的細胞としてK562細胞又はTHP1細胞とNK細胞をインキュベートすることにより試験した。図7Aに示されるように、本発明の方法により得られた形質導入されたCB又はmPB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)は、非形質導入(モック)条件又はPB-NKのものと同様のレベルでK562細胞を効率的に死滅させることができ、形質導入は形質導入されたNK細胞の細胞傷害性能力に影響を与えなかったことを示唆する。さらに、本発明の方法により得られた形質導入されたCB NK細胞(+DL-4/+TNF-α)もまた、THP1細胞を効率的に死滅させることができた(図7B)。これらのデータは、本発明の方法で生成された形質導入されたNK細胞は、インビトロでそれらの標的細胞を効率的に死滅させることができることを示唆する。
【0276】
実施例3:CB CD34+HSPCからの機能的に有望なCAR NK細胞の生成
材料と方法
形質導入プロトコル
7日間の第1の培養工程の間、CB CD34+HSPCを、ヒト(h)サイトカイン:300ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、300ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7(Peprotech)の存在下で及びTNF-α(R and D Systems)の不在下で、X-vivo 20培地(Lonza)中1×10細胞/mlの細胞濃度でDL-4-Fc融合タンパク質(5μg/ml)及びレトロネクチン(登録商標)(25μg/ml)でコートしたウェルにて一晩、事前活性化した。事前活性化された細胞を次いで、100の感染多重度(MOI)でCD19を標的とするCARをコードするVSV-Gシュードタイプレンチウイルスで4μg/mlの硫酸プロタミンの存在下にて同じ事前活性化培地中で6時間形質導入した。形質導入の6時間後に、形質導入された細胞を、α-MEM培地(Gibco)で洗浄し、形質導入培地を、TNF-α(10ng/ml)の存在下にて20%FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、100ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、100ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7を補充したα-MEM培地に置き換え、7日までDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルでさらに培養した。
【0277】
第2の工程は、NK細胞を生成するために、ヒトサイトカインカクテルを含むがDL-4及びTNF-αを含まない、フィーダー細胞のない培養系で第1の工程から得られた前駆細胞(特定の細胞集団のいかなる選別も伴わない全集団)の8日間の培養からなった。第1の培養工程後に得られた前駆細胞を、TNF-αの不在下で、10% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのhFlt3-L、20ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-15(Peprotech)、500IU/mlのhIL-2(Novartis)を補充したRPMI Glutamax培地(Gibco)中で、非コートウェル(DL-4なし)で8日間培養して、NK細胞生成物を取得した。
【0278】
細胞傷害性アッセイ
フローサイトメトリーベースの細胞傷害性アッセイを、標的細胞としてNALM-6(B細胞前駆体白血病細胞株)の細胞を用いることにより実施した。NALM-6標的細胞を、37℃で10分間1μMの色素とそれらをインキュベートすることによりCellTrace Violet色素で標識して、標的細胞とエフェクターNK細胞を区別した。標識された標的細胞を次いで、COインキュベーター内で37℃にて5時間10% FBS及び30IU/mlのhIL-2を補充したRPMI培地中で、エフェクターと標的の異なる比率でエフェクターNK細胞とインキュベートした。5時間のインキュベーション後に、細胞を、7-AADで染色して、エフェクターNK細胞により死滅された標的細胞を区別した。自発的な標的細胞の死の効果を、エフェクター細胞なしに標的細胞のみのインキュベーションの1つの条件を含めることにより、正規化した(エフェクター細胞の存在下での標的細胞死の割合(%)から、エフェクター細胞なしの自発的な標的細胞の死の割合(%)を減算することにより)。
【0279】
結果
NK細胞を発現するキメラ抗原受容体(CAR)が本方法を使用することにより生成できるかどうかを試験するために、CB CD34+細胞を、形質導入サイトカインカクテル中でDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルにて一晩、事前活性化し、次いで、CD19を標的とするCARをコードするVSV-Gシュードタイプレンチウイルスで6時間形質導入した。形質導入後に、形質導入された細胞を、DL-4培養サイトカインカクテル中でDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルにて、TNF-α(10ng/ml)の存在下で7日までさらに培養した。これに続いて、フィーダー細胞と、最初の7日間の培養後に得られた前駆細胞のDL-4/TNF-αを含まないNK細胞の分化培養を行った。培養物を、CAR発現NK細胞(CD3-CAR+CD56+細胞として同定)へのそれらの分化について8日後に分析した。図9Aに示すように、CAR+CD56+NK細胞が、46.5%の頻度で、15日の短い培養期間内に観察された。これらのデータは、本培養法が15日の短い培養期間内にCAR NK細胞を生成できることを実証する。
【0280】
生成されたCD19を標的とするCAR NK細胞の細胞傷害活性を、標的細胞としてNALM-6(CD19を発現するB細胞前駆体白血病細胞株)の細胞とNK細胞をインキュベートすることにより試験した。図9Bに示すように、CD19-CAR NK細胞は、標的NALM-6細胞を死滅させることができなかったモックNK細胞とは対照的に、NALM-6細胞を効率的に死滅させることができた。これらのデータは、本方法で生成されたCAR NK細胞が、インビトロで特異的標的細胞を効率的に死滅させることができることを示唆する。
【0281】
実施例4:IL-12及びIL18と共に又はなしで生成されたCD3-CD56+NK細胞及びCAR-NK細胞の表現型特性評価
材料と方法
インビトロNK細胞分化アッセイ
NK細胞のインビトロ生成を、合計14日にて、2つの工程で実施した。
【0282】
第1の工程は、DL-4/TNF-α培養系におけるヒトCD34+細胞の7日間培養からなった。CB CD34+HSPCを、7日間TNF-α(10ng/ml)の存在下で、20% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、100ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、100ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7を補充したα-MEM培地(Thermo Fischer,MA,USA)中でDL-4-Fc融合タンパク質(5μg/ml)及びレトロネクチン(登録商標)(25μg/ml)でコートしたウェルにて培養した。
【0283】
第2の工程は、NK細胞を生成するために、ヒトサイトカインカクテルを含むがDL-4及びTNF-αを含まない、フィーダー細胞のない培養系での第1の工程から得られた前駆細胞(特定の細胞集団のいかなる選別も伴わない全集団)の14日間の培養からなった。第1の工程からの前駆細胞を、10ng/mLのhIL-12(Peprotech)と100ng/mLのhIL-18(MBL International Corporation)と共に又はなしで10% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのhFlt3-L、20ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-15(Peprotech)、500IU/mlのhIL-2(Novartis)を補充したRPMI Glutamax培地(Thermo Fischer,MA,USA)中で14日間、及び7日間TNF-αの不在下で非コートウェル(DL-4なし)にて培養して、NK細胞生成物を取得した。
【0284】
フローサイトメトリー
ヒトCD56-APCVio770/PEVio770(クローンREA196)、NKG2C(CD159c)-APC(クローンREA205)、KLRG1-PE(クローンREA261)、CD158e/k(KIR3DL1/DL2)-PEVio770(クローンREA970)、CD158b(KIR2DL2/DL3)-APC(クローンDX27)、NKG2D(CD314)-APC(クローンREA797)、NKG2A(CD159a)-PEVio770(クローンREA110)、CD94-PE(クローンREA113)、NKp44(CD336)-PEVio770(クローンREA1163)、DNAM-1(CD226)-PEVio770(クローンREA1040)及び7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)に対する抗体を、Miltenyi Biotech(Bergisch Gladbach,Germany)から取得した。抗ヒトCD7-PE(クローンMT701)、NKp46-PE(クローン9E2/NKp46(9-E2))及びCD62L-BV421(クローンM-T701)を、BD Biosciences(San Jose,CA)から取得した。抗ヒトCD3-BV421/BV510(UCHT1)を、Sony Biotechnology(San Jose,CA)から購入した。抗ヒトNKp30(CD337)-BV421(クローンDREG-56)及びCD16-BV510(3G8)を、Biolegend(San Diego,CA)から取得した。
【0285】
表面染色のために、細胞を、氷中で15分間適切な抗体とインキュベートし、洗浄し、次いでFACS緩衝液中に再懸濁した。
【0286】
全てのフローサイトメトリーデータを、Galliosフローサイトメーター(Beckman Coulter,Krefeld,Germany)で取得し、データを、FlowJoソフトウェア(バージョン10.2,Treestar,Ashland,OR)を用いて解析した。FACS解析中に、全てのゲーティングを、生細胞で行った(7-AAD色素の除外により測定される)。
【0287】
形質導入プロトコル
7日間の第1の培養工程の間、CB CD34+HSPCを、ヒト(h)サイトカイン:300ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、300ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7(Peprotech)の存在下及びTNF-α(R&D Systems)の不在下で、X-vivo 20培地(Lonza)中1×10細胞/mlの細胞濃度でDL-4-Fc融合タンパク質(5μg/ml)及びレトロネクチン(登録商標)(25μg/ml)でコートしたウェルにて一晩、事前活性化した。事前活性化された細胞を次いで、100の感染多重度(MOI)で、ZsGレポータータンパク質をコードするVSV-Gシュードタイプレンチウイルスで、4μg/mlの硫酸プロタミンの存在下で同じ事前活性化培地中にて6時間形質導入した。形質導入の6時間後に、形質導入された細胞を、α-MEM培地(Gibco)で洗浄し、形質導入培地を、TNF-α(10ng/ml)の存在下で、20%FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、100ng/mlのhSCF、100ng/mlのhTPO、100ng/mlのhFlt3-L及び100ng/mlのhIL-7を補充したα-MEM培地に置き換え、7日までDL-4及びレトロネクチンでコートしたウェルでさらに培養した。
【0288】
第2の工程は、NK細胞を生成するために、ヒトサイトカインカクテルを含むがDL-4及びTNFαを含まない、フィーダー細胞のない培養系で第1の工程から得られた前駆細胞(特定の細胞集団のいかなる選別も伴わない全集団)の8日間の培養からなった。第1の培養工程後に得られた前駆細胞を、TNF-αの不在下で、10ng/mLのhIL-12と100ng/mLのhIL-18と共に又はなしで、10% FBS(Hyclone,GE Healthcare Life Sciences)、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのhFlt3-L、20ng/mlのhIL-7、20ng/mlのhIL-15(Peprotech)、500IU/mlのhIL-2(Novartis)を補充したRPMI Glutamax培地(Gibco)中で、非コートウェル(DL-4なし)にて8日間培養して、NK細胞生成物を取得した。
【0289】
結果
IL-12及びIL18と共に又はなしで生成されたCD34+HSPC(+DL-4/+TNF-α曝露)由来のNK細胞及びCD34+HSPC(+DL-4/+TNF-α曝露)由来のCAR-NK細胞の表現型特性評価は、NK細胞及びCAR NK細胞が活性化受容体NKG2D、NKp46、NKp44、NKp30、DNAM1及びCD62Lを発現するが、抑制性受容体KLRG1、KIR2DL2/DL3及びKIR3DL1/DL2を発現しないことを示した(表2)。NK細胞及びCAR NK細胞はまた、抑制性受容体CD96及びNKG2Aを発現する。さらに、hIL-12及びhIL18の存在下で生成されたNK細胞及びCAR NK細胞は、hIL-12及びhIL-18なしで生成されたNK細胞及びCAR NK細胞と比較して、より高い割合のCD62L(4%に対しそれぞれ16と19%)及びCD16(22と15%に対しそれぞれ50及び44%)の活性化受容体、並びにより高い割合のCD94(16と13%に対しそれぞれ26と30%)及びNKG2A(11と10%に対しそれぞれ24と28%)の阻害受容体を発現する(表2)。
【0290】
表2:14日目のhIL-12及びhIL18と共に又なしで培養したNK細胞とCAR-NK細胞の表現型の比較(平均±SEM;n=3)
【表2】
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024542151000001.xml
【国際調査報告】