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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】放射性廃棄物容器
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/008 20060101AFI20241106BHJP
   G21F 1/04 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 3/00 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 1/08 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 5/10 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 5/12 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20241106BHJP
   G21F 5/08 20060101ALI20241106BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G21F5/008
G21F1/04
G21F3/00 N
G21F1/08
G21F5/10 P
G21F5/12 D
G21F9/36 501J
G21F5/08
G21C19/32 100
G21C19/32 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527072
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 ES2022070700
(87)【国際公開番号】W WO2023079201
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P202131037
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524168633
【氏名又は名称】インゲシド, エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】リコ アレナル,ジョーキン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス サエス,ディエゴ
(57)【要約】
放射性放出源を構成する廃棄物を収容するキャニスタ又はラック(C)を収容するのに適した放射性廃棄物容器であって以下を含むことを特徴とする放射性廃棄物容器; 貯蔵される放射性廃棄物のためのキャニスタ又はラック(C)のための筐体を画定し、円筒形の内部スチールフェルール (11)、ベース(base:基部ともいう)(12)及び蓋(13):を含む、光子放射に対する内部格納容器バリア (1)と、容器(10)の外面を形成し、円筒形の外部スチールフェルール (21)、ベース(22)、蓋(23):を含む、光子放射に対する外部格納容器バリア (2)と、及び前記内部フェルール(11)と外部フェルール(21)との間に配置され、中性子放射に対するシールドを形成する中間コンクリート層(3)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性放出源を構成する廃棄物を収容するキャニスタ又はラック(C)を収容するのに適した放射性廃棄物容器であって以下を含むことを特徴とする放射性廃棄物容器;
- 貯蔵される放射性廃棄物のためのキャニスタ又はラック(C)のための筐体(ハウジングともいう)を画定し、円筒形の内部スチールフェルール(以下、内部フェルール若しくは内部鋼フェルールともいう)(11)、ベース(base:基部ともいう)(12)及び蓋(13):を含む、光子放射に対する内部格納容器バリア(barrier:障壁ともいう)(1)と、
-容器(10)の外面を形成し、円筒形の外部スチールフェルール(以下、外部フェルール若しくは外部鋼フェルールともいう)(21)、ベース(22)、蓋(23):を含む、光子放射に対する外部格納容器バリア(barrier:障壁ともいう)(2)と、及び
-前記内部フェルール(11)と外部フェルール(21)との間に配置され、中性子放射に対するシールド(shield:遮蔽ともいう)を形成する中間コンクリート層(3)。
【請求項2】
前記内部及び外部フェルール(複数)(11, 21)は、同心であり、それらの間に中間コンクリート層(3)が収容される中間キャビティを画定することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記内部フェルール(11)と、前記外部フェルール(21)と、前記中間キャビティ内に位置する前記中間コンクリート層(3)とが、同じ若しくは類似の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記中間コンクリート層(3)は、円環状の円弧形状を有するコンクリート片(3a)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記コンクリート片(3a)は、少なくとも1つの平坦な端部(31)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記コンクリート片(3a)は、隣接するコンクリート片(3a)と結合するための少なくとも1つの舌状又は溝付き端部(32)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の容器。
【請求項7】
前記コンクリート (3)は、前記内部フェルール(11)と前記外部フェルール(21)とに接触し、及び、それらの間に熱放散ブリッジを形成する、金属エンベロープを含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記中間コンクリート層(3)は、前記内部フェルール(11)と前記外部フェルール(21)との間に注入された大量のコンクリートよって「現場」で形成された環状円筒のようなコンクリート片(3b)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記内部及び外部フェルール(複数)(11, 21)は、その対向表面上に、前記コンクリート片(3b)に埋め込まれた金属コネクタ(複数)(11a、21a)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記中間コンクリート層(3)は、その組成において、前記中性子放射遮蔽(neutron radiation shielding)において高効率材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記中間コンクリート層(3)は、その組成物中に高-密度及び光子遮蔽(photon shielding)能力を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項12】
前記中間コンクリート層(3)は、熱伝導率が高く、放熱性の高い材料を組成物中に含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
前記中間コンクリート層(3)は、その組成物中に高い機械的強度を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項14】
前記容器は、前記基部(複数)(12, 22)の間と、前記内部及び前記外部の格納容器バリア(1,2)をそれらの底部及び上部で閉塞する前記蓋(複数)(13, 23)の間に、コンクリート、スチール、鉛、又は放射線遮蔽に適した任意の他の材料:から形成された、少なくとも1つの放射線遮蔽層(4,5)を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項15】
前記基部(複数)(12, 22)の間、及び前記内部及び前記外部の格納容器バリア(1,2)を閉鎖するための蓋(複数)(13, 23)の間に、衝撃吸収のための弾性要素(6)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項16】
前記内部(1)及び外部(2)格納バリアの前記蓋(複数)(13, 23)が、それぞれの前記内部及び外部フェルール(複数)(11,21)に取り付けられ着座するための金属シート(複数)(16)をその内面に含むことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項17】
各々の前記蓋(13, 23)とそれぞれの内部及び外部フェルール(複数)(11,21)との間に、それぞれの加圧シールガスケット(複数)(加圧封止パッキンともいう)(18, 26)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項18】
各々の前記蓋(13, 23)は、前記内部及び前記外部フェルール(複数)(11,21)のそれぞれに、ボルト(複数)(17, 25)の手段によって固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物、特に原子力発電所からの使用済み燃料の貯蔵に適用可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する分野に関連する技術水準では、コンクリート容器と金属容器の2つのタイプに一般的に分類することができる様々な容器が知られている。そのような容器は、保護される廃棄物キャニスター(canister:蓋つきの小さな缶)又は使用済み燃料貯蔵に関与する要素が収容されるラック(rack:箱戸棚)を保護又は包み込むのに有用である。
【0003】
金属容器では異なる材料の異なる層が使用され、厚さ200~300mmの、通常は鍛造されたスチールのより厚い層を有し、高い機械的(mechanical)能力を有し、その主要な重要な機能は衝撃、地震応力などの機械的応力に対する封じ込めである。
【0004】
放射線遮蔽の観点から、高密度がフォトニック放射線に対する高い遮蔽能力を有する、鍛鋼のこの層は、鋼が十分な効率を提供しない、中性子放射線に対して、遮蔽によって補完されなければならない。
【0005】
この外部シールド(shield:遮蔽ともいう)は、通常、何らかのタイプの中性子毒(neutron poison)であり、鋼層を取り囲む外部層に配置され、次いで、取り扱い中に損傷することを防止するために金属構造体で外部から保護される。
【0006】
HOLTEC INTERNATIONALの米国特許第8 548 112号には、建設的な代替案が開示されており、容器の金属構造は容器の周囲の部分を構成する異なるモジュール内に分配されるべき中性子放射吸収材料、例えば、液体又は他の材料を固化するような、を導入するための穴を千鳥状に有する。この背景において、鍛造鋼の主層は、中性子遮蔽を導入するための穿孔を有し、後に、同様に鋼で作られた中央フェルール(ferrule;金環)の周りに組み立てられる。
【0007】
コンクリート容器では、この材料の層が、主要な異なる安全機能を有する。これらの容器において、コンクリート層は、通常、500mm~1000mmの厚さを有する。
【0008】
コンクリートは、衝撃、地震又は他の応力を吸収しなければならない強度がより低く、及び密度遮蔽が必要とされる光子放射のための鋼ように効率的であるべきあることから、3倍又は4倍の鋼と従来のコンクリートとの間の密度の比は、鋼の能力に等しい比で、コンクリートの厚さを増加させることを必要とする。
【0009】
コンクリート層は、コンクリートのための型枠又は保護として使用される機能を有するが、コンクリートが有する遮蔽及び構造保護の主要な機能を有さない、フェルールのような、他の金属層と組み合わせることができる。
【0010】
金属容器の利点の1つは、金属がコンクリートよりも効率的に熱を排出し、さらにコンクリートよりも薄い厚さを有するので、追加の換気を必要としないことである。コンクリート容器は、メンテナンスを繰り返す追加の熱排出システムを必要とする。
【0011】
また、文献US 7786456及びUS 2010/0272225、HOLTEC INTERNATIONALも知られており、この文献は、コンクリートが容器エンクロージャ(enclosure:囲い)において金属フェルールと組み合わされる容器を開示している。
【0012】
文献US 6064710は、キャニスタを収容する容器の構造において、この(金属+コンクリート)の組み合わせをさらに説明している。この特許では、コンクリート層が従来の方法によって注入されるが、フェルール及びコンクリート層の金属層の厚さは従来技術と同じであり、記載された目的を達成するために本発明に関連する厚さの比は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第8548112号
【特許文献2】米国特許第7786456号
【特許文献3】米国公開特許第2010/0272225号
【特許文献4】米国特許第6064710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、放射性廃棄物のための容器に関し、具体的には、放射性放出源を構成する放射性廃棄物を収容するキャニスタ又はラックを保管(house)することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の容器は以下を含む:
- 貯蔵される放射性廃棄物のためのキャニスタ又はラックのためのハウジング(housing:筐体ともいう)を画定する、光子放射に対する内部格納容器障壁(内部格納容器障壁ともいう)であって、円筒形の内部鋼フェルールと、ベース(base:基部ともいう)と、蓋とを備える、内部格納容器障壁;
- 容器の外面を形成する、光子放射に対する格納容器障壁であって、円筒形の外部スチールフェルール(外部フェルール若しくは外部鋼フェルールともいう)と、ベースと、蓋とを備える、格納容器障壁と
- 前記内部フェルールと外部フェルールとの間に配置され、中性子放射に対するシールド(shield:遮蔽ともいう)を形成する中間コンクリート層。
【0016】
内部フェルール及び外部フェルールは、同心であり、中間コンクリート層が収容される中間キャビティをその間に画定する。
前記内部フェルール及び外部フェルール、ならびにそれらの間に配置された中間コンクリート層は、外部フェルール、コンクリート片、及び内部フェルールの3つの層の間の最適化又はバランスを提供するところの、同じ若しくは類似の厚さを有する。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、中間コンクリート層は、円環状の円弧形状を有するコンクリート片によって形成されており、及び、このコンクリート片は、それらの端部を全て平坦にすることができる、又は、隣接するコンクリート片と結合するための少なくとも1つの舌部又は溝部を有することができる。したがって、2つの金属フェルールの間に配置されたコンクリート片は、その組み立てを容易にし、及び、一端組み立てられると、前記中間キャビティを満たす、対向するカップリング舌部及び溝部を有することができる。
【0018】
本発明によれば、コンクリート片は、容器の取り付け位置において、内部及び外部フェルールに接触し、熱放散を容易にする熱ブリッジ(熱放散ブリッジともいう)を形成する、金属エンベロープを含むことができ、なぜなら、金属は、コンクリートよりもはるかに高速でこの熱排出を促進する特性を有するからである。
【0019】
したがって、このようなコンクリート片は、容器の設計において、高い汎用性を提供する。本発明によれば、中間コンクリート層は、その組成物中に、周囲の鋼層の遮蔽能力を補完するために同じものを容易に適合させ、使用されることが意図される特定の用途の特定の必要性に適合させ、製造コストを最適化し、安全要件に適合させることを可能にする、様々な材料を組み込むことができる。
【0020】
具体的には、この目的のために、前記中間コンクリート層は、その組成物中に、以下の材料のいずれかを含み得ることが想定される:
-中性子遮蔽(中性子放射遮蔽ともいう)の高効率材料;
-高密度かつ光子遮蔽能を有する材料;
-高い熱伝導率及び熱放散能力(放熱性ともいう)を有する材料、及び/又は
-機械的強度の高い材料。
【0021】
別の実施態様によれば、中間コンクリート層は、内部フェルールと外部フェルールとの間に注入された大量のコンクリートによって「現場で」形成されたコンクリート片によって作製される;
前記フェルールは、注入されたコンクリートとサイドフェルールの鋼との間の固着要素として使用されている、その対向表面上で前記フェルールに溶接され、コンクリート片内に埋め込まれた、金属コネクタを備え、及び、フェルール及びコネクタは金属性であるので、フェルールは協働し、熱の伝達を容易にすることができる。
【0022】
本発明によれば、基部(複数)(bases)の間、及び底部と上部、内部と外部の格納容器障壁(containment barrier:閉じ込め障壁、なお、障壁はバリアともいう)を閉鎖する蓋の間に、容器は、コンクリート、鋼(スチールともいう)、鉛、又はキャニスタ若しくはラックに含まれる残留物(residue:かす)のタイプに応じた放射線遮蔽に適した任意の他の材料、から形成された少なくとも1つの放射線遮蔽層を備える。
【0023】
有利には、容器は、容器が衝撃を受けた場合に、キャニスタへの損傷のリスクを最小限に抑える弾性衝撃吸収要素を、基部(複数)(bases)の間及び/又は収容障壁、内部及び外部の閉鎖する蓋(複数)の間に、有する。
【0024】
上述の構造では、この容器は、容器の囲い、基部、及び蓋が作られる材料の性質、及びこれらの材料が容器内に配置される方法、のおかげで、キャニスタ又はラックからの放射線の放出に対する容器の可能な限り最良の遮蔽を伴い、このタイプの容器のすべての安全要件を満たす。
【0025】
鋼(スチールともいう)製の外部フェルール及び内部フェルールは、容器に対する構造的安全性の提供を保証し、前記フェルール(複数)の間に配置されたコンクリートの層と共に、高い放射線遮蔽を提供し、コンクリートの厚さ及びフェルールの厚さを最適化する。
【0026】
この容器は、以下の目的を満たす:
- これは、キャニスタ又はラックの内部に収容された放射性廃棄物からの異なる放射線から保護するのに効率的である。
- これは、容器の製造を単純化し、標準化及び製造コストの低減を達成し、固有の安全性能をすべて維持する。
【0027】
構造的には、この容器は、可能衝撃及び機械的応力が、金属フェルールによって耐えられるので、金属容器のように挙動する。
【0028】
また、この容器はコンクリート容器よりも小径であるため、貯蔵設備内の空間をより有効に使用することができ、軽量化を図ることができるため、従来のコンクリート容器に比べて、取扱いの技術的手段も少なくて済む。
【0029】
機能的には、コンクリート容器とは異なり、追加の換気システムを必要としないので、熱的観点からは金属容器としても機能することができる。
【0030】
このようにして、本発明は、金属容器が有する、特定のタイプの放射線に対する遮蔽のために、コンクリート片、又は互いに容易に結合されるコンクリート片を組み込む、という利点を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
実施されている説明を補完するために、及び本発明の特徴の理解を容易にする目的で、本説明には、非限定的な例として、以下のものが表されている一組の図面が添付されている:
図1図1は、本発明による放射性廃棄物容器の一実施態様例の斜視図を示す。
図2図2は、垂直面に沿って切断された、前の図の容器の背面斜視図を示す。
図3図3は、図2の拡大された詳細を示す。
図4図4は、前図の放射性廃棄物容器を水平面で切断した平面図であり、中間コンクリート層は、既製のコンクリート片によって形成されている。
図5図5は、容器の内部フェルールと外部フェルールとの間に収容されるように意図されたコンクリート片のうちの1つの例示的な実施態様の斜視図を示し、この場合、平坦な端部を備える。
図6図6は、コンクリート片のうちの1つの実施態様の変形例の斜視図を示し、端部は舌状であり、溝付きである。
図7図7は、水平面によって区分された容器の実施態様の変形例の立面図を示し、ここで、中間コンクリート層は、内部フェルールと外部フェルールとの間にコンクリートを注ぐことによって「現場」で形成されたコンクリートの単一片によって作られる。
図8図8は、内部及び外部格納バリアの基部(複数)(bases)の間に弾性クッション要素を備えた、本発明の容器の下部分の高さにおける、断面詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面に示される例示的な実施態様において、(10)と総称される本発明の放射性廃棄物容器対象物は、以下を含む:
- 内部円筒形スチール(inner cylindrical steel) フェルール(ferrule:金環)(円筒形の内部スチールフェルール 若しくは内部フェルールともいう)(11)、基部(base)(12)及び蓋(lid)(13)によって形成される内部格納容器障壁(inner containment barrier)(1);
- 外部円筒形鋼フェルール(outer cylindrical steel ferrule) (円筒形の外部スチールフェルール 若しくは外部フェルールともいう)(21)、基部(22)及び蓋(23)によって形成される外部格納容器障壁(outer containment barrier) (2)、及び
- 前記内部フェルールと外部フェルールとの間に配置された中間コンクリート層(3)。
【0033】
容器(10)は外部に、把持及び取扱いのために、ボルト(15)によって外部フェルール(21)に固定されたトラニオン(trunnions:筒耳)(14)を備える。内部(1)及び外部(2)の格納バリアは、それぞれ、容器(10)の内部及び外部表面を構成する。
【0034】
図2に示す実施例では、容器(10)は、格納バリア(複数)のフェルール(複数)の底部で閉じる基部(複数) (12, 22)の間に、放射線遮蔽層(4)を;及び、内部(1)及び外部(2)格納バリアの上部で閉じる蓋(複数) (13, 23)との間に、少なくとも1つの遮蔽層(5)を、備える。
【0035】
前記遮蔽層(4、5)は、コンクリート、鋼、鉛、又は放射線遮蔽に適した任意の他の材料から作製されてもよい。
【0036】
内部フェルール(11)は、内部格納バリア(1)の基部(12)及び蓋(13)と共に、貯蔵される放射性廃棄物を収容するキャニスタ(canister:缶)又はラック(rack)(C)のためのハウジングを画定する。
【0037】
内部蓋(inner lid)(13)は、燃料を作動させるための排水及び通気システム(19)を備える。
【0038】
図3の詳細に見られるように、内部格納バリア(1)の蓋(13)は、その内側面に、前記蓋(13)に取り付けられた金属シート(16)を備え、内部フェルール(11)上へのその組み立て及び着座を容易にする。
【0039】
この蓋(13)は、ボルト(17)の手段によって内部フェルールに固定されており、その間に加圧シールガスケット(gasket:パッキン)(18)が配置されている。
【0040】
同様に、外部格納容器バリア(2)の蓋(23)は、その内側面に、ボルト(25)の手段によってその間に配置された加圧シールガスケット(26)によって固定される、外部フェルール(21)に取り付けられ着座するための金属シート(metal sheet)(24)を有する。
【0041】
図4において、前記内部及び外部フェルール(11, 21)は同心であり、中間コンクリート層(3)が収容される中間空洞を画定する。
【0042】
中間キャビティ内に位置する内部フェルール(11)、外部フェルール(21)、及び中間コンクリート層(3)は、同じ若しくは類似の厚さを有し、それらのセットは、コンクリート容器よりもかなり薄い厚さの容器(10)を形成する。
【0043】
図4に示す実施態様では、中間コンクリート層(3)が図5及び図6に示すように、円環状の円弧形状(an annular cylinder arc configuration)を有するコンクリート片(3a)から構成される。
【0044】
前記コンクリート片(3a)は、図5に示されるような平坦な端部(31)、又は図6に示されるような舌状及び溝付きの端部(32)を有することができ、それらが別の類似のコンクリート片と結合するために、前記コンクリート片(3a)はいずれの場合も、図4に示されるように、内部(11)と外部(21)のフェルールとの間に画定されるキャビティ全体を覆う。
【0045】
鋼(スチールともいう)製の内部フェルール(11)及び外部フェルール(21)は、光子放射(photon radiation)に対するシールド(shield:遮蔽ともいう)を容器(10)に提供し、一方、中間コンクリート層(3)は、中性子放射(neutron radiation)に対するシールドを提供する。
【0046】
有利には、コンクリート片(3a)が容器(10)の構造をかなり容易にする、というのは、前記構造は、内部(1)及び外部(2)の格納容器バリアの異なる構成部品との整然とした配置と、前述のコンクリート片(3a)のそれぞれのフェルール(11, 21)の間への挿入のみを必要とするからである。
【0047】
図7に示される実施態様の変形例では、中間コンクリート層(3)は、内部フェルール(11)と外部フェルール(21)との間に注入された大量のコンクリートで「in situ」現場で成形された環状円筒のようなコンクリート片(3b)によって作製され;前記フェルール(11, 21)は、前記フェルール(複数)に溶接され、それらの対向表面上において、コンクリート片(3b)に埋め込まれた、金属コネクタ(11a、21a)を備える。
【0048】
中間コンクリート層(3)が、いくつかのコンクリート片(3a)の手段によって形成されるか、又は「in situ」現場で作られたコンクリート片(3b)の手段によって形成されるかにかかわらず、その特性を変化させ、様々な影響を達成するために、その製造に使用されるコンクリート塊に好適な材料を以下のように組み込むことが想定される:中性子放射に対する前記中間コンクリート層(3)によって提供される遮蔽を増加させること、その密度及び光子遮蔽能力を増加させること、その放熱能力を増加させること、又はその機械的強度を増加させること。
【0049】
中性子放射に対する中間コンクリート層(3)によって提供される遮蔽を増加させるためにコンクリート塊に組み込まれる材料は、この種の放射に対する高効率の要素、特に、コレマタイト(colematite)(colemanite:コレマナイト)などの水素、炭素、もしくはホウ素、又はそれらの他の石灰石凝集体(limestone aggregates)との混合物の高含有量を有する凝集体である。
【0050】
本発明の一実施態様では、密度及び光子遮蔽能力を高めるために、中間コンクリート層(3)は、その組成物中に、マグネタイト(magnetite)、バライト(barite)又は他の高密度凝集体を含む。
【0051】
熱伝導性及び放熱能力を高めるために、中間コンクリート層(3)はその組成物中に、鉄又は他の伝導性鉱物の含有量が高い骨材(aggregates)を含む。
【0052】
好ましくは、中間コンクリート層(3)の機械的強度を増加させるために、それはその組成物中に、マグネタイト、バライトなどの高い機械的強度の骨材を含む。
【0053】
図8に示される例示的な実施態様では、容器が可能性のある衝撃を緩衝及び吸収するために、格納容器バリア(複数)(containment bars)(1、2)の基部(複数)(12, 22)の間に弾性要素(6)を備える。
【0054】
いったん本発明の性質ならびに好ましい実施態様の例が十分に記載されると、記載された要素の材料、形態、サイズ及び配置が変更されやすいことが、全ての関連する目的のために述べられるが、ただし、これらは以下に特許請求される本発明の本質的な特徴の変更を伴わない。
【符号の説明】
【0055】
1,2:格納容器バリア(containment bar)
1:内部格納容器バリア(inner containment barrier)
1:内部格納容器障壁(inner containment barrier)
10:本発明の対象物である放射性廃棄物容器
10:容器
11:内部フェルール(inner ferrule)
11:内部円筒形スチール(鋼ともいう)フェルール(inner cylindrical steel ferrule)
11a、21a:金属コネクタ(metal connector)
12:基部(ベース)
13:蓋
13:内部蓋(inner lib)
14:トラニオン
15:ボルト
16:金属シート(metal sheet)
17:ボルト
18:加圧シールガスケット
19:燃料を作動させるための排水及び通気システム
2:外部格納容器障壁、外部格納容器バリア(outer containment barrier)
21:外部フェルール(outer ferrule)
21:外部円筒形スチールフェルール(outer cylindrical steel ferrule)
22:基部(ベース)
23:蓋
24:金属シート(metal sheet)
25:ボルト
26:加圧シールガスケット(pressure sealing gaskets:圧封止パッキン)
3:中間コンクリート層
3:内部フェルールと外部フェルールとの間に配置された中間コンクリート層
31:平坦な端部
32:舌状及び溝付きの端部
3a:円環状の円弧形状を有するコンクリート片
3b:コンクリート片
3b:環状シリンダ(円筒ともいう)様のコンクリート片
4:放射線遮蔽層
5:遮蔽層
6:弾性要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】