(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】NK細胞と多重特異性エンゲージャーとによるがんの処置
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20241106BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241106BHJP
A61K 35/51 20150101ALI20241106BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241106BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20241106BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20241106BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20241106BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241106BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20241106BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
A61K35/17
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 121
A61K39/395 N
A61K35/51
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/20
A61K47/02
A61K47/64
A61P35/02
A61K31/675
A61K31/7076
A61K38/20
C12N5/0783
C07K16/46
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527078
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022048887
(87)【国際公開番号】W WO2023081317
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524168655
【氏名又は名称】アーティバ バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520396474
【氏名又は名称】アフィメド ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】524168666
【氏名又は名称】ジーシー セル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】フリン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リッテン ジェイソン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ファレル トーマス ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】レイモン ヘザー カレン
(72)【発明者】
【氏名】ソマンチ スリニヴァス サイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲレタズ リサ
(72)【発明者】
【氏名】グラフ ソーステン
(72)【発明者】
【氏名】コッホ ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ポール イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ミン ボギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョジン
(72)【発明者】
【氏名】イ サンヒョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB10
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB40
4B065BC50
4B065BD50
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4C076CC27
4C076CC41
4C076DD26Z
4C076DD55
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4C084ZC75
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4C086AA01
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4C086EA18
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB59
4C087BB64
4C087MA02
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、KIR-Bハプロタイプを持ちかつCD16分子を発現するナチュラルキラー(NK)細胞と、CD16およびCD30に結合する二重特異性抗体とを使って、がんを患っている患者を処置するための方法が提供され、加えて、NK細胞集団の生産方法、および前記NK細胞と二重特異性抗体とを含む薬学的組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD30
+がんを患っている患者を処置するための方法であって、
KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む第1の薬学的組成物を該患者に投与する工程、および
CD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物を該患者に投与する工程
を含み、
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、
SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、
SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)と
を含み、かつ
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、
SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、
SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変ドメイン(VH_CD30)と
を含む、
方法。
【請求項2】
NK細胞が臍帯血由来NK細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、
(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、
(b)細胞からCD3(+)細胞を除去するか、または正の選択によってシード細胞をNK細胞について濃縮する工程、
(c)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、IL-2を含む培地中で培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程
を含む方法によって、臍帯血由来NK細胞が生産された、請求項2記載の方法。
【請求項4】
不活化CD4(+)T細胞株が、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、および変異TNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
不活化CD4(+)T細胞株が、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、および変異TNF-α遺伝子を発現する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
IL-2を含む培地が、OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
CD16分子がCD16A分子である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
CD16分子がF158にV/V多型を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインがCD16Aに特異的に結合する、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
ナチュラルキラー細胞がナチュラルキラー細胞の集団である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のCD16+細胞を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKG2D+細胞を含む、請求項10~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp46+細胞を含む、請求項10~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp30+細胞を含む、請求項10~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のDNAM-1+細胞を含む、請求項10~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
ナチュラルキラー細胞の集団が、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp44+細胞を含む、請求項10~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
ナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD3+細胞を含む、請求項10~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
ナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD14+細胞を含む、請求項10~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
ナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD19+細胞を含む、請求項10~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
ナチュラルキラー細胞の集団が、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD38+細胞を含む、請求項10~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
NK細胞の集団が、少なくとも1億個の拡大されたナチュラルキラー細胞、例えば2億、2億5000万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5000万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、9-億、1千億、2千億、2500億、3千億、4千億、5千億、6千億、7千億、8千億、9千億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆、または10兆個の拡大されたナチュラルキラー細胞を含む、請求項10~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含むシード細胞を得る工程、
(b)シード細胞からCD3+細胞を除去する工程、
(c)拡大されたナチュラルキラー細胞を生産するために、除去済のシード細胞を、膜結合型IL-21、変異TNFα、および4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第1の複数のHut78細胞と共に培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程
を含む方法であって、それによってナチュラルキラー細胞の集団を生産する、方法
によって、NK細胞の集団が生産される、請求項10~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含むシード細胞を得る工程、
(b)シード細胞からCD3+細胞を除去する工程、
(c)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を生産するために、除去済のシード細胞を、膜結合型IL-21、変異TNFα、および4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第1の複数のHut78細胞と共に培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程、および
(d)拡大されたナチュラルキラー細胞を生産するために、膜結合型IL-21、変異TNFα、および4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第2の複数のHut78細胞と共に培養することによって、拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を拡大する工程
を含む方法であって、それによってナチュラルキラー細胞の集団を生産する、方法
によって、NK細胞の集団が生産される、請求項10~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
工程(c)後に、
(i)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を複数のコンテナにおいて凍結する工程、および
(ii)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団のアリコートを含むコンテナを融解する工程
をさらに含む方法であって、
工程(d)における、拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を拡大する工程が、拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の前記アリコートを拡大することを含む、
方法
によって、NK細胞の集団が生産される、請求項22または請求項23記載の方法。
【請求項25】
臍帯血が、KIR-Bハプロタイプを持ちかつCD16 158V多型に関してホモ接合であるドナーに由来する、請求項22~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
ナチュラルキラー細胞を臍帯血から少なくとも10,000倍に、例えば15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍、または70,000倍に拡大する工程を含む方法によって、NK細胞の集団が生産される、請求項22~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
ナチュラルキラー細胞の集団が、拡大後に濃縮も選別もされない、請求項22~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
ナチュラルキラー細胞の集団における、CD16を発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
ナチュラルキラー細胞の集団における、NKG2Dを発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp30を発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp44を発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp46を発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
ナチュラルキラー細胞の集団における、DNAM-1を発現するNK細胞のパーセンテージが、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い、請求項22~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
ナチュラルキラー細胞がCD16導入遺伝子を含まない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
ナチュラルキラー細胞が外因性CD16タンパク質を発現しない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
ナチュラルキラー細胞が遺伝子操作されていない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
ナチュラルキラー細胞が同じ臍帯血ドナーに由来する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
第1の薬学的組成物が、
(a)ヒトアルブミン、
(b)デキストラン、
(c)グルコース、
(d)DMSO、および
(e)緩衝液
をさらに含む、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
第1の薬学的組成物が30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
第1の薬学的組成物が50mg/mLのヒトアルブミンを含む、請求項38記載の方法。
【請求項41】
第1の薬学的組成物が20~30mg/mLのデキストランを含む、請求項38~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
第1の薬学的組成物が25mg/mLのデキストランを含む、請求項38~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
デキストランがデキストラン40である、請求項38~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
第1の薬学的組成物が12~15mg/mLのグルコースを含む、請求項38~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
第1の薬学的組成物が12.5mg/mLのグルコースを含む、請求項38~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
第1の薬学的組成物が27.5g/L未満のグルコースを含む、請求項38~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
第1の薬学的組成物が50~60ml/mLのDMSOを含む、請求項38~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
第1の薬学的組成物が55mg/mLのDMSOを含む、請求項38~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
第1の薬学的組成物が40~60% v/vの緩衝液を含む、請求項38~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記緩衝液がリン酸緩衝食塩水である、請求項38~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
第1の薬学的組成物が、
(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、
(b)約25mg/mLのデキストラン40、
(c)約12.5mg/mLのグルコース、
(d)約55mg/mLのDMSO、および
(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項52】
第1の薬学的組成物が0.5mL/mLの水をさらに含む、請求項38~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
第1の薬学的組成物が薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインが、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(V
L)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(V
H)領域とを含む、請求項1~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインが、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域とを含む、請求項1~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインが、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(V
L)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(V
H)領域とを含む、請求項1~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインが、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域とを含む、請求項1~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが二重特異性抗原結合フラグメントであり、かつ
二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインが、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている、
請求項1~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが二重特異性抗原結合フラグメントであり、かつ
二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインが、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている、
請求項1~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれが12個以下のアミノ酸残基からなる、請求項58または59記載の方法。
【請求項61】
前記抗体構築物のリンカーL2が、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる、請求項57~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである、請求項1~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントの用量が0.01、0.04、0.15、0.5、1.5、3.0、4.5または7.0mg/kgで患者に投与される、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントの用量が、200mgの二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
がんが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、CD30
+B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病からなる群より選択される、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
がんがホジキンリンパ腫である、請求項66記載の方法。
【請求項68】
がんが末梢性T細胞リンパ腫である、請求項66記載の方法。
【請求項69】
患者が、抗CD30抗体による処置後に再発したか、または抗CD30抗体に対して不応性である、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
抗CD30抗体がブレンツキシマブベドチンである、請求項69記載の方法。
【請求項71】
患者が、自家幹細胞移植またはキメラ抗原受容体T細胞治療(CAR-T)による処置後に疾患進行を来たしている、請求項1~70のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
患者に、NK細胞の用量あたり1×10
8~1×10
10個のNK細胞が投与される、請求項1~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
患者に、NK細胞の用量あたり1×10
9~8×10
9個のNK細胞が投与される、請求項72記載の方法。
【請求項74】
患者に、NK細胞の用量あたり、4×10
8、1×10
9、4×10
9、8×10
9個のNK、または1.6×10
10個の細胞が投与される、請求項72記載の方法。
【請求項75】
患者が、処置に先立って、リンパ球除去化学療法に付される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
リンパ球除去化学療法が骨髄非破壊的化学療法である、請求項75記載の方法。
【請求項77】
リンパ球除去化学療法が、シクロホスファミドおよびフルダラビンのうちの少なくとも1つによる処置を含む、請求項75または請求項76記載の方法。
【請求項78】
リンパ球除去化学療法がシクロホスファミドおよびフルダラビンによる処置を含む、請求項77記載の方法。
【請求項79】
100~500mg/m
2/日のシクロホスファミドが投与される、請求項77~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
250mg/m
2/日のシクロホスファミドが投与される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
500mg/m
2/日のシクロホスファミドが投与される、請求項79記載の方法。
【請求項82】
10~50mg/m
2/日のフルダラビンが投与される、請求項77~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
30mg/m
2/日のフルダラビンが投与される、請求項82記載の方法。
【請求項84】
IL-2を患者に投与する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
患者に用量あたり1×10
6IU/m
2のIL-2が投与される、請求項84記載の方法。
【請求項86】
患者に用量あたり100万または600万IUのIL-2が投与される、請求項84記載の方法。
【請求項87】
IL-2の投与がNK細胞投与の1~4時間以内に行われる、請求項84~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
NK細胞を含む第1の薬学的組成物の用量および二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の用量の投与が、毎週行われる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項89】
NK細胞およびNK細胞を含む第1の薬学的組成物と、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物とが、4~8週にわたって毎週、投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項90】
NK細胞を含む第1の薬学的組成物の投与が3週にわたって毎週行われ、かつ二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の投与が6週にわたって毎週行われる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項91】
NK細胞を含む第1の薬学的組成物の投与が6週にわたって隔週で行われ、かつ二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の投与が6週にわたって毎週行われる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
CD30
+がんを患っている患者を処置するための方法であって、
請求項1~91のいずれか一項記載の方法を含む第1処置サイクルを患者に施行する工程、および
請求項1~91のいずれか一項記載の方法を含む第2処置サイクルを患者に施行する工程
を含み、
第1処置サイクルと第2処置サイクルは同じであるか、または異なる、
方法。
【請求項93】
請求項1~91のいずれか一項記載の方法を含む第3処置サイクルを患者に施行する工程をさらに含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
各サイクル間に少なくとも2週間の処置中断を含む、請求項92または請求項93記載の方法。
【請求項95】
CD30
+がんが進行するまで、またはNK細胞、二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその両方に対する患者の不耐性ゆえに投薬が中断されるまで、またはNK細胞、二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、もしくはその両方の毒性を患者が経験するまで、処置が続く、請求項92のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
NK細胞が遺伝子改変されていない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項97】
NK細胞の少なくとも70%がCD56+かつCD16+である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
NK細胞の少なくとも85%がCD56+かつCD3-である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項99】
NK細胞の1%以下がCD3+であり、NK細胞の1%以下がCD19+であり、かつNK細胞の1%以下がCD14+である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項100】
(a)KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)、および
(b)CD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント
を含む、薬学的組成物であって、
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、
SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、
SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)と
を含み、かつ
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、
SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む、軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、
SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む、重鎖可変ドメイン(VH_CD30)と
を含む、
薬学的組成物。
【請求項101】
CD16分子がCD16A分子である、請求項100記載の薬学的組成物。
【請求項102】
CD16分子がF158にV/V多型を含む、請求項100または請求項101記載の薬学的組成物。
【請求項103】
CD16に特異的に結合する二重特異性抗体がCD16Aに特異的に結合する、請求項100~102のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項104】
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインが、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(V
L)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(V
H)領域とを含む、請求項100~103のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項105】
CD16に特異的に結合する第1結合ドメインが、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域とを含む、請求項100~104のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項106】
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインが、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(V
L)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(V
H)領域とを含む、請求項100~105のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項107】
CD30に特異的に結合する第2結合ドメインが、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域とを含む、請求項100~106のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項108】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが二重特異性抗原結合フラグメントであり、かつ
二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインが、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている、
請求項100~107のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項109】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが二重特異性抗原結合フラグメントであり、
二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインが、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている、
請求項100~107のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項110】
ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれが12個以下のアミノ酸残基からなる、請求項108または請求項109記載の薬学的組成物。
【請求項111】
抗体構築物のリンカーL2が、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる、請求項108~110のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項112】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項100~111のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項113】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである、請求項100~112のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項114】
NK細胞が臍帯血由来NK細胞である、請求項100~113のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項115】
臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、
(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、
(b)細胞からCD3(+)細胞を除去する工程、
(b)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、
OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体と
IL-2と
を含む培地中で培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程
を含む方法によって、臍帯血由来NK細胞が生産された、請求項114記載の薬学的組成物。
【請求項116】
不活化CD4(+)T細胞株が、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する、請求項115記載の薬学的組成物。
【請求項117】
不活化CD4(+)T細胞株が、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子を発現する、請求項116記載の薬学的組成物。
【請求項118】
二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントのCD16に特異的に結合する第1結合ドメインが、NK細胞のCD16分子に結合する、請求項100~117のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項119】
(a)ヒトアルブミン、
(b)デキストラン、
(c)グルコース、
(d)DMSO、および
(e)緩衝液
をさらに含む、請求項100~118のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項120】
30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む、請求項119記載の薬学的組成物。
【請求項121】
50mg/mLのヒトアルブミンを含む、請求項120記載の薬学的組成物。
【請求項122】
20~30mg/mLのデキストランを含む、請求項119~121のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項123】
25mg/mLのデキストランを含む、請求項119~122のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項124】
デキストランがデキストラン40である、請求項119~123のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項125】
12~15mg/mLのグルコースを含む、請求項119~124のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項126】
12.5mg/mLのグルコースを含む、請求項119~125のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項127】
27.5g/L未満のグルコースを含む、請求項119~126のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項128】
50~60ml/mLのDMSOを含む、請求項119~127のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項129】
55mg/mLのDMSOを含む、請求項119~128のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項130】
40~60% v/vの緩衝液を含む、請求項119~129のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項131】
前記緩衝液がリン酸緩衝食塩水である、請求項119~130のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項132】
(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、
(b)約25mg/mLのデキストラン40、
(c)約12.5mg/mLのグルコース、
(d)約55mg/mLのDMSO、および
(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水
を含む、請求項119記載の薬学的組成物。
【請求項133】
0.5mL/mLの水をさらに含む、請求項119~132のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項134】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項100~118のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項135】
請求項100~134のいずれか一項記載の薬学的組成物を含む、凍結バイアル。
【請求項136】
請求項100~134のいずれか一項記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、CD30
+がんを患っている患者を処置するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2021年11月4日に出願された米国仮出願第63/275,890号の恩典を主張する。前記仮出願の内容はすべて、参照により、本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
抗体治療を含む標的治療はがん処置を改革した。抗体治療が細胞傷害を誘導する作用機序の一つは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)による。多くのがん患者は頑健なADCC応答を展開することができない。ADCC応答の低減は、適応となるモノクローナル抗体治療薬のいずれについても、これらの患者にとっての有効性を著しく低下させ、それが、これらの患者における奏効を妨げ、または再発につながることになりうる。したがって、ADCC応答の低減は、彼らの臨床アウトカムに負の影響を及ぼしうる。
【0003】
近年、抗がん剤の発見および開発がいくつかなされたにもかかわらず、多くのタイプのがんは予後不良であるため、改良された方法および治療剤が、依然として必要とされている。
【0004】
本発明は当技術分野におけるこれらの不足および他の不足に対処する。
【発明の概要】
【0005】
概要
NK細胞は、その細胞表面上の複雑な一連の受容体を介して、そしてまた抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を介して、腫瘍細胞にエンゲージすることができる免疫細胞である。ADCCを開始するために、NK細胞は、その表面上のCD16受容体を介して、抗体とエンゲージする。NK細胞は、他の免疫細胞、例えばCAR-T細胞治療や他の細胞治療において使用されるT細胞と比べて、利点を有しうる。例示的な利点として、NK細胞は同種異系治療に使用することができる。つまり、HLAマッチング、遺伝子編集または他の遺伝子操作を必要とすることなく、1人のドナーからのNK細胞を、1人または多くの患者において、安全に使用することができる。抗腫瘍活性を持つ同種異系NK細胞は、重症サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性または移植片対宿主病(GvHD)などといった、T細胞治療に関連するリスクの多くを伴うことなく、患者に安全に投与することができる。
【0006】
同種異系NK細胞は、がん患者にとって重要な処置選択肢になりうる。例示的な利点の一つとして、NK細胞は認容性が高く、他の細胞ベースの治療と関連する移植片対宿主病、神経毒性またはサイトカイン放出症候群の証拠を示さない。もう一つの例示的利点として、NK細胞は、腫瘍細胞を特定し溶解するために、事前の抗原ばく露または特異的抗原の発現を必要としない。もう一つの例示的利点として、NK細胞は、自然免疫を橋渡しし、長期抗がん性免疫記憶をもたらす多クローン性の適応免疫応答を生じるという、固有の能力を有する。
【0007】
例えばNK細胞は、免疫系の他の構成要素を動員し、活性化することができる。活性化NK細胞は、シグナルを伝達してT細胞を腫瘍に動員する、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)およびマクロファージ炎症性タンパク質1(MIP1)などの、サイトカインおよびケモカインを分泌する。NK細胞は、腫瘍細胞を直接死滅させることにより、適応免疫系による認識のために、腫瘍抗原を露出させる。
【0008】
加えて、NK細胞の供給源として多様性に富む臍帯血バンクを利用することにより、臨床活性の増強にとって好ましい特徴(例えば高アフィニティCD16およびキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)Bハプロタイプ)を持つ臍帯を選択することができる。
【0009】
本明細書記載の同種異系NK細胞の投与は、例えば多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとの併用により、患者のADCC応答を増強することができる。
【0010】
CD30は、古典的ホジキンリンパ腫(HL)、ならびに未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)非特定型(PTCL-NOS)および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を含む末梢性T細胞リンパ腫のいくつかのサブタイプにおいて、さまざまな程度に、普遍的に発現している腫瘍壊死因子受容体ファミリーの細胞膜タンパク質である。
【0011】
最も一般的なCD30陽性リンパ腫である古典的HL(cHL)では、放射線治療を伴うまたは伴わない第一線化学療法(ABVDまたはBEACOPP)が、有意な有効性を示している。進行cHLを持つ患者では、第一線治療には、化学療法を伴うCD30標的化抗体薬物コンジュゲート・ブレンツキシマブベドチン(AVD)も含まれうる。しかし最大30%の患者は、第一線処置に不応であるか、または再発する。再発性または難治性cHLを持つ患者の場合、高用量化学療法および自家幹細胞移植(ASCT)で治癒するのは50%以下である(Majhail NS,Weisdorf DJ,Defor TE,et al.「Long-term results of autologous stem cell transplantation for primary refractory or relapsed Hodgkin's lymphoma」Biol Blood Marrow Transplant.2006;12(10):1065-1072.doi:10.1016/j.bbmt.2006.06.006、Josting A,Mueller H,Borchmann P,et al.「Dose intensity of chemotherapy in patients with relapsed Hodgkin's lymphoma」J Clin Oncol.2010;28(34):5074-5080.doi:10.1200/JCO.2010.30.5771、Bartlett NL,Herrera AF,Domingo-Domenech E,et al.「A phase 1b study of AFM13 in combination with pembrolizumab in patients with relapsed or refractory Hodgkin lymphoma」Blood.2020;136(21):2401-2409.doi:10.1182/blood.2019004701)。ASCT後の再発は予後不良と関連し、生存期間中央値は26か月である(Voorhees TJ,Beaven AW.「Therapeutic Updates for Relapsed and Refractory Classical Hodgkin Lymphoma」Cancers(Basel).2020;12(10):2887.Published 2020 Oct 8.doi:10.3390/cancers12102887)。難治性および再発性患者にとっての全身性処置選択肢には、単独治療としての、または別の作用物質と併用される、ブレンツキシマブベドチンなどの作用物質、および/またはPD-(L)1阻害薬が含まれうる。有望な標的・免疫作用物質を組み入れた最近の進歩にも関わらず、再発/難治性の状況では、臨床的に許容される安全性プロファイルと共に、高い奏効レベル、より長い奏効持続時間、および治癒の可能性を与える処置に対するアンメット・メディカル・ニーズが、依然としてある。
【0012】
末梢性T細胞リンパ腫に関して、CHOPまたはCHOP様レジメンによる一次処置は、ALK+ALCLの症例を除けば、転帰不良をもたらす。ASCTによる強化など、第一線治療における強化されたアプローチにも関わらず、これらの患者には、依然として、再発または早期進行のリスクがかなりある。一般に、PTCLの処置を受けている患者はすべてのとは言わないまでも大部分が、造血細胞移植(HCT)を行わない場合は特に、寛解を達成しないか、または再発して、長期生存率は極めて低くなり、メジアンPFSおよびOS推定値は、それぞれ3か月および6か月でしかない(Mak V,Hamm J,Chhanabhai,et al.「Survival of patients with peripheral T-cell lymphoma after first relapse or progression:spectrum of disease and rare long-term survivors」J.Clin.Oncol.2013;31(16):1970-1976、Biasoli I,Cesaretti M,Bellei M,et al.「Dismal outcome of T-cell lymphoma patients failing first-line treatment:results of a population-based study from the Modena Cancer Registry」Hematol.Oncol.2015;33(3):147-151、Bellei M,Foss F,Shustov A,et al.「The outcome of peripheral T-cell lymphoma patients failing first-line therapy:a report from the prospective,International T-Cell Project」Hematologica.2018;103(7):1191-1197)。したがって、PTCLを持つ患者にとって存在しているアンメット・メディカル・ニーズに対処するために、新規治療薬および処置レジメンが必要とされている。
【0013】
AFM13は、HLおよび他のCD30陽性悪性疾患、例えばPTCLの処置のために研究されている、四価二重特異性(抗ヒトCD30×抗ヒトCD16A)組換え抗体構築物である。AFM13は、悪性リンパ腫細胞上に発現するCD30抗原を標的とする。同時に、抗CD16Aドメインは、NK細胞上およびマクロファージ上のCD16A(FcλRIIIA)に結合する。AFM13は、腫瘍標的細胞と自然エフェクター細胞の間に架橋を形成して、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介したNK細胞によるCD30抗原陽性細胞の溶解をトリガーする。
【0014】
HLの免疫抑制腫瘍微小環境にはNK細胞集団が存在しないことが示されている。さらにまた、HLを持つ患者からのNK細胞は、一つには、活性化受容体と抑制性受容体の不均衡ゆえに、機能障害性である(Reiners KS,Kessler J,Sauer M,et al.「Rescue of impaired NK cell activity in Hodgkin lymphoma with bispecific antibodies in vitro and in patients」Mol Ther 2013;21:895-903)。自家NK細胞機能におけるこれらの制限ゆえに、HLにとって最適なNK免疫治療には、おそらく同種異系供給源が必要だろう。
【0015】
したがって本明細書では、なかんずく、KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む第1の薬学的組成物を患者に投与する工程、およびCD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物を患者に投与する工程を含む、CD30+がんを患っている患者を処置するための方法であって、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)とを含み、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD30)とを含む、方法が提供される。
【0016】
いくつかの態様において、NK細胞は臍帯血由来NK細胞である。
【0017】
いくつかの態様において、臍帯血由来NK細胞は、臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、(b)細胞からCD3(+)細胞を除去するか、または正の選択によってシード細胞をNK細胞について濃縮する工程、(c)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、IL-2を含む培地中で培養することによってナチュラルキラー細胞を拡大する工程、を含む方法によって生産されたものである。
【0018】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、および変異TNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する。いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、および変異TNF-α遺伝子を発現する。
【0019】
いくつかの態様において、IL-2を含む培地は、OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体をさらに含む。
【0020】
いくつかの態様において、CD16分子はCD16A分子である。いくつかの態様において、CD16分子は、F158にV/V多型を含む。いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインはCD16Aに特異的に結合する。
【0021】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は、ナチュラルキラー細胞の集団である。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のCD16+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKG2D+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp46+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp30+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のDNAM-1+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp44+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD3+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD14+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD19+細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、20%未満または以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0%のCD38+細胞を含む。
【0022】
いくつかの態様において、NK細胞の集団は、少なくとも1億個の拡大されたナチュラルキラー細胞、例えば2億、2億5000万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5000万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、9-億、1千億、2千億、2500億、3千億、4千億、5千億、6千億、7千億、8千億、9千億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆、または10兆個の拡大されたナチュラルキラー細胞を含む。
【0023】
いくつかの態様において、NK細胞の集団は、(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含むシード細胞を得る工程、(b)シード細胞からCD3+細胞を除去する工程、(c)拡大されたナチュラルキラー細胞を生産するために、除去済のシード細胞を、膜結合型IL-21、変異TNFα、および4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第1の複数のHut78細胞と共に培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程を含み、それによってナチュラルキラー細胞の集団を生産する方法によって生産される。いくつかの態様において、NK細胞の集団は、(a)臍帯血からナチュラルキラー細胞を含むシード細胞を得る工程、(b)シード細胞からCD3+細胞を除去する工程、(c)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を生産するために、除去済のシード細胞を、膜結合型IL-21、変異TNFαおよび4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第1の複数のHut78細胞と共に培養することによって、ナチュラルキラー細胞を拡大する工程、および(d)拡大されたナチュラルキラー細胞を生産するために、膜結合型IL-21、変異TNFα、および4-1BBL遺伝子を発現するように工学的に操作された第2の複数のHut78細胞と共に培養することによって、拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を拡大する工程を含み、それによってナチュラルキラー細胞の集団を生産する方法によって生産される。
【0024】
いくつかの態様では、工程(c)後に、(i)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を複数のコンテナにおいて凍結する工程、および(ii)拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団のアリコートを含むコンテナを融解する工程をさらに含み、工程(d)における拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団を拡大する工程が、拡大されたナチュラルキラー細胞のマスター細胞バンク集団の前記アリコートを拡大する工程を含む、方法によって、NK細胞の集団が生産される。
【0025】
いくつかの態様において、臍帯血は、KIR-Bハプロタイプを持ち、CD16 158V多型に関してホモ接合であるドナーに由来する。
【0026】
いくつかの態様において、NK細胞の集団は、ナチュラルキラー細胞を臍帯血から少なくとも10,000倍に、例えば15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍、または70,000倍に拡大する工程を含む方法によって生産される。
【0027】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団は、拡大後に濃縮も選別もされない。
【0028】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、CD16を発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、NKG2Dを発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp30を発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp44を発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、NKp46を発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞の集団における、DNAM-1を発現するNK細胞のパーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0029】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞はCD16導入遺伝子を含まない。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は外因性CD16タンパク質を発現しない。
【0030】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は遺伝子操作されていない。
【0031】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は同じ臍帯血ドナーに由来する。
【0032】
いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は、(a)ヒトアルブミン、(b)デキストラン、(c)グルコース、(d)DMSO、および(e)緩衝液を、さらに含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は20~30mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は25mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、デキストランはデキストラン40である。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は12~15mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は12.5mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は27.5g/L未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は50~60ml/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は55mg/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は40~60% v/vの緩衝液を含む。いくつかの態様において、緩衝液はリン酸緩衝食塩水である。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は、(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、(b)約25mg/mLのデキストラン40、(c)約12.5mg/mLのグルコース、(d)約55mg/mLのDMSO、および(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水を、さらに含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は0.5mL/mLの水をさらに含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0033】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0034】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている。
【0035】
いくつかの態様において、ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれは、12個以下のアミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、抗体構築物のリンカーL2は、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる。
【0036】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである。
【0037】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は0.01、0.04、0.15、0.5、1.5、3.0、4.5または7.0mg/kgで患者に投与される。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、200mgの二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0038】
いくつかの態様において、がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、CD30+B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病からなる群より選択される。いくつかの態様において、がんはホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、がんは末梢性T細胞リンパ腫である。いくつかの態様において、患者は、抗CD30抗体による処置後に再発したか、または抗CD30抗体に対して不応性である。いくつかの態様において、抗CD30抗体はブレンツキシマブベドチンである。いくつかの態様において、患者は、自家幹細胞移植またはキメラ抗原受容体T細胞治療(CAR-T)による処置後に疾患進行を来たしている。
【0039】
いくつかの態様では、患者に、NK細胞の用量あたり1×108~1×1010個のNK細胞が投与される。いくつかの態様では、患者に、NK細胞の用量あたり1×109~8×109個のNK細胞が投与される。いくつかの態様では、患者に、NK細胞の用量あたり、4×108、1×109、4×109、8×109個のNK、または1.6×1010個の細胞が投与される。
【0040】
いくつかの態様において、患者は、処置に先立って、リンパ球除去化学療法に付される。いくつかの態様において、リンパ球除去化学療法は骨髄非破壊的化学療法である。いくつかの態様において、リンパ球除去化学療法は、シクロホスファミドおよびフルダラビンのうちの少なくとも1つによる処置を含む。いくつかの態様において、リンパ球除去化学療法はシクロホスファミドおよびフルダラビンによる処置を含む。いくつかの態様では、100~500mg/m2/日のシクロホスファミドが投与される。いくつかの態様では、250mg/m2/日のシクロホスファミドが投与される。いくつかの態様では、500mg/m2/日のシクロホスファミドが投与される。いくつかの態様では、10~50mg/m2/日のフルダラビンが投与される。いくつかの態様では、30mg/m2/日のフルダラビンが投与される。
【0041】
いくつかの態様において、本方法は、IL-2を患者に投与する工程をさらに含む。いくつかの態様では、患者に用量あたり1×106IU/m2のIL-2が投与される。いくつかの態様では、患者に用量あたり100万または600万IUのIL-2が投与される。いくつかの態様において、IL-2の投与はNK細胞投与の1~4時間以内に行われる。
【0042】
いくつかの態様において、NK細胞を含む第1の薬学的組成物の用量および二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の用量の投与は、毎週行われる。いくつかの態様では、NK細胞およびNK細胞を含む第1の薬学的組成物と、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物とが、4~8週にわたって毎週、投与される。いくつかの態様において、NK細胞を含む第1の薬学的組成物の投与は3週にわたって毎週行われ、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の投与は6週にわたって毎週行われる。いくつかの態様において、NK細胞を含む第1の薬学的組成物の投与は6週にわたって隔週で行われ、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物の投与は6週にわたって毎週行われる。
【0043】
本明細書では、CD30+がんを患っている患者を処置するための方法であって、本明細書記載の処置方法のいずれか1つを含む第1処置サイクルを患者に施行する工程、および本明細書記載の処置方法のいずれか1つの方法を含む第2処置サイクルを患者に施行する工程を含む、方法も提供され、ここで、第1処置サイクルと第2処置サイクルは同じであるか、または異なる。
【0044】
いくつかの態様において、本方法は、本明細書記載の方法のいずれか1つの方法を含む第3処置サイクルを患者に施行する工程を、さらに含む。
【0045】
いくつかの態様において、本方法は、各サイクル間に少なくとも2週間の処置中断を含む。
【0046】
いくつかの態様において、CD30+がんが進行するまで、またはNK細胞、二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその両方に対する患者の不耐性ゆえに投薬が中断されるまで、またはNK細胞、二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、もしくはその両方の毒性を患者が経験するまで、処置は続く。
【0047】
いくつかの態様において、NK細胞は遺伝子改変されていない。
【0048】
いくつかの態様において、NK細胞の少なくとも70%は、CD56+かつCD16+である。いくつかの態様において、NK細胞の少なくとも85%は、CD56+かつCD3-である。いくつかの態様では、NK細胞の1%以下がCD3+であり、NK細胞の1%以下がCD19+であり、NK細胞の1%以下がCD14+である。
【0049】
本明細書では、(a)KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)、および(b)CD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む薬学的組成物であって、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)とを含み、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD30)とを含む、薬学的組成物も提供される。
【0050】
いくつかの態様において、CD16分子はCD16A分子である。いくつかの態様において、CD16分子は、F158にV/V多型を含む。いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する二重特異性抗体はCD16Aに特異的に結合する。
【0051】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0052】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている。
【0053】
いくつかの態様において、ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれは、12個以下のアミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、抗体構築物のリンカーL2は、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる。
【0054】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである。
【0055】
いくつかの態様において、NK細胞は臍帯血由来NK細胞である。
【0056】
いくつかの態様において、臍帯血由来NK細胞は、臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、(b)細胞からCD3(+)細胞を除去する工程、(b)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体とIL-2とを含む培地中で培養することによってナチュラルキラー細胞を拡大する工程、を含む方法によって生産されたものである。
【0057】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する。いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子を発現する。
【0058】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントのCD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、NK細胞のCD16分子に結合する。
【0059】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、(a)ヒトアルブミン、(b)デキストラン、(c)グルコース、(d)DMSO、および(e)緩衝液を、さらに含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は20~30mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は25mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、デキストランはデキストラン40である。いくつかの態様において、薬学的組成物は12~15mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は12.5mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は27.5g/L未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は50~60ml/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は55mg/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は40~60% v/vの緩衝液を含む。いくつかの態様において、緩衝液はリン酸緩衝食塩水である。いくつかの態様において、薬学的組成物は、(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、(b)約25mg/mLのデキストラン40、(c)約12.5mg/mLのグルコース、(d)約55mg/mLのDMSO、および(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は0.5mL/mLの水をさらに含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0060】
本明細書では、本明細書記載の薬学的組成物を含む凍結バイアルも提供される。
【0061】
本明細書では、CD30+がんを患っている患者を処置するための方法であって、本明細書記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、方法も提供される。
【0062】
本明細書では、(a)KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)、および(b)CD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む薬学的組成物であって、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)とを含み、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD30)とを含む、薬学的組成物も提供される。
【0063】
いくつかの態様において、CD16分子はCD16A分子である。
【0064】
いくつかの態様において、CD16分子はF158にV/V多型を含む。
【0065】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する二重特異性抗体はCD16Aに特異的に結合する。
【0066】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0067】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0068】
いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0069】
いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0070】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている。いくつかの態様において、ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれは、12個以下のアミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、抗体構築物のリンカーL2は、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる。
【0071】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている。いくつかの態様において、ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれは、12個以下のアミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、抗体構築物のリンカーL2は、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる。
【0072】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0073】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである。
【0074】
いくつかの態様において、NK細胞は臍帯血由来NK細胞である。
【0075】
いくつかの態様において、臍帯血由来NK細胞は、臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、(b)細胞からCD3(+)細胞を除去する工程、(b)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体とIL-2とを含む培地中で培養することによってナチュラルキラー細胞を拡大する工程、を含む方法によって生産されたものである。
【0076】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する。
【0077】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子を発現する。
【0078】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントのCD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、NK細胞のCD16分子に結合する。
【0079】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、(a)ヒトアルブミン、(b)デキストラン、(c)グルコース、(d)DMSO、および(e)緩衝液を、さらに含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は20~30mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は25mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、デキストランはデキストラン40である。いくつかの態様において、薬学的組成物は12~15mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は12.5mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は27.5g/L未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は50~60ml/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は55mg/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は40~60% v/vの緩衝液を含む。いくつかの態様において、緩衝液はリン酸緩衝食塩水である。いくつかの態様において、薬学的組成物は、(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、(b)約25mg/mLのデキストラン40、(c)約12.5mg/mLのグルコース、(d)約55mg/mLのDMSO、および(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は0.5mL/mLの水を含む。
【0080】
いくつかの態様において、薬学的組成物は薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0081】
本明細書には、本明細書記載の薬学的組成物のいずれかを含む凍結バイアルも記載される。
【0082】
本明細書には、CD30+がんを患っている患者を処置するための方法であって、本明細書記載の薬学的組成物のいずれかを投与する工程を含む、方法も記載される。
【0083】
本明細書には、KIR-BハプロタイプとCD16分子の発現とを含むナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む第1の薬学的組成物を投与する工程、およびCD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の薬学的組成物を投与する工程を含む、CD30+がんを患っている患者を処置するための方法であって、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)とを含み、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD30)とを含む、方法も記載される。
【0084】
いくつかの態様において、NK細胞は臍帯血由来NK細胞である。
【0085】
いくつかの態様において、臍帯血由来NK細胞は、臍帯血由来ナチュラルキラー細胞を生産するために、(a)ナチュラルキラー細胞を含む臍帯血細胞の試料を用意する工程、(b)細胞からCD3(+)細胞を除去する工程、(b)シード細胞を、不活化CD4(+)T細胞株からの第1の複数の細胞と共に、OKT3、UCHT1、HTa、またはそれらの組合せからなる群より選択されるT細胞刺激抗体とIL-2とを含む培地中で培養することによってナチュラルキラー細胞を拡大する工程、を含む方法によって生産されたものである。
【0086】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、OX40L遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する。
【0087】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞株は、4-1BBL遺伝子、膜結合型IL-21(mbIL-21)遺伝子、およびマウスTNF-α遺伝子を発現する。
【0088】
いくつかの態様において、CD16分子はCD16A分子である。
【0089】
いくつかの態様において、CD16分子は、F158にV/V多型を含む。
【0090】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインはCD16Aに特異的に結合する。
【0091】
いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は、(a)ヒトアルブミン、(b)デキストラン、(c)グルコース、(d)DMSO、および(e)緩衝液を、さらに含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は30~50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は50mg/mLのヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は20~30mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は25mg/mLのデキストランを含む。いくつかの態様において、デキストランはデキストラン40である。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は12~15mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は12.5mg/mLのグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は27.5g/L未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は50~60ml/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は55mg/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は40~60% v/vの緩衝液を含む。いくつかの態様において、緩衝液はリン酸緩衝食塩水である。いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は、(a)約40mg/mLのヒトアルブミン、(b)約25mg/mLのデキストラン40、(c)約12.5mg/mLのグルコース、(d)約55mg/mLのDMSO、および(e)約0.5mL/mLのリン酸緩衝食塩水を、さらに含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は0.5mL/mLの水をさらに含む。
【0092】
いくつかの態様において、第1の薬学的組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0093】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:19を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0094】
いくつかの態様において、CD16に特異的に結合する第1結合ドメインは、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0095】
いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(VL)領域とSEQ ID NO:21を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0096】
いくつかの態様において、CD30に特異的に結合する第2結合ドメインは、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域とを含む。
【0097】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD30-L1-VL_CD16A-L2-VH_CD16A-L3-VL_CD30の順に連結されている。いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは二重特異性抗原結合フラグメントであり、二重特異性抗原結合フラグメントの可変ドメインは、ペプチドリンカーL1、L2およびL3により、N末からC末に向かってVH_CD16A-L1-VL_CD30-L2-VH_CD30-L3-VL_CD16Aの順に連結されている。いくつかの態様において、ペプチドリンカーL1、L2およびL3のそれぞれは、12個以下のアミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、抗体構築物のリンカーL2は、両端を含む3~9個のアミノ酸残基からなる。
【0098】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの態様において、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む二重特異性抗原結合フラグメントである。
【0100】
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書には本発明において使用するための方法および材料を記載するが、当技術分野において公知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法および実施例は単なる例示であって、限定を意図していない。本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、および他の参考文献は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。矛盾が生じた場合は、定義を含めて本明細書が優先される。
【0101】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から、そしてまた特許請求の範囲から、明白になるだろう。
【0102】
参照による組入れ
この明細書において言及する刊行物、特許、および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許、または特許出願について参照により本明細書に組み入れられることを具体的かつ個別に示した場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
本発明の新規な特徴については、添付の特許請求の範囲に具体的に示す。本発明の特徴および利点は、本発明の原理が利用されている例示的態様を示す以下の詳細な説明と添付の図面とを参照することによって、より良く理解されるであろう。
【0104】
【
図1】
図1は、NK細胞の拡大および刺激のための方法の例示的一態様を表す。
【
図2】
図2は、前臨床試験において、臍帯血由来NK細胞(CB-NK)は、培養下で拡大する能力が、末梢血由来NK細胞(PB-NK)よりも、およそ10倍高いことを表す。
【
図3】
図3は、腫瘍エンゲージングNK活性化免疫受容体(tumor-engaging NK activating immune receptor)の発現が、臍帯血由来製剤では、末梢血から生成したものと比較して高く、より一貫していたことを表す。
【
図4】
図4は、拡大され刺激されたNK細胞集団の表現型を表す。
【
図5】
図5は、臍帯血由来の拡大されたNK細胞集団の一例であるAB-101製剤の製造におけるキー工程を表す。
【
図6】
図6はAB-101の純度を表す(n=9)。
【
図7】
図7は、GMP条件下で製造されたCD3除去細胞、MCBおよびDPの純度を表す。
【
図8】
図8は、GMP条件下で製造されたCD3除去細胞、MCBおよびDP上のNK細胞受容体の発現を表す。
【
図9】
図9は、フローサイトメトリーによるNK純度(CD56+/CD3-)を表す。
【
図10】
図10は、3人の異なる臍帯血ドナーからの、拡大されたNK細胞のCD38+発現を表す。
【
図11】
図11は、3人の異なる臍帯血ドナーからの、CD38+NK細胞のCD38+平均蛍光強度を表す。
【
図12】
図12は、AB-101細胞と比較した、出発NK細胞供給源の表面タンパク質発現の差を表す。
【
図13】
図13は、10:1から出発し、2倍段階希釈を行ってエフェクター対標的(E:T)比を減少させた、KARPAS-299標的細胞での4時間カルセイン放出アッセイにおける、AFM13およびMCB2からのAB-101 NK細胞の細胞傷害活性を表す。
【
図14】
図14は、10:1から出発し、2倍段階希釈を行ってエフェクター対標的(E:T)比を減少させた、KARPAS-299標的細胞での4時間カルセイン放出アッセイにおける、AFM13およびMCB1からのAB-101 NK細胞の細胞傷害活性を表す。
【
図15】
図15は、KARPAS-299標的細胞での4時間カルセイン放出アッセイにおける、5:1のエフェクター対標的(E:T)比での、AFM13ならびにMCB1からの(右、AB-101 MCB1)およびMCB2の(左、AB-101 MCB2)AB-101 NK細胞の細胞傷害活性の棒グラフを表す。
【
図16】
図16は、MCB2からの、プレロード冷凍保存AB-101細胞における、融解後の、結合したAFM13の保持を表す。ここで、塗りつぶされたヒストグラムは抗AFM13(ラット抗AFM13抗体)+二次抗体(ヤギ抗ラットFITC抗体)を表し、中空のヒストグラムは二次抗体のみを表す。上から下に向かって、非プレロード、非プレロード+新鮮過剰AFM、AFM-プレロード、AFM-プレロード+新鮮過剰AFM。
【
図17】
図17は、MCB1からの、プレロード冷凍保存AB-101細胞における、融解後の、結合したAFM13の保持を表す。ここで、塗りつぶされたヒストグラムは抗AFM13(ラット抗AFM13抗体)+二次抗体(ヤギ抗ラットFITC抗体)を表し、中空のヒストグラムは二次抗体のみを表す。上から下に向かって、非プレロード、非プレロード+新鮮過剰AFM、AFM-プレロード、AFM-プレロード+新鮮過剰AFM。
【
図18】
図18は、プレロードされたAB-101細胞上のCD16発現に関する蛍光強度を表す(左:MCB2、右:MCB1)。さまざまな条件がAB-101細胞におけるCD16の一様な発現を表している。上から下に向かって、非プレロード、非プレロード+新鮮過剰AFM、AFM-プレロード、AFM-プレロード+新鮮過剰AFM。
【
図19】
図19は、4時間カルセイン放出アッセイにおける、1:1のエフェクター対標的(E:T)比での、MCB2からのAB-101 NK細胞上のAFM13によるNKフラトリサイド(NK-NK細胞溶解)を表す。
【
図20】
図20は、4時間カルセイン放出アッセイにおける、1:1のエフェクター対標的(E:T)比での、MCB1からのAB-101 NK細胞上のAFM13によるNKフラトリサイド(NK-NK細胞溶解)を表す。
【
図21】
図21は、Karpas-299標的細胞およびAFM13に応答して起こる、CD107aのアップレギュレーションを表す。ここでは、MCB2からのAB-101 NK細胞を、1:1の細胞比の標的細胞と共に、および標的細胞なしで培養し、%CD107a+NK細胞をフローサイトメトリーによって決定した。
【
図22】
図22は、Karpas-299標的細胞およびAFM13に応答して起こる、CD107aのアップレギュレーションを表す。ここでは、MCB1からのAB-101 NK細胞を、1:1の細胞比の標的細胞と共に、および標的細胞なしで培養し、%CD107a+NK細胞をフローサイトメトリーによって決定した。
【
図23】
図23は、Karpas-299標的細胞およびAFM13に応答して起こる、細胞内IFNγの産生の増加を表す。ここでは、MCB2からのAB-101 NK細胞を、1:1の細胞比の標的細胞と共に、および標的細胞なしで培養し、%IFNγ+NK細胞をフローサイトメトリーによって決定した。
【
図24】
図24は、Karpas-299標的細胞およびAFM13に応答して起こる、細胞内IFNγの産生の増加を表す。ここでは、MCB1からのAB-101 NK細胞を、1:1の細胞比の標的細胞と共に、および標的細胞なしで培養し、%IFNγ+NK細胞をフローサイトメトリーによって決定した。
【
図25】
図25は冷凍保存AFM13-プレロードAB-101 NK細胞の生存率解析を表す。ここでは、雌hIL15-NOGマウスにおける腹腔内異種移植片腫瘍モデルにおいて、AFM13をプレロードした、または空の、AB-101 NK細胞を、MDA-MB-231-Luc細胞に対して評価した。
【
図26】
図26は、Karpas-299/Lucヒト腫瘍異種移植片モデルにおいてAFM13とAB-101とを併用するインビボ効力試験に関する実験デザインを表す。
【
図27】
図27は、Karpas-299/Lucヒト腫瘍異種移植片モデルにおいてAFM13とAB-101とを併用するインビボ効力試験の結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
詳細な説明
本明細書では、なかんずく、NK細胞、例えば本明細書記載のものと、多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載のものとを含む薬学的組成物、ならびに前記薬学的組成物を含む凍結バイアル、および前記薬学的組成物による、患者を処置するための方法が提供される。
【0106】
I. ナチュラルキラー細胞の拡大および刺激
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は、例えばフィーダー細胞を使った培養と刺激によって、拡大され、かつ刺激される。
【0107】
NK細胞は、例えばUS 2020/0108096またはWO 2020/101361に記載されているように拡大し、刺激することができ、これらの文献はどちらも参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。簡単に述べると、供給源細胞は、US 2020/0108096に記載のとおり、4-1BBL、膜結合型IL-21および変異型TNFαを発現するように工学的に操作された改変HuT-78(ATCC(登録商標)TIB-161(商標))細胞上で培養することができる。
【0108】
適切なNK細胞は、本明細書に記載するように拡大し、刺激することもできる。
【0109】
いくつかの態様において、(a)NK細胞、例えばCD3(+)除去NK細胞などのNK細胞を含む組成物を、用意する工程、および(b)フィーダー細胞および/または刺激因子を含む培地中で培養する工程を含み、それによって、拡大され刺激されたNK細胞の集団を生産する、方法によって、NK細胞は拡大され、かつ刺激される。
【0110】
A. ナチュラルキラー細胞供給源
いくつかの態様において、NK細胞供給源は、末梢血、末梢血リンパ球(PBL)、末梢血単核球(PBMC)、骨髄、臍帯血(umbilical cord blood、cord blood)、単離されたNK細胞、誘導多能性幹細胞由来のNK細胞、胚性幹細胞由来のNK細胞、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0111】
いくつかの態様において、NK細胞供給源は単一単位の臍帯血である。
【0112】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、1×107または約1×107から、1×109または約1×109個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、1×108または約1×108から、1.5×108または約1.5×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は1×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は約1×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、1×109個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は約1×109個の総有核細胞を含む。
【0113】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、約20%~約80%のCD16+細胞を含む。いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、20%もしくは約20%から、80%もしくは約80%、約20%から、70%もしくは約70%、約20%から、60%もしくは約60%、約20%から、50%もしくは約50%、約20%から、40%もしくは約40%、約20%から、30%もしくは約30%、約30%から、80%もしくは約80%、約30%から、70%もしくは約70%、約30%から、60%もしくは約60%、約30%から、50%もしくは約50%、約30%から、40%もしくは約40%、約40%から、80%もしくは約80%、約40%から、70%もしくは約70%、約40%から、60%もしくは約60%、約40%から、50%もしくは約50%、約50%から、80%もしくは約80%、約50%から、70%もしくは約70%、約50%から、60%もしくは約60%、約60%から、80%もしくは約80%、約60%から、70%もしくは約70%、または約70%から、80%もしくは約80%のCD16+細胞を含む。いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、80%以下のCD16+細胞を含む。あるいは、いくつかのNK細胞供給源は、CD16+細胞を、80%を上回る濃度で含みうる。
【0114】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のMLG2A+細胞を含む。
【0115】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のNKG2C+細胞を含む。
【0116】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のNKG2D+細胞を含む。
【0117】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のNKp46+細胞を含む。
【0118】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のNKp30+細胞を含む。
【0119】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のDNAM-1+細胞を含む。
【0120】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のNKp44+細胞を含む。
【0121】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のCD25+細胞を含む。
【0122】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のCD62L+細胞を含む。
【0123】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のCD69+細胞を含む。
【0124】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のCXCR3+細胞を含む。
【0125】
いくつかの態様において、NK細胞供給源、例えば臍帯血単位は、40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば10%以下、例えば5%以下のCD57+細胞を含む。
【0126】
いくつかの態様において、NK細胞供給源中のNK細胞は、KIR受容体ファミリーのKIR Bアレルを含む。例えばHsu et al.「The Killer Cell Immunoglobulin-Like Receptor(KIR)Genomic Region:Gene-Order,Haplotypes and Allelic Polymorphism」Immunological Review 190:40-52(2002)およびPyo et al.「Different Patterns of Evolution in the Centromeric and Telomeric Regions of Group A and B Haplotypes of the Human Killer Cell Ig-like Receptor Locus」PLoS One 5:e15115(2010)を参照されたい。
【0127】
いくつかの態様において、NK細胞供給源中のNK細胞は、CD16の158V/Vバリアント(すなわちホモ接合CD16 158V多型)を含む。例えばKoene et al.「FcγRIIIa-158V/F Polymorphism Influences the Binding of IgG by Natural Killer Cell FcgammaRIIIa,Independently of the FcgammaRIIIa-48L/R/H Phenotype」Blood 90:1109-14(1997)を参照されたい。
【0128】
いくつかの態様において、細胞供給源中のNK細胞は、KIR受容体ファミリーのKIR BアレルとCD16の158 V/Vバリアントの両方を含む。
【0129】
いくつかの態様において、細胞供給源中のNK細胞は遺伝子操作されていない。
【0130】
いくつかの態様において、細胞供給源中のNK細胞はCD16導入遺伝子を含まない。
【0131】
いくつかの態様において、細胞供給源中のNK細胞は外因性CD16タンパク質を発現しない。
【0132】
いくつかの態様において、NK細胞供給源からはCD3(+)が除去される。いくつかの態様において、本方法は、NK細胞供給源からCD3(+)細胞を除去する工程を含む。いくつかの態様において、NK細胞供給源からCD3(+)細胞を除去する工程は、NK細胞供給源をCD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程を含む。いくつかの態様において、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントは、OKT3、UCHT1、およびHIT3a、ならびにそれらのフラグメントからなる群より選択される。いくつかの態様において、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントはOKT3またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ビーズ、例えば磁気ビーズに取り付けられる。いくつかの態様において、組成物からCD3(+)細胞を除去する工程は、組成物を、ビーズに取り付けられたCD3標的化抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程、およびビーズに結合したCD3(+)細胞を組成物から取り除く工程を含む。組成物からは、免疫磁気選択により、例えばCliniMACS T細胞除去セット((LS除去セット(162-01)Miltenyi Biotec)を使って、CD3細胞を除去することができる。
【0133】
いくつかの態様において、NK細胞供給源は、例えばCD56発現に対するゲーティングなどによって、CD56+が濃縮されている。
【0134】
いくつかの態様において、NK細胞供給源は、例えばCD56+CD3-発現を伴う細胞について選択することなどによって、CD56+が濃縮されると共に、CD3(+)が除去される。
【0135】
いくつかの態様において、NK細胞供給源は、KIR受容体ファミリーのKIR BアレルとCD16の158 V/Vバリアントの両方を含み、かつ、例えばCD56+CD3-発現を伴う細胞について選択することなどによって、+が濃縮され、CD3(+)が除去される。
【0136】
B. フィーダー細胞
本明細書では、NK細胞の拡大のためのフィーダー細胞が開示される。これらのフィーダー細胞は、NK細胞が本明細書において論じられる薬学的組成物の調製にとって適切な数まで拡大することを、好都合に可能にする。場合により、これらのフィーダー細胞は、他のタイプのフィーダー細胞での、または他の方法を使った、細胞拡大に付随しがちなCD16発現の喪失を伴うことなく、NK細胞の拡大を可能にする。場合により、これらのフィーダー細胞は、拡大されたNK細胞の、凍結に対する許容性を高めて、凍結/融解サイクル後に生存可能なNK細胞の比率を高めるか、または細胞が凍結された状態で生存可能であり続ける期間を長くする。場合により、これらのフィーダー細胞は、NK細胞が、ADCCを含む高レベルの細胞傷害性を保つこと、生存期間を延ばすこと、持続性を増大すること、およびCD16のレベルを増強し、またはCD16を高レベルに保つことを可能にする。場合により、これらのフィーダー細胞は、NK細胞が、有意なレベルの疲弊または老化を引き起こすことなく、拡大することを可能にする。
【0137】
フィーダー細胞は、例えば基質、成長因子および/またはサイトカインを提供することにより、NK細胞を刺激するために使用することができ、それらがより迅速に拡大するのを助けることができる。
【0138】
NK細胞は、限定するわけではないが末梢血単核球(PBMC)、エプスタイン・バー・ウイルス形質転換Bリンパ芽球様細胞(例えばEBV-LCL)、骨髄性白血病細胞(例えばK562)、およびCD4(+)T細胞(例えばHuT)、ならびにそれらの誘導体を含む、さまざまなタイプのフィーダー細胞を使って刺激することができる。
【0139】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は、例えばγ照射またはマイトマイシンc処置によって、不活化される。
【0140】
本明細書記載の方法において使用するための適切なフィーダー細胞は、例えばUS 2020/0108096に記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0141】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は不活化CD4(+)T細胞である。いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞はHuT-78細胞(ATCC(登録商標)TIB-161(商標))またはそのバリアントもしくは誘導体である。いくつかの態様において、HuT-78誘導体はH9(ATCC(登録商標)HTB-176(商標))である。
【0142】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞はOX40Lを発現する。いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞は、OX40L(SEQ ID NO:4)またはそのバリアントを発現するHuT-78細胞またはそのバリアントもしくは誘導体である。
【0143】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)および変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのバリアントを発現するように工学的に操作されたHuT-78細胞(「eHut-78細胞」)である。
【0144】
いくつかの態様において、不活化CD4(+)T細胞は、OX40Lのオルソログまたはそのバリアントを発現するHuT-78(ATCC(登録商標)TIB-161(商標))細胞またはそのバリアントもしくは誘導体である。いくつかの態様において、フィーダー細胞は、4-1BBLオルソログまたはそのバリアント、膜結合型IL-21オルソログまたはそのバリアント、および変異型TNFアルファオルソログまたはそのバリアントからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現するように工学的に操作されたHuT-78細胞である。
【0145】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は、OX40L(SEQ ID NO:4)を発現し、4-1BBL(SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)および変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)またはそのバリアントもしくは誘導体を発現するように工学的に操作されたHuT-78細胞(「eHut-78細胞」)である。
【0146】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は、例えば実施例2で述べるように、NK細胞と共に培養する前に、例えば凍結ストックから拡大される。
【0147】
C. 刺激因子
NK細胞は、フィーダー細胞に加えて、またはフィーダー細胞の代わりに、フィーダー細胞以外の1つまたは複数の刺激因子、例えばシグナル伝達因子を使って刺激することもできる。
【0148】
いくつかの態様において、刺激因子、例えばシグナル伝達因子は、本明細書に記載するように、培養培地の一構成要素である。いくつかの態様において、刺激因子、例えばシグナル伝達因子は、本明細書に記載するように、培養培地へのサプリメントである。
【0149】
いくつかの態様において、刺激因子はサイトカインである。いくつかの態様において、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-27、IFN-α、IFNβ、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0150】
いくつかの態様において、サイトカインはIL-2である。
【0151】
いくつかの態様において、サイトカインはIL-2とIL-15との組合せである。
【0152】
いくつかの態様において、サイトカインは、IL-2、IL-15およびIL-18の組合せである。
【0153】
いくつかの態様において、サイトカインは、IL-2、IL-18およびIL-21の組合せである。
【0154】
D. 培養
NK細胞は、NK細胞供給源とフィーダー細胞および/または他の刺激因子とを共培養することによって拡大し、刺激することができる。適切なNK細胞供給源、フィーダー細胞および刺激因子は本明細書に記載される。
【0155】
場合により、結果として生じる拡大されたナチュラルキラー細胞の集団は、拡大後に、濃縮および/または選別される。場合により、結果として生じる拡大されたナチュラルキラー細胞の集団は、拡大後に、濃縮および/または選別されない。
【0156】
本明細書には、本明細書記載のさまざまな培養組成物を含む組成物、例えばNK細胞を含む組成物も、記載される。例えば、KIR-Bハプロタイプを含み、CD16 158V多型に関してホモ接合である拡大された臍帯血由来ナチュラルキラー細胞の集団と、複数の工学的に操作されたHuT78細胞とを含む組成物。
【0157】
本明細書には、結果として生じる拡大されたナチュラルキラー細胞の集団を含む容器、例えばバイアル、冷凍バッグなども記載される。場合により、結果として生じる拡大されたナチュラルキラー細胞の集団の一部を含む複数の容器、例えば少なくとも10個、例えば20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100または1200個の容器。
【0158】
本明細書には、本明細書記載のさまざまな培養組成物を含むバイオリアクター、例えばNK細胞を含むバイオリアクターも、記載される。例えば、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば本明細書記載のものからのナチュラルキラー細胞と、フィーダー細胞、例えば本明細書記載のものとを含む培養物。本明細書には、結果として生じる拡大されたナチュラルキラー細胞の集団を含むバイオリアクターも記載される。
【0159】
1. 培養培地
本明細書では、NK細胞の拡大のための培養培地が開示される。これらの培養培地は、NK細胞が本明細書において論じられる薬学的組成物の調製にとって適切な数まで拡大することを、好都合に可能にする。場合により、これらの培養培地は、他のヘルパー細胞または他の培地での細胞拡大に付随しがちなCD16発現の喪失を伴うことなく、NK細胞が拡大することを可能にする。
【0160】
いくつかの態様において、培養培地は、例えば本明細書に記載するように追加の構成要素が補足されていてもよい、基礎培養培地である。
【0161】
いくつかの態様において、培養培地、例えば基礎培養培地は、無血清培養培地である。いくつかの態様において、培養培地、例えば基礎培養培地は、ヒトの血漿および/または血清が補足された無血清培養培地である。
【0162】
適切な基礎培養培地としては、DMEM、RPMI1640、MEM、DMEM/F12、SCGM(CellGenix(登録商標)、20802-0500または20806-0500)、LGM-3(商標)(Lonza、CC-3211)、TexMACS(商標)(Miltenyi Biotec、130-097-196)、ALyS(商標)505NK-AC(Cell Science and Technology Institute,Inc.、01600P02)、ALyS(商標)505NK-EX(Cell Science and Technology Institute、Inc.、01400P10)、CTS(商標)AIM-V(商標)SFM(ThermoFisher Scientific、A3830801)、CTS(商標)OpTmizer(商標)(ThermoFisher Scientific、A1048501、ABS-001、StemXxVivo、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0163】
培養培地は、例えば成長因子、シグナル伝達因子、栄養素、抗原結合物質などの追加構成要素を含むか、またはそれら追加構成要素が補足されうる。培養培地への補足は、培地を培養容器に加える前に、またはそれと同時に、またはその後に、1つまたは複数の追加構成要素のそれぞれを培養容器に加えることによって行われうる。1つまたは複数の追加構成要素は一緒にまたは別々に加えうる。別々に加える場合、追加構成要素を同時に加える必要はない。
【0164】
いくつかの態様において、培養培地は血漿、例えばヒト血漿を含む。いくつかの態様において、培養培地には、血漿、例えばヒト血漿が補足される。いくつかの態様において、血漿、例えばヒト血漿は、クエン酸三ナトリウムなどの抗凝固剤を含む。
【0165】
いくつかの態様において、培地は、0.5%または約0.5%から、10%または約10% v/vの血漿、例えばヒト血漿を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培地には、0.5%もしくは約0.5%から、9%もしくは約9%、0.5%もしくは約0.5%から、8%もしくは約8%、0.5%もしくは約0.5%から、7%もしくは約7%、0.5%もしくは約0.5%から、6%もしくは約6%、0.5%もしくは約0.5%から、5%もしくは約5%、0.5%もしくは約0.5%から、4%もしくは約4%、0.5%もしくは約0.5%から、3%もしくは約3%、0.5%もしくは約0.5%から、2%もしくは約2%、0.5%もしくは約0.5%から、1%もしくは約1%、1%もしくは約1%から、10%もしくは約10%、1%もしくは約1%から、9%もしくは約9%、1%もしくは約1%から、8%もしくは約8%、1%もしくは約1%から、7%もしくは約7%、1%もしくは約1%から、6%もしくは約6%、1%もしくは約1%から、5%もしくは約5%、1%もしくは約1%から、4%もしくは約4%、1%もしくは約1%から、3%もしくは約3%、1%もしくは約1%から、2%もしくは約2%、2%もしくは約2%から、10%もしくは約10%、2%もしくは約2%から、9%もしくは約9%、2%もしくは約2%から、8%もしくは約8%、2%もしくは約2%から、7%もしくは約7%、2%もしくは約2%から、6%もしくは約6%、2%もしくは約2%から、5%もしくは約5%、2%もしくは約2%から、4%もしくは約4%、2%もしくは約2%から、3%もしくは約3%、3%もしくは約3%から、10%もしくは約10%、3%もしくは約3%から、9%もしくは約9%、3%もしくは約3%から、8%もしくは約8%、3%もしくは約3%から、7%もしくは約7%、3%もしくは約3%から、6%もしくは約6%、3%もしくは約3%から、5%もしくは約5%、3%もしくは約3%から、4%もしくは約4%、4%もしくは約4%から、10%もしくは約10%、4%もしくは約4%から、9%もしくは約9%、4%もしくは約4%から、8%もしくは約8%、4%もしくは約4%から、7%もしくは約7%、4%もしくは約4%から、6%もしくは約6%、4%もしくは約4%から、5%もしくは約5%、5%もしくは約5%から、10%もしくは約10%、5%もしくは約5%から、9%もしくは約9%、4%もしくは約4%から、8%もしくは約8%、5%もしくは約5%から、7%もしくは約7%、5%もしくは約5%から、6%もしくは約6%、6%もしくは約6%から、10%もしくは約10%、6%もしくは約6%から、9%もしくは約9%、6%もしくは約6%から、8%もしくは約8%、6%もしくは約6%から、7%もしくは約7%、7%もしくは約7%から、10%もしくは約10%、7%もしくは約7%から、9%もしくは約9%、7%もしくは約7%から、8%もしくは約8%、8%もしくは約8%から、10%もしくは約10%、8%もしくは約8%から、9%もしくは約9%、または9%もしくは約9%から、10%もしくは約10% v/vの血漿、例えばヒト血漿が補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.8%から、1.2% v/vのヒト血漿を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、1.0% v/vのヒト血漿を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、約1.0% v/vのヒト血漿を含み、および/またはそれが補足される。
【0166】
いくつかの態様において、培養培地は、血清、例えばヒト血清を含む。いくつかの態様において、培養培地には、血清、例えばヒト血清が補足される。いくつかの態様において、血清は不活化、例えば熱不活化されている。いくつかの態様において、血清は濾過、例えば滅菌濾過されている。
【0167】
いくつかの態様において、培養培地はグルタミンを含む。いくつかの態様において、培養培地にはグルタミンが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2.0または約2.0から、6.0または約6.0mMのグルタミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2.0もしくは約2.0から、5.5もしくは約5.5、2.0もしくは約2.0から、5.0もしくは約5.0、2.0もしくは約2.0から、4.5もしくは約4.5、2.0もしくは約2.0から、4.0もしくは約4.0、2.0もしくは約2.0から、3.5もしくは約3.5、2.0もしくは約2.0から、3.0もしくは約3.0、2.0もしくは約2.0から、2.5もしくは約2.5、2.5もしくは約2.5から、6.0もしくは約6.0、2.5もしくは約2.5から、5.5もしくは約5.5、2.5もしくは約2.5から、5.0もしくは約5.0、2.5もしくは約2.5から、4.5もしくは約4.5、2.5もしくは約2.5から、4.0もしくは約4.0、2.5もしくは約2.5から、3.5もしくは約3.5、2.5もしくは約2.5から、3.0もしくは約3.0、3.0もしくは約3.0から、6.0もしくは約6.0、3.0もしくは約3.0から、5.5もしくは約5.5、3.0もしくは約3.0から、5.0もしくは約5.0、3.0もしくは約3.0から、4.5もしくは約4.5、3.0もしくは約3.0から、4.0もしくは約4.0、3.0もしくは約3.0から、3.5もしくは約3.5、3.5もしくは約3.5から、6.0もしくは約6.0、3.5もしくは約3.5から、5.5もしくは約5.5、3.5もしくは約3.5から、5.0もしくは約5.0、3.5もしくは約3.5から、4.5もしくは約4.5、3.5もしくは約3.5から、4.0もしくは約4.0、4.0もしくは約4.0から、6.0もしくは約6.0、4.0もしくは約4.0から、5.5もしくは約5.5、4.0もしくは約4.0から、5.0もしくは約5.0、4.0もしくは約4.0から、4.5もしくは約4.5、4.5もしくは約4.5から、6.0もしくは約6.0、4.5もしくは約4.5から、5.5もしくは約5.5、4.5もしくは約4.5から、5.0もしくは約5.0、5.0もしくは約5.0から、6.0もしくは約6.0、5.0もしくは約5.0から、5.5もしくは約5.5、または5.5もしくは約5.5から、6.0もしくは約6.0mMのグルタミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、3.2mMのグルタミンから、4.8mMのグルタミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、4.0mMのグルタミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、約4.0mMのグルタミンを含み、および/またはそれが補足される。
【0168】
いくつかの態様において、培養培地は1つまたは複数のサイトカインを含む。いくつかの態様において、培養培地には1つまたは複数のサイトカインが補足される。
【0169】
いくつかの態様において、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、およびそれらの組合せから選択される。
【0170】
いくつかの態様において、培養培地は、IL-2を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、150または約150から、2,500または約2,500IU/mLのIL-2を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、200もしくは約200から、2,250もしくは約2,250、200もしくは約200から、2,000もしくは約2,000、200もしくは約200から、1,750もしくは約1,750、200もしくは約200から、1,500もしくは約1,500、200もしくは約200から、1,250もしくは約1,250、200もしくは200から、1,000もしくは約1,000、200もしくは約200から、750もしくは約750、200もしくは約200から、500もしくは約500、200もしくは約200から、250もしくは約250、250もしくは約250から、2,500もしくは約2,500、250もしくは約250から、2,250もしくは約2,250、250もしくは約250から、2,000もしくは約2,000、250もしくは約250から、1,750もしくは約1,750、250もしくは約250から、1,500もしくは約1,500、250もしくは約250から、1,250もしくは約1,250、250もしくは約250から、1,000もしくは約1,000、250もしくは約250から、750もしくは約750、250もしくは約250から、500もしくは約500、500もしくは約500から、2,500もしくは約2,500、500もしくは約500から、2,250もしくは約2,250、500もしくは約500から、2,000もしくは約2,000、500もしくは約500から、1,750もしくは約1,750、500もしくは約500から、1,500もしくは約1,500、500もしくは約500から、1,250もしくは約1,250、500もしくは約500から、1,000もしくは約1,000、500もしくは約500から、750もしくは約750、750もしくは約750から、2,250もしくは約2,250、750もしくは約750から、2,000もしくは約2,000、750もしくは約750から、1,750もしくは約1,750、750もしくは約750から、1,500もしくは約1,500、750もしくは約750から、1,250もしくは約1,250、750もしくは約750から、1,000もしくは約1,000、1,000もしくは約1,000から、2,500もしくは約2,500、1,000もしくは約1,000から、2,250もしくは約2,250、1,000もしくは約1,000から、2,000もしくは約2,000、1,000もしくは約1,000から、1,750もしくは約1,750、1,000もしくは約1,000から、1,500もしくは約1,500、1,000もしくは約1,000から、1,250もしくは約1,250、1,250もしくは約1,250から、2,500もしくは約2,500、1,250もしくは約1,250から、2,250もしくは約2,250、1,250もしくは約1,250から、2,000もしくは約2,000、1,250もしくは約1,250から、1,750もしくは約1,750、1,250もしくは約1,250から、1,500もしくは約1,500、1,500もしくは約1,500から、2,500もしくは約2,500、1,500もしくは約1,500から、2,250もしくは約2,250、1,500もしくは約1,500から、2,000もしくは約2,000、1,500もしくは約1,500から、1,750もしくは約1,750、1,750もしくは約1,750から、2,500もしくは約2,500、1,750もしくは約1,750から、2,250もしくは約2,250、1,750もしくは約1,750から、2,000もしくは約2,000、2,000もしくは約2,000から、2,500もしくは約2,500、2,000もしくは約2,000から、2,250もしくは約2,250、または2,250もしくは約2,250から、2,500または約2,500IU/mLのIL-2を含み、および/またはそれが補足される。
【0171】
いくつかの態様において、培養培地は、64μg/L~96μg/LのIL-2を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、80μg/LのIL-2(およそ1,333IU/mL)を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、約80μg/Lを含み、および/またはそれが補足される。
【0172】
いくつかの態様において、培養培地は、IL-2とIL-15との組合せを含み、および/またはそれが補足される。
【0173】
いくつかの態様において、培養培地は、IL-2、IL-15およびIL-18の組合せを含み、および/またはそれが補足される。
【0174】
いくつかの態様において、培養培地は、IL-2、IL-18およびIL-21の組合せを含み、および/またはそれが補足される。
【0175】
いくつかの態様において、培養培地は、グルコースを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5または約0.5から、3.5または約3.5g/Lのグルコースを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5もしくは約0.5から、3.0もしくは約3.0、0.5もしくは約0.5から、2.5もしくは約2.5、0.5もしくは約0.5から、2.0もしくは約2.0、0.5もしくは約0.5から、1.5もしくは約1.5、0.5もしくは約0.5から、1.0もしくは約1.0、1.0もしくは約1.0から、3.0もしくは約3.0、1.0もしくは約1.0から、2.5もしくは約2.5、1.0もしくは約1.0から、2.0もしくは約2.0、1.0もしくは約1.0から、1.5もしくは約1.5、1.5もしくは約1.5から、3.0もしくは約3.0、1.5もしくは約1.5から、2.5もしくは約2.5、1.5もしくは約1.5から、2.0もしくは約2.0、2.0もしくは約2.0から、3.0もしくは約3.0、2.0もしくは約2.0から、2.5もしくは約2.5、または2.5もしくは約2.5から、3.0もしくは約3.0g/Lのグルコースを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、1.6から、2.4g/Lのグルコースを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2.0g/Lのグルコースを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は約2.0g/Lのグルコースを含む。
【0176】
いくつかの態様において、培養培地は、ピルビン酸ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.1または約0.1から、2.0または約2.0mMのピルビン酸ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.1もしくは約0.1から、1.8もしくは約1.8、0.1もしくは約0.1から、1.6もしくは約1.6、0.1もしくは約0.1から、1.4もしくは約1.4、0.1もしくは約0.1から、1.2もしくは約1.2、0.1もしくは約0.1から、1.0もしくは約1.0、0.1もしくは約0.1から、0.8もしくは約0.8、0.1もしくは約0.1から、0.6もしくは約0.6、0.1もしくは約0.1から、0.4もしくは約0.4、0.1もしくは約0.1から、0.2もしくは約0.2、0.2もしくは約0.2から、2.0もしくは約2.0、0.2もしくは約0.2から、1.8もしくは約1.8、0.2もしくは約0.2から、1.6もしくは約1.6、0.2もしくは約0.2から、1.4もしくは約1.4、0.2もしくは約0.2から、1.2もしくは約1.2、0.2もしくは約0.2から、1.0もしくは約1.0、0.2もしくは約0.2から、0.8もしくは約0.8、0.2もしくは約0.2から、0.6もしくは約0.6、0.2もしくは約0.2から、0.4もしくは約0.4、0.4もしくは約0.4から、2.0もしくは約2.0、0.4もしくは約0.4から、1.8もしくは約1.8、0.4もしくは約0.4から、1.6もしくは約1.6、0.4もしくは約0.4から、1.4もしくは約1.4、0.4もしくは約0.4から、1.2もしくは約1.2、0.4もしくは約0.4から、1.0もしくは約1.0、0.4もしくは約0.4から、0.8もしくは約0.8、0.4もしくは約0.4から、0.6もしくは約0.6、0.6もしくは約0.6から、2.0もしくは約2.0、0.6もしくは約0.6から、1.8もしくは約1.8、0.6もしくは約0.6から、1.6もしくは約1.6、0.6もしくは約0.6から、1.4もしくは約1.4、0.6もしくは約0.6から、1.2もしくは約1.2、0.6もしくは約0.6から、1.0もしくは約1.0、0.6もしくは約0.6から、0.8もしくは約0.8、0.8もしくは約0.8から、2.0もしくは約2.0、0.8もしくは約0.8から、1.8もしくは約1.8、0.8もしくは約0.8から、1.6もしくは約1.6、0.8もしくは約0.8から、1.4もしくは約1.4、0.8もしくは約0.8から、1.4もしくは約1.4、0.8もしくは約0.8から、1.2もしくは約1.2、0.8もしくは約0.8から、1.0もしくは約1.0、1.0もしくは約1.0から、2.0もしくは約2.0、1.0もしくは約1.0から、1.8もしくは約1.8、1.0もしくは約1.0から、1.6もしくは約1.6、1.0もしくは約1.0から、1.4もしくは約1.4、1.0もしくは約1.0から、1.2もしくは約1.2、1.2もしくは約1.2から、2.0もしくは約2.0、1.2もしくは約1.2から、1.8もしくは約1.8、1.2もしくは約1.2から、1.6もしくは約1.6、1.2もしくは約1.2から、1.4もしくは約1.4、1.4もしくは約1.4から、2.0もしくは約2.0、1.4もしくは約1.4から、1.8もしくは約1.8、1.4もしくは約1.4から、1.6もしくは約1.6、1.6もしくは約1.6から、2.0もしくは約2.0、1.6もしくは約1.6から、1.8もしくは約1.8、または1.8もしくは約1.8から、2.0もしくは約2.0mMのピルビン酸ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は0.8~1.2mMのピルビン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様において、培養培地は1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様において、培養培地は約1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含む。
【0177】
いくつかの態様において、培養培地は、炭酸水素ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5もしくは約0.5から、3.5もしくは約3.5g/Lの炭酸水素ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5もしくは約0.5から、3.0もしくは約3.0、0.5もしくは約0.5から、2.5もしくは約2.5、0.5もしくは約0.5から、2.0もしくは約2.0、0.5もしくは約0.5から、1.5もしくは約1.5、0.5もしくは約0.5から、1.0もしくは約1.0、1.0もしくは約1.0から、3.0もしくは約3.0、1.0もしくは約1.0から、2.5もしくは約2.5、1.0もしくは約1.0から、2.0もしくは約2.0、1.0もしくは約1.0から、1.5もしくは約1.5、1.5もしくは約1.5から、3.0もしくは約3.0、1.5もしくは約1.5から、2.5もしくは約2.5、1.5もしくは約1.5から、2.0もしくは約2.0、2.0もしくは約2.0から、3.0もしくは約3.0、2.0もしくは約2.0から、2.5もしくは約2.5、または2.5もしくは約2.5から、3.0もしくは約3.0g/Lの炭酸水素ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、1.6から、2.4g/Lの炭酸水素ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2.0g/Lの炭酸水素ナトリウムを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は約2.0g/Lの炭酸水素ナトリウムを含む。
【0178】
いくつかの態様において、培養培地は、アルブミン、例えばヒトアルブミン、例えば本明細書記載のヒトアルブミン溶液を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5%または約0.5%から、3.5%または約3.5% v/vの20%アルブミン溶液、例えば20%ヒトアルブミン溶液を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.5%もしくは約0.5%から、3.0%もしくは約3.0%、0.5%もしくは約0.5%から、2.5%もしくは約2.5%、0.5%もしくは約0.5%から、2.0%もしくは約2.0%、0.5%もしくは約0.5%から、1.5%もしくは約1.5%、0.5%もしくは約0.5%から、1.0%もしくは約1.0%、1.0%もしくは約1.0%から、3.0%もしくは約3.0%、1.0%もしくは約1.0%から、2.5%もしくは約2.5%、1.0%もしくは約1.0%から、2.0%もしくは約2.0%、1.0%もしくは約1.0%から、1.5%もしくは約1.5%、1.5%もしくは約1.5%から、3.0%もしくは約3.0%、1.5%もしくは約1.5%から、2.5%もしくは約2.5%、1.5%もしくは約1.5%から、2.0%もしくは約2.0%、2.0%もしくは約2.0%から、3.0%もしくは約3.0%、2.0%もしくは約2.0%から、2.5%もしくは約2.5%、または2.5%もしくは約2.5%から、3.0%もしくは約3.0% v/vの20%アルブミン溶液、例えば20%ヒトアルブミン溶液を含み、および/もしくはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、1.6%から、2.4% v/vの20%アルブミン溶液、例えば20%ヒトアルブミン溶液を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2.0% v/vの20%アルブミン溶液、例えば20%ヒトアルブミン溶液を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、約2.0% v/vの20%アルブミン溶液、例えば20%ヒトアルブミン溶液を含む。
【0179】
いくつかの態様において、培養培地は、2もしくは約2から、6もしくは約6g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、2もしくは約2から、5.5もしくは約5.5、2もしくは約2から、5.0もしくは約5.0、2もしくは約2から、4.5もしくは約4.5、2もしくは約2から、4もしくは約4、2もしくは約2から、3.5もしくは約3.5、2もしくは約2から、3もしくは約3、2もしくは約2から、2.5もしくは約2.5、2.5もしくは約2.5から、6もしくは約6、2.5もしくは約2.5から、5.5もしくは約5.5、2.5もしくは約2.5から、5.5もしくは約5.5、2.5もしくは約2.5から、5.0もしくは約5.0、2.5もしくは約2.5から、4.5もしくは約4.5、2.5もしくは約2.5から、4.0もしくは約4.0、2.5もしくは約2.5から、3.5もしくは約3.5、2.5もしくは約2.5から、3.0もしくは約3.0、3もしくは約3から、6もしくは約6、3もしくは約3から、5.5もしくは約5.5、3もしくは約3から、5もしくは約5、3もしくは約3から、4.5もしくは約4.5、3もしくは約3から、4もしくは約4、3もしくは約3から、3.5もしくは約3.5、3.5もしくは約3.5から、6もしくは約6、3.5もしくは約3.5から、5.5もしくは約5.5、3.5もしくは約3.5から、5もしくは約5、3.5もしくは約3.5から、4.5もしくは約4.5、3.5もしくは約3.5から、4もしくは約4、4もしくは約4から、6もしくは約6、4もしくは約4から、5.5もしくは約5.5、4もしくは約4から、5もしくは約5、4もしくは約4から、4.5もしくは約4.5、4.5もしくは約4.5から、6もしくは約6、4.5もしくは約4.5から、5.5もしくは約5.5、4.5もしくは約4.5から、5もしくは約5、5もしくは約5から、6もしくは約6、5もしくは約5から、5.5もしくは約5.5、または5.5もしくは約5.5から、6もしくは約6g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、3.2~4.8g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は4g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、培養培地は約4g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。
【0180】
いくつかの態様において、培養培地にはポロキサマー188が補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.1または約0.1から、2.0または約2.0g/Lのポロキサマー188を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、0.1もしくは約0.1から、1.8もしくは約1.8、0.1もしくは約0.1から、1.6もしくは約1.6、0.1もしくは約0.1から、1.4もしくは約1.4、0.1もしくは約0.1から、1.2もしくは約1.2、0.1もしくは約0.1から、1.0もしくは約1.0、0.1もしくは約0.1から、0.8もしくは約0.8、0.1もしくは約0.1から、0.6もしくは約0.6、0.1もしくは約0.1から、0.4もしくは約0.4、0.1もしくは約0.1から、0.2もしくは約0.2、0.2もしくは約0.2から、2.0もしくは約2.0、0.2もしくは約0.2から、1.8もしくは約1.8、0.2もしくは約0.2から、1.6もしくは約1.6、0.2もしくは約0.2から、1.4もしくは約1.4、0.2もしくは約0.2から、1.2もしくは約1.2、0.2もしくは約0.2から、1.0もしくは約1.0、0.2もしくは約0.2から、0.8もしくは約0.8、0.2もしくは約0.2から、0.6もしくは約0.6、0.2もしくは約0.2から、0.4もしくは約0.4、0.4もしくは約0.4から、2.0もしくは約2.0、0.4もしくは約0.4から、1.8もしくは約1.8、0.4もしくは約0.4から、1.6もしくは約1.6、0.4もしくは約0.4から、1.4もしくは約1.4、0.4もしくは約0.4から、1.2もしくは約1.2、0.4もしくは約0.4から、1.0もしくは約1.0、0.4もしくは約0.4から、0.8もしくは約0.8、0.4もしくは約0.4から、0.6もしくは約0.6、0.6もしくは約0.6から、2.0もしくは約2.0、0.6もしくは約0.6から、1.8もしくは約1.8、0.6もしくは約0.6から、1.6もしくは約1.6、0.6もしくは約0.6から、1.4もしくは約1.4、0.6もしくは約0.6から、1.2もしくは約1.2、0.6もしくは約0.6から、1.0もしくは約1.0、0.6もしくは約0.6から、0.8もしくは約0.8、0.8もしくは約0.8から、2.0もしくは約2.0、0.8もしくは約0.8から、1.8もしくは約1.8、0.8もしくは約0.8から、1.6もしくは約1.6、0.8もしくは約0.8から、1.4もしくは約1.4、0.8もしくは約0.8から、1.4もしくは約1.4、0.8もしくは約0.8から、1.2もしくは約1.2、0.8もしくは約0.8から、1.0もしくは約1.0、1.0もしくは約1.0から、2.0もしくは約2.0、1.0もしくは約1.0から、1.8もしくは約1.8、1.0もしくは約1.0から、1.6もしくは約1.6、1.0もしくは約1.0から、1.4もしくは約1.4、1.0もしくは約1.0から、1.2もしくは約1.2、1.2もしくは約1.2から、2.0もしくは約2.0、1.2もしくは約1.2から、1.8もしくは約1.8、1.2もしくは約1.2から、1.6もしくは約1.6、1.2もしくは約1.2から、1.4もしくは約1.4、1.4もしくは約1.4から、2.0もしくは約2.0、1.4もしくは約1.4から、1.8もしくは約1.8、1.4もしくは約1.4から、1.6もしくは約1.6、1.6もしくは約1.6から、2.0もしくは約2.0、1.6もしくは約1.6から、1.8もしくは約1.8、または1.8もしくは約1.8から、2.0もしくは約2.0g/Lのポロキサマー188を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は0.8から、1.2g/Lのポロキサマー188を含む。いくつかの態様において、培養培地は1.0g/Lのポロキサマー188を含む。いくつかの態様において、培養培地は約1.0g/Lのポロキサマー188を含む。
【0181】
いくつかの態様において、培養培地は、1つまたは複数の抗生物質を含み、および/またはそれが補足される。
【0182】
第1の例示的培養培地を表1に示す。
【0183】
【0184】
第2の例示的培養培地を表2に示す。
【0185】
【0186】
2. CD3結合抗体
いくつかの態様において、培養培地は、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントは、OKT3、UCHT1、およびHIT3a、またはそれらのバリアントからなる群より選択される。いくつかの態様において、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントはOKT3またはその抗原結合フラグメントである。
【0187】
いくつかの態様では、NK細胞および/または培養培地を加える前に、CD3結合抗体またはその抗原結合フラグメントおよびフィーダー細胞が培養容器に加えられる。
【0188】
いくつかの態様において、培養培地は、5または約5ng/mLから、15または約15ng/mLのOKT3を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、5もしくは約5から、12.5もしくは約12.5、5もしくは約5から、10もしくは約10、5もしくは約5から、7.5もしくは約7.5、7.5もしくは約7.5から、15もしくは約15、7.5もしくは約7.5から、12.5もしくは約12.5、7.5もしくは約7.5から、10もしくは約10、10もしくは約10から、15もしくは約15、10もしくは約10から、12.5もしくは約12.5、または12.5もしくは約12.5から、15もしくは約15ng/mLのOKT3を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、10ng/mLのOKT3を含み、および/またはそれが補足される。いくつかの態様において、培養培地は、約10ng/mLのOKT3を含み、および/またはそれが補足される。
【0189】
3. 培養容器
いくつかの容器は本明細書における開示と合致する。いくつかの態様において、培養容器は、フラスコ、ボトル、ディッシュ、マルチウェルプレート、ローラーボトル、バッグ、およびバイオリアクターからなる群より選択される。
【0190】
いくつかの態様において、培養容器は、それが親水性になるように処理される。いくつかの態様において、培養容器は、付着および/または増殖を促進するように処理される。いくつかの態様において、培養容器表面は、血清、コラーゲン、ラミニン、ゼラチン、ポリ-L-リジン、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、およびそれらの組合せでコーティングされる。
【0191】
いくつかの態様では、異なるタイプの培養容器が異なる段階の培養のために使用される。
【0192】
いくつかの態様において、培養容器は、100mLまたは約100mLから、1,000Lまたは約1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、培養容器は、125mLもしくは約125mL、250mLもしくは約250mL、500mLもしくは約500mL、1Lもしくは約1L、5Lもしくは約5L、約10L、または20Lもしくは約20Lの容積を有する。
【0193】
いくつかの態様において、培養容器はバイオリアクターである。
【0194】
いくつかの態様において、バイオリアクターは揺動床(波動)バイオリアクターである。いくつかの態様において、バイオリアクターは撹拌タンクバイオリアクターである。いくつかの態様において、バイオリアクターは回転壁容器である。いくつかの態様において、バイオリアクターは灌流バイオリアクターである。いくつかの態様において、バイオリアクターは単離/拡大自動システムである。いくつかの態様において、バイオリアクターは自動または半自動バイオリアクターである。いくつかの態様において、バイオリアクターはディスポーザブルバッグバイオリアクターである。
【0195】
いくつかの態様において、バイオリアクターは約100mL~約1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは約10L~約1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは約100L~約900Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは約10L~約800Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは、約10L~約700L、約10L~約600L、約10L~約500L、約10L~約400L、約10L~約300L、約10L~約200L、約10L~約100L、約10L~約90L、約10L~約80L、約10L~約70L、約10L~約60L、約10L~約50L、約10L~約40L、約10L~約30L、約10L~約20L、約20L~約1,000L、約20L~約900L、約20L~約800L、約20L~約700L、約20L~約600L、約20L~約500L、約20L~約400L、約20L~約300L、約20L~約200L、約20L~約100L、約20L~約90L、約20L~約80L、約20L~約70L、約20L~約60L、約20L~約50L、約20L~約40L、約20L~約30L、約30L~約1,000L、約30L~約900L、約30L~約800L、約30L~約700L、約30L~約600L、約30L~約500L、約30L~約400L、約30L~約300L、約30L~約200L、約30L~約100L、約30L~約90L、約30L~約80L、約30L~約70L、約30L~約60L、約30L~約50L、約30L~約40L、約40L~約1,000L、約40L~約900L、約40L~約800L、約40L~約700L、約40L~約600L、約40L~約500L、約40L~約400L、約40L~約300L、約40L~約200L、約40L~約100L、約40L~約90L、約40L~約80L、約40L~約70L、約40L~約60L、約40L~約50L、約50L~約1,000L、約50L~約900L、約50L~約800L、約50L~約700L、約50L~約600L、約50L~約500L、約50L~約400L、約50L~約300L、約50L~約200L、約50L~約100L、約50L~約90L、約50L~約80L、約50L~約70L、約50L~約60L、約60L~約1,000L、約60L~約900L、約60L~約800L、約60L~約700L、約60L~約600L、約60L~約500L、約60L~約400L、約60L~約300L、約60L~約200L、約60L~約100L、約60L~約90L、約60L~約80L、約60L~約70L、約70L~約1,000L、約70L~約900L、約70L~約800L、約70L~約700L、約70L~約600L、約70L~約500L、約70L~約400L、約70L~約300L、約70L~約200L、約70L~約100L、約70L~約90L、約70L~約80L、約80L~約1,000L、約80L~約900L、約80L~約800L、約80L~約700L、約80L~約600L、約80L~約500L、約80L~約400L、約80L~約300L、約80L~約200L、約80L~約100L、約80L~約90L、約90L~約1,000L、約90L~約900L、約90L~約800L、約90L~約700L、約90L~約600L、約90L~約500L、約90L~約400L、約90L~約300L、約90L~約200L、約90L~約100L、約100L~約1,000L、約100L~約900L、約100L~約800L、約100L~約700L、約100L~約600L、約100L~約500L、約100L~約400L、約100L~約300L、約100L~約200L、約200L~約1,000L、約200L~約900L、約200L~約800L、約200L~約700L、約200L~約600L、約200L~約500L、約200L~約400L、約200L~約300L、約300L~約1,000L、約300L~約900L、約300L~約800L、約300L~約700L、約300L~約600L、約300L~約500L、約300L~約400L、約400L~約1,000L、約400L~約900L、約400L~約800L、約400L~約700L、約400L~約600L、約400L~約500L、約500L~約1,000L、約500L~約900L、約500L~約800L、約500L~約700L、約500L~約600L、約600L~約1,000L、約600L~約900L、約600L~約800L、約600L~約700L、約700L~約1,000L、約700L~約900L、約700L~約800L、約800L~約1,000L、約800L~約900L、または約900L~約1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは約50Lの容積を有する。
【0196】
いくつかの態様において、バイオリアクターは100mL~1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは10L~1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは100L~900Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは10L~800Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは、10L~700L、10L~600L、10L~500L、10L~400L、10L~300L、10L~200L、10L~100L、10L~90L、10L~80L、10L~70L、10L~60L、10L~50L、10L~40L、10L~30L、10L~20L、20L~1,000L、20L~900L、20L~800L、20L~700L、20L~600L、20L~500L、20L~400L、20L~300L、20L~200L、20L~100L、20L~90L、20L~80L、20L~70L、20L~60L、20L~50L、20L~40L、20L~30L、30L~1,000L、30L~900L、30L~800L、30L~700L、30L~600L、30L~500L、30L~400L、30L~300L、30L~200L、30L~100L、30L~90L、30L~80L、30L~70L、30L~60L、30L~50L、30L~40L、40L~1,000L、40L~900L、40L~800L、40L~700L、40L~600L、40L~500L、40L~400L、40L~300L、40L~200L、40L~100L、40L~90L、40L~80L、40L~70L、40L~60L、40L~50L、50L~1,000L、50L~900L、50L~800L、50L~700L、50L~600L、50L~500L、50L~400L、50L~300L、50L~200L、50L~100L、50L~90L、50L~80L、50L~70L、50L~60L、60L~1,000L、60L~900L、60L~800L、60L~700L、60L~600L、60L~500L、60L~400L、60L~300L、60L~200L、60L~100L、60L~90L、60L~80L、60L~70L、70L~1,000L、70L~900L、70L~800L、70L~700L、70L~600L、70L~500L、70L~400L、70L~300L、70L~200L、70L~100L、70L~90L、70L~80L、80L~1,000L、80L~900L、80L~800L、80L~700L、80L~600L、80L~500L、80L~400L、80L~300L、80L~200L、80L~100L、80L~90L、90L~1,000L、90L~900L、90L~800L、90L~700L、90L~600L、90L~500L、90L~400L、90L~300L、90L~200L、90L~100L、100L~1,000L、100L~900L、100L~800L、100L~700L、100L~600L、100L~500L、100L~400L、100L~300L、100L~200L、200L~1,000L、200L~900L、200L~800L、200L~700L、200L~600L、200L~500L、200L~400L、200L~300L、300L~1,000L、300L~900L、300L~800L、300L~700L、300L~600L、300L~500L、300L~400L、400L~1,000L、400L~900L、400L~800L、400L~700L、400L~600L、400L~500L、500L~1,000L、500L~900L、500L~800L、500L~700L、500L~600L、600L~1,000L、600L~900L、600L~800L、600L~700L、700L~1,000L、700L~900L、700L~800L、800L~1,000L、800L~900L、または900L~1,000Lの容積を有する。いくつかの態様において、バイオリアクターは50Lの容積を有する。
【0197】
4. 細胞の拡大と刺激
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大され刺激されたNK細胞を生産するために、フィーダー細胞と共培養される。
【0198】
いくつかの態様において、共培養は、本明細書記載の培養培地、例えば第1培養培地例(表1)または第2培養培地例(表2)において、実行される。
【0199】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、1×107または約1×107から、1×109または約1×109個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、1×108または約1×108から、1.5×108または約1.5×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、1×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、約1×108個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、1×109個の総有核細胞を含む。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血は、拡大前に、約1×109個の総有核細胞を含む。
【0200】
いくつかの態様では、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血と、フィーダー細胞との共培養から、細胞が、例えば本明細書記載の冷凍保存組成物に回収され、凍結される。いくつかの態様において、共培養からの凍結細胞は注入準備済み(infusion-ready)製剤である。いくつかの態様において、共培養からの凍結細胞は、例えば本明細書に記載するように1つまたは複数の追加共培養工程によって、そこから注入準備済み製剤を生産するための、マスター細胞バンク(MCB)として使用される。したがって、例えばナチュラルキラー細胞供給源を、本明細書に記載するように拡大し、刺激することで、注入準備済み製剤における使用に適した拡大され刺激されたNK細胞を、いかなる中間生成物も生成させることなく生産することができる。ナチュラルキラー細胞供給源を本明細書に記載するように拡大し、刺激することで、中間生成物、例えば第1マスター細胞バンク(MCB)を生産することもできる。第1MCBは、注入準備済み製剤における使用に適した拡大され刺激されたNK細胞を生産するために使用するか、あるいは、もう一つの中間生成物、例えば第2MCBを生産するために使用することができる。第2MCBは、注入準備済み製剤に適した拡大され刺激されたNK細胞を生産するために使用するか、あるいは、もう一つの中間生成物、例えば第3MCBを生産するために使用することができ、以降同様である。
【0201】
いくつかの態様において、共培養に接種されるフィーダー細胞とナチュラルキラー細胞供給源の細胞またはMCB細胞との比は、1:1または約1:1から、4:1または約4:1である。いくつかの態様において、フィーダー細胞とナチュラルキラー細胞供給源の細胞またはMCB細胞との比は、1:1もしくは約1:1から、3.5:1もしくは約3.5:1、1:1もしくは約1:1から、3:1もしくは約3:1、1:1もしくは約1:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、1.1もしくは約1.1から、2:1もしくは約2:1、1:1もしくは約1:1から、1.5:1もしくは約1.5:1、1.5:1もしくは約1.5:1から、4:1もしくは約4:1、1.5:1もしくは約1.5:1から、3.5:1もしくは約3.5:1、1.5:1もしくは約1.5:1から、3:1もしくは約3:1、1.5:1もしくは約1.5:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、1.5:1もしくは約1.5:1から、2:1もしくは約2:1、2:1もしくは約2:1から、4:1もしくは約4:1、2:1もしくは約2:1から、3.5:1もしくは約3.5:1、2:1もしくは約2:1から、3:1もしくは約3:1、2:1もしくは約2:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、4:1もしくは約4:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、3.5:1もしくは約3.5:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、3:1もしくは約3:1、3:1もしくは約3:1から、4:1もしくは約4:1、3:1もしくは約3:1から、3.5:1もしくは約3.5:1、または3.5:1もしくは約3.5:1から、4:1もしくは約4:1である。いくつかの態様において、共培養に接種されるフィーダー細胞とナチュラルキラー細胞供給源またはMCBの細胞との比は2.5:1である。いくつかの態様において、共培養に接種されるフィーダー細胞とナチュラルキラー細胞供給源またはMCBの細胞との比は約2.5:1である。
【0202】
いくつかの態様において、共培養はディスポーザブル培養バッグ、例えば1Lディスポーザブル培養バッグにおいて実行される。いくつかの態様において、共培養はバイオリアクター、例えば50Lバイオリアクターにおいて実行される。いくつかの態様において、培養培地は最初の接種後に共培養に加えられる。
【0203】
いくつかの態様において、共培養は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24日、またはそれ以上にわたって実行される。いくつかの態様において、共培養は、最大16日にわたって実行される。
【0204】
いくつかの態様において、共培養は37℃または約37℃で実行される。
【0205】
いくつかの態様において、共培養はpH7.9または約pH7.9で実行される。
【0206】
いくつかの態様において、共培養は50%以上の溶存酸素(DO)レベルで実行される。
【0207】
いくつかの態様では、MCBを生産するために第1培養培地例(表1)が使用され、注入準備済み製剤に適した細胞を生産するために第2培養培地例(表2)が使用される。
【0208】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞供給源、例えば単一単位の臍帯血と、フィーダー細胞との共培養は、50×108または約50×108から、50×1012または約50×1012個の細胞、例えばMCB細胞または注入準備済み製剤細胞を生じる。いくつかの態様において、拡大は、50×108もしくは約50×108から、25×1010もしくは約25×1010、10×108もしくは約10×108から、1×1010もしくは約1×1010、50×108もしくは約50×108から、75×109もしくは約75×109、50×108もしくは約50×108から、50×109もしくは約50×109、50×108もしくは約50×108から、25×109もしくは約25×109、50×108もしくは約50×108から、1×109もしくは約1×109、50×108もしくは約50×108から、75×108もしくは約75×108、75×108もしくは約75×108から、50×1010もしくは約50×1010、75×108もしくは約75×108から、25×1010もしくは約25×1010、75×108もしくは約75×108から、1×1010もしくは約1×1010、75×108もしくは約75×108から、75×109もしくは約75×109、75×108もしくは約75×108から、50×109もしくは約50×109、75×108もしくは約75×108から、25×109もしくは約25×109、75×108もしくは約75×108から、1×109もしくは約1×109、1×109もしくは約1×109から、50×1010もしくは約50×1010、1×109もしくは約1×109から、25×1010もしくは約25×1010、1×109もしくは約1×109から、1×1010もしくは約1×1010、1×109もしくは約1×109から、75×109もしくは約75×109、1×109もしくは約1×109から、50×109もしくは約50×109、1×109もしくは約1×109から、25×109もしくは約25×109、25×109もしくは約25×109から、50×1010もしくは約50×1010、25×109もしくは約25×109から、25×1010もしくは約25×1010、25×109もしくは約25×109から、1×1010もしくは約1×1010、25×109もしくは約25×109から、75×109もしくは約75×109、25×109もしくは約25×109から、50×109もしくは約50×109、50×109もしくは約50×109から、50×1010もしくは約50×1010、50×109もしくは約50×109から、25×1010もしくは約25×1010、50×109もしくは約50×109から、1×1010もしくは約1×1010、50×109もしくは約50×109から、75×109もしくは約75×109、75×109もしくは約75×109から、50×1010もしくは約50×1010、75×109もしくは約75×109から、25×1010もしくは約25×1010、75×109もしくは約75×109から、1×1010もしくは約1×1010、1×1010もしくは約1×1010から、50×1010もしくは約50×1010、1×1010もしくは約1×1010から、25×1010もしくは約25×1010、または25×1010もしくは約25×1010から、50×1010もしくは約50×1010個の細胞、例えば例えばMCB細胞または注入準備済み製剤細胞を生じる。
【0209】
いくつかの態様において、拡大は、それぞれが6億もしくは約6億から、10億もしくは約10億個の細胞、例えばMCB細胞または注入準備済み製剤細胞を含む、60もしくは約60から、100もしくは約100個のバイアルを生じる。いくつかの態様において、拡大は、それぞれが8億または約8億個の細胞、例えばMCB細胞または注入準備済み製剤細胞を含むか、またはそれらからなる、80または約80個のバイアルを生じる。
【0210】
いくつかの態様において、拡大は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えばNK細胞の数と比較した、細胞の数、例えばMCB細胞の数に、100または約100から、500または約500倍の増加を生じる。いくつかの態様において、拡大は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えばNK細胞の数と比較した、細胞の数、例えばMCB細胞の数に、100または約100から、500または約500、100または約100から、400または約400、100または約100から、300または約300、100または約100から、200または約200、200または約200から、450または約450、200または約200から、400または約400、100または約100から、350または約350、200または約200から、300または約300、200または約200から、250または約250、250または約250から、500または約500、250または約250から、450または約450、200または約200から、400または約400、250または約250から、350または約350、250または約250から、300または約300、300または約300から、500または約500、300または約300から、450または約450、300または約300から、400または約400、300または約300から、350または約350、350または約350から、500または約500、350または約350から、450または約450、350または約350から、400または約400倍の増加を生じる。
【0211】
いくつかの態様において、拡大は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えばNK細胞の数と比較した、細胞の数、例えばMCB細胞の数に、100または約100から、70,000または約70,000倍の増加を生じる。いくつかの態様において、拡大は、ナチュラルキラー細胞供給源中の細胞、例えばNK細胞の数と比較した、細胞の数、例えばMCB細胞の数に、少なくとも10,000倍、例えば15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍、または70,000倍の増加を生じる。
【0212】
いくつかの態様において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、5億または約5億から、15億または約15億個の細胞、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞を生じる。いくつかの態様において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、5億もしくは約5億から、15億もしくは約15億、5億もしくは約5億から、12億5000万もしくは約12億5000万、5億もしくは約5億から、10億もしくは約10億、5億もしくは約5億から、7億5000万もしくは約7億5000万、7億5000万もしくは約7億5000万から、15億もしくは約15億、5億もしくは約5億から、12億5000万もしくは約12億5000万、7億5000万もしくは約7億5000万から、10億もしくは約10億、10億もしくは約10億から、15億もしくは約15億、10億もしくは約10億から、12億5000万もしくは約12億5000万、または12億5000万もしくは約12億5000万から、15億もしくは約15億個の細胞、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞を生じる。
【0213】
いくつかの態様において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、それぞれが7億5000万または約7億5000万から、12億5000万または約12億5000万個の細胞、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞を含む、50もしくは約50から、150もしくは約150個の、細胞のバイアル、例えば注入準備済み製剤細胞のバイアルを生じる。いくつかの態様において、MCB細胞とフィーダー細胞との共培養は、それぞれが10億または約10億個の細胞、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞を含むか、またはそれらからなる、100または約100個のバイアルを生じる。
【0214】
いくつかの態様において、拡大は、出発MCB細胞の数と比較して、細胞の数、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞の数に、100または約100から、500または約500倍の増加を生じる。いくつかの態様において、拡大は、出発MCB細胞の数と比較して、細胞の数、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞の数に、100または約100から、500または約500、100または約100から、400または約400、100または約100から、300または約300、100または約100から、200または約200、200または約200から、450または約450、200または約200から、400または約400、100または約100から、350または約350、200または約200から、300または約300、200または約200から、250または約250、250または約250から、500または約500、250または約250から、450または約450、200または約200から、400または約400、250または約250から、350または約350、250または約250から、300または約300、300または約300から、500または約500、300または約300から、450または約450、300または約300から、400または約400、300または約300から、350または約350、350または約350から、500または約500、350または約350から、450または約450、350または約350から、400または約400倍の増加を生じる。
【0215】
いくつかの態様において、拡大は、出発MCB細胞の数と比較して、細胞の数、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞の数に、100または約100から、70,000または約70,000倍の増加を生じる。いくつかの態様において、拡大は、出発MCB細胞の数と比較して、細胞の数、例えばMCBおよび/または注入準備済み製剤における使用に適したNK細胞の数に、少なくとも10,000倍、例えば15,000倍、20,000倍、25,000倍、30,000倍、35,000倍、40,000倍、45,000倍、50,000倍、55,000倍、60,000倍、65,000倍、または70,000倍の増加を生じる。
【0216】
本明細書に記載するように細胞が拡大および刺激中に工学的に操作される態様では、拡大され刺激された細胞のすべてが、必ずしも、うまく工学的に操作されない、例えばうまく形質導入されない、例えば異種タンパク質、例えば本明細書記載のCARおよび/またはIL-15を含む異種タンパク質を含むベクターでうまく形質導入されないだろう。したがって、本明細書記載の方法は、工学的に操作された細胞、例えば本明細書記載の工学的に操作された細胞を、工学的に操作されていない細胞から選別する工程を、さらに含むことができる。
【0217】
いくつかの態様において、工学的に操作された細胞、例えば形質導入細胞は、工学的に操作されていない細胞、例えば非形質導入細胞から、工学的に操作された細胞の抗原に特異的な試薬、例えば工学的に操作されていない細胞ではなく工学的に操作された細胞の抗原を標的とする抗体を使って選別される。いくつかの態様において、工学的に操作された細胞の抗原は、CARの、例えば本明細書記載のCARの、構成要素である。
【0218】
細胞を抗原に基づいて細胞分離するためのシステムは、例えばCliniMACS(登録商標)ソーティングシステム(Miltenyi Biotec)など、市販されている。
【0219】
いくつかの態様において、工学的に操作された細胞、例えば形質導入細胞は、工学的に操作されていない細胞、例えば非形質導入細胞から、フローサイトメトリーを使って選別される。
【0220】
いくつかの態様では、選別された工学的に操作された細胞がMCBとして使用される。いくつかの態様では、選別された工学的に操作された細胞が、注入準備済み製剤における一構成要素として使用される。
【0221】
いくつかの態様において、工学的に操作された細胞、例えば形質導入細胞は、工学的に操作されていない細胞、例えば非形質導入細胞から、マイクロ流体細胞選別法を使って選別される。マイクロ流体細胞選別法は、例えばDalili et al.「A Review of Sorting,Separation and Isolation of Cells and Microbeads for Biomedical Applications:Microfluidic Approaches」Analyst 144:87(2019)に記載されている。
【0222】
いくつかの態様では、拡大され刺激された細胞のうちの1%または約1%から、99%または約99%が、うまく工学的に操作される、例えばうまく形質導入される、例えば異種タンパク質、例えば本明細書記載のCARおよび/またはIL-15を含む異種タンパク質を含むベクターでうまく形質導入される。いくつかの態様において、拡大され刺激された細胞のうちの1%もしくは約1%から、90%もしくは約90%、1%もしくは約1%から、80%もしくは約80%、1%もしくは約1%から、70%もしくは約70%、1%もしくは約1%から、60%もしくは約60%、1%もしくは約1%から、50%もしくは約50%、1%もしくは約1%から、40%もしくは約40%、1%もしくは約1%から、30%もしくは約30%、1%もしくは約1%から、20%もしくは約20%、1%もしくは約1%から、10%もしくは約10%、1%もしくは約1%から、5%もしくは約5%、5%もしくは約5%から、99%もしくは約99%、5%もしくは約5%から、90%もしくは約90%、5%もしくは約5%から、80%もしくは約80%、5%もしくは約5%から、70%もしくは約70%、5%もしくは約5%から、60%もしくは約60%、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、40%もしくは約40%、5%もしくは約5%から、30%もしくは約30%、5%もしくは約5%から、20%もしくは約20%、5%もしくは約5%から、10%もしくは約10%、10%もしくは約10%から、99%もしくは約99%、10%もしくは約10%から、90%もしくは約90%、10%もしくは約10%から、80%もしくは約80%、10%もしくは約10%から、70%もしくは約70%、10%もしくは約10%から、60%もしくは約60%、10%もしくは約10%から、50%もしくは約50%、10%もしくは約10%から、40%もしくは約40%、10%もしくは約10%から、30%もしくは約30%、10%もしくは約10%から、20%もしくは約20%、20%もしくは約20%から、99%もしくは約99%、20%もしくは約20%から、90%もしくは約90%、20%もしくは約20%から、80%もしくは約80%、20%もしくは約20%から、70%もしくは約70%、20%もしくは約20%から、60%もしくは約60%、20%もしくは約20%から、50%もしくは約50%、20%もしくは約20%から、40%もしくは約40%、20%もしくは約20%から、30%もしくは約30%、30%もしくは約30%から、99%もしくは約99%、30%もしくは約30%から、90%もしくは約90%、30%もしくは約30%から、80%もしくは約80%、30%もしくは約30%から、70%もしくは約70%、30%もしくは約30%から、60%もしくは約60%、30%もしくは約30%から、50%もしくは約50%、30%もしくは約30%から、40%もしくは約40%、40%もしくは約40%から、99%もしくは約99%、40%もしくは約40%から、90%もしくは約90%、40%もしくは約40%から、80%もしくは約80%、40%もしくは約40%から、70%もしくは約70%、40%もしくは約40%から、70%もしくは約70%、40%もしくは約40%から、60%もしくは約60%、40%もしくは約40%から、50%もしくは約50%、50%もしくは約50%から、99%もしくは約99%、50%もしくは約50%から、90%もしくは約90%、50%もしくは約50%から、80%もしくは約80%、50%もしくは約50%から、70%もしくは約70%、50%もしくは約50%から、60%もしくは約60%、60%もしくは約60%から、99%もしくは約99%、60%もしくは約60%から、90%もしくは約90%、60%もしくは約60%から、80%もしくは約80%、60%もしくは約60%から、70%もしくは約70%、70%もしくは約70%から、99%もしくは約99%、70%もしくは約70%から、90%もしくは約90%、70%もしくは約70%から、80%もしくは約80%、80%もしくは約80%から、99%もしくは約99%、80%もしくは約80%から、90%もしくは約90%、または90%もしくは約90%から、99%もしくは約99%が、うまく工学的に操作される、例えばうまく形質導入される、例えば異種タンパク質、例えば本明細書記載のCARおよび/もしくはIL-15を含む異種タンパク質を含むベクターでうまく形質導入される。
【0223】
いくつかの態様では、第1または第2MCBの凍結細胞が融解され、培養される。いくつかの態様において、第1または第2MCBの凍結細胞の単一のバイアル、例えば8億または約8億個の細胞、例えば第1または第2MCB細胞を含む単一のバイアルが、融解され、培養される。いくつかの態様では、第2または第3MCBとしての使用または注入準備済み製剤における使用に適した細胞を生産するために、凍結第1または第2MCB細胞が、追加のフィーダー細胞と共に培養される。いくつかの態様では、第1または第2MCBの共培養から、細胞が回収され、凍結される。
【0224】
いくつかの態様では、ナチュラルキラー細胞供給源、第1MCBまたは第2MCBの共培養から、細胞が回収され、冷凍保存組成物、例えば本明細書記載の冷凍保存組成物において凍結される。いくつかの態様において、細胞は回収後に洗浄される。したがって、本明細書では、活性化され刺激されたNK細胞、例えば本明細書記載の方法によって生産される活性化され刺激されたNK細胞、例えば本明細書記載の方法によって生産される、回収され洗浄された、活性化され刺激されたNK細胞と、冷凍保存組成物、例えば本明細書記載の冷凍保存組成物とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0225】
いくつかの態様では、凍結前に、細胞が、冷凍保存組成物、例えば本明細書記載のものと混合される。いくつかの態様において、細胞は冷凍バッグにおいて凍結される。いくつかの態様において、細胞は冷凍バイアルにおいて凍結される。
【0226】
いくつかの態様において、本方法は、拡大され刺激されたNK細胞の集団からNK細胞を単離する工程を、さらに含む。
【0227】
NK細胞を拡大し刺激するための例示的なプロセスを
図1に示す。
【0228】
いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は遺伝子操作されていない。
【0229】
E. 拡大されかつ刺激されたNK細胞の性質
拡大され刺激されたNK細胞集団は、例えば本明細書に記載するように、エクスビボで拡大され、刺激された後は、人体において天然には存在しないであろう数/密度を(例えば上述のように)有するだけでなく、表現型特徴(例えば遺伝子発現および/または表面タンパク質発現)も、出発供給源材料または他の天然に存在するNK細胞集団とは異なる。
【0230】
場合により、出発NK細胞供給源は、単一の個体に由来する試料、例えばエクスビボで拡大されていない単一臍帯血単位である。それゆえに、場合により、拡大され刺激されたNK細胞は共通の系譜を共有する。すなわち、それらはすべて、出発NK細胞供給源の拡大によってもたらされ、それゆえに、それ自体単一の生物からの細胞集団のクローン拡大により、ある遺伝子型を共有する。それにもかかわらず、それらは、エクスビボでの拡大で達成される密度では、天然には存在せず、出発NK細胞供給源とは表現型特徴も異なる。
【0231】
場合により、拡大され刺激されたNK細胞の集団は、少なくとも1億個の拡大されたナチュラルキラー細胞、例えば2億、2億5000万、3億、4億、5億、6億、7億、7億5000万、8億、9億、10億、20億、30億、40億、50億、60億、70億、80億、90億、100億、150億、200億、250億、500億、750億、800億、9-億、1千億、2千億、2500億、3千億、4千億、5千億、6千億、7千億、8千億、9千億、1兆、2兆、3兆、4兆、5兆、6兆、7兆、8兆、9兆、または10兆個の拡大されたナチュラルキラー細胞を含む。
【0232】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞は、少なくとも80%、例えば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のCD56+CD3-細胞を含む。
【0233】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞は遺伝子操作されていない。
【0234】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞はCD16導入遺伝子を含まない。
【0235】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞は外因性CD16タンパク質を発現しない。
【0236】
拡大され刺激されたNK細胞は、例えば、CD16、CD56、CD3、CD38、CD14、CD19、NKG2D、NKp46、NKp30、DNAM-1、およびNKp44のうちの1つまたは複数などの表面発現によって、特徴づけることができる。
【0237】
本明細書において言明する表面タンパク質発現レベルは、場合により、言及された特定表面タンパク質に関する正の選択なしで、達成される。例えば、場合により、NK細胞供給源、例えば単一臍帯単位は、KIR受容体ファミリーのKIR BアレルとCD16の158 V/Vバリアントとをどちらも含み、例えばCD56+CD3-発現にゲートをかけるか、またはイムノアフィニティ磁気ビーズ(例えばCliniMACS Prodigy(登録商標)システム)を含む磁気ビーズを使用することによって、+が濃縮されると共に、CD3(+)が除去されるが、他の表面タンパク質発現選択は拡大および刺激中に実行されない。
【0238】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、NKG2D+細胞を含む。
【0239】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、NKp46+細胞を含む。
【0240】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、NKp30+細胞を含む。
【0241】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、DNAM-1+細胞を含む。
【0242】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、NKp44+細胞を含む。
【0243】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の、CD94+(KLRD1)細胞を含む。
【0244】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、20%以下、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD3+細胞を含む。
【0245】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、20%以下、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD14+細胞を含む。
【0246】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、20%以下、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD19+細胞を含む。
【0247】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、20%以下、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCXCR+細胞を含む。
【0248】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、20%以下、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD122+(IL2RB)細胞を含む。
【0249】
本明細書に記載するように、本発明者らは、本明細書記載の方法によって拡大され刺激されたNK細胞が、驚いたことに、拡大および刺激プロセス全体を通して、CD16を高レベルに発現し、その結果、高いCD16発現を伴う細胞集団をもたらすことを実証した。高いCD16発現により、拡大された細胞を、CD16を発現するように工学的に操作する必要がなくなる。これは、ADCCを開始させるために重要であり、それゆえに、本明細書記載の拡大および刺激方法の驚くべき予想外の利点である。したがって、いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、50%以上の、例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の、CD16+NK細胞を含む。
【0250】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、KIR受容体ファミリーのKIR BアレルとCD16の158 V/Vバリアントとをどちらも含み、かつ50%以上の、例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の、CD16+NK細胞を含む。
【0251】
いくつかの態様において、CD16を発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0252】
いくつかの態様において、NKG2Dを発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0253】
いくつかの態様において、NKp30を発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0254】
いくつかの態様において、DNAM-1を発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0255】
いくつかの態様において、NKp44を発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0256】
いくつかの態様において、NKp46を発現する、拡大され刺激されたNK細胞の、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものの、パーセンテージは、臍帯血からのシード細胞におけるナチュラルキラー細胞のパーセンテージと同じであるか、またはそれより高い。
【0257】
本明細書に記載するように、本発明者らは、本明細書記載の方法によって拡大され刺激されたNK細胞が、驚いたことに、CD38を低レベルに発現することも実証した。CD38は、一定のがん治療(例えば多発性骨髄腫および急性骨髄性白血病)にとって、有効な標的である。例えばJiao et al.「CD38:Targeted Therapy in Multiple Myeloma and Therapeutic Potential for Solid Cancerrs」Expert Opinion on Investigational Drugs 29(11):1295-1308(2020)参照。それにもかかわらず、抗CD38抗体がNK細胞と共に投与される場合、NK細胞はCD38を天然に発現するので、フラトリサイドが増加するリスクがある。しかし、本明細書記載の方法によって拡大され刺激されたNK細胞が発現するCD38は低レベルなので、予期されるフラトリサイドが克服される。他のグループでは、CD38発現を低減するためにゲノム編集などの工学的操作方法に頼っているが(例えばGurney et al.「CD38 Knockout Natural Killer Cells Expressing an Affinity Optimized CD38 Chimeric Antigen Receptor Successfully Target Acute Myeloid Leukemia with Reduced Effector Cell Fratricide」Haematologica doi:10.3324/haematol.2020.271908(2020)参照、本明細書記載の方法によって拡大され刺激されたNK細胞が発現するCD38は低レベルであって遺伝子操作の必要がなく、そのことが、例えば本明細書に記載するように拡大され刺激されたNK細胞で、例えばCD38抗体と組み合わせて、CD38+がんを処置するには、驚くべき予想外の利点になる。
【0258】
したがっていくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、80%以下のCD38+細胞、例えば75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下のCD38+細胞を含む。
【0259】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、KIR受容体ファミリーのKIR Bアレルと、CD16の158 V/Vバリアントとをどちらも含み、かつ80%以下のCD38+細胞、例えば75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下のCD38+細胞を含む。
【0260】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、KIR受容体ファミリーのKIR Bアレルと、CD16の158 V/Vバリアントとをどちらも含み、かつ80%以下のCD38+細胞、例えば75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下のCD38+細胞と、50%以上の、例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のCD16+NK細胞とを含む。
【0261】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞、例えば上述のように、例えば単一臍帯血単位の拡大および刺激から得られるものは、KIR受容体ファミリーのKIR Bアレルと、CD16の158 V/Vバリアントとをどちらも含み、かつ、i)50%以上の、例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のCD16+NK細胞、および/またはii)80%以下のCD38+細胞、例えば75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下のCD38+細胞、および/またはiii)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKG2D+細胞、および/またはiv)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp46+細胞、および/またはv)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp30+細胞、および/またはvi)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のDNAM-1+細胞、および/またはvii)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のNKp44+細胞、および/またはviii)少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のCD94+(KLRD1)細胞、および/またはix)20%以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD3+細胞、および/またはx)20%以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD14+細胞、および/またはxi)20%以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD19+細胞、および/またはxii)20%以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCXCR+細胞、および/またはxiii)20%以下の、例えば10%以下、5%以下、1%以下または0%のCD122+(IL2RB)細胞を含む。
【0262】
いくつかの態様において、拡大され刺激されたNK細胞中にフィーダー細胞が残り続けることはないが、例えば残存細胞の存在によって(例えば特定表面タンパク質発現を伴う細胞を検出することによって)、またはフィーダー細胞によって発現される残存核酸および/もしくはタンパク質の存在によって、フィーダー細胞の残存シグネチャーは検出されうる。
【0263】
例えば、場合により、本明細書記載の方法は、ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞供給源中の細胞によって発現されない配列を発現するように操作された、工学的に操作されたフィーダー細胞、例えば上述のeHuT-78細胞を使って、ナチュラルキラー細胞を拡大し、刺激する工程を含む。例えば、工学的に操作されたフィーダー細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)、および変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子、またはそのバリアントを発現するように工学的に操作されうる(「eHut-78細胞」)。
【0264】
拡大され刺激されたNK細胞中にこれらのフィーダー細胞が残り続けることはないだろうが、拡大され刺激されたNK細胞は、フィーダー細胞からの検出可能な残存量の細胞、タンパク質および/または核酸を保ちうる。したがって、拡大され刺激されたNK細胞におけるそれら残存する存在は、例えば細胞そのものを(例えばフローサイトメトリーによって)検出するか、またはそれらが発現するタンパク質および/もしくはそれらが発現する核酸を検出することなどによって、検出されうる。
【0265】
したがって本明細書には、残存フィーダー細胞(生細胞または死細胞)または残存フィーダー細胞の細胞性不純物(例えば残存フィーダー細胞タンパク質もしくはその一部分および/または遺伝物質、例えば核酸もしくはその一部分)を含む拡大され刺激されたNK細胞の集団も記載される。場合により、拡大され刺激されたNK細胞は、0%超ではあるが0.3%以下の残存フィーダー細胞、例えばeHuT-78フィーダー細胞を含む。
【0266】
場合により、拡大され刺激されたNK細胞は、残存フィーダー細胞核酸、例えば残存4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)および/または変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)をコードするもの、またはその一部分を含む。場合により、膜結合型IL-21はCD8膜貫通ドメインを含む。
【0267】
場合により、拡大され刺激されたNK細胞は、例えば試料中のフィーダー細胞特異的なタンパク質または核酸配列(すなわちナチュラルキラー細胞によって発現されないタンパク質または核酸配列)の相対的比率によって測定した場合に、0%超かつ0.2%以下の%残存フィーダー細胞を含む。例えば、qPCR、例えば本明細書に記載するものによる。
【0268】
いくつかの態様において、残存フィーダー細胞はCD4(+)T細胞である。いくつかの態様において、残存フィーダー細胞は工学的に操作されたCD4(+)T細胞である。いくつかの態様において、残存フィーダー細胞細胞は、4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)、および変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのバリアントを発現するように、工学的に操作される(「eHut-78細胞」)。したがって、場合により、フィーダー細胞特異的なタンパク質は、4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)、および/または変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)である。そしてそれゆえに、フィーダー細胞特異的な核酸は、4-1BBL(UniProtKB P41273、SEQ ID NO:1)、膜結合型IL-21(SEQ ID NO:2)、および/または変異型TNFアルファ(SEQ ID NO:3)をコードする核酸、またはその一部分である。場合により、膜結合型IL-21はCD8膜貫通ドメインを含む。
【0269】
生物学的試料中の核酸またはタンパク質遺伝子産物を分析し、その存在を検出するには、多種多様な方法を使用することができる。本明細書において使用される場合、「検出」とは、ある化合物および/または物質(例えば細胞、タンパク質および/または核酸)の実在または存在を発見し、決定し、または確認するために使用される方法を指しうる。いくつかの態様において、検出方法は、タンパク質を検出するために使用することができる。いくつかの態様において、検出は、化学ルミネセンスまたは蛍光技法を含むことができる。いくつかの態様において、検出は、抗体を使ってタンパク質全体またはタンパク質上の特異的エピトープと特異的に反応させる免疫学的方法(例えば定量酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロッティング、またはドットブロット法)を含むことができる。いくつかの態様において、検出は、タンパク質の免疫沈降を含むことができる(Jungblut et al.,J Biotechnol.31;41(2-3):111-20(1995)、Franco et al.,Eur J Morphol.39(1):3-25(2001))。いくつかの態様において、検出方法は、核酸(例えばDNAおよび/またはRNA)を検出するために使用することができる。いくつかの態様において、検出は、ノーザンブロット解析、ヌクレアーゼ保護アッセイ(NPA)、インサイチューハイブリダイゼーション、または逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含むことができる(Raj et al.,Nat.Methods 5,877-879(2008)、Jin et al.,J Clin Lab Anal.11(1):2-9(1997)、Ahmed,J Environ Sci Health C Environ Carcinog Ecotoxicol Rev.20(2):77-116(2002))。
【0270】
したがって、本明細書には、工学的に操作されたフィーダー細胞、例えば本明細書記載のeHuT-78フィーダー細胞と共培養された、拡大され刺激された、例えば本明細書記載の方法を使って拡大され刺激された、NK細胞の集団を検出するための方法も記載される。
【0271】
II. 冷凍保存
A. 冷凍保存組成物
本明細書では、冷凍保存組成物、例えば静脈内投与に適した、例えばNK細胞の、例えば本明細書記載のNK細胞の、静脈内投与に適した、冷凍保存組成物が提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、冷凍保存組成物と、細胞、例えば本明細書記載のNK細胞とを含む。
【0272】
1. アルブミン
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えばヒトアルブミンタンパク質(UniProtKBアクセッションP0278、SEQ ID NO:5)またはそのバリアントを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えばヒトアルブミンタンパク質のオルソログ、またはそのバリアントを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、アルブミンタンパク質、例えばヒトアルブミンの生物学的に活性な一部分、またはそのバリアントを含む。
【0273】
いくつかの態様において、アルブミン、例えばヒトアルブミンは、溶液として提供され、これを、本明細書では、アルブミン溶液またはヒトアルブミン溶液ともいう。したがっていくつかの態様において、冷凍保存組成物は、アルブミン溶液、例えばヒトアルブミン溶液であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は無血清アルブミン溶液である。
【0274】
いくつかの態様において、アルブミン溶液は静脈内使用に適している。
【0275】
いくつかの態様において、アルブミン溶液は40または約40から、200または約200g/Lのアルブミンを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は40または約40から、50または約50g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は約200g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は200g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。
【0276】
いくつかの態様において、アルブミン溶液はタンパク質組成物を含み、そのタンパク質組成物のうちの95%以上はアルブミンタンパク質、例えばヒトアルブミンタンパク質である。いくつかの態様では、タンパク質のうちの96%、97%、98%もしくは99%またはそれ以上がアルブミン、例えばヒトアルブミンである。
【0277】
いくつかの態様において、アルブミン溶液はナトリウムをさらに含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は100または約100から、200または約200mmolのナトリウムを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は130または約130から、160または約160mmolのナトリウムを含む。
【0278】
いくつかの態様において、アルブミン溶液はカリウムをさらに含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は3mmol以下のカリウムを含む。いくつかの態様において、アルブミン溶液は2mmol以下のカリウムをさらに含む。
【0279】
いくつかの態様において、アルブミン溶液は1つまたは複数の安定剤をさらに含む。いくつかの態様において、安定剤は、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファンともいう)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトロプトハン(DL-Acetyltroptohan)およびN-アセチル-DL-トリプトファンともいう)からなる群より選択される。いくつかの態様において、溶液は、溶液中のタンパク質1グラムにつき0.1mmol未満の、1つまたは複数の安定剤のそれぞれを含む。いくつかの態様において、溶液は、溶液中のタンパク質1グラムにつき0.05または約0.05から、0.1または約0.1、例えば0.064または約0.064から、0.096または約0.096mmolの各安定剤を含む。いくつかの態様において、溶液は、溶液中のタンパク質1グラムにつき0.1mmol未満の総安定剤を含む。いくつかの態様において、溶液は、溶液中のタンパク質1グラムにつき0.05または約0.05から、0.1または約0.1、例えば0.064または約0.064から、0.096または約0.096mmolの総安定剤を含む。
【0280】
いくつかの態様において、アルブミン溶液は、水中の、95%以上がアルブミンタンパク質であるタンパク質組成物、ナトリウム、カリウム、ならびにカプリル酸ナトリウム、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファンともいう)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトロプトハン(DL-Acetyltroptohan)およびN-アセチル-DL-トリプトファンともいう)からなる群より選択される1つまたは複数の安定剤からなる。
【0281】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10または約10% v/vから、50または約50% v/vのアルブミン溶液、例えば本明細書記載のアルブミン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10%もしくは約10%から、50%もしくは約50%、10%もしくは約10%から、45%もしくは約45%、10%もしくは約10%から、40%もしくは約40%、10%もしくは約10%から、35%もしくは約35%、10%もしくは約10%から、30%もしくは約30%、10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%、10%もしくは約10%から、20%もしくは約20%、10%もしくは約10%から、15%もしくは約15%、15%もしくは約15%から、50%もしくは約50%、15%もしくは約15%から、45%もしくは約45%、15%もしくは約15%から、40%もしくは約40%、15%もしくは約15%から、35%もしくは約35%、15%もしくは約15%から、30%もしくは約30%、15%もしくは約15%から、25%もしくは約25%、15%もしくは約15%から、20%もしくは約20%、20%もしくは約20%から、50%もしくは約50%、20%もしくは約20%から、45%もしくは約45%、20%もしくは約20%から、40%もしくは約40%、20%もしくは約20%から、35%もしくは約35%、20%もしくは約20%から、30%もしくは約30%、20%もしくは約20%から、25%もしくは約25%、25%もしくは約25%から、50%もしくは約50%、25%もしくは約25%から、45%もしくは約45%、25%もしくは約25%から、40%もしくは約40%、25%もしくは約25%から、35%もしくは約35%、25%もしくは約25%から、30%もしくは約30%、30%もしくは約30%から、50%もしくは約50%、30%もしくは約30%から、45%もしくは約45%、30%もしくは約30%から、40%もしくは約40%、30%もしくは約30%から、35%もしくは約35%、35%もしくは約35%から、50%もしくは約50%、35%もしくは約35%から、45%もしくは約45%、35%もしくは約35%から、40%もしくは約40%、40%もしくは約40%から、50%もしくは約50%、40%もしくは約40%から、45%もしくは約45%、または45%もしくは約45%から、50%もしくは約50% v/vの、本明細書記載のアルブミン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50% v/vの、本明細書記載のアルブミン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50% v/vの、本明細書記載のアルブミン溶液を含む。
【0282】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、20または約20から、100または約100g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、20もしくは約20から、100もしくは約100、20もしくは約20から、90もしくは約90、20もしくは約20から、80もしくは約80、20もしくは約20から、70もしくは約70、20もしくは約20から、60もしくは約60、20もしくは約20から、50もしくは約50、20もしくは約20から、40もしくは約40、20もしくは約20から、30もしくは約30、30もしくは約30から、100もしくは約100、30もしくは約30から、90もしくは約90、30もしくは約30から、80もしくは約80、30もしくは約30から、70もしくは約70、30もしくは約30から、60もしくは約60、30もしくは約30から、50もしくは約50、30もしくは約30から、40もしくは約40、40もしくは約40から、100もしくは約100、40もしくは約40から、90もしくは約90、40もしくは約40から、80もしくは約80、40もしくは約40から、70もしくは約70、40もしくは約40から、60もしくは約60、40もしくは約40から、50もしくは約50、50もしくは約50から、100もしくは約100、50もしくは約50から、90もしくは約90、50もしくは約50から、80もしくは約80、50もしくは約50から、70もしくは約70、50もしくは約50から、60もしくは約60、60もしくは約60から、100もしくは約100、60もしくは約60から、90もしくは約90、60もしくは約60から、80もしくは約80、60もしくは約60から、70もしくは約70、70もしくは約70から、100もしくは約100、70もしくは約70から、90もしくは約90、70もしくは約70から、80もしくは約80、80もしくは約80から、100もしくは約100、80もしくは約80から、90もしくは約90、または90もしくは約90から、100もしくは約100g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。
【0283】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は20g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は40g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は70g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は100g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。
【0284】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約20g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約40g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約70g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約100g/Lのアルブミン、例えばヒトアルブミンを含む。
【0285】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は安定剤、例えばアルブミン安定剤を、さらに含む。いくつかの態様において、安定剤は、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸、(2S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(アセチルトリプトファン、N-アセチル-L-トリプトファンおよびアセチル-L-トリプトファンともいう)、2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸(N-アセチルトリプトファン、DL-アセチルトロプトハン(DL-Acetyltroptohan)およびN-アセチル-DL-トリプトファンともいう)からなる群より選択される。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、組成物中に、タンパク質1グラムにつき、例えばアルブミンタンパク質1グラムにつき、0.1mmol未満の、1つまたは複数の安定剤のそれぞれを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、組成物中に、タンパク質1グラムにつき、例えばアルブミンタンパク質1グラムにつき、0.05または約0.05から、0.1または約0.1、例えば0.064または約0.064から、0.096または約0.096mmolの、各安定剤を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、冷凍保存組成物中に、タンパク質1グラムにつき、例えばアルブミンタンパク質1グラムにつき、0.1mmol未満の総安定剤を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、冷凍保存組成物中に、タンパク質1グラムにつき、例えばアルブミンタンパク質1グラムにつき、0.05または約0.05から、0.1または約0.1、例えば0.064または約0.064から、0.096または約0.096mmolの総安定剤を含む。
【0286】
2. デキストラン
いくつかの態様において、冷凍保存組成物はデキストランまたはその誘導体を含む。
【0287】
デキストランはおよそ95%のα-D-(1-6)結合で構成される無水グルコースのポリマー((C6H10O5)nと表される)である。デキストラン画分は約1,000ダルトン~約2,000,000ダルトンの分子量で供給される。それらは、例えばデキストラン1、デキストラン10、デキストラン40、デキストラン70など、数字で指定され(デキストランX)、ここで、Xは平均分子量を1,000ダルトンで割ったものに相当する。したがって、例えばデキストラン40は、40,000または約40,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0288】
いくつかの態様において、デキストランの平均分子量は1,000または約1,000ダルトンから、2,000,000または約2,000,000ダルトンである。いくつかの態様において、デキストランの平均分子量は40,000または約40,000ダルトンである。いくつかの態様において、デキストランの平均分子量は70,000または約70,000ダルトンである。
【0289】
いくつかの態様において、デキストランは、デキストラン40、デキストラン70、およびそれらの組合せからなる群より選択される。いくつかの態様において、デキストランはデキストラン40である。
【0290】
いくつかの態様において、デキストラン、例えばデキストラン40は溶液として提供され、本明細書ではこれをデキストラン溶液またはデキストラン40溶液ともいう。したがって、いくつかの態様において、組成物はデキストラン溶液、例えばデキストラン40溶液を含む。
【0291】
いくつかの態様において、デキストラン溶液は静脈内使用に適している。
【0292】
いくつかの態様において、デキストラン溶液は約5%~約50%w/wのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、45%もしくは約45%、5%もしくは約5%から、40%もしくは約40%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、5%もしくは約5%から、30%もしくは約30%、5%もしくは約5%から、25%もしくは約25%、5%もしくは約5%から、20%もしくは約20%、5%もしくは約5%から、15%もしくは約15%、5%もしくは約5%から、10%もしくは約10%、10%もしくは約10%から、50%もしくは約50%、10%もしくは約10%から、45%もしくは約45%、10%もしくは約10%から、40%もしくは約40%、10%もしくは約10%から、35%もしくは約35%、10%もしくは約10%から、30%もしくは約30%、10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%、10%もしくは約10%から、20%もしくは約20%、10%もしくは約10%から、15%もしくは約15%、15%もしくは約15%から、50%もしくは約50%、15%もしくは約15%から、45%もしくは約45%、15%もしくは約15%から、40%もしくは約40%、15%もしくは約15%から、35%もしくは約35%、15%もしくは約15%から、30%もしくは約30%、15%もしくは約15%から、25%もしくは約25%、15%もしくは約15%から、20%もしくは約20%、20%もしくは約20%から、50%もしくは約50%、20%もしくは約20%から、45%もしくは約45%、20%もしくは約20%から、40%もしくは約40%、20%もしくは約20%から、35%もしくは約35%、20%もしくは約20%から、30%もしくは約30%、20%もしくは約20%から、25%もしくは約25%、25%もしくは約25%から、50%もしくは約50%、25%もしくは約25%から、45%もしくは約45%、25%もしくは約25%から、40%もしくは約40%、25%もしくは約25%から、35%もしくは約35%、25%もしくは約25%から、30%もしくは約30%、30%もしくは約30%から、50%もしくは約50%、30%もしくは約30%から、45%もしくは約45%、30%もしくは約30%から、40%もしくは約40%、30%もしくは約30%から、35%もしくは約35%、35%もしくは約35%から、50%もしくは約50%、35%もしくは約35%から、45%もしくは約45%、35%もしくは約35%から、40%もしくは約40%、40%もしくは約40%から、50%もしくは約50%、40%もしくは約40%から、45%もしくは約45%、または45%もしくは約45%から、50%もしくは約50%w/wのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%w/wのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%w/wのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。
【0293】
いくつかの態様において、デキストラン溶液は、25または約25g/Lから、200または約200g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、35もしくは約35から、200もしくは約200、25もしくは約25から、175もしくは約175、25もしくは約25から、150もしくは約150、25もしくは約25から、125もしくは約125、25もしくは約25から、100もしくは約100、25もしくは約25から、75もしくは約75、25もしくは約25から、50もしくは約50、50もしくは約50から、200もしくは約200、50もしくは約50から、175もしくは約175、50もしくは約50から、150もしくは約150、50もしくは約50から、125もしくは約125、50もしくは約50から、100もしくは約100、50もしくは約50から、75もしくは約75、75もしくは約75から、200もしくは約200、75もしくは約75から、175もしくは約175、75もしくは約75から、150もしくは約150、75もしくは約75から、125もしくは約125、75もしくは約75から、100もしくは約100、100もしくは約100から、200もしくは約200、100もしくは約100から、175もしくは約175、100もしくは約100から、150もしくは約150、100もしくは約100から、125もしくは約125、125もしくは約125から、200もしくは約200、125もしくは約125から、175もしくは約175、125もしくは約125から、150もしくは約150、150もしくは約150から、200もしくは約200、150もしくは約150から、175もしくは約175、または175もしくは約175から、200もしくは約200g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、25、50、75、100、125、150、175、または200g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は100g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、または約200g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は約100g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。
【0294】
いくつかの態様において、デキストラン溶液はグルコース(デキストロースともいう)をさらに含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、10または約10g/Lから、100または約100g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、10もしくは約10から、100もしくは約100、10もしくは約10から、90もしくは約90、10もしくは約10から、80もしくは約80、10もしくは約10から、70もしくは約70、10もしくは約10から、60もしくは約60、10もしくは約10から、50もしくは約50、10もしくは約10から、40もしくは約40、10もしくは約10から、30もしくは約30、10もしくは約10から、20もしくは約20、20もしくは約20から、100もしくは約100、20もしくは約20から、90もしくは約90、20もしくは約20から、80もしくは約80、20もしくは約20から、70もしくは約70、20もしくは約20から、60もしくは約60、20もしくは約20から、50もしくは約50、20もしくは約20から、40もしくは約40、20もしくは約20から、30もしくは約30、30もしくは約30から、100もしくは約100、30もしくは約30から、90もしくは約90、30もしくは約30から、80もしくは約80、30もしくは約30から、70もしくは約70、30もしくは約30から、60もしくは約60、30もしくは約30から、50もしくは約50、30もしくは約30から、40もしくは約40、40もしくは約40から、100もしくは約100、40もしくは約40から、90もしくは約90、40もしくは約40から、80もしくは約80、40もしくは約40から、70もしくは約70、40もしくは約40から、60もしくは約60、40もしくは約40から、50もしくは約50、50もしくは約50から、100もしくは約100、50もしくは約50から、90もしくは約90、50もしくは約50から、80もしくは約80、50もしくは約50から、70もしくは約70、50もしくは約50から、60もしくは約60、60もしくは約60から、100もしくは約100、60もしくは約60から、90もしくは約90、60もしくは約60から、80もしくは約80、60もしくは約60から、70もしくは約70、70もしくは約70から、100もしくは約100、70もしくは約70から、90もしくは約90、70もしくは約70から、80もしくは約80、80もしくは約80から、90もしくは約90、80もしくは約80から、100もしくは約100、80もしくは約80から、90もしくは約90、または90もしくは約90から、100もしくは約100g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は50g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、デキストラン溶液は50g/Lのグルコースを含む。
【0295】
いくつかの態様において、デキストラン溶液は、水中の、デキストラン、例えばデキストラン40と、グルコースとからなる。
【0296】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10または約10% v/vから、50または約50% v/vの、本明細書記載のデキストラン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10%もしくは約10%から、50%、10%もしくは約10%から、45%もしくは約45%、10%もしくは約10%から、40%もしくは約40%、10%もしくは約10%から、35%もしくは約35%、10%もしくは約10%から、30%もしくは約30%、10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%、10%もしくは約10%から、20%もしくは約20%、10%もしくは約10%から、15%もしくは約15%、15%もしくは約15%から、50%もしくは約50%、15%もしくは約15%から、45%もしくは約45%、15%もしくは約15%から、40%もしくは約40%、15%もしくは約15%から、35%もしくは約35%、15%もしくは約15%から、30%もしくは約30%、15%もしくは約15%から、25%もしくは約25%、15%もしくは約15%から、20%もしくは約20%、20%もしくは約20%から、50%もしくは約50%、20%もしくは約20%から、45%もしくは約45%、20%もしくは約20%から、40%もしくは約40%、20%もしくは約20%から、35%もしくは約35%、20%もしくは約20%から、30%もしくは約30%、20%もしくは約20%から、25%もしくは約25%、25%もしくは約25%から、50%もしくは約50%、25%もしくは約25%から、45%もしくは約45%、25%もしくは約25%から、40%もしくは約40%、25%もしくは約25%から、35%もしくは約35%、25%もしくは約25%から、30%もしくは約30%、30%もしくは約30%から、50%もしくは約50%、30%もしくは約30%から、45%もしくは約45%、30%もしくは約30%から、40%もしくは約40%、30%もしくは約30%から、35%もしくは約35%、35%もしくは約35%から、50%もしくは約50%、35%もしくは約35%から、45%もしくは約45%、35%もしくは約35%から、40%もしくは約40%、40%もしくは約40%から、50%もしくは約50%、40%もしくは約40%から、45%もしくは約45%、または45%もしくは約45%から、50%もしくは約50% v/vのデキストラン溶液、例えば本明細書記載のデキストラン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50% v/vのデキストラン溶液、例えば本明細書記載のデキストラン溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50% v/vのデキストラン溶液、例えば本明細書記載のデキストラン溶液を含む。
【0297】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10もしくは約10から、50もしくは約50g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10もしくは約10から、50もしくは約50、10もしくは約10から、45もしくは約45、10もしくは約10から、40もしくは約40、10もしくは約10から、35もしくは約35、10もしくは約10から、30もしくは約30、10もしくは約10から、25もしくは約25、10もしくは約10から、20もしくは約20、10もしくは約10から、15もしくは約15、15もしくは約15から、50もしくは約50、15もしくは約15から、45もしくは約45、15もしくは約15から、40もしくは約40、15もしくは約15から、35もしくは約35、15もしくは約15から、30もしくは約30、15もしくは約15から、25もしくは約25、15もしくは約15から、20もしくは約20、20もしくは約20から、50もしくは約50、20もしくは約20から、45もしくは約45、20もしくは約20から、40もしくは約40、20もしくは約20から、30もしくは約30、20もしくは約20から、25もしくは約25、25もしくは約25から、50もしくは約50、25もしくは約25から、45もしくは約45、25もしくは約25から、40もしくは約40、25もしくは約25から、35もしくは約35、25もしくは約25から、30もしくは約30、30もしくは約30から、50もしくは約50、30もしくは約30から、45もしくは約45、30もしくは約30から、40もしくは約40、30もしくは約30から、35もしくは約35、35もしくは約35から、50もしくは約50、35もしくは約35から、45もしくは約45、35もしくは約35から、40もしくは約40、40もしくは約40から、50もしくは約50、40もしくは約40から、45もしくは約45、または45もしくは約45から、50もしくは約50g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、10、15、20、25、30、30、35、40、45、または50g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、約10、約15、約20、約25、約30、約30、約35、約40、約45、または約50g/Lのデキストラン、例えばデキストラン40を含む。
【0298】
3. グルコース
いくつかの態様において、冷凍保存組成物はグルコースを含む。
【0299】
いくつかの態様では、上述のように、冷凍保存組成物が、グルコースを含むデキストラン溶液を含む。
【0300】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、グルコースを含まないデキストラン溶液を含む。いくつかの態様では、例えばデキストラン溶液がグルコースを含まない場合に、グルコースが冷凍保存組成物に別途加えられる。
【0301】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、5もしくは約5から、25もしくは約25g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、5もしくは約5から、25もしくは約25、5もしくは約5から、20もしくは約20、5もしくは約5から、15もしくは約15、5もしくは約5から、10もしくは約10、10もしくは約10から、25もしくは約25、10もしくは約10から、20もしくは約20、10もしくは約10から、15もしくは約15、15もしくは約15から、25もしくは約25、15もしくは約15から、20もしくは約20、または20もしくは約20から、25もしくは約25g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5、または25g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は12.5g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、約5、約7.5、約10、約12.5、約15、約17.5、約20、約22.5、または約25g/Lのグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約12.5g/Lのグルコースを含む。
【0302】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は2.75% w/v未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は27.5g/L未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は2% w/v未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は1.5% w/v未満のグルコースを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約1.25% w/v以下のグルコースを含む。
【0303】
4. ジメチルスルホキシド
いくつかの態様において、冷凍保存組成物はジメチルスルホキシド(DMSO、メチルスルホキシドおよびメチルスルフィニルメタンともいう)を含む。
【0304】
いくつかの態様において、DMSOは溶液として提供され、これを本明細書ではDMSO溶液ともいう。したがって、いくつかの態様において、冷凍保存組成物はDMSO溶液を含む。
【0305】
いくつかの態様において、DMSO溶液は静脈内使用に適している。
【0306】
いくつかの態様において、DMSO溶液は1.1g/mLのDMSOを含む。いくつかの態様において、DMSO溶液は約1.1g/mLのDMSOを含む。
【0307】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は1%または約1%から、10%または約10% v/vのDMSO溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、1%もしくは約1%から、10%もしくは約10%、1%もしくは約1%から、9%もしくは約9%、1%もしくは約1%から、8%もしくは約8%、1%もしくは約1%から、7%もしくは約7%、1%もしくは約1%から、6%もしくは約6%、1%もしくは約1%から、5%もしくは約5%、1%もしくは約1%から、4%もしくは約4%、1%もしくは約1%から、3%もしくは約3%、1%もしくは約1%から、2%もしくは約2%、2%もしくは約2%から、10%もしくは約10%、2%もしくは約2%から、9%もしくは約9%、8%もしくは約8%、2%もしくは約2%から、7%もしくは約7%、2%もしくは約2%から、6%もしくは約6%、2%もしくは約2%から、5%もしくは約5%、2%もしくは約2%から、4%もしくは約4%、2%もしくは約2%から、3%もしくは約3%、3%もしくは約3%から、10%もしくは約10%、3%もしくは約3%から、9%もしくは約9%、3%もしくは約3%から、8%もしくは約8%、3%もしくは約3%から、7%もしくは約7%、3%もしくは約3%から、6%もしくは約6%、3%もしくは約3%から、5%もしくは約5%、3%もしくは約3%から、4%もしくは約4%、4%もしくは約4%から、10%もしくは約10%、4%もしくは約4%から、9%もしくは約9%、4%もしくは約4%から、8%もしくは約8%、4%もしくは約4%から、7%もしくは約7%、4%もしくは約4%から、6%もしくは約6%、4%もしくは約4%から、5%もしくは約5%、5%もしくは約5%から、10%もしくは約10%、5%もしくは約5%から、9%もしくは約9%、5%もしくは約5%から、8%もしくは約8%、5%もしくは約5%から、7%もしくは約7%、5%もしくは約5%から、6%もしくは約6%、6%もしくは約6%から、10%もしくは約10%、6%もしくは約6%から、9%もしくは約9%、6%もしくは約6%から、8%もしくは約8%、6%もしくは約6%から、7%もしくは約7%、7%もしくは約7%から、10%もしくは約10%、7%もしくは約7%から、9%もしくは約9%、7%もしくは約7%から、8%もしくは約8%、8%もしくは約8%から、10%もしくは約10%、8%もしくは約8%から、9%もしくは約9%、または9%もしくは約9%から、10%もしくは約10% v/vのDMSO溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10% v/vのDMSO溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は5%のDMSO溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または10% v/vのDMSO溶液を含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約5%のDMSO溶液を含む。
【0308】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は11または約11から、110または約110g/LのDMSOを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、11もしくは約11から、110もしくは約110、11もしくは約11から、99もしくは約99、11もしくは約11から、88もしくは約88、11もしくは約11から、77もしくは約77、11もしくは約11から、66もしくは約66、11もしくは約11から、55もしくは約55、11もしくは約11から、44もしくは約44、11もしくは約11から、33もしくは約33、11もしくは約11から、22もしくは約22、22もしくは約22から、110もしくは約110、22もしくは約22から、99もしくは約99、22もしくは約22から、88もしくは約88、22もしくは約22から、77もしくは約77、22もしくは約22から、77もしくは約77、22もしくは約22から、66もしくは約66、22もしくは約22から、55もしくは約55、22もしくは約22から、44もしくは約44、22もしくは約22から、33もしくは約33、33もしくは約33から、110もしくは約110、33もしくは約33から、99もしくは約99、33もしくは約33から、88もしくは約88、33もしくは約33から、77もしくは約77、33もしくは約33から、66もしくは約66、33もしくは約33から、55もしくは約55、33もしくは約33から、44もしくは約44、44もしくは約44から、110もしくは約110、44もしくは約44から、99もしくは約99、44もしくは約44から、88もしくは約88、44もしくは約44から、77もしくは約77、44もしくは約44から、66もしくは約66、44もしくは約44から、55もしくは約55、55もしくは約55から、110もしくは約110、55もしくは約55から、99もしくは約99、55もしくは約55から、88もしくは約88、55もしくは約55から、77もしくは約77、55もしくは約55から、66もしくは約66、66もしくは約66から、110もしくは約110、66もしくは約66から、99もしくは約99、66もしくは約66から、88もしくは約88、66もしくは約66から、77もしくは約77、77もしくは約77から、119もしくは約119、77もしくは約77から、88もしくは約88、88もしくは約88から、110もしくは約110、88もしくは約88から、99もしくは約99、または99もしくは約99から、110もしくは約110g/LのDMSOを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、11、22、33、44、55、66、77、88、99、または110g/LのDMSOを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は55g/LのDMSOを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、約11、約22、約33、約44、約55、約66、約77、約88、約99、または約110g/LのDMSOを含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は約55g/LのDMSOを含む。
【0309】
5. 緩衝液
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は緩衝溶液、例えば静脈内投与に適した緩衝溶液を含む。
【0310】
緩衝溶液には、リン酸緩衝食塩水(PBS)、リンゲル液、タイロード緩衝液、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液、食塩水、およびTrisなどがあるが、それらに限定されるわけではない。
【0311】
いくつかの態様において、緩衝溶液はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0312】
6. 例示的な冷凍保存組成物
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、1)アルブミン、例えばヒトアルブミン、2)デキストラン、例えばデキストラン40、3)DMSO、および4)緩衝溶液を含むか、またはそれらからなる。いくつかの態様において、冷凍保存組成物はグルコースをさらに含む。いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、1)アルブミン、例えばヒトアルブミン、2)デキストラン、例えばデキストラン40、3)グルコース、4)DMSO、および5)緩衝溶液からなる。
【0313】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、1)本明細書記載のアルブミン溶液、2)本明細書記載のデキストラン溶液、3)本明細書記載のDMSO溶液、および4)緩衝溶液を含む。
【0314】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は、1)本明細書記載のアルブミン溶液、2)本明細書記載のデキストラン溶液、3)本明細書記載のDMSO溶液、および4)緩衝溶液からなる。
【0315】
いくつかの態様において、冷凍保存組成物は細胞培養培地を含まない。
【0316】
一態様において、冷凍保存組成物は、40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、および55mg/mLのDMSOを含むか、または約40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、および55mg/mLのDMSOを含む。
【0317】
一態様において、冷凍保存組成物は、水中に、40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.5mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)を含むか、または約40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.5mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)を含むか、または40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.5mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)からなるか、または約40mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.5mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)からなる。
【0318】
一態様において、冷凍保存組成物は、32mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、および55mg/mLのDMSOを含むか、または約32mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、および55mg/mLのDMSOを含む。
【0319】
一態様において、冷凍保存組成物は、水中に、32mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.54mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)、または約32mg/mLのヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン40、12.5mg/mLのグルコース、55mg/mLのDMSOおよび0.54mL/mLの100%リン酸緩衝食塩水(PBS)を含むか、またはそれらからなる。
【0320】
例示的な冷凍保存組成物を表3に示す。
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
B. 冷凍保存方法
本明細書記載の冷凍保存組成物は、細胞、例えば治療細胞、例えばナチュラルキラー(NK)細胞、例えば本明細書記載のNK細胞を冷凍保存するために使用することができる。
【0325】
いくつかの態様において、細胞は動物細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト細胞である。
【0326】
いくつかの態様において、細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、好塩基球、好酸球、好中球、肥満細胞、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、およびそれらの組合せから選択される。
【0327】
いくつかの態様において、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は、本明細書記載の方法によって拡大され、刺激される。
【0328】
いくつかの態様において、細胞を冷凍保存する工程は、細胞を本明細書記載の冷凍保存組成物またはその構成要素と混合することで、組成物、例えば薬学的組成物を生産すること、およびその混合物を凍結することを含む。
【0329】
いくつかの態様において、細胞を冷凍保存する工程は、細胞を含む組成物を本明細書記載の冷凍保存組成物またはその構成要素と混合することで、組成物、例えば薬学的組成物を生産すること、およびその混合物を凍結することを含む。いくつかの態様において、細胞を含む組成物は、細胞と緩衝液とを含む。適切な緩衝液は本明細書に記載する。
【0330】
いくつかの態様において、細胞を冷凍保存する工程は、細胞と緩衝液、例えばPBSとを含む組成物を、アルブミン、デキストランおよびDMSOを含む組成物と混合すること、およびその混合物を凍結することを含む。
【0331】
いくつかの態様において、細胞を冷凍保存する工程は、細胞と緩衝液、例えばPBSとを含む組成物を、40mg/mLのアルブミン、例えばヒトアルブミン、25mg/mLのデキストラン、例えばデキストラン40、12.5mg/mLのグルコースおよび55mg/mLのDMSOを含む組成物と、1:1で混合することを含む。
【0332】
いくつかの態様において、細胞と緩衝液、例えばPBSとを含む組成物は、2×107もしくは約2×107から、2×109もしくは約2×109個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、細胞と緩衝液、例えばPBSとを含む組成物は、2×108個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、細胞と緩衝液、例えばPBSとを含む組成物は、約2×108個の細胞/mLを含む。
【0333】
いくつかの態様において、細胞を冷凍保存する工程は、細胞、緩衝液、例えばPBS、アルブミン、例えばヒトアルブミン、デキストラン、例えばデキストラン40、およびDMSOを混合する工程、およびその混合物を凍結することを含む。
【0334】
いくつかの態様において、混合物は1×107もしくは約1×107から、1×109もしくは約1×109個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、混合物は1×108個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、混合物は約1×108個の細胞/mLを含む。
【0335】
アルブミン、デキストランおよびDMSOについての適切な範囲は上に示す。
【0336】
いくつかの態様において、組成物は-135℃以下で凍結される。
【0337】
いくつかの態様において、組成物は制御された速度で凍結される。
【0338】
いくつかの態様において、組成物は多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーをさらに含む。
【0339】
III. 多重特異性エンゲージャー
本明細書において使用される場合、「多重特異性エンゲージャー」という用語は、「少なくとも二重特異性」である抗体構築物を指す。すなわち、この抗体構築物は、少なくとも第1結合ドメインと第2結合ドメインとを含み、ここで、第1結合ドメインは1つの抗原または標的(ここではNK細胞受容体、例えばCD16a)に結合し、第2結合ドメインはもう一つの抗原または標的(ここでは標的細胞表面抗原CD30)に結合する。したがって、本開示に関連して定義される抗体構築物は、少なくとも2つの異なる抗原または標的に対する特異性を含む。例えば第1ドメインは、好ましくは、ヒト、マカク属(Macaca)の種および齧歯類の種から選択される1つまたは複数の種のNK細胞受容体の細胞外エピトープに結合する。
【0340】
多重特異性抗体構築物には、例えば二重特異性および三重特異性抗体構築物、または4つ以上(例えば4つ、5つ...)の特異性を有する構築物が含まれる。多重特異性抗体構築物の例は、例えばWO 2006/125668、WO 2015/158636、WO 2017/064221、WO 2019/175368、WO 2019/198051、WO 2020/043670、WO 2021/130383、およびEllwangerら(MAbs.2019 Jul;11(5):899-918)に掲載されている。
【0341】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、CD16(FcγRIII)に特異的に結合する第1結合ドメインとCD30に特異的に結合する第2結合ドメインとを含む二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0342】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは二重特異性エンゲージャーである。いくつかの態様において、二重特異性エンゲージャーはCD16結合ドメインとCD30結合ドメインとを含む。
【0343】
いくつかの態様において、CD16結合ドメインは、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)と、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)とを含む。
【0344】
いくつかの態様において、CD16結合ドメインは、SEQ ID NO:20に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、軽鎖可変(VL)領域と、SEQ ID NO:19に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0345】
いくつかの態様において、CD16結合ドメインは、SEQ ID NO:20を含む、またはそれからなる、軽鎖可変(VL)領域と、SEQ ID NO:19を含む、またはそれからなる、重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0346】
いくつかの態様において、CD30結合ドメインは、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、SEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)と、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む重鎖可変ドメイン(VH_CD30)とを含む。
【0347】
いくつかの態様において、CD30結合ドメインは、SEQ ID NO:22に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、軽鎖可変(VL)領域と、SEQ ID NO:21に対して、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するかまたは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0348】
いくつかの態様において、CD30結合ドメインは、SEQ ID NO:22を含む軽鎖可変(VL)領域と、SEQ ID NO:21を含む重鎖可変(VH)領域とを含む。
【0349】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは四価ホモ二量体である。いくつかの態様において、四価ホモ二量体は、それぞれが、N末からC末に向かって、CD16A重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)-第1リンカー(L1)-CD30軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)-第2リンカー(L2)-CD30重鎖可変ドメイン(VH_CD30)-第3リンカー(L3)-およびCD16軽鎖可変ドメイン(VL_CD16)を含む、またはそれらからなる、第1ポリペプチド単量体と第2ポリペプチド単量体とを含む。いくつかの態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとは、Ig可変重鎖(VH)およびIg可変軽鎖(VL)中のドメインの非共有結合相互作用により、ヘッドトゥーテールに二量体化する。
【0350】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは四価ホモ二量体である。いくつかの態様において、四価ホモ二量体は、それぞれが、N末からC末に向かって、CD30重鎖可変ドメイン(VH_CD30)-第1リンカー(L1)-CD16A軽鎖可変ドメイン(VL_CD16A)-第2リンカー(L2)-CD16A重鎖可変ドメイン(VH_CD16A)-第3リンカー(L3)-およびCD30軽鎖可変ドメイン(VL_CD30)を含む、またはそれらからなる、第1ポリペプチド単量体と第2ポリペプチド単量体とを含む。いくつかの態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとは、Ig可変重鎖(VH)およびIg可変軽鎖(VL)中のドメインの非共有結合相互作用により、ヘッドトゥーテールに二量体化する。
【0351】
いくつかの態様において、VH_CD16は、SEQ ID NO:6を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:7を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:8を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む。いくつかの態様において、VH_CD16はSEQ ID NO:19を含むか、またはそれからなる。
【0352】
いくつかの態様において、VL_CD16は、SEQ ID NO:9を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:10を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、およびSEQ ID NO:11を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む。いくつかの態様において、VL_CD16AはSEQ ID NO:20を含むか、またはそれからなる。
【0353】
いくつかの態様において、VH_CD30は、SEQ ID NO:12を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、SEQ ID NO:13を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、およびSEQ ID NO:14を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む。いくつかの態様において、VH_CD30はSEQ ID NO:21を含むか、またはそれからなる。
【0354】
いくつかの態様において、VL_CD30は、SEQ ID NO:15を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、SEQ ID NO:16を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、およびSEQ ID NO:17を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含む。いくつかの態様において、VL_CD16AはSEQ ID NO:22を含むか、またはそれからなる。
【0355】
いくつかの態様において、L1はSEQ ID NO:26を含むか、またはそれからなる。
【0356】
いくつかの態様において、L2はSEQ ID NO:27を含むか、またはそれからなる。
【0357】
いくつかの態様において、L3はSEQ ID NO:28を含むか、またはそれからなる。
【0358】
いくつかの態様において、第1および第2ポリマー単量体は、それぞれSEQ ID NO:18を含むか、またはそれからなる。
【0359】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、タグ、例えばヒスチジンタグ、例えばヘキサ-ヒスチジンタグ(SEQ ID NO:25)を含む。
【0360】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーはAFM13である。例えば参照によりその全体が本明細書に組み入れられるWu et al.「AFF13:a first-in-class tetravalent bispecific anti-CD30/CD16A antibody for NK cell-mediated immunotherapy」J.Hemat&Oncol 8,96(2015)を参照されたい。また、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるReusch et al.「A Novel Tetravalent Bispecific TandAb(CD30/CD16A)efficiently recruits NK cells for the lysis of CD30+tumor cells」mAbs 6(3):727-38(2014)、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるRothe et al.「A Phase 1 Study fo the Bispecific Anti-CD30/CD16A Antibody Construct AFM13 in Patients with Relapsed or Refractory Hodgkin Lymphoma」Blood 125(26):4024-31(2015)も参照されたい。
【0361】
本明細書において使用される場合、「NK細胞受容体」という用語は、NK細胞表面上のタンパク質およびタンパク質複合体を規定する。したがって、この用語は、NK細胞に特有の細胞表面分子を規定するが、排他的にNK細胞表面上に発現する必要はなく、マクロファージやT細胞などの他の細胞上にも発現する。NK細胞受容体の例としては、FcγRIII(CD16a、CD16b)、NKp46およびNKG2Dが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0362】
本明細書において使用される場合、「CD16a」とは、NK細胞の細胞表面上に発現する活性化受容体CD16aを指し、これはFcγRIIIAとしても公知である。CD16aはNK細胞の細胞傷害活性をトリガーする活性化受容体である。CD16aに対する抗体のアフィニティは、NK細胞活性化をトリガーするそれらの能力と正に相関するので、CD16aに対するアフィニティが高ければ、活性化に必要な抗体用量が低減する。抗原結合タンパク質の抗原結合部位はCD16aに結合するが、CD16bには結合しない。例えば、CD16aには結合するがCD16Bには結合しない重鎖(VH)および軽鎖(VL)可変ドメインを含む抗原結合部位は、CD16bには存在しないCD16a(SEQ ID NO:24)のC末配列SFFPPGYQ(SEQ ID NO:23)のアミノ酸残基ならびに/または残基Gl30および/もしくはY141を含むCD16aのエピトープに特異的に結合する抗原結合部位によって提供されうる。
【0363】
本明細書において使用される場合、「CD16b」は、好中球および好酸球上に発現する受容体CD16bを指し、これはFcγRIIIBとしても公知である。この受容体は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型であり、CD16b陽性免疫細胞のいかなる種類の細胞傷害活性もトリガーしないと理解されている。
【0364】
本明細書において使用される場合、「標的細胞表面抗原」という用語は、細胞によって発現され、本明細書記載の抗体構築物にとって接近可能な形で細胞表面に存在する、抗原性構造を指す。場合により、本明細書記載の多重特異性抗体構築物が結合する「標的細胞表面抗原」は、CD30である。TNFRSF8としても公知であるCD30は、腫瘍壊死因子受容体ファミリーの細胞膜タンパク質であり、腫瘍マーカーでもある。
【0365】
本発明との関連において規定される抗体構築物が(少なくとも)二重特異性であることを考えると、それらは天然には存在せず、天然物とは著しく異なっている。したがって、「多重特異性」の抗体構築物または免疫グロブリンは、異なる特異性を持つ明確に異なる結合面を少なくとも2つは有する、人工的ハイブリッド抗体または免疫グロブリンである。多重特異性抗体構築物は、ハイブリドーマの融合またはFab'フラグメントの連結を含むさまざまな方法によって生産することができる。例えばSongsivilai&Lachmann,Clin.Exp.lmmunol.79:315-321(1990)を参照されたい。
【0366】
本開示の抗体構築物の前記少なくとも2つの結合ドメインおよび可変ドメイン(VH/VL)は、ペプチドリンカー(スペーサーまたはコネクターペプチド)を含んでもよいし、含まなくてもよい。いくつかの態様において、「ペプチドリンカー」という用語には、本明細書において規定される抗体構築物の、ある(可変および/または結合)ドメインのアミノ酸配列と別の(可変および/または結合)ドメインのアミノ酸配列とを互いに連結するアミノ酸配列が含まれる。ペプチドリンカーは、第3のドメインを、本明細書において規定される抗体構築物の別のドメインまたはFc部分に融合するためにも使用することができる。好ましくは、そのようなペプチドリンカーはいかなる重合活性も含まない。
【0367】
本明細書において使用される場合、「結合ドメイン」という用語は、(特異的に)、標的分子(抗原)上の、例えばそれぞれNK細胞受容体抗原、例えばCD16上、および標的細胞表面抗原CD30上の、所与の標的エピトープまたは所与の標的面に結合し/それと相互作用し/それを認識するドメインを特徴づける。第1結合ドメイン(例えばCD16を認識するもの)の構造および機能は、そして好ましくは、第2結合ドメイン(標的細胞表現抗原を認識するもの)の構造および/または機能も、例えば完全長免疫グロブリン分子または免疫グロブリン分子全体の、抗体の構造および/または機能に基づき、ならびに/または抗体もしくはそのフラグメントの可変重鎖(VH)および/もしくは可変軽鎖(VL)ドメインから引き出される。好ましくは、第1結合ドメインは、3つの軽鎖CDR(すなわちVL領域のCDR1、CDR2およびCDF3)および/または3つの重鎖CDR(すなわちVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3)の存在を特徴とする。第2結合ドメインも、好ましくは、標的結合を可能にする抗体の最小構造要件を含む。より好ましくは、第2結合ドメインは、少なくとも3つの軽鎖CDR(すなわちVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3)および/または3つの重鎖CDR(すなわちVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3)を含む。場合により、第1および/または第2結合ドメインは、既存の(モノクローナル)抗体からのCDR配列をスキャフォールドに移植することによってではなく、ファージディスプレイまたはライブラリースクリーニング法によって生産され、または取得されうる。
【0368】
いくつかの態様において、結合ドメインは1つまたは複数のポリペプチドの形態にある。そのようなポリペプチドは、タンパク質性部分と非タンパク質性部分(例えばグルタルアルデヒドなどの化学リンカーまたは化学架橋剤)とを含みうる。タンパク質(そのフラグメント、好ましくは生物学的に活性なフラグメント、およびペプチド、通常は30個未満のアミノ酸を有するものを含む)は、ペプチド共有結合を介して互いにカップリングされた2つまたは複数のアミノ酸を含む(結果としてアミノ酸の鎖を生じる)。
【0369】
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、通常は30個超のアミノ酸からなる、一群の分子をいう。ポリペプチドは、二量体、三量体およびさらに高次のオリゴマーなどといった多量体、すなわち2つ以上のポリペプチド分子からなるものを、さらに形成しうる。そのような二量体、三量体などを形成するポリペプチド分子同士は、同一であっても同一でなくてもよい。したがって、そのような多量体の対応する高次構造は、ホモ二量体またはヘテロ二量体、ホモ三量体またはヘテロ三量体などと呼ばれる。ヘテロ多量体の一例は抗体分子であり、これは、その天然型では、2つの同一軽鎖ポリペプチドと2つの同一重鎖ポリペプチドとからなる。「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、天然に修飾されたペプチド/ポリペプチド/タンパク質も指し、この場合、修飾は、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などのような翻訳後修飾による影響を受ける。「ペプチド」、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明細書において言及される場合は、PEG化などの化学修飾も受けうる。そのような修飾は当技術分野において周知であり、本明細書でも後述する。
【0370】
好ましくは、NK細胞受容体抗原、例えばCD16に結合する結合ドメイン、および/または標的細胞表面抗原CD30に結合する結合ドメインは、ヒト結合ドメイン、ヒト化結合ドメインまたはマウス由来のキメラ結合ドメインである。少なくとも1つのヒト結合ドメインを含む抗体および抗体構築物では、齧歯類(例えばマウス、ラット、ハムスターまたはウサギ)などの非ヒト可変および/または定常領域を有する抗体または抗体構築物に伴う問題の一部が回避される。そのような齧歯類由来タンパク質の存在は、その抗体または抗体構築物の迅速なクリアランスにつながりうるか、またはその抗体または抗体構築物に対する患者による免疫応答の生成につながりうる。齧歯類由来の抗体または抗体構築物の使用を避けるために、齧歯類動物が完全ヒト抗体を産生するようにヒト抗体機能を齧歯類動物に導入することによって、ヒトまたは完全ヒト抗体/抗体構築物を生成させることができる。
【0371】
いくつかの態様において、CD16Aに対するこの抗原結合部位はCD16Bには結合せず、公知のCD16AアロタイプF158およびV158には類似するアフィニティで結合する。ヒトCD16Aでは、IgGのヒンジ領域との相互作用にとって重要な158番目のアミノ酸を変化させる2つのアレル一塩基多型が確認されている。ホモ接合158F/Fアレルとヘテロ接合158V/Fアレルのアレル頻度はコーカサス人種集団内では類似しており、それぞれ35~52%または38~50%であるが、ホモ接合158V/Vアレルは10~15%にしか見いだされない(Lopez-Escamez JA et al.;BMC Med Genet 2011;12:2)。したがって、類似するアフィニティゆえの、この抗CD16Aドメインによるすべての患者におけるNK細胞の活性化は、有利である。CD16Aに結合するがCD16Bには結合しない重鎖および軽鎖可変ドメインを含むさらなるCD16A抗原結合部位は、WO 2006/125668に記載されている。
【0372】
いくつかの態様において、重鎖および軽鎖ドメインは、本明細書記載のCDRまたはフレームワーク配列の免疫学的に活性なホモログまたはバリアントを組み入れる。いくつかの態様において、CDRバリアント配列は、決定的でない残基または決定的でない領域中の残基を変化させるように修飾される。重要でないアミノ酸は、親和性成熟、CDRウォーキング変異導入、部位指定変異導入、結晶化、核磁気共鳴、光アフィニティラベリング、またはアラニンスキャニング変異導入などといった公知の方法によって特定することができる。
【0373】
IV. 薬学的組成物
本明細書では、本明細書記載のナチュラルキラー細胞を含む薬学的組成物および本明細書記載の薬学的組成物の投薬単位が提供される。
【0374】
場合により、投薬単位は、1億~15億個の細胞、例えば1億、2億、3億、4億、5億、6億、7億、8億、9億、10億、11億、12億、13億、14億、または15億個を含む。
【0375】
薬学的組成物は、典型的には、薬学的に許容される担体を含む。本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」という表現には、薬学的投与に適合する食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが包含される。
【0376】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、a)本明細書記載のナチュラルキラー細胞およびb)冷凍保存組成物を含む。
【0377】
適切な冷凍保存組成物は本明細書に記載する。
【0378】
いくつかの態様において、組成物は凍結される。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも3か月、例えば少なくとも6か月、少なくとも9か月、少なくとも12か月、少なくとも15か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、または少なくとも36か月は凍結されている。
【0379】
いくつかの態様において、少なくとも60%の、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のナチュラルキラー細胞は、融解された後に生存可能である。
【0380】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、a)本明細書記載の冷凍保存組成物およびb)治療細胞を含む。
【0381】
いくつかの態様において、治療細胞は動物細胞である。いくつかの態様において、治療細胞はヒト細胞である。
【0382】
いくつかの態様において、治療細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、好塩基球、好酸球、好中球、肥満細胞、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、およびそれらの組合せから選択される。
【0383】
いくつかの態様において、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、ナチュラルキラー細胞は、本明細書記載の方法によって拡大され、刺激される。
【0384】
いくつかの態様において、薬学的組成物はc)緩衝溶液をさらに含む。適切な緩衝溶液は、例えば冷凍保存組成物に関して、本明細書に記載する。
【0385】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、1×107または約1×107から、1×109または約1×109個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は1×108個の細胞/mLを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は約1×108個の細胞/mLを含む。
【0386】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーをさらに含む。
【0387】
薬学的組成物は、典型的には、意図したその投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(外用)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。
【0388】
適切な薬学敵組成物を製剤化する方法は当技術分野において公知である。例えば「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」第21版、2005、および「Drugs and the Pharmaceutical Sciences:a Series of Textbooks and Monographs」シリーズ(Dekker,NY)の書籍を参照されたい。例えば、非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液剤または懸濁剤は、以下の構成要素を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および張性を調節するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節することができる。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは多用量バイアルに封入することができる。
【0389】
注射剤としての使用に適した薬学的組成物としては、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液、および注射可能な滅菌溶液または懸濁液の即時調製のための滅菌粉末を挙げることができる。静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(商標)(BASF、ニュージャージー州パーシッパニー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合も、組成物は無菌でなければならず、通針性(syringability)を容易に確保できる程度には流動性を示すべきである。それは、製造条件下および貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール(polyetheylene glycol)など)、ならびに適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合は必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗細菌および抗真菌作用物質、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいだろう。注射可能な組成物の持続吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによって生じさせることができる。
【0390】
無菌の注射可能な溶液は、必要に応じて、上に列記した成分の1つまたは組合せと共に適当な溶媒中に必要とされる量で活性化合物を組み入れ、続いて濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散系は、基礎分散媒と上に列挙したものから選ばれる他の必要な成分とを含有する滅菌媒体に、活性化合物を組み入れることによって調製されうる。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と他の任意の望ましい成分との溶液を事前に滅菌濾過したものからそれらの粉末を与える、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0391】
V. 処置の方法
本明細書記載のNK細胞は、がんまたは他の増殖障害を処置するのに役立つ。
【0392】
したがって本明細書では、障害、例えばがん、例えばCD30+がん|に関連する障害を患っている患者を処置する方法であって、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞と、CD30標的化多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとを投与する工程を含む、方法も提供される。
【0393】
本明細書では、がん細胞またはがん細胞の集団の再発、成長、増殖、遊走および/または転移を防止し、低減しおよび/または阻害する必要がある対象において、がん細胞またはがん細胞の集団の再発、成長、増殖、遊走および/または転移を防止し、低減しおよび/または阻害する方法であって、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞と、CD30標的化多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとを投与する工程を含む、方法も提供される。
【0394】
本明細書では、がん治療に対する応答を増強し、改良しおよび/または増加させる必要がある対象において、がん治療に対する応答を増強し、改良しおよび/または増加させる方法であって、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞と、CD30標的化多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとを投与する工程を含む、方法も提供される。
【0395】
本明細書では、免疫系を誘導する必要がある対象において、免疫系を誘導するための方法であって、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞と、CD30標的化多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとを投与する工程を含む、方法も提供される。
【0396】
本明細書記載の方法には、異常なアポトーシス過程または分化過程に関連する障害、例えば細胞増殖障害または細胞分化障害、例えば固形腫瘍と造血器がんをどちらも含むがんを処置するための方法が含まれる。一般に、本方法は、本明細書記載の処置の治療有効量を、そのような処置を必要とする対象、またはそのような処置を必要としていると決定された対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本方法は、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞と、CD30標的化多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーとを含む処置の治療有効量を投与する工程を含む。
【0397】
本明細書において使用される場合、「処置」、「処置する」および「処置すること」という用語は、異常なアポトーシス過程または分化過程に関連する障害を逆転させ、緩和し、その開始を遅延させ、またはその進行を阻害することを指す。例えば処置は、腫瘍サイズまたは腫瘍成長速度の低減をもたらしうる。異常なアポトーシス過程または分化過程に関連する状態を処置するための治療有効量の本明細書記載の化合物の投与は、なかんずく腫瘍サイズの低減、成長速度の減少、再発のリスクもしくは頻度の低減、再発の遅延、転移の低減、生存率の増加、および/または罹病率および死亡率の減少をもたらすだろう。いくつかの態様において、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に投与されうる。別の態様において、処置は症状の非存在下で投与されうる。例えば処置は、罹患しやすい個体に症状の開始前に(例えば症状の履歴を考慮しておよび/または遺伝的もしくは他の罹患性因子を考慮して)投与されうる。処置は、症状が解消した後も、例えばそれらの再発を防止しまたは遅延させるために、継続されうる。
【0398】
本明細書において使用される場合、「阻害」という用語は、それががんおよび/またはがん細胞増殖に関するのであれば、がん細胞の成長、分裂、成熟もしくは生存能の阻害、および/またはがん細胞の死を、細胞傷害性、栄養素の枯渇、またはアポトーシスの誘導によって、個別に、または他のがん細胞と共に全体として、引き起こすことを指す。
【0399】
本明細書において使用される場合、疾患もしくは障害または1つもしくは複数の症状の発症を「遅延させる」とは、疾患、障害またはその症状の発症を延期する、邪魔する、遅くする、遅らせる、安定化するおよび/または先送りにすることを意味する。この遅延の時間的長さは、病歴および/または処置される対象に依存してさまざまでありうる。当業者には明らかであるとおり、十分な遅延または著しい遅延は、その対象がその疾患、障害またはその症状を発症しないという点で、防止を、事実上、包含することができる。例えば、がんの発症を「遅延させる」方法は、その方法を使用しない場合と比較した時の、与えられた時間枠における疾患発症の確率を低減し、および/または与えられた時間枠における疾患の程度を低減する方法である。そのような比較は統計的に有意な数の対象を使った臨床試験に基づきうる。
【0400】
本明細書において使用される場合、「防止する」または「防止すること」とは、疾患の臨床症状が発症しないように、疾患または障害の開始から保護するレジメンを指す。したがって「防止」は、疾患の兆候が対象において検出可能になる前および/または疾患が一定のステージに達する前の、対象への治療の施行(例えば治療物質の投与)(例えばまだ転移していないがんを持つ対象への治療物質の投与)に関する。対象は、疾患または障害を発症するリスクがある個体、または疾患進行、例えばがん転移のリスクがある個体でありうる。疾患または障害の発症または開始と関連することが公知である1つまたは複数のリスク因子を有する個体など。例えば個体はがんの発症または進行と関連する変異を有しうる。さらに、防止は、疾患または障害の開始からの完全な保護をもたらさなくてもよいと理解される。場合により、防止には、疾患または障害を発症するリスクを低減することが含まれる。リスクの低減は、疾患または障害を発症するリスクの完全な排除をもたらさなくてもよい。
【0401】
「増加した」または「増強された」量とは(例えば抗腫瘍応答、がん細胞転移に関して)、本明細書記載の量またはレベルの1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、もしくは50倍またはそれ以上(例えば100、500、1000倍)(中間にあって1を上回るすべての整数および小数点、例えば2.1、2.2、2.3、2.4倍などを含む)である増加を指す。これには、本明細書記載の量またはレベルの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、または少なくとも1000%の増加も含まれうる。
【0402】
「減少した」または「低減した」または「少ない」量とは(例えば腫瘍サイズ、がん細胞の増殖または成長に関して)、本明細書記載の量またはレベルの約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6 1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、もしくは50分の1またはそれ未満(例えば100、500、1000分の1)(中間にあって1を上回るすべての整数および小数点、例えば1.5、1.6、1.7.1.8分の1などを含む)である減少を指す。これには、本明細書記載の量またはレベルの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、または少なくとも1000%の減少も含まれうる。
【0403】
A. 障害
本明細書に開示される方法および製造される組成物は、細胞増殖性障害など、いくつかの障害を標的とするのに役立つ。本明細書におけるアプローチの利点は、同種異系細胞が、外因性抗体の標的となる特異的標的増殖細胞への外因性抗体投与と併用されることである。化学療法や放射線療法などの従来の療法とは異なり、本明細書におけるアプローチおよび薬学的組成物を使用することにより、増殖する細胞に無差別に影響を及ぼす可能性がある全身性の薬物または毒素を投与することなく、有害な増殖活性を呈する細胞を特異的に標的とすることができる。
【0404】
細胞増殖および/または分化障害の例としては、がん、例えば癌、肉腫、転移障害または造血新生物性障害、例えば白血病が挙げられる。転移性腫瘍は、限定するわけではないが前立腺、大腸、肺、乳房および肝臓起源のものなど、多数の原発腫瘍タイプから生じうる。
【0405】
本明細書において使用される場合、「がん」、「過剰増殖性」および「新生物性」という用語は、自律的に成長する能力を有する細胞、すなわち迅速に増殖する細胞成長を特徴とする異常な状態または病状を指す。過剰増殖性および新生物性疾患状態は、病的、すなわち疾患状態を特徴づけまたは構成すると分類される場合もあるし、非病的、すなわち正常な状態からの逸脱ではあるが疾患状態とは関連しないと分類される場合もある。この用語は、病理組織学的タイプまたは侵襲性のステージとは無関係に、あらゆるタイプのがん性の成長または発がん過程、転移性組織または悪性形質転換した細胞、組織もしくは器官を包含するものとする。悪性腫瘍成長を特徴とする疾患状態では「病的過剰増殖」細胞が存在する。非病的過剰増殖細胞の例としては、創傷治癒に関連する細胞の増殖が挙げられる。
【0406】
「がん」または「新生物」という用語には、さまざまな器官系の悪性疾患、例えば肺、乳房、甲状腺、リンパ系、胃腸および尿生殖路を冒すもの、ならびに大半の大腸がん、腎細胞癌、前立腺がんおよび/または精巣腫瘍などの悪性疾患を含む腺癌、肺の非小細胞癌、小腸のがん、および食道のがんが包含される。
【0407】
「癌」という用語は当技術分野において認識されており、呼吸器系癌、胃腸系癌、泌尿生殖器系癌、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系癌、および黒色腫を含む上皮組織または内分泌組織の悪性疾患を指す。いくつかの態様において、疾患は腎癌または黒色腫である。例示的な癌として、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、大腸および卵巣の組織から形成されるものが挙げられる。この用語には、癌肉腫、例えば癌性および肉腫性組織で構成される悪性腫瘍を含むものも包含される。「腺癌」とは、腺組織に由来する癌または腫瘍組織が認識可能な腺構造を形成する癌を指す。
【0408】
「肉腫」という用語は当技術分野において認識されており、間葉由来の悪性腫瘍を指す。
【0409】
増殖性障害のさらなる例として造血新生物性障害が挙げられる。本明細書において使用される場合、「造血新生物性障害」という用語には、造血系起源の過形成/新生物性細胞が関与する疾患、例えば骨髄系、リンパ系もしくは赤血球系、またはその前駆細胞から生じるものが包含される。好ましくは、疾患は、低分化急性白血病、例えば赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から生じる。さらなる例示的骨髄性障害としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267-97に総説がある)。リンパ系悪性疾患としては、B細胞系ALLおよびT細胞系ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびワルデンストレーム・マクログロブリン血症(WM)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。悪性リンパ腫のさらなる形態としては、非ホジキンリンパ腫およびそのバリアント、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード-シュテルンベルク病(Reed-Sternberg disease)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0410】
いくつかの態様において、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、典型的奇形様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド、心腫瘍、髄芽腫、胚細胞性腫瘍、原発性CNSリンパ腫、子宮頸がん、胆管癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌、胎性腫瘍、子宮内膜がん、脳室上衣腫、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞性腫瘍、性腺外胚細胞性腫瘍、眼がん(例えば眼内黒色腫または網膜芽細胞腫)、卵管がん、骨線維性組織球腫、骨肉腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞性腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞がん、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、腎臓(腎細胞)癌、ランゲルハンス細胞組織球症、咽頭がん、白血病、口唇・口腔がん、肝がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、小細胞肺がん、胸膜肺芽腫および気管気管支腫瘍)、リンパ腫、男性乳がん、骨悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移がん、転移頸部扁平上皮がん(metastatic squamous neck cancer)、正中線癌、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、骨髄増殖性新生物、鼻腔・副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、口唇・口腔がん、口咽頭がん、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、卵巣がん、膵がん、膵臓神経内分泌腫瘍、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻洞・鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠および乳がん(pregnancy and breast cancer)、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、再発がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫(例えば小児横紋筋肉腫、小児血管腫瘍、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫)、セザリー症候群、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、頸部扁平上皮がん(squamous neck cancer)、胃がん、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、鼻咽頭がん、口咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫(thryomoma)・胸腺癌、甲状腺がん、気管気管支腫瘍、腎盂および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、腟がん、血管腫瘍、外陰がん、およびウィルムス腫瘍からなる群より選択される。
【0411】
いくつかの態様において、がんは固形腫瘍である。
【0412】
いくつかの態様において、がんは転移性である。
【0413】
いくつかの態様において、がんはCD30+がんである。
【0414】
いくつかの態様において、CD30+がんはリンパ腫である。いくつかの態様において、リンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫(CHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、グレーゾーンリンパ腫(GZL)、エプスタイン・バー・ウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(EBV+DLBCL)、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0415】
いくつかの態様において、がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞性非ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、CD30+B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、および白血病からなる群より選択される。いくつかの態様において、患者は再発疾患を有する。いくつかの態様において、患者は、以前の治療的介入に対して不応性である。
【0416】
いくつかの態様において、障害は、再発性または難治性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)である。
【0417】
いくつかの態様において、障害は、再発性または難治性末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)である。いくつかの態様において、PTCLは、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性、および未分化大細胞リンパ腫ALK陰性からなる群より選択されるPTCLサブタイプである。
【0418】
B. 患者
本明細書における組成物および方法に適した患者には、細胞増殖および/または分化障害、例えばがんを患っているか、そのように診断されたか、またはそれを有すると疑われる患者が含まれる。本開示の技術の対象となる患者は、一般に、本明細書における方法および組成物によりよく応答する。その理由の一つは、本薬学的組成物は同種異系であり、増殖細胞全般を標的とするのではなく、標的細胞は抗体によって特定されるからである。結果として、オフターゲットインパクトは少なく、患者は実質的に有害なオフターゲット効果を伴うことなく処置レジメンを完了する可能性が高くなる。
【0419】
いくつかの態様において、本明細書において提供される処置の方法は、細胞増殖および/または分化障害、例えばがんと診断されるか、またはそれを有すると疑われる対象(例えばヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス)を処置するために使用されうる。いくつかの態様において、対象は哺乳動物である。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0420】
本明細書において使用される場合、対象とは、例えばヒトを含む哺乳動物を指す。
【0421】
いくつかの態様において、哺乳動物は、アルマジロ、ロバ、コウモリ、クマ、ビーバー、ネコ、チンパンジー、雌ウシ、コヨーテ、シカ、イヌ、イルカ、ゾウ、キツネ、パンダ、テナガザル、キリン、ヤギ、ホリネズミ、ハリネズミ、カバ、ウマ、ザトウクジラ、ジャガー、カンガルー、コアラ、ヒョウ、ライオン、リャマ、オオヤマネコ、モグラ、サル、マウス、イッカク、オランウータン、シャチ、カワウソ、雄ウシ、ブタ、ホッキョクグマ、ヤマアラシ、ピューマ、ウサギ、アライグマ、ラット、サイ、ヒツジ、リス、トラ、セイウチ、イタチ、オオカミ、シマウマ、ヤギ、ウマ、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0422】
いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。
【0423】
対象、例えばヒト対象は小児、例えば0もしくは約0から、14もしくは約14歳であることができる。対象は青年、例えば15もしくは約15から、24もしくは約24歳であることができる。対象は成人、例えば25もしくは約25から、64もしくは約64歳であることができる。対象は高齢者、例えば65+歳であることができる。
【0424】
いくつかの態様において、対象は、細胞増殖および/または分化障害、例えばがん、例えば腫瘍に関連する1つまたは複数の症状を呈するヒトでありうる。本明細書において提供される処置の方法は、さまざまなステージにあるがんを処置するために使用しうる。例えばがんステージには、早期、進行型、局所進行型、寛解、難治性、寛解後の再発、および進行性が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、対象はがんの早期ステージにある。別の態様において、対象はがんの進行型ステージにある。さまざまな態様において、対象は、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVのがんを有する。本明細書記載の処置方法は、腫瘍の低減または退縮を促進し、腫瘍成長またはがん細胞増殖を減少させまたは阻害し、および/または腫瘍細胞死滅を誘導し、増加させ、もしくは促進することができる。いくつかの態様において、対象はがん寛解期にある。本明細書記載の処置方法は、がんの転移または再発を防止しまたは遅延させることができる。
【0425】
いくつかの態様において、対象は、診断された、またはまだ診断されていない、細胞増殖および/または分化障害、例えばがんを発症するリスクがあるか、または遺伝的もしくは他の素因(例えばリスク因子)を有する。
【0426】
本明細書において使用される場合、「アットリスク」個体(“at risk” individual)とは、処置されるべき状態、例えば細胞増殖および/または分化障害、例えばがんを発症するリスクがある個体をいう。一般に「アットリスク」対象は、検出可能な疾患を有しても有しなくてもよく、本明細書記載の処置方法に先立って、検出可能な疾患を呈していても呈していなくてもよい。「アットリスク(リスクがある)」とは、ある個体が、ある疾患または状態と相関する当技術分野において公知の測定可能なパラメータである1つまたは複数のいわゆるリスク因子を有することを表す。例えば、アットリスク対象は、がんの発症と相関する測定可能なパラメータである1つまたは複数のリスク因子を有しうる。これらのリスク因子のうちの1つまたは複数を有する対象は、これらのリスク因子を持たない個体よりも、がんを発症する確率が高い。一般に、リスク因子には、例えば年齢、性別、人種、食事、既往歴、前駆疾患の存在、遺伝学的(例えば遺伝性の)考慮事項、および環境ばく露が含まれうる。いくつかの態様において、がんのリスクがある対象には、例えばその疾患を起こしたことがある親族を有する者、および遺伝子マーカーまたは生化学マーカーの分析によってそのリスクが決定された者が含まれる。
【0427】
加えて、対象は、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術、またはそれらの組合せなどといった、1つまたは複数の標準療法を受けていてもよい。したがって、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術またはそれらの組合せを投与・施行する前、またはその間、またはその後に、1つまたは複数のキナーゼ阻害薬が投与されうる。
【0428】
一定の態様において、対象は、(i)少なくとも1つの化学療法処置に対して実質的に不応性であるか、もしくは(ii)化学療法による処置後に再発中であるか、または(i)と(ii)の両方であるヒトでありうる。一部の態様において、対象は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法処置(標準的または実験的化学療法を含む)に対して不応性である。
【0429】
いくつかの態様において、対象は、抗CD30抗体による処置後に再発したか、または抗CD30抗体に対して不応性である。いくつかの態様において、抗CD30抗体はブレンツキシマブベドチン(brentuximab bedotin)である。
【0430】
いくつかの態様において、対象は、自家幹細胞移植またはキメラ抗原受容体T細胞治療(CAR-T)による処置後に疾患進行を来たしている。
【0431】
いくつかの態様において、患者は、CD30+がんと診断されるか、またはCD30+がんと診断されている。
【0432】
いくつかの態様において、患者は、がんの生検または外科手術検体の免疫組織化学的染色によって、CD30+がんと診断されるか、またはCD30+がんと診断されている。いくつかの態様において、患者は、発色インサイチューハイブリダイゼーションによって、CD30+がんと診断されるか、またはCD30+がんと診断されている。いくつかの態様において、患者は、がんの生検または外科手術検体の蛍光インサイチューハイブリダイゼーションによって、CD30+がんと診断されるか、またはCD30+がんと診断されている。いくつかの態様において、患者は、遺伝子解析によって、CD30+がんと診断されるか、またはCD30+がんと診断されている。
【0433】
いくつかの態様において、患者は、CD30阻害薬による処置に対して不応性であるか、またはCD30阻害薬による処置後に再発している。
【0434】
いくつかの態様において、患者は、化学療法薬による処置に対して不応性であるか、または化学療法薬による処置後に再発している。
【0435】
いくつかの態様において、化学療法薬は、シスプラチン、ドセタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン、ペメトレキセド、またはそれらの組合せからなる群より選択される。
【0436】
いくつかの態様において、患者は、チロシンキナーゼ阻害薬による処置に対して不応性であるか、またはチロシンキナーゼ阻害薬による処置後に再発している。いくつかの態様において、チロシンキナーゼ阻害薬は、ゲフィチニブ、エルロンチニブ(erlontinib)、アファチニブ、オシメルチニブ、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0437】
いくつかの態様において、患者は、再発性または難治性古典的ホジキンリンパ腫を有し、1ラインの先行併用化学療法を含む少なくとも2ラインの治療を受けている。いくつかの態様において、先行治療は、ブレンツキシマブベドチンおよびチェックポイント阻害薬を含む。
【0438】
いくつかの態様において、患者は再発性または難治性末梢性T細胞リンパ腫を有し、少なくとも1ラインの先行併用治療を受けている。いくつかの態様において、先行治療はブレンツキシマブベドチンを含む。いくつかの態様において、患者は、再発性または難治性末梢性T細胞リンパ腫を有し、かつブレンツキシマブベドチンに対して不耐容であるかまたは不耐容であったことがある。
【0439】
C. リンパ球除去
いくつかの態様において、患者は、処置前にリンパ球除去を受ける。
【0440】
例示的リンパ球除去化学療法レジメンは、関連する有益なバイオマーカーと共に、WO 2016/191756およびWO 2019/079564に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。一定の態様において、リンパ球除去化学療法レジメンは、シクロホスファミドの用量(200mg/m2/日~2000mg/m2/日)およびフルダラビンの用量(20mg/m2/日~900mg/m2/日)を患者に投与する工程を含む。
【0441】
いくつかの態様において、リンパ球除去は、250または約250から、約500mg/m2のシクロホスファミド、例えば250もしくは約250から、500もしくは約500まで、250、400、500、約250、約400、または約500mg/m2のシクロホスファミドの投与を含む。
【0442】
いくつかの態様において、リンパ球除去は、20または約20mg/m2/日~40または約40mg/m2/日のフルダラビン、例えば30または約30mg/m2/日の投与を含む。
【0443】
いくつかの態様において、リンパ球除去はシクロホスマミド(cyclophosmamide)とフルダラビンの両方の投与を含む。
【0444】
いくつかの態様において、患者は、シクロホスファミド(250mg/m2/日)およびフルダラビン(30mg/m2/日)の静脈内投与によるリンパ球除去を受ける。
【0445】
いくつかの態様において、患者は、シクロホスファミド(500mg/m2/日)およびフルダラビン(30mg/m2/日)の静脈内投与によるリンパ球除去を受ける。
【0446】
いくつかの態様において、リンパ球除去は、NK細胞の最初の投与に先立つ5日間以内に行われる。いくつかの態様において、リンパ球除去は、NK細胞の最初の投与に先立つ7日間以内に行われる。
【0447】
いくつかの態様において、リンパ球除去は、NK細胞の最初の投与の5日前から開始して3日連続して毎日(すなわち-5日目から-3日目まで)行われる。
【0448】
いくつかの態様において、リンパ球除去は-5日目、-4日目および-3日目に行われる。
【0449】
D. 投与
1. NK細胞
いくつかの態様において、NK細胞は、薬学的組成物、例えば本明細書記載の薬学的組成物の一部として、患者に投与される。細胞は、融解後に投与され、場合により、冷凍保存物質が即時投与に適合するのであれば、さらなる操作は何も行われることなく投与される。所与の個体に対して、処置レジメンは、多くの場合、共通のバッチまたはドナーから引き出されたNK細胞の複数アリコートまたは複数用量の経時的な投与を含む。
【0450】
いくつかの態様において、処置は、共通のバッチ、マスター細胞バンク、またはドナーから引き出されたNK細胞の用量(例えば本明細書記載のもの)の投与を含む。いくつかの態様において、処置は、異なるバッチ、マスター細胞バンク、またはドナーから引き出されたNK細胞の用量(例えば本明細書記載のもの)の投与を含む。例えば、第1ドナーから生産されたNK細胞を最初に投与された患者が第1ドナーから生産されたNK細胞に対して免疫原性を発達させるのであれば、その患者には、第2のドナーから生産されたNK細胞を投与することができる。
【0451】
NK細胞は、任意の適切な手段によって、例えばボーラス注入によって、または注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、サブコンジェクトバル注射(subconjectval injection)、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、眼球周囲注射、もしくは後部強膜近傍送達によって、投与することができる。いくつかの態様において、それらは、非経口投与、肺内投与および鼻腔内投与によって、ならびに局所的な処置のために望ましい場合は、病巣内投与によって、投与される。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が挙げられる。いくつかの態様において、所与の用量は、細胞の単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様において、所与の用量は、細胞の複数回のボーラス投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって、または細胞の持続注入投与によって、投与される。いくつかの態様において、細胞用量の投与または任意の追加治療、例えば多重特異性エンゲージャー治療、リンパ球除去治療、介入治療および/または併用治療の施行は、外来患者への送達によって実行される。
【0452】
養子細胞治療との関連において、所与の「用量」の投与には、所与の量または数の細胞の、単一組成物としての投与および/または単一の連続した投与、例えば単一の注射または持続注入としての投与が包含されうる。所与の「用量」には、指定された期間にわたる、例えば3日以内にわたる、複数の個別の組成物または注入で与えられる、所与の量または数の細胞の、分割用量としての投与、または複数の組成物として投与も包含されうる。このように用量は、状況により、単一時点に与えられまたは開始される、指定された数の細胞の、単回投与または連続的投与である。しかし、状況によっては、用量は、3日以下の期間にわたる複数回の注射または注入で、例えば3日もしくは2日にわたって1日1回、または1日での複数回の注入によって、投与される。
【0453】
いくつかの態様において、NK細胞は、100万または約100万個から、1千億または約1千億個の細胞数の範囲で、患者に投与される。いくつかの態様において、NK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞は、用量あたり5×106または約5×106から、1×109または約1×109個のNK細胞数で投与される。いくつかの態様において、NK細胞は、用量あたり5×106もしくは約5×106、1×107もしくは約1×107、3×107もしくは約3×107、1×108もしくは約1×108、3×108もしくは約3×108、または1×109もしくは約1×109個の細胞数で、投与される。いくつかの態様において、NK細胞は、用量あたり100万もしくは約100万から、200億もしくは約200億個の細胞数(例えば500万もしくは約500万個の細胞数、2500万もしくは約2500万個の細胞数、5000万もしくは約5000万個の細胞数、7500万もしくは約7500万個の細胞数、1億もしくは約1億個の細胞数、2億もしくは約2億個の細胞数、3億もしくは約3億個の細胞数、4億もしくは約4億個の細胞数、5億もしくは約5億個の細胞数、10億もしくは約10億個の細胞数、20億もしくは約20億個の細胞数、30億もしくは約30億個の細胞数、40億もしくは約40億個の細胞数、50億もしくは約50億個の細胞数、60億もしくは約60億個の細胞数、70億もしくは約70億個の細胞数、80億もしくは約80億個の細胞数、90億もしくは約90億個の細胞数、100億もしくは約100億個の細胞数、または前記の値の任意の2つによって画定される範囲)、1000万もしくは約1000万から、200億もしくは約200億個の細胞数(例えば2500万もしくは約2500万個の細胞数、5000万もしくは約5000万個の細胞数、7500万もしくは約7500万個の細胞数、1億もしくは約1億個の細胞数、2億もしくは約2億個の細胞数、3億もしくは約3億個の細胞数、4億もしくは約4億個の細胞数、5億もしくは約5億個の細胞数、10億もしくは約10億個の細胞数、20億もしくは約20億個の細胞数、30億もしくは約30億個の細胞数、40億もしくは約40億個の細胞数、50億もしくは約50億個の細胞数、60億もしくは約60億個の細胞数、70億もしくは約70億個の細胞数、80億もしくは約80億個の細胞数、90億もしくは約90億個の細胞数、100億もしくは約100億個の細胞数、200億もしくは約200億個の細胞数、または前記の値の任意の2つによって画定される範囲)、そして場合により、1億もしくは約1億個の細胞数から、500億もしくは約500億個の細胞数(例えば1億5000万もしくは約1億5000万個の細胞数、2億もしくは約2億個の細胞数、3億もしくは約3億個の細胞数、4億もしくは約4億個の細胞数、5億もしくは約5億個の細胞数、10億もしくは約10億個の細胞数、20億もしくは約20億個の細胞数、30億もしくは約30億個の細胞数、40億もしくは約40億個の細胞数、50億もしくは約50億個の細胞数、60億もしくは約60億個の細胞数、70億もしくは約70億個の細胞数、80億もしくは約80億個の細胞数、90億もしくは約90億個の細胞数、100億もしくは約100億個の細胞数、200億もしくは約200億個の細胞数、300億もしくは約300億個の細胞数、400億もしくは約400億個の細胞数)、またはこれらの範囲のいずれかの間にある任意の値で投与される。
【0454】
したがっていくつかの態様において、NK細胞は、用量あたり1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、もしくは9×106または約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、または9×106個の細胞、用量あたり1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、もしくは9×107または約1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、もしくは9×107個の細胞、用量あたり1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、もしくは9×108または約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、もしくは9×108個の細胞、用量あたり1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、もしくは9×109または約1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、もしくは9×109個の細胞、用量あたり1×1010もしくは2×1010または約1×1010もしくは2×1010個の細胞を含む用量で投与される。
【0455】
したがっていくつかの態様において、NK細胞は、用量あたり少なくとも1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、もしくは9×106または少なくとも約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、もしくは9×106個の細胞、用量あたり少なくとも1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、もしくは9×107または少なくとも約1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、もしくは9×107個の細胞、用量あたり少なくとも1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、もしくは9×108または少なくとも約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、もしくは9×108個の細胞、用量あたり少なくとも1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、もしくは9×109または少なくとも約1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、もしくは9×109細胞、または用量あたり少なくとも1×1010もしくは2×1010または少なくとも約1×1010もしくは2×1010個の細胞を含む用量で投与される。
【0456】
いくつかの態様において、細胞の用量は、細胞のフラット用量(flat dose)または細胞の固定用量(fixed dose)であって、患者の体表面積または体重に結び付けられていないか、またはそれに基づかない。
【0457】
いくつかの態様では、細胞の用量が、患者の体重に基づいて投与される。例えば、患者の体重1キログラムあたりの用量を決定することができる。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、1×108もしくは約1×108個の細胞/kg、例えば1.5×105もしくは約1.5×105個の細胞/kgから、1.5×107もしくは約1.5×107個の細胞/kg、または4×105もしくは約4×105個の細胞/kgから、4×106もしくは約4×106個の細胞/kgを含む。
【0458】
したがっていくつかの態様において、NK細胞は、1×105、1.5×105、2×105、2.5×105、3×105、3.5×105、4×105、4.5×105、5×105、5.5×105、6×105、6.5×105、7×105、7.5×105、8×105、8.5×105、9×105、もしくは9.5×105または約1×105、1.5×105、2×105、2.5×105、3×105、3.5×105、4×105、4.5×105、5×105、5.5×105、6×105、6.5×105、7×105、7.5×105、8×105、8.5×105、9×105、もしくは9.5×105個の細胞/kg、1×106、1.5×106、2×106、2.5×106、3×106、3.5×106、4×106、4.5×106、5×106、5.5×106、6×106、6.5×106、7×106、7.5×106、8×106、8.5×106、9×106、もしくは9.5×106個の細胞/kg、または1×107、1.5×107、2×107、2.5×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107もしくは約1×107、1.5×107、2×107、2.5×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107個の細胞/kg、または9.5×107個、または1×108、1.5×108、もしくは2×108または約1×108、1.5×108、もしくは2×108個の細胞/kgを含む用量で投与される。
【0459】
いくつかの態様において、NK細胞は、少なくとも1×105、1.5×105、2×105、2.5×105、3×105、3.5×105、4×105、4.5×105、5×105、5.5×105、6×105、6.5×105、7×105、7.5×105、8×105、8.5×105、9×105、もしくは9.5×105または少なくとも約1×105、1.5×105、2×105、2.5×105、3×105、3.5×105、4×105、4.5×105、5×105、5.5×105、6×105、6.5×105、7×105、7.5×105、8×105、8.5×105、9×105、もしくは9.5×105個の細胞/kg、少なくとも1×106、1.5×106、2×106、2.5×106、3×106、3.5×106、4×106、4.5×106、5×106、5.5×106、6×106、6.5×106、7×106、7.5×106、8×106、8.5×106、9×106、もしくは9.5×106または少なくとも約1×106、1.5×106、2×106、2.5×106、3×106、3.5×106、4×106、4.5×106、5×106、5.5×106、6×106、6.5×106、7×106、7.5×106、8×106、8.5×106、9×106、もしくは9.5×106個の細胞/kg、少なくとも1×107、1.5×107、2×107、2.5×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107または少なくとも約1×107、1.5×107、2×107、2.5×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107個の細胞/kg、または9.5×107個、または少なくとも1×108もしくは1.5×108または少なくとも約1×108もしくは1.5×108個の細胞/kgを含む用量で投与される。
【0460】
いくつかの態様において、細胞、例えばNK細胞の用量は、単回投与として対象に投与されるか、または2週間、1か月、3か月、6か月、1年もしくはそれ以上の期間内に1回だけ投与される。
【0461】
反復投与が可能であるということは、患者がその治療からより深いまたはより長期間にわたる奏効を得ることを可能にしうる。したがっていくつかの態様において、患者は、NK細胞の複数回の投与、例えば2回以上の投与または少なくとも1回の後続投与を受ける。いくつかの態様では、対象への投与が、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回行われる。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目の投与および3回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目、3回目および4回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目、3回目、4回目、および5回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目、3回目、4回目、5回目、および6回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目、3回目、4回目、5回目、6回目、および7回目の投与を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1回の後続投与は、2回目、3回目、4回目、5回目、6回目、7回目、および8回目の投与を含む。いくつかの態様において、患者には、奏効に基づく投薬(response-based dosing)を行うことができ、患者は、その間、患者にとっての利益が見いだされる限り、NK細胞治療の投与を受け続ける。投与の回数、および各投与時に投与される細胞の数を、個々の患者に合わせて調整することもできる。いくつかの態様では、1回または複数回の追加投与または後続投与において対象に投与される細胞の数は、1回目の投与と同じまたは類似する。したがって本明細書記載のNK細胞治療は、各患者自身の応答に基づき、その患者に合わせて調整することができる。場合により、患者がNK細胞治療から利益を引き出すことがもはやなくなれば、治療を終了することができる。場合により、患者が再発を起こせば、治療を再開することもできる。
【0462】
複数回の投与または反復投与を伴ういくつかの態様において、NK細胞は、週1回、2週に1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、5週ごとに1回、6週ごとに1回、7週ごとに1回、8週ごとに1回、9週ごとに1回、10週ごとに1回、11週ごとに1回、12週ごとに1回、13週ごとに1回、14週ごとに1回、15週ごとに1回、または16週ごとに1回、投与される。例えば患者は1回目の投与、2回目の投与、および3回目の投与を受けることができ、その場合、各投与は1週間間隔で行われる。いくつかの態様において、NK細胞は1か月に1回投与される。いくつかの態様において、NK細胞は2か月ごとまたは3か月ごとに1回投与される。いくつかの態様において、NK細胞は、3週または約3週にわたって投与される。いくつかの態様において、NK細胞は、4週または約4週にわたって投与される。いくつかの態様において、NK細胞は、8週または約8週にわたって投与される。
【0463】
いくつかの態様において、投与スケジュールは、治療の過程で変更することができる。したがって例えば、患者は、第1シリーズ(またはサイクル)の投与を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週ごとに受け、かつ第2シリーズの投与を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週ごとに受けることができ、第1シリーズの投与と第2シリーズの投与との間で、時間は異なる。いくつかの態様において、患者は、第1シリーズの投与では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回の投与を受け、かつ第2シリーズの投与では1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回の投与を受け、この場合、第1シリーズと第2シリーズにおける投与回数は同じであることも異なることもできる。したがって例えば患者は、第1シリーズの投与では隔週で投与される4回の投与を受け、第2シリーズの投与では12週ごとに投与される4回の投与を受けうる。
【0464】
いくつかの態様において、NK細胞は、9か月の間に1~4回、投与される。
【0465】
いくつかの態様において、NK細胞は、注入準備済みの培地、例えば静脈内投与に適した冷凍保存組成物、例えば本明細書記載のものに入れて、冷凍保存される。
【0466】
いくつかの態様において、NK細胞は、バイアル1本につき1×107または約1×107から、1×109または約1×109個の細胞が入っているバイアルで冷凍保存される。いくつかの態様において、NK細胞は単回用量が入っているバイアルで冷凍保存される。
【0467】
いくつかの態様において、細胞は、投与に先立って、例えば37℃の水中で融解される。
【0468】
いくつかの態様において、融解されたNK細胞のバイアルは、単一の投与容器、例えば投与バッグに、例えばバイアルアダプターと無菌シリンジを使って、無菌的に移される。NK細胞は、IV注入液として、Y型輸血/輸液セットフィルタを通して、重力により、容器から患者に投与することができる。
【0469】
いくつかの態様では、NK細胞が、融解後できるだけ速く、好ましくは90分未満で、例えば80、70、60、50、40、30、20、または10分未満で投与される。いくつかの態様において、NK細胞は融解から30分以内に投与される。
【0470】
いくつかの態様において、薬学的組成物はシリンジを介して静脈内に投与される。
【0471】
いくつかの態様において、1mL、4mL、または10mLの製剤が、シリンジを介して、患者に静脈内投与される。
【0472】
いくつかの態様において、患者には、NK細胞注入液を投与する前に、アセトアミノフェンが投与される。いくつかの態様において、患者には、100、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900、1000、1100、1200、1250、1300、1400、1500、1600、1700、1750、1800、1900、または2000mgのアセトアミノフェンが投与される。いくつかの態様において、アセトアミノフェンは、NK細胞の直前に患者に投与される。いくつかの態様において、アセトアミノフェンは、NK細胞の5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、110、120、150、または180分前に投与される。いくつかの態様において、アセトアミノフェンは経口投与される。
【0473】
いくつかの態様において、患者には、NK細胞注入液を投与する前に、ジフェンヒドラミンが投与される。いくつかの態様において、患者には、5、10、12.5、15、17.5、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、または100mgのジフェンヒドラミンが投与される。いくつかの態様において、ジフェンヒドラミンは、NK細胞の直前に患者に投与される。いくつかの態様において、ジフェンヒドラミンは、NK細胞の5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、110、120、150、または180分前に投与される。いくつかの態様において、アセトアミノフェンは経口投与される。
【0474】
いくつかの態様では、NK細胞の投与前および投与後の一定期間、患者がモニターされる。例えば患者のバイタルサインをモニターすることができる。それらには、温度、呼吸数、心拍数、血圧、およびパルスオキシメトリーによる酸素飽和度(SaO2)を含めることができる。場合により、少なくとも1つのバイタルサインの測定が、NK細胞投与の5、10、15 20、25、または30分前に開始される。NK細胞投与後は、少なくとも1つのバイタルサインを、1、2、3、4もしくは5時間にわたって継続的に、またはおよそ5、10、15、20、25、もしくは30分ごとなど、規則的なもしくは不規則な間隔で、モニターすることができる。場合により、バイタルサインは、NK細胞投与後、患者が安定状態になるまでモニターすることができる。
【0475】
2. 多重特異性エンゲージャー
いくつかの態様において、本明細書記載のNK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞を含む薬学的組成物は、多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャー、例えばCD30標的化多重特異性エンゲージャーと組み合わせて患者に投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、薬学的組成物の一部としてNK細胞と一緒に投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、NK細胞とは別に、例えば別の薬学的組成物の一部として、投与される。
【0476】
多重特異性エンゲージャーは、NK細胞の投与前、投与後、またはその投与と同時に、投与することができる。
【0477】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーはNK細胞の前に投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーはNK細胞の後に投与される。
【0478】
いくつかの態様において、NK細胞は多重特異性エンゲージャーが投与された翌日に投与される。
【0479】
いくつかの態様において、NK細胞は各投与時に投与され、一方、多重特異性エンゲージャーは、投与日のうちの一部において投与される。例えばいくつかの態様において、NK細胞は週に1回投与され、かつ多重特異性エンゲージャーは月に1回投与される。
【0480】
いくつかの態様では、ある用量の多重特異性エンゲージャーが、1回目の細胞投与前に与えられる。いくつかの態様では、減量用量(debulking dose)の多重特異性エンゲージャーが、1回目の細胞投与前に与えられる。
【0481】
いくつかの態様では、0.01または約0.01から、10mg/kg、例えば0.1~9、0.01~8、0.01~7、0.01~6、0.01~5、0.01~4、0.01~3、0.01~2、0.01~1.5、0.01~1、0.01~0.5、0.01~0.15、0.01~0.04、0.04~10、0.04~9、0.04~8、0.04~7、0.04~6、0.04~5、0.04~4、0.04~3、0.04~2、0.04~1.5、0.04~1、0.04~0.5、0.04~0.15、0.15~10、0.15~9、0.15~8、0.15~7、0.15~6、0.15~5、0.15~4、0.15~3、0.15~2、0.15~1.5、0.15~1、0.15~0.5、0.5~10、0.5~9、0.5~8、0.5~7、0.5~6、0.5~5、0.5~4、0.5~3、0.5~2、0.5~1.5、0.5~1、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、1~1.5、1.5~10、1.5~9、1.5~8、1.5~7、1.5~6、1.5~5、1.5~4、1.5~3、1.5~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、もしくは9~10mg/kg、または約0.1~9、0.01~8、0.01~7、0.01~6、0.01~5、0.01~4、0.01~3、0.01~2、0.01~1.5、0.01~1、0.01~0.5、0.01~0.15、0.01~0.04、0.04~10、0.04~9、0.04~8、0.04~7、0.04~6、0.04~5、0.04~4、0.04~3、0.04~2、0.04~1.5、0.04~1、0.04~0.5、0.04~0.15、0.15~10、0.15~9、0.15~8、0.15~7、0.15~6、0.15~5、0.15~4、0.15~3、0.15~2、0.15~1.5、0.15~1、0.15~0.5、0.5~10、0.5~9、0.5~8、0.5~7、0.5~6、0.5~5、0.5~4、0.5~3、0.5~2、0.5~1.5、0.5~1、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、1~1.5、1.5~10、1.5~9、1.5~8、1.5~7、1.5~6 1.5~5、1.5~4、1.5~3、1.5~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、もしくは9~10mg/kgの多重特異性エンゲージャーが、患者に投与される。
【0482】
いくつかの態様において、0.01mg/kg、0.04mg/kg、0.015mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、4.5mg/kg、もしくは7.0mg/kg、または約0.01mg/kg、0.04mg/kg、0.015mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、4.5mg/kg、もしくは7.0mg/kgの多重特異性エンゲージャーが、患者に投与される。
【0483】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーの用量は、100もしくは約100から、300もしくは約300mgまで、例えば100~275、100~250、100~225、100~200、100~175、100~150、100~125、125~300、125~275、125~250、125~225、125~200、125~175、125~150、150~300、150~275、150~250、150~225、150~200、150~175、175~300、175~275、175~250、175~225、175~200、200~300、200~275、200~250、200~225、225~300、225~275、225~250、250~275、もしくは275~300mg、または約100~275、100~250、100~225、100~200、100~175、100~150、100~125、125~300、125~275、125~250、125~225、125~200、125~175、125~150、150~300、150~275、150~250、150~225、150~200、150~175、175~300、175~275、175~250、175~225、175~200、200~300、200~275、200~250、200~225、225~300、225~275、225~250、250~275、もしくは275~300mgを含む。
【0484】
多重特異性エンゲージャーは、任意の適切な手段によって、例えばボーラス注入によって、または注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、サブコンジェクトバル注射(subconjectval injection)、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、眼球周囲注射、もしくは後部強膜近傍送達によって、投与することができる。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、非経口投与、肺内投与および鼻腔内投与によって、ならびに局所的な処置のために望ましい場合は、病巣内投与によって、投与される。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が挙げられる。いくつかの態様において、所与の用量は、多重特異性エンゲージャーの単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様において、所与の用量は、多重特異性エンゲージャーの複数回のボーラス投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって、または細胞の持続注入投与によって、投与される。
【0485】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーはNK細胞の投与前に投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーの投与は、NK細胞の投与を開始する少なくとも15、30、45、60、90、または120分前には完了している。いくつかの態様において、NK細胞は多重特異性エンゲージャーを投与する前に投与される。いくつかの態様において、NK細胞の投与は、多重特異性エンゲージャーの投与を開始する少なくとも15、30、45、60、90、または120分前には完了している。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、その用量が1、2、3、4、5、6、7、または8時間かけて投与されることになる速度で投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、その用量が4時間かけて投与されることになる速度で投与される。
【0486】
いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは6週にわたって週に1回投与され、かつNK細胞は4週にわたって週に1回投与される。いくつかの態様において、多重特異性エンゲージャーは、各サイクルの1、8、15、22、29、および36日目に4時間かけて200mg IV QWの固定用量で投与されることになる。いくつかの態様において、NK細胞は、各サイクルの1、8および15日目に、10億または40億個の細胞という用量で、投与されることになる。いくつかの態様において、患者には、1、2、3、4または5サイクルの治療が施行されることになる。いくつかの態様では、治療サイクル間に1、2、3、4または5週間の中断が設けられることになる。
【0487】
3. サイトカイン
いくつかの態様ではサイトカインが患者に投与される。
【0488】
いくつかの態様において、サイトカインは、薬学的組成物の一部としてNK細胞と一緒に投与される。いくつかの態様において、サイトカインは、NK細胞とは別に、例えば別の薬学的組成物の一部として、投与される。
【0489】
いくつかの態様において、サイトカインはIL-2である。
【0490】
いくつかの態様において、IL-2は皮下投与される。
【0491】
いくつかの態様において、IL-2は、NK細胞投与の終了に続いて、1~4または約1~約4時間後から投与される。いくつかの態様において、IL-2は、NK細胞投与が終了してから、少なくとも1時間後に投与される。いくつかの態様において、IL-2は、NK細胞投与が終了してから、4時間以内に投与される。いくつかの態様において、IL-2は、NK細胞投与が終了してから、少なくとも1時間後かつ4時間以内に投与される。
【0492】
いくつかの態様では、最大1000万IU/M2、例えば最大100万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万、または1000万IU/m2のIL-2が投与される。
【0493】
いくつかの態様では、100万もしくは約100万、200万もしくは約200万、300万もしくは約300万、400万もしくは約400万、500万もしくは約500万、600万もしくは約600万、700万もしくは約700万、800万もしくは約800万、900万もしくは約900万、1000万もしくは約1000万IU/M2のIL-2が投与される。
【0494】
いくつかの態様では、1×106または約1×106IU/M2のIL-2が投与される。いくつかの態様では、2×106または約2×106IU/M2のIL-2が投与される。
【0495】
いくつかの態様では、1×106IU/M2未満のIL-2が患者に投与される。
【0496】
いくつかの態様では、フラット用量のIL-2が患者に投与される。いくつかの態様では、600万IUまたは約600万IUのフラット用量が患者に投与される。
【0497】
いくつかの態様では、IL-2が患者に投与されない。
【0498】
4. 前処置
いくつかの態様において、患者には与薬による前処置が施される。いくつかの態様において、与薬は、H1アンタゴニスト、H2アンタゴニスト、アセトアミノフェン、予防的制吐薬、およびそれらの組合せからなる群より選択される。いくつかの態様において、H1アンタゴニストはジフェンヒドラミンである。いくつかの態様において、H2アンタゴニストはファモチジンである。
【0499】
E. 処置サイクルおよびレジメン
いくつかの態様において、本明細書記載のNK細胞および多重特異性エンゲージャーは、複数日にまたがる処置サイクルの一部として、患者に投与される。いくつかの態様において、NK細胞と多重特異性エンゲージャーは、1つまたは複数の処置サイクルを含む処置レジメンの一部として患者に投与される。
【0500】
いくつかの態様において、処置レジメンは、患者の障害(例えばCD30+がん)が進行するまで、または投薬が、NK細胞、多重特異性エンゲージャーもしくはその両方に対する患者の不耐性ゆえに中断されるまで、または患者が、NK細胞、多重特異性エンゲージャーもしくはその両方の毒性を経験するまで続く。
【0501】
いくつかの態様において、処置レジメンは、処置サイクル間に処置中断(例えばNK細胞または多重特異性エンゲージャーの投与が行われない期間)を含む。いくつかの態様において、処置中断は1~8週間、例えば1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~8、4~7、4~6、4~5、5~8、5~7、5~6、6~8、6~7、または7~8週間である。いくつかの態様において、処置中断は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8週間である。いくつかの態様において、処置中断は、1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、または約1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間である。
【0502】
いくつかの態様において、処置サイクルは2~60日間、例えば2~50、2~40、2~30、2~20、2~10、2~5、5~60、5~50、5~40、5~30、5~20、5~10、10~60、10~50、10~40、10~30、10~20、20~60、20~50、20~40、20~30、30~60、30~50、30~40、40~60、40~50、または50~60日間である。いくつかの態様において、処置サイクルは1~8週間(例えば1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~8、4~7、4~6、4~5、5~8、5~7、5~6、6~8、6~7、または7~8週間)である。いくつかの態様において、処置サイクルは1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、または約1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間である。
【0503】
いくつかの態様において、処置レジメンは1~5処置サイクル、例えば1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、または4~5処置サイクルを含む。いくつかの態様において、処置レジメンは、1、2、3、4、または5処置サイクルを含む。
【0504】
いくつかの態様において、処置レジメンの処置サイクルは同じである(例えば同じ投薬およびタイミングスケジュールに従う)。いくつかの態様において、処置レジメンの処置サイクルは異なる(例えば異なる投薬およびタイミングスケジュールに従う)。
【0505】
いくつかの態様において、処置サイクルは、多重特異性エンゲージャー、例えば本明細書記載の多重特異性エンゲージャーの複数回の投与、および/またはNK細胞、例えば本明細書記載のNK細胞の1回もしくは複数回の投与を含む。
【0506】
処置サイクルの一部として、NK細胞と多重特異性エンゲージャーの用量は、場合により、一緒に(例えば同時にまたは単一の処置日中に逐次的に)投与される。別の例では、NK細胞と多重特異性エンゲージャーとは別々に(例えば異なる処置日に)投与される。
【0507】
いくつかの態様において、処置サイクルは、処置サイクル全体に均等に配された処置日を含む。例えば、処置サイクルが6週間の長さ(またはその前後)であるなら、場合により、処置日は、1週間(またはその前後)ごとに設けられる。
【0508】
いくつかの態様において、処置サイクルは各処置日における多重特異性エンゲージャーの投与を含む。いくつかの態様において、処置サイクルは処置日の一部における多重特異性エンゲージャーの投与を含む。
【0509】
いくつかの態様において、処置サイクルは各処置日におけるNK細胞の投与を含む。いくつかの態様において、処置サイクルは処置日の一部におけるNK細胞の投与を含む。いくつかの態様において、NK細胞は、処置サイクルの前半においてのみ投与される。
【0510】
いくつかの態様において、処置サイクルは、サイトカイン、例えば本明細書記載のサイトカイン、例えばIL-2の投与を、さらに含む。いくつかの態様では、サイトカインが、NK細胞および/または多重特異性エンゲージャーと一緒に(例えばNK細胞および/または多重特異性エンゲージャーと同時にまたは逐次的に)投与される。別の例では、サイトカインおよびが、NK細胞および/または多重特異性エンゲージャーとは別に(例えば異なる処置日に)投与される。いくつかの態様において、サイトカイン(例えばIL-2)は、NK細胞が投与される日にのみ投与される。いくつかの態様において、サイトカイン(例えばIL-2)は、NK細胞が投与される各日に投与される。いくつかの態様において、サイトカイン(例えばIL-2)は、NK細胞が投与される日のすべてではなく一部において投与される。
【0511】
いくつかの態様において、処置サイクルは、処置サイクル全体にわたって均等な間隔(またはその前後)で(例えば6週間の処置サイクルの間、週に1回)、多重特異性エンゲージャーの用量を投与する工程と、処置サイクルの前半中に(例えば処置サイクルの前半中に多重特異性エンゲージャーと同じ処置日に)NK細胞を、任意でIL-2投与(例えば上述のとおり)と共に、投与する工程とを含む。したがって場合により、処置サイクルは、各処置日がNK細胞、多重特異性エンゲージャーおよびIL-2の投与を含む処置日(例えば6週間の処置サイクルのうちの最初の3週間に均等な間隔またはその前後で設けられた3日の、例えば1、8および15日目の、処置日)と、それに続いて、各処置日が多重特異性エンゲージャーだけの投与を含む処置日(例えば6週間の処置サイクルのうちの最後の3週間に均等な間隔またはその前後で設けられた3日の、例えば22、29および36日目の、処置日)とを含む。いくつかの態様において、処置レジメンは、この処置サイクルを最大3回(例えば1、2または3回)繰り返すことを含み、いくつかの態様では、処置レジメンは、各処置サイクルの間に(例えば2~4週間またはその前後の)処置中断を含む。いくつかの態様において、これらの処置サイクルのうち最初のサイクルは、最初の処置日に先立って(例えば最初の処置サイクルについてのみ、-3および-4日目またはその前後に)リンパ球除去を含む。いくつかの態様では、これらの処置サイクルのそれぞれが、最初の処置日に先立って(例えば各処置サイクルについて、-3および-4日目またはその前後に)リンパ球除去を含む。
【0512】
いくつかの態様において、処置サイクルは、リンパ球除去、例えば本明細書に記載するものを、さらに含む。いくつかの態様において、リンパ球除去は、当該サイクル中にNK細胞または多重特異性エンゲージャーのどの投薬にも先立って実行される。
【0513】
場合により、ある処置サイクルのためのリンパ球除去は、NK細胞または多重特異性エンゲージャーの任意の用量が投与される1~5日前、例えば1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、または4~5日前に実行される。場合により、ある処置サイクルのためのリンパ球除去は、ある処置サイクルについてNK細胞または多重特異性エンゲージャーの任意の用量が投与される1、2、3、4または5日前に実行される。
【0514】
場合により、処置レジメンは、それぞれがリンパ球除去を含む処置サイクルを含む。場合により、処置レジメンは、リンパ球除去を含むいくつかの処置サイクルと、リンパ球除去を含まないいくつかの処置サイクルとを含む。場合により、ある処置レジメンの最初の処置サイクルはリンパ球除去を含み、その処置レジメンのその後の処置サイクルはリンパ球除去を含まない。
【0515】
F. 投薬
「有効量」とは、有益な結果または所望の結果を達成するのに十分な量である。例えば治療量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、疾患または疾患状態の開始を防止するのに必要な量である予防有効量と、同じである場合も、異なる場合もある。有効量は、1回または複数回の投与、適用または投薬で投与することができる。治療化合物の治療有効量(すなわち有効投薬量)は、選択した治療化合物に依存する。組成物は、1日あたり1回または複数回~1週間あたり1回または複数回(2日ごとに1回を含む)、投与されるものであることができる。対象を効果的に処置するのに必要な投薬量およびタイミングをある一定の因子、例えば限定するわけではないが、疾患または障害の重症度、処置歴、全身の健康状態および/または対象の年齢、ならびに他の疾患の存在が左右しうることは、当業者には理解されるだろう。さらにまた、本明細書記載の治療化合物の治療有効量による対象の処置は、1回の処置または一連の処置を含むことができる。
【0516】
治療化合物の投薬量、毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物において、例えばLD50(集団の50%にとって致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための標準的な薬学的手順で決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療係数であり、これは比、LD50/ED50として表すことができる。高い治療係数を呈する化合物が好ましい。毒性副作用を呈する化合物も使用しうるものの、非感染細胞への潜在的損傷を最小限に抑え、それによって副作用を低減するために、そのような化合物を罹患組織の部位に向かわせる送達システムを設計するように、注意を払うべきである。
【0517】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用のための投薬量範囲を策定するのに使用することができる。そのような化合物の投薬量は、毒性をほとんどまたは全く伴わない、ED50を含む循環濃度の範囲内にありうる。投薬量は使用する剤形および利用する投与経路に応じてこの範囲内で変動しうる。本発明の方法において使用されるどの化合物についても、治療有効量は、まずは細胞培養アッセイから見積もることができる。細胞培養において決定されたIC50(すなわち症状の50%最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を得るために、動物モデルにおいて用量を策定しうる。そのような情報を使って、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定しうる。
【0518】
VI. バリアント
いくつかの態様において、本明細書記載の分子もしくはその構成要素、本明細書記載の融合タンパク質もしくはその構成要素、または本明細書記載のNK細胞遺伝子型は、例示的配列のアミノ酸配列(例えば本明細書において提供されるもの)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、90%、95%、98%、または100%同一であり、例えば、保存的変異などで置き換えられた例示的配列の残基の最大1%、2%、5%、10%、15%、または20%に、例えば本明細書記載の変異を含む相違、または本明細書記載の変異に加えてその他の相違を有する。好ましい態様において、バリアントは親の望ましい活性を保っている。
【0519】
2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するには、最適な比較のためにそれらの配列を整列させる(例えば最適な整列のために第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、非相同配列は比較目的では無視することができる)。リファレンス配列のうち、比較のために整列させる長さは、リファレンス配列の全長の少なくとも80%であり、いくつかの態様では、少なくとも90%または100%である。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1配列中のある位置が第2配列中の対応する位置と同じヌクレオチドで占められている場合、その分子はその位置において同一である(本明細書において使用される場合、核酸の「同一性」は、核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間のパーセント同一性は、それらの配列が共有する同一位置の数の関数であり、それら2つの配列の最適な配列のために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さが考慮される。
【0520】
対象ポリペプチドまたは対象核酸配列(すなわちクエリ)と第2のポリペプチドまたは核酸配列(すなわちターゲット)との間のパーセント同一性は、当技術分野における技量の範囲内であるさまざまな方法で、例えば公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えばSmith Watermanアライメント(Smith,T.F.and M.S.Waterman(1981)J Mol Biol 147:195-7);GeneMatcher Plus(商標)に組み入れられている「BestFit」(Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,482-489(1981))、Schwarz and Dayhof(1979)「Atlas of Protein Sequence and Structure」Dayhof,M.O.編,pp 353-358;BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool;(Altschul,S.F.,W.Gish,et al.(1990)J Mol Biol 215:403-10)、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTAL、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使って、決定される。加えて、当業者は、アライメントを測定するための適当なパラメータを、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要なあらゆるアルゴリズムを含めて、決定することができる。一般に、ターゲットタンパク質またはターゲット核酸に関して、比較の長さは、ターゲットの全長を含めて全長までの任意の長さ(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%)であることができる。本開示に関して、パーセント同一性はクエリ配列の全長に対する値である。
【0521】
本開示に関して、2つの配列の間の配列の比較とパーセント同一性の決定は、Blossum 62スコアリング行列を使用し、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4およびフレームシフトギャップペナルティ5で遂行することができる。
【0522】
保存的置換には、通例、以下のグループ内での置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。
【0523】
VII. 定義
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用される専門用語、表記ならびに他の技術的および科学的な用語および術語はすべて、特許請求される主題が属する技術分野の当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有するものとする。場合によっては、一般に理解されている意味を持つ用語を、明確な記述のためにかつ/またはすぐに参照できるように、本明細書において定義するが、そのような定義を本明細書に含めることは、必ずしも、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的相違を表すと解釈されるべきではない。
【0524】
本願全体を通して、さまざまな態様が範囲形式で呈示されうる。範囲形式での説明は、単に便宜上および簡潔な表現のためであると理解すべきであり、本開示の範囲に対する確固たる限定であると解釈してはならない。したがって、ある範囲の記載は、その範囲内の考えうる部分的範囲および個々の数値をすべて具体的に開示しているとみなすべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分的範囲、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば1、2、3、4、5、および6などを、具体的に開示しているとみなすべきである。これは範囲の幅とは無関係に適用される。
【0525】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上そうでないことが明らかである場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば「試料」(a sample)という用語には、複数の試料が、その混合物を含めて包含される。
【0526】
「決定する」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」、「アッセイする」、および「分析する」という用語は、測定の形態を指すために、本明細書では、多くの場合、相互可換的に使用される。これらの用語は、ある要素が存在するかどうかを決定すること(例えば検出)を包含する。これらの用語は、定量的、定性的または定量的かつ定性的決定を包含することができる。評価することは、相対的または絶対的であることができる。「~の存在を検出する」は、何かが存在するか存在しないかを決定することに加えて、文脈によっては、その存在量を決定することを包含することができる。
【0527】
「対象」、「個体」または「患者」という用語は、本明細書では、多くの場合、相互可換的に使用される。
【0528】
「インビボ」という用語は対象の体内で起こる事象を記述するために使用される。
【0529】
「エクスビボ」という用語は対象の体外で起こる事象を記述するために使用される。エクスビボアッセイは対象では実施されない。そうではなく、これは、対象からは独立した試料で実施される。試料で実施されるエクスビボアッセイの例は、「インビトロ」アッセイである。
【0530】
「インビトロ」という用語は、その材料が得られる生物学供給源から分離されるように実験用試薬を保持するための容器内に入れられた状態で起こる事象を記述するために使用される。インビトロアッセイは、生細胞または死細胞が使用される細胞ベースのアッセイを包含することができる。インビトロアッセイは、無傷の細胞が使用されない無細胞アッセイも包含することができる。
【0531】
本明細書において使用される場合、ある数字に関して「約」という用語は、その数字プラスまたはマイナスその数字の10%を指す。ある範囲に関して「約」という用語は、その範囲マイナスその最低値の10%およびプラスその最大値の10%を指す。
【0532】
本明細書において使用される場合、「緩衝溶液」という用語は、弱酸とその共役塩基との混合物またはその逆からなる水性溶液を指す。
【0533】
本明細書において使用される場合、「細胞培養培地」という用語は、細胞の成長および増殖のための不可欠な要素、例えば糖類、アミノ酸、種々の栄養素、無機物質などを含有する、インビトロでの細胞の成長および増殖のための混合物を指す。
【0534】
緩衝溶液は、本明細書において使用される場合、細胞培養培地ではない。
【0535】
本明細書において使用される場合、「バイオリアクター」という用語は、細胞培養に影響を及ぼす一連の条件、例えば溶存酸素濃度、溶存二酸化炭素濃度、pHおよび温度を持続的に制御することができる培養装置を指す。
【0536】
本明細書において使用する用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を増殖させる能力を有する核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターも、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれているベクターも包含する。本願の核酸分子またはポリヌクレオチドを送達するには、いくつかのベクターが適している。一定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示する能力を有する。そのようなベクターを本明細書では「発現ベクター」という。
【0537】
「機能的に連結される」という用語は、通常は物理的に連結されていて、互いに機能的な関係にある、2つ以上の核酸配列またはポリペプチド要素を指す。例えばプロモーターは、そのプロモーターがあるコード配列の転写または発現を開始しまたは調節することができるのであれば、コード配列に機能的に連結されており、その場合、コード配列はそのプロモーターの「制御下」にあると理解されるべきである。
【0538】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養」という用語は、相互可換的に使用され、外因性核酸が導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は「工学的に操作された細胞」、「形質転換体」および「形質転換細胞」を包含し、それらは、初代の工学的に操作された(例えば形質転換された)細胞と、継代数を問わずそこから派生する子孫とを包含する。子孫は、核酸内容物が親細胞と完全には同一でなくて、変異を含有してもよい。最初に形質転換された細胞において選別または選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異型子孫は、本明細書に包含される。
【0539】
適宜、宿主細胞には、本明細書記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、安定にまたは一過性にトランスフェクトすることができる。
【0540】
本明細書において使用されるセクション見出しには構成上の目的しかなく、記載されている主題を限定すると解釈してはならない。
【実施例】
【0541】
VIII. 実施例
以下の実施例は例示のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0542】
実施例1:既製NK細胞治療プラットフォーム
NK細胞を拡大し、刺激する方法の一例を
図1に示す。受容体CD16の抗アフィニティバリアント(158V/Vバリアント、例えばKoene et al.「FcγRIIIa-158V/F Polymorphism Influences the Binding of IgG by Natural Killer Cell FcgammaRIIIa,Independently of the FcgammaRIIIa-48L/R/H Phenotype」Blood 90:1109-14(1997)を参照されたい)とKIR-B遺伝子型(KIR受容体ファミリーのKIR Bアレル、例えばHsu et al.「The Killer Cell Immunoglobulin-Like Receptor(KIR)Genomic Region:Gene-Order,Haplotypes and Allelic Polymorphism」Immunological Review 190:40-52(2002)およびPyo et al.「Different Patterns of Evolution in the Centromeric and Telomeric Regions of Group A and B Haplotypes of the Human Killer Cell Ig-like Receptor Locus」PLoS One 5:e15115(2010)を参照されたい)とを有する単一単位のFDA認可凍結臍帯血を、NK細胞の供給源として選択した。
【0543】
その臍帯血単位を融解し、凍結培地を遠心分離によって取り除いた。次に、QuadroMACS細胞選択システム(Miltenyi)とCD3(T細胞)マイクロビーズ(MicroBeads)とを使って、その細胞調製物からT細胞を除去した。6×10
8個の総有核細胞(TNC)の集団をマイクロビーズで標識し、QuadroMACSデバイスおよび緩衝液を使って分離した。T細胞の除去後に、主として単球とNK細胞である残存細胞を、洗浄し、抗生物質不含培地(CellgroSCGM)に収集した。次に、その細胞調製物を総有核細胞カウント、生存率、および%CD3+細胞について評価した。
図1に示すように、臍帯血NK細胞からCD3を除去した。
【0544】
CD3-細胞調製物を、成長培地が入っているガス透過性細胞拡大バッグ(cell expansion bag)に接種した。マスター細胞バンク(MCB)生産のための拡大を増強するために、細胞を、複製能のない工学的に操作されたHuT-78(eHUT-78)フィーダー細胞と共培養した。CellgroSCGM成長培地に、最初は、10ng/mLの抗CD3抗体(OKT3)、ヒト血漿、グルタミン、およびIL-2を補足した。
【0545】
図1に示すように、NK細胞は、任意で、共培養工程のうちの1つにおいて、例えばCARをNK細胞に導入するために、例えばレンチウイルスベクターを使って、工学的に操作される。
【0546】
細胞を、5%CO2平衡空気(balanced air)環境下、37℃で12~16日間、静置培養としてインキュベートし、2~4日ごとに追加の培地交換を行った。培養が100倍超に拡大した後、培養細胞を回収し、次に凍結培地に懸濁し、冷凍バッグに充填した。この実施例では、共培養中に、バッグまたはバイアル1つあたり108個の細胞で、80個のバッグまたはバイアルが生産された。速度制御フリーザー(controlled rate freezer)を使って冷凍バッグを凍結し、気相液体窒素(LN2)タンクに-150℃未満で貯蔵した。FDA認可臍帯血単位から得られたこれらの冷凍保存NK細胞を、マスター細胞バンク(MCB)とした。
【0547】
製剤を生産するために、MCBからの凍結細胞のバッグを融解し、凍結培地を取り除いた。融解した細胞をディスポーザブル培養バッグに接種し、フィーダー細胞、例えばeHUT78フィーダー細胞と共培養することで、製剤を生産した。この実施例では、臍帯血1単位あたり数千ロットの製剤(例えば109細胞/バイアルで4,000~8,000個の冷凍バイアル)を生産するために、細胞が50Lバイオリアクターにおいて培養され、それが冷凍保存組成物と混合されて、冷凍バイアルなどの複数の貯蔵容器中で凍結される。この製剤は、直接注入に使用することができる既製の注入準備済み製品である。製剤の各ロットは、数百人~数千人の患者(例えば標的用量を 4×109個の細胞として、例えば100~1,000人の患者)に注入するために使用することができる。
【0548】
実施例2:フィーダー細胞拡大
一例として、適切なフィーダー細胞、例えばeHut-78細胞を凍結ストックから融解し、125mLフラスコにおいて、RPMI1640(Life Technologies)89% v/v、不活化ウシ胎仔血清(FBS)(Life Technologies)(10% v/v)およびグルタミン(hyclone)(2mM)中、37または約37℃および3~7または約3~7%CO2で、18~24または約18~24日間、拡大、培養した。2~3日ごとに細胞を125mL~2Lフラスコに分割した。細胞を遠心分離によって回収し、ガンマ照射した。回収され放射線照射された細胞を2mL冷凍バイアル中で冷凍保存培地(Cryostor CS10)と混合し、速度制御フリーザーにおいて、-90℃または約-90℃の最終温度まで5分ごとに約15℃の温度降下で凍結した後、液体窒素タンクまたはフリーザーに移して、最終温度を-150℃もしくは約-150℃とした。
【0549】
凍結後、細胞の生存率は元の細胞数(ここでは少なくとも1.0×108個の生存細胞/mL)の70%以上であり、85%以上の細胞がmTNF-αを発現し、85%以上の細胞がmbIL-21+を発現し、または85%以上の細胞が4-1BBLを発現した。
【0550】
実施例3:NK細胞の拡大と刺激
一例として、適切なNK細胞は、4-1BBL、膜結合型IL-21および変異型TNFアルファを発現するように形質導入されたHuT-78細胞(「eHut-78P細胞」)をフィーダー細胞として使用して、以下のように調製することができる。フィーダー細胞を1%(v/v)CellGro培地に懸濁し、ガンマ線照射装置で20,000cGyを照射する。37℃の静置培養において、ヒト血漿、グルタミン、IL-2およびOKT-3を含有するCellGro培地中、フィーダー細胞上で、シード細胞(例えばCD3除去PBMCまたはCD3除去臍帯血細胞)を成長させる。2~4日ごとに細胞を分割する。総培養期間は19日だった。NK細胞を遠心分離によって回収し、冷凍保存する。融解したNKは、リン酸緩衝食塩水(PBS 1×、FujiFilm Irvine)(50% v/v)、アルブミン(ヒト)(20% v/vのOctaPharmaアルブミン溶液、これは、≧96%がヒトアルブミンである200g/Lのタンパク質、130~160mmolのナトリウム、≦2mmolのカリウム、0.064~0.096mmol/g-タンパク質のN-アセチル-DL-トリプトファン、0.064~0.096mmol/g-タンパク質のカプリル酸、全量を1000mlにする水)、デキストラン40・デキストロース(Dextran 40 in Dextrose)(25% v/vのHospiraデキストラン40・デキストロース注射液、USP、これは、水中の10g/100mLのデキストラン40および5g/100mLのデキストロース水和物を含有する)およびジメチルスルホキシド(DMSO)(20℃で1.101g/cm3の密度を持つ5% v/vのAvantor DMSL溶液)からなる注入培地に入れて患者に投与される。
【0551】
いくつかの例では、シード細胞がCD3除去臍帯血細胞である。細胞画分からは、免疫磁気選択により、例えばCliniMACS T細胞除去セット((LS除去セット(162-01)Miltenyi Biotec)を使って、CD3細胞を除去することができる。
【0552】
好ましくは、F158にV/V多型を有するCD16(FcガンマRIIIa-158V/V遺伝子型)を発現するように臍帯血シード細胞が選択される(Musolino et al.2008 J Clin Oncol 26:1789)。好ましくは、臍帯血シード細胞はKIR-Bハプロタイプである。
【0553】
実施例4:NK細胞供給源としての臍帯血
NK細胞は末梢血リンパ球の5~15%を占める。従来、治療用のNK細胞の供給源としては、末梢血が使われてきた。しかし本明細書に示すように、臍帯血由来のNK細胞は、本明細書記載の培養系において、細胞の時期尚早な疲弊または老化を伴うことなく、末梢血由来の細胞よりほぼ10倍高い拡大能を有する。NK細胞表面での関心対象の受容体、例えば腫瘍細胞のエンゲージメント時にNK細胞の活性化に関与するものの発現は、末梢血NK細胞より臍帯血NK細胞の方が、ドナー間でより一貫しているようであった。本明細書記載の製造プロセスの使用は、臍帯血中のNK細胞を、ドナー非依存的に一貫して活性化して、結果、高度にスケーリングされた、活性かつ一貫したNK細胞製品をもたらした。
【0554】
図2に示すように、前臨床試験において、臍帯血由来NK細胞(CB-NK)は、培養下で拡大する能力が、末梢血由来NK細胞(PB-NK)よりも、およそ10倍高い。
図3に示すように、臍帯血由来製剤では、末梢血から生成したものと比較して腫瘍エンゲージングNK活性化免疫受容体の発現が高く、かつより一貫していた。
【0555】
実施例5:拡大されかつ刺激されたNK細胞表現型
一例において、臍帯血単位からのNK細胞は、実施例1記載の拡大および刺激プロセスに従い、eHut-78細胞を使って、拡大され、刺激される。
図4に示すように、結果として生じる拡大され刺激されたNK細胞の集団は、一貫して高いCD16(158V)活性化NK細胞受容体発現を有する。
【0556】
実施例6:AB-101
AB-101は、患者、例えばモノクローナル抗体またはNK細胞エンゲージャーで処置される患者におけるADCC抗腫瘍応答を増強するように設計された、エクスビボで拡大され活性化されたエフェクター細胞を含む、汎用既製冷凍保存同種異系臍帯血由来NK細胞治療製品である。AB-101は、Tリンパ球の除去によってNK細胞が濃縮されており、複製能のない工学的に操作されたT細胞フィーダー株と共に、IL-2および抗CD3抗体(OKT3)を補足して培養された、臍帯血由来単核球(CBMC)で構成される。
【0557】
AB-101は、治療用モノクローナル抗体(mAb)と組み合わせて血液腫瘍および固形腫瘍を処置するために特別に設計された、FDA認可臍帯血に由来する同種異系NK細胞である。AB-101製造プロセスは、以下の属性を持つNK細胞製品をもたらす。
・一貫したNK細胞プロファイル。抗体エンゲージングCD16および腫瘍抗原エンゲージング/活性化受容体、例えばNKG2D、NKp46、Nkp30およびNKp44の高い表面受容体発現。
・KIR-Bハプロタイプ。KIR-Bハプロタイプは、ハプロタイプ一致移植状況下での改良された臨床アウトカムおよび同種異系状況下での高い治療ポテンシャルと関連付けられている。
・CD16 F158V多型。mAb Fcドメインへの高アフィニティCD16 F158Vバリアントの結合は、増強された抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を助長すると認識されている。
・無改変NK細胞。遺伝子増強または遺伝子編集はAB-101製剤には必要なく、それらはAB-101製剤には含まれていない。
【0558】
AB-101の構成要素と組成を表6に列挙する。AB-101は、成熟NK細胞を示す自然細胞傷害性受容体NKp30およびNKp46を発現するNK細胞(CD16+、CD56+)で構成される。AB-101は無視できる程度のT細胞、B細胞およびマクロファージしか含有しない(≦0.2%CD3+、≦1.0%CD19+、≦1.0%CD14+)。AB-101の培養に使用された残存eHuT-78Pフィーダー細胞は製剤のうちの≦0.2%である。
【0559】
【0560】
初期安定性試験は、AB-101が液体窒素の気相において6か月までは安定であることを示している。6か月を超える製品安定性を評価するための長期安定性試験は、現在進行中であり、最新の安定性情報は、試験成績書に取り込まれることになる。
【0561】
AB-101製剤の製造は以下のキー工程で構成される(
図5):
・FDA認可臍帯血単位(Hemacord、BLA125937)の融解
・臍帯血単位(CBU)からの冷凍保存培地の除去
・FDA承認済み(FDA cleared)Vario MACS細胞選択システム(Miltenyi)を使ったCD3除去
・工学的に操作されたフィーダー細胞株(eHuT-78細胞)を使った、バッグにおける拡大および共培養
・AB-101マスター細胞バンク(およそ200バッグ)の検査および冷凍保存
・融解(単一のバッグ)、拡大、および工学的に操作されたHuT-78細胞との共培養
・バイオリアクターにおけるさらなる拡大
・回収および充填(1バイアルあたり1×10
9個のNK細胞)
・AB-101製剤(およそ150バイアル)の冷凍保存
・一貫性、純度、力価および安全性を決定するための広範な特性解析。
【0562】
表7に示すように、この製造プロセスは、極めて大量の高純度活性AB-101製剤NK細胞を、再現性よく生成する。データポイントは3つの独立した臍帯血単位から生成した製品を表す。
【0563】
【0564】
アイデンティティ(CD3-、CD56+)
CD3-、CD56+細胞の頻度を使ってAB-101製剤のアイデンティティを評価する。AB-101製剤の試料を融解し、染色緩衝液に再懸濁する。再懸濁した試料を、CD3+およびCD56+表面抗原に結合する蛍光色素標識抗体に加える。フローサイトメトリーを使って、製品アイデンティティの尺度として、CD3-、CD56+のパーセント細胞数(percent population)を決定する。
【0565】
アイデンティティ(CD56+、CD16+)
CD56+、CD16+細胞の頻度を使ってAB-101製剤のアイデンティティを評価する。AB-101製剤の試料を融解し、染色緩衝液に再懸濁する。再懸濁した試料を、CD56+およびCD16+表面抗原に結合する蛍光色素標識抗体に加える。フローサイトメトリーを使って、製品アイデンティティの尺度として、CD56+、CD16+のパーセント細胞数を決定する。
【0566】
純度(CD3+)
CD3+発現細胞の測定を使ってAB-101製剤の純度を評価する。CD3+発現細胞について製剤の純度を決定するためにフローサイトメトリー法を使用する。CD3+細胞のパーセント細胞数が製品純度の尺度として使用される。
【0567】
純度(CD14+)
CD14+発現細胞の測定を使ってAB-101製剤の純度を評価する。CD14+発現細胞について製剤の純度を決定するためにフローサイトメトリー法を使用する。CD14+細胞のパーセント細胞数が製品純度の尺度として使用される。
【0568】
純度(CD19+)
CD19+発現細胞の測定を使ってAB-101製剤の純度を評価する。CD19+発現細胞について製剤の純度を決定するためにフローサイトメトリー法を使用する。CD19+細胞のパーセント細胞数が製品純度の尺度として使用される。
【0569】
純度:残存eHuT-78P(残存eHuT-78P細胞)
AB-101製剤中の残存eHuT-78P細胞はフローサイトメトリー(FACS)によって測定される。FACSを使って、生CD3+4-1BBLhigh+eHuT-78Pを定量することにより、AB-101 DP中の残存eHuT-78を検出する。eHuT-78は皮膚Tリンパ球としてCD3を発現するHuT-78細胞株に由来するので、シングレット7-AADおよびCD3+4-1BBL+に順次ゲートをかけるFACSゲーティング戦略(
図1参照)を使用した。HuT-78細胞株に4-1BBリガンド(4-1BBL)、膜型腫瘍壊死因子a(mTNF-a)および膜結合型IL-21(mbIL-21)を形質導入した。これら3種の遺伝子を高発現するeHuT-78単一細胞を選択し、調査し、マスターおよびワーキング細胞バンクを順次樹立した。これら3種の遺伝子のうち、4-1BBLをFACSゲーティング戦略に利用した。なぜなら、これが、AB-101細胞バンクおよび最終製剤において最も高い発現を示したからである。
【0570】
力価(10:1 AB-101 DP細胞対K562細胞における細胞傷害性)
AB-101製剤の力価は、K562腫瘍細胞に対する細胞の細胞傷害能を評価することによって決定される。製剤の細胞傷害性は蛍光測定アッセイによって評価されるだろう。30μMカルセイン-AM(Molecular probe)を使って、K562腫瘍細胞を37℃で1時間染色する。製剤の試料と標識腫瘍細胞とを96ウェルプレート中、3つ一組にして、37℃および5%CO2で、遮光下に4時間、共培養した。自発的放出および最大放出を得るために、10%FBSまたは2%triton-X100を含有するRPMI1640培地を標的に加えた。バックグラウンド蛍光を決定するために、10%FBSまたは2%triton-X100を含有するRPMI1640培地を各ウェルに加える。蛍光の測定は、蛍光リーダーを使用し、励起波長485nmおよび蛍光波長535nmで行われる。パーセント特異的細胞傷害性は次式によって計算される。
力価(10:1 AB-101 DP細胞対Ramos細胞における細胞傷害性)
AB-101製剤の力価は、上述と同じ方法および計算を使って、Ramos腫瘍細胞に対する細胞の細胞傷害能を評価することによっても決定される。この試験についての仕様は現在決定されているところである。
【0571】
実施例7:AB-101表現型特性解析
AB-101の複数のバッチの純度と、抗体エンゲージングCD16ならびに活性化、抑制性およびケモカイン受容体の発現とを、フローサイトメトリーによって測定した。
【0572】
AB-101純度は細胞表面マーカーを使って測定した。AB-101バッチは、>99%のCD3-CD56+NK細胞ならびに<0.1%のCD3+、CD14+およびCD19+細胞を含むことが認められた。AB-101のCD16発現を測定した。95.11±2.51%のAB-101細胞がCD16+であり、CD16の平均およびメジアンMFIはそれぞれ15311±6186および13097±5592だった。NK細胞が種々のNK特異的な活性化および抑制性受容体を発現することは公知である。試験されたさまざまなAB-101バッチについて、>80%の細胞がCD16、NKG2A、NKG2D、CD94、NKp30、2B4、Tim-3、CD44を発現し、40~70%の細胞がNKp44、NKp46、DNAM-1を発現し、およそ30%の細胞がCD161およびCD96を発現し、15%の細胞がCXCR3を発現し、他の活性化抑制性受容体を発現する細胞は5%未満だった。
【0573】
製造プロセスの3つの異なる段階、すなわち臍帯血細胞CD3+細胞除去後、中間体としてのマスター細胞バンク(MCB)、およびAB-101最終製剤(DP)におけるNK細胞の表現型特徴を評価するために、この試験には、AB-101の2つのGMPバッチを含めた。CD3除去細胞、MCBおよびDPを、それぞれ、純度およびNK細胞受容体について測定した。その結果に基づいて、CBから最初に得られるNK細胞は、未熟なNK表現型を示すことがわかった。NK表現型は製造プロセス中に成熟した。MCB段階では、90%超の細胞が既に成熟NK細胞に見られる特徴的な表現型を発現しており、他の細胞タイプのマーカーは<0.1%だった。大半のNK細胞特異的受容体について、発現レベルは、CD3除去細胞からMCBを経て最終的にはDPに至る製造プロセス全体を通して、増加した。
【0574】
AB-101の純度は、NK細胞についてはCD3-CD56+細胞、T細胞についてはCD3+細胞、単球についてはCD14+細胞、そしてB細胞についてはCD19+細胞として表される。AB-101のバッチ合計9個を純度について測定した。結果は、CD3-CD56+細胞に関して99.27±0.59%(平均±SD)、CD3+細胞に関して0.02±0.03%、CD14+細胞に関して0.10±0.12%、そしてCD19+細胞に関して0.02±0.04%を示した(
図6)。したがって、AB-101は高純度のNK細胞で構成されること、そして不純物としての他のタイプの細胞はほとんど存在しないことが確認された。
【0575】
GMP条件下で製造されたCD3除去細胞、MCBおよびDPの純度の比較
AB-101の2つのGMPバッチを利用して、AB-101出発材料(CD3除去細胞)、中間体(マスター細胞バンク、MCB)および最終製剤(DP)の純度を評価した。CD3除去細胞画分中の細胞のうち50~60%はNK細胞であり、これらのパーセンテージは、MCBおよびDPでは90%超に増加した。CD14+細胞およびCD19+細胞はCD3除去細胞画分の20~30%を占めたが、これらの細胞のパーセンテージはMCBおよびDPでは0.1%未満まで減少し、AB-101 MCBおよびAB-101最終製剤の純度を示した(
図7、表8)。
【0576】
【0577】
GMP条件下で製造されたCD3除去細胞、MCBおよびDPのNK細胞受容体の比較
AB-101の2つのGMPバッチを利用して、AB-101出発材料(CD3除去細胞)、中間体(マスター細胞バンク、MCB)および最終製剤(DP)上のさまざまなNK細胞受容体の発現を評価した。AB-101出発材料(CD3除去細胞)と比較した場合、MCB、最終製剤は、いくつかのNK細胞および活性化受容体、例えばCD16、NKG2D、NKG2C、NKp30、NKp44、NKp46およびDNAM-1を、より高レベルに発現していることが観察された。CD57発現は、AB-101出発材料(CD3除去細胞)と比較すると、MCBおよび最終製剤では、低かった(
図8、表9)。全体として、データは、MCBおよびDPにおけるNK細胞活性化受容体の発現の増加を明らかにしており、これはAB-101が腫瘍に対して有効であることを示している。
【0578】
【0579】
結論
表面マーカー分析を使用することにより、AB-101製品のアイデンティティおよび純度ならびにバッチ間の一貫性が裏付けられた。さらに、NK特異的な活性化および抑制性細胞表面マーカーの広範な評価により、製造拡大プロセス後のAB-101製品の一貫したプロファイルが確証された。CB由来のNK細胞が、末梢血(PB)由来のNK細胞と比較して未熟な表現型、例えばNKG2Aの高発現およびNKG2C、CD62L、CD57、IL-2R、CD16、DNAM-1の低発現を有することは公知であり、未熟な表現型を持つCB由来のNK細胞が腫瘍細胞に対して低い細胞傷害性を呈することも公知である。本レポートのデータは、同種異系臍帯血(CB)由来のNK細胞製品であるAB-101が、高レベルの主要活性化受容体を発現することを明らかにしており、これは、腫瘍細胞に対する細胞傷害性がより高い可能性を示している。
【0580】
実施例8:AB-101の薬物動態および体内分布
NOD scidガンマ(NSG)マウスモデルを使って、AB-101の体内分布および薬物動態(PK)を決定した。媒体(PBS、デキストラン、アルブミン(ヒト)DMSO)およびAB-101細胞(0.5×107細胞/マウス、2×107細胞/マウス)を合計8回、静脈内投与(0.25mL/マウス)した。媒体群およびAB-101群の動物を最後の用量注入後、4時間、1、3、7、14および78日の時点で屠殺した(各時点につき、n=雄マウス3匹、n=雌マウス3匹)。
【0581】
AB-101は、投与4時間後から始まり、AB-101の最後の用量の投与の3日後(53日目)まで、主に高灌流組織(肺、脾臓、心臓および肝臓)と注射部位に検出された。最後の用量の投与の7日後(57日目)に、AB-101は、肺(6試料のうち3試料)、脾臓(6試料のうち5試料)および注射部位(6試料のうち5試料)に検出された。最後の用量の投与の14日後および28日後(それぞれ64日目および78日目)に、AB-101はそれぞれ2つおよび1つの注射部位試料に検出された。64日目および78日目において注射部位試料に観察された散発的出現と低濃度は、AB-101試験物の全身的持続性を示すものではないだろう。
【0582】
体内分布試験の結果は、インビボでのAB-101の分布が、静脈内投与経路と合致していること、およびこれらの細胞は長期持続能を欠き、投与7日後には組織クリアランスを認め、永続的生着の証拠がないことを示している。
【0583】
実施例9:AB-101の毒性
AB-101の非臨床毒性をNSGマウスのGLP試験で評価した。この試験は、AB-101の急性および遅発毒性プロファイルを評価するように設計された。この試験では、AB-101の2つの用量レベル、0.5×107および2×107細胞/匹を試験した。試験用量範囲案は、ファースト・イン・ヒューマン試験における投与が計画されている最高等価ヒト用量(用量あたり4×109細胞)よりも高い製品ばく露が送達されるように設計された。アロメトリックスケーリング(Nair 2016)によれば、患者の体重を70kgとして、0.5×107細胞/マウスは14×109細胞/ヒトに相当し、2×107細胞/マウスは56×109細胞/ヒトに相当した。AB-101を8週にわたって週に1回尾静脈から静脈内投与した。AB-101の急性毒性を8回目の投与(すなわち最後の投与)の3日後に評価した。遅発毒性は、8回目の投与後28日間の回復期間の最後に評価した。試験のインライフ部分では、生存、体重、臨床所見および触診を、各動物について記録した。肉眼的剖検、ならびに血液学的検査、臨床化学および病理組織学的分析のための試料収集を、すべての動物について、安楽死の時点で行った。
【0584】
各群は、両性での知見を評価すると共に、検出力の高い統計解析のために、雌雄それぞれ10匹ずつの合計20匹を含んだ。AB-101処置群との比較のために媒体処置対照群を含めた。処置バイアスを最小限に抑えるために、コンピュータによる(体重順(weight-ordered))ランダム化手法に基づいて動物を用量群に割り当て、雄と雌は別々にランダム化した。この試験では、GLPガイドラインを、データ報告に関するものを含めて遵守した。
【0585】
AB-101の投与に関して、評価したどの用量レベルでも、死亡および有害臨床所見は記録されなかった。気づいた軽微な臨床所見はいずれもマウスによくある所見であり、AB-101の投与に関係するとはみなされなかった。体重および臓器重量の変化は、用量群の間および異なる処置後評価日(急性毒性群については53日目、遅発毒性群については78日目)の間で同等であった。急性毒性群でも遅発毒性群でも、安楽死時に動物に認められた血液学的および臨床化学的パラメータまたは肉眼的剖検所見に、AB-101関連変化はなかった。個体間および平均臨床化学値間の変動はすべて、統計的有意性とは無関係に、生物学的変動および手順関連変動と矛盾がなく、散発性とみなされ、および/または無視できる大きさであったので、AB-101投与とは無関係と考えられた。AB-101に関連する顕微鏡所見はなかった。結論として、GLP毒性試験の結果は、2×107細胞/投与/匹までの反復投与では、NSGマウスにおけるAB-101の認容性が高いことを示している。
【0586】
実施例10:NK細胞の冷凍保存
図5に示すプロセスによってAB-101細胞を調製した。培養期間の最後に、Sartorius kSep(登録商標)400使い捨て自動遠心分離システム(Single-Use Automated Centrifugation System)(RCF)を使用し、相対遠心力800~1200g、60~120mL/分の流速で細胞を回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)で2回洗浄した。洗浄後に、AB-101細胞を(1)アルブミン(ヒト)、(2)デキストラン40、(3)DMSOおよび(4)PBSで、1×10
8細胞/mLのターゲット濃度になるように製剤化した(第1冷凍保存組成物例、表4)。次に、製剤化された懸濁液を、10mL AT-クローズド・バイアル(登録商標)に11mLのターゲット体積で充填した。充填されたバイアルを検査し、ラベルを貼付し、速度制御フリーザー中、≦-135℃で冷凍保存した。
【0587】
初回リリース試験データとして安定性試験を時刻=0で実行した。安定性貯蔵フリーザーは、バリデーションを受けた気相LN2貯蔵フリーザーであり、≦-135℃の温度を維持するように設定されている。無菌性時点(sterility timepoint)については、バッチサイズの10%またはバイアル4本のどちらか大きい方を試験した。臨床融解条件を模倣するために試験物は37℃で融解した。
【0588】
表10に示すように、冷凍保存AB-101の生存および活性は、少なくとも9か月は保たれることが示された。
【0589】
(表10)冷凍保存AB-101の長期生存能および活性
【0590】
投与直前のハンドリング中のAB-101の安定性特徴を理解するために、「ベッドサイド」短期安定性試験を行った。試料を融解し、10mLシリンジに移し、濾過し、内容物をファルコンチューブに保存し、表示のとおり所定の期間、その温度に維持した。次に、収集した製品を試験した。AB-101の2つのロットについて短期安定性データを表11に示す。
【0591】
【0592】
実施例11:KIR-BおよびCD16 158 v/vという基準で選択された臍帯血NK細胞は拡大後に低いCD38発現を呈する
AB-101細胞を生成させるために、KIR-BおよびCD16 158v/vという基準で選択された2人の異なる臍帯血ドナーを使って、実施例6で述べたようにNK細胞を拡大すると共に、選択されなかった1人のドナー(対照)からも同様にした。フローサイトメトリーによって測定された、結果として生じた細胞の純度(パーセントCD56+CD3-)を
図9に示す。
図10および
図11に示すように、CD38発現は、KIR-B/158 v/v NK細胞では、集団としても(パーセント陽性、
図10)、個別にも(陽性細胞の平均強度、
図11)、選択されなかったNK細胞と比べて低い。
【0593】
実施例12:AB-101の表面タンパク質発現
NK細胞を実施例6で述べたように拡大した。出発NK細胞供給源(CD56+/CD3-発現でゲートをかけた臍帯血、n=3)の表面タンパク質発現を、結果として生じる拡大されたNK細胞(n=16)と比較した。
図12に示すとおり、CD16発現は結果として生じる細胞において高く、出発細胞との比較で増加した。NKG2D、CD94、NKp30、NKp44、およびNKp46の発現も増加したが、CXCR4およびCD122の発現は減少した。
【0594】
実施例13:AB-101 NK細胞へのAFM13のプレロード
一例として、176億個のAB-101 NK細胞(V/VおよびKIR-Bという基準で選択された臍帯血由来の拡大されたNK細胞)(遠心分離および製剤化中の細胞損失を考慮して10%の割増量を含む)を回収時に採取し、実験室に移した。
【0595】
AFM13をAB-101細胞にプレロードするために、40億個の細胞を40mLの培養培地中、100μg/mLのAFM13の存在下、周囲温度で30分間インキュベートした後、各レプリケートを10mLの培養培地で2回洗浄し、40mLの凍結培地に再懸濁し、1mLずつに分けて冷凍保存した。このプレロードプロセスにより、細胞上のCD16A分子に結合した(細胞上のCD16A分子と事前に複合体を形成した)AFM13を持つAB-101 NK細胞が得られる。
【0596】
対照AB-101細胞については、80億個の細胞を80mLの凍結培地に再懸濁し、細胞を1mLずつに分けて凍結した。必要な細胞の総数は176億個だった。
【0597】
実施例14:AFM13およびAB-101 NK細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)
一例として、カルセイン標識Karpas-299標的細胞から細胞培養上清へのカルセインの放出を4時間後に定量することにより、インビトロでのAB-101 NK細胞による抗体媒介性標的細胞溶解を評価した。このアッセイは、1)前もって洗浄し、単独で冷凍保存されていた、事前に複合体を形成していない(空の)AB-101細胞(「非プレロード」条件)、2)条件1と同様の、ただし新鮮な(凍結されたことのない)AFM13と組み合わされた、「非プレロード」AB-101細胞(「非プレロード+新鮮過剰AFM13」条件)、および3)(実施例1に記載したように)AFM13をプレロードし、次に未結合のAFM13を取り除いてから(すなわち洗浄してから)冷凍保存した、AB-101細胞を使って実行した。アッセイに先立って、冷凍保存AB-101細胞を37℃で素早く融解し、2%FCSおよび0.6%クエン酸-デキストロース溶液を補足したPBS緩衝液で洗浄した。アッセイは、2つの異なる臍帯血単位(MCB1およびMCB2)に由来するAB-101細胞、それぞれn=3およびn=4で実行した。
【0598】
標的細胞を、FCSなしのRPMI1640中、37℃で30分間、10μMカルセインAMで標識した。穏やかに洗浄した後、カルセイン標識細胞を完全RPMI培地(すなわち10%h.i.FCS、2mM Lグルタミン、100U/mLペニシリンGナトリウム、100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを補足したRPMI1640培地)に1×105個/mLの密度で再懸濁した。次に、1×104個の標的細胞を丸底96ウェルマイクロタイタープレートの個々のウェルに播種し、別段の言及がある場合を除き、融解した空のまたはプレロードされたAB-101 NK細胞と、エフェクター対標的細胞(E:T)比を10:1から開始して2段階希釈で減少させつつ、混合した。表示がある場合は、10μg/mLのAFM13を、空のまたはプレロードされたAB-101 NK細胞の個々のウェルに、2つ一組として、総体積が200μL/ウェルになるように加えた。
【0599】
自発的カルセイン放出および最大放出を各プレート上で4つ一組にして決定した。自発的放出は、標的細胞をエフェクターNK細胞の非存在下かつAFM13の非存在下でインキュベートすることによって決定した。最大放出は、エフェクター細胞の非存在下かつ抗体の非存在下で、Triton X 100を最終濃度が1%になるように加えることによって達成された。200×gで2分間の遠心分離後に、5%CO2を含む湿潤雰囲気下、37℃で、マイクロタイタープレートを4時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、500×gで5分間の遠心分離後に100μLの無細胞細胞培養上清を各ウェルから回収し、ブラック丸底96ウェルマイクロタイタープレートに移した。放出されたカルセインの蛍光カウントを、マルチモードプレートリーダーを使って、520nmで測定した。特異的細胞溶解は次式に従って計算した:[蛍光(試料)-蛍光(自発)]/[蛍光(最大)-蛍光(自発)]×100%。式中、「蛍光(自発)」および「蛍光(最大)」は、それぞれ、エフェクター細胞および抗体が存在しない場合の蛍光、およびTriton X 100の添加によって誘導される蛍光と定義される。
【0600】
図13、
図14および
図15に示すように、AFM13と組み合わせたAB-101細胞のADCC活性は、AFM13を新しく加えた場合も、冷凍保存前にプレロードした場合も、AB-101単独と同等かそれ以上に強いADCC応答を呈した。
【0601】
実施例15:AFM13-プレロード冷凍保存AB-101 NK細胞による、冷凍保存後の、結合したAFM13の保持
AFM13-プレロード冷凍保存AB-101 NK細胞による、冷凍保存後の、結合したAFM13の保持(以下、占有という)を、フローサイトメトリーによって評価した。プレロード手順と冷凍保存後の融解は実施例14で述べたように行った。
【0602】
融解した空のまたはAFM13がプレロードされたAB-101 NK細胞を洗浄し、FACS緩衝液(すなわち2%FCSおよび0.1%アジ化ナトリウムを補足したPBS)に再懸濁し、2~4×10
5個の細胞を丸底96ウェルマイクロタイタープレートの個々のウェルに播種した。細胞を、FACS緩衝液に希釈したラット抗AFM13クローン7抗体(5μg/mL、Affimed GmbH)またはFACSのみと共に、暗所、4℃で30分間、インキュベートし、次に洗浄してから、ヤギ抗ラットFITC(1/100、Dianova)と共に、暗所、4℃で30分間、インキュベートした。最後に2回洗浄した後、細胞をCytoFlex Sフローサイトメーター(Beckman Coulter)で測定し、続いてFlowJoソフトウェアによる解析を行った。AFM13がプレロードされたAB-101細胞上のAFM13の陽性検出は、ヤギ抗ラットFITCのみによる染色との比較で、および空のAB-101細胞との対比で、決定した(
図16および
図17)。塗りつぶしたヒストグラムは抗AFM13+二次抗体を表し、中空のヒストグラムは二次抗体のみを表す。事前に複合体を形成させたAB-101細胞上の、結合したAFM13の蛍光強度は、AFM13と共に新たにインキュベートした空のAB-101細胞のそれと同じくらい高く、最大負荷/飽和を示した。
【0603】
最大負荷/飽和を評価するために、上述の染色手順に先立って、対照空および対照プレロードAB-101をまずAFM13(10μg/mL)と共に新たにインキュベートした。
【0604】
加えて、空のAB-101 NK細胞、AFM13-プレロードAB-101 NK細胞を、マウス抗ヒトCD16 BV421(クローン3G8、1/100、Biolegend)、マウス抗ヒトCD56 BV785(クローン5.1H11、1/100、Biolegend)と共にインキュベートし、対応する濃度一致マウスアイソタイプ対照(いずれもBiolegend製)と比較して解析した。
図18に示すように(左:MCB2;右:MCB1)、融解後のプレロード冷凍保存AB-101細胞上に、CD16発現が検出される。塗りつぶしたヒストグラムはCD16染色を表し、中空のヒストグラムはアイソタイプ対照抗体染色のみを表す。一様な高CD16発現に対する一様な高AFM13結合の検出は、AFM13によるCD16の結合の飽和を示唆している。
【0605】
実施例16:AFM13が媒介するNKフラトリサイドの検出
隣り合った2つのNK細胞上での2つのCD16分子の架橋またはCD30とCD16の架橋(AFM13によるもの)によって媒介される可能性があるNK-NK細胞溶解(すなわちNKフラトリサイド)を、自家非標識NK細胞と4時間共培養した後のカルセイン標識NK細胞から細胞培養上清へのカルセインの放出を定量することにより、インビトロで評価した。プレロード手順と冷凍保存後の融解は実施例14で述べたように行った。
【0606】
空のまたはプレロードされた標的AB-101 NK細胞を実施例14で述べたようにカルセインで標識した。次に5×104個の標的NK細胞を丸底96ウェルマイクロタイタープレートの個々のウェルに播種し、別段の言及がある場合を除き、空のまたはプレロードされたエフェクターAB-101 NK細胞と、1:1のE:T比で混合した。表示がある場合は、10μg/mLのAFM13を個々のウェルに、2つ一組として、総体積が200μL/ウェルになるように加えた。
【0607】
以下の条件を試験した:a)カルセイン標識AFM13-プレロード標的AB-101細胞と、AFM13-プレロードエフェクターAB-101細胞、b)空のカルセイン標識標的AB-101細胞と、空のエフェクターAB-101細胞、およびc)過剰量の(洗浄なし)AFM13が存在する状態での、空のカルセイン標識標的AB-101細胞と、空のエフェクターAB-101細胞。
図19(MCB2)および
図20(MCB1)に示すように、AFM13と組み合わせて使用したAB-101細胞は、AB-101細胞上の有意なCD30(およびCD16)発現にもかかわらず、プレロードされている場合も、新たに過剰量を添加した場合(「同時投与(co-admin)」)も、低レベルのNKフラトリサイドを呈した。対照的に、初代バフィーコート由来NK細胞では、AFM13は、用量依存的なNKフラトリサイドをもたらすことができる。
【0608】
実施例17:標的細胞に応答して起こる、AFM13-プレロード冷凍保存AB-101 NK細胞による、NK細胞活性化
NK細胞活性化をモニターするために、Karpas-299標的細胞株およびAFM13に応答して起こるCD107a(NK細胞脱顆粒のマーカー)および細胞内IFN-γ発現のアップレギュレーションを評価した。プレロード手順と冷凍保存後の融解は実施例14で述べたように行った。
【0609】
空の(陰性対照)およびプレロードされたAB-101 NK細胞、ならびにAB-101 NK細胞と0.5μg/mLの添加された(新しい)AFM13を、丸底96ウェルプレートにおいて、完全RPMI1640培地中、抗CD107a-FITC(1/100 v/v、クローンH4A3、Biolegend)およびGolgiPlug(1/1000 v/v、BD Bioscience)の存在下で、4時間、細胞比1:1(各5×10
4細胞)の腫瘍標的細胞と共培養するか、腫瘍標的細胞なしで培養した。細胞外CD107a+(
図21(MCB2)および
図22(MCB1))または細胞内IFNγ+NK細胞(
図23(MCB2)および
図24(MCB1))について陽性であるNK細胞のパーセンテージを、フローサイトメトリーによって決定した。フローサイトメトリー染色は実施例14で述べたように行った。
図21、
図22、
図23および
図24に示すように、AFM13-プレロード細胞と、AFM13を補足した空のAB-101細胞は、Karpas-299標的細胞に特異的に応答して、脱顆粒とIFN-γの産生の増加を呈し、一方、AFM13-プレロードAB-101細胞と、AFM13を補足した空のAB-101細胞は、標的細胞の非存在下では、有意な脱顆粒もIFN-γ発現も呈さなかった。
【0610】
実施例18:冷凍保存AFM13-プレロードAB-101の生存能
冷凍保存AFM-プレロードAB-101の生存能解析(冷凍保存無負荷細胞との比較)を融解後とさらなる24時間培養後に行った。
図25に示すように、2人の別々のドナーに由来するAB-101細胞の生存率は、融解後に80%超、融解後24時間で60%超だった。
【0611】
実施例19:AB-101と組み合わせたAFM13のインビボでの評価:hIL-15 NOGマウスにおけるKarpas-299/Luc細胞 i.v.
ヒト非ホジキンCD30陽性大細胞型リンパ腫細胞株Karpas-299は、NPM-ALK融合遺伝子を持つ、CD30陽性と分類されるT細胞非ホジキンリンパ腫(ALCL)患者の末梢血から樹立された。バイオルミネセンスイメージングのためにこの細胞株にルシフェラーゼ転写産物をトランスフェクトした。リンパ腫細胞株Karpas-299/Lucモデルを使ってAFM13と組み合わせたAB-101の効力を評価した。簡単に述べると、試験0日目に、hIL-15 NOGマウスに1.2Gyを照射し、続いてプロロイキン(proleukin)(IL-2)10,000IUを腹腔内(i.p.)投与した。照射の4時間後に、0.5×10
5または1×10
5個のKarpas-299/Luc細胞を動物に接種した。腫瘍接種の直後に、動物にAB-101のみ(1×10
7細胞)を、またはAB-101に続いてAFM13(10mg/kg)を、投与ごとに尾静脈を交互に使って、静脈内(i.v)投与した。IL-2 i.p.の補充は、2日ごとに継続し、AB-101とAFM13による処置は、3日ごとに合計6回継続し、同じ日に予定されている場合には、IL-2補充後に投与した(
図26、表12)。マウスのバイオルミネセンス(BLI)を、1日目から始めて毎週、撮像した。試験全体を通して体重および全身の健康状態を記録した。
【0612】
(表12)実験計画
*G~I群は、D~F群と同じで、E:T比200:1、0.5×10
5個のKarpas-299/Lucおよび1×10
7個のAB-101とした。
【0613】
0.5×10
5または1×10
5個のKarpas-299/Luc細胞の静脈内注射は、マウスにおける播種性のリンパ腫生着をもたらした。生着は、細胞のi.v.接種後、1日目に、BLIによって検出された。27日目には、一部のマウスが進行性リンパ腫成長を示し、それらを屠殺する必要があった。高用量のKarpas-299/Lucが投与された群(A~D群)では、さらなる進行性リンパ腫成長が、27日目から29日目まで観察された。残りの群は31日目までさらに追跡した。AB-101/AFM13処置群では、試験全体にわたるいくつかの時点で、対照群と比べて増強された抗腫瘍効力が観察された(
図27)。低用量Karpas-299/Luc群(G~I群)では、BLIの変動が、群間の比較で、どの特定日にも有意でなかった。
【0614】
剖検により、媒体対照群(AおよびB)のすべてのマウスおよびAB-101のみを投与されたマウス(CおよびD)において、腹膜内ならびに表在腋窩および鼠径部リンパ節付近に散在する進行性リンパ腫成長が確認された。AB-101+AFM13群(E、HおよびI)の個々の動物には、肉眼で見える腫瘍病巣はなかった。
【0615】
AB-101を投与された群(C~I群)では、Q3D(d0、d3、d6およびd9)というスケジュールによる4回の投与後に、動物は約10~13%の平均体重減少を10日目に示した。投与スケジュールをQ4D(d13およびd17)に変更した後、C~F群のマウスは、数日で回復した。G~I群のマウスは、13日目のNK細胞に続いて15日目に、約6~12%の体重変化を示した。それゆえに、これらの群では、予定されていたd17の最後の投与は行わなかった。
【0616】
AFM13とAB-101の組合せを投与した群では、対照群と比較して統計的に有意な抗腫瘍効力が観察された。腫瘍増殖の差は、AB-101とAFM13とを投与された動物の鼠径部および腋窩リンパ節ならびに腹膜における腫瘍塊低減の肉眼的所見によって確認された。結論として、AFM13とAB-101の組合せは、Karpas-299/Luc異種移植片腫瘍モデルにおいて、有意な抗腫瘍効力を示した。
【0617】
【0618】
他の態様
本発明をその詳細な説明と合わせて記載したが、上記の説明は本発明を例示しようとするものであって、添付の請求項によって画定されるその範囲を限定しようとするものではないと理解されるべきである。他の局面、利点および変更態様は、以下の請求項の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】