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特表2024-542163フロートユニット供給用電気溶融式ハイブリッドガラス製造炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】フロートユニット供給用電気溶融式ハイブリッドガラス製造炉
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/20 20060101AFI20241106BHJP
   C03B 5/183 20060101ALI20241106BHJP
   C03B 5/027 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C03B5/20
C03B5/183
C03B5/027
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527112
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022082035
(87)【国際公開番号】W WO2023088917
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21306609.5
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22305857.9
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン サジェ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ドゥ ディアヌ
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ル ベルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マリー コンベ
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AD01
4G014AD04
(57)【要約】
本発明は、ガラス製造用ハイブリッドガラス製造炉(10)に関し、これは、溶融金属浴上にガラスをフロートさせるためのユニットに供給するためのものであり、上記ハイブリッド炉(10)が、上流から下流に向かって:
- コールドトップ(140)を有する電気溶融ゾーン(100)であって、ガラス化可能混合物を溶解する電極(110)を有し、それによって、ガラス浴(130)を得る、電気溶融ゾーン(100);
- ホットトップを有する精製均質化ゾーン(200)であって、第1の対流ループ(210)及び第2の対流ループ(220)を有する、精製均質化ゾーン(200);および、
- ガラスを冷却するゾーン(300)であって、調整タンク(310)によって形成され、上記第2の対流ループ(220)によって通過され、少なくとも1つの流路(400)に接続されている、ゾーン(300)、
を有し、
上記ハイブリッド炉(10)が、少なくとも一つのタンクネック(160)であって、第一のタンクネックと呼ばれ、床部(165)を有し、上記電気溶融ゾーン(100)をガラスの上記精製均質化ゾーン(200)に接続する、少なくとも一つのタンクネック(160)を有すること、及び上記ハイブリッド炉(10)が、「非戻り」分離装置(170)であって、上記第一のタンクネック(160)に置かれ、上記精製均質化ゾーン(200)内の溶融ガラスが上記溶融ゾーン(100)に戻るのを防止するように設計される、「非戻り」分離装置(170)を有すること、
を特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属浴上にガラスをフロートさせるためのユニットに供給するために、前記ガラスを製造するための、ハイブリッドガラス製造炉(10)であって、
前記ハイブリッド炉(10)が、上流から下流に向かって:
- コールドトップ(140)を有する電気溶融ゾーン(100)であって、ガラス化可能混合物を溶融してガラス浴(130)を得るための電極(110)を有する、電気溶融ゾーン(100);
- ホットトップを有する、精製均質化ゾーン(200)であって、第1の対流ループ(210)及び第2の対流ループ(220)を有する、精製均質化ゾーン(200);および、
- 前記ガラスを冷却するゾーン(300)であって、調整タンク(310)によって形成され、前記第2の対流ループ(220)によって通過され、少なくとも1つの流路(400)に接続されている、ゾーン(300)、
を有し、
前記ハイブリッド炉(10)が、少なくとも一つのタンクネック(160)であって、第一のタンクネックと呼ばれ、床部(165)を有し、前記電気溶融ゾーン(100)を前記ガラスの前記精製均質化ゾーン(200)に接続する、少なくとも一つのタンクネック(160)を有すること、及び前記ハイブリッド炉(10)が、「非戻り」分離装置(170)であって、前記第一のタンクネック(160)に配置され、前記精製均質化ゾーン(200)内の溶融ガラスが前記溶融ゾーン(100)に戻るのを防止するように設計される、「非戻り」分離装置(170)を有すること、
を特徴とする、炉。
【請求項2】
前記分離装置(170)が、前記ガラス浴(130)中に部分的に浸漬されるように意図される、ダム(172)を有する、請求項1に記載の炉。
【請求項3】
前記分離装置(170)が、前記第一のタンクネック(160)の前記床部(165)の少なくとも1つの高台(161)を有する、請求項1又は2に記載の炉。
【請求項4】
前記床部(165)の前記少なくとも1つの高台(161)が、上流から下流に向かって、少なくとも1つの上り部分(164)、最上部部分(166)、及び下り部分(168)を有する、請求項3に記載の炉。
【請求項5】
前記ダム(172)が、前記床部(165)の前記高台(161)の前記最上部部分(166)の上で、前記第1のタンクネック(160)内に配置されている、請求項2を考慮した請求項4に記載の炉。
【請求項6】
前記床部(165)の前記少なくとも1つの高台(161)の前記上り部分(164)および前記下り部分(168)のうちの少なくとも一方が、水平に対して傾斜しており、かつ/または、最上部部分(166)を有する、請求項4又は5に記載の炉。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高台(161)が、前記第一のタンクネック(160)内の前記溶融ガラスの通路部分(180)を、全体的にまたは部分的に決定する、最大高さ(H1、H2)を有する、請求項3~6のいずれか1項に記載の炉。
【請求項8】
前記ダム(172)が、垂直方向に移動可能に取り付けられ、それによって、前記ガラス浴(130)中への浸漬深さを調節できる、請求項2~7のいずれか1項に記載の炉。
【請求項9】
前記ダム(172)が、取り外し可能、すなわち分解可能であり、それによって、特には、磨耗時に前記ダム(172)を交換できるようにし、かつ前記炉の維持を容易にする、請求項2~8のいずれか1項に記載の炉。
【請求項10】
前記ハイブリッド炉(10)が、コールドトップを有する前記電気溶融ゾーン(100)からの雰囲気とホットトップを有する前記精製均質化ゾーン(200)の雰囲気とを分離することができる、少なくとも1つの雰囲気分離手段(174)、例えば垂直仕切りなどを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の炉。
【請求項11】
前記ハイブリッド炉(10)が、ブロック手段(176)であって、前記第1のタンクネック(160)の上流端部に配置され、ガラス化可能混合物の層(112)を前記電気溶融ゾーン(100)内に保持することができ、それによって、前記ガラス浴(130)の表面上に存在する前記ガラス化可能混合物が前記第1のタンクネック(160)内に侵入しないようにする、ブロック手段(176)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の炉。
【請求項12】
前記ガラス化可能混合物層(112)をブロックする前記手段(176)が、前記ダム(172)によって形成される、請求項2を考慮した請求項11に記載の炉。
【請求項13】
前記ブロック手段(176)が、前記分離手段(174)であって、その自由端部が、前記浴(130)の表面で延在するか、または前記ガラス浴(130)中に浸漬される、前記分離手段(174)によって形成される、請求項10を考慮した請求項11に記載の炉。
【請求項14】
前記ブロック手段(176)が、前記分離手段(174)とは分離しており、前記ブロック手段(176)が、前記分離手段(174)に取り付けられているか、又は前記分離手段(174)から離れている、請求項10を考慮した請求項11に記載の炉。
【請求項15】
前記ハイブリッド炉(10)が、前記第1のタンクネック(160)内の前記ガラスを冷却することができるガラス冷却手段(500)、特には少なくとも1つの空気循環冷却装置(510)を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の炉。
【請求項16】
前記電極(110)が、前記ガラス化可能混合物中に浸漬されるように表面上に配置され、前記飛び込み電極(110)が、好ましくは垂直に延在している、請求項1~15のいずれか1項に記載の炉。
【請求項17】
前記電極(110)が、前記ガラス化可能混合物中に浸漬されるように前記溶融ゾーン(100)の床部(150)を通して配置され、前記立ち上がり電極(110)が、好ましくは垂直に延在している、請求項1~15のいずれか一項に記載の炉。
【請求項18】
前記電気溶融ゾーン(100)が、前記飛び込み電極(110)の自由端部と前記溶融ゾーン(100)の床部(150)との間に位置する、緩衝ゾーン(134)と呼ばれる、低対流ゾーンを含む、請求項16に記載の炉。
【請求項19】
前記溶融ゾーン(100)が、前記低対流緩衝ゾーン(134)を得るように決定される、深さ(P)を有するように構成され、好ましく前記深さ(P)が、600mm超であり、又はさらに好ましくは800mm超である、請求項18に記載の炉。
【請求項20】
前記第1の対流ループ(210)及び前記第2の対流ループ(220)が、ガラスの最も高温の点に対応するホットスポットまたはソースによって決定される、前記ループ(210、220)の反転ゾーン(230)によって分離され、前記精製均質化ゾーン(200)が、前記ループ反転ゾーン(230)を決定する前記ホットスポットを得るように配置される、少なくとも1つのバーナー(215)を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の炉。
【請求項21】
前記ハイブリッド炉(10)が、前記ループ反転ゾーン(230)内に配置される、バリア(260)を有する、請求項20に記載の炉。
【請求項22】
前記ハイブリッド炉(10)が、調節手段であって、前記精錬均質化ゾーン(200)内に配置され、かつ前記ループ(210、220)の対流を調節することができ、それによって、ガラス生成プロセスを促進する、調節手段、例えば電気ブーストおよび/またはバブラーなどを有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の炉。
【請求項23】
前記冷却ゾーン(300)の前記調整タンク(310)が、上流から下流に向かって、第2のタンクネック(320)、そして作用端部(330)を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の炉。
【請求項24】
前記ハイブリッド炉(10)が、1日当たり400トン以上、好ましくは1日当たり600トン~900トン、又はさらには1日当たり1000トン以上の取出速度で、ガラスを前記フロートガラスユニットに供給するように構成され、前記高品質ガラスが、1リットル当たり0.1個未満の気泡、好ましくは1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の炉。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載のガラスを製造するためのハイブリッド炉(10)、及び下流に配置され、前記少なくとも1つの流路(400)を介して前記炉(10)によってガラスが供給される、溶融金属浴上のフロートガラスユニットを有する、平坦ガラス製造用アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロートユニット供給用の、電気溶融式ハイブリッドガラス製造炉に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、フロートユニット供給用の電気溶融式ハイブリッドガラス製造炉に関し、これは、電気溶融ゾーンをさらに有し、これは、ガラス化可能混合物を溶融するためのコールドトップを有し、第一のタンクネックを介して、2つのガラス対流ループを有する、ホットトップを有する精製均質化ゾーンに接続され、それによって、適量の、高品質ガラスを得る。
【0003】
本発明によるハイブリッドガラス製造炉は、1リットル当たり0.1個未満の気泡を有する高品質ガラスを送り出すことができるだけでなく、少なくとも1日当たり400トンの取出速度でそのようなガラスを供給することができ、それによって、フロートガラスを製造することを意図される溶融金属浴上のフロートガラスユニットに供給する。
【背景技術】
【0004】
特には製造する物品、すなわちガラスの最終的な形状に応じた、ガラス製造用炉の様々な設計例が、先行技術から知られている。
【0005】
このように、様々な炉の設計が、計画された生産がガラス繊維、産業用中空ガラス形成、又は平坦ガラスのいずれに関連するかに応じて、区別される。
【0006】
ガラス炉の設計における産業上の課題の一つは、品質の要求が物品に依存するガラスを得ることができるようにすることである。この点で、平坦ガラスの製造は、比較的最も要求の厳しいものの一つである。
【0007】
非常に大量に生産される、平坦ガラスは、その汎用性のおかげで広い範囲の用途において用いられている。エレクトロニクス(平坦スクリーン)、建築、及び自動車分野において広く用いられており、それは、様々な技術(曲げ、焼き戻しなど)を用いて加工されうるので、全範囲のガラス物品が基づくガラスとなっている。
【0008】
本発明は、品質及び量の問題を考慮し、このような平坦ガラスの産業的形成のためのガラスの製造を特に目的とするものであり、平坦ガラスは、従来、溶融金属、一般的にはスズの浴上でガラスフロートユニットによって得られるので、平坦ガラスは、依然としてフロートガラスと呼ばれる。
【0009】
平坦ガラスの製造には、フロートユニットに、高品質のガラス、すなわち気泡をありうる限り含まないガラス、すなわち一般的には気泡が0.5個の気泡/リットル未満であるガラスを供給できることが期待される。
【0010】
ガラスの品質は、特にはガラス中に存在する気泡の数であって、「気泡/リットル」で表されるものによって決定されるが、これに限定されるものではない。ガラスの1リットル当たりの気泡数が比較的少ないほど、その品質は比較的高いとみなされる。
【0011】
また、ガラス中の気泡(又はガス状欠陥)の存在は、ガラス生成プロセスに固有のものであことを忘れてはならない:ガラス生成プロセスには、一般的には、3つの連続する状態又は段階が存在する:溶融、精製及び均質化、並びにガラスの熱調整。
【0012】
ガラス中の気泡の存在は、ガラス化可能混合物が溶融される溶融工程から生じ、「バッチ」(組成物)とも呼ばれる。ガラス化可能混合物は、例えば、ソーダ石灰ガラス(平坦ガラスの製造に最も一般的に用いられるガラス)製造用の、砂、石灰石(炭酸カルシウム)、ソーダ灰、及びドロマイトの混合物などを含む、原料でできており、有利には、割れたガラスでできている、カレットが添加され、それによって、溶融を促進する。
【0013】
ガラス化可能混合物は、液状塊に変化し、最も混和性の低い粒子、すなわち二酸化ケイ素又はシリカ(SiO)が最も豊富であり、かつ酸化ナトリウム(NaO)が少ないものでさえ、溶融する。
【0014】
炭酸ナトリウム(NaCO)は、775℃で砂粒と反応し始め、二酸化炭素(CO)の気泡を液体中に放出し、炭酸塩が珪酸塩に変化するにつれて粘度が増していく。同様に、石灰石の粒の石灰への変化、及びドロマイトの分解も、二酸化炭素(CO)の放出をもたらす。
【0015】
溶融段階は、高粘度になり、かつ製造プロセスのこの段階では、空気及びガスの気泡で満たされている、溶融ガラス液の中に、固体粒子がなくなった時に完了する。
【0016】
そして、精製均質化工程は、溶融ガラス中に存在する気泡を除去することを可能にする。よく知られているように、「精製剤」が、有利には、この段階の際に用いられ、これは、すなわち、低濃度の物質であり、これは、浴の溶融温度で分解することによって、気泡を膨らませるガスを供給し、その結果、それらがガラスの表面に上昇するのを促進する。
【0017】
そして、製造プロセスの熱調整段階は、ガラスの温度を下げることを可能にする;なぜなら、成形作業の開始時には、ガラスの粘度は、一般的には、精製の際よりも少なくとも10倍高い必要があるからである。
【0018】
今述べたガラスの各製造工程は、当然のことながら、それらを行うために用いられる炉の構造に対応している。
【0019】
典型的には、この種のガラス炉は、ガラスバッチを溶融してガラス浴を形成する溶融ゾーン、次いでガラスの気泡を除去する精製均質化ゾーン、及び最後に、ガラスをその形成温度まで冷却する熱調整ゾーンを含み、この形成温度は、ガラスがその生成の際に経験する温度よりもはるかに低い。
【0020】
上述のガラス生成プロセスから、溶融段階は、気候変動に関与する主要な温室効果ガスのひとつである、二酸化炭素(CO)の排出を伴うことがわかる。
【0021】
この理由のため、これらの直接的な二酸化炭素(CO)排出、及びガラス化可能混合物中に用いられる原料に関連する間接的な二酸化炭素(CO)排出を削減するために、さらに高い比率のカレットを用いる努力がなされている。
【0022】
実際、高品質ガラスの製造、並びに炉の建設及び操業のありうる限り低いコストでの高い生産性という産業上の課題とは別に、ガラス産業が向き合わなければならない他の主要な現在の課題の1つは、エコロジー、すなわち、ガラスを生成するプロセスのカーボンフットプリント(又はCOフットプリント)を削減する解決策を見出す必要性である。
【0023】
カーボンニュートラルを達成するために、プロセスに対するグローバルなアプローチであって、製造の際の直接排出及び間接排出の両方、並びにバリューチェーンにおける上流及び下流での排出、例えば、上流での材料輸送及び下流での物品輸送に関連するものなどを削減するために、複数の方法で行動しようとするアプローチが、好ましい。
【0024】
したがって、これらの複数の方法は、物品の設計及び材料構成、産業プロセスのエネルギー効率を改善すること、再生可能エネルギー及び脱炭素エネルギーを用いること、原料供給者及び輸送者と協力してそれらの排出を削減すること、並びに最後に、残留排出物を捕捉かつ隔離する技術を探求することを含む。
【0025】
上述したガラス生成プロセスに内在する直接排出に加えて、用いられるエネルギーの種類は、特に高温溶融段階(1500℃超)について、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの最大の割合を占める;なぜなら、それは一般的には、化石燃料、最も多くの場合天然ガス、又は石油物品、例えば重油なども必要とするからである。
【0026】
その結果、新しい炉の設計に関する研究は、ガラスの品質に関連する産業上の課題を満たすだけでなく、直接的及び間接的な二酸化炭素(CO)排出の観点から、特に化石燃料の使用を削減することによって、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの削減もしなければならない。
【0027】
ガラス生成は、最初のポット(又はるつぼ)炉以来、一般的に今日の大型連続溶融ガラス炉の祖先と考えられている、シーメンス炉を経て、1日当たり最大1,200トンのフロートガラスを生成しうるクロスファイア炉のように、絶えず進化してきた炉において行われる。
【0028】
したがって、溶融に用いられるエネルギーの選択によって、ガラス製造のための2つの一般的な大型炉の設計、それぞれ火炎炉及び電気炉が導き出される。
【0029】
第一の設計によれば、火炎炉は、一般的には、化石燃料、特には天然ガスを、バーナーに用いる;したがって、熱エネルギーは、火炎とガラス浴の表面との間の熱交換によってガラスに伝達される。
【0030】
上述したクロスファイア炉は、この第一の設計に従う炉の一例であり、平坦ガラスの製造を意図されているフロートユニットに溶融ガラスを供給するために広く用いられている。
【0031】
第二の設計によれば、電気炉は、熱エネルギーが溶融ガラスの塊内においてジュール効果によって生成される、ものである。
【0032】
実際、室温では遮断(絶縁)する物質である、ガラスは、高温では電気伝導性となり、それによって、ガラス溶融内においてジュール効果を用いてそれらを加熱することが考えられうる。
【0033】
しかしながら、電気炉は、例えば、特殊なガラス、例えばフッ素若しくは鉛の結晶を含むオパールガラスなどの生成に用いられ、又は一般的には、熱遮断用のガラス繊維の製造に用いられる。
【0034】
実際、このような電気炉は、平坦ガラスの製造を意図されている溶融金属浴上のフロートガラスユニットに、十分な量又は品質(1リットル当たり0.5個未満の気泡を念頭において)のガラスを供給することはできないことが、当業者には一般的に認められている。
【0035】
本出願人により知られている先行技術の電気炉は、最も良くて1リットル当たり数百個の気泡、より一般的には数千個の気泡を有するガラスを1日当たり200~250トンの取出速度で送り出すことができるのがせいぜいであり、これは、中空ガラス、典型的にはボトルなどの形成には適しているかもしれないが、平坦ガラスの製造、ひいてはフロートユニットへの供給には決して適していない。
【0036】
それが、今日、火炎炉(例えばクロスファイア炉など)が、このようなフロートガラスユニットに供給できる唯一の炉のままである理由である。
【0037】
しかしながら、火炎炉は、化石燃料、本質的には天然ガスの使用に依存しており、それによって、それらのカーボンフットプリントは、二酸化炭素(CO)排出の削減、すなわちガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの削減という目的にはほとんど適合していない。
【0038】
従来技術によるガラス製造のための炉の設計の説明を終えるにあたり、炉の「第三の設計」について言及し、これは、特には二酸化炭素(CO)排出の削減という生態学的問題に向き合うために、近年開発が進められている。
【0039】
この第三の炉の設計は、火炎炉に基づくが、特には炉の生成量を瞬間的に増加させ、又はガラスの品質を向上させたりするために、電気ブースター加熱を用いる。
【0040】
したがって、このような炉は「電気ブースト式火炎炉」とも呼ばれる。
【0041】
このように、この第三の設計による炉は、複数のエネルギー源、それぞれ化石燃料及び電気を組み合わせており、したがって、「ハイブリッド」炉とも呼ばれる。
【0042】
電気ブースター加熱を追加することは、火炎とガラス浴の表面との間で起こる熱伝達によって制限される、火炎炉の溶融能力を向上させることを可能にする。
【0043】
しかしながら、このようなハイブリッド炉の操業は、常に、化石燃料、典型的にはガスの使用に主に基づくので、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの改善において最終的に得られる影響は、限定的なままである。
【0044】
実際、電気は、ブースターとしてのみ用いられるので、その影響は、比例する。さらに、カーボンフットプリントを効果的に改善するために、用いられる電気は、依然として、いわゆる「グリーン」な電気、すなわち再生可能かつ脱炭素エネルギー源から生成される電気である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明の目的は、特には、ガラス生成プロセスから生じる二酸化炭素(CO)排出量の大幅な削減を得ることを可能にするエネルギー消費レベルで、高品質ガラスを送り出しかつ平坦ガラス製造用のフロートガラスユニットに供給することが可能な、新しい設計のガラス製造用炉を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0046】
この目的のために、本発明は、溶融金属浴上にガラスをフロートさせるためのユニットに供給するためのハイブリッドガラス製造炉を提案し、上記ハイブリッド炉は、上流から下流に向かって:
- コールドトップを有する電気溶融ゾーンであって、ガラス化可能混合物を溶融するための電極を有し、それによって、ガラス浴を得る、電気溶融ゾーン;
- ホットトップを有する精製及び均質化ゾーンであって、第一の対流ループ及び第二の対流ループを有する、精製及び均質化ゾーン;並びに、
- ガラスを冷却するゾーンであって、調整タンクによって形成され、上記第二の対流ループによって通過され、少なくとも1つの流路に接続されている、ゾーン、
を有し、
上記ハイブリッド炉が、少なくとも1つのタンクネックを有し、これは、第一のタンクネックと呼ばれ、床部を有し、電気溶融ゾーンをガラスの精製均質化ゾーンに接続すること、及び上記ハイブリッド炉が、「非戻り」分離装置を有し、これは、上記第一のタンクネックにおいて配置され、精製均質化ゾーン内の溶融ガラスが溶融ゾーンに戻るのを防止するように設計されることを特徴とする。
【0047】
有利には、ハイブリッド炉の上記第一のタンクネックは、分離装置と組み合わせられており、電気溶融ゾーンからガラスの精製及び均質化ゾーンに流れるガラスの冷却を確保するのを可能にすることによって、ガラスの温度制御に関与し、これによって、第一の対流ループ及び第二の対流ループの制御が得られ、所望の量の高品質ガラスを製造するという最終的な利益につながる。
【0048】
有利には、ハイブリッド炉は、第一のタンクネック内のガラスを選択的に冷却することができる、ガラス冷却手段を有する。好ましくは、ハイブリッド炉は、空気循環冷却装置を有する。
【0049】
有利には、ガラスを冷却する手段は、可変冷却を確保することができ、これは、調整可能であり、特にはガラスの温度の関数として決定される。
【0050】
本発明によるハイブリッド炉は、一方では、溶融ゾーンにおける高性能なガラス化可能混合の溶融、他方では、精製均質化ゾーン内に導入されるガラスの温度の制御、を組み合わせること可能にし、特には、そこで、第一の対流ループ及び第二の対流ループをそれぞれ有する、ガラスの流れを得ることを可能にし、それによって高品質ガラスが特に得られる。
【0051】
実際、分離装置は、溶融ゾーンから下流に流れる溶融ガラスの量を制限し、このようにして、第一のタンクネック内のガラスの冷却を促進し、これが、分離装置と第一のタンクネックとの間に相乗効果がある理由である。
【0052】
さらに、分離装置は、ガラスが、精製均質化ゾーンから溶融ゾーンへ、第一のタンクネック内へ戻ることも防止し、それによって、溶融ガラスは、第一のタンクネック内で冷却され、そして、第一の対流ループ及び第二の対流ループを有する精製均質化ゾーン内で精製されることが可能である。
【0053】
有利には、ガラスが電気溶融ゾーンに戻るのを防止する機能を確保する分離装置は、実施形態に応じて、ダム及び/又は第一のタンクネックの床部の少なくとも1つの高台を有する。
【0054】
本発明によれば、電気溶融ゾーン、及び2つの対流ループを有する精製ゾーンを有するハイブリッド炉の一般的な設計、並びにそれらを接続する第一のタンクネック及び分離装置を一緒にすることは、換言すれば組み合わせることは、1リットル当たり0.1個未満の気泡を有する、高品質のガラスを得ることを可能にするだけでなく、1日当たり400トン以上の取出速度でこのガラスの量を送り出すことを可能にし、それによって、特にはフロートユニットに供給することができるようになる。
【0055】
このように、本発明によるハイブリッド炉は、平坦ガラスの製造を意図されている、溶融金属浴上のフロートガラスユニットからなる形成ゾーンに、ガラスを供給することができる。
【0056】
有利には、当業者の推定に反して、本発明によるハイブリッド炉は、結果的には、高品質ガラス及び大量のガラスを組み合わせることを、コールドトップ電気溶融ゾーン(もはや火炎溶融ゾーンではない)を用いてそうすることによって、可能にする。
【0057】
本発明では、電気はハイブリッド炉内でガラス生成プロセスに用いられる全エネルギーのうち、60%超、又はさらには80%超、さらにはそれ以上を占める。
【0058】
本発明による炉は、上述した第三の炉の設計になぞらえて「ハイブリッド」であると言われるが、このように「ハイブリッド」という用語は、それぞれ電気エネルギー及び燃料エネルギーという、2つの異なるエネルギー源を用いる結果としてそれを述べるために用いられる。
【0059】
しかしながら、本発明との類推は、これを超えるものではない;電気エネルギーは、ガラスを、それが生成される時に溶融するために用いられる、唯一のエネルギー源であり、したがって、燃料エネルギー、化石燃料又は同等のものは、ガラスの精製均質化のためにのみ炉内で用いられる。
【0060】
有利には、本発明によるハイブリッド炉は、一方ではコールドトップを有する電気溶融ゾーン、及び他方では火炎を用いる、すなわち燃焼による、好ましくは電気ブーストを有する、ガラスの精製均質化ゾーンを組み合わせており、上記溶融ゾーンと精製ゾーンは、ガラスを溶融ゾーンから遠ざける、いわゆる「非戻り」分離装置によって分離されている。
【0061】
このような組合せ、特には精製均質化ゾーンに入るガラスの分離及び温度制御のための装置のおかげで、本発明によるハイブリッド炉は、高品質ガラス、すなわち1リットル当たり0.1個未満の気泡を含むガラスを得ることを可能にしつつ、それを大量に送り出すことができ、それによって、このガラスは、有利には平坦ガラスの製造を意図されているフロートガラスユニットに供給することができる。
【0062】
したがって、本発明は、電気溶融炉が、このような高品質ガラスをこのような量で得ることも可能にするとは考えないであろう、当業者の推定に反するものである。
【0063】
本発明において、高品質ガラスは、特に、電気溶融工程の後に実行される精製及び均質化工程のおかげで得られ、上記工程は、有利には、第一のタンクネックが可能にするガラスの冷却によって制御され、この冷却は、ガラスの方向性を制御する際に、2つの対流ループを得ることに関与する。
【0064】
有利には、高品質ガラスは、分離装置であって、ハイブリッド炉の第一のタンクネック内に配置され、精製均質化ゾーンから溶融ゾーンへの溶融ガラスの戻りがないように構成される、分離装置によっても得られる。
【0065】
分離装置のおかげで、第一のタンクネック内のガラスの流れは、「ピストン」流である。
【0066】
有利には、分離装置は、ダム及び/又は第一のタンクネックの床部の高台によって形成され、これらは、それぞれ単独で又は一緒に、溶融ガラスが精製均質化ゾーンから本発明によるハイブリッド炉の電気溶融ゾーンに戻るのを防止することができる。
【0067】
本発明によるハイブリッド炉では、上記分離装置によって、対流ループ又はガラス再循環ループは、精製均質化ゾーンから溶融ゾーンに延在しない。
【0068】
比較すると、溶融ゾーンと精製ゾーンとを接続する浸漬スロートは、炉内でガラスが戻るのを防止するそのような機能を確保することができない。実際、ガラスの戻り流れが、このような浸漬スロート内に、特には材料の摩耗に起因して、存在する。
【0069】
加えて、浸漬スロート内を流れるガラスは、大気と接触しないので、それは、表面上で、特には空気循環冷却装置によって、制御されかつ可変な様式で、冷却されることもできない。
【0070】
構造上断面が制限される浸漬スロートと比較して、第一のタンクネックは、さらには、フロートユニットへの供給に対応する取出速度でのガラスの流れを可能にする。
【0071】
本発明によれば、ガラスを精製均質化する工程は、有利には非溶融部分をほとんど又は全く含まない、ガラスに対して、特には電気溶融ゾーンにおけるガラスの滞留時間を増加させることを可能にする「非戻り」分離装置のおかげで、実行される。
【0072】
本発明によるハイブリッド炉は、並置ではなく、特徴の組み合わせからなる;なぜなら、技術的特徴の間には相互作用があり、特に電気溶融ゾーンと2つの対流ループを有する精製均質化ゾーンとの間には、相乗効果があり、これらは、それぞれガラスが冷却されるのを可能にすることができ、かつガラスが溶融ゾーンに戻るのを防ぐことができる、第一のタンクネック及び関連分離装置のおかげであるからである。
【0073】
第一のタンクネック及び分離装置のおかげで、ガラスの温度は、一方では電気溶融ゾーンにおいて、他方では精製均質化ゾーンにおいて、別々にかつ正確に制御されることができる。
【0074】
好ましくは、第一のタンクネックの長さは、その後精製均質化ゾーンに流入することを意図されているガラスの温度を低下させる、冷却を得るように構成される。
【0075】
実際、電気溶融によって得られる溶融ガラスは、一般的には、特には火炎溶融と比較して、比較的高い温度を有する。
【0076】
一例として、溶融ゾーンにおけるガラスの温度は、約1450℃であり、一方、第一のタンクネックの下流部分におけるガラスの所望の温度は、比較的約1300℃~1350℃以内である。
【0077】
有利には、ハイブリッド炉は、第一のタンクネック内に配置されるガラス冷却手段を有し、それによって、選択的にガラスを冷却し、すなわち冷却を制御してガラス温度を積極的に調節する。
【0078】
好ましくは、冷却手段は、少なくとも1つの空気循環冷却装置によって形成され、空気は、第一のタンクネックの雰囲気内に導入されて、ガラス浴の表面と接触かつ抽出されるようになり、それによって、ガラスにより空気に伝達された熱(カロリー)を除去する。
【0079】
代替的には、冷却手段は、第一のタンクネックを通って上流から下流に流れるガラス中に浸漬され、それによって、その冷却を可能にする。
【0080】
ガラス中に浸漬されたそのような冷却手段は、例えば、ダムによって形成され、これは、分離装置の全部又は一部を形成し、熱伝達流体による冷却回路、特には「ウォータージャケット」型の回路によって、冷却される。
【0081】
別の実施形態によれば、冷却手段は、垂直スタッドによって形成され、これは、第一のタンクネック内に配置されかつガラス中に浸漬され、熱伝達流体による冷却回路によって冷却され、それによって、ガラスにより伝達される熱を除去する。
【0082】
さらに別の実施形態によれば、冷却手段は、ガラスと接触している第一のタンクネックの構造を冷却することができ、冷却は、第一のタンクネックの構造の外部から行われる。
【0083】
もちろん、今挙げた様々な例による第一のタンクネックに関連する冷却手段は、単独で又は組み合わせて実施されることができる。
【0084】
有利には、第一のタンクネックに関連するガラスを冷却するための手段は、ガラスの温度を選択的に制御することを可能し、温度は、特には取出速度が変化する場合に、変化する可能性が高い;なぜなら、取出速度の増加がガラスの温度の上昇を引き起こすからである。
【0085】
第一のタンクネックに関連するガラスを冷却するためのこのような手段と比較すると、ガラスのこのような可変冷却は、浸漬スロートでは不可能であるだろう。
【0086】
有利には、本発明によるハイブリッド炉は、ガラス化可能混合物の溶融に電気エネルギーを採用し、例えば石炭又は石油などの化石燃料からではなく、例えば風力エネルギー、太陽エネルギーなどから得られる、「グリーン」電気の利用可能性の増大に依存する。
【0087】
有利には、精製均質化ゾーンのバーナーにおいて用いられる燃料エネルギーは、化石燃料、例えば天然ガスなどではなく、別の同等の燃料エネルギー、好ましくは水素、又は代替的にはバイオメタンである。
【0088】
その結果、本発明によるハイブリッド炉は、フロートユニットに供給するためにそれぞれ要求されるガラスの高品質及び取出速度の問題だけでなく、環境問題にも対処することができ、それによって、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントを削減することを可能にする。
【0089】
本発明による炉の他の特徴によれば、以下の通りである:
- 分離装置は、ガラス浴中に部分的に浸漬されるように意図されているダムを有する;
-- 分離装置は、溶融ガラスが精製均質化ゾーンから溶融ゾーンに戻るのを防止することができるダムのみからなり、好ましくは、上記ダムは、第一のタンクネックの上流末端部に置かれる;
- 分離装置は、第一のタンクネックの床部の少なくとも1つの高台を有する;
-- 分離装置は、溶融ガラスが精製均質化ゾーンから溶融ゾーンへ戻るのを防止することができる床部の高台のみからなる;
-- ガラスが溶融ゾーンに戻るのを防止する機能を確保する、分離装置は、ダム及び/又は床部の少なくとも1つの高台を有する;
-- ガラスが溶融ゾーンに戻るのを防止する機能を確保する、分離装置は、床部の上記少なくとも1つの高台と組み合わされるダムを有する;
- 床部の上記少なくとも1つの高台は、上流から下流に向かって、少なくとも1つの上り部分、最上部部分、及び下り部分を有する;
- ダムは、床部の高台の最上部部分の上の第一のタンクネック内に配置される;
- 上記少なくとも1つの床部の高台の、上記上り部分及び上記下り部分の少なくとも一方は、水平に対して傾斜しており、かつ/又は、最上部部分を有する;
- 上記少なくとも1つの高台は、第一のタンクネック内の溶融ガラスの通路部分を、全体的に又は部分的に、決定する、最大高さを有する;
- ダムは、垂直方向に移動可能に取り付けられて、ガラス浴中のその浸漬深さの調節を可能にする;
-- ダムは、単独で、又は上記少なくとも1つの高台と組み合わせて、上記ダムの深さの調節の関数として変化することができる、溶融ガラスの通路の部分を決定する;
- ダムは、取り外し可能、すなわち分解可能であり、それによって、特に磨耗時のその交換を可能にし、炉の維持を容易にする;
- ハイブリッド炉は、少なくとも1つの雰囲気分離手段、例えば垂直仕切りなどを有し、これは、コールドトップを有する電気溶融ゾーンからの雰囲気と、ホットトップを有する精製均質化ゾーンの雰囲気とを、分離することができる;
- ハイブリッド炉は、ブロック手段を有し、これは、第一のタンクネックの上流末端部に配置され、電気溶融ゾーン内でガラス化可能混合物層を保持することができ、それによって、ガラス浴の表面上に存在する上記ガラス化可能混合物が、第一のタンクネック内に侵入しないようにする;
- ガラス化可能混合物層をブロックする手段は、ダムによって形成される;
- ブロック手段は、分離手段によって形成され、この自由端部が、浴の表面まで延在するか、又はガラス浴中に浸漬されている;
- ブロック手段は、上記分離手段とは異なるものであり、上記ブロック手段は、分離手段に取り付けられているか、又は分離手段から離れている;
- ハイブリッド炉は、第一タンクネック内のガラスを冷却することができる、ガラス冷却手段、特には少なくとも1つの空気循環冷却装置を有する;
-- ハイブリッド炉は、装入ゾーンを有し、装入装置が、上記ガラス化可能混合物を電気溶融ゾーン内に導入するように配置される;
-- 装入装置は、ガラス浴の全表面にわたってガラス化可能混合物を堆積させるように構成されており、それによって、ガラス浴と溶融ゾーンの最上部との間に遮断層を形成する;
- 電極は、表面上に配置され、それによって、ガラス化可能混合物内に浸り、上記飛び込み電極は、好ましくは垂直に延在する;
- 電極は、溶融ゾーンの床部を通して配置され、それによって、ガラス化可能混合物中に浸漬され、上記立ち上がり電極は好ましくは垂直に延在する;
-- ハイブリッド炉は、飛び込み電極及び/又は立ち上がり電極を有する;
- 電気溶融ゾーンは、有利には、浸漬電極の自由端部と溶融ゾーンの床部との間に位置する、緩衝ゾーンと呼ばれる、低対流ゾーンを有する;
- 溶融ゾーンは、所定の深さを有するように構成され、それによって、上記低対流緩衝ゾーンを得、好ましくは、深さは600mm超、さらに好ましくは800mm超である;
- 第一の対流ループ及び第二の対流ループは、ガラスの最も熱い点に対応する、ホットスポット又はソース(源)によって決定される、ループ反転ゾーンによって分離される;
- 精製均質化ゾーンは、少なくとも1つのバーナーを有し、これは、上記ループ反転ゾーンを決定する上記ホットスポットを得るように配置される;
- ハイブリッド炉は、上記ループ反転ゾーン内に配置されているバリアを有する;
-- ハイブリッド炉は、精製均質化ゾーン内のガラスの表面に対する床部の深さの変化、好ましくは少なくとも1つの高台、又はレベルの変化も含み、上記深さの変化は、第一の対流ループを含む部分内かつ/又は第二の対流ループを含む部分内に位置する;
- ハイブリッド炉は、調節手段、例えば電気ブースト及び/又はバブラーなどを有し、これらは、精製均質化ゾーン内に配置され、上記ループの対流を調節させることを可能にすることができ、それによって、ガラス製造の運転を容易にする;
- 冷却ゾーンの調整タンクは、上流から下流に向かって、第2タンクネックと呼ばれる、タンクネック、そして作用端部を有する;
-- 調整タンクの後、戻り流れは、上記フロートユニットを有する形成ゾーンに高品質ガラスを供給することを意図されている流路内で起きない;換言すれば、路内のガラスの流れは、「ピストン」型の流れである;
- ハイブリッド炉は、平坦ガラスを製造することを意図されている上記フロートガラスユニットに、1日当たり400トン以上、好ましくは1日当たり600~900トン、又は1日当たり1000トン以上もの取出速度で、ガラスを供給するように構成され、上記高品質ガラスは、1リットル当たり0.1個未満の気泡、好ましくは1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する。
【0090】
本発明はさらに、平坦ガラス製造用アセンブリを提案し、これは、ハイブリッドガラス製造炉、及び溶融金属浴上のフロートガラスユニットを有し、これは、下流に配置され、上記炉によって少なくとも1つの流路を介してガラスを供給される。
【0091】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。その理解のために、添付の図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】- 図1は、本発明の第一の実施形態によるハイブリッドガラス製造炉であって、第一の対流ループ及び第二の対流ループを有する、ホットトップを有する精製均質化ゾーンに、第一のタンクネックによって接続されている、コールドトップを有する電気溶融ゾーン、並びにそして上記第二の対流ループによって通過される冷却ゾーンを有する、ハイブリッドガラス製造炉を示し、さらに上記第一のタンクネックに配置されている「非戻り」分離装置を形成するダムを図示する、側面図である。
【0093】
図2】- 図2は、図1による炉を示し、第一のタンクネックによって精製均質化ゾーンに接続されている電気溶融ゾーンを示す、上面図であり、ダムが配置され、溶融ガラスが精製均質化ゾーンから電気溶融ゾーンに戻るのを防止するように設計されている。
【0094】
図3】- 図3は、図1と同様に、本発明の第二の実施形態によるハイブリッド炉であって、、分離装置が、ダム及び第一のタンクネックの床部の少なくとも1つの高台によって形成される、ハイブリッド炉を示し、溶融ガラスが精製均質化ゾーンから炉の電気溶融ゾーンに戻るのを防止するようにそれぞれ構成されている、上記高台に関連するダムを示す、側面図である。
【0095】
図4】- 図4は、図2と同様に、図3によるハイブリッド炉を示し、好ましくは移動可能のダムであって、溶融ゾーンを精製均質化ゾーンに接続する第一のタンクネック内の床部の高台に関連するダムを示す、上面図である。
【0096】
図5】- 図5は、図1及び図3と同様に、本発明の第三の態様によるハイブリッド炉であって、分離装置が、第一のタンクネックの床部の高台によってのみ形成されるハイブリッド炉を示し、したがって、高台であって、第二の態様におけるものよりも大きな高さを有し、溶融ガラスの戻りを防止するように構成されている、ダムなしの高台を図示する、側面図である。
【0097】
図6】- 図6は、図5によるハイブリッド炉の一部を詳細に示し、精製均質化ゾーンに向かう溶融ガラスの深さの緩やかな変化を確保することができる、傾斜面を形成する、下り部分を有する第一のタンクネックの床部の高台の変形実施形態を示す、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本明細書の残りの部分では、長手方向、垂直方向、及び短手方向が、図1~6に示す軸系(L、V、T)に関して、限定されることなく用いられるであろう。
【0099】
長手方向について言及する場合には「上流」及び「下流」、垂直方向について言及する場合には「上方」及び「下方」、又は「最上部」及び「最下部」、最後に短手方向について言及する場合には「左」及び「右」という用語も、限定することなく用いられるであろう。
【0100】
本明細書において、用語「上流」及び「下流」は、炉内のガラスの流れる方向に対応し、ガラスは、図2及び図4に示す、ハイブリッド炉の長手方向中央軸A-A’(Aから上流、A’から下流)に沿って、上流から下流に向かって流れる。
【0101】
さらに、「ループ」という用語は、ガラス生成炉の「コールドトップ」及び「ホットトップ」の概念と同様に、当業者に周知の炉内のガラスの再循環に関連してここで用いられている。
【0102】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の第一の実施形態を示すハイブリッドガラス製造炉10の側面図及び上面図(これらは縮尺通りではない)である。
【0103】
上記に示したように、上述した第三の炉の設計になぞらえて、「ハイブリッド」という用語が、ここでは、本発明による炉を指すために、炉内でのガラス生成プロセスの際に、それぞれ電気エネルギー及び燃料エネルギーという、2つの異なるエネルギー源を用いることを理由に、用いられる。
【0104】
しかしながら、本発明との類推はこれを超えるものではない;なぜなら、一方では、電気エネルギー(第一の供給源を構成する)は、ガラスの溶融を得るために用いられる唯一のエネルギー源であり、他方では、化石タイプ又は同等のタイプの燃料エネルギー(第二の供給源を構成する)は、ガラスの精製均質化のためにのみ用いられるからである。
【0105】
本発明によるハイブリッド炉10は、特に、平坦ガラスの製造のために、溶融金属、一般的には錫の、浴上のフロートガラスユニットに供給することを意図されている。
【0106】
図1及び図2によって示されるように、ハイブリッド炉10は、上流から下流に向かって、炉の上記長手方向中央軸A-A’に沿って、少なくとも1つの電気溶融ゾーン100、精製均質化ゾーン200、及びガラス冷却ゾーン300を連続的に有する。
【0107】
本発明によるハイブリッド炉10の第一の特徴によれば、ハイブリッド炉10の溶融ゾーン100は、電気式である。
【0108】
有利には、電気溶融ゾーン100は、「コールドトップ」タイプである。
【0109】
有利には、ガラスを溶融する工程は、溶融工程が燃料エネルギー、及びブースターとしての電気エネルギーによって得られる、先行技術のハイブリッド炉と比較して、ガラスの製造の際に電気エネルギーのみを用いることによって得られる。
【0110】
電気溶融ゾーン100は、原料及びカレットからなるガラス化可能混合物(又は「バッチ」)を溶融するための電極110を有し、それによって、ガラス浴130を得る。
【0111】
公知の様式では、カレットは、ガラスをリサイクルすることによって得られる、ガラスの破片でできており、その後原料に添加する前に、粉砕かつ洗浄され、それによって、ガラスを再び生成する。
【0112】
有利には、カレットは溶融を促進し、すなわちガラス化可能ガラス混合物の溶融による変化を促進する。
【0113】
さらに、カレットは、用いられるガラスを、それをリサイクルすることによって、アップグレードすることを可能にし(ガラスは無限にリサイクル可能である)、したがって、ガラスを製造するために必要な原料の量を削減し、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントを削減するのに役立つ。
【0114】
ハイブリッド炉10は、ガラス化可能混合物を電気溶融ゾーン100内に導入することを意図されている、装入装置12(バッチ装入器とも呼ばれる)が配置される、装入ゾーン120を有し、上記装入装置12は、図1に矢印で概略的に示されている。
【0115】
有利には、装入装置12は、ガラス浴130の全表面にわたってガラス化可能混合物を堆積させるように構成され、それによって、遮断層112を、ガラス浴130と電気溶融ゾーン100の最上部140との間に形成し、これが、後者が「コールドトップ」と呼ばれる理由である。
【0116】
好ましくは、ガラス浴130は、例えば10~40cmの厚さの、ガラス化可能混合物からなる層112で均一に覆われ、その下で複雑な化学反応が起こり、これは、本願の前置きに記載されているように、溶融ガラスを得ることにつながる。
【0117】
コールドトップ電気溶融ゾーン100では、電極110の周囲に散逸する電力が、特には、高対流ゾーン132を生み出し、これは、特に、鋳鉄と、上記ガラス化可能混合物層112を形成するガラス化可能混合物との間の境界に必要なカロリーを提供する、非常に強い上昇流を有する。
【0118】
先行技術によるガラス生成プロセスでは、二酸化炭素(CO)の他に、原料の分解、及び溶融工程のための燃料としての化石エネルギーの使用は、本質的に窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、ハロゲン、及び粉塵からなる汚染排出物の原因でもある。
【0119】
有利には、本発明によるハイブリッド炉10のコールドトップ電気溶融ゾーン100において燃焼(火炎)が無く、その結果、NOx及びSOxの汚染率は、比較的非常に低くなる。
【0120】
さらに、二酸化炭素(CO)に対しては透過性であるが、浴130の表面上に存在するガラス化可能混合物層112は、有利には、凝縮によって又は化学反応によって、蒸気を捕捉することを可能にし、これは、組成によって有毒な場合もあり、溶融ガラスによって放出される。
【0121】
有利には、電極110は、図1に示すように浴130の表面を覆う層112を通して、ガラス浴130内に浸るように、表面上に配置される。
【0122】
好ましくは、飛び込み電極110は、垂直に延在する。代替的には、飛び込み電極110は、斜めに延在し、すなわち、垂直方向に対して所定の角度を有するように傾斜している。
【0123】
代替的には、電極110は、電気溶融ゾーン100の床部150を通して配置され、それによって、浴130内に浸漬され、立ち上がり電極(飛び込み電極とは対照的に)は、好ましくは垂直に、代替的には斜めに延在する。
【0124】
床部150を通して配置される電極と比較して、飛び込み電極110はまた、それらの摩耗状態の比較的容易な制御を可能にし、電気エネルギーの散逸をもたらし、これは、有利には、ガラス化可能混合物の層112からの、溶融界面に比較的近い。
【0125】
有利には、飛び込み電極110は、立ち上がり電極と比較して、開口部のない電気溶融ゾーン100の床部150を保持することを可能にする。
【0126】
好ましくは、電気溶融ゾーン100の床部150は、図1に示すように平坦である。
【0127】
変形例として、床部150は、ガラスの浴130の表面に対する深さの少なくとも1つの変形を含み、上記変形は、少なくとも1つの高台及び/又は少なくとも1つのレベルの変化を含む。
【0128】
好ましくは、溶融電極110は、浴130内に均等に分散される。さらに、ここで図1及び図2に示す9つの電極110の数は、例示に過ぎず、したがって決して限定するものではない。
【0129】
代替的には、電気溶融ゾーン100は、飛び込み電極及び立ち上がり電極を、累積的に有しうる。
【0130】
別の代替配置によれば、電極110は、上記電気溶融ゾーン100を区画する、少なくとも1つの側壁を貫通し、上記電極110は、次いで水平かつ/又は斜めに延在する。
【0131】
有利には、電極110は、モリブデンでできており、この耐火性金属は1700℃の温度に耐え、ジュール効果を用いるガラスの溶融に特に適している;なぜなら、ガラスは高温でのみ伝導性になるからである。
【0132】
有利には、電気溶融ゾーン100は、緩衝ゾーン134と呼ばれる、低対流のゾーンを有し、これは、飛び込み電極110の自由端と床部150との間に位置する。
【0133】
したがって、電気溶融ゾーン100は、飛び込み電極110の下方に、このような低対流の緩衝ゾーン134が得られるように決定された、深さ(P)を示すように構成される。
【0134】
好ましくは、飛び込み電極110の自由端部と床部150との間の深さ(P)は、600mm超であり、好ましくは800mm超である。
【0135】
このような低対流緩衝ゾーン134は、床部150を貫通する立ち上がり電極に対して飛び込み電極110を好む別の理由を構成する。
【0136】
有利には、低対流緩衝ゾーン134の存在は、溶融ゾーン100内のガラスの比較的長い滞留時間を促進することによって、高品質ガラスを得ることに直接的に関与する。
【0137】
有利には、電気溶融ゾーン100、及びガラスを精製均質化するゾーン200は、図2によって示されるように、第一のタンクネック160、すなわち幅が縮小されたゾーンによって、互いに接続されている。
【0138】
有利には、ハイブリッド炉の上記第一のタンクネック160は、ガラスが、電気溶融ゾーン100から、ガラスを精製均質化するゾーン200に流れる時に、ガラスの冷却を確保することを可能にする。
【0139】
ガラスの冷却は、より顕著となる;なぜなら、第一のタンクネックが、大きな長さを有するであろうし、溶融ゾーン100から来たガラスは、第一のタンクネック160を通って上流から下流に流れる際に自然に冷却される。
【0140】
有利には、ハイブリッド炉10は、第一のタンクネック160内のガラスを選択的に冷却することができる、ガラス冷却手段500を有する。
【0141】
溶融ゾーン100を精製ゾーン200に接続する第一のタンクネック160を通る、ガラスのその流れの際の冷却に加えて、このような冷却手段500は、冷却をさらに増大させることを可能にし、特にはこの冷却を変化させることを可能にし、このおかげでガラスの温度の調節が、次いで有利に得られる。
【0142】
好ましくは、第一のタンクネック160内のガラスを冷却するための手段500は、少なくとも1つの空気循環冷却装置510を有する。
【0143】
冷却装置510の例示的な実施形態が、第二の実施形態を示す図3及び図4において、かつ、第三の実施形態及び変形例をそれぞれ示す図5及び図6において、比較的特に概略的に示されるように、以下に説明されるので、有利には上記図が参照されるであろう。
【0144】
このようなガラス用空気冷却装置510は、例えば、ハイブリッド炉10の上記第一のタンクネック160の雰囲気内に冷却空気を導入するための、少なくとも取り入れ手段512などを有する。
【0145】
好ましくは、ガラスを冷却するための装置510は、高温空気を排出し、かつ新鮮な冷却空気によるその更新を確保するために、第一のタンクネック160内に配置されている排出手段514を有する。
【0146】
代替的には、排出手段は、抽出手段(図示せず)によって形成され、これは、第一のタンクネック160の下流に位置し、ヒュームを抽出することを意図されている。そして、有利には、高温空気が、ハイブリッド炉10が追加的な手段を備える必要も無く、上記抽出手段によってヒュームと共に排出される。
【0147】
ガラス冷却装置510の取り入れ手段512及び空気排出手段514は、例えば、第一のタンクネック160の最上部を支持する側壁内に出現する、1つ以上の開口部によって形成される。
【0148】
図3及び上記に概略的に示される、上記少なくとも1つの取り入れ開口部及び上記少なくとも1つの排出開口部は、例えば、長手方向に互いに対向して位置し、1つ又は複数の取り入れ開口部は、第一のタンクネック160の上流部分内に配置される一方、1つ又は複数の排出開口部は、第一のタンクネック160の下流部分内に配置される。
【0149】
取り入れ手段512及び空気排出手段514は、例えば、第一のタンクネック160の両側に短手方向に配置され、代替的には第一のタンクネック160の一方の側のみに配置される。
【0150】
有利には、第一のタンクネック160内に導入される冷却空気の温度は、上記第一のタンクネック160の内側に位置する高温空気の温度よりも低く、循環される冷却空気は、熱伝達流体を形成する。
【0151】
好ましくは、用いられる冷却空気は、フロートユニットに供給する、ハイブリッド炉10の外側、又は上記ハイブリッド炉10が設置されている建物の囲いの外側でも、取り込まれる大気空気である。
【0152】
有利には、用いられる大気空気の温度は、制御され、それによって、それは、調節されうる。例えば、空気を、導入前に予冷又は再加熱して、その温度を制御しうる。
【0153】
ガラスの冷却は、主に対流によって達成され、導入される冷却空気は、それがガラスの表面に接触するにつれて加熱され、その後ガラスによって伝達された熱(カロリー)とともに除去される。
【0154】
有利には、空気の循環は、空気ブロー手段(図示せず)、例えば、上記取り入れ手段及び/又は排出手段と関連付けられ、循環する空気の流量を変化させるように制御可能である、ファンなどによって、制御可能である。
【0155】
別の実施形態によれば、ガラスを冷却する手段500は、上記第一のタンクネック160を通って上流から下流に流れるガラス中に浸漬され、それによって、その冷却を可能にする。
【0156】
このような冷却手段は、例えば、熱伝達流体による冷却回路によって冷却される、ガラス中に浸漬されている垂直スタッドによって形成され、それによって、ガラスによりスタッドに伝達された熱を排出する。
【0157】
さらに別の実施形態によれば、冷却手段500は、ガラスと接触している第一のタンクネック160の構造を冷却することができ、冷却は、第一のタンクネック160の構造の外部から行われる。
【0158】
もちろん、第一のタンクネック160に関連する冷却手段500、例えば先に説明した様々な実施例によるものなどは、単独で又は組み合わせて実施されることができる。
【0159】
有利には、第一のタンクネック160に関連するガラスを冷却する手段500は、ガラスの温度を選択的に制御することを可能し、温度は、特に取出速度が変化する場合に、変化する可能性が高い;なぜなら、取出速度の増加は、ガラスの温度上昇を引き起こすからである。
【0160】
図2は、電気溶融ゾーン100を精製均質化ゾーン200に接続する、第一のタンクネック160の例示的な実施形態を示す。
【0161】
電気溶融ゾーン100から、第一のタンクネック160への通路は、例えばここでは炉の長手方向中央軸A-A’と90°の角度を形成する壁162及び163などによって、ガラス通路の幅及び断面の急激な狭小化を伴う。
【0162】
第1のタンクネック160から、ガラスを精製及び均質化するゾーン200への通路は、例えばここでは炉の長手方向中央軸A-A’と90°の角度を形成する壁262及び263などによって、ガラス通路の断面の急激な拡大を伴う。
【0163】
代替的には、第一のタンクネック160の入口における角度は、90°より大きい値を有することができ、それによって、幅の狭まりが、比較的急激でなく、比較的緩やかになり、同様に、第一のタンクネック160の出口における角度の値も、炉の長手方向中央軸A-A’に沿って、広がり方が比較的急激でなく、比較的緩やかになるように、選択されうる。
【0164】
有利には、上流から下流に向かって第一のタンクネック160を介して流れる溶融ガラスは、電気溶融ゾーン100の下方部から、すなわち、最下部から取り込まれ、そこでのガラスは、電極110の間に位置する高対流ゾーン132におけるものよりも比較的「冷たい」。
【0165】
この第一の実施形態において、第一のタンクネック160は、好ましくは平坦である、床部(参照せず)を有し、第一のタンクネック160の上記床部が、電気溶融ゾーン100の平坦な床部150の延長上に水平に延在する。
【0166】
本発明によれば、ハイブリッド炉10は、「非戻り」分離装置170を有し、これは、上記第一のタンクネック160に置かれ、溶融ガラスが精製均質化ゾーン200から溶融ゾーン100に戻るのを防止するように構成される。
【0167】
図1及び図2によって示されるハイブリッド炉10の第一の実施形態による分離装置170は、後でさらに詳細に説明されるであろう。
【0168】
本発明によるハイブリッド炉10の第二の特徴によれば、コールドトップの電気溶融ゾーン100とは対照的に、ハイブリッド炉10の精製均質化ゾーン200は、「ホットトップ」タイプのものである。
【0169】
ハイブリッド炉10の精製均質化ゾーン200は、電気溶融ゾーン100から来る溶融ガラス中に存在する気泡(またはガス状欠陥)を除去するように構成され、それによって、高品質のガラスを得、このことは、特にフロートガラスユニットへの供給を可能にする。
【0170】
このために、精製均質化ゾーン200は、上流再循環ループと呼ばれる、第一の対流ループ210、及び下流再循環ループと呼ばれる、第二の対流ループ220を有する。
【0171】
好ましくは、上流再循環ループと呼ばれる、第一の対流ループ210は、図1に示すように、第二の対流ループ220よりも長手方向に短い。
【0172】
有利には、上記ループ210、220に対応するガラス中の対流は、ガラスを攪拌して、気泡を除去し、精製均質化ゾーン200におけるガラスの滞留時間を増加させ、したがって高品質のガラスを得るのに役立つ。
【0173】
第一の対流ループ210及び第2対流ループ220は、ループ210、220の反転ゾーン230によって分離されており、この反転ゾーン230は、ホットスポット(「ソース点」とも呼ばれる)によって決定され、これは、精製均質化ゾーン200内のガラスの最も高温の点(一般的には1500℃を超える温度)に相当する。
【0174】
精製均質化ゾーン200は、少なくとも1つのバーナー215、好ましくはここでは2つの空中バーナー215を有し、これらは、アーチ240の下に配置されて、上記ループ210、220の反転ゾーン230を決定する上記ホットスポットを得る。
【0175】
精製均質化ゾーン200では、燃焼によって放出される熱エネルギーの一部は、輻射と対流によってガラスに直接伝達され、別の一部は、アーチ240によって伝達され、これは、輻射によってガラスにそれを戻し、特にこの理由から「ホットトップ」と呼ばれる。
【0176】
好ましくは、精製均質化ゾーン200のバーナー215は、図2に概略的に示されている、クロスファイアバーナーである。
【0177】
このように、精製均質化ゾーン200におけるガラスの加熱は、ガラスの表面Sの上方で燃焼によって発達する、バーナー215の火炎によって得られる。
【0178】
本発明によるハイブリッド炉10では、それが製造に用いられた後、溶融ゾーン100内で行われるガラスの溶融工程は、電気エネルギーのみで得られる。
【0179】
したがって、有利には、上記ゾーン200における化石エネルギー又は同等の燃料の燃焼によって生じる、表面におけるガラスの加熱は、上記溶融ゾーン100から取り出されたガラスを精製均質化する工程を実行することのみを意図される。
【0180】
特には上述の第三の設計によるハイブリッド炉と、比較すると、燃焼のためにバーナー215によって用いられる同等の化石エネルギー又は燃料は、溶融工程に関与しないので、この燃料エネルギーは、本発明では、溶融のためにさらに用いられる電気エネルギーに対する「ブースター」として用いられる。
【0181】
したがって、本発明によるハイブリッド炉10は、ガラス生成プロセスにおける電気エネルギーに対する燃料エネルギーの割合を大幅に低減することを可能にし、電気エネルギーが主エネルギーとなり、燃料エネルギーが二次エネルギー又は補助エネルギーとなる。
【0182】
有利には、電気は、ハイブリッド炉内でガラス生成プロセスに用いられる、全エネルギーの60%超、又は80%超も、さらにはそれ以上を占める。
【0183】
したがって、本発明によるハイブリッド炉10の設計は、一方では可燃エネルギーが、化石エネルギー、例えばガスなどである場合に、他方では電気エネルギーが、全体的又は部分的に再生可能な脱炭素エネルギーから得られる「グリーン」電気である場合に、カーボンフットプリントを削減するために特に有利であることが理解されよう。
【0184】
精製均質化ゾーン200は、2つ超のバーナー215、特に上記反転ゾーン230の上流かつ/又は下流にバーナーを有してよく、これらのバーナーは、ガラスの表面Sの上方に置かれ、ガラスの上記表面Sを加熱することができ、それによって、溶融ガラス中に存在する気泡(又はガス状欠陥)を除去することによってガラスの精製及び均質化を完璧にする。
【0185】
実際、バーナー215の出力を調整することによって、温度の長手方向分布を調節することが可能であり、したがって、炉の運転にとって重要なパラメーターである、ホットスポットの位置を調節することが可能である。
【0186】
バーナー215は、異なる種類の燃料と酸化剤とを組み合わせることによって公知の様式で得られうる、燃焼による火炎を生成するが、その選択は、ガラス生成のカーボンフットプリント、又は物品の製造に関連する温室効果ガスの直接的かつ間接的な排出量、特には二酸化炭素排出量(CO)にも、直接的な影響を及ぼす。
【0187】
精製均質化ゾーン200のバーナー215による燃焼には、空気中に存在する酸素が、一般的には酸化剤として用いられ、これは、酸素過剰の空気を得るために酸素で濃縮されてよく、又は実質的に純粋な酸素さえも、酸素燃焼の特定の場合に用いられる。
【0188】
一般的に、用いられる燃料は、天然ガスである。しかしながら、炭素バランスをさらに改善するために、有利にはバイオ燃料、特には「バイオガス」、すなわちメタン化、すなわち酸素の無い状態での有機材料の発酵によって生成される、メタン及び二酸化炭素から本質的に構成されるガス、又は優先的には「バイオメタン」(CH)も用いられている。
【0189】
より好ましくは、水素燃料(H)が用いられ、これはバイオガスと比較して、有利には炭素を含まない。
【0190】
有利には、本発明によるハイブリッドガラス製造炉10は、(例えば対でかつ反転して)作動する耐火性材料でできている再生器、又は空気/ヒューム金属交換器(レキュペレータとも呼ばれる)を有してよく、これらは、製造から生じる燃焼ガス内に含有される熱をそれぞれ用いて、ガスを予熱し、このようにして燃焼を改善する。
【0191】
上述したように、本発明によるハイブリッド炉10は、分離装置170を有し、これは、溶融ガラスが精製均質化ゾーン200から溶融ゾーン100に戻るのを防止するように構成される。
【0192】
分離装置170は、第一のタンクネック160に配置され、これは、精製均質化ゾーン200と溶融ゾーン100との間にあって、ガラスの第一の対流ループ210からのガラスの「非戻り」機能を確保する。
【0193】
この第一の実施形態では、分離装置170は、ダム172を有し、これは、図1及び図2によって示されるように、溶融ガラスの浴130中に部分的に浸漬されるように意図される。
【0194】
より具体的には、第一の実施形態による分離装置170は、ダム172によってのみ構成され、これは、有利には、溶融ガラスが精製均質化ゾーン200から溶融ゾーン100に戻るのを防止することができる。
【0195】
好ましくは、ダム172は、第一のタンクネック160の上流末端部に配置される。
【0196】
有利には、上記分離装置170を形成するダム172は、電気溶融ゾーン100におけるガラスの滞留時間を長くすることを可能にし、これは、高品質ガラスを得ることに寄与する。
【0197】
好ましくは、ダム172は、図2によって示されるように、第一のタンクネック160の全幅にわたって短手方向に延在する。
【0198】
有利には、ダム172は、ガラス浴130中の浸漬深さを調節することを可能にするために、垂直に移動するように取り付けられ、それによって、下方に位置する溶融ガラスの通路の部分180が、ダム172の深さの調節の関数として変化可能である。
【0199】
そして、代替的には、ダム172は、溶融ガラスの通路の部分180が、一定であるように、すなわちガラス浴130中への上記ダム172の浸漬深さによって決定されるように、固定される。
【0200】
有利には、第一のタンクネック160の上流に配置されるダム172は、ホットトップ精製均質化ゾーン200に対して、コールドトップ電気溶融ゾーン100内のガラス浴130を覆うガラス化可能混合物の層112の固定化を確保する。
【0201】
好ましくは、ガラス化可能混合物層112の区画は、ダム172によって確保され、これは、図1によって示されるように、この末端部までガラス浴130の表面の上方に垂直に延在する。
【0202】
好ましくは、ダム172は取り外し可能、すなわち分解可能であり、それによって、上記ダム172を、特にはガラスとの接触で生じる摩耗を理由に、交換又は修理することができ、したがって、ハイブリッド炉10の維持を容易にする。
【0203】
ダム172は、例えば非耐火性の金属又は合金でできており、そして上記ダム172は、冷却流体冷却回路(図示せず)、特にはウォータージャケット型の回路によって冷却されることができる。
【0204】
有利には、ダム172は、第一のタンクネック160内のガラスを冷却するのに、第一のタンクネック160内の流れを制限することによって、ウォータージャケット型冷却流体冷却回路のおかげで役立ち、これは、ガラスによってダム172に伝達される熱(カロリー)の一部を除去する。
【0205】
代替的には、ダム172は、耐火性材料、典型的にはセラミック、例えば電融耐火物「AZS」(アルミナ-ジルコン-シリカの頭字語)など、又は耐火金属、例えばモリブデンなどでできている。
【0206】
ハイブリッド炉10は、コールドトップ電気溶融ゾーン100からの雰囲気と、特にはヒュームを含む、ホットトップ精製均質化ゾーン200の雰囲気とを分離するための、少なくとも1つの分離手段174をさらに有する。
【0207】
有利には、このような分離手段174は、第一のタンクネック160からの雰囲気を溶融ゾーン100のものから隔離することを、特には空気冷却装置が第一のタンクネック160内のガラスを冷却する手段として実施される場合に、可能にする。
【0208】
好ましくは、分離手段174は、ハイブリッド炉10の上部構造に取り付けられる要素を構成する仕切り(又はカーテン)によって形成される。
【0209】
ガラスと接触するブロックの集合は、慣例的に「下部構造」と呼ばれ、「上部構造」は下部構造の上方に配置される全ての材料である。
【0210】
上部構造材料は、下部構造のタンクブロックの上方にあり、ガラスと接触しているのではなく、炉内部の雰囲気と接触しているので、一般的には、下部構造のタンクブロックのものとは異なる性質である。
【0211】
上部構造に用いられる材料が、下部構造のものと同一であっても、例えばホットトップの場合、炉構造のこれら2つの部分は、一般的には、互いに区別される。
【0212】
代替的には、分離手段174は、上部構造の一部、例えば外側に開口する二重U字形の仕切りなどからなる。
【0213】
そして、有利には、ダム172は、仕切りの「U」の2つの翼の間、又はそれらを接続する中空の最下部の部分に取り付けられる。
【0214】
好ましくは、ダム172及び雰囲気仕切り174は、この第一の実施形態では、構造的に異なる、独立した要素である。
【0215】
好ましくは、仕切り174は、ガラスの表面と接触せず、ダム172と接触し、それによって、上記分離を確立する。
【0216】
有利には、仕切り174は、例えば、図1に示すように後方に、すなわちダムの下流に位置する。
【0217】
代替的には、仕切り174は、ダム172の前方、すなわち上流に位置するか、又は同じ垂直平面内に位置する。
【0218】
代替的には、ダム172及び仕切り174は、単一の部品でできており、このようにして、一方では、溶融ゾーン100と精製均質化ゾーン200との間でガラスを分離する第一の機能、及び他方では、コールドトップ140で溶融ゾーン100の雰囲気と、ホットトップ240で精製均質化ゾーン200の雰囲気とを分離する機能の、二重の機能を確保する。
【0219】
そして、代替的には(図示せず)、図1によって示されるようにダム172が第一のタンクネック160の上流に配置されていない場合、ハイブリッド炉10は、有利には、「すくい取り」とも呼ばれる、ブロック手段を有し、これは、ガラス化可能混合物層112を電気溶融ゾーン100内に保持することができる。
【0220】
好ましくは、ダム172のように、ブロック手段は、第一のタンクネック160の上流末端部に配置され、それによって、ガラス浴130の表面上に存在する上記ガラス化可能混合物が、第一のタンクネック160内に侵入しないようにする。
【0221】
第一の実施形態では、ガラスの戻り防止機能の他に、ダム172は、ガラス化可能混合物層112を電気溶融ゾーン100内に有利には保持することによって、このようなブロック手段の機能も確保する。
【0222】
このようなブロック手段の例示的な実施形態は、図3及び図4によって示される第二の実施形態及び図5に示される第三の実施形態において、符号176の下で、以下により詳細に説明される。
【0223】
図1及び図2によって示される第一の実施形態において、ハイブリッド炉10は、有利には、上記ループ反転ゾーン230内に配置される、バリア260又は堰壁を有する。
【0224】
好ましくは、バリア260は、精製均質化ゾーン200の床部250から垂直に延在している。
【0225】
図1に示すように、バリア260は、平坦域部分を有し、これは、ガラスの表面Sの下方に浸漬され、上流再循環ループと呼ばれる、第一の対流ループ210から、下流再循環ループと呼ばれる、第二の対流ループ220に向かうガラスの通路を決定する。
【0226】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、調節手段(図示せず)、例えば電気ブースト及び/又はバブラーなどを有し、これらは、精製均質化ゾーン200内に配置され、上記ループ210、220の対流を調節することを可能にすることができ、それによって、ガラス生成プロセスを促進する。
【0227】
したがって、有利には、調節手段は、電気ブースト、すなわち、電極を有する追加的な電気加熱手段、及び/又はバブラー、すなわち、少なくとも1つの気体、例えば空気若しくは窒素などを、床部で射出するシステムを有し、その気泡は、その後、ガラスの上方への移動を生じさせる。
【0228】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、精製均質化ゾーン200内に位置する床部250の、ガラスの表面Sに対する、深さの少なくとも1つの変化270を含む。
【0229】
深さの変化270は、第一の対流ループ210を有する部分内、かつ/又は第二の対流ループ220を有する部分内に位置する。
【0230】
有利には、ガラスの深さ変化270は、例えば、床部250の少なくとも1つの高台によって構成され、ここでは、図1によって示される、いくつかの高台によっても構成される。代替的には、深さの変化270は、床部250のレベルの少なくとも1つの差異によって構成される。
【0231】
深さの変化270を形成する床部250の高台、すなわちここでは深さの減少は、例えば少なくとも1つの段差272又は2つの段差によっても構成される。
【0232】
深さの変化270は、例えばバリア260の上流に位置する2つの段差272の場合には、直線部274を介して、又は代替的には、例えばバリア260の下流に位置する段差322の場合に、精製均質化ゾーン200とガラス冷却ゾーン300との接合部で示されるように、傾斜部分276を介して、多かれ少なかれ緩やかでありうる。
【0233】
好ましくは、冷却ゾーン300は、したがって、高台によって形成される、深さの変化370も含む。
【0234】
図1に示されるように、冷却ゾーン300における深さの変化370は、例えば、傾斜接合部276が床部250から通じている、第二のタンクネック320内に位置する、段差322、及び工程322の下流の、作用端部330内に位置する、別の段差332を有する。
【0235】
段差322はまた、第二のタンクネック320と作用端部330との間の接合部に位置する、傾斜部分376によって、他の段差332に緩やかに接続される。
【0236】
代替的には、図1を参照して説明される、直線部分及び傾斜部分は、それぞれ、一方の段差272と他方の段差322、332との間で逆であってよく、そうでなければ一つの同じ種類のもののみ、すなわち直線又は傾斜のいずれか一方のみであってよい。
【0237】
図1に示され、連続する段差322、332について説明したように、冷却ゾーン300は、床部350を有し、これは、ガラス表面Sに対する深さが、バリア260から、上流から下流に向かって徐々に減少するように構成される。
【0238】
本発明の第三の特徴によれば、ハイブリッド炉10は、精製均質化ゾーン200の下流に、下流再循環ループと呼ばれる、第二の対流ループ220によって通過される、ガラスを冷却する上記ゾーン300を有する。
【0239】
冷却ゾーン300は、調整タンク310によって形成され、少なくとも1つの流路400と連通し、これは、高品質ガラスを、溶融金属浴(図示せず)上のフロートガラスユニットに供給することを意図され、これは、下流に位置し、かつ形成ゾーンを形成する。
【0240】
有利には、冷却ゾーン300の調整タンク310は、上流から下流に向かって、第二のタンクネック320、次いで作用端部330を有する。
【0241】
有利には、精製均質化ゾーン200の雰囲気、及び冷却ゾーン300の比較的低温の雰囲気は、最上部340からガラスの表面Sの近傍まで垂直に延在するヒートスクリーン360によって、好ましくはガラス中で焼戻しすることなく、互いに分離される。
【0242】
有利には、炉の長手方向中央軸A-A’に直交する任意の垂直平面において、調整タンク310内には、下流から上流に向かって延在する、長手方向速度成分を有するガラス中の点が存在する。
【0243】
調整タンク310の後、戻り流れは、形成ゾーンにガラスを供給することを意図される流路400内に起きない。換言すれば、流路400内のガラスの流れは、「ピストン」流である。
【0244】
有利には、本発明によるハイブリッド炉10は、1リットル当たり0.1個未満の気泡、好ましくは1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する、高品質ガラスを送り出すことができ、このような高品質ガラスは、最も特には溶融金属浴上のフロートガラスユニットに供給するのに適している。
【0245】
有利には、ハイブリッド炉10は、溶融金属浴上のフロートガラスユニットに、1日当たり400トン以上、好ましくは1日当たり600~900トン、又は1日当たり1000トン以上もの取出速度で、1リットル当たり0.1個未満の気泡を有する高品質ガラスを供給することができる。
【0246】
有利には、本発明によるハイブリッド炉10は、電気ブースターの有無にかかわらず、火炎炉の取出速度に類似した取出速度を提供することができ、このおかげで、フロートユニットは、高品質ガラスを供給されることができる。
【0247】
本発明によるガラス製造用ハイブリッド炉10は、流路400を介して、平坦ガラスの製造を意図される、溶融金属、例えば錫などの浴上のフロートガラスユニットに供給する。
【0248】
有利には、図1及び図2を参照して説明されたタイプのハイブリッド炉10における、ガラス製造方法は、以下の工程を連続的に含む:
(a)-ガラス化可能混合物をコールドトップ電気溶融ゾーン内で溶融して溶融ガラスを得ること;
(b)-分離装置を提供される第一のタンクネックを通って、溶融ゾーンから精製均質化ゾーンに流れる、溶融ガラスを集めること;
(c)-上記溶融ガラスを、第一の対流ループ(上流再循環ループと呼ばれる)及び第二の対流ループ(下流再循環ループと呼ばれる)を有する、ホットトップを有する精製均質化ゾーン内で、精製均質化すること;
(d)-調整タンクによって形成され、第二の対流ループによって通過される、冷却ゾーン内でガラスを冷却すること。
【0249】
有利には、溶融ゾーン100内に集められる溶融ガラスの温度は、ダム172及び/又は床部165の高台161によって形成される、分離装置170を有する第一のタンクネック160を通過する際に低下する。
【0250】
有利には、実施形態によれば、本方法は、調節工程(e)を含み、これは、移動可能ダム172であって、ガラス中に浸漬され、電気溶融ゾーン100を精製均質化ゾーン200に接続する第一のタンクネック160内に配置される、移動可能ダム172の深さを調整して、溶融ゾーン100内に集められる溶融ガラスの流量を制御することからなる。
【0251】
有利には、調節工程(e)は、電気溶融ゾーン100から精製均質化ゾーン200へ通過する溶融ガラスの量を、例えば取出速度の関数として、変化させることを可能にする。
【0252】
調整タンク310内での冷却工程(d)の後、ガラスは、フロートガラスユニットに高品質ガラスを供給することを意図される流路400内に流入する。
【0253】
有利には、本方法は、第一のタンクネック160内のガラスの冷却を、特にはガラスを冷却するための手段500、例えば少なくとも1つの空気冷却装置510などを選択的に制御することによって、調節する工程を含む。
【0254】
有利には、空気冷却装置510の取り入れ手段512によって第一のタンクネック160内に導入される冷却空気の量は、特にガラスの温度の関数として制御される。
【0255】
以下、第一の実施形態と比較することによって、図3及び図4によって示されるハイブリッド炉10の第二の実施形態について説明する。
【0256】
実際、この第二の実施形態によるハイブリッド炉10は、図1及び図2を参照して上述したものと類似しているので、それによって与えられる説明は、以下に詳述するものを除いて、この第二の実施形態にも適用される。
【0257】
第一の実施形態に対する相違点の1つは、第一のタンクネック160が、符号165の床部を有し、この床部165は平坦ではなく、上記床部165は、電気溶融ゾーン100の平坦な床部150の延長上に延在していないことである。
【0258】
実際、図3によって示されるように、第一のタンクネック160の床部165は、少なくとも1つの高台161を形成するように構成される。
【0259】
有利には、高台161は、第一のタンクネック160の長さの半分超、又は上記長さの4分の3超にもわたって長手方向に延在している。
【0260】
この第二の実施形態において、ハイブリッド炉10の第一のタンクネック160は、有利には、図2図4とを比較することによっても分かりうるように、第一の実施形態の長さよりも大きい長さを有する。
【0261】
有利には、第一のタンクネック160の長さは、精製均質化ゾーン200内に流入することを意図されるガラスを冷却するように構成される;電気溶融によって得られる溶融ガラスは、特には火炎溶融と比較して、一般的には比較的高温を有するからである。
【0262】
一例として、溶融ゾーン内のガラスの温度は、約1450℃であるのに対して、第一のタンクネックの下流部分内のガラスの所望の温度は、比較的約1300℃~1350℃である。
【0263】
第二の実施形態の特徴によれば、第一のタンクネック160の床部165の上記少なくとも1つの高台161は、ガラスが溶融ゾーン100に戻るのを防止する機能を確保する上記分離装置170の一部を形成する。
【0264】
有利には、この第二の実施形態による分離装置170は、それぞれ、ダム172であって、第一の実施形態のものと同様に、第一のタンクネック160の床部165の上記少なくとも1つの高台161に関連するダム172を有する。
【0265】
しかしながら、ダム172は、第一のタンクネック160の上流ではなく、床部165の上記少なくとも1つの高台161を有する第一のタンクネック160の内部に、その上流末端部と下流末端部との間の長手方向に置かれる。
【0266】
好ましくは、ここでの分離装置170は、床部165の単一の高台161を有する。
【0267】
バリア(又は堰壁)と比較すると、上記高台161は、床部165によって直接形成され、それに取り付けられておらず、それによって、高台161は、第一のタンクネック160の上記床部165を形成する下部構造の耐火性材料からなる。さらに、バリアは、厚さの小さい狭い構造であり、これは、著しい摩耗を受け、ガラスが溶融ゾーンに戻らないことを持続的には確保しない。
【0268】
上記に示したように、上記高台161は、それが第一のタンクネック160の長さの主要部分にわたって長手方向に延在するという点で幅広であり、上記高台161は、第一のタンクネック160内のガラスの冷却に有利には関与する。
【0269】
以下、図3によって示されるような床部165の高台161の例示的な実施形態を、より具体的に説明する。
【0270】
図3において、高台161は、上流から下流に向かって連続的に、少なくとも1つの第一の上り部分164、第二の最上部部分166、及び第三の下り部分168を有する。
【0271】
有利には、高台161は、第一のタンクネック160の全幅にわたって短手方向に延在している。
【0272】
もちろん、このような高台161は、その一般的な形状や寸法に関して、特にはそれを構成する異なる部分164、166、及び168のそれぞれの構成に応じて、多数の幾何学的な変形を有しうる。
【0273】
好ましくは、上り部分164は、図3によって示されるように、溶融ガラスを高台161の最上部部分166に向かって上昇させる、傾斜路を形成するように決定される、角度(α)で傾斜している。
【0274】
好ましくは、上り部分164は、例えば20°~70°からなる鋭角(α)を有する、傾斜面であり、上記角度(α)は、高台161の上り部分164と水平との間の角度として示され(より読みやすくするために図6を参照)、ここでは溶融ゾーン100の平坦な床部150を基準としている。
【0275】
変形例(図示せず)として、上り部分164は、段差があり、例えば、少なくとも1つの段差、又は高さ及び/若しくは長さの寸法が同一であってよく、若しくは同一でなくてよい、2つ以上の段差を有する、階段状のものである。
【0276】
好ましくは、最上部部分166は、水平な平坦域を形成する、平面状である。有利には、最上部部分166は、所定の長さ、好ましくはここでは第一のタンクネック160の全長の半分以上にわたって、長手方向に延在している。
【0277】
最上部部分166は、高台161が有する最大高さH1を決定し、これはまた、部分的にはダム172によってのみ、第一のタンクネック160内の溶融ガラスの通路の部分180を決定する。
【0278】
好ましくは、高台161の下り部分168は、垂直に延在し、水平に延在する平坦な最上部部分166の下流端部に、直角によって接続される。
【0279】
後述する、例えば図6に示す、別の実施形態によれば、下り部分168は、第一のタンクネック160から精製均質化ゾーン200への溶融ガラスの流れに緩やかに随伴するように構成される。
【0280】
このような部分168は、例えば、傾斜平面によって形成され、この傾斜面は、段差があってよく、又はなくてよく、特には、上り部分164の代替実施形態についての上記の説明のような段差でできている。
【0281】
先ほど説明した上記少なくとも1つの高台161の他に、分離装置170は、この第二の実施形態において、第一の実施形態におけるもののように少なくとも1つのダム172も有し、上記ダム172は、溶融ガラス中に部分的に浸漬される。
【0282】
分離装置170を組み合わせて形成するダム172及び高台161は、溶融ガラスが精製均質化ゾーン200から電気溶融ゾーン100に戻ること、すなわちガラスが第一の対流ループ210から戻ることを防止することができる。
【0283】
有利には、上記少なくとも1つの高台161と組み合わされたダム172は、電気溶融ゾーン100におけるガラスの滞留時間を共同で増加させることを可能にし、これは、高品質ガラスを得るのに役立つ。
【0284】
有利には、ダム172は、第一の実施形態について上述したものと同じ特徴を有することができる。
【0285】
好ましくは、ダム172は、取り外し可能、すなわち、分解可能であり、これによって、上記ダム172を、特にはガラスとの接触で生じる摩耗を理由に、交換又は修理することができ、このようにして、ハイブリッド炉10の維持が容易になる。
【0286】
同様に、ダム172は、例えば非耐火性金属又は合金でできており、そして、上記ダム172を、冷却流体冷却回路(図示せず)、特にはウォータージャケット型回路によって冷却することができる。
【0287】
代替的には、ダム172は、耐火性材料、典型的にはセラミック、例えば電融耐火物「AZS」(アルミナ-ジルコン-シリカの頭字語)など、又は耐火金属、例えばモリブデンなどでできている。
【0288】
図3に示すように、上記少なくとも1つのダム172は、第一のタンクネック160の下流端部と上流端部との間に長手方向に配置される。
【0289】
好ましくは、ダム172は、高台161の最上部部分166の上方に垂直に置かれる。
【0290】
好ましくは、ダム172は、図4によって示されるように、第一のタンクネック160の全幅にわたって短手方向に延在している。
【0291】
有利には、ダム172は、垂直に移動するように取り付けられて、ガラス浴130内の浸漬深さを調節することを可能にし、それによって、高さ161の最上部部分166の上に位置する溶融ガラスの通路の部分180が、高さH1によって決定されるガラスの深さP1に対するダム172の深さの調節の関数として、変化可能である。
【0292】
有利には、ハイブリッド炉10は、少なくとも1つの分離手段174、例えば仕切りなどをさらに有し、それによって、電気溶融ゾーン100からの雰囲気と、特には燃焼ガスを含む、精製均質化ゾーン200の雰囲気とを分離する。
【0293】
図3及び図4に示すように、分離手段174は、電気溶融ゾーン100に隣接して、第一のタンクネック160の上流端部に配置されている。
【0294】
この第二の実施形態では、分離手段174は、ここでは仕切りによって形成され、ガラスの表面と接触し、又はその自由端部で浸漬され、それによって、上記雰囲気分離を確立するだけでなく、ガラス化可能混合物層112を電気溶融ゾーン100内に保持する。
【0295】
有利には、分離手段174は、このようにして、別の機能、すなわちブロック手段176のものを提供し、それによって、ガラス浴130の表面上に存在するガラス化可能混合物の層112が、第一のタンクネック160内に侵入しないようにする。
【0296】
したがって、この第二の実施形態では、ブロック手段176は、浴表面130でこの目的のために延在する、又は優先的にはガラス浴130内に浸漬もされる、仕切りからなる分離手段174の自由端部によって形成される。
【0297】
代替的には、層112をブロックするための手段176は、分離手段174とは構造的に異なり、そして、上記ブロック手段176は、上記分離手段174に隣接することができ、又はそれから離れることができる。
【0298】
このような変形例は、後でさらに詳細に説明する、第三の実施形態を表す図5又は図6によっても示されている。
【0299】
分離手段174は、例えば、ブロック手段176の下流に、すなわちそこから離れて位置する。代替的には、分離手段174は、上記ブロック手段176に取り付けられている。
【0300】
したがって、第一の実施形態と比較して、ガラス化可能混合物層112の区画は、ここではダム172によって確保されるのではなく、図3及び4によって示されるこの第二の実施形態における分離手段174の自由端部によって、又は図5もしくは6によって示される第三の実施形態における分離したブロック手段176によって、のいずれか一方で確保される。
【0301】
図5(及び高台の代替実施形態を示す図6)によって示される第三の実施形態を、最も特には第二の実施形態と比較して、以下に説明する。
【0302】
この第三の実施形態では、いわゆる「非戻り」分離装置170は、図3及び図4に示す第二の実施形態と比較して、又は第一の実施形態と比較しても、第一のタンクネック160の床部165の少なくとも1つの高台161によってのみ構成され、したがって移動可能ダム172は存在しない。
【0303】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、基準としてとられる溶融ゾーン100の平坦な床部150における水平に対して、図5に示される、高さH2を有する床部165の高台161を有し、上記高さH2は、図3に示される高さH1よりも比較的大きい。
【0304】
有利には、第一のタンクネック160の床部165の高台161は、図3を参照して上述したものと同一形状であり、すなわち上り部分164、最上部部分166、及び下り部分168から連続的に構成される。
【0305】
図5に示すように、溶融ガラスの表面Sと、床部165の高台161の最上部部分166との間の深さP2は、深さP1よりも小さい。
【0306】
このようにして、この第三の実施形態では、溶融ガラスの通路部分180は、有利には移動可能に取り付けられるダム172によって決定されるのではなく、床部165の上記高台161によってのみ決定され、それによって、上記通路部分180を、特に調節することはできない。
【0307】
ダム172が無い場合でも、ハイブリッド炉10は、第一の実施形態及び第二の実施形態と同様に、少なくとも1つの分離手段174を有し、これは、電気溶融ゾーン100から、かつ精製均質化ゾーン200から、それぞれの雰囲気を分離することができる。
【0308】
さらに、第二の実施形態に関する変形例として上述したように、ブロック手段176は、好ましくは、上記分離手段174とは異なり、分離している。
【0309】
代替的には、第二の実施形態と同様に、ブロック手段176は、分離手段174によって形成され、それらの自由端部、すなわちここでは下方端部が、好ましくはガラス浴130内に浸漬される。
【0310】
図6に示す第一のタンクネック160の床部165の高台161の1つの代替実施形態によれば、下り部分168は、精製均質化ゾーン200に向かう溶融ガラスの流れに緩やかに随伴するように構成される。
【0311】
このような部分168は、例えば、傾斜平面によって形成され、これは、段差があってよく、又は無くてよく、特には階段状である。
【0312】
好ましくは、部分168は、精製均質化ゾーン200の床部250に向かって溶融ガラスを緩やかに降下させることができる、傾斜路を形成するように決定される、角度(β)で傾斜している。
【0313】
下り部分168について、角度(β)は、例えば90°~145°の値を有しうる鈍角であり、上記角度(β)は、図6において最上部部分166と下り部分168との接合部において記した内角に対応する。
【0314】
変形例(図示せず)として、部分168は、平坦ではないが、段差があり、例えば、少なくとも1つの段差、又は高さ及び/若しくは長さの寸法が同一であってよく、若しくは同一でなくてよい、2つ以上の段差も有する階段状である。
【0315】
図によって示されるように、ガラスの深さは、ここでは、上記少なくとも高台161の長手方向の両側において、それぞれ電気溶融ゾーン100の平坦な床部150と、第一のタンクネック160の下流の、精製均質化ゾーン200の床部250の出発点との間において、同一ではなく、この精製均質化ゾーン200は、深さにおいて少なくとも1つのばらつきを有する可能性が高い。
【0316】
先に示したように、このような高台161は、その一般的な形状、その寸法に関して、特にはそれを構成する異なる部分164、166及び168のそれぞれの構成にしたがって、多数の幾何学的な変形を有しうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】