(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】幹細胞分化および化学化合物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0735 20100101AFI20241106BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20241106BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241106BHJP
C07K 14/495 20060101ALI20241106BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20241106BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20241106BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20241106BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241106BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20241106BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C12N5/0735
C12N5/071 ZNA
C12N5/10
C07K14/495
A61K35/28
A61K35/545
A61K38/19
A61K31/4545
A61K31/4439
A61K31/506
A61K31/496
A61K31/5377
A61K31/501
A61K45/00
A61K38/28
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527132
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022079398
(87)【国際公開番号】W WO2023081884
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】シエ,チュンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーブ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】テセノ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ファーラー,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA01
4B065BB05
4B065BB19
4B065BC50
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4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
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4C084DA01
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4C084NA05
4C084NA14
4C084ZC351
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC50
4C086BC82
4C086CB05
4C086CB07
4C086CB09
4C086CB27
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC35
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA22
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
幹細胞の膵細胞への分化に関する組成物および方法が本明細書で開示される。一部の態様では、本明細書で提供される方法は、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達を阻害する1つまたは複数の化学化合物の存在下でのin vitroでの膵β細胞、α細胞、δ細胞、およびEC細胞の産生に関する。一部の態様では、本開示は、本明細書で開示される方法に従って産生された細胞を含む医薬組成物、ならびにそれらを使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sox17陽性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物。
【請求項2】
幹細胞をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
幹細胞、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子を含むin vitro組成物。
【請求項5】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項7】
多くとも約100ng/mL、多くとも約80ng/mL、多くとも約60ng/mL、多くとも約50ng/mL、多くとも約25ng/mL、多くとも約20ng/mL、多くとも約15ng/mL、多くとも約10ng/mL、多くとも約5ng/mL、または多くとも約2ng/mLのアクチビンAを含む、請求項2または6に記載の組成物。
【請求項8】
0.5ng/mL~500ng/mL、1ng/mL~250ng/mL、10ng/mL~200ng/mL、20ng/mL~150ng/mL、50ng/mL~120ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~25ng/mL、または5ng/mL~20ng/mLのアクチビンAを含む、請求項2または6に記載の組成物。
【請求項9】
約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLのアクチビンAを含む、請求項2または6に記載の組成物。
【請求項10】
幹細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物。
【請求項11】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、もしくはアピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
GSK-690693、その類似体または誘導体を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
BYL719、その類似体または誘導体を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
BYL319、その類似体または誘導体を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL319、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
約0.01μM、約0.02μM、約0.04μM、約0.06μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、または約1μMのGSK-690693を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
WNTシグナル伝達経路の活性化剤をさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
WNTシグナル伝達経路の活性化剤が、Wnt3a、CHIR99021、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびそれらの類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
GSK3阻害剤をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
0.5μM~50μM、0.6μM~30μM、0.8μM~20μM、1μM~10μM、または2μM~5μMのCHIR99021をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
約0.5μM、0.6μM、0.8μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、8μM、10μM、15μM、20μM、25μM、または30μMのCHIR99021をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
幹細胞が胚幹細胞を含む、請求項2から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
幹細胞が人工多能性幹細胞を含む、請求項2から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
幹細胞がヒト細胞である、請求項2から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
幹細胞が遺伝子修飾されている、請求項2から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
Sox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団を含む、請求項1から3または6から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
細胞の集団が、少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
細胞の集団が、約50%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75~約90%、約80%~約90%、または約75%~約85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
複数のFOXA2陽性、PDX1陰性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物。
【請求項37】
プロテインキナーゼC活性化剤、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
(a)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、
(b)LDN193189もしくはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、
(c)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、
(d)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、
(e)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ならびに/または
(f)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤
をさらに含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項36から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
多くとも約20ng/mLのアクチビンAを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
多くとも約10ng/mL、多くとも約5ng/mL、多くとも約1ng/mL、多くとも約0.5ng/mL、または多くとも約0.1ng/mLのアクチビンAを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項44】
約20ng/mL、約10ng/mL、約5ng/mL、約1ng/mL、約0.5ng/mL、または約0.1ng/mLのアクチビンAを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞をさらに含む、請求項36から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物。
【請求項47】
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
(a)インヒビン、アクチビン、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、
(b)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、
(c)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、
(d)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、
(e)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、
(f)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、ならびに/または
(g)任意選択で、AS1842856である、FoxO1阻害剤
をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
組成物がノッチシグナル伝達阻害剤をさらに含み、任意選択で、ノッチシグナル伝達阻害剤がXXIまたはDAPIである、請求項46から48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項46から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
多くとも約5ng/mLのアクチビンAを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
多くとも約2.5ng/mL、多くとも約1ng/mL、多くとも約0.5ng/mL、多くとも約0.1ng/mL、または多くとも約0.05ng/mLのアクチビンAを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項55】
約5ng/mL、約2.5ng/mL、約1ng/mL、約0.5ng/mL、約0.1ng/mL、または約0.05ng/mLのアクチビンAを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項56】
PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞をさらに含む、請求項46から55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項36から56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む、請求項36から57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む、請求項36から57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
GSK-690693、その類似体または誘導体を含む、請求項36から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
BYL719、その類似体または誘導体を含む、請求項36から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
BYL319、その類似体または誘導体を含む、請求項36から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL319、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項36から56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項36から56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項36から64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
約0.01μM、0.02μM、0.04μM、0.06μM、0.08μM、0.1μM、0.12μM、0.15μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.8μM、または1μMのGSK-690693を含む、請求項36から64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む、請求項36から66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
水溶性合成ポリマーをさらに含む、請求項36から66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
水溶性合成ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
水溶性合成ポリマーがポリビニルアルコールを含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項71】
水溶性合成ポリマーが、培地中に約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する、請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
水溶性合成ポリマーが、培地中に約0.04%~約0.06%(w/v)の濃度で存在する、請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
水溶性合成ポリマーが、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する、請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
水溶性合成ポリマーが、85%未満が加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項68から73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
水溶性合成ポリマーが、約80%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項68から73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719を含む、請求項36から75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719を含む、請求項36から75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
約500mL~約50L、約1L~約10L、約2L~約5L、約3L~約4L、約2L~約30L、または約10L~約20Lの液体容積を有する、請求項1から77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
約10mL~約1000mL、約10mL~約100mL、約20mL~約50mL、約30mL~約40mL、約20mL~約30mL、または約10mL~約20mLの液体容積を有する、請求項1から77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
複数の幹細胞を、in vitroでPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップを含む、方法。
【請求項81】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、GSK-690693、その類似体または誘導体を含む、請求項80から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、BYL719、その類似体または誘導体を含む、請求項80から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が、GSK-690693およびBYL719を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約0.01μM~約1μM,約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693と接触させるステップを含む、請求項80から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約0.01μM、0.02μM、0.04μM、0.06μM、0.08μM、0.1μM、0.12μM、0.15μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.8μM、または1μMのGSK-690693と接触させるステップを含む、請求項80から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む、請求項80から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719と接触させるステップを含む、請求項80から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、または約0.07μM~約0.15μMのGSK-690693、および約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む、請求項80から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
接触させるステップが、複数の幹細胞を、約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む、請求項80から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させるステップを含む、請求項80から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
TGF-βスーパーファミリーからの成長因子が、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
複数の幹細胞を、約0.5ng/mL~約500ng/mL、約1ng/mL~約250ng/mL、約10ng/mL~約200ng/mL、約20ng/mL~約150ng/mL、約50ng/mL~約120ng/mL、約1ng/mL~約50ng/mL、約2ng/mL~約25ng/mL、または約5ng/mL~約20ng/mLのアクチビンAと接触させるステップを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
複数の幹細胞を、約1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、または50ng/mLのアクチビンAと接触させるステップを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と約24時間~約96時間、約36時間~約84時間、約48時間~約84時間、約60時間~約84時間、または約3日間接触させるステップを含む、請求項80から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
複数の幹細胞を、WNTシグナル伝達経路の活性化剤とも接触させるステップを含む、請求項80から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
WNTシグナル伝達経路の活性化剤が、Wnt3a、CHIR99021、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびこれらの任意の類似体または誘導体の1つまたは複数を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
WNTシグナル伝達経路の活性化剤がGSK3阻害剤を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
複数の幹細胞を、約0.5μM~約50μM、約0.6μM~約30μM、約0.8μM~約20μM、約1μM~約10μM、または2μM~約5μMのCHIR99021と接触させるステップを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
複数の幹細胞を、約0.5μM、0.6μM、0.8μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、8μM、10μM、15μM、20μM、25μM、または30μMのCHIR99021と接触させるステップを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびWNTシグナル伝達経路の活性化剤を含む第1の組成物中で12時間~48時間、12時間~36時間、18時間~30時間、または約1日間培養するステップを含む、請求項98から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
第1の組成物中で培養するステップ後、得られた細胞の少なくとも一部を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む第2の組成物中で12時間~72時間、24時間~72時間、36時間~72時間、または約2日間培養するステップをさらに含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
第2の組成物が、WNTシグナル伝達経路の活性化剤を含まない、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
第2の組成物が、第1の組成物と同じ濃度のPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
幹細胞が胚幹細胞を含む、請求項80から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
幹細胞が人工多能性幹細胞を含む、請求項80から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
幹細胞がヒト細胞である、請求項80から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
幹細胞が遺伝子修飾されている、請求項80から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
複数の幹細胞を、in vitroでPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップが、Sox17陽性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす、請求項80から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
細胞の集団が、少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
細胞の集団が、約50%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、または約75%~約85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
方法が、参照方法によって産生される細胞の集団におけるSox17陽性、Oct4陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらし、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項111から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
Sox17陽性細胞を、膵β細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞;PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞;FOXA2陽性、PDX1陰性細胞;またはそれらの任意の組合せに分化させるステップをさらに含む、請求項111から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
Sox17陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子と接触させるステップをさらに含む、請求項111から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子が、ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
細胞の集団における細胞を、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子を含む第3の組成物中で1~5日、または2~4日、または約1、2、3、4、もしくは5日間培養するステップを含む、請求項116または117に記載の方法。
【請求項119】
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子と接触させるステップが、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす、請求項116から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団が、参照方法によって産生される細胞の集団におけるFOXA2陽性、PDX1陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのFOXA2陽性、PDX1陰性細胞を有し、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、プロテインキナーゼC活性化剤、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む、請求項119または120に記載の方法。
【請求項122】
FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、
(a)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、
(b)インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、
(c)LDN193189またはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、
(d)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、
(e)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、
(f)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ならびに/または
(g)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤
と接触させるステップを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
方法が、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第4の組成物中で4~8日、または5~7日、または約4、5、6、7、もしくは8日間培養するステップを含み、第4の組成物が、プロテインキナーゼC活性化剤、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む、請求項121または122に記載の方法。
【請求項124】
FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を接触させるステップが、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす、請求項121から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団が、参照方法によって産生される細胞の集団におけるPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を有し、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
方法が、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、FoxO1阻害剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む、請求項124または125に記載の方法。
【請求項127】
PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、
(a)インヒビン、アクチビン、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、
(b)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、
(c)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、
(d)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、
(e)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、
(f)任意選択で、AS1842856である、FoxO1阻害剤、
(g)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、ならびに/または
(h)任意選択で、XXIもしくはDAPIである、ノッチシグナル伝達阻害剤
と接触させるステップを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
方法が、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第5の組成物中で4~8日、または5~7日、または約4、5、6、7、もしくは8日間培養するステップを含み、第5の組成物が、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、FoxO1阻害剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む、請求項126または127に記載の方法。
【請求項129】
PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を接触させるステップが、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞の、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞への分化をもたらし、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団を産生する、請求項126から128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団が、参照方法によって産生される細胞の集団におけるPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を有し、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
第1の組成物、第2の組成物、第3の組成物、第4の組成物、または第5の組成物が、水溶性合成ポリマーをさらに含む、請求項103から106、118、123、または128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
水溶性合成ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
水溶性合成ポリマーがポリビニルアルコールを含む、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
水溶性合成ポリマーが、約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する、請求項131から133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
水溶性合成ポリマーが、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する、請求項131から133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
水溶性合成ポリマーが、85%未満が加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項131から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
水溶性合成ポリマーが、約80%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項131から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、プロテインキナーゼC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、およびWntシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む、請求項129から137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、
(a)Alk5i II、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、もしくはSB-505124からなる群から選択されるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、
(b)T3もしくはGC-lを含む甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、
(c)3-デアザネプラノシンA(DZNep)、GSK126、EPZ6438、KD5170、MC1568、およびTMP195からなる群から選択されるエピジェネティック修飾化合物、
(d)ベータセルリンもしくはEGFを含む上皮細胞成長因子ファミリーからの成長因子、
(e)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、
(f)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、
(g)XXIもしくはDAPTを含むγ-セクレターゼ阻害剤、
(h)スタウロスポリン、Ro-31-8220、ビシンドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、もしくはスタラログを含むプロテインキナーゼ阻害剤、
(i)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、
(j)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、
(k)LDN193189もしくはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、ならびに/または
(l)NVP-TNKS656を含むWntシグナル伝達経路阻害剤
と接触させるステップを含む、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第6の組成物中で5~10日、または6~9日、または約5、6、7、8、9、もしくは10日間培養するステップを含み、第6の組成物が、プロテインキナーゼC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、およびWntシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む、請求項138または139に記載の方法。
【請求項141】
第6の組成物が、アセチルCoA-関連代謝産物(例えば、酢酸塩)、ビタミン(例えば、ビオチン)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)(例えば、β-ヒドロキシブチレート)、酸化還元ホメオスタシス調節剤(例えば、タウリン)、一炭素代謝経路中間体(例えば、ギ酸塩)、および/またはグルタミン(例えば、L-グルタミン)の1つまたは複数をさらに含む、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
細胞の集団における細胞を接触させるステップが、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす、請求項138から141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団が、参照方法によって産生される細胞の集団におけるNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を有し、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を、膵β細胞を含む細胞の集団に分化させるステップをさらに含む、請求項142または143に記載の方法。
【請求項145】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、形質転換成長因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、および骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む第7の組成物と接触させるステップを含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
膵β細胞を含む細胞の集団が、参照方法によって産生される細胞の集団における膵β細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージの膵β細胞を有し、参照方法が、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である、請求項144または145に記載の方法。
【請求項147】
第6の組成物または第7の組成物が、水溶性合成ポリマーをさらに含む、請求項140または145に記載の方法。
【請求項148】
水溶性合成ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
水溶性合成ポリマーがポリビニルアルコールを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
水溶性合成ポリマーが、約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する、請求項147から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
水溶性合成ポリマーが、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する、請求項147から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
水溶性合成ポリマーが、85%を超えて加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項147から151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
水溶性合成ポリマーが、約87%~89%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む、請求項147から151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
請求項1から79のいずれか一項に記載の組成物、請求項1から79のいずれか一項に記載の組成物から得られた細胞の集団、または請求項80から153のいずれか一項に記載の方法により産生された細胞を含むデバイス。
【請求項155】
対象への移植時にインスリンを生成および放出するように構成されている、請求項154に記載のデバイス。
【請求項156】
細胞がカプセル化されている、請求項154または155に記載のデバイス。
【請求項157】
半透膜をさらに含み、半透膜が、細胞をデバイス内に保持し、インスリンの通過を可能にするように構成されている、請求項154から156のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項158】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を有する対象を処置する方法であって、対象に、請求項1から79のいずれか一項に記載の組成物、請求項1から79のいずれか一項に記載の組成物から得られた細胞の集団、もしくは請求項80から153のいずれか一項に記載の方法により産生された細胞を投与するステップ、または請求項154から157のいずれか一項に記載のデバイスを移植するステップを含む、方法。
【請求項159】
疾患が、糖尿病、任意選択で、I型糖尿病である、請求項158に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年11月8日に出願された米国仮特許出願第63/277,092号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]幹細胞由来β細胞の産生は、膵島および膵臓器官の産生に向けた潜在的に有用なステップを提供することができる。幹細胞由来組織によって治療可能な疾患の1つが糖尿病である。1型糖尿病は膵臓島におけるβ-細胞の自己免疫的破壊に起因する。2型糖尿病は末梢組織のインスリン抵抗性およびβ-細胞の機能異常に起因する。糖尿病患者、特に1型糖尿病を患っている患者は、新たなβ-細胞の移植によって治癒する可能性がある。死体ヒト膵島の移植を受けた患者は、この戦略によって5年またはそれ以上、インスリン依存性を脱することができるが、ドナー膵島の希少性およびその品質のために、このアプローチには限界がある。幹細胞からヒトβ-細胞の無制限な供給を産生できれば、この療法を数百万人の新たな患者に広げることができ、これは幹細胞の生物学を臨床に変換する重要なテストケースになり得る。
【0003】
参照による組込み
[0003]本明細書に記述する全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれていると具体的にかつ個別に示されていると同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。他に指示がなければ、本明細書に記述する刊行物、特許、および特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一部の態様では、Sox17陽性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で提供される。一部の事例では、組成物が幹細胞をさらに含む。一部の事例では、組成物は、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子をさらに含む。
【0005】
[0005]一部の態様では、幹細胞、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子を含むin vitro組成物が本明細書で提供される。
【0006】
[0006]一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む。
【0007】
[0007]一部の事例では、本明細書で提供される組成物は、多くとも約100ng/mL、多くとも約80ng/mL、多くとも約60ng/mL、多くとも約50ng/mL、多くとも約25ng/mL、多くとも約20ng/mL、多くとも約15ng/mL、多くとも約10ng/mL、多くとも約5ng/mL、または多くとも約2ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、0.5ng/mL~500ng/mL、1ng/mL~250ng/mL、10ng/mL~200ng/mL、20ng/mL~150ng/mL、50ng/mL~120ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~25ng/mL、または5ng/mL~20ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLのアクチビンAを含む。
【0008】
[0008]一部の態様では、幹細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で提供される。
[0009]一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、もしくはアピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む。一部の事例では、組成物は、PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、BYL719、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、BYL319、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL319、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、約0.01μM、約0.02μM、約0.04μM、約0.06μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、または約1μMのGSK-690693を含む。一部の事例では、組成物は、約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719を含む。一部の事例では、組成物は、約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719を含む。一部の事例では、組成物は、WNTシグナル伝達経路の活性化剤をさらに含む。一部の事例では、WNTシグナル伝達経路の活性化剤は、Wnt3a、CHIR99021、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびそれらの類似体または誘導体の1つまたは複数を含む。一部の事例では、組成物は、GSK3阻害剤をさらに含む。一部の事例では、組成物は、0.5μM~50μM、0.6μM~30μM、0.8μM~20μM、1μM~10μM、または2μM~5μMのCHIR99021をさらに含む。一部の事例では、組成物は、約0.5μM、0.6μM、0.8μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、8μM、10μM、15μM、20μM、25μM、または30μMのCHIR99021をさらに含む。
【0009】
[0010]一部の事例では、幹細胞は胚幹細胞を含む。一部の事例では、幹細胞は人工多能性幹細胞を含む。一部の事例では、幹細胞はヒト細胞である。一部の事例では、幹細胞は遺伝子修飾されている。一部の事例では、組成物は、Sox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団を含む。一部の事例では、細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む。一部の事例では、細胞の集団は、約50%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75~約90%、約80%~約90%、または約75%~約85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む。
【0010】
[0011]一部の態様では、複数のFOXA2陽性、PDX1陰性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で提供される。一部の事例では、組成物は、プロテインキナーゼC活性化剤、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含む。一部の事例では、組成物は、(a)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、(b)LDN193189もしくはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、(c)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、(d)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、(e)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ならびに/または(f)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤をさらに含む。一部の事例では、組成物は、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む。一部の事例では、組成物は、多くとも約20ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、多くとも約10ng/mL、多くとも約5ng/mL、多くとも約1ng/mL、多くとも約0.5ng/mL、または多くとも約0.1ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、約20ng/mL、約10ng/mL、約5ng/mL、約1ng/mL、約0.5ng/mL、または約0.1ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞をさらに含む。
【0011】
[0012]一部の態様では、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞およびPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で提供される。一部の事例では、組成物は、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含む。一部の事例では、組成物は、(a)インヒビン、アクチビン、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、(b)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、(c)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、(d)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、(e)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、(f)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、ならびに/または(g)任意選択で、AS1842856である、FoxO1阻害剤をさらに含む。一部の事例では、組成物は、ノッチシグナル伝達阻害剤をさらに含み、任意選択で、ノッチシグナル伝達阻害剤はXXIまたはDAPIである。一部の事例では、組成物は、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む。一部の事例では、組成物は、多くとも約5ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、多くとも約2.5ng/mL、多くとも約1ng/mL、多くとも約0.5ng/mL、多くとも約0.1ng/mL、または多くとも約0.05ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、約5ng/mL、約2.5ng/mL、約1ng/mL、約0.5ng/mL、約0.1ng/mL、または約0.05ng/mLのアクチビンAを含む。一部の事例では、組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞をさらに含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む。一部の事例では、組成物は、PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、BYL719、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、BYL319、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL319、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、GSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体、およびBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む。
【0012】
[0013]一部の事例では、組成物は、約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、約0.01μM、0.02μM、0.04μM、0.06μM、0.08μM、0.1μM、0.12μM、0.15μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.8μM、または1μMのGSK-690693を含む。一部の事例では、組成物は、約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719、またはその類似体もしくは誘導体を含む。一部の事例では、組成物は、約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719を含む。一部の事例では、組成物は、約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719を含む。
【0013】
[0014]一部の事例では、本明細書で提供される組成物は、水溶性合成ポリマーをさらに含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、培地中に約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、培地中に約0.04%~約0.06%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、85%未満が加水分解されているポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、約80%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む。
【0014】
[0015]一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約500mL~約50L、約1L~約10L、約2L~約5L、約3L~約4L、約2L~約30L、または約10L~約20Lの液体容積を有する。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、約10mL~約1000mL、約10mL~約100mL、約20mL~約50mL、約30mL~約40mL、約20mL~約30mL、または約10mL~約20mLの液体容積を有する。
【0015】
[0016]一部の態様では、複数の幹細胞を、in vitroでPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップを含む、方法が本明細書で提供される。
[0017]一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体の1つまたは複数を含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤を含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、BYL719、その類似体または誘導体を含む。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693およびBYL719を含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約0.01μM~約1μM,約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693と接触させるステップを含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約0.01μM、0.02μM、0.04μM、0.06μM、0.08μM、0.1μM、0.12μM、0.15μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.8μM、または1μMのGSK-690693と接触させるステップを含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719と接触させるステップを含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、または約0.07μM~約0.15μMのGSK-690693、および約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む。一部の事例では、接触させるステップは、複数の幹細胞を、約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップを含む。
【0016】
[0018]一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させるステップを含む。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンA、GDF8、またはその両方を含む。一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、約0.5ng/mL~約500ng/mL、約1ng/mL~約250ng/mL、約10ng/mL~約200ng/mL、約20ng/mL~約150ng/mL、約50ng/mL~約120ng/mL、約1ng/mL~約50ng/mL、約2ng/mL~約25ng/mL、または約5ng/mL~約20ng/mLのアクチビンAと接触させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、約1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、または50ng/mLのアクチビンAと接触させるステップを含む。
【0017】
[0019]一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と約24時間~約96時間、約36時間~約84時間、約48時間~約84時間、約60時間~約84時間、または約3日間接触させるステップを含む。
【0018】
[0020]一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、WNTシグナル伝達経路の活性化剤とも接触させるステップを含む。一部の事例では、WNTシグナル伝達経路の活性化剤は、Wnt3a、CHIR99021、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびこれらの任意の類似体または誘導体の1つまたは複数を含む。一部の事例では、WNTシグナル伝達経路の活性化剤はGSK3阻害剤を含む。一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、約0.5μM~約50μM、約0.6μM~約30μM、約0.8μM~約20μM、約1μM~約10μM、または2μM~約5μMのCHIR99021と接触させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、約0.5μM、0.6μM、0.8μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、8μM、10μM、15μM、20μM、25μM、または30μMのCHIR99021と接触させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびWNTシグナル伝達経路の活性化剤を含む第1の組成物中で12時間~48時間、12時間~36時間、18時間~30時間、または約1日間培養するステップを含む。
【0019】
[0021]一部の事例では、本方法は、第1の組成物中で培養するステップ後、得られた細胞の少なくとも一部を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む第2の組成物中で12時間~72時間、24時間~72時間、36時間~72時間、または約2日間培養するステップをさらに含む。一部の事例では、第2の組成物は、WNTシグナル伝達経路の活性化剤を含まない。一部の事例では、第2の組成物は、第1の組成物と同じ濃度のPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む。
【0020】
[0022]一部の事例では、幹細胞は胚幹細胞を含む。一部の事例では、幹細胞は人工多能性幹細胞を含む。一部の事例では、幹細胞はヒト細胞である。一部の事例では、幹細胞は遺伝子修飾されている。
【0021】
[0023]一部の事例では、複数の幹細胞を、in vitroでPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、Sox17陽性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす。一部の事例では、細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む。一部の事例では、細胞の集団は、約50%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、または約75%~約85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む。
【0022】
[0024]一部の事例では、本方法は、参照方法によって産生される細胞の集団におけるSox17陽性、Oct4陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらし、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。
【0023】
[0025]一部の事例では、本方法は、Sox17陽性細胞を、膵β細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞;PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞;FOXA2陽性、PDX1陰性細胞;またはそれらの任意の組合せに分化させるステップをさらに含む。
【0024】
[0026]一部の事例では、本方法は、Sox17陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子と接触させるステップをさらに含む。一部の事例では、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される。一部の事例では、本方法は、細胞の集団における細胞を、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子を含む第3の組成物中で1~5日、または2~4日、または約1、2、3、4、もしくは5日間培養するステップを含む。一部の事例では、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子と接触させるステップは、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす。一部の事例では、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団は、参照方法によって産生される細胞の集団におけるFOXA2陽性、PDX1陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのFOXA2陽性、PDX1陰性細胞を有し、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。一部の事例では、本方法は、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、プロテインキナーゼC活性化剤、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む。一部の事例では、本方法は、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、(a)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、(b)インヒビン、アクチビン(例えば、アクチビンA)、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、(c)LDN193189もしくはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、(d)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、(e)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、(f)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ならびに/または(g)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤と接触させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第4の組成物中で4~8日、または5~7日、または約4、5、6、7、もしくは8日間培養するステップを含み、第4の組成物は、プロテインキナーゼC活性化剤、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む。
【0025】
[0027]一部の事例では、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を接触させるステップは、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす。
【0026】
[0028]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団は、参照方法によって産生される細胞の集団におけるPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を有し、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。
【0027】
[0029]一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、FoxO1阻害剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む。一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、(a)インヒビン、アクチビン、ミュラー管阻害物質(MIS)、骨形成タンパク質(BMP)、デカペンタプレジック(dpp)、Vg-1、モノクローナル非特異的抑制因子(MNSF)、成長分化因子8(GDF8)、および成長分化因子11(GDF11)からなる群から選択される形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、(b)ケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF2、FGF10、FGF21、およびFGF8Bからなる群から選択される線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、(c)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、(d)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、(e)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、(f)任意選択で、AS1842856である、FoxO1阻害剤、(g)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、ならびに/または(h)任意選択で、XXIもしくはDAPIである、ノッチシグナル伝達阻害剤と接触させるステップを含む。
【0028】
[0030]一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第5の組成物中で4~8日、または5~7日、または約4、5、6、7、もしくは8日間培養するステップを含み、第5の組成物は、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、プロテインキナーゼC活性化剤、FoxO1阻害剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む。
【0029】
[0031]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞の集団における細胞を接触させるステップは、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞の、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞への分化をもたらし、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団を産生する。
【0030】
[0032]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団は、参照方法によって産生される細胞の集団におけるPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を有し、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。
【0031】
[0033]一部の事例では、第1の組成物、第2の組成物、第3の組成物、第4の組成物、または第5の組成物は、水溶性合成ポリマーをさらに含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、85%未満が加水分解されているポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、約80%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む。
【0032】
[0034]一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、プロテインキナーゼC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、およびWntシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤と接触させるステップをさらに含む。一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、(a)Alk5i II、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、もしくはSB-505124からなる群から選択されるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、(b)T3もしくはGC-lを含む甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、(c)3-デアザネプラノシンA(DZNep)、GSK126、EPZ6438、KD5170、MC1568、およびTMP195からなる群から選択されるエピジェネティック修飾化合物、(d)ベータセルリンもしくはEGFを含む上皮細胞成長因子ファミリーからの成長因子、(e)レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHRB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、およびCD2314からなる群から選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、(f)SANT1、SANT2、SANT4、Cur6l4l4、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、およびシクロパミンからなる群から選択されるソニックヘッジホッグ経路阻害剤、(g)XXIもしくはDAPTを含むγ-セクレターゼ阻害剤、(h)スタウロスポリン、Ro-31-8220、ビシンドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、もしくはスタラログ(staralog)を含むプロテインキナーゼ阻害剤、(i)チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152からなる群から選択されるROCK阻害剤、(j)ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、およびブリオスタチン1からなる群から選択されるプロテインキナーゼC活性化剤、(k)LDN193189もしくはDMH-1を含む骨形成タンパク質シグナル伝達経路阻害剤、ならびに/または(l)NVP-TNKS656を含むWntシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む。
【0033】
[0035]一部の事例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、第6の組成物中で5~10日、または6~9日、または約5、6、7、8、9、もしくは10日間培養するステップを含み、第6の組成物は、プロテインキナーゼC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、およびWntシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む。
【0034】
[0036]一部の事例では、第6の組成物は、アセチルCoA-関連代謝産物(例えば、酢酸塩)、ビタミン(例えば、ビオチン)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)(例えば、β-ヒドロキシブチレート)、酸化還元ホメオスタシス調節剤(例えば、タウリン)、一炭素代謝経路中間体(例えば、ギ酸塩)、および/またはグルタミン(例えば、L-グルタミン)の1つまたは複数をさらに含む。
【0035】
[0037]一部の事例では、細胞の集団における細胞を接触させるステップは、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらす。
[0038]一部の事例では、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団は、参照方法によって産生される細胞の集団におけるNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を有し、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。
【0036】
[0039]一部の事例では、本方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を、膵β細胞を含む細胞の集団に分化させるステップをさらに含む。一部の事例では、本方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む細胞の集団における細胞を、形質転換成長因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤、および骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む第7の組成物と接触させるステップをさらに含む。
【0037】
[0040]一部の事例では、膵β細胞を含む細胞の集団は、参照方法によって産生される細胞の集団における膵β細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージの膵β細胞を有し、参照方法は、複数の幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。
【0038】
[0041]一部の事例では、第6の組成物または第7の組成物は、水溶性合成ポリマーをさらに含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはポリアクリルアミドを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、約0.005%~約0.5%(w/v)、約0.01%~約0.2%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、または約0.03%~約0.08%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、培地中に約0.05%(w/v)の濃度で存在する。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、85%を超えて加水分解されているポリビニルアルコールを含む。一部の事例では、水溶性合成ポリマーは、約87%~89%が加水分解されているポリビニルアルコールを含む。
【0039】
[0042]一部の態様では、本組成物または本明細書で開示される組成物から得られた細胞の集団、または本明細書で開示される方法により産生された細胞を含むデバイスが本明細書で提供される。一部の事例では、デバイスは、対象への移植時にインスリンを生成および放出するように構成されている。一部の事例では、細胞はカプセル化されている。一部の事例では、デバイスは半透膜をさらに含み、半透膜は、細胞をデバイス内に保持し、インスリンの通過を可能にするように構成されている。
【0040】
[0043]一部の態様では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を有する対象を処置する方法であって、対象に、本組成物もしくは本明細書で開示される組成物から得られた細胞の集団、もしくは本明細書で開示される方法により産生された細胞を投与するステップ、または本明細書で開示されるデバイスを移植するステップを含む、方法が本明細書で提供される。一部の事例では、疾患は、糖尿病、任意選択で、I型糖尿病である。
【0041】
[0044]本開示の特徴は、併記の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】[0045]膵β細胞分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置(ステージ1分化)の効果を示す図である。
図1Aは、100ng/mLのアクチビンA(「100%AA」)、10ng/mLのアクチビンA(「10%AA」)、または5ng/mLのアクチビンA(「5%AA」)の処置によるステージ1の完了(「S1C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Bは、100%AA、10%AAまたは5%AAの処置によるステージ3の完了(「S3C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Cは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Dは、100%AA、10%AA、または5%AAの処置によるステージ5の完了(「S5C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果(上部)を示す。フローサイトメトリー解析によれば、100%AA下では41.1%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が、10%AA下では49.5%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が存在した。
図1Eは、ステージ1での100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、または0ng/mL(0%)のアクチビンAの処置によるS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。
【
図1B】膵β細胞分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置(ステージ1分化)の効果を示す図である。
図1Aは、100ng/mLのアクチビンA(「100%AA」)、10ng/mLのアクチビンA(「10%AA」)、または5ng/mLのアクチビンA(「5%AA」)の処置によるステージ1の完了(「S1C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Bは、100%AA、10%AAまたは5%AAの処置によるステージ3の完了(「S3C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Cは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Dは、100%AA、10%AA、または5%AAの処置によるステージ5の完了(「S5C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果(上部)を示す。フローサイトメトリー解析によれば、100%AA下では41.1%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が、10%AA下では49.5%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が存在した。
図1Eは、ステージ1での100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、または0ng/mL(0%)のアクチビンAの処置によるS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。
【
図1C】膵β細胞分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置(ステージ1分化)の効果を示す図である。
図1Aは、100ng/mLのアクチビンA(「100%AA」)、10ng/mLのアクチビンA(「10%AA」)、または5ng/mLのアクチビンA(「5%AA」)の処置によるステージ1の完了(「S1C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Bは、100%AA、10%AAまたは5%AAの処置によるステージ3の完了(「S3C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Cは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Dは、100%AA、10%AA、または5%AAの処置によるステージ5の完了(「S5C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果(上部)を示す。フローサイトメトリー解析によれば、100%AA下では41.1%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が、10%AA下では49.5%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が存在した。
図1Eは、ステージ1での100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、または0ng/mL(0%)のアクチビンAの処置によるS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。
【
図1D】膵β細胞分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置(ステージ1分化)の効果を示す図である。
図1Aは、100ng/mLのアクチビンA(「100%AA」)、10ng/mLのアクチビンA(「10%AA」)、または5ng/mLのアクチビンA(「5%AA」)の処置によるステージ1の完了(「S1C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Bは、100%AA、10%AAまたは5%AAの処置によるステージ3の完了(「S3C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Cは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Dは、100%AA、10%AA、または5%AAの処置によるステージ5の完了(「S5C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果(上部)を示す。フローサイトメトリー解析によれば、100%AA下では41.1%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が、10%AA下では49.5%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が存在した。
図1Eは、ステージ1での100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、または0ng/mL(0%)のアクチビンAの処置によるS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。
【
図1E】膵β細胞分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置(ステージ1分化)の効果を示す図である。
図1Aは、100ng/mLのアクチビンA(「100%AA」)、10ng/mLのアクチビンA(「10%AA」)、または5ng/mLのアクチビンA(「5%AA」)の処置によるステージ1の完了(「S1C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Bは、100%AA、10%AAまたは5%AAの処置によるステージ3の完了(「S3C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Cは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図1Dは、100%AA、10%AA、または5%AAの処置によるステージ5の完了(「S5C」)時に得られた細胞クラスターの写真(下部)、ならびにS5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果(上部)を示す。フローサイトメトリー解析によれば、100%AA下では41.1%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が、10%AA下では49.5%のNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞が存在した。
図1Eは、ステージ1での100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、または0ng/mL(0%)のアクチビンAの処置によるS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。
【
図2A】[0046]ステージ1分化の完了時の例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図2Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS1C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図2Bは、S1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、
図2Cは、これらの結果をまとめた棒グラフを示す。
【
図2B】ステージ1分化の完了時の例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図2Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS1C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図2Bは、S1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、
図2Cは、これらの結果をまとめた棒グラフを示す。
【
図2C】ステージ1分化の完了時の例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図2Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS1C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図2Bは、S1C時の細胞におけるOct4およびSox17の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、
図2Cは、これらの結果をまとめた棒グラフを示す。
【
図3A】[0047]ステージ3分化の完了時のステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図3Aは、100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719によるステージ1処置後のS3C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図3Bは、S3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Cにおける棒グラフで要約されている。
図3Dは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Eにおける棒グラフで要約されている。
【
図3B】ステージ3分化の完了時のステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図3Aは、100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719によるステージ1処置後のS3C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図3Bは、S3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Cにおける棒グラフで要約されている。
図3Dは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Eにおける棒グラフで要約されている。
【
図3C】ステージ3分化の完了時のステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図3Aは、100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719によるステージ1処置後のS3C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図3Bは、S3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Cにおける棒グラフで要約されている。
図3Dは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Eにおける棒グラフで要約されている。
【
図3D】ステージ3分化の完了時のステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図3Aは、100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719によるステージ1処置後のS3C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図3Bは、S3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Cにおける棒グラフで要約されている。
図3Dは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Eにおける棒グラフで要約されている。
【
図3E】ステージ3分化の完了時のステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図3Aは、100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719によるステージ1処置後のS3C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図3Bは、S3C時の細胞におけるPdx1およびCdx2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Cにおける棒グラフで要約されている。
図3Dは、S3C時の細胞におけるPdx1およびSox2の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、これは
図3Eにおける棒グラフで要約されている。
【
図4A】[0048]ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図4B】ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図4C】ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図4D】ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図4E】ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図4F】ステージ5分化の完了時のステージ1での例示的化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図4Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によりS5C時に得られた細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、S5C時の細胞におけるNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図4C~
図4Dにおける棒グラフで要約されている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、S5C時の総細胞収量(
図4E)およびIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞(Isl1+/Nkx6.1+)およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞(Isl1+/Nkx6.1-)の収量(
図4F)をまとめた棒グラフを示す。
【
図5A】[0049]例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン1」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図5Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Bは、
図5Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図5Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図5B】例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン1」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図5Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Bは、
図5Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図5Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図5C】例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン1」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図5Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Bは、
図5Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図5Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図5D】例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン1」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図5Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Bは、
図5Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図5Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図5E】例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン1」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図5Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Bは、
図5Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図5Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図5Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図6A】[0050]異なる例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン2」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図6Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Bは、
図6Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図6Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図6B】異なる例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン2」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図6Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Bは、
図6Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図6Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図6C】異なる例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン2」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図6Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Bは、
図6Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図6Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図6D】異なる例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン2」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図6Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Bは、
図6Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図6Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図6E】異なる例示的なステージ6培地レジメン(「レジメン2」)に従う7日間のステージ6分化の完了時の細胞に対するステージ1での例示的な化合物による幹細胞の処置の効果を示す図である。
図6Aは、ステージ1での100%AA、10%AA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、ならびに100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719の処置によるステージ6の7日目(「S6d7」)でのNkx6.1およびIsl1の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Bは、
図6Aの結果をまとめた棒グラフを示す。
図6Cは、S6d7での細胞におけるC-ペプチド(「C-pep」)およびグルカゴン(「GCG」)の発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Dは、S6d7での細胞におけるソマトスタチン(「SST」)およびGCGの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図6Eは、S6d7での細胞におけるSSTおよびC-pepの発現のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
【
図7A】[0051]
図7Aは、ステージ1での(a)100ng/mLのアクチビンAまたは(b)0.1μMのGSK-690693(「GSK690693」とも称される)および10ng/mlのアクチビンAのいずれかによる、種々の培養条件下でのステージ5分化の完了(「S5C」)時の細胞組成物中のSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す図である。
図7Bは、ステージ1での(a)100ng/mLのアクチビンAまたは(b)0.1μMのGSK-690693(「GSK690693」とも称される)および10ng/mlのアクチビンAのいずれかによる、種々の培養条件下でのステージ6の7日目(「S6d7」)での細胞組成物中のSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す図である。
【
図7B】
図7Aは、ステージ1での(a)100ng/mLのアクチビンAまたは(b)0.1μMのGSK-690693(「GSK690693」とも称される)および10ng/mlのアクチビンAのいずれかによる、種々の培養条件下でのステージ5分化の完了(「S5C」)時の細胞組成物中のSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す図である。
図7Bは、ステージ1での(a)100ng/mLのアクチビンAまたは(b)0.1μMのGSK-690693(「GSK690693」とも称される)および10ng/mlのアクチビンAのいずれかによる、種々の培養条件下でのステージ6の7日目(「S6d7」)での細胞組成物中のSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0052]膵臓島移植は、糖尿病対象、例えばI型糖尿病を有する対象にとって有意な臨床的利益を達成することができる有望な療法である。ドナーの膵臓組織からの膵臓島源の供給は限られているため、幹細胞などの代替源から移植可能な膵島を産生ための改善された技法が必要とされる。膵島成分(例えば、SC-β細胞)を産生する改善された方法は、より有効な治療製品(例えば、機能性が改善されたSC-β細胞)、ヒト治療用途用のSC-膵島の製造の改善された方法(例えば、より低い製造コスト、および/もしくはより高い細胞収量)、またはそれらの組合せをもたらし得る。
【0044】
[0053]とりわけ、in vitroでのSC-β細胞の改善された生成のための組成物および方法が本明細書で提供される。本明細書で開示される薬剤のある特定の組成および組合せは、in vitroでのSC-β細胞の費用対効果の高い大規模な生成を促進する。例えば、本開示は、望ましい細胞集団の相対的なパーセンテージ(例えば、様々な分化ステージにおけるオンターゲット分化細胞および得られたSC-β細胞)に対して同等またはさらには改善された細胞収量、in vitroでのSC-β細胞の機能、移植後の生存率、機能、および免疫原性を維持しながら、ある特定の成長因子の代わりに小分子化合物を利用する新規製剤および分化方法を提供する。開示された組成物および方法は、ヒト治療用途用のSC-膵島の大規模な製造にとって特に有利であり得る。本明細書で開示される組成物および方法における小分子化合物として、例えば、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤が挙げられる。
【0045】
[0054]本開示の様々な実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には自明であろう。多数の変化、変更、および置換が、本開示から逸脱することなく当業者に対して生じ得る。本明細書に記載した本開示の実施形態に対する様々な代替物が用いられ得ることが理解されるべきである。
【0046】
定義
[0055]本出願において単数形の使用は、特に他の記述がなければ、複数形を含む。本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって他が明確に記述されない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0047】
[0056]本出願において「または」の使用は、他の記述がなければ、「および/または」を意味する。本明細書で用いる用語「および/または」および「それらの任意の組合せ」ならびにそれらの文法的等価物は、相互交換可能に用いられ得る。これらの用語は、任意の組合せが具体的に意図されることを伝達することができる。説明目的のみのために、以下の語句、「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」は、「個別にA、個別にB、個別にC、AおよびB、BおよびC、AおよびC、ならびにA、B、およびC」を意味し得る。用語「または」は、文脈によって特に離接的な使用が意味されない限り、接続的または離接的に用いられ得る。
【0048】
[0057]さらに、用語「含む(including)」ならびに「含む(include、includes)」および「含まれる(included)」等の他の形態の使用は、限定的でない。
[0058]明細書中における「一部の実施形態」、「一実施形態(an embodiment、one embodiment)」、または「他の実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態には含まれないことを意味する。
【0049】
[0059]本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、単語「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」等のcomprisingの任意の形)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」等のhavingの任意の形)、「含む(including)」(ならびに「includes」および「include」等のincludingの任意の形)、または「含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」等のcontainingの任意の形)は包括的またはオープンエンドであり、言及されていない追加的な要素または方法ステップを排除しない。本明細書で論じる任意の実施形態は本開示の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もそうであることが意図されている。さらに、本開示の組成物は本開示の方法を達成するために用いることができる。
【0050】
[0060]参照の数値に関連する用語「約」およびその文法的等価物は、本明細書で使用される場合、その数値それ自体およびその数値のプラスまたはマイナス10%の値の範囲を含み得る。
【0051】
[0061]用語「約」または「ほぼ」は、当業者によって決定される特定の値についての許容される誤差範囲内を意味し、これは部分的にその値がどのようにして測定されまたは決定されたか、例えば測定システムの限界によることになる。例えば、「約」は当技術における慣例によって標準偏差の1倍以内または1倍を超えることを意味し得る。あるいは、「約」は所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。別の例では、「約10」の量は、10および9から11までの任意の量を含む。さらに別の例では、参照数値に関連する用語「約」は、その値のプラスマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲をも含み得る。あるいは、特に生物学的なシステムまたはプロセスに関しては、用語「約」は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。出願および特許請求の範囲において特定の値が記載されている場合には、他に記述がなければ、特定の値についての許容される誤差範囲内を意味する用語「約」を前提とすべきである。
【0052】
[0062]本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を意味し得る。例えば、本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、それだけに限らないが、1型糖尿病、2型糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、外科的糖尿病、妊娠性糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含む全てまたは任意の型の糖尿病を意味し得る。一部の事例では、糖尿病は、遺伝性糖尿病の1形態であり得る。
【0053】
[0063]用語「内分泌細胞」は、特に特定しない限り、「膵島」、「膵島細胞」、「膵島同等物」、「膵島様細胞」、「膵臓島」、およびその文法的等価物等の、生体の膵臓に存在するホルモン生成細胞を意味し得る。一実施形態では、内分泌細胞は膵前駆細胞または前駆体から分化することができる。膵島細胞は、それだけに限らないが、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞、および/または膵ε細胞を含む様々な型の細胞を含み得る。膵島細胞は細胞の群、細胞クラスター、その他をも意味し得る。
【0054】
[0064]用語「前駆細胞」および「前駆体」細胞は本明細書において相互交換可能に用いられ、分化によって生じることができる細胞と比較してより原始的な(例えば発生経路または発達において完全に分化した細胞よりも早いステップにある)細胞表現型を有する細胞を意味する。前駆細胞はまた、顕著なまたは極めて高い増殖可能性を有し得ることが多い。前駆細胞は発生経路および細胞が発生し分化する環境に応じて、多くの異なった分化細胞型または単一の分化細胞型を生じることができる。
【0055】
[0065]幹細胞由来膵細胞(例えば、SC-β細胞)に関連する用語としての「その前駆体」は、前駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化させるのに適した条件下で培養した場合にSC-β細胞に分化させることが可能な、例えば多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵前駆細胞、または内分泌前駆細胞を含む任意の細胞を指し得る。
【0056】
[0066]用語「外分泌細胞」は本明細書で使用される場合、外分泌腺、即ち、管を介してその分泌物を排出する腺の細胞を指し得る。特定の実施形態では、外分泌細胞は、小腸に分泌される酵素を生成することができる膵細胞である膵分泌細胞を指し得る。これらの酵素は、食物が消化管を通過する際に食物を消化するのを助けることができる。膵外分泌細胞は、ランゲルハンス島としても知られており、インスリンおよびグルカゴンの2つのホルモンを分泌することができる。膵外分泌細胞は、いくつかの細胞型の1つであり得る;α-2細胞(これはホルモングルカゴンを生成することができる)、またはβ細胞(これはホルモンインスリンを製造することができる)、およびα-1細胞(これは制御因子ソマトスタチンを生成することができる)。非インスリン生成外分泌細胞は、その用語が本明細書で使用される場合、α-2細胞またはα-1細胞を指し得る。
【0057】
[0067]用語「幹細胞由来β細胞」、「SC-β細胞」、「機能性β細胞」、「機能性膵β細胞」、「成熟SC-β細胞」、「SC-膵島β細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えばPDX-1またはNKX6.1)を呈し、インスリンを分泌し、および内分泌成熟β細胞に特徴的なグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を提示する細胞(例えば非天然膵β細胞)を指し得る。一部の実施形態では、用語「SC-β細胞」および「非天然β細胞」は本明細書で使用される場合、相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は成熟膵細胞を含む。本開示の方法は、任意の細胞を出発点として用いて、任意のインスリン陽性の内分泌細胞またはその前駆体からSC-β細胞を誘導することが可能であるため、SC-β細胞は幹細胞から(例えば、直接)誘導される必要はないことを理解するべきである(例えば、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分的に初期化された体細胞(例えば、人工多能性幹細胞とそれが由来する体細胞との間の中間状態に部分的に初期化された体細胞)、多能性細胞、全能性細胞、前述のいずれかの細胞のトランス分化バージョンなどを用いることができ、本発明はこのように限定されることを意図していない)。一部の実施形態では、SC-β細胞は多重のグルコースチャレンジ(例えば少なくとも1回、少なくとも2回、もしくは少なくとも3回またはそれ以上の一連のグルコースチャレンジ)に対する、応答を呈する。一部の実施形態では、応答は多重のグルコースチャレンジに対する内因性膵島(例えばヒト膵島)の応答に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞の形態は内因性β細胞の形態に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vivoのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroおよびin vivoの両方のGSIS応答を呈する。SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞を宿主(例えば、ヒトまたは動物)に移植してから2週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞はインスリンを分泌顆粒にパッケージする。一部の実施形態では、SC-β細胞は、カプセル化された結晶性のインスリン顆粒を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1.1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、2を超える刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、サイトカインに応答してサイトカイン誘導性アポトーシスを示す。一部の実施形態では、SC-β細胞からのインスリン分泌は、公知の抗糖尿病薬(例えば、分泌促進薬)に応答して増強される。一部の実施形態では、SC-β細胞はモノホルモナルである。一部の実施形態では、SC-β細胞は他のホルモン、例えばグルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを異常に共発現しない。一部の実施形態では、SC-β細胞は低い複製速度を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はグルコースに応答して細胞内Ca2+を増加させる。
【0058】
[0068]本明細書で用いる場合、用語「インスリン生成細胞」およびその文法的等価物は、膵前駆細胞またはその前駆体から分化し、インスリンを分泌する細胞を意味する。インスリン生成細胞は、その用語が本明細書に記載されているように、膵β細胞、ならびに構造的または誘導的な様式でインスリンを合成(例えばインスリン遺伝子を転写し、プロインスリンmRNAを翻訳し、およびプロインスリンmRNAを修飾してインスリンタンパク質に)し、発現(例えばインスリン遺伝子が運搬する表現型の形質を実現)し、または分泌(インスリンを細胞外スペースに放出)する膵β様細胞(例えばインスリン陽性内分泌細胞)を含み得る。例えば本開示の方法に従ってインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体をSC-β細胞に分化させるステップによって生成されたインスリン生成細胞の集団は、膵β細胞またはβ様細胞(例えば内因性β細胞の少なくとも1つ、もしくは少なくとも2つの特徴を有し、内因性成体β細胞に類似したグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を提示する細胞)であり得る。例えば本明細書に開示した方法によって生成されたインスリン生成細胞の集団は成熟した膵β細胞またはSC-β細胞を含んでよく、非インスリン生成細胞(例えばインスリンを生成せずまたは分泌しないこと以外は細胞様表現型を有する細胞)を含んでもよい。
【0059】
[0069]用語「インスリン陽性β様細胞」、「インスリン陽性の内分泌細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカーを呈し、インスリンも発現するが、内因性β細胞に特徴的なグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を欠く細胞(例えば膵内分泌細胞)を意味し得る。
【0060】
[0070]用語「β細胞マーカー」は、限定なく、膵β細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味する。例示的なβ細胞マーカーには、それだけに限らないが、膵および十二指腸のホメオボックス1(Pdx1、PDX1)ポリペプチド、インスリン、c-ペプチド、アミリン、E-カドヘリン、Hnf3β、PCI/3、B2、Nkx2.2、GLUT2、PC2、ZnT-8、ISL1、Pax6、Pax4、NeuroD、1 Inf1b、Hnf-6、Hnf-3ベータ、およびMafA、ならびにZhangら、Diabetes. 50(10):2231-6 (2001)によって記載されたものが含まれる。一部の実施形態では、β細胞マーカーは核3細胞マーカーである。一部の実施形態では、β細胞マーカーはPdx1またはPH3である。
【0061】
[0071]用語「膵内分泌マーカー」は、限定なく、膵内分泌細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味し得る。例示的な膵内分泌細胞マーカーには、それだけに限らないが、Ngn-3、NeuroD、およびIslet-1が含まれる。
【0062】
[0072]用語「膵前駆細胞」、「膵内分泌前駆細胞」、「膵前駆体」、「膵内分泌前駆体」、およびそれらの文法的等価物は本明細書で相互交換可能に用いられ、膵内分泌細胞、膵外分泌細胞、または膵導管細胞を形成することができる膵ホルモン発現細胞になることができる幹細胞を意味し得る。これらの細胞は少なくとも1つの型の膵細胞、例えばインスリンを生成するβ細胞、グルカゴンを生成するα細胞、ソマトスタチンを生成するδ細胞(またはD細胞)、および/または膵ポリペプチドを生成するF細胞に向けた分化に関与している。そのような細胞は以下のマーカー、NGN3、NKX2.2、NeuroD、ISL-1、Pax4、Pax6、またはARXのうち少なくとも1つを発現することができる。
【0063】
[0073]本明細書で用いる用語「Pdx1陽性膵前駆細胞」は、膵β細胞等のSC-β細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を意味し得る。Pdx1陽性膵前駆細胞はマーカーPdx1を発現する。その他のマーカーには、それだけに限らないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6もしくはNRx2.2が含まれる。Pdx1の発現は、抗Pdx1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。一部の事例では、Pdx1陽性の膵前駆細胞はNKX6.1(またはNkx6.1)の発現を欠く。Pdx1陽性膵前駆細胞は、それがNKX6.1の発現を欠くので、Pdx1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞と称することもできる。一部の事例では、Pdx1陽性膵前駆細胞は「膵前腸内胚葉細胞」と名付けることもできる。本明細書で使用される場合、用語「PDX1」、「Pdx1」、および「PDX-1」は等価で相互交換可能である。
【0064】
[0074]用語「Pdx1陽性、NKX6-1陽性膵前駆細胞」は本明細書で使用される場合、膵β細胞などのインスリン生成細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を指し得る。Pdx1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞はマーカーPdx1およびNKX6-1を発現する。他のマーカーとしては、限定されないが、Cdcp1、Ptf1a、HNF6またはNRx2.2が含まれ得る。NKX6-1の発現は、抗NKX6-1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。本明細書で用いる場合、用語「Nkx6.1」「NKX6.1」および「NKX6-1」は等価で相互交換可能である。一部の事例では、Pdx1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞は「膵前腸前駆体細胞」と名付けることもできる。
【0065】
[0075]用語「Ngn3陽性内分泌前駆細胞」は本明細書で使用される場合、転写因子ニューロゲニン-3(Ngn3)を発現する膵内分泌細胞の前駆体を指し得る。前駆細胞は万能性幹細胞よりも分化されており、少数の細胞型にのみ分化することができる。特に、Ngn3陽性内分泌前駆細胞は、5つの膵内分泌細胞型(α、β、δ、εおよびPP)に分化する能力を有する。Ngn3の発現は、抗Ngn3抗体を使用した免疫化学または定量的RT-PCRなどの当業者が既知の任意の方法によって評価され得る。
【0066】
[0076]用語「NeuroD」および「NeuroD1」は相互交換可能に用いられ、膵内分泌前駆細胞において発現するタンパク質およびそれをコードする遺伝子を特定する。
[0077]用語「エピジェネティクス」は、DNA配列の変化を含まない遺伝子機能の遺伝性の変化を指す。エピジェネティクスは、遺伝子の活性および発現に影響する染色体の変化を意味することが最も多いが、ゲノムの修飾に由来しない任意の遺伝可能な表現型の変化について記載するために使用することもできる。細胞および生理学的な表現型の形質に対するそのような効果は、外的もしくは環境的な要因に起因することがあるか、または正常な発生プログラムの一部であることもある。エピジェネティクスはまた、ヌクレオチド配列の変化を含まないゲノムの機能的に関連する変化を指し得る。そのような変化を生成する機構の例としてはDNAのメチル化およびヒストンの修飾があり、そのそれぞれは根底にあるDNA配列を改変せずに、遺伝子が発現される様式を改変する。遺伝子の発現はDNAのサイレンサー領域に結合している抑制タンパク質の作用によって制御され得る。これらのエピジェネティック変化は、細胞の寿命の間の細胞分裂を通して持続することができ、これらが生命体の根底にあるDNA配列の変化を含まないとしても、多世代にわたって持続することもできる。真核細胞の生物学におけるエピジェネティック変化の1つの例として、細胞分化のプロセスがある。形態形成の間に全能性幹細胞が種々の多能性細胞になり、次いでこれが完全に分化した細胞になることができる。
【0067】
[0078]用語「エピジェネティック修飾化合物」は、遺伝子にエピジェネティクス変化を起こさせる、即ちDNA配列を変化させずに遺伝子の発現(複数可)を変化させる化学化合物を指す。エピジェネティクス変化は、遺伝子がオンまたはオフされるかを決定することを助け、ある特定の細胞、例えばベータ細胞におけるタンパク質の生成に影響することができる。DNAのメチル化およびヒストンの修飾などのエピジェネティック修飾はDNAの接近可能性およびクロマチンの構造を改変し、それにより遺伝子発現のパターンを規制する。これらのプロセスは成体生命体における独特の細胞系統の正常な発生および分化に重要である。これらは外因性の影響によって修飾することができ、したがって表現型または病態表現型の環境的改変に寄与し得るか、またはその結果であり得る。重要なことに、エピジェネティック修飾は多能性遺伝子の規制において重要な役割を有し、これは分化の間に不活性化される。非限定的な例示的なエピジェネティック修飾化合物としては、DNAメチル化阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0068】
[0079]用語「分化された細胞」またはその文法的等価物は、その天然形においてその用語が本明細書において定義されるように多能性ではない任意の初代細胞を意味する。別の言い方では、用語「分化した細胞」は、細胞分化プロセスにおいて特殊性の低い細胞型(例えば人工多能性幹細胞等の幹細胞)の細胞から誘導された特殊性の高い細胞型の細胞を意味し得る。理論に限定されることは望まないが、正常な個体発生の過程における多能性幹細胞は、最初に膵細胞およびその他の内胚葉細胞型を形成することができる内胚葉細胞に分化することができる。内胚葉細胞がさらに分化すると膵臓経路に至り、そこでは細胞の約98%が外分泌細胞、管状細胞、またはマトリックス細胞となり、約2%が内分泌細胞となる。早期の内分泌細胞は膵島前駆細胞であり、次いでこれがさらに、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを分泌するインスリン生成細胞(例えば機能性内分泌細胞)に分化することができる。内胚葉細胞は内胚葉起源の他の細胞、例えば肺、肝臓、腸、胸腺等に分化することもできる。
【0069】
[0080]本明細書で用いる場合、用語「体細胞」は、生殖系列細胞とは反対に、生命体を形成する任意の細胞を意味し得る。哺乳動物では、生殖系列細胞(「配偶子」としても公知である)は、受精の間に融合して接合子と呼ばれる細胞を生成する精子および卵子であり、接合子から哺乳動物の胚の全体が発生する。体細胞がそれから作られる細胞である精子および卵子(生殖母細胞)および未分化幹細胞は別として、哺乳動物の体内の全ての他の細胞型は体細胞である。内部器官、皮膚、骨、血液、および結合組織は全て体細胞から作られている。一部の実施形態では、体細胞は「非胚性体細胞」であり、これは胚に存在せずまたは胚から得られず、そのような細胞のin vitro増殖に起因しない体細胞を意味する。一部の実施形態では、体細胞は「成体体細胞」であり、これは胚または胎児以外の生命体に存在しもしくはこれから得られ、またはそのような細胞のin vitro増殖に起因する細胞を意味する。他に指示しなければ、少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体をインスリン生成性でグルコース応答性の細胞に変換するための方法は、in vivoおよびin vitroの両方で実施することができる(少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体が対象の中に存在する場合にはin vivoが実施され、単離され培地中に維持された少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体を用いてin vitroが実施される)。
【0070】
[0081]本明細書で用いる場合、用語「成体細胞」は胚発生の後で体内の至るところに見出される細胞を意味し得る。
[0082]本明細書で用いる場合、用語「内胚葉細胞」は極めて早期の胚の中の3つの一次胚細胞層のうちの1つからのものである細胞を意味し得る(他の2つの胚細胞層は中胚葉および外胚葉である)。内胚葉は3つの層のうち最も内側にある。内胚葉細胞が分化して、最初に胎児の腸が生じ、次に呼吸器および消化管(腸など)、肝臓および膵臓の内層を生じる。
【0071】
[0083]本明細書で用いる用語「内胚葉起源の細胞」は、内胚葉細胞から発生しまたは分化した任意の細胞を意味し得る。例えば、内胚葉起源の細胞には肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞が含まれる。理論に縛られることを望まないが、肝臓と膵臓の前駆細胞(膵前駆細胞と称することもできる)は、胚前腸の内胚葉細胞から発生する。これらが特定されてからすぐに、肝臓および膵の前駆細胞は全く異なった細胞機能および再生能力を急速に獲得する。これらの変化は、脊椎動物の間で高度に保存された誘起シグナルおよび遺伝子制御因子によって引き起こされる。臓器の発生および再生に対する興味は、肝不全およびI型糖尿病の治療処置における肝細胞および膵β細胞への強いニーズによって加速されてきた。多様なモデルの生命体およびヒトにおける研究によって、肝細胞および膵細胞の分化を引き起こし、多様な幹細胞および前駆細胞の型からの肝細胞およびβ細胞の分化をどのように促進するかについての指針を提供する進化的に保存された誘起シグナルおよび転写因子のネットワークが明らかになってきた。
【0072】
[0084]本明細書で用いる用語「胚体内胚葉」は、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば膵β細胞)に分化することができる細胞を意味し得る。胚体内胚葉細胞はマーカーSox17を発現する。胚体内胚葉細胞に特徴的なその他のマーカーには、それだけに限らないが、MIXL2、GATA4、HNF3B、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CXCR4、Cerberus、OTX2、グーセコイド、C-Kit、CD99、CMKOR1、およびCRIP1が含まれる。特に、本明細書の胚体内胚葉細胞はSox17ならびに一部の実施形態ではSox17およびHNF3Bを発現し、顕著なレベルのGATA4、SPARC、APF、またはDABは発現しない。胚体内胚葉細胞はマーカーPdx1については陽性ではない(例えばそれらはPdx1陰性である)。胚体内胚葉細胞は肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。Sox17およびその他の胚体内胚葉のマーカーの発現は、例えば抗Sox17抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0073】
[0085]用語「膵内胚葉」は、膵β細胞を含む多重の膵臓系統に分化することができるが、非膵臓系統に分化する能力をもはや有しない内胚葉起源の細胞を意味し得る。
[0086]本明細書で使用される用語「原腸管細胞」、または「腸管細胞」とは、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)に分化することができる細胞を指すことができる。原腸管細胞は以下のマーカー、HNF1-β、HNF3-β、またはHNF4-αのうち少なくとも1つを発現する。原腸管細胞は肺、肝臓、膵、胃、および腸の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。HNF1-βおよびその他の原腸管のマーカーの発現は、例えば抗HNF1-β抗体を用いる免疫化学等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0074】
[0087]用語「幹細胞」は本明細書で使用される場合、増殖することができ、次に分化したまたは分化可能な娘細胞を生じることができる多数の母細胞を産生する能力を有するより多くの前駆細胞を生じる未分化の細胞を指し得る。娘細胞それ自体は、増殖し、続いて1つまたは複数の成熟細胞型に分化する子孫を生成するように誘導される一方、親の発生可能性を有する1つまたは複数の細胞を保持することもできる。用語「幹細胞」は、特定の状況下ではより特殊化されまたは分化した表現型に分化する能力または可能性を有し、ある特定の状況下では実質的に分化せずに増殖する能力を保持している前駆細胞のサブセットを指し得る。一実施形態では、幹細胞という用語は一般に、その子孫(descendants、progeny)が、胚の細胞および組織の漸進的多様化で起こるように、分化によって、例えば完全に個別の特徴を獲得することによって、しばしば異なる方向に、特殊化する、天然に存在する母細胞を指す。細胞の分化は典型的には多くの細胞分裂を通して起こる複雑なプロセスである。分化した細胞は万能性細胞由来であってよく、万能性細胞はそれ自体、万能性細胞由来、等々である。これらの万能性細胞のそれぞれは幹細胞であると考えられるが、それぞれが生じることができる細胞型の範囲はかなり変動し得る。いくつかの分化した細胞はより大きな発生の可能性を有する細胞を生じる能力をも有する。そのような能力は天然であってもよく、種々の因子を用いる処置によって人工的に誘導してもよい。多くの生物学的な例では、幹細胞は2つ以上の異なった細胞型を有する子孫を生成することができるので「万能性」でもあるが、これは「幹細胞性」であるために必要ではない。「自己更新」は幹細胞の定義の他の古典的な部分であり、これは本書で用いるように重要である。理論的には、自己更新は2つの主な機構のいずれかによって起こり得る。幹細胞は非対称的に分裂され、1つの娘は幹細胞状態を保持し、他の娘はいくつかの異なった他の特定の機能および表現型を発現することができる。あるいは、集団における幹細胞のいくつかは2つの幹細胞に対称的に分裂することができ、それにより集団におけるいくつかの幹細胞は全体として維持される一方、集団における他の細胞は分化した子孫のみを生じる。形式的には、幹細胞として始まった細胞が分化した表現型に向かって進行するが、「逆行」し、幹細胞の表現型を逆発現することも可能である。これは当業者によって「脱分化」または「再プログラミング」または「逆分化」と称されることが多い。本明細書で使用される場合、用語「多能性幹細胞」には、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞等が含まれる。
【0075】
[0088]用語「多能性」は本明細書で使用される場合、種々の条件下で2種以上の分化した細胞型に分化し、好ましくは3種全ての胚細胞層に特徴的な細胞型に分化する能力を有する細胞を指し得る。多能性細胞は、一次的には例えばヌードマウスの奇形腫形成アッセイを用いて2種以上の細胞型、好ましくは3種全ての胚葉層に分化する能力によって特徴付けられる。多能性は胚幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性のための好ましい試験は3種の胚葉層のそれぞれの細胞に分化する能力を実証することである。そのような細胞を単に培養するだけではそれ自体、これらの細胞を多能性にするわけではないことに留意されたい。再プログラミングされた多能性細胞(例えば本明細書でその用語を定義するようにiPS細胞)は、一般には培養中に限られた回数の分裂のみの能力を有する初代親細胞と比較して、成長の可能性を失わずに延長された継代の能力を有することも特徴としている。
【0076】
[0089]本明細書で使用される場合、用語「iPS細胞」および「人工多能性幹細胞」は相互交換可能に用いられ、例えば1つまたは複数の遺伝子の強制的な発現を誘導することによって、非多能性細胞から、典型的には成体体細胞から人工的に得られた(例えば誘導されたか、または完全な逆転による)多能性幹細胞を指し得る。
【0077】
[0090]用語「表現型」は、実際の遺伝子型に関わらず、環境条件および因子の特定の組のもとに細胞または生命体を定義する1つまたはいくつかの生物的特徴の全てを意味し得る。
【0078】
[0091]用語「対象」、「患者」、または「個体」は本明細書で相互交換可能に用いられ、それから細胞が得られ、および/または本明細書に記載した細胞を用いる予防的処置を含む処置がそれに提供される動物、例えばヒトを意味し得る。ヒト対象などの特定の動物に特異的な感染、病態、または疾患状態の処置については、対象という用語はその特定の動物を指し得る。本明細書で相互交換可能に用いられる「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」には、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類等の哺乳動物が含まれる。用語「対象」には、それだけに限らないが哺乳類、爬虫類、両生類、および魚類を含む任意の脊椎動物も包含される。しかし有利には、対象はヒト等の哺乳動物、または例えばイヌ、ネコ、ウマ、その他の家畜、もしくはウシ、ヒツジ、ブタ、その他の生産用哺乳動物等のその他の哺乳動物である。「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書では糖尿病に限らず、例えば疾患または障害を有すると診断されたか、その疑いがある患者を意味する。
【0079】
[0092]本明細書で使用される、用語「投与すること」は、本明細書に記載した1つまたは複数の組成物を患者または対象に提供することを指し得る。例として限定せずに、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施することができる。一部の実施形態では、組成物のいずれかは肝門脈を介して投与され得る。1つまたは複数のそのような経路を採用することができる。非経口投与は、例えばボーラス注射または時間をかけた段階的潅流によるものでよい。あるいは、または同時に、投与は経口経路によるものでよい。さらに、投与は細胞のボーラスまたはペレットを手術で堆積してもよく、医用デバイスを位置決めしてもよい。一実施形態では、本開示の組成物は、増殖性障害を治療しまたは予防するために有効な量の本明細書に記載した核酸配列または本明細書に記載した少なくとも1つの核酸配列を含むベクターを発現する操作された細胞または宿主細胞を含み得る。薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載した細胞集団を含んでよい。そのような組成物は、中性緩衝食塩液、リン酸緩衝食塩液等の緩衝液、グルコース、マンノース、スクロース、もしくはデキストラン、マンニトール等の炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、またはグリシン等のアミノ酸、酸化防止剤、EDTAもしくはグルタチオン等のキレート化剤、アジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、および保存剤を含んでもよい。
【0080】
[0093]用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、「処置(treatment)」、およびそれらの文法的等価物は、単離された細胞に適用される場合、細胞をあらゆる種類のプロセスもしくは条件に供すること、または細胞に対してあらゆる種類の操作もしくは手順を実施することを含む。対象に適用される場合、その用語は、個体に医学的または外科的な注意、ケア、または管理を提供することを指す。個体は通常、病気であるか、もしくは怪我をしているか、または集団の平均的なメンバーと比較して病気になるリスクが高く、またそのような注意、ケア、もしくは管理を必要としている。
【0081】
[0094]本明細書で使用される場合、用語「処置すること(treating)」および「処置(treatment)」は、対象が、疾患の少なくとも1つの症状の減少または疾患の改善、例えば、有益なまたは所望の臨床結果を有するように、有効量の組成物を対象に投与することを指し得る。本発明の目的として、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下に限定されないが、検出可能か検出不可能かに関わらず、1つまたは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患状態の安定化(例えば、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の改善または軽減、および寛解(例えば、部分的または全体的)が挙げられる。処置することは、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して、生存が延長されることを指し得る。よって、当業者は、処置が、疾患状態を改善することができるが、疾患に対する完全な治癒でなくてもよいことを理解する。本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」は、予防を含む。あるいは、処置は、疾患の進行が減少または停止される場合に「有効」である。「処置(treatment)」は、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して、生存が延長されることも意味し得る。処置を必要としているものは、すでに心臓疾患と診断されたもの、ならびに遺伝的感受性または体重、食事および健康などの他の要因に起因する心臓疾患を発症する可能性が高いものが挙げられる。
【0082】
[0095]用語「治療上有効な量」、「治療量」、またはその文法的等価物は、所望の治療結果を達成するのに必要な投与量での、および期間にわたる有効な量を指し得る。治療有効な量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに本明細書に記載した組成物の、1または複数の対象において所望の応答を誘発する能力に応じて変化し得る。投与されるべき本開示の組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍の大きさ、感染または転移の程度、および患者(対象)の病態の個体差を考慮して、医師によって決定され得る。
【0083】
[0096]あるいは、患者または対象に対する本明細書に記載した1つまたは複数の組成物の投与の薬理学的および/または生理学的効果は、「予防的」であってもよく、例えば、その効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に防止する。「予防上有効な量」は、所望の予防的結果(例えば、疾患発症の防止)を達成するのに必要な投与量での、および期間にわたる有効な量を指し得る。
【0084】
[0097]全体にわたって開示したいくつかの数値は、例えば「Xは少なくともまたは少なくとも約100、または200[または任意の数]である」と称される。この数値にはその数それ自体が含まれる。
【0085】
[0098]全体にわたって開示した数値によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての数値はこのように解釈すべきである。
【0086】
[0099]全体に開示した範囲は、例えば「Xは1~2日目もしくは約1~2日目に、または2~3日目もしくは約2~3日目に[または任意の数値範囲に]投与される」と称されることがある。この範囲にはその数それ自体(例えば範囲の終点)および列挙した範囲内の個々の数全てが含まれる。
【0087】
[00100]全体に開示した範囲によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての範囲はこのように解釈すべきである。
【0088】
PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤
[00101]一部の実施形態では、本明細書で開示される組成物および方法は、膵臓系統(例えば、Sox17陽性胚体内胚葉細胞、FOXA2陽性原腸管細胞、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞1細胞、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞2細胞、インスリン陽性膵内分泌細胞、またはSC-膵β細胞)における細胞の分化中のPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の1つまたは複数の阻害剤の使用に関する。
【0089】
[00102]ある特定の理論に縛られることは望まないが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の活性化は、プロテインキナーゼB(PKB、Aktとしても知られている)をリン酸化して活性化する。Aktのリン酸化および活性化は、cAMP応答要素結合性タンパク質(CREB)の活性化、p27の阻害、細胞質におけるフォークヘッドボックスO(FOXO)の局在化、PtdIns-3psの活性化、およびラパマイシンの機構的標的(mTOR、ラパマイシンの哺乳動物標的としても知られている)の活性化などの多くの下流効果を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤」は、PI3Kタンパク質の活性、Aktタンパク質の活性、mTORタンパク質の活性、またはそれらの任意の組合せを阻害する薬剤を指す。用語「PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤」は、PI3KからAktおよびmTORへの細胞内部で起こるシグナル伝達カスケードに対して阻害効果を有する薬剤のみに限定されると意図されない。代わりに、一部の事例では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、AktもしくはmTORの活性化に対していかなる即時的な効果もなくPI3Kタンパク質の活性に対して、またはmTORの活性化もしくはPI3Kタンパク質の活性に対していかなる即時的な効果もなくAktタンパク質の活性に対して阻害効果を有する。一部の事例では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、Aktタンパク質の活性またはPI3Kタンパク質の活性に対していかなる即時的な効果もなく、mTORタンパク質の活性を直接阻害する。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の活性、Aktタンパク質の活性、mTORタンパク質の活性、またはそれらの任意の組合せを直接阻害する。一部の事例では、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kタンパク質の活性、Aktタンパク質の活性、mTORタンパク質の活性、またはそれらの任意の組合せを間接的に阻害する。
【0090】
[00103]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、クラスI PI3K、クラスII PI3K、またはクラスIII PI3KなどのPI3Kタンパク質の阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、1つよりも多いPI3Kタンパク質、例えば、1つよりも多いクラスI、II、もしくはIIIのPI3K、または1つよりも多いクラスにおけるPI3Kを阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、汎PI3K阻害剤、例えば、事実上全てのタイプのPI3Kを阻害する薬剤を含む。本明細書で論じたクラスI PI3Kとして、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CG、PIK3CD、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R4、PIK3R5、PIK3R6が挙げられ得る。本明細書で論じたクラスII PI3Kとして、PIK3C2A、PIK3C2B、PIK3C2Gが挙げられ得る。本明細書で論じたクラスIII PI3Kとして、PIK3C3が挙げられ得る。
【0091】
[00104]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、Akt1、Akt2、またはAkt3などのAktタンパク質の阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、1つよりも多いAktタンパク質、例えば、Akt1およびAkt2、Akt1およびAkt3、またはAkt2およびAkt3を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤はAkt1を阻害するが、Akt2またはAkt3に対しては最小限の効果を有するか、または全く影響がない。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、Akt2を阻害するが、Akt1またはAkt3に対しては最小限の効果を有するか、または全く影響がない。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤はAkt3を阻害するが、Akt1またはAkt2に対しては最小限の効果を有するか、または全く影響がない。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、汎Akt阻害剤、例えば、Aktタンパク質の実質的に3つ全てのタイプを阻害する薬剤を含む。
【0092】
[00105]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤はmTORの阻害剤を含む。ある特定の理論に縛られることは望まないが、活性化されたmTORタンパク質は他のタンパク質と結合し、2つの異なるタンパク質複合体、mTOR複合体1(mTORC1)およびmTOR複合体2(mTORC2)のコア成分として機能し、それらは異なる下流細胞シグナル伝達経路を有し、異なる細胞プロセスを規制することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC1の形成を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC1の活性を、したがって、mTORC1によって活性化される標的タンパク質および/または細胞シグナル伝達経路の少なくとも一部を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC2の形成を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC2の活性を、したがって、mTORC2によって活性化される標的タンパク質および/または細胞シグナル伝達経路の少なくとも一部を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC1およびmTORC2の両方の形成を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、mTORC1およびmTORC2の両方を、したがって、mTORC1またはmTORC2の両方によって活性化される標的タンパク質および/または細胞シグナル伝達経路の少なくとも一部を阻害する。
【0093】
[00106]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤としては、以下に限定されないが、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、およびそれらの任意の類似体または誘導体が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体のうちの1つまたは複数である。
【0094】
[00107]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、式(I):
【0095】
【0096】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、プロドラッグ、組成物、もしくは混合物である。
[00108]一部の実施形態では、本開示は、PI3K/Akt/mTORの阻害剤を提供し、阻害剤は、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008076763号で開示される分子のいずれかである。例えば、一部の実施形態では、本開示は、式(II):
【0097】
【0098】
(式中、Xは、存在しないか、またはO、SおよびCR20R21からなる群から選択され、ここでR20R21は独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチル、置換シクロペンチル、-C1~C4アルキル、および置換-C1~C4アルキルから選択されるか、
またはR20R21はそれらが結合されている炭素と一緒になって、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチルもしくは置換シクロペンチルを形成し;
R2R2’は独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチル、置換シクロペンチル、-C1~C4アルキル、および置換-C1~C4アルキルから選択されるか、
または、R2R2’はそれらが結合されている炭素と一緒になって、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチルもしくは置換シクロペンチルを形成し;
R3は、水素、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチル、置換シクロペンチル、シクロプロピルメチル、置換シクロプロピルメチル、-C1~C4アルキル、および置換-C1~C4アルキルからなる群から選択され;
R4R4’は独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチル、置換シクロペンチル、-C1~C4アルキル、および置換-C1~C4アルキルから選択されるか、またはR4R4’はそれらが結合されている炭素と一緒になって、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチルもしくは置換シクロペンチルを形成し;
R5R5’は独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチル、置換シクロペンチル、-C1~C4アルキル、および置換-C1~C4アルキルから選択されるか、
またはR5R5’はそれらが結合されている炭素と一緒になって、シクロプロピル、置換シクロプロピル、シクロブチル、置換シクロブチル、シクロペンチルもしくは置換シクロペンチルを形成し;
R1は、水素、-C1~C4アルキルおよび置換-C1~C4アルキルからなる群から選択され;
Xが存在しないか、またはR20R21である場合、R1はさらに、フッ素であり得る)
の構造、ならびに/またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグを含むPI3K/Akt/mTORの阻害剤を提供する。
【0099】
[00109]用語「-C1~C4アルキル」とは本明細書で使用される場合、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素鎖を意味する。-C1~C4アルキルの例として、本明細書で使用される場合、-CH3、-CH2-CH3、-CH2-CH2-CH3、-CH(CH3)2、-CH2-CF3、-C(CH3)、-(CH2)3-CH3、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH-CH2、および-C[同一]C-CH3が挙げられる。
【0100】
[00110]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、式(III):
【0101】
【0102】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、プロドラッグ、組成物、もしくは混合物である。
[00111]一部の実施形態では、本開示は、PI3K/Akt/mTORの阻害剤を提供し、阻害剤は、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2010105711号で開示される分子のいずれかである。例えば、一部の実施形態では、本開示は、式(IV):
【0103】
【0104】
(式中、Aはヘテロアリールを表し;
R1は、(1)任意選択で置換されたアルキル、(2)任意選択で置換されたシクロアルキル、(3)任意選択で置換されたアリール、(4)任意選択で置換されたアミン、(5)任意選択で置換されたスルホニル、(6)ハロを表し;
R2は、水素、重水素またはR1について定義されるような置換基を表し;
R3は、水素、ハロ、任意選択で置換されたアルキルを表すが、但し、(S)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-アミド1-({5-[2-(tert-ブチル)-ピリミジン-4-イル]-4-メチルチアゾール-2-イル}-アミド)を除く)
の構造を含むPI3K/Akt/mTORの阻害剤を提供する。
【0105】
[00112]接頭辞「C1~C7」は、最大7個まで(7を含む)、特に最大4個まで(4を含む)炭素原子を有する基を意味し、当該基は、直鎖状または単一もしくは複数の分岐を伴う分岐状のいずれかである。
【0106】
[00113]「アルキル」は、直鎖または分岐鎖のアルキル基を指し、好ましくは直鎖または分岐鎖のC1~12アルキルを表し、特に好ましくは直鎖または分岐鎖のC1~7アルキル、例えば、メチル、エチル、n-またはイソ-プロピル、n-、イソ-、sec-またはtert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルを表し、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピルおよびn-ブチルおよびイソ-ブチルが特に好ましい。アルキルは、非置換であってもよく、または置換されてもよい。例示的な置換基としては、以下に限定されないが、重水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロおよびアミノが挙げられる。置換アルキルの例はトリフルオロメチルである。シクロアルキルもまた、アルキルの置換基であり得る。そのような場合の例は、部分(アルキル)-シクロプロピルまたはアルカンジイル-シクロプロイル(cycloproyl)、例えば、-CH2-シクロプロピルである。C1~C7-アルキルは、好ましくは、1から(1を含む)最大7まで(7を含む)を有するアルキルであり、好ましくは、1から(1を含む)最大4まで(4を含む)を有するアルキルであり、直鎖状または分岐状であり、好ましくは、低級アルキルは、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのブチル、n-プロピルまたはイソプロピルなどのプロピル、エチル、または好ましくはメチルである。
【0107】
[00114]「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アルコキシカルボニル」、「アルコキシカルボニルアルキル」、「アルキルスルホニル」、「アルキルスルホキシル」、「アルキルアミノ」、「ハロアルキル」のような他の基の各アルキル部分は、「アルキル」の上述の定義に記載されているものと同じ意味を有する。
【0108】
[00115]「アルカンジイル」は、部分に2つの異なる炭素原子によって結合された直鎖または分岐鎖のアルカンジイル基を指し、それは好ましくは、直鎖または分岐鎖のC1~12アルカンジイルを表し、特に好ましくは直鎖または分岐鎖のC1~6アルカンジイル、例えば、メタンジイル(-CH2-)、1,2-エタンジイル(-CH2-CH2-)、1,1-エタンジイル(-CH(CH3)-)、1,1-、1,2-、1,3-プロパンジイルおよび1,1-、1,2-、1,3-、1,4-ブタンジイルを表し、メタンジイル、1,1-エタンジイル、1,2-エタンジイル、1,3-プロパンジイル、1,4-ブタンジイルが特に好ましい。
【0109】
[00116]「アルケンジイル」は、分子に2つの異なる炭素原子によって結合された直鎖または分岐鎖のアルケンジイル基を指し、それは好ましくは、直鎖または分岐鎖のC2~6アルカンジイル、例えば、-CH=CH-、-CH=C(CH3)-、-CH=CH-CH2-、-C(CH3)=CH-CH2-、-CH=C(CH3)-CH2-、-CH=CH-C(CH3)H-、-CH=CH-CH=CH-、-C(CH3)=CH-CH=CH-、-CH=C(CH3)-CH=CH-を表し、-CH=CH-CH2-、-CH=CH-CH=CH-が特に好ましい。アルケンジイルは、置換されてもよく、または非置換であってもよい。
【0110】
[00117]「シクロアルキル」は、飽和または部分的飽和の単環式、縮合多環式、またはスピロ多環式の、炭素環1個当たり3~12個の環原子を有する炭素環を指す。シクロアルキル基の実例としては、下記の部分が挙げられる:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシルクロヘキシル。シクロアルキルは、非置換であってもよく、または置換されてもよく、例示的な置換基は、アルキルについての定義において提供され、アルキル自体(例えば、メチル)も含む。(CH3)シクロプロピルのような部分は、置換シクロアルキルとみなされる。
【0111】
[00118]「アリール」は、6個またはそれよりも多い炭素原子を有する芳香族同素環系(即ち、環形成原子として炭素のみ)を指し、アリールは、好ましくは6~14個の環炭素原子を有する、より好ましくは6~10個の環炭素原子を有する芳香族部分、例えば、フェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルである。アリールは、非置換でもあってよく、または以下に記載されるような非置換もしくは置換ヘテロシクリル、特に、ピロリジニル、例えばピロリジノ、オキソピロリジニル、例えばオキソピロリジノ、C1~C7-アルキル-ピロリジニル、2,5-ジ(C1~C7アルキル)ピロリジニル、例えば2,5-ジ-(C1~C7アルキル)-ピロリジノ、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、C1~C7-アルキルピラゾリジニル、ピリジニル、C1~C7-アルキルピペリジニル、ピペリジノ、アミノもしくはN-モノもしくはN,N-ジ-(低級アルキル、フェニル、C1~C7-アルカノイルおよび/もしくはフェニル低級アルキル)-アミノで置換されたピペリジノ、環炭素原子を介して結合された非置換もしくはN-低級アルキル置換ピペリジニル、ピペラジノ、低級アルキルピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、S-オキソチオモルホリノもしくはS,S-ジオキソチオモルホリノ;C1~C7-アルキル、アミノ-C1~C7-アルキル、N-C1~C7-アルカノイルアミノ-C1~C7-アルキル、N-C1~C7-アルカンスルホニル-アミノ-C1~C7-アルキル、カルバモイル-C1~C7-アルキル、[N-モノ-もしくはN,N-ジ-(C1~C7-アルキル)-カルバモイル]C1~C7-アルキル、C1~C7-アルカンスルフィニル-C1~C7-アルキル、C1~C7-アルカンスルホニル-C1~C7-アルキル、フェニル、ナフチル、モノ-~トリ-[C1~C7-アルキル、ハロおよび/もしくはシアノ]-フェニルもしくはモノ~トリ[C1~C7-アルキル、ハロおよび/もしくはシアノ]-ナフチル;C3~C8-シクロアルキル、モノ-~トリ[C1~C7-アルキルおよび/もしくはヒドロキシ]-C3~C8-シクロアルキル;ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級-アルコキシ-低級アルコキシ、(低級アルコキシ)-低級アルコキシ-低級アルコキシ、ハロ-C1~C7-アルコキシ、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニルもしくはナフチル-低級アルコキシ;アミノ-C1~C7-アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ホルミル(CHO)、アミノ、N-モノもしくはN,N-ジ-(C1~C7-アルキル)-アミノ、C1~C7-アルカノイルアミノ、C1~C7-アルカンスルホニルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、例えば、フェニルもしくはナフチル-低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル;C1~C7-アルカノイル、例えば、アセチル、ベンゾイル、ナフトイル、カルバモイル、N-モノ-もしくはN,N-二置換カルバモイル、例えばN-モノもしくはN,N-二置換カルバモイル(式中、置換基は、低級アルキル、(低級アルコキシ)-低級アルキルおよびヒドロキシ-低級アルキルから選択される);アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、フェニルもしくはナフチルチオ、フェニルもしくはナフチル-低級アルキルチオ、低級アルキル-フェニルチオ、低級アルキル-ナフチルチオ、ハロ-低級アルキルメルカプト、スルホ(-SO3H)、低級アルカンスルホニル、フェニルもしくはナフチルスルホニル、フェニルもしくはナフチル低級アルキルスルホニル、アルキルフェニルスルホニル、ハロ-低級アルキルスルホニル、例えばトリフルオロメタンスルホニル;スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、アジド、アジド-C1~C7-アルキル、特にアジドメチル、C1~C7-アルカンスルホニル、スルファモイル、N-モノ-もしくはN,N-ジ-(C1~C7-アルキル)-スルファモイル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、シアノおよびニトロからなる群から独立して選択される1個もしくは複数、好ましくは最大3個、より好ましくは最大2個の置換基で置換されてもよく、ここで置換アルキル(または。本明細書で述べた置換アリール、ヘテロシクリルなども)の置換基または置換基の一部として上述した各フェニルまたはナフチル(同様にフェノキシまたはナフトキシにおける)は、それ自体が非置換であるか、またはハロ、ハロ-低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アジド、アミノ、N-モノもしくはN,N-ジ-(低級アルキルおよび/もしくはC1~C7-アルカノイル)-アミノ、ニトロ、カルボキシ、低級-アルコキシカルボニル、カルバモイル、シアノおよび/もしくはスルファモイルから独立して選択される1個もしくは複数、例えば、最大3個、好ましくは1個もしくは2個の置換基で置換される。
【0112】
[00119]「ヘテロシクリル」は、不飽和(=環(複数可)中に考え得る最高数の共役二重結合を保有する)、飽和または部分的飽和であり、好ましくは単環式であるか、または本発明のより広い態様では二環式、三環式もしくはスピロ環式環であり、3個~24個、より好ましくは4個~16個、最も好ましくは5個~10個、最も好ましくは5個もしくは6個の環原子を有するヘテロ環式基を指し、ここで、1個または複数、好ましくは1個~4個、特に1個または2個の環原子はヘテロ原子である(したがって、残りの環原子は炭素である)。結合環(即ち、分子に結合する環)は、4個~12個、特に5個~7個の環原子を有することが好ましい。ヘテロシクリルという用語はまた、ヘテロアリールを含む。ヘテロ環式基(ヘテロシクリル)は、非置換であってもよく、または置換アルキルについて上記で定義した置換基からなる群から、および/もしくは下記の置換基:オキソ(=O)、チオカルボニルイミノ(=NH)、イミノ-低級アルキルのうちの1個もしくは複数から独立して選択される1個もしくは複数、特に1個~3個の置換基で置換されてもよい。さらに、ヘテロシクリルは、特に、オキシラニル、アジリニル、アジリジニル、1,2-オキサチオラニル、チエニル(=チオフェニル)、フラニル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チオピラニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H-ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、(S-オキソまたはS,S-ジオキソ)-チオモルホリノ、インドリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、特に1,4-ジアゼパニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、クマリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、ベータ-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロメニル、イソクロマニル、クロマニニル、ベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イルおよび2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イルからなる群から選択されるヘテロシクリル基であり、これらの基はそれぞれ、非置換であるか、または置換アリールについて上述したものから、および/もしくは下記の置換基:オキソO)、チオカルボニルS)、イミノ(=NH)、イミノ-低級アルキルのうちの1個もしくは複数から選択される1個もしくは複数、好ましくは最大3個の置換基で置換されている。
【0113】
[00120]「アリールアルキル」は、メチルまたはエチル基などのアルキル基を介して分子に結合されたアリール基、好ましくはフェネチルまたはベンジル、特にベンジルを指す。同様に、シクロアルキル-アルキルおよびヘテロシクリル-アルキルは、アルキル基を介して分子に結合されたシクロアルキル基またはアルキル基を介して分子に結合されたヘテロシクリル基を表す。いずれの場合でも、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびアルキルは、上記で定義したように置換され得る。
【0114】
[00121]一部の実施形態では、本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む組成物は、GSK-690693およびBYL719、またはそれらの誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む。
【0115】
分化のステージ
[00122]一部の実施形態では、本明細書で開示されるような膵分化は、段階的に実行される。段階的な進行では、「ステージ1」または「S1」は、分化過程の第1のステージである、多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞(「DE」、「ステージ1細胞」または「S1細胞」)に分化させることを指す。「ステージ2」は、第2のステージである、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞を、腸管細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞(「GT」、「ステージ2細胞」または「S2細胞」)に分化させることを指す。「ステージ3」は、第3のステージである、腸管細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞を、膵臓前駆1細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞(「PP1」、「ステージ3細胞」または「S3細胞」)に分化させることを指す。「ステージ4」は、第4のステージである、膵前駆細胞1細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞から膵前駆細胞2細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞(「PP2」、「ステージ4細胞」または「S4細胞」)に分化させることを指す。「ステージ5」は、第5のステージである、膵前駆細胞2細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞(例えば、PDX.1+、NKX6.1+)を、膵臓内胚葉細胞および/または膵臓内分泌前駆細胞(例えば、インスリン+)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「EN」、「ステージ5細胞」または「S5細胞」)に分化させることを指す。「ステージ6」とは、膵内分泌前駆細胞に特徴的なマーカー(例えば、インスリン)を発現する細胞を、膵内分泌β細胞(「SC-β細胞」)または膵内分泌α細胞(「SC-α細胞」)に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることを指す。しかしながら、特定の集団に含まれる全ての細胞が同じ速度でこれらのステージを進むわけではないこと、即ち、一部の細胞は、その集団に存在する大多数の細胞よりも分化経路の進行が少ないかまたは多い可能性があることを理解すべきである。例えば、一部の実施形態では、SC-β細胞は、ステージ5の間、ステージ5の終了時、ステージ6の開始時などに同定することができる。ステージ1~6のいずれか1つの細胞を作製する方法の例は、例えば、米国特許第10,030,229号、米国特許第10,443,042号、米国特許公開第20200332262号、同第20210198632A1号、同第20220090020号に提供され、これらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。
【0116】
再プログラミング
[00123]用語「再プログラミング」は本明細書で使用される場合、体細胞の分化状態を改変または逆行させるプロセスを指す。細胞は再プログラミングの前に部分的にまたは最終的に分化させることができる。再プログラミングは体細胞の分化状態の多能性細胞への完全な逆行を包含する。そのような分化の完全な逆行は人工多能性(iPS)細胞を生成する。本明細書で使用される場合、再プログラミングは、細胞の分化状態の、例えば、多能性でも万能性でもないがそれが生じた分化した細胞の1つまたは複数の特定の特徴を失った細胞である万能性状態の細胞または体細胞への部分的な逆行、例えば分化した細胞の様々な体細胞型への直接的再プログラミングをも包含する。再プログラミングには一般に、接合子が成体に成長する際の細胞の分化の間に起こる核酸の修飾(例えばメチル化)、クロマチンの縮合、エピジェネティック変化、ゲノムの刷り込み等の遺伝可能なパターンの少なくともいくつかの改変、例えば逆行が含まれる。
【0117】
[00124]本明細書で使用される場合、用語「再プログラミング因子」は、細胞の「再プログラミング」、即ちそれによって細胞が異なった細胞型または表現型に変換される分化、および/または脱分化、および/または分化転換に関連する分子を指すと意図される。再プログラミング因子は一般に、細胞の分化、脱分化、および/または分化転換に関連する遺伝子の発現に影響する。転写因子は再プログラミング因子の例である。
【0118】
[00125]用語「分化」およびその文法的等価物は本明細書で使用される場合、特殊性の低い細胞(即ち、より高い細胞能力を有するよりナイーブな細胞)が特殊性の高い細胞型(即ち、より低い細胞能力を有するあまりナイーブでない細胞)になるプロセスを指し、用語「脱分化」は、特殊性の高い細胞が特殊性の低い細胞型(即ち、より高い細胞能力を有するよりナイーブな細胞)になるプロセスを指し、用語「分化転換」は、特定の細胞型の細胞がその「細胞能力」または「ナイーブさ」のレベルを顕著に変化させずに別の細胞型に変換されるプロセスを指す。理論に縛られることは望まないが、細胞がその「細胞能力」または「ナイーブさ」のレベルを顕著に変化させずに1つの系統関与細胞型または最終的に分化した細胞型から別の系統関与細胞型または最終的に分化した細胞型に変換された場合には、細胞は「分化転換」すると考えられる。
【0119】
[00126]本明細書で使用される場合、用語「細胞能力」は、細胞が異なる系統の細胞に分化する能力を指すと理解されたい。例えば、多能性細胞(例えば幹細胞)は、3つの胚葉層、即ち内胚葉(胃の内部ライニング、胃腸管、肺)、中胚葉(筋肉、骨、血液、尿生殖器)、または外胚葉(上皮組織および神経系)のいずれの細胞にも分化する可能性を有し、したがって高い細胞能力を有する。万能性細胞(例えば幹細胞またはある型の誘導された幹細胞)は多いが限られた数の系統(例えば造血幹細胞、心幹細胞、または神経幹細胞等)から細胞を生じる能力を有し、多能性細胞よりは比較的低い細胞能力を有している。特定の系統に関与し、または最終的に分化した細胞は、さらに低い細胞能力を有し得る。当技術で公知の分化転換の具体例には、例えば、線維芽ベータ細胞の、または膵外分泌細胞からベータ細胞への変換等が含まれる。
【0120】
[00127]したがって、細胞はよりナイーブな細胞に分化させることができ(例えば最終的に分化した細胞は万能性もしくは多能性に分化することができ)、または細胞はあまりナイーブでない細胞に脱分化させることができる(例えば万能性もしくは多能性の細胞は系統に関与する細胞もしくは最終的に分化した細胞に分化することができる)。しかしながら、一実施形態では、細胞は例えば同様の細胞能力レベルで1つの細胞型(または表現型)から別の細胞型(または表現型)に変換または分化転換させることができる。したがって、本開示の一実施形態では、本開示の誘導するステップは、本開示の細胞を再プログラミングして、分化し、脱分化し、および/または分化転換することができる。本開示の一実施形態では、本開示の誘導するステップは、細胞を再プログラミングして分化転換することができる。
【0121】
[00128]1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド再プログラミング因子を使用し、例えば分化、脱分化、および/または分化転換することによって特定の型の細胞を再プログラミングまたは誘導して別の型の細胞にする方法は、当業者には公知である。そのような方法は、細胞の再プログラミングに関連する1つまたは複数の転写因子またはその他のポリペプチドをコードする遺伝材料の導入に依拠し得る。例えば、Pdx1、Ngn3およびMafA、またはそれらの機能的断片は全て、本開示の細胞の細胞分化、脱分化、および/または分化転換を誘導することができるペプチドをコードしていることが知られている。当業者に公知のいくつかの方法では、再プログラミング遺伝子(上記の遺伝子等)によってコードされる外因性ポリペプチド(例えば組換えポリペプチド)が細胞と接触して、例えば本開示の細胞を誘導する。当業者であれば、他の遺伝子も細胞の再プログラミングに関連し、そのような遺伝子をコードする外因性分子(またはその機能的断片)およびコードされたポリペプチドもポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子(例えば、続いて細胞の再プログラミングに関連する別の遺伝子の発現レベルに影響するポリヌクレオチドまたはポリペプチド)であると考えられることを認識する。例えば、p53の不活性化を減少させる外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのエピジェネティック遺伝子サイレンサーの導入によって、人工多能性幹細胞(iPSC)を誘導する効率が上昇することが示されている。したがって、エピジェネティックサイレンサーをコードする外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および細胞の再プログラミングまたは細胞のプログラミング効率の上昇に直接または間接に関与し得るその他の遺伝子またはタンパク質は、外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子を構成すると考えられる。当業者であれば、細胞の再プログラミングの阻害に関与する遺伝子の発現をノックダウンすることができるRNAi分子(またはRNAi分子をコードする遺伝子材料)の導入等の、細胞の再プログラミングに影響する他の方法が存在することを認識する。したがって、細胞の再プログラミングに関連し、または細胞の再プログラミングを促進する任意の外因性のポリヌクレオチド分子またはポリペプチド分子は、本明細書に記載した外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子であると理解されたい。
【0122】
[00129]本開示の一部の実施形態では、本方法は、小分子ではない再プログラミング因子(複数可)の使用を排除する。しかしながら、本方法は、組織培養成分、例えば培地、血清、血清代用物、補充物、抗生物質等、例えば、RPMI、腎上皮細胞基本培地(REBM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、MCDB131培地、CMRL 1066培地、F12、ウシ胎仔血清(FCS)、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、D-グルコース、L-グルタミン、GlutaMAX(商標)-1(ジペプチド、L-アラニン-L-グルタミン)、B27、ヘパリン、プロゲステロン、プトレシン、ラミニン、ニコチンアミド、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、セレン、エタノールアミン、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、ヒドロコルチゾン、エピネフリン、ノルマシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンおよびアムホテリシン等を利用し得ることが認識される。これらの組織培養成分(および組織培養で日常的に使用されるその他の同様の組織培養成分)は、本開示の目的のための小分子の再プログラミング分子ではないことを理解されたい。実際に、これらの成分は本明細書で定義する小分子でも、および/または本明細書で定義する再プログラミング因子でもない。しかしながら、本明細書で開示される細胞培養成分および代謝産物は、本明細書で開示される細胞の再プログラミングおよび分化方法を増強するのに使用することができる。例えば、本明細書で開示される細胞培養成分/添加剤および代謝産物の組合せは、SC-β細胞の産生効率、およびそれらの機能を改善することができる。
【0123】
[00130]したがって、一実施形態では、本開示は、細胞を1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子とともに培養するステップを含まない。したがって、一実施形態では、本開示の方法は、誘導されたベータ細胞を産生すること、またはそうでなければ本開示の細胞を誘導して分化させ、脱分化させ、および/もしくは分化転換させることに関与する、例えばトランスポゾン、ウイルストランスジェニックベクター(レトロウイルスベクター等)、プラスミド、mRNA、miRNA、ペプチド、またはこれらの分子のいずれかの断片を導入することによる、1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子の導入を含まない。
【0124】
[00131]即ち、一実施形態では、本方法は、1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子(例えば、アクチビンA)の非存在下で行われる。したがって、一実施形態では、本開示の方法では、ポリペプチド転写因子、分化、脱分化、および/または分化転換の誘導に特異的に関連するその他のポリペプチド因子、ポリペプチド転写因子をコードするポリヌクレオチド配列、分化、脱分化、および/または分化転換の誘導に特異的に関連するその他のポリペプチド因子をコードするポリヌクレオチド配列、mRNA、干渉RNA、マイクロRNA、ならびにそれらの断片を添加せずに、小分子を利用して細胞を再プログラミングすることを理解されたい。
【0125】
[00132]一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数の小分子が、分化プロトコールにおけるアクチビンAの使用を補い、置き換えて、および/または減少させる方法を提供する。
【0126】
幹細胞
[00133]用語「幹細胞」は、自己更新し、分化した細胞型を産生する能力を有する細胞(例えば植物幹細胞、脊椎動物幹細胞)を指すのに本明細書で使用される(Morrisonら、(1997年) Cell 88:287~298頁)。細胞の個体発生の文脈では、「分化した」あるいは「分化しつつある」という形容詞は相対的な用語である。「分化した細胞」とは、比較される細胞よりもさらに発生経路を進んだ細胞のことである。このように、多能性幹細胞は、系統に制限のある前駆細胞(例えば、中胚葉幹細胞)に分化することができ、その前駆細胞はさらに系統に制限のある細胞(例えば、ベータ細胞前駆細胞)に分化することができ、その前駆細胞は、ある組織型において特徴的な役割を果たす終末期の細胞(即ち、終末分化細胞、例えば、ベータ細胞など)に分化することができ、さらに増殖する能力を保持することができたり、そうでなかったりする。幹細胞は特定のマーカー(例えばタンパク質、RNA等)の存在および特定のマーカーの非存在によって特徴付けることができる。幹細胞はin vitroとin vivoの両方の機能性アッセイ、特に多種の分化した子孫を生じる幹細胞の能力に関連するアッセイによっても同定することができる。一実施形態では、宿主細胞は成体幹細胞、体幹細胞、非胚幹細胞、胚幹細胞、造血幹細胞であり、多能性幹細胞、およびトロホブラスト幹細胞を含む。
【0127】
[00134]目的とする幹細胞には多能性幹細胞(PSC)が含まれる。「多能性幹細胞」または「PSC」という用語は、本明細書において、生物の全ての細胞型を生成することができる幹細胞を意味するために使用される。したがって、PSCは生物の全ての生殖細胞層(例えば脊椎動物の内胚葉、中胚葉、外胚葉)の細胞を生み出すことができる。多能性細胞は奇形腫を形成し、生体の外胚葉、中胚葉、内胚葉組織に寄与することがある。植物の多能性幹細胞は植物の全ての細胞型(例えば根、茎、葉、その他の細胞)を生じることができる。
【0128】
[00135]動物のPSCはいくつかの異なった方式で誘導することができる。例えば、胚幹細胞(ESC)は胚の内部細胞集塊から誘導される(Thomsonら、Science. 1998 Nov. 6; 282(5391):1145-7)。一方、人工多能性幹細胞(iPSC)は体細胞から誘導される(Takahashiら、Cell. 2007 Nov. 30; 131(5):861-72;Takahashiら、Nat Protoc. 2007; 2(12):3081-9;Yuら、Science. 2007 Dec. 21; 318(5858):1917-20. Epub 2007 Nov. 20)。用語PSCはその起源に関わらず多能性幹細胞を意味するので、用語PSCは用語ESCおよびiPSC、ならびにPSCの別の例である用語、胎児胚幹細胞(EGSC)をも包含する。PSCは確立された細胞株の形態であってよく、これらは初代胚組織から直接得ることができ、または体細胞から誘導することもできる。
【0129】
[00136]「胚幹細胞(ESC)」は、胚から、典型的には胚盤胞の内部細胞集塊から単離されたPSCを意味する。ESC株、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.社);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International社);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute)がNIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙されている。目的の幹細胞にはその他の霊長類からの胚幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞およびマーモセット幹細胞も含まれる。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる(Thomsonら、(1998年) Science 282: 1145頁;Thomsonら、(1995年) Proc. Natl. Acad. Sci USA 92:7844頁;Thomsonら、(1996年) Biol. Reprod. 55:254頁;Shamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13726頁, 1998年)。培養では、ESCは、典型的には、大きな核-細胞質比、明確な境界、および目立った核を有する平坦なコロニーとして成長する。さらに、ESCは、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、アルカリホスファターゼを発現するが、SSEA-1は発現しない。ESCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,029,913号、同第5,843,780号、および同第6,200,806号に見出すことができる。未分化の形態のhESCを増殖させる方法は、それぞれが全体として本明細書に組み込まれるWO第99/20741号、WO第01/51616号、およびWO第03/020920号に記載されている。
【0130】
[00137]「胎児胚幹細胞」(EGSC)または「胎児胚細胞」または「EG細胞」は、胚細胞および/または胚細胞前駆細胞、例えば原初胚細胞、即ち精子および卵子になることができる胚細胞から誘導されたPSCを意味する。胎児胚細胞(EG細胞)は上記の胎児幹細胞と同様の特性を有すると考えられている。EG細胞を産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,153,684号;Matsui, Y.ら、(1992) Cell 70:841;Shamblott, M.ら、(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 113;Shamblott, M.ら、(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13726;およびKoshimizu, U.ら、(1996) Development, 122:1235に見出すことができる。
【0131】
[00138]「人工多能性幹細胞」または「iPSC」は、PSCでない細胞から(即ちPSCに対して分化した細胞から)誘導されたPSCを意味する。iPSCは最終的に分化した細胞を含む多種の異なった細胞型から誘導することができる。iPSCはES細胞様の形態を有し、大きな核-細胞質比、明確な境界、および目立った核を有する平坦なコロニーとして成長する。さらに、iPSCは、それだけに限らないがアルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、およびzfp42を含む当業者には公知の1つまたは複数の重要な多能性マーカーを発現する。iPSCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0047263号、同第2009/0068742号、同第2009/0191159号、同第2009/0227032号、同第2009/0246875号、および同第2009/0304646号に見出すことができる。一般にiPSCを産生するためには、体細胞を再プログラミングして多能性幹細胞にする当技術で公知の再プログラミング因子(例えばOct4、SOX2、KLF4、MYC、Nanog、Lin28、その他)を体細胞に提供する。
【0132】
[00139]一部の実施形態では、細胞の集団は、in vitroで幹細胞から得られる。一部の実施形態では、幹細胞は、遺伝的に修飾されている。一部の実施形態では、幹細胞は、遺伝的に修飾されていない幹細胞に対して、ベータ-2ミクログロブリン、ABO、FUT1、CXCL10、レナラーゼ、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DQ、およびHLA-DRの1つまたは複数の発現が減少している。一部の実施形態では、幹細胞は、遺伝子修飾されていない幹細胞と比較して、CD47、PDL1、HLA-G、CD46、CD55、CD59および/またはCTLAのうちの1つまたは複数の発現が増加している。
【0133】
[00140]ある特定の例では、幹細胞は、本明細書で開示した方法による少なくとも1つのβ細胞成熟因子に曝露される前には未分化(例えば特定の系統に関わっていない細胞)であってよく、一方、他の例では、本明細書に記載した少なくとも1つの細胞成熟因子(複数可)に曝露する前に幹細胞を1つまたは複数の中間細胞型に分化することが望ましいことがある。例えば、幹細胞は未分化細胞の形態学的、生物学的、または物理的な特徴を呈することがあり、これらの特徴はこれらの細胞を胎児起源または成体起源の分化した細胞と区別するために用いることができる。一部の例では、未分化細胞は高い核/細胞質比および目立った核を有する細胞のコロニーにおいて微視的な二次元で現れ得る。幹細胞はそれ自体(例えば実質的に未分化細胞が何ら存在しない)であってよく、または分化細胞の存在下に使用してもよい。ある特定の例では、幹細胞は成長し、任意選択で分化し得るために、好適な栄養剤および任意選択で他の細胞の存在下で培養することができる。例えば、幹細胞の成長を補助するために、胎児線維芽細胞または線維芽細胞様細胞が培養中に存在してもよい。線維芽細胞は幹細胞の成長の1つの段階の間に存在してよいが、必ずしも全ての段階に存在する必要はない。例えば、線維芽細胞は最初の培養段階で幹細胞の培養に添加し、1つまたは複数の引き続く培養段階では幹細胞の培養に添加しなくてもよい。
【0134】
[00141]本発明の全ての態様において使用する幹細胞は任意の種類の組織(例えば胎児もしくは前胎児の組織等の胚組織、または成体組織)から誘導される任意の細胞であってよく、これらの幹細胞は適切な条件下で種々の細胞型、例えば3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の全てまたは少なくとも1つの誘導体からなる子孫を生成する能力があるという特徴を有する。これらの細胞型は確立された細胞株の形態で提供することができ、または初代胚組織から直接得て、直ちに分化に使用することもできる。NIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙されている細胞、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.社);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International社);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、FISF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute)が含まれる。一部の実施形態では、成熟したインスリン陽性細胞への化学的に誘起された分化のために使用したヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源には、ヒト胚を破壊するステップは含まれていなかった。
【0135】
[00142]別の実施形態では、幹細胞は固体組織を含む組織から単離することができる。一部の実施形態では、組織は皮膚、脂肪組織(例えばアジポーズ組織)、筋肉組織、心臓または心臓組織である。他の実施形態では、組織は例えばそれだけに限らないが臍帯血、胎盤、骨髄、または軟骨である。
【0136】
[00143]目的の幹細胞には、種々の種類の胚細胞を含み、Thomsonら, (1998年) Science 282: 1145頁に記載されるヒト胚幹細胞(hES);他の霊長類由来の胚幹細胞、例えば、アカゲザル幹細胞(Thomsonら. (1995年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844頁);マーモセット幹細胞(Thomsonら. (1996年) Biol. Reprod. 55:254頁);およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shambloftら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13726頁, 1998年)が例示される。また、中胚葉幹細胞およびその他の早期心臓発生細胞等の系統に関与する幹細胞も適用可能である(Reyesら、(2001年) Blood 98:2615~2625頁;Eisenberg & Bader (1996年) Circ Res. 78(2):205~16頁などを参照されたい)。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えばヒト、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる。一部の実施形態では、ヒト胚は本明細書に開示した方法および組成物に使用する多能性細胞の供給源のために破壊されなかった。
【0137】
[00144]内皮、筋肉、および/または神経幹細胞の適切な供給源からの細胞の混合物は、哺乳動物ドナーから当技術分野で公知である方法によって採取することができる。好適な供給源は造血微小環境である。例えば、好ましくは固定化された(即ち動員された)循環末梢血を対象から取り出すことができる。一実施形態では、幹細胞は再プログラミングされた幹細胞、例えば体細胞または分化した細胞から誘導された幹細胞であってよい。そのような実施形態では、脱分化された幹細胞は、例えばそれだけに限らないが新生物細胞、腫瘍細胞、およびがん細胞、あるいは人工多能性幹細胞もしくはiPS細胞等の、誘導され再プログラミングされた細胞であってよい。
【0138】
[00145]一部の実施形態では、SC-β細胞は、毛髪細胞、ケラチノサイト、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、ソマトトロピン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、クロマフィン細胞、傍濾胞細胞、グロムス細胞、メラニン形成細胞、母斑細胞、メルケル細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、角膜角化細胞、網膜ムラー細胞、網膜色素上皮細胞、ニューロン、グリア細胞(例えば乏突起樹状細胞、星状膠細胞)、上衣細胞、松果体細胞、肺細胞(例えばI型肺細胞およびII型肺細胞)、クララ細胞、ゴブレット細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、胃主細胞、壁細胞、小窩細胞、K細胞、D細胞、I細胞、ゴブレット細胞、パネス細胞、腸細胞、マイクロフォールド細胞、肝細胞、肝星細胞(例えば中胚葉からのクッパー細胞)、胆嚢細胞、房心細胞、膵星細胞、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞(例えばPP細胞)、膵ε細胞、甲状腺(例えば濾胞性細胞)、副甲状腺(例えば副甲状腺主細胞)、好酸性細胞、尿路上皮細胞、骨芽細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋芽細胞、筋細胞、筋サテライト細胞、腱細胞、心筋細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、カハル介在細胞、血管芽細胞、内皮細胞、メサンギウム細胞(例えば糸球体内メサンギウム細胞および糸球体外メサンギウム細胞)、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、間質細胞(stromal cells)、間質細胞(interstitial cells)、テロサイト単純上皮細胞、有足細胞、腎近位細管刷子縁細胞、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、顆粒膜細胞、ペッグ細胞、胚葉細胞、精子、卵子、リンパ球、ミエロイド細胞、内皮前駆細胞、内皮幹細胞、血管芽細胞、中血管芽細胞、周皮壁細胞、脾細胞(例えばTリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、ミクロファージ、白血球)、トロホブラスト幹細胞、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数から得られ得る。
【0139】
β細胞の分化のための小分子化合物の使用
[00146]幹細胞の、小分子化合物、例えば、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(複数可)の使用を置換するか、または補うことができるものを含む膵臓系統の細胞への分化に関連する組成物および方法が本明細書で提供される。本明細書で開示される組成物および方法は、一部の事例では、幹細胞を、例えば、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)、FOXA2陽性細胞(例えば、原腸管細胞)、Pdx1陽性細胞(膵前駆細胞、例えば、Pdx1陽性、Nkx6.1陰性膵前駆細胞1細胞、またはPdx1陽性、Nkx6.1陽性膵前駆細胞2細胞)、インスリン陽性膵内分泌細胞、またはβ細胞(例えば、幹細胞由来β細胞、または非天然膵β細胞)への分化に関する。一部の実施形態では、小分子化合物は、GSK690693またはその類似体などのPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む。
【0140】
幹細胞の分化
[00147]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、複数の幹細胞(例えば、多能性幹細胞、例えば、iPSCまたはhESC)を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップによる幹細胞の分化に関する。一部の実施形態では、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の1つまたは複数の阻害剤と接触させるステップは、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)を含む細胞の集団の産生をもたらす。
【0141】
[00148]一部の事例では、本明細書で開示される方法は、複数の幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の事例では、本明細書で開示される方法はまた、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤に加えて、WNTシグナル伝達経路の活性化剤と接触させるステップを含む。一部の事例では、本明細書で開示される方法は、幹細胞を、WNTシグナル伝達経路の活性化剤、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させるステップを含む。
【0142】
[00149]本明細書で開示される方法は、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含まない参照方法と比較した場合に、減少された量のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子を利用することができる。例えば、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の存在下で、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、少なくとも95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%または40%の幹細胞の、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)への分化のためのPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の多くとも90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%の濃度で適用することができる。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、少なくとも95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%または40%の幹細胞の、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)への分化のためのPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の約50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、または0%の濃度で適用することができる。
【0143】
[00150]本開示に従って幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、参照方法によって産生される細胞の集団に匹敵する細胞構成成分を有する細胞の集団の産生をもたらすことができ、参照方法は、幹細胞を、約100ng/mLのアクチビンAと接触させるが、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤とは接触させないステップを含み、他の点は本方法と同一である。例えば、本開示に従って産生された細胞の集団は、参照方法によって産生された細胞の集団におけるSox17陽性細胞のパーセンテージ(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)と等価なパーセンテージのSox17陽性細胞を有し得る。一部の事例では、本開示に従って産生された細胞の集団は、参照方法によって産生された細胞の集団におけるSox17陽性、Oct4陰性細胞のパーセンテージと等価なパーセンテージのSox17陽性、Oct4陰性細胞を有し得る。
【0144】
[00151]一部の事例では、本開示に従って幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらし得る。一部の事例では、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、約50%~約90%、約60%~約90%、約65%~約90%、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、または約75%~約85%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらし得る。一部の実施形態では、本開示に従って幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、50~90%、50~85%、50~75%、50~65%、60~90%、60~85%、60~75%、70~90%、70~85%、80~85%、または80~90%のSox17陽性、Oct4陰性細胞を含む細胞の集団の産生をもたらし得る。
【0145】
[00152]一部の事例では、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)は、幹細胞の集団を、i)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)WNTシグナル伝達経路活性化剤、ならびに任意選択で、iii)本明細書で開示されるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤(例えば、GSK-690693および/またはBYL719)のいずれかのいずれか1つまたは複数と接触させて、幹細胞の少なくとも一部の、胚体内胚葉細胞への分化を誘導するステップによって得ることができ、胚体内胚葉細胞は、胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカー、例えば、Sox17を発現する。
【0146】
[00153]幹細胞の、Sox17陽性細胞への分化において使用することができるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤は、PI3Kの阻害剤、Aktタンパク質の阻害剤、mTORの阻害剤、またはそれらの任意の組合せを含む。例えば、GSK-690693、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、ネミラリシブ、BYL719、FT113、アピトリシブ、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体等の小分子化合物は、幹細胞の、Sox17陽性細胞への分化に使用することができる。一部の事例では、本方法は、幹細胞を、PI3Kタンパク質の阻害剤およびAktタンパク質の阻害剤の両方、例えば、BYL719およびGSK-690693と接触させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞を、Aktタンパク質の阻害剤(例えば、GSK-690693)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。
【0147】
[00154]一部の実施形態では、本方法は、幹細胞の集団を適切な濃度のPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。例えば、一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、約0.07μM~約0.15μM、または約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693、その類似体または誘導体と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を約0.01μM、0.02μM、0.04μM、0.06μM、0.08μM、0.1μM、0.12μM、0.15μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.8μM、または1μMのGSK-690693、その類似体または誘導体と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。
【0148】
[00155]一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719、その類似体または誘導体と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を約1nM、4nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、または400nMのBYL719、その類似体または誘導体と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。
【0149】
[00156]一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を、約0.01μM~約1μM、約0.02μM~約0.8μM、約0.05μM~約0.5μM、約0.06μM~約0.2μM、または約0.07μM~約0.15μMのGSK-690693、および約1nM~約500nM、約5nM~約250nM、約10nM~約200nM、約15nM~約150nM、約20nM~約100nM、約30nM~約80nM、約30nM~約60nM、または約35nM~約50nMのBYL719と、例えば、約0.08μM~約0.12μMのGSK-690693および約35nM~約50nMのBYL719と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。
【0150】
[00157]一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を適切な濃度、例えば、約0.01μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約5μM、約8μM、約10μM、約12μM、約15μM、約20μM、約30μM、約50μM、約100μM、または約200μMのWNTシグナル伝達経路活性化剤(例えば、CHIR99021)と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約2μMのCHIR99021の使用を含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約3μMのCHIR99021の使用を含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の集団を、0.5~10μM、1~10μM、1~7μM、1~5μM、2~4μM、または2.5~3.5μMの適切な濃度のWNTシグナル伝達経路活性化剤(例えば、CHIR99021)と接触させるステップによって、幹細胞をSox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)に分化させるステップを含む。
【0151】
[00158]幹細胞を(例えば、単独で、またはWNTシグナル伝達経路活性化剤および/もしくはPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と組み合わせて)誘起して胚体内胚葉細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は成長分化因子8(GDF8)を含む。多能性幹細胞を(例えば単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子および/またはPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と組み合わせて)誘起して胚体内胚葉細胞に分化させることができる任意のWNTシグナル伝達経路活性化剤は、本明細書で提供する方法において使用することができる。一部の事例では、WNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC 693868、SB216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、またはTWS 119を含む。一部の実施形態では、WNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021を含む。一部の事例では、WNTシグナル伝達経路活性化剤は、Wnt3a組換えタンパク質、またはその機能性バリアントを含む。
【0152】
[00159]一部の例では、本方法は、幹細胞の集団を、適切な濃度、例えば約5ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、もしくは約100ng/mL、または約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約18ng/mL、もしくは約25ng/mLのTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップによって、幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるために、約10ng/mLのアクチビンAを使用することを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるために約100ng/mLのアクチビンAを使用することを含む。一部の事例では、本方法は、幹細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための10~200ng/mL、10~400ng/mL、10~150ng/mL、10~120ng/mL、90~120ng/mL、95~105ng/mL、1~20ng/mL、5~25ng/mL、5~50ng/mL、10~50ng/mL、5~15ng/mL、または8~12ng/mLのアクチビンAの使用を含む。
【0153】
[00160]一部の事例では、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)は、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む組成物中で約24時間~約96時間、約36時間~約84時間、約48時間~約84時間、約60時間~約84時間、例えば、約1日、約2日、または約3日間培養するステップによって得ることができる。一部の事例では、Sox17陽性細胞(例えば、胚体内胚葉細胞)は、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORの阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)を含む組成物中で約24時間~約96時間、約36時間~約84時間、約48時間~約84時間、約60時間~約84時間、例えば約1日、約2日、約3日間培養するステップによって得ることができる。
【0154】
[00161]一部の事例では、本方法は、幹細胞を処置する2段階プロトコールを含む。例えば、本方法は、幹細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤およびWNTシグナル伝達経路の活性化剤を含む第1の組成物中で12時間~48時間、12時間~36時間、18時間~30時間、または約1日間培養するステップを含み得る。本方法は、第1の組成物中で培養するステップに続いて、得られた細胞集団を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含む第2の組成物中で12時間~72時間、24時間~72時間、または36時間~72時間、例えば、約1日、または約2日間培養するステップをさらに含み得る。
【0155】
[00162]一部の事例では、集団における少なくとも一部の幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップは、幹細胞の集団を、i)PI3K/Akt/mTORの阻害剤およびii)CHIR99021と適切な期間、例えば、約1日間接触させ、続いて得られた細胞の集団を、PI3K/Akt/mTORの阻害剤と適切な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、約4日、または約5日間接触させて、集団における幹細胞の少なくとも一部の、胚体内胚葉細胞への分化を誘導するプロセスによって達成され、胚体内胚葉細胞は、胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカー、例えば、Sox17を発現する。
【0156】
[00163]一部の事例では、集団における少なくとも一部の幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップは、幹細胞の集団を、i)PI3K/Akt/mTORの阻害剤、ii)CHIR99021、およびiii)アクチビンAと適切な期間、例えば、約1日間接触させ、続いて得られた細胞の集団を、i)PI3K/Akt/mTORの阻害剤、およびii)アクチビンAと適切な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、約4日、または約5日間接触させて、集団における幹細胞の少なくとも一部の、胚体内胚葉細胞への分化を誘導するプロセスによって達成され、胚体内胚葉細胞は、胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカー、例えば、Sox17を発現する。
【0157】
[00164]一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、Nodal、Tmprss2、Tmem30b、St14、Spink3、Sh3gl2、Ripk4、Rab1S、Npnt、Clic6、Cldn5、Cacna1b、Bnip1、Anxa4、Emb、FoxA1、Sox17、およびRbm35aからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現し、少なくとも1つのマーカーの発現は、それが由来される多能性幹細胞に対して、胚体内胚葉細胞において統計学的に有意な量で上方制御される。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、Gata4、SPARC、AFP、およびDab2からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、それが由来される多能性幹細胞に対して統計的に有意な量で発現しない。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、Zic1、Pax6、Flk1、およびCD31からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、それが由来される多能性幹細胞に対して統計的に有意な量で発現しない。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、それが由来される多能性幹細胞に対して統計的に有意な量でより高いレベルのSmad2のホスホリル化を有する。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、in vivoで腸管を形成する能力を有する。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞に分化することができ、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞は、FoxA2および/またはClaudin6を発現する。一部の事例では、本明細書で開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、内胚葉起源の細胞にさらに分化することができる。
【0158】
[00165]一部の事例では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも、または分化の第1段階の間に、少なくとも1つのβ細胞分化因子の存在下に培養される。任意の多能性幹細胞、例えばヒト多能性幹細胞もしくはヒトiPS細胞、または本明細書で論じた任意の多能性幹細胞もしくはその他の好適な多能性幹細胞を使用することができる。一部の事例では、本明細書に記載したβ細胞分化因子は多能性幹細胞の集団の培地中に存在してよく、または多能性幹細胞の集団の成長(例えば複製または増加)の間に一度にまたは定期的に添加してよい。ある特定の例では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。他の例では、多能性幹細胞の集団は、分化の第1段階の間に少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。
【0159】
FOXA2陽性、PDX1陰性細胞の分化
[00166]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、複数のFOXA2陽性、PDX1陰性細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップによる、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞(例えば、原腸管細胞)の分化に関する。一部の実施形態では、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、PDX1陽性細胞(例えば、PDX1陽性細胞、NKX6.1陰性細胞、例えば、膵前駆細胞1細胞)を含む細胞の集団の産生をもたらす。
【0160】
[00167]一部の事例では、本明細書で開示される方法は、複数のFOXA2陽性、PDX1陰性細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤ならびにi)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、v)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、vi)ROCK阻害剤、およびvii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させるステップを含む。一部の事例では、本明細書で開示される方法は、複数のFOXA2陽性、PDX1陰性細胞を、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子を用いずに、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤ならびにi)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、v)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるステップを含む。
【0161】
[00168]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、vi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびvii)ROCK阻害剤と接触させて、原腸管細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって、集団における原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができる。
【0162】
[00169]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびvi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞への分化を誘導することによって得ることができる。
【0163】
[00170]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびv)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞への分化を誘導することによって得ることができる。
【0164】
[00171]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤;およびiii)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させることによって得ることができる。
【0165】
[00172]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、およびii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤と接触させて、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化誘導することによって得ることができる。
【0166】
[00173]一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、FOXA2陽性、PDX1陰性細胞(例えば原腸管細胞)の、PDX1陽性細胞への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含まない参照方法と比較した場合に、減少された量のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子を利用する。例えば、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の存在下で、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、培養物におけるFOXA2陽性、PDX1陰性細胞(例えば原腸管細胞)の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%(例えば、50~90%、50~80%、50~70%、または50~60%)の、PDX1陽性細胞への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の多くとも90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%の濃度で適用することができる。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、培養物におけるFOXA2陽性、PDX1陰性細胞(例えば原腸管細胞)の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%(例えば、50~90%、50~80%、50~70%、または50~60%)の、PDX1陽性細胞への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の約50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、または0%の濃度で適用することができる。
【0167】
[00174]原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させるように誘導することが可能なTGF-βスーパーファミリーからの任意の成長因子(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤の任意の組合せで)を使用することができる。一部の事例では、TGF-βファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の事例では、TGF-βファミリーからの成長因子はアクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLなどの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させることを含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の濃度は、5~50ng/mL、15~30ng/mL、12~28ng/mL、15~25ng/mL、または18~22ng/mLである。
【0168】
[00175]一部の実施形態では、PI3K/Akt/mTOR経路の阻害剤の存在下で、本方法は、原腸管細胞を、減少された濃度、例えば、多くとも約5ng/mL、多くとも約2.5ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、0.1ng/mL、または0.05ng/mL、例えば、約2.5ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、0.1ng/mL、または0.05ng/mLのTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の濃度は、0.5~5ng/mL、1.5~3ng/mL、1.2~2.8ng/mL、1.5~2.5ng/mL、または1.8~2.2ng/mLである。
【0169】
[00176]原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤の任意の組合せで)は、本明細書で提供される方法において使用することができる。一部の事例では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばLDN1931189)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.2μM、約1.5μM、約1.75μM、約2μM、約2.2μM、約2.5μM、約2.75μM、約3μM、約3.25μM、約3.5μM、約3.75μM、約4μM、約4.5μM、約5μM、約8μM、約10μM、約15μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばDMH-1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、50~1000nM、50~500nM、50~300nM、100~300nM、200~300nM、200~500nM、または225~275nMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばDMH-1)と接触させるステップを含む。
【0170】
[00177]原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能なFGFファミリーからの任意の成長因子(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤の任意の組合せで)を使用することができる。一部の事例では、少なくとも1つのFGFファミリーからの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。一部の事例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、10~200ng/mL、10~150ng/mL、10~100ng/mL、25~75ng/mL、40~60ng/mL、または45~55ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させるステップを含む。
【0171】
[00178]原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のSHH経路阻害剤(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤の任意の組合せで)を使用することができる。一部の事例では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、50~1000nM、50~500nM、50~300nM、100~300nM、200~300nM、200~500μM、または225~275nMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させるステップを含む。
【0172】
[00179]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の事例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、0.2~5μM、0.8~3μM、0.8~2.5μM、1~2.5μM、1.5~2.2μM、1.8~2.2μM、または1.9~2.1μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0173】
[00180]原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のPKC活性化剤(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤の任意の組合せで)を使用することができる。一部の事例では、PKC活性化剤はPdBUを含む。一部の事例では、PKC活性化剤はTPBを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約10nM、50nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1μM、10μM、約20μM、約50μM、約75μM、約80μM、約100μM、約120μM、約140μM、約150μM、約175μM、約180μM、約200μM、約210μM、約220μM、約240μM、約250μM、約260μM、約280μM、約300μM、約320μM、約340μM、約360μM、約380μM、約400μM、約420μM、約440μM、約460μM、約480μM、約500μM、約520μM、約540μM、約560μM、約580μM、約600μM、約620μM、約640μM、約660μM、約680μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、または約5mMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBU)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、原腸管細胞を、10nM~1mM、10nM~500μM、10nM~1μM、10~800nM、100~900nM、300~800nM、300~600nM、400~600nM、450~550nM、または約500nMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBU)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、原腸管細胞は、PKC活性化剤(例えば、PDBU)で処置されない。
【0174】
[00181]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、PKC活性化剤、および少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の事例では、ROCK阻害剤はThiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、またはH-1152を含む。一部の事例では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の事例では、ROCK阻害剤はThiazovivinを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を0.2~5μM、0.8~3μM、1~4μM、1.5~4μM、1.8~3.5μM、2~3μM、2.4~2.6μMなどの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させることを含む。
【0175】
[00182]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと適切な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、約4日間、18~72時間、36~60時間、40~54時間、または44~52時間接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップによって、得ることができる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと約2日間接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、少なくとも一部の原腸管細胞をS3培地中で分化させるステップによって得ることができる。
【0176】
PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の分化
[00183]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップによる、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)の分化に関する。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と接触させるステップは、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞(例えば、膵前駆細胞2細胞)を含む細胞の集団が産生をもたらす。
【0177】
[00184]一部の事例では、本明細書で開示される方法は、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)を、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤ならびにi)FGFファミリーから少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、任意選択で、vi)プロテインキナーゼC活性化剤と接触させるステップを含む。一部の事例では、本明細書で開示される方法は、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)を、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子を用いずに、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤ならびにi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、および任意選択で、v)プロテインキナーゼC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0178】
[00185]一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)の、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞(例えば、膵前駆細胞2細胞)への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤を含まない参照方法と比較した場合に、減少された量のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子を利用する。例えば、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の存在下で、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、培養物におけるPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%(例えば、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、60~90%、60~80%、または70~90%)の、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞(例えば、膵前駆細胞2細胞)への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の多くとも90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%の濃度で適用することができる。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)は、培養物におけるPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞(例えば、膵前駆細胞1細胞)の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%(例えば、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、60~90%、60~80%、または70~90%)の、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞(例えば、膵前駆細胞2細胞)への分化のためにPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤の非存在下で適用される濃度の約50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、または0%の濃度で適用することができる。
【0179】
[00186]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞から生成する方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を含む細胞の集団を(例えば、細胞クラスター化を促進し、および/または細胞生存を促進する条件下で)、a)線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、b)ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、および任意選択で、c)レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤を含む少なくとも2つのβ細胞分化因子と接触させて、集団における少なくとも1つのPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップを含む。
【0180】
[00187]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって得られる。
【0181】
[00188]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させて、培養物におけるPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%(例えば、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、60~90%、60~80%、または70~90%)の、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって得られる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、PKC活性化剤(例えば、PDBU)と接触される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20210238553A1号、および米国特許出願公開第20220143374A1号を参照されたい。
【0182】
[00189]PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のFGFファミリーからの成長因子(例えば、単独で、または少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、および少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤との任意の組合せで)を本明細書で提供される方法において使用することができる。一部の事例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。一部の事例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、例えば、10~200ng/mL、10~150ng/mL、10~100ng/mL、25~75ng/mL、40~60ng/mL、または45~55ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させるステップを含む。
【0183】
[00190]PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のSHH経路阻害剤(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子との任意の組合せで)を本明細書で提供される方法において使用することができる。一部の事例では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、例えば、約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、例えば、50~1000nM、50~500nM、50~300nM、100~300nM、200~300nM、200~500nM、または225~275nMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させるステップを含む。
【0184】
[00191]PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の事例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を例えば約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、1~500nM、50~400nM、50~250nM、50~150nM、80~200nM、75~125nM、または90~110nMなどの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させることを含む。
【0185】
[00192]PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の事例では、ROCK阻害剤は、Thiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、または14-1152を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、0.2~5μM、0.8~3μM、1~4μM、1.5~4μM、1.8~3.5μM、2~3μM、2.4~2.6μMなどの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させることを含む。
【0186】
[00193]PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の活性化剤を使用することができる。一部の事例では、TGF-βスーパーファミリーからの活性化剤は、アクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の濃度、例えば、約0.1ng/mL、約0.2ng/mL、約0.3ng/mL、約0.4ng/mL、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.8ng/mL、約1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.4ng/mL、約1.6ng/mL、約1.8ng/mL、約2ng/mL、約2.2ng/mL、約2.4ng/mL、約2.6ng/mL、約2.8ng/mL、約3ng/mL、約3.2ng/mL、約3.4ng/mL、約3.6ng/mL、約3.8ng/mL、約4ng/mL、約4.2ng/mL、約4.4ng/mL、約4.6ng/mL、約4.8ng/mL、約5ng/mL、約5.2ng/mL、約5.4ng/mL、約5.6ng/mL、約5.8ng/mL、約6ng/mL、約6.2ng/mL、約6.4ng/mL、約6.6ng/mL、約6.8ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLと接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、約5ng/mLなどの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させることを含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の濃度は、1~15ng/mL、3~12ng/mL、5~12ng/mL、5~20ng/mL、8~20ng/mL、8~15ng/mL、9~11ng/mL、または8~12ng/mLである。
【0187】
[00194]一部の実施形態では、PI3K/Akt/mTOR経路の阻害剤の存在下で、本方法は、原腸管細胞を、例えば、多くとも約20ng/mL、多くとも約10ng/mL、5ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、または0.1ng/mL、例えば、約10ng/mL、5ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、または0.1ng/mLの減少された濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の濃度は、0.1~1.5ng/mL、0.3~1.2ng/mL、0.5~1.2ng/mL、0.5~2.0ng/mL、0.8~2.0ng/mL、0.8~1.5ng/mL、0.9~1.1ng/mL、または0.8~1.2ng/mLである。
【0188】
[00195]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGF、Sant1、およびRA、ならびに任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と5日または6日間または96~170時間、120~170時間、130~160時間、または140~150時間接触させるステップによって得られる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンA、ならびに任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と5日または6日間または96~170時間、120~170時間、130~160時間、または140~150時間接触させるステップによって得られる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGFと5日または6日間または96~170時間、120~170時間、130~160時間、または140~150時間接触させるステップによって得られる。一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、S4培地中でPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞と接触させるステップによって得られる。
【0189】
[00196]一部の事例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンA、ならびに任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤と5または6日間または96~170時間、120~170時間、130~160時間、または140~150時間接触させるステップによって得られる。
【0190】
幹細胞由来β細胞を産生する方法
[00197]SC-β細胞(例えば、非天然膵β細胞)を産生する方法が本明細書で提供される。少なくとも1つのSC-β細胞を提供するために幹細胞から内分泌細胞を生成する詳細なプロトコールの例は、それら各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20150240212号、米国特許出願公開第20150218522号、米国特許出願公開第20210198632A1号、米国特許出願公開第20210238553A1号、および米国特許出願公開第20220143374A1号に記載されている。
【0191】
[00198]内胚葉は消化管および呼吸管、甲状腺、肝臓、ならびに膵を生じることができる。内胚葉系統の代表的な疾患としてはインスリンを生成するβ細胞の破壊に起因する1型糖尿病がある。in vitroにおけるヒト多能性幹細胞(hPSC)からの機能性β細胞の産生は、1型糖尿病の置換細胞療法のための実際的で更新可能な細胞源になり得る。芽球段階の胚の内部細胞集塊から産生される胚幹(ES)細胞は、損傷された任意の細胞の移植または細胞に基づく療法のための有望な細胞源を表している。これらは培地中に維持され、それ自体で更新され、未分化ES細胞として無限に増殖することができる。ES細胞は外胚葉、中胚葉、および内胚葉の系統細胞または組織として、生体の全ての細胞型に分化することができる。ES細胞の主な利点は培地中での安定な自己更新および分化の可能性である。
【0192】
[00199]胚体内胚葉は胚発生の原腸形成のプロセスによってin vivoで内部細胞集塊から産生され、このプロセスで胚盤葉上層細胞が3つの胚葉を形成するように指令される。胚体内胚葉は膵β細胞、肝臓の肝細胞、肺の肺胞細胞、甲状腺、胸腺、ならびに栄養管および呼吸管の上皮ライニング等の生命臓器に寄与する多様な細胞および組織を生じることができる。これは、臓側および壁側内胚葉を生じることができる胚体外組織の原始内胚葉とは異なる。ES細胞から得られた胚体内胚葉は、理論的には任意の内胚葉誘導体になることができ、ES細胞を内胚葉系統に導くことは治療用の内胚葉誘導体を産生させるための必須要件である。
【0193】
[00200]胚体内胚葉の前後軸の正確なパターニングによって、最終的には原腸管が形成され得る。胚体内胚葉由来の原腸管は、前後軸に沿って咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、および大腸、ならびに膵、肺、甲状腺、胸腺、副甲状腺、および肝臓等の関連する臓器を誘導する。原腸管の前腸の前部は肺、甲状腺、食道、および胃になる。膵、肝臓、および十二指腸は、前腸の後部から起源する。原腸管の中腸および後腸は小腸および大腸を生じる。前腸の前部は発生マーカー、NK2ホメオボックス(NKX2-1)およびSRY(性決定領域Y)-ボックス2(SOX2)を発現し、前腸の後部は造血的に発現されるホメオボックス(HHEX)、膵および十二指腸のホメオボックス1(PDX1)、ワンカットホメオボックス1(ONECUT1、HNF6として公知である)、ならびに肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)を発現し、中腸/後腸は尾型ホメオボックス1(CDX1)、尾型ホメオボックス2(CDX2)、ならびに運動ニューロンおよび膵のホメオボックス1(MNX1)を発現する。
【0194】
[00201]膵β細胞の分化の成功には、分化した細胞が生理学的に適切な量のインスリンを合成し分泌することが必要である。hPSC細胞分化を指向する例示的な段階的プロトコールが開発され、正常な膵内分泌発生の主要段階を反復する分化プロセスを伴う。hPSC細胞のホルモンを発現する膵内分泌細胞への分化は、胚発生の主要なステージ;中胚葉および胚体内胚葉への分化、原腸内胚葉の樹立、後部前腸のパターン形成、ならびに膵内胚葉および内分泌前駆体細胞の特定および成熟を通してhPSC細胞を移行させることによって行われる。これらの段階を通じて、hPSC細胞は膵内分泌表現型およびin vitroにおけるグルコース応答インスリン分泌の能力を得ることができる。
【0195】
[00202]概して、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体、例えば、本明細書で開示される方法に従って生成される膵前駆細胞は、異なる細胞の混合物または組合せ、例えば、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞、PDX1とNKX6-1を共発現する膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、もしくはβ様細胞)、および/または他の多能性もしくは幹細胞などの細胞の混合物を含み得る。
【0196】
[00203]少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、幹細胞または多能性細胞を所望の分化段階に分化する任意の適切な培養プロトコールに従って生成することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、少なくとも1つの多能性細胞が少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体に分化するために適した時間および条件下で少なくとも1個の多能性細胞を培養するステップによって生成される。
【0197】
[00204]一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、実質的に純粋な膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団である。一部の実施形態では、膵臓α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は、多能性細胞または分化細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は胚幹細胞または多能性細胞またはiPS細胞を実質的に含まないか、それらを欠いている。
【0198】
[00205]一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は、対象から、例えば組織生検、例えば皮膚生検として単離することができ、本明細書に記載した組成物および方法における使用のための少なくとも1つのSC-β細胞またはその前駆体を生成するためのさらなる分化のための人工多能性幹細胞に再プログラミングすることができる。一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって膵α、βおよび/またはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0199】
[00206]一部の実施形態では、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって膵α、βおよび/またはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0200】
[00207]さらに、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体、例えば、膵前駆体は、任意の哺乳動物種からのものであってもよく、非限定的な例には、ネズミ、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒトの細胞が含まれる。明確かつ単純にするため、本明細書における方法の説明は哺乳動物の少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体を指すが、本明細書に記載した方法の全ては少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の他の細胞型に容易に適用できることを理解されたい。一部の実施形態では、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、ヒト個体に由来する。
【0201】
胚体内胚葉細胞
[00208]本開示の態様には胚体内胚葉細胞が含まれる。本明細書で使用する胚体内胚葉細胞は、任意の供給源から得られるか、またはPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤などの小分子化合物の使用を含む本明細書で開示される方法を含む任意の適切なプロトコールに従って産生され得る。
【0202】
[00209]胚体内胚葉は胚発生の原腸形成のプロセスによってin vivoで内部細胞集塊から産生され、このプロセスで胚盤葉上層細胞が3つの胚葉層を形成するように指令される。胚体内胚葉は膵β細胞、肝臓の肝細胞、肺の肺胞細胞、甲状腺、胸腺、ならびに栄養管および呼吸管の上皮ライニング等の生命臓器に寄与する多様な細胞および組織を生じることができる。これは、臓側および壁側内胚葉を生じることができる胚体外組織の原始内胚葉とは異なる。ES細胞から得られた胚体内胚葉は、理論的には任意の内胚葉誘導体になることができる。
【0203】
[00210]胚体内胚葉の前後軸の正確なパターニングによって、最終的には原腸管が形成され得る。胚体内胚葉によって誘導された原腸管は、前後軸に沿って咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、および大腸、ならびに膵、肺、甲状腺、胸腺、副甲状腺、および肝臓等の関連する臓器を誘起する。原腸管の前腸の前部は肺、甲状腺、食道、および胃になる。膵、肝臓、および十二指腸は、前腸の後部から起源する。原腸管の中腸および後腸は小腸および大腸を生じる。前腸の前部は発生マーカー、NK2ホメオボックス(NKX2-1)およびSRY(性決定領域Y)-ボックス2(SOX2)を発現し、前腸の後部は造血的に発現されるホメオボックス(HHEX)、膵および十二指腸のホメオボックス1(PDX1)、ワンカットホメオボックス1(ONECUT1、HNF6として公知である)、および肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)を発現し、中腸/後腸は尾型ホメオボックス1(CDX1)、尾型ホメオボックス2(CDX2)、ならびに運動ニューロンおよび膵のホメオボックス1(MNX1)(3、19、20)を発現する。
【0204】
[00211]本明細書の記載されるように、本明細書で使用する胚体内胚葉細胞は、任意の供給源に由来するか、または任意の適切なプロトコールに従って産生することができる。一部の態様では、多能性幹細胞、例えばiPSCまたはhESCは内胚葉細胞に分化される。一部の態様では、内胚葉細胞(ステージ1)は、例えば、原腸管細胞(ステージ2)、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞(ステージ3)、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞(ステージ4)、またはNgn3陽性内分泌前駆細胞もしくはインスリン陽性内分泌細胞(ステージ5)にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘導されるかまたは成熟される(ステージ6)。
【0205】
[00212]一部の実施形態では、胚体内胚葉細胞は、例えば、多能性細胞の集団をi)少なくとも1つのTGF-βスーパーファミリーからの成長因子およびii)WNTシグナル伝達経路活性化剤と接触させて多能性細胞の少なくとも一部の、胚体内胚葉細胞への分化を誘導するステップによって、集団における少なくとも一部の多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0206】
[00213]多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、単独で、またはWNTシグナル伝達経路活性化剤との組合せで)は、本明細書で提供される方法において使用することができる。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は成長分化因子8(GDF8)を含む。多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のWNTシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子との組合せで)は、本明細書で提供される方法において使用することができる。一部の実施形態では、WNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021を含む。一部の実施形態では、WNTシグナル伝達経路活性化剤はWnt3a組換えタンパク質を含む。
【0207】
[00214]一部の実施形態では、集団における少なくとも一部の多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化するステップは、多能性細胞の集団をi)アクチビンA、およびii)CHIR99021と適切な期間、例えば約2日、約3日、約4日、または約5日間接触させて集団における多能性細胞の少なくとも一部の、胚体内胚葉細胞への分化を誘導するプロセスによって達成され、ここで、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。一部の実施形態では、本プロセスは、多能性細胞の集団を、アクチビンAおよびCHIR99021と1日間、続いてアクチビンAと(CHIR99021の非存在下で)さらに1日または2日間接触させるステップを含む。
【0208】
[00215]一部の例では、本方法は、多能性細胞を、適切な濃度、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLのTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップによって多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部の例では、本方法は多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約100ng/mLのアクチビンAの使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約70~130ng/ml、80~120ng/ml、または90~110ng/mlのアクチビンAの使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約200ng/mLのアクチビンAの使用を含む。
【0209】
[00216]一部の例では、本方法は、多能性細胞を、適切な濃度、例えば、約0.01μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約5μM、約8μM、約10μM、約12μM、約15μM、約20μM、約30μM、約50μM、約100μM、または約200μMのWNTシグナル伝達経路活性化剤(例えばCHIR99021)と接触させるステップによって多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約1~5μMまたは2~4μMのCHIR99021の使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約2μMのCHIR99021の使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約3μMのCHIR99021の使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、多能性細胞の、胚体内胚葉細胞への分化のための約5μMのCHIR99021の使用を含む。
【0210】
[00217]一部の実施形態では、細胞は、水溶性合成ポリマーとさらに接触される。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の事例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば、79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解される。一部の実施形態では、PVAは80%が加水分解されている。
【0211】
[00218]一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、Nodal、Tmprss2、Tmem30b、St14、Spink3、Sh3gl2、Ripk4、Rab1S、Npnt、Clic6、Cldn5、Cacna1b、Bnip1、Anxa4、Emb、FoxA1、Sox17、およびRbm35aからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現し、少なくとも1つのマーカーの発現は、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対して、胚体内胚葉細胞において統計学的に有意な量で上方制御される。一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、Gata4、SPARC、AFP、およびDab2からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対して統計的に有意な量で発現しない。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって生成された胚体内胚葉細胞は、由来となった多能性幹細胞と比較して、Zic1、Pax6、Flk1およびCD31からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを統計的に有意な量発現しない。一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対してより高いレベルのSmad2のホスホリル化を統計的に有意な量で有する。一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、in vivoで腸管を形成する能力を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞に分化することができ、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞はFoxA2および/またはClaudin6を発現する。一部の実施形態では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、内胚葉起源の細胞にさらに分化することができる。
【0212】
[00219]一部の実施形態では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも、または分化の第1段階の間に、少なくとも1つのβ細胞分化因子の存在下で培養される。任意の多能性幹細胞、例えばヒト多能性幹細胞もしくはヒトiPS細胞、または本明細書で論じた任意の多能性幹細胞もしくはその他の好適な多能性幹細胞を使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載したβ細胞分化因子は多能性幹細胞の集団の培地中に存在してよく、または多能性幹細胞の集団の成長(例えば複製または増加)の間に一度にまたは定期的に添加してよい。ある特定の例では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。他の例では、多能性幹細胞の集団は、分化の第1段階の間に少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。
【0213】
原腸管細胞
[00220]本開示の態様には原腸管細胞が含まれる。本明細書において使用する原腸管細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、胚体内胚葉細胞は原腸管細胞に分化される。一部の態様では、原腸管細胞は、例えばPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘導されまたは成熟する。
【0214】
[00221]一部の実施形態では、原腸管細胞は、例えば胚体内胚葉細胞を、少なくとも1つの線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの成長因子と接触させて胚体内胚葉細胞の少なくとも一部の、原腸管細胞への分化を誘導することによって、集団における少なくとも一部の胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、原腸管細胞は原腸管細胞に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0215】
[00222]胚体内胚葉細胞を(例えば単独で、または他の因子と組み合わせて)誘起して原腸管細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF2を含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF8Bを含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF10を含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF21を含む。
【0216】
[00223]一部の実施形態では、原腸管細胞は、例えば胚体内胚葉細胞を、KGFとある特定の期間、例えば約1日、約2日、約3日、または約4日、24~96時間、50~80時間、60~80時間、または65~75時間接触させて、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部の、原腸管細胞への分化を誘導することによって、集団における少なくとも一部の胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させるステップによって得ることができる。
【0217】
[00224]一部の実施形態では、本方法は、胚体内胚葉細胞を、適切な濃度、例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLのFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させるステップによって胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化のための約50ng/mLのKGFの使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化のための約100ng/mLのKGFの使用を含む。
【0218】
[00225]一部の実施形態では、細胞をさらに水溶性合成ポリマーと接触させる。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは、80%が加水分解されている。
【0219】
[00226]一部の実施形態では、細胞は、本明細書で開示されるようなPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤のいずれかと接触される。
PDX1陽性膵前駆細胞
[00227]本開示の態様にはPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞が含まれる。本明細書で使用するPDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、任意の供給源から得られまたはPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤などの小分子化合物の使用を含む本明細書で開示される方法を含む任意の適切なプロトコールに従って産生され得る。
【0220】
[00228]一部の態様では、原腸管細胞はPDX1陽性膵前駆細胞(例えば、PDX1陽性、NKX6,1陰性細胞)へ分化される。一部の態様では、PDX1陽性の膵前駆細胞はNKX6.1陰性であり、例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞、Ngn3陽性の内分泌前駆細胞、インスリン陽性の内分泌細胞にさらに分化することができ、続いてSC-β細胞への誘導または成熟を可能にする。
【0221】
[00229]一部の態様では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、vi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびvii)ROCK阻害剤と接触させて、原腸管細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、PDX1陽性膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0222】
[00230]一部の態様では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびvi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、PDX1陽性膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0223】
[00231]一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびv)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、PDX1陽性膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0224】
[00232]一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびiii)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、PDX1陽性膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0225】
[00233]一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、およびii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤と接触させて、原腸管細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができ、ここで、PDX1陽性膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0226】
[00234]原腸管細胞を(例えば単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばLDN193189)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.2μM、約1.5μM、約1.75μM、約2μM、約2.2μM、約2.5μM、約2.75μM、約3μM、約3.25μM、約3.5μM、約3.75μM、約4μM、約4.5μM、約5μM、約8μM、約10μM、約15μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばDMH-1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、約220~280nM、約230~270nM、約240~260nM、または約245~255nMなどの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を約250nMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1)と接触させることを含む。
【0227】
[00235]原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能なTGF-βスーパーファミリーからの任意の成長因子(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤との組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、TGF-βファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の実施形態では、TGF-βファミリーからの成長因子はGDF8を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、例えば、約17~23ng/ml、約18~22ng/ml、または約19~21ng/mlの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、約20ng/mlの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。
【0228】
[00236]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性性の膵前駆細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を使用することができる。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300nm/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、約20~80ng/ml、約30~70ng/ml、約40~60ng/ml、または約45~55ng/mlなどの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を約50ng/mlの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させることを含む。
【0229】
[00237]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、約220~280nM、約230~270nM、約240~260nM、または約245~255nMなどの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させること含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を約250nMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させることを含む。
【0230】
[00238]原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤との組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、例えば、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、約2μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0231】
[00239]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤と任意に組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のPKC活性化剤を使用することができる。一部の実施形態では、PKC活性化剤はPdBUを含む。一部の実施形態では、PKC活性化剤はTPPBを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、約10nM、50nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1μM、10μM、約20μM、約50μM、約75μM、約80μM、約100μM、約120μM、約140μM、約150μM、約175μM、約180μM、約200μM、約210μM、約220μM、約240μM、約250μM、約260μM、約280μM、約300μM、約320μM、約340μM、約360μM、約380μM、約400μM、約420μM、約440μM、約460μM、約480μM、約500μM、約520μM、約540μM、約560μM、約580μM、約600μM、約620μM、約640μM、約660μM、約680μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、または約5mMなどの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、10nM~1mM、10nM~500μM、10nM~1μM、10~800nM、100~900nM、300~800nM、300~600nM、400~600nM、450~550nM、または約500nMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を約450~550mM、約475~525nM、約490~510nM、または約495~505nMなどの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を約500nMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させることを含む。一部の実施形態では、原腸管細胞は、PKC活性化剤(例えば、PDBU)で処理されない。
【0232】
[00240]原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のROCK阻害剤(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、PKC活性化剤、および少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤との組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、またはH-1152を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、例えば、約2.2~2.8μM、約2.3~2.7μM、または約2.4~2.6μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸細胞を、約2.5μMの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。
【0233】
[00241]一部の実施形態では、細胞は、水溶性合成ポリマーとさらに接触される。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の事例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば、79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは80%が加水分解されている
[00242]一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと適切な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、または約4日接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができる。一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと約2日間接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができる。一部の実施形態では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えば、原腸管細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと1日間接触させるステップ、続く細胞を、レチノイン酸、KGF、Sant1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと1日間(DMH-1の非存在下で)接触させるステップによって、集団における少なくとも一部の原腸管細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップによって得ることができる。
【0234】
NKX6.1陽性膵前駆細胞
[00243]本開示の態様にはNKX6.1陽性膵前駆細胞が含まれる。本明細書で使用するNKX6.1陽性膵前駆細胞は、任意の供給源から得られまたはPI3K/Akt/mTORシグナル伝達の阻害剤などの小分子化合物の使用を含む本明細書で開示される方法を含む任意の適切なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化される。一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、例えば、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、またはインスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘導されるかまたは成熟される。
【0235】
[00244]一部の態様では、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、PDX1陽性膵前駆細胞から生成する方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を含む細胞の集団を(例えば細胞クラスター化を促進しおよび/または細胞の生存を促進する条件下で)、a)線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、b)ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、および任意選択で、c)低濃度のレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤を含む少なくとも2つのβ細胞分化因子と接触させて、集団における少なくとも1つのPDX1陽性膵前駆細胞の、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップを含む。
【0236】
[00245]一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、PDX1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって得られ、ここで、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1およびNKX6.1を発現する。
【0237】
[00246]一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させて、PDX1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部の、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘導するステップによって得られる。一部の実施形態では、3、4または5日の接触させるステップに続いて、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させるステップによって得られ、続いて細胞は、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触される。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。
【0238】
[00247]一部の実施形態では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む第1の細胞集団を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子のいずれか1つまたは組合せを含む培地中で約1、2、3、4または5日間(例えば、2~4日間、3~4日間、または4~5日間)培養し、それによって第2の細胞集団を産生する方法を提供する。一部の実施形態では、次に、第2の細胞集団は、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、v)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、vi)PKC活性化剤、vii)FoxO1阻害剤、および任意選択でviii)ノッチシグナル伝達阻害剤のうちのいずれか1つまたは組合せを含む組成物中で約1、2、または3日間(例えば、1~2日間、1~3日間、または2~3日間)インキュベートされる。
【0239】
[00248]一部の実施形態では、細胞の第1の集団を培養するための培地中に、FGFファミリーからの成長因子は、約45~55ng/ml、約46~54ng/ml、約47~53ng/ml、約48~52ng/ml、または約49~51ng/mlの濃度で存在し、SHH経路阻害剤は、約200~300nM、約220~280nM、または約240~260nMの濃度で存在し、RAシグナル伝達経路活性化剤は、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMの濃度で存在し、ROCK阻害剤は、約2~3μM、約2.2~2.8μM、または約2.4~2.6μMの濃度で存在し、および/またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、約2~8ng/ml、約3~7ng/mlまたは約4~6ng/mlの濃度で存在する。
【0240】
[00249]一部の実施形態では、細胞の第2の集団を培養するための培地中に、FGFファミリーからの成長因子は、約45~55ng/ml、約46~54ng/ml、約47~53ng/ml、約48~52ng/ml、または約49~51ng/mlの濃度で存在し、SHH経路阻害剤は、約200~300nM、約220~280nM、または約240~260nMの濃度で存在し、RAシグナル伝達経路活性化剤は、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMの濃度で存在し、ROCK阻害剤は、約2~3μM、約2.2~2.8μM、または約2.4~2.6μMの濃度で存在し、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、約2~8ng/ml、約3~7ng/mlまたは約4~6ng/mlの濃度で存在し、PKC活性化剤は、約0.2~0.8μM、約0.3~0.7μM、または約0.4~0.6μMの濃度で存在し、FoxO1阻害剤は、約0.7~1.3μM、約0.8~1.2μM、または約0.9~1.1μMの濃度で存在し、任意選択で、ノッチシグナル伝達阻害剤は、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μMの濃度で存在し、または約1.9~2.1μMの濃度で存在する。
【0241】
[00250]一部の実施形態では、PDX1陽性の膵前駆細胞は多能性細胞集団から生成される。一部の実施形態では、PDX1陽性の膵前駆細胞はiPS細胞集団から生成される。一部の実施形態では、PDX1陽性の膵前駆細胞はESC細胞集団から生成される。一部の実施形態では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、胚体内胚葉細胞集団から生成される。一部の実施形態では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、原腸管細胞集団から生成される。
【0242】
[00251]PDX1陽性の膵前駆細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、および少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約20~80ng/ml、約30~70ng/ml、約40~60ng/ml、または約45~55ng/mlなどの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を約50ng/mlのFGFファミリーからの成長因子(例えば、KGF)と接触させることを含む。
【0243】
[00252]PDX1陽性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約220~280nM、約230~270nM、約240~260nM、または約245~255nMなどの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を約250nMの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させることを含む。
【0244】
[00253]PDX1陽性膵前駆細胞を、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子の任意の組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約70~130nM、約80~120nM、約90~110nM、または約95~105nMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、約100nMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0245】
[00254]PDX1陽性膵前駆細胞を、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能な任意のROCK阻害剤(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子との組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、またはH-1152を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約2.2~2.8μM、約2.3~2.7μM、または約2.4~2.6μMの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、約2.5μMの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させるステップを含む。
【0246】
[00255]PDX1陽性膵前駆細胞を、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるよう誘導することが可能なTGF-βスーパーファミリーからの活任意の性化剤(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤との組合せで)を使用することができる。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの活性化剤は、アクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.1ng/mL、約0.2ng/mL、約0.3ng/mL、約0.4ng/mL、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.8ng/mL、約1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.4ng/mL、約1.6ng/mL、約1.8ng/mL、約2ng/mL、約2.2ng/mL、約2.4ng/mL、約2.6ng/mL、約2.8ng/mL、約3ng/mL、約3.2ng/mL、約3.4ng/mL、約3.6ng/mL、約3.8ng/mL、約4ng/mL、約4.2ng/mL、約4.4ng/mL、約4.6ng/mL、約4.8ng/mL、約5ng/mL、約5.2ng/mL、約5.4ng/mL、約5.6ng/mL、約5.8ng/mL、約6ng/mL、約6.2ng/mL、約6.4ng/mL、約6.6ng/mL、約6.8ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約2~8ng/ml、約3~7ng/ml、約4~6ng/ml、または約4.5~5.5ng/mlの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約5ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)と接触させるステップを含む。
【0247】
[00256]PDX1陽性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、PKC活性化剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤と任意に組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のFoxO1阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、FoxO1阻害剤はAS1842856である。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMなどの濃度のFoxO1阻害剤(例えば、AS1842856)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約0.7~1.3μM、約0.8~1.2μM、約0.9~1.1μMなどの濃度のFoxO1阻害剤(AS1842856など)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を約1μMなどの濃度のFoxO1阻害剤(AS1842856など)と接触させることを含む。
【0248】
[00257]PDX1陽性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーシグナル伝達経路からの少なくとも1つの成長因子、FoxO1阻害剤、およびノッチシグナル伝達阻害剤と任意に組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のPKC活性化剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、PKC活性化剤はPDBUである。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PDBU)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.2~0.8μM、約0.3~0.7μM、約0.4~0.6μMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PDBU)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を、例えば、約0.5μMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PDBU)と接触させるステップを含む。
【0249】
[00258]PDX1陽性の膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、FoxO1阻害剤、およびPKC活性化剤と任意に組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることができる任意のノッチシグナル阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態では、ノッチシグナル伝達阻害剤はXXIである。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMなどの濃度のノッチシグナル阻害剤(例えば、XXI)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMなどの濃度のノッチシグナル阻害剤(例えば、XXI)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を約2μMなどの濃度のノッチシグナル阻害剤(例えば、XXI)と接触させることを含む。
【0250】
[00259]一部の実施形態では、細胞をさらに水溶性合成ポリマーと接触させる。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは、80%が加水分解されている。
【0251】
[00260]一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGF、Sant1、およびRAと5日または6日間接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンAと5または6日間接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGFと5日間接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でKGFと6日間接触させるステップによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、a)PDX1陽性膵前駆細胞を、KGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンAと3、4または5日間(例えば、4日間)接触させるステップ、続くb)a)の細胞を、PDBU、XXI、KGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンA、および任意選択で、AS1842856と1、2または3日間(例えば、2日間)接触させるステップによって得られる。
【0252】
インスリン陽性の内分泌細胞
[00261]本開示の態様は、インスリン陽性の内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)、およびインスリン陽性の内分泌細胞を産生する付加的な方法を伴う。本明細書において使用するインスリン陽性内分泌細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、NKX6.1陽性の膵前駆細胞はインスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)に分化される。一部の態様では、インスリン陽性内分泌細胞は、例えばSC-β細胞への誘起または成熟によってさらに分化される。
【0253】
[00262]一部の態様では、NKX6.1陽性の膵前駆細胞からインスリン陽性の内分泌細胞を生成する方法は、NKX6-l陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を(例えば、細胞クラスター化を促進する条件下で)、a)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、b)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、c)BMP経路阻害剤、および/またはd)プロテインキナーゼ阻害剤と接触させて、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性の内分泌細胞への分化を誘導することを含み、インスリン陽性の内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の実施形態では、インスリン陽性内分泌細胞はPDX1、NKX6.1、ISL1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3、および/またはインスリンを発現する。
【0254】
[00263]NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、または他のβ細胞分化因子、例えば甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-βI型受容体キナーゼシグナル伝達を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はAlk5阻害剤IIを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.1μM、約0.5μM、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約4.5μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約10.5μM、約11μM、約11.5μM、約12μM、約12.5μM、約13μM、約13.5μM、約14μM、約14.5μM、約15μM、約15.5μM、約16μM、約16.5μM、約17μM、約17.5μM、約18μM、約18.5μM、約19μM、約19.5μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約45μM、または約50μMなどの濃度のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、Alk5阻害剤IIなどのAlk5阻害剤)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約7~13μM、約8~12μM、約9~11μMなどの濃度のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、Alk5阻害剤IIなどのAlk5阻害剤)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約10μMなどの濃度のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、Alk5阻害剤IIなどのAlk5阻害剤)と接触させることを含む。
【0255】
[00264]NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、または他のβ細胞分化因子、例えばTGF-βシグナル伝達経路阻害剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はトリヨードチロニン(T3)を含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はGC-1を含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMなどの濃度の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、GC-1)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.7~1.3μM、約0.8~1.2μM、または約0.9~1.1μMなどの濃度の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、GC-1)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を約1μMなどの濃度の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、GC-1)と接触させることを含む。
【0256】
[00265]一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を少なくとも1つの追加因子と接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)γ-セクレターゼ阻害剤、iii)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、またはvii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のうちの少なくとも1つと接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を少なくとも1つの追加因子と接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)プロテインキナーゼ阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)wntシグナル伝達経路阻害剤、またはix)PKC活性化剤のうちの1つと接触させることを含む。
【0257】
[00266]一部の実施形態では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)プロテインキナーゼ阻害剤、またはix)ROCK阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0258】
[00267]一部の実施形態では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、またはx)ROCK阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、培養中のPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリー由来の少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路阻害剤、viii)エピジェネティック修飾化合物、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、x)ROCK阻害剤、xi)PKC活性化剤、およびxii)Wntシグナル伝達経路阻害剤と1日、2日、または3日間(例えば、1~2日間、1~3日間、または2~3日間)接触させ、次に、培養中の細胞を、i)γ-セクレターゼ阻害剤、ii)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリー由来の少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、iv)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、v)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、vi)エピジェネティック修飾化合物、vii)プロテインキナーゼ阻害剤、およびviii)ROCK阻害剤と1、2、3、4、5、6、または7日間(例えば、1~7日間、1~5日間、1~3日間、3~7日間、3~5日間、5~7日間、または4~6日間)、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、Wntシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、および/または上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーの成長因子の非存在下で接触させることを含む。
【0259】
[00268]一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞からインスリン陽性内分泌細胞を生成する方法において、分化因子のいくつかは分化のステップの間、最初の1日、2日、3日、4日、または5日間のみ存在する。一部の実施形態では、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、PKC活性化剤、およびEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子などの分化因子の一部は、培養の最初の1、2、または3日後に培地から除去される。
【0260】
[00269]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性の内分泌細胞にすることができる任意のγ-セクレターゼ阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIを含む。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤はDAPTを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約2.9μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.2μM、約5.4μM、約5.6μM、約5.8μM、約6μM、約6.2μM、約6.4μM、約6.6μM、約6.8μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、または約50μMの濃度のγ-セクレターゼ阻害剤(例えばXXI)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMなどの濃度のγ-セクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約2μMなどの濃度のγ-セクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)と接触させることを含む。
【0261】
[00270]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができるEGFファミリーからの任意の成長因子を使用することができる。一部の実施形態では、EGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はベータセルリンを含む。一部の実施形態では、EGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はEGFを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約1ng/mL、約2ng/mL、約4ng/mL、約6ng/mL、約8ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約16ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約22ng/mL、約24ng/mL、約26ng/mL、約28ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のEGFファミリーからの成長因子(例えばベータセルリン)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約17~23ng/ml、約18~22ng/ml、または約19~21ng/mlなどの濃度のEGFファミリーの成長因子(例えば、ベータセルリン)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約20ng/mlなどの濃度のEGFファミリーの成長因子(例えば、ベータセルリン)と接触させることを含む。
【0262】
[00271]NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の実施形態では、RAシグナル伝達経路活性化剤はRAを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.02μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約20~80nM、約30~70nM、または約40~60nMなどの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約50nMなどの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、レチノイン酸)と接触させることを含む。
【0263】
[00272]NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の実施形態ではSHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を約220~280nM、約230~270nM、約240~260nM、または約245~255nMなどの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を約250nMなどの濃度のSHH経路阻害剤(例えば、Sant1)と接触させることを含む。
【0264】
[00273]NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばLDN1931189)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約70~130nM、約80~120nM、約90~110nMなどの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、LDN1931189)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約100nMなどの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、LDN1931189)と接触させることを含む。
【0265】
[00274]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はThiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、またはH-1152を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はThiazovivinを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約2.2~2.8μM、約2.3~2.7μM、または約2.4~2.6μMなどの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させることを含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約2.5μMなどの濃度のROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)と接触させることを含む。
【0266】
[00275]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のエピジェネティック修飾化合物を使用することができる。一部の実施形態では、エピジェネティック修飾化合物はヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはHDAC阻害剤を含む。一部の実施形態では、エピジェネティック修飾化合物はヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばDZNepを含む。一部の実施形態では、エピジェネティック修飾化合物はHDAC阻害剤、例えばKD5170を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.01μM、約0.025μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のエピジェネティック修飾化合物(例えばDZNepまたはKD5170)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約70~130nM、約80~120nM、または約90~110nMなどの濃度のエピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約100nMなどの濃度のエピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)と接触させることを含む。
【0267】
[00276]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性の内分泌細胞にすることができる任意のWntシグナル伝達経路阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、Wntシグナル伝達経路阻害剤はタンキラーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、タンキラーゼ阻害剤はNVP-TNKS656である。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約0.95μM、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約4.5μM、または約5μMなどの濃度のWntシグナル伝達経路阻害剤(例えば、NVP-TNKS656などのタンキラーゼ阻害剤)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約1.7~2.3μM、約1.8~2.2μM、または約1.9~2.1μMなどの濃度のWntシグナル伝達経路阻害剤(例えば、NVP-TNKS656などのタンキラーゼ阻害剤)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約2μMなどの濃度のWntシグナル伝達経路阻害剤(例えば、NVP-TNKS656などのタンキラーゼ阻害剤)と接触させることを含む。
【0268】
[00277]集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかと組み合わせて)誘起してインスリン陽性の内分泌細胞にすることができる任意のPKC活性化剤を使用することができる。一部の実施形態では、PKC活性化剤はTPBまたはPDBUである。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.01μM、約0.025μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約0.95μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、または約20μMなどの濃度のPKC活性化剤(TPBまたはPDBU)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約450~550mM、約475~525nM、約490~510nM、または約495~505nMなどの濃度のPKC活性化剤(TPBまたはPDBU)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約500nMなどの濃度のPKC活性化剤(TPBまたはPDBU)と接触させることを含む。
【0269】
[00278]一部の実施形態では、細胞の集団は任意選択でプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられる。一部の実施形態では、細胞の集団はプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられない。一部の実施形態では、細胞の集団はプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられる。集団中のNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のプロテインキナーゼ阻害剤を使用することができる。一部の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、約1nM、約1.1nM、約1.2nM、約1.3nM、約1.4nM、約1.5nM、約1.6nM、約1.7nM、約1.8nM、約1.9nM、約2.0nM、約2.1nM、約2.2nM、約2.3nM、約2.4nM、約2.5nM、約2.6nM、約2.7nM、約2.8μM、約2.9nM、約3nM、約3.1nM、約3.2nM、約3.3nM、約3.4nM、約3.5nM、約3.6nM、約3.7nM、約3.8nM、約3.9nM、約4.0nM、約4.1nM、約4.2nM、約4.3nM、約4.4nM、約4.5nM、約4.6nM、約4.7nM、約4.8μM、約4.9nM、または約5nMなどの濃度のプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、約1~5nM、約2~4nM、または約2.5~3.5nMなどの濃度のプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)と接触させることを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を約3nMなどの濃度のプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)と接触させることを含む。
【0270】
[00279]一部の実施形態では、細胞をさらに水溶性合成ポリマーと接触させられる。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば、79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは89%加水分解されている。
【0271】
[00280]一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)をXXI、Alk5i、T3またはGC-1、RA、Sant1、およびベータセルリン、PDBU、およびNVP-TNKS656と7日間接触させて、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性の内分泌細胞への分化を誘導することを含み、インスリン陽性の内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の実施形態では、本方法は、細胞(例えばNKX6.1陽性の膵前駆細胞)の集団をXXI、Alk5i、T3またはGC-1、RA、Sant1、ベータセルリン、およびLDN193189と7日間接触させて集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性の膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘起するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の実施形態では、1つまたは複数の分化因子がステージ5の一部で、例えばステージ5の期間の最初の1日、2日、3日、4日、5日、または6日にのみ、またはステージの期間の最後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日に、添加される。一例では、細胞はステージ5の間、最初の2、3、4、または5日間だけ、SHHシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸、および/またはwntシグナル伝達経路阻害剤と接触させられ、その後、SHHシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸、および/またはwntシグナル伝達経路阻害剤は培養液に含まれないかまたは培地から除去される。別の例では、細胞はBMPシグナル伝達経路阻害剤とステージ5の間の最初の1日、2日、または3日にのみ接触させられ、その後、BMPシグナル伝達経路阻害剤は培地から除去される。
【0272】
[00281]一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を1つまたは複数の代謝産物と接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を、アセチルCoA関連代謝産物、ビタミン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、酸化還元ホメオスタシス調節剤、一炭素代謝経路の中間体、および/またはグルタミンのうちの1つまたは複数と接触させることを含む。代謝産物の例としては、グルタミン、タウリン、酢酸塩、ベータ-ヒドロキシブチレート、ビオチン、およびギ酸塩が挙げられる。
【0273】
[00282]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、アセチルCoA関連代謝産物を含む。例示的なアセチルCoA関連代謝産物としては、限定されないが、酢酸塩、ピルビン酸塩、ケトン性アミノ酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、トリプトファン、脂肪酸、CoA、イソバレリル-CoA、β-ヒドロキシブチレートが挙げられる。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は酢酸塩である。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は、約10nM、約50nM、約80nM、約100nM、約120nM、約140nM、約150nM、約200nM、約300nM、約500nM、約800nM、約1μM、約10μM、約100μM、約500μM、約800μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約5mM、または約10mMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは本開示の組成物に添加される。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は、約0.01~50mM、0.1~50mM、0.5~50mM、0.01~20mM、0.1~20mM、0.5~20mM、0.01~10mM、0.1~10mM、0.5~10mM、0.8~25mM、0.8~10mM、0.8~5mM、0.8~2mM、0.8~1.5mM、0.8~1.2mM、0.9~1.1mM、または0.95~1.05mMである。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は、約1mMの濃度で存在する酢酸塩である。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は、約50~1000nM、50~800nM、50~500nM、50~300nM、50~250nM、100~200nM、または125~175nMの濃度で存在する酢酸塩である。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は、約160nMの濃度で存在する酢酸である。
【0274】
[00283]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、1つまたは複数のビタミンを含む。例示的なビタミンには、限定されないが、ビオチン、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、およびビタミンB12(シアノコバラミン)が挙げられる。一部の実施形態では、ビタミンは脂肪酸合成を調節する。一部の実施形態では、ビタミンは分岐鎖アミノ酸代謝を調節する。一部の実施形態では、ビタミンはTCAサイクルの補因子として、例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼの補因子として調節するかまたは関与する。一部の実施形態では、ビタミンはビオチンである。一部の実施形態では、ビタミンは、約100nM、約300nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約1.5μM、約3μM、約5μM、約10μM、または約100μMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは本開示の組成物に添加される。一部の実施形態では、ビタミンは、約800nMの濃度で存在するビオチンである。一部の実施形態では、ビタミンは、約1nM~500μM、1nM~100μM、1nM~10μM、1nM~1μM、1nM~800nM、1nM~600nM、1nM~400nM、1nM~300nM、1nM~200nM、25nM~500μM、25nM~100μM、25nM~10μM、25nM~1μM、25nM~800nM、25nM~600nM、25nM~400nM、25nM~300nM、25nM~200nM、50nM~500μM、50nM~100μM、50nM~10μM、50nM~1μM、50nM~800nM、50nM~600nM、50nM~400nM、50nM~300nM、50nM~200nM、100nM~500μM、100nM~100μM、100nM~10μM、100nM~1μM、100nM~800nM、100nM~600nM、100nM~400nM、100nM~300nM、または100nM~200nMの濃度で、本開示の組成物中に存在するか、または本開示の組成物に添加される。
【0275】
[00284]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)を含む。例示的なヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)としては、限定されないが、β-ヒドロキシブチレート、酪酸、クラスI HDACi、クラスIIA HDACi、クラスIIB HDACi、クラスIII HDACi、クラスIV HDACi、HDAC-1、HDAC-2、HDAC-3、HDAC-4、HDAC-5、HDAC-6、HDAC-7、HDAC-8、HDAC-9、HDAC-10、HDAC-11、サーチュイン、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、ボリノスタット(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、SAHA、MK0683)、エンチノスタット(MS-275、SNDX-275)、パノビノスタット(LBH589、NVP-LBH589)、トリコスタチンA(TSA)、モセチノスタット(MGCD0103、MG0103)、GSK3117391(GSK3117391A、HDAC-IN-3)、BRD3308、BRD3308、ツバスタチンA TFA(ツバスタチンAトリフルオロ酢酸塩)、ツバスタチンA、SIS17、NKL22、BML-210(CAY10433)、TC-H 106、SR-4370、ベリノスタット(PXD101、NSC726630、PX-105684)、ロミデプシン(FK228、デプシペプチド、FR901228、NSC630176)、MC1568、ジビノスタット(ITF2357)、ダシノスタット(LAQ824、NVP-LAQ824)、CUDC-101、キシノスタット(JNJ-26481585)、プラシノスタット(SB939)、PCI-34051、ドロキシノスタット(NS41080)、アベキシノスタット(PCI-24781)、アベキシノスタット(PCI-24781、CRA-024781)、RGFP966、AR-42(HDAC-42)、リコリノスタット(ACY-1215、ロシリノスタット)、バルプロ酸ナトリウム塩(バルプロ酸ナトリウム)、タセジナリン(CI994、PD-123654、GOE-5549、アセチルジナリン)、フィメピノスタット(CUDC-907)、酪酸ナトリウム(NaB)、クルクミン、ジフェルロイルメタン、M344、ツバシン、RG2833(RGFP109)、RG2833(RGFP109)、レスミノスタット(RAS2410)、ジバルプロエクスナトリウム、スクリプタイド(GCK1026)、フェニル酪酸ナトリウム、シナピン酸(Sinapininc acid)(シナピン酸(Sinapic acid))、TMP269、サンタクルザメートA(CAY10683)、TMP195(TFMO2)、バルプロ酸(VPA)、UF010、タスキニモド(ABR-215050)、SKLB-23bb、イソグアノシン、ルフォラファン、BRD73954、シタリノスタット(ACY-241、HDAC-IN-2)、スベロヒドロキサム酸、プリトマイシン、HPOB、LMK-235、ビフェニル-4-スルホニルクロリド(p-フェニルベンゼンスルホニル、4-ヘニルベンゼンスルホニル、p-ビフェニルスルホニル)、ネクスツラスタットA、TH34、ツシジノスタット(キダミド、HBI-8000、CS-055)、(-)-パルテノイド、WT161、CAY10603、ACY-738、ラッドデアニンA、チノスタムスチン(EDO-S101)、ドマチノスタット(4SC-202)、およびBG45が挙げられる。一部の実施形態では、HDACiはβ-ヒドロキシブチレートである。一部の実施形態では、HDACiは、約100nM、約300nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約1.5μM、約3μM、約5μM、約10μM、もしくは約100μMの濃度で、本開示の組成物中に存在するかまたは本開示の組成物に添加される。一部の実施形態では、HDACiは、β-ヒドロキシブチレートであり、約200nMの濃度で存在する。一部の実施形態では、HDACiは、約1nM~500μM、1nM~100μM、1nM~10μM、1nM~1μM、1nM~800nM、1nM~600nM、1nM~400nM、1nM~300nM、1nM~200nM、25nM~500μM、25nM~100μM、25nM~10μM、25nM~1μM、25nM~800nM、25nM~600nM、25nM~400nM、25nM~300nM、25nM~200nM、50nM~500μM、50nM~100μM、50nM~10μM、50nM~1μM、50nM~800nM、50nM~600nM、50nM~400nM、50nM~300nM、50nM~200nM、100nM~500μM、100nM~100μM、100nM~10μM、100nM~1μM、100nM~800nM、100nM~600nM、100nM~400nM、100nM~300nM、または100nM~200nMの濃度で、本開示の組成物中に存在するか、または本開示の組成物に添加される。
【0276】
[00285]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、酸化還元ホメオスタシス調節剤を含む。例示的な酸化還元ホメオスタシス調節剤としては、限定されないが、タウリン、呼吸鎖調節物質、フリーラジカルスカベンジャー、ミトコンドリアタンパク質合成の制御因子、アリウム硫黄化合物、アントシアニン、ベータ-カロテン、カテキン、銅、クリプトキサンチン、フラボノイド、インドール、イソフラボノイド、リグナン、ルテイン、リコピン、アルファ-リポ酸、エラグ酸、マンガン、ポリフェノール、セレン、グルタチオン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、スーパーオキシドジスーターゼ、GSHPx、Prx-I、カタラーゼ、およびコエンザイムQ10が挙げられる。一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤はタウリンである。一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤は、約100nM、約500nM、1μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約110μM、約150μM、もしくは約200μMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは本開示の組成物に添加される。一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤はタウリンである。一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤は、約90μMの濃度で存在するタウリンである。一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤中間体は、約100nM~1mM、500nM~1mM、1μM~1mM、10μM~1mM、20μM~1mM、30μM~1mM、30μM~1mM、40μM~1mM、50μM~1mM、60μM~1mM、70μM~1mM、80μM~1mM、100nM~250μM、500nM~250μM、1μM~250μM、10μM~250μM、20μM~250μM、30μM~250μM、30μM~250μM、40μM~250μM、50μM~250μM、60μM~250μM、70μM~250μM、100nM~100μM、500nM~100μM、1μM~100μM、10μM~100μM、20μM~100μM、30μM~100μM、40μM~100μM、50μM~100μM、60μM~100μM、70μM~100μM、もしくは80μM~100μMの濃度で存在するかまたは添加される。
【0277】
[00286]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、培地)は、一炭素代謝経路中間体を含む。例示的な一炭素代謝経路中間体としては、限定されないが、ギ酸塩、テトラヒドロ葉酸塩(THF)、10-ホルミルTHF;5,10-meTHF;5,10-meTHF;および10-ホルミルTHFが挙げられる。一部の実施形態では、一炭素代謝経路中間体は、約50μMの濃度で存在するギ酸塩である。一部の実施形態では、一炭素代謝経路中間体は、約100nM~1mM、500nM~1mM、1μM~1mM、10μM~1mM、20μM~1mM、30μM~1mM、100nM~250μM、500nM~250μM、1μM~250μM、10μM~250μM、20μM~250μM、30μM~250μM、100nM~100μM、500nM~100μM、1μM~100μM、10μM~100μM、20μM~100μM、30μM~100μM、100nM~60μM、500nM~60μM、1μM~60μM、10μM~60μM、20μM~60μM、30μM~60μM、40μM~60μM、もしくは45μM~55μMの濃度で存在するかまたは添加される。
【0278】
[00287]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、培地)はグルタミンを含む。したがって、一部の実施形態では、本開示の組成物および方法は、生物学的利用能が増大した形態のグルタミン、例えば、遊離グルタミン形態、例えば、非ジペプチド形態、非アラニン-グルタミンジペプチド形態(例えば、非アラニル-L-グルタミン型)、非グリシン-グルタミン型ジペプチド型(例えば、非グリシル-L-グルタミン型)、グルタミンが他のアミノ酸または安定化部分とコンジュゲートしていない形態、モノマー形態、遊離形態、またはそれらの組合せを利用する。一部の実施形態では、グルタミンは、タンパク質加水分解物として提供される。一部の実施形態では、グルタミンは、0.5~20mM、0.5~10mM、0.5~5mM、1~5mM、2~5mM、もしくは1mM~10mMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは添加される。一部の実施形態では、グルタミンは、3.8~4.2mMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは添加される。一部の実施形態では、グルタミンは、1~10、1~7、1~8、1~6、1~5、1~4、2~10、2~7、2~8、2~6、2~5、2~4、3~10、3~7、3~8、3~6、3~5、3~4、3.5~4.5、3.8~4.2、もしくは3.9~4.1mMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは添加される。一部の実施形態では、グルタミンは、約4mMの濃度で本開示の組成物中に存在するかまたは添加される。一部の実施形態では、グルタミンの少なくとも0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、または5mMは、ジペプチドの形態ではない。一部の実施形態では、グルタミンの少なくとも500μM、少なくとも750μM、少なくとも1mM、少なくとも1.5mM、少なくとも2mM、少なくとも2.5mM、少なくとも2.6mM、少なくとも2.7mM、少なくとも2.8mM、少なくとも2.9mM、少なくとも3mM、少なくとも3.1mM、少なくとも3.2mM、少なくとも3.3mM、少なくとも3.4mM、少なくとも3.5mM、少なくとも3.6mM、少なくとも3.7mM、少なくとも3.8mM、少なくとも3.9mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも5.5mM、少なくとも6mM、少なくとも6.5mM、少なくとも7mM、少なくとも7.5mM、少なくとも8mM、少なくとも8.5mM、少なくとも9mM、少なくとも9.5mM、または少なくとも10mMは、遊離形態である。
【0279】
[00288]一部の実施形態では、本方法は、培地中の細胞の集団(例えば、NKX6.1陽性膵前駆細胞)を培養し、集団における少なくとも1つのNKX6.1陽性膵前駆細胞の、インスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップを含み、ここで、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。
【0280】
[00289]本開示の態様は、本明細書で開示される方法に従って産生された膵内分泌細胞の細胞集団におけるPDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を含む細胞集団の、PKC活性化剤および/またはWntシグナル伝達経路阻害剤による処置を含み、これは、膵α細胞のパーセンテージの増加、膵δ細胞のパーセンテージの増加、膵β細胞のパーセンテージの増加、EC細胞のパーセンテージの減少、またはそれらの任意の組合せをもたらし得る。
【0281】
[00290]一部の実施形態では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を含む細胞の集団を、FOXO1阻害剤、ノッチシグナル伝達阻害剤、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と1~2日間接触させ、それにより、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を得るステップと、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を、PKC活性化剤、ノッチシグナル伝達阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、BMP経路阻害剤、ROCK阻害剤、レチノイン酸、およびEGFファミリー成長因子、wntシグナル伝達経路阻害剤、および/またはエピジェネティック修飾化合物と1~2日間接触させ、それにより、NKX6.1陽性、ISL1陽性内分泌細胞を含む第2の形質転換細胞集団を得るステップとを含む。
【0282】
膵β細胞
[00291]本開示の態様は、膵β細胞(例えば、非天然膵β細胞)を産生するステップを含む。非天然膵β細胞は、一部の事例では、形態および機能において内因性成熟β細胞に類似しているが、それにもかかわらず、天然β細胞とは異なる。
【0283】
[00292]一部の事例では、本明細書で提供される方法を用いて産生されたインスリン陽性膵内分泌細胞は、単独で、または他の細胞型、例えば、その前駆体、例えば、幹細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞、またはPDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞とともに、細胞クラスターを形成することができる。
【0284】
[00293]一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団は、いかなる外因性分化因子(例えば、TGF-βシグナル伝達経路の阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、PKC活性化剤、TGF-βスーパーファミリー、FGFファミリー、またはEGFファミリーからの成長因子、SHHシグナル伝達経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、またはBMPシグナル伝達経路阻害剤)も添加せずに、SC-β細胞へ直接誘導または成熟され得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性内分泌細胞を含む細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、および/またはエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性内分泌細胞を含む細胞集団を、ヒト血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性内分泌細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0285】
[00294]一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞はNS-GFs培地、MCDB131培地、DMEM培地、またはCMRL培地中で成熟させることができる。一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞は10%FBSを補ったCMRLs培地中で成熟させることができる。一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞は、0.01~1%HSA(例えば、0.05%HSA)を補ったDMEM/F12培地中で成熟され得る。一部の事例では、HSAは、水溶性合成ポリマーで置換される。一部の事例では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば、79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは、89%が加水分解されている。他の例では、SC-β細胞は、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞の集団を、2%BSAを補ってもよいMCDB131培地中で培養することによって得ることができる。一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞をSC-β細胞に成熟させるための2%BSAを補ったMCDB131培地は、本明細書に記載した小分子の因子を含まなくてよい。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞をSC-β細胞に成熟させるための2%BSAを補ったMCDB131培地は、血清(例えばFBS)を含まなくてよい。他の例では、SC-β細胞は、0.05%HSAおよびビタミンCを補充することができるMCDB131培地中でインスリン陽性の内分泌細胞を含有する細胞集団を培養することによって得ることができる。一部の事例では、SC-β細胞は、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンCおよびグルタミン(Gln、例えば、4mM)を補充することができるMCDB131培地中でインスリン陽性の内分泌細胞を含有する細胞集団を培養することによって得ることができる。一部の事例では、S6の間に培地の種類を変更することができる。例えば、S6細胞を、最初の2~4日間、0.05%HSAおよびビタミンCを補充することができるMCDB131培地中で培養し、次に、1%HSAを補充したDMEM/F12培地で培養する。一部の事例では、追加の因子が培地に導入される。例えば、S6細胞は、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンC、およびグルタミン(Gln、例えば、4mM)を補充することができるMCDB131培地中で、4~12日間培養することができ、その間、S6の第4日からZnSO4が導入される。
【0286】
[00295]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を多能性細胞から産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、少なくともWNTシグナル伝達経路活性化剤と1日間、ならびにTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子および任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の1つまたは複数の阻害剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)と1日間、ならびにi)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)PKC活性化剤、v)ROCK阻害剤、vi)TGFβスーパーファミリーからの1つの因子、およびvii)任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の1つまたは複数の阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子、およびvi)任意選択で、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達の1つまたは複数の阻害剤と6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、i)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)PKC活性化剤と2~3日間、ならびにv)TGFβスーパーシグナル伝達経路阻害剤、vi)THシグナル伝達経路活性化剤、vii)γ-セクレターゼ阻害剤、任意選択で、viii)BMPシグナル伝達経路阻害剤、ix)ROCK阻害剤、x)プロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、およびxi)エピジェネティック修飾因子(例えば、DZNEP)と5~7日間接触させる接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞を、培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補ったMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含み、ここで、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を提示する。一部の事例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似している。
【0287】
[00296]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を、多能性細胞から産生する方法を提供し、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤、v)PKC活性化剤、vi)ROCK阻害剤、およびvii)TGFβスーパーファミリーからの成長因子と2日間接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、および任意選択で、vi)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、および任意選択で、vii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補ったMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含み、ここで、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を提示する。一部の事例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似している。
【0288】
[00297]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を、多能性細胞から産生する方法を提供し、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)PKC活性化剤、およびv)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、および任意選択で、vi)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補ったMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含み、ここで、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を提示する。一部の事例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似している。
【0289】
[00298]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を、多能性細胞から産生する方法を提供し、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびv)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5または6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、およびx)ROCK阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補ったMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含み、ここで、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を提示する。一部の事例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似している。
【0290】
[00299]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を、多能性細胞から産生する方法を提供し、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、iii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5または6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞を、i)γ-セクレターゼ阻害剤、ii)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、iv)少なくとも1つの上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子、iv)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、v)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、vi)プロテインキナーゼ阻害剤、およびvii)ROCK阻害剤と5~7日間、5~7日間の最初の3日以内に接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補ったMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含み、ここで、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を提示する。一部の事例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似している。
【0291】
[00300]一部の実施形態では、細胞をさらに水溶性合成ポリマーと接触させられる。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーはポリビニルアルコールである。一部の例では、ポリビニルアルコールは、少なくとも78%が加水分解され、例えば、79~81%が加水分解され、87~89%が加水分解され、87~90%が加水分解され、または99%が加水分解されている。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が加水分解されている。一部の実施形態では、PVAは89%加水分解されている。
【0292】
[00301]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を、多能性細胞から産生する方法を提供し、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させるステップによって、集団における多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、少なくとも1つのFGFファミリーからの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を、原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下でi)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択で、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択で、iii)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5または6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞をi)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、およびx)ROCK阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞の少なくとも一部を、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を、SC-β細胞に分化させるステップとを含む。
【0293】
[00302]第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養するのに使用される培地は、ゼノフリーであり得る。動物を起源とする細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物由来の生成物を有することができない。一部の事例では、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いずれの非ヒト動物由来の生成物も有することができない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎仔血清(FBS)の代わりにヒト血小板溶解物(PLT)を含むことができる。例えば、培地は、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約12%、約9~約11%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、約10%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、小分子および/またはFBSを含むことができない。例えば、培地は、2%のBSAを補充したMCDB131基礎培地を含むことができる。一部の事例では、培地は、血清を含まない。一部の例では、培地は、外因性小分子またはシグナル伝達経路アゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、線維芽細胞成長因子ファミリー(FGF、例えば、FGF2、FGF8B、FGF10、またはFGF21)からの成長因子、ソニックヘッジホッグアンタゴニスト(例えば、Sant1、Sant2、Sant4、Sant4、Cur61414、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、シクロパミン、またはこれらの誘導体)、レチノイン酸シグナル伝達アゴニスト(例えば、レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHPB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、またはCD2314)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)の阻害剤(例えば、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、または14-1152)、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤(例えば、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、ブリオスタチン1、またはこれらの誘導体)、TGFβスーパーファミリーのアンタゴニスト(例えば、Alk5阻害剤II(CAS 446859-33-2)、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、SB-505124、またはこれらの誘導体)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体の阻害剤(例えば、LDN193189またはこれらの誘導体)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3、GC-1またはこれらの誘導体)、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI、DAPT、またはこれらの誘導体)、TGF-βシグナル伝達経路の活性化剤(例えば、WNT3aまたはアクチビンA) 上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子(例えば、ベータセルリンまたはEGF)、広範囲のキナーゼ(例えば、スタウロスポリンまたはその誘導体)、非必須アミノ酸、ビタミンまたは酸化防止剤(例えば、シクロパミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、またはこれらの誘導体)、あるいはN-アセチルシステイン、硫酸亜鉛、またはヘパリンのような他の添加物を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、外因性細胞外マトリックス分子を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、Matrigel(商標)を含まない。一部の事例では、再凝集培地は、他の細胞外マトリックス分子または材料、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにこれらの混合物、または、例えば、溶解された細胞膜調製物を含まない。
【0294】
[00303]当業者であれば、培地中に補充される血清アルブミンの濃度が変化し得ることを認識するであろう。例えば、培地(例えば、MCDB131)は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のBSAを含むことができる。他の事例では、培地は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のHSAを含むことができる。使用される培地(例えば、MCDB131培地)は、伝統的な基礎培地に見られない構成成分、例えば、微量元素、プトレシン、アデニン、チミジン、ならびに高レベルの一部のアミノ酸およびビタミンを含有することができる。これらの添加物によって、非常に低いレベルの血清または規定された構成成分が補充される培地を可能とすることができる。培地は、タンパク質および/または成長因子を含まなくてもよく、かつEGF、ヒドロコルチゾン、および/またはグルタミンが補充されてもよい。培地は、1つまたは複数の細胞外マトリックス分子(例えば、細胞外タンパク質)を含んでもよい。培地において使用される非限定的な例示的細胞外マトリックス分子としては、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、バイグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンを挙げることができる。一部の事例では、培地は、ラミニン、例えば、LN-332を含む。一部の事例では、培地は、ヘパリンを含む。
【0295】
[00304]培地は、例えば、培地中の細胞に最適な環境を提供するために、培養中に定期的に交換することができる。再凝集のために第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養する場合、培地は、少なくともまたは約4時間毎、12時間毎、24時間毎、48時間毎、3日毎もしくは4日毎に交換することができる。例えば、培地は、約48時間毎に交換することができる。
【0296】
[00305]一部の事例では、細胞は、動的条件下(例えば、細胞が、懸濁培養下にある間、一定の動きまたは撹拌に供される条件下)で培養することができる。細胞を動的培養するために、細胞は、制御ユニットに接続され、よって、制御された培養系を提供することができる容器(例えば、スピナーフラスコ(例えば、200ml~3000ml、例えば、250mlの、100mlの、または125mlのエルレンマイヤー中の)などの非接着性容器)、あるいは動的大規模バイオリアクター(例えば、500mL~50L、例えば、1L~10L、2L~5L、3L~4L、2L~30L、または10L~20L)中で培養することができる。一部の事例では、細胞は、それらの増殖能力を維持しながら、非動的条件(例えば、静的培養)下で培養することができる。細胞を非動的培養するために、細胞は、接着性培養ベッセル中で培養することができる。接着性培養ベッセルは、ベッセル表面の細胞への接着性を改良するために、細胞外マトリックス(ECM)などの細胞接着のための基質のいずれかでコーティングされてもよい。細胞接着のための基質は、(使用される場合)幹細胞またはフィーダー細胞を付着させることを意図する任意の材料であり得る。細胞接着のための基質としては、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにこれらの混合物、例えば、Matrigel(商標)、ならびに溶解された細胞膜調製物が挙げられる。
【0297】
[00306]一部の事例では、本明細書で開示される細胞分化プロセスは、約500mL~約50L、例えば、約1L~約10L、約2L~約5L、約3L~約4L、約2L~約30L、または約10L~約20Lの液体容積を有する懸濁細胞培養液中で行われる。一部の事例では、本明細書で開示される細胞分化プロセスは、約10mL~約1000mL、例えば、約10mL~約100mL、約20mL~約50mL、約30mL~約40mL、約20mL~約30mL、または約10mL~約20mLの液体容積を有する懸濁細胞培養液中で行われる。
【0298】
[00307]動的細胞培養ベッセル(例えば、スピナーフラスコ)中の培地は、撹拌され得る(例えば、スターラーによって)。スピン速度は、再凝集される第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。スピン速度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島に類似することができるように制御され得る。一部の事例では、スピン速度は、第2の細胞クラスターのサイズが、約75μm~約250μmとなり得るように制御される。動的細胞培養ベッセル(例えば、スピナーフラスコ)のスピン速度は、1分当たり約20回転(rpm)~約100rpm、例えば、約30rpm~約90rpm、約40rpm~約60rpm、約45rpm~約50rpmであり得る。一部の事例では、スピン速度は、約50rpmであり得る。
【0299】
[00308]本明細書において提供されるステージ6の細胞は、本明細書に記載されているように、分離および再凝集プロセスに供されても供されなくてもよい。一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞クラスターは再凝集され得る。細胞クラスターの再凝集により、インスリン陽性内分泌細胞を濃縮することができる。一部の事例では、細胞クラスター中のインスリン陽性内分泌細胞は、膵β細胞へとさらに成熟され得る。例えば、再凝集後に、第2の細胞クラスターは、天然の膵島に似た、in vitroでのGSISを呈し得る。例えば、再凝集後に、第2の細胞クラスターは、in vitroでのGSISを呈する非天然膵β細胞を含み得る。一部の実施形態では、再凝集プロセスは、全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20200332262A1号の開示に従って行うことができる。
【0300】
[00309]本明細書において提供される方法に従って得られるステージ6の細胞は、凍結保存および再凝集手順の後に、高い回収率を有することができる。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、このような処置を伴わない対応する細胞集団と比較して、ステージ5の後の凍結保存後により高い回収率を有し得る。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置を伴わない対応する細胞集団と比較して、ステージ5の後の凍結保存後により高い回収率を有し得る。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、ステージ5の後の凍結保存後に、少なくとも約35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、48%、49%、または50%である回収率を有し得る。回収率は、凍結保存前の細胞と比較した、凍結保存、解凍および回収、ならびに再凝集手順後に生存し、再凝集した細胞クラスターを形成する細胞のパーセンテージとして計算することができる。
【0301】
[00310]一部の実施形態では、本開示は、本明細書において提供される方法を使用して得られる非天然膵β細胞またはその前駆体(例えば、ステージ5後に得られたNKX6.1陽性、PDX1陽性、インスリン陽性細胞)の凍結保存に関する。一部の実施形態では、非天然の膵β細胞を含む細胞集団は、凍結保存によって保存することができる。例えば、非天然のβ細胞を含む細胞集団、例えば、一部の事例では、ステージ6細胞は、細胞懸濁液、例えば、単一細胞の懸濁液中に分離されてもよく、細胞懸濁液は、凍結保存、例えば、凍結保存液中に凍結することができる。細胞の分離は、本明細書に与えられる技法のいずれか、例えば、酵素処理によって行うことができる。細胞は、最高-20℃、最高-30℃、最高-40℃、最高-50℃、最高-60℃、最高-70℃、最高-80℃、最高-90℃、最高-100℃、最高-110℃、最高-120℃、最高-130℃、最高-140℃、最高-150℃、最高-160℃、最高-170℃、最高-180℃、最高-190℃、または細胞は最高-200℃の温度で凍結することができる。一部の事例では、細胞は、約-80℃の温度で凍結される。一部の事例では、細胞は、約-195℃の温度で凍結される。凍結保存に必要とされる低温をもたらすために、以下に限定されないが、電気冷凍庫、固体二酸化炭素、および液体窒素などの任意の冷却方法を使用することができる。一部の事例では、カスタムメイドと市販の溶液の両方を含む、当業者にとって利用可能な任意の凍結保存溶液を、低温での保存用に細胞をインキュベートするために使用することができる。例えば、凍結保護物質を含有する溶液を使用してもよい。凍結保護物質は、細胞を凍結による損傷から保護するために構成される薬剤であり得る。例えば、凍結保護物質は、凍結保存溶液のガラス転移温度を低下させることができる物質であり得る。使用することができる例示的な凍結保護物質として、DMSO(ジメチルスルホキシド)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール)、デキストラン(例えば、デキストラン-40)、およびトレハロースが挙げられる。他の作用のために、追加の薬剤を凍結保存溶液に添加してもよい。一部の事例では、市販の凍結保存溶液、例えば、FrostaLife(商標)、pZerve(商標)、Prime-XV(登録商標)、Gibco Synth-a-Freeze Cryopreservation Medium、STEM-CELLBANKER(登録商標)、CryoStor(登録商標) Freezing Media、HypoThermosol(登録商標) FRS Preservation Media、およびCryoDefend(登録商標) Stem Cells Mediaを本明細書において提供される方法において使用することができる。
【0302】
[00311]分化プロセスの間に、細胞を本明細書で提供される照射処置に供することができる。一部の事例では、ステージ6における細胞集団、例えば、インスリン陽性内分泌細胞から膵β細胞へと分化される細胞を有する細胞集団または細胞クラスターは、一定期間照射される。一部の事例では、凍結保存からの回収後の再凝集後のステージ6の細胞集団は、一定期間照射される。一部の事例では、凍結保存された細胞(例えば、ステージ5の終わりに凍結保存された細胞)は、次の分化プロセスのために、解凍および回収前に、ある特定の期間照射される。
【0303】
[00312]一部の実施形態では、ステージ6細胞は、NKX6.1陽性、インスリン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、NKX6.1陽性、インスリン陰性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、C-ペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞またはステージ6細胞の特徴を有する細胞は、NS-GF培地、MCDB131培地、DMEM培地、またはCMRL培地中でインキュベートされる。一部の実施形態では、ステージ6細胞、またはステージ6細胞の特徴を有する細胞は、ビタミンもしくは抗酸化剤(例えば、ビタミンC)、ヒト血清アルブミンタンパク質、TGF-ベータ経路阻害剤(例えば、ALK5阻害剤II)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤(例えば、LDN193189)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤(例えば、チアゾビビン)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、DZNEP)、およびプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)のうちの1つまたは複数と接触させられる。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、PKC活性化剤(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第20210214690A1号を参照されたい)と接触される。一部の実施形態では、ステージ6の細胞は、PKC活性化剤と接触されない。
【0304】
[00313]一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団および脂質を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を脂質と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、脂質は飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸はパルミチン酸塩である。一部の実施形態では、脂質は不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、非飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。
【0305】
[00314]一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団およびMCDB 131を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団をMCDB 131と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団およびDMEM/F12を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団をDMEM/F12と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団および亜鉛を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を亜鉛と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団およびZnSO4を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団をZnSO4と接触させる方法を提供する。
【0306】
[00315]一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団および少なくとも1つの代謝産物を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を少なくとも1つの代謝産物と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、グルタミン酸塩、酢酸塩、b-ヒドロキシブタレート(hydroxybutarate)、L-カルニチン、タウリン、ギ酸塩、またはビオチンである。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団、およびグルタミン酸塩、酢酸塩、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ギ酸塩、またはビオチンのうちの1、2、3、4、5、6または7個を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団をグルタミン酸塩、酢酸塩、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ギ酸塩、またはビオチンのうちの1、2、3、4、5、6または7個と接触させる方法を提供する。
【0307】
[00316]一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団および少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を少なくとも1つのアミノ酸と接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタミン酸塩、グリシン、プロリン、スレオニン、またはトリプトファンである。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、グルタミン酸塩、グリシン、プロリン、スレオニン、またはトリプトファンである。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団および少なくとも1つのビタミンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を少なくとも1つのビタミンと接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである。
【0308】
[00317]一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、インスリン陽性細胞の集団を少なくとも1つのビタミンと接触させる方法を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、またはそれらの誘導体のいずれかである。
【0309】
分化因子
[00318]本開示の態様は、前駆細胞(例えば、幹細胞、例えば、iPS細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞)を、1つまたは複数のβ細胞分化因子と接触させて、例えば、インスリン陽性内分泌細胞の成熟または他の前駆細胞の、SC-β細胞(例えば、成熟膵β細胞)への分化を誘導するステップに関する。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、多能性細胞(例えば、iPSCまたはhESC)の胚体内胚葉細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載した方法に従って、原腸管細胞の、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載した方法に従って、PDX1陽性、NKX6.1陰性膵前駆細胞の、NKX6-1陽性膵前駆細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載した方法に従って、NKX6-1陽性膵前駆細胞の、インスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子(複数可)は、例えば、本明細書に記載される方法に従って、インスリン陽性の内分泌細胞のSC-β細胞への成熟を誘導することができる。
【0310】
[00319]本明細書に記載の少なくとも1つの分化因子は、単独で、または他の分化作用剤と組み合わせて使用し、本明細書に開示されている方法に従って、SC-β細胞を産生することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の分化因子は、SC-β細胞を産生する方法において使用される。
【0311】
形質転換成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリー
[00320]本開示の態様は、分化因子としての形質転換成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子の使用に関する。「TGF-βスーパーファミリー」は、公知のTGFβファミリーのメンバーの構造的および機能的特徴を有するタンパク質を意味する。タンパク質のTGFβファミリーとしては、TGFβシリーズのタンパク質、インヒビン(インヒビンAおよびインヒビンBを含む)、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、およびアクチビンABを含む)、MIS(ミュラー管阻害物質)、BMP(骨形成タンパク質)、dpp(デカペンタプレジック)、Vg-1、MNSF(モノクローナル非特異的抑制因子)などが挙げられる。このファミリーのタンパク質の活性は、様々な細胞型の特定の受容体への特異的結合に基づき得る。このファミリーのメンバーは、特にC末端において、それらの機能に相関する配列同一性の領域を共有することができる。TGFβファミリーは、100を超える別々のタンパク質を含むことができ、これらは全て、アミノ酸配列同一性の少なくとも1つの領域を共有する。本明細書に開示されている方法において使用することができるファミリーのメンバーとしては、以下のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されず、以下のタンパク質は、GenBank受託番号:P07995、P18331、P08476、Q04998、P03970、P43032、P55102、P27092、P42917、P09529、P27093、P04088、Q04999、P17491、P55104、Q9WUK5、P55103、O88959、O08717、P58166、O61643、P35621、P09534、P48970、Q9NR23、P25703、P30884、P12643、P49001、P21274、O46564、O19006、P22004、P20722、Q04906、Q07104、P30886、P18075、P23359、P22003、P34821、P49003、Q90751、P21275、Q06826、P30885、P34820、Q29607、P12644、Q90752、O46576、P27539、P48969、Q26974、P07713、P91706、P91699、P27091、O42222、Q24735、P20863、O18828、P55106、Q9PTQ2、O14793、O08689、O42221、O18830、O18831、O18836、O35312、O42220、P43026、P43027、P43029、O95390、Q9R229、O93449、Q9Z1W4、Q9BDW8、P43028、Q7Z4P5、P50414、P17246、P54831、P04202、P01137、P09533、P18341、O19011、Q9Z1Y6、P07200、Q9Z217、O95393、P55105、P30371、Q9MZE2、Q07258、Q96S42、P97737、AAA97415.1、NP-776788.1、NP-058824.1、EAL24001.1、1 S4Y、NP-001009856.1、NP-1-032406.1、NP-999193.1、XP-519063.1、AAG17260.1、CAA40806.1、NP-1-001009458.1、AAQ55808.1、AAK40341.1、AAP33019.1、AAK21265.1、AAC59738.1、CAI46003.1、B40905、AAQ55811.1、AAK40342.1、XP-540364.1、P55102、AAQ55810.1、NP-990727.1、CAA51163.1、AAD50448.1、JC4862、PN0504、BAB17600.1、AAH56742.1、BAB17596.1、CAG06183.1、CAG05339.1、BAB17601.1、CAB43091.1、A36192、AAA49162.1、AAT42200.1、NP-789822.1、AAA59451.1、AAA59169.1、XP-541000.1、NP-990537.1、NP-1-002184.1、AAC14187.1、AAP83319.1、AAA59170.1、BAB16973.1、AAM66766.1、WFPGBB、1201278C、AAH30029.1、CAA49326.1、XP-344131.1、AA-148845.1、XP-1-148966.3、148235、B41398、AAH77857.1、AAB26863.1、1706327A、BAA83804.1、NP-571143.1、CAG00858.1、BAB17599.1、BAB17602.1、AAB61468.1、PN0505、PN0506、CAB43092.1、BAB17598.1、BAA22570.1、BAB16972.1、BAC81672.1、BAA12694.1、BAA08494.1、B36192、C36192、BAB16971.1、NP-034695.1、AAA49160.1、CAA62347.1、AAA49161.1、AAD30132.1、CAA58290.1、NP-005529.1、XP-522443.1、AAM27448.1、XP-538247.1、AAD30133.I、AAC36741.1、AAH10404.1、NP-032408.1、AAN03682.1、XP-509161.1、AAC32311.1、NP-651942.2、AAL51005.1、AAC39083.1、AAH85547.1、NP-571023.1、CAF94113.1、EAL29247.1、AAW30007.1、AAH90232.1、A29619、NP-001007905.1、AAH73508.1、AADO2201.1、NP-999793.1、NP-990542.1、AAF19841.1、AAC97488.1、AAC60038.1、NP989197.1、NP-571434.1、EAL41229.1、AAT07302.1、CAI19472.1、NP-031582.1、AAA40548.1、XP-535880.1、NP-1-037239.1、AAT72007.1、XP-418956.1、CAA41634.1、BAC30864.1、CAA38850.1、CAB81657.2、CAA45018.1、CAA45019.1、BAC28247.1、NP-031581.1、NP-990479.1、NP-999820.1、AAB27335.1、S45355、CAB82007.1、XP-534351.1、NP-058874.1、NP-031579.1、1REW、AAB96785.1、AAB46367.1、CAA05033.1、BAA89012.1、IES7、AAP20870.1、BAC24087.1、AAG09784.1、BAC06352.1、AAQ89234.1、AAM27000.1、AAH30959.1、CAGO1491.1、NP-571435.1、1REU、AAC60286.1、BAA24406.1、A36193、AAH55959.1、AAH54647.1、AAH90689.1、CAG09422.1、BAD16743.1、NP-032134.1、XP-532179.1、AAB24876.1、AAH57702.1、AAA82616.1、CAA40222.1、CAB90273.2、XP-342592.1、XP-534896.1、XP-534462.1、1LXI、XP-417496.1、AAF34179.1、AAL73188.1、CAF96266.1、AAB34226.1、AAB33846.1、AAT12415.1、AA033819.1、AAT72008.1、AAD38402.1、BAB68396.1、CAA45021.1、AAB27337.1、AAP69917.1、AATI2416.1、NP-571396.1、CAA53513.1、AA033820.1、AAA48568.1、BAC02605.1、BAC02604.1、BAC02603.1、BAC02602.1、BAC02601.1、BAC02599.1、BAC02598.1、BAC02597.1、BAC02595.1、BAC02593.1、BAC02592.1、BAC02590.1、AAD28039.1、AAP74560.1、AAB94786.1、NP-001483.2、XP-528195.1、NP-571417.1、NP-001001557. I、AAH43222.1、AAM33143.1、CAG10381.1、BAA31132.1、EAL39680.1、EAA12482.2、P34820、AAP88972.1、AAP74559.1、CAI16418.1、AAD30538.1、XP-345502.1、NP-1-038554.1、CAG04089.1、CAD60936.2、NP-031584.1、B55452、AAC60285.1、BAA06410.1、AAH52846.1、NP-031580.1、NP-1-036959.1、CAA45836.1、CAA45020.1、Q29607、AAB27336.1、XP-547817.1、AAT12414.1、AAM54049.1、AAH78901.1、AA025745.1、NP-570912.1、XP-392194.1、AAD20829.1、AAC97113.1、AAC61694.1、AAH60340.1、AAR97906.1、BAA32227.1、BAB68395.1、BAC02895.1、AAWS 1451.1、AAF82188.1、XP-544189.1、NP-990568.1、BAC80211.1、AAW82620.1、AAF99597.1、NP-571062.1、CAC44179.1、AAB97467.1、AAT99303.1、AAD28038.1、AAH52168.1、NP-001004122.1、CAA72733.1、NP-032133.2、XP-394252.1、XP-224733.2、JH0801、AAP97721.1、NP-989669.1、S43296、P43029、A55452、AAH32495.1、XP-542974.1、NP-032135.1、AAK30842.1、AAK27794.1、BAC30847.1、EAA12064.2、AAP97720.1、XP-525704.1、AAT07301.1、BAD07014.1、CAF94356.1、AAR27581.1、AAG13400.1、AAC60127.1、CAF92055.1、XP-540103.1、AA020895.1、CAF97447.1、AAS01764.1、BAD08319.1、CAA10268.1、NP-998140.1、AAR03824.1、AAS48405.1、AAS48403.1、AAK53545.1、AAK84666.1、XP-395420.1、AAK56941.1、AAC47555.1、AAR88255.1、EAL33036.1、AAW47740.1、AAW29442.1、NP-722813.1、AARO8901.1、AAO 15420.2、CAC59700.1、AAL26886.1、AAK71708.1、AAK71707.1、CAC51427.2、AAK67984.1、AAK67983.1、AAK28706.1、P07713、P91706、P91699、CAG02450.1、AAC47552.1、NP-005802.1、XP-343149.1、AW34055.1、XP-538221.1、AAR27580.1、XP-125935.3、AAF21633.1、AAF21630.1、AAD05267.1、Q9Z1 W4、NP-1-031585.2、NP-571094.1、CAD43439.1、CAF99217.1、CAB63584.1、NP-722840.1、CAE46407.1、XP-1-417667.1、BAC53989.1、BAB19659.1、AAM46922.1、AAA81169.
1、AAK28707.1、AAL05943.1、AAB17573.1、CAH25443.1、CAG10269.1、BAD16731.1、EAA00276.2、AAT07320.1、AAT07300.1、AAN15037.1、CAH25442.1、AAK08152.2、2009388A、AAR12161.1、CAGO1961.1、CAB63656.1、CAD67714.1、CAF94162.1、NP-477340.1、EAL24792.1、NP-1-001009428.1、AAB86686.1、AAT40572.1、AAT40571.1、AAT40569.1、NP-033886.1、AAB49985.1、AAG39266.1、Q26974、AAC77461.1、AAC47262.1、BAC05509.1、NP-055297.1、XP-546146.1、XP-525772.1、NP-060525.2、AAH33585.1、AAH69080.1、CAG12751.1、AAH74757.2、NP-034964.1、NP-038639.1、042221、AAF02773.1、NP-062024.1、AAR18244.1、AAR14343.1、XP-228285.2、AAT40573.1、AAT94456.1、AAL35278.1、AAL35277.1、AAL17640.1、AAC08035.1、AAB86692.1、CAB40844.1、BAC38637.1、BAB16046.1、AAN63522.1、NP-571041.1、AAB04986.2、AAC26791.1、AAB95254.1、BAA11835.1、AAR18246.1、XP-538528.1、BAA31853.1、AAK18000.1、XP-1-420540.1、AAL35276.1、AAQ98602.1、CAE71944.1、AAW50585.1、AAV63982.1、AAW29941.1、AAN87890.1、AAT40568.1、CAD57730.1、AAB81508.1、AAS00534.1、AAC59736.1、BAB79498.1、AAA97392.1、AAP85526.1、NP-999600.2、NP-878293.1、BAC82629.1、CAC60268.1、CAG04919.1、AAN10123.1、CAA07707.1 AAK20912.1、AAR88254.1、CAC34629.1、AAL35275.1、AAD46997. I、AAN03842.1、NP-571951.2、CAC50881.1、AAL99367.1、AAL49502.1、AAB71839.1、AAB65415.1、NP-624359.1、NP-990153.1、AAF78069.1、AAK49790.1、NP-919367.2、NP-001192.1、XP-544948.1、AAQ18013.1、AAV38739.1、NP-851298.1、CAA67685.1、AAT67171.1、AAT37502.1、AAD27804.1、AAN76665.1、BAC11909.1、XP-1-421648.1、CAB63704.1、NP-037306.1、A55706、AAF02780.1、CAG09623.1、NP-067589.1、NP-035707.1、AAV30547.1、AAP49817.1、BAC77407.1、AAL87199.1、CAG07172.1、B36193、CAA33024.1、NP-1-001009400.1、AAP36538.1、XP-512687.1、XP-510080.1、AAH05513.1、1KTZ、AAH14690.1、AAA31526.1によって特定される。
【0312】
[00321]本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、天然に得ることができるかまたは組換え体であり得る。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンAを含む。用語「アクチビンA」は、アクチビンAの断片および誘導体を含み得る。アクチビンAの非限定的な例示的な配列を表1に列挙する。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、配列番号1の配列に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、配列番号2~15のいずれか1つの配列に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。
【0313】
[00322]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、成長分化因子8(GDF8)を含む。用語「GDF8」は、GDF8の断片および誘導体を含み得る。GDF8ポリペプチドの配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、ヒトGDF8ポリペプチド配列(GenBank受託EAX10880)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0314】
[00323]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、GDF8に密接に関連する成長因子、例えば、成長分化因子11(GDF11)を含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、ヒトGDF11ポリペプチド配列(GenBank受託AAF21630)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0315】
[00324]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子を模倣する薬剤と置き換えることができる。TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子を模倣する例示的な薬剤としては、限定されないが、IDE1およびIDE2が挙げられる。
【0316】
骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤
[00325]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのBMPシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。BMPシグナル伝達ファミリーは、TGF-βスーパーファミリーの多様なサブセットである(Sebaldら Biol. Chem. 385:697~710頁、2004年)。20種を超える公知のBMPリガンドは、3つの異なるII型(BMPRII、ActRIIa、およびActRIIb)および少なくとも3つのI型(ALK2、ALK3、およびALK6)受容体によって認識される。二量体のリガンドは、受容体ヘテロマーのアセンブリーを促進し、構成的に活性なII型受容体セリン/トレオニンキナーゼにI型受容体セリン/トレオニンキナーゼをリン酸化させる。活性化I型受容体は、BMP応答性(BR-)SMADエフェクター(SMAD1、5、および8)をリン酸化して、TGFシグナル伝達も促進するco-SMADであるSMAD4との複合体における核移行を促進する。さらに、BMPシグナルは、SMADに依存しない手法で、MAPK p38などの細胞内エフェクターを活性化し得る(Noheら Cell Signal 16:291~299頁、2004年)。可溶性BMPアンタゴニスト、例えば、ノギン、コーディン、グレムリン、およびフォリスタチンは、リガンド隔離によってBMPシグナル伝達を制限する。
【0317】
[00326]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、DMH-1、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、以下の化合物または以下の化合物の誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む:
【0318】
【0319】
[00327]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189(LDN193189、1062368-24-4、LDN-193189、DM 3189、DM-3189、IUPAC名:4-[6-(4-ピペラジン-1-イルフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]キノロンとしても公知)を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、以下の化合物または以下の化合物の誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む:
【0320】
【0321】
[00328]一部の事例では、DMH-1はLDN193189と比較してより選択的である。本開示の一部の実施形態では、DMH-1は本明細書で提供される方法に特に有用である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、LDN193189の使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、原腸管細胞からPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を産生するために、LDN193189、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントの使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、原腸管細胞からPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を産生するための、DMH-1、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントの使用に関する。
【0322】
[00329]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189の類似体または誘導体、例えば、LDN193189の塩、水和物、溶媒、エステル、またはプロドラッグを含む。一部の実施形態では、LDN193189の誘導体(例えば、塩)は、LDN193189ヒドロクロリドを含む。
【0323】
[00330]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2011/0053930号からの式Iの化合物を含む。
【0324】
TGF-βシグナル伝達経路阻害剤
[00331]本開示の態様は、細胞分化因子としてのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。
【0325】
[00332]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-β受容体I型キナーゼ(TGF-β RI)シグナル伝達を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2、RepSoxとしても公知であるTGF-B RIキナーゼのATP競合阻害剤、IUPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体である。
【0326】
[00333]一部の実施形態では、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体(「ALK5i」とも称される)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0021519号に記載されている式Iの化合物である。
【0327】
[00334]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2010/0267731号に記載されているTGF-β受容体阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2009/0186076号および同第2007/0142376号に記載されているALK5阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、A 83-01を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 431542を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、D 4476を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 788388を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、LY 364947を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、LY 580276を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 525334を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 505124を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SD 208を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 6604である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 6604ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 6604を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 788388を除外する。
【0328】
[00335]上記化合物のコレクションから、以下のものを様々な供給源から得ることができる:Sigma, P.O. Box 14508, St. Louis, Mo., 63178-9916から入手可能なLY-364947、SB-525334、SD-208、およびSB-505124;Calbiochem(EMD Chemicals, Inc.),480 S. Democrat Road, Gibbstown, N.J., 08027から入手可能な616452および616453;GlaxoSmithKline, 980 Great West Road, Brentford, Middlesex, TW8 9GS, United Kingdomから入手可能なGW788388およびGW6604;Lilly Research, Indianapolis, Ind. 46285から入手可能なLY580276;ならびにBiogen Idec, P.O. Box 14627, 5000 Davis Drive, Research Triangle Park, N.C., 27709-4627から入手可能なSM16。
【0329】
WNTシグナル伝達経路
[00336]本開示の態様は、細胞分化因子としてのWNTシグナル伝達経路の活性化剤の使用に関する。
【0330】
[00337]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021の誘導体、例えば、CHIR99021の塩、例えば、CHIR99021のトリヒドロクロリド、ヒドロクロリド塩を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、Wnt3a組換えタンパク質を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)阻害剤を含む。例示的なGSK3阻害剤としては、限定されないが、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC 693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびこれらのいずれかの類似体または誘導体が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、WNTシグナル伝達経路活性化剤を除外する。
【0331】
[00338]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、Wntシグナル伝達経路活性化剤を含まない。
[00339]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのWNTシグナル伝達経路の阻害剤の使用に関する。
【0332】
[00340]一部の実施形態では、WNTシグナル伝達阻害剤は、少なくとも1つのタンキラーゼ(TNKS)タンパク質の発現または活性を阻害するタンキラーゼ阻害剤である。一部の実施形態では、少なくとも1つのタンキラーゼタンパク質はタンキラーゼ1またはタンキラーゼ2である。一部の実施形態では、WNTシグナル伝達阻害剤は、タンニラーゼタンパク質のニコチンアミドサブサイトもしくはアデノシンサブサイト、またはその両方への基質の結合を阻害する。一部の実施形態では、タンキラーゼ阻害剤は、AZ6102、JW55、MN64、IWR-l-エンド、TC-E5001、WIKI4、TNKS22、TNKS49、2X-121(E7449)、XAV-939(XAV)、G007-LK.NVP-TNKS656、デセルノチニブ、(VX-509)、ビスモデギブ(GDC-0449)、IM-12、GSK429286A、INO-1001、オフロキサシン、TG101209、FG-4592、1-BET-762、LY2157299、MK-0752、Wnt-C59(C59)、MC1568、パクリチニブ(SB1518)、SB415286、ドロシノスタット、IWR-l-エンド、ノルフロキサシン、SH-4-54、ネクスツラスタットA、SB216763、UNCO79、デフネチン、GF109203X、RepSox、ソトラスタウリン、SB431542、トファシチニブ(CP-690550、タソシチニブ)、AG-14361、CI994(タセシナリン)、メシル酸Ro31-8220、レスベラトロール、NVP-TNKS656、またはYO-01027である。一部の実施形態では、上記タンキラーゼ阻害剤は、AZ6102、NVP-TNKS656、またはIWR-l-エンドである。一部の実施形態では、タンキラーゼ阻害剤はNVP-TNKS656(NVP)である。一部の実施形態では、タンニラーゼ阻害剤は、タンニラーゼ2よりもタンニラーゼ1を選択的に阻害する。一部の実施形態では、タンニラーゼ阻害剤は、タンニラーゼ1よりもタンニラーゼ2を選択的に阻害する。
【0333】
[00341]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、Wntシグナル伝達経路阻害剤を含まない。
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリー
[00342]本開示の態様は、細胞分化因子としてのFGFファミリーからの成長因子の使用に関する。
【0334】
[00343]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。KGFのポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトKGFポリペプチド配列(GenBank受託AAB21431)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、配列番号16の配列に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0335】
[00344]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの成長因子は、FGF2を含む。FGF2のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF2ポリペプチド配列(GenBank受託NP_001997)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0336】
[00345]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF8Bを含む。FGF8Bのポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF8Bポリペプチド配列(GenBank受託AAB40954)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0337】
[00346]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF10を含む。FGF10のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF10ポリペプチド配列(GenBank受託CAG46489)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0338】
[00347]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF21を含む。FGF21のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF21ポリペプチド配列(GenBank受託AAQ89444.1)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0339】
ソニックヘッジホッグ(SHH)シグナル伝達経路
[00348]本開示の態様は、細胞分化因子としてのSHHシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。
【0340】
[00349]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT2を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT3を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT4を含む。一部の実施形態では、SHHシグナル伝達経路阻害剤は、Cur61414を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、フォースコリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トマチジンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、AY9944を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トリパラノールを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、化合物Aまたは化合物Bを含む(米国特許出願公開第2004/0060568号に開示されている)。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2006/0276391号に開示されているヘッジホッグシグナル伝達にアンタゴナイズするステロイダルアルカロイド(例えば、シクロパミンまたはその誘導体)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、SHHシグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0341】
Rhoキナーゼ(ROCK)シグナル伝達経路
[00350]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのROCKシグナル伝達経路阻害剤(ROCK阻害剤)の使用に関する。
【0342】
[00351]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、Y-27632またはチアゾビビンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤はチアゾビビンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の例では、本明細書で提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、以下の化合物またはその誘導体を含む:
【0343】
【0344】
[00352]一部の事例では、本明細書で提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、以下の化合物またはその誘導体を含む:
【0345】
【0346】
[00353]本明細書において提供される方法および組成物において使用することができるROCK阻害剤の非限定的な例としては、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、H-1152、リパスジル、Y39983、Wf-536、SLx-2119、アザベンゾイミダゾール-アミノフラザン、DE-104、オレフィン、イソキノリン、インダゾール、およびピリジンアルケン誘導体、ROKα阻害剤、XD-4000、HMN-1152、4-(1-アミノアルキル)-N-(4-ピリジル)シクロヘキサン-カルボキサミド、Rhostatin、BA-210、BA-207、BA-215、BA-285、BA-1037、Ki-23095、VAS-012、ならびにキナゾリンが挙げられる。
【0347】
レチノイン酸シグナル伝達経路
[00354]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターの使用に関する。
【0348】
[00355]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の活性化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸受容体アゴニストを含む。本明細書において提供される方法および組成物における例示的なレチノイン酸受容体アゴニストとしては、限定されないが、CD 1530、AM 580、TTNPB、CD 437、Ch 55、BMS 961、AC 261066、AC 55649、AM 80、BMS 753、タザロテン、アダパレン、およびCD 2314が挙げられる。
【0349】
[00356]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の阻害剤を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEAB(IUPAC名:2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]3-プロパ-2-エニルベンズアルデヒド)を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEABの類似体または誘導体を含む。
【0350】
[00357]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、レチノイン酸受容体アンタゴニストを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるレチノイン酸受容体アンタゴニストは、(E)-4-[2-(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-フェニル-2-ナフタレニル)エテニル]安息香酸、(E)-4-[[(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-フェニルエチニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸、(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(2-ナフタレニル)-2-ナフタレニル]エテニル]-安息香酸、および(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(4-メトキシフェニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸受容体アンタゴニストは、BMS 195614(CAS番号253310-42-8)、ER 50891(CAS番号187400-85-7)、BMS 493(CAS番号170355-78-9)、CD 2665(CAS番号170355-78-9)、LE 135(CAS番号155877-83-1)、BMS 453(CAS番号166977-43-1)、またはMM 11253(CAS番号345952-44-5)を含む。
【0351】
[00358]ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターを除外する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤を除外する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0352】
プロテインキナーゼC活性化剤
[00359]本開示の側面は、細胞分化因子としてのプロテインキナーゼC活性化剤の使用に関する。プロテインキナーゼCは、プロテインキナーゼ酵素の最も大きなファミリーのうちの1つであり、種々のアイソフォームから構成される。従来のアイソフォームとしては、a、βI、βII、γが挙げられ;新規アイソフォームとしては、δ、ε、η、Θが挙げられ;および非典型的アイソフォームとしては、ξ、およびι/λが挙げられる。PKC酵素は、主にサイトゾルであるが、活性化されると膜に移動する。細胞質では、PKCは他のキナーゼによってリン酸化されるかまたは自己リン酸化される。活性化されるために、一部のPKCアイソフォーム(例えば、PKC-ε)は、ジアシルグリセロール(「DAG」)結合部位またはホスファチジルセリン(「PS」)結合部位に結合するために分子を必要とする。他のものは、いずれの二次的結合メッセンジャーも必要とせず活性化され得る。DAG部位に結合するPKC活性化剤としては、以下に限定されないが、ブリオスタチン、ピコローグ(picologue)、ホルボールエステル、アプリシアトキシン、およびグニジマクリンが挙げられる。PS部位に結合するPKC活性化剤としては、以下に限定されないが、多価不飽和脂肪酸およびその誘導体が挙げられる。単独でまたは1つまたは複数の他のβ細胞分化因子と組み合わせて、少なくとも1つのインスリンを産生する内分泌細胞またはその前駆体の、SC-β細胞への分化を誘導することが可能である任意のプロテインキナーゼC活性化剤を本明細書に記載の方法、組成物、およびキットにおいて使用することができることが企図される。
【0353】
[00360]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、PdBUを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、TPBを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、米国特許公開第20140315990A1号に記載されているように、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸ホスフェート、大環状ラクトン、DAG誘導体、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ホルモン、および成長因子活性化剤を含む。一部の実施形態では、ブリオスタチン(bryostain)は、ブリオスタチン-1、ブリオスタチン-2、ブリオスタチン-3、ブリオスタチン-4、ブリオスタチン-5、ブリオスタチン-6、ブリオスタチン-7、ブリオスタチン-8、ブリオスタチン-9、ブリオスタチン-10、ブリオスタチン-11、ブリオスタチン-12、ブリオスタチン-13、ブリオスタチン-14、ブリオスタチン-15、ブリオスタチン-16、ブリオスタチン-17、またはブリオスタチン-18を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、プロテインキナーゼC活性化剤を除外する。
【0354】
γ-セクレターゼ阻害剤
[00361]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのγ-セクレターゼ阻害剤の使用に関する。
【0355】
[00362]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるγ-セクレターゼ阻害剤は、XXIを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるγ-セクレターゼ阻害剤は、DAPTを含む。本明細書において提供される方法および組成物における追加の例示的なγ-セクレターゼ阻害剤としては、限定されないが、米国特許第7,049,296号、同第8,481,499号、同第8,501,813号、および米国特許公開第20140243374A1号に記載のγ-セクレターゼ阻害剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、γ-セクレターゼ阻害剤を除外する。
【0356】
甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤
[00363]本開示の態様は、β細胞分化因子としての甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の使用に関する。
【0357】
[00364]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、トリヨードチロニン(T3)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3またはGC-1の類似体または誘導体を含む。本明細書において提供される方法および組成物におけるT3の例示的な類似体としては、以下に限定されないが、選択的および非選択的甲状腺ホルモン模倣物(thyromimetic)、TRβ選択的アゴニスト-GC-1、GC-24、4-ヒドロキシ-PCB 106、MB07811、MB07344,3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニスト GC-1;3-ヨードチロナミン(T(1)AM)および3,3’,5-トリヨードサイロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシンの生物活性代謝産物(T(4)));KB-2115およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードサイロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードサイロ酢酸(Triac)(チロキシン[T4]およびトリヨードチロニン[T3]アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱炭酸化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3脱ヨウ素化による)、および3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3脱ヨウ素化およびアミノ酸脱炭酸化による)、ならびにTHの構造的類似体として、例えば、3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブルモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミン酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA)が挙げられる。
【0358】
[00365]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3のプロドラッグまたはプロホルモン、例えば、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)を含む。
【0359】
[00366]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,163,918号に記載されたヨードチロニン組成物である。
【0360】
上皮細胞成長因子(EGF)ファミリー
[00367]本開示の態様は、細胞分化因子としてのEGFファミリーからの成長因子の使用に関する。
【0361】
[00368]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、ベータセルリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、EGFを含む。上皮細胞成長因子(EGF)は、大きな膜内在性タンパク質前駆体からタンパク質分解によって切断された53アミノ酸のサイトカインである。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、バリアントEGFポリペプチド、例えば、米国特許第7,084,246号に開示されているように、ヒト野生型EGFポリペプチド配列に対して少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する単離された上皮細胞成長因子ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、米国特許第8,247,531号に開示されているように、EGF受容体に結合し、これをアゴナイズする、操作されたEGF突然変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、EGFファミリーのシグナル伝達経路を活性化する薬剤と置き換えられる。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、EGFを模倣する化合物を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、EGFファミリーからの成長因子を除外する。一部の実施形態では、本明細書に記載した組成物および方法において使用されるEGFファミリーからの成長因子は、ヒトベータセルリンアミノ酸配列(GenBank:AAB25452.1)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載した組成物および方法において使用されるEGFファミリーからの成長因子は、配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、またはその機能的断片を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載した組成物および方法において使用されるEGFファミリーからの成長因子は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
エピジェネティック修飾化合物
[00369]本開示の態様は、細胞分化因子としてのエピジェネティック修飾化合物の使用に関する。
【0367】
[00370]用語「エピジェネティック修飾化合物」は、遺伝子にエピジェネティクスを起こさせる、即ちDNA配列を変化させずに遺伝子の発現を変化させる化合物を意味し得る。エピジェネティクスは遺伝子がオンまたはオフされるかを決定することを助け、ある種の細胞、例えばβ-細胞におけるタンパク質の生成に影響することができる。DNAのメチル化およびヒストンの修飾等のエピジェネティック修飾はDNAの接近可能性およびクロマチンの構造を改変し、それにより遺伝子発現のパターンを規制することができる。これらのプロセスは成体生命体における独特の細胞系統の正常な発生および分化に重要であり得る。これらは外因性の影響によって修飾することができ、したがって表現型または病態表現型の環境的改変に寄与し得るか、またはその結果であり得る。重要なことに、エピジェネティック修飾は多能性遺伝子の規制において重要な役割を有し得、これは分化の間に不活性化される。非限定的なエピジェネティック修飾化合物の例には、DNAメチル化阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0368】
[00371]一実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はゼステホモログ2(EZH2)のエンハンサーの阻害剤である。EZH2はヒストン-リシン N-メチルトランスフェラーゼ酵素である。本明細書で提供される方法において使用できるEZH2阻害剤の非限定的な例には、3-デアザネプラノシンA(DZNep)、EPZ6438、EPZ005687(S-アデノシルメチオニン(SAM)競合的阻害剤)、EI1、GSK126、およびUNC1999が含まれる。DZNepは全てのタンパク質メチルトランスフェラーゼの生成物系阻害剤であるS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)の加水分解を阻害してSAHの細胞内濃度の上昇を導き、これが次にEZH2を阻害することができる。DZNepはEZH2に特異的ではなく、他のDNAメチルトランスフェラーゼをも阻害することができる。GSK126はEZH1の150倍の選択性を有するSAM競合性EZH2阻害剤である。UNC1999はGSK126の類似体であり、その相当物であるGSK126より選択性が低い。
【0369】
[00372]一実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepである。一実施形態では、HDAC阻害剤はクラスI HDAC阻害剤、クラスII HDAC阻害剤、またはそれらの組合せである。一実施形態では、HDAC阻害剤はKD5170(メルカプトケトン系HDAC阻害剤)、MC1568(クラスIIa HDAC阻害剤)、TMP195(クラスIIa HDAC阻害剤)、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、HDAC阻害剤はボリノスタット、ロミデプシン(Istodax)、チダミド、パノビノスタット(ファリダク)、ベリノスタット(PXD101)、パノビノスタット(LBH589)、バルプロ酸、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、SB939、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、HBI-8000(ベンザミドHDI)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、ME-344、スルホラファン、またはそれらの任意の変異体である。
【0370】
[00373]例示的なヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤としては、以下に限定されないが、例えば、3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep-(1S,2R,5R)-5-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3-(ヒドロキシメチル)シクロペンタ-3-エン-1,2-ジオール);Bix-01294、UNC0638、BRDD4770、EPZ004777、AZ505、PDB4e47、アルプロ酸(alproic acid)、ボリノスタット、ロミデプシン、エンチノスタット、アベキシノスタット、ジビノスタット、およびモセチノスタット、ブチレート、セリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)ファミリーの成員が挙げられ得る。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepである。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、以下の構造を有する:
【0371】
【0372】
[00374]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は、約0.1~110nΜ、0.1~100nM、または0.1~50nMである。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は約100nMである。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepであり、阻害剤の濃度は約100nMである。
【0373】
[00375]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は、約0.01μM、約0.025μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMであり得る。
【0374】
プロテインキナーゼ阻害剤
[00376]本開示の態様は、細胞分化因子としてのプロテインキナーゼ阻害剤の使用に関する。
【0375】
[00377]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンの類似体を含む。本明細書において提供される方法および組成物におけるスタウロスポリンの例示的な類似体としては、限定されないが、Ro-31-8220、ビシインドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、スタラログ(例えば、Lopezら、「Staurosporine-derived inhibitors broaden the scope of analog-sensitive kinase technology」、J. Am. Chem. Soc. 2013年;135(48):18153~18159頁を参照されたい。)、およびcgp41251が挙げられる。
【0376】
[00378]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、PKCβの阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、以下の構造を有するPKCβの阻害剤、または以下のような化合物の誘導体、類似体もしくはバリアントである:
【0377】
【0378】
[00379]一部の実施形態では、PKCβの阻害剤は、以下の構造を有するGSK-2化合物、または以下のような化合物の誘導体、類似体、またはバリアントである:
【0379】
【0380】
[00380]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKCの阻害剤は、ビスインドリルマレイミドである。例示的なビスインドリルマレイミドとしては、限定されないが、ビスインドリルマレイミドI、ビスインドリルマレイミドII、ビスインドリルマレイミドIll、ヒドロクロリド、またはその誘導体、類似体もしくはバリアントが挙げられる。
【0381】
[00381]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC阻害剤は、シュードヒペリシン、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントである。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC阻害剤は、インドルビン-3-モノオキシム(indorublin-3-monoximc)、5-ヨードまたはその誘導体、類似体、もしくはバリアントである。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、プロテインキナーゼ阻害剤を除外する。
【0382】
フォークヘッドボックスO1(FoxO1)阻害剤
[00382]本開示の態様は、分化因子としてのフォークヘッドボックスO1(FoxO1)阻害剤の使用に関する。一部の実施形態では、本明細書に記載した組成物および方法において使用されるFoxO1阻害剤は、式(XII):
【0383】
【0384】
の化合物
[00383]またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、プロドラッグ、組成物、もしくは混合物であり、式中、
R1は、水素、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または酸素保護基であり;
R2は、水素、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または窒素保護基であり;
R3の各々の例は、独立して、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または窒素保護基であるか;または任意選択で、R3の2つの例は、それらの介在原子と一緒になって、置換もしくは非置換のヘテロ環式または置換もしくは非置換のヘテロアリール環を形成し;
R4の各々の例は、独立して、ハロゲン、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、-ORc1、-NO2、-N(Rc2)2、-SRc1、-CN、または-SCNであり;
R5は、水素、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または窒素保護基であり;
R6の各々の例は、独立して、ハロゲン、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、-ORc1、-NO2、-N(Rc2)2、-SRc1、-CN、または-SCNであり;
Rc1は、水素、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、酸素原子に結合している場合の酸素保護基、または硫黄原子に結合している場合の硫黄保護基であり;
Rc2の各々の例は、独立して、水素、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または窒素保護基であるか;または任意選択で、Rc2の2つの例は、それらの介在原子と一緒になって、置換もしくは非置換のヘテロ環式または置換もしくは非置換のヘテロアリール環を形成し;
xは、0、1、または2であり;
yは、0または1であり、
zは、原子価が許す限り、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0385】
[00384]一部の実施形態では、化合物は、式(XII-A):
【0386】
【0387】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、プロドラッグ、組成物、もしくは混合物であり、式中、
R1は、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり;
R2は、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり;
R3の各々の例は、独立して、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり;
R4は、ハロゲン、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたアルケニルであり;
R5は、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0388】
[00385]一部の実施形態では、R1は水素である。一部の実施形態では、R2は、任意選択で置換されたアルキルである。一部の実施形態では、R2はエチルである。一部の実施形態では、R3の少なくとも1つの例は水素である。一部の実施形態では、R3の両方の例は水素である。一部の実施形態では、R4の少なくとも1つの例はハロゲンである。一部の実施形態では、R4の少なくとも1つの例はフッ素である。一部の実施形態では、xは1である。一部の実施形態では、R5は水素である。一部の実施形態では、yは1である。一部の実施形態では、zは0である。
【0389】
[00386]一部の実施形態では、化合物は、式(XII-B):
【0390】
【0391】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、プロドラッグ、組成物、もしくは混合物である。
[00387]一部の実施形態では、化合物はAS1842856である。
【0392】
[00388]一部の実施形態では、本明細書に記載した培地は、FoxO1阻害剤を含まない。
アセチルCoA関連代謝産物
[00389]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、培地)は、アセチルCoA関連代謝産物を含む。アセチルコエンザイムA(アセチルCoA)の代謝は、エネルギー生成、脂質合成、タンパク質のアセチル化を含む多くの代謝機能を付与することができる。
【0393】
[00390]例示的なアセチルCoA関連代謝産物としては、限定されないが、酢酸塩、ピルビン酸塩、ケトン性アミノ酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、トリプトファン、脂肪酸、CoA、イソバレリル-CoA、およびβ-ヒドロキシブチレートが挙げられる。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は酢酸塩である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、2つ以上の異なるアセチルCoA関連代謝産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上の異なるアセチルCoA関連代謝産物を含有する。一部の実施形態では、アセチルCoA関連代謝産物は酢酸塩である。
【0394】
[00391]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、アセチルCoA関連代謝産物を含まない(例えば、酢酸塩を含まない)。
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)
[00392]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)を含む。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)は、HDAC酵素の活性を阻害することにより、ヒストンタンパク質上のリジン残基ならびに他の非ヒストンタンパク質のアセチル化を増加させる化合物の一種である。
【0395】
[00393]例示的なヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)としては、限定されないが、β-ヒドロキシブチレート、酪酸、クラスI HDACi、クラスIIA HDACi、クラスIIB HDACi、クラスIII HDACi、クラスIV HDACi、HDAC-1、HDAC-2、HDAC-3、HDAC-4、HDAC-5、HDAC-6、HDAC-7、HDAC-8、HDAC-9、HDAC-10、HDAC-11、サーチュイン、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、ボリノスタット(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、SAHA、MK0683)、エンチノスタット(MS-275、SNDX-275)、パノビノスタット(LBH589、NVP-LBH589)、トリコスタチンA(TSA)、モセチノスタット(MGCD0103、MG0103)、GSK3117391(GSK3117391A、HDAC-IN-3)、BRD3308、BRD3308、ツバスタチンA TFA(ツバスタチンAトリフルオロ酢酸塩)、ツバスタチンA、SIS17、NKL22、BML-210(CAY10433)、TC-H 106、SR-4370、ベリノスタット(PXD101、NSC726630、PX-105684)、ロミデプシン(FK228、デプシペプチド、FR901228、NSC630176)、MC1568、ジビノスタット(ITF2357)、ダシノスタット(LAQ824、NVP-LAQ824)、CUDC-101、キシノスタット(JNJ-26481585)、プラシノスタット(SB939)、PCI-34051、ドロキシノスタット(NS41080)、アベキシノスタット(PCI-24781)、アベキシノスタット(PCI-24781、CRA-024781)、RGFP966、AR-42(HDAC-42)、リコリノスタット(ACY-1215、ロシリノスタット)、バルプロ酸ナトリウム塩(バルプロ酸ナトリウム)、タセジナリン(CI994、PD-123654、GOE-5549、アセチルジナリン)、フィメピノスタット(CUDC-907)、酪酸ナトリウム(NaB)、クルクミン、ジフェルロイルメタン、M344、ツバシン、RG2833(RGFP109)、RG2833(RGFP109)、レスミノスタット(RAS2410)、ジバルプロエクスナトリウム、スクリプタイド(GCK1026)、フェニル酪酸ナトリウム、シナピン酸(Sinapininc acid)(シナピン酸(Sinapic acid))、TMP269、サンタクルザメートA(CAY10683)、TMP195(TFMO2)、バルプロ酸(VPA)、UF010、タスキニモド(ABR-215050)、SKLB-23bb、イソグアノシン、ルフォラファン、BRD73954、シタリノスタット(ACY-241、HDAC-IN-2)、スベロヒドロキサム酸、プリトマイシン、HPOB、LMK-235、ビフェニル-4-スルホニルクロリド(p-フェニルベンゼンスルホニル、4-ヘニルベンゼンスルホニル、p-ビフェニルスルホニル)、ネクスツラスタットA、TH34、ツシジノスタット(キダミド、HBI-8000、CS-055)、(-)-パルテノイド、WT161、CAY10603、ACY-738、ラッドデアニンA、チノスタムスチン(EDO-S101)、ドマチノスタット(4SC-202)、およびBG45が挙げられる。
【0396】
[00394]一部の実施形態では、HDACiは、β-ヒドロキシブチレートである。β-ヒドロキシブチレートはケトン体であり、酪酸とともにGi/oカップリングしたGPCRであるヒドロキシカルボン酸受容体2(HCA2)のアゴニストである。一部の実施形態では、HDACi阻害剤は、ヒドロキシカルボン酸受容体2のアゴニストである。
【0397】
[00395]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、HDACiを含まない(例えば、β-ヒドロキシ酪酸塩を含まない)。
酸化還元ホメオスタシス調節剤
[00396]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、酸化還元ホメオスタシス調節剤を含む。
【0398】
[00397]例示的な酸化還元ホメオスタシス調節剤としては、限定されないが、タウリン、呼吸鎖調節物質、フリーラジカルスカベンジャー、ミトコンドリアタンパク質合成の制御因子、アリウム硫黄化合物、アントシアニン、ベータ-カロテン、カテキン、銅、クリプトキサンチン、フラボノイド、インドール、イソフラボノイド、リグナン、ルテイン、リコピン、アルファリポ酸、エラグ酸、マンガン、ポリフェノール、セレン、グルタチオン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、スーパーオキシドジスーターゼ、GSHPx、Prx-I、カタラーゼ、コエンザイムQ10が挙げられる。
【0399】
[00398]一部の実施形態では、酸化還元ホメオスタシス調節剤はタウリンである。
[00399]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、酸化還元ホメオスタシス調節剤を含まない。
【0400】
[00400]タウリンは非タンパク質性のβ-アミノスルホン酸であり、メチオニンおよびシステインの代謝に由来し得る。一部の実施形態では、タウリンは呼吸鎖内のROS産生を阻害することができる。
【0401】
[00401]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、酸化還元ホメオスタシス調節剤を含まない(例えば、タウリンを含まない)。
一炭素代謝経路中間体
[00402]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)は、一炭素代謝経路中間体を含む。葉酸塩補因子を介する一炭素代謝は、アミノ酸ホメオスタシス(メチオニン、グリシンおよびセリン)、ヌクレオチド(プリン、チミジン)の生合成、エピジェネティクスの維持、酸化還元防御を含む複数の生理学的プロセスを支える。
【0402】
[00403]例示的な一炭素代謝経路中間体としては、限定されないが、ギ酸塩、テトラヒドロ葉酸塩(THF)、10-ホルミルTHF;5,10-meTHF;5,10-meTHF;および10-ホルミルTHFが挙げられる。
【0403】
[00404]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、一炭素代謝経路中間体を含まない(例えば、ギ酸塩を含まない)。
グルタミン
[00405]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば培地)はグルタミンを含む。グルタミン(GlnまたはQ)はアルファ-アミノ酸である。グルタミンはin vitro細胞培養内では必須アミノ酸であり得る。グルタミンは、エネルギー需要が高く、大量のタンパク質や核酸を合成する細胞を含む、細胞の成長を支える。それは、急速に分裂する細胞、およびグルコースを非効率的に使用する細胞の代替エネルギー源である。
【0404】
[00406]一部の実施形態では、本開示の組成物および方法は、生物学的利用能が増加した形態のグルタミンを利用する。L-グルタミンは化学的に不安定であり、細胞の成長および機能にとって重要であるため、L-グルタミンの送達は、各々の固有の細胞培養プロセスに合わせて調整することが重要である。遊離型のグルタミン(例えば、L-グルタミン)は、液体培地中の生理的pHでは不安定であり、多くの細胞培養および生物製造用途で問題となる速度でアンモニウムおよびピログルタミン酸塩に分解される。したがって、多くの細胞培養培地には、アラニル-L-グルタミンおよびグリシル-L-グルタミンなどのジペプチド形態を含む、安定化形態のグルタミンが含有される。しかしながら、L-グルタミンのより安定な形態はまた、例えば、細胞表面ペプチダーゼなどの酵素によるプロセッシングが必要なため、生物学的利用能が制限されることがある。したがって、一部の実施形態では、本開示の組成物および方法は、生物学的利用能が増加した形態のグルタミン、例えば、遊離グルタミン形態、例えば、非ジペプチド形態、非アラニン-グルタミンジペプチド形態(例えば、非アラニル-L-グルタミン形態)、非グリシン-グルタミンジペプチド形態(例えば、非グリシル-L-グルタミン形態)、グルタミンが別のアミノ酸または安定化部分とコンジュゲートしていない形態、モノマー形態、遊離形態、またはそれらの組合せを利用する。一部の実施形態では、グルタミンはタンパク質加水分解物として提供される。
【0405】
[00407]一部の実施形態では、基礎培地はグルタミンを含有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される形態のグルタミンは、すでにグルタミンを含有する培地に添加される。一部の実施形態では、本明細書に開示される形態のグルタミンは、グルタミンを含有しないかまたは低レベルのグルタミンしか含まない基礎培地に添加されて、グルタミンの生物学的利用能を増加させる。
【0406】
[00408]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地はグルタミンを含まない。
グルタミン酸塩
[00409]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、培地)は、グルタミン酸塩(例えば、L-グルタミン酸塩)を含む。グルタミン酸塩は、例えば、g-アミノ酪酸(GABA)、オルニチン、2-オキソグルタル酸塩、グルコースまたはグルタチオンに変換され得る。グルタミン酸塩およびそこから産生される代謝産物は、例えば、酸化還元ホメオスタシス、細胞シグナル伝達、窒素同化、アミン異化、アミノ酸生合成、ヌクレオシド生合成、および補因子生成に寄与することができる。
【0407】
[00410]一部の実施形態では、細胞をグルタミン酸塩と接触させることは、例えば、グルタミン酸塩を欠くか、またはより低濃度のグルタミン酸塩を含有する組成物と比較して、in vitroでのSC-β細胞の生成を改善し、例えば、より高い細胞収率および回収率、SC-β細胞の数および相対的なパーセンテージの増加、SC-β細胞の安定性および保存性の増大、サイズの減少および均一性の改善などの有利な特徴を有するSC-膵島クラスター、in vitroでのSC-β細胞の機能の改善、細胞生存率の改善、細胞機能の改善、移植後の免疫原性の低減、またはそれらの組合せを提供することができる。
【0408】
[00411]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、グルタミン酸塩を含まない。
ビタミン
[00412]一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、培地)は、1つまたは複数のビタミンを含む。
【0409】
[00413]例示的なビタミンとしては、限定されないが、ビオチン、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6(ピリドキシン)およびビタミンB12(シアノコバラミン)が挙げられる。一部の実施形態では、ビタミンは脂肪酸合成を調節する。一部の実施形態では、ビタミンは分岐鎖アミノ酸代謝を調節する。一部の実施形態では、ビタミンはTCAサイクルの補因子として、例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼの補因子として調節または関与する。一部の実施形態では、ビタミンはビオチンである。一部の実施形態では、本開示の組成物は、2つ以上の異なるビタミン、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の異なるビタミンを含有する。
【0410】
[00414]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地はビタミンを含まない。
水溶性合成ポリマー
[00415]本明細書に記載される水溶性ポリマーは、親水性を有し、室温で水溶液に可溶な任意のポリマーを指す。水溶性ポリマーは、天然に存在するものであるかまたは合成のものであり得る。一部の実施形態では、水溶性ポリマーは、アルブミンタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンまたはウシ血清アルブミン)である。一部の実施形態では、水溶性ポリマーは、水溶性合成ポリマーである。本明細書に記載される水溶性合成ポリマーは、親水性特性を有し、室温で水溶液に可溶性である任意の合成ポリマーを指すことができる。主題の方法および組成物に適用可能な水溶性合成ポリマーには、限定されないが、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドが含まれる。水溶性合成ポリマーは、理想化された化学式を有することができるポリマー化合物またはポリマー化合物の混合物を指すことができるが、適用可能な製造方法に依存して、理想化された式の種々の誘導体および/または前駆体を指すことができる。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーは、細胞分化、例えば、膵β細胞またはそれらの前駆細胞の分化において典型的に利用される血清または血清アルブミン、例えば、BSAまたはHSAを少なくとも部分的に置換するために使用される。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーは、細胞分化、例えば、膵β細胞またはそれらの前駆細胞の分化に典型的に利用される血清アルブミン、例えば、BSAまたはHSAを100%置換する。一部の実施形態では、水溶性合成ポリマーは、血清アルブミン、例えば、BSAまたはHSAの量を、細胞分化、例えば膵β細胞またはその前駆細胞の分化において通常利用される量の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、または99%減少させる。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される任意の細胞(例えば、多能性幹細胞;内胚葉細胞;原腸細胞;PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;インスリン陽性細胞;および/または膵臓ベータ細胞)の集団を含む組成物、および水溶性ポリマーを提供し、組成物中の水溶性ポリマーの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、90%、95%または99%は、水溶性合成ポリマー(例えば、本明細書で開示されるPVA分子のいずれか)であり、残りの水溶性ポリマーはヒト血清アルブミンポリペプチドである。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される任意の細胞(例えば、多能性幹細胞;内胚葉細胞;原腸細胞;PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;インスリン陽性細胞;および/または膵臓ベータ細胞)の集団を含む組成物、ならびに水溶性ポリマーを提供し、水溶性ポリマーの1%、2%、3%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、50%、50%、60%、80%、90%、95%または99%以下は天然に存在する水溶性ポリマー(例えば、HSAまたはBSA)である。一部の実施形態では、組成物中の水溶性ポリマーの90%、95%、99%超、および最大100%は水溶性合成ポリマー(例えば、PVA)である。
【0411】
[00416]一部の実施形態では、主題の組成物および方法に適用可能な水溶性合成ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)を含む。本明細書に記載されるポリビニルアルコールは、理想化式[CH2CH(OH)]nを有する水溶性合成ポリマーを指すことができ、これは部分的または完全に加水分解することができる。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを部分的または完全に加水分解して酢酸塩基を除去することによって製造される。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、多くとも85%が加水分解され、例えば80%が加水分解されている。加水分解のパーセンテージは、ポリ酢酸ビニル前駆体ポリマー中で加水分解される酢酸残基のおよそのパーセンテージ(例えば、平均パーセンテージ)を測定する。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、少なくとも85%加水分解され、例えば、87~89%加水分解され、87~90%加水分解され、または99%加水分解される。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%加水分解される。ある種の理論に拘束されることを望まないが、ポリビニルアルコールは、培地中の担体-分子の機能を推定することができ、典型的には、血清または血清アルブミン、例えば、HSAによって行われる。ポリビニルアルコールの加水分解のパーセンテージは、ポリビニルアルコールを生成するために利用される製造方法、例えば、ポリビニルアセテート前駆体ポリマーがどのようにしてポリビニルアルコールに変換されるか、例えば、エタノールによる塩基触媒エステル交換による変換によって決定することができる。一部の実施形態では、主題の方法において使用されるか、または主題の組成物中に存在する水溶性合成ポリマー調製物、例えば、ポリビニルアルコールは、少なくとも90%、例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、またはほぼ100%の純度を有する。ポリビニルアルコールの純度は、任意のパーセンテージの加水分解のポリビニルアルコールを含む、調製中の理想化された式[CH2CH(OH)]nを有する合成ポリマーのパーセンテージを測定する。ポリビニルアルコール調製の不純物は、理想化された式[CH2CH(OH)]nを有さない他のポリマー材料、または他の有機無機材料を含むことができる。
【0412】
[00417]一部の実施形態では、本明細書に記載される培地は、水溶性合成ポリマーを含まない。
幹細胞由来のベータ細胞の細胞クラスター
[00418]一部の実施形態では、内因性の膵臓島の機能および特徴に類似した細胞クラスターが本明細書で提供される。このような細胞クラスターは、対象の代謝、例えば、グルコース代謝を調節する際に、内因性の膵臓島の機能を模倣することができる。したがって、細胞クラスターは、膵島機能不全に起因する疾患、例えば糖尿病を処置するために対象に移植することができる。用語「クラスター」と「凝集体」は互換的に用いることができ、細胞間が密接に接触している細胞群を指し、一部の事例では、クラスター内の細胞は互いに付着することができる。
【0413】
[00419]細胞クラスターは複数の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも200個、少なくとも500個、少なくとも750個、少なくとも1000個、少なくとも1500個、少なくとも2000個、少なくとも2500個、少なくとも3000個、少なくとも3500個、少なくとも4000個、少なくとも4500個、少なくとも5000個、少なくとも6000個、少なくとも7000個、少なくとも8000個、少なくとも9000個、少なくとも10,000個、少なくとも20,000個、少なくとも30,000個、または少なくとも50,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、10~10,000個、50~10,000個、100~10,000個、100~10,000個、1,000~10,000個、500~10,000個、500~5,000個、500~2、500個、500~2,000個、1,000~100,000個、1,000~50,000個、1,000~40,000個、1,000~20,000個、1,000~10,000個、1,000~5,000個、および1,000~3,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも500個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも1,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも2,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも5,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、100,000個以下、90,000個以下、80,000個以下、70,000個以下、60,000個以下、50,000個以下、40,000個以下、30,000個以下、20,000個以下、10,000個以下、7,000個以下、5,000個以下、3,000個以下、2,000個以下、または1,000個以下の細胞を含む。
【0414】
[00420]本明細書における細胞クラスターは、少なくとも1つの非天然細胞、例えば、非天然膵β細胞を含み得る。非天然細胞(例えば、非天然膵β細胞)は、内因性細胞(例えば、内因性成熟膵β細胞)の特徴を共有することができるが、ある特定の態様(例えば、遺伝子発現プロファイル)が異なる。非天然細胞は、遺伝子修飾された細胞であり得る。非天然細胞は、前駆細胞、例えば幹細胞から分化した細胞であり得る。幹細胞は、胚幹細胞(ESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)であり得る。一部の事例では、非天然細胞は、in vitroで前駆細胞から分化した細胞であり得る。一部の事例では、非天然細胞は、in vivoで前駆細胞から分化した細胞であり得る。例えば、細胞クラスターは、少なくとも1つの非天然膵臓β細胞を含むことができる。非天然膵β細胞は、それらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20150240212A1号および同第20150218522A1号に記載されるものであり得る。細胞クラスターは、複数の非天然膵β細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%の細胞が、非天然膵β細胞である。細胞クラスターは、1つまたは複数の天然細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、1つまたは複数の初代細胞、例えば、内因性膵島由来の初代細胞を含むことができる。
【0415】
[00421]細胞クラスターは、内因性細胞、例えば、内因性成熟膵β細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する1つまたは複数の細胞を含むことができる。用語「マーカー」は、観察または検出され得る分子を指し得る。例えば、マーカーは、以下に限定されないが、特定遺伝子の転写物などの核酸、遺伝子のポリペプチド産物、非遺伝子産物ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、糖脂質、脂質、リポタンパク質、または小分子が挙げられ得る。多くの例では、マーカーは、特定の細胞型に特徴的であり得る分子を指すことができ、その結果、マーカーは、細胞型のマーカーと呼ぶことができる。例えば、インスリン遺伝子は、β細胞のマーカーと称され得る。一部の事例では、マーカーは遺伝子である。内因性成熟膵β細胞の非限定的なマーカーとして、インスリン、C-ペプチド、PDX1、NKX6.1、CHGA、MAFA、ZNT8、PAX6、NEUROD1、グルコキナーゼ(GCK)、SLC2A、PCSK1、KCNJ11、ABCC8、SLC30A8、SNAP25、RAB3A、GAD2、およびPTPRNが挙げられる。
【0416】
[00422]細胞クラスターは、内因性細胞、例えば、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する1つまたは複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、内因性細胞、例えば、内因性成熟膵β細胞の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20個のマーカー(複数可)を共発現する1つまたは複数の細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、NKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含み、それらはともに、β細胞のマーカーであり得る。
【0417】
[00423]細胞クラスターは、内因性細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%の細胞が、内因性細胞の少なくとも1つのマーカーを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、内因性細胞のマーカーを発現することができる。一部の事例では、内因性細胞は、膵細胞、例えば、膵β細胞(単数)、膵α細胞、膵β細胞(複数)、膵δ細胞、または膵γ細胞であり得る。本明細書で提供される細胞クラスターは、細胞の不均一群、例えば、異なる型の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、膵β細胞のマーカーとなり得るインスリン/C-ペプチドを発現する細胞、膵α細胞のマーカーとなり得るグルカゴンを発現する細胞、膵δ細胞のマーカーとなり得るソマトスタチンを発現する細胞、膵ポリペプチドを発現する細胞、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0418】
[00424]例えば、本明細書における細胞クラスターは、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞が、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現することができる。
【0419】
[00425]細胞クラスターは、CHGAを発現する複数の細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞がCHGAを発現する。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約85%の細胞がCHGAを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約90%のCHGAを発現する細胞を含むことができる。一部の例では、細胞クラスターは、約95%のCHGAを発現する細胞を含むことができる。一部の例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、CHGAを発現することができる。
【0420】
[00426]細胞クラスターは、NKX6.1を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%の細胞が、NKX6.1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約50%の細胞がNKX6.1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、NKX6.1を発現することができる。
【0421】
[00427]細胞クラスターは、ISL1を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%の細胞が、NKX6.1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約50%の細胞が、ISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、ISL1を発現することができる。
【0422】
[00428]細胞クラスターは、C-ペプチドを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞が、C-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約60%の細胞が、C-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、C-ペプチドを発現することができる。
【0423】
[00429]細胞クラスターは、NKX6.1およびC-ペプチドの両方を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞が、C-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約40%の細胞が、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約60%のNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約75%のNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含むことができる。一部の例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。
【0424】
[00430]細胞クラスターは、NKX6.1およびISL1の両方を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約10%、20%、30%、35%、38%、40%、42%、44%、46%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約40%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約60%のNKX6.1およびISL1を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約75%のNKX6.1およびISL1を発現する細胞を含むことができる。一部の実例では、細胞クラスターにおける細胞は全て、NKX6.1およびISL1を発現することができる。
【0425】
[00431]細胞クラスターは、限られた比率のNKX6.1およびISL1の両方に関して陰性の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、多くとも2%、多くとも4%、多くとも6%、多くとも8%、多くとも10%、多くとも12%、多くとも14%、多くとも大16%、多くとも18%、多くとも20%、多くとも22%、多くとも22%、多くとも25%、または多くとも30%のISL1陰性、NKX6.1陰性細胞を含むことができる。
【0426】
[00432]細胞クラスターは、ごく少数の幹細胞または前駆細胞、例えば、膵前駆細胞を含むことができるか、またはそれらを全く含むことができない。例えば、本明細書で提供されるような細胞クラスターは、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%の細胞のLIN28を発現する細胞を含むことができるか、またはそれらを全く含むことができない。一部の事例では、本明細書で提供されるような細胞クラスターは、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%の細胞のKi67を発現する細胞を含むことができるか、またはそれらを全く含むことができない。
【0427】
[00433]一部の事例では、細胞クラスターは、多くとも3%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%のSOX2を発現する細胞を含むことができるか、またはそれらを含むことができない。一部の事例では、細胞クラスターは、約1%のSOX2を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約0.6%のSOX2を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約0.3%のSOX2を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約0.1%のSOX2を発現する細胞を含むことができる。
【0428】
[00434]一部の例では、細胞クラスターは、多くとも10%の細胞、多くとも約8%の細胞、多くとも約6%の細胞、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%のSOX9を発現する細胞を含むことができるか、またはそれらを含むことができない。一部の事例では、細胞クラスターは、約2%のSOX9を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約6%のSOX9を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約1.2%のSOX9を発現する細胞を含むことができる。
【0429】
[00435]本明細書における細胞クラスターは、グルコースチャレンジ(複数可)に曝露された場合にin vitroで1つまたは複数のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答(複数可)を提示することができる。GSIS応答は、内因性膵島のGSIS応答に類似している可能性がある。一部の事例では、細胞クラスターは、グルコースチャレンジに対してin vitro GSIS応答を提示する。一部の事例では、細胞クラスターは、逐次グルコースチャレンジなどの複数のグルコースチャレンジに対してin vitro GSIS応答を示す。例えば、細胞クラスターは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10回の逐次グルコースチャレンジに対して、in vitro GSIS応答を提示し得る。
【0430】
[00436]本明細書で提供されるような細胞クラスターは、in vitro GSISを提示する少なくとも1つの細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも1つの細胞は、成熟膵β細胞と称され得る。一部の事例では、少なくとも1つの細胞は、非天然膵β細胞である。一部の事例では、少なくとも1つの細胞は、天然/内因性β細胞に類似した膵β細胞である。一部の事例では、細胞は、in vitroグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を提示する。一部の事例では、少なくとも1つの細胞は、少なくとも1回のグルコースチャレンジに対してGSIS応答を提示する。一部の事例では、細胞は、少なくとも2回の逐次グルコースチャレンジに対してGSIS応答を提示する。一部の例では、細胞は、少なくとも3回の逐次グルコースチャレンジに対してGSIS応答を提示する。
【0431】
[00437]本明細書で提供されるように、細胞クラスターは、内因性膵島に類似したGSIS刺激指数を提示することができる。細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、低グルコース濃度と比較した、高グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンの割合によって特徴付けることができる。例えば、本明細書で提供されるような細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、20mMのグルコース刺激に応答して分泌されるインスリン対2.8mMのグルコース刺激に応答して分泌されるインスリンの比として算出することができる。一部の例では、本明細書で提供されるような細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、1よりも大きいかもしくは1に等しく、または1.1よりも大きいかもしくは1.1に等しく、または1.3よりも大きいかもしくは1.3に等しく、または2よりも大きいかもしくは2に等しく、または2.3よりも大きいかもしくは2.3に等しく、または2.6よりも大きいかもしくは2.6に等しい。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、サイトカインに応答してサイトカイン誘導性アポトーシスを呈する。一部の事例では、サイトカインは、インターロイキンβ(IL-β)、インターフェロン-γ(INF-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞からのインスリン分泌は、抗糖尿病薬に応答して増強される。一部の事例では、抗糖尿病薬は、インクレチン模倣物、スルホニル尿素、メグリチニド、およびそれらの組合せからなる群から選択される分泌促進薬を含む。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞はモノホルモナルである。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、内因性成熟膵β細胞の形態に類似した形態を呈する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似した、電子顕微鏡下のカプセル化された結晶性インスリン顆粒を呈する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、低い割合の複製を呈する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、内因性成熟膵β細胞のGSCFに類似したグルコース刺激Ca2+フラックス(GSCF)を提示する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも1回のグルコースチャレンジに対してGSCF応答を提示する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも2回のグルコースチャレンジに対してGSCF応答を提示する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも3回のグルコースチャレンジに対してGSCF応答を提示する。一部の事例では、細胞クラスターまたは細胞は、カルシウムフラックスの増加を提示する。一部の事例では、カルシウムフラックスの増加は、流入量または高グルコース濃度に対する低グルコース濃度での流入の割合の増加を含む。
【0432】
[00438]本明細書で提供されるような細胞クラスターは、内因性膵島、例えばヒト膵島に類似した高グルコース濃度刺激に応答して二相性インスリン分泌を提示することができる。二相性インスリン分泌は、内因性膵島、例えばヒト膵島に特徴的な現象であり得る。一部の実施形態では、高グルコース濃度チャレンジ、例えば、10mM、15mM、20mM、または30mMに対する応答して、本明細書で提供されるような細胞クラスター、例えば、再凝集した膵細胞クラスターは、ピーク値に至るインスリン分泌の一過性の増加、続く比較的上昇されたインスリン分泌レベル、例えば、より低いグルコース濃度に応答したインスリン分泌レベルよりも高いレベル、例えば、2.8mMのグルコースへの急速な減少を提示することができる。このような一過性の増加および減少プロセスは、二相性インスリン分泌パターンの第1段階と称され得る。したがって、持続的な高グルコースチャレンジで、第1段階は第2に続いてもよく、ここで、細胞クラスターによるインスリン分泌は、比較的高いレベルで維持することができる。第2段階は、長期間、例えば、高グルコース濃度チャレンジが続く限り、または第1段階よりも比較的長く続く可能性がある。このような二相性インスリン分泌パターンは、成熟天然膵β細胞に特徴的な固有の細胞シグナル伝達の変化に起因し得る。
【0433】
[00439]一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞集団および/または細胞クラスターのいずれも、健常な対照成体対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりもより低レベルのMAFAを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、健常対照成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高レベルでMAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、健常対照成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高レベルでSIX2、HOPX、IAPPおよび/またはUCN3を発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、MAFAを発現しないNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、MAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。
【0434】
[00440]一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞集団および/または細胞クラスターのいずれも、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、ここで、上記破壊は、上記遺伝子配列によってコードされたタンパク質の発現を減少または排除する。一部の実施形態では、上記細胞は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、上記破壊は、上記遺伝子配列によってコードされるタンパク質の発現を減少させるか、または除去する。一部の実施形態では、上記細胞は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、上記破壊は、上記遺伝子配列によってコードされるタンパク質の発現を減少させるか、または除去する。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、SC由来のベータ細胞、または本明細書に開示されるクラスターのいずれかにおける細胞のいずれか)は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、上記破壊は、上記遺伝子配列によってコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除外する。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの遺伝子配列は、MHC-クラスI遺伝子をコードする。一部の実施形態では、前記MHC-クラスI遺伝子は、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cをコードする。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの遺伝子配列は、CIITAをコードする。一部の実施形態では、細胞は、HLA-AおよびHLA-Bをコードする遺伝子におけるゲノム破壊を含むが、HLA-Cをコードする遺伝子におけるゲノム破壊を含まない。一部の実施形態では、前記細胞は、ナチュラルキラー細胞活性化リガンド遺伝子におけるゲノム破壊を含む。一部の実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞活性化リガンド遺伝子は、細胞間接着分子1(ICAM1)、CD58、CD155、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)、細胞接着分子1(CADM1)、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)、またはMHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)をコードする。一部の実施形態では、細胞は、遺伝子修飾されていない幹細胞と比較して、ベータ-2ミクログロブリン、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DQ、およびHLADRのうちの1つまたは複数の発現が減少している。一部の実施形態では、細胞は、遺伝子修飾されていない幹細胞と比較して、CD47、PDL1、HLA-G、CD46、CD55、CD59およびCTLAの発現が増加している。特定の実施形態では、本明細書に開示される膵島細胞(例えば、SC-ベータ細胞)は、健常対照対象由来の内因性膵島細胞と比較して、PDL1の発現が増加している。特定の実施形態では、本明細書に開示される膵島細胞(例えば、SC-ベータ細胞)は、健常対照対象由来の内因性膵島細胞と比較して、CD47の発現が増加している。一部の実施形態では、ゲノム破壊は、遺伝子編集システム、例えばCRISPR Cas技術の使用によって誘導される。
【0435】
[00441]一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれか)は、「安全スイッチ」を含む。一部の実施形態では、安全スイッチは、誘導的に細胞死を引き起こすかまたは細胞増殖を停止させるスイッチタンパク質をコードする核酸構築物である。一部の実施形態では、安全スイッチは、操作された細胞のゲノム中の、定義された特定の標的遺伝子座(例えば、セーフハーバー遺伝子座)に、通常は標的遺伝子座の両方の対立遺伝子に挿入される。一部の実施形態では、標的遺伝子座は、ActBまたはCLYBLなどのセーフハーバー遺伝子座である。一部の実施形態では、スイッチタンパク質は、臨床的に許容されるオルソログ小分子の有効量と接触させることによって活性化される。一部の実施形態では、活性化された場合、安全スイッチは、一部の実施形態では細胞のアポトーシスを活性化することによって、細胞の増殖を停止させる。一部の実施形態では、スイッチタンパク質はヘルペス-シンプレックス-チミジンキナーゼを含む。一部の実施形態では、スイッチタンパク質は、ヒトカスパーゼタンパク質、例えば、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ14などを含む。ある特定の実施形態では、タンパク質はヒトカスパーゼ9である。一部の実施形態では、カスパーゼタンパク質は、化学的に誘導された二量体化(CID)を提供する配列に融合され、二量体化はオルソログ活性化剤の存在下でのみ起こる。1つまたは複数のCIDドメインがカスパーゼタンパク質に融合され得、例えば、2つの異なるCIDドメインがカスパーゼタンパク質に融合され得る。一部の実施形態では、CIDドメインは、ラパマイシン類似体を用いて活性化される、mTORのFKBPまたはFRB(FKBP-ラパマイシン結合)ドメインの二量体化ドメインである。一部の実施形態では、安全スイッチは、国際出願公開第WO2021/173449号およびJonesら、2014年, Frontiers in Pharmacology, 5(254):1~8頁に記載される安全スイッチのいずれかであり、これらの各々はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0436】
[00442]対象に移植されると、細胞クラスターは、グルコースチャレンジ(複数可)に曝露された場合に1つまたは複数のin vivo GSIS応答を提示することができる。本明細書における細胞クラスターは、対象に移植された後の短期間内にin vivo GSIS応答を提示することが可能であり得る。例えば、細胞クラスターは、移植後の約6時間、12時間、または24時間以内にin vivo GSISを提示することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、移植後の約2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、21日、28日、35日、または42日以内にin vivo GSISを提示する。細胞クラスターによって分泌されたインスリンの量は、内因性膵島と同等であり得るか、またはそれよりも高くてもよい。本出願を通じて使用されるような参照数値に関する用語「約」は、その値からプラスまたはマイナス10%の値の範囲を含むことができる。例えば、量「約10」は、9から11までの量を含む。例えば、参照数値に関連する用語「約」はまた、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%の値の範囲を含むことができる。
【0437】
[00443]細胞クラスターは、対象に移植された後に一定期間、in vivo GSIS応答を提示する能力を維持することができる。例えば、細胞クラスターのin vivo GSIS応答は、細胞クラスターの、対象(例えばヒト)への移植後の最大少なくとも2週、3週、4週、5週、10週、15週、20週、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、2年、3年、4年、5年、10年、20年、30年、40年、60年、80年、または100年間観察することができる。
【0438】
[00444]細胞クラスターのGSISは、刺激指数によって測定することができる。細胞クラスターの刺激指数は、低グルコース濃度に応答して分泌されたインスリンと比較した、高グルコース濃度に応答して分泌されたインスリンの割合に同等であり得る。細胞クラスターは、内因性膵島と類似した刺激指数を有することができる。一部の例は、細胞クラスターは、少なくとも1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0の刺激指数を有する。
【0439】
[00445]グルコースチャレンジ(例えば、20mMなどの高濃度のグルコース)に応答した細胞クラスターによって分泌されたインスリンの量は、約0.1μIU/103の細胞~約5μIU/103の細胞、約0.2μIU/103の細胞~約4μIU/103の細胞、約0.2μIU/103の細胞~約3μIU/103の細胞、または約0.23μIU/103の細胞~約2.7μIU/103の細胞の範囲であり得る。一部の事例では、グルコースチャレンジ(例えば、20mMなどの高濃度のグルコース)に応答して細胞クラスターによって分泌されたインスリンの量は、少なくとも0.05、0.1、0.15、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3μIU/103の細胞である。
【0440】
[00446]細胞クラスターは、プロインスリンおよびインスリンの両方を分泌することができる。例えば、細胞クラスターは、内因性膵島によって分泌されたインスリンに対するプロインスリンの割合と実質的に同じプロインスリン対インスリンの割合でプロインスリンおよびインスリンを分泌することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約0.01~約0.05、約0.02~約0.04、約0.02~約0.03、または0.029~約0.031のプロインスリン対インスリンの割合でプロインスリンおよびインスリンを分泌する。一部の事例では、細胞クラスターは、約0.02、0.021、0.022、0.023、0.024、0.025、0.026、0.027、0.028、0.029、0.03、0.031、0.032、0.033、0.034、0.035、0.036、0.037、0.038、0.039、または0.04のプロインスリン対インスリンの割合でプロインスリンおよびインスリンを分泌する。
【0441】
[00447]細胞クラスターは、内因性の膵臓島に類似した大きさであり得る。例えば、細胞クラスターは内因性の膵臓島に類似した直径を有することができる。細胞クラスターの直径とは、細胞クラスターの表面上の2点間の最大の直線距離を指すことができる。一部の事例では、細胞クラスターの直径は、多くとも300μm、200μm、150μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、または40μmである。細胞クラスターの直径は、約75μm~約250μmであり得る。細胞クラスターの直径は、多くとも100μmであり得る。
【0442】
[00448]一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。
【0443】
[00449]一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約80~150、約100~150、約120~150、約140~150、約80~130、約100~130、約120~130、約80~120、約90~120、または約100~120μmの直径を有する。
【0444】
[00450]一部の実施形態では、細胞クラスターは、多くとも120、多くとも130、多くとも140、多くとも150、多くとも160、または多くとも170μmの平均または中央直径を有する。
【0445】
[00451]一部の実施形態では、細胞クラスターは、約80~150、約100~150、約120~150、約140~150、約80~130、約100~130、約120~130、約80~120、約90~120、または約100~120μmの平均または中央直径を有する。
【0446】
[00452]一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、150μm未満の直径を有する。
【0447】
[00453]一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%が、140μm未満の直径を有する。
[00454]一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%は、130μm未満の直径を有する。
【0448】
[00455]細胞クラスターは、ごく少数の死細胞を含むことができるか、またはそれらを全く含むことができない。細胞クラスターは、周囲の環境から細胞クラスターのコアへの分子(例えば、栄養および気体)の有効な拡散を可能にするサイズで存在し得る。拡散された分子は、コアにおける細胞の生存および機能にとって重要であり得る。一部の実例では、細胞クラスターは、死細胞、例えばそのコアにおいて約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%未満の死細胞を有することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、死細胞を全く有することができない。死細胞は、アポトーシス細胞、麻薬細胞(narcotic)、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0449】
[00456]細胞クラスターは、1つまたは複数の細胞型を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、1つまたは複数の膵細胞型を含む。例えば、細胞クラスターは、1つまたは複数の膵β細胞、膵α細胞、膵Δ細胞、膵γ細胞、およびそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の事例では、膵細胞は、非天然膵細胞、例えば、ESCおよび/またはiPS細胞などの幹細胞に由来する細胞であり得る。一部の事例では、細胞クラスターはまた、iPS細胞、ESC、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、Pdx1陽性膵前駆細胞、Pdx1陽性/NKX6.1陽性膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、およびそれらの任意の組合せを含む、成熟膵細胞の1つまたは複数の前駆細胞を含むことができる。
【0450】
[00457]一部の実施形態では、細胞クラスターは、サイトカインに応答してサイトカイン誘導性アポトーシスを呈することができる。例えば、細胞クラスターは、インターロイキン-1β(IL-β)、インターフェロン-γ(INF-γ)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、およびそれらの組合せなどのサイトカインに応答してサイトカイン誘導性アポトーシスを呈し得る。
【0451】
[00458]本明細書における細胞クラスターからのインスリン分泌は、抗糖尿病薬(例えば、ex vivo、in vitro、および/またはin vivoで膵β細胞に作用する抗糖尿病薬)によって増強され得る。本開示は、任意の既知の抗糖尿病薬を意図し得る。一部の実例では、細胞クラスターからのインスリン分泌は、分泌促進薬によって増強され得る。分泌促進薬は、インクレチン模倣物、スルホニル尿素、メグリチニド、およびそれらの組合せであり得る。
【0452】
[00459]細胞クラスターは、モノホルモナルを含むことができる。例えば、細胞クラスターは、モノホルモナルである膵細胞(例えば、膵β細胞(単数)、膵α細胞、膵β細胞(複数)、膵Δ細胞、または膵γ細胞)を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、モノホルモナルであるインスリン分泌非天然膵細胞を含む。細胞クラスターは、ポリホルモナルを含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、モノホルモナル細胞およびポリホルモナル細胞を含む。
【0453】
[00460]細胞クラスターは、内因性成熟膵β細胞の形態に類似した形態を有する細胞(例えば、非天然膵細胞)を含むことができる。一部の事例では、細胞クラスターは、例えば、電子顕微鏡によって検出されるような、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似した結晶性インスリン顆粒をカプセル化した細胞を含むことができる。細胞クラスターは、内因性成熟膵β細胞の形態に類似した形態を有する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の細胞が、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似した結晶性インスリン顆粒をカプセル化することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける100%の細胞が、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似した結晶性インスリン顆粒をカプセル化する。
【0454】
[00461]細胞クラスターは、1回または複数のグルコースチャレンジに対してグルコース刺激カルシウム(Ca2+)フラックスを提示することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、内因性膵島のGSCFに類似したグルコース刺激Ca2+フラックス(GSCF)を提示する。一部の例では、細胞クラスターは、複数のグルコースチャレンジに対する内因性膵島のGSCF応答に類似した様式で、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、または10回の逐次グルコースチャレンジに対してGSCF応答を提示する。細胞クラスターは、グルコースチャレンジに曝露された場合にin vitroおよび/またはin vivo GSCF応答を提示することができる。
【0455】
[00462]細胞クラスターは、任意の種に由来する細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、哺乳動物種由来の細胞を含むことができ、非限定的な例として、マウス、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒト細胞が挙げられる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも1つの細胞はヒト細胞である。
【0456】
[00463]本出願を通じて開示された細胞クラスターを含む組成物もまた、本明細書で提供される。細胞クラスターに加えて、組成物は、細胞クラスターを対象に移植するのに使用することができるスキャフォールドまたはマトリックスをさらに含むことができる。スキャフォールドは、細胞クラスターが接着するための構造を提供することができる。細胞クラスターは、スキャフォールドとともに対象に移植することができる。スキャフォールドは生分解性であり得る。一部の事例では、スキャフォールドは、生分解性ポリマーを含む。生分解性ポリマーはまた、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、および生分解性ポリウレタンなどの合成ポリマーであり得る。生分解性ポリマーは、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、および多糖類(例えば、アルギン酸塩、ヘパリン、および糖単位の他の天然に存在する生分解性ポリマー)などの天然ポリマーであってもよい。あるいは、スキャフォールドは、非生分解性であり得る。例えば、スキャフォールドは、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースおよびその誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびポリエチレンオキシドなどの非生分解性ポリマーを含むことができる。
【0457】
幹細胞由来のベータ細胞の細胞クラスターを作製するための解離した細胞組成物および方法
[00464]さらに、内因性組織または細胞クラスター、例えば、内因性膵島の機能および特徴に類似した細胞クラスターを作製する方法が本明細書で開示される。
【0458】
[00465]本方法は、第1の細胞クラスターを解離するステップと、解離した細胞を第2の細胞クラスターへ再凝集させるステップとを含むことができ、ここで、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、内因性組織または細胞クラスター、例えば、内因性膵島の機能および特徴により密接に類似している。用語「再凝集させること」およびその文法的等価物は本明細書で使用される場合、クラスターがより小さなクラスターまたは単一細胞に解離される場合に、解離した細胞が、新たな細胞間接触を形成し、新たなクラスターを形成することを指し得る。本方法は、a)第1の細胞クラスターから複数の細胞を解離するステップと、b)a)由来の複数の細胞を培地中で培養し、それにより複数の細胞が第2の細胞クラスターを形成するのを可能にするステップとによって、細胞クラスターをin vitroで生成するのに使用することができる。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、in vitro細胞クラスターである。第1の細胞クラスターは、in vitro細胞クラスター、例えば、培地中のin vitroでの単一細胞の懸濁液によって形成されたクラスターであり得る。一部の事例では、第1の細胞クラスターは、ex vivo細胞クラスター、例えば、生きた生物の体内で形成され、上記生物から単離された細胞クラスターであり得る。例えば、本明細書で提供される方法が適用可能である第1の細胞クラスターは、ヒト膵島であり得る。一部の事例では、第1の細胞クラスターは、死体膵島であり得る。一部の実施形態では、解離した細胞は、以前に凍結されていた。
【0459】
[00466]本明細書で提供される方法は、細胞クラスターにおける膵細胞、例えば、膵β細胞、内分泌細胞、または内分泌前駆細胞を濃縮することができる。一部の事例では、本方法は、幹細胞もしくは膵前駆細胞を細胞クラスターから減少または排除することができる。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より高いパーセンテージのクロモグラニンAを発現する細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より高いパーセンテージのNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より高いパーセンテージのNKX6.1およびISL1を発現する細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より低いパーセンテージのNKX6.1およびC-ペプチドにとって陰性の細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より低いパーセンテージのSOX2を発現する細胞を含む。一部の事例では、一部の事例では、第2のin vitro細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較した場合、より低いパーセンテージのSOX9を発現する細胞を含む。
【0460】
[00467]一部の事例では、培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤およびトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤を含む。一部の事例では、培地は、a)血清、およびb)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤およびTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の一方または両方を含む。一部の事例では、本明細書で提供されるような再凝集用の培地(再凝集培地)は、小分子化合物を含むことができない。例えば、再凝集培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、トリヨードチロニン(T3)を含まないか、またはほんの微量のT3を含むにすぎない。再凝集培地は、TGFβシグナル伝達経路阻害剤を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、Alk5阻害剤(Alk5i)を含まないか、またはほんの微量のAlk5iを含むにすぎない。
【0461】
[00468]一部の実施形態では、本明細書で開示される組成物および方法は、細胞が解離され、続いて再凝集された後の細胞回収率または終了を改善する。細胞回収率の増加は、生存細胞の数またはパーセンテージの増加を含み得る。細胞回収率の増加は、目的の集団(例えば、ISL1陽性およびNKX6.1陽性細胞または本明細書で開示される別の集団)の数またはパーセンテージの増加を含み得る。一部の実施形態では、細胞回収率の増加は、細胞を、本明細書で開示される薬剤の組合せと接触させた後に達成される。一部の実施形態では、細胞回収率は、細胞を解離に先立って薬剤と接触させた場合に増加する。一部の実施形態では、細胞回収率は、細胞を解離後に薬剤と接触させた場合に増加する。
【0462】
[00469]一部の実施形態では、解離前に存在する総生存細胞の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも60%が、再凝集後に評価した場合、例えば、解離の約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に、または解離されて凍結保存した細胞の解凍の約1日、2日、3日、日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に評価した場合に生存細胞として回収される。
【0463】
[00470]一部の実施形態では、本開示の方法によって得られた総生存細胞の収量は、本明細書で開示されるような薬剤または薬剤の組合せを利用しない方法と比較して、再凝集後に、例えば、解離の約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に、または解離されて凍結保存した細胞の解凍の約1日、2日、3日、日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に評価した場合に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍高い。一部の実施形態では、総生存細胞の収量は、細胞を、先のクラスターの解離に先立って本開示の薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。一部の実施形態では、総生存細胞の収量は、細胞を、先のクラスターの解離後に本開示の薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。
【0464】
[00471]一部の実施形態では、解離前に存在する本開示の集団の細胞(例えば、NKX6.1陽性およびISL1陽性細胞、または本明細書で開示される別の集団)の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも60%が、再凝集後に評価した場合、例えば、解離の約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に、または解離されて凍結保存した細胞の解凍の約1日、2日、3日、日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に評価した場合に生存細胞として回収される。
【0465】
[00472]一部の実施形態では、本開示の方法によって得られた本開示の集団の細胞(例えば、NKX6.1陽性およびISL1陽性細胞、または本明細書で開示される別の集団)の収量は、本明細書で開示されるような薬剤または薬剤の組合せを利用しない方法と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍高い。
【0466】
[00473]一部の実施形態では、本開示の方法によって得られた本開示の集団の細胞(例えば、NKX6.1陽性およびISL1陽性細胞、または本明細書で開示される別の集団)の収量は、本明細書で開示されるような薬剤または薬剤の組合せを利用しない方法と比較して、再凝集後に、例えば、解離の約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に、または解離されて凍結保存した細胞の解凍の約1日、2日、3日、日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、もしくは14日後に評価した場合に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍高い。一部の実施形態では、収量は、細胞を、先のクラスターの解離に先立って薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。一部の実施形態では、収量は、細胞を、先のクラスターの解離後に薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。
【0467】
[00474]一部の実施形態では、本明細書で開示される組成物および方法は、解離および再凝集後にNKX6.1およびISL1の両方を発現するクラスターにおける細胞のパーセントを増加させる。例えば、細胞クラスターにおける少なくとも約10%、20%、30%、35%、38%、40%、42%、44%、46%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞が、本明細書で開示されるような解離および再凝集後にNKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約38%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約40%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約45%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターにおける少なくとも約50%の細胞が、NKX6.1およびISL1を発現することができる。一部の実施形態では、NKX6.1およびISL1の両方を発現する再凝集されたクラスターにおける細胞のパーセントは、細胞を、先のクラスターの解離に先立って本開示の薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。一部の実施形態では、再凝集されたクラスターにおける細胞のパーセントは、細胞を、先のクラスターの解離後に本開示の薬剤または薬剤の組合せと接触させた場合に増加する。
【0468】
[00475]第1の細胞クラスターの解離は、当該技術分野において既知の方法を用いて実施することができる。細胞クラスターを解離する非限定的な例示的な方法として、物理的な力(例えば、細胞スクレーパー、狭口径ピペットによる粉砕、穿刺吸引、ボルテックス脱凝集および微細なナイロンまたはステンレス鋼メッシュに通した強制濾過などの機械的解離)、トリプシン、コラゲナーゼ、TrypLE(商標)などの酵素を用いた酵素解離、またはそれらの組合せが挙げられる。解離後、第1の細胞クラスター由来の細胞は、細胞懸濁液、例えば、単一細胞懸濁液中に存在し得る。用語「懸濁液」は本明細書で使用される場合、細胞が固体支持体に結合されていない細胞培養状態を指し得る。懸濁液中で増殖する細胞は、当業者に既知の装置を使用して増殖させながら撹拌することができる。
【0469】
[00476]一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、解離した細胞はNgn3陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞はPDX.1陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞はNKX6.1陽性である。一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびROCK阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくはH-1152、またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩、またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および亜鉛を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態で存在する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前述のいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および脂質を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、脂質は飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸はパルミチン酸塩である。一部の実施形態では、脂質は不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。
【0470】
[00477]本明細書で提供される組成物は、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されており、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されていない単離されたインスリン陽性内分泌細胞の相当する集団と比較して、モノグリセリド対遊離脂肪酸の割合の増加を示す、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が本明細書で提供される。
【0471】
[00478]in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されており、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されていない単離されたインスリン陽性内分泌細胞の相当する集団と比較して、遊離脂肪酸対モノグリセリドの割合の減少を示す、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物である。
【0472】
[00479]in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されており、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されていない単離されたインスリン陽性内分泌細胞の対応する集団と比較して、遊離脂肪酸のレベルの減少を示す、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が、本明細書で提供される。
【0473】
[00480]in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されており、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触されていない単離されたインスリン陽性内分泌細胞の相当する集団と比較して、モノグリセリドのレベルの増加を示す、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が、本明細書で提供される。
【0474】
[00481]インスリン陽性内分泌細胞の集団およびモノグリセリドリパーゼの、遊離脂肪酸への変換を阻害する薬剤を含む組成物が、本明細書で提供される。
[00482]一部の実施形態では、組成物は、血清アルブミンタンパク質をさらに含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が、細胞クラスターで存在する。一部の実施形態では、組成物は、TGF-β経路阻害剤を含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)、またはその誘導体である。一部の実施形態では、組成物は甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、組成物はROCK阻害剤を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンである。一部の実施形態では、組成物は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はデアザネプラノシンA塩酸塩である。一部の実施形態では、組成物は、プロテインキナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンである。一部の実施形態では、組成物はビタミンCを含む。特定の実施形態では、組成物はin vitroで存在する。一部の実施形態では、組成物は、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)を含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されていた。
【0475】
[00483]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%が、in vitroでの培養状態で11日後に生存可能である。
【0476】
[00484]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである。
【0477】
[00485]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%が、約80~150、約100~150、約120~150、約140~150、約80~130、約100~130、約120~130、約80~120、約90~120、または約100~120μmの直径を有する。
【0478】
[00486]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供すし、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターは、多くとも120、多くとも130、多くとも140、多くとも150、多くとも160、もしくは多くとも170μmの平均または中央直径を有する。
【0479】
[00487]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターは、約80~150、約100~150、約120~150、約140~150、約80~130、約100~130、約120~130、約80~120、約90~120、もしくは約100~120μmの平均または中央直径を有する。
【0480】
[00488]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、150μm未満の直径を有する。
【0481】
[00489]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、140μm未満の直径を有する。
【0482】
[00490]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、細胞クラスターの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、150μm未満の直径を有する。
【0483】
[00491]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供し、ここで、細胞クラスターはインスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも約10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を提示する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、C-ペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、ソマトスタチン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、グルカゴン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%が、in vitroでの培養状態で11日後に生存可能である。
【0484】
[00492]一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである。
【0485】
[00493]一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を提示する。一部の実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスター。一部の実施形態では、組成物は、本明細書で開示される方法のいずれかに従って調製される。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される細胞組成物のいずれかを含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、本開示は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法を提供し、本方法は、本明細書で開示される組成物のいずれかまたは本明細書で開示されるデバイスのいずれかを対象に投与するステップを含む。
【0486】
[00494]一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ROCK阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくはH-1152、またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞をヒス、トンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩、またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、亜鉛と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態で存在する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前述のいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、脂質と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、脂質は飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸はパルミチン酸塩である。一部の実施形態では、脂質は不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。
【0487】
[00495]一部の実施形態では、本方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質はヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が細胞クラスターで存在する。一部の実施形態では、本方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、TGF-β経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)、またはその誘導体である。一部の実施形態では、本方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、プロテインキナーゼ阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンである。一部の実施形態では、本方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビタミンCと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の解離されたインスリン陽性内分泌前駆細胞を、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)と接触させるステップを含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されていた。一部の実施形態では、本方法は、1~10日、1~9日、1~8日、1~7日、1~6日、1~5日、1~4日、1~3日、1~2日、2~10日、2~9日、2~8日、2~7日、2~6日、2~5日、2~4日、2~3日、3~10日、3~9日、3~8日、3~7日、3~6日、3~5日、3~4日、4~10日、4~9日、4~8日、4~7日、4~6日、または4~5日にわたって実施される。一部の実施形態では、本方法は、解離した細胞の、複数の細胞クラスターへの再凝集をもたらす。一部の実施形態では、複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%が、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%が生存可能である。一部の実施形態では、本方法は、解離した細胞の、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターへの再凝集をもたらす。
【0488】
[00496]一部の事例では、本明細書で提供される方法は、能動的な細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーを含まない。一部の事例では、本明細書に記載したような細胞クラスターは、選別されていない細胞クラスターであり得る。一部の事例では、本明細書で提供される方法は、第1の細胞クラスターにおける特定の細胞型の濃縮または排除のための能動的な細胞選別に依存しない。一部の事例では、方法は単に、第1の細胞クラスターを解離するステップと、第1の細胞クラスターから解離された複数の細胞を培地中で培養し、それにより第2の細胞クラスターの形成を可能にするステップとを要する。
【0489】
[00497]一部の事例では、本明細書で提供される方法は、細胞クラスターを解離し、複数回新たなクラスターへ再凝集させるのに適用することができる。例えば、第1の細胞クラスターは、本明細書で提供される方法に従って、解離および再凝集されて第2の細胞クラスターを形成することができ、第2の細胞クラスターは、さらに解離および再凝集されて第3の細胞クラスターを形成すること、などができる。本明細書で提供されるような再凝集は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回、細胞クラスターに対して順次実施することができる。
【0490】
[00498]本明細書に記載したような細胞選別は、細胞サイズ、形状(形態)、表面タンパク質発現、内因性シグナルタンパク質発現、またはそれらの任意の組合せの差に依存するステップによって、細胞群を複数の細胞から単離するプロセスを指し得る。一部の事例では、細胞選別は、細胞をフローサイトメトリーに付すステップを含む。フローサイトメトリーは、レーザーまたはインピーダンスベースの生物物理学的技術であり得る。フローサイトメトリー中に、細胞を液体流中に懸濁させ、それらを電子検出装置に通すことができる。フローサイトメトリーの1つのタイプである蛍光活性化細胞選別(FACS)では、細胞の光学特性の1つまたは複数のパラメーター(例えば、レーザー励起時の発光波長)に基づいて、フローサイトメトリーを使用して目的の細胞を物理的に分離し、それにより精製することができる。本明細書に記載したように、選別されていない細胞クラスターは、能動的な細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーを受けていない複数の細胞によって形成された細胞クラスターであり得る。一部の事例では「再凝集された細胞クラスター」と称される選別されていない細胞クラスターは、既存の細胞クラスターから解離された複数の細胞によって形成することができ、新たな細胞クラスターへのそれらの再凝集の前に、本明細書で提供されるように、再凝集のために1つまたは複数の特定の細胞型を単離するための能動的な細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーまたは他の方法は存在し得ない。一部の事例では、本明細書で論じたようなフローサイトメトリーは、細胞において発現された1つまたは複数のシグナルペプチドに基づき得る。例えば、細胞クラスターは、シグナルペプチド(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはtdTomato)を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、シグナルペプチドは、細胞におけるインスリン発現の指標として発現される。例えば、細胞クラスターは、インスリンプロモーターの制御下でGFPをコードする外因性核酸配列を有する細胞を含むことができる。インスリンプロモーターは、内因性または外因性のプロモーターであり得る。一部の事例では、これらの細胞におけるGFPの発現は、上記細胞におけるインスリン発現を示し得る。したがって、GFPシグナルは、膵β細胞のマーカーとなり得る。一部の事例では、本明細書に記載したような細胞選別は、磁気活性化フローサイトメトリーを含むことができ、ここで、磁気抗体または他のリガンドは、異なる細胞型を標識するのに使用され、磁気特性の差を、細胞選別に使用することができる。
【0491】
[00499]第1の細胞クラスターから解離された細胞は、第2の細胞クラスターへ再凝集させるために培地中で培養することができる。培地は、Connought Medical Research Laboratories 1066補充膵島培地(CMRLS)を含むことができる。一部の事例では、適切な培地は、CMRLSの構成成分(例えば、追加亜鉛)を含む。CMRLSは、例えば、血清(例えば、ヒト血清、ヒト血小板溶解物、ウシ胎児血清、またはノックアウト血清置換などの血清置換)を補うことができる。
【0492】
[00500]培地は、細胞におけるある特定のシグナル伝達経路を規制する1つまたは複数の化合物を含むことができる。例えば、培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、またはその両方を含むことができる。
【0493】
[00501]本明細書で使用される培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、トリヨードチロニン(T3)であり得る。一部の事例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3の類似体または誘導体であり得る。T3の非限定的な例示的な類似体として、選択的および非選択的甲状腺ホルモン模倣物(thyromimetic)、TRβ選択的アゴニスト-GC-1、GC-24、4-ヒドロキシ-PCB 106、MB07811、MB07344、3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニスト GC-1;3-ヨードチロナミン(T(1)AM)および3,3’,5-トリヨードサイロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシンの生物活性代謝産物(T(4)));KB-2115およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードサイロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードサイロ酢酸(Triac)(チロキシン(T4)およびトリヨードチロニン(T3)アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱炭酸化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3脱ヨウ素化による)、および3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3脱ヨウ素化およびアミノ酸脱炭酸化による)、ならびにTHの構造的類似体として、例えば、3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブルモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミン酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA)が挙げられる。一部の事例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3のプロドラッグまたはプロホルモン、例えば、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)である。甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,163,918号に記載されているヨードチロニン組成物であり得る。
【0494】
[00502]培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達活性化剤の濃度は、細胞凝集に適した範囲で存在し得る。一部の事例では、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、約0.1μM~約10μM、例えば、約0.5μM~約2μM、約0.8μM~約1.5μM、約0.9μM~約1.5μM、約0.9μM~約1.2μM、または約0.9μM~約1.2μMである。一部の事例では、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、少なくとも約0.1μM、0.2μM、0.4μM、0.8μM、0.9μM、1μM、1.1μM、1.2μM、1.3μM、1.4μM、1.5μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、または10μMである。一部の事例では、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3)の濃度は、約1μMである。
【0495】
[00503]本発明における培地中で使用されるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、TGF-β受容体I型キナーゼ(TGF-β RI)シグナル伝達の阻害剤であり得る。TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、アクチビン受容体様キナーゼ-5(Alk5)阻害剤、例えば、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2、TGF-β RIキナーゼのATP競合阻害剤、RepSoxとしても既知、IUPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)であり得る。一部の事例では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0021519号、同第2010/0267731号、同第2009/0186076号、および同第2007/0142376号に記載されるものを含む、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体である。一部の事例では、本明細書における培地中で使用することできるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の例としてはまた、D4476、SB431542、3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-lH-ピラゾール-1-カルボチオアミドとしても知られるA-83-01;2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-lH-ピラゾール-4-イル)-1,5-ナフチリジン、Wnt3a/BIO、BMP4、GW788388(-(4-[3-(ピリジン-2-イル)-lH-ピラゾール-4-イル]ピリドム-2-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ベンズアミド)、SMI 6、ΓΝ-1 130(3-((5-(6-メチルピリジン-2-イル)-4-(キノキサリン-6-イル)-lH-イミダゾール-2-イル)メチル)ベンズアミド)、GW6604(2-フェニル-4-(3-ピリジン-2-イル-lH-ピラゾール-4-イル)ピリジン)、SB-505124(2-(5-ベンゾ[l,3]ジオキソル-5-イル-2-tert-ブチル-3H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン塩酸塩)、SU5416、レルデリムマブ(CAT-152)、メテリムマブ(CAT-192)、GC-1008、ID1 1、AP-12009、AP-1 1014、LY550410、LY580276、LY364947、LY2109761、SD-208、SM16、NPC-30345、ΚI26894、SB-203580、SD-093、ALX-270-448、EW-7195、SB-525334、ΓΝ-1233、SKI2162、Gleevec、3,5,7,2’,4’-ペンタヒドロキシフィアボン(Morin)、アクチビン-M108A、P144、可溶性TBR2-Fc、ピリミジン誘導体およびインドリノンが挙げられる。TGF-β/アクチビン経路の阻害は、類似した効果を有し得る。したがって、TGF-β/アクチビン経路の任意の阻害剤(例えば、上流または下流)は、本明細書に記載したようなTGF-β/ALK5阻害剤と組み合わせて、またはTGF-/ALK5阻害剤の代わりに使用することができる。例示的なTGF-β/アクチビン経路阻害剤として、以下に限定されないが、TGF-β受容体阻害剤、SMAD2/3リン酸化の阻害剤、SMAD2/3およびSMAD4の相互作用の阻害剤、ならびにSMAD6およびSMAD7の活性化剤/アゴニストが挙げられる。さらに、本明細書に記載した分類は、単に組織的な目的のためのものであり、当化合物が経路内の1つまたは複数の点に影響を及ぼし得ること、したがって、化合物が1つよりも多い規定のカテゴリーで機能し得ることは当業者に理解されよう。TGF-β受容体阻害剤は、全般にTGFシグナル伝達の任意の阻害剤、またはTGF-β受容体(例えば、ALK5)阻害剤に特異的な阻害剤を含んでもよく、それらはTGF-β受容体に対する抗体、そのドミナントネガティブバリアント、ならびにその発現を抑制するsiRNAおよびアンチセンス核酸を含み得る。
【0496】
[00504]培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、細胞凝集に適した範囲で存在し得る。一部の事例では、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、約1μM~約50μM、例えば、約5μM~約15μM、約8μM~約12μM、または約9μM~約11μMである。一部の事例では、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、少なくとも約1μM、5μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、または50μMである。一部の事例では、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、Alk5阻害剤II)の濃度は、約10μMである。
【0497】
[00505]第1の細胞クラスターから解離された細胞を培養するのに使用される培地は、ゼノフリーであり得る。動物を起源とする細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物由来の産物を有することができない。一部の事例では、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いずれの非ヒト動物由来の産物も有することができない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎児血清(FBS)の代わりにヒト血小板溶解物(PLT)を含むことができる。例えば、培地は、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約12%、約9~約11%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、約10%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、小分子および/またはFBSを含まなくてもよい。例えば、培地は、2%のBSAを補ったMCDB131基礎培地を含むことができる。特定の実施形態では、培地は無血清である。一部の例では、培地は、外因性小分子またはシグナル伝達経路アゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、線維芽細胞成長因子ファミリーからの成長因子(FGF、例えば、FGF2、FGF8B、FGF10、またはFGF21)、ソニックヘッジホッグアンタゴニスト(例えば、Sant1、Sant2、Sant4、Sant4、Cur61414、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、シクロパミン、またはそれらの誘導体)、レチノイン酸シグナル伝達アゴニスト(例えば、レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHPB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、またはCD2314)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)の阻害剤(例えば、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、および14-1152)、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤(例えば、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、ブリオスタチン1、またはそれらの誘導体)、TGFベータスーパーファミリーのアンタゴニスト(例えば、Alk5阻害剤II(CAS 446859-33-2)、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、SB-505124、またはそれらの誘導体)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体の阻害剤(例えば、LDN193189またはそれらの誘導体)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3またはその誘導体)、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI、DAPT、またはそれらの誘導体)、TGF-βシグナル伝達経路の活性化剤(例えば、WNT3aまたはアクチビンA)、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子(例えば、ベータセルリンまたはEGF)、広範囲のキナーゼ(例えば、スタウロスポリンまたはその誘導体)、非必須アミノ酸、ビタミンまたは酸化防止剤(例えば、シクロパミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、またはそれらの誘導体)、あるいはN-アセチルシステイン、硫酸亜鉛、またはヘパリンのような他の添加物を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、外因性細胞外マトリックス分子を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、Matrigel(商標)を含まない。一部の事例では、再凝集培地は、他の細胞外マトリックス分子または材料、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにこれらの混合物、または、例えば、溶解された細胞膜調製物を含まない。
【0498】
[00506]当業者であれば、培地中に補ったBSAの濃度が必要に応じて変化し得ることを認識するであろう。例えば、培地(例えば、MCDB131)は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のBSAを含むことができる。特定の実施形態では、培地は、いかなるBSAも含まない。使用される培地(例えば、MCDB131培地)は、伝統的な基礎培地には見出されない構成成分、例えば、微量元素、プトレシン、アデニン、チミジン、ならびに高レベルの一部のアミノ酸およびビタミンを含有することができる。これらの添加物によって、培地を、非常に低いレベルの血清または規定された構成成分で補うことを可能とし得る。培地は、タンパク質および/または成長因子を含まなくてもよく、かつEGF、ヒドロコルチゾン、および/またはグルタミンを補ってもよい。
【0499】
[00507]培地は、1つまたは複数の細胞外マトリックス分子(例えば、細胞外タンパク質)を含んでもよい。培地中で使用される非限定的な例示的な細胞外マトリックス分子としては、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、バイグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンを挙げることができる。一部の事例では、培地は、ラミニン、例えば、LN-332を含む。一部の事例では、培地はヘパリンを含む。
【0500】
[00508]培地は、例えば、培地中の細胞に最適な環境を与えるために、培養中に定期的に交換することができる。再凝集のために第1の細胞クラスターから分離された細胞を培養する場合、培地は、少なくともまたは約4時間毎、12時間毎、24時間毎、48時間毎、3日毎もしくは4日毎に交換することができる。例えば、培地は、約48時間毎に交換することができる。
【0501】
[00509]第1の細胞クラスターから解離された細胞は、再凝集のために容器中に播種することができる。播種密度は、再凝集された第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。播種密度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島に類似し得るように制御することができる。一部の事例では、播種密度は、第2の細胞クラスターのサイズが約75μm~約250μmであり得るように制御される。第1の細胞クラスターから解離された細胞は、約10万細胞/mL~約1000万細胞/mLの密度で、例えば、約50万細胞/mL~約150万細胞/mL、約80万細胞/mL~約120万個の細胞/mL、約90万細胞/mL~約110万細胞/mL、約200万細胞/mL~約300万細胞/mLの密度で播種することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、1mLあたり約100万細胞の密度で播種することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、1mL当たり約150万細胞の密度で播種することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、1mL当たり約200万細胞の密度で播種することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、1mL当たり約250万細胞の密度で播種することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、1mL当たり約300万個細胞の密度で播種することができる。
【0502】
[00510]第1の細胞クラスターから解離された細胞は、培養ベッセル中で培養することができる。培養ベッセルは、細胞の培養の懸濁液を培養するのに適切であり得る。本明細書における細胞または細胞クラスターを培養するのに使用される培養ベッセルは、以下に限定されないが、その中で細胞を培養することが可能である限り、フラスコ、組織培養用フラスコ、シャーレ、ペトリ皿、組織培養用シャーレ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウェルプレート、マルチプレート、マルチウェルプレート、マイクロスライド、チャンバースライド、チューブ、トレイ、培養バッグ、およびローラーボトル、撹拌タンクバイオリアクター、またはポリマー(例えば、生体高分子またはゲル)カプセル化を挙げることができる。細胞および/または細胞クラスターは、培養の必要性に応じて、少なくともまたは約0.2ml、0.5ml、1ml、5ml、10ml、20ml、30ml、40ml、50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、500ml、600ml、800ml、1000ml、1500ml、2000ml、3000ml、またはその中の誘導可能な任意の範囲の容積で培養することができる。
【0503】
[00511]一部の事例では、細胞は、動的条件下(例えば、細胞が、懸濁培養下にある間、一定の動きまたは撹拌に供される条件下)で培養することができる。細胞を動的培養するために、細胞は、制御ユニットに接続され、よって、制御された培養系を提供することができる容器(例えば、スピナーフラスコ(例えば、200ml~3000ml、例えば、250mlの;100mlの;または125mlのエルレンマイヤー中の)などの非接着性容器)中で培養することができる。一部の事例では、細胞は、それらの増殖能力を維持しながら、非動的条件(例えば、静的培養)下で培養することができる。細胞を非動的培養するために、細胞は、接着性培養ベッセル中で培養することができる。接着性培養ベッセルは、ベッセル表面の細胞への接着性を改善するために、細胞外マトリックス(ECM)などの細胞接着のための基質のいずれかでコーティングされてもよい。細胞接着のための基質は、幹細胞またはフィーダー細胞を付着させることを意図する任意の材料(使用される場合)であり得る。細胞接着のための基質としては、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにそれらの混合物、例えば、Matrigel(商標)、ならびに溶解された細胞膜調製物が挙げられる。
【0504】
[00512]動的細胞培養ベッセル(例えば、スピナーフラスコ)中の培地は、撹拌され得る(例えば、スターラーによって)。スピン速度は、再凝集される第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。スピン速度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島に類似し得るように制御され得る。
【0505】
[00513]第1の細胞クラスターから解離された細胞は、それらが再凝集するのを可能にするために一定期間培養することができる。第1の細胞クラスターから解離された細胞は、少なくとも12時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、25日、または30日間培養することができる。一部の事例では、第1の細胞クラスターから解離された細胞は、少なくとも4日間培養することができる。
【0506】
[00514]本明細書における方法はまた、細胞クラスターにおける内因性細胞に類似した細胞、例えば、内因性成熟膵β細胞を濃縮するのに使用することができる。本方法は、第1の細胞クラスターを解離するステップと、細胞を第1のクラスターから第2のクラスターへ再凝集させるステップとを含み得る。第2のクラスターは、第1のクラスターと比較して、より多くの、内因性成熟膵β細胞に類似した細胞を含み得る。解離および再凝集は、本出願を通じて開示される任意の方法および試薬を使用して実施することができる。
【0507】
[00515]再凝集後、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より多くの、内因性細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する細胞を含み得る。例えば、第2のクラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より多くの、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカー、インスリン、C-ペプチド、PDX1、NKX6.1、CHGA、MAFA、ZNT8、PAX6、NEUROD1、グルコキナーゼ(GCK)、SLC2A、PCSK1、KCNJ11、ABCC8、SLC30A8、SNAP25、RAB3A、GAD2、およびPTPRNを含むマーカーを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2のクラスターは、より多くの、CHGAを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2のクラスターは、より多くの、NKX6.1を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2のクラスターは、より多くの、C-ペプチドを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2のクラスターは、より多くの、NKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2のクラスターは、より多くの、CHGA、NKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含み得る。
【0508】
[00516]再凝集後、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より小さいサイズ(例えば、より小さな直径)を有し得る。サイズが小さいほど、細胞クラスターと周囲の環境との間の分子のより良好な交換が可能となり得る。例えば、サイズが小さいほど、培地から細胞クラスターにおける細胞への分子(例えば、試薬、気体および/または栄養素)のより良好な拡散が可能となり得る。したがって、サイズが小さいと、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より効率的な様式で分子を周囲の環境と交換することができる。したがって、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より少ない死細胞(例えば、不十分な栄養素および/または気体に起因して死滅した細胞)を有することができる。
【0509】
[00517]本明細書で提供される方法は、内分泌細胞、例えば、クロモグラニンA(CHGA)を発現する細胞を濃縮することができる。例えば、クロモグラニンAを発現する第2の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージは、クロモグラニンAを発現する第1の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージよりも少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、または少なくとも1.5倍高い。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のCHGAを発現する細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターにおける少なくとも約85%の細胞がCHGAを発現することができる。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約90%のCHGAを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約95%のCHGAを発現する細胞を含み得る。ある特定の事例では、第2の細胞クラスターにおける細胞は全て、CHGAを発現することができる。
【0510】
[00518]本明細書で提供される方法は、膵β細胞を産生または濃縮することができる。例えば、第2の細胞クラスターは、少なくとも1つの膵β細胞、例えば、少なくとも1つの非天然膵β細胞を含む。例えば、NKX6.1およびC-ペプチドの両方を発現する第2の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージは、NKX6.1およびC-ペプチドの両方を発現する第1の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージよりも少なくとも1.5、少なくとも1.75、または少なくとも2倍高い。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含む。一部の事例では、第2の細胞クラスターにおける少なくとも約35%の細胞が、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、細胞クラスターは、約60%のNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約75%のNKX6.1およびC-ペプチドを発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターにおける細胞は全て、NKX6.1およびC-ペプチドを発現することができる。一部の事例では、第2の細胞クラスターにおける少なくとも1つの非天然膵β細胞の少なくとも約70%が、フローサイトメトリーによって測定された場合にクロモグラニンAを発現する。一部の事例では、第2の細胞クラスターにおける少なくとも1つの非天然膵β細胞の少なくとも約25%が、フローサイトメトリーによって測定された場合にNKX6.1およびC-ペプチドを発現する。
【0511】
[00519]本明細書で提供される方法は、膵内分泌細胞の幹細胞もしくは前駆細胞を減少または排除することができる。一部の事例では、SOX2を発現する第2の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージは、LIN28、Ki67、SOX2、またはSOX9を発現する第1の細胞クラスターにおける細胞のパーセンテージよりも少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、または少なくとも10倍低い。例えば、第2の細胞クラスターは、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%、多くとも約0.01%のLIN28を発現する細胞を含み得るか、またはそれらを全く含むことができない。一部の事例では、本明細書で提供されるような第2の細胞クラスターは、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%、多くとも約0.01%のKi67を発現する細胞を含み得るか、またはそれらを全く発現する細胞を含むことができない。例えば、第2の細胞クラスターは、多くとも3%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%の細胞、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%のSOX2を発現する細胞を含み得るか、またはそれらを全く含むことができない。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約1%のSOX2を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約0.6%のSOX2を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約0.3%のSOX2を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約0.1%のSOX2を発現する細胞を含み得る。例えば、第2の細胞クラスターは、多くとも10%の細胞、多くとも約8%の細胞、多くとも約6%の細胞、多くとも約5%の細胞、多くとも約2%の細胞、多くとも約1%の細胞、多くとも約0.5%、多くとも約0.1%の細胞、多くとも約0.05%の細胞、多くとも約0.01%のSOX9を発現する細胞を含み得るか、またはそれらを発現する細胞を全く含むことができない。一部の事例では、一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約2%のSOX9を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約6%のSOX9を発現する細胞を含み得る。一部の事例では、第2の細胞クラスターは、約1.2%のSOX9を発現する細胞を含み得る。
【0512】
[00520]第2の細胞クラスターはまた、第1の細胞クラスターと比較して、内因性膵島により類似して機能し得る。第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターよりも高いインスリン含有量、例えば、第1の細胞クラスターと比較した場合に、少なくとも1.1、少なくとも1.25または少なくとも1.5倍高いインスリン含有量を有し得る。第2のクラスターは、刺激指数によって測定された場合、第1の細胞クラスターよりも大きいin vitro GSISを提示することができる。第2のクラスターはまた、刺激指数によって測定された場合、第1の細胞クラスターよりも大きいin vivo GSISを提示することができる。一部の事例では、第2のクラスターは、刺激指数によって測定された場合、第1の細胞クラスターと比較して、より大きいin vitro GSISおよびより大きいin vivo GSISを提示することができる。例えば、第2の細胞クラスターは、同じ刺激条件下で、第1の細胞クラスターよりも多くのインスリンを分泌することができる。第2の細胞クラスターはまた、カリウムチャレンジ(K+)、例えば、KClの濃度、例えば30mM KClに対するインスリン分泌応答を提示することができる。
【0513】
[00521]一部の事例では、本明細書で提供される方法は、第2の細胞クラスターにおける第1の細胞クラスター由来の細胞、例えば、膵β細胞または内分泌細胞の大きいパーセンテージを保持することができる。例えば、第1の細胞クラスターにおいてNKX6.1およびC-ペプチドの両方を発現する細胞の少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、第2のin vitro細胞クラスターにおいて保持され得る。一部の事例では、第1の細胞クラスターにおいてNKX6.1およびC-ペプチドの両方を発現する細胞の多くとも約5%、多くとも約2%、多くとも約1%、多くとも約0.5%、または多くとも約0.1%が、解離および再凝集プロセス中に損失される。
【0514】
[00522]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、SC-β細胞の集団に安定性または貯蔵寿命の増加を提供する。例えば、一部の実施形態では、本開示の方法は、培養状態で4日、7日、または10日後に、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%のISL1陽性、NKX6.1陽性細胞を有する細胞の集団を提供する。
【0515】
[00523]一部の事例では、本明細書に記載した細胞クラスターは、in vitroで任意の出発細胞集団から産生される。例えば、出発細胞として、以下に限定されないが、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、クロモグラニンA陽性細胞)またはその任意の前駆体、例えば、Nkx6.1陽性膵前駆細胞、Pdx1陽性膵前駆細胞、および多能性幹細胞、胚幹細胞、および人工多能性幹細胞が挙げられ得る。一部の事例では、本方法は、再プログラミングされた細胞、部分的に再プログラミングされた細胞(例えば、体細胞、例えば人工多能性幹細胞とそれが由来した体細胞との間の中間状態で存在するように部分的に再プログラミングされた線維芽細胞)、分化転換細胞の分化を含む。一部の事例では、本明細書で開示される膵β細胞を含む細胞クラスターは、インスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体からin vitroで分化させることができる。一部の事例では、細膵β細胞を含む細胞クラスターは、NKX6.1陽性膵前駆細胞、Pdx1陽性膵前駆細胞、および多能性幹細胞からなる群から選択される前駆体からin vitroで分化される。一部の事例では、多能性幹細胞は、胚幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される。上記で論じたように、非天然膵β細胞はまた、in vitroで幹細胞に由来する可能性があるため、幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)とも称され得る。一部の事例では、SC-β細胞またはSC-β細胞が由来する多能性幹細胞はヒトである。一部の事例では、SC-β細胞はヒトである。
【0516】
[00524]本開示の1つの態様は、非天然膵β細胞を産生する方法を提供する。一部の事例では、本方法は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国公開特許出願公開第2015-0240212号、同第2015-0218522号および同第2021-0238553号に記載されているものなどの任意の現在利用可能なプロトコールであり得る。本開示の態様は、胚体内胚葉細胞を包含する。本明細書における使用の胚体内胚葉細胞は、任意の供給源から得られまたは任意の適切なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、多能性幹細胞、例えばiPSCまたはhESCは内胚葉細胞に分化される。一部の態様では、内胚葉細胞(ステージ1)は、例えば、原腸管細胞(ステージ2)、PDX1陽性膵前駆細胞(ステージ3)、NKX6.1陽性膵前駆細胞(ステージ4)、またはNgn3陽性内分泌前駆細胞もしくはインスリン陽性内分泌細胞(ステージ5)にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘導されるかまたは成熟される(ステージ6)。
【0517】
医薬組成物
[00525]一部の実施形態では、本開示は、疾患(例えば、糖尿病)の処置のための様々な方法において、非天然膵ベータ細胞集団ならびに細胞成分および産物を利用することができる医薬組成物を提供する。ある特定の事例は、生細胞(例えば、単独のまたは他の細胞型と混合した非天然膵ベータ細胞)を含む医薬組成物を包含する。他の事例は、非天然膵ベータ細胞成分(例えば、細胞溶解物、可溶性細胞画分、条件培地、ECM、または前述のいずれかの成分)または産物(例えば、非天然膵ベータ細胞によってまたは遺伝子修飾によって生成された栄養因子および他の生体因子、非天然膵ベータ細胞の培養からの条件培地)を含む医薬組成物を包含する。いずれかの事例では、医薬組成物は、他の活性剤、例えば、当業者に既知の抗炎症剤、外因性小分子アゴニスト、外因性小分子アンタゴニスト、抗アポトーシス剤、酸化防止剤、および/または成長因子をさらに含んでもよい。
【0518】
[00526]本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される担体(例えば、媒質または賦形剤)とともに製剤化された、非天然膵ベータ細胞、またはその成分もしくは産物を含むことができる。薬学的に許容される担体(または媒体)という用語は、生物学的に適合性の担体または媒体という用語と交換可能に使用することができ、治療上投与される細胞および他の薬剤と適合性であるだけでなく、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の合併症を有することなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのにも好適である、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを挙げることができる。このような調製物は、滅菌され、所望の場合、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、および着色剤などの補助剤と混合され得る。生細胞以外の細胞の構成成分または生成物を含む医薬組成物は、液体として製剤化することができる。生きた非天然膵ベータ細胞を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えば、ゲル、ゲルカプセル、またはリポソーム)または固体(例えば、マトリックス、スキャフォールドなど)として製剤化することができる。
【0519】
[00527]医薬組成物は、当業者によく知られているように、補助化合物を含むことができる。例えば、医薬組成物は、使用される酸化防止剤の種類に応じて変わる範囲内で、酸化防止剤を含有し得る。通常使用される酸化防止剤の合理的な範囲は、約0.01質量対容量%~約0.15質量対容量%のEDTA、約0.01質量対容量%~約2.0質量対容量%の亜硫酸ナトリウム、および約0.01質量対容量%~約2.0質量対容量%のメタ重亜硫酸ナトリウムである。当業者は、上記のそれぞれについて、約0.1質量対容量%の濃度を使用し得る。他の代表的な化合物として、メルカプトプロピオニルグリシン、N-アセチルシステイン、ベータ-メルカプトエチルアミン、グルタチオンおよび類似種が挙げられるが、腎投与に適した他の酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸およびその塩または亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸ナトリウムもまた、用いられ得る。
【0520】
[00528]緩衝剤は、標的組織における刺激を最小限にするために、約4.0~8.0の範囲で製剤のpHを維持するのに使用され得る。直接腹腔内注射について、製剤は、pH7.2~7.5、好ましくはpH7.35~7.45であるべきである。組成物はまた、腎臓への投与に適した等張化剤を含んでもよい。これらの中でも、製剤を血液とほぼ等張にさせるために、塩化ナトリウムが適している。
【0521】
[00529]ある特定の事例では、医薬組成物は、粘度増強剤を用いて製剤化される。例示的な薬剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンである。医薬組成物は、必要である場合に添加される共溶媒を有してもよい。適切な共溶媒としては、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート、プロピレングリコール、およびポリビニルアルコールを挙げることができる。保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、酢酸もしくは硝酸フェニル水銀、チメロサール、またはメチルもしくはプロピルパラベンも含まれてもよい。
【0522】
[00530]細胞、細胞成分または細胞産物を含む医薬組成物は、当該技術分野で既知のいくつかの送達方法のうちの1つまたは複数で、患者の腎臓に送達されてもよい。一部の事例では、組成物は、腎臓に送達される(例えば、腎被膜の上および/または腎被膜の下に)。別の実施形態では、組成物は、周期的な腹腔内または腎内注射によって、腎臓内の様々な位置に送達されてもよい。あるいは、組成物は、当業者に公知の他の剤形で、例えば、事前に形成されたかまたはin situで形成されたゲルまたはリポソームで適用されてもよい。
【0523】
[00531]半固体または固体担体中の生細胞を含む医薬組成物は、腎被膜上または腎被膜下への外科的移植のために製剤化され得る。液体組成物も外科的手段で投与されてもよいことが認識されるべきである。特定の事例では、半固体または固体の医薬組成物は、非生分解性または生分解性であってもよい半透過性ゲル、格子、細胞スキャフォールドなどを含むことができる。例えば、ある特定の事例では、外因性細胞を、その周辺から隔離し、さらに、細胞が生物学的分子(例えば、インスリン)を周辺細胞または血流に対して分泌および送達できるようにすることが、望ましいかまたは適切である場合がある。これらの事例では、細胞は、移植された細胞を宿主組織と物理的に分離する、非分解性で、選択的に透過性の障壁により囲まれた生非天然膵ベータ細胞または非天然膵ベータ細胞を含む細胞集団を含む自律性インプラントとして製剤化されてもよい。このような移植片は、薬理学的に誘導された免疫抑制がない場合、免疫細胞および高分子が移植細胞を死滅させるのを防ぐ能力があるため、「免疫保護的」と称することがある。
【0524】
[00532]他の事例では、様々な分解性ゲルおよびネットワークを、本開示の医薬組成物に使用することができる。例えば、持続放出製剤に特に好適な分解性材料としては、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが挙げられる。
【0525】
[00533]他の事例では、生分解性、好ましくは、生体吸収性(bioresorbableまたはbioabsorbable)のスキャフォールドまたはマトリックス上またはその中に細胞を送達するのが望ましいかまたは適切であり得る。これらの典型的な三次元生体材料は、スキャフォールドに付着した、スキャフォールド内に分散した、またはスキャフォールドに捕捉された細胞外マトリックスに組み込まれた生細胞を含有する。一旦、身体の標的領域に移植されると、これらの移植片は宿主組織と一体となり、移植細胞が次第に確立されてくる。
【0526】
[00534]本開示において使用することができるスキャフォールドまたはマトリックス(「フレームワーク」と総称されることがある)材料の例としては、不織マット、多孔質発泡体、または自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは、例えば、グリコール酸と乳酸(PGA/PLA)の合成吸収性コポリマー、発泡体、および/またはポリ(イプシロン-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーを含む繊維を使用して形成されてもよい。
【0527】
[00535]他の実施形態では、フレームワークはフェルトであり、このフェルトは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンド、またはヒアルロン酸から製造されたマルチ糸から構成され得る。この糸は、クリンピング、カッティング、カーディングおよびニードリングからなる標準的なテキスタイル加工技術を使用してフェルトにされる。別の実施形態では、細胞を混成構造であり得る発泡体スキャフォールド上に播種する。前記実施形態の多くでは、フレームワークは、有用な形状に成型することができる。さらに、非天然膵ベータ細胞は、プレフォーム型の、非分解性外科用または移植用デバイス上で、培養することができると認識される。
【0528】
[00536]マトリックス、スキャフォールドまたはデバイスは、細胞の接着を増強するために、細胞の接種前に処理することができる。例えば、接種前に、ナイロンマトリックスは、0.1モル酢酸で処理し、ポリリジン、PBS、および/またはコラーゲン中でインキュベートして、このナイロンをコーティングすることができる。ポリスチレンも硫酸を使用して同様に処理することができる。また、フレームワークの外面は、細胞の接着または成長および組織の分化を向上させるために、例えば、フレームワークの血漿コーティングまたは1つもしくは複数のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、および/または、以下に限定されないが、とりわけ、ゼラチン、アルギン酸塩、寒天、アガロース、および植物ゴムなどの他の材料の添加などにより修飾することができる。
【0529】
[00537]一態様では、本開示は、少なくとも1つの膵β細胞を含む細胞クラスターを含むデバイスを提供した。本明細書で提供されるデバイスは、対象へ移植された場合に、インスリンを生成および放出するように構成され得る。デバイスは、少なくとも1つの膵β細胞、例えば、非天然膵β細胞を含む細胞クラスターを含み得る。デバイス中の細胞クラスターは、in vitro GSISを提示し得る。デバイスは、半透膜をさらに含むことができる。半透膜は、細胞クラスターをデバイス内に保持し、細胞クラスターによって分泌されたインスリンの通過を可能にするように構成され得る。デバイスの一部の事例では、細胞クラスターは、半透膜によってカプセル化され得る。カプセル化は、当業者に利用可能な任意の技法によって実施され得る。半透膜は、当業者が認識し、検証するように、任意の好適な材料から作製することもできる。例えば、半透膜は、多糖またはポリカチオンから作製することができる。一部の事例では、半透膜は、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、またはそれらの任意の組合せから作製することができる。一部の事例では、半透膜は、アルギネートを含む。一部の事例では、細胞クラスターは半透膜に囲まれたアルギン酸コアを含むマイクロカプセルに封入される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)と共有結合によりコンジュゲートしたオリゴペプチドを有するアルギネートコアを含むスキャフォールドを生成するために改変される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、安定性の向上した、化学酵素的に操作されたアルギネートを有する、共有結合によって強化されたマイクロカプセルを生成するために改変される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、アクリレート官能化されたリン脂質のin-situ重合によってアセンブルされた膜模倣フィルムを生成するために改変される。一部の事例では、マイクロカプセルは、エピメラーゼを使用して、酵素によって改変されたアルギネートから構成される。一部の事例では、マイクロカプセルは、マイクロカプセル膜の隣接する層間に共有結合を含む。一部の実施形態では、マイクロカプセルは、フェノール部分で連結したアルギネートを含むサブシーブカプセルを含む。一部の事例では、マイクロカプセルは、アルギネート-アガロースを含むスキャフォールドを含む。一部の事例では、SC-β細胞は、アルギネート内にカプセル化される前にPEGで修飾される。一部の事例では、単離された細胞、例えば、SC-β細胞の集団は、光反応性リポソームおよびアルギン酸中にカプセル化される。マイクロカプセル中に用いられるアルギネートは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル中空繊維、コラーゲン、ヒアルロン酸、RODを含むデキストラン、BHDおよびポリエチレングリコール-ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(MPC-コ-n-ブチルメタクリレート-コ-4-ビニルフェニルボロン酸)(PMBV)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、ならびにこれらの多層の事例を含む他の好適な生体材料で置き換えることができると認識される。
【0530】
[00538]一部の実施形態では、本明細書に記載されるin vitro分化細胞集団を含む組成物は、対象に移植されるデバイスに収容される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるin vitro分化細胞集団を含む組成物は、対象への移植に適したデバイスに収容される。一部の実施形態では、対象に移植されたデバイスは、細胞をデバイス内に保持しながらインスリンを放出し、デバイス内およびデバイス周囲の組織脈管形成を促進する。例示的なデバイスは、例えば、米国特許公開第20190201323A1号、同第20200289407A1号、同第20210016073A1号、同第20220143374A1号、および同第20220175511A1号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、対象は、デバイスの移植中または血管新生中に免疫抑制剤を投与されない。一部の実施形態では、デバイスは少なくとも約300pmの厚さを有する。一部の実施形態では、デバイスは、複数のフィブリルによって相互接続された複数のノードを含む膜を備える。
【0531】
[00539]一部の実施形態では、デバイスは、複数のチャネルを含む第1の表面と、第1の表面に対向する複数の第2の表面とを有する第1の膜;および第1の膜の複数の第2の表面に対向して取り付けられた第2の膜を備え、第1の膜と第2の膜が、少なくとも約40cm-lの表面積対容積比を有する密閉区画を形成し、密閉区画がデバイス内に細胞を収容するための容積を提供する。
【0532】
[00540]一部の実施形態では、密閉区画は、単一の連続した開放チャンバーを備える。一部の実施形態では、容積は約8μL~約1,000μLである。一部の実施形態では、デバイスは、約0.25cmから約3cmの長さと幅の少なくとも一方を有する。一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも約300pmの厚さを有する。
【0533】
[00541]一部の実施形態では、複数のチャネルは第1の膜に対して概ね垂直である。一部の実施形態では、複数のチャネルは直線状に配置される。一部の実施形態では、複数のチャネルは極アレイ状に配置される。一部の実施形態では、チャネルは約400pm~約3,000pmの平均直径を有する。一部の実施形態では、直径はチャネルの最狭部で測定される。一部の実施形態では、各チャネルの中心は、別のチャネルの中心から約75pmから約500pmの距離だけ離れている。一部の実施形態では、チャネルは、少なくとも約0.2の高さ対直径の比を有する。一部の実施形態では、デバイスは横断面に沿った面積当たりのチャネル数を有し、一部の実施形態では、その数は約50/cm2より大きい。
【0534】
[00542]一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも一方は、複数のフィブリルによって相互接続された複数のノードを含む。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも一方は、PVDF、PTFE、ePTFE、PCL、PE/PES、PP、PS、PMMA、PLGA、PLLA、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、デバイスは、チャネル内の第1の膜および/または第2の膜を貫通する開口部をさらに備える。一部の実施形態では、開口部は、チャネルに対して、最大でもチャネルの直径の約25%の同心度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるデバイスを受けるように構成されたフレームである。一部の実施形態では、フレームは複数の細胞収容デバイスを受けるように構成される。一部の実施形態では、フレームは、細胞収容デバイスの座屈を防止するように構成された屈曲機構を備える。
【0535】
処置の方法
[00543]対象における疾患を処置または予防する方法がさらに本明細書で提供される。内因性膵島に類似した細胞クラスターを含む組成物は、対象の膵機能の度合を回復させるために、対象へと投与することができる。例えば、内因性膵島に類似した細胞クラスターを対象に移植して、糖尿病を処置することができる。
【0536】
[00544]一部の実施形態では、本明細書で開示される方法に従って調製された細胞クラスターを含む組成物は、対象に投与されると、改善された臨床転帰を達成する。例えば、一部の事例では、移植された膵島の生存率は、代替組成物(例えば、代替的な方法によって調製された)と比較して増加する。一部の実施形態では、免疫浸潤の減少は、代替組成物(例えば、代替的な方法によって調製された)と比較して、移植片に応答して観察される。一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞のいずれかも、デバイス(例えば、本明細書で開示されるデバイスのいずれか)において投与される。
【0537】
[00545]本方法は、本出願で開示される細胞クラスターを対象、例えば、移植を必要とする対象に移植するステップを含み得る。用語「移植するステップ」および「投与するステップ」は、交換可能に使用され、所望の部位に導入された細胞または細胞クラスターの少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、細胞もしくは細胞クラスター、その細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分、またはその細胞、細胞クラスターもしくは任意の部分を含む任意の組成物の、対象への配置を指し得る。細胞または細胞クラスターは、膵臓に直接移植されるか、またはあるいは、移植された細胞の少なくとも一部または細胞が生存可能なままである対象の所望の位置への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る。対象への投与後の細胞または細胞クラスターの生存期間は、数時間、例えば、24時間程度の短さから数日まで、数年ほどの長期であってもよい。一部の例では、細胞もしくは細胞クラスター、またはその細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分はまた、例えば、移植した細胞または細胞クラスターを移植片の位置に維持し、遊走を回避するために、カプセル(例えば、マイクロカプセル)で、膵臓以外の位置、例えば、肝臓内または皮下に経投与されてもよい。
【0538】
[00546]本明細書における方法によって処置され得る対象は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。一部の事例では、対象は哺乳動物であり得る。対象の例としては、以下に限定されないが、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、バンブー(bamboo)、またはヒトが挙げられる。一部の事例では、対象は、ヒトである。対象は、以下に限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどを含む非霊長類の動物であってもよい。一部の事例では、処置を受ける対象は、処置を必要とする対象、例えば、処置を必要とするヒトである。
【0539】
[00547]本明細書で使用される場合、用語「処置すること(treating)」および「処置(treatment)」は、対象が、疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善、例えば、有益なまたは所望の臨床結果を有するように、有効量の組成物(例えば、細胞クラスターまたはその一部)を対象に投与することを指し得る。この開示の目的として、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下に限定されないが、検出可能か検出不可能かに関わらず、1つもしくは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患状態の安定化(例えば、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の改善または軽減、および寛解(例えば、部分的または全体的)が挙げられる。処置することは、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して、生存が延長されることを指し得る。よって、当業者は、処置が、疾患状態を改善することができるが、疾患に対する完全な治癒でなくてもよいことを理解する。本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」は、予防を含む。
【0540】
[00548]本明細書で提供される方法および組成物は、疾患を有しているか、または疾患を発症するリスク(例えば、リスクの増加)を有する対象を治療するのに使用され得る。一部の事例では、疾患は、以下に限定されないが、I型糖尿病、II型糖尿病、1.5型糖尿病、前糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、外科的糖尿病、妊娠糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含む糖尿病である。疾患はまた、心臓および血管の疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、足の損傷、および聴覚障害を含む糖尿病合併症である可能性もある。
【0541】
[00549]本方法は、当該技術分野の任意の手段を使用して、細胞クラスターを対象に移植するステップを含み得る。例えば、方法は、腹腔内空間、腎被膜下、腎被膜、大網、皮下空間を介して、または膵床(pancreatic bed)注入を介して、細胞クラスターを移植するステップを含み得る。例えば、移植するステップは、被膜下移植、筋肉内移植、または門脈内移植、例えば、門脈内注入であり得る。免疫防御性カプセル化は、細胞クラスターに免疫防御性を与えるために実行され得る。
【0542】
[00550]一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞、クラスター、または組成物のいずれも、処置方法以外の方法で利用され得る。一部の実施形態では、細胞、クラスター、または組成物は、in vitroまたはin vivoでの幹細胞、多能性細胞、万能性細胞、または単能性細胞の発生を評価するための有用性を有する。例えば、一部の実施形態では、本開示は、試薬に応答する細胞における効果(例えば、特定遺伝子の発現)を研究するために、細胞(例えば、PDX.1+;NKX6.1+膵前駆細胞またはインスリン+膵内分泌前駆細胞)および本明細書で開示される試薬のいずれか1つまたは複数(例えば、本明細書で開示される代謝産物のいずれか1つまたは複数)を含む組成物を提供する。
【0543】
デバイス
[00551]一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される細胞、クラスターまたは組成物のいずれかを含むデバイスを提供する。例示的なデバイスは、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20190201323A1号、同第20200289407A1号、同第20210016073A1号、同第20220143374A1号、および同第20220175511A1号に記載されている。
【0544】
[00552]一部の実施形態では、デバイスは、対象に移植されると、インスリンを生成および放出するように構成されている。一部の実施形態では、デバイスは半透膜であり、ここで、半透膜は、本明細書で開示される細胞のいずれかをデバイス内に保持し、細胞によって産生されたインスリンのデバイスの外への通過を可能にするように構成されている。
【0545】
[00553]ある特定の態様では、複数のチャネルを含む第1の表面、および第1の表面に対向する複数の第2の表面を有する第1の膜;および第1の膜の複数の第2の表面に対向して取り付けられる第2の膜を含む細胞収容デバイスが本明細書に記載され、ここで、第1の膜および第2の膜は、少なくとも約40cm-1の表面積対容積比を有する密閉区画を形成し、密閉区画は、デバイス内に細胞を収容するための容積を提供する。
【0546】
[00554]一部の実施形態では、区画は、単一の連続した開放スペースを含む。一部の実施形態では、容積は、約8μL~約1,000μLである。一部の実施形態では、デバイスは、約0.25cm~約3cmの長さおよび幅の少なくとも1つを有する。一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも約300μmの厚さを有する。一部の実施形態では、複数のチャネルは概して、第1の膜に対して垂直である。一部の実施形態では、複数のチャネルは、直線状に配置される。一部の実施形態では、複数のチャネルは、極アレイ上に配置される。一部の実施形態では、チャネルは、約400μm~約3,000μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、直径は、チャネルの最狭部で測定される。一部の実施形態では、各チャネルの中心は、別のチャネルの中心から約75μm~約500μmの距離だけ離れている。一部の実施形態では、チャネルは、少なくとも約0.2の高さ対直径の比を有する。一部の実施形態では、デバイスは、約50/cm2よりも大きい横断面に沿った面積当たりのチャネル数を有する。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも1つは、複数のフィブリルによって相互接続された複数のノードを含む。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも1つは、PVDF、PTFE、ePTFE、PCL、PE/PES、PP、PS、PMMA、PLGA、PLLA、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、デバイスは、チャネル内の第1の膜および第2の膜を貫通する開口部をさらに備える。一部の実施形態では、開口部は、チャネルに対して、チャネルの直径の多くとも25%の同心度を有する。一部の実施形態では、デバイスは、デバイスを受けるように構成されたフレームをさらに備える。一部の実施形態では、フレームは、複数の細胞収容デバイスを受けるように構成される。一部の実施形態では、フレームは、細胞収容デバイスの座屈を防止するように構成された屈曲機構を備える。一部の実施形態では、デバイスは、細胞集団をさらに含む。一部の実施形態では、細胞集団は、インスリン分泌集団である。一部の実施形態では、細胞集団は、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)が可能な幹細胞由来細胞である。一部の実施形態では、デバイスは、親水性ポリマーを含むコーティングをさらに含む。一部の実施形態では、デバイスは、約2×10-6cm2/s~約1×10-5cm2/sのインスリン拡散係数を有する。一部の実施形態では、デバイスは、約150μm未満の最大インスリン拡散距離を有する。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜は、少なくとも約0.4Nの融着剥離力で融着される。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも1つは半透膜である。一部の実施形態では、第1の膜、第2の膜、またはその両方の半透性は、細胞を免疫攻撃から防御するように構成される。一部の実施形態では、第1の膜、第2の膜、またはその両方の半透膜性は、免疫抑制療法の非存在下で細胞を免疫攻撃から防御するように構成されている。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも1つは、デバイス内の細胞の血管新生を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも1つは、免疫抑制療法の非存在下でデバイス内の細胞の血管新生を可能にするように構成されている。
【0547】
[00555]本明細書で提供される別の態様は、複数のチャネルを含む第1の表面、および第1表面に対向する複数の第2の表面を有する第1の膜;ならびに第1の膜の複数の第2の面に対向して取り付けられる第2の膜を含む細胞収容デバイスであり、ここで、第1の膜および第2の膜は、密閉区画を形成し、密閉区画は、デバイス内に100万~10億個のインスリン生成細胞を収容するための容積を提供し、上記膜は、デバイス内にインスリン生成細胞を保持しながら、デバイスからのインスリンの拡散を可能にする。
【0548】
[00556]一部の実施形態では、デバイスは、移植可能なマイクロカプセル化デバイスである。一部の実施形態では、移植可能なマクロカプセル化デバイスは、第1の外膜;第2の外膜と;および第1の外膜と第2の外膜との間に取り付けられた第1の半透膜を含み、ここで、第1の半透膜および第1の外膜は、細胞の集団を収容するための一次区画を提供するように構成された一次区画を形成するために接続され、第1の半透膜および第2の外膜は、二次区画を形成するために接続され、細胞の集団は、膵前駆細胞、内分泌細胞、もしくはベータ細胞、またはそれらの任意の組合せを含み、デバイスは、第1の外膜、第2の外膜、および第1の半透膜を貫通する複数の貫通孔を含む。一部の実施形態では、第1の外膜、第2の外膜、および第1の半透膜は、上記細胞の集団のデバイス外への通過を遮断するように構成されている。
【0549】
[00557]一部の実施形態では、デバイスは、第1の半透膜と第2の外膜との間に取り付けられた第2の半透膜をさらに備え、一次区画と二次区画との間に三次区画を形成する。一部の実施形態では、第1の半透膜の透水性は、第1の外膜の透水性、第2の外膜の水透水性、またはその両方よりも大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の透水性は、第1の外膜の透水性、第2の外膜の透水性、またはその両方よりも少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の透水性は、第2の半透膜の透水性よりも大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の透水性は、第2の半透膜の透水性よりも小さい。一部の実施形態では、第1の半透膜の多孔性は、第1の外膜の多孔性、第2の外膜の多孔性、またはその両方よりも大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の多孔性は、第1の外膜の多孔性、第2の外膜の多孔性、またはその両方よりも少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の多孔性は、第2の半透膜の多孔性よりも大きい。一部の実施形態では、第1の半透膜の多孔性は、第2の半透膜の多孔性よりも小さい。一部の実施形態では、所与の材料およびバイアス(例えば、濃度勾配および/または圧力差)に対する第1の半透膜のフラックスは、同じ材料およびバイアスについて、第1の外膜のフラックス、第2の外膜のフラックス、またはその両方よりも大きい。一部の実施形態では、所与の材料およびバイアス(例えば、濃度勾配および/または圧力差)に対する第1の半透膜のフラックスは、同じ材料およびバイアスについて、第1の外膜のフラックス、第2の外膜のフラックス、またはその両方よりも少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、所与の材料およびバイアス(例えば、濃度勾配および/または圧力差)に対する第1の半透膜のフラックスは、同じ材料およびバイアスについて、第2の半透膜のフラックスよりも大きい。一部の実施形態では、所与の材料およびバイアス(例えば、濃度勾配および/または圧力差)に対する第1の半透膜のフラックスは、同じ材料およびバイアスについて、第2の半透膜のフラックスよりも小さい。一部の実施形態では、デバイスは、一次区画と流体連通する一次ポート、二次区画と流体連通する二次ポート、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。一部の実施形態では、デバイスは、一次区画と流体連通する一次ポート、二次区画と流体連通する二次ポート、三次区画と流体連通する三次ポート、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。一部の実施形態では、一次ポート、二次ポート、または三次ポートの少なくとも1つは、密閉可能または再密閉可能である。
【0550】
[00558]本明細書で提供される別の態様は、1つまたは複数の細胞を収容するように構成された一次区画、および二次区画を含む移植可能なマクロカプセル化デバイスであって、ここで、一次区画および二次区画は、第1の半透膜によって分離され、二次区画および第1の半透膜は、i)濾液を一次区画から濾過するように、またはii)補助剤を一次区画内の1つまたは複数の細胞に提供するように、またはi)およびii)の両方になるように構成されており;1つまたは複数の細胞は、容積1μL当たり約103~約106細胞の範囲で上記デバイス内にカプセル化されている。
【0551】
[00559]一部の実施形態では、デバイスは三次区画をさらに含み、ここで、三次区画および二次区画は、第2の半透膜によって分離され、第2の半透膜は、i)濾液を三次区画から濾過するように、またはii)補助剤を三次区画内の1つまたは複数の細胞に提供するように、またはi)とii)の両方になるように構成されている。一部の実施形態では、デバイスは、一次区画と流体連通する一次ポート、または二次区画と流体連通する二次ポートの少なくとも1つをさらに含む。一部の実施形態では、デバイスは、一次区画と流体連通する一次ポート、二次区画と流体連通する二次ポート、または三次区画と流体連通する三次ポートの少なくとも1つをさらに含む。一部の実施形態では、一次ポート、二次ポート、または三次ポートの少なくとも1つは、密閉可能または再密閉可能である。一部の実施形態では、デバイスは、層状膜を通じてデバイスの方側から反対側まで伸びる複数の貫通孔を含む。
【0552】
[00560]一部の実施形態では、貫通孔の1つまたは複数は、シールを形成するために膜の結合部分によって囲まれている。一部の実施形態では、デバイスは、3つまたはそれよりも多いシールを含む。一部の実施形態では、デバイスは、2つまたはそれよりも多い自己交差シールを含む。一部の実施形態では、デバイスは、2つまたは複数の楕円形シールを含む。一部の実施形態では、シールは、接着剤、エポキシ、溶接、それらの任意の組合せ、および/または任意の他の適切な結合方法によって形成される。一部の実施形態では、第1の半透膜は、上記1つまたは複数の細胞の通過を遮断するように構成されている。一部の実施形態では、一次区画および二次区画は、上記1つまたは複数の細胞の通過を遮断するように構成されている。一部の実施形態では、一次区画、二次区画、および三次区画は、上記1つまたは複数の細胞の通過を遮断するように構成されている。
【0553】
[00561]本明細書で提供される別の態様は、1つまたは複数の細胞を収容するように構成された一次区画、および二次区画を含むマクロカプセル化デバイスを提供するステップ(ここで、一次区画および二次区画は、第1の半透膜によって分離され、二次区画および半透膜は、i)濾液を一次区画から濾過するように、またはii)補助剤を一次区画内の1つまたは複数の細胞に提供するように、またはi)およびii);の両方になるように構成されている)と;マクロカプセル化デバイスを予め血管形成するステップと;1つまたは複数の細胞を一次区画に負荷するステップと;圧力を二次区画に印可して、濾液を一次区画から除去するステップとを含む方法である。
【0554】
[00562]一部の実施形態では、濾液は一次区画から除去される。一部の実施形態では、本方法は、補助剤を一次区画、二次区画、またはその両方に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、補助剤は、薬物、酸素発生物質、抗凝固剤、栄養素、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、補助剤を投与するステップは、陰圧を二次区画に印加するステップ後に実施されるが、マクロカプセル化デバイスの別の区画に対する二次区画の所望の圧力差を提供する任意の方法も使用され得る。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、またはその両方を膨張させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、一次区画、二次区画、またはその両方を膨張させるステップは、マクロカプセル化デバイスを予め血管形成するステップの前に実施される。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、またはその両方を密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次ポート、二次ポート、またはその両方を再密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、収容するステップは、第2の半透膜によって二次区画と分離された三次区画をさらに含み、ここで、本方法は、1つまたは複数の細胞を三次区画に負荷するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、補助剤を一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せに投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せを膨張させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せを密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次ポート、二次ポート、三次区画、またはそれらの任意の組合せを再密閉するステップをさらに含む。
【0555】
[00563]本明細書で提供される別の態様は、第1の外膜;第2の外膜;および第1の外膜と第2の外膜との間に取り付けられた第1の半透膜を含むマクロカプセル化デバイスを提供するステップ(ここで、第1の半透膜および第1の外膜は、細胞の集団を収容するように構成された一次区画を形成するように接続され、第1の半透膜および第2の外膜は、二次区画を形成するように接続される)と;マクロカプセル化デバイスを予め血管形成するステップと;1つまたは複数の細胞を一次区画に負荷するステップと;圧力差を二次区画に印加して、濾液を一次区画から除去するステップとを含む方法である。
【0556】
[00564]一部の実施形態では、濾液は一次区画から除去される。一部の実施形態では、本方法は、補助剤を一次区画、または二次区画、またはその両方に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、補助剤は、薬物、酸素発生物質、抗凝固剤、栄養素、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、補助剤を投与するステップは、陰圧または他の圧力差を二次区画に印加するステップ後に実施される。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、または二次区画、またはその両方を膨張させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、一次区画、二次区画、またはその両方を膨張させるステップは、マクロカプセル化デバイスを予め血管形成するステップ前に実施される。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、またはその両方を密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次ポート、二次ポート、またはその両方を再密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、マクロカプセル化デバイスは、第2の半透膜によって二次区画と分離された三次区画をさらに含み、ここで、本方法は、1つまたは複数の細胞を三次区画に負荷するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、補助剤を一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せに投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、濾液は一次区画から除去される。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せを膨張させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次区画、二次区画、もしくは三次区画、またはそれらの任意の組合せを密閉するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、一次ポート、二次ポート、三次区画、またはそれらの任意の組合せを再密閉するステップをさらに含む。
【実施例】
【0557】
[00565]これらの実施例は、例示の目的のみのために提供され、本発明において与えられる請求項の範囲を限定するものではない。
実施例1.膵β細胞の分化に対するアクチビンA濃度の効果
[00566]本実施例は、膵β細胞の、幹細胞からの分化に対する種々の濃度のアクチビンAによる幹細胞の処置の効果を実証する。
【0558】
[00567]本開示による例示的なベース分化プロトコール、バージョンAを、ヒト幹細胞をin vitroでのグルコース負荷に応答してインスリンを放出することが可能な成熟β細胞に分化するのに使用した。
【0559】
[00568]バージョンAプロトコールは、6ステージの段階的なプロトコールである。バージョンAプロトコールを用いて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20220090020A1号の実施例1に記載されるバージョンAに類似した方法で、幹細胞を試薬で処置した。一部の実験では、以下に記載するように、ステージ1の100ng/mLのアクチビンAを、種々の濃度のアクチビンAで置き換えるようにバージョンAを修正した。
【0560】
[00569]実験の1つでは、バージョンAプロトコールを使用して、スピナーフラスコ中で幹細胞の分化を開始し、ステージ1の3日間全体にわたって適用された3つの異なる濃度のアクチビンA(「AA」)、100ng/mL(100%)、10ng/mL(10%)、および5ng/mL(5%)を検査した一方で、残りの分化ステップは同じに保たれた。QCの日に、例えば、ステージ1の完了(「S1C」)、ステージ3の完了(「S3C」)、またはステージ5の完了(「S5C」)時に、細胞を、それらの形態および細胞構成成分について調べた。具体的には、細胞クラスター懸濁溶液5mLをスピナーフラスコから取り出し、懸濁液1mLを24ウェルプレートに分注した。24ウェルプレートにおける細胞クラスターの写真を明視野顕微鏡下で撮影した。残りの懸濁液4mL中の細胞クラスターを、TrypLE Express(Life Technologies社;12,604,013)で37℃にて20分間分散させ、4%PFAで4℃にて20分間固定し、FACS緩衝液(PBS中5%ロバ血清および0.05%Triton-100)中で室温にて1時間ブロックし、細胞マーカーに対する各種抗体で染色した。次に、染色した細胞をAccuri 6フローサイトメーター(BD Biosciences社)を使用して測定し、FlowJoソフトウェアを使用して解析した。
【0561】
[00570]
図1Aに示されるように、ステージ1分化の完了時に、減少された濃度のアクチビンA、10%または5%で得られた細胞クラスターは、100%アクチビンAで得られた細胞クラスターと比較して形態が変化しており、丸い形状および滑らかな縁を有する代わりに、これらの条件下で得られた細胞クラスターは、不規則な形状および粗い縁を有する傾向がある。フローサイトメトリー解析(
図1Aおよび表2)により、Oct4染色について陰性およびSox17染色に対して陽性(「Oct4陰性、Sox17陽性」、または「Oct4
-/Sox17
+」)の細胞のパーセンテージについて、3つの条件間で有意差は見られないことが示された。
【0562】
[00571]
図1Bに示されるように、ステージ3分化の完了時に、ステージ1での減少されたアクチビンA条件(10%または5%)下の細胞クラスターは、100%アクチビンAと比較した場合に形態が変化され続けた。フローサイトメトリー解析により、減少された濃度のアクチビンA下で、より多くの細胞がCdx2を発現し、より少ない細胞がSox2を発現することが示された(
図1B~
図1Cおよび表2)。
【0563】
[00572]
図1Dは、ステージ5分化の完了時の細胞クラスターの写真、ならびに細胞におけるNkx6.1およびIsl1発現の代表的なフローサイトメトリー解析を示す。10%アクチビンA条件下の細胞クラスターは、この時点で100%アクチビンAと比較した場合、類似した形態を有したのに対して、5%アクチビンA下の細胞クラスターは、形態が変化され続けた。フローサイトメトリー解析(
図1Dおよび表2)により、10%アクチビンA条件下で得られた細胞と、100%AアクチビンA条件下で得られた細胞との間で、類似したパーセンテージのNkx6.1陽性、Isl1陰性細胞およびNkx6.1陽性、Isl1陽性細胞が見られるのに対して、5%アクチビンA条件下では、減少されたパーセンテージのNkx6.1陽性細胞の割合が見られることが示された。
【0564】
【0565】
[00573]別の実験では、幹細胞の分化に対するステージ1での種々の濃度のアクチビンAの効果を調べるために、用量応答検査を行った。5つの異なる濃度のアクチビンAを検査した:100ng/mL(100%)、20ng/mL(20%)、10ng/mL(10%)、5ng/mL(5%)、および0ng/mL(0%)。
図1Eは、5つの異なる条件下でのS1C時のSox7陰性、Oct4陽性細胞(「Sox17-/Oct4+」)、およびSox7陰性、Oct4陰性細胞(「二重陰性」)のパーセンテージをまとめた棒グラフおよび表を示す。これらのデータにより、Sox17-/Oct4+細胞のパーセンテージは、アクチビンA濃度を100%から20%、10%、または5%に減少した場合には有意に変化しなかったが、100%アクチビンAによる処置を用いた場合の1%以下から、アクチビンAなしの場合の20%超に有意に増加し、減少されたアクチビンA(20%、10%、5%)を用いた場合、二重陰性細胞のパーセンテージの増加が見られたのに対して、アクチビンAなし場合では、パーセンテージは類似したままであったことが示されている。
【0566】
実施例2.膵β細胞の分化に対する2つの例示的な化合物の効果
[00574]本実施例は、膵β細胞の、幹細胞からの分化に対する本開示による2つの例示的化合物、GSK-690693およびBYL719による幹細胞の処置の効果を実証する。
【0567】
[00575]実施例1と同じ例示的なベース分化プロトコール、バージョンAを、以下に記載される実験について修正して使用した。
[00576]実験の1つでは、ステージ1分化に関する4つの異なる条件を検査した:100%アクチビンA、10%アクチビンA、10%アクチビンAとGSK-690693(「GSK」)、または10%アクチビンAとBYL719(「BYL」)。細胞形態および細胞成分の特徴付けは、実施例1に記載したのと同様に行った。実験は4回繰り返した。表3は、S1C、S3C、およびS5C時でのフローサイトメトリー解析結果の定量化、ならびに4回の実行に関するS5C時での総生存細胞収量をまとめている。4回の実行全てにおいて、0.1μMのGSK-609063または0.04μMのBYL719をステージ1の3日間に適用したが、但し、最後の2回の実行、Run4およびRun5では、0.04μMのBYL719は2日間(S1d1およびS1d2の日)のみに適用した。
【0568】
【0569】
[00577]
図2Aは、ステージ1の完了時の6つの異なる条件下での細胞クラスターの写真を示す。
図2Bは、Oct4およびSox17の発現に関するS1c細胞のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それは
図2Cの棒グラフにまとめられている。
【0570】
実施例3.例示的な化合物の組合せ
[00578]本実施例は、膵β細胞の、幹細胞からの分化に対する2つの例示的化合物、GSK-690693およびBYL719の組合せによる幹細胞の処置の効果を実証する。
【0571】
[00579]実施例1と同じ例示的なベース分化プロトコール、バージョンAを、以下に記載される実験について修正して使用した。
[00580]実験の1つでは、ステージ1分化に関する6つの異なる条件を検査した:100%アクチビンA、10%アクチビンAとGSK-690693、10%アクチビンAとBYL719、10%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719、または100%アクチビンAとGSK-690693およびBYL719。細胞形態および細胞成分の特徴付けは、実施例1に記載したのと同様に行った。
図2A~
図5Eおよび表4は、異なるステージにおける6つの分化条件下で得られた細胞の特徴付けをまとめている。
【0572】
[00581]
図2Aは、ステージ1の完了時の6つの異なる条件下での細胞クラスターの写真を示す。
図2Bは、Oct4およびSox17の発現に関するS1C細胞のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらは
図2Cの棒グラフにまとめられている。
【0573】
[00582]
図3Aは、S3C時の細胞クラスターの写真を示す。
図3Bおよび
図3Dは、Cdx2、Sox2、およびPdx1の発現に関するS3C細胞のフローサイトメトリー解析の結果を示し、それらはそれぞれ
図3Cおよび
図3Eの棒グラフにまとめられている。
【0574】
[00583]
図4Aは、S5C時の細胞クラスターの写真を示す。
図4Bは、Nkx6.1およびIsl1の発現に関するS5C細胞のフローサイトメトリー解析の結果を示し、
図4C~
図4Dの棒グラフにまとめられている。
図4E~
図4Fは、それぞれ、6つの異なる条件下でのS5C時の生細胞収量およびIsl1陽性細胞の収量をまとめた棒グラフを示す。
【0575】
【0576】
[00584]別の実験では、ステージ6分化に対する、ステージ1分化に関する前述の6つの異なる条件の効果を、2つのステージ6レジメン:レジメン1(表5)およびレジメン2(表6)下で検査した。
【0577】
[00585]
図5A、
図5C~
図5Eは、レジメン1下でのステージ6の7日目(S6d7)での細胞のフローサイトメトリー解析の結果、およびβ細胞(Nkx6.1およびIsl1、
図5A)、α細胞(グルカゴンおよびC-ペプチド、
図5C~5D)、およびδ細胞(ソマトスタチン、
図5D~5E)を染色するためのマーカーのそれら各々の発現に関する6つの分化条件を示す。
図5Bは、6つの分化条件下でのS6d7でのIsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞、およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞のパーセンテージをまとめた棒グラフを示す。
【0578】
[00586]
図6A、
図6C~
図6Eは、レジメン2下でのステージ6の7日目(S6d7)での細胞のフローサイトメトリー解析の結果、およびβ細胞(Nkx6.1およびIsl1、
図6A)、α細胞(グルカゴンおよびC-ペプチド、
図6C~
図6D)、およびδ細胞(ソマトスタチン、
図6D~
図6E)を染色するためのマーカーのそれら各々の発現に関する6つの分化条件を示す。
図6Bは、6つの分化条件下でのS6d7でのsl1陽性、Nkx6.1陽性細胞およびIsl1陽性、Nkx6.1陰性細胞のパーセンテージをまとめた棒グラフを示す。
【0579】
【0580】
【0581】
【0582】
実施例4.膵β細胞分化に関する小分子化合物の検討
[00587]本実施例は、膵β細胞の、幹細胞からの分化に対する、本開示による例示的な化合物を含む多数の低分子化合物の効果を実証する。
【0583】
[00588]実験の1つでは、小分子ケモゲノミクスライブラリー由来の2100個を超える小分子化合物(「検査化合物」)を、幹細胞からSox17陽性胚体内胚葉細胞へのステージ1分化に対する効果について検査した。幹細胞を384ウェルプレートに、ウェル1つ当たり45k細胞の密度で播種し、実施例1のバージョンAプロトコールと同じであるが、但し、100ng/mLのアクチビンA(100%AA;「陽性対照」)、AAを用いない修正ステージ1条件(「陰性条件」)、10ng/mLのAAを用いた修正ステージ1(10%AA;「中間条件」)、または10ng/mLのAAおよび検査化合物の1つを用いた修正ステージ1条件(「検査条件」)で処置した。各検査化合物は、約8つの異なる濃度で検査した。次に、各ウェルにおける得られた細胞集団を、免疫染色および画像解析によって調べ、Sox17および/またはOct14を発現する細胞のパーセンテージ(Sox17およびOct 14の免疫染色による)および総細胞数(DAPI染色による)を決定した。合計2100個超の検査化合物のうち、56個の検査化合物が以下の判断基準を満たし、活性化合物とみなされた:(a)得られた細胞集団は、100%AA条件と比較した場合に、50%を超えるSox17陽性細胞を有し、(b)得られた細胞集団は、刺激剤制御(即ち、100%AA)の3ユニット内のDAPI染色のZスコアを有する。最初の56の活性化合物のうち、15個(15)の上位活性化合物:GSK-690693、BAY 41-2272、SCHEMBL12114705、IPI-3063、AZD8055、オミパリシブ、GNE-477、VS-5584、DDR1-IN-1、IWR-1-エンド、BYL319、YM201636、PI4KIIIベータ-IN-10、およびネミラリシブ。これら15個の上位活性化合物は、ともに用量応答性様式でSox17チャネルにおけるシグナルを増加させ、Oct 4チャネルシグナルを減少させることが分かり、また目視検査では、得られた細胞集団に核ブレビングを誘導しないことが分かった。定量閾値は、染色シグナルに相当し、低、正常、または高と定義した。低は、低閾値がSox17+染色の検出に関して設定されたことを示し(即ち、Sox17+を検出しやすい)ことを示し、高は、最も高く発現するSox17+細胞のみが検出されることを示す。表8は、これらの活性化合物のうち10個を示し、Sox17陽性細胞のパーセンテージは、100ng/mL AAを用いた場合のパーセンテージで正規化される。理論に縛られることは望まないが、表中の各活性化合物の「標的/経路」は、各々の化合物が標的とし得るシグナル(例えば、示されたシグナル伝達経路の活性を阻害する)。伝達経路の1つを示す。
【0584】
[00589]別の実験では、15個の上位活性化合物のうち11個を3D培養条件下で幹細胞の分化について検査した。384ウェルプレート実験と同様に、バージョンAプロトコールを使用して、アクチビンAの濃度を100ng/mLから10ng/mLに減少し、検査化合物の1つを2つの検査濃度で添加するという修正で細胞を処置した。11個の化合物のうち3個の化合物が、DE集団についてQC基準に合格し(ステージ1完了)、3個の化合物のうち3個の化合物が、PP1集団についてQCに合格し(ステージ3完了)、3個の化合物中のうち2個化合物が、SC-β細胞についてQC基準に合格した(ステージ5完了)。QC合格基準は、バージョンAプロトコールとの類似性に基づいて決定した。
【0585】
【0586】
実施例5.幹由来膵細胞の組成物
[00590]本実施例は、本開示の一部の実施形態による種々の分化プロトコール後の幹細胞由来膵細胞の組成物を示す。
【0587】
[00591]幹細胞の、膵細胞への分化を誘導するのに2つの異なるプロトコールを利用した:バージョンB(VB)および修正バージョンB.1(VB.1)。プロトコールはともに、6ステージプロトコールである。バージョンBプロトコールでは、以下の表9に従って、ステージ1(合計で3日間、ステージ1の1日目(「S1D1」)からステージ1の3日目(「S1D3」)まで)から、ステージ2(合計で3日間)、ステージ3(合計で2日間)、ステージ4(合計で4日間)、ステージ5(合計で7日間)まで、試薬を培地に添加する。VBのステージ6条件は、上記の表6に記載したような「レジメン2」に従った。VB.1プロトコールは、VBプロトコールと同一であるが、但し、VB.1プロトコールのステージ1では、0.1μMのGSK-690693(「GSK690693」とも称される)および10ng/mlのアクチビンAが、VBプロトコールのアクチビンA(100ng/mL)を置き換えるのに使用されている。
【0588】
【0589】
【0590】
【0591】
[00592]両方の分化プロトコールを、異なるスケールの細胞培養で検査した:3つの異なるベッセル、Biott(登録商標)バイオリアクター(「Biott」、容積30mL)、スピナー(「Spinner」、容積300mL)、および大規模バイオリアクター(「バイオリアクター」、容積3L)を使用した。
【0592】
[00593]
図7Aは、種々の培養条件下でのステージ5分化の完了(「S5C」)時の細胞組成物中のSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す。図に示したように、検査した培養ベッセル全てにおいて、SC膵島β細胞(NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞)のパーセンテージおよびSC膵島非β細胞(NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞)のパーセンテージは、VBプロトコールを使用して産生されたS5C組成物と、VB.1プロトコールを使用して産生されたS5C組成物との間で類似していた。Biottでは、VBプロトコール下で、平均してS5C細胞の約30%がSC膵島β細胞であり、平均して約30%がSC膵島非β細胞であり、VB.1プロトコール下では、平均してS5C細胞の約25%がSC膵島β細胞であり、平均して約30%がSC膵島非β細胞であった。Spinnerでは、VBプロトコール下で、平均してS5C細胞の約27%がSC膵島β細胞であり、平均して約28%がSC膵島非β細胞であり、VB.1プロトコール下では、平均してS5C細胞の約26%がSC膵島β細胞であり、平均して約34%がSC膵島非β細胞であった。バイオリアクターでは、VBプロトコール下で、平均してS5C細胞の約25%がSC膵島β細胞であり、平均して約42%が平均してSC膵島非β細胞であり、VB.1プロトコールで、平均してS5C細胞の約20%がSC膵島β細胞であり、平均して約38%がSC膵島非β細胞であった。
【0593】
[00594]
図7Bは、ステージ6の7日目(「S6d7」)での細胞組成物におけるSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージをまとめたグラフを示す。この実験では、バイオリアクターを使用して産生されたS6d7細胞のみを調べた。図に示したように、S6d7組成物におけるSC-膵島β細胞のパーセンテージおよびSC-膵島非β細胞のパーセンテージは、VBプロトコールを使用して産生されたS6d7細胞組成物と、VB.1プロトコールを使用して産生されたS6d7細胞組成物との間で類似していた。VBプロトコール下で、平均してS5C細胞の約50%がSC-膵島β細胞であり、平均して約37%がSC-膵島非β細胞であり、VB.1プロトコール下では、平均してS5C細胞の約44%がSC-膵島β細胞であり、平均して約38%が膵島-非β細胞であった。
【0594】
[00595]本開示の好ましい実施形態が本明細書で示され、記載されてきたが、そのような実施形態が単に一例として提供されることは当業者には明らかであろう。ここで、多数の変形、変更、および置換が、本開示から逸脱することなく当業者に浮かぶであろう。本開示の実施形態に対する各種代替案が、本開示の実施において用いられ得ることが理解されるべきである。併記の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物が、特許請求の範囲によって網羅されていると意図される。
【配列表】
【国際調査報告】